文教委員会 第19号
- 発言数
- 82 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1958/04/19
会議録
○委員長(湯山勇君) これより文教委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について報告いたします。昨日田中啓一君が辞任され、その補欠として最上英子君が選任されました。また、本日最上英子君、大野木秀次郎君、及び川村松助君が辞任去れ、その補欠として田中茂穂君塩見俊二君及び成田一郎君が選任されました。以上であります。 —————————————
○委員長(湯山勇君) まず、当面の文教政策に関する件を議題といたします。 なお、この際御了解を得ておきたいと思います。本日の公報には本委員会に本付託されている法案を議題としてあげるべきはずのところ、手違いにより脱落いたしましたが、本委員会に本付託されている諸法案が列記されているものと御了承願います。 御質疑のある方は、順次御発言願います。
○大和与一君 その前に、総理は非常にお忙しいのにおいでいただきありがたいのですが、おいでになる時間がちょっとおくれましたので、九十分ですかお約束をいただいた時間を一つごしんぼういただきたいと思うのですが、それはよろしゅうございますか。
○委員員(湯山勇君) ちょっと速記とめて。 〔速記中止〕
○委員長(湯山勇君) 速記をつけて下さい。
○竹中勝男君 きょうは、一国の文教政策の最高の責任者として、岸総理に、内閣の文教政策に関連して二、三の問題をお伺いいたしたいと思います。 一つは、岸総理は就任当時から三悪の追放ということを言っておられた。この前の総選挙には三悪追放ということが重要な問題になっておりましたが、一向三悪が追放されていない。貧乏も、汚職も、暴力も、そう減っていない。むしろふえておる。それで、そういう状態のもとに、今度は道徳教育の特設の時間を文部省が指令しておる。道徳教育、修身科を復活する。しかしながら、これは岸総理の考え方の方が正しい、文教政策の当局よりも……。すなわち貧乏追放をしなければよくなりません。衣食足って礼節を知るというのです。恒産なければ恒心なし、われわれの道徳というものは、そう上から押しつけて、あるいは一週間に一時間教えてみるようなことで、道徳の効果は上るものじゃない、むしろ、逆の効果が出るものと私どもは思っております。この間文部大臣は牛込の仲之小学校というところに道徳教育のことで行かれたようですが、大へんいいと言ってほめておられました。でもこれは道徳教育を一時間やってよくなったのではなくて、これまでのいわゆる全科目を通じての徳育を指導してきたということの結果よくなったのであって、その日に文部大臣が行かれたから急によくなったのでもないと私は思います。ことに、平和を愛し、人権を尊重するということは、終戦以来の日本の道徳教育の基本になっておるのですが、これを押しつけて、審議会を無理に作って、そして教育委員会に押しつけるというようなやり方は、これは絶対に不可であると私は考えております。ところが、岸内閣の文教政策を見ますと、相当中央集権的な、あるいは押しつけ文教政策が目立ってきたように考えざるを得ないのです。文部省から出ております教育委員会月報の雑誌を見ましても、教育委員運営指導の中に「文部省の指導力強化のため視学官五人の増員、視学委員三十人の設置をはかることになった」。こういうふうに指導力強化という考え方が至るところに見られる。これは日本の文教政策として、きわめて危険な状態に今置かれておると私は思いますが、岸総理は、道徳教育を時間を作ってやるとか、あるいは指導力を頼んでやるとか、あるいは道徳というものは上から下に向って与えるものだというふうな考えをお持ちですか。そうしてこの道徳教育の特設時間を作るというような政策を、どこまでも強行される御意向ですか。
○国務大臣(岸信介君) 教育の問題、文教の問題は、これは一国の非常な重大な問題であるということは言うを待たないのであります。特に戦後におきまして、教育基本法ができ、また憲法において平和国家、民主国家、また基本的な人権の尊重というようなことが明記されておる。さらに、国としての本質が平和国家であり、民主国家であり、文化国家であり、福祉国家であるという性格に向って、この日本を完成していかなければならない。それを将来をになうべき青少年を学校において教育することにおきましては、非常に重要な問題であることは、言うを待たないのであります。従って私は徳育と申しますか、道徳の教育ということが、教育の上におきましても非常に重要なことは、それは言うまでもなく、将来成人した場合における今申しましたような国を作りまた平和な社会の一員となるにふさわしい人格をそこで形成するのについて、いろいろな必要な徳目を身につけるということでありまして、言うまでもなくこの道徳教育ということが必要であるということについては、私はだれも異論を差しはさむ人はないと思う。ただ問題は、従来のように各科目を教える際に、そういう問題を自然につけていくというような考え方がいいのか、あるいは道徳教育というようなことのためにある特定の時間をさいて、そういうのに必要な教育をするということがいいのかということが、一つの議論になっておると思います。それから最も大事なことは、一体それの教育として、徳目の内容として、あるいは一部の人が非常に心配されておるように、かつての教育勅語であるとか、あるいはかつての国防国家というような思想から、一つの徳目が選定され、それを吹き込むというようなことがあってはというような御懸念であろうかと思います。しかし、私どもはもちろん、こういう教育を今後、戦後におけるところの基本が中央集権的な考え方になっておらぬ、また、その教育の基本に関する法律、基本法ができておるのでありますから、その精神は尊重しなければならぬというようなことにつきましては、これは言うまでもない。そうして問題は、今申しますように、そういう特設の時間を置いてすることが適当であるかどうかということでありますが、私どもはこの道徳教育ということを、非常に教育の内容としても重要視すべきものであって、他の教科に付随して教えるということもしなければならぬけれども、それだけでは不十分であって、やはり特設した時間においてそういう教育を施すことが適当であるという考えのもとに、本年度からそういう時間を特設することにいたしたわけであります。その内容の徳目につきましては、今お話もありましたが、審議会等において十分に一つ審議してもらって、将来平和国家の一員として、また民主主義の社会の一員としてふさわしい人格形成に必要な徳目を教えるということであろうと思います。もちろん、教えるということは、私は決して上から押しつけるという意味ではないのでありますが、しかし、青少年に対して、これは各ほかの科目においてもそうですけれども、知識も足りないし、経験も足りないのですから、先生が一定の方針なり内容を持ってこれを教えていく、それを理解さして、そうして子供は子供なりに批判力を持たせつつ、それを身につけるようにしていく、こういうことでありまして、決してこれを押しつけるというような考えを、私どもは持っておるわけではございません。また、中央集権的な考えではございませんが、今の制度におきましても、文部省というものの立場というものはおのずからあるわけで、地方におけるところの教育について、教育委員会というのがありますけれども、それに対して適当な指導を与えるということは、これは文部省の職務であります。それが行き過ぎがあってはなりませんけれども、その職責を尽すに必要な人員を作るとか、あるいはそれの欠けているところのものを、従来のものを補強するという意味でありまして、御心配のような中央集権的な、また上から何か押しつけるというような考え方を持っておるわけではございません。
