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28回国会参議院1958/04/10

外務委員会 第15号

発言数
74
登壇者
9
会派数
3
開催日
1958/04/10

会議録

寺本廣作自由民主党

○委員長(寺本広作君) それではただいまから外務委員会を開会いたします。  本日は初めに、理事の補欠互選についてお諮りいたします。  理事井上清一君が一昨日委員を辞任されましたため、理事に一名欠員を生じておりましたところ、昨日再び委員になられました。よって井上君を理事に指名いたしたいと存じまするが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

寺本廣作自由民主党

○委員長(寺本広作君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

寺本廣作自由民主党

○委員長(寺本広作君) 次に、人身売買及び他人の売春からの搾取の禁止に関する条約の締結について承認を求めるの件を議題に供します。質疑のおありの方は順次御発言を願います。別に御発言もございませんようですから、本件に対する質疑は、終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

寺本廣作自由民主党

○委員長(寺本広作君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますから、本件に対する討論は、終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

寺本廣作自由民主党

○委員長(寺本広作君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。  人身売買及び他人の売春からの搾取の禁止に関する条約の締結について承認を求めるの件を問題に供します。  本件を承認することに賛成の方の御挙手をお願いいたします。   〔賛成者挙手〕

寺本廣作自由民主党

○委員長(寺本広作君) 全会一致でございます。よって本件は、全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

寺本廣作自由民主党

○委員長(寺本広作君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  それから報告書には、多数意見者の署名を付することになっておりますから、本件を承認することに賛成された方は、順次御署名を願います。   多数意見者署名     井上 清一  森 元治郎     石黒 忠篤  鹿島守之助     笹森 順造  杉原 荒太     永野  護  野村吉二郎     羽生 三七  安部 清美     佐藤 尚武     —————————————

寺本廣作自由民主党

○委員長(寺本広作君) 次に、千九百五十七年十月三日にオタワで作成された万国郵便条約及び関係諸約定の締結について承認を求めるの件(予備審査)を議題といたします。本件につきましては、先般、提案理由の説明を聴取いたしておりますので、これより直ちに質疑に入ります。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。なお、外務省の政府委員のほか、郵政省からは板野郵務局長、曽山郵務局次長、亀田貯金局次長が出席しておられます。速記をとめて。   〔速記中止〕

寺本廣作自由民主党

○委員長(寺本広作君) 速記を始めて。     —————————————

寺本廣作自由民主党

○委員長(寺本広作君) それでは次に、国際情勢に関する調査を問題にし、藤山外務大臣に質疑を行うことといたします。質疑のおありの方は、順次御発言をお願いいたします。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 二つばかり伺います。日韓会談が十五日から開かれるようになったと報道がありまするが、ここへくるまで何か暗いような経過が感じられる。この会談を開くことができるのは、総理大臣のいわゆる親書というものが働いたのか、あるいは外交ルートによってやったのか、あるいはいろいろなブローカーが暗躍してめどをつけたのか、ここにくるまでの経過を一つ伺いたい。

藤山愛一郎外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 日韓会談がとまっておりまして、とまっていると申しますか、会談の開催を延期したわけであります。外務省としましても、金大使を呼びまして話をいたしたのでありますが、その後、適当な話し合いがついて参りませんで、従って、外務省のそれぞれの係官といたしましては、向うの、韓国側高官連中と私的に何べんか意見の交換をさしたわけであります。その結果、数日前に、アジア局長あるいは次官等が柳公使とも話し合いをいたしておりまして、だんだんめどがついてきつつあるわけであります。しかしながら、最終的には、まだ正式にその話し合いを確定さしておりません。最終的には金大使が私をたずねて来て、そして正確な話をいたすことによって話の結果がきまると思うのであります。そういう経過で今日まできておるわけでございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 十五日という日取りは、相互の話し合いで内定しておるのですか。

藤山愛一郎外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 大体話が進むならば、まあ準備の都合もありますから、その前後の日付が適当であろうかというような話し合いはございます。しかしながら、日等につきましても、今日まだ最終的に決定はいたしておりません。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 そうすると、今最終的に決定しようとしておるひっかかりは、例の抑留漁夫の送還の件だろうと想像するのですが、この点は会談を始めるということを日本側が約束しなければ帰さないのか、やはり日本側が前から言っているように、帰すということを向うから取りつけて、そうして開くのか、その辺はデリケートだと思うのですが、はっきり一つ方針を伺いたい。

藤山愛一郎外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 現在交渉中のことでありまするし、ことに韓国側とも御承知のような、非常にデリケートな面が含まれるわけであります。私どもも、最終的決定をするまで慎重な態度をとらないといけないと考えておるわけであります。しかし、われわれとしては、日本側が十分抑留漁夫の送還その他の目的を達するような方法を固めつつ会談を開いていきたい、こういう希望を今日持っておるのでございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 何か日本側が建前を変えたような印象を受けるのですが、日本は帰してから開こうというのに、向うはそれに応じない。従って、今度開くとすれば、その最初の建前を譲って開くような印象を受けるのですが、そういうことはありませんか。

藤山愛一郎外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) かねて二月二十八日に、日韓正式会談を一応延期をいたす際に、日本側としては、日韓正式会談は抑留漁夫の問題、昨年の十二月三十一日の結果が円満に実行されるということを前提にいたしておりますることは当然であります。ただ、二月二十八日にこちらから申しましたのは、むろん抑留漁夫を帰すために事務的な用意、準備等もあるわけでありますから、会談が再開された当時に、数日後に抑留漁夫が帰ってくるということがはっきりすれば、抑留漁夫の第三次送還というものが確定すれば、その会談をやってもいいということは申したのですが、それすら向うは期日を申すことを拒否しておったわけであります。従って、そういう意味から申しますれば、日本の態度を変えているというところはございません。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 話題を今のモスクワの交渉に移しますが、きのうあたりの衆議院の外務委員会における河野企画庁長官の答弁を見ますると、大へんソビエトのために弁護するような内容のものがあったのでありまするが、これは交渉促進のためのゼスチュアだと思っておるのですが、少し楽観的に見えるようで、近々にミコヤンと会い、あるいはフルシチョフと会ってまとまるのだというような、何か自信らしいものが見えるのですが、そんなはっきりした根拠があるのですか。

