外務委員会 第2号
- 発言数
- 115 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1958/06/20
会議録
○櫻内委員長 これより会議を開きます。 この際、藤山外務大臣及び竹内外務政務次官より発言の申し出がありますので、順次これを許します。藤山外務大臣。
○藤山国務大臣 このたび、岸内閣ができましたにつきまして、外務大臣に就任をいたしましたので、今後外務委員会の皆様の御協力、御支援を得まして、十分わが国の外政に貢献できますようお願いいたしたいと思います。就任に当りましてごあいさつ申し上げます。
○櫻内委員長 竹内政務次官。
○竹内政府委員 このたび、外務政務次官に任命されました竹内俊吉であります。外交につきましては全くのしろうとでございますので、格別によろしくお願いを申し上げ、ごあいさつといたします。(拍手) —————————————
○櫻内委員長 これより国際情勢等に関して調査を進めます。外務大臣の発言を求められておりますので、これを許します。藤山外務大臣。
○藤山国務大臣 前国会以来の国際情勢一般につきまして一応御報告を申し上げておきたいと思います。 最近の国際情勢を見ますに、フランス内政の危機はドゴール政権の成立によりまして一応回避されましたが、アルジェリア問題の早期解決はすこぶる困難と見られるほか、レバノンの騒乱の成り行きもなお予断を許さない状況でございます。一方共産圏内部におきましても、ソ連対ユーゴ関係の悪化、元ハンガリー首相の処刑発表等は、東欧諸国の情勢が決して平静でないことを物語っております。かかる東西両陣営の内部における不安は、東西の関係に影響を与え、巨頭会談早期開催の可能性がやや薄らいだと見ざるを得ないのであります。巨頭会談につきましては、本年四月から開始されました大使級会談が、何ら実質的成果をあげていないばかりでなく、去る六月十六日、ソ連がフルシチョフ書簡を一方的に発表し、即日米国が対抗措置をとるに及びまして、同会談開催への努力は再び振り出しにもどった感があるのでございます。しかしながら、東西双方とも巨頭会談を開催することについて、すでに意見の一致があるのでありまして、今後慎重な準備が続けられれば、いずれ開催の運びになるだろうと考えられるのであります。近く開催を予想されております核実験禁止管理の専門家会議が、東西歩み寄りにとって好個の場所となることをわれわれは期待せざるを得ないのであります。 昨年十一月のモスクワにおきましての十二ヵ国共産党宣言以来、ソ連はプロレタリア国際主義の名のもとに、東欧諸国における異分子の排除に努め、ソ連圏諸国の政治的把握をますます強化して、東欧各国の自主性の幅を狭めようとしており、これに伴ってイデオロギーの清純化に努め、修正主義排撃の名のもとに、各国内の民族主義的分子に対する抑圧を強化するものと見られるのでございます。 この政治的再把握と並行して、経済分野で、長期国際分業計画が強力に推進されようとしておりますし、また軍事面においてもハンガリー動乱後の軍事体制再建が行われた現在、ワルシャワ条約機構の強化及びソ連軍との関係緊密化の方向に向って諸措置がとられるのでございましょう。 ソ連とユーゴとの関係について見ますと、ユーゴ側としてはできるだけ問題をイデオロギー上にとどめ、全般的な関係悪化にまで拡大しないように努力しておるようでありますが、さりとて実質的譲歩を行うものとは考えられません。これに対して、ソ連及びそのブロック諸国はブルガリア共産党大会、ナジ元ハンガリー首相らの処刑、チェコスロバキア共産党大会等に見られるように、対ユーゴ攻撃を強化しており、今後の成り行きは予断を許さないものがあります。ソ連としても外交的考慮、中立諸国への影響を考慮する必要があり、適当なところで妥協をはかる可能性もないとは言えないのであります。 中共は、現在第二次五カ年計画の遂行のため、ソ連との結びつきを強める方向に向わざるを得ないように思われます。対ユーゴ攻撃において急先鋒になったのも、国内的考慮のほかに、基本的には、ソ連の指導性を認めることにより、共産陣営の団結を強化せんとする積極的意向を反映していると見られます。 レバノンにおいて、親西欧政策を基調とするシャムーン大統領の来たる九月の大統領選挙再出馬阻止をおもな契機とする野党攻勢が、今春以来漸次激化しております。五月八日、反政府色の強い一新聞発行人の暗殺事件を口火として、反政府派は、現政権打倒ゼネストを呼びかけ、反政府暴動は、首都ベイルートを初め全国各地に波及しております。 レバノン政府は、この騒擾は、アラブ連合共和国の干渉によるものと非難して、五月二十一日アラブ連盟に、同二十三日国連安保理にそれぞれ提訴いたしました。アラブ連盟は、五月三十一日から六月四日まで、リビアのベンガジで開かれまして、レバノンの安保理提訴取下げ、アラブ連盟調査団のレバノン派遣等の決議案を採択いたしましたが、レバノンがこれを拒否いたしましたため、同問題は六月十日より国連安保理の審議に移されたのであります。 安全保障理事会は十一日スエーデンが提案したレバノン、シリア国境に国連監視団を派遣する案を採択いたしまして、現在とりあえずパレスチナ休戦監視委員会より選抜された委員がレバノンに入りまして任務につき、またハマーショルド国連事務総長も事態収拾のため、十七日ニューヨーク発ベイルートに向った趣きであります。 国連監視団は、事態の平和解決のため有力な働きを示すものと希望されておりますが、西欧諸国の援助を頼みに反対派の一掃をはかる現政権と、現政府の即時退陣をねらう反政府派との闘争は現在なお続けられております。 自由諸国、なかんずく米国との協調は、政府の外交方針の基調であることは御承知の通りでありまして、新しい国際情勢の動きに関連し、今後とも一そう米国政府首脳者との接触を緊密にいたしまして、相互に十分意見を交換していきたいと存じております。 わが国の安全保障の問題は、日米関係のきわめて重要な一環をなすものでありまして、同時にこの分野におきましては、日米両国間に種々の問題が現在存するのであります。されば双方の意思疎通と相互理解を深めまして、もって安全保障条約の円満かつ円滑な運営をはかるため、客年八月安全保障委員会が設けられましたこと、御承知の通りであります。 安全保障は、国の存立上きわめて重要な課題であるので、私は今後とも日米共同安全保障の体制を一そうわが国民の必要と願望に適合するよう米国との間に意見の調整をしていきたいと存じております。 沖縄問題は、対米関係におきましては、政府の最も重視するところでありまして、いわゆる沖縄軍用地問題につきましては、米側は四月十一日高等弁務官の名をもちまして、市会第百六十四号に基く土地接収計画をワシントン政府で再検討中なること及び新規の一括払い接収告知を中止する旨を発表いたしました。次いで五月二十日、陸軍長官の名をもちまして、アメリカ、沖縄双方の利益を有する問題につき協議のため、当間主席外五名の代表の渡米を招請いたしました。沖縄の民政により多く現地の声を反映せしめ、アメリカ、沖縄間の意思疎通をはかるとともに、沖縄住民の民生向上にも一そうの援助を行うとの態度を示してきております。右招請に基きまして、沖縄代表一行はそれぞれ最近日本に立ち寄った上で渡米いたしましたが、その際私といたしましては、一行と懇談し、沖縄側の要望を十分聴取した次第であります。沖縄側は、従来の一括払いにする有限不動産権設定方式にかわる地代の毎年払いと五カ年ごとの再検討を条件とする賃貸借契約とすることを主眼といたしまして、あわせて他の諸点をも要望しておりましたが、政府といたしましては、これら現地の要望を十分考慮し、今後とも本問題の円満解決につきまして米側に適宜申し入れを行う所存でございます。 米国のエニウェトック水域の原水爆実験につきましては、昨年九月以来数回にわたり米国にその中止を求めてきた次第でございますが、去る五月七日、四月二十八日の第一回爆発を皮切りに、同水域における一連の原水爆実験が開始せられたことが判明いたしましたので、五月十二日付在京米大使館あて口上書をもって、さきの国会の決議の趣旨を伝達かたがた、重ねてその中止を求めました。最近米ソ間に核実験の探知に関する専門家会議開催に関する合意が成立する運びとなりつつあることは、わが国民の悲願を達成する端緒を開くものとして大いに期待しているものでございます。今後ともかような情勢を馴致することに一そう努力したいと考えておる次第でございます。 次に北米系紅ザケ保存に関する問題でございます。御承知の通り現在日米加三国の漁業条約によりまして、わが国は西経百七十五度以東のサケ、マスの漁獲を抑止しております。従いまして西経百七十五度以西の漁獲は何ら条約上規制されていないのでありますが、米側はブリストル湾の北米系の紅ザケがこの海域にも多数回遊し、ことに昨年の日本側船団の集約的な漁獲により、北米系の紅ザケが多数漁獲され、ブリストル湾の紅ザケが壊滅に瀕していると主張し、わが国のサケ、マスかん詰の輸入をも禁止せよとの趣旨のいわゆるペリー法案等が米議会に提出された次第であります。これに対しわが方としては、条約上は何ら義務のないものでありますが、海洋資源の保護という大局的見地から、北米系紅ザケの保存についても十分関心を有するものである旨米側にるる説明、また五月末にはアメリカ業界代表四名が来日し、わが方業界と話し合いをいたし、その結果、結局米側もわが方の誠意と立場を十分了解したものと認められるのでございます。従ってなお楽観は許されないが、これら話し合いの結果は、ペリー法案等従来の反対運動の緩和に大いに役立つものと待期しておるのでございます。 なお終戦後、日米友好関係促進の一つの障壁ともなっておりました米国関係戦犯の問題も、岸総理ほかわが国朝野の努力と米国政府の理解ある態度によりまして、本年四月七日A紙戦犯の問題は全面的に解決され、またB、C級戦犯につきましても、去る五月二十日をもって全員釈放が実現したのは喜ばしいことでございます。 わが国が米国と密接な経済関係を有すること言を待たないところであります。今後とも右関係を促進したいと考えております。ただ従来わが対米貿易は、わが方にとって多大の輸入超過となっておったので、今後とも対米輸出の増加をはかることにより、右アンバランスを是正していくことが必要と考えております。近時米国国会及び業界の方面におきまして、国内産業保護のため、輸入を制限せんとする動きがございまして、日本品の対米輸出に大きな影響を及ぼすおそれがありますので、政府といたしましては民間業界と協力して、あらゆる対策を講じて、これが阻止に努めてきたのであります。幸いにしてアメリカ政府は十分にわが方の立場を理解し、自由貿易の原則の維持をはかっております。今日までのところ、僅少の例外を除き、わが国から大量に輸出されている商品に対して、現実に関税引き上げ等の輸入制限措置がとられた例は多くないのであります。しかし、この種の運動は今後も継続されるものと見られますので、十分われわれとしては注意を怠ってはならぬところでございます。また最近、米国対外援助法の域外調達を制限する条項が米議会で審議されておりましたが、わが方の米側に対する申し入れ等の努力のかいもありまして、上下両院協議会で右が削除されたと聞いておりますが、右はアメリカ側がわが方の立場を十分理解した証左と認められるのであります。 アジア諸国との関係につきましては、彼我首脳者の往来、賠償問題の解決等によりまして、友好関係の増進をみたことは御承知の通りであります。今後ともわが国といたしましては、これらの地域の安定と平和のため、世界の諸国がこれに協力するよう外交を進めるとともに、わが国自体としても、われわれの保有する技術的知識と経験をアジア諸国の国家的事業のための奉仕せしめるため、積極的努力を払っていく所存でございます。 ここに日中、日韓関係について一言申し上げたいと思います。 四月十四日、中共は第四次日中民間貿易協定に対する日本政府の回答を拒否し、対日非難を行いました。五月二日、長崎において偶発的な中共旗引き下し事件が起きるや、これを契機にいたしまして対日悲難を高め、五月六日、七日の両日にわが漁船十四隻を拿捕し、五月九日、陣毅外交部長は岸内閣を非難する声明を行なったのであります。かくて、五月十日以後は既開設LC分を除く一切の貿易は停止され、五月末までに在華邦人商社員もほとんどすべて帰国を求められ、文化交流、人の往来等も一、二の例外を除いては途絶し、六月十二日以降民間の漁業協定の再延長は不可能となりました。また従来日本船に包括的に開港されておりました上海、秦皇島、天津、大連にまでも一船ごとの入港事前許可を要することとなり、わが国と中共との間は従来の民間ベーシスの積上方式に基く一切の来往関係が一挙に途絶されることとなったのであります。中共がこのような強硬措置をとったのは、日本政府の民間貿易三団体に対する回答及び岸内閣の対外政策を何らか誤解しているのではないかと考えているのであります。 また、この政策の背後には中共の国内政情に基く種々の理由もあったのではないかとも思われますが、いまだそれらのはっきりとした情勢は把握しがたいのであります。政府は、わが国が単に民主主義諸国との友好関係をますます発展させるばかりでなく、たとい政治的信条、社会制度を異にする国家との間にも友好関係を保持することは、世界の平和と繁栄に資するゆえんであると考えており、ことに近隣諸国との間におきましては、たとい国交関係のない国でも、誤解や不信により、その善隣関係がそこなわれぬよう努力しなければならないと考えている次第でございます。 日中間の貿易につきましても、双方に種々の制約要因があるとはいいましても、双方の誤解とか感情対立に基き、これが断絶するということはまことに好ましいことではないのでありますので、双方の理解により、貿易や文化の交流を促し、漁業問題を解決して、よき善隣としての関係を保ち得るよう努力して参りたいと存じております。 日韓関係につきましては、昨年十二月三十一日調印されました抑留者相互釈放に関する日韓両国政府間取りきめの対象となっておりました抑留日本人漁夫九百二十二名につきまして、本年二月一日に三百名、二月二十八日に二百名、四月二十六日に三百名、さらに五月十八日に至り百二十二名がそれぞれ送還されたことによりまして、その釈放は完了いたしました。 なお、わが方といたしましては、韓人刑余者四百七十四名の国内釈放を取りきめ期限内であります二月十一日に完了しており、また不法入国韓人は四次にわたり千三名を送還いたしました。 