運輸委員会 第4号
- 発言数
- 164 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1958/06/26
会議録
○塚原委員長 これより会議を開きます。 日本国有鉄道志免鉱業所の問題について調査を進めます。 この際十河国鉄総裁より発言を求められておりますので、これを許可します。十河総裁。
○十河説明員 この際お許しを得まして、志免炭鉱の問題の経緯、われわれ国鉄当局の考えておりまするところをお聞き取りを願いたいと思います。 志免炭鉱は、御承知の通り明治二十一年に海軍が海軍炭鉱として開発してきたものであります。昭和二十年に終戦になりましたので、これをどこに引き継ぐか、どこへ払い下げるかということがいろいろと当時問題に相なったのであります。ところがその当時国鉄におきましては、一般産業界がきわめて不振でありまして、運転用の石炭の確保すら容易でないということで、非常に困難いたしておりましたので、運転用石炭の確保という観点から、皆さんの、政府関係の御了解を得まして、国鉄が経営することと相なったのであります。 国鉄が引き受けました当時は、坑内はすこぶる荒廃いたしておりました。出炭量もわずかに十八万トンという程度であります。ところが従業員が懸命に努力をしてくれました。その結果また海軍時代から問題になっておりました縦坑を開発することと相なりました。そういうふうな従業員の努力や施設の改善によりまして、漸次出炭量を増加して参りました。昭和二十八、九年ごろから大体五十万トン前後というべースに向上いたして参りました。昨年のごときは、労務者一人当り月採炭量は十五トン半というきわめて好成績を上げておりまして、私ども非常に感謝しておるところであります。しかしながら同時に一方、一般炭業界も急速に回復して参りました。運転用炭の確保が困難であったというような時代はもう過ぎ去りまして、容易に国鉄の必要な事業用炭を買い取ることができるような状態に相なったのであります。 そこで、当初志免炭鉱を国鉄が引き継ぎを受けましてやった目的は十分達して、大いに貢献したのでありますが、この炭鉱にはいろいろむずかしい技術上の問題もあります。国鉄のような運送業を専業とするものがこれを経営することはどうかということが、国鉄の部内、部外におきまして問題と相なって参ったので、自来国鉄はずっとこの点について検討をいたして参っておるのであります。私が就任いたしました昭和三十年にも、その当時からそういう問題があるということを私は引き継ぎを受けていたのであります。私就任後間もなく、昭和三十年十一月に行政管理庁から、国鉄は事業経営に不可欠の資産以外はできるだけこれを切り離して、輸送ということに専念すべきではないか、付帯業務は漸次それぞれの専門業者に依頼することにして、切り離してはどうか、切り離すべきであるというふうな勧告があったのであります。この勧告に対しましては、もちろん閣議の議にかかっておるのであります。われわれも大いにこれを尊重いたしまして、さらに検討を続けて参ったのであります。続いて昭和三十一年一月に政府の設置せられました日本国有鉄道経営調査会から、志免炭鉱などの付帯事業についてはむしろこの際国鉄経営から切り離すべきであると考えるが、これにはいろいろな困難の点も考えられるので、少くとも縮小の方針をとっていくべきである、そうして徹底的な合理化を行う必要があるという国鉄経営調査会の答申をいただいたのであります。これに対しても政府から、この経営調査会の答申は十分尊重するという声明とともに、われわれにこの答申を下げ渡しに相なったのであります。そういう次第でありますから、国鉄といたしましては、自来一そう熱心に検討を続けて参ったのであります。そうしてでき得る限り合理化を推進いたしまして、作業能率の向上をはかってきたような次第であります。そういうふうに公けにもたびたびこの志免炭鉱の問題が論議せられて参りましたので、これが一般世間に広く取り上げられていろいろ問題とされ、国会におきましても、私たびたび皆さんから御質問をいただいておるのであります。そうしてここでいろいろと論議せられて参ったのであります。 なお、そういう官民における問題の起って参りましたのと同時に、従業員の間におきまして、ことに現地の志免鉱業所内の従業員が著しく不安動揺をしております。私どものところにもいろいろな陳情が出て参ったのであります。私どもも、今検討しておる、いずれ国鉄の方針が決定すれば諸君に相談をする、協議をするということを伝えまして、極力従業員の不安を押えることに努力をいたして参ったのでありますが、容易にこの従業員の不安動揺はおさまりません。そこで私どもは、このままじんぜん経過をいたしますと、いろいろと事故の原因ともなりかねないのではないかということを、心から非常に心配いたして参ったのであります。本年四月になりまして、行政管理庁から重ねて、志免炭鉱はその後かなり合理化措置が講ぜられ、経営成績も向上しているが、特にこれを直営とする積極的の意義も認められないので、事業経営に不可欠な資産以外は、できるだけこれを切り離すという趣旨から、これが整理について慎重な検討が望まれるということの勧告が参ったのであります。こういうふうな次第でありますから、この志免炭鉱をいかに処置するかということをすみやかに決定して、多数の従業員を安定して働いてもらえるようにするということが私の責務であると痛感いたしました。そこで私は、前国会でありましたか、委員の方からの御質問に、権威者を委員にお願いして調査会を設置して、なお慎重に研究をいたしまして、すみやかに従業員の安定するように処置をいたしたい考えであるということをお答えいたしたのでありますが、本年の四月に志免鉱業所調査委員会というものを運輸大臣の御承認を得て設置いたしまして、自来志免炭鉱をどう処理すべきかということを慎重に御検討を願って、今日も継続いたしておるのであります。調査会の各位は非常に御熱心に御検討下さいましたが、今日まだ最終的の結論に達しておりませんが、一応の中間答申として、志免炭鉱は国鉄の経営から分離することが適当である、それはなぜかというと、国鉄経営下においては、現在の鉱区内における合理化はもはや限界に達しておる、しかも現在の状態において、この規模での採掘を長く続けることは困難である、従って国鉄が将来この志免炭鉱の経営を存続するかどうかということを検討したが、現段階においてはすでにその必要が認められないのみならず、石炭資源の合理的開発の点からも、また国鉄が志免炭鉱に持っております現有施設の有効活用というような点からしても、これを民営に移すことが適当であるという結論に達しまして、一応中間答申として答申をいただいておるのであります。このように今日まで慎重に検討を続けて参りましたが、先ほども申し上げましたように、当初志免炭鉱を譲り受けた当時の運転用炭の確保という使命は今日はもはやその必要が認められなくなった。のみならず国鉄は国会の御承認を得まして動力の近代化ということを強力に推進いたしておりまして、蒸気機関車はだんだん減って参りますから、石炭の利用というものも将来次第に減少する傾向にあるのであります。また志免炭鉱の石炭は粉炭が非常に多いので、国鉄の機関車に使いますためにはどうしても塊炭をまぜて使わなければならないという事情があります。志免炭鉱の出炭を全部国鉄に使うためには方々へ配炭をする必要がある。その配炭上のいろいろな困難な問題が出てくるのであります。なお志免炭鉱は非常に炭質がいいのであります。原料炭としてもきわめて良質のものであります。今日まで専門家から、もっと原料炭として使用させることが国民経済上有利であるというふうな御意見が相当強いのであります。また国鉄は、御承知の通り輸送業務に対する施設の拡充に追われておりまして、本来の輸送業務にすら十分に施設を充実することができませんで、国民の皆さんに非常な御迷惑をかけておるのであります。その上にさらに炭鉱経営というような、ことに志免炭鉱は、先刻申し上げましたように、むずかしいガスの非常に多い炭鉱でありますから、鉄道業務と全然業態の違っておる炭鉱にわれわれは十分頭を使い、行き届いた経営をすることができがたいのであります。ことにこの炭鉱は、だんだん下へ下へと掘っていかなければ、最上層、上層はもはやほとんど掘り尽されました。今下層を掘っておるのであります。その下層のもう一つ下の最下層にも石炭があるということになっておりまして、これを掘りたいと考えて掘りかけたのでありますが、ガスが非常に多くなって、今掘りかねておるような次第であります。国鉄といたしましては、輸送業務に専念して、もちはもち屋にまかせるという趣旨で、志免炭鉱を適当な民間経営に移すがよい、こういう考えになっておるのであります。また志免炭鉱の鉱区の状態はどうなっておるかと申しますと、この鉱区は御承知の通り非常に複雑に入り組んでおりまして、民間の所有の鉱区と重複しておるところがありますし、境を接しておるところもあります。また鉱区の中に断層が入っております。そういうふうな非常に複雑な炭鉱になっておりまして、現在掘っております坑道も、すでに境界線にぶつかりつつある。また基盤線にぶつかりつつある。遠からずこの現状の出炭をだんだん減していかなければならぬというふうな状態に相なっておるのであります。そこでこの志免の炭鉱を、なるべく多量に石炭をとって、今日の四、五十万トンという規模を継続して参りますためには、隣接の鉱区と統合して経営をするという必要が起って参るのであります。そういうふうにいたしますと、境線界にある柱を残す必要がなくなる。あるいは断層によって志免の方からは隣の鉱区を掘れるが、隣の鉱区からは掘りにくい。あるいは志免の鉱区を隣の鉱区からは掘りやすいが、免志の方からは掘りにくい。そういうふうな状態にあるのであります。調査委員会の、資源の合理的、計画的開発をいたすためにこれを譲渡しろという結論がそこから出てきておるのであります。かくのごとくにして石炭資源を有効に利用しようという国家的見地から、そういうふうな結論が出て参ったことと信ずるのであります。 総合的開発をすることによりまして、今申し上げましたような、分離しておっては開発のできない石炭を開発し得るようになるということになりますと、五十万トン・べースというような規模の採炭をずっと続けることができるのであります。それゆえ志免を含めまして、そういう鉱区の大炭坑としての寿命を伸ばすためには、どうしても総合的の開発が必要であるという結論が出て参るのであります。そういうふうになりますと、ここに働いております従業員もそれだけ長く安定した職場が得られるということに相なりますし、また所在の関係町村におきましても、別々に経営しておればだんだんしり細りになって、経営不振に相なってくるのであります。総合経営をいたしまして合理的に開発ができるようになりますと、所在の町村の繁栄にもそれだけ寄与することと相なると信ずるのであります。そこでまたその上に現在持っております縦坑を有効に利用するということも相なるのであります。これらの総合的開発をするために、志免、すなわち国鉄が隣接鉱区を買収して、そうして国鉄みずから総合開発をしたらいいじゃないかという御意見もあるのでありますが、先ほど来申し上げますように、国鉄は交通という本来の業務に追われておるのであります。隣接鉱区を買収して、今後これに投資をしていくということは、もっぱら交通の利便を主眼とし、できるだけ企業体の能力、資金をこれに集中する必要があると思われる国鉄としては、この上そういうふうな事業に資本を投下していくということは非常に困難であります。できないことと考えられますので、民営に移しまして、資源の有効的利用、合理的開発ということにしてもらうことが必要ではないか、こう考えておる次第であります。 以上いろいろ申し上げましたが、この問題が起ってから私が最も心配しておりますのは、いかにして志免炭鉱の従業員をして、安定した職場で、希望を持って働いてもらえるようにするかということであります。先刻申し上げますように、われわれはまだこれを払い下げるとかなんとかいうことをきめてないのだから、心配しないで働いてくれと申しましても、鉱区の境界にぶつかってきておる。あるいは火成岩の基盤にぶつかってきておる。この坑道はもうこれでおしましいになるというふうなことを、毎日見て作業をいたしております従業員といたしましては、それを心配せられることは無理からぬことじゃないかと私は非常な同情をいたすのであります。そこで私は、従業員に一日も早く安定するように、落ちついて、希望を持って働いてもらえるようにいたしたい、こう考えておる次第であります。従業員といたしましても、今日まで非常な努力をしてくれました。志免炭鉱の経営を合理化するために、いろいろと犠牲を払ってやってくれておるのであります。そのことはさっき申し上げましたように私も感謝いたしております。今日までその合理化をするために多少配置転換というものを数百名いたしたところもあります。その配置転換をいたしましたが、炭鉱業というものと、鉄道事業というものとは、事態、性格が全然違っております。配置転換をいたしましてもなかなかこれがうまくいかない。非常に苦い経験もなめておるのであります。同じ業種ででき得る限り安定した職場を持ち続けることのできるようにいたすことが、従業員にとっても最も幸福であるというふうに私は考えたのであります。そうでなくて、このまま経営を続けて参りますと、だんだん経営規模が縮小いたしまして、大炭鉱が中小炭鉱に転落するように相なるのであります。大炭鉱と中小炭鉱の従業員の待遇というものは相当な開きがあります。この面においても従業員がいろいろ心配をしておるのじゃないか、こう考えて同情いたしておるのであります。今日までも従業員から隣接鉱区を志免炭鉱で買収してもらいたいという意見も出ておりますが、先刻申し上げましたように、そうすることによって現在の規模を持続することができる利益はありますが、国鉄としては輸送に専念すべきである、そういうことに資本を投下することも許されないのじゃないか、こういうふうに考えております。国鉄の手で統合経営ができないならばこれを民間に移譲して、民間で統合経営をして、大炭鉱としての寿命をでき得る限り伸ばしていくことが、私は従業員に対しても親切なやり方じゃないかと信じておるのであります。従って私は、この調査委員会の正式の答申が出ましたならば、その答申に基いて監督官庁への手続等を進めて参りたいという決意をいたしておるものであります。 しかしながら、この問題は非常に大きな問題でありますから、さっきからたびたび申し上げますように、従業員の問題にしても、あるいは鉱害の処理の問題にいたしましても、また譲渡の方法、価格等の問題にいたしましても、十分慎重に処理いたす必要があると考えております。また、これらの問題につきましては、それぞれ関係の官庁はもちろん、民間あるいは従業員等の十分な納得を得て慎重にやりたい、こう決意いたしておる次第であります。 何とぞ慎重御審議下さまして、われわれの意図を御支援下さるように切にお願い申し上げる次第であります。ありがとうございました。
○塚原委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。簡牛凡夫君。
○簡牛委員 ただいま国鉄総裁の御説明を伺いまして、志免鉱業所を分離しなければならない、また分離することがよろしいのだという総裁の意図されておるところは私どもも了承する点が多いのでございます。ただ御説明を伺っておりましても、この資料を拝見いたしましても、国鉄として志免炭鉱の必要度が少くなった、それから鉱区などの関係から、今後志免鉱業所をこのまま経営しておったのでは現状を持ち続けることが困難だ、さらに志免の炭質から考えて、国鉄の用炭としては適当でない、もっとこれをほかに活用すべきじゃないかというようなことは私どもよくわかるように思いますが、長い間の歴史を持っております、ことに終戦以来国鉄に対して貢献をしておりますこの事業を、地元ではどこまでも現状のまま経営を続けてもらいたいという切実な要望をいたしておりますが、それらの要望というものも十分おくみ取り下さっておるであろうか。これは払い下げなければならぬのだという、いちずにそういうような方向で、それに理由づけることに主たる力を傾けられておるのじゃないかというような疑念を持つのでございます。この資料を拝見いたしましても、調査委員会ができまして、最初の第一の諮問が出されておりますのは四月の七日であります。「志免鉱業所の処置を如何にすべきか」という第一の諮問に引き続いて、諮問第二号というのが四月の十六日に出されております。それによりますと、「志免鉱業所を日本国有鉄道の経営から分離する時期及び方法はどうきめるべきか」と畳みかけて第二の諮問が出ておりますが、この第一の諮問に対する第一回の答申は四月の十九日に出されております。その第一回の答申において、「志免鉱業所を日本国有鉄道の経営から分離することが適当である」ということが出されておりますが、その第一回の答申を待たずして十六日に、分離する時期及び方法をどうきめるべきかという諮問が出されております。こういうような点から見て、総裁のこれを切り離したいという御意図が一つの圧力と申しますか、調査委員会が志免鉱業所の処置をいかにすべきかという検討を十分尽さない以前にこれを分離する時期とか方法とかいうものをお尋ねになっております。そういうようなことなどから、さっき申しますように、どうも払い下げということについての理由づけということを非常にお急ぎになっておる、それに力を傾け過ぎているような疑念を持つのでございますが、この点いかがでございましょうか。
