外務委員会 第3号
- 発言数
- 104 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1958/06/25
会議録
○櫻内委員長 これより会議を開きます。 国際情勢等に関する件について調査を進めます。発言の通告がありますので順次これを許します。岩本信行君。
○岩本委員 私は外交問題、特に重亜なる外交問題ということについては、国内政党が相争う姿は思わしくない。要するにこの問題に関する限りにおいては超党派でいくべし、こういう考え方を常に持っております。平和条約を前にいたしまして、当時幣原議長、私が副議長をやっておりまして、この問題に関しては超党派で国家のためにいこうではないかということで、当時奔走をいたしまして、相当の話し合いまで進んだのでございますが、不幸にして結論的には超党派外交というものがものにならなかった。その結果は世界の多数の国々を相手にいたしまして、日本としては相当の成果を得たわけではございまするけれども、その後いわゆる平和条約、安保条約というようなものをめぐりまして、国内に非常な意見の相違があって、その余波はいまだに続いておるという状態で、これが国のために利益か不利益か問題外でありまして、きわめて残念なことだと考えるわけであります。そこで、しからば今日の当面した日本の外交問題、これらは平和条約とはもちろん違いまするけれども、相当重要な課題が山積しておると考えるわけであります。まず当面の日本としての外交問題、こういうことになりますれば、申し上げるまでもなく、日ソの問題あるいは日中問題、沖縄の問題もありまするし、領海問題等々非常な重要な問題が山積いたしております。また一つには世界平和への寄与という意味においての日本の大きな外交、こういう問題もあるわけでございます。たとえば原水爆禁止問題、こういうことで日本が世界の陣頭に立って進めておるわけでございますが、しかしながら、これも九千万全体、まあ政治を担当する面としては二大政党、これらが一致の声で叫ぶ、こういうことになったなら、世界の世論をも動かし得るであろう、そしてまたこの領海問題等につきましても、特に李承晩ラインのような問題、こうしたような問題についても国内意見が分れておる。こういう姿においての要求ではなかなか通らない。先般ここの委員会で、社会党委員の質問に対して藤山外相のお答えは、たとえば東西両陣営の緊張緩和に関する努力の問題についても、現在の日本の国力としては、というような言葉が使われたように思うのでありますけれども、確かにその通りでございまして、これがいわゆる両派が一致して、国をあげての国力、こういうことになったなら、これはもう世界いずれの国にも劣らない大きな力となって貢献することができるであろう、こういうような考えを持つものでございます。ですから、私がお尋ねする趣旨は、こうしたような日本自体の外交、それからまたいま一つには世界平和に寄与する意味においての日本の役割としての外交、こういうような問題について、当局、要するに藤山外相が虚心たんかいに超党派外交というものを進めるお考えがあるかどうか。またそういうことについては、たとえば今自民党がやっておる、政府がやっておる外交三原則、これはほんとうは社会党も異議があるはずはないと私どもは考えるわけであります。そうであるとすればこの自民党の、政府の三原則の趣旨には沿ってもらう。しかして社会党のいっておられる別の面も加え得る分があるならば、これは政府も虚心たんかいに受け入れて、加えてもって日本全体としての外交、こういうことで推し進めたいものだと考えるわけであります。これについての外相の御答弁を願いたい、かように存じます。
○藤山国務大臣 外交の問題を取り扱います限りにおきまして、与党、野党がお互いに率直に話し合いをしていきますことは、私は非常に必要な事柄だと思います。意見の、大きな意味の違いは別としまして、調整ができますことも必要なことだと思います。ただ過去の外交上の問題と違いまして、現在の世界には若干世界観の違いから起ってくる立場の問題があると思うのでありまして、そういう意味におきまして基本的に必ずしも見解の一致を見ることができぬという場合があるかと思います。がしかしながらそういう基本的な問題を別にしまして、掲げる理想等についてその実現の方法、手段等に遅速緩急の別もあり、あるいは理想を実現する態度等につきましても、いろいろ違った立場があると思います。しかしそれらを調整して参って、そうしていろいろな意味において話し合いもし、協力もしていくということは、これは私は好ましいことだと思います。これは世界各地に起っております大きな平和に関する情勢なりあるいは二国間の問題等を取り扱います場合におきましても、会談の進行その他の問題について、十分意見の交換をして、そうしてそれらによって調整ができて参りますれば、対外折衝の上に大きな力になると思います。私どもは先ほど岩本委員の御指摘になりましたように、現在の日本の国力に順応した姿以上に外交というものはなかなか展開しにくいという考え方を持っております。そういう意味において、日本の現在の国力の判定等につきましても、与野党の間で十分な話し合いができて参りますれば、おのずからそういう方法手段等についての遅速緩急というような問題、あるいは会談の進行というような問題については意見の調整のできる場合もあろうかと思います。そういう意味において、外交が大きな面において開かれる、相違がありますことはやむを得ないことだと思いますけれども、しかしながら、その過程における方法手段なり、あるいは共通の目的を持ったような問題については、十分隔意なき意見の交換をする、それは議会の討論等を通じてもそうでありますし、またあるいは議会外におけるいろいろな党対党との会合等においても調整せられることは、日本の外交を推進する上において大きな力になるのではないかと考えております。
○岩本委員 国力に応じたということでございますが、先ほども申し上げますように、その国力たるや結局今のように世界観の相違、これはときにやむを得ないことかと存じますけれども、虚心たんかいに話し合った場合においては、日本人たる以上本質的にはそう違わぬ、こういうふうに私どもは思うわけであります。従って私があえてこの超党派外交を申し上げる趣旨のものは、たとえば原水爆禁止問題、これらはおそらく一生涯ない大事件ではないかということでございまして、この一つが、かりに日本の努力が効を奏して成功するということになれば、終生末代の世界史に残る重大外交として功績を上げ得ることになるであろうし、そうしてそれが世界のために役立つということでございますから、こんな重大事件を前にいたしましては、要するに国力を強める行き方、そうして強まった国力によって貢献する、こういう行き方が必要だと考えられるわけでございます。たとえば、かつて外交調査会というものができて、日本の外交、世界の外交ということでやった実例もあるわけです。それほどの大事件はないかというと、今申し上げますような世界をあげての大事件もある。そこへ日本としてちょうど格好な働き得る場面が向っておるという時期でございますので、こうした論議を通じてできる協調はやっていくのだということに一歩進めてもらいたいということでございます。従って政府も、あるいはまた野党の方も、そうした趣旨のもとにおいて賛同してもらって、この場合やろうか、あるいは考えてみようかということでなく、真剣にその意味において取り組むという御意思があるかどうか、こういうことについていま一点お尋ねいたします。
○藤山国務大臣 私といたしましては、日本の外交を最も有効に推進していくということのためには、国民の総意が必要でありますし、また与野党の間でも十分一致すべき意見につき、あるいはその実現を期する過程において、その方法等について話し合いがつきますれば、外務行政を担当しております私として非常に力強いわけであります。そういうことを希望いたすのであります。でありますから、制度的に何か外交調査会的なものを作るかどうかという問題については、いろいろ研究しなければならぬ点だと思いますが、しかしながら、心持から申しまして、そういうような一致すべき点はできるだけ一致させて推進していき、共通の広場を持ち得るものは持って推進していく。先ほど申しましたように世界観の違い等もありますから、全部が一致するというわけには参らぬと思いますが、そういう面において現実の外交を推進することができれば望ましいことだ、こう考えております。
○岩本委員 日本が国連中心主義で行く、こういうことはけっこうなことでございますが、たとえば領海問題、三海里を六海里に云々というような問題については、かりにしばらくおくといたしましても、李承晩ラインのような不法な問題、こういうことこそ、たとえば国連で解決してもらってしかるべきだと思うのでありますが、ずいぶん経過を経ておる。そうしてこの経過中において不幸な事件が、しかも日本に対する不幸な事件が続々と起っておる。こういう問題について国連で骨を折るのか、また折らすようにやってみたのか、そういうことについて一つお話を承わりたい。
○藤山国務大臣 領海等の問題については、国連における海洋法の会議等で論議が続けられまして、先般の海洋法会議がああいう結末をつけたことは御承知の通りと思います。李ラインの問題につきましては、まず両国間において、日韓会談において十分話し合いをいたして、そうして円満にこれを解決する方途を見つけ出していくことがまず第一の問題ではないかと思うのであります。そういう意味において、われわれは今後とも努力をいたして参りたい、こう考えておる次第でございます。
○岩本委員 今のお話ですが、日韓両国においてこの問題を解決できるならばこれは本調子であります。しかしながら、もうずいぶん日がたっており、そうしてその解決がつかない、こういうことは国連に申し出してよいのではないか。もっとも日韓間できまりがつくという見通しがあるならば別でありますけれども、今までとしては、この問題は全然国連には持ち出していないのかどうか、こういう点であります。
○藤山国務大臣 現在まで特にこの問題を国連に提出はいたしておりません。私どもといたしましては、困難ではありますが、しかしながら、日韓両国間の話し合いによってできるだけ解決をするという手段が、まず第一にとられなければならぬということを考えておるわけであります。そういう意味においてただいま努力をいたしておる次第でございます。
○櫻内委員長 戸叶里子君。
○戸叶委員 日本の経済の振興をはかるには、どうしても貿易を促進させなければならない、こういうことはだれでも考えておることでございますけれども、今日の日本の情勢を見ましたときに、政府の外交の拙劣さから中共との貿易も一応行き詰まりになり、そうしてまたアメリカの方でも、日本の品物に対して高い税金をかけて、それを受け入れることをある程度妨げるような方法をとっておりますし、東南アジアの貿易というものも必ずしもうまくいっていない、こういうふうな状態になってきておるわけでございます。 〔委員長退席、山村(新)委員長代理着席〕 この経済外交の推進ということは今日非常に大きな問題であろうと思いますけれども、藤山外務大臣は常に経済外交を推進させるということを言われておりますが、具体的にどういうふうな構想をもって今度の国会あるいは次の国会に臨まれるかをまず伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 経済外交が今日重要であることは申すまでもないのでありまして、そういう観点に立ちまして、その推進に努力をいたしておるわけであります。経済外交は、かねてから申し上げておりますように、経済協力関係というものと、それから貿易の振興という大きく分けて二つに分れるかと思います。ただいまのお話は、貿易の振興というような面に重点が置かれての御質問だと思います。私どもは、今日日本の置かれております経済的な事情から見まして輸出貿易の振興ということが非常に大きな命題でありますことは当然のことでありまして、これに対して最大の努力をして参らなければならぬわけであります。問題はそれぞれの国に対しておのずからとるべき方策もいろいろあるわけであります。また、あわせてわれわれが国際的事情から見まして、日本の通産行政の上で輸出貿易の振興等に対しては、相当考えていただかなければならぬ面もあるのであります。そういう問題につきましては、われわれの収集しました材料等を通産省に提供もいたし、情報もお伝えして、そうして通産行政の上でもいろいろお考えいただくことにいたして参りたいと思います。 対外的な問題につきましては、申すまでもなく根本的に申し上げますれば、その国の経済事情等を十分調査研究いたしまして、そうして時々起ってきます情勢に応じて、たとえばアメリカの関税問題でありますとか、輸入禁止の問題でありますとか、そういうようなものがアメリカの経済界の変動その他によって、その時々にいろいろな違った形で現われてくるわけでありますから、常時そういう問題について十分な情勢判断もいたして参らなければ、問題が起りましたときに急激な手を打ち、また有効な手を打つわけにも参らぬかと思います。でありますから、基本的にはそういうふうな観点に立ちまして、在外公館を動員しまして、そういう面についての十分な調査研究、資料の入手等について努力をいたしており、またそれをできるだけ有効に処理できるようにいたして参らなければならぬと思っております。また時々起りました問題等につきましては、そういうような基本的な立場の認識の上に立ちまして、それらの問題の解決をはかっていくわけでありまして、そういう意味において問題ごとに善処いたして参るというのが基本的な方針でございます。
