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28回国会衆議院1958/03/06

農林水産委員会 第11号

発言数
123
登壇者
10
会派数
2
開催日
1958/03/06

会議録

中村寅太自由民主党

○中村委員長 これより会議を開きます。  去る二日二十四日付託になりました内閣提出、参議院送付、農業協同組合法の一部を改正する法律案及び去る三月一日付託になりました内閣提出、酪農振興基金法案を順次議題といたし審査に入ります。  まず両案の趣旨について政府の説明を求めることにいたします。本名政務次官。     —————————————     —————————————

本名武自由民主党農林政務次官

○本名政府委員 農業協同組合法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。  農業協同組合及び農業協同組合連合会の行う共済事業につきましては、昭和二十九年六月、第十九国会において成立いたしました農業協同組合法の一部改正により一応その整備を見たのでありますが、その後の共済事業の発展にかんがみて、特に共済契約者あるいは被共済者たる組合員の利益の保護と共済事業の健全な運営を確保する見地から最も重要な事項と考えられる責任準備金の積み立て、財産の運用方法の規制等につきまして、なお十分とはいえない点がありますので、現在行政庁の承認を受けた共済規程の定めるところにより積み立てられている責任準備金につき、その積み立て義務を法定いたしますとともに、財産の運用方法につき必要な規制を加える等の措置を講ずることにいたしたいのであります。  次に、農業協同組合中央会の行う監査事業につきましては、当該事業の円滑な運営に資し、農業協同組合及び農業協同組合連合会の健全な発達をはかるという農業協同組合中央会の本来の目的の達成に寄与するため、農業協同組合中央会の監査事業関係の規定を整備し、監査の実施手続を明確にするとともに、監査事業に対する農業協同組合及び農業協同組合連合会の協力関係を明定することにいたしたいのであります。  以上が農業協同組合法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。  次に酪農振興基金法案についてその提案の理由を御説明いたします。  わが国の酪農が最近数年間に著しく発達いたしましたことは、乳牛飼養頭数が昭和二十五年から昨年までに約三倍に増加して約六十万頭となり、また牛乳生産量におきましても、昨年の見込みでは昭和二十五年の四倍近くに及ぶ七百三十数万石という量に上っていることからも明らかなところでございます。このような生産面の発展とともにいろいろ新しく施策を講ずべき問題も出て参るのでございます。本年度下半期における牛乳乳製品の需給の不均衡が見通される際に生じました加糖乳製品の砂糖消費税免税措置撤廃に端を発しまして、早急に牛乳乳製品の需給調整方策を樹立することとし、酪農審議会に諮問しましたところ、生乳取引の合理化、学校給食等による需要増進、酪農振興基金の設置等の対策を講ずべき旨の答申がありました。そこで政府といたしましては、学童に対する牛乳の給食、酪農振興基金投資、大カン練乳の緊急保管事業に対する助成その他の措置をとることとし、以来酪農振興基金設置を除くこれらの施策を着々実施して参り、相当の効果を上げておるのでありますが、今回酪農振興基金設立のためこの法案を提出いたしました次第でございます。  酪農の最近の目ざましい発展の陰には、需給の一時的不均衡という問題がひそんでおります。牛乳の生産と消費は均衡しつつ急速に伸びており、大局的には、当分需給の不均衡を生ずるようなことはないと存じておりますが、しかしその発展の過程におきまして一時的に問題が生じました場合には、牛乳の特殊性として乳価の過度の低落、受乳の拒否、乳代の遅払いという事態を惹起しかねませんので、資金の供給を円滑にいたすことによりこれらの事態の起ることを防ぐことが必要でございます。このため酪農振興基金を設立して乳業者または生乳生産者に対して所要資金の融通の円滑化をはかり、もって生乳取引関係の改善に役立てようとするのが、この法案のねらいでございます。  以上がこの法案提案の経過及び趣旨でございますが、以下簡単にその内容を御説明申し上げます。  第一に、酪農振興基金は、政府及び民間の共同の出資により設立する法人であります。政府は、設立当初に五億円出資いたし、民間は、当初に一億円以上、その後資本の充実、生産の伸張に見合いまして昭和三十八年三月末日までに五億円に達するよう出資いたすこととなっております。  第二に、政府以外の出資者、つまり乳業を行う農業協同組合及び連合会を含む乳業者、乳業者の組織する中小企業等協同組合、乳業者である農業協同組合または連合会を直接、間接に構成員としている農業協同組合連合会、生乳の生産者を直接、間接の構成員としている農業協同組合及び連合会は、金融機関からの次に申し述べます一定の資金の憤り入れ等に対し基金から債務を保証してもらうこととなります。  第三に、基金の業務であります、乳業者につきましては、生乳の購入資金その他の運転資金あるいは乳業経営合理化、主として大カン加糖練乳施設の転換をはかるための設備改良資金等の借り入れ等により金融機関に対して負担する債務の保証を行い、乳業者団体につきましては、構成員にこれらの所要資金を貸し付けるために必要な資金の借り入れによる金融機関に対する債務の保証を行い、生産者団体につきましては、牛乳販売代金が入るまでの生産者に対するつなぎ融資に要する資金について債務保証を行うことにしております。  第四に、基金の機関でございますが、基金の業務運営が公正かつ円滑に行われるよう役員である理事長、理事及び監事は、農林大臣が適任者を任命することといたしております。なお、理事長の諮問に応じて業務運営上の重要事項を審議する評議員会を設け、出資者及び学識経験者のうちから農林大臣が評議員を任命することとなっております。  第五は、基金に対する監督及び罰則でございます。政府が出資をいたしておる関係上、収支予算、事業計画及び資金計画を作成させ、農林大臣の認可を受けさせることにいたしております。決算につきましても農林大臣に決算書類を提出してその承認を受けることとなっております。  また基金は、金融に関係のある機関であるため、重要事項につき、認可や承認をする際には農林大臣が大蔵大臣と協議いたすこととしております。なおこの基金の業務の公正な運営を確保するため所要の罰則規定を設けました。  第六に、このような基金に対しましては、法人税その他の国税及び地方税を非課税とすることにいたしました。  以上がこの酪農振興基金法案の提案の理由でございます。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。

中村寅太自由民主党

○中村委員長 これにて両案の趣旨説明の聴取を終りました。  酪農振興基金法案についての質疑は後日にこれを譲ることといたし、農業協同組合法の一部を改正する法律案について質疑に入ります。質疑の通告がありますので、これを許します。芳賀貢君。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 ただいま農協法の一部改正法律案と酪農振興基金法案の提案理由の説明がありました。この際政務次官にお尋ねしますが、酪農振興対策について、先般政府は当委員会に対しまして、酪農振興基金法案とあわせて酪農振興法の一部改正の法律案を提出するということを表明されたわけでありまして、本日基金法案だけの趣旨の説明を受けたのでありますが、酪農振興法の一部改正については現段階においてどのような考えを持っておられますか。

本名武自由民主党農林政務次官

○本名政府委員 ただいまのお尋ねについてでありますが、酪農振興基金法案にあわせて酪農法改正の法案を提出すべきであるという御意見のようにお聞きしたのでありますが、政府におきましては、ただいま前国会における御趣旨もよく理解いたしまして、せっかく準備中でございます。ただ、振興法の改正は、非常に他に関連のある、たとえば農業協同組合法の第十九条の問題とか、あるいはその他今日の段階において改正するに当っては相当慎重に、かつ重点的に改正をいたしたいという考えからただいま準備中でございまして、まだ成案を得ませんので、ここに提出するに至ってないような次第でございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 この問題は今政務次官が言われた通り、農協法の改正に対しても酪農振興法の一部改正は関連があるのです。ですから、政府は改正の法案を出す意思があるとすれば、これは関連性を持たして、あわせて審議を進めていった方がいいのではないかとわれわれは考えているのです。すでに当初政府の方針としては酪農振興法の一部改正をやるということの予定を表明しておるわけです。ですから、基金法案だけ出して酪振法を出すか出さぬかわからぬような、そういうあいまいな態度では審議の進行上困るわけです。その点をもう少し明確に言ってもらいたい。特に政務次官が言われた通り、農協法の中における十九条二項の取扱いの問題等については、もう数年以前から農協の行う牛乳の共販態勢に関する見解というものが、たとえば農林省当局あるいは公正取引委員会等において違っておるわけです。ですから、これは一つの懸案事項にもなっておることであるからして、法の改正等を行う場合においては、懸案となっておって未解決の問題として放置された点はやはり明確にする必要があるというふうに考えるわけです。ですから、酪振法の改正を今国会においてやる気があるかないか、その点を明確にしておいてもらいたい。あなたでわからぬければ、農林大臣に来ていただいて、政府の責任ある見解を明らかにしておきたい。

本名武自由民主党農林政務次官

○本名政府委員 機会を得まして大臣からも御説明申し上げる方が適切であるかもしれませんが、ただいまのところ、御指摘の通り並行して御審査をいただくのが当然とは考えておりますが、率直に申し上げまして実は会期もだんだん進み、また迫って参りますので、とりあえず予算に関係のある法案から御審議いただくと同時に、酪農振興法も先ほど申し上げました通りに、政府としては改正をいたすという意図のもとにただいま準備いたしておりますので、ただ並行して同時に提案できなかったということは、御指摘の通り非常に御不便かと思いますけれども、一応今後の基金法の御説明の中に加えて考えている準備中のことなどを御説明しながら、提案前に本法案を御審議いただきたい、このように考えて、おります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 ですから酪振法の改正を今国会でやりたいとするならば、これは前から作業していればやれぬはずがないのです。ですからそれとあわせてやった方がいいとすれば、農協法の審議並びに基金法の審議を、酪振法の改正案が出るまで、万全を期するためにわれわれはお待ちしてもいいわけです。ですからその方が御希望であれば率直に述べていただきたい。

本名武自由民主党農林政務次官

○本名政府委員 先ほども申し上げましたように、農協法の第十九条の二項の問題ばかりでなく、これにも非常に関連がありますが、その他御指摘の通り公取を初めといたしまして、関連したそれぞれの解決をいたさなければ法律案として出すわけには参らないと思います。しかしながら重ねて申し上げますように、改正の意図がないのではなくして、ぜひ同時に出したいという気持でおりましたが、率直に申し上げますが、諸般の準備が整わなかったのと、予算関係の法案である本法案を先に出して御審議いただきながら、あるいはいただいた後においても、必ず早い機会に提案するように準備をしていく、こういうことでございますので、どうぞこの法案の御審議をすみやかにお願いいたしたいと思います。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 それではお出しになる意思があるのですから、そういうものを提案されるということをわれわれは一応頭において、しかし基金法の場合には今委員長がこれは本日質疑を行わないということを言っておるから、一応切り離して、農協法の審議に入りたいと思いますが、その場合においても、この農協法の改正の内容を見ると、十九条の問題等には全然触れていないのです。ですからこの農協法の一部改正の中でこの問題を解明していくのか、あるいはあとに残された酪振法の中で共販問題等については何らかの措置をとる考えであるか。この基本的な考えというものだけは、審議に先だって明らかにしてもらわぬと困ります。

渡部伍良農林事務官(農林経済局長)

