大蔵委員会 第31号
- 発言数
- 72 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1958/04/22
会議録
○委員長(河野謙三君) これより委員会を開きます。 議事に入ります前に、委員の異動について御報告いたします。 四月十九日付をもって、委員塩見俊二君及び大矢正君が辞任され、その補欠として大野木秀次郎君及び赤松常子君が選任され、四月二十一日付をもって、赤松常子君が辞任され、その補欠として大矢正君がそれぞれ選任されました。また本日付をもって、大野木秀次郎君が辞任され、その補欠として佐藤清一郎君が選任されました。 —————————————
○委員長(河野謙三君) この際、継続調査要求についてお諮りいたします。 当委員会においては、目下租税及び金融等に関する調査を行なって参りましたが、閉会の場合においても、これを継続する必要がありますので、本院規則第五十三条により継続査要求書を議長に提出したいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(河野謙三君) 御異議ないと認め、さよう決します。 なお、要求書の内容及びその手続等は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。さよう決しました。 —————————————
○委員長(河野謙三君) 経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基金に関する法律案について、大蔵省当局より内容の説明を聴取いたします。
○政府委員(小熊孝次君) 経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基金に関する法律案につきまして、補足説明を申し上げます。 御承知のように、昭和三十一年度の一般会計の決算の新規純剰余金は一千一億円の多額に上ったのでございましたが、これは同年度におきまするところの異常な好況に基因するものでございます。御参考までに、最近数年間の新規純剰余金の実績を申し上げますと、大体三百億から四百億台というのが通常のベースでございまして、その歳入歳出予算規模に対する比率から見まして大体三、四%という程度であったのでありますが、昭和三十一年度につきましては九%にも達したわけでございます。で、新規純剰余金につきましては、法令によりましてその処理方法がきまっておるわけでございますが、それによりますと、先ほど申しました一千一億円の処理はまず国債償還財源に四百三十六億円余りを充てる、それから交付税の精算分引当金分がございますが、これが約百十八億、それから道路整備費財源の引き当てが十一億円、計五百六十五億円が充当財源に充てられることになるわけでございますが、その残額の四百三十六億三千万円が一般財源として昭和三十三年度の一般経費として使用し得ると、こういうことになるわけであります。ところで昭和三十三年度におきますところのわが国の経済運営の基本的態度といたしましては、輸出の伸長に対しましてあらゆる努力を傾倒すべきことが要請されておりまして、このため昭和三十三年度におきまして財政が国内経済に過度の刺戟を与えないよう堅実な基調を堅持することがぜひ必要となったわけであります。 従いまして以上の剰余金四百三十六億三千万円を昭和三十三年度におきまして一般の歳出財源に充てることなく、しかも今後におきますところのわが国の経済基盤の強化に資することを目的といたしまして、まず、このうち二百二十一億三千万円をもちまして、一般会計に処属する資金といたしまして、経済基盤強化資金を設けました。将来における道路の整備、港湾の整備、科学技術の振興、異常災害の復旧、または産業投資持別会計への繰り入れに要する経費の財源に充てることといたしました。その使用に際しましては、別途予算をもって国会の議決を得ました上で使用する、こういうことにいたしておるわけでございます。なお、この資金は使用されるまでは資金運用部に預託することといたしまして、預託によって生じました利子は資金に編入することといたしております。それから資金の受け入れ、払い出しはこれは資金でございますから、歳入歳出外として経理することといたしまして、その増減の計算書は一般会計の歳入歳出の決算に添付して国会に提出するということなど必要な経理的な規定を設けておるわけでございます。 それから次に、残額の二百十五億円でございますが、これは五つの特別法人に支出することいたしました。すなわち農林漁業金融公庫に対しまして六十五億円、中小企業信用保険公庫に対しまして同じく六十五億円、日本輸出入銀行に対しまして五十億円、日本貿易振興会に対しまして二十億円、日本労働協会に対しまして五億円をそれぞれ出資することといたしております。 その出資を受けた金額をどう処理するかという問題がございます。それにつきまして法律でいろいろ規定してありますが、まず第二に、農林漁業金融公庫におきましては、国の補助の対象とならない農地の改良及び造成にかかる事業に対する貸付につきましての利子の軽減に充てる財源を得させるための非補助小団地等本地改良事業助成基金に充てさせるごとにいたしております。