運輸委員会 第18号
- 発言数
- 56 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1958/04/08
会議録
○理事(大倉精一君) これより委員会を開会いたします。 運輸事情等に関する調査中、海難審判に関する件を議題といたします。 御質疑のある方は、順次御発言願います。 なお、御出席の方は、運輸大臣中村三之丞君、法務大臣唐澤俊樹君、高等海難審判庁長官長屋千棟君、法務省刑事局刑事課長河井信太郎君、以上であります。
○松浦清一君 ことしの一月二十六日の夜、南海汽船の南海丸が、沼島の付近で遭難をいたしましたことは、法務大臣御了承の通りでございます。このために、乗組員二十八名と百三十九名の乗客が、全員死亡してしまったと、こういう事件があったのでございます。そこで、この委員会でも、この遭難の原因をいろいろ検討して参りましたが、その一つとして考えられることは、当時の気象の観測並びに伝達の方法に誤まりがあったのではないかということが一つ。それから船体構造の関係で、予想される強風に耐えられる状態でなかったのではないかということが一つでございます。それから、ああいうふうな旅客船は、相当競争が激しいので、そういう営業上の競争の関係というものが関係しておるのではないかと。それからもう一つは、船員の操船上に何か欠陥があったのではないかということ。それから全くの、そのどれにも該当しない、不可抗力による遭難と考えられるという点。簡単に申して、この五つばかりの原因がどうだったかということをこの委員会は究明をしてきたのでありまして、その問題にいたしました途中におきましても、すみやかにその遭難の原因を究明する必要があると、調べる必要があると、その調べ方については、この種の事件についての専門的な立場にありまする海難審判庁で審判をすみやかに行なって、われわれの前に、この原因を示してもらいたいと、こういうことを要請して、今日まできたわけです。今日の状態では、その審判の結果、この原因がどこにあったかという答えを待っている、こういう状況にあります。 そこで私は、特に法務大臣の忙しいときに時間をさいていただきましたのは、三月二十八日の朝日新聞に掲載されました、徳島地検の調べの中間発表がなされているわけです。ごらん願ったろうと思うのでありますが、その原因としてあげられているのは、この船が完全に浮揚されたのは、三月二十一日の午後四時です。それからこの新聞の報道が真なりとすれば、二十日から三日間、地検の方が調べられて、そうしてその原因は、「海運局から出されている運航上の注意書を無視」している、そうして「荒天時には海水の侵入を防ぐ水密トビラを完全に閉めなければならないことになっているのにこれを怠っていたこと」、それから、この船は空船の時はローリングがひどいので、特に風が強いとき等は慎重にこの点については扱わなければならないという注意書を渡しておったにもかかわらず、遭難当時は貨客と燃料をあわせても十一トン余しか積んでいない空船に近い状態で、この悪天候の中を航海したということは、つまり言いかえると、船員の責任である、こういうふうな結論に落ちついた中間発表がなされている。こういう記事が出ておりますが、これが今の徳島地検で調べているほんとうのことであるのか、また新聞が聞き誤まりをして、こういう報道をしたのか、その辺のところがおわかりであれば、この機会に責任ある立場から真相をお聞かせ願いたい、このように思います。このことを私が尋ねるのは、新聞記事はよく国会審議の際に問題になるのですが、誤まり伝えられることもありまするし、またほんとうのこともある。誤まり伝えられた場合には、関係する諸般の問題について影響を及ぼすこときわめて甚大でありますから、法務大臣からその真相を伺いたい、このように思います。
○国務大臣(唐澤俊樹君) ただいま松浦委員から御指摘のありましたその当日、徳島地検で報道関係者に、浮揚して参りました南海丸の船内の状況を検証いたしました結果について発表いたした事実はございます。しかし、取り調べてみましたところ、その発表は、船内の構造、たとえば操舵室とか汽罐室の状況とか、そういうような船内の構造その他の客観的な事実だけを、検証の結果明らかになりました部分を発表したものでございまして、今御指摘の新聞にありまするような沈没の原因がどうであった、海運局の運航注意書を無視して航行したためであるというような見解は、絶対に申し述べていないということでございます。どうぞさよう御承知を願います。
○松浦清一君 それでよくわかりました。その辺のところはそれでけっこうであります。 それから従来われわれ船の方の関係にある者は、この種の事件については、海難審判の方を刑事裁判より先にやってもらいたい、こういうことをしばしば言うてきたのです。そのことはこういう事件、遭難が起りますと、直ちに刑事事件として、そう申し上げてははなはだ恐縮ですけれども、船の構造であるとか気象だとか航海上の問題だとかいうことについて、全くしろうとであられる検察当局が先に海難事件をいろいろ調べられて、そうして今の新聞の発表はこれは誤まりであるということがわかりましたからそれでけっこうですが、結論として出てくる海難審判の結果と違う報道をされたりするということは、はなはだ困る。もう一つは、基本的にいえば、刑事裁判にかけられて、そうして刑法上の罪に問われる、そうしてまたもう一つの方は海難審判にかけられる、そうして懲罰にかけられる、二重刑罰を受けなければならぬ、これも困ったことであるということは、年来の問題として今日残されておる。そこで、海難審判を刑事関係より先に扱うべきであるということは、いろいろの記録をお持ちでしょうけれども、明治二十六年以来、国会の中でも問題になってきましたし、それから、元の帝国議会、貴族院等においても刑法を改正して、そうして海難審判を先にやるべきだということがたびたび付帯決議もされており、それから昔のいわゆる司法大臣から逓信大臣にいろいろな通牒を出して、こういう問題についてその回答についても、まことにもっともである、これからは海難審判の方を先にやりましょう、こういうことが繰り返し、繰り返し注文され、それに対しての同意の書面が往復をされておる。