商工・大蔵委員会連合審査会 第1号
- 発言数
- 91 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1958/03/27
会議録
○委員長(近藤信一君) これより商工・大蔵委員会連合審査会を開会いたします。 慣例によりまして、私が本日の会議を主宰いたします。 連合審査会の議題は、企業合理化促進法の一部を改正する法律案及び中小企業信用保険公庫法案についてでありますが、まず企業合理化促進法の一部を改正する法律案について審議いたします。政府側から本案の提案理由を簡単に御説明願います。
○政府委員(白浜仁吉君) 企業合理化促進法の一部を改正する法律案についてその提案理由を御説明申し上げます。 最近における著しい技術革新の状況にかんがみ、科学技術の振興をはかることは、刻下の急務であります。この科学技術振興方策の一環として、鉱工業技術等の試験研究を奨励助成するとともに、特に試験研究の成果である新技術の企業化を促進する措置が必要と考えられます。 本法案は、かかる要請に基いて、わが国で行われた試験研究の成果であるところの未確立の新技術であって、国民経済上緊要であると認められるものの企業化を促進するため、その企業化に必要な機械設備等について、新たに特別償却を行う道を開かんとするものであります。 元来、試験研究の成果は、その企業化によって初めて結実するものでありますが、新技術の企業化を行うに際しては、通常多額の資金を要し、また企業化に当り、技術的に相当の不安を伴うものが多いので、資本蓄積の乏しいわが国企業は、企業化への踏み切りに相当の危険を感ずる例が少くないのであります。 かかる状況に対処して、従来とも新技術の企業化方策として、新技術の工業化に対する融資あっせん等諸種の措置がとられて参りましたが、税制面からもこれが振興策を講ずることは、企業の自主性を尊重しながら、しかも企業化への踏み切りを促進する上において有効な措置であると考えるのであります。法案の内容につきましては、御審議の途上、逐次その詳細を御説明申し上げる所存でございますが、以下その概要を申し述べますならば、第一に、わが国で行われた試験研究の成果である新技術を企業化しようとする者は、主務大臣及び大蔵大臣に申請し、その企業化が国民経済上緊要な新技術の企業化であり、かつ、その取得する機械設備等が当該新技術を企業化する場合の主要な生産工程において欠くことのできないものである旨の承認を受け、第二に、申請者は、この承認にかかる機械設備等を承認後一定期間内に当該企業化の用に供したときは、当該設備が承認の内容に合致している旨の主務大臣の証明を受け、これによって租税特別措置法の定めるところにより、特別償却を行うことができます。 なお、本法案の規定を受けて租税特別措置法の改正法案においては、本法案の規定による承認を受けた者が、承認にかかる機械設備等について主務大臣の証明を受けたときは、企業化の用に供した初年度において、その取得価額の三分の一相当額の特別償却を行うことができるように規定されております。 以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。何とぞ、慎重御審議の上、御可決あらんことを切に希望する次第であります。(「二分の一だ」と呼ぶ者あり)失礼しました、二分の一でありますから御訂正いたします。
○委員長(近藤信一君) それではこれより質疑に入ります。大蔵委員から質疑の要求がございますので、その方の質疑を先にしていただきまして、商工委員の御質疑のある方は関連質問以外は大蔵委員の質疑の終了した後にしていただきたいと思います。それでは順次御発言を願います。
○栗山良夫君 まず、ただいま提案になりました法律案につきまして、直接関係はないだろうと思いますが、二、三お尋ねいたしたいと思います。 ただいまお話しになりました法律案の中に「新技術」という言葉が使われておりますが、この新技術というのは一体どういうようなものを目途としておいでになるのですか。
○政府委員(黒川眞武君) 新しい技術と申しますのはいろいろございますけれども、具体的に一、二例をあげて申し上げたいと思います。たとえばここに考えられておりますものの一つといたしましては、鉱山で出ますところの石炭の廃石、普通ボタと言っておりますが、こういうようなものは、九州、北海道に行ってごらんになりますとおわかりになりますように、大きな山をなして捨ててございます。その捨て場にも困っておるほどでございますが、これはしさいに見ますというと、千カロリーないしは二千カロリーの熱量のある石炭分を含んでおります。こういうものを一応乾留いたしまして、そしてガスを取ります。そのガスをもちましてガス・タービンを運転させまして、発電することができるということが最近日本においても可能になりました。なぜ昔これがやれなかったかと申しますと、そのガスを作るという技術とタービン——そういったような低い熱量のガスを燃やしまして、タービンを回すという技術が完成しておらなかったからでございます。現在幸いにしてこれらの二つの技術が完成いたしまして、これが可能になりましたのでございますが、そういったようなことが実現されるならば、大炭鉱といわず中炭鉱といわず、そういったような廃物を利用いたしまして、自家用の発電をいたすこともできましょうし、また大きな発電所もできることも可能でございます。なおまたボタの山につきましては捨て場に困っておるほかに、これがくずれまして、いろいろな災害を及ぼす原因にもなっておりますことは、過去においても御承知の通りであります。まあ一石二鳥の一つの日本の技術であろうと思います。あるいはまた石炭山から出ますところのごくこまかい粉でありますが、この利用というものは、割合に少いのでございますが、これを流動乾留と申しまして、噴水のように少量の空気で吹き上げまして、吹き上げておる間に乾留を行いますと、これのガスが出ます。このガスはいわゆる都市ガスとして利用することもできます。しかもこれは乾留する時間が非常に短時間でございまして、わずか三、四分でガスに変ります。従来の塊炭で乾留いたしますと、数時間かかるのでございますが、こういう方法で新しい技術でやりますと、そういったように、非常に短かい時間でガスに変ります。従って炉の大きさも小さくなり、比較的小都市でもガスを供給することができるというようなこともございます。あるいはまた、いろいろございますが、これは東京工業試験所……。
○栗山良夫君 大体各論はそのぐらい伺えば何を考えておるかわかりますから、それよりも新技術の構造を一つ……今のは一口で言えば、国内資源の高度活用であるというような言葉になるだろうと思うのですが、そのほかいろいろ項目に分けますというと、いわゆるあなたが新技術として考えておいでになる点が多方面にあると思いますが、それを一つお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(黒川眞武君) もう少し大まかに申しますと、未利用資源の活用であるとか、あるいはまた新製品の合成であるとか、あるいはまた最近の精密機械、精密工作機械、それから新金属材料、大きな区分に分けますというとそういったようなものになります。
○栗山良夫君 今の精密機械、工作機械というのは、これは生産プロセスの革新という意味ですね。そういう意味ですね。
○政府委員(黒川眞武君) 主として工作機械でございまして、生産機械でございます。
○栗山良夫君 そこでさらにお尋ねしたいのは、この企業合理化促進法ができましてから、相当年数がたっておりますが、今おあげいただいたような項目別で、日本のこういう新しい技術の試験研究あるいは工業化のために今提案になっておる法案がなかったために行政上非常に工合が悪かった、そういう工合にお考えになる件数というものはどれくらいですか。
○説明員(樋詰誠明君) 今回ここに御審議をお願いしていますような制度がなかったために、非常に不便だったと申しますよりも、こういう制度が今まであれば非常にそれによってこの恩典を受けて、さらに促進されたであろうと思われますものが大体二十七年から今日までに承認件数といたしまして五十四件、これは試験研究の承認の件数でございますが、そのうち成功いたしましたものが四十八件でございます。これらは、こういう制度が、現在御審議をお願いしていますような制度があれば、当然この初年度二分の一償却という恩典を受け得たであろうと思われる試験研究でございます。
○栗山良夫君 これは、恩典を受け得られたであろうということであって、別にこの法案がなかったから工業化に支障があった、裏から言えば、この改正があった方がさらにこれより大きな件数が出た、そういう意味じゃないと思いますが……。