藤山愛一郎外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 交渉のことでありますから、ときに楽観をいたしますことも禁物でありますが、特に悲観をすることも必要ないことではないかと思うのであります。赤城農林大臣とイシコフ氏との話し合いというもの、あるいは高碕代表とイシコフ氏との話し合いというものは若干進展を見ております。従って、漁業委員会に関する漁業問題に関してはまだ難点はあるわけでありますけれども、何らかの形で歩み寄り得るのじゃないかというふうにも考えられるわけでありまして、決して楽観だけをいたしておるわけではございませんけれども、しかし、そうかと言って、悲観しながら交渉を続けているというわけではございせん。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 進展をしておるということはどういう内容か。一つはオホーツク海から追い出されないで済みそうだということが進展なのか。あるいはそれを漁獲量について八万トンからもう少し上に上げられるのか。そういうような様子が見えるのか。そういうような具体的な点について。

藤山愛一郎外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) まだすべての問題について、ことに総漁獲量の問題につきましては話し合いをいたしておりまして、数字的な歩み寄りが現実に出てはきておりません。しかしながら、話し合いは非常に円満に進行いたしておって、お互いにそれぞれの立場を了承し合いながら話を続けておるということでございます。また、オホーツク海の問題につきましては、若干具体的な問題として、本年は一船団ではどうだ、しかし、来年以降は困るのだというような、全面的締め出しよりも若干変った提案になっております。そういうふうに交渉自体が向う側からも変化のある——それを受諾する受諾しないは別といたしまして、変化のある話し合いが向うからも出ております。こちらからも、休日案というようなものも出ておるわけでありまして、若干の進展を見つつあるということは言い得ると思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 そうすると、そういうのはミコヤン氏と会談が予定されているのですが、その段階で最終的に交渉妥結の道が開けるのか、それが一つ。それからフルシチョフとも会うようですが、その会う内容は魚の問題ではないと思うのですが、この二点を伺います。

藤山愛一郎外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 漁業問題に関します限りにおいては、ソ連側も主として漁業相にあると思いますけれども、側面から日本の漁民の立場なり、日本の水産業の立場なりを説明することも必要だと思います。総理も言われましたように、赤城、高碕代表は特に他の政治問題について交渉案件を特って行っておりませんので、ミコヤン、フルシチョフなりに会いましても、もし代表として会われるならば、そういう漁業問題に限られると思います。しかし、有力な高碕氏あたりが行っておられるのでありますから、個人の資格においていろいろな要件と、ソ連側のいろいろな話を聞いてくる機会もあるかとは思いますけれども、代表として会われる立場は漁業問題に限られると思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 それでは見通しとして、来週早々くらいには漁獲量その他で、日本が目標としている漁業交渉は妥結に達するという見通しをつけてよろしいものかどうか。政府も解散を前にして、この見通しは一生懸命つけておられるでしょうから、その見当を一つ伺いたい。

藤山愛一郎外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 交渉のことでありますから、今週であるか来週であるかということを申し上げることは非常に困難なことだと思います。特に、ソ連の内閣の変動等でもって、赤城さんが三月二十六日に会われましてから、約一週間以上会談が延期されておりまして、そういうような関係もありまして、時間もおくれておりますが、しかしながら、漁業関係の問題は時期等もありますので、できるだけ早期に妥結して参りますことが適当だと思われるのでありまして、赤城代表としては、せっかくそれを含みながら、努力を続けておられるということだと考えられます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 しつこいようですが、政府側では、何かまとまりそうな様子を最近見せておりまするが、これを裏切るような事態ができるという想像は間違っておりますか。

藤山愛一郎外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 御承知のように、漁業交渉の内容というものは、漁獲数量の問題でありますとか、あるいはオホーツク海における船団の関係、また、本年度、将来のオホーツク海に入れるか、入れないかというような問題に関連するわけでありまして、従って、将来のオホーツク海に本年度限りというような問題は、相当日本に重大な問題でありますので、よほど慎重にこれに対しては対処して参らなければならぬと思います。漁獲量等の問題につきましては、それぞれ話し合いがついていき得るんじゃないかというようなふうに考えております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 それじゃ具体的なことを今度は伺いますが、安全操業の問題について、われわれはむずかしい問題だと思っていたところが、河野企画庁長官のきのうの衆議院における答弁では、日ソ両国の食い違いということは、安全操業の区域においてである、日本側は広い区域と範囲について要求しているし、向うはどうも狭い区域についての安全操業ならば話をするというふうに説明をしております。そこで、日本側の提案といわれる広い区域、範囲、こういうことは、具体的にどの辺までを言っておるのか、また、ソ連側が千島列島の一部水域の領海内における操業を目ざしたソ連の狭い区域というのは、どの辺をさしているのか。