○竹中勝男君 総理大臣失礼ですけれども往復に十五分しかもらっておりませんので……(笑声) 第二の点は、現在問題になっております勤務評定、これも今総理は、中央集権や押しつけではやっていないと言われますけれども、実際にごらんになる通りに、文部官僚は行き過ぎをやっています。相当出過ぎたことをやって、これを強行しようとしております。で岸総理は、国会の解散すら話し合いに持っていこうと、こういう初めての話し合いの政治というものを踏み切っておられるようですが、それでは一つ岸総理のもとにあるところの文教当局が勤務評定を実施する場合、これに相当現場の人が、これはむずかしい、これはやったらば、むしろ教育上マイナスになるという、経験上また理論上の立場からこれに反対しておる、ちゅうちょしておるのが現実です。現場のほとんどすべてがそうなんです。これを話し合いの形をとらずに、官僚的な押しつけでもってやろう、強行しようという段階に来ております。これはきわめて危険であって、岸総理の意思に反することであると私は考えます。そういう点で、これはですね、もう岸総理もよくわかっておられると思いますが、文部省の雑誌にすらちゃんと出ておるのです。これは元来が労務管理制度です、レーバー・マネージメント、アメリカのレーバー・マネージメントからきたものなんです。それだから反復的なあるいは機械的な職場には適用されても、こういう教育のような、超過勤務すら考えられないから、超過勤務手当すらを出していない教育のような仕事に当っておる精神的な知的な、あるいは教養というものを身につけなければできない、そうして二十四時間がその勤務なんです、こういう職種に対してこれを強行する、どこまでもやる、反対する者は首を切る、こういう形でやるということについて岸総理は、これはなははだ私は岸総理らしくないと思うのですが、いかがでしょうか。ことに、文部大臣には、組合の方でも話し合いをしたいということをたびたび申し入れておるのです、この勤務評定の問題については最近において。それもなかなか話し合いをしない。こんな人のいい文部大臣ですら話し合いをしないというのです・から、もう松永文部大臣以外の人だったらそれこそ大へんなんです。こういうサンタクロースのような善良な(笑声)方ですから、小学校に行ってくつはいて上られても、児童がきれいにふいたところにくつはいて上られても、まあ、サンタクロースが煙突から入ってきたというようなことで、みんな見過ごしているんです。この大臣すら話し合いに応じないというのでは、これはもう解散すら話し合いをしようという岸総理のもとにおいて、この勤務評定だけに対して、こういう強硬策をとられるということについて、総理はどうお考えになるか。何とか一つ緩和する方法がありませんか。
○国務大臣(岸信介君) 勤務評定の問題につきましては、いろいろの議論があり、教員組合においても非常な強い反対があることも私承知いたしております。しかし、この勤務評定自体の問題が、一体教員については、勤務評定は性質上こういうものはやるべきものじゃないというような今竹中委員の御意見がありましたが、私はそう考えない。根本的には、またやはり教員といえども、これを人事管理をしていい、また、十分職責を果しておられる方、これはたくさんの教員のうちですから、教員として十分に、教員の職責というものは、今竹中委員がおっしゃった通りですが、現実の問題からいうと、そうでない人もあるわけですから、その間における人事管理を公平にするためには、適正にするためには、私はやはり勤務評定しなければならない。そうして勤務評定ということについては、すでに法律でも定まっておることであるし、私の承知しておるところでは、国立学校においては、すでに実施もされておるという問題でありまして、これはやはり実施するということでなければならぬと思います。そうしてすでに話し合いとか、上から官僚的に押しつけるということじゃなしに、私の承知しておる限りにおきましては、地方の教育委員会やその他の意見も十分取り入れ、私は話し合いをしておると思います。ただまっこうから、これをやるべきでないと言うて、反対しておられる人と話し合いをしろとおっしゃりまするけれども、それは私はちょっとむずかしいのじゃないかと思います。しかし、そうだからといって、絶対受けつけないという意味ではありません。現実的に、やれと、やるについてはこうしようじゃないかという御意見ならば、これは私から言わなくても、文部大臣は話し合いをする、しかし頭からこれを否定してかかる、法律がそう定めておるが、それは絶対にやっちゃいかぬというようなことを決議し、そういう一つの何を組合の力でもってこれを実現しょうと言われるような態度では、話し合いには応ぜられないということであって、決して上から押しつけようとか、あるいは文部官僚の行き過ぎを、そのまま大臣がその上に乗っかっておるということでは、私は絶対ない、かように考えております。
○竹中勝男君 時間の関係でもう一点だけ簡単にお尋ねいたしたいのですが、今の問題はなかなかむずかしいのですが、いずれ同僚の委員から質問があると思いますので、これに譲りまして、この国会に内閣提出として科学技術会議設置法というものが出ております。しかし、これはよく見ますと、非常に何というか、権力機関のような技術会議なのであります。もう科学技術の振興ということに総理が熱心なこと、内閣が熱心なことはよくわかりますけれども、こういう形の設置法を出されると、これは日本学術会議も、昨日これに反対の決議をしております。総理の顧問をしておる茅さんなどがやっておる学術会議すら、これを反対しております。なぜかというと、総理が諮問する、内閣の首班が議長をやっておって、そして国務大臣が学者と半数くらい出る。こんなことで科学技術会議を運営するということは、これはまあ、戦争でも始まれば、国防会議のような性格になってくると思います。非常にこれは権力機関となる危険が多分にあるのですが、一つこの点についてさらに総理は案を練り直される必要があると思いますが、こういう国防会議的な性格を持った会議設置法というものを、法案が出ておるということについては、私どもはこれは学問の端くれに、学術の端くれをになっておる経験を持っておる者として、きわめて日本の学術の進歩の上に、科学技術の進歩の上にむしろ逆の結果を及ぼすのじゃないか、なぜ、現在の学術会議を強化して、日本の全体の科学技術者を動員するような体制をとられないのかと思うのですが、この点について……。
○国務大臣(岸信介君) 科学技術に関する振興をどうしていくかという問題につきましては、いろいろな点を考えなければならないのですが、その一つの大きな具体的な問題といたしまして、現に各省がいろいろな研究の機関を持っております。そうして、これの連絡なり、これの調整なりをはかっていくということも、従来いろいろとやってきておるのでありますが、そういう点に関しても、現実の問題からいうと不十分なところがございます。また科学技術を大いに奨励しようということになりますというと、将来日本の科学技術をどういう方向に持っていくかということについての行政上の立場における、行政の基本を立てるというような必要もこれはあるのであります。私どもはこの学術会議であるとか、あるいは学問上の研究というようなものを統制しようとか、あるいはこれに対して権力的なものをこれでもって作ろうというような考え方は、毛頭ないのでありまして、これはあくまでも諮問的な機関であり、同時に今持っておる各省が、それぞれの研究題目を持ち、研究機関を持ち、またいろいろな方向に研究を進めておりますが、これの十分な連絡とまた協力というものをとっていき、また、各省の間における各研究機関の中におけるところの対立であるとか、あるいは権限的な考えというものを、やはりより高い見地から批判していく、そうして将来のこういう科学技術の行政の面におけるいろいろな基本的な方策を諮問し、これを決定していきたいというのでありまして、学術会議のごとく、学問そのもの根本に関しての研究であるとか、あるいは学問についての意見であるとかいうようなことに、われわれがタッチしようという考え方では全然ないのであります。そうして、これの作り方につきましても、あるいは非常に大きなものを網羅してということの議論もありましたが、そういうことにしますと、むしろ学術会議の分野に食い入るおそれが非常にあるので、われわれの審議会の扱っていくところのことは、今申しましたような範囲、諮問的な機関である。権力的な、また統制的な考え方は毛頭持つわけではございません。
