予算委員会 第7号
- 発言数
- 197 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1958/02/18
会議録
○江崎委員長 これより会議を開きます。 昭和三十二年度一般会計予算補正(第2号)及び昭和三十二年度特別会計予算補正(特第4号)を議題といたします。 これより質疑に入ります。小平忠君。
○小平(忠)委員 ただいま議題となっております昭和三十二年度の予算補正の内容は、食管特別会計の赤字補てん及び調整勘定設定のため、一般会計より食管特別会計への繰り入れ三百十億円と、交付税及び譲与税配付金特別会計への繰り入れ七十八億円がおもなものであります。すなわち食管問題が中心でありますから、私は、補正予算の内容につきましてお伺いする前に、わが国農政の基本的なあり方につきまして岸総理の所見を最初にお伺いいたしたいと思うのであります。 第一にお伺いいたしたいのは、わが国の重点施策の中で、一体農業と工業のどちらにウエートを置かれるのか。言葉をかえて申し上げますれば、一体農業立国でいこうとされるのか工業立国でいこうとされるのか、いやそういうことではなくて農業も工業もそういう差別をしないで考えていくのだ、こういうことについて総理の所信を最初に承わりたいと思うのであります。
○岸国務大臣 産業経済の発展というものをずっと考えてみますると、日本の経済につきましては、従来ほとんど工業というものがなくもっぱら農業中心の時代から工業がようやく発展の段階に入ってきて、そうして諸外国の進歩した技術、経営の方法等を取り入れて産業が発展してきたのでありますが、私は、よく世間で工業立国とかあるいは農業立国とかいろいろな言葉を言われますけれども、やはりその国の経済というものは、その国のあらゆる事情を十分頭に置いて、総合的に国自体の発展のために適当な政策をとっていくということが根本であろうと思います。従来ややともすると工業がおくれておるために工業方面について特に力を用いたこともありまするし、あるいは戦前におきましては軍需産業というものに特に力を入れなきゃならぬというような点が重視された政策をとられたこともありますけれども、やはり、長きにわたる日本の産業経済政策としては日本の置かれておる事情、ことに日本におきましては人口の非常な大きな部分が農村の側にあり、また貿易に依存しなきゃならない日本の状況から見て、食糧の自給政策を総合的に進めていかなきゃならぬというような立場を十分頭に置いて考えますと、要は、そういうある偏したことではなしに、全体がつり合いのとれた政策、発展を遂げるような政策をとらなきゃならぬ。その時代において特に農業において非常に力を入れなきゃならぬということがあるならば農業において非常に力を入れる。しかし、それは農業立国というものではない。また、逆に、工業にうんと力を入れなきゃならぬということがあれば工業に力を入れるけれども、工業立国ではない。農業はどうなってもいいというものではなしに、やはり全体から見て調和のとれた、つり合いのとれた発展をさせていく。そこで、特におくれた、特に発展をさせなきゃならぬというときには、時代々々において重点を置いて考えるということはしなきゃならぬと思いますが、そういうふうにつり合いのとれた発展を遂げさせるということが一番大事であろう、かように考えております。
○小平(忠)委員 ただいまの総理の答弁のように、私も、わが国の現状におきましては、農業立国であるとか工業立国であるとかいう言葉の表現は、これはやはり相当検討を要すべきことだと思うのであります。ただ、わが国の内政問題として最も重要なことは、総人口の約四割を占める農家の生活をいかに安定し、さらに日本農業をいかなる方策によって近代化するかということであろうと思います。古来わが国はみずほの国といわれ、農作物の成育にはきわめて適する諸条件を具備しながらも、その施策よろしきを得ないために、いまだに大半の農民は農奴的生活環境から脱し切れない現状であります。すなわち、永年にわたる無計画にして自由放漫なる農業政策によって農地は年々細分化の一途をたどっておりますのみか、さらに加えて連年の災害によりまして、今日救いがたい窮状に陥っているのであります。これを打開いたしまして、農民に対しても最低の文化生活を保障する、そして農業の近代化を推進するということに私は政府の眼を重点的に向けなきゃならぬと思うのでありますが、この点に関しまして岸総理は具体的な考え方をお持ちかどうか、お伺いしたいのであります。
○岸国務大臣 小平委員のおあげになりましたように、日本農業の実態というものが、ことに農民の生活、諸般の状況を考えてみますると、私は改善を要すべき事項が非常に多いと思います。特に経営面において、土地の狭い、人口の多い日本としまして、いろいろな角度から規模が非常に小さくなって、農業経営というものが非常に困難を来たしておる。これをどういうふうに近代化し、また総合的な経営によってどういうふうに農家の経営というものを安定させていくかということは、考えていかなければならない当然のことであると思います。さらに、われわれは、農村における一般の文化施設であるとか、あるいはいろいろな厚生施設等の点において従来都会よりも非常におくれておる現状にあることを考えると、こういう方面においてもわれわれは大いに力を入れなければならぬ、あらゆる面において十分な検討を必要とすると思いますが、特に、日本としては、私先ほども一言触れましたように、やはり食糧の自給を目ざしての総合対策というものを農業政策の基本に置いて考えていくべきではないか、こういうように考えております。
○小平(忠)委員 現在当面いたしておりまする農政の基本的な問題の中で、幾多解決を要する問題があります。しかし、やはりまず第一にぴんとくるのは、これはみんなが考えていることでありますが、今日農地の細分化をどうして防止するか、零細化した農業をいかなる方法によって適正経営規模農家にしていくか、これは非常に困難な問題であります。困難な問題ではありますけれども、われわれが先進国のヨーロッパの国々の農業を見て感ずることはどこの国へ参りましても、日本の内地農業のように三反歩であるとか五反歩であるとかというような過小な経営をしている国は一つもないのであります。それは、根本的に農業経営の成り立たない、農家の現状に対して場当り的な自由放漫な政策を講じておるところに問題があるのであります。こういう点に関しまして、これは総理でなくてもけっこうです。主管大臣である農林大臣に、この当面する問題について具体的なお考えがあるかどうか、伺いたい。
○赤城国務大臣 日本の農業が零細農だということが非常に日本の農業の発展を阻害しておることは御説の通りであります。これに対する対策ということでありますが、これに対しましては、耕地の面積だけにとらわれることなく、耕地が狭くても土地の生産力を上げるように、あるいはまた労働の生産性を上げるように、こういうことで、土地が狭くても、その土地からたくさんの収穫と、またこれに対する労働報酬を上げられ、生活水準が上るということを一つの政策として考え、またその予算の措置をしておるわけであります。もう一つは、土地が狭いということは、やはり決定的な日本の農業の弱点でありますので、土地の壊滅もありますけれども、それなども考えまして、やはり増反といいますか、土地を造成する、こういうことが必要であろうかと考えまして、土地改良、開墾、干拓等によりまして耕地面積をふやしていくということも考えておるわけであります。結論的に申し上げますと、土地を広げること、また、現在の土地におきましても、土地の生産性を上げ、そうして所得が確保されるような方策をとっていく。それからまた、土地の細分化につきましては、現在とっている方針といたしましては、自作農創設維持資金というものを予算でも御承知の通り去年より五割くらい増額しておりますが、そういうことによって土地の細分化を防ぐ。法律的にこれをどうするかという問題はこれはまだ検討中で、結論には達しておりません。
○小平(忠)委員 ただいま岸総理なり農林大臣の御答弁を承わっておりますと、やはりこれは確固たる農政に対する基業的な考えがないと申し上げて私は過言でないと思う。その証拠には、戦後におけるところの農林予算の実体を見れば、歴代の保守党内閣がいかに農政後退、農村軽視の傾向を示しているかということは明らかなんです。(「ノーノー」)それでは昭和二十八年以来の農林予算の推移をごらん下さい。その前に私が承わりたいのは、政府が三十三年度の予算編成方針を閣議で決定いたしましたのは昨年の十二月二十日であります。その財政規模の中で、二の、重要経費の確保と既定経費の節約の中に、明確に農業対策を最重点施策とするということを明記している。この閣議の決定に基いて、大蔵大臣は、各省の予算要求を一応査定せられて、第一次の内示を発表されました。これは、大蔵大臣は、第一次の内示はおれは知らないんだとは言えないはずです。少くとも省議できめているはずです。その第一次内示の農林予算の実体は何です。これは関知したことではないと大蔵大臣は言えないはずです。それによりますと、第一次の内示は、当初農林省の要求額千七百九十五億に対しまして、八百四十七億八千万円。ですから、前年度三十二年度の八百九十四億に比べまして四十七億の削減であります。一方では国の予算規模が一兆三千百二十一億三千万円にふえているにかかわらず、逆に農林予算は四十七億の削減である。これは一体どういうわけなんです。
○一萬田国務大臣 農林行政、これを裏づける農林予算でありますが、それを特に不当に小さくするという考えは毛頭持っていないのであります。農業の重要なことは申5までもないのであります。ただ、私の当時の考えといたしましては、節約のできるものはできるだけ節約していきたい、出すべきものは出す、こういうふうな方針に基きまして査定をいたしたのであります。私は、必ずしも、前年度額より若干少いからといって、それがすぐに農林に対して特に関心を薄くしておるというようなことではないのであります。その後の折衝によりまして、各方面の意見も入れて、予算が相当に大きくなったことは御承知の通りであります。結局最後に決定しておる予算は相当大きなものになっております。
○小平(忠)委員 それは大蔵大臣は詭弁です。当初八百四十七億八千万、前年度よりも四十七億の削減である。当時の情勢は解散、総選挙という気がまえで、確かにそういう情勢も手伝って、これではとても選挙はできない、こういうので自民党農村議員の諸君が圧力を加えた。そうして復活に一週間も十日もかかって寝ずの圧力を加え、その結果ようやく一千八億になった。これはよく当時の新聞にも批判されておりますが、そういう点はなきにしもあらずなんです。そういう形によって増額された。これを自民党の諸君は、いや、今度は一千億を突破したのだと宣伝されておりましょうけれども、かりに一千八億に見ましても、本年度の全体予算の一兆三千百二十一億に比べますと、その比率は七・七%です。私は参考までに昭和二十八年以来の数字を簡単に申し上げますと、昭和二十八年は、予算総額一兆二百七十二億円で、農林関係予算が千七百十九億円、その比率は一六・五%であります。それが二十九年には一一・二%になり、三十年は九・五%になり、三十一年度は八・四%になり、三十二年は七・九%になり、ついに本年はこの復活をした閣議決定の一千八億でも、前年よりさらに引き下った七・七%であります。ところが、この農林関係予算というものは、これは各省に分れておりまする全部を網羅したトータルであります。ところが、この中には、予算編成過程をめぐりまして問題になった例の経済基盤強化の四百三十六億のうちで、農林漁業金融公庫非補助小団地等土地改良基金に振り向けられた六十五億が入っております。この六十五億というのは、現実に資金運用部に預託いたしまして、使えない金です。使えるものはそれによって生ずる金利三億九千万、これだけが使えるのです。ですから、六十五億から三億九千万引いた六十一億一千万、これは使えないことになる。ですから、こういう一千八億から六十一億を差し引きますと、本年度の全体予算に対しまする比率というものは、さらに下回りまして七・二%になります。これが三十三年度農林予算の全体予算に占める割合であります。この数字を見て、農政後退、農村軽視でないと断言できますか。総理大臣どうですか。
○岸国務大臣 数字的なパーセンテージのことを今御説明がありましたが、これは、数字のパーセンテージの見方をどういうふうに小平委員が見られておるか、私了解できないところがありますので、これについては農林大臣から御説明することにします。全体として、私どもが農村に重点を置いて考えなければならぬということは、予算編成の方針にも特に明示しておるのでございます。私ども、今回の予算におきましては、各種の農業関係の予算に対する措置としましては、十分に農村対してわれわれは重点を置いているということを、具体的に各種の政策でこれを指摘することができると思います。パーセンテージの数字の点は、なお農林大臣から補足いたします。
○赤城国務大臣 ただいま農林予算の全予算に対する比率の点についての御質疑があったのでありますが、私どもはその数字によってこれを云々したくはないと思います。実質において農林政策をどういうふうに推進するかということが主眼だと思います。しかしながら、せっかく数字の話が出ましたので、数字の点に触れてみたいと思いますが、今お話しのように昨年は総予算に対する農林予算の比率は七・八%でございます。ところが、ことしは、今もお話しのように七・七%であります。しかしながら、昨年度の予算と比較いたしますと、災害復旧費において二十億、その、他必要減といいますか、必然減といいますか、そういうのが五億ありますので、二十五億はことしの一千八億に加えてもいいようなことになるわけでございます。それを加えますならば一千三十三億というような額になりますので、率から言いましても、昨年度から低くなっておらないということだと思うのであります。 なお、二十八年度からだんだん農林予算が少くなった、確かにその通りであります。ただ、内容について比較申し上げますと、三十三年度予算は一千八億であります。そのうちに、今もお話がありましたような公庫出資の六十五億とか、共済繰り入れの八十七億とか、食管の繰り入れ、これは学校給食の二十四億でありますとか、それから災害復旧の七十五億、この二百五十一億を引きますと、差引実質額は七百五十七億であります。これを二十七年度のそういうものを引いた実質額と比較いたしますと、二十七年は五百九十億、二十八年は六百七十億、三十二年は六百九十八億になりますので、本年度の実質予算は従来よりもふえておるというふうに私どもは考えているのであります。特に、小平委員も御承知の通り、土地改良、開発開墾等の事業におきましては、戦後一番多く予算をつけておるというような事情であります。数字の点にお触れになりましたので、数字の点で申し上げたのでありますが、私どもは、単に場当り的な政策でなく、御承知のように、農林白書、続いて農林政策を出して、筋を通して、農林水産基盤の確立、畑作酪農の振興、流通対策という大きな筋のもとに、従来の足らざるものを補い、また新たに芽を出すといいますか、新しい方向に持っていきたい、こういうことで予算を御審議願っているのであります。十分とは私ども考えておらないのでありますが、なお農林予算につきましてはこれが運用に遺憾なきを期したいと思っております。