すなわち本基金を資金運用部に預託いたしまして利子を生みまして、これを財源といたしまして特定の土地改良事業に対する貸付金の利子を軽減しようとするものでございます。ここで申しておりますところの特定の土地改良事業といいますのは、国とか県営の土地改良事業の受益地域内におきまして、これらの事業に直接に関連しますところの団体営灌漑排水事業とか耕地整備事業、こういうようなものでございますが、こういう末端の事業が完成いたしませんと、その大きな意味での土地改良事業がうまく経済的効果を住まないわけでございまして、そういう面につきまして貸付金をした際に、その利子を軽減する財源をこの利子収入によって生み出す、こういうような仕組みになっておるわけでございます。その他単独施行の耕地整備業のうちの客土事業とか能動事業などにつきましても、このようなことを考えておるわけでございまして、大体現在のところにおきましては現行五分の貸付利子を三分五厘程度まで引き下げる、こういうように考えおる次第でございます。なお、この利子収入を使いまして利子の軽減をするわけでございます。が、その際余った金額はこれまた基金に編入いたしまして、そうして将来事業量がふえて参りますと、またその財源が必要になりますので、その際は、その組み入れた金額を限度といたしまして、これを基金からくずす、こういうようなことができるようになっておりますが、六十五億円はこれを取りくずすことができない、こういうことになっております。 それから次は中小企業信用保険公庫に対しまして同じく六十五億円を出資しておるのでございますが、同公庫設置につきましては別途本国会におきまして法律案を提出いたしまして御審議を願っている次第でございますが、この公庫が従来国の中小企業信用保険特別会計において行なっておりましたところの事業を承継いたしまして、その業務を弾力的に運用する目的のために設けられる公庫でございますが、その出資金は同公庫の保険準備基金に充てられるものでございまして、損失が生じました場合に取りくずすことができますが、それまではこれを全額資金運用部に預託しておきまして、それから生ずる利子によりましてこの公庫の保険料率というものを従来下げる、そうして中小企業の負担を軽減する、こういうような目的のために運用されるわけでございます。 それから次は、日本輸出入銀行に五十億円を出費いたしまして、東南アジア開発協力基金に充てることにいたしております。策南アジア開発協力基金は、これは資金運用部に取りあえずは預託されるわけでございますが、将来におきまして東南アジアの開発協力のための国際的機構ができまする際におきましてそれに対する出資に充てられることが主目的でございますが、当該機構ができますまでの間におきまして必要がありまするならば、その機構ができた場合におきましてこれに対する出資に振りかえる、こういうような性格を持ちますところの国際的協力による投資への運用も可能となっておるわけでございます。で、本基金の運用事務は日本輸出入銀行をして行わしめるわけでざいますが これは本来の固有事務と若干性格が異なりますので、特別の勘定を設けて整理することといたしました。具体的に出資あるいは投資に運用する場合におきましては、内閣におきましてあらかじめその方針を決定いたしまして、そうしてその決定した方針に基きまして、大蔵大大臣の指示によって輸出入銀行がその投資をする、あるいは出資をする、こういうことになるわけでございます。従いましてこれらの手続を通じまして、この棚上げ資金の運用として妥当であるかどうかということは十分配慮せられるようになっておけるわけでございます。 それから次は、日本貿易振興会に対しまして二十億円を出資いたしておりますが、これは同会の基金に充てるものでございます。で、この日本貿易振興会は従来ございました海外貿易振興公が行なっておりましたところの業務を発展的に承継いたしまして、特別の法人格を持つことになるわけでございますが、輸出振興に寄与するために設けられるものでございます。で、本出資金の二十億円は資金運用部へ預託されまして、その利子収入は本会の事務運営の財源として使用されるものでありましてこれは本基金はこれを取りくずすことができないと、こういうことになっております。従いまして利子収入だけを財源といたしましていろいろな事業を行う、こういうことでございます。 それから最後に、日本労働協会に対する出資金の十五億円でございますが、これもやはり日本貿易振興会と同様に、同協会の基金に充てられるものでございまして、本協会はわが国の労働問題の研究を行い、広く労働者及び使用者、あるいは国民一般の労働問題に関するところの理解と良識をつちかうことを目的といたしますところの特別法人で、別途今国会において御審議を願っておるわけでございます。日本労働協会法によって設立される法人でございますが、この基金はやはり資金運用部に預託されまして、その利子収入は同会の運営の経費の財源に充てることになっております。従って本心金もまたこれを取りくずすことを禁止されておるわけでございます。 以上申し上げましたように、五つの特別法人に対する出資は、いずれもその出資金につきましては資金運用部へ預託いたしまして、わが国経済に対しまして過度の刺激を与えないように十分配慮されておりままするし、かつ同時にわが国の経済基盤の強化に資するように運用されることにになっておるわけでございます。 以上簡単でございますが、本法案につきましての補足の説明を終りたいと思います。
