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28回国会参議院1957/12/23

本会議 第2号

発言数
22
登壇者
10
会派数
2
開催日
1957/12/23

会議録

松野鶴平自由民主党議長

○議長(松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。     ━━━━━━━━━━━━━

松野鶴平自由民主党議長

○議長(松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。

竹中勝男日本社会党

○竹中勝男君 私はこの際、誘導弾持ち込み等に関する緊急質問の動議を提出いたします。

佐野廣自由民主党

○佐野廣君 私は、ただいまの竹中君の動議に賛成いたします。

松野鶴平自由民主党議長

○議長(松野鶴平君) 竹中君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松野鶴平自由民主党議長

○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よってこれより発言を許します。竹中勝男君    〔竹中勝男君登壇、拍手〕

竹中勝男日本社会党

○竹中勝男君 日本社会党を代表しまして誘導弾持ち込み等に関する緊急質問をいたします。  先週十九日、パリにおける北大西洋条約機構の首脳たちは、米国の大陸間弾道弾の欧州持ち込みによるミサイル基地化について、きわめて真剣に、慎重に討議を尽し、共同コミュニケを発表いたしました。しかし、そこでは将来における原子ミサイル兵器の持ち込み、核弾頭の貯蔵、科学者の協力などについてアメリカは思いがけなかった強い抵抗を受けたのであります。時を同じくして東京におきましては安全保障委員会が開かれ、国民の知らない間に、いとも簡単にミサイル兵器サイドワインダーの持ち込みが議せられ、閣議がこれを承認決定したのであります。国民は驚き、国民は今、著しい不安に追い込まれております。NATO加盟国のうち数カ国は、このアメリカの西欧戦略体制に反対し、これまでソ連に対しては最も強い態度をもって臨んできた西ドイツ総理アデナウアーは、開会の劈頭に発言して、ブルガーニン書簡に対して何らかの形でこたうべきことを主張しまして、英国、フランスもこれに同調したのであります。このように西欧NATO諸国の首脳者たちは、その国民の声を聞き、その要望するところに従ってアメリカのミサイル軍事基地化計画に対しては、きわめて慎重であり、そのために共同宣言は単なる軍事計画の達成ということではなくて、東西の緊張を解きほぐして行こうとする国際政治の面で新しい一歩を踏み出し、ここに軍事を第一義としたアメリカの対ソ政策は、大きくその道を譲らざるを得なかったのであります。(拍手)  これに対しまして日本における誘導弾兵器の持ち込みは、何らの抵抗を受けなかったのみか、津島防衛庁長官の切なる願いによってやすやすと供与せられることになりましたが、その受け取りの態度や方法には、幾多の重大な疑問があり、国民はひとしくその将来に危惧の念を抱いておるのであります。第一に疑問になることは、この安保委員会には、果してこのような極東の戦略体制に変化を及ぼすような重要案件を審議、決定できる性格のものであるかどうか、岸総理もしばしば言明したように、安保委員会は、日米安全保障条約、行政協定が果して対等の原則のもとに運営されておるか、それを確かめ、しからざる場合、この条約、協定を改めて行く任務を負っておるところのものであって、ここでは個々の防衛戦術や兵器について審議できるとしても、根本的な今回のような極東における戦略体制そのものについて協議し、決定する機関ではないのであります。