○渡部(伍)政府委員 ただいま御指摘になりました農協法十九条の問題は協同組合法の本質の問題に触れるのでありまして、これはただいま政務次官からお話がありましたように、独禁法等の関係、組合員の自由を尊重するが、その自由の限界の問題、それと非常に関係いたしまして私の方で非常に研究したのでありますが、結局組合員の自由を制限するのには、一般的な制限は行き過ぎであって、特定の条件のもとに、特定の目的のために制限するのならばこれはどうしてもやらなければいかぬだろう、こういうふうに法制局等との話もなりまして、そうなりますと、特定の品目について具体的事由に基いで十九条の二項の例外を作っていく、こうしなければならないじゃないか、こういう結論に一応到達しておるわけであります。従いましてただいま問題になっておりますのは、一番必要なことは集乳等についての過当競争を防止し、あるいは乳生産者の利益を擁護するために十九条の二項の排除が必要であるかどうかという点から考えなければならない。そのほかの品目についても、それに該当するものがあるとすれば、具体的に一つ一つ取り上げて法制化しなければならないのじゃないか、こういう結論に一応到達しておるのであります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 そこでこの問題は、やはり協同組合法自身の中で検討すべき問題だと思うのです。十九条の規定は、組合の施設に対する専属利用契約を一年を限度としてそれ以内の期限においてすることができるということになっておるのです。ですから十九条それ自体は必ずしも強い意味の組合員に対する義務の強制ではないと思うのです。ですからそれに対して二項の緩和規定が載っておるわけなんですが、この二項の規定をどうしてもはずすことができないというような理由はあるのですか。農協法の精神とかあるいは通念的にいう協同組合のあり方の上から見た場合、二項というものはどうしても要るかどうかということです。

渡部伍良農林事務官(農林経済局長)

○渡部(伍)政府委員 この二項を排除するのには非常に強い理由がなければいけないというのが法制局方面の見解なのでございます。すなわち協同組合法は組合員の自由を尊重するという建前であります。その建前を変えれば別でありますが、現在の建前ではそういうことになります。さらにまた事実上の問題として、これを協同組合中央会等に検討していただいたのでありますがその方面の検討では、私どもが考えたのは特別決議で二項を排除する、しかもそれを特別の品目の扱いにしてやることならば、その個人の自由を束縛することにならないじゃないか、大多数の利益のために一部の組合員に不便があってもがまんしてもらえるのじゃないか、こういうことでもって、そういう案をもって検討を加えたのでありますが、その反面からいいますと、この組合の建前が加入脱退自由でありますから、もしそれを強制することになれば、特別決議をして三分の二は賛成したけれども三分の一が賛成しないとすれば、脱退してしまうおそれがありはしないか。協同組合の現状からいうと、そういうふうな規定の改正を全面的に行うことは少し早過ぎるのじゃないか、こういう意見が非常に強かったのであります。そこでこれは具体的な品目を通じて、具体的な必要性から個々に取り上げていった方が現在の段階では適当ではないか、こういうふうに考えて、特定の品目について十九条の特例法を作るということがいいと一応は考えております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 今局長は十九条が強まってくれば脱退する組合があるということは予想されると言われますが、この農協に対する加入脱退の原則は、農民が自主的に自己の判断の上に立って協同組合に加入して、そして自分の経済的な地位を高めることが最善であるという判断の上に立って入っておるのです。ですからこれが不利益であるという場合においては当然脱退することが自由なんですから、そういう場合において、協同組合の運営が本人に不利益であるという場合においてもなおそれを拘束しておく必要はないのです。これは協同組合自身の運営の問題になると思うのです。ほんとうの農民の信にこたえることができないような運営をやる場合においては、組合員が離れていくことは至当であると思いますし、それから専属利用の場合においても、これを専属的に利用した方が有利であるということが明らかになれば、何も脱退するとか自由を束縛されるから組合に入らないということにはならないと思うのです。ただ対比の問題で、どっちが有利か不利かという問題から、組合に入るとか入らないとかいう問題が出てくると思うので、もう少しこの問題は真剣にまっこうから取り組む必要があるのじゃないか。

渡部伍良農林事務官(農林経済局長)

○渡部(伍)政府委員 お説の通りでありまして、理論的にあるいは行政指導の建前からいえば、そういうふうに個々の農家が協同組合の本質、協同組合の必要な理由というものをはっきり認識すれば、農民が寄って協同組合組織を通じて共同の利益を守らなければいかぬということはわかってくるのであるから、大多数の利益になるようなことをある程度統制をとっていくということは、当然その目的に沿うことになるのであって、一つもおかしくないのではないか。しかし理屈を言いますと、その中で少くともおれはいやだと言ったのが出た場合には、それを法律でもって強制することは、この法律の建前からはできないのであります。極端な議論をしますと、脱退はしたくない、組合に残っておりたい、おれば組合に残っておっても、特別決議なら特別決議よりもおれの考えの方が正しいのだ、こういう場合があっても、特別決議をやればそれを強制することができるということは、法律の建前から行き過ぎじゃないか、こういう非常にこまかい議論になってくるわけなんです。単純にいやなら出て行ったらいいじゃないか、こう言ってしまうと、現在の協同組合の現状からすると、終戦後の農業会それから物資の統制そのままのワクで協同組合が惰性的に運営されている部面も相当にあるのは事実でありますから、そういうところでは崩壊作用を起してしまう、もう少し統制から自由へ切り変った社会経済の実情に合った運営を継続して、その後にそういった相当の組合の統制力を持たすようにしてもおそくはないのじゃないか、こういうのが組合関係者の大多数といいますか、はっきり一言いますと四分は賛成で六分は反対だ、こういうふうなことが言われておるので、その段階では、むしろそれよりも必要性に強いものはこれはだれが見てもいいんじゃないか、その必要性の強いものから取り上げていった方が協同組合の現状からいって適当である、こういうふうに判断したのであります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 ただ問題は、当初農協法ができたときに、第二項がくっついておるものですから、今これをはずすかどうかというところに問題があるし、また刺激もするのですよ。最初からこれがなくて、協同組合というものは十九条等によって相当きびしい点もあるのだということを最初から約束として理解して、そうして加入脱退の原則の上に立って組合が形成されたということになれば、今日十年たってむしろ強い協同組合が発展できたのじゃないかとさえも考えられるわけです。それを今はずすかどうかということになると、これは自信を持てない面が非常に多いと思うのです。全国中央会にしても地方の組合にしても不安を持っているということは、こういうことをやると脱退とか混乱が起きて困るとか、崩壊の事態が起きるかもしれぬというのは、自信がないからだと思うのです。ですからそういうただ現象面だけにこだわって、これはやはりこのままにしておかなければならぬということは、局長としてもいつもの信念とはちょっと違うのではないですか、よろめいているのではないですか。

渡部伍良農林事務官(農林経済局長)

○渡部(伍)政府委員 私一番強硬に主張したのでありますが、衆寡敵せずといいますか、法律準備提出の期間もありまして、この際は問題をしぼって出せ、こういうふうな省の決定になりました。その問題は極端にいいますと、私議論した経過を言いますると、かりに脱退する者があったら脱退しても仕方がないのではないか。そして協同組合を純化して、新しい理念のもとに協同組織を作らなければ、今協同組合の中に存在する経営規模の問題であるとか管理方法であるとか役職員のあり方、そういう問題がいつまでたっても解明できないのではないか、従って一ぺん思い切って再検討をする必要があるのではないかということは、非常に強く主張したのでありますが、一人だけの意見ではどうにもならなかったわけであります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 そこでもう一つの問題は、これは客観的に見た場合、たとえば中小企業の協同組合等にしても、あるいは昨年成立した中小企業の団体組織法にしても、そういう別の組合行為に相当強いものを打ち出しておるのです。たとえばアウトサイダーに対する加入命令であるとか員外者に対する規制とかそこまでいかなければ、同一の事業を行なったりあるいは農業なら農業でもそうですが、同一環境の上に立った多数者が共同の利益をはかるとか守るとかということはできないような事態になっているわけです。協同組合だけがおおらかな気持であくまでも個人の自由を尊重しなければならぬということはそういうことだけでやっていく場合に周囲の情勢というものがだんだん変ってきて、協同組合がむしろだんだん追い込められていくというような事態が必ず来ると思うのです。団体法等を見ても、法が成立した場合には相当緩和されたような事態もできたけれども、当初は協同組合に対しても大きな規制を加えるというような意図が明確であったのです。そういう周囲の情勢に対応したように協同組合の内部的の強化とか、あるいは法の体系の整備というものをやっていかぬと、ちぐはぐになって非常におくれていくような事態にもなると思うのです。ですからそういう全体の角度からながめた場合に、今の段階において改正を行う機会とすれば、やはりそういう問題等に対しても、もう少し目を開いて改正に臨む必要があったのではないかと思うのですが、この点は本名さんいかがですか。

本名武自由民主党農林政務次官

○本名政府委員 全く御指摘の通りでございまして、ぜひそのような線で法案を出して御審議をいただくつもりでおりましたが、先ほど局長も申し上げました通り、いろいろな事情からこういうような形になって御審議をいただくことになったわけであります。なおこの法案は実は局長が孤軍奮闘した結果利あらずしてこうなったと申しましたが、実は農林省といたしましても、相当広範な充実した法案として出すつもりでありましたが、率直に申し上げましていろいろ国会側の御要望などもございまして、こういう形で出したわけでございます。御了解いただきたいと思います。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 もう一点は先ほど渡部局長も言われました、事業別にこれはどうしても特別決議等を行なってやった方がいいというような問題のときには、そういう表現を使うことも可能であるということは、結局たとえば酪農振興法の改正等を行う場合、そういう点を振興法の中に打ち出す場合やれぬこともないだろうというような見解とも聞き取れたのですが、この点はいかがですか。

渡部伍良農林事務官(農林経済局長)

○渡部(伍)政府委員 その通りであります。先ほど御指摘になりました中小企業団体法等で団体統制をやる場合には、過度の競争によってやはり全部が共倒れになるおそれがあるので、こういうふうな前提条件を置いて、その場合には員外者も一定の規制に服するという条件になっておるわけです。従いまして、この十九条の問題も御指摘の通り初めから第二項がなかったら何でもなかったのではないかと思います。あとは組合の自主的な運営で円滑に行えるはずだと思うのです。これが置かれた理由は、やはりこの法律が制定された当時の戦争前後の強度の統制をそのまま委託されて行わなければならぬ、こういうふうな状態でありましたから、この規定が非常に強く打ち出されておるわけであります。これは立法例を見ると、ある国も、ない国も両国あります。しかしこれを取るということになりますと、やはり法律の理屈かな、個人の自由、協同組合の自主性というものをいかにも阻害するという格好になるわけであります。しかし御指摘のような牛乳等では協同組合の共販体制なもっと強化した方が農家の利益になるということは明らかであります。しかしこれが、すぐそうしなければ過度の競争によって、農家の利益が阻害されるかどうかという理屈の問題になってくると思います。従ってそういう点は個々の具体的なものについて、具体的な事情に応じて上九条の特例法をそれぞれの法律の中に織り込んだ方がいいのじゃないか、こういう考え方であります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 今言われた過当競争の場合も、農民の内部における過当競争といったって、何も農民が競争を激化して農産物を安売りするとか投げ売りするとかいうような、そういう競争の事態は起きないのですよ。農産物が暴落した、安過ぎるということで、いかにしてそれを高く売るかということなんです。農協を利用するか、あるいは個人個人で高いところを探してどうして高く売るかというような競争の事態は起きるとしても、いわゆる過当競争という事態は農民の内部においては起きないと思うのです。ですからそういう業者の過当競争の場合の規制とはこれは全く違うと思うのです。むしろ団結した方が問題が有利に解決するということは当然わかるわけなんですけれども、それをたとえば酪農法の改正等を行う場合に——農協法の一部改正で牛乳の共販を規制して、そこで特別決議を行なった場合においては、その組合員はその決議に従わなければならぬということをもしやるとすれば、これはむしろ危険じゃないですか。たとえば牛乳の共販の場合に、総合農協で扱っている場合が大部分であると思いますが、地域によってはやはり酪農協等の特殊農協があってここでやっておる。特殊農協の組合員はまた総合農協にも入って、二重加入しておる人が多いと思うのです。そういう場合に農協法だけの規制で、酪農協同組合に入っておる組合員に対しても、君たちは農協の組合員だから牛乳の共販はこれでやらなければいかぬということになると、むしろ混乱とか、内部的に好ましくないそういう現象が当然起きると考えられますが、いかがでしょうか。