○戸叶委員 今の御答弁を伺っておりますと、経済外交推進には二つの方法があって、特に貿易振興のためには、その相手国となる国の事情をよく調査した上で貿易の振興をはかっていく、こういうお話でございました。そうであるといたしましたならば、結局今考えられますことは、中共との貿易、さらにアメリカとの貿易、あるいは東南アジアとの貿易、こういった貿易の推進ということをまず念頭に置いて、そしてそれをするために相手方の国にいろいろな難点があるならば、そういう問題を解決しつつやっていく、こういうふうに了解していいわけでございましょうか。
○藤山国務大臣 ただいま申しましたように、常時やはりいろいろなその国の経済の動きというもの、あるいはその国の立場における経済の構成というような問題について、十分検討をいたしておりますことが必要なことだということをただいま申し上げたわけであります。
○戸叶委員 そうした国々の情勢を調べた上での貿易の推進ということになると思うのですが、そこで今日非常に大きな問題は、何と申しましても日中貿易の問題だろうと思います。そこで予算委員会や外務委員会等におきましても、この問題につきましては、先ごろからいろいろ質疑応答が取りかわされていたわけでございますけれども、私どもから新聞等を通して見た範囲におきましては、一体どういうふうにしてこの日中間の貿易の行き詰まりというようなものを具体的に打開していくかというような積極的な具体策というようなものが見られなかったように思われまして、まことに残念だったのであります。 そこで一、二点お伺いいたしたいことは、先ごろの予算委員会での黒田委員の質問に対しまして、岸首相が長崎の国旗事件に対しましても、ああいうふうな不祥事件を起さないようにすべきであったというふうなことまで言われておりまして、道義的な責任を感じておられることは私どもも拝承したわけでございますけれども、この道義的な責任に対して何らかの措置をおとりになるようなお考えはないかどうか、この点をまず伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 二国間のいろいろな問題につきましては、できるだけ相互に理解を深めて参ることが必要なことだ、こう考えております。いずれの国におきましても、必ずしも大局の判断に立ち得ないような人たちも多くおるわけでありまして、そういう人たちの軽挙盲動というような問題も起りますことは、いろいろ問題がありますような場合の二国間の真の友好的な関係を阻害するわけでありまして、平素からそういうことにつきましては、やはり国際理解を深めて、そうして国際問題に対しては国民として十分慎重な態度をとるように、われわれとしては世界の情勢なり何なりを理解させて参らなければならぬと思います。そういう意味において外務省としても、もっと国際理解を深めていくというような問題については考えて参らなければならぬのではないか、こう思っております。そういうことでありまして、たまたま起りました長崎の問題等につきましても、そういう観点から見ますと、総理の言われました通り遺憾の点があるのではないかと思うのでありまして、われわれとしては、一部の人の軽挙な行動に対してまことに遺憾ではあると思っております、しかしこれはやり根本的に常時から国際理解を深めるという努力を続けていくということによりまして、国民全般にそういうような軽挙な行動が起らぬようにしていくことが必要だ、こういうふうに考えております。
○戸叶委員 今この問題について積極的にどうするということではなくて、国会で遺憾の意を表しながら、国民全体に向ってこういうことのないような教育方針と、あるいは国際情勢を知らしていくというふうな態度をおとりになるように拝承したのですけれども、このことについて果してこの中共とのいろいろな問題がこれ以上進むかどうかということが私は非常に問題だと思うわけです。 〔山村(新)委員長代理退席、委員長 着席]その一つの理由といたしまして、きのうのロイターの報道によりますと、中共が貿易再開を申し出るであろうというように日本が静観していても、これはむだなんだ、むしろ何らかの形で岸首相が考えてほしいということを言っておるわけです。このことは、私は中共が望んでいることは、まず日本が誠意を示してくれることだ、何らかの形で日本が中共に対するいろいろな誤解を解いてそうして誠意を示すということを望んでいるのではないかと思うのです。だからそういう意味において、何らかの誠意を示していくべきじゃないか、私はこういうふうに考えるのですけれども、この点についての何かのお考えがございませんでしょうか。
○藤山国務大臣 両国間の問題について、相互に誤解があり得る場合がやはり多いのでありまして、そういう問題については、十分誤解のないようにして参らなければならぬと思います。私どもは、現在静観をしておるということ自体が、誤解の上に誤解を重ねていくというようなことに発展して参らぬようにしていかなければならぬという意味において、実は静観もいたしておるわけであります。むろん日本側においても反省すべき点があろうかと思いますが、しかし中共側においてもやはり全然誤解がなかったとは言えないんじゃないかという点もあるわけであります。総理が言われております通り、日本は決して中共を特に敵視しているというような考え方を持っておらぬのでありますから、そういう意味において、静観のうちにおのずから両国の問題の解決の方法が得られているのであって、誤解が誤解を生むというようなことが起って参りますことが、かえって問題の解決を遅延させるゆえんではないか、こういうふうに私は考えておるわけであります。
○戸叶委員 それではもう少し具体的に伺いますけれども、もう一つ新聞に発表された答弁を伺っておりますと、現在のところ静観のほかはないけれども、しかし、それは手をこまねいていることではなくて、国交の正常化が困難な状態であることを理解して、そのかわり経済文化の交流を進めていくことが必要であるというようなことも、答弁せられているわけでございます。私はそういう点から考えまして、たとえば文化の交流というようなことを進めていく意味において、報道関係の人たちの交流というようなことも、一つの手ではないかと思いますけれども、これに対するお考えはいかがでございますか。
○藤山国務大臣 現在の段階におきまして、今後の経済問題を解決する上においていろいろ考えて参らなければならぬ問題は、具体的にはあろうかと思います。ただいま御指摘のような報道関係者の交換というような問題も、あるいはその一つであろうかとも思います。そうした具体的な問題については、現在私どもは、両国が静観を続けているうちにおのずから問題の解決をはかっていくという立場をとっておるわけでありまして、将来、何月何日から、どれをどうするというような時期では、まだちょっとないように思っております。十分な相互の理解が成り立つような時分には、適当にいろいろな具体的な問題を考えて参らなければならぬという立場に立って、現在思量をいたしておるわけであります。
○戸叶委員 中共からの引き揚げの問題は、両国間の友好的な意思を基礎にいたしまして、北平協定というものが結ばれて、これまで引き揚げがなされていたわけでございます。そして四月に大体今集結している人たちを帰すというので、第二十一次の引き揚げの方たちが来月の初めに帰られることになっているわけで、それに対しまして、三団体の方がいつものように、船に乗って向うに行かれるわけだと思うのです。私どもといたしますれば、そこに問題になりますのは、戦犯の方を帰してほしいという問題もございますけれども、近く満期になる方があるわけでございまして、こういう方が早く帰れるようにするためにも、この三団体の方が向うに行って何らかの話をした方がいいと思うのですけれども、そのときに友好的な態度を見せるというふうな何らかの措置を、政府としてこの三団体に託すようなお気持はないかどうか、この点を伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 私どもは、総理がたびたび言明されておりますように、特に中共を敵視しておるわけでないのであります。こういうような人道上の問題その他につきましては、やはり今日まで考えておりますような方法で進めて参りたい、こう思っておるわけでございます。
○戸叶委員 今の私の質問に対して、的確なる答弁がいただけなかったのは残念ですけれども、大体意のあるところを了解いたします。そこで中共問題に対して、政府は必要以上にアメリカなりあるいは台湾なりに気がねをしている面が多いじゃないかということを、私は心配するんですけれども、たとえばイギリスは、中共を承認しておりながら、台湾の淡水には領事館を置いて貿易をしているわけでございまして、こういうふうな事実を見た場合に、日本の政府が台湾を認めているにいたしましても、何も台湾に気がねすることなく、中共との間に代表を置くなり何なり、出先機関をお互いに置いておくということは差しつかえないのではないかと思いますけれども、この点はいかがでございましょうか。
○藤山国務大臣 日本の外交を推進していくために、特に特定の国に対して気がねをしていくというような立場は、私どもとらないつもりでやっておるわけでございます。しかし、現実の事情からいろいろ問題はあろうと思います。しかしながら、今申し上げたように、心持としてわれわれは決して気がねするような態度をとって外交を扱っておらぬということだけは、御了承を願いたいと思います。
○戸叶委員 そうだといたしますならば、イギリスのこういうふうな実例もあることですから、お互いに、領事館とまでいかなくとも、何らかの連絡所、出先機関というものを置いても別に差しつかえはない、こういうふうに考えてもよろしゅうございましょうか。
○藤山国務大臣 そうした具体的な問題につきましては、ただ単にそれだけの理由でなしに、ほかにいろいろな理由が付加されてくるわけでありますから、そうした理由を十分考えながらやって参らなければならぬと思っております。
○戸叶委員 外務大臣、なかなか答弁が上手になられて、適当に逃げられているので、なかなかむずかしいのですけれども、昨年岸さんがアメリカへ行かれましたときに、たしかアメリカに、今まで日本と中国との間には六千万ドルの貿易をやっていたけれども、これを一億ドルぐらいの貿易額に伸ばしたいというようなことも、はっきり言ってこられたということを聞いているわけでございまして、やはりこの線では貿易の促進ということを、その当時と同じお考えでいられると了承してよろしゅうございますか。
○藤山国務大臣 日本は、貿易に依存して日本の国民生活を立てておるわけであります。そういう実情から申しまして、できるだけ貿易拡大をどこの国ともやっていくという方針については、われわれ変らぬわけであります。そうしてまた、おそらく世界のいずれの国といたしましても、日本が貿易によって八千五百万人の国民を養なっているという基本的な立場は、十分了承しておると私どもは考えております。