さきの臨時国会で岸総理は、さしあたり新装備はしないと言明した、その言葉の下からこの問題について、こういう決定が行われておる。政府はしかしながら、きっとこういうように答弁するでしょう。この空対空弾道兵器サイドワインダーは、ミサイル兵器ではあるが、長距離の攻撃兵器でもなく、原爆兵器てもない、全く防衛のための兵器にすぎないのだと。すでに昨日も、そういうように返事するような相談が行われたようであります。しかし、幾らこのように口裏を合わしてみたところで、こういう解釈を押しつけても、こういうようにして国民の目をごまかそうとするところに、はかり知れない危険がひそんでおると思うのであります。なぜなら、日本再軍備はいつもこういう方法で、なしくずし的に既成事実を積み上げて行くことによって前進しておるからであります。現に今度このたび供与されるサイドワインダーは、その性質上明らかに対空防御兵器ではなくて、攻撃兵器でありましてアメリカのミサイル戦略大系に連なるところのものであります。これは小型のミサイルではありますが、これが安保委員会の決定で供与される道が開かれた以上、この道を通って、この既成事実の上に次は中型ミサイル、その次は大型ミサイルが導入されないと、だれが保障できるでしょうか。(拍手)  さらに、国民が日本のミサイル基地化を危惧する十分な理由がまだあります。昨年、防衛庁はアメリカに対して、ナイキ、レギュラース、ハルコンなど七種類の誘導弾新兵器の試験的供与を申し入れており、そのために軍機秘密保護法の制定をしようとする動きがあります。また他方では、防衛庁技術研究所が中心になって誘導兵器を民間会社に試作させ、すでに三種類の誘導弾発射実験に成功しております。さらに、東京湾に臨むところの伊豆の新島は、誘導弾試射基地に作り上げられております。近くスイスのエリコン会社から購入される工。コン地対空誘導兵器の発射基地になろうとして問題を起しております。さらにまた、現在すでに日本に入っておるオネスト・ジョン以下十五サンチ口径以上の対空誘導弾砲の弾頭には、いつでも核弾頭が装填されるようになっておりまして、アメリカはこの種目的に使われる小型核弾頭の製造に力を入れております。  そこで、津島防衛庁長官にお伺いいたしますが、第一点は、一体どういう目的であなたはサイドワインダーの供与をアメリカに申し入れたのでありますか。第二点は、このミサイル兵器は、アメリカのミサイル戦略大系に関係がないとあなたは言い切れますか。それはピストルでも刀でも戦略大系には関係がある、こういう程度のものなのだ、というようなことを言ってごまかさないようにして下さい。第三点は、この供与については少し早まったなとあなたが気づかれたら、あなたはこれをあらためて拒否する考えがあるかどうかを伺いたいのであります。この三点を明確にお答え願いたい。  次に、岸総理、藤山外務大臣に伺いたいのであります。今回NATO諸国にも見られた通りに、人工衛星の打ち上げが成功し、ミサイル武器の進歩が著しくなってきたこの事実に対応する外交政策の転換は、わが国の外交政策にもその転換を迫るものだと私は考えております。今回のNATO会議の歴史的な意義は、北大西洋防衛機構が世界の軍事情勢の変化に伴って、また世界の情勢並びに国際政治の関係における判断に新しい動きを示しておることであります。これは北大西洋にミサイル防衛体制を作ろうとしても、対ソの外交に平和的折衝の場をてきるたけ広げ、あらゆる機会を利用して平和的調整の関係を広げよとの強い要望……。なって現われたことであり、アメリカもこれに同調しなければならなかったという事実であります。アメリカの報道陣も言っておる通り、このNATO会議には、初めから欧州中立的な空気が政治的問題とからんで出てきておったのであります。岸総理、藤山外務大臣は、この段階で東西の緊張緩和に動き出したNATO諸国の外交政策をどのように判断されますか。