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28回国会衆議院1958/02/06

予算委員会 第1号

発言数
109
登壇者
18
会派数
2
開催日
1958/02/06

会議録

江崎真澄自由民主党

○江崎委員長 これより会議を開きます。  昭和三十三年度一般会計予算、同じく特別会計予算、同じく政府関係機関予算、昭和三十二年度一般会計予算補正(第2号)及び昭和三十二年度特別会計予算補正(特第4号(以上五案を一括して議題といたします。まず政府の提案理由の説明を求めます。大蔵大臣一萬田尚登君。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 昭和三十三年度予算編成の方針及びその骨子につきましては、先日本会議におきまして御説明いたしましたところでございますが、予算委員会におきまして本日から御審議をお願いするに当りまして、あらためて、その概要を御説明申し上げたいと存じます。  まず財政規模について申し上げます。三十三年度一般会計予算の総額は、歳入歳出とも一兆三千百二十一億円でありまして、三十二年度当初予算に比べ一千七百四十六億円の増加でありますが、前年度剰余金のうち法定の使途に充てるものを除く四百三十六億円と、国債費の増加額三百十億円を除き、一般会計歳出は三十二年度に比べ一千億円の増加にとどめております。また財政投融資は、民間資金との関連をも考慮いたしまして、三千九百九十五億円といたしております。  次に一般会計について申し上げます。まず、歳入のうち租税及び印紙収入は一兆二百五十九億円でありまして、前年度に比べまして七百九十億円の増加となっております。これは現行税法に基く租税収入の前年度に対する増加額が一千五十一億円見込まれますが、一方法人税を初めとする減税二百六十一億円を行うことといたしましたので、これを差し引いた金額に当るのであります。  税制の改正につきましては、別途政府委員をして説明をいたさせますが、国民の税負担の現況に顧みまして、相続税については体系の合理化及び負担の軽減等根本的改正を行うほか、法人税及び下級酒類に対する酒税の軽減をはかるとともに、当面要請される貯蓄の増強に資するための臨時措置といたしまして、所得税において、貯蓄控除制度を創設し、また科学技術の振興をはかるため試験研究用機械設備の特別償却制度を拡充する等、法人税において所要の措置を講ずることといたしております。  この税制改正による国税の減税額は、初年度二百六十一億円、平年度三百七十三億円となる見込みであります。  次に税外収入でありますが、まず専売納付金は一千百七十億円でありまして、前年度に比べて十二億円の減少となっております。これはたばこの売り上げの増加が見込まれるのでありますが、一方地方税法の改正により自転車荷車税を廃止することによる地方税の減収を補てんするため、市町村たばこ消費税の税率を二%引き上げることといたしておりますので、右のように納付金の減少となるのであります。  次に、前年度剰余金受入は一千一億円に上り、前年度に比べて八百十億円の大幅な増額となっておりますが、これは三十一年度の経済の過大な成長に基く異常な増収に基くものであることは御承知の通りであります。  歳出は最初に申し述べました通り、経済基盤強化資金等に充てられる四百三十六億円と国債費の増加額を除いて、前年度に比べ一千億円の増加にとどめ、その範囲において重要経費の計上を確保いたしております。  以下、まず経済基盤強化資金等につき申し述べ、次に主要な経費につきまして概略御説明申し上げます。  前年度剰余金は、前に申しましたように、異例の多額に上ったものであり、これを一般の歳出財源等に充てることは適当ではないので、そのうち国債償還等法定の使途に充てるものを除く四百三十六億三千万円につきましては、一、経済基盤強化資金二百二十一億三千万円並びに二、中小企業信用保険公庫保険準備基金六十五億円、三、農林漁業金融公庫非補助小団地等土地改良事業助成基金六十五億円、四、日本輸出入銀行東南アジア開発協力基金五十億円、五、日本貿易振興会基金二十億円及び六、日本労働協会基金十五億円として保留し、将来における経済基盤の育成強化に資することといたしております。  次に歳出のうちおもな経費につきその概要を申し述べることといたします。  まず、社会保障関係費は一千二百五十八億円でありまして、前年度に比べて百二億円の増加となっております。  施策のおもなる内容といたしまして、社会保険制度につきましては、医療保障の拡充をはかるため、かねてからの懸案でありました診療報酬の合理化を行うとともに、国民健康保険及び日雇い健康保険に関する国庫負担制度を充実し、その基礎条件を整えることといたしております。  また国民皆保険の実現につきましては右の措置と相待ちまして着実にその推進をはかることとしており、三十三年度の被保険者の増加は国民健康保険を中心として六百余万人を見込んでおります。  生活保護費におきましては、保護人員の増加を見込むほか生活扶助の内容の充実等をはかっており、結核対策といたしましては、健康診断に新方式を採用するとともに、医療費公費負担の充実、医療内容の向上を期しております。  さらに、社会福祉対策といたしまして、母子福祉貸付限度の引き上げを行うほか、母子健康センターを新設し、児童遊園設置費補助及び未熟児療育費補助を新たに計上する等の措置を講じております。  次に、失業対策費につきましては、特に遺憾なきを期し、失業対策事業の吸収人員を三十二年度に比べて二万五千人増の二十五万人とし、失業保険受給者数も前年度三十万五千人が三十七万三千人に増加することを見込み、予算額においては前年度に比し四十八億円を増加し三百九十六億円を計上いたした次第であります。  次に文教関係費でありますが、三十三年度予算額は一千四百三十九億円を計上し、前年度に比べまして九十一億円の増加となっております。  義務教育費国庫負担金は九百五億円で、前年度より五十八億円を増額しておりますが、これによりまして義務教育教職員の給与費を確保いたしますほか、圧縮学級の解消をはかるため中学校教員五千人の増員を見込み、また父兄負担の軽減に資するため教材費単価を一割強引き上げることといたしております。  国立学校運営費は四百億円で、前年度に比べまして三十億円を増額し、教官研究費、学生経費の大幅増額、理工系学生の増募、教育設備の充実等によりまして科学技術者の養成を強化することといたしております。  以上のほか特に英才教育の充実をはかるため、新たに進学保障制度を創設いたしまして、高等学校の生徒五千人につき月額三千円を貸し付けることといたします。  科学技術の振興につきましては、特に重点的に配慮いたしております。すなわち三十三年度予算額は二百十六億円で、前年度に対しまして三十五億円の増額となっております。  このうち、原子力平和利用関係につきましては、原子力研究所出資四十五億円を中心といたしまして、各費目にわたり大幅な増額をはかり、前年度より十八億円の増額を行なっておりますが、特に明年度は原子力以外の一般科学技術研究の強化にも意を用いたのでありまして、各省試験研究機関において約十億円、科学研究費補助交付金において約五億円、その他を合せて約十七億円を増額いたしており、特に科学研究所は、特殊法人科学技術研究所に改組し、総合研究機関といたしまして整備をはかるとともに、新技術開発を実施するため、国が三億三千万円を出資することといたしました。  恩給関係費は一千百六億円で、前年度に比べて七十五億円の増額となっております。  先般の臨時恩給制度等調査会の答申もありましたので、この際不均衡更正の措置を講ずることといたし、その初年度分といたしまして、三十七億円余を新たに追加計上いたしております。  次に、地方交付税交付金は二千二百四十億円で、前年度に対し三百七十二億円の増額となっております。これは三十一年度の精算追加分百十八億円と、三十三年度の国税三税収入見込額の二七・五%との合計額であります。  地方財政はここ数年来の健全化の努力によりましてその再建もほぼ軌道に乗ってきており、三十三年度の地方税収は相当な増加が見込まれます。今回さらに交付税率を一・五%引き上げることによりまして、歳入構成の適正化が促進されるとともに行政水準の向上がはかられることと存じますが、地方団体におきましても経費使用の合理化をはかり、財政の一そうの健全化に努めることが望まれる次第であります。  次に、防衛庁費は、昨年六月国防会議において決定を見ました長期防衛力整備計画に基きまして自衛力の充実をはかることとし一千二百一億円を計上し、前年度に対し百九十一億円の増加となりますが、防衛分担金につきまして従来の一般方式による減額のほかに三十億円の追加的削減を行うことの合意が成立いたしましたので、これにより防衛関係費全体としては、前年度に比し五十億円の増加にとどめたのであります。  賠償関係費といたしましては、新たにインドネシアとの賠償問題の解決に伴い所要の予算措置を講ずること等によりまして、前年度より四十七億円を増額し、二百六十二億円を計上いたしております。  公共事業関係費は一千七百四十一億円でありまして、前年度に対し九十六億円の増額となっております。  公共事業関係費の三十三年度予算の特色といたしましては、産業基盤の整備、特に道路、港湾についてその投資の立ちおくれを考慮いたしまして大幅な増額をはかることとし、なかんずく道路については新たに道路整備特別会計を設けて事業を促進すること、愛知用水公団の事業、八郎潟干拓事業等特定土地改良工事特別会計による事業の促進に伴い食糧増産対策費を増額したこと、離島振興のための予算を大幅に増額するとともに離島振興事業費を特掲したこと等をあげることができると存じます。  このうち道路について一言いたしますと、道路整備事業は三十三年度予算の最重点施策として取り上げられたのであります。すなわち、道路の画期的整備をはかるため道路事業五ヵ年計画を樹立いたしますとともに、道路整備特別会計を新設することといたしております。しかして、一般会計から揮発油税見合い財源及びその他の一般財源六百十六億円をこの会計に繰り入れるほか、この特別会計におきまして、直轄事業の地方分担金相当額五十二億円を資金運用部から借り入れ、合計六百六十八億円をもって重要幹線道路の改良及び舗装事業を一段と促進いたしますとともに、三十三年度から新たに一級国道のうち特に交通の激しい部分について国が直轄で維持修繕工事を行う道を開くことといたしております。  住宅対策につきましては、引き続き既定計画を推進することといたし、公営住宅は前年度より一千戸増の四万七千戸の建設を予定して百七億円を計上いたしますとともに、住宅公庫及び日本住宅公団に対し五百八十五億円の財政資金を確保し、民間自力建設等を加えて約五十二万戸の建設を見込んでおります。  貿易の振興につきましては、新たに設立される予定の日本貿易振興会への出資金二〇億円を計上いたしまして、海外市場の調査開拓の機構を整備いたしますほか、特別宣伝の強化、国際見本市への参加、中南米諸国に対する巡回見本船の派遣等最も効果的な経費を重点的に増額することといたしております。  次に経済協力につきましては、新たに日本輸出入銀行東南アジア開発協力基金を設け、このため、五十億円を出資するほか、インド西ベンガル等に中小企業技術センターを新設する等の措置を講じております。  次に、中小企業対策における三十三年度予算の特色といたしまして、まず第一に中小企業信用保険公庫を新設することといたしております。これは従来の中小企業信用保険特別会計を改組して中小企業に対する金融の円滑化に資するため設けられるものでありまして、新たに国が二十億円を出資してこれを全国の信用保証協会に貸し付けることとするほか、保険準備基金として六十五億円を出資し、制度の整備充実に資することといたしております。なお、このほか中小企業に対する設備近代化補助金を大幅に増額する等の措置を講じております。  以上の重要経費のほか、一々の事項についての説明は省略することといたしますが、農業対策の強化等につきましても財政投融資と相待って、所要の予算を重点的に計上することといたしております。  以上、主として一般会計について申し述べましたが、特別会計及び政府関係機関の予算につきましても、一般会計に準じ、経費の重点的、効率的使用をはかりますとともに、事業の円滑な遂行を期することといたしまして、所要の予算を計上いたしております。  なお特別会計におきまして道路整備特別会計が、政府関係機関におきまして中小企業信用保険公庫がそれぞれ新設されましたが、これらにつきましてはすでに一般会計の関係経費の個所において概略申し述べました通りでございます。  次に、財政投融資につきまして、一言申し上げます。  財政投融資につきましては、民間資金との関連にも考慮を払い、国内の投資活動を適正な限度に維持しつつ、重点部門に対する資金の供給をはかり、国民経済全体として均衡ある発展を確保するよう配慮いたしております。  原資は産業投資特別会計二百七十七億円、資金運用部資金二千四百三十七億円、簡易生命保険及び郵便年金積立金八百五十八億円、計三千五百七十二億円を予定しておりますが、これに公募債借入金として民間資金を加えた財政投融資の総額は三千九百九十五億円でありまして、そのワク内において電力、石炭等の基幹産業、道路、中小企業、農林漁業、住宅等の重要部門に重点的に資金の配分を行い、その効率的使用を期しております。  なお、財政投融資の運用は経済情勢の推移に応じまして弾力的に行わるべきものと考えております。  終りに、昭和三十二年度予算補正につき一言申し添えます。  今回提出いたしました一般会計予算補正第二号は歳入歳出とも三百九十四億二千六百万円でありまして、食糧管理費三百十億円を中心とするものであります。これは食糧管理特別会計の損失を補てんするため一般会計から繰り入れる百六十億円と、この会計の経理運営の改善をはかるため同特別会計に資金を設置することに伴い一般会計から繰り入れる百五十億円とであります。  このほか地方交付税交付金の追加七十八億円は法人税の増収に伴うものでありまして、特別会計予算補正特第四号はこれに関連して交付税及び譲与税配付金特別会計予算に所要の補正を行うものであります。  以上、ごく概略を御説明申し上げましたが、なお詳細にわたりましては、政府委員をして補足して説明させることといたします。何とぞお願いを申し上げます。

江崎真澄自由民主党

○江崎委員長 次に、順次補足説明を求めます。主計局長石原周夫君。

石原周夫大蔵事務官(主計局長)

