予算委員会第三分科会 第1号
- 発言数
- 204 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1958/02/13
会議録
○八木主査 これより会議を開きます。 私が第三分科会の主査の職務を行うことに相なりました。未熟なものでございますが、よろしく御協力、お引き回しをお願いいたします。 本分科会は、昭和三十三年度一般会計予算中経済企画庁、農林省及び通商産業省所管、同特別会計予算中、農林省及び通商産業省所管について審査を行うことになっております。 なお、予算委員会理事会の申し合せによりまして、分科会は本十三日より十四、十五、十七日の四日間開会することになっておりますので、本分科会といたしましては、お手元にお配りいたしております通りおおむねこの日程表に従って審査を進めて参りたいと存じます。 なお、質疑の御通告または資料の御要求はあらかじめ前もってお申し出を願いたいと思いますので、御了承を願います。 それではまず昭和三十三年度一般会計予算、同特別会計予算中農林省所管について説明を聴取いたします。赤城農林大臣。
○赤城国務大臣 昭和三十三年度農林関係予算案についてその概要を御説明申し上げます。 まず、一般会計における農林関係予算案の総体について申し上げます。 農林省所管合計といたしましては、八百三十億九千七百万円となっております。これに総理府所管の北海道関係公共事業費八十一億九千万円、離島振興関係経費十二億二千九百万円及び原子力平和利用等に要する経費一億一千三百万円、労働省所管の農林関係公共事業費一億五千万円、建設省所管の農林関係営繕費六千万円、大蔵省所管の小団地等土地改良事業助成基金出資金六十五億円並びに文部省所管の麦製品学校給食費十四億八千万円を加えました農林関係予算合計は、一千八億二千万円となり、金額において前年度に対し百十三億一千五百万円の増となっております。 かように関係予算におきまして増額を見ましたおもなものは、小団地等土地改良事業助成基金出資金において六十五億円、災害復旧事業費を除く公共事業費において三十一億七千五百万円、酪農振興基金及び牛乳乳製品学校給食費において十二億円、食糧管理特別会計農産物等安定勘定繰り入れにおいて十億円、新農山漁村建設特別助成において四億七千六百万円、農業保険費において三億二千八百万円、人件費において七億七百万円等であります。 この反面減額になったおもなものは、災害復旧事業費において十八億九千七百万円、農業改良資金造成費補助金で二億三千三百万円、農林漁業協同組合連合会整備促進に要する経費において一億二千八百万円等であります。 次に本予算案編成の重点について申し上げます。 第一に、農業生産基盤の強化に関する経費についてであります。土地改良事業、開拓事業等の農業生産基盤の強化に要する経費といたしまして三百三億五千三百万円を計上いたしました。まず、特定土地改良工事特別会計につきましては、国費五十四億五千六百万円、借入金十八億円を計上し、七カ年完成の目標のもとにその事業の拡大と計画的実施を、はかることといたしました。このらち、灌漑排水事業につきましては、十六億八千四百万円、うち国費十一億四百万円を計上いたしまして、継続実施中の四地区については既定計画に基いて事業の推進をはかり、従来一般会計で継続実施中の三地区を新たに特別会計事業として事業の計画的促進をはかり、さらに新規四地区に着工いたすことといたしました。干拓事業につきましては、五十三億九千九百万円、うち国費四十三億五千二百万円を計上いたしまして、八郎潟その他継続実施中の七十四地区について既定計画のもとに事業を実施するとともに、さらに新規二地区に着工することといたしました。なお、三十三年度において、三地区、二工区の完成を予定いたしております。また全体設計実施地区として、新たに灌漑排水五地区、干拓二地区を採択することといたしました。 次に、一般会計において実施しております国営、都道府県営灌漑排水事業等大規模事業につきましては、継続事業について八十六億八千八百万円を計上して残事業量の圧縮に努めますとともに、団体営の灌漑排水事業、耕地整備事業等小規模事業につきましても三十九億六千三百万円を計上し、畑地灌漑事業を拡充するほか、特に明年度からは非補助融資事業に格段の意を用いることとし、このため新たに同事業の指導体制を整備してその伸長に遺憾のないようにするとともに事業資金を六十億円とし、また農林漁業金融公庫に小団地等土地改良事業助成基金六十五億円を新設して貸付利子の軽減をはかることといたしました。 次に、愛知用水事業につきまして、国費十五億円、借入金等七十六億四千六百万円を計上、また篠津泥炭地開発事業につきましては国費九億一百万円を計上、それぞれ既定計画に基く目標の達成に努めております。 開拓事業につきましては、これが刷新強化をはかるため、国費六十七億一百万円を計上し、次の施策を講ずることといたしました。まず新規開拓事業につきましては、建設工事を促進し、機械開墾方式の導入を行うとともに、三十三年度二千五百戸と予定しております新規入植社に対しましては、従来の営農類型を改訂いたしまして、貸付金の大幅増額を行い、営農の早期確立をはかることといたしました。また、市町村単位に樹立される総合開発計画に基いて実施される地元増反事業に対しまして、新たに補助を行う道を開きました。 次に、営農不振の既入植地に対しましては、開拓営農振興臨時措置法に基き、建設工事の促進をはかるほか、旧債の借りかえとこれに伴う利子補給及び十六億二千五百万円の営農振興資金の貸付等の措置をとり、開拓地の営農指導の充実強化と相待って計画的にこれが振興を推進することといたしました。 また、農地開発機械公団の保有する機械による大規模機械開墾につきましては、上北、根釧地区の事業の推進をはかるほか、新たに床丹第一地区及び北岩手地区に着工することとし、さらに国営干拓事業において使用する機械につきましても一部を同公団において供給することといたしました。 土地改良開発に関する調査計画につきましては、三億九千一百万円を計上し、その拡充をはかることといたしました。すなわち、土地改良につきましては、新規に内地二地区、北海道九地区を調査することとし、また畑地改良事業の振興に備えまして新たに深層地下水調査を行うことといたしました。干拓につきましては、新規三地区を加え、開墾につきましては、開拓事業刷新の方針のもとに、特定地域大規模開発と市町村総合開発の二大別とし、前者は新規五地区を加え、後者は初年度として四十五カ町村において行うことといたしております。 防災事業につきましては、十二億六千三百万円を計上いたしまして、その計画的実施をはかることとし、特に地すべり対策事業の重点的実施をはかることといたしました。 次に、農地対策の強化につきましては、自作農維持創設資金を七十五億円に増額いたすとともに、農地法の的確な運用をはかるための経費を計上いたしました。 なお以上のほか、災害復旧事業費として五十九億二千二百万円を計上いたしまして、過年災について極力残事業の解消に努め、二十九年災及び三十年災については三十三年度において完了いたすこととなりました。 第二に畑作振興対策に要する経費についてでであります。まず畑作技術の後進性を打破するために畑作関係普及事業を充実することといたしましたが、特に明年度から園芸、畜産、機械化関係特技普及員を設置することといたし、これがため十億四千二百万円を計上いたしました。 次に畑作関係耕種改善事業につきましては、従前の諸施策に加えて新たに園芸等振興調査会の設置、園芸技術者養成施設の整備等園芸振興対策を強化いたすこととし、これらに必要な経費三億三千七百万円を計上いたしております。 畑作振興対策は地域的特殊性を考慮した立地条件に応ずる施策が必要でありますので、寒冷地帯に対しましては、前年度に引き続き四億七千万円を計上し、家畜及び大型機械の国有貸付による導入をはかるほか、北海道については、新たに地域別に営農の目標を定め農林漁業金融公庫から営農改善資金七億円を融通することといたしました。 畑作物はその性質上特に流通の合理化及び価格の安定をはかる必要がありますので、農産物価格安定制度の適切な実施をはかるため、食糧管理特別会計農産物等安定勘定への繰り入れに要する経費四億五千万円を計上いたしました。 第三に畜産振興対策に要する経費についてであります。まず家畜の改良増殖及び衛生対策につきましては、六億七千五百万円を計上し、従前の施策に加えて、新たに国立の種畜牧場の整備強化に着手するとともに、都道府県の家畜保健衛生所の整備拡充を助成することといたしております。 次に家畜の導入についてでありますが、別途寒冷地帯を対象とする家畜の国有貸付事業を実施するほか、一億二千万円を計上し、有畜農家創設事業及び畜産による中小農振興対策による家畜の導入並びに世界銀行資金による乳牛の導入を実施して参る所存であります。 飼料対策につきましては、草地改良に必要な経費一億七千五百万円を計上し、従前の草地改良展示施設に大規模の放牧利用模範施設を加えるとともに、高度集約牧野につき新たに四千六百町歩の造成改良事業を実施することといたしましたほか、畑作地帯におけるカンショを中心とした飼料自給化普及研修事業を行うことといたしております。 以上のほか、農家の購入飼料につきましては、飼料需給安定法の適切な実施をはかるため、食糧管理特別会計農産物等安定勘定に五億五千万円の繰り入れを行うことといたしました。 牛乳、乳製品の需要増進と価格安定につきましては、酪農振興基金を新設するために政府出資五億円及び飲用乳等の学校給食の助成のために七億円をそれぞれ計上いたしますほか、牛乳の流通改善に資するため新たに九百万円を計上し、乳質改善事業を実施して参ることといたしております。 農民の畜産に関する技術の向上対策につきましては、すでに申し述べました通り農業改良普及事業における畜産部門の強化をはかりますほか、三千六百万円を計上し、畜産技術及び経営診断事業を引き続き実施いたしますとともに、新たに畜産技術講習施設の拡充を行うことといたしました。 第四に蚕糸業振興対策に要する経費であります。まず生糸の流通及び需給対策につきましては、繭糸価格安定制度の充実をはかるため生糸保管株式会社に対し、三千万円の政府出資を新たに行いますとともに、別途糸価安定特別会計の買い入れ資金ワクを二十億円拡充することといたしております。 次に生糸の需要増進につきましては、九千万円を計上し、従前の米国における消費宣伝事業及び市場調査を一そう強化拡充して参る所存であります。 以上の諸施策のほか、前年度に引き続き技術改良対策及び桑園能率増進対策を講ずることといたしておりますが、特に蚕業技術の改良普及を促進するため、二億八千七百万円を計上し、蚕業技術普及員の設置に対する助成を強化することといたしました。 第五に森林資源の開発育成に要する経費についてであります。まず林野公共事業費につきましては、治山事業費に四十二億七千四百万円、造林事業費に二十九億五千四百万円、林道事業費に森林開発公団補助を含めて二十二億二千万円を計上いたしております。 これらのうち治山事業につきましては、予防的治山事業、特に地すべり防止事業を強化することといたしており、造林事業につきましては、林種転換を主とした拡大造林に重点をおき、林道事業につきましては、奥地林開発を中心に林道網の整備をはかることといたしました。なお、以上のほか林業関係の災害復旧事業費等に四億三千六百万円を計上いたしております。 次に林業振興に要する経費につきましては、十億七千四百万円を計上し、従前の諸施策を強化することといたしておりますが、このうち、林業普及事業につきましては、地区制の整備と機動力の強化をはかることとし、林木品種改良事業につきましては都道府県の事業に対する助成の強化並びに国有林野事業との協力による林木育種場の増設を予定いたしましたほか、新たに、木炭生産指導の強化をはかることといたしております。 第六に水産振興対策に要する経費についてであります。まず漁港施設の整備拡充につきましては、漁港整備計画に基く修築事業の早期完成をはかるため、三十六億九千五百万円を計上いたし、継続三百七十七港、うち完了予定は三十七港でありますが、この整備事業を実施するとともに、局部改良及び区域内の保全施設の拡充をはかることといたしましたほか、新たに完了予定港数と同程度の新規着工を予定いたしております。なお、このほか災害復旧事業費等に十億七千五百万円を計上いたしております。 次に沿岸漁業の振興につきましては、三億一千七百万円を計上し水産増殖その他沿岸漁業振興対策事業の拡充と技術普及員の増員及び漁場の集約的利用調査の拡大実施等による技術改良事業の強化をはかりますほか、漁業共済制度試験実施の拡充のため、二千八百万円及び共済金支払い財源の不足に備えるため新たに国庫債務負担行為一億円を計上いたしております。なお、これらの諸施策にあわせて、漁業制度に関する全般的検討を行うことを目的として漁業制度調査会を新設することといたしました。 沖合及び遠洋漁業の振興につきましては、従前の諸施策のほか、新たに東南アジア等海外漁業に対するわが国の組織的協力体制の確立を期することといたしております。 水産物の流通改善及び販路の拡大につきましては、特に魚獲が季節的に一時に集中する多獲魚について、漁業協同組合の系統利用事業の促進と出荷の自主的調整について指導の強化をはかることといたしました。 第七に、農林水産関係試験研究、改良普及及び統計調査に要する経費についてであります。まず、試験研究につきましては、二十億六千二百万円を計上いたし、これが推進強化をはかることといたしました。すなわち、北海道、九州の地域農試に畑作部を、関東東山番域農試に畑作総合試験地をそれぞれ設置する等畑作関係試験研究を強化いたしますとともに、新たに土地利用の高度化及び九州地方における防災営農方式確立のための調査研究を行うこととしました。また、試験研究の効率化のため、蚕糸試験場機構の改編整備及び地域農試等試験研究施設の整備を行いますほか、原子力の平和利用による試験研究の推進をはかることといたしました。 次に、農林水産関係技術普及事業につきましては、さきに御説明申し上げました通り、農業改良特技普及員、生活改善普及員、開拓営農指導員及び水産業技術普及員の増員等により技術指導の充実向上をはかることといたしましたほか、農業改良地区普及所の強化、植物防疫における実験予察方式の導入 による発生予察事業の整備等に必要な経費として十一億九千六百万円を計上いたしました。 また、農林水産関係統計調査につきましては十億六千三百万円を計上し、新たに畑作振興対策の要請に応ずるための臨時畑作調査、沿岸漁業振興施策の確立に資するための沿岸漁業対策臨時調査、その他農山漁家就業動向調査、肉豚供給予察調査等を実施いたしますとともに、出張所の機動力を強化する等農林統計調査における能率の増進と精度の向上をはかることといたしました。 第八に、農林水産業諸団体の活動促進に要する経費についてであります。まず、農業委員会の関係におきましては、その組織及び活動を維持するに必要な経費十億三千四百万円を計上いたしましたが、特に都道府県農業会議の活動の充実を期することといたしました。 次に、農林水産業協同組合関係につきましては、従前の諸施策のほか、不振単協の整備強化措置に関しましては整備特別措置法の期限の延長をはかることとし、必要な経費一億四千五百万円を計上いたしましたほか、新たに水産業協同組合及び森林組合につきましても特別指導及び長期駐在の施策を講ずることといたしました。なお、農業協同組合中央会の事業活動促進のため、監査事業の強化を中心として前年同様六千万円を計上いたしましたが、さらに明年度から農林漁業団体職員共済組合法の制定を予定し、長期給付を内容とする共済制度を確立するためこれに必要な経費一千万円を計上いたしました。 最後に、農業共済団体につきましては、損害評価に関する団体の機能の充実と職員の給与の改善に重点を置き、これに必要な経費二十三億四千九百万円を計上いたしております。 第九に、新農山漁村建設総合対策につきましては、新規計画樹立地域を九百地域、事業実施地域を一千九百六十六地域として事業の推進をはかることとし、これに必要な経費三十四億三千六百万円を計上いたしました。 なお、一般助成事業につきましても、それぞれ前年度に引き続き実施することといたしておりますが、特に農地集団化事業につきましては、畑作地帯に重点を置き事業規模を拡大いたすこととして四千一百万円を計上しております。 第十に、農村青年対策及び海外移住に関する経費についてであります。まず、農山漁村青年の自立を促進し、あわせて農山漁村の振興に資しますため農村青年対策を強化することとし、農村青年建設隊及び農村建設班の増設を行うこととし、これらに必要な経費八千八百万円を計上いたしました。また一方、海外移住の促進をはかるため、農業移住事業及び農業労務者派米事業につきまして、募集、選考、訓練事業を強化するほか、新たに移住促進事業を整備することといたしまして、これらに必要な経費四千八百万円を計上しております。 次に、昭和三十三年度の農林関係特別会計予算案について申し上げます。第一に、食糧管理特別会計につき申し上げます。 この会計の健全化につきましては種種検討を加えて来たところでありますが、昭和三十三年度より国内米管理、国内麦管理、輸入食糧管理、農産物等安定、業務及び調整の六勘定を設け、各部門の収支損益を明確にするとともにその損益処理を適正化いたすこととしました。 新設の勘定区分に従って歳入歳出の規模を申し上げますと、国内米管理勘定五千六百八十八億五千五百万円、国内麦管理勘定七百十六億一百万円、輸入食糧管理勘定一千七百七十九億八千八百万円、農産物等安定勘定五百二十億七千百万円、業務勘定百六十五億二千百万円、調整勘定六千二百十億二千八百万円となっております。なお前年度の予算編成と同一方式で計算いたしますと、歳入歳出の規模は総計で八千七百六十五億二千六百万円(前年度八千六百四十三億円)であります。 米及び麦類の管理につきましては従来の方針を継続して参りますが、三十三年産米の集荷数量は二千九百万石、国内産麦の買い入れ数量は百十九万六千トンと予定いたしております。外国食糧の輸入につきましては需給上必要な限度での買付を予定いたしております。 米麦以外の農産物等につきましても前年度に引き続き買い入れを計上しております。損益処理につきましては、国内米、国内麦、輸入食糧管理の三勘定の損益を調整勘定に移し整理することといたしましたが、三十三年度において調整勘定における整理の結果は約四十三億円の損と見込まれます。 また農産物等安定勘定の見込み損失相当額十億円は調整勘定の対象外でありまして、これを直接一般会計より同勘定に受け入れることとし、他の勘定の損益処理と区分しました。 なお別に御審議願います昭和三十二年度一般会計補正予算案に本会計の運営の健全化に資するための資金百五十億円の繰り入れを計上いたしておりまして、三十二年度の本会計の損失が決算上確定いたしますれば、その金額だけこれを減額いたすこととしておりますが、この資金の残額は三十三年度において調整資金として調整勘定に引き継ぐものといたしました。 第二に、農業共済再保険特別会計について申し上げます。 この会計の各勘定を通じまして歳入歳出はともに百七十四億二百万円となっておりますが、このうち特に農業勘定につきましては、法律改正に伴い共済掛金額の国庫負担割合を引き上げ、また一筆石建制の採用に伴い共済金額を石当りに改め、引き受け数量の基礎を過去三カ年の実績の平均に置いたことなどのために一般会計からの受入額は二億百万円増加し、八十億二千六百万円となっております。 第三に、国有林野事業特別会計につき申し上げます。 この会計の歳入歳出は、ともに四百五十四億五千五百万円であります。北海道における風倒木の処理も三十二年度で完了いたしますので、三十三年度は、右の処理期間における内地の節伐方針を変更するとともに、北海道についても正常な伐採に移行せしめることとし、伐採量としては、六千百十八万三千石、前年度五千八百四万九千石を予定しております。 以上の各特別会計のほか、特定土地改良工事特別会計、開拓者資金融通特別会計、糸価安定特別会計につきましては別途御説明申し上げておりますが、森林火災保険特別会計につきましては、保険料率二割の引き下げを行うこととし、漁船再保険、自作農創設特別措置、中小漁業融資保証の各特別会計につきましては、前年度に引き続きほぼ同様の方針で計上いたしております。 次に昭和三十三年度の農林関係財政投融資計画について御説明申し上げます。昭和三十三年度における農林関係財政投融資計画は三百一億円でありまして、そのおもなものは次の通りであります。 まず農林漁業金融公庫につきましては、三十三年度の貸付計画として二百七十五億円を予定いたしております。この原資計画といたしましては、産業投資特別会計からの出資八十億円、資金運用部等からの借り入れ百十五億円、回収金等百六十億円、計三百五十五億円であります。小団地等土地改良事業助成基金につきましては、さきに申し述べた通りであります。 次に開拓者資金融通特別会計につきましては、三十三年度の貸付計画は、営農及び共同施設資金五億九千百万円、不振地区振興対策資金十六億二千五百万円、農地開発機械公団の地区の営農資金三億六千五百万円、ほかに前年度の貸付残二億円を加え、貸付総額二十七億八千二百万円となっておりますが、この原資計画は資金運用部から十八億円を借り入れし、その他は回収金等でまかなうことといたしております。 特定土地改良工事特別会計の資金構成は、資金運用部からの借り入れ十八億円、一般会計からの繰り入れ五十四億円その他四億円でございます。 愛知用水公団事業の三十三年度の総事業費九十一億円に見合います資金計画は国費十五億円、資金運用部からの借り入れ五十億円、世銀借り入れ八億円、その他十八億円であります。 森林開発公団事業の三十三年度総事業費は十七億円でありまして、これに見合う資金計画は国費二億円、資金運用部からの借り入れ十五億円であります。 農地開発機械公団事業におきましては、三十三年度国営干拓事業に対します土木機械の貸付事業のための資金五億円を資金運用部から借り入れすることといたしております。 以上をもちまして農林関係一般会計予算案及び特別会計予算案並びに財政投融資計画の概要の御説明を終ります。 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○八木主査 これより質疑を行います。通告ありますから、順次これを許します。井手以誠君。
○井手分科員 一般的な農林予算についてはあとで行うことにいたしまして、その前に漁業の補償、干拓、開拓の問題等について若干お尋ねをいたしたいと思います。 まず水産庁にお尋ねをいたしますが、数年前から問題になっておりました農薬による漁業の補償問題、これは三十一年度予算ではその必要を認められて予算を計上されたのでありますが、三十二年度はどういう都合か、非常に熱烈な要望もいれられないで、そのままになっております。三十三年度はこの漁業補償あるいはこれに準ずる予算はどのように組んであるか、まず水産庁にお尋ねいたします。
○奥原政府委員 有明海におきまする農薬の被害によりまする特殊な増殖対策費といたしましては、三十三年度の予算にも計上をいたしておりません。しかしながら増殖事業の予算が前年度に比べまして飛躍的に増額を見たのでありまして、すなわち前年度二億一千万円ありましたのが二億九千万円に増額されたのでありまして、これが実行の面におきましては、有明海の浅海漁業が現在非常に窮乏しておる、こういう状況にもかんがみまして、十分その辺の事情を考慮して、助成その他の措置を講じたい、かように考えております。
○井手分科員 重ねてお尋ねいたしますが、その補助率は昭和三十一年度の農薬被害に対する費用と同様であるのか、またただいまおっしゃいました浅海漁業振興の費用が、その分を完全にカバーするようにお考えになっておるのか、あわせてお尋ねをいたします。
○奥原政府委員 補助率に関しましては、水産増殖によります助成率は三分の一を考慮いたしております。また事業項目としてかつてやりました有明海の特殊対策の項目を完全にカバーしておるか、こういうお尋ねでございますが、有明海の特殊対策の中で、一番大きな柱でございました種苗の供給確保に関する項目につきましては、有明海の現状はすでに種苗の供給をあの海域におきましてやれるような状況に完全に相なっておるのであります。従いましてこれは漁業者相互において助け合っていただく、こういう意味において格別種苗の供給に対します購入補助の助成費を計上する必要はない、かように考えて、その分は計上しておりません。しかしながら耕耘、整地あるいは魚礁その他の問題に関しましては、それぞれ浅海増殖の項目として取り上げておるのでございまして、地元において総合的にいろいろな計画をお立てに相なりました場合においては、われわれとしてもこれを十分取り上げて考慮いたして参りたい、かように考えております。
○井手分科員 大臣にお尋ねをいたします。大臣もこの問題については、何回か農林水産委員会でお聞になっていることだと思います。念のために私はかつての速記録を申し上げます。一昨年の予算委員会でございました私の質問に対して、当時の河野農林大臣は、次のように答弁をされておるのでございます。長くなりますから肝心な点だけを申し上げますが、「引き続いて被害がありますならば、これが対策について当然続いてやっていくべきものであって、被害の有無を考えずに予算を本年限りで打ち切るということはあり得べきものではない。続いて被害がある以上は続いてやる。被害がないように努力したいと思います。」こういう言明があっておる。申し上げるまでもなく、政治には公約を守ることが一番大事であります。前の大臣がこれほどはっきりと言明された農薬被害の対策、あれほど地元から熱烈に要望された被害の措置、被害は依然として続いておるのであります。なるほど年によって若干の違いはありますけれども、大むね年間十億内外の被害があっておるのであります。三十一年度の補助によりまして若干貝類の増殖、ノリの増殖はできては参っておりますが、まだ不完全であります。現に被害があっておるものに対して三十一年度限りで打ち切られておる。三十二年度はまだ年度半ばであります。あと二カ月残しております。この言明に対して赤城農林大臣は本年度補正予算で、この公約に基いて予算をお出しになるおつもりであるか、さらに三十三年度はどういうようにお考えになっておりますか、この公約言明を中心に御答弁をいただきたい。
○赤城国務大臣 農薬の被害による補償といいますか、それについて前の河野農林大臣のときに、引き続いてやりたいというような御答弁を申し上げておったようであります。御承知のように三十一年度におきましては経費を計上して補償いたしたのであります。その後被害があるということは私も承知しておりますが、最近におきます被害の回復の状況も見えておりますということと、被害の原因でありますが、農薬による被害であるかどうかということにつきましては、すでに御承知かと存じますが、九州大学等につきましても研究させておいたのであります。この結果は一応農薬による被害があるような結果が出ております。しかし研究方法にいささが食い違いといいますか、再考する点もありますので、農林省内におきましても、技術研究費においてさらに農薬による被害かどうかということについて、ただいま研究中であります。でありますので、被害の原因等につきましてまだ結論を得ておりませんので、補正予算あるいは三十三年度において補償的な予算は考えておらないのでありますけれども、今水産庁長官から御答弁申し上げましたように、魚類の増殖というような対策によって、これを行なっていこうかという方向に今考えておる次第であります。
○井手分科員 農薬が原因であるかという問題については、いろいろ論じられております。ほぼ結論が出ておるはずであります。ただ私どもが国会であまり追求しなかったことは、農民と漁民の問題である。これは何と申しましてもはっきりしております。はっきりしておりますけれども、役所としてはっきり打ち出すことは、その対策上、あるいは農政上おもしろくないという配慮から、あなたの方も延ばされておったし、われわれも深く追及いたしていないのであります。原因ははっきりしております。出ておるはずです。しかしいろいろな事情から調査しましまうということで、われわれ実は調査の結果を待っておる。その調査する間はやはり被害が出ることは事実である。引き続き補償をしましょうというのが、前の河野農林大臣の言明であります。その言明に対してどういたしますか。このはっきりした国務大臣の言明をどうなさいますか。農薬の被害でないという結論がはっきり出ておるならば、ここで一つお示しを願いたい。出ないからその間は水産業者は非常に困っておるだろう。ノリもほとんどとれない、そういう種類のものはほとんどとれない今日の場合、漁民は困っておるだろうからというので、その対策を予算措置で行なっておる、これを打ち切るということがありますか。はっきりした御答弁を伺いたい。