○戸叶委員 そこでもう一つ、この貿易問題と関係があるのですけれども、今度は日米間の貿易の問題でございます。日本とアメリカとの間には、いろいろ解決されなければならない問題、話し合わなければならない問題があることは、私が今さら指摘するまでもありませんが、最近特に起っている問題といたしまして、日米間の通商関係でございますけれども、この通商関係が非常にアンバランスであることは外務大臣も御承知の通りでございます。日本がアメリカから昨年輸入した額が十四億ドルもあって、アメリカに対して輸出したのが六億三千万ドルという半分以下でありまして、なお今度は品物によって関税を高めるとか、日本の品物の輸入制限をするというようなことをいっているわけでありますが、これは単に日本政府がアメリカに行って、こういうことでは困るじゃないかということを申し入れるだけでは解決できる問題ではないと思うのです。これに対してどういうふうにお考えになるでしょうか。
○藤山国務大臣 日本の貿易の非常に大きな部分がアメリカに依存いたしております。従いまして、日本とアメリカとの貿易関係を調整して参りますことは、非常に必要でもあり、かつまた大きな仕事であろう。で、私どもとしては、常時アメリカ政府に対しましては対米貿易のアンバランス、特に日本の輸入超過による状態を説明し、かつまた日本のアメリカに対する輸出産業というものは、主として日本の中小企業に基盤を置いているという点も力説をいたしておるわけでございます。しかしそれだけでは相ならぬのでありまして、ことに民主主義の国でありますから、議会等に対しても十分われわれは活動の手を伸べて参らなければならぬのでありまして、従って予算等の措置も、若干でありますけれどもしていただきまして、公聴会等に弁護士を出しますとか、あるいは専門家を派遣するとかいうような活動もいたして、アメリカ議会方面に対して日本の実情に対する理解、またそのときどき起りました問題等につきましての理解を深めるようにやっております。なおアメリカにおきましても、こういう問題が起ります原因の一つとしては、規模の大小はございますけれども、アメリカ式規模における中小企業とわが国の中小企業との対立というような関係も考えられるわけであります。そういう方面に対する十分な働きかけは、これまた日本の政府がやりますよりも民間同業者間におきましていろいろ話し合いをしていくということも、有効適切な方法であろうと思います。従いまして、そういう意味において、民間の経済界全般を指導する方々にもお願いいたしますと同時に、また民間でそれぞれ、対米輸出の関係を持っておる業者の方々にも、できる限り業者間において意思の疎通をはかるようにごあっせんをし、またお勧めもいたしておるようなわけでありまして、こうした面を打ちそろえながら、対米経済関係というものの調整をはかっていくことが一番必要だと思ってやっておるわけでございます。
○戸叶委員 今おっしゃったことも確かに重大なことではございますけれども、それだけでは解決しないのじゃないかと私は思うのです。もっと積極的な政策をとらなければこの問題は解決されず、ずるずるべったりになるのじゃないかと思います。それで私はまずどうしたらいいかといろいろ考えるわけですけれども、その一つの方法として、もっと違う国からの輸入をするということも必要だと思いますし、それからさらにアメリカの考えているのは、日本のチープ・レーバーなり、ソーシャル・ダンピングの問題に対して非常におそれているというふうなことでございましょうけれども、これは日本の国の労働者全体の問題として考えてみましたときに、最低賃金法なり何なりを早く確立して、チープ・レーバーというものをなくするようにしなければいけない、こういうふうに私は考えます。このことは外務大臣の問題ではなく、労働大臣の問題ではございますけれども、しかしこれは労働大臣の問題だとして解決できない情勢に今日はなっているわけであって、やはり労働大臣と外務大臣と話し合いして、こうした国内のチープ・レーバーの問題をも解決すると同時に、やはりアメリカから日本が輸入過剰しているというような問題をも並行して解決していかなければ、なかなかこの問題は解決できないのじゃないか、こういうふうに考えますけれども、これに対するお考えはいかがでございましょう。 それから、ついでにそれに関係がございますからもう一つ伺っておきますけれども、労働大臣はきのうのある議員の質問に対しまして、ILO条約に対する批准というものもいろいろ情勢を見た上で考える、こういうふうな答弁をしているわけでございますけれども、このアメリカの貿易の問題とも、あるいはほかの国との貿易の問題とも関係があるわけでございますから、私はこのILO条約の批准ということはやはり必要だと思いますし、これは外務大臣のお考えとしてはどういうふうに考えられるかを伺いたい。
○藤山国務大臣 外交的な見地から申し上げまして、ただいま御指摘のありましたような輸入地の転換の問題でありますが、これは全体として日本の輸出貿易を促進する上において、ある場合にはこの輸入地の転換を若干考えていただかなければ、向うから物を買うからこっちからも輸出するという立場をとらなければ、輸出の増進ができないような国もいろいろあるわけでございます。ことに東南アジアでありますとか、中近東方面というようなものは主として各国ともそれぞれ第一次製品が多いのでありまして、それらのものを適当な考慮のもとに輸入地をきめていく、これは国内の産業行政の上でもやはり原料等がその土地によっていろいろ品質に若干の相違もありますので、業者等にもそういう理解を深めてもらいまして、そうして輸入地の問題というのは、これは私は輸出貿易を総括的に振興して参ります上において非常に必要なことだと思っております。総体的に輸出額を増大するという問題についてはやはり輸入原産地の問題というものは十分考慮していただきたいのでありまして、そういう意味において外務省は現地との事情に応じてそれぞれ国内官庁の方々にそういうように申し上げておるわけであります。 今日、アメリカと日本の貿易関係におけるチープ・レーバーの問題でありますけれども、絶対額が日本が安いということは当然なことであって、アメリカと他の国とを比較してみてもそういう差があるわけであります。これは国民の生活様式なりその他によって違ってくると思っております。しかしながら現在の日本の財政その他経済の規模から、あるいは社会生活の程度からいいまして、日本をよく見に来ております外国人からいいますと、必ずしも日本の現状を非常なチープ・レーバーによるダンピングだというふうな認識は、持たないのではないかと思います。むろん賃金が上昇され、国民生活が充実していくことは望ましいのでありますから、そういうだけの理由で国民生活の増進ということを妨げる意図はございませんけれども、国際問題として、特に過去に行われましたようなチープ・レーバーの問題が何らかの形でもって大きくクローズ・アップされておるものとも私どもは思っておりませんが、しかしそういう問題についてはやはり今後国内行政の上におきましても十分お考えをいただくことは、たとい若干のそういうような非難がありましても、やはり輸出貿易の振興等については妨害になるわけでありますから、そういう点については、外務省としましても、国内官庁に十分現地のそれぞれの反応については常時問題のあるところをやはり申し上げる必要があると考えております。 ILOの、問題になっております結社の自由に関する条約の問題でありますが、これは前労働大臣以来、労働問題懇談会において、ILO条約そのものの幾つか締結されております問題を全部検討の上で批准の問題を決定していくという労働省のお考えであり、今日でも、現労働大臣はそういうお考えのようでございますから、われわれとしてはそういう国内労働行政の御決定を待っておる次第でございます。
○戸叶委員 次に伺いたいことは、新聞によりますと、ソ連から十六日に東京大使館を通じて、日本にある米軍基地への核兵器持ち込みを警戒するという口上書を送ってきたということがございましたけれども、これはほんとうでしょうか。そしてこれに対する返答はもうお出しになったわけでございましょうか。
○藤山国務大臣 ソ連から去る十六日にザブロージン大使が山田次官のところに来まして、そういう口上書を受け取りました。それに対する回答はまだ出しておりません。
○戸叶委員 それはいつごろその回答書をお出しになるか、そしてそれをお出しになるときは当然口上書と一緒にこの委員会で発表すべきだと思うのですが、いかがでございますか。
○藤山国務大臣 ただいま検討をしておりますので、検討ができましたならば適当な回答をやりたいと思います。回答そのものを秘密にいたすような気持はございません。
○戸叶委員 本会議で鈴木委員長も質問されたことなんですけれども、日本に対しての核兵器の持ち込みということは、政府としては日米間が非常に信頼の度が強いから、そういうことはないのだから、何ら文書で取りかわすべき必要がないということを再三再四言っておられるわけでございますけれども、国民としては非常にそれに対する安心感がございませんし、さらにソ連からも再三そうした申し入れがあるということは、やはり世界のほかの国も信用ができない、不安であるという気持があるからでございまして、私は何らかの形で、今度は藤山さんもアメリカにおいでになるようでございますから、核兵器の持ち込みは絶対にしないというふうな形の取りきめをするべきではないかと思いますけれども、この点に対して重ねて御意見を伺いたいと思います。 それからたびたびこの委員会等こおきましても、持ち込みはアメリカは日本との間では決してしない、こう言っておりますけれども、実際においてアメリカの基地に日本が入っていって調べることができるわけでもございませんし、アメリカの飛行機が沖縄から飛んできた場合に、これを一々検査するということもできないわけでございまして、その場合に核兵器が持ち込まれておらないということはだれもわからないことでございますから、こういう点をはっきりさせる意味においても、何らかの文書の協定なり何なりを取りきめておくべきではないかと考えますが、いかがでございましょうか。
○藤山国務大臣 この問題につきましては、岸総理がたびたび議会で説明もし言明もしておられる通りでございます。私は現在の日米友好関係の段階におきましてその必要はないと考えております。
○戸叶委員 それじゃ実際問題として、アメリカの基地なり何なりにそういうふうな兵器を持ち込むことが絶対にない、持ち込まれてはいないんだ、あるいはこれからも持ち込まれないというふうなことの証拠は、どういうことでなさりますのでしょうか。
○藤山国務大臣 私は、日米友好関係の上に立ってこの問題を考えますことが一番大きな証拠ではないか、こう考えております。
○戸叶委員 それは藤山さんが非常にアメリカだけを信用しておられますから、アメリカのすることは何でも信用が置けるんだというような、そういうベースの上に立っておっしゃっていることだと思いますけれども、国民はそういうふうな答弁にはごまかされない、私はこう考えるわけでございます。いつでもこの友好関係の上に立っているのだから大丈夫だというふうなことをおっしゃっているうちに、その裏をかかれているような場合もあるわけでございますから、十分この点を警戒されて考えてほしいということを私は要望したいと思うのです。 最後にもう一点伺いたいのは、沖縄の代表がアメリカベ参りまして、アメリカ政府と土地の問題とかあるいはIRBMの持ち込み反対に対するいろいろな陳情を行おうとしているわけでございますけれども、二十六日から何かこの交渉が始まるそうでございます。日本の政府としても当然何らかの形でこれを援護するようなことを考えてあげてしかるべきではないかと思いますけれども、沖縄の代表とアメリカが今交渉しているのだからいいという形で、手をこまぬいておられるか、あるいはそれと同時にやはり何らかの形でこれを援護してやるような方法をとられるかどうか、この点を伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 今回、沖縄の土地問題の再検討に当りまして、アメリカ政府の、沖縄の代表者を呼んで話を聞くという事態に至りましたことは非常に喜ばしいことであります。この沖縄の土地問題につきましては、外務省といたしましても、ワシントンの大使館を通じて常時沖縄の希望をアメリカにも伝え、またこれらの問題について十分アメリカ側に対してわが国の立場も説明いたしております。先般アメリカに行かれる途次、東京に御滞在になりまして、そうして数日間おられたわけであります。当時私も二回一行に御面会しましたし、また外務省が持っております情報等につきましても御提供申し上げて、懇談を事務的にもいたしたわけでございます。なおワシントンにおられる間に、でき得るだけ各方面と十分沖縄の方々の考え方、また目的達成のためにワシントンの大使館としても働くことだと考えております。そういう意味において、日本政府としてはでき得るだけ御協力申し上げて進めていきたい、こう思っております。