○石原政府委員 ただいま大臣から御説明のございました昭和三十三年度の予算及び三十二年度の補正につきましての補足の説明を申し上げます。お手元に昭和三十三年度予算の説明という刷りものがお配りをいたしてあると思いますので、それをごらんを願いながらお話を申し上げるようにいたしたいと思います。  全体の総括的な基本方針の点につきましては、大臣からすでにお申し述べがございましたので省略をいたしまして、予算の財源の姿がどういうふうになっておるかということを二ページでごらんを願いたいと思います。  二ページの左側にございまするように、今回の予算の全体の姿といいまするか、現行税法の場合におきまする対三十二年度の租税及び印紙収入の増収見込額が千五十一億円、これに対しまして税外歳入の増加予定額が九百五十七億円、このうち前年度剰余金が八百十億円としておりますので、差引百四十七億円という数字が一般税外歳入の増加額になるわけでありまして、これだけを合計いたしますと二千八億円の増収が予定されるのであります。その二千八億円という増収に対しまして減税をいたします。この内容につきましては後刻主税局長が申し上げますが、所得税、法人税その他を合せまして二百六十一億円、これを差引いたしますると歳出の財源として増加分の引き当てになりますものは千七百四十七億円、これを前年度歳出予算額一兆一千三百七十四億円に比べまして一兆三千百二十一億円、こういう大ワクがここで出るわけであります。  この数字が国民所得に対してどういう数字になっておるかというのがその次の表でございまして、一兆三千百二十一億円の一般会計歳出予算額は、国民所得の八兆四千七百五十億円に比べまして一五・五%という数字に相なっております。なお、これは経済基盤強化資金等の四百三十六億円あるいは国債費の増加の三百十億円というものを含めました数字でございますから、その数字として申し上げているわけでございますが、それは一五・五%という数字になるのでありまして、三十二年、三十一年と比較いたしまするとやや増加いたすことになります。  次は、重要施策につきましては大臣から御説明がございましたので、五ページに参りまして、一般会計の歳入歳出を重要経費に分けました表がございますので、それを御説明申し上げます。  租税及び印紙収入につきましては主税局長から申し上げまするので省略いたします。専売納付金につきましては、三十七ページと五十一ページに専売公社の詳細がございますから、そちらの方で詳細についてはごらんを願うわけでありますが、結論だけを申し上げますと、たばこ消費税の二%の引き上げに伴いまして、国の方に納付される金が減るわけでありますが、それを入れましてたばこの関係におきましては十三億六千万円前年度に比べましてプラスであります。それに対しまして塩の関係で二十六億二千九百万円減と相なるわけでありますから、差引数字がそこにごらんのように専売納付金の欄で十二億四千九百万円という減が出るわけであります。  官業益金及び官業収入が七億八千七百万円ふえておりますが、これは病院収入の八億七千八百万円の増加が主たるものであります。  政府資産の整理収入が十八億三千六百万円ふえておりますが、これは国有財産の売り払い収入で八億八百万円、地方債の償還収入で十億三千二百万円というようなものが増加をいたす主たるものであります。  雑収入が百三十二億四千八百万円増加いたしておりますが、これは日本銀行の納付金が百三億二千八百万円増加をいたしまするのと、懲罰及び没収金におきまして十億六千二百万円、そういうようなものが主たる増加でありまして、前年度剰余金につきましては先ほど申し上げましたように、八百十億四千四百万円という額がふえるわけでありまして、これが歳入の増加千七百四十六億六千七百万円の内訳と相なるわけであります。  次に、歳出の重要経費別が五ページから六ページにかけて出ているわけであります。この小計というところでくくったところをごらん願いますと、社会保障の関係費が一番上に出ておりまして、比較増減の欄でごらんになりますと百二億四千五百万円、これが社会保障の関係でふえております。  次のくくりは文教関係費でありますが、文教関係費九十一億二千三百万円、科学技術が三十五億三千四百万円、国債費が前々から申し上げておりますように三百十億三千九百万円、恩給は、従来は遺族及び留守家族の援護費が社会保障の中に入っておった分があるのでありますが、今回恩給関係を一括ここに見ることにいたしましたので、それを含みまして七十四億九千五百万円の増加、地方交付税交付金が三百七十二億三千七百万円の増加、防衛関係費は、防衛庁の経費と防衛支出金の差引で四十九億九千百万円、賠償等特殊債務処理費が四十六億九千三百万円、公共事業費が九十五億六千五百万円という増加であります。  住宅及び環境衛生のところは七千三百万円、農業保険費が三億二千八百万円、貿易及び経済協力で六億九千七百万円、中小企業対策費が十二億九千六百万円というようなものが増加をいたしております。  最後の二十四のところに、経済基盤強化資金等という項目がございまして、これが合計四百三十六億三千万円そのうち経済基盤強化資金に繰り入れますものが二百二十一億三千万円、残りが中小企業信用保険の六十五億円、農林漁業金融公庫の非補助小団地等土地改良事業助成基金六十五億円、輸出入銀行の東南アジア開発協力基金の五十億、貿易振興会の二十億、日本労働協会が十五億ということになりまして、あとの支出の合計が二百十五億円ということになるわけであります。  雑件といたしましては全体で百七億一千五百万円の増加、これを締めまして千七百四十六億円という増加額の内訳に相なるわけであります。  次に、特別会計の歳入歳出予算が出ておりますが、これを一々申し上げることは省略をいたしまするが、全体で四十一の特別会計がございまして、先ほど大臣からお話がございましたように、道路整備特別会計というのが今度新設をされました。これは九ページの一番下のところに道路整備という欄が出ておりまして、この道路整備特別会計という新設の特別会計、それから後ほど申し上げます政府関係機関の方の新設に伴いまして、八ページの下の方にございます中小企業信用保険という特別会計が今度できます中小企業信用保険公庫に業務が引き継がれますので、この年度中になくなるわけであります。  政府関係機関の収入支出予算でありますが、十二機関ありますが、このうち先ほど大臣からお話がありましたように、中小企業信用保険公庫が新設に相なっているわけであります。  財政投融資の計画につきましては理財局長から詳細に御説明がありますので省略をさせていただきます。  十二ページ以下に一般会計の歳出につきましての概要説明がありますので、それにつきまして御説明申し上げます。先ほどごらん願いました重要経費別の順位に大体申し上げることにいたします。第一が生活保護費であります。生活保護費は三十二年度に比べまして十五億二千七百万円という増加に相なっているわけでございますが、そのうち保護人員の増加によりますものが五億四千二百万円、生活扶助の内容充実をやります分が九千五百万円、後ほど申し上げます診療報酬の改訂によりまして増加いたします分が七億六千三百万円、保護施設事務費が一億二千七百万円というのがその内訳でございまして、このうち特に内容的な点で申し上げておきますことは、保護人員は百五十万二千人という数字を見込んでおります。また生活扶助の内容といたしまして、学齢前の児童の費用が月五十円を百円に引き上げる、それから昨年の十月に米価改訂をいたしておりますので、その分が二億七千九百万円ということに相なっているわけであります。内訳でごらんを願いますように、生活扶助では前年度の百三十八億一千九百万円が百四十三億三千百万円、そこで五億一千二百万円の増、医療扶助の方で八億六千五百万円の増加ということに相なっているわけでありまして、この内訳で主としてふえますものはその二つの項目であります。  次は児童保護その他の社会福祉費でございますが、これは四億九千五百万円の増加になっております。この内訳は児童保護費の増、社会福祉の減とのネット・バランスでありますが、児童保護費につきましては児童福祉施設費が増加をいたしますので、それに伴いまして保護人員もふえる、あるいは事務費の面で給与改善をいたす、保育所の措置児童の給食費を増加いたすというようなことによります増加であります。母子福祉貸付金につきましては償還金が増加をいたしますので、予算計上額といたしましては五千万円の減となっております。生業資金の貸付限度を五万円を十万円に引き上げますことと、母子衛生の充実をはかるため母子健康センターを作る、このために八千万円の経費を計上いたしました。児童遊園の設置が三千五百万円、これらがおもなものであります。婦人保護費でありますが、これは更生資金貸付補助等で三千四百万円というものの新規計上がありますが、前年度設置を了しました婦人相談所の新設費の減がありますので、ネット・バランスが六千九百万円の減ということに相なるわけであります。  次に社会保険でありますが、社会保険はまず第一に国民健康保険であります。国民皆保険の推進ということで基礎条件の整備のために国民健康保険、日雇健康保険、それから健康保険組合に対します国庫補助を充実いたしまして、診療報酬の合理化を三十三年十月一日から実施しますかまえをいたしております。すなわち国民健康保険では三十三年度中に被保険者が四百万人増加することを考えまして、一人当りの療養費の上昇、それから療養の給付の補助がそれに伴ってふえるものでございますから、十八億七千五百万円がその分でふえまするほかに、財政調整交付金、すなわち貧弱な団体に対しまする調整上の措置をいたしまする交付金十三億八千二百万円というものが新規に計上になっておるわけであります。事務費の補助につきましては、従来から単価の問題があったわけでございまするが、今回一人当り八十五円の被保険者当りの単価を九十円に引き上げまして、そのために二億六千五百万円という増加をいたしております。  日雇いの健康保険につきましては、傷病手当金と出産手当金を新設いたしまして、給付内容の改善をはかろうとしたわけでありまするが、同時にこの保険経済を助成いたしまするために、国庫負担割合を一割五分から二割五分に引き上げまして、傷病手当金、出産手当金の新設をいたしまして、この手当金に対しましては、三分の一の国庫負担をいたすということにいたしたわけであります。  組合管掌の健康保険につきましては、暫定措置といたしまして、臨時補助金二億円を計上いたしまして、診療報酬の合理化とも関連をいたしまして、収支の特に悪い組合に当面の資金上の措置が可能なようにいたしたわけであります。  政府管掌健康保険でございまするが、これは最近収支が好転をいたしておりまするが、三十三年度におきましては、十億円を一般会計から繰り入れることにいたしたわけであります。各会計別の内訳は、表にございまするので、それでごらんを願いたいと思います。  失業対策でございますが、失業対策は前年度に比べまして、四十八億円の増加をいたしております。これは一つは失業者の吸収人員一日平均におきまして三十二年度の二十二万五千人というのを二十五万人にいたしまして、二万五千人ふやしたわけであります。それは一般失業対策事業におきまして、十八万七千人でございましたのを、二十一万二千人に、そこで二万五千人をふやしまして、従来からございました特別失対、臨時就労、合計いたしまして前年通り三万八千ということにいたしておるわけであります。賃金単価は三百六円、夏季、年末の就労日数は十一日というふうに計算をいたすわけであります。失業対策保険につきましては、三十三年度の新規発生失業者の増加ということを考えまして、三十二年度が月平均三十万五千人でございますから、これを三十七万三千人というふうに給付人員の見込み数を引き上げておるわけであります。これを合せまして、四十八億増加に相なるのであります。  結核対策でございまするが結核対策は前年に比べまして、十億二百万円ほどの増加であります。これは健康診断につきまして、その診断方式の充実をはかりますとともに、医療費の面でも各種の検査を公費負担の対象に加えまして、また国立の結核療養所の食糧費に対する単価を九十六円十銭から百二円に引き上げまして、それによりまして、患者の休養の充実をはかったわけであります。それが結核対策費であります。  義務教育費の国庫負担金が五十八億一千四百万円増加をいたしております。これは給与費等が大部分を占めるわけでございますが、これは中学校におきまして、五千人、従来の基準ではかりました人数からいたしますと、学童数に増減がございますが、その基準に対しまして、中学校の教員五千人というものの増加を見込みまして、父兄負担の軽減をはかるということを考えたわけであります。  次は国立学校の運営費でございますが、これが三十億四千九百万円の増加になっております。これは科学技術教育の画期的充実ということを考えまして、大学、短期大学を含みまする理工系学生千七百十六人というものの増加をいたしまして、この所要経費を見込んだわけであります。それと関連いたしまして、教官研究費、学生経費、以下現在の大学におきまする科学技術教育というものの充実をはかっておりますので、三十億五千万円の中で人件費を除きました——下にございまする各種の項目は、後に申し上げまする科学技術の振興という項目と大体相適応してお考えをいただきたい。そういう意味で後ほど申し上げます科学技術の充実の方に相類して考えられます金額が人件費を除きまして十七億円ほどあるということを申し上げるわけであります。  文教施設でございますが、文教施設は一億一千六百万円の増加に相なっております。これは国立の文教の施設におきまして科学技術教育振興のための、先ほど申し上げました理工系の学生を増募いたしますそれに伴います建物の整備、戦災復旧、公立文教施設とか学校統合の促進、小学校の不正常授業の解消、危険校舎の改築というところに重点を置きまする増額を見たわけであります。  次に、十六ページに参りまして、育英事業ですが、育英事業は前年度に比べて一億四千二百万円増加、うち育英資金貸付金の額は一億三千四百万円の増加でございますが、返還金額がふえまする関係がございまして、貸付原資、従いまして学生に対しまする貸与金そのものは二億一千九百万円、約二億二千万円ほどふえる、この貸与金の増加額をもちまして、新たに進学保障制度を設けまして、高等学校生徒につきまして別ワクで五千人、月額三千円の特別進学保障という制度を新設いたすことにいたしました。このための所要額が一億八千万円、以下、大学院のドクター・コース、これにおきまする学年進行、そういうようなことがございまして、増加額の合計が貸付ベースにおきまして二億一千九百万円ということに相なるわけであります。  科学技術振興費でございますが、これは前年度に比べまして三十五億三千四百万円という増加に相なっております。これは試験研究機関の経費で八億八千五百万円、原子力の関係の経費で十七億八千五百万円と科学技術試験研究費の補助金で五億四千七百万円というようなものがおもなものでございまして、試験研究機関の各省におきまする経費につきましては、各試験研究機関に重点的な配分をいたしておりますが、ちょっとここに書いてございますのは、国際地球観測年というものの事業費、これは前年度におきまして相当施設を整備いたしました関係上、今年度は前年に比べまして若干減に相なっておりますが、これは今申し上げたような事情のものであります。  原子力関係は先ほど申し上げました十七億ほどの増加に相なっておるわけでありまして、その内訳は原子力研究所に四億二千二百万円、原子燃料公社が五億九千九百万円というようなものがその主たるものであります。  最後に、十七ページの右側の(イ)(ロ)のところの(ロ)は、科学研究所に対する出資を一億八千万円増加をいたしております。これは従来の科学技術研究所の機能のほかに基礎研究をやってもらうということが一つ、及びそこに書いてございますような、危険負担のありますために企業化に至りません新技術の開発ということの役割も科学研究所でやってもらうということにいたしまして、今回科学研究所を特殊法人に改組する予定でございます。いずれ法律をもちまして御審議を願おうと思うのでございまして、そのための経費も含めまして一億八千万円の増額をいたしたわけであります。  国債費は冒頭に申し上げました三百十億の増加でございますが、このうち国債償還は内国債が三百五十二億、外貨債が八十三億ということに相なりまして国債の利子の方で十億円、償還の方で二百九十九億五千百万円というような増加に相なっておるわけであります。  文官の恩給でございまするが、文官の恩給は前年度に比べまして恩給年金の方で四億八千四百万円、一時金の方で一億二千七百万円という増額に相なっておりまして、これは受給権者の増加のほかに恩給金額改訂による増加でありますが、今申し上げました分を合計いたしまして六億一千五百万円の増加になるわけであります。  旧軍人等の遺族恩給費は六十七億八千七百万円の増加でありますが、これは、公務扶助料等の新規裁定による増、それから失権による減のほかに恩給金額の改訂による増加がありまして、六十七億円という増額に相なっております。  遺族及び留守家族等の援護費も同様にいたしまして九千四百万円の増額になっておるわけであります。  地方交付税交付金でございますが、これは前年度に比べまして三百七十二億三千七百万円という増額でございますが、これは地方財政の健全化、合理化ということのために交付税率が一・五%引き上りました。なお、その計算と前々年度剰余金の系統で百十八億円ふえました。その両者が加わりまして、前年度に比べますと三百七十二億円の増額に相なるわけであります。  なお、地方財政の関連といたしましては、主税局長から説明がある思いますが、自転車荷車税の廃止に伴います減収補てんのためのたばこ消費税の二%引き上げ、また交付税、地方税の増収に伴いまする歳入構成の適正化をはかる、また将来にわたります公債費の負担緩和ということのために、新規の普通会計債を七十億ほど減少いたしておりますが、この点につきましては後ほど理財局長からお話があると思います。  防衛支出金でございますが、これは十九ページの下の欄にございまするように三つの項目がありまして、合衆国軍交付金が前年度の二百九十六億が百八十六億に百十億減少いたしております。これは、いわゆる一般方式、すなわち施設提供費、それから軍事顧問団費の増減に加えまして防衛庁経費の増額分を加減したその半額、本来ならば八十億というのが一般方式でございましたが、それに対して三十億円ほど増加して交付金の削減をすることになりましたので、百十億円の減額、それから施設提供費が二十九億五千万円の減、軍事顧問団経費におきまして一億一千万円の減というものが加わりまして、そこにごらんのような百四十億ほどの減少に相なるわけであります。  防衛庁経費でございますが、これは、陸上自衛隊におきます一万人の増加、海上自衛隊におきます艦艇九隻の増加、航空自衛隊におきます後方支援部隊の充実、教育施設の増強、安全対策というようなことを中心といたしまして、部隊全体としての充実をはかるということを含めまして、合計いたしまして百九十億五千百万円という金を、これはさきに国防会議で御決定を願いました長期防衛計画の年度としての計画に計上をいたしておるわけであります。  賠償でありますが、賠償は四十六億九千三百万円ということの増加に相なっております。これは最近の対外債務の処理状況を見込みまして、インドネシアその他の見込みを加えました金額の計算であります。  公共事業費が九十五億六千五百万円の増額になっておりますが、この一番の重点は道路の画期的整備という点にありまして、道路につきましては、先ほど申し上げましたごとく、特別会計を作りまして一般会計からこの金を繰り入れるということでありますが、このほかに資金運用部の資金を借り入れまして、結局百二十二億円というものが道路整備の金としては前年度に比べて増加に相なるわけであります。なお、三十三年度におきまして、道路公団に従来補助金を三十億円出しておりましたが、これを今回そういうような経費をできるだけ財政投融資に肩がわりさせまして継続分の五億円だけにいたしましたために、その分が二十五億円余裕ができたわけであります。従いまして、道路公団に対します補助金を除きますと、一般の道路整備事業におきましては、先ほど申しました百二十二億円という増加が、実は百四十七億円というような大幅な増加に相なっております。  あとは、食糧増産の対策事業につきましては、愛知用水、八郎潟その他特定土地改良事業を中心といたしまして、大体二十四億五千万円を増額いたしておるわけであります。  災害復旧費につきましては、二十九年以降の災害の発生が減少いたしておりますので、約三十五億円を減少いたしておるわけであります。  離島振興につきましては、今回経済企画庁に一括して予算を計上いたしまして、予算もまた前年度に比べまして相当顕著な増額を示しておるわけであります。  その内訳につきましては二十二ページに表示をいたしておりまして、またその各個の項目につきましては二十四ページ以降に、その各項目について説明がございますが、時間の都合上省略をさせていただきたいと思います。  住宅及び環境衛生対策が二十七ページの一番終りに出ておりますが、これは先ほど申し上げましたように合せまして七千三百万円の増加であります。このうち住宅対策は七百万円の増加でありますが、低家賃住宅の供給を増加するという意味におきまして、公営住宅全体といたしまして、三十二年度に比べまして一千戸増、四万六千戸が四万七千戸という数字になるわけであります。  そのほかに災害住宅を加えますと四万七千戸が四万八千戸になるわけでありますが、一般住宅といたしましては四万六千戸が四万七千戸。また、その中で第一種の住宅の方が一千戸落ちまして、第二種住宅の補助率三分の二の低家賃住宅の方が二千戸ふえたという状況であります。  環境衛生対策につきましては六千六百万円を増加いたしまして、引き続き東京湾、大阪湾の糞尿海洋投棄対策ということと簡易水道、下水道、糞尿処理施設ということの措置をいたしておるわけであります。  農業保険でございますが、これは前年に比べまして三億二千八百万円の増加になっております。  貿易振興及び経済協力の費用が六億九千七百万円の増額になっておりますが、これは、日本貿易振興会、いわゆるジェトロと申します日本貿易振興会の行います特別宣伝事業、国際見本市参加、貿易あっせん事業というようなものの費用を増額いたしたような関係であります。なお、外務省の関係におきましても、輸入制限対策の強化、コロンボ・プランの金を大体倍見当にいたすというような措置をいたしまして、合せまして六億九千七百万円の増加になっておるわけであります。  中小企業対策費でありますが、中小企業対策費は十二億九千六百万円の増加に相なっておりまして、このうちふえております一番大きい項目は、三十ページの表の下でごらんになりますように、中小企業信用保険公庫の出賃金。これが前年度貸付原資といたしまして十億円ございます。それに対しまして本年は二十億円の出資金を見込んでおりますので、そこで十億円の増加が著しい増加分となっております。そのほかには中小企業設備近代化等補助というものが二億円ふえておりまして、あとは、技術指導の強化ないし中小企業の診断指導費の補助というような、大体府県公共団体を通じまする中小企業の指導の強化あるいは新しい施設というものであります。  最後に経済基盤の強化資金等の総括的な説明がそこにございますが、まず、経済基盤強化費といたしましては、二百二十一億三千万円を投じまして財政法四十四条の資金としてこの資金を作りました。将来におきまして道路整備、港湾整備、科学技術の振興、異常災害の復旧または産業投資特別会計への繰入れに必要な経費というようなものに引き当てまして、それによりまして経済基盤の強化をはかっていきたいというのが、経済基盤強化資金であります。  中小企業信用保険公庫保険準備基金でございますが、これは、先ほど申し上げましたように中小企業信用保険公庫を作りまして、これが従来の中小企業信用保険特別会計の仕事を継承いたすものでありますから、これが必要な保険準備基金といたしまして六十五億円を出す。この六十五億円は資金運用部に預託せられるわけでありますが、先ほど申し上げました二十億円の出資が別途ございますので、この方で信用保証協会に対しまする貸付に充てるわけであります。  農林漁業金融公庫に対しましては六十五億円の出資をいたしまして、これによりまして非補助の土地改良を助成いたします基金を作るわけであります。これの利子収入によりまして、安い利子で非補助の土地改良をやれるようにいたそうというねらいであります。  東南アジア開発協力基金につきましては、輸出入銀行にこういう一つの別の協力基金を作りまして、東南アジア開発協力のための国際機構に対する資金のための投融資というものの財源に充てるわけであります。  日本貿易振興会への出資金が二十億円ございます。これが先ほど申し上げましたジェトロでありますが、ジェトロの資金を出資するという金が二十億円。それから、一般の労働教化と申しますか、一般国民あるいは労使に対しまする啓蒙宣伝ということのために、特殊法人としての日本労働協会、これに対しまする出資が十五億円。両者いずれも基金に相なったわけであります。  雑件のうちで二、三ここに上っておりまするのは新市町村建設促進費が前年に比べて一億一千二百万円増加をいたしております。  衆議院議員の選挙費が十六億七千六百万円、これは本年度中にございますので、当然計上いたしております。(「本年度中とは何だ」と呼ぶ者あり)任期が三十四年二月二十六日に満了いたしますので、公職選挙法の規定によって三十三年度中に衆議院議員の選挙が行われることを予定いたしまして、所要経費を計上いたしました。  移住振興費でございますが、前年に比べて一億四千八百万円の増加に相なったわけであります。  準要保護児童生徒対策費が文部省所管におきまして六千三百万円ほどの増加をいたしております。これは教科書の補助あるいは給食の補助を引き上げますための経費であります。  新しく学校保健費というものを相当大幅にふやしておりまして、このために二千九百万円の増加をいたしておりますが、児童生徒の健康診断並びに要保護及び準要保護児童生徒の医療費というものを対象といたしまして増額をいたしたわけであります。  スポーツ振興の金は、これはアジア競技大会施設が落ちました関係で前年に比べて落ちておりますが、競技場の建設費以外におきましては事実上ふえております。  私立学校の方の関係あるいは農山漁村の総合対策以下まだ二、三ございますが、それは省略をさしていただきます。  歳入におきましては、三十七ページの専売納付金以下政府収入の説明がございまして、概略は政府歳入の御説明を申し上げましたので省略をさしていただきます。  三十九ページから特別会計でございますが、交付税及び譲与税の特別会計、これは、先ほど申し上げましたような交付税の税率計算に伴いまして出ますもの、それに伴うものでございまして、特に申し上げることはございません。  資金運用部及び産業投資特別会計につきましては理財局の方から説明を申し上げます。  賠償は先ほど申し上げました。  厚生保険も先ほど大体申し上げました。  食糧管理特別会計が四十二ページにございますが、食糧管理特別会計につきましては、三十三年度におきまして部門別の区分をいたしまして、これはさきに昨年の十月に米価改訂をいたしましたときに、食糧管理特別会計の勘定区分を明らかにいたしました経理内容をもっとはっきりいたそうということになっておりまして、それに基きまして、国内米の管理、国内麦の管理、輸入食糧の管理というようなおのおののオペレーションをいたします勘定総がかり的なものをまとめて計上いたしまする業務の関係、全体の資金の調整、金繰りの調整をいたしまする関係の調整勘定、それから、これは別途の関係になりますが、農産物の価格安定の関係であります農産物の特別会計勘定というものに分けまして、おのおの経理区分をいたすことにしております。農産物価格安定勘定だけは、これはちょっと独特のものでございますので、これに対しましては、三十三年度予算をもちまして十億円の一般会計からの繰り入れをいたすことになっております。おのおの取り扱います予定数量なり価格なりにつきましては、四十二ページから三ページに出ておりますので、それでごらんを願っておくわけであります。米の買い入れ価格につきましては、三十三年度の買い入れ価格は大体パリティ指数の変動を織り込んではじきました額であります。消費者価格は、昨年の十月にきめました消費者価格であります。  あと二、三特別会計がございますが、こまかい特別会計に相なりますので、省略さしていただきます。  四十八ページに道路整備特別会計—先ほど申し上げました新設の特別会計の説明がございます。これも大体計数的には先ほど申し上げました通りでございますが、四十九ページにございますように、揮発油税と一般財源と借入金と合せまして六百六十八億円という財源を受け入れまして、あとの受託工事等に伴う収入七億二千万円を加えまして、それが大ワクに相なるわけでありますが、それが一級国道、二級国道、主要地方道等に分れます内容は四十九ページにございますので、それでごらんを願います。  政府関係機関は、日本国有鉄道でございますが、日本国有鉄道は運輸収入が百四十一億円の増、それらを含めまして百九十五億円の収入の増を見ておりますが、資本勘定の繰入は六十一億の減というふうに逆に減少をいたしております。それを受けまして資本勘定は借入金を百二十億円ふやしまして、鉄道債券の公募の減、利用債の増というものをひっくるめまして、工事勘定の総ワクといたしましては、前年度の千七十一億円という当初の予定に比べまして、千六十二億円というふうにやや下回っておりますが、御承知のように、昨年度は相当な繰り延べがございました関係上、千六十二億円の本年度の工事勘定予定というものは、昨年よりも実質的には増額をいたしていることに相なるわけであります。  電電公社におきましても、これは建設勘定の総ワクにおきまして、前年度六百三十四億を七百五十億というふうに、百十六億円の増額に相なっております。電話の需要に応ずることができるような備えをいたしているわけでございます。  以下の財政投融資で御説明申し上げます公庫類につきましては説明を省略さしていただきます。  最後に七十二ページでございますが、補正の第二号及び特第四号の説明をごく簡単に申し上げます。  これは、先ほど大臣から御説明ございましたように、食糧管理特別会計に、三十一年度の損失と、これからの資金を設置いたします関係、前者が百六十億、後者が百五十億、合計三百十億円を繰り入れますのが主たるもので、それに関連をいたしまして取り急ぎ御審議をお願い申し上げます特別給付金、これは駐留軍労務者の関係の特別給付金、それから漁業転換のための助成費五億円というものをあわせまして、以上三件が食糧管理以下の内容でございますが、これに見合います歳入追加をいたしますのに、法人税を三百億円見込んで、それに伴いまして七十八億円の地方交付税交付金等合計三百九十四億円という歳出追加に対します補正をお額いを申し上げるわけであります。  特別会計は今申し上げました七十八億円の地方交付税交付金の増額をいたしますそれに伴いまする補正だけであります。  以上をもちまして三十三年度予算及び三十二年度予算補正に対しまする御説明を終ります。     〔委員長退席、重政委員長代理着席〕

江崎真澄自由民主党

○江崎委員長 主税局長原純夫君。

原純夫大蔵事務官(主税局長)