○赤城国務大臣 先ほども申し上げましたように、井手さんの方では農薬による被害だ、はっきりしておる、こういうことでありますが、私の方といたしましては農薬による被害とまだはっきりしておるまでに結論を得ておらないのが一つであります。それからもう一つは魚類については、最近被害が非常に少くなってきて、回復の兆が見えておる、こういうことであります。またノリ類も増加しておる、こういう事情でありますので、被害が三十一年度当時と同じような被害であるかということにつきましてもなお調査の余地が残っておるわけであります。でありますが先ほど申し上げましたように、被害のあるということ、程度はいずれといたしましても、そういうことは見ておりますので、補償という意味ではなくて、浅海増殖ということに振りかえるといいますか、力を入れていきたい、こういうふうに考えて、本年度も浅海増殖の予算は相当とっておりますので、それをもって充てていきたい、こう考えておるのであります。その河野農林大臣の言明といいますか、委員会における言明を履行するかしないか、こういう結論的なお尋ねでありますけれども、その趣旨は踏襲して、方法においては別の方法でやっていきたい、こう考えております。
○井手分科員 原因の調査と申されますが、大体いつごろまでに調査が完了するのですか。調査だ調査だといって、もう何年になりますか。調査が終るまで引き続きやろうというのが河野農林大臣の言明です。ほかの面ではそれじゃ対策を講じてやろうとおっしゃいますけれども、お聞きのように補助率は違うのであります。この前は三分の二であったものが三分の一です。どこに同じ措置が講ぜられておりますか。これでは幾らあなた方が言明なさっても信用ならぬじゃないですか。国会ではっきりあなた方が、引き続き補償する、原因についてはさらに調査するけれども、漁民が困っていることは事実である、従って調査が完了するまでは、被害がある限り補償いたしましょうと言うのが、国務大臣の言明じゃございませんか。どこに一率の補助がありますか、予算措置がありますか。
○赤城国務大臣 国務大臣の言明は尊重しなくてはなりませんけれども、これは方法によってはいろいろあろうかと思います。その補償ということ一本でいく場合もありまするし、かわりの場合もあることは御了解を願いたいと思います。なお調査がいつごろまでにできるのかということにつきましては事務当局からお答えいたします。
○永野政府委員 パラチオンを水田に使用いたしますことは、西南地方におきましては、早期裁培をやります場合の一つの基礎になっておるのでございます。従いまして、パラチオンを使用いたしますことが漁業その他に非常に甚大な影響を及ぼすということであれば大問題でありますので、私どもの方では、この問題が起りました昭和三十一年、三十二年、引き続いて調査をいたしておるのでございます。 ただ当初九州大学の富山教授が発表されました、有明海の魚族の減少はパラチオンの被害であるという発表につきましては、その後いろいろ検討いたしました結果、パラチオンの濃度を検定される方法につきまして非常に問題があった、これをもっと精密な方法で検定をしなければならないということで、この検定方法自体につきましても、東京の大学等でもいろいろ研究をしなければならぬということで、当時の九州大学の発表は、ややパラチオンの濃度について非常に大きな数字が出るような方法であったということだけははっきりいたしておるのでございます。 その後私どもの方といたしましては、技術会議の方で特に三十二年度予算を計上いたしまして、三十三年度におきましても引き続きこの農薬の薬害がどういうふうに残るかという基本的な研究、あるいはそれがいかなる濃度になった場合に、水産動植物にどういう影響があるかというような研究を続けておるのでございますが、非常に基礎的ないろいろな問題を含んでおりますので、現在までその正確な最終的な結論は出ておらないのでございます。ただわれわれとして現在申し上げ得ることは、当初言われていたようなデータに基いて、パラチオンが有明海の漁業にああいう数字で影響しておったと言うのは、少し言い過ぎであったということは、大体その後の研究によって明瞭である、こういうふうに考えております。
○井手分科員 調査々々で何年も過ごされたのではたまったものではありません。しかし農林省の立場もあることは私も十分了解をしておるのです。ですから、原因が何であるかということは、私はここで追究しようとは思いません。それよりも大事なことは、農林省の所管の漁民が、原因はともかくとして、これほど被害を受けて困っておるのは事実です。質草もないほど沿岸漁民が困っておることに対して引き続いて補償してあげましょう、補償に準ずるものをしてあげましょうという言明をうやむやに済ますという態度が、私は気に食わぬのであります。あなたは浅海増殖の事業で何とかしてやるというふうなお話でありますけれども、第一補助率が違うではありませんか。去年は五千万円であったのを、ことしは三千万円でがまんしてくれというなら話はわかります。しかし性質が違うではございませんか。ここで言明された国務大臣のことで漁民は非常に安心しておる。それをたよりにしておる。それが大臣ごとに、一年ごとに変ったのでは、何をたよって国民は生活をしていきますか。生業にいそしんでいきますか。いま少し漁民が納得いくような言明をしてもらいたい。
○赤城国務大臣 漁民につきまして私どもも心配はいたしております。ただ前の大臣が言明した通りにというわけにも行きませんことは再々申し上げておる通りであります。また補助率が違うのではないか、こういうお話もありますが、その趣旨は踏襲いたしていくつもりでありますので、それが補償ということで行くか、あるいは別の方法で漁民に対しての施策を施していくかということにつきましては、これはある程度変り得ることも、議員の井手さんとしてもお認め願っておきたいと思うのであります。理屈を言うわけではありませんが、事情の変化も幾らかはあるようでありますので、決してこれを無視するという態度ではおりませんので、御了承願いたいと思います。
○井手分科員 被害は引き続き現われておるのです。数字は時間の余裕がありませんので申し上げませんが、被害は依然として現われておる。同じ金額ではありませんが毎年ある。私はどう考えても事情の変化があるとは考えられません。金額に若干の違いがある。三十一年度はノリの増殖関係をしてやったから、ことしは少し減らしてもいいじゃないかということであれば私は理解をいたします。先刻も申し上げた通りです。補助率は法律できまったものではございませんので、あなたの方の考え次第では三分の一が三分の二になることはあり得ることだと思う。 それから大蔵省の主計官にお尋ねいたします。今までの質疑応答で大体御承知だと思いますが、また陳情やその他の機会でお聞き及びだと思いますが、この農薬に関する被害についての補助率を、前の国務大臣の言明に基いて同率に引き上げられる御用意がございますか。
○高木説明員 ただいまの補助率の問題につきましては、一般的に補助率は農民なり漁民なりの負担の能力を考えてきめられるものでございますから、従って非常に特殊な場合には特殊の補助率を適用し得る可能性があるということだけは申し上げられますが、私今具体的に、一昨年の問題が起りました当時にはお話を承わりましたが、実はその後どういうふうな実情になっておりますか、承知いたしておりませんので、具体的に今の御質問の場合にどういう補助率を適用したらいいかというところまでは申し上げかねますけれども、一般的に水産増殖の場合におきまして、たとえば三十二年度につきましても、ごく一部の地帯ではございましたが、特殊な補助率を適用した事例もないではございませんので、実情を伺いまして、よく見てみたいというふうに考えております。
○井手分科員 非常に査定にやかましいといわれる大蔵省の主計官が、なかなか理解のある御答弁をなさった。漁民の負担が非常に重いというような場合には、補助率を引き上げることができるというお話であります。このくらい農薬の被害を受けた農民ほど負担力のないものはないのであります。農林大臣、よくお聞き下さい。従って三分の一の補助率を三分の二に引き上げることは可能でございます。農林大臣の政治力をもってするならば、大蔵省に交渉されて実現されることはそうむずかしいことではないと思う。私はきょうこの場で何もかにも、数字まであなたに言明を求めようとは考えておりません。いやしくも国務大臣の言明というものは、これは尊重しなければなりません。私はあらためて本委員会なり別の機会において御返事を求めます。この言明に基いて、若干の差はあってもその点は私は了解いたしますけれども、引き続いて漁業の被害の補償に類する——補償とはっきりは申しませんよ、補償に類する同じ補助率の予算措置を講ぜられるように私は特に希望するわけであります。そこで三十二年度も補正予算でお出しになるお考えがあるか、それを考慮なさる御用意があるか、その点をあわせてお尋ねいたします。
○赤城国務大臣 三十二年度の補正予算で、ただいまこういう補償を出すという考えは持っておりませんが、今の補助率の問題でありますが、今お話がありましたように三十一年度には、特に有明地区の浅海増殖事業の補助率は三分の二に引き上げて行われたのは今お話の通りであります。三十三年度につきましては、実情を調査の上に考慮していきたい、こう考えております。
○井手分科員 補助率の問題で実情調査とはどういうことでございますか。
○赤城国務大臣 先ほど申し上げましたように、三十一年度と最近におきましては被害の実態等が相当変化しておりますので、そういう実情を調査の上に補助率の引き上げということについては考慮していきたい、こう考えております。
○高木説明員 先ほどの御説明に多少補足さしていただきますが、私が申し上げました意味は、前回三分の二の補助率であったから当然に三分の二にしてもいい、可能性があるというふうに申し上げたといたしますれば、若干訂正さしていただきます。補助率は一般的に負担の能力によって考慮せらるべきものでございますので、井手委員がただいま御指摘になりましたように、有明海の漁民の実態がその後も非常に悪い状態が続いておるという場合には、その状態をよく研究さしていただきまして、補助率を考えたいと思いますが、その場合の補助率というのは絶対に現在予算で予定しております三分の一以上は動かせないという意味ではないという意味で御了解願いたいと思います。
○井手分科員 私は大体この辺で打ち切ろうかと思っておりましたけれど、どうも大臣の言明はすなおでないような気がする。事情の変化があるようだから、実情を調査した上で善処しましょう——あなたどうしてそんな官僚的な答弁をなさるんですか。そんなことをどこから習ってきたんです。あなたは百姓出身だから、もっとすっきり答弁をなさると思って期待しておった。信用しておるんですよ。それじゃどこに事情の変化がありましたか。あなたがそう答弁なさるなら私も繰り返して言わなくちゃならぬ。農薬の被害がどういうふうに変化いたしましたが。あなたはどういうふうに実情を把握されていないんですか。
○赤城国務大臣 事情の変化ということは、農薬との関係はまだ調査中ですからそれを言っておるわけじゃありません。先ほど井手さんも御指摘があったように、被害が少ければ五千万円を三千万円にしてもいい、こういうお話もされましたように、被害の状況といいますか私の方の調べによりますと、決して事務的というわけじゃありませんが、魚類については回復の徴候もありますし、あるいは貝類とがノリは増加しておるような情勢もありますので、そういうことを調査してみませんと被害の程度といいますかそういうものがはっきりいたしません。被害の程度によって漁民が三十一年度とどういうふうに違ってくるかということをさらに正確に調査して、実情を把握してから考慮してみたい、決して事務的にのがれているわけではないのであります。
○井手分科員 それではあなたの方では実情はわかっていないのですか。
○赤城国務大臣 実情は相当わかっているのですが、私どもの方の実情から見ますと、相当回復の兆のあるものもある。たとえば貝類とかノリとかでありますが、今御指摘のように、そうではないというような見方もあるかと思いますので、さらに検討を加えてみたいと考えております。
○奥原政府委員 有明海の漁獲の状況でございますが、確かに二十七年あたり非常に漁獲が激減したということは事実でありまして、そんなふうな事実に基きまして御承知のような対策を講じた次第でございます。しかしその後の有明海における漁獲の状況は部分的には回復しておるのでありまして、たとえば一番被害が激甚だというふうにいわれておりますエビ類について申し上げますれば、三十年は二十四万貫ぐらいに下りましたものが、三十一年には二十六万貫程度に回復した。こういうふうに必ずしもあの激甚であった当時の状態のまま、今全然回復のきざしもないというふうな状態であるともわれわれ考えていないのでございますが、しかしあの地方の漁村が一般的に非常に貧困な状態にあることはわれわれも承知をいたしておりまして、従って先刻来今後の対策の面において特に考慮いたしたい、かように申し上げた次第であります。
○井手分科員 大臣もただいまの数字はお聞き及びと思いますが、かつての漁獲高の何十分の一もない。それが若干ふえたことは私ども認めます。また三十一年も若干ふえたけれども、三十二年度は悪くなっておる、これは事実であります。何十分の一に減ったものが若干異同がある、その程度のものであったならば、被害の激甚であるという事態は変りはないのであります。まだ予算審議の機会もありますから、私はこの点については徹底的に納得いくまであなたに聞くつもりでございますから、あなたの方もそのつもりで十分予算折衝を願いたい。まだ三十二年度予算を補正する時期もございます。この国務大臣の言明を履行しないということになりますと、国民が政治に対して信用ができません。 関連質問があるようでございますから、そのあとまた引き続いてやります。
○楢橋分科員 ただいま井手分科員から申し上げました有明海の問題は関係四県にまたがっておりまして、先般超党派的に各議員が寄りまして、井手君から代表して質問することになったのですが、たまたま水産庁長官等のお話もありますから、大臣も一つ十分考慮していただいて漁民のそういう窮乏した状況等を勘案して御善処願いたい、これだけ申し上げておきます。
○赤城国務大臣 このことにつきましては、私も前から農林委員会等においても事情を聞かされておるのであります。なお内部においてもいろいろ心配しておる次第でありますので、これについては善処していきたい、こう考えております。
○井手分科員 重ねて早急に対策を立てられますように、三十一年度同様の措置を講ぜられるように要望しておきます。あとでまたお尋ねいたします。 そこで、この際大臣にお伺いしておきたいと思いますが、ただいままで申しましたのは農薬による漁民の被害、同時にまた農薬による農民の被害というものもきわめて大きいのであります。従って農林省としては、人工衛星まで打ち上げられるような今日科学の発達した時代に、無害の農薬、人類に、あるいはこういうものに害をあまり及ぼさない農薬——少しむずかしい問題であるかもしれませんけれども、私はできない問題ではないと思う。農薬製造会社にその熱意が足りぬのじゃないかと思う。かつて二回ほど前の農林大臣にお願いしたことがございました。河野前農林大臣も、アメリカ、ノルウエーその他では相当無害の農薬が進歩した状況であるので、早急に研究を進めたい、こういうふうな答弁もあるのであります。この各方面に大きな被害を及ぼしておる農薬——しかしパラチオンは水稲育成上大事なものであります、これに対して私どもはとかく言うことはできませんが、害を及ぼさない農薬の発明、研究、これについてどのように今農林省ではお考えになっておるか。もし研究が進んでおりますならば、その内容をこの機会にお知らせ願いたい。
○永野政府委員 最近の農薬が相当毒性を一方に持っておって、従ってそれを使用する際に被害が出る危険性があるということは、農薬の一つの大きな問題でございます。ただいま井手委員も御指摘のように、毒性のない農薬というものは農薬の研究の上の一つの大きなテーマになっておるのでございます。たとえば今問題になりましたパラチオン等につきましてもマラソン等の他の薬剤と組み合せてP・M乳剤というものができております。こういうものにするとその毒性等も相当緩和するというような薬剤も出てきております。また最近いろいろな方面で活用せられております抗生物質を農薬に使用できないかというような研究も相当進んでおります。農薬の製造につきましては、たとえば原料等の輸入もAA制にいたしておりまして、諸外国の技術も十分取り入れられるようにいたしておるのでございますが、新規の農薬でだんだんとそういう理想的な農薬と申しますか、毒性を伴わない農薬という方面に研究も進んできておるのでございます。ただ私ども現実の問題といたしましては、何と申しましても、今大量に、割合安価に供給されております農薬をなるべく無害に使うというような使い方の指導も非常に重大なことだと存じております。この点でたとえば個々の農家がばらばらに使わない、あるいは使用後の処置を十分注意してやる、あるいはエンドリンのような毒性の強いものは水田に使わないで畑にだけ使うというようなことで、いろいろ農薬の毒性を避ける指導も進めておりますが、今後そういう方面にできるだけ努力をいたしたいと思います。
○井手分科員 大臣に要望しておきますが、農薬の毒性を除く研究、これは農村にとっては非常に大きな問題でございます。私から言わせれば、製造会社はもっとこういう方面に大きく費用を投じて研究を進めるべきものだと思う。農林大臣は一つこういう方面を大いに督励して、すみやかに毒性のない農薬を安心して使用できるように格段の努力を願いたいと思います。
○赤城国務大臣 非常に有益な御意見でもありますし、今技術試験場等においてもその研究はいたしておりますが、さらに農薬会社等につきましても、こういう方面で特段の進展をさせるように督励をいたしたいと考えております。
○井手分科員 次に農地局関係になりますが、だいぶ干拓事業が進んで参り、昨年よりも予算が若干ふえていることについては敬意を表します。おおむね七カ年で完成するという目標に向って努力されていることも認めるのであります。この干拓事業は国土開発上必要なものであることは、私も十分認めるものであります。 そこでお尋ねするのでありますが、干拓をやる場合には当然漁業の補償が考えられなければならぬ、また補償ばかりではない、干拓された場合には漁民は漁場をなくするのであります。狭義の補償の金銭だけでは済まされないのであります。干拓事業を計画する場合には当然職を失うでありましょう、漁民の入植ということも優先的に考えなくてはならぬと思う。政府でも、また私どもの党でも、今大きく取り上げておりまする有明海の干拓、あるいはそのほかの土地の干拓、現に八郎潟の干拓も行われております。この干拓事業の計画に対して、漁民の補償と入植関係をどういうふうに現在お考えになっているか、お尋ねいたします。
○赤城国務大臣 なお詳しくは農地局長から御説明申し上げたいと思いますが、今お話のように、私ども干拓をいたしますにつきましては、漁業の補償ということが第一に考えられねばならぬと同時に、職を失う漁家の転業といいますか、そういうことにも十分留意して臨んでおります。今お話の中にも出ましたが、八郎潟等においても漁業の補償について相当額を出すことにいたしましたが、同時に漁業から離れる者につきましては新しく造成される土地に優先的に入植させるというような方法をとっておりますので、全体的に見ましても、補償と新しく入植するということの関連をもちまして、職を失うことがないような措置をとっております。詳しくは農地局長から答弁させます。
○安田(善)政府委員 干拓事業を実施いたしますことと、その予定地におきまして漁業を営んでおられる漁民のお方々、またその家族のお方々の漁業権あるいは漁業所得の補償、並びに漁家の転業対策といいますか、なかんずく御指摘の干拓地、造成地に対する増反入植のことにつきましては、井手先生とおおむね同じ考えでおります。さらに詳しく申し上げますと、最近及び今後におきましては、干拓が可能であるかどうかの基礎調査を始め、その計画を立てまして、その次に全体設計を行いまして着工に及ぶという段階におきまして、少くとも着工の初期において補償の問題を片づけて、また干拓地への入植問題を、その関係の漁民の方及び他からの入植者の方とおおむね計画が立ちましてから干拓をするようにしたいと思っておりますが、遺憾ながら昭和二十七、八年以前に採択をしました干拓においては、その点が十分でなかったと思います。そこで特に昨年度以降は、その点に井手先生と同様の考えを持ちまして留意をいたしまして、あるいは往年において採択して干拓事業をすることになっておるが、漁民の反対とか、補償問題が片づかないとか、入植の問題が片づかないとかいうことでもって紛争がありますものは、工事と着手せずに、そういうことが解決して以後着手するようにしております。その例を申し上げますと、昨年度において解決しましたものは琵琶湖の大中湖、八郎潟——これは当該年度採択で、当該年度おおむね工事着手には、漁民との関係では解決をいたしましたが、八郎潟、またちょうどこの数日の間でありますが、大日川のダムに伴いまして、その下流の加賀三湖のうち二つの湖面干拓と、一湖水を用水地に使う計画が進んでおりますが、それの着工においては地元関係民の同意を受けまして、金額交渉その他においては、一週間ないし十日のうちに片づけるつもりであります。昨年静岡の庄内において、特別会計において採択をする予定にして御審議をお願いしましたものが、いまだに十数部落のうち三部落話がつきませんので、これは着工前の全体設計を急いでおるわけでありますが、以上のような考えでおるわけであります。
○井手分科員 そういうふうに干拓事業の計画に当って、漁業補償問題をお考えになっていることは大きな進歩だと考えております。従来は干拓が相当進んでから漁民の再三の要求によって、しぶしぶと申しますか、そういった状況のもとに若干の補償が行われた、紛争が起った、こういうのが従来でありました。そこでお尋ねしますが、干拓事業の計画に当って、漁場の収益と農地の収益と勘案してやらねばならぬことはもちろんでありますけれども、国土開発ということが非常に強く叫ばれておる今日において、干拓の必要であることは、私は先刻申し上げた通り、その必要を認めておるのです。その際紛争が起きる原因は、漁業補償の基準というものがまだはっきりしていないからじゃないか、また開拓審議会に漁民の意見を代表する者がいないからではないかと考えております。漁業補償の基準がきまっておるならば、その点をお示し願いたい。また、漁民の意見を代表する者を審議会の中に入れるお考えがあれば、それもあわせてお尋ねしたいと思います。
○安田(善)政府委員 先ほど私の言葉を補足させていただきますが、有明海の干拓は幾つかの計画を想定しまして、そのもとに共通にしてもいい調査を今進めておる段階でありまして、三十三年度には六百五十万円の調査費を要求いたしております。その有明海のうちの、小地域で早く干拓が可能なところは、すでに工事を始め、数十%を完了したり、また来年度大和干拓地区を着工する全体の設計を立てるように考えております。そういうことであります。 第二のお尋ねの干拓事業の収益、農地事業の収益等から考えまして、その海面または湖面の漁民のことを考えまして、補償の基準がはっきりしていないのじゃないかということでございますが、地区々々におきます湖面、海面の全面干拓か一部干拓か、その外は水面がずっと続いておるかということ等の各種の事情は、いろいろと特殊性に応じて考えるのがいいと思います。従いまして、干拓地に入植するということをもって、必ずしも補償の一部とは考えておりません。その各種の場合を通じまして、従来漁民が漁業をやっていらっしゃった平年の漁獲高を三年ないし五年において、所得率と認められる、まあ純収益でございますが、それをもって転業のための生活補償とする、また正規の現在の漁業法の漁業権と認められまするものにも適切な状況判断をいたしまして補償をすることもあるが、相成るべくはこの両者は双方一緒に考えていただきたいと思っておりますけれども、その場その場でやはりその点は特殊事情に応じて考えなければならぬと考えておるのが方針でございます。その根拠は、現在の農地法におきまして、干拓をいたしますために物件として扱っておりまする漁業権を消滅させる補償の関係の規定及び電源開発促進法の関係におきして、閣議了解事項が補償のやり方としてきまっておるのでありますが、これはあくまで閣議了解事項でありまして、必ずしも特殊事情を入れてはいけないということではございませんが、基準を示したものとしまして、二十八年だったと思いますが、きまっておるのでありますが、それをもって方針といたしております。
○井手分科員 水産庁にお尋ねいたしますが、もちろん漁業補償についてあなたの方は従来努力されていなかったとは考えませんが、今の農地局長の答弁によりますと、これではとても漁民は承知できないと思うんです。あなたの方だって承知できないだろうと思う。漁場をなくする、親代々続いてきた漁業が全然できなくなってしまう。それで漁民が簡単に転業できるという、そんな簡単なものではございません。こういう基準で、あなたの方は承知しますが。これで大体転業ができるとお考えになっておりますか。どのように今まで努力になっておったのですか。
○奥原政府委員 干拓の補償につきましては、農地局の方でいろいろ計数を求められ、いろいろ考え方をおきめになりますにつきまして、いろいろの方の調査をもって御協力をする、こういうことで今日まで進んで参っておるのでございます。そこでそのやり方につきましては、各地域についてそれぞれ事情がございまするので、それぞれの事情に合いまするように、われわれといたしましても側面的に協力をし、解決に努めておる、こういう次第でございます。
○井手分科員 水産庁にはもうあまり申し上げません。そのくらいの熱意ではだめですよ。もっとやらなければ。漁民はあなたなんかの家族ですよ。私どもはやはり最近の収益の三年ないし五年——最近の収益は漁業不振のために非常に下っておる、それを基本にして三年ないし五年で転業ができようとか、三年間五年間の生活が保障できるなどと考えられますか。私はこの点についてはさらに意見を持っておりますが、時間がたちますので多くは申し上げません。区画漁業権であるとか共同漁業権というようなものを持った漁場については、干拓に伴う犠牲はやはり補償しなければならぬ。これは私は基本方針だと思います。それにはやはり相当期間の収益を補償の基準としなければならぬと私は考える。同時にそういう開拓審議会あたりに漁民の代表を入れることが必要だと考える。この干拓というものは国の要請によって行われるものである、漁民の都合でやられるものではございません。自分の漁場を失う、主業をなくすることについて漁民は非常に困る。けれどもそれに反対ではございません。腹の中では反対であっても、国の事業に協力しようというこの漁民に対しましては、もっと大きな気持をもってやってもらいたいと思う。この基本的考え方について農林大臣の考えを承わりたい。
○安田(善)政府委員 ちょっと事務的説明を補足させていただきたいと思いますが、生業補償的なものについて先ほど申し上げますと同時に、現行漁業法に基く正規の漁業権に対しましては、その漁業権のある水面の干拓の際は、その補償についてはその地区ごとに考えたいと思っておりますし、その基準であると申し上げましたが、審議会に関しまする御意見に応じて、私の前の説明を補足させていただきますと、あくまで申し上げましたのは補償等の立案の際の基準または話し合いがついて支払う場合の基準でありまして、漁民の方々と協議を十分にいたしましてその合意の上にやることにいたしております。強行する気はございません。 また漁業者の方々には、干拓の場合代表がないというお言葉もあったかと思いますが、私どもはそういう点もあるかと思いますが、むしろ漁業者のお方は代表があり、漁民がいらっしゃる。干拓地というのは水面を地面にするのでありますから、その代表者の方がむしろ少いので、逆ではないかと思いますが、審議会等はその場所その場所で協議を行うのでございますから、しいて裁定の審議会まで持っていかないで、もしするならば収用法の審議会などを使うべきでありますが、そういう方針がございませんから、選ばれた正規の代表を通じて全漁民と意見が合致するところで行なっていきたいと思っております。