○十河説明員 先刻申し上げましたように、この問題は私の前任者の時代から起っておったのであります。私の就任後間もなく行政管理庁や国鉄経営調査会から、そういうさっき申し上げましたような勧告や答申があったのであります。それをじっと慎重に研究をして、本年の四月まで参った。そういう予断をもって進めておるというふうなことは全然ないことを御了承願いたい。 今の答申のなににつきましては、第一回の中間答申は四月十六日に口頭であったのです。それで次に検討すべき問題を出せということで、次の問題を出したのであります。答申のない前に畳みかけて次の問題を出したというのではないのであります。その辺を御了承願いたいと存じます。
○吾孫子説明員 ただいまの諮問と答申の日付のことでございますが、総裁から御説明申し上げましたが、答申の書面は四月十八日付でお出しになったわけでありますが、その前の十六日の委員会の際に大体諸先生の御意見がそこでまとまりまして、次会に書面で答申を出す。ついては次会以後の問題の中心をどこに置くかということで、それではこの辺で第二段の諮問をいたしたいと思います。ということで、第二号諮問についてはたまたま十六日になったわけでございます。
○簡牛委員 今の御説明を伺いますと、四月の七日に諮問第一号が発せられまして、第二号の発せられる十六日以前、すでに調査委員会の結果は、払い下げ、分離すべきものだという意向が出たということでございますが、それはほんの数日でございますね。その間慎重審議を十分尽すだけの時間があったか、いかにも形式的にすぐ結論が出されておる。非常に大事な問題を軽々にお取り扱いになっておるような印象を持ちますが、その点いかがですか。
○吾孫子説明員 正式に委員会として開かれたのは、お手元の資料に差し上げてございます通り、この答申が出るまでに五回でございますが、その間分科会という形で二回開かれておりまするし、さらに数人の委員さんがその準備その他についても打ち合せるというようなことで非常に熱心におやり下さいまして、しかもこの委員会を開かれた日も分科会の日も、きわめて長時間にわたって熱心に御検討を下さいました。日数は七日から十九日までで、事実上の結論は十六日までということになっておりますが、この間非常に熱心に、ほとんど連日のようにいろいろと御検討をいただいた次第でございます。
○簡牛委員 この辺の詳しい事情は調査委員会の方にお尋ねいたしたいと思います。 次に、志免鉱業所の鉱区の見通しが非常によろしくない、そこでこれを何とか統合開発の道を講じなければならないということの御説明でございますが、そういうようなことは私どもにもわかるような気がいたしますが、総裁の御説明にもございましたように、志免鉱業所が中心になって統合開発をやることは絶対にできないという点をもう少し御説明願いたいのでございます。この隣接鉱区と申しますと三菱の山でございますが、これはすでに主たる採炭を終えて今非常に縮小しております。従業員もわずか千人以下五、六百人のものじゃないかと思います。出炭量もごく微々たるものでございます。それから施設はみな志免鉱業所が持っておる。従業員も志免鉱業所の従業員が絶対多数を占めておる。むしろ隣接鉱区を買収する費用などはごくわずかなもので、これはめんどうなことなしに買収ができるのであります。それで、ほんとうに主たる施設なり労力を全面的に活用するということであれば、普通でいけば当然志免鉱業所が中心となってこの統合開発の衝に当るのが普通だと思います。ただ総裁からお話のございましたように、鉄道屋が炭鉱を経営するということは非常にむずかしいということも、一応はわかりますけれども、地元の要望なり従業員の態度が、赤字を消さなければならぬというので非常に積極的な協力をいたしております。また今後もどんな協力でもして、とにかく自分らの職場の維持ができるように、また繁栄するようにという心がまえで真剣に取り組んでおります。こういうような状況は他の炭鉱に見ることのできない、いい条件ではないかと思うのでございます。そういうような好条件を持っておる現状を中心として将来の事業の開発をやれば、志免鉱業所において一つの新しい、能率化された、徹底的に合理化された炭鉱経営が実現できるのではないか。今までの国営事業とか公営事業というものは非能率なものだというふうに断定してしまって、世間もそれを認めておるのでございますけれども、今日の日本の立場は、そういうようなはんかなことで見のがしてはいけないのではないか。どこまでも国民の持っております労働力を全面的に発揮させるということに国も真剣に取り組まなければならぬ。そういうようなことを考えますれば、今の志免鉱業所のようなきわめて好条件を持っておるものを、国鉄の手でこれをやるのはめんどうだというお考えのようでございますけれども、これは適当な責任者を置いてその衝に当らせれば、必ずしも困難なことではないのであります。また、これが赤字であって、赤字の経営はできないということでございますけれども、今日は赤字も克服されておりまして、統合開発が行われることになれば現状よりもまだよくなるということが考えられるのでございます。そういうことを考えて下すって、地元の要望にも沿い、なお国家的にも一つの新しい道をここに開いて下さることなどをお考えいただいたでございましょうか。また考えていただく余地はございませんでしょうか。
○十河説明員 もちろん今お話のようなことも検討いたしました。その結果、たとえば、先刻も申し上げましたように、最下層にも石炭があるということで最下層を掘りかけたのでありますが、ガスの湧出量が多くて、掘り進めることができなくなってやめて、しまったというふうなことであります。皆さん御承知の通り、炭鉱の経営というものは、一つの山だけでは——技術者にしても、こっちの山からあっちに手伝いにいく。こっちの山はこういう状況だからそれをこっちに応用してどうするというふうなことがないと、なかなか一山の経営というものは困難じゃないかと思います。かりにわれわれがそういうことをやるといたしましても、なかなかこれに適当な専門家をお願いするということは事実できないのであります。一昨年でしたか、国鉄法が改正になりまして、部外から、従来国鉄の職員であったものでなく、新しい民間のエキスパートを入れたらどうかということで、私も方々へ当ってみたのでありますが、なかなかそういう人は得られない。それでやっと同和鉱業の社長久留島君をお願いして、こういう炭鉱方面のことはわれわれではよくわかりませんから、久留島君にいろいろ検討をしてもらって参ったのであります。そういうことで、国鉄が適当な組織を設けて、それを経営するということは事実困難であります。それをやりましても、今お話のあったように、今後隣接鉱区を統合すれば、今後どこまでも掘っていけるという状態ならばともかく、これが五年のものが十年なり十五年なりに寿命が延びるというだけのことでありまして、そこにまた将来に発展の余地がないのであります。今後国鉄が永久に、炭鉱がここでおしまいになったら次はどこの炭鉱を経営する、そういう決意ができれば別でありますが、そういうことはなかなか容易でない。今日国鉄の業態が非常に広範でありますし、組織が膨大であります。これを民営に移して、そうして分割しろ、そうしなければこの大きなづうたいに手が回らぬじゃないかという議論が、御承知の通り世間にほうはいとして起っておる。われわれはそういう点から考えまして、どうしてもこれはもちはもち屋にまかすべきである、こういう見解をとっておるのであります。このことは、あるいは関連して御質問があるかもしれませんが、たとえば国鉄が電化を推進するという際にも、私は電力会社の首脳者にお集まりを願いまして、国鉄はやむを得ない必要のない場合のほかは、あなた方に、もちはもち屋におまかせするから、どうか国鉄に豊富、低廉に電力を供給するようにしてもらいたいということをお願いしたのであります。また今日東京地方の通勤輸送というものは、御承知のようにピーク時には非常に高い電力が必要なのであります。これは民間の電力会社じゃとうてい持ち切れない。だからこれだけは、遠き将来はいざ知らず、当分国鉄でやってくれというお話がありました。それでやむを得ず現有の電力施設を、あるいは取りかえるとか、あるいは若干拡張していくとかいうふうなことをやっております。これはまた電気運転をやりますについて、輸送の方面で電気関係の専門家が必要なのであります。発電をやるとしても、やはりその方の専門家がおりますから、これは心配はないと思うのでありますが、志免のようなただ一つの炭鉱、そうして将来も大規模で採掘していける見通しが非常に少いのであります。そういうところへ新しい人を入れて組織を拡充してやるということは事実困難であります。また、そういう方面に投下する資本は本務の輸送の方に投下すべきじゃないかということが、国民の世論でもありますし、私どもの信念でもあるのであります。そういうことも検討いたしました上で、調査委員会の意見のように民間に移譲するのが適当であるという結論に達した次第であります。
○簡牛委員 最後にお伺いいたしたいと思いますことは、この志免炭鉱の払い下げということに関しまして、地元にはまことに好ましくないいろいろのデマと申しますか、うわさが飛んでおります。何かこの払い下げ問題にからんで不純な、あるいは不潔な動きがあるとか、取引が行われておるとかいうようなことをしきりに申しております。こういうようなときには必ずそういうようなものがついて回るものではございますけれども、もしそういうようなことがあればこれはゆゆしいことでございます。まあ十河総裁のところでそういうことがあろうと考えることも失礼かもしれませんけれども、世間のそういう取りざたを何か裏書きするような印象を持つ一つの問題がございます。 それは志免に租鉱権を持っている新栄鉱業所でございますか、これが志免鉱業所の資料に基いて、ここには取り残しの石炭があるということで、租鉱権利を得まして、相当の設備をして、いよいよ掘ってみたところが、そこはもう遠い昔に炭が取られてしまった跡で、志免鉱業所のそういう資料が間違っておったために思いがけない事業の困難に当面して、今赤字経営をいたしておりますが、そういう場合には、もしできれば必ずかわりの租鉱権を提供してその赤字を埋めさせるというのが、鉱業界の慣例であり、また当然親会社としての普通とられておる態度でございます。そういうようなところにぶつかって、新しい租鉱権を申請するが、さらに取り合ってもらえない。そういうことを取り合って、当然なされなければならぬ問題が処理されないということは、この払い下げの問題にからんでそういうような租鉱権というものが取引の対象か何かに使われるのではないか、あるいは使われるような内約を結ばれておるといったようなことも、うわさが飛んでおるのでございます。そういうことはまことにゆゆしいことで、そんなことがあろうとも思いませんが、そういうような疑惑を残したままでは私どもとしても遺憾なことに存じます。その真相を——なぜ普通炭鉱業界に行われている慣例がそのまままに履行されないで、現に赤字経営でもう三年くらいも困っておるものがございますが、そういうようなものに対して温情のある措置が講ぜられずに今日放置されておるのかということをお伺いいたします。
○平出説明員 ただいまの御質問は、昨年以来合理化のために閉鎖しておった六坑にからんでおるかと存じます。六坑の措置につきましては、これはその当時はもうすでにこういう問題が起きておりまして、本体の問題と関連して解決すべき問題ではないかと存じまして、いろいろ希望者がございまして、また退職者の中でもあれをぜひやらしてほしいという声も出ております。そういった関係を考慮いたしまして、現在租鉱に出すことはやめておるのでございまして、これは本問題の処理と関連いたしまして処置すべき問題じゃないか、こう考えております。
○十河説明員 先刻、志免炭鉱の問題につきまして、いろい世間でいまわしい風説が飛んでおるというお話がありましたが、今おあげになりました例は平出局長から御説明申し上げた通りであります。私はこういう問題を処理するに当りましては、そういういまわしい風説が飛びがちである、また世間にはいろいろな例もあるので、私はこれをガラス張りでやりたい、こう考えておるのであります。それゆえに政府が閣議にかけて、行政管理庁から二度も勧告がきておるのをあらためて専門家の調査委員会にかけるというようなことは、私は政府に対してはなはだ失礼だというふうに考えたのであります。しかしながら、ここにおいでの方どなたかから、前に、これを決定する際には、民間の権威者を頼んで、委員会にかけてガラス張りでやったらよかろう。私もそれはけっこうな御意見だ、そういたしますということをすでにその当時お答えしておった。それゆえに私は、国鉄総裁の諮問機関であるにかかわらず、政府に伺いを立てて、一応監督官庁の御承認を得て委員会を作っておるのであります。政府機関から二回も切り離せという勧告があったにかかわらず、切り離すことを委員会にかけるということは、政府の関係機関をあずかっておる私といたしましては、非常にちゅうちょいたしたのでありますけれども、今お話のありますように、この問題はとかくそういういまわしい問題とからみ合いやすい、これはガラス張りでやるべきである、こういう信念から政府に特にお願いして委員会を設け、その道の専門家のことでありますから、どういうことがどこで行われておるかというようなことは、それらの人は皆さんよくおわかりになると思います。私はそういう人の権威ある意見を尊重して私の方針を決定いたしたい、こう考えまして、特に政府の承認を得て委員会を作ったような次第であります。今日までいろいろな風説がありましたけれども、そういうことは一切ない、全くそれは風説であると私は確信いたしております。
○簡牛委員 平出局長さんにお伺いいたしますが、今の租鉱権の取扱いなどにつきましてもガラス張りで、しかも筋道を誤まらないように御処理をなさるという総裁の御意図であろうと思いますが、今の租鉱権などの問題は、ただいま申し上げましたような一つの当事者の手落ちもあったかと存じますが、鉱業所の資料に基いてやっておったにかかわらず、全然その見当が違っておったような場合には責任と申しますか、ということもどうかと思いますが、やはり特殊の事情を勘案して、その事業のめんどうを見ていかれるというようなことに当然お考えでございましょうか。この掘った炭はみな鉄道に納めておりますし、全くこの鉄道の中で宿を借りて事業をやっておるような細々としたものですが、そういうようなものに対する今後のすべての処置に対して、従業者に対しても地元民に対しても、関係しておる人々に筋道を立て、温情をもって処理することが総裁の御意図であると思いますが、そういうような線に沿って、公正な処理をして下さるという御意見を伺いたいと思います。
○平出説明員 志免鉱業の問題につきまては、今御指摘がございましたように、海軍時代の非常に古い地図を基礎としまして、いろいろ志免鉱業の方で計画を立てられたために、これは残炭でございますからその賦存状態その他非常に複雑になっておりますので、地図の上からはあろうと思われたところが、実際に掘ってみた結果それほどなかったという事態が実際あったかと私も記憶しております。しかし、これはどちらの責任というような性格のものではないと思いまして、これはその他の事情に応じまして十分こういった温情を込めた処置をすべきであると考えておりまして、その点は私ども志免鉱業と十分連絡をとってこの処置をいたしておるものでございます。その点はどうぞお含みおき願いたいと存じます。
○長谷川(峻)委員 関連してちょっとお伺いしますが、今簡牛さんが一番最後に言われた新栄鉱業の問題ですが、新栄鉱業の経営者はだれですか。
○平出説明員 永島と申します。
○長谷川(峻)委員 それは前に国鉄におられた人じゃないですか。
○平出説明員 前には中島寅之助という新潟の局長をしていた方がやっておられましたが、現在は永島という方がやっておられます。これは中興鉱業の方の経営者でございます。
○長谷川(峻)委員 そういうふうなことで疑惑を招くようなことが出てくるといううわさが地方に出ているのです。ですから非常に慎重にやってもらわなければならぬ。総裁の、ガラス張りの中でおやりになるという気持と、今の運輸行政において、運輸一本やりにいかれるという気持はわかりますけれども、これだけのものが民間に払い下げされるというときには、今のように国鉄に関係のあった局長さんがそれを経営することになって、その次の人にそれが移っている、そうしたことが必ずこういうふうに問題を起し、疑惑を招くことがあるから、この点については私は一つ関心をお持ち願いたいと思います。 それから先ほどの総裁の御説明を聞きますと、終戦直後運用炭が足りないためにこれを引き受けたというふうに私は拝承したのですが、これは政令によって国鉄の方に払い下げを受けたので、いつから国鉄の方が経営を始めたのですか。
○平出説明員 政令はこの志免の問題に直接出されたものではないと記憶いたしております。今手元にございませんが、志免が経営いたしましたのは、たしか二十年の十二月から経営をしておるはずでございます。
○長谷川(峻)委員 手続の完了が二十九年六月十七日になっておりますね。私の調べによりますと、昭和二十五年政令第二十五号によって進駐軍から、日本の船の興安丸、壱岐丸、そういうものが朝鮮なり日本に引き渡しされたその代償としてこれが国鉄の方に払い下げられた。その場合に、志免鉱業所そのほか何カ所が一体幾らで国鉄の方に払い下げられたか、その間の事情をお伺いしたい。