○原政府委員 税の関係の補足説明を申し上げます。十五分か二十分ちょうだいしたいと思います。  まずお手元にあります三十三年度租税及び印紙収入予算の説明というものの三ページをお開き願います。これに全体を一覧願える表が出ております。一番左に三十二年度予算額というのがございます。ずっと下に見ていっていただいて、一番下の総計は譲与税を入れました分で九千七百六十五億、そのちょっと上に一般会計合計というところがございます。九千四百六十九億円、これが三十二年度の当初予算額であります。それに対しましてその右にとっていっていただいて、三十三年度は現行法による収入見込額一兆五百二十億、これとその左の数字との差が一千五十一億ばかりになっております。これが三十三年度のいわゆる自然増収見込額であります。そこでその右に参って税制改正による減収額二百六十億ばかりになります。それを差し引いて改正法による収入見込み、つまり三十三年度予算における租税及び印紙収入の見込額が一兆二百五十九億ということに出ております。この右に七百九十億という数字が三十二年度に対する増額として出ております。つまり千五十億の自然増収がある。その中から二百六十億の減税をやり、差引七百九十億が税収の増加として残るということでございます。  そこで御説明を、まず自然増収、つまり来年度の収入の見積りをどういう基礎で見たかというのを第一段に申し上げ、第二段に税制改正はどういう内容を持たせて、その内容についてどういう減収がくるかということを申し上げたいと思います。  第一段のお話を申し上げますのは、五ページ以下二十七ページまでにわたってその中身が書いてあるわけでございますが、時間もございませんので、一番初めにあります源泉所得税のところでどういうふうなやり方をしているかというのをごらん願い、そうして自余は最初の一ページにごく概略が書いてありますから、それで御承知を願うことにいたします。  まず五ページの源泉所得税の見込みでございますが、現行法というのがまん中に出してございます。これは現行法で見込む数字、つまり自然増収を見込んでいくやり方でございます。その最初にAとして給与所得に対する源泉所得税、源泉所得税は給与に対します分と利子配当その他に対する分がある。まず給与に対する分を計算するわけであります。その計算の方法は、昭和三十一年における納税者八百七十万三千人、それから支払い給与費の二兆五千四百四十七億円を基礎として、これを三十三年分に伸ばし、その伸ばし方がその下に書いてあります人員で五・〇%、一人当り給与額が一四・四%、これは約二年間の伸びでございますから、三十二年度分に対しましてはこの中にありますように、人員では一%、一人当りの給与では四・九%の増というふうに見ております。これらの数字は、ただいままでの実績並びに来年度におきまする企画庁で調査をされました経済見通し、この数字をバックにして作っておるものであります。こういう伸びを前提として計算いたしますと、納税者が減税の平年度化で失格いたしましたり、あるいは所得がふえて、納税者でなかった人が納税者になったりして、その次の現行法での納税人員の見込みは、八百八十八万五千人、給与額は三兆五百八十九億円。それから給与所得控除、その他の各種の控除をいたしまして、課税になる所得金額が出て参ります。それが次の六ページの初めに出て一兆四百三十九億九千五百万円ということになります。これに税率を当てがう。もちろん私どもの作業は、階級別に見ました所得に、それぞれの税率を当てがってその次に出ております一千六百三十三億九千五百万円という税額が出て参る。その次に日雇い労務者の源泉徴収、これは特殊なものですから別に加える。合計いたしました税額から、税額控除というものが、不具者、老年者等にありますから、それらをずっと引いて一千六百八億というものが三十三年度の課税額であります。収入歩合を九八%と押えまして、千五百七十五億。前年度からの繰り越し滞納分の収入がそれぞれあって、加えて給与分の源泉徴収額一千六百四億円ということになります。  次に給与以外の源泉徴収の所得は、利子、配当、退職その他というようなものが次に書いてございますが、これらは最近までの実績を基礎として伸ばしたということでございます。総合計いたし、かつ最後に源泉徴収税額を申告によって還付するというものが約六十億ございます。これを差し引いて最後に六ページの一番下に千九百七十九億三千万円、これが現行法における源泉徴収所得税額の見込額でございます。  次のページは改正法によりますもので、同様な方法を使うということになっております。以下詳しくはその後のページにしたためてございますが、時間がございませんので一ページに戻って、他の各税についてどういう方法でやっておるかということを簡単に申し上げます。一ページの下から四分の一くらいのところに、「直接税関係については」とあって、源泉所得税のことが出ております。これはただいま御説明申したところを文句で書いてあるだけであります。  次の「申告所得税については、」というところをごらん願います。個人営業における生産量、販売量等は年間を通ずれば増加する。しかし価格が変動して収益状況が低下する。つまり物価が下り目なときは上り目なときに比べて悪くなるわけであります。それを見込んで営業所得は三十二年度より減少する。農業所得については平年作を基準とする。それから給与配当その他の所得の総合による申告所得税は、最近の傾向から見て判断する。これらはいずれも先ほどやりましたような方法で、これらに数値を与えてやっておるわけであります。  次の法人税につきましては、法人企業における生産量、販売量及び物価の見方については、申告所得税の場合と同様で、つまり企画庁の見通しをずっととっておりますが、経済の調整に伴い企業の収益率が相当程度低下するということを見込んだのであります。申告所得税の場合にもこの事情はありますが、法人の場合は景気が引き続き締まって参りますと特に顕著に収益率が落ちます。値下りのときにはもうけが悪いというのが法人の場合には一番極端に出て参ります。三十三年度分につきましては通常の生産量が伸びる、物価が下る。その相乗積で見ました通常の収益の一割減を見込まなければならないというふうに過去の実績等から判断いたしまして、収益率を一割落して見てあります。そういうわけで前年度の特別措置の一部廃止による増加を見込んでも、なおかなり低下するということになっております。先ほどのその右の表でごらんの通り三千四百四十五億というのが、現行法に基く見込みでありますが、本年度はこれよりももっと多い三千六百億余りという数字になるものと私どもは思っております。相続税につきましては、税制改正を入れて財産の価格ないし数量、そういうものの動きを勘案しております。次に、間接税その他の諸税というのが出ております。いずれも最近までの実績をもとにして酒の消費あるいは、砂糖、揮発油というようなものの消費を見込んだということになっております。そのうち酒あたりは国民消費資金の伸びとかなりパラレルに参るものと考え、それを使ってみた。それから砂糖、揮発油等になりますと、外貨割当にかなり影響されます。それらとの牽連を十分考えまして見込んでございます。物品税は課税実績を基礎としてやるということになっております。大へん漠とした説明でありますが、詳しくは二十七ページまでの数字をごらん願うということにお願いしたいと思います。  そこで第二段の税制改正の問題でございますが、二十八ページをごらんいただきたいと思います。そこに昭和三十三年度税制改正の要綱というのがございます。税制改正を一覧していただくのに、恐縮ですが、もう一枚はぐって三十ページの下に一表になって項目別にどれだけの財源をもって改正をやるかというのが出ております。国税においては相続税、法人税、酒税、それから貯蓄控除制度というのは、所得税であります科学技術振興措置、これは法人税がおもで、所得税も若干あるのでありますが、そういうことになっておって、それぞれ所要の減税財源が出ております。合計いたしまして昭和三十三年度においては二百六十一億円、平年度においては三百七十三億円の減税となる。これに地方税におきまする自転車荷車税の大部分の廃止に伴いまして、市町村たばこ消費税の税率を現在の九%から一%に引き上げるというのが、その上の注に書いてございます。これによります減収が昭和三十三年度四十六億、それから平年度五十億、これは国の方の減収でありまして、地方はそれぞれその額を補てんされますので、地方は別途減収はないということになるわけであります。総計して初年度三百七億の減税、平年度四百二十三億の減収というふうに御承知願いたいと思います。  さてその中身でございますが二十八ページに返っていただいて、第一、相続税というところから申し上げます。  相続税につきましては二十五年のシャウプ改正で制度が根本的に昔の遺産課税体系から遺産取得税体系に改まっておるのでありますが、いろいろ問題が深刻に出て参ったので、昨年春以来租税特別調査会というもので十分研究をしていただき、われわれもいろいろ研究いたしました結果、結論としてやはり遺産課税体系には戻らないで遺産取得税体系を維持する。ただし現在の税法では、最終の税額が納税者あるいは税務官吏のやり方いかんでもって、非常に大きく変るというような若干すかっとしない点がございますので、それを改めて、相続税の総額はもう客観的な条件がきまれば出てしまう、つまり遺産額と法定相続人の数がきまれば、税額の総額は実際に出てしまう。それを実際に取得する人が実際に取得した財産の割合で分担するということにしようというふうに改めようというのが第一点であります。なおそういう制度で控除した税率を盛りますについては、中小の財産階層の負担を相当大きく引き下げなければならないという着意をもちまして措置したというのが第二点でございます。  その要領が(イ)の相続税の課税最低限の引上げ以下に書いてございます。重要なところだけ申し上げます。まず遺産の金額が、百五十万円とそれに三十万円かける法定相続人数との合計額以下なら課税しない。従いまして法定相続人が五人あるとしますと、百五十万円と、三十万円かける五人の百五十万円を加えて三百万円が控除になる。従いまして、今後といいますか、この改正がてきますれば、三百万円までの遺産額の場合には相続税はかからないということになります。農家の場合に、一町農家でありますれば約百万ちょっとということでございますので、農家あたりでは相当そういう面が変った状態になると考えられます。それから(ロ)の税率の緩和、遺産の金額が千万円程度までの階層の負担を大幅に軽減するように累進率を緩和する。(ハ)の相続税額の計算というのは、先ほど申した遺産額と法定の相続人数がきまれば出るというやり方を書いてあります。その他は省略いたします。負担が実際にどうなるかということは三十一ページに表をもって例示いたしてあります。現行法の場合においても、改正法の場合においても、相続人がどのくらいおるか、特に現行法では相続人と限らず、どれだけの人数が財産をどういうふうに分けるかということで負担が非常に変って参りますが、この表では一応通例行われておる程度の分割の度合いというものを仮定し、改正案では通例ある法定相続人の数ということを前提として考えております。ごらんの通り千万円あたりでは相当負担率が減って参ることになります。  次に二十八ページに戻っていただいて、所得税でありますが、所得税は貯蓄控除制度の創設が大きな改正であります。これは国際収支の逆調に現われております経済を締めて、そうして伸びんがためには縮まなければならないという警報を受けていろいろ措置する中で、税の面でも貯蓄の増強を大きく推進しようという着意でできたものであります。従いまして従来あります利子所得に対する特例、一年以上の長期の利子所得には課税しない等の特例の上にこれが加わりますので、これを適用します貯蓄というものは、次の二十九ページの上から三分の一くらいに書いてありますが、平均貯蓄期間が二年以上のものであることが必要である、かつ年末に至ってぽこっと多額のものを持ってきて預けるというようなことでは、従来の預金からの振りかえが行われるおそれが多いということから、またこの制度を使って貯蓄の組織的な習慣をつけるというようなことにいたしたいという意味から、そこにありますように、毎月定額を積み立てるという形で、しかも六カ月以上必ず積み立てるということにしていただくというような条件を置いて、貯蓄額の三%相当額を所得税額から控除する。最高は六千円。それから貯蓄額としては二十万円まで控除の対象になる。年末調整の場合あるいは確定申告の場合にこれを控除するということになります。対象といたします貯蓄の種類は一番上の(イ)のところにありますが、預貯金に限らず、株式、投資信託、公社債というところまで入れるということに相なっております。この制度は冒頭に申し上げましたような緊急の必要にこたえる意味で三十三年、三十四年分の所得税についてやろうというように書いてあります。  次に第三の法人税についてでありますが、一は税率の引き下げであります。法人税には四〇%それから三五%という二段税率で、三五%の税率が百万円までの低い所得の部分に適用されておりますが、これを二%ずつ下げて、三八%それから三三%にする。なお百万円という低額税率の適用のワクを二百万円まで引き上げて、二百万円までのところは三三%でやるということにいたしております。特別法人、公益法人については、やはり二%下げるということになっております。  二十九ページの終りの科学技術の振興、次の輸出の振興、これらは租税特別措置法という体系で改正をお願いするわけでありますが、いずれもそれぞれの目的のために所要の措置をとろうということでございます。  それから酒税、国民の税負担の軽減に資するという意味で、下級酒について一割程度税率を引き下げる、そこに代表的な酒類の税率の引き下げ案が載せてございます。その他いろいろこまかいのがございますが省略させていただきます。これが税制改正の大綱でございます。  大へん雑駁なまた急いだ説明でしたが、税の関係の補足説明を終る次第でございます。

重政誠之自由民主党

○重政委員長代理 理財局長正示啓次郎君。

正示啓次郎大蔵事務官(理財局長)

○正示政府委員 財政投融資計画につきまして簡単に御説明申し上げます。予算の説明の九ページに財政投融資資金計画というのがございまして、まず原資見込み、次に資金計画の表がございます。なお、予算の説明の五十六ページ以下に、これも説明がございまして、それぞれの特別会計あるいは政府関係機関のところに詳細の説明がございます。これらはお読みいただくことにいたしまして、財政投融資計画につきましての全体の特に御注意をいただくような点を、時間もございませんので簡単に走り読みで申し上げたいと思います。  昭和三十三年度の財政投融資計画については、その原資におきまして、すなわち九ページから十ページにございますように、まず産業投資特別会計におきましては三十二年度の三百七十七億五千万円を二百七十七億に予定をいたしておりますので、約百億円の減少となっております。これは、前年度におきましては御承知のように一般会計から三百億円の資金を受け入れまして、そのうち百五十億円の資金を使ったという関係でございます。  次に十ページの一番上にございます資金運用部資金でございますが、郵便貯金の伸びを最近の情勢等から三十二年度当初計画並みの千百五十億円と見込みまして、その他の預託金、回収金の増加等を見込みまして二千四百三十七億円といたしておりますから、これは前年度に比較いたしますと三百八億五千万円の増加となっております。また、簡易保険資金につきましては、前年度に比較いたしまして百十八億円の増加となっております。  このように、財政資金は前年度に比較いたしまして三百二十六億円増額し、一方、公募債借入金、これは十一ページの計画の合計欄に二つの数字がございますが、その上欄の数字が三十三年度、下欄の数字が三十二年度を示しております。総額三千九百九十五億のうち、産業投資、資金運用部、簡保資金、小計ということになっております。ここまでがいわゆる財政資金でありまして、これが三千五百七十二億、公募債借入金四百二十三億となっております。この四百二十三億は昨年の当初計画八百四十五億に比較いたしますと四百二十二億の減少となっております。このことは、この計画欄の中で、たとえば十一ページの上から三つ目くらいに国有鉄道というのがございますが、国有鉄道の中では、三十二年度の欄をごらんいただきますと、二百九十五億の外部資金のうち八十億円を財政資金でまかなうというふうな建て方でございましたが、三十三年度におきましては二百八十五億円の外部資金のうち二百億円を財政資金でまかなうこととといたしております。また、同じくその下にございます電電公社、それから、十ページの下から五つ目くらいでございますか、道路公団というのがございますが、これらにつきましても同様のことが申せるのであります。また、計画表の最後の十一ページのところにございます地方債につきましても、総額一千億円のうち財政資金による分が八百五十億円でございました。この比率は前年度より上昇いたしております。中でも地方の一般会計債につきましては全額を財政資金でまかなうことといたしております。また、この表には現われておりませんが、冒頭の開発銀行のところに入っておりますところの海運に対する開銀資金の比率は、平均いたしまして三十二年度は約三五%でございましたが、三十三年度におきましてはこれを五三%程度にいたすように見込んでおるのであります。このように財政資金の比重を全体として増加しておりますほかに、三十三年度におきましては政府保証によりまして相当額の世銀借款をも見込んでおる次第であります。  かように財政資金、外資及び民間資金の三者を総合的に考えまして計画を策定いたしたのでございますが、その際公募債借入金は減額いたしておりまして、この面での民間金融の負担を軽くしております反面、他方におきまして、重点部門に対する資金供給につきましては、全体として民間金融機関によるいわゆる自主的調整、この自主的調整の態勢を一段と整備されるように期待いたしておるのでありまして、この三者の協調的運営によりまして重点施策の遂行に遺憾なきを期して参る所存でございます。  なお、右に申し述べました外資の受け入れ時期のズレに備えますとともに、その他、あとで申し上げます計画全体の弾力的運営のために必要と思われます資金は、資金運用部等に若干持ち越し資金の形においてあるわけであります。  あらためて申し上げるまでもなく、昭和三十三年度のわが国経済の見通しは、あとで経済企画庁からもお話がございますが、成長率を実質三%に押えまして、そのため民間設備投資は本年度に比し若干減少が見込まれております。しかし、財政投融資につきましては、それが政府みずから行う事業あるいは民間の重点部門に対する資金の供給でありまして、その重要度が高く、また財政、経済の成長の基盤をつちかうためにも、このことはぜひ行わなければならないものもいろいろあります。さらにまた、昨今の経済情勢の推移を見ますと、民間の投資はむしろ鎮静の傾向にあり、民間金融もむしろ逼迫しておる状況でございまして、財政投融資による資金の供給をこの計画程度にいたしましても、これによって投資意欲を過度に刺激するものとも考えられません。むしろ民間資金と相補い国内経済の投資活動を適正な限度に維持するにとどまるべきことは、大蔵大臣の説明にもあった通りでございます。  次に、二といたしまして、資金の配分について申し上げます。  まず、重点中の超重点は、いわゆる国際収支の改善をはかるための輸出振興にあることは、あらためて申し上げるまでもありません。財政投融資の面におきまする施策といたしましては、十ページの冒頭から三つ目、輸出入銀行の資金の面に現われておるわけであります。輸出入銀行につきましては、昭和三十二年度において全体として繰り延べをいたしましたが、輸出入銀行だけは繰り延べから除外をいたしております。また三十三年度といたしましても、必要な資金を投入することによりまして、全体の貸付規模の拡大をはかっております。この国際収支の改善ということは、財政、経済万般の施策の前提になっておると申して差しつかえないかと存じます。かような前提のもとに、昭和三十三年度は新しい長期経済計画の初年度に当りますので、財政投融資の面におきましても特にその点に配意をいたしております。  おもなところを申し上げますと、第一点は、産業基盤としてのエネルギー資源の開発でございます。電力、石炭等エネルギー部門につきましては、それぞれ将来のわが国経済の成長発展に応じまして、新しい長期計画が立てられて、その開発が急がれているのでありますが、財政投融資におきましては、特にこの点に力をそそぎ、長期計画の達成に努めることといたしております。すなわち、電力につきましては、昭和三十二年度から三十七年度までの六カ年間に、水力、火力合せまして一千百二十万キロワットの開発を行うことといたしておりまして、このための所要資金は一兆七千七百億円見込まれております。これは三十三年度以降年平均にいたしますと約三千億になります。昭和三十三年度の財政投融資におきましては、十ページの上から二つ目にございます電源開発会社に対しまして、世銀借款をも含めまして四百九十八億円の資金を計上し、また地方債の欄で公営電力については百五十億円を見込んでおります。九電力会社等に対する開銀資金は、開発銀行の欄におきまして二百五十億円を計上いたしておりますが、このほか相当額の世銀借款をも期待いたしております。これらを合せますと、来年度におきまして長期計画の達成に必要な工事は確保できるものと思われます。電力のほか石炭につきましても開発銀行の資金を相当増額する考えでおります。また輸出入銀行の次にあります石油資源開発会社につきましてもこの資金を増額いたしております。以下は省略いたします。  第二点は輸送力の増強でございます。中でも道路の近代化を中心とする輸送力の増強に重点を置いております。特に道路につきましては、十一ページの下から四つ目にございますが、昭和三十三年度を初年度とする道路整備五カ年計画を樹立しまして、これが実施を強力に推進するため道路整備特別会計を設けておりますことは先ほど来御説明のあった通りであります。十一ページにございますように、資金運用部からこの特別会計に五十四億円の借り入れを行う予定にいたしております。また、日本道路公団、これは十ページの下から五つ目ぐらいにございますが、これの費用につきましても、名古屋—神戸間高速道路の建設を本格化しますほか、主要な有料道路事業の推進をはかることといたしまして、世銀借款をも期待し、大幅に資金を増額いたしております。このほか、国鉄、地下鉄につきましても資金の確保をはかり、輸送力の増強に努めました。  第三点といたしましては中小企業対策でございます。これは昭和三十二年度におきましても大幅な資金量の増加をはかったのでございますが、三十三年度におきましてはさらに貸付金の増加を予定いたしております。十ページのまん中より少し下にございますが、国民金融公庫、中小企業金融公庫、商工債券というふうに出ております。(「商工債券は減っておる」と呼ぶ者あり)商工債券につきましては、年度間百億円の貸出純増をはかるために必要な資金措置を講じております。  第四点といたしましては農林漁業対策でございます。財政投融資の面におきましては、農林漁業金融公庫、十ページのちょうど中ほどくらいになりますか、農林漁業金融公庫の資金を充実するほか、十一ページの特別会計のところにございますように、特定土地改良、開拓者資金の両特別会計に対する融資を増額して生産基盤の整備拡充に努め、また愛知用水、森林開発、農地開発機械公団の資金を増額いたしまして事業の円滑な遂行をはかっております。なお、農林漁業金融公庫につきましては、先ほど中小企業金融公庫のところで申し忘れましたが、新たに予算総則におきまして弾力条項を設けまして、借り入れ限度の五割以内において、いわゆる経済情勢の推移等によって借り入れを増額する道を開こうといたしております。  第五点といたしましては住宅対策であります。財政投融資では、十ページの道路公団の上のところにありますが、住宅金融公庫、住宅公団の二機関に対しまして引き続き既定計画を推進させるため必要な資金を投入いたしております。先ほど主計局長からも住宅関係の説明がございましたように、公営住宅と合せまして大体財政資金で見ますのが十九万九千戸、前年度と同じような数字になっております。住宅金融公庫につきましても弾力条項を予定いたしております。     〔重政委員長代理退席、委員長着席〕  以上配分のおもな点について申し上げましたが、三十三年度において新たに財政投融資計画に計上いたしましたものは、さきに説明をいたしました道路整備特別会計のほか、北海道地下資源会社——十ページの上から七つ目に北海道地下資源会社というのがございます。これは北海道における地下資源の開発を促進するためのものでございまして、従来内地に比較いたしますと地下資源の開発がおくれておるといわれております石油以外の石炭あるいは非鉄金属等につきまして、この会社が産業投資特別会計から二億円の出資を受け、これに民間資金をも加えまして必要な調査等の委託を受ける、こういうふうなことであります。詳細は予算説明の五十六ページにしたためております。  最後に財政投融資の弾力的運用でございますが、この計画表の一番下の欄にございますように、財政投融資の運用に当りましては、経済情勢及び民間金融の推移に応じまして慎重かつ弾力的に行うこととしております。本来財政投融資は弾力的に運用すべきものでございますが、三十三年度の財政投融資の運用につきましては特にこの点に配意をいたすという意味におきまして、ここに明記いたしておく次第でございます。さきに申し述べました中小企業金融、農林金融、住宅金融等の予算総則における弾力条項の規定も、まさにそのような配意に沿って立案いたした次第であります。  なお、以上につけ加えまして、三十二年度の財政投融資の実行状況を簡単に御説明申し上げます。  御承知のように、三十二年度の財政投融資は、当初かなり積極的な内容を盛って出発したのでございますが、その後国際収支の急激なる悪化に対処いたしまして、その改善のため一連の措置が講ぜられたのであります。財政投融資につきましても率先して繰り延べを行い、これに応じて民間の投資についてもできる限りの繰り延べを要請し、国内経済活動の行き過ぎを押えることとしたのでございます。財政投融資の繰り延べ措置は、当初計画四千九十一億円のうち七百九十九億五千万円、約八百億円でございますが、これを繰り延べますとともに、他方、金融引き締め政策が中小企業へしわ寄せになるのを防ぐため、国民金融公庫、中小企業金融公庫、商工中金に対しまして、合せて百五十億円の資金の追加を行うことといたしたのであります。繰延額七百九十九億五千万円から追加額百五十億円を差し引きました額六百四十九億五千万円は、当初計画四千九十一億円に対して約一五%に相当いたしたのであります。その後年末にかけまして中小企業対策としてさらに八十二億円の資金の追加を行いましたので、当初計画四千九十一億円に対する繰り延べ、追加の差額は、五百六十七億五千万円となったのであります。これが十一ページの合計欄の三十二年度欄のところに四千九十一億円(△五百六十七億五千万円)としておる趣旨でございます。  三十二年度に実際に実行いたしました額といたしましては、当初計画四千九十一億円のほかに、この表には現われておりませんが、三十一年度の計画で三十一年度中には実行いたしませずに、三十二年度に繰り越すこととして三十二年度の予算総則で公募債の発行、借り入れ措置を講じましたのが道路公団等百四十九億円でございます。  このように年度の途中で約八百億円の繰り延べをしたのでありますが、そのうちには、一部のものについて、たとえば開発銀行の回収が当初予定したより落ち込む見込みであるとか、国鉄の損益勘定からの繰り入れが予算より減少し、繰り延べ後の工事を行うためにも資金が不足するというふうな事態が生じておりますので、これらのものにつきましては、今後の情勢を見まして年度末までに何らかの措置を講ずる必要があると考えております。この額は現在のところ大体二百数十億円程度になるものと見込まれております。  以上をもちまして財政投融資の説明を終ります。  最後に国庫収支について一言つけ加えて申し上げます。  三十三年度の国庫収支は現在のところ約一千二百億円程度の散布超過というふうに考えられております。これは三十三年度の国際収支の実質一億五千万ドルの黒字等の要因によりまして外為資金関係で七百三十八億円ほどの散布超過が見込まれることがおもな理由でございます。外貨の資金以外では、一般会計の散布要因となる地方交付税交付金あるいは揮発油税あるいは国債関係等で三百四十七億円、特別会計で百十五億円、合せて四百六十二億円程度の散布超過が見込まれるのであります。もとよりこの一般会計、特別会計は今日の予算が予算通りに実行されるものと前提しての見込みであることは断わるまでもございません。  なお最後に三十二年度の国庫収支の状況でございますが、ちょうど昨年の今ごろ当委員会におきまして、三十二年度は当初国際収支をとんとんと見込みまして、三百五十億円程度の国庫の散布超過と見込まれて御説明があったのであります。実績といたしましては、御承知の通り、国際収支の関係から大幅に揚超に転じ、また租税の自然増収等がございましたために、今日のところ大体二千四百億円程度の引き揚げ超過になるものと見込まれております。  以上簡単でございますが御説明いたします。

江崎真澄自由民主党

○江崎委員長 次に経済企画庁調整局長大堀弘君。

大堀弘総理府事務官(経済企画庁調整局長)

