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28回国会衆議院1958/04/08

農林水産委員会 第25号

発言数
65
登壇者
9
会派数
2
開催日
1958/04/08

会議録

中村寅太自由民主党

○中村委員長 これより会議を開きます。  森林開発公団法の一部を改正する法律案及び分収造林特別措置法案を一括議題といたし、審査を進めます。両案については前会質疑を終了いたしておりますので、直ちに討論に入ります。討論はありませんか——なければ採決いたします。  まず森林開発公団法の一部を改正する法律案について採決いたします。賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕

中村寅太自由民主党

○中村委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  次に分収造林特別措置法案について採決いたします。賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕

中村寅太自由民主党

○中村委員長 起立総員。よって本来は原案の通り可決すべきものと決しました。本案について石田宥全君より、自由民主党、日本社会党共同提案にかかる附帯決議を付したい旨の申し出があります。この際これを許します。石田宥全君。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 ただいま議題となりました分収造林特別措置法案に対する附帯決議について、案文を朗読いたします。   分収造林特別措置法案に対する附帯決議  一、分収造林の最も通常の対象地域と考えられる市町村有林及び部落有林は、権利関係が極めて複雑であり、且つ部落民の薪炭採草等日常生活に密接な関係を有するものであるから、分収造林契約を締結するに当っては、山村の土地利用区分について適正を期するとともに、現実に関係部落等の利用権者の全員が一致して当該契約に賛成した場合のほかはこれを行い得ないものとするよう、政府は指導に万全の措置を講じ、もって山村経済の振興に遺憾なきを期すべきである。  二、政府は、現下の木材需給の憂慮すべき状態にかんがみ、今後一層森林の開発と資源の増強を推進すべきであり、これがため、国有林は、さらに経営の改善につとめるとともに、その資金と組織を活用し、民有林の生産力増強に対し積極的に寄与するものとし、必要に応じ関係法規について根本的な再検討を加うべきである。

中村寅太自由民主党

○中村委員長 ただいま石田君より提案されました附帯決議を付するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中村寅太自由民主党

○中村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  この際附帯決議に対する政府の所見を求めます。本名政務次官。

本名武自由民主党農林政務次官

○本名政府委員 ただいま森林開発公団法の一部改正並びに分収造林特別措置法の二法案を御可決いただきまして、ありがとうございました。ことに分収造林特別措置法に対しまして附帯の御決議をいただきましたが、その内容はしごく適切なことでございまして、政府といたしましても御趣旨を体して善処いたす所在でございます。

中村寅太自由民主党

○中村委員長 なお両案の委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中村寅太自由民主党

○中村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。     —————————————

中村寅太自由民主党

○中村委員長 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、輸出品検査所の支所の設置に関し承認を求めるの件を議題といたし、審査を進めます。  本件について質疑なり御意見があれば、これを許します。——別に御発言もないようでありますから、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中村寅太自由民主党

○中村委員長 御異議なしと認め、採決いたします。  本件を承認すべきものと議決するに賛成の諸君の起立を求めます。

中村寅太自由民主党

○中村委員長 起立総員。よって本案は承認すべきものと決しました。  なお本件の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中村寅太自由民主党

○中村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。     —————————————

中村寅太自由民主党

○中村委員長 臨時肥料需給安定法の一部を改正する法律案を議題といたし、審査を進めます。  質疑を続行いたします。他に質疑はありませんか。——なければ質疑はこれにて終了いたしました。  次に討論に入ります。討論はありませんか。——なければ採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。

中村寅太自由民主党

○中村委員長 起立多数。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  なお本案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中村寅太自由民主党

○中村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。

中村寅太自由民主党

○中村委員長 予備審査のため送付され、去る三月十四日本委員会付託になりました内閣提出、中央卸売市場法の  一部を改正する法律案を議題といたし審査に入ります。まず本案の趣旨について政府の説明を求めます。本名政務次官。     —————————————

本名武自由民主党農林政務次官

○本名政府委員 ただいま上程になりました中央卸売市場法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。  青果物、魚介類等いわゆる生鮮食料品の流通の改善をはかることは、農畜水産業の経営を改善する上からも一般消費者の利益を増進する上からもきわめて重要でありますが、特に米麦重点主義から転換して適地適産、畑作改善により農家経済の拡大改善をはからねばならない現在におきましては、これら生鮮食料品の加工貯蔵が困難でありますのでどうしても中央卸売市場の適正円滑な運営を確保し、その機能を十分に発揮させることが肝要であると存ずるのであります。中央卸売市場には、大正十二年に中央卸売市場法が制定されまして以来時に応じて変遷はありましたが、現在においては六大都市を含む十五都市に市場が開設され、青果物及び魚介類の全国における販売量の約三分の一が市場における取引を経て流通しており、さらに最近においては枝肉の市場取引も逐次開始される状況にあり、なお、数都市において新たに中央卸売市場が開設される予定となっているのであります。しかしながら現在の中央卸売市場は、開設地の人口増加に相応する施設の改善は十分とは申されませんので、今後さらに市場施設の整備拡充を進めなければならないとともに、卸売人の信用状態、取引方法等についても一そうの改善を要する点が多々存すると考えられるのであります。  中央卸売市場法につきましては、さきに第二十四国会において成立し、昭和三十一年九月から施行されました一部改正法におきまして、本法制定以来三十余年間における生鮮食料品の流通事情の変化に応じて、卸売人の許可、卸売人の整備統合、類似市場に対する監督等に関する規定の整備か行われ、取引改善につきましても特段の指導を行い市場運営の適正化の努力を重ねて今日に至っているのでありますが、その後の市場における卸売の業務の状況を見ますに、さらに卸売人の間における過度の競争による弊害を防止するためその取引方法を適正にするとともに、卸売人の信用を強化するためその財務の健全性を確保することが必要と認められますので、ここにこれらに関し必要な規定を整備するため、本法律案を提出した次第であります。  以下本法律案のおもな内容を概略御説明申し上げます。  第一は、中央卸売市場という名称の使用を制限する規定の新設であります。すなわち魚介類、肉類、青果物等の卸売市場であって中央卸売市場でないものについては、その名称中に中央卸売市場という文字を使用することができないこととする規定を新たに設けることであります。従来この規定は施行規則の中にあったのでありますが、右に御説明しましたような中央卸売市場の重要な地位にかんがみまして、この際中央卸売市場と他の市場との区別を明確にし、出荷者方面の誤認を防止することとする趣旨であります。  第二は、卸売の業務にかかる取引方法の制限に関する規定の新設であります。現在の中央卸売市場における取引の状況を見ますと、卸売人の間における競争が過度にわたり、出荷者方面及び小売人、仲買人等売買参加者方面に対する前渡金、奨励金等の支出が過度に行われ、適正な価格形成及び卸売業務の健全性を確保する上に弊害を生じている状況でありますので、開設者は、中央卸売市場の業務の適正、かつ健全な運営を確保するため、必要があるときは農林大臣の認可を得て業務規定で定めるところにより、これら卸売の業務にかかわる取引方法を制限することができることとする規定を設け、これによって過度の競争を防止し、卸売人の業務の健全性を保持しようとしているのであります。  第三は、卸売人の純資産額に関する規定の新設であります。現在の卸売人の財務状況を見ますに、過度の競争その他の事由によりきわめて憂慮すべき状態にあるものも見られ、これらに対しては報告徴収、検査等の措置を通じて財務の健全化の指導を行なっているのでありますが、この際生鮮食料品の流通の中枢である中央卸売市場の卸売人の信用を強化するため、卸売人の資産上の最低要件を明確にする必要があるのであります。すなわち現行法上卸売人の財務の最低要件として定められている当該卸売の業務を行うに足る資力信用にかえ、卸売人の純資産額の最低額を定め、これを下る場合における業務の停止、許可の取り消し等に関する規定を整備することとしたのであります。純資産額とは総資産額から総負債額を差し引いた正味資産額であります。この改正の内容は、第一に純資産額が中央卸売市場の業務の規模等を参酌して農林大臣の定める最低額に達しない者に対しては卸売人の許可をしないことができることとし、第二に純資産額が右の最低額を下った卸売人に対しては、農林大臣はその卸売の業務を停止することができることとし、第三に業務停止後六カ月間に純資産額が最低額以上にならない場合には卸売人の許可を取り消すこととするものでありまして、これに伴い純資産額の定期報告等に関する規定を整備することとしているのであります。  右の改正に伴う経過措置としましては、本法付則におきまして、改正法律施行の日に許可を受けている卸売人は本法施行後一定期間内に純資産額を農林大臣に報告しなければなならないこととし、その純資産額が最低額を下るものについては、純資産額増加計画を農林大臣に提出し、農林大臣が適当とするときは改正法律の施行の日から二年以内にその財務を改善させることとしているのであります。  以上が本法律案を提出する理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。

