本会議 第36号
- 発言数
- 7 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1958/04/25
会議録
○議長(益谷秀次君) これより会議を開きます。 ————◇—————
○議長(益谷秀次君) 日程第一は提出者より委員会の審査省略の申し出が上ります。右申し出の通り決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。 日程第一、岸内閣不信任決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。河上丈太郎君。(拍手) 〔河上丈太郎君登壇〕
○河上丈太郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程された岸内閣不信任決議案の提案趣旨を説明いたしたいのであります。(拍手) まず、主文を朗読いたします。 本案は、岸内閣を信任せず。 右決議する。 〔拍手〕 われわれ社会党が岸内閣を信任することのできない第一の理由は、岸内閣が国民の信託を得た内閣でないということであります。(拍手)昭和三十年二月の総選挙以来、三年二カ月にわたり、保守党内閣は五たび政権を変えております。第二次、第三次鳩山内閣、石橋内閣、岸内閣、岸改造内閣、これであります。自民党の歴代内閣は、民主的な政権移動のルールをじゅうりんし続けて参ったのであります。(拍手)岸内閣並びに自民党は、政権の移動は総選挙によって国民の審判を求めるという民主政治の大道を無視して、政治の折り目を正さず、よき慣行を作る努力を怠ってきたのであります。(拍手)岸首相は、大東亜戦争の最高の責任者の一人であります。(拍手)岸君が……。(「古いことを言うな」「自分は何だ」と呼び、その他発言する者多し)岸君が真に民主的政治家たらんと欲するならば、内閣を組織した直後国会を解散して、真に民衆とともに政治を行う態度を明らかにすべきものであったと思うのであります。何ゆえ、あのとき国民に信を問わなかったのでありましょうか。もうわずかにして行われる今回の解散においても、岸君は事務的な繰り上げ解散だとの考えを持っておられるようであります。君のこの態度は、民衆とともに、国民とともに政治を行う民主政治家の最も必要なる精神と資格と情熱のないことを雄弁に物語っておるのであります。(拍手)私たちは、君が民主政治家として生まれかわったということを言われまするけれども、それを認めるわけには参りません。(拍手)われわれが君を信任することのできない一つの理由がここにあるわけであります。 われわれは、民主政治の大原則から、政権の移動は国民の意思できめるべきものであって、国民の意思を無視して自分だけの政治を行わんとした岸内閣を許すことはできません。民主政治のルールを無視することは国民の権利を侵害したことであるのであります。(拍手)岸君は、岸ブームをわかせ、派閥の対立を緩和させ、そうして解散しようと考えておられたと思うのであります。これがために、二度までも東南アジアを訪問し、さらに渡米し、さらに全国を遊説いたしました。しかし、岸君の予想ははずれて、今や国民は岸君の言葉を信用しなくなっておるのであります。(拍手)これこそ国民の政治べの不信であり、その不信を呼び起した君の責任はまことに重大といわなければなりません。(拍手)解散はすでに迫っておりまするが、あまりにもおそい解散であったのであり、おそらく国民は痛烈にこれを批判するに違いありません。(拍手) 岸内閣を信任しない第二の理由は、岸内閣の外交政策の失敗であります。ミサイル時代という新しい世界情勢に対処して、岸君は一体日本の外交方針をどこに置いておるのでありますか。岸内閣は、日本の進むべき道、日本の平和と安全を求阻める道を国民に示すことができなかったのであります。(拍手)ICBMという究極兵器は戦争を不可能にいたしました。しかるに、君は、時代おくれの自衛隊を増強し、アメリカの前線基地を許容しておるのであります。アメリカを訪問するとき、君は日米間の諸懸案を打開すると称し、日本に帰って君は日米の新時代が到来したと言ったけれども、岸内閣のいう日米の新時代は、アメリカ追従の外交をより強化したことであるのであります。