外務委員会 第2号
- 発言数
- 116 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1958/02/11
会議録
○委員長(寺本広作君) それでは、ただいまから外務委員会を開会いたします。 本日は、最初に理事の辞任の件についてお諮りいたします。 佐藤尚武君から、都合により理事を辞任したい旨の申し出がありましたが、これを許可するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(寺本広作君) 異議ないと認め、さよう決定いたしました。つきましては、直ちにその補欠五選を行いたいと存じます。この互選の方法は、成規の手続を省略して、便宜その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(寺本広作君) 御異議ないと認めます。それでは、私より石黒忠篤君を理事に指名いたします。 —————————————
○委員長(寺本広作君) 次に、日本国とパキスタンとの間の文化協定の締結について承認を求めるの件、日本国とエティオピアとの間の友好条約の締結について承認を求めるの件、政府間海事協議機関条約の締結について承認を求めるの件、以上、本院先議の三案を一括して議題に供します。 まず、提案理由の説明を聴取いたします。
○政府委員(松本瀧藏君) ただいま議題となりました日本国とパキスタンとの間の文化協定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 この協定につきましては、昨年四月スラワルディ・パキスタン首相の来日を機として岸首相から交渉開始方を申し入れるとともに案文を手交し、自来両国政府間において交渉を続け、岸首相のパキスタン訪問の際、すなわち、昨年五月二十七日にカラチで岸首相とスラワルディ首相との間でこの協定の署名調印を行なった次第であります。 この協定の内容は、従来わが国が締結いたしましたフランス、イタリア、メキシコ、タイ、インド、ドイツ等との間の文化協定とおおむね同様のものでありまして、両国間の文化交流のための各種の便宜供与、文化活動の奨励、学者、学生の交換等について規定したものであり、この協定の締結によりパキスダンとの文化関係の促進を通じて両国民の間の相互理解も一そう深まり、両国の親善関係の増進に資するところ人なるものがあると期待される次第であります。 よって、ここに本協定の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに本件につき御承認あらんことを希望いたします。 次に、ただいま議題となりました日本国とエティオピアとの間の友好条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 この条約につきましては、昭和三十一年秋、エティオピア皇帝ハイレ・セラシエ一世陛下の御訪日を機にわが方より条約案文を提示して交渉を開始し、自来アディス・アベバにおいて折衝を続け、昨年十二月十九日に山津代理公使とアクリル・アブテ・ウォルド副総理との間でこの条約の署名調印が行われた次第であります。 この条約の内容は、さきに締結されましたカンボディアとの友好条約とおおむね同様のものでありまして、両国間の平和友好関係の存在、主権と独立の尊重、科学及び産業上の知識の交換等について規定したものであり、この条約の締結によりまして、従来とも両国間に存在していた平和と友好の関係が一そう強化され、両国の親善関係の促進に大いに寄与するところがあると期待される次第であります。 よって、ここに本条約の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに本件につき御承認あらんことを希望いたします。 次に、ただいま議題となりました政府間海事協議機関条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 海運の分野における国際協力は、海上衝突の防止、人命、財産の救助等海上における安全の確保を中心とする技術的諸条約の締結に始まり、国際連盟のもとにおいても、情報の交換、条約の作成等によりその実をあげて参りましたが、戦後、国際連合のもとに、海運の分野における常設的な国際機関の設立が要望されるに至ったのであります。すなわち、航空、電気通信、労働等の各分野においては、国際協力を確保するため、それぞれの常設的な専門機関が設立されておりますが、国際的色彩のきわめて強い事業たる海運の分野においても、常設的な協力機構設立の必要性が痛感されたのであります。その結果、一九四八年にジュネーヴにおいて国際連合海事会議が開催され、この会議におきまして、政府間海事協議機関条約が作成されたのであります。 この条約は、海事に関する政府間の国際協力を推進するための常設的国際機関の設立を目的としております。すなわち、この機関は、海運に影響のある技術的事項を検討し、海上の安全を確保するためのより有効な措置の採用を勧告し、政府間の情報交換を容易にすることを主たる目的としているのであります。有数の海運国たるわが国は、戦前から各種の海事関係の国際条約の締約国でもあり、この分野において重要な任務を遂行する常設的な国際機関に参加することにより、海運の分野における国際協力に積極的に寄与することができるとともに、わが国海運の利益の増進、ひいてはわが国通商貿易の発展に資することができると考えられます。 なお、この条約は、近い将来に効力を生ずることが予想されており、第一回総会は効力発生の日から六カ月以内に開催されることになっておりますから、わが国としてもすみやかに受諾書の寄託を了して、第一回総会からその議事に参加することが得策と考えられます。 よって、この条約の受諾について御承認を求める次第であります。御審議の上、本件につきすみやかに御承認あらんことを希望する次第であります。 —————————————
○委員長(寺本広作君) 次に、日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の通商に関する条約の締結について承認を求めるの件、日本国とインドネシア共和国との間の平和条約の締結について承認を求めるの件、日本国とインドネシア共和国との間の賠償協定の締結について承認を求めるの件、旧清算勘定その他の諸勘定の残高に関する請求権の処理に関する日本国政府とインドネシア共和国政府との間の議定書の締結について承認を求めるの件、以上予備審査の四件を一括して議題に供します。 政府より提案理由の説明を聴取いたします。
○政府委員(松本瀧藏君) ただいま議題となりました日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の通商に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 一昨年十月に署名された日ソ国交回復に関する共同宣言第七項において両国は、貿易、海運その他の通商の関係を安定したかつ友好的な基礎の上に置くために、条約又は協定を締結するための交渉をできる限りすみやかに開始することを約束しております。また、それと同時に、関税、通関手続などに関する最恵国待遇及び船舶の取扱いに関する最恵国待遇の相互許与に関する議定書が署名され、右共旧宣言舞七項に予想される条約または協定が締結されるまで関税、通関手続等及び船舶に関する最恵国待遇を相互に許与することとなりました。 そもそも日ソ両国は、隣国であるにもかかわらず、従来通海上の実績は見るべきものがなかった次第でありますが、国交回復とともに漸次軌道に乗り、両国間の貿易量も次第に増加の傾向を示して参りました。今般これをさらに発展、安定させることを目的とし、かつ、右の共同宣言第七項による義務を果すために、政府は、昨年八月ソビエト連邦に対し交渉開始方を申し入れ、九月より東京においてソビエト連邦側代表との間に交渉を始め、自来、折衝を重ねました結果、十二月三日に至り、ようやく実質的合意に到達し、同六日日本側全権委員廣瀬公使と、ソビエト連邦側全権委員セミチャストノフ外国貿易次官との間で、通商に関する条約に署名調印を行なった次第であります。 この条約の骨子は、関税、通関手続に関する最恵国待遇、船舶の出人港及び船舶の取扱いに関する最恵国待遇、内国税に関する最恵国待遇、為替及び貿易制限に関する無差別待遇等の相互許与について規定するとともに、貿易実施に関連して問題となる仲裁判断の執行、ソビエト連邦の通商代表部の設置、法人の互認、身体財産の保護等を規定しております。 