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28回国会衆議院1958/02/20

農林水産委員会 第6号

発言数
169
登壇者
12
会派数
2
開催日
1958/02/20

会議録

中村英男日本社会党

○中村委員長 これより会議を開きます。  農林水産業の基本施策について、大臣に対する質疑を続行いたします。細田綱吉君。

細田綱吉日本社会党

○細田委員 大臣御就任以来、日本の農政については格段の御努力をなさって、日本の農業内における封建制の払拭、農業の低生産性と後進性の改善というようなことに格段の御努力を願っていることは、われわれもよく知っております。しかも八幡のやぶ知らずとでも言いましょうか、農林方面の何が何だかわからない後進性、低生産性については、過般農林白書を発表されまして、国民もある程度までこれによって日本の農業の全貌を知ることができた。その意味においては一歩前進であり、大臣の労を多とするのでございます。その中に若干のサバを読んでおるようなところもあるし、また言いわけをしているようなところもあるのですが、しかしそれにしても格段の農政の前進であるとわれわれは大臣の労を多とするのでございます。  そこで問題は、一番どこに農業白書を拝見して足りなかったかということを率直に私が申し上げると、だからどうしなくちゃならぬということをはっきり一つ聞きたかった。もちろんあれは白書ですから、ありのままをさらけ出すのが白書の使命で、さてその対策はというのは白書の使命じゃないとおっしゃるかもしれませんが、今度の三十三年度の予算を通じてもそれがはっきり出てきてない、必ずしもそれが出ておるとは思えないので、大臣の若干の御意見を伺いたいと存じます。  そこでまず第一に取り上げたいのは、大臣が御就任以来畑作、畜産に重点を置く、あるいはいわゆる安定農家の育成あるいはまた土地の改良で生産性を高めるというようなことをおっしゃって、全国の農民は大臣のおっしゃる通りのようにある程度までまたこれも動いたであろうと思うのでございます。そこで昨年は、たとえて申しますと、大臣のおっしゃるいわゆる適地適作によってリンゴ、野菜、牛乳、多くのものを生産したのですが、これはまた結果は予想外に、御承知のように二割の増産が行われたら三割の値下げがきてしまった、三割の増産を行なったら五割の値下げがきてしまった。これは大臣のいなかの方にもあまりに顕著な事実ですから御存じでしょうが、たとえば最近の白菜だとかキャベツというようなものは、東京の市場に持ってくるとトラック代の方が高くついてしまって、運賃そのものだけで赤字が出る。だからもう御承知のように畑にほうりっぱなし、これでは幾ら生産性を高めていただいてもどうにもならぬ。こういう現象があまりに多いと思う。たとえば、非常に酪農の振興によって乳牛が多くなる、乳牛が多くなったら乳が値下りになってしまった。あなたの方の見通し、日本農業の動向と見通しという御報告を拝見しても、牛乳は若干の過剰状態になるであろうということを見通されているわけです。それにもかかわらずこの乳価の安定に対する手を打たれていない。あなたの方の発表によりますと、三十三年度は生産において四%の向上を来たし、農家所得において二%の向上を来たすということを言っておるのですが、これは現象は逆だと思う。あなたの方の農業水産統計月報には必ずしもそれがはっきりしていませんが、たとえば東京都の発行の市場月報なんか見ますと、その値下りがはっきりと出ておる。こういうことではあなたがせっかく御努力になる日本の農業の後進性を解消し、生産性を高めるということは、これはどこにねらいがあるのだからょっとわからなくなってくる。日本の農業が非常に低生産で、あなたの方の資料を拝見しても、たとえば日本を一〇〇とする生産性はフランスが三〇〇、イギリスが一二五〇、アメリカが一五〇〇というような各国の比較の例を見ましても、こんなに低い農業生産では、われわれ国際的に対抗することはできませんので、これは非常にけっこう。けっこうだけれども、今申し上げましたように、わずかな豊作、生産性を高めたことによって、それ以上の値下りがくるならば、これは農家経済はあげて破綻です。さっきも申し上げたように、農林省の今年度は二%所得が増加するということはどこから出たのか知りませんけれども、こんな現象はもう昨年の秋わかっていながら、そのまっただ中に二%所得がふえるというのだから、よほど農林省の役人をやっていると長生きすると思うのです。まあそういうことは別として、生産性を高める反面、市場の狭隘かなにか知りませんが、とにかく価格がそれ以上のパーセンテージで値下りがくるのですが、これを大臣はどういうふうにお考えになり、どういう御対策を立てる御用意があるか、これを伺いたい。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 農業政策の基本問題から入っていろいろお話を承わったのでございます。結論といたしまして、せっかく適地通産というようなことで奨励をしても、あるいは豊作になり生産が過剰になり、価格の点でたたかれるというようなことがあっては、企図するところと反対の結果に追い込まれていくのではないかというような御質疑かと存じます。今お話のように、農林白書にも五つの弱点といいますか、日本の農業における欠陥を指摘したのでありますが、これにつきましてこの手を打てば必ずこういう立場の回復ができるというきめ手は、御承知の通り残念ながら農業の立場からいえばないのであります。なお長期的に考えなければならないという農業の立場も御承知の通りであります。そこで私どもといたしましては、今御指摘のように土地の生産性、労働の生産性を拡大強化するとか、畑作、畜産、なお今最後に御指摘の流通対策につきましては、今まであまり関心を持っていなかったといいますか、関心があってもそれに対する方途をあまり考えておらなかったという欠陥があったと思います。そこで、農林水産の所得が二%もふえるというような安易な気持でおると、農林官僚は長生きするということでありますが、それは話は別といたしまして、実は流通価格対策についても非常に力を入れてきておるわけであります。御承知の通り今農産物の価格安定につきましては、これも私から申し上げる必要もないと思うのですが、米は統制下に置いてありまするし、麦も間接統制に移しましたが、実際には政府がほとんど全部買い上げているというわけでありますから、これも価格の支持というようなことになっております。繭もそうであります。それから価格安定法による菜種とか澱粉、あるいはテンサイ糖のテンサイ、また違いますが飼料など、農産物につきましても約七〇%は価格の支持を十分ではありませんが、しておるというような状態であります。こういうことでありますので、価格安定政策につきましてはなお一段の努力をしていくということで、これにつきましての十分な配慮をいたしますと同時に、ことしの予算等におきましても、農産物価格安定のための損失というものが出ますので、十億円を価格安定の資金として、一般会計から食管特別会計に繰り入れるというような方途を講じておるのであります。ところが今お話のように、こういう価格安定の中に入っておらない果樹、蔬菜とか、あるいは牛乳、こういう点について、流通対策あるいは価格対策が欠けておるのではないか、こういうことでありますが、実は私どもといたしましても、これを捨てておくというわけには参りません。また流通価格対策に対する政策を進めなければならぬということで、実は長生きするつもりでなくて、農林省内にも流通価格対策の委員会を置きまして、これに対する方途を研究し、その結論を急いでおるわけでありますが、何分にいたしましても非常にむずかしいことはむずかしいのであります。御承知の通り国が統制経済を全部やっておるというような形でない態勢のもとでの流通対策でありますので、非常にむずかしいのでありますが、私どもといたしましてはやはり協同組合による出荷の調整とか、あるいはまた共販態勢のなお一そうの確立、こういうことも考え、それからまたいたずらに適地適作というようなことをいいましても困るので、今考えておりますことは、今お示しの市場の状況等の統計などもあるようでありますが、そういう相場の変動というものにすぐにではないですが、対処できるような形を農家にとってもらいたいというようなことで、インフォーメーションといいますか、市場の価格あるいはどこへどういうものが集まっておるというようなことをなるたけ早く知らせよということで、中央においてそういう報道を担当するものというか、そういう報道を提供するものを作らせて、これを地方に流す、こういうようなことなども考えて、——一つの方途でこれができるというわけにいきませんので、いろいろな面から対策を講じております。ことに乳価等の問題につきましては、酪農を非常に奨励して、牛乳等の生産も非常にふえたのでありますが、酪農家が引き合わない。都会においてはまた、乳価が高過ぎるというような声も非常に強く消費者から出ておるわけであります。そういう関係でありますので、一つには消費を拡大するというようなことが必要であるというようなことで、栄養の点からいいましても、消費の普及宣伝ということを大々的にはかりたいというようなことを考えております。  それからもう一つは、御承知のように、ことしの一月から三十万石になりますが、学校給食の方にこれを回していく、あるいはまた事業場などの集団飲用といいますが、こういうものと生産者との結びつきを考えて、消費の面を多くすると同時に、消費者の乳価も安くし、生産者も引き合うような形で集団飲用というようなことも今検討中であります。それからまだ問題が残っておりますので、法案を提出するまでにはいきませんが、酪農振興基金というものによって、乳価の安定もはかる、あるいはまた飼料の自給化、あるいはまた飼料価格の安定という点なども考慮してやっていくというふうに、いろいろ講じておるのであります。全く御指摘の通り、私どもといたしましても、せっかく作ったものが収入の点において、農作貧乏と昔いわれた言葉がありましたが、そういうような形になっておる。こういうことで、一つの施策というわけにはいきませんが、各方面から流通、加工、あるいは価格対策につきましては、非常に努力しておるわけであります。ことに御承知かと思いますが、せっかく出荷した者が出荷した金をひっかけられて困っておる例もあるわけであります。そういうことでありますので、中央市場法といいますか、市場法等も、公益性といいますか、公共性といいますか、ある程度自由経済下におきましても、私どもの監督下に置きまして、出荷者に損害を与えたりしないように、あるいはまた出荷の調整といいますか、そういうことにつきまして配慮ができるような形、そういうことも考えておるわけであります。一つ一つの、この方策によってということで今御指摘のような解決は困難でありますけれども、各方面からまた各種の施策を行いまして、今お話のようなことがないように極力施策を進め、努力しているような次第でございます。

細田綱吉日本社会党

○細田委員 大臣の非常に御真摯な、研究的な態度はよくわかる。わかりますが、今遺憾ながら御答弁を聞いて、たとえば来年の大根が値下りにならないか、あるいは蔬菜が昨年、一昨年の価格を維持できるかと言うと、これは遺徳ながらどうもあまりにも頼りない。言いかえれば農林当局には価格維持の対策がない。申し上げるまでもなく、繊維が供給過剰の状態になると、国は何十億、ときには何百億も融資をして、あるいはまたストック品まで買い上げてやっている。これは鉄の方面でも、石炭の方面でもそうですが、実に痛いところ、かゆいところに手の届くようなめんどうを見ておるが、そういう点は私は繊維業界、石炭業界だけでなくして、全国の農民の問題ですから、これはもっと大きい問題だと思うが、その御熱意がどうもない。大蔵当局が理解がないのかどうかは知りませんけれども、どうもその御熱意がない。それで考えられますことは大臣のおっしゃるようにいろいろ対策はあるかと思いますが、浅学未熟な私が考えるだけでも、たとえていうならば、作付反別の計画化——今年なんか全く適地適作はいいけれども、お前たちは勝手にうんとこしらえて勝手に売れ、こう言う以外の何ものでもなかった。そこでああいうふうなただのような値下りなってしまったと思うのですが、現在農林省には各地に統計事務所がある。食糧事務所がある。そして全国に膨大な農協の網を張っている。これを動員するならば、ある程度の需要の調査もまた可能なわけだ。また東京の市場を通じても、大阪の市場を通じても、大都市の消費の総量も想像がつくわけです。従ってこれらの末端組織、農協の組織あるいは各地の市場等を動員するならば、すでにあるあなたの方の手足で相当の計画性、いわゆる需要供給の数字が出てくると思う。それでそれによって各地各県に反別の割当をするとか何とかいうことは、これはやろうとすれば、現在すでに可能だと思う。この作付反別の割当、それからいま一つは貯備設備の完備、野菜だとかあるいはイモだとかいうもので、相当これは困難なものではあるけれども、貯備設備の完備をするならば、私は相当これは救済ができると思う。あるいは、たとえていうなら、かつて東京市場にはあの膨大な台湾からのバナナを貯備する設備があった。今でもあると思う。これは遊んでいる。もちろんこれは野菜などをそのまま置くというわけにはいかぬ、これはあたたかくする方で、冷たくして貯備する設備が必要ですから、そんなものを転用できるという意味で申し上げるわけでないが、その貯備設備を十分に完備するならば、私は全国の農家にこんな迷惑はかけないで済むのではないか、それに対して農林省は何も今のところは考えているようには思えない。あるいはまたこの前大臣は、私がほかの点で質問したときに答えられたと思うが、農村はあまりにも素材生産中心である、農村の生産を第一次までも加工できない。これは重大な問題ですよ。これによって市場のコントロールが可能なんだから。貯備制度とともに市場のコントロールをするにはこれ以外には手はない。たとえて言うならば、白菜なら白菜を各農協で簡単なつけものにしただけでいい。それ以上の風味だとか辛みとかをつけるのを東京の業者に頼んでも、とにかく塩をたたき込んで貯蔵する方法を講ずるというようなことも、これはちょっと思いつきですけれども、一つの農民の手じゃないか。これは各農家に、お前たち、やれといったって、資金はありません。従ってこういうことをやることが私は農協の使命じゃないかと思う。今の農協は遺徳ながら、これは農協の質問じゃありませんから申しませんが、米麦農協です。米麦の統制が撤廃されてその手数料を取り上げられたら、ほとんど立っていけはしませんよ。きのうはこの法律改正案が出たようですけれども、いかにあなたの方で法律を改正しても、米麦農協である限りは、そうして役所のように九時から、四時、五時まで、もうあとはお前たちあした来いというようなことをやっておっては、遺憾ながら商人には太刀打ちできません。忙しい農繁期に一々農協まで出て一俵の肥料までとりにいく。商人に頼めば夜でも朝でも持ってくる、おまけに盆でも哀れでも手ぬぐい一本でもサービスする。サービスの程度が違うんですから、こんなところでいかに農林官僚が法律の改正をしても、米麦の統制か撤廃されたら、これはほとんど総倒れだと思う。そこで問題は、この農協に対して可能な範囲で、国の金もつぎ込んで、とにかく精密なものはできませんけれども、第一次加工まで農産品に手をつけるということを農協がしない限りは農協は立っていけないし、ほんとうの意味における農家のための農協にはならない。こういうことを考えても、こういう構想について遺憾ながらお答えがない。  市場の方面でもそうです。これはおととしかさきおととしの六月と記憶しているが、農林省が各市場を直接支配するように法律の改正をされているわけです。しかるに農林省は、ただ法律の改正をしただけでほとんどやってないですよ。ですからたとえば私は東京卸売市場で調べてきたのですが、青森のリンゴが一箱現地では三百円、ところが遺憾ながらこれを小売に持ってくる場合には一千二百五十円ですよ、大臣。三百四円の現地のリンゴの東京都民の口に入るときには一千二百五十円、これが市場の実感です。これは中身を申し上げてもいい。産地の原価、荷作り費、運搬費、諸手数料、市場販売手数料、仲買人手数料、小売諸掛り、いろいろ出ておるのですが、とにかく三百円のものが、一千二百五十円にならないと東京都民の日に入らない。しかもその直接の監督権は東京都じゃなく農林省にある。市場法の改正も非常に必要だと思う。こういうことについての大臣からの御答弁は遺憾ながらわれわれを満足させるような御答弁になっていない。ただ諸般の方面から鼻息をうかがっているわけじゃないのです、一生懸命やっていると言うが、的のない矢を幾ら放ったってだめです。  そこでこういう問題について、たとえば貯備制度をどうするか、反別の割当に対する調査をどうする、あるいは第一次加工に移る方法をどうするか、市場操作についてはどうするかというような点の具体的な御意見を伺わせていただきたい。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 根本的に御了解いただかなくちゃならぬことは、先ほどから申し上げましたように、国が統制経済をしているのじゃない、私の方で全部を統制する経済制度のもとにないということであります。しかしながら農林水産の関係は、日本の経済構造においても脆弱なる面でありますから、私どもとしていろいろな法律に基いて、価格の点でも主要農作物等においては生産額の七割以上を価格支持をしている、こういうわけであります。そのほかにおきましては先ほど申し上げましたにように、いろいろ方法をとっておるのでございますが、御指摘のように十分にはいかぬということは認めています。そこで具体的に作付反別の割当をしたらどうか、農林省にも出先機関が相当あるじゃないか、こういうことでありますが、ごもっともだと思いますので私どもとしても、出荷調整協議今といいますが、そういうものを聞いたりして、市場の状況や農産物の種類による反別がどういうふうにふえたとか、ふえる傾向にあるとか、こういう警告を発しておるのであります。しかし現実に作付反別の割当をするということを見ますと、これは統制経済的なことになりますし、またかりに割当をいたしましても、その割当はどういう目途で幾らの収入を得るために幾らの反別を作れというような根拠で割当をするということになりますと、それに対する損害補償というようなことも請け負わなければならぬと思いますから、補償しなければでき得ないことだと思うのであります。ところが御承知の通り今土地に対しては国が管理をしているわけでもありませんし、作付の割当ということにつきまして、そういうことが十二分にできるかできないかという問題もありまするし、またこれを行う法律的の根拠も持っていないわけでありますので、私どもといたしましては、作付の指導というようなことについてはお話のように各方面でやっているのでありますが、これが徹底しないうらみがありますことは御指摘の通りであります。しかし、やりっております。  それから農協の話が出ましたが、やはり一面においては政府だけではこれが調整をすることになかなかむずかしい点もありますので、やはり農民の団体でありまするところの農協などが、今お話のように主食ということのみでなく、こういう流通方面あるいは加工方面等についても力を入れてほしいのでありまして、私どもといたしましては督励をいたしております。加工等につきまして、たとえば第一次加工をしたらいいじゃないかというお話でありますが、そういう点も奨励しておりますが、三重県等につきましては大根をつけものにしてずいぶん広くやっております。ところがやはり値下りをして、今度はつけもので困っているという状況も実はあるのであります。しかしながらそういうものを捨てておくというわけではありませんので、先ほどお話申し上げましたように情報の提供をしていこう、たとえばトウガラシならトウガラシの方は輸出はこうなっているとか、あるいはまた蔬菜の点についてはどうこうという情報を提供する、そうして農協その他の団体を通じ私どもは豊作貧乏にならないようなことに持っていきたい。こまかいことになりますと、担当の事務官からいろいろな対策について申し上げたいと思いますが、決して放擲しているわけではございません。しかしお話のように十分にいかないということだけば私も認めているわけであります。植付時期とか、あるいは出荷時期、あるいは先ほど申し上げましたように、出荷地ごとに農林省が情報調査、出荷計画の調整を行わせるということもいたしております。特に果樹の話も出ましたが、園芸調査会を今度設けることに予算でもお願いしておりますが、こういう機関も通じてやっていきたい、それから生産地と消費地の価格が非常に違う、これは私も残念に思うのでいろいろ手を入れていきたいと思うのですが、小売の問題と非常にからまってくるのであります。牛乳もそうでありますが、小売商といいますか、いろいろ中間経費もありますが、小売商が非常に多くて、小売のマージンが非常に多いというような点も生産地と消費者の価格に相当の開きが出てくるということであります。この小売を統制するということも実際言うべくしてなかなかむずかしいことであります。しかし中央市場法の改正等によって中間経費を少くしていくような方向へ進めていきたいと考えております。

細田綱吉日本社会党

○細田委員 大臣は非常にご正直であるだけに、もちろん現在は自由主義経済というものの中でお仕事をされているのだが、あまりにも遠慮され過ぎているのじゃないか。さっきも一つの例をあげたように、繊維の方では過剰状態になった、だから遊休設備というか、過剰設備を国が買収までしてやる、資金なんかも貸してやるというのは要らぬことでしょう。造船でも計画造船をやるというように、あまりにも国が、力のある連中にどんどん金と犠牲を払って、そういう計画を最も必要とする農民の方へは、自由主義経済の中では気の毒だがわれわれはそういうことはできない——あまりにも遠慮をし過ぎているのですよ。商工方面ではもっと露骨に資本家援護の政策をとっているのですよ。だから国のエネルギーとたくさんの金が向うに流れているんだから、あなたがあまり良心的にやっておりたっておかしいですよ。だからあなたの方が作付反別の割当をするなら、補償しなくちゃならぬといっても必ずしも全額補償しなくてもいいし、それからまた何もしなくともいいとも私の口からは言えないが、一つの計画を出して勧告するだけでもいいでしょう。現在それが行われていないのです。お前のところは白菜をこれだけ作れ、お前のところは何をこれだというような勧告も何もしないでしょう。何もしてないからわからない。だからスイカをうんと作るとただのようになる、白菜をうんと作るとただのようになる。みんなそういうことになる。あまりにもしていないということなんです。これはある程度まで指示というか、勧告している、そんな御答弁だったが、現在やはりそれをしておられるのですか、伺っておきたい。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 直接のルートを通じてはしておりませんけれども、みな関心を持っていますので、農協等やその他を通じてこれについての方法は講じております。しかし今お話がありましたように、農産物は天候にも支配されます。そう工業生産物のように簡単にその結果が現われないといううらみがあることは御承知の通りであります。でありますから全般的に指令を発して、どこは何反作れ、こっちは何町歩作れ——これは農産物の種類も多いので、言うべくしてそう簡単に、統制経済でない今の経済下においてはできるものではないと思います。でありますから市場の状況とか作付の状況とか、また輸出農産物については輸出の状況とか、そういうものにつきまして情報を出して、インフォーメーション組織を作る、こう申し上げておるのであります。あるいは作付の反別等につきましても、割当はいたしませんが、どういうものを作っておると価格が下落するのじゃないかという予想ができるような方法を講じていく、こういうふうに申し上げておるのであります。  それから遠慮しているということでありますが、私も別に遠慮いたしているわけではございせんで、制度の実態から申し上げただけであります。  農作物に対してほっておくかということでありますが、ほっておらないということは、先ほどから繰り返し申し上げておりますように、農作物の七割以上は価格を支持しているのであります。米、麦、繭、繭につきましても繊維でありますが、これは一般の繊維業者から言わせると、繭の方にあまり重きを置き過ぎていやしないかと言われますが、そんなばかな話はないということで、最低価格の支持価格にいたしましても、まだきまらないうちから生糸も繭も最低価格を支持するといって買上げのワクもふやす、あるいはまた生糸の保管の資本金ですか、これに対しても金を出していくというようなことで、放任しておらないどころか、今の自由主義経済下におきましても相当な方途を講じているということだけは御了解願いたいと思うのであります。遠慮しているとか遠慮してないとかいう見方もありましょうが、遠慮しませんで極力農民のためにやる覚悟でやっておるのでありまして、遠慮し過ぎているところは激励してもらえば、なお遠慮しないでやります。

永野正二農林事務官(振興局長)

○永野政府委員 ただいま問題になっております蔬菜類の最後の値下りの状況につきまして、御参考のために大臣のお答えに若干最近の数字をつけ加えておきたいと思うのでございます。三十年の作付面積は蔬菜全体では五十三万一千町歩から五十四万九千町歩にふえておるのでございますが、そのうち最も著しい伸びを示したのは果菜類であります。十九万一千町歩から十九万九千町歩にふえております。これはおそらく最近の全般的な消費の動向から申しましてトマトその他の果菜類の需要がふえており、その需要に正当にマッチして作付がふえていると思うのであります。今値下りが非常に問題になっておるのは葉菜類でございますが、三十一年の十五万八千町歩に対しまして、三十二年は十六万二千町歩、約四千町歩の伸びであります。これはほかの果菜類等の伸びに対しましてははるかに少い伸びであります。ただ本年の冬は、特に気候が割合暖かかったことと、適時に雨が降りましたためにこういう葉菜類が相当増収になったのでございます。私どもといたしましては、今後もこういう生鮮食料品、いわゆる貯蔵のきかない出荷のむずかしい品物につきましては、先ほど大臣からもお答えがありましたように、できるだけ作付時期に十分なインフォーメーションを農民に与えまして、また出荷時期には、その出荷時期の情勢、情報を十分に農民に与えまして、農民の共同の出荷態勢を助長していきまして、今日のような問題をなるべく未然に防いでいきたいと考えているわけでございます。

