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28回国会衆議院1958/04/22

地方行政委員会 第30号

発言数
19
登壇者
5
会派数
2
開催日
1958/04/22

会議録

矢尾喜三郎日本社会党

○矢尾委員長 これより会議を開きます。  去る十七日設置されました請願審査小委員会の小委員及び小委員長の選任につきましては委員長一任となっておりましたが、本日委員長において指名することにいたします。  小委員としては       亀山 孝一君    纐纈 彌三君       渡海元三郎君    徳田與吉郎君       吉田 重延君    今村  均君       加賀田 進君 以上の諸君を指名いたします。  また小委員長としては纐纈彌三君を指名いたします。     —————————————

矢尾喜三郎日本社会党

○矢尾委員長 この際お諮りいたします。本委員会において審議いたしております地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、農林水産委員会より連合審査会開会の申し出があります。  この際この申し出を受諾いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

矢尾喜三郎日本社会党

○矢尾委員長 御異議なきものと認め、さよう決します。  なお連合審査会の開会日時につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御了承願います。     —————————————

矢尾喜三郎日本社会党

○矢尾委員長 この際道路交通取締に関する小委員長より、小委員会における調査の経過並びに結果について御報告を求めることにいたします。道路交通取締に関する小委員長渡海元三郎君。

渡海元三郎自由民主党

○渡海委員 さきに交通事故防止問題に関し調査検討するため、本委員会に設置されました道路交通取締に関する小委員会における調査の経過並びに結果につきまして、その概要を御報告申し上げます。  この小委員会は二月二十七日、本委員会の決議に基いて設置せられ、加藤精三君外十四名の委員が委員長から指名せられ、不肖私が小委員長を命ぜられました。  三月十九日に第一回の会議を開き、まず、調査の基本方針につき協議し、審議日程の見通し、関係資料の収集等につき懇談いたしました。申すまでもなく、本問題はいわゆる神風タクシー等の暴走や、交通法規違反等によって最近激増した交通事故の防止を目的として起ったのでありますが、これを根本的に解決いたしますためには、その対策上関係する範囲は多方面にわたり、広く総合的かつ徹底的に施策を講ずる必要があります。従ってその内容は、他の委員会の所管とも関連を持つことになりますが、当委員会といたしましては、その所管たる交通警察の見地より道路交通の取締りに重点を置き、本問題に関する主導的役割を自任しつつ調査を進め、必要に応じては他の委員会等とも連絡をとり、あるいは特別委員会の設置、あるいは院議をもってする意思表示の段階にも発展の可能性を予想しながら審議を行うことといたしたのであります。  その後、第二回の小委員会を四月三日に開きましてから、同月九日、十日、十七日、十八日と相続き前後六回にわたって会議を開き、懇談の形式によって調査を進め、関係政府当局の出席を求めまして、本問題をめぐる各般の問題点について事実を明らかにするとともに、諸条件に対する検討を行い、可能な限りその対策樹立について調査いたしました。すなわち、まず第二回小委員会において警察庁当局から、交通関係行政事務の政府機関における分掌及び警察当局の交通取締り方針等、本問題に関する基本的事項について説明があった後、詳細な資料に基いて全国における交通事故の現況とその分析、特にタクシーによる事故の概況と警察当局の現下の取締りの実情について報告され、その後これに基いて質疑応答により検討が重ねられました。  その要点とするところは交通関係の行政においては道路建設は建設省、運送事業行政は運輸省、道路上の交通の実態の規制及び取締りは警察庁と、おのおのその所管が分れており、警察の取締り方針としては、交通の規制取締り、安全対策及び交通法規の三方面から事故の防止に努めているのであるが、今日の交通不安の要因となっているもの、すなわち事故発生の原因をなしているものは、道路の質、環境条件、車の多機性、道路の繁雑性及び交通法令の不知遵守の五点であり、これらの原因と事情を背景として、神風タクシーを初め自動車の事故が頻発しているのであって、自動車に関する事故は交通事故総件数の九創を占め、なかんずくタクシーの事故を起す割合は、自動車一千台に付二百七十四台で、タクシー以外の自動車の五十三件に比し、五倍以上となっているのであります。しかも、これは昭和三十二年度における全国平均で見たものであって、東京都について見れば、事故率は三割二分ともなっており、また自動車事故は、年々自動車数の増加ともに、増加の趨勢を示し、最近五カ年間に二・四倍に増加したのでありますが、その特殊原因として考えられるものは、タクシー業の実態から来るもの、いわゆる運転ノルマによることが明かだとされたのであります。  