農林水産委員会 第9号
- 発言数
- 38 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1958/02/28
会議録
○中村委員長 これより会議を開きます。 本日はまず農林中央金庫の開拓農協に対する融資措置について、参考人より意見を聴取することにいたします。 参考人には御多用中にもかかわらず、本委員会に御出席下さいまして、厚く御礼を申し上げます。ただいま本委員会で審査中の開拓融資保証法及び開拓者資金融通法の一部改正案とも関連し、特に開拓関係の融資について、御意見を承わることにいたします。楠見参考人。
○楠見参考人 農林中金の楠見でございます。ただいま委員長から開拓関係の融資について、農林中金としての考え方あるいは方針等について意見を述べるようにということでございますが、御案内のように、日本の開拓事業は、戦後倉卒の間に最近のような形で発足をいたしました。倉卒の間に行われただけに、いろいろ施策の面でも不十分の点があり、それを逐次政府の方でも補正をせられまして、今日ようやく開拓政策が行われるようになって参っておるわけでございます。そのような関係からいたしまして、従来も開拓者に対する金融については、政府の方で開拓資金融通法そのほか一連の法制を整備せられまして、極力それに対して努力をせられておるわけでございますが、なお民間融資といたしまして、特にその大きな役割を果しておりますのが農林中金でございますので、農林中金といたしましては、政府の施策に即応し、また一般の農業開発なりあるいは農業者に対して、できるだけこれを健全に金融の面から育成上お役立ちできるものは努力するという考え方で今日まで参っておるようなわけでございます。しかし御案内のように今日開拓組合は非常に零細な組合が多いのでございまして、たとえば組合員二十人以下の組合が全体の五三%を占めておる、あるいは五十人以下の組合全部を包含いたしますれば、全体の組合の八十数%を占めておる、また組合の中で別な観点から申しますと、非出資の組合が五割以上を占めておる、こういうようなことで非常に零細であり、また率直に申し上げまして組合自体は弱体でございます。それだけにいろいろ不十分な点があろうかと思いますので、農林中金といたしましては、金融もさることながら、さらにそれ以外にお役立ちできるものは、できるだけこれに対しては寄与いたしたいということで、現在県の開拓連に金庫の費用をもちまして職員を出向せしめて、大体その数が今日二十一人ございますが、そのほか長期駐在員としてやはりこれも三人程度のものを出し、できるだけ組合の基礎を堅実にさせる、こういうようなことで努力いたしているようなわけでございます。具体的にどの程度の融資をしておるかという実情だけをごく簡単に申し上げたいと思います。 今日開拓関係に融資をいたしておりますのは、全体を通じまして昨年の十二月現在でございますが、約六十五億円の金を融資いたしております。この六十五億というのは、私ども御承知のように所属団体を持っておるわけでありますが、その所属団体全体に融資をいたしております金額に対しまして大体一割程度の率になっております。その所属団体は、農業、水産、林業等の団体がございますが、そのうちで農業関係の団体に対する融資と、先ほど申しました開拓関係に出しておる融資との比率を見ますと、これは大体一八%の金額を出しておるわけでございます。金額的には相当重い割合を占めておるわけでございますが、しかし冒頭に申し上げましたように、開拓関係はできるだけみなの力で——もちろん中心は政府においても相当力を入れていただかなければならぬのでございますが、われわれといたしましてもできるだけの協力をして、健全にこれが育成されることを希望いたしております。この考え方は従来も先ほど来御説明申し上げました通りでございますが、今後も引き続いて十分に努力をして参りたい、こういうふうに考えておるわけでございます。 一応実情だけを御説明申し上げました次第でございます。
○中村委員長 これにて参考人よりの意見聴取を終ります。 次に質疑を行います。芳賀貢君。
○芳賀委員 ただいま楠見さんから、御意見が述べられましたが、特に開拓関係の問題に対して、具体的に二、三お伺いしたいと思います。 第一の点は開拓融資保証法に基く開拓者に対する短期営農資金の問題でありますが、この制度は御承知の通り、一般農家の場合には農業災害補償法とつながったいわゆる農手の制度がありまして、大部分の農家はこの農手に依存して、肥料とかあるいは生産に必要な資金の調達ができるのでありますが、開拓者の場合には立地条件とかいろいろな劣悪な条件下に置かれておりますので、農災制度の保護のもとに農手のごときものを借り受けるということはなかなか至難であります。それにかわるべきものとしてこの融資保証法が設けられておるということは御存じの通りと思うのであります。それでありますから、特にもうすでに春肥の需要期に入っておるわけでありますが、たとえば中金におかれて、本年度の融資保証法に基く開拓者に対する短期営農資金の融資計画等は、大まかに言ってどういうことになっておりますか、お伺いいたします。