細田綱吉日本社会党

○細田委員 農林官僚になると長生きするというのはあなたの答弁にそれが出ておる。あなたは五十四万町歩になって作付面積がふえているが、それは需要にマッチしたからふえたのだろうと言うが、農民はそんなものではない。たとえばサツマイモにしたって、おととしの前は非常によかった。ところが一昨年はあげてサツマイモを作り出した。十八億何手万貫かできてしまった。これにこりて去年は十四億何千万貫に減って、価格調整もあなたの方の措置もよかったせいもあるが、価格の維持ができた。需要が多くなったから作付反別がこうなったというようなことを言っておるから、百姓は困る。農林官僚が長生きする原因がそこにある。需要が多くて供給がこれにマッチしたというようなばかなものの見方は、現在の日本の農村には通用しません。  そこで大臣に伺いたい。今大臣は貯蔵設備も非常にけっこうだと言うが、これに対する予算措置は全然出てない。第一次加工も出てない。やはり自己資金でやれということだ。これはできない相談でしょう。これは実態を申し上げなくても、大臣の方がよく知っておる。市場法を改正されて農林省が直接監督されることになっておりますが、現在どういうふうに監督されておりますか。もう一ぺんおっしゃってください。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 貯蔵設備でありますが、これは個々の農家に貯蔵させるといっても零細なんですからできません。それで先ほどからお話がありましたような出荷協同組合とか、あるいは全体の協同組合において出荷貯蔵設備をするということが筋だと思います。これは今さら申し上げるまでもないことです。そこで、これに対して補助を出しているかということでありますが、直接の補助はいたしておりませんけれども、農協等の育成強化ということにつきましては、私どもといたしましても力を入れておりますので、そういうところから私は盛り上ってくることも一つは期待しておるわけであります。そこで政府においては補助はしていないということでありますが、融資の面におきましては相当そういうことを進めておるわけであります。たとえば融資ではありませんが、魚類などにおきましても、ことしの予算におきましては、加工流通方面に対する予算も十分ではありませんが、計上いたしております。直接の予算は、農産物所得の七割以上につきまして、価格安定という形で行い、きのうも補正予算の審議をいただいたように、これは農産物の損失ばかりではありませんで、利益もあったりいろいろいたしますが、三百十億というような補正予算も食管会計としておりまするし、その他酪農基金だとかあるいは価格安定の基金だとか、こういうことをして価格の支持ということをはかっておるわけであります。今直接の補助はいたしておりませんが、農林関係の金融機関からの融資をもってそういうもの等については金を回していく。これは農民個人々々にはいきませんけれども、御趣旨のように共同出荷態勢という形で、協同組合とか出荷組合という力を集めたところへ融資をする、そういう形で貯蔵設備の方法についても考えておるわけであります。

細田綱吉日本社会党

○細田委員 次に、大臣の御答弁もちょうど農協の資金の問題に入りましたから、私も農林金融というか農業金融のことをお伺いしたいと思います。  大まかに見て、三十一年九月調べですが、日本の銀行その他のあらゆる貸付残額が五兆五千二百十四億円、その中で農林漁業に対する貸付額はわずかに八%、情ない話だけれども八%、これはあなた方の方の農林省の統計ですが、この農業読本というのをよむともっとひどい。農林金融はわずかに一・七%、この農業読本はどういう観点から調べたか知りませんが、一・七%であって、しかもそのうちの八二%が農林中央金庫だ、こう言っている。これは東洋経済新報社ですから、あなた方の方の統計を信用するとしてもなおかつ八%、全国の農家に対してこの程度の金しか現在回っていない。申し上げるまでもなく、土地の改良をするといっても、作付の転換をするといっても、家畜の導入をするといっても、あるいは農機具の改良をするといっても、動力の利用をするといっても、何一つ金の伴わないものはない。しかも金がこの程度にしか回っていないようでは、これは農家の金融状態は断じて改革されない。その結果あなた方の白書にも出ておるように、どんどん兼業農家が多くなっている、小作人が多くなっている、驚くべき統計をあなたの方が発表しておりまするが、かつて昭和二十五年には一%しか小作人がなかったのが、現在では約三%近く、二%幾らというふうに小作人が非常にふえている。これは、あなたが就任中に小作人がふえているということを大臣はどう思われるか。この傾向は激烈をきわめている。いわゆる農村の階級分化が激烈をきわめております。これは大臣はほんとうに真剣に取っ組んでもらわなければならぬ。これというのも結局金がないからです。何をやるにも金です。それは積極的な方面に要る問題にしても、家族の吉凶禍福——盲腸を切るなんていうときにはどうにもしようがない。それで田畑を質に入れるか売るかというようなことになってしまう。そこで今申し上げたように、全貸し出し残額の八%というような貧弱な状況に、日本の農村に対する金融政策をこのまま置いておいていいのか。このままであってはならぬから改善するというならば、どういうふうに大臣はお考えになっているか、この点を一つお聞かせ願いたいと思います。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 先ほどのお答えの中でちょっと申し落したことをつけ加えておきます。加工設備等につきまして直接補助をしていることはないというように申し上げたのでありますが、ただ御承知のように、新農村建設の指定村におきましては、共同施設としての貯蔵所、またそれと関連いたしますが、病虫害の共同防除というようなことでこの補助はいたしておりますから申し添えておきます。  それから、ただいまお話がありました金融の問題でありますが、農林漁業者に対しまして金融機関並びに政府機関から貸し出されている年間貸し出し残高でありますが、これは今御指摘のありましたように、三十二年の九月末では五千三百六十八億円です。でありますので、お話のように総貸し出残高の六兆八千億円に対して約八%という比率となっています。これは国民総生産額中に占める農林水産業の生産額にちょうど比例するような数字になっております。しかし、農林水産業の総生産額に対する融資額の比率は一八・六%でございます。それから、国民総生産額に対する総融資残高の比は一六・七%でありますので、農業に対する投融資の率が必ずしも低いとは言えませんけれども、農林水産方面におきます融資は、先ほどから申し上げておりますように、生産の長期性あるいは経営の零細性、低収益性などによりまして投資効率が低いのであります。そういう関係から、農業の生産性を向上するためにはお話のように投融資の充実をはかることが大事だと考えておりますので、政府といたしましても昭和二十八年に農林金融公庫を創設いたしたことは御承知の通りでありますが、その公庫が発足以来貸し出し規模を拡大しておるということ、これまた御承知だと思います。三十二年度においては三百五十億円でありましたが、三十三年度は三百七十五億円というふうにワクを広げております。また今度の予算に関係いたしまして自己回収資金までも入れてどれくらいの融資額になるかというと、五百八億くらいの融資を保証することに相なるわけであります。財政投融資のワクを拡大することも一つでありますが、同時に系統金融の預貯金を充実する。それからこの前の委員会でも申し上げたかと思いますが、系統金融の中で市中銀行等に、金利が高いということで預けている、こういうことでは農林漁業金融の本来を誤まるものでありますので、こういうのは調べた上で警告を発して、農林水産の方に回すようにいたしておるわけであります。預貯金の力も非常にいい成績をおさめております。また農林中金などにおきましても、昭和三十二年から二回にわたって貸し出し利率を引き下げておるということで、利率の点についても考慮されております。しかしまた実際借り入れの手続等において煩雑だというようなことで、せっかくの資金の借り入れをちゅうちょしたりする向きもありますので——これは金融でありますからむちゃに貸し出すわけにいきませんけれども、貸し出し手続等については簡易化をはかりたいと考えております。  それから小作農が非常にふえてきたということでありますが、細田さんも御承知の通り、今地主が小作に入れるということはほとんどないといっても過言でないと思います。小作人がふえている傾向というものはやはり次三男対策というか、人口の問題で、次三男に自分の小作地を分けることによる増加も私は相当あると思うのです。地主が新たに小作人に入れるということでありませんから、小作人の増加は、やはり生産の低いということ、それから次三男が小作地を分けてもらっていくというようなことでふえておるというふうに私は分析いたしたいと思うのであります。しかしそれにいたしましても、そういう傾向は憂うべき傾向であります。これは次三男対策、日本の人口問題、そういうむずかしい問題と取っ組んで解決していかなければならぬ問題だと思いますが、次三男対策とか土地の生産性とかあるいは開墾、干拓による土地の増大、あるいはまた今申し上げましたように価格の支持、こういう政策によって収入を上げて、人口の収容力を増すというか、農村の収容力を増すということも考える。あるいはまた他産業への吸収ということも考えなくてはならぬ問題であります。これは他産業との振興とにらみ合わせて考えなければならぬ問題だと考えております。金融の面についてはワクを拡大し、系統預貯金も増大いたしまして、また手続等におきましてはできるだけ簡素化をはかって、金融による裏づけをしていく、こう考えております。

細田綱吉日本社会党

○細田委員 大臣の希望するところ並びに希望的観測はよくわかる。その前に伺っておきたいのは、財政投融資のもとをなす郵便貯金あるいは簡易保険等の農村から吸収する率は、全部集まったそういう金のどのくらいでありますか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 数字にわたりますので、私今その表を持っておりませんので、事務当局がもし知っておれば事務当局からお答えいたします。

齋藤誠農林事務官(大臣官房長)

○齋藤(誠)政府委員 郵便預貯金に占める農家の比率がどのような状況になっているかという御質問でございますが、従来からの傾向を見ますと、農村部の資金量というものが大体過半を占めておることは明らかでございますが、今最近における具体的な数字について持ち合せておりませんので、さっそく御報告、御連絡いたします。

細田綱吉日本社会党

○細田委員 官房長の御説明では大体過半を占めておるということですね。そこで大臣が政治的生命を賭して大蔵省にその原則を確立してもらわなくてはならぬのは、農村から吸い上げた金を都会の大きな資本家の方に回してしまうのはもってのほかのことです。金が農村にダブついておるならもちろんけっこうだけれども、これだけ金日照りの農村を見殺しにして、その金をみな都会の方に流してしまうことはもってのほかだと思う。従ってそういう財政投融資の資金源というか、農村から吸い上げた金はやはり農村に還元するという原則を確立しないと、あなたのおっしゃったように八%しか上回っていないということになってしまう。これでは農村が助かる瀬はない。大蔵省は一生懸命貯金しろ貯金しろといって貯金を勧める。老後のために簡易保険に入れといわれて入る。何でも政府のいうことを聞いておると、だんだん貧乏になっていくもとになってしまう。これは政府の威信にもかかわるし、言う通りになけなしの金を郵便貯金にしたら都会に持っていかれるということではいけないと思う。農林中金その他系統農協の方面に対する融資をするにも、原則として農村で集まった金は農村に流してもらうという態勢の確立を願えないものか、この点の見通しをまず伺いたい。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 農村の金は農村に返すべきだという御主張に同感でありますので、実は農民の自覚というか、やはり農協なども相当強化して農民の貯蓄等については農協等に預け、それを地方農村の仕事に使っていくことにすべきだということで、そういう方針を、またそういう考え方を持っておるのは、今の細田委員のお考えと私も全く一致しております。ただ預貯金として農村から出たものを全部農村で使えるような原則というか話し合いを確立することにつきましては、全産業の関係からのにらみ合せもあろうかと考えますので、それをそうはっきりさせることにはいろいろな困難があろうかと思いますが、考え方においては、またそういう気持を持っておりますことについても、私は同感であります。

細田綱吉日本社会党

○細田委員 さらに伺いたいのは、大臣のおっしゃる点は、考え方は同じだが、しかし現状は結局はどうにもならぬということだと思う。そうしか私には聞えないのです。そこで考えられることは、昔農工銀行というのがありました。その後の勧業銀行です。それを時代にマッチしたように長期にして低利の不動産銀行、不動産金融を主にした金融機関をこしらえてもらいませんと、あなたのところで今度はこ五年ということですが、各国の例から見ても、十五年というのはごく短期です。日本にすれば長期でありますが、各国の例からいえばごく短期であります。もっと二十年、二十五年、三十年の長期で農村金融が不動産担保のもとに行われないものか、これは一つ十分考えていただきたい。そうしないと、あなたの金融政策でも八%しか回ってこない、どうも全体の産業とにらみ合せてどうにもならぬというのだったら、完全に日本の資本主義というものは農村のしわ寄せによって成り立っている。これを是正しなければならない。あるいはよその金融機関からいろいろ文句は出るかもしれないけれども、長期低利の不動産金融の銀行あるいは貸し出しの窓口を一つ設けて、二十年、三十年の低利の金を農村に貸し付ける制度を確立しないと、農村金融はどうにもならぬと思うのですが、この点の御意見をお伺いしておきたい。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 元の農工銀行、勧業銀行等のような農村金融機関を作ってはどうかという御意見でありますが、現在といたしましては、国会の同意も得ました農業改良法による資金というものによって相当まかなっておる面や、あるいはまた農林漁業金融公庫、農林中金というような形で金融をいたしておりますので、今直ちに農工銀行的なものを作るかどうかということには検討を要すると思います。というのは、今も御指摘のようにそういうものが成立する条件といたしましては、不動産を担保として取らなければなかなか成立いたしません。そこで今の農地を担保とするということで、返済不可能になった場合にその担保をほかに競売するとか何かによって移転するというようなことを原則的に認めていけばいいのでありますが、私はやはり自作農ということでその土地を保有さしていきたいというのでありますので、自作農の維持が困難だというような場合には、自作農維持資金等によってこれを維持さしていくというような制度もあります。担保にしてこれが流れてもいいというような建前に立ちますと、これは成り立つと思うのでありますが、その辺の研究がまだ十分にいっておりません。実は大蔵大臣なんかは、そういう銀行を作っちゃって補助をやめたらいいじゃないか、こういう意見があるのです。非常に強い意見です。農林関係は補助が多いから補助をやめてしまって、銀行を作ってその銀行から金を少し回してやったらいいじゃないかという、これは個人的な意見で、別に省議や何かでそういう話があったわけではありませんが、そういう考えを持っております。だから不動産の担保ということをどうするかというような問題はよほど検討いたしませんと、直ちにそれがいいというわけにも参らぬと思っておりますので、これは検討を続けていきたいと思っております。

細田綱吉日本社会党

○細田委員 さらにこの点は研究していただくことを要望しておきます。というのは、現状においては法律の改正を必要とするし、またそう簡易に不動産の移動を認めてもこれは農家の不安定を来たします。ですから、二十年、三十年の長期にして低利の金を、かつてのドイツで施行しておったような、一つの不動産、耕地を家産化して、その家にくっついたというような構想のもとに一つの抵当物化する方法というものがあり得る。これは一つ十分御検討を願う。そこで不動産の担保金融機関は別として、農村が金に非常に詰まっておる。そのためにいろいろ農村の熾烈な階級分化が今行われているということなんです。そこで最近新聞をにぎわし、参議院でもこれを取り上げておられるようですが、中央金庫の二億七千万円の日本農工に対する浮き貸しです。ある人の——これは私調べていますから真かうそか、あるいはまた真であるならば大臣にまた御答弁願うことになるのですが、ある農林省の枢要な位置を占めておった人の意見です。これは官僚出身というわけではないが、この人の意見によると、農林中金の金は二百億ないし三百億ほかへ出ておる。農林漁業関係以外のところへ出ている、こういうことを言っている。で、私は今それを調べていますから、その点はさらにまた大臣に御答弁願うことがあるかもしれませんけれども、それは別として、この金日照りに、二億七千万にしろどうしろ、よそへ、こういう会社に浮き貸しをするに至ってはもってのほかなんだが、この真相を簡単に御説明願いたい。さらに農林中金のあり方についてこれでいいかどうかということも一つ御説明願いたい。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 日本農工の問題はなお事務当局から御説明申し上げますけれども、終戦まぎわに北海道で肥料が非常に不足いたしましたので、魚かすを販売する会社ができたわけであります。その会社へ中金から金を出しましたところが、この会社があまりまずいので、これを改組いたしまして、何という会社でしたか、ゴムぐっとか農村用の物資ですか、そういう会社と合併いたしたのであります。これは終戦直後物資不足の時代に農林中金としても肥料の問題やら、ゴムぐつとか、そういうことで必要だろうということで貸し付けた。それが焦げつきまして今のお話しのようなことになったのでありますが、今整理をいたして、それを担保にしておるものがありますので、それを買い上げて、それを処分するということになれば、その損失はずっと減ってくるわけでありますけれども、それにいたしましても損の残が出てくるわけであります。そういうことでありますので、これは終戦直後でありますから、ずっと古い問題でありますが、そういうことが出ましたので、当時の中金の役員などにつきましても異動をしてやるというようなことになっていますが、まだこの跡始末ができておらぬ、こういうことであります。お調べのようですから私より知っておると思うのですが、なお私の方でも調べたものがありますので、事務当局から必要がありますならば申し上げたいと思います。  中金から農林関係以外に金が流れておるということはどうかということであります。私どもといたしましても、これは極力そういうことがないように監督いたしております。ただ農林水産関係でありまするから、直接ではなくても農林水産に関係あるところに金が融資されているということは、ある程度はあってもいいのではないか。実は農林漁業金融公庫の法律の改正案も提出いたしまして、御審議を願おうと思っておるのでありますが、系統農協という系統関係ばかりでなく、農産物の、先ほどから言われております価格支持をするというような建前のものについては、農林関係の金を融資するというようなことも必要じゃないかと実は考えておるのであります。たとえば例を申し上げますならば、先ほどからお話が再々ありましたが、農産物の価格の支持をしております澱粉でありますが、サツマイモの価格が下落しては農家が困る、さりとてあまり高いものにいたしますと、さっきお話のようにだれもかれもサツマイモを作るということで、作ってみたらまた価格が下る。そしてまた維持するということで、農家経済とマッチしないようなことになっていっても、これは農業政策としてもまずい。そういうことで精製ブドウ糖というようなことで、澱粉の処理も考えればいいのではないかというようなことを、皆さんの御意見もありますし、私どももそういうふうな考えを持っております。そういうようなことで、農産物の価格の支持ができる、また支持を事業とするというようなことであるということならば、直接の農業関係でなくても、一つ融資の道を開いたらどうかというような考えを持っておるのでありますけれども、これはいろいろ審議の過程において御意見も承わって進めていきたい。そういう考えもありますので、面接農業でなくても、農林水産に関係しておることにつきましては、中金の融資もある程度あることはあってもいいのではないか、そういうように考えておりますが、非常に不当な、今の例に出ておりますような焦げつきを結果するようなものとか、いろいろないきさつから農林中金の本旨を離れるようなことにつきましては、なお監督を厳重にしていきたい、こう考えております。

細田綱吉日本社会党

○細田委員 今農林中金では幾ら以上——そういう関係方面に貸し付けるというようなことは根本的に疑問があるが、かりに許されるにしても、幾ら以上の貸付は農林大臣の許可を得るというような制限があるのですか、この点を伺っておきます。

齋藤誠農林事務官(大臣官房長)

○齋藤(誠)政府委員 先ほど農林中金の勘定の中において、系統外の融資がどのような状況になっておるかというようなお話もございましたので、関連してお答えいたしたいと思いますが、三十二年十二月末におきます中金の貸し出し残高の総額は一千六百十一億になっておりまして、そのうち所属団体に対する貸し出しは六百四十一億になっております。それ以外のものがいわゆる非所属団体に対する貸付でありますけれども、この貸付残高の中におきましては、いわば中金の余裕資金を一時コール・ローンに出すとか、あるいは銀行間における融資をするとかというものがございますので、いわゆる非所属団体の関係企業に出しておるもの、たとえば肥料会社であるとか、あるいは澱粉会社であるとかというものに出しております金額といたしましては、四百億ということになっております。これらの資金の貸し出しにつきましては、余裕金の運用ということで貸し出しを行なっておるのでございまして、原則として農林大臣の承認を受けて貸し出しをする、こういうことになっております。

細田綱吉日本社会党

○細田委員 非所属団体に対する貸付の一覧表は、後日一つ当委員会に資料として御提出願いたい。これは一つ委員長、お取り計らい願います。  それからさらに第三点でありますが、農地の造成です。本年度の予算でも農地に対する投資は相当行われるという計画であることはわかるのですが、総面積において大臣は日本の耕地はこれでいいと思っているのか、あるいはもっと大胆に耕地の造成に踏み切らなくてはならぬとお思いになっているが、この点一つ伺っておきたい。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 今の人口あるいは農村人口を養っていくためには二つの方針があるわけであります。一つは耕地の造成ということでありますし、一つは既耕地等において土地改良等を行いましてその生産性を高めていく、こういう二つの方法を考えておるのであります。現在の耕地そのものだけで満足しているのではありません。

細田綱吉日本社会党

○細田委員 農林省の関係の土地利用調査研究協議会ですか、これの法制化をはかっておられるということですが、その構想を、もしあれば伺いたい。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 法制化ははかっておりませんけれども、土地につきまして、たとえば畜産を奨励していくということに対しては、草地造成ということが大きく取り上げられているわけであります。草地として造成すべき土地が荒れておったり、あるいはまたこれは山にした方がいいのだというようなこともありましょう。あるいはまた開拓開墾可能面積ということも見てありますが、これにつきまして、それが適当であるかどうかというようなこともありますので、土地利用の区分ということを一つ調査して、ほんとうにその土地本来の生産をあげ農業政策に寄与するように、その土地を利用するように調査していく、こういうことで予算を御審議願っている中にそのものが入っているわけであります。

細田綱吉日本社会党

○細田委員 これは四十五人と新聞に出ておったのですが、四十五人も大ぜい集めてごちゃごちゃやっておったら、議論で日が暮れてしまいはしませんか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 これは各県等でもやっておりますし、また従来も相当の調査をしております。これは会議を続けているわけでございませんで、現地についても調査をいたしますから、四十五人集まってその日を暮らしていくと、こういうことでございませんし、適当に私指導してやりますから、御了承願います。

細田綱吉日本社会党

○細田委員 三十二年度のこの調査研究会の発表か、あるいは農林省の発表か知りませんが、まず土地の利用の高度化について、開墾可能地——開墾と思いましたが、二百五十万町歩ないし三百万町歩、こう出ておったと記憶しております。昭和二十四年の農林省の調査には、この約倍の数字があげられておったのではないかと記憶しておりますが、これははっきりしません。これを早期に農家に解放することが私は日本の農政の上の重大な問題ではないかと思うのです。大まかに見て神武景気が神武以来の不景気になってしまったという大きな原因も、これは申し上げるまでもなく、保有外貨がどんどん流れていって、三億ドルになって、まごまごしておったら穴があきそうになったということと、その輸入の大宗の一つは何かというと食糧で、予算委員会で大蔵大臣の説明を聞いておっても、綿花を入れると五、六億ドルだとかいう説明を聞いたのですが、輸入の大宗だということは確かだ。こういうことを考えてみて、日本内地に食料増産をすることのできる土地を、そのまま未開の土地というか、きわめて低生産の位置に放置しておくということは知恵のない話であるが、大臣としてはそんなものは要らないのだ、外国から幾らでも七千二百円の米が入ってくるのだから、日本では要らないのだ、従って耕地の造成はもういいかげんにしておこうじゃないかという御意見なのか。私は年々二千億の食糧を輸入するというような日本の永久のガン——ガンである限り永久でありましょうが、日本の輸出入から見てもガンと言える食糧の輸入を防止するためにも非常に必要なことだと思うのだがこの点に対する大臣の御所見を伺いたいと思います。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 農林政策あるいは予算の面でも再々御説明申し上げておいたのでありますが、私どもといたしましては、今のお話のように、外貨を使って食糧を買うということは日本全体から見ましてもいいことじゃない。でありますので、総合食糧の自給力を増していくということは強く考えております。従って予算案にもお示し申し上げておりますように、土地の造成にも力を入れるということで、開墾、干拓等の予算も相当額を計上いたしておりまするし、既耕地につきましても、土地改良の費用等を相当額、本年度の予算案においても御審議を願うことにいたしておるわけであります。その他主食ばかりでなく総合的な食糧自給対策を立てていきたい、こういう方針をもって進めているわけであります。