中村寅太自由民主党

○中村委員長 本案に対する質疑は後日にこれを譲ることといたします。     —————————————

中村寅太自由民主党

○中村委員長 次に、農業課税の問題について調査を進めます。質疑の通告がありますのでこれを許します。石田宥全君。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 きょうは大蔵省のえらい人が見えておりますのでそのつもりでお伺いいたします。  農業というものは、ほかの産業と比べますと非常に不利益な産業で、ほかの産業がオートメーション化したり、合理化が行われましても、農業はなかなかそういうわけにいかない。そういう関係で、これを劣勢産業と言っているわけですが、劣勢産業である農薬の課税は特例を設くべきではないか。たとえば基礎控除にいたしましてもそうでありますし、また遺産相続等の場合における基礎控除あるいは免税というような点で、税の面からの保護政策がどうしても必要である。いろいろ行政面においては保護政策が行われているけれども、税制の面にはほとんど保護政策が行われておらないのであります。いやしくも農地や農具あるいは家屋など農家の生活手段としての相続財産については、一括して免税するのが妥当であると考えておるのでありますが、これが全面的に他の産業、他の業種と同様に扱われておるようであります。     〔委員長退席、吉川(久)委員長代理着席〕 今度贈与税法の一部改正が提案されておりまして、成立するかどうかちょっとわからないような情勢でありますけれども、その点について二、三伺っておきたいのであります。  第一は、基礎控除を二十万円まで引き上げたが、二十万円からいきなり一〇%の課税をしておる。こういうふうな課税の方法は、農業のような場合に妥当でないのではないか、やはり最低税率というものは少くとも三%なり五%なりの特例を設くべきではなかろうかと思うのでありますが、そういう点について今度の改正案作成の過程において問題がなかったかどうか、また将来考慮されるかどうか、一つ伺いたいと思うわけであります。

塩崎潤大蔵事務官(主税局税制第一課長)

○塩崎説明員 お答え申し上げます。農業につきまして税制上の特例措置を設くべきではないかという一般的な点についてまずお答え申し上げます。  御承知のように税負担はすべて公平でなければならないと私ども考えておりますので、税目にもよりますけれども、できるだけそういう特例措置は排除すべきではないかという考え方を私ども持っております。ただ税目の性質によりまして、種々の政策が織り込まれておることは御存じの通りであります。たとえば事業税につきましては、御承知のように中小企業者に対する事業税は非常にやかましい問題でございますが、農業につきましては事業税は課税されておらない。この問題につきまして種々検討さるべき要素はございまするけれども、そんなような特例がございます。ただ私どもといたしましては、所得税あるいは法人税、所得課税やその他財産課税の税目におきましてはさような特例はない方がいいのではないか、かように考えております。相続税につきましても私どもは同様な考え方を持っております。ただ相続税の全般の検討の際に、現行の相続税が果たして妥当なものであるかどうか、この点につきましては十分慎重審議いたしまして今回の改正案を提出したような次第であります。ことに昭和二十五年以来取得課税方式をとりまして、相続財産一人につき五十万円という基礎控除ができましたけれども、農業方面あるいは中小企業方面の相続の実情を見ますと、必ずしも分割相続というものが経済的な理由から行われない、遺産全体が分割ということがなかなかできない、その生産性を落すというような問題もございます。そんなような経済的な理由から、理論上は種々の考え方がございましょうけれども、果たして取得課税主義がいいかどうか、このあたりが検討の材料になりまして、そういう企業財産の維持の見地も考えに入れて、ことに零細な農地の相続の場合を考えまして、今度の改正案を提出したような次第でございます。従いまして今まで一人当り、五十万円の基礎控除になりましたが、今度は遺産全体について文句なしに百五十万円という基礎控除を設けましたのも、農家の相続の実情を考えた次第でございます。  なお、ただいまの御質問のうちに、基礎控除二十万円に引き上げまして、それから一律一〇%の課税というのはひどいではないかという御質問がございました。贈与税は相続税の補完税であります。贈与税についても相続税減税の趣旨日に顧みまして、現行の十万円を二十万円に上げようとするものであります。このような引き上げの結果としまして、贈与の件数といたしましては七割程度の課税件数が落ちますし、現在の贈与税の負担としてはこの程度の引き上げが妥当ではないかと、かように考えた次第であります。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 贈与税でありますが、なお贈与税で二十万円まで非課税になりますね。二十万円まで非課税でありますが、二十万円以内のものは当然ずっと非課税になるけれども、二十万円に端数ができた場合に、五年間累積をして、その端数を累積したものを課税対象にすることができるのではないかという疑いが持たれておるのであります。これは五年間の累積を課税対象にするということはあまり酷ではないか、少くとも二十万円の基礎控除を除いた端数というものは、そのとき、どきにやはり処理すべきものではないのか、この点に疑義がありますので、この点を明確にしていただきたい。