○小平(忠)委員 農業生産基盤のために土地改良、開発等に相当意を用いて、ことしは数字は伸びているんだ、それは確かに愛知用水でありますとか八郎潟あるいは特定土地改良工事特別会計の繰り入れなどは確かにふえておりましょう。こういう面に相当予算をとりましたために、他の伸びなければならぬ土地改良、開拓の面が四苦八苦の状態です。私がそういう数字の状態を具体的に申し上げますのは、いかに詭弁を弄しましても、昭和二十八年とは確かにいろんな情勢も変ったでありましょうけれども、全体の予算の一割六分を占めておったのが、今日八%台を割っているというのが現実の姿なんです。いかに農林大臣が弁明されましても、この事実だけは厳然たるものがある。 農林大臣は、就任早々、わが国の農業の今後のあり方は畑作振興に重点を置かなければならぬと言われた。確かにその通りだと思う。現に日本は食糧は足らない。年間約三百万トン、米穀換算にして二千万石に近い食糧を輸入いたしております。輸入食糧に依存しているという考え方は、自給自足の態勢を作るという見地から望ましいことではない。口で言うだけでなく、現実にもっともっと土地改良、開拓に重点を注がなければならない、私が冒頭に申し上げたように、日本の過小農業経営、この零細化した農業をどうするかということになる。これは今日全国の耕地に匹敵する広大な地域がいまだに眠っているのです。農林省の統計ではそれを四百八十万町歩、いな、五百万町歩に推定される方もありますが、北海道のように積算温度六千度の地帯まで、土地改良あるいは農業の技術を加えましてりっぱに作物を作っておる現状から見ると、本州、四国、九州におきましてもさらに現在の日本の耕地に匹敵する可耕地があるわけですから、この面について積極的な施策が必要だと思うのであります。そのためには今までのような耕種農業ではだめでしょう。高原冷涼地帯ではもちろん酪農を加味した有畜機械化農業でなければだめです。そういう意味で、農林大臣も畜産の振興、酪農の振興に意を注がれ、本年度予算では例の酪農振興基金法案を上程せられ、五億円の基金を政府が作り、民間からその半額を出資させる。このことは時宜を得た考えでありましょう。ところが、これなんかも、最近では生産者の団体と乳業者の団体がまっこうから対立している。これは生産者と乳業者の意見が完全に食い違うのです。その意見が相いれなければ民間側は出資しないという。こういう問題はどうなさいますか。
○赤城国務大臣 日本の各方面にこれから開発していく土地が相当あることも御指摘の通りであります。でありますので、昨年から寒冷地農業対策ということで、北海道とか高い土地等につきましても特別の事業を行なっておるのでありますが、全国的の総合開発事業というようなことで土地の開発を進めておるわけであります。また、酪農あるいは畑作振興というようなことも進めてきておるのでありますが、その中で、酪農振興基金というものを設けることになっております。生産者と業者との意見の対立が相当強く出ておるじゃないかというお話であります。もともと生産者と業者との間には利害の対立がありまして、なかなかこの調整がうまくいきません。この問題を離れましても、乳価の安定等に私ども非常に苦慮いたしておるのでありますが、この基金の設置につきましても、役員の問題とか、出資の民間負担の問題とか、いろいろ利害が対立しておりますので、問題が残っております。残っておりますが、この基金は、私どもといたしましても、乳価の安定のための保障制度を設けていく大切な基金でありますので、今問題はありますけれども、調整をはかりまして、この基金が十分に運用できるようにいたすつもりでおります。近いうちにこの調整ができるという見通しを持っております。
○小平(忠)委員 この問題は、あなたの部下である畜産局長も非常に心を悩まし、心配して、何とか打開したいと苦労しているのです。もともとこの酪農基金の問題については大蔵大臣なんかは反対なんです。ですから、農林大臣、よほどしっかりかからぬと、つぶされちゃいますよ。 私は、日本農政が当面する幾多の問題について種々政府の所信を明らかにしたいのでありますが、時間の都合もありますのでこれらは次の一般質問等に譲りまして、補正予算の本論である食管特別会計の内容につきまして、これからお伺いいたしたいと思うのであります。 食管特別会計は、従来、どんぶり勘定であるとか、あるいは伏魔殿であるとか批判されて参りました。政府は、三十三年度の予算編成に当りまして、昨年の臨時食糧管理特別調査会の結論や世論の反撃を考慮いたしまして、このたび、食管会計に国内米管理勘定ほか五つの勘定、合計六つの勘定に区分いたしまして、各勘定の損益を独立させ、これを調整勘定にまとめて決済する案を提案されております。このことは、八千億という膨大な食管特別会計を、これを業務別に区分して、その収入、損益及び資産、負債を明らかにするという意図は了解できるのでありますが、一体政府は、この六勘定に区分したり、あるいは五百五十億に上る多額の予備費を計上いたしまして、三十三年度は食管に赤字を出さないという考えか、それとも、単に収入、損益あるいは資産、負債の内容を明らかにするために、それだけに六勘定に区分したのか、その基本的な考え方は一体どうなんです。これは大蔵大臣に伺いたいと思います。
○一萬田国務大臣 今お話がありましたように、従来食管会計の内容が必ずしも明確でなかった点もあります。いわゆるどんぶり勘定と言われておったのであります。それで、今回は、先般米の消費者価格を上げるときにも各方面の論議もありまして、この会計の区画区分を明らかにして、一体どこにどういうふうに赤が出るのかということを明確にしたらいいじゃないかというような強い要請がありまして、今お話しのように、これは非常にけっこうなことであるという理由に基きまして、今回勘定の区分を設けた次第であります。これにつきまして、従来食管の会計に赤が出た場合に条件が整わないで経理が不健全である、こういうふうに区分を明確にした際に調整勘定を持って、これに一般会計から百五十億の資金を入れまして、そしてこの経理を円滑にしていきたい、かように考えておるわけであります。この調整勘定におきまして、今後この会計で益が出ればこれに繰り入れ、損が出ればこれから経理上落していく、かように考えております。三十三年度に赤がどうかという御質問がありましたが、これは今後どうなるかわかりませんが、しかし、四十数億の赤が出るだろうと考えております。
○小平(忠)委員 大蔵大臣の答弁を聞いておりますと、経理区分を明確にしたい、損益関係や収支の関係、いわゆる資産、負債の関係を明確にしたい。そうすると、食管で従来多額の赤字が出ておるが、この赤字をなるべく少くしていこうという配慮は今度のこの六勘定を設定した趣旨には全然含まれていないと解釈してよろしいのですか。
○一萬田国務大臣 今度のこの勘定を明らかにしましたことは、どの勘定でどういう赤が出たか、それはどういう理由に基くかということを明らかにして、そして、今後できるだけ食管全体としても赤字が出ないように配慮を加えなければならぬ、また同時に、財政の都合が許せば調整勘定も財政的な繰入れも考える、こういうふうにしまして、総体として各般の条件を整えて、食管の会計を円滑にしていきたい、かように考えております。
○小平(忠)委員 総理大臣に伺いますが、食管の赤字なり、またその基本となるべき消費者米価、生産者米価等を決定する米価審議会、これが毎年非常に問題になっております。そこで、米価審議会の意見というものをあなたは尊重せられる考えですか、それとも、どういう考えでございますか。
○岸国務大臣 これは、あらためて申し上げるまでもなく、食管制度を設けておるというのは、一方においては生産者に生産意欲を高揚してたくさんの食糧を生産するようにする、また一面においては国民全体の食生活を安定せしめるという二つの大きな目的があろうと思うのです。従いまして、この目標に向って適正な運営をされるということが食管の制度の根本でなければならぬ。このことを具体的に示すものは、やはり生産者米価をどういうふうに定めるか、その定め方によって生産者の生産意欲に関係する。消費者米価をどう定めるかということは国民の食生活安定の上に必要である。しかも、この制度自体が健全に運営される、そうしてその健全化をはかるということが根本に維持されないと、これが非常に放漫な運用をされるとか、あるいは非常に不健全な状態であるということになって食管制度そのものの基本がぐらついてきますと、今言ったところの目的を達することができないことになるわけであります。そういう意味において、この両米価を定めるということにつきましては、食管制度の本旨から見て十分に慎重に検討しなければならぬし、各方面の意見は十分取り入れてやらなければならないということで、消費者米価なり米価審議会というものは設けられておると思うのです。従いまして、政府としては、十分そこで慎重に審議せられ、各般の事情を考慮して決定せられたことに対しては、これを尊重していくということは当然であろう、こう思っております。
○小平(忠)委員 ところが、総理大臣、尊重されていない。昨年の米価審議会の決定は、三十二年産米の政府買入価格は、生産費及び所得補償方式による再生産を確保し得る額を目途として定むべし、これは生産者米価の方ですが、これは、生産者代表も、消費者の代表も、あるいは学識経験者もみんな加わった、まことに公平なこの米価審議会で全会一致できめられたものであります。これを踏みにじって、やはり依然としてパリティ方式によるところの政府の一方的な見解によって三十二年度の米価はきめられた。政府は口を開けば、何々審議会の意思を尊重してとか、あるいは何々審議会の答申通り実行しておるとおっしゃいますけれども、どうしてかこの米価審議会だけは尊重してくれない。踏みにじる。これは一体どういうわけなんですか。総理は先ほど尊重いたしますとおっしゃったけれども、あなたの総理大臣のとききめた米価審議会の結論をあなたは尊重していないのです。どういうわけなんですか。
○岸国務大臣 今申し上げましたように、私は、従来とも、今申したような意味において米価審議会の意見というものは尊重していくという考えでやって参ったわけであります。
○赤城国務大臣 総理が御答弁申し上げましたように、米価審議会の意見は尊重しておるわけでありますが、全部を尊重する、全部その通りというわけにもいかない部面もあるのであります。大部分は尊重しておるわけであります。ただ、今のお話に出ました生産者米価決定について所得補償方式をとるべしということであります。私も理論的にはそれには賛成であります。しかしながら、これを尊重して私どもも検討を加えたのでございますけれども、御承知の通り、所得補償方式におきましては、技術的にバルク・ラインをどの程度に引くかという問題が非常にむずかしい問題であります。それから、自家労賃を都市の労賃にするか農村の労賃にするか、どの程度の労賃を見たらいいかとこういう問題があります。あるいは反当り収穫についての経費等につきましても非常に問題があるのであります。でありますので、その意見は尊重して検討を続けて参ったのでありますけれども、技術的に、まだその方法でやっていくという技術面の結論が出ませんので、パリティ方式によって決定いたしたということであります。全然尊重しないということでありませんし、尊重しながら検討していったのでありますけれども、技術的に困難な面がありましたのでパリティ方式によった、こういうことであります。
○小平(忠)委員 それは農林大臣詭弁なんです。結局生産者米価については尊重してないのです。そこで、昨年の生産者米価を決定する際に、米審の基本的な所得補償方式というものについては、尊重しなかった。しかし、現行米価石当り一万三百二十二円五十銭、これを決定した政府の算出基準、これは今後ともこれよりも条件を悪くするというようなことは考えておりますか、この点どうですか。
○赤城国務大臣 三十二年産米の石当りの価格は、一万三百二十二円五十銭であります。これは昨年度の米価審議会の決定に基いてさよう決定した次第であります。本年は、まだ御承知の通り米価審議会が開かれておりませんので、どういう結論が出るかまだわかりません。でありますので、昨年とどうかということは、米価審議会の結論を見ませんと、あるいはまた実際に買う米価の決定に近づいた時期に至りませんと、はっきりしたことを申し上げられませんが、私どもといたしましては、できるだけ生産費あるいは所得補償方式の線に持っていくべきである、こういうふうに考えております。
○小平(忠)委員 農林大臣、あなたにお尋ねしておる。あなたのいわゆる心組み、腹がまえで考えられ、現行の米価をきめる算出基準を現在よりも条件を悪くして生産者を苦しめてやろうというような考え方は持ってないんでしょうねと聞いたのです。その点どんなんでしょう。
○赤城国務大臣 私の心がまえとしては、生産者米価を低くして苦しめようというような気持は全然持っておりません。
○小平(忠)委員 よくわかりました。私もその通りだと思います。一国の農林大臣が、今後特別な事由が発生をして、国全体がこういう施策にしなきゃならぬというような突発の事態が起るならそれは別だけれども、そういうことが起きざる限り、現行よりも生産者米価を引き下げて苦しめるというような考え方は持っていないのは当然でありましょう。そうなりますと、そこで私は具体的にお伺いいたしますが、今度審議をいたしておりまする予算米価一万二百円、この算出方式によりますと、パリティを三・四二引き上げております。三十一年の七月から三十二年の六月までの平均パリティは一二一・八三です。それを三十二年十一月にパリティを一二五・二五、すなわちこの差額三・四二引き上げて一万二百円の予算米価ができたのです。昨年は一万円の予算米価だったから、現に二百円上っております。ですから、現行米価一万三百二十二円五十銭よりも条件が悪くなりますというと、これだけでも当然三十三年の実施米価——予算米価でなくて実行米価というものは現行米価よりも少くとも上る、こう解釈しますが、その点どうですか。
○赤城国務大臣 これは、先ほど申し上げましたように、実際に買い上げる米価は米価審議会の結論を待ってきめますので、具体的にどれだけになるかということは今申し上げる時期ではないと思います。ただ、今お話しになりましたのは予算米価であります。昨年度の予算米価は一万円であります。それを、ことしの予算米価は、今お話しのようにパリティも上げまして、三十一年度の手取り米価に対してパリティをかけて九千九百十五円、それに等級差その他を加えまして一万二百円、こういうふうな決定をいたしたのでありますが、これはあくまで予算米価であります。しかも、予算米価をきめるに当りましても、二十八年、二十九年を基準といたしませんで、最近における一番適当な米価であった三十一年度の生産者手取り米価を基準といたしまして予算米価をきめたのであります。その予算米価は、御承知の通り、昨年の予算米価よりも、一万二百円でありますから二百円高くなっておるわけであります。実際に買い上げるときの米価は何ほどになるかという具体的な問題は米価審議会等の結論を得てきめることになると思います。
○小平(忠)委員 予算米価と実行米価は、一応従来の経緯から見ますると、あなたのような答弁にもなりましょう。ただ、そこで、今あなたが現行の生産者米価よりも条件を悪くするようなことはしないということになりますと、当然従来の予約加算百円、歩どまり加算十七円五十銭、こういうものは予算米価に入ってないですが、実行米価の際当然加算されると思います。そうしますと、予約申し込み加算石当り百円、二千九百万石で約二十九億になります。それから、歩どまり加算十七円五十銭でありますから、二千九百万石になると約五億であります。これで三十四億、さらに、パリティの上昇は予算米価の決定の際に政府も認めておるのです。これによって当然に値上げをせざるを得ない。さらに、政府の予算米価なり食管特別会計の編成に当って、本年の買い入れ予想は二千九百万石に予定いたしておりますけれども、農林省の需給計画によりますと、三千百万石である。二百万石の開きがあります。先般の本予算の総括質問の際にも、同僚委員に答えられたあなたの答弁によると、本年度やはり二千九百万石に予定しているけれども、三千百万石になるかもわからないということで、実際にこれはなるかもわからない。このように、予約申し込み加算か、あるいは歩どまり加算、これがプラスされる、パリティが上昇している、買上数量が二百万石もふえる、こういうことになってきますと、現在食管会計で予定いたしておりまする赤字よりも相当上回る。私の計算だけでも百億を突破するのではなかろうかと考えますが、その点どうですか。