第四次日韓全面会談は、同じく昨年末調印されました日韓間取りきめによりまして、本年三月一日より開催されることとなっておったのでありますが、韓国側による日本人漁夫の送還がおくれたために延引しておりましたところ、その後韓国側と折衝の結果、漁夫送還の大体の見通しがつきましたので、四月十一日に本大臣と金大使との話し合いによりまして、四月十五日から全面会談を開くことになったのであります。 自来今日までに前後九回の本会議会合が行われました。会談の議題は、過去の会談と同じく五懸案でありますが、五月六日の第六回本会議会合におきまして、(1)基本関係、(2)韓国請求権、(3)漁業及び平和ライン、(4)在日韓人の法的地位の四つの委員会並びに韓国請求権委員会のもとに(a)請求権(b)船舶の二つの小委員会を設けることが決定されました。そうして五月の第四週以来、韓国請求権と在日韓人の法的地位の二つの委員会が開かれ、すでに前者は三回、後者は四回にわたりまして会合を行なっております。さらに六月四日には請求権小委員会、同月六日には船舶小委員会の第一回会合もそれぞれ開催され、後者は今日まで三回にわたり会合が行われました。なお遅延しておりました漁業及び平和ラインの委員会も近く開催の運びとなるものと思われますので、全面会談もいよいよこれから実質的討議の段階に入る次第でございます。 政府といたしましては、右会談におきまして、わが方の正当な基本的主張は堅持いたしますが、友好的精神をもってできる限り諸懸案の合理的かつ実際的解決をはかり、交渉の妥結に努めたいと存じております。 日ソ関係につきましては、一昨年日ソ共同宣言によりまして、国交を回復した日ソ両国関係は、その後も領土問題等につきまして意見の対立が解消しない結果、いまだ平和条約による完全な国交の樹立には至っておりませんが、自由諸国との協調に関するわが外交の基本方針及び領土問題に関するわが公正な主張を害しない限り、隣接する大国たるソ連との間の諸懸案を徐々に解決し、友好善隣関係を樹立することは、必要かつ歓迎すべきことなのであります。この意味におきまして、昨秋日ソ通商条約が締結されまして、またさる四月二十一日日ソ漁業委員会会議が円満妥結したことは御同慶の至りであります。また同様な意味におきまして、最近ソ連側より提案して参りました航空協定及び文化協定締結問題につきましても積極的に検討を行なっております。航空協定につきましては、すでにソ連側に回答を行なったこと御承知の通りでございます。 他方懸案の近海安全操業の問題は別に述べるごとく、まだ解決のきざしはありませんが、この問題につきましても、前述べましたような友好の精神において鋭意折衝を続け、解決していきたいと存じております。 御承知のように本件につきましては、政府は昨年六月及び八月にソ連に対し申し入れを行いましたが、ソ連側はわが方の累次の督促にもかかわりませず、明確な回答を渋っておりまして、ようやく二月五日、日本政府が平和条約締結の用意があることを表明しないことにかんがみ、本問題を審議する条件がいまだ熟していないものと認める旨を回答して参ったのでございます。二月十八日、わが方といたしましては、ソ連側が本問題を平和条約締結交渉と切り離して交渉に応じ、円満解決への努力を払うよう要請いたしたのでありますが、ソ連側は、さらに三月十八日前回同様の主張を行なってきたのであります。これに対しまして政府は、五月十九日ソ連側に対しまして、日本側としましては本問題の実際的解決の方途を見出すことにつきソ連側と協議するのが本旨であり、昨年八月の提案の形式に必ずしもこだわるものではなく、またその内容等についても適用水域の制限等話し合いを行うべき諸点のあることは十分承知している旨を述べまして、ソ連側においても日ソ友好善隣関係増進の見地より本問題を再検討するよう要請いたしたのであります。 その後ソ連側からは、右に対する回答はまだ寄せられていないのでありますが、政府といたしましては、あくまでも本問題を平和条約締結に至りますまでの暫定措置として、実際的に解決をはかる方針をもって今後とも努力して参りたいと存じます。 これを要しまするに、わが外交の基本的目標は、世界平和の維持にあるのでありまして、この目的に寄与する諸方策を通じまして、わが国の安全と繁栄とを確保することにあること申すまでもございません。 特に近隣諸国との善隣関係を保持することはもちろん、広く世界いずれの国とも友好関係を樹立発展せしめることはわが外交の基本的な方針でございます。 その場合、わが国の民主主義国としての基本的性格から、またわが国の生活程度を維持向上せしめる点からも、自由諸国との友存関係を特に増進することは当然のことでありますが、また善隣関係の保持については、たとい政治的信条を異にした国家との間におきましても、これを確保することは言うまでもないことでございます。ことに隣国との間に悪意や不信の感情が存在するのでありますれば、そういうものはできる限り除去しますよう努力して参る所存でございます。 今日の世界の平和と繁栄はアジア、中近東における新興諸国の平和繁栄なくしては、これを望み得ないのでありますから、世界の平和維持に責任を有する諸国は、その立場と実力に応じまして、この地域の平和と繁栄のため努力すべきことは当然だと思います。またわが国としてもアジアの繁栄なくしては日本の繁栄を期待しがたいのであります。従いまして、わが国としては世界の諸国がアジアの繁栄のため努力するよう外交を進めて参りますとともに、わが国の保有しております技術的知識と経験を、アジア諸国の国家的事業のために奉仕せしめるための積極的な努力をいたして参りたいと存じております。 世界平和確立の障害の第一は、形を変えた帝国主義的の野望の存在及びこれに関連し国家相互間の不信の現存であるとの観点から、内政干渉のきらいのある行動、敵意と不信とをかり立てるがごとき行動等は、いかなる形式をとるにかかわりませず、これを排除したいと存じております。 平和確立のための第二の障害は、富の偏在、生活程度の差が存在すること、さらにまた大国がその政治的あるいは思想的立場を他国に強要し、相手国の立場を許容しようとしない行動にあると考えられますので、大国も小国の立場に十分の理解を持ち、その主張に耳を傾けることによりまして、国際的民主主義が確立されるよう努力しなければならないと存じます。 かかる平和の障害を除去するため、国際連合に対する協力を強化するとともに、巨頭会談等平和のための話し合いの機会をできるだけわが国としては活用して参りたいと存じております。 以上、今日までの外交の経過を申し上げ、なおわが国の外交の態度を一応申し上げたのでありますが、わが国の置かれております国際的地位、国力等に関し謙虚な反省を持つと同時に、冷厳かつ流動しております世界政治の現実を十分直視し、観念論にとらわれず、広い視野に立って施策する態度を堅持して参りたいと思います。 また外交の成果は、これを長期的視野から見るべきものであるとの過去の厳粛な歴史的教訓の上に立ちまして、長い目で見た国際的信用の維持、実利の擁護等に目をつけて参らなければならないと思っておる次第であります。 以上、前回の国会以後の国際情勢に関して御報告を申し上げ、若干私の考えをつけ加えて御説明をいたしました。(拍手)
○櫻内委員長 発言の通告がありますので、順次これを許します。床次徳二君。
○床次委員 まず新内閣の外交方針と基本的な態度に対しましてただいま御説明がありましたが、これに関連いたしましてお尋ねいたしたいと思います。その前に、まず藤山外務大臣が引き続いて第二次岸内閣に入閣せられ、わが国外交の方針がここに確立せられた方向にあるということに対しましては、まことによろこばしいことと思っております。 われわれは、政府並びに与党といたしまして今回の総選挙におきましては国連中心、同時に自由主義諸国と協調、アジアの一員としての立場を堅持するという三原則によりまして戦って参ったのでありまして、これが国民に圧倒的支持を受けて参ったこと、特にこの三原則を実施いたしますにつきまして自主的外交を推進するという意味におきまして大きな理解を得たものと思っておるのであります。あるいは対米一辺倒、対米従属にあらずして、また極端なる中ソ隷属、この両者を避けまして、最も堅実なる立場に立ってわが日本の外交を推進するというところに共鳴があったと思うのであります。今後の外交の推進に対しましてただいま御説明がありましたが、特に善隣諸国との関係保持についての言及があったのであります。私はこの隣国との善隣関係を特に推進するということを指摘されたことについては意義が深いものだと思うのでありますが、今回述べられましたところの所信は、従来からの外交三原則と全く表裏一体をなして、そして今後展開せらるべきものだと考えておるのでありますが、これに関する外務大臣の御意向を伺いたいと思うのであります。政治の信条を異にするもやはり善隣関係を進めるということに対しましてはまことにけっこうでありますが、しかし根本的な三原則というのは同時に考えながら、われわれは今後この微妙なる国際情勢に対処していくという根本原則だけは、やはり明らかにせられるべきものだと思うのでありますから、それに対する御意見を伺いたいと思うのであります。 なお特に積極的な、いわゆる自主外交を展開するという意味におきまして、今後これらの外交折衝に当りましては、わが国の独自な立場においての相当強い自主性も必要だと思うのでありますが、これに関する外務大臣の御所見を伺いたいと思う次第であります。
○藤山国務大臣 政府といたしまして外交の基本的な方針が自由主義国との協調、また国連中心の外交、それからアジアの一員としての自覚という三点にありますことは申すまでもないことでございます。同時に、しかしながら日本は世界に向って外交を展開して参りますにおいて当然平和外交を主張して参るわけであります。従いましてどこの国とも、たとい信条の違っておりあるいは社会制度の違っております国といえども、お互いに内政に干渉し、あるいは思想的影響を与えることなくして友好親善関係を努めていくことが必要なのでありまして、そういう見地に立ちましてわれわれは平和的な外交を進めて参りたいと存じております。特に日本の隣国に対しましては、われわれとしましてもできるだけ隣国との間に友好な関係を打ち立てて参ることは当然のことでありまして、それらの国に対しまして誤解等のないように、また誤解の起らないようにしながら友好関係を樹立していく、それが一つの日本の平和外交の主体であること申すまでもないわけであります。 第二に御質問のありましたのは、日本は自主的に外交を展開するかという御質問だと思います。日本が自主的に外交を展開して参りますことは当然のことであります。日本の国民の願望を十分取り入れ、その基礎の上に立って、そして外交を自主的に展開してくること、申すまでもないのであります。でありますから平和友好のうちに話し合いを続けて参るということ、そのこと自体は自主的な立場において裏づけされておると思います。従いまして日本が主張すべきことは、どの国に対してもはっきり主張しなければならぬと思うのであります。自由主義陣営の中の国に対しても、あるいは思想を異にする国に対しましても、日本の当然主張すべきことは当然主張し、また耳を傾けて聞くべき問題については十分耳を傾けて聞く。そうしてその間に日本の自主独立の外交を力強く展開して参りたい、こう存じております。
○床次委員 ただいまの御答弁によりまして、隣国と一そう協調しながら自主的外交を進めていくということに対しましては、まことに賛意を表するものでありますが、今日わが国の周囲におきまして、特に隣国との関係において調節を要するものが少くございません。今後一そうこの点の努力を要望いたしますとともに、今後の隣国との外交折衝におきましてはあくまで自主性を持って一つの主義、方針を確立して動いておるのだということを十分国民にも知らせていただきたい。かような趣旨において交渉せられんことを特に要望する次第であります。 第二に、原水爆の禁止並びに軍縮の実現に対する政府の努力に対しまして伺ってみたいと思うのであります。総理は原水爆の全面的禁止への努力を述べました。ことに各国と協調いたしまして、人類の良識に訴えてこの実現を期すると述べておられます。この趣旨はまことにけっこうでありますが、この実現に対する具体的の措置、対策に対して私は伺ってみたいと思うのであります。国連におきましてはすでにわが政府も十分な努力をいたしておるのでありますが、最近の世界の情勢を見ますると、特に巨頭会談におきましては、いささか雲行きがおかしくなっておるのであります。ただ核実験禁止管理に関して専門会議が開催せられる。この見込みがあることはまことに喜ばしいのでありまして、これに対する万全な努力をいたさなければならないと思うのでありますが、しかしわが国の内部の様子を見ておりますと、核非武装地帯の設置に対する運動が、あるいは核兵器持ち込み反対という運動が行われておるのであります。全体の趣旨から申しますとあるいは悪いものではないと思うのでありますが、しかしその終局的目的におきまして全面的禁止になるとは思うのでありますが、しかしかかる部分的な、あるいは分派的な運動が起っておるということによりまして、結局最終目的であります原水爆の禁止ということ、あるいは軍縮の実現ということにあるいは支障になるのではないかということを私はおそれるのでありまして特に政府に要望いたしたいことは、かような意味におきまして国連あるいは国際会議等における原水爆の禁止運動、これを推進することはもとよりでありますが、わが国内にありましても国民に対して、もっと原水爆の禁止に対して徹底した協力、呼びかけが必要ではないかと思うのであります。かかる意味におきまして政府の具体的対策と申しますか、今後の所信を伺いたいと思うのであります。
○藤山国務大臣 原水爆の実験禁止並びに軍備の縮小あるいは核兵器の生産、保有、使用の禁止等につきましては、日本の国民の念願でもあります。また政府はその線に沿って今日まで努力して参ったわけでありまして、政府といたしましては一日も早く具体的に実際的に、本問題が一歩ずつ解決して参ることを念願しておるのであります。従いまして国連の総会等におきましても、政府は独自の案を持って一歩でもそれに近づくような実際的な案を具して努力をして参ってきたわけでございます。今日、昨年の国連総会以後の本問題に対します世界の諸般の情勢というものは相当に動いて参ってきております。われわれはそれらをながめながら、来たるべき国連総会に対しましてもさらに世界が前進して、この問題に対して何らかの形で妥結し得るような実際的な問題としてこれを取り上げて参りたいと思いますと同時に、ただいま御指摘のありましたように巨頭会談が行われます際には、ぜひとも日本としてはこれらの問題が巨頭会談において取り上げられまして、そうして話し合いが進められることを希望しておるのでありまして、巨頭会談の進行とにらめ合せましてわが国の意思というものを進めて参りたいと思っております。御指摘のありましたように日本は核兵器によります最初の損害を受けた国であります。従いまして核兵器の生産、使用、保有というものを全面的に禁止することを希望いたしておりますので、その線に沿いましてできるだけ努力して参るわけでございます。従いまして部分的な核兵器の制限等につきまして、それが大きな全面的解決の支障になるような場合でありましたならば必ずしもそれに賛成をいたしかねるのでありまして、要は全面的な禁止が一日も早く行われることを希望して進んで参りたい、こういうふうに考えます。