○吾孫子説明員 昭和二十年の十月六日に海軍省からGHQに対して、運輸省に移管の申請をいたしました。それで二十年十一月六日に今度はGHQから日本政府に対して、内務省に移管することを承認されております。そのあと同じ月の十四日に運輸省の資材局長から内務省の調査部長に対して、海軍財産の引を渡しについて申し出をいたしきした。さらにその翌々日の十六日に内務省の調査部長から運輸省資材局長に、海軍財産を引を渡す旨の回答が出ております。それで二十年十一月三十日に海軍財産一時使用認可というものが、熊本の財務局長から門鉄局長あて出されまして、同年十二月一日に門司鉄道局の志免鉱業所というものが設置せられております。自来運輸省の志免鉱業所ということで、実際には国鉄が経営しておったわけでございますが、昭和二十四年に国鉄が運輸省から分離いたしまして、日本国有鉄道になったわけでございますので、そのあとを受けまして二十五年の二月二十八日に、先ほど先生のおっしゃいました国の船舶と朝鮮郵船株式会社の船舶との交換に関する政令というものが公布せられております。そうして二十五年三月一日にこの政令が施行されまして、完全に日本国有鉄道の所有ということに、このときから切りかえられたわけでございます。
○長谷川(峻)委員 そうしますと、終戦以来、とにかくずっと運輸省並びに国鉄関係で今日まで経営しておったということは了承できますね——。そこで私も多少あそこを存じ上げていますから、先ほど総裁の説明のように、非常に縦坑のむずかしいことはわかるのです。その間労務者の方々が苦心したということもわかります。たしかあそこに、国鉄関係の人で、縦坑で博士号をとった人があるように私は聞いておりますが、どうですか。
○平出説明員 縦坑の掘進につきまして、現在新橋の工事局長の上原要三郎さん、あの方が志免の盤圧の関係、地圧の関係につきまして研究されて、博士号をとられたということは私聞いております。
○長谷川(峻)委員 それほど苦心して成績が上ってきていることは総裁もお認めのようでございますが、日本全体の炭鉱労働者の一日の採炭量というものと、志免鉱業所の諸君が採炭している量、十五トン半とおっしゃたのですが、その比率はどうなっておりますか。
○平出説明員 三十一年度は志免としては、最高でございまして、十五トン半採掘されております。大体九州の大手筋は十四トンから十五トン、あるいは多いところでは十六トンもございますが、平均しまして大体十四トン七分ぐらいではないか、こういうふうに承知しております。
○長谷川(峻)委員 そこまでやってきたんですね。しかもその間において約三百六十八名の従業員が配置転換をしております。こういう方々は経営合理化の線に沿って配置転換されておると思いますが、そういう方々は一体国鉄の従業員としてどこかへ転属されたものか、それともまたやめてしまったものか、その変移状態をちょっとお尋ねしたいと思います。
○平出説明員 最高のときは六千人おったこともございますので、その過程におきましてはときどき、かなり大幅な退職を見た場合がございます。昨年は、先ほど総裁が説明されましたのはおおむね配置転換でございまして、ほかの鉄道の職種の方へ参ったわけであります。
○長谷川(峻)委員 それは一般従業員ですか、それとも職員ですか。
○平出説明員 炭鉱で申します職員と労務者と両方ございます。
○長谷川(峻)委員 私はそこでお尋ねしたいのですが、総裁の大体の腹は民間払い下げ、それをガラス張りの中できれいな気持でやっていきたいという気持はよくわかるのですが、この山が非常に条件の悪いということも私はわかります。そこで調査会に出された諮問を見ましても、払い下げ価格まで諮問されております。これの答申はまだきていないようであります。その際に一体今の山の値段でいくものやら、それとも最初政令によって日本政府が払い下げた大船工場とか高砂工場、あるいは志免鉱業所、それが八億五千七百万円の払い下げ価格になっていると思いますが、その中に志免鉱業所というものを大体どの程度に見ていくか。これは将来ガラス張りにする意味においても非常に大事なことと思うのですが、どういうお考えですか。
○平出説明員 今御指摘の財産の交換の内容でございますが、国鉄から出ておりますのは興安丸、壱岐丸、宇品丸、その他船舶の備品類でございまして、これが評価額としましては八億八千万円であります。これに該当するものといたしまして志免炭鉱、大船工場、高砂工場、これが合わさって大体同額でございます。志免炭鉱につきましては、このとき計算したものでは三億二千百万円、こういう数字になっております。
○長谷川(峻)委員 今言われた志免炭鉱三億二千百万円という当時の一つの標準がある、こういうものなどを標準にされて、先ほど総裁の話を聞きますと、調査委員会の方に答申を求めて、その調査委員会の結論が出た場合にはそのことで一生懸命やっていきたい、こういうことでありましたが、何といたしましても全国の炭鉱労働者を上回るだけの稼働能率を上げてきた諸君でもあるし、さらにまた地方財政の上において、四カ町村に及ぼす影響が非常に大きい。そこにおいてか私は非常に慎重にお考え願いたい。第一に考えなければならぬことは、ここは粉炭が非常に多いという話でありますが、国鉄が今使っている炭のカロリーは一体どれだけのものであるか、ここで出している炭のカロリーはどういうふうなものであるか、御説明願いたい。
○平出説明員 現在志免で出しているのは、粉炭が六千八百カロリー、塊炭が六千五百カロリーであります。これは現在鉄道の用炭として、それに向けるためにそういうカロリーで選炭を行なっているわけであります。その他ほかの用途にいたすことがありますれば選炭の方法は多少変ってくると思います。
○長谷川(峻)委員 私はこれで大体簡牛さんの質問に対する関連質問は終ることにいたしますが、何といってもわずか短かい期間でありましたけれども、ほかの全国の労務者よりも高能率を上げている。その間において経営者であった諸君も博士論文をとるところまでいって、苦心の作であった。でありますから、これは配置転換も今までうまくいっているとするならば、そういう問題も大きくかみ合せまして、私が最初申し上げたように新栄鉱業の経営者が元の国鉄の局長であったという、それがいわゆる山師でありますから、昔の因縁でそこのところがうまく当るだろうと思って買った山がまずくいった、この際何とかうまくしようというふうなことは、今度の問題に大きな疑惑を免れない。あわせてそのほかの問題も、ほかの方々の名前が出てくる場合は、それも疑惑の面が出てこないようにぜひお願いしたいと思う次第であります。
○塚原委員長 井岡大治君。
○井岡委員 先ほど簡牛さんからお尋ねになったときに、四月運輸大臣の許可を得て調査委員会を作った、こういうように申されたように記憶するのですが、その通りですか。
○吾孫子説明員 調査委員会を設置することにつきまして運輸大臣の御承認を仰ぎまして、それに対して御了承を得たのでございます。それの大臣あての申請文書並びに大臣の方からいただきました回答の写しを、お手元の資料の中に差し上げてございます。
○井岡委員 私は手元の資料を見たからそのことを聞いているのです。今総裁は四月に許可が出た、こう言っておられるのですが、申請をされておるのは三月に申請をされておる。同時に三月にもう許可をとっておられる。ですからこの点において大きな食い違いがある。だからこの点を聞いておるのです。
○吾孫子説明員 運輸省に申請を出しましたのはもちろん三月でございました。四月というふうに総裁が申されましたのは、調査委員会を設置いたしましたのが四月七日である、こういう意味で申されたはずでございます。
○井岡委員 調査委員会は四月の七日に設置されたのですか。
○吾孫子説明員 さようでございます。
○井岡委員 鉄道公報の本年四月四日号にこのことがちゃんと載っておる。四月の四日にちゃんとこれは載せてある。同時にまた、あなた方がこの調査委員会を作る要綱の中に、いろいろ慎重に審議をすることになっておるという話がありますが、かなり違っておるものが私の調査ではあるのです。これはどういうことなんですか。
○吾孫子説明員 調査委員会の第一回の委員会を開催いたしましたのは四月七日でございます。委員会の規程の方は発足の前に準備をいたしておるようなわけでございます。
○井岡委員 そこのところが非常に大事なところですから明確にして下さい。あなた方の言っていることは先ほどからだいぶ違っている。調査委員会の設置をあなたの公報では——これはあなたの公報です。四月の四日の公報にちゃんと載っている。同時にあなた方の要綱の中に四月上旬を目途として設置する。これはあなたのところの要綱です。同時にそのときにすでに委員の名前が載っている。さらに調査委員会の諮問事項の中に、志免炭鉱をいかに措置すべきか、国鉄経営から分離するとすればその時期及び具体的方法はいかにすべきか、その場合譲渡価額の評価の手続方法及び評価額をいかにすべきか、ちゃんと書いてある。先ほど同僚の簡牛さんがお尋ねになったが、十六日に諮問をして十九日結論が出て——十六日にもうすでに先に出しておる。初めからあなた方の答申にはちゃんと書いてある。これはあなた方の要綱です。これはどういうことですか。
○吾孫子説明員 先ほど申し上げましたように、運輸省の御了解を得ましたのは、三月十八日に御了承を得ておったのでございます。それでそれ以後、四月七日に第一回の調査委員会を開催いたしますまでの間に、委員会の設置につきましていろいろ準備もいたしておりましたので、事務当局がいろいろと準備をいたしておりました際の資料がお手元にいっているのではないかと思うのでございます。諮問そのものにつきましては、三つの諮問が考えられるというようなことが準備の関係書類の中に載せられておったかと思いますが、実際の諮問は四月の七日に、第一号の志免鉱業所の措置をいかにすべきかということの諮問を出しまして、それが十六日の第四回委員会の際に、大体委員間の御意見の一致も得られた模様で、次の十九日の委員会の際には書面で答申をするようになるであろう、こういうようなふうに運ばれておりましたので、その際第二号の諮問をいたした次第でございます。さらに第三号の諮問につきましては、それよりさらにずっとおくれまして、そろそろ譲渡の方法とか譲渡の時期とかいうようなことについて御検討を願っておりますのと並行して、やはり引き渡す場合の財産の評価ということについてもお調べを始めていただく必要があると考えまして、あとからおくれて第三号諮問も出した、こういうことでございまして、初めからその三つの諮問を委員会の方にお願いしたということでは全然ございません。ただ単なる事務的な準備といたしましてそのような場合を想定して考えておったという次第でございます。
○井岡委員 それではお聞きしますが、この公報の調査委員会規程の二条に、「委員会は、総裁の諮問に応じて、鉱業所の措置に関する基本方針等について調査審議する。」と書いてある。ですから措置ということですから、あなた方が諮問をする場合、大体予定として三つのことが考えられる、こういうことですが、これは二つしかありません。第一号の鉱業所をいかに措置すべきかというのは、これは措置の問題、従って措置の中には、存置するとするならばどういう方法がよいかということが当然一号の中に入れられなければならないが、これが入れられておらない。従ってあなた方の最初からの考え方は、売山をする、そのためにガラス張りでやる、疑惑を解きたいというのは、いわゆる手続上の問題だけを国民に理解させようとした措置としかわれわれは了解ができない。このことは、四月の八日に前の理事の打合会を総裁公邸で開いた際に、総裁はどのように言っておられるか。全く白紙の立場でこういうものを作って、今後どういうようにやるか検討をしてもらうから了解が願いたいというので、われわれに了解を求めたじゃないか。その経緯から考えるならば、当然第一項に、残せという声がある——しかも経営調査会の答申あるいは行政管理庁の勧告等は、必ずしもこれを売山しろ、切り離せとは言っておらない。切り離すことが望ましいが、慎重にやれと、こう言っている。同時にまたその第一の理由は、非能率的だと、こう言っている。ところが、その後の成績というものは、非常に能率が上っている。こういう点を考えるならば、当然この項の中に、存置するとするならばいかなる方法が適当か、この項があって初めて四月八日の打合会の、総裁のわれわれに対するいわゆる相談なり了解を求めたことと合致するのですが、この点はどうなんですか。
○吾孫子説明員 第一号の諮問を出しました際に、その諮問の仕方といたしましては、この中間答申の理由書にもございますように、国鉄からは「第一案として日本国有鉄道が志免鉱業所を直営のままで合理化していく余地があるかどうか、第二案として現物出資して共同経営することが妥当であるか、第三案として譲渡すべきか、」こういう三つのことを、文字通り白紙で御諮問申し上げておる次第でございます。
○井岡委員 これは単なるあなた方の言いのがれであって、少くとも残すということが第一項に出ておったならば、このことから調べられなければならない。そうするならば、当然調査委員会の方々は、今後の労務者をどう配置するか、あるいは現在の炭というものがどういうような状態になっているか、こういうことを当然現地に行かれて十分調査をされなければ、その結論が出ないと思う。ところがそれを簡単に結論を出しておるのは、われわれの委員会の調査によって調べてみますと、私が先ほど申し上げたように、この二項だけしか諮問がなされておらない。これは後日委員会の方々に来ていただいて調査をいたしますから、間違いのないことはあなた方にはっきりすると思う。この点はいかにあなたが詭弁を弄されても、事実は白紙じゃなかったということなんです。一貫して総裁の主張されてきたことは、売山をするという態度を今まで持ってこられておった。最初は成績が悪いから売山するのだ、その次にはもちはもち屋だからまかすのだ、これだけをやるのだ、こういうように変ってきておるところを見ても、一貫して流れておるものは、売山をするという態度だ。だから、こういう答申をされてきて、しかもこれは三月に作っておられる。そうしてわれわれには四月だ四月だと言っておられる。この間のいきさつがどうしても了解できない。もう一度言っていただきたい。
○十河説明員 私が運輸大臣の承認を得て四月にこうしたということが、どうもちょっと誤解を招くのじゃないかと思いますが、私の方の言い間違いか誤解であるかもしれないと思いますから、私ははっきり訂正いたしておきたいと思います。先刻吾孫子理事から申し上げましたように、調査委員会が始まったのは四月であります。運輸大臣の承認を得たのは三月であります。そのことを訂正いたしますから、どうか御了承を願いたいと思います。
○井岡委員 そうだったら、四月の八日に総裁公邸でわれわれに了解を求められたのはどういうことなんです。これは八日の晩五時から開かれている。私の手帳にちゃんと書いてある。そのときには、この問題について私は白紙で臨みたいと、こう言っておられる。しかも、こういうものをこしらえたいから了解をしてくれ、こういうことだった。すでに三月に申請をしてこしらえておる。発足したのが四月七日なんです。そうしてわれわれには、八日に引っぱっておいて、そのときには、あたかもこれからこしらえるような格好であなたはわれわれに相談された。これはどういうことなんだ。
○十河説明員 先刻申し上げましたように、政府から、国鉄の本来の業務に不可欠な資産以外は切り離せという勧告を得ておるのであります。それに対してそういう勧告の正しいかどうかということを何か疑うような、白紙で志免鉱業所、志免炭鉱をどうしたらいいかということを民間の権威者にお諮りをする、御意見を伺うということは、私は政府に対して少し出過ぎたことじゃないか。だから、まず政府の了承を得なければそういう調査会を設置するということはわれわれとしてはやるべきでない、こう考えまして、政府の了承を得て、それからまた皆さんにもいろいろ御心配を願っておりますから、皆さんにもこのことをお話をして、皆さんの御了解を得て進めたい、こう考えまして申し上げたのであります。これが私の白紙、ガラス張りでやるという答申を実行しておるゆえんであります。どうかその点を御了承願いたいと思います。
○井岡委員 政府の勧告があったということですが、二回にわたって勧告があったのをこういうことをやるのは出過ぎだ、こういうように言われておりますが、政府の勧告は第一回目はなるほど離せというのは昭和三十年十一月に出ております。しかし、第二回目の勧告は本年四月の四日に出ております。従って、あなた方が申請されておるのは四月の十二日ですか、十二日に申請をされておる、その間において違います。同時に政府はこういう勧告をしておるのに、こういう委員会を持つことは出過ぎた考え方だという、その考え方が私は間違っておると思う。国鉄の財産というものはだれの財産なんですか。政府の財産ですか、国民の財産ですか、この点を明らかにしていただきたい。
○十河説明員 私は国民の財産だと思います。それを管理しておるのが政府であり、われわれだと思います。
○井岡委員 そうだとすると、管理をしておるのが政府である、これは明らかである、わかり切ったことである。であるならば国民の財産を処分することですから、それを預かっておるのはあなたですから、従って政府のやり方の中にも間違ったことがあるから、これをさらにいわゆる公平を期するということであなたが諮問をなされることは、何らこれは出過ぎたことではない、預かっておる者としての、責任者としての当然の措置なんです。そこであなたの間違いがある、これはどういうことですか。