細田綱吉日本社会党

○細田委員 そこで伺うのは、終戦後の農地解放のような低価格で農地を解放しろといっても、これは今は事実上無理であります。ところが、日本の旧地主層はどうも社会党の政策はただ農地を取り上げるので、これは非常に警戒を要するというように、必要以上の警戒心を持っていると思う。そこで現実に自民党の政策としてもなるほどと納得できる一つの案を申し上げるわけですが、特別高くあっては困るのだが、適正な価格で二十年、三十年の長期償還、そこでこれもまた高くては困るが、適正な利息をつけておいて、その利息は大蔵省—政府が補償する、そういうふうな方法でやるなら、日本の地主もあげて賛成してくれるし、あなたの行政上もじゃまが少くて、この前のように地主の団体が二万人も二万五千人も来てごたごたするというようなことがなしに済ませるのじゃないかと思うのですが、この点いかがですか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 今の施策も一つだと思いますが、お話の地主というのは、地主、小作人のあれじゃなくて、山林あるいは牧野みたいなところだろうと思うので、これにつきましては、やはり所有権がありますので、お話のように適正な価格ということならば今よりもっと進めいいと考えております。ただ、それについて大蔵省から補償するということになると、やはりお話のように、地主に補償しても、というようなことにもだんだん通ずるようなことにもなりますが、そういう点いろいろ研究いたしませんとにわかに結論を申し上げるわけにいきませんが、いろいろな点におきまして造成をはかっていきたい、こう考えております。

細田綱吉日本社会党

○細田委員 かつて法務省提案の、これは戦争前の話で、あなたも御存じだと思うのですが、不動産抵当証券法とか抵当金融法とかいうので、不動産を提供してそれに市場性を持たせておる。これも現在そういう法律があるかどうかその点は知りませんが、そういうようなことで一つの地券を発行するならば、山林地主の方でも全額ほしいと思ったら市場へ売り出せるわけです。換価処分もできるのだし、持とうと思えば適正な利息も入るわけですから、これで一つ大胆に踏み切る必要があるじゃないかということは私が今さら申し上げるまでもございません。日本の一戸当りの耕地は八反六畝くらいですから、このままにおいて日本の農家は立っていくはずはない。おまけにさっきも言ったような農業金融のありさまではどうにもならない。何といっても耕地をもっと大きく与えることが日本の安定農家の基礎条件です。これは農地の改良もいろいろ必要でしょうし、農産物の価格維持も必要ですが、もちろんそれも重大な要素であるけれども、遺憾ながら東京のきわめて周辺、大阪の周辺等という特殊な土地を除いては、八反六畝というような耕地においては、日本の安定農家の建設は実際不可能です。従ってこれを断行されるならば、日本の画期的な農家の救済になり、農政の前進になると思うのですが、本年度の予算を拝見するといろいろ出ております。干拓もあるし、また開墾もあるのだが、これも従来から申し上げておるからこれはさらに申し上げませんけれども、今までの開墾、干拓の成果がどうも農林省の発表しているような数字に果して行われておるのか、また一たんできるけれどもまたすぐ原状に還元してしまうのか、それはわかりませんけれども、どうも農林省の発表するような数字の成果は上っていない。そうすると、日本の零細農家の救済というか助成ということは百年河清を待つにひとしいと思うのですが、現在農林省は安定農家の耕作規模はどの程度を適正と考えるか、いつまでにそれを完成しようと考えておられるのか、その点を承わりたい。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 これは全国違っておりますので一がいに何反ぶり、何町ぶりというわけにはいきませんけれども、今のような八反ぶりやそこらでは実際はやっていけないのでありますから、これは一町ぶり以上こさなければやっていけないということは御承知の通りでございます。でありますが、これは土地々々にもよりますし、条件等も違いますので、一がいに適正規模は反別だけできめるということ——きめればきめられないこともありませんが、しかし実態に沿わないようなことできめていく、あるいは見通しまするというようなこともちょっとむずかしいかと思います。しかしこれは多いほどいいのです。今のようなことではとてもこれはやれない。それから開墾、干拓等につきまして、既入植者等につきましては戦後の混乱期でもありまするし、それからまた緊急開拓でもありましたので、いろいろまずかった点もわかっております。農林省の発表は間違っておりません。そういう間違っている点がありますので、実は今度も旧入植者につきましては利子の率を下げるとか、あるいは旧債の借りかえとかあるいはまた金融の道を広げる。それで新しい入植者につきましては、新しく入ると同時に収納できるというような形にして、戸数は少し減らしましたが面積を広げて、そうして入植するやいなや、入植と同時に収納ができるように、営農体系それから建設等につきましても配慮を加えたわけであります。御指摘のようなことは私ども承知しておりますので、これには大きな改革を加えていきたい、こう考えております。

細田綱吉日本社会党

○細田委員 あなたの方の調査の発表を拝見しても、たしか二町までは何百円かの黒字が出た。何千円じゃないですよ。あれは私今ここにデータを持ってこなかったのですが、二町になると何百円の黒字で、それ以下は赤字であったというように私は記憶している。もちろん二町の規模に引き上げるということはなかなかむずかしい話ですが、大臣のおっしゃるように八反ではどうにもならぬ、これはもう大臣がおっしゃった。そこでやはり日本にはとにかく三、四百万町歩という畑やたんぼになるところがあるのですから、また大臣のおっしゃるような畑地灌漑の電力もあるのですから、だからこれで日本の適正規模な農家を創設するということは必要なんです。喫緊事ですよ。あなたはまだたっておられないようだけれども、実際問題としてあなたは十年も大臣をやっておられるわけではないと思う。あなたのおる間に計画くらい立てて第一歩を踏み出していかなくちゃ。場所によっては、もちろん北海道と関東と東京周辺と茨城県の端っこと同じだなんという乱暴なことをわれわれだって考えていないが、とにかく平均の耕作反別を適正規模に引き上げる、そうして二町歩にならないにしても、あとはあなたのいわゆる生産性を高めるということによって日本の農家が農業外収入にたよらなくても安心して百姓と取り組んでおられる農家を創設しないと、これはばかでなくては百姓はできないというような言葉はほんとうになってしまう。ここで一つさらにあなたとしてお考えの余地はないか。  いま一つ申し上げておきたいことは、フランスが六一%あるのだとか、イタリアが六九%だとか、イギリスが七九%だとかという、そういう耕地を日本が持てとは言いません。また持てないと思います。いい参考になるのはスイスの五五%です。スイスは日本より山と川と谷が多いんじゃないですか。私はスイスへ行ったことがないから知りませんけれども、それですから五五%の耕地を持っておるのに、日本は牧草地帯を除いたら実際一六、七%でしょう。一五、六%かもしれない。それでなお米が足りないから二千億ずつ輸入したら神武景気は吹っ飛んだ、これはずいぶん知恵のない話であり、農林当局としてはあぐらをかいているわけではないが、これはやるべきことをやっていないと思います。そこでスイスですら五五%あるのですから、いかにして農地を解放させるということに真剣に取り組むなら、地主も、さっきも一つの参考を申し上げたように納得のいく一つの妥当な線を発見できるのではないか、そうして早く日本のこの零細農家を救済するということが私は喫緊事であると思うのですが、あなたのいわゆる新長期計画を幾ら拝見してもぼやっとしておってはっきり出てこない。一つ新長期計画の上にさらに新々長期計画として追加するお気持がないかどうか、この点を伺います。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 何にもやっていないと言われては私もちょっと議論があるのです。愛知用水一つとってみても、あれはずいぶん未墾地も開墾いたしますし、揚水も排水も順次やっている。九州もやるということなら四国もやる、北海道は寒冷地農業対策でずいぶんやっているし、機械化開墾もやっている、これは非常にやっているのです。適正規模という面で形式的に言えといったらできていませんが、今のお話の趣旨に沿うてはずいぶんやっています。終戦後これはほんとうにやっています。あなたも私も同じところなのだけれども、関東あたりはどうだといったって、今年も去年も総合開発ということを考えているのです。これは関東地区の総合開発ということをやれば、開墾地も畑地灌漑も相当やれることになる。長期計画の中に何もやっていないかというと、五カ年間に二千三百億、ほかの金を五百億投じて今のお話のように大々的にやろう、こういうふうに見通しを持ちまた実行を進めております。

細田綱吉日本社会党

○細田委員 それは局地的には大臣のおっしゃるようにずいぶんやっておると思う。私も愛知用水は拝見してきました。けれどもこれは局地的なもので、原則的なものじゃないです。あなたはさっき第一次加工は三重県でつけものをこしらえていると言ったけれども、これは原則的な農林省の全国的に実施する一つの大方針として打ち出したものじゃないのです。従って干拓もやっておられるし、今の愛知用水もやっておられることはわかっておるが、あれが完成したからといって日本の農家が八反六畝から一町になるわけじゃないでしょう。あなたは日本の農民の農林大臣なんだから、そうでしょう、愛知県だけの農林大臣じゃない。だから全国的な農民に適正規模の農地を与える一つの原則を立てるために私はさっきから申し上げているわけなのです。それには日本に耕地があって、それをほうっておいて——愛知用水だけじゃないですよ、愛知用水の耕地は地主が売りたくて困っているのです。愛知用水の開墾するところは松の木も育たないようなところだから、信州の奥の方から水を引いてきてやってくれれば、これは地主も喜ぶのだが、現在地主が売ることをきらっていて、耕地になるところでなおかつ解放できないところを解放するような政策をどうして打ち立てないかということが私の質問の趣旨なのです。これを一つ御答弁願いたい。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 全体としては今のお話のように長期計画についても五千億の資金を投じてやろう、しかし具体的には全部やるわけにいきませんから個々的の解決をしていく、これは政策として必要ではないか。でありますから今の農地の解放というか、山林の解放につきましても、別にこれを買い上げるということをやめているわけじゃありませんで、これを進めているわけです。けれども具体的にはどことどこということに手をつけていかなければ、これは日本全国一時にばっとやるわけにいきませんから、それは一つ御了承願わなければならぬ。方針においては変りがないので、その方針のもとにおいて具体的に進めておるということです。

細田綱吉日本社会党

○細田委員 御趣旨はわかりました。  一挙にやることはできないというが、過般の農地解放は御承知のように一挙にやった。それで私はさっきも社会党の線と言えないような不動産抵当証券法と類似のようなことまで申し上げたわけです。これは社会党の線じゃない。私は農林大臣が自民党の農林大臣としても、これならできるのじゃないかと思って、社会党の線からは逸脱して申し上げているわけです。従ってそういう原則を立てて、全国の農村の畑になり、たんぼになるところを直ちに解放する一つの具体的な手をさらに御検討の余地がないかどうか、最後にお伺いいたします。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 これは検討の余地もあると思います。ほんとうは農地解放をしたときに、国で保有しておいて土地改良をやってしまえばいいと私は思っていたのですが、しかしそういうわけにもいかなかった。土地改良をしたあとで小作人に渡すということが一番いい方法であった。あの当時もそう考えておったのですが、議会におるうちに追放になっちゃって私の意見も通らなかったのですが、そういうような考え方もあろうと思います。しかし、今の段階におきましては、今の方法で進めていくことが進め方において間違ってはおらぬ、こう私は考えております。しかし全体的にそういうことも検討する余地はあります。

中村英男日本社会党

○中村委員長 木村文男君。

木村文男自由民主党

○木村(文)委員 去る二月六日の当委員会における大臣の予算説明の中には、今日私がお尋ねしたい問題についての項目がどこにも見られなかったのであります。それは何であるかと申しますと、果樹園芸農業に対する問題でございます。この果樹園芸農業というものが一体現在の農業総生産額のどれくらいの比率を占めているかということを統計によって申し上げますと、たとえば、予算説明の中でも当然やらなければならぬ問題として大きく取り上げておる畜産の問題以上にパーセンテージは高いのであります。米麦は一〇〇に対する五二%を占めておりますが、この果樹園芸は一〇%を占めているのであります。こういうような高い率を占めており、しかもその中には都道府県によって一四%から二二%の率を占めている県も多数あるのであります。こういう面からいたしましても、日本の産業の面から考えてみまして、私は農林省が現在軽んじておるとは申し上げませんが、あまり熱を込めてやっていない果樹園芸の最も重要な諸問題につきまして二、三お尋ね申し上げたいのであります。国の経済の発展をはかるには、全国民の福祉を増進するため各部門の産業が均衡のとれた発達を遂げなければならないと思うのであります。ところがただいま申し上げました通り、果樹園芸は他の産業に比べ政府の施策が微弱である。私は今月は大臣に大まかな点をお尋ね申し上げ、こまかい点はそれぞれの局部説長にお尋ねする考えでございます。  まず第一点として、農林省がもしかりに熱意をこめてやっているというような御答弁ができるとするならば幸いでございますが、私の現在調査いたしました範囲内では、積極的な政策をとっていない、こう申し上げたいのであります。一体農林省は果樹園芸に対して現在の機構でよいと思っているかどうか、こういう問題をとりあえず伺っておきたいのであります。現在生産部面は振興局で担当しております。また加工部面は食糧庁で担当しているのであります。流通部面は経済局で担当しております。こういうようにまちまちでも農林大臣の統制のもとに横の連絡がとれるのだ、こうおっしゃるかもしれませんが、私ども関係県の出身者はみなこの点については悩んでおるところであります。その課あるいはその局に参りますと、他の局のことはほとんどわからない。いわゆる横の連絡がとれていないという状況区でございます。この点につきまして農林大臣はどういうようなお考えを持っておられるか。赤城農林大臣は、かつて末端町村の農業経営の面で苦労せられた方でありまして、特にその点について信頼を置けると思いますので、その明確なる今後の方針を承わっておきたいのであります。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 果樹が非常に振興いたしまして、生産の率も農業生産のうちからふえていることは御指摘の通りであります。ところで、先ほど細田委員からも再々御質問がありましたが、農業におきましても、米麦の自給というような面から相当離れてきて、果樹園芸等商業的な面が非常にふえてきたのであります。そういうことでありますので、流通、加工対策ということを取り上げてやっておるのでありますが、それにつきまして、農林省内の機構において連絡がとれていないじゃないかという御指摘であります。今お話のように、振興局の特産課の方で果樹を取扱っておりますが、流通面は農林経済局の方が担当しております。流通はほかにもたくさんありますが、その方面の担当はやはり農林経済局がやらなければならないのであります。加工の方は食糧庁ということで……。それで機構を改めて果樹課というようなものを設けたらどうかという御意見につきましては、本委員会ばかりでなく、木村委員からも再々お話を承わっておるわけでありますが、これにつきましては、機構改革という面から、あるいは実態の面から今検討中であります。直ちに結論を申し上げるわけには参りませんけれども、検討いたしております。そういうふうな機構改革ということでなくても、御指摘のような点がありますので、担当は分れておりますが、意見がまちまちにならぬように、またよりよき果樹等の振興あるいは流通、価格、加工対策等につきまして総合的な連絡をとらして遺憾のないようにしていきたい、こう考えております。

木村文男自由民主党

○木村(文)委員 今の大臣の御答弁で私は非常に力強く考えるのでありますが、ただ現在の機構中においては、横の連絡を十分とらせるというようなお話がございますが、これはまたやがて大臣がかわることもあるかと思いますし、この際これは早急に——別に予算的な措置はそう大してないのでありますから、おそらく農林省内の組織規程の一部を改正すればできると思いますけれども、あるいはまた課を早急に設置することはできないというような場合には、これはとりあえず全部を一まとめにいたしまして、果樹園芸だけを担当する一つの係、あるいは室、こういったような機構を設けるというか、制度を早く作っていただきたいと思うのでありますが、その点について、もう一歩突っ込んでお答えを願いたいと思います。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 その方面につきまして、実はいろいろ案も立てたり検討もしておるのであります。御趣旨のような方向に向っての検討であります。でありますが、先ほども申し上げましたように、今結論を申し上げる段階には至っておりませんので、そのことに対しては控えておきますが、そういう方向について検討は続けておるというように御了承願います。

木村文男自由民主党

○木村(文)委員 今の問題につきましては、その熱意に期待いたしまして私は一応了承いたしますが、第二番目として私は果樹園の土地条件の整備についてお尋ね申し上げたい。これは御承知の通り、現在では果樹の畑地の問題につきましては、全然助成の道はないということは私は申し上げません。農業改良助長法の中には、開拓地において、初めて開墾する、初めて果樹を植えつける、その開拓についての助成はございますけれども、既耕地である果樹園については何らの助成を持っていないということでございます。こういうことは非常に片手落ちでありまして、これからどんどん伸ばしていかなければならぬ、また育成していかなければならぬ果樹園芸の面におきまして、こういう制限を加えるような立法は立て直しまして、そうして広くその恩恵をこうむり、そして育成されるというふうに一つ進めていただきたいと思うのでありますが、大臣はこれにつきまして今後お考えを持っていないかどうか、承わっておきたいのであります。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 今お話しのように、開墾等につきましては、従来の米麦ということばかりでなく、果樹園芸も取り入れるというような営農方針をきめて、これに対して助成していくということもやっていく予定であります。あるいはまた新農村建設等におきましては、土地条件の整備あるいは共同防除というような点におきましても、果樹のために補助をいたしましたり、力を添えておるわけであります。なお一般のそういうところ以外のところにどうかというお話でありますが、畑地灌漑等につきましては、助成等の措置を講じていきたいと思っております。その他につきましては、なお研究いたしておきます。

木村文男自由民主党

○木村(文)委員 この農山漁村建設総合対策特別助成の基準の中だと思いますが、その面はこれもまたただいま私が申し上げたような助成はしております。たとえば果樹園の経営改善の施設であるとか、あるいは果樹園地の助成であるとか、あるいは共同集荷所の問題、あるいはまた共同貯蔵所の問題、あるいは共同集荷の問題、こういったような面がございますけれども、これもみなひとしく制限されておる、私はここが改善を要する点ではないかと思う。ことにこれは別に法的な措置を講じておる助成ではございません。こういう面について一歩進めて、私先ほど申し上げました昭和三十年度の農業粗生産額の比較を見ましても、どれくらい果樹園芸ということが全日本の農産物の中で大きな収獲額を担当しておるかということをとくとお考えを願いまして、この中に設けられてあるせめてととあえずの施策といたしましても、制限の撤廃だけはしてもらいたいと私は思うのであります。私に与えられた時間がわずか四十分内外でございますので、ここに数字をあげて一々御説明申し上げることもできませんが、その点につきまして大臣はどういうようなお考えを持っておられるか。英断によってこの撤廃だけは即時やるというくらいの勇気を出していただきたいと思うのでありますが、そのお考えを承わりたいのであります。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 先ほど申し上げましたように、日本の農業は米麦を主といたしてきておったのでありますが、米麦だけでは農家の生活も困難だということで、果樹とか園芸とかの方向に相当入ってきて、進んでおるということも事実であります。でありますが、なお農業政策全体といたしましては、零細な農業者もあるし、米麦に関係しておる農業者もあり、食糧の自給度も高めなければならぬということ各方面にわたって問題を解決していかなければならぬと思います。果樹園芸の方につきましては、土地条件の整備ということもありますが、この方面につきましての畑地灌漑等については助成等の措置を講じていきたいと思いますが、全体としてこれをやっていくかどうかということには問題があろうと思います。この方面の重点的な施策は流通対策だ、大体が商業的な面でありますから、私はそういうことに力を入れなければならないのじゃないかということで、流通対策につまして先ほどからいろいろお話を申し上げておったのでありますが、輸出の面とかあるいは中央市場法の改正あるいは共同出荷だとか調整だとか保管、こういうようなことの方へ重点を置かなければならぬと考えておるわけであります。お話の点につきましては、なお研究させていただきたいと思います。

木村文男自由民主党

○木村(文)委員 今大臣は、私のお尋ねした点について観念としてのお答えがございましたが、青果物の市場の開拓の問題、いわゆる流通面の問題の御答弁がございましたけれども、その流通面について、それじゃどれだけ農林省がわれわれ果樹なりあるいは園芸なりを生産している者に対する便宜なりあるいは保護を加えていただいておるかと申し上げますと、私はこの面については皆無だと思う。私はこれだけは率直に申し上げますけれども、全く地元がみずからの手によってだけ開拓をしておるのであります。私もリンゴ園一町歩耕しておりまして、年に二、三千箱を出していかなければならぬのでありますが、今まで先祖代々やっておって、私の代になりましても、それでは政府の世話になったかというと、まだ世話になっていないのです。われわれは任意の出荷協同組合を作りましたが、それに対する育成助長の道もない。あるいは農業協同組合法によって立てられておる組合の出荷に対しても、これまた何の助成もない。私はこれははなはだ心外に思ったのでありますが、今私の質問の共同の施設に対する助成であるとかそういうようなことについての助成は考えなければならぬ、それが第一だと思う、出荷の問題についてもそれを考えなければいかぬと思う、こういう御答弁をいただきましたので、大へん力強く思います。今までの農林省の歴代大臣が、それでは一体今の大臣のようなお考えを持って、われわれ生産者に助成の道を講じてくれたかといいますと、皆無でございます。ただ昭和三十二年度において、初めて、新農村建設計画に基くそれによって、ある程度の、今大臣のおっしゃったような共同施設に対する恩恵はこうむりましたが、これも全く制限されている状況でございます。ことにわが青森県の例をとって申し上げますと、生産の非常に向上しているところにはこの恩恵がきわめて微弱であります。でありますからほんとうに生産額をもっと向上させて、農業収入額の、あるいは米に匹敵するだけの面を持ちたいという農林省の積極政策であるとするならば、私はこの際とりあえずこの基準のワクだけははずしていただきたい、こう特に強く要望いたしたいのでございますが、その点に対する大臣の決意を伺っておきたいのであります。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 私は、農林水産業につきましては、日本の産業構造からいって弱体でありますから、補助とか助成とかいうものを捨てるわけにはいかぬし、考えなければならぬと思いますが、何から何まで助成しなくちゃならぬということは一応考えなければならぬと思います。中小企業の問題でも、商店で商売始めたら一々助成をするということになると、これはやはり国全体から見ても非常に問題になろうかと思います。先ほど申し上げましたように、何も農林水産業に助成をしてはいかぬということでなくて、弱体な産業構造を占めておるところでありますから、助成とか補助ということも考えて、農林政策を行なっていくわけであります。しかし前提が、そう言っては失礼でありますが、仕事をすれば何でも助成しろ、こういう前提だと、ちょっと私の考え方と違うのであります。しかし農林水産業は弱体であるから、これに対してバック・アップをする、こういう考え方で、どういうものについてはどういうふうに助成するかということは当然やっていくべきだと考えております。そこで今の果樹の問題でありますが、これにつきましていろいろというよりも、何もやっていないじゃないかということでありますが、これは農業における新興農業のような立場にありますので、そういろいろな施策も講じてはきてなかったのでありますが、さっきのように、新農村建設あるいは開墾地等における助成措置を特に講じておるのであります。それ以外にどうか、こういう問題でありますが、これはやはり実態をもう少し研究しませんと、そういうところまで補助を出すのがいいのか、あるいはまた農林全体から見て出すべきところにもっと出した方がいいのかというにらみ合いもあると思います。今のお話の中の共同出荷施設につきましては、基準等についてワクを広げていくということにつきましてはやっていきたいと思います。何もやっていないということでありますが、農業政策を行なっていく上において助成の面もありましょうし、融資の面もあるわけであります。加工場その他について農林漁業金融公庫の融資ワク中にも果樹等の共同施設を対象にして昭和三十三年度においては一億七千万円のワクも設けてあるわけであります。でありますから私どもとしては、新しい分野ができたからあらゆるものに助成を出すべきだという前提ではなくて、その、実態に沿ってやっていく、こういう考え方を持っておりますので、今のお話しの点についても、先ほどから申し上げておりますように研究の余地を少し与えてもらいたい。今ここで断言するわけには参らぬということを御了承願います。