○説明員(樋詰誠明君) これは、こういう恩典制度がなくてもこれだけの一応試験研究ということが行われ、またそれが成功四十八件もしておるということでございまして、かりに数年前からこういう制度があったとすれば、非常にもっともっとそういう試験——新技術の試験研究というものが鼓舞激励されて国産の優秀な技術というものが開発されたであろう、こういうふうに考えておるわけであります。
○栗山良夫君 さらにお尋ねいたしますが、今おっしゃいました成功した四十八件ですが、四十八件というのは国際的に見まして、国際的にも新技術の第一線とまず比肩し得るような件数というものは何件ですか。要するに日本の技術を国際的レベルまで引き上げたような、そういう非常に高度の貢献をしたものは何件ですか。またそこまでいかないものが何件ですか、それを一つ伺いたい。
○政府委員(黒川眞武君) ここに掲げました件数のうちで成功した大部分は国際的に比肩し得る技術であります。たとえばチタン工業にいたしましても、あるいはまた大型歯切盤の問題にいたしましても、あるいはまた電子顕微鏡の成功にいたしましても、いずも技術を輸出しておるものもございますし、あるいはまた輸入にある程度の制限を行なったものもございます。本体において国際的な水準で、ことに電子顕微鏡のようなものはむしろ世界的なレベルに達しておるものもございます。
○栗山良夫君 この四十八件は世界的なレベルにおいて成功しておるとおっしゃったのでありますが、しからば世界的なレベルの中で特にこういうような新技術が世界各国に先べんをつけた、日本の方が一歩先んじた、そういうようなものはございますか。
○政府委員(黒川眞武君) これはいろいろ観念論でなかなかむずかしいのでございますが、たとえて申しますと、電子顕微鏡のようなものは超高圧、加速電圧二百キロボルトのものが完成されまして、これはほかに現在まだございません。それから繊維の方で申しますと、ビニロン、御承知かと思いますが、ビニロンは日本の発明でございまして、これは綿代用、代用というと言葉は悪いかもしれませんが、まあ、綿のような性質につきましては世界的なものでございます。
○栗山良夫君 私も電子顕微鏡とかビニロンのことはある程度承知しておりますが、私がなぜそういうお尋ねをするかと申しますと、最近、海外との技術提携によって相当な外貨が使われておる。こういうものを早く日本の技術の克服によって一掃しなければならぬ。そういう考えからして、果して今通産省で指導をされようとする目標がそういうところに重点が置かれておるかどうかということを私はお尋ねしたいと思うから申し上げておるのです。若干の技術改良とか生産プロセスの改善のような程度では、今の日本の科学技術の振興にはならないわけです。そういうところに通産行政として重点を置いておやりになっておるかどうか、特に、ビニロンとか顕微鏡は、これはもうずいぶん古い話で、今あなたのおっしゃっておる新技術の中にはもう入らないじゃありませんか。私はある程度その歴史は知っておりますけれども、そういうことではなく、もう少し、二十七年にこの法律ができてからあとにそういうようなものはございませんか。
○政府委員(黒川眞武君) 今例をあげましたのは、一番わかりやすい例だと思いましてあげたのでございますが、そのほかに銅を製練いたしますときに酸素を使いまして、転炉を使わないで銅を製練する技術があります。あるいは亜硫酸パルプの廃液から酵母を取りまして、家畜の飼料にする廃液利用の技術があります。あるいはまた、先ほど触れましたが、チタンを製造する技術であるとか、そういったような最近の技術がございます。
○栗山良夫君 これは要望ですけれども、こういう法案の企画は時宜を得ておると思いますけれども、斯界を奨励する、刺激するという意味において、いろいろ通産省としての基本的な強い態度というものをやはりそこに置いてもらいたいと私は思います。要するに世界技術を抜いていくというところに中心がなければ、さっぱり経済問題として意味がないわけです。そういう工合に強く一つ考えていただきたい。 それから第二に、今おっしゃった四十八件は、大企業と中小企業とに分けますと、どのくらいの割合になっておりますか。
○説明員(樋詰誠明君) 五十四件の承認件数のうち、十六件が中小企業関係でございます。で、成功いたしました四十八件のうち十三件が中小企業関係でございます。
○栗山良夫君 ただいままでに私が質問いたしました点は限られた五十四件、四十八件に対しての未利用資源の活用、新製品の合成あるいは生産機構の改善とか新金属材料の発見とか、そういう項目に分けられると思いますが、そういう工合にして一応、第一はどれくらいこの工業化のために資金が投入せられているのか、また、その発明なり発見そのものが、工業化することにより、国内的なものである、あるいは国際的レベルのもの、あるいは国際的レベルを一歩前進したものである、そういうようなチェック、それから大企業、中小企業の別というようなもの、分類して何か資料をお出し願いたいと思いますが、お願いできますか。
○政府委員(黒川眞武君) 承知いたしました。
○栗山良夫君 その次に、もう一つ私の考えとしてあなたのお考えを伺いたいのは、今伺ったところによりましても、おそらく中小企業の件数が非常に少いのですが、その投下資本もまたこれに比例してはるかに少いものだろうと私は思います。これは私の想像ですから、違えば御訂正願いたいと思いますが、おそらく助成金等も非常に少いものだろうと思います。助成金は出ておりますから、念のためにあとでお聞かせ願いたいのですが、五十四件に対して十六件でありますから、パーセンテージをとればわかりますが、助成金はその件数のパーセンテージに対して金額はどれくらいになっているか、成功のものをお聞かせ願えれば大体見当がつくと思います。 そういうことでありますが、私としては何といっても限られた国家財政の中から、補助金なり助成金を出すわけでありますが、日本のいわゆる大企業というものは、企業みずからの権威において、また企業みずからのプライドにおいても、当然、直接こういうような国の援助を受けなくても、間接的にあらゆる援助を国は与えておるわけでありますから、従ってその大企業の持っている本能的な使命としては、行政指導さえよろしければすでに日本の技術水準は国際的レベルを抜いていく、そういう気持で進み、またそういうことで効果をあげていかれると私は思います。こういうさまつなことでそんなにこまかい援助をしなくてもできると思う。ただ一番問題は、たくさんなアイデアを持ち、ちょっと指導し、資力を与えてやれば、ずいぶん刮目し得る、世界がびっくりするような研究を持っておる中小企業あるいは町の研究者が、全然ものにできないで眠らされておるものがたくさんあるのではないかと思います。で、そういう中小企業なりあるいは町の研究者をもっと積極的に指導して思い切った助成をしていく、そういうような意味のお考えというものはお持ちになっていないかどうか。たとえば相当大きな、百億、二百億というような大会社に、わずかな金を助成金で出してみたところで、しょうがない話なんだ。それよりは、中小企業で飛び離れたいい構想があれば、思い切った補助をしていくというような、重点施策というものが、私は国の科学技術を進めていくゆえんじゃないかと思いますが、そういうことについてのお考えはいかがでございますか。
○政府委員(黒川眞武君) 先ほどお尋ねの第一点の、外国技術導入に対しての考え方ということでございますが、御承知の通り、最近年々外国技術の導入に対しまして支払う金が増加して参りまして、三十二年度におきましては百二十億以上出ております。こういうことは、われわれといたしましても非常に憂うべき結果が将来くるんではないかというふうに考えておりまして、でき得る限り日本の技術を興して、そうしてこれを推進していきたいという考えでございます。従って、この技術と申しますものは、研究の段階から、しかも研究も、応用試験、あるいはまた工業化試験と、数段に分れまして発達して参るものでございますが。これが企業化になります場合には、非常に大きな生産技術上の危険率というのがございまして、そこに何らかの国のてこ入れをしてやるということによって、外国技術に対抗いたしまして、日本で生まれた技術を発達、あるいはまた実用化させる大きな意義があろうかと存ずる次第でございます。 それからなお、中小企業の補助金の問題につきましては、すでに、工業技術院関係の補助金の例で申しますと、過去、昭和二十五年から昨年までに三十五億ほど出しております。そのうちの、三分の一が中小企業になっております。そういうことで、この補助金の対象は産業合理化の面でございますので、新しい技術に対して出す関係上そのような比率にはなっております。しかし、中小企業の技術振興につきましては、このほかに、中小企業庁からいろいろの形において補助金が出ておりまして、たとえば、本年度におきましては、この中小企業の技術振興費の一環といたしまして、昭和二十九年以来、中小企業輸出振興技術研究補助金を年々計上いたしておりまして、来年度の予算案にも千三百四十九万、それから、そのほか、中小企業輸出振興施策奨励補助金といたしまして千四百一、十五万、それから、中小企業の技術指導のための補助金といたしまして六千万、これは本年新しく盛られたものでございまして、都道府県の試験所の設備を改善いたしまして、これを中核といたしまして、その地方々々の中小企業のいろいろ技術指導を行うという費用でございます。そういうように、別の方からも中小企業の育成のための補助金を出しております。