なお本条約は、批准書交換の日から五年間効力を有することとなっており、その後も六カ月の予告をもって廃棄しない限り効力を存続することとなっております。 また本条約には、その不可分の一体として、日本に設置されるべきソビエト連邦の通商代表部の法的地位を規定した附属書があります。ソビエト連邦が国家貿易を行う体制をとっているため、この代表部の設置は、日ソ貿易実施の上に必要であるばかりでなく、その促進の上にも望ましいものであるので、その設置を認めることとし、同時にその法的地位について、附属書で詳細に規定したものであります。 この条約によって、両国間の通商に関する基礎的事項が詳細に定められ、今後日本にとって新市場ともいうべきソビエト連邦との間の通商が大きく発展することが期待されるわけであります。 よって、ここに、この条約の批准について御承認を求める次第であります。何とぞ慎重ご審議の上、本件についてすみやかに御承認あらんことを希望いたします。 次に、ただいま議題となりました日本国一とインドネシア共和国との間の平和条約の締結について承認を求めるの件、日本国とインドネシア共和国との間の賠償協定の締結について承認を求めるの件及び旧清算勘定その他の諸勘定の残高に関する請求権の処理に関する日本国政府とインドネシア協和国政府との間の議定書の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 御承知の通り、インドネシア共和国は、昭和二十六年九月にサンフランシスコ市で開催されました対日平和条約に関する会議懐参加し、同平和条約に署名したのでありますが、その後これを批准せず、また、賠償問題が解決されるまではわが国との平和関係を回復しないという方針をとって参ったのであります。 そこで、わが国といたしましては、一方におきまして、昭和二十七年六月に事実上外交事務もつかさどることのできる総領事の交換に同意をすることによりまして両国の国交調整に努力いたすこととするとともに、他方におきまして、同国との間の賠償問題の早期解決をはかるため昭和二十六年十二月以来数次にわたって同国政府と交渉を重ねて参りましたところ、昨年十一月二十七日のジャカルタにおける岸総理大臣とスカルノ大統領との間の会談の結果、賠償問題に関する基本的了解が成立するに至り、この了解に基き、十二月八日にはジャカルタで小林政府代表とジュアンダ総理大臣との間に平和条約、賠償協定等の締結に関する覚書が作成されました。 政府は、この覚書を基礎として、これらの条約、協定等の案文につき昨年十二月下旬から具体的交渉を開始しましたととろ、交渉は円滑に進捗し、去る一月二十日ジャカルタにおいて藤山大臣とスバンドリオ外務大臣との間で、この日本国とインドネシア共和国との間の平和条約、日本国とインドネシア共和国との間の賠償協定及び旧清算勘定その他の諸勘定の残高に関する請求権の処理に関する日本国政府とインドネシア共和国政府との間の議定書が署名されたのであります。 これらの文書のうち、平和条約は、さきに締結されましたビルマとの平和条約と大体似た内容を有しておりますが、賠償条項におきまして賠償金額を十二年間一億二千三百八万ドルとする旨が明記されております。また、第三条におきまして通商航海条約が締結されるまで両国間の貿易、海運等の経済関係において相互に無差別待遇を与える旨規定されております。賠償協定は、この二億二千三百八万ドルに相当するわが国の生産物及び日本人の役務の供与の組百を定めておりますが、これは、さきに締結されましたビルマ及びフィリピンとの賠償協定と大体似た内容を有しております。第三番目の請求権の処理に関する議定書は、昭和二十七年八月七日に締結されましたインドネシア共和国との間の支払取りきめ及びその他の関係文書により両国間の貿易の決済方式が定められたのでありますが、その後インドネシア側におきましてれ一部を除きこれらの方式による支払いを履行いたさなかったために、日本政府の債権が累積する結果となりましたが、平和条約や賠償協定の締結により両国間の国交が正常化いたしますのを機会に、一括この累積債権を放棄しようとするものであります。 これらの条約、協定、議定書の締結によりまして、わが国は賠償金額の限度において負担を負うこととなるのでありますが、他面インドネシア共和国との間に正式の国交が開けることは、わが国の対東南アジア外交を大きく一歩進めることとなる次第でありまして、まことに喜ぶべきことと考えます。 つきましては、慎重御審議の上、すみやかに御承認あらんことを希望いたします。 —————————————
○委員長(寺本広作君) 次に、連合審査に関する件についてお諮りいたします。 外国人登録法の一部を改正する法律案について、法務委員会と連合審査会を開会することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(寺本広作君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。 ただいまの決議に基き、委員長は法務委員会にその旨を申し入れることにいたします。 —————————————
○委員長(寺本広作君) 次に、国際情勢等に関する調査を議題とし、藤山外務大臣に対し、質疑を行うことといたします。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
○杉原荒太君 ちょっとお尋ねしたい。時間はどれくらいの時間ですか。
○委員長(寺本広作君) 時間は先ほど申し上げました通り、午前中、持ち時間等は決定いたしておりませんが、適宜各委員において御判断の上、なるべく簡単にお願いいたしたいと思います。
○森元治郎君 きょうは、大臣がおいでになると思わなかったので、用意してこなかったのですが、種がないわけではないから一つ伺いますが、今月の終りごろですか、ゼネバで海洋法の会議がありますれ、その際、アメリカあたりから来た電報では、だれがイニシアチブをとったか知らぬが、アメリカと韓国の駐米大使、それから日本側との間に、李承晩ラインの問題はこの会議の席上では問題にしないことに了解がついたようなことを伝えて来ておりまするが、そのような事実があるのかどうか、ちょっと大臣にお伺いします。
○国務大臣(藤山愛一郎君) そういう事実は、少しも今日まで聞いておりません。
○森元治郎君 私はブレス関係の出身ですが、大体海外電報の信用度については、大体信用できるものだというふうに私は信じておるもので、どうもありそうなことなんですが、さようなことは全然ないのですか、お聞きになっておらないのですか、そういう方針であるのか、この点をお伺いいたします。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 全然そういうことを聞いておりません。
○森元治郎君 そうすると、やはりこの会議では、この会議に臨む日本の態度という中には、李承晩ラインの問題を取り上げて、それに関係あるチリー、エクアドルその他の領海問題とともに論議する御方針ですか、海洋法会議に関する態度をお伺いいたします。
○政府委員(板垣修君) ちょっと御報告いたしますが、今御質問のありましたように、ゼネバで正式にそういうことのあったことは全然聞いておりません。そういうことはないと考えておりますが、実は各国が非公式には今度の海洋法の会議で、李承晩ラインは具体的な問題として論議を重ねることは、前面会議において障害になるので、できればそれはやめて、と実は非公式な希望の表明はございます。 私個人の考えでございますが、海洋法の会議において、もちろんこれは非常に重要な問題でございますが、李ラインの問題ということで論議するのじゃなくて、全般の公海における漁業の問題として論議し、特定の問題については論議をしない方がいいのじゃないかと、このように考えておりますが、実はそういうような非公式の考えは韓国側にもあるようでございます。御参考までに。
○森元治郎君 政府委員から、私個人の考えとおっしゃられてもちょっと困るのだけれども、何か李承晩ラインというものを遠慮しているような感じがするんだが、厳然たるラインが引かれてこのような大騒ぎをしているところでありますから、はっきりと名前を出して、李ラインあるいは魚関係の太平洋における線を引っぱる問題とか、堂々と話をして差しつかえないと思いますが、その韓国側の非公式な意見に対して外務大臣はどんなふうに考えておりますか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 私もこの問題は堂々と話をして差しつかえないと思っております。ただ、日韓交渉との若干の関係は考慮していかなければならぬと思いますが、何しろ抑留漁夫の送還その他もスムースにいき、本会談にかかるということが現在の段階では重要だと思います。しかし、原則として海洋の会議において日本が堂々と主張しなければいけないのだ。当然そう考えております。