木村文男自由民主党

○木村(文)委員 もう一つ伺いますが、今の答弁でなく、その前の御答弁の中に、輸出について大臣は御心配になっておるようでありますけれども、輸出の面についても御心配下さったというのがもしかりにあるとするならば、おそらく赤城農林大臣をもって初めとすると思うのであります。もちろん終戦後すでに十三年もたって、果樹の生産は日増しに増大しております。しかしながら国内だけの消費にたよるということは、先ほど細田君のお話しもございました通り、価格の面において安定性を欠くおそれがあるのであります。そういうような面からいたしましても、大臣のおっしゃる通り輸出には力を入れていかなければならぬ現段階でありますけれども、農林省が従来輸出の面においてわれわれと協力態勢をとって積極的にこれを指導あるいは対外交渉してくれたかどうかと申しますと、歴代大臣で一人もなかった、こういうことをはっきり申し上げることができるのであります。現にその機構においてもほとんどなっていない。われわれが今度いろいろとソ連にやってみたい。幸い平和条約が結ばれましたので、こういうような国交が回復せられた際でありますので、特に通商条約の中に織り込んでいただくべくずいぶん実は折衝を重ねました。あるいは通産省に対しても外務省のあっせんまでいただき、農林省にも介在を要求して、私どもは運動をいたしたのであります。しかるに、むしろ農林当局が先頭に立ってやっていただかなければならぬものが、逆に通産省がこれに相当の熱意を示していただいて、その折衝に当っていただいたというような事例さえ持っておるのであります。幸いにいたしまして大臣が輸出の面は特に考えなければならぬのではないかというお考えを明らかにして下さいましたことは、まことにありがたいことでありますが、しからばそういう面からいたしましても、この際、先ほど申し上げました輸出機構の一元化をとりあえずはかりまして、これを強化することが、今の大臣のお考えを行うためにも必要である、こう考えるのでございます。すみやかなるその点の対策を講じていただきたいと希望しておきます。  あわせてお尋ねしたいのは、輸出の面につきまして大臣がそれくらい御心配下さるならば、通産省を通すなりなんかして、せめてソ連に対してだけでも、あの食品の中に追加としてはっきり果実というものを挿入していただくようお骨折りをしていただくお考えを持っていただきたいと思うのでございますが、この点について伺っておきたいのであります。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 品目等につきましては、私よく承知しておらなかったのでありますが、事務当局からお答えいたさせます。

齋藤誠農林事務官(大臣官房長)

○齋藤(誠)政府委員 ただいま大臣からお話がありましたように、農林省といたしましても、輸出振興につきましては格段の努力を払っているところでございまして、特に農産物の輸出につきましては、最近の傾向からいたしまして、外貨の取得率も高いし、また市場においても今後開拓するならば伸びるだろうということで、海外の需要増進については特に力をいたしているところでございます。本年度におきましても農林省関係の予算でございますが、海外における市況をいち早く国内に普及徹底するような事業につきましては、農林省関係に日本輸出農林水産物振興会というのがございますが、これに委託をいたしまして、その仕事をやらせるということにいたしておりますが、なお海外におきます指導普及というような面におきましては、通産省にジェトロがございます。従来これに対しても農林省関係の人が入り込んで、ジェトロの中の農林水産関係の輸出を担当いたしておりますが、さらにまた海外におきましてもそういう駐在員を置きまして、市場の開拓、需要の増進についての宣伝をいたすということにいたしております。これにつきましても従来ニューヨークに駐在員が一人おりましたのを、本年度は二人にいたしまして、さらに新たに英国に駐在員を一人置くことにいたしまして、ミカンのカン詰とか、あるいは北阿における緑茶の輸出だとかいったようなことにつきまして、一段と努力をいたすことになっております。これらの経費は約五千万円でございますが、通産省に計上しております。要求といたしましては農林省が大蔵省と折衝して、そして通産省予算に計上しておるというような次第でございます。

木村文男自由民主党

○木村(文)委員 農林省が今の輸出の面についての開拓のために、大蔵省に折衝して、通産省の予算の中に五千万円入れている、こういうお話でありますが、私の調べたところによりますと、昭和三十三年度において、市況の調査費といたしまして五十七万円見込んでいるようでありますが、私はこれではとてもじゃないけれども、市況の調査なんというものはできっこない、こう思うのです。そこで私は伺いたいのでありますが、通産省に農林省がとって、くれてやったんだという五千万円の中で、一体市況の調査というものができるかどうか、こういうことが第一点。第二番にニューヨークと英国に駐在員を置いてやっているというような積極的なお話を承わりまして、非常に力強く思うのでありますが、そこで私の調べたところによりますと、今後開拓の余地があって、最も大きな量が入っていき、しかも果物のほとんどないといっていいくらいのソ連、この面の開拓は非常に大きな面であろうと私は思う。そこでソ連に対して三十三年度当初より駐在員を駐在せしめて、市場の開拓を進めるというお考えがあるかどうか、これを伺いたいのであります。

齋藤誠農林事務官(大臣官房長)

○齋藤(誠)政府委員 海外宣伝の経費といたしましては、さきに約五千万円と申し上げたのでありますが、ジェトロに計上いたしております駐在その他の経費でございますが、五千二百六十六万二千円、このほかに海外に一般的に農林水産物の普及宣伝をいたす意味の資料を配布いたしておりますが、それは別に七十七万円の経費を計上いたしておる次第であります。  なおソ連の関係につきましてどうだ、こういうお話がございましたが、モスクワに大使館の設置に伴いまして、農林省関係の職員もその在外公館に配属されまして、これらの面における仕事をやっていただくということにいたしております。

木村文男自由民主党

○木村(文)委員 それでは、私はこれは与党としてどうかと思うのですが、お許しを得て伺いたいと思います。これは農林委員会はある程度は超党派的な免彩が濃厚なのでありますが、われわれは地域的な、職域的な代表だといってもいいくらいなのでありますから、その意味において尋ねいたしますが、皆さんもなめておられるところだと思う。それは何であるかといいますと、今官房長が答えたことは、これは役人としての答えだけであって、率直に申し上げると実に詭弁だと私は思う。はなはだ失礼でありますけれども私自身あぶら汗を流してソ連当局に対して交渉した一人なんです。その苦い体験を経ておるのです。なめているのです。あなたがそういうことを言いなさるというと、私はそれでは実績をたださなければならなくなる。私はきょうは局部課長には尋ねたくなかった。農林大臣の基本的な果樹の輸出というものを、——ドルをかせぐ第一の、額からいったら大きいことになるのです。現に農産物のこの統計の面からいっても、これは畜産より上なんです。現在の日本の状況からいったらですよ。畜産もやらなければならぬが、そういう場合に一体それでは駐在員が何をしておるかということを言いたい。なぜわれわれのような民間の生産者自体にそういうことをさせなければならぬか。国民の血税をもって、俸給をとって、その代表としてソ連に行っているとするならば、一体なぜわれわれにみずから交渉させなければならぬような環境を作っておるかということです。私はこれは非常に残念なんです。しかも私どもはその目的を達することは昨年はできなかった。しかもその内容をもっと突っ込んでいえば私は実に考えさせられる点があるから、これはこの辺でやめますけれども、与えられた時間もきているから、いずれ後日にいたしますが、官房長は今のことは言い過ぎだと思う。私も役人やって恩給もらっている人間でありますけれども、今のそういう言い切ったことは実績を持ってから発言しなければならないと私は思う。実績を持たないで今のような発言は私は許すことはできない。重ねて大臣の答弁をわずらわしたいと思います。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 官房長は言い過ぎでも何でもなく、木村委員からおしかりを受けるようなことはないと思います。農林省として駐在をして大いに努力をしておるということで、情報をお伝えしただけであります。しからば何をやったかということでありますが、これは御質問が御無理ですよ。というのは御承知の通り通商条約ができたのはごく最近です。去年の暮れです。その前に今の御質問の中に平和条約ができたというお話ですが、平和条約はまだできておりません。そこで平和条約もできておりませんし、通商条約等も去年の暮にできたのですが、その前においてはあなたのような方がやっぱり民間で一生懸命骨を折るという形がどうしても必要だったのであります。そのお骨折りに対して、御労苦に対して私も大いに感謝をいたしておるわけであります。しかし通商条約もできたのでありますから、向うから買うものもあります、こちらから売るものもあります、これは一つの商行為であります、こっちでどうも一人だけできめるわけにもいきませんから、いろいろ御趣旨の点はよく考えまして、ソ連ばかりでなく全世界に輸出ができるようなことに対しまして、なお一段の努力をいたします。一つ御了承を願います。

木村文男自由民主党

○木村(文)委員 大臣の熱意のほどは了承いたします。だが通商条約ができた後においてそれでは現われておるかというと、現われていないのです。私はそれは遺憾だと思う。その前にはいろいろと努力をいたしましても困難があった。こう申し上げるのは、これは私はある程度の了承を与えるにやぶさかではないのでありますが、通商条約を結ぶとき、それ自体の努力が、私は足りないと思う。この点についてそれでは農林省は果樹に対してどういう努力を払っていただいたか、この点を私は承わっておきたい。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 通商条約締結につきましては、果樹ばかりでなく、農林水産全体につきまして十分努力を続けてきたのであります。

木村文男自由民主党

○木村(文)委員 農林水産のあらゆる生産面における努力をした、こういうお話でありますが、それでは通商条約に付随した書類として品目が盛られておるはずであります。その品目の中に、今まで申し上げた通りの生産費の多額を占めている果樹の面においてどういうように現われているかということを承わりたい。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 今その持ち合せがないものですから、品目につきましては、果樹が入っておったかどうか、御答弁できないわけであります。いずれ調べてお答え申し上げます。

木村文男自由民主党

○木村(文)委員 それでは時間もないようでありますが、もうあと三点。どうも野党的になって申しわけないのでありますが、今までいろいろ申し上げましたが、ずっと総合して申し上げますると、結局はそういうような——大臣は全部こまかいところまで目が届いておるということは私は申し上げません。よく了承いたします。しかしながら今までのお答えによっても、ことに官房長、これはいわば農林省の大臣を補佐する、全部をまとめていく一つの役目であります。たとえば県庁でいいますると官房主事であります。私はその役目をやったことがあるのですが、そういうことを考えますと今の答弁なんかはなっていないと思う。そういうようなことを考えるだけに、私が先ほどから申し上げておりました機構の一元化ということが非常に大事になってくるわけであります。のみならずこの際これぐらい大きな産額を持ち、将来輸出の面において大きなドルかせぎをすることができるこの果樹園芸に対して保護の道を講じられていない、法的な措置は一つもない、かりに新農村建設計画による一時的な施策はあっても、恒久的な法的な措置は何にもない。最近の新聞の伝うるところあるいはわれわれが政調なんかに出てみますると、養鶏の面において振興法を出すというようなことが出ておりますが、養鶏ももちろん必要であります。ありますがこの表をもってしてもいかに果樹が大きな役割を持っているかということです。農林省が作った表であります。これによってもいかに大きな役割を持っているかということです。こういう面において、この際農林当局は思い切って果樹園芸の振興に関する法律を提出する御意思はないかどうか。私のきょうの質問の要点は最後にここにあるのであります。いわばはなはだ失礼でありますけれども、私は今まで官房長の意見を聞いて熱烈な答弁だった——大臣は大きな方針を明示して下さいましたから、私は了承いたしますけれども、事務当局で農林省を大臣の次にしょって立たなければならぬくらいに知っていなければならぬ、その方針も持っていなければならぬ、識見も持っていなければならない官房長官の答弁によっては、ここに初めてわれわれ生産者が、われわれの生活を守るためにも、将来の日本の経済が外国に伸びていってドルをかせぐためにも、それを助成するためにもこの振興法の制定というものは必要であると思いまするが、その御意思がないかどうかということを承わっておきたい。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 果樹振興法を作ったらどうかということにつきましては、ずいぶん私もそういう意見を聞いております。今国会に提出するということは考えておりませんけれども、この件につきましては真剣に研究いたします。     〔「大臣がかわってしまう」と呼ぶ者あり〕

木村文男自由民主党

○木村(文)委員 そこでこれは、今中村君からお話がありましたが、大臣がかわるということは将来においてはあり得ることであります。そういうようなことを考えますると、今国会には提出ができない、間に合わない——これは先般来私は大臣に対してしばしばお話を申し上げたわけでありますが、今回は提出はなかなかめんどうである。こういうようなお話でありまするが、もしそういうような重大な決意をなされておるとすれば、これは必ず自分の引き継ぎ事項の一項にして、次期国会には少くとも——もちろん現在の赤城大臣が次期国会にまだ在職中でありますれば、そのときは振興法を提出する、もしそれができなければ、次の国会において重大な引き継ぎ事項として引き継ぎをするというお考えはないかどうかということを承わっておきたいと思います。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 今やめることにきめておるわけでもありませんから、いろいろ参考の御意見として承わっておきます。

木村文男自由民主党

○木村(文)委員 やめることもまだわからないのだがというお話でありますが、私はこれだけは一つしっかり促進していただくように要望いたしまして、了承いたすことにいたします。  次にもう一つの点は供米の時期の問題でございますが、これは私どもよく遊説に歩きまして、ほとんど歩いた場所でこの問題が出ないことはないのであります。おそらくわれわれの同僚諸君がみなそうだろうと思いますが、特に早場米の時期の問題であります。この早場米の時期の問題につきまして、ことに雪国のようなところにおいては相当地域的にその供出の期間を考えてほしいと思うのです。一期、二期、三期、四期と分れておりますが、四期に至る期間は最後に同じになってもいいのですが、その最初の期間だけを何とか時期を繰り延べまして、そうして供出せしめるというようなことを考えていただきたい。その理由としては奨励金をもらうために急いでそれを作るといたします。その場合に品質が非常に粗雑なものができまして、その奨励金をもらった以外に、逆に農家が今度は等外の米を売らなければならぬということで、差引の面においては非常にマイナスになっておるのであります。これがどこにおいても異口同音にわれわれにただされるところであります。これくらい民衆の声が高まっているのに、農林当局並びに大蔵当局がこれを顧みないで民衆の声を聞かないところの時期を定めているところに、私は行政の大きな錯誤があると思う。この点について是正のお考えはないかどうかということを承わりたいのであります。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 御承知の通り、各方面に早期栽培が進みましたので、早場米ができる時期も早まっておると思います。しかし場所々々によっていろいろ問題もあろうかと思いますが、事務当局においてこれは研究してみたいと思います。

木村文男自由民主党

○木村(文)委員 もう一つは開拓行政の面でありますが、この開拓行政の面において、私は実際回ってみまして非常に考えさせられる。私の青森県だけを見ましても、あるいは去年十日間私は北海道を回りましたその実績からいたしましても、こういうことが出ている。たとえば今までの入植しておる者の生活は、先ほど細田君からもいろいろお話がございましたが、まさにその通りでありまして、社会党の諸君には賛成したくないのだけれども、やっぱりいいことには賛成せざるを得ない。その面から私は申し上げるのでありますが、現在は機械開墾の方針をとっております。これは非常にいいことでございますが、既設の開拓者はその道を講ぜられる前に——農林当局がわれわれに報告するには、うまくいっていると言っていますけれども、実態はそうでない。そこですでに入植している者に対しも、まだ未開墾の場所があるならば、その機械開墾を適用して行政の運営に当っていただけないものかどうか、これを承わっておきたい。  もう一つは、農林大臣の予算説明書の中にございますが、農林漁業団体の職員の処遇の問題、共済制度の問題につきましていずれ法的な処置を講ずるつもりである、本国会に提出いたしますという御説明でございますが、これが通過いたしますと、年度当初から確実に施行する御意思があるかどうか、これだけ申し上げまして私の質問を終りたいと存じます。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 既入植者等は、先ほどから御答弁申し上げました通り、入植できる前に耕地の整備等がよくできておりませんので、非常に苦労された。また入ってきた人も、終戦後の緊急開拓のときに入ってきた人でありますから、農業にもなれておらなかったということで、既開墾地につきましては、非常に不利な点があったのであります。また不振であります。でありますから、昨年開拓営農振興法の御審議を願ってこの法律は通過しておりますので、この趣旨にのっとって措置を強力に推し進めていきたいということで、本年度におきましても旧債の借りかえとか、営農資金とか、こういうもののワクを拡大して既入植者について営農振興法に従って措置をとり、予算の裏づけもしておるわけであります。新入植者につきましては今の機械開墾の方式を入れて、開墾と同時にすぐ収納できる実際の機械化開墾をやっているところは青森で御承知でありましょうけれども、そういうふうになっておりますので、こういう方式を入れていきたいと思います。既開墾地のまだ残っておるところについてそれを用いるかどうかということでありますが、場所によってはこれはやっていってもいいと思います。社会党に大いに御賛成下さることもいいのですが、私の方にもいいところは一つ御賛成を願いたいと思います。  それから農業団体の共済組合法を出すことになっておりまして、御審議を願うわけでありますが、いつからこれを施行するかということでありますが、来年の一月一日から施行する、こういうことになっております。

中村英男日本社会党

○中村委員長 久保田豊君。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)委員 資料を一つ農林当局にお願いいたしたいと思います。二つ連関の資料をお願いいたしておきます。  一つは、住宅公団によりまする集団住宅建築の計画地域が、私どもの方の調べによりますと、全国で十五カ所あります。その十五カ所の区画整理施行地域の所在地、それからもよりの市の町の中心からの距離、それから施行主体が公団直接であるかどうか、行政庁であるか、その施行主体の区別、それから計画面積、それからその計画面積の中におきまする農地並びに山林原野の地積、並びに公共施設並びに保留地の必要な減歩の実態並びに歩合、これを含めたものを、十五カ所分の資料を一つ早急に建設省等とも御相談をいただきまして出ていただきたいということが一点。  第二点、第二の資料、全国でもって市が二百九十近く今度はできたと思います。そこにおきましていわゆる町村、特に市村合併をいたしました実績、それらの市におきまする都市計画による区画整理の実施の実況、特に区画整理の施行地域の面積、そのうちの農地並びに山林原野、並びに公共施設並びに保留地の必要な減歩の面積並びに比率を、特に農地関係についてそれがどういうふうに出ておるかという点を全部の市について調査したものを早急に出していただきたい。  さらに第三、連関する資料です。目下住宅公団、建設省等におきまして全国で相当大きないわゆるニュー・タウン計画が行われております。進めております。われわれの方にもあそこだここだといういろいろの名前が出ております。これらの進捗状況、今の十五の別の進捗状況、並びに大体の予定の場所、その中に大体において農地、山林、原野がどのくらい含まれるかという見込み、この程度でけっこうであります。この三つの資料を早急に提出していただきたいと思います。

中村英男日本社会党

○中村委員長 久保田君の資料提出要求に対しましては、委員長において直ちにその趣旨に沿うように取り計らいます。  午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後一時二十一分休憩      ————◇—————     午後二時四十七分開議

中村英男日本社会党

○中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  大臣に対する質疑を続行いたします。石田宥全君

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 まず最初に、午前中の細田委員の質問と関連する事項について大臣にお尋ねしたいと思うのでありますが、それは農林中金の問題であります。農林中金の問題は別に深く質疑をいたす機会があると思いますが、ここでお尋ねしたいことは、とかく農林中金並びに農林漁業金融公庫等の融資の際に、業務方法書というものによって実務をやっておるのであります。たとえば農林漁業金融公庫の場合におきまして、前例をあげますと、自作農維持資金ができました際に、本委員会において法律の一部改正の修正をやったのであります。すなわち土地を担保にして融資をするというその担保条件を削除修正をいたしたのであります。しかるに公庫の業務方法書の中には、土地を担保にし、または保証人をつけて融資することができるという業務方法書に基いて、法律の面において修正をし否定をしておることを業務方法書の中に盛り込んで、担保を取りさらに保証人をつけるというようなことをやっている事実がある。農林中金の場合におきましても、やはり業務方法書なるものによって実務が行われておりまするが、これが法律に抵触しまたは反するような業務方法書ができておるという事実を一体大臣は知っておるかどうか、これをまずお尋ねしたい。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 業務方法書に今御指摘のようなことが書いてあるかどうか、私実は調べてありませんけれども、書いてあるとすれば法律とそごしているわけであります。実際問題としては土地を担保にして融資しているという事実はないのでありますが……。(「大臣、あるのだからあるとはっきりした方がいいですよ」と呼ぶ者あり)それはあるだろうと思うのです。だから、指摘するにはあると思いますから、あるとすればそごしておると答えておるのでありますが、しかし法律違反というよりもこれは業務方法のそごがあるのでしょうから、そういうのは法律に沿うて訂正すべきものだ、こう考えております。なお詳しくは、もし必要でありますならば事務当局から答弁させます。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 もちろんこれは重大な問題であります。立法府において法案を決定いたしたにもかかわらず、それとそごするような、それを否定するような業務方法書を、農林大臣が監督の責任を持ちながらそれを知らぬでおる。今の答弁を聞いてもきわめてあいまいなんです。土地を担保にしまたは保証人をつけて融資をしておる事実はたくさんあるのです。これは大臣、一つ勉強していただきたい。  実はこの点深く掘り下げるつもりはないのであります。そこで私お尋ねいたしたいことは、これは関連の分でありますので申し上げるのでありますが、昭和三十二年二月から九月までの天災に関する災害資金というものが出たのであります。これは自民党並びに社会党が協力をいたしまして、長期にわたる災害融資の決定をいたしました。これはもちろん天災融資法による利子補給があるわけで、ありまして、この資金の貸付の実情でありますが、私はその中で特に開拓関係だけについて申し上げるわけであります。特に開拓の問題は午前中からもしばしば討議がありましたように、開拓者に対しては災害等の場合に常に特別な考慮をしなければならないということがいつでも議論されておる。これは大臣も御承知のはずでありますが、特に三十二年の二月から九月までの天災に関する災害資金の問題については、与党も野党も大きな問題として、特別委員会等を設置してようやくにして結論をつけ、しかもその中で開拓者に関する融資としては四億四千万円ほどの融資の決定が行われたのであります。ところがその後、この取扱いが農林中金に回ることになっておるのでありまするが、中金の方は業務方法書に従って融資第二部長から本年の一月二十日付をもって、業務部長と各支所長あてで「開拓関係災害資金の今後の取扱いについて」という通牒が発せられておるのであります。これによりますと「開拓関係災害資金取扱いについても、右の線に沿い正常な金融べースによることはもちろんでありますが、開拓の場合は特に現在金融ベースに乗らず、受信能力不十分な組合等については、十分育成指導を実施し、早急に受信能力をつけしめて融資することが緊要なことと考えます。従って、今後災害資金の取扱いに当っては、損失補償に依存することなく、一般資金と同様開拓農家の営農計画及び開拓農協あるいは開拓連の資金管理能力等を十分検討し、回収確実と認められるものより順次貸し出しを実行し、直ちに貸し出し困難なものについては受信能力をつけしめるよう積極的に指導し、整備した上で貸し出しすることが金庫既往貸出金の債権確保上からも、また開拓農協育成の上からも必要と思われるので、この点特に御留意の上、お取り扱い下さるようお願いいたします。なお貸し出しの形式については、実情に即し開拓連転貸あるいは開拓農協直接貸しの方法をとり、画一的な融資に陥らざるよう特に御留意願いたい。」 こういう通牒が発せられておるのであります。その結果、本年の二月十三日現在でありますが、たとえば福島県の開拓連に対しては総額四千万円の割当があるのに、今日この二月十三日現在で貸し出しの決定したものは一千五百三十五万円ということであって、残余の二千四百六十四万八千円というものは凍結をいたしておるわけです。この点は福島県の方などはまだいい方であって、群馬県に至りましては一千二百万余のうち全額凍結、島根県においても、これは三百万円でありますが、全額凍結をいたしておる。栃木県も一千二百八十九万余でありますが、これも全額凍結、宮崎県も三千万円が全額凍結、宮城県も三千五百万円が中金の支所と交渉中であるけれどもまだ見込みがついておらないという状態、鹿児島県においては二千万円のうち一千三百万円がようやく見通しがつきそうだ、こういう状況であります。その他全国的に同様の状況でありますが、要するに利子補給の条件をつけて割り当てたり、せっかく親心で国会において決定をいたしましたものが、農林中金の業務方法書等によっていわゆる選別融資をやる。これはもちろん金融機関でありますから、私どもは必ずしも償還能力というものを無視して貸し出せとは言わないけれども、償還能力第一主義で高利貸的な取り扱いをする融資の性格とはいささか趣きを異にするものであって、これを農林中金が業務方法書等によって選別融資をやる。今申し上げたような事態でございまするが、こうなりますると、肥料、農機具、農薬等の手当を今やらなければ間に合わない、これは大臣よく御承知の通りなんでありますが、一体そういうようなことを単に中金だけがはばんでおるのか、あるいは農林省の係の者がこれを知っておって放任しておくのか、あるいは知らないでおるのか、こういう点を一つお尋ねをいたしておきたいと思うのです。