○櫻内委員長 帆足計君。
○帆足委員 私、長らく外務委員会におりましたが、しばらく商工委員会の方へ移っておりまして、今度またこちらの方へ参りましたからよろしく。 東京は日本の頭脳でありますけれども、私の選挙地たる第四区は杉並、中野、渋谷——東京の頭脳といわれておるところであります。その東京の頭脳の中で革新政党は五二%を得ておるのでございます。従いまして、その国民の世論を背景として御質問申し上げる次第でありますから、一つ十分その点は、教養ある実業家であり、また文化性のある政治家としての藤山さんとしてお聞きを願いたいのですが、これまで日中問題につきまして多くの同僚がいろいろ御質問いたしました。多くのことはすでにもう語り尽しておりますので、私はむしろ先ほど岩本委員が、重要な問題については超党派的な考慮も必要である、そのような趣旨におきまして、この問題につきまして党派をある程度超越して、国民的利害の立場から何らかの建設的な結論に近づくようにお互いに了解したいと思っておる次第でございます。こういう点から今日の日中の関係を考えますと、相互に誤解もありましょうけれども、また岸内閣の不用意なるこれに対する態度や発言が確かに問題紛糾の原因になっておることは明らかであろうと思います。朝日新聞の社説に次のようなことを書いておりますが、これは私は公平な立場から見ましても聞くべき言葉であろうと思うのです。「わが政府の側にも、余りに法規一点張りの、末節にこだわりすぎたため、避け得べき摩擦を、あえて招来したかのような感があることは確かである。日本政府も、もっと大人的な立場に立って、長い目でものを見、また、おだやかなものの言い方をしたなら、もう少しは事態は明るくなるに相違ない。それに、藤山外相は、官僚出身ではなく、新感覚の人と考える。もう少し、自己の自由な構想を自由に展開することを希望したい。」このような朝日新聞の社説は私はまことに妥当なものであると思うのでございます。こういう観点から基本的な二、三の問題について要望いたしたいのですが、本会議がもうお始まりだそうでありますので、あとにいたします。
○櫻内委員長 午前中の会議はこの程度にとどめ、午後二時まで休憩いたします。 午前十一時二十三分休憩 ————◇————— 午後二時十三分開議
○櫻内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 まず連合審査会開会申入れに関する件についてお諮りいたします。すなわち、現在大蔵委員会において審議中の外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案について、大蔵委員会に連合審査会開会の申し入れを行いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○櫻内委員長 御異議がなければさよう決定いたしました。 —————————————
○櫻内委員長 次に国際情勢等に関する件について調査を進めます。発言の通告がありますので、順次これを許します。帆足計君。
○帆足委員 先ほど御質問申し上げましたように、当面中国との不幸な事態の解決につきましては、同僚の委員諸君からほとんど論議し尽されておりますので、私はむしろ超党派的に、建設的な共通な結論を政府当局と一緒に見出したいという念願で、御質問申し上げたいと思うのでございます。従いまして、大臣の御答弁も、何らかの建設的な見通しのある御結論のつかぬ問題とか、あるいはまた逆に事態を紛糾させるような結果を生むような御答弁を承わりたいのではないのでございますから、互いに理解を深めて、この問題を相ともに善処したいという気持で申し上げる次第でございます。簡単なことを一そう複雑にするのは、愚かな人間のやることでありまして、複雑なことをきわめて簡単に解きほぐすことが、理性ある人間のする仕事でございますから、逐次問題を整理いたしまして、解決の糸口を発見したいと思う次第でございます。 まず第一に大臣にお伺いいたしたいことは、ただいま懸案になっておりますのは、それほど複雑なことではございませんで、大体常識に基いて書かれました第四次日中貿易協定を、政府がその実施について支持、御協力をしていただきたいということか、使節団としての念願でもあり、また日中双方の各民間団体の気持で、あの調印は行なったものであろうと思います。従いまして問題の中心は、きわめて常識的にできておりますあの貿易協定の問題でございます。この協定は民間協定として成立したのでありますが、日本側は議員連盟が参加いたしまして三団体、ただ従来と違いまして、前よりも政府との連関が強いような形で参加いたしたように記憶しておりますが、池田正之輔君が自民党の貿易委員長として、しかも団長を引き受けられた。おくれて植木さんがきわめて慎重な態度で幹事長の命まで受けて北京に参られた。この御両所がともに責任ある立場で調印されておるというふうに私どもは記憶しておるのでございますけれども、自民党並びに政府と、この両君の資格はどういう関係でこれは調印なされたのか、伺いたいと思うのでございます。
○藤山国務大臣 池田正之輔君が行かれましたのは、自民党員として議員連盟の一人として行かれたのでありまして、政府とその間には何らの連関関係はございません。
○帆足委員 ただいまの御答弁は私まことに遺憾であると思うのですが、議員連盟というものは純粋の民間団体でありますから、そのまま政府を代表する機関でありませんけれども、今度の調印に当りましては、池田君は自民党の貿易委員長をしておられるわけですし、それから再三幹事長とお打ち合せあって、またそのためにわざわざ植木君はおくれて参ったという事情もあるのですから、政府または自民党の公けの意見と関係なしに、ただ個人としての思いつきや、また個人的見通しによって調印したものとは思われないわけです。私どもは大体政府の下了解を得ておるものと考えておるのですが、そうではなかったのでございますか。
○藤山国務大臣 私がただいま申し上げたのは、当然政府の使節団というような関係がなかったということを申し上げたのであります。池田君も自民党の有力な党員であります。自民党の中でいろいろ同君の言説等もあります。そういう点についてはわれわれも承知をいたしております。
○帆足委員 従来民間団体といたしまして、外国といろいろと相談いたしますときに、常識で考えまして、政府も受け入れるということが内面的な連絡その他で確認されておりますときは、持ち帰りましてただちに実行しようというような表現で協定を結びまして、また帰りまして日本政府の同意を得、また同意を得るまでの間は相互の了解でもって時期を見計らう、また啓蒙理解等のための努力が必要であるというときには、右についてはさらに努力を続けるというような表現を使って、責任を明らかにして参ったのでございます。ところが今次の協定の中で、ただいま懸案の商品見本市を開くとか、民間の通商代表部を設置するとかいうことについては、長期にわたって今後努力するというのではなくて直ちにこれを帰りましたならば実施に移そうということで、話し合いがまとまったのでございますから、当然政府側の内面了解を受けておるものとわれわれは従来理解して参ったのでございますけれども、その間に何か連絡不十分なところがあったかどうか。もちろん政府の使節でないことはもうよく承知しておりますが、その辺の事情を承わりたいと思います。
○藤山国務大臣 貿易を増進するという民間の協定の問題につきましては、われわれも私の立場から意見のあるところを申し述べます。むろん党内のことでありますから、党内の方々といろいろの意見を交換をいたしておりますが、貿易を促進するという面について、必ずしも大きな食い違いがあったとは私ども思っておりません、しかしあの協定全体につきましては、必ずしも私どもの意見と行かれた方の意見とが、全部一致していたということも言えないのではないかと思うのであります。
○帆足委員 私どもの了解しておりますところと、外務大臣の御答弁との間に多少の食い違いがありますことは、まことに遺憾であります。また先日幹事長にお目にかかりましたときに、実は植木君にはよく申し含めてあったはずだ、植木君は調印していなかったはずだがということをちょっと承わりまして驚いたのでありますが、それは幹事長の失言でありましょう。しかし政府与党から委員が出られまして、そのような大きな食い違いがあるのでは、これに協力しておりますわれわれといたしましてもまことに困る次第でございまして、もう少しそういうときには責任ある内面連絡をして、こういうことについては今後努力する、こういうことは大体解決済みであるというふうにしていただきませんと、文章に表わして調印いたしましたものは、一つの共通の論理で二つの国の言葉に書かれておるのでございますから、大へん迷惑をいたす次第でございます。しかしこのことをこれ以上追及いたしましても、済んだことでございますから、むしろ善後措置が必要であろうと思うのでございます。問題はきわめて簡単でありまして、一つは国旗掲揚の問題でございます。御承知のように、北京におきまして私も見本市の開幕式に出たのですが、この会館の軒の上には、へんぽんとして朝も昼もタベも日章旗は翻っておりました。また開幕式には日本の君が代がいとも厳粛に演奏されたのでございます。これは国際的儀礼でございまして、従いまして国旗の問題につきまして中国の問題だけを例にとりますと、未承認国であるとか、あるいは社会主義国であるとかいうようなことに政治問題がからみますけれども、これを抽象的に、これが大きな国であろうと小さな国であろうと、自由主義国であろうと、資本主義国であろうと、とにかく一国を形成して、その一民族の象徴になっております国旗に対しては、やはり近代的な文化国家として相当の敬意を払うというふうに考えれば、当然解決するのではあるまいか。文芸春秋に読売新聞の論説委員の、著名な自由主義者である高木健夫君が、「中共国旗はパンティか」というおもしろい論文を書いておるのでございます。従いまして、法律はとにかくといたしまして、まず今日の国際的儀礼からいって、国旗はみやこ腰巻やシーツやカーテンと同じものであるかどうか。承認されておるか、承認されていないかということは別として、一国をある国が承認するかしないかということは、歴史の段階における技術的な問題でありまして、一民族が一つの統一国家を作りまして、そしてしかも大英帝国のような国もすでに承認しておる。そうすると、それが完全承認に至るまでには、過去におけるソ連の歴史に見ましても、日本と諸外国との今日まで国交の回復した各段階を見ましても、一定の段階においては未承認の時代というものが、いかなる歴史にもあるのでありまして、別に社会主義国と限ったわけではないのでございます。従いまして、社会主義国であるとか、社会主義国でないとかいう問題を全部除きまして、歴史の上の事実として、ある段階において未承認の国がありました場合に、その国の国旗に対して礼節をもって対するということは当然のことのように思いまするが、外務大臣は、それを単なる器物、またはパンティと同様にお考えになるはずはありませんけれども、このことが問題になりまして毎日新聞種になっておりますので、外務大臣からはっきりした、文化的な政治家としての御所信を承わっておきたい。
○藤山国務大臣 私は、先日穗積委員の質問にもお答え申し上げましたように、それぞれの国の国民が、その国の国旗もしくは国歌等を尊重しております気持というものは、これは当然わかるわけでありまして、そういう気持を日本人もみな持っていること、これまた当然だと思います。ある意味からいえば、戦後日本の国民が国旗もしくは国歌等に対して、やや無関心的な態度をとった向きがあったように思いますが、それは嘆かわしいことだと思っているわけであります。そういう心持において、私は国旗を尊重するということは、先般穗積委員に申し上げた通りに考えているわけであります。
