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第28回国会衆議院1958/03/11

逓信委員会 第12号

発言数
3 件
登壇者
2 名
会派数
1
開催日
1958/03/11

会議録

片島港日本社会党

○片島委員長 これより会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会の承認を求めるの件を議題といたします。  本件については、さきに郵政大臣より説明を聴取いたしましたが、この際日本放送協会局よりさらに補足説明を聴取することにいたします。野村参考人にお願いいたします。

野村秀雄日本放送協会会長

○野村参考人 ただいま議題となっております日本放送協会の昭和三十三年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、その大綱を御説明いたしたいと存じますが、それに先だちまして、本日このような機会をお与え下さいました御配慮に対しまして、協会を代表しまして厚く御礼申し上げます。  昭和三十三年度の事業計画につきまして御説明いたします前に、現在日本放送協会が当面しております諸問題と、それに対して協会の使命としてなさなければならないと考えております諸施策について述べさせていただきたいと存じます。  まずラジオ放送につきましては、あまねく日本全国において受信できるように放送を行うという協会の目的にかんがみまして、鋭意その普及に努めて参りましたが、この間幸いにして各界の御支援と放送技術の進歩とによりまして、昭和三十二年度末においては全国世帯数に対する電波のカバレージは、第一放送は九九・七%、第二放送は九七・〇%となり、また受信契約者総数は有無料合算して約千四百五十万、普及率八〇・八%に達する見込みでございまして、かねてから御配慮をいただいておりました全国放送網の完成は、あとわずかの地域を残して完了に近づいたわけでございます。また昭和二十八年二月に放送を開始したテレビジョン放送につきましては、昭和三十二年度末において北は札幌から南は鹿児島まで全国を縦貫する放送網が一応完成し、国内の主要地域におきましてはおおむねテレビジョンの受信ができるような状態になりました。現在放送局数は十五局、受信契約者数は八十万余となり、受信契約者数が百万を突破する日も遠からざるものと期待しておるものでございます。  以上、現在におけるラジオ並びにテレビジョン放送の概況でございますが、協会が公共放送としての使命を達成し、国民文化水準の向上と公共の福祉の増進という国民からの負託に十分こたえるためには、ラジオ、テレビジョンとも、なお多くの果さなければならない任務を負っております。すなわちラジオについては残された難聴地域を解消してすみやかに中波放送網を完成すること、テレビジョンについては現在の放送網をでき得るだけ早く全国に及ぼすとともに、教育放送を附設してその全国普及をはかること、国際放送を拡充して文化の交流をはかり、諸外国との親善に寄与し、またわが国海外貿易の進展に寄与すること、FM放送を開設して良質、高度の放送を行うこと、番組の面ではラジオ、テレビジョンとも教育教養放送を一そう充実すること、内外の番組、技術の研究調査、なかんずくカラー・テレビジョンの実験研究等を強化すること等々、各面にわたり量、質ともに複雑多岐にわたっております。  協会といたしましては、ラジオ、テレビジョンのおのおのについて長期の事業計画を構想いたしまして、これらの任務を達成しようと考えておりますが、その大綱を御説明いたします。  まずラジオの放送網は、先ほど申し上げました通りほぼ完成に近づいておりますが、残された難聴地域を救済するため、この地域に対し新しい放送局の新設、既設放送局の増力、第二放送の増設等の諸施策を講じまして、第一放送網については二年後に一〇〇%、第二放送網については五年後に九八・二%のカバレージに達するよう実施したいと考えております。またここ数年来外国電波による混信が国内各所に発生して、これによる国内放送の聴取困難な地域が拡大しておる現状でありますので、この外国電波による混信を防ぐため必要な地域には超大電力放送局を建設して、全国で良質な電波が受信できるよう計画いたしております。  次に現在まで協会施設につきましては、毎年老朽した部分について取りかえあるいは改善を行なって参りましたが、最近における電波技術の目ざましい進歩と、放送番組の多様化、演出法の発展などに引き比べて、既存の施設は機能的にとうてい新しい番組の要求を満足し得ず、あるいははなはだしく効率の劣るという面が生じてきております。それで今後五ヵ年間には、老朽した設備の取りかえを行うとともに、機能的に陳腐化した施設や機械についても新しい技術の導入による近代化を促進して参りたいと思っております。  次に放送番組の面について申し上げますと、マス・コミュニケーション・メディアとしてのラジオ、テレビジョンが、国民文化に及ぼす影響力の大きなことは今さらここで申し上げるまでもないことであります。また一方最近における国内一般の放送番組につきまして、世上に種々批判の声も起っておるのでありますが、協会といたしましては、放送によって国民文化水準の向上と公共の福祉の増進に努めることをその設立の使命と考えております。