○楠見参考人 融資計画の詳細については、私実は今日資料を持って参っておりませんので、正確にお答えすることはできないのでございますが、今お述べになりましたように、一般の農手制度にかわると申しますか、それと同じような考え方を持っておる保証法に基いて融資をいたしております。これは御案内のように保証協会等と十分に連絡をとりまして、その計画を伺い、また具体的に各支所長等からもその資料が参りまして、それに基いて、私どもの方はできるだけこれを尊重して融資をしていく、こういう考え方でございます。
○芳賀委員 もう少し具体的にお述べ願いたいのですが、たとえば三十三年度の春肥需要は、要請額はおよそ十五億円くらいというふうにわれわれは承知しておるわけです。ですからこの十五億円の資金手当というものをこの制度のもとにおいて、中金において大体それに応ずるような態勢に置かれておるかどうかという点なのです。特にこれは保証の限度というものがありますから、地方の保証協会の出資額が基本になって、それを中央協会に再保証させるという仕組みになっておるのですが、大体地方協会の出資額が四億二千万程度というふうに承知しておるわけです。保証限度がその六倍ということになりますと二十四億程度の保証の可能限度というものはおのずから出てくると思うのです。しかし延滞の問題であるとが、代理弁済とか、そういうものをそこから操作しなければ実際のことし実行可能の保証限度は出てこないと思いますが、そういうものも勘案した場合において、中金の側から見た場合においては、そうした春肥の要請にこたえ得るような資金計画の措置が講ぜられるかどうか。あるいはまたそれができないとすれば、どういうところに欠陥があるという問題点だけを御説明願えれば非常にけっこうだと思います。
○楠見参考人 春肥の問題でございますが、私どもといたしましては、その購入せられる肥料で営農計画が立てられておるものについては、これは極端な言い方をしますと、保証法なり保証金額の限度いかんというものにはとらわれずに、実は積極的に融資をするという考え方を持っております。従って限度がたとえば二十億であるから二十億の限度までは無計画に貸すとか、あるいは需要がかりに三十億であるのに限度が二十億であるから二十億までしか貸さないというようなことでなしに、具体的に開拓地における計画を承知いたしまして、その計画で具体的に肥料が購入され、そうしてその肥料が投入されて初めて営農が現実にやっていけるということであれば、保証とかいうものにとらわれずに考えていく、こういうふうな基本的な考え方を持っております。
○芳賀委員 こういう制度にこだわらぬということになると、中金本来の建前からいって、この貸し出し業務に対しては、金融ベースに乗らなければならぬという条件が満たされなければ貸し出しができないということになると思うのです。そういう場合には、むしろ保証法の制度に基く貸し出しよりもその貸し出しが非常に圧縮されるようなことになるのじゃないですか。それよりもむしろ弾力性を持たせて貸し出すというなら話がわかるのですが、制度によって保護して、そういう保証制度を設けて、金融機関に一つの安心感を持ってもらって、その限度内において貸し出しをしてもらうというのがその建前でありまして、その制度にこだわられなくて十分大らかな気持で貸せるというようなことにはなっておらぬと思うのですがいかがですか。
○楠見参考人 今芳賀さんからお述べになりましたように、弾力性を持ってやるという考え方でいきたいと思っております。と申しますのは、先ほどもちょっと触れましたが、それに非常にこだわりますと、限度がこれだけなんだからその限度以上のものは貸せないとか、あるいは延滞があるから延滞が生ずればすぐに保証基金からその金を落していかなければいかぬとか、そういうぎしぎししたことになりますと、かえって保証法があるために金融自体が非常に窮屈になってくる。もちろん保証法というものがそれを推進する大きな役割を果していることは仰せの通りでありますけれども、それだけに依存するということになれば、かえって金融自体が非弾力的になって、金庫ももちろん困りましょうが、それより増して受ける方が困ることになろうから、繰り返して申しますが、そのこと自体は非常に推進的に大きな役割をするけれども、それに百パーセント重きを置いてやることは、かえって弾力性を失うことになるのだから、弾力的にやっていく、こういう考え方でございます。