○松永忠二君 私は一つ勤務評定の問題について、今総理は実施が強制されていないというお話しであったわけですが、御承知のように関東ブロックの教育長協議会が十七日下田で開かれた。そうして二十三日の日に三都四県が同一の日に一斉に実施を決定しようということを言っておる。それからその席には、文部省の木田地方課長が出ておる。そうしてまた、各県には文部省の事務官も派遣をされているということも聞いておるわけです。それから新聞の報道によると、川島幹事長は文部大臣に東京都を突破口として実施を急速にするということを要望しておるし、岸総理もこれに同じ意見であるというようなことも報道がされておる。そうなって参りますと、私たちはやはりこれは地方の教育委員会が計画して、そうして地方教委が実施をするというような自主的なことが行われないで、むしろ非常に急速に実施が強制されておるというような形が非常に混乱を起しておる大きな原因だと思うわけです。そこで、特にいろいろ考えてみると、解散の直前にこういうことが実施され、そうしてこれに伴ういろいろな混乱が起って各政党がこれを取り上げてくる、あるいは選挙中にも、こういう問題が非常に論議をされるということになると、いわゆる教育の中立という意味からいっても、この勤務評定の問題が非常に大きく波乱を呼んでくると思うのです。私はやはりこういう問題については、急速に実施をするということではなくて、とにかく解散前にこれを強行するというような事態を避けて、そうしてこの時期を延ばしていくという指導が、やはり行政としてなさるべきじゃないか、そうしてまた、この問題についてはやはりあくまで自主的な、県の教育委員会の計画のもとに行われていくべきだと思うのですが、この二つの問題ですね。解散直前にこれが強制をされて、非常な混乱を呼んでおる事実を考えてみても、やはりこれを解散以後に延ばしていくというような大所高所に立って、行政指導というものはあり得てもいいではないか。そうしてまた、もう一点の、どこまでも自主的に行わるべきであると思うが、それについての見解を一つ総理からお聞きをしたい。
○国務大臣(岸信介君) 勤務評定の問題は、すでに昨年愛媛県の問題以来非常な国民全体の関心もある問題、関心を高めてきておりますし、各都道府県におきましても、これについての、どういうふうに扱っていくかというようなことについても、いろいろな研究も、議論も行われてきておったのでございます。先ほど申しましたように、やはり勤務評定というものは、これを法律にも明らかに規定してあることであるし、適当な方法において実施するということが、人事管理の上からも望ましいという立場に立って、文部省としても指導しておるわけでございまするが、いうまでもなく、これは自主的な各都道府県の教育委員会等が中心になってやらなきやならぬことは言うを待ちません。それを強制するとかいうようなことは、私は文部省もいたしておらないと思います。ただ、そういう性質のものであり、相当な研究も行われ、これに関するやり方等につきましても、研究をされてきておることでありますし、またこのことは、各都道府県の教育委員会に自主的にまかすという問題ではありますが、同時に、これを実施する方面からいくならば、比較的密接な関係にあるとか、あるいは県境を相接しておるというような県において、なるべく同一的な行動をとってこれを実施することが、実施を円滑ならしめる方法であるというようなことで、各都道府県の間におきましても連絡をとっておるという私はことであり、もちろん、文部省が全体の文教政策についてのいろんな意味における指導を、適当なる指導をする立場から、係官等もそういう場合において出席もし、根本の何としては、われわれはあくまでもこれを強行するとか、あるいはそこに混乱を生ぜしめてどうするということではなしに、スムースに、いかにしたらスムースに早く実施できるかということに、私は、文部省も苦心をいたしておりますし、各都道府県の教育委員会等においても苦心をされておることであると思うのです。あくまでもそういうことで考えておるわけでありますが、ただ、選挙と云々ということでございますが、実にわれわれ、私どもは、選挙の、総選挙の問題につきましては、私が、いろんな批評がありましたけれども、ごく最近に実は最後の意思決定をいたして、社会党ともお話をしておるということでありまして、私どもは、それの前にどうしようとか、それのあとにどうしようとかいうことを別に考えておるわけじゃございません。ただ、選挙と関連して、そういう混乱の事態が起るということは望ましくないことでありますから、それに対しては適当な、混乱を生ぜしめないように考えていかなきゃならぬと思いますが、そのためにそれだけ延ばすとか、繰り上げてどうするとかいうことはやるべきじゃなしに、やはり今申しました、昨年来からずっときておる地方教育委員会等の一つ自主的な立場における建設的な立場からの進行にまかしていくということが必要なんで、そして私としては、これに関連して混乱を生ぜしめないようにできるだけ処置していくということにいたしたいと思います。
○委員長(湯山勇君) 松永君、あと五分です。
○松永忠二君 その混乱を起さないようにするとか、あるいは勤評というものが、教育の問題として実施をされていくというような状態が必要であるというようなことから考えるならば、この二十三日という日に、むしろ一斉に関東地方の各県が実施をしていくというようなことよりも、むしろやはりこれは、いましばらく慎重に話し合いを続けていくという方が、事態として非常にいいというお考えはお持ちではありませんか。
○国務大臣(岸信介君) 実は私、具体的の関東地方のそういう催しがどういうふうな経緯でもって、どういうふうな何で話し合いができておるのか、私よく承知いたしておりませんから、それが何か非常な混乱を生ずるような何があるということであるのか、あるいはすでに前から予定されておって、相当スムースに話し合いができて、そういうふうな段取りになっておるのか、その辺のことにつきましては、文部大臣からお答えをしないと、私自身は事態を知りません。ただ政府としては、これをきっかけとして何か混乱を生ぜしめるというような事態は、政府としてはもちろん考えておりませんのみならず、考えるはずもございません。また組合やその他関係者の人も、できるだけそういう、こういう選挙その他の何に関連して混乱を生ぜしめないように、一つ御協力を願いたいと思っておるのであります。
○松永忠二君 その点については、一つ今後の政府としての適切な御処置をお願いをしたいと思うわけであります。それから勤務評定の問題については、やはり実は、こういうふうなことが、科学的な管理というものが必要である、能率の向上に必要だ。それには個人的な判断によって、情実をまじえないような方法がいいというようなことは、これは当然なことだと思うわけであります。ところが、それについては、果してそれが可能であるかどうかということ、これを実施した場合に、どういう弊害があるかというようなことから、御承知のように、アメリカ自身でも職務とか、職務条件の標準化であるとか、あるいは評定をする人たちの資格であるとか、あるいは(「こういうときにアメリカを持ってくる」と呼ぶ者あり)
○委員長(湯山勇君) 静粛に願います。
○松永忠二君 その評定の物的、人的条件を整備するということの方がむしろいいのだというようなことも論議されておるわけであります。 なお、各方面からいろいろな貴重な意見も出ておるわけなんであります。それからまた、先ころ私も申し上げましたように、実はこの法律は、昭和二十三年の十二月十日という日に、文部委員会で、三分か四分論議されただけである。また同じ衆議院の、二十五年の十二月二日に、文部、地方行政の合同委員会で、一分程度教職員の勤務評定の問題は論議されただけであって、参議院ではほとんど論議されてない。しかも御承知のように、これの直接の根本法規になる地方教育行政の組織並びに運営に関する法律は、あの混乱の中で、参議院では九条、衆議院では七条しか審議をしないので、この問題は、ほとんど国会で何ら論議もしていないという現在の状態である。新しい教育の法規が、法律主義になったという立場から考え合せ、なおかつ先ほどのように、いろいろ評定の問題等についても、学問的にも、また人事管理の面でも、非常な論議が各国、日本の国内においても論議されておる現状であるので、こういう問題はやはり法律にあるから実施をするというのではなくて、法律があっても実施されなかった現在の状態等もかね合して、再度国会で審議をするとか、あるいは客観的な審議機関を設けて結論を得て、これを実施をするということの方が、私は、その建前であると思うのですが、これについて総理はどういうふうな見解を持たれておるのでありますか。
