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28回国会衆議院1958/02/01

本会議 第7号

発言数
39
登壇者
19
会派数
2
開催日
1958/02/01

会議録

益谷秀次自由民主党議長

○議長(益谷秀次君) これより会議を開きます。      ————◇—————  永年在職議員加藤鐐五郎君に対し、院議をもってその功労を表彰することとし、表彰文はこれを議長に一任するの件(議長発議)

益谷秀次自由民主党議長

○議長(益谷秀次君) お諮りいたします。本院議員として在職二十五年に達せられました加藤鐐五郎君に対し、先例により院議をもってその功労を表彰することとし、表彰文は議長に一任せられたいと存じます。これに御異議ありませんか。     〔「異議なしと呼ぶ者あり」〕

益谷秀次自由民主党議長

○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  ここに議長の手元において起草いたしました文案があります。これを朗読いたします。  議員加藤鐐五郎君衆議院議員二当選スルコト十回在職二十五年二及ヒ常二憲政ノ為二尽シ民意ノ伸張二努ム衆議院ハ君カ永年ノ功労ヲ多トシ特二院議を以テ之ヲ表彰スこの贈呈方は議長において取り計らいます。  この際加藤鐐五郎君から発言を求められております。これを許します。加藤鐐五郎君。     〔加藤鐐五郎君登壇〕

加藤鐐五郎自由民主党

○加藤鐐五郎君 一言ごあいさつ申し上げます。  ただいまは、私が満二十五年間本院議員に在職したゆえをもって、院議をもって御丁重なる表彰の御決議をいただきました。まことに身に余る光栄でありまして、つつしんで御礼申し上げます。(拍手)  私は、少壮時代より、衆議院議員たることに非常なあこがれを持ちました。幸いに本院に席を汚すことになり、今ここに永年在職議員として表彰を受けますことは、光栄とともに、無量の感慨に打たるるものであります。(拍手)  顧みまするに、私が初めて本院議員に当選しましたのは大正十三年でありまして、今日まで、まさに一世紀の三分の一を経過いたしました。その間における国連の変転、また民主主義の進展は、真に隔世の感があります。この間大過なくその職責を全うして参りましたことは、これ全く先輩、同僚諸君の御指導のたまものでありまして、ここに衷心より感謝申し上ぐる次第であります。(拍手)  私の願いは、政治を清くし、正しくすることであります。「政は正なり」、また、国民をして国会を信頼さすことであります。「民信なくんば立たず」、私は、この信条において、今後も、身を持すること厳に、諸君の驥尾に付して、生涯を国運の興隆と民生の安定にささげ、議会政治のために奉公の誠をいたしたいと存じます。(拍手)何とぞ従来通り御指導、御鞭撻を賜わりますようお願いいたします。  以上、簡単ではありますが、重ねて感謝の意を表し、ごあいさつといたします。(拍手)      ————◇—————  国務大臣の演説に対する質疑             (前会の続)

益谷秀次自由民主党議長

○議長(益谷秀次君) 国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。  松野頼三君。     〔松野頼三君登壇〕

松野頼三自由民主党

○松野頼三君 私は、自由民主党を代表して、財政経済問題等につき、政府の所信をたださんとするものであります。  まず第一にお伺いしたいことは、現下の経済の見通しと、これに対する財政金融の態度についてであります。  政府は、昨年八月末に、国際収支の改善を最大の眼目として、総合的な引き締め政策を断行し、これを強く推進して参りました。その結果、最も心配されていた国際収支の状況は最近大きく改善され、八月ごろの予想では、本年度における国際収支の実質的赤字が四億ドルに達するものと見込まれておりましたが、最近の推算では一億三千万ドル程度にとどまるものと見られるに至りました。しかも、このような国際収支の改善は、決して輸入の抑制だけではなく、輸出の順調な伸びによる結果であります。現在の見通しでは、三十二年度の輸出見込みは、当初の目標の二十八億ドルを数千万ドル越すものと見られるに至っております。すなわち、国際収支の面においては、政府の対策よろしきを得て、相当な改善を見つつあると断言してはばからないのであります。(拍手)反面、国内の経済事情を見まするに、引き締め政策は生産調整の段階にまで徹底して参り、すでに繊維、鉄鋼等の部門におきましては危機に直面しておるといっても過言ではありません。生産段階における縮小は、雇用の低下を来たし、失業の漸増をもたらし、慢性的な不況を意味するものであります。それが行き過ぎると、わが国経済が縮小均衡に追い込まれる心配があるのであります。また、あまりに無理な不況をしいると、景気反転のときの反動力を強め、不況、好況の幅を大きくすることになり、長期経済計画で期待しておる、安定したる拡大発展を不可能にする結果にもなると思うのであります。このような見解からして、私は、従来の一律 的な引き締め政策を改め、産業別、業種別の実情に応じ、ある程度の手直しをする必要があると信ずるのであります。もちろん、三十三年度予算が、一般会計においても、財政投融資においても、相当な蓄積を残して、超均衡予算を編成しているきびしい態度は、これを了解するものでありますが、少くとも金融面において弾力的な運営をはかり、特に電力、輸送力、石炭、鉄鋼等の基礎産業部門に対しては、経済計画達成に必要な資金を確保することが適当であると思います。そのために、六百五十億円に上る三十二年度の財政投融資の打ち切り分を一部解除するとともに、民間資金の確保についても特別の配慮が必要であると思うのでありますが、総理大臣の基本的お考えを承わりたいと存じます。(拍手)  次に、財政のあり方についてであります。三十三年度予算は、一般会計において四百三十六億円をたな上げし、中でも、中小企業信用保険基金その他の基金に充てる分は、原則としてこれを長期に資金運用部預金として凍結することとしております。そのほかに、国債整理基金操入額を前年度よりも三百十億円も増額しており、これを合算すると、実に七百五十億円の超均衡予算と称してよいのであります。財政投融資におきましても、資金運用部資金、簡易保険資金、産業投資特別会計を通じて千億円程度の蓄積を保留しており、これまた超均衡予算と称してもよいのであります。このような予算は、わが国の財政史上かつて見ない異例なことでありまして、率直に言って決して正常な財政のあり方とは申されません。しかしながら、国際収支の改善という絶対要請の前には、最大の消費者である国が率先して消費を抑制し、輸出の増進をはかることが必要であると確信するがゆえに、われわれもこの例外的な財政措置を容認したのであります。  しかしながら、特に私が申し上げたいことは、経済基盤強化資金としてたな上げすることとなっておる二百二十一億円の処理の問題であります。政府は、これは、財政法第四十四条の規定に基いて、わが国の経済基盤育成強化に必要な経費の財源を確保し、将来におけるこれらの経費の財源を補足する目的のもとに、特別資金として保留する構想のようでありますが、二十四年度の超均衡予算の編成の際でも、余裕財源は食管や外為へのインベントリーとして活用し、今回のようなたな上げの措置はとらなかったのであります。このようなきわめて異例な措置でありますがゆえに、私は、経済の事情が安定した場合には、すみやかにこれを歳出に立てて、経済基盤の強化に活用すべきものと信ずるのであります。  政府の先般決定しました経済計画を見ましても、五カ年間で、輸送力は貨物二六%、旅客三六%、その他のエネルギーは五六%、鉱工業七一%、農林漁業生産が約二〇%の拡大を見込んでいるのでありますが、これには民間資金のほかに相当な政府投資を必要とするのであります。新五カ年計画におきましても、行政投資は、三十七年度は三十一年度に比べて約五割増しの六千七百八十億円を予定しておるのであります。ところが、三十三年度予算案におきましては、道路、港湾整備がある程度の飛躍を見るほかは、行政投資は大体において横ばいと見られるのであります。従って、経済計画の達成が容易でないことは明らかであります。私は、ただいま申し上げました通り、経済の安定の見通しがつき次第、この保留財源をすみやかに活用することが適当であり、その時期は来年度下半期ごろと思うのでありますが、大蔵大臣はどのようにお考えか、所信を承わりたいのであります。  第二に質問したい点は、長期経済計画の達成の方法についてであります。  政府は昨年十二月新たに長期経済計画を策定しましたが、これは、過去の貴重な資料と経験を基礎として、可能な限り正しいデータを求められて、実情に応ずるように策定された努力は、認めるにやぶさかではありません。しかしながら、これが成否を決するのは、結局その実現の手段であります。ことに資金の裏づけの有無が決定的な条件となるのであります。今回の計画の特徴の一つは、エネルギー、輸送、鉄鋼、食糧等の基礎産業部門においては、従来より計画性を強め、その実行を推進するということでありますが、これを保障するものは必要資金の確保であります。しかし、この点は明確を欠いております。  資金の確保については、まず財政投融資が大きな役割を果すべきであることは言うまでもありませんが、それとともに、民間資金が計画の線に沿って確保されるような措置が絶対に必要だと思うのであります。民間資金の活用ということについては、すでに以前から多くの議論が行われ、その結果、閣議決定に基く金融機関資金審議会が設けられて今日に至っておるのでありますが、その実際の運営はほとんど見るべき効果は上げていないことは明らかであります。一例を見るならば、三十二年度の財政投融資計画において、公募債八百四十五億円はその半分も消化されていないような実情であり、いかに金融難のときとはいえ、銀行だけでも貸し出し総額五兆、日銀貸し出し五千億という資金の動きの中において、最も公共的な性格の強いこの公募債が半分も消化されないということは、了解に苦しむところであります。(拍手)このような金融界の現状では、長期経済計画の達成に必要な資金の確保も困難と思われ、政府が完全に経済計画の達成を期するならば、民間資金の流れに対してある程度の強い方向づけを行い、厳に不急不要の投融資の抑制の措置が必要と信ずるのであります。(拍手)ことに、今回政府より提案される予定の貯蓄減税を実行するならば、これは明らかに一種の補助政策により貯蓄の増強をはからんとするものであり、この計画によって集められた貯蓄が、国家の目的に活用されずに、銀行の思うままに自由に運営されるということであっては、断じて納得できないと思うのであります。この点について、特に大蔵大臣の所信を承わりたいと存じます。  経済計画達成の他の一つの基本的前提条件は、労働秩序の確立と賃金、物価の悪循環の遮断であると信ずるのであります。現在のように総評の指導のもとに画一的な賃上げ闘争が年中行事化し、しかも、その背景には階級独裁の政治的意図が厳然としてかまえておるようなことでは、(拍手)産業の生産性の向上も、経済の能率的な運営も期待できず、やがては賃金と物価の悪循環、コスト・インフレの傾向を招く結果となりましょう。(拍手)この点について、政府はいかなる強い対策を用意しておられるか、労働大臣の御答弁をわずらわしたいのであります。(拍手)  第三は、農林漁業の振興と食糧増産についてであります。三十三年度一般会計予算において農林省関係予算が一千億を突破し、苦しい中にも原始産業に対する政府の熱意のほどがうかがわれ、この点、敬意を表するものであります。(拍手)しかしながら、私は、これをもって決して満足なりというのではございません。新経済計画と照らし合せてみましても、三十三年度予算に盛られた程度の経費と資金の量では、計画の線を確保することは難事であります。  わが国の米作はここ三年間豊作を続けましたが、これは単に天候に恵まれただけのものではなく、過去十年にわたる食糧増産政策の努力が実を結んだ結果であります。(拍手)三年間の豊作が食糧の輸入量を著しく減少させ、わが国経済自立の上に大きく役立ったことは申すまでもありません。米が潤沢になると食糧増産の必要性を忘れがちでありますが、わが国はまだ年二千万石の主食を輸入しており、経済的に見ても、今後ますます農林漁業へ財政支出を大幅に行い、自給度の向上をはかるべきであります。  入植以来すでに十数年、人知れぬ苦労を重ねた開拓者も、近来は苦境にあえぎ、離農者さえ出す状態を見のがすわけには参りません。入植の促進も必要ながら、この際は特に既存入植者営農指導確立につき具体的、有効的な手段を講ずべきだと思いますが、農林大臣の御所見を伺いたいと存じます。(拍手)  三十三年度はきびしい予算とはいえ、三十二年度の実行計画を一部改訂するなり、あるいは蓄積資金を今後農林漁業面にも思い切って活用する等の措置を講じ、畑地及び畜産、水産等、総合的食糧増産と農家経営の向上、また、農協職員の身分安定を促進すべきであると確信するのであります。(拍手)農林大臣及び大蔵大臣の所信を承わりたいと存じます。  第四にお尋ねしたい問題は、中小企業対策であります。中小企業振興策として、前の臨時国会において中小企業団体組織法を制定し、また、三十三年度予算においては、中小企業信用保険団設立のために八十五億の予算を計上する等、着々政策の前進を見つつあることは同慶にたえません。しかし、現下の中小企業の苦境を救うには、さらに根本的な配慮が必要と思うのであります。この際特に私が感じますことは、すでに生産調整の段階に入った大企業が、その犠牲を下請企業や関連中小企業にもしわ寄せすることであります。引き締め政策に慎重な手心を加えるとともに、中小企業の安定策に積極的な対策を講ぜなければ、中小企業に深刻な打撃を与えるおそれがあります。この点につき、どのようなお考えか、通産大臣にお伺いいたします。(拍手)  いま一つは、中小企業に対する減税の問題であります。今回、政府の減税案では、法人税の税率が二%引き下げられることになっておりますが、個人企業に対しては減税の措置が見送られており、三十二年度の所得税の大幅軽減の一つの理由は、法人税が個人企業に対する所得税よりも割安であるために、個人企業の法人化が非常に多く、その弊害を改める意味において所得税を大幅に軽減するというのであったと思うのであります。しかるに、今回法人税の税率のみを引き下げることにより、中小企業である個人企業の負担の不均衡を来たすこととなり、これは事業税等の軽減により補うのが適当と考えますが、大蔵大臣及び自治庁長官のお考えを伺いたいと存じます。(拍手)  第五に、民生問題について一、二お伺いをいたしたいと存じます。  その一点は、国民皆保険の推進であります。政府はすでに三十二年度より四カ年計画をもって国民皆保険を実現する大方針を決定したとはいえ、多くの問題を残しております。一つは、国民健康保険の財政を成り立つように改善すること、二つには、結核対策を充実して、結核療養給付により負担の重圧を軽くすること、その三は、無医村の解消を促進すること、最後には、診療報酬制度を合理化して、医師及び関係者の十分な協力を得るようにすることと思うのであります。  三十三年度予算を拝見しますると、これらの問題については、ある程度の予算の増額を見ているのでありますが、特にお尋ねしたい一点は、国民皆保険の中心をなす国民健康保険の計画的な普及について、どのような具体策を用意しておられるかということであります。(拍手)三十三年度予算では国庫補助率を二〇%から二五%に引き上げておられますが、国民健康保険の普及は国の責任であるだけでなく、地方団体も相当な負担をすべきだと思うのであります。この辺のところもあわせて御答弁を願います。次は、診療報酬合理化の問題であります。これは厚生大臣も非常に苦労しておられることは承知いたしておるのでありますが、今後どのような解決をされるのか、御所見を承わりたいのであります。(拍手)  次に、国民年金制度について、政府は本年度からすでにその調査に着手しているのでありますが、現在どの程度の調査の進捗を見ているか。また、今後実施の見通しはどうか。現在の段階において明らかにし得る限りの御説明をお願いいたしたいと思います。  民生問題についての質問の第二点は、雇用対策であります。完全雇用の達成を目標とする新経済五カ年計画の初年度たる三十三年度において、一時的とはいえ、失業の増加を見込まざるを得ないことは、まことに残念なことでありますが、これに対する対策は、従来のような土木事業への吸収だけにとどまらず、多角的な対策が必要であります。長期経済計画の線に沿って雇用の積極的な増大をはかるという考え方に立って、総合的な雇用増進の対策を講ずべく、予算の構想も雇用対策とすべきであると思います。  三十三年度の失業対策事業費は、三百九十六億円を計上し、前年度予算よりも四十八億円の増加を見、これによって二十五万人の失業者を吸収する計画としておるのでありますが、従来の一般失対事業は固定化して、失対サラリーマンと化しておることは、すでに定評となっております。特別失対も、臨時就労事業も多くの問題を残しております。効率化をはかるために、根本的な再検討を加え、総合的な職業訓練と、計画的な転業補導を拡充することが、雇用対策として肝要なことだと信ずるのでありますが、これらの点につき、労働大臣の所信をお伺いいたします。  第六に、わが国経済の発展上の最大の隘路となっておる輸送力についてであります。三十二年度予算案におきまして、道路整備特別会計を新設し、道路公団事業と合せて、およそ千億円に上る道路事業を遂行することとなり、国鉄も五カ年計画の線に沿って必要な資金を確保し、港湾も相当予算の増額措置が講ぜられておりますが、輸送力の増強は一朝にして実現できるものではなく、たとい一般的に引き締めを要するときにおいても、計画的な遂行をすることが必要であります。従って、たな上げ財源の活用についても、その時期を失しないような処理をすることが肝要と思います。また、道路と港湾は一体として整備しなければ、総合的な機能の発揮ができません。道路は特別会計によって急速に整備される態勢ができたのに対して、港湾は一般会計のワクの中に縛られ、あまり伸びる余地がないのは、多少片手落ちの感がないでもありません。私は、港湾整備についても、特別会計あるいは公団等によって急速に整備することが適当と思うのであります。(拍手)また、道路については、国の事業だけでなく、地方団体の事業も並行して促進することが必要と思うのでありますが、それに対する財源措置いかん。以上の諸点につき、所管大臣の御見解を承わりたいと存ずるのであります。(拍手)  最後に申し上げたいことは、今後の財政経済の運営に関する政府の基本的態度についてであります。三十三年度予算案に対して、社会党や一部の論者が、あるいは放漫財政とか、あるいは防衛偏重予算なりと、事実に反する非難を加えているのでありますが、(拍手)すでに述べました通り、一般会計は四百三十六億円という巨額の財源をたな上げし、また、国税、地方税を通じて三百十億円の減税を行い、財政投融資においても約千億円の原資を蓄積し、しかも、前年度計画よりも百億円も下回る線に押えており、これを放漫財政と言うのは全く当らない非難であります。(拍手)また、一般会計の歳出の内容を見ましても、防衛費は五十億円増にとどまったのに対し、社会保障、教育及び科学技術の振興、道路、港湾の整備、中小企業の育成、農林漁業の振興、輸出増進等の重要政策に対しては大幅な予算の増額を見ており、また、地方財政は著しく改善されて、行政水準の向上が期待されておるのであります。さらに、これを国民負担の面から見ましても、三十二年度の国税負担の割合が国民所得に対して一二丁・六%程度になるものと推定されておるのに対し、三十三年度は一二・一%程度にとどまるものと推定されるのであります。このように見まするとき、三十三年度予算は、きびしい中にも、あたたかみのある、三悪追放予算であります(拍手)。  ただ、私が心配する点は、このようなきびしい財政の上に、さらに金融引き締めが拍車を加えるようなことになると、わが国経済を縮小させ、不況を深刻にするおそれがあります。過去の経験に徴しても、きびしい緊縮財政のときには金融が調整の役割を果し、また、金融引き締めが行き過ぎたときには、財政が指定預金や財政投融資の拡大等で調整をはかってきたのであります。私は、今後の財政経済の運営に当っては、金融第一主義に偏することなく、常に産業の発展と雇用の拡大を念頭に置いて、十分弾力性のある運営をはかるべきだと痛感する次第であります。この点について、総理大臣の率直な所信を伺いたいと存ずるのであります。(拍手) 以上をもって私の質問を終ります。(拍手)