藤山愛一郎外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 区域の問題につきましては、あとで政府委員から御説明申し上げますが、むろんこの安全操業の問題が、会談に入りますれば、区域の問題等が出て参りまして、それはやはりお互いに主張を歩み寄っていくというようなことも起ってくるかと思います。むろん、初めからソ連側がどの程度の区域を予想しているかということを予想いたすことはむずかしいわけでありまして、ソ連側がどの程度の区域ならばよろしいかということを予想することは困難です。従って、日本としては、日本側の希望を出しまして、その案を審議してもらいたいということで交渉を今日までしておるわけであります。ですから、いよいよ近海の安全操業の交渉に入りますれば、区域の問題はおのずからソ連案も出てくると思います。従って、日本側の案とソ連側の案とを突き合せて適当なところで話し合いが済むのじゃないか。ただ、ソ連側が、最初からどの程度の区域ならば応諾し得るのだということを予想することは非常に困難でございますから、われわれとしては、一応日本案としてソ連に申し出をいたしたわけであります。ソ連といたしまして、かねがね申し上げておりますように、今日までそれについて十分調査をし、その上で会談をしようという話し合いでありましたので、そのつもりでわれわれも進めて参ってきたわけであります。ただ、ソ連の意向が、領土問題等も解決すればこの問題の解決もしやすいのじゃないかというようなことを最近言って参りましたので、その点につきましては、われわれ日本側の見解もソ連側に申し入れ、また、ソ連側も日本側の見解を受け取りましてからだいぶ時間がかかりましたけれども、三月十八日に、一カ月くらいの余裕の後に回答をよこしておるわけでありまして、それらについてわれわれは検討いたしました上で、さらにソ連側に日本の考えを申し述べていきたい、こういうふうにただいま考えております。まあこの問題は、漁業条約によります漁業委員会の問題とは別でありますので、ソ連側が、最終的にどういう意向を今後表明してくるかということをできるだけしんぼう強く再々重ねて話し合いをしてみたい、こう考えております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 そうすると、ソ連側は、広い区域ならば平和条約は関係があるが、狭いのならば考慮してもいいと、そういう意向はないようですか。

藤山愛一郎外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) この広い区域だから、考慮してもいい、平和条約に関係あるとか、狭い区域だからないとかというふうにソ連側が考えているとは今日まで考えておらなかったのであります。われわれとしては、そういういわゆる正式な会談に入りましたときに、区域の問題は、お互いに、もし安全操業地帯を認めるならば、ソ連側としてはこの区域ならいい、日本側の区域というのは少し広いから、この方面はそれは適用しない、こう言ってくるものと、いわゆる会談に入りましてからこういう問題は論議される問題だと、こう信じております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 それでは、話題を変えてもう一問で終りますが、朝鮮における北鮮中共軍の撤退、これに伴って中共側では南北朝鮮の統一をやりたいというようなことも言っておるようですが、日本政府の態度を聞きたいわけであります。問題は、朝鮮統一をやる場合の選挙の監視を中立国でやるのか、国連でやるのかということで、アメリカ側は違うようですが、日本のそれに対する態度はどういうものであるか。  それからこういう情勢にあるときに、最近ではアメリカ側が、台湾、韓国に中距離弾道弾の基地を設けるとかというようなことが伝えられておるが、外務大臣は、それに対するどういう感想なり、御意見をお持ちか、その二点を伺いたい。

藤山愛一郎外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 朝鮮が日本のごく近距離にあります地域でありまして、ここの安定をしますことが日本の念願でありますことは当然のことであります。従って、韓国と北朝鮮とが一体のものになりますることは、希望してやまないところであります。その方法として統一選挙をやるような場合に、中立国による監視のもとにやるか、国連監視のもとにやるかというような、いろいろな技術的な問題が起ってくるわけであります。われわれといたしましては、やはり国連機構というものを中心にして考えるのが適当ではないかと考えておるわけであります。これらの問題について、日本としては、十分検討した上で意見をきめて参りたい、こう考えております。  なお、台湾、朝鮮等におきまして平和な状態、戦争に巻き込まれないような状態にありますことが、日本の希望であることは申すまでもないことであります。そういう意味において、この方面の平和を庶幾しております立場から言えば、この方面がいろいろ擾乱を起すようなことに、何らかの刺激を与えるような原因がないことを希望しております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 ソ連政府から核実験禁止に関して何か日本側に書簡があって、それに対する政府の回答が近くなされるのでありますか。そういうことであると、私あとで御質問したいことがあるんです。

藤山愛一郎外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) フルシチョフ首相から岸総理にあてて親書が参っております。昨日翻訳ができまして、総理が入手されたことになっております。どうこれは総理が扱われますか、今後の問題と思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 総理あての書簡のようでありますので、もとよりこれは総理が適当な回答をなされると思いますが、しかし、まあいずれにいたしましても、前々からの核兵器実験禁止に関するソ連の提案について、日本政府に意のあるところを述べたものと思いますので、当然岸首相が書簡の返書を出すについては外務大臣に御相談があるし、むしろ外務大臣の意見を向うへ伝えられる性質のものだろうと思います。  そこでお尋ねしたいことは、きのうきょうあたりの新聞を見まするというと、アメリカ政府にもソ連から同様の書簡が送られて、それに対するアイゼンハワー大統領の回答は、この核兵器の実験禁止というソ連の提案に対して、原子力の平和利用という形のものにすりかえられたと言えば少し語弊がありますが、そういう形のものになっておる。それで、これはもとよりわれわれとしても、原子力の平和利用は歓迎すべきことであるし、それから、前に本院で決議をするときにも、その趣旨を十分うたったわけであります。しかし、今度のソ連の核兵器実験禁止の提案に対するこのアイゼンハワー・アメリカ大統領の回答は、何かぴったりしない、問題をむしろ回避して、問題の本質をそらしておるという印象を受けるのでありますが、その平和利用に賛成することは当然であるとしても、今度日本政府がソ連に回答を出される場合に、このアメリカのいう原子力の平和利用ということに重点を置いて、当面の核兵器実験禁止に関する問題のウエートを低くするというようなことになると、私は国際的に見て適当でない、こう思うわけです。もとより私は、このアメリカの提案にけちをつける意思は毛頭ないんですが、しかし、今、日本政府としては、核兵器の実験禁止をさらに推進するために、ソ連の提案に十分な協力を与えて、さらにそれを国際協定にまで発展させるような方向へむしろ直截に踏み切って返書を出された方が私は適当だろうと思う。そういう後に問題が、国際協定の中で、さらに平和利用、その他将来の問題に関する取扱いが協議されることは、これは当然だろうと思うのですが、しかし、まあ、時期的に言って、ソ連提案に対するこのアメリカの回答がいささか、何といいますか、ずれているというか、すれ違いになっておるというか、そういう格好でありますので、日本政府が返書を出される場合においては、やはりこれは時期的にマッチするような十分な配慮が必要だろうと思う。そういう意味で、私は核兵器実験禁止のソ連提案を支持して、これを推進して、国際協定にまで発展するようなことをソ連に回答するのみならず、むしろアメリカに要請することが適当ではないか、そう考えるのでありますが、岸総理が返書を出されるにしても、当然外務省所管事項であると思いますので、外相の所見をお伺いしたいと思います。