○森元治郎君 日韓交渉ということで論議するのは当然の議題であるが、大事な国際的な会議において、われわれから見て不当だと思われる李ラインについて、営々とおやりになることは当然だと思う。単に抽象的に、領海が三海里、十二海里と言ったって始まらないので、具体的な問題を取り上げてやはりやらなければ意味がない。国際外交の行き方としてやみ取引は絶対にいけないと思われますが、もし将来、アメリカが仲介に立って、日韓間で、あまりそんなごたごたをやられては困るから、あまり論争などはしないようにといった勧告の申し入れがあったときには、大臣は同意されないと思いますが、いかがでございましょう。
○国務大臣(藤山愛一郎君) この問題はあらゆる方面に、単に季ラインだけでなしに、先般のインドネシアの宣言等、いろんな意味でこれから取り上げられていくと思いますが、論議の状態においては、私どもはそういうものを取り上げることに決してちゅうちょしないつもりでおります。
○森元治郎君 それでは領海についてどういう説をお持ちか、従来通りの説でいくのか、あるいは十二海里に延ばすのか、その間の腹を一つお願いしたい。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 日本としては三海里説で、従来通りでございます。
○杉原荒太君 外務大臣が御出席でありますので、ごく項目は少いのでございますが、二、三の点につきましてお尋ねいたしたいと思います。 まず第一は、国際経済に関する問題でありまするが、世界経済の中において、日本経済をよりよくしていくということが、そういうことを目標としていくということが、これが日本の外交の一つの大きな柱であることは申すまでもありません。そこで、きょう私ごく簡単にお尋ねしたいのでありますが、まずその一つは、この世界経済の見通し、情勢判断というものについて、外務大臣がどういうふうにごらんになっておりますか、あまり詳しいことを要りませんけれども、その結論的のところだけをまずお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 世界経済の見通しということはなかなか困難な問題であるのでありますけれども、私としては、今の世界の経済というものは、どちらかというと、昨年以来低迷してきておるわけであります。ことにイギリスの財政状態、経済状態、また、フランスの財政関係、ことにアルジェリア等の紛争関係からくる財政負担というようなものもあります。そういうようなわけで、ヨーロッパ全体の景気というものは必ずしもよくございません。従って、ヨーロッパ全体が好景気に向って動いておるということは言えないと思います。また、アメリカも昨年来頭打ちというような状況で、あるいはむしろやや後退をしているというような事情にあるわけであります。従って、まあ本年を通じては、横ばい、もしくは若干弱含み程度のことで進むのではないかと考えております。
○委員長(寺本広作君) 杉原委員、着席のままお願いいたします。なお、大臣も着席のまま御答弁を願います。
○杉原荒太君 ただいま外務大臣から御見解をお述べになりましたように、本年度といいますか、本年ないし明年度、大体の世界経済の動きというものは、今外務大臣がお述べになりましたように、ことに日本を含めてでありますけれども、多くの国、西欧の諸国でもドイツ等を別にいたしまして、特に国際収支の問題に非常に悩みがあるように思うのでありますが、それに対する今度対策の問題ですね、これはいろいろ各国の国内政策でとるべきことがたくさんあると思いまするけれども、もっぱら国際政策、それがすぐ外交の面に出てくるものとしてその対策を考える場合、なかなか抜本的な方策というものはむずかしいと思いますけれども、その中の一つとしてやはりIMF、国際通貨基金あるいは国際復興銀行というもののあり方とかいうものについて着目するということは、非常に大事な点じゃないかと思うのでありますが、ことに国際通貨基金の資金量だとか、あるいはクォータ、さらにまた、貸し出しの方法といいますか、外貨の買い取り方法、そういった点の改善だとか、さらにまた、現在の国際通貨基金でとっております為替政策について非常に固定的な、かなりきびしい同定的な建前でできておるように思うのでありますが、そういうのが世界経済の実情から見て、こういう点についてさらに改善の方途を考えていくということが非常にこれは日本だけじゃなく、世界各国にとっても大事なことじゃないかと私は思うのであります。一挙にそれができないにしても、そういう方向においての努力が非常に大事じゃないかと思うのですよ。そういう点、政府ではどういうふうにお考えになっておりますか、その点をお尋ねいたします。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 国際経済の改善という上でまあ一番考えられることは、アメリカなりあるいはドイツなりにドルが偏在しておるということがやっぱり大きな原因の一つであるだろうと思うのであります。従って、IMFその他の国際的な金融機関というものを通じ、あるいはその他の機関を通じて、ドルの改善をはかっていくという方向も一部考えられるわけでありますけれども、そういう問題については、今後そういう各国とともに研究をしていかなければならぬという点だと思います。なお、そういう意味において、国際連合における数年来論議になっておりますサンフェドのようなものの成立をわれわれも期待して、まあ乏しいながら日本が開発基金というものを借りておるのもそういうわけであります。やっぱりお説のように、そういうIMFその他に対しても日本としての考え方を相当やっていかなければならぬと思います。当面大蔵当局の施策の大きなものだと思います。その方面とも話し合ってやりたいと思います。
○杉原荒太君 次にお尋ねいたしたい点は、今度政府で予算措置まで具体化してきておられますいわゆる東南アジアの開発基金といいますか、それと既存の東南アジア諸国との間の条約に基く、いわゆる経済協力との関係についてお尋ねしたいと思います。 それについてまず第一には、ビルマ、あるいはフィリピン、あるいはタイなどとの間に、条約でいわゆる経済協力ということを規定しておるわけでありますが、それの今日までの具体化したもの、それを項目だけでよろしゅうございますから、それをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 日本とビルマ、その他の経済協力関係につきましては、ぽつぽつ仕事が進みつつあります。ビルマには繊維工場に対する経済協力が進められております。 具体的な問題については、局長からお話しをいたしたいと思います。
○杉原荒太君 詳細は要りませんから……。ほかの国についても項目だけでよろしゅうございます。
○政府委員(板垣修君) お尋ねの条約に基く賠償協定及び経済協力協定に基きます経済協力につきしましては、原則として、御承知のように、民間ベースということになっておりますので、なかなか町方の意見が合いませんので、今まで実現が遅々としておりますが、さしあたってほとんど具体化しておりますものは、ビルマにおきます紡績工場の建設、これがほとんど成立一歩手前まできております。その他につきましては、フィリピンにつきましては、まだ一件も成立しておりませんが、計画としては相当ございますが、まだ具体化しているものはございません。 タイにつきましては、例の特別円の処理といたしまして、経済協力を行うという考え方がありますが、日本側としまして、あそこに精油所を建設するという一案がございますが、これについても両国外交交渉の議題となっておりますが、まだ結論を得るに至っておりません。従って、協定に基きまする経済協力の実施は、遺憾ながら非常に遅延をしておるというのが実情でございます。