○赤城国務大臣 米価審議会の決定を見ないで私が勝手に申し上げると、米価審議会を無視することになって、尊重しないことになりますから、あまり先のことまで申し上げるわけには参りませんけれども、今の予約申し込みでありますが、昨年度の予算米価決定の際にも予約申込み加算というものは予算には計上いたさなかったわけであります。でありますので、これは米価としては予算の基本米価には入れておりません。あるいはまた、歩どまりにつきましては、格差として見る方が適当ではないかということでありますので、これも研究いたしております。それから、ことしの米の買入数量は二千九百万石ということに予算で基準をしておりますが、三千百万石の需給計算になっておるじゃないかということでありますが、三千百万石の需給計算は、三十二年度の米の買い入れが二千九百万石でありましたのが三千百万石になっていますので、実際にそれは三十二年度の方でやります。でありますので、三十三年度においては三千百万石という需給計算にはいたしておりません。しかし、二千九百万石ということになっております。こういう点で、今までよりも損失赤字がふえるのではないかというお話であります。これにつきましては、米価審議会の決定といいますか、結論を見ませんと、はっきりしたことは申し上げられませんけれども、増減はあろうかと思います。今お話しの点は増す方の要素でありますが、輸入食糧等によってプラスになる面もあろうかと思います。御承知の通り、小麦等におきましてはそういう面も出てくることもあります。あるいはまた輸入食糧の量等によりまして増減も出てくるかと思います。そういう総合的な面から、どれくらい出るかということにつきましては、今にわかに結論は出せませんけれども、今試算をいたしておりますのは、御承知の通り四十三億が赤字になろう。しかし、それに増すのではないかというお尋ねのようであります。この増す額がどれくらいになるかということは、今にわかに判定できませんので、どういうふうにするかということについての結論は出し得ないのでありますが、御承知の通り、今御審議を願っておりまする二十二年度の補正予算におきまして、百五十億の資金を置いたのであります。この資金から九十六億の三十二年度の赤字、これは決算確定を待ちましてこれから落していくわけであります。でありますので、あと五十四億は三十三年度に引き継がれるわけであります。しかもその中の四十三億だけが今見通されている三十三年度の赤字でありますので、まだそこに余裕もあるのであります。これにつきましてどういう処置をとるかということは、そういう段階に入りまして、今考えておる面もありますが、処置していきたい。その額がはっきり今見通しが立て得られませんので、今直ちに御答弁を申し上げるというわけには参りません。こう御承知願いたいと思います。
○小平(忠)委員 農林大臣を初め閣僚の方々にお願いしますけれども、私も一応申し合せの時間がありますから質問も要点だけいたしたいと思いますので、御答弁の方も要点だけを御答弁願いたいと思います。 今農林大臣が四十三億の赤字を予定しておるけれども、これは逆に輸入食糧などの利益によってカバーし得るのではないか、こういう意見でありますが、それは一応今後の見通しで、しかし、一応政府が立てておりまする食管の赤字は、国内米勘定では百十二億の赤字、国内麦の勘定では八十六億の赤字、これを輸入勘定の百五十五億の利益によって調整して、差引四十三億の赤字を予定しておるわけです。この分は、ただいま百五十億の本年度の予算補正で余った分を調整して繰り入れていこうというお話でありますが、その分九十六億を差し引いても五十三億になりましょう。そうすると、十一億が一応余るという勘定になるのです。ところが、私の申し上げているのは、十一億や十二億じゃないというのです。現在の条件よりは悪くしないとあなたは言明したのですけれども、悪くしないならば、予約申し込み加算の百円なり、歩どまり加算の十七円五十銭は当然付加されるから、これだけでも二十四億の赤字が出ますよ。買い入れ数量は二千九百万石よりもかりにふやさぬとしましても、パリティの上昇があります。これによって当然赤字がふえますよ。この赤字をどうしますか。それは米価審議会の結論を待たなければ、こうおっしゃるけれども、それでは別に予定なんか組まなければいいじゃないですか。予定を組むからには、この赤字をどうするか。消費者米価を上げないということは、先般わが党の川俣委員の質問に答えてあなたは明確に言っているのです。消費者米価は上げない。じゃ、どうするのですか。
○赤城国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、三十三年の赤字は四十三億だという見通しのもとに予算を組んでいるのであります。今のお話によりますと、もっと赤字が出るのじゃないか。この赤字が出る要素というものは、米価審議会の結論を得ませんとそういう要素がはっきりいたしませんから、後日決定されるべきものについて赤字が出るということまでは私どもは予想しておりませんで、現在の予算編成当時におけるいろいろな条件から申しまして赤字が四十三億だ、こう申し上げたのであります。でありますので、そういうときになお赤字がふえるということでありますならば、私の方には予備費の用意もありますし、あるいはまた繰り入れといいますか、引き継ぎの資金についてそのときにどういうふうにするかという問題がありますけれども、これは基金をくずして何なりというようなことでありますならば、また国会の審議を経て、特別単独法を出してやるという方法もあります。しかし、われわれが今考えております四十三億というものが現在におきましては見込まれる赤字でありますので、それ以上の問題につきましては、まだ先の時期でもありますし、輸入食糧等につきましても三十二年度の輸入食糧の益が百二十九億でありますが、こういうふうな輸入食糧益等も出ることもあります。いろんな要素を総合して、半年かその後でないと四十三億以上の赤字というものははっきりしない。今の見通しで四十三億でありますが、四十三億の赤字の見通しのもとに予算を組んでいるということで御了承願います。
○小平(忠)委員 非常に含みのある言葉で、もしどうしても赤字が出た場合に国会の承認を経て云々ということでありました。ところが、今あなたの言の中で、予備費を流用したい。それは、先般五百五十一億の予備費というものは赤字の補てんに使えないものだとあなたは言明したじゃありませんか。二千九百万石買い入れの予定数量がふえた場合にこれを使うのか、昨年の三百億の予備費に対して五百五十一億の予備費を組んだのはどういうわけかという川俣委員の質問に対して、あなたはそう言ったでしょう。ですから、この予備費は赤字補てんに使う予備費じゃないのです。ですから、どうあなたが説明してみても、出てくる赤字を処理しなければならない。従って、それは消費者米価も上げない、やはり一般会計から繰り入れ、予算を補正する以外にないじゃありませんか。
○赤城国務大臣 予備費は赤字に使えないということは今の御説の通りで、先ほどの私の答弁に聞違いがあったかと思います。そこで小平委員の御発言は、赤字がうんと出るという前提のもとでやっておるのでありますが、私どもは今の予算におきましては四十三億と見込んでおる。しかしそれがどの程度の額になるかという見通しは、今申し上げるわけにはいきません。でありますから、赤字が出た場合につきましては今の資金というものでくずして、くずせない場合には、これは単独立法というようなこともあり得る、こういうことであります。額が決定いたさない前にどういう方法でやるかということでありますが、そういう方法でやろうといたしておるのでありますが、その額がはっきりしませんので、その点はあまり追い詰められても私困るのです。
○小平(忠)委員 いや、それは大臣が困るんじゃなくて、国民が困るのです。こっちが困ることなのです。あなたは単独立法とおっしゃいますけれども、政府が別途出した食管法の一部を改正する法律案、食管特別会計における資金の設置及びこれに充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案、これによりますと、資金をくずしても資金のくずし方はそれを限度にしているのです。この食管特別会計法の第八条の三によりますと、当該資金を減額し処理することができるというが、「損失ノ額ヲ限度トシテ」としています。一方第八条の四では農産物価格安定勘定の方では、もし「損失額中当該整理ヲ為シ得ザル部分ノ金額ハ損失ノ繰越トシテ之ヲ整理スベシ」とあって、農産物価格安定の方は、限度が超過した場合には繰り越すのだけれども、一般の米、麦の勘定の方は、損失を限度としてしかやれないのだ。そうすると、あなたの言によると結局資金をくずすというやつもこれではできない。どうするんです。これは困ると言たって、そこを明確にしてほしい。これは重大問題です。総理、どうですか。
○赤城国務大臣 今のお話のように、益が出ればその資金に繰り入れますし、損が出ればそれを取りくずしていく。その取りくずすというのは資金の限度であります。今のお話の通り、それ以上には取りくずせないわけです。そこでもまだ足らぬいうに場合には先ほどから申し上げました通り、これはほんとうにそういうことだということでありますならば、また単独立法をいたしまして一般会計からの繰り入れの御承認を願うということもある、こういうふうに方法を先ほどから申し上げておるのであります。ただ私が困るというのは、その額がまだきまらないうちにどれだけということまで言えと言われても、追い詰められては困る、こういうわけであります。
○小平(忠)委員 大臣それは言いわけです。困るというのは、今予算を補正する、こういうことを言い切るのが困る、そうでしょう。消費者米価も値上げもしない、生産者米価は値下げしない——どうするんです。結局これは一般会計から補正せざるを得ないのです。ところが私は国家的見地から、赤字を出したものを何でもいいから一般会計から補てんするという考え方は賛成できない。問題は、この食管の赤字をなるべく少くすることです。どうして食管の赤字を解消していくかということについては、問題は中間経費です。中間経費の節約がいかにしてなされるかということが、私は食管会計の大きなウエートを占めておると思う。この問題は、昨年この予算委員会におきましても、あるいは臨時食糧特別調査会でも相当問題になりました。ところがこの問題になった結論はどういうことかというと、やはり中間経費を極力圧縮して、そうしてその合理化をはかるんだ、そういうふうに結論はきまっておるんですが、私の調査をした範囲では、この中間経費節減のために努力がなされているとは思えない。三十三年度の予定では、中間経費が——三十二年の場合は四百九十八億、これに対しまして四百九十億を計上いたしております。四百九十八億のうちわずかに八億の減少です。そうすると中間経費削減とか圧縮とかいうことに政府が配慮したとは私は思えない。特に問題点は人件費でありますが、三十三年度は逆に八億六千万円増加しております。これはいろいろ理由があります。しかしその中で約二万六千人余の食糧庁の職員のうち、一般会計負担の職員はわずか百八十三名です。二万六千人の大半の職員は、全部食管特別会計で約五十億という膨大な人件費を負担して、これを消費者に負担せしめているのです。ここにも問題があるのです。さらに金利については一応八%ばかり減額しておりますが、年間約百二十億の金利を使っております。この金利につきましても、食管会計は極力国庫の余裕金を使って、そうして金利を節約するという方法をとったらどうですか。これもなされていない。農林大臣は私が何かこの食管会計で赤字が出ることを歓迎しているようなことをおっしゃるのですが、逆なんですよ。こういう点について私は根本的な政府の配慮がなければならぬと思うのです。 そこで、時間がたちますから、私はここでことしの予算補正の内容について伺いますが、三十一年度の赤字百六十億の補正につきましては、これは従来通りであります。ところが三十二年度に、御承知のように調整資金と称して百五十億の資金を繰り入れる、この考え方は、先般の成田委員の質問に答えて大蔵大臣は、これは損失を目当てに入れたのではなくて、食管会計の運営の合理化、経理のいわゆる改善をはかるために繰り入れるのであると説明されました。説明されたけれども、結論は今年度の赤字九十六億の穴埋めでございましょう。ちゃんと予算の説明書に書いてありますよ。昨年の予算委員会で岸総理も、決算を待たなければ赤字の補てんはしないと言明したじゃないですか。ことしはどうしてこれをやるのですか。決算はまだ三十二年度のはできていないのです。
○岸国務大臣 従来、食管の赤字補てんのやり方としましては、予算繰り入れの方法と決算繰り入れの方法とをとってきたことは、御承知の通りであります。決算繰り入れということが理論的には私は正しいと思いますが、ただ食管のような大きな制度を運営していく上から申しますと、それにつきましてもいろいろな問題もございますし、予算との関係もございます。われわれは、あくまでも先ほど申したような食管の本来の目的を達する、この運営をスムーズにやるためには、ここに資金の制度を置いて、そうしてこれを運営していくということが最も正しいことである。その結果として、利益があればこれに繰り入れ、損失があればこれを落すという、これは経理の何からそういうことになるわけでありますけれども、しかしこの資金そのものの本来の趣旨は、あくまでも食管特別会計の運営をスムースにやるという点をねらってであります。経理の関係から今申したように、利益があればこれに繰り入れ、損失があればこれをそれだけ落すということになることは、結果的にはそうであります。趣旨はあくまでもこの運営をスムースならしめる、こういうわけです。
○小平(忠)委員 岸総理の答弁は当っていない。私が聞いておるのは、あなたは昨年、決算を待たなければそれは補てんできない、補正できない、そう言明しておったのを、なぜことしは決算を待たなければできないのに、九十六億の赤字補てんを目当てに百五十億入れるのですかと聞いているんです。
○岸国務大臣 決算で現実に補てんされることは、決算を待ってこれの資金ができましても、今申したように経理上されるわけでありますから、理論的にはちっとも変っておらないと思います。
○小平(忠)委員 財政法の第十二条には「各会計年度における経費は、その年度の歳入を以て、これを支弁しなければならない。」これは明確じゃありませんか。特にはなはだしきは百五十億を繰り入れて、そうしてこれを調整してもし残があれば、明確に九十六億を穴埋めして、その残は翌三十三年度に繰り越すという。三十三年度の分まで今三十二年のうちに補てんするがごときは、これは完全に財政法第十二条の違反です。それからあなたがいかに言っても、大蔵省から予算の説明というこの説明の四十二ページに明確に書いてあるじゃありませんか。「三十二年度補正予算において経理運営の改善をはかるため百五十億円を一般会計から受け入れて資金を設置するが、」その次です。「九十六億円は三十二年度欠損処理のため減額する」明文に書いてあるじゃありませんか。それから残額五十四億は三十三年度に引き継ぐのだと書いてある。この説明は誤まりですか。
○岸国務大臣 財政法でこの資金という制度を行い得る、こうなっておりまして、御承知の通り資金という性格から申しますと、年度を越えてこれが使われることは当然のことであります。現実に経理がどういうふうに行われるかということについては、先ほど申したように、決算を待って、明確に出たものを資金に繰り入れ、もしくはこれを減額するという処置に出るわけであります。