日米間に横たわる諸懸案は、いまだ何一つ解決されていないのであります。私も、日本社会党を代表して、君がアメリカを訪問された直後、同じくアメリカを訪問し、ダレス国務長官を初め、朝野の有力なる政治家と会見をいたしましたが、日米間に横たわる諸懸案は、アメリカ追従の外交方針をとっておる保守党によっては断じて解決しないことを、私は確信をいたしたのであります。(拍手) 岸首相は、口に、国連中心主義とか、自由諸国の協調とか、アジア諸国との善隣友好の外交を唱えておりまするが、岸外交の基本をなしているものは、アメリカに追従し、力による外交政策を唱えるダレス国務長官の片棒をかついでいるにすぎないのであります。(拍手)口で唱える君の外交政策ではどうにもならないのが、現在日本の外交行き詰まりの姿ではありませんか。今こそ、日本の外交は、だれにも屈しない、だれにも圧迫されない、自主独立の外交を展開すべきものであると信ずるのであります。(拍手)日米間の諸懸案の行き詰まり、日中第四次貿易協定の失敗、日韓会談の行き詰まり、この八方ふさがりの中で、君は日本をどこに持っていこうとするのか。政府与党に一貫した外交方針があるのでございましょうか。(拍手)外交さえ自民党内部の派閥の争いに利用されているのが現状ではありませんか。(拍手)私は国民とともに深い憂いに包まれるのであります。現在、核実験の禁止が国会で決議され、国際的にはソ連から核実験の禁止が提唱され、東西両巨頭会談が提唱されております。われわれは、今こそ、だれにもはばかることなく、核実験の禁止、巨頭会談の促進、さらに非核武装地帯の設定に努力すべきものであると信ずるのであります。(拍手) われわれ社会党は、自主独立の外交を推進し、アジア・アラブ諸国との提携を強化し、その中に生くべきものであると信ずるのであります。そのためには、中国を承認し、中国貿易を振興し、東南アジアとの提携強化を行うことが必要であります。これこそ日本がとるべき新しき外交の路線であると信ずるのであります。(拍手)われわれは、かかる世界情勢の中で、一時代おくれたるごとき外交で行き詰まっておる岸内閣を信任することはできないのであります。(拍手) われわれが岸内閣の退陣を要求する第三の理由は、岸内閣が経済政策に失敗した点にあります。(拍手)現在は政治が経済に優先する時代であります。わが国の経済情勢は、今や深刻なる不況に見舞われておるのであります。この不況は、一般経済人がその経営を誤まった結果でもなく、ましてや、労働者の怠慢や、国民が浪費、乱費をやった結果では決してありません。すべての責任は、岸内閣が経済の見通しを誤まり、不合理な経済政策を強行した結果であると思うのであります。昨年の上半期は、石橋内閣のあとを受けて放漫な経済政策をとり、神武景気に酔い、一度国際収支悪化の警鐘が乱打されるや、緊急経済政策と称し、超デフレ政策に切りかえ、金融のひもで企業ののど首を絞めたのが、今日の不況を招来した原因であると思うのであります。(拍手)岸首相は、これに対し、何らの責任をとろうといたしません。最近になると、経済界の小康を理由として、昨年に輪をかけた放漫予算を組んで、再び国民を欺瞞しょうとしておるのであります。われわれは岸内閣に一片の良心ありゃと問いたいのであります。(拍手) 昭和三十三年度の本予算の編成に当っては、国民に政府の基本方針を発表し、あくまできびしい緊縮予算に終始する態度を明らかにいたしましたが、編成に当っての岸首相の不手ぎわ、与党の予算のぶんどり合戦によって昭和三十三年度の予算は、かねて発表の基本方針とは似ても似りかぬ放漫予算となったのであります。大企業には積極的な財政投資によるてこ入れ、圧力団体には屈服、声なき国民大衆には文字通りの緊縮予算を編成したのであります。(拍手)一千億の減税、 一千億の積極施策の放漫な予算で非常な苦杯をなめたのは、つい一年前ではありませんか。その記憶のいまだなまなましい今日、再びその愚を繰り返さんとしております。岸内閣の責任まことに重大といわなければなりません。このような予算を編成し、一貫した経済政策を堅持せぬ岸内閣に、現在の不況を克服する資格は絶対にないのであります。