この現実に対しても、わが国の外交政策の転換を考える必要はないと判断されますか。日本政府は依然としてアメリカの外交方針及び極東軍事戦略体制に追従し、アメリカの言いなりになり、先日のごとく、一軍人であるところのスタンプ司令官の呼び出しに、あたかも応じるように、この戦術会談に総理がみずから出かけたような不見識は、国民を代表する一国の総理としての威信を、はなはだしく傷つけるものとして遺憾にたえないところであります。総理は、一国の司令官などとのレベルで会談すべきでありません。国民の声を聞き、その輿望をになって、堂々と相手国の最高レベルと折衝して、日本国民のこの再軍備反対の要望を伝え、強く日本のミサイル基地化に反対意見を述べ、さらに東西対立の緩和に全力を傾注すべきであります。(拍手)いたずらにアメリカの尻馬に乗って、反共宣伝の片棒をかついで、ソ連、中国にミサイル包囲陣が作られようとしている現段階においてわざわざ台湾を訪問して中共を刺激したり、指紋や代表部の人員数などに引っかけて、日中貿易第四次協定を不成立に終らしめるようなごときは、真に国民の要望にこたえる政府の行動であるとは言えません。(拍手)  この際、特に政府にただしたい、かつ望みたいことは、吉田元総理さえも、最近、憲法調査会に書面で明白に述べておるように、改変する必要のない第九条を持った平和憲法を、岸総理は正しく守り、民主主義と国民生活を守る政治指導者の自負心を取り戻して下さい。ところが岸内閣は、アメリカのミサイル軍事政策と日本の巨大資本にあやつられ、かくて加えて、党内の派』閥抗争や、売春汚職の毒ガスに当てられて、今や日本における最大のよろめきを示しております。このよろめきは、アメリカの軍事政策が変らない限り、東西の対立が緩和されない限り、岸内閣があらためて国民の信頼を受けて自信を取り戻さない限り、さらにまた岸内閣が言明した。三悪が追放されない限り、決して決してとどまることのない根の深いよろめきであります。国民は今、驚きと将来に対する深刻な危惧の念をもって、サイドワインダーの持ち込みを見詰めております。なぜならば保守政権は、かつて日本の自衛隊を戦力なき軍隊だと説明しました。その戦力なき軍隊が、いつの間にかなしくずし的に核弾頭を装填できるオネスト・ジョンを持ち込み、F86F、F86Bのようなジェット戦闘機を持ち、もっともこれはときどき落ちて人を殺します。またエリコン誘導弾基地を作り、今またミサイルのサイドワインダーを持ち込んで、着々近代装備を整えつつあります。オタマジャクシには、もはや手足がはえております。戦力ある軍隊ができ上りました。この積み上げ、なしくずし再軍備の進行は、やがて日本をして核兵器、ミサイル基地化の段階に追い込んで行くのではないかと、国民が今、岸総理に尋ねて憂ておるところであります。  そこで藤山外務大臣にお尋ねしますが、第一点は、人工衛星、ミサイル戦略体制の実現の現段階において、なお外交政策の転換の必要がないとあなたは思われますか。第二点は、もし必要がありと考えるならば、目下研究中だなどとは答えないで、東西両陣営の対立緩和にどのような具体的方策があるかをお答え願いたいのです。  それから最後に、岸総理大臣にお尋ねします。第一点は、サイドワインダー持ち込みを、この際あらためてあなたは拒否する考えはありませんか。第二点は、自衛隊の近代兵器による強化の線が、アメリカのミサイル戦略体制に巻き込まれるおそれがありますから、あなたは、トップ・レベルで米ソの話し合いをアメリカに勧めるお考えがありますか。第三点は、日本を原子誘導弾兵器の基地に導く大型ミサイルの持込みを、あなたは断固として拒否する決意があるかどうかを、重ねてここで言明をお願いしたいのであります。  これをもって質問演説を終ります。(拍手)    〔国務大臣岸信介君登壇、拍子]