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) 松野議員にお答えをいたします。     〔国務大臣岸信介君登壇〕  昨年は、投資景気の行き過ぎにかんがみまして、特に国際収支の悪化を防ぐために総合緊急対策をとったのでありますが、これは、おおむね所期の効果を上げつつあります。しかし、来年度の全体といたしましては、あくまで堅実な基調のうちに経済の安定と将来の発展の基盤を作るということが必要である。これが今回の三十三年度予算の基本方針になっております。しかしながら、この途上において起ってくる、あるいは生産面であるとか、あるいは雇用面等における摩擦に対しましては、今申しました基礎的な堅実な方針ということと相いれないような措置をとることはもちろんいけませんが、この範囲内において、常に、われわれは、この摩擦に対しましては、機動的な、また弾力的な運営によって調整をはかっていくということは、政治として当然行なっていかなければならぬところと思います。(拍手)     〔国務大臣一萬田尚登君登壇〕

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(一萬田尚登君) 経済基盤強化の資金二百二十一億円につきましてお尋ねがありましたが、これは、この資金を設定した理由が、経済に対して財政から刺激を与えないために特にたな上げをする、こういうことにあるのであります。従いまして、日本の経済が十分健全性を回復する暁におきましては、私は、これは使っていい、かように考えております。ただ、時期的に三十三年度の下期ではないかという端的な御質問でありますが、これは、私、今のところ下期に使えるとは考えておりませんが、私どもといたしましては、できるだけ早くこれが使い得るように日本の経済を持っていきたい、かように考えておる次第であります。  それから、民間資金の活用についてのお尋ねでありますが、国民経済の最も緊要とするところに資金が確保されていくということは、これは申すまでもないところでありまして、この基本的な考え方については、何人も異存がありません。私も全く同感であります。ただ、これを実現する方法をどうすればいいのかというところに、金融の本質と関連して、いろいろと議論があり得ると思うのであります。私は、やはり、金融の本質からいたしまして、これを自主的にまかしたがいいという考えを持っているのであります。従来、どうも成績が上らなかった。これも、私、率直に認めなくちゃならぬと思いますが、しかし、従来は、機構の上において、よほど欠陥があったように私思うのであります。今回は、金融機関自体におきましても、資金調整委員会を作りまして、まず国民経済の最も緊要とする資金を確保することを金融機関全体として決意をいたしております。同時に、これに対応いたしまして、資金審議会というものが——大蔵大臣の諮問機関でありますが——ありまして、これが小委員会を設けまして、この金融機関の資金調整委員会の実際なすことを常に計表等をとって十分検討しておる、こういうような形になっておりまして、それによって、どうもこれが十分思う効果を発揮していないとすれば、大蔵大臣が行政指導によりまして勧告を与える、こういうような形におきまして、今後は十分やっていける。同時に、私の希望するところは、やはり、金融が適正な流れをなすためには、どうしても、事業計画、産業計画というものがありまして、年間の事業計画があり、それが重点的にきめられていくということが必要と思いますので、そういうこともあわせて十分やっていけるだろうと考えております。  それから、中小企業に対する減税でありますが、それは私も全く同感でありまして、できるだけ努めて参りたいと考えております。(拍手)     〔国務大臣石田博英君登壇〕

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 松野君の御質問のうち、私に関する分についてお答え申し上げます。  まず第一に、賃金と物価の悪循環をもたらすような現在の労働運動のあり方について政府はどう考えるかということでございますが、基本的に、労働省は、わが国経済の進展に伴いまして、労働者諸君の生活条件の向上をはかっていくのが役目でございます。従って、私どもといたしましては、できるだけ労働者の諸条件が向上されることを望むのでありますが、しかし、それは、常にわが国経済の全体の進展とともに歩み、それに寄与するものでなければ、実質的な賃金、生活の向上となるとは思わないのであります。(拍手)現在世間の批判を受けております総評などに見られる労働運動のあり方につきましては、私は、これは、経済の諸条件その他客観的な条件の変動にかかわらず、画一的に年中行事的に行われるやり方というものは、決して好ましいものとは思っておりません。しかしながら、民間におきまする労使の関係に生ずる労働問題は、これは自主的に解決をしていただくのが建前でございまするので、私は、また、現在のそれぞれの労働組合あるいは経営者の良識が次第に育ちつつあり、また、育ちつつあることを期待いたしまして、政府は公平なるアンパイア的立場に終始いたしたいと考えておる次第であります。(拍手)ただ、争議権を禁止せられておりまする官公労その他に対しましては、政府は、仲裁裁定の完全実施、人事院勧告の尊重ということを前提といたしまして、現行法規の順守を労使双方に強く要求する態度を一貫して参るつもりでございます。(拍手)  また、わが国の労働賃金の問題を考えまするときに、大企業、公企業の比較的恵まれた諸君の賃金よりは、むしろ、企業規模の小さい、非常に恵まれない、賃金格差のはなはだ開いておりまする低賃金層の条件改善に、政府はその施策を向けていかねばならないと考えておるわけでございます。(拍手)従って、最低賃金法を今国会に提出いたしまするのも、その趣旨に基くのでございます。  それから、失業対策事業でなく、雇用対策をもっと積極的にやるべきでないかという御意見でございます。全くその通りでございまして、政府も、今次予算には、職業訓練のために前年比約四億円、比率にいたしまして三割強の予算を計上いたしておりまして、総合的な職業訓練制度の拡充に邁進いたしたいと存じております。(拍手)ただ、失業対策事業の対象人員の中には、現在もう相当高齢に達しておる人あるいは婦人その他が比較的多いのでありまして、こういう人々の状態については理解と御同情を願いたいと思うわけでございます。しかし、臨時就労あるいは特別失対事業等を積極的に行うほか、公共事業あるいは財政投融資の増大によりまして、でき得る限り失業者の吸収をはかりまするとともに、この対象人員の中からも、新しい技術を与え得るような指導、訓練をあわせて行なって参りたい所存でございます。(拍手)     〔国務大臣赤城宗徳君登壇〕