○小平(忠)委員 これは私はあくまでも政府みずからが財政法の精神を根本から踏みにじり、財政法違反をやっておると申し上げても過言ではないのです。 その次に食管特別会計の三十二年度の予定貸借対照表を見ますと、ただいまの百五十億のいわゆる一般会計繰り入れの補正、この措置は貸方の部に百五十億計上されておる。これについてはわれわれはこういう翌年度の分まで見込んでやるということについては納得できない。ところがそれの同じ欄に、貸方に借入金百六十億とあるのですが、これは三十一年度の損失と関係あるのか、あるいはそうじゃなくて、これは全くの別個なものか、この借入金の内容は何です。
○石原政府委員 技術的な問題でございますから私からお答え申し上げます。この百六十億はアメリカの輸出入銀行から食糧の輸入のために借款をいたしますその借入金でございます。
○小平(忠)委員 これはアメリカから借りたんですか。
○石原政府委員 借り入れの対象は日本銀行であります。
○小平(忠)委員 これは食管特別会計法の第二条によりますと、買い入れ代金の支払いには従来食糧証券をもってやっておった、ところが食糧証券以外の場合に、その経費に充てるために食管会計で借り入れができるということになっております。だから百六十億円の借入金というものは相当膨大なので、何かと思って伺たんですが、それは輸出入銀行から日本銀行を対象にして借りたんですか。どこから借りたんです、その内容は何ですか。
○石原政府委員 お答えいたします。三十二年度におきましてアメリカから輸入をいたしまする食糧を輸出入銀行の借款で金融をいたしましたことは御承知の通りであります。このやりようは、輸出入銀行から日本銀行が借金いたしまして、日本銀行から食糧管理特別会計が借りた、こういう形になっておるわけであります。従いまして現実に金を借りております対象は日本銀行であります。
○小平(忠)委員 これは重大な問題です。総理大臣に伺いますが、これは国が借款をする。国がもし借款をしたならば、これは国会の承認を経なければなりません。ところがそうではなくて、現に銀行同士の取引ならば——これは食管特別会計の三十二年度の予定貸借対照表に借入金百六十億計上する、これはまさに国が借りているんです、食管特別会計であろうと何であろうと。これは総理御存じなんですか。
○岸国務大臣 大蔵大臣から答弁いたします。
○一萬田国務大臣 借入金は、先ほど御説明いたしましたように、日本銀行からの借りになっておりますが、詳しくは政府委員から答弁させます。
○石原政府委員 食糧管理特別会計法の第三条第一項に「本会計二於テ食糧及農産物等ノ買入代金ノ財源二充ツル為必要アルトキハ政府ハ本会計ノ負担二於テ一年内二償還スヘキ証券ヲ発行シ又ハ同期間内二償還スヘキ借入ヲ為スコトヲ得」、第三条第二項に「本会計二於テ食糧及農産物等ノ買入代金ノ支払上一時現金二不足アルトキハ政府ハ本会計ノ負担二於テ当該年度内二償還スヘキ証券ヲ発行シ又ハ同期間内二償還スヘキ一時借入ヲ為スコトヲ得」というのがございまして、第四条第二項に「前項ノ規定ハ前条第二項ノ規定二依リ発行スル証券又ハ借入ルル一時借入金ノ借換二付之ヲ準用ス此ノ場合二於テ前項ノ規定中一年内トアルハ当該年度内トス」ということがございまして、一年内に償還をいたしまする証券——食糧証券及び借入金の道が開かれております。その限度につきましては「本会計ノ負担二属スル証券、借入金及一時借入金ノ額ハ通シテ最高四千四百億円トス」ということが食糧管理特別会計法で限度の御承認を得ております。その金額の範囲内において借り入れをいたしたわけであります。
○小平(忠)委員 これは大蔵大臣にお伺いいたしますが、一体この百六十億の内容、何を借りてきたんですか。どういうものがこの内容であるか。それから国の債務関係はどうなっておりますか。
○一萬田国務大臣 ただいま債務負担の根拠については御説明申し上げましたが、この金は食糧の輸入に使われておるわけであります。その百六十億がどうなっておるかという内訳は……。
○小平(忠)委員 これは食糧の輸入なら、輸入の食糧勘定でまかなえるのじゃないですか。何のために借入金として別個に扱わなければならないのですか。これはいわゆる国の債務との関係はどうなっておるのですか。
○石原政府委員 技術的な問題でございますから私がお答えを申し上げます。ただいま御説明申し上げましたように、食糧管理会計法におきまして、食糧証券あるいは借入金をもちまして食糧の買い入れができるわけであります。その規定に基きまして借り入れをいたしまして食糧を買っているわけでございます。食糧証券で買うというのは国内の場合には通例でございますが、これは先ほど読み上げました条文でおわかりになりますように、必ずしも食糧証券一本でなくてもよろしいわけでございまして、この場合には先ほど申し上げましたような特殊の条件のもとに外国から麦その他の食糧を買い入れるわけでございますから、従いましてその金融の方法といたしましては、日本銀行からの借入金という形によったわけであります。従いましてその限度はただいま申し上げましたような四千四百億円という通じての限度が打ってございますから、その限度内において御承認を得た金額の範囲で借り入れをいたしておるわけであります。
○小平(忠)委員 大蔵大臣にお伺いいたしますが、この百六十億は単なる輸入食糧なんですか。それともそうじゃなくて、別個にいわゆる農産物借款をいたしまして、結局これは国の債務となって返済をしなければならぬものなんですか、どちらなんですか。
○一萬田国務大臣 これは御承知のようにアメリカの輸出入銀行からの借款で食糧を輸入するようになっております。その食糧の輸入を食管で決済するために、その資金を日本銀行から借りて決済をする、こういうことになります。
○小平(忠)委員 大蔵大臣、これは単なる輸入食糧ならば問題ないのです。あなたおっしゃるように、アメリカの輸出入銀行からいわゆる借款をして、そうしてこれを払う、これは国の債務になるのです。ですから私はこの会計はこれでいいと思う。ところが借款ならば、これは財政法第十五条であらかじめ国会の議決を経なければならぬ。これはどうなんですか。
○石原政府委員 借金をいたしますのは、外貨払いの関係におきまして、輸出入銀行から日本銀行が借金をいたします。それを国内におきまして金融いたしますのは、一応その面とは断ち切りまして、日本銀行対国の関係、日本銀行対食糧管理特別会計の関係ということに相なるわけであります。従いまして日本銀行対食糧管理特別会計の関係におきましては、先ほどから私が条文の根拠につきまして申し上げましたように、日本銀行からの借入金を先ほど申し上げました四千四百億という限度内におきましていたしておる、こういう筋合いでございます。
○江崎委員長 この際河野密君より関連質疑の申し出があります。これを許します。河野密君。
○河野(密)委員 ただいま政府側から御答弁になりましたことは、非常に重大な問題でございます。私は先日分科会におきまして政府の外貨に対する借款はどれだけあるかということを明確に質問いたしておきましたが、本日配られた資料によりましてもただいまのごとき借款があることは、政府はひた隠しに隠しておったのでありまして、これは一体どうわけでありますか。私が申し上げるまでもなく、借款をいたします場合において政府が今までやっておりましたものは、世界銀行に対する借款、それから米国の輸出入銀行に対する借款、それからIMFからの短期の借り入れ、こういうこと以外にない、その総額は二億二千二十五万ドル、こういうことは大蔵省から発表になりましたこの数字に明確に出ておるのであります。しかるに今の借款は、これは輸出入銀行から一体どういう理由によって借款なすったのでありますか。ことにこの借款をする場合には、ただいま財政法にありましたように——ちゃんと予算の総則の第十一条、第十二条を開いてみて下さい。これに民間の国内法に基いてアメリカの輸出入銀行あるいは世界銀行から借り入れる借款についてもあらかじめ予算の総則に明確にしておいて国会の承認を求めなければならない、こういうことになっておるのでありまして、これは一体どこで、どの条項に基いて政府は承認を得ておるのでありますか。この点を明確にしていただきたい。
○一萬田国務大臣 アメリカの輸出入銀行から借款をいたしましたのは、これは日本銀行でありまして、何もこれは秘密にしておりません。この外貨事情が悪くなった後におきましてIMFから一億二千五百万ドル借り、同時にアメリカの輸出入銀行から一億七千五百万ドル、そのうちの六千万ドルは毎年行われている通常の綿花借款、一億一千五百万ドルは、これで結局外貨事情を強化する、言いかえれば、これによって当然アメリカ等から輸入する食糧の決済に充てるという目的はあります。これは日本銀行の外貨強化、日本銀行の借款である、外為会計は輸入してくる米を買う場合における資金を日本銀行から借り入れる、こういうわけでございます。
○河野(密)委員 今のは御答弁にならないのです。私の尋ねておりますのは、民間の借款であろうとも世界銀行あるいは米国輸出入銀行から借り入れる場合においても国会の承認を得て——予算の総則にちゃんと書いてあるじゃありませんか、しかる後に借り入れるということになっておる。それに対して政府は一体何の処置をおとりになりましたか。一つもとっておらぬじゃありませんか。
○一萬田国務大臣 これは日本銀行が借りる場合において別に国会の承認は要らぬ、政府が保証する場合におきまして従来国会の御承認を得ることになっております。
○河野(密)委員 政府が保証する場合といったって、この間私は民間の借款についても予算の総則に国会のあれをしておる。そのときに私は念を押してお尋ねをしたのでありますが、私の聞いておる範囲においては、これは政府の保証があるものとないものとあるように聞いておるが、そうですか。こういって念を押して聞きましたところが、この世界銀行、米国輸出入銀行に関する限りは向うが日本政府の保証を求めるがゆえに日本政府の保証のないものは一つもございませんと、ここで答弁しておる。
○一萬田国務大臣 これは先方において、ことに世界銀行の場合においては政府の保証を求めておる、こういうふうに解釈しているのです。しかしアメリカの輸出入銀行の場合は必ずしも政府の保証を求めておりません。
○河野(密)委員 速記録を調べて、その点もし明確でなければあれしますが、それともう一つは、IMFからの借り入れにいたしましても、これは政府が当然予算の総則に計上すべきものである、私はそういうことを申し上げて、食管、外為特別会計の負担において、その日本の円をもってドルを買うのであるから、当然予算の総則の中に計上すべきものである、私はこういうことを申し上げたのでありますが、しかし政府はそういう見解をとらぬ、こういうことを言っておりました。これは私はまだ議論があると思う。議論があると思いまするが、少くとも政府の予算の特別会計の中に百六十億の借入金として国家の負担になることが明確なものを、予算の総則に計上しないで、国家の負担になるものを外為特別会計の操作においてやるというようなことは許すことはできぬと私は思うのであります。これは、私は政府は明確にすべきものだと思う。
○石原政府委員 お答えを申し上げます。政府が債務をしょいますことについて国会の議決をいただきます方法は幾つかございまして、法律によりまして権限をお与え願う方法、それから先ほど御指摘の、毎年度の予算総則におきましてその金額の限度をきめる方法、いろいろあるのです。この場合におきましては、先ほど申し上げましたように、食糧管理特別会計法の第四条の二に「本会計ノ負担二属スル証券、借入金及一時借入金ノ額ハ通シテ最高四千四百億円トス」という法律の形で定められております。従いましてこういうような法律でお定めを願いまする場合と、それから毎年度々々々の予算総則において議決を願いまする場合とございます。今私が申し上げましたのは、国内の方の、国が債務をしょいまする関係の権限付与であります。それから先ほど大蔵大臣からお答えを願いましたのは、外貨の関係において、日本銀行とアメリカの輸出入銀行との間の関係になるわけであります。
○河野(密)委員 日本銀行とアメリカの輸出入銀行との関係だというのは、全く言いのがれの遁辞にすぎないのであります。日本の国が負担する負担がちゃんと特別会計の中に計上されておる。その計上されておらないものについてでも、世界銀行のこれから民間が借款するかもしれない、まとまるかもしれないものについても、予算の総則において、われわれは明確に第十一条、第十二条において、あらかじめ国会の承認を求める手続をとっておるじゃありませんか。しかるに予算の特別会計の中において明確に百六十億という国家の負担になる金額が出ておるにかかわらず、それを予算の総則において、その借入金についての承認を求めないという態度は、どんなに遁辞を設けても、私は政府の責任を免れることはできないと思うのであります。この点大蔵大臣の明快なる答弁を求めます。
○一萬田国務大臣 この外貨の借款の問題は対外的決済の問題であります。言いかえれば、外貨事情の補強というところに重点を置いております。今問題になっておるのは、食管会計におきましては輸入食糧を買い上げる代、これはむろん円であります。その円をどこから調達するかという意味において、今話しましたように、限度内において一年以内においての条件で、日本銀行が輸出入銀行から借りる、こういうことであります。
○河野(密)委員 この問題はきわめて重大でありますから、大蔵大臣が言うように、日本銀行とアメリカの輸出入銀行との間の協定によってできた借款であるというならば、日本銀行から、一つその協定書を責任をもってここに取り寄せていただきたいと思います。その協定書によって、日本の政府がどういう態度をとっておるかということによって、私たちはこの問題について、もう一ぺん政府並びに大蔵大臣の責任を問いたいと思います。
○一萬田国務大臣 ただいまの書類は出します。
○河野(密)委員 一つその手続をとって下さい。
○江崎委員長 ただいま河野君のお申し出の書類は、いずれ午後も再開することになっておりまするから、その機会にでも一つ提出させるようにいたします。河野君に申し上げます。資料はすぐ出るそうでありますから、質問をお続け願いたいと思いますが……。小平忠君。
○小平(忠)委員 ただいまの借款についてはただいま関連質問で河野委員から御指摘のように、日銀の借款契約書いわゆる協定書を見せていただきたい。同時に私はその内容を承わりたい。先ほどから数回申し上げているように、この百六十億の借款をいたしております内容は何ですか。
○一萬田国務大臣 この借款の基本は、やはりIMFから一億二千五百万ドルを借りたと同じ性格を持っているのであります。当時外貨が予想以上に減ってきまして、これを補てんする意味におきまして、IMFからも借りました。同時に日本輸出入銀行にも申して借款をいたした。この借款いたした結果、これは外貨でありますから、自然輸出入銀行の借りた部分は輸入決済に充てられる、それが農産物であった。こういうことであります。その内容についてはまた差し上げてよろしゅうございます。
○小平(忠)委員 これは重大問題だ、というのは、先ほど主計局長が説明された食管特別会計の中で操作し得るところの四千億というものは、これは食管会計のワクなんです。この問題と、国がかりに日銀といえども借款をしていることについて、食管特別会計のいわゆる貸借対照表に百六十億の借入金を計上するということは別個の問題だ。これは少くとも財政法の第十五条によって、国会の承認を事前に得なければならぬ。大蔵大臣、その点はどうですか。