安田善一郎農林事務官(農地局長)

○安田(善)政府委員 事務的なことでございますから私から申し上げます。開拓者に対しまする農林中金の融資は、かねて申し上げておりますように、開拓の実態にかんがみまして貸してもらわなくちゃ困るというので、常時連絡をしておりますが、御指摘の「開拓関係災害資金の今後の取扱いについて」という融資第二部長から業務部長、各支所長に送りましたのは、実は開拓関係者である役所の私どもには連絡ございませんでした。しかしいち早く気がつきましたので、経済局の金融課と打ち合せしまして、少し方針がきつ過ぎる、国の予算でも利子補給をしまして、開拓の営農振興の重圧になっている災害資金を、長期低利の振興資金的な資金に借りかえをしようという政策をとっておるので、その趣旨に応じてやってもらいたいと申し入れ中であります。もっともこの融資第二部長から各支所長等に出したものは、経済局には簡単なる打ち合せがあったそうであります。しかし現在は両局よく打ち合せまして、石田先生の御趣旨に合うようなふうに訂正させようと思っております。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 おくればせながら処置されておるということでありますが、この割当の金は中金の方で別段預金ということで一応そのワクをとっておいて、これを別に預金をして、そうして利子補給の分は国からもらうというような利ざやかせぎをやっておるのではないかという疑いも持たれるのでありますが、そういう点はお調べになっておりますかどうですか。

安田善一郎農林事務官(農地局長)

○安田(善)政府委員 その点は、担当としましては農林経済局でございますから、別の機会にその方面にお聞きを願いたいと思います。大臣まだ詳しく御存じないと思います。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 実は農林中金の関係については、午前中に、直接間接にいろいろ貸し出しをやっておるというので、部外貸し出しの問題等も指摘をされておりますが、これらと関連いたしまして別の機会に相当突っ込んで検討しなければならない性格の問題であろうと思うのであります。いやしくも全国の農民の資金である資金を扱う中金が、農民のために使うことを拒否して、そして部外貸し出し等をやり、しかも一億余円の焦げつきを出すという問題は許しがたい問題であります。もちろんこれは農林大臣の重大な責任であるとも思うのでありまして、これは私は別の機会に譲るといたしますが、大臣は特にこの点留意されまして、本来の資金の使命のために使われるように御配慮を願いたいと希望を申し上げて、この点は終っておきます。  次に私は大臣にお尋ねをしたいのでありますが、これはしばしば問題になっておる問題でありますれども、どうも農地補償の問題はすっきりしない問題でありますが、昨年の春の農林委員会または予算委員会におきましては、井出農林大臣はきわめて明快な答弁をして農地補償は行わない。同時にそういう行えない補償を中心とする地主の団体に対しては、これを解散に導くような行政指導をするということまで答弁をしておる。それから総理大臣は、予算委員会において補償の意思はないということを明快に答弁をいたしております。それがために一時地主団体はその運動が終息するような状態になっておったのでありますが、その後昨年の臨時国会を契機といたしまして、総理大臣の答弁内容も変っておる、農林大臣の態度も変って参っておるのでありますが、赤城農林大臣はこの旧地主に対する補償についてはどういう御所見であるか、まず伺いたい。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 この委員会でも臨時国会中ですが答弁をいたしております。変っておりません。補償はやるべきでない、こういうことであります。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 補償は行わないという答弁でありますので、その点に限っては変っておらないということは了解できるのであります。しかし私はこれはあとで総理大臣に対する質疑を留保いたしておかなければならないのでありますが、岸総理大臣は二十六国会までは補償は行わないと端的に言っておるのでありますが、昨年の十一月七日に行われました予算委員会の席上においては非常な蛇足がある。その蛇足がその後問題を起しまして、自民党の内部で態度が変った、あるいは総理大臣や農林大臣の態度が変ったという見解を持つようになって参っております。また自民党が当時三つに分れておった地主団体に対して統合を勧告し、十二月十二日にはこれらの団体が統合いたしました。そこで参考までにちょっと総理大臣の答弁の内容を読んでみますというと、これは十一月七日の予算委員会の席上でありますが、農地改革の問題は戦後の日本の社会上、経済上の大きな変革であり、これによって社会的経済的に非常な激変を受けた階層のあることは事実で、これらのものが補償運動を起しておるということも現実である。農地改革は戦後行われた社会改革の一つとして変更の意思を持たない。また国家補償も適当でないと考える。国家補償が適当でないと考える点は明らかなんです。そこでしかし社会的変革による社会的変動を受けて、社会不安とか社会上種々の問題を起しておる人々に対しては国家として考慮しなければならないと思う。こう言っておるのです。そこで農林大臣はこの問題について、総理大臣とどの程度の話し合いをしておるか、総理大臣は総理大臣で単独の見解を表明し、農林大臣は農林大臣でまた個人の見解を表明するということではないと思う。その間の意思統一についてどの程度の話し合いがあるか、これをまず承わりたい。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 先ほどから申し上げておるように、国家補償というような筋合いも立ちませんから、補償というものはすべきではない。でありますから、ことしの国会の前の予算の動きにおきましても、土地制度に関する調査費というような問題が出ていたのでありますけれども、そういう必要はない。また法律を出せというようなこともありましたが、そういうことも出さぬ方がよかろう、こういう話し合いで、それがもっともであるということになっておるわけであります。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 そこで次に伺いたいのでありますが、これは総理大臣の方が一番いいのですけれども、総理大臣はまた総理大臣に伺いますが、今の内閣はこれは政党内閣であります。そこで党の方で党議としてきまれば、その党議に対しては農林大臣といえども総理大臣といえども服さなければならないというのが民主主義の原則であろうと思う。この点はどうでしょうか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 党議の最終決定があればそれは服すことになりますが、最終決定にいく前に私の方は私の方として立場の意見は強く申し入れて、私の方の考え方が党の最終決定にいくように私は今までも努めてきたのでありますし、これからも努めて参ります。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 そこで伺いますが、党内で農地問題調査特別委員会が設置されまして、衆参の議員七十名をもって構成し、委員長を田子一民氏にするという委員会が作られ、さらに本年の二月三日にはこの委員会を解消して、農地問題特別委員会というものを設置されたのでありますが、これらの委員会を解消し、また新たに設置するということについて農林大臣は協議にあずかっておりますか、あずかっておりませんか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 私は正式に協議にはあずかっておりませんが、たまたま党の役員がそういう話をしておるときに参加して、そういうものが置かれるという話を聞いております。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 そういたしますと、二月三日に党の六役会議が開かれて、農地問題特別委員会を設置するというこの会議には参加をされたわけですか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 その会議には参加しておりません。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 参加はされませんが、そういう話はお聞きになった、こういうことでありますね。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 さようであります。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 そこでお伺いしたいのでありますが、先ほど党議がきまればその党議には服さなければならないとおっしゃった、これは当然なことであります。そこで前の衆参両院議員七十名をもって構成された農地問題調査特別委員会は特別委員会の中間報告なるものを発表いたしておるのであります。もちろんこれは部外秘ということで党内の一部の人に配布されたようでありますが、この内容は大臣承知しておりますか、どうですか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 承知しておりません。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 それでは伺いますが、その中間報告なるものは、おそらくこれは政治的考慮からであろうと思うのでありますが、すなわち中間報告という文字を使ったこともそうでありますし、また内容についても決定的な結論的な文字は使っておらないのでありますけれども、一応この調査委員会の方向、農地補償に対する党の方向というものは明示されておるのであります。内容を大臣は御承知ないということでありますが、これははなはだ不勉強だと私は思う。党内においてそういう大きな動きがある。ことにこの農地補償の問題は及ぼすところの影響がいかに重大であるかは、大臣御承知のはずなんです。今日、日本の農村という農村は部落において村において、旧地主団体と農民の団体との間に非常な混乱を巻き起しておる。こういう重大な問題で、しかも党内の特別委員会の中間報告を知らないということでは、はなはだこれは不勉強だと思うので、私はその内容がいかなるものであるかを、ほんの一部分紹介したいと思うのですが、要するに、この中間報告の骨子をなすものは、農地改革というものは、かつて憲法違反であるということで百件余の訴訟が行われたのでありますが、これは最高裁判所の判決によってその農地改革は憲法違反ではないという決定がなされたのであります。にもかかわらず、この党の特別委員会はやはりその当時の対価が不当であるということをいろいろな角度からこれを指摘しております。たとえば当時の対価については農林省内でも農地対価につき部外極秘として計算を試み、一毛作田六千百十円、二毛作田八千二百円、一毛作畑二千七百二十円、二毛作畑六千三百二十円という結果を算出しておる事実がある。あるいは自民党政調会農地改革小委員会では各方面の権威者の参考意見を聴取したるところによると、六名中五名までは補償の必要なしとした。ただ生活困窮者は生活補償を行うべしとの意見であったが、橋本傳左衛門博士のみは右買収価格は不当なりとし、少くも政府決定価格の十二倍から十五倍にすべきであるとの有力な鑑定書を発表しておるというようなこと、これから補正価格については日銀の物価指数等を考慮に入れて反当十万円、あるいは七万円、あるいは五万円とすべきであるとの説をなし、また民間団体ではあるが農村同志会の上松農学士のごときは、当時の価格として水田一反は一万三千四百四十五円、畑七千九百三十八円が妥当適正な価格であって、これを根拠として補正を行うべきであるとの計数的意見を述べておる、こういうふうに問題点を指摘しておる。そこで善後処理対策という項目を見ますると、財源論としては農地改革により取得した農地を農地以外の目的に売却される場合は、ある程度の課税をなし、旧地主に対して給付の財源とすべしとの論もあり、また壊廃地転用に対する賦課金徴収、売り渡し未済地の処分による売得金をこれに充つべしと述べる趣旨もあるが、これは大蔵省に一任することを妥当と思われる、こういうふうに財源論には一応の結論をつけております。さらに旧地主の物的犠牲が大きな場合は、物的給付のほかに褒賞、勲賞授与等をも考慮さるべきでないか、こういう結論が出ておるのです。これは私は非常に大きな問題であろうと思うのでありますが、要するに、前の農地問題調査特別委員会というものの農地補償に対する方向づけがこれに行われておる、こう判断していいのではないか、こう考える。一体そういうふうな方向に向って自民党が動いておるという事態に対して、果して農林大臣は党内において今後どう対処されようとするか。それから同時に伺いたいことは、農地問題調査特別委員会を二月三日において農地問題特別委員会に切りかえなければならないという事情はどういうところにあったか、この二点を伺っておきたい。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 党の方も、御承知の通り相当党員も多いですし、国会議員も相当数あります。これはいろいろな意見があることと思います。そこで調査会等について、またいろいろな意見も出てくることとは思っております。しかし、私は党の幹部などと話しましたときにも、地主に対する補償はしない、党の幹部の方においても、そういう意図は持っておらぬ、こういうことに私との間は話がついておるわけであります。  そこで第二の、特別委員会に切りかえた理由はどうかということにつきましては、私は深い理由は承知しておりませんが、農地問題等につきましては相当問題もある。農地法の問題等につきましても、あげてみればいろいろ調査する問題があるのであります。それで党の方の幹部も、農地の問題につきましては、農地補償というものを前提とするということでなくて調査を進める必要がある、こういうような話でありますので、そういうふうに私は受け取って聞いておるわけであります。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 この農地問題調査特別委員会を設置されるときに、二つの条件をつけて、その特別委員会の使命というか、権限の範囲というか、これに一つのワクをはめられたと伝えられておる。その一つは農地補償は行わない、もう一つは国家財政に大きな影響を及ぼさないようにする、こういう二点のワクをはめられたということであります。農地補償は行わないということは、総理大臣も農林大臣も繰り返しておられるから、農地補償という名目の補償は行わないのではないか、これは想像ができるのです。ところが、昨年の十一月二十日に農林大臣は、栃木県の鹿沼市に出張された際、農地補償についての質問があったときに、補償はむずかしいが、見舞金というのなら筋が通るのではないかと、赤城農林大臣は答えておる。そこで、この二つのワクを党が特別委員会にはめたというその真意を洞察するに、農地補償というものは行わないが、かつて海外の引揚者に対する在外資産補償の要求運動があったときに、これに給付金を五百億交付するということに解決を見たことがあるのでありまして、補償という名称は使わないが、赤城農林大臣が言っておるがごとく、見舞金、あるいは給付金、交付金、そういうふうな名目のもとに、これを行うという意図がひそんでおるのではないかということが考えられるのであるが、どうですか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 今の御質問の中に、赤城農林大臣が言っておるようにという御質問がありましたが、私はそういうことは言っておりませんから、それはお取り消し願います。新聞に書いてあるそのままで、私が言っているというふうに即断するのは、少し早いと思います。ただ栃木県での話が、見舞金ということじゃありませんが、今お触れになりましたように、海外の引き揚げについて給付金を出した。それにはやはり一つの理由——理由というか、筋があった。その筋というものは、とにかく戦争に国が負けたとすれば賠償というようなこともあるのだ。韓国とか中共とかその他において、とにかく今賠償を払うということになっていないけれども、日本人がそこに置いてきた財産だとか、そういうものを向うで持っていったというようなことにもなっている。こういうことで、筋を立てれば、筋というか、正確な法律的な意味ではないけれども、在外者があすこで非常に骨折ったところの財産を、向うへ持っていかれたというようなことなんだから、国にかわってそういうものを提供したというような、まあ意味といいますか、そういう意義づけとして話があったので、そういう者にはやはり出すべき筋があるのじゃないかということで、あれはきまったんだ。しかし今度の農地の補償については、どうも私として納得するような筋が立っているとは思えないし、どう考えても補償するということはできない、こういうことは話しました。しかし見舞金をやろうというようなことは、私は言っておりませんから、赤城農林大臣が言ったようにというようなことは、少し違っております。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 これは新聞記事でありますので、これ以上ここで問答を繰り返すことはありませんが、大臣は問うに落ちず語るに落ちて、何だか理由がつけば考えてもいい、こういう含みのある答弁が行われたようであります。  そこで、ちょっと先に戻るのですが、一月二十五日に、農地問題調査特別委員会で、衆議院内のある会議室で、二つの決定をしております。今国会に農地改革善後処理調査会設置法案を議員提出として提出する、もう一つは、この経費は内閣予算の予備費から支出すること、これをきめているのです。二の結果として、さっき大臣がちょっと触れられたようでありますが、一千万円を調査費として出そうとして、あるいは出すことを一応予定して、さらにまたこれを取り消したということがあったようです。これはわれわれの調べたところによると、農林省はやはり一応賛成して出したが、大蔵大臣が拒否したために、これが支出できなくなった、こう伝えられておるのですが、その真相を承わりたい。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 農林省から予算要求はいたしておりません。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 そこでもう一つこの問題で伺いたいのですが、二月一日付日本経済新聞の朝刊ですが、「農林省、農地補償の対策ねる」という題目で、「差益は国が吸収、創設農地の転用防止に」という大きな記事が出ているのです。ここで、これはちょっと余談になるようでありますけれども、農地の転用については、しばしば問題を起しているように、工場敷地その他のために、ずいぶん農地がつぶれておる。つぶれ地に対してはそれぞれ五千坪以上は大臣の許可権、五千坪以下は県知事の権限ということで、どんどん転用が行われておる。われわれの調べたところによると、およそ一万五、六千町歩はつぶされておるのじゃないかと思われるのでありますが、昨年度の予算から、農地転用基準を作るということで予算がつけられておった。この農地転用基準というものについて、昨年度の予算をもってどの程度に調査が行われておったか、またことしの予算規模はどの程度であって、転用基準を一応示すというには、どの程度に準備をしてこれさやるのか、これは局長でいいですから一つ……。

安田善一郎農林事務官(農地局長)

○安田(善)政府委員 石田委員のおっしゃいます農地転用基準というのは、そういうような名前でございますが、農地の壊廃防止の基準を作るという趣旨のものでございます。昨年は約二百万円、百三十数都市の周辺で転用が起りやすいところについて基準を作ろうと思いましたが、なかなかむずかしいことでございますけれども、六十八都市ばかりにおいて各種の観点からとらえる産業立地の問題を、農地壊廃の防止の見地を中心にしまして調査いたしているのであります。その調査の資料がぼつぼつまとまって参りますので、三十三年度におきましては四十万円の予算を計上しまして、その調査の結果のデータに基きまして適当なる協議会の委員をお願いして、そこで御審議をお願いして、それから基準を作ろうと、こういうように思っております。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 それはぜひ一つお進めを願いたいのでありますが、どうもそれと関連があるようにこの記事は受け取れるのでありますが、やはり差益は国が吸収して、その差益を土地改良費に充てるということがその内容です。ずいぶんたくさんありますけれども、時間の関係で私は朗読するのを避けますが、どうもこれは旧地主の補償運動等との関連で、こういう案が練られておるように考える。大臣はこういう対策を練るように指示をされたかどうです。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 旧地主の補償と関連して指示をしたということはありません。ただ、農地についてはいろいろ問題があります。今のように非常に価格が高くなっている、こういうような問題等もあります。御承知の通り土地解放は自作農に精進する者という厳格な条件があったわけであります。ところが自作農に精進しないで、転売して高い利益を得るとかいうことがありますので、こういうことについては農地法全体の問題としても研究する余地はあると思います。そういうことで、別に研究しろという命令は出しておりませんが、農地の問題については、農林省としてもやはり始終研究はやるべきものでありますから、研究は進めておると思いますが、補償との関係で、ということはありません。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 指図はしていないということでありますが、農地局長、これはあまり四角ばらずに、今大臣の言われたようなことで、私は実は意見の交換をしたこともある。この点は私は問題の一つであろうと思うのです。自作農地として払い下げをした、しかしそれを営利のために転用するということには問題があろうと思うのだが、しかし公共事業のためにつぶれる方がむしろ多いのであって、これはなかなかむずかしいのです。  そこで今申し上げました新聞に記載された内容でありますが、そういう場合における差額を吸収して、土地改良費に充てるという考え方は一考を要する問題で——私はこれを全面的に否定しようとは考えません。しかしこれは非常な危険性がある。つぶれ地あるいは転用に対する差益を政府が吸収するということにかりになったとする。それでその結論としては、その差益金は土地改良に振り向ける、農地造成に振り向ける、こういうことでありましても、今の自民党のような考え方であると、吸収された資金が直らに地主補償に振りかえをされる危険性がある。農地局長はまさかそれほどばかではなかろうと思うのだが、そういうことを承知しながらなおこういう作業を進めるとなると、これはゆゆしい問題を引き起す。だからこの点については私は絶対にこの問題の解決をしないうちはこの作業を進めてはいけないと思うが、局長は一体どう考えておるのか。

安田善一郎農林事務官(農地局長)