○大堀政府委員 三十三年度の経済計画の大綱につきまして、お手元に資料をお配りいたしてございますが、二ページに主要経済指標が掲げてございます。その経済指標を中心にいたしまして、三十二年度の現在の経済の動向と三十三年度の経済の計画につきまして、概要を御説明申し上げます。  昨年の緊急総合対策実施以来、在庫面でまず調整が起り、これが反映いたしまして卸売物価が低落し、逐次過大な設備投資の抑制と生産の調節が促進され、また国際収支面は予想外に改善されます等、全般的には順調な成果をおさめてきたものと考えております。  最初に三十二年度の経済の推移につきまして申し上げてみたいと思います。  第一に投資の動向でございますが、設備投資は、当初非常な高水準でありました三十一年度の規模をさらに大きく上回る実勢にございましたが、継続工事の繰り延べと新規着工の停止によりまして、ようやく正常な状態に落ちついて参っております。しかし年度全体では、既着工分の繰り延べが必ずしも十分でない結果、予想よりもやや大きくなりまして、一兆五千八百億円前後の投資が行われ、三十一年度に比べまして一五%程度の増加になるものと考えられます。  一方、在庫投資につきましては、金融の引き締めによりまして、生産者製品在庫が逐月増加いたしまして、十一月においてもなお増加の傾向を示しておりますが、前年同月に対して、四三%の高水準を示しております。しかしながら、自後の生産の本格的な調整に伴いまして、製品在庫の調整が進められる段階に入って参っております。また、原材料在庫は、上期中に相当な急増を示したのでありますが、その後伸び悩みの状態となりまして、調整の効果は逐次現われて参るものと考えられております。  消費につきましてでございますが、消費支出につきましては、従来の高度の成長の影響を受けまして、また減税の関係等もありまして、都市の勤労者の収入は大幅に伸びております。また豊作によって農家の収入も増加いたしております関係上、上期においては消費はかなり顕著にふえて参っておりますが、下期の経済収縮によって、消費はやや停滞するものと思われますが、年度間の消費といたしましては、前年度に対して八%程度増加になるものと考えられます。  物価面につきましては、卸売物価は、御承知のように金属と繊維の大幅な下落が目立っておりますが、最近は、それ以外の品目にも徐々に下落の兆が現われておりまして、現状で、昨年の四月の最高時に比べまして、企画庁指数で申しますと、食糧を除けば一月第一週で、ちょうど一割下落いたしたことに相なっております。なお、消費者物価指数につきましては、食糧費、住居費、光熱費等、強調を示しておるものもございますので、卸売物価とはやや動きが異っておりまして、今後は若干弱含みにはなりますが、前年度に比べて、年度平均では三%程度高いところにとどまるものと考えられます。  次に三十二年度の国際収支でございますが、三十二年度当初から急激に悪化して、昨年の五月、六月には憂慮すべき状態になっておったのでございますが、その後好転をいたしまして、十月ごろから実質で相当の黒字を示すに至っております。まず輸出は、第一・四半期で、月平均をとってみますと二億一千九百万ドルでございます。第二・四半期が二億三千七百万ドル、第三・四半期をとりますと二億五千百万ドルというふうに、逐月着実に増加して参っております。この調子で参りますと、三十二年度の輸出といたしましては二十八億三千万ドル程度の輸出目標を達成することができるわけでございまして、前年度に比べて約一三%の増加になると考えられます。反面輸入の面につきましては予想以上に急激に減少して参っております。第一・四半期で、これは実質為替べースでとってみますと、月平均三億四千三百万ドルでございましたが、第二・四半期は二億八千百万ドル、第三・四半期は二億一千七百万ドル、この減少は生産の動向に比べましてやや低きに過ぎるのではないかと思われますが、この結果といたしまして、ともかくも三十二年度の輸入はおおむね三十二億二千万ドル前後にとどまるものと考えられます。総合いたしまして、三十二年度の赤字はおおむね実質で一億三千万ドル以内にとどまるものと見られております。  以上申し上げましたような経済情勢におきまして、上期には前年度比で一七%という高い水準を示しておりました鉱工業生産が、生産調整の進展によりまして、七月をピークといたしまして低落を始めまして、季節的な変動を考慮いたしましても、本年度全体として前年度に比べまして鉱工業生産で九・八%高いところに参る、マイニングを除きました製造工業では九・九%高いところに三十二年度の水準が参るものと考えております。また、農林水産の生産水準につきましては、豊作のために前年度に比べまして二・二%の伸びでございますので、これを総合いたしまして、三十二年度の国民総生産の伸び、すなわち成長率でございますが、名目で七・九%、実質で五・九%というふうに推定されるわけでございます。  雇用の関係につきましては、経済の動きに対して多少ズレがあるのが通例でございますが、下期中には経済調整の影響を受けるので、ある程度低下することはいなめないといたしましても、これまでの水準が非常に高いので、年度間の雇用者数の増加といたしましては百十五万人に上るものと推定されております。  以上が三十二年度の経済の推移でございますが、次に三十三年度の経済計画につきまして簡単に申し上げます。  三十三年度の情勢につきましては、先ほどもお話がございましたが、国際的には必ずしも楽観を許されない事情にございます。すなわち、米国の景気は依然として低迷を続けておりますし、西欧の経済は西ドイツを除いて概して調整継続の段階でございまして、後進国の経済も外貨事情が悪化して伸び悩んでおるという状態でございますし、米国経済について最近景気対策が講ぜられておるようでございますが、これをもって年度内に世界経済全体として急速な再上昇を見込むというわけにも参らないかと思います。従いましてまた国内的には経済活動の調整の余波が残りますために、年度を通じてみますと、従来のような高度な成長率を期待することは困難であろうかと思います。このような内外の経済情勢のもとに、単に国内的な面で経済諸因を過度に刺激するといたしますと、再び対外均衡を失するおそれもございます。従いまして、当面わが国の経済計画といたしましは、対内、対外の均衡をはかりながら着実な経済成長を実現し、この間におきまして昨年十二月に策定いたしました新長期経済計画の要請を極力充足していくということが計画の基調となっておる次第でございます。  このような見地から、まず国際収支でございますが、三十二年度の下期にはかなり好転いたしましたものの、三十三年度には米国輸入銀行あるいは国際通貨基金からの借款の一部が返済期に入りますし、また対外信用を高める上からも外貨保有高を増加させることも重要でございますので、三十三年度としては少くとも一億五千万ドル程度の黒字は見込んでおかなければならぬと考えております。他方事情の許す限り、経済の拡大をはかり、生活水準を高めることはもとより経済政策の基本的な課題でございますから、適度な経済成長に必要な輸入を確保しなければなりません。こうした両面の要請を満たしますために、三十三年度には三十一億五千万ドルの輸出目標を達成する必要がございます。この水準は本年度に比べまして、約一一%の増加でございます。従来の日本貿易の伸びから申しますと、必ずしも高い目標ではございません。しかしさきに述べましたように、国際情勢の見通しは、目下のところこの伸張について警戒を要する面もございますし、船舶の輸出が頭打ちだというような事情もございますので、この輸出目標は決して容易なものではないと考えておりますが、国際比価の好転でございますとか、輸出圧力の増加、海外市場開拓の前進等の事情もございますし、輸出振興に格段の努力を重ねることによりまして、この輸出目標は達成できないものではないと考えております。三十三年度においては、特に金属、化学製品、機械類等の伸びを大きく考えております。他方輸入の面でございますが、輸入価格の下落、製品輸入の減少などを考慮いたしますと、国民生活に必要な食糧や生産上昇に見合う原材料の輸入を十分に織り込んでも、今年度並みの三十二億四千万ドル以内で間に合うという計算に相なります。従いまして特需や貿易外収支をあわせて考慮いたしますと、実質で一億五千万ドル程度の黒字が期待できると考えられます。  次に投資活動につきましては、設備投資意欲は三十二年度に比べてやや低くなるものと考えられますが、エネルギー部門などの継続工事も多額に上っておりますし、また技術革新、合理化のための投資誘因も多少ございますので、設備投資全体の水準といたしましては、ほぼ三十一年度並みに落ちつくのではないかと考えております。また在庫投資につきましては、製品在庫の調整は三十三年度にもまたがり、在庫需要はかなり低く、緩慢なペースですべり出して参るものと思われますが、生産が逐次上昇するに伴いまして、次第に正常化するものと考えております。  卸売物価につきましては、先ほど申し上げましたように、三十二年度相当低落いたしまして、総合的にはおおむね現状程度の比較的低い水準で、安定して参る見込みでございますが、内容的には不均衡是正の動きが、今後も続くものと考えております。この結果年度平均でとりますと、卸売物価は三十二年度に比べまして一・四%の下落ということに相なりまして、国際比価はかなり好転するものと期待されております。消費物価につきましては大体弱含みの横ばいと見ておる次第でございます。  次に消費支出につきましては、本年度の経済調整のずれもございまして、かなり底固い基調は持っておりますものの、若干伸びが鈍化するものと考えております。前年度対比で五%程度の増加にとどまるものと見込んでおる次第でございます。  以上のような経済情勢のもとにおきまして、三十三年度の鉱工業生産は主として下期において上昇いたしまして、前年度に比べて四・五%、製造工業で申しますと四・六%の伸びになると思うのでございます。このほか農林水産の伸びは一・四%程度と見られますので、三十三年度の国民総生産は約十兆二千億となりまして、三十二年度に比べまして名目で二・三%、実質で三%の経済成長を見ることに相なります。この成長率は長期計画の六・五%に比べて一見低いということはいわれておりますが、これは非常に高度の成長を遂げました三十一年度に続く三十二年度と比較してのことでございまして、カーヴをとってみますと、これは決して低い数字ではございません。三十三年度の国民総生産の規模は、長期計画で想定しております線から見まして、その三十三年度にほぼ合致するわけでございます。  以上のような産業活動及び経済の伸びをもとにいたしまして、雇用につきましては、三十三年度は三十二年度に比べまして六十五万人程度の雇用者数の増加を見込まれます。また、就業者の面では、雇用者の増加よりも多くて、約百十万人程度の増加と思われます。  はなはだ簡単でございますが、経済指標の概略について御説明を終ります。

江崎真澄自由民主党

○江崎委員長 以上をもちまして提案理由の説明は終りました。     —————————————

江崎真澄自由民主党

○江崎委員長 この際お諮りいたします。総予算につきましては、国会法第五十一条によりまして、必ず公聴会を開かねばならぬことになっております。つきましては、昭和三十三年度総予算の公聴会開会承認要求の手続、その他開会に関する手続等は、先例によりまして委員長に御一任を願いたいと存じまするが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江崎真澄自由民主党

○江崎委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。     —————————————

江崎真澄自由民主党

○江崎委員長 次にお諮りいたします。昭和三十三年度総予算審査のため、分科会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江崎真澄自由民主党

○江崎委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。  なお分科会の区分、主査の選定及び分科員の配置等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江崎真澄自由民主党

○江崎委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。  午後二時より再開することといたしまして、暫時休憩いたします。     午後一時十七分休憩      ————◇—————     午後二時二十二分開議

江崎真澄自由民主党

○江崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和三十三年度一般会計予算、同じく特別会計予算、同じく政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  柳田秀一君より発言を求められております。この際これを許します。柳田秀一君。

柳田秀一日本社会党

○柳田委員 これから予算案の審議に入るのでありますが、審議に入る前に、委員長を通じて一つ内閣に要請しておきたいことがあります。と申しますのは、予算案は、申すまでもなく内閣の連帯責任で出してきておる。従って、この審議に当りましては、われわれは内閣の構成分子である閣僚諸公から尋ねたいことを真剣にただしておる。ところが従来の経過から見ますと、往々にして閣僚諸公が責任ある答弁を回避して、いたずらに属僚に答弁をゆだねられる傾向が多分にあると思う。はなはだしきは、野党の代表が質問しておる最中に、政府委員である者が大臣の横にきて耳打ちしており、大臣はこちらの質問を何も聞いていない、うわのそらでしきりに答弁の打ち合せをしておる。こういうことは、議会政治にとっても私は決して好ましいことじゃないと思う。質問する方にも、やはり閣僚が答弁できる程度のことを質問するという限度もありましょうが、少くとも答弁される閣僚は、やはり自己の責任において明確に答弁されるよう——大体政府委員が答弁に当るというような例は、イギリス等において全然ないことでありますから、そういう点は、今後一つよき先例として、今国会から私は励行してほしいと思う。こちらが質問いたしまして、質問の内容によりまして、事数字等にわたって閣僚諸公において即刻答弁できない場合には、求められれば、政府委員をして打ち合せせしめ得る時間の余裕等を与えるにわれわれやぶさかでないのでありますから、こちらの質問を聞かずに、初めから政府委員と打ち合せをしておるというような不見識なことは一切やめていただきたい。この点は、一つ委員長から内閣を通じて厳重に要望していただきたい。  第二は、予算に関連のある法律案の提出が毎国会おくれるのは常例であります。本来ならば、予算に関連のある法律案は、予算案と同時あるいはその前に提出することが私は常識だと思います。しかし、そうかといって前例もあることでありますけれども、特に今度の予算案を見ますと、例の軍人恩給の法律案のごときは、単に法律案が予算を執行せしめるための法律案というよりは、法律案そのものが予算案の実質なんですね。こういうものは、やはり出していただかねばわれわれは審議に応じられない。お出しになるまでは、われわれは審議をやめましょうと言ってもあえて過言じゃないと思いますが、総括質問をやっておる際でありますから、われわれもそこまでは言えません。野党も、国会の正常化には、昨日の両党首会談のごとく協力しますから、少くとも何件あっていつお出しになるのか、そういう点を、一つ官房長官からでも明確にお答え願いたい。  第三は、今度の予算案、ことに補正第二等を見ますと、予算の根本である単年の原則が、私は非常にくずれておると思う。昨年の食管会計の赤字問題におきましては、決算確定を待たなければ補正をしないといっておる。ところが今度のこの補正を見ますと、三十二年度の決算確定を待たずして補正を出してきておる。その前年のときは、やはり決算確定を待たずして、その年度中にちゃんと補正をして始末をつけられた。ところが今度は、それどころか、さらに三十三年度の調整勘定と称して、三十三年度分まで先食いして三十二年度の補正で出してこられる。こういうふうに、特に財政法の中にも、特別会計については一条設けておりますが、財政法の根本原則は、やはり私は生きておると思う。ただそのときの都合主義で、時によっては決算確定を待たずして、時によっては決算確定を待って、あるいは決算どころか、今度は次年度の分までも前年度に補正予算として出してこられる。補正予算というものは、予算編成後の事由に基いてやむを得ざる場合にのみ出すということも、これまた財政法に書いてある。そういうふうに、財政法の精神をそのときの御都合主義によってじゅうりんされるということは、ゆゆしい問題だと思う。この点に関しては、私はこれ以上申し述べませんが、いずれ質問の中において、この点はさらにわれわれ追及して参りたいと思いますけれども、こう混乱されて参りますと——またここで一つ言えることは、今回の補正第二、さらに補正第三が近く出ると思いますが、この補正第三も当然三十二年度予算、三十三年予算にみな関連したものだと思う。そうなって参りますと、補正第三が出ない限り、この三十三年度予算を審議する上において、われわれは重大な考慮を払わざるを得ぬと思うのです。従って、補正第三はいつごろお出しになるのか、少くとも本予算案を審議しておる最中にはお出しにならなければ、われわれとしても、本予算案審議の進捗に重大な支障ができるであろうということだけは警告申し上げる必要があると思う。そういう点に関して、委員長の方でしかるべく御善処を願いたい。

江崎真澄自由民主党

○江崎委員長 ただいまの柳田君の御発言は、お聞き及びの通りであります。政府におかれましては、ただいまの御発言の趣旨を御了承の上善処せられまするよう、特に委員長より要望いたしておきます。  この際、岸総理大臣より発言を求められておりまするので、これを許します。岸内閣総理大臣。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 ただいま柳田委員から、本議場における質疑応答について、国務大臣が責任を持って答弁するように、また従来往々にしてあったような、質問中に打ち合せその他のために、はなはだ体裁がよくないこともあるということから、そういうことのないようにという御注意であります。われわれ責任を持って、それぞれの担当の方にできるだけ勉強をしていただき、御質問には、責任を持ってお答えをすることにいたすように努力をいたします。ただ、なかなか御質問の方は、非常によく御勉強になっておりまして、われわれの勉強を上回ることも往々にしてございまするので、(笑声)そういう際におきましては、適当にしかるべく打ち合せをしたいと思いますが、しかし議場における不体裁、その他質問者に対し礼を失するようなことのないようには、十分努力をいたすつもりでおります。  それから、なおおあげになりましたいろいろ関連する重要法案なり、あるいは補正予算等につきましては、御趣旨に沿いまして、できるだけ早く出すようにいたしますが、大体の進行状況につきまして、官房長官からお答えをさせます。

江崎真澄自由民主党

○江崎委員長 この際官房長官よりも発言を求められておりまするので、これを許します。愛知官房長官。

愛知揆一自由民主党内閣官房長官

○愛知政府委員 お尋ねのございました、予算関係の法律案につきまして御説明を申し上げます。ただいま現在で国会に提案いたしておりまする法律案の件数は、三十一件でございます。それから条約が七件ございます。そのうち予算関係のものが、法律案で十四件、条約で一件ございます。今後予算関係の法律案といたしまして、約四十件、二月中旬までに提出をいたす準備をいたしております。その他二十件ばかりございますが、これは、さらに二月の下旬になろうかと思いますが、できるだけすみやかに提案をいたしたいと考えております。  いわゆる軍人恩給関係の法律案につきましては、大体二十日前後に法律案を提出する予定でございますが、この件につきましては、御審議の対象として御審議を促進していただくという意味がら申しまして、法律案の大綱というような中身につきましては、一両日中にお配りができる用意をいたしております。  第三次補正は、先ほどお話がございましたが、三十三年度分と直接関係のないものが内容でございますが、しがし、できるだけすみやかに提案をいたす用意でございます。

江崎真澄自由民主党

○江崎委員長 これより質疑に入ります。川崎秀二君。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)委員 私は、自由民主党を代表しまして、岸内閣総理大臣並びに関係閣僚に対し、本会議における施政演説、並びにただいま提出されておりまする予算案の大筋につきまして、質問をいたしたいと思うのであります。  まず今度の国会は、社会党がら二月三日解散決議案が提出されまして、その審議の結果、少数をもって否決をされたとはいいながら、これから予算の審議の開始に当りまして、はっきりとただしておかなければならぬことは、岸総理大臣のこれに対する所信の表明であります。いわゆる一月解散というものはなくなったのでありますが、これから予算案の審議は、常識的にいいまして、二月から三月一ぱい衆参両院でかかるのであります。政府及び与党は、国民経済に及ぼす深刻なる影響や国政の空白を避けるため、現下の解散を否定したものだと本質的には思いまするが、目下は、国民のだれもが、予算審議に国会は全力を尽すべきことを要望いたしておると思うのであります。それにしても、解散の機運というものは消えたわけではない。院外には、相当解散を要望する機運が高まってきておるということを私は否定するものではないのであって、その関係で、予算及び関係重要法案がこの空気の中に審議されることは、いやが上にも議員の心理を撹乱するものであります。この際、岸首相は、予算案の審議開始に当り、むしろフエァ・プレーに、解散の時期について明白なる所信を開陳していただきたいと思うのであります