○芳賀委員 理事長はそう言われるけれども、実際の業務担当の内容を見ると、必ずしもそうでないのじゃないかと思うのです。たとえば三十二年十一月末の利用状況を見ると、地方の協会の出資額が四億二千万円、代位弁済額は二千九百四十万円、延滞額が七千九百三十万円、特に今理事長がお述べになった、延滞額を基金から引き落すという措置を現在中金は講ぜられておるというふうに聞いておる。そういうことをやると、結局実績の保証残高はだんだん減っていくことになるわけです。ですから延滞額等の措置というものは、保証法から見て必ずしも基金から引き落さなければならぬという根拠はないと思うのです。もしも理事長がお述べになったように、この制度だけにこだわると非常に窮屈になるからといって、弾力性を持たしてやるということになれば、延滞額を基金から引き落すことまでやらなくても何とか適正な運営ができるのじゃないかと考えられますが、この点もお伺いしておきたい。これによると出資額から代位弁済額と延滞額を引いた残りは、結局三億一千二百万円ということになるわけです。その六倍が保証可能額十八億七千三百万円になるわけです。そうなると結局制度内における一つの窮屈な事態が生まれるのではないかと思うわけですが、そういう点はいかがですか。
○楠見参考人 むしろ延滞等の事態が生ずれば——もちろん延滞を生じてから、たとえば五カ月とか六カ月たっておろすとかいろいろなことがあろうかと思いますが、基金制度が設けられた以上は機械的に落すということがあるいは趣旨であるかもわかりませんが、そういう機械的な落し方をせずに、延滞があっても直ちにそれを機械的に落さずにやっておるのが今日の実態であると私は承知しております。従って、いろいろ保証法なりそのほかの法制的な裏打ちはありますけれども、先ほど申し上げましたように、その範囲内に限定した融資をせずに、むしろ弾力的に——現に最近におきましても、たとえば宮崎県あるいは栃木県のように、大口二千万円とか三千万円とかをそういうものにとらわれず融資をしているのは私どもの考え方の現われだ、こういうふうに御理解いただけば仕合せだと思います。
○芳賀委員 今言われたこの制度にこだわらぬという場合は、やはり開拓農業協同組合は系統です。ですから、そういう健全化された系統に対しては別にこの制度によらなくても肥料資金等は流せる、そういう意味で楠見さんは言っておられると思うのですが、今審議する保証法の制度のもとにおいて、どの程度中金として熱意をもってこれに協力なすっておるかということをわれわれは十分承知したいわけなんです。最近の開拓行政はだんだん後退しまして、補助金の切り捨てとか、これを融資に切りかえるという措置で、中金本来の仕事でないような分野にまで問題を押しつけるような傾向があることは、われわれも十分認めておる点なんです。しかし、こういう制度ができて金融機関には御迷惑をかけないというような措置が講ぜられている場合においては、その限度内における十分な運営はどうしてもやってもらわなければいかぬと思うのです。それが先ほど申した通り、たとえば秋肥の代金決済がおくれておる、また行われておらぬというような場合に、春肥の資金計画等に対して、その認定をおくらしてなかなかやらぬとかいうことになると、時期的に肥料の調達ができないことにもなるわけです。いろいろな業務上の問題はあると思いますが、でき得ればこの制度を生かすという意味において、中金としても十分な業務上の配慮があってしかるべきであると考えます。これをただ金融機関として金融ベースの上に乗せるとか乗せぬとかいうことになると、全くこの制度は消極的なものになっていくので、そういう点に対して今時に理事長の意見を聞きたいわけなんです。
○楠見参考人 農林中金は、御承知のように系統機関として三段制の頂点に立っておるわけでございますが、同時に、ある意味における指導金融的な機能を持っておるわけでございます。従って純然たる商業べースあるいは金融べーースだけでやっておったのでは、金庫の機能を果す上において十分でないことはもちろんでございます。従って、これは各方面からそれぞれ分担すべき役割を果す必要があることは言うまでもありませんが、金庫としての立場から、受信能力がつくようにできるだけ育成して行って、そして早く一人前の経営形態になるように、こういうことをやるのも大きな役割かと考えまして、先ほど申し上げましたように、現実に県連合会に対しましてこちらから人も出向して仕事の手伝いをしておる、こういうような状態であります。具体的の実態は、私よりもむしろ芳賀さんの方がお詳しいのでありますが、中には自分はどれだけ借金があるのかということすらわからない組合あるいは組合員がずいぶんございます。