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) 竹中君の御質問に対してお答えします。  第一点のサイドワインダーを拒否する意思はないかということであります。このサイドワインダーの受け入れの問題につきましては、防衛庁長官から詳しく御答弁すると思いますが、私はこれを拒否する意思は持っておりません。  第二の、自衛隊の装備を近代化するということが、アメリカのミサイル体制に引き入れられるおそれはないか、私はそうは考えておりません。というのは、サイドワインダーの受け入れということが、今いろいろと、るる御懸念を述べられましたが、そういう意味における日本をミサイル基地にするという性格を持っておらないがゆえに、そうは考えておりません。  第三の、将来日本がアメリカの大型のミサイル基地となり、また原子戦略に巻き込まれるというおそれについて御懸念のようでありますけれども、私はこの点に関しましては、従来も明確に申し上げておる通り、原子兵器の持ち込み、及びこれによるところの自衛隊の装備は、絶対にしないということを明確にこの際も申し上げておきます。(拍手)    〔国務大臣津島壽一君登壇、拍手]

津島壽一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(津島壽一君) 竹中議員の御質問に対してお答えいたします。  御質問の要点は、サイドワインダーの受け入れの目的は何であるか、第二は、これはアメリカの戦略体制に関係があるのかないのかということであったと思います。第三は、これを拒否する考えはないかと、こういう三点であったと了承いたしております。第三点の拒否する考えはないかという点につきましては、ただいま岸総理から答弁がありましたから、別にこれにつけ加えることはございません。また戦略体制の問題につきましても、同様、岸総理からこれに対するお答えがあったから、これまた私の答弁は省略いたします。  第一のサイドワイーンダーの受け入れ、あるいは供与の目的は何であるかという質問につきましてお答えをいたします。  この目的は、わが防衛体制のうちで最も重大であると思いまする防空関係において、現状において、これの装備の増強ということは非常な緊要な要務と考えております。この点につきましては、サイドワインダーは、後ほど申しますが、最も効果のあるものだと考えておる次第でございます。御承知のように、わが航空機の現状におきましては、たとえば戦闘機におきましては、今日の装備といたしましては機銃を備えておるだけであります。この機銃も、きわめて近距離において発射し得るようなものでございまして今日の航空機の状況を見ましても、はなはだ不完全なる状態にあるのでございます。これを増強する意味においては、いろいろ方法はございましょう。サイドワンダーのごときは、私は効果的なものであると考えておるのでございます。しかしながら、これが誘導弾で治るというような言葉で表現されるために、往々にして、これが誘導弾の聞賭にからまるというようなことから、ふるいは誤解を招く点があるかと思うのでございます。誘導弾のこのサイドワインダーは、非常な小型のものであり、構造上絶対に核弾頭をつけることができないようなものでございます。またその射程においても、絶対に攻撃的の武器ではないのでございまして、防御的の武器であるということは、これけもう全体に認められたところでございます。また経済的の観点からいっても、きわめて安価なものでございます。こういったものの装備によって今日の機銃に増強を加えるという単純な考え方でございます。なお、この問題は、日米安保委員会において協議の問題となったのでございますが、今後具体的に検討いたしまして政府間の交渉ということに相なるのでございます。その意味におきましては、安保委員会において政府がこれの受け入れを決定したという意味ではございません。この種々の検討を加えて、適当な数量を、時期をはかって、具体的な検討を加えた上に、この問題を処理したい、こういう考えでございます。従って第二の御質問でございました戦略体制に非常な影響、関係があるという問題とは私は考えておりません。  以上、お答えをいたします。(拍手)    〔国務大臣藤山愛一郎君登壇、拍手〕

藤山愛一郎外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 竹中議員の御質問に対しましてお答えを申し上げます。  国際情勢が今日刻々に変化しておりますときに、わが国外交がそれに対応して参りますことは当然なことだと思います。特に人工衛星もしくは大陸間弾道弾のごとき破壊兵器、もしくは将来それに発展すべき問題が起りまして、しかも両陣営の間においてその軍事的施設の競争をいたしますことは、これは人類の最大の不幸だと思います。従いましてわれわれとしてはそれらの間に立って、自由主義陣営の一員としても、当然民主主義的な平和外交の立場に立って、話し合いによって、これらの問題を十分解決するように努力して参りたいと存じております。(拍手)     ━━━━━━━━━━━━━

椿繁夫日本社会党

○椿繁夫君 私はこの際、中小企業年末金融に関する緊急質問の動議を提出いたします。

佐野廣自由民主党

○佐野廣君 私は、ただいまの椿君の動議に賛成いたします。

松野鶴平自由民主党議長

○議長(松野鶴平君) 椿君の動議に御異議ございませんか。    [「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松野鶴平自由民主党議長

○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よって、これより発言を許します。椿繁夫君。    〔椿繁夫君登壇、拍手〕