塩崎潤大蔵事務官(主税局税制第一課長)

○塩崎説明員 お答え申し上げます。今回の改正におきまして、先ほど申し上げましたように、贈与税の基礎控除につきましては十万円から二十万円に引き上げようという御提案を申し上げておる次第でございます。ただ御承知のように贈与税というものは、現行制度でありますと一年清算制度でございます。そういたしますと、毎年々々たくさんの人に少額の、と申しますか、免税点ぎりぎりのところで贈与して参るということになりますと、贈与税の負担はおろか、最後の相続税の負担まで適当に免れる、そういたしますと、相続税をまともに納める人がばかを見るではないかということが考えられるわけでございます。各国の例を見ましても、アメリカでございますと、贈与税につきましては一生累積いたしまして課税いたしております。ドイツにおきましても十年間ぐらい累積して課税いたしております。それからフランスにおきましても、相続税と贈与税は一本に統合して課税される、同じような税率が適用される。各国におきましても、贈与によりまして相続税の負担を免れている人につきましては、種々税制上の手段が講ぜられているわけであります。現行の贈与税におきまして私どもが見ました結果は、今言ったように、毎年々々贈与によりますところの相続税の負担の恣意的減少の傾向が相当あると見受けられますので、今回の基礎控除を引き上げる意味合いといたしまして累積課税の制度をとることとした次第でございます。その制度の概要は、先ほど先生が申されました五年ということではなくいたしまして三年間でございます。なおまた二十万円をこえますものにつきましてその部分を累積課税するというのではなくして、三年間の贈与につきまして累積課税いたします。ただしこういたしますと、二十万円の基礎控除を設ける場合に少し不公平になりますので、年十万円の基礎控除をいたしまして、十万円をこえる部分につきまして累積課税をいたす、かような改正案を御提出申し上げた次第でございます。たとえば今回の改正案によりましても、百五十万円を一時に贈与した場合の贈与税額は三十三万円になります。ところが累積課税をいたさずに毎年五十万円ずつ三年間贈与いたしましてちょうど百五十万円になりますが、こういたしますとその税額は十三万五千円となります。こういったところが非常に不公平ではないか、贈与を一ぺんに百五十万円いたしますれば三十三万円の贈与税がかかる、ところが百五十万円を五十万円ずつ三年間に分けまして、年二十万円の基礎控除を適用されますと十三万五千円で済んでしまう、三分の一程度に減るということは少し不公平ではないかというわけで、年十万円の基礎控除を設けまして累積課税をする、こういたしますと、この累積税額は二十九万五千円になります。一ぺんに百五十万円贈与いたしますのに比べてなお軽目でございますけれども、今申し上げましたような三年間の累積課税をすることによりましてその間の負担の公平は保たれている。完全には保たれませんけれども均衡をはかれるのではないか、かように考えております。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 次に、農地の相続の場合の評価の問題ですが、今度百五十万円の基礎控除ということになり、さらにまた、法定相続人一人について三十万円ずつというような控除になりますが、農地の評価が上げられますと今度の改正による恩典がなくなることになるわけなんです。それで、三十三年度は据え置きというように聞いておるのでありますけれども、これはほんとうに据え置きをするかどうか。それからこの評価というものはどういう基準によって評価をされるのか、それを一つ承わりたい。

塩崎潤大蔵事務官(主税局税制第一課長)

○塩崎説明員 評価の問題につきましてお答え申し上げます。評価というものは技術的に見まして非常にむずかしいところでございまして、現行相続税法におきまして評価主義をとりましてきめましたものは非常に数は少いわけで、大部分は時価によることになっております。時価とは何ぞやという問題がその次に出てくるわけでございますが、これまた非常にむずかしい問題でございます。ことに農地の評価につきましては、小作料の関係で収益還元方式その他種々の見方があるようでございます。私どもは財産課税の方式から見まして今までとっておりますところは、大体売買価格を実例といたしまして、異常な要素は捨消し、しかもまた収益状況も参酌してきめておるような状況でございます。それが現行の評価のベースとなっております。  なお、これを直すかどうかの問題でございます。私どもはそういう評価方式をとりまして時価に接近する方法をとっておりますが、これを直すかどうかは慎重に検討してみなければならぬ。まさに先生のおっしゃったように、基礎控除あるいは税負担の問題にからむ問題でございます。今回相続税の改正の機会に、農地の評価につきましてあらためて検討する際は、農林省と連絡をとりまして、農林省の御意見も十分御参考にして、変えるか変えないかをきめたい、かように現在のところ考えております。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 この評価が一応何か基準がありませんと、ただ時価という表現になっておるといろいろの評価ができるわけです。従来は、たとえば賃貸価格の倍率というようなもので一応押えられておるようですが、それはやはりそういう倍率というものに押えておかないと、いろいろその地方々々によって税務署ごとにあるいは局ごとに動かすことができるようなことであると、非常に不安定なんです。それから三十三年度は据え置きというように私ども聞いておったのですが、今の御説明だとそれも決定しておらぬようですがなおさら不安なわけです。そうすると、その賃貸価格の倍率というようなものを動かす可能性もあるわけですね。そうなると、この税法の改正というものについては大いに考えなければならぬ問題なんです。そこでやはり評価というものの基準を明らかにしてもらいませんと、税法の改正については慎重に検討しなければならぬわけですから、今までの評価の基準と今後の評価の基準についての考えを明らかにしておいてもらいたいのです。

塩崎潤大蔵事務官(主税局税制第一課長)