渡部伍良農林事務官(農林経済局長)

○渡部(伍)政府委員 そういう問題も複雑性を増すところの一つの、この改正が困難なゆえんであると思います。現在の段階では抜け売りした方がかえって高く売れる、だからいやだという議論が一つ出てきておるわけであります。これが、景気が悪くて抜け売りすれば損だということになれば、これは全会一致、あるいは意味がない、こういうふうな考え方が出てくるわけであります。法律的な理屈になりますから、この規定がありますから、どうしてもこの規定に照らして、今の過当競争によってどういう利益を保護するか、過当競争によって一時はとにかく、今の状況ならば抜け売りや何かで高く売ることができさるけれども、逆の場合はどうなるか、そういう両面を考えて統制をとったらいい、こういうことに法律の理屈づけをしなければいかぬわけです。これを一般的な問題で処理するのは今の段階ではむずかしい、こういうふうに考えます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 次にお尋ねしたいのですが、もし農協法の中でこの改正が行われないと、酪振法等においてもそういうことは困難であるとすれば、公正取引委員会の見解に対する調整ですね、統一見解というものはやはり明確にしておかなければいかぬのです。この問題で長年論争してきたのですが、そのけじめをつけるために結局は農協法の十九条二項の改正をやらなければならぬのじゃないかというところまでみなの考えがまとまっていったわけですが、それが、将来は別として現段階では改正の意図は政府にはないという場合においては公正取引委員会との見解の違いとか、そういう点は調整はまだできていないと思うのですが、どうなさるつもりですか。

渡部伍良農林事務官(農林経済局長)

○渡部(伍)政府委員 これは結局、めんどうでありますけれども、話し合いでそういう取りきめをする。そして協同組合も一私法人でありますから、それを一私法人のことにせず、行政庁の指導監督のもとに、不当にある一つの組合を制限するのじゃないというあかしを立てることによって公取との関係は処置ができるのではないかと思います。これは行政庁の方で必要に応じて相当はっきりした指導方針を出して指導して、その指導に従っていかれる限り公取からも文句を言われない。大体公取との話し合いも、牛乳だけの問題ではなく、ほかのことにつきましてもそういう扱い方をしようという話をしているのであります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 畜産局の方にもちょっとお尋ねしておきたいのですが、畜産局長がお見えになっておりませんようですから、松田さんでもけっこうですが、十九条二項の問題ですね。特に今後酪振法の改正を出される場合に、牛乳の共販事業に対する、そういう一つの組合に対する特別決議ですね、そういう規制を行うような改正を現在意図されておるかどうかという点です。たとえば畜産局の側から見た場合に、そういうことが可能であるかどうかという点と、それからもう一つは、いずれにしても十九条の二項の改正が行われないというような場合における公取との今までの見解の相違に対して、自信のある調整とか処理ができるかどうかという点、この二点についてお尋ねいたします。

松田壽郎農林事務官(畜産局酪農課長)

○松田説明員 公正取引委員会との間は、昨年の問題以来いろいろと折衝しておりまして、たとえばいわゆる芦野声明、その他について現在も話し合いがほぼついております。それは近日中に局長あるいは政務次官から御説明をいただけるように話し合いを進めております。  それから十九条の二項の問題でございますが、先ほど御指摘がありましたように、これは酪農の問題の場合に、特殊農協と総合農協とのあり方、組合員が大体重複いたしておりますので、これを酪振法の改正でどういうふうに処理するかという問題については、まだこれをはっきりした形で排除するのがいいというところまでわれわれは結論を得ておりません。従って目下のところではまだそこの問題点についてお答えできるほどのところまできておりませんので、なお研究をいたして、できるだけ早く結論を出したいと考えております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 委員長に申し上げますが、この十九条の二項の改正の問題については、本法案の審議上、採決までの間にぜひ農林大臣に出席してもらって、農林大臣としての責任ある見解を一応ただしたいと思うので、御手配を願います。  次にこの改正の内容についていささかお尋ねします。その第一点は監査規定の問題でありますが、今日まで農協全国中央会あるいは県中央会が——二十九年の法律改正以来、中央会というものができたのですが、組合の監査についてはどの程度に監査業務を行なっておるか、あるいはその実績とか成果というものはどの程度のものになっておるかという点を一通り御説明願いたい。

渡部伍良農林事務官(農林経済局長)

○渡部(伍)政府委員 お手元にお配りしている協同組合の監査事業の資料をごらん願いたいと思います。それの九ページです。  協同組合監査事業関係、一が農業協同組合監査士の監査、農業協同組合監査士は監査計画に従って農業協同組合の経営、業務の運営状況等、主として会計経理面に重点を置いて指導監査を行う、それから監事の行う自己監査の指導及び監査の監査能力の向上のための指導並びに行政庁検査の事後指導を実施する、こういう目的であります。これは協同組合法で行政庁が常例検査をやらなければいかぬ、こういうことになっておりますが、行政庁の検査も今までは指導監査、会計検査院あるいは刑事事件等によるそれぞれの機関の非違摘発の監査とは違って指導監査である、こういうふうなことをいっておるのであります。さらにこの協同組合内部、中央会の監査はより一そう指導的な監査でありまして、今申し上げますように、事前事後の指導、経営を向上するための指導を主とする監査である、こういうふうにお考えを願いたいと思います。  それからこれをどういうふうにするかというと、農業協同組合監査士選任資格及び選任者数として、第二に、農業協同組合監査士の選任資格は、農業協同組合監査士の選任資格を定める省令、これは昭和二十九年に出ておりますが、それによって、第一に資格試験の合格者、それから第二には無試験資格認定者、これは大体一定年間協同組合等の仕事をしておって、協同組合中央会で認定する、こういうふうな二つに分かれるのであります。その現在ある状況は、資格試験合格者が百六十五人、それから無試験資格認定者が三百五十二人で、合計五百十七人があるのであります。その中から現実に協同組合に雇われて監査士となっておるものは、選任者数二百八十五人、こういうことになります。この二百八十五人の全国中央会と府県との配置の状況は、次のページにある通りであります。全国中央会では監査士が三十二年度四人、それから地方では二百八十一人、こういうことになります。監査の状況はここにありますように、中央会ではほんのわずかしかやっておりません。三十年度で二十一組合、三十一年度で十五組合、三十三年度で二十組合、地方は三十年度で千三百三十八組合、三十一年度二千三十七、三十二年度で二千三百三十五組合、こういうふうになっております。三十三年度ではこの監査士に対する旅費の増額を行いまして、大体三十二年度の倍程度の監査を実施していきたい、こういうふうに考えております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 これは法の規定によっても全国中央会並びに地方中央会はこの会員である組合の監査を行うことができるのですが、たとえば全国段階の全敗連とか、全購連とか、こういう全国を区域とする連合会もやはり全国中央会の会員なんです。ですから、当然全国中央会は全国段階の会員である連合会の監査も行えるし、また行うべきであると思うわけです。それから地方中央会の場合においても地方における各連合会もやはりほとんど会員になっておると思うので、地方の中央会は会員であるその区域の地方の連合会の監査も、これは当然行うべきだと思うのですが、今まではとかく同一段階の会員である連合会の監査を行なっておるということを聞かないわけです。そういう点は実際やっておるかおらぬか、どうなっていますか。

渡部伍良農林事務官(農林経済局長)

○渡部(伍)政府委員 率直に申し上げまして、お恥かしい話でありますが、全国中央会のこの監査士の人数では中央団体の監査はできません。これは全国のやつは主として農林省がやっております。もう一つはやはり全国段階の連合会でありますれば、これはたとえば全購連にしましても七百億も八百億も取り扱いますから、自分が事業の運営について近代的な施設、方法を取り入れてやっていくべきであります。やはりわれわれは指導監査をもっと下の段階に重点を置いたらいいのじゃないか、こういうふうに考えております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 下にもいささかの問題はあるけれども、上にも大きな問題があるのです。その大きな問題を協同組合の機構の中において自主的な監査をやらぬというのは不都合なんです。局長は人員が足らぬからやれぬというだけなんですが、わざわざ昭和二十九年に法律の改正までやって中央会を設けたんですから、これを作ったときの動機とか使命というものを考えた場合に、当然これはやらなければならぬわけなんです。ですから全国の段階において、全中は全国の各連合会の経営内容に対して何ら監査をやらない、県の段階においても同じように行われていないんですね。同じ協同組合の組織でも、やはり一段上の立場に置かれたようなことになっておるでしょう。ですからそれがやれないということではいけないと思いますね。やれるようにしたらどうですか。法律からいえばやれるんでしょう。ただ現実はやっておらぬだけであって、これはもう少しすなおにやれるように持っていったらどうですか。

渡部伍良農林事務官(農林経済局長)