○赤城国務大臣 ただいまの御意見の御趣旨は私もよく了解いたします。今事務当局から話がありましたように、 ただ補償を現実にきめるときには漁業の代表者その他関係者と相当話し合いをしまして納得の上できめてきておるのが最近の事情であります。そういうことでありますので、そういうときにも御趣旨の点はよく頭に入れて納得のいくような方法で補償をしていきたい、こう考えております。
○井手分科員 大臣は納得の上でやっておるとおっしやいますけれども、なるほど調印した場合も——もちろん調印した上でやっておりますけれども、補償の金額というものは非常に少かった。そういう意味から私は申し上げておるのでありまして、多くは申し上げませんけれども、漁場を失う漁民の立場というものも、干拓事業を計画する場合にはもっと大きく考えてもらいたい、これを申し上げておるのであります。何も答弁みたいな答弁を求めておるようなものではございません。もっと漁民の立場も考えて計画を進めてもらいたい、こういう希望であります。 そこで漁業補償も大事でありますが、同時に転換しなくてはならぬ漁民の立場にとって一番必要なものは、干拓地に対する入植であります。あるいは増反であります。漁民は御承知の通り半農半漁が浅海地帯には多いのでありまして、干拓地に入植ができればかなり問題は解決すると思う。ところが現在入植の基準というものが御承知の通り農地法で非常にやかましいのであります。増反は三反歩以上が必要であるとかなんとかいろいろ制限がございます。ただ昭和二十八年でございますか、農地局長の通達によって、そういう漁民は入植させることができるというものをたよりに若干入植が行われておりますが、やはりこの干拓事業を計画するに当っては、優先入植ということを明確にうたうべきであると思う。そうなれば漁民も安心して補償の交渉に応ぜられる、あるいは干拓事業に協力ができるのであります。自分たちは何年が先には入植ができる、生活が営まれるという希望があれば協力ができるはずであります。その点をただ通達ではなくして、農地法を改正して干拓地には優先的に入植ができるという方針が必要であると考えております。そういうお考えはございますか。
○赤城国務大臣 農地法につきましては、いろいろ改正するといたしますならば相当な改正すべき部門があると思います。でありますが、今直ちにお話のように漁業者の入植のみについて改正する考えは持っておりませんけれども、お話の通り優先的に入植するということにつきましては、私どもといたしましても強くその方針をとり、また指導していきたい、こう考えております。
○井手分科員 農地局長にお尋ねいたしますが、今の方針で改正せずに大丈夫ですか。
○安田(善)政府委員 法律の条章を改正する要はないと思います。
○井手分科員 大体御方針はわかりましたけれども、なお私どもは漁業補償について、優先入植について希望が多いのであります。時間の関係もありますのでこの程度にとどめておきたいと思いますが、一つ大臣も農地局長も特に漁民の関係の水産庁においても干拓事業と漁業補償、入植について十分格段の努力をしてもらいたいことを希望しておきます。 なおこれに関連してちょっと申し上げておきますが、干拓地には入植を希望して数年間働いておる労働者、これが干拓が完成してもいろいろな制約から、条件からなかなか入植ができない者が非常に多いのであります。年令の制限もございましょう。経験年数ということもございましょう。そういうふうなことで入植ができず非常に困っております。今臨時採用員のことは私は申し上げませんけれども、安い賃金で働いておる干拓地の労働者、これはやはり漁民と同様に最優先の入植を行うべきではないか、条件は緩和して入植させるべきではないかと思いますが、農地局長の見解はどうですか。
○安田(善)政府委員 兼業農家と申しますか、兼業漁家と申しますか、先ほどお話が出ましたような漁民御自身、世帯主または二、三男、世帯員等が入植されるのは、間もなく自作農として精進される適当なお方と思いますが、その他一般の干拓事業の労働者を入植するかどうかにつきましては、やはり入植させるのは、補償問題等の代償の意味も兼ねまして、増反してもらったり、入植していただいたりする場合のほかは、やはり本来の農地造成、農家創設の筋に返りまして、自作農として将来長く精進し得る資格があるかどうかで判定すべきだと思うのであります。私は事は地区ごとに実情に即して解決しなくてはならないと思いますが、農家を創設する場合というのはそういう根本精神がまず第一、その他に地区の事情を考えることだと思います。前の国会で御審議を願いました土 地改良法や特定土地改良工事特別会計において御論議もありましたように、干拓をしまして、公有水面が一応の干陸地になる、そういう場合には農地として取り扱い得る。すなわち作付をするか、あるいはそれに可能な状態を持つ前にも、なるべく早く選考を終りまして、その方々になるべく干拓労務者として入っていただくことをお勧めしたい、運用上そういうふうにやりたいと思っているわけであります。もしそれがうまく行きますれば、その分は引き続いて自分の入る干拓地になれて、農耕になれまして、そうして入植が続いていく。こういう方針で行くので、それがいいのじゃないかというのが目下の見解でございます。
○井手分科員 私が労働者と申しましたのは、何も都会地における工場労働者の意味の労働者ではありません。入植を約束して適格者として入っておる者の中に、年が一つ多いとか、一つ多いとかいうふうで適格者になっていない、はねられておる、そういう者についてはもっと考慮すべきではないか。基本方針はわかっておりますよ。そういう点を申し上げているのであって、その点は答弁を求めませんけれども、十分御考慮願いたいと思います。 関連してお尋ねいたしますが、三十三年度予算の特定土地改良工事特別会計の説明によりますれば、新たに国営干拓事業については二〇%の受益者負担を課するということが書いてあるのであります。昨年改正を行われたことは、私も審議に参画しておりますから十分承知しておりますが、この国営干拓について二〇%の受益者負担を行う。これは入植者に対しては、たとえば反当五十万円の干拓費が要れば、十万円の受益者負担を課するという意味でございますか。昨年の改正のときには、ずいぶんこの点が論議になったはずであります。 その点と、さらに昭和三十二年度までの費用については従前のまま、三十三年度以降の費用について二〇%を課するという意味でありますか。その二点をお尋ねいたします。
○安田(善)政府委員 前国会でこの問題を御論議いただきまして、井手先生の御意見その他の諸先生の御意見を伺いまして、また政府の意見も申し上げまして、国会から少くとも議決を受けまして、また決議で答申をいただきました通りでございます。と申しますのは、三十二年度以降の事業費、三十二年度以降採択するものは、そういう新規事業から、工事建設費の二割を入植者の負担としていただきまして、その前に特別会計がそれを見返りにした借入金をして、金利を加えて入植費を負担していただく。土地が造成され、入植されましてから二十年間に分割払いをしていただくということでありまして、従来の継続事業につきまして、すでに干陸地ができたり、あるいは海水面の中にありますが、建設工事費を使いましたその分は工事費の五%で負担してもらう。その両者がまざる干拓地は、それを加重平均して負担していただく、こういうことでございます。なお入植者がすでに昨年の国会御審議の際のようにきまっておりました場合は、旧農地法の価格で売り渡す、こういうことにいたしておるわけであります。
○井手分科員 そうしますと、新たに二〇%の受益者負担を徴すると書いてあるのは、国営干拓事業については三十三年度ですか、三十二年度からですか。
○安田(善)政府委員 三十二年度の事業費からであります。
○井手分科員 三十三年度の予算説明書に新たにと書いてありますが、さかのぼっておやりになりますか。
○安田(善)政府委員 御指摘の文書は、大蔵省主計局の昭和三十三年度予算説明という国会へ提出しましたものと想像いたしますが、大蔵省が書いた趣旨は、三十二年度この会計が設置されたことに伴なって、その設置されたときから、新たにそれ以降についてという意味だと思いますが、いささか書き方がずさんで、農林省によく打ち合わされたらよかったと思います。
○井手分科員 この説明は私は正しいと思う。そういうふうに大臣理解していいですか。
○安田(善)政府委員 三十三年度からではございませんで、三十一年度までの使いました事業費とか、三十一年度までにでき上っておりました干拓地については、そういうふうにいたしません。もっと軽くすべきであるという国会の多くの御論議に基きまして、そういうふうにいたしまして、三十二年度から使う事業費の二割を負担の方へかけておるという意味でございます。
○赤城国務大臣 どうも少しあいまいの答弁のようでありますが、私の方の考え方から言いましてそういうふうに解釈したいと思います。なおこの会計の設置に伴なって、三十二年度から新たに国営干拓事業を設定いたしたい、こういうふうに解したいと思います。
○井手分科員 それではその点の疑義については保留をいたしておきます。 〔「主計官がいない」と呼ぶ者あり〕
○安田(善)政府委員 主計官がおりませんでも、それは関係法令をもって明示してありますので、その必要はないように私は思いますが、あとは先生の方で適当に御判断をいただきたいと思います。
○井手分科員 その点については、予算説明というものも非常に尊重すべきものでありますので、御善処を願っておきます。 そこで続いてお尋ねをいたしますが、今度は干拓でなくて開拓の問題でございます。農地局長、大臣もお聞きを願いたい。私は昨年夏、ずっと開拓地を回ってみましたが、今一番優秀な開拓者というものは、借金を返すのがいい。営農がどうであろうと、借りた金を返すのが一番優秀な開拓団だと言われておる。なぜかといえば、開拓しておったのではなかなか重い借金を払えない、生活ができない、農産物は下落してなかなか払うことができない。そこで工場でも近いところは日雇いにでも行ってその金で支払っている。こういう開拓の精神とは反した実情にあることを私は痛感いたします。そこで一番困っておるのは従来の借金です。この点については昨年開拓地の営農振興法もできましたけれども、これについては私も非常に大きな意見を持っておるのであります。あの精神と実際やられておることは違っておる——全然違っておるとは申しませんけれども、非常に制限が多いのであります。そこでお尋ねいたしますのは、開拓者が金を借りる場合には、過去の借金をその開拓団で七〇%以上償還しなければ新たに貸し出せないという制限があるように承わります。本来はやっと四 〇%か五〇%しか払えない。金がほしい開拓者が前の借金を返せないために、せっかく割り当てられた資金が借りられずにおる。各地で私はそういうことを聞いて参るのであります。借金を払わないからもう新たな資金は貸さないぞという、そういう制限はございますか。
○安田(善)政府委員 そういう法規的な制限はございません。開拓者資金を見積ります場合の長期資金であります場合とか、中金資金を借りて中小家畜、肥料、飼料、種苗等を入手いたします信用保証協会の出資及び融資、あるいは御指摘の元天災法に基く災害擁護資金、これに利子補給を新たに加えまして、もとから営農改善資金と切りかえようという方針を持っておるわけでございますが、そのほかにも自作農維持資金のうちで約五億前後、個人負債の整理に充てようと思っておりますが、いずれも振興を要する開拓者または不振の開拓者とその開拓者がおられる地区の振興計画が県を通り農林省へ行って認承を受けたものは、しようと思っております。御指摘のものは、算出基礎をやむを得ず作る場合にしておりますが、それをもって過去の債務の償還が七割なければ融資しないということはしないようにしておりますし、しようと思います。ただし農協資金が貸し出されます場合は、先国会でも問題になりましたように、経済基盤が割合弱くて、開拓予定地も全部開拓しても、当時の類型——今度改訂することといたしましたが、それに到達しないのは農協が貸したがらないということがございます。 そこでこれは運用の問題になりますが、昨年来中金を督励いたしまして、開拓農協連に駐在員を派遣して貸す気で貸すように——なるべく貸さない気で貸すのではないという意味でありますが、そういうようにいたしまして、なお十分でないところがあるかと思いますが、その負債に困っておられる農家の負債を返すために、営農を振興しなくてはならぬという性質のもの——純消費という生活資金でない場合でありますが、こういうことは私も間々耳にしますし、先生から今御指摘がございましたので、より厳重に中金に共同精神を発揮して積極的なる営農振興に融資をするように督励をしたいと思います。
○井手分科員 まだありますけれども、せっかく与党側の希望もありますので、午前中はこれで打切らしてもらいます。
○八木主査 午後一時三十分より再会することにいたしまして、暫時休憩いたします。 午後零時三十五分休憩 ————◇————— 午後一時四十七分開議
○八木主査 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。栗原俊夫君。
○栗原分科員 私は蚕糸業の振興対策ほか二、三項目について質問をいたしたいと存じます。 まず最初に蚕糸業振興対策について大臣にお尋ねいたしたいのでありますが、昨年第二十六国会で、斜陽産業といわれている蚕糸業を根本的に振興しようというので、蚕糸業法本法の中に振興審議会というものを設けて以来、この審議会でいろいろ対策を論議しておるわけでありますが、政府としては、この新たに設けられた振興審議会にどのような評価をしておるか、どのような論じ方をしておるか、この意見をどのように取り扱おうとしておるか、この基本的な考え方を、まずお伺いいたしたいと存じます。
○赤城国務大臣 審議会を設けた趣旨にのっとりまして、審議会も御承知のように再々開会いたしまして、審議会の意見は非常に強く尊重いたしております。ことに蚕糸業は今お話がありましたように、農家にとって非常に大事な業であるにもかかわりませず、少しく振興しないような状態になっておりましたので、時期的にもこれに対していろいろな対策を講ずる必要があるわけであります。でありますので、再々審議会を開きまして、審議会の意見につきましてはこれを強く尊重していく、こういう態度をとっております。
○栗原分科員 大臣は一応そう答弁する以外に道がないと思うのでありますが、実はこの法律ができたときにはすでに昨年の予算がきまったあとでありますが、実際審議会を開いてみると、会合を持つ経費が三回分しかない。こういうようなことで一体ほんとうに審議会に蚕糸業の根本的な対策を立案せしめるという熱意がうかがえるか、こういうことを実は感じたわけです。実際においては審議会自体は経費は三回分しかないけれども、しかし十数回にわたってそれは熱心に論議されております。今回は第二年度を迎えるわけでありますけれども、この審議会にどれほどの熱意を示しておるか、この点を一つ御説明願いたいと思います。
○赤城国務大臣 審議会の開催の経費等につきましては、御指摘のように不足の点があると思います。しかし、御承知の通り農林省関係の審議会とか調査会とかはたくさんあるのでありますけれども、私といたしましては事情の許す限り蚕糸審議会にも出席いたしまして、各委員の意見もよく聞いておるわけでありますが、非常に熱心な御討議、審議が行われておることは私も承知いたしております。でありますので、いろいろ調査会や審議会がありますが、先ほど申し上げましたように、この審議会につきましては、重ねて申し上げますが、三十三年度予算、あるいは時期的に打つべき手等につきましても、意見を尊重して施策を進めていきたい、こういう状態であります。
○栗原分科員 これはほかの審議会も、もちろん大事でない審議会はないわけですが、この審議会は内容からいって年に一回とか二回とか、こういうことではとても内容がまとまりません。しかも一応急いで立案をしなくてはならぬというときに、どうもほかの審議会の経費の関係があるからこの審議会もというような予算の盛り方では、実際においていかぬと思うのです。ほんとうに熱意を示して、ほかの委員会はほかの委員会の実情に即した予算を盛り、また頻度の多い開催を必要とする審議会には、やはりその頓度に応じた予算というものを組まなければ、軒並み的なやり方では、問題が前進しない、こう思います。 そこで次に移りますけれども、根本対策を立てる、こういうことで審議会は持たれておりますが、根本対策を立てる過程においても、当面処理していかなければならぬ問題もその中に多々あって、中間的な答申等も行われておりますが、その中には特に予算に関連したものがかなりあるわけでありますけれども、この審議会の予算に関連した中間的な答申に対しては、どれだけの政治的な実現を示したか、こういうことについて要点を取り上げて一つ御説明を願いたいと思います。
○須賀政府委員 蚕糸業振興審議会の開催の回数につきましては、これは栗原委員も御参加いただいておりますので、十分御承知のことと思いますが、他の審議会に比較いたしまして、非常に開催回数も多うございます。当初予定をいたしました経費ではまかないかねるような事情もございましたので、本年度につきましては省全体で調整をいたしまして、それに必要なる経費をまかなうようにいたしたわけでございます。なお来年度につきましては、本年度における開催の実績等も大蔵省との間に示して相談をいたしますし、またわれわれといたしましても、来年度にかけて相当の回数を重ねて御審議をいただかなければならないと考えますので、それに必要なる予算手当も一応いたしておるわけであります。 それから、昨年末一応中間的に御答申をいただきました養蚕振興、需要増進の両面にわたりましての、来年度予算に対する組み込みの関係でございますが、これはおもなものを申し上げますと、第一に海外に対する生糸の需要増進のための宣伝費用でございますが、来年度は九千万円を計上いたしております。これは実質的には前年度より二千万円の増額となっております。それから第二に養蚕技術の末端浸透、いわゆる養蚕技術普及態勢につきましては、蚕業技術員の問題が年来あるわけでございます。この点は、特に三十三年度につきましては、その待遇を大幅に改善することにいたしまして、三割のべース・アップをいたすことにしているわけでございます。それから第三には、だんだん繭、生糸の生産もふえて参っておりますので、それに対応いたしまして、需要の増進をはかることはもちろんでございますが、一方糸価安定制度につきましても、さらにその支持力を強めて参りますような態勢を備えて参らなければなりませんので、この点について糸価安定資金の増額をいたすわけでございます。これは糸価安定特別会計法の改正といたしまして、近く国会に提案いたすことになっております。なお糸価安定制度による買い入れ方法等につきましても、買い入れ資金をできるだけ効率的に使って参りますために、若干の手直しをいたしたい。その他昨年来進めております繭及び生糸の生産費の合理化の面につきましては、特に繭の面につきましては、来年度凍霜害対策の一環といたしまして、重油燃焼のために、改良資金による無利子の融資の措置を講ずることにいたしたのであります。その点が養蚕対策に対しての措置となっているわけであります。なお生糸の加工面の能率を上げる面につきましては、昨年来、前国会でお願いいたした設備処理法によりまして、三十三年、三十四年と三カ年計画でこの仕事を進めることにいたしております。以上がおもな点でございます。
○栗原分科員 ある意味においては、振興審議会の意見も相当取り入れられた面も見えますが、まだまだせっかくできた審議会の考え方には、ほど遠いものがあるように考えられます。そこで今回の予算に関連しながら少しくお尋ねしたいのでありますが、技術普及に関する問題から、今までの補助金のベースを三割アップした、こういうことでありますが、審議会におきまして、この問題が特に大きく取り上げられた原因は、国からの補助、県からの補助、そして農民自身の負担、こういう形になっているわけですが、実際においては農民の負担部分についていろいろ問題がある。それは養蚕団体が負担する形にはなっておりますが、その実質は製糸の方から指導費というような名前で受けているところに、繭取引に関連していろいろ農民の不信感がわいてくるのだ。従って普及態勢というものを、そうした関係をなくするような形に、国からの助成あるいは当該県からの助成によってなすべきである、こういう議論が中心であったわけでありますが、三割のベース・アップによって今後繭の取引を明朗化する、農民の取引に対する信頼感を取り戻す、こういう意味において、繭の買い側である製糸側から売り側である養蚕農民団体への金銭の授受については今後どうしていく考えであるか、この点について、これは一応局長から御意見を伺いながら、農林大臣の根本的な考え方を伺いたいと存じます。
○須賀政府委員 来年度予算におきまして、産業技術普及員の待遇を改めまする考え方につきましては、当初の考え方といたしましては、ただいま栗原委員から御指摘がありましたように、この職員の設置の方法が、国、県及び養連の三者の負担において置かれておる。しかもその養連の負担分については繭の需要家である製糸業者から一定額の金額の醵出を得ましてこの職員を置いておるというところに、従来非常に問題があったわけです。だんだん繭の需給事情も変って参ったわけでございますので、生産者団体といたしましては逐時その自主性を回復いたしますようにわれわれとしても当然考えなければならない。当初来年度予算の要求をいたしました場合に、従来実質的にこの職員が国で四分の一を補助しておるという形になっておりまするものを二分の一に補助する形に改むべく最後まで努力をいたしたのでございまするが、いろいろな都合でこの形においては実現いたさなかったわけであります。しかしながら繭生産者団体のこの負担分が従来のような形において続きますことは非常に大きな問題でありまするので、私ども引き続きその改善に努力いたしたい、さように考えております。
○赤城国務大臣 ただいまお話がありましたように、養蚕家は実際には養連を通じて負担をしておりますが、そういう実態でありますると、どうしても製糸家の方に歩がいいといいますか、生産家である養蚕家の方が押されぎみだということでありますので、製糸家から負担分を養連に出してもらうという形は好ましくない形だと思います。でありますので、養蚕の方が振興いたすにつれまして、やはり繭の売り高の方から自主的に養蚕農家が負担分を負担できるというような形に進めていきたいと思いますけれども、実際から言いますると、養蚕農家の手取り収入というものも非常に少いわけでありますので、進めては行きますが、相当困難な点もあると思います。そこで、今蚕糸局長からもお話し申し上げましたように、国の方の補助を多くして、それを補っていこうかというようなことでいろいろ努力を続けたのでありますが、御承知の通り、政府といたしまして、ことに農林関係につきましては、財政当局から見て非常に補助とか人件費という面が多過ぎやしないかというような議論も出ておったわけであります。しかしながら蚕糸業の振興という面から見て、技術改良についての対策は根本的に非常に重要である、しかも国の考えている技術員の定数よりも実際地方においてはよけいに置かれておる、従って一人当りの技術員の給料といいますか、給与も少いというような実態も生じておりますので、国の方の補助率を上げるべく努力はいたしたのであります。しかし先ほど申し上げましたように、人件費とか補助という点につきまして財政当局も相当難色は持っていました。しかし私どもの努力といってはどうかと思いますが、とにかく相当強くこの点を主張いたしましたので、御承知でありましょうが、昨年までは技術員の費用というものは大てい第一次査定くらいで全額切られておったのが実情でございましたが、ことしは技術員の給与補助につきましては、財政当局も第一次査定で切らずにおいたのであります。しかしそれだけでは私ども満足いたしませんので、先ほど蚕糸局長から申し上げましたように、この総額におきましても増させることができましたし、ことしは養蚕技術員の関係につきましては相当努力の効果が現われたと思っております。しかしながら決して満足しておるような状態ではありません。でありますので、これにつきましてもなお今後待遇等につきましては努力をし、養蚕農家の負担が製糸業者によって肩がわりされているような状態を除くべく努力いたししたい、こう考えております。
○栗原分科員 気持は非常によくわかるのでありますが、何といたしましても、繭を売る側が買い側から金をもらってやっていくということ自体は、取引からいって公正を欠くと思うのです。その金額も、県単位の産繭額によって貫当りの金額はまちまちのようでありますが、安いところで、産繭額の多い群馬県あたりは二十円、少いところで四十円もらっているところがある。かりにその群馬県にしましても、年間五百万貫ということになると、一億円の金を養蚕団体が繭を売る相手方である製糸側からもらう、それでほんとうに繭の値段の取引をやるときに公正な取引ができるかどうかということについては、全く農民としてもこれはどうも信用ならぬ、こういうことになるわけです。繭の取引価格が法律できめられた法定価格になればそういう問題はないけれども、掛目協定の交渉というようなものが残っている限りにおいては、相手方から金を莫大にもらっているということは、実際厳密にいえばややこしい問題さえ起すと思うのです。そこで、でき得ることならば、売る相手側、すなわち需要者の製糸側からそういう金をもらってはいかぬのだという建前を確立して、そうして農民の負担は農民の負担でなすべきだ、しかし現段階では経済的にまだそれには無力であるから、その足らぬ部分は国がめんどうを見てやる、こういう形の態勢を立ててもらうと同時に、順次この振興施策によって農民が実力がついてくれば、国からの助成等も漸次減じていってもいいような農民の経済的の自主性が出てくる、こういう形に押していくのが本筋ではないか、こう思うのですが、農民と買方の製糸側との金銭の授受の関係を速急に断ち切っていく考えはございませんか。
○赤城国務大臣 全くお話の通りであります。通りでありますが、実情として今それだけの負担が養蚕農家になかなか困難だということと、国の方でそれに肩がわりするだけの予算の計上が十分できなかったということでありますので、現状は今お話の通りで、私も好ましくないと考えておりますが、逐次これを改善していきたい、こう考えております。
○栗原分科員 一つ大臣の政治力に大きな期待をかけて、一日も早くそういう明るい事態にしていただくことを要望いたしまして次に移ります。 昨年の春の国会でできました生糸の製造設備の制限の法律によって、いよいよ製糸設備が制限されていくという事態になってきておるわけでありますが、これが非常に影響いたしまして、実際の繭の取引の関係においては昨年の初秋、晩秋等において非常な影響を受けて参りました。どういう形で受けてきたかというと、いわゆる団体協約外の取引というものはほとんど姿を消し、買いに来ないというような形になったわけであります。面を変えていいますと、今までの売手市場が買手市場に変っていく、こういう姿になってきたわけでありますが、そこで問題は、こういう形で参りますと少くとも来たるべき春の繭あたりからはなかなか容易ならない事態が起ってくるのではないかということが考えられます。と申しますのは、団体協約をして、そして掛目についても理論掛目などというものを用いて、その交渉の柱にしておるわけでありますけれども、実際の協定を進めるに当っては、協定外の繭の具体的な取引の値段というものがその他の事情として大きく評価されて、理論掛目より以上の取引というものが常に行われておったのが実情でありますけれども、そういうものがないということになると、これは率直に言って製糸側に農民が徹底的に追い詰められる、こういうことになるわけであります。最も端的に言えば、成り行きによっては繭糸価格安定法の中で保証されておる繭の最低値までへも追い込められる危険性がある、こういう心配が持たれるわけであります。一方においては設備が過剰であるからという立場に立って、国から補助金までも出して法律によって設備を整備していく、そして戦線を整えてやる、一方売手の側に立つ農民の方はまずノー・ズロースで受けて立つ、こういう形で追い込まれていくということになると、最低値のいろいろな問題から生産費の八五%前後の最低値の保証、ここへ追い込まれるということになってくるということは、国が法律で、しかも補助金まで出して製糸側を整備させて、そして最低値である生産費の八割五分のところまで追い込ませるのだという言い方も、しいて言えばできないことはないと思う。こういうときには一方法律で国から補助金まで出して戦線を整備された以上は、少くとも繭の生産側である養蚕農民の繭の値段については生産費の大体一〇〇%を保証してやる、こういう形をとらなければ、これは農民が徹底的に圧迫されるところの片手落ちの施策じゃないかと考えるのですけれども、この点はどんな工合にお考えでございましょう。