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 解散につきましては、従来ともいろいろな論議が行われております。また今国会におきまして、おあげになりましたような社会党提案の解散決議案も審議されたのであります。私は、すでに予算案編成を終りました際に、内外の情勢から見て、この予算案を成立せしむることは、わが国にとって最も緊急である、また岸内閣といたしまして、予算案並びに重要法案、重要条約案等の御審議を願っております。これらを成立せしむることは、日本の国民経済の上から申しましても、また国際的な日本の立場から申しましても、最も必要なことである。私としては全力をあげてこれに力を尽したいというのが、今の私の考えの全部でございます。  解散の時期を明確にすべきではないかということでありますが、私は、解散は事前にその時期を明確にすることは、この現在の情勢においては適当でないと考えております。ただ御承知の通り、来年任期が終りますので、一般的に本年中に総選挙が行われるであろうということは、だれが考えましても、そういうふうに結論が出るわけであります。そのために、いろいろと時期が問題になることも、私はやむを得ぬと思いますけれども、私自身としては、今申しましたような、われわれに課せられておる非常に重要な任務があるわけでありますから、それに向って全力をあげるということに一切を傾倒いたしておるわけであります。時期について、私は今どの辺の時期にしようというような考えを持っておりません。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)委員 昨年、私は石橋内閣の臨時首相代理としての岸総理大臣に質問をいたしたことがあります。しかし今日は、一国を背負って立つ政治の最高責任者に質問をいたすのであります。私もまた党員としての立場を守りつつ、かつ国会議員としての職分に照らしまして、首相の政治理念を明らかにしていただいて、この時代にふさわしい指導的見解を打ち立ててもらいたいと念願をするものでございます。  昨年、岸外相時代、あなたの世界平和に対する見解は、ジュネーヴの雪解けがやや凍結化しつつあるということを指摘して、国際緊張の緩和、冷凍化を唱えられたことがあります。その後、この判断には狂いはないのか。大体衆参両議院における速記録をたんねんに調べてみると、そういう傾向の言辞が多いのでありまするけれども、その後世界情勢は、一つの段階を画しておるわけであります。アメリカに先じて人工衛星を発射したり、ソ連の成功は、何といっても世界の人心に相当の影響を与えておることは事実であります。この間、ソ連はいわゆる力の外交を逆転して、これを武器に相次ぐ平和攻勢と、いわゆる書簡外交を展開しておる。今日ソ連の提案は、きわめて現実性を帯びてきて、しかも軍縮提案などは、もしアメリカ側がこれに賛意を表するようなことがあれば、一歩平和へ大きな前進をするのではないかとさえ思われるのであります。近来アメリカも、また小型ではありますが、人工衛星の発射に成功した。その誇る膨大な産業設備と組織の威力からいたしまして、力のバランスが再び均衡化への傾向を歩む見通しもあるとはいいながら、私は最も憂慮にたえないのは、このような力のバランスによって平和を維持しておるということの危険性であります。従って、バランスがくずれたときにおけるところの世界の様相に対しては、われわれはりつ然とせざるを得ない境地に置かれている。この平和情勢は、一体長く続くものかどうか。この平和をして恒久平和の態勢に持ち込むためには、どのような努力を各国の首脳者が払わなければならないか。まず私は、平和を守るための岸総理大臣の政治的な理念についてお伺いをいたしたいと思うのであります。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 われわれが世界の恒久平和を念願し、安定した基礎の上に安心してこの平和を楽しみ、これに基いて人類の福祉を増進し、文化を向上するというこの理想を達したいということは、人類始まってからの理想であり、またわれわれもそれを強く念願しておるのでありますが、今御指摘のように、いわゆる力の均衡による平和ということが過去におきましても、幾たびがある時期の間一時的に保たれてきた。また第二次世界大戦後における今日までの状況、また現状も、まだそういう状態であると思います。しかるに最近におけるいわゆる科学技術の非常な画期的な進歩、また原子力の発見による大量殺戮兵器の出現というものが結びつきまして、いわゆる力の均衡による一時的な平和ということの将来に対しては非常な懸念を持つというのが、今日の世界の不安であると私は思うのであります。従いまして、私どもはこの間に処してどうしたら恒久的平和が作り上げられるか、不安にかられながら、とにかく戦争がないということの一時的な平和ではなくして、ほんとうに安定した、安心した平和状態ができるかということを探求し、それを実現するというのがわれわれの使命であり、またわれわれとして努力をしなければならぬことである、かように考えます。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)委員 ただいまの答弁では、よく私には理解ができないのであります。それじゃ、具体的に一つ聞いてみたいと思うのですが、この間の施政方針演説の眼目といえば、今日の情勢に至っては、東西首脳会談の促進を期待する、これが、私はやはりみそだと思うのであります。ところが、東西首脳会談を促進するためにどういう手を打っておるのか、それをまず伺いたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 川崎委員も御承知のように、先ほど申したような力のバランスによって、力で競争して、その優越を保つことによって一時的平和を保とうという方法でいかぬということは、話し合いによって、今申したよりも一段高い見地に立って、平和というものの作り上げに世界が協力するという態勢を作らなければならぬ。それには、話し合いでなければ私はできぬと思う。今日特にソ連の首脳部から、ブルガーニン書簡等によって、この東西両陣営の間における話し合い、首脳者会談というものが提案されております。ところが今日の状況を見ますと、それがほんとうに相手国を信頼し、相手国がこれを受け入れるというふうな基礎ができているかどうかというと、そうじゃなしに、ここに非常な不信がある。その提案に対して、真意は、むしろ平和攻勢の一つであって、真に誠意をもってそういうことを考えているのではないというふうな気持が米英側にあることは、いなむことができないと思います。しかも過去において、こういう首脳者会談がジュネーブで行われたその後における外相会議の失敗というようなことから考えてみまして、理論的に今の不信の念が一掃されない限り、実現は非常にむずかしいと私は現状を見ております。  しかしながらわれわれとしては、その不信をいかにして除いていくか、またそういう話し合いをいかにして実現するかということは、これまた私は、真にその状態を憂慮する真剣な政治家の話し合いによってそういう機運を進めていくことが、今日の段階において最も必要だ。ただ書簡に対して書簡をもってこたえるというような一片の文書のやりとりということでは、国際間に存している一番大きな障害になっている不信感というものを除くことはできないのであります。この不信感を除くようにわれわれが努力することである。それは、国連におけるわれわれの言動なり、あるいはこれに参加している国々の行動にも非常な関係があります。われわれがあらゆる外交の機関を通じて各国の意向を打診し、またその機運を進めるようにあらゆる面から努力していくことが必要だと思います。この不信感を除くことに、今後日本としては最も大きな努力をしていきたい、かように考えております。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)委員 お答えの筋は大へんわかりました。話し合いの場をうんと作った方がいい、不信感を除いた方がいい、こういうことであります。それは、東西両国の首脳の間の不信感を除けということであって、それに対する東西首脳会談を促進することを期待するという人の立場ではないと思う。岸首相としては、どういう構想を持ってこれを実現するための側面的な努力をするかということが必要なのであります。  具体的に言うならば、藤山外務大臣は、何でもこういう会談を促進せしめるためには、一ぺんアジアの外相でも寄ってみようじゃないかというようなささやかなる一つの提案をされております。ところが岸首相は、どういうお考えであるのか、これらの問題については、岸首相と藤山外務大臣との間に、とくと一つの構想を練られてこなければならぬと私は思うのであります。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 今後これを実現するにいかなる具体的な方法をとるかということにつきましては、私はいろいろな考え方があると思います。あるいはアジアにおける外相会議の問題もありましょうし、またわれわれと同じ考えに立つところの国々の首脳部との間に共同の立場をとって、そういう機運を進めるという方法もありましょうし、また米ソ両方の首脳部に、十分に世界の大勢を説き、反省を求めるという方法もありましょうし、いろいろな方法があると思います。ただ単に、この際具体的にどの外相会議を開くとか、あるいはどこで会談をするとか、あるいは文書を送るとかいうふうなことではなくして、それらを通ずる、今申したようなあらゆる面からわれわれが—一それは、お話の通り、米ソ両国の首脳部の間の不信感なり、あるいはいろいろな支障というものを取り除いていく、両方が会えばいいことで、われわれの問題じゃないのでありますから、そういう機運を作るということがわれわれに課せられておる問題です。そのためには、今申すようないろいろな方法があるが、ここで具体的にどうするのだということを申し上げることは、私はまだ適当ではないんじゃないか、かように考えます。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)委員 ただいまのお話ですと、われわれは国会で東西首脳会談を促進することを期待すると言っておれば、何かそれができるようなお話であります。はなはだ私は失望せざるを得ない。やはりそこには、具体的な構想と行動がなければならぬ。それでなければ、世界平和などというものは私は断じて実現することはできない、こういうふうに考えるのであります。  そこで私は、藤山外務大臣にこの際伺っておきますが、あなたはこの間何かインドネシアへ行かれたときに、そこの外務大臣と話をされたそうですが、それはどういうことであるか、一つお伺いいたします。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 世界平和を促進して参ります総理の方針を体しまして、私としては、現実に諸般の手を考えて参らなければならぬわけであります。ただ巨頭会談と一言に申しましても、各国それぞれ巨頭会談のやり方等についていろいろ考えが違っております。また外相会議につきましても、これに賛成する人と反対する人の間におきましても、それぞれ理由がいろいろあるわけであります。そういうのをわれわれは十分聞いて、そうして具体的に問題を考える段階にならなければ、ただ日本だけが一人何らか急速にアクションをとったということでは、世界の賛同も得られないし、真実の目的も達せられないと思うのです。そういう意味において、私といたしましては、できるだけ各方面と話し合いをしながら、それぞれの立場における考え方を十分知って参りたい、こう思って努力しているわけです。お尋ねの先般インドネシアで、スパンドリオ外相と、これらの問題についてもインドネシア方面の意見も聞きました。またシンガポールでマクミラン首相に会いましたときに、不侵略条約等に対するマクミラン首相の考え等も伺ったわけであります。それらを参考にしながら進んで参りたい、こう考えております。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)委員 簡単にお尋ねしますが、そうすると、そのインドネシアの外務大臣と話をしたことは、将来アジアの外相会議をやろうとかいうことの提案で話をし合ったのではないのですか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 インドネシアの外相と話しましたのは、相当時間をかけていろいろ話しました。インドネシアの現在の問題もございますが、しかしその中で、アジアの外務大臣が一ぺん寄って、世界のいろいろな問題について、お互いにそれぞれの立場の意見を交換してみることは非常に緊要じゃないだろうかということを申したのであります。スパンドリオ外相も、その趣旨には賛成だ、お互いにどういうふうにしたらそういうことが実現できるかを考えてみようということで別れたのであります。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)委員 今東西首脳会談を実現せよというのは、やはり世界的な運動、ムーブメントと見ていいんじゃないか。そういうものを醸成させているとこういうことを東亜の一角からでも言い出したならば、別に日本だけが英雄的なアクションをとったってだめだとあなたは言われたが、そういう程度の低い水準に低迷しておるのでは、なおさらだめだと私は思う。やはり一つの行動、構想を持ち、そして着実にアジア外相会議を開いて、次にはアジア首相会議を開くとか、そうして東西首脳会談を促進をするような機運というものを醸成していく、やはり組織的な行動に出なければだめだ、こう私は思うのでありますが、ただいまのお話の程度では犬の遠ぼえであって、なかなか実現することはできない、むしろ大国間自身の了解に待たなければならぬということになるのであります。しかし、本質的な問題をさらに掘り下げて総理大臣に伺いたいと思いますので、論旨を進めますが、今日世界が平和の雰囲気の中にある。この平和の態勢というものがさらに十年ないしは二十年と続けば、現在もそうでありますけれども、人類の文明と繁栄はさらに地上未曽有のものとなって、あるいは世界の恒久平和体制も確立できるのではないかと私は信じております。しかしその十年、二十年の間の期間というものは、非常に危険性のある期間である。それは、多くの軍事評論家ないしは外交評論家が指摘しておるように、大陸間弾道弾の実用化、実戦化の時期の問題であります。つまりICBMが実戦用の武器として登場すること、これは、いわゆるボタン押し競争というものの開始を場合によっては意味するかもしれぬ。これは、ソ連側においては、今日多く測量されておるところによるならば、二年の後、おそくとも一九六〇年の秋には可能であろうという説があるが、大陸間弾道弾が実戦用になるという時期の問題であります。アメリカは、現在は立ちおくれておりますけれども、これに対してIRBMの量産がどんどん進んでおります。さらにICBMが完成すれば、いわゆる対ソ包囲網体制というか、中近東からヨーロッパにかけての軍事基地がさらに強力になることだけは——これはまた一つの可能性を含んでくるのであります。いわゆる世界の最終の戦争であるといわれる。そのことは、ないことをわれわれは念願しておるが第三次大戦がそういう時期において一つのポシビリティを持ってくるということは、これは予想されないことではない。私は、この世界の最大の危機、すなわちボタン押し競争と呼ばれる人類最大の悲劇を克服するということは、今各国の首脳者もそうであるけれども、日本の指導者にも課せられた重大な使命であると私は思っておるのであります。この一九六〇年ないしは六一年の危機説というものは、多く軍事評論家の方面から言い出されたことであって、私は必ずしもそれをそのままに受け取るものではございません。むしろこれを回避しなければならぬ。またあらゆる努力を平和に傾けなければならぬという側には立っておるけれども、なおかつその危険性というものを認めざるを得ない状態に今日はあるのではないか。この厳粛なる問題を控えての日本の首脳の発言というものは、非常に重大であります。ここ二、三年あなたが政局を担当するとするならば、その動きは、平和の維持に非常な影響を持ってくるわけでありますから、首相は、世界平和の体制確立に対してもっと具体的な構想を私どもにお示しを願いたい、かように思うのであります。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 御指摘のように、私の先ほどお答え申し上げましたように、この力のバランスによる平和というものが、今日のような軍事科学の発達によりまして、非常な将来に対する不安を受ける、その不安感が世界を今おおうておる状況であろうと思う。これを除くのには、先ほど私が申したように、どうしたってただ力のバランス、進歩発達したところの科学技術なり、あるいは武器の優秀を誇るということじゃなくして、人々が世界の平和を作り上げるための話し合いを進めていかなければならぬというように考えるのが当然です。またそれを推進するような、そういう機運を作っていく、またその機運に東西両陣営の国々の巨頭が反省をするという一つの世界情勢を作ることがわれわれの任務である、こう思うのです。それを、それではどういうふうな具体的な方法をもって実現するかということになりますならば、先ほども私お答え申し上げたように、今ここでいろいろな構想もありましょうけれども、それよりもその根底において大事なことは、いかにすれば、われわれの力でもって、さっき言っている大国間の不信観念を払拭することができるようになるかという問題であります。私はこの意味において、小さい、世界の各地におけるいろいろな問題、中近東における諸問題であるとか、あるいは東欧における問題であるとか、アジアにおける諸問題というものを、とにかくこれを合理的、平和的、また恒久の平和を作り上げる方向に解決していくことに努める、それぞれそれを積み重ねていくことが、やはり必要だ。その道程においてこの両陣営が示す行動こそ——決して宣伝や議論やあるいは文書の上の美辞麗句ではなくして、行動でもって両方の不信を払拭するということに努めていかなければならぬ。それには今申すような世界各地におけるところの具体的な問題が極東にもあります、あるいは中近東にもあります、そのあらゆる問題を解決すること、私は特に国連を中心として世界の良識に訴えてこれを合理的に解決するということが、われわれの最も進んでいくべき道である。その道程におきまして、いろいろな、あるいは友好国首脳部との間の会談をするとか、あるいは同じような立場に立ち、考えを持っている人々がさらに強力な発言をするような方法をとるとか、いろいろなことがありましょうけれでも、大きな道としてはそういう方法で進んでいきたい、かように思っております。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)委員 今国会における外交論議ないしは施政方針演説をめぐって、政府と野党との間に、イデオロギー的には違っておりながら、その方法と手段において必ずしも違ってない面が出てきたことは、喜ぶべき現象だと思っております。そのことは何かというと、力によって平和を維持するということは反対である、話し合いによって世界の平和を維持しなければならぬという考え方を岸総理大臣も出し、藤山外務大臣も出し、鈴木委員長も出した、こういうところに一つの共通点があると思うので、そのことが日本の一つの行くべき道になったということは、私は非常に喜ぶべき現象だと思うのです。かつてはやはり力の差というものによって平和を維持することがいいのだという論者もかなりあった。それがなくなりつつあるということは非常にけっこうなことだと思うのですが、ただいま申されたことで国連中心主義であるということ、そこに私は一つの問題を繰り広げていきたいと思います。  政府は外交方針の原則として、国連中心主義と自由諸国との提携あるいはアジア諸国との友好の三原則をあげておるわけでありますが、世界の平和の体制を固める手段としまして、現在の国連の組織と機能を強化することは確かにそれは一つの方法であります。しかし国連にはなお五大国の拒否権が厳として保有されておる。またその五大国の中に、世界を脅威する軍備を米ソ両国が持っておるという事実からして、国連というものの性格を分析してみると、平和の保障者である性格を持ちながら、反面平和への重大なる支障を内包しておると言って過言でない。ここに国連というもののその将来を見通すならば、あるいは国際連盟よりも強力なものにはなるけれども、同時に破局的な世界戦争へ導くところの議論の場だというふうにも考えなければならぬのであります。国連における日本の代表は、大国間における拒否権発動の制限を訴えておる。これは非常にいいことであります。これはその成否にかかわらず、一つの平和への意欲であると私は思います。しかしわれわれはさらに積極的な提案を行う必要があると思う。それは今日かなり世界の平和論者から将来の世界連邦への道程として国連の強化を考える場合に残された一つの大きな問題は何かといえば、これはやはり国連警察軍を常設するということではないかということであります。一昨年スエズの事件が勃発した際、国際連合のとった態度は、今後の世界平和の維持に対して一つの曙光を与えたものであると私は思うのであります。あの際のアイゼンハワー大統領のきぜんたる正義と平和に徹する発言はもとよりでありますが、これとともに国連が著しく信用を回復したのは実に国際警察軍を派遣することに成功したことであります。しかしスエズには成功したけれども、ハンガリーには成功しなかったという、また弱い面の出てきておることも事実であります。しかしとにかくこの成功を一つの拠点として、再び中東事件に類似するような事件が惹起することを防止するためにも、またかような事件が招来する全面戦争勃発の危険を防止するためにも、国連常設警察軍を組織しろという要望は、世界の三十一ヵ国から今日起っておる。中東に派遣された警察軍は皮肉にも五大国を除いて行われた。今度組織さるべき国連警察常備軍というものは、当然五大国を含んで国連が直属の常設軍を持つことによって、これを世界の紛争地点に配置すれば戦争を未然に防止する力を持つことになり、これに反逆する行動は世界正義への挑戦という烙印を打たれることになるわけであります。そこで国連警察軍の常設ということに対して日本がやはり取り組まなければならぬ。現にマクミラン首相もまたロイド外務大臣もこれをイギリスの一つの国策として近く国連に提議をしようとしておる。イギリスのことであるからやる前には相当の地固めをしておる。われわれの側にもいろいろな呼びかけがある。日本の国会の中にも世界邦連の国会委員会というものができております。それに対して非常に強い働きかけがあって、ぜひ日本に対してもこれに賛成してくれ。出るときには少数ではいかぬという考え方からこういう提案をいたしておるのですが、日本は積極的にそういうものと取り組む意思があるのか。むしろこれに賛成して国連警察軍の常駐ということに、初めは小さな軍隊でもだんだん拡充してこれに刃向うものに対しては当然世界の制裁があるという方向に導くならば、世界平和に対する一つの方向を明示したことになるのであります。総理大臣の御見解を伺っておきたいと思うのであります。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 国際連合の現状を見ますと、その国連憲章に示されておる崇高なる理想目的というものを達するに必要な機構であるとか、あるいはこれに参加しておるところの国々がその精神をほんとうに体してその方向に動いておるかどうかについては、私はいろいろ遺憾の点が少くないと思います。そうしてわれわれが今回非常任理事国の一として安保理事会にその席を占めるようになりました以上は、私はあくまでも日本の使命は、この国連憲章の精神を具体化さす方向に努力すべきことである、その一つの現われとしていわゆる拒否権の制限の問題をわれわれも提案いたしておるようなわけであります。  さらに今御質問になりました国連警察軍の常置問題ということは、なお幾多の困難がこれには伴うものであると思いますし、また警察軍の本質等につきましても十分な検討を加える必要があると思いますが、しかしいずれにしてもこの国連憲章の精神を無視するような行動をするものに対して、ある程度の実力的制裁を加える必要もありましょうし、またいろいろな世界の各地においてそういう騒乱の起りそうな場合において、それを防止するには相当な実力を持っておるということが必要でありましょうし、いろいろな意味において私はやはりこの国連というものの組織が完備していく上から見れば、どうしても力をある程度持つことが必要である、従ってその意味において警察軍が常置され、整備されるということにつきましては、方向としては私は日本としてもその方向に協力をすべきものである、かように考えております。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)委員 方向としては協力すべきものであるということでありますので、これは大体首相の御発言を了とするものでございます。  私は国連がかりに拒否権の使用に制限を加えることに成功したり、あるいは国連警察軍というものを創設することに成功したとしても、なお国連が世界の各国家に主体を置いた連合組織であり、その加盟、脱退の自由を認めている以上、完全に戦争というものを防止することができるかということについては、また非常な疑問を抱かざるを得ないのであります。そこで世界の恒久平和体制への確立を思うときには、そこにもっと徹底したものの考え方をしなければならぬ時節になったのではないかということを感ずるのであります。現在の世界の危機を醸成しておりまするものは、明らかにイデオロギーの対立にあるのでありますが、このイデオロギーの相違という戦争の理由は、幸か不幸か最近におけるミサイルの成功や原水爆の巨大なる破壊力によって、著しく色あせた存在になりつつあることもまた見のがせない最近の傾向だと私は思っておるのであります。もしこういう巨大な破壊力を幸いにして生産的な方向に転ずることができるならば、イデオロギーや社会形態の相違というものを全く無意味にするような強力にして巨大な経済力の基礎が浮び上ることとなり、それがイデオロギーの相違を全く無価値にする方向へも動きつつあるのではないか。人類の歴史というものは最近非常に目ざましく変りつつあるのではないかということをわれわれはこの瞬間に感ずるのであります。こういうことは人々の心のうちの変化にも相手国のイデオロギーに対して次第に——わずかばかりではありまするけれども、相手国のイデオロギーに対して寛容の精神が次第に生れつつある、これを私は指摘してみたい。たとえばソビエトに対して最近まで封じ込め作戦でなければソビエトを倒すことができない、こう言っておったジョージ・ケナンなどという者も、今日ではヨーロッパから引き揚げた方がいい、西独から撤退した方がいいというようなことを言っておる。それからアメリカの資本主義の経済政策というものも非常に変ってきておる。今日日本の経済界の中で非常な大論争になった名和論文などというものも、やはり資本主義の形態の変化ということに目をつけた新しい論文の提出だと思っておるのであります。同時にソ連の方も変りつつある。ソ連の変り方というものはそんなに急激ではないけれども、たとえばソ連の公式的な共産主義というものがやや変化して、自由主義経済市場というものを制限の中にでも認めようという傾向もあるし、農機具あるいはトラクターなどというものも最近フルシチョフは生産者に与えておる。国営工場というもの、あるいは国営農場というものの姿を変革しようという考え方もできておるのであって、こういう時代に入ってくるとすれば、当然総理大臣が申されておるところの話し合いの交流というものをどんどんとするということが必要であると同時に、第一次、第二次の大戦前の様相とは異なって、今度の大戦はやれば人類の最後である、従ってこれが不可避なものだとは考えない思想も相当にびまんをしてきておるのであります。人類の努力によっては完全に第三次大戦というものを防止することができるのではないか、とすれば私はやはり日本はもっと違った角度から問題を考えてみて、もっと高次元の世界に出発をする必要がありはしないか。すなわち国境をはずしての世界連邦の結成ということに対して、日本が真剣に努力をし得るところの、一番発言権を持ち得るところの国家じゃないかというふうに考え出しておるのであります。  平和共存などという言葉はまだ疑惑が残る態勢であります。平和を口にする者の決定的な目標というものはやはり世界連邦でなければならない。私は幸か不幸か、昨年の国連総会の席上において、岸総理大臣が、将来の日本の理想というものは、世界的民主政府の樹立にあると言われた証拠を握っておる。これは本心から言われたものか、あるいは国連へ行ったときのお話であったかはわからぬけれども、そういうことであるとすれば、ぜひこれは世界連邦に対する方向へ日本の国家を向けてもらいたいと心から念願をするものでありますが、総理大臣の御本心を伺いたいと思うのであります。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 私は、われわれの理想として世界の平和、恒久的な平和ということを念願しておる。究極において世界が一つの連邦のような形において対立、抗争のない連邦国として、一つの目的に向ってすべてのものが協力するという組織といいますか、仕組みができ上るということは非常に望ましいことである。その意味において、私は世界連邦という論者の主張に対しましては、非常に傾聴すべきものが多いと思うのであります。ただ現実の問題として、どうしてそれを実現の方向へ進めていくかという問題については、やはり今の国連というものが、先ほども申しましたように、私は今の状態が完全なものであるとは考えません。しかし単なる、いわゆる会議外交の場所ではなくして、これに加盟しておる多数の国々の代表者が集まって、いろいろな重要なる問題について論議がかわされ、世界の大多数の意向がどこにあるかというようなことがきまっていく、いわば一国内における国会のような性質をだんだん持ってくる傾向があると思います。こういう意味において、国連が、単なるここにおいてお互いの利益を主張し、この機関を利用してお互いの国の立場をよくするということじゃなくして、ここに協力と、理想の平和の世界情勢を作り上げようという人類の努力の現われとして国連というものを私は見たいのであります。こういう意味において、国連における日本の代表の活動もそういう方向にいきたいと思いますし、今川崎委員のお考えを述べての私に対する質問である世界連邦という理想体系も描き出せる。現実はあくまでも今言った国連を中心に、そういう機運を進めていくということが実際的であろう、かように考えております。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)委員 この問題については、もう一つ私の所説を申し上げまして終りといたしたいと思うのでありますが、ぜひ現実に政権を担当しておられる人々の自覚と、また理想が高くなければならない、そうして国を引っぱっていっていただかなければならないということの意味から、私は申しておるのであります。私は人類は最後の戦争を防止するために、最後的には諸国家の主権を清算すべき段階に入りつつある、入らなければならぬというふうに感ずるのでございます。総理大臣の御演説の中にも、また藤山外務大臣の御演説の中にも、科学が人間を支配しておる現状を打解しなければならぬ、人間が科学を、また政治が科学を支配し得るような状態にかえなければならぬと言われておるけれども、その人間が、また政治が科学を支配するというところの組織というものは、究極点はそこまでいかなければ本物ではない。イギリスの哲学者の最高レベルにあるバートランド・ラッセルの本年の年頭の辞を読んでみても、彼は、最近二十数年間における世界連邦運動にさらに一つの確信を持ち始めておる、こういうことを言っております。多くの人は世界政府を夢というけれども、紙の上によって平和を保てるという考え方はそれこそ夢である。今日科学を制御し、疑いと恐怖の悪循環を断ち切るための唯一の方法は世界政府を作り、これに武力を独占させることである。今日一方の陣営の力によって平和を築くことはできない。国連の軍縮討議では、双方とも相手が拒否することが絶対確実な提案のみを行なっている。最初になすべきことは善意を作り上げることである。これができねば人類は絶滅すると言っておりますけれども、私もこの考え方には深く打たれざるを得ないものがあります。社会党にもわが党にも、世界連邦論者というものは今日非常にふえてきておる。理想家の片山先生にしても北村先生にしても非常に熱心です。しかし現実的な政治家が……。(笑声)笑っちゃ困る。笑っちゃ困ります。あなたは非常に現実的過ぎる。そういう考え方を持って岸総理大臣が今後の政治理想に邁進せられるように切望しまして論題をかえるわけでございます。  次は沖繩問題について発言をいたしたいと思います。沖繩、小笠原島、特に沖繩につきましては、同島の内政に対する米軍関与の問題が、アメリカ民主主義のあり方という立場から、強く世界の非難を浴びておることはもちろんであります。瀬長市長追放後再び瀬長派が勝利を得たわけでありますが、私は瀬長氏が市長に当選したことは、共産主義に凱歌が上ったとは考えておらぬ。むしろこれは沖繩島民の民族意識がまだ死なない。われわれは弾圧をされても民族の血を守るのだという考え方があの勝利になった、こう私は考えておるのであります。歯に衣を着せずして言うならば、沖繩施政はアメリカ軍政の最大の失敗だと考えておる。アメリカは日本ではいいこともしたし悪いこともした。しかしアメリカ軍が沖繩でやっておることは最大の失敗だと思う。スエズ運河あるいはハンガリーの事件で非常にりっぱな態度を示したアイゼンハワー大統領は、それならば沖繩の問題についてはどうかというと、これは自分のことだから目が狂う。ヨーロッパやスエズの問題では、はるかに離れて、自分とあまり利害関係がない。それで公正な判断を下したと思うけけれども、その意味でアメリカのこの堂々たる態度というものが、沖繩に関してはくずれておる。このことについては、この間岸首相が行かれて交渉された際にも、ついに意見の統一を見ることができなかった。われわれも国務省のパーソンズという極東部長、小役人ではあるけれども、実際に仕事を担当しておるものの話を聞いても、沖繩問題はなかなかわれわれの感覚とは違うようである。残念である。しかし鈴木委員長の総理大臣に対する質問に対しての岸総理大臣の答弁は非常に明快だ。沖繩の施政権は返してもらわなければならぬ。これは日本国民の意思だと言っておる。日本国民の意思であるならば、もっと具体的に今後どういう行動に出られますか。去年話しに行ったというだけではない。私は軍事基地の問題についてはまた別の見解を持っておる。少し社会党の諸君と考え方が違う。ことに施政権の回復ということについて、これは今日すべての日本国民の私は意思だと思いますから、その点は明白に今後の構想を一つお話をしていただきたいと思うのであります。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 沖繩問題は、昨年夏、私とアイゼンハワー大統領との会談の際にも、私どもの考えとアメリカが考えておることとの間に非常な大きな食い違いがあるのであります。相当にこの点を意見を交換しましたけれども、ついに一致を見るに至っておらないのでありますが、私自身はあくまでも、この軍事基地の問題については、さらに第二の問題といたして、施政権の問題、施政権を日本に返還するということはこれを一日も早く実現すべきものである。従ってこれが返還を、一時にすべての施政権を返すということがむずかしければ、その一部からでも実現を期していくという考えのもとに今後進んでいきたい。現に最近の選挙に現われた結果等をも見まして、われわれとしてはアメリカの首脳部に対し、在米のわが代表をしていろいろとわが方の意見を述べ、これに対する従来からのわれわれの主張というものをやはり実現することに努力をいたしております。なおこの問題に関しては、アメリカ側において現地の事情等についての見解が、相当事実と違った認識を持っておる点も少くないと思います。われわれがいろいろの論議をかわしてみますと、事実その後また沖繩の実態そのものについての認識についての状態が相当に違っておるということも考えまして、これらについても十分な現地の認識を深め、まれこれに対する具体的の、今申す方向への前進を考えまして、われわれとしては交渉を続けているわけであります。さらにある時期には、今の外交ルートの交渉以上の方法によってこの問題を推し進める必要も出てこようと思います。今日のところはそういう状態にあります。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)委員 ちょっとそれに関連して伺っておきたいのですが、小笠原の返還というものは幾らか沖繩の立場とは違うのではないかというふうに私どもは見ておるわけでありますが、この問題については今日までの経緯はどうなっておりましょうか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 この問題につきましてもこの前のアイゼンハワー大統領との会談におきましても、われわれは提議をいたしております。ところがアメリカ側の認識といいますか、アメリカ側の意見は、やはり今日のところ沖繩と小笠原について根本的な認識及び考えの違いはないのでありまして、やはりこれの返還につきましては、沖繩同様に今日までわれわれの主張が通っておらないし、またさらにわれわれは、これらの地域がら引き揚げておる者の帰島問題につきましても、われわれの希望なり要望というものを向うへ伝えておるのでありますが、これまた相当長い交渉経過をたどっておるにかかわらず、それが実現しておらないということを見ましても、小笠原と沖繩に対するアメリカの考え方は根本的には違っておらないようであります。われわれとしてはやはり両方の問題、またそれの一部でもまず目的の方向に一歩でも進めるというような意味におきまして交渉をいたしておるわけであります。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)委員 日ソ漁業交渉に関しまして、農林大臣に伺いたいと思うのであります。先般来モスクワでずっと行われておりますけれども、その後の経過を見ますと、ソ連側の態度には全く納得のいかぬものがあることは世論が認めております。新聞の社説を引用して恐縮でありますが、けさの朝日新聞の社説は、かなり国民の言わんとするところを言っておるようなことでありますので、ここに引用するわけでありますが、「ソ連側のこのような厳しい要求は、サケ、マス資源の保護をその理由としているのであるが、資源保護の建前をとるなら、ソ連側の沿岸漁業においても、規制措置をとり、漁獲量の制限を行うのが当然のことだが、今までの前例では、ソ連側は単に漁獲目標量を日本側に通告するにすぎない。ソ連は河川に産卵のために接近するサケ、マスを獲るのだから、その漁獲は、日本の沖取漁法に比してはるかに容易である。ところが、資源保護の観点からは沿岸漁業より影響が少なく、しかも操業ははるかに困難な沖取漁業について、制限要求がいかにも厳しいのは、合理的だとは考えられない。」「ソ連側の主張はあまりにも一方的であり、強圧的であり、理解し難いものである。」ということを論じておるのでありますが、われわれは今日国交を回復したソ連である、なるべく親善の線を強くしなければならぬ。しかし先方とイデオロギーをこえて親善をいたしておるにもかかわらず、このように合理性のない主張というものを展開してくるということは、われわれとしては非常に納得のいかぬところであって、いかに相手が大国であろうとも、われわれはやはり正義と合理性というものを強力に主張して会談を打開しなければならぬのじゃないか。これに対する今日まで各種の情報を持ってられる農林大臣のきぜんたる声明を願いたいと思います。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 一月の十三日から、わが方の委員と先方の委員とサケ、マスの問題について交渉を続けてきたわけであります。私の方の主張と向うの主張と非常に違う点を二、三申し上げますと、第一には漁獲の期間を向うでは繰り上げろ——八月十日ということに条約になっておりますが、七月十日に切り上げろというふうなことを言っているわけであります。第二には、御承知のように条約上オホーツク海におきまして昨年は二船団、一万三千トンの漁獲の約束になっておるのでありますが、これは本年度においてまたあらためて協議するという保留条件がついておりましたので、その問題が問題になっておるのであります。それにつきまして、全面的にオホーツク海の漁業を禁止する、こういうようなことを言ってきておるわけであります。その他制限区域内におけるはえなわ漁業の禁止というふうなことも出ておりましたり、あるいはまた接岸地帯につきまして、ソ連の方は河川漁業でありますが、その河川に上ってくる魚が少いから、その河川に近い接岸地点について、昨年は北緯四十八度以北においては四十海里、以南においては二十海里、こういうことになっておったのでありますが、これを六十海里あるいは二十海里にしろというようなことを言っております。そういうようなことでありますが、わが方といたしましては科学的な根拠あるいはまた条約上の根拠から、公海上の漁業に対する双方の約束に基いてきめらるべきものであって、一方的に制限をするというような建前にはなっておらない、こういうことでいろいろな根拠をあげて強い主張をしておる段階であります。でありますので今御指摘のように、大国だから、小国だから、あるいはまたイデオロギー、こういう問題を離れまして、もちろん親善関係は保っていかなければなりませんけれども、主張すべきことは強く主張いたしまして、わが方の総漁獲量についての案を通していきたい、こういうふうに考えて交渉を進めている段階であります。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)委員 次に私は日韓問題についていろいろお尋ねをしたいのでありますが、ただいまのところ不法に抑留されておった人々が釈放されて、そしてさらに第二次、第三次の引き揚げもあろうかという非常に微妙な段階であって、政府の方もこの問題については非常に気を配っておられることと思うのでありますから、これらの本質的な問題は今日は論じないことにいたします。  ただ一点伺っておきたいことは、李承晩大統領という方はあのような反日憎悪心が非常に強い方である。しかしとにかくアメリカで育った自由主義者であることは間違いない。いろいろの批評はありますけれども、李承晩大統領の戦時中の日本に対する印象というものがある。その印象をさらに悪くするような代表を首相の個人特使として出そうとして失敗したことがある。私は、これは外務省が正式なルートで日韓正式会談というものを開始しようとしている矢先である、それだけでも二重外交のそしりを免れないので、これはきっと向うではいれないだろうというふうに考えておったけれども、果せるかなそういう経過をたどりつつあるのでありますが、私はこの首相の身辺に昔の右翼みたいなものがうろうろするということは非常にけしからぬと思っている。今は自由民主党というのは大政党です。そうして今日岸さんと同じ思想を持つ人々の寄り合いであるけれども、昔の右翼みたいなものがのさばり出して、そうして日韓会談の個人特使をやる、こういうことでは、向うでまじめに話に乗らないのは私は当然だと思う。あれは一体党と相談してきめたものでありますかどうか。またこの代表を今後あくまで突っぱねられるものであろうか伺っておきたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 日韓交渉は御承知の通り非常に長い経過をたどっております。他の国と違いまして、非常に近いまた歴史的にもいろいろなつながりのある国でありますので、いろいろこの問題の処理について意見を持っていろいろな動きをした人もあることは事実であります。しかし今御心配になっているような二重外交であるとか、あるいはいろいろ独自の意図で動くというようなことのないように、これらの問題は外務省に一元化して、すべてこの交渉をやったわけであります。今御指摘になっている人につきましては、実はこれは韓国側の方との間にはいろいろな知己友人をたくさん持っている人であり、またこの交渉の道程において、韓国側の代表機関との間にも従来親交のある人でありまして、従いまして政府のきめている外交の交渉の方針に従って、いろいろ陰においてこれに協力をしたことは事実であります。私はその点を決して否認いたしませんが、しかし今御心配になっているような二元外交ということでもございませんし、あるいはその人が過去においてどういうことの何があったか知りませんけれども、私はこれをいわゆる右翼として考えるつもりもありませんし、また私の個人的な特使として韓国に渡るといった問題につきましても、十分外務省、韓国側等と話をした上のことでありまして、今日今なお釜山に、引き揚げの第一船だけが帰って参っておりまして、あとに六百人余の人が残っておりますような状況で、両国の間の交渉はなお具体的な問題について意見の調整をいたしている段階であります。従いましてそれが私の最初に考えているような手順で進んでおりませんけれども、これが解決をいたすならば、やはり私が最初考えているように、決して韓国側がこれを受け入れないとか、あるいは韓国側において何か刺激するような形を作るというようなことではなくして、韓国政府との間にも十分話し合いの上でこういう人選をいたしているわけであります。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)委員 もう一ぺん伺っておきますが、それならば二重外交にはならぬ。従って向うが応諾すれば派遣する、こういうことですか。  それからそれは何といってもあなたも総理大臣であると同時に政党の総裁であるわけですから、やはり党の外交関係には十分な了解を得られてやったことでなければ意味がないと私は思うのです。そういうことでただ自分の個人的な関係で信頼しておるから——これについてはやはり世評というものがあるわけです。あなたはどういうふうな考えを持っておられるか知らぬけれども、その人物についてはやはり相当な、思想的においてこれを世間が見ておる目というものがあるわけなんです。私は率直に申し上げております。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 今申し上げましたように、この問題につきましては、二元外交というようなことは絶対にないということを私は責任を持って申し上げておきます。  それからこれを個人の特使として出すか出さないかという問題につきましては、今川崎委員の御意見もありましたけれども、これまた私は十分な考慮の上にこれをきめておるわけでありまして、御心配のような点は絶対にない、かように考えております。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)委員 先般来日本商品に対するアメリカの輸入制限がやかましく論ぜられておりますけれども、これはアメリカの大統領の中間選挙を控えての国内対策もありましょう。しかし酷評する者があれば、藤山外交というものに対してのアメリカの不信感の現われだという報道もある。私はやはり今後自由主義諸国というものと提携していくということが一つの外交の原則であるならば、もとよりアメリカに対して言うべきことは言わなければならぬけれども、これと波長の合わない考え方ではいけないと思うのであります。アメリカの輸入制限はその意味で非常に今度の予算案ともからんで、外貨の面でまた輸出入貿易の面で注目をされるものがあるわけでありますが、アメリカと日本との貿易関係は、日本の輸出が毎年伸びてきておりますけれども、なお六億ドル程度であります。そして輸入超過であることは間違いない。アメリカもまた日本に対する非常な大きな顧客であるわけですから、この際藤山外交というものはもっとアメリカのふところに飛び込んで、そしてこの問題に取り組まなければならぬ。輸入制限を朝海大使だけにまかしておってはならない。私はもう大臣ベースで話をしなければならぬ段階を迎えたのではないかと思いますが、この点についての藤山外務大臣の御意見を伺っておきたいと思うのであります。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 アメリカの日本商品に対する種々の問題につきましては、私は私の外交がアメリカから不信を買っておる結果だとは信じておりません。同時に日本として対米貿易が重要であることは申すまでもないことであります。これについては全力をあげてアメリカの誤解あるいは誤解に基く諸般の制限等に対しまして、対処して参らなければならぬと思うのであります。ただいま川崎君の言われましたように、あらゆる方法を通じてできるだけアメリカの理解を得て参りたい、こう考えております。ただこの問題は政府間だけの話ではなかなか解決がむずかしいのでありまして、やはりアメリカの世論にも訴え、民間業者にも訴え、また業者からアメリカの議会方面に対する運動等に対しても十分われわれが、日本商品がいかにしてオーダリー・マーケッティングをやってアメリカの財界を混乱に陥れないようにしつつあるかということも説明して、上下両院の理解も得なければならぬのであります。そういう意味におきまして、あらゆる角度からこの問題を重要に取扱って参りたい、こう思っております。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)委員 大臣ベースで話し合いを開始しなければならぬ時期ではないかと私は聞いておるわけで、別に原則論みたいなものを聞いておるわけじゃない。そこでお尋ねをいたしますが、このアメリカの輸入制限措置については少しくアメリカの国内にもいろいろな見解もあって、新しい重大な情報というものが入っておると思うのです。一月十八日ごろだと思うのですけれども、朝海大使からこういうような情報が入っておりませんか。すなわちアメリカの商務省内部においては、大統領の政策委員会でアメリカの対外輸入制限をやや緩和して、友好国との貿易政策について、多少昨冬以来の方針を改めようとしておる。きのうの新聞を見てみると、これに対する反発も国会などで三人の議員がやっておるように思いますけれども、かなりこういう線も出てきておる。その際に対しての藤山外務大臣のとるべき方法というものも、朝海大使は打ってきておると思う。それについてはあなたは考慮をしていますか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 私といたしましては、ただいま申し上げましたように最善を尽す。むろん東京におきましてマッカーサー大使等を呼んで話もいたしておりますし、また朝海大使を通じて政府にも話をいたしております。アメリカの最近の傾向がNATO会議以後諸般の問題についてだんだん考えが変りつつあるという事実は、お説の通りでありまして、これは変りつつある時期に交渉を強めていくことは非常に必要だと考えております。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)委員 どういう交渉を強めるんですか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 日本側としては、むろん政府機関を通じて当然日本の事情を説明し、日本の生きていくための貿易という問題を取り上げていく必要がある。適当な機会に私がアメリカに行って訴えることもやぶさかでないわけです。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)委員 あなたはその公電を外務省に行って読み直してもらいたいと思う。見ていない。見ていない証拠には、各国との提携とか各国との話し合いということをやる考えがない。この打撃を受けておるのは日本だけではない。ベルギーとかオランダとかあるいはその他の国々も一律に打撃を受けておる。その品物によってみな違いますよ。違いますけれども、そういう動きが出ている。スエーデンなどは西ドイツと一つ共同歩調でやろうという。そこで朝海大使の公電なるものは大体こういう線だと私は思う。私も見たわけではありません。しかしわれわれの調査したところによると、新しい貿易政策というものは、やはり国内産業を保護しなければならぬから、ああいう措置をとった、人気取り政策ではあった、しかしそれが友好国との関係を非常に害するということで、従ってそのウエートから緩和をしようとしてきておるわけです。アメリカの今度の新しい商務省あたりで立案しておる方策は、第一には、中小メーカーが受ける打撃に対して国内産業保護のために輸入品との価格差益金を出す、それから失業保険法を拡大する、これを国会に出そうということで、朝海大使はこの機会をとらえて、西独であるとかイギリスとかオランダとかベルギー等の諸国と、アメリカの輸入制限によって、巨大なドルをさらに保存する政策というものは友好国との関係を非常に悪くするのではないか、そんな政策をすると、本年度の世界情勢に非常に大きな影響を与えるのではないか、共同歩調をとるべきではないかということの意味を含めての公電だと思うのですが、あなたは怠けておるから、見ておらぬのじゃないかと思うのですが、どうですか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 私が公電を見ていないという御指摘でありますけれども、私はできるだけ公電を見ておるつもりでありまして、その点は努力をいたしておるつもりであります。  それから今お話のように、共同歩調をとって、そして日本が他の国々とやるということもむろん考えられることであります。また単独で当然日本としてはやらなければならぬ問題もあるわけであります。これらの点についてはそれぞれの商品に関する問題もありますし、また今御指摘のように、各国がドル不足だという意味からして、アメリカの政策を大いに改善してもらわなければ自由世界が困るというような見地からも、私はアメリカ政府に強く申して今日までおるわけであります。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)委員 答弁だか答弁でないかわからぬ。  もう一つ問題を聞いてみます。政府が今度商社の過当競争を防止するために、二月の一日でありますか、商社の海外支店等の適正配置要綱というものを決定した。これは通産省だと思うのですけれども。それに対して、この適正配置要綱をやるとどういうことになるかというと、商社の出先が各国の市場別に懇談会を開いて、そして輸出の価格だとか、あるいは数量だとか品質だとか、アウトサイダー規制というようなものを協議決定する。この考え方は外務省にもあり大蔵省にもあり、日本の商社が過当に競争するのを防止するために適当な措置だと思っておりますが、これに対してやはり朝海大使から、これはアメリカの独禁法に抵触するおそれがある。そこでアメリカから、この要綱をいよいよ法律で施行しようということになると、非常にアメリカとの友好関係を阻害するというので、強い抗議を発するような情勢になってきておる。ところがこれをやらなければ日本としては困るので、もしアメリカの抗議だけをいれるということになると、各国からも申し入れが来るようなことになって、わが国の貿易に非常に大きな影響を与えるわけです。これは通産大臣が知っておられれば通産大臣でもよろしい、藤山外務大臣が知っておられなければ知っておられなくてもよろしいから、お答えを願いたい。