○栗山良夫君 私の申し上げておるのは、大企業にそういう助成なり、刺激を与えていけないというのではないんで、大企業には、私は終戦直後から言ってるんですが、あまりにも外国依存に、手っとり早く依存したがるんですね。ある意味においては熱情がないといって極言してもいいくらいなんです。すぐ外国の新しい特許と技術提携してしまうとか、そうして試験研究を怠る。当然やらなければならぬ。大企業の私は使命だと思いますが、そういうことはしないで、外国技術の特許にすぐ魅力を持って、ついてしまう。それで、国内——自分の会社で当然研究しなければならぬようなものでも、危険度があったりなんかするものだから、なかなかやらない。しかし、国で若干特典のようなものを発表しますと、大企業の力をもってぐんぐん押し込んできて、そうしていいとこだけとっちまうと、まあ悪い言葉で言えば……。そうして、そういう外国と提携する力もなければ資本力もない、しかも構想はきわめていい構想を持っているという中小企業の方はなかなかうまいようにいかない、こういうのが今の日本の科学技術界の実情じゃないかと思えるんです。これを百年河清を待つがごとくに便々として同じような調子で通産行政をやっておったんでは、いかに科学技術の振興を唱えておったうても全然これは急速にものになりっこない。そこで、今の自民党内閣も科学技術の振興を、別にお題目に唱えられておるわけではないでしょうから、ほんとうにおやりになるつもりなら、そういう重点施策への切りかえというものをやらなければいかぬというふうに私は考えている。これは若干政策的な問題ですが、大臣がお見えになりてから、これははっきり伺っておきたい。でないと、こういう法律を作ってどんどん助成措置を表でとるような格好をしてみても、直接ちっとも科学技術の振興には稗益しないと思う。この点は大臣が見えてから一つ伺う。 それから、その次の質問といたしまして、今度の提案になっておりますのを見まするというと、要するに租税の特別措置なんですね。大蔵省は国会の要望にこたえられて租税の特別措置というものはだんだん整理をする、これは大方針であると、で私は、こういうものに租税特別措置をすることは、しいて反対ではありません。ありませんが、しかし大蔵省の堅持している方針を貫いて、その貫いていく中においてこういうものを認めていくということになれば、やはりこの新技術をものにしていくことについて大蔵省としての見解、主張がなければならぬと思うんです。今までと同じような調子で、ただ何となくこういうことをうたっていれば日本の科学技術はよくなるだろう、水準は上るだろう、そういうことだけで、大切な財政的な援助をしていくということでは私は反対だ、そういう意味で、大蔵省はどういうふうに考えておりますか。
○政府委員(原純夫君) 特別措置全般につきましては、その必要が満たされる、あるいは大体その使命を終るという時期には思い切ってそれは整理する、そうして、むしろ全般的に重い一般的な税率の軽減、あるいは控除の引き上げという方向に向うべきだということは、もうおっしゃる通りで、私どもも全然その気持でやっております。ただ、それはもう特別措置というものは全部整理の方向だけで、新しいものはいけないかというとそれはそうでなくて、やはりそのときどきに国が新しい角度で政策を立てて、特に推進したいという場合に、それに税制面から寄与する方策が、適当な方策があれば、それはやはり彼此勘案してやっていかなければならないと、非常に抽象的な申し方でありますが、そういうような角度でこの問題を考えております。で、今回この科学技術の振興が新しい年度の予算編成を通しまして、まあ一番大きな政策の一つに上ったことは御存じの通りで、私どもとしてこの措置は、そういう政策的な角度からいって適当なものだと、必要なものだと考えて、通産省にも御協力してやっておるというつもりであります。 特別措置全般の中にいろいろ順位と申しますか、冒頭に申し上げましたような緊急性というようなことから言うと、いろいろ甲乙がある程度つくわけであります。そういうようなものを比べて考えましても、今度のは私ども決して特別措置の体系の中に入って非常におかしなものが入ったという気はしない。むしろかなり重要なものになるのじゃないか、ランクの高いものになるのじゃないかというふうに考えております。先般の整理の方針については、これは依然としてそういう気持でおりますので、常にこの情勢を検討し、必要が減ってきたものについてどんどん整理していくということについては今後もその気持で進みたいと思います。
○栗山良夫君 そこで、私が大蔵省にもう一つただしたいのですが、新技術振興という建前からしてこういう租税の特別措置には非常に大切なこととして賛成をすると大蔵省はおっしゃったのですが、しかし新技術がなかなか伸びない一つの大きな理由としては、日本の純学術というか、もっと具体的な例をとれば、たとえば大学における研究費を非常に大蔵省が渋って出さないとか、あるいは役人だとか国会議員がずいぶん外国へ出かけて、実業家も勝手に出かけて行くのに、一番科学技術を指導しなければならない学者の海外研究費というものはさっぱり大蔵省が渋ってしまって出さない、こういうことによって科学技術の総合的な発展というものが非常にはばまれてきておる。そういう大蔵省の科学技術に対する総合性の問題はどうです。そういうものが少し欠けているのじゃないですか。
○政府委員(原純夫君) かなりに私の持っておる仕事以外の分野にも入りますが、関連がありますので、科学技術全般に対して、おっしゃる通り大学におけるがっちりした研究を促進して参る、またそういう研究者、学者の海外技術に触れる機会を多くするということが必要だということはおっしゃる通りだと思います。私今の仕事のなんで申すのではありませんが、今の仕事をやる前に主計局で仕事をしておりましたときの記憶でも、多少の科学技術ないし大学のそういう研究費についての関心は、結果として出る額がいかにもみすぼらしいということにいろんな経緯でなる場合が多いので大へん恐縮ですけれども、非常に深い関心を持っておるのであります。内輪話でありますが、いつも予算の最終になっていろんな要求が出て、さてこれで何に一つつけようという場合に各主計官がみんなやはり頭に置いておるのはこの問題です。各省にわたってこの研究費的なものがあるわけでございますが、それを総括担当の主計官のところに全部注文を取りまとめて、大体今どれだけ入っている、そしてこれをどうするということを、最後にもう五億あったら、もう十億あったらということをみんなで話し合いながらやっておるのでありまして、気持においてはおっしゃっておるのと全然同感な考えでやっておるわけであります。特に今度は科学技術が非常に重点になったわけでありますから、もう御案内と思いますが、科学技術関係で三十二年度予算百八十億に対して三十五億円を増額して二百十六億円にいたしておるというような状況であります。もちろんなお今後も努力を要することの多い部面だと思いますが、大蔵省全体の気がまえとしてそういうときには十分おっしゃるような気持でやっておるようなつもりであります。
○政府委員(白井勇君) 今政府委員からお話を申し上げました通りに、三十三年度の予算におきまして、その最重点としまして科学技術振興を取り上げております。これは申し上げるまでもなしに、日本のような資源の少い国柄といたしましては、科学技術振興に重点を置くということしかないわけでございまして、まことにおそまきの観があるわけでございますが、とにかく三十三年度におきましてはこれを最重点に取り上げて参ったわけであります。従いましてその予算の編成に当りましても、御承知の通りに、研究機関の整備をはかって参りまするとか、あるいはまた技術関係につきましても、大学の施設を充実して参りまするとか、あるいはその方面の研究の施設につきましての経費を見て、さらにまた従来からわが国におきましては、技術者に対しまする待遇が非常に同じ公務員でありましても差等があるわけでありまして、研究職等につきましては、そういう差等をできるだけなくしていくような措置もいろいろ考えたわけであります。少くもこの科学技術振興というものを重点に取り上げる。この重点施策に即応いたしまして考えられまする措置というものは、いろいろな面から考えまして総合的に重点施策を持っていく。こういうふうに施策をとっておりますることは、ただ租税だけの問題でなしに、大蔵省としましては、いろいろの点におきまして、できるだけの予算措置も考えたい、こういう考えを持っておるわけであります。