○石原政府委員 お答え申し上げます。財政法では、法律あるいは国庫債務負担行為及び予算、その三つに基きまして、国が債務をしょうことを認めておるわけであります。その一つの例といたしまして、先ほど食糧管理特別会計法を読んで申し上げました。これは食糧証券がそうでございまするように、食糧関係の借入金、これは期間的にも短いものでございますので、これを合せまして、総額のワクを設けまして、国会の議決を経た法律の形で権限を付与されるわけであります。国庫債務負担行為をもってやる場合があることは、これも御承知の通りであります。もう一つの場合は、予算の金額そのもので、当該年度中に債務を負う場合もございますし、先ほど御指摘のような、予算総則によりまして、債務負担を行う場合もあります。先ほど御指摘のありました一般会計の予算総則十一条、十二条、この方の系統は、これは総則で、外国の銀行から借金をいたしまして、その場合の保証債務につきましての権限をいただいておる関係であります。従いまして今回日本銀行対アメリカの輸出入銀行の方の関係におきましては、国が入っておりません。十一条、十二条は、開発銀行あるいは電源開発会社が世界銀行から金を借りますこと自身に対する権限付与ではございません。それに対しまして政府が保証いたしますことにつきましての権限を付与しておるわけでございます。従いまして、日本銀行対輸出入銀行の方の関係は、日本銀行としてのそういう行為をいたしまする関係のことに相なりまするので、別に先ほど来申し上げておりまする国の債務をしょいまするための権限付与といたしましての、法律あるいは予算あるいは国庫債務負担行為、そのいずれにも該当いたしませんので、私の申し上げておりまするように、日本銀行対食糧管理特別会計、その関係が先ほど申し上げましたような法律のワクの範囲内における借入金ということに相なるわけであります。
○小平(忠)委員 これはきわめて事務的なことでございますが、主計局長の御答弁は、それから参りますると、従来のように糧券の発行でいけばいい。何のために借入金にしたのです。食管特別会計対日銀との関係ならば、これは糧券——食糧証券でいけばいいのです。ところが私は食管会計はずっと古くから見ておりますけれども、従来食管特別会計でこの種のケースはありませんよ。例の余剰農産物受け入れの際は、御承知のように余剰農産物特別会計を別に設置したのです。従来そういう関係において借入金で処理するということはないのです。あなたの説明でいくと、これは糧券の発行でいけばいいじゃないですか。
○石原政府委員 食糧証券をもちまして、これの資金調達は不可能かということでございますれば、これは不可能だと申し上げるに及ばないと思います。ただしかしながらこれには特殊の期限もございます。一括して一種のまとまった一体をなしているものでございますから、期限その他の関係からいたしまして借入金にいたす方が便宜だということから、借入金にいたしましたので、条文の基礎でも申し上げましたように、食糧証券または借入金ということに相なっておりますので、本質的な両者の違いがあるわけではございません。
○小平(忠)委員 今の説明によると、糧券の発行でも差しつかえない。ただ特別の条件——これは今までにないケースなんです。ないでしよう。ところが、この関係経理の問題と——私が指摘しているのは、大蔵大臣の説明なり主計局長の説明をずっと一貫して聞いておりますと、この問題と国が借款をしている、このことについては別なんです。これはいずれ日銀の契約書を見ればわかりますから、それによってすぐ質問したいと思います。まだ来ておりませんか。
○江崎委員長 小平君どうでございましょう。今至急取り寄せているのです。そこでその問題を留保していただいて、他の質問にお移り願うわけには参りませんか。
○小平(忠)委員 その内容を聞きたいのです。
○江崎委員長 小平君、ちょっとお尋ねしますが、他の大臣に質問は何もありませんね。この問題を中心にした御議論が残っておる、こういうわけですね。
○小平(忠)委員 食管を中心にした議論だけです。
○江崎委員長 それでは今資料を取り寄せておりまするが、まだ時間もかかるようでありまするから、この際午後一時二十分より再開することといたしまして、暫時休憩いたします。 午後零時三十六分休憩 ————◇————— 午後二時十二分開議
○江崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 小平忠君の質疑は、資料の作成の関係もありまするので明日に延期することといたします。 質疑を続行いたします。小松幹君。
○小松(幹)委員 私は、三十二年度予算補正に当りまして、補正予算に直接関係はありませんけれども、三十二年度予算に最も大きな外貨を使い、そして岸内閣が最も大きな力を入れた東南アジア開発の問題について質問をいたしたいと思います。 東南アジア開発の機構は、昨年総理が組閣の後に岸構想として出して、それを持って東南アジアを訪問し、さらにアメリカにも行かれましたが、その後第二回の東南アジア訪問を昨年の十一月十八日以降やられております。それについての、いわゆる経済外交における岸構想の結果というものをまだ国会で聞いていないわけでございます。そこで私はお尋ねしたいのですが、あなたは一番先に、岸構想なる考えは、日本の工業技術、アメリカの資本、東南アジアの資源というものを中心に一体化して東南アジアの開発をやろうという考えでこの岸構想を大きく打ち出されたと思いますが、その構想には間違いございませんか。
○岸国務大臣 私が提案をいたしました東南アジア開発基金の構想は、東南アジア諸国の新興国家の独立を完成し、その政治的、社会的安定をするためには、どうしても経済開発が先行しなければならぬ。非常に急ぐ問題だ。しこうしてそれに欠けておるものについては二つある、技術の点と資金の点。そうしてしかもこれらの国々は非常に独立精神が旺盛であり、長い間の植民地政策に対する反感、いわゆる反植民地主義、民族主義というものが非常に強い。従って資金や技術が出ていく場合においても、それがひもつきのような疑いのあるものに対しては、よほどこれらの地域においては警戒的であるという前提に立って、しかも必要な資金や技術を——なければこれは開発しない。これをどう結びつけるかという点については、できるだけ資金をニュートラルな、中立的なものにしなければいけない。従って主として一国が金を出して、そしていろいろな開発をやるというような場合においてはひもつきであるとか、あるいはその背後に政治的意図があるというふうな疑いを生ずるおそれが非常にあるのであります。従って私はできるだけ中立的で、この開発に対して同情をし、また協力をしなければならぬと考えておるところのたくさんの国々がそれぞれ基金を醵出して、そうして中立的な基金にして、これの運用については現地の人々も相当な発言権を持っておるというような形における基金にしたいという観念であります。従来考えられておるアメリカの資金、日本の技術、現地の資源、この三位一体に考えていくという考え方は、私が実はこの基金を作るという構想を発表するときには従来そういう考えがあったのだけれども、それにとらわれているということは非常に現地において疑惑を招いておる、こういう事実から今言ったような構想を私としては立てて、東南アジア諸国にも理解を求め、またこれに協力すべき国々に対してもいろいろと呼びかけ、この構想を理解してもらい、協力を求めるという態度で今日まで来ておるわけであります。
○小松(幹)委員 資金としては、私の知っておるところでは当座は八億ドル程度くらいの金をもって出発したい、こういうような考えをお持ちになったように承わっておるが、そうですか。
○岸国務大臣 必ずしも総額をどれくらいの規模においてするということは、私としては明示をいたしておりません。これは各国がそれぞれ多ければ多いほどいいわけであります。しかしなかなか一時に大きな金が、何十億というようには出にくいでしょうから、あるいは最初の目標は十億前後を目標にして、各国からの意見なり協力を求めるということも考えなければならぬと思いますが、別に八億ドルか十億ドルか五億ドルというものを特定して話をしたりあるいは提案をいたしたわけではございません。
○小松(幹)委員 前後二回にわたって東南アジアを訪問されましたが、あなたのいわゆる岸構想なり東南アジア開発基金の構想に各国はどういうような反響を持たれましたか。全面的にあなたの構想に御賛成なさったかどうか。
○岸国務大臣 最初は、私の第一回の東南アジア旅行当時に初めてこの考え方を発表したわけでありまして、各国はまだこの構想の具体的な内容等につきましては十分な理解を持っておりませんし、従来あるところの世界銀行やその他の援助資金等の関係もよくわからないし、またこれらの地域は御承知の通りアメリカから従来ずいぶんエイド資金等が行っておるわけです。それに対しては一種の不満を持っておるけれども、しかし援助等の関係がどうなるかというような点についても疑惑を持っており、また日本がこれを提案するということは、日本人を売り込むことについて何か優先的な関係を持っておるのじゃないかというふうな疑問もあったのであります。そこでよく事情を話し、その後においても外交機関を通じて十分この案を検討をして参りました結果として、第二回の私の東南アジア諸国の訪問の際の国々はよほど理解を深めておりました。ぜひこの基金の制度を実現することにしてもらいたい。われわれも喜んで参加するのみならず、また応分のことは自分たちもしたいというようなことを意思表示した国が少くないのであります。またアメリカに参りましたときにこの構想を述べたことに対して、アメリカの方ではやはりそういう抽象的な基金よりも、プロジェクト・バイ・プロジェクトによって解決するという、援助していくということの方が望ましいということを申しておったのであります。それでどちらかというと、この基金制度に対してはあまり好意を示さなかったのは事実です。ところがその後東南アジア諸国がこれを非常に希望する意思が出ておる。またさらにわれわれも研究をいたしまして、やはり東南アジア諸国のうち開発を急ぐ、また有効な経済開発のプロジェクトと考えられるものについての研究等も進めて参りまして、アメリカ方面におきましても最近の意向は、やはりこの構想に何らか協力をしようという機運が出てきておるというのが現状であります。またドイツ等におきましても相当このなにに対して興味を持っておりまして研究をしており、ぜひそういうものができる場合には、自分たちも参加したいというようなことがわれわれの方へ述べられておる、こういう現状でございます。
○小松(幹)委員 あなたが言われた構想の資金の面で大きなウエートを持っておったアメリカがこれに快く賛同してないということは、今もあなたの口から出ております。同時にこれを受けるところの東南アジアの諸国が、インドにしてもインドのネールが岸総理と会ったときに、そういうまとめたやり方でなくして、一国々々の借款なりあるいは援助なりという方が効果的だという意見を表明しておりますし、またほかの国あたりも、これに全面的に協力しよう、やってくれというように言われたのは少かった、いやなかったとも聞いておるわけなんですが、今のあなたのその後の情勢を承わりますと、どの国がそれではそういうことに賛成して、やってくれ、こう言っておるか、おわかりになったらその国の名前をあげていただきたい。
○岸国務大臣 私が今回第二回目の訪問をいたしました国々は、いずれもこれに参加したい、これを歓迎する、仏印三国、マレー、インドネシア、それから豪州等におきましても同様な意見が表示されております。ただ今お話のように一国と一国との間の具体的な計画ごとの協力援助という問題も私は並行してやって差しつかえない。現にインドのネール首相との会談によりまして、御承知の通り百八十億の円借款の問題を成立させております。これはインドの鉄鉱、鉱山の開発その他インドにおけるところの具体的な経済開発に相当役立つものだと思います。同時にネール首相も決して今の私の申しておるところの何に反対の意見を表示しているわけではありません。そういうものができるということについては非常に望ましいけれども、いろいろな各国の事情があってそれができるまでは何らしないということじゃいかぬ。それはやはり一国々々との間に話のまとまるものは具体的に進めていったらいい、この案そのものができるということは、これは東南アジア全体の開発のために望ましいことだということを、私にもはっきりと申しておるわけでありまして、決して反対しているわけではございません。
○小松(幹)委員 私は今までのところ総理の意見等を考えてみまするに、やはり昨年から本年にかけての岸総理の当初の東南アジア開発の機構というものは、その構想において失敗をしている、思い違いをしておったということを言わなければならぬと思う。第一、八億ドルなり十億ドルなりの資金を持たないでこのことはできぬとするならば、その資金の一番大きな要素を持っておったところのアメリカが、すでにこのことに対しては、否定もしていないけれども快く肯定もしていない。この点から考えますと、結局岸構想はアメリカの受け入れるところではなかった。岸さん自身の構想であった。東南アジアの小さな国々も、都合がよければというくらいなところであって、今この構想に賛同しておるというところも少い、かように考えておりますが、この点はどういう御判断ですか。
○岸国務大臣 小松委員も東南アジア諸国の事情についてはよく御承知でございますが、私は先ほども申したように、これが経済開発が早く行われる、そうして経済基盤が確立するということがその国の独立の完成裏づけのために最も必要である、そのために資金と技術が非常に欠けておる、これを何らかの方法で補わなければならぬということはだれしも当然考えなければならぬ、その方法としてどうだ、そうすると一国が一国の形においてエイド資金援助をするとか、あるいは特別に今あるところの世界銀行等のなにでもって融通したらいいじゃないかという考え方については、実際これらの地域における援助を一国がやる場合においては、非常な一つの疑惑を持つというのが現状であります。また世界銀行がこれをなにするということを考えてみますと、これらの地域に対する経済開発の資金の投入ということは、現在の状態においてはいわゆるバンキング、銀行家の観念では銀行の融資という考え方の対象になるのはむずかしい。しかしそうかといってそれを待っているということであるならば、これはなかなか開発がおくれ、いろいろな社会的混乱ができ、これらの地域におけるところの民生の向上を期することはできない。そうするとどういう形において資金を作り上げることがいいかということを考えることが私はやはり当然だと思うのです。それにはさっき言ったように、できるだけ資金に色のつかない、中立性のものを作るという考え方、それには数カ国が協力しないと、一国だけがやるというと、それにひもつきだとかあるいは政治的意図が蔵せられるというような疑惑がつきまとうことを払拭することができないというのが現状だと思う。それで私の提案している構想がなかなか半年や一年でもってみんなの協力を得てできるとは私は実は思っておりません。しかし私は決して失敗だとか、あるいはそれがとてもできない、思い違いをしているというものではなくして、私の基礎的な考え方は、皆様もあの地域における実情をよく御認識いただけるならば、正しい考え方だ、しかしそれを実現するのにはなかなか困難である、これを十分に理解せしめ、これに協力せしめるようにすることが、私は東南アジア開発の前途の上から最も必要であるという考えを持っております。従って私は出発点が間違ってもおらぬし、そしてそれが傾向としてそれじゃますます悪い方向へ行っているかというと、そうじゃなしに一歩心々私の考え方を理解を深めていく、これに協力しようという機運が全体的に出てきていることは私は非常にけっこうなことであると思います。しかし現状においてまだ具体化していないということは事実でありますから、さらに具体化の上に一段と努力をしたいと考えております。