○杉原荒太君 ただいまの御答弁にもありましたように、条約できまっておる経済協力ということも、実際はいろいろの事情によってその実績があまり上っていないという実情なわけであります。しかし、これはそれぞれの関係国との間の条約によって定められたところであって、広い意味においての、いわば条約上の一種の義務といいますか、神前といたしましても、これはほかのものに優先してやることが必要なわけだと思うのでありますが、そういったいわゆる経済協力ということが、まだ実際に実績が上っていない。そういう際、それと別に、いわゆる東南アジア開発基金というような案があるわけなんですが、それとの関係は、これは一体どういうふうに考えておられるのですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 東南アジア開発幕命は、構想の初めから大体多角的な関係においてこれを運営していこうという考え方でありましたので、条約によります二国間の経済援助とは若干出発点から性質が違っておると思います。しかし、これを成り立たせるためには非常に各方面との接触も必要ですし、理解も深めてもらわなければならぬわけでありまして日本としても提唱者でありますから、御承知のように、今回提出した予算の経済基盤強化資金の中に五十億というものを措置していただいたわけでありまして、経済協力関係との関係は、今申し上げたような関係にあると思います。
○杉原荒太君 この五十億の基金というものは、そのいわゆる経済協力のためにはこれは使われないものなんですか、どうなんですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 仮称東南アジア開発基金という国際的な一つの機関を作ろう、そうしてアジアの経済関発に対する資金的な基礎を得ようというのが岸構想の一つの出発点だと思います。そういうものができますれば、それに対する出資金になる。そうして各国の出資金と合せてこれが活用されるということになろうと思います。将来そういう構想が進あられたときに、その中に包含されることが適当であろうと思うような二国間の問題がもしありますれば、その基金から使用して差しつかえない、こう考えております。
○杉原荒太君 そうしますと、この五十億の基金というものは、これが実際に使われる、利用され得るためには、 一種の国際機構というようなものが成立することを前提条件とするのでございましょうか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) これは、仮称アジア開発基金というものを国際間の話し合いによって成立させたいというのが私どもの希望であり、そうしてマルティラテラルな立場でもって経済援助をやっていこうというのが構想の出発点なのであります。従って、そういう機関を一日も早く各国の理解のもとに作っていくということを努力するわけであります。しかし、これには時間的な、いろいろ経過の問題もありますし、それから、果してわれわれの希望する通り非常に多くの国が最初から賛意を表してくれるかもわかりません。従って、そういうものができて、それに対する出資に充てるだけでありますれば、それができない限り永久に使えないわけです。しかし、そういうものができたという場合に使い得るような、同じ種類の投資に対しては使い得るという考え方で進んでおります。
○杉原荒太君 多数国間の国際機構というのじゃなくても、たとえば日本とタイとの間という二国間だけのいわゆる国際機構ですが、そういうものができたという場合にも使えるというふうな建前で考えておられるわけなんでございますか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) そういう国際機構ができる前においては、二国間の関係において投資にも充てられる、こういうことであります。
○杉原荒太君 そうしますと、つまりもとに返ってさらに確かめますと、いわゆる経済協力のためにも使える道があるというわけでございますか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) そうでございます。
○杉原荒太君 最後にお尋ねいたしたいと思いますのは、中国の問題でありまするが、これは国民政府も中共も含めての問題であります。私は、きょうここで中共の承認の問題というようなことじゃなくして、もう一つ、承認をすべしとかあるいはするのは好ましくないとか、そういう論議じゃなくしてその一つ前の問題についてお尋ねしたいと思いまするが、中共との貿易協定、これを政府が当事者となってやることは今までしておられないわけでありますが、それの理由はどこにあるのでございましょうか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 日本として現在中共政府を承認いたしておりませんし、また、承認する意思を現在のところ持っておりません。その関係におきまして、中共とのいろいろな問題を解決して参りますためには、政府が直接これに関与するべきではないというふうに考えております。従って、民間の協定でやって参るということになると思います。
○杉原荒太君 私は、純粋に、先ほど申しますように、中共の承認をすべしとかすべからずとかいうことの論議に入るのじゃないですよ。もう一つ手前のところで、今の理由でありますならば、その前提としては、貿易協定を結べば承認になるという法律的の見解をとっておられるわけでありますか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 貿易協定を政府がやったから、すぐにその形だけで承認になるとまで、あるいは言い切れないかとも思いますけれども、しかしながら、承認ということをはっきりしない段階においては、そういうまぎらわしいことをせぬ方が適当だろうと思います。
○杉原荒太君 そうしますと、つまり法律的に、国際法的に見て、貿易協定を政府間で結べば承認になるとは言えないが、それとは別に、いわば政策的にするのが今は適当でないと、こういう根拠なんですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 私はその通りに考えておりますが……。
○杉原荒太君 もう一つ、これも主として理論的の問題でありますが、いわゆる中共の承認ということは、政府の承認ということで、国家の承認ということではないというお考えでございますか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) そういう法律の面は私にわかりませんから、一つ条約局長に。
○政府委員(高橋通敏君) 政府の承認の問題だと考えております。いずれを正統政府として承認するかというふうな問題と考えております。
○杉原荒太君 それでは、これも理論の問題ですが、国民政府との間に条約を現に結んでおるわけですが、それは、その前提としては、中国の正統政府が国民政府だと、こういう法的の前提に立っておるのでございますか、どうですか。
○政府委員(高橋通敏君) そのように考えております。
○杉原荒太君 もう一つ、これも同じく理論の問題ですが、中共政府というものは、かりに承認の問題が起った場合、承認のための法的要件というものは備えていないという見解かどうか。
○政府委員(高橋通敏君) 御承知のように、承認のための法的要件と申しますと、一定の地域と、一定のそこにおける人と、それを支配する有効なる政府であるかどうかというふうな問題と、いろいろ考えられております。この問題は、御承知の通り、非常に理論的な問題でございまして、私から申すまでもないことでございますが、まあ理論的にはいろいろな条件が考えられておりまするが、それも国際法的には確立したところがなく、いろいろな定説があり、しかもそういうふうな承認という部面は、国際法的にいっては、非常に政治的な考慮が支配する非常な分野であるというふうに考えられておるようでございます。
○杉原荒太君 少し、答弁に該当しないように思うのだが、私の聞いておるのは、今言うように、承認の法的要件を備えておるかどうか、それを欠除していると認めるかどうかという点。それからもう一つ、それと関連するから逆にお尋ねすれば、国民政府というものは、その法的要件を備えておるという当然の前提に立っているかどうか。
○政府委員(高橋通敏君) 実は、非常に純粋に理論的に考えますと、従来、中国の国民政府がございまして、それに対しまして一つのいわば反乱政権というのが起りまして、その反乱政権が、現在、非常な強い力を持って従来の国民政府——正統政府であるところの国民政府を実力をもって圧迫している。こういうふうな今の段階であるかと思っております。従いまして、御承知のように、こういうような場合に、いつの時期にいずれを承認するか、すなわち、当然従来の政府は正統政府と見、まず反乱政権がある、それに対しまして御承知の通り、交戦団体の承認が行われる、しかも今度は交戦団体の承認が行われたのが、実力、力を持って参りまして、従来、正統政府と考えられたところのものを圧迫してしまう、その段階になりますと、今度はその方の政府がその国を代表する正統政府というふうに認められ、承認の問題が起ってくることは私から申すまでもないことでございますけれども、従いまして、いつ、このような経過において、いついかなる時期に承認するかという問題が起ってくる。ところが、従来のいろいろな歴史——私から申すまでもないことでございますが、従来の状況によりますと、必ずしもそこに一応理論的には現実にある大きな地域を支配している、しかも実力を持っている、しかも国際法上の義務を負担する意思と能力を持っているというふうな条件がございますが、その点非常にあいまいでございまして、相当両国間の政治的な関係が支配する時代であるというのが私は現実じゃないかと考えております。