○栗山良夫君 それでは、今大へんけっこうなことを承わりましたから、そのお言葉通りけっこうだと思いまするが、しからば本年、三十三年度の予算案において、科学技術系統の大学の学者が海外へ勉強に行かれる総人員というか、総研究日数というか、そういうものは、三十二年度、三十一年度と比較して何パーセントぐらいふえておりますか。
○政府委員(白井勇君) 今私ここに手元にその資料を持っておりませんが、もし御要求がありますれば、いずれ資料として提出いたしたいと思います。もちろん今年度のその方面の要求に対しまして十分であるとは私は申し上げかねると思います。しかしながら従来から見ますれば、とにかくいろいろな面におきまして科学技術振興のためには大蔵省としましては予算措置は相当分厚く講じたと、こう考えておる次第であります。
○栗山良夫君 私は、先ほどから何回も総花式ということを申し上げておりますが、時代の趨勢だというので取り上げたことは取り上げたがいよいよその資金の裏づけということになると、遺憾ながら少かったというのでは、これは重点施策にはならないと思う。従って本気に重点施策として考えるならば、あなた方が軍人恩給にあれだけの熱意を示されたように、おれにまかせておけというようなくらいの演説をぶてる程度に、ほんとうの重点施策にならなければならないと思う。どうもこういうじみな問題になると、そういうのが出ていないのですね。それだから私はお尋ねしてみたのです。
○政府委員(原純夫君) これも主計局の何でありますが、今とりあえずあります資料で、大学のではございません、スタックの系統でありますが、在外研究員の旅費という項目の額がわかっております。これは三十二年度予算額が二千九百二十七万五千円だった。それが三十三年度におきましては四千二百二十二万八千円と約千三百万円、四割以上ですね、ふえておるという項目がございます。もちろんこのほかに各大学研究所とかあるわけでございますが、とりあえずのなんでそういうのがありますので、若干の裏づけとして申し上げます。
○国務大臣(前尾繁三郎君) 科学技術振興につきましては、通産省御承知のように、産業の関係からじみちな行き方をいたしてはおります。来年度の予算におきましても相当な額がふえておるわけでございます。その振興策といたしましては、まず第一には国立の試験研究機関を整備強化する、特別研究と申しておりますが、従来から学界等におきましていろいろ問題になりました電子技術あるいはオートメイション技術、分析化学生産関係の技術というようなものにつきまして、特段力を入れておる次第であります。また民間の研究を振興しますためには、試験研究の補助金というようなものにも重点を置いておりますほか、ただいま御審議願っておりますような税制上の優遇措置、それから共同研究体制の整備というようなことにも力を用いたいと思っております。それから国立試験所の民間に対するサービスということを極力拡大し円滑化していこうというふうに考えておる次第でございます。いずれにいたしましても開銀の融資その他の面、あるいは特別償却制度というものを活用いたしまして、そして極力民間の技術振興という面に力を入れたいと思います。それから中小企業の関係におきましては、すでに御承知のように、中小企業に対しまして設備の近代化補助金という制度があるのでございます。来年度は、本年度四億円を六億円に増して、額としては少いようではありますが、府県の負担分、それから償還されます一億八千万円でありますか、そういうようなものにさらに自己負担分、これもおそらく政府関係の金融機関から金融をするということに相なると思います。ただいま申し上げました三分の一の無利息で貸すという関係になるわけであります。総額にいたしますと四十五億以上の設備の近代化がはかれる、かように考えておるのであります。それからもう一つは、府県の試験研究機関というものに対しまして三年計画で従来の設備を、改善するということで、初年度六千万円の補助金ですが、これも府県の負担分を入れますと倍額になっておるわけであります。約十カ所くらいを、ことに輸出振興等に関係のあります研究機関につきまして補助金を出しまして、設備の近代化を技術の向上という面で府県にも極力中小企業の関係を推進していただくというようなことにいたしておるわけであります。そのほか、いわゆる企業診断という制度がありますが、その企業診断制度を極力活用いたしまして、国としましても府県といたしましても、技術の向上等につきまして従来以上に力を入れて中小企業の行くべき道というようなことについての指導をやらせたいと、かように考えているのでありまして、今後これらを活用いたしまして、ぜひとも堅実な歩み方で一そうの技術振興をはかっていきたい、かように考えている次第であります。
○栗山良夫君 大臣お見えになる前に私は質問申し上げましたが、ちょっと私のお尋ねしたところと要点がずれているので、もう一ぺん一言だけお尋ねしたいと思います。それは、新技術というのは一体何かということを、一番最初お尋ねをしたのです。僕の考えておる新技術というものは、世界水準をぐんぐん抜いていくような日本独特の技術の振興でなければならぬという、そういう大目標のもとに進めていかなければならない、こういう考えを持っておるわけであります。ところが、日本の最近の産業経済界を見ますというと、どうもそういう気魄というものが少し乏しいのではないかということを心配しているわけです。特に大企業においては、外国において世界を圧倒するような発明、発見がありまするというと、すぐその特許権の取得のために狂奔しておられる、私は聞くところによると、ある一つの特許に日本から二つの企業体が行って競合をして、おそろしく技術提携料を上げてしまったというようなことも聞いておるわけなんで、こういうこともある。みずからの企業では豊富な資金を持っておるので、ささいな研究くらいは十分なし得るものを、なかなか実用化まで進めないで、そうして海外技術におかぼれになっておる、こういう傾向がありますので、この点についてはその方針を是正させるように、通産行政として強力なる指導をしなければいけないのではないか、そういう指導の意思ありやいなやということが第一点です。 それから第二点は、中小企業者なり、あるいは町の研究者には、大企業にも負けないような独創的な非常に有益な構想を持ち、研究を進めておるのがたくさんあります。ところがそういうのが資金がないために、あるいは政府の助成が足りないために、なかなか思うような実用化の面まで持っていけない。途中まで参りますというと、大企業へ相談に行けば、大企業は自分の思うような条件を出して、そうしてこれを悪い言葉でいえば取り上げてしまう、こういうことがたまたまあるわけです。従って大企業が、今乏しいその国家財政からする助成措置等を、みずからの研究に相当の熱を入れるべきところを入れないでおって、こういう助成措置が出るというとすぐ飛びついていく、そういうところは改めさせると同時に、中小企業なり町の研究者等、あるいは大学の研究所の先生、あるいは研究所の学者等にもっと重点的な助成措置を講ずべきでないか、そういう構想を通産省としては持ち、そうして行政指導をやっていかなければならないのではないか、今までやっておる総花的な助成政策の切りかえですね、重点的な切りかえ、これをおやりになる意思があられるかどうか、この二点を中心にお尋ねをしたわけです。
○国務大臣(前尾繁三郎君) 御趣旨はまことにごもっともであり、われわれもそういうふうにして極力外国の技術を入れる必要のないようにいたしたい、またそれが重複しないようにしたい、こういうふうな考えは従来から持っておるのであります。工業試験所にも技術の開発というので、入れる技術につきましては相当きつい審査をいたしておるのであります。またそれが重複しないようにということについても、鋭意制限するようにしております。半面におきまして、試験研究補助費という補助金につきましては、ただいまお話しのような、日本独特の試験研究というものに極力重点を置きまして、固有の技術につきまして、これを伸ばすというふうに考えてきておるのであります。これにつきましても、今後、さらに一段と御趣旨に沿うような方向で推進していきたい、かように考えておる次第でございます。
○栗山良夫君 この法案を見まするというと、政令委任事項がありますが、政令はもう案をお示しいただけますか。
○説明員(樋詰誠明君) 目下、大蔵省と話上合いをしているところでございますので、もうしばらく時間をかしていただきたいと思います。大体のことはきまっておりますが、最終的のところまでいっておりませんので、もう少しお待ちいただきたいと思います。