椿繁夫日本社会党

○椿繁夫君 私は、日本社会党を代表して、岸首相を初め、関係閣僚に対し、中小企業の年末金融対策を中心に、政府の所信をたださんとするものであります。  さきの臨時国会の終了に際して、岸総理が東南アジアヘの親善旅行にお立ちになるというので、当初から大した効果を期待いたしませんでしたけれども、国際信用等も考えてすみやかなる臨時国会の終了に私ども協力をいたしたのであります。従って、今度の通常国会の召集に当っては、首相が、その旅行目的並びに成果等について、進んでこの国会を通じて国民に報告される責任があると思うのであります。しかるに、残念ながら政府はその道をとられなかった。国民とともに、まことに遺憾にたえないところであります。(拍手)外交問題に限らず、総理は、秘密主義をお捨てになって、いろりを囲んで、番茶をすすりながら話しかけるという態度をもって、この国会に臨まれることを私は衷心から要望いたしたいのであります。  本年五月の金融引き締め後、その影響が中小企業に大きく現われて参りました。昨年七月の全国の不渡手形の枚数は十三万一千枚でございましたが、本年同月には十九万八千枚と激増をし、その金額におきましては、昨年九十億三千三百万円でありましたものが、本年同月比によりますと、百六十九億九千五百万円と、倍加しておるのであります。金融引き締めの影響は、七月にはまだ十分に出ておりません。その後もっともっと大きく深刻になっておることは言うまでもございません。  申すまでもなく、わが国の産業経済の上に中小企業の占める地位は、その事業場の数において九七%をこえ、就業労働人口の六〇%を擁し、輸出の実績を見ますれば、五一%の多額の外貨をかせいでおります。わが国産業と経済に重大な貢献を果しつつあるのみならず、大企業といえども、欧米各国のそれと異なって、一貫作業の設備を有するものはきわめて少いのであって、わが中小企業は分散した部分品の製造工場であって、わが国産業構造の特徴というべきものでございましょう。中小企業によって生産されたものが集中して大企業となり、船を作り、機関車を作り、百貨店を形成いたしておるのであります。この助成策を強化いたしますることは、わが国産業経済の基礎を育成することであり、従って、これが対策は、総合的にしてすなわち組織、税制、金融、市場対策等、多角的なものでなくてはならぬのであります。  岸内閣のデフレ政策と無計画生産によって、今日では独占的大企業に相対的な過剰生産の現われが至るところに見受けられるのであります。たとえば、化学繊維と第二次綿製品部では、操業短縮による市況の安定がはかられつつあり、今後も海外需要の伸び悩みのため、さらに操業短縮が強まるでありましょう。また精糖、石油製品の操業短縮も行われ始めており、鉄鋼もまた、市況は下りぎみに直面して、中小メーカー八社は、三割から五割の操業短縮を行わんとしております。そのほか電気機具、肥料、パルプ、硫酸ソーダ等の滞貨は、次々と山をなしつつあるのであります。  これに対して、世界的な景気後退期の前に、政府はなおも日中貿易の制限を行い、竹中君が指摘されましたように、第四次協定すらも不成立に終ったのであります。これら内外需要の行き詰まりに直面した財界は、公然と独占禁止法の緩和の声を上げておるのでありますが、もしこれを許すことになりますというと、原料の共同購入、生産の規制、市場の調節等を独占企業同士が勝手にやることができるようになって独占物価の引き上げを伴い、犠牲はことごとく中小企業、零細企業、さらに消費者大衆にしわ寄せされることは明らかであります。さきの国会において、中小企業団体組織法を作って、あたかもこれによって中小企業が救われるかのごとき宣伝をされたのでございますが、この独占禁止法の改正を許されるようなことになりますというと、逆に中小企業は、そのしわ寄せを一段とこうむることに相なるわけでございます。総理大臣は、独占禁止法は断じて守るということを、この機会にお約束ができますか、このことを第一にお尋ねいたしたいと思います。  大企業の下請企業に対する代金支払いか非常におくれております。さきに遅延防止法の制定を見たのでありますけれども、ほとんど活用されておりません。立法の目的が、ほとんど生かされていないのであります。試みに、九電力会社の貸借対照表を見ますと、下請代金の未払いが、三十一年下期に六十四億であったものが、三十二年上期には百六十八億と急増を見せております。