飜って最近の交通事情を、昨昭和三十二年中に発生した交通事故の面から見ますと、その件数、被害とも、今までの最高であり、事故件数十四万六千八百三十三件、死亡数七千五百七十五人、負傷数十二万四千五百三十人、物的損害額二十九億二千六百余万円となっており、一時間ごとに一人が死亡し、五分ごとに一人が負傷する割合となるような惨害が、日々起っているのでありますが、政府部内におけるこれの防止対策としては、内閣に事故防止対策本部を設置し、関係省庁、すなわち警察庁、運輸省、労働省を初め関係各省に内閣審議室を加えて打合せを行い、昭和三十年六月には、交通事故防止対策本部の名において、交通事故防止対策要綱を決定し、また本年四月一日にはタクシー事故防止対策要綱を決定して、一応事務的検討に基く打ち合せは終了しているのでありますが、政府として本問題に関して一元的かつ総合的に対処し、強力な指導や措置を講じ得る体制はいまだ整備されず、法的規制もなお不十分のうらみがあるのが現状のようであります。  第三回以後の小委員会におきましては、以上の検討の結果、交通事故の防止上考慮すべき問題点を整理いたしまして、一、道路に関するもの、二、交通環境に関するもの、三、道路利用者に関するもの、四、交通施設に関するもの、五、交通関係行政機関の協力と民間団体の協力に関するもの、六、交通警察の運営に関するもの、以上の六項目に分類し、二十二の問題点の各個にわたりしさいに検討を遂げ、警察庁当局によって考えられた当面の対策、すなわち各問題点の解決方法について意見を交換し、特に問題となりました道路整備や自動車運送事業の免許については、建設、運輸両省当局を招致して、事情を聴取するとともに協力を要請し、交通法規違反の罰則の適用や自動車運転免許と少年法との関係については法務省、交通安全教育に関連しては文部省より、それぞれ係官の出頭を求め、その意見を聞くなど、慎重調査を行いました。  もとより、その対策としては、従前の指導取締りをさらに強化するもの、特別の指導や行政措置を新たに行うべきもの、さらにまた新たな法的措置を必要とするものなど、多岐にわたり、いずれもきわめて重要であり、また中には急速に解決のなかなか困難なものもありますが、もとよりここにはその詳細については申し上げません。  以上のごとく、小委員会といたしましては、協議を重ね調査をいたしました結果、これを集約して問題の所在を明らかにいたすとともに、政府が本問題解決のため、すみやかに具体策を樹立して総合的施策を強力に実行に移し、もって現下喫緊の要務たる交通禍の排除を期するよう切望し、本委員会としては、幸いに各位の御賛同を得まして、この要望を決議をもって政府に明示することが望ましいとの結論に達したのであります。よって、去る十八日第六回小委員会において、次のような決議案を作成し、小委員会の結論として当委員会の御審議にゆだねることと決した次第であります。  決議案は次の通りであります。    交通事故防止に関する決議案        衆議院地方行政委員会   近時交通事故の激増により人命の損傷等その被害の甚大なるにかんがみ、政府は、道路交通の秩序確立と安全保持のため左の諸点につき検討を加え、所要の法的処置を講じ、可及的速かに有効適切な対策を樹立すべきである。  一、道路の整備   1 道路の幅員と通行車両の関係について実情を十分検討の上適当な調整、制限等の措置を講ずること。   2 道路の占用工事の無統制な施行について適当な調整方策を講じ、これによる交通の障害を最少限度にとどめるよう措置すること。  二、交通環境の整備   1 路上放置物件についての取締を強化すること。   2 路上放置自動車を排除するため取締を強化するとともに所要の措置を講ずること。   3 交通の妨害となるような広告物類については、必要な規制を行うようにすること。   4 自動車の警音器の音量について再検討を加えるとともに、その使用に関し必要の限度について検討を加えること。   5 夜間における交通の安全を確保するため、道路の照明について対策を講ずること。  三、自動車運送事業の適正化 自動車運送事業の公共性にかんがみ、その事業の適正化による交通事故の防止を図るため、さきに交通事故防止対策本部において決定された労働条件の改善、給与体系の適正化等の事項についてその完全な実現を期すること。  四、自動車の安全運転   1 警察取締を適正強化すること。   2 自動車運転者に対する安全教育を徹底すること。   3 ドライブクラブの取扱について慎重を期すること。  五、歩行者の保護の徹底   1 対面交通についてはこの際改めて国民の注意を喚起し、その励行を期すること。   2 横断歩道等における歩行者の優先通行を確保するとともに、横断歩道の安全施設を充実すること。   3 学童の登下校の際における安全交通の確保を図ること。  六、交通法令の普及と交通道徳の確立国民全般に交通法令を普及し、交通道徳の昂揚を図ること。  七、交通安全協会の刷新強化交通安全協会の組織を刷新し、その活動を拡充強化して、交通事故による被害者の救済等にも努力するよう指導すること。  八、交通安全施設の充実   1 踏切における遮断機、警報機等の充実を図るとともに、踏切安全についての所要の措置を講ずること。   2 道路の立体交差の整備を促進すること。   3 信号機、道路標識等は、全国必要な箇所にはもれなく設置すること。  九、交通警察の運営   1 交通警察に関する人員、研究施設、取締用装備等の充実を図ること。   2 全国幹線道路における交通取締の整一をはかること。  十、運転免許と少年法上の取扱の関係    運転免許と少年法上の少年の取扱については各般の見地より慎重に検討を加え、交通事故防止のため最も適切な結論を得ること。  十一、交通事件の即決処理の促進    交通事件即決裁判手続法による即決裁判の運用を確保し、事件処理の迅速適正化を図ること。  十二、道路交通取締法の改正右諸点の外、交通事情の現況に即応するため、現行道路交通取締法に所要の改正を加えること。  右決議する。 以上であります。  しかるべく御審議のほどをお願いして私の報告を終ります。