このことは、やはり常識的に判断をして、検察当局は手をこまねいて見ておってもらいたい、こういうことではないのですが、とにかく、やはり専門的な立場から遭難の原因というものを探究するということが一番大切である。その原因がわかってから、果して乗組員が刑事事件として問われるに値するものであるかどうか、該当するかどうか、こういうことが問題になってくる。これはもう天下の常識だと思うのです。ところが、たまたま今まで問題の起るたびごとにこれは起ってきているのですけれども、検察当局がすぐに乗り込んでいって新聞にいろいろな中間発表をやって困る、こういうことなんです。ですから、お調べになったらわかりまする通り、明治二十六年の二月、逓信大臣から司法大臣あてに、そういう問題についての手紙が出されて、また二十六年の三月、司法大臣から逓信大臣あてに、その回答が出されておる。それから大正四年五月二十二日に、法務局長から各検事に対して、海難審判優先の通達が出されておる。それから昭和二十三年の七月に、やはり検務局長から検事総長、検事長、検事正等に対しても、岡山沖で沈没した女王丸の問題に関連して、やはりこの趣旨のことが伝達されておる。いろいろこの記録をべて参りますると、海難審判を先にやれ、こういうことが記録されているわけですね。国会においても、今申し上げましたようにたびたび、昭和十二年の衆議院における当時の司法大臣の答弁、それから昭和十二年の第七十一回の帝国議会における付帯決議、そういうものをあとで調べていただきますると全部わかりますから、あなたは、この問題に限定をしないで海難審判を優先的にやるべし、こういう見解をお持ちになって、その旨を関係先に御伝達を願いたい、質問と申しますよりも、従来の記録を再確認をしていただいて、さらにそれを強く連絡をしていただきたい、こういうことです。繰り返して申し上げますけれども、こういう事件が起りますと、それは死んだ遺族の人たちは非常に心配をしておる、その原因について知りたがっておる、早く調べなければならぬということは当然でありますから、検事局は黙っておりなさい、こういう意味ではありませんから、検事局はやってよろしい、やってよろしいが、あくまでも海難審判の経過というものを尊重される、こういう態度を堅持していただきたい、こういうことを申し上げておきます。私の申し上げたことに御異存があるかどうかを御答弁願えればそれでけっこうでございます。
○国務大臣(唐澤俊樹君) ただいまの御意見まことにごもっともと存じております。海難事件が起りますと、一方において海難審判があります。その調査が始まることはその通りでございますが、多くの人命に関しまする関係上、やはり刑事捜査の手続も並行して行われますので、これはどちらが先、どちらがあとということはございませんけれども、しかし、いよいよ事件を処理するという段階になりますれば、これはもう海難審判の方が先行しなければいけないことは理の当然だと思いますし、それから、ただいま御指摘の明治二十六年当時、司法大臣と逓信大臣が協議をしたこと、その他の御指摘のことは、今日も法務省でよくわかっております。それでいきたいと、こういうふうに考えておりますから、ただいま御意見のありましたことは、全部賛成でございます。これから先はそういうような方針で参りたいと考えております。
○松浦清一君 それで調べられる途中で、検察当局から変な中間発表だけは厳にこれはやらさないようにしていただくように、今御答弁になりましたようなほんとうのことと違う新聞発表をなされますと、船員の家族もやはり遺族ですから、あたかも、そうであるかないか調べてみなければわかりませんが、結果として新聞発表をなされたような結果に現われてきたとしても、もし間違ったことがあった場合は、船員の遺族に対してまことに気の毒です。その点はよくお含みの上で、変な中間発表をなさらぬように十分御善処を願います。
○国務大臣(唐澤俊樹君) 了承いたしました。
○理事(大倉精一君) ほかに御質疑あり一ませんか。 ちょっと速記とめて。 〔速記中止〕
○理事(大倉精一君) 速記を起して。 —————————————
○理事(大倉精一君) 次に、志免炭鉱に関する件を議題といたします。 御質疑の方は、順次御発言を願います。
○柴谷要君 参議院の予算委員会分科会における国鉄総裁の発言にからむ志免鉱業所問題について質問をいたしたいと思います。経営調査会の答申にある志免鉱業所の扱いについては、総裁は払い下げを前提に答弁しておられるようにわれわれは考えられるのですが、答申案の出た当時と今日の状態とは、およそ同一ではないと私ども考えられるのですが、国鉄としては、志免鉱業所が一億以上の黒字経営で手放すなどとはとうてい考えられない状況と思うのですが、国鉄の真意についてお伺いいたしたいと思います。
○説明員(十河信二君) 私はその際にも申し上げたかと思うのでありますが、国鉄は何さま膨大な輸送の業務を担当しております。輸送の業務で手一ぱいになっているところでありますから、できるだけすっきりとした経営にしていきたい、こういうふうに考えておりましたところ、ああいう答申案が出て参った。それでこれは何とか検討をする必要があると、こう考えまして検討を続けて参って今日に至っておるのであります。そのときも私は、自分としては今申し上げましたように、すっきりした形にしてもち屋はもち屋にまかせたい、こうは思っておるけれども、国鉄としてはまだ何ら決定していない、今検討中である、行政管理庁からの勧告もありますし、国鉄経営調査会の答申もありますので、これらの勧告や答申を尊重して十分検討することはわれわれの義務である、こう考えまして検討を続けております。昨日、この前お答えいたしましたように、委員会を作りまして、一体志免炭鉱をどうしたらいいのかということを根本的に検討してもらう学界、あるいは業界等の学識経験者にお願いいたしまして、昨日からその調査委員会がスタートいたしまして、目下検討してもらっておるところであります。まだ志免炭鉱をどうしたらいいか、切り放したらいいかどうかということのまだ結論は出ておりません現状であります。