○床次委員 次に自主外交の伸展という意味におきまして、対米外交の点について触れてみたいと思うのであります。伺いますると、外務大臣も近く渡米せられましてみずから対米外交調整に乗り出そうという意気をお持ちのように新聞でも伺っておるのでありますが、現在わが国におきましては、アメリカとの関係において、輸出入貿易がすこぶるアンバランスであり、なおその上ときどきわが国の対米輸出に関して業者の制限運動が出てくるということ、これはわが国民に対して、何だかアメリカに対して従属的な立場にあるかのような印象を与えておるのであります。かかる状態がありますことは、わが国の外交の基本方針におきまして自由主義諸国との協調ということを大原制に掲げておるにかかわらず、当のアメリカが案外非協力的でありまして、いまだに理解しておらない部分もあるんだというような印象を与えますと同時に、場合によりましてはこれがかえって対米不信の声の一つの原因にもなるというように考えておりまする従って今後の対米外交にありましては、この点に対しまして原因を芟除することが必要だと思うのです。幸いにいたしまして、今回MSAの改正法案等におきまして、ペインの修正案が大幅に削除せられたことはまことによいことでもあるし、また個々の対米輸出に対する制限運動もどうやら事実問題におきましてはだんだん解消する空気にあるということはまことにけっこうだと思うのでありますが、しかし事が起りますたびにわれわれ日本国民としては非常な不安な気持を持つということも争えない事実なんです。この点に関しましては特に外務大臣に対して御要望し、一つ十分なる自主性を発揮していただく、かような意味において自主性を強調したいと思うのであります。なおアメリカに対しましては先ほどお話がありましたが、安全保障委員会の問題もあるわけでありまして、私どもは外務大臣がせっかく渡米せられるならば、この際におきまして十二分にこの間の調整を一つされまして、わが国の主張を理解せしめていただきたいと思うのでありますが、これに対する大臣の御所見を伺いたいと思うのであります。 なお輸出入貿易に関しましては単にわが国からの輸出を十分にするという意味におきましてのアメリカのいわゆる妨害運動を排除するばかりでなく、わが国自体におきましても対米輸出に対しましてはなお反省すべきものが少くないかと思うのであります。この点に関しまして御所見がありまするならばあわせて御意見を拝聴したいと思います。
○藤山国務大臣 私は今回外務大臣に再任いたしまして、日本がアメリカと親善外交を展開して参る基本的問題について、適当な機会に話し合いをしていきたいと思う考え方を持っております。ただまだはっきり時期はきめておらぬのでありまして、近くそういう考え方によって——要するに親善外交を展開するということはわれわれが日本人の考え方あるいは日本の現在のいろいろな情勢等を率直にアメリカに言いまして、アメリカ側でも反省してもらう点は十分反省をしてもらわなければならぬと思います。ことに安全保障の問題その他につきましては前国会等を通じていろいろ議論が行われました。われわれは十分それらの論議をアメリカ側にも理解してもらう必要があると思っております。そういう基礎の上に立ちまして将来の具体的な問題を解決する必要があろうかと思います。そういう意味におきまして、私はできる限り早い機会にアメリカに行って、そういう日本人の考え方、また過去から行われておりますいろいろな日米間の問題について改善すべき点は基礎的に改善をしていかなければならぬものだと思うのであります、 また日本とアメリカとの貿易関係につきましては、アメリカの有識者は相当了解をしておると思うのでありますが、しかしながらアメリカ国内業者の方々その他は必ずしも正当な理解をしておられぬ点もあるわけであります。それがただいまお話のように日米関係に悪い影響を及ぼしておることも当然なことでありまして、それらの問題につきましては、日本の輸出業者、主として中小企業の立場等をもっと十分強調してアメリカ側の理解を得なければならぬと思うのであります。そういうことが日米の経済関係を改善していく基本的なことだと思います。そういう意味におきましてその問題についても十分われわれは話をして参りたいと考えております。
○床次委員 次に、やはり対米外交の問題について重要なことは、沖縄問題に関することであります。先ほど大臣の御説明の中にも沖縄問題の解決、ことに土地問題の解決等に対しましては、現在現地の代表が行っておりますので、わが国といたしましても十分の協力をするということを言っておられたのでありますが、このわが国からの申し入れということに対しましては、特に時期を失せず、わが国としての立場においての十分な意見の申し入れをお願いしたいと思うのであります。同時に、沖縄問題に関しましては、単なる土地問題のほかにその施政権の早期返還ということに対して根本的な話し合いが必要だと思うのであります。この早期返還の要望はわが国並びに現地の重大なる根本的な問題であるのであります。もとよりこの問題は、必要なる軍事基地に対しましては十分なる協力をするという前提のもとに立つわけでありまするが、この前提に立ちまして施政権の返還が実現しますまでの間の経過的方法等におきましてあわせて研究をすることが必要だと思う。単に施政権の返還だけを要求して——現在の沖縄自体の生活に対しましては非常な大きな欠陥があるわけであります。一例をあげますならば、産業上において今後積極的な産業発展助長政策をしなければなりませんが、これがわが国との関係から見ましても大事なことであるのでありまして、十分な対策が立っていない。アメリカ自体にももっと大きな産業助長の対策が必要だと私ども考えておるのであります。また一般行政から見ましても沖縄島内におけるところの行政水準は内地と比べると著しく差異があるのでありまして、少くとも内地の行政水準に近づけるべく補助金、交付金の増額等も必要だと思うのであります。そのほか今日、事実日本と沖縄との間におきましては戸籍事務の問題あるいは外貨使用におけるところの大きな支障があり、あるいは旅券事務というような日常茶飯事に至るまで大きな障害があるのでありまして、この障害というものは事実におきましてやはり沖縄におけるところのわが同胞の大きな不満となって現われておる次第でおります。早期返還ということをいずれにいたしましても実現せざるを得ない今日、また極力これが実現に努むべき現在におきましてはその返還に至りますので適切なる措置を今日においてアメリカと十分に話し合ってもらうということが必要なのでおりまして、私は単に土地問題について話し合うという以外に、この沖縄の基本的問題の解決のために十分話し合う機会を持つことが必要なのではないか、この前提があってこそ初めて土地問題の解決もうまくいくのだと思うのでありまするが、外務大臣が今日アメリカと折衝せられておりまする際、いかにして努力しておられるかということについてお伺いいたしたいのであります。 なお関連しておりまするが、この沖縄の施政権の早期返還に対しましては行政権の一部日本に対する移譲ということも考えられるわけでありまして、この点はもっと事務的に日米、沖縄三者検討をすべきものだと思う。そういう時期に至っておると思うのでありますが、かかることに対して外務大臣としていかなる努力をなさる考えであるか、この点に関する所信をお伺いいたしておくものであります。
○藤山国務大臣 沖縄の問題につきましては、施政権の返還が最終的目的であることは当然でありまして、これに対してたゆまざる努力を続けて参らなければならぬと思います。しかしながらその過程において、ただいま御指摘のありましたように部分的改善を要する問題、あるいは沖縄の民生を一歩でも経済的にも安定していくというような方途をとって参りますことも、これまた必要なことでありまして、両面合せて進めて参るわけでありますが、そういう点について私は一歩一歩前進をして参りたいと考えております。そうして終局の目的を一日も早く達成するように日本の考え方を十分アメリカに説明し、あるいは日本の考えている政策等を織り込んでもらうというような問題につきましても十分今後とも努力して参りたい、こう考えております。
○床次委員 次に日中貿易の問題について簡単に触れてみたいと思います。日中貿易の問題に関しましてはわが国の立場上可能なる限度において貿易や文化の交流を促進し、漁業問題の解決をはかる方針のもとに今後進むということになっておるのでありまして、いわゆる積極的静観とでも世間では言っておるのでありますが、かような立場に対しましてわれわれも了解ができるのであります。赤城官房長官が個人的見解として重ねて親善を強化し将来に次第に承認の方針に向うべく努力するかのごとき意見を出しておるのでありますが、これは個人的見解として認めておるのでありますが、かかる状態が今日続くということにおきましては貿易業者において今日大きな混乱がある次第であります。私は日本の中国に対する態度そのものにおいてはけっこうだと思うのでありまするが、この静観をしておる間におけるところの業者の混乱というものに対しましては十分な指導と申しまするか、理解を持たなければいけないと思うのであります。従ってたとえば日中貿易を香港中継貿易において実施するということも考えられるのであります。もとより中国におきましては香港中継貿易というものに対して目的地が日本でありますならば、これに対して認めないというような態度もとっておるのでありますが、民間関係におきまして、かかる方向に対しまして漸次事実上において貿易を行おうという動きがありまするならば、これに対しましてはむしろ好意的な態度におきまして貿易を促進するということも可能だと思うのであります。今日におきましてわれわれが静観する以上は、この業界におけるところの混乱に対してある程度までの示唆を与え、この隣国との貿易を拡大するということ、助長するということに対する努力も必要かと思うのでありまするが、大臣の御意見を承わりたいと思います。
○藤山国務大臣 中共との経済関係につきましては、われわれはわが国の経済の現状から見まして、貿易を促進して参りますことは非常に日本の立場からも必要だと考えております。また先ほど私が申し述べました善隣友好の立場に立ちましても、貿易あるいは文化等の問題につきまして、できるだけ円滑にこれらの問題が拡大して参ることを希望いたしておるのであります。従いまして私といたしましては両国間に無用の誤解が避けられるような状態のもとに、できるだけ貿易が復活して参りますように努力して参りたいと思うのでありますが、それらの外交的方法としては、しばらくいろいろな誤解が両国に起らないように静観をしていくことが一番早道ではないかということを考えておる次第であります。
○床次委員 最後に東南アジア貿易に対する経済協力についてお伺いしたいと思うのであります。先ほど大臣のお説にもあったのでありますが、わが国の東南アジア外交というもの、今春におけるところのインドネシアの賠償の問題におきまして、一、二の例外はありますが一応地ならしができつつある。この上に具体的な強力な対策がほしいというのが現状だと思います。しかしながら国内におきましては御承知の通り経済基盤強化の資金法案が成立がおくれた、あるいは東南アジアにありましてはインドネシアにおけるところの内乱等があるというような状態でありますので、非常に経済活動がおくれつつあると思うのでありますが、現在東南アジアの各地におきましては著しいところの外貨不足でありますために貿易は振わないというのが現状でありまして、反面におきましてこの間中ソ等におけるところの共産圏におきましては借款その他において積極的な進出も見えておるのであります。従ってわが国といたしましてはすみやかに経済協力の推進に乗り出すべきだと思うのでありますが、現在までわが国において行われておりますところの貿易振興対策というものに対しては、いささか手ぬるいのではないかと思います。なお賠償等において考慮せられましたところの経済協力の実施等におきましては、なおその条件等において相当考慮する必要があるのではないか。現実におきまして、たとえばインドの製鉄事業におけるところの借款のごときは、世界銀行並みの条件によって行われておるのでありますが、賠償の方々におきましては世界銀行よりもやや高いことが予想されておるような矛盾もあると思うのでありまして、今後東南アジアの経済の協力に対しましても、もっともっと積極的な措置を講ずることが必要であると思うのであります。これに対しましてはわが国自体の努力とともに自由民主主義諸国に対しましてもやはりわれわれがかけ橋となって積極的な開発をする、一時唱えられましたところの東南アジア開発資金設置等に対しましても積極的な考慮を必要とすると思うのであります。今やその時期に到達しておると思うのでありますが、これに対する外務大臣の御所見を伺いたいと思うのであります。
○藤山国務大臣 東南アジア諸国の経済建設が一般にできますよう、われわれ日本が協力して参りますことはぜひ必要なことなんでありまして、われわれとしては日本の財政の許す限りにおいて、そういう面からも十分な協力援助をして参りたいと考えております。また技術的な面等につきましては十分日本の現在の段階において協力できると思いますので、そういう面についても施策を積極的に進めて参りますことを考えておるわけであります。要するに東南アジア各国がドル不足その他のために非常な困難を来たしておりますし、また経済建設が十分進んでおりませんために民生が必ずしも安定しておりませんことは、大きな意味から見まして世界の平和にも影響を与える問題であります。従いまして日本としてはそういう大きな面も考え、合せて日本の協力し得る範囲も考えつつ、できるだけの範囲内において努力をして参りたいと考えております。