○帆足委員 ただいまの外務大臣の御答弁に対しては、私どもきわめて満足でありますが、それならば、この前の愛知官房長官の声明の仕方は私はまずかったと思います。愛知君はその後もきぜんたる態度で処するというようなことを言われておりますが、外交の問題に対して、そしてこういう問題に対して、多少の失言をなされたあとで、きぜんたる態度などという言葉は使わない方がいいのであって、そういうことはいなか政治家の言う言葉であって、外交のことはやはり良識を持って、平静な態度で常に事に処すべきで、きぜんたる態度などというものを始終とられたのでは、それぞれお互いに迷惑をいたすわけでありまして、良識ある人間的態度ということが、私は望ましいと思うのでございます。先日自民党の幹事長にお目にかかりましたときに、幹事長の隣におられた自民党の有力な幹部の方が、なるほど国旗の問題は、承認している承認していないということは、歴史の段階でいろいろあることであるがら、相当の国がすでに承認して過渡期にある国に対しては、その国の国旗に対しては、法制上も国交のある国の国旗に準じて取り扱うというくらいのことは、できそうなものだねと、幹事長に対して言葉をはさんでおられました。私はきわめて適切な御意見であると拝聴したのでございまして、そのときに幹事長に、道義的に常識としてはもう一致したことであるけれども、法制的にいうと多少の問題があると思いますから、一つ研究しておいて下さいと言って、われわれお別れした次第でございます。従いまして、この問題については諸外国の例も御勘案下さって、これを中共の旗といえば、また今日の外交問題にはさまつて差しさわりがあるとするならば、そういうことから離れて、ただ国家の国旗に対して敬意を表すということで……。 現在日本といろいろな貿易関係などありますけれども、まだ未承認国の関係にある国はどこどこであるか、また中国をすでに承認している国はどういう国々であるかということについて、大体は存じておりますけれども、承わっておきたいと思います。
○藤山国務大臣 国旗につきましては、先ほど御答弁申し上げたような心持で私どもおるわけであります。これ以上今日の段階でいろいろなことを申しますことが、一日も早く両国の経済関係を樹立する上において、かえって適当でないかとも考えますので、省略いたしたいと存じます。 なお中共を承認している国の数、名前等については、事務当局より御答弁申し上げます。
○三宅説明員 中共を承認しております国は、現在で二十九カ国ございます。主たる国は共産圏の国、それからAAグループの国、それからデンマーク、スエーデン、ノルウエーといったような中立的な国、それからイギリス、オランダ等でございます。
○帆足委員 それから日本と正式の国交関係にないけれども、貿易などしている国はどういう国がありますか。共産圏は除いて、たとえば韓国などそうでしょうが、その他どういう国がありますか。
○高橋(通)政府委員 ちょっと今とっさに思いつかないのでございますが……。
○帆足委員 これくらいのことは覚えておいていただかないと、メンタル・テストに落第ですから、もう少し勉強しておいていただきたいと思います。(「勉強が足らぬ」と呼ぶ者あり)与党の方にしかられるようなことでは困ります。 そこで、ちょっとお尋ねしますが、中国を承認しておる国々で、たとえば今中立国と言われますが、イギリスにしろスイス、デンマーク、スエーデン、ベルギー、オランダも中国を承認したように思いますが、こういう国は自由主義国と呼ぶべき国でしょうか。ちょっとそれを伺っておきたいと思います。
○三宅説明員 御指摘の国のうちで、イギリス、オランダ等は通常自由主義の国というふうにいわれております。それからスエーデン、スイス等は中立主義的な国であります。
○帆足委員 まことに幼稚なお答えであって、スイスやデンマークは自由の最も発達した国であろう、自由主義国の花ではないですか。あれくらいになるなら、われわれ社会党といえども大いに敬意を払って惜しまないと思うのです。そういう国々がすでに中国を承認しておる。いつぞや岸首相のお言葉であったと思いますが、われわれは自由主義国家群に属しておるから、当面中国との仲たがいは多少やむを得ないというふうに聞き取れる演説があったように思いますけれども、自由主義国に属しておるから中国と仲たがいしなければならぬというならば、ただいまの承認国が英国を初め自由主義の花形といわれるデンマークやスエーデン、ノルウエー、オランダ、スイス、また東南アジアでは李承晩と蒋介石とシャムくらいを除いては。パキスタンに至るまで、ビルマもインドネシアもインドも全部中国を承認しておりますから、中国と国交関係を調整することと、自由国家群と仲よくやっていくということとの間に、それほど基本的な矛盾はないと思うのですが、外務大臣はこの事実の前にどのような御感想をお持ちですか。
○藤山国務大臣 ただいま三宅参事官は常識的な言い方をしたのでありますが、今日われわれは自由主義陣営に属しております。しかしながら自由主義陣営の各国においても、それぞれその歴史、立場、環境その他によりまして、いろいろその国のとります外交政策については変り方があるわけであります。そういう意味におきまして、それぞれの立場において、自由主義という大きな旗じるしと申しますか、あるいは方針といいますか、あるいは先ほど申したように世界観と申しますか、そうしたものの中でありますけれども、それぞれの現実の外交をとつて参ります上においてはいろいろ差異があることは当然でございます。
○帆足委員 まことにそうであるからこそ、貿易の国の英国が、世界資本主義の総本山でありながら、早くも中国を承認しておるのもそれだろうと思います。最近フランスのドゴール政権が、一つにおいては東南アジア、中央アジア、アフリカに対する政策上、一つには貿易の道を見出すために、最近中国承認への動きを始めておることは、外務大臣すでに御承知の通りだと思います。さきのチンコムの解除にいたしましても、これは英国から出ました。これは当然隣邦日本がその一役を受け持つべきであっただろうと思うのです。それからまた指紋問題の解決は、これは逆にアメリカから提案されておる。アメリカで実施されて三ヵ月後に日本がこれに取りかかったということは、他国におくれてするということは謙譲の美徳という言葉もありますから悪くはないようでありますけれども、日本と中国の関係を考えますと、私はちょっと均衡がとれてないように思います。従いまして、外務大臣の言われるように国それぞれの地位に従って実際政策をとらねばならぬ。しかも中国との国交を調整することは、自由主義国もそれぞれやっておることである。そうしてアジアにおいて中国と仲たがいをしておる国は、李承晩と蒋介石以外にはないわけです。フィリピンがそれほどよい関係ではないが、インドもインドネシアもビルマも、そしてアジアでは人口九千万の日本を除けば、六億の中国、三億五千万のインド、一億のインドネシア、数千万人のビルマを除いてはアジアはないわけでありますから、これらの国々のほとんど全部が中国との間に国交関係を樹立しておるということは、今や外務大臣に対して重大なる課題を約束しておることではあるまいか。外務大臣の今のお言葉のままの心境で参るならば、アメリカに対して日本の中国に対する特殊の状況を理解させ、納得させることが外務大臣の仕事ではあるまいかと思われる次第でございます。 この問題についてはあとで触れることといたしまして、国旗の問題というきわめて常識的な問題を除けば、あとは民間通商代表部の駐在員の仕事の安全並びに財産、生命の安全という問題だけが残されておるわけであります。これは御承知のように、最初は公けの通商使節団ということでありましたが、それでは今日の国交未回復の状況では困難である、従ってたとえば輸出組合とか国際貿易協会というような民間団体の代表をお互いに交換しようということになりまして、ただ今日の国際情勢のもとでその生命と身体の安全を相互に保障しよう、これは互恵平等の原則で参るわけであります。ただこの問題については、駐在期間が二年なり三年以上常駐するわけでありますから、今日の一カ年の指紋法では解決がつきませんので、駐在員に対して指紋を免じなければならない。指紋を免ずるということになりますと、例の通達の運用によって何カ条かに指定して指紋を免ずる。そうなりますと、それの副産物といたしまして、ある程度の身分の安全も、公務員に準ずるもの、あるいは領事に準ずるもの、何らかの形において取扱い上の便宜もはかることができるのでございます。まことに運用に妙を得たものとして、大体のことは政府当局も了解して下さっておるように、自民党の議員連盟の代表の方からもそれぞれ承わっておるのであります。従いましてこの問題肛ついて若干でもそこがありますならば、先方とよく語り合えば大体解決がつくことではないかと思うのであります。そういうことでありますから、政府もいつまでも冷たい静観などというようなつれない言葉をお使いにならずに、国会の開会中に一つもう少しスマートな発言をされて、またインナー・キャビネットもお作りのよしでありますから、もうぼっぼつ解決に乗り出される時期であろうとわれわれは期待しておる次第でございます。 これに関連いたしまして、最近の新聞記事に、どうも民間の団体の動きが少し騒がしいから民間団体を少し政府の意図に沿うように再編成せよという記事が出ておりました。これはもちろん口さがない新聞記事のことでございますから、それが政府の意向であるとは私は必ずしも思いませんが、民間団体というものは民主主義の基礎でありまして、時としては政府の気に逆らうことを言うのも民間団体の民間団体たるゆえんでありまして、政府の言うことだけに唯々諾々としておるならば、これは政府の外郭団体として政府から補助金でもちょうだいいたさねばならぬ性質のものでございます。議員連盟にいたしましても、国際貿易協会等にいたしましても、政府から補助金はいただいておりません。従いましてわれわれは、政府に再編成していただくのではなくて、政府をときどき再編成いたしたいと平素から考えておる次第でございますから、誤解のないように願いたいと思うのであります。またそういう団体の声をよりどころにして、あるいはそのよきところをとり短所を押えていくところに政治の妙味というものがあるのでございますから、民間団体を再編成するというようなことをあまり気やすく言うていただきたくないと思うのであります。議員連盟につきましても、これは民間の有志が、党派は違いますが、先ほどの岩本委員さんの御発言にもありましたように、国民としての共通の課題に対しては力を合せようということで、中日貿易のあっせんまたは推進役になろう、政府は腰を上げかねるような場合が多いから、そういうときにはすなわち政府を鞭撻して一歩前進していただこうということでできておるわけで、今後運営上の行き過ぎとか、また至らざるところについては両党自由な論議をかわして人事、運営ともに直して参ればいいわけでありまするから、たやすく与党であるからこれを解散するとか、また政府の意向を受けて解散しようなどということはそう早急に言われても困るのであります。ましてやこの協定にはそうそうたる政治家諸君が、特に与党からはおそらくそうそうたる方が出られておるとわれわれは思っておる次第でありまするし、そうして国際的に民間の協定として調印したものが、多少実行上に障害があったからといって帯を解いて解散してしまうなどというようなだらしのないことは、国際信義上からいっても私はできないことであろうと思うのです。また事が多少紛糾しかかっておることを一そう紛糾するような方向に持っていくことは愚かな人間のすることでありまして、できる限り複雑なことは簡単に考えるということが賢明な人間のすることでありまするから、この問題につきましても一つ慎重な御考慮、御理解をお願いしたいと思ってこういう発言をするわけでございます。すなわち民間団体の動きに対して政府が官僚的にとやかく言われるようなお考えであるか、それとも民間団体の動きというものは多少まずいところがあっても、多少気に食わないところがあっても民意は尊重して協調していくというお考えであるか、外務大臣のお気持を伺っておきたい。