○理事(大倉精一君) ただいま国鉄の方から十河総裁のほかに資材局長平出彬君が出席されております。御報告いたします。
○柴谷要君 総裁のただいまの御発言で、委員会が昨日発足されたという話でありますが、この委員会の性格はどういう性格の委員会でございますか、その点をお聞かせ願いたいと思うのです。
○説明員(十河信二君) 国鉄総裁の諮問機関でありますが、事柄が重要であります。あらかじめ監督官庁たる運輸大臣の御承認を得て設置したものであります。
○柴谷要君 総裁の諮問機間であるという性格は明らかになりましたが、大体調査委員会の規定を見ますというと、十名の構成をもって行われるということでございますが、この十名の委員の選出は大体どのようなところから御選出になりましたか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
○説明員(十河信二君) 委員は若干名となっておりますが、学界、業界あるいは国鉄経営調査会に関係しておられた方とか、あるいは公企業体の審議会に関係しておられた方とか、中には労働問題等にいろいろ関係して政府の機関にも参加しておられます方も入っておるような次第であります。
○柴谷要君 委員は若干名ということでありますけれども、国鉄当局のお考えになっておりますのは、委員数はおおむね十名程度とするというようなお考えであったようですが、どのような方が選出されておりますか、氏名を御発表いただきたいと思います。
○説明員(平出彬君) 青山秀三郎先生、この方は防衛庁の試験研究所長をされております。それから竹俣高敏先生ですが、この方は興銀の取締役をやっておられます。それから田口良明先生、これは石炭鉱業整備事業団の理事長をしておられます。それから天日先生でございますが、これは九州の鉱害復旧事業団の理事長をしておられます。それから坪内正吉先生ですが、この方は石炭鉱業整備事業団の九州支部長をしておられます。それから今井一男先生、これは前に仲裁裁定の方をやっておられました方でございます。それから黒沢清先生、これは横浜国立大学の教授をしておられまして、財産の再評価等の関係の仕事をしていただいておる方でございます。それから植村甲午郎先生、この方は石炭合理化審議会の会長をしておられる方でございます。以上八名でございます。
○柴谷要君 この委員会に総裁が諮問をなさろうといたしまする事項は、どういうものを諮問なさるお考えでありますか。
○説明員(十河信二君) ただいま諮問いたしております事項は、志免炭鉱をどうしたらいいか、根本的に検討していただきたい、その根本方針を検討していただきたい、こういう諮問をいたしております。
○柴谷要君 ばく然と志免炭鉱をどうしたらいいか、こういう御諮問のようでありますから、委員会としてはいろいろの意見が出てくると思うのですが、私は、想定で大へん恐縮でございますが、かりに国鉄所有のものとしていくべきだ、こういう結論が出た場合には、総裁のお考えはどのようにその結論に対して対処されるお考えでございましょうか。
○説明員(十河信二君) 結論の出ない前にかれこれ申し上げることは、私も非常に困難ではないかと思いますが、どういう結論が出るにしましても、私といたしましては、この委員会の審議結論を尊重して参りたい、こう考えております。
○柴谷要君 ただいま委員のメンバーを見まするというと、まことにりっぱな方々の委員構成のように思いますが、石炭関係の関係者の方が非常に多いようでありますし、ただ、われわれが一番心配しておりますのは、志免炭鉱に働いておりまする三千三百三十八名という全従業員、この従業員の気持はどういう機関を通じこの委員会に反映をするのか、また、そのような意思を代表されるような先生はどなたとお考えになっておられるか、その点を一つお聞かせ願いたいと思います。
○説明員(十河信二君) この委員会は、公正な立場に立って志免炭鉱をいかに措置すべきかということを研究していただくつもりでありますから、従って、労働組合とどういうつながりを持つかというようなことは、私としては考えておりません。
○柴谷要君 私は、労働組合とのつながりというようなことでなしに、国鉄が三千三百三十八人の志免鉱業所の職員というものをかかえておる、との職員の意思というものがどのようにあるべきか、また今日この職員がどういうふうな考え方をしておるかということを承知の上でないと、やはり問題はあとに残るのじゃないか、委員会がいかに譲渡すべきだという結論を出してみても、この職員の動向によっては、いろいろな面に支障を来たしてくるような感じがするわけなんです。で、この職員の動向について、国鉄当局はどのように一つ考えておられるか、この点を重ねてお伺いいたしたいと思う。