○委員長(河野謙三君) 速記をとめて。 午後一時五十二分速記中止 午後二時十一分速記開始 —————・—————
○委員長(河野謙三君) 速記を始めて。
○委員長(河野謙三君) この際連合審査会に関する件についてお諮りいたします。 目下、社会労働委員会において審査中の日本労働協会法案は、当委員会に密接な関係がありますので、社会労働委員会に対し連合審査会の開会を申し入れいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(河野謙三君) 御異議ないと認め、さよう決します。 なお、申し入れの手続等については委員長に御一任願います。
○委員長(河野謙三君) 次に、先ほど政府から内容の説明を聴取いたしました経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基金に関する法律案について、質疑がございましたら順次御発言を願います。
○山本米治君 ごく簡単に一、二点お伺いしますが、この基金が五つほどできるのですが、これは全部資金運用部に預託することになるのですか。
○政府委員(石原周夫君) 条文に規定がございますように、資金運用部に預託をいたします。山本未治君 そこで、農林漁業金融公庫に対する基金六十五億ですが、これはその利子でもって補給をするためと、こういう先ほど御説明がありまして、五%——五分の利子を三分五厘にする、つまり一分五厘の補給ということでありますが、これはつまり農林漁業金融公庫からの貸付金利が五分である、それをこの基金の利息によって一分五厘補給する、こういう意味でありますか。
○政府委員(石原周夫君) ただいま御説明申し上げましたように、今回の六十五億円をもって農林漁業金融公庫の中に別の基金を作り出す。従いましてその利息が、今簡単におっしゃいましたような利子補給というような作用を営みますが、従いまして農林漁業金融公庫から出します金利が、その利子補給を受けまして三分五厘に低下する、三分五厘の利息で貸し付ける、従来五分で貸し付けていたものが、三分五厘に下るというようにお考えをいただきたいと思います。
○山本米治君 金利というものは、申すまでもなく資金の需給関係によってきまるのですが、政府関係の金融機関の金利というものは、必ずしも需給関係できまるんじゃないだろうと思うのですが、一体資金運用部の資金のコスト計算というものが立っているかどうか、もし立っているとすれば幾らなんですか。資金運用部の資金の資金コストというものは、一体計算ができているのかどうか。つまり普通の銀行ならば、やはり頭金コストというものがありますね、そういう意味の資金コストというものがありますか、政府の資金運用部の金に…。
○政府委員(石原周夫君) 資金運用部の資金コストは、資金運用部特別会計の原価計算をいたしまして出ます。今ちょっと正確なその資料を持っておりませんから、今すぐには申し上げられませんが、ちょっと御参考までに申し上げますと、今、五分とか三分五厘とか申し上げましたのは、これは農林漁業金融公庫の貸し出します利率でありますから、資金運用部の方に預託をいたします利子の方はこれはまた別のことに相なります。これは山本委員御承知かと思いますが、ちょっとつけ加えておきます。わかり次第、資金運用部の資金コストについてはお答え申し上げます。
○山本米治君 この基金は、資金運用部へ預託しておくのですから、つまり資金運用部からその利子がもらえるわけですね、その利子の金額を、この農林漁業金融公庫から貸し出す五分の金利を三分五厘にする、その差額の埋め合せに使う、こういうことになりますが、資金運用部からもらう金利は幾らになるのですか。
○政府委員(石原周夫君) この場合におきましては、六分に相なる予定であります。
○委員長(河野謙三君) 山本委員にちょっと申し上げますが、政府から、主計局長のほかに、通産省から川上中小企業庁長官、松尾通商局長、農林省から安田農地局長、労働省から亀井労政局長が見えておりますから、御承知を願います。
○山本米治君 そうしますと、先ほどの六十五億の基金というものを資金運用部へ預けておく、その利子は六分である、そうすると、六十五億に対して、年六分の割合で利子がくる、その金額は、六分とすると幾らですが、三億数千万円になると思うのですが、それを五分と三分五厘との差額に充てる、こういうことになるわけですか。
○政府委員(石原周夫君) さようでございます。
○山本米治君 すると、先ほど資金運用部の資金コストというものは、計算があるが、ここでは今数字がないというお話でしたが、ここで六分の利子を資金運用部からもらうということは、そのコストとはどういう関係になるか、たとえば五分五厘くらいであるけれども、政府はそれに六分の利子をつけておるのか、あるいは、コストと、今の資金運用部の六分の関係はどうなりますか。