今申し上げましたように、できるだけ早急に実態把握ができるような組合経営あるいは連合会の経営に育成していくという面から、出向職員等出しておるわけでございます。そこでお尋ねの点でございますが、先ほど申し上げました通り、単純に金融ベースに乗るものだけを対象にしておるのではなしに、そういうものでなくとも、具体的に計画を立てることについて指導をしていったり——もちろん中心は県の開拓連あるいは全開連、また側面的には開拓者連盟等の方々が御協力をせられ、あるいはまた中心的な役割を果されるわけでございますが、われわれは側面的にこれを通じて育成していく。計画がはっきりと立ち、そしてまた償還計画が立つ、こういうものに対して優先的にきめることはもちろんでありますけれども、そういうことの立たないものはできるだけ立たせるように指導していく、そこで融資の保証の関係について申せば、これは先ほど来芳賀さんがおっしゃる通り、一つの推進的な役割を果しておるわけであります。もちろん推進的役割はその通りでありますけれども、今るる少し冗漫にわたって申し上げましたようなことをせず、単純に保証があるんだからやみくもに金を出す、また借りる、そして組合は借りたけれども組合員は幾ら借りたかもわからない、こういうような状態がいつまでも改善されませんと、開拓者に対する金融自体が行き詰まってしまうということになりますので、一日も早くそういうのを正常な状態に戻したいということで努力をしておるわけであります。そういう考え方であります。
○芳賀委員 開拓者に対する資金融通の措置については、何人も安易な気持で貸し付けて、回収できないのは力がないのだからしようがない、そういうような投げやり的な考えを持っておるのはだれもいないと思います。ただ現在の実情からいうと、受信能力の問題からしても、非常に生産力の低い開拓者の場合、なかなか受信能力を直ちに強めるということはできないと思うのです。ですから一定の期間はやはり保護政策の形の中で融資制度等を生かして使って、そういう保護育成の過程を経て、独立営農のできるような農家になってもらいたいというのが究極のねらいだと思うわけですが、そういう場合において基金造成等も容易なことではありませんし、また政府としても基金に対する出資についても非常に消極的にやっておるので、そういうような内容を持った基金から延滞金等をどんどん引き落していくということになると、たとえば昨年十一月末の約八千万に及ぶ延滞金の引き落しをやった場合には、保証限度というものは約五億円低下するということになるのです。こういうのはやはり問題があると思うのです。理事長はこの点は具体的に御存じないかもしれませんけれども、この点については農地局長が出席しておりますから、特にこの基金制度のもとにおける代位弁済とか延滞金等のできた場合どうやるのが妥当であるか、その点を一応説明してもらいたい。
○安田(善)政府委員 開拓者が必要とします短期資金を農林中金の資金をもってまかなうことにつきまして、これに対しては開拓者の営農の実態が必ずしも金融ベースに合わない実情も、特に営農確立期の過渡期におきましては多いのがむしろ原則であるという建前からいたしまして、御審議を願っておりまする開拓者資金の保証制度を作って、政府は年々必要に応じまして出資いたしておるわけでございます。ただいま御質問になりました点は、第一はやはり楠見理事長からお話になりましたように、農林中金の原資はこれまた一般の農村の貯金から出てくる貴重な資金でありますので、放漫な貸し方はなさらないのも金融自身の当然の建前だと思いますが、先般お答えを申し上げまして、また本日楠見理事長から正確に御説明がありましたように、開拓者資金とその政府の態度に応じまして、保証制度もとっておるのであるから、中金は平たい言葉で言えば貸す気で貸していただくように、またその貸すための指導——延滞金やその他を引き落すようなふうにすることが原則であって、頼んでくるのをなるべく貸さないようにする態度でないという意味の御指導を願うように県連に中金の職員を派遣をお願いしておるのであります。そこで中央協会に政府出資をしました保証、またはその下部にあります地方会の活動によりまして融資を保証する制度において、延滞金等を引き落してから貸すことについてどうかということになりますが、第一は保証を要しない程度の開拓者及びその組合に対しては当然に保証を考慮せずに融資をしてもらうのが普通である。開拓者であるから保証の限度までは延滞金がありましても貸すつもりで貸していただきたい。しかしそれを具体的に個々について申し上げますと、保証制度を持っておるから貸していただくのでありますが、保証金なり代位弁済を悪用と申すとちょっと言葉は悪いのでありますが、それがあるがゆえに借りられない実態を、金融べースの上から見まして借りにくい実態を改善する努力をしないで貸すというのもいかがかと思っておるのであります。このただいま申し上げました数点を中金の職員的努力、開拓農協の経理、営農経済をよくしていく努力、保証制度のもとに貸す気で貸していただく努力、最後は代位弁済制度、保証制度がございますから、限度までは開拓者の実態においては貸しにくくても貸していただく、こういうことが私どもの気持でございます。