矢尾喜三郎日本社会党

○矢尾委員長 ただいま渡海小委員長より報告のありました小委員会決定の決議案を本委員会の決議と決定するに御異議ありませんか。

矢尾喜三郎日本社会党

○矢尾委員長 御異議なしと認めまして、さよう決定いたします。  この際、ただいまの決議に対して、政府として御所見があれば承わることにいたします。

正力松太郎自由民主党国家公安委員会委員長・科学技術庁長官

○正力国務大臣 ただいまの決議案の趣旨を尊重しまして、善処いたすつもりであります。まことにありがとうございました。

矢尾喜三郎日本社会党

○矢尾委員長 なお、ただいまの決議につきましては関係方面に参考送付いたしたいと存じますが、その取扱いにつきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

矢尾喜三郎日本社会党

○矢尾委員長 御異議なしと認めまして、さよう決しました。     —————————————

矢尾喜三郎日本社会党

○矢尾委員長 次に、去る十八日本委員長に付託になりました木崎茂男君外八名提出にかかる行政書士法の一部を改正する法律案を議題として提出者より趣旨の説明を求めます。木崎茂男君。     …………………………………

木崎茂男自由民主党

○木崎委員 ただいま議題に供せられました行政書士法の一部を改正する法律案について、その提案理由の説明をいたします。  行政書士法は昭和二十六年、行政書士の業務の公共性にかんがみ、その業務の適正な執行を確保して、一面その利用者の便益に資するとともに、行政書士の資質の向上と職務執行上の利益をはかるため、制定せられたのでありますが、その後の本法の施行状況を見るに、従来任意設立、任意加入であった行政書士会並びにその連合会を司法書士、税理士等類似の業務の場合と同様、義務設立、強制加入とすることによって、行政書士会の自主的な指導力を強化して行政書士の品位の保持、業務の改善、適正化に資する必要があるので本改正案を提案いたした次第であります。  何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。

矢尾喜三郎日本社会党

○矢尾委員長 趣旨説明は終りました。  この際本案につきましては、質疑並びに討論の通告がありませんので、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

矢尾喜三郎日本社会党

○矢尾委員長 御異議なしと認めまして、直ちに採決いたします。  行政書士法の一部を改正する法律案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を求めます。     〔総員起立〕

矢尾喜三郎日本社会党

○矢尾委員長 起立総員、よって本案は原案の通り可決されました。なお、本案に関する委員長報告書の作成並びに提出手続につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