○政府委員(石原周夫君) 御承知のように、資金運用部に預託いたしております預託金に対しまする利息は、期限によりまして刻みがございます。六分と申しますのは、七年以上の利息であります。この資金及び基金の関係におきましても、もっと短期のものもございまして、三分五厘というものもございます。従いまして、全部が六分というわけではございません。
○山本米治君 一体、資金運用部というものは、そろばんをとるようにできておるのですか。先ほど、コストというものは計算はあるが今その数字はわからぬというお話でしたが、今度貸し出す方、預かる方には、期間の長短等によって、六分のものあり、あるいは四分のものあり、いろいろあるだろうと思うのですが、全体でやはりそろばんをとっているのでしょうか、どうでしょうか。
○政府委員(石原周夫君) 御承知のように、郵便貯金の特別会計がございまして、それに対して利息を払っております。それからこういうような各特別会計あるいは特殊なる政府関係機関、これらの機関に対する利子補給をいたしております。それに対して貸し出しの利率がございまして、これもにらみ合せまして収支をとるという形で運用をいたしております。でございますから、今、数字が参りましたところで正確なる数字を申し上げますが、そういうことを目安にいたしまして運用いたしております。
○山本米治君 これは政府の資金ですから、まあ郵便貯金が主たる源泉ですが、これは、政策によって、コストを割るような運用もできるだろうし、少しくらいやはり政府ももうけることもできるだろうし、いろんな政策のやり方があるだろうと思うのですが、現在は、資金運用部全体としてどういう政策をとっておるのか、大体、つまり独立採算制というか、資金運用部の資金のコストというものをにらみ合せて、貸し出しの金利をきめる、従って、今のこの基金等に対しても、そういう金利を払って、それを利子補給に使うということにしておるのか、その全体の政策は、どういう金利政策をとっておるのですか。
○政府委員(石原周夫君) 預金部の特別会計といたしましては、大体自費自弁という建前でやっておりますので、今申し上げましたような支払利息がある、それと、いろいろな地方債の利子でありまするとか、いろいろな貸し出しの利息、これをにらみ合せてやっておりまするから、現在は御承知のように、一般会計からの補給はいたしておりません。
○委員長(河野謙三君) 他に御質疑ございませんか。本案に対する質疑は後日に譲ります。 —————————————
○委員長(河野謙三君) 次に、租税及び金融等に関する調査を議題とし、租税行政について質疑を行います。質疑のある方は、順次、御発言を願います。
○大矢正君 私は前回当委員会で問題となっておりました標準率表及び効率表について結論を得ておりませんので、この際、国税庁長官のお考えをただしたいと思いますが、前回私が質問いたしました当時は、まだ所得税の確定申告の終了時期ではありませんでしたために、いろいろ確定申告をめぐって標準率表ないし効率表が世上に上ることによって税務行政の上で相当影響があるのじゃないかと考えられたのでありますが、今日はもう確定申告の時期を相当経過いたしておりますので、そういう意味におきましては、なお秘密とする必要性があるかどうかということについては、私は情勢として時期的に大きな変化があったものと思いますので、今日の段階では国税庁長官も標準率表や効率表については、おそらく内容の発表をしていただけるのではないかと考えるのでありますが、いかがなものでございましょう。
○政府委員(北島武雄君) 標準率表及び効率表を外部に発表できない理由につきましては、数回の当委員会におきまして、何回も申し上げた通りでございますが、その際、御説明申し上げましたように、この標準率表及び効率表は毎年各国税局で作成するものではございますが、年によって大きな相違のないものが相当あるので、中には前年度と全く同じものもあるわけであります。従いまして過去のものにつきましても御提出はどうもいたしかねます、こういうように申し上げたのでございまして、すでに本年度につきましては、確定申告は終りましたものの、なお事後調査の仕事も残っておりますし、それからこれが残りますことによりまして来年の確定申告にもやはり差しつかえるわけでございますので、確定申告時期は本年は過ぎましたけれども、これを提出いたしますことはどうか一つ御容赦願います。こう考えております。
○大矢正君 あなたのお考えを承わると、依然として標準率表や効率表を公開することはできないという態度が変っていないようでありますが、現実に部分的には各地で標準率表、効率表というものが国民の手に渡って、私の手元へ来ているものを見ましても回覧に付されているという事実があります。たとえば一つの業者がその団体を通じて標準率表ないしは効率表の内容を、これを業者間に回覧として回して、そうしてこれによって税務署の徴税行政が行われるから、各店は十分に一つ注意するようにというような内容のものが回っておるということを実は私つかんだのですが、こういうようなことについて国税庁長官はどうお考えになりますか。