(拍手) われわれが岸内閣を信任せぬ第四の理由は、公約の放棄ということであります。岸首相は、総理のいすを得て、国民に貧乏と暴力、汚職の三悪追放を行うことを公約いたしました。岸内閣成立後一年有余を経たる今日、三悪追放の金看板は一片のほごに帰した感があります。社会保障の拡充は行われず、不況の深刻化により失業者が増大し、貧乏は激増しつつあります。また、日米安全保障条約、行政協定の改廃に努力せず、沖縄の軍事基地化を黙認し、自衛隊の増加を強行し、最大の暴力たる戦争を助長し、また、労働争議に警官を動員して対抗しました。岸内閣成立後も、売春汚職、千葉銀行の不正融資等、忌まわしき汚職事件はその跡を断たないのであります。(拍手) 岸首相の言葉と行動は、あまりにも大きな食い違いを示しております。国民は、岸首相が三悪追放を行う誠意のないことを知っております。先日の共同通信の世論調査によっても、自民党支持は三五%であるに比し、岸内閣支持はわずかに一七%にすぎないのであります。(拍手)保守党を支持する国民においても、なおその半数が岸内閣を支持しないということは、この事実を物語っていると私は思うのであります。(拍手)わが国民は、そつのない答弁よりも、誠実にして責任感ある宰相を求めておるのであります。(拍手)昨年の内閣改造でも、本年の予算編成でも、さらに人事問題、外交問題、解散問題、すべて首相としての統制力と政治指導力が発揮されたためしがかつてありません。(拍手)統制力のない、指導力のない岸首相、公約を無視し、その責任を感じない岸内閣は、あくまで退陣すべきものであると思うのであります。(拍手)岸首相は、まさに内政の面でも大きな壁にぶつかり、その限界にきたと申さなければなりません。 われわれが岸内閣を不信任する第五の理由は、岸内閣が、民主主義をじゅうりんし、反動的な文教、労働政策を強行したる点であるのであります。(拍手) われわれ社会党は、去る衆参両院の選挙において三分の一の議席を確保し、憲法改悪と再軍備を一応阻止し得ましたけれども、現実には、憲法はじゅうりんされ、再軍備は促進されておるのであります。岸君は、憲法に反する憲法調査会を発足させ、暗に憲法の改正を目ざしております。現に、防衛庁設置法、自衛隊法の一部改正法を強行し、再軍備に拍車をかけておるのであります。 また、岸内閣の反動性は、労働政策と教育政策に集約して現われております。石田労政と呼ばれる岸内閣の労働政策は、昨年と本年の春季闘争に如実に現われております。昨年の春闘では、労働争議に干渉することはもちろん、警官を導入し、これに対して猛弾圧を加え、争議が終ってから、多くの労働運動指導者を解雇いたしたのであります。また、本年の春季闘争でも、民間の労組の争議に政府が介入し、裏面では資本家のあと押しをやり、春季闘争を長引かせました。弾圧と懐柔をもってする反動的労働政策で、君のいう健全な労使の慣行を作ることができましょうか。憲法に保障された労働者の基本的権利を無視して、労働者に一方的に法律の順守をしいることはできないのであります。(拍手) 教育政策では、あれだけの問題のある勤務評定を強行し、道徳教育を復活し、さらに、教育を保守勢力の権力維持の道具に使おうとしておるのであります。(拍手)教育者の唯一の組織体である日教組にくさびを打ち込み、これを分断することによって教育をみずからの手に私しようとしておるのであります。(拍手)教育に現在最も必要なことは、日教組を弾圧することではありません。教育には、義務教育全額国庫負担、すし詰め教育の解消、教育施設の拡充、大学の整備等、難問題が山積しております。一国の教育は一日にして成りません。教育問題で山積しておる難事を捨ておいて教員のみを弾圧して事足れりとしている岸内閣の反動性は、識者をして目をおおわしむるものがあります。(拍手) 労働運動には弾圧と懐柔、教育政策には権力主義をとる岸君の反動性を見るときに、われわれは岸君の過去を想起せざるを得ないのであります。(拍手)君の憲法改悪に対する蠢動を見、君の公約無視を見、君の反動的な文教、労働政策を見るとき、われわれは、かつて君に導かれた日本国の道を再び歩むのではないかと危惧するものであります。