藤山愛一郎外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) ソ連の今回の声明に対しては、すでに岸総理がその声明に対する談話を発表しておられます。同時に、日本政府としましては、アメリカ、イギリス、ソ連に対して日本の考え方を申し入れております。その考え方の一貫しておりますものは、ソ連が今回一方的にとりましたこの実験禁止の宣言を、アメリカもしくはイギリス等がどうあろうと永久に続けてもらいたいと、そうしてそれを契機にして低界の反省によって核実験が禁止され、また進んで、それを契機として核兵器の生産、使用、保有という問題に発展していって、そうして全面的に核兵器の禁止が行われることを日本としては念願しておるわけで、その線を通じておそらく総理も、もし回答されるならば回答されることだろうと、こう思っております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 外相の御答弁よくわかりますが、私があえてこの問題をお尋ねした理由は、アイゼンハワーがああいう見解をソ連に発表しましたので、それは今繰り返し申し上げますけれども、平和利用ということに重点を置いた回答でありますから、日本政府も影響を受けて、そうではあるが、当面平和利用というようなことで、核実験禁止の方のウエートを低くしたようなものになっていくと、私適当でないと考えて、お尋ねをあえてしたのでありますが、従って、この政府の見解としては、従来の方針と変りなく、あくまでこの核兵器の実験禁止、さらにこの国際協定の発展までの基本的方向を推進すると了解してよろしいのでありますか。

藤山愛一郎外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 従来その方向をとっておりますので、変りないと思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それからもう一つは、太平洋上におけるアメリカの核実験に対しては、日本としては、もちろん反対の意思を表示してきたわけでありますが、今度のアイゼンハワーの発表を見ると、これはその太平洋上における一連の実験のあとに、アメリカ自身が必要とすれば単独でも実験禁止をやることがあるかもしれないということを言っておるのでありますが、まああとの方はとにかく、さきの、太平洋上における実験は継続するという意味のものにもとれますけれども、これに対しては、日本政府は、重ねてアメリカに対して申し入れをする考えはありませんか。

藤山愛一郎外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 私どもといたしましては、核実験のつど、日本としてすでにその問題については抗議を行なっておりますので、現在重ねてそれを繰り返す必要はないかと思っております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 私は必要はないではなしに、やはり必要があると思うことは、今度の一連のやつというのは、私はやはり将来必要があればアメリカ一国でも禁止するということを言っておる以上、私はやはりちゃんとした一連の実験をやるのではないかという気もしますので、前から要請してあるから、あえてやる必要もあるまいということよりも、むしろやはり一歩を進めて、積極的に事前にいま一回意のあるところを伝えられるのが適当かと思いますが、いかがでありますか。

藤山愛一郎外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) そういう問題については、今後十分なお検討していく必要もあろうかと存じます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 日ソ漁業交渉の問題でありますが、私はこの段階であまり立ち入ってこまかいことを承わる意思は毛頭ありませんが、ただ外務委員会でお尋ねするのは適当かどうか知りませんが、いずれ近く解散にもなって、政府としても、選挙に臨む外交問題などもお考えになっておると思うのですが、一体、今度の日ソ漁業交渉を平和条約と切り離して成功されることをわれわれも希望いたします。これは成功をぜひしてもらいたいと思うが、しかし一体、日ソ平和条約には将来どうやってタッチしようというのか。これは済んじゃったからあとはどうでもいいというのか。私はこれと関連をさして申し上げておるのじゃないのです。おそらく政府としても、われわれも今度の選挙のときには外交方針を打ち出すわけで、その中で平和条約締結促進を出すわけですが、政府としては、どうするとかいう内容は要りませんが、ただ、日ソ平和条約という問題には、具体的にはどうやってタッチしようとするのか、漁業交渉のあとを、かりに二、三日中、数日中に締結したといたしましても、そのあと日ソ平和条約のプログラムをどういう形でお考えになっておるのか。このタッチの構想を承わりたい。

藤山愛一郎外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 漁業交渉の問題は、漁業条約上の毎年の委員会による決定でありますので、これはお話のように、われわれもできるだけ早急に妥結されることを希望し、わが国の漁業者が出漁して十分な活動のできることを期待しておるわけであります。ソ連も日本との関係につきまして、日ソ共同宣言以後の日本の立場としては、かねて申し上げておりますように、通商関係を十分な基礎の上に打ち立てる、そういうことのために通商条約も締結をいたしたわけであります。そのほかわれわれの意図としては、暫定的な安全操業の問題も、両国の友好関係を促進する意味においてなるべく妥結されるように進めていきたい。その他、文化協定等につきましても、徐々にこういう問題を解決しながら両国の友好関係を深めていく。その基礎に立って、領土問題についての日本側への理解を十分ソ連側にも納得してもらいまして、そして平和条約の締結という最終段階に入っていくというようなことが適当であろう。こういうことは随時申し上げた通りでありまして、われわれとしては、そういう立場で現在の対ソ関係を考えつつ問題の処理に当っておるわけでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それでよくわかりましたが、そういういろいろな諸般の問題を積み上げていって、実質上根本的に領土問題の解決も期待し得られるような条件を作っていく、それを積み上げていくことにはもとより賛成であります。当然そうあるべきだと思います。ただ問題は、そうやっていった場合に、この状況判断にもよりますが、必要によっては、日本政府がみずからイニシアチブをとって、そういう問題に触れようとする御意思があるのか。向うが提案になるまではそのままでいくのか。そういう点についての政府の、何といいますか、気がまえといいますか、これをこの機会にぜひ承わっておきたいと思います。