○説明員(十河信二君) これは前のどなたかの御質問の際にもお答えいたしたのでありますが、志免炭鉱の現状を申しますると、志免炭鉱はまだ千二百万トン前後の炭量が残っておるようになっておりますが、しかしながら、あそこは非常に断層が多くて掘りにくい所であります。今日の現状で参りますと、今日はおそらく最高の出炭量になっているのじゃないかと思われます。それで今後年々相当程度出炭量が減ってくるのじゃないか、これを補うためには、何とか新しい坑口を掘っていくというふうな施設をしなければいけないのじゃないか、そういうふうに考えまして、ただいま掘っております所は、主力は下層炭であります。そのもう一つ下に最下層炭があるという見当になっております。何とかしてこれを探鉱して、その下の炭も掘るようにしたい、こう思ってボーリングを入れてみたのでありますが、何さま非常なガスが噴き出しまして、とうてい掘る計画が今のところ立たないという状態であります。そういう状態でありますために、今日は五十万トンか五十一万トンぐらい出ておりますが、このまま進んでいきますと、年々少しずつ出炭量が減ってくるのじゃないか、そういうことが従業員に相当不安を与えておるような状態にあるのであります。それでありますから、今のところ新しく何か他の炭鉱を併合するとか、新しい炭鉱を買収するとかいうことをしなければ、三千数百人の人が従事しておる大きな炭鉱としては、だんだん規模が縮小していき、人減らしの必要が起ってくるのじゃないかというふうなことが絶えず従業員の不安の種になっておるように私は伝え聞いておるのであります。それで従業員の不安をできるだけ除去してやりたい、しかしながら、さっき申し上げましたように、国鉄は今後新しい投資をして他の炭鉱を買収するというふうなことは、これは困難じゃないかということで、そこで、その従業員の不安を何とかしてできるだけなくしてやりたいということで、先年来、少しずつ配置転換をやったのであります。去年は三百数十人配置転換をいたしました。けれども、配置転換をしてもなかなか満足な配置転換ができないのであります。そういう従業員の不安を除去し、従業員に安定して働いてもらうようにしたいというのが私の第一の念願であります。従って、今後これがどういうふうに処置されるにしましても、私は従業員の生活を安定させ、落ちついて、喜んで働いてもらえるようにするということが、私の根本の考えの一つであります。
○柴谷要君 大へん総裁が職員の将来のことについてお考えいただいておりますので、その点は従業員諸君も総裁の真意は了承して、かつ感謝していると思うのでありますが、不幸にこれが譲渡という形が出た場合に、実際に三千三百余の従業員が実は国鉄に残りたい、こういう立場をとった場合に、国鉄としてはどのようにお考えになるのでございましょうか。
○説明員(十河信二君) そういう点は今から申し上げることは困難かと思います。従業員の中にもいろいろな意見がありまして、最初は私どものところへもこのままずっと継続してもらいたいという声ばかり聞えてきたのであります。近ごろはそうでない声も聞えてくるのであります。このままでいけば、さっき申し上げるように、将来われわれの地位がどうなるかわからぬ、早く安定するように何か方策を立ててくれということを言ってきております。私は、炭鉱というようなこういう特殊の業務に従事しておる従業員としては無理からぬ心配である、でありますから、できるだけこれらの人に安定して満足して働いてもらえるようにしてやりたいというふうに考えておるということだけを申し上げておきたいと思います。
○柴谷要君 私は総裁に、まだこの調査委員会の結論が出ないうちにとやかく言ってどうこうするということでなくて、総裁が予算委員会で御答弁なすった中に、この当時は調査委員会とは言いませんが、委員会を作って早急にやりたい、その日にちはどのくらいかと言ったら、二週間ないし三週間ということを総裁が申されたということを聞いているのであります。さて結論が出たから、それからどうするかということでは、やはり総裁のお考えになっておるように早急にはいかないと思います。でありますから、調査委員会が、当然譲渡すべきであるとか、あるいは国鉄の所有として合理化すべきであるとか、いろいろな意見が今のところ想定されるわけですが、その想定の上に立って当局としては、重大な問題でありますから、職員の身分等についても、今のお言葉のように非常に心配されておりますがために、もしこれが全山国鉄に残るのだといったような場合に対する国鉄の処置も考えておかなければならぬでありましょうし、また一部の人は、譲渡された場合には山に残るのだ、しかし、大半の者は国鉄に残るのだという意思を表明された場合に、国鉄自体としてはどう処置されるつもりであるか、これらのことについては、すでにお考えがまとまっているというふうに私どもは聞いておるのですが、どうでございましょうか。これらのことについて、総裁の言われておりますように、確かに国鉄は輸送の第一線を守るのに、今日の要員事情からいっては、精一ぱいだ、それがために炭鉱業のようなものは専門家にまかした方がいい、との考え方は非常に、まあ総裁の考え方としては私ども何回か聞いておりますので、その真意はよくわかる。ただ問題として、たとえば、この山に働いておりまする三千数百の人たちが、山ごと一緒にまあ部外へ行くという場合に、受け入れ側としては、山になれた諸君をかかえることですから、これはまあ非常に条件としていいと思う。ところが、この職員が一緒についていかないということになったら、これはまあ譲渡を受ける炭鉱業者等においても非常に思惑はずれになるのではないかと、こういうようなことも考えられる。それからまあいろいろ炭鉱の経営の上においてはむずかしい問題が発生するでありましょう。深く掘り下げていけばガスが出るというようないろいろ問題があるでしょうが、これは国鉄が持っておってもしかり、また民間業者が持っておってもしかりだと思う。ここに働く職員は、人間は変りはない、こういうふうに考えますと、私は今日の経営の実態からいって、まあ九州の大手各社の一人当りの出炭量から見ますると、国鉄の出炭量がはるかに上回っておるということは、あなた方の統計ですっかり出ておる。しかも、こういう優良な炭鉱であり、かつ、カロリーの高い石炭でありますから、無理に総裁がお考えのような線で強く推し進めていかなくてもいいんじゃないかというのがこれは常識じゃないかと思う。ところが、ややもすると、こういうものは切り離して早く売ってしまった方がいいのだ、まあ事故も多いし、危険度も高いから、こうおっしゃっておりますけれども、このために国鉄が受けておる利益というものは大きなものがあると思う。それだけにまあ将来の問題をここで議論するのではありませんけれども、当面合理化が推進をし、しかも、日本全炭鉱業者の出炭量から見ますれば、一年当りの出炭量が一番国鉄が多い、高い、こういうことが統計的にも出ておる優秀な山を、そう急いで払い下げの方向に持っていくという点については、どうも納得いかない点がある。それのみか、どうもたくさんの炭鉱業者が国鉄に対して払い下げ申請をしているようであります。三井鉱山、九州中小炭鉱の代表、あるいは三菱、住友、上田、こういったような炭鉱業界においてはそうそうたる大資本のところでりっぱな方々から国鉄に払い下げの申請があるわけでありますが、こういうところに対して、一切の申請を返却しておる、申請を返却しておる、こういうことになっておりますが、返却ということは、たくさん出てきたから返却したのか、それとも国鉄はまだ態度がきまっておらないから返却をしたのか、将来まあ申請者には払い下げをしないという考え方で返却したのか、その点を一つお聞かせ願いたいと思う。