(拍手)岸内閣は戦後フアッショの台頭の芽であると断言してもはばからないのであります。(拍手) われわれは、このような反動的な岸内閣の存在を一日も許すわけにはいかないのであります。科学技術の偉大なる進歩は、新しい世界の夜明けを告げました。新しい世界の入口に立ってわれわれ日本はまず何よりも平和を求めなければなりません。(拍手)社会党の主張する原水爆禁止運動は、イギリスでも労働党の提唱によって大きな国民運動となり、西ドイツにおいてもまたしかりである。アメリカにおいてすら、ダレス氏の力による政策は批判され、力によるものは力によって滅びるといわれておるのであります。(拍手)また、東西巨頭会談など、話し合い外交の推進は全世界の要望となり、社会党の主張するものが現実となりつつあるのである。このような国際的潮流は、わが国にも大きな影響を与え、岸内閣打倒の声はちまたに充満しているといわなければなりません。(拍手) 世界の平和を守るために、日本の平和と完全なる独立のために、働く労働者、農民、中小企業者の生活の安定のために、民主政治の健全なる発展のために、私は、国民とともに岸内閣の恨陣を強く要求し、岸内閣不信任案の提案趣旨の説明を終る次第であります。(拍手)
○議長(益谷秀次君) これより討論に入ります。 三木武夫君。 [三木武夫君登壇]
○三木武夫君 私は、自由民主党を代表して、社会党提案の内閣不信任案に対し、反対の討論をなさんとするものであります。(拍手) ただいま、河上君の提案理由の説明を、とくと拝聴いたしましたが、相かわらずの公式論、観念論で、傾聴に値すべき論拠はほとんどないということを率直に申し述べなければならないのであります。二大政党の時代における政党には、明日にも政権を担当するという意欲と責任感がなければならぬということであります。(拍手)そのためには、常に実行が可能であるということを念頭に置いて発言せねばならぬということであります。しかるに、ただいまの論議を通じてみても、二大政党のもとにおける政党の責任感に徹した、地に足のついた議論であるということは、われわれは受け取れないことを、社会党のために惜しむものであります。(拍手) 以下、私は、不信任案の提案理由に盛られた重要な諸点に対し、わが自由民主党の見解を披瀝しつつ、反駁してみたいと思うのであります。 第一に、河上君は総選挙を経ずして政権を交代したということを御非難になりました。しかし、政党政治時代における政権の母体は政党にあるのである。(拍手)首相個人を母体にしておるのではないのである。従って、首相がかわるたびに総選挙を経なければならぬというルールは成立しないのである。(拍手)結局、任期中の総選挙は、時の世論、時の政治情勢の判断に待つよりほかはないのである。従って政権たらい回しという非難は、これはごうも当らないものであるということを申し上げておきたいのであります。(拍手) 第二に、岸内閣の外交はアメリカ追従外交であるとの御非難でありますが、われわれはアメリカとの間に長く友好関係を維持したいと念願をしておるのであります。(拍手)社会党のごとく、ことごとくアメリカの善意を否定する反米という外交方針は、われわれのとらないところである。(拍手)このような外交方針のもとに、太平洋の安定はない。太平洋の安定のないところに、日本の平和は成り立たない。(拍手)現在の日米関係は、追従でもなければ隷属でもない。原水爆の実験中止にしても、沖縄、小笠原の施政権の返還にしても、安保条約の再検討にしても、言うべき点は、アメリカに対して、いささかも遠慮はしていないのである。(拍手)日米関係は常に対等の立場に立っておるのである。(拍手)しかも、共産圏との間にも国交を正常化しつつあることは現実の示すところである。 社会党の外交政策は中立主義である。中立主義によって、どこの国ともうまくやっていこうというのである。しかし、そのためには、アメリカとの安保条約を解消する、国民政府の承認を取り消す、中共を即時承認するというのである。(拍手、「そうだ、そうだ」「その通り」と呼び、その他発言する者多し)このような革命的な外交政策の転換がどうして実現可能かということを社会党に聞きたいのである。