○十河説明員 その点になりますと、私と見解の相違と申しますか、私は政府から国民の財産をお預かりして運営しておるのですから、政府がこういう勧告をしてきておる、それに対して白紙で委員会を設けて諮問をするということはどうかという、これは私の道義心でありまして、きょう御了承を願いたいのであります。
○井岡委員 まあ道義心や見解の相違についてけんかをしたって私はけんかになりませんから、それはやめますが、いずれにいたしましてもこの発足に当って私は今もって理解ができませんから、もう一度だけこの発足の経緯を明らかにしてもらいたいと思います。
○吾孫子説明員 実は今、日にちははっきりしておりませんので後ほど申し上げたいと思いますが、この調査委員会を発足するということにつきましては、前国会で両院で御質問がございました。たしか参議院の方であったかと思いますが、その御質問に対して、調査委員会を作る考えでおりますと——そのときはまだこれから準備をしようという段階であったのでありますが、そういうことを御答弁申し上げておったのでございます。そういういきさつがございましたので、国会に対してもお約束申し上げたようなことでスタートいたしておりまして、自来事務的に委員会を作るとすればどうするかということについて、いろいろ部内で相談をいたしておったわけでございます。そうしてその後は大体考えがまとまりましたので、運輸省の方に書類を出してその承認を得、その後委員に御就任願う方々にいろいろお願いしまして、四月の七日に発足するようになった、こういうことでございまして、書面の取りかわしはお手元に差し上げたような日付の通りでございますが、この委員会発足のいきさつといたしましては前国会で御答弁申し上げたことがもとになっておる次第でございます。
○井岡委員 その問題については、私は後ほどまたお尋ねするといたしまして、先般小倉さんですか、御答弁なさった中に、「未処理の鉱害の問題あるいは資産評価の問題が残っておりますので」云々、こういう項があります。そして本年の二億七千万円の黒字というものは、必ずしもこれが純益であるかどうかということについては言いかねる、こういう話でありますが、この点はその通りでありますか。
○平出説明員 そのお尋ねのときに、民営炭鉱と比較してというお話でございましたので、民営炭鉱でいう意味の益金というのではありません。そういう意味で申し上げたわけでございまして、その通りでございます。
○井岡委員 それからもう一つ聞きますが、副総裁は、価格は大手筋から買う値段に引き直して買った、こう言っておられますが、この点はその通りでありますか。
○平出説明員 志免のいろいろ計数を出すときにおきましては、そういう数字を使っておるということであります。
○井岡委員 これはことしの予算書に載っておる購入価格なんです。昭和三十一年度、三十二年度はちゃんとここに載っておる。ほかから買う石炭はトン当りにして四千六百八十三円、志免から買っているのが四千百七十四円。これは昭和三十二年度です。五百円の違いがある。そうしてこの五百円の違いについては、先ほどお尋ねをいたしましたように、あなた方はいろいろな問題があるからと、こういうことですが、この点については前の国会で、当委員会でいわゆる減価償却費として百円、これが要るのだ、こういうことと、本社費と利子等の分が三十年度以降トン当りについて二百十二円、こういうことになっておる。従って合計約三百円ですか、四百円ですか、こういうことになる。そうなりますとまだかなり違った数字が出てくるわけです。これは安く買っておる。それにもかかわらず本年は二億七千万円の黒字を出しておる。そうしますと第一回目に出ました非能率だから切り離せという分についてはこれは明らかに非能率でないということがいえる。先ほどの長谷川さんの御質問のように、一日一人当りの採炭量にいたしましても、比較してかなり高い。しかもこれは困難だといわれている中においてすら、これだけの成績を上げておる。こういう点等を考えるならば第一の非能率という勧告は、これは明らかに消えたものと考えるが、間違いありませんか。
○吾孫子説明員 三十二年度において志免の従業員諸君が非常に能率を上げられまして、好成績を上げておられるということは、十分認めておりますし、また合理化されたという、その努力の跡については行政管理庁等も認めて下さったと思っております。ただしかし、これはいろいろ専門家の御意見もございますのですが、炭鉱の収支というものはやはり単年度だけで判断するわけにはいかない。長い間のやはり見通しをもって検討をしなければいけないのであって、三十二年度に好成績を上げられたということは間違いない事実でありますが、長い目で見た場合に将来いろいろ不安な要素があるということは、先ほど総裁が御説明を申し上げた際にも、その点に触れられておりますので、今年度、三十二年度の成績のみで全体を判断するというわけにはいかない点があるということを、私どもとしては考えております。しかしいずれにいたしましても三十二年度に非常な好成績であったということは、私どもも十分認めておるつもりでありますが、ただこれは単に炭鉱の収支がいいということだけでなしに、やはり国鉄として輸送本来の業務に邁進すべきだという御意向もあることでございますので、それらの点を私どもとしてはいろいろ考えておる次第でございます。
○井岡委員 そうすると、非能率でないということだけは認められたわけですね。
○吾孫子説明員 三十二年度につきましては非能率だとは考えておりません。
○井岡委員 三十一年度はどうなんです。
○吾孫子説明員 三十一年度から成績が好転いたしております。
○井岡委員 今までの欠損は幾らくらいあるのですか。
○平出説明員 お手元のは二十七年度以降の、一応志免として独立採算という形態で計算を始めましてから会計制度によって作ったものでございまして、それ以前につきましては、主として石炭確保ということが重点でありましたために、十分な資料が一つもないわけでございますが、いろいろ試算したものはございます。もし必要ならば御提出いたしますが、一応これで御判断願ったらよろしいかと思います。
○井岡委員 二十七年度からの赤字、それから三十一年度、三十二年度の黒字、これを比較いたしますと、ペイしてまだ余りあると思う。これは間違いないと思う。どうですか。
○平出説明員 この資料の通りでございます。この資料の中にも書いてあります、また先般も申し上げました通りに、民間でいう益金という形ですと、非常に問題があるということであります。
○井岡委員 そこで長期計画ということですが、最初十河総裁が私たちに売りたいという話であったのは、三年前にもうあと五、六年でこの山はなくなってしまうように言われた。ところが、あなた方の十年計画をもってしましても、なお十分にやっていけるだけの炭は残っている。同時にあなた方の技術陣が調査をいたしておるところによりますと、僅々三億か五億の資金を投入するならば、優に三十年間、現在の五十万トンベースはいけないにしても、四十万トンから四十五万トンのベースはずっと続いていけるようになっている。でありますと、長期計画の上に立ってと、こういうことですが、十分長期計画の上に立てるわけなんです。こういうことをあなた方は御研究なさったのか、どうなのか。
○平出説明員 先ほど来総裁から申し上げました通り、付近の鉱区を総合開発しますれば、おっしゃいます通り四十数万トンのベースは相当長く維持できるものと私ども技術的にも確信しております。
○井岡委員 それならば最初の諮問に当って、なぜそのことを第一の問題として提起せられなかったのですか。
○平出説明員 委員会におきましても、非常にその点は詳細に御説明して、御審議を願っております。分科会におきましても、主としてその点を審議していただいております。
○井岡委員 その点は後ほど委員会の方々となにしますから、除きます。そこで問題は、あなた方の言われた能率的でないということと、将来の問題について見通しがないという、この二つについては、若干の修正をするならばこれは十分やっていける、こういうふうに理解してよろしいですか。
○吾孫子説明員 この点は隣接の地帯と総合開発をするというような態勢を整えれば相当長くやっていける、こういう御判断であるように専門委員会の意見も伺っております。
○井岡委員 その次に、もちはもち屋だからこれにまかす、こういうのがまず第一に離す理由ですね。
○吾孫子説明員 国鉄は輸送本来の業務に専念すべきであるということも一つの理由になっておるわけでございます。
○井岡委員 輸送本来の仕事に邁進するのであれば、この問題とは別であります。先ほど総裁もほかの例をとっておっしゃっておられましたから別でありますが、金沢管理局の敦賀における道路直しはどういうことなんですか。しかもこれには莫大な費用を使っている。局長の権限でない費用まで使っている。私はこれは後日国鉄当局に質問をしたいと思ってこの間資料のお出しを願っているのですが、出してこられない。しかもそのために利用債が北陸当局では売れないというような事情を査察にまで書いている。これはもちはもち屋じゃないですよ。この点はどうなんです。
○吾孫子説明員 敦賀の道路のお話と申しますのは、機関区から今の隧道の作業をしている方面に向う道路のことかと思いますが、さようでございましょうか。
○井岡委員 それもありますが、私は昨年あそこを見てきてよくわかっているのですが、この間東南アジアから視察に来られたので特別にそこだけを直している、これはどういうことなんですか。しかもこれに莫大な金を使っている。局長権限以外のことをしている。こういうものについて国鉄はどういうようにお考えなんですか。
○吾孫子説明員 この間東南アジア各国の鉄道首脳の方々が日本の視察に来られました。その際に、遠路お客さんもおいでになることでございますから、できるだけお客さんの目に触れるようなところはきれいにしておこうという気持がありましたことは、これは自然であると思うのでございまするが、敦賀の構内のたまたま視察団の歩かれる範囲が、その機会に今まで懸案になっておったいろいろな点がございましたので、その際できるだけ整備をするということをいたしたことは事実でございますが、局長が許されていないことをやったというような事実はございません。
○井岡委員 敦賀の話は後ほどまたあなたと別にやりますから……。もちはもち屋だ、こういうことですね。もち屋じゃないということです。しかもそれは局長の権限を越えてやっているということなんです。これだけをあなた方認識しておいていただいたら、あとでもちはもち屋でなかったということはおわかりになると思う、これだけ言っておきます。 同時に先ほど発電所のことをお話になっております。発電所の問題については、私はこの委員会で志免の問題を論じたときにこういうものを持っておくことの方がいかに有利であるかということを私の一つの体験を通して言ったときに、あなた方はその点については耳を傾けなかった。だから、私は志免を持っておきなさい、こう言ったら、あなた方はそうじゃない、こう言われた。これももち屋の域を越えている。これはどういうことなんですか。
○十河説明員 先刻申し上げましたように、発電所も、でき得ればもちはもち屋にお願いしたいというのが私どもの希望なんです。それで電化を進めるに当りまして、その方面の会社の首脳者にお集まりを願って、こういうふうな計画を進めたいと思うが、こういうふうにしてほしいということをお願いしたのであります。当時の事情として東京方面は非常に電力の需要が多くて、ピークに国鉄の要求するような電力を送ることは困難である、しばらくかんべんしてくれというお話であった。それでやむを得ず東京の送電につきましては、われわれの方で設備を拡充したところもある。しかしながらまたそれと反対に、中部におきましては秋葉ダムの権利を持っておりまして、これはやはりもちはもち屋にまかせる方がいいということで電力会社の方にお譲りをしたということになっておるのであります。さよう御了承をいただきたいと思います。
○井岡委員 電力が好転するとそれはまた払い下げになる、さいぜんあなたはそう言ったじゃないですか。
○十河説明員 遠き将来は知らず、当分の間それは困るから国鉄でやってもらいたいということであり、国鉄にも、電気運転をやるから電力の技術者がいるのです。そこで電力の技術者がいるから、それでは東京方面はそういう困る事情があるならこれを拡充しようということで、拡充いたしたのだということを申し上げておるのであります。遠き将来について私がなまいきにこうするとかしないとか今ここで申し上げても、それは意味がない問題だと思います。
○井岡委員 これは幼稚な話ですが、私は、電力の方は電力の技術者がおるから、これはいいのだ。志免の炭鉱はみんな、車掌さんとかそこらを掃除していられる方々が余って、あそこへ行っておられるのですか。
○十河説明員 現在志免にもりっぱな技術者がおります。たとえば、先刻申し上げましたように、最下層にも石炭があるのだから、これを掘ろうということで掘りかけたのですが、どうもガスが多くてやり切れないというのでこれは中止をした。そういうふうに、深くなればなるほど技術が困難になってきます。先刻御意見もありましたように、もっとその技術陣容を拡充して、新しく組織を拡充していくならば、そういうこともあるいは可能になるかもしれませんが、そういうことを一つの炭鉱を継続するためにやるということは、国鉄の現状としてはできない、それはやらないという意見を申し述べたのであります。
○井岡委員 そうすると志免の炭鉱にも技術者がおる、それからもち屋もおるということなのですね。
○十河説明員 もちろん志免にも技術者がいなければ、今日のような五十万トンの炭を掘ることはできないのであります。それはいます。私どもはりっぱな技術者がおると思います。しかしその技術者がこうしなければこの炭鉱はもう行き詰まりになるということを、われわれのところへ陳情してきておるのであります。そこでわれわれは心配して、これを何とか至急にきめなければならぬ、こういうふうに考えたゆえんであります。
○井岡委員 そこまでしてくれというならば、これがいわゆる非採算的でなかったら、私は文句は言いませんよ。昭和三十一年度並びに三十二年度合計すると約四億一千万円の黒字を出している。同時に志免炭鉱は独算制でやっておられる。なるほど若干国鉄のほかの勘定等もあって、通り抜けになっているところもありましょう、中間勘定になっているところもありましょうけれども、かなり黒字を出している。独算制でやっている。これにそういう利益金をもって技術を投入するならば、何も離す理由はないじゃないですか。それをなぜお離しになるのですか。
○吾孫子説明員 志免が最近非常に業績を上げておるということは、おっしゃる通りなんでございますが、ただ現在の国鉄が持っております鉱区の範囲内で新たな投資というようなことはやり得ないような状態のもとでは、この状態をそう長く続けることは困難だ、少くとも近いうちに——今は非常にいい出炭成績を上げておりますけれども、早晩行き詰まりにあって、出炭量等も激減せざるを得ないのじゃないか、こういうふうに心配されておるのが現状でございます。
○井岡委員 先ほど簡牛さんがお尋ねになっておりましたが、そこ周辺の山というのはほとんど休業状態なんです。わずか六百人そこらの従業員でやっておられるような、そういう点等を考慮するなら、志免を買う、そして総合開発をやる。これは志免を売るよりは向うを買う方が安くつく。先ほどの予定価格では三億二千万円だと言っておられる。なお千五百万トンの炭があると言っておる。にもかかわらず三億二千万円で売る。隣のことを考えてくるならば大きな違いが出てくる。なぜお買いにならない。しかも黒字を出しておる。このままやっていけばまだ当分の間黒字は続く。それで買うという方法をとれば、十分国策として総合開発はできるじゃないか、これが国鉄の使命ではないのですか。国鉄は電車、汽車を走らせておるだけが使命ですか、そうではないでしょう。国の大きな財産を国鉄に投入しておるのは、いわゆる国土の開発という大きな条件があるから投入しておるのと違うのですか。
○吾孫子説明員 その点は先生のおっしゃる通りだと思いますが、国鉄としましてはとにかく輸送力の増強、輸送の近代化、機械化というようなことのために莫大な資金を必要としておるわけでございまして、その資金の調達にもなかなか困難を感じておる現状でございます。そういう状況のもとにさらに炭鉱に対してまで新たな資本をつぎ込む余裕があるかどうか、そういうことが許されるかどうかということは、数年来の政府の御勧告その他から考えまして、国鉄本来の業務に対する新規の投資ということはお認めいただけると思いますけれども、炭鉱の方に対してその新規の投資をするということは、認めていただくことが非常に困難な状態にあるのじゃないか、また国鉄としても現在の財政事情からそこまで手を広げるべきではないのではないかというふうに国鉄当局は考えておるわけでございます。
○塚原委員長 この際暫時休憩いたします。午後は一時五十分より再開いたします。 午後零時四十八分休憩 ————◇————— 午後二時二十八分開議
○塚原委員長 ただいまより再開いたします。 午前に引き続き志免炭鉱の問題について調査を進めます。正木清君。