矢尾喜三郎日本社会党

○矢尾委員長 御異議なしと認め、さよう決します。     —————————————

矢尾喜三郎日本社会党

○矢尾委員長 次に昨二十一日本委員会に付託になりました門司亮君外十一名提出にかかる地方公務員法の一部を改正する法律案を議題として、まず提案者より趣旨の説明を求めます。川村継義君     —————————————

川村継義日本社会党

○川村(継)委員 ただいま議題となりました地方公務員法の一部を改正する法律案につきまして、提案者を代表いたしまして、趣旨の御説明を申し上げます。  本日提案理由を申し上げる予定になっておりました門司委員が不在でございますので、私、かわりまして御説明を申し上げたいと思いますが、御容赦を願いたいと存じます。  地方公務員法の一部改正の御趣旨を申し上げる前に、私は去る第二十七国会においてわが党が教育公務員特例法の改正を提案いたしました、その提案の内容についてその一部を御紹介申し上げておきたいと存じます。そのおもなる点は、次の通りでございます。  国家公務員に対する勤務評定の制度は、昭和二十二年法律第百二十号国家公務員法第七十二条に定めるところでありますが、人事院が評定に関し必要な人事院規則を制定いたしましたのは昭和二十六年であり、その間実に四年を経過しているのであります。一般公務員に対する評定の実施基準の制定にさえ四カ年を要したことは、人間の評価がいかに困難なものであるかということを示していると思われるのであります。  この人事院規則の制定に伴いまして、文部省は人事院と協議し、各省に先がけて昭和二十七年十二月訓令をもって文部省職員勤務評定実施規程を定めておりますが、その第一条では、教育公務員特例法の規定の適用または準用を受けるものはこの実施規程によらない旨を定めております。もちろん教育公務員特例法第十二条には、大学の教育等について勤務成績を評定する規定がありますが、評定及び評定の結果に応じた措置は、その評定基準を定めることも含めて、それぞれの大学が、その管理機関において自治的に行うこととなっているのであります。一方、大学以外の幼稚園、小、中、高等学校の教員については、教育公務員特例法には別に規定がないのであります。従いまして国家公務員であるこれらの学校の教員、すなわち国立大学付属の幼稚園、小、中、高等学校、国立高等学校等の教員については、勤務評定の基準がなかったのであります。しかし、昭和二十八年以来文部省は、これら教員の勤務評定もそれぞれの学校が自主的にこれを実施すべきことを通知しているのであります。要するに国家公務員である教育公務員の勤務評定は、大学の教員については法の定めるところによって大学の自治にゆだねられ、高等学校以下の教員についてもその自主的評定にゆだねられていたのであります。  これらの措置は、教員に対する評定基準の制定がいかに困難であるかということの証拠であるとともに、教員の特殊性を認め、制定を強行しなかった当時の文部省及び人事院の良識であるとも申せるかと存じます。教育公務員特例法の制定は昭和二十四年でありますが、現在七十二の国立大学のうち、果して幾つの大学がその教員について画一的な評定を行なっているでありましょうか。私どもは寡聞にしてその事実を知りません。大学管理機関が議定した合理的な基準に従って、学長以下助手に至る教育公務員の勤務評定が画一的に実施されている大学など、おそらく絶無であろうと思うのであります。  さきに述べましたように、大学以外の学校の国家公務員である教員の勤務評定に関する規程は、昭和二十七年以来きわめて最近までその学校の自主的運用にゆだねられて来たのでありますが、本年七月二十九日公布の文部省訓令によりまして、突如としてその適用を受けることになったのであります。御承知の通り、新たに制定されました文部省訓令による評定の実施要領は、一般公務員と教育公務員との間に何ら本質的な差違を認めないものでありまして、教育公務員の勤務評定制度に対する五カ年間の研究検討の結果とは考えられないのであります。このように教員の特殊性を無視した実施規程がにわかに制定されましたことは、まことに不可解であり、関係大学当事者から反対の声が高いのも当然であると考えられるのであります。  飜って地方公務員について見まするに、地方公務員法第四十条におきましては、任命権者が勤務評定を実施することになっており、県費負担の教職員の勤務評定は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第四十六条におきまして、都道府県教育委員会の計画のもとに市町村教育委員会が行うこととなっております。