○渡部(伍)政府委員 これは政府の指導力が弱いということになるかと思いますけれども、そもそも協同組合は自主的な団体でありまして、御指摘のように中央会の設立によって今までの協同組合の運営の足りないところを強化していこう、こういう目的でできておるのでありますが、現実の姿は皆さん御承知のように、中央会に対する経費の負担なり、あるいは中央会の職員の構成に対する各メンバーの協力、こういうものは、非常に残念でありますが、私どもが声をからして指導したのでは及ばないのです。ですから、相当極端な言でありますが、むしろ観念がさか立ちしておって、中央会を強化することによって傘下の組合が助かるのを、いかにも中央会が、自分たちのやっていることによけいなおせっかいをする、こう言う人もあるのであります。そういう観念を協同組合のメンバーが変えることを待つ以外にないのであります。私どもは声をからして叫びますが、まだその段階にいっていないのが現状であります。御指摘の通り、自主的団体であれば自主的にそういう処置をするのが当然であると私は考えます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 そういう欠陥を指摘して農林省として是正さすべきだと思いますね。全国中央会が全国規模の会員の監査はできないにしても、農林省だけの陣容だってなかなかやれないでしょう。中央会の発言権が弱いということは会員である他の連合会が、おれたちが中央会を養っておるんだという観念が非常に強いんですよ。そういうことに屈して、中央会自身も養ってもらっておるんだから、同じ養い親の監査をやるなんということはまことにおこがましいじゃないかというような卑屈な考えで、やる気がないんですね。しかし会員の資格としては、連合会であっても普通の単協であっても、会員の資格としては変りないんです。もしも同一区域の会員である連合会が、正会員の資格を持たないということであれば別なんですが、これは正会員なんですから、当然組合員の監査をやるということは当然の役目だと思うんですね。もし人員が足らなくてやれぬとすれば、会員から負担の徴収を増すとか、あるいは会員である経済力の強い連合会等からまた特別の格づけをした負担金を徴収するとか、そういうことで監査陣容を強化してやれば、全体が経営内容がよくなり、信頼にこたえ得るような農協とか連合会にだんだん向上することができると思うんです。組合の組織自体でやれるのだから、やれと言ったってなかなかふん切りがつかぬと思うんです。ですから、こういう法の審議の機会に、やはり会員に対してはすべて監査をやらなければならぬ。自主的にやるということは、組織全体の中において行うという広い解釈でこれは進めてもいいと思うんですね、農林省は、連合会の監査をやるという考えとは全く違うのですから、そういう点を明確にする必要があると思うのですが、いかがですか。

渡部伍良農林事務官(農林経済局長)

○渡部(伍)政府委員 お説の通りであります。しかし現状は、先ほど御説明いたしましたように、御指摘の通りに、われわれが中央会を養っておる、ぐずぐず言うな、そういうことで、ずいぶんあくたれをついておりますが、組合の運営者がその気になっていただかなければ、戦争前のいろいろな法制とは違って、私の方で役員の解任を命ずるとか、あるいは予算の更改を命ずるとかいう権限はありませんから、やはり自主的な団体としての自主性は尊重せねばならない建前になっておりますので、これはあらゆる機会をとらえて、協同組合全体の向上になるような点を指摘して、一つ一つ直していく以外にはないと考えております。

中村寅太自由民主党

○中村委員長 伊瀬幸太郎君。

伊瀬幸太郎日本社会党

○伊瀬委員 局長にお尋ねしますが、今の芳賀委員の御質問ですが、監査が三十二年に二千三百三十五ということになっておりましたが、組合数は、現在どれくらいあるのですか。

渡部伍良農林事務官(農林経済局長)

○渡部(伍)政府委員 総合農協で約一万二千、それから特殊農協が三万余り、この中で非出資の組合が相当ありまして、一万四千が非出資組合であります。

伊瀬幸太郎日本社会党

○伊瀬委員 今お答えになりました監査士ですね、試験をして監査士の資格を与えられて、府県連合会並びに単位農協に就職しておるということで、その人の身分というのはやはり農協の職員で、旅費だけ農林省で出しておるのですか。

渡部伍良農林事務官(農林経済局長)

○渡部(伍)政府委員 監査士は全国及び地方の中央会に置いており、これは中央会の職員でありまして、監査を促進するために、旅費の全部ではありません、一部を補助する。今まで少かったから来年度からそれを増額して約二千万円計上しております。

伊瀬幸太郎日本社会党

○伊瀬委員 旅費だけであって、俸給は全部中央会の経費からまかなわれておる。こういう現状です。そうするとそういう連合会の経費というものは府県の連合会並びに府県の単位農協から賦課徴収して、こういうような連合会、中央会にあって、連合会の監査あるいは単協におけるところの監査というものが完全に行われるかどうか、こういうことになると私は非常に疑問を持つわけなんですが、今この監査士制度というものが確立されまして、いかに監査に有能な知識経験を持ちましても、かんじんの俸給が単位農協並びに連合会から賦課され徴収されている限りにおいては、完全な監査ができない、並びに監査を主張できないと思うのですが、そういう点のお考えはどうですか。

渡部伍良農林事務官(農林経済局長)

○渡部(伍)政府委員 これは大ざっぱに言って監査に二つの内容があると思うのです。それは悪いことをしているのを摘発する面と、それから簿記の技術とかあるいは事業の運営が知識不足でうまくないので、それを直していく、こういう二つの面があると思います。この自治監査では会計検査院が間違っているところを掘り出す、あるいは行政庁の検査も多分にそういうことが前面に出ておりますが、自治監査ではそういうことよりも、組合の帳簿のつけ方とかあるいは事業の運営、そういうところを、これは各県にいい組合はたくさんあるわけですから、その例に照らして、こうやったらいいじゃないか、ああやったらいいじゃないかということを、実際の組合について帳簿その他を一々見て指導していく、そういうところに重点を置いてやるべきだ。そうしますと、これは必ずしも利害が対立するというわけではなく、中には悪いことをしておって、それがたまたま自治監査で見つけるものもあると思いますけれども、そういう趣旨でありますから、これはやりようによれば非常に効果があることである。自治監査士があまり程度がひどいものは行政庁の方に、これはおれの手におえないから、あなたの方でもう一ぺん検査してくれ、こういう下検査の役も果しますし、行政庁が監査に行きまして、これとこれとこれは君の方で事後処理をよく見ておってくれ、そういう役目を果すことができるわけであります。そういう効果があると期待しておるわけであります。

伊瀬幸太郎日本社会党

○伊瀬委員 いい組合を指導するということではなしに、不振組合を指導するというのが私は建前であると思う。従っていい組合なんかは監査員をやって指導する必要はない。だから何といっても不振組合で、しかも赤字で支払い停止をしているというような組合に対して、そういう一歩手前になるときにうまく指導監査をやっていくというのでなければ僕はいけないと思うのですが、そういう建前から、われわれも県連合会におった当時は単協の監事の講習会をやった。ところが監事の講習会をやるということ、単協の組合長並びに連合会長はそれを喜ばない。むしろそれを悪用して、そうして組合長の不正を暴露する研究をやっているのだ、こういうようなことで、その監査指導講習会の経費の負担すらサボタージュをやる、こういうような現状です。従ってどれくらい監査士の有能な人をその不振組合に差し向けましてもうまく指導することができない、指導をはね返されるというような現状です。私の方の組合では、極端な例ですが、千二、三百万円しかない預金のうちで八百万円余りを二十一、二の若い女事務員に使われて、そうして組合長はそれを知らぬでひげをはやしていすにすわっているというようなことで組合をつぶした、こういう例があるのですよ。そういうことは中央会でわかっているのです。しかし監査に行っても監査さしてもらえずにはね返されてくる。もう何にもやらずに帰ってくる。従って今の中央会はそういうことの指導までできる力がないと私は思うのです。その原因は、やっぱり賦課金で養ってもらっている中央会の職員何言ってるんだ、こういうことにあると思うのですが、この中央会の監査士というようなものの身分を安定さすような方法が何かなかったならば、私は幾ら何といっても監査のよりよい成果が上ってこないと思うのでございます。その点のお考えはどうですか。

渡部伍良農林事務官(農林経済局長)

○渡部(伍)政府委員 御指摘の通り優良組合はもうひとり立ちができるわけでありますから、必ずしも監査する必要はないかもしれません。しかしたまにはその中に悪いことをする場合がありますから、いい組合はある程度行政庁のを行政監査の方にまかしておいた方がいいのじゃないかと思います。御指摘のように不振組合のもとはやはり職員の能力が不足であるとか、あるいは組合員の監視が届かないとか、そういうことでありますから、優良組合の例をもとにしまして、そしてそれを模範としてこうやったらいいじゃないか、ああやったらいいじゃないかということを、帳簿検査をしながら、あるいは倉庫の検査をしながら指導していく、こういうことであります。それが今のように理事者の足をすくうのだというふうにとられることは、これは協同組合の自己否定でありますから、そういう点は、組織の農家の考え方、組合当事者の考え方は監査だけを通じて直すことはできないのでありまして、やはり中央会の本来の事業活動の指導あるいは行政庁の指導というものと相待っていかなければならぬのでありますから、いわばこの監査はそういう指導をする前提資料を提供する役目を果すことが非常に大きい部面を占めるのじゃないかと思います。  さらに監査士の身分を安定したらいいじゃないか、こういうお話でありますが、私どももそう考えます。しかしこれは内輪のことで協同組合組織の一連の間でありまして、外から行ってやるのじゃありませんから、身分の安定を必ずしも法律に置く必要はないのじゃないか、これはやはり協同組合の一つの指導方針としてやるべき問題である、こういうふうに考えます。

伊瀬幸太郎日本社会党

○伊瀬委員 この不振組合の対策につきましては、政府は熱心におやりのようですが、私の方の県におきましても、不振組合が再建できるよりもますます不振組合が多くなるような状況にあるのじゃないか、それから特にその不振の原因が、個々の組合員の零細な三万、五万の貸付というようなことに対しては、総会の議決で考えた通りきっちりやられるが、そういうものの損失は案外ない。私の方なんかは、やはり組合員で農業を営み、かたわらいろいろな、たとえば材木屋をやるとか、売薬をやるとか、くつ下製造をやっているとかいうような方に莫大な資金が流れていき、これが赤字の大きな原因になっておる。現にそういうようなのでしばしば組合に注意をされている。ところが、注意をされてもなかなか単位組合長が受け付けないというようなことが組合閉鎖の原因になっている事例もありますが、こういうようなものに対してあなたの方の指導監督はどういうふうになされているかお聞きしたい。

渡部伍良農林事務官(農林経済局長)

○渡部(伍)政府委員 御指摘のような場合が組合の欠損を生じさした、あるいは農村工業をやって相場が暴落して損をした、それと今言うように、ある特定の人に限度外の貸付をして焦げついた、これが一番大きな原因であります。そういうことをするから組合に対して不審の気持を持つ。でありますから、一方ではそういうことがあるかどうかということを行政監査すると同時に、今度はそういう違反をしている場合には早急に改めるよう指導する、こういうことをやってきているわけであります。しかし、御指摘のようにそれは法律上のことで、実際には県と組合、組合のメンバーと組合長、あるいは組合の理事者間の勢力関係でいろいろな問題が発生しておるのであります。これは私どもも非常に頭を悩ましておる点でありまして、現在は説得で、最後には私の方で知事を動かして、知事にやってもらう、こういうことをやっておりますが、これもなかなかうまくいかない。しかし根本はやはり協同組合は私的団体であるから、農家がそういうことに対して関心を持って、それぞれ総会なら総会を招集する権力があるのですから、組織の維持、組織の本質をよく理解して、絶対のレベルを上げていかなければならない。ですから中央会を強化し、行政庁はきらわれてもやかましく言っていく、それからいろいろな事実を農家に知らせ、両々相待ってレベルを上げていく、これ以外にないではない。強権的に役員を全部やめさすとかそういう荒療治はできないので、全体の関心を高めていくという以外ないわけであります。