○小松(幹)委員 あなたは成功しつつあると言う、私は一応ここで区切って、当初の岸構想は描いたもちにすぎなかったのだ、こういう結論を持っておりますが、それにはいろいろ理由もあると思います。あなたも東南アジアから誤解されておる面もあると言ったが、これは大きな誤解があると思うのだ。誤解かあるいはそう思っておるのか知りませんけれども、やはり大東亜共栄圏の再来である、再び形を変えて出てきたものだという印象を持っておるということと同時に、日本のいわゆるその構想がアメリカの資金というものを大きく当てにしておるがゆえに、それでなくとも日本はアメリカのひもつきで働いておるのだ、こういうように東南アジアの諸国は思っておるのもある。それがのっけにアメリカの資本で日本の技術で、こう出てきたから、そこに思い違いかあるいは誤解かもしれませんが、日本はそう考えてなかったけれども、岸さんはそう考えてなかったけれども、小さな東南アジアの諸国は誤解したかもしれません。この誤解は誤解として解くことも必要であると思いますけれども、岸さん自身もここで考えなくちゃならぬと思うのは、やはりあの大東亜共栄圏と結びつけられるようなことでは、どうしても成功はできないと思うならば、ここで新しい角度からの考え方というものを持たなければいかぬじゃないか、こういう意味で、それじゃ今度三十三年度予算に東南アジア開発基金が五十億組まれましたが、一体この五十億というものはどういう格好でどういう国際機構でこれを利用しようと考えておるのか、その点をもう少しはっきりしていただきたい。
○岸国務大臣 今申しましたように私の考えは、東南アジア諸国の相当な国国、またアメリカや豪州、カナダ、ドイツ等相当これに対して出資の力を持っておる国々においても理解を進めつつある状況であります。しかしまだ国際機関ができておりませんが、将来できた場合においては、それに日本としては当然ある程度の日本の国力に応じた出資をすべきものであると考え、そのためにこの基金を設定いたしておりまして、将来そういう機関ができた場合には、これに日本としても応分の出資をする、その資金に充てるための基金を設けてあるわけであります。今日はまだその機構が具体化されておりませんから、今すぐ出すというような考えではございません。
○小松(幹)委員 あなたは先ほどバンキングの構想ではいけない、こういうように言われたと思いますけれども、このアジア開発基金五十億を出して後の大蔵大臣の構想は、アジア銀行の構想をもって出ておりますが、これはどういうことなんですか、大蔵大臣。
○一萬田国務大臣 ただいまのアジア銀行とかいうのは別に構想という意味ではありません。まあアジアの開発といいますか、経済の協力に関連していろいろと考えられると思います。それは、考える場合にそういうふうな考え方もあり得る、こういうふうな状態であります。
○小松(幹)委員 岸総理は、銀行のような考え方ではいけない、バンキングの方法ではいかぬ、こうみずから言われておりながら、大蔵大臣は、アジア銀行のようなものを考えておるというように、やはりここに、もうすでに三十三年度予算を作ってから考え方がずれてきておる。これは総理、どういう観点に立つのですか。
○一萬田国務大臣 新聞に出ました私のアジア銀行ということが問題になっておるようですから一応申し上げておきます。アジアの国民は、世界銀行に対して融資の熱望が非常に強い。そうしてわれわれが世界銀行の総会に出席して常に主張することは、アジアの開発が非常におくれており、今日の国際情勢から見てアジア開発はすみやかなことを要する、ただそのうちにできるであろうというような考え方は今日の国際情勢が許さぬ、従って世界銀行の金をできるだけたくさんアジアに回してほしいということを主張するのであります。これはアジアのすべての人の要望でもあるのであります。ところが世界銀行は世界銀行でありますから、世界各国に対してやはりプロポーションを持たないとなかなかアジアだけというふうにいかない、こういう状況であります。従いましてそういうようなバンキング的な考えも非常にいいので、特に国際金融会社が今度できまして、主として国際的な中小企業に対する融資機関でありますが、これなんかは特にアジアに向くのではないかということで、この国際金融会社にはできるだけそういう主張を入れておるわけであります。ですからアメリカあたりの人が来た場合に、なるべく資金がアジアに回るようにいろいろと話してみることは決して無用ではない。特に申しておきたいことはこれは単にアジアの開発とか資金を供給するという意味だけではない。ついでに私の考え方を申し上げますが、アジアを連帯的な形にしたい、アジアとほんとうに力を合せ合って協力関係を作ろう、それにはやはりアジアを単位にするような金融機関も好ましいのではないかという——単にこれは資金を供給するとか、ある事業をするとかいうこと以外に、アジア一体という一つの構想がそういう機関から出やしないかということが私の考え方であります。そういう意味で、そういう話をプライベートに話し合ったというだけであります。
○小松(幹)委員 プライベートな話を大蔵大臣が米国際協力局の方と話した、それはプライベートでよろしいが、今度は総理にお伺いします。総理は、このいわゆる岸構想はバンキング的な構想ではないのだ、こうはっきり言った。今も言われた。これは大蔵大臣と外務大臣にもあとから尋ねるが、外務大臣、大蔵大臣、通産大臣なり、みなばらばらな構想を持っておる。この二つの基金構想と、バンキング構想について、総理と大蔵大臣が違っておるのはどこにあるか。
○岸国務大臣 今の東南アジア開発基金の構想は、今までのバンキングの考え方とやや違っているところがあるのであります。しかし今一萬田蔵相が言っておるのは、銀行の制度にしても、世界銀行というものだけでは足りない、アジアだけを対象とした金融機関を一つ考える必要があるという考え方であります。私のこの基金の制度に対して、それは基金制度ではいけないので銀行にしなければならぬということを大蔵大臣が申しておるということではないのであります。従って私は、やはり基金という考え方でおることが必要である、しかしそれは決してバンキングのアジア銀行ができることを排除して、そういうものはいけないのだということを申しておるわけではない、決して矛盾しておるわけではないと思います。
○小松(幹)委員 大蔵大臣はバンキングのいわゆる銀行式でいこう、総理は、それは否定はしないけれども、基金的な国際機構でいこう、こうおっしゃっておる。これは今はっきり言った。ところがわずか五十億の金を今積み立てて、そう総理大臣と大蔵大臣の話が違ったのでは有名無実でどうにもならぬと思う。これはまだ具体的に国際機構もできていない、これからできるという話でございますが、一体総理はどこに腹を置いてこの構想を実現しょうと考えておるのか、ああでもない、こうでもないと各大臣がいろいろおのが向き向きの考え方を出してくれたのでは、たった五十億ですからどうにもならぬ。これははっきり言ってもらいたい。
○岸国務大臣 これはさっきからしばしば私が意見を申し上げているように、いわゆる岸構想というものを先ほど来から説明したわけであります。国際間においてアジア開発基金という制度ができれば、そういう基金がこれの出資に充てられることは当然であります。しかしそれよりさきに、あるいはアジア銀行というアイデアが一部において具体化すというときに、それに出資するという場合も、これはあるかもしれない。それはちっとも差しつかえない。それからまた、ことしの予算には五十億としておりますが、日本がそういう制度に対して永久的に五十億でもって満足するというものじゃないと私は思います。私としては、あくまでも、先ほど来答弁しておりますように、アジア開発基金の構想を実現化することに努力いたしており、具体化すことに努力しておるということを申し上げておりまして、それができた場合においては、その資金にわれわれは出資するつもりでおります。
○小松(幹)委員 アメリカは、最近国際協力局、ICA、開発借款基金というものを持って日本に乗り込んできていますが、これはどうなさる予定ですか。
○岸国務大臣 ちょっと御質問の趣旨がよくわかりませんのですが……。
○小松(幹)委員 米国が最近、これは去年から借款基金を持ってやってきておるわけです。日本には昨年は来ていないのです。ことし初めて、偶然にもあなたが東南アジア開発基金を出したら、日本にごく最近やってきて、いわゆる米国国際協力局、ICA、開発借款基金、こういうのですが、それが日本に来て、東南アジアの開発のためなら金もやろうが、一つお前方の技術でやってみぬかという話を持ち込んできています。これはどういうようにお受けしますか。
○一萬田国務大臣 大へん耳よりな話なんですが、私はちっともそういうことは聞いておりませんし、事実ありません。
○小松(幹)委員 あなたは、副長官と十三日の午後大蔵省で会って、その話をしたんじゃないですか。
○一萬田国務大臣 そういう話はいたしておりません。
○小松(幹)委員 話をしたかせぬかは問う限りでありませんけれども、すでにアメリカは、昨年から国際協力局のもとに開発借款基金を持ってどんどん東南アジアに進出してやっておる。日本を置きっぽりでやっておって、今度初めて日本にそのテーマを持ってきて日本はどうだろうかという話を持ってきて、財界の方ではこの話し合いに飛びついていこうというような気配も見えておる。ところが、日本のいわゆる岸構想から発展して減額修正した開発基金構想の五十億は、大蔵大臣のバンキング方式と総理大臣の基金方式と二つに分れて低迷しておる。どっちにしたらいいかわからぬ。考え方はどっちでもいいようであるけれども、どっちにしたがいいかわからぬ。こういうのが今の実態だと思うのです。考えてみると、五十億の金は、それは総理大臣は、今度は五十億でも来年、再来年もある。また自然増収があれば五十億くらい追加するかもしれぬといえば、百億かそこらせいぜい積み立てて、ことし、来年に二百億か三百億、それにしても一億ドルくらいの程度でございます。こういうような小金で東南アジア開発をひりでこいでいくのか。すでにアメリカは自分でちゃんとICA、開発借款基金を持っておるのです。自分でしゃんしゃんやっておるのだから、日本にそれを投資するか、あるいは、バンキングに金を入れるかというようなことは大した考えにならぬ。そうした場合に、アメリカの金を当てにして、この開発をやっていくということは捨てて——捨てるということは来ても取り合わぬというのじゃないので、一応御破算にして、はっきり日本が中心になってやらなければならぬという段階である。これは一萬田さんもそう言っておる。もうはっきり日本は日本でアジア銀行を立ててやるのだ、こう言っておるのです。そうなった場合には、わずかの資金で足りないということが考えられる。その足りないのに、基金もやりたい、それからバンキングもやりたいということは、ちょっと虫がよ過ぎると思う。一つさえもはっきりしない。岸さんの考えと大蔵大臣の構想とはちょっと考えが違う。この点はどうなんですか。
○一萬田国務大臣 大蔵大臣が何か総理大臣の意見と違うようなことを言うと言うから、これは大に釈明しなければならぬ。決してそういうことはありません。先ほどから申し上げるように、アジア銀行というのは、今私の構想という段階じゃないので、そういう話をやりとりをしたという程度におとり下さいということをくれぐれも申し上げておるわけであります。のみならず、ただいまああでもないこうでもないと言うが、私たちはああでもある、こうでもあるなんで、このアジアの広域に対して経済協力をしようとする場合に、何もそうこまかく言わなくてもいいと私は思うのです。こういうふうに国際的協力関係の金融機関があっても、それも可なりです。それからその国がそれぞれの力に応じて協力し合った援助的資金でもいいでしょう。そういう基金的制度にいくのもいいんじゃないか、何もこだわることはないと私は思います。
○小松(幹)委員 大蔵大臣はこだわることはない、その通りです。何もこだわることはないけれども、一国の政治が、開発構想なり基金構想を出して予算化して国民に訴えていくのに、ああでもないこうでもないと言うけれども、バンキング方式にいくのか、あるいは基金方式でいくのか、それすらきまっていないで、ただ頭の上の構想構想と言って、一体いつ国際機構ができるかという問題になるのです。
○一萬田国務大臣 今予算で裏づけを持って日本がいきよるのは、東南アジア開発基金とはっきりしました。それからバンキングは、先ほどから言うように、いわゆる話し合ったという程度で、それを、そうとらわれてちゃらんちゃらん言わなくてもいいじゃないですか。
○小松(幹)委員 まだきまっていないから、それは大蔵大臣はバンキング方式は強調せぬと言うから、それはそれでいいです。 経済協力審議会というものを作るそうですが、これはどういう審議会の構想になりますか。
○岸国務大臣 内閣総理大臣のもとに一定の数の委員を設けまして、そうして主として東南アジア経済開発に協力をすべき国の根本的な考え方なり、その具体的な重要な問題を審議して政府に答申し、政府は、これを尊重して善処する、こういうつもりでおります。
○小松(幹)委員 すると、経済協力審議会なるものは、今度の国会に提出して、そうしてそれを編成して、それで今から考えようとおっしゃるわけですね。
○岸国務大臣 これは臨時的なものとして作りまして、九月くらいまでに今申しましたような根本の考え方を定めていきたい。従いまして、法律による委員会の制度にはしないつもりでございます。
○小松(幹)委員 大蔵大臣は、今のように、そんなに強く言ったんじゃない、こういうふうに言っておりますが、私が新聞で見ましたところ、片一方は、「岸構想は個々に支援、来日中のICA副長官に語る」と出ておる。「片一方の大蔵大臣の方は、「アジア銀行設立、蔵相、ICA副長官に構想示す」と出ておる。これは総理大臣は何新聞か知らぬが、はっきり違うのですよ。だから、あとで公定歩合の引き下げの問題も言うけれども、あなたは自分でむかむか思っておる。それを外部から見ておると、二つあるように見えるわけです。あとで閣議で自分はそうじゃないと弁解したって、それはつまらぬ。はっきりした構想を出さなければ、やはり大蔵大臣と岸総理が構想が違うように世間はとるわけです。だからその点は一つ今後はまとめて——しかもICA副長官に語ったのが両方とも違うのです、構想が。こういうことでは閣内不統一であると思う。
○岸国務大臣 新聞がどう扱ったかは別のことといたしまして、大蔵大臣の考えは、先ほど来ここで申し上げているように一つの座談として軽い意味で話されたようであります。政府としては、東南アジア開発基金の構想を各国にも正式に提案をいたしておりますし、それが決して不可能な問題でなしに、各国も漸次これを了解し協力するという態勢がだんだんでき上っておりますから、先ほど来申すように、これに力を注いで、具体的な発足ができるように今後も努力していきたい、こう思っております。
○小松(幹)委員 それでは開発構想の問題についてはそれで終りまして、次に参ります。 これは外務大臣に尋ねるのが一番いいと思いますが、西ドイツのシュトラウス原子力相が、最近産業用放射能物質の輸入は一切禁止するというおふれを出したそうですが、どういう意味かわかりませんか。——西ドイツのシュトラウスという原子力相、日本の正力さんのような方が、産業用放射能物質の輸入を一切禁止しておると最近報道しておりますが、これは外務省の事務的な調べではどうなんですか。
○藤山国務大臣 私はその言われたことをよく知りませんので、事務当局から御説明いたさせます。
○宮崎政府委員 そういう公報も来ておりませんし、その他の方法による情報も持っておりません。
○小松(幹)委員 イギリスのウインズケール・プルトニウム生産の放射能は漏って危険だということも聞いていまませんか。