○櫻内委員長 穗積七郎君。
○穗積委員 ただいま外務大臣から前国会からの外交報告と多少のオピニヨンが発表されたのでありますが、その中にも非常に大きな問題を持っておるわけですが、きょうは時間がありませんから緊急重大なる中国の問題について簡潔な質問をいたしたいと思います。きょうは担当大臣である外務大臣、通産大臣両方とも中国問題については現在の保守内閣の中ではより理解を持っておられる方としてわれわれ期待をいたしておりますから、率直なお答えをいただきたいと思っております。 最初にちょっとお尋ねしたいと思いますのは、昨日、内閣を代表する立場におる赤城官房長官の談話発表であります。これは待合その他のプライベートな会合で私語されたのとは違っている。権威ある報道機関を前にして、みずから進んで談話発表をされたのでございますから、内閣を代表する意見としてわれわれは受け取らなければならぬ。ところがすぐこの内容に対して、藤山外務大臣が、それは個人的意見であって、内閣の意見ではないというような打ち消しの談話をまた発表された。われわれとして、実は醜態で見ておれない。今度の内閣は、岸自前内閣だといっておられるわけですけれども、当面のこの重要な外交問題に対してはすべり出しからまるでまとまりがないというか、てんでんばらばらのような発言を次々にされたのでは一体だれを相手にして話をしていいのか、どこに真意があるのか、同じ方向に進んでいるならまだしものことですが、それがジグザグで、イレギュラーであって、われわれははなはだ当惑するわけです。 そこで私は、この談話発表の内容について申しますならば、二つの重要な点を含んでおると思うのです。一つは、事態を促進するために、こちらから進んで少し動き出したい、こういう意向の内容が一つ。これはいいことだが、もう一つはわれわれが聞き捨てにならない、国際的にも重要な内容と思いますことは、中国を二つの統治権によっておのおの二つの国家を形成していく、これを認めていきたい、これを恒久的かつ固定的なものとして認めていきたいという、この第二の発言というのは、実に重要なものでございます。これは申し上げるまでもないことであって、たとえば今度の戦争後の大国主義、先ほどあなたの言われた、反対しておられる大国の御都合主義が強制されたものであって、日本が沖縄地区と日本本土と二つの統治権によって統治されている。朝鮮がそうだ、それから中国がそうだ、ヴェトナムがそうだ、ドイツがそうなんです。これは当然の民主主義の原理によって、これらの民族は平和的に統一国家が形成せられることが促進されなければならぬことは明瞭であるにもかかわらず、新しい内閣が、それを代表する官房長官が、この事実をみずから容認していく。この大国主義の不当なる強制というものを容認していくという態度、これはわれわれ自身に対する一つの裏切りであるとともに、中国に対するこれほどの敵意に満ちた発言はないと私は思うのです。そういう意味で、けさの閣議では、こういう長官の談話発表に対して、何らかお話し合いになって、内閣としてまとまった意見をお取りまとめになったと思うのですが、その事実を伺い、またまとまったところで一つ発言をしていただきたい。また今度総理がこられると、あれは藤山君の個人的意見だということで、次々に取り消されていったのでは国際的信用にも関することでありますから、その点を明確にした上で御答弁いただきたいのでございます。
○藤山国務大臣 赤城官房長官が、昨日記者諸君との会見におきましていろいろ話されましたことは、官房長官個人の意見でありまして、岸内閣の外交方針につきましては、外務大臣を通じての発言のみが正確であると御了承を願いたいと思います。
○穗積委員 それでは、けさの閣議でどういう話し合いをされたかは別として、外交問題であるから、外務大臣が内閣を代表して、昨日の談話の内容は内閣の意見ではないという、すなわち取り消しとわれわれは理解してよろしゅうございますね。
○藤山国務大臣 個人的な意見にすぎないと御了承願います。
○穗積委員 そうすると、政府の見解ではないという点を明確にしていただいたものと考えてよろしゅうございますね。
○藤山国務大臣 私が申さない限り、政府の見解ではございません。
○穗積委員 それはいわば取り消しという言葉を使うことを避けておられますが、あれは内閣の意見ではない、従って国民も外国の諸君も、あれを現岸内閣の意見ではないということを今明言されたわけなのであります。私は注意をしておきますが、事外交問題でもありますから、今後こういう醜態のないように、おのおの内閣に入っておられる方々の発言は、権威と責任を持ってやっていただきたい、これは御注意申し上げておきます。 次に高碕通産大臣に所感をお尋ねいたしますが、今日あなたは通産大臣の立場におられるわけですけれども、前にバンドン会議が開かれましたときにはあなたは政府を代表してバンドン会議に御出席になった。その会議には言うまでもなく中華人民共和国を代表して周総理も出席された。今外務大臣になっておられる藤山さんも民間代表としてこの会議に出席されておる。そこで私は今日の日本と中国との関係をながめて、あなた方が出席されて確認し決議しておいでになりました例の十原則、その中で特に強調したいと思いますことは、いかなる国であろうともアジア、アフリカ地区に所在するお互いの国が、「友好の精神」と「互恵平等の原則」に従って経済並びに文化の交流を拡大していこう、その場合においては言うまでもなく平和主義に立ち内政不干渉の精神を持っていく、これは今日現内閣においても確認されておるものとわれわれは理解いたします。そうでありますならば進んでお尋ねいたしたいのは、この精神を現内閣は尊重しておる、確認しておる、従っていずれの国とも友好の精神と互恵平等の原則はくずれていないのですから、これに含まれておる中華人民共和国との間においてもこの友好の精神と互恵平等の原則に立って経済、文化の交流を進めていくということについては微動だもいたしておらない、こう理解をすべきだと思いますが、当時のことを回想されて大臣の今日の御所感を伺っておきたい。
○高碕国務大臣 ただいま御質問のバンドン会議で決議いたしました精神は、今日岸内閣におきましても当然これは受け継いでその通りの方針で進む考えでございます。従いまして先ほど藤山大臣のお話しになった、中共は承認していなくとも、これは友好精神、互恵平等の精神によって友好関係を持続していきたいという考えは間違いありません。
○穗積委員 現在の藤山外務大臣は先ほど申しましたようにこのバンドン会議にも御出席になりました。当時の政府代表である高碕さんはあの決議に参加されて、しかも平和政策を提案されておる。その精神を今日も現岸内閣の外交方針の基本の精神だと言って確認をされておるわけですが、あなたは今日岸内閣の外交の責任者としての外務大臣になっておられるのでございますが、あなたも同様バンドン・グループの一人なんです。今の高碕大臣の御発言に対しましてはあなたは全く同感であろう、かように考えますが、そのように理解して間違いございませんね。
○藤山国務大臣 バンドン会議の精神というものは日本の外交を大きく展開して参ります前途の一つのあかりであるということを私信じます。
○穗積委員 もう一点高碕通産大臣にお伺いいたしたい。実は中国との貿易その他の経済交流問題につきまして、日本側に、あるいは政界にも、あるいは学界にも、あるいは経済界にも一つ横たわっておる間違った見方があるわけです。それは何かといいますと、日本と中国との経済的立場を分析検討いたしまして、貿易におきましては日本の方がはるかに有利な立場に立っておるんだ。すなわち日本との貿易がとだえた中国としては建設計画を実行するのに西ヨーロッパ諸国から工業製品あるいは建設資材を輸入してやっていく、そういう方向に転換しつつある。また五月下旬におけるモスクワにおけるワルシャワ経済機構会議の結果、社会主義陣営の経済的提携の強化が原則としてまた認められておる。そういう状態であるけれども、実は貿易関係から見ますと、社会主義陣営または西欧の自由主義陣営からすべて輸入するわけにはいかない。さらに今度は出す場合、その場合にはポンド、ドルも十分持っておりませんから、従ってバーター貿易にならざるを得ない。そうすると鉄鋼、石炭、大豆、塩、米等と、これらのものの物々交換、バーター貿易をしなければならぬ。そのときに、西ヨーロッパの諸国は、中国に売るものはあるけれども、買うものがない。その中国から買う大きなる市場は日本だ。そういう意味で、多少中国市場にヨーロッパ諸国が入ったとしても、これは一時的現象であって、やがては日本との取引をせざるを得ない。向うから折れてくるんだ、こういう観測が一部に行われておるわけなんです。私はこれは非常に甘い間違った観測ではなかろうかと思う。すなわち、第二次五カ年計画に入りました中国の経済を中心にして考えましても、それを取り巻くところの社会主義陣営の経済建設の状況と、それから今度はアメリカを中心とする自由主義経済諸国間における資本主義の特徴である無計画な過剰生産による市場競争、あるいは対立、その行き詰まり、こういうものが先ほどの藤山外務大臣の外交報告の中にも苦悩となって現われてきておる。その二つの経済体制をわれわれが比較してみましたときに、果してわれわれが有利な地位に立っておるのか、むしろわれわれはそういうたての一面をしか見ない、相手の欠点をのみ主張して、みずからの欠陥を隠蔽をして、心を安んじておる、こういうことは誤まった考え方だ。あなたは前は経済企画庁長官であり、そうして五カ年計画を策定され、今日は貿易、経済発展の責任者である通産大臣の地位に立っておられるわけなんであります。このいわゆる中国に対する誤まった見方が冷たい「静観主義」、これの背景をなして、日本政府に災いしておると思うのです。そういう点について、高碕通産大臣はどのようにお考えになっておられるのか、この際大事なことですから、一言お伺いしておきたいと思うのです。
○高碕国務大臣 地理的に考えましてもまた歴史的に考えましても、隣邦である中国とわれわれの貿易関係というものは、どちらが得するとか、どちらが損するとかいう問題でなく、両方の関係を強化することによって、両方とも利益するんだ、従いまして今日のような途絶の状態にあるということは、だれが困る、かれが困るというのではなく、両方ともこれは早く妥結するという希望であるということは、私はそう信じております。特に日本といたしましても、この問題は輸出振興という上から申しましても相当大きなファクターをなすものでありますから、これは早く妥結されんことを希望いたしております。
○穗積委員 大体そういう公平な観測に立って、対中国貿易の問題を中心とする外交の日本政府の背骨にしておいていただきたい、そのことを切に希望いたします。 次に進んで外務大臣にお尋ねいたしますが、実は去る四月九日民間で調印を終りました第四次貿易協定、これに対する政府の回答が発表されました。続いて先ほどお話しのように、五月の初めに長崎におきまして不祥事件が起きたわけであります。そこで、あなたは民間から出られて、内閣に入り、国際常識にのっとった外交を展開していきたい、しかも経済外交を中心にしてやっていきたいという方針でおられるわけですから、そのあなたの国際常識の立場から、一つ国旗に対する感想を伺いたい。国交回復国の国旗、未回復国の国旗、これをどういうふうに取り扱っていくか、回復国であろうと未回復国でありましょうとも、その国の国旗は民族のシンボルでございます。終戦後日本の国民はいささか国旗に対するセンスを失いつつあると思うのですが、特にアジア、アフリカ諸地域の新興独立国家における国旗に対する関心というものはまた格別であろうとわれわれは推測する、そういうときに、この国旗というものが、ふろしきとは違い、特別の民族の象徴でありますから、特にお互いに相互主義に立って、この国旗に対しては尊敬を払い、その安全を保障するように、政府並びに国民がお互いに努力していく、これは私は当然な国際常識だと思うのです。その基本的なものの考え方というものが、この際お互いに信頼、理解される、これがまず第一に必要だと私は思うのだが、長崎事件をどういうふうに処理するとか、あるいは法律上の、国内法がお互いにどういうふうになっているかということを議論する前に、われわれはこういう国際常識として、両国相互間の国旗に対するあなたの国際常識による基本的な精神はいかがなものでございましょうか。
○藤山国務大臣 ただいま穗積委員の御指摘がありましたが、それぞれの国の国民が、それぞれの国の国旗を尊重していることは当然であります。今御指摘のありましたように、戦後日本人が日本の国旗すら尊重する風潮があまりないということは残念なことであります。そういう意味において、われわれもそれぞれの国民がそれぞれの国の国旗をお互に尊重していくということは当然のことと考えられるわけでございます。それ以上の問題につきましては、非常にデリケートな段階でありますので、法律論等につきましてはお答えいたしかねる。
○穗積委員 外務大臣は私の質問だけに答えていただきたい、余分なことはお答えいただく必要はありませんから。 次にお尋ねいたしたいのは、向う側からながめますならば、私の推測では先ほど赤城官房長官の発言に触れて申し上げましたように、二つの中国をでっち上げていく、そして台湾というものを中国から切り離していく、こういう二つの中国政策に対する日本のあいまいな態度というものが、あるいはまた疑惑が、実は中国側の政府並びに人民に対して非常な敵意として受け取られ、かつ不信をなじっておる大きな一つの原因であると私は思うのです。ところで、先ほど赤城長官の談話に対する岸内閣を代表する外務大臣の御答弁は、あれは内閣の考えではない、こういうことで打ち消されておることはけっこうでございます。ところがこの問題に関連をいたしまして、もう一つ中国の政府並びに人民を強く刺激いたして、いまだにはっきりしないで残っておりますのは、昨年四月われわれが北京を訪問いたしました後に、岸総理が東南アジアを回られて、終戦後の日本の総理として初めてのことですが、台湾を訪問されました。そのときに蒋介石総統が本土に対して武力反攻をするのだ、こういう意見を述べられたのに対して、岸首相がこれを支持するかのごとき、または少くともこれを精神的にエンカレッジするかのごとき言辞を弄された、これが日本の新聞にも発表になって外国にも伝わった、このことは強く中国を刺激しておるわけです。その後国会におきましてわれわれがこれに対する岸首相の所信あるいはそのときの事実を伺いますと、そういう気持で言ったのではないのだということを盛んに弁明されました。ところがこれが国際的にはいまだに明確になっていないのです。ですから、今度新しく岸第二次内閣ができましたときを契機にして、——あなたはさっき中国側の誤解に基く、誤解に基くと言っておりますが、実はもし岸首相の説明がうそではなく、中国側に誤解があるとするならばこの点でございましょう。その他はむしろ向うの誤解ではなくて、こちら側に責任があったり、不当な発言をされたりしたことが原因になっているとわれわれは見ている。従ってこの点に対する事実をあなたも御承知でしょうから、これらのことに対するちゃんとした内閣の考え方を内外に示し直す必要があると思う。あらゆる機会にそういうふうに努力するお考えはないかどうか、この点も重要な点でございますから、伺っておきたいと思うのです。