○国務大臣(岸信介君) もちろん、教員の勤務につきましては、いろいろな学校の設備、教材その他の物的あるいは客観的な環境を整えていくことも、私は必要であると思います。しかし同時に、たくさんの人がこういう大事な仕事に携わっておるのでありますから、その人事の管理はあくまでも、ことに、教育は中立性を厳守しなければならないものでありますから、こういうことに対する、やはり適切な勤務評定が行われるということは、私は、これは当然なことであって、また行われなければならぬ。これだけが例外になるということは、国民も私は、納得しないことである。(「同感」と呼ぶ者あり)ただ、その勤務評定の内容であるとか、やり方等につきましては、これはいろいろ職務の内容から申しまして違う、一律画一的なものでないことは言うを待たない。従って、それをどういうふうにやるかというようなことにつきましては、すでに昨年来、各都道府県の教育委員会等におきまして、十分に研究され、こういう方法でやろうという案が得られまして、それに基いて、それも大体見て公正なものであるという見地に立って今やろうとしておるわけでございまして、決して私は、ただ単に法律に規定してあるから、これは、まあ、法治国においては、法律に規定してあることを一応守るべきであるということは、これは抽象的な一つの原則でございます。ございますが、それだけの形式的理由でもってこれをすることじゃなしに、この問題に関しては、非常に大事な、将来を託する青少年の学校教育について、非常に実は教員も悩まれておる。しかも、その教育というものの内容はあくまでも中立性を厳守してりっぱな教育が行われなければならない。そうすると、やはりその間におけるところの多数の人の人事管理をただ偏した人の意向とかなんとかで左右されるようなことがあってはならないことはもちろんのこと、そういう懸念を、不安を持たせるということもいけないのであります。そういう意味からいけば、やはり公正な勤務評定が早く実施されることが、私は明朗になることである、かように思っております。
○高田なほ子君 私は総理大臣にお伺いいたします。だんだんの御説明でありますが、突き詰めてお答えを願いたいと思うのです。今、松永委員からも質問がありましたように、勤務評定の実施が、二十三日というような直前の姿の中にありまして、御承知であろうと思いますが、連日新聞の報道するところによりましても、教育者側と激突を免れないというような見出しで報道をされております。少くとも教育行政の面については、かかる激突を避けて実施しなければならないことは当然であり、この激突を避けるためにこそ、政府はこれを善処し、善導するという私は政治的な責任を持つものと思います。政府はこの段階になりまして、この激突の直前の段階にあって、この事態をどういうふうに調整なさろうとするのか。あえてこの点簡明に、明快にお答え願いたいと思います。
○国務大臣(岸信介君) 先ほど来勤務評定に関する私の考え方を申し述べたわけでありますが、私は日教組におきまして、何かこの問題をやらせないというために、いかなる激突をしてもあえて顧みないという態度自身を、実は反省してもらいたいと思うのであります。(「同感々々」と呼ぶ者あり)私は建設的な内容であるとか、あるいはこういうふうにやれというような御意見であるならば、十分に一つ所管の文部大臣とも話し合って、 スムースに行なっていかなければならないが、初めからもうきめてかかって、これはやるべきでない。やるならば激突も辞さないという態度自身を、私は教員諸君におきましても、良識をもって反省してもらいたいと思います。(「その通り」と呼ぶ者あり)
○委員長(湯山勇君) 御静粛に願います。
○高田なほ子君 これは岸総理大臣の御答弁とは思えないのです。政府はわが国の行政一般に対する責任を持つべき性格のものであって、日教組といえどもこれは教育者の固まりであります。教育者が勤務評定を絶対にいけないという即断をされているようでありますが、そうではなくて、この評定の内容、実施方法等につきましては、十分これは検討してほしい。現在の政府の考えておられる勤務評定、あるいはまた今日試案として出されているところの勤務評定試案は、私どもが考えても、幾多の法的な疑義を持つものです。こういうものを強行実施することに対して、これはいけないというのであって、私は一方的に日教組が悪いから、激突はやむを得ないと受け取れるような御答弁は解しかねますが、教育行政の責任に当る者が、この段階において何らかの善処する手をお打ちになることこそ、私は本来の政府としてのあり方ではないかと思うのですが、あなたの御答弁は受け取れませんので、もう一度御答弁をわずらわしたい。
○国務大臣(岸信介君) 私は先ほど来申し上げている通り、文部大臣も、また、政府はもちろんのことでありますが、文部大臣も十分に一つ協力してこれを実施しようと、それについてはこうしようじゃないか、ああしようじゃないかというような話しであるならば、私は十分に政府はもちろん、文部大臣も話し合うことができると思っております。しかし、私の今まで承知いたしている限りにおきましては、そういうことになっておらない。また今、高田委員の御指摘のように、激突は必至の何であるというふうな勢いであるというようなことにつきましては、私は非常に遺憾に考えているのでありまして、そういう事態が来るということについては、今申し上げますように、政府側においても、もちろん教員組合の方でもって、今私が申し上げたような心持ちで話しをしようというのを、もう一切受け付けない、一切相手にしないというような態度であるならば、これは政府がみずから責任を負わなくちゃならぬことでありますけれども、今までの経緯から見まするというと、それについて十分に私は文部省としても、文部大臣としても、教員組合の方方に納得して、理解してもらうような処置を講じてきていると思います。
○高田なほ子君 それは岸総理大臣の非常に拙速主義的な御見解だと思うのです。今日までもう教師に対する成績評価一般については、校長の具申をもって実施しているわけであります。しかし、今回行われる勤務評定は法律を根拠に、教育行政実務の一環として行われる評定であります。従って今日までの教師の成績評価一般と、法的な根拠を持つ勤務評定の実施とは、これは一応区別してかからなければならない問題であると、私はそう思う。しかも、松永委員も指摘した通り、勤務評定の問題については、第一回国会以来国家公務員に対するフーバー氏の勧告によって、この制度が行われたようでありますが、地方公務員に対しては、一般原則として法律の中に入ってきている。従って今回行われるこの勤務評定は、法的な根拠を持つものである以上、三分や、五分国会の中でこれが論議されたからといっても、法的な疑義を解く機会がなかったわけなんです。従って私ども立法府の一員としては、法的な根拠を持つものである以上は、この実施前に国会内において十二分の検討をする必要があると考えますが、この点についてどのようにお考えになられますか。
○国務大臣(岸信介君) もちろん勤務評定の実施という問題は、こういうふうに論議が行われていることでありますから、重大問題でありまして、文教政策上も関連を持つものでございますがゆえに、その実施についてのいろいろな方法なり、意見等については、私は国会において論議をされることは、当然であると思う。また、この国会の開会以来、文部大臣はもちろんのことでありましょう、私自身も衆議院及び参議院本会議、あるいは委員会等におきまして、予算委員会等におきましても、ずいぶんこの問題に関しましては御意見も承わっておりますし、われわれの所信も尽しておるわけでございます。私は今日の状態から見まして、やはりそう早急に、われわれが非常に無準備にこれを励行しているということじゃなしに、昨年来の経緯をお考え下さるならば、ずいぶん慎重に、十分各方面の意見を取り入れて、これが実施に当ろうと、こういうわけでございます。