まず教育放送については、その内容を一そう充実するため、現在の放送時間をさらに延長し、学校放送については小学校から高等学校まで、それぞれの教育の課程に適応した番組を編成することにし、また青少年向き、成人向きの社会教育の番組についても、体系的な奥行きのある影響力の強い番組を編成する考えであります。また社会、婦人、農事、産業等の教養放送、迅速正確な報道放送、健全明朗な娯楽放送につきましては、従来からその向上に努力してきたところでありますが、今後においてもさらに一そうその充実をはかり、全体として調和のある番組の編成に努めていく方針であります。  昨年から実験放送を開始いたしましたFM超短波放送につきましては、すみやかに実験の段階を完了して、全国主要地域にその普及の方途を講ずるとともに、番組としましてはその特性を生かした高い水準の音楽、芸術番組や、高度の専門的知識を欲する人々を対象とした学術・教養番組を編成して、ラジオ放送における新しい分野を開拓する計画であります。  次に国際放送についてでございますが、わが国の国際放送は御承知の通り戦後昭和二十七年二月に再開しましてから、この二月で満六カ年を経過いたしました。この間当初の五方向、一日五時間、二カ国語使用という微々たる状態から、各方面の御助力によりまして年々規模を拡大し、現在では十五方向、十五時間、十六カ国語使用という状況になっております。しかし現在における諸外国の海外放送の実施状況と比較いたしましても、いまだ満足すべき状態と申すことはできません。ことにわが国の国際的地位が向上して参りました現在、国内の事情を広く海外に紹介して、国際親善に寄与し、また海外貿易の振興に資するため、国際放送の規模をさらに拡大したいと考えております。すなわち現在の目標といたしましては、従来の放送のほか、アフリカ向け、中米向け、欧州向け等を加え、また放送時間も増加し、五年後において十九方向、四十時間の放送を実施したいと考えております。  次に研究活動の強化についてでございますが、技術、番組の両分野にわたって研究諸機関を一そう強化し、その研究の成果は協会の事業遂行の上に積極的に役立たせるだけでなく、広く一般に公開してわが国の放送技術、文化各面の発達に寄与したい所存でございます。  次にテレビジョンの全国普及という協会の当面している最も大きな問題でございますが、協会といたしましては、テレビジョンにつきましてもラジオと同じように、協会が第一放送、教育放送の二つの全国放送網を建設して、おのおのその特色を発揮させながら運営していくことが絶対に必要であると考えております。最近テレビジョンが飛躍的な普及を遂げるとともに現在の番組の内容については、世上種々の批判が行われておりますが、その影響力の大きなことを考えますとき、現在の番組の改善をはかると同時に、さらに進んでテレビジョンを教育の手段として活用する道を考えることは、焦眉の急を要する問題であり、公共放送としてのNHKの第一の任務と申さねばなりません。このため協会といたしましては、全力をあげて置局計画を推進し、第一放送については三年後に全国の置局数四十九局、カバレージ約八〇%、教育放送については五年後に同じく置局数四十九局、カバレージ約八O%に達するよう、置局計画を進めて参る計画であります。  以上、現在協会の当面果さなければならない任務とその施策について御説明申し上げましたが、次にその財政面について若干申し上げたいと存じます。  テレビジョンにつきましては、受信契約者の増加によりまして、事業の運営の面はようやく採算を保ち得るようになりましたが、今後二つの放送網を建設するため、多額の外部資金を要することになり、その資金の調達につきましては非常な困難が予想されますので、政府並びに各方面の格段の御援助をお願いする次第であります。ラジオにつきましては、受信者の普及率が向上するに伴って、毎年の新規増加数は減少してきている状況でありまして、今後受信料の収入増加を期待し得ない状況にあります。協会といたしましては、受信料が国民大衆の負担であることにかんがみまして、従来その値上げということは極力避け、新規受信者の開発や収納率の向上、あるいは協会内部の事業の合理化、経費の節約等に努めて、事業の運営に当って参りましたが、さきに申し上げましたような諸計画を遂行し、協会の任務を達成するためには、ラジオ受信料を改訂することがどうしても必要になっている状況であります。しかしながら現在の社会経済情勢をいろいろと考えました結果、本予算におきましては受信料の改訂を行わないことにいたしました。しかも先ほどから申し上げて参りましたように、協会としてなすべき事業の拡充は遷延するを許されないものがありますので、昭和三十三年度においては、事業の合理化による経費の節約を一そう強く行うとともに、償還金の繰り延べとか、減価償却費の削減とか、いわば財政上の非常措置を講じまして、三十三年度の計画を次の通り実行することに決意した次第であります。  すなわちまずラジオの建設計画についてでございますが、長期計画の第一である中波放送網の完成のため、静岡、防府の各三キロワット増力、富山外七局の一キロワット増力等、放送局の増力十五局、中継放送局の新設三局、第二放送の増設五局等の工事を予定しております。これが完成いたしました暁は、良聴区域は第一放送九九・九先、第二放送は九七・六%まで広まる見込みでございます。FM放送網につきましては、東京、大阪、名古屋、札幌、福岡の各十キロワット局の工事を進める予定でございます。  次に番組の編成についてでございますが、全国中継網、ローカル放送とも、教育、教養社会放送に重点を置いて、その内容の充実と時間延長をはかり、また番組審議委員会、企画委員会等を充実して、広く有識者の意見を番組の上に反映させていきたいと存じております。