(「ノーノー」)どこの国ともうまくいくどころか、社会党がアメリカ追従と非難する岸内閣が、自由陣営の一員としての立場を堅持しながら、かつ、ソ連や中共のごとき共産圏の間に今日持っている程度の関係すらも、社会党の中立外交のもとでは自由陣営の間に持てるものではないのである。持てるものではない。おそらく、社会党の中立主義のもとにおいては、アメリカとの関係はゼロにひとしくなるでありましょう。このような外交政策をとるならば、やがては日本は共産圏に入らざるを得なくなるのではないか。(拍手)それが中立主義という八方美人外交の行方であるということである。われわれは岸内閣のとっておる外交政策の基本こそは、日本の国際的地位と国際的信用を保持する道であり、このやり方が最も堅実であり、安定感のある外交方針であることを、信ずるものであります。(拍手)社会党の外交政策は、現実には通用しない。外交評論家的であるということである。(拍手)責任ある政党の外交に対するものの考え方とはわれわれは受け取れないのである。(拍手) 第三に、岸内閣の経済政策は失敗であるというけれども、昭和二十七年の日本の独立から今日まで、日本経済の足どりを振り返ってみれば、鉱工業生産指数は二倍になっている。輸出貿易額は二・七倍になっている。国民の生活水準は二割向上しておるのである。今や、日本の経済力は、急速に世界のベスト・テンにのし上ってきた、(拍手)全く類例を見ない発展に対して、世界は驚異の目をもって見ておるということが現実なのである。(拍手)これには日本国民の勤勉もあるが、歴代の保守党内閣の経済政策が全体として誤まっていなかったことを示すものであるといわなければならない。(拍手) 近年、世界が技術革新の波に乗って設備過剰に陥り、日本もまたその例外ではなかったのであります。行き過ぎたことは事実である。しかしながら、一面、産業の生産力と近代化が進み、著しく日本経済に国際競争力を加えた効果も見のがすことはできないのである。一段と日本経済の基盤を拡大強化したことは事実である。国際収支の改善にしても、イギリスですら一年半を要したのに対し、岸内閣のもと、日本は僅々四、五ヵ月間で回復したのであります。経済政策に対する批判は、部分的に取り出すのではなく、経済全般を把握して論じなければならぬということであります。(拍手) このように、緊急政策の効果が上り急速な国際収支の改善と経済の調整も最終段階にきたので、今後は金融政策を次第に正常化し、資金の効果的投入と新規産業の育成をはかって、適度な有効需要を喚起する考えであります。また、必要があれば、経済基盤の強化のために、たな上げされた資金も活用するし、財政投融資の余裕金も放出して、今後弾力的な景気回復の政策をとり、これ以上景気を下降させない方針であります。(拍手)従って、日本経済の今後の見通しは明るいのである。(拍手) 要は、金融引き締めの政策から新経済五カ年計画の線に返り、この五カ年計画を通じて完全雇用と生活水準の向上を目標に、着実に長期計画を実行したいと考えておる。(拍手)このために、昭和三十七年度までには、経済の成長率を毎年六・五%、年間輸出五十億ドル、雇用の増加五百万人、生活水準の向上四割を達成したいということが、われわれの決意なのであります。われわれは、これを、自由主義経済の原則に立って、必要な計画と調整を加えて達成しようとするものであります。これが世界経済の姿である。社会党の考えるような厳格な意味における計画経済というようなものを行なっておる国は、ソ連、中共のごとき共産圏以外には世界のどこにもないということであります。(拍手) 河上君は、岸内閣は大企業の擁護であると非難するけれども、われわれの立場は、富を積極的に作り上げようという立場であります。(拍手)国全体が豊かにならなければ、国民の生活水準は向上するものではない。(拍手)新しい職場も生まれるものではない。富の分配のみに急であって、富を作り上げる原動力である生産性向上運動を否定する社会党とは、経済に対する根本的な見解を異にするものであります。(拍手)従って、われわれは、企業の発展に積極的であることは当然であります。しかし、大企業中心というのではなく、むしろ今後は中小企業の振興に政策の重点を置きたいと考えておるのであります。