○藤山国務大臣 民間団体の問題につきましてわれわれは政府としてこれに干渉し、あるいは口ばしを入れようという考え方は持っておりません。民間団体がいろいろな問題について時に政府と意見が合わない場合もあるのは当然であります。私も会議所会頭を長くしておりましてずいぶん政府を攻撃したこともあるわけでありまして、民間団体として必ずしも何でも政府の意に従わなければならぬ、また政府もそうさせるというようなことの必要は私は考えておりません。また党の中におけるいろいろな動きにつきましても、党自体がいろいろ問題を考えることでありましょうし、政府といたしましてそれに干渉するということはないと私は思います。ましてや私ごとき一年生の党員ではそういう力を持っておりませんので、御安心いただきたいと思います。
○帆足委員 外務大臣のただいまの御答弁によりますと、数日来新聞に出ております民間団体再編成の軽率な声というものは、心なき人たちの意見であったというようなわけでありまして、まことに満足でありますが、さて今度の日中問題の善処の筋書きについて考えますると、中国側の真意がまだ日本の政府によくわからないという声が大きいのでございます。確かに当初そういう一面もありましたけれども、今日各般の情勢を集めてみますると、その合理性がどこまであるかという批判はおのおの違いますけれども、大体どういう利害とどういう心境を持って中国がこういう主張をしておるかということの見当は、もはやつく段階に来ておると思うのです。その一つの資料といたしまして東邦商会から出ております、これは中国国際貿易促進委員会の、前は副秘書長だったと思いますが、今日は秘書長という肩書きがついております。国際貿易促進委員会の秘書長、すなわち南漢震氏がその主席で、そこの事務局長、専務理事に当る蕭方洲という人が、日本の貿易商二十数社が北京を出発するに臨んでの送別の言葉を約一時間にわたりて述べておるのでございます。その中に条理こもごも尽して今日の中国の気持を書いております。これをぜひとも外務省当局はお取り寄せ下さって御通覧なさる必要があろうと思いますが、その最後にどうしてこの問題を解決するかという結論が出ております。その結論はきわめて簡単でありまして、わずか数行でございますから読んでみますると、岸内閣に態度を改善していただきますならば、直ちにこの問題は解決がつきます。具体的に申しますと、一、少くとも貿易協定を破壊しないで、これに支持、協力を与えてもらいたい。第二には一方で中国の国旗を侮辱して両国の友好関係を考慮に置かないでおいて、片一方の手でただ仲よく貿易だけをしよう、経済上の利益だけ得ようというのでは誠実な態度といえない。われわれは憤慨せざるを得ない。第三には貿易協定について支持と御協力の約束をしていただける政府ならば岸内閣と喜んで協議に入りたい。どのような代表でもけっこうである。中国は喜んで受け入れ、お話し合いに応じたい。これが結論の言葉で、きわめて常識的で簡単なことであります。こういうことでありますので、問題をあまり複雑怪奇にお考えにならないで、今日の新興国家としての中国は若い国で、革命直後の国で、歴史の段階から言いますと、明治維新みたいな段階でありましょう。 私は中国四百余州をおおむね歩いて参りましたが、北京郊外の農村で大体明治時代の農村というところです。西安の奥の方に行くと、大体戦国時代くらいの水準になりまして、辺境地帯に参りますと、大体応仁の乱時代の生活をしておるのであります。これらのおくれた民族が、初めて立ち上って、近代国家を作り、近代産業に進もうとしておるのでありますから、いわば政治の面においても西郷隆盛、桂小五郎、吉田松陰、勝海舟のような心境の連中が今うじゃうじゃおるという状況で、新興国家の意気当るべからずというような民族の心理もやはり理解することが、私は必要でなかろうかと思います。日本の場合は日清戦争時代はまだ少年期でありまして、日露戦争時代に青年期、欧州大戦当時やっと壮年期に入りまして、そうして今次の戦争で言うに言えぬ人生のつれなさや世界歴史のきびしさを味わったのであります。そうして人口から言っても日露戦争時代はまだ四、五千万でありましたが、今や一億に近づく大きな民族になったわけでありますから、目ざめつつあるアジアの状況に対しては広い心でこれを理解し、その新興国家の新興の意気、気持を理解するだけの雅量が日本の政治家に必要であることを痛感する次第でございます。従いまして、これはもうちょうど今良識においても最も均衡のとれた立場にあられる藤山さんがあっせん役に乗り出されて、解決すべき諸条件は備わっておるように思うのであります。 それにつきまして外務大臣にお尋ねしたいのですが、外務大臣はほかの閣僚の皆さんよりもアジア諸国に対して理解を持たれておる。これは東南アジアに砂糖キビができるからではないと思うのです。そういうことではなくして、やはり外務大臣の良識によって、東南アジアの民族の心理を一種のヒューマニズムの見地か一ら理解し得る感覚を持たれておるのであると思うのです。そうだとするならば、そのいわゆるアジア善隣外交の基調となるものは何であるか。今日学者はこれをバンドン精神と言っております。外務大臣はこれをどのように理解されておりますか。われわれ日本を除いては、アジアの十数億の民族は全部植民地でありました。言うに言えぬ苦労をなめた国々でございます。これらの植民地であり、奴隷の境涯にいた民族が今や目をさまして、独立の国家を作り、平和の環境の中で建設に進もうというのが、ほとんど共通の気分であろうと思います。イデオロギーから言うならば、資本主義と社会主義のちょうど中間ぐらいのところを、自由を基盤にして歩こうとしておるのでなかろうかと思います。植民地であった国が独立を得ようとするその気分と努力に対して理解を持つことが、アジア善隣外交の基礎であって、これを過去の軍国主義、帝国主義の立場からどうして押えるか、どうしてゆるめるかという立場ならば、これはドゴールや英国資本主義の立場であります。そうではなくしてこれらのおくれた民族が奴隷の境涯から今脱却して、自由を求めようとしておるその自由への道に対して、今や植民地を持っていない日本は、これに対して公平な立場で対処し得る身軽な日本の立場として話し合うというのならば、バンドン精神に合うと思いますが、藤山外務大臣はわれわれのごとき赤貧洗うがごとき環境に育った者と違って、親譲りの百万長者の人でありますから、果してその植民地のほんとうに苦しいところまで理解されておられるかどうか。理解が不十分であるとするならば、社会党の言葉も十分耳にお入れになって、そういう立場からもう一度東南アジアを見直すならば、その反映として、また中国に対してもう少し豊かな理解を持ってこの難問題を解決することもできるのではないかと思うわけでございますが、外務大臣は東南アジアに対してどういうような基本的お考えを持っておられるか、これを伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 東南アジア及び中近東あるいはアフリカまでを含めて、第二次大戦後におきましてそれぞれ民族主義の運動のもとに植民地から解放をされまして幾多の国が成立してきたわけであります。日本の明治時代以後の状態を考えてみましても、これらの国が現在政治的独立を確保するために、経済的な裏打ちによりまして真の政治的独立をかち得たいということの念願を持っておることは、当然なことだと思います。従いまして私といたしましては、今日までも申し上げております通り、これらの政治的独立を達成するために、われわれはできるだけその裏づけとなります経済的な独立の完成のできますようにわれわれが力を貸しますことが、日本の一つの東南アジアに対する外交の面だと考えております。そういう意味におきまして、私はバンドン精神というもの、あるいはバンドン宣言というものも、日本の将来の道に掲げられた一つの大きなともしびだということは、先日も申し上げた通りであります。そういうことのために、われわれとしてはその目標に向って日本の現在の現実の立場を顧みながら、足を踏みはずさないように一歩々々進んで参りたいというのが、私の東南アジアに対する心持であり、外交の基本的な考え方でございます。
○帆足委員 時間も移りましたので、これをもって最後といたしまして、残りました質問はまた別な機会に申し上げますが、最後に、私は実は中国問題を今日のように紛糾させました前内閣の責任に対して、言いたいことがいろいろあるのですけれども、ここでそれを大いについて自己満足にふけりましたところで、別に天下国家を益するわけではありませんし、問題の所在はおおむね新聞等を通じて国民にも理解されておるのでありますから、どうか世論に耳を傾けられて、何らかのスマートな善処方策を講じていただきたいということをお願いいたします。 最後に、一昨日予算委員会で今澄君から総理に質問がありましたが、朝鮮の問題について沢田全権が日朝懇談会という席で、三千八度線を鴨緑江にまで持っていくのがわれわれの腹であるという演説をしております。私は、人口衛星と原爆、水爆の時代、ミサイルの時代に、まことに奇矯過激にして思慮なき発言をするものかなと思って、この速記を見て心配にたえぬと思いました。こういう大先輩たちは、おそらくお年をとり過ぎて、最近の原子力の書物などお読みになるひまがないのではないかと思いますので、こういう人たちには書物を四、五冊買って外務省から寄贈されるようにされたらいかがでしょう。三十八度線の停戦のために、世界の心ある政治家がどれほど苦労したか。アイゼンハワー大統領がこのために夜の目も寝ずにいかに苦労したか。ソ連側もそうでしょう。そして得つつあるところの平和の道に対して、こういう軽率なことを言う昔の外交官の生き残りの人を、特命全権か何かにお使いになるということは、まことに遺憾なことであって、あの速記録を一ぺん検討されまして、事実であるならば一つやめさせていただきたいと思う。おそらくやめさせるであろうことは私は間違いないと思います。あれを読めば。覆水盆に返らず。ああいうことは、民族の命にかかわることです。そしてこれはアメリカにとってもよくないことなんです。李承晩の一味にファッショ的傾向が濃厚で、今や李承晩政権を自由主義政権と言う人はアメリカの新聞記者でも一人もいないでしょう。だれでもフアッショ政権と言っている。これは非常に不幸なことです。われわれも、朝鮮が二つに分れているのは、これはできれば一つになったらいいと思いますが、今日の時代におそらくそういうことは、すぐ簡単なこととは思いません。思いませんが、北の方も一そう民主化され、南も人から尊敬されるような穏やかな政権ができるならば、歴史の門出に火を発せずに済むであろうものを、それを日本の全権が、力もないのに、年寄りの冷水と申しますかお年のほども考えずに、三十八度線を鴨緑江の果でまで持っていきたいなんと言うことは一体どういうものか。または当夜の酒に悪い酒が入っておったとすればそれは大蔵省の問題です。監督を厳重にしていただきたい。このことを警告申し上げまして、これについて外務大臣の心境を伺って、同僚委員の質問がありますので終ります。
○藤山国務大臣 沢田君がどういう話をしましたかは、その際私そこにおりませんしはっきりいたしておりません。十分調査いたしていきたいと思います。
○櫻内委員長 田中稔男君。