○栗山良夫君 この法案の審議中に間に合いますか。
○説明員(樋詰誠明君) できるだけそれに間に合せるように努力したいと、こう思っております。これに伴います租税特別措置法の関係と一緒に、それが上るときには、当然こちらも上げていただきたいと、そういうふうに思っておりますし、上りました以上は、われわれの方としては、できるだけすみやかな施行ができるようにやっていただきたいと思っておりますので、事務的の折衝を早急に進めていきたいと、こう思っております。
○栗山良夫君 私は、第五条の第一項の政令をぜひ拝見したいと思いますので、要綱だけでもけっこうですから、なるべく早く一つお願いしたいと思います。
○平林剛君 私、少し角度を変えてお尋ねをしたいと思うのでありますが、企業合理化促進法の一部を改正する法律案の中身を読んでみますというと、租税特別措置法の中で規定すべきものがすべてであります。今回提案をされているものは、ほとんどその事務手続を定めたようなものでありまして、わざわざ、こういう法律案を提案をする理由が、重要性がどのくらいあるのかということに疑問を感ずるのであります。わざわざ、こういう法律案を提案をしてきた理由というのは、一体どこにあるのか、まず、その疑問についてお尋ねをいたしたいと思います。
○説明員(樋詰誠明君) 御指摘のように、今回ここに御審議を願っております法律改正案の実効が上りますのは、租税特別措置法が、これに伴って改正されるということで、初めて首尾一貫するということになるのでございますが、われわれといたしましては、技術向上の促進、あるいは機械設備の近代化、産業関連施設の整備といったような、一連の企業合理化の促進のための法律、企業合理化全体を統一的に見ました母法としての企業合理化促進法というものを、国会の御審議を経まして、すでに二十七年来持っているわけでございますが、その中で、たまたま試験研究に対する補助、三年間終りますと、特別償却というようなことが認められる。ところが、それをその次に、企業化するという段階において、最も企業化しやすいようにという配慮をしてやることによって、試験研究を鼓舞激励して、大いに国産技術を向上させようという点において、今までは規定がなかったわけでございます。それを、技術革新が盛んに叫ばれております際、国際的に、よりすぐれた技術を開発するということのためには、やはり企業合理化促進法というものがねらっております一連の大きな目的の中に取り入れるということによって、そしてあとの具体的な措置というものは、租税特別措置法の方でそれに即応した適当の措置をやっていただくという、租税特別措置法の方で、税の面から特別のことをやっていただいておりますが、その際に、政策的な見地からの法的根拠というものは、やはりこの合理化促進法というところで、はっきり明示するのが適当であろう、そういうふうに考えて、この技術の向上促進の一環といたしまして、促進法の改正をお願いしておるわけであります。
○平林剛君 合理化促進法の法律としての目的、あるいは政治的な意味というものはよくわかりますけれども、実体を見ると、租税特別措置法が主体であって、その手続が従的な立場で今回提案をされておるにすぎない。むしろ私は、どっちを先に政府の方が考えついたのか知りませんよ。まず、租税特別措置をやるのが必要だと言って、租税特別措置をやるという方針がきまって、その後において特別法がきまったのか、それとも、手続法を先にきめておいて、なかなか税制の問題については、大蔵省は渋いから、そこで、こちらの方に形をつけて、理由をつけて、あと租税特別措置をねらったのか、こういうことは、どっちかよくわからないけれども、とにかく実体を見るというと、どうも租税特別措置を主たる内容の法律のように思えるのであります。原さんもおいでになっておるのですが、私は、最近、政府は、いろいろ税制上の恩典を受けるような法律を作る場合に、租税の原則に反するような、あるいは疑問のあるようなものを、大蔵以外の委員会で、付則あるいはその他の法律条項で提案をしてくる傾向が非常に強いのであります。これはもう少し政府としても統一をして、それは企業合理化促進ということだけの政策から見れば、それを促進することはけっこうですけれども、何も税制だけに頼る必要はないのじゃないか、こういう点は政府としてよく話し合って、しっかりした統一のもとに今回の提案ができておるのですか。これを一つ主税局長、あなたから説明をしていただきたいと思います。
○政府委員(原純夫君) 非常にむずかしい問題で、また、税制としてなかなか従来から問題にしておるところでございます。税は全般の税体系における公平というような見地、また、納税者の側からいっても、よくわかる、一日でよくわかるというような意味から、税に関する立法は一連の税法で規定するということを、もちろん大原則といたしております。従いまして、本件のような場合にも、そういう気持がやはりあるわけでありますが、なかなかそれだけでいかない場合があるわけで承ります。本件のように、何が企業化について、利益を与える企業化であるがということは、もう黙っていてもわかるというようなものではないわけです。それには、やはり主管の通産大臣が御認定にならなければいけない、その認定自体が、非常に科学技術の振興という面における大事な行政行為だというものであります。そういう場合に、それまで含めて措置法の中に規定するかということになりますと、なかなかそこまで言い切れない。実は二十七年、作る場合に、そういう点でいろいろ議論があったのでありますが、その結果として、そういう主管大臣の御認定にかかる分については、この企業合理化促進法で規定をして、税を特別償却を認めるという分については、税法で規定しようという考え方、若干、実は形式的に言いますと、平林委員の言われるようなことが、歴史にはっきり出ておるのです。最初は特別償却の中身まで促進法に規定してあったのです。ところが、昨年、御存じのように、特別措置法は全面改正をして、全部わかりやすく直しました。その際におっしゃるような趣旨を考えて、どこが適正な限界かということを考えて、今申したような実体的な、どれが試験研究として特別償却利益を受けるに値するかという判断は主管大臣がされる、それは主管大臣の方の企業合理化促進法でやる、特別償却はどういうふうにやるかということはこれは措置法できめる、前は合理化法でそれまできめてあったのを措置法に移しまして、そういう形で整理しております。もちろんこれで最終的にいいかどうかという点は、なお今後もいろいろ御議論が出ると思います。私どもも研究いたしますが、御趣旨のような気持で、できる限り良心的にやっておるつもりでございます。若干ほかの件になりますが、同様な問題はこの国会でも、衆議院並びにここでもお話があったと思いますが、いろいろな特別法で特殊法人ができる、それに対する登録税を軽減し、印紙税をどういうふうにするかという場合に、その特別法で規定するのがよろしいか、あるいは税法にもってきて規定するのがいいかというようなことが議論に出てきております。そのほかいろいろな場合のことが、非常に困難な問題であると同時に、おっしゃるような気持を常に持って処理しませんと何が何だかわからなくなる、今のところ一応そういう気持でけじめをつけておりますので、そういうようなところで御了承をいただきたいと思います。
○平林剛君 まあ、私は一つの問題点だけを指摘しておきたいと思うのであります。そこで、先ほど栗山委員からお尋ねがありましたが、今回の法律で試験研究の成果である新技術を企業化するもの、しかもその企業化が国民経済上緊要なものの具体的な例の御説明がございました。私もお聞きしておって、大体承知はしておるわけでありますが、これらの企業ですね、企業は資本金別に言うと大体どのくらいのものがあるか。私疑問に感じますのは、試験研究をなさって新たに新技術を企業化するものの中には、中小企業的なものもあるでしょうけれども、相当な資本力を持っておる人も同様に研究をなさって企業化されようとする人もあるじゃないか。先ほど申し上げたように、そういう大きな資本力があるものまでが租税の原則を破って、そうしてまあ目に見えない特別措置でこういう仕事をやるというのは、私に言わせると企業家の魂というものがない、こういうことを言っても差しつかえないと思うのであります。しかしあまり言い過ぎてもいけませんから、大体どのくらいの資本金、大きなものはどのくらいのものがあるだろうか、こういうことを知っておきたいと思います。
○政府委員(黒川眞武君) ただいま資本金まではこまかいデータを持って参りませんでしたが、大体この条項に乗りますものは、工業化補助金あるいはまたこの法律第四条に関係したものが一応乗ると思うのでございます。そういうようなことから考えますと、従来工業化補助金で補助金を受けましたものの三〇%程度が中小企業でございます。従ってただいま考えておりますのは、年に三十件程度、こういう申請があるだろうと推定いたしておりますが、その三〇%、約十件が中小企業に関係したものであるというふうに推定しておる次第であります。