○政府委員(北島武雄君) 今まで往々にして漏れた例もあるのでございますが、さればといって、これを積極的に私の方でもってこれを公開することはやはりどうしてもできないわけでございます。と申しますのは公けにいたしますと、それがほんとうの信憑力を持つものであります。業者の内部において、こうだと申しましても、それは公けの信憑力がないものであります。現に今まで標準率表、効率表なるものが表へ出ておったようでありますが、その内容は、中には全然間違ったものもあるのでありまして、国税庁におきまして公けのものとして公開することによって、これを公けに信憑力をつけるということはどうもいたしかねるのであります。一部の、かりに秘密漏洩がありましても、それだからといって、全体的にこれを公表ということには私どもいかないと思っております。
○大矢正君 前回私が長官に質問いたしたことに対して長官からの答弁としては、こういうことがあったと思うのです。それは、かりにある店に対して税務署が、君の所はこれこれの所得税を納めなければならないという、いわゆる決定をする、ないしは話を持ち込んでいく、その場合に、そこの店のあるじが税務署員に、どういう計算のもとにそれがなされるかということを具体的に聞いたときには、それに答えるのだ、というあなたの答弁がたしか前に私の質問に対してなされているはずですが、こういうことが今後行われた場合に、快くしかも懇切丁寧にそういう質問の内容にお答えをしていただけるのかどうか。これはもう前に私は確認したことでございますし、議事録にも載っていることでありますから、今さらここで再度これを繰り返す必要性はなかと思いますが、なお、念のために私はこの際もう一回伺っておきたいと思います。
○政府委員(北島武雄君) 税務官吏が納税者の所に調査に参りまして、いろいろ質疑応答が行われるわけでありますが、その際にかりに、たとえば納税者が、私の所では去年売上はこれこれしかありません、また所得はこれくらいのものだ、こういうお話があるわけであります。その場合に、税務官吏側としましては、税務官吏としてのいろいろな調査がございます。たとえば生計費の状況あるいはこれだけの家族だから一ヵ月これくらいかかるでしょう、そうすると、そこの支払いはどうされておられると、そういう問題になってくるわけでありまして、資産の状況、生計費の状況あるいはまた同業者とのつり合い等から、納税者を説得していくわけであります。その際、ただ、なまな標準率を申すということはないわけであります。
○大矢正君 私は、質問に答えるのかどうかということを端的にお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(北島武雄君) それは標準率は幾らであるかという御質問でございますか。
○大矢正君 ええ。
○政府委員(北島武雄君) それに税務官吏はお答えいたしません。
○大矢正君 そうすると、あなたの前回の答弁とは違ってくるように聞えるように思う。前回あなたは私の質問に対して、もしその店で幾らのいわゆる差益率があり、幾らの、結果としては課税所得になるという計算を聞いた場合には、当然税務署としては答えざるを得ないであろう、こういうことを答弁されておるのであります。
○政府委員(北島武雄君) 私はそういうお答えをしたことは記憶にございません。おそらく速記録にも載っていないと思います。ただこういう御質問はあったかと思います。たとえばパン屋さんが粉一袋でどのくらいのパンができ得るか、こういうことを税務官吏に聞いたら税務官吏はどうするか、こういう御質問があった。私はその際に、そういうことはパン屋さんが一番知っていることで、税務官吏に聞く必要はないのじゃないかというようなことは申し上げたことがあります。税務官吏がそういう場合に幾らですということを申し上げるということは、私申し上げた覚えはございません。
○大矢正君 結果として、結局本人が考えている内容と、税務署の署員が言うところの話の内容と違ってくれば、そこまでいかなければ解決がつかないじゃないですか。お互いにやはり相手を納得さして納税をさせようという立場においては、理解をさせなければいかんでしょう。ところが相手はとても今の税務署の言うような内容では、これはもう自分が考えることとはおおよそ違うということで異議を署員に申した場合に、署員としてはあんた幾ら異議があったってそれはだめなんですよということで押し切るのですか。これは私は先般もあるところへ行って聞いた話なんだが、もうてんから標準率表、効率表のレベルまでこないものは幾ら言ったって、税務署へかけ合いに行ったって、相手にしないという事実があるのです。税務署の署員自身も言うのです。それを標準率表、効率表以下の内容で計算されたようなものについては相手にしない。税務署員がそう言うのですから、こういうことになってくると、納税者に納得をさしてそして納税をさせるという基本的な考え方とはおよそ違ってくるのじゃないですか。そういう面で相手を理解させないということは、これはあなたの気持としてもほんとうのところおもしろくないのじゃないかと思うのですがね。