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) お尋ねの農林政策についてお答え申し上げます。  第一に、食糧の自給度を高めるとともに、農林水産業者の所得を向上すべきではないか、こういうお尋ねかと思います。これにつきましては、農業について、あるいは漁業、林業につきましても、農林水産の生産基盤を拡充強化しようということで、土地改良、開墾、干拓、林道、漁港等につきまして、相当の予算の裏づけをもちまして、これの拡充強化をはかりたいということでございます。(拍手)  また、従来おろそかにされておりました——今もお話がありましたが、畑作の振興、畜産の振興、これには特段の力を入れていきたいと思います。  第三に、流通価格安定対策についてでありますが、これにつきましては、一例をあげまするならば、農産物の価格安定につきましては、一般会計から特別会計に価格安定資金といたしまして十億円の繰り入れを行うとか、あるいはまた、酪農につきましては、乳価の安定ということに関しまして、酪農振興基金を設けるとか、学校の学童給食、その他もろもろの施策をいたしていきたいと思っております。また、繭等につきましても、繭糸価格安定制度を拡充して価格の安定をはかる、こういうふうに、いろいろな面から流通対策をいたしたいと思っております。  特に、御指摘になりました開拓事業につきまして、どういうふうにするつもりか、こういうことでありますが、開拓事業につきましては、継続地区の早期完成を促進したい。それから、新規事業の採択でありますが、これも四十一地区を採択いたしますとともに、新規入植地区につきましては機械開墾方式を導入いたしたいと思うのであります。御承知の通り、機械開墾方式は、すでに非常な成績をおさめておりますので、新たに入植して直ちに農業が行えるようなことをするためには機械開墾方式を導入していきたい。それからまた、営農方法につきましても、従来と変って、果樹とか畜産を入れて営農類型を変えていきたい。そういうことで、営農の早期安定を期したいと思うのであります。  なお、特に営農不振の旧人植地に対してでありますが、これにつきましては、建設工事の促進、補充、あるいは旧債の整理、営農資金の貸付ワク等についても、従来の八億五千万円を十六億二千五百万円、こういうふうに拡大いたしまして、開拓融資保証制度の拡充等と相待って、新規入植との不均衡を矯正すべく十分に考慮いたしております。(拍手)  なお、農業団体の職員の身分保障について考えるべきではないか、こういうお話でありました。農林漁業団体の職員は、農林漁業振興のにない手といたしまして重要な使命を持っておるのでありますが、お話のように、身分が不安定のため、少からず農林漁業団体の事業不振の原因ともなっておろうかと思いますので、政府といたしましては、これに対処いたしまして、今のお話は農業団体の職員のお話のようでありましたが、ちょっと聞き漏らしたかもしれませんが、農業ばかりの職員ではなく、農林漁業団体全体の職員の身分を安定し、優秀な人材を確保せしめて農林漁業団体の振興に資するため、これらの職員の相互救済と国庫補助によるその福祉の増進を目的として、農林漁業団体職員共済組合法というようなものを立案中であり、近々成案を得て国会に提出することになっております。(拍手)     〔国務大臣前尾繁三郎君登壇〕

前尾繁三郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(前尾繁三郎君) 松野君の御質問は、中小企業の最近の金融引き締めに伴いまして、これの抜本的な対策をどう考えるか。こういう御質問だと思います。私は、中小企業に対しまして、次の三つのことに重点を置いて振興をはかりたい、かように考えておるのであります。  第一点は、御指摘にもありましたように、中小企業の組織の強化であります。臨時国会におきまして成立を見ました中小企業団体法につきまして、適切な運用によりまして、組合組織の強化と企業経営の安定をはかるということが、まず第一だと思います。  また、第二点としましては、中小企業の金融対策であります。従来、御承知のように、政府関係の機関を通じまして政府資金を流すという方法をとって参ったのでありますが、来年度におきましても、中小企業金融公庫におきましては、本年よりも五十五億円、国民金融公庫については九十億円、商工中金につきましては三百五十億円の運用額の増加をいたしております。しかし、私は、中小企業の金融の問題は、一般の市中金融機関から金が借りられるということが、より根本的なものであると考えておりますので、今回、中小企業の信用力を補完するために、来年度は八十五億円の基金を政府も出資いたしまして、従来の信用保険特別会計の基金を入れますと百七億円の基金に相なるのでありますが、中小企業信用保険公庫を創設いたします。これによりまして、来年度は、初年度でありますが、三百五十億円以上の保証限度が広げられまして、従来よりは画期的な金融の円滑化がはかれると存じておるのであります。  第三点は、中小企業の近代化と申しますか、体質の改善ということであります。来年度におきましては、中小企業の設備近代化——補助金を五割増しの六億円投入いたすのでありますが、府県分なり自己調達の資金も入れますと、約四十五億円の設備の近代化がはかられることになると思うのであります。また、来年度は中小企業の技術の指導に力を入れまして、三カ年計画をもちまして創設の試験研究所の整備をはかります。また、企業診断に相当の経費を使いまして、いわゆる中小企業の体質の改善を極力進めて参りたい、かように考えておるのであります。  御承知のように、繊維その他におきまして、不況ではありますが、あくまで生産調節を主眼に置きまして、それに伴う資金につきましては十分配慮いたしておりまするし、また、総合的に不況対策もただいま進めておりますので、やや安定して参ったことは御存じの通りであります。さらにまた、来年におきましては、中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫につきましても、資金の弾力的運用をはかるというので、弾力条項を付しておりますので、これをうまく運用いたしまして、昨年のようないろいろな問題の起らないことを絶対に期しておるような次第であります。(拍手)     〔国務大臣郡祐一君登壇〕

郡祐一自由民主党自治庁長官

○国務大臣(郡祐一君) お答えいたします。  中小企業者、特に個人事業者の負担の緩和については十分考慮いたさなければ相ならぬことでありまするが、このたびの法人税の引き下げ後を考えましても、国税、地方税を通じますると個人の負担が軽くなっておりまするし、事業税自体におきましても、昭和二十五年以来ほとんど累年減税をはかっておりまするので、昭和三十三年度においては、中小企業者を含めまして納税者一千数百万に及びまする自転車荷車税を廃止して、大衆の負担軽減をはかることにいたしました。  なお、事業税を含めまして地方税全体についての検討は、地方財政の再建の状況並びにその運営の改善と相待ちまして、慎重に将来検討いたしたいと思います。御了承願います。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(堀木鎌三君) 私に対するお尋ねは、国民皆保険の推進についてであります。もう一つは、国民年金制度についてでございます。  国民皆保険を推進いたしますのに、御指摘のように、国保の財政の強化あるいは結核対策の推進、無医地区の解消、医師の協力というものをおあげになっておりますが、これらはいずれも国民皆保険の推進の基礎的条件であります。そのうちで、特におあげになりました国民皆保険につきましては、三十二年度予算で約三千五百万人を平均として予定しておりましたが、今年度においては約四百万人の新規加入者を見込み得る状況であります。しかし、予算面に比しますときには、相当所期の成果が上り得ない状況であります。これらの点は、今お話しのような基礎的条件が整わないゆえんである。この支障を解除することが私どもの責任であると思うのであります。  国保の問題に関しまして、地方財政との調整につきましては、今度、医療給付費二割から、御指摘のように、二割五分に予算を計上いたしておるのでありますが、これによりまして、従来二割を標準にしております場合には、富裕県に対しましては二割を切り、財政上豊かでない市町村に対しましては二割以上を支給しておりましたのが、平均いたしまして二割、そうして、財政上貧弱な市町村に対しましては相当額の財政上の補給をいたすことができると考えておるのであります。さらに、事務費を引き上げること等によりまして、国民皆保険支障の一大隘路をなしておりました地方財政との調整はここに十分できたものと考えておるのであります。  なお、医師の協力に関してであります。これは、二十六年以来、診療報酬が据え置きのままになっておったのであります。この間におけるところの物価の値上り、医学の進歩、医薬品の向上等を考え合せますと、これをこのままに据え置くことは、とうてい国民皆保険を進めて参るゆえんでないと考えまして、これにつきましても大体八分五厘を上げることを考えておるのであります。これによりまして、社会保険を通じて国民の健康が守れるものと考えますので、法律によりますところの中央社会保険医療協議会に案を付して審議を求めまして御答申を得ましたので、三十三年度予算におきましては、予算上これを計上いたしましたような次第でございます。事務的な、技術的な面につきましては、十月一日が実施になっておりますので、これによりまして、各方面の協力を得て、さらに完璧を期したいものと考えておるのであります。  国民年金制度の調査の進捗状況につきましては、すでに無醵出の対象になっておりますところの老齢者、母子、廃疾者等についての調査は完了いたしました。今後は、醵出制度の対象になっております国民を対象といたしまして、ことに保険税等の関係を考えまして、これらの調査を完了いたし、そうして、一日も早くこの問題を実施いたしたいと考えておりますが、ほぼ私どもの調査と見合って社会保障制度審議会の調査の結果も出るものと考えられるのであります。調査につきましては万全を期しておる次第でございます。(拍手)     〔国務大臣中村三之丞君登壇〕

中村三之丞自由民主党運輸大臣

○国務大臣(中村三之丞君) 港湾に関する御質問には、私からお答えを申し上げます。  新長期経済計画のもとにおきましては、港湾施設の近代化が今日の急務であると考えております。(拍手)これがため、三十三年度予算には港湾公共事業費を相当程度増加をいたしまして、これに対処いたさんとするものであります。しかしながら、今後の資金確保につきましては、いかなる方法によるか、特別会計方式によるか、公団方式によるか、今後一そう工夫をこらしまして、港湾近代化の実現のために努力いたしたいと存ずる次第であります。(拍手)     〔国務大臣根本龍太郎君登壇〕

根本龍太郎自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(根本龍太郎君) お答え申し上げます。  一つは、道路、港湾、これらとの総合的な調整をはかるべきであるという御意見でありまして、政府におきましては、総理を主宰者といたしまして、関係閣僚によりましてこれらの調整をする機関を作るべく、目下十分なる検討を進めておる次第でございます。  次は、道路五カ年計画によって現在の道路の隘路を解決するに当りまして、一級国道だけに重点を入れて、他の道路がそのために相当おくれをとるではないかということが一点でございまするが、これは、本年の計画におきましても、五カ年計画におきましても、バランスのとれた計画になっておりまして、いずれこれは委員会等において数字をもって御説明申し上げたいと存じます。  なお、その次に、地方単独道路についての財源措置について心配がないかということでございまするが、御承知のように、この問題については、道路の譲与税あるいは軽油引取税の問題もございまするし、なお地方自体の独自の財源がありまするので、現在、われわれの検討によりましては、自治庁とも十分連絡の上、そういう不都合がないように手配しておる次第でございます。(拍手)

