外務委員会 第5号
- 発言数
- 150 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1958/02/18
会議録
○委員長(寺本広作君) それではただいまから外務委員会を開会いたします。 委員の異動がございました。安部清美君が辞任されまして、吉田法晴君が補欠選任されましたので御報告申し上げます。
○委員長(寺本広作君) 本日は最初に、在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案(予備審査)でございます。それを議題とし、前回に引き続き質疑を続行いたします。質疑のおありの方は、順次御発言をお願いいたします。——質疑はございませんか。 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(寺本広作君) 速記を起して。
○曾祢益君 エジプト、シリアの合邦に伴って、今度はイラクとヨルダンの、何といいますか、あれはアラブ連邦というのですか、この連邦ができることになったようですが、これに対する政府の態度をお伺いしたいと思います。
○政府委員(松本瀧藏君) アラブ連邦と訳すべきでしょうか、アラブ連合と訳すべきか、まあよくわかりませんが、原語でザ・アラブ・ユニオンというものが今度できたと、われわれのところに在外の事務所から逐次電報が入ってきております。ただし、このエジプト、シリアの合邦の場合と異なりまして、まだ何ら正式に、承認等に対する先方からの折衝もございませんので、合ノの段階では、ただ情報を集めておる程度でございまして、はっきりしたまだ態度はきめておりません。
○佐多忠隆君 エジプト、シリアのアラブ連合ができ、さらにヨルダンあるいはイラクとの合邦ですか、そういうものができるということになると、どうもアラブ諸国が二つに分れて、二つの陣営の対立の方向にいくという感じが一つするのですが、しかし同時に、AA会議その他では、アラブもアジア諸国と一緒になって、アラブ全体の統一的な方向というものを指向をしておるようにも思うし、そこいらの今後の方向といいますか、形勢といいますか、そういうものをどういうふうにお考えになっているか。
○政府委員(松本瀧藏君) 先の見通しははっきりこれを断定して申し上げることは困難かと思いまするが、御承知のごとく、数年前にアラブ連盟というものが一応形を整えまして、九カ国が大体この範疇に入っておる。だんだんと、こういう場合に、アラブ諸国の統一という機運のあったことは事実でございますが、特に、今回お願い申し上げておりまするエジプト、シリアの合邦に関する件につきましては、すでに一九五五年から逐次この方向に向っていたのであります。もちろん共和国とさらに王国の関係もありますので、これが一朝にして全部統一されるかどうかということは、きわめてこれは困難な予想ではございまするが、類似国家が逐次いろいろグループを作りまして、さらにこれが結末の方向に進むであ・ろうということは想像にかたくないのであります。もちろん、今回われわれのお願いしておりまするエジプト、シリアの合邦に関する件につきましては、先般も曾禰先生の質問に対してお答え申し上げましたごとく、われわれの見通しといたしましては、この二つの国は中立政策をとっていると、いずれの陣営にも偏しない態度をとっている。特にわれわれといたしましては、この中近東におきまするところのこれらの政治の変化が、いろいろと世界に大きな混乱を巻き起さないように進められることを希望しているということは申し上げておる次第でありまするが、さらにこれがどう進展していくかということは、先ほど申し上げましたごとく、ちょっと断定できないと思いますが、大体今申し上げましたような方向に進むのではないか。こう考えます。
○佐多忠隆君 イラク、ヨルダン、あるいはサウジ・アラビアを一緒にしたところの連邦といいますか、そういうものが別に結成をされて、それが中立主義的な、エジプト、シリアに対立をして、いわゆる親欧米政権といいますか、親米的なブロックとして、むしろエジプト、シリアに対立をしていく危険性といいますか、そういうものができやしないかということがいろいろ論ぜられているし、それに対してさらにアメリカあたりが相当な圧力で働きかけをしておるというようなことも言われておると思いますが、そうだとすれば、アメリカと同じ陣営に属する、その一翼だということを強調しておられる岸内閣も、そのアメリカの方向なり、やり方に同調しかねないおそれが考えられるのですが、そうなると、アジア、アフリカは一つだと、そして、しかも中立主義的な方向で一つにまとまることの方が、アジア、アフリカの繁栄のためにいいんだという方向に反して、分裂の方向に持っていく結果になると思いますが、日本としては、そういうことは毛頭お考えになってないかどうか、そこいらの点を御説明願いたい。
○政府委員(松本瀧藏君) イラク、ヨルダンのように、あるいはサウジ・アラビアもこれに加わるかもしれないという予想のもとにお話があったと思うのでありますが、今回の、エジプト、シリアの合邦の承認の問題に関しましても、われわれ決してアメリカの方向をいろいろと気がねし、あるいはこれを見きわめてやった問題ではないのであります。さらに、今度の、王国の連合体に関しましても、どういう工合にわれわれはこれを処理するか——全く独自の立場でこれを考えていきたい。こう思っております。
○佐多忠隆君 そうすると、この間カイロで、アジア・アフリカ諸国民全体会議ですか、このアジア・アフリカ会議、いわば集まった諸君によれば、前のバンドン会議の民間版第二回という形で、諸国民会議をやり、しかもそれには、日本からも各方面の諸君が参加をいたしましたし、特に政府与党からは、北村さん初めたくさんの方々が参加された。この会議をどういうふうに考え、どういうふうにこれに対処すべきだと、政府はお考えになっているか。 さらに、これはその後各地において、文化人会議だとかあるいは婦人会議だとか、青年会議だとか、それらのものをずっと逐次開いていくと思いますが、それらの問題に対して、政府として、はどういう態度をおとりになるか、その辺を御説明願いたいと思います。
○政府委員(松本瀧藏君) この間、カイロで行われましたAA会議は、これはバンドンで行われましたそれと少し性質が違うと思います。というのは、バンドン会議はもちろんこれは日本政府が関与いたしまして、代表を送ったのでありますが、この間、カイロで行われましたAA会議は、全く民間のこれは催しでありました。しかしながら、これに対して、別に反対するとか賛成するとかいうような態度は、もちろんわれわれとりませんでしたが、パスポートの点等あたりについては、あらゆる便宜をはかりまして、そうして参加していただいたわけでありますが、成果は非常によかったという報告は聞いております。しかし、これがどういう具合に将来発展するだろうかというようなことについては、深いわれわれは干渉等は一切しないつもりであります。
○佐多忠隆君 そうすると、アジア・アフリカ会議のいわば民間版みたようなものだから、政府がこれに積極的にいろいろな助力なり何なりをするということは考えないが、少くともこれを阻止したり、これに反対したりということは絶対にやらないし、従って、民間人諸君がこれに参加することに対しては、いろいろな便宜をはかってやるという方針である、こう了承していいのですか。
○政府委員(松本瀧藏君) 将来、これがどう発展いたしますかということによって、また、いろいろ態度が変ってくるかもしれませんが、しかしながら、先般カイロに参りました一行につきましては、あらゆる便宜をはかりました。
○佐多忠隆君 それからアフリカ諸国あるいはアジア諸国も入るかもしれませんが、特に中近東を中心にして、いろいろな動きが活発になるに従って、武器の購入ということが、アジア、アフリカ諸国にいろいろ非常に重大な問題になると思うのですが、その場合に、武器供給国として、日本が非常に着目をされて、日本にいろいろな武器注文なり、武器購入の引き合いが殺到しているということが報ぜられておりますが、その辺の実情をどういうふうにお考えになっておりますか。
○政府委員(松本瀧藏君) 私どもの承知しておりますのは、先般これの質問が本委員会であれましたので、後に調べてみたのですが、民間べ−シスにおきまして、サウジ・アラビアからちょっとそういう話があったということを承知しております。これを輸出すべきであるかどうかということにつきましては、もちろん、いろいろと政策の面もございます。同時に、政府といたしましては、日本から武器をこれらの国に多量に輸出することによって、いろいろな波紋を描くようなことは、これは控えなくちゃいかぬと、こう思います。しかしながら、武器の輸出を全面的にこれを阻止しなければならぬという段階でもないと思うのでありますが、その範囲によってこれを決定すべきである。今のところでは、政府が関与したり、あるいは相談を受ける段階にまでまだ発展しておりません。