藤山愛一郎外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) ただいま申し上げましたように、最終的には領土問題に対する日本の立場、主張というものをソ連に理解してもらうことが必要だと思うのであります。でありますから、そういう点をソ連が十分理解するような段階に達しましたならば、むろん日本側からイニシアチブをとって、平和条約の締結という問題を持ち出すべきだろうと思いまするが、しかしながら、ソ連側が、その日本が主張しております領土問題等に対して十分の理解を得られておらぬ時期に、日本側から持ち出しても十分の結果は期待し得ないのでありますから、そういうような状況が起ってくるような段階において、それぞれわれわれがどういう態度をとるかということは考えていかなければならぬことだ、こう思っております。

笹森順造自由民主党

○笹森順造君 私一つお伺いしたいのですが、それは公海と領海の問題、国際会議における領海の問題で、今論議されておりますことに対して、日本政府がとっております態度、これはただいま問題になっておりまする海洋の、漁業等にも大きな関係がありますので、一通りの情勢の御説明と政府の態度をここでお示し願いたいと思います。

藤山愛一郎外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 御承知のように、領海の問題につきましては、日本としては三海里説を主張しておるのでありまして、これを曲げようという、譲ろうという考え方は持っておりません。従って、ジュネーヴの国際海洋法会議におきましては、この領海の問題についていろいろの主張があるのであります。日本と同じように三海里を主張するところ、また、大海里を主張するところ、あるいは十二海里を主張するところというように、いろいろなそれぞれの国によりまして主張を異にしております。日本としては、できるだけ三海里を主張し、三海里が通って参りますようなことを考えて参らなければならぬと思うのであります。もし不幸にして三海里が破れた場合にということも、お話のように、全然考えられないわけではないわけでありまして、今日では領海を十二海里の説も相当多いわけであります。われわれとしては、三海里説がいれられなかった場合には、できるだけ短かい距離のものが会議の結果として出てくることを希望することは、三海里を主張しておる立場からいっても当然のことでありまして、ただいま論議中でありますので、それらの問題の推移を見まして、かりに三海里が通らなかった場合にはどういうふうにしていくか、永久法ということでありますから、適当なところに決定されることが望ましいと思っております。あまりに遠い距離に決定されないように、今度は逆に努力をしていかなければならない、こういうことだと思います。

笹森順造自由民主党

○笹森順造君 今のお話で私は大へん懸念いたしますのは、三海里説の主張は、従来の古い国際法あるいは国際慣例によっての根拠がだんだんと、こう薄らいできておるのじゃないか。従って、公海において権益を主張しなければならない。また、利益を多く持つ日本としては、ただいま外務大臣のお話のように、できれば三海里で進みたいということを言っても、いろいろなことで、この領海を広げていく利益の方が、自国のために利益が多いということが非常に大きくなってきておる。そういうことで昔ながらの三海里説ということを唱えていくためには、何か知らぬけれども、そのよって来たるところの根拠がなければならぬということに考えられる。特に、大陸だなの問題などを関係諸国で強く言っておりまする場合に、できるだけこれを六海里にしようとか、あるいはまた、十二海里にしようとかいっても、ほかのそういう新しい理念が出てくるために、これを押し破るということが非常に困難になってきはしないか、従って、公海において利益を多く持ち続けてきた日本、将来それによって持ち続けていかなければならぬ日本にとっては、非常に不利ではないか、従って、今どこかでそういうような抵抗があって、なるべく近いといっても、何かそこに理論的な実際的なよりどころがなかったのじゃないか、いかなる確信をもってそれをやっていかれるのか。ただ、ある国では、英国なり英国ではその間をとって六海里だからといってそれに同調するのか、何かもっとはっきりした、だれでも承服するようなものがなければ日本の主張は弱いと思うのですけれども、それぞれ研究の上において、単にかけ引きではなくして、的確にこうするのだというような、どこの国をも承諾させ得るような画然たる理論と研究をもっておられるのかどうなのか、その辺をお聞きしたいことと、それから日本のような立場における国が、一体国際的にどれだけの勢力をもってお互いに協力してやるとか、あるいはそうでなく、大陸だなのような主張と、あるいはもっと広くする主張が多ければ、日本が不利な立場に追い込まれるのではないかということを懸念するから、画然たる外務当局の、今外務大臣のおっしゃるようなことを主張できるような何かがあれば、それをはっきりとお示しを願えれば、私どもは非常に納得できるので、その辺を、これからとおっしゃるけれども、何かもう少し確信らしいものをつかんでおられればそれを承わりたいと思うわけであります。

藤山愛一郎外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) ただいまお話のように、世界のいろいろの国が、それぞれの立場で領海の幅を広げたいという主張が最近盛んでありますことは、お説の通りでありまして、六海里なり、十二海里なりあるいは二十海里ということの説さえあるようであります。日本といたしまして、三海里説を主張しておることにつきましても、相当の根拠をもって主張しておりますし、また、それぞれ国際法の専門学者等もジュネーヴに顧問として同行しておられますので、十分な説明をし、活動をしておられることと思うのであります。が、しかしながら、先ほどお述べになりましたように、相当多くの国が過去から今日まで三海軍説でない主張を持っておる国もあるわけであります。それらの国の主張等とも対して参らなければならぬのでありますから、相当な努力も要りますことはむろんであります。従って、われわれとしては、最善を尽してできるだけ三海里説が通りますように、現在代表部において各国と折衝をいたしておるわけであります。日本としては、三海里説が破れました場合には、できるだけ近い距離における決定がなされるように、さらに努力をしていかなければならぬのじゃないか。多い決定——多いといいますか、長い距離にきまりますことは日本のために不利でありますから、そういうことをできるだけ防御していく方法を考えていきたい、こう思っております。