○田中(稔)委員 私は特に外務大臣の渡米問題について御質問を申し上げたいと思いますが、その前に今の帆足委員の質問に関連いたしましてもう一度私からもお尋ねしたい。 沢田廉三全権が発言されましたのは、何でも六月十一日の朝鮮懇話会主催の日韓会談政府代表をかこむ会という席上であると思います。今の帆足君の発言をもう少し具体的に申しますと、これは当日出た人のメモによる要旨でありまして必ずしも一言一句正確だとは言えませんが、大体間違いないらしい。それによりますと、日韓の不和が続けば好まざる第三の勢力がここにくさびを打ち込んでくることをおそれる、三十八度線はだんだん南下し、ついには釜山に近づくという形勢を心配する、それはやがて日本全土に及び、われわれはまくらを高くして寝ることができぬ、日清、日露の両戦争は、いずれも日本を脅かす勢力が朝鮮半島に進出してきたので、これを鴨緑江の外に押し返した戦いであった、われわれは三たび立って鴨緑江の外に押し返さねば先祖に対し先達に対し申しわけない、これは日本外交の任務である、大体こういう要旨です。聞きますと、沢田というのはこういう席でよく演説をぶつ方だそうで、幾らか趣意に反するような誇張した言辞を弄される一つの癖がある方だそうでありますが、この要旨はきわめて重大な内容でありまして、もし日本の外交官がこういうふうな考えで日韓会談あるいはその他の外交交渉に臨むということになりますと、これはもう大へんなんです。今日の世界は、御承知のように好むと好まざるとにかかわらず平和共存の時代で、アメリカがソ連を武力でやっつけるということもできませんし、また逆にソ連がアメリカを武力によって征服するということもできない。またやろうとも考えていないと思うのであります。つまり今日は一応ステータス・クオ、現状維持ということを建前として話し合いをする、貿易もやろう、文化交流もやろう、こういうふうな時代に入っているわけであります。そういうふうなことから考えますと、朝鮮において三十八度線という線はもちろんこれをなくすることが一番いいのであります。三十八度線なんというもので一つの民族を南北に分つなんて非常に不自然なのでありまして、朝鮮民族の当然の願いとして、こういうものは早くなくさなければならない、なくすことがいいのであります。しかしながらこの線を北に動かしたり南に動かすということは絶対に悪い。三十八度線は三十八度線としてそのまま置いておくこともよくないのでありますけれども、これを北に移したり南に移すということになりますと、世界全体において現状維持というものがくずれるのであります。それは沢田さんのような考え方の方もあるでしょう。あるでしょうけれども、日本の外交を扱っている責任ある人々としてそういう危険な考えを持たれては大へんであります。われわれ国民は今日平和共存を希望しておるのであります。この沢田全権の発言は、日本の外交の根本的な方針ということから考えまして非常に重大で、外務大臣は一体これでよろしいとお考えになっておるのかおらぬのか。沢田全権の話を自分は聞いていないということで答弁を回避されるということになりますと、それは一つの遁辞であると思います。呼び出してここではっきり聞くのも一つの手でありますが、こういうお話があったことははっきりした事実でありますから、こういう考え方について外務大臣の御所見を一つ伺いたい。
○藤山国務大臣 沢田代表が今お話しのような機会にどういうことを話したか、またそのときの発言のニュアンスなりあるいはそれが文書にまとめられた形だけでは、私は何とも申し上げかねるのでありますが、しかし私は先般来申しております通り、やはり日本としてはできるだけ韓国とは仲をよくして参らなければなりません。同時に北鮮という問題もありましてこれは国連におきましてできる限り国連監視委において南北統一ができることを希望する決議をやっております。そういう線に沿ってわれわれは考岸ております。
○田中(稔)委員 それでいいようでありますけれども、とにかく沢田廉三氏の発言というこを別にいたしまして、三十八度線をなくするということが必要であって、三十八度線を北の方に向って移動させる、さらに鴨緑江の外にまで押しやるというような考えは間違いである。これは沢田さんの発言いかんにかかわらず、そういうように外務大臣お考えになるかどうか、そこだけをはっきりお聞かせ願いたい。
○藤山国務大臣 私は、国連の決議にもありますように、分裂国家ができるだけ早く統一せられることを庶幾することは当然のことであると思います。その意味において韓国が一つの分裂国家としてこれが統一されることを希望しておるのでありまして、それがしかも平和裏に住民の幸福によって統一されていくという立場をとっておるわけであります。
○田中(稔)委員 もう一つ念を押しておきます。三十八度線を北に移動させる、鴨緑江の外にまで押しやるということは、外務大臣として賛成されない、こう見てよろしゅうございますか。
○藤山国務大臣 三十八度線を北に押しやるという意味は、私にも実はよくわからないのであります。沢田氏がどういう表現でそれをやられたかも、その通り受け取れるかどうかわからないのでありますから、なおそれらの点については十分私も聞いてみたいと思っております。
○田中(稔)委員 外務大臣御自身としては。
○藤山国務大臣 私自身としては先ほどから申し上げておりますように、統一朝鮮が平和裏に、しかも住民の安全、平和な投票のうちに決定されるという国連の決議そのものを支持して、その方針に従ってやるつもりであります。
○田中(稔)委員 次に、外務大臣がアメリカに行かれるということでありますが、新聞紙の伝うるところによりますと、アメリカの方では、来るなら九月にしてもらいたいというような回答もあったように聞いておりますが、御渡米の予定についてちょっとお聞きいたしたい。
○藤山国務大臣 私は外務大臣として、新たに大臣に就任しないか、就任しますと言う以上、国民の支持によって強力に今後長期にわたって政権を担当して参るとするならば、当然外務大臣といたしましても、外交の面において長期に問題を考えながらいく必要があろうかと思っております。その日本外交の基底は、やはり対米外交にあることむろんでありまして、私ども対米親善外交を強調しておりますが、親善外交を強調しておるだけに、われわれ日本人の考え方、立場というものを十分にアメリカ人に率直に申し、またアーメリカ人に考え直してもらう点は考え直してもらわなければならぬと思います。それが初めて長期に今後の外交を担当して参ります基本的出発点になろうかと思うのでありまして、そういう意味において適当な機会、なるべく早 い機会にアメリカに参りまして、そうして日本の現状、立場、国民の考え方というものをアメリカと十分懇談して参りたい、こう考えております。特に終戦後、占領行政以来のいろいろな惰性もございまするし、いろいろな環境から起っている日米関係で調整しなければならぬ問題等もございます。それらの問題については、私自身も一年間日本の外交を担当しまして、いろいろ考える点もございます。そういう問題につきましては、やはり率直にアメリカと話し合いをして、何もそのときにすべてが解決するというのではありませんけれども、その基礎に立ってやはり問題の考え方をきめ、展開をしていかなければならぬと思います。そういう意味においてできるだけ早い機会に渡米をして話言いして会い、こう思っております。
○田中(稔)委員 そうすると外務大臣の御渡米というのは、向う側から来てもらいたいという話があったわけではなく、こちらから自主的に訪米したい、こういう御意向ですか。
○藤山国務大臣 向うから来てくれということではないのでありまして、ただいま申し上げましたように、岸政権が長期に政権を担当して今後外交を展開していきますためには、どうしてもその出発点において日米関係の基本的な問題について話し合う必要があり、またそれらの理解と話し合いの上に立って、われわれも考えていかなければならぬ点もあるのであります。そういう問題についてこちらから行ってみたい、こう考えているのであります。
○田中(稔)委員 アメリカに行って、いろいろな問題で話し合いをするということは、けっこうだと思います。かりに社会党が近く政権をとった場合にも対米外交というものは重要ですから、当然必要がある機会には、社会党の外務大臣も訪問するわけであります。しかし問題は話し合う態度なんです。話し合う心がまえの問題だと思います。そこでまずお尋ねしたいのは、外務大臣としては、大体どういうテーマを話し合いのテーマとしてお考えになっておるか。いろいろあるでしょうけれども、特にどういう問題を取り上げてダレス国務長官とかいうところの人と話をしてみたいとお考えになっておりますか。その一応の御予定を聞きたいと思います。
○藤山国務大臣 話し合いの態度は、当然、私どもは社会党の皆さんの言われるようにそう従属的な立場で話し合いをしにいこうとは断じて思っておりませんので、私はやはり日本の国家の一員として、自主的な立場でもってこの話し合いをしにいく心がけでおります。そうして私が先ほど申し上げましたように、日米関係というものは、終戦後すでに十年以たっております。そうして今日まで日米関係を調整いたしております諸般の条約でありますとかその他のとりきめ、あるいは話し合い等につきましても、情勢の変化によって、われわれの希望をいろいろ申し述べ、われわれの立場を強く主張すべき問題もあると思います。そうした問題につきまして、私はできるだけ率直に日本の現在の立場その他を基本的に話し合ってみたい、こう考えておるのでありまして、必ずしも個々の問題を持っていくというよりも、むしろまず第一にはそういう基本的な立場という問題をしっくり話し合って、そうして日本の立場はこういう立場にあるのだ、またアメリカの立場は、こういう政策が出るのはこういうところにあるのだというようなことも、もう少しはっきりしなければならぬと思います。ことに日本の立場は、そういう面でアメリカにもっとはっきりさせることが私は必要なことだと考えています。そういう意味において適当な機会に参りたい、こう思っております。
○田中(稔)委員 それで、たとえば日米安全保障条約あるいはそれに属します日米行政協定、こういうものにつきましては、そういうものを締結しました当時と情勢が違う。それで今日の情勢に応じてこれが運用を適当にしていくために日米安保委員会というようなものを設ける、こういう政府の説明でそういう委員会が設けられておるわけでありますが、社会党ではそういう運用の問題だけでなく、協定の条文そのもの、それが問題である。特に具体的な問題として申しますと、核兵器の米軍基地への持ち込みというような問題は、予算委員会でこれは黒田君も質問したことですが、岸総理のたびたびの言明にもかかわらず、国民は非常に不安の念を抱いておる。それは安保条約の条文からしますと、日本政府の同意なくして、勝手に持ち込んでもいいわけですね。それを安保委員会において紳士的に向う側の相談を受けるのだとかいうようなことでは、国民が納得しない。こういう問題につきまして社会党は国民の総意を代表して、核兵器をアメリカが日本にある軍事基地には絶対に持ち込まないという、それだけの特定の協定か何かを結んでもらいたいという要求があるわけであります。外務大臣がおいでになって、こういう問題に触れる場合に、そういう積極的な交渉をおやりになる御意向はないかどうか、これを一つお伺いしておきます。
○藤山国務大臣 私がアメリカに参ります基本的な立場につきましては、先ほど申し上げた通りであります。ただ話し合いの内容は、政治問題から経済問題まで広範な問題にわたるかと思います。しかしながら個々の問題についてどういう問題を話し合うかということは今申し上げかねますし、またそれがどういう問題を話したけれどもそれがどういう結果になったということ自体が誤解を招く点もあろうかと思います。そういう意味において、私としては先ほど申し上げたような、個々の問題の解決の前提となるべき基本的問題について、両方の認識をもう少し新たにしていく必要があるのではないか、こういう意味において今回は行って参りたいと思います。
○田中(稔)委員 それではあらためて私の方から申し入れますが、国民は核兵器の持ち込みということについて非常に不安な気持を持っております。外務大臣の今までのお考えでは、そういう個々の問題について話し合いに入るというお考えはなかったにしても、国民の総意であるということは、社会党がやはり党の方針として強く主張していることでもありますから、どうでしょうかね、ただこの問題だけはもう少し具体的なお話をしていただくわけにいかぬでしょうかね。これは私国民の代表として特にこの際外務大臣に細要望申し上げたいと思います。
○藤山国務大臣 具体的な問題については、私は今申し上げることは適当でないと思います。ただ私は日本の外交を担任して以来一年になりますが、その開議会以外の論戦も通じ、その他私が直接外交を担当して見聞しましたいろいろな問題を率直に私の考え方としてアメリカに申し出ます。そうしてそういう問題についての認識をお互いに新たにしていくということが、非常に必要であるという考え方で渡米するのであります。従いまして、世間よく何か渡米すればすぐおみやげを持ってこなければ結果は失敗だったというふうに考えられがちでありますけれども、私は今回の渡米が特定のおみやげを持ってくるよりも、将来おみやげを生むような基礎的な話し合いをし、また日本の外務大臣として当然数回にわたってアメリカにも参る必要もありましょうし、また他の諸外国も訪問してその首脳者と懇談する必要もありましょう。そういう意味においてただいま心づもりをいたしておるということを申し上げておきます。