○説明員(十河信二君) 今お話の通り、幾つかの払い下げ申請が出ておりましたが、これらの申請者の間で、業界の良識として、こういういろんな方々から申請をしておるということは恥辱だ、われわれは、国鉄はまだ方針を決定していないというのに、こうやって大ぜいが競争をしてやるようなことは業界の良識に反する、われわれはこれを取り下げたいという話し合いがついたから、どうかこれを返してくれという申し出がありました。それで私はその申し出に従って返却した。またその後はもうそういうふうになっておりますから、こちらで方針のきまらないのに申請をされても困るというので、その後は一切申請を受け付けないということにいたしております。
○柴谷要君 先ほど私が申し上げた申請者の中に、三井あるいは九州地方の中小炭鉱、三菱、住友と、これらの四社については、ただいまの総裁の御趣旨の通りに、態度の決定しないうちにこういうものが出されては困るということを伝えたところが、快く引き下げた、だから、返してやったのだ、ところが、上田鉱業は最後までねばっておったというような話を聞くんですが、この点はいかがでしょう。
○説明員(十河信二君) 上田鉱業はそれらの人が取り下げをいたしましたあとで出願をして参りました。それで同様に返しておきました。
○柴谷要君 総裁にお尋ねするところも限界が来たようでありますが、志免鉱業所の職員に対する年度末手当は一般国鉄職員の手当よりもはるかにいい支給をしておるのですね。たとえば損益勘定、工事勘定の職員については〇・一、ところが、志免鉱業所の職員に対しては、非常に能率を上げたし、利益も大きいからというので〇・二五と倍以上も年度末手当を支給をしておる。このことは、実際に志免炭鉱は非常に黒字で全従業員が非常に働いてくれた、こういう意味で出しておると思うのですが、この給与の開きはどういう性格でお出しになりましたか、その点を一つ資材局長から。
○説明員(平出彬君) 志免鉱業所の期末手当につきましては、毎年いろいろ、これをどうするかということにつきまして問題がございましたが、二十八年に仲裁の指示がございましたので、大体その指示に沿いまして、目標の達成いかん、あるいは合理化の推進というのを考慮してこれをきめたということでございまして、実際問題といたしまして、民間の炭労方面の給与の実額等ともにらみ合せましてその支給を決定したのであります。在来、ここ二、三年前はあまり収支状況もよくないというようなことから考えまして、国鉄の一般の比率と比べましては若干低いところできめられておりましたが、炭労よりかやや上回ったという線できめられたのが実情でございます。今回に当りましては、大体炭労の支給実績、この線までは認めていきたい、こういう考え方で二千三百円という数字を出したのでございます。さらになお、いろいろの関係から、ただいまお話がありましたように、能率も相当上ったような実情から考えまして、報奨金として考えて、結果としてお話のあった通りの額になったものでございます。
○柴谷要君 ただいまの御答弁のように、明らかに志免鉱業所は非常に業績を上げた、国鉄のためには、黒字経営の上に予想以上のとにかく増産に励んでおる、そのために年度末手当等も国鉄一般職員から見ますと二倍半も多く支給すると、こういう事業場なんです。こういうところから考えてみますると、これを国鉄が経営しておっても決して不利益な事業場ではないということが明らかに言えると思う。そこで、総裁の真意といたしましては、常々言われておりますように、国鉄は輸送の第一線をになっていればいいんだ、こういう考え方と私ども少しく考え方は違っておりますが、国鉄が多くの石炭を使う場合に、どれを基準に石炭の購入価格を決定しようかといえば、いち早く志免鉱業の出炭の状態あるいは炭価の状態、こういうものからきまってくると思う。こういうものが全然なくなってしまうと、さて、民間の経営者なり、その他の意向に左右される懸念なしとしない、そういうためにも、私は今日の情勢の中から、どうか一つ、本旨は本旨であっても、そのような、国鉄が将来経営する上においては大事な一つのめどとなるような事業体を、そう軽々しく他に譲渡するというような方向に推し進めることについては、一つ慎重に行動をしてもらいたい、こういうことを最後に希望して私の質問を終ります。
○成田一郎君 関連して。今の志免鉱業所の問題ですが、きのう発足した委員会では、いつごろまでに結論を出されるように大体予定されておりますか。
○説明員(十河信二君) 先刻申し上げましたように、私としては、なるべく早く従業員の不安を除去してやりたい、従って、なるべく早く結論を出してもらいたい、こう考えておりますが、しかしながら、事重要でありますから、慎重に審議をしていただいて、いつまでに結論を出してもらいたいというふうなことは申し上げておりません。まだ委員会も出発したばかりでありますから、いつごろ結論が出ますかということは、ちょっと今のところまだ判断いたしかねております。