益谷秀次自由民主党議長

○議長(益谷秀次君) 飛鳥田一雄君。     〔飛鳥田一雄君登壇〕

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田一雄君 私は、ただいまより、日本社会党を代表いたしまして、外交、防衛の諸問題について政府の所信をたださんとするものであります。(拍手)  まず第一にお伺いいたしたいことは、岸内閣の基本的外交方針についてであります。岸、藤山両大臣は、外交方針をお述べになりました中で、国連中心、自由主義諸国との協調と、アジアの一員としての立場の堅持、これを外交の三原則として申し述べられたのであります。しかるに、自由主義諸国との協調と、アジアの一員としての立場を堅持するということとは、残念ながら、岸内閣のもとでは明らかに矛盾をするといわなければならないのであります。(拍手)自由主義諸国との協調ということは、言いかえますと、日米同盟を強化する、あるいは対米従属を深めるということにほかならないのであります。他方、アジアの多数諸国は、御存じの通り、自国の完全独立のために、帝国主義、植民主義の排除を悲願といたしまして、闘争をいたしておるのであります。何で、かかるアメリカのひもつきの日本に対して、虚心たんかいにつき合ってくるでありましょうか。日本軍国主義の惨禍を受けた諸国は、日本の東南アジア進出に対して、大東亜共栄圏の二の舞になるのではないかと、警戒の目をゆるめようとはいたさないのであります。すなわち、両岸外交といわれますゆえんのものはここにありますことを、政府は認識すべきであります。(拍手)自由主義諸国との協調とアジアの一員としての立場、この二つは二律背反であります。政府が日本の恒久平和と繁栄を求める意思がありますならば、矛盾撞着いたしましたこの二原則を修正して、アジアの一員としての立場の堅持を外交の基本的原則とせらるべきであろうと存ずるものでありますが、藤山外相はこの矛盾にお気づきになられないとは思えないのであります。(拍手)  今、私は、この問題について、二、三の実例を申し上げながら、政府の所信をただしたいと存ずるのであります。  中華人民共和国がアジアの大国として現に存在していること、いや、ネール首相の言葉を待つまでもなく、中華人民共和国を除いてアジアを考えるわけにはいかないこと、あらためて論証を要さぬところであります。現に、あれほど中共ぎらいのアメリカでさえ米中会談を持たなければならなくなったほどでありまして、今や、中華人民共和国に国連の議席を与えなければ、国連におけるアジア問題の討議は無意味と言って差しつかえないはずであります。これこそ、日本がアジアの一員として当然なすべき大きな外交上の仕事でなくてならないのであります。(拍手)外相は積極的にその努力をなさるおつもりであるかどうか、対米協調とアジアの一員としての立場と、いずれを重しとせらるるのか。現に、総理は、中ソ残留者の中の消息不明の者について、昭和三十四年七月までには徹底的に調査をする、こうお約束になっておられるのでありますが、日本がこんな矛盾した態度をとっておって、相手国の協力を得られるとは考えられないのであります。一刻も早くこうした外交方針の矛盾を除かるべきでありましょう。  また、同様な矛盾はインドネシア共和国についても現われております。御承知のように、今、この国は、旧植民国オランダからの完全独立を求めて、西イリアン島解放に苦闘をいたしておるのであります。そして、その窮状を打開いたすべく、日本に用船の申し込みをいたしてきたのであります。政府は、これに対し、オランダに対する協調を理由にか、拱手傍観、黙殺の態度に出ております。一体、これは、その方法が穏健にして着実でないという御認定によるものなのでありましょうか。ために、船主協会との用船契約も不調に終ってしまいました。藤山外相は、国連の中で民族自決主義を謳歌し、これに支持と協力を与えると大みえを切ったことを、よもや、お忘れにならないでありましょう。(拍手)自由諸国との協調も時によりけりであります。政府は、西イリアン島の解放運動を支持するとともに、用船申し込みに対し好意をもって対処されるかどうかスカルノ大統領が在日せられておる現在、明確なる答弁を賜わりたいと思うのであります(拍手)。  もう一点お尋ねをいたしておきたいと存じますが、米国は、このたび、アジアにおける帝国主義的支配を確立しようとする目的のもとに、アジア、アフリカの後進国開発借款基金の計画を持ち出し、日本政府にも積極的参加を要請して参ったようであります。日本がこの計画に参加することは、すなわち、この計画がMSAに基いて米国の友好国のみに限るというきびしい条件付のものでありますだけに、帝国主義排除と平和独立のために団結いたしつつあるAAグループに分裂を持ち込む役割を果すことになるでありましょう。(拍手)アメリカの帝国主義の手先として警戒される結果を招くのは必然でありまして、ここにも、さきに述べました二律背反が歴然と作用をいたして参るのであります。(拍手)もし長い目で日本の外交を展望せられますならば、この計画に参加をせられない方が賢明であろうと考えられるのでありますが、いかにお考えでありましょうか。  以上見て参りましたように、政府の唱えております、いわゆるアジアの一員としての外交施策は、まことに空虚であるか、あるいは、アジアの将来にとって、かえって有害であるとさえいわなければなりません。小林中大使の言われましたように、かけ声だけりっぱではだめであります。アジアの一員として、アジアに足をつけ、平和五原則に基いた外交であり、経済協力でなければならぬと確信をいたしますが、外務大臣は、この二律背反、すなわち、基本原則の矛盾について、どのようにお考えになるか、御所信を承わりたいと思うのであります。(拍手)  第二にお伺いをいたしたいことは、朝鮮及びヴェトナムに対する政府の態度であります。韓国に対して最近抑留者の相互釈放についての協定に達しましたことは、確かに一つの前進であろうかと存ずるものであります。また、ヴェトナムに関しても賠償交渉を進めているということについて、私たちは希望を見出すにやぶさかではございません。だが、しかし、朝鮮とヴェトナムについて国民が最も心配をいたしておりますことは、二つの朝鮮、二つのヴェトナムをどのように扱われるかということであります。(拍手)過去の経験に照らしてみましても、日本が台湾の国民政府とのみ平和条約を結びましたことが、いかにその後の日中国交回復の障害となっているか。今後中国及び台湾の関係がどのように変っていくか、国民は非常に心配をいたしておるのであります。(拍手)この愚かさを再び繰り返しませんためには、われわれは、今後、朝鮮、ヴェトナムの両地域に対して、外国軍隊の撤退、南北両地域の平和的、民主的統一、人民の自由意思による選挙をこそ期待いたすべきであり、その統一をせられた国との平和条約を結ぶべきでありましょう。従って、韓国一国のみとか、北鮮とだけ平和条約を結ぶということは、逆に日本の外交を行き詰まらせるばかりか、極東の緊張を増しこそすれ、決して極東の平和に貢献するものでないことを知るべきであります。(拍手)  しかし、こう申し上げましても、南北両地域の統一ということがそう簡単に達成せられるわけではないということも事実でありましょう。従って、それまでは、南北両地域に対して、平等に貿易、経済、文化、技術等の交流をはかり、友好関係を樹立する努力こそ、この際の最重要なものでなければならぬと存ずるのであります(拍手)。北と交渉すれば南のごきげんをそこねるなどという考え方こそ媚態外交の最たるものであります。(拍手)岸内閣は、この二つの朝鮮、二つのヴェトナムをどう考えて日韓会談、ヴェトナム交渉に当られていくのか、さらに、北鮮、北ヴェトナムとは今後どのような態度をもって接していかれるのか、お伺いをいたしたいと思うのであります。(拍手)  なかんずく、日韓抑留者の相互釈放に関する問題でありますが、ここでも二つの朝鮮は大きな外交及び人道問題にぶっからざるを得ないわけであります。政府は、この際、抑留者の自由な意思に基いて南北いずれかの国を選ばせ、その欲する国へ送還をする御意思があるかどうか、すなわち、大村、浜松における者のうち、北鮮に本籍を有し、本人もまた北鮮帰還を希望する者があると聞いておりますが、もしこれを南鮮に引き渡すがごときことあらば、それは「人道を無視し、明らかに朝鮮民主主義人民共和国の意思を無視するものでありましょう。この場合、北鮮と日本との間に国交が回復をせられているかどうかということは問題に関係がありません。アジアに厳存する北鮮、そして、その意思を無視してアジアの平和を得ることは不可能であります。一を得て一を失うがごとき、しかも、国際法を無視する外交をおやりになるはずはないと存ずるのでありますが、総理及び外相の御所信を承わりたいと存ずるのであります。(拍手)  最後にお伺いをいたしますのは、防衛の問題についてであります。本問題については、今や、単なる個々の問題、P2Vの問題とか、あるいは潜水艦の問題とか、そういう問題もさるごとながら、むしろ、私は、新たなるICBMのもと、防衛の本質を、いや、自衛隊の存在そのものを問うべき時期であると存ずるのであります。(拍手)すなわち、ICBMのもとにおける世界の情勢については、すでに鈴木委員長がその概略をお述べになしましたので、ここでは私は重複を避けますけれども、米国が、そのICBM劣勢下に、いかにしてソ連に対処すべきかに努力を傾け、その影響を世界に与えつつあるかは、明白な事実であります。すなわち、今アメリカの新たなる戦略構想を概観いたしますに、彼らは、NATO、バグダード条約機構、SEATO、米州機構という四つの地域の集団防衛体制を中心に、西欧側五十カ国の世界同盟的体制を確立し、これによってソ連に対抗せんと考えているようであります。  今その主要な点をあげてみますならば、一、核兵器、ミサイルの貯蔵庫を、さきに述べた四つの地域に設置する。二、これらの兵器の管理と使用とは、国際軍を編成し、その操作、訓練の終了まで、米英両国がこれに当る。三、米英両国は、協力して、すべての核兵器、長中距離ロケット、核弾頭の製作を分担する。四、小国はその領土を解放し、使用に供する義務を負う。この義務には、兵器の生産だけではなしに、軍事基地、前進基地の設定の義務も含む、などであります。また、ダレス長官のフォーリン・アフェアーズの論文を見ますと、中ソ周辺各自由主義国は、米国の報復力に依存することなく、みずから核兵器をも保有して、通常兵器による侵略に効果的に対抗すべきであるとし、米国と軍事同盟を結んでおる国々に対しては、軍事援助を与え、軍事施設の強化を続けるだろうと述べております。  こうした構想から発するアメリカの防衛外交方針は、最初に、昨年暮れのNATO会議に現われて参りました。それは、今までのNATO軍に超国家的性格を与える一方、NATO諸国に四十以上のIRBM基地を設けること、核兵器の戦略貯蔵を行うこと、西欧における最新武器生産の協力態勢と、集団的武力均衡を作り上げるということにあったのであります。もちろん、こうした戦略構想は、たといSEATO機構が完成をしておりませんといえども、極東だけを除外するはずはないのであります。すなわち、マケルロイ国防長官は、下院歳出委員会で、極東にIRBM基地を置くことを考慮中だと言明し、現に、沖縄において、本年春IRBMの基地工事にかかる予定となっておるのであります。しかも、本年末までには、ソアーか、あるいはジュピターか、いずれにせよ、十五の発射装置を持つ一部隊がここに送られることは確実だといわれ、その射程距離は、シベリア、満州から、中国では重慶、成都にまで及ぶものであります。また、ホワイト空軍参謀総長は、十二月十七日、上院軍事委員会小委員会で、沖縄、アラスカその他の太平洋地域に中距離弾道弾基地が置かれるだろうということを示唆いたし、さらに、米第七艦隊ビークレー司令官は、第七艦隊は近い将来に原子力潜水艦数隻を保有するとともに、本年中に誘導兵器レギュラス2型を装備する、こう言明をいたしました。また、韓国にいるデッカー米第八軍司令官は、原子弾頭ミサイルで韓国軍をも装備すると声明いたしました。さらに、去る十一月末には、フィリピンのバギオにおいてSEATO破壊活動防止委員会が開かれ、加盟各国に対して、日本、国府、韓国、マラヤ等を参加させるよう勧告することを決議いたしましたことは、御存じの通りであります。このSEATO参加は、当然に核装備体制への参加に結びつくわけであります。また、さきに英国やエジプトで問題になりましたように、米戦略空軍機の三分の一にも当る水爆搭載機が、昼夜を分たず、世界の空を基地から基地へと飛び回り、現に、わが国についても、那覇から香港に着いた米飛行士が、日本上空をパトロールする米軍飛行機は水爆を積んで飛ぶことになると語ったとさえ報ぜられておるのであります。もちろん、これらの操縦士には、平時においても爆撃目標が与えられ、現地司令官の命令あり次第、その場から目標に突っ込んでいく仕組みになっております。  なるほど、日本からは極東軍司令部が撤退し、ハワイの太平洋地域司令部に統合をせられました。しかし、今日、東京—ハワイ間は、飛行機でわずかに六時間三十五分の距離にあり、駐留軍が撤退したということは、むしろ極東における原子戦略態勢が進んだことをさえ意味するものでありましょう。(拍手)その上、アメリカではF106A・デルタ・ダート戦闘機が戦列に加わろうとしております。F106Aは原子弾頭付のダグラスMB〜ジェニー空対空ロケット弾を装備いたしております。なお、一月十日に発表せられました米国の予算教書には、高射砲部隊は、来年六月までに、一個大隊を除いて、すべて原子弾頭装備の誘導弾砲隊になるはずだ、こう述べられております。このことは、当然に、日本に駐留する米防空隊も旧来の高射砲から原子弾頭装備の誘導弾砲隊になるであろうことを意味しておるのであります。  以上述べましたように、世界は原子戦略態勢に変りつつあり、日本の周辺にもまた核装備の波がひたひたと押し寄せつつあるのであります。いや、それだけではありません。国内においてすら、そのきざしが起りつつあります。すなわち、日本の津島防衛庁長官と藤山外相のお二人は、内閣にも十分な相談をなさることなく、ミサイル兵器、サイドワインダーの受け入れを決定せられました。自民党国防部会では、保科善四郎氏は、ミサイルと核装備とは戦術的に不可分の関係にあり、日本への核兵器の持ち込みは当然考慮すべきだと発言をせられ、その他の方々も、公然とではないようでしたが、原則的に賛意を表していると伝えられるのであります。防衛庁の某高官は、自衛隊が誘導弾を使えるようになっていれば、いつでも原子弾頭にかえることができるから、今核兵器を持てないからといって悲観することはない、こう述懐をいたしておるのであります。あまつさえ、岸内閣は、国民の輿望を逆用して、安保条約改訂の美名のもとに、核兵器持ち込みの道を安保委員会の中に開かれたのであります。かくて、日本への核兵器の持ち込み、自衛隊の誘導弾装備、それに続く核装備も近き将来の必然事となってくるのであります。すでに伊豆諸島新島にはミサイル基地を計画中だと伝えられております。  今、このような核装備というアメリカの戦略態勢の中において、日本の自衛隊の存在を考えてみる必要があるでありましょう。それは、日本の防衛に貢献するどころか、逆に日本を危機に追い込むおとりですらある。(拍手)すなわち、日本に対する中ソの直接侵略という問題があるといたしますならば、それについては日米共同の防衛が協定をせられており、かつまた、米軍の基地の存在をこの本土の上に許しておりまする以上、それは極東における米ソ両陣営の紛争に必然的に直結をいたすのであります。そして、そのことは、今日の段階において、日本国民の終えんを意味するでありましょう。アメリカの中古兵器で装備をいたしました自衛隊の陸海空の三軍が、この場合無力であることは明らかであります。(拍手)まして、この際、陸上兵力一万名を増員するというのは、いかなる意味であるか。以上述べましたような世界情勢を知りつつ、あえてこの挙に出られるのは、何か他に下心があるのではないか。(拍手)  こう申し上げますと、政府や自民党の方々は、きっと、自衛隊を在来兵器による局地戦争に対するものだと答弁をせられると思います。しかし、一体極東に在来の形の局地戦が起り得るものであるかどうかも考えてみなければなりません。それがもしありといたしますならば、南北朝鮮の間か、あるいは台湾、中国の間である、こういわれております。また、ソ連が特に通常兵器をもって侵略してくると主張をなさる方々もあります。すでにICBMなどを持っておるソ連が、米に対抗いたしまして極東軍の核装備を行なっておりますことも必定であります。従って、こうした通常兵器をもってソ連が侵入してくるなどと考えることは、旧軍人諸君の白昼夢にしかすぎません。もし、また、こうした場合にも対ソ攻撃基地さえなければ、中ソは日本をその掌中におさめなければならぬ理由はないはずであります。また、南北朝鮮及び中国、台湾の間の紛争を考えてみまするに、この地域には、米国のペントミック師団、あるいは核兵器を装備した米第七艦隊がおるのであります。韓国軍隊もまた核装備を進めており、台湾にはマタドール部隊がおりまして、ここにもし局地戦が起るとすれば、当然米ソ間の原子戦争へと発展するであろうことは、想像にかたくないのであります。(拍手)また、あえてこの地域の戦争に自衛隊が出ていく、こうおっしゃるのならば、それは明らかに海外派兵であり、憲法違反であります。もし中国やその他のものが攻撃してくる場合ありといたしますならば、それは日本の米軍基地から攻撃をかけるからにほかならないのでありまして、日本に米軍基地さえなければ、このような局地戦は起り得ないというべきでありましょう。  さらに局地戦論者は言います。朝鮮戦争を見ろ、ヴェトナム戦争を見ろ、こう言われるのであります。しかし、その議論は、右両戦争が原子力兵器の戦術的使用の一般化以前のものであることを忘れておることを指摘しなければなりません。(拍手)さらに、局地戦論者は言い続けます。エジプトとイスラエルの戦争は局地戦ではないのか、こう言われるのであります。しかし、その論者は、同地域には米国の戦略航空基地のないことを反省すべきであります。要するに、日本を中心とする極東には、在来兵器の局地戦というものはあり得ないと考えなければなりません。(拍手)すなわち、もし局地戦があるとすれば、それは当然原子戦争へと発展する必然性を持ち、結局、自衛隊自体その存在を疑われなければならぬ結果とならざるを得ないのであります。(拍手)もし、しかりといたしますならば、自衛隊の効用はただ内乱の場合にのみあるといわざるを得ない。内心このことを自覚しつつ、混成団を名古屋に置き、電源地帯の防衛に当らせる、あるいは鉄道部隊の設置を計画するがごときは、まさに労働運動や民主運動の弾圧のためのものとしか思い得ないのであります。(拍手)この際、総理は、はっきりと、自衛隊は国民に向けられている、こう言明をせらるべきでありましょう。加うるに、このような自衛隊再軍備の精神的支柱を作り上げようとして、教員の勤務評定を強行し、自由なる教育を侵そうとするがごときに至っては言語道断であります。(拍手)  この際、岸内閣は、沖縄や伊豆諸島へのIRBM等核兵器の持ち込み、あるいは基地建設に明確に反対をする意思がおありかどうか、まさか、この場合にも、総理は、IRBMにも核装備をしない場合があり得るとはおっしゃらないはずであります。さらに、日本及び日本の周辺の地域のいかなる核兵器の持ち込みにも反対し、日本及び日本周辺に核非武装地帯を設けるために具体的に行動を起される意思があるかどうか、このことを伺いたいのであります。これこそが最大かつ最善の本土防衛だとはお考えにならないか。さらに進んでは、自衛隊を廃止して道路その他の民生事業のためにお使いになる意思がないかどうか。IRBM、ICBMという新たなる情勢のもとにおける根本的な反省として、総理の明確なるお答えを承わりたいと存ずるのであります。(拍手)  私の質問は以上であります。(拍手)     〔国務大臣岸信介君登壇〕