○杉原荒太君 まあ非常に、私の質問に対する答弁にはなっていないのですが、まあ答弁しにくいようですからこれ以上その点は質問しませんが、もう一つ、先ほど国民政府が代表している、つまり国民政府によって代表されている国際法の主体たる国家というもの、これは中華民国という国号を持っておるものか、中華人民共和国という、その辺のところをどういうふうに考えられているか。
○政府委員(高橋通敏君) 現在のところは——現在と申しますか、中華民国であると思います。
○杉原荒太君 論争はしたくないですから、これくらいにしておきます。
○永野護君 経済協力の問題でちょっとお伺いしたいのでありますが、先ほどお話のありましたように、経済協力は非常に進んでおらない。ところが、これは条約上の義務になっておるのでありますが、現実の問題が非常に進んでおらない理由には、日本政府のこの条約上の運営に意見の相違がたびたびあって、その条約上の義務を忠実に履行しようとされている方の意見と、他の理由でそれをチェックする動きとがあってそのあとの方の力がともすると勝って、現実の経済協力が出にくい場合が非常に多かったように私は思うのであります。このままでは条約上の義務を外部に対して履行するために、内部の理由によって条約上の義務の履行が十分にできないというようなことが重なりますと、日本の国の外部に対する信用がだんだん落ちてくるのではないかという気がするのでありますが、外務大臣、今後の運営については、今までの運営をどういう方法かで改善するという何か御計画がございませんですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 経済協力の協定を作りまして、民間の同士の間にりっぱな仕事をさしていくということは、これはぜひとも活発にやっていかなければならぬことだと思うのでありますが、ただ日本のそのときどきの財政、金融的な立場、景気の変動その他外貨資金の量等の問題もあり、種々な関係から問題が必ずしも促進されてないものが多いのであります。そういう点は私どももまことに遺憾だと思うのであります。今後そういう面の、むろん日本の経済は底が浅いのでありますから、そのときどきの変動はやむを得ませんが、しかしながら、変動がある中においてもこういう問題については、やはりある程度継続的な資金の使い方をしていくというようなことをやらなければいけないのじゃないかと思うのであります。そういう点はなお、財政当局等とも話し合いをしながら進めて参ることに努力をしていきたいと思っております。
○永野護君 今度できるといわれております経済協力に関する審議会というようなものは、こういう難点を打開することを目的として作られると了解していいですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 今度内閣に臨時の経済技術協力審議会というものを置くことにしてそして対東南アジアの経済協力に関する大きな問題点を拾い上げまして、そしてそれを解決するのにはどういう方法をとったらいいかということで早急に臨時に作りましてさらに恒久的なそういう審議会の制度はどういうふうにあるべきかということを論議していただくと同時に、現在政府間の各省において行われております東南アジアの経済技術援助なりについて総合的に一つ判断して方途をきめていただきたい。なお、今お話のように、経済技術協力については財政的な、あるいは金融的ないろいろな措置の問題もありますので、そういうような問題についても十分な論議を尽していっていただきたいというように考えております。
○永野護君 きわめて小さい問題でありますが、今日審議に付されましたパキスタンとエチオピアとの協定に関してちょっと二点だけ伺いたいのですが、パキスタンとの文化協定は読んでみますと、大体において、きわめて具体的な内容のない条文が並べられております。それでやや具体的なことをきめておるのは第五条です。つまり両国で認められたる学位とか資格は相互に認めようというような、医師のことが一番具体的だろうと思いますが、そうしますと、ごく具体的にいいますと、日本の医師は向うで開業できますか。そういうことも含んでおりますか。
○委員長(寺本広作君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(寺本広作君) 速記を始めて。
○鹿島守之助君 国際協力に関連した問題で伺いたい。今年からヨーロッパの方で欧州共同市場、コンモン・マーケットとユーラトムすなわち欧州原子力共同体が効力を発生することになりますので、ヨーロッパではシューマン・ブランなどフランスやドイツそのほかでどんどん経済協力ができておる。ところで、ビルマ初め日本では経済協力が、しかも政府が義務を負いながら一向進んでいかない。そこで将来日本としてはこういう東南アジアの国との間に、ヨーロッパにおけるような運動のようにコンモン・マーケットというような大きな一つの政治的考慮があるならば、今経済協力でいろいろな大蔵省の意見だとか、こまかいそういう経済問題の考慮以外に、大きな一つの国策として将来の日本の行く道として、どうしても東南アジアとのコンモン・マーケット、今すぐにはうまくいかないが、そういうような大きな政治的配慮があれば、こういうこまかい問題は解決するのじゃないかと思うのです。そのほか、ビルマにおいて紡績とかセメント、それからいすずあたりの車両の問題そのほかわれわれが知っておる問題が一向進まないのですが、政府が将来どうしても東南アジアと提携して、欧州共同体のようにアジア共同体を作っていこうという、そういう方策がきまるとこの問題は片づくのじゃないか。事務当局にまかせておくといつまでもきまらない。それについては、藤山外務大臣からこういう大政策を打ち出していただくといいのじゃないか、これに対する御見解を承わりたい。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 大政策を打ち出すということは相当大きな問題でありますが、私は従来考えておるのでありまして、日本の東南アジアの経済協力といいますものは、これにやはり金融的な措置が伴っておらぬと思うのです。輸出入銀行その他でも、かりに長期な金融でも、これは、大体は商業貿易ベースの金融なんですね。やはり経済協力の線には、投資的な、投資的といいますか、長期にわたる協力をするという考え方の金融が加味されてこないといけないのじゃないかと思っておりますね。それがずっといけば、同じような、つまり日本の産業構造をある程度東南アジアを見合いながら変えていくということにもなってきましょうし、今お話のように、そこへいきますと、終局はアジア・コンモン・マーケットという線にも打ち出ていくのじゃないかと思うのです。しかし、日本のそういうような状態を所期することを、将来は考えられるかもしれませんけれども、まあ、経済発展段階とすれば、ヨーロッパと東南アジアの各国とは違いますから、今、勢いよくコンモン・マーケットというようなものを打ち出しても、そう簡単に、ヨーロッパで出ておりますような成果をあげられないこともあろうかと思います。しかし、考え方としては、今お話のようなアイデアのもとに、いろいろ現状に即した日本の経済金融の考え方を即応さしていかなければならぬと思っております。