○高田なほ子君 当初文部省は、文部省自体でこの基準案を作成する予定であったようです。それで大臣も本委員会の席上においては、実施前にこの内容を十分に国会で御論議願うということを言明されたのでありますが、その後文部省がこの基準案を作成する法的根拠が見当らないために、地方の教育委員会にまかせ、そうしてまた、文部省自体が地方教育委員会に肩がわりをしてこれを実施させるというような、へんぱな形をとった。従ってわれわれ文教委員会はこの実施前に、少くとも実施する側の意見を聞きたいということで、たびたび参考人の要請をしたにもかかわらず、今日に至るもそのことが実現されない。結局国会の論議を抜きにして実施しようとすることは、ただいまの岸首相の御真意に私は反することであると思う。当然これは国会が十分に論議の機会を持つべきであるという、岸首相の御意見に私は賛同して、委員長においても今後こうした御見解を十分に生かしてもらいたい。 次にお尋ねしたいことは、今日勤務評定実施の段階、直前の段階にあって、各地方の実情を二、三次聞いたしまするところによると、警察官がしきりに出入りをして、そうしてもしこのことに対して強い反対を諸君が示すならば、これは警察権の介入もやむを得ないということを、ひそかに非公式に語っていると伝えられています。私はかかる問題に警察権が事前に介入するという問題、また本問題に対して、なぜ警察権がかかる姿で介入しなければならないのか、これは当然排除すべき問題であると考えられますが、首相の御見解をわずらわしたい。
○国務大臣(岸信介君) これは当然警察権が介入すべき性質のものでないということは、言うを待ちません。いかなる問題に関しましても、それに関連して法規の違反が行われたり、あるいは犯罪の事実が生ずるようなことがありますというと、これは警察の本来のこととしてやることはなんでありますけれども、われわれは日教組との関係において、あるいはその他の労働争議におきましても、一切警察権が介入するということはしないという方針で貫ぬかれておりますから、あるいはいろんなことが誤り伝えられておるのじゃないかと思いますが、事実は私よく承知いたしません。
○委員長(湯山勇君) あと三分です。
○高田なほ子君 アメリカの勤務評定は、世界各国の中で最もよく進んで実施をされていると伝えられておるし、たびたび文部省からの資料等によって、われわれはそのことを承知しております。けれども実際は今から二十年前に十万の地教委のうち約五万が実施した。ところが、それは失敗してしまった。今日においてはほとんどの地教委でやられておらない。しかも、アメリカでは勤務評定の実施に当って、実に巧利的の方法が講じられておる。それからアメリカの有名な教育学者のマーフィは評定尺度法というものは、どんなにいろいろ突っ込んでいっても、妥当性を突きとめていくことはむずかしいというふうに、この評定が非常にむずかしいものだということを言っておるし、また、日本の教育学会においては、評定についてはいろいろの建設的な意見を持っています。また、民間のいろいろの批評家が評定についてもこれは議論が言われております。私は教育行政の問題については、民間の団体のいろいろな意見を聞き、同時に校長さん自体の意見等についても、十分法的な根拠に基いて論議されて、しかる後、実施されるのが妥当ではないか、こういうふうに考えられますが、民間学者団体等の意向を、政府としては反映させる機会を持つべきであるという御意向をお持ちになっておりますか、どうでしょうか。
○国務大臣(岸信介君) これは御承知の通り建前を申しますと、都道府県教育委員会の計画のもとに市町村の教育委員会がこれを行うことになっております。私はこの責任に当る人々の意見を十分に聞いて、それによって案ができているわけでございます。それはもちろんそれらの人々は、そういうものを作るにつきましては、一般世論、各方面の意見というものを参酌されてきたことは当然であると思います。私はこの教員の勤務評定という問題は決して容易なものであるとは考えません。これだけの議論があるのでありますから、いろいろむずかしい点があることはよく心得えておりますが、一応とにかく今言ったような形で昨年来いろいろ論議され、また実施されている学校もございますので、それらのなにを見ましても、これが実施されるということについて、非常な根本的な誤まりがあるというような議論はどうかと思うのでありまして、この辺で一つ実施してみて、さらに修正すべきものがあれば修正もする、改善すべきものがあれば改善するということで、人間はもちろん神様ではありませんから、やって見てのこともありましょう。しかし、初めから全然見当もつけないでやるというのでなしに、今言った手続ででき上っているわけでございますから、この辺で実施するということを指導することは、私は決して行き過ぎじゃないと、かように考えております。
○委員長(湯山勇君) 高田君、簡単に願います。
○高田なほ子君 最後にお尋ねいたしますが、御意見はわかりました。しかし、この実施の内容が、法律的に違法であるものの実施について、岸総理大臣はどう思いますか。時間がないので、私は違法の点を約十三項ばかりあげておりますが、これをここで論議できないことは非常に残念ですが、この違法性のあるものを実施するという、この事実に対して、どうお考えになられますか。
○国務大臣(岸信介君) これは抽象的にいろいろ違法性のあるものを実施することは、これは許されないことは、私はなんだと思いますが、しかし具体的に果してそれが、高田委員は違法性ありと考えられる項目でありましょうが、果して違法性があるかどうか、論議してみなければわからないと思います。
○高田なほ子君 でありますから、この論議の機会というものを、実施前の今後の国会にゆだねるべきだという主張を私はしている。この点いかがですか。
○国務大臣(岸信介君) これは委員会におきまして文部大臣がずっと出ているわけでありますし、政府の法律の専門の方面の人々も出ておりますから、論議されたか、されないか、私知りませんが、適当に委員会においてこれが論議が尽され、またそれに対して、どうしても総理の意見を聞かなければならないというような事態があれば、これはまた、時間の許す限りお答えすることは差しつかえございません。私はそういう御懸念があり、そういう御質問があるならば、十分にこの本委員会において高田委員から、それぞれ専門の方へ御質問願ったらいいじゃないかと思います。
○大和与一君 時間がないから、あまり質問もさわりまでいきませんが、先ほどの総理のお答えの中で、大へん大事なことがあるのですが、法律を守ることは抽象的原則だ、こういうふうにおっしゃいましたが、これはあなたの方は、憲法第九条に再軍備をしてはいかぬと書いてあるのに、やっているので、恥かしくて良心にたえず言った、こういうふうに了解していいですか。
○国務大臣(岸信介君) 私言葉がはなはだなんで、抽象的ということを申したのが、あるいは誤解を招いたかと思いますが、今大和委員がお尋ねになったような意味で申し上げたわけでありません。法治国で法を守るということはすべて前提条件で、理論的にこれはもうこの通りだ。しかし、実際この勤務評定をやるということは、ただ単に形式的に、今の法治国であるから、法に規定しているものをこれを守らなければならぬということを唯一の理由としてやっているのではないということを、私は申し上げるつもりで言ったのであります。
○大和与一君 議事録に書いてあるから、抽象的原則ということを取り消して下さい。
○国務大臣(岸信介君) 先ほど申し上げたことは、今申し上げました通りの意思でございます。
○大和与一君 この勤務評定の問題は、地方財政再建整備法と私は関係があり、人事問題の適正をはかるために教員の定員を減少することと本質的に結びついている、こういうふうに私は考えます。そうでなければ、実際全国の都道府県にいろいろ問題があります。金の苦しいことはわかりますけれども、そういうことを含めた今回の企図である。そこに非常に急がれた立場もあった、こういうふうに考えますが、いかがですか。
○国務大臣(岸信介君) 私の承知しております限りにおいては、そういうことはないと思います。
○大和与一君 最近、文部省なり、各省から通達が出ておりますが、通達というものは、これは文字通り助言、指導くらいの内容であって、法律や省令でないから、これは出したからといって、それは必ず実行しなければいかぬ、こういうことでないというふうに考えますが、その点はよろしゅうございますか。
○国務大臣(岸信介君) 通達はもちろん法的の拘束力はないと思います。
○大和与一君 その通達を出すことによって、うまく指導できた場合はいいけれども、混乱する、こういうようなことがあった場合に、責任は一体どういうふうになりますか。