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) お答えします。  言うまでもなく、われわれが世界平和を望み、これを確立しようということは、自由主義、民主主義を基盤とした上における平和であります。人類の繁栄の上における平和をわれわれは望んでおるわけであります。この立場から、日本の政治組織も政治の理念も民主主義によっておることは言うまでもない。こういう立場は、ただ単に内政だけではなしに、私は、外交、内政を通ずる基本理念であり、この意味において、われわれが自由主義国と協調を保つという根本方針は当然であると思います。さらには、日本の——この世界の軍事科学の発達が、ただ力の対立、いろいろな軍事科学の進んだ武器の競争だけで平和が保てるものでもありませんし、それが世界に対して一つの不安を与えているという意味において、私が施政方針に述べておるように、ただそれだけでもってやっていこうということを考えることは間違いであります。それを、より広い見地から、話し合いによって、世界に恒久的な安定した平和をもたらさねばならぬということを申し上げているわけであります。ただ、世界の現実が、今日の状況におきまして、しからば全然防衛力を持たずしてできるか、平和であり、また、その国の安全保障ができるかというならば、これはできないこともまた現実であり、事実であります。(拍手)私は、しばしば、核兵器をもって日本の自衛隊を武装しないということを申しております。また、核兵器の持ち込みもこれを認めないということを申しております。しかしながら、普通兵器によるところの防衛力を全然なくするということは、決して現在の国際情勢のもとにおいて日本の安全を保障する道でない、かように考えております。(拍手)     〔国務大臣藤山愛一郎君登壇〕

藤山愛一郎外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 自由主義陣営の中の諸国と協調を保ちながら、アジアの一員として、アジアの諸国と手をつないで参りますことについては、私は一向に矛盾を感じておりません。アジアの一員として、ともに行動をいたしております国々にも、自由主義陣営の国は多いのでありまして、その中には、アメリカと親しくしているところもあります。あるいは、過去の歴史から、ソ連と親しくしている国もあろうと思います。しかし、アジアがほんとうに政治的に独立し、そうして、アジアの国民生活が向上するという一点に日本がまじめに考えていくならば、私は、日本がどこと親しくしようと、それは決してアジアから離れることではないと思います。従って、そういう意味で、私どもは少しも矛盾を感じておりません。(拍手)  分裂国家の扱い方につきましては、われわれは、一日も早くこれが統合されることを望んでおりますことは申すまでもありません。しかし、飛鳥田議員も言われましたように、この問題は相当困難な問題であるのでありまして、その間年月もかかっておりますから、それぞれ日本との関係において調節を要さなければならぬ点が多々あるといたしますれば、われわれ自由主義を信奉しております日本といたしましては、自由主義を信奉しておりますそれぞれの主権者と話し合いをする以外に方法はないと思います。(拍手)それ以外の思想を持っております国と話しますのには、おのずから時期もあり、方法もあり、世界の情勢の推移に従って考えていくべきであろう、こう考えます。  インドネシアの経済建設につきましては、私どもはできるだけ力を尽して援助して参りたいと思います。私は、インドネシアが政治的にりっぱな独立を完成するゆえんのものは、今日のインドネシアの経済が確実に建設されていくことだと考えておりますので、日本といたしましては、その意味におきまして、できるだけの努力をいたすことを考えております。  また、御指摘の、米国のアジア開発基金というお話がありましたが、これはアメリカから今日わが国に提唱されもいたしておりませんので、この問題については御返答ができません。  以上、御返答申し上げます。(拍手)     〔国務大臣津島壽一君登壇〕

津島壽一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(津島壽一君) お答えいたします。  飛鳥田議員の御質問は、基本的に自衛隊は必要なし、こういうようなことから、いろいろな問題に触れたように思います。この点においては、私どもは根本的に考え方が違っております。いやしくも、独立を保持し、わが国の繁栄をはかるためには、国の防衛ということは絶対に必要と思うのであります。その意味におきまして、考え方の根本的の相違があるのであります。御質疑の間にありました核兵器の問題、これは、総理も申しましたごとく、絶対にこの装備はいたさないのであります。いわゆる通常兵器による自衛隊が不必要であるという議論に対しては、私はいろいろな論点を持っておりますが、今日はこれは省略いたします。しかしながら、自衛隊の装備は年々歳々強化され、今後においても装備の質的改善には努力するつもりであります。ただ、これがために、あるいは労働運動を弾圧するとか、そういったような考え方は絶対にございません。その点において、私は自衛隊の存在を無視するという国防否定論とは根本的にその考え方が違うものでございます。  なお、また、御指摘の中に、伊豆諸島にミサイルの基地を置くのでないかというようなお話もあったようでございます。これは非常な誤解でございまして、単純なる誘導兵器、しかも、核弾頭のつかない誘導兵器の試射をするという趣旨でございまして、あるいはこれがアメリカに供与をされ、ICBMの基地になるとかいうような事実は絶対にないのでございます。その意味において、私は、自衛隊というものが今後の防衛について核兵器を装備しない、質的改善を加え、わが国の防衛に当るということは、当然のことであろうと思う次第でございます。(拍手)     〔赤松勇君登壇〕