前尾繁三郎自由民主党通商産業大臣

○前尾国務大臣 海外支店の設置につきましては、御承知のように、海外から帰ってこられる方々も全部、海外支店が多過ぎる、そして過当競争が行われておる、こういうことであります。そこで実は海外支店も新たに設けることはやめようじゃないかという議論があります。しかし私どもの方では、従来あり過ぎたものはできるだけ押えたい。しかし今後発展していかなければならぬ地方もありますので、それの方は伸ばしていきたい。そこでその方法としまして、われわれとしてはできるだけ規制して、外貨の問題に帰着するのでありますが、その一つの方法として懇談会というようなものも考えてみたらどうかというのでありまして、これは法律的なものでも何でもありません。ただお互いに話し合って、いろいろの意見を聞くという意味のものでありまして、これは法律的のものではありませんし、アメリカの独禁法に触れるようなものでない、かように考えておるのであります。実は独禁法云々のことは私存じませんが、そういう性質のものでありますから問題はないと思います。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 ただいま通産大臣からお述べのように、国内におけるそういう措置というものは、必ずしもアメリカの独禁法に触れるとは思いません。ただアメリカの業者と日本の業者が話し合いをするというような場合に、アメリカの独禁法に触れる心配があり、またある例がございます。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)委員 これは今通産大臣が申された線が非常に私は至当だと思うので、アメリカからこういうような申し入れがあったときにはぜひ拒否していただいて——拒否するというよりは話し合いを十分にしていただいて、そういうことのないようにしていただきたいと思うのであります。  それから中共貿易の関係について一点伺いたいのは、ココムの禁輸品目を見ますと、兵器のリスト、それから原子力の関係のリスト、これは二つリストがあるわけです。それにもう一つ数量統制のリストというものがあって、そのうちの二十品目くらいは、ココムでこのごろ非常に検討した結果、緩和しようという傾向が出てきておる。多分そういうことになる見込だそうであります。私はこの問題に関連して、第四次日中貿易協定というものを政府は促進をする意思があるか。もしこれが成立を見るときには、一緒にこの中共貿易の数量統制というものをやはり緩和したらよろしいという考えを持っておるのです。というのは、このリストに該当するものを見ると、木造船であるとか、ブルドーザーであるとか、戦略というものに対して直接関係のないような品目が非常に多いわけでありますから、そういう方針に出られることが、今後の中共貿易を一つずつ固めていき、日中関係に対して行き詰まっておる方向を打開する行き方ではないかというふうに考えるのであります。通産大臣でも外務大臣でもよろしいから、御答弁を願いたいと思います。