○藤山国務大臣 岸総理が台湾に行かれました際の発言につきましては、前国会以来岸総理がたびたび言明しておられますように、今御指摘になりましたような事実はないと私は信じております。
○穗積委員 その次にもう一点申し上げたいのは、実は最近の岸内閣の動向を見ますと、われわれ国民から見ましてもそうでございますが、いわゆるアメリカの「力の外交政策」、これは昨年来国際的に孤立しようとしておるのでございますが、これに岸内閣は加担をして、そうしていわゆる日本基地における核兵器の持ち込み、あるいは日本みずからのミサイル基地化、または核武装化——そういうことはないと政府は言っておられますが、日本本土の核非武装化の宣言、あるいはアジア諸地域における核兵器非武装化の宣言等を、われわれが国会においてきめようじゃないかといって提案したときに政府与党のとられた不賛成の態度、これらの態度の中にも疑惑を生じておるし、また最近平和産業の貿易行詰まりに肩がわりをしてMSAによる域外買付、あるいは国内におきましては岸内閣ができますとともに、いわゆる死の商人と言われる東京財界を中心とする軍需産業の独占資本の諸君が、日本の兵器産業の強化拡大を政府に要望するというような動きが現われておる。こういうふうなものに対する政府のまんざらでない態度、こういうふうなことを、一連としてながめると、日本の外交の行き着く先は、また再び防共軍事同盟の方向へ行くのではないか、こういうことが外国の人々にも、日本の国内においても非常に不安を感じておる。このことはやがて国内においては、小選挙区制による憲法改正、徴兵制度につながる道として青少年、婦人に至るまで、不安を持ちつつあるわけです。これに対しましても今までわれわれがお尋ねいたしますと、そういう考えはないのだということを言っておられますが、これをただ主観的にないということだけでなくて、客観的に実証するに足るような内外の諸政策というものをこの際明確にされる必要があると思う。このことが大陸を中心とするアジア諸地域の多くの人民の日本外交に対する疑惑を取り除く私は要件であると考えております。これに対する藤山外務大臣の御所感を伺いたい。日本国民に対しましても、中国を初めとするアジア諸地域の人々に対しましても、あなたの所信を明確にするつもりでお答えいただきたい。
○藤山国務大臣 先ほど申し上げましたように、日本がどこの国とも友好親善の関係を打ち立てていくことが外交の基本方針であることは申すまでもございませんが、特にアメリカと親善関係を強化していくということは、われわれの外交の大きな筋だと思います。が、友好親善関係を樹立するということを考えれば考えるほど、やはり日本の考え方あるいは日本人の立場、そういうものを十分にアメリカに認識してもらいまして、そうして日米関係というものを調整して参りませんければ、ほんとうの意味の親善関係が打ち立てられないと思います。従いまして私は両国の親善関係を打ち立てる意味から申しまして、率直に日本の立場を説明し、また日本国民の意のあるところを十分に伝えて、それらが日米関係の調整の上に大きく働いてくることに努力して参りたい、こう考えております。
○穗積委員 はなはだ不十分ですが、時間がありませんから次にお尋ねいたします。先ほど国旗に対するあなたの根本的な考え方を伺ったわけですが、未回復国である中国の国旗、これをもし代表部が設置されて日本国内に掲揚されました場合にも、当然先ほどのお話で明確だと思いますが、問題を整理してみますならば、次のような結論になると思うのです。 すなわち、国旗をお互いに北京、東京に掲揚することを認め合うこと、それを認め合ったといたしましても、そのことがすなわち直ちに国交回復またはお互い相手国の政府承認とは別個の問題である。別個の問題ではあるけれども、国旗という物質が他の物質と違って、特別の民族の象徴であるから、これに対しては十分なる敬意と安全を保障していく、こういうことになろうと思うのです。私どもはこの問題については、大きく原則的にこのように締めくくって理解すべきだ、と考えます。それで間違いはないと信じますが、外務大臣の所感を伺っておきたいと思います。
○藤山国務大臣 先ほど申し上げましたように、どこの国の国民も、それぞれ自国の国旗に対して敬意を払っておることは、当然のことでありまして、われわれもその事実を認めております。なおわれわれはその精神に立ちまして、今後の問題を処理していくわけでありますけれども、現在の段階において、いろいろの問題を具体的に申し上げますことは、必ずしも適当でないと思いますので、私としてはこれ以上申し上げたくないと思います。
○穗積委員 最後にお尋ねしたいのは、協定に示されておりますように、お互いに民間代表部が北京並びに東京に置かれたといたしますならば、この民間代表部に対して、すべての外交特権を認め合うというわけにいかぬことは、これはお互いに明瞭だと思いますからそのことはよくお互いが承知していることだと思います。ただしその代表部の本来の任務であります貿易業務を行うに必要なる自由並びに安全、これをお互いの官民は協力をして相互主義に立って保障していくことは、これまた私は国際常識上明確な点だと思うのでございます。そういうふうに政府の態度も基本方針もそこにあるんだというふうに、われわれは理解していきたいのでございます。そのように理解して間違いないと思いますが、念のためにこれもあわせて明らかに伺っておきたいと思います。
○藤山国務大臣 国交が正常化されておりません国の人たちに対しても十分な保護を与えていきますことは、これは当然なことであります。われわれはその線に沿ってすべての問題を取り扱っておるつもりであります。 なお通商代表部等が設置されました場合に、通商に関係します便宜を与えますことは、通商代表部設置の趣旨からしても当然ではないかと思います。それらの問題は外交特権とは全然別個の問題として、われわれは十分に通商関係の円滑化を促進していく方途をとって参りたい、こう思っております。
○穗積委員 時間も参りましたから、これで結論にいたしたいと思います。 以上伺ってみますと、中国との関係においては、友好の精神並びに互恵平等の原則に立って経済文化の交流を促進したい。この原則は新内閣の外務大臣により明確にされた。さらに今申しました国旗の掲揚の問題並びに代表部に対するお互いの態度の基本的原則も明確にされた。これで行くと問題がこじれました後に、五月二十四日であったかと記憶いたしますが、選挙後陳毅外務大臣が北京におります日本の、民間代表の諸君でございますけれども、それを通じて意見を発表いたしました内容と、すなわち以上の原則が真実に明確にされるならばわれわれは貿易再開の用意があるのだ、こういったものと全く同じでございます。そうでありますならば、この際二つの中国政策のないことを明らかにし、あるいはまた防共軍事同盟方式を否定し、その後、具体的には国旗問題に対するいやがらせ的な発言、あるいは五月二日の長崎における国旗の不祥事件、こういう派生的ないろいろな言葉や事件が悪く積み重なって、あとに悪いあと味を残していることになっておりますが、これらは過去の面子にとらわれないで、この際一挙に問題解決に踏み切るべきだ。この際岸内閣は、国民が要望いたしておりますように一日も早く今の原則に立って日中間の貿易を打開し、漁業協定も早く解決すべきだ、文化の交流も促進すべきだ。お互いにお互いなくしてはアジアにおいては独立と平和を保つことはできないという自覚に立ちますならば、私はいたずらなる静観——静観の中にはあるいは悪意に満ちた冷たい妨害的な静観もございましょう。それからあなたのように善意に立って促進するための、早く解決するための手段としての、戦術としての静観、こういうものもありましょう。ところが今お隣りにすわっておられる高碕通産大臣はそれをさらに率直に言われて、できるだけこちらも、頭を下げるとかなんとかいうつまらぬ面子を考えないで、一日も早く解くべきものは解き、誤まりがあるならばただし、早く解決することが日本の貿易界の現状、あるいは日中両国間の将来の経済交流からながめて望ましいのだといっておられる。こういう態度とあなたは違った線に立っているとは思わない。方向は同じでありましょうが、そこに段階の違いが表現されておるわけです。今外交の責任者である藤山さんのお考えを伺ってみて、高碕通産大臣のお考えと何ら私は径庭はないように思う。国民の要望するところもそこです。従って静観、静観ということを破棄するための静観ではないとか、いろいろ苦心をされた言葉を使っておられるわけですけれども、もうその時期ではない。なるほど実際に問題を解決することになれば内外にわたりいろいろな——まず複雑怪奇な自民党内の不統一をまとめなきゃならない、閣内の不統一もまとめなきゃならない。それからさらにアメリカや台湾との今までの関係もありましょう。政府の立っておる立場もわからぬことはないが、少くとも外から動いてくることを待たずして、こちらから積極的なる促進、これに変るべき段階に私はきたと思うのです。この感を、今日のあなたの答弁を通じてますます深くするものでございます。どうぞあなたのこの際の決意一つですから、あいまいな、訳のわからぬような静観というような言葉の衣を脱がれて、はっきりこの際国民の要望に従って前進すべきだと思う。そういうお考えはございませんか、そのことをお勧めしながら、私は最後の質問を打ち切ります。
○藤山国務大臣 国際関係を扱っておりまして、大局を小さな事件で誤まりますことは私も非常に遺憾だと思うのであります。そういう意味において、外交上の問題を取り扱って間々そういう感じを持つのであります。いずれの国の有識者も、大局の判断の上に立って、そうして相互に誤解のないように、また小事に拘泥することなしに、大局の問題として問題を解決していきますことが外交上大きな点でなければならぬかと思います。 ただいまのお話にありましたように、高碕大臣が言われました日本の経済、通商、産業、貿易の政策の上からいって、貿易の拡大を希望しておられますその線に沿って、外務当局としてはできるだけすみやかに貿易の拡大が進むように、通産大臣と協力してわれわれはやるべき任務を持っておると思うのであります。そういう意味において、言葉の使い方はいろいろございましょうと思います。われわれはそういう意味において努力をして参りたい、こう考えております。
○高碕国務大臣 ただいま外務大臣がおっしゃったことで大体尽きておりますが、もしも私の申し上げたことと、外務大臣の言われたことについて何かギャップがあるようなことがあれば、これは誤解であります。総理大臣、外務大臣と私の精神ははっきり一致しておるのであります。われわれはやっぱりあくまでバンドン精神を尊重していきたい、こう存じております。これを実行に移します上の方法等は、これは外務大臣がお考え願うことなんですから、外務大臣に対しては、私どもは意見を率直に申し上げて連絡をとっておるわけでございまして、あまりこういう問題でいろいろ間違ったような放送がされるというようなことは、きわめて遺憾に存ずるわけであります。今後は外務大臣を通じて、この方針等につきましてはお話申し上げますから、さよう御了承題います。
○櫻内委員長 宇都宮徳馬君。
○宇都宮委員 二、三簡単に外務大臣に質問申し上げたいと思います。 私は、外交は非常に冷静な常識に基いてやらなければならぬ、かように存じておりますが、先ほど赤城官房長官の発言が問題になりましたけれども、私は現在日本がただ一つの中国を相手にする外交は、実際問題としてはできない、かように思います。と申しますのは、二つの中国が厳然として事実として存在いたしておるわけでございます。そうしてもしも自由主義の方に立つ台湾だけを一つの中国と認めるならば、中共との外交はできないということになりますし、共産主義の立場に立つ中共の中国を一つの中国と認めた場合には、台湾との外交はできないということになるわけでございまして、われわれは平和善隣外交を進める建前から申しましても、台湾とも仲よくしていかなければならぬ、中共ともでき得る限り経済的な関係を維持して、相互の経済的な利益をあげていかなければならぬ。こういう観点から申しますると、赤城官房長官の発言は、私は非常に常識的なものであるというふうに実は考えておるわけでございます。ただ一つの中国を相手にするということが、中共だけを相手にするということが、中共と交際をするために絶対に必要であるというような発言を穗積委員がいたしましたが、私はさようなことはないと思うのでございますが、この点外務大臣の御意見を承わりたい。
○藤山国務大臣 外交を推進して参りますために、一つの理想を置いて進めて参りますことは、これは当然なことでございます。しかしながら、現在のような複雑しております事態に対処して、現実に外交の歩みを理想の域に進めて参るためには、やはり現実の事態を無視するわけにいかぬのであります。そういう意味において私のやっております外交は、はなばなしくはないかもしれませんけれども、着々現実の上に立って一歩ずつ段階を経て進んでいくという立場をとって推進しております。
○宇都宮委員 大体御意見はわかりまするからその程度にいたしますが、次に、私は韓国の問題について御質問申し上げたい。日本国民は現在の新しい韓国の健全な成長を心から望んでいると私は思います。そしてまたこの新しい韓国との善隣関係が結ばれることを心から望んでいると思うのでありますが、なかなかこれがうまく進展いたしません。そして李承晩ラインその他の問題で、日本国民の中で相当迷惑を受けておる者があるわけでございますけれども、政府も使節等を派遣せられまして、韓国との関係の打開に努力しておられるようでございますが、韓国との正常な国交の回復を阻害しておるものは一体何であるか、また政府はそういう障害をどうやって打開していこうとされておられるか、この点について御質問申し上げます。