笹森順造自由民主党

○笹森順造君 もう一つ、日本と同じような利益を持ち、同じような立場における国の数が大へん少いように私ども想像するのですが、日本と同調する国の数が、今会議に出ております国の中でどういう比率になっておるか、幾つくらいあるか。それが今の外務大臣のお話のように、最後の結論として、万一、三海里説がどこまでも堅持できない場合には、日本と同じ立場で行こうという同調し得る国の数をふやしていかなければならない。また、それと協力していかなければならないと思うのですが、その比率がまことに少いように私ども懸念しておる。ですから日本と同じような立場における国が、この国際会議においてどの程度、どういう範囲においてどれだけのものがあるのか、それらを聞きたい。しかもまた、それらと常にどういう協議をしておられるか、どういう方針があるか、それを一つお伺いしておきたいと思います。

藤山愛一郎外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) こまかいことは政府委員から申し上げますが、それらの国との協調は、十分協調を保ちつつやって参るつもりであります。また。現に代表部において努力をしておられます。なお、かりにそれらの国の数が非常に少い結果として三海軍説が破れましたときには、三海里説を主張しております国が一緒になりまして、できるだけ、御承知のように、総会の決議というのは、三分の二の多数をとらなければ総会の決議にならぬものでありますから、そういう意味において結束をいたしましてそうしてできるだけ近い国と協調いたしますれば、できるだけ近い幅において決定する可能性があるのじゃないか、また、そういうことに向って努力しなければならぬ、こう考えておるわけであります。

高橋通敏外務省条約局長

○政府委員(高橋通敏君) 各国の領海の幅の主張の状況でございますが、実は今的確な資料を持参しておりませんものでございますから、ちょっと的確な数字を申し上げることはできないのでございますが、大体におきまして会議参加国が八十五、六カ国でございます。そのうちで、はっきりと自国の領海の幅を主張した国、これは判明しております国について申しますと、大体大きく分けまして三海里と六海里と十二海里、この三つに分けられるようでございます。しかし、大部分の国は、そのいずれにするか、まだ自分の意見を表明しておりません。そのうちで十二海里の説は、これはソ連のように領海で十二海里というふうな主張をなすものや、カナダのように領海は三海里であるが、それに漁場管轄権を沿岸から十二海里にしたい、こういうふうな主張をする国もございまして、しかし、わが方から考えますれば、この両方の主張も結局は十二海里の主張で、漁業の立場から考えますと全く同じ立場でございますが、この十二海里を主張する国が相当ふえておるようでございます。それからそのほかに、三海里と六海里はほぼ同数のようでございますが、三海里を主張する国としましては、ギリシャ、西独、フランス、オランダ、ベルギーなんかもそうだったと思います。われわれは、それらの国と盛んに協調いたしまして、共同戦線を張って推進しておる次第でございます。

杉原荒太自由民主党

○杉原荒太君 関連して一点だけお尋ねしておきますが、従来領海と公海の中間に隣接海というような観念を認める説及び主張が実際あるわけなんですが、さっき条約局長もちょっと言われた、限定された範囲においての権力の行使を認める、その領海とは立場が違う、公海でもない、そういう隣接海の観念というものがあるわけだが、これに対して外務省側が今まで研究した利害得失等について、また結論としてどういうふうな態度をとるべきだというふうに考えておられるか。政府委員からでけっこうですから。

高橋通敏外務省条約局長

○政府委員(高橋通敏君) これにつきましては、今はっきりした態度につきまして申し上げることはちょっと差し控えさしていただきたいと思いますが、現在のところ、海洋法自体にもそのような観念が認められておりまして、いわゆる接続水域という項目に、三海里のほか九海里と申しますか、海岸から十二海里まではいわゆる接続水域ということを認める。その水域の中に財政的な——警察的と申しますか、財政的な監視の権限は行使することができるというふうな規定であったと思います。従いまして、大体そういうふうな規定でございますと、これは三海里を主張し、しかも三海里以上六海里や十二海里を主張する国々の妥協の産物であると私は考えておるのでございますが、そのような考えでそれが認められまするならば私どもは特に差しつかえないのではないか、このように考えております。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 沖繩の問題についてお伺いしたいと思います。  去る五日の日に、スタンプ太平洋軍司令官がアメリカの下院の外交委員会におきまして、沖繩の問題について次のような証言をしておるのです。アメリカはただ一つの理由のために沖繩を保有している、それは米国自身の国防に必要だということだ、米国は沖繩の軍事施設と装備に十億ドルの資金を注ぎ込んでいる。中共軍のような強大な共産勢力が存在する限り、沖繩を放棄することはできないし、われわれはそのようなことを考えることすらしてはならない。小笠原諸島についても、沖繩の場合と同様の諸条件がこない限り放棄したくない。こういうことを言っておるのであります。アメリカ側の理由はまさにここにあげてある通り、アメリカの国防のために必要だということのようであります。しかしながら、われわれはアメリカの立場と違うのであります。われわれは、沖繩は日本が何も占領した領土でもないし、また、そこには八十万のわれわれの同胞が住んでおるのであります。われわれはもちろん日本に沖繩が帰ってくることを欲しておりますし、沖繩の諸君たちもそれを欲しておるのであります。このままの状態で進まれて、特に返すことを考えてもおらないというようなことは、われわれとしては絶対に承服できない。政府は、沖繩の施政権の返還の問題についてアメリカと交渉するということをしばしば言われておりますが、あるいは、アメリカ側で先手を打って軍司令官がかようなことを証言しておるのかもしれませんが、政府としては、このスタンプ太平洋司令官のこの説にもかかわらず、近く沖繩の施政権の返還について交渉をせられるかどうかをまずお伺いしたいのであります。