○須賀政府委員 昨年の初秋、晩秋あたりから繭の需給関係がだいぶ変って参っておりますことは、ただいま御指摘の通りでございます。なおことしの春繭以降におきましても、ここ数年前の繭市場の状況とはだいぶ様子が変って参ったということは当然想像されるわけであります。この点につきましては養連側といたしましても、生産者団体といたしまして今後繭の販売体制について整えるべき体制をいろいろ準備はいたしておるようでございまするが、私ども考えますところでは、一応従来いろいろな形におきまして製糸家、いわゆる繭需要者側の方から生産農家に対しまして、言葉は必ずしも適当ではないかと考えますが、いささか過剰なサービスもあったわけでございます。現在までの製糸の経営の中身を見てみますと、やはりそれが相当経費の負担になっておるわけでございます。今後の方向といたしましては、やはりそういうものは、かりに繭需要者側として生産者団体に協力をいたしましても、生産面に直接効果のありまするような方向に向けてもらうというようなことによりまして、取引そのものは協定の際におきましても正常な取引価格が計上されるようにして参らなければならない、さように考えておるわけでございます。その場合繭につきましての生産費の何割が保証されるかということでございまするが、昨年度の場合におきましては千四百円の最低繭価は、繭生産費に対しまして約八八%程度の支持率になっております。本年度は近く三月に繭糸価格安定審議会を開きまして、三十三年度の最低価格を諮問いたしてきめるわけでございますが、目下のわれわれの考え方といたしましては、最低糸価につきましてもまた最低繭価につきましても、前年度の線を動かす考えは持っておりません。そういたしますると本年度繭の生産費として用いられますものは、おそらく前年度がなり豊作であった関係もありまするし、反収も相当上ってきておりますので、前年度の生産費よりはやや低目のものが出て参るのではないか。そういたしますと支持率もおのずから上って参るわけでございます。百パーセントにはもちろんなれませんし、またここまで行くことは困難でありますが、支持率を引き下げるというようなことにはならないと考えております。
○栗原分科員 設備の処理が業者の自由意思によって漸次処理されていく場合には八五%というような支持率というものは一般通念だと思うのです。しかし一方において設備を法律によって、しかも税金から補助金まで与えて、そうして需給のバランスというものをむしろ繭の供給過剰というような姿に持ち込んだときには、これは一般に業者が自由意思で設備を処理していって、そうして繭が過剰になってきたという場合とはおのずから考え方が違わなければならぬと思うのです。金をくれて法律で設備を処理させるような政策をとっておいた、そういう場合においては一方においては、少くも政府の機関からの統計の中に出てくる生産費は、当然まるまる買い上げてやるという程度の政策があわせ行われなければ、これは何といっても片手落ちですよ。どうでしょう。
○須賀政府委員 設備処理との関係につきましては、この設備処理の具体的な内容、また現在進めております処理組合の計画等につきましては、栗原委員におきましては十分内容的に御存じでありまするので、私から重ねて申し上げませんが、この処理をいたしました場合におきましても、操糸能力そのものは、全体としては低下をいたさないことになっております。全部の機械設備につきまして、現有設備一割五分の廃棄をいたしましても、なお残りました設備の操業能力、生産能力は、将来繭が三千四百五十万貫の生産の場合を想定いたしまして、なお八〇%というような状態になっておりまするし、また一方、製糸技術の進歩の方も、最近の状況を見ますると、年々能率が上って参っておるような実情でありまするので、この設備処理の結果、操糸能力の全体が減りまして、その面から繭の需給関係が変ってくるということはないものと考えておるわけでございます。これは前国会で御審議をいただきます際にも、るる申し上げましたように、能率の向上による加工販売費の合理化をねらっておるわけであります。それが直接繭生産者の利害関係に重大な影響があるようなことのないようにということは、あの法律のそれぞれの個所にも十分配慮はいたしておるわけであります。関連産業との影響については十分に注意をいたして参るような立て方になっておりますので、私どもはこの設備処理そのものによりまして、繭生産者に転嫁するようなことのないように心がけて進んで参るつもりであります。
○栗原分科員 それが全くお役人の机上の空論というものなんですよ。実際において、昨年の晩秋蚕等によって団体協約をやった繭を取りに来ない製糸家があちらこちらに出ているのです。こういうところが、実際と、数字の上をなずって歩いた結論と非常に違うところなんです。そこで、一方においてそういう施策をする以上は、政府の信頼できるみずからの統計でもって出した生産費を償うだけの支持価格を与え、それが高過ぎるならば、指導やその他の方法によってそのコストを下げる施策と相待ってやっていく。こういう形がとられなければ、何としても片手落ちだと思うのです。この点さらにいたずらな数字のもてあそびでなくて、もう少し実情というものを十分検討してやっていただきたい、こう思います。 そこで話を進めますが、先ほど局長の答弁の中に、今年は繭糸価安定法できめられておる生糸価格の十九万円、それからまた繭値段の千四百何ぼというものは変えないつもりだ、こういうことをおっしゃっておられました。率直にいって、地方へ参りますと、何か新聞報道にもあったのかもしれませんが、十九万円を一万円ばかり値を下げられるのではないかというようなことで養蚕農民はきょうきょうとしております。この際、審議会でどのようなことがあろうとも、政治的施策として今年は十九万円は絶対に維持するのだ、こういうことをここで御言明を願うことが、蚕糸振興の非常に重大な問題だと思うので、この言明をいただきたいと思うのですが、大臣からお願いいたします。
○赤城国務大臣 御承知のように、新聞の論説などでも繊維価格が下落しておるから、生糸とか繭の方に力を入れ過ぎているのじゃないかという論調などもないわけではありません。しかし養蚕業の実態、あるいは日本の輸出関係から見ましての生糸の重要性、こういう点から考えまして、そういう論調やあるいは地方で今お話のようなことがあるやにも聞いておりまするけれども、私どもといたしましては、生糸の最低価格十九万円を変える考えはない。これを動かさない方針でおります。来年度の安定価格の決定につきましても、今事務的に作業を急いでおりますので、三月に入りましたならば、できるだけ早く糸価安定審議会に諮問していくつもりであります。この点につきましては、蚕糸審議会でしたろうか、そこでも私は言明しておったのでございますが、国会開会中でありますから、今の御質問に答えて、これを動かすことはいたさない、その方針をはっきり申し上げておきます。
○栗原分科員 養蚕関係はその程度にいたしまして、次に畜産の振興対策について少しくお尋ねしたいと存じます。けさほどの提案の御説明によりますと、畜産を振興する、その中で特に世界銀行資金等より乳牛の導入等も大いに実施して大いにがんばる、こういうお言葉でございました。酪農振興法によって酪農も非常に盛んになってきておりますけれども、乳価問題で今非常に大きな問題の起っておることは、御存じの通りでございます。酪農を非常に振興する、まことにけっこうであるが、どうも絞った乳の値の方は、さっぱりだということでは、これは施策にも何にもならぬと思いますが、ここ一両年、海外から輸入しておる酪農関係の品々は、どんなもので、どの程度入っておりますか、ここで明らかにしていただきたいと存じます。
○谷垣政府委員 最近海外から入っております物は、乳製品の関係では、脱脂粉乳がほとんど大部分を占めております。そのほかに従前チーズを入れておりましたけれども、これは最近におきましては、日本のチーズを作ります場合の原料のチーズしか入れておらないのであります。脱脂粉乳は、御存じの通り、学校給食の方へ出しますためのものでございます。これが大部分で、およそ二万トン程度の数字になっております。
○栗原分科員 脱脂粉乳が入ってくることは、これは無償とかいうように聞いておりますが、こういうものが今後も入ってくることが、日本の酪農振興のためになりますかなりませんか、この点を明確にしていただきたい。
○谷垣政府委員 御存じの通り、現在入っておりまする脱脂粉乳は、アメリカからのグラントのもの、そのほか学校給食のときに不足分がございましたならば、オランダから若干入っておる、こういう状況にあります。これらのものが入ってくることの可否の問題でございますが、確かにそれがそのままの形で市場に出ますと、現在のところ乳製品につきまして、ことにこういう学校給食として出しておられるものにつきましては安い値段で入っておりますから、日本の乳製品に対しまして非常に脅威になると思いますが、幸いこれは学校給食という形の特別な市場で消費されておりまして、そういう心配はなかろうかと思います。また数年前までチーズを入れておったのでありますが、これらは、物によりますと、その後の状況から見ますと、当時日本のチーズがそれほど売れていなかったのでありますが、かえって一種の刺激を与えた形になりまして、日本のチーズそのものの国内需要がふえた、こういうことも経験はしておるわけであります。全体的に申しまして、無条件にそれだけの安い乳製品が入ってくることは、これは何らかの形において調整をとっていきたいとはもちろん考えております。
○栗原分科員 一方に酪農振興法を作って、そして農民には大いに乳牛を導入して乳を増産せい増産せい、こういうことになっておるわけですが、その増産した乳価というものが引き合わないということで、今非常に問題が起っておるわけですが、その陰には、いろいろ総合的な立場に立っての理由はありましょうけれども、海外から、脱脂粉乳を中心としてであっても乳製品が入ってくることはどうも芳ばしくないように思われてなりません。ほんとうに酪農振興をやっていこうとするならば、そしてその範囲内で置きかえることができるならば、海外からの乳製品というようなものは一切シャットアウトして、そして酪農振興の実を上げていただきたい、かように思うわけですが、こういうことはほとんどできないとお考えですか、やればできる、こうお考えですか。
○谷垣政府委員 先ほど来申し上げましたように、現在入れておりますのは学校給食として、特別のワク内において使うもののみに限定されております。そのほかにえさ用といたしまして特に安い脱脂粉乳を入れております。これは政府の方で輸入いたしまして、それぞれの酪農家の方に渡しておる、こういう状況でございます。
○栗原分科員 学校給食の方へ回しておるからいいとは言うけれども、もし学校給食に栄養分として乳製品が必要だという前提に立つならば、内地でできる牛乳あるいは乳製品でこれに置きかえられないこともないのではないか。もちろんそのほかに入ってくる価格の問題等もございましょけれども、酪農振興という立場に立ってこれが考えられないものか、こういう考え方なんです。
○谷垣政府委員 将来の問題といたしまして、日本の国内生産が非常にふえて参れば、そういうことは当然考えられると思いますが、現在国内のミルクの生産と需要の問題をにらみ合せて考えてみますと、その価格の問題は別にいたしまして、今直ちに学校給食の約二万トン程度の脱脂粉乳を全部日本の脱脂粉乳に入れかえるというのには、まだ少し日本の生産量が足らないだろうと存じます。現在の日本の脱脂粉乳の生産はほぼ五千トン程度という状況でございます。海外から入れまして学校給食に回しておるのは二万トン程度ということになっておりますので、もう少し国内の生産を伸ばした上での話になるか、かように考えております。もちろん価格の問題は、先ほど先生の御指摘の通り、かなり向うの方が安くなっておりますが、その問題は別といたしまして、数量的にはそういうことであります。
○栗原分科員 生産価格と売り渡し価格の問題でいろいろ論議がなされ、一般飲用乳の問題等では、小売価格は一向に下らんけれども、生産者価格の方はたたかれておるというような問題で、あちらでもこちらでも紛争が起っておるわけであります。今回のいろいろ盛り込まれた施策を見ますと、基金を作るやら、いろいろな方法が考えられておるようでありますが、日本の営農、畜産の中でも酪農がほんとうに重要なことであることは当然であり、政府もこれを重く見ておる以上、やはり引き合うということが絶対に重大な前提になろうと思いますので、たとえば乳価安定法というような、ほんとうに安心して酪農に邁進できるような、振興法のうらはらになる法律を、価格政策としてできれば何とか振興法の中へ織り込むような考え方は当局にはございませんか。
○谷垣政府委員 乳価そのものをどういうふうに政府の方で指示するとかあるいはどうするとかの乳価政策の問題でございますが、今の日本の酪農の状況というものは非常な勢いで実は進展しております。ことし約七百三十万石くらいの数量になるかと思いますが、昨年に比べますと百万石以上の増加、こういうふうな状況で、この数年来生産と消費ともどもに実は非常な勢いで伸びている状況でございます。それぞれの製品にいたしましても、アイスクリームの需要にいたしましても、脱脂紛乳の需要にいたしましても、非常に変化が激しく、しかも大局的に見ますと非常なスピードで両方とも伸びております。一時的なずれの問題などはございますが、こういう状況でございまして、日本の現状から見ますと、価格の問題をきちっとフィックスした形におきましていろいろやりますことよりも、むしろ価格を形成いたしまする周辺の状況をいろいろの形におきまして調節するような方法の方がまだいいのではないか。たとえば生産と消費との間に若干のひずみがございます。そうしますと、牛乳生産の特質上生産制限というものはそうできませんし、また作りましたミルクを拒否するというわけにも参りません。少々のひずみが実は重大になりますが、そういう場合に、乳代の遅払いでありますとか、あるいはミルクの拒否というような、そういう事態が起きませんように金繰りの問題でめんどうを見てやるというようなこと、あるいは流通過程におきまする諸種のコストをできるだけ軽減する方法——今非常に大きく考えられておりますのは、工場まで持って参ります輸送賃の問題でありますとか、そういうようなものを軽減する策としての能率的使用をさせる方法、あるいは、自給飼料の部門を強化いたしまして、農家の待望いたしまする幅の広い形にいたしまするとか、こういうような状況へ持って参るのが今の場合適当ではないか、こういうふうな考え方で現在のところ進んでおります。
○栗原分科員 この問題は、農村では当面したなかなが重大問題なので、いずれあらためて農林委員会の方で十分伺いたいと思います。 次に、開拓関係と農地保全の問題について農地局関係に少しくお伺いしたいのですが、次男、三男がなかなかたくさんあって農地が足りないということで、開拓には非常に御努力をなさっていただいているわけですが、各地に入って、入植開墾ではなくて、住宅に近いところの森林等について増反開墾等を希望いたしましても、実はことしの計画はこれこれしかないので、調査費用もこれだけだというようなことで、なかなか思うにまかせないのが実情であります。これらについて、農地局関係ではどんな工合にお考えになり、どんな熱意の入れ方をなさっているのか、一つ御説明を願いたいと思います。
○安田(善)政府委員 開拓を重要視いたしまして、特に、雇用の問題のみならず、国土の利用開発の面からも取り上げまして、農林省でできる限りの努力をいたしておりますことは御承知の通りであります。従来この開拓はまず適地を調査しまして、未墾地を政府において農地法によりまして取得いたしまして、ここへ地区の計画を立てまして建設工事をし、入植者を選定して入植の住宅から営農、開墾等の助成をして、ここに将来ある目標のもとに類型を定めまして、自作農として、専業農家として成り立つことを政府がみずから援助することが原則でございます。そのうちその当該未墾地買収、やがて開拓地となります周辺にありますあるいは所有者、利用者でありました人たち、簡単に申しますれば地元の方方と、それ以外の外部から一戸を創設する建前で入植される方がまずあります。農家そのものを創設いたしますことを一つの原則といたしておりますが、実情に即しまして用地の取得また付近の零細農家の増反、両方あわせてやる必要がある。そこで農地法の買収から地区計画、入植開拓への振興の助成に至りますまで、何を原則といたしておりますかというと、建設工事を国費負担でやりますこと、建設工事というのは開拓道路とか水路とかいうものなどの基幹工事、公共性の強いものであります、そういうものと、未墾地を国で買うか買わぬか、それは自作農創設特別会計の操作によって買うのでありますが、その際には、建設事業を国費全額負担でやりますような場合におきましては、国が未墾地を農地法によって、特別会計によりまして買収しまして、一度国有地になりました土地につきまして各団地が、地元増反者を含むことは差しつかえありませんが、地元増反者でない入植者が二十戸以上あることを原則とすることに、ここ数年来なっておったようでございます。しかしそれは必ずしもそうでなくてはならぬかという点に至りますと、零細な農業兼漁業をしておられるような、周辺の開拓地で平均的に小規模経営の方々がたくさんある場合に、開拓地の団地はかなり広い、そして以上申し上げました入植農家が二十戸以上含むような場合の措置をした方が適当であるがどうかということにつきましては、運用によりまして総体を判断しまして建設事業も国費負担でする方がいい場合は、それを採択する問題として解決をしてきたようでありますが、例はそれほど多くはございません。三十三年度からは、終戦後ここ数年来のその制度にさらにつけ加えますのに、まずテストとして始めたいと思っておりますが、将来は一そう拡充したいと思っております。個人が共同しまして、原則としましては市町村というような公共団体が、そこの元の住民の土地の縁、血のつながりの縁を中心にいたしまして既耕地の土地改良とともに地元増反をする、こういう場合も補助の道を開くように予算でお願いをしておるのであります。さしあたり来年度は四十五カ町村におきまして、また取扱いの便宜上、他の一般の従来の原則としましたものを、大規模な開発をして、その場合は機械開墾導入の割合を極力多くいたそうという方針によって案を立てておりますが、それとあわせてこの共同事業の個人の地元増反地の開墾も、その付近になるべくくっついたところで一応採択してやってみよう、その成績がよかったら、逐次今後拡充したいと思っておるわけであります。これは三十三年度からの新制度でありまして、かつて昭和二十三、四年のころまでだったと思いますが、開墾助成法というものがございました。それがその後廃止になりましたが、実態上それに新しい息を吹き込んで始める。そして新たに開いたこういう土地で作付をして、その土地における農作物の収益については所得税をかけない。こういう所得税の免税の特別措置法を別途大蔵省から出していただくように用意をいたしております。
○栗原分科員 懇切な御説明をいただいてありがとうございました。当局が開懇についてなかなか反対の攻勢も強い中に熱意を示して、耕地造成の努力をしてくれることがよくわかったのであります。そこで一方既設の耕地について、この保全の問題でありますが、少くとも農林省としてはよほどのことがなければ、努力をしてまでこれから農地を造成していこうとするときに、すでに開かれておる農地の取りつぶしには反対の態度をとっておられると思う。具体的な問題とすれば、農民が農地を取りつぶそうと考えても認可、許可が要る。農民自体が区取りつぶそうと考えても、なおかつそれを百パーセント許可しない場合があるわけですが、まして農民がどうしても農地として持っていくのだ、こら主張をするときに、これをどう取り扱うか。もちろん道路敷とかいろいろ特殊な法律もあって、たとい農民がどう考えようともという場合があるけれども、しかし基本的には農民が農地として土地を守ろうとするものは、農林省としてもこれを農地として保全する、守っていく、こういう基本方針には変りがなかろうと思うのですが、この点は大臣いかがでございましょう。
○赤城国務大臣 今のお話の通りであります。でありますので、基本的には農地として守っていくというところに転用の申請などが出ましても、土地所有者の承諾ということがない限りは、私どもの方でも受け付けません。またかりに承諾がありましても、大きな見地から転用をすることが不適当だ、こう認めるものについては許可いたさない方針でずっとやってきております。
○栗原分科員 これはまた農林委員会でじっくりといろいろ討論をしてみたいと思うのですが、とりあえず一言だけお伺いしておきたいのは、今千葉県下の松戸に問題が起っておる。これは耕地が五割以上占めておる。中に山林もあるのですが、山林も率直にいえば、平地開懇には適地だと思われるような部門が大部分なのですが、ここが住宅公団の手によって強硬に区画整理を行われようとしておる。農民は反対してもその区画の中に入っておるので、まず負担分として二割五分見当の土地を無償でとられる。これはとんでもないことだというような事態が起って、訴訟事件にまで今発展しておるわけですが、こういうことに対して、にわかにここで当局が考えをぴたっと発表することはなかなか至難だと思いますけれども、こうした状況の中で農民はおれたちは営農を続けるのだ、営農を続けるのに道路を作られる、道路を作る道路敷程度については協力はしょう、しかし減歩として三割五分も農地を取られるのはとんでもないことだ、こういう事件が起っているのです。これは少しむずかしい問題かもわかりませんが、農地を保全するという立場に立つ農林省はどんなお考えを持っておりましょう、これは大臣よりも局長に一応見解を述べてもらって、最後に大臣として一つ……。
○安田(善)政府委員 先生の御意見と質問と両方まざった中にございましたように、私どもは政府の立場にありますと同時に、農林省の立場にありまして、農地法を励行する立場にございます。農地法におきましては農地の壊廃に関しては国、県が行う場合は適用を除外しておりますが、あとはつぶす方とつぶすために売る方の所有者にともに同意がありまして、申請が出てきたことを個別ケースに基いて許可するようにいたしております。ただし農地法の省令によりまして住宅公団が行いますのは、建設大臣が区画整理を認可する場合には、住宅公団の行う区画整理について適用を除外することになっております。一般に農地法の転廃用の許可につきましては、先ほど農林大臣もお答えになりました通りでございます。公共事業、言いかえますれば、施行主体としての国と県が行います事業のためでございますが、そのときに適用除外しているのは申しました通りでございますが、御指摘のところは多分千葉県の金ケ作地帯のことだと思います。住宅公団の行う建設大臣の認可のことだと思います。すでに認可はございましたが、事態はかなりの田畑を含みまして減歩率がもっと高い四割五分の例もあるそうでございますが、三割五分という減歩率を適用されるところが多いのでございます。農地法の精神は単に転廃用に許可制度をとるのみならず、第一条に掲げてありますように、農業生産力の発展と農家経済の安定、農家の地位の向上をはかることを目的にいたしておりますとともに、なるべくは自作農主義をとっておりますので、利用権と所有権とが土地、農地について離れておりますことは、まず原則として考えるべきでないと思っております。そういたしますと、減歩率はほかの施設、道路等ができて地価が上るから面積を削られても、それと相殺してがまんはしてもいいだろうという説を農林省は持っておりません。その点に関しまして、今般区画整理法の改正をより公共事業的なものとして強権発動を内容にして強くする案が練られておりますが、根本建設大臣に御意見を申し上げまして、目下根本大臣御自身でも、もっともだということで御研究中であるのであります。私どもはまだ成案を得ませんが、農業の利益と他の利益とせり合うときには、よく彼此考案してその上位に立つ公共的、国家的な、そのときどきに応じました基準で判断したつぶれ地とか廃用の許可あるいは区画整理事業の許可ということはやむを得ないかと思いますが、よほどそこのところはしっかりしたもので、区画整理を受ける農民がかえ地を持ち得て、そう経済上悪い条件にない場合とか、減歩率をそれほどひどくしない場合、ある場合は離作料ないしはつぶれ地の地価の補償をもらえるような措置とか、それらはいずれも十分に現行制度では確保されておりませんけれども、それらの点をよく考える方がよろしいという見解に立ちまして一般的には取り扱い、具体的には千葉県が何といっても一番詳しいのでその旨の指示を与えまして、千葉県庁がその現地において農民ががまんできる範囲と公共事業の必要性との調整をするようにさせておるのが現状でございます。まだ結論は出ておりません。
○赤城国務大臣 ただいま農地局長から御答弁申し上げましたような事態でありますが、今も御説明申し上げましたように、土地区画整理事業施行地区においては、農地の転用は土地区画整理事業による道路公団等の公共施設の新設の場合を除いて許可を要することになっておりますので、これについては慎重なる態度をとって臨んでおるわけであります。ただ住宅公団の場合には実は許可を要しないようなことになっております。こういうことではまことに私どももまずいと思いますので、そこで今具体的な松戸金ケ作の問題につきましては、そういうことで住宅公団の方で測量を開始する運びをしていましたので、私の方から建設省とも協議の上測量中止を要請しました。今測量を中止させています。そうして今農地局長の説明の通り県当局といろいろ折衝をして、今の補償の問題あるいはかえ地の問題やら、そういう問題が片づくまでは手をつけては困るということで厳重に抗議を申し込んでいるわけであります。また根本的に土地区画整理法ですか、そういうものの改正も考えておりますので、その点につきましては建設当局といろいろな面にわたって協議をしまして、私どもといたしましては農業政策の根本に触れるし、農地法の精神にも触れる問題につきましては、これを阻害しないように協議をいたしておる、こういう段階であります。
○栗原分科員 よくわかりました。これは単に金ケ作の問題ばかりでなくて、少くとも区画整理の中へ入り、公団に委託されるというと、法によって減歩率というものをかけられる。率直にいって減歩されて、道路ができても農業生産は上るわけではありませんので、こういう問題は区画整理を認可するときにはその区画になるものは全部農地でなくつぶしていいのだという前提に立たないと、えらい問題が起ってきょうと思うのです。従って農林省と合議するとか、この区画は全部つぶれ地にしてもいいのだ、減歩されたものは農地ではなく、たまたま家が建つまでは農に使っているのだという建前に立たない限り、これは重要な問題が起ろうと思います。これは農林省としても一つ農地の保全のためにしっかりと健闘していただきたいと思います。 最後に、簡単に振興局長に伺いたいのであります。これはコンニャクの問題なのですが、ここ数年来外産コンニャクの輸入、そしてこれに対する反対ということで非常にもめ上ってきましたが、昨年は四百トンの輸入許可が出て、実際は二百九十トンの輸入が許された。こういう話を聞いておりますけれども、産地においては今度の輸入については農林当局の配慮によって、特殊物資の指定によって最低十六万五千円というものを支持してもらったんだが、しかし聞くところによると、政治の力で特殊物資の指定をはずすんだと、そうなると外産コンニャクがなまの安い値段で、じかに入ってくるんだということで、産地ではきょうきょうとしております。たまたま当局の配慮によって昨年秋からことし年を明けてからのこの出来秋は、農民もむしろ喜ぶような底値を持ったわけでありますけれども、しかしやはりそうした外産コンニャクの安いものがある。特別な施策で値が維持されておるんだ、これがはずされたらどうなるかということで非常に心配しております。そこでお尋ねしたいことは、今年はまた十七万円というような値を呼んで、さらに先行き値が上るということになれば、輸入問題が燃え上ってくると思いますけれども、今年の需給関係から言って輸入というものが必要であるかないか。農民としてはぜひ輸入しないでくれという要望でありますが、これに対するところの考え方、また特殊物資として万一輸入しなければならぬ場合には、内地の生産農民を守るために、特殊物資をがっちりとワクをはめて、そして内地の値段を撹乱しないような方法をとってもらいたい、こういう意思を持っておるわけですが、これに対するところの御見解を明らかにしてもらいたいと存じます。