○平林剛君 私、本日提出されておる資料を拝見いたしました。企業合理化促進法第四条の規定により承認を受けた試験研究の成果の企業化件数調、通商産業省工業技術院、これでお尋ねいたしますけれども、この中に未企業化という欄がありまして、そこに計二十という数字が表われていますね。その上にカッコ三がありまして、このカッコの三は、「中小企業によるものを内数にて示す」、こう書いてある。この今のお話はこのことをさして言うのですか。それからこの二十のうち十七は中小企業にあらざる企業の試験研究の成果の企業化件数に入ると思うのでありますが、これはもうおわかりになっているのでしょう。大体どのくらいの資本金別であるか、その点を一つ説明をして下さい。
○政府委員(黒川眞武君) ただいまお尋ねのこまかい数字のデータをちょっときょう持ち合してございませんので、すぐさっそく取り寄せまして御報告を申し上げたいと思います。
○平林剛君 資料を持たないといったって、先ほど説明したように、鉱山のボタをどうするとか、新製品の合成であるとか、新金属の材料だとか、いろいろ各項目をおあげになりましたね。大体の見当はつくのでしょう。要するにこれは大企業に属する方の申請ではないだろうかという疑問を出しているのですよ、大まかなところでもいいから答えて下さい。
○政府委員(黒川眞武君) 大体中小企業に関係いたしましたものといたしましては、四国化成工業とか、あるいは釜屋化学工業とか、赤穂西浜塩業、あるいは柴田ゴム工業というようなものがございますが、今資本金のこまかいところをちょっと今ここに持ち合せてございませんが、大体五千万円前後かと思います。
○委員長(近藤信一君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(近藤信一君) 速記をつけて下さい。
○海野三朗君 主税局長にお尋ねいたしますが、先ほど栗山委員がるる述べられましたが、大蔵省は科学技術なんということをらっぱばかり吹いておって、実質一つもわかっていないのだ。その一例は、東京大学の薬学の講座を三つに分けたでしょう。講座を三つに分けておりながら、それに教授の数も回さないし、研究費も増額しておらぬじゃないか。学問の府であるところの大学の講座とか研究室の費用を少しも見ないで、幾ら科学技術が必要だなんということをらっぱをお吹きになってもこれはだめでしょう。私はそう思うのです。これはあなたは、文部省の管轄であると言って逃げられるかもしれないけれども、もともと財布の口を握っておられるのは主税局長じゃありませんか。どうなんですか。その東京大学の講座のことを私は聞きたい。東京大学で講座を三つに分けましたね。講座は今までは医学部に入っておったのですが、それが薬学というのが分離したというだけであって、さらにそれに何らの予算の裏づけがない。あんなことでは私はだめだと思うのです。どうなんですか。
○政府委員(白井勇君) 主税局長と特に御指名の御質問でありますけれども、便宜私からお答え申し上げます。今お話しの点は、文部省からもいろいろお話があったのでありまして、ただ最終段階におきまして、これは御承知の通りに、科学技術関係につきましては、もっと急ぎます学部関係の増設等につきまして相当の経費を使ったわけであります。従いまして薬学部を分けますにつきまして、いろいろまあ経費の問題があったわけでありますが、文部省との最後の話し合いにおきましては、まあ今回は分けてさえもらいますれば、経費のことは次年度にまた考えてもらって、むしろ他の新しい学部設置方面に経費を充当していこうというような話し合いで、一応分けるだけは分けたと、こういうことでありまして、今御指摘の点は、これから充実していかなければならぬと、こう思っております。でありまするからして、結論的に申しまするというと、少くも一歩前進であろうと、こう考えております。
○海野三朗君 ちょっと今の……。今、政務次官のお話、それはよくわかりました。わかりましたがね、科学技術の振興というときに、学問の最高の府であるところの予算を削って何が技術振興ができますか。私はそういう根本を言うのです。それでありますから、大蔵省は金がないとか何とか言って、それは文部省を責めつけるでしょう。文部省の役人たちは主税局長に頭が上らない、実際に言うと、大蔵省様々だから……。それだから一つもわかっていないじゃないか。学問の府をそういうふうなけちをしてはだめじゃないかということを私は言うのです。そこで、私は大蔵省当局にはっきり申し上げたいことは、原子爆弾の出現によって、三千前の歴史も政治も経済もでんぐり返ったじゃないか。それほどこの科学技術が大事なんである。それを予算の都合だからとか何だからと言っているけど、もう少し認識を深めてもらいたい。そこで、主税局長からも一言何とか言ってもらいたい。あなたは財布の口を締めることだけをお考えになっているのでありましょうが、一国の経済でも政治でも引っくり返るのですよ、科学技術の振興によって。それほど科学技術が大事なんである。私らはそれに対してあなたのはっきりした御認識を一応聞いておきたい。
○政府委員(原純夫君) 私は予算を、歳出の方を切り盛りする、案を作る主計局長ではありませんので、お話の歳出面についてはよく局長としては主計局長に申し伝えます。私は税金を集める方の、しかも法律を作る方でございますから、集める方で、税を軽くしてお助けできることがあればやろうというので、今度のこれをやり、それからこのほか試験研究設備の特別償却も従来よりももう一息優遇の度合いを強めよう、その他いろんなことをできるだけやろうという考えでやっているわけです。実はまあ私が前任の、前の主計局におったときのことを少し知ったかぶりして申しましたので、そういうふうなお話が出るのだと思いますが、よく主計局長に伝えますし、私ども税の面でも、誠心誠意そういう御要望にはこたえようというつもりで今度やっておりますので、御了承いただきたいと思います。
○椿繁夫君 税金を取る係の方の局長さんに、それではお尋ねをいたしますが、この合理化促進法の一部改正案が施行になりますと、一体租税特別措置の減免特例によって初年度どのくらいの減収を予想しておられますか。
○政府委員(原純夫君) 本件によりましては平年度十四億円程度、初年度はその三分の二でありますから、十億弱ということに相なりますので、大体そういう見込みをいたしております。
○椿繁夫君 三十二年度の予算編成の際に、税制特別調査会の答申もあって、二百億程度の租税特別措置法による減免恩典の整理がございました。それによって三十二年度の予算の編成を見ているわけでありますが、本法が施行されますというと、平年度において十四億の特典を与える。この間も貿易振興ということで何か四十億ばかり減免の恩典をすでに与えました。私ちょっと今明瞭に記憶しておりませんが、もう一件ある。この三十二年度の租税特別措置法の整理を行いまして以後、これは私は国の、特に大蔵省の租税特別措置法に対する私お考えが終始一貫していない、ちょいちょい変っておるように思って、国の歳入全般のことを考えまして不安にたえぬのですが、一体その税制特別調査会のあの答申の趣旨、精神というものは、今後こういうふうに、つど変更されるのですか、不安でありますからちょっと聞いておきたい。
○政府委員(原純夫君) それはそういう変更はございません。特別措置につきまして、その目的を大体果した、またいろんな条件で、条件の変化によってその必要性が低くなったといいます場合には、どしどしそれは整理する。そしてまた新しい角度で必要だというものがあって、どうしてもそれをやりたいというものはこれは追加がやはりあると思います。整理するものは整理する、追加するものは追加するというふうにやって参る。なお全体として、昨年のときは千五十五億という平年度減収額を申し上げたわけでありますが、そういう大きな額に上るということはやはり異常な状態だから、だんだん世の中が正常化するに従って総額は減らしていくべきだろうということで、前回は根本的に全部を洗い直しました結果、今お話しの通り、初年度では二百五十億、平年度では実に四百億に上る整理をやったわけであります。本年度も平年度化によりまして百五十億は整理されて増収になるということになっております。一方にお話のように輸出関係で、昨年申し上げましたときの数字は、たしか二十六億か幾らかだったと思いますが、その後貿易の幅がふえますからだいぶんになっておると思いますが、輸出それから今度の貯蓄控除、それから科学技術というようなもので増加のものが出て参りますが、今後も冒頭に申しましたような意味で、整理すべきものは整理するという気持でずっとやって参りたいと思います。実際問題としてはなかなかこれは実情論でありますが、整理はなかなか困難だというふうなことがあります。ですから、今お尋ねいただいたことは、私どもにとってはまあ何といいますか、ざっくばらんに申しまして、大へんありがたい、しょっちゅうそういう意味で一方で御鞭撻いただくことがないと、新しい措置の要求が多い、整理してくれというなかなか何がないものですから、私どもはやはり税法の番人をしております立場から、しょっちゅう気をつけて、一番有効に特別措置が働くような状態にしなければならん。全体としてもだんだん縮小するというかまえで、今後もやって参るつもりでおります。