○正木委員 総裁並びに事務当局の方にお伺いをしたいのですが、本日手元に配付されました資料に基いてまずお尋ねをしたいと思うのです。そこで総裁の忌憚のないお考えをはっきりとここで明らかにしてもらいたいと思いますことは、率直に言って、私は常識論的に見てどうしても納得のできない幾多の点がございます。その第一点は何であるかというと、この配付になりました資料を見ますと、三十三年の四月七日に諮問第一号として「志免鉱業所の措置をいかにすべきか」、これがあなたが委嘱されたこの委員会に対する諮問でございます。そして直ちに一週間を経過した十六日の日さらに追い重ねて、あなたは諮問第二号を発しておるわけでございます。それには「志免鉱業所を日本国有鉄道の経営から分離する時期及び方法はどうきめるべきか」こうあるのでございます。ですから志免炭鉱の取扱いをどうするんだという一号と、追い打ちをかけた十六日の諮問第二号に基いて、この調査委員会の中間答申は四月の十九日に出ておるわけでございます。こうした短期間の間にすでにこの中間答申は、結論から申し上げますと、民営に移すべきことが妥当だ、こういう結論でございます。この委員に依嘱された諸君が専門家の諸君であったとしても、この配付された書類を見ると、志免炭鉱の現地調査すらやっておらないのです。しかも志免炭鉱の将来のあり方というものについて、おそらく国鉄当局の専門家の人を呼んで、この委員会で聞いた程度ではないかと想像されるのです。そういうことで重ねてあなたは五月八日に、志免炭鉱を売るんだ、民間に売ってしまうんだ。だから売るための値段は一体どれくらいが妥当なんだという第三号の諮問をこの委員会になさっておるわけです。短期間の間に国の財産、言いかえるならば国民の大切な財産をごく簡単に取り扱うあなたの心がまえといいますか、これに私はどうしても納得がいかない点があるわけです。あなたほどものを大事に取り扱う人はないのであって、しかもあなたの就任以来今日までの一貫した方針といい、精神というものは、何人に向っても天地に恥じない行為が自分の生命だ、こう公言されてきたあなたとしては、この取扱い方は少し不用意ではないかというような気がするのです。なぜこう急がなければならなかったのか。第一の諮問を四月七日になさって、続いて一週間ほど経過した十六日に第二の諮問をなさって、しかも第一回目と第二回目からわずか一カ月の間で、もう値段は一体幾らにしたらいいんだというように急がなければならない理由は一体どこにあったのか。私は理屈ではなくて、ほんとうにあなたの腹をこの際聞かしてもらいたい。
○十河説明員 午前中にもちょっと申し上げましたが、志免炭鉱の問題は私が就任前からすでに問題になっておるのであります。私は就任の際に責任者からその話を承わっておりまして、当初の運転用炭を確保するという目的はすでに達成しておる。だからこれは国鉄の経営から切り離した方がいいんではないかという意見が非常に強かったのであります。その状態で私が総裁に就任いたして検討をいたしておりますうちに、就任後先刻申し上げましたようにいろいろな勧告なり答申が出て参りました。この問題はその当時から鉱業者の間にも、炭鉱業者の間にも、あるいは専門家の間にも、また学者の間にもおそらくいろいろと検討せられておったことと思います。今正木委員からお話のあるように、現地の状態を視察するということはやっておりません。おりませんが、御質問の中にありましたように、現地の技術者の説明は十分聞いております。そして委員の方々の中には九州においでになる委員もありますので、東京へ出て参りました際にはずっと引き続いて——正式の総会が何回かありますほかに、分科会をやるとかあるいはそのほか研究会をやるとかいうようなことをして非常に熱心に研究をしておられ、すでに長い間問題になっておる炭鉱ですから、その道の専門家の間ではおそらくいろいろな検討を積み重ねておられたというふうに私は信じておるものであります。ともかくも私は、そういう行管の報告やなんかもありますけれども、先刻申し上げますように、事を慎重にするために、志免炭鉱を一体どう処置したらいいのかという基本問題から、この権威者の集まりである委員会に諮問をいたしまして、そうして委員会の御意見を聞いたのであります。ところが委員会は今お話の十六日に、切り離すべきであると思う、国鉄が現状で経営を進めていっても、もうこの上の合理化はできない、合理化はすでに極限に達しておる、それであるからこれを切り離すべきであるという御意見で、事実上書面の答申は次の十九日に出すが、こういう結論だということを伺ったものですから、それではその次に検討していただく問題を提出いたしましょうということで出したのであります。日の食い違いがあるところは、事務的に申しますとちょっとおかしいのでありますが、実際はちっともおかしくないのだということを一つ御了承をいただきたいのであります。私は、事を慎重にしよう、暗い影を残さないという確信を持ってやっておるのであって、その点は正木委員のおほめにあずかって恐縮しておりますが、私はそういう信念をもって進んでおるものであります。その点は依然変りません。
○正木委員 今の総裁の御答弁ではっきりいたしました点は、第一回目の諮問を四月の七日になさって四月の十六日に口頭で、十九日の答申と同じような具申があったんだ、こういうことがはっきりいたしました。そこで総裁の方では続いて五月八日に諮問第三号で、譲渡する場合の価格は一体幾らにしたら妥当なのかという諮問を出されたことがはっきりしたわけですが、その前に総裁は、自分が就任する以前からしばしばこの問題は非常に大きな問題として取り上げられておったんだ。私どもの承知しておる限りにおいては、国鉄の経営調査会からの答申として三十一年一月十二日に、この志免炭鉱その他の国鉄が付帯事業をしておる問題について答申が出ておりますね。これは事務当局の方にお尋ねするのですが、この三十一年の一月十二日の国鉄の経営調査会からの答申でも、現在の志免炭鉱は赤字であるのだ、一体これでいいのか、一体これをどうするのだ、もしこれを国鉄自身が経営するのならば、企業の合理化をはかって、健全経営の方策を立てるべきではないか、これが答申の結論であると私は承知いたしております。ですからこそ国鉄当局も、現地の当局の諸君も、従業員も一体となって、午前中に各委員の方から具体的な数字をあげて立証したように、三十一年の一月のこの答申を基礎にして、そして非常な努力で、今では全国でも有数な、非常に成績のいい炭鉱にした。三十一年、三十二年は成績を上げている。これが一点。それからもう一つは、行政管理庁の第一回の勧告でありますが、あなたから出ております書類によると、三十年の十一月十七日です。行政管理庁の勧告は国鉄経営調査会の答申より約一年ほど早いのです。そして今日の成績を上げた。行政管理庁がさらに続いて出したこの勧告を見ると総裁、こういうふうになっているのです。これは三十三年の四月四日ですからことしでございます。こういう成績は上げたけれども、「切り離す趣旨からこれが整理については慎重な検討が望まれる。」、行政管理庁の勧告はこういうのです。ですから第一回の勧告をやった、続いてあなた方の努力によって非常な成績を上げた。そこで政府機関の行政管理庁も、これについては慎重な検討が望まれると、非常に後退した勧告になってきた。そういう点を勘案してみると、総裁のおっしゃるように、この第一回の諮問一号を発する前に、各界総体において非常にこのことが問題になって、十分に科学的に研究がなされておるのだとするのであれば、それだけの何らかの資料なりが事務当局の手元になければなりませんね。あるとするならばそれをこの委員会に参考資料として配付があってしかるべきではないかと私は思うのでありますが、お手元にございますか、それを承わりたい。
○吾孫子説明員 今お尋ねのございましたような資料にぴったり合うようになっているかどうか、ちょっと問題がございますが、調査委員会の方でいろいろ御検討を下さいます際に、その御検討いただく資料として私どもの方で作ったのがございます。それで実はそれを非常に限定して初め作ったものでございますから、今増し刷りをやろうと思っているのでございますが、ただいまのところではございませんけれども、近いうちに整える用意はございます。そういうものは作ってございます。
○正木委員 総裁のおっしゃることは、国鉄の総裁としていろいろ御心配になっておっしゃるお気持は私にはわかるのですが、あなたが就任以前からこの志免炭鉱についてはいろいろ世間で問題にして、いろいろの形で研究されたであろうということだけであって、一体国鉄なり政府なりが責任ある人に依頼をして、そして調査をしたというような責任の持てるものは現実にはないのでしょう。総裁のおっしゃる各界いろいろの方面で問題になったというのは、私の承知しているところでは、この三十年の行政管理庁の勧告、続いて三十一年の日本国有鉄道の経営調査会から、これは民間に払い下げるべきだというような意見が出て、地元の炭鉱業者の諸君がこの意見を基礎にして、いろいろな動きをして、そしてこの人たち自身がいろいろな方面から、いろいろの資料を集めたんだということではないのじゃないんですか。何も政府の責任において特定の人を指名して調査をしたとか、それから国有鉄道自身が専門の人に委嘱をして志免炭鉱のあり方についてどうすべきかというようなものの資料がなくて、こういう三十年の行政管理庁の勧告、続いて三十一年の経営調査会の答申等に基いて、これは国鉄が志免炭鉱を離すのであれば、この際われわれはこれは買わなければいけないという、そういう炭鉱経営業界の人々がいろいろの形で動いたということではないんじゃないですか。総裁、一つその点をはっきりしてもらいたいと思うのです。
○十河説明員 お話のように、世間で表面的に問題になりましたのは、行政管理庁の勧告があり、経営調査会の答申があってからひどく問題になり始めたのであります。部内においてはその前からすでに、私就任当時業務の説明をいろいろ求めた際に、すでにもうそういう意見が出ておったのであります。それで私も実は現場をしさいに調査したいと考えましたが、問題がいろいろ起って参りまして、現場を調査すると従業員にかえって刺激を与えて不測の事故を起すようなことがあってはならぬというので——実は国鉄の固定資産の再評価という問題もありまして、志免炭鉱を再評価するという必要に迫られておったのであります。それすら漏らさざるを得ないような状態になったのであります。そういうふうに現場の従業員も不安動揺いたしておりましたから、そこで私はどうしてもこれは早く何とか結論を出さねばいかぬということを強く感じた次第であります。私の急ぐというのはそういう点が最も大きな理由になっておるのであります。
○正木委員 そこで総裁に率直にお伺いするのですが、午前中の各委員の質問及び今の私の質問に対して、総裁のお気持はだんだんわかってきたような気がするんですが、そうすると総裁こうなんでしょうか。五月八日の諮問第三号でこの委員会に、あなたは「志免鉱業所の譲渡価格は、いくらにすべきであるか。」という、諮問をなさいましたね。そうするとこの委員会は第一回の中間答申が十九日でございますが、このように特急以上のスピードであなたのところに答申をなさっている委員会ですから、もう国会の終ったとたんに価格はこれこれで妥当だという答申がなされると思うのですが、そうするとあなたはいきなり運輸大臣に答申をされて、もうすぐに民間に譲渡なさる意思なんでございますか。もう待ったなしに、答申案の通りに譲渡してしまいますか。それを伺いたい。
○十河説明員 私は急いでおります。従業員の安定を希望いたしますから私は急いでおりますが、急いで脱線しては大へんですから、脱線転覆しないようにきわめて慎重に急ぎたい、こう考えております。答申が出ましても、この委員会は私の責任のもとにある委員会ですから、私はその委員会の答申をさらに私の責任において十分に検討いたしまして、委員会の専門家の権威者の意見でありますから、十分に尊重はいたしますが、私の責任において採否を決定いたしたい。これは慎重にやりたいと考えております。ただ評価にいたしましても、これはなかなかちょっこらちょいとできないことであります。なるべく早くお願いしておかないと、評価に手間どっていつまでもこの不安の状態が続くようなことがあっては相済まぬ、こう考えまして、評価の点も早く諮問案を出したような次第であります。
○正木委員 私どもが陳情を受けている地元の四カ町村の代表の方と、お宅の山で働いている従業員の代表の方からの陳情は、総裁が御心配になっている不安と逆の不安を実は持っているんです。地元のお宅の山で働いている従業員の諸君は、なぜ一体総裁はしりに火がついたように急にこの山を手放さなければいけないんだろうかというところに不安を持っているわけです。それから地元の四カ町村の人々は、やはり山で生きている関連を持った四カ町村だけに、それからくる経済的な、精神的な影響についての不安を持っておるわけです。ですから地元の方々の一番心配しいる点は、一体国鉄はわれわれがこれほどまでに必死に努力して、当局と働く従業員とが一体となって、九州でも一番いい成績を上げ、全国でも一番いい成績を上げているこの山をなぜ手放さなければならないんだろうかというところに不安があるんですから、あなたの不安と実際とは非常に食い違っているような私は気がするんです。そこで、総裁はお疲れでございましょうから、事務当局にお尋ねするわけですが、一体それほど急いでこの山を手放さなければならないほどこの山というものは老朽化してしまって、動きのつかない山なのかどうかというところにやはり問題があると思うんです。そこで私は事務当局にお尋ねするんですが、この志免鉱業所の帳簿価格で全体としての資産はどれくらいに見ておられますか。
○平出説明員 帳簿価格では二十五億になっております。 それから志免の鉱区の状況でございますが、これは午前中総裁からもお話ししてございますが、すでに志免の鉱区は各方面で鉱区境、あるいは大きな断層、あるいはまた火成岩からできている基盤、これにぶつかっておりまして、全体に広がり尽したという感じのところであります。それですから今後採掘する場合は非常に断層の落ち込みの激しいところに行かざるを得ない、こういうような技術的なところに参っておるのでございまして、現地の責任者におきますても、今後の採掘をいかにすべきかということにつきましては、非常に研究しておるものでございまして、そういう状況からいきますと、この際できるだけ早くやはり総合開発するなりして、将来の安定をもたらす必要があるのではないか、これは私ども直接管理を担当しておる一員としましてそういう感じを持っているものでございます。この点はまた調査委員会においても専門的に検討していただいておるのでございまして、大体そういった方向の御意見を承わっておるのでございます。
○正木委員 帳簿価格で二十五億をこえているわけですね。そうすると、実際に資産を再評価しますね。現実に再評価するとどれくらいの見通しになりますか。
○平出説明員 ただいまそれは作業中でございまして、先ほども総裁から申し上げました通り、ここ二年ほど前から再評価委員会でもって取り上げておりましたのですが、いろいろこういう複雑な問題が起きましたために、作業が一応中途で終っているという形になっておりまして、まだ正確な再評価の額というものはできないのでございますが、今これは調査委員会の御意見を承わって、至急再評価することになっております。
○正木委員 それは事務当局としておかしいじゃないですか。帳簿価格で二十五億——よろしゅうございますか。その帳簿価格は一体いつの年代の帳簿価格が二十五億なんですか。これが一点。それから再評価するために二年前から手をつけたのだが、こういういろいろのことが起きたから、それを中断しているんだ、そうしてあなたの方で委嘱した委員会からの答申を持つんだということは筋が通らないじゃないですか。第一、あなたの方ではお宅の山を売ろうというのですよ。売る御主人の方が買い手の方から値段がついてこなければ自分の財産が幾らあるのかわからないというような、そんなでたらめのことができますか。実際事務上のことでそういう御答弁をするとやはり問題を起しますよ。ですから、昭和何十年のときの調査によっての帳簿価額は二十五億でございます、これを再評価するならば、大体においてこれくらいのものになりましょう、しかし、それは現実に正確には調査しておりませんというならば筋は通りますけれども、なぜ一体調査するのを中止しているんですか。
○平出説明員 帳簿価額の二十五億と申しますのは、それぞれの財産を取得したときの時価をもって財産台帳にあげております。これは今までそういう整理の方法をとっておりますのでそういう資料が出ておりますが、これは膨大な資料であります。これを一々当りまして、これを今の時価に直して、それから何年たっているから大体財産はどのくらいになるだろうかという作業をいたさなければなりませんので、その一部はやっておりますが、そういうこまかい問題につきまして全部完了しておらないわけでございますので、その点御了承願いたいと思います。