○曾祢益君 ただいまの杉原参員に対する外務大臣のお答えの中で、これは非常に大きな問題を含んでおるのですが、全面的にその点御質問申し上げる時間もございませんからそれは避けますが、一点伺いたいのは、私の、今の質疑応答によって得た印象によれば、中華人民共和国政府を相手とする貿易協定を結んでも、日本政府のこれは承認にはならない、法律的にいえば。従って、今、日本政府が、この貿易協定を民間協定に譲っておって、政府が当事者にならない理由は、いわゆる中華人民共和国を承認しないという、その政策のいい悪いは別として、そういう、しないというからではなくて、承認にはならなくとも、政治的に工合が悪いからやらないのだ、貿易協定を人民共和国と政府が結んでも、それ自身が承認にはならないのだ、ただ承認を避けるという意味からいえば障害にはならない、やってもいいのだ、しかし、政治的理由があるから当事者にならないのだ、こういう御答弁だと思うのですが、その通りですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 貿易協定をやりましても、そのこと自体には、法律的にすぐ承認だということにはならないんじゃないかと思うのです。これは私の考えですけれども、しかし、そのこと自体は、法律的にすぐ承認ではないけれども、そのこと自体というものは、政治的には承認に相当大きくつながるような線に打ち出される感じが出てくるわけです。ですから、政治的問題としてそういう扱い方をしない方が、現在の段階においては適当である、こういうふうに考えております。
○曾祢益君 ちょっとそれはおかしいんじゃないですか。法律的には承認にはならない、従って、それをやらないのは政治的理由である、この方が正しいのじゃないですか、議論としては、どうなんですか。
○政府委員(高橋通敏君) ちょっと補足さして申し上げさしていただきたいと思うのですが、やはり協定は、一般的に申し上げますと、法律的に見まして、技術的協定は、必ずしも即承認にはならない。これは御承知の通りかと思っております。ただ、果してそれでは、具体的なものの協定が、どれが技術的協定か、どれが政治的な内容を持つ重大な協定であるか、それはおのおのの個々の協定の内容によるのではないかと思っております。そこで、やはり今のこの協定として貿易協定というような問題がございますのでございますが、それもやはり実体的にでき上る協定の内容とか、その他いろいろな技術的な、条約技術的な点がございますから、その辺をでき上った条約に基いて検討した上でないと、確定的に承認になるとかならぬとかいうことができないのじゃないかと考えております。
○曾祢益君 それで話がわかりました。それならば具体的に、これはある協定の内容によってはこれは承認になるかもしれない、協定の中に承認すると書いておけば承認になるのだ。そういう一般論じゃなくて、われわれ今問題にしているのは、これはひな形というものは御承知のようにあるわけだ。純粋に貿易に限ったもので、これは内容を一々申し上げなくてもお互いに知っているような、現に民間協定で作っている現在有効な協定、それを一つ例にとってみて、あの協定ならば政治的承認にならないということは、あなたの議論からいうとはっきり出てくるのじゃないですか。どうなんです。
○政府委員(高橋通敏君) 非常に技術的なことを申し上げるようでございますが、やはりあの協定というふうにわれわれがすぐ考えますと、大体前文やその他に、両国政府だとか、これはほんとうに実体問題でございませんので恐縮でございます、内容の問題ではないのでございますが、そういうふうにその両国政府はというようなことをうたいましたり、そういうふうな文句がたくさんございますので、実体的なそのものの流通とかそういう部面でなくて、そういう点において果してこれをどういうふうに考えるかというような問題は、問題になってくると思うのです。
○曾祢益君 そうすると、先ほど言われた貿易協定ならば、即承認にはならないということが取り消されて 内容的には全然政治的なものじゃない、貿易協定であるけれども、字句のさまつまで調べて、いやしくも両国政府と書いてある以上は、これは政治的協定になる、だからやはり承認であると、こういうことに訂正なさるわけですか。
○政府委員(高橋通敏君) でありますから、やはり両国政府という字句だとか、いろいろなそういうふうな書き方によるものと思いますので、そういう具体的なやはり協定、どういう協定ができるか、やはりそのことを実体的に見てみなければ、やはり一般的に割り切って言うわけにはいかない、判断することはできないのじゃないかと思いますが。
○曾祢益君 そうすると、その字句、内容をよく調べてからじゃないと危険だ。しかし、趣旨からいえば、そういうあなた方が心配されるようなものが全部、趣旨からいえば純粋な貿易事項に限ったものならば承認にならないで、しかも相手は向うの政府、こっちは日本の政府でやっても、承認には必ずしもならない、こういうことになるわけですね。そこで、そういう見方と、今外務大臣が言われた、どんな内容でもやはりこの政治的な関係もあるからやらない。やらない方がいいというのと、どっちがほんとうなんです。やはり協定の内容、その字句のことまで十分に調べて、かりにこれはもう絶対に承認にならない、こういうような貿易協定を作ったとしても、外務大臣はそれでもやはり承認、政治的な関係から、やはりこれを避けたいというお考えなのか、その点をはっきり外務大臣から……。
○国務大臣(藤山愛一郎君) その通りであります。
○曾祢益君 それじゃ、何で政治的に避けたいか、そこをはっきり御説明願いたい。それが日本の国策上不適音だからというのか、それは自由諸国の連係というような見地から避けるというのか、その点を。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 現在の日本の立場からいいまして不適当だと思います。
○曾祢益君 それはなぜ不適当か。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 日本の今の民主主義を信奉している立場からいきましても、われわれとしては、現在の段階において国連に席もありますし、また、他の各国との友誼の関係もありますし、あるいは中華民国とのいろいろな関係もありますし、ただいまの段階においては不適当だと思います。
○曾祢益君 自由諸国との協力ということが政府の外交方針の一つなのですから、そのいい悪いは別として、一応そういうあれがあるようですけれども、しかし、それは貿易するからいけないというのじゃないでしょう、今の議論では。たとえば中華人民共和国に、自由諸国が実際に使っておるいわゆる純粋戦略物資を送ろうということを話しているのじゃない。平和的な貿易です。そのことは自由諸国にも関係がない。問題はだから中華人民共和国政府に対する政治的支援、すなわち、たとえば承認になるからいけない。そこまでいくと、いわゆる結束が乱るからいけないというならば、あなたの建前から一応論理は一貫している。しかし、承認にならないような貿易をやっておる。貿易をやっておることにはだれにも文句はないわけです。貿易を協定する場合に、政府間の協定にして、そのこと自身が厳密に見てだれが見ても政府承認の効果のないような協定をした場合に、これはやはり自由諸国の結束を乱すという理由にならないじゃないですか。そういう場合に承認にならなければいいじゃないですか。承認にならなくとも、貿易してやれば、経済上お互いに利益をするから、向うに利益を与えるからいけない。協定をして、協定が政治的効果がない。法律的効果は明瞭に承認にならないという場合にでも、なぜその貿易を避けなければならないか、その理由があまりはっきりしない。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 国際間の問題は、なかなかいろいろな、感情の動きもありますし、隣国との円満な関係を維持していくことの必要もありますし、単純に法理論だけでは割り切れない点もあると思います、しかも受ける影響が……ですから、その辺のことを考慮しておきますれば、今お話のように、単純な蒸溜水みたいな形のものが、通商協定ができるという前提であったとしても、それが相当な影響を与えるということは感じられる場合があると考えます。ですから、そこいらは今後の国際情勢なり、今後のいろいろなわれわれの情勢の判断によって政治的に問題を扱っていくよりほか方法はないのじゃないかというのが私の実際の扱いです。