○宮崎政府委員 ウインズケールの事故のことでございますか。
○小松(幹)委員 そうです。
○宮崎政府委員 これは聞いております。
○小松(幹)委員 それはどういうことです。
○宮崎政府委員 これは燃料を扱っておる途中に起った事故でありまして、そのために付近の牧場の牛の乳に影響があった。それを人間が飲むことによって影響があるというおそれがあったので、それを廃棄したということを聞いております。
○小松(幹)委員 原子力大臣にお尋ねします。ただいま日本はイギリスと日英動力協定の交渉に入って、連日やっておると思いますが、これは無条件の受け入れの是非でございますが、どういう受け入れの方法を今やられておるか、これをお尋ねします。
○正力国務大臣 お答えいたします。ただいまのイギリスとの交渉で、いわゆる危険の免責条項、それをイギリスでは要求しているわけであります。これは外務省で交渉しております。
○小松(幹)委員 外務大臣にお尋ねしますが、この免責条項を日本は受け入れて協定を結ぶ予定をしておりますか、あるいはあくまでもこの免責条項を拒否してやろうと思っておりますか。
○藤山国務大臣 現在まで免責条項を拒否しながら交渉いたしております。
○小松(幹)委員 免責条項を拒否しながら交渉しておりますが、ごく最近、いろいろ伝えるところによりますと、政府も一応ここで踏み切って、免責条項を受け入れて日英のこの交渉を妥結するのだとも聞いておりますが、その辺はどうなんですか。
○藤山国務大臣 現在のところ免責条項を受け入れてという交渉はまだいたしておりません。
○小松(幹)委員 これはアメリカの濃縮ウランの受け入れのときとは異なって、イギリスは政府、日本の場合は民間を中心にして民間対政府との交渉に入っている形になっておりますが、もし免責条項を受け入れるというような格好になった場合の御構想なりあるいは考えなりというものは、どういうように考えているのかお尋ねします。
○藤山国務大臣 国内における原子力行政のあり方によってわれわれはその問題の交渉が変ってくるかと思いますが、現在までのところ免責条項を受け入れない交渉をしております。
○小松(幹)委員 受け入れない交渉をしておる。しかし、これは正力国務相に聞いた方がよいかもしれませんが、あなたは、たびたびの発言では、受け入れて——免責条項を国際通念に従って受け入れてというように言われておりますが、これはどうなんですか。
○正力国務大臣 先ほど外務大臣が答弁したごとく、免責条項は拒絶する方針で進めつつあります。今後どうするかということは、外交上のことでありますからこれはちょっと申し上げかねます。
○小松(幹)委員 先ほど私が本論に入る前に申し上げたように、西ドイツのシュトラウス原子力相が産業用の放射能物質の輸入を拒否した、あるいはイギリスのウインズケールのプルトニウムの事故等から考えまして、放射能関係あるいは天然ウラン等の管理あるいは受け入れ等には、相当事故が伴うものだという考え方が世界に出ておると思うのです。また現実に事故があった事実もあるわけです。そうなれば、やはり英国も全面的な免責条項というものを日本に押しつけてくるだろうと思うのです。日本としてもこの免責条項をどう扱うかということは慎重でなくてはならぬと思うのです。また日本の場合には民間が受け入れるという交渉をしているのでありますから、かりに免責条項を受け入れるとしても、民間がその責任を負うということは容易ならぬことである。だから、国家がこの肩がわりをするとするならば、そこに技術的な大きな問題が出てくる。いわゆる民間産業と国家統制の一つの責任ある産業との分れ目が出てくると思う。今後日本の原子力の方向として言うならば、国営の原子力の産業にてこを入れるか、あるいはあくまでも民間の産業人によるところの原子力産業を打ち立てるかのきめ手が出てくるではないかと思うのです。こういう点について担当の大臣である——外交交渉は別にしまして、担当大臣として、今後日本の原子力産業というものを個々の産業人に渡すか、あるいはあくまでも国家統制のワクの中でものを考え、あるいは推進さしていくかということについての御意見なり、所見なりを承わりたい。
○正力国務大臣 原子力産業につきましては、大体民間でやらして国家が厳重に監督していくという方針を現在とっております。なおまた燃料の問題については、国家でやるかあるいは民間でやるかについては議論がありますが、これについては目下検討中であります。
○小松(幹)委員 すでに日本からはイギリスに買付に行っておると思う。そういうような現実にもう実業人あたりはあるいは発電関係の方は買付に行っておりますが、内閣の方で政治の方がおくれておると思いますが、この点こういう問題のけりをつけていくという大方のめどは、いつごろに考えておられますか。
○正力国務大臣 原子力燃料の問題につきましては、今盛んに検討しております。近く決定するつもりでおります。
○小松(幹)委員 ついでに聞いておきますが、あなたがよく言われる「国際通念に」という、この国際通念の受け入れということは、どういう受け入れようを言うのですか。
○正力国務大臣 原子力に関しては各国がみないろいろ契約をしておりますので、その一般の外地の状況等に従いたい、こう思っております。
○小松(幹)委員 それではその次に参りますが、すでに茨城県の東海村へ原子力研究所が作られておりますが、この原子力研究所の炉心が腐敗した事件があって、今原子力研究所ではそれは言わないという箝口令をしいて、この炉心がこわれたということをひた隠しに隠しておるという話がありますが、これは事実でありますかどうですか。新聞等の情報によりますと、八月二十七日に東海村の原子力発電に点火した、その後十数日を出ずして、九月の十日前後にはすでに四十三キロの出力を出した、ところがいわゆる原子炉の炉心の圧力が五%だけ減った。そこで原子力関係者は非常に心配してこれを調べたら、ステンレスの容器が酸化して腐食したんだということがわかっておるのですが、このいわゆる原子力炉がわずか十日たたぬうちに腐敗したという事件はほんとうなんですか、どうですか。
○正力国務大臣 世間にはいろいろな風評が立っておりますが、これは事実と違います。そういうような事実はありません。
○小松(幹)委員 腐食したという事実はない。それならばこの原子力研究所が地下水が非常にたまって、水位が高くなって、炉室が水びたしになるということは事実ですか、事実でありませんか。
○佐々木政府委員 私からかわって御答弁をいたします。浸水をいたしました事実はございますが、その後防水装置を完備いたしまして、防水装置がただいまのところ完成をいたしまして、今後そういうことは絶対ないというふうに考えます。
○小松(幹)委員 建ってからわずか一年もたたぬ、半年もたたぬのに、地下水が漏って炉室へめり込むというようなことはどこが原因なんですか。
○佐々木政府委員 お答え申し上げます。これは当初予定しておりました以上に、非常に未曽有の雨が降りまして、その結果地下水が上昇いたしまして、床に若干水が出てきたということでございます。
○小松(幹)委員 大へんな豪雨があったために炉心に水が若干入った。原子力を少しでもやるものがそういう——いなかの掘立小屋を建てるなら別なんです。ところが何億という金を使い、しかも今でいえば耐震性はどうか、暴風雨に対してはどうか、火災予防に対してはどうかといういろいろな角度から高度な調査をし、高度の技術をもって建てられたはずの東海村の原子炉が、水が少々入ったというようなことで一体済まされるかどうか。これは重大な問題だ。少々水が入った、そういうことで済まされるかどうか、これはどうなんです。
○正力国務大臣 水が漏ったことは何とも申しわけありません。今後なお注意いたします。
○小松(幹)委員 聞けば水が漏ったのは、直接どこから漏ったかわからぬけれども、何でも第一号実験室の建屋をする場合に、東海村のあそこは地盤が軟弱だ、そこで途中で工事関係者、原子力関係者が慎重に取り組んで、岩盤まで地下を掘るという約束のもとにやったけれども、事実は岩盤まで掘っていない。予定は岩盤まで掘るはずだったけれども、岩盤まで掘っていないから地下水が出やすい。そうしてコンクリートの打ち込みも、水に弱いところのいわゆる軟質岩、いわゆる水成岩をもって——関東からあっちは大てい水成岩を使いますが、少しでもこういう心配がある、水が出るならば、花山岡岩いわゆる硬質岩を使わなければ、この工事というものは水に耐久力がないはずなんです。これを水成岩をもってやった、しかも岩盤まで掘らなかったということがいろいろ基因しているのじゃないかということもいわれておるが、この点はどうなんですか。
○正力国務大臣 そういうような事実はありません。
○小松(幹)委員 そういう事実はありませんと。ところが最も粋を集めた近代科学の殿堂である原子力研究所に水が漏るというのはどういうわけだ。 (笑声、「笑いごとでは済まされない」「答弁、答弁」と呼び、その他発言する者あり)
○江崎委員長 正力さん、答弁されますか——正力国務大臣。
○正力国務大臣 今の点、念のためになおよく調査いたします。
○小松(幹)委員 大臣、これ、知らないのですか。私はこれは原子力関係者に警告を発せねばならぬが、そういうことがあったのをひた隠しにして——これは昨年の新聞にも出たんです。少しぐらい計画が出ておりますが、こういうことがあるのは大臣が知らないで、近代科学の粋を集めた原子力研究所が水が漏ったりするようなことで、あるいは炉心が傾きかけたというようなことでは、まことにおさびしい原子力だ。まだ調査をしていないということは一体どういうことだ。全くこうことがないということを言っているのか、どうなんです。
○正力国務大臣 なおよく調査してお答えすることにいたします。
○小松(幹)委員 これは総理大臣の一つ御所見を承わりたい。
○岸国務大臣 総理大臣は今の事実の真相を具体的にまだ承知していませんので、十分に調査した上で善処したいと思います。
○小松(幹)委員 これは調査してないから今総理大臣を責めても仕方がないと思いますが、そういう具体的なことで責めるというよりも、かりにも初めて日本が点火したこの東海村の研究所が、水が少々なりとも入ったり、あるいは炉心が腐食するというような現実を総理大臣として聞いたならば、これはただ単に調査するということでなくして、これに対する——そういう問題についてどういうお考えを持つか。これは事重大な問題だと思う。
○岸国務大臣 私も本年の初めに東海村の研究所を視察いたしました。まだすべてが完成した状況でございません。特に、ああいう地域にああした日本としては従来経験を持っておらない研究所を建てておるわけでありまして、私が聞いた範囲内におきましても、その途上において、いろいろな工事の速度がちぐはぐであったような場所もありまして、その点からいろいろな批判も出たところがあったようにも聞いております。しかし、これに携わっておる所員初め研究所の一同が非常な熱意をもって普通の工事以上の速度で進行しておることを見て、非常に心強く思ったのでありますが、しかし同時に、今この研究所の施設というものが全然新しいところへ、われわれが従来経験してない新しい技術を作り上げておるわけでありまして、いろいろな点においてなお最初の予定より違ったことも、思うようにいかないことも、あるいは出るのかとも思います。しかしわれわれは十分この道程における各種の事態というものは、正確に調査をし、その原因を確かめて、再びそれを繰り返さないように、また同時に十分な監督をいたしまして、工事その他の上においても手落ちのないように、十分に注意をいたしたいと思います。
○小松(幹)委員 それは総理は行って現場を見られておるから、そういうことについて薄々知っておったのじゃないかと思いますが、もちろん原子力関係の技術者なり担当者は、それは真剣にやっておるでしょう。そのことは私は何も疑いません。またそれを非難することはありませんけれども、事志と違って、工事というものはどうなるかわからぬ。たとえば砂を使っても、セメントを使っても、ここにもその根拠が出ておりますが、川の砂を使うか海の砂を使うかでずいぶん違う。川の砂は荒いのですが、荒い砂を使わなければならぬ場合が多いのです。ところがここの場合には海の砂を使っている。そういうことがコンクリートが固まらなかったという根拠になっている。しかもくり石を使うのに、固い石を使うか、やわらかい石を使うかというので、これはやはり工事関係を見きわめないととんだ間違いを起す。これが原子力研究所でよかったかもしれません。しかしながらこれが将来ほんとうの原子力の発電所なりあるいは他の平和産業のことであろうが、すべて事は放射能に関係することで、相当大きな問題を起すと思う。だからこの工事だけは十二分にやっておかなければならぬじゃないかと思う。この点について総理にいま一度お尋ねしますが、これはもう一回よく御調査なさる意思があるかないか、これを報告していただくことができるかどうか。
○岸国務大臣 担当の大臣からも申し上げましたように、十分に調査をいたしまして、具体的な事実がはっきりいたしますれば、適当な方法で報告をすることはすべきものだと思います。
○小松(幹)委員 次に参ります。このたび補正予算で追加いたしまして、これで第二次であります。次にまた第三次の補正があると思いますが、そういう補正が財政上に現われておるということと、同時に緊縮しておったところのいわゆる投融資の繰り延べの復活等によりまして財政資金が散布されることになっておる。そのために金融市場としては少々緩和の傾向にあると思いますが、財政と金融という関係で今後の金融についての見通しなり御所感を大臣から承わりたい。
○一萬田国務大臣 この三十二年度の会計年度中に若干の財政資金を市場に戻したい、かように考えております。それは何も日本の経済を刺激するという意味ではないのでありまして、御承知のように、緊急施策で一五%の財政投融資を繰り延べました。残りは八五%これをまかなう資金が実は非常に不足をいたしております。しかし当時の投資意欲を押える上からは、従来は不足は十分承知していても、これに対して何らかの手を打つといいますか、資金を増加させることは不適当だ。ここではやはり投資意欲を強く押えなければ、ならぬというので、そのまま押えてきておったのでありますが、今日日本の経済がそういう施策の結果、生産調整の段階もよほど進みまして、そう遠からずしてこれもほぼ完了しようかというような域に達しましたので、これをあまり欠乏だけにしておくことも適当でない。残りの八五%の仕事を進捗させる意味におきまして若干の還元をしておる。これはまたほかの機会にも申し上げる機会があると思いますが、財政からすれば相当散超になります。大方のいき方としては、一般金融としては日本銀行の今日の五千億に近い貸し出しを回収していく、こういう方向に行かなくてはならぬと考えております。
○小松(幹)委員 私も、その点については補正なりあるいは補正予算のための散布、あるいは繰り越し復活の散布等は金融情勢を少しは緩和しますが、これは不況の底入れ程度のものだと思っておりますが、三十三年度の一般会計並びに特別会計の純計が二千二百億くらいから出ておりますし、それから国民所得からの伸びも一五・五%上回る、さらに国庫と民間との対収支バランスは大幅に払い超になっておる。これはだれが見ても払い超になり、あるいは昨年度の予算よりも相当拡大された予算であるということは間違いないと思いますが、いわゆる三十三年度の拡大された規模の予算、そうして対民間収支との払い超の実態から考えたときには、金融情勢はどう変るとお考えでございますか。