○政府委員(北島武雄君) 納税者に納得させるにしましても、標準率が幾らであるからこれでやりなさいというような指導は、これは禁物なわけでございまして、そういうようなことではなくて、資産の増減とか、生計費の状況、同業者のつり合い、そういうところから、いろいろ説得して参るわけであります。標準率以下であるから、それでこなければだめだというような言い方は、私どもとしては厳に戒めておるのであります。ことに標準率は毎々御説明申し上げましたように、一定の少数のものを調査しました平均値でございますので、もちろん特殊、異例なものは除きましたものの平均値でありますが、この平均値に対しまして、それぞれ業態、納税者個々の事情によりまして上下はあるわけであります。標準率の適用につきましても、それを中心として上下の適用がうたわれておるのでありまして、決して一律に適用させることはないのであります。標準率をもし一律に適用するようなことがございましたら、これはやはり私どもとしては十分考えなければならぬことでありまして、標準率はそれを一つのものさしといたしまして、最も個々の納税者の実情に合った課税をするというのが私どもの方針でございます。
○大矢正君 標準率表、効率表というのは、必ずしも申告については白にだけ使うのじゃなくて青色の場合にも結果としてはこれが使われるというように解釈できるのですが、そういうように解釈してよろしゅうございますか。
○説明員(金子一平君) 青に使う場合でございますが、結局いろいろな経費の見方なんかの場合に、普通の場合はこういうことになっておるがどうだろうというような場合に、一応当てはめて検算的に大体大数観察的に使う場合がございます。
○大矢正君 そうすると、結局青色申告をやる場合といえども、本人の提出の資料の内容に経費の見込みや見積りというものが多いという場合には、当然標準率表、効率表に基いて署員としては、経費の率が高過ぎるということでこれを直させるでしょう。
○説明員(金子一平君) ただいま申し上げましたように、大数観察的に大体妥当するかどうかという見当をつけるために使ってみるだけでございまして、青色の場合は、御承知のように、きちんと帳簿がついておりますから、やはり所得の決定自体は、帳簿に間違いがある、記帳に間違いがあるという場合に直させることになっております。標準率をそのまま使って直させるというようなことはいたしておりません。
○大矢正君 念のためにもう一回承わっておきたいのだが、標準率表と効率表というものは体何に使うのかということをもう一回年を押して聞いておきたい。
○説明員(金子一平君) 標準率表は、売り上げが大体わかっておりまして、所得をはじき出す場合、経費がなかなかわからない。記帳が十分できなくてわからないというような場合に使うのが所得標準率表でございます。それから効率表と申しますのは、売り上げ自体が記帳がなくてつかめないという場合に、大数観察的にこれくらいの売り上げがあるだろうという推算をする一つの目安として外形標準によって売り上げを推計する、こういう場合に使うわけであります。
○大矢正君 そうすると、標準が明らかであったりそれから大体経費はどの程度で、どのくらいの利益があるかということが明瞭となるような青色申告については、効率表、標準率表というものは、およそ線がないという解釈を私どもするのだが、さっきのあなたの答弁からいくと、いや、それも関係があるということですが、何を目標にして標準率表、効率表というものができているのかわからなくなるのですね。最初は無申告なものについて云々ということで、標準率表ないしは効率表というものが生れたような話をしておったのだが、実際にせんじ詰めていくと、それは単に無申告の場合だけではなくして、青色に場合にもそれが一定の基準となって適用されるという結果が出てくるのじゃないですか。
○説明員(金子一平君) 青色の場合に使うと申しますのは、申告された、あるいは記帳されておる経費が、はたして妥当かどうが一応税務署の方でチェックする必要がある場合、つまり大体同業者間でバランスがとれなければならぬはずなんだけれども、特にこの業者についてはそれが多過ぎる、あるいは少な過ぎるというような場合に、大体の中庸のところの経費はこれくらいのものでいいのじゃないかという一応の見当をつけるために、内部的にこの場合所得標準率というよりも経費の率でございますが、その方を当てはめてみて、まあこれくらいならいいんだろう。これはどうも少し多すぎるというような、見当をつけるだけでござがまして青色申告者者の所得自体を直すような場合におきましては、やり具体的にあなたの場合はここに記帳漏れがございます経費の過大計上がございます、売上げの漏れがございますという証拠をつかまないと直せない、こういうことになるわけであります。
○大矢正君 ですから私が言う通りに、青色申告者に限っては効率表とか標準率表というものが全然関係ないものだというふうに言い切ったらどうなんですか。申告納税の原則ということは、相手の申告した内容を調べて、それが妥当であれば、その経費の率が高かろうが安かろうが、それに基いて課税をするというのがこれは原則でしょう。そうした場合に、申告をいたしてあるのにかかわらず、なお効率表標準率表というものをものさあしに使うということは、これは、私のようなしろうとはなまいきなことは言えぬかもしれぬが、何かしら税法の趣旨に相反するような結果が出るのじゃないかというような気がするんですが、なぜ青色申告は効率表、標準率表には関係がないと言い切れないのか。どうも不思議でしょうがない。