○永野政府委員 最近のコンニャクの需給関係を見てみますと、私の方で三十二年産がどのくらいできたかということを各府県と連絡をいたしまして、調査いたしました結果によりますと、荒粉で三百四十七万貫くらいになっておるのでございます。従いまして、前年度に比して、相当増産に相なっております。また最近の価格関係を見てみましても、十二万円台くらいのところで安定をいたしておるようでございます。こういう状態であれば、外国産のコンニャクを輸入する必要はないというふうに考えております。またもし万一、今後の情勢いかんで輸入という問題が起るかもわかりませんが、その際には、現在指定しております特殊物資輸入臨時措置法の特定物資の指定は、そのまま存続をする必要があろう、こういうふうに考えております。
○八木主査 有馬輝武君。
○有馬(輝)分科員 私は食糧管理特別会計について、若干基本的な問題についてお伺いいたしますと同時に、輸入食糧の問題について若干お伺いいたしたいと存じます。 まず第一に、今度食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案で、この会計に六勘定を設けられたのでありますが、その設けられた理由としましては、この経理の内容をさらに明確にするためということだけで、特に具体的な政府の御説明はないようであります。先だって予算委員会におきまして、川俣委員からの御質問もあったのでありますが、この点につきまして、特にこの会計に六勘定を設けなければならなかった理由をまず最初にお伺いいたしたいと存じます。
○赤城国務大臣 御承知の通り今までは食糧関係の内容について、部門別の経理をいたしておらなかったのであります。一口で言いますならば、どんぶり勘定というようなことであっては、米について損がある場合にどれくらいの損ができるか、あるいはまた外麦等に利益がある場合にどれくらい利益になってくるか、こういうことがはっきりしないじゃないか、従って損の場合などに消費者に米なら米の損でないものまで消費者価格を動かして改定する場合に、それをかけていくと消費者に負担をかけるというような改定の仕方をする場合もあり得るんじゃないか、そういうことであるならば、まことに筋が通らないから食糧管理会計を部門別に分けて、国内の米とか、国内の麦とか、輸入食糧、あるいは全般にわたる業務、あるいは調整勘定、農産物等安定、こういうふうに分けていった方が適当だ、ことに農産物価格と食糧関係について基本の法律も違っておりますし、考え方も違っておる面がありますので、そういうふうに分けて、外に対しても経理がはっきりわかるようにした方がよかろう、こういうふうに考えまして、食糧管理会計の経理につきまして部門別にいたしております。こういう次第でございます。
○有馬(輝)分科員 今までの食管特別会計がどんぶり勘定であって明確でなかったというような御説明でございますけれども、これは明確じゃなかったのではなくして、ただややこしいだけのことで、私はあまりに明確過ぎておった、このように考えるのであります。今、消費者価格問題等を取り上げられまして、消費者に負担をかけるからというような御説明もあったわけでありますが、これは政治的に消費者米価の値上げをやられたのであって、決して食管特別会計の勘定が、どうあるかということとは無関係の問題であると思います。私があえてこの質問をいたしましたのは、少くとも現在の食糧管理法が、ここで申し上げるまでもないことでございますけれども、第一に、再生産を確保するということと、消費者に対する家計の安定をはかること、この二本の柱が明確になっておらなければいけない。そのためにこそ設けられた会計でありますが、とかくこの赤字をめぐりまして、他の事業会計と同じように、独立採算制がその方向だというような形で論議されること自体に、私は問題があったんじゃないか、このように考えております。少くともこの会計は国策として行うところの経済行為なんだという点を、大臣としてはこの際今より以上に明確にするお考えがあってしかるべきではないか、このように思うのでありますが、この点に対する大臣のお考えを伺いたいと思います。
○赤城国務大臣 先ほど申し上げた言葉が足らなかったかと思いますが、今までの会計が俗に言うどんぶり勘定だと言われておったのでありますが、その会計そのものが不明確であるとは申しませんけれども、外部からとかく不明確のような気持を持たれておった、こういう意味で不明確のような気持を持たれておったということを申し上げたわけであります。 それから第二の今のお話でありますが、お話の通りこれは食糧管理法という法律に基いての食糧管理特別会計であります。食糧管理制度というものは、何も特別会計において独立採算制をとるというような赤字の問題でできておるものでないことは、今御指摘の通りであります。でありますので、部門別の赤字の問題ということではありません。同時に食糧管理制度の根本が生産者には可及的に生産に合うように、これを補償するような形で米の買入れをし、また消費者には家計米価に支障がないような形において価格をきめていく、こういうような制度でありますので、そうしてまた自由販売とかいうような形ではないということになっておる建前から申し上げますならば、食糧管理制度そのものを維持していくということにつきましては、今のお話の通り私どもも考え、その線ですベてを進めていく、こういうことであります。
○有馬(輝)分科員 今の大臣の御答弁で非常に力強く感ずるのでありますが、先ほども申し上げましたような観点から、現在までとかくこの赤字が論議されまして、特に大蔵省あたりではそういった観点から食糧管理特別会計に対する疑惑の目を向けるということで、七の結果が消費者あるいは生産者に対するしわ寄せとなってきておりますので、食糧管理法の本来の性格に基きまして、今大臣から御答弁がありましたように、この会計の持つ意義というものを明確にしていく御努力というものを今後も続けていただきたいと存じます。 これに関連しまして次にお尋ねいたしたいのでありますが、今後の業務勘定の中に、今もお話がありましたが、農産物検査法に基く諸費あるいはその他の収入を入れてあるのでありますが、むしろこれは一般会計に属すべきものじゃないか、このように考えるのであります。この点について大臣あるいは小倉食糧庁長官から御答弁いただきたいと思います。
○赤城国務大臣 なお詳しくは食糧庁長官の方から御答弁申し上げますが、今のような考え方も一応あろうかと思います。ただ今食糧検査員と申しますか、末端の検査員においては食糧の検査のみを行なっておりませんので、食糧の買い入れから運送、配給その他そういう食糧管理をしております制度全般にわたってある程度の仕事をさしております。でありますので、自由販売制度のときのように、穀物検査のみをやっておるわけではありませんので、やはり一般会計でこの費用を負担するというよりも、食糧管理特別会計の業務勘定において処理していくというのが適当だろう、こういうふうに考えまして、業務勘定の中に予算を計上しておる、こういうわけでございます。
○小倉政府委員 ただいま大臣からお答えした通り私も考えております。
○有馬(輝)分科員 次にお尋ねいたしますが、かつて輸入食糧の場合に、差額が出た場合には、価格差補給金制度によって自動的に補てんが行われておったのでありますが、この際米麦の買い入れ価格並びに売り渡し価格につきまして、いま少し算定基準を明確にしまして、その価格によって売買を行なった結果については、今申し上げましたような形で、その差益について自動的に繰り入れられるような仕組みというものに変えていかれる考え方はないかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
○小倉政府委員 ただいまのところそういう考え方は持っておりません。
○有馬(輝)分科員 このことにつきましてはあとと関連いたしますので、最後にお尋ねいたします。 次に昭和三十二年度に予想される赤字はどの程度になるのか、当初百四十一億八千二百万円、こういったものが見込まれておったかと思うのでありますが、この数字に違いがあれば別ですけれども、現在予想される本年度の赤字はどの程度になっておるのか、これをこの際数字を明らかにしていただきたいと思います。
○小倉政府委員 三十二年度の特別会計の損益の関係でございますが、全体といたしまして予算上見込んでおりますのは九十六億でございます。そのうち米が約二十四億ということであります。
○有馬(輝)分科員 今度食糧管理特別会計における資金の設置及びこれに充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案という形で、一般会計からも繰り入れ百五十億を出しておられますが、これでとにもかくにも三十二年度、前年度分を合せまして処理できるような形になっておるのかどうか、この点をあわせてお尋ねいたします。
○小倉政府委員 予算で資金として百五十億入れておりますが、それとの比較においての損の関係は、ただいま申しました三十二年度の四十六億、それから三十三年度におきましては農産物の十億は予算上当初におきまして繰り入れをする、従いまして農産物以外の米麦の関係ということになりますが、これが四十三億の見込みでございます。調整資金あるいは資金と申しておりますのは必ずしも損失填補というわけではございませんから、その損益と必ずしも見合っておるわけではございません。ただ食管会計健全化の趣旨から、少くとも当面予想される損失を資金として入れる、こういうことになっております。本年度の見込み損失が決算上確定いたしますれば、それは資金を取りくずして補てんをするという予定にいたしておりますが、三十三年度の損失は九十六億以上にさらに動く要素の多いものであると思いますけれども、その損をいかように補てんをするかということについてはまだ決定をいたしておりません。
○有馬(輝)分科員 次に、先ほどお話し申し上げました赤字の原因でありますが、これは食管特別会計の本来の性格といいますか、そういったものから出てくるのであって、私はたとえば中間経費をいま少し削減したらどうかというようなことがよく言われるのでありますが、現在までの赤字というものが、こういったことによってカバーされるものじゃないというふうに考えております。たとえば中間経費でも、昭和八年、九年ごろは生産者の庭先から消費者まで、大体昭和八年で二四・六%、昭和九年では二二・一%になっております。それが現在の中間経費はどうかといいますと、白米の小売価格中に占める中間経費の割合が約一四%であります。これ以上この経費を削減できるとは考えられませんし、その他集荷に対する各種奨励金だとか、あるいは人件費といったものを云々する向きもありますけれども、一応私は限界に来ておるのではないかというふうに考えておりますが、この赤字の問題について食糧庁当局としてはどのように考え、どのように対処されようとしておるのか、この点についてお伺いしたいと思います。
○小倉政府委員 特別会計の赤字の要因に多々ございまして、お話のように中間経費の節約、合理化といったようなことで対処でき得る筋合いのものではございません。原因と申しましてもいろいろ見方によっても違って参ります。そういうわけでございますが、しかしさらばといって中間経費の節約合理化に努めなくてよろしいというわけでも、もちろん御趣旨といたしましてもないと思います。私どもも中間経費の節約につきましては予算の上でも、また予算の実施の段階におきましても相ともに努めて参っております。しかしこれによって赤字が本質的に解消し得べきものでもない、そういうふうに思っております。赤字が出た方がいいかどうかというようなことになりますと、これは出ない方がいいことにはきまっていますけれども、やむを得ず出る赤字も当然あるわけでございます。そういうものは一般会計で補っていただく、こういうっもりでございます。
○有馬(輝)分科員 次に大臣にお伺いいたしますが、来年度基本配給、希望配給、これについて本年度の行き方に検討を加えられる考え方があるかどうか。むしろ基本配給一本にするような考え方を持っておられないかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
○赤城国務大臣 御承知のように配給につきましては基本配給と希望配給を行なっているわけであります。それからまた地区別に従って配給価格に差を設けておるわけでございます。実はことしの消費者価格改定に当りましても希望配給の中に俗に言う徳用米といいますか、価格を安くしておる配給を含めております。そういう点もありますので、いろいろ検討は続けていきたいと思いますが、今のところではやはり基本配給、希望配給、あるいは地区によって配給価格が違うというふうなことを続けていきたい、こう考えております。
○有馬(輝)分科員 次に労務加配米制度については維持していかれる立場に立っておられるか、この点についてお伺いいたします。
○赤城国務大臣 これは維持していく方針であります。
○有馬(輝)分科員 時間がありませんので簡単に一問ずつお願いいたします。それから消費者米価について、これはもちろんまだ生産者米価も検討されてない時期にお伺いするのはなにかと思いますけれども、先ほどお尋ねいたしました食管特別会計のあり方からしても、この際お尋ねしておきたいと思うのでありますが、本年度いじられる気持はないだろうと確信いたしておりますが、この点についてのお考え方をこの際お伺いしておきたいと存じます。
○赤城国務大臣 大へんな何か事態でも起きない限り消費者米価の改定は行わないつもりでおります。
○有馬(輝)分科員 次に輸入食糧の問題についてお伺いしたいと思います。実は私昨年イタリアに参りましたときにも、またスペインだったかでもそうだったと思いますが、たとえばイタリアでは一昨年度八万トンの米を日本に輸出したのでありますが、昨年度はほとんど買わないというようなことが、他の外交政策、貿易政策その他の面で非常にやりにくい事態を起しておるということを大使その他の人が話しておられました。この問題に関連してこの際お伺いしておきたいと存じますが、農林省としては、また食糧庁としては、当然需給関係から見て一本でその輸入の量について検討されるのだろうと思いますけれども、しかし通産省なりあるいは外務当局の考え方としては、それだけでは済まされない面があることは、これは論を待たないところであります。それでこの際お伺いしておきたいと思いますことは、三十年、三十一年、昨年、とにかく非常な豊作でありました。これは天候に左右されたというようなこともありましょうけれども、農林省の指導によるところの品種の改良あるいは畑地改良あるいは機械化、あらゆる条件が整って参りまして、反当収量がふえてきたというところにその原因があろうと思いますので、この状態というものはよほどの事態がない限り恒常的になっていくのじゃないか。そうなって参りますと国内の受給度というものから考えまして、輸入食糧については相当斧鉞を加えなきゃならぬような事態になってくるのでありますが、このことが今も申し上げますように、他の貿易面、外交面に与える影響を勘案いたしまして、農林大臣としてはこの輸入食糧の問題について今後どう対処していかれようとするのか、抽象的でけっこうでございますからお話しをいただきたいと思います。
○赤城国務大臣 去年の豊作等の原因につきましては今お話しの通りだと私も信じております。そこで国内の米等の平年作というものも相当上ってきているような状態であります。従いまして輸入面との関係におきましては、米につきましては相当輸入を減らしていいというような需給計画を立てております。また麦もある程度減らしております。小麦もある程度減らしております。こういうようなことにやっておりまして、さて米が一番輸入を減らせることになっておりますが、外交関係等において、ところによっては親交といいますか、そういう政治的な立場からある程度輸入をしなくてはならぬ場合もあろうかと思いますけれども、需給計画がありますので、その需給計画の限度におきましてそういう国々との親交関係等も考え、対処していきたいと思います。今お話のイタリアの問題もありますが、ビルマなどもそういう事情にありまするし、あるいは台湾などもそういう事情にあるのであります。そういうことでありますので、需給計画の範囲内におきまして外交関係等も考慮し、今ちょっとお話がありました価格の問題なども考えて適当に処理していきたい、こう考えます。
○有馬(輝)分科員 非常に抽象的なお話でございましたので、それでは再度お伺いいたしますが、外米の買付状況にいたしましても、昭和二十八会計年度で百四十四万八千トン、それから二十九会計年度で百六万四千トン、それから三十会計年度で百二十九万一千トンというものが、昭和三十一年の会計年度におきましては五十五万九千トンに激減いたしております。私は今おっしゃたように、需給を勘案してということで片づけられないような事態になるのではないかと存じますので、今の質問をいたしたわけであります。そうなって参りますと、たとえばタイにいたしましても、ビルマにいたしましても、南ヴェトナムにいたしましても、わが国に比べまして農業国といわれるような国で、その輸出の大宗はほとんど米、農産物にたよっております。具体的な数字でお話しいたしますと、タイでは一九五六年度全輸出額の四一・八%が米の輸出額だ、ビルマのごときはもっとすごくて一九五五年度で七六・三%、南ヴェトナムにいたしましてもほとんど同様であります。こういった国々でありまするから、当然わが国が企図いたしております東南アジアとの提携という意味ももちろん、輸出振興の立場からもこれらの市場を無視するわけにはいかないし、ほかに引きかえるものがあるわけではないから、米を入れないということになるとおのずから輸出もストップするという形になって参るかと思います。この前予算委員会におきまして三十一億五千万ドルの額が達成可能なのかどうかということについて、企画庁長官並びに通産大臣からいろいろ御答弁があったようでありますが、私はこの輸出目標達成にも大きな影響を及ぼしてくるのではないかと思うのであります。この点について今御答弁あったようなことじゃなくて、いま少し具体的にはっきりした見通しの上に立って、この問題をどう処理するのか、御答弁をいただきたいと存じます。
○赤城国務大臣 今のお話のような事態もあることと思います。しかしやはり需給計画というようなことで固まったわけでもないので、一応の目標であります需給計画そのものが予算みたいにはっきりしたものではありませんけれども、そういう事態などもある程度考慮しなくちゃならぬとは思いますけれども、不要のものまで入れて輸出を振興するというようなことはどうかと思いますので、これは輸出入関係全般との見合いの上におきまして適当に考えていくというのがよろしいのじゃないか、こう考えております。
○有馬(輝)分科員 食糧庁長官にお伺いいたしますが、本年度の米の輸入について前年と比較してどの程度を予想されるのか、抽象的でよろしゅうございますからお話いただきたいと存じます。
○小倉政府委員 三十三年度のことだと思いますが、準内地米につきましては昨年の春ごろから売れ行きも相当改善をしてきたといったような事情もありまするし、それから昨年の秋から徳用米ということで値を下げた関係もございまして、今後も相当程度の需要があるのではないかと思います。従いましてこれは国内の事情ということと同時に、外国からの供給量とにらんで相当量のものを輸入するということにしたらいかがか、こう存じております。それから普通外米につきましてはいろいろな事情があろうかと思いますが、現実の問題としてずっと最近売れ行きが悪うございます。二、三年前と比べますと特段に需要が伸びておらないのであります。それからまたストックが現在相当量ございます。従いましてどの程度輸入するかということは、ことしの秋の作柄がどうかということにもっぱらかかるわけでございます。平年作以下ということを考えて大事をとれば、ここにもある程度の手当をしておくことが安全であるわけでありますけれども、相当のストックがあるわけでございますので、昭和三十三年度の上期までに到着しなければならぬものを多く輸入するというふうには考えなくていいのではないか。大体以上のような考え方でいいのではないかと思っております。
○有馬(輝)分科員 三十一会計年度激減いたしておりますのはどういうことですか。それがさらに引き続いて同じ程度で三十二年度の最終的な数字は予想されると思うのでありますが、それはどの程度になるものか、この際お聞かせ願いたいと思います。
○小倉政府委員 三十一年度非常に激減して参りましたのは、端的に申しまして結局三十年の豊作の影響とお考えになっていただいて間違いなかろうかと思います。三十二年度の輸入につきましても、大体三十一年度と似たり寄ったりのところではないかと思いますが、なおこれはしかし実績ではございませんから、今後もあるいは多少の動きがあるものと思いますが、おおむね三十一年度に準ずるようなところに行くのではないかと存じております。
○有馬(輝)分科員 通産省の方にお伺いしたいと思います。今食糧庁長官のお話によりますと、激減した昭和三十一年度と三十二年度も大体同じような状況であるということであります。しかも私冒頭に申しましたように、打ち続く豊作はやはり相当コンスタントなものになっていくのではないかという関係からお伺いするわけなんですが、食糧庁としては米の輸入については相当量ということでお話がありましたけれども、この激減した形が続いていくのではないかということが予想されるのであります。そうなって参りますと、先ほど大臣にもお尋ねいたしました貿易市場としてのこれらの国々との間で、輸出の振興面で相当の支障が出てくるのではないかというように考えます。この点について通産省としてはどのように御認識になっておるのか。それから三十一億五千万ドルという目標数字が、これによって大きく影響されてくるのではないかと思うのでありますが、この点についてはどうお考えになりますか。この二点について御意見を承わりたいと思います。
○中山説明員 お答え申し上げます。ことしの下期の買付状況を見ますと、外貨予算といたしましては準内地米が三十五万トン出ておりますが、そのうち三十三万トンの買付を了しました。その内訳は台湾が十五万トン、中共が五万トン、地中海の国であるところのエジプトが六万トン、それからスペインが四万トン、イタリアが三万トンという状況でございます。それから外米の規模につきましては一応予算上十一万トンということになっておりますが、今まで話がついたものはビルマの五万トンだけでございます。それで年年日本の輸入が減って参りますので、われわれといたしましては輸出振興の見地からいうと、なるべくたくさん得たいということで、しかも他方においては国内の豊作等によりまして輸入が激減するという状況で苦労はいたしておりますが、たとえばこの下期に三十三万トン準内地米を入れましたことは、非常にわれわれとしてもいい数字だというように考えておりまして、たとえばスペインあるいはエジプト、それからイタリア、いずれも一応満足してくれているように思っております。それから東南アジアの国につきましてはビルマ、タイ、いずれも日本の著しい市場になっておりますので、このバランス改善のためにわれわれとしてもそういうものを買っていかなければならぬのでございますが、たとえばことしビルマは——従来は一時は二十万トンも買っておりましたが、ことしは向うの作柄の関係、あるいは向うの商いの関係によりまして、五万トンで満足してくれたような次第でございまして、まあ輸出振興という点から、できれば国内の事情が許せばたくさん入れたいところでございますが、またそういう線で両者ともお話をしておりますが、今までのところ国別に見ますと、一応相手をそう怒らせないで、また内地も困らないで、とにかくまかなっていくというような関係になっております。
○有馬(輝)分科員 たとえばそのイタリアの八万トンを三万トンにしてくれといっても、それは日本だけの考え方で、向うはちっとも納得していないのじゃないかと思うのですよ。この問題はやはり輸出振興という問題と、それから国内の需給関係ということで、相当私は将来に問題を残すと思いますので、この点についてはまた後日具体的な問題としてお伺いいたしたいと存じます。 次に大臣に簡単なことを二点お伺いいたしたいと思います。畑地改良促進について、相当先ほど栗原君からも御質問がありましたように、農林省としても熱意を注いでいただいているということは非常に喜びにたえないのでありますが、現在の補助率というものがやはり問題になっておることは御承知の通りであります。当然たとえば畑地灌漑によりまして土地の価値というものが非常に高められるという点で、ぜひ推進してもらいたいという反面、やはりその農家の自己負担ということが、大きな障害になっておることは御承知の通りであります。この点につきまして、かつて大臣が旅行中の談話を発表されたときか、あるいはある会合の席上か存じませんが、この負担率の軽減について何らかの構想を持っておるというようなお話があったと聞いたように存ずるのでありますが、この点について何か具体的なものを持っておられるのかどうか、この点をお伺いいたしたいと存じます。
○赤城国務大臣 せっかくのいい仕事でも、負担が重いということでは事業が進みませんので、負担率を軽減するということにつきましては、極力私どもといたしましても努力いたしております。一つの例といたしまして、小団地等の畑地改良その他もありますが、そういう場合において補助だけでやった方がいいのか、あるいは融資でも利率を非常に低めていくということでありますならば、そしてまた長く年賦でもって償還していくということでありますならば、あるいは補助率と同じ、あるいは以下になるような場合も計算上出てくるわけでありますので、そういう点も考慮いたしまして、ことしの予算でもお示しいたしております小団地等土地改良法におきましても、利率を四分以下くらいに下げて、約六十億の融資ができますから、そのうち三十五億くらいはそういうふうにして事業量をふやしていくということなども考えております。現在の補助率につきましては、予算提出の通りでありますので、今これを補助率を低めるというわけには参りませんけれども、補助率を低めていくということにつきましては、これからもなお考えていきたい、こう思います。
○有馬(輝)分科員 最後にお伺いしたいと思いますのは、澱粉の価格の指示についてであります。この点については一昨年は価格の決定が非常におくれまして、カンショが買いたたかれたことは御承知の通りでありますが、昨年は農林省の御努力によりまして早期に指示価格と買い入れ数量の発表を見ましたので、これがカンショの価格の安定に大きな役割を果しました。問題はここでやはり政府の手持ち澱粉が相当多量にあるということが、またこの価格の問題と関連しまして大きな問題となると思います。これについて現在澱粉の手持はどの程度あるのかということと、それから精製ブドウ糖工場その他に融資をはかるというようなことで工場をふやすために御努力をいただいているのでありますが、しかしたとえば聞くところによりますと、本年度は一会社に試験的にやらせるというようなことで終っているようでありますが、こういうことでは先ほどお尋ねいたしました澱粉の相当量の滞貨の処理にはなかなか遠いのじゃなかろうかということが予想されますので、これについていま少し積極的な手が打たれてしかるべきではないか。この二点について、これは食糧庁長官にお伺いしたいと思います。
○小倉政府委員 澱粉の手持ちでございますが、これは十四万五、六千トンでございます。大部分はカンショ澱粉であります。それから澱粉の新規用途の開拓につきましては、ただいまお話の結晶ブドウ糖というふうにいくことについて、私どももそういう方法で進みたいと存じております。その場合にどういう処置をするかということにつきましては、また結晶ブドウ糖工業のあり方をどういうあり方にするかというようなことにつきましては、この部面の有識者の方の集まりを催しまして、いろいろ検討しているような次第でございます。