○田中(稔)委員 どうもくどいようですが、今の藤山さんのそういうふんわりした雰囲気外交というか、サロン外交というか、そういうものでアメリカと折衝されるということは、それは私は藤山さんの趣味にはかなうと思うけれども、今日国民はもっと切実な感じを持っているんです。つまり岸さんはああ言うけれども、アメリカはやはり核兵器を日本の基地に秘密裏に持ち込むのじゃないか、いやすでに持ち込んでいるのじゃないか。ソ参連はどういう根拠があってか知らぬが、ああいう書簡を寄せております。これは事実無根だというような御回答のようだが、そういうことについて国民はなお政府の言明だけでは釈然としないものがある。国民はとにかく第三次世界大戦に巻き込まれたくない。そのためにはアメリカが軍事基地を日本に持っているということも困るが、それに核兵器まで持ち込まれたら、いよいよ戦争の危険が身近に迫るといって、藤山さんと全然境遇の違う、たとえば今はうらぶれてニコヨンをして、子供をかかえている未亡人がたくさんおりますね、そういう人が私どもに手紙を寄せて訴える、会っても訴える、実に切実なものがある。そういう人々に対して、藤山さんがアメリカへ行って、核兵器を日本には持ち込まないという一札をとって帰っていただくなら、これはもう非常な国民的な人気を博する。ただ人気だけの問題ではない。それがほんとうに日本の国民に安心感を与える。ふんわりしたサロン外交だけでお帰りになったんでは、一体何のためにアメリカに行ったのかというので、国民は藤山外交に何らの期待を持たない、私どももあまり大した期待は持ちません、正直なところ岸内閣の外交方針が根本的に私らと違うから、藤山さんの渡米外交に大して期待はしないが、もしそういう一札をとることに成功されるか、あるいは一札をとることに成功しなくてもその努力をあなたがされたならば、私も野党としてあなたに十分な敬意を表するにやぶさかでない。だからくどいようですが、どうですか。そういうことはもうやらないのだというのか、それならば一つ話はしてみようというのか、一つ……
○藤山国務大臣 何か私がふわっとした考え方で、ポトマック河畔の桜でも見にいくようなつもりで行くように御理解になったようで、その点は残念ですが、先ほども申し上げたように、私は一年外交を担当してみまして、日米間の問題について調整もしなければならぬ問題がたくさんあるということを切実に感じておるわけであります。従いまして今後長期にわたって外交を担当すれば、当然行きましてそうした切実な問題については十分基礎的な話し合いをしてこようということを申し上げておるので、何かそうふわっとした意味で渡米をするわけでもないわけであります。むろん立場も違いますから、あるいは田中委員の切実さの点と私の切実に持っている点とに、若干の食い違いがある場合もあろうかとも思いますけれども、私が参ります気持は決してふわっとした気持でなくて、切実な気持で参ることは御理解願いたいと思います。
○田中(稔)委員 三時半までというのですから、あと一、二問申し上げたいと思います。この間沖縄の立法院の代表が、土地問題の折衝のためアメリカに参りました。外務大臣もお会いになったと思いますが、これはおいでになれば沖縄の問題にはお触れになると思います。何も具体的な問題は触れぬといったって沖縄問題は話題になると思いますが、沖縄問題について今度おいでになってどういうふうな態度で、どういうふうな方針でアメリカ当局とお話になるのか、ちょっと聞かしていただきたい。
○藤山国務大臣 むろん先ほど申し上げましたように、具体的な問題の解決が今回すぐできるという予想のもとに行くわけではないので、基本的な話し合いをするために行くわけです。しかしながら基本的な話し合いをするということの中には、いろいろな問題の食い違いもありますし、考えの相違もある、そういう問題について例示的にいろいろな問題が取り上げられて説明をされる場合が当然ある、またそうしなければ切実な日本の気持を訴えるわけにもいかぬ場合もございます。その中の一つとして沖縄問題がありますことも当然でありまして、それらの問題につきまして、岸内閣が前から言っておりますように、最終に施政権の返還ということを目途として、われわれとしては現在あります沖縄についてのいろいろな問題を、やはり問題の上で取り上げることは、これは当然なことだと思います。
○田中(稔)委員 われわれは沖縄に軍事基地があるということが根本的な問題でありますけれども、アメリカの民間あるいは政府関係の中にも、軍事基地の使用さえ許されるならば、施政権は日本に返還してもよろしいというような意見もあるのですね。私どもは決してそういうことで満足するわけじゃないけれども、それが実現すれば一歩前進だということも考えられる、そのときのいろいろな条件によりますけれども……。それで施政権の返還ということ、それについて特に積極的な交渉をするというお考えはないか、そのことを一つ……。
○藤山国務大臣 ただいま申し上げましたように、日本も終戦後十年以上たっておりまして、日本の経済の成長その他環境の変化等もございます。またアメリカも今日の世界の情勢において、必ずしもアメリカの持っております考え方が固定しておるとばかりは考えられないと思います。そういうような問題について十分まず話し合いをしますことが、日米間のいろいろな問題の解決の上に非常に必要だ、そういう面において、たとえば沖縄の問題も例に上って参りましょうし、いろいろな問題について話し合いを広範に一ぺんやってみたいと考えておるわけであります。そうした問題について話し合いの結果、ある程度の理解を得て、もし解決の方向へ一歩でも半歩でも前進できますれば仕合せであります。またそうするようにわれわれは努力していかなければならぬ。ただ今回の渡米は、何かそういう特定の問題を解決するというよりも、それを解決するための前提的な問題をできるだけ話し合いをしていく、こういうことが必要だと考えております。
○田中(稔)委員 藤山さんの繰り返してのお話、一般的な話し合いをする、具体的な問題についての交渉はしないというお話でありますが、藤山さんも何回もおいでになったことだし、岸さんも行かれておるし、その他日本の責任ある大臣がたびたび行っておるので、大体日米間のいろんな問題について一応の話し合いは済んで、問題点が何であり、そしてどういう方向でそれを解決したいかという日本の意向も大体アメリカはわかっておる。だから私は今たびたびのお話でしたが、もっとやはり突っ込んだ具体的な話し合いをやっていただくように強く要望します。 そこて沖縄の問題についても、そういうわけで具体的に一つ施政権返還の交渉を進めてもらいたい。もしアメリカがどうしても聞かないような場合に、これもよく言われますが、沖縄の問題を国連にやはり持ち出すというようなこと、こういうことについて外務大臣はどうお考えになっておるのか。承知のように、この沖縄を信託統治にするとすれば、これは戦略的な信託統治でありますが、それをやろうとすれば、これは国連憲章の建前から、安保理事会においてソ連がヴィトーを発動することによって成立するもんじゃないし、それからまた日本が国連に加入した今日においては、情勢が全然違っております。それからまたアメリカにおいても、沖縄を信託統治にするという考えは、今日完全に放棄しておるという実情でもあるし、いろんな条件がサンフランシスコ講和会議の当時とは全く変っておるわけです。そうしてアメリカと日本との二国間の折衝では、問題の打開ができないとするなら、やはりこれは国連の場に持ち出して、世界の世論に訴えるという方法が、当然にとられなければならぬと思う。これはわれわれもたびたびいろんな機会に政府当局の意向を開いておるのですが、どうもはっきりしません。今日この場合、特に第二次岸内閣成立直後でありますから、これについての外務大臣の御所見を聞きたい。
○藤山国務大臣 私が渡米をしようというのは、たとえば私も外務大臣に就任して一年になります。国会等の論議を通じても、私自身が啓発されるところもあります。今日までの両国の関係について、どういう問題はどういう程度に両国間の話し合いで妥結ができるか、あるいはそういうことは非常に困難であるか、そういう問題について今話し合いをして、ある程度の見通しを立てますことが、今お話のありましたようないろいろな問題を扱う上において、今後の新しい日本の外交を展開させる上において必要じゃないか。特定の問題であります沖縄の信託統治の問題がどうのこうのということは、この際私申しませんけれども、そういう意味で従来二国間で話し合ったものをさらにやるためには、どういう方法がこういう基本的なお互の意見の解決の上からすれば必要であるかということも、おのずからそういう基本的な話し合いをすることによって少くとも若干のめどを、私が今後視察する上において得られるのではないかというような気持も含まれておることもちろんであります。ただ、具体的な例につきまして一々申し上げるわけにもいきませんけれども、そんな立場とそんな考え方をもって一ぺん広範に話し合いをしてみたい、こういう意味でありまして、アメリカ側におきましても今お話のありましたように、アメリカ国内の議論もいろいろ変った意見も出ております。そうした問題についてのアメリカ政府の反応なんかも十分見て参ることが必要じゃないか、こういうような気持なので、そうふわっとした気持で参るわけではなくてかなり切実な気持で参るつもりでありますけれども、しかし特定の問題をこういうふうにすぐに手を打つというのじゃなくて、将来そういう手を打つ基礎的な考え方をきめていきたい、こういう意味であります。
○田中(稔)委員 私は今度の問いに対しては外務大臣も、今度は具体的に御答弁なさらざるを得ないのじゃないかと思うのです。というのは、核爆発実験禁止のことです。これはまあ外務大臣も非常に御熱心で、従来のあいまいな態度を放擲して、一般軍縮と切り離して、核爆発実験禁止だけはどうしても実現したい、こういうふうな御意向に非常に固まったようであります。新聞にそう書いてあります。その場合に、御承知のようにソ連はすでに一方的に実験を中止しておるわけです。残るのはアメリカとイギリス、しかも何といったってイギリスよりアメリカがこれは重大なんです。そこでアメリカにおいでになります場合に、ただ一般的に何か話し合いをするといったって、この問題だけは、この特定の具体的な問題だけは、アメリカとやはり具体的にお話し合いになるだろうと思うのです。それもやらないのだというなら、これは全く雲をつかむような話になるわけです。そこで、ソ連がすでに一方的に中止した核爆発実験を、その後アメリカはどんどんやっているわけです。この間もやっています。このことについて、太平洋に臨んでおる日本としまして、しかも従来いろいろな被害の実例も枚挙にいとまないほどあるわけですから、この問題だけは具体的なしかも強力な折衝をしていただきたいと思うのです。またその意気込みでお出かけになるのだろうと思うのですが、どうでしょう。
○藤山国務大臣 私が何か具体的な問題を避けているようにお感じになっているようでありますけれども、決して避けているわけではございませんで、できるだけ具体的な話もしてきたいとは思っております。しかし現在の段階においてどういうような問題を具体的に話すかということは、まあ言えないと思います。核実験の問題につきましては、昨年以来世界の情勢も変っておりますし、われわれとしては来たるべき国連もしくは巨頭会談を控えまして、こういう長年の主張ができるだけ実現できますように、率直に話し合いもしお願いもしてみたい、こう思っているわけであります。また国連に対してもそういう態度で出かけていきたい、こういう意味に考えております。
○田中(稔)委員 国連の総会ではなくて、今度アメリカでダレス国務長官なんかにお話しになる場合に、このことについて強い態度で折衝されるかどうか、それを聞きたい。
○藤山国務大臣 アメリカに参りますれば、いろいろな問題が出ることは御承知の通りでありますが、その中に核実験の話も出ることは当然でありまして、決して私はふわりと行くつもりではないのでございまして、割合に切実な気持で行くつもりでありますから……。
○田中(稔)委員 それでは一つ壮途を祝しまして……。
○櫻内委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後三時三十五分散会