○国務大臣(岸信介君) お言葉でありますが、ただそれだけの抽象的な議論では、私、どういう理由で混乱を生じているか、混乱の実態もわかりませんので、直ちに通達が悪い、通達を出した責任があるということは申し上げられないと思います。
○大和与一君 文部省は今度勤務評定をやるについて、基準を作っていないわけです。そして都道府県教育長協議会総会にまかせてある、これも協議会ですから、そう大した強制力、拘束力はありません。そうすると文部省は基準すら与えないでおいてそうしてやろうやろうというのは、これは間違いだと思うのです。だから今度の評定の案というものは、完全でないと思いますが、そういうふうにお考えになりませんか。
○国務大臣(岸信介君) これは私は文部省が基準を示してやるという性質のものじゃないので、やはり先ほど申し上げましたような建前からいって、各都道府県の教育委員会の計画のもとに市町村教育委員会においてやるという建前をやはり尊重すべきものであって、従って今お話しでありますけれども、文部省は基準を示さぬということの方が正しいのであろうと思います。
○大和与一君 かりにそれでは基準を示さぬことになったら、要らぬおせっかいをせぬでいいので、完全でない今回の試案についても、それだったらもっと十分に拙速でなくて話し合いをしなくちゃいかぬ。口では話し合いをすると言っているけれども、それでは人を殺すといって殺さぬうちに殺されるまで待っておって、もう手をこまねいていて何もしない、こういう文部省の態度であるということは、きわめて無責任だと思う。そういう点が十分に話し合いができていない。特に地方についてはそういうことができていない。そういうことについてはどういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(岸信介君) 先ほど来申し上げているように、私はあくまでも民主政治、平和な国家からいいまして、できるだけの話し合いをし、そして事をスムーズに行うということは、私自身の根本的の念願であります。先ほど来申し上げているように、文部省自体が一切その相手にしないというようなことで、これを一方的に強行するというような態度はとっておらない、私の承知いたしております限りにおいては、そういうようなことはないと思っております。
○大和与一君 島根県の教育委員会から文部省にお尋ねがあって、そうしてこの勤務評定の問題については、話し合いの対象になるかならぬかという質問がありました。それに対して内藤初中局長は何か通達を出してその対象にならぬと、こういうふうにちゃんと出ているのです。一体それはいいと思いますか。
○国務大臣(岸信介君) その話し合いというのが、どういう意味でございますか、あるいは何か団体交渉というような意味の話し合いということでは、そういう性質のものじゃないということを言ったのではないかと思いますが、私、通達の具体的な内容をよく知りませんから、何であれば文部大臣、その他、係から説明させます。
○大和与一君 ほかの人はもういいですから……。それでは一体話し合いという言葉、かりに団体交渉というきびしい意味の交渉でなくても話し合いができるということは、まとまれば、これは団体交渉と同じ力を持つわけです。お互いにやっているのだから、これはいいと思う。それならお互いが努力を十分するということになれば、実際にここでやっているかといえば、現在この関東ブロックだけでもなかなか十分に話し合いができていない。こうなるとその通達はじゃまになってしょうがない。そういうおせっかいをしないということを、さっき総理はおっしゃったので、基準は作らない方がいいのではないかということについて、そういうことは示さぬ方がいいのではないかと思うが、と総理はおっしゃったことと認めて、そういうものはなるべく作らないで話し合いでもってやるということ、ここまではそうですが、結局通達を出しておって、全国的にこんなことはしないで、なるべく話し合いに応ずると、こう言っておりながら、こういうおせっかいをしている事実に対して、あなたはどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(岸信介君) 先ほども申し上げているように、私はこれは行政権の、行政上の一つのなんだと思います。この勤務評定を実施するということは、従ってそのこと自体が、何か組合との間の団体交渉的な性質のものではないということは言うを待たない。責任をもって地方の委員会がこれをやることでございますから、ただ意見を聞いて、これをスムーズに施行するという意味における意見の交換等は、これは十分にやっていかなければいけない。主張が違うから、たとえばこの賃金の値上げ問題についての労使の間の団体交渉というような性格における話し合いというものではない、対象にならないと、こういうことを申しているのではないかと思いますが、なおもし必要があれば、係の者からお答えいたします。
○大和与一君 その総理のおっしゃる気持もわかった上で話し合いを実際はしているところがあります。ところが、それはまとまらないのです。そのまとまらないような際に、やるやるということを何も言わなくてもいいのじゃないか、それが政府の指導方針であり、文部省の指導方針だということは間違いだと思うのです。それはいかがですか。
○国務大臣(岸信介君) これは何だろうと思います。私が申し上げていることもそうですが、話し合いがまとまらないからやれないと、こういう性格のものじゃなかろうと思います。十分に意見を聞き、両方で意見交換をし、できるだけのスムーズにやる意味において、その反対されておる人の意見も聞き、両方が意見をよく交換して、一致ができるならば一致ができるようにしていくということは、私は、これをスムーズに行う上から必要であるけれども、かりに話がまとまらないから、これはそれではまとまるまでやれないのだと、こういう性質のものではないと思うのであります。
○大和与一君 それにはもっと段階があって、法律であって、省令であって、そういうことはもちろんやるべきで、しかしそこに通達という指導助言という内容を持っておるものであるから、だからもしも地方のものがほんとうにまじめにお互いに話し合いをしていくということを認めるならば、そういう意味の強制力はないんじゃないか。それを通達くらいは出しておって、あるいは口頭指導をやっておって内面指導をやっておって、それをやっておるのに、必ずやらなくちゃいかぬ。そういうことは気持の上ではわかるけれども、実際の具体的な問題に進んでいく場合に、それは強制力でもって持っていくということは、大きな干渉になると私は思う。それはどうですか。
○国務大臣(岸信介君) どうも具体的の事実を私よく承知いたしておりませんから、どういう具体的の事例をおあげになって問題になっておるか、ちょっとつかみにくいのでありますが、しかし私の申し上げたいのは、まあ、ことがこういう重要な問題であるから、かりに教員組合の方において反対があるという場合におきましても、十分に意見を聞いて納得をしてもらい、話し合いをしていかなければならない。しかし、この勤務評定の実施ということは、先ほど言っておるように、委員会の、地方委員会の行う一つの行政権の内容でございますから、そのなんがどうしても地方委員会においてこれは実施すべきものであるという場合において意見が違っておっても、これを実行するということは差しつかえない。また、そうしなければならないと思う。そういう意味において話し合いということがいわれておることであると、私は理解をいたします。
○大和与一君 これをやるために、日本ではやはり勤務評定については人事院が一番勉強しておると思う。それでこれは一応日本での最高水準だと思う。そうすると、今度やるについても、その人事院の今まで十年以上やってきた、その基準を十分尊重して参考にして、そしてやるのが至当だと思うが、いかがですか。
○国務大臣(岸信介君) この勤務評定というものにつきましては、今言った国家公務員、人事院が関係をいたしております国家公務員と、また勤務評定の先ほど来も御議論がありますように、教員というものの職責の違っておるなにがありますから、公務員のそのままにいくということも、これは適当ではないところがあるだろうと思うのでありまして、しかし、そういうことが十分スムーズに行われておるとすれば、そういうものがやはり参考になれば、そういうものを参考として今回のなんを考えるということはこれは当然であろうと思います。