FM放送につきましては、放送時間を延長して、実験放送をより強化し、従来の第一、第二放送のワク内では実施し得なかった高度の教養、芸術番組を実施して、すみやかに本放送に移行し得るよう、万全の準備を進める方針であります。国際放送につきましては、放送の規模は現在の通りとし、番組内容の刷新と充実に努めて参りたい所存でございます。  次にラジオ受信者の普及の見通しと、その対策について申し上げます。昭和三十三年一月末現在で契約者総数は千四百四十九万九千六百三十五(有料一千三百九十五万五百二十、無料五十四万九千百十五)普及率八〇・七%に達し、今後の新規受信者の開拓が次第に困難になってくることは先程申し上げた通りでございますが、明年度におきましては従来の普及率の向上の比率などを検討いたしまして、有料契約者において四十二万件の増加を予定いたしました。この目標を達成いたしますためには、新規契約者の開発を積極的に行うと同時に、雑音障害の防止、受信機改善対策等、受信者に対するサービスの向上に努めて、従来の契約者の中から廃止される方を極力少くして参りたいと考えております。  次に研究活動につきましては、従来から実施いたしておりましたUHF帯によるもののほか、昨年暮れから開始しましたVHF帯のカラーテレビジョンの実験放送をより強化し、送信、受信の両面の技術的な研究、各種部品の国産化のための試験等を行なって、実用化に備えることにいたしております。そのほか、従来から継続しております技術面の基礎研究及び応用研究、すなわち受信機並びに受信機の簡易低廉化、放送機器の能率化、音響の研究、テレビジョンの研究等につきましては、一層力を用いていく所存でございます。  次にテレビジョンについて申し上げます。明年度の建設予定としましては、三十二年度から継続工事となっております室蘭外六局の放送局を完成し、新たに長崎外十一局の工事に着手して、そのうち八局は来年度中に完成する予定であります。このほか東京、大阪には新たに教育放送局を開設し、その全国放送網への糸口とする計画であります。  テレビジョン放送番組の編成につきましては、公共放送としての協会の特色を十分発揮するよう、教育、教養放送の拡充に重点を置き、またラジオとテレビジョンの兼業の妙味を発揮して、両者の有機的な連係を一そう深め、豊富多彩な番組を編成いたしたいと計画しております。すなわち第一放送においては、従来の放送を二時間延長して十時間とし、一般教養放送、家庭で楽しめる明るい芸能放送、劇場、スポーツの中継等を実施し、教育放送においては、放送時間六時間半をもって開始し、学校放送、社会教育放送番組を実施する予定であります。  次にテレビジョン受信者の普及開発についてでございますが、メーカーその他関係各方面の御努力によりまして、良質な受像機が、しかもずっと低廉な価格で出回るようになり、また国民所得の向上も反映し、テレビジョンにつきましては三十二年度も当初の予想以上に受信契約者が増加しております。明年度の予算としましては、置局計画の進展や受像機の生産見込みともにらみ合せまして、三十二年度を大きく上回る四十八万の純増を予定いたしました。今後の普及対策としましても、受像機の量産による価額の低廉化が特に要望されるところでございまして、関係各方面の御協力を期待する次第でございます。  次に従業員の待遇の問題につきましては、さきの国会におきましても、その改善について努力するよう御決議をいただきましたところであり、協会といたしましても、経営の許す範囲内で最大の努力を払って参りましたが、職員の素質、学歴、年令、勤続年数等を考慮いたしますと、まだ必ずしも十分とは言えない状況であります。明年度の待遇改善につきましては、従業員側からも強い要求があり、でき得るだけの改善をはかりたいと考え、努力いたしたのでありますが、昭和三十三年度の財政規模では、満足すべき改善を行うことはできなかったのであります。職員の素質の向上と生活の安定が、将来にわたる放送事業発展の基であることを考えますと、職員の給与が十分でないということは当事者としてもまことに不本意ではありますが、今後とも一そうの努力を払って、能率の向上とともに、極力増収、節約をはかって、待遇改善に努めたい所存でございます。  また資金計個といたしましては、放送設備の建設、改修の資金といたしまして、ラジオにおいて十四億一千五百万円、テレビジョンにおいて二十二億二千万円という多額の借入金を予定しております。先ほども申し上げました通りこの借入金の調達につきまして、政府並びに各方面の御協力、御援助をお願いいたす次第であります。またラジオにおきましては、明年度償還期に当る放送債券四億円の償還のために同額の乗りかえ発行を予定しております。  以上、NHKが当面しております諸問題と、昭和三十三年度の事業計画等につきまして申し述べて参りましたが、公共放送として重大な使命をになっておりますNHKの事業運営について、委員各位の格別の御理解をいただきまして、何とぞすみやかに御承認下さいますよう切にお願い申し上げる次第でございます。

片島港日本社会党

○片島委員長 本日は説明聴取にとどめ、質疑は次会に譲ります。次会は明十二日午後一時三十分より委員会を開会するこことし、本日はこれにて散会いたします。     午前十一時四十七分散会

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