○安田(善)政府委員 率直に申し上げます。石田委員のお考えはお考えだろうと思います。二十九年に私が農地局の管理部長をいたしておりましたとき、に、食糧増産、言いかえますと土地改良、新農地の造成の費用の確保に当時の局長等は苦労をしておりましたので、あわせまして鉱工業の発展等で農地のつぶれる際のこととか、水沒農家の補償としての農地の代償の対価のようなものと彼此勘案いたしまして、またあわせまして当時自作農創設維持特別会計が売買する場合に生ずる差額の一部を政府がとっておったことがございます。しかしそれは先ほどお説にありました自作農創設維持資金の融通の方に関係があることでございましたが、そういう案を事務的に立てたことがございます。少くとも私に関します」限りは、私がその当時考えたこと以外、他から教られたことはございません。その後昨年になりますが、こういう制度を実現して、食糧増産費の資金源を確保できないかと考えたことがございますが、これは憲法論にも触れまして全面的な農地の国家管理あるいはそれに伴う価格統制等がございませんと、売買差益としてとることは法制上むずかしいという意見が一部にございました。もしそうでないならば、これをとるなら税においてこれをとる方法以外は憲法上の問題が生ずるであろうという意見がありまして、主税局と事務的な研究をしばらくいたしましたが、やめまして、今年度は研究に値いする事項だとは思っておりますが、だんだんとお話がありましたようなことの諸情勢を考えまして、今回は提案も全然研究をいたしておりません。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 なおこの問題については、もう少し質疑をしなければならない点があるのでありますけれども、これは総理大臣に出てもらって、総理大臣の所信を飼う際に申し述べたいと思います。  農地補償に関する件については以上で一応の質疑を終ります。ただ農林大臣の先ほどの答弁によると、いささかあいまいな点があります。これは一つ総理大臣にどうしても出てもらって答弁を願わなければならぬので、それまでの間に、もう少し農林大臣と総理大臣との間に意思の疎通をはかって、意思統一をやっておいていただきたい、要望を申し上げてこの点は終ります。  次に、この土地改良の問題で伺いたいのでありますが、農村の生産基盤を強化、拡充するという点で、本年度予算の中で食糧増産対策費等の予算がかなり大幅に増額をされたことに対し、大臣並びに与党の諸君の努力に感謝します。率直にこれは認めるものでありますが、ただ今の程度の予算で、予算説明によりますと、従来の国営、県営、団体劣等のアンバランスを調整をしていくように考慮をすることになっておりますが、御承知のように今度の予算を見ますると、継続実施地区の国営灌排事業の三地区を新たに特別会計事業に繰り入れる。さらに新規四地区の着工、干拓継続実施地区が七十四地区、国営灌排継続は六十八地区に及んでおる。都道府県営の灌排事業は三百四十六地区、団体営一千地区に上っておる。そのほかに国営灌排五地区、干拓二地区区を新たに採択をいたしておるのであります。予算は総ワクが若干増額をいたしておりまするからとは言うものの、こういうふうに窓口を広げていかれまして、果してこの膨大な事業の完了の見通しが、たとえば特別会計法に基くものは七ヵ年以内に完了するという方針で始められておるのでありますが、果して一体特別会計法に基く土地改良でも七ヵ年以内に完了ができるかどうか、はなはだ疑いなきを得ないのであります。特に昨年の国会にも私は指摘をいたしたのでありますが、従来は国営は国営、県営は県営、団体営は団体営、それぞればらばらになっておってちっとも水系別の関係だとか、同じ地区内においても県営と団体営との関連というようなものがほとんど考慮されておらない。かりにそれを考慮するとしても、予算的にばらばらなのであるから、勢いばらばらにならざるを得ないのであります。そうなりますと、国営は完了したが県営ができない、県営は完了したが団体営ができない、団体営こそが経営改善もでき、経済効果が初めて上ってくるにもかかわらず、末端の団体営の方は国も県もこれを顧みないというのが従来の土地改良の方針であったわけです。そうなりますと、まだ経済効果が上ってこないところに相当な負担を課せられる、こういう問題が起って参っておるわけであります。これは特に著しい例で、大臣の近くでありますからよく御承知のはすでありますが、両総用水などを例にとってみると、昭和十八年に農地開発営団というのが当時ありまして、そこで事業を開始しておる、十六年間を経た今日、三十二年までで国営工事は七〇%進んでおりますけれども、支川の水路は県営が十三%であって、計画された十五川の支川のうち、昨年まで辛うじて着工されたものが五本にすぎない、完成されたものは一本である。十五本のうち十六年たって一本しかまだ完成されていない。団体営は三〇%しか進捗しておらない、国営工事は七〇%進んでおっても、団体営の方が三〇%しか進まないというようなことでは、これでは経済効果というものが上ってこないのです。工事の予算は四十三億、それが三十四億もすでに投入されておる、しかし水の利用ができない、これじゃ投資されたものが眠っておる。それで全国的にこういう状況がどんどんできてきた、こういう状況になると思う。  さて、ここでお尋ねしたいことは従来の土地改良事業が今まで申し上げたように、あらゆる角度から見て全くばらばらに行われておる。総合性を欠いておる、しかも計画、設計もそれぞれ責任が違う。国営は国がやる、県営は県がやる、団体は土地改良区がやる、資金ももちろん別々、監査、監督ももちろん別々、ちっとも一貫性がない、こういうふうな状況であるが、そこで今日まで行われたものはやむを得ないとしても、今までのそういうアンバランスに対する特別対策を思い切ってやらなかったならば、私はますます対大蔵省の関係などが困難になりはしないか、投資効率というものは非常に低い、投資というものは眠っておる。だから土地改良事業の予算は上げられない、こういうことになっていくんじゃないか、こういう点について何か特別なこれに対する対策を大臣は考えておるかどうか、お伺いしたいと思います。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 お話ごもっともでありますし、また昨年度などの御意見も尊重いたしましたので、予算説明に申し上げましたように、ことしは国営、県営、団体賞等のアンバランスを少くしていこう、繰り上げて工事をしていこうというようなことで、予算の配分を考えたわけであります。しかしこれは同時にというわけに参りませんことは御存じの通りで、緩急はおのずからございます。団体営から先に始まるというわけにいきません。国営、県営、団体営というような緩急の差はあろうと思いますが、今お話のように非常に団体営がおくれてしまって、負担だけをしていつまでたっても受益をもたらされない、こういうようなことでありますると、財政当局などでも土地改良に対する効率が悪いというようなことを言われるおそれがあることはもちろんであります。(「農民はどうするのだ」と呼ぶ者あり)今お話がありましたから、それに対して答弁をしているわけでありますが、そういうようなことでありますから、ことしの予算の配分等につきましてはかねての御意見等もありまするし、この度合いといいますか、速度といいますか、繰り上げるような方針をとって工事にかかるようにいたしております。ただお話中にもありましたが、行政機関が国とか県とか土地改良区というような形になっていますので、国が全部団体営までやるというような特別の方法ということは考えておりませんけれども、現在の土地改良関係の運営におきまして、今お話しのようなことを除くように予算措置をいたしていきたい、こう考えております。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 抽象的に言えばりっぱな答弁になりますけれども、具体性がないとこれは何にもならないのです。国営と県営の関係については、国は相当な補助金を出しますから、おくれておるところはちょっと繰り上げていくといういろいろさじかげんもできますけれども、事団体営になりますと、設計についても、あるいは事務費にしても全部これは土地改良区なのです。国はただ融資するだけだ。そうすると、国、県営に関する限りそのアンバランスを調整していくということは、これは国で考えられると、ところが団体営の方は具体的な予算措置がなければ、幾らかけ声だけかけたってできるものではないのです。少くともこの問題を解決して経済効果を早く上げさせるようにするには、やはり団体営に対して、少くとも計画設計あるいはその事務費くらいは、これは国の負担において促進をさせるようにする、あるいはまた率は低くともやはり若干の補助金を出す、こういうふうな具体的な措置をやる。そうでなければ、計画、設計は国が国の責任においてやってやろう、こういうふうにする。あるいはもう一つは、国営の責任者と県営の責任者と団体営の責任者とそれぞれ別々であるけれども、総合的な一つの土地改良についてはだれか相当優秀な技術官、全体の責任者というものをちゃんと設置して全体のアンバランスをなくするようにやっていく、そういうふうな全体についての責任を明らかにする、こういうふうな工合に具体的な措置が行われなければ、大臣のように、抽象的にただよく調整していきますなんて、そんなことではこれは絵に書いたもちで、答弁としては政治答弁で、それはまことにけっこうでしょうけれども、意味をなさないのです。私はもっと具体的にどういうことを考えておるか、どうすればそのアンバランスをなくすることができるか、そういう措置をやる意思があるのかないのか、こういうことを聞きたいのです。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 抽象的で、絵にかいたもちであると言われますが、私は予算措置をしておるので、予算措置をして私の考えを実行しようということでありますから、決して大臣として絵に書いたもちを御提出しておるわけじゃないのであります。たとえば団体営の点などについても、今お話のような点がありまするから、予算において一億二千二百万円の予算を計上してこれを統一さしていくというようなことで、一例をあげますならばそういうことをやっておるのであります。そういう私の考え方に基いて予算措置をしておりますから、その点につきましては事務当局から答弁をさせます。

安田善一郎農林事務官(農地局長)

○安田(善)政府委員 赤城農林大臣の補足を申し上げます。  国営、県営、団体営の一貫施工をできるだけ早期に完成いたしまして、農民に効果を多からしめまして、また国家の投資あるいは県の投資を効率化する、こういうことは最近特に留意をいたしております私どもの目標でございますが、具体的には財政事情等もございまして、まだ十分に参りませんけれども、来年度の措置と、それ以降に対する布石とをいたしておるのであります。大臣の申されました具体的措置は、まず第一に、団体営の事業には石田委員の言われるような事務費を組  む、第二には、融資事業につきましては一億二千二百万円の融資事業の指導費を組んでございます。また国営と県営との間につきましては、特に指導しやすいというお話もございましたが、国営基幹工事に連結するのは、やはりまず第一に国営付帯工事、県営工事でございますから、来年度はそこに重点を置きまして二億の予算増をいたしまして、昨年度の予算べースで参りますれば、国営は全国三十三本で十年弱の事業量の残高がございますが、これを八年に縮める程度に予算を編成いたしております。付帯県営は九・六年前後くらい前年度のべースでいけばかかるのでありますが、三十三年度では、こまかに計算しますと八・一年くらいに短縮するようにいたしております。なお以上の措置のほか、土地改良基金等の運用益によりまする共助事業の金利低下などをはかりまして、それで負担に耐え得るような場合は一貫施工等に重点を置きまして、その制度を適用して早く仕事をしていただこうというつもりでございます。これはもちろん地元の御申請等の上においてやるべきものと考えておるわけでございます。また来年度予算において、具体的に各種の事情から制度化できませんでしたけれども、財務当局等ともお話ししまして、また地方の土地改良団体の要望その他各地の農民の方々の要望にもこたえる準備を整えておりますが、大蔵省と妥結してまだ予算にならない、制度にならないことをあえて申し上げますと、国営、県営等においては継続費制度をとったらどうだろうか、また国営、県営、団体営、または県営、団体営と土地改良区とが重なるところはなるべく一つのようにして、そこに指導監督者を民間または補助職員または農地事務局の職員で置くことはどうだろうか、また各県ごとに特別会計等を置きまして、国の予算措置は、国営、県営、団体官等がありましても、適当な水利、地形等によりまして早期完成をすべきところ等については県段階で一貫施工をする制度もどうだろうか、こういうこと等を研究いたしまして、少くとも継続費の額をもう少し確定できますれば、三十三年度はまだ準備が整いませんが、それ以降においてできるだけ早く継続費制度を一部でも実現したらどうだろうかということを打ち合せておる次第でございます。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 先ほども大臣に申し上げたのでありますが、これからいろいろアンバランスの調整をやったりいろいろ特別な措置をお考えになるのはけっこうです。しかし今日までほとんど収拾しがたいような状態にまでなっておるものが全国各地にあるわけです。今局長が説明されたようなことではもう収拾がつかない状態のものが数限りなくあるわけです。そこでことしは間に合わない、しかし今から準備しなければ来年も間に合わないので、今直ちに収拾の困難な地区に対する立法措置か何かの対策、それを一体考えておるかどうか。   それからもう一つは、小団地等土地改良基金六十五億があげられておる。これは農林漁業金融公庫にこれを出して、資金運用部に繰り入れて、その利子を小団地等の土地改良の利子補給に充てるということであるが、これは従来の小団地等の融資に対する利子補給にもこれを充てる方針であるのか。あるいは新規の者に限ってこれを充当する方針であるのか、あわせてお答えを  いただきたい。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 効率を上げるための立法措置ということは予算も今提出しておるときでありますので、これを立法によって行うということは今考えておりませんが十分研究いたしておるわけであります。ただ本予算の執行に当っては、地区の緊急性とか部分効果の発生等を十分考えて重点的に配分していきたい。これはもちろんすでに着手したものについてもそういうことを考えておるわけであります。  第二段の小団地等土地改良基金六千五億、これは利子を下げて事業面を多くしていくということでありますが、この前にもお話申し上げましたように、別にこれに対する資金のワクとして六十億ありますので、三十五億については四分以下の利率に下げられると思います。これによって、特に国営、県営、小団地というようなところへ多くこれを持っていって、小団地等の土地改良事業の進度を進めていきたい、こう考えております。これは非補助の方でありますので、そういうことによって補助の方の部分がそれだけ余裕ができてきますから、特殊立法地帯について補助を出す方でそれだけ事業分量が増すということになっております。  それから最後にお尋ねの、すでに貸してあるものについても利子引き下げというようなことをするかということでありますが、これは同様の事業につきましては、すでに貸し付けた残についても利子の引き下げをやる方針でやっております。これについてはほかの基金も一緒に法律が出るわけであります。六十五億の基金についてはそのように御承知願いたい。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 時間を節約する意味で、一つ具体的な例をあげて、その中から出てくる問題を追及していきたいと思うのであります。これは御承知の新潟県の亀田郷の土地改良でありますが、一万町歩に及ぶ大事業でありまして、国営、県営、団体営との関係は先ほど申し上げました両総用水と同じような点がたくさん出ているわけであります。そこでこれについて先般来すでに農民の負担が限界点に達しているということで、従来の融資の償還がきわめて困難になってきている。そういう事情から農地局関係の人たちが現地の調査を行われたのであります。その実態調査の報告でありますが、これを読んで見ますと、その問題点がはっきり浮き上ってくる。たとえばその中の第五章で「土地改良区の事業運営の実態」というところから結論の方だけ申しますが、「第一節土地改良事業の全ぼう1、ただ普通の区画整理かんがい排水事業でなく、干拓的な事業として実施されるべきであった。2、非補助事業が極めて多い。3、補助金のつけ方に就ても特別の考慮が払われるべきであった。4、政策的にも特別の考慮が払われるべきであった。5、国、県営、団体営を一貫した綜合的計画が樹てられるべきであった。6、今後なお排水を計るため暗渠排水事業の実施が問題となる。」第二節は「団体営土地改良事業1、県営採択事業の団体営施行は当然県営事業として施行されるべきである。2、国、県の附帯事業も土地条件よりして己むを得ない工事であり、ある程度国、県の負担において施行されて然るべきである。3、県、市町村道関係の新設工事には(附帯工事を含む)県、市町村の助成措置がとらるべきである。4、政策的に補助事業が五〇%以上行われる様特別の考慮が払われるべきである。第三節は「施設の維持管理1、国、県営事業(施設、水路)の不備及び県営事業の遅延からくるしわ寄せが経費の増大を来し改良区の財政状態を圧迫している。第四節は「県営土地改良事業1、事業の遅延に依って国営及び団体営事業の進度にそぐわなくなり、水利上不便と支障を与えている。2、現在仕越四千九百二十五万円を残しているが、今後、予定されている二ヶ年で完遂し得るかどうか。3、今までに附帯工事として団体営で施行した工事一千二百三十八正万円を県営事業として負担し得るかどうか。」第五節は「国営土地改良事業1、国営造成施設の維持管理と其の経費が問題となる。2、国営施設の今後の補修を如何にするか。3、国営水路に就て国が行う外、土地改良区で橋梁の架替、護岸の補修、浚渫等の事業で五千万円を要している。」第六節は中をちょっと略しまして、「三十三年度以降の試算を考える時新大の負担限界が反当三千円が無理のない処と結論を下しているが、土地改良区が財政危機に当面している今日にあっては安易に他に借入を求めることは出来ない。従って組合員の自覚と協力に依り自力で再建するための負担過重はまたやむを得ない。こういう結論をつけておる。しかしこの中から引き出される問題点は、国、県、団体営間の一貫した計画性と総合性がないということと、統一ある責任態勢が欠けているとして、その必要性を強調しておる。それから一般の灌排事業ではなく、干拓的な事業であったことを指摘しておる。これは単なる経営改善的な灌排事業であるか、建設的な農地造成かについての政策的な取り扱いが問題になっておるわけであります。県営採択国営付帯事業に対する国並びに県の負担責任問題が指摘されておるのであります。  それから次に施設の維持管理でありますが、これは膨大なぼろ施設を農民に与えておる。もちろんこれは戦時中の工事でありますからやむを得ない点もありますけれども、かつて東洋一と言われたあの排水工事が粗悪であって、漏水をする、建物のごときも風が吹けば屋根が吹っ飛ぶというような状況、それから水路については、これは特別の泥帯でありますから、石積みとかコンクリートというものは当初からやることは困難であったかもしれないけれども、それが単なる士堰堤になっておる。その維持管理を直ちに土地改良区に押しつけるということの問題、それから最後に、負担限界の問題を指摘しながら、なおすべて農民の負担に帰すべきものとしておるのでありますが、今ここでちょっと朗読いたしました通りに、その前段においては、必ずしも責任が土地改良区または農民の負担に帰すべき性質のものでないということを農地局の官吏の諸君が指摘をしておるのです。それがために今日起っておる問題というものは、賦課徴収が過大であって、賦課金の未納が多くなり、負債の償還が不可能に陥って、かつての土地改良区の理事であった諸君等にあるいはまたすでになくなった当時の理事の人たちの相続人のところに今日強制的な償還の手続を開始されておるのであります。こういうふうな状態はおそらく今後至るところに起るであろうと思う。こういうことについて一体大臣はどういうふうに措置をしようと考えるか。当面の問題としては差し迫った償還の問題であります。農林中金または公庫は、今申し上げたような調整的な措置をとろうとしておる、農民の負担の限界点を超えておる、こういう状態です。一つ大臣の所見を承わりたい。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 先ほどから申し上げていることでありますけれども、なお具体的な特定地区についてのお話がありましたので、そういう地区についての仕事の進み方のアンバランスや、あるいは全体的に申し上げましたように地元等の問題につきましては、これを是正していくし、それから地元負担の点につきまして全国的にもいろいろ問題がありますので、これについては負担を増さないようなことにいたしたいと思いますが、具体的な特定の措置でありますので、事務当局からなお答弁いたさせます。

安田善一郎農林事務官(農地局長)

○安田(善)政府委員 大臣の御方針の摘要にすぎませんけれども、御指摘の亀田郷の土地改良事業については、大事業でもあり、また御指摘の国、県、団体営がともにある事業でありまして、目下のところ大よそのことを申し上げますと、たしか国営と団体営が九割、県営が四割くらい済んでおるわけでございます。本年度の反当地元負担は三千円を少しこえると思っておりますが、さらにこのまま放置いたしますと、将来一番多くなるときが四千円程度になるかと私どもは見ております。これに対しては御指摘の重要点についてやはり御指摘と同様の観点に即しまして措置をするのが適切だと思っておりますが、ただお読み上げになりました報告書は、金沢農地事務局と新潟県庁をしてこの問題を研究さしておるのでございまして、未定稿で私どもに届いておりません。私がまだそれを同けられておらない前に、学識経験者である石田先生に御意見をお聞きしたことについてなら別でありますが、それが金沢農地事務局及び農地局の意見あると、こういうふうにあれば、私は適当でないと思います。よく研究をいたしまして対策を講じたいと思いますが、そこに述べられ、また御指摘の重要点においては、すでに対策を具体化すべきものもだいぶあると思います。  第一には国営水路の堀さく事業について、先ほどの維持管理と施設の不備老朽化の点でございますが、これは補修費を国の費用で出しまして整うべきものと思います。そういうふうにしたいと思います。  また第二点といたしましては、金営段階におきまして工事の施行がおくれておりますので、県営事業は全国予算が組んでありまして、その年度内の能率的実施によりますから、その点において配慮したいと思います。  第三点といたしましては、先ほど大臣からお答えになりましたことの一つでございますが、農民負担がやや多いということの一つの理由としまして、農林漁業公庫の五分の融資を使っておるところがございますから、これを一貫施工事業の重点地区については、土地改良基金によります低利融資の借用をしようと検討いたしておりますので、過去の貸付残を低利の新資金に借りかえまして負担の軽減をはかりたいと思っておるわけであります。  干拓と土地改良事業とを、むしろ干拓的なふうに取り上げるべきではなかったかということでございますが、あそこにおいては事業の計画もあり、地元から申請もございまして、国の事業として適用しまして、すでに特に国営事業においては九割の事業を遂行いたしておりますので、やはり採択いたしましたようにしてそのあとのことを考えるのが筋だと思っておるわけです。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 これは大臣にそこまで質問してもおわかりでないのじゃないかと思うのですが、土地改良に対する負担の限界というものが一応考えられなければならないと思うのです。土地改良で、あとは経済効果が上ってくるのだから幾ら高くついてもかまわぬというものではないのですが、計画設計が国営は国営だけで、県営は県営だけで、団体営は団体営だけでばらばらにやる、そうなるとあとで負担が過重になる、こういうようなことになるのであります。そこでやはり土地改良というものの経済効果と農民の負担の限界がおのずからなければならないと思うのですが、大臣どうですか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣  どこでという線は非常にむずかしいわけでございます。農家の経済等にもよりますから。しかし事業の採択等につきまして、あるいは設計書を検討する際におきましても、事業の効率ということとまた農民の負担がどの程度でおさまるかというようなことは査定の重要なる要素として検討いたしておるわけであります。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 そこで私は一つ例を示したいと思うのですが、亀田の場合は新潟大学の農学部の農業経済学教室で一年ばかりかかって現金経済から見た農民の負担力というものの統計を作っておるのです。これは土地改良によって反収が上った場合どれだけの負担力が出るか、一斗増産についての肥料を計算し、一斗増収すれば米価一万円として約一千円の増収になるが、その肥料を差し引いたものが増産からくる負担力として計算をしております。昭和二十七年から三十一年、五カ年の平均反当一斗の増産が七百十四円、二斗で一千四百二十七円、三斗で二千百四十一円、四斗で二千八百五十四円、一俵増産をして負担力は二千八百五十四円、約三千円、こういうことになっております。これは小農、中農、大農と、いうようにそれぞれ階層別の調査をし、年次別調査をやっております。ところが大体三千円というものが妥当だといわれておりますが、さっきも農地局長が言われたように、四千円を上回っておる、ある階層によっては六千円くらいになっておる。これはもちろん国営の関係、県営の関係、団体営の関係を全部含むわけであります。あるいは耕区の関係も含みます。そういうようなことであります。そこに問題があるので、今日のような窮状に追い込まれておりますが、これについては今日われわれは二つの対策しかないのじゃないかと思う。さっきも農地局長が言われたように、当面の償還並びに今当面しておる団体営の残事業、これについてはやはり長期資金の借りかえで一時は継続をさせなければいけない、しかし根本的にはどうしてもそういう不振土地改良区というものについて——さっき大臣は検討をしようと言われておりますが、何らかの措置が必要ではないか、つまり農協の再建整備法に似たようなあるいはまた開拓地に対する区振興法のようなもの、こういうものをどうしても必要とする段階にもう至っておるのじゃないか、かつてこれは戦争中でありましたけれども、勧業銀行が、耕地整理組合時代に債権のある一部のものを、国が三分の一を負担し、勧銀が三分の一を負担し、農民が三分の一を負担して旧債の処理をやったことがありますが、そういうことを内容とする再建整備の立法措置が必要ではないか、こう実は考えておるわけであります。これは大臣せっかく検討しようということでありまするから、一つ大臣を中心として局長あたりがよく具体的な案の検討を願いたいと思います。  なおここに出て参りました維持管理の問題でありますが、今日土地改良法の中にも、施設の維持管理というものは、九十三条に、「国は、土地改良区その他の者が、省令の定めるところにより、その所有し、又は管理するかんがい排水施設を国において管理すべきことを申し出た場合において、その申出を相当と認めるときは、その施設を管理することができる。」ということが規定してあるのです。亀田のような場合には特にその施設が戦時中のものであって、ああいう大施設が漏水するというような状態、もう鉄管などが腐蝕をして水が漏るというような状態、こういう特殊のものについては、やはりその維持管理というものは当然国がこの法律に従って引き受くべきものではないか、こう考えるのです。水路にしても同様です。こういうことは法律の範囲内においてなし得るものである。こういう点について具体的に一つ検討をされておるのかどうか。金沢農地事務局を通じてしばしば要望はしてあるわけですが、おやりになる意思はありますかどうですか。

安田善一郎農林事務官(農地局長)

○安田(善)政府委員 石田先生の施設管理特に老朽化したものの委託を国が受けましての管理というのは一つの案で、法制にも盛られておりますが、来年度予算の編成に当りまして、その費用を要求いたしましたが、早々の際で、予算が最後にきまりまして遺憾ながら組めませんでした。そういうような意味を加えまして今後なお研究いたしますが、目下予算がございませんから三十三年度はいたさないつもりでございます。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 私は維持管理の問題は、亀田の問題だけを例にあげておるのであって、全国至るところにそういうものがあるのですから……。今までの国の責任においてこういう状態を招来した、これはやはり国が責任を持って完成をさせ、そうして維持管理等についてもそれを見てやるというのが当然の責任であると思うので、新年度は予算措置ができないということでありますけれども、次の年度にはぜひ一つ実現のできるように御配慮を願いたい。  最後に一点お尋ねいたしますが、これはちょっと別の角度の問題ですけれども、最近土地改良が進みまして、湿田地等もかなり完全な乾田化が行われております。すなわち従来の単作地帯が二毛作可能な面積が相当にふえております。調査したところによると、関東・北陸だけで三十五万町歩くらいの二毛作可能な水田がある。ところが現在作付されておるものはわずかに五万町歩に過ぎない。あと三十万町歩は遊休状態というまことにもったいない話です。これはいろいろ問題がございまして、従来の慣習であるとか、労力の調整がつかないとか、あるいは表作の減収になるというようなこともございました。しかし労力の調整については耕転機が普及いたしておりますので、ほぼ問題は解決がついておるのでありますが、ただ新潟県でわれわれの経験したところによると、県当局もずいぶん積極的な奨励をやっておる。来年度も一千万円くらいの裏作奨励の資金の予算を上げたようであります。以前にこれを奨励いたしまして裏作を全面的に試作をやったことがある。ところが、その試作に対して国税庁が一斉に裏作調査を始めた。たまたま当時農民の税金の負担が非常に過重であって、税金のために苦しんでおった農民は、税務署の調査が始まりますと、今穂が出たばかりの麦を全部青刈りをしてしまった、それ以来裏作から手を引いているという事実もある。これは必ずしも地方々々で状況は一様ではないと思いますけれども、せっかく土地改良をやって二毛作が可能になった水田が、大部分が一毛作のままに放置されておるという状況を見るに忍びないものがあるのです。そこで今は対策として考えられることは、水田酪農これが一番適切なものとして表作にも影響がない、労力調整もできる。しかし問題は貧農層にとっては家畜の導入がほとんど手が出ない。これらに対してやはり本省の方で一定の方針を立ててそれぞれ措置することが、これは国家的な見地から見ても、農家経済の見地から見ても重大な問題であろうと思いますが、これについての所見を伺いたいと思います。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 今の御意見はごもっともな御意見でありまして、私どもといたしましても水田裏作につきまして水田酪農ということで、これは土地もやせませんしかえって土地も肥沃になりますので、それと関連しまた家畜の導入、貸付、その資金、こういう方にもそれぞれ十分とは申しませんが措置をとって、今のお話の方針のように進めていきたい、こう考えております。