○藤山国務大臣 御承知のように、現在の国際関係ははなはだ複雑でありまして、従って日本と他国間との問題のあります点につきましても、ただ一つの原因でいろいろなものが動いておるというわけにはいかぬのであります。いろいろなその国の事情等の原因がありまして、それが織りなしているように影響し合っております。従いまして韓国と日本との間の問題の解決に当って、何が大きな一つの支障であるかという、一つだけに問題を限定することは非常に困難かと思います。そういう意味におきまして、韓国側の立場も考えながら、しかも日本の立場を十分に考え、なお世界情勢におけるそれらの問題を照らし合せて、われわれは韓国との友好関係を確立するように持って参りたい、こう存じております。
○宇都宮委員 それ以上御質問申し上げませんが、もう一つお聞きしたいのは、藤山さんは外務大臣に就任されまして、日本の経済外交を改善するということについて非常な御熱意を持っていらっしゃるようでございます。これは確かに絶対に私は必要なことであると思います。ところが民間の貿易業者その他の間では、日本の公館等の働き工合、経済外交とか通商とかいう方面においてはどうも他国の公館よりも劣るというような非難が、これは現実としてございます。またそういうような事実も一々指摘すればないとは言えない、こういう状態でございます。これはぜひとも改革いたさねばならぬと存じますが、そういう点につきまして何か具体的な施策をお考えであるかどうか。これはぜひともやっていただきたいので御質問申し上げますが、具体的な施策、改革をお考えであるかどうか、非常に抽象的な質問でございますが、お聞きしたい、かように存じます。
○藤山国務大臣 全般として外務省の機構を充実して参ることは非常に必要なことだと思うのであります。戦後外交機関がブランクの時代がございました。従って現在外交機関そのものが必ずしも充実いたしておりません。また戦前と違いまして戦後は非常に経済的な面における外交というものが重要視されております。これは単に貿易ばかりでなく、戦後それぞれ独立したいろいろな国の経済諸問題についての協力という面もふえできておりますので、外交における経済面の充実ということは当然われわれが心がけて参らなければならぬと思います。ただ一方では予算等の制約もありまして、必ずしも機構的に充実することが急速に進まない場合もございます。また人的にそういう面を充実して参るにつきましても、予算等の関係もあります。しかし同時に、現在外務省に仕事をしております者の心がまえの上でも、やはり経済外交が重要であるということを認識してやることによって相当改善されると思うのでありまして、そういう意味におきまして省内をも督励をいたしております。今後ますますそういう面が充実されるように私としては努力して参って御期待に沿いたいと考えております。
○宇都宮委員 最後に藤山さんに少し根本的な問題ですが伺いたいのですが、日本の外交は戦後、大体日本の外交政策を決定する上からいいまして三つの時期があった。一つは米ソが協力いたしまして日本を占領して、そうしていわゆる冷たい戦争にならない前のそういう時期があったわけであります。それから冷たい戦争、朝鮮戦争時代の熱い戦争、こういう時期を経まして、そうしてスターリンが死んでからいわゆる雪解け時代というものが最後に現在の日本の外交の環境である、こういうことが言えると思います。最近になりまして例のハンガリー問題以来またその雪解けという現象が逆行しているように見えます。また最近のレバノン等の問題も非常に険悪でございまするし、ナジなんかの処刑の問題をめぐりまして、非常に巨頭会談というものは行き詰まりそうな形勢にございます。この雪解け的な現象は逆転しつつある、こういうふうにお考えになられますか、それともこの逆転は一時的なもので、雪解け的なものは進むというふうにお考えになっておられますか、これはもうきわめて外交評論家みたいな聞き方でございまするが、この点ちょっと伺っておきたい、かように思います。
○藤山国務大臣 非常に大きな見通しの問題の御質問でありまするが、われわれはソ連のただいまお話しになりましたような態度の変化というものについて常時十分な研究、調査をして、そしてその変化等を見詰めながらわれわれも日本の外交を展開していかなければならぬということに努力いたしております。現在の状態、いわゆる雪解け状態が進むのかあるいは逆行していくのかという点についてどう考えるかという御質問でありまして、私は大きな意味におきましては、やはり雪解け状態が進んでいくのではないか。しかしそれに達するまでには、今日のように世界がまだ安定をいたしておりませんので、地域的にいろいろな問題が発生をいたします。それらを契機としまして、雪解け状態が阻止されるような傾向にもなります。またソ連の国内におけるいろいろな政治上の変化等もあるわけでありますから、そういう面によって今後、私が今申し上げましたような見通しが必ずしも適当でないような変化が起ってくるという懸念もなきにしもあらず、しかしやはり世界の大勢というものは、何らかの形で平和に向って共存をしていく大きな大勢が動きつつあるのではないかというふうに私は考えております。
○櫻内委員長 大西正道君。
○大西委員 かが国の外交は、日中問題にしても、あるいは沖縄の返還の問題にしても、その他賠償の問題にしましても、非常に行き詰まって八方ふさがりの中に選挙をやったのですが、ああいう非常に不手ぎわな自民党がよく選挙に勝ったものだと私は実は思っておるのです。特に日中間の問題は、せっかく結んだ鉄鋼協定もふいになり、第四次貿易協定も御破算になり、最悪の状態の中で選挙を迎えたのに、自民党は案外減らなかった。それはいろいろ原因があろうと思うけれども、あのときに岸さん初めあなたもそうですが、中国の協定破棄のあの打った手は、日本の内政干渉で、社会党に対する援護射撃だというようなことをぬけぬけと言ったのです。これに対して私どもの釈明も足りなかったせいもあるけれども、外交問題について深い内容を知らない国民は、自民党のこの宣伝に負けて票をあなた方に投じた。私は非常に憤慨したのでありまするけれども、その後の政府の日中間の問題に対する見解を聞きますと、どうやらあのときぬけぬけと言ったああいう気持ではないように思うのです。やはりあのときのように、あれは大した問題ではない、こちらは正しいことを言っているのに、向うは無理難題をふっかけて援護射撃をやったんだ、そういうふうな事実に反したことを今なおお考えであるかどうか。もしこういうお考えを持っておるとすれば、これは重大な問題だが、そうでもなさそうに思うのでありまするが、それならそれで、それはこういうわけでありましたと、一つ今の立場からあの選挙の際の日中問題に対する態度の反省を聞かしてもらいたいと思う。
○藤山国務大臣 先ほど宇都宮委員にお考えしましたように、二国間の問題で何か起りましたときに、たった一つの原因でそれが起ったんだということは、外交を扱っております私としては断定することは困難なことなのでありまして、いろいろな面から原因が複雑多岐に起っておると思います。従ってそういう意味において、われわれは国際間の問題の原因を考えて参っておるわけであります。
○大西委員 私の聞きたいことは、あれが国内の社会党の援護射撃だというようなことを言っているということは、これは重大問題だから、その点についてのあなたの見解を一つ聞きたいのです。
○藤山国務大臣 私はあの問題が社会党の援護射撃だけにやられたということを申したことはないと思います。私としては、たまたま時期が悪くて、選挙のこういうときにああいう問題が起ったことは社会党に利する関係が多い、だからわれわれとしても、できるだけそういう問題に対しては国民に解明をしたい、こう思っておったわけです。
○大西委員 こういう問題であまりつべこべ言うのはおとなげないことだけれども、ああいう言動は今後はよく慎しんでもらわなければならぬ思う。 それから赤城官房長官が見えておらぬけれども、見えれば私はちょっときのうの談話をもう少し官房長官の口から聞いてみたいと思うのですが、これはあとに譲ります。そこで、あれは政府の正式の見解じゃないんだと言っておられるのですが、あの談話のどこがあなたの気に入らぬのですか。どこが政府の正式の見解ではない、あるいは間違っておる、こう言われるのですか。二つの中国を認めるというようなことは、これは確かにどちらの中国も認めないことなんです。しかし考え方としては、あなた方が非常に消極的な態度から積極的な態度に出て、日中間の問題を少し積極的に解決しようという心がまえを見せただけでも、国民は大いに好感を持っておると思う。それをまた、あれは間違いだと言われるのなら、どこが政府の正式の見解と違うのですか。
○藤山国務大臣 赤城さんが言われましたのは、記者会見におきまして個人的な意見をつけ加えて言われておるのでありまして、私どもは赤城さんがきのう発言された言動に対して、あれが政府の一致した見解だとは考えておりません。
○大西委員 だからどこが政府の見解と違うのですか。これは前の委員も発言したように、国内の新聞だけのみならず、外国の新聞にも官房長官という地位にある者の発言として報道されておる。それは「私見によれば」ということが書いてあっても、外国の新聞には必ずしもそれが正確に言われておるかどうかもわからないと思う。どこがあなた方の政府の正式の見解と違うのか、一応聞かせてもらいたい。
○藤山国務大臣 この問題は非常にデリケートな問題でありますので、多くを言うことは私は適当でないと思います。しかしながら赤城さんの述べておられる問題の中には、いろいろ他国を刺激するような点があろうかと思います。そういう意味において、私は現在の段階においてこれに対していろいろ申し上げることは適当でないと思っております。
○大西委員 承わると、やはり赤城談話というものが外交上支障を来たすと言われておるようでありますが、それならばこれはこの点が間違いであるというふうに積極的に明らかにされることが必要ではなかろうかと私は思うのです。もう一回お伺いしますが、どの点が政府の見解と違うのか、意見を聞きたいと思う。
○藤山国務大臣 私どもは現在の段階において静観をいたしておるのでありまして、それらの問題について口外いたしたくないと思っております。
○大西委員 日中問題につきましてはかなり質問があったのですが、あの日中間の協定がうまく軌道に乗った場合に、当然予想せらるべき貿易によるところのわが国の利益、それが今回のあの障害によってどの程度の損害と申しますか、不利益を予想されるか、現に現われつつあるか、この点について大ざっぱな数字でもよろしいから一つ聞かせてもらいたい。
○藤山国務大臣 数字等の点については、通産当局もしくは外務省の事務当局から御説明いたさせることにいたします。
○牛場政府委員 損害と申しましても、これは現実に契約その他がキャンセルされた額を合せたものを言いますか、あるいはその契約によって受くべかりし利益がキャンセルによって失われたものを言うかによりまして非常に違います。ただ契約額から言いますと、輸出入合せまして五、六千万ドルの額には上っております。
○大西委員 概算五、六千万ドルに上るという大へんな問題でありますが、こういう問題を犠牲にしても、なお政府の従来とって参りましたところの対米経済計画に重点を置いてやっていこうという、こういう態度につきまして私どもは大いに疑問を持つのです。きのうの新聞を見ますと、幸いにもペイン修正案は骨抜きにされて、域外買付の問題につきましては、やや愁眉を開いたようでありますけれども、私はこういうふうなことが次々と起っております日米通商関係は、一つこの際検討する必要があるのではないか、こういうことを思うのであります。政府の方では、あるいは特使を出すとか、あるいはいろいろの抗議をした結果、こういうことを言っておりますけれども、やはりこの日米関係の根本に横たわっておるところの欠陥を除去しなければ、景気がよくなれば、あるいは日本の物も若干は売れるけれども、米国内の景気が悪くなるというとすぐに被害は日本に及んでくる、こういう条件のもとにおきましては、やはり日本とアメリカとの間の通商関係というものをもう一度一つ根本的な立場から検討すべき必要があるのではないかと思いますが、外務大臣いかがでしょう。
○藤山国務大臣 対米貿易というものは、日本といたしまして非常に重要であり、大きな額に上っておりますことも御指摘の通りでありまして、この問題は特に先ほども申しましたように、日本の対米輸出商品というものは、中小企業の製品が非常に多いという立場からも、私どもは非常に重要なことだと思います。従いまして、これらの問題の解決に当っては、当面の対策ばかりでなく、やはり基本的に日本とアメリカとの経済というものを恒久的に確立していきますように、アメリカの理解も得なければなりません。アメリカ一般民衆あるいはアメリカの業者等の理解も得なければならぬと思います。そういう意味において、今後当面の問題の処理ばかりでなく、そういう問題についても力を入れて参りたい、こう存じております。
○大西委員 自主規制とかいう問題ですけれども、言葉は非常にけっこうでありますけれども、一体私どもの見るのでは、自主規制ということは、結局向うから威圧的に、強圧的に押し付けられてきたのじゃないでしょうか、何かこういう自主規制という言葉の魔術にとらわれて、日米間の友愛と信義とか、こういうふうなきれいな言葉でごまかされておる。こういうことをいつまで繰り返しておっても、日本の経済は安定しないと思います。そういう意味で、この自主規制というのは、私どもの見解によれば、これは強圧的な向うの一方的な、威嚇的な規制じゃないでしょうか、外務大臣はこういう考えを持ちませんか。
○藤山国務大臣 貿易を増大して参ることにわれわれはできるだけの努力をしております。従って相手国のいろいろな障害について、これを十分に取り除いていくように努力をすることは当然であります。同時に、御承知のように日本の産業構造によります輸出貿易の種類なり、あるいはまた現在一般的に広くこれも日本国民が認識しております過当競争なりというような問題については、やはり日本側においても、相当自主的に考えて参らなければならぬと思うのでありまして、それが貿易量の増大とともに行われますことは、私の範囲外の通産行政の上の主たる問題であろうと思いますけれども、私外務大臣として貿易の伸張ということを考えても必要な点が非常に多いと思います。そういう意味において、単に国外から威嚇されたから自主規制をやるというのではなくて、進んで日本においても適当な自主規制をやり、不当な競争なしに貿易を円滑に進めていくということは必要なことだと思います。