○有馬(輝)分科員 この滞貨をあれするためには、たとえば一工場に一年くらい試験をやらして、それからかかる融資その他をめんどう見るという行き方でなくして、相当程度具体的に進めていくべきでなかろうかと思うのでありますが、いま少し具体的に食糧庁長官としてのお考え方をお聞かせ願いたいと思います。
○小倉政府委員 ただいまお話のようなことも一つの方法だろうと思います。ただイモの作柄、従って澱粉のでき工合も年によって非常に豊凶常ならぬような状態でございます。同じ澱粉と申しましても、またカンショ、バレイショ、ただいまのように非常に需給の状況が違っているというようなことがありますので、政府手持ち澱粉でもってブドウ糖工業を育成するということは、まあ臨時的な過渡的な措置としてあるいは考えられるかもしれませんが、恒久的に結晶ブドウ糖工業を育成するという点からしますと、政府の手持ち澱粉をどうするということとあまりに結びつけて考えるのはいかがかと実はそういう気がいたしておりますし、まだ結論は得ませんので、先ほど申しました通り関係の有識者の御意見もお聞きいたしまして、この二、三カ月中には結論を出して具体的な施策を進めていくような段取りにいたしたい、こう存じているのであります。
○八木主査 次は田原春次君。
○田原分科員 私は二点について、簡単に主として農林大臣の答弁を得たいと思う。 第一は、今の有馬君の質問の関連でありますが、主食、米の輸入は当分継続するものと思われます。これに対して私は一つの考えを持っておるのですが、大臣にお聞きしたいことは、派米農業労働者協議会というものがあって、石黒さんが会長で毎年北米に労務者を送っているのですが、あの見通しはどの程度有望でありますか、一つお聞きしたいと思います。
○赤城国務大臣 当初派米労務者を出したころにおきましては、向うへ行く人も非常に期待を持っておったようであります。そういうことでありますので、アメリカにおける労働慣習その他につきまして、場所によっていざこざもあったようでありますが、しかし最近におきましては、派米労務者の性格あるいは向うとの話し合いで受け入れ態勢なども相当改善されておりますので、派米労務者の青年を出すということは私どもといたしましても非常にいいことだ、こう思って力を入れておるわけであります。
○田原分科員 この派米農業労務者の案を私は少し拡大して考えてみたいと思います。というのは、たとえば英領北ボルネオとか、その他東南アジアの各地に米作適地があって、その土地に農業労働者がいなくて、いたずらに遊んでおる土地が非常に多いのです。従って、これを借り受けて、そして日本から農業労働者を出して米を作る、作った米は日本が輸入の形で買うわけです。労賃はもちろん日本が出す。従って、輸入する米の代償として雑貨等も出るわけですから、こういうような方向に——派米農業労務者の運動は単に北米だけに限らず、少しこの経験を生かして東南アジアに対して大規模な米作地の借り入れ運動などということをやっていったらどうかというふうな感じがしておるのです。もちろんまだ終戦前後の悪感情が残っておるところもありますが、最近においては国を富ますという意味において、必ずしも——たとえば一例を英領北ボルネオにとりましても、ここ一、二年の間には多少感情が変ってきているのです。従って、たとえばマニラ麻の栽培を戦前に北ボルネオで試みようとして中絶になったのでありますが、最近また交渉できるかのような見通しが立ったのです。従って、同じような見地で米作地を借りることは、必ずしも不可能ではないというような感じがするので、こういう点を少し調査してみたらどうかと思うのですが、どうですか。
○赤城国務大臣 今のメキシコの場合におきましても、あるいは東南アジア等におきましても、日本の優秀な労務者、ことに米作等につきましてこういう優秀な人を派遣するということは非常にけっこうなことであるというふうに考えております。これを扱っている団体等ともよく協議いたしまして、その方向へ進めていきたいと考えております。
○田原分科員 次は農地の問題について大臣にお尋ねしたいのですが、大臣は農地解放前は水田、畑、山林等のどのくらいの持ち主だったですか。
○赤城国務大臣 個人のことのお尋ねでありますが…。
○田原分科員 いや、税金に関係のないことだから、一つ明らかに言ってもらいたい。
○赤城国務大臣 百二十町歩くらいあったかと思います。
○田原分科員 大臣は定めし今でももう一度地主になったらいいなあという郷愁を感じていないでしょうか。
○赤城国務大臣 私は地主であることに苦痛を感じた方ですから、郷愁は感じておりません。
○田原分科員 今度の、ついに日の目を見ずに終ったのでありますが、予算の編成前後に知られておったことは、政府は五千万円くらいの予算をもって、旧地主救済の法制化でありますとか、農地解放犠牲者救援というような問題で非常に動いておった。ところが世論の反撃を受けて予算の面には現われなかった。けれども、自由民主党の政務調査会の中に一千万円だかの予算を計上して準備しておるというようなことを聞いたのですが、定めし政調の農林部会の方であれば、農林大臣は当然その動きを知っておられると思うのですが、農林大臣はこういう旧地主の復活に対して実際の本心はどうですか、聞かしてもらいたいと思います。
○赤城国務大臣 農林省からも内閣からも、この補償問題で予算の要求はしておりませんでした。 また、党の方に調査会というものができて、それと農林部会あるいは農林大臣等との話し合いがあるかどうかということでありますが、農林部会の方にもこの話し合いはあまりないようであります。また、私の方にも正式に話はありませんが、私の聞いているところによりますれば、この予算の前から農地問題に対する調査会を自由民主党内に置いて、引き続き調査を進めており、このたびそれをなお改組するといいますか、学識経験者等を調査会のメンバーに入れて、農地の問題を調査検討するというようなことになっているということは了承しております。しかし、それに対して一千万円の党としての予算を計上しているということは、全然私は聞いておりません。
○田原分科員 この、旧地主が補償を要求する運動は、数年前から非常に盛んになっておりまして、たとえば昨年でありましたか、九段で旧地主大会をやったりしておるのであります。なお、衆議院の第一議員会館、第二議員会館等の会議室でもいろいろ会合をやっており、会館の本日の集会というところを見ますと、旧地主の農地補償懇談会というようなものを、しばしばやっているのであります。そうして世間で言われているのは、これらの会合で論議されていることは、一反当り五万円くらいの補償を元の地主に政府は出すということ、これが第一案で、それができないならば、第二案として、現在の土地所有者が農地を転売せんとする場合は、元の地主にのみ売ることができるけれども、それ以外の者に売ることはできない、それから元の地主に売り戻しをする場合も、農地法成立後に売買された価格に適当な金利をつけた価格で売らなければならないし、また旧地主は買う権利がある、こういうようなことを内容として、研究会なり調査会なりにその要求等をやっている、こういうことでありますが、農林大臣の聞いている範囲はどういうことでしょうか。
○赤城国務大臣 私はそういうことを直接聞いておりません。そういう話を耳にしないわけではありませんが、五万円の補償をしろというようなことは言っていないと思います。 それから、農地の転売等について、元の地主にだけ売るというようなことにつきましては、これは農地法というか、農地制度なんかの問題として研究の余地があるのではないかと私は考えております。というのは、これが必ずしも元地主に売るということではないといたしましても、あの土地解放の目的は、自作農に精進する者、こういうことで土地を解放しておったのであります。でありますので、農地法の改正前におきましては、自作農に精神する目的を失った場合には、国が一応買い上げるということになっておったのでありますが、現在の農地法においては自由に売買できるということになって、転用その他価格において研究する余地もあろうかと思います。しかしこれは補償の問題とは別個に研究を要する一つの問題だというふうには考えておりますが、こういうことを実は私詳しくそういう団体から聞いてはおりません。
○八木主査 田原君に申し上げます。お約束の時間が過ぎましたから、一問でお願いします。
○田原分科員 農地法の第一条の末項の方を見ますと、この法律は、もって耕作者の地位の安定と農業生産力の増進とをはかることを目的とするというのであります。従って、この法律によって所有者となった者に対して、再び動揺を与えるような動きをされることは、われわれとしては反対であります。むしろ、こういう問題をもってあたかも旧地主にこびるがごとき感じでいかれるということは、自由民主党にとっては非常なマイナスだと思うのです。それを覚悟で旧地主保護の運動をやられることは、近く行われる選挙において、非常にわれわれにとって有利であります。大いに戦いたいということを警告的に申し上げて質問を終っておきます。
○八木主査 川俣清音君。
○川俣分科員 農林予算全般にわたってお尋ねをしたいと思うのでありますが、前もって注意を喚起しておきたいと思うのであります。大臣の答弁は大臣の答弁とし、事務当局は当局なりの答弁をいただきたいと思います。大臣に無理な答弁は求めません。そのかわり事務当局は事務当局として、やはり自分の見解を述べられるようにしていただきたいと思うのです。大臣の答弁通りだというような答弁はこの際許されないと思う。なぜかとなれば、この分科会は予算の内容に入って、今後野党として修正をするか、あるいは組みかえ動議を出すかという問題を検討するために開いているのでありますから、大臣の答弁通りだというような答弁は、今後の野党、与党共同修正案を組むか、あるいは組みかえ案を組むかという重大な問題を含んでおるのでありますから、もう少し詳細な答弁を要求するのであります。たとえば、先ほど有馬君から、食糧特別会計の検査員の給与改訂は、これを一般会計から負担してはどうかという質問に対して、大臣は、検査員は検査ばかりでなくして、他の食糧行政を行うのであるからしてなかなか困難だという答弁をされたのであります。これは大臣としては八十点に値する。事務当局が同様だということになれば、これは五十点以下です。なぜかというと、もしも検査員だということになりますと、検査員なら一般会計から出すべきだという議論になる。いや、そうではなくて、あれは検収をやっているのだ、自分で収納するための検収事務をやっているのだ——一体それなのか、検査員の事務をやっているのかということを、大臣までこれを明快にさせるということは困難です。しかし事務当局は、明らかに、これは検収をやっているのか、国の検査法に基いて検査事務をやっているのかというようなことを明確にしなければならぬ点なんです。これを大臣同様なんという答弁をするのは五十点以下なんです。従って、こういう点が今後とも出てくると思いますから、右の通りというような答弁をなさらぬように、前もって注意をいたしておきます。 そこで第一にお尋ねいたしますが、農林省の今度の予算編成のあり方でございます。農林省は、前年よりも非常に予算がふえた、しかも千八億に達したということで、得々としておられるようであります。これは自己満足ならばこれでもけっこうです。一千億を突破したということで自己満足されるなら別でありますけれども、一般に大きな期待をかけておりまする農民からいたしますと、だまされたという結果になるのじゃないかと思う。なぜかというと、三十三年度の予算で、特にそのうちの六十五億というものは、これは三十三年度に使われる金ではなくして、基金として、その利子よりほか農政の上には現われて来ないものであります。それをただ一千億を突破させるためにわざわざ持ってきた例でありまして、一千億を突破したということを見せるために使った例でありまして、こういうことで自己満足するということは、本来の農政を誤まることになるのじゃないかと思うのです。これは赤城農林大臣を責める意味ではありません。これだけ大いに奮闘したということを意識させたいという願望であれば、これは私はあえて認めないわけではありませんけれども、これをもって農政が確立したのだというような意味で一千八億を使われるとなると、これは農政を害するものだと思うので、この点、農林大臣にお尋ねをいたしておきたい。
○赤城国務大臣 大へんおほめにあずかっておりますが、またお言葉を返すわけではありませんが、一千八億になったからといって得々として満足しておるわけでは決してありません。私も政策を行なっていく上におきましては、まだ不満足な点が相当あるのであります。それから一千八億の中には六十五億の小団地等の土地改良資金といいますか、基金といいますか、こういうものが入っておるが、これは実質的に使えないものだということであります。御指摘のように、これは基金でありますので、その金そのものは使えない金であります。しかしながらこれは小団地等におきまして、先ほども有馬君に申し上げたかと思いましたが、補助によって行うのがいいか、融資によって行なって事業を拡張していくのがいいか、いろいろ問題がありますが、小団地等におきまして補助の対象にならないものにつきましては、融資をもって事業を進めていきたい。ことに畑地などもそういう例に該当するのでありますが、そういう点から考えますと、別途約六十億くらいな小団地等の融資を予定いたしております。その中の三十五億等につきましては、利率も一般よりも低めまして、四分以下というふうに入れようかと思います。そうしますと、六十五億の基金そのものはそのままでありましても、これを毎年繰り返し繰り返し使っていけることになりますと、相当の事業量はふえるわけであります。でありますので、六十五億そのものは、これは実体的に放出するというか、歳出として使えるものでありませんけれども、実質的には相当の事業量がふえる、こういうことです。なお一千八億を得々としておるわけではありませんが、昨年度においても、これはもう川俣さん御承知の通りでありますが、災害復旧費とかあるいは当然減というものは二十五億くらいあったのであります。そういうものは計算には入れておりません。まあ繰り返し申すようでありますが、決して得々としておるわけでもありませんし、満足しておるわけでもありませんし、これによって農政が確立するというふうには考えておりませんが、農政の転換をしていこうということに対しまして、相当種をまいておるといいますか、芽を出しておるということについては一つ御了解を願いたいと思います。
○川俣分科員 この問題は深く問い詰める考えはない。大臣の過般来のそういう説明は一応成り立つ。ところが来年になったらどうするか、来年六十五億減ってもこれは何と説明するか、こういう問題が出てくる。また災害の場合に、予算がふえたのを災害のときだけだからふえたとは言わない、そうは説明しない。一般の農林予算全体としては、災害があってもこれだけふえた、災害がなかりせば基本の政策はこうだと、こういう説明をしないで、常に予算総額をもって農林省の予算全体のごとく錯誤させて農林政策を立てるというところに、ややごまかしのにおいが強い。こういうことを一般に知らせる必要がある。こういう意味でお尋ねしたのでございますから、これ以上私はこの問題に入りません。 次に、一体政府の五カ年計画または農林白書あるいは今度の予算編成と結びつきがあるかというと、これはみなばらばらです。今農政の転換期に立っているといたしまするならば、農林予算の組み方というものを基本的に改めていくという考え方に立たなければならないと思う。一体どこに組みかえの基礎を置くべきかというような苦労は、今度の予算の中に現われていないという点であります。さらに詳しく申し上げますならば、一体今後耕地をどう配分して食糧を作らせるか、または補助食糧を作らせるか、こういうことが一面出てこなければならない。と同時に、これらを作ろうとする農民の生活水準はどこまで高められるであろうか、あるいは低下するであろうかというような総合的な観点に立って農業政策を進めていかなければならないと思う。また、食生活の変遷もあるのであるからして、今後酪農を進めていくとするならば、あるいは麦を減らす、あるいは米を減らしての食生活の改善をしていくのだ、それには安い畜産物を与えなければならない、安いものを与えるというと畜産奨励にならない、ここを一体どうして政策として取り上げていくのか。こういう具体的なものが出てこなければならぬはずだと思う。ただ耕地はふやそう、一方耕地はつぶれる、それに負けていないで耕地をふやそうという。一体何のために耕地をふやしていこうとするのか、あるいは何を作らせることがいいのか、あるいは作り過ぎたならばこういう結果になるのだけれども、なをそれだけの犠牲を払っても農民にこういうことを要望するのか、損した場合にはどういう補償をしてやるのか、この点がはっきりしてこなければならないと思う。農民は企業者でありながら企業者でないというのはそこにあるのです。個々は企業者でありますけれども、なお全体としては企業体系になっていないのであります。そこを、国として、これを総体的な企業に盛り上げていくと同時に、これらの食生活を営むところの一般国民にどうして安い食糧及び補食を与えていくか。こういう施策が農業政策でなければならないと思う。農林省の中でこういう計画的なものが立っておるのは、わずかに林野庁の木材の需給だけです。あとはみんな計画はないのです。なぜ林野関係がそうなっておるかというと、林野関係が万全だというのじゃない。これは多くの欠陥を持っておりますから、この問題はあとで述べますが、これはやはり独立採算制をとって強要されておりますので、将来の見通しを持たなければならないし、また企業会計であるだけにいろいろ苦労しなければならないために、一定の見通しを持たざるを得ないからなんです。農林省全体といたしましても、個々の農民がやる企業であるけれども、農林省がもしも日本の農業全部をまかなっておる経営者だ、企業者だという立場に立つならば、一体米は幾ら国内において作らせるか、これは犠牲を払っても作らせるのか、麦は犠牲を払わせないで作らせるのか、イモはやはり犠牲を払っても作らせるのか、あるいは輸出用でありますところのミカンは、これは輸出振興のために犠牲を払っても作らせるのか、作らせるからには価格を保証してやるのか、あるいはミカンなどは作らせない方がよろしいのか、こういう一定の計画がなければならないと思う。そうでないものだからして、酪農振興だ、酪農振興だということで、その声におだてられて農民はなけなしの金をつぎ込んで乳牛を持ちますると、一方においてすぐに一乳牛自体の低落も行われておりますし、乳価の低落ということになって参りまして、これだけ振興し始めたところの酪農に大きな水をかぶせるようなことをみずからやるような結果になると思う。従って、牛乳は、牛乳で幾ら、加工品で幾ら、これだけはぜひとも生産してほしい、これだけ成長さしてほしい、それならばこれだけの成長率に伸ばして、消費の方はこういう計画を立ててやるから安心してくれろ、こういう施策が伴わなければ、これは畜産政策ではないのです。この予算の中にそういう点が見られるかというと、ただ思いつきとまでは酷評いたしませんけれども、何か新規なことの予算要求をすればまずほめられるのではないか、何とか弁解がつくのではないかということで、もう古い一年か二年前のことは捨てて、新しいことだけにかじりついていき、また二、三年たてば捨てていくというようなことでは、日本の農業を基本的に立てていくという信念がどこの予算の中にも現われてこないという結果になって、結局は国費のむだ使いというようなことになるおそれがあると思うのです。そういう観点から幾らかでも苦労されたのかどうか、この点大臣からお聞きしたい。
○赤城国務大臣 長期計画にマッチした予算を組んだのかどうか、大体組まないじゃないか、こういうような御指摘でもあります。 もう御承知のことですから長く申し上げる必要はないと思いますが、長期計画策定の意義につきましては、五カ年後における望ましい日本経済の姿を描いて、それに到達するために果さなければならない政府、企業、国民の努力に目標と手がかりとを供給するものである、こういうふうな意味を持っておるのであります。なお、計画の性格といたしましては、この計画は、自由企業、自由市場を基調とする体制のもとにおいて経済運営の指針となったものである。従って、経済全分野にわたって詳細な計画、目標を掲げ、その一つ一つについて厳格な実行を期することは、この計画の意図するところでもなく、またわが国経済の実情にも沿っていない、こういう性格も述べておるのであります。でありますので、長期計画というものが計画経済下の国のようにそっくりそのまま予算に現われるというわけには参らないのであります。しかしながら、今御指摘のように、農業政策につきましては、思いつきとかばらばらであってはいけない、総合的に計画性を相当持つ政策を樹立していかなければならぬし、予算もまたそれに沿うて裏づけていくということが必要だろうという御意見には、私も賛成であります。 では、この長期計画に何らの目標もないのかということでありますが、一例をあげましても、この長期計画の中に農林当局として強く主張しておりますので、目標、計画等はある程度加えてあるのであります。たとえば、家畜の増殖については、馬を除いて大幅の増加を見込んで、乳用牛では昭和三十一年の五十九万頭から百二十五万頭へと二倍以上の増加をする、綿羊については云々、畜産全体としては六三%の増加を見るつもりだ、米については、昭和三十七年度の総需要量を百二十万五千トン、八千三十五万石というのに対しまして、生産が百十三万九千六百万トン、七千五百九十七万石、こういうふうに目標を立てておるのであります。その他水産業の生産につきましても、あるいは今時にご指摘の林業等につきましても相当目標を持っておるのであります。でありますが、数字の上において、それでは各年度別にしてどれだけの財政の投融資が必要であるかということにつきましては、先ほど冒頭に申し上げましたように、一々こまかく具体的に掲げておるわけではございません。ただ、年率三・三%という農業所得の成長に対応する農地開発行政投資を巨視的に試算すれば、五カ年間に二千三百億、こういう数字が得られる。そのほかを合せるならば五百億というような数字を出しております。で、このたびの予算の編成につきましても一々こまかく経済計画が出ておりませんが、私の方といたしましては、それぞれこの方針をなお具体化する意味におきまして適当な計画を立てまして、その上において予算を編成した次第であります。でありますので、今御指摘のように、根本的に見ますといろいろそごをしておるような点もあろうかと思いますが、ただ単にめちゃくちゃに予算を編成したというわけでありませんで、たとえば、前から申し上げてありましたように、農林水産業の基盤をまず確立していく、すぐに効果の現われるものではないけれども、その基盤確立ということが大事であるということで、土地改良等におきましても、開墾干拓等につきましても、この計画に相応するような相当の予算額を計上いたしましたり、あるいはまた、米等の増産につきましても相当限度がきておる、とは申せませんけれども、これは相当できてきておりますから、この方面に力を入れるのはもちろんでありますけれども、畑作とか畜産の振興に力を入れる、なお、さっき生産基盤の問題で申し落としましたが、林道、あるいは川俣さんがよくおっしゃられております拡大造林というようなことにも力を入れる、あるいはまた、漁港等につきましても、生産基盤といたしまして昨年度より二億円もよけいに予算をつけるということで、あるいは畑作、酪農の振興あるいは流通対策、こういうことで基金なども設けたり、あるいは、その他流通関係につきましても、せっかく作ったものが今お話しのように値段でたたかれてしまったのでは何もならぬじゃないかというような懸念や御指摘もありますので、こういう方面にも相当力を入れて予算を編成したわけであります。でありますので、いろいろ川俣さんのような人から見ると穴もあるといいますか足らぬ点もあろうかと思いますが、全体としてはめちゃくちやに予算を編成したのではなくて、長期経済計画にものっとり、あるいはまた農林政策としてのあるべき姿という方向を志向いたしまして、それに伴って、十分とは申されませんが、芽を出すといいますか、種をまくといいますか、そういう意味において総合的に考えて予算を編成したということだけは一つ御了承願っておきたいと思います。
○川俣分科員 ことしの予算だけ、でたらめだというのではなくて、従来の惰性の上に幾らかでも目新しいものを見つけるという程度だ、こういうことを申し上げたのでありまして、それでは具体的に批判をして参りましょう。 農業生産基盤の強化に対する経費、こうあるが、土地改良をやっている、あるいは特定土地改良事業をやっている、あるいは国営や団体営をやっている、あるいは小団地の事業をやって、一体何を取る。これだけやって米は幾らとれるつもりなのか。米がとれたかわりに輸入食糧の外米は幾ら減らすつもりだ、これは幾ら減らすつもりだからして、これくらいな経費をかけても米作耕地はこれだけ確保する、あるいは外麦の中で小麦は対抗できないけれども大麦だけは十分対抗するだけの国内生産力を持っておるのだ、従って大麦だけは外国食糧を入れないようにしよう、こういう具体的なものを持たなければ、大蔵省に対する圧力はきかないですよ。従来の惰性でやるものですから、簡単に査定を受けて、復活要求はなかなか困難だということになる。こういう基本的な方針を持てば、いかに高木君が有能といえども、その前には屈服せざるを得ない。そういう建前に持っていかないと、農林関係の議員を動員しなければなかなか予算をとれないというようなことでは情ないじゃないか、こういうことを言っておるのでありまして、堂々と請求できるような予算の立て方をしなければならぬのではないか。毎年々々徹夜で復活要求をしなければならないとは情ないから、もっと基本的な方針を立ててやるべきじゃないか、こういう意味なので、予算が今少いとか多いとか言うのではない。たとえば、農業生産基盤の強化に対してこれだけの経費をかけるならば、既墾地についてはどうして保護するのだということも出てこなければならない。非常に悪い条件です。特定土地改良事業にいたしましても、一反歩数万円あるいは数十万円かけて耕地をふやさなければならない。しかるに、一方、都会地の付近の農地というものは宅地にどんどん侵されていっておるではありませんか。条件の悪いところに農林省がせっせとして予算をつけていかなければならない。その予算獲得に骨を折っておるような状態です。年々一万町歩に及ぶような耕地を失っていって、最も生産条件の悪いところの土地を耕地にするために数十万円の金をかけなければならない、あるいは数万円の金をかけなければならぬというになるのではないか、こういうことなのです。熟田、熟畑がどんどん侵されていっております。一方、建設省は安い宅地を求めて農地に入り込んでおる。従って、農地価格が高くなってきて、その高いと評価される農地にものを作っても、なかなか採算が合わないという事態が起っておる。土地の利用から言うならば宅地にした方が有利だというようなことが都会の付近には起ってきておる。都会の付近だけではありません。町村合併に伴いまして市街地の建設が始まる。こういうことになると、いたずらに農地価格を上げていき、だんだん困難なところの耕地に入っていかなければならないような事態だ。これを訂正する考えなしに、農業の生産基盤の強化について大いに経費をとったと言っても、そんな無理してとったって、だんだん条件の悪いところの土地をとっても何にもならぬ。それよりも失わないということをここに明示しなければならないはずだ。これは金がかからぬことなのです。大臣どうですか。