○椿繁夫君 先ほどからの同僚の質疑によっても明らかでありますように、こういう減免の特例を設けましても、その恩典を受けますものは中小企業に少くて大企業に多いというところにこれは問題があるわけであります。価格変動準備金にいたしましても、貸し倒れ準備金にいたしましても相当額が租税特別措置法によって減免されておるわけでありますが、幾ら国に財政の余裕金があるとはいえ、必要なところに出し渋っておられますのが今度の予算の編成を通じて見ましてもこれは明らかなんであります。ですから、大企業の恩典をはかるような法律案が次々と出るようなことを抑制されて、そして恵まれない企業なり、層の方に歳出を増加していくと、その財源を大企業への恩典の額を減らすことによって収支の権衡を保っていきたい、こういうつもりで私は大蔵省に強く要望しておきたいと思います。
○委員長(近藤信一君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(近藤信一君) 速記を始めて。
○平林剛君 先ほどの質問について政府当局の方からしっかりした御返事がありませんから、資料でそれではお出しを願いたいと思います。
○政府委員(黒川眞武君) かしこまりました。資料を提出いたします。
○平林剛君 そこで、今回かような租税の特別措置を行うことに提案をされたのでありますが、提案理由を読んでみると、従来とも新技術の工業化に対する融資あっせん等の諸種の措置がとられてきた。しかし、これでは足りないということで今回の提案になったと見るのでありますが、先ほどお尋ねあったかもしれませんけれども、従来どういう政府の措置をとられて参りましたか、明らかにしてもらいたいと思います。それからあとで通産大臣に質問をします。
○説明員(樋詰誠明君) 直接的には現行法の合理化促進法の第四条で緊要な試験研究を行なう際に、その試験研究設備に対して短期償却を認めております。それから先ほど申し上げました、これは必ずしも直接的にこれと結びつかない、ある程度重複しない面があるかもしれませんが、試験研究のための補助金というものを交付するということを、やはり合理化促進法の第三条でやって参りまして、この法律施行以来三十五億ばかりの工業化試験研究補助金を交付したということをやってきたわけであります。大体、今回の案は、現行法の第四条で認められておりますような重要な試験研究、試験研究自体に対しては、短期償却が認められております。さらに、それを国産技術として大いに振興させるために企業化しようという段階で、企業化しやすいように企業化する設備を、短期償却するというのが、今回の趣旨であります。
○平林剛君 他の議員からの質問もあると思いますから、はしょって最後にお尋ねをしますが、今度の法律案によって、減税額は、先ほどの説明によりますと、平年度十四億円、初年度はそれに比べると、さらに下回るということは、明らかであります。すなわち、企業合理化促進法に基いて、平年度においても、約十四億円程度の補助金なり、あるいはその他の融資なりがあれば、この目的は達せられたはずなんですね。それを租税特別措置法といって、大へん租税原則から言って非難の多い方面に向けられてきて、いろいろな国民全般の租税負担に対する不公平をあえてするという理由は、私は金額が少いだけにわからない。前尾通産大臣のように政治力のある人が、岸内閣の一枚看板である科学技術の振興に対して、この程度の予算を、なぜ一般財政の中から取れなかったのでしょうか。私はこの点がどうも今回御提案になっておるものが、それほど重要な法律案であれば、なぜ一般財政の中でこれを取らなかったのか。通産大臣の政治力をもってしても、なおこれができなかったという理由が、どうも私にはわからないのですから、その理由を一つ明らかにしてもらいたいと思います。
○国務大臣(前尾繁三郎君) 補助金と租税特別措置の場合におきましても、償却という問題で解決するのとちょっとこれは違うと思います。この償却の点につきましては、私は率直に言いますと、非常に時代の変遷が早い、そうして技術につきましても非常に発展していくということでありまして、極力償却期間を短縮するということを考えなければならないと思います。従って、大体において特別償却を強化するということが主になっておるのであります。租税特別措置とは言っておりますが、大体償却の特例である。その点は将来、もうかれば、もちろん税金を払わなければならない。補助金でやりますと、出しっぱなしということになるわけです。また、補助金が適当であるものにつきましては、極力補助金を出す、相当な補助金をふやしておるのであります。その点は償却の場合と補助金の場合と、また純粋に減免税でやる場合と、三者最も適合したところでやっていくという考え方に基いておるのであります。
○平林剛君 今答弁なさったのは、第六条の減価償却の特例についての説明をなさったのであって、私が聞いているのは、今回の提案による新技術企業化用機械設備に対する所得税、または法人税の課税の特例を行なったことに対してお尋ねをしておるわけです。これは平年度十四億、初年度はもっと少い。この程度のものが、なぜ政府の一枚看板である科学技術振興に力を入れるというのに対応して、一般財政の中に組み入れることができなかったのですかということを、お尋ねしておるのです。
○国務大臣(前尾繁三郎君) 補助金と減免税でやります場合と、これは非常に違うのであります。補助金でやる場合は、もちろんその企業自体が率直に言えば、もうからぬとか何とかいうことが、主になっておると思うのです。減免税でやります場合には、その企業が一応利益が出ました場合に、つまり減免を受ける、こういうことでありまして、何もこれの方が容易だからという意味ではないのであります。その事業あるいはその性質、それらに従っていろいろの方法をとっておるわけであります。
○平林剛君 あなたは、委員会にこの法律案の提案理由の説明をしながら、それと全く逆なことを御答弁なさっておる。この提案理由の説明に「元来、試験研究の成果は、その企業化によって初めて結実するものでありますが、新技術の企業化を行うに際しては、通常多額の資金を要し、また企業化に当り、技術的に相当の不安を伴うものが多いので、資本蓄積の乏しいわが国企業は、企業化への踏みきりに相当の危険を感ずる例が少くないのであります。」かかる状況に対処して提案をしてきているのでしょう。これから見れば、私は租税特別措置による租税負担の原則を破って、提案のような措置をとるよりも、提案理由の説明からいきますと、当然補助金として提出をするというのが筋合いのように思うのですが、あなたの答弁、どうもはっきりしない。そこをしっかり判断をして答弁をして下さい。
○国務大臣(前尾繁三郎君) 実は提案いたしておりますのは、皆、特別償却です。特別償却で減免をやっておるのは今度はないようであります。従って、一番最初に申し上げたことであるいは事足りたかもしれません。今度は減免はやっておらぬようでございます。
○説明員(樋詰誠明君) 実は、今の先生の御質問、あるいはこういうことじゃないかと思うのでございますが、企業化にうんと金が要る、そういう金がないから、こういう特別措置をやっておるのであって、そのためには、必要な金をめんどうを見るということをしてやったらどうだというような御趣旨だと思いますが、われわれといたしましては、新技術を企業化するといったような場合は、これはできるだけ開発銀行あるいは中小企業金融公庫といったような方面からの貸し出しというようなものにつきまして、積極的な金融という面を考えると同時に、この特別償却は、これは釈迦に説法で、申し上げるまでもございませんが、無利息貸し付けのようなあれで、減免じゃなくて、いずれはあとからその分だけ必ず長い間かかって償却せねばならぬのですけれども、初めに償却させることによって、企業の金繰りを楽にしてやるといったような、消極的な金融というようなことでございますので、積極的な金融あるいは先ほど申し上げた必要な試験研究段階における補助金の交付というようなこと合せまして、消極的な金融をつけてやるということによって、試験研究が、より円滑に行われるようにする素地を作ってやりたいということで、御審議をお願いしてるわけでございます。