○芳賀委員 私の聞いておるのは、保証額をきめる場合、延滞金を基金から控除した額によって保証の限度をきめるというやり方は、これは六倍になるのですからちょっとひど過ぎるのではないかと思うのです。そういうのは規定上からいって根拠があって、そういうことをやるのか、緊張してもらうためにその延滞金等に対してはそれを基金から控除するような算定をやっておるのか、その点のけじめを聞いておるわけなんです。
○安田(善)政府委員 御質問の御趣旨よくわかりますが、中金に向いまして、この制度があるから開拓者または開拓者組合に貸せという制度ではございませんので、中金が開拓農協またはその組合員に貸す場合に、保証協会が保証をするという制度でございまして、保証したあと事故が起きた場合には保証制度を活用してよろしい、活用せよ、こういう制度でございますから、第一段には金融機関がどの程度に貸したいというところにあると思うのです。しかし私どもが開拓者の短期資金を見積りまして、保証額とそれに応ずる政府出資を不十分ながらも、まあこの程度までいけばよかろうと思って算定いたしておりますのは、原則として、ただいまのような延滞金を差し引いたものでは考えていないわけであります。
○芳賀委員 ですから、この開拓者の中で一般金融に依存することのできない、信用力の非常に低い人たちが、再生産資材を入手するためには、結局この制度に依存するよりしょうがないのですよ。ですから、それに対して国家としてもこういう制度を設けてあると思うのです。そういう制度を設けておいて、これはあくまでも金融機関の主体的な判断とか運営に中心を置くのであるからして、その方の意思においてしかるべくやってもらいたいというようなことであると、全く中金に問題を転嫁してしまうようなことになるんじゃないですか。ですから、三十二年五月三十一日付の中金の審査部長から各県の支部長なんかに対する通牒を見ても、それはもう安田さんの期待に沿ったような通牒が出ているというこになるのですか、どういうことになるのですか。
○安田(善)政府委員 その中金の担当者の通牒は、この間も申し上げました通り、いささか筆のすべりがあり過ぎて、特に開拓者の営農とその資金の確保を直接担当しておる農地局はよく知りませんでしたと、率直に申し上げました。その後楠見理事長にお話を申し上げまして、先ほども申し上げましたように、貸す気で貸すということにお願いしておるわけであります。ただ芳賀委員と私のお答えとの差は、制度をせっかく設けたが、実際は中金の金融べースにおいて貸すこととか、通牒は別といたしまして、貸すことの方に基礎があってそれに依存しておるということであるか、制度があるから開拓者には六倍のワクの中を、ちょっと言葉は悪いかもしれませんが、借りにくいものであるから貸せということで制度ができておるかということとの点であるかと思いますが、いかにも不振開拓地で営農振興計画も立ちにくいところで、熱意もなくて開拓営農も現地でしている人が非常に少い、一年じゅういる場合も非常に少い、こういうようなときに中金が貸されますと、いわば信用保証制度を引き当てに目的を達せざる融資をして、開拓者も有効に使って、借りた金を返すのでなしに、貸すという事態もあり得るのでございますから、そこで中金が貸す気で貸して下さって、その指導措置もとってもらい、開拓者及び組合も有効に使い、借り得る努力をしている場合には、延滞金を全部引き落してしまって、倍率を明らかに割ることを前提として融資する。こういうことは制度の建前とその運用の適切でないということだと思います。
○芳賀委員 先ほどの局長の答弁によると、中金がお貸しになるならばお貸しなさいという答弁じゃないですか。中金がお貸しになるなら、こういう制度があるのでありますから、適当に判断しておやりなさいというような、そういう中金に全くまかせ切ったような発言なんですよ。そういうことは結局審査部長の通牒によっても、所定期間内に償還困難と認められる場合にはあらかじめ期限延長等、必要な措置を行い、なお延滞がある場合は基金から延滞相当額を控除の上、貸付限度を算定する、こういう明らかな通牒が出ているのです。ですから、中金のこの資金の貸し出しの基本的な原則というものは、この通牒の中に尽きているのですよ。そうなると、先ほど楠見さんが言われたように、弾力性を相当持って考えておるというようなことにもならないのですね。