伊瀬幸太郎日本社会党

○伊瀬委員 荒療治とか法的措置だけではなしに——法的措置をしても肝心の組合員の預金が凍結されてしまったら仕方がないのです。それまでに大体わかっているのです、中央会あたりでは。大体の状況は私ども月々のあれでよくわかるが、さて監査に行くとそれがやれないで帰ってくる。組合長が今日は留守だから監査は次に回してくれというようなことで一年、二年たって、そのうちにずるずるずるずる泥沼に入っていくというような実情です。だからほんと言うて、農村工業なんかで赤字になった場合はやむを得ないですが、農業に全く関係のないところに莫大な資金が流れてそれが赤字になっている。そしてそれが組合員の預貯金に迷惑を及ぼす。こういうようなことはわれわれが見ておってはっきりわかっているのです。それをあえてとめるわけにいかない。これは農業協同組合の自治的な行動にまかせておけないと思うのだが、それでも法の建前でそれを何とも改正せずにそのままほうっておく。あるいはそういうことなら県の行政監査というものは必要ないと思う。県だってそうです。やはり県の指導だってなかなかうまくいかない、現状は。だからどうしたって監査の独立ということで身分の安定を考えなければ、ほんとうに権威ある、責任のある監査指導はできないと思う。幾ら法律を変えてみたって、肝心のそういうものがちょっぴり旅費を支給されたくらいでは、ほんとうの活動はできないと思うのですが、どうですか。

渡部伍良農林事務官(農林経済局長)

○渡部(伍)政府委員 それでありますから、私の方では団体の自治監査、指導的監査に期待して、それ以上の非常に大きい効果を期待することはできないと思います。それは幾ら身分保障しましても、同じ陣容の中でありますから無理だと思います。そこで行政庁は常例検査をやるわけでありますから、行政庁がそれを取り上げて少しきつく是正すべきであると思います。端的に申しまして、その行政庁に、自治監査でこういうものがあったけれども手に負えないから県でやってくれ、こういう連絡をもらって行って、県だと中央会の監査とは独立しているのですから、それでもできなければ農林省に監査を頼んで、どうしてもやってくれ、こういう段階を忠実にというかまめに踏めばできるわけです。しかしそれが途中の段階で、今の中央会なら中央会なりの責任者が、監査士の報告を聞いてもそれを取り上げて強硬にやらないとか、監査士が自分の手に負えないのを県に報告することをやらないとか、あるいは県の検査官が十分その職責を尽さないでうやむやにする、そういうところに今までいろいろな問題が絶えない原因があるのではないかと思います。今後自治監査制度を法律で直していただくと同時に、相互の関係をはっきりして責任を分け合い協同組合をよくしていく、こういうふうに考えております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 今伊瀬委員から具体的な御質問がありましたが、先ほど申した通り、会員である連合会に対しては当然監査をすべきだ、むしろこれは経済局長通達くらい出してぴしっとあれしたらどうですか。

渡部伍良農林事務官(農林経済局長)

○渡部(伍)政府委員 これは今すぐというわけにはいかぬと思います。監査士をもう少し増さなければ、通達を出しても能力がありませんから。しかし当然そういう方向に行くべきではないかと私は考えます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 それに伴って、監査士の増員とそれに必要な経費等について、どうしてもそうしなければならぬという場合においては、今後予算を増額してその面に支給するとか、あるいは中央会の事業計画の中にそういうことを明らかにして、必要な費用を会員に賦課することは当然できると思う。今の機会に行えばまだ今年度の計画策定等に関しても間に合うと思うので、この際渡部経済局長の在職中に、会員に対してはすべて中央会は監査をしなければいかぬと思うのです。この改正の規定によっても、今度中央会が計画を立てて会員にあらかじめ予告して、そうして会員からまた態勢が整ったからぜひやってもらいたいというような、そういう計画の線に沿った対象組合に対しては監査をしなければならないという具体的な規定が明確になりますから、その機会に、全国中央会は、会員である全国段階の連合会に対しあるいは地方中央会と区域を同じくする会員である連合会に対しては、当然これは会員であるからして、監査計画を立ててこれらの会員である連合会に通知をして、そうしてぜひ監査をして下さいというような態勢がこの機会にできるようにしたらいいと思うのですがいかがですか。

渡部伍良農林事務官(農林経済局長)

○渡部(伍)政府委員 監査の完璧を期するのにはやはり監査士の増員が必要になるわけです。監査士の増員には相当の経費が要るわけであります。この法律に基きまして自治監査をやる場合には、やはり先ほど来申し上げますように、自発的に受検態勢すなわち帳簿その他の整備ができ、そのこと自体が経営の合理化なり刷新に役立つわけでありますから、非違を指摘するということをねらっておらないから、こういう規定で、みずから進んでよくしていこうというのを半面に出しているわけです。従ってそこから、非違を指摘するのはある程度行政庁の監査にまかしておけばいいのです。これは相当の人数を置いておりますから。その前提として、先ほど申し上げましたように、手に負えないところを行政庁に助けをもらって、行政庁の再検査を願わなければならぬというわけであります。ところでこの監査士を増員するということになれば経費が要る。経費は会員の負担ということになるのであります。会員の負担、これは中央会で予算が約一億ぐらいになっておると思いますが、この現在の予算すら負担について非常な問題が出ておるわけです。これは私は非常に奇異に感じておるのであります。自分たちの組織を強化するのにその負担金を渋るということは解せないのでありますけれども、現実はそれが事実のようでありますから、そういう観念をもとから直していかなければ、経済局長通牒でやるといいましてもすぐはできない。組織の強化について実際の事業面、それからこういう監査の面、全体を通じて強化していく、そういうふうに考えております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 自主的な監査というのは、問題が起きて非違を明らかにするためにやるというのではなくて、その組合の経営が正常に行われておるかどうかということで、やはり内容を明確に確認したり、どういうところに今後の問題があるかということをそれによって指摘して、さらに改善してもらうということにあると思う。ですから会員である連合会に対しても、そういう意味における中央会の監査は計画に沿ってやってしかるべきだと思います。一例をあげると、昨年北海道の連合会の中においても、北信連と共済連とに問題が起きたのです。正常な監査が常に自主的に行われておれば、ああいう問題は早期に発見もできたし、未然に防ぐことができたと思う。しかし、全国的にそうだと思いますが、都道府県連合会にしても幹事のメンバーは、おそらく単協の組合長諸君が幹事になっておるわけです。ですから専門的な角度から内容を十分監査するということは、これは能力的にも限界があってなかなかやれない。ただ幹事としての責任感だけが横溢しても、能力に限界がある場合には、いかに熱心にやってもできないと思うのです。ですからそういう欠陥を補うために、中央会の事業として監査事業は主体的な役割を果すわけですから、むしろ連合会の方から望んででも中央会にぜひやってもらいたいというような挙に出べきなのですが、あえてそういうことを好まないのですね。おれたちが養っておる中央会に何も監査してもらう必要はない、こういう弊風を一掃する必要がある。それで北海道の話になりますが、北海道の各連合会等の間にも、いわゆる中央会に監査をしてもらうようにしたらよいじゃないか、そういう態勢を各連合会の中に整えたらどうかというようなことを、たまたま北海道の中央会が発案したわけです。それが先ほど言ったような事情のもとに、なかなかうまくいかない。関係の連合会だけにまかしておいてはなかなからちがあかない。ですから農林省として指導的な立場で、この改正を機会にして、中央会は会員である連合会に対しては計画的な監査の実施、その領域において監査を行うようにせよというような指導をぜひやられたらよいと思うのですね。どうですか。

渡部伍良農林事務官(農林経済局長)

○渡部(伍)政府委員 御説明全く同感なのであります。指導監査、自治監査の点については、たとえば日本の先端を行く大造船会社とか製鉄会社あるいは大銀行、大保険会社、これすら加藤セイジ氏の経営研究所に頼んで、事務の運営方法をあるいは上野能率研究所に頼んで診断を願って自発的に不合理な点を是正してやっていっておるのであります。これはなぜかというと、昔のような単位の小さいのではなしに、戦争前の貨幣価値からいうと、数字が何百倍、何千倍になっておる、それから扱い量もふえておるわけでありますから、従来の事務管理の方式ではできなくなっておるわけであります。従って、これをどうするかということは、特殊の専門技術で膨大なものを処理する機構を考えていかなければならないのであります。むしろそういうところが率先して研究しておるわけであります。ところが規模の小さいところになりますと、それだけ大がかりにやらなくてもできるのでありますが、しかし全体の経済はもう大きくふくらんでおるわけでありますから、やはり外の事業者がそういうことをやっておるならば、それに従うような事務執行体制なりあるいは管理体制を作るべきである。これは全敗、共済連等はそういう忠告を受けて、今それらの助力を頼んでおるようでありますが、それと同時に、やはりどうしても自分の不備を自分で直すということはなかなかむずかしいのでありますから、そうかといって、ひどくえぐられると痛いのでありますから、自主的な監査、指導的な監査によって順次直していくということは、これはどうしてもやらなければならぬことじゃないかと思っております。従ってお説のように、私どもはこの法律の改正を機会に相当強力にそういった面の指導をしていきたいと考えております。

小川豊明日本社会党

○小川(豊)委員 関連して。今聞いておると、お説ごもっともだということで、みんなあなたの方で賛成されているんですが、この問題の焦点は監査の権威の問題だと思うのです。先ほど言われたように、自分の病状を自分で診断して自分で直していくなどということは、よほど軽微の場合でないとでき得ないことで、監査はしょっちゅう行われているけれども、その効果は上っていない、これは監査の権威の問題になってくるだろうと思うのです。問題は、人をふやすことも待遇をよくすることも必要かもしらぬけれども、その前にやはり制度の上でもって監査の権威をもっと持たせるようにしなければならないと思うのです。かつて産業組合時代には監査連合会というものがあって、あの当時監査を受け、それが公表されるときには、組合長以下理事まで全員が出席してそれを傾聴し、それに対する回答書を出していたものです。ところが今の場合、芳賀さんが言われたように、負担金制度でやっていると、監査はしたけれども、帰りには負担金をもらってこなければならない、負担金を出されるとペしゃんこになってしまう。そういう形で監査をやっていたのでは、監査の効果は上ってこない。従って、この監査制度というものが自治監査でいくのはいいと思うが、それに対する権威をもっと持たせるためには、制度上何かもっと考えなければいかぬ。あなたのようにごもっともだと言っても、今の形の中ではその効果は上ってこないじゃないか。われわれ見ていると、よく組合が、三年くらい前から、あそこはまずいじゃないか、こういう問題があるじゃないかと言われていながら、それに対して監査が行われると、もう破局へ入っていくという結果になっている。その監査された結果というものは一つも守られていない、実施されていないということになる。これを順守しなければいけないような制度上の問題を作っていかなかったならば、組合というものはなかなかうまくいかない。今中央会ができて、中央会の任務の中で監査というのは一つの大きな部門だと思うが、今中央会の果している役割は、ちょうど農協意識の高揚といいますか、そうした一つのスポークスマン的な役割だけを果しているのが多いのであって、中央会設立の本来の使命になってくるそういう点に触れていない。この点を中央会の任務としてもっと強く打ち出すことによって監査の効果は上るだろうと思う。従ってこういう改正の場合に、もっとその点を考えた制度上の改正が行われるべきじゃないか、こう思うわけだが、御見解はいかがですか。

渡部伍良農林事務官(農林経済局長)