○赤城国務大臣 どうも何事も御承知で質問しておられるので、私の方の答弁も困るのですが、御承知の通り、農業の問題は、ほかのように、ことし金を入れたからすぐに米が何百万石とれるというわけにいかないことは、川俣さんの地元の八郎潟の干拓を見てもわかりますように、十三億円ことし生産基盤に投入しますけれども、来年から米がとれるというわけにはいかない。でありますので、これは長期的観点に立っていくよりほかないのでありまして、すぐにその投資面と効果面が来年度に現われるというわけには参りません。しかしながら、先ほどから申し上げましたように、長期的観点に立って、つぶれ地も多いのですし、転業も多いのでありますから、土地基盤につきましては、開墾、干拓、また取り上げました地元増反、こういうようなことによって土地の造成を一方においてははかる。しかし、既耕地につきましても、灌漑排水事業とか、そういうものがありまして、土地の生産力を上げる、労働の生産性を上げるということにつきまして予算の措置をとっているわけでありますので、どうもすぐにソロバンの上でこういうふうに行ってないじゃないかということを言われますと、私の方でもすぐソロバンを立てましてこうこうというわけにいきませんけれども、再々申し上げますように、決してめちゃくちゃに予算を組んで予算の総額だけを誇示しておるということではありません。内容につきましてもよく御検討願いますならば、よくやったとは言われないでしょうけれども、相当努力をした、その努力のことくらいは認めていただいてもいいんじゃないか。それからまた、そういう計画を立てるなら立てるにいたしましても、私の方でも実はどういう計画も立つのですが、やはり一面においては財政の総ワクがあるわけであります。理想的な計画を立て、それを年度予算に分割いたしましても。財政の総ワクというものに拘束されますので、その点におきまして不十分な点があると思いますが、これもまたよく御承知のことだと思いますので、御了承願います。
○川俣分科員 大臣の予算のとり方が少いということを非難しようというんじゃなく、だいぶん苦労されてとられたのを、そんなに苦労せられぬでもいいじゃないか、むしろこういう意味なんで、よくやられたことについては敬意を表しておるのです。しかし、問題はやはり、何をやろうかということの目標がはっきりしておるというと、もう少し予算もとれたであろうし、また予算が不足なら不足なりにやれないものではない。たとえば、先ほど申し上げましたように、大臣の説明によると、農業生産基盤の強化に関する経費としてこれだけとったということでありますから、これは経費としてとられてもよろしいが、だんだん宅地に侵されていかないようにするということも生産基盤を強化するに必要なんです。これは金のかからぬことなんです。こっちはこれだけ金をかけますということです。かけないでも基盤が擁護されるのであります。 そこで具体的に農地局長にお聞きしましょう。農林省で農地買収をいたしまして、農林省の名目になっていながら、耕地になって存在していながら、宅地になっているところがたくさんあります。これは地目は農地ですよ。現状は宅地です。これはどうなんです。農地局が名義を持つことが必要なのか。実際農作物を作ることに必要なために農林省が持っているのか。宅地にするために、現に家を建てさせるために農地局がこれを持っていなければならぬという理由はないと思う。農地買収が行われて、いまだにまだ年賦金が入らないところが、農林省の所管になって農地を保有しております。これがすでに宅地になっているところがたくさんあります。実際上宅地になっておる。これらは調べられたのですか。生産基盤の強化ということになるというと、生産基盤が宅地になっておるというようなことは見落しておいてはならぬはずです。これはどうです。
○安田(善)政府委員 川俣先生また何もかも御存じで御質問のようでありますので、私もそれに応じてお答え申し上げたいのであります。 農地改革で買収しまして、農地局が自作農創設維持特別会計でもって持っております土地で、耕地になっておらない土地はあります。宅地になっておる土地もあります。開墾地になっていない、未墾地もあります。その耕地を除きまするものの前者、すなわち宅地になってきたものは、原則としましては、五カ年保留地と申しまして、農地改革の当時不在地主の耕地を買収するという一般法規に従って買いましたが、近く耕地でなくなることが予想せられると当時判断いたしまして、その真なりやいなやを見きわめる要もあるので、当面はまた宅地に一時貸付などする方法が政府の特別会計としてはよろしい、こういうことで暫定的に宅地にしてあるわけであります。これはもちろんその時期が来ましたり認定をしました場合はすみやかに売却をするものでございます。第二の未墾地買収をいたしまして耕地になっておりませんものは、開拓地を開きます場合には道路とかその他の耕地以外の施設も必要でございますので、計画を立てまして個々の自作農を創設するために使う土地、耕地あるいは農業用林、こういうものに使うことはもちろん原則でございますが、計画を立てる前の適地調査が終りまして、計画が立ちまして不要となりましたならば旧地主にすみやかに売却する方が適当なものと思っております。農業生産基盤の強化とは、今後耕地に相当長く、期限を切らずして使うべき土地、耕作用に作る土地の施設を強化する、土地をよくする、あるいは既耕地を長く、少くとも目標年限を切らずに農業用に使いますために——これは農業用の施設に使う場合も含みますが、それらに充てる費用及びその用途、使い道を農業用生産基盤と申しますので、少しも矛盾はないと思うのであります。
○川俣分科員 最後の言葉以外は認めます。矛盾がないと言いますけれども、一体、せっかく農地を買収したものを、管理が十分でなくてほうっておいて、これから新しい土地だけうまくやりますと言ったって、これは世の中は承知しませんよ。やはりこれらに対する既存の農地の処理方法というものを明確に立てて、今後取得するところの耕地はかくやるのだということがはっきりしなければならないと思うのです。また、特定土地改良事業をやられた土地にいたしましても、私は自分の関係のところになるべく例を引きたくないのでありますけれども、たとえば八郎潟にいたしましても、あすこにできます土地全体が耕地であるのが、あるいは宅地になる率が多いのかどうかということも十分検討しなければならぬ。宅地になる量が多ければ農林省の所管からはずれるのだからということで、全部耕地にしなければ危ういというような考え方はしないで、やはりできるところの生産基盤としては、これだけの面積その他は転売されないように、初めからこれは宅地としてみなし、あるいは工場敷地として見ていく、こういう計画が立っていかなければならないであろう、こういうことなんです。あの土地がみな農地になるというので農地買収をいたしまして、すぐ翌年から宅地になる、工場敷地になる、学校の敷地になる、あるいは消防の施設の敷地になる、あるいは商業地域になる。とにかく、数万の人が住み込む、あるいは十数万の人が住み込むというようなところに商業地域ができるのは当然なことです。工業地帯ができるのは当然なことなんです。それで農民にもうけさせる。農業生産で利益が上ることはよろしいが、転売で利益を上げるというようなことは、農業上から言えば邪道なんです。自分の持っている生産用地を売ってもうけるというようなことは、農業政策から言えば邪道であります。従って、たとえばこの特定土地改良事業では、畜産物は幾ら、穀物としては幾ら、米としては幾ら、あるいはその他の果樹としては幾ら、こういう生産が上るのであるという計画を明確に立ててやらないと、すでに過剰になっておるようなものをもう一ぺん作らせるような土地をふやしていっても何にもならない。一体何のために耕地が必要かということが明確に打ち出されていかなければ、造成の意味がないではないか。その意味がはっきりせぬと、大蔵省から反撃を食ってなかなか予算獲得に苦労されるであろう、こういうことなんです。高木さん、そうじゃないのですか。
○高木説明員 どうも、仮定の御質問かと思いますので、お答えしにくいのでありますが、農林省でいろいろ御研究になりまして立てられました政策に財政上の裏づけをいたしますのが私どもの仕事でございますので、いろいろ非公式には意見も申すこともございますけれども、実際問題として、今のお説のようなことは、方向としては努力しなければならぬと思いますが、今直ちにどうこうというわけにも参らないのではないか。私どもといたしましては、農林省のお立てになりました政策をベースにいたしまして、それを財政的に裏づけをするという立場でございますので、私どもの心がまえといたしましては、三十三年度の予算につきましては、農林省のお立てになった計画に基いて措置をしたつもりでございます。
○川俣分科員 それはおかしいですよ。農林省が立てた予算に財政的裏づけをやったというならば、復活要求なんかで苦労することはない。あなた方は何かものさしを持って査定されておるのでしょう。査定されないならこれは別問題です。農林省が立てた政策に対して査定をされないならば今の答弁でよろしいですよ。査定するのでしょう。査定するからには何か基準がなければならぬ。個人的な考えで査定されておるわけはないと思う。国の財政をまかされておる、予算の査定の権限をまかされておる者が、何もものさしを持たずに、ただ話を聞いて、話しっぷりがいいから予算の復活要求を認めてやるのだ、そんなばかな話はないはずだ。何かものさしを持っていなければならぬ。何かあなたのところに根拠がなければならないはずじゃありませんか。そこで私は今あなたにお尋ねしたのです。こういう根拠でおやりになるのじゃありませんかというのです。私の示したのと別のものさしがあるなら、この際明らかにしてもらいたい。こういう方法で査定をした、こう減らしていったという説明をして下さい。何がどう減らされて、どういう基準で減らしたのか、査定基準をお示し願いたい。
○高木説明員 よく御存じの通り、農林省の御要求額はかなりの額に上っておるわけでございまして、各省の御要求額は一々ごもっともな点が多々あるのでございますけれども、全体の歳入を見合いといたしました歳出規模にはまらないということになりますと、各省を通じましてお話を承わりながら、金額の範囲内でおさまりますように詰めていくわけでございまして、その場合に具体的にこれはどういうわけで落したのだというお話でございましたら、あるいはお答えできる場合もあるかもわかりませんが、予算全体を通じて基準いかんという大きな問題を提出されましても、私今ここでこういう基準でございますといって基準をお示しすることは非常に困難でございます。 なお、先ほど、農地の有効な利用をはかるために、現に農地であるところが都市計画その他でつぶれていくではないか、それを何とかしたらどうだというお話もございましたが、そういうことにつきましても、私どもとしても、財政の立場からだけ考えますと、その金の効率的使用という意味においては、そういうこともお考え願いたいということで申し上げたこともございますけれども、また現実のそれぞれの担当省の行政面の立場におきましては、それを行政に移していくことが事実上困難な場合がございますので、それができないというようなお話が、一例でございますが出まして、現状のように、先ほど申しましたように、農林省の立てられました政策の上に乗って筋を進めてやっている次第でございます。
○川俣分科員 総ワクを握っておられるのは大蔵省ですから、総ワクが減ったとか減らないとかいう問題ではない。この新規要求は認めない、これは二割の復活を認めよう、これは幾らの復活を認めようというからには、何らかの基準があるはずだ。おそらくその基準は、国の予算の効率的な利用、効率的な使用、こういう意味で査定されておると思います。国の経費の効率的な利用、こういう点からおそらく査定されている。それでは国の経費の効率的な活用とは何か。そのものさしを持っておられるでしょう。農地を作るのに宅地になるようなことであったら、これは個人経営としては有利であろうが、目的が違うのです。あるいは外国食糧を阻止して国際収支のバランスをはかることが重大だ、従って米の増産についてはこれだけやろうとか、単に農地だからふやそうというのではないでしょう。国際収支を改善するためにはこれくらいのものは必要だろう、こういうことになるのでしょう。そういう目安を持たないでいたずらに査定されたら、たまるものじゃありませんよ。気違いに刃物というけれども、それ以上危ない。何で査定するか基準がわからないで査定されるから、やはり威圧を加えて、あるいは夜中に飛び込んで復活要求をせざるを得ないということになっている。何らものさしがないからあなたの方でも防衛できないということになるだろうと思う。もう少し何か査定基準があるだろうと思います。大いに同情して質問しているのに、答えることができないということになったら、やはりこれは力で対抗していかなければならないということになることをお認めになるなら別問題です。今後影響するところが非常に大きいから、ものさしをお示し願いたい。
○高木説明員 申すまでもなく、国民の税金の配分でございますから、効率的使用ということが非常に大きく全体を通ずる尺度でございますことは、ただいま御指摘の通りでございます。ただ、具体的に個々の政策につきまして、たとえば食糧増産の場合であるとかあるいは社会保障の場合であるとか、それぞれにつきましての何が効率的であるかという尺度ということになりますと、それを全部に共通する一言で言い表わす適当なものがちょっと私には思い浮びませんので、先ほどのように申し上げた次第であります。
○川俣分科員 その程度にいたしておきましょう。 それでは続いて大蔵省にお尋ねいたします。 一体、大蔵省は金のことは非常に渋いのですが、物の管理になったら、これくらいでたらめな省はないという例を幾つも申し上げることができるのでございます。時間がないから申し上げませんが、これは国有財産白書で明白に自己批判をしておられますから、自己批判に追い打ちをかけるというような気持はもちろんありません。各省の会計などについては、今お話申し上げましたように、徹夜でも折衝いたしまして、一銭でもむだな経費をかけないようにということで、ずいぶんきびしい査定をいたしておられますが、同じく国の財産でありまする土地の利用などについて——土地ばかりではございません。その他の家屋等につきましても、おそらく一千億、評価によりましては二千億を突破するだけの国有財産を持っておられると思う。この管理の状態は一体何ですか。金のことだと十円でも十銭でもきびしいというのに、評価二千億をこえる国有財産、しかも、その中には、農地に類するところ、林地に類するところ、こういうところをたくさん持っておられる。一体何のためにこういうところを持っておらなければならないのですか。十分管理もできない。林地等に盗伐が行われても、盗伐が行われたかどうかわかりもせぬ。賃貸価格が適当であるかどうかというようなことについても十分検討してない。一体大蔵省が林地や農地を持っていなければならぬという法律的根拠はどこにあるのですか。なぜ持っていなければならないか、この点を一つ大蔵省から……。
○市瀬説明員 国有財産は、土地建物等の不動産のほかに、出資等の権利もいろいろありますが、全体で二兆になります。その中の約半分は、行政財産と申しまして、各省の用に供しております。その他の行政目的に供しないものを普通財産として大蔵省が集中管理しております。ただいま先生のお話にありました、たとえば農地、山林等におきましても、農林省の方でお持ちになっているものは企業用財産あるいは一般の行政財産として持っておりますが、大蔵省所管の農地と、いわゆる普通財産のうちで不動産的なものにしぼって参りますと、ただいまお話がありましたように、二千百億程度あります。このうちには、特に農地などは、主として旧軍用財産、と申しますのは、陸海軍が用途を廃しまして私どもが持っておるのであります。それから、財産税、相続税等を物納されまして私どもの所管になっておるものがあります。これらはいずれも農林省の方に所管がえしまして、自作農創設の目的に利用していただくという方向でやっております。ただ、現在においていまだ所管がえしていない農地等も残っておりますが、これは、農林省の方と打ち合せまして、漸次所管がえの方に持っていく計画でございます。
○川俣分科員 今説明されたことは間違いない説明ですから、それで了承します。しかし、規則に基いて当然所管がえをしなければならぬのに、なぜ今まで所管がえをせずに持っておるか、こういうことなんです。半年持っておるとか、一年持っておるということを言うなら、所管がえするための諸手続がありますから、これは持っているという表現にはならないと思う。これは事務的に持っている。それ以上経過すると、これは管理権を持っているということになる。所管がえする間の期間だけであれば事務的に持っている形である。ところが、終戦後相当な期間を経ている。財産税としてすでに対象となり処分したものでもいまだに放任されているのはどういうわけか。人の財産を相続税の対象として物納されたものを取得しているが、それは本人が持っていれば税の対象になるんですよ。それを大蔵省が握ったきりで何の収入の道もはかっていない。管理も十分ではない。これは、半年手続期間が要する、一年の手続期間が要した、もっと調査に時間をかけた、これならば問題はありません。もう数年たってもなお所管がえも行われておらない。しかも、これらについての会計検査院の指摘事項もあるにかかわらず、いまだに怠慢だということは、一体どういうわけです。これはあまり追及する意味はないのです。金の方は非常にやかましく、年度会計とかやかましく言いながら、物の会計についてつくと、年度もくそもない。こういうことなんです、あなたの方は。どうも、この点について、物の管理についてあなたの方は自責の念にたえ急いであろうから、あまり追及する意味はありませんけれども、ここでもう一ぺん注意を喚起しておかぬと、人の省の査定について、あるいは税金を取るときにはきびしく言って、一ぺん取り上げられたならばずさんであるということは許されない。こういう意味ですから、反省の色がこければあまり追及しませんから。
○市瀬説明員 ただいまのお話でざいますけれども、私どもといたしましては、大蔵省の所管になっております普通財産の管理には万全を期するため、農林省当局と同じような立場で予算を要求いたしまして、そうして実際に管理しておるのでございますが、終戦直後陸海軍が廃止になりまして、その財産を全部引き継ぎましたことと、それから、例の財産税によって相当多量の物件を物納を受けましたので、そのためにとかく管理の手薄がありまして、そして御指摘のような点がありましたことは何とも申しわけない点でございますけれども、最近に至りましては漸次管理体制を整えて管理処分をいたしまして、国有財産の中央審議会あるいは各地方財務局にあります地方の審議会にかけて、そして一件々々の処理には遺憾なきを期しております。 それから、もう一点、今までそのように大量の農地を十年近くも管理しておる、これは怠慢であるというおしかりでございますけれども、私ども、先ほど申し上げました二千百億円に達する普通財産は、できるだけすみやかに処分していくという方針でございまして、特に農地等におきましては、その道の専門である農林省の農地局の方へ十分事務的の話を詰めました上で、所管がえをしていくという方針でやっていただいております。
○川俣分科員 そうすると、着々進行しておるというのですから、三十三年度ではどのくらい整理する予定ですか。また三十二年度ではどのくらいだろうか。これは、予算がないないと言うけれども、その整理の仕方によっては相当の収入源になるわけです。こういうのを渋っておいて、予算がない、国庫収入がないと言っても、これはいかぬのです。管理が下手であって、ただ収入がないと言うだけでは許されないので、それらの点がはっきりいたしますれば、これはまた修正予算、また追加予算の大いなる財源となるのでありますから、あなたでは答弁がむずかしいかもしれませんが、おおよそでけっこうです。
○市瀬説明員 ただいまのお話でございますが、昭和三十一年度中に、国有財産のうちで、たとえば土地について申し上げますと、土地を処分いたしましたのは全体で一千四百八十四万坪でございます。国有財産の方は台帳価格でこれを計算して落しておりますが、価格にいたしましては五十八億六千二百万円というのが台帳上の減になっております。しかしながら、この中には、宅地あるいは耕地、国有財産では森林と言っておりますが山林でございます森林等全部入った数字でございます。来年度におきましてもなおこれ以上の数額を処分したい、こら考えておるのでございます。なお、農地等におきましてまだ農林省とお話が詰まっておりません点は、私どもの持っております農地の中には、非常にこまかな、たとえば内地で申しますと三反未満の農地が各所に点在しておりますので、これの処理をどういたすかということを十分検討いたしまして、処理の促進をはかりたい、こう考えております。
○川俣分科員 続いて一つ、建設省がおいでになっておりますから、建設省にお尋ねいたします。 今大蔵省及び農林省に質問いたしましたが、建設省は住宅対策からして、しきりに宅地の造成という言葉で——宅地の造成というのはおそらく土地を宅地にかえる、更地という意味だろうと思いますが、これに非常な力を入れておられるのももっともだと思うのです。ところが、一方、都会地の中にあるのは平家であって、実に土地の利用度が低い。今私どもが市内を電車で回り車で回っても、これだけ宅地を求められておりながら、平家で、しかも木造建築で、消防の上から、土地の利用の上からもまことに不経済な土地を利用されておりながら、だんだん郊外へ郊外へと宅地を求めていっておる。この結果、交通はいよいよもって繁雑になり、輻湊して参る。交通網の輻湊の結果、住宅から通うところの通勤手当も考えていかなければならない。通勤費用もかかる。しかも、ますます郊外の農地をつぶして宅地になりますと、大体生活の基礎でありまする食生活の基礎を脅かしていくという結果にもなる。いわゆる都会地においては野菜ものが高い。全国平均から見ますと、都会地あたりは副食物でありまする野菜が高いということになる。こうしていよいよもって生活を低下せしむるようなことをなぜおやりにならなければならないのですか。やらなければならないという根拠があっておやりになっておるのか、ただ、計画なしに、安い宅地を求めればいいということだけなんですか。農地を宅地にしなければならないという根拠は一体どこにあるのです。その根拠を一つお示し願いたい。
○大津留説明員 お答えをいたします。目下住宅の不足は非常にはなはだしゅうございまして、本年度末、つまりことしの三月末におきましてもなお二百五万戸の住宅不足がございます。それに年々新規の需要がふえます。これが大体二十万戸ございます。こういう実情でございますので、かりに三十三年度から五カ年間でこの現在の住宅不足を解消するといたしますと、五カ年間に三百万戸の住宅を建設しなければならない、こういうことになります。三百万戸の住宅を建設するといたしますと、それに要する宅地は、かりに一月当り五十坪といたしますと一億五千万坪、これだけの土地が必要なわけでございまして、現在都市内であき地になっておるものはもちろんまず第一に考えなければなりません。現在都市の内部において空地になっておる面積は、全国で、推定でございますけれども、数年前の調べで約五千万坪。これが年々住宅その他の建設で食いつぶされていっておりますから、これはますます減る。それから、これは住宅だけを建てるわけにいきませんから、学校その他いろんなものが建ちますので、そういうふうに、すでに都市内部の住宅地になるあき地というのは非常に少いわけであります。従って、先ほど御指摘のように、都市の内部の建物を高層化いたしまして、宅地の所要量を節約する、これも次に大事な方策だと思います。建設省といたしましては御承知の、俗にげたばき住宅と称しておりますが、店舗あるいは事務所の上に住宅を載せて宅地を節約する、こういうことも現に実施をいたしております。それにいたしましても、五年間に一億五千万坪という量をこなすにはとても追いつきません。従って、その大部分のものは新たに宅地を作るということにならざるを得ないのでございまして、その場合に、御指摘の通り、農地はできるだけ避けまして、山林原野あるいは海岸の埋め立てというようなことを心がけておるわけでございますけれども、御承知のように、東京とか大阪とかいうような大都市の近辺にそういった山林原野は非常に乏しゅうございまして、従いまして、はなはだ遺憾なことでございますけれども、おのずから農地を相当宅地化せざるを得ない、こういう実情であります。
○川俣分科員 一戸当り五十坪なんてどこから持ってくるのですか。日本のような狭隘な面積のところへ、戸五十坪が必要だという計算がどこから出てくるのですか。一体、世界の基準から見ても、一戸当り五十坪——それは広大な未開発地域ならば一戸当り五十坪でも百坪でもいいでしょう。日本のような狭いところに人口が稠密しているところに、一戸当り五十坪なんていう計画をしたら、それは農地もやめた方がよろしい。工場敷地もよした方がいい。住宅敷地だけ。そこに建設省の住宅政策の大きな誤まりがある。働くための源泉としての食であり住であり衣である。それらのものを総合されない衣だけを満たしたところで、それは何もならない話である。一方、住宅ができても食生活の不安があれば、ちょうど戦後の疎開騒ぎを演じたりあるいは買い出しを演じなければならないという事態が起ってくる。そこで、やはりこういう狭いところにはどうしても上に伸びるというよりほかに道がないわけです。上に伸びますならば、交通の繁雑も輻湊も緩和されるはずなんです。それを、いたずらに遠くへ持っていくということになれば、それだけの交通の時間を要する、経費を要する、こういう結果になると思う。しかしながら、健康保全の上から、全部農地をつぶしてはいけないという考え方は私は必ずしもとりませんけれども、しかしながら、都内の交通の便利なところに土地を買収して、これは宅地でありますから、少しくらい経費がかかっても宅地を買収して、市内の適当な交通量のところに住宅を建てる、しかも高層住宅を建てるというような計画をしないで、国の方で資金がないから民間資金で建築をされたものまで住宅政策の中に入れるというようなことをやるから、こういう結果になる。みずからの責任を果さないで、民間で建てられるものまで自分の住宅政策の中に入れて、これで建設になるというような考え方をするから、農地を侵してやらなければならない結果になる。これは住宅政策じゃない。放任政策です。そういう住宅政策を出すから、国の予算がなかなかつきかねるという結果になると思うのです。予算は取りにくいから、一番手やすい方法でやろうなどという卑怯な態度が、本来の住宅対策がつかないところの大きな原因だというふうに考えられる。もしもそういう怠慢な住宅政策を立てられるならば、建設省の予算から農地造成の費用をいただかなければならない、侵される分だけは建設省から取り返してこなければ、農地の造成はできない、生産基盤の拡充はできないということになる。人がせっかく基盤を作ったところをどんどん侵していって、自分の方の腕の足りないことをたなに上げて、なるべく安いような住宅を考えるなんという結果になりますると、それらのものの補償を要求しなければならぬ結果になるんじゃないか。農民の個人としてはそれでいいでしょう。農地を失っても、ほかの代替物を得るのでありすすから、よろしいのでありますが、専業生産力がら見ますと重大な結果になる。もう少し高層建築ということを考えるようにしませんか。やれないなら、建設省は住宅政策などやるなんということは、私はおやめになった方がいいと思います。
○大津留説明員 御指摘のように、住宅対策といたしましては、不燃化とあわせて高層化ということを一つの重要な方針といたしております。一年間に本年度は約五十万戸の住宅建設がされるわけですが、この中で約二十万戸四割というものは国の施策にかかり、三十万戸が民間で自力でお建てになる、こういう割合でございます。従いまして、私どもといたしましては、できるだけ政府施策の住宅をふやすということに努めて参らなければならぬと思いますが、その際に、少くとも政府施策の住宅につきましては、御指摘の通り不燃化と高層化というものをはかっていきたい。現に御承知の、日本住宅公団が建てます住宅はすべて不燃構造であり、すべて中層といいますが、四階建てというものを原則としてやっております。二十万戸の政府施策住宅も全部そういうふうにしたいのでございますけれども、それは建設費が相当高くつく関係もございまして、漸次そういう不燃化率、高層率の引き上げをはかって参っておる、こういう状況でございます。