○塩崎説明員 お答え申し上げます。先ほど来申し上げておりますように、農地のみならず一般的に相続財産の評価につきましては、おおむね原則的には売買実例を基本といたしまして、それから時価というものにアプローチいたしております。ただ御承知のように、売買価格の中にはときどき異常な要素が入っておりますが、できるだけ客観的なものにしたいというわけで異常な要素は捨消するようにいたしまして、できる限り客観的な財産価額を反映する、こういう方式をとっております。そういう方式を全国から求めまして、売買実例を基礎といたしまして、現行方式は賃貸価格の農地につきましては三千六百倍、畑につきましては賃貸価格の四千四百倍、こういう基準をとっております。この方式は先生のおっしゃったように全国一本でありますが、この全国一本がいいかどうかということにつきましてはもちろん検討すべき要素もあると思いますが、農地につきましては米価の関係もあり全国一本の方がよかろうということで、現在のところでは全国一本の方式をとっております。その他の財産につきましては、必ずしもそうではございません。各地におきますところの特殊事情を加味いたしまして、種々の評価を行なっておるわけでございます。農地につきましては、全国一本の方式をとっております。この今の倍率を変えるかどうかにつきましては、私どもといたしまして、売買実例は絶えず検討材料にしなければならぬ。それとまたこの売買実例をもとにいたしまして、三千六百倍を出す過程におきましては、種々の要素を加味しなければならぬというわけで、たとえば収益がどうであるかといったような方式ももちろん考えるわけでございます。その他を検討いたしましてこの倍率を変えるかどうか私どもは考えてみたいと思っております。さしあたって現在のところはこの倍率を変える資料は見当らないというような感じが私どもはいたしておるわけでございます。ただ売買価格につきましては、常に異常な要素もございますし、資料は絶えず収集して参って検討する必要がある、かように考えております。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 最近の純農地の場合は、農家経済が状況が悪くなっておりますから、実際は売買価格は下落しておるのです。しかし今度の相続税法の改正に伴って、評価が上げられるのではないかという心配が相当農家にあるのでお尋ねをしたわけです。  それからもう一点伺っておきたいのですが、さっきちょっと触れられたようですが、自作地と小作地で評価が違うという話ですが、自作地と小作地とはどの程度に違っておりますか、またどういうわけでそれを違わせておられるのですか。

塩崎潤大蔵事務官(主税局税制第一課長)

○塩崎説明員 お答え申し上げます。自作地と小作地で評価が違うと私は申し上げたわけではございませんで、現実の私どもの評価といたしましては、貸付農地の所有者の権利につきましては、おおむね評価額が農地の価額の四〇%相当額、借主の耕作権につきましては、農地の評価額の六〇%程度で評価しているのが私どもの評価の実情でございます。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 小作地の場合にはいわゆる耕作権が昔から伝統的に厳存しておるのでありまして、そういう点から、先般社会党では固定資産税についてはその三〇%を課税の対象から切り捨てろという主張をしておるわけなんです。やはり所有権の評価と耕作権の評価というものは原則的には分離すべきものである、こう考えるのです。だから自作地と小作地の場合に、今のように四〇%と六〇%というふうに区別されるのは私は妥当だと思う。これは固定資産税の場合は自治庁の停職かもしれませが、やはりその考え方というものは、そういうふうに区分さるべき性質のものであろうと思うのでありまして、この点はどうも地方では明確になっておらないのではないかと考える。これはぜひ一つ明確にして、いわゆる耕作権代、昔から甘土代とかいろいろな名称で言われておりますけれども、法律用語でいったら耕作権の代償となるものだと思うのでありますが、そういう点は今後一つ明確にお取扱いを願いたいと思います。  以上希望を申し述べて私の質疑を終ります。

吉川久衛自由民主党

○吉川(久)委員長代理 阿部五郎君。

阿部五郎日本社会党

○阿部委員 まず国税庁へお尋ねいたしますが、昨年の九月ごろに、徳島県勝浦郡勝浦町の町内の柑橘を栽培しておる農家が百十数戸、所得税の問題を動機としておのおのが有限会社を組織した、こういう事実があると聞いておりますが、相違ございませんか。

金子一平大蔵事務官(国税庁直税部長)

○金子説明員 お話の通りでございます。

阿部五郎日本社会党

○阿部委員 こえてその百十数戸の有限会社を設立いたしまして、そして同年の十一月か十二月ごろになって、おのおのの土地所有者すなわち農民と、それが設立しておりますところの有限会社との間に柑橘の栽培を、肥培管理から果実の収穫に至るまでの一切の仕事を農民から有限会社に一定の報酬を与えて請け合わせる、こういうような契約を締結して、そして、そういうふうな仕事をしていく、こういうことにいたしましたところが、それに対して国税庁におかれては、その会社の設立並びにその請負契約の締結については農地法関係において疑義があるから、それに対する課税はそういう契約があっても、やはりその土地所有者がみずから耕作をして収穫をしたものと、して所得税を賦課する、こういう態度をとっておられるということを聞いておりますが、さようでございますか。

金子一平大蔵事務官(国税庁直税部長)

○金子説明員 お話の通りでございます。

阿部五郎日本社会党

○阿部委員 その法律上の疑義とおっしゃいますのは、どういう点にどういう疑義があるのでございますか。

金子一平大蔵事務官(国税庁直税部長)

○金子説明員 今御指摘の請負契約ですが、実は私の方で承知しておりますところでは、全部の農家につきまして正式の請負契約があったわけではないようでございまして、事実上こういう請負契約をやっておるという話でありますが、私の手元に参っております報告では、数軒のものについて正式の請負契約を取りかわしております。その請負契約書の内容を見てみますと、今お話のございましたように、果樹園の肥培管理から災害の防除、あるいは柑橘の収穫における一切の仕事を会社が個人から請け負ってやる。しかも契約書の内容には、会社は使用収益に関する一切の権利を排他的に独占するんだというような趣旨の条項が入っております。これは農地法の第三条によります——契約面では、使用貸借とが、賃貸借という言葉は使っておりませんけれども、三条の趣旨によりまして当然県なりあるいは地元の農業委員会の許可を要すべき事項、かように認めたわけでございます。許可を要しないでかような包括的な請負契約をやるということは、いわば一種の、三条の脱法行為と認めざるを得ないのでございます。その効果は法律上無効であるということになりましたならば、これはやはり個人課税ということにいたさざるを得ない。また一面におきまして法人の会社の方の経理の内容等をいろいろ報告を聞いたのでありますが、個人の収支、法人の収支の内容が実は一体となっていて、必ずしも明確に区分して経理されていない。あるいはまた取引におきましても、実際問題といたしまして個人名義の取引が大部分であります。これは個々のものにつきまして甲の者がどうだ、乙の者がどうだという報告は聞いておりませんけれども、大部分のものにつきまして個人名義の取引になっておるというようなことでございますならば、これはやはり所得税法第三条の二の規定によりまして、実質課税の原則によりまして、実際上の収益は個人に帰属する。従って個人課税をする方が妥当であろう、かようなことから個人課税をするように指示いたしたわけであります。