藤山愛一郎外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) スタンプ大将の証言につきましては、新聞紙上等の翻訳が相当直訳的でありまして、原文のニュアンスから言いますと、必ずしも新聞紙上に現われているようなことが受け取れるような考え方ではないと思える点もございます。従って、これらについて、アメリカにもそれぞれの立場においていろいろの発言をされる方があろうかと思いますが、今日までわれわれとしては、ワシントン政府として沖繩の問題については、スタンプ大将が新聞紙上の訳文に言われたような態度をとってきているとは思えないのであります。そういう意味で、われわれは今後とも沖繩の問題につきましては、日本の考え方を向うに述べていくことは当然だと考えておるのであります。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 施政権の返還の問題について、従来私はどうも政府が具体的に交渉をしておるというふうには聞いておらぬのであります。岸首相は、予算委員会におきましても、また、その他の機会におきましても、交渉をしておったようなお話をしておったのでありますけれども、どうもそういうようなことはやっておられないように思うのでありますが、しばしば言明されておることでありますから、近く交渉をされるのかどうかということをこの際、明らかにしていただきたい。

藤山愛一郎外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 沖繩の問題につきましては、総理がワシントンに行かれたときも、はっきり日本側の立場と考え方を申し述べておられるわけでありますし、その後、機会あるごとに日本側としては、そういう問題に触れて話をいたしておるのであります。決してないがしろにいたしておるわけではないのであります。こういう問題を将来どうさらに進めていくかという問題につきましては、そのときどきの情勢に応じてわれわれもいかなる手によって、こういう問題を推し進めていくかということをそのときどきの取り上げ方として考えて参りたい、こう、ただいま思っております。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 沖繩の島民諸君が特に怒りを感じておりますのは、土地の問題でありますが、例の一括払いを最近また進められており、土地の新規接収の問題も起っておるのであります。ことに一括払いの問題につきましては、沖繩島民諸君が怒っておりますのは、アメリカ軍が緊急に必要としておる軍事的な土地ばかりではなく、ゴルフ場までそれを及ぼしているというような事態があるのであります。しかも、これが現在においてさらに強行されつつあって、島民が一そう憤慨しておる次第でありますが、この一括払い並びに将来新規に土地を接収していくというこのやり方について私は至急政府として申し入れをしなければならぬ時期だと思うのでありますが、その点はどうお考えになっておりますか。

藤山愛一郎外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 土地の一括払いが進行しておりますことが、沖繩の島民の非常な将来の不安その他の問題に関連いたしておりますことはお話しの通りでありまして、われわれとしてもそれを善処していきまするように、ただいま考究をいたしておるところであります。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 どんどん進められて参りまして、半分も一括払いになったのでは、もうおそいのでありまして、一つ研究はいいのですけれども、早くやっていただくことをこの際強く希望したいと思います。  それから次に、沖繩に民政府ができて、高等弁務官がおるわけでありますけれども、実際この高等弁務官は司令官が兼任をしているという形で軍政が布かれたことは事実であります。この軍政のもとにおいてこういうことが起り、しかも軍政のもとにおいて沖繩の島民に対するいろいろな権利が奪われ、また、そのために沖繩の島民諸君は非常な苦しい生活状況にもあるのであります。もちろんこの軍政をやめてもらうということを私どもは望んでおるわけでありますが、政府はこの沖繩における軍政を廃止するということを当面の問題としてお考えになり、そうしてこれに対してアメリカ側に交渉せられるつもりがあるかどうか、その点、伺いたい。

藤山愛一郎外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 政府としては、お話しのように、当面の一括払いの問題でありますとか、施政権の問題でありますとか、そういう問題について日本側の意向を十分にアメリカ側に伝えていき、また、日本のそういう主張に対して十分アメリカ側で処置をとってもらうように進めていきたいということを考えておるわけであります。アメリカの国内の問題について特別に関与するという考え方は持っておりません。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 アメリカの国内の問題について特別に関与する意思はないということでありますけれども、アメリカがあすこで軍政をやっておるということは、同時にこれはわれわれの同胞である沖繩の島民の諸君にも非常に大きな影響を持つものであります。同時に、これがさらに日本国内のわれわれにも非常に大きないろいろな意味の影響を与えるのでありますから、従って、これは外交的に交渉をして解決せられてしかるべきものと私どもは考えておるのでありまして、内政に干渉するという意味でなく、私は十分に外交問題としてこの問題は討議できるのじゃないか、こういうふうに考えております。

藤山愛一郎外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 全般的な問題につきましては、むろんわれわれもアメリカ側にいろいろな話をいたします機会に、日本側としての考え方というようなものをアメリカに伝えておるわけでありまして、先ほど御指摘のありました事例を申し上げれば、そうゴルフ場を幾つも作らないでもいいじゃないかという気持など、話し合いの際には日本側の意向としては十分伝えておるわけでありまして、そういう意味において、意向等につきましては、むろん日本の国民世論はこういう考え方なのだということを伝えておりますことは当然のことであります。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 次に、対韓国問題について一、二点お伺いします。  先ほど森委員からも御質疑があったと思うのでありますけれども、韓国における抑留漁夫の問題でありますが、会談再開前に、私どもは前の約束に従って全員返還されることを考えておるわけでありますけれども、どうも新聞の伝えるところによりますというと、会談の開始と同時に一部帰されるようなことのように伝えられております。それがほんとうであるかどうか。  それから第二に、一部帰されるということで会談を再開されることを外務大臣は約束されたのかどうか、その点をお伺いしたい。