○曾祢益君 私も条約論一点張りで言っているのじゃないのです。だけれども、条約論的にいえば承認にはならない。そういう場合に、それをしもはばかる必要があるのかどうか。そこまでいくと、バランスがかえって日本のために必要妥当なる線をくずして、ある国、一方の陣営に少しサービスが強過ぎるのじゃないか。だから、そこは常識的に、それはあるいは隣国を、つまり台湾政府等を、あるいはアメリカ政府等を百。パーセント考慮してやるとすれば、貿易もオール・ストップということになる。これは常識が許さない。だから、それが政治だと思うのです。だから、今の政府の立場から考えても、実際の貿易協定、実際の話し合い、何でも中華人民共和国と話し合いをすることさえも実際よけているということは、これは必要以上の遠慮ではないか。これは私は常識の判断の問題だと思う。だから、一つの例からいえば、貿易協定とか、あるいは郵便協定だとか、相互の便宜になり、何もあなたの考えておられるような、パウア・ポリティックスのストラッグルにおいて、いわゆる自由陣営に非常に打撃を与えるような方法でなくて、しかも日本の利益になる方法をもっとどしどしやったらいいのじゃないかということが、これは政治論としての私の議論です。だから、貿易協定の論理から見ても、必ずしもあなたみずからが、何でもかんでも貿易協定を、政府が乗り出したからこれは結束を乱るというような考え方は、理論的には今ついえておる。条約局長を引っぱり出しては気の毒だけれども、純粋な法律論からいえば、ある種の貿易協定をやっても、必ずしもいわゆる承認にはならない。承認という政治的なあれを、打撃を、もし打撃というなら、打撃を自由陣営に与えないでやる方法がある。あるならば、そういう方法を通じて、積み上げ的に日本の利益に即するように、中華人民共和国との関係をよくしていくのは、むしろびくびくせずに、積極的にやるべきではないかと、こう考えるのですが、お互いに政治論の上に立った議論としての、もう一ぺん御答弁を願いたい。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 有力な御意見として拝聴いたしておきます。
○曾祢益君 これはこれ以上やっても並行線だと思いますので、時間がありませんから、一点だけもう一つ伺いたいのは、この間の参議院本会議の質疑応答で、要するにブルガーニン書簡の問題が何か未解決のようになっておるのですが、これは今議事録をここに持ってきておりませんが、多分あなたでなくて総理の返答だったと思います。ああいう書簡に答えるのも答えないのも自由だという、必ずしも答えなくてもいいのだ、こういうようなお答えだった。これは儀礼上答えるべきだと思う。法律上あれが回答を求めた文書であるかどうか、そういうことは別にして、この際、日本政府が検討されるのはけっこうです。けっこうですが、総理大臣の施政方針演説や外務大臣の外交方針演説から見ても、政府としてはやはり東西の行き詰まり打開を求め、そのためには趣旨として巨頭会談に賛成なんだ。そういうような大きな問題に対して、ブルガーニン書簡というようなソ連圏からの一つの呼びかけでしょう。これに対して日本政府はこう思うというようなことは、むしろいい機会だ。向うから言ってきたのを積極的にとらえて、日本政府の見解をソ連にも伝える、同時に米英にも伝えるというような、内容如何は別です。少くとも態度として、あれほど東西会談を望むという以上は、ただ望んでおるけれども、ブルガーニン書簡に対しては黙っておるというのは、これは言行不一致ですよ。そんなことは私は信じられない。少くともこれに対してはあなたは答えなくてもいいなんかというような、そういう返事はあるべからざるものだ。むしろ積極的にとらえて政府の考えを述べ、そうして東西会談を促進するような、これは抽象論だけではない、こういうようにしたらどうかというような、具体的かつ建設的なアイデアを出して、むしろこれをとらえて提案する。少くともブルガーニンに等える、こういうことがあるべきだと思うのですが、外務大臣のお考えはどうですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 私はあの書簡を機会に、日本が何らかの意見を発表するということは、非常に適当ないい機会だと思うのです。その点は曾祢委員の考え方と同じであります。従って、最近の適当な機会に、あまりおそからざるうちに、あの書簡に対して返答にかわるような意見を返事として送りたいと、こういうふうに考えております。
○曾祢益君 ただいまの御答弁非常にけっこうですが、批評するならばあまりに慎重に過ぎるではないか。物にはやはりはずみがあるのではないか。鉄は熱いうちにたたかなければいかぬ。各国の出方を見て、このくらいのことを言えばアメリカさんからもしかられないだろう。そういう考えがないことを希望しますが、あまり慎重に過ぎてもいけない。これはやはり日本の国柄、日本の影響力には限界があります。限界がありますけれども、日本の特殊な立場もあるので、ある程度慎重よりも果敢なることが必要な場合があるのです。少くともアイデアを出して、そして世界の世論に訴えるということからいえば、もうそろそろ腰を上げてもいいときだと思います。ですから、今の御答弁によって、近くきわめて建設的な具体的な案が出ることを期待するわけですが、いつごろお出しになりますか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 何日に出すかということを申し上げることはちょっと差し控えますけれども、大体書簡がきましてロシア語できておりまして、それを翻訳してそしてやりまして、準備はもうできておる、それで今検討してやっておる段階でありますから、そうおそくなることはないと思います。ただ私どもの意見ですから、社会党の方の御意見とは必ずしも……。
○曾祢益君 最後に希望だけ。これは申し上げるまでもないことですが、単に巨頭会談を望むというような抽象的なものではなくて、こうしたらどうか、これは申し上げるまでもなく、外相会談形式とか、いろいろな形式論も出ております。私をして言わしむれば、必ずしも外相会談を必要としない、しかし、事前の準備は必要である。こういう方法論で行き詰まっておるのはおよそナンセンスである、こういう方法論についてもはっきり出していただきたいし、外相会談の議題について、こういうものを取り上げろということを具体的に出すことを特に希望申し上げておきまして、いずれお出しになってから御批判申し上げたいと思います。
○委員長(寺本広作君) 石黒委員からも発言を求められておりますので、簡単にお願いします。
○佐多忠隆君 先どの条約局長の御答弁ですが、日中貿易協定は内容を一検討しなければ、それを結ぶことが承認になるかならないかわからないというふうな御答弁だったと思いますが、それで非常に答弁があいまいになっているのですが、内容を見なければといっても、日中貿易協定の内容ははっきりしている。あの中には政府間の協定ではないのだから、政府がどうとかというような文句は一つもないのです。従ってあれはそのまま貿易協定として政府間協定に移しても、先ほどのお話からすれば、国交回復なり、承認を意味しないということを直ちに結論し得るように思うのですが、どうですか、そこのところもう一ぺんはっきりして下さい。
○政府委員(高橋通敏君) 私も内容の問題を詳しく実は検討していないのでございますけれども、やはり内容と形式、すべての面から検討してみなければ、ほんとうにそういうふうな、何と申しますか、条文上より見て承認の問題が含まれているような点があるかどうか、そういうふうなやはり形式、内容両方から検討しなければならないと思っているのですが。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 両国政府が名前を連ねて形式的に署名することが、今の段階で適当でないと私は考えております。
○佐多忠隆君 適当であるかないかの議論ではなしに、今尋ねているのは、今純粋な法律的な問題としてそれがわからぬとおっしゃる、まだ検討していないとおっしゃるが、これはもう第四次協定なんですよ。非常に重要な問題として論議をされ尽している問題、それをまだ検討をしておりませんからよくわかりませんという返事じゃ、われわれは了承できないですよ。そんなことを言われるなら非常に怠慢だという以外にあり得ないと思うのですがね。それから同時に、それじゃ聞きますが、国交回復以前にフィリピンあるいはインドネシア等と貿易協定をやり、あるいは清算勘定協定をやり、あるいはさらには総領事等も置いておった、そのことはちっとも国交回復でなければ、国の承認でもなかったと思うのです。それらの協定やそれらの措置に比べれば、今の貿易協定は、何らそういうあなた方の理論に立てば、何にも承認するとか国交回復を意味しないということは、おのずから明瞭に出てくるのじゃないですか。そこらはだから一応あいまいな、政治的にどうとか、政策的にどうとかいう議論は別にしますけれども、純粋な法律論としては、そこのところははっきりしておかれていいのじゃないですか。
○政府委員(高橋通敏君) ただいまの御趣旨のほどはよくわかりましたが、たとえば純粋な法律論と申しますより、むしろ法律技術的な問題でございまして、向うとの約束の基本構想と申しますか、基本はできている。ところが、これを両国間の政府の約束の形にします。そうなりますと、これは法律論と申しますより法技術論としまして、われわれ疑問に思っているのでございますが、そこにそれでは両国政府間というふうな文字が出てくるのではないか。それから両国政府の署名は、両国政府の代表という名でまた署名し、両国政府代表という名が出てくるのではないか、そのようないろいろな技術的な問題があるのでございます。そこで、その点はやはりはっきりしなければならないのではないか、こういうふうに考えております。