(拍手)現に、中小企業に対しては、財政投融資、信用保証制度、設備の近代化、また技術水準の向上に大幅な資金を投じようとしておるのであります。(拍手)また、個人事業税の年所得二十万円以下は免税にするほか、中小法人の法人事業税の税率を引き下げ、中小企業に対する社会保障制度を拡充するなどのことを、総選挙を通じて公約しておることを見ても、われわれがいかに条件に恵まれない中小企業者の向上に対して意を用いておるかということがわかるではありませんか。(拍手)農業の面における生産性の向上と所得の増大に対しても特別の意を用いておるのであります。農民や中小企業者のごとき国民の大部分を占める中間層の生活の安定と向上なくして日本の発展はないのである。(拍手)今後、われわれが税制、産業政策、社会保障制度を通じて政治の目を特に向けたいのはこの階層であり、河上君が大資本擁護と言うことは事実を曲げるものである。(拍手) 第四に、岸内閣の労働政策、文教政策が反動的であると社会党は言うのである。しかし、われわれの考え方よりすれば、社会党の労働政策こそ反動的であると、われわれは信じておるのである。(拍手)なぜならば、社会党は総評の労働運動方式というものを肯定している。ところが、近時総評に指導される日本の労働組合運動は、世界の労働慣行に反して奇形児的な運動に陥りつつあるのが現状であります。春夏秋冬スケジュールを組んで闘争を繰り返す組合が世界のどこにあるかということである。(拍手)生産性向上運動を否定して賃上げ闘争を繰り返す組合が、世界の一体どこにあるというのであるか。(拍手)実力行使の名のもとに法律、秩序を公然と無視する組合が世界のどこにあるというのであるか。(拍手)しかも、反省もしないで、当然のこととして、あたかも世界の組合運動の先端を行っておるがごとく得々としておるのが総評の現状であるといわなければならないのである。(拍手)われわれは、企業経営者の社会的責任の自覚と同時に、組合運動の行き過ぎた危険な独善に対しても、その是正を強く要求しなければならぬと考えておるのであります。(拍手)要は、日本の労働組合運動が法治国らしい労働組合運動に返れということである。(拍手)良識と節度のある労働組合運動に返れということである。(拍手) また、日教組に対しても、われわれの敬意を表しておる教師諸君が、ねじりはち巻で、ワッショワッショやっておる姿が、教員の正しい姿であるとわれわれは考えていないのだ。(拍手)最近の青少年の気風が殺伐になってきたのは、日教組の殺伐な闘争が影響していないと、だれが言い切れるのであろうか。(拍手)日教組は、平和運動の先端に立っておる口ぶりであるけれども、平和は手段を選ぶということである。目的のためには手段を選ばず、きょうはねじりはち巻、あしたは教室で平和を説いても、生徒にはぴんとこないのである。(拍手)われわれ自由民主党は、堅実な市民、人間性の豊かな人物を養成してもらいたいことを望んでおるのである。(拍手)全国の多くの善良な教員諸君が一部の指導者に誤まられている現状は是正しなければならぬと考えておるのである。(拍手) われわれは、労働問題、教育問題に対して非常な熱意を持っておる。それらのことが日本民族の将来の運命に関連しているからなのであります。 労働運動の中心題目は雇用の問題であります。雇用の拡大のために、われわれは新経済五カ年計画を実行しようとしておる。さらに、勤労者の納税負担を軽減するために、標準世帯月収二万五千円以下の所得者には所得税を免除することを選挙の公約としたのであります。(拍手) 社会保障制度についても、昭和三十五年度より全国民を対象とする国民健康保険の実施、明年度よりは老齢者、母子世帯、身体障害者を対象とする国民年金制度を実施することを決意したのである。(拍手)わが国の社会保障制度の歴史の上において、今回の決定はまさに画期的なことであるといわなければならないのである。(拍手) また、最低賃金制を企業の実情に即した形で実施したいと考えて最低賃金法案を国会に提案したのであるが、社会党の反対によって法案の成立を見なかったことは、きわめて遺憾なことである。