○一萬田国務大臣 お答えいたします。大体三十三年度の経済の伸びは三%と策定をされております。この伸びを達成するということになるのでありますが、そういう場合に他方において消費をも考えます。それには財政消費と国民消費とありますが、国民消費は五%程度、財政の財貨並びにサービスに対する消費は、今度の予算からして、中央及び地方を通じほぼ千二百億を見積られておるのでありますが、さらにこれに海外投資いわゆる賠償その他、あるいは国際収支の黒字というものの海外余剰、これが九百億程度考えられるわけでございます。そういうふうな考え方をすると、国民消費の五%で、かりに国民消費が六兆とすれば三千億、経済の伸びが、十兆として三%で三千億、こういうふうになるわけであります。そうすると、敗政需要からしてもどうしても物資に対する需要が多過ぎる。それはどこでカバーされるかというと、三十二年度には特に民間投資が非常に大きい。これが、三十三年度では投資がほとんど伸びないというような形になり、投資がぐっと押えられる。そうして金融としましては、日本銀行の貸し出しが押えられ、同時に銀行貸し出しの伸びが少いために、預貯金の増加というものも少い。こういうことが相寄ってほぼ均衡を得た経済を形成する、かように考えておるわけであります。
○小松(幹)委員 あなたは今日こういうような膨張した予算をお組みになっても、実にこれは均衡したちょうどいいような予算だ、こう言っておりますが、あなたは民間資金が不足しておるということをこの前から言っております。今の日銀のオーバー・ローンは五千五百億かあるわけです。こういうところから見れば、コール・レートを見ても、相当強気になかなか下っておりませんが、これは民間資金が少いということなんですか。
○一萬田国務大臣 金利ということになりますと、やはりこれは単にある一定期間だけとるわけにいきませんで、日本経済の歴史的な経過というものがやはりずっと前からおおっている、こういうようにも考えられます。しかし今日、日本の金利が非常に高い、これはやはり資金の需給関係、こういうふうに考えるわけであります。
○小松(幹)委員 あなたは金融が経済に及ぼさないというようなことを今言っておられましたが、この前公定歩合を引き下げるというようなこともちらっと言った、あとで取り消しましたけれども。それがあなたの弁解によりますと、公定歩合を下げると言ったのは、それは理屈で、公式的にものを考えるからそういうように出たので、今私が政策をやるというのではない、こういった答弁らしいのですが、今あなたが言うような考え方になれば、これは公定歩合を何も公式論的に考える必要はないのではないかと思う。それは、あなたが公式論的に公定歩合の引き下げを考えようという下心の中には、金融と経済とマッチしていない点があるわけじゃないですか。財政が金融に及ぼし、そうして金融が経済を刺激した結果、そういうことを考えなくちゃならぬという段階にきているのではないかと思う。それはどうなんですか。
○一萬田国務大臣 これはもうたびたび実は私の考えを明らかにしたのでありますが、重ねての御質問でありますから、さらに明らかにします。公定歩合のことが私の意見として新聞に出ておりましたが、あれはこういうような質問に答えたのであります。三十二年度において日本の経済が三十一年以来非常に伸び過ぎているじゃないか、それに対して緊急施策をとる。またどっちかというと、逆なようなことをやっているかのように見える。今後また経済が伸びるというような場合、再び同じ悔いを残さぬようにするには、お前一体どういうことを考えているか、こういう質問であったのであります。従いまして、これに対しまして私は、今回は特に民間の投資意欲が強かった、こういうところに一つ着目をいたしておりますから、それで、今後においては日本の経済を動かしておるもろもろの機関があり、機能がある、それが経済の内外の情勢をよくキャッチして、それに順応するように迅速に適応の作用をやっていく、そういうふうにすればうまくいくだろう。その意味におきまして金融については、今後一番大事なことは、日本の金融が今でこぼこですから、これをゆるませるには輸出が増加しなければならぬ。日本の金融をゆるませるには輸出以外にない。輸出を増加すれば金融はゆるんでくるのです。そうすれば当然市中金利も下ってくる。同時にオーバー・ローンもだんだん解消する。そういうふうに輸出がどんどん持続して、輸入を押えるというのではなくて、輸出それ自体が伸びていって、それが持続性を持っておる。そういう事態になれば、またその場合において今後経済が上昇になるのですから、その上昇の過程においては支払準備制度を入れたり、あるいは公定歩合を下げるときには下げる、上げるときには上げる。それからマーケット・オペレーションも敏速にそれに適応してやる。そういうふうにやれば私はほぼこの前のような、といいますか、特に経済が伸び過ぎてまたそれを急に押えるということなくして、安定した基盤の上で経済が伸びていくのであろう、こういうふうに答弁をいたしたわけでありまして、それ以上何もない。公定歩合につきましては、予算委員会でそういう質問があったときは端的に、現在はそういうことを考える時期ではありません、ということをはっきり私はお答え申してあるわけであります。
○小松(幹)委員 あなたは、財政の施策としてはすでに打ち出している。そのために財政施策から残されたのは、この財政施策の上から少し過ぎた点——あなたは過ぎておらぬかもしれぬが、過ぎた点は、どうしても金融で手直しをしなければしょうがない。こういう観点に立てば、金融の一つの手直し論として出てくる。同時にこれが、金融の緩和された状態が経済を刺激せぬでは済まないわけです。必ず経済を刺激する。すでに補正予算でぶち出していく。きょうのこの補正の問題が出ても、補正予算を出していく、あるいは資金のとめてあったのを復活することだけでも相当金融にも影響し、あるいは経済を刺激するか、あるいはとにかく不況を底入れして食いとめておるという力があるわけです。まして一般会計なりあるいは特別会計で相当大幅に、あるいは財政投融資で大幅にこの資金というものを払い超にした以上は、私は必ず経済に対する影響力、刺激力があると見ておる。これをあくまでないと言い張りますか、あるのですか。
○一萬田国務大臣 私は財政の払いが経済に影響がない、そんなことは申しません。それは申さないのでありますが、財政自体からいいますと、今回の予算にいたしましても、歳入は歳出をずっと上回っている。四百三十六億はたな上げにもいたしておりますし、特に歳出は歳入があるにかかわらず一千億の歳出増に限定をいたしております。財政から見れば、これはある見地からすれば、やはり超均衡と言い得るのではないかとも思うのであります。しかしそれだからといいまして、それなら何も歳出をしなければいいじゃないかという意見があるかもしれませんが、それでは私は政治にならぬと思います。この当然増にいたしましても、どうしてもやはり数百億は必要とする、それから法律に基く地方交付税も出さなければならぬ。それからある程度重点的に——今度は大いに厳選いたしておりますが、重点的な新政策もここでやらなければならぬ。そうするとやはり最小限にとどめる必要があるのでありまして、そういう点から生ずる経済に与える影響は、他の方法でできるだけ相殺をして、財政、経済、金融、一体となってうまくやっていく、こういうふうな持って行き方以外には、私は方法はないであろうと考えるわけであります。
○小松(幹)委員 大臣は金融をやっておった関係上、常に金融的な考え方をするのでありますが、財政と金融を一体にするという考えのもとに財政は考えるものじゃないと思うのです。どうせこれはそうなっていくでしょうけれども、やはり財政は財政、金融は金融と別々に考えなくてはならぬと思う。結果論としては金融と財政はうらはらになっていくかもしれませんけれども、あなたのように最初から金融と財政は一体となっていくのだ、それ以外に道はない。そうではない。積み上ってくるやつを減税に回して、国民のふところを確保することができるのだ。だから政治というものはやり方次第で、あなたのような言い方をすればどうにもならぬからこれ以外にないじゃないですかという言い方をしておるけれども、それは話があまり我田引水過ぎると思うのです。
○一萬田国務大臣 決して我田引水で申し上げておるのではありません。今度の予算は特に日本経済の再建といいますか、日本の経済に均衡的安定を与えよう、従って予算も経済に対して刺激的でないようにしようというのが今度の根幹であります。であるから財政だけというわけにいかないので、財政と経済との関係を考えて予算も編成しなければならぬ、かように存じます。
○小松(幹)委員 経済を刺激せぬようにするとあなたはおっしゃるのですが、それが数的から考えたら刺激しておるという現実が出ておるわけです。将来ですけれども、数字の上だけでは刺激するであろうと考えられるから言っておる。その点は一応抜きにいたしまして、日銀の貸し出しが、オーバー・ロンが、さっき申しましたように、五千五百億もおります。しかしながらコールはやはり三銭を下らないのですが、これはどういう現象から来るのでしょう。
○一萬田国務大臣 これはやはり市場資金が少いからでありまして、今日日本銀行の貸し出し、その普通貸し出し、二次高率がかかるところの金利が二銭八厘、従いましてそういうところがコール・レートにもどうしてもなる。私はこれはやはりあり方としては好ましくないと思う。それでコールのレートをなるべく早く下げて、少くとも日本銀行から金を借りてそれをコールに出して、金利のさやがあるというようなあり方は不適当だから、そういうことを是正するように日本銀行とも相談をしておるわけであります。日本銀行も努力いたしております。
○小松(幹)委員 私はこの現象は日本経済の特異現象でありまして、資本蓄積以上に投資意欲があるということを見ているわけです。蓄積はなくても投資だけは、三銭あたりのコールで出して、とにかくコールが下らないというのは投資意欲があるのだ。今日の経済状態は、ちょっと突けば投資意欲を相当持っているのだということが、コールが三銭以下に下らない一つの原因として見ておるわけです。そうなれば、経済というものは少し刺激を与えればぽっと出ていく、一触即発の状態だというように私は見ておるのですが、そういう点で、三銭のコールの下らない、またオーバー・ロンを解消してコール・レートを下げる方法というものはどういうふうに考えていますか。
○一萬田国務大臣 このコール・レートを下げる基本線は、やはり輸出を盛んにしまして、輸出関係から円資金が国内にふえていく、市場がゆるんでくる、それと同時に、他方において経済の伸びがあまり急激にならないようにする。今の資金市場の不均衡というものは、御承知のように三十年、三十一年にかけて非常に日本経済が伸びまして、何でも世界一の記録を示しておる。こういうような伸びの結果から資金が非常に固定をしてきている、こういうところにあると思います。今日コール市場は決してコール市場ではありません。これは資本市場に近いです。貸付市場になっているというところに不合理があります。
○小松(幹)委員 最近公開市場制度等を出して、オープン・マーケット・オペレーションをやるとか、あるいは大臣も売りオペをやるとかいう金融構想をぽつぽつと出していきますが、オープン・マーケット・オペレーションでも、あるいは買いオペ、売りオペでも、これはコールの相場に足をつかまえられてどうにもならぬじゃないかと思う。たとえば事業債を買うにしても、利子の低いのよりもコールの方がいいということになれば、コールの方にみんな集まるじゃないかと思うのです。そうなればコール・レートを下げるようにしなければ、公開市場制度をやろうが——これは山際日銀総裁がこの前公開市場制度をやるのだと言ったけれども、私はコールが下らなければやられぬと思うのです。この辺はどうなんですか。
○一萬田国務大臣 先ほどからしばしば申しましたように、支払い準備を入れるとかオープン・マーケット・オペレーションをやるとか、あるいは金利体系を整えて、コール・レートの上げ下げが市場にきくのには、その前に今日の金融市場のデコボコを直した上でなければならない。従って、まず輸出を増大させて資金がふえて、金融市場をゆるやかにすれば、今おっしゃったようなコール市場も金利が下ってくる。のみならず金利体系というものもここに確立されてきて、地方銀行も市中銀行も是正されて、長期の証券市場も発行が活発になっていく。こういう情勢になってきて、さらにそういうようになれば、経済がまたまた伸びようとするに間違いない。それを適正に安定した基礎の上に伸ばすようにするにはどうするかといえば、先ほどのようないろいろな手を打つということなのでありまして、その間に時間的な点と、その前にしなければならぬ地ならし工作があるということをどうぞお考えおき願いたいと思います。
○小松(幹)委員 それではあなたの言う七月ごろまでというのが、その地ならし工作が七月ごろまでという御答弁なのですか。
○一萬田国務大臣 それは今申しましたように日本の輸出が伸びなければ達成できません。三月というのは生産調整が一応まあまあというところにいく、だろう、こういうことであります。
○小松(幹)委員 今地方銀行が割と金がだぶついておると見ております。実際は日銀の方に借りておるのは市中銀行が借りておりますけれども、地方銀行は独自な、日銀の方に世話にならぬでもやれるし、また七、八百億くらいの余裕金を持っておりますが、これなどは将来どうなりますか。このままでおったならば、そういう地ならしをした後の状態がちょっと心配されますが……。
○一萬田国務大臣 これは何も輸出というようなことにからませぬでよいのでありまして、地方銀行に金が余っておれば、これは社債市場に持っていくべきだ、いわゆる社債の発行も順便ならしめるのにこれを持っていく。そうすると、この社債を発行したかわり金が会社に入る、会社はこれを大銀行に返す、大銀行は従来日本銀行から金を借りているのでその金を返す。このようにして金が長期に出ていく。それが回収されて日本銀行に返ってきて、オーバー・ローンもその分だけは解消する、徐々に金融は正常化する、かように考えております。
○江崎委員長 小松君にちょっと申し上げますが、だんだん時間が近づいておりますから、よろしくお願いいたします。
○小松(幹)委員 私は総体的に申し上げて今度の予算は、財政の圧迫が、金融に相当なゆるみを持たせ、同時にそれが経済の刺激にもなっておる。あなたは経済の刺激にならぬように持っていく、それは金融の操作で持っていくというけれども、私はこの三十二年度の補正なりあるいは繰り越し復活、あるいは三十二年度の一般、特別会計等の予算の膨張というものが金融を緩慢にし、同時に経済を刺激する、そういうような見方で御批判申しておりますが、あなたはそれほど心配せぬでもよいという楽観的のような御意向でございますけれども、私はこれは金融操作でも相当骨折ると思う。今言ったように、たったコール・レートだけをとってみても、なかなか下げるのに骨折るし、また金融操作をする上においても、このコール・レートが今のように三銭あたりだったらどうにもならぬ、やはりどうしてもそれを下げねばならぬ、こういうようなことにもなれば相当ひまもかかるしまた手もとる。これというのもやはり財政に無理がいっておるからこういう結果になるのだと私は思っておりますが、この点についての御所見を承わりまして私の質問を終りたいと思います。
○一萬田国務大臣 財政が経済に全然刺激を与えない、そういうことは申しませんが、しかしそれをできるだけ抑制して最小限にとどめる心がまえ、方針を持って予算を編成した、かように申しておるのであります。従いましてそれから生じますいろいろな影響というものもむろんあるわけであります。たとえば予算が今度支払い超過になるんではないか、こういうふうな点はあります。これは金融的に十分措置ができ得る、かように思っております。
○江崎委員長 明日は午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後三時四十分散会