○川俣分科員 もう一点だけ。建設費は確かにかがるでしょう。しかしながら、農地をつぶしていくのと、国の経済から言って一体どっちが効果的が、こういう考え方を持たなければいかぬと思う。御承知の通り、農林省は、先ほどお聞きの通り、土地造成のためには多大な費用をかけている。あなたの方でつぶさなければ、こういう経費も相当浮ぶことになる。どんどんつぶされていけば、どんどん経費をかけて作っていかなければならない。国の経済効果から言うと、あまり不経済なことをおやりになるということになる。それならばおまかせできないじゃないかという議論を先ほどいたしたのでありますが、これは、ただいたずらにやすきにつくということでなくて、国の経費の配分の上から言って、一つ総合的に判断されなければならない。こういうことだけ申し上げて、建設省に対する質問は終っておきます。 続いて農林省にお尋ねいたしますが、農地問題に触れましたから、開拓問題を一つお尋ねしておきます。 既存の開拓者がデフレ期に入りまして生活困窮に襲われ、借財もまたふえつつあるわけであります。決して開拓農家が安定した程度にまでいっていないのは、まことに残念至極でございます。開拓者個人に見ましても気の毒であると同時に、国が施策を講じてこれだけの入植、開墾をしましたにもかかわらず、その成績が上っていないということは、これは大いに反省していかなければならない点だと思います。ところが、新しい入植については政府も及ばずながら努力をしようという気がまえがあるのでありますけれども、これは官吏の最も悪いところでありまして、何が新しい開拓地でも見つけないと、成績が上らない、古いのをやっていると腕がないのだというような、まことに嘆かわしい伝統と申しますか、慣習があるのでありますが、既存の開拓者を成功させるということに努力していかないで、新しく入植する者が同様の困窮に陥るような開拓政策を続けていくことが、もはや反省期に入ったと思いますが、この点いかがですか。
○安田(善)政府委員 終戦後の、当時緊急開拓といっておりますが、それ以降開拓入植をさせました方法、させました規模、その政府の補助、助成の措置、また今までに入植されました開拓農家の現状につきましては、川俣委員と同様の意見であります。ただ、何か新しいことだけをとらえて、古いことに力を入れていないではないかということは、そういう気持は持っておりません。
○川俣分科員 これでやめておこうと思ったのですが、持っていないということになると、もう少し追及しなければならない。現に既存の開拓者が疲弊こんぱいしている。成功率が低いということは、これは農林省の統計を見ても明らかです。従って、これらの既存のものを育成して所期の目的を達成させるということに重点を置かなければならないのではないか。その成績が上っていないのではないか。上っていないで新奇を求めるということは、何か新しいことをやらないと成績が上らないような気分があるためではないか。世間はそう言っているわけです。もう既存の手当が全部できて新しくやるならば、これはいいですよ。新しい入植者も同様な結果に陥らしめるようなことになると、予算の食い散らしということになるであろう、こういう意味で私はお尋ねした。これは土地改良についても同様な問題が出てきますが、前の点だけもう一度御答弁を願いたい。
○安田(善)政府委員 新しい開拓入植につきましては、従来の方式を刷新することとし、土地買収、適地調査、地区計画等を立てて建設工事をし、その後方式を改善し、入植農家の営農目標といたす営農類型を大規模に改訂して、これにより補助、融資を増す、そして農業経営の多角化がなるべくできるようにする、そういうふうにして入植させようと、十分ではございませんが、意図いたしております。古い開拓農家につきましては、前国会に臨時開拓営農振興法を御審議、可決願いまして、それに従いまして、既入植地の開拓者にも、土地についてもできる限りは再配分をする、追加投資をする、災害資金、借入金を低利融資に借りかえる、乳牛、役牛等の家畜を増加する、それに必要な開拓者資金融通特別会計による貸付金の増加をはかる、また中央開拓者融資保証協会に対する政府出資をできるだけ増加をする、その他のことにつきましても、債務の条件の緩和、あるいは自力で努力をされることを援助する、営農指導の強化、すでに入植されました土地の開墾建設工事や、学校の分校とか、電気、飲料水の施設の不備なのは逐年これを完成するように仕向けまして、少くとも前年度よりは相当大幅に予算も増し、計画的にして、その方に重点を置く。それから考えまして、一度入植された人が再び出直しをしなければならぬという事態にならないように新規開拓の方は考えるのと、古い方に重点を置いて、新しいのは古い過去の反省から引き出されることで、財政農業政策上、来年度あるいは三十二年度以降とらえ得ることを極力しようといたしておるのでございます。
○川俣分科員 それでは次に、もう一問だけお尋ねいたします。 特定土地改良事業というのは大体経済効果を上げるために七年計画でやる、こういう計画で農民負担を課しておるわけでございます。従いまして、七年以上延びるということになりますと、農民の負担が非常に大きくなっていくばかりでなくして、経済効果も上らない結果になると思うのでございます。大体、七年というのは、従来の土地改良事業は十五年も二十年もかかった。それを七カ年で完成してやるのでありますから、この農地処分を受けるものは非常な好条件であるというところから、農民負担というものが過重になってきたわけでございます。その意図は、私もあまり賛成できないにいたしましても一応認めるにいたしましても、七年が八年になるというような責任は一体どこで負うつもりでありますか。これは約束事でありますから、やはり七年で完成するというからには、少くとも七年以内であります。こういうふうに進捗できるでありましょうか。今年の予算を見ますというと、七年が八年になる、あるいは九年になるというようなことが予想されがちでございます。 もう一点は、土地改良事業のために多くの経費を要するために、国営にいたしましても、県営にいたしましても、団体営にいたしましても、予算がどうしても特定土地改良事業に重点的に配分されて、一般土地改良事業の方の工事進捗度が低下する、こういうそしりを聞くのでありますけれども、こうしたことがない自信のもとに今年の予算を組んでおられるかどうか、そういう危険をはらんだ予算であるかどうか、この点も明らかにしておきたいと思います。
○八木主査 答弁の前に関連して私からもお尋ねしておきたい。国会で、「特定土地改良工事について、その完了を極力促進し、七カ年以内において必ずこれを竣工させること。」、こういうのが国会の意思として附帯決議になっております。この国会の意思を行政の方針に取り上げていかに対処しようとしているか、こういう点については、ひとしく土地改良工事の指定地域の農民は、ただいま川俣委員の御指摘の通り非常に不安なんだ。まだ第一年度ないし第二年度という初期ではありますけれども、いわゆる急行料金を払わされて、終着駅に着く時期は七年ではなくて、何年先だかわからないではないか、そうすると、急行料金だけ、負担だけ払わされたが、予定のときに完成しなかったら払い戻しをしてくれるのかどうか、こういうことさえ申し出もあるような情勢でありますので、国会で附帯決議をいたしましたこれを受けて、行政の方針にいかに対処するかについて、詳しく御説明をわずらわしたい、こう思います。
○安田(善)政府委員 川俣委員にまずお答えを申し上げます。 特定土地改良工事特別会計は、土地改良法の改正と相待ちまして、昨年度国会の御審議を経まして設けられたのであります。その際に、従来一般会計で行なっておりました灌漑排水事業と干拓事業の国営または国営の代行事業をこの特別会計に入れてやることになりまして、七年間で完成するということにつきましては、農林省はもちろんのこと、当時の池田大蔵大臣も言明をされたと思っておりますし、国会にも、参議院は決議があり、衆議院は希望があったという認識をしております。従いまして、特別会計第二年度であります三十三年度の工事は、三十二年度にこの特別会計の事業として取り入れましたものを法律に従いまして工事別に仕分けましたその工事別に関します限りは、特別会計へ入れまして、残事業と新規事業の双方にわたりまして七年間で完成する予定でございます。それに応じまする技術的な要因を加えまして予算要求を大蔵省にいたして、大蔵省と議論し合って、そうして御提出してある予算要求額となっておるわけでございまして、灌排事業、干拓事業を通じまして、前年度より国費の投入も借入金の高も増加していることは御承知の通りであります。ただ、三十二年度と三十三年度との額に相当の程度でそれをそのまま引き延ばしていきますと、七年でできることが確実と言えないのではないかという見方が全くないわけではないと思います。これは、七年の間をねらいまして、財政、技術、工事等の諸事情を勘案して、最後を七年間でできるようにすることで三十三年度もできておるのであります。従いまして、三十三年度でどのくらい不安があるか不安がないかということで、若干の不安を加味しながら三十四年度以降私どもも予算を要求し、大蔵省もこれにこたえて、七年目の最後には全部完成できる予算をつけることが政府全体の責任であろうと思います。 第二の国営、県営、団体営につきまして、国営土地改良工事特別会計の工事に重点が置かれまして、他の一般会計による事業という意味だと思いますが、それらの各種工事の進捗が低下するのではないか、こういう御質問でございますが、予算の増額のされ方は、三十三年度は、三十二年度に対しましては、特別会計以外の一般会計による国営も県営も前年度よりは増加いたしまして、団体営におきましても、補助、融資を通じまして、また融資事業の指導機構を通じまして、おおむね昨年度並みないしそれ以上のものを組んでありますが、その伸び方に至りましては足も十分ではないと思います。特に土地改良基金が新たに設けられまして、その運用益で低利融資の事業を促進していこう、つまり事業の拡大も促進していこう、こういうことをねらっておるわけでありますが、国営において開墾工事を一応除きますと、灌排、開墾に特別会計ができて、団体営に補助と今の融資事業、特に低利融資の基金ができる、こういう際に、国、県、団体営と一貫して施行さるべき事業のうちの国営付帯事業でありますとか、一般の県営事業でありますとか、そういうところも去年よりは増加しておりますが、ある程度弱体を私は認めます。それにつきましては、今後なおそう五カ年計画の目標等を基礎にいたしまして、財政事情を大蔵省からお伺いしますこととを調節して、本来あるべき姿のような予算に逐次組まれる努力を農林省はすべきものだと思っておるのであります。 委員長の御質問の、国会の附帯決議から、七年間完成というのは危ないじゃないかという不満がある、もしできないときは、農民の付加金、特別会計で早く完成することにしたために増加した分を返すか、こういうお話でございます。例を豊川用水にとりましても、昨年度は一般会計の事業費が四億であったと思いますが、今回は五億五千以上組んであるように私記憶しております。それをさらに三十四年度以降増加する要請が自然に出てくると思いますとともに、三十三年度は、予算、財政、土地改良事業全体を通じてはこの程度で、私ども、十分とは言えませんが、やむを得なかったのではないか、今後なお努力を要するのではないかと思っておりますが、これはあくまで特別会計に採択しました工事別についてこの制度は見ていく必要もある、こういう点は考えております。
○川俣分科員 農地局長だいぶ正直でよろしいですが、全部正直だとは受け取りかねる。なぜかと申しますと、やはり責任の地位にありますから、正直なことを言わざるを得ない予算であることを発見いたしたのであります。確かに去年よりふえておりますこと、それは認めます。問題は、工事を繰り延べて、完成年度を先に延ばして出てきた予算だ、こういうふうに感知できるのでございます。従いまして、完成年度が先に延びるという予算であることをお認めになるのですか。正直だといえば正直でありますけれども、正直に言ったからといって責任は免れない。幾分情状酌量の余地はある、こういうことは言えるでありましょうが、それで罰なしとは断定しがたいと思います。 そこで、大蔵省の公共事業関係の主計官にお尋ねいたしますが、今年の予算は去年よりふえておりますことは認めますが、特定土地改良事業にいたしましても、あるいはその他の土地改良事業につきましても、完成年度を延ばして、工事を繰り越してこの予算ができておるのじゃないかと思いますが、私の見方が間違っておりますかどうか、この点一つ承わりたい。
○高木説明員 ただいまの御質問の趣旨、ちょっとわかりませんのですが……。
○川俣分科員 事業量を計画よりも繰り越しておるのじゃないかと言うのです。
○高木説明員 現在すでに着工しております地区の総事業量を頭に置きまして、それをかりに七で割ってみますと、今年の予算で足りるかということになりますと、若干足りません。しかしながら、御存じの通り、予算も、大きな方向といたしましては、国民経済力の伸びによって財政の規模はおそらくは漸次ふえていくであろう、そうすれば、一般会計なりあるいは財政投融資計画なりでこれらの事業に投入し得る額も漸次ふえていくであろうということを前提にして考えますと、先ほど農地局長からお答えがございました通り、前国会で決議がありました通り、工事別には七年以内に終り得るという見通しで三十三年度の予算を組んでおります。要するに、残事業費の平均額には及んでおりませんけれども、若干ずつ予算がふえる可能性があるだろうという前提で考えますと、それを七年以内で処理し得る見込みがあるという前提のもとに予算を組んでおります。
○川俣分科員 これは大蔵省でなければ私はお尋ねしないのです。三十二年度の剰余金、三十三年度において自然増収で見込まれるものはだんだん縮小してきているはずなんです。三十四年度の予算を組む場合にこれだけの伸びがあるかといいますと、あなたの方の五カ年計画にいたしましても、あなたの方の財政計画にいたしましても、そう三十四年度はこんなに伸びるということは予想しておられないようであります。そういたしますると、あなたはよくなる予定だと言いまするけれども、財政の基本的な考え方と、あなたの今のような説明とは違うじゃないですか。工事は、御承知の通り、初年度において、あるいは二年度において相当量の事業に対する投資が行われなければ進捗しないこと、経済効果の上らないことは、これは民間におきましても認めておるところでありまして、初年度からけちけちしておって、二年度において七分の一も果せないでおいて、あとで十分埋め合せますというのが今まで多く大蔵省がごまかしてきた手段なんです。こういう前科者でなければ私はその説明を聞きますよ。大蔵省はこの点では前科者なんです。世の中に認められた大きな前科者なんですから、来年はよくなるでありましょう——この説明をするときには、よくなるでありましょうと言うけれども、あなたの経済計画によりますとそんなによくなるというふうにはなっておりません。それでもあなたはお出しになるだけの決意を持っておられての答弁かどうか、それとも答弁をのがれるための答弁かどうか、その点を一つ聞いておきたい。あなたの基本計画をもう一ぺん変えてもらわなければ、あなたの答弁は信用できないと思うのですよ。
○八木主査 関連してですが、 ただいまの問題は、三十二年に始めたのは七年先なら三十八年、三十三年から始めるのは三十九年には政府の全体の責任において国会の決議、国会の意思を尊重して行政の方針として解決する、こういう希望的な事務当局のお考えはわかるのです。しかし、私は、もう少し突っ込んで考えてみるべき大きな課題だと思うのです。と申しますのは、赤城農林大臣がせっかく種をまいたというか、生産基盤を基礎づけたこう言っておられる際でございますので、建設省を例にとりますと皮肉のようですが、同じようにダム関連の利水工事におきまして、これを継続予算として三十三年度に予算を持ち込んでおります。また建設省自身の実力は、あの世紀の大事業と言われた佐久間ダムのごときも、当初五カ年計画を三年に詰めて仕上げております。さすがに建設、土木の建設省ともなるとという信頼があるわけです。農林省については、ただいま川俣分科員の御指摘のように、いささか信頼感に欠くるところがある。せっかくこういう時期に赤城農政として種をまき、生産基盤の大事業を始めていただいた当初でありますから、今からなら間に合うのです。そこで大蔵省に伺いたいのは、建設省のように、継続予算化して——七年全部を継続予算化しろとは言いません、財政法の十四条の二によれば五年ですから、三年でもいい、五年でもいいのです。三年なり五年なりの工事量をいずれも請負でやらしていますから、一括請負ができるように国が負担と責任を持つ、こういうことならば、ただいま川俣分科員の御指摘の点も納得できると思う。それらの点にも触れて、説明員の御回答のあと、農林大臣の御答弁をわずらわしたいと思います。関連して私よりも質問いたしておきます。
○高木説明員 ただいまの川俣分科員の御質問にお答えいたしますが、今回立てられました長期経済計画によりますと、行政投資の額——この行政投資というのは、大体中央地方を通ずる行政費のうちの投資と考えていただいてよろしいと思いますが、行政投資の額が、三十一年度基準で目標年度には一五九%に伸びるということが長期経済計画で予定されております。これは一定の前提を置いての計画でございますけれども、政府としてきめられた計画でございますので、大体の方向としては、五年間にはこの程度に伸びるのではないかというふうに考えております。行政投資を一五九%に伸ばし得るということは、つまり中央地方を通じます財政の大きさを漸次伸ばしていって、このくらいのところに行くのじゃないかという前提に立っているものと考えてよろしいかと思います。その意味におきまして、ただいま御質問がございました点につきましても、財政全体の規模はある程度ふえていくであろうということは間違いないと思います。従って、今回の特定土地改良工事特別会計の予算を編成いたします際に農林省とお話し合いをいたしましたのも、そういう前提に立っておるのでありまして、先ほど前科者だというお話がございましたけれども、農林省の御納得をいただきましたのも、そういう私どもの考え方が御了解願えたからであると考えております。 それから、主査からのお話しの継続費の問題でございますが、継続費の制度は、現在特定改良工事特別会計ないしは農林省の土木事業につきましては、今そういう制度をとっておりません。建設省の予算の中のダム予算につきましては、一部継続費の制度が認められております。継続費の制度につきましては、この制度を大いに活用しなければならぬということは考えておりますけれども、すでに御存じの通り、戦前の予算におきまして、継続費制度が運用においてやや乱に流れた傾向がございまして、継続費制度のもとに継続予算をきめておきながら、後年度において繰り延べなければならなかったという事態もございましたので、私どもといたしましては、現在のところ必要最小限度のものにつきましては継続費制度を具体的な工事についてとっておりますが、それを大幅に拡大するということは慎しまなければならぬのではなかろうか、具体的な地区につきまして具体的な設計ががっちり立っておりますものにつきましては、漸次継続費制度を認めて広げていくことも、一つの方法であろうかと考えております。三十三年度の予算といたしましては、農林省の関係の予算で新しく継続費制度をとったものはございませんが、これらにつきましては農林省とも御相談の上ではございますが、継続費制度を農林省の事業についても適用していくということは十分検討する価値があるもだのと考えております。
○赤城国務大臣 長期経済計画におきましても土地改良事業、開拓事業等、農地開発改良事業等につきましては、行政投資を五カ年間で二千三百億円と見込んでおるのであります。それに融資等合せまして約五百億程度を見込んでおります。こういうことでありますので、今特定土地改良事業等での御指摘でありますが、土地改良関係につきましては昭和三十一年度の総事業量が五百十億でありますが、それを基礎として年々平均一五%程度増加してきておりますので、大体計画目標を達成すると考えておるのでありますが、三十三年度の事業費を予算から算定いたしますと六百五十億、こうなりますので、三十一年に対してほぼ年一五%に近い水準で伸びておりますから、今年の予算で行きますならば、特定土地改良事業等につきましても七カ年内に完成は期せられると考えております。ただこれは年次別に平均的に分けておりませんから、事業のピークの年が出てくると思います。そういう年にこの計画に従った予算の裏づけがあれば、七カ年内に完成する見込みであります。しかし川俣分科員あるいは八木主査の方からも御指摘がありましたように、これからのことでありますので、そう言明だけしてもなかなかできないこともあるのじゃないかという御心配であります。これにつきまして、継続事業を主としてこれを確保した方がいいじゃないかというお考えも漏らされたようであります。しかし今大蔵当局からも話がありましたように、今の財政計画からいいますと、戦後財政事情が非常に変動しておりましたので、継続事業費というものはなるべく少くしてきたのが財政当局の方針であったと思います。そこでどうしてもやらなければならぬというような必要性が非常に重大で、しかも財政の点から考えて最小限度においては継続費を認めていこうというような方針が、今の財政経理の方針だと私も承知しております。でありますのでそういう考え方も非常に参考になりますので、それにつきましてはなお検討をいたしていきたいという考えでおります。
○川俣分科員 農林大臣は実に正直な人だから、教わったまま答弁されて、実際質問するのは気の毒な感じがしますが、今主計官のお話だと、三十一年度に対して財政投資の伸びが五カ年計画で五年目に百五十何%に伸びる、五割伸びる、こういう御説明です。そのことは私は否定しないのです。五年後には百五十幾つになる、こういうことです。五年目に今の年次予算、ことしの予算で五割ふえたところで、とても完成できない。年度割りにして少いばかりでなくして、五年目に五割多くついたところで七年に完成できるというそろばんは立ってこない。大蔵省のそればんは四つ玉だか三つ玉だか二つ玉だかわかりませんから、そういう計算ができるかもしれませんが、年度割りにしたら五年目に五割ふえたところで、七年で完成できるというそろばんは立たないですよ。これは主計官に聞くのは無理ですから、建設部長に一つお聞きします。大体七年事業となると、初年度及び二年度に予算の重点が置かれることは、事業をやるものとして当然なことだと思います。それを一歩譲歩しまして、年度割りにいたし、年度割りよりも少いということになりますと、来年はこの倍できるのかということの見込みは、要求としてはされましょうが、それで通るという自信は持っておられないと思う。来年財政投資の伸びが今日の倍になるということは、高木さんも言わない。五年目に五割ふえるというだけですから、やはり漸次ふえるということは言えるでしょうけれども、こういう年度割りで行って、七カ年でできるという見通しを建設部長は持っておられるかどうか。局長は非常に不安だと言うのであります。局長以上に建設部長は不安を持っておるはずだと思うのです。技術屋といたしますならば、当然不安があるはずだと思う。そうしますと七カ年の計画ですね。去年から始まったのと、ことしから始まるのがありますが、これを七年で完成するのは、予算を初年度幾ら、二年度幾ら、三年度幾ら、七年度幾ら、こういうふうに見て参りますと、大体ほかのものとにらみ合せまして、初年度、二年度は大体どのくらいの率で行かなければならいとお考えになっておりますか。この点が一点。それから来年、再来年の努力目標がありましょうが、そう大した期待ができるというふうに、自信を持っておられるかどうか、この点、及び資料として、特定土地改良事業を七カ年に完成いたしますならば、初年度、二年度、三年度の計画事業量、並びに、これも資料でよろしいが、国営、団体営その他の事業量をお出し願いたい。前段の部分二点だけは、この際御答弁願いたい。
○清野説明員 お答えいたします。土地改良特別会計が七カ年で終るかどうか、こういう点に関する御質問でございますが、先ほど高木主計官から御説明申し上げました点につきましても、おおむね今後五カ年間に予算が漸増するだろう、こういうことを一つの前提に置いて述べておられます。それで、特別会計と申し上げましても、これは灌漑排水の場合と干拓の場合と二つございまして、一がいに申し上げることは困難でございますが、われわれといたしましては、当初予算要求をいたしました際には、各地区別に事業の内容を検討いたしまして、ダムならダムのように、あるいは頭首工なら頭首工のように、その工事の年度割りを組んで、それが七年以内で完成するようにという予算を要求したのでございます。また干拓の場合には締め切り年次を予定いたしまして、最初に石を伏せまして、それから漸次石を積み上げていく。ある時期が来ましたならば、予算を急にふやしまして、そこで潮どめをする。潮どめが終りましたならば、その潮どめの、災害等の手戻りが起らないように急速に堤防を上げていく、こういうような方法でもって予算の要求をしたのでございます。しかしながら先ほど主計官から御説明がありました通りの予算の内容になりましたので、これに対していかにして七カ年間で工事を進めていくかという点に苦心いたしまして、でき得るものにつきましては、極力その予算の範囲内で、七カ年計画に盛られた工事の年度割りを、極力技術的にでき得る範囲内において、改訂を加えまして、今後の予算の増加を期待いたしまして、この七カ年間に完成するだろう、こういうふうに現在では考えております。ただ、ただいま申し上げましたように、技術的にも完全に、そういうようなやりくりができるということは、私から申し上げることは困難でございますが、できる範囲内においてこうしたという点について一例を申し上げたいと思います。たとえば琵琶湖の干拓につきましては、三十二年度以降におきまして十四億二千五百万円の工事が残っておるのでございますが、それに対しましての三十二年度及び三十三年度以降の七カ年間の年度割りは、三十二年度が六千七百万円、三十三年度が一億五千万円、三十四年度、五年度が二億円、三十六年度、七年度が二億五千万円、三十八年度が一億七千万円、こういうのが当初の原案だったのでございます。これに対しましての修正案といたしましては、三十三年度は遺憾ながら当初の要求の一億五千万円がつきませんで、一億でございましたので、その五千万円の足らずまえを三十四年度以降にふやしていく、こういうことを期待いたしまして、三十四年度は原案よりも、二億一千万円つまり三十三年度に比べると三十四年度は一億以上の予算がふえなければ、これは七カ年間に終らない、こういうようなことになりまして、現在の七カ年間の年度割を編成し直してございます。こういうような点につきましては、一例は干拓でございましたが、灌漑につきましても同様に全部組み直しまして、三十四年度以降の予算の増額をわれわれは期待し、また大蔵省のいうように財政規模の拡大も大いに期待しておる、こういうような事情でございます。
○川俣分科員 やはり技術屋らしい説明で、それを了といたします。説明の中にも不安が出てきておるのであります。後年度にだんだん予算がしわ寄せされまして、しわ寄せされたからといって急激に予算が出ましても、事業が必ずしも進むものではございません。ある年に農林省予算が増額いたしましたからといって、必ずしも事業量が進むような手配——人事の上から、設備の上から、動員力の上からいって、必ずしもある年にだけ集中されたからといって、それが完成年度を早めるというような手品はできないはずであります。従ってやはり計画に沿うたものでなければ事業というものは進捗しないと思うのです。五カ年のうちに、ある年にだけ膨大な予算がついたからといって、必ずしも事業が進むわけではないのであります。そういう考え方が、金をいじっている者の考え方であって、物の管理というものを知らぬところから出てくるのですから、これは建設部長、よほど物を教えてやらないと、あなたの責任が果せない結果になるのでございます。これは十分注意せねばならぬ。ある年にだけ金をもらったからといって、建設事業が必ずしもできるとは言われない。七年の中で一番最後の年に集中して予算が出たからといって、その年に完成できるということは、技術屋としては言えないと思う。それはやはり年々消化している事業量の一割が増すとか二割が増すということならば、事業は進捗するでありましょうが、ある年に倍になったからといって、その年に倍の事業量が進むということは考えられない。そこに技術屋の苦労があるはずです。その苦労を理解しない予算というものは、効率的な予算ではないと思う。そのことを理解させることが大臣の任務だと思います。小さい点は別ですよ。こういう事業というものについては、一ぺんに予算がつくとか、少くつくとか、そういうアンバランスな予算では、事業は決して完成しないのだということを大蔵大臣に教えてやるのが、あなたの任務だと思いますが、この点どうですか。
○赤城国務大臣 同感でございます。
○八木主査 ちょっと速記をやめて。 〔速記中止〕
○八木主査 速記を始めて。 農林省所管に対する残余の質疑は十七日に譲り、明日は午前十時より開会し、通商産業省所管に対する審査に入ることにいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後六時三分散会