益谷秀次自由民主党議長

○議長(益谷秀次君) 赤松勇君。

赤松勇日本社会党

○赤松勇君 私は、日本社会党を代表し、岸内閣総理大臣以下関係大臣に、労働基本権、雇用、社会保障の三点について質問を行わんとするものであります。(拍手)  まず、国際労働条約の批准について質問いたします。     〔議長退席、副議長着席〕  国際労働機関憲章は、その前文におきまして、世界の永続する平和は社会正義を基礎としてのみ確立することができる、また、結社自由の原則の承認こそ労働条件を改善し、平和確立の手段であると規定し、かつ、一九四四年、第二次大戦終結に際し、これを再確認いたしまして、完全雇用及び生活水準の向上、労働者の福祉に関する義務、賃金、労働時間、最低賃金の保障、団体交渉権、団体行動権などをあげ、総会は、国際労働機関がこの偉大な事業並びにすべての人民の健康、教育及び福祉の増進に関する責任の一部を委託される国際団体と十分に協力することを誓約する旨を規定しておるのであります。また、一九四八年六月十七日、国際労働総会は、結社の自由及び団結権の擁護に関する諸提案を、条約の形式により採択することを決定し、条約第二部第十一条において、この条約の適用を受ける国際労働機関の加盟国は、労働者が団結権を自由に行使することができることを確保するため、すべての必要にしてかつ適当な処置をとることを約束する、と決議しておるのであります。さらに、一九四八年七月九日、国際労働機関憲章の要請にこたえる意味において、結社の自由及び団結権の擁護条約と称するものを採択しておるのであります。  右の国際労働機関憲章及び総会の採択は、当然わが国の労働条件の基本原則として採用されなければならない性質のものであり、ゆえに、日本国憲法は、その第三十五条第一項において、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」第二十七条においては、勤労の権利、賃金、労働時間、休息の基準の原則を明示し、さらに第二十八条においては、勤労者の団結する権利、団体交渉及びその他の団体行動をする権利を保障しておるのであります。こうした見地からすれば、ストライキ規制法、公労法、国家公務員法、地方公務員法等は明らかに違憲立法であり、国際労働条約及び勧告並びに国際労働機関憲章等の国際労働法の精神に反するものといわなければなりません。(拍手)諸外国、なかんずくアジアの諸国は、わが国が民主的な憲法を有しながら、民主主義の仮面のもとに、反民主的コースをたどり、反動的な政策に移行し、再び帝国主義に転化するのではないかという杞憂を持つことは、けだし当然であって、日本国の将来のため、まことにゆゆしい問題といわなければなりません。(拍手)  そこで、私が岸総理大臣にお尋ねしたいのは、あなたは、国際労働機関憲章を尊重し、国際信義と条約を守るというならば、結社の自由及び団結の擁護に関する条約をなぜ批准しないのでありますか。これを国際労働機構加盟各国の前に明らかにしていただきたいのであります。(拍手)また、聞くところによれば、批准を怠っているのは、公労法第四条第三項が条約に抵触するからだといわれているが、どうであるか。また、条約の批准については、その意思を放棄したと伝えられておるが、どうか。もしそうでないならば、条約批准の是非を明確にし、もって国際義務にこたえてほしいと思います。  国際労働機関憲章第十九条第五項の(b)項によれば、「各加盟国は、立法又は他の措置のために、総会の会期の終了後おそくとも一年以内」「且つ、いかなる場合にも総会の会期の終了後十八箇月以内に、条約を当該事項について権限のある機関に提出することを約束する。」「加盟国は、条約を前記の権限のある機関に提出するためにこの条に従って執った措置、権限があると認められる機関に関する細目及びこの機関が執った措置を国際労働事務局長に通知しなければならない。」と義務づけておるのであります。なお、昨年暮れ、国際自由労連並びに国際運輸労連の調査団が来訪し、本年四月にはILOの代表が日本政府を訪問することになっており、その際当然、これら代表より、条約批准について責任ある回答を総理に求めると思うが、その際いかなる態度をとられるか、これを念のために聞いておきたいと思うのであります。(拍手)  国際自由労連と国際運輸労連の共同調査団は、昨年十一月来朝し、主として公共企業体関係の労働事情を調査いたしました。同調査団は、一月二十七日、国際自由労連と国際運輸労連の本部に対して、次のような報告書を提出いたしました。一、公共企業体労働者のストライキ、怠業その他同様の行動をとる権利を法律で禁止しておることは、労働組合の団体行動を認めている憲法の規定に全く相反している、また、組合の役員を法律によって制限することは、結社の自由に関するILO条約に明白に違反しているが、この条約はILOの理事国である日本政府が尊重すべき道義的義務を有する、一、公共企業体の紛争についての現在の仲裁手続は、能率的かつ効果的であるにはあまりにもほど遠い、それらが国際水準の線まで向上すべきことを強く主張する、一、昨年国鉄労働者に対して行われた処罰を再検討するよう要求する、それは、最近国鉄内の労使関係が改善され、このような再検討が産業平和に一そう貢献すると考えるからである、と言っておるのであります。この国際労働機関の正当なる批判に対し、総理の見解はいかがでございましょう、これを明確にお答え願いたいと思うのであります。(拍手)総理は、参議院におきまして、わが党の田畑君の質問に対して、これを検討すると答弁されておりまするが、すでに国際非難が高まっておる現在のもとにおきまして、条約批准につきましては、もはやこれの延引を許さないのでありまして、イエスかノーかということを、この国際機関の前に明確にしていただきたいと、われわれは要求するのであります。  次に、最低賃金制についてお尋ねをいたします。  一九二八年六月十六日、第十一回国際労働総会で採択された最低賃金決定制度の創設に関する条約によれば、その第一条において、本条約を批准する国際労働機関の各加盟国は、団体協約その他の方法による賃金の有効なる規律のための施設が存せず、かつ、賃金が例外的に低廉なる職業または職業の分野において使用せられる労働者のため、最低賃金率を決定し得るための制度を創設し、または維持することを約する、と規定しております。同じく、同年六月十六日、最低賃金制度の実施に関する勧告を採択しておるのであります。しこうして、国内法におきましても、労働組合法は、第十七条、第十八条において、労働協約による最低賃金を奨励し、労働基準法第一条においては、労働者が人たるに値する生活を営む権利を保障し、基準法の定める基準は最低のものであるから、これが向上をはかるように努めなければならぬと義務づけ、第四条においては、男女同一賃金の原則を規定し、さらに、第二十八条においては最低賃金制を奨励し、第二十九条においては賃金審議会を、第三十条においては最低賃金の決定手続を定めているのであります。これらの法律を受け継いで、賃金審議会令が昭和二十二年八月三十一日政令第一七五号として出され、最低賃金制定に関する任務を定めているのであります。  このように、国際条約及び国際会議の勧告が行われているにもかかわらず、今日まで最低賃金制確立に関する努力を政府が怠ってきたということは、その責任きわめて重大といわなければなりません(拍手)。  また、労働基準法は、労働時間と労働賃金を二つの支柱としているのであります。八時間労働制が法制化されても、最低賃金制が法制化されなければ、ざる法のそしりは免れないのであります。天井の板と底板を同時に並行的に張ってこそ、基準法に定める労働条件が初めて完璧になるのであります。なるほど、政府は過去において中央賃金審議会に対して諮問をいたしております。しかし、中央賃金審議会は、昭和二十五年十一月より三年有余の歳月を経て、去る昭和二十九年五月二十一日、赤松要会長より当時の小坂労働大臣あて答申をいたしております。この答申は、三年有余の歳月をかけ、しかも、その内容は、家具建具製造、絹、人絹織物製造業などの四業種に限られたものでありますが、これすら何ら実施を見ていないのであります。歴代保守党政府の特徴的なやり方は、低賃金によるダンピングの非難を受けると、外国を欺瞞するために、最低賃金らしきものを作ろうというゼスチュアを示すだけで、国際的非難が薄らぐと、そのゼスチュアすら振り捨ててしまうのであります。  労働省は、昨年四月十二日、事務次官名をもって、業者間協定による最低賃金方式の実施について、と題する通牒を発し、いわゆる業者間協定を推進せしめております。また、中央賃金審議会は、昨年七月より審議会を開き、旧臘十八日、中山伊知郎会長より石田労働大臣あて、最低賃金制に関する答申を提出したのであります。この答申は、最低賃金制の基本的なあり方については、全産業一律方式は望ましいものであるが、わが国経済の実情に即しては、業種、職種、地域別方式を実施し、これを漸次拡大していくことが適当であるとし、その実施については、家内労働に関する必要な規定等を含めた新たなる単独立法によることを適当としているのであります。しこうして、最低賃金決定方法として三本建を採用し、第一に業者間協定並びにその拡張適用、第二に労使協定の拡張適用、第三に賃金審議会方式を適当としているのであります。過日、岸総理は、労働組合代表との会見において、この答申に基き今国会に最低賃金法案を提出すること、及び、その内容はこの答申の内容を下回るものでないことを言明されたと新聞は報じておりますが、一月三十日労働省が発表いたしました要綱によれば、最低賃金法違反に対する罰則の規定を欠き、また、労使協定による拡張適用に対する異議の申し立てを認め、労働組合法第十八条の規定をさらに後退せしめる多くの課題を残しているのであります。(拍手)  さて、問題は、政府が重点を置いて推進している業者間協定方式であります。われわれは、業者間協定は最低賃金制とは遺憾ながら認めていないのであります。われわれだけではありません。それは、世界各国の社会通念におきましても、また、先ほど申し上げました国際労働機構における最低賃金制についての勧告におきましても、いかなる形式の最低賃金決定制度を採用する場合でも、その影響を受ける使用者及び労働者と協議して運用すべきであり、いかなる場合においても最低賃金の決定に関する一切の事柄について右労使双方の意見を求め、かつ、その意見に対しては十分にして均等なる考慮を払うべきであると、このようにきめておるのであります。経営者間で一方的に最低賃金を決定しても、それは最低賃金制とはわれわれは遺憾ながら見ることができないのであります。(拍手)わが国においてのみ経営者だけの決定によって最低賃金を定めなければならぬ理論的根拠は全くないといわなければなりません。(拍手)特に私は労働大臣に申し上げたいが、労働者が賃金という自己の最も重要な労働条件を決定するに際し、一方の当事者になれないということは、労働協約を支柱とする近代労働法の労働条件決定制度としては全く奇異なことといわなければなりません。さらに、業者間協定が行われる業種はきわめて限定されているのでありまして、労働者の低賃金は広範な業種に普遍的に存在をしておるということを労働大臣はお忘れになってはならぬと思うのであります。業者間協定は、この低賃金を法制的に固定化する危険を内包しておるのであります。これらの労働者の賃金についてこそメスを入れる必要があり、底を張らなければならないのであって、一律実施という方法をとらなければ、わが国の非人道的な低賃金はとうてい一掃できないとわれわれは確信をしております。(拍手)  われわれは、以上のような理由から、政府の推進している業者間協定に対してはこれに反対し、全産業一律に実施することを主張しておりまするが、政府はいつごろこの法案をお出しになるか。また、最低賃金制度に対する労働大臣のお考えをこの際明確にしていただきたいと思うのであります。  次に、政府の雇用政策及び失業対策についてお尋ねをいたします。昨年末政府が発表した新長期経済計画によれば、年平均六・五%の経済成長率を確保し、昭和三十一年度より三十七年度に至る間において四百七十八万人を新たに雇用することを目標としておるのであります。これによって、新規学校卒業者のうち雇用希望者は一応雇用し得ると称しているけれども、今年度のごときは、生産年令人口増加数すら吸収することは不可能である。潜在失業者の雇用状態の改善は全く顧みられていない状態であります。そして、政府は、昭和四十年以降における低下を予想される生産年令人口の増加率のみにひたすら期待しておる現状にすぎないのであります。すなわち、生産年令人口の老朽化に期待をかけておるのであって、完全失業者及び潜在失業者の雇用への吸収については何ら見るべき積極的な方策は全然ないということを、この際指摘しておきたいのであります。(拍手)  また、雇用の形態に関する近代化の方策は何ら示されておりません。企業それ自身は近代化されても、企業構造の中に存在する雇用形態が近代化されていない事実は、昭和三十一年度の製造工業五百社を対象とする経済企画庁の調査では、対前年比で常用工の雇用増は三・四%に対し、臨時工のそれは五四・二%であったことを見ても明瞭であるのであります。この計画は経済の成長率を六・五%と想定しておりますが、政府は、当面、経済の成長率を三・五%と想定し、財政、外貨予算あるいは財政投融資等をその基礎の上に組み立てておるのであります。この計画の想定する経済成長率の六・五%と、本年度予算の基礎となっている三・五%とのギャップを、一体政府はどうお考えになるのでございましょうか。また、成長率六・五%の上に立てられた雇用展望の矛盾をどのように解決されようとしておるのであるか。  すでに経済白書も指摘したごとく、わが国産業構造上の固有の基本的な矛盾を解決することは、完全雇用にとって不可欠な条件であるのであります。しかるに、戦後、歴代の保守政府は、しばしば何カ年計画なるものを作文して参りましたが、この計画で一年も続いたものは遺憾ながらないのであります。これは、(拍手)ひとり政治のみならず、経済それ自身も、もはや、われわれの主張する計画経済によらなければ、構造上の矛盾も、完全雇用の実現も断じて不可能であるということは、この事実が示しておるのであります。(拍手)石橋内閣は、ゼスチュアにせよ、一応完全雇用を唱えて参りました。しかるに、岸内閣は、完全雇用をかなぐり捨てて、資本と利潤の均衡的発展という、資本主義本来の政策をむき出しにして参っておるのであります。石田労働大臣は石橋湛山老の衣鉢を継ぐ人であります。あなたは何のかんばせあって湛山老に相まみえるか。まことに不肖なる子といわなければなりません。雇用問題について、私は、この際、河野企画庁長官の責任ある答弁を要求いたします。(拍手)  さらに、私は、この際、零細企業の問題に触れておきたいと思います。通産省の商業統計によれば、昭和二十九年の商業の規模別構成調査によると、全国の商店の総数百五十万三千店のうち、一人ないし四人まで使用している店は百三十三万三千店であり、まさに全商店の八八%を占めているのであります。また、本人一人だけ働いている事業者は全体の四割を占めている状態であります。ところが、これら全商店の九割に近い数を占める零細企業の一店当りの月額販売高は、わずかに平均十四万四千円にすぎないというみじめさであるのであります。こうした零細企業発生の根本的な原因は、さきに経済白書が明らかにしたように、日本資本主義に内在する基本的矛盾である産業経済の二重構造、すなわち、アメリカ的独占資本とアジア的零細企業の二重構造の必然的産物であって、失業小資本が大量にこの分野に流入し、また、巨大な潜在的失業人口がここに絶好のたまり場を見出しているのであります。さらに、所得の面で見ると、総理府の就業構造基本調査によると、商人の所得は年収十六万円以下のものが全体の半数を占め、年収二十四万円以下の人が三分の二を占めておるのであります。この総理府の統計を見ても、これらの零細企業は、労働者と同じか、労働者以下の生活をしておるのであります。さらに、この零細企業の周囲には、極度に貧困な失業者群が鈴なりになっておるのであります。しこうして、これら零細企業の大半は、他人を搾取することなく、逆に税金や金融や仕入れなどで国家や独占資本に収奪されているというのが、今日の実情であるのであります。(拍手)かくのごとく、零細企業を収奪しているのは、放任主義と過酷な税金を押しつけている自民党政府や、金融機関などを通して搾取をほしいままにしている独占資本であって、ささやかな収入と購買力で零細企業をささえていてくれるのは、実に勤労大衆であるのであります。労働者こそ零細企業の最大の味方であるということを、われわれはこの際強く指摘しておきたいと思うのであります。(拍手)これらの零細企業、失業小資本の安定策について、前尾通産大臣はいかような対策をお持ちであるか。さらに、勤労所得税及び零細企業に対する減税について、一萬田大蔵大臣の御答弁を要求するものであります。  次に、社会保障の問題についてお尋ねをしたいと思います。さきに厚生省が発表した厚生白書によれば、生活保護法による被保護者と、これ以下の消費水準に属する低消費水準世帯の推計は二百四十六万世帯、一千百十三万人であって、わが国総人口の約一二・四%を占め、全国平均で、一人当りの年間所得はわずかに一万八千七百九十二円であり、昭和三十一年四月当時の一人当り国民所得の約二割にすぎないのであります。国民の所得は、米国の九分の一、イギリスの四分の一、西ドイツの三分の一であり、貧困世帯の約三割は零細農、一割が自由営業、二割が低賃金労働者、二割が需要限界の不安定な日雇いあるいは個人労働者、残り二割が無業者、さらに右の全体の四割程度が老齢、母子、廃疾等の、所得能力を喪失あるいは制限された世帯によって占められておるのであります。わが国貧困の主たる比重は、不完全就業のための低所得と就業能力喪失のための低所得によって占められており、従って、その解決策は、最低賃金制を含む完全雇用と社会保障の達成以外にはあり得ないと、厚生白書みずからがこれを強調しておるのであります。(拍手)  次に、昭和三十三年度予算の中の社会保障関係費は千二百五十四億五千三百万円で、前年度に比べ九十九億三千六百万円ふえております。しかしながら、そのうち四十八億は失業対策費であって、救貧対策に使われる予算は、わずかに五十一億円にすぎないのであります。全予算額に占める割合は前年度の一割強から九分五厘に落ち、本年度予算に自然増を加えただけのものであって、その意味からすれば、むしろ社会保障費は減額されておるといわなければならぬのであります。(拍手)まさに、この予算は、老人、病人、母子泣かせの予算であり、高額所得者の社会保障の予算といわざるを得ません。  さて、この五十一億円の内容を検討いたしますと、第一にあげられることは、国民皆保険の実現が全く抹殺されておるということであります。わが国には健康保険にも国民健康保険にも加入していない国民がいまだ二千五百万人も残っております。しこうして、この人たちこそ、社会保険制度の適用を最も必要とする低所得者層の国民なのであります。これらの国民に対して積極的に社会保険の手を差し伸べることこそ社会保障政策の最大の急務であるべきにもかかわらず、国保の来年度新規加入対象人員は計画よりも二百万人も落され、社会保険診療費の引き上げの実施は十月一日にずらし、無医村地区解消の予算は全く見るべきものがないのであります。公約違反は自民党政府の専売特許であるけれども、痛々しい病人に煮え湯を飲ませる、このような公約違反は断じて許されないところであると、われわれは考えるのであります。(拍手)  また、昨年の二十六国会で、政府は、三十億を負担するという公約のもとに、政府管掌健康保険の保険料と患者負担を引き上げたのであります。ところが、今度の政府案では、厚生省の七十一億七千百七十六万円の要求に対し、これを大削減して、わずかに政府負担を十億円より計上していないのであります。かくして、政府は再び患者負担を引き上げる原因を作り上げておるのであります。当面、かかる悪循環を断ち切るべき積極的な予算措置を講ずることこそ、社会保険、結核対策を通じての最大の急務であるといわなければなりません。一方、結核対策費の増額はわずかに九億円程度にとどめておりますが、昭和三十一年十一月、社会保障審議会は医療保障について三百億円の増加を勧告しておるのであります。これについて、岸首相は、二十六国会において、この勧告を尊重すると言明しておるのでありますが、総理はこの公約違反についていかようにお考えでございましょう。(拍手)  また、母子福祉貸付金に至っては、本年度より逆に五千万円も減額し、母子を入れる第二種母子寮三十四カ所建設費一億六千万円も削られてしまいました。問題の保育所予算につきましては、辛うじて本年度並みの予算が計上されましたが、これは総選挙を控えての人気取りのための計上であって、もし社会党の国会解散要求の強烈な運動がなかったならば、おそらくこれらの予算は軒並みに大幅削減をされておったでございましょう。(拍手)  生活保護費につきましても、被保護者を平均五万二千人増加を見込んでおりますが、これが失業対策とどのような関連のもとに計上されたのであるか。また、日雇い労働者のペース・アップは全然無視されておることも重大な問題といわなければなりません。  また、転落婦人の保護更生のための保護費は五千万円も削減され、一億七千万円になりましたが、これでは、ざる法の目を一そう広げるものであると国民の非難が起るのは、当然といわなければなりません。これらの転落婦人の保護更生のために、どのような対策 をおとりになるか。各婦人団体も非常に心配しておりまするので、この際、法務大臣並びに厚生大臣の答弁を私は要求いたします。  すでに述べましたように、厚生白書は、最低賃金制を含む完全雇用と社会保障達成以外にこれを救う道はないといっております。この白書は厚生大臣官房が編さんしたものであります。その序文において、厚生大臣はみずから筆をとっておられます。政治の目標とは、「具体的には、国民の健康と福祉を守ることであり、新しい民主主義の社会をつくることであり、これを推進することであります。これこそ厚生大臣の重大な責任であって、就任六カ月にしてしかとこのことを肝に銘じた次第であります。」「これらを行政に反映させることこそ政治の要諦と存じます。」こう述べているのであります。三十三年度予算は、岸内閣が初めて自分の手で組んだ予算であります。従って、総理公約の貧乏追放予算は、天下だれはばかることなく、大手を振って組めたはずであります。剰余金も数百億に上るという絶好のチャンスであったのであります。あなたになぜブームが起らないのか。あなたにはヒューマニズムがないからです。あなたが妙なほほえみをたたえても、国民はいささかも感動しないのであります。羊頭を掲げて狗肉を売るとは、まさにあなたのことを言うのであります。(拍手)  さらに、厚生白書は、政治の領域において問題としなければならないのは、「わが国における貧困対策の貧困さであり、貧困についての問題意識の低さであり、さらに貧困追放の意欲の欠乏であるといわなければならない。」と指摘をしておるのであります。(拍手)これを厚生大臣並びに総理大臣はどのようにお考えでありますか。厚生大臣官房が編さんをし、厚生省が責任をもって発表いたしました厚生白書の中に、現内閣を批判するような、かくのごとき表現があるということについて、あなたはどうお考えになりますか。  朝日新聞の天声人語は、岸首相のだらしなさには失望した、自分の選んだ大蔵大臣がもみくちゃにされ、孤立無援でいるのを、かばいもせず、閣議決定の予算編成の基本方針がくずされるのをどうにもできない岸首相の指導力はゼロである、両岸どころか、無岸無能である、また、一萬田蔵相は孤児蔵相だ、骨のある人間なら辞表を出してやめるべきだろう、と、あなたに対して痛烈なる批判を下しているのであります。この際、岸総理は、謙虚にこの世論に耳を傾けるとともに、厚生白書が指摘する貧乏追放の意欲の欠乏、問題意識の低さ、貧困対策の貧困という適切なる教示に深くこうべをたれ、率直に反省すべきであると思うが、どうでございましょう。(拍手)  次に、国民年金制の重要性はすでに天下の世論となっております。わが党は、この国民の世論にこたえ、昭和三十一年六月、第二十四国会に老齢年金法と母子年金法を提出したことは、すでに国民周知の事実であります。すなわち、わが党の法案は、一定所得以下の人々に積み立てなしの年金を支給するため、六十才以上の人間に対しては年額二万四千円、また、未亡人には、母子年金として、母子世帯に対し年額三万六千円、また、十八才未満の子女二名以上の場合においては、第二子から一名につき年額七千二百円、さらに、身体障害者に対しては、一級より三級まで平均三万六千円を支給するという法案であるのであります。これは、政府及び自民党が賛成せず、残念ながら、今日に至っておるのであります。われわれは、国民とともに、この法案の通過成立のために今後とも努力する考えでありますが、すぐに実行できるこの程度のものを政府はなぜやらないのであるか。わが党案に政府が賛成すれば、今すぐ実現するのであります。われわれは、全国四百八十万人の老人、八十万人の身体障害者、七十万人の未亡人を代表して、強くこのことを政府に要求するものであります。これらの諸君は、今涙を浮かべながらその成り行きを見守っておるということを、総理は忘れてはならぬと思うのであります。(拍手)  なお、わが党は、このほか最も理想的な積み立て方式の国民年金制度を作り、近くこれを国会に提出する考えでありますが、国民年金制度に対し、総理のお考えはいかがでございますか。  なお、厚生大臣、あなたはこの社会保障の予算で満足をされておるかどうか。  また、労働大臣は、先般十円足らずのベース・アップで押えられました日雇い労務者に対し、なお賃金改訂を行う意思があるかどうか。就労日数を増加させる意思があるかどうか。五人以下の事業場に対し失業保険を適用する意思があるかどうか。これをあわせて考えていただきたいと思うのであります。  次に、軍人恩給に対し、われわれの見解を明らかにし、かつ、政府の所信をこの際ただしたいと思います。     〔「議長、時間々々」と呼ぶ者あり〕