○大和与一君 それで総理のおっしゃっておる通りでいいので、そういうふうな困難な職責があった場合には、実施しなくてもいいというところまでわざわざ検討して書いておる。だからそれはとってもって範として十分に慎重にやらなければならない。話し合いはしようじゃないかという気持は、当然政府もあるから、そういうことははずさないでもらわないと、そういう大事なところは全部はずして、そしてやるやると言っているとろに、今の無理がある。これはどうですか。これは人事院規則が最高水準で一番いい模範で、手本だと思うが、それを参考にしないかどうか。
○国務大臣(岸信介君) 私の承知しておるところによると、国家公務員たる教員には実際やっておるのじゃないか……。
○岡三郎君 それでは簡単に申し上げます、時間がないから。今国家公務員の話が出ましたが、これはちょっと脱線するようですけれども、国家公務員の仕事はいろいろとやり方が違っておると思う。これは内藤君にあとから私が質問いたしますが、私文教委員長のときに、千葉大学等を回って見て、実質的に勤務評定をやることは困難である、こういうことで段階をつけてやるということ自体、非常にむずかしいということを、Aの先生、Bの先生、Cの先生みな優秀で、差をつけるということはむずかしいから、特性に応じて先生をどういうふうに使うか、こういうふうないわゆる人事の管理ということよりも、その人間の特性を生かして、そうしてそれを総合的に教育効果が上るように結びつけられることならば考えられるけれども、差別をつけるというやり方については、非常にむずかしいというのですね、各県において国家公務員の場合においては、これはまちまちだと思うけれども、こういうふうに国家公務員についてはやられておるのを、画一的に地方公務員に押しつけるということは、これは法規上から言って矛盾があろうと思うのですが、この点いかがですか。実情の問題から言っておるわけです。
○国務大臣(岸信介君) 私が申し上げたのは、先ほど大和委員の質問に対しまして、人事院でそういうものを何しておるのだから、これを平本にすべきいやないかというお話があったから申し上げますが、言うまでもなくこの教育公務員についても、これはたくさん、また地方の事情もございましょう。そういうものの何については、なかなかむずかしいということをよく承知しております。ですからやはり地方でおそらくこれを実行するということについては、実施すべきものにあらずということは、私は成り立たないのだと思います。ただ、実施するについて、こういうふうにしたらいいじゃないか、あるいはこういう内容でやらなければいけないじゃないかといういろいろの御議論が出てくるのじゃないかと思うのです。そういうことについては、今言っておる一応昨年来いろいろこの問題について論議がされ、そうしてやろうという頭のもとに地方教育委員会等が十分に研究をして、一応得ておる案というものを、これは私は一応尊重することが適当じゃないかと、こういうふうに考えます。
○岡三郎君 総理が言っておるけれども、地方の都道府県の教育委員会が自主的にやっておると言っておりますが、これはもう内藤さんの方が盛んにうしろの方で内面指導でやって、作り上げておるということは、百人が百人承知しておるので、そういう点で文部省の干渉が非常に強いので、この問題については必要以上に困難が起っておる、私はそういうふうに思うわけです。今私の質問したのは小さい、大きいの問題じゃない、根本問題なんです。国家公務員に実際はやってなくて、地方公務員に対し一方的に押しつけようとすることは、勤務表はできているけれども、そのつけ方が実施の段階に入って非常にむずかしいと思う。その結果としてそういう声が出てきておるものを、地方公務員に押しつけようとするのは、私は無理だと思う。この事実については内藤君が今法制局長官に何とか言っておるらしいが、事実を見ればわかると思う、ただ時間がないから言わないで簡単に触れておるわけで、問題の焦点は国家公務員にやってむずかしい、こういうことはわかっておる。わかっておるものを、地教委がやろうと言うが、地教委は自主性でやっておらない。文部省が内面的に指導し過ぎて、とにかくやらざるを得ないからやっておるというのが、ほんとうの真相ですよ。この点が総理の耳に入っておらなかったら、私はこの問題について、総理の方でもう一度検討する必要があるとお答えになると思うのですが、その点いかがですか。
○国務大臣(岸信介君) もちろん、教員の勤務評定の問題に関しては、重大問題であり、いろいろな困難が実施上あるということは、私も承知いたしております。しかし、ただ困難があるから、これはいつまでもやらないのだという性質のものではなくて、従ってわれわれがあまり忽卒にこれをきめて何するということならば、これは適当でないと思いますが、十分そういう先例も参照し、それから責任を持つべき地方教育委員会におきまして研究したところのもの、その得た成案を実施しよう、こういうことでございますから、この辺でやはり実施するのが適当であろう、こう思います。
○岡三郎君 今の総理のお答えは矛盾していると思うんですよ。というのは、非常にむずかしいものであるということがわかって、これをどうするかという問題で、みんな苦しんでいる現在段階です。こういうような段階のものを、ここで急速に実施するということ、しかもこれは文部大臣と川島幹事長が早期実施ということを打ち合せているということについては、総理は何か相談に応ぜられておりますか、私は今資料を一ぱい持っておるのですよ、時間がないから言いませんが……。
○国務大臣(岸信介君) 私は文部大臣と幹事長がそういうことを相談したという事実は知りません。
○岡三郎君 その点で私の調査によれば、とにかく神奈川県に対しても、最近大塚事務官という者を十四日に派遣して、県の教育委員会に対して、お前の方だけやらないじゃないか、けしからぬ、なぜ実施しないのか、みんなの統一歩調を乱すのか、そういう言い方で迫っている事実を知っているわけであります。指導ということよりも強制です。一種の脅迫ですよ。それで教育長は何と言っているかというと、それを押し切れないということを言っている。実質的に都道府県の教育委員会は、その都道府県の教育に対して責任を持っているわけです。それを非常に強行的な突っ込み方でやっているという事実を知った場合において、こういうやり方は内面指導とか、いわゆる指導ということじゃなくて干渉です。現在の教育委員会に対するところのこれは重大な干渉で、自主性を曲げるものであるということを私は考えているわけですが、そういう事実があった場合に、事実に対して総理は、都道府県教育委員会と文部省のやり方、文部省のこういう方法は干渉だと思うのですが、どうですか、その見解は。
○国務大臣(岸信介君) 私は従来教育者の勤務評定の問題は、非常に重要な問題でありますから、その実施の方法等につきまして、常に文部大臣の意向も聞いておりますし、また、中央がこれを干渉、行き過ぎしないように私も意見を申しており、文部大臣もそのつもりでやっており、決してそういうことはない。しかし、だんだんとこれをやろうという機運がこういうふうに盛り上ってきているということを私聞いております。それに対して文部省としても、ぜひできるだけ早く実施したいという意味で、指導はしているということでありまして、今のお話しのような干渉のことにつきましては、私は従来この問題に関して、文部大臣と、そういうことは初めからないように、私と文部大臣との間に話はいたしておることでありますから、そういう事実はなかろうと思います。もしも干渉していることがあるならば、行き過ぎていることがあるならば、是正しなければならぬと思います。
○委員長(湯山勇君) 岡君あと五分に願います。