○佐多忠隆君 今のところ、そういう大量の問題になるほどのことはないというお話ですが、大量のものが問題になるようなことのない前に、およそ武器その他の輸出はやるべきでない、そういうことが国際緊張を激化する、戦争の危機をかもすから、少くとも平和憲法を持っている、それを建前としている日本は、そういう激化を導くようなことはやらないことをあらかじめ立場なり、態度を明瞭にして、民間その他にもそういう気持、そういう態度で今後のいろいろな生産の方向をきめるべきだということを明瞭に指示することが、この際絶対に必要だと私たちは思うんですが、その点はどういうふうにお考えになっていますか。
○政府委員(松本瀧藏君) 武器のカテゴリーを定義しまするにも、なかなか線をはっきり引くことができない場合があると思います。たとえば、トラックの場合、あるいはジープの場合、いろいろありますので、はっきりここで線を引くことは困難かとも思いまするが、通産省あたりのいろいろな関係もございますので、外務省だけ、ここで独断でこの問題をはっきりここで申し上げることはてきないと思います。
○佐多忠隆君 もちろん私は、いわゆる戦略物資の名のもとに非常に広範な武器にも使われ、あるいは平和利用もできるというようなものにまでこれを押し及ぼすべしということは申し上げませんが、少くとも明瞭な小銃だとか、弾薬だとか、あるいは大砲だとか、そういうものは絶対に製造もしないし、禁止をするという態度を堅持してしかるべきだと思うのですが、その点はどういうふうにお考えになりますか。
○政府委員(松本瀧藏君) 先ほども申し上げましたごとく、いろいろな混乱を招き、あるいはいろいろな国際紛争を刺激するような輸出は戒めるべきであると思うのでありまするが、絶対にたとえば小銃とか、そういったものを輸出してはいけないというようなことは、今ここではっきり申し上げられないことは、先ほど申しました通産省等あたりとの連絡もございますので、申し上げることはちょっと控えさしていただきたいと思います。
○佐多忠隆君 それでは今直ちにとは申しませんが、あらためて通産省その他とも十分お打ち合せになって、お調べになって、はっきりした政府の態度を打ち合わした上に統一的な態度の表明を願いたいと思います。
○曾祢益君 中東の問題に関連してちょっと伺いたいのですが、チュニジアの問題について政府の態度をどういうふうにおきめになっておるか、これは申し上げるまでもなく、国連提訴を、これはフランス、チュニジアの両方からしておりますし、また、裏面で米英の調停に応ずるかのごとき動きがあるようですが、そういうことになるにしても、ならないにしても、日本の政府の態度というものは明確でなけりゃならぬと思います。ことに国連の安保理事会に出るということにでもなれば、これはまあ日本が安保理事国になっての最初のテスト・ケースです。いろいろ政府が一方においてアメリカとの協力ということを外交の方針にしておられると同時に、アジア、あるいはAA諸国に対する支援というような政策も出しておられる、その二つの政策が結局ここでテストされる。明確にチュニジア問題についてのフランスの態度を非難するというようなはっきりした態度をとっておられるのかどうか、この点を伺いたいと思います。
○政府委員(松本瀧藏君) これも非常に微妙な問題でして、昨日来衆議院の外務委員会におきましても出た問題でございますが、日本といたしましては、ただいま仰せのごとく、安保理事会におきましてもしこれが出ることになれば、一つのテスト・ケースになることは事実でありますが、各国の動向を見てもわかりまするように、割り切って、これにはっきり態度を表明できないような諸般の事情もございますので、日本といたしましては、これが安保理事会に提訴される前に、何とか両国の間に話がつくようにという努力を一応しておるわけでありますが、エジプトあるいはカナダの代表あたりと松平大使も緊密な連絡をとりまして、何とかしてアメリカ等あたりの仲裁に応ずるような方向に一応持っていかしたいという努力をしております。 なお、こまかい点に関しましては、専門の説明員を連れてきておりますから、その方から答弁いたします。
○説明員(北原秀雄君) 御説明いたします。ただいまの御質問のアジア・アフリカ・グループを、大いにこれを支援するという立場から、日本政府も考えるべきではないかという点につきましては、ただいま政務次官から御答弁ございました。でき得れば安保理事会にかかる前に、適当なる両国間の和解のための交渉を始めさすというための、できれはあっせん等によりまして、本件が安保即事会をわずらわすことなく、円満解決すれば最もそれにこしたことはないという趣旨で、日本政府といたしましては対処して参ったわけでございます。しかし、それは決して両国岡に正当な言い分があり、その基礎の上に安保理事会の審議を妨げるということでは決してございませんので、特にわが国といたしましては、AAグループの一員といたしまして、あくまでも憲章の精神にのっとって、公正なる立場から本件を審議する。しかしながら、建国浅くして非常に困難な問題に当面しておりますチュニジアの立場というものは、できる限り同情的にこれを見るという一般的な基本方針で現地の代表に指示いたしております。 それから本件の、本日朝におきます状況につきましては、大体フランスもチュニジア側も米、英の仲介を受けたという情報を得ております。他方理事会は、十八日から開会される予定でございますが、この場合に、開会前に無事双方の原則的な了解がついて、安保理事会が開かれずに済むか、あるいは一応理事会の開会を延期するというふうな状態にとどまりますか、現在のところ状況を見ておるわけでございます。
○曾祢益君 大体まあAAグループで連帯といいますか、協力という観念で、同情的に、チュニジアの立場に同情するということは、これはいいと思うのであります。また、両方に対して、単なる非難あるいは紛争の拡大ということをわれわれ望んではないという意味では、平和的解決を望むし、なし得る限り、両国限りの話で平和的解決、これは当然だと思うのですが、ただそういう口頭禅だけでなくて、やはり基本的にはフランスの言っているいわゆる自衛権というような立場から、ああいう公然たる武力侵略的行為はあくまでこれをいけない、そういう基本的態度に立って、しかし、だからといって両国が紛争をますます拡大するのではなくて、いけないことはいけないと、しかし、その原則の上に立ってあっせんなり和解なりを進める、こういうのなら筋が入っていると思う。ただAAグループの側に立って同情するというようなあいまいな態度でなくて、やはり国際連合の憲章から見て、そういったような自衛権の拡大解釈とか、武力攻撃はいけないというはっきりした筋金が入っているかどうか、この点を伺いたい。
○政府委員(松本瀧藏君) ここではっきりフランスに対するわれわれが批判めいたことを申しますると工合が悪いので、ただいま曾祢委員のお説の線に沿うてわれわれ大体行動をするであろうということだけは、はっきり申し上げることができると思います。
○曾祢益君 もう一つこれに関連して、これは問題はチュニジア対フラスの問題よりも、結局アルジェリア問題が根本にあるわけなんですが、そこで、同様にアルジェリア問題、これもいろいろな困難かつ複雑な要素もあります。アルジェリアにおけるフランス人の正当な利益に対しても、これはもちろん考慮されなければならない点もあると思う。基本的に、アルジェリア問題等については、ほんとうにバンドン会議の精神に沿うならば、これはアルジェリアの自治独立とその範囲におけるフランス人の合法なる権利を認める。それは両方とも武力あるいは暴力によらずして、この自治独立の方向に進ませるというような基本的な構想があるのかないのか。ただ、双方にいわゆるリップ・サービスだけして、そうして当面を糊塗していくというだけでは、これは外交の筋金がないと思いますが、その点をどうお考えであるか、承わらしていただきたいと思います。
○政府委員(松本瀧藏君) アルジェリアの問題に関しましては、これはもう御承知のごとく、ずいぶんいろいろ、われわれのまだ実感が足りない点もございますのと、フランス側の言い分、これはずいぶんフランス側からもいろいろと使節等が参りまして、この話を聞かされました。また、アラブ諸国からのいろいろな話も聞かされておりますが、ここで、これもはなはだ残念でありますが、割り切ってここにはっきりした態度を示すことができないのが日本側の立場だと思うのであります。もしはっきり割り切ってすべてこういうものが処理できますれば、しごく簡単なのでありますが、そこにわれわれがお互いに苦労しておるところでございますので、一つこの程度で答弁は御了承願いたいと思います。
○曾祢益君 最後に一つ、フランス外相のクリスチャン・ピノーが近く日本に来ると伝えられておるのでありますが、それが事実かどうか。それから、そういう場合に、もちろんアルジェリア問題ばかりじゃないでしょうけれども、先方からも話があると思うのですが、これに対処する政府の方針を伺っておきたい。
○政府委員(松本瀧藏君) SEATOの会議のあとに日本に参りたいという意向を示しておりますので、多分秋になると思いますが……。