○正木委員 そうしますと、これはあなたに聞いていいか、たれに聞いていいかわからないが、われわれの国会に出される国鉄財産というものは正確なものではなかったということになる。志免鉱業所という事実があるわけですね。買い入れ価格を土台とした帳簿価格があって、財産の上で、国鉄財産全体を再評価したものがわれわれの国会に書類として出ておるわけだが、今お聞きすると、志免鉱業所に関する限りは全然手をつけていないということなんです。しかし世間ではこう言っていますね。新聞、雑誌等にいろいろ出たものを総合しますと、あるものは百億という数字も出ておりますね。あるものは七十億は下らないであろうという数字すらも出ているわけです。ですから、総裁、あなたが諮問第三号で志免鉱業所の譲渡価格をいかにすべきか、幾らにするんだといってこの委員会に諮問する前に、ほんとうに売るという決意をしたならば、まず第一に、自分の財産は現在の価格に直して正当にどれくらいあるのだということを、あなたは責任を持って調査する必要があるんじゃないですか。それをなさらないで、相手方にだけ、しかも第三者の人に一体幾らに売ったら妥当だろうかという諮問をされることは軽率のそしりを免れないではないかと私は思いますが、総裁、これはいかがですか。
○十河説明員 ごもっともで、再評価の調査をしたいと思って、委員までちゃんときめてあるのでありますが、それが従業員の不安動揺や何かの問題がありまして、かえってそこへいって刺激を与えていろいろの事故等を起しても大へんだということでおくれているのであります。評価をしないで売ってしまうというようなことは絶対にいたしません。また委員の方々は専門の方々でありますから、どういうふうに評価したらいいかというふうなことについて委員の方々のお知恵を拝借して、そうしてわれわれ責任を持って評価をいたしまして、それから譲渡するということになるかと思っております。
○正木委員 重ねて私は御質問を申し上げるというよりか、常識的に私があなたに申し上げたいことは、お宅の志免鉱山を売るんだとするならば、これは百億で買う人がないか、百二十億で買う人がないかというように、やはり国の財産なんですから、国民の財産なんですから、あなたお一人の財産ではないわけですから、どなたが調査をなさっても、なるほど百億なら百億の値があるという確固たる責任ある調査というものが、十分に国鉄のあなたのところでなされることがまず第一だと思うのです。しかしなおかつこれは自分のところで資産を再評価をし、その他を調査したのだが、念のために国民から誤解を受けないためにあなたの御信頼なすったこの委員会の諸君にも御調査を願うのだ、こういう二段がまえでくるのが常識ではないでしょうか。たとえばこの正木の家を売る場合でも、買う方があれば値段をつけられた通りに売りますということではないのだと思うのです。やはり売るには売るだけのこちらにも希望と用意があるものだ、こう思うのが常識だと私は思うのです。ですから私は、この売る、売らないということについては私個人、社会党としては絶対放すべきではないという意見を持っておりますけれども、これは議会でどうするという権限はございませんが、総裁としてやはり慎重に慎重にとおっしゃる限り、悪いことは申し上げませんから、あなたの部下にりっぱな専門家がおられるのですから、一日も早くこの自分自身の責任ある再評価をきちんと立てるべきじゃないか。それが半年かかるか、八カ月かかるか、一年かかるかわからぬけれども、今日放す、一年後に放す、一年半後に放すことによって、私は総裁の責任上の問題が起きるというような性質のものではないと思うのでございます。ですからあなたは直ちにあなた自身の権限のワクの中で、この志免鉱業所に対する価格再調査のための準備に入られる御用意があってしかるべきだと思いますが、総裁いかがです。ただあの委員会がきめた通りにあなたは放してしまいますか。それでいいのですか。
○十河説明員 たびたび申し上げますように、あなたまかせで払い下げをするというような意思は毛頭持っておりません。私は私の責任において十二分に調査をして、そうして適当な価格で譲渡をしたい、そうしなければならぬ、私はそう思っております。ただその評価がなかなかむずかしいのでありまして、いろいろな何とか式という計算方法もありますから、そういう計算方法でただ印刷されておる数字を計算することは容易でありますけれども、実際はどうなっているか、実はさっき正木委員のお話のありましたように現地を視察をして、十分に現状を見届けた上でなければ正確な評価はできないのであります。ところが、その現状を見届けて十分な正確な評価をするということが今困難な事態にあるのであります。それゆえに二年も三年も前から問題になっておりながらそれができないような状態にあるのです。それができなければ進めないとなると、いつまでも不安が続いていくのです。これは私として部下従業員に対してまことに相済まぬという考えを持っております。それゆえに、私はでき得るだけ早く従業員に同種の職場で安心して働いてもらえるようにしたいということを考えて、今こういう手続を進めておる次第であります。
○正木委員 総裁自身、非常にお一人で責任を感じておられると思うのでございますよ。総裁、失礼ですが、あなた九州の志免鉱業所へ行ってごらんになったって、あなたがわかりますか。あなたは鉄道屋さんで、炭鉱屋さんでないあなたがわかりっこないのです。ですからあなたの下に優秀な部下がおられるのだし、あなたは売る方の立場に立っているのですから、それこそあなた方自身の手によってやはり正確な再調査をやるべきではないかと、こういうのです。これは当然なんですよ、買い入れ原簿価格はあるわけですから。それから当然、国鉄の鉱山でございますから、一品カードによってきちんと整理されて、台帳もできているに相違ないわけです。ただ現実にそれを現在の資産として再評価するときのその評価の仕方が妥当であるか妥当でないかということが問題になるのです。ですから、やろうと思えばできないわけではないのです。やらないでほうっておくからできないのです。そこが私どもは理解に苦しむわけなんです。私はそれをやることがまず第一だと思う。だからその間半年かかるか、八カ月かかるか、一年かかったとしても、大事をとるべきだ。それがあなたのおっしゃる慎重な心がまえだ、こういうことなんです。どうも総裁の答弁を聞いておりますと、何か非常にお急ぎになるような気がしてならないのです。大体あなたが信頼するこの委員の諸君がどのような形でお宅の山の財産の評価をするのか私はわかりませんが、これだってそう人の財産だからといって、これだけの信頼に足る委員の諸君が変なことはおやりにならぬと思うにしても、こちらにそれだけの準備がなければ私はどうにもならぬと思うのですが、総裁いかがですか。ゆっくりかかってあなたの手元で再評価をやって、さらに参考としてこの諸君の調査もいただく、こういうお心に変えるわけにいきませんか、重ねてこの点をお伺いしたい。
○十河説明員 われわれのところででき得る限りの評価は、先ほども資材局長から申し上げましたように作業は進めておるのであります。おるのでありますが、さっき正木委員がおっしゃったように、現地に行って現地で調査することは、これはもう少し刺激をしないような方法がとれないものか、こう考えまして、いろいろわれわれは苦労をいたしておるのであります。でき得る限り早く現地へも参りまして正確な評価をいたしたい、こう考えまして、今われわれの手でできる限りの評価の手続を進めております。
○正木委員 事務当局にお尋ねするのですが、あなたの方でほんとうに志免鉱業所の資産の再評価の作業を進めておるのですか。
○平出説明員 先ほど申しました通り、前に進めた資料もございます。現在なおそれは継続してやっております。それで今も総裁からお話がありましたが、私どもは私どもの立場で十分資料を整えます。そしてなお、これは非常に複雑なものではございますし、また炭鉱界のそれぞれ取引の常識もございますので、そういうものも、専門家のいわゆる御鑑定と申しますか、そういう御意見も一応承った上で、私ども国鉄の責任において妥当な評価をきめて折衝したい、こういうふうに考えております。
○正木委員 その作業の終る見通しですが、時期はいつごろになりそうでございますか。
○平出説明員 最終的には先ほどから総裁が申されておりますように、現地の方を一応全部見ませんことには一品たりともおろそかにできないと思いますので、相当期間は要するのではないか、こう思っております。
○正木委員 そこで私は事務当局の方にお尋ねするのですが、委員会の中間報告を見ますと、こういうのですね。「志免鉱業所に対して日本国有鉄道が現在までにとってきた合理化施策は、おおむね良好なる成績を挙げている」と非常にほめているわけですね。各種委員会でこの程度までにほめるということは、よほど総裁の統率よろしきを得て大した成績を上げている。総裁、これは全く総裁の人徳のしからしむるところだと思いますが、そこで「国鉄経営下においては現在の鉱区内における合理化は最早限界に達し、しかも現在の状態を長く維持することは困難であろうと推定せられた。」こういうのです。これが総裁が売山を決意するに至った大きな原因の一つではないかと思う。そこで事務局の方にお尋ねしたいのは、一体志免鉱業所の鉱区の総坪数はどのくらいあるのですか。帳簿上の数字でいいのです。
○吾孫子説明員 志免の鉱区は二つに分れておりまして、採登百七十二号鉱区というのが五十六万五千百九坪、それから採登千三百十七号鉱区と申します方が二百三万四千百三十四坪、合計二百五十九万九千二百四十三坪ということになっております。
○正木委員 そうすると炭鉱鉱区としては小さいものじゃない、相当大きなものだ、こういうことが大体想像されますね。 それからその次にお尋ねしたいのは、この埋蔵量でございます。もちろん推定でございましょうが、今日まであなた方の帳簿の上にはどういうように現われておりますか、それをお伺いしたい。
○平出説明員 埋蔵炭量につきましては、これは一応JIS規格というのがございまして、理論埋蔵炭量に安全率と実収率をかける、こういう規定になっておるわけであります。それをかけ合せて一応出したものが昭和三十年にありまして、その後は精密な検査をしていないわけでございます。そのときの資料によりますと、実収炭量としましては約千三百六十四万トンということになっております。それを約三年間掘っておるわけでございまして、それを差し引きますと、このときの状況が今あるとすれば、一応千二百万トンほど埋蔵炭量としてはなければならぬ、こういうことになるわけでございます。ただ、これにつきましては今いろいろ議論をしておるのでございますが、安全率、実収率の見方といいますものは、これはそれぞれの見方がございまして、それから最近の炭層の状態からいいますと、相当基盤線が早く出てきており、炭層が相当入り組んでおるという関係がございまして、果してこれが実収炭量の計算の基礎になるかどうかということについては、これまた今非常に議論をしておるところであります。一応そういうことになっておるわけであります。
○正木委員 大体これだけの、二百六十万坪からの大鉱区で、理論埋蔵量でなくて推定では、おそらく——あなた方の書類を調べてごらんなさい、二千万トン以上になっておると思うのです。そして実際の安全率、実収率というものを換算して出てきたものは千三百万トン以上になっておると思うのです。ただしかし、これはあくまでも安全率、実収率で、これはやはり現地における技術者の推定でございまするから、その専門家の見る人々によっていろいろの意見が出てくることは当然であろうと思うのです。ところが、よろしゅうございますか、売る立場に立つあなた方が、資産再評価もいまだできていない、埋蔵量についても議論まちまちのままの現在で物を売るのだというその態度が、果してわれわれ国会に対しても、政府に対しても、国民に対しても忠実な国鉄首脳者のとる態度かどうかということになると、いささか私には理屈が出てくるわけですよ。そういうものではないと思う。地上に現われた、それから坑内の諸施設に対する再評価にしても、私は時間をかけても責任あるものを作り上げる——それから埋蔵量にしても、その合理化はもう全然見込みがないのだということがおそらく総裁の頭の中に入っておると思う。志免鉱業所というものは、もう五年か六年たつと山がくずれてしまってどうにもならないのだというような先入観があなた方の頭にあるのじゃないかというくらい私は心配した。この山はそういうものじゃないですよ。私は山については多少自信があるから申し上げておるのです。私は山に生まれて、私のうちは山の経営でつぶれておるのですから、私は自信があるのです。ですから事務当局にお尋ねしたいのは、志免鉱業所から、三十年か三十一年に、志免鉱業所に対する十カ年の生産計画というものがあなたの方に出ておるはずです。出ておるでしょう。それを発表してごらんなさい。
○平出説明員 いろいろ長期計画を立てたものはございます。いろいろございますけれども、最終決定したものは持っておりません。
○正木委員 最終決定したものでなくとも、志免鉱業所がこの企業合理化を通じて地元の四カ町村、従業員と一体となって成績を上げる過程の中で、この十カ年生産計画というものが青写真であってもできておるはずです。それは最終決定はできていないでもできているはずですから、発表してごらんなさい。そうするとこの山の生命というものはおのずからわかってくるのですから、出してごらんなさい。
○平出説明員 先ほどから申しておりますように、私どものいろいろ検討した結果によりますれば、現在の出炭状況を今の鉱区内においてはそう長く続けることはできない、こう考えております。
○正木委員 それでは困るのですよ。あなたの想像とかそういう観念論ではないのです。現地の志免鉱業所から十カ年の生産計画というものが出ているのです。しかもその出ている根拠は、日本工業規格炭量計算基準に基いて出ているはずなのです。だからそれが最終的な総裁の決裁を受けない、それともあるいは首脳部として決裁をしなかったかもしれないけれども、現地の鉱業所では十カ年計画ができておるのだから、それを出してごらんなさいと言うのです。あるものがどうして出せないのですか。
○平出説明員 まだその決定したものは持っておりませんので、それは今申し上げかねるのでございます。
○正木委員 だから最終決定されなくてもよろしいから、私は議員の資格であなたに、参考資料としてここで公けに発表してごらんなさい、こう言うのです。どうして出せないのですか。おかしいじゃないですか。私はあなたの責任をどうこうと言うのじゃないのですよ。国鉄の責任をどうこう言うのじゃなくて、この委員会の中間答申によるとこう出ておるのです。「国鉄経営下においては現在の鉱区内における合理化は最早限界に達し、しかも現在の状態を長く維持することは困難であろうと推定せられた。」こう答申をされておるから私は、推定埋蔵量二千万トン、そうして安全率と実収率を考えてもいまだに千三百万トンは可能である、しかもこの数字は、日本工業規格炭量計算基準に基いて志免鉱業所が十カ年生産計画を立てたときの基準になっておるのだ、こういうように承知しておるから、あなたのところにあるはずだから参考としてここに発表してごらんなさいと言うのです。最終決定がどうであろうとこうであろうと、現地の志免鉱業所では立てておるのですから、どうしてそれが発表できないのですか。
○平出説明員 ただいまこの席に持っておりませんので御発表できませんが、いろいろと調査した上で御参考になるものであれば御発表したいと思います。
○正木委員 私は本日はこれで質疑を打ち切りますが、私は議員の権限として国鉄当局に要求しますことは、志免鉱業所が十カ年生産計画書というものを持っているのですから、これが本社に来てないはずはないのです。それが総裁の承認を受けたとかどうかというものでなくて、参考としてでも、現地の志免鉱業所としては十カ年計画を持っているのです。それを私の方から申し上げてみましょうか、こうなっているんですよ。五坑は三十三年度で七万一千五百トン、それから四十二年で七万一千五百トン、八坑は、三十三年度で二十万九千二百五十トン、従ってここは四十二年度にはゼロトンになる。縦坑は三十三年度で十九万三千五百五十トン、四十二年度で十六万一千トン、こういうようになっております。さらに詳細なことは私のところでも実は参考資料として持っておりますが、あるんです。ないんではないんです。それから炭鉱ですから私は、国鉄の財産であるこの志免鉱業所の問題を取り扱うときには、やはりあらゆる専門的な技術者を動員して山のあり方というものを——東大を出られた行政官が理屈をつけるのではなくて、それこそ鉄道は鉄道屋と総裁がよくおっしゃいますが、山は山の専門家に、それこそ金をかけてもよろしゅうございますから、ほんとうに志免炭鉱の山のあり方というものを十分研究なさらなければ悔いを残しますよ。あなたほんとうに残しますよ。悪いことは申し上げません。それは悔いを残しますよ。ですから権威ある人々を動員して十分に調査なさって、それからどうすべきかということの結論を出してもおそくはないではないかと私は思います。ですから私の質問は本日は保留して、その資料が出てからあらためて再質問をお許し願いたいと思います。