○岡三郎君 事実の問題として、私が想像で言っているのじゃなくて、私はそういうふうに明確な事実を、神奈川県の新聞記者諸君から明確に聴取している、私は教育委員会に行ったことがあります。これは大塚事務官という人が十四日に行って、明確に教育長に対して言っているわけであります。これは重要な問題で、要するに都道府県の自主性というものをどう尊重するかということで、教育行政上重要な問題です。だからこの事実がもしも明確ならば、そういうことをやめさせると言っておりますが、やめさしてもらわなければなりませんが、もう一点私が聞きたいということは、選挙の前に、これを重要な問題として急速に実施しょうということを、川島幹事長とそれから文部大臣が話されたということを聞いているわけであります。これはその線に沿って、十七日、十八日の伊豆下田の会議において、地方課長が言っている中において、文部省の意向というものを十分述べているわけであります。この事実も私の方に入っているわけであります。こういうふうに都道府県教育委員会というものが、たまたま自主的にやろうということを申し合せておるのに、一々教育委員会に出かけ、また、その会議に出かけて、これは指導助言ならばいいけれども、そうじゃなくして、どうしてやらないのだと、こういうようなことを迫っているということは、これは私は明確に干渉だと思う。だからこういうことを干渉をして、選挙の前にこういうことをやって一つの政争の具に供するということに対して、私は納得できない、だからこういうふうな面において、行政指導の限界というものがあるだろう、だから私はそういう点が明確になった場合、これはもう少し検討をして、都道府県自体の自主的な立場を検討されるということならばいいと思う。ところが、関東だけに文部省は強力に迫っている、全国的に実施するならば実施しろという方針で指導するならば、まだわかるのですよ。ところが、今のところは一都九県を突破口にして、東北ブロックはこれにならえとか、こういうふうな指導を鶉荘においてやっているのです。これも局長が行くことが工合悪いので、地方課長が行って、東京の鶉荘で指導をやっておる、これも明確にわかっておる。こういう端的な例を見た場合において、内藤初中局長がやったか地方課長がやったかよくわかることですから、この点についてそれまで明確にわかっておることを総理が、そういうことならば、これはちょっとストップして再検討して、それはやるならやるということはけっこうですよ、政府が。われわれは反対ですけれども。ただし、こういう不明朗なやり方で総選挙前にやられるということは、これは紛争をみずから政府自体が起しておるというふうに解釈されても、私はやむを得ぬと思います。だからそういうふうな点で一都九県だけに集中してやって、全国的に見ると東北がこれに右へならえしろと、こういうことをやっておること自体が、私はおかしいと思うのですが、その点どうですか、これは事実なんですよ。
○国務大臣(岸信介君) これは文部大臣がここにおりますから、その事実、それから先ほど私自身が申し上げておるように、川島君と松永文部大臣が、そういう選挙前にこれを実施するのだということを申し合せしたということは、事実は私全然知りませんけれども、また、政府として選挙の前にこれをやるということには私考えておりません。ただ、今言っておるように、選挙のいかんにかかわらず、できるだけスムーズに早く実施したいということは、終始一貫持っておるわけでありまして、それの扱等につきましては、実は一々はやはり総理として具体的には承知いたしておりませんので、文部大臣からお聞きを願いたいと思います。
○委員長(湯山勇君) 岡君あと一問で終って下さい。
○岡三郎君 この点については、実施上において、こういう問題も総理大臣あるわけです。この勤務評定を実施した場合にはどういうことが書かれておるか、書かれたものはこれを知ることができないような仕組みになっておる。これは一種の教育上における秘密主義ですね、県の方に出されても、勤務評定というものは一人の先生なら先生に対してもっとよくなってもらいたい、もっと子供に対していい先生になってもらいたい、素朴な考え方なんです。ところが、評定の結果を先生に知らせないで、全然これを秘密にして、そうしてやっていくということ、これは教育上において効果がありましょうか、どうですか、この点。こういうやり方がどうですかと聞いておるのです。
○国務大臣(岸信介君) これは私どもの役人をしておった経験等から見ましても、なかなかこの人事の問題に関して中正にして、ほんとうに自分がこうだと思う正しい、人間でありますから、いろんな間違いはあるにしても、そのときの勤務評定を書く内容というものについては、やはりそれを書く人は、一種の神様になった気持が書かなければならないことであって、それを一々公開されるとか、あるいは示されるということになると、その中立性、中立性といいますか、厳正な公正なことが曲げられるおそれがあるというのが、これは実際上の問題じゃないかと思うのです。ただ、勤務評定の結果によりまして現われてくるところのいろいろな人事管理の上において、その人が非常にいいならば信賞され、あるいは悪いことをすれば、信賞必罰が結果的に現われてくるので、それでおのずからわかってくるという性質のものじゃないかと思うのですが……。
○委員長(湯山勇君) 岡君、時間が参りました。
○岡三郎君 逆の面で総理、そういうことを教育の問題ですから、やはり教師をよくしていこうという面において、たとえば評定した場合において、その評定の結果が納得できない場合に、公務員は不利益を受けた場合においては、それを提訴する権利があるのです。提訴することができます。そうした面で、今度は一応校長がそれをつけた、ところが各学校に、こういうふうなつけ方によるというと、学校がいろいろ差別が残念ながらあるわけです。いろいろ差等があるのです。ところが、学校においてつけたものを調整すると言っているのです。ところが、どういうふうに調整するかについても、これは非常にむずかしい問題があるということが言われておるわけですが、結論として、教育に関する問題は、明朗でなければならぬ。だから校長がどういう評価のもとにつけたかということについて全部公表しろとかいうことじゃなくて、必要に応じてその納得がいくように、その点については示す、こういうふうなことがなければ、これは完全なる秘密主義になると思う。これは一つの例として申し上げたわけです。だから私はつけたものを調整すると言っても、Aの学校、Bの学校、Cの学校をどう調整するのか、文部省自体もわかりはしないと思う、それについては。だれかがこれをやはり批判するという立場がなければ、公正な運営は私はできないと思う。そういうふうな面で私はこの問題については、なお十分検討する余地がある。総理に言いたいことは、実施せられようとする政府の意図については、私たちは反対だけれども、実施せられる場合においても、内容的に見ても、非常に多くの問題を含んでいるので、十分一カ年くらい検討をして、たとえばその研究の結果として、是正して全体に指示するというのが私は正しい方法ではないかというふうに自分では思っておるわけです。こういう方法について、総理はどう考えていますか、勤務評定なんて非常にむずかしいですよ。
○国務大臣(岸信介君) これの実施についていろいろ困難があることについての御意見は、私ごもっともだと思います。私は文部省におきまして、この問題を文部大臣は就任以来一年近くなされまして、その間においてこの問題を十分に、あらゆる点から検討されており、また、この問題に関して昨年夏愛媛の問題が起りまして、一般の国民も非常に関心を高めており、教育者、その他教育委員会等におきましても、この問題に関しての非常な関心が従来と違って高まってそうして研究し、いろいろ練った結果得た案でありますから、決してこれが完全無欠であり、どこからも非難もないというようなことは、これは議論がないというようなことは、これは私は百年たっても、こういう問題はできないと思うのです、たくさんの人が議論していくということになれば。この辺の何でもってやることは決して軽率であるとか、あるいは非常に早急に、これを政府がある意図のもとに実施するというような誤解はない問題があろうと思います。
○委員長(湯山勇君) 総理に対する本日の質疑は、これにて終了いたします。(「委員長」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し) ちょっと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(湯山勇君) 速記をつけて。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時二十九分散会 —————・—————