○曾祢益君 最近ではないのですか。
○政府委員(松本瀧藏君) 失礼しました。四月ごろにこちらに来ることになっております、ただいまの御注意十分参酌いたしまして、折衝することにいたします。
○佐多忠隆君 この、今提案されている改正法律案ですが、これは新しい新国家が、正式に成立する、そして、わが国がこれを承認するという時期はいつごろというふうにお考えになっておりますか。
○政府委員(松本瀧藏君) だいぶ以前から、二十一日に国民投票をやって、そしてはっきりするから、二十二日にぜひ一つ承認してもらいたいということを先方から言ってきているわけでございますが、アグレマンも何も要らない、ただ信任状奉呈でけっこうだからということを言っております。他の国の例を見ましても、二十二日即座に承認する国が相当ございますので、日本といたしましても、二十二日に一つこれを承認したいという態度で、皆さんたちにお願いしている次第でございます。
○佐多忠隆君 特に急がれる理由は、二十二日承認が遅滞なくできるように、その背後のいろいろな事情を一応整えておきたい、そういうおつもりですか。
○政府委員(松本瀧藏君) その通りでございます。
○委員長(寺本広作君) それでは、在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案に関する質疑は、本日のところはこれにて打ち切ります。 先ほど佐多委員の質疑に対して留保されました答弁は、明日行われますよう、政府側に要望いたしておきます。 —————————————
○委員長(寺本広作君) 次に、日本国とパキスタンとの間の文化協定の締結について承認を求めるの件、日本国とエティオピアとの間の友好条約の締結について承認を求めるの件、政府間海事協議機関条約の締結について承認を求めるの件、以上、本院先議の三案を一括議題とし、前回に引き続き質疑を続行いたします。質疑のおありの方は、順次御発言をお願いいたします。 速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(寺本広作君) 速記を始めて。
○森元治郎君 日本とソビエトとの文化関係について伺いたいのですが、三十年の第一回日ソ国交回復交渉に臨むに当っての日本の態度は、文化協定だけは、何とソ連側が言おうと応じないという根本方針を定めて臨んだようです。そういうふうに聞いているのですが、今日、日ソ間の文化協定締結の用意があるのか、あるいは、全然ソ連側からも申し入れがないのか、とだえているのか、あるいは、こちら側から申し込もうとしているのか、その間の事情を御説明願いたい。
○政府委員(松本瀧藏君) 先般国交正常化の取りきめが行われましたときに、日本側といたしまして、文化協定は絶対にしないのだというような態度をきめた覚えはございません。従ってそれと、先ほど先方から文化協定締結の申し入れがあったかという質問でございますが、これも、ございません。日本側からこれを申し出る用意があるのかという質問でございまするが、徐々にほぐして参りまして、そういう機運になりましたならば、ぜひ一つ締結したいというような気持からいたしまして、今日まで、文化の交流というものは、スポーツ、芸術等あたりを通じまして、相当多くの数に及んでおりますので、そういう機運になりましたならば、もちろんわれわれ検討する用意がございます。
○森元治郎君 三十年の松本全権、マリク・ソ連全権との交渉のときには、ソ連側から文化協定の締結の申し入れがあったように思うのですが、その間どうですか。
○政府委員(松本瀧藏君) ちょっと記憶にございませんので、調べまして一つ回答さしていただきたいと思いますが、私の記憶に間違いがなかったならば、そういうはっきりした取りきめをしようというような申し合せはなかったように思います。
○森元治郎君 共産圏、ポーランドと国交回復、チェコと国交回復したのですが、そちらの方からの協定の申し入ればないのですか。
○政府委員(近藤晋一君) お答え申し上げます。 ただいまのところ、共産諸国から日本に対しまして、文化協定を作りたいという申し入れがありましたのは、昨年の秋、ユーゴスラビアがらございました。それだけでございます。
○森元治郎君 日本側から文化協定を申し入れる態度はまだできていないというふうに了承してよろしいのですね。
○政府委員(松本瀧藏君) 先ほどお答えいたしましたごとく、一朝にしてこれはできるものではないので、やはりそういう機運に向けていかなければならないと思います。ソ連の場合は先ほどもちょっと説明いたしましたごとく、すいぶん芸術家の交歓であるとか、特にスポーツの交歓等によりまして、だんだんとそういう工合に雰囲気が高まってきていることは事実でございます。
○森元治郎君 この政府間の海事協議機関条約についてですが、これは中華人民共和国のようなものは入る資格はないのですか。
○説明員(藤崎萬里君) 中共の国連の専門機関への参加は、国連における中国の代表権にからむ問題でございます。理論的には専門機関が国連と別個の人格であるために、専門機関の基本文書に国連の承認を得ることを条件とする趣旨の規定がない限りは、独自の立場から代表権または加盟の問題を処理することができると考えられるのでございますが、専門機関はそれぞれの専門的な分野において国連憲章の精神を敷衍することを目的としておるわけでございまして、国連との協定によっても、国連と密接な連繋関係を持たされておるわけでございます。また、一国の代表権に関して、国連総会がとった措置を専門機関は考慮に入れなければならないというような趣旨の決議が国連の第五回総会において行われておりますので、実際問題としては、国連において中共の代表権の問題がとり上げられまして、解決されない限りは、中共の専門機関への参加は困難であると考えられます。
○森元治郎君 第八条に「加盟国となる資格を有しない国は、加盟国となることを機関の事務局長を通じて申請することができる」一応人民共和国としては申請だけはする権利は得ることができるのですか。
○説明員(藤崎萬里君) さように考えます。
○森元治郎君 もう一ぺん一つ。
○説明員(藤崎萬里君) その通りに考えております。
○森元治郎君 そうすると、申請があった場合に初めて問題として取り上げるので、申請のない場合には従って問題にならない、こういうふうに考えてよろしいのですか。
○説明員(藤崎萬里君) さようでございます。
○森元治郎君 それからソビエトはこの機関に対してどういう態度をとっているのでしょう。
○説明員(藤崎萬里君) ソビエトは、一九四八年にこの条約が署名されました国際会議に、初めから参加しておりません。
○羽生三七君 日本国とエチオピアとの間の友好条約の件ですが、妙なお尋ねですけれども、日本とエチオピアとの間はどういうことになっておるのか。平和条約でもない、通商航海条約でもない、普通の条約のケースと全く違った友好条約というものなんですが、両国間の今日までの経過を少し御説明をお願いしたいと思います。つまりこの友好条約という、特殊な何か前提条件も何もないような、特殊な形態だと思うのですが、両国間の今日までの外交上の経緯を一つ。
○政府委員(松本瀧藏君) 御承知のごとく、エチオピアとは以前から非常に友好関係にありましたが、先般エチオピアの皇帝が日本の招待をお受けになって見えまして、一そう友好関係が密になった次第でありますが、いろいろと戦前にもこの友好条約等あたりはいろいろな国とも締結されておりましたが、特に戦後、エチオピアとの関係が先ほども申しましたような関係で密になりましたので、皇帝の日本来訪を機にいたしまして、まずこの友好条約から、もっと密接な関係を今後も一つ維持していこうという建前で、これは締結された次第でございます。
○羽生三七君 そうすると、私ども不勉強なんですが、具体的なものは今まで何もなくて、この友好条約から通常の関係に入っていくと、こういうケースですか。
○政府委員(松本瀧藏君) その通りでございます。さらにこの友好条約が進展いたしまして、この中にも書いてありますごとく、通商航海条約の締結の交渉にも入れるようになっておりますので、徐々に一つほぐしていこう、ほぐすというよりも密にしていこうという考えであります。
○曾祢益君 政府間海事協議機関条約の問題なんですが、この条約が締結されるまで日本は当事国でなかったわけなんですが、それにもかかわらず、内容的に見て、日本がもし初めから国連のもとに行われたこの条約の会議に出席していたならば、要求すべき点等がなくてこのままでいいという考えなのかどうか。日本は言うまでもなく、有数ないわゆる海運国でございますので、もし当時、国際連合のメンバーであるというような資格があるならば、当然有力な参加国としていろいろ啓発的な意見なり、あるいは日本の立場から見て主張すべき意見等を条約の中に盛るということが当然行われたに違いないのですが、それが行われてなくてできた条約のように伺っているわけです。してみれば、また、ただ、あとから加入すればいいというのではなくて、こういう点についてはこうしてほしいというようなものが当然あってしかるべきではないかと思うのですが、政府はそういう点をうのみにして、とりあえず入っておくのがいいというのか。何らか具体的、実質的にこういう点をもっと主張したいのだがという点があるのかどうか。それを伺っておきたい。