○安田(善)政府委員 話が何度も同じところを回って私の答えが悪いせいらしいので恐縮でございますが、中金にまかせ切りではないのであります。中金の資金を特に開拓者に円滑に融資してもらうためにこの制度が作ってあるのでありますが、しかしこの制度があるがゆえに中金に融資をせよという制度ではないと申し上げておるのであります。そこでその範囲内におきまして借りる側と貸す側とございますから、ここは貸す気で、そういう通牒はありましても開拓者組合でも保証制度を適用しなくても貸す場合があるし、保証制度がなければなかなか借りにくい場合でも心配なく保証限度までは中金に貸していただきたい。その間は中金が貸す気で貸すことにいたしていただきたい。その判定は個々のケース、ケースにどうしてもなる、こういうことだと思うのであります。
○芳賀委員 ではそれに関連して具体的な問題として、農地局長として本年度の開拓者の肥料の手当、これに対する見通しがあるかないかという点をお伺いします。もちろん開拓者の中にもこの保証法に依存して融資を受けなければならぬ農家、それからあるいは一般農協に二重加入して、そして一般農協から肥料を借り入れる開拓者もあるわけです。それからまた自己資金で調達できる人たちもわずかにあると思うのです。それからどの制度によっても全く救われないような見放された開拓者も中にはあると思うのです。ですから四つに分類できると思うのですが、その比率ですね、それからその全体の手当の見通し等についてはどういうような判断をされておりますか。
○安田(善)政府委員 今回国会の御審議をお願いしまして、もしこの関係法案が御可決になりましたならば、政府は三千万円出資増をいたしますが、このほかに中央協会の準備金の基金への繰り入れもございます。約一千万円でございます。そうしますると、基金総額は四億一千五百万円でございまして、地方協会は、これより九百万円ばかり多いわけでありますが、大体とんとんになる見込みであります。それによります融資限度は、現行制度によりましては御承知の通り二十四億九千万円、これで主としてねらっておりますのはもちろん肥料が中心でございますが、昨年度から開拓者の営農振興中の一重点として考えておりますように、中小家畜の五カ年にわたる計画的導入と、必要と認められまする飼料の購入代金を加えまして、その他種苗等を考えておるわけでありますが、肥料資金としましては春肥、秋肥含めまして十八億余、えさとしましては一億八千万円、中小家畜は三億六千万円、残がその他でございますが、この保証残高の計画に対しましては肥料が七五%、えさが七%、中小家畜が一四%、その他が四%となる見込みでありまして、その場合肥料、飼料等はやはり性質に応じまして年間資金の回転も見ております。肥料は年にそうたくさん見るのもいけないだろうと思いまして、過去の実績に応じまして年一・二回転……。
○芳賀委員 春肥、秋肥の手当の見通しができているかどうかということを聞いているのですよ。
○安田(善)政府委員 そのうちの春肥になるわけでありますが、春肥の手当の方は大体間違いなくいきりつつあると思っておるのであります。一部に若干の手おくれはあると思いますが、これは保証制度と中金資金を貸すべきを貸さないからの理由ではないと思っております。
○庄野説明員 大体春肥の需要は、今のところでは十五億円程度見込んでおります。それで現在の保証可能額は十二月末から今後また回収金がありますのを引きますと、大体二十四億円のうち保証残高等を差し引きまして、二十億円程度は保証限度が出てくる、こういうふうに見ておりますので、総体的には春肥の十五億円を確保して十分ある、こういうふうに見ております。ここにいろいろ県開拓連等で問題がありますのは、先ほど理事長からもお話がありましたように、いろいろな手を講じて、個々の開拓連で問題になっている点は個別に解決していくことにしております。
○芳賀委員 今の答弁ですと、肥料の手当は心配がないということになれば、初めてこの制度が生きるし、政府が二千万の出資をやるということにも意義があると思うので、この方はその程度にして、次に楠見さんにお尋ねしたいのは、御承知の通り昨年開拓営農振興法というのができまして、開拓者に対して天災法による融資を行なって、償還不能のようなものを主として対象にして、そうして政府が損失補償を行なって、やはり資金源は中金に依存するという形をとっておるのです。まだ法律ができましてから一年しかたっておりませんし、振興組合の指定とか、あるいは振興計画の策定等が十分進んでいるとは思いませんが、この融資に対する中金の現在の方針というものはどういうことになっておりますか。