○十河説明員 私はその十年計画なるものをよく存じませんが、せんだってもこの調査委員会に現地からも技術者が出て参りまして、この鉱区はこういうふうにもう境界にぶつかっている、この鉱区は火成岩の基盤にぶつかっている、それゆえに今後二、三年たつとこういうふうになる、だんだん今の五十万トンが四十五万トンになり四十万トンになる、そういうふうになるということが従業員としても非常に不安に思うところでありますし、現に従業員、技術者が連名で私のところへ、そういうふうな不安があるからして隣接鉱区を買収してくれ、そうして五十万トン出るように大炭鉱としての寿命を五年なり十年なり延ばしてもらいたい、こういうことの陳情書が来ております。また同様の意見を労働組合も二回にわたって私に陳情をいたしておるのであります。それゆえに私はそういう点を——私自身は正木さんのおっしゃるように運送屋でありまして炭鉱のことはよくわかりませんから、炭鉱の専門家にそういう意見を聞いてもらいまして、その専門家が、なるほどこれではもう合理化は極限に達しておる、今後はこの規模が長く操業をしていくことができない、だんだん小さくなってくる——小さくなってそして長い間続くことはもちろんあり得るのであります。三年とか五年とかいう短期の寿命じゃないということはもちろんでありますが、現在の規模で長く採炭を続けていくことはできない、そういう状態にあるということを私の方の国鉄の炭鉱技術者も図面を持ってきて申しますし、専門の方とももっともだということでありますから、私はそれを信用しておる次第であります。この志免炭鉱が石炭を取ってしまって寿命がもうなくなってしまうということは、私は考えておりません。ただ、こういう大きな規模での採掘を長く継続することはできない、これを継続することができないとなると、だんだん人を減らしていかなければコストが高くなって手が余ってきて困る、人を減らすについては配置転換をするとかやめるとかしなければならぬ、そういうことの不安が従業員の間にあるということを申し上げたのでありまして、その点については、われわれは別に運送屋がわかりもしないうちにそういうことを断定しておるというわけではないのであります。私どもの持っておる技術者に説明をしてもらって、それを専門家に聞いて判断してもらってそういう結論に到達しておるということを申し上げておる次第であります。
○正木委員 総裁、志免鉱業所の現地の十カ年計画というものは三十三年を起点として昭和四十二年まで、さらに志免鉱業所の埋蔵量というものについては幾多の問題点が残っておるのです。それから従業員の方々が隣接の鉱区を買収してくれということは、総裁、あなたが火のついたように売るんだ売るんだとおっしゃるから、売るくらいならばお隣りの三菱さんの鉱区を買収して、そうして山を拡張した方がよろしいんじゃないか、こういうことなんですよ。あなた現地の首脳部の職員の心と、その山で働いている従業員の意見をよく聞いてごらんなさい。どうもあなたの考え方は私はおかしいと思うのです。しかし今日はこれにとどめておきますから、いずれまたあなたにお目にかかります。
○塚原委員長 河野正君。
○河野(正)委員 志免鉱業所の売山問題にからまりまして、午前中から長い間質疑が展開されて参ったのでございます。その間総裁からあるいはまた事務当局からいろいろ御答弁を承わっておりますけれども、私ども全く了承するわけには参りません。どういうことかと申しますと、先ほど来調査委員会に対しまするいろいろな質疑が展開されて参りましたが、その中の一項目を取り上げて参りましても明らかでございますように、たとえば四月の七日に「志免鉱業所の措置をいかにすべきか。」という第一回の諮問が行われております。ところがこの第一回の諮問が行われました四月の七日から幾ばくもなく第二回の諮問が行われて参りましたことは、先ほど御指摘された通りでございます。すなわち四月の十六日、九日後におきましては、「志免鉱業所を日本国有鉄道の経営から分離する時期及び方法はどうきめるべきか」というふうな諮問が行われておる。さらに約一カ月後の五月八日におきましては、これも先ほど御指摘いただきましたが、いわゆる売山を前提として「志免鉱業所の譲渡価格は、いくらにすべきであるか」というふうな諮問が次から次に行われておるのであります。ところが志免鉱業所の歴史というものは、すでに七十年という長い歴史をけみしておりますことは御承知の通りでございます。しかもその間におきましては、私は従業員諸君のなみなみならぬ経営合理化に対しまするところの苦労もあったと思います。なおまたその中におきましてはいろいろな、いわゆる貴重なる犠牲者もたくさん出て参ったと思います。なおまた山の従業員の、山に対しまする血の通った愛情というものが、この七十五年間の歴史の中におきましては、強く生きて流れておるものと私は痛感するわけでございます。そういった筆舌に尽しがたいような、七十年間の歴史と伝統があるのでございまして、その七十年間の歴史と伝統に生きたこの山を、ただいま申し上げますように一週間そこそこで処理する方向への諮問が発せられておるということは、十河総裁がなるほど委員会におきまして、ある場合には、声涙ともに下るようなお言葉で山に対する愛情を持っておられます気持というものが披瀝されておるのでございますけれども、十河総裁が心からそういった気持でございますならば、やはりこの七十年間の歴史を無視して、わずか一週間やそこらで、あるいは一カ月やそこらの諮問で、この鉱業所を幾らの値段で払い下げるべきかというふうな諮問を発せられますことは、残念なことでございますけれども私はまことに軽率なる態度であるというふうに指摘申し上げなければならぬと思うのでございます。私はそういった、常識で判断いたしますると全くおかしいような諮問をされるところに、いろいろなデマと申しますか、風聞と申しますか、そういったものが生まれて参る大きな理由があるというふうに考えるのであります。少くとも十河総裁がほんとうに山を愛し、ほんとうに従業員を愛されるならば、わずか一週間や二週間で、はたまた一ヵ月そこそこでこの山を売り渡すというふうな結論を出すような方向を委員会が示すことに対して、十河総裁が了承されるということは、私は全く不可解といわなければならぬと思うのでございますが、その辺のお考えをあらためて一つこの席上で承わっておきたいと思います。
○十河説明員 たびたび申し上げまするように、この問題は私の就任当時からの問題であります。その以後静かに慎重に検討を続けて参ったのであります。私どもの検討した結論と委員会の結論が一致しておるということで私は、やはり専門家はふだんから研究しておられるから、われわれが考えておった、長い間いろいろな人に意見を聞いてやっておったところとぴったり一致する、こう考えまして、私の考えをここで確かめて裏書きをされたつもりで、委員会の答申を取り上げた次第であります。私は長い間研究をいたしておりました。決して一週間や十日の短期間にあわてて決意をしたというふうなことはないのでございますから、その点はどうか御了承を願いたいと存じます。
○河野(正)委員 ただいま総裁の御答弁によりますと、委員会がたまたま自分の考えることと同じような方向に結論を出しつつあるので、まことにわが意を得たりというふうな気持でこの問題を処理されようとするところに、私は非常に大きな問題があるということを先ほど御指摘申し上げたのでございます。と申しますのは、少くとも総裁がこの七十年間の尊い歴史と伝統というものを尊重していただきまするならば、私はむしろ一週間やそこいらで、この調査会の方々が結論を——中間的ではございますけれども結論を出されることにつきましては、了解しがたいという態度を示されるのが、まことに適切な措置ではなかったろうかということを強く考えるわけでございます。と申しますのは、少くともこの七十年間の歴史と伝統というものが十分委員会の中でも尊重されるといたしまするならば、私は委員会の皆様方も、これは総裁が御委嘱されましたりっぱな方々でございますから、良識と見識とを持っていたものと確信をいたします。そういたしますると、そういった見識なりあるいはまた良識を持っておられまする委員の方々が、一週間や二週間でこういった結論を出されるということは、私どもが常識的に判断をいたしました場合にはまことに了解することができません。しかるに一週間や二週間でそういった結論を出し、それを総裁がわが意を得たりとばかりに了承されるということにつきましては、先ほど申し上げましたように私どもといたしましては、総裁の考え方そのものに非常に疑問を持たざるを得ないということでございます。委員会が一週間や二週間で、中間的な結論ではあるけれども出すといたしますならば、少くとも七十年間の歴史と伝統を持つ、しかもこの問題が地元の従業員なり、あるいはまた関係のあります四カ町村に及ぼします影響というものは非常に重大でございますから、そういった立場からこの問題をながめて参っても、もっと慎重に検討してもらえぬだろうか——売るか売らないかという結果は別でございますけれども——というくらいの意向をむしろ総裁の口から御指摘願うということの方が、私は適切ではなかったろうかと考えるのでございます。一週間や二週間で中間的な結論が出てくる、それを待っておりましたとばかりに総裁が了承されるということにつきましては、総裁が何らか特別の一方的な意図を持っておられるから私はそういったことに相なるのではなかろうかということを強く感じるわけでございます。そこで、ただいま総裁は自分の考えとたまたま一致したのでということでございますけれども、むしろ総裁としては従業員の将来のことを考え、あるいはまた関係いたします四カ町村——もちろんこの四カ町村の協力があったからこそ今日まで志免鉱業所の運営ができて参っているのでありますから、将来のことは別といたしまして、今日までの四カ町村の協力ということにつきましては十分なる考慮が払われなければならぬというふうに私ども強く考えます。ところが先ほど申し上げますように、ほんの短期間で結論を出したことに対して直ちに総裁が了承を与えるということは、私はその総裁のお考え方に対して非常に大きな疑問を持たなければならぬ。私どもが持つくらいでありますから、世間ではいろいろな風評を立てる。風評を立てられることは総裁といたしましても心外に考えられることでございましょうけれども、しかしながら、私どもが今日までいろいろと国会の委員会におきまして質疑を展開し、この問題に対します認識を改めて参ろうというふうに考えております私ども自体もそういった疑問を持つわけでございますから、世間一般の人々がこの問題に対しまして非常な大きな疑惑を持つことは当然のことだと思います。どうです、総裁、わが意を得たりというような答弁でなくて、もう少し率直に血の通った御答弁を承わっておきたいと思います。
○十河説明員 繰り返して申しますが、私は従業員の幸福を思い、また午前中にも申し上げましたように、このまま炭鉱がだんだんしり細りになってきては、せっかく今日まで愛して下さった地方の関係者の方々にも御迷惑をかけるといかぬ、だからできるだけ繁栄を持続することのできるように、また従業員が安定した職場を続けていくことのできるようにということをもっぱら考えましてこういうふうな処置に出たい、こういうことを決意いたした次第でございます。その点は繰り返して申し上げますが、どうぞ御了承願いたいと思います。
○河野(正)委員 すでに今までいろいろと質疑が続行されて参りましたように、どうも総裁の午前中からの答弁を承わって参りますと、何らか特別の配慮を持ってこの問題を短期間に決定されようというふうなお考えでおられるのかどうかわかりませんけれども、この問題を短兵急に解決しようというふうに考えられておるのではなかろうかという一つの疑問を抱いて参っているわけでございます。それが、私ただいま指摘申し上げましたように、諮問の期間にも関連する問題でございますが、総裁がほんとうに現地の従業員の将来を考え、あるいはまた、今日まで御協力いただきました関係四カ町村の十万人に及びます住民の方々の将来を考えますならば、言葉ではなるほど総裁も慎重々々と言っておられますけれども、私は具体的にもっと慎重に事を運ぶべきではなかろうかというふうに考えるわけでございます。先ほども正木委員から御指摘がありましたように、志免鉱業所の現地におきましても、志免鉱業所生産十カ年計画というものを出しております。この十カ年計画によりますと、もちろんベースは若干減少しているようでございますけれども、可採炭量と申しますか、埋蔵炭に対します見解はいろいろございますので一応たな上げするといたしましても、この十カ年計画というものが打ち出されておるということは明らかでございます。しかも五十万トンベースがほぼ一、二年で必ずしも少いベースに切りかえられるというわけでもないのでございます。何も短期間にこの問題を処理しなければならぬとか、短期間に処理しなければ従業員が直ちに不利な影響を受け、あるいは関係四カ町村が非常な不利な影響を受けるということでないということは、当局が出しておるこの十カ年計画をながめて参りましても明らかでございます。そういった科学的な、具体的な資料があるにもかかわりませず、この問題を何か短期間に一挙に解決してしまおうというような考え方で処理されるところに、先ほど申し上げたようないろいろな問題点があるのではなかろうかと考えるのでございます。従って私は、この問題につきましては、正木委員からの資料要求もございましたので、いずれそれの提出されました暁におきましてこの委員会で質疑を続けて参りたいと思いますが、そういった具体的な資料なり計画をながめても、この問題を短期に処理しなければならぬ、緊急に処理しなければならぬというふうな事情ではないと思いますが、総裁はその点に対しましてどういうふうなお考えで今後ともこの問題を処理されるのか、明らかにしておいていただきたいと思います。
○十河説明員 これはたびたび繰り返して申し上げておるのでありますが、現在の出炭量はもう最高でありまして、今後だんだん減るということは現地の技術の責任者も申しておるのであります。今後毎年二百人になるか三百人になるか知らぬが、若干人を減らさなければいかぬような出炭量になるだろうということは、現地の技術の責任者が申しておるのであります。それでありますから、一部にはそういう十年計画といったものがあるかもしれませんが、現地の責任ある技術の当局者がそういうことを言っておりますから、私はそれを信頼して先刻来申し上げますような結論を出した次第であります。
○河野(正)委員 総裁がおっしゃいますように、地下資源でございますから、掘れば掘るだけ減るという結果は当然生まれてくるのでありまして、掘れば掘るだけ可採炭量は減ってくる。ところが売る側は別として、なぜこのように急速に処理されようとするのか。これを急速に処理しなくても将来従業員が不利な影響を受ける、また関係いたします四カ町村の方々が不利な影響を受けるというようなことはないわけです。早急に短期間にこの問題を処理しなければ従業員が甚大な影響を受け、あるいはまた地元市町村の方々が不利な影響を受けるというふうな表現をされるところに、われわれ絶対納得できない一つの根拠があるわけでございます。何も一週間やそこらで中間報告を求め、あるいは一カ月後には幾らで売るのだ、価額の評価の審議に当れというふうな諮問を発せられる必要はないのではないか。むしろそういったことが非常に大きな誤解を招く。総裁は先ほどからいろいろ強調されておりますが、私ども総裁が強調されておりますようにいろいろな風聞みたいことがあっては、ことに国有財産でございますからならぬと思います。ところが、そういった誤解を招くような点がいろいろあるわけでございます。私は、結果は別といたしましても、慎重に事を進めるべきは当然のことだというふうに考えるわけでございます。総裁に重ねてでございますが、今のように短期に決定しなければ因るのだという考え方を今後とも持ってもらうことは全く承服できません。多少具体的な事実につきましては見解の相違があるかもわかりません。しかしながら、現地から出しております十カ年計画というものは、当局側でもお認め願わなければならぬある程度科学的根拠があるというように考えます。従って、今までやって参られましたように短期間に決定するという方向でなく、もっと慎重な態度で、調査委員会にも検討願い、あるいは事務当局内の作業においても、この問題の処理を続行していくよう、考え方を切りかえていただきたいと思うのでございますが、この点に対します総裁の御所見を伺いたい。
○十河説明員 繰り返して申し上げますように、私の就任前からの問題でありまして、私が就任してからもすでに三年余検討に検討を続けてきたのでありまして、決してあわててこれをきめようと突如としてこういう案を出したのではないのであります。私がこれを切り離す意思を持っていないということを繰り返し繰り返し申し上げましても、世間はいろいろな風評を立て、皆さんからいろいろ質問を受け、従業員が不安動揺いたしますから、それゆえに私は、こうなれば、三年も自分は慎重に研究したのだが、どうもこういうふうにいつまでも不安が続くようでは何とかしなければならぬということで、今度調査委員会を設け、調査委員会の結論を待って、私どもの慎重な検討とあわせて適当な処理をいたしたい、それで私は切り離すことが適当であるという結論に達しておるという現状を御説明申し上げた次第でありまして、あわてて突如としてこういう案を出したのでも何でもないということをどうぞ御了承いただきたいと存じます。
○河野(正)委員 総裁のただいまの御答弁によりますと、前任者から、しかも自分の在任中も約三年有余にわたってこの問題を慎重にやってきたのだ、そこで自分は最終的な結論を見出したのだということでございます。それは総裁個人として三年有余御検討いただきましたことにつきましては敬意を表します。それであるならば、私は、この調査委員会がわずか一カ月そこそこで志免鉱業所は売山すべきであるというような結論を出すことについては、まことに委員会の皆さんに対しましては恐縮な言い分でございますけれども、こういった委員会の皆様方が短期間でそういった結論を出されることにつきましては、総裁としては軽率だと思う。もう少し慎重を要するというような気持がないのかどうか、この点を一つ明らかにしていただきたいと思います。