○大西委員 この問題と関連するのですけれども、やはり日本が米国の思惑によって、従来とっておったところの基本的な態度を変えていく、こういう問題ですけれども、北洋漁業における安全操業の問題ですが、日本政府は三海里説をとっておりました。ソ連の方は十二海里説をとっておりました。ところがこの三海里説の主張は、これは多くの国の支持を得て、国際海洋法会議でもこの主張を続けた。そのよりどころと申しますか、そういう意味で米国や英国にも依存しておった。ところが最後には英国がひっくり返る、米国がひっくり返る、そうしてやはり日本は最後には三海里説を放棄して、六海里説に左袒したことになりましたが、こういう一つの例を見てもわかるように、米国の好意に依存してやっておるといっても、米国は自分の都合によってはそういう従来の主張を日本の了解もなしにぱっとひっくり返してしまう。こういうことは安全操業の領海の問題でも明らかです。 そこで私は言うのでありますが、このソ連との間の安全操業の問題につきましては、従来は日本は三海里説を主張して、ソ連に対してもこの三海里の線でいろいろと文書の交操等も行なっておりますが、こういうような国際海洋法会議で、日本が従来の三海里説を六海里説に変更したというようなことから、安全操業の問題に対しても従来の態度をやはり堅持されますか、私はそういうことができなくなったと思いますが、どうですか。
○藤山国務大臣 国際海洋法会議におきましてわれわれが三海里説を主張しましたのは、日本が海洋島嶼国家として当然今日までの日本の利益を守る上において必要なことでありまして、これは決してアメリカに追随してそういうことをやったというのではございません。しかしながらなぜそれでは六海里説に最終的に考えたかということでありますが、海洋法のあの会議の席上で、公海が無警察状態になることは好ましいことではありませんし、しかも十二海里その他の大きな幅に決定されることはわれわれも好ましくないのであります。従って三海里に一番近い説でもしまとまるものならば、六海里説程度が一番いいという主張をいたしたのでありまして、決して他国に追随して日本がそれをやったというわけではございません。今日海洋法会議におきまして、この問題は決定を見なかったたった一つの問題と申し上げても差しつかえないと思います。従いまして、国際法典ができますときにも、この問題だけはまだ未決定になっておりまして、将来国連におきましてさらにこの問題を取り上げて、そうして審議することになっております。私どもは、現状におきますそういう立場の上に立ちまして、ソ連と近海安全操業の問題を具体的に話し合って参るわけでありますが、この近海操業の問題を提起いたしましたのも、十二海里と三海里の説の違いはともかくとして、現実に日本の北海道の漁民が、その日の生活のために必要とする限度において漁業を認めてもらいたいということを話し合ってきておるわけであります。従って三海里、六海里あるいは十二海里というものをたな上げにして、初めから交渉の話し合いを友好的に進めていきたいという考え方でありますから、この問題によって特に日ソの近海安全操業の問題が影響されるとは考えておりません。
○大西委員 しかし国際海洋法会議でであくまで三海里説を主張して破れたのならば、それは日ソ間の話し合いでわれわれはあくまでも三海里説の妥当性を主張することはできるけれども、政治的な配慮によってとはいいながら、六海里説に賛成しながら一方ソ連に対して依然として三海里説を主張するということは、そういうふうにこっちが言うのは勝手であっても、それでは向うに対しての説得力は全然ないと思います。これはやはり一つの具体的な外交問題に対する矛盾ではなかろうかと思う。この問題につきまして、そういうふうな相手に納得させる根拠のないようなことを言って、それで推し進めるというようなことは、これはやはり事柄をいたずらに紛糾させるだけだと思う。もう一回この問題についてのお考えを承わりたいと思います。
○藤山国務大臣 日ソの安全操業に対します日本の申し入れというものは御承知のように領海問題について両者の見解が相違しておる。しかしこれをたな上げにして、そうしてここの辺では何をとることができる、この辺では何をとることができるというようにある程度話し合いをしていくことが適当ではないかというので、日本が案を出しておるわけであります。従いまして、両国の領海に対する意見の相違は別としてという前提のもとに立ちまして、接岸してとらしてもらうものもあります。あるいは三海里程度でとらしてもらう、あるいは十海里程度でとらしてもらう、魚の種類、あるいは海藻類等によっては、そういう意味の考え方もありますので、特別に海洋法会議の領海の範囲の問題とは関係なく提案しておるわけであります。
○大西委員 それは両方の見解は別としてと言ったところで、こちらの主張がくずれていけば、向うに対しての説得力はないじゃないですか。それは魚の種類によって、その場限りによっていろいろな問題をきめると申しましても、やはり根本は三海里か十二海里かというこの問題に返ってくるので、その基本線を一方でくずしておいて、片方ではこの問題について主張を続けるといっても、やはり私は妥当性がないと思います。だから、私は何もソ連のいう十二海里説に賛成をしろと言っているのではない、むしろこの国際海洋法会議において最後まで三海里説の主張を堅持しなかったという態度について私は言っておる。しかしそうした決定をした以上、一貫した方針のもとに進まなければならないじゃないですか。そこの基本的な態度について一貫した一つの行動ということを要請するから、私は言っておる。
○藤山国務大臣 ジュネーヴの海洋法会議におきまして日本は現実の問題として終始一貫三海里説を主張しておりましたけれども、それが否決されるような場合には、六海里説になるべく近いところでまとまるならばまとめたい、こういうのが趣意でありまして、特に三海里説を放擲したということではないのであります。
○大西委員 結果から言ったらそういうことになるのですよ。 それから日韓間の問題でありますけれども、私はこの問題をちょっとお聞きしますけれども、全面会談を始めたときに、まだ抑留者が帰っておりませんでしたね。あの抑留者は全部帰りましたか。
○藤山国務大臣 昨年十二月三十一日に協定当時に、リストに載っておる抑留者は全部帰りました。
○大西委員 その後友好な雰囲気のうちに全面会談を進めるというのであるから、当然李承晩ライン侵犯の理由による新たなる拿捕、抑留というものがない、そういうふうに政府も十分な了解を得てやっておるものだと思うのですが、その後の抑留者はございませんか。
○藤山国務大臣 その後残念ながら抑留者はございます。
○大西委員 これはどうも合点がいかないのであって、やはり友好な雰囲気のうちにこちらも譲歩して、抑留者を全部返してから話を始める、こういうことで私どもも政府の態度に対して賛成をし、支援をしたのだ。ところが相も変らず抑留者がどんどん出ていく、拿捕されるということであっては、何ら途中で相互釈放、相互送還をやった理由がなくなってしまう、意義がなくなってしまうから、当然私どもは政府がそういうことを政治的な面において解決して、人質のないところにおいて交渉を始めるべきだ、それだけの自信と何が政府としてはあるべきであったと思うのですが、この点についていかがでしょうか。現実はそうであったとしても、それに対する政府の責任は今後行う交渉の上にも大きく現われるので、所信を聞きたい。
○藤山国務大臣 われわれはこの日韓の会談をできるだけ友好裏に進めて参りたいと思っております。それに対して李承晩ライン問題も考えて、全面会談でこれを取り上げて、問題を解決していくという立場で全面会談に入っております。ただまことに遺憾なことは、そういう実際の問題の解決に進みながら、韓国側がなお若干そういう措置をとったということについて、われわれ遺憾に思っておる次第であります。
○大西委員 遺憾だけではだめなんで、そういう条件のもとにおける交渉というものは、よい結果を見ません。そういう意味で大いにふんばってもらわなければならないということを申し上げておく。 それで、この間の選挙の最中に、美術品など百六点を向うに返しておりますね。これは間違いございませんか。
○藤山国務大臣 間違いございません。
○大西委員 それはなぜそういうことをしたのですか、その根拠は何ですか。
○藤山国務大臣 日韓会談の過去に、向うからいろいろ文化財の問題等も出ております。そういうような請求権的色彩を持った要求も向うからあるわけであります。われわれとしてはそういう問題については、日韓全面会談において十分な討議をしてやっていくつもりでおるわけでありますが、ただ日韓間の会談を友好裏に進捗させるために必要最小限度においてわれわれはできるだけ円満に会談が運びますように、若干向う側の要望もいれることは必要だと思いましてそういう措置をとったわけであります。
○大西委員 なかなかお情深い外務大臣ですね。そういうふうにこちらはやっておきながら、友好な雰囲気じゃないのです。向うではやっぱり拿捕している。これは愚弄されていることなんです。こんなことに対して大いに憤激を感じ、一つあなたの方で有効な手を打ってもらわなければ困るのです。それはそれとして、これを返した以上、重大な問題であるから、何か協定とかいうようなものに基いて返したのであると思いますが、私はついぞまだそれを伺ったことがないのでありますが、それはございますか。
○板垣政府委員 先般韓国側に引き渡しました百六点につきまして、昨年の十二月三十一日の抑留者相互釈放に関する協定を結んだ際に、日本側の口頭の約束に基いて引き渡したものでございまして、特に文書に書いた協定というものはございません。
○大西委員 こういうものは両国間の争点となっている問題ですから、これを返すときには当然正式の書類によってやるべきであろうと思います。なぜそういうことをやらないのですか。
○板垣政府委員 ただいま大臣より御答弁がありました通り、この百六点につきでましては、日韓の予備会談、その後来たるべき全面会談を円滑に進行させるための日本側の好意的なゼスチュアとして、引き渡し可能なものがあれば引き渡すという約束をした結果に基いたものでございまして、今後文化財を渡す渡さぬということは全然まだ根本の方針はきまっておりませんが、そういう根本問題については全面会談で討議されることになっております。その全面会談の結果を見まして、もし引き渡すことがありますれば、当然協定をはっきり結ばなければならないと考えております。
○大西委員 今後のものは協定を結んでやると言われる。ところがこれまでは好意的なゼスチュアとしてこういうことをやったということでありますけれども、私どももちろん選挙中のことでもありますしするからだが、国民もこういうことについては知りませんよ。しかも日韓会談の問題については国民は憤激をしている。憤激をしている上にこういう事実を隠して好意的なゼスチュアだということをやって、果してそれに対して責任を負うて、たとえば拿捕というようなことがないようなことができるかというと、できていない。一方的にそういうことばかりをやって、向うでは友好的な雰囲気じゃないではないですか。私はこういうものは当然はっきりした協定に基いて、そして少くとも政治の問題としてそうしたからといって、何も友好的な雰囲気をこわすものでもないと思う。そういう態度をとってこそ私は日韓間の全面会談というものは正式なルートに乗ってくると思うのです。そういうふうに思いませんですか。私はそうすべきであったと思いますし、今後そうするとあなたは言っているから、当然この措置については手抜かりがあったと思うが、今後ははっきりした協定の上に処分をしてもらいたいと思います。
○板垣政府委員 御趣旨の点、同感でございまするが、一言つけ加えさしていただきたいことは、確かに両国間に相互不信に基く点がありまして、日韓会談そのものも非常に難航を続けて今日まで参ったわけでありますが、ことし一月以降の漁船、漁夫の拿捕問題につきましては、実は三月ごろまでは若干あったわけでありますが、全面会談が開き始めたころから、文化財引き渡しだけが原因じゃありませんけれども、非常に韓国側の空気も好転して参りまして、四月以降は全然ありませんし、今後全面会談が開会中はそういうことはないものと私どもは確信をいたしておる次第でございます。
○大西委員 質問しようと思わなかったけれども、それじゃ最後の話でちょっと聞きますけれども、一方的にこちらがこれを引き渡したからあとは拿捕なんかはないと思う。こういうことですが、それなんかも何かこちらが友好的な雰囲気のうちにこれを渡したというのであれば、向うとしても拿捕をやらないということに対しての了解事項でもあったのですか。そういうことがあるならば私どもも了とするのだけれども——結果としては四月には一隻の拿捕もないというけれども、しかし何らそれに対する確約も何もないのでしょう。いかがですか。
○板垣政府委員 外交交渉というものは一々紙へ書くものじゃございません。しかし大体のわれわれの見通しといたしましてそういう信念のもとに動いておりますし、また事実そういうふうに動いておるということだけは申し上げられると思います。
○大西委員 外交交渉は紙に一々書かないということは教えてもらわなくたって私はわかってますよ。私は外務官僚の出身じゃないから、そういうことについてのお教えはありがたいけれども、そういうことはわかってますよ。しかしあなた方の今の外交は当然紙に書くべきものも書かないのです。核兵器の持ち込みについてもはっきりした確約をとれというと、それは了解しているとかいうことで逃げておる。 話を進めますけれども、今度の原子力動力協定でも、日本がプルトニウムを返しましょう、この問題について、やはりはっきりした協定の中にこれを軍事目的のために使わないということを主張したにもかかわらず、向うとしてはアイクの覚書に何か出ているということでもってこれを譲歩してしまっている。これに対する保障はどうしてはっきりいたしますか。やはりとるべきところはとらなくちゃだめでしょう。こっちがとろうとしても向うが出さないという。そこにやはり危険があるのじゃないか。これは余談になったようだけれども、その点について私はやはり言い抜けのために紙に書かなくてもいいというような態度はやめてもらいたいと思う。 そこで今ちょっと触れましたけれども、この動力協定の問題ですが、これは米国と英国とそれぞれ違った矛盾した立場で結ばれているのですが、私はこの問題については後の機会にまた申しますけれども、ただ一つ、平和利用ということに対し日本が返したところのプルトニウムを軍事目的に使わないということに対して、従来日本政府がとったように、使わないという確約をどうしてとることができなかったか、使わないという確認をどうするか、こういう点について政府はどういう責任をとるか、この点について外務大臣から一つ御意見を聞きたい。