○楠見参考人 振興法の問題でございますが、これは一般的な問題として申し上げられることは、機会を得て非常にいい法律ができたと思っているのです。それだけにせっかくできた法律をしっかりとその趣旨通りに生かしてもらいたい。そこで具体的に従来の組合が、あの振興法に基いて更生計画といいますか、再建計画といいますか、健全な計画を立てるにはまじめに取っ組んでもらいたい。ただ漫然と従来の債権が肩がわりをするためのような安易な気持でやっておったり——この安易な気持というのは指導する地方庁の役人の方々はもちろん、その組合であれ、あるいはまた組合員である人々にとりましても、そういう安易な気持でなく、真剣に、かつての農業恐慌時における更生計画のような気持でもって真剣に取っ組んでもらいたい。私どももそういう意味でお気に沿わないような忠告を、今申し上げたような意味で申すことはある。しかしせっかくいい法律ができ、また十年の開拓の跡を振り返ってみて、ちょうど反省もし、また再出発をする好機でもあるから、そういう意味で苦言を呈するけれども、しかし積極的にわれわれも協力していきたい。また融資の面でもその立場をとりたい、こういう考え方を持っております。
○芳賀委員 今理事長は営農振興法をおほめになったが、去年当委員会で審議したときにも、われわれ全く不満足だった。名前だけはできたけれども、中身は全く空疎なもので、単に国かあるいは都道府県が振興計画の達成に対して協力する程度の抽象的な文句を使ったり、あるいはまた債務償還の新しい計画等に対しても、単に天災法に基く災害資金だけを振興法の中で措置するという程度しかやっていないわけです。結局残された問題は、個人の債務、個人間における非常に高利の負債の償還の問題とか、あるいは政府機関からの融資を受けた焦げつきの分に対する問題とか、そういうものは法律の中では処理できないようなことになっておるので、今後これは内容を充実する必要があると思うのです。結局中金に依存するこの振興法に基く融資関係等についても、これもまた正常な金融べースに乗らない場合になると、せっかく振興計画を立てて振興組合の認定を受けた場合においても、歯車が回っていかぬということにもなると思うのですが、この点についても、やはり中金からこの通牒が出ておるわけですね。これは御承知かと思いますが、それで結局受信能力が不十分な組合に対しては、能力をつけるまで融資することができないというような前提が行われておるとすると、いつまでたったら受信能力ができるかという問題にも当然なる。こういうことで政府の無能力を鞭撻されるということは非常にいいと思うのですが、せっかくこの制度に期待を持って振興計画を立てた場合においても、受信能力が不十分であるという判断のもとに借りかえの措置が早急に講ぜられないとすると、やはり問題が大きいのではないかと思うわけでありますが、こういう点に対しては融資第二部長が今年の一月二十日に出しました通牒というものは、中金としての真意であるかどうか、この点をお聞かせ願いたいと思います。
○楠見参考人 振興法について私が礼賛をしたというお言葉なんですが、私が申し上げました趣旨は、これを機会に、十年の開拓の跡を政府も関係者もすべて反省をして再出発の好機を与えられた、こういう意味で実は礼賛を申し上げたので、実質的に一体五年先がどうなるのか、われわれから申しますと、五年間でほんとうに計画が立つかどうかということについても非常に不安の点がございます。また今お述べになりましたように、具体的な問題についてはずいぶん疑問とするところがあり、また不満とするところがあるわけでございますが、しかしチャンスとしてはいいチャンスである、こういう意味で申し上げたわけでございます。 そこで今お尋ねの点でございますが、先ほど農地局長からも筆の走りというようなお言葉もございましたし、要するに問題は、貸す気持を持つかあるいは消局的な気持を持つかということが一番大事な問題だと思っております。実は私どもの考え方は先ほど来申し上げまして御批判の的になっておるのでありますが、いろいろ法律ができる、あるいは特に保証法とかいろいろの法律ができる。そうするとその法律ができたということだけですべて物事が解決しあるいはよくなる、こういうイージーな考え方が一番いけないのだ、そこでたとえば振興法なら振興法ができましても、あるいは天災の保証法ができましても、その保証法だけにたよるという態度ではいけない、どうしても保証法というものだけにたよるということになると一面非常に安易感がそこに生じやすいし、また消極的な意味から申しますと、先ほど来問題になっておりましたが、その保証法の限度内だけで物事を解決するということになると、かえってそれは弾力性を失い、消極的なことになる、そういう意味を実は強調いたしたかったわけでございます。 そこで具体的に通牒の問題でございますが、その点が私どもの真意がはっきりとしないといけない、あるいはまたこのことによって誤解を生ずるといけないというふうに考えまして、御指摘のように、一月二十日の点はそういう意味であるいは誤解があったかもおかりません。