○十河説明員 私はどうもしろうとでありますから、長い間かかって検討いたしましたが、専門家は大体もうふだんから考えておられることで、こうすることが至当だという結論が、われわれのように長くかからなくても出るのじゃないかというふうに私は思っております。
○河野(正)委員 今総裁の言葉を聞きますと、そんなことでは私は国鉄総裁として嘆かわしいと思うのです。私は国鉄総裁の名誉のためにも、まことに若輩で恐縮でございますけれども御忠告申し上げたいと思います。それは総裁、少くとも国鉄総裁というような重責にあるあなたが、この専門委員会、しかもその専門委員の方々は専従でやっておられるわけではないのです。 それぞれ重大なお仕事を持っておられる。そのかたわら何日間の何回かの委員会を開いて結論を出しておるわけです。そういったようにきわめて慎重を期さなければならぬ、きわめて重大なる問題を持っておりまする志免鉱業所売山問題を専門委員会にかければ、仕事のかたわらと言いましては恐縮でございますけれども、事実それぞれ各層各界におきまする権威でもあられる方々でございますから、やはり本職の余暇で御審議願ったと思いますが、そういったわずかの時間、わずかの日数をかけて結論が出てくるような問題について、総裁が自分はしろうとだから三年有余もかかったのだと言われることは、総裁の地位、名誉、権威という上から並べて参りまして、私は非常に残念に感ずるわけです。私はむろん総裁か謙遜して言われたと思いますけれども、その点を非常に残念に思います。そういったことを現地の人が聞きましたら、私は非常に残念がることだろうと思いますが、いずれにいたしましても、またこの調査委員会におきましても最終的結論が出ておるわけではございませんから、さらに私が御指摘申し上げましたいろいろな事態に対しましては、十分一つ委員会にも反映していただく。これは総裁の諮問機関でございますから、総裁の口から反映していただき、さらに慎重なる審議を続けられるよう一つ要望していただくことを私は強く要求いたします。 それから、ただいまの総裁のお答えの中にもございましたが、この問題を早急に解決するその理由の一つでございますけれども、早急に解決しなければ現地の従業員というものが非常に不安を持っておる、そのために事故が多発する、そういったいろいろな点をおもんぱかって、いわゆるこの問題を早期に解決するというふうな一つの理由にしていいだいておるようでございますが、現地の従業員なりあるいはまた関係いたしまする四カ町村の十万の住民の方々が非常に大きな不安を抱いておられまするのは、それは今日まで公共企業体、いわゆる俗間で言いまする官業でございますが、官業だった炭鉱が民間に譲渡される、譲渡されては大へんだということで、従業員の皆様も、また家族の方々も、あるいはまた関係いたしまする四カ町村の住民の方々も、民間に譲渡されては大へんだというところに、私は非常に大きな不満、非常に大きな不安を持っておられるものと思うのでございます。そこで総裁はこの問題を、現地の住民の意向が、あるいは組合員の意向がどうであろうとも、自分の思う方向に早期に解決するということが、現地の不安なり従業員の不安を除去する道だというふうに御判断を願っておりまするけれども、しかしながら先ほど申し上げましたように、現地の従業員やあるいはまた家族や住民の不安というものは、売られる、民間に譲渡されるというところに非常に大きな不安を持っておるわけでございます。そこで今日まで現地からたくさんの人々が多くの犠牲を払って上京して、総裁に対しましても、あるいは事務当局に対しましても、幾多なまなましい陳情がなされたと思いますけれども、どうも現地の皆さんの意向が十分総裁以下の方々に御理解願っておられないのではないかというふうな感じを御答弁の中から受けるのでございます。現地の住民あるいは従業員の方々がどういう考え方で今日まで長い間反対の陳情を行い、またいろいろと皆様方にお願いをして参ったか、そういった現地の従業員なり住民の方々の心境を十分御理解願ってこの問題の処理に当っておられるのかどうか、まだ多少かかる疑問を抱きますので、その辺の御心境を一つお漏らし願いたいと思います。
○十河説明員 仰せの通り十分に現地の従業員の意思をくんでやっております。私が志免炭鉱を譲渡する意思はないということを繰り返し申しましても従業員が騒ぐところを見ると、これはこの私の意思を決定しただけでは従業員が安定しないということの証拠ではないかと思うのであります。それはさっき申し上げましたように、鉱区の境界にぶつかりそうになってきた、あるいは火成岩の基盤にぶつかりそうになってきたということを日々見ておるからではないかと思います。それゆえに隣接鉱区を買収してくれという陳情が出てきたゆえんである。私はこれは従業員の心持を十二分にくんだ上の判断であります。決して私は従業員の意思を無視してやろうという考えは持っておりません。
○河野(正)委員 ただいま総裁は、もし自分が民間払い下げをしないと言っても現地の従業員諸君の不安は解消せぬとおっしゃいましたが、言われます御意思がありますかどうか、一つそれを明らかにしていただきたい。
○十河説明員 今日はもはやありません。
○河野(正)委員 ただいまの総裁のお言葉には不満を持たざるを得ないのであります。と申しますのは、言っても不安を解消せぬと言っておきながら、それではただいまおっしゃいますかと言ったところが、言う意思がないと言われる。そういう答弁はなすべきではないと思う。もし過去において言ったとしても、こうおっしゃるならば、私はただいまの質問をする必要はなかったと思います。ところが今日言ってもなお現地の不安は言っただけでは解消せぬのだという意味で御答弁なさったから私はあえて御質問申し上げた。何か私ども愚弄されるような気持がするのですが、いかがですか。
○十河説明員 私の言葉が足らなかったことと思いますが、過去において私は譲渡するという意思を決定してないということを繰り返し申しましたけれども、従業員の不安は除去することができないということを申し上げるつもりであったのであります。それがもしそうでなければここで訂正していただきたいと思います。そういうふうに従業員に譲渡する意思を持っていないと言っても従業員は不安を感ずるのであります。今日これから言ってみてもそれは不安を解消することにならぬということを申し上げたのであります。
○河野(正)委員 ただいまの答弁の中でも申されたのですが、現地の従業員は要するに現在の作業というものが行き詰まる運命にあるのだ、そこで日々の作業をながめて、ことにこのままでは仕事は行き詰まるということで不安を持っているということでございましたが、私は、今まで国鉄当局がいろいろな交渉の過程の中で、このままでは困るのでというようなことを言われたので、いわゆる総合開発の建前から隣接鉱区を買収してもらいたいとかいう意見が出てきたと思います。ところが何か従業員の方も積極的にそういう意見を持っているということで、ただいま行き詰まっておるということを十分承知の上で、そのために不安を持っておるのだということでありましたけれども、当局側から、そういうことではいかぬ、そういうことでは売山せざるを得なかったというような意思表示があったから、私は従業員諸君がそれでは一つ隣接鉱区も買収して総合計画を立ててくれぬかというふうな陳情を行なったと思うのです。どうもその辺が、何か一方的に一つの事実を取り上げて御判断願い、あるいはまた御答弁願っておるような傾向が見受けられるわけです。そこで何も現地の従業員は——十カ年計画も出ております。もちろんそれは地下資源のことでございますから、掘れば掘るだけ減るということは当然のことでございますが、しかしながら、さればといってここ一年や二年でなくなるわけでもございませんし、なおまた具体的に後ほど当局からの資料が出てから私はいろいろ質疑を行いたいと思いますからその点は留保いたしますけれども、何もここ短期間に決定しなければならないというものでないことは先ほど私がいろいろ申し上げて参った通りでございます。ところがどうも午前中から答弁を承わって参りましても、もう自分の腹がきまっておるので、この方針というものは曲げられぬというお考えのようでございますけれども、しかしながら、この点も先ほどからいろいろ論議されて参りましたように、少くともこの志免鉱業所というものは国有財産なんです。言いかえますならば、国民の財産でございます。従ってこの国有財産を処理するということにつきましては、もちろん総裁の方針もございましょうが、しかし、やはり国民の意志というものも私は十分尊重した上で処理されなければならぬというふうに感ずるのでございます。その点からながめますと、現地におきましては関係いたしまする住民、従業員を含んで約十万でございますが、こういった十万の皆様方が強く反対の意志を表明されておるということは、国民の中でもやはり利害関係の中に置かれておりまする住民というものは非常に大きな関心を持っておるわけでございますから、この十万の声というものは私は無視しては相ならぬと思います。ところが先ほど来の御答弁を承わって参りますと、もう自分の方針はきまった、しかも調査委員会も自分の方針を裏づけるような結論を出しておる、そこでこの方針は曲げられぬということでございますけれども、しかしながら、先ほど私が御指摘申し上げましたように、現地十万の住民というものは強く反対をしておる。そこで私は、やはりこの志免鉱業所というものは国有財産という一つの性格を前提として、そういった一つの考え方というものを建前として当然処理されなければならぬというふうに思うわけでございますけれども、ところがどうもそういう点につきましては、自分の方針なりあるいはまた自分が任命した調査委員会が一つの方向を出しておるのでその方向に従いたいという強い態度を堅持されておるのでございますけれども、それでは今日唱えられておる民主主義の原則には非常に反するものがあるというふうに私は考えるわけでございますが、その点いかがでございますか。
○十河説明員 私は我意を通そうという立場からそういうことを言うのではないのであります。たびたび申し上げますように、政府の行政管理庁から二回も閣議の議を経て勧告されておるのでありますから、その上に今のいろいろな委員会の結論もそうでありまして、たまたま私の考えに一致しておるから、これが正しいのだと私は信じておるのであります。さっき私がなんとか言うから従業員が不安がるのだというお話がありましたが、実は私はしろうとで、境界線がもう近づいておるのか、火成岩の基盤にぶつかっておるのか、そんなことは全然知らないのであります。そういうことを現地の当局から聞いて、なるほどそうか、それでみんなが不安に思うのかということを私が感じたということを、率直に感じた通り申し上げた次第であります。私の我意ではないのであります。御了解をいただきたいと思います。
○河野(正)委員 総裁は二回にわたる行管の勧告あるいはまた調査委員会の中間的な報告というようなことを金科玉条のように心得て、それを売るという一つの根拠にされておるようでございます。もちろん行管の二回の勧告が行われておることも事実でございます。しかしながら第一回の勧告というものは、もちろん輸送は輸送でいけということでもございましたが、一方におきましては徹底的な赤字であり、将来に対する好転の見込みがないので、いわゆる徹底的な経営の合理化をはかれということであったことは総裁も御承知の通りでございます。そこで二回の勧告ということでございますけれども、第一回の勧告と第二回の勧告というものはおのずから内容が異なっております。というのは、第一回の勧告というものは、いわゆる赤字経営、あるいは将来に対する好転の見込みがないということが前提でございますから、その勧告の内容というものは、今日の実情からながめますると大きすくずれておるというのが現状でございます。従って問題は第二の勧告で、今日経営の合理化によって逐次好転したけれども国鉄は輸送に専念したがよろしいということでございますから、勧告々々と言われますけれども、この第二回の勧告というものが今日におきましては多少考慮の余地があるということでございます。第一の勧告というものは、今日の実情をながめますれば、その勧告の根本というものが根底から大きくくずれておる、さように考えるわけであります。従いまして、二回も勧告を受けておるように総裁は言われるのでございますけれども、しかしながら今日の情勢から振り返ってながめますると、その勧告の内容というものにつきましては十二分に検討の余地があるということについては、総裁も一つ頭を切りかえていただきたい、かように思います。 それからもう一つは、先ほどからいろいろ御答弁があったのでございますが、それは、調査委員会を設置するに当って運輸省にいろいろお伺いを立てた、この点については非常に考えたのであるけれども、慎重を期するという意味から運輸省にもお伺いを立てて特別委員会を設置したというようなお話でございました。ところが当時の中村運輸大臣からの報告によりましても、やはり諸種の情勢にかんがみて、これらの取扱いについては万遺憾なきを期せられたいというふうな注釈がついているわけでございます。そこで、なるほどこの調査委員会を設置するに当っても、所管の運輸大臣が何か国鉄総裁の御意思と同じような立場で了承を与えられたというふうな印象を受けるような言葉もございましたけれども、しかしながら、運輸省当局はきわめて慎重な態度に出ておりますことは、この運輸大臣が言っております言葉をながめて参りましても明らかでございます。こういったように、運輸省当局におきましても、この問題は情勢上非常に重大であるから、取扱いについては万遺憾なきを期してもらいたいというふうに要望をしておるというようなところから考えて参りましても、この問題がいかに困難な問題であるかということは明らかな事実でございます。ところが、こういった二回の勧告なり、あるいはお伺いに対しまする運輸省当局の考え方なり、こういった考え方につきましても、何か総裁が一方的に御判断になっている、一方的に自分の主観に基いて御判断になっているというふうな印象が強く御答弁の中からは出て参ります。ところが、行管の勧告内容につきましても、先ほど申しまするように問題がございます。そうしてまた、総裁に対しまする運輸省の通知の中にもいろいろ含みのある内容がございます。こういった点も一つ十分考慮に入れてもらいたい。言葉をかえて申し上げまするならば、行管の勧告の内容なり、あるいはまた運輸大臣の通知なりというものにつきましては、もう少し一考される必要があるのではなかろうかというふうな考え方を私は持つわけでございまするが、その点はいかがでございますか。
○十河説明員 私はきわめて慎重にやっておるつもりでありますが、今後も慎重の上にも慎重を期してやりたい、万遺憾なきを期したいと覚悟いたしております。
○河野(正)委員 万遺憾なきを期したいということでございますけれども、私どもが先ほどからいろいろ追及いたして参りましたように、総裁は一貫して志免鉱業所は民間に譲渡するのだという方針を強く堅持されておるというふうな印象を私ども強く持っておるわけです。そこで、そういった気持というものが、やはり調査委員会は総裁が委嘱された委員会でありますから、そういった総裁の意思が反映するのは当然だと思います。そこで特別委員会の方々がどういった気持でこの問題を処理されようとしておるのか、あるいはまた私どもがいろいろと国会で総裁に対しましても御要望申し上げ、あるいはまた現地からもいろいろ御要望申し上げておりますが、そういった要望というものは十分に尊重された上で審議されておるのかどうか。あるいは時間的問題につきましても、総裁が三年有余かかって検討されたことを、一週間や二週間でやられておるというふうに、非常に時間的にも短期間で処理されておるというふうな点についても、私どもは若干疑問を持っております。そこで、これは委員長の方においてお取り計らい願いたいと思いますが、願わくは調査委員会の方を本委員会に呼んでいただきまして、そうしてその間の事情を十分明らかにして参りたいと思います。その点につきましては、一つ後ほど委員長から理事会等に諮っていただいて、御決定を願いたいと思います。私はそういった機会を設けられました暁におきまして、さらに一つこの問題についていろいろ総裁にもお伺いを続けて参りたい、かように考えて、本日はこれで一応私の質疑は中止をいたしておきまして、あとの問題は保留いたしたい、かように思います。
○天野(公)委員長代理 この際暫時休憩いたします。 午後四時十二分休憩 ————◇————— 午後四時三十三分開議
○塚原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 この際お諮りいたします。志免鉱業所の問題につきまして、志免鉱業調査委員会青山秀三郎君、今井一男君、田口良明君、以上三君に参考人として本委員会に御出席していただき、種々御意見を伺いたいと存じますが、御異議ありませんか。
○塚原委員長 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。 なお招致の日時につきましては委員長に御一任いただきたいと存じますが、御異議ございませんか。
○塚原委員長 それでは、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時三十四分散会