杉山元治郎日本社会党副議長

○副議長(杉山元治郎君) 赤松君、申し合せの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。

赤松勇日本社会党

○赤松勇君(続) 現在の旧軍人恩給は、朝鮮事変後急テンポで再軍備を推進しようとする保守党政府の手によって創設されたものであります。従って、それは、終戦によって消滅した旧陸海軍の制度の部分的な復活であり、再軍備政策の一環としての性格を強く持っておるのであります。われわれは、右の理由から、昭和二十八年創設以来、毎年の予算に少からぬ比重をもって計上される旧軍人恩給費を批判して参りました。先にも申し述べた通り、一千百万人の膨大な貧困階層が存在していることは、政府みずからも統計をもって示しておるのであります。何よりもこれらの人々に対する社会保障制度の確立こそ、国政を担当する者の緊急の課題となっておるのであります。今日の段階において、広く恩給制度一般の再検討が、こうした階層を含めた全国民を対象とする国民年金制度との関連のもとに日程に上っており、世上恩給亡国論すら出ておる現状であり、無原則的な恩給費の増額は、断じて許されないのであります。このたび昭和三十年度の予算において政府が示しました方針は、この見地からすれば、無定見きわまるものといわなければなりません。政府与党は……。     〔「時間々々」と呼び、その他発言する者あり〕