○渡部(伍)政府委員 監査の権威と申しますが、これには二つの方法があると思うのです。一つは受ける側の受検の心がまえ。それが御指摘のように、中央会はわれわれが養っているのだからそんなものはだめだ、こういうのであれば、これは幾らやっても効果はないわけであります。それから一つは検査の結果の強制力。これは私の方では、自治監査では強制力を持たすことはむずかしいと考えております。従って先ほど来申し上げますように、あくまでも組合の事業がうまくいくように、弱い組合を優先的に導いていくことに自治監査の主眼を置きたいと思います。そしてこの自治監査あるいは中央会だけの力で及ばなければ行政庁に協力を頼んで、行政庁だと多少の強制力も出ますから、そこで両々相待ってやっていかなければならない、こう考えます。  それから産業組合では自治監査制度のときには、あれはたしか昭和十二、三年だったと思いますが、全国加入を達成して、そうしてこれから締めていかなければいかぬということで、協同組合員たる農家に協同組合精神が相当横溢しておったものでありまして、自治監査制を自主的にこういうふうにやらなければいかぬということが出てきております。これは権威をみずから作っておったのであります。しかし終戦後のいろいろな変転の過程においては先ほど来お話がありますように、本末転倒しているような観念が横溢しておるのでありますから、それを一挙にして直すことはできないのでありまして、徐々に直していく。それは一つだけの方法ではなくて、あらゆる角度から直していかなければ直らないのではないかというふうに考えます。

小川豊明日本社会党

○小川(豊)委員 そうすると、自治監査が悪いのではないのです。非常にいいのですけれども、監査の結果というものが一つも発揮されないで農協がみんな不振な状態に陥っていくということは、農協全体から見るとそういうのが出てくるために、農協に対する農民の意識がむしろ低下していく、それも重大な点が低下していくのだから、そういう点から見ていくと、相当困難でも監査の効果をあらしめなければならない。そうすると自治監査でいった場合、中央会が監査した場合に、それ以上の強制的な指導なり手を入れることができないということなら、その結果が農林省に報告されて、農林省が今度は一つの力を持ってそこまで行ってやるということも一つの考え方だが、中央会が監査してこのままではいけないという場合には農林省に報告されて、農林省が出て行くというふうに制度が今作られていますか。

渡部伍良農林事務官(農林経済局長)

○渡部(伍)政府委員 そのお考えは、私どもが自治監査をやっておるこの法律を改正する前提であります。これはあくまでも自主的にやるのであって、その中で相当詳細な報告をいただきまして、また注意もいただいて、そうしてこの分はこれでよろしい、この分はさらに行政庁が行って再検査を行わせる。それを今度は県の検査で足りない場合は農林省に報告してもらって——単位組合の場合は農林省がそこに出向いてさらに念を入れた検査をする。そうして検査のみならず、必要なら指導もする、こういう考え方でおるのであります。

小川豊明日本社会党

○小川(豊)委員 今の自治監査の制度では、さっき芳賀さんが繰り返して言っておるように、負担金によって中央会が維持されている。従って養われているということになるのですが、そこでそういうことがなかなかできないとするなら、かりに単協等に対して中央会が行って監査をし、指導しても、その指導が守られないからいろいろな結果が出てきているわけです。守られていれば差しつかえない。それが守られていないならばそれを守らせるには、今の制度の中では農林省自身が行ってやるよりほかない。ところが今の制度の中では農林省自身そういう報告を受けて出向く制度になっていますか、なっていないと思う。そこで出向き得るような制度に直さなかったならば、これは自治監査制度ではどうにもならぬ、監査の効果が上ってこない結果になるのではないかと思うので私は聞いている。あなたの方では中央会の報告等に対して出向くような制度になっているのかいないのか。

渡部伍良農林事務官(農林経済局長)

○渡部(伍)政府委員 農林省は当然協同組合について検査をする権限を持っておりますから、この協同組合法の監督の規定でそれを発動するのに、今は農林省は人員、経費の都合から、連合会以上のものを主にして検査しておりますが、単位組合を全然やらないというわけではないのであります。しかし人員、経費の関係から連合会以上をやっておるわけであります。ただいまお話がありましたように、単位組合について自治監査をやり、県の手に負えない、だから農林省から出てきて検査をやってくれということがありますれば、これは当然農林省が出ていって検査することができるのであります。そうやろうと思っています。

小川豊明日本社会党

○小川(豊)委員 これは県にも農協に所属する部分もあるわけです。従って中央会等が監査をし、そしてそれに対する回答を求めて、それでもなおかつ破局に入っていくと思われるような場合には、県自身が出ていってもよい。県自身の手に負えない場合には農林省が出ていってもいい。そういう制度がないならば、行きたくたって行けないわけなんです。今お聞きするとそういう制度になっておるが、人員、経費の関係でいけないというならば、一つの単協といえども、破局に入っていく場合には、一千万なり一千五百万の赤字を出して、それがみんな農民の負担になっていくのだから、そういうことを考えるならば、経費をもっと盛り、人員をふやして、そういうことのできるような方向に改めていただけば、中央会が監査を受けたことを守らなければ、県庁なり農林省なりに報告されて、今度は強制的にその改善を命ぜられるということになる。こういうことになると中央会の監査に対しても権威が持てるようになるだろうと思う。だからそういうふうな形をもっと強化していくべきじゃないか、こう思うんですが御意見いかがですか。

渡部伍良農林事務官(農林経済局長)

○渡部(伍)政府委員 私どももそうやりたいと思っております。従ってことしの検査の費用等は前年よりもふやしておるのであります。当然自治監査に基いてそのあと始末といいますか、われわれの手に負えないからきてくれというやつを早急に活動ができるように計画に織り込んでいきたい、こう考えております。

小川豊明日本社会党

○小川(豊)委員 いま一点は、そうすると中央会が監査したものは、自治監査であろうと何であろうと、監査に出向いた場合の報告は、一切県に一応出させる。それから県自身が見てそれを農林省にも報告するようにして、農林省なり県なりが出向いていくようにすれば、中央会の監査も非常に効果があるんです。中央会の監査に対して、言うことを聞かなかったらこういうことになるという点を、もっと明確にやるお考えなのか、そうでないのか、その点をお伺いしたいと思います。

渡部伍良農林事務官(農林経済局長)

○渡部(伍)政府委員 そういうふうにやりたいと思っております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 監査の問題については同僚の小川議員が言われたことで大体尽きておると思うんです。局長もこれに全く賛成であるというような意見を述べられておるので、この法の改正を機会にして、中央会の行う監査事業等に対しては、従来欠点とされた点を十分改善して、迅速に成果をあげるようにぜひやってもらいたいと思います。今の農協法からいっても、都道府県の中央会に加入している単協はその地方中央会が全国中央会に入ったことにより、全中には強制加入させられているというような事態にもなっていますから、もちろん会員であるところの単協に対する指導的な監査も大事でありますが、そのもう一段上の段階の連合会の健全な運営ということに対しては、やはり中央会も責任をもってやって、そうして自治監査の成果が十分上るようにやっていただきたい。もし各連合会の首脳部の諸君が、局長が心配されておるような見解を中央会に持って、監査事業に協力しないというような現象があるとすれば、この機会に述べていただけば、当委員会に参考人等として出席してもらって、この法案審議と関連して、なぜそういうふうな態度を持っておるかということを確かめてみてもいいと思う。もし事実がありとすれば率直に述べていただきたい。

渡部伍良農林事務官(農林経済局長)

○渡部(伍)政府委員 中央会の規定が法律改正で入りましてから数年たっているのでありますが、中央会の仕事の一つとして非常に重要な部面が監査であるにもかかわらず、現在までの実績は先ほど御説明申した通りであります。そのことは監査事業に対する中央会の考え方を表わしていると御了解を願いたいと思います。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 農林大臣が御出席になりましたので、この法律改正の中で農業共済事業に関する点の質疑が残っておりますが、これはあと回しにいたしまして、農林大臣にお尋ねしますが、本日農協法の一部改正法律案が本委員会に提案になったわけであります。そこでお尋ねしたい点は、この農協法の改正に当ってはわれわれとしては相当の期待を持っておった。ところが政府が提案された内容を見ますと、単に監査規程の強化と農協共済事業に関する規程の強化という点だけに限られておりまして、たとえば数年以前から問題となっておりました農協法の第十九条二項の取扱い等の問題に対しては全然触れていないわけです。先ほど本名政務次官からも所見を聞いたのでありますが、この次の機会に根本改正をやりたいと受け取れるような答弁もあったわけですが、これは非常に大事な点でありますから、農林大臣みずから農協法の改正に対する政府の基本的な方針を明らかにしていただきたいと思います。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 農協法の改正案を出すに当りましても、実は今お話しの農協法第十九条第二項の専用契約を任意としないで強制にしたがいいのではないかというお話、実は研究を相当いたしたのでありますが、これにつきましては可否両論がありまして、結論を早急に出すという事態には至っていなかったのであります。そういう次第でありましたので、このたびの農業協同組合法の一部改正に当りましては、農業協同組合の行う共済に対しまして積み立てをしなければならないということと、協同組合等におきましての経理の問題を中心として、あるいは不振に陥ったり、あるいは汚職的な問題など、も起りますので、自治監査の程度を強くしていこう、こういう二点だけにしぼって、その他のいろいろな問題は、後日の研究あるいは結論を得てからにしようじゃないか、こういうようなことで実は非常に簡単な二点だけを提案する、こういうふうにいたしまして御審議を願っている、こういう状態であります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 その点わかるのです、それは本質的な改正ともいわれる特に牛乳の共販態勢等の問題については、たとえば公正取引委員会の見解というものは全く農林省の見解と対立しているようなときもあるわけなんです、問題はやはり農協法の十九条二項等の問題にも触れてくるわけなんですね。ですから政府部内においても見解が統一されないというようなことになれば、むしろ根源であるところの法の根拠というものを明確にすることによって、またおのずから解決もできるのではないかと思われるのです。それから先ほども述べたのでありますが、客観的な情勢の中においてやはり協同組合をさらに強化するという場合においては、組合員である農民個々の利益を追求するということももちろんでありますが、それと同時に全体の大衆的な農民の相互の利益を高めるということに対する連帯の責任も、やはり協同組合員である場合においては持ってもらう必要があると考えられるわけでありますが、そういうことを考えた場合においては、やはりこの十九条等の問題は相当真剣に取り組んで、政府としてもこれをどうするのだ、今の段階でこれができないとすれば、次の段階にはこの問題をどうしたいとか、そういう基本的な考えをこの法の審議に当って明らかにしていただけば、これはわれわれとしても非常に参考になると考えて特に大臣にお尋ねしておるわけです。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 基本的な問題でもありまするし、またその施設をどの程度のものにきめていくかというような技術的な問題も実はあったのであります。そういうような関係でありまするし、基本的なことでもありますから、これはさらに真剣に検討を続けていきたいと考えております。しかし今私の申し上げましたように、実はまだ結論が出ていませんので、今どうこうということは申し上げかねるのですが、これにつきましては今までも検討は続けて参りましたし、各方面の利害関係等も調査する必要があると思うのですけれども、ともかくさらに検討を続けていきたい、こういう段階であるということで御了承を願っておきたいと思います。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 その点は農林大臣の見解をそのまま受け取っておきますが、この機会にさらにもう一点お伺いしたいのは、農林漁業団体の職員共済年金法の問題です。これも提案の用意を進めておられるように考えておりますし、相当期待も持っているわけですが、今の段階において成案を得て今国会に付託し、これを成立させるという熱意と見通しについてはどうか、伺いたいと思います。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 これは熱意と誠意を私も非常に披瀝しまして、厚生省方面におきましてもいろいろ問題があったのですが、厚生省の方の問題は片づきました。大蔵省方面におきましても、たとえば補助が百分の十ということに昨日きまりました。非常におくれた理由は、社会保障制度審議会の諮問を経るということになっておりますので、その諮問の結果が全面的否定にでもなりますると、ちょっとやりずらいと思っておったのですが、これが昨日、国民年金という基本で通すべきであるけれども、農業団体の共済年金については厚生年金等とあまり食い違わないような形でやるならばいいじゃないかというような答申が出ました。内輪の話をしますと、本日次官会議で検討いたしまして、明日の閣議にかける予定でありますので、一つ提案になりましたら、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御協賛を願えればありがたく存じます。こういうような段階であります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 午前はこの程度にして、あとは午後にいたしたいと思います。