○成田一郎君 先ほどの総裁のお答えでは、これは先のことでありますが、国鉄としてこの問題に対してどういう考え、どういう態度をもっておるかということのお尋ねがあった際に、総裁からは、今その時期ではない、これはごもっともだと思います。今言えることは、委員会の決定を尊重する、こういうお答えのようでありました。ということは、委員会がどちらの決定になっても従う、要するに国鉄としては白紙である、引き続いて国鉄としてこれを持たなければならぬというふうにも考えていないし、またぜひ払い下げなければならぬというふうにも考えていない、きわめて自由な立場で委員会の意見を尊重して、なるべくその線に沿ってきめたいというようなふうに受け取れるのですが、そういうふうにこの際は承知しておってよろしいのですか。
○説明員(十河信二君) さように存じますが、昨日も委員会で議論が出ました一つは、国の計画といたしまして、今後石炭を大いに増産をしていかにゃならぬ、従って、炭鉱を合理的に統合していくというふうな方針を立てておるということを、きのうもそういう議論も出ております。どういうふうに結論が出るか私は存じませんが、私はどういうふうに結論が出ましても、その結論を尊重して処置していきたい、もちろん、これには監督官庁、政府の認可が要るのでありますから、慎重にやっていきたいと考えております。
○相澤重明君 総裁に、先ほど柴谷委員の御質問の中でお答えになったことで一つ二つ聞いておきたいと思うのですが、いろいろ志免炭鉱について払い下げを希望する会社が今まで申請書を出しておったが、それを業界のお互いの話し合いによって取り下げることにした。国鉄もお返しをした。それはいつごろなんですか。日付はいつですか。
○説明員(平出彬君) 四社からありました申請を払い下げましたのは、三十二年の二月でございます。
○相澤重明君 三十二年の二月に四社の払い下げ申請書をお返ししたあとの上田鉱業については、いつお返ししたのですか。
○説明員(平出彬君) その後に申請がございましたので、返却したのは三十二年の五月でございます。
○相澤重明君 総裁にお尋ねをしておきたいと思うのですが、本参議院の運輸委員会においても、志免炭鉱の問題が出るというと、いつもこのことは議論の焦点になる。これは今年に入ってばかりではありません。昨年からもそういうことになっております。一昨年もそういう議論がありました。今のお話を聞いていると、少くとも四社については、三十二年の二月に、いわゆる業界の方がむしろ不見識だということで取り下げたいというお話があった。こういうような事情の中に、一体総裁が確固たる信念をもってどういうふうにやっていくかということについては、これはかなり研究を私は積まれたと思う。ところが、あなたが運輸委員会に出てきての答弁が、やはり何か払い下げるような払い下げないような、全くどっちの相手だかわからない、両岸のような印象を持った答弁をされておるから、いつまでたっても問題の本質がきまらない、こういうふうな印象を受ける。これはやっぱり私は、いつも運輸委員会としての立場でものを議論するときに、もっと国鉄自体の自主性というものがあっていいのじゃないか。あなたは総裁として国鉄をまかされているのだから、総裁として、国鉄はどうあるべきかということを考えた方針というものがなくてはいけないのじゃないか、こういうふうに思うのだが、その点については一体どうなんですか、あなたの一つ所信を伺っておかなければいかぬと思うのです。
○説明員(十河信二君) 私はこの国会で御質問のあるつど、同じようにお答えをしておるのであります。私といたしましては、輸送業務に専念しておっても、国民の皆さんは御満足を与えるようなことができないので、始終恐縮いたしておるような次第であります。炭鉱という仕事は、われわれの輸送の業務とかけ離れた特別の業務であります。私自身も知識がありませんし、本社にも、炭鉱に関して知識経験を持っておる者もあまりおりません。ことにこの炭鉱は、先刻も申し上げますように、非常に断層が多くて、そうしてガスが多くて、以前たしか一、二度ガス爆発させたりなんかした事故が起りまた。なるべく、私としては、そういうすっきりした形態にしたい、こう思っておりますけれども、これは重大な問題でありますから、私自身の一個の意見でもって決定するということはよろしくない、慎重の上にも慎重に検討してきめたい、こう考えまして、学界、業界等の学識経験者にお願いをいたしまして、どうすればよろしいかということを今せっかく審議していただいておるところでありますから、今日は、今申し上げましたようなお答えの程度でお許しを願いたいということを申し上げておる次第であります。
○相澤重明君 まあ総裁のその誠心こもる言葉はわかる。わかるが、それじゃあなたに指摘しておかなければいけないと思うのは、三十二年度に国鉄の一割三分の運賃の値上げをして、そうして輸送力の増強をはかると言ったけれども、一体これが完遂できたのかどうか、こういうことについても、私はかなりの疑問を持ってる。しかも、三十三年度の国鉄の予算を見ていけば、やはり輸送力の増強についても、三十二年度よりは若干下回る計画というものが考えられるというようなことを、われわれは三十三年度の予算の審議の際にも追及しておるわけです。ただ第三者の意見、学識経験者、学者の意見というものを聞いて慎重にものを判断していきたいということは、まことに表面的には私はけっこうなことだと思う。その通りだと思う。しかし、実際に国鉄に対する、これからの輸送力隘路を打開していくという大きな目標に向っていく場合には、かなりの私は困難が伴うと思う。その困難なことを切り開いていくには、あなた自身が、私は、やはり確固たる信念を持ってもらわない限りは、右から言われた、左から言われたということで考えられたんでは、これは、国鉄の重大な使命というものを遂行することができない、こういう点心配するわけです。あなたの答弁を聞いておると、今度は総裁もだいぶよくなって、一生懸命やると、こう思うんだけど、どうもほかの話を聞いてみると、これはまた総裁よろめいちゃいないかという気になる、これでは私は困る。