阿部五郎日本社会党

○阿部委員 ただいまのお話によると、第一段では請負契約の内容が農地法の第三条に違反して無効である、こういうお話でありまするし、第二段といたしましてば、取引の実際について、それが個人の取引であるとおっしゃいましたが、そのあとの分は差しおきまして、前の分が前提となりますから、その前の分をお尋ねいたしますが、問題は契約の内容であります。それでこれは農林省にお尋ねするのでありますが、農地局としましては、そういう耕作の仕事の包括的な請負というものは、第三条に違反して当然無効であるという御解釈でございますか、どうですか。

庄野五一郎農林事務官(農地局管理部長)

○庄野説明員 お答えいたします。先生からお尋ねのような事案は、徳島県で問題が起きておる、こういうことは私承知いたしておりますが、県なりあるいは事務局なりから詳細な事例についての、いわゆる大蔵省の方から御説明になったような契約内容についての報告がまだ参っておりませんので、十分事実を確かめた上での答弁ではないのでございます。今国税庁がら御説明になったような契約内容を前提として考えますれば、また先生からお話がありました点等を考えますと、契約内容が農家がみずから危険負担を行なって、そして賃金労務者を雇用して、労務に従事させる場合と同様に、ただ農作業の一部を有限会社たる法人に請け負わせている場合は、そのことに関する限りは農地法上の許可は必要でない、こう思っておりますけれども、契約の内容が今お説を伺ったような内容で、ほとんど全部のミカンの木について、施肥の点から農薬を散布するとか、それからそれを摘果して収穫する、こういったような全作業を包括的に一つの法人会社に請け負わせて、そしてその代償として収穫物の相当割合が法人に提供される、そしてごく一部がその請負契約をしたミカンの木の所有者に返っていく、取得する、そういった法人会社に事業の危険負担を行わせているような、こういう契約を前提として考えますと、それはいわゆる農地法三条にいう農地についての使用または収益に関する権利を設定した、いわゆる分益小作に類するものを内容とする契約である、こういうふうに大体考えられるわけであります。実質上農地法にいう使用収益を目的とする権利を設定する、こういう場合に該当するのではないかと考えられます。そういう場合に該当しますれば、当然三条による許可か必要になる、こういうふうに考えます。

阿部五郎日本社会党

○阿部委員 これは法律問題でありますから、法制局の御意見を承わりたいのでありますが、これは農地局と両方で一つお聞きを願いたいと思います。これは内容はそれぞれ個人名その他の点は違いますけれども、百十数戸のものが一応同一の契約を締結しておりますから、私の方にきております契約書の内容を読んでみますからお聞きおきを願います。  契約書の表題が柑橘栽培請負契約書、こういうのでありまして、住所氏名が入って、それからまた住所で何々有限会社、こういう当事者になっております。そしてその内容は、「右何某を注文者とし何々有限会社を請負人として末尾記載の注文者所有果樹園に植裁されて居る柑橘栽培に関し次の通り請負契約を締結する以下注文者を甲と称し請負人を乙と称する。」こういうふうになっております。「第一条、甲はその所有に属する末尾記載の果樹園を乙に管理せしめその肥培管理をなさしめるものとし乙はこれが肥培管理ならびに病虫害等災害の防除等柑橘の収穫に要する一切の仕事を行うことを引請けるものとする。第二条、乙はその仕事に着手する時に存在する果樹園の悪条件又は果樹の病虫害等についても、その改良又は防除に努めるものとする。第三条、甲はこの契約が効力を生じたる後目的たる果樹園につき他に使用収益の権利を主張する者があるときはこれを排除して乙をして自由に仕事の遂行を得せしめる義務を負う。第四条、乙はその仕事の遂行に要する労力肥料農薬其の他一切の費用を負担するものとし甲は果樹園に対する公租公課を負担するものとする 乙はその仕事の遂行の状況及び之に要したる収支を正確に記帳して甲の求めにより何時にてもこれを提示しなければならない。第五条、乙は果実を収穫してこれを甲の指図に従ひ甲又は甲の指定する者に引渡したるときにその仕事を完成したるものとする。第六条、甲は乙より引渡を受けたる果実を翌年四月末日迄に売却するものとしその売却の時期及び条件については乙の意見を聞くものとする。第七条、甲が乙より引渡を受けたる果実を売却するときはその都度その売却代金の十分の九に相当する金額を報酬として乙に支払ふものとする。第八条、この契約は甲が果樹園を乙に引渡したるときに効力を発生し報酬の金額の支払を完了したときに終了する。契約関係が終了したるときは乙は直ちに果樹園を甲に返還しなければならない、但し契約関係が終了して一ヵ月以内に当事者双方から別段の意思を表委しない場合はこの契約と同一の条件で翌年度の栽培について請負契約が成立したるものとする。第九条、この契約に記載のない事項は民法請負の規定によるものとする。第十条、昭和三十二年度に限りこの契約は三十二年十二月十日より効力を発生し同年度の乙に対する報酬金額はこの契約による金額からこの契約の効力発生前に甲に於て負担したる同年度の肥培管理に要したる金額たる金何円を差引たる金額とする。」こういう内容であります。  そこで私がお聞きいたしたいのは、農地法第三条には、賃借権の設定がなされる場合においては、市町村の農業委員会の許可を受けなければならない、こういうことを定めております。そしてこの請負契約の内容が、賃借権の設定と同一の内容であると解釈いたしましたならば、それは農業委員会の許可を必要とすることになるだろうと思います。そして国税庁の御解釈は、それでないかと思うのでありますが、しからばここに問題が二つあるのでございます。許可を受けずして賃貸借を行なった場合において、農地法を適用するという立場からいいましたならば、それは賃貸借がないものと、こういうふうにして農地法の適用を、国家または農業委員会、府県知事というようなものは適用するでありましょうけれども、当事者間の権利義務の関係が、それによって根本から無効になってしまうものであるかどうか、これが一点であります。  それともう一つは、ここに農地法の第六条というものがあるのでありまして、第六条の第一項には、申すまでもありませんが、これこれの小作地または小作採算放牧地を所有してはならない、こういう規定があるのでありまして、これはすなわち、あまり多くの農地を土地所有者が独占して、そして自分が耕作することができないものですから、それを他人に耕作せしめる、その他人に耕作せしめる面積があまり広くなることを制限するところの規定であります。その第六条第五項には、「第一項の規定の適用については、小作地以外の農地又は小作採草放牧地以外の採草放牧地で」——これは採草放牧地を入れますとややこしいものですから、小作地ばかりを申し上げますと、第一項の規定の適用については、小作地以外の農地で、その所有者またはその世帯員でない者が平穏に、かつ公然と耕作または養畜の事業に供しているものは、小作地または小作採草放牧地とみなす、こういう規定があるのであります。すなわち、この請負契約を締結しております当事者としては、これは賃貸借契約を締結したつもりでおらないことは申すまでもありません。すなわち、これを契約小作地としているつもりでないということは事実でありましょう。しかしこの契約の結果、甲の所有地を乙が平穏、公然と耕作をしているという結果になるのでありますから、これは第六条第五項の適用になるやに見受けられるのであります。それで、もしただいま御答弁のありましたように、第三条の賃貸借契約以外であっても、それに内容において類似したものであったならば、第三条が直ちに適用せられて、農業委員会の許可を要するものであるとしましたならば、この第六条第五項は必要がない規定であるかのごとくに見えるのであります。この二つの条項の関係はいかになるのでございますか、これは農地局並びに法制局において、御解釈をお聞かせ願いたいのであります。