○政府委員(北島武雄君) 若干、私直税部長の答弁を聞いておりまして、誤解を生ずるようなところがあると思いました。といいますのは、使う使わないというのは、体どういうふうに使う、使わないかの問題なんです。自己申告者に対する場合と、青色申告者に対する場合と、非常に意味が違う。しかし意味が違うとはいえ、青色申告者が全然関係ないかといえば、それは全然関係ないものではございません。すなわち、先ほど直税部長が申したように、青色申告者の申告書が出まして、それを決算書などを検討いたします際に、大体妥当なところであるかどうかという一応の感度を得るためにそれが目安になる。もちろん標準率表は同業者におきまして実際に調査したところのデータでございますから、それをもとにして、はたして決算書が出た場合に著しく変なところがないかなどうかなという一応の目安を得るためである具体的に青色申告書につきまして、更正決定を行うというような場合には、もちろん税法の定めるところによりまして、具体的に一つ一つの経費を見る、あるいは収入のつけ落ちを見つけるというようなことでもって所得を見るのでありまして、決して標準率をもってぶっかけてやるというようなことは青色申告にはない。しかし全然関係ないかといえば、もちろん、これは一応の目安になる。青色申告を出した場合に、これは非常におかしいぞというような場合の一つの見当になるわけであります。ですから、全然関係ないということは申せないかと思います。しかし、その青色申告者に対して標準率を適用してどうこうという問題ではないと、こういうふうに思います。
○大矢正君 そうすると、裏を返して言うと、結果としては、青色申告の場合といえども、経費の問題については、効率を上回るものについては、当然是正させるという前提がそこにあるような気がするのですが、そういう解釈になるわけですか。
○政府委員(北島武雄君) 当然是正させるというよりも、 どこに、 そこに原因があるかという一つの信憑が出てくるわけでございます。それを見まして、納税者にいろいろ伺いまして、実際に具体的に調査して、もし、それが標準率が非常に低くても、実際にその通りであれば、それでいいわけです。やみくもに青色申告者に対して是認ということは税法上はできない。
○大矢正君 そうすると、青色に効率表が絶対に関係がないという議論が出てくるのではありませんか。あくまでも効率表によって計算をするのじゃなくて、調べてみて、妥当なものは認めるのだという原則があったら、青色申告に限っては効率表は適用しないというように、はしきり言い切ったって、僕はあえて問題が起らないと思うのです。
○政府委員(北島武雄君) お話の通りでございまして、直接に効率表なり標準率表によりまして、青色申告を是正させるということはいたしておりませんし、またあるべき筋のものではございません。
○大矢正君 それから青色申告の経費を見る場合に、ものさしとして効率表を使うのではないということも確認できるでしょう。
○政府委員(北島武雄君) たとえて申しますと、まあ福利厚生費でございますとか、広告宣伝費でございますとか同じような業者だったら、普通なら同じくらいのパーセンテージと申しますか、ウエートが経費の中に出てくるはずでございます。ただ個々の業者の場合につきましては、それが非常に一般の標準のものよりも高かったり低かったりする場合がございましょう。大体そういった福利厚生費なら福利厚生費、あるいは広告宣伝費でも何でもいいのでございますが、普通の、あなたの同業者の場合には、このくらいだが、どうして、あなたのところは多いのですかというようなことを業者に質問する材料にはなり得るという程度の意味を持っているわけでございます。
○大矢正君 これは税務行政に関係する根本の問題になってくるのですが、できる限り、一人でも多く申告納税ということをやらせようという原則の上に立って考えれば、もちろん今のような青色申告者に対する優遇措置では満足なものじゃないと私は思うのです。それが証拠に、青色申告の数は、ほんとうにわずかしかないという、この事実を見ても、まだ青色申告に対する優遇措置というものに欠けているところがあるから、私はこの税の本質としての青色申告をやらない者が圧倒的にまだ多いという結果が出てくるので、そういう意味から考えてみても、この際、より多く青色申告をさせたいという気持、それから税の本質であるところの申告納税の原則を生かしていこうとすれば、この際、青色申告者の経費の問題等については、一切この法律その他の関係も国税庁当局のものさしですか、こういうものは使わないのだ。従って内容を調べて妥当のものは、率が高かろうが、低かろうが、それを全部、申告納税の原則にのっとって認めるのだ、こういうふうにしてやることの方が、私は税務行政としては正しいのじゃないか、筋としては。そう思うのですが、どうですか。