従って、東海道線の新線のことも考えなきゃならぬだろうし、全般的な電化の問題も考えていく、よく仕事もできておる、こう言っておるけれども、やっぱり何といっても、さっきから柴谷委員の言われるように、国鉄としては石炭を使うという量は非常に多い。なるほど、この一貫的な国内の石炭産業に対する統一的な方針というものは、もちろん政府なり、国会としても重大な関心を持って、将来こういうものを作っていかなきゃならぬだろうけれども、国鉄の今の当面の問題のこれだけを、あれは本来の輸送の筋だけの問題でなくて、傍系の石炭を掘る問題であるから、あれはできるならばこの際あまり心配のないように切り離してしまいたいというようなことは、これはちょっと総裁の頭ピントが狂ってるんじゃないか、こういうことを僕は率直に言いたい。そこで、総裁にさっきから言うように、何といっても輸送力を確保するには、あらゆる点で、資材にしろ、材料にしろ、やはり総合的な計画性がなければこれはできないんです。そういう中で、去年も、率直に言って、いわゆる新線問題を初め、輸送力の漸増等のあらゆる問題について、資材購入の点についてもどうか、見通しはいいか、と言ったところ、見通しはいい、材料が上る見通しはないと、こう言っていながら、実際には、結果論としてはあまりよくなかった、こういうことを僕らが、今経過報告を聞きつつ、この新しい年度に対する志免炭鉱問題の再燃したことを考えると、私は、もっと総裁に一つ自主性の上に がくっと一つ来ないように、腹据えてやってもらいたい。これが、あなたのさっきの誠意ある答弁というものをそういうふうに私は理解していきたいんだけれども、そのように理解をしていいかどうかということを一つ、再度お答えをいただきたいと思う。
○説明員(十河信二君) いろいろ御注意ありがとうございます。私は腹を据えてやります。今日までは、いろいろ予算に予定したところと実際が狂って参っておりますが、これはどうも、幾ら私が腹を据えてやっても、世の中の、社会経済の情勢の動きに非常に大きく影響されるのでありますから、これは一つごかんべんを願いたいと存じます。御注意はまさにいただきました。腹を据えてやりますから、どうぞ御安心下さい。
○岩間正男君 時間ないから、私は一点だけお聞きしたいんです。総裁の方針を聞きますと、国鉄はいろいろ兼業すべきじゃない、輸送一本でいきたい、こういうようなことで、この、まあ親子の関係にあった炭鉱を切り離そうと、こういうような考えもちらちら動いているようなことをお聞きしたわけですが、私は、この問題を決定するにもう一つ重要な問題があるんじゃないか。それは、そういうような方針を貫かれること、これはけっこうな面もありましょう。しかし、国鉄の経営一つ見ますと、なかなかやっぱり兼業的なものをやってるわけですね、現状で。それから、ことにトラック輸送の問題なんかをもっと拡充するということになる、これは、炭鉱との関係を考えるというと、資材という面から、もっと炭鉱の方が密接かもしらぬ。まあ、今ここでいろいろ具体的に指摘する例をあげませんけれども、そういう面で兼業をやっておるんですから、そういうものが整理されて輸送一本になっているかというと、これは怪しいと思う。そういう問題はしばらく置くとして、国民の聞きたいことは、こういうことです。この問題について、一体最近志免炭鉱の経営というものは赤字なのか、黒字なのか、もし黒字だとすれば、なぜ一方では非常に国鉄の経営が著しくなっている、そうして赤字を出して、昨年は一三%の運賃値上げを国民の反対を押し切ってやらざるを得なかった、そういう経営をやっている国鉄が、なぜ黒字の炭鉱を切り離さなけりゃならないのか、これはだれでもやはり内容を詳しく、技術的には知らない国民としては、だれでも疑問なきを得ない問題なんです。私はその点でお聞きしたいんですが、最近の志免炭鉱の経営状態をちょっと話していただきたい。どうです、どういうことになっているんですか。三十二年度、三十一年度、これはどうです。
○説明員(平出彬君) 志免の収支状況につきましては、二十八−二十九年度は、大体一億円ほどの収支の差損という形でございました。三十年度におきましても、約数千万円のやはり差損だったと思います。三十一年度におきましては、約一億四千万円ほどの差益が計上されております。三十二年度におきましては、大体二億五、六千万円の、あるいはちょっとそれを上回るかと思いますけれども、差益が一応出る計算になっております。これはちょっと御説明申し上げないといかぬと思うのでありますが、一応炭鉱経費の方は差損でございまして、一応大手筋の標準炭価を基礎としまして、それを収入に置きまして、それに見合う支出を計上いたしておるのでございますが、ただ経営的に見ますると、いろいろ資産の評価の問題とか、あるいは鉱害賠償の、将来の予測される賠償額についての問題だとか、あるいはまた一般の炭鉱では、最盛期においては次の開発の準備に相当命を食うわけでございます。そういったものは、この経理の性質上、将来のものについては経費を計上いたしておりませんので、非常にこの点は専門的にも研究を要する問題だと思うのでございますが、その差益だけで経営が赤字であるか黒字であるかということは言い切れない点があると思いますが、最近炭価の上昇と能率の上昇によりまして、好転してきたことは事実でございます。
○岩間正男君 あとの方の説明は不明瞭ですけれども、とにかく、われわれもこういう報告をもらっておる、監査報告書、この中で見ますというと、今おっしゃったように、三十一年度一億四千万円、三十二年度二億五千万円ですか、上昇線にあるんですね。これをもっと近代化してやるために金が要るだろう、だから、非常にめんどうくさいということになるかもしれませんけれども、しかし、黒字を出しているこういうものを切る、そうして赤字経営の国鉄がこういうことを強行しなくちゃならないということは、どうも、単に総裁が今言われた一本化ということだけではないような気がする。どうも不安を感ずるんですが、これはどうなんです。われわれ今の志免炭鉱の払い下げの問題で、これは政治的な背景などについてちらちら耳に入っているんですが、そういうことは何もないんですか、これはどういうんですか。