庄野五一郎農林事務官(農地局管理部長)

○庄野説明員 お尋ねの第一点でございますが、農地法の三条の許可でございますけれども、許可なくして三条一項に規定されております、農地についての所有権の移転または地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権もしくはその他の使用及び収益権、こういったものの設定、移転は、第三条の第四項の規定で、「第一項の許可を受けないでした行為は、その効力を生じない。」こういう規定がございます。この規定によりまして、そういう第一項の許可を受けないでした行為は無効、こういうふうに解釈いたしております。  それからただいまお尋ねになりました第二点でございます。第六条の第一項と五項との関係、こういうことになりますが、これにつきましては第六条は「所有できない小作地及び小作採草放牧地」についての規定でございまして、この点につきましてはもう少し私も検討いたしまして、御返事いたしたいと思います。

亀岡康夫法制局参事官(第一部長)

○亀岡政府委員 ただいま御質問にありました第一点につきましては、第三条第一項に地上権、永小作権、賃借権もしくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、移転する場合には、都道府県知事の許可を受けなければならない。ただいまお説にありました賃借権については、農業栄委員会の許可を受けなければならない、こういうふうに規定してございます。お説にありました通り第四項におきまして「第一項の許可を受けないでした行為は、その効力を生じない。」こうございますので、ただいま申し上げました都道府県知事ないし農業委員会の許可を受けないでした行為は効力を生じないということになると存じます。第六条第五項の規定の趣旨はちょっと今考えておるのですが、もう少し検討させていただいて御答弁申し上げます。

阿部五郎日本社会党

○阿部委員 こういう明確なことですから一つ三条及び六条五項の関係についてはもっと明確なお答えがほしいのでございます。前のお答えでございますが、これは法制局にお尋ねいたしますが、第三条は主として物権的なものの権利の設定を制限しておる規定であるということは、この第三条全体を通じて当然受け取れると思うのであります。この点御異論があればまた別でありますが、その点は明らかであろうと思います。そして先ほど私が読み上げました契約は、当事者間で請負契約といたしております。しからばこれは地上権の設定でもなければ、永小作権でもなければ、質権でもない。使用貸借による権利は無償のものでありますか、私が読み上げた契約は有償でありますから、使用貸借による権利とみなすことはできないだろうと思います。しいてみなすとすれば、賃貸借契約とみなすか、あるいはその次に書いてある、「若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、」こういうものに当るか、すなわち「賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、」これに当るかどっちかであろうと思うのでありますが、農地局並びに法制局は厳格に言うとどれに当ると御解釈になっておるのであるか、その点をお願いいたします。

庄野五一郎農林事務官(農地局管理部長)

○庄野説明員 先ほど申されました契約内容を前提に置いて考えれば、農地法三条に言う「賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利」そういった権利に相当するということで、一種の小作関係に類する、しいて言えば分益小作といったような関係が成立するのではないか、こういうふうに考えております。

阿部五郎日本社会党

○阿部委員 それがどちらに当るのか、賃借権の設定かもしくはその他の使用収益の設定か、そこをお尋ねしているのですが、いかがでしょう。

庄野五一郎農林事務官(農地局管理部長)

○庄野説明員 分益小作、こう申し上げておりますので、賃借権、こういうふうに考えられると思います。

阿部五郎日本社会党

○阿部委員 法制局の御意意見を伺います。

亀岡康夫法制局参事官(第一部長)

○亀岡政府委員 お尋ねの点は、この請負契約の内容のいずれかの条項によりまして、農地法三条一項の賃借権かもしくは使用及び収益を目的とする権利、いずれに該当するか、こういうお尋ねと存じます。  そこで、私ただいまお読みになりました契約書をお聞きいたしたのでございますが、農地法の三条一項に関係するような条項が一つと、それから第八条に若干関係しそうな条項があるようにお聞きしたのでありますが、この条項だけからみまして、ただちに賃借権に該当するということは若干問題があろうかと存じますが、そのあとの「使用及び収益を目的とする権正利」これには一応関係するのではないかというふうに考えておるような次第でございます。

阿部五郎日本社会党

○阿部委員 今の御答弁は農地局とはだいぶ意見が違うようであって、農地局の御意見は、賃借権の設定に相当するように御解釈になっておるようでありますし、それから法制局の御解釈によると、賃借権ではなくして「その他の使用及び収益を目的とする権利」というのに該当すると御解釈になっておるように承わりました。それとちょっと聞きのがしたのは、第八条云々というお話がありましたが、それはどういうことでございましょうか。

亀岡康夫法制局参事官(第一部長)

○亀岡政府委員 第八条の条項に「乙は直ちに果樹園を甲に返還しなければならない。」こう規定してございますので、この「返還」という意味が、一度設定された権利をもとの人間に返す、こういう意味だとすれば使用収益に関する権利、そういうものがあればその権利がもとの人に返る、こういうふうに了解したわけでございます。

阿部五郎日本社会党

○阿部委員 それでそれが第八条とどういう……。

亀岡康夫法制局参事官(第一部長)

○亀岡政府委員 そこで、第八条の「返還しなければならない。」という、この「返還」という意味でございますが、その前の使用収益の権利、こういう権利が前提にならなければ「返還」という字句が意味をなしてこないのではないか、こういうことでございます。