藤山愛一郎外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) むろんわれわれは、予備的な十二月三十一日の話し合いによりまして、全面会談を開きますためには、抑留漁夫を帰してくれなければ困るということの立場は、今日でも堅持いたしておるわけであります。先方としましては、いろいろな技術的、その他を理由にしておくれてきたわけでありますが、従って、日本としても三月一日の会談を、正式会談再開を延期したわけであります。先ほど森委員にもお答えいたしましたように、当時三月一日から会談を開きます場合に、二十八日に韓国側に言いましたのは、まあわれわれは何も一日、二日を争わない、だからかりに一日に正式会談を開いて、漁夫の送還が三日の朝になるというようなときに、それまで開かぬというようなことは言わぬのだ、しかし、それすらはっきりしてくれなければ正式会談は開けないじゃないかということを申したわけであります。従って、今回の会談を再開するに当りましても、ある程度正確な日付は、会談再開と同時に数日中に行われるという確証が得られますれば、それは会談をこの段階において抑留漁夫の長年の苦労を考えてみればその程度のゆとりは持って再開することもやむを得ぬじゃないか、そうして一日も早く漁夫が送還されることをわれわれ希望し、また、その上に立って全面会談がスムースにいくようにしていきたい、こう思っておるわけであります。  ただ、まだ今日まで代表者であります金大使が私のところに見えておりません。予備的にはアジア局長や次官等が会っていろいろ話しはいたしておりますけれども、正式に最後的にきておりませんので、まだ外務省といたしましては、正式に何らの意思表示をいたしておりません。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 もう一点。  これは過日、李承晩大統領が日韓会談の再開について、京城でもってなされた談話でありますが、岸総理からの親書を受けて、そうしてそれを読んで、岸総理大臣に誠意があるかどうかということで、日韓会談を開催するのだということを言っておるのであります。それで、その岸総理の親書なるものは、どうも私の印象では、これは普通の外交のチャンネルを通じて岸総理から李承晩大統領に渡されたものでないように考える。依然として、この日韓会談には二本も三本もいろいろな線が入り乱れておるように聞いておるし、また、事実そういうような動きもあるように思われるのであります。これは従来も日韓会談の上に非常にまずい事態を引き起しておるのでありますが、おそらくこういうことがそのまま放置されていきますというと、将来も日韓会談の上にまたそういう線が入り乱れて入りまして、そうしてせっかく外務大臣がおやりになっておることもあるいは曲げられてしまうかもしれない。これはこちら側だけでなくて、向うにもそういう線があって、いろいろごちゃごちゃと動いているような印象を受けておるのです。それではなかなかむずかしい日韓会談をいよいよむずかしくするだけだと思うのでありまして、すでに日韓会談も外相と金大使との間でちゃんとルートに乗ったのでありますから、ルートに乗った以上は、側面のあまりおかしな動きは、これは一つ内閣のためにも惜しむところでありますから、そういうことは今後やられぬように私どもはした方がよいと思いますが、この点について、藤山外務大臣はどうお考えになりますか。

藤山愛一郎外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 外交問題の折衝の際に、民間の方々が適当に意向の打診をされるというようなことは必ずしも不適当だとは存じません。がしかしながら、それが行き過ぎますると、非常な弊害が起るわけであります。外交関係はあくまでも外務省のルート一本に乗せて、そうしてその線において最終的な決定をいたすのが当然であります。従いまして、私といたしましては、いろいろな方のいろいろな動きがありましょうとも、それが外務省のルートに乗り、正式に問題を取り上げるようにして参りませんければならぬわけでありまして、今日まででもその線を堅持しながら外交問題の衝に当っておるわけであります。とかくいろいろの風評等もありますけれども、外務省としては、そういう立場を堅持しながらやって参りますつもりであります。また、それは外務省として当然のことだと思います。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 どうもとかくの風評が風評だけにとどまらない。しかもその根源は岸総理大臣にあるようでありますので、一つこれは岸総理大臣に、そういうことはよく慎しんでもらうように外相から一つ十分に勧告をされるべきだと思いますので、一言そういうことを申し上げて、私の質問を終ります。

佐藤尚武緑風会

○佐藤尚武君 私は何も質問を申し上げる意味で発言するものではございません。一言申し上げておきたいと思いますので、一、二分の御猶予を賜わっておきます。  それは昨夕以来今朝にいたるところの新聞で見ますと、中共との通商問題に関しまして、国民政府との間に了解が成り立ったというふうに報道されておりますし、また、国民政府の外交部長の声明等もあった模様に承知をしたのであります。でありますからして、この新聞の報道はたぶん正確を得ておるものと思うのであります。実は国民政府に対しまする日本の交渉の態度としては、両三回、前のこの委員会の席上、岸総理大臣並びに藤山外務大臣も御列席の機会におきまして私の意見もしくは希望として申し上げたことがあったのであります。それは国民政府に対する日本の態度としては、どこまでも終戦当時、蒋総統のとられました対日態度に対しての問題がありまするので、日本政府の態度としてはこれは信義の問題である。その信義に反するような態度をとられないように、懇切丁寧に、どこまでも誠意をもって交渉に当られていただきたいということを申し上げたのでありました。ところが、日本政府の今回の態度としましては、まさにそういうような態度でもって臨まれたということであります。そしてまた、その委員会におきまする岸総理の私に対しまする御答弁といたしましても、政府はどこまでも信義の問題として、誠意をもって国民政府に臨むのだということを口約されたのでありまして、その口約の通りに、今回は政府が国民政府に対して交渉を進められたように私は承知しておったのであります。ことに、国民政府に派遣されております堀内大使の態度はまことに私は推賞すべきものがあったと思うのであります。何でも二十七日間とかの長い時日を費して、そうして今回の満足すべき結果に到達されたというふうに報道されておるのであります。さすがは長年の経験を持っておられる堀内大使としまして、その人格識見等が今回の満足すべき結果をもたらしたのであろうと思うのであります。その点私は深く敬意を表するものでありますると同時に、その結果に対しまして、私は全幅的な満足の意を表するものであります。どうぞ今後も、政府といたしましては、国民政府との間にいろいろな問題でもって交渉をお続けにならなければならぬと思うのであります。そういう際にも、今回とられたような態度でもって臨まれるように、これは私の希望として申し上げたいと存じます。

寺本廣作自由民主党

○委員長(寺本広作君) それでは、本日の委員会これにて散会いたします。    午後零時二十三分散会      —————・—————

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