(拍手)社会党の唱えるがごとき一律月八千円というがごとき最低賃金制は、中小企業の大量な倒産を前提にしなければ実現できるものではない。(拍手)このような実現不可能な政策を掲げても意味はないのである。実情に即した形で最低賃金制を実施しで、少しでも恵まれない中小企業の労働者の労働条件を改善したいというのが、わが自由民主党の願いなのであります。(拍手)一体、自由民主党と社会党と、いずれが真に勤労者の味方であるか、冷静な国民の批判に聞きたいのである。(拍手) 教育についても、われわれは、教育の機会均等、義務教育の充実、科学技術の振興を柱として恵まれない家庭の青少年のためには、岸内閣が創設した教育費の全額国庫負担の育英制度をさらに拡大して才能があるにかかわらず、家庭の事情で進学できない青少年の嘆きを全国からなくしたいのである。(拍手)さらに、われわれの念願とするところは、義務教育の充実ということである。そのために、すし詰め教室、危険校舎の解消、統合校舎の整備を、今後五カ年間に完全に解決することを選挙の公約に掲げたのである。(拍手) かく論じてくれば、自由民主党と社会党と、労働政策、教育政策について、いずれが一体地に足がついているのか、真に目的の達成に、いずれが忠実であるのか、われわれは、国民の良識に訴えたいと考えておるのである。(拍手)社会党は、二大政党時代における野党の国民に対する責任の重さを反省して、総評の支配から脱却する勇気を持たなければならぬということが、日本の将来を憂える全国民の声であると私どもは信じておる。(拍手) 第五に、岸内閣は、三悪追放の公約をほごにしたと河上君は言うが、あっせん収賄罪の制定、暴力事犯法規の整備等に見られる公約の立法化が着着と現に進んでおるのではないか。(拍手)また、貧乏の問題は、前半に私が触れたから、ここには論じない。しかし、三悪追放に盛られておる内容は、これは一朝にして解消するほど簡単な問題ではないが、われわれは、汚職なき、暴力なき、貧困なき、清潔にして明朗な社会を建設したいということを強く念願しておるのであります。(拍手) また、河上君は、自衛隊の問題を論じ、岸内閣は戦争助長策をとると非難するが、あまりにも事実を曲げた論議であると言うほかはないのである。(拍手)戦争をしないということは、われわれの不動の決意である。(拍手)しかし、独立国家として、最小限度の自衛力を保持することは当然である。(拍手)自衛力を否定する社会党の考え方は、世界に類例を見ない奇矯なものであり、世界の常識には全く通用せぬ議論であるといわなければならない。(拍手)われわれは、自衛隊の装備を整備はするが、核武装はしない、アメリカ軍隊の核兵器持ち込みは承認を与えないということは、政府がしばしば言明したところであって、この事実に誤まりはないのである。核武装どころか、原水爆の実験禁止、ひいては製造禁止を最も強く世界に訴えておるのは、ほかならぬ岸内閣ではないか。(拍手)われわれの願いは平和の維持ということである。平和の維持ということである。これが自由民主党の政治のバツク・ボーンである。(拍手)河上君の非難は全く当らない。(拍手) 以上論じてくると、社会党の不信任理由はごうも合理性がないということである。(拍手)日本の平和と安定と繁栄のためには、社会党には容易に政権を渡せぬということである。(拍手)われわれ自由民主党の政治信条のもとに、社会党の意図するよりももっと堅実な、品格のある福祉国家の建設が可能であるということを、われわれは信ずるものである。(拍手)もちろん、われわれも、自粛自戒、国民に対する責任の重きを自覚しなければならぬけれども、われわれは、社会党の不信任提案の理由を聞き、われわれの考え方と社会党の考え方とを比較し、わが自由民主党内閣が、ますます自信を持って、政局を長期に安定して、国民の負託にこたえなければならぬという感を深くいたした次第であります。(拍手) 以上をもって、私は、社会党の岸内閣不信任案に対する反対討論を終ろうと思う次第でございます。(拍手)手
○議長(益谷秀次君) ただいま内閣総理大臣から詔書が発せられた旨伝えられましたから、これを朗読いたします。 〔拍手〕 日本国憲法第七条により、衆議院 を解散する。 〔拍手する者、「万歳」「万歳」と呼ぶ者多し〕 時に午後六時九分