阿部五郎日本社会党

○阿部委員 法制局にまずお尋ねしたいのですが、第三条に「権利を設定し、」こういう言葉がございますが、「設定」という言葉は通常の契約関係で権利義務が発生するという場合に使う言葉でありましょうか。物権的な権利が生ずる場合に使う言葉でございましょうか。私は通常の使用語としましては、物権的な権利の場合に使う言葉だと思っておりますが、いかがでございましょうか。

亀岡康夫法制局参事官(第一部長)

○亀岡政府委員 第三条の第一項の規定を見てみますと、所有権、地上権、永小作権、質権、こういう用語と、使用貸借による権利、賃借権もしくはその他の使用及び収益を目的とする権利、こう並んでおりまして、必ずしも物権契約であるというふうに断定することはできないと考えます。

阿部五郎日本社会党

○阿部委員 形式的に言いましたならば、もちろんただいまおっしゃった通りで、物権と債権と両方含んでいるところへもってきて、設定という言葉を使っておるのでございますが、しかし設定という言葉それ自身は、元来物権的な権利を移転する場合、創設する場合に使う言葉であることは法制局においても御異論ないだろうと思うのであります。そしてこの場合にあげておる賃借権その他の債権上の権利につきましても、いずれも物権に似たものであります。すなわち第三者対抗要件を民法以外のいろいろな法律に基いて与えられておる、主として農地法によって与えられておる権利でおります。ところで先ほど私があげました契約は、そういう物権性ははなはだ希薄だということが言えるのではないかと思うのでありますが、法制局の御意見どうでございましょうか。

亀岡康夫法制局参事官(第一部長)

○亀岡政府委員 ただいまお説にございました三条の第一項が物件的な権利を設定するということでございますが、この三条の一項によってそういうことが言えるわけではないと考えておりまして、私人間と申しますか、一応当事者間の契約を農地法上許可するかどうかということを定めてあるのでありまして、ここで物権的な権利を設定したということは言えないのではないかと思い。

阿部五郎日本社会党

○阿部委員 これは申すまでもありませんけれども、日本の憲法は契約の自由を保障しております。基本的人権の一つとして、人と人との契約は自由でありますし、営業も原則として自由であります。それでありますから、その契約の自由を制限する規定につきましては、よほど厳格なる解釈をしなければならぬと思うのでありますが、その立法目的に照らして、そのむやみな拡張解釈は慎しまなければならぬと思うのであります。それらの点から考えまして、農地局並びに法制局におかれましては、先ほど私が読みましたような契約が第三条に照らして、明確に三条に違反をしておるもの、こう断定するだけの論拠はもるのでございますか。

庄野五一郎農林事務官(農地局管理部長)

○庄野説明員 先ほど三条の解釈で、賃債権的なものだ、こう申し上げましたが、なおこの点は私もよく、先生お読みになりました契約内容をさらに吟味して検討いたしたいと思っております。  それから今先生お尋ねになりました三条の点でございますが、これにつきまして、有限会社を作って、そしてそれに出資するというここの事案が非常に特殊なものでございます。法三条におきましては、第三者である者と元の農地の所有者あるいは賃小作権を持っておる者、そういった人たちの間の関係が本来考えられて制定されたものと思いますが、先生が今問題にされております本件について見ますと、柑橘類の所有者であり、またその土地の所有者である人が有限会社を作って、そしてその代表者になって契約している、こういったような事案でございまして、全く最近におきます非常に新しい事例でございまして、この点につきましては十分内容を吟味しなければならぬと思って慎重に検討しておりますが、なかなか結論を出しかねておる次第でございます。法三条の表面の解釈といたしましては、新しく所有権の設定移転あるいは債権であります賃借権の設定移転をいたします場合は三条の許可が要って、そしてその許可のない場合は無効だ、こういう従来からの解釈の通りであります。その内容であります権利の移転が、法人格は異にしておりますけれども実体は同じであるといった場合にどう扱うかという点は、もう少し私は研究しなければならぬと思っております。そういう点と、もう一つは賃借権を設定する場合の相手方が、三条ではございませんが農地法の関係におきます法人か農地の所有権の主体になり、耕作を目的とするための農地の主体になり、あるいは小作人になり得るかどうかという点が別にあるわけでございまして、そういう点も農地法の精神と考え合せて、本件については十分問題にしなければならぬ。ただ賃借権の問題だけが問題でなくて、賃借権と考えた場合、あるいはその他の使用、収益権と考えた場合におきましても、法人が一方においてそういう権利主体となり得るかどうかという点も、従来の解釈としては否定的な形になっておりまして、そういう点においても本件については問題があるわけであります。そういう点も今法制局とも御連絡申し上げて、検討いたしておる段階であります。

亀岡康夫法制局参事官(第一部長)

○亀岡政府委員 先ほど私が申し上げましたのは、契約条項によって一応考えられることを申し上げたのでありまして、絶対にそれを断定したわけではないのでございます。従いましてこの契約条項は当事者の意思の合致でございますから、単に契約の文言だけのみならず、この契約に盛りました当事者の意思というものをさらに吟味しなければ、断定的なことは言えないかと存じますので、その点につきましては御了解いただきたいと存ずる次第であります。ただ先ほど申しましたのは、一応法律の三条の一項のどの条項に該当するかということでございますれば、契約条項の三条、八条あたりが問題になるのではないかということを申し上げたようなわけでございます。

阿部五郎日本社会党

○阿部委員 お答えを要約いたしますと、この契約が三条違反になる、こう一応御意見を述べられるのは法制局も農地局も同じことでございますが、このどれに違反するかということについては、法制局と農地局とでは、片方は賃貸借に該当するというし、片方は賃貸借以外の使用及び収益を目的とする権利の設定に該当する、こういうふうに意見が違っておりますし、それから双方とも果してこれが三条に違反するものであるやいなやという点につきましては、また議論の余地があり、疑いの存するところである、こういうふうな御意見なのであります。すなわち確かなお答えはないという結論になるのであります。  さらに進んで伺いたいのは、この第三条と第六条第五項の関係であります。この第三条は、これは古い条項でありまして、農地解放当時にできた条項であると記憶しておりまするが、元来この第三条がそういうふうに一切の主要収益を内容とする権利を排除するものでありましたならば、第六条第五項というものは、要らないものであって、そしてそれをわざわざ作ったというゆえんのものは、農地解放以前からいわゆる刈分け小作とかあるいは請負小作とか称するものがあって、それが農地解放を妨げておるという事実が存在したがために、それを排除して農地解放の効果を全からしめんためにできた規定でありますし、将来もまたこういう小作、あるいは賃貸借の名目を用いずして、その他の名目をもって実際上の小作を行う、それによって土地の兼併が行われることを排除せんとするところの規定かすなわち第六条第五項なのでありますから、農地局や法制局のおっしゃるように、こういう請負というものが——しかもその請負たるや期限が五年とか七年とかいうものではなくて、一つの収穫が終ったならば一応それで解消されるし契約は新たになる。物権的な契約ではなくて、あくまで請求権にすぎないというものであって、そしてこの第三条に規定せんとするところのものに対する強い権利ではない、こういうような場合においては、第三条が直ちに適用されるのではなくて、もし適用せんとすれば、これは前の請負小作とか刈分け小作とか称するものに該当するのであって、第六条第五項を適用すべきものである、かように私は思うのであります。そう解釈しなかったならば、この両方の条項が存在しておる意義を合理的に認めることができないのでありまするが、その点についてもう一ぺん一つ御見解を承りたいと思います。