本年下期の未払いは、上期の倍額にもなるであろうと推定されるのでありまする手形決済では、長期四ヵ月をこえるもの、三十二年の上半期平均一七%であったものが、下期三ヵ月間の平均が二四%と増加を示し、金融引き締めの影響はさらに深刻になって、本年十月の不渡手形が戦前戦後を通じて最高と言われております。このように下請代金の支払いをおくらせたり、長期化させないよう、政府は、国鉄を初め公社等の発注及びその下請企業について、これがおくれないように、いかなる支払い遅延防止の対策をとっているか。さらに、政府関係金融機関の融資を受けている諸会社に対しましても、同様の措置が強く望まれるとこるであります。同時に通産大臣は、納品をすれば十五日以内には必ず検収をする、代金の支払いはそれから三十日はこえてはならない、もしこえた場合は、金利の負担は親企業の負担にすべきである、こういうように法律改正を積極的に行なって、支払いの遅延防止をなさる御決意はありませんか、この機会に通産大臣の所見を聞いておきたいのであります。  次に、政府は年末から年度末に約三百七十億円の中小企業向け特別融資の措置をとったといって盛んに宣伝をしておるが、国民金融公庫の廃る支所ては、年末金融の受付を十一月末で締切ったと中小企業庁は報告しております。このような状態で年末の資金需要を満たし得たとは何人も思いません。以上のような政府措置では、全く焼け石に水同様と言わなければなりません。この際、政府はもっと抜本的に一—二月の年度末を見通して、中小企業金融対策を強化する必要があると存じます。これはもちろん、財政余裕金が千五百億もあると言われる来年度の予算の編成に当っても考慮されるべきことはもちろんでございますが、当面、三十二年度の税の自然増収は、さきの予算補正後、確実に七百億を見込むことができると言われております。この一部を、私たちは少くとも二百五十億をすみやかに政府は補正予算として、これを提出し、四四半期の中小企業の金融難緩和の措置を急速にとられることを望むものでありますが、大蔵大臣の所見を承わりたいと存じます。  この補正予算が組まれますというと、地方交付税法によって二六%は地方団体に交付されることに相なりまするから、今回、愛媛県に起っておりますように、予算のワクをきめて、それによって定員を合わす、教員の待遇を考える、ちょうど洋服を買うてきてからだをそれに合わせるような措置をとっておるのであります。この洋服に、お前は太り過ぎておるから断食せよ、手足がちょっと長いから一割五分切れ、こういうことをやっておられるから、教育界にあのような不祥事が起るのであります。(拍手)  だから政府は、すみやかに七百億の本年度の自然増収分を、四四半期の中小企業向けとして二百五十億を提出し、その二六%を地方交付税法の命ずるところに従って、地方団体にすみやかに交付される措置をとらるべきことを要望いたします。大蔵大臣の所見を伺いたい。  さらに、大口融資の制限について、大蔵大臣は一体どういうことをお考えになっておるかということを聞きたい。これは三十年末の資料でございますが、富士銀行は資本金五十五億で、丸紅飯田一社に対して五十五億の融資をいたしております。三井銀行は四十五億の資本金で、第一物産に対して六十億の融資をいたしております。こういうことを法律をもって強力な制限の措置をとらずして、どこに中小企業に金の回る余裕がございますか。政府はすみやかに大口融資制限の措置を持っているなら、この機会に具体策を明らかにせられたいと思います。(拍手)  先般来、私は悲痛な陳情を受けました。電話を銀行は担保にとってくれない、そのために商品を買い入れるためのささいな資金に困って質入れをする、高利金を借りる、そのために取り上げられて困っている、だから、電話を担保として銀行がとってくれることのできるように法律を改正してもらいたいという切実な要求がございました。何千何億と数字をいらっております間に、この切実な陳情を受けて私は思ったのであります。過般の岸総理の御旅行中、四百万円をこえる宝石購入事件でございます。国民べの心理的影響の重大なることを私はおそれます。総理大臣は、この際みずから進んで、この真相を明らかにせられることを強く望むものでもります。  以上をもって、私の質問を終ります。(拍手)    〔国務大臣岸信介君登壇、拍手]