杉山元治郎日本社会党副議長

○副議長(杉山元治郎君) 赤松君、すみやかに結論に入って下さい。

赤松勇日本社会党

○赤松勇君(続) 予算原案の方針に部分的改良を加えたものを発表いたしましたが、恩給制度の基本的性格に何ら変ったところがない。すなわち、政府与党の態度には、国民年金制度へ移行させようとする何らの熱意も見られないのであります。昨年末、総理府社会保障制度審議会が臨時恩給等調査会の答申に対して意見書を発表したのでありますが、この中でも、いたずらな恩給費の増額を戒め、国民年金制度確立こそ現下の課題たることが述べられているのであります。  軍人恩給に対するわが党の見解は、第一に、現行恩給制度に対するあらゆる措置は、国家財政の負担を考慮しつつ、すみやかに国民年金制度に移行させるための過渡的性格のものとして処理されることが必要であると考えるのであります。第二に、われわれは、さきに全国民を対象とした拠出、無拠出の国民年金制度の構想を発表いたしました。

杉山元治郎日本社会党副議長

○副議長(杉山元治郎君) 赤松君、約束の時間が過ぎましたから結論に入って下さい

赤松勇日本社会党

○赤松勇君(続) 従って、この年金制度との見合いにおいて三十三年度国家予算における恩給費を処理しようとするものでありますが、ただ、恩給が現実に支給され、支給者がこれを生活のささえの一助としている事情にかんがみ、次のような方針に基く措置をとろうとするものであります。すなわち、旧軍人の階級差に基く恩給の体系を是正するのでありますが、まず、中尉以上を職業軍人と認め、増額は一切停止すべきであります。そして、職業軍人でない、言いかえれば赤紙一枚で召集された者に階級差があるのは不公平でありますから、公務扶助料につき五万四千円に達しないものは、すべてこの線に引き上げるのが妥当であります。この額は、われわれの構想する無拠出年金の支給額に若干の増加を加味したものであります。次に、また、動員学徒、徴用工などの準軍属については、一定の期間を限って年金を支給し、その間に国民年金制度に吸収せんとするものであります。第三に、以上の方針に基いて、われわれは、三十三年度を限りとする現行旧軍人等恩給の体系是正を行い、社会保障的な性格を付与しつつ……。     〔「時間々々」と呼び、その他発言する者多し〕

杉山元治郎日本社会党副議長

○副議長(杉山元治郎君) 赤松君——赤松君、すみやかに結論に入って下さい。

赤松勇日本社会党

○赤松勇君(続) この体系是正によって支給さるべき普通恩給、公務扶助料、普通扶助料、増加恩給、傷病年金等の総額に見合うだけの交付公債を国が発行すべきであると考えるのであります。この際、生活保障の見地から、本公債を有する世帯の年間総所得が一定額に達しないものについてはすべて現金で支給するの措置をとるわけであります。右の金額をこえるものについては必要な時期に国が補償を行おうとするものであります。こうした措置によって、恩給費の国庫負担は大幅に軽減されるでありましょう。国庫負担の軽減によって浮いた財源は、一部を公債の元利償還に、一部は全国民を対象とする国民年金制度の財源として使用さるべきであります。国民年金制度は、以上のような措置によって、実現への現実的な一歩を踏み出すでありましょう。政府は、全国民の要望にこたえ、直ちにわれわれのこうした現実的提案に耳をかし、実施に踏み切るべきであると考えるが、この点に関しての総理大臣の所見を求めるものであります。  これをただして、私の質問を終りたいと思います。(拍手)     〔国務大臣岸信介君登壇〕

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) お答え申し上げます。  ILOのこの条約、憲章の精神にのっとって、いろいろな条約、採択せられたる議案を批准するということは、私どもの従来いろいろ努めてきておるところであります。言うまでもなく、その理想を、各国が、その国の経済、社会の現状といかに調和してこれを実現するかということに、各国政府も、責任ある政府はいずれも意を用いているわけであります。わが国におきましても、そういう意味におきまして十分に検討いたします。結社に関する条約につきましても、国内法との関係について鋭意検討を加えております。  国民年金の問題につきましては、すでにわれわれが明らかにいたしておりますように、全国民を対象としておる国民年金制度を創設するという方針のもとに、その調査に着手いたしております。本年の五、六月にはわれわれが諮問をいたしておりまする社会保障制度審議会においても答申が出てくるところまで調査が進んでおります。われわれは、これを十分に検討して、一日も早くこれが実現を期しております。  また、いわゆる軍人恩給の問題につきましては、昨日私が考えを明確にいたしましたから、そのお答えをもって御了承願いたい。  その他、私に関するいろいろな御批判もあったようであります。御批判はもちろん自由でありますが、私は一々これに対してお答えすることを避けます。(拍手)     〔国務大臣石田博英君登壇〕

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) まず最初に、最低賃金法についてお答えをいたします。政府が提出を準備いたしております最低賃金法は、御承知のごとく、中央賃金審議会の答申に基いたものでありまして、その最大の特徴は、労使双方とも意見の一致を見たという一点にあります。これに基きまして、法律をすみやかに提出するつもりでございます。  それから、業者間協定についての御批判がございます。業者間協定を昨年から勧奨しておりますことは、これは、経過的な措置として、あるいはまた、最低賃金法実施の準備の一つとしてやっておるのであります。その結果、業者間協定が行われましたところにおきましては、最低賃金が従来より大体一割五分ないし二割現実に上っているのであります。効果はあるのであります。(拍手)  それから、最低賃金についてのILOの決議も、従って、最低賃金法が成立いたしましたならば当然考えなければならぬ問題だと思っておりますから、通過については格別の御援助をお願い申し上げます。(拍手)  それから、雇用政策についての御批判がございました。もちろん、経済政策その他によりまして、本年は相当雇用及び失業の問題が大きくなってくることは率直に認めます。雇用の増大につきましては、政府は、本年度の予算におきましては、前年比約三割増の職業訓練費を計上いたしておるのでありまして、それによって総合的な職業訓練所を作りまして技能者を養成し、この面から雇用の新天地を開拓して参りたいと思っておるのでありまして、現在、職業安定所の窓口を通して調べますると、未充足求人が約十三万以上もございます。この未充足求人は主として技術、技能の不足によって生じておるのでございまするから、この面の解決のために予算の大幅増額をやっておりますることは、雇用政策に積極的な、かつ近代的な構造を実現しようとしておるものでございまして、赤松君の御批判は当らないと思います。従って、私は一向良心のとがめを受けておりません。自信を持って雇用及び失業対策をやって参るつもりでございます。  それから、五人未満の事業所に失業保険法を適用する用意があるかどうか。これは、その方針のもとに、ただいま準備を進めているのでございますが、しかし、五人未満の事業所の把握につきましては非常にむずかしい問題がございまするし、その実施についての事務的機構の整備についても非常に問題がございます。従って、任意加入制度を実施して参りたいと思っておる次第でございます。  それから、次に、先ほど総理の御答弁がございましたが、ILOの団結及び結社の自由に対する決議についてどう考えるかというお話でございます。政府は、もとより、ILOの精神及び決議を尊重いたす方針であります。しかしながら、尊重するということと支配されるということとは違うのであります。(拍手)政府は、その労働政策は政府の責任において自主的に解決して参るつもりでございます。  それから、公労法、公務員法等が憲法違反でないかというお話でございますが、私は憲法違反ではないと考えております。その理由は、労働者の権利ばかりでなく、他の一切の権利は、憲法十三条に規定されておりまするごとく、公共の利益を害さない限りという制約がございます。(拍手)特に、公務員におきましては、憲法十五条において、これは国民全体の奉仕者であるということが明確に規定せられておるのでございまして、私は憲法違反ではないと信じております。     〔国務大臣河野一郎君登壇〕

河野一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河野一郎君) 赤松さんの御質問の中に、明年度における経済成長率が三%になっておるために失業者の条件の問題が非常によくないという御指摘でございますが、実は、この点は、経済は関連性があるのでございまして、明年度三%にいたしておりますことは、前年度におきまして経済の成長が非常に急激でございましたので、これを通年いたしますと、おおむね六・五%程度の成長率をたどっていくことが、日本の経済の発展は妥当であろうという結論に立って、本年と明年、この平均をとって、明年はやや堅実にいくということにいたしておるわけでございます。これを数字的に申し上げますと、一昨年は失業者が六十四万でありましたものが、昨年は、ただいま申し上げますように、経済が非常に膨張いたしましたので、これを昨年の一月から十一月までの月平均にいたしますと五十三万に減少しておるというこの事実をもってしても、今私の申し上げましたことが裏づけできると思うのでございます。従いまして、明年度の点につきましては、ただいま石田労働大臣から申し上げましたように、しかるべく対策を、政府といたしましては万全を期しておる次第でございます。(拍手)     〔国務大臣前尾繁三郎君登壇〕

前尾繁三郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(前尾繁三郎君) お答えいたします。  中小企業のうちで零細企業が占める地位とかいいますが、零細企業の定義がはっきりいたしません。いろいろの考え方があるでありましょうが、先ほど申し上げました三つの中小企業対策の重点は、むしろ零細企業と考えられるものに力を入れておるのでありまして、国民金融公庫が従来中小企業金融公庫以上に力を入れて参りましたのも御存じの通りであります。また、今回の信用保険事業団という構想は全く零細企業の人に最も恩恵の多いことでありますことは、おわかりと思います。また、企業診断にいたしましても、また、技術の指導にいたしましても、やはり零細企業を中心として参るのでありますし、また、中小企業団体法の運用に当りましても、零細企業に重点が置かれますことは当然のことと思います。(拍手)     〔国務大臣一萬田尚登君登壇〕

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(一萬田尚登君) お答えします。  中小企業と減税との質問でありますが、私どもは、減税をいたす場合は、常に中小企業と低額所得者をまず対象として考えておるわけであります。三十三年度の減税につきましても、おおむね、この中小企業等を対象にして考えておりまして、どうぞ御審議を願いたいと思います。(拍手)     〔国務大臣堀木鎌三君登壇〕

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(堀木鎌三君) 国民健康保険につきましては、先ほど松野議員から御質問がありました際に答えましたが、これは既定計画によって遂行できる確信を持っております。  政府管掌健康保険に対しまして一般会計からの三十億円が十億になりましたことは残念でございますが、しかしながら、社会保険全体を通じて三十二年度の予算よりははるかに私は進歩いたしておる確信を持っております。一例をあげますれば、社会党の諸君が一番希望されるはずである日雇い健康保険の赤字を解消し、傷病手当金を創設したのであります。(拍手)結核対策につきましても、約十億を見込みまして、予防、治療方面について相当進歩いたしておると思うのであります。母子貸付資金については、償還される資金をあわせお考え願わなければならないと思うのであります。保育所につきましても、保母さんの手当、乳幼児の給食費について引き上げを行なっておるのであります。生活保護費につきましても、大体、過去の実績に対しまして人口増加割合を見込んでおるのであります。婦人保護対策につきましては、これは非常に誤解があるようでありますが、三十二年度におきまして、婦人相談所、収容施設が相当でき上ったのであります。従いまして、来年度、三十三年度におきましては、この施設の関係の経費が減っておるわけであります。むしろ、婦人のために、今回、三十三年度より、新たに更生資金の貸付、医療費等につきましての新しい給与、給付の関係を施設いたしましたのが、かえって進歩しておるのではなかろうかと思います。  厚生白書につきましては、いろいろ自分の都合のいいところだけをお読みにならないで、全体をよくお読みになられんことを希望いたします。(拍手)     〔国務大臣唐澤俊樹君登壇〕

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○国務大臣(唐澤俊樹君) 婦人の保護更生につきまして、厚生省との連関におきましてお尋ねがあったようでございます。法務省関係の予算は、いかにも御指摘の通り、必ずしも十分とは考えておりません。しかしながら、私といたしましては、この予算をもちまして、最善の努力をもって、法の施行には支障を来たさないようにいたす確信を持っておりまするから、どうぞ御了承をお願いいたします。(拍手)

杉山元治郎日本社会党副議長

○副議長(杉山元治郎君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。      ————◇—————

杉山元治郎日本社会党副議長

○副議長(杉山元治郎君) 本日はこれにて散会いたします。     午後三時五十一分散会

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