庄野五一郎農林事務官(農地局管理部長)

○庄野説明員 十分検討しておりませんので、いずれ法制局ともよく検討してお答え申したい、かく存ずる次第でありますが、第六条の点はこれはいわゆる所有制限の規定でございまして、当時農地解放をいたしまするときに、この五項で、平穏かつ公然に何らの問題なく耕作あるいは養畜の業をやっておったものは小作とみなして保護する、そして解放させる、そういうような趣意に出た条文でございまして、効力的な問題として第三条と矛盾する、そういうふうには考えていない次第でございます。(阿部委員「矛盾するとは言うておりはせぬ」と呼ぶ)これは当時の農地解放を遂行する段階において、そういった小作を保護した、こういうふうに考えております。これが今先生が問題にしておられる請負的なものとどういう関係になるか、その点はもう少し検討いたしたい、こう考えております。

亀岡康夫法制局参事官(第一部長)

○亀岡政府委員 何度も申し上げまして恐縮でありますが、第三条の第一項、これは必ずしも物権的な権利だけを規定しておるのではないと考えております。  それから第六条第五項を御引用になりましたが、この第五項の規定と三条一項の権利の性質との関係、これは別に結びつけて考えるべきものではなくて一応関係のない、先ほどお話しになりましたような趣旨でできた規定ではないか、かようなわけであります。

阿部五郎日本社会党

○阿部委員 関係がないという意味は、ただいまお答えの三条と六条五項の関係かないという意味か、どういう意味でおっしゃったか疑問でありますが、これはもう幾ら議論しても十分調べておらないとおっしゃいますからいたし方ございません。しかしながらこの際私は特に法制局また農地局の御意見も承わっておきたいのであります。この農地法全体の趣旨といたしましては、耕作をしない人の手中に農耕地が広く集中されることを防いで、農地は耕作する者の権利として所有権までその方になるべく属さしめたいのが第一条の目的に合致するものである。すなわち農地はこの耕作者みずからが所有することが最も適当であると認めるという趣旨から、農地法は全体が成り立っているものでおる。これは議論の余地がないだろうと思います。そこで当事者の設定、移転その他の行為につきましても、農業委員会の許可とか、知事の許可とか、そういうものを必要として一つの制限を設けておる。さらにそればかりではなしに、かりにその許可をするに当っては、農業委員会とか、知事とかいうものが許可をするに当っても、一定の面積以上の許可はできないという第六条の規定を設けて二重に保護を確実にしておりますが、それはあくまでも農業のこういう立法目的に照して必要で最小限度のものでなければならぬのであって、そのためにあまりにも拡張解釈をしまして、一般的な憲法の保障された契約の自由あるいは営業の自由というようなものを制限するに至らないような細心の注意が払われなければならぬのは言うまでもないと思います。先ほど国税庁からお答えがありまして、百数十戸が会社を設立したことは事実である、しかしながらその中で私が申しているがごとき契約を結んだものは数戸にすぎない、こういうお答えがありました。これがもし政府が御答弁なさるように、最初から違法なもので無効なものであるといたしますならば、もとよりそれはよろしゅうございましょう。しかしながらまだ皆さん方自身が疑いを残しておられるのでありまして、もしこれが違法ではない、こういうことになりましたならば、これはゆゆしい問題であります。といいますのは、とにかく会社を設立したことは事実であって、その設立の目的たるやこういう契約をするのか目的で設立しておるのであって、何も目的なしに登録税を払って会社を作るものはないのでもります。ところが作ってみましたけれども、税務官吏の方におかれてこれを違法であるという御解釈で、そんなことをしてもあくまでも個人に課税するという態度をお示しになりましたから、それでせっかく会社は作っても何ら用その用もなさないで契約はしなかった。そのうち数戸のものだけが契約をしたという結果が現われております。これは仮定をもって申し上げるのはどうかと思いますけれども、あなた方がおっしゃるように、疑いの余地があってこれが違法でないかもしれない、もし違法でないのにこういう結果を来したということになりますると、これは法律を執行するべき責任のあるところの官吏の行為によって、憲法に保障されたる人民の基本的人権が侵害された、こういうことになるわけなのであります。それ以外の何ものでもないわけでございます。これはまことにゆゆしい問題でありまして、これは一つの問題ばかりではありません。政府の行政行為によって基本的人権が妨げられていくという問題はひんぱんに起ることであります。戦前におきましては主として検察権や警察権の行使によってそういう基本的人権の侵害が起っておったのでありますが、戦後はそれは比較的少くなっております。しかしながら現在において一番政府の活動分野の中で強権的なもの権力的なものは何かといえば、これは税務署の課税の活動であります。これは国民一般が昔の警察よりも税務署を恐れているという事実がこれを示しているのでありまして、その活動によって基本的人権がもし侵害されるというようなことになりましたならば、これはまことに重大な問題でありますから、これは単に課税上の便宜とかあるいはその他のものとして軽々しく考えられることなく、これは農地局も法制局も一つ御協力下さって、国税庁とともに御協力下さいまして、十分にこれは的確なる法律の執行をなさっていただきたいと思うのであります。それでこういう今まで税務署のなさっておったことについて、その指導監督の地位にある主税局においては、どういうお考え方をしておられるか。——お帰りになったのですか、おると思って聞いたのですが——ではそれはまあよろしい。  それではただいままで私か申し上げたことは私の希望としておきます。  これで一応私の質問を打ち切ります。

中村寅太自由民主党

○中村委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後零時十三分散会      ————◇—————

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