○説明員(十河信二君) 世間でいろいろ言われておるようなことは、私としては全然関係ないと思うのであります。そういうことはないと存じます。 それから、赤字とか黒字とかいうことは、これは今資材局長からも説明がありましたように、炭況によって大きく支配され、また一般の炭鉱業者のやっておりますような償却をやってない、あるいは鉱害に対する補償の積み立てとかいうようなことをやっていないとか、それから新しい坑口を開設するということは当然なすべきことである、この事業を継続していく限りは。これがないというようなことが、従業員の非常な努力、また経営の合理化ということと相待って今のような黒字になっておるのであります。しかしながら、これが三年先に五、六万トン規模を縮少しなければならぬというような今立場に追い込まれておるのでありますから、そうなってくると、これはまたどうなるかということがわからないのであります。そういうことをわれわれしろうとが、交通にのみ従事してきた者がそういうことを判断しては、これは国に、国民に御迷惑をかけることになりはしないか、それゆえに私は慎重にその道の権威者にお願いして慎重審議してもらって、どういうふうに処置したらよろしいものかということを結論を出していただきたいということで、ただいまその調査会が進んでおるような次第であります。
○岩間正男君 それはけっこうです。専門家に調査を依頼して、そうして委員会の結論を待つと、それから判断をする、これは非常にけっこうだと思うのです。しかし、構成については、先ほど柴谷君からお話がありましたように、やはり専門家といいましても、経営の面、これが非常に重要でありましよう。それから学術的な専門的な検討も必要でありましょう。もう一つは、まだ必要なのは、ここで働いておる現実の労働者の一体意向はどうなのか、これはいろいろあるんだというお話ですが、これは最近こういうことをお聞きになりましてそういうことを調査されるとか、積極的に従業員、ここで働いておる三千人以上の、何年間もこの炭鉱を愛してやってきたこういう労働者の意見というものをもっと徴する方法をお考えにならないですか。それから私は、やはりどうも国鉄総裁は、都合のいいときは規子関係だ、国鉄職員とは切っても切れないと、こういう問題になるとすっかり経営者になって、実に冷たい経営者になって、労働者なんかお前ら口を入れるな、おれたちがやる、非常に高踏な政策で自分たちが、労働者なんかよけいなこと言うな、越権だと言わぬばかりのことを、それはおっしゃいません、おっしゃいませんが、やっていることはそうです。これではやはり親子関係というものはふっ飛んでしまう。都合のいいときだけ親子関係では困る。そういうような従属関係においては親子だと言った方が都合がいいということで、そうでないときは少しもこういうような意見をお聞き入れにならない。終始一貫してないと思う。私はこういう点で、この意見を十分に徴する、なるほど経営者たちの意見もいいでしょうが、実際炭鉱に働いておる主体は労働者です。この意見というものをもっと徴するという点は積極的であってもいいのではないか、そしてほんとうに親子関係というものを貫いてみせていいと思うのです。いかがですか。
○説明員(十河信二君) 私は終始一貫、私の部下、従業員に対して、親の子に対するような愛情を持って臨みたい。もちろん、私不完全な人間でありますから、皆さんからごらんになって、不十分な点が多々あると思いますが、私自身は、極力、四十五万を自分の家族のように考えて仕事をやって参っておるつもりであります。この志免炭鉱につきましても、行政管理庁からそういう勧告があり、経営調査会からそういう答申があったにかかわらず、従業員の中に反対の意見を持っておる者が多数あったものですから、私は今日まで慎重にずっと見てきておったのであります。ところが、最近に至って、従業員の中にも、相当、早くきめてほしい、このままではわれわれは不安でたまらないという声が出てきておりますから、それゆえに、私は一日も早くこの従業員の不安を除去してやりたい、そうしないと、こういう不安の中に働いておる人に、ほんとうに事故なんというものが起ってきちゃ大へんだ、こう考えまして、私は、できるだけ早く結論を出していただきたいということを委員会にもお願いしておるような次第でありまして、私は断じて都合のいいときには部下諸君を子供のように言うが、都合の悪いときには捨てて顧みないというふうな態度は断じてとらないつもりであります。その点は御了承を願いたいと思います。
○岩間正男君 総裁の確信に満ちた信念を承わって非常に喜んでおるわけなんですが、ただ親子の関係といいましても、最近は非常に変って参りまして、(笑声)子供ははっきり見識を持っておるのですから、総裁の愛情はわかりますが、その愛情をもっともっと、ほんとうに現実に即応して、労働者の意見を十分にお聞きになる、こういう点をもっともっとやはり私は加えていただきたいと思うのです。それは最近、今まで反対していたが、最近少し変ってきたというのは、やっぱり上の方がふらついている、よろめいている、これはやっぱり子の方に伝わったのだろうと思いますが、こういう問題は、やはりもっと明確に、しかも、ほうとうに労働者のそういう要求、一つの基本的な権利、そういうものをもっと尊重する立場に立ってこの問題を解決してやって下さい。そうでないと、さっきも柴谷君が述べましたけれども、上だけで決定したが、最後の段階になったら、うまくいかなかったということではこれはまずいです。そういうことをまさかなさる総裁とは思いませんので、その点を私は特に要望しておきます。
○理事(大倉精一君) ほかに御発言ございませんか。 本日は、これをもって散会いたします。 午前十一時五十八分散会