しかしこの融資第二部長の通牒の基礎は、実は昨年の十二月に、この法律に基く貸付のほかに金融的援助を加えることによって健全な発展を期待するように、この際一般資金による融資を一段と積極的にするようにせられたい、こういうふうに、貸す気持か貸さない気持かという基本的な考え方については、一段と積極的にするようにせられたいという通牒を、融資第二部長から各支所あてにも出しておるわけでございます。しかしやはり非常に問題がこの通牒から出まして、誤解が生じますので、その後各ブロックごとに支所長を集めまして、そのうちで東京に関東方面の支所長あるいは東北の支所長、中部支所長等も集めたのでありますが、その際にその点をさらに積極的に指示をいたしております。ややともすると消極的になりがちなものであるが、そうでなしにぜひ今回のこの保証法を機会に十分に関心を持って努力をしてもらいたい、こういうようなことをいたしておるわけでございます。その点はどうぞさように御了承をいただきたいと思います。
○芳賀委員 大体了解できますが、現に現地で、あの通牒等に刺激されて選別融資をやるとかあるいはまた凍結というような事態も各府県に出ておるように聞いております。今の理事長の御説明からいくと、こういう事態は漸次解消されると見て差しつかえないわけですね。しかし安易な考えの上に立つのではなくて、あくまでも不振地区の振興組合として認定された組合は、その組合個々の振興計画とかあるいは今後の営農計画の上において具体的な確実性のある計画というものを十分立てるというような内容が整ってくれば、ただ現在もう受信能力があるかないかということだけにこだわらなくて、計画が妥当性を持っているとすれば、またそれに対する政府の育成とか指導とかいう施策も並行しなければもちろん能力もつかないわけですが、そういうものと相まって、この計画は五カ年なら五カ年で大よそ達成できるというような内容が整っておった場合には、必ずしもあの通牒というものは本旨でなかったというふうに解釈して差しつかえないわけですね。
○楠見参考人 その通り御理解いただいてけっこうだと思います。重ねて申しますが、通牒の精神は決して消極的になれというのじゃなしに、むしろあの法律だけにとらわれずに、他の一般金融の方も同時に積極的に考えろ、こういう趣旨でございますが、いろいろ誤解がございましたから、先ほど申しましたように、その誤解を解くためにわれわれ努力をしておる、こういう状況でございます。
○芳賀委員 以上で楠見参考人に対する本法案に関係した質疑を終らしてもらいたいと思います。なお別の機会に農林中金の全体の運営等についても御高説を承わりたいと思っておるのですが、きょうは審議の関係もありますから、以上で参考人に対する質問を終ります。
○中村委員長 石田宥全君。
○石田(宥)委員 ちょっと委員長にお尋ねしますが、きょうは実は中金の業務運営全般について質疑をいたしたいという希望であったわけです。ちょっと遅刻して参りましたところ、開拓関係に限定するということのようでありますが、後日適当な機会に楠見参考人をお呼びになって質疑をおやりになる方針であるかどうか、それを承わって、もしあとで機会をお作りになるということであれば、芳賀委員からいろいろ具体的に伺ったようでありますから、私は質疑を取りやめにいたしてもよろしいのであります。
○中村委員長 この点につきましては理事会に相談いたしまして、なるべく石田委員の御希望に沿うように取り計らいたいと思います。 これにて参考人に対する質疑を終ります。 参考人には御多用中にもかかわらず本委員会に御出席下され、御意見をお述べ下さいまして、厚くお礼を申し上げます。 午後一時より再開することとし、暫時休憩いたします。 午前十一時五十八分休憩 ————◇————— 午後三時二十四分開議
○中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 この際、連合審査会開会申し入れに関する件についてお諮りいたします。ただいま建設委員会で審査中の内閣提出、地すべり等防止法案及び井手以誠君外二十五名提出、地すべり等による災害の防止等に関する法律案は、いずれも従来砂防法、森林法等によって部分的に行われてきました地すべり防止工事をより効果的に行うため、その計画と実施を統一して、抜本的対策を確立せんとするものでありまして、森林や農地の保全にとってきわめて重要なる意義を持つ法案であります。 つきましては、この際建設委員会に連合審査会開会の申し入れを行いたいと存じますが御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時二十五分散会