中村寅太自由民主党

○中村委員長 本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。      ————◇—————     午後二時五十三分開議

助川良平自由民主党

○助川委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  農業協同組合法の一部を改正する法律案を議題といたし審査を進めます。質疑を続行いたします。芳賀貢君。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 午前に引き続き質問いたします。共済事業に関する改正の規定ですが、この中に共済事業に対する行政庁の指導監督の規定があります。農林省は指導要項をもって監督規定を策定しておるわけですが、その内容のおもなる点に対して御説明願います。

渡部伍良農林事務官(農林経済局長)

○渡部(伍)政府委員  これは御承知のように昭和二十九年の農林次官通達で農協共済事業指導要項を出しまして、法律の改正に伴いまする農業協同組合及び農業協同組合連合会の共済規程の記載事項を定める省令、その内容を明確にしようとしておるのであります。要点は、この共済事業が組合員からの醵出金によりまして、共同の準備財産を造成する、これをもって一定の原因から生ずる組合員の財産上の需要を充足する、そして組合員相互の救済をし福利の増進をはかるというのでありますが、何せ金をあずかる事業でありますから、一銭一厘の遺漏があっても困るわけでありますから、共済事業のいろいろな事項につきまして明確な指導要項を示しておるのであります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 今回の改正によってまずその指導要項の内容も変ってくると思うのです。内容的にそういう点の関係はどうですか。

渡部伍良農林事務官(農林経済局長)

○渡部(伍)政府委員 今回の改正で指導要項を非常に変えるということはあまりないのであります。ただたとえば積立金の運用でありますとか、あるいはお手元にお配りいたしましたように積立金の種類、そういうものが指導要項ではあまりにもお粗末でありますので、そういう点を法律上明確にする点であります。しかしこの改正をもって十分というわけにはいかないのでありまして、御承知のように三十一年度の積金は百二十四億でございます。三十二年度では二百億をこします。この伸び方は非常に急速でありまして、先ほど申し上げますように金のことでありますから、この共済事業についてさらに保険業法に準ずるもっと明確な法律的な規定も置く必要がある、これを準備しております。どうしてもそこまで到達せねばならないのでありますが、それの準備の一つの中間段階として今回の改正をいたしたのであります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 共済事業の経理の区分とか財務の軍用等に対しては、これはいずれ政令か省令が出ると思うのですが、そういうものはすでに用意してあるのですか。

渡部伍良農林事務官(農林経済局長)

○渡部(伍)政府委員 さしあたりの内容といたしましては、先ほど申し上げますように、次官通達を整備するという程度で満足いたしまして、さらに法制的な準備は、これはやはり法律を出す必要があると思いまして、目下整備をいたしておりますが、今度の国会には間に合いません。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 そこで積立金の運用の問題ですが、今局長も言われた通り、逐年急速にこの事業が伸びておるということは事実でありまして、この資金の運用を、やはり組合員が共済事業に参加しておるのですから、それによって積み立てられた資金の運用等については、やはり特別の措置を講じて、単に積金に積み立てるとかどうかということだけではなくて、積立金の運用に対してはかくあらねばならぬというような、そういう一つの方向というものを明らかにしてもらいたい、

渡部伍良農林事務官(農林経済局長)

○渡部(伍)政府委員 これは事業の性質からいたしまして、まず第一に確実であるということ、次に有利でなければならない。この有利の内容に二種類あると思います。金銭的に有利な利回りで回すこと。それからまた農家の共済事業でありますから、農業生産に役立つように有利に使う。これは利回りからいえば必ずしも有利でなくても、農業再生産上非常に有効であるというものであればいいと思います。さしあたりの考えといたしましては、確実であり、利回りのいい、こういうものを現在は考えておりますが、これが今の調子で金額がふえてきますと、昭和三十一年度の百二十四億の積立金のうち百十七億が信連、中金でありまして、大体これが七分から八分に回っております。金額がふえればそう有利に回りませんから、どうしてもこれを第二の有利なもの、すなわち長期、低利で土地改良とか、その他の農業再生産に役立つものに出す方針を確立しなければならないということで、ただいまのところはその点がまだはっきりしておりませんが、内部におきましては政府及び共済組合当局者と、その第二の種類の有利な運用の仕方について協議を重ねておりますので、間に合えば省令の中に、間に合わなければ、その方法を確立して省令の中に織り込むようにしたいと考えております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 その場合、農村に対する還元というようなことは十分考えていただかぬといかぬと思う。中央集権的に府県信連と中金にだけ資金が集中されて、あと運用は不明確だということでは意図に沿わないと思うのです。ですから、どういう形態でまたそれが還流されていくか、そういう点に対しては、たとえば郵政事業、簡易保険の積立金がやはり地方に還元されているというような形もありまするし、そういうものを十分考慮に入れて農村に対する資金の還元ということに対しては特に重点を置く必要があるのじゃないかと思うのであります。今後五年もたてば相当巨額に達しますから、その資金に対しては一つの明らかな使命感を持たしてやるということになれば、その組合員が農協事業の中にこの共済もまた希望を持って参加することもできるし、共済事業の持続的な発展も可能ではないかと考えるわけです。

渡部伍良農林事務官(農林経済局長)

○渡部(伍)政府委員 お話の通りでありまして、先ほど説明が多少不十分であったのですが、信連、中金、銀行等に預けるのは限度がありますから、その方面からいってもお話のような向きに回さなければならない、こういうように考えます。その対象としては土地改良であるとか、農機具であるとか、明らかに農業の再生産に役立つもの、この貸し方といたしましては、この共済連から直接協同組合に貸す方法もあるし、あるいは公庫のファンドに入れて、公庫の中のそれぞれの農業再生産に必要な資金に回す方法もあります。それらの割合をどういうふうにすれば安全、確実、有利というバランスがとれるかということを考えなければならないのじゃないかと思います。しかしいずれにしましても金額がふえますと、安全確実に、ほかに預かってもらって有利にというわけにはだんだんいかなくなりますから、この制度そのものは建物及び生命の共済で一つの目的を達するのでありますから、金の運用については長期有利で農業生産に直接役立たせるような運用をしてもいいのだという観念をこの制度に関してはっきりさしていただく必要がある、こういうふうに考えております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 次に保険業法との関連ですが、こういうふうに共済事業がだんだん拡大していきますね。今度の改正の場合においても責任準備金とか、各種の積立金の規定も、やはり一方においては既存の保険業法の中で行われておる事業、あるいは同じ協同組合関係でも農協以外の組合の共済事業といろいろな関連があると思いますが、そういう他の事業との関連のもとにおいてこの積立金制度等はどういうふうなことになりますか。

渡部伍良農林事務官(農林経済局長)

○渡部(伍)政府委員 保険業法とこの農協に基く共済事業との関係は、御指摘の通り保険事業と非常に似ておる部分もあるわけです。しかし保険と共済とはあくまでも違うのだという建前でわれわれは進んでおります。従いまして先年この農協の行う共済事業に保険業法を適用するという説が出てきたのであります。それに対しましては、その保険事業と共済とは違うという趣旨で、それは取りやめになっております。しかし先ほど申し上げますように、どうしても多額の金を預かって、非常に多くの人に関係するのでありますから、一銭一厘の疎漏があってもならないわけでありますから、どうしても保険業法に類する多数の人の財産を保護する規定を置くことは必要である、こういうふうに考えております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 そういたしますと、現段階においては、たとえば市町村当局等の認識も保険業法にいうところの保険と組合の行う共済事業というものは全く別個のものである、そういう認識はだんだん新たになったわけですね。二十九年の改正当時は、むしろあの当時の共済事業の規定を農協法の改正の中に入れるという場合には、そういう大蔵当局等の保険あるいは保険業界の組合事業に対する認識の不足に対して、防衛的な措置としてああいう規定を改正の中へ入れたことは局区長も御承知のことだと思います。そうすると、現段階ではそういう認識の差というものは、これは解消されて、組合の事業の中で共済事業が発展することは望ましい、そういうことになったのですね。

渡部伍良農林事務官(農林経済局長)

○渡部(伍)政府委員 率直に申し上げまして、この共済事業が農業団体という特殊の団体で行われているということ、それから保険事業に類するものはあるけれども、全部が保険事業ではない。こういう点から大蔵省方面もこれを保険業法をそのまま適用することは無理であろうということはわかってきたようであります。先般の法律改正のときとは非常に情勢は変っておるように私どもは認識しております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 次にお尋ねしたい点は現在までの農協の共済事業の中に系統に基いた、たとえば単協が組合員からの共済の契約を行なって、連合会に再保険して、さらに全国連合会に再保険をするというような方針なんですが、それ以外にいわゆる民間の保険会社に契約しておるような向きもあるわけです。たとえば共栄火災等に対して再保険をしたというような事例も今日までは確かにあるわけです。ですから、全回の改正等によって、そういう混同されやすいような業務の実態というものは根本的に改善されるのかどうか。

渡部伍良農林事務官(農林経済局長)

○渡部(伍)政府委員 これはお手元に配付いたしておりますように、それぞれの対象によりまして共済金額の最高、最低限が付してあります。今問題になりますようなのは、団体建物火災共済の場合に相当あるのであります。すなわちこれでは、通常地域の普通物件については五万円から三百万円までという一契約当りの共済金額にきめられております。そうしますと五百万円の農協の事務所は、この協同組合法に基く共済事業では三百万円しかかけられないわけであります。あとの二百万円は、もし必要ならば保険会社に頼む、こういうことになるのであります。共済にかける分と、それから火災保険会社に御厄介になるのと、こうはっきり二つ区別しております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 現在三百万なら三百万という契約の限界があるのですが、これは法律の規定には別にないのですが、その限度というものは、この事業の発展に伴って漸次引き上げていく可能性があるかどうか。あまり圧縮しておくと、団体等の大きな建物は、共済の方にも契約しなければならぬし、あとの分は民間に契約しなければならぬという不自由なことにもなる。急速に限度の引き上げをやることも避けなければならぬかもしれませんが、見通しがはっきりついた場合においては、団体の建物等についてはこの共済事業の中で契約が行われて、そこで処理できるというところまでいってはどうかと思うのです。

渡部伍良農林事務官(農林経済局長)