前尾繁三郎自由民主党通商産業大臣

○前尾国務大臣 ただいまお話のようなココムの緩和についての議論が出ておることはわれわれも承知いたしておりますし、われわれも今後できるだけ緩和していきたい、こういう方向に努力いたしたい、かように考えております。第四次協定につきましては、その問題とは離れまして、われわれはできるだけ早く第四次協定を結びたいと思っておりまして、お説のように、外国人登録法等の関係でそういうものができましたその機運に乗じまして、できるだけ第四次協定は早く結びたいという考えを少くとも私は持っておる次第であります。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)委員 次に私はわが国の石油政策上どうしても納得のいかない問題が一つあるわけであります。この問題については総理大臣も関係しておられるようであるし、大蔵大臣も関係しておられるようですが、昨日発足したアラビア石油会社というものであります。これは一つの大きな野心と企画をねらったわけでありますから、先ほど私が注文をつけた韓国の代表とはわけが違う。商売人であるから何をしようと勝手であるけれども、しかしこれはやや日本の外貨の問題というものに関連して、予算上どうしても重大な問題になってきますので、お尋ねをしなければなとぬというふうに感ずるのであります。率直に伺いますが、これは総理大臣に伺いたいのでありますけれども、サウジ・アラビア並びにイランの石油開発について、昨年六月十一日の閣議了解事項としてこれに協力するということになっておるそうでありますが、そうでありますか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 その通りであります。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)委員 そうしますと、そのアラビア石油開発の関係はその後どうなっておりますか。通産大臣の方がよろしいのでありますが、あるいは大蔵大臣の方が十分御承知ではないか。どうせ外貨を使うわけですから、あなたに聞いておいた方がいいわけだ。あなたはアラビア石油の問題について非常に批判的だという話だから、どういう経過になっておるか、あなたから聞いておきたい。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 私、必ずしも所管でありませんから、知っておる限りのことを申し上げます。これはむしろこの前の内閣以来の問題であったように私は聞いておるのでありますが、アラビアの方に油田の開発をする、それには相当の資金が要るからという言明で、まあ政府も考えるということであったと思うのであります。私はそういうふうに理解しておる。ところがこれはやはり今お話のように、油が出ればいいと私は考えるのですが、油が出るか出ぬかということが非常に問題だ。従いまして、財政資金に関する限りでは、そういうふうな目的のために金を使うことはごめんをこうむるということになっております。そういたしましたので、民間において一つやってみようということになりました。三十五億ぐらい各会社が金を出しまして、そして会社を作ってやる。この金のある部分を使いまして、そしてほんとうに油の層があるのかないのか、これを調査する、こういうことに今なっておるようであります。従いまして、そこを調べて油が出なければおそらくそれ以上の仕事は継続することはないのではないかと考えております。今の過程はそういうふうであります。これは実際の話であります。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)委員 これは非常にいい御答弁を伺った。というのは私が警告しようと思ったことと同じ線をあなたが言われた。これはえらい大問題になる可能性があるわけですけれども、昨日アラビア石油会社の創立総会を、資本金百億であるか、非常な財界のたとえば最も信用のある石坂さんだとか菅礼之助さんなどというものまで集めてやった。ところがどうもこのアラビア石油の問題をずっと研究してみると、非常な不安定要素がある。こういうものに外貨を使うということになると、私はそれは国政に非常に重大な影響を及ぼすものではないかという意味で質問をいたしておるのであります。  それともう一つ、その前提をなす非常な条件があるわけであります。一月の下旬にサウジ・アラビアと日本の代表団の山下太郎氏との間に締結が行われたわけですが、この方面の油田地帯というものは、サウジ・アラビアとクワイトの国境地帯にまたがっておる。そうして沖合いはペルシャ湾です。ペルシャ湾を隔ててイランがあるわけであります。その地帯にまたがっておって、その関係でサウジ・アラビアと了解を求めただけではこれは十分な開発効果を発揮しないと言われておる。事実どの情報を得ても、そうなのです。ところが現在どうなっておるかというと、クワイト政府というのは、むしろこれに対して反対しておるという。消極的ではない、むしろ反対の傾向に立っておる。ということになると、油田開発というものはうまくいかないのではないか。私は山下さんのやっておることは経済人ですから、それはさっきの事例とは違って当ればいいでしよう。当ればいいが、その過程において日本の外貨の貴重なものを使う。承われば相当な額です。それは今すぐ数字を調べて私からも申し上げるし、通産大臣あるいは大蔵大臣も確認してもらいたいと思うのだが、そういうことになってくると、これは相当慎重に取り扱っていただきたいと思うのでありますが、その点今のような情報に対して通産大臣——どちらがいいか、この際は大蔵大臣の方がいいです。大蔵大臣に一つ答弁していただきたい。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 今申しましたように、ただいまのところこのことについては政府としては何ら関係をしておりません。ただ契約が外貨建の契約という点において、大蔵省は相談にあずかっておるという程度であります。その際におきましても、今申しましたように、大蔵省としてはきわめて——ここまできましたのですからこれは実際の問題としてある程度油が出るか、あるのかないのかという調査だけは、これは民間でやるということであればやっても、それまでとめることもなかろう。しかし層がないということになれば、これは大きな金でもないのであります。それから先はおそらく私はないとすれば継続はないだろう、こういうふうに考えております。(笑声)これは当事者もそういうふうな考えでおるようであります。油がないのに堀ってもしようがないということであります。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)委員 ところがそれは非常な大きな問題です。大蔵大臣はなかなか、やはり手がたくものを考えておられて非常にけっこうだと思うのですが、これを研究してみると、第一は山下氏が昨年三月にアラビア政府と石油開発の仮調印をなして、石坂経団連会長のあっせんで産業界の首脳者三十数名を集め協力を求めたときには、石油開発の権利金として二十億円をアラビアに渡せばよい、こう言ったのです。ところが、半年後の十二月の正式調印では、年間十五万ドル、五億四千万円をまず地代として払わなければならない、石油が出たら年間百万ドルをさかのぼって支払うことになっておるのですが、この年間百五十万ドルというのは、とりあえず払わなければならないということになって、そのことは政府が承知しなければならない、こういうことですね。——そういうことになりませんか。——だから石油を調査してみて、なかったらやめるというのですが、その間の過程の外貨というものはどうなりますか。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 私が今承知いたしておりますことは、とりあえず外貨送金は油の層があるかないかという調査をするその金、これはそう大きなものでない。その送金だけは一つやる。これは民間が金を持っておるのですから、そういう程度の外貨を送らせることによって支障を来たすことはなかろう。但しそれ以上のことについては何も私は承知しておりません。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)委員 その送金はどのくらいしなければなりませんか。やはり十一億円くらいやらなければなりませんか。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 ただいま私が申しましたような意味で外貨をほしいというのが十六、七億円です。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)委員 そこで問題は、私が得た情報によると、アメリカのインデぺンデンス・ハンターという会社がクワイト政府との間に非常に接近して、単独でもそれができそうな調印をしようとしておる。日本はそでにされる。それからもう一つは、最低限でも、山下氏も入れるけれども共同的にやろうということをクワイト政府は提案しておるので、万々一にもとても直接の締結にはならないというのです。サウジ・アラビアの条件もだんだん悪化してきておる。そういうところに政府が閣議の了解事項で、こういうものに出したということに対しては相当反省をしてもらわなければならない、やめるのなら今のうちにやめなければならない、そういうふうに考えておる。それは結果としていいようなことが出るかもしれませんが、とにかく慎重に取り扱ってもらいたいということです。これはもっと突っ込めばまだまだ材料を持っております。  ただもう一つ聞いておきたいことは、こういうことは上の総理大臣とか大蔵大臣とかいうべースだけできまるのですか。私が一ぺん伺っておきたいことは、この海外投資をやる場合には、これに対する官庁の許可が必要である。下からだんだん積み上げていかなければならない。そうしてときには政治的に解決をしなければならない問題もあるけれども、聞いておるところによると、こうした海外投資に対する正式の申請書が出ておらないというのですが、出ておりますか。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 外貨に関する限りにおきまして大蔵省と関係がありますからいろいろと書類は出ております。これは事務的に検討を加えて、従って大蔵省としては非常に慎重な態度で臨んでおるわけであります。これが上の方から言うとか、そういうことは何も私はないと思います。同時に今度の岸内閣になって、これが閣議了解事項になったことはないと思います。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)委員 通産大臣、どうでしょうか、ただいまの答弁で、海外投資に対する正式の申請書というものは出ていないというふうに考えておる。それは何か工作であるとか話であるとかいうものは行っておるそうですが、そうでなしに、下から積み上げてこなければならない正式の申請書は出ていないというのです。あるいは出ておるということであれば、ここへ持ってきてもらわなければならないかもしれません。

前尾繁三郎自由民主党通商産業大臣

○前尾国務大臣 ただいまのお話のような申請書につきましては一応調べませんとわかりません。ただ外貨の問題については申請書が出ておるように聞いております。その点、なお調べまして……。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)委員 こういうことは政界の顔で解決すべきものでなしに、やはり堂々とルートに乗って、そうして正式にきめられなければならぬというふうに私は感ずるのであります。このことのために変なにほいがしたりするようなことがあっては大へんであります。われわれはどうしても石油国策の面からこれをはっきりと知らなければならぬ。経済企画庁長官にお伺いしたい。日本の総合エネルギー計画において、一体重点はどこに置いておられるのか。たとえば石油に置いておられるのか、あるいはまた石炭、あるいは原子力、いろいろなものがありましょう。石油の必要量というものはどのくらいに見ておられるのですか。

河野一郎自由民主党経済企画庁長官

○河野国務大臣 御承知の通り、昨年度のように非常に経済の成長率の大きくなりましたときには、急に膨張しております。また同時に従来の例で申しますと、石油につきましては、運賃関係が相当大きくなりますので、石炭と石油の需要量が関連いたしております。そして計画が高低いたしておりましたから、それを今後はできるだけ国内の石炭の開発に重点を置きまして、そうしてこの方をなるべく値の下って参りますように努力いたし、石炭に重点を置き、そうして石油の需要量をきめていくということにいたしております。これら長期経済計画の線は、事務当局から御答弁いたさせます。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)委員 ほかの問題もありますから、いいですよ。非常に慎重に大蔵大臣のようにやられるというならば、問題としての方向転換はできると思う。問題は、石油業界というものは、今日過剰生産に陥っておる。その上イランの石油開発交渉や、現在日本にきているインドネシアとの交渉が成立すれば、日本の石油供給量というものは多くなり過ぎはしないか、こういうことをいわれておるのであります。ことにイランの石油というものはだんだん有望になってきて、交渉相手のイラン王室というものも非常に手がたい、そうして親日的である、新しいチャバール地区の油田開発はすこぶる有望だ。こうした好条件があるにもかかわらず、そういう大ばくちに手をつけるということの危険性を私はここで指摘しておきたいと思うのです。脇村東大教授もこれはとてもだめだということを言っておられる。こういうふうに言っておる。中近東の油田開発の歴史は五十年、この間五十カ所の油田が開発されたが、山下氏の言うような一千万トン以上採油できる油田はわずかに五カ所で、十に一つの割合だ。そうしてこの地帯は海底油田で、わずかの資金や開発技術で開発できるものではない。契約内容も問題がある。採掘した石油の生産販売価格に至るまで一々サウジ・アラビアの同意が必要になっている。また幾分かの補償があるとしても、四十年後、サウジ・アラビア及び日本におけるすべての採掘、精油、輸送、販売設備などがサウジ・アラビアのものになるということは前例のないことだということを指摘して、その危険性を言っておるのであります。私はこれはだれにも頼まれたのではない。自分でこういう問題があるということを発見をしたから言っておる。しかもインドネシアにも何も関係がない。しかしそういう立場に立ってものを言う議員が少くなっていくと、国会は危険である。私はあえてこの問題を取り上げて、どうか政府においては、慎重にこの問題についての御計画を進めていかれたいと思うのであります。  次に私は今回の予算編成の手順と方法につきまして、総理大臣と大蔵大臣にお尋ねしたいことがあります。私は終局的に言って、今度の予算の内容というものは、決して世間の非難するような放漫財政でもなければ、また無性格な予算でもない、非常に最後の姿はよくなったと思っておるのであります。これは信念的にそう思う。これは社会党の諸君と意見が違う。しかし党人としての立場から見まして、また予算委員をやっておる者として特に痛感しておることは、予算編成の手順というものをもう少し筋を通していかなければ、非常に疑惑が残るのではないかというふうに考えまして、また昨年同席の柳田代議士とともに欧米諸国にも参りまして、予算編成の手順ということについては一応の勉強もさしていただいたものでありますから、この際特に大蔵大臣に私はお尋ねしたいのでございます。  それは、保守合同が完成しまして、二大政党政治になって、去年のように予算編成期を控えて急に政変があり、石橋内閣が生まれたという事情とは違って、本年は内外の政局というものはきわめて安定しておったわけであります。ですから、首相や蔵相の首脳者にして、政党政治の本則に立脚して、かつ内閣の予算編成権を順守した線で予算編成を完了しようと思えば、私は必ずできたに相違ないと思っておる。今日、予算の内容については、先ほど私が申し上げたように、一方にはきびしい批判があるけれども、実際にはうまくできた予算案である。昨年のは八十五点だと言われたやつがかえって悪かった。実際には今度の予算は相当引き締めもしておる上に、政策も実行しておるというので、手順と方法さえ間違わなければ、そんなに非難を浴びるようなものではないと私は思っておる。そこで予算編成の過程における手順の誤まりから、世間では、最終段階における与党の復活運動の猛烈さを評して、いかにもあこぎな大干渉をやったというふうな印象を世間に与えたことははなはだ遺憾である。そうではない。そのよって来たところの原因を言うならば、予算編成の手順に抜かりはなかったか。すなわち、本年一月八日に発表された大蔵原案なるものがあまりに事務的であった。党の重要政策が全く顧みられなかった。こういう予算を途中ででも出してきたということについては、政党政治の本則を誤まるものですから、私は筋道をつけて、少なくとも政策経費というものは第一次に大蔵原案に入って、そうして後に少々の復活がやらるべきが筋ではないか、そういうふうに思うのですが、総理大臣からもこの点はお伺いをいたしておきたいと思うのであります。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 予算編成の手順についてお尋ねでありますが、従来から予算編成の問題につきましては、いろいろ識者の間にも意見があり、政治家の間にも意見がありまして、従来の大蔵省中心の立て方に対して、内閣に予算局もしくは予算に関する一つの機構を設けろというふうな議論も、ずいぶん出ておるようなわけであります。この問題をわれわれが将来予算編成に当っていかにすべきかということにつきましては、十分に一つ検討を加え、考慮も加えていきたいと、こう思っております。その一つとして、いわゆる第一次査定というものがあまりに事務的であって、従って党の重要政策なり、あるいは内閣が重要政策として声明しているところのものに対して、考慮が払われておらない。ところがこれらはどうしても政党とし、内閣としては入れなければならない、実現しなければならないことでありますから、その後の編成過程においてこれらが組み入れられたのでありますが、しかし同時に、暮れに定めました予算編成の大綱である、実質的な予算規模の拡大を一千億の範囲にとどめる、また四百三十六億の剰余金をたな上げするというような根本のワクにおいては、何ら変っておらないのであります。しかも、今申したような第一次査定がそういう性格であったたために、世間においては、その後政党なりあるいは政府なりがいろいろと陳情やあるいは要請に屈して、膨張の——最初に考えた緊縮予算の性格を失ったというような印象を与えたことは、非常に残念であります。実質は、今川崎委員もお話の通り、われわれは根本の本筋の線は堅持しておる。そして内容的には、われわれ政党において、また政府において重要政策と考えたものを盛ったわけであります。今後、第一次査定というものの何につきましては、十分一つ考慮しなければならぬ、かように考えております。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 今度のこの予算編成についての政府の手順でありますが、先ほどお話がありましたように、今回は相当時間もありまして、落ちついて予算が考えられた。従いまして私の考えは、手順としては一応うまく運んでおる。それは、第一には長期の経済計画を持ちまして、そしてさらにその長期の経済計画に基いての年度の経済の見通しを立てまして、そしてこれに応じて予算の基本構想というものを考えた。この基本構想については、むろん政党内閣でありますから、党の幹部とも十分連絡をとって、そして政府と一致して、こういう基本構想でよかろうということで、基本構想を立てました。その基本構想に基いて、さらに次には予算編成の具体的な基本方針というものを立てました。これも党、政府一致して立てたわけであります。従いまして、これに基いて具体的な予算の肉づけをしたわけでありますが、その場合において、むろん政党内閣でありますから、今回は党の政調会とは十分な連絡をとり、大へんな御協力を得まして、私は十分な調整ができていると思うのであります。それで総じて言えば、私はあらゆる面から見ていい、非難を受けられるような予算ではあり得なかったと思うのです。しかしお話のような点もあり、これは特に大蔵大臣としては十分考えなければならぬ。そういう点に配慮を加えれば、私はそう——手順ではないんで、何かにちょっと(笑声)足りないところがあったと考えております。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)委員 党内のある人は、大蔵大臣の予算編成というのは、めくらに東京の地図を聞くようなものだといって批評した者もありますし、法王ならぬ、トランプのジョーカーみたいな顔になったといって笑っておった者もある。よほど今後考えてもらわなければならぬと思うのですけれども、私はまじめに筋を通して考えてみまして、憲法第七十三条初め、関連の各条章、すなわち予算に関係しておるものをずっと拾い集めて考えてみれば、これは宮沢俊義さんでもあるいは稲葉秀三君でも、財政学者にしても、法律学者にしても、一致しておるのは、純法律的に言えば、やはり衆議院での多数党というものは、むろん内閣を組織する。多数党の総裁というものは総理大臣になって、閣僚は有力党員で構成されるのが筋であります。だから、予算と政党との関係を申してみると、国政の基本をなす予算案の作成に当っては、与党の意見は、法律的には閣僚を通じて反映され、内閣がこれを決定する、こういうことになる。そして予算案は国会に提出をされる。提出される前の与党というものは、党としては予算に干渉しないというのが建前ではあるけれども、しかし、政党政治というものは、事実上党と政府は一体でありまして、従って、党の機関が発言をすることは当然のことでありますから、私は今後の手法——今までのことはあまり問い詰めても仕方がないことですから、今後はむしろ、政局が安定をしておるなら、早い時期に、十二月の初めには党や閣議の基本方針がきまるだけではなしに、同時に、予算の歳出、歳入のほとんどの面がきまる。たとえば重要政策に対しては、大ワクでよいから来年は道路にはほぼ千三百億なら千三百億という一つのめどがきまってこなければならぬ。それから社会保障に三百億増加するなら、三百億増ということが十二月の初めごろにきまって、そうしてこの数字の大ワクのもとに内閣が閣議で決定をして、しかる後技術的編成というものはみんな大蔵省にまかすべきが筋じゃないか。これが今度はあべこべになった、そこに私は問題があると思うのであります。従って、復活要求の段階で党から換骨奪胎というような大修正が出るべきじゃない。ということは、今後の予算編成の手順と法則をこういうふうに改めていただきたいと思うわけであります。それに対して大蔵大臣の考え方はどうでしょうか。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 私も、むろん予算編成は政府の責任においてやるのでありますが、編成の過程におきまして、これはやはり衆知を集めて、党も政府も一緒になって衆知を集めていい予算を組むという、そういう組織といいますか運びにすることは賛成であります。(笑声)