○説明員(藤崎萬里君) この政府間海事協議機関条約そのものは、大体政府間でこの問題について国際協力をやるためのワクを作り、機関を作って、それからそのワク内で実態問題を協議し、勧告していこうという趣旨のものでございまして、今御指摘のような点は、具体的にはあまり見当らない。これからの条約が発効しまして最初からこれに参加していけば十分に日本の利益を擁護できる、かように考えております。
○曾祢益君 それなら伺いますが、たとえば、理事国の第一回構成にしても、もし日本が最初から入っていたならば、私はこれを、国際的な海運国の順位はよく知りませんか、日本は何番になるか知らないか、まあ常識的に考えて、日本人としての何といいますか、自分のことだから少し高く評価しているのかもしれないけれども、当然 、に最初から最大の海運国として、日本は当然理事国に入っておくべきではなかったかと思うのですが、そういう点においてもやはりマイナスの点もあるのじゃないのですか。
○説明員(藤崎萬里君) 御指摘のように、即事会の構成等についてはそのような点がございます。ただ附属書一に掲げてある国のうち、ギリシャ、ノールウェー、スウェーデン、インドはまだ条約を受諾しておりませんので、第一回総会までにこれらの国が受諾を完了しないときは、第一回理事会の構成国数は十六に満たないことになりますので、これらの国にかわって、日本その他受諾を了している国を理事国として総会が指定することはあり得ることである、かように考えております。また、附属書一の(c)の規定によって、理事国として選出されることは大体期待できるのではないか、かように考えております。
○曾祢益君 そこで、この条約でできる機構の運営は、何といっても中枢は総会ではなくて理事会と、いま一つは海上安全委員会ということになるのです。そこで、今御説明された点なんですが、まあこれは今から加わっても実質的に損でないから加わるのだ。それはそれで一応了承するとして、果して最大の海運国としてほかの国とかわって入れるのか、それとも実質的な、つまりそれに続くぐらいの有数な海運国としてなら必ず入れるのか、それから海上安全委員会についても当然に入れるのか。これらについては、この条約に日本が加盟するという前に大体いろいろな折衝を通じてめどはつけておられると思う。だから、はっきりと理事国とそれから海上安全委員会の国に最初の総会で選ばれるという見通しがあるかないか、これについてのはっきりした御返事を伺いたい。
○説明員(藤崎萬里君) 今までわかりましたところでは、ほぼ確実と考えていただいてけっこうであろうと思います。
○曾祢益君 日本とエチオピアとの関係の問題なんですが、先般エチオピアの皇帝が日本に来られて、いろいろ日本側との何といいますか、協力関係、いろいろな技術的な顧問というような問題も当時話があったようでありまして、なお、新聞等に伝わるところによれば、日本人の元の軍人がいわば顧問の団長格になっていろいろな向うの開発事業なり、いろいろな問題について一つのアドヴァイザー・グループみたいのものを作って向うに、行っているようですが、私は、その人の資格等についてあえて疑義を出すわけではありませんが、こういう問題はやはり非常に両国の関係に大きな影響を与えると思う。政府としては、ただ単に向うから直接交渉があったからそれはあくまで政府対政府の問題でないからというまあ傍観的態度であったのか、それとも政府としてはやはり向うからも人選等頼まれて、あるいは少くとも向うからこういう人はどうだというようなことを聞かれて、ある程度政治的に責任を感ずるような関係でいわゆる顧問団を送ったのか、その点についての政府の関与と関心並びに政策について伺いたい。
○政府委員(松本瀧藏君) 特に軍人であったからといって、これを区別する必要はないと思うのでありまするが、先方からの希望もありましたし、まあ日本側におきましてもやはりいろいろと人選の場合、ただいま仰せのごとく諸般の問題を通すようなことがあってはいけませんので、十分協議の上で決定いたしました。今日のところ、先方に出しておりまする日本人は、各種の技術専門家若干と、それから皇帝顧問団五名というのは、これは特に先方からもいろいろこういう人がほしいというようなことがありましたので相談にあずかって送っております。また、女官三名、それから農業専門家二名、さらに温泉専門家、非常にまあ温泉とかあんまというようなことを非常に皇帝はお好きなものですから、こういう人も特に頼まれて送っております。さらに、医師それから女官等またさらに数十名向うから希望してきておるのでありますが、目下いろいろと人選等あたりを考えております。
○曾祢益君 伺うところによると、政府が関与して推薦してそうして全部送っている、こういうことなんですか。
○政府委員(松本瀧藏君) 一応相談にあずかっております。
○曾祢益君 それでは希望として、こういうことは非常に重要なことですから、十分なる責任がとれるような親切丁寧な人選をやって、これは将来ほんとうに両国間の友好の基礎ができるようなことに御努力を願いたいと思います。
○永野護君 パキスタンとの文化協定の問題で、第五条についてお伺いしたいのですが、日本で、ごく具体的に申しますと、医者ですとか、そのほか、自動車の運転免許とか、それから建築技師とか、日本で得られた資格はそのままパキスタンでその資格が認められるようなお話し合いがついておりますか。
○政府委員(近藤晋一君) その第五条の趣旨は、これによって直ちに百日本で医師の開業の免許ないしは今お話しの自動車の運転の免許がそのままパキスタンの国において認められるということではございません。御承知のごとく、パキスタンも日本もそれぞれの国内の法令に基きまして、そういうような資格ないし免許状というものが規定されておるのであります。しかしながら、パキスタンその他東南アジアの諸国におきましては、日本人の医師等の要望もございますので、この第五条に基きましてパキスタン政府と相互に融通できとるように話し合っていこうという趣旨でございます。ただいまのところ、パキスタンとの間に日本人の医師の免許ないしは自動車の免許をそのまま向うで通用するというふうな話し合いまではついておりません。
○永野護君 そうしますと、お見通しとしては、日本の医者は向うで開業ができるようになれるお見通しはあるのですか。「研究する」と井書いてあるのですけれども、お書きになる以上は、これが一条になっている以上は、幾らかそういう見通しが相互に理解がついてお書きになったものか、あるいは一方的に全く白紙でこれから努力されるというぐらいな程度なんですか。
○政府委員(近藤晋一君) ただいま御説明いたしましたように、まだこの点につきましての合意があってこの第五条ができたわけではございませんので、日本といたしましては、なるたけ早い機会にそういう必要もあると思いますので、そういうような話し合いにもっていきたい、こう考えております。たとえば、マラヤにおきましては、先般岸総理がおいでになりましたときにも、先方から、日本の医師をぜひ送ってほしい、そして、その際にはマラヤの方は、特に話し合いによって日本の医師の免許を向うに通用させるということも支障がないというような意思も漏らしております。こういうような点から見まして、パキスタンにおきましても、それほど困難があるとは考えておりません。
○永野護君 実は、私がお伺いしたいのは、パキスタンでは今申しましたような必要性がそんなに大きいとも思えませんが、東電アジアの各国では、これは相当大きい問題で、日本の技術者が向うへ自由に行ってやれるようになると、非常に日本人の行ける範囲が大きく広がる具体的ないろいろな問題があるわけであります。そこで伺いたいのは、パキスタンに作られたようなこういう文化協定を、東南アジアの各国は——私は勉強が足りないのですが、すでに準備されている国が何ヵ国かあり、また交渉中の国がどれくらいかあるということは、それを一歩進めることになるのですが、どういうふうにお進めになっておられますか。
○政府委員(近藤晋一君) ただいまのところ、東開アジアの国とわが国が結んでおります文化協定は、タイとの文化協定、それからインドとの文化協定、それから、これは東南アジアに入りませんが、イランと、この三つでございます。なお、セイロンからは昨年来、文化協定を結ぼうという話が出ておりまして、わが方は交渉に入る用意がありたのでございますが、先方の都合によりまして、今日まで具体的な交渉を開始するに至っておりません。