○渡部(伍)政府委員 これは現に今の団体の建物も、二百万円だったのを三百万円に上げたのでありまして、事情の変化に応じて順次上げることも考えられますが、また一方、ある特定のものだけに大きい金額——これは数は多くないわけでありますが、危険分散を万全に負担し合うという点からいくと、やはりある一定の限度を持たなければならないのじゃないかと考えるのであります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 そこで、従来しばしば利用された、その民間保険業者に対する再保険的な行為、これは好ましくないと思うのですが、今回の改正等によって、そういう民間会社に対する再保険的な行為はどう処理するか。

渡部伍良農林事務官(農林経済局長)

○渡部(伍)政府委員 これは御説のように民間保険会社に再保険をかけるという格好では工合が悪いのでありまして、先ほど御説明いたしましたように、両立でいくということにしておりますが、なおこの点はこの法律改正を機会に明確に検討し、指導していきたいと思います。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 それでは契約の当初にもう区分するわけですね。共済事業でやるのは三百万、あとの二百万は最初から民間との契約というふうに区分する、そうなれば連合会においては再保険ということにはならぬわけですね。結局三百万は共済で契約する、二百万は民間保険会社ということになると、その事業を扱う協同組合、単協あるいは連合会は、民間会社に対してはどういうような役割をするのですか。

渡部伍良農林事務官(農林経済局長)

○渡部(伍)政府委員 民間保険会社の代理業務を行う、こういうことで指導しております。それは結局協同組合法第十条の第一項、第十二号の「前各号の事業に附帯する事業」というので、第八号の「共済に関する施設」、それの付帯事業ということであります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 過渡的にはそういう民間会社に対する代理店行為——端的に言えばこれは独占保険会社の利益のために下請的な仕事も一部はやるということになると思うのですね。しかしそういうことは農協事業本来の使命からいくと、相なるべくは避けてもらいたいと思うのですね。これは今直ちにというわけにはいかぬとしても、この点を十分けじめをつけていかぬと、やはり全国的に見ると、そういう代理行為あるいは再保険的な業務をやることによって、組合あるいは連合会等の正常な業務が行われないという事態も生まれてくるわけです。ですからこの点はもう少し明確に、組合の事業としての共済と、それから民間保険会社についての組合の代理業務というような点を区分しておく必要があると思うのですがいかがですか。

渡部伍良農林事務官(農林経済局長)

○渡部(伍)政府委員 これはこの事業が拡大いたしますれば、異論があるかもしれませんが、私はそういうものにたよらないで危険分散ができるのではないかと思うのです。一定の規模まで拡大するまでは、普通の民間保険会社が保険会社相互間で危険の分散をはかり合っておるわけでありますから、民間の一流会社ですらそうでありますから、やはり安全をとるのにはある程度の危険分散をはかる必要があると思います。しかしお話のように、団体独自でできるならばほかにたよらないでいいわけでありますから、そういう点はさらに検討を加えまして、今のような、毎年倍々とふえてきているわけでありますが、これがどの程度までいけば頭打ちになるのか、そういう点も見きわめた上ではっきりした措置をとったらいいのではないかというふうに考えております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 次にお伺いしたい点は、この責任準備金等の積立金に対する税法上の特例措置はどういうことになっておりますか。

渡部伍良農林事務官(農林経済局長)

○渡部(伍)政府委員 これは法人税法の施行規則の十四条によって、法律で積み立てを強制しているものについては税を免除するということになっておりますので、率直に申し上げまして、今度の積立制度を法定していただく改正を急ぐのもその関係からであります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 今のご説明によると、責任準備金が免税の対象になるということですか。

渡部伍良農林事務官(農林経済局長)

○渡部(伍)政府委員 責任準備金につきましては三十二年の一月九日の国税庁長官の通達で、農業協同組合法の規定による責任準備金は損金として取り扱う、こういうことになっておるわけであります。今度法律を改正してどうしてもやらなければいかぬのは、特別危険準備金に関するものであります。それで全部が、ほかの同種事業で法律で積み立てを強制されておる事業と、同じに扱うということになります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 それでは確認しておきますが、責任準備金と、それから特別危険準備金、この両種のものは、今度の改正によって非課税になる、これは間違いないのですね。

渡部伍良農林事務官(農林経済局長)

○渡部(伍)政府委員 そうです。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 その根拠は明らかなんですか、先ほどの説明で大体理解はできるのですが、明確な根拠というものを、もう一度お尋ねしておきたいと思います。特に損保の関係では異常危険準備金という制度があるのですが、これは今度の特別危険準備金と見合ったようなものだと思うのですが、税法上の問題は、後日、また大蔵当局等と解釈が違っておったということになると、問題が残ると思うので、この際明らかにしていただきたいと思います。

渡部伍良農林事務官(農林経済局長)

○渡部(伍)政府委員 これは、先ほど申し上げました国税庁長官の通達が出まして、われわれの方の法制に不備があるということを指摘されまして、それに基いて国税庁と打ち合せの上、この法律案を出しておりますから、あとで間違いがあることはないと思います。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 その点が確認されれば大体いいと思うわけです。  次にお尋ねしたい点は、このようにして共済事業がだんだん拡大されていくということになると、今日まで行なっているのは生命共済、火災共済と、長期のいわゆる家屋の更生共済、そういう種別になるのですが、家屋の更生共済ですね。これは他の保険業務にもあまり例が見られないと思うのですが、これは生命保険の関係からいうと、養老生命みたいなものに類似しておると思うので、われわれとしては好ましい事業だと思うのですが、こういう点に対しては、特に政府としてこれを助長していって、農家の建物等は一定の期間を過ぎると、当然更新しなければならぬわけですから、それに備えるためにも、これは非常に有効な事業だと思うのですが、これに対する政府の助長策等があれば、お尋ねしておきたい。

渡部伍良農林事務官(農林経済局長)

○渡部(伍)政府委員 助長策と申し上げるよりも、やはりこれの方が、今御指摘のように、一定年限がきたらひとりでに建物が再建できる、こういうところに魅力があるわけでございまして、それがゆえにどんどん伸びてきているわけでございます。おそらく今後もこの伸びは続くのじゃないかとわれわれは期待しておるわけであります。

助川良平自由民主党

○助川委員長代理 田口長治郎君。

田口長治郎自由民主党

○田口委員 私一点だけお尋ねしておきたいと思います。この特別危険準備金を損金に落すということにつきましては、多年農協関係で熱望しておった次第でありますが、今回の強制規定によりまして、それがはっきりできるということだけは確認できると思います。しかしこれを実行する上におきましては、農林省としては省令の制定だとか、あるいは大蔵省関係では、おそらく法人税法の施行規則をいじらなければならぬとか、そういうような関係もありますし、一面すでに三月に入って決算期が真近に迫っている。いろいろな手続をしておられる間に、ついに今年の決算期に対して間に合わないというような懸念があるのでございますが、二、三年来非常に熱望しておったことでもありますし、今年度の決算から直ちに適用できるような処置でなければならぬ、こういうふうに考えるのでございますが、法人税法の施行規則などの打ち合せは、農林省と大蔵省と十分に連絡をとっておられて、私が今希望するようなスピードにおいて処置ができるものであるかどうか、その点だけを特に念を押しておきたいと思います。

本名武自由民主党農林政務次官

○本名政府委員 先ほど経済局長からお答え申し上げましたように、実は端的に申して、この法律の、特に責任準備金の制定は、実はそこに大きな一つのねらいがありますので、早くから大蔵省と折衝いたしております。この責任準備金が免税の対象になるかならないかということは、今までいろいろ局長からお話がございましたし、それから通念的にも、この性質のものは、制度の本質からいいまして、前受け的な金であると同時に、これは対外負債と考えていいというようなことからいたしましても、これは当然免税の対象になり得るという考え方で、今日まで大蔵省といろいろ折衝いたしました。その結果、大蔵省はこれを了承いたしまして、しかも三十二年度においてその免税の対象になり得るような処置をとりたいという話し合いまでございまして、実は急いで御可決をお願いしているような次第でございます。御指摘のように、法人税の政令の改正等諸般の手続を要しますので、一日も早く可決いただきまして実行に移し、そして所期の目的、いわゆる本年度内においてこの実施をみたい、このように考えて大蔵省とも打ち合せ済みでありますから、どうぞよろしく……。

田口長治郎自由民主党

○田口委員 この点につきましては、参議院も衆議院も、特にこの法案の審議を急ぎました理由もそこにございますから、万遺憾ないような連絡をとって、国会で望んでおりますことが間違いなく実現するように要望いたしておきます。

助川良平自由民主党

○助川委員長代理 他に質疑はありませんか。——なければ、質疑はこれにて終了いたしました。  暫時休憩いたします。     午後三時二十九分休憩      ————◇—————    午後三時三十五分開議

助川良平自由民主党

○助川委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  農業協同組合法の一部を改正する法律案について審査を進めます。直ちに討論に入ります。討論はありませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕

助川良平自由民主党

○助川委員長代理 なければ採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕

助川良平自由民主党

○助川委員長代理 起立総員。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  なお本案に対し芳賀貢君より付帯決議を付したい旨の申し出があります。これを許します。芳賀貢君。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 ただいま可決されました農業協同組合法の一部を改正する法律案に対し、付帯決議を付するの動議を提出いたします。まず案文を朗読いたします。    農業協同組合法の一部を改正する法律案に対する附帯決議   政府は、左記により、改正農協法の施行に当るべきである。      記  一、農協共済事業の進展に応じて蓄積される巨額の資金の運用については、農民に長期低利の資金を供給して農村にこれを還元し、農業生産性の向上に直接役立つこととなるよう、速やかに有効適切な資金運用方針の策定に努めること。これがため要すれば系統金融の現体系との関連性について検討を加えること。  二、本改正に伴う法人税の適用にあたつては、生命共済、建物と更生共済等のために積み立てられる特別危険準備金についても、これを損金に算入することとなるよう所要の措置を講ずること。  三、農協中央会が農協、同連合会に対して行う自治監査の内容を充実し、且つ、行政庁の行う検査についても、毎年一回を常例として確実に実施することができるよう所要経費を確保すること。また、政府は農協の業務執行体制の刷新、共販事業の充実等を図るために必要な法的態勢を整備する等、速やかに農業協同組合法の抜本的検討に着手すべきである。  右決議する。   昭和三十三年三月六日       衆議院農林水産委員会  趣旨の内容につましては、今朝来の質疑によってほとんど尽されておりますので、内容の説明を省略さしていただきます。

助川良平自由民主党

○助川委員長代理 ただいま芳賀君より提案されました付帯決議を付するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

助川良平自由民主党

○助川委員長代理 御提議なしと認め、さよう決定いたしました。  この際本付帯決議に対し政府の所見を求めます。本名政務次官。

本名武自由民主党農林政務次官

○本名政府委員 ただいまはまことに適切な付帯の御決議をいただきまして、その趣旨に沿いまして善処いたすことにいたします。

助川良平自由民主党

○助川委員長代理 なお本案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

助川良平自由民主党

○助川委員長代理 御異議なしと認めさよう決定いたします。  なおただいま付帯決議で決議されました第二の項目に関する政府の取扱い方針が決定した場合には、直ちに本委員会に報告せられるように政府に要求いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時四十一分散会

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