なるほど、法は地方の教育公務員につきまして、勤務評定の実施を定めているのでありますが、果してその実施の状況はいかがであったでありましょうか。地方公務員法の制定は昭和二十五年十二月でありますが、自来七カ年、幾つの地方公共団体におきまして、教員に対する評定が実施されたでありましょうか。最近の文部省は、教育委員会に対し、その自主性にゆだねられている教員の勤務評定について、その実施を強要するがごとき言動をなし、あらゆる機会にそれを公言してはばからず、その実施基準の制定をさえ計画しているのであります。これこそ地方自治と教育の地方分権に対する重大なる侵犯であります。  次に、教員の勤務評定制度の教育上の逆効果について申し述べたいと存じます。教育の効果が教育者の人格によって大きな影響を持つことは申すまでもありません。特に青少年に対してはその影響が大であります。人事院規則等によっても勤務評定はその職務についての評定を行うとされていますが、今さら申すまでもなく教員は学校教育法第二十八条によってその職務が明確にされております。すなわち、児童生従の教育を掌る、とあり、その職務は憲法、教育基本法等によって独立し、他のものに侵されることのないものであります。このような立場にある教員に対し勤務評定を実施せんとするならば、教育の内容に介入せねばできないことであり、これは教育の独立性と自由を束縛するものと考えられます。さらに勤務の評定はその人の人格評価になることと思います。文部省の新規程にも「性格」「能力」「適正」に対する調査評価を実施することが定められてあります。果して教育者に対しこのような機械的な評価が適当であり、可能であると考えられましょうか。全く不可能であります。  教員の場合は、その評定結果によってとられた措置による影響は、その教員一個にとどまりません。評定の結果がいかに秘匿されましても、その措置の結果は表面に出てくるのであります。その影響は直ちにその教員の教え子である児童生徒に及ぶでありましょう。児童生徒だけではなく、PTAという組織を通じて、おそるべき影響は、さらに大きく教育効果を支配するでありましょう。児童生徒の教育は、子供たちの教師に対する信頼と尊敬から始まります。評定の結果はその信頼と尊敬とをゆるがすこともあります。そして教育が根本的に破壊されるおそれがあるのであります。教員に対する勤務評定の困難さは、評定実施の単なる技術問題だけではなく、教育という根本使命に重大な関連を持っております。その本質的問題はにわかの実施によって、にわかに解決できるものではありません。  近来、財政の逼迫した地方において、勤務評定結果を直ちに職員の昇給、昇格停止の資料として使用する傾向を生じましたことは、まことにおそるべき評定の乱用と申さねばなりません。さらに残念なことは、昇給停止の目的にのみ勤務評定を実施しようとする実情にあることであります。一般公務員に対するこれらの措置が職員間の不和、嫉視を招き、職員の勤務能率の増進とは、ほど遠い拙劣なる策であることは申すまでもありませんが、特に教員に対するこれらの措置は教員の猜疑、追従に発展し、教育が権力に支配され、その中立性が確保されず、憲法に定める学問の自由が根本的に脅かされることになるのであります。  今私が読み上げました趣旨は、去る三十七回国会において、わが党から教育公務員特例法の一部改正に対する趣旨の一部でございますが、今日御承知の通りに教育界は勤務評定をめぐって、相当大きな混乱を来たしております。文部省は昨年秋実施基準を定めて、全国的に画一的に実施をしようと計画したのでありますけれども、世論の反撃にあって、これを全国教育長会議の試案として各都道府県教育委員会に流し、教育委員会が各県でこれを実施に移そうといたしておりますが、さきにその提案の趣旨にも申し述べましたような結果を招来して、各県における教育公務員に対する勤務評定の問題をめぐって、相当の混乱を惹起いたしておることは、すでに大方の方が御存じの通りでございます。まことに残念しごくだと申し上げねばなりません。申し上げるまでもなく教育はあくまでも中立性を保持して参らねばならないのでございます。教育の行われる環境がすべからく明瞭であり、最も自由闊達なる環境において教育は営まれねばならないと考えるものでございます。それが今日のような状態になったことは、せんじ詰めて申し上げますならば、政治権力が介入いたしまして教育を政治の力によって支配しようとする動きが、この勤務評定という問題を通して現われてきておると申し上げることができると思います。  各学校、教育の場における教職員の活動の状況について考えて参りましても、それぞれの教職員にはそれぞれの技能があり、それぞれの特色を持っておるのでありまして、全部の教職員がすべての教化、すべての指導力にわたって全部均一された人格であるとは思われません。