○永野護君 これは、私の希望なんでございますけれども、いろいろ経済提携とか、大きな問題が協議されますけれども、実現がなかなかむずかしいのでありますけれども、技術を持っている人が向うへ行って、その技術に応じた道を開くということが、日本人が海外に出て仕事をします一番具体的な、人間さえ行けば、腕があるんですから、すぐやれるのですから、こういう文化協定を広く各地と結ぶと同時に、こういう研究するということでなしに、現実にできるように御尽力願いたいと思います。これは希望として申し上げておきます。
○政府委員(近藤晋一君) 私たちもその−ように努力して参りたいと思いますし、また、文化協定がなくとも、東南アジアの各国とそういう話し合いが十分できると思います。例を申しますれば、ビルマから先般、保健大臣が秋こちらへ参りまして、厚生省と話し合いをいたしまして、先方は、日本の医師を送ってほしいという希望がございまして、先方から具体的な案を持ってくるのを待っておるという段階にあることを承知しております。
○永野護君 ラジオ放送のことが書いてありますが、日本の放送局が向うで放送することが認められますか。
○政府委員(近藤晋一君) 現存すでに私の承知しております範囲におきましては、NHKがプログラムの交換等をやっておると承知しております。従いまして、そういうような国々の放送局と提携をやり、日本のプログラムを向うにおいて放送をさせると、また、そのために政府として便宜を計らうということはできる次第であります。
○永野護君 これは、実はパキスタンではないのでありますけれども、東南アジアのいろいろ今計画されておる計画の中に、日本の放送局が、プログラムの交換ではなくて、日本の放送を向うで放送するというようなことが考えられておるわけであります。それができるかどうかということであります。
○政府委員(近藤晋一君) ただいまのところ、私はそういうことが具体的に行われておるかどうか、承知いたしませんが、現在NHKは国際放送をやっておりまして、各国語によって放送をしております。これはまあ現地においての放送ではございませんが、こちらからの国際放送を向うに流しておることはございます。
○永野護君 私の伺いたいのは、そうではなくて、日本の放送局が向うに送信所を別に作って、その土地に適する放送を——これは、今考えられているのはテレビが多いのですけれども、それをやり得ることが、この協定でできるかということを伺っておるわけであります。
○政府委員(近藤晋一君) これは協定自体からすぐ出て参りませんけれども、協定の趣旨から−申しますれば、それぞれの相手国と話し合いまして、相手国が、その国内法上、外国の出先の放送局を作るということを認め得るようになりますれば、可能だと存じます。
○佐多忠隆君 今の問題に関連するのですが、各国と文化協定が相当できておるのですが、この問題は、さらに進んで、むしろ技術協力あるいは技術協定の問題だと思うのです。文化協定ができておるところには、同じように通商条約なり貿易協定なりができておる。その通商条約、貿易協定と文化協定との中に、直ちに技術協力、技術協定の問題が非常に必要になってくるのであります。そういう意味での技術協定、あるいは技術協力協定をもっと積極的に各国と結ぶ用意なり努力はおやりにならないのかどうか、やってしかるべきだと思う。もう問題はそこにまているのだと思う。そういう点にどういう準備、あるいはどういう用意、どういう心がまえを持っておられるのか。
○政府委員(松本瀧藏君) もちろん、技術協定というものは非常に大切なことで、ことに、岸総理が東南アジアをずっとお回りになりましたときに、各国におきまして、やはり技術センター等の問題あたり非常に希望があったのであります。もちろん、他の東南アジアの諸国におきましても、日本が多少でもその技術が参考になるようなものを持っておると思いまするが、主として日本側から提供する技術の力が多くなるのではないか。先ほどのお医者の問題にいたしましても、先方では、取りきめがあるなしにかかわらず、とにかく日本のお医者をぜひ送ってくれということを向うで言っておるわけでありまするが、しかし、パキスタンならパキスタンのお医者さんが、しからば交換条件として、自動的に日本で開業できるかということになりますると、やはり文部省あたりのいろいろな問題、規定等がございまするので、困難でありますが、技術の面におきましては、さほど大きな問題はないと思いますので、われわれ一つ努力を進めたいと思います。また、そういう心がまえでやっております。
○佐多忠隆君 それは、そうすると、技術協力の政策として一つ一つやるということなのか、さらに、それは何か技術協力とか技術協定とかいうようなものにまで発展せしめなければならないし、そういう準備もしているという意味なんですか、その辺はどうなんですか。
○政府委員(松本瀧藏君) 技術協定を今結ばなければ、とりあえず発足できないというふうな段階にはきておりませんが、必要があれば、もちろん技術協定を結ぶにやぶさかではないのであります。
○佐多忠隆君 それから、さっきラジオの協力の問題が出ましたが、中国との間に、同じようなラジオの技術協力なり何なりというようなこと、中共、中国ですね、そういうことはお考えになっているか、それから可能だと考えられるか。
○政府委員(松本瀧藏君) 今のところでは考えておりませんが、民間ベースでもし何かやれば、これは別問題でございます。
○佐多忠隆君 それから、中国との間に民間ベースでは、民間団体では、一つ一つの文化協定といいますか、協力協定が各文化の方面に行われているようですが、これをもっとまとめた、政府間の文化協定というようなものを中国と——大陸中国と結ぶことに対しては、どういうふうにお考えになっているか。特にこれは、あらためて大臣にも聞きますけれども、ここで特に聞きたいのは、郵便小包協定等の協定と同じような性質のものとして、承認前の政府間協定というようなものに対しては、条約上どういうふうにお考えになっておるか。
○政府委員(松本瀧藏君) 今日までの例といたしましては、国交のまだ正常化していない国と文化協定を結んだ例がございませんので、今のところ考えておりません。
○佐多忠隆君 政策としては考えておらないでしょうか、それは別途まあ御質問をするとして、条約の形式としてどういうふうに考えておられますか。
○説明員(藤崎萬里君) 文化協定というものを未承認の国と結んだ例は、日本だけじゃなくて、国際的に先例がないと思います。内容自身は、それほど国家の権利義務の実態関係に触れるものは含まれておらないかと思いますけれども、そういう意味でなしに、やはり文化協定の締結ということは、非常な政治的な意義を伴うというところから、そういう国際的なプラクティスになっているのだろうと思います。
○吉田法晴君 関連して。具体的に、それじゃまあ今、政府間協定になると政治的になると、こういうお話ですが、具体的にあげますと、たとえば、文字の簡素化が中国で行われて、それは日本の略字と関連がございます。そこでこれは、わが党から参りました片由氏その他、文字の略式化、さらにローマ字化までを含めて文字の簡素化問題については、これは歩調を合せなければいかぬのじゃないか、こういう意見を持っている人が相当ございます。文字のことになりますと、これは日本じゃ文部省が関連しましょう。これは、民間で話し合って云々というわけには参らぬと思います。そういう問題を、なるべく連結しあるいは歩調を合せて云々ということになりますと、どういうことになるのですか。多少政府も関連をしなきゃならぬということになるかと思うのですけれども、文化について話し合いをする、あるいはそれが協定に達するかどうかはとにかくとして、あるいは協議し、あるいは足並みをそろえることは、事実上必要であろうと思うのですが、どういうふうに考えられますか。
○政府委員(松本瀧藏君) 一足飛びに政府がこれに関与してやることは、先般からいろいろと説明しておりまするごとく、困難だと思いますが、何かの形において連絡をとることは、もちろん差しつかえがないと思います。
○岡田宗司君 文化協定が各国と結ばれて、文化交流が盛んになることはけっこうなんですけれども、やはり予算の裏づけがなきゃならぬと思うのです。それでなければ一向仕事ができない。ところで、三十三年度の予算は一体どれくらい要求されておるのか、まず最初に大蔵省に外務省が要求した予算、ぶった切られて今度国会に出された予算、それを一つお聞かせを願いた
○政府委員(近藤晋一君) お答え申し上げます。現在御審議を願っております予算案に計上されております文化関係の経費は約五千六百万円でございます。当初大蔵省に折衝いたしました数字は、ちょっと私数字を失念したのでございますが、二、三億だったと覚えておりますが、その点正確な数字は、後ほど御必要ならば取り調べて申し上げます。
○岡田宗司君 まあずいぶんひどくぶった切られたもので、とにかくまあこれは話にならないのですが、だんだん協定を結ぶ国が多くなっていくと、やっぱりちっとは仕事をしなければならないが、一体、今度の三十三年度の五千何百万円の使い道はどういうふうにしようとお考えですか。