○藤山国務大臣 アメリカとの交渉におきまして、その問題についてはわれわれは万全を期したつもりであります。他国との協定等も参考にいたしまして、しかも日本はあくまでもそれに対して要求をいたしたのでありますが、御承知のようにアイゼンハワー大統領が二年前に声明を出しまして、返されたプルトニウムを軍事目的に使わぬ、そういうことを確立した文書をもらいました以上、われわれはそれを信頼することができると感じております。
○大西委員 それでは以前からなぜそういう問題について協定の中に入れるということを日本は主張したのですか。その方がより明確であるという根拠のもとに言ったのでしょう。これはやはり対米外交の一つの譲歩じゃないかと私は思う。しかもその譲歩によって私は大きな危険があるということを憂えるのです。この問題につきましては後ほど申します。 次に、ベトナムの賠償の問題でありますけれども、社会党はこの前の国会におきまして、ベトナムに対する賠償の支払いの根拠なし、もし払うといたしましても今のベトナム、南北に分れておるこの政治情勢のもとにおいては急ぐ必要なしということを強く主張して国民の圧倒的な支持を受けた。国会におきましてはあなた方の何かわけのわからぬ言い抜けでもってこの問題についてはとどめをさすことはできなかったけれども、国民は双手をあげて社会党のこの奮戦に賛辞を送った。ところがまたぞろ新聞の報ずるところによりますと、またこの賠償を払うための積極的な働きかけをやっておるというが、この真相はいかがです。
○藤山国務大臣 ベトナムとの賠償関係につきましては、ベトナム側におきましてもその後いろいろ研究をいたしておるのでありまして、最近さらにこの問題を日本との間で討議したいということを言ってきております。われわれも過去の経緯から見まして、ベトナムとの賠償問題はやはり審議して参るつもりでおります。
○大西委員 それでは社会党の基本的な態度につきましてはここでは触れませんけれども、政府は一体この植村試案というものを全面的に支持をして、交渉に今日まで当ってきたんだろうと思うけれども、今後もあの線が了解を得れば妥結する、こういうことなんですか。
○藤山国務大臣 ベトナムとの交渉の場合におきまして、植村君の御苦労をたびたび願いましたことは事実でありますが、今後交渉がどの線に落ちつきますかは、今後の問題で今言明の限りでございません。
○大西委員 しかし少くとも両方の話し合いによって、今あらかじめこの線ということは言えないとしても、一応のめどとしては、植村試案というものをめどにして、それが満足されればこの話をまとめる、こういうめどであるかどうかということを聞いておるのです。
○藤山国務大臣 ただいま申し上げましたように、植村君に非常に御努力を願っておりまして、向う側の意向等もいろいろ聞いておられます。従いまして、植村試案と申しますかどうかは知りませんけれども、植村君の努力に対してもわれわれ十分に耳を傾けて参りたい、こう思っております。
○大西委員 重ねて申し上げまするが、私どもと社会党は、このベトナムの問題につきましては、大いなる見解の相違を持っておりますから、一つベトナム政府の主張に耳を傾ける前に、国内の反対党の社会党の主張にも耳を傾けてもらいたいと思うのです。この問題はまた後ほど申し上げます。 最後に、沖縄の問題ですけれども、私は沖縄の問題はあなたとたびたび話をしておる。この施政権の返還が何らの曙光を見出せない今日、何ぼ千言万句を費やしても、日本の外交はゼロですよ。教育権の返還さえもあなたはできなかった。旧聞に属することだけれども、あなたが岸さんのあとから行かれるときに、教育権の返還でも一つ達成してくれということを文部大臣の松永さんからあなたに要請があり、日本の教育団体、文化団体からもあなたに要請した。ところがその結果はどうかというと、ダレスの言葉であるとか、あるいはそういう空気であったとかいうことで、自分は日本の国内の教育体制には疑問を持っておる、日教組がああいうようにやっておるような現状においては、教育権を返還することはできないというようなことをあなたは新聞記者に発表した。私はこれは重大なことだと思う。そんなことをダレスが言うはずはない。内政干渉みたいなことを……。そういうことをあなたに質問しましたところが、あなたはそういう雰囲気であったというようなことで逃げた。それじゃどういう言葉でもってそういう雰囲気をそんたくされたかということを追究しましたけれども、委員長がもう時間だ、時間だということで、私はそれ以上追究できなかったが、ああいう不見識なことはないと思う。あなたの失敗、自民党政府の外交の失敗を国内のけんか相手である日教組に向けて、日教組がやっておるから教育権を返すことはできないというようなばかなことを言うはずもないし、言ったとすれば内政干渉だ。われわれはこういう意味で施政権の返還が遠い先のことなら、とりあえず教育権の返還につきまして今一応熱心にあなたは働きかける意思はないか。それだけの熱意はないかということなんです。この点を一つお聞きしたいと思います。
○藤山国務大臣 沖縄の問題につきましては、施政権の返還を目途として、われわれはその過程において、教育権の問題ももちろん論じて参りますし、あるいは土地一括払い等の問題も取り上げてやっておるわけであります。それらに対してできるだけの努力をいたして参りたい所存であります。
○大西委員 できるだけの努力というのはもう聞き飽きたんですよ。聞き飽きたから、さらにこれを希望の持てるようなところの言質が得たいと思うから言うのです。もう少し何か色よい返事はできませんか。
○藤山国務大臣 われわれは外交の上におきまして、できるだけの努力をして、これらの問題を解決するように全力を尽して参るつもりであります。従って、われわれとしては、必ずしもきょう言ったことがあしたできないにしても、若干日は隔たっても、おのずからそういうふうに行くように努力するのが当然でありますし、また私としてもその気持でもって努力を続けておるわけであります。
○大西委員 当然なことをやらないから言っておるのです。 この間沖縄の代表がアメリカに土地の問題を中心にしての陳情をするために参りましたね。その途中わが国にも寄って、岸総理を初めあなたもいろいろとお話をされたようでありますが、私は現地の熱意がこういう形で現われているということに対しまして、やはり日本政府としては大いなる責任を感じなければならぬと思う。それは土地問題その他が不当であるということは、これはあなたもよく答弁なさるけれども、それではその不当を解消するためにどれだけの同胞に対する熱意を持って努力をしておるかということになりますと、これは衆目の一致するところ、全く第三者的な仲介の労をとっているにすぎないといわれている。それで私はお聞きするのでありますがあの沖縄の代表がわが国に来たときに、私の感覚からいえば、やはり日本の政府といたしましても、しかるべき人を同行させるとか、あるいは現地においてアメリカ駐在の大使をこれに同行せしめて、沖縄の人たちの要求をわれわれは側面から、むしろ私は側面というよりも正面から取り組むべきだと思うけれども、アメリカ政府に対していろいろと交渉すべきではないかと思うのでありますが、その点につきまして、具体的な協力の方法、支援の体制というものはどういうようにできておるか。
○藤山国務大臣 この土地問題につきましては、ただいまお話のありましたように、われわれは側面からできるだけの努力をして、沖縄の方々が行くのを援助もいたしております。朝海大使はこの問題についてたびたび基礎的に向う側の意向も聞き取っておられまして、そういうことを一行の参考にもし、またワシントンに行かれましたときには、十分アメリカ側の意向なりあるいはどういう方面にアプローチしたらいいかというような問題についても全面的に御協力を申し上げるようにいたしております。
○大西委員 私は現地における交渉のいろいろな具体的なあり方までここでとやかく言おうと思いませんけれども、やはり沖縄の代表と同行して、日本政府の問題なりとして話し合うという態勢が私は必要であろうと思う。そういうことについて具体的な手が打たれておるかどうか。
○藤山国務大臣 沖縄の代表に同行して人を出すということはやっておりません。しかしながら現地におきます大使が十分側面から沖縄の方々を補佐して努力を続けていくという態勢は整っております。
○大西委員 最後にいたしますけれども、沖縄の返還の問題にいたしましても、核兵器の持ち込みの問題にいたしましても、従来から米国側の言う根拠は極東における脅威と緊張がなくならない以上は沖縄の返還もできぬ。あるいはその他のわれわれの好ましからざるいろいろな問題につきましても、それを解消するわけにはいかぬというふうにいっております。このことは文書にもはっきり残っておる通りです。そういうふうな状況から見ますというと、やはり日本の外交の路線というものは従来の米ソの対立の中において、自由主義陣営だというのでアメリカに左袒をして、そうして米ソの対立を激化させる一つの要因を日本が作るのじゃなくて、やはり米ソの対立の中でその緊張を緩和させる有効な手段というものは、日本の立場というものが中立的に、米ソの両方の間に立ってその間の緊張を緩和するという方向に進むべきであるというこの大原則を、われわれはたびたびあなたに申し上げておる。ところがあなた方の考えというものはいつでも違う。いつでも自由主義陣営というものは国連中心、そうして言いわけ的にアジアに協力、こういうことを言っているのです。やっぱりこの考え方が脅威と緊張を緩和するのじゃなしに、激発していく方向に進んでおるということに対して、われわれと大いな見解の違いがあるのです。私はこの点につきまして、これまでの考え方とかそういうものにとらわれることなく、あなたはかなり問題を自由に考えられる頭を持っておられる、そういう経歴の方なのでありますから、どうぞこの点につきまして、あまりにもアメリカ一辺倒的な外交の方向を、やはり大所高所から米ソの共存の態勢の緊張緩和の方向に進めるための中立政策ということも一つ考えていただきたいと思う。中立政策は容共政策だ、そういうそこらのいなかの青年でもわかるようなことをいって国民を愚弄、瞞着したってだめなんです。この点についてもう少しお考えはありませんか。三本の柱と言ったが、どうもアジア中心ということと、アジアと協力ということと国連、西欧中心というのが矛盾ができてきたということが明らかになってきたら、今度は一本の柱をはずして言わなくなった。これは時代の逆行であります。これはやはり今の政府の本性というものはそうではないのです。だから私はここで極言をするのですけれども、やっぱり方向というものを緊張緩和の方向に進めていくということ、それは何もイデオロギーの問題ではないんですよ。沖縄の返還の問題もそうなんです。日中間の懸案の問題の解決もそうなんです。日ソ間の問題の解決もそうなんです。そこにかかっているということを認めながら、白を黒と言いくるめるということを言おうとしておる。選挙に勝ったのだからということで、いつもそういうことでもって、日中問題はつまらぬ問題で、ああいうことは社会党に対する援護射撃だ、選挙が終ったからあんなものは解消するということでもって事外交を論じられては困る。よくおわかりのくせにこういうことを言われるということは、国民を瞞着し、この議会を瞞着していることだと思う。私はこの点についてもう一回、通り一ぺんのことではなくて少しでも味のある言葉を聞かしていただきたい。それを一つ最後に申します。 それから、これは委員会運営の全般の問題でありますから、この委員会だけで申し上げるのはどうかと思うけれども、この前の国会でも外務委員会に対する外務大臣の出席の時間というものは至って少い。制限されておる。それはほかの大臣と違って、予算委員会だといえばまっ先に呼ばれる。あるいは対外折衝がいろいろあるからというその性格もさることながら、どうもわれわれ外務委員が発言するのはいつも十五分か二十分、所管大臣に対して質問するのにわずか十五分や二十分に制限をされては、委員の間でも自民党の方はあまり発言されぬようだからいいけれども、われわれ発言することが山ほどある。それが一月に一回か二回がせいぜい、しかも十五分か二十分に制限を受けて、やるなやるなと言われたら十分なる委員会の審議はできないと思う。こういう意味におきまして、外務大臣は外務委員会に出席するということを優先的に考えて——こういうことは委員会の運営に属する大問題であり、議会運営の根本問題であるけれども、そういうことにつきましても、一つ他の委員会に出るというようなことを口実にこの委員会に出ることが少くなるようなことのないように、大臣みずから出てもらいたい。外務省なんかもそういう点について十分考慮して、十分ここで論議を尽す、こういうふうな態勢を作ってもらいたい。こういうことにつきまして外務大臣として閣内において、あるいは自民党においてもどういうふうな考えを述べんとするかということも最後に聞いておきたい。
○藤山国務大臣 日本が自由主義陣営にありますことは、私どもの立場からいって当然でありまして、それを曲げようとは考えておりません。あるいは御意見の立場の相違から起きてくることに相なろうかと思っております。しかしながら世界の緊張を緩和するということについては、われわれはできるだけ努力をして参りたいと思います。橋渡しというふうな大それたことは日本の国力からいえば困難かと思います。しかしながら日本の持っております実力を十分発揮されるように、それらの世界の緊張の緩和という問題については努力することは当然なことと思います。 なお私が外務委員会を何か忌避しておるような御意見もありますが、決して忌避はいたしておりません。ただ、今御指摘のありましたように、予算委員会その他各委員会で外務大臣の出席を要求されることも非常に多いのであります。あるいは外交案件等につきまして外国使臣との折衝等もありますので、そういう意味において理由を具して今日まででもお許しを得ているので、決して忌避はいたしておりません。また委員会を軽視もいたしておりませんので、その真意だけは御了承願いたい。
○櫻内委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後一時十分散会