しかしそれらの個人個人の持色を教育の場において生かしながら、教育技能の長所あるいは欠陥を互いに補いながら、全部の教職員が相寄り相助けて、校長を中心として教育効果をあげていく、これが今日の民主教育における学校のその職場における教育の実態でございます。それが真に今日の学校教育における姿でなければなりません。従って勤務評定のごとき個人々々を対象としたものが強行されるとなれば、それらお互いの教職員の助け合い、あるいは技能の交換、そういうような大事なる教育活動がゆがめられていくことは火を見るよりも明らでございます。この点が実際の教育から考えましても、最も憂慮される一つではないかと思っておるのであります。  従ってわが国の日本教育学会の教育政策特別委員会におきましても、本日の新聞の発表にありますように、この勤務評定実施について反対の意向を表明し、教育は教育条件の整備が先決であるという結論を見出しておるのでございます。すなわちこの日本教育学会の発表いたしました条項は、私の手元にあります新聞によりますと、一教育効果の向上のためには、教育条件の整備こそ基本的な問題である。従って勤務評定よりも先に、教職員定数の充実施設の整備が必要である。一、研究なしに施策すべきでない。勤務評定が校長の管理職的性格の強化、その非組合員化などを含む多分に政治的な施策との結びつきにおいて登場するのは間違っておる。一、教育をよくするためには教師の志気を民主的に高めなければならない。教師の資質は自発的研究によって高まるものであるから、教師の自発的研究の動きを強化徹底さすべきである。一、教師の勤務評定の考え方は、人間性尊重の上に立ち、教師自身が納得のできるものでなくてはならない。このような要綱を伝えております。  私は今、第二十七回国会におけるわが党の教育公務員特例法改正に対する趣旨の一端を申し上げ、しかも現在全国的に混乱を生じつつあります勤務評定実施に対する見解の一部を申し上げてみたのでございますが、このような形で今日の勤務評定が実施される結果によって起る教育の実態というものを、最も憂慮するものであります。しかも地方財政が漸次好転しているとは申し上げますものの、なお地方の財政は相当窮屈な状態であるのが実情でございます。従って教育公務員に対して、あのような形で勤務評定が強化されるということは、ひいては地方公務員全般に対して大きな影響を与え、今日まで何ら摩擦を起さずして参りました勤務評定の問題が、一般公務員全体に対して大きな関係を持つであろうということを憂慮するものであります。あるいは昇給昇格の停止、あるいは人員整理等にこれが悪用されていくというような結果が、必ず招来されるのではないかと思うのでございます。従いまして、われわれはこの際、地方公務員法の一部を改正する法律案を適用いたしまして、その及ぼすところの影響を今日において取り除いていくことが必要ではないか。それがまた立法府におけるものの責任でもあろうと考えて、この法案を提出いたしたのであります。地方公務員法にいうところの研修及び勤務成績の評定ということは、これは研修という、それぞれ公務員にその能率を最高度に発揮できる研修を行わせるために、私は勤務成績の評定というものも、法案の主たるねらいとして制定されておると思うのでありますけれども、今日のような権力支配の度合いが強くなって参りますと、その法律の本旨をゆがめて、勤務成績の評定そのものを、あるいは人員整理、昇給昇格の停止等、そのような面に悪用される危険性が非常に大であると思わざるを得ないのでございます。  以上のような考え方に基きまして、今回わが党は地方公務員法の一部を改正する法律案を提案いたしまして、大方の御賛同を得たいと心から念願いたしておるものでございます。  法案の内容はごく簡単でございまして、お手元の法案を御一べついただきたいと思います。その第一は、地方公務員法にいうところの第四十条を削除するということが中心でございます。それから第二点のおもなるものは、これらに関係のありますところの関係法律を整備するということが第二点となっておるのでございます。  どうぞ今日の勤務評定をめぐる諸問題、あるいはわれわれが申し述べましたところの趣旨をよくごそんたくいただきまして、慎重御審議の上御可決あらんことをお願いをいたしまして、私の提案の趣旨説明を終るものでございます。

矢尾喜三郎日本社会党

○矢尾委員長 本案に対する質疑は、次会に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時二十五分散会      ————◇—————

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