○政府委員(北島武雄君) 青色申告は、国税庁の育成助長方針によりまして、現在非常にふえて参っております。最近では、たしか営業者の方につきましては半分以上——五十パーセントが青色申告になっております。ただ、農業方面につきましては、これは農業の性質上なかなかできにくいけれども、まだ六、七%であろうかと思います。このように青色申告は年々増大化して参りまして、私どももその育成助長には常々心を配っておるわけでありまして、結局青色申告につきまして、ふだんから正しい記帳をし、正しく、しっかり帳面につけてもらえば、それによって申告していただければ、非常に手数が省かれるわけであります。申告納税の本旨に沿うわけであります。そのような方針でございます。従いまして、青色申告者に対しましては、更正決定をする場合につきましても、一々具体的な理由によって、具体的な経費、具体的な収入を見て、それによって更正をするのでありまして、標準率を適用してやっていくのではございません。ただ、私ども正直にお答え申し上げるよりございません。全然関係ないかと言えば、それは一応青色申告の方に対して、果してこれが大筋から離れていないかどうかという一つの目安にはなる。しかし全然関係ないかと言えば必ずしも関係ないとは申せませんというわけでありまして、ただ更正決定につきましては、全然これは使っていない、そういう意味においては全然関係ないと、そういうふうに申せるわけであります。
○大矢正君 この効率表、標準率表というものは、徴税行政の立場からいけば、まことに重要な資料であるというふうに考えられるものですが、まあ秘密に処理しているから重要だろうと言えばそれまででありますが、もしまことに重要な資料なんだということになりますと、これはそれだけやはり納税者に影響のある結果として内容のものだという解釈になるわけでありますから、その点国税庁長官、どういうふうにお考えですか。これは垂要なる資料のものなのか、これは重要でない資料なのか。
○政府委員(北島武雄君) これは白色申告者の所得推計上の一つの重要な資料でございます。
○大矢正君 私はよくわからぬのですが、かりに商売をやっておる人たちが集まって、同業者として自主的な、税金問題に対処するために資料を作り、そうして一つの団体として税務署等と話し合うというようなことは今行われていないでしょうか、どうでしょうか。たとえば効率表、標準率表のような正確な具体的なものとまでいかなくとも、ある程度大まかな資料等については話し合いというものはないのかどうか。
○政府委員(北島武雄君) 昔は、営業者の方につきましては、相当程度団体交渉というものが行われたのでございます。現在においては全然そういうことは行なっておりません。
○大矢正君 同業者にある程度自主的な資料を作成させるような方向に国税庁当局としては仕向けていくというようなお考えはありませんか。
○政府委員(北島武雄君) 自主的な資料を作成というのは、ちよっと私どもわかりませんが、結局現在の申告納税制度においては、青色申告で、ありのままを納税者の方がふだんからやっていただいて、ありのままを税務署に申告していただく、これが筋でございまして、特定の資料の要求ということの意味はちょっとわかりかねるのでございますが、またその意味を伺いましてからお答え申し上げます。
○大矢正君 ありのままに出したからといって、あなたの方は幾らありのままに出しても、また青色によって内容が明らかになっても、なお標準率表、効率表との関係があるんだと、こうおつしゃられておるんですから、従ってそういう範囲においては、単に事業の内容を明らかにできるような、青色申告をするだけにとどまらずして、業者が自主的に資料を整備しなければならないという理由が出てくるでしょう。だとすれば、業者が自主的に、その業種の内容については、経費の見方はこうすべきだ、あるいはああすべきだという資料を出されたときに、そういうものの内容について話し合うお考えがあるかどうかということなんです。
○政府委員(北島武雄君) まあ御質問の趣旨から伺うと、団体と経費をどのくらい見るかという協定をするつもりはないかというふうに拝承するのでございますが、そういうつもりはございません。
○大矢正君 あなた簡単にございませんと突っぱねるようなことを言われるのだが、しかし税務行政の民主化という立場においても、私はむしろ積極的に、そういうような業者の申告をわれわれも尊重してやるから、一体どういうふうに見るか、部分的に分けて、そうして資料を出させるようなことをやるのがいいのではないかと思うのですが、私のそういう考えは間違いですかね。あるいは、税務行政の上で支障がありますかね。
○政府委員(北島武雄君) 私は、過去十年間申告納税を推進して参りました国税庁当局といたしまして、やはりそういうやり方は昔に返る、逆行であるというふうに考えます。やはり個人々々が誠実にありのままを記帳して、ありのままを税法に従って申告する、これが申告納税でありまして、業者一律にすべて経費をどう見るとかああ見るとかいうような協定をすることは、昔に戻ることではないか、いわゆる逆コースではないかと思うのでありまして、私はそういうようなつもりはないのであります。
○委員長(河野謙三君) 本件の調査はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。明日は午前十時より委員会を開会いたします。 午後二時五十三分散会