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)委員 そこでこの機会に、蛇足とは思いますけれども、せっかく予算のまじめな審議をいたしておるのでありますから、編成の順序と方法についての各国の例も、きわめて簡単に申し述べてみたいと思うのです。  イギリスでは、もとより政党政治の大宗でありますから、従って予算の基礎的な検討というものは、政党の機関と大蔵大臣の間に、もうすでに五月ごろから連日の折衝が続けられておるそうであります。ことに予算が出るという一カ月前ぐらいまでは非常に連絡がとれて、それから先は内閣に一切まかしておる。予算案の発表は、御承知の通り大蔵大臣の口をついて国会の劈頭に発表をされる。そのことによって数字が一般に知らされるという方式をとっておるようであります。イギリスには御承知のように予算の増額修正権はない。これは憲法で認められておらない。国会の修正は、減額修正である限りはできるけれども、事実は行われたことはない。それから野党の修正案は、これはもう出さないそうであります。絶対出さない。出さないけれども、各省の別の委員会において、野党は大体自分の考えた線を数字で言う。これは日本とイギリスとは違うわけですから、参考にはならぬかもしれませんけれども、そういうものも、やはり政党政治の一つの線として、大いに敬意を払わなければならぬものがあるんじゃないかと思います。  アメリカは御承知のように、立法権と行政権というものは截然と分れておる。大統領のもとにおける予算局で一切の作業をするわけでありまして、国会は全然関係ない。国会は関係ないけれども、予算が出てきたならば、今度は厳然たる審議権があるわけですから、修正は、減額、増額、おかまいなしということになっておる。近来は相当大胆な組みかえもあります。それから、議員の権限がこのようにして発揮される上に、一ついい例は、議員が前の国会でしゃべったことが次の予算に非常に大きく盛られるということであります。だから、予算編成には関係ないけれども、国会の舞台を通じて、アメリカの議員は予算編成に関係しておる、こういうふうに見てもよいのではないかと思います。私が非常に感心したのは、やはりスェーデンやドイツあたりでは国会で与野党の共同修正というものが成立しておるわけです。これは政治的なものはない。政治的なものは、与野党で共同修正しようといえば、与党は政治的な致命傷を受けるから、そういうものはない。しかし政府といえども万全ではないから、出てきた予算案について技術的な面で相当な修正が行われているということは、相当参考にしなければならぬ。しかしこんなことを言っても、今度の国会の問題ではございませんから、ただ将来への一つの展望として私は申し上げておるのでございますけれども、どうかそういう意味において、予算というものは政党政治の本則から、やはり相当基礎的な段階で与党の重要政策が盛られなければならぬ。そうしてその後において大蔵省が作業をして、そして出してきたものに対して堂々たる審議が行われなければならぬ。このコースが間違えられておるところに、今日の大きな混乱があったのではないか。将来の参考として申し上げただけであります。  予算の内容については、私は大体先ほど申し上げたように、手ぎわは悪かったが、終極的には党の重要政策はほぼ貫徹された。それから昨年度の積極政策、一千億減税の行き過ぎにこりて、景気調整の資金というものも、一応筋を通してたな上げをされた。従って私は決していたずらなる放漫財政ではないと思うのでありますが、まだ大蔵大臣の説明が十分でないように私は思う。たとえば国民所得と財政規模の関係は、ことしは一番ふえておる。補正予算まで入れれば一八%から一九%までいっております。これはやはり放漫財政ではないかという一つの議論の根拠にもなり得ると思うのですが、金融政策それからこういう問題については、大蔵大臣は何といっても泰斗ですから、一つあなたの口から十分に、放漫財政でないという議論を、この際明確に聞かしていただきたいと思うのであります。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 放漫財政ということは、結局インフレということを懸念するのであると思いますが、インフレということは、何も財政ばかりではないのでありまして、これはそのときの経済の伸びがどうであるか、あるいはまた国民の消費がどうであるか、あるいは投資がどういうふうな傾向を持っているか、それに対して財政需要がどうであるというふうな関係から、これは論議されなくてはならぬと思います。今回の財政需要から見ますと、予算面においてインフレ的と言い得る点を率直につまみ上げて言えば、これは過去の蓄積、言いかえれば三十一年の余剰金千百億のうちで、地方交付税に交付金として回った分と、公債の償還に充てたというような分が、一般会計において過去の蓄積を民間に放出したという意味において、私はやはり若干のいわゆる膨張と言い得るのではないか。しかし、これは国債の償還でありますから、当然日本銀行券の回収にも回り、また交付税できたものもこれは地方財政に回り、また地方債の返還に回る、こういうふうに思っているのです。ですから、これがすぐに大きく経済に刺激を与えるとも言えないと思います。そのほかにおいては、税収入において歳出をまかなっておる。これはむしろ私はインフレ的懸念はない。のみならず過去の蓄積でも、今回相当巨額なものをたな上げしております。こういうふうにして、インフレ的な点は、一般会計に関する限りにおいては、私は懸念するものは毛頭ない。ただ財政投融資を、世間では非常にふくれておるじゃないか、こういうふうに言うのでありますが、これは財政投融資というものがいかにも日本の経済全体を支配しているかのような錯覚に基くものだと私は思う。これには投資の一部分なんでありまして、すでに民間の投資というものが非常に巨額に上っておるのです。大体こういうふうな投資関係は、おそらく二兆二千億に上ると思う。そのうちの三千九百九十五億なんです。これも、昨年度で四千億ちょっとのものが当初の予算であったのですが、それが経済がああいうふうになりましたものですから、約一五%切りまして、そうして繰り延べをしまして、およそ三千六百億近いものになったのでありますが、しかしその後の金融情勢はどうなったかというと、非常に逼迫をして、財界は金融難に非常にあえいでおる。しかし当時においては、日本の経済の伸びを押えなければならぬという意味から、あえてその苦痛をそのままにしておいた。従いまして、今日のように生産の調整ができて、物の需給が均衡を得るというような過程においては、私は若干戻してもいいという見地で考え、長期資金を若干戻しておる。その戻したものが、ちょうど昨年度の実行額と見ていいのです。そうすると、その実行額は三千九百五十二億からになっておる。何も今の三千九百九十五億と違わないです。いわんや日本銀行の今日の貸し出しが五千億円に上っておるという事態を無視することはできない。これはみんなここにシワ寄せされておる。そうして財政はその上にアイドルにしてある。そうして要る金は短期の決済資金しか出し得ない。日本銀行から借れ借れといって借らしておる。これは、当時私がそういう政策をなぜとったかというと、これでいかに資金の需要が多いかということを民間に示して、そうして投資意欲を押えようという、そういう政策的見地から、一応日本銀行にやらしておいた。今はその必要がないから、これを地ならしをして、財政資金を出して日本銀行に回収する、そういう行き方になっておるのでありまして、どうも世間の言うことが、私にはわからないのです。決してそういう放漫というような——日本の経済は、これでほんとによくいくだろうと確信しておる。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)委員 金融政策に関する限り非常に自信満々であることは、われわれも大いに尊敬します。昨年の予算案について私どもが一番心配した点は、経済の長期計画が常にぐらぐらしておることであったのであります。河野大臣にぜひお伺いいたしたいが、昨年の予算委員会の冒頭にこの問題を持ち出したわけであります。特に設備投資が多過ぎるのじゃないかと注意を申し上げて、輸出入の見込みに大きな違いが起るのではないかと、私は一番初めに警告を、与党質問でありますからあまり深くは突っ込めなかったけれども、私のあとに立たれました和田博雄氏は、池田蔵相と宇田経済長官に対しまして、この問題について非常に深い突っ込み方をされた。宇田君はそのとき、輸出入はとんとんだと言ったのですが、途中からとんとん大臣というヤジが飛んで、そうして今から思い出すと、まことにこのことは不幸にして的中したわけであります。その宇田君も今やなくて、まことに予算審議の途上そぞろに哀惜の情を感ずるわけであります。しかし予算案の審議は人情ではないわけであります。冷酷なる数字に対する判断と見通しでなければならぬのでありまして、河野長官は昨年、予算は国民経済的視野に立って編成しなければならぬということを主張しておられた。これはりっぱな主張だと私は思う。そこで、河野長官に対し、就任以来相当の実績を上げてこられたけれども、今度の予算はほんほうに経済企画庁の立てた見通しと判断によったものかどうか、また長期計画を立てる際の基本的な構想についてどういう思考をめぐらしたか、企画庁の従来の方針がぐらぐらしておったとすれば、これを直すためにどういう手段をとられたかというような点について、お伺いをしたいと思います。

河野一郎自由民主党経済企画庁長官

○河野国務大臣 御承知の通り、昨年度の経験を十分に生かしていかなければなりませんことは申すまでもないわけであります。第一に緊急施策をとりまして、一応経済界を鎮静をするようにいたしまして、その上に立って、過去を反省しつつ将来のことを勘案して、第一には民間の十分なる理解と協力が必要である、これによってのみ長期経済計画は進行するものであるという考え方からいたしまして、民間各方面の識者の御協力を得て、この長期経済計画の策定に着手したわけであります。申すまでもないことでございますが、長期経済計画は非常に困難な発足に立っていたさなければならない。と申しますのは、為替の関係が非常に悪いというときにやるのでございますから、そこに非常に困難があったわけでございまして、たとえば基準にいたしておりまする明年度の三十一億五千万ドルの輸出目標にいたしましても、これに対しては、なかなか困難だという意見が多いわけであります。しかし、また一面には、まだ少し甘い、もっと積極的にやるべきだという御意見もあります。しかし私は、この目標を一応定めましたことは、どうしてもこの点まではやればいけるだろう。またぜひいかなければならないということにいたしましたのは、これを下げますことは、輸出入の関係におきまして、国内の経済をより一そう圧縮しなければならぬ。圧縮することによって、国内に失業者の問題が起ってくるというような点からして、なるべく国内の経済は、可能な限りこれを拡大する必要があるということは申すまでもないわけであります。ところが拡大の反面には、輸入の超過が起ってくるというような点から集約いたしまして、ここに三十一億五千万ドルという目標が定められた。これだけの輸出をし、国内経済のバランスをとって参りますためには、三十二億四千万ドルの輸入が必要であるという二つの柱をまず定める。むろん一方におきましては、社会党の方々の御意見のように、こういう際には国内経済、国内の消費をもう少し多くしていくべきだという御意見も、むろんあります。ありますが、私といたしましては、どこまでも堅実にいく必要がある。万一国内経済を上げまして、ここに消費を過大にいたしまして、また昨年の例のようなことになりますことは非常に困る。どこまでも堅実にいく必要があるという意味からいたしまして、今のように、長期経済計画の基礎をここに置いたわけであります。こういうふうにして計算いたしますと、大体経済の伸びは一応三%、これは少いじゃないかという意見もあるわけでございますが、三%にいたしましても、これを長期的に勘案いたしますれば、やはりこれが一応の計数になって、六%幾らということになりますので、ここらがまずまず適当なところだろうということでいっておるわけであります。  そこで、これと予算との関係になるわけでありますが、一方において民間の協力を得るためには、政府みずからも範を示して、これが実現するために努力いたさなければいかぬということで、御承知の通り八月、十二月ということで、予算の編成の持っていき方等については、これの御了解を願ってやったわけであります。企画庁といたしましては、この線に沿って予算が編成されることに、たびたび大蔵大臣にも御進言を申し上げて、そうして努力していただきましたその結果は、今川崎さんもお述べになりましたように、企画庁で数字を入れますと、大体われわれが長期経済計画で筋を入れております数字と、大体合うことにこの予算の結果がなっておりますので、私といたしましても、世間にいろいろ議論はありますけれども、おおむねこの点が妥当なものだろうというふうに考えておるわけであります。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)委員 そこで河野大臣に続いて伺いますが、輸出は三十一億五千万ドルを政府が予定しておるわけでありますが、今国民所得の問題につきまして伺おうと思いましたら、御答弁がありましたので伺いません。  この際私は、数日前から要求もいたしております三十三年度の輸出入のうちの地域別、業種別の見通しを伺いたい。これは、輸入の方は、各国の関係に触れますと逆作用もあるということでありますから、あえて要求いたしませんが、輸出の見通しは、昨年も要求したがなかなか最後に出なかったのであります。ことしは早くから要求をいたしておりますので、ぜひ一つこの際御発表願いたいと思います。

河野一郎自由民主党経済企画庁長官

○河野国務大臣 今資料を作っておりますから、なるべく早く御提出いたすことにいたしたいと思います。

江崎真澄自由民主党

○江崎委員長 川崎君にちょっと申し上げますが、申し合せの時間が経過しましたので、すみやかに結論に入られるように希望いたします。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)委員 これは、私あなたの方からもらった材料もあるわけです。それを見ますと、これは一つの努力目標だと思うのですが、その中で、アメリカの三十三年度の見通しが、これは七億七千五百万ドルということで、今までよりも七千五百万ドルもふえている。ほかの地域は、大体いけるのではないかというふうに私も思うのですけれども、この点はどういうふうに見積られたものか。これは政府委員でもけっこうでございますから……。

河野一郎自由民主党経済企画庁長官

○河野国務大臣 御承知の通り、一応一割以上の輸出に努力いたさなければいかぬということになっております。なお詳細は、政府委員から申し上げるかもしれませんが、先ほど外務大臣から対米貿易のことについてお答えがありまして、その通りでございますが、私も昨年アメリカに参りましたときに、商務長官とお会いをしましたが、日本の貿易については非常に理解がありまして、協力的でございまして、一部には川崎さんお話しの通り、議会関係でいろいろやかましいことがあるようであります。一般に通覧いたしますと、私は必ずしも悲観的に考えなくてもいいんじゃないか、ただ従来の日本のものの売り込み方等については反省もし、変えなければならぬ点がありますけれども、今後指導よろしきを得、民間の御発議がありましたならば、必ずしも私はそう悲観的ではないというふうに考えております。事は、あまり一つのものに深く、強く、安く行き過ぎるので、アメリカの大きな市場でございますけれども、それを混乱するおそれがありましたときに問題が起っております。なるべく広く浅く、いろいろな品種について努力するようにすることが必要だろう、しかも値段で競争しないで、品質で競争するということに目標を置いて、そういうところに指導方針を持っていくということが必要だろう。そういうことから、明年度の通産省の予算の上でも、いろいろお考え願っておるんじゃなかろうかと思っておるので、いずれにいたしましても三十一億五千万ドル、なかなか容易な数字でありませんが、しかし日本経済安定に絶対必要な数字だということで、民間各方面の御協力を願って達成していきたい、こう考えておる次第であります。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)委員 時間がありませんので、簡単に各大臣に重要な問題について一問ずつ伺っておきたいと思う。  文部大臣に伺います。国立劇場一千万円の経費で、設計費が落ちたのはどういうわけですか。敷地はきまったんですか、話が違ったんじゃないですか、どうぞ。

松永東自由民主党文部大臣

○松永国務大臣 国立劇場の問題につきましては、ずっと進行はいたしておるのであります。けれども、御承知の通り、どこに建てるかという地所がまだはっきりきまりません。実は、大体はもう閣僚の同意は得ておるわけです。しかしきわめて少数の閣僚が、まだなるほどそこならばいいというところにいっていない。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)委員 名前をあげなさい。

松永東自由民主党文部大臣

○松永国務大臣 そこで、少しおくれておりますけれども、日ならず実現する、こういうふうに存じております。御了承願います。(「そんなことでは東京都知事になれぬぞ」と呼ぶ者あり)

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)委員 今の答弁を聞いておりますと、東京都知事になれます。正直で裏なしです。反対しておる人もわかったけれども、しかし、これは統一していただいて——総理大臣、だめですぜ。これは、社会党から出せば大きな問題になる、それで、私は先に聞いたんです。(笑声)  それから石田労働大臣に伺います。  最低賃金制は、非常に重要な問題であり、今国会に出すだろうと思うのですけれども、一体いつごろを目標にされておるのか。  それからもう一つ一番重要な点は、まだ時期尚早だと唱えておる者もあるのですが、私は、やはり日本のような工業国家でこれが断行されないということは、世界に与える影響からも、また今日労働者に対する保護からも、さらに産業の発展からも、非常に重要なことだと思い、あなたの意見と同様なんですが、明快にこの点をお話をいただきたいということと——あなたは国会答弁になれているから、みんな聞いてしまいますよ。それから法律で最低賃金制を決定しておる中で、全産業一律方式をとっておる国はどのくらいあるのか。それから、こういう場合にはどうなりますか、家内工業労働者というのが非常に多くて、隣では最低賃金がきまった、業者間ではきまった、しかしその隣では最低賃金に漏れているものもあるという場合に対する措置というものはどうするか。この三点を伺いたい。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 わが国の労働者の賃金の問題を考えますときに、今一番大きな問題は、大企業、公企業の賃金と中小企業の賃金の格差がはなはだしく、かつそれが年々開いていくということでございます。しかもわが国においては、御承知のように潜在失業者の数が非常に多く、それが低賃金の一つの原因ともなっておるのであります。そこでこの低賃金の状態をなくす下からのささえ、賃金格差を縮小する下からのささえといたしまして、どうしても最低賃金制を制定いたしたいと考えまして、中央賃金審議会に諮問をいたしておりましたところが、十二月終りになりまして、幸いにして労使公益三者ほとんどの一致した結論が出ましたので、それに基いて立法化いたしておる次第でございます。法律提出の時期は、二月十五日を目標といたしております。これについては、中小企業の現状にかんがみまして、まだ時期が早いという議論もございますが、私は、むしろ労働者の賃金の安定をはかり、向上をはかって、よき労働力をかち得ることが、あるいはよき労働秩序をかち得ることが、あるいはまたよき労働意欲を振起いたしますことが、中小企業の経営の安定の最大前提と考えておりますことと、中小企業の経営の安定を先にしなければだめだというようなことを申しておりましては、これはいつのことかわからなくなりますので、この際思い切って提出をいたすべきものと考えておる次第でございます。  それから全国一律の最低賃金制を実施いたしておる国はどこかという御質問でございますが、アメリカとフィリピンのニカ国だけでございます。ただし、アメリカは連邦法として全国一律の時間単位、一時間一ドルという最低賃金制を実施いたしておりまするけれども、それは各ステーツの間にまたがっておる大きな企業だけに限られておるのでございまして、各ステーツにおいては、また別の最低賃金制度が設けられております。それは、低いところでは一時間五十セント前後、高いところでも七十五、六セントという状態になっておるわけであります。フィリピンは、このアメリカの例にならいまして、一部の小規模な農業の労働者に対する以外は実施いたしておるのではありまするが、しかしその実施後におきまして、相当種類の産業に混乱を引き起しまして、その混乱の原因が、最低賃金制度の早急な実施に基くものであるという議論と、また他の経済事情に基くものであるという議論とがございますが、いずれにしろ、早急な実施が相当フィリピンの経済界に影響を与えておるのであります。わが国の場合におきましては、アメリカ合衆国とは産業構造も違います、中小企業の実態も違います。従って、中央賃金審議会の答申が最も適当なものと考えまして、職種別、業種別、地域別の最低賃金制を施行いたしたいと考えておるわけでございます。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)委員 赤城農林大臣に一つだけ伺いたいのは、農協の年金法というものはいつお出しになりますか。それから農協の年金法を実施する際の厚生年金との関連はどうなりますか。  それから厚生年金を脱退するというような形になって、年金体系からいえば、これを阻害するという意見もある。しかし私は、この際農協の年金制というものは手をつけなければならぬじゃないかということで賛成でありますけれども、それらの問題について御見解を承わりたいと思います。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 農業漁業団体の共済組合につきましては、近く成案を得て、法律案として提出いたすつもりであります。なお、この内容は、御承知かと思いますが、短期給付は取り扱いませんで、長期給付の退職及び廃疾並びに遺族についての給付を考えております。  厚生年金に入っておる者が脱退して共済組合に入りました場合には、厚生年金に入っておりました被保険者の権利を承続していく、こういうことにいたしたいと考えております。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)委員 旧軍人恩給と年金の関係について伺いたかったのでありますが、時間もありませんし、割愛をさしていただきますけれども、この際ぜひ厚生大臣の所見を伺っておきたいことは、どうしてもこの問題の究極点は、国民年金を実施しなければ、今日全国に高まっておるいろいろな非難であるとか、あるいは批判であるとか、その他の声にこたえることができないと思う。幸いに岸総理大臣は、先ごろ水谷長三郎さんの質問に答えてであったと思いますが、自分も、この年金というものはどうしても断行しなければならぬ社会情勢になっておる、しかしながら、国民年金にこれを特に包摂をして、そうして全国民年金に発展していくことについては約束するということを言われたと思っております。けさの新聞を見ると、厚生省は、ついに国民年金の参考案というものを出した。あの参考案の中に、非常に残念なのは、無醵出年金というものがとにかく男子だけに限られておる。やはり女子にも及ぼさなければならぬということが一つ。それから、あれは醵出制でしたね。醵出制だけでなく、この際いきなり無醵出制というものを、所得の低額な人とか身体障害者とか、あるいは七十才以上の者に対して断行すべきである。七十才以上の老人にこれを断行しても、大体七百二十二億くらいの費用しか要らないのです。七百二十二億というものは、非常に大きな費用でありますが、これを千円にすればその半分で済む。だから、その程度くらいからやらなければならぬ。社会党も案を示しておる。わが党も、近く当然天下に堂々たる案ができると私は思いますけれども、とにかく厚生省はもっと男らしく、どうも最近の厚生省は、女性的になよなよしていけない。もっと社会保障は全部引き受けたというくらいの抱負を持って邁進をしてもらわぬと、社会保障費というものは、毎年最後の段階にいって、国民のわんやわんやの応援で去年からちっとふえたという程度では、これは困ったものだと思うのであります。やはり国民年金というものは、どうしても創設する、そうして来年度から無醵出年金だけはやるという覚悟をきめていただきたいのですが、その覚悟があるかどうか、伺っておきたいと思うのです。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○堀木国務大臣 国民年金につきましては、けさほどの新聞を御引用になりました。実は、本年度来御承知の通りに準備を進めておりました。現在におきましては、いろいろな具体案について試算をいたして、そうして将来に備えたいと思いまして、昨日もあの案を土台にいたしまして、いろいろ相談しておるような次第でございます。あれが厚生省の案ではございません。  それから婦人を包容すべきじゃないか、未亡人の包容につきましては、私どももそういう考え方で進めて参りたいと思います。それから無醵出を併用することにつきましては、むろん当然のことである、こういうふうに考えておりますので、引き続き具体的に調査研究を進めますとともに、内閣にあります社会保障制度審議会及び私どもにあります五人委員会と並行いたしまして、一日も実現を早からしめたいと考えておるような次第でございます。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)委員 最後に私が岸総理大臣にお尋ねしたいのは、いわゆる圧力団体と陳情政治、これに対する政党政治家の態度についてであります。  日本の終戦後における最も好ましい傾向は、民主政治の中心が国会であるということが国民の間に浸透いたしますとともに、国会議員と民衆が接する機会が著しくふえまして、そのつど民衆の声が国政壇上に反映することの直結感が満ち満ちてきたことでございます。陳情者が年々大きくなりつつあること、これは国民が常に政治に直結しようという意欲、また同時に、国会議員も民の声に耳を傾けねばならぬという点で、最も喜ぶべき現象だと思うのであります。その反面、圧力団体というか、一つの利益と目的を追求して国会に迫る団体もふえてきたことであります。これもまた、政治にある種の階層の声が具現するための有効的な組織であり、当然の結社でありますが、しかし、問題は、これらの団体が要求するところのものが、その団体の属する階層の利益は別として、国民全般の利益を阻害するおそれがあることであります。そこにあるいは、国家財政に至大な悪影響を及ぼす危険性があったときには、政党の幹部は敢然としてこれを排除しなければいかぬ、納得のいくようにこれらの団体の指導者を指導していかなければならぬ義務と責任が、政党の総裁あるいは幹部にはあるのではないかと私は思うのであります。これらの圧力団体は、目的はよいものでありましても、問題となるのはその手段の問題であります。われわれは、数年前、この国会において特に参議院において、ある種の暴力団体、率直にいって労働組合の一部の者が院内に乱入して暴力ざたに及んだということの苦い経験を持ってあるのであります。しかし圧力団体は左側だけじゃない、右の方にも最近はだんだん興るような形勢がありまするし、日本ごとき民主主義の芽ばえの浅い国におきましては、圧力団体があらゆる方法をもって、議員の背後に力をもって動くということは起り得る可能性がある。しかし、これを未然に防ぐのでなければ、わが国の民主主義を危殆に導く危険性があると私は信ずるのでります。民主主義のために挺身する覚悟を持っておられる岸総理大臣の、特に政党の総裁という立場から、この問題のお考えを伺っておきたいと思うのでございます。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 圧力団体と民主政治の問題につきましては、私も非常に深い関心を持っております。御指摘のように、民主政治が、国民の声を聞き、また国民の要望というものを取り入れて、これを政治の上に実現していくというところにその一面があります関係上、陳情であるとか、あるいはその要望をさらに強くするために、一種の圧力団体のような形をとって要請するというようなことも行われつつあることは、御指摘の通りであります。しかしそこに、おのずから限界がなければならぬと思います。今川崎委員は、手段の点ということをお話しでありましたが、私も手段であるとか方法については、あくまでもわれわれが守ろうとしておるこの日本の民主政治を実現しようとするには、国会を中心としてこれを実現していくというところにあると思いますから、この点から考えて、あるいは暴力であるとか、あるいはこの圧力団体が非常な強い要請力を持って、これでもって、国会が当然国民全体の立場なり、福祉というものを考えなければならぬという広い立場をわれわれが厳守することができないような圧迫を加えるというようなことに至るということは、これは民主政治の正しいあり方でないと思う。従いまして、政党の首脳部——これは首脳部だけではなしに、国会に議席を持つわれわれすべてがこの国会を中心の民主政治を守るために、一方において民の声を聞くことは、国民の要望を聞くことは当然でありますけれども、しかしながら、われわれは常にこの高い国民的な全体の立場をとって、一部の利益であるとか、あるいは一つの階級の要望に屈していくようなことのないように、われわれは常に留意しなければならない、こう思っております。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)委員 私の質問を終りますが、ただいま申されましたように、一部の階層の利益と国会全体の利害が衝突をするというときには、当然政党の総裁、あるいは党を指導される方々の態度というものは、きぜんたるものでなければならぬ。それでなければだんだんに押されて、いろいろな障害が民主政治の前途に横たわりつつあるということを申し上げたかったのが、私の趣旨であります。  本日は予算委員会の冒頭で、与党質問でありまするから、まあこの程度だろうと私は思うのであります。明日からは野党の質問でありまするから、中には天気険悪にして波高しという閣僚もないではない。どうか一つ健在で予算審議を十分にやられんことをお祈りいたしまして、私の質問を終ります。

江崎真澄自由民主党

○江崎委員長 この際お諮りいたします。資料要求につきましては、前国会の通り委員長に御一任願うことといたしまして、御必要の資料は、各委員より書面をもって委員長の手元に提出していただくことといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江崎真澄自由民主党

○江崎委員長 御異議なしと認めます。よってさように決します。  明日は午前十時より開会することにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。     午後五時七分散会

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