○佐多忠隆君 それならば、およそ政府間協定はすべて承認したしでなければできないということを言っておられる。そうじゃないということをあなたは言われたでしょう。しかもインドネシア、フィリピン等についてはそうでなかったのです。政府間協定をやっていたのです。議論のつじつまが合わないのじゃないですか。さらにそれならば、単純なる業務協定も一切できないということ、少くとも政府間協定であるならば、一切できないということなんですよ。それならばさっきの議論と矛盾してきてしまう、だから私はそこをはっきりしなさいと言っている、どっちなんですか。
○政府委員(高橋通敏君) 非常に技術的なことになりますが、両国間の取りきめをどういうふうな方法で表現するか、ただいま政府間の協定と申しましたが、両国の政府という場合もございますし、政府部内の省だとか、政府部内のある庁だとか、そういうふうな機関が正面に立つ、そこでそれの同士の約束となるというふうな技術的な考え方もあるかと思うのでありますでございますから、政府間という——実体的な意味の政府間でございますが、技術的に書き方の問題でございますが、そのような書き方の問題でいろいろ両国政府間、政府と書かずに、まあいろいろなもっと下の機関というようなことも考えられますし、非常な技術的な問題が多々そこにありますものでございますから、私は一般的に見て一がいには言えないのじゃないかという点を強調いたしたいと思っておるのでございます。
○佐多忠隆君 じゃそれならば、フィリピンとか、インドネシア等の協定のときには、下級機関なり何なりと個別的なものをやっておったのですか。そうでなく、政府と政府との間の協定でしょう。だからそこのところははっきりしているのじゃないですか、そうじゃないという立場でやっておられたのじゃないですか、今までは。それを中国のときになって、政治的な問題があるものだから、政策的な問題にからめて純粋にそういうことを離れた議論までそういうふうに混濁してきてしまう、そこらはもっと事務当局は事務的にきちんとしたものを確立しておいたらどうなんですか、その上で政治論は政治論で大臣にまかせればいいのですよ。
○杉原荒太君 関連、私は希望を申し上げたいのですが……。
○委員長(寺本広作君) ちょっと先ほど申し上げました通り、石黒委員からも発言を求められておりますので、時刻も予定の時刻を過ぎておりますので、簡単にお願いします。
○杉原荒太君 今まで質疑応答を聞いておって、法理、先例から見ても、一つもポイントに触れていませんよ。だからその点を一つはっきりした思想をまとめていただいて、この席で一つあらためて御答弁願いたい。
○国務大臣(藤山愛一郎君) いずれ今の法理論につきましては、まとめるように措置して御答弁申し上げるつもりでおります。
○石黒忠篤君 私は先ほど森委員から質問されたことと同じく、海洋法会議のことについて伺いたいと思います。 海洋法会議は、私は日本にとって非常に重大な会議だと思うのであります。李ラインの問題について私も疑問を持っておるのでありますが、この季ラインの不法なるものであるということは、日韓会議の決裂しました二十八年の会議決裂後間もなく、外務省が、情報局が世界の動きのわざわざ特集号を出して国民に知らされたところにおいても、その不法なることを強調されておる。また、最近においてソ連のピヨトル大帝湾に関しましても、その不法なることについて外務省は抗議をされたと思う。そういう問題のたくさんありますわが国といたしまして、しかも国連中心に外交をやっていこうという大方針々立てておられるわが国としまして、この海洋法会議において公海、領海の問題ことに各国がわが国に対して主張している不法なる領海問題、こう政府が考えておることをこの海洋法会議で正々堂々と主張せられるべきものであると私は期待しておったのです。にもかかわらず、新聞報道によりますというと、李ラインについては触れないということの了解をしたというようなことが報道されており、先ほどの質問によりますというと、そういうことは承知をしないが、そういう希望があるやに聞いておるというのでありますが、海洋法会議に対しての外務省としての方針はどういうふうにやられるのでありましようか。私は国際法を国連がだんだんと完成していこうと、こういうことに関しましては、特別の委員会を開いており、その結果が海洋法会議になっておる。こういうときに、ここにおいて個別的問題の大きいのをたくさん持っておる日本が、国際法上の問題に関する会議に出席して、それらのことについては十分なる主張があっていいと私は思うのでありますが、それはなさらぬのでありましょうか、なさるのでありましようか、その点々伺いたい。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 海洋法会議の問題は、日本みたいな海洋国としては非常に重要な問題でありますから、ことにピヨトル大帝湾のこともありますし、李ラインの問題もあります。あるいはインドネシアの領海宣言の問題もありまして、これらに対しては今日今でも抗議を申し込んでおりますし、今後ともわれわれは同じ態度々もって強く主張して参りたいと思っております。従って、海洋法の会議におきましても、海洋自由の、原則からいいまして、それを主張していく。また、領海三海里というものは日本の今日まで続けて来ている説であり、日本自身の主張でありますから、これは貫徹するようにして参りたい、こう考えております。決して遠慮して、そういう問題に触れないということは考えておりません。
○石黒忠篤君 そうしますというと、李ラインの問題、ピヨトル大帝湾の問題等について触れない、避けるといったような態度はとらないということに了解してよろしいのでしょうか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) その通りでございます。
○石黒忠篤君 この点に関しましては、私は日本といたしまして強いはっきりした自主的の御主張をなさらんことを希望するものであります。私は今日は希望だけにとどめておきます。 つけ加えて伺っておきたいのは、十二月末日の日韓交渉の覚書のうちに、李ラインに関する日本抑留漁夫のことを刑を了したる漁夫という文字で表わされておるのでありますが、こういう文字は日本国に関する限りにおいては認むべきものではないのではないかと思いますが、こういう文句を覚書に用いることによって李ラインを承認したようなことを韓国側から言われるようなおそれがありはしないかということを私は心配をして一おるのでありますが、ああいう文字は、その主張に対しまして何らの支障がありませんか、そのことを伺っておきたいと思います。
○政府委員(板垣修君) 経緯を申し上げますと、御指摘の通り、刑を了したという文字につきましては、私ども交渉の際に再三その削除を要求したのでありますが、種々相互において譲歩妥協する関係上、一応あの文字は残すことになりましたけれども、御指摘の通り、あれによって日本に関する限り刑余者であるとか、刑を終えた者であるということを全然認めたことでもなく、かつ、李ラインを認めたものでないということは、はっきり交渉の過程において留保いたしております。
○石黒忠篤君 私の質問はこれで終了いたします。
○委員長(寺本広作君) 本日の藤山外務大臣に対する質疑はこれにて終了いたします。 次回は、十三日木曜日午前十時から開会いたします。
○佐多忠隆君 資料を要求しておきますが、インドネシアの焦げつき債権が累積した状況を各年度ごとに詳細に一つ出していただきたい。それから日本が占領されている以前にたまったものもはっきり区別されているような資料として出していただきたい。その背後になっている日本とインドネシアとの貿易状況も、数カ年にわたるやつもはっきり出しおいていただきたい。同じように、韓国との間の焦げつき債権の経過状況、それからアルゼンチンとのもの、これら経過が各年別に、あるいはもっと四半期ごとにわかるような詳細なものを一つ出していただきたい。 それから第二は、先ほどお話のあった賠償実施状況、それから経済協力の実施状況、それらのものがどういう状況にあるか、過去一両年の実施状況が詳しくわかるような資料を至急に出してもらいたい。
○委員長(寺本広作君) 本日はこれにて散会いたします。 午後零時二十分散会 —————・—————