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) お答えをいたします。  独占禁止法について御意見がございましたが、独占禁止法については、御承知の通り、これが改正を審議するために審議会ができております。独占禁止法の実績を見まするというと、もちろん経済の民主化のために、この法案の骨子が維持されなければならぬことは言うを待ちませんけれども、日本の経済界の変遷に応じてこれが改正の要否、改正するとすれば、どういう点かということを審議、検討している最中であります。私は日本の産業から見まして、輸出の将来振興の点、また産業の合理化によって日本の産業のレベルを上げるというような点において独占禁止法が果して適当であるかどうかというような点は、主として検討を加えるべきものだと思います。しかしながら、御懸念になっているような、これが大企業が、独占企業が中小企業に対して圧迫を加えるがごとき改正は、断じてすべきものでないと、かように考えております。  最後に、私の旅行中に、私が高額な買物をしたということが一部の新聞に伝えられたのでありますが、かかる事実は絶対にないということを、この機会に明確に申し上げさせていただきます。(拍手)    〔国務大臣前尾繁三郎君登壇、拍手]

前尾繁三郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(前尾繁三郎君) 独占禁止法につきましては、ただいま総理からお話がありましてそれにつけ加えるものはございません。  支払い遅延の防止につきましては、通産省といたしましても、公正取引委員会と協力をいたしまして、公取が親会社を調査し、通産省は下請会社を調査いたしておりまして、大体書面調査で千件ぐらいいたしております。そのうちの七十五件ぐらい立ち入り調査をいたしておりまして是正に努めているのであります。ただいま御提案になりましたような支払遅延防止法の修正につきましては、すでに衆議院にも提出されておりまして、目下審議中でありますが、政府といたしましては、経済の動きなり、実態に応じて考えて参らなければなりません。ただ形式的なり、画一的に、果して取り扱い得るかどうかということが非常に疑問であります。従って慎重に検討いたしておるのであります。  年度末金融の問題につきましては、われわれとしてもあらゆる手を考えて今後平穏に推移するように努力をいたしておる次第であります。(拍手)    〔国務大臣一萬田尚登君登壇、拍手〕

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(一萬田尚登君) 中小企業金融緩和のために、補正予算を組む考えがあるかという御質疑であったと思いますが、中小企業金融につきましては、政府としては、常に最も注意を払っておるところであります。この年末につきましては、すでに臨時国会で御審議を得ましてその対策に遺憾なきを期しました結果、もう余日幾らもありませんが、おおむね順調に推移して無事越年ができることと考えます。なお、予算につきましては、今後の客観的な情勢に応じまして、これに対応して行きたい、かように考えておりますが、ただいま御質問のような意味において補正予算を組む考えは、今のところ持っておりません。  大口貸し出しのことですが、金融機関の貸し出しが大口に集中することの好ましくないことは、これは申すまでもないと考えております。ただ、しかしながら、はやりこの経済というものは、現実をよく見守って行かなければなりません。その事柄がよくても、その改善には、やはり若干の時間を要するということもあり得るのであります。今日大口貸し出しにつきましては、あるいは法律をもち、あるいはホた業務書により、あるいはまた銀行馬長通牒で、これを押える方途をとっておるのでありまするが、なお根本的には、金融制度調査会の十分審議を経てそうして恒久的なことも考えてみたいと、かように考えております。答弁といたします。(拍手)     ━━━━━━━━━━━━━

松野鶴平自由民主党議長

○議長(松野鶴平君) 日程第一、参議院予備金支出の件を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。議院運営委員長安井謙君。    〔安井謙君登壇、拍手]

安井謙自由民主党

○安井謙君 ただいま議題となりました参議院予備金支出の件につきまして御報告を申し上げます。  国会予備金に関する法律第三条の規定によりますれば、各議院の予備金の支出については、これを議院運営委員会の委員長が、次の常会の初めにおいてその院に報告して承諾を求めなければならないことになっておりますが、ここに御報告いたしますのは、前回の常会召集日、すなわち昨年の十二月二十日から今国会の召集日の前日、すなわち本年の十二月十九日までの間に支出された昭和三十一年度並びに昭和三十二年度の予備金であります。  予算額は、両年度とも五百万円でありますが、昭和三十一年度分は、前回の常会の初めに、院の承諾を得ました二百九十万八千円のほか、その後九十三万六千円が支出され、差引百十五万六千円が不用額となっており、また、昭和三十二年一度分は、百八十七万二千円を支出し、差引三百十二万八千円の残となっております。  支出の内訳は、いずれも在職中に死亡された議員の遺族に対する弔慰金でありまして、昭和三十一年度においては森下政一君、昭和三十二年度においては白川一雄君及び中山壽彦君が逝去されましたため、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律第十二条の規定によりまして、その遺族に対し、歳費一年分の弔慰金を支給いたしたものであります。  以上申し上げました予備金の支出は、いずれもそのつど、議院運営委員会の承認を得たものでありますが、何とぞ御承諾あらんことをお願いいたします。(拍手)

松野鶴平自由民主党議長

○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本件の採決をいたします。  本件を問題に供します。本件は委員長報告の通り承諾することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松野鶴平自由民主党議長

○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よって本件は承諾することに決しました。  次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午前十一時四十六分散会     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、誘導弾持ち込み等に関する緊急質問  一、中小企業年末金融に関する緊急質問  一、日程第一 参議院予備金支出の件

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