○政府委員(近藤晋一君) はなはだ額自体が少いものでございますから、その内容等におきましても貧弱なものがございますが、主として、この現在予算案に計上されております予算の使途は、在外公館等に、日本の文化関係の資料を作りまして、これを送る費用が大部分でございます。また、外務省といたしましては、戦前ございましたような国際文化振興会、これが戦前では、現在の金に直しますと、一億ないし二億円の補助をいたしておりました。現在は、わずか三百二十万円の補助しかないのでございます。こういうような国際文化振興会の活動を通じて文化交流をするという点でございます。また、パリにいわゆる薩摩会館という日本記念館がございますが、その館長の給与等もございます。この予算面での文化関係経費は非常にわずかでございますが、足りないところは報償費から分けてもらいまして、それを適宜、具体的な計画に使って参りたいと、こういうふうに考えております。
○岡田宗司君 まことにお寒い話なんですが、おそらく、こういうような文化交流に使われるのは、外務省だけではなくて、文部省の方にもあるだろうと思いますか、それを合せたところでまあ知れたものだと思います。これでは、せっかく文化協定を結んで、大いに文化交換をやろうと思っても、さっぱりどうにもならぬですがね。とにかく外務省でも、いろいろな外郭団体に対して、これもつまらぬと言っては失礼ですが、これは僕が見ると、むだみたいな金を出している向きもあるように思うのです。そういうのをこの次あたりから少々整理をされて、必要な文化協定の方へでもお回しになったらどうか、そうすれば大蔵省の方もちっとは回すようになるだろうと思いますが、それはともかくとして、アメリカとかソ連とかのそういう方面に出す予算は、これは莫大なもので、とうてい日本と比較にならぬと思いますが、ベルギーとかオランダとか、あの辺ぐらいのところは、そういう予算はどれくらい使っているのですか。
○政府委員(近藤晋一君) 具体的に数字をもってお答えするためには、今までの個々のベルギー等の文化交流の事業に対しての政府からの援助というものを集計しなくてはわかりませんので、これはここで今直ちにお答えすることはできませんが、たとえば、今般古美術の展示会をヨーロッパ各国でやります。これは主として文部省の予算に計上しておりますが、外務省の関係におきましても多少の経費を計上しておる、そういうような実例もございます。また、ベルギーでは、今年の春に万国博覧会がございます。そういう博覧会等に通産省より出品し、また外務省からも、日本デーがございますので、それに日本の踊りを出すというような計画のために、多少の資金的援助をするということはございます。ただいま岡田委員から御指摘になりましたように、非常に文化協定がたくさん作られておるにかかわらず、その関係の経費が非常に少いという御指摘でございましたが、実は、本年度の予算折衝に当りましては、すでに結ばれておる文化協定を実施するための経費を要求したのでございますが、われわれの努力が足りないためもあったと思いますが、それが全然承認されなかったということになっております。
○岡田宗司君 私がベルギー、オランダのことを聞いたのは、アメリカやフランスはうんと予算を使うが、ベルギーやオランダぐらいの国でも相当使っているらしいが、それはどのくらいかということを伺ったのです。まあ、それはいいです。とにかく非常に少いので、これは、こんなことじゃしようがないので、今後一つ御努力を願いたい。われわれもできるだけ側面的な援助をしたいと思います。これはやはり今後の日本の外交を進めていく上の重要な手段の一つだと思いますので、これは力を入れていきたいと思います。 次に、政府間海郡協議機関条約のことでお伺いをしたいのですが、先ほど曾祢委員も聞かれました理事国の問題です。この十七条によりますと、十六カ国の加盟国が理事になるわけですが、そのうち(a)の「六加盟国は、国際海運業務の提供に最大の利害関係を有する国の政府とする。」、(B)の方は、「六加盟国は、国際海上貿易に最大の利害関係を有する国の政府とする。」こういうふうになっておる。しかもその国は、はっきりきまった国ですね。結局先ほどのお話ですと、日本が多分理事国になることは確実だろうと言われるのは、この十七条の(a)、(b)に基くのではなくて、(c)か(d)に基くことになると思うのですが、これは(c)に基いてか、あるいは(d)に基いてか、いずれですか。
○説明員(藤崎萬里君) 先ほどの御説明が少し足りなかったかと思いますが、加盟を(a)や(b)に擬せられておる国が加盟しませんと、この資格がないわけでございますから、日本が(a)、(b)に入り得る余地がないということはないわけでございます。かりに入らなくても、(c)では入れるので、そういうものを総合して、ほぼ確実という工合に考えていただいてけっこうだと思います。
○岡田宗司君 (a)、(b)は、今言ったような、入るということが条件でこうなっておるわけですが、大体この顔ぶれを見ると、入る、こういうふうに見ていいのじゃないかと思うのですが、そういたしますと、今度、日本は(c)に当るということになりますね。(a)と(b)とはパーマネント・メンバーですか、(c)の方は総会ごとにかわる、そういう意味ですか。
○説明員(藤崎萬里君) 第一回理事会だけのことでございます。
○佐多忠隆君 文化協力の問題ですが、少し古いことですけれども、一昨年だったかと思いますが、黄変米の問題で、ビルマのラングーン大学に日本から調査団が行った。政府も非常に関係をしておられたと思うのです。それで、しかも向うに行った場合には、ラングーン大学が、研究室まで開放して非常な便宜をはかって、調査をした。それが帰って参りまして、その後何らの報告書も出さないし、少くともビルマ側に、ラングーン大学あたりには、その報告書をもらった覚えがないというので、非常な不満を漏らしているということを聞いているのですが、これはどういうふうになったか、そういうものに対する配慮はどうしておられるのか。ただ口先だけでなくて、そういう点にまで十分配慮をさるべきだと思いますが、どうなんですか。
○政府委員(松本瀧藏君) ちょっとその問題、私ども承知しておりませんので、調べまして、一つお答えさせていただきたいと思います。
○佐多忠隆君 それでは早い機会にお調べ願って、詳細に一つ報告願いたい。
○政府委員(松本瀧藏君) たしかこれは農林省所管だと思いますので、一つ連絡をとりまして、御回答させていただきたいと思います。
○吉田法晴君 ちょっと簡単にお尋ねしておきたいと思いますが、政府間海事協議機関条約に関連する問題ですが、これはほとんど国連加盟国ですが、日本の周辺には国連加盟国が少い。そこで問題は、海運がおもなようでありますけれども、海上安全面等もございますし、ソ連はこの機関に加盟をしておらぬということで、これらの加盟をしておらぬ国に対してどういう、何と申しますか、関係協議をしていくという御方針なのか、その点を一つ。特に、海難その他について、ソ連、中国、あるいは韓国等もございましょうが、その点についての御方針を承わりたい。それから、これは海に関連しますから、直接ではございませんが、国連で、領海ですか、公海に関連をして、会議が行われておりますが、これに臨むのに、従来の三海里説をもってお臨みになるということですが、見ておりますと、日本の国内での研究、議論というものが、そう従来十分になされてきたとは言えないのではないか、もっと学者、それから日本の知能を動員してこれに臨む態度を私はととのえらるべきではないかと思いますが、こういう点をどういうふうにお考えになりますか。
○説明員(藤崎萬里君) 海上人命安全の問題については、この政府間海事協議機関条約に加盟していない国との間で、たとえば二国間条約を作るとかいうようなことは可能なわけでございます。現に、たとえば日本とソ連の間には、そういうものがあるわけでございます。それから国連の主催でこの二月十四日から行われます海洋法の国際会議に対する準備の点でございますが、これまで八カ月間ぐらいにわたりまして、関係各省と協議し、わが方の対策を検討して参った次第であります。学者及び——学者といいましても、国際法のみならず、水産関係の学者等の意見も聴取をいたしまして、これを参考にして、わが方の態度を固めて参っておる次第でございます。
○委員長(寺本広作君) ただいま議題となっております日本国とパキスタンとの間の文化協定の締結について承認を求めるの件外二件に対する質疑は、終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(寺本広作君) 御異議なしと認めます。日本国とパキスタンとの間の文化協定の締結について承認を求めるの件外二件に対する質疑は終局いたしました。 —————————————
○委員長(寺本広作君) 続いて、国際情勢に関する調査を議題といたします。 質疑のおありの方は、質問をしていただきます。