中村英男日本社会党

○中村委員長 赤路友藏君。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 これから水産の問題についてお尋ねいたしますが、こまかい面にわたることは御答弁を願うことは無理だと思いますから、基本的な面だけについてお尋ねをいたします。大臣の方の答弁も一つ簡潔にお願いしたいと思います。  日ソ漁業交渉についてお尋ねいたしますが、日ソ漁業交渉は非常に難航の様相を示しているごとくであります。このことは本年度交渉を開始いたしまする前に、すでに水産関係の人々の予想したところでありまして、このことを政府はむしろ甘く考えておったのではないか、ここに第一歩における大きな誤算があったと思うのであります。そのことは岸総理が宇都宮ですか、記者会見のときに言っておられますし、また赤城農林大臣も大臣クラスの人物を派遣したいというような意見の発表になった。甘く見ておったという原因がそういう発表になったのだと考えるわけです。先ほどの石田君の質問の際、新聞に出たことだから知らないのだといえばそれまででありますが、しかしこのことは現在交渉に当っておる日本側の代表を、これは二流人物であるのだということをみずから認め、これをみずから宣伝するということになる。外交というものを知らないまことに愚かしい発表であると私は考えるのであります。しかも北洋における近海漁業安全操業の日本側の申し入に対しまして、ソ連の方より平和条約締結が先決であるという回答に接したときに、政府と与党の間で意見調整をするというようなことで何かあわを食ったような様相があった。その後最近に至りましてから、大臣クラスの代表派遣は見合わすのだというようなことを言ったりしておりますが、これはまことに無定見もはなはだしいと思います。一体日ソ漁業交渉に対してどういうふうに対処しようとされるのか、この点を一点大臣の御所見を承わりたいと思います。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 日ソサケ・マス漁業交渉について業界は非常にむずかしいと見ておったが、政府で甘く考えておったのじゃないかということでありますが、そうでは決してありません。非常にこれは辛く考えておるのであります。というのは、赤路委員も御承知の通り、一昨年の条約締結あるいは昨年の第一回漁業交渉、こういう経過も私ども承知しておりますが、そういう点で今年は豊漁の年じゃない、不漁の年だといういうふうに向うでも見ております。それから去年の漁業交渉の経過につきましても、たとえばオホーツク海の全面禁止ということは去年の委員会においてもああいう提案は出ましたが、最後において岸外務大臣・テボシャン会議におきまして、二船団二万三千トンということにきまった。しかしこれは次年度の委員会に持ち越すのだという留保がついている、こういうことやらあるいはまた距岸四十海里の問題等につきまして、その他いろいろ去年の委員会から持ち越されているむずかしい問題があります上に本年は不漁の年である、豊漁の年と不漁の年には総漁獲量において変えるのだということがソ連の強い意向であります。私どもはこの日ソサケ・マス漁業交渉は非常にむずかしいという観点に立っておるので、決して甘く見ておらないのであります。そこで閣僚などを出すということについては、甘く見ておったということにお考えのようでありますが、実は私は辛く見たものですから、こういう必要も生ずるのじゃないか、というのは御承知の通り日ソサケ・マスの漁業交渉は条約に基いて各三名ずつの委員が科学的に検討を続けて結論を出すことになっております。そういうことで現地におきましても科学的な根拠に基き検討を続けておるのでありますが、私どもは非常にむずかしいという観点に立っておりましたので、最後において科学的根拠を両方ともなかなか譲らないというようなことになりますると、いろいろな点で結論を出すことがむずかしい事態もあり得るのではないか、そういう場合には、去年の漁業交渉にも井出農林大臣が出て話をしましたり、最後には岸外務大臣がテボシャンと会って話をしたりという事態もあったのであります。でありますので私は、閣僚級の人が行くということを決定したわけじゃありませんが、最後の段階においてそういう事態もあり得るのではないかと考えて、総理大臣としてもそういうことは考えて、頭に置かれた方がよかろうという注意を実は促したことがあります。しからば向うの人を二流人物に扱っているのかということでありますが、決して二流人物と扱うようなこともありませんし、一流人物として平塚団長初め熱心に交渉を進めておるのであります。打ちあけ話を申し上げては恐縮でありますが、平塚団長も出る前に私に対しましても、最後の段階において政治的折衝というような場合に立ち至るかもしらぬ、しかし最後まで自分の方の主張を曲げないで奮闘する。しかし最後においてそういうような場合もあるかもしれませんから、そういう場合には内地からきっかけを作る意味において——決して二流人物とか腕が足らぬとかいうのじゃなくて、交渉を妥結するきっかけを作る意味において、大臣あるいはその他の人々に来てもらうということも希望する、こういうことで出ていったのであります。少し個人的な打ちあけ話になりますが、そういう事情もあるのでありまして、業界の一部が何か二流人物扱いしているのじゃないかとか、あるいは日ソサケ・マス漁業交渉を甘く見ているのじゃないかということを言っているやに私も耳にいたしますけれども、これは業界の観察や見方が違っておるというふうに考えております。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 大体今の御答弁で大臣の意思というものはわかった。ただああいうふうに新聞にでかでかと載りますと、ソ連側へ与える印象というものを考えなければならぬ。それから平塚さんが行くときに大臣にそのことを予想してお話になったかもしれませんが、いずれにいたしましても新聞に載ったということはまずい。そういうことは腹の中で持っておって、その場合にとっさに打ち出すべきものであって、事前にそれをばらまいてしまったのはまずいやり方であったのではないか。まあ今後もあることですから、できるだけ慎重にこういう問題は取り扱っていただきたい。これを希望しておきます。  それから今こまでの交渉の経過を見てみますと、相当強い規制措置をソ連側の方から提示されてきておるようであります。きょうの情報によりましても、単にサケ・マスだけでなしに、カニにまでこれが及んできておる、こういうような状態にあるので、そのソ連側の規制措置をそれぞれ分析いたしてみますと、これは資源の保存ということが基礎になっておる。資源を保存するということは、これは日本側にとってももちろん異存のあるはずはないのであって、乱獲をするということは、それは漁業の自殺を意味するものであります。しかしながらこの資源の問題については、ただいま大臣もおっしゃられたように、科学的になお調査を要する、こう私は考える。「(その通り)」おそらくソ連側にいたしましてもあるいは日本の資料にいたしましても、だれしもが了解し、納得するような、海洋学上からも生物学上からも見た完璧な資料というものはできていないと思う。そう考えて参りますと、問題の焦点は漁業調整にしぼられてくると私は考える。漁業調整にしぼられて参りますと、その際一番問題になるのは何かと申しますと、これは河野・イシコフ会談による、またそれで決定されたという不漁年八万トン、豊漁年十万トンという、このことが問題の焦点になって出てくると思う。これに対する二十四国会以来の河野大臣の当時の各委員会における委員諸君からの質問に対する答弁をずっと調べてみた。たとえば三十一年五月三十日、予算委員会の井出一太郎君の質問、あるいは十一月二十四日及び二十六日、北澤直吉君と鈴木善幸君の日ソ共同宣言等特別委員会における質問、あるいは十一月三十日の参議院外務、農林水産委員会連合審査会における小林孝平君の質問、これらの質問に対する河野さんの答弁を集約しますと、八万トン、十万トンということは、ソ連側の陸上漁業計画とにらみ合して検討してきめるのだということに尽きると私は思う。ところが昨日予算委員会で、わが党の松本七郎君の質問に対して、河野さんは変った答弁をされておる。大臣もちょうどおいでになったから御記憶だと思うが、八万トン、十万トンというのはこれは初年度のことなんだ、ということは前年度の実績がないから初年度これを目標にしてやるのだという答弁があったと思う。そうなってくるとこれはわからなくなって問題が混乱して参ります。もっと言えば、本質的に日本側とソ連側の八万トン、十万トンというものの受け取り方が違っているということになる。このことはだれもわからない。当時交渉に行った顧問の諸君も随員の諸君もわからない。河野さんだけしか知らないというような状態でありますから、問題が事後に残されておる。今後来年も再来年もなお引き続いて漁業交渉はやらなければならぬ。そういうときに常に問題が解明されないままで、本質的に明確にならないままで交渉するということは、決して望ましい姿のものとして現われてこない。この際日ソ両国における意見の統一を明確にしておく必要があるのではないか。この点について大臣はどうお考えですか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 豊漁年十万トン、不漁年八万トンという話し合いは、当時の河野代表とイシコフとの間にかわされておったようであります。しかしこれは今のお話のように、日本の沖取り漁業の漁獲量をきめるにつきましても、ソ連側陸上漁獲とあわせ検討してきめるという根拠が一つあることは、今のお話の通りであります。同時に昨日も河野大臣から話がありましたように、十万、八方ということは一九五六年にそういう話があったのでありますが、その年に向うの漁獲量は十六万五千トンという漁獲量になっておる。だから十万、八万というのは、当初の八万計画のときに十万あるいは八万という案が出たのだけれども、その後向うの漁獲計画が十四万トンになっていますし、それから実際の漁獲量も十六万五千トンというふうになっております。また昨年度におきましても、向うの計画が十四万トンになっておりますし、漁獲量もそれぞれふえておる。それでありますから、前提として向うの計画が八万トンという時代に持ち出されたものでありますが、そういう前提やその後の情勢が変ってきておりますので、これに固執する必要は日本側としてはない、こういうふうに考えております。なお条約によりますれば、総漁獲量は毎年委員会において決定する、こういうことになっておるのでありまするから、十万、八方ということにわが方としてとらわれているという必要は私は考えてないので、これはソ連側にもその点は強く委員側も主張しているはずです。そういう根拠はその後の情勢によって解消しているもの、こういうふうに私どもは了解しております。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 ただいまの八万トン、十万トンという根拠は、その後の情勢の変化によってなくなっておるのだということ、これは固執する必要がないのだ、これはよくわかります。これはこちらの方の意見なんです。ソ連の方は依然としてこれを言っているのです。だから私が先ほど言うように、この際ソ連と日本側の方で明確な意見統一をやっておかないと、事後いつの場合においてもこれが問題になる。しかもそれをわかっておるのは、あなたはそうおっしゃっても、実際問題として河野さんしかないのだ。随員に行った諸君も、顧問すらも知らない。だから、この際は無理があっても、この問題だけは、事後の北洋漁業の鮭鱒、カニ等々の問題をすっきりした形に持っていくためには、この際明確にしておく必要があるんじゃないか、そういうことです。これは大臣もそうおっしゃるのですが、御答弁は求めませんが、そういう意味で今度の漁業交渉については、十分善処をしていただきたい。  それから第二点に移りますが、防衛庁が来ておられるようですから、防衛庁の方にお尋ねいたします。この問題は、大臣もちょっとお聞きを願いたい。昨年の十一月十四日、本委員において銚子沖におけるイペリット弾の掃海についてお尋ねした。当時愛知官房長官の出席を求めて、一体掃海の責任官庁はどこなのか、事件が起ってから二カ月にもなっておるが、責任官庁すらもきめないで、各省間においてそれをなすりつけい合いをしておるというようなことでは困る、どうだ、こう言ったところが、防衛庁以外にはないのだ、防衛庁をもって調査せしめる、こういうようなことであったのだが、その後どういふうになっておるか、それをお聞きしたい。

加藤陽三防衛庁参事官(防衛局長)

○加藤(陽)政府委員 お答え申し上げます。この問題は、御承知だと思いまするけれども、現在の法律上、防衛庁の権限ということになっていないのでございます。ただしかし、政府としてどこかにやらせるということになりますと、やはり防衛庁が一番いいのではないかということで、先年別府沖で同様イペリットの発見されました際におきましても、特に防衛庁の方に予算をつけていただきまして、これを実施したことがございます。今回の銚子沖の事件につきましても、同様に掃海を担当するものとしては、防衛庁以外にあるまいということでございまするのでわれわれの方でも、もしこれを掃海するということになりますれば、防衛庁が引き受ける以外にはあるまいというふうに考えて進めて参っております。  調査の件につきましては、この銚子の沖は別府の沖と違いまして、水深が非常に深いのでございます。それからら陸から相当離れたところに投棄しておりまして、調査がなかなか困難でございます。私どもといたしましては現在の状況におきまして、もし掃海をするとすれば、どの程度の日数と、どの程度の金額が要るかということにつきまして、非常にラフな計算はしておりまするけれども、それは相当長年月を要し、数億以上の費用を要するという計算になりまするので、これをさらにもう少し精細に、当時の資料等によりまして、どこにどういうふうに、どれくらいのものが捨てられておるかということについて調査をし、なるべくその範囲をしばってやってみたいというふうに考えまして、ただいままで調査研究を続けておる次第でございます。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 今の防衛局長のお話を聞いておりますと、非常にむずかしい、深いところにある、一億円以上もかかるんじゃないか、だからしぼってやりたい、これはよくわかるが、やりたいという考えだけじゃ困る。もう五カ月になる。深い深いと言っても、機船底びき網漁業で引き揚げてきた。しかも大きなやつじゃない。中型底びきの船が引き揚げてきた。そうして問題を越したわけなんだ。漁民が漁撈をするときに引き揚げてくるようなところにあるものを、深い深いと言って調査できない。そんなばかな話はないと私は思う。そんなことを言っておったら調査調査で日が暮れてしまう。五カ月になる。この五カ月の間は、漁民は危険があるからといってみずからその海域で操業をやっていない。そうのんきな形でかまえられたんじゃかなわない。ほんとうにおやりになる意思があるのですか、その点を聞きたい。

加藤陽三防衛庁参事官(防衛局長)

○加藤(陽)政府委員 これは御承知だと思いまするけれども、内閣審議室の方におかれまして関係の各省を集められまして、この扱いにつきまして御検討を願っておる状況でございます。私どもといたしましては、非常にむずかしい掃海であり、また非常に深いところでございまするから、もちろん引き揚げられないことはないと思いますが、その効果につきましては若干疑問を持っております。しかしこういう点を内閣審議室の方によく申し上げまして、それでもやれとおっしゃるならば、私の方はやる意思はあるのでございます。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 これ以上言ってみたって押し問答にしかならぬと思う。大臣にお尋ねしますが、今お聞きの通りなんです。もう五カ月になる。漁場で操業はやっていないのです。あの調子じゃこれからまだ何ぼかかるかわからない。その間操業はやらないのですが、この漁民に対して何か方法を考えてやりますか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 当時イペリットに対しての災害につきましては、災害を受けた人々に対しまして補償をいたしております。その後漁業に従事しない漁民の方に対してはどうするかということでありますが、これは全国的にも漁区などが狭くなった面もありますが、そういう面もあり、これはまた、イペリットという毒薬によって操業ができないということでありますから、特殊の場合でもありますから、今補償するということは考えておりませんけれども、これにつきましては、検討を続けなくちゃならぬものと考えております。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 少くとも水産庁としては、そういう状態にあるのだから、どの程度の被害をこうむり、損害をこうむるかというようなことくらいは、調査する親切味を持っていいと思います。もちろん当初引き揚げて被害を受けた人に対してはやっていただいております。しかしながら操業を停止しているという事実の上に立って、これをもう一度十分調査をして、当然何とか国として考えてやらなければならぬという線が出てくるならばする、ほっておくということでなしに、もっと親切味を持って事に当ってやる、こういうことでないといかぬと思う。その点十分考えて善処願いたいと思う。この問題の解決がつかなければ何回でもやらなければならぬことになりますから、防衛庁の方でも十分お考え置きを願いたい。  第三点として防衛庁にもう一つお聞きします。防衛庁では最近自衛隊の実弾射撃演習場を海岸、海面等に新設しようとしておりますが、全国どこどこにこれをやろうと計画されておるかお聞きしたい。

加藤陽三防衛庁参事官(防衛局長)

○加藤(陽)政府委員 今具体的に問題になっておりますのは、一つは航空自衛隊の関係でございまして、浜松の南方の海面でございます。これは一万フィートくらいの高度の上空でF86Fという飛行機の実射訓練をしたいと思っております。いま一つは鹿児島県の吹上浜でございまして、これは陸上自営隊の特科部隊の射撃訓練場にしたいと考えております。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 この遠州灘の海上自衛隊の演習は非常に高度の高いところでやられるらしい。ところが聞くところによると、どうも紀州沖にあるあの演習場では遠距離過ぎるからこちらに持ってきたのだということだが、そういうことですか。

加藤陽三防衛庁参事官(防衛局長)

○加藤(陽)政府委員 防衛庁といたしましては、まだそういう演習場は持っておりません。今までは——おそらくおっしゃいましたのは米軍の演習場じゃないかと思います。もちろんそこに行ったことがあるかもしれませんが、防衛庁自体としての演習場はないのであります。御承知のごとくF86F戦闘機は、燃料の関係から飛行時間が短いのであります。約一時間余りしか飛べませんので、なるべく近いところに演習場を持ちたいという気持は一般的に持っております。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 それではこの演習によって漁業に与える影響をどういうふうにお考えになっているか、端的にお示し願います。

加藤陽三防衛庁参事官(防衛局長)

○加藤(陽)政府委員 ここでやりたいと考えておりましたのは、十二月から本年の六月までの期間、月曜から金曜までの午前中に射撃訓練をいたしたい、それにつきましては、漁船のいないことを確認することを一つの条件にしております。また雲量十分の六以上のときは実施しないということで、下に船のいないことを確認した上でやるという措置でやる計画にしておりましたところが、現地の方で反対がございますので、まだこれは実施に至っておりません。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 ただいまのは遠州灘の問題だと思うのですが、吹上浜の方はどういうことですか。

加藤陽三防衛庁参事官(防衛局長)

○加藤(陽)政府委員 吹上浜の方は特科部隊の訓練でございまして、これは陸地に砲座の地域及び廠舎として約五万坪の地域、海面は射界九十度、距離一万から一万二千メートルの扇型の範囲を考えているのでございまして、年間に大体四十日くらい訓練に使いたいという希望を持っております。この方もまだ地元の方で御反対がございまして、話がそれ以上進んでおりません。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 遠州灘の場合船があるときにはやらない、こういうことである。吹上浜の方は四十日間陸上から射撃をする。自衛隊から県の方へ訓練についての申し入れが出ておる。これを見ますと、一二・七ミリの高射機関砲と三七ミリの高射機関砲になっている。一二・七ミリでしますと、一門で一分間に六百発、十六門で一分間九千六百発出る。しかも一発当りの間隔は四メートルで、相当広範囲にわたるわけである。自衛隊のあれを読んでみますと、漁業には影響がないごとく書いてある。簡単ですからちょっと読んでみます。「問題は発射音でありますが、これは海岸砂浜地帯で発射し、海上三百メートル附近で九〇—一二〇フォーンであり、水中深く行くに従ってさらに音響は比例的に減少します。M一五、M一六はいずれも砲を操作する隊員が耳栓を必要としない程度の音であります。一二・七ミリ高射機関砲はやや鋭く、軽快な連続音であり、三七ミリ高射機関砲は一二七ミリ高射機関砲に比べて鈍い音がします。両火器とも四〇—五〇メートル離れたところからは耳を押える必要はありません。一千メートル離れればすい眠を妨げない程度のものであり、二千メートル離れると注意しないと聞き取れない程度の発射音であります。曳航機は双発のプロペラ機でありますのでジェット機のような音響はありません。これら要するに音響は魚に対してほとんど影響がないものであります。」こう言っておる。それからちょうど昨年の十二月十三日、内閣委員会において門叶官房長は「魚族に相当の影響を与えるというふうには、目下のところ考えておりません。」こういうように答弁しておる。そこでお尋ねしたいのですが、発射音のことが書いてあるが、落下音に対しては一言も触れておりません。落下音がどういうふうに魚に影響するか御答弁願いたい。

加藤陽三防衛庁参事官(防衛局長)

○加藤(陽)政府委員 音が魚に影響するということは一般的には考えられるのでございますが、落下、発射にかかわらず、科学的に検討をしてみなければならないことであろうと思います。いずれにいたしましても、漁業に影響を与えるということになりますれば、私はやはりしかるべき措置をとるべきものであろうというふうに考えております。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 今御答弁を聞きますと、漁業に影響を及ぼすなればしかるべき措置をとらねばならぬというのですが、そのしかるべき措置とは具体的に何ですか。

加藤陽三防衛庁参事官(防衛局長)

○加藤(陽)政府委員 これはどうせ漁業者の方々と御相談いたしまして、御希望も承わってどういう措置をとるかということをきめることになろうかと思います。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 そのことはやめるということも一つ入ると私は思う。中止をするということも入ると思う。相談をして、漁民があげて反対だという意思を表示したときおやめになりますか。

加藤陽三防衛庁参事官(防衛局長)

○加藤(陽)政府委員 これは大臣に答弁を願わなければならないことではありますけれども、事務当局といたしましては、あくまでも漁民と話し合いをつけまして、ぜひここは実行いたしたいというふうに考えております。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 私は、そのことは補償を意味すると思う。これは大臣でないと断を下せないでしようけれども、事務当局としてはやりたいのだ、だから話し合いをして、補償という問題で解決がつくなら解決づけていきたい、こういう御意思だと思う。そこで参考のために申し上げておきます。先ほど申しましたように、発射音の影響は書いてあるが、落下音の影響が書いてない。魚に対する影響は発射音よりも落下音がひどいということをまず第一に考えていただきたい。一二七ミリの銃弾が水面に落ちた場合八十センチの高さから落した水滴音の二百三十一万倍、こういう水中音になる。音源は毎秒三百メートルの速さでこれが走る。そういたしますと、水中音は百メートルで十分の一に落ちる計算になる。魚の聴覚からいきますと、二千メートルのところで魚はびっくりして逃げる。しかも逃げる場合における魚の時速は、大体小さい魚で五マイル。これは専門の学者がちゃんと出した数字である。間違いない。音響が生物にいかなる影響を及ぼすかという研究をやっている学者は全国で三、四人しかありません。そのうちの一人の学者さんがちゃんと出したものである。いかに大きな影響を及ぼすかということを一つお考え願っておきたい。むしろ自衛隊が言っている発射音よりも落下音が魚に対して大きな影響を及ぼすということすらも御研究なしに、いや魚に影響はないなどと言うのはもってのほかなんだ。過小評価するもはなはだしい。この点おわかりにならぬと思いまするから、十分一つ御研究おきを願いたい。  それからもう一つ、あなたの補償の問題、これは自衛隊は今まで補償したことはないんですよ、海面において。ないと思います。アメリカの演習場の海上における補償が今まであるわけなんです。たとえば長崎の端の鳥島の一例をとっても、要求二億一千万円に対して六百万円です。いいですか。どういう計算をするか、今まで。おそらくあなたの方でこれをおやりになるというと、計算方法は同じだと思う。演習日数は今あなたのおっしゃるように年間通じて四十日、これは吹上浜を一つ仮定して申します。そうすると演習は実際上は一日八時間、朝の八時から夕方の四時まで八時間やる。その前後は何も禁止していない、入っておやりになってけっこうでなんす。だから四十日の間の実際の射撃時間というのは三百二十時間。そうするとこれは日に換算すると十三日三になる、これを十四日間と仮定します。そうすると補償の対象になるのは三百六十五分の十四なんです。その十四の中で、ここの場所で危険区域の中で操業できない際、他で操業して五分の一魚をとってきたら、十四の中から差し引くのだ。これが計算方法なんです、今までの。調達庁へ行って調べてごらんなさい、そうなっておるから。そうするとこの吹上浜における関係の利害町村は十一ヵ町村ある。直接利害を持つ漁協は十五組合、従業員数が一万三千六百四十三なんです。世帯員は一万八千七百七十三ですから、合計三万二千四百十六人の生活根源になっておる、ここは。しかも年間水揚げが四億二千六百万円。今の計算でいきますと補償されるのは千三百二万円、約千三百万円。事実上四十日間三日半おき間歇的にやられますと、百四十日は魚は散って寄りません。それからもう一つ、魚の習性は一応散った魚が元へ戻るというのはなかなかのことなんです。これは魚の習性なんです。そうすると三百六十五日の間で二百日はだめなんです。この二百日は一億三千四百万円なんだ。二億三千四百万円の水揚げ源に対して千三百万円しか補償はできないという数字になる。これが今までの演習の補償の実態なんです。簡単に補償々々と言うが、二億も出せますか。問題はそこにある。補償で解決のつく問題ではありません、これは。そこでお考え願いたい。一体人工衛星ができ、ミサイル時代に、三千メートルや四千メートル一二・七ミリの機関砲をぼんぼん撃って間に合うのかどうか。そのことのために三万からの漁民の生活の根源を奪うということになるのですよ、これは。簡単な問題じゃない。どうお考えになります。私はきょうここへ、これらの問題について責任をもって答弁のできる人をよこしていただきたい、大臣とは言わぬ、次官とも言わぬ、ただし責任をもって答弁できる人をよこしてもらいたい、あなた責任をもって出てきたんだろうから、責任のある答弁をしてもらいたい。

