商工委員会 第9号
- 発言数
- 138 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1958/02/20
会議録
○小平委員長 これより会議を開きます。 前会に引き続き産業経済の基本政策並びに私的独占の禁止及び公正取引等に関し質疑を継続いたします。中崎敏君。
○中崎委員 私は、同僚のいろいろな質問が相当進んでおるようでありますから、一応通商の問題に限って、まず質疑をいたしたいと思うのであります。「昭和三十二年度下期並に三十三年度の鉱工業生産とその問題点」という冊子があります。これは通商産業大臣官房物資調整課から出されたものであります。それによりますと、「昨年の五月末に急激な国際収支の悪化により」云々ということが書いてありまして、これを中心にして、緊急施策なるものが出てきておるようなわけで、国の財政経済の上に大きなる転換を来たす一つの大きな契機となっておるのでございますが、急激なるところの国際収支の悪化が五月末にあったという事態について、私どもは非常にこれを重要視するものであります。と申しますのは、一カ年間におけるところの外貨の予算を立てて、そうして国が貿易の管理をやって、外貨に対する一切の監督指導の計画的な線に沿うて、国の経済、国民の経済の上に大きなる施策を行う唯一の権限を持っておるのでございますが、それが、五月の末に急激に悪化したということは、一体どういうことなのかということについて、お尋ねしたいのであります。
○前尾国務大臣 五月の末に急激に悪化したといいますより、一昨年の暮れでありますか、昨年の年初以来、御承知のように設備が非常に集中化されて参りまして、多少悪くなっておりました。そこへもって参りまして、御承知のように鉄鋼が非常に値上りをする、そこへまた石油の緊急に必要な状況になりまして、率直に申し上げまして、鉄鋼と石油の緊急輸入というのが、外貨の悪化を来たしました主たる原因だと思います。その背後におきましては、われわれが予想しなかったような民間の投資が盛んになりまして、集中的に事業の拡張、設備の拡張が行われますにつれて輸入が盛んになるというので、予想以上に輸入が多くなってきたということに、原因があるのであります。五月末に、これではあまりに国際収支の関係が悪い。それで設備投資を押えていかなければならぬというような転換期になったのでありますが、それ以前に、徐々にそういうような問題が進行しておったと思います。
○中崎委員 先ほど申し上げますように、石油にしても、鉄鋼にしても、さらに民間の投資に関する、外国から重機械の輸入にいたしましても、これらは、ことごとく政府の年間における為替予算を基本にして、さらに四半期別の為替予算が実行的にも組まれ、その基準の上に立って、次の四半期別の予算が運営されるということになっているのでありまして、かりに五月になって、石油、鉄鋼を急激に輸入しなければならなかったとしても、それはその時期における輸入であって、年間を通じての勘定の上には、大きな相違があってはならないはずだと思う。それが、ただ一時の派生的な理由と考えるのかどうか知りませんが、そうしたような理由に基くとすれば、それは一時的な現象であるけれども、相当長期にわたっての見通しの上に立つならば、これは政府の外貨収支の予算の上に大きなる過誤があった。たとえば、民間の投資にいたしましても、これは輸入の信用状などによっても、現われてきているのでありますが、ほんのそのときに現われたものじゃない、一年も前からこういうふうな現象は現われてきている。これをこのまま放任すれば、相当憂慮すべき事態になるであろうということは、みな識者は知っている。それを政府の方でも知らないはずはないのである。それを一年間もたな上げしておいて、急激にこういうことになったということであわてふためいて、そして今度は、どろぼうを見てなわをなうというふうな、こういうやり方をするものだから、ここに大きな国の経済の混乱があると思う。そこで、こうしたような考え方について、政府はどうもこういう点において誤まりがあった、過誤を犯したのだというふうな、こういう認識の上に立って、その後における施策が行われているのかどうかをお尋ねしたいのであります。
○前尾国務大臣 これは率直に申し上げますと、日本の経済成長を、民間の方も、また役所も政府としても、できるだけ急速に伸ばしたいという気持があったわけでありまして、それが結果において速度が早過ぎた。従って、これはこういう速度で行くのではなしに、堅実な行き方をしなければならぬということは、われわれにとりましては、大きな教訓であったと思います。また民間の方々にとりましても教訓であったことは、現実におきまして、今われわれが押える以上に、民間の方が手控えておられるというようなことから考えましても、わかるのでありまして、どこの国も、こういう事態は大なり小なりあるのであります。結局、限度がどこらにあるかということは、これはなかなかつかみにくい問題でありますが、大体われわれとしては、その実際に当ってみて、限度がそこらにあったということで、われわれの大きな教訓になっておるのであります。現在その限度を守りながら、着実な経済発展をやっていかなければならぬ、かように考えて、現在におきましても、そういうようなテンポで経済の成長率というものを考えているわけであります。
○中崎委員 今日、相当大きなる経済的混乱といいますか、困難といいますか、それに際会して、国民がひとしく困っておるのでありますが、その国の経済が大きくなればなるだけ、これによって受ける打撃、影響というものが大きくなるのは、これは当然のことであります。そういう情勢のもとにおいて、こうした過去の失敗にかんがみて、まず国の基本的な経済、財政をもう少し計画的にやっていくのだ。どうも今までは、貿易はめくら貿易であり、そうして国の経済の立て方も、ややもすれば