○平林剛君 まあ、質疑は十分じゃありませんけれども、あとは考え方の違いになりますから、きょうはこの程度に質問を終りたいと思います。
○左藤義詮君 新技術の工業化という非常に卑近な問題について、お話を伺ってみますと、融資のあっせんをする、あるいは補助金を出す、それだけで足らぬから、またこうして償却についても特別の措置をしてやる、こういう三本建のようでございますが、いずれもはなはだ細々とした柱を三本建てて、この大きな問題がささえられるかどうか、はなはだ私心配ですが、そういう三本建になっておる。この調節がうまくとられてるかどうかですね。一方には、融資のあっせんもしてやる、補助金もやる、一方ではそのいずれもやってやらない。あるいは一つやってやるが一つの方はあと回しにするとか、うそうい全体の調節は、どういう方針で通産省はやっておられるのですか。ほんとうにこれは大事な仕事だと、それじゃ融資のあっせんもやってやる、補助金も一つ十分出してやるというようなふうに、その三つの方法が有機的にうまく実際効果が上るように発揮されてるかどうかですね。それはどういうふうに……、どうも私、失礼ですが、役所はセクショナリズムでこの三つの扱いについても個々の出先でばらばらになってやしないか。ほんとに乏しいながらも、最重要なところへ、かゆいところへ手が届くようにいってるかどうか、親心を持ってほんとうに国の措置が生かされているかどうか、その調節をどういうふうにしておいでになるか、具体的なことを伺いたいと思います。
○国務大臣(前尾繁三郎君) 詳細につきましては、事務当局から御説明いたしますが、先ほど申しておりますように、おのおの補助金の場合と、それから特別償却を考えていく場合、あるいは金融をつけるという場合とは、おのずからまあ軽重といいますか、金融でありますと、利息を払いながら、結局元利を支払わなければならない、こういうことになります。それにしましても金利が、普通の場合ですと、一般の市中金融機関では高過ぎる、そこで開発銀行というようなものを利用する、あるいは補助金でありますと、これは利息も要らぬし、それだけは本人の事業に入る、こういうことになるわけでございますが、おのずからそれぞれ軽重なり、また、その事業の性質によって、いろいろと組み合せていかなければならなぬ、こういうことであります。いずれにいたしましても、通産省でありますと、各原局におきましては、重工業あるいは軽工業、こういうようなもの全般にらみ合せて、それをまた企業局で総括をいたしまして、そうしてそのあんばいをいたしまして大蔵省に要求する、こういうような仕組みになっておるわけであります。その間常にバランスを考え、もちろん乏しいのでありますが、不均衡のないように、また、それぞれの性質に合うようにということは常に一局で取りまとめてよく考えながらやっておるんでありまして、まあ、大体においてバランスなり重複することのないようにやっておるつもりであります。
○左藤義詮君 大へんうまくいっているようなお話しでございますが、実際は必ずしもそうではないのです。たとえば重工業局、軽工業局と、大体顔でこれくらいのことは握っている、その下の課がある、その課ではこのくらいのことはということでやっている。必要がないとは申しませんが、非常にそれがばらばらになってしまう。ほんとうに企業合理化を促進しようという法の趣旨が役所の運営でうまくいってないという感じがするのでありますが、その点主管大臣として大局から見て、各局各課のお互いのなわ張り争いにならないように十分心がけておられるかどうか。これに対して大臣はどういうような方針をとっているのですか、非常に乏しいですが、しかも細い柱三本で今にも倒れそうな、さっきの海野さんのお話しのように、とても追いつけない、非常に乏しいものであるだけに、よけい私そういう点が有効適切なところにぴったりはまるようにしなければならぬと思うのですが、それに対してどういうような、役所としては方針あるいは方策を講じておいでになるのですか。
○国務大臣(前尾繁三郎君) ただいま申しましたように、各課あるいは役所にかなりセクショナリズムがあると思います。しかしまた、重工業局長のもとで重工業につきましては一覧をして、そして不均衡のないようにということで見ておるわけであります。また、軽工業につきましては軽工業局長のところで統合して、この両方全部を企業局で総括をいたしまして、そしてバランスを失しないように、仕組みはそういうふうになっておるわけでありますし、また、われわれのところにも企業局を通じていろいろ相談をいたしておるのであります。一応機構としては、アンバランスにならぬようにということは、重々心がけておるわけであります。今後につきましても御趣旨はもっとも、われわれも同様に考えておるわけであります。極力そういうふうにしてアンバランスにならぬようにいたしたいと思っております。
○左藤義詮君 大臣衆議院の方で要求されているのでありますが、私、大臣に対する質疑はこの程度にいたします。今私のお尋ねしたことについて、企業合理化促進法ができまして以来、どれくらいの融資のあっせんをせられたか、どれほどの補助金をされたか、それから今度の特別措置法によりてどれほどの計画があるのか、そういう一つ資料を三つの柱がアンバランスにならぬように、うまくマッチしているかどうかということを知りたいと思いますから、詳細な資料を一ついただきたいと思いますが、できますか。
○説明員(樋詰誠明君) できるだけ今の御要望に沿うような資料を調整して提出したいと思います。
○左藤義詮君 具体的なことを伺っておきますが、非常にわが国でパルプ工業が盛んになりまして、これは非常にけっこうなことなんですが、その廃液が農作物とか漁業に非常に迷惑をかけておる、それを積極的に廃液を回収していろんな有効成分を活用しようという、これは私非常に、アメリカなどでも盛んにやっておるようでありまして、特に国土の狭い、資源の乏しい日本では重要なことだと思うのです。これに対して今まで先ほどの三つの柱の線から促進をしておられるのですか。
○政府委員(黒川眞武君) パルプの廃液の問題につきましては、先生のおっしゃる通り、非常に農産物あるいは漁業に害があるのでありますが、そのために工業技術院といたしましても、その排除の研究について過去において補助金を出しておりますが、ある研究におきましては、先ほどもちょっと触れましたが、廃液から酵母を製造いたしまして、そうしてこれを家畜の飼料にするという研究はすでに成功いたしまして、これは実行しております。それからある研究におきましては、化学的並びに物理的な方法によりまして、固形物あるいはそれに伴うところの有害物を除去いたしまして、それを煮詰めて燃料に使うという研究をいたしております。それからまた、ある研究におきましては、それからワニリンというものを導きまして、さらにでき得べくんば繊維を作っていきたい。つまり災いを転じて福となすというような行き方で、むしろ、これを利用していこうというような研究につきましても、補助金を出しております。まだ、この方の研究は成果を上げておりませんけれども、前の二つの方につきましては、すでに成果が上っております。
○左藤義詮君 いま一つ、パルプの廃液からロジンとか、あるいはホルモンの原料とか、そういうふうなものの回収をするような研究も進んでいるように聞いておるのですが、これに対しては、まだ企業化の何かまだ助成の策は講じておられませんか。
○政府委員(黒川眞武君) その問題につきましては 私もちょっと聞いておりますが、まだ補助金の申請は出ておりませんので 補助金的な援助はいたしておらないのであります。しかし、あの中に種々のホルモン、そういうようなものもあるのでございますので、私どもの関係の試験所におきましては、種々研究いたしておりますけれども、民間の方には、まだ補助金を出しておらないのであります。
○左藤義詮君 そうすると、もう今パルプ廃液の問題は、ほとんど解決してしまって、全部がもう有害な方に流されないで回収し、これを工業化するという方に、もうほとんど完全にいっているのか、まだその点はこれから研究の余地があるのかどうか。
○政府委員(黒川眞武君) 御承知のように、パルプ廃液は非常に出てくる種類が不確定でございまして、あるときは非常に固形物が出てきますし、あるときは非常に濃度が違うようなものが出て参りまして、特定の工場におきましては、ただいま申し上げましたような技術で成功しておるところがございますけれども、まだまだ相当多数の工場におきましては、今後研究しなければならない段階であると存じております。
○委員長(近藤信一君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(近藤信一君) 速記を起して下さい。 それでは、本日はこれにて散会いたします。 午後三時四十六分散会