加藤陽三防衛庁参事官(防衛局長)

○加藤(陽)政府委員 今のお尋ねは非常にむずかしい問題で、主としてやはり政治的ないろいろな問題が多いように思います。ただ私の方といたしましては、やはり将来のわが国の防衛問題を考えました際におきましては、在来の兵器というものは入用であるということだけ結論的に申し上げさしていただきたいと思います。その他のお尋ねは私が責任をもってお答えするように御要求になっておったということを初めて承わりました。もちろん私は私の所管の限りにおきましては責任を持ちまするけれども、非常に問題が大きうございましてここでお答えできる用意がございませんので、御了承願いたいと思います。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 もうこれ以上あなたを責めても無理かと思います。これ以上責めません。ただ一点あなたの御意見を聞かしておいていただきたいんだが、それは地元民があげて反対をしても、なおかつこれを強行するという御意思があるか、この点。

加藤陽三防衛庁参事官(防衛局長)

○加藤(陽)政府委員 事務当局の意見といたしましては、やはりこれはこういう国家の部隊を持っておりまする以上は、射撃の訓練をやりませんと困るのでありまして、部隊としての十分な働きができないのでありますから、こういう訓練場を持ちたいという点では非常に強い熱意を持っております。具体的な問題につきまして、全部の者が反対をしたらどうかということにつきましては、なかなか直接的なお答えができない。ただとにかく私たちといたしましては、射撃場を持ちたいということは切に希望いたしております。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 防衛庁の方の質問はこれで終ります。  あと大臣にお尋ねいたしますが、韓国から引き揚げて参りました抑留船員の自後措置についてであります。昨年の十二月十七日閣議決定で、帰還をした後病気で入院をされた者に対しては一カ月一万二千円以内、それから通院をする人に対しては二千円以内給する、こういうことがきめられておる。本年の一月三十一日の閣議決定で、今度日韓の間に話がついて第一陣が帰還して参りましたが、総数九百五十二名ですが、これに対して一千五百六十九万三千円の手当を出す、こういうことがきめられたらしい。帰郷手当が五百二万四千円、休養手当が一千六十六万九千円、ところがこの休養手当の方は一世帯当りについて二千九百七十三円を基準にする、世帯員一人当りについて四百円を家族手当として出す、こういうようなことなんです。これで計算いたして参りますと、平均一世帯当り三千七百三十五円という計算が出ます。これを三カ月間休養手当として出そう、こういうことなんです。この数字から見て参りますと、この休養手当と称するものは一体そういう額になっておるのかどうかという問題であります。御承知の通り、韓国へ抑留された船員の長きものは五年にわたっております。非常な苦労をしてきておる。船主も船員も家族ももう疲れ切っておる。このことは農林省の方でも十分おわかりだと思う。この長い間苦労して帰ってきた者に一ヵ月三千七百三十五円やって、三ヵ月分全部もらっても一万一千二百五円、これで休養をとりなさいというのはあまりにもひどいのじゃないか、冷たいやり方じゃないか、この点、何とか御再考になる御意思はないかどうか、大臣にお尋ねいたします。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 抑留されている間は、御承知の通り給与保険に入っておった者にはその保険金としてやっておったのでありますが、帰ってきましてからはそういうのが切れるわけで、今お話しのような措置をとったのでありますが、これにつきましては、いろいろほかの立場の人との振り合いといいますか均衡といいますか、そういうことも研究したのでありますが、結論といたしましては未帰還者留守家族等援護法と均衡をとるというようなところで、それに準じて今お話しような処遇をするということにいたしたのであります。お話のように相当疲れておりまするし、栄養等も悪くなっておる者もあることは私から申すまでもないのでありますが、そういう点で、私ども十分とは申し上げられませんが、そのほかにおいてなお措置といたしましては、すみやかに就職の機会をあっせんしようということで、大体就職の方のあっせんもできるような状態になっております。今のところは一応こういうふうに決定いたしましたので、事情はまことに同情にたえないのでありますけれども、今直ちにこれを変えるというような考えは持っておらないわけであります。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 あっさり大臣は答弁されましたが、今まで政府はこれに対して特別な措置をとって、犠牲者であるというような意味を含んで、いろいろと陳情もありましたが、一応温情のある態度をとってもらった。留守家族の諸君も、それから帰ってきた諸君も、この話を聞いたら喜んでおる。大臣御承知だと思うが、川柳か何かに、百日の説法へ一つということがある。今まで温情を傾けてここまでやってきたものが、最後のどたんばでくずれてしまうのです。もう少し何とか考えらるべきじゃないですか、考えてやっていいのじゃないですか。これは大会社に勤めている者、保険にかかった者等いろいろケースがありますが、ところが、小さい船で、船主も船に乗って、船もろともにやられたものは船主はもう立ち上りも何もきかない。現にそういう者がたくさんおる。ましてや、それの下におった船員などは助かりようがない。私は少くとも、大へんなことをもう一回考えろと言うのではない、せめて今まで出してあった見舞金程度のものは何らかの形で見てやるべきじゃないかと言うのです。このくらいの温情は持てませんか。考え直してみる余地はありませんか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 実はこのことにつきましては、関係方面ともずいぶん検討を加え、また留守家族の人々などの代表といいますか、こういう方々の意向なども話し合ってしんしゃくいたしまして、一応こういうふうに、この辺がというところできめたわけであります。お話の点は全然無関心でいるわけではありませんで、一応きまった線で行なっていこうという今の段階であります。

原捨思自由民主党

○原(捨)委員 関連して。第一陣が下関に帰りました際に、身体の障害があると思う人は診察を受けるようにという注意を受けて、そうして診察を受けたのは百三十何人だったということを聞いております。ところが、帰って参りますと、気がゆるんだといいますか、その後非常に病人がふえている。そこで、診察のあれが非常にまずかったのじゃないかという批判さえ起っているという状態であります。ですから、これは少くとも半年くらいの休養はどうしても必要じゃないかということをみな非常に憂えている状況でありますから、どうか大臣としても、そういうことをもっと、御調査下さいまして、これらの人ができるだけ早く健康を取り戻して就職ができるように善処されるようにお願いいたします。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 はい。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 この問題は、ただいま原委員が言ったように、もう一度考えられるのであれば考え直していただきたい、それだけ希望いたしておきます。  それから大臣は、説明のときも、あるいは昨年の農林水産要綱の中でも強調しておられるのですが、国際漁場の確保と未開発漁場の開発をする、こういうふうに言っておられます。今度の予算を見てみますと、タルタウ島の開発は全然ゼロになっておりますが、どういうふうにお考えになっておりますか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 タルタウ島に漁業基地を建設するということは非常にけっこうなことでありまするし、新漁場でもあるし、タイ国でも歓迎しておりますので、合弁というようなことでこの漁港としての開発を行なっていきたいと思います。そこで予算の面でどういうことだということでございますが、実は御承知の東陶アジア開発基金というものがあるのであります。この問題が閣内で出ましたときにも、具体的な問題としてどこがあるか、私どもにはタルタウ島の問題がある、これはもうほんとうに具体化しているのであるから、これを忘れるようなことがあっては困るということを念を押しておったわけであります。ところが、基金でありますので、御承知の通り元を使えないというような形になっていますので、これから生むところの果実といいますか、そういうもので一応使っていくのでありますが、あの基金が国際の基金の中に繰り入れられるという場合も予想しておるわけであります。こういうような形で、現在のところは、今申しましたように、果実だけでありますが、国際的に東南アジアの開発基金制度が設けられる、こういう場合には、これは数カ国になっても、二カ国間でも——複数は二国でもいいというようなことにもなっておりまするし、また一定の時期においては、あの基金は投資として使うこともできるということになっていますので、これができるようなことになるならば、これはタルタウ島の漁港築造その他には優先的に使えるというふうに私今考えております。なおその他の準備の調査等につきましては、本予算の中に含めて調査をすることができることになっております。それからまた、これも御承知だと思いますが、海外協力会といいますか、これにことしから補助をつけておりますが、この海外協力会等におきましても、タルタウ島の漁港建設等について、もっぱらといいますか、優先的に尽力する、こういうことになっております。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 優先的にお使いになるということですから、今後の情勢の推移とにらみ合せて、この点は善処していただきたいと思う。  それから未開発漁場の開発については、もうここでお尋ねしません。これはあらためて水産小委員会で長官にお尋ねいたします。これはほとんど予算に見るべきものがありません。大臣が太く説明されるようなものじゃない。この点数字をあげてあとで長官にやかましゅう言うことにいたします。  最後に私は、生産とともに最も重要視されなければならないことは、内外市場の確保と開拓である、こう思います。これは魚価安定とも密接な関連を持って参ります。これらのことについて、先ほども少し話がありましたが、端的に申し上げますけれども、アメリカ議会には現在日本のマグロ締め出し法案が五件、それからサケ・マス輸入制限法案が一件、このほかにこれに関連しまして、日本のサケの漁獲制限決議案が四件、これだけのものが提出されておると聞いております。すでに本年の当初アメリカ商社と契約済みのサケカン詰が船積み延期になったということは、ボイコットされるという一つの前提のようなふうにもとれるわけです。現在日本のマグロ塩水カン詰の生産量は、大体年間にいたしまして二百万箱、昨年の一月から十一月までの輸出量を調べてみますと、百七万七千六百四十六万箱出ております。なお計算上九十一万箱から残っておる。またサケカンにつきましては、約二百四十万箱の生産量に対して、輸出が昨年十一月までできたものは百二十四万五千五百万箱、約百が箱以上のものがそのまま滞貨しておる。生産が強化拡大されましても、生産品が消化されない、滞貨するというようなことでは、魚価は安定いたしません。こういうことは、これは通産省の所管だと思います。しかしながら水産には非常に致命的な影響があるわけであります。先ほど木村君の、質問の際、官房長は答弁で、そういうことのために農林水産物の輸出振興として通産省の方へ五千万円云々、それから宣伝費が七十何万円というようなことをおっしゃっておられた。これに非常に力を入れておるような口ぶりでございましたが、三十一年度の予算で一億一千三百十九万四千円農林水産物輸出振興事業費の補助金が組まれておる。しかも三十一年度ではこれが全部使われ切れない、七千万あまり繰り越ししておるはずです。昨年の予算は五千二百二十六万二千円、これだけ組まれておる。後退しておるけれども、前進していない。大臣はおそらくこういうようなこまかい数字まではお調べにならなかったろうと思います。官房長がいかにもたくさん組んだようなことを言うのは間違いだ、勉強不足だ。これは非常に重要な問題なんです。この点大臣はどういうふうにお考えになりますか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 予算の面でありますが、通産省に組んだ予算は先ほど官房区長から申し上げた通りであります。そのほかに御承知のジェトロがあります。今度三十億の基金を設けて、海外貿易振興会といいますか、ジェトロを強化して、海外への輸出宣伝、販路の拡大、こういうことに努力しておるわけであります。なお予算の数字でありませんが、今お話がありましたように、水産物の内外市場の開拓につきまして、輸出市場によりましては水産物輸出の約五〇%を占めておるアメリカにおいては、互恵通商協定法の延長、中間選挙を前にして輸入制限運動も激しくなっておりまして、農産物以外にも非常に制限されておるような状態であります。特に今お話のマグロの輸入につきましては、選挙前でもありますから、そういうことはあまり言うのはどうかと思いますが、キング法案というような議員提出の法案などが出て、輸入数量の制限とか関税の引き上げというようなことが計画されておりますので、私どもといたしましても、米国関税委員会主催の公聴会には弁護人を出席させて、日本側の立場を陳述せしめるなど輸入制限運動の緩和に努めております。  それからまたこれも話がそれるかもしれませんが、この間オットセー会議に水産庁の西村次長が出ましたが、その際にもマグロ・カン詰等の販路の拡大等につきまして、向うの業者や政府などとも相当折衝を続けて、こちらからの輸出を多くしたいという努力をしましたが、今なお続けております。アメリカ以外の市場では最近協定貿易の傾向が御承知のように強くなっておりますので、日英通商協定も近く協議に入るわけであります。そういうことによりましても、私どもはこれに対しまして日本の農林水産物を品目の中にワクを拡大して加えるようにということなどを通産省当局などとも打ち合せておりますし、あるいは賠償等には農林水産物による現物の賠償というようなことも考え、市場の拡大維持に努力しているわけであります。国内市場では、今お話のように水産物の消費が必ずしも順調に進んでおりませんので思うようにも参りませんが、最近の食生活に順応する新製品の育成その他食生活改善の一貫としても、水産物の消費の拡大に努めておるわけであります。  立ちましたのでついでに、魚価安定対策ということをあまり捨てておくじゃないかというような声も非常に強いので、ことしは予算も計上いたしまして、なかなか困難な問題でありますが、とりあえず漁業協同組合系統組織の共販事業を強化するよう指導すると同時に、流通市場の調査を行いたいと考えまして予算も計上しておる、こういう事情でございます。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 私が言うのは、三十一年度分が非常に使い残されておるのです。通産省関係でそういうことがありますから、今後農林省としても十分連絡をとりつつ、これの拡大強化のために努力してもらいたい。せっかくとった予算を三分の一そこそこしか使わないであと残しておくなんということは、だらしがないと思う。農林省としてはそういう点にも注意が足りない。一つ十分連絡をとってやってもらいたいということです。  それから大臣は国内市場の問題に触れていろいろお話になりましたが、これはやはり農産物価格維持法と同じように、魚価対策のための価格維持法を作れという声が非常に大きい。しかしこれはなかなかむずかしい問題でありまして、価格構成等々を十分研究しなければならぬ。そういう意味において今度は予算を組まれておると思います。それはけっこうなんです。しかし、市場を運営していくということを根本的に考え直していかなければいけないのじゃないかと思います。今度法律も出ましょうが、私は大臣の意見をお聞きする前に、ここで率直に私の意見を申し上げておきたいと思う。私は、市場の運営に当っては三つの要素があると思う。これは農林水産物にかかわらずでありますが、まず第一は生産者の再生産を確保するということ、第二は消費者に対して生産物を安く供給するということ、第三は、少くとも現段階においては中間にある商人の利益を守るということ、この三つが市場運営の一番の要素になると思う。しかしながらこの三つの要素は、それぞれ相反発した性格を持っております。ここが非常にむずかしいところだと思うのです。これを調整し指導するということが官庁の大きな役目でなければならぬと思います。巷間伝えるところによると、というとむずかしいようでありますが、この市場制度に対して手を  つけるような官吏は、これは自殺的行為だといわれている。それほど封建的な大きな力を持っております。それが今日生産者が安い価格でたたかれ、消費者が高いものを食わされるという一つの根幹をなしていると私は思う。あの三陸でイカのとれるときに、新宿近辺の魚を見てみると、一本二十円、現地へ行ってみると一本四円、こう差があるのです。サンマは大漁だというので十四円だ、十五円だといって貫当り下ってきても、東京で食べるときはやはり一本十円なんです。ここに非常に大きな矛盾がある。これを掘り下げて対処していかないと魚価安定にもならないし、これは国民全体のため、私はやはり当然取っ組んでいくべきだ、こういうふうに考えておるわけであります。ただし、だからといってすぐどうということはなかなかできがたい問題であろうと思います。先ほど来だれかの質問に対して、大臣は省内に流通価格対策等の委員会を設けて検討をしておるのだ、こういうようなお話があった。けっこうです。けっこうですが、下手にすると官僚統制に陥る懸念がある。官僚統制に陥っちゃならぬので、これは大きな問題でありますから、私は生産者と消費者と市場関係等の代表その他にやはり学識経験者等を入れた民主的な審議機関を作って、腰を落ちつけてじっくりこの問題に取っ組んでいくという考え方が必要だと思うが、大臣はどうお考えになりますか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 今のお話の通り、流通対策につきましては生産者を保護しなければならぬという一つの要素、しかも消費者についてはなるべく安くしなくちゃならぬという要素、しかもそれに手をつけていくのには中間経費を少くしなくちゃなりませんけれども、現在中間中小商工業者というものが相当ありますので、これに手をつけるということをしなくちゃならぬと思います。この三者はいずれも利害相対立しておりますので、今のお話の通り、流通対策に手をつけることはタブーのごとく言われておりまた農林省においても流通対策に手をつけると命取りになるというふうに、巷間ばかりでなく農林省内にもそういう話があったのであります。しかし私はあえてこれに手をつけなくちゃいかぬというので、農林当局におきましても内部において流通確保の対策委員会というものを作りまして、いろいろ調査をいたしておるわけであります。そこで調査ばかりでない。これは漁業の問題もありますが、実際の問題といたしましては、市場法の改正を御審議願うことになっておりますが、市場法の改正を待たずしても、たとえば畜産の方においては市場法にならって、公正取引ということで方々に手をつけておる。手をつけてみると、なかなかお話のようにやかましくてきまりのつかぬようなところもあります。しかし大体において今きまりがついてきております。残っておる東京芝浦等の問題あるいは乳牛等につきましても、これも流通対策ということで手を出しておりますが、これにつきましてもまだ結論は得ませんが、結論は得られると思いますが、乳価安定資金なんかの問題をめぐって問題があります。あるいはまた御承知のように野菜等におきましては、マル東の問題もありますので、こういう問題につきましても、街頭に乗り出して、実は農林省といたしましても、この流通対策に手をつけておるのであります。そこでそういうことはなかなか困難であるから、三者それぞれのものを集めて協議会というような場でものをきめていくのが適当じゃないか、こういうお説でありますので、今乳価等についても、乳価の審議会とか、いろいろその向き向きといいますか、担当によって審議会を作って、その場で流通対策等も検討をし、その対策を進めておるわけでありますが、全体としての流通対策の審議会というようなものも私は必要だと思います。それから話はそれますが、大学の講座等におきましても、流通の講座というものは今までないようであります。流通方面において農林政策としても非常に欠陥があったんじゃないかというふうな感じをいたしております。大へん貴重な御意見でありますので、私も大いに参考として進めたいと思っております。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 ついでですからもう一点だけ。この二十四日からジュネーヴで開かれる国際海洋会議で海洋に関する国際法典案が審議されることになっております。この問題は非常に重要でありますので、どうされておるのかお聞きしたいのですが、昨年の二月の二十一日、国連総会の本会議で公海規約についての国際法委員会の報告審議のときに、日本代表の松平さんが演説をされております。それは法案の疑点を一応ついておられるわけなんです。もちろんこれは専門の審議会ではありませんので、疑問点だけを提出したにとどまっております。今度の法案をずっと見てみますと、問題点になるところは四点だと思います。第一点は、領海の幅員を三海里から十二海里の間で国際会議できめるということ、第二点は、沿岸国は隣接する公海の生物資源の保護維持に特別の利害関係を持つということ、第三点は、沿岸国は大陸だなの天然資源の開発に主権的権利を行使することができるということ、第四点は、海水汚染の防止ということ、この四つが大体骨になると思う。これは日本の漁業にとってはそれぞれ重大な影響を持つものであります。それだけにまことに私はやっかいであると思う。しかも国際海洋法典は、海洋法典委員会が過去八カ年間にわたって討議した結果出た結論でありますから、なまやさしいことではいけない。そこでこの会議に臨みますのには、専門的な知識を要すると思う。これは海洋学上からも生物学上からも、日本の立場が正当に主張されていかなければならぬ。でないと、悪くいたしますと日本漁業の崩壊を意味するような大きな影響を持ってくる、こういうふうに考えるのでありますが、農林省としましては、この会議に対する対策をどういうふうへお立てになったか。すでに二十四日か開かれる会議でありますから、この際お聞きいたしておきたいと思います。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 ただいまお話のように、来たる二月二十四日から九週間、ジュネーヴで海洋法典会議が開かれるわけであります。これは、今お話のように、一九四九年から国連の国際法の委員会で審議されまして、それを全面的に法典化しようということで、八年間にわたって討議の結果作成された海洋法草案を中心として論議が続けられるわけであります。これまたお話の通り、この問題でわが国として一番関係の深いのは今御指摘の四つであります。すなわち公海における漁業規制に関する諸条文等、すなわち領海の幅員の決定の問題、これは安全操業などの問題も起っているのであります。それから海洋生物資源の生産性の維持に関する沿岸国の立場、これは今の日ソ漁業交渉などにおいても距岸何マイルとか、そのほかいろいろこれに関係した問題があります。それから最近の放射能物質による公海の汚染防止、それにアラフラ海等の大陸だな、こういう問題は、そのきめ方によっては日本の水産業の死命が制せられるような問題でありますので、これは単に外務当局だけでこれに臨む、べきものではない、こういうことで外務当局ともいろいろ協議をいたしまして、私どもとしてはやはり学者も一人それに出さなければいけないだろうということで、九州大学の相川教授を入れ、それから生物学者としては日本の権威者でもあり、ソ連の方に行っております藤永部長、それに今の海洋第一課長中里、この三人を農林省から派遣することに決定いたしました。わが方の主張を法典審議に当って学問的な立場、実際的な立場から大いに主張して、わが国水産業の将来に対しての保障も法典を通じて確保しなければならない、こう考えておりますので、そういう措置をとって会議に臨ませることにいたしております。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 今の御答弁によりますと、相川教授と藤永君が行かれるらしい。ちょうど前のローマ会議にもこの二人が出席されており、権威者であると思います。そこで、人選としてはまことにけっこうですが、政府として外務省、農林省等々がっちり意見統一できておりますか。その点だけをお聞きしておきたい。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 これは出る前に、今までずっともう何ヵ月かにわたって外務省と農林省で協議、審議をして、向うの違っておる考え方に対してはこっちで是正するというようなことで意見は完全に一致して会議に臨める、こういう態勢であります。

中村英男日本社会党

○中村委員長 これにて大臣に対する質疑は終了いたしました。  散会後理事会において付託法案の取扱いについて協議いたしたいと存じますので、理事の方の御参集を願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時五十八分散会

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