○森元治郎君 駐英大使の問題ですが、省内では一応内定したのが、またつつき回されてこわれたという話もあるし、それから今、大臣は、省外の人をあちらこちら人探しをやっている。一体どういう基準で大使をきめようとしているのか、最近にない醜態だろうと思うのです。若い人を出すのだとか、あるいは部外者からいい人を採るのだとか、省内のキャリアの人をとるのだとか、何とかなりそうだと思うのですが、もたもたしておる。一体、日本とイギリスの関係について、イギリスに対してどういう考えを持っておるのか。従来の保守党の吉田内閣時代のイギリスに対する考えというのは、何とかイギリスというものわかりのいい国と力を合せて、がんこなアメリカを引っぱっていこうというようなふうに考えてイギリス外交というものは、そういう面から大へん力を入れておったと思うのです。その後、岸内閣になって、ことに新しい藤山外務大臣になって、イギリスに対する、イギリスの価値をどの程度に見ているのか、日英関係をどうしたらいいのか。それから人事ぐらいは、一体基準はどこに置いておられるかの御説明を願いたい。
○政府委員(松本瀧藏君) 英国に派遣します日本大使の人選が、今なお決定してないということは、はなはだ申しわけない次第でありまするが、もちろん、英国と日本の関係は、最近だんだんとこれもまた密接になって参りましたのと、もちろん、西欧陣営の有力なメンバーの一つでありますので、このポストは相当重要視しております関係上、簡単に選ぶことのできないという事情もございます。さらに、門戸を開きまして、一般民間からも適当な人があればというので、いろいろ折衝を続けてきたのでありますが、これも今のところでは、どうやら希望がかなわないような状態にありますので、一応今キャリアに返しまして、外務省プロパーの中から選びたいというので、大臣がいろいろ苦慮しておられる段階でございます。これ以上のことは、私としてはちょっと申し上げる資格がございませんので、御了承を願いたいと思います。
○森元治郎君 政務次官が大事なときに大臣の代理でないようなことを言う。外務省を代表し、大臣の代表として政務次官が来られたんですからお伺いしたいのですが、近々にきめるつもり……あるいはキャリアからやるなら、思い切って若い者からやるのか、いつまでもまた毛並みというようなことにもたもたしておるのか、その辺の話をお聞きしたい。
○政府委員(松本瀧藏君) アグレマンを求めておるかというようなことも、これは機微に触れることでありますので、ちょっと公表はできませんのですが、近日中に決定するという段階にあるということを、大臣から私ども承わっております。
○森元治郎君 重ねて。近日中決定というのは、大臣の腹がきまって、本人も納得をするまでに取りつけられる、そして直ちにアグレマンまで求める段階に進めるということですか。
○政府委員(松本瀧藏君) さよう承知しております。
○吉田法晴君 これは記し総理大臣、それから藤山外務大臣も御承知のことでありますが、特に岸総理大臣は、一昨年の年末までに必ず釈放いたしますと、委員会その他を通じて約束をせられました問題であります。釜山に拘留されております日本人漁夫の釈放問題でございます。太鼓判を押して一昨年の末までに釈放するということでしたが、残念ながら、一昨年末までには実現をしません。昨年の幕にほ協定が締結をせられるということで、釈放が今度は実現をする、第一陣として三百名が帰ってきたのでありますが、二十五日ごろまでには釈放をするということでございましたけれども、どうも少し、二十五日までに全部帰ってくるかどうかわからぬという事態、私どもも、あるいは関係者も非常に心配をしておるのであります。政務次官、外務省を代表して、今まで約束してこられました韓国抑留者の釈放について、その約束をどのように実現をしていただけるか、ここではっきり一つお伺いしたい。
○政府委員(松本瀧藏君) 昨年の暮、三十一日に取りきめました交換文書に基きまして、大体一カ月半ぐらいのうちに双方の釈放を実現しようということでございます。従って、これを前提といたしまして、三月一日から全面会談に入るということになっておりまするが、今日のところ、少しこのスケジュールもおくれまして、日本に返してもらっておるのは三百でございまして、大村収容所から向うに送還いたします者も、二十日ごろに第一陣を向うで引き受けることになっております。非常にこの問題は御承知のごとく、説明申し上げるまでもなく、非常に微妙な段階にございまするので、われわれといたしましては、少し表現がまずいかもしれませんが、はれものにさわるような気持で、非常に微に入り細にわたり、非常にこまかく注意を払いながら交渉を継続しておる次第でございます。柳公使は今本国に帰っておりまするが、これももちろん、引き揚げ促進の使命をもって向うに打ち合せに帰っております。この交渉は絶えず継続してやっておりまするので、われわれの希望といたしましても、三月一日までには双方の釈放の約束は実現できるのではないか、こう考えます。
○吉田法晴君 微妙な点があることも承知をいたしております。しかし、関係者から見れば、一昨年の暮に総理大臣が間違いなく実現をいたしますと言って約束されたもの、それから暮の三十一日には、先ほどお話のように、今度は間違いなく調印をいたしましたし、釈放いたします、そして大村収容所の、国内の釈放すべき者については釈放されている。これは相互釈放という、本交渉とは関係なしに、人道的な問題として、この国際赤十字の会議にまで出ましたけれども、釈放すべき問題として協定に達した。それが大村収容所に収容されておる人たちについては釈放されたけれども、まだ韓国抑留者の大半が残っておる。三月一日までには釈放実現をいたしますと、こういうことですから申し上げませんけれども、多少日にちが迫って参りますし、心配をするわけです。それから、最初帰ってきました者についても、自分たちはまあ帰ってきたけれども、残っておる者については心配をして、切々たる訴えをしてきております。それだけに確言を願いたいと、こういうことで質問をいたします。これは、その辺の、関係者の心情についてはおわかりいただけることとも思うのでありますが、今のお話では、柳公使の帰還もあり、三月一日までには残り九百名余りの者については必ず釈放帰国するであろう、こういうお話と了解してよろしゅうございますか。
○政府委員(松本瀧藏君) いろいろ過程におきまして、予想せざる事態が起って参ります。小さな問題で、それがいろいろとまた支障を来たしておることは、御承知の通りだと思います。一、二例をあげますならば、委員会でいろいろ質問がございます。それに対して大臣が答えますると、その解釈があいまいであるために、信義を守らぬというような抗議があったり、あるいはわれわれの関知しない古い文書が翻訳されまして、ある資料としてこれが出ますると、約束を破ったではないかというようなこと、あるいは一々そういう予想せざるいろいろな支障がございまして、非常に難航をしておることは、御承知の通りであります。われわれは、この帰還に関しましては精一ぱい、誠心誠意、とにかく今日、外務省も一体となって交渉をしておりますので、できる限り一つ御協力願いたいと思うのでありまするが、いましばらくこの問題は、一つわれわれの誠意と、われわれの努力にまかしていただきたいと、こう考えます。
○吉田法晴君 重ねては申しませんが、それは、交渉は政府がおやりになる。私どもは、これはまあ野党でもございますが、国民としては政府を鞭撻していくか、あるいは政府の交渉に期待する以外にない。それが、政府を代表する総理大臣が、これは期限はさかのぼりますけれども、おととしの暮には必ず釈放を実現をいたしますと約束をされた。それから本交渉とは関係なしに、人道的な問題として釈放をいたします、こういうお話で、その後信頼をして今日までに至ったんです。だから私も質問をするについて、御心配のような点は考えながらやっております。で、努力は、これはまあわかりますけれども、政府で交渉されることですから、国民に対する期待としては、あるいはわれわれに対する約束は、必ずこれは実現をしていただく、こういう態度でお臨みをいただかぬと、今までの話というものが、あるいは私どもに対する、あるいは関係者に対する言明というものがむだになるのじゃないか。そこに、何と申しますか、家族からいえば、すがりついていくことしかない。われわれからいえば、その言明をたてにとっていく以外にないから、あとの交渉は政府でおやりになりましょうけれども、実現については、三月一日までには必ず実現をするために最善の努力をする、こういうことは当然私は出てくると思うのであります。まあお話を聞いておりますと、言いわけの方が先に立って、あまり質問してくれるなと、こういうあれに聞えますから、重ねて申し上げますけれども、政府としては、私どもに対しては、約束通り三月一日までに必ず実現をするように努力をいたします、こういう御答弁以外に私はなかろうと思うのです。
○政府委員(松本瀧藏君) 期待通りにこの引き揚げ交換が促進しなかったということは、はなはだ残念に思うのであります。相手のあることでございまして、われわれの意のままに進まなかった面も多々ございます。しかし三月一日までにはぜひ釜山から日本に帰れるように、また大村収容所に収容されておりまする韓国民の問題も解決できまするように、誠意をもって全力を注いでいます。われわれ希望を持って、さらに希望を持ってやることだけは、ここにはっきりお約束できます。
○吉田法晴君 そうしますと、もう少し、さっき話が出ましたから、具体的な点を一点だけ聞きますが、大村収容所に収容せられております韓国人については、二十日ごろこちらから第一船を出したい、それと相前後してあとの釈放が実現せられるだろう、こういうお話だったのですか。
○政府委員(松本瀧藏君) 今のところでは、向うから船を持ってきて、そうして大村収容所にいる韓国民を向うに連れて帰りたいというので、その配船が二十日ごろという工合に承わっております。
○吉田法晴君 じゃあその前後、第二船と申しますか、残っております釜山の抑留者の釈放が実現せられる、こういうように伺っていいですか。
○政府委員(松本瀧藏君) 釈放が、密入国とかそういったものでなくして、この問題が起ります前に日本にいた者で、刑に処せられている者、これを釈放しておりますので、密入国等で日本に入りました者は本国に送還ということになっております。
○吉田法晴君 ちょっと速記をとめてもらって……。
○委員長(寺本広作君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(寺本広作君) 速記を起して。
○吉田法晴君 一日も早く、残っております六百余名の者が帰国できるように希望を表明をいたしまして、次の問題に移ります。 次の問題は、これも当委員会で取り上げて、岸総理から、交渉をしようということで、現に交渉中の問題でありますが、北洋漁業の安全操業に関連する問題であります。私どもは貝殻島灯台について調査をしたとか、あるいは取りつけから日本の方で経費を負担せよとかいったような多少の経緯を伺っておりますが、時間がございませんから、簡単に今までの交渉の経過を承わりたい。
○政府委員(松本瀧藏君) 本委員会からも調査団が派遣されまして、いろいろとその報告も聞いております。昨年のたしか六月だったと思いますが、もし期日が間違っておりましたら、後ほど訂正さしていただきたいと思いますが、ソ連政府と交渉に入りまして、文書の交換もございます。従ってこの問題は、今問題になっておりまする平和条約と、これをからみ合せてでなくして、別個にこれを、一つそれができるまで、暫定的の措置としてやろうという建前で、交渉を進めて参りました。何回催促いたしましても、われわれの満足に値する回答がなかったのでありまするが、先般の回答の中に、初めて、講和条約締結がないと、この問題は解決できないという、そのことが一応回答文の中にありましたので、従って本国会におきましても、これが相当問題をかもしたのが実情でございます。
○吉田法晴君 そうしますと、私が聞いてきたところでは、たとえばこの貝殻島の灯台の問題のごときは、若干の調査その他があったということですが、今のお話だと、全部について何も解決がしていない、あるいは解決の方向になくて、講和条約の問題と関連して全部ペンディングになっておる、こういうことですか。
○政府委員(田付景一君) 貝殻島の灯台につきましては、これは別個に話し合いまして、貝殻島の方にわざわざ向うの調査団を出したということは、お話の通りでございます。その後、貝殻島を直すについてどのくらい金がかるか、日本で直したいと言っておりましたが、向うでは、自分の方で直して、その金を日本で出すようにということだったのでありますが、その後、幾らかかるかということについて返事がございません。さらに、われわれの方としては、向うの調査並びに金額の工合などを聞いておりますけれども、正確な返事はまだ来ておりません。 安全操業の方は別の題目としまして、六月にこういう問題について相談したい。つまり南樺太、千島のあれは、北緯四十八度線以南の沿岸漁業についての話し合いをしたいということを申し入れたのに対して、向うがそいつを承諾しましたものですから、八日から、こちらが提案をいたしまして、その問題についての回答を要求しておったわけでありますが、初めは向うもその相談に応ずるような回答をしておりました。ところが、さらに十二月になりまして、今度は漁業委員会が開かれるので、その際に一緒に話し合いをしたいということを言って参りましたので、問題が違うので、別個に話し合いをしたいと、まあ時期は漁業の委員会が開かれる当時に行われてもいいけれども、別個の話をしたいという回答をいたしました。ところが御承知の通り二月五日の日に向う側から、平和条約が締結されておらなければこの話を進めることはできないという回答があったのであります。
○吉田法晴君 そうしますと貝殻島灯台問題は別、それから墓参問題は、これは断わられた、それから、この避難問題についても、これはお話しになったのかどうか知りませんけれども、これは別で、安全操業の問題だけが講和条約と関連をして進めるかどうかということになっておる、こういうことですね。
○政府委員(田付景一君) ただいまの避難港の問題は、安全操業の中に入っております。
○吉田法晴君 入っておる。それから基本的な点は、これはまあ新聞その他で承知しておる、あるいは委員会の論議で承知をいたしておるのでありますが、最近の状態はいかがですか。何といいますか、話はなかなか進まない、条約とは別に話し合いをしたいという態度のようでありますけれども、実際の最近の北の方の状態はいかがですか。
○政府委員(田付景一君) 状態と申しますと……。
○吉田法晴君 拿捕その他。
○政府委員(田付景一君) 最近、拿捕の状況はあまり聞いておりません。拿捕されたということは聞いておりません。
○吉田法晴君 それから、これはもう笹森委員が御退席になりましたが、われわれが参りましたときに、当委員会から調査に参りました際に、当時の笹森委員長を含めて、拿捕された船主、船員について何も国からはしていないわけですね。補償と申しますか、あるいは融資にしても、あるいは見舞金にしても、何もしてありません。実はけさの新聞を児ますと、こういう状態が長く続くならは、補償問題について考えよう、こういう、これは新聞記事ですけれども、そういうものを拝見をいたしましたが、それは交渉がどうなるかという問題と、それから補償の問題とは、これは別だと思うのです。 それで、これは打ち割った話をいたしますと、その当時、韓国抑留者の問題については補償金と申しますか、見舞金という問題については、当委員会で岸総理とのやりとりから確認されました。あるいは引き揚げてきたときの何と申しますか、見舞金等についてもだんだん決定を見るに至った。それでそのときに、それにかんがみて、北の方の抑留あるいは拿捕については全然していない。古田さんは、あんた福岡の出身だけじゃありませんぞ、国の国会議員ですぞというような話も実はあったわけです。与野党にかかわらず、この問題については手落ちがあるということを認めて、報告書にもたしか書いて置いたと思うのです。これは外務政務次官としてでなしに、政府を代表してきて御答弁を願うのですけれども、この問題については政府として手落ちがあって、検討をし、それから補償、融資あるいは見舞金等について支給を考えなければならないことだろうと思うのですが、いかがでしょうか。
○政府委員(松本瀧藏君) これは主として水産庁におきまして、いろいろと検討をしておるのだと思いまするが、果してこれも補償すべきであるかどうかという問題は、他の問題ともかね合いがございますので、外務当局としては即座にこれに、今いいとか悪いとか、すべきであるとかどうかということはちょっと差し控えさしていただきたいと思います。水産庁の意見を一応聞かしてもらいまして、われわれの分野でできるだけのことはしたいと思います。
○吉田法晴君 もう終ります。先ほど安全操業と言われますけれども、貝殻島の灯台から始って、歯舞、色丹周辺のコンブについては、これはもっと北の方についてもそうですが、ソ連でとっておらぬ。そこでこの歯舞、色丹においては三海里以内においても実際とっておる、多少その他の点についても何はあろうと。それから海岸問題ついては、これは協定がございますが、避難港問題については、実際には避難、これは海上保安庁その他から連絡をして、避難をさせてもらったりしている。あるいは行方不明になった船について連絡をして、向うでも保護あるいは捜査をしてくれる、双方しておるわけです。そこで問題は片づくところから私は片づけていくということで、これは領土問題に関連するところもあります。関連するところもありますが、貝殻島のごときは多少進んでおるという話なのでありますが、零細漁民の問題でもございますし、ぜひ一つ問題を取り上げて交渉をし、解決をしたいという言明もあったわけです。御努力を願いたいということを申し上げて、質問を終ります。
○政府委員(松本瀧藏君) 片づくところからできるだけ早く問題を解決していきたいと、こう申し上げて、先ほどの御意見十分尊重いたしまして、その方向に努力させていただきたいと思い思います。
○委員長(寺本広作君) 国際情勢に関する本日の質疑は、これにて終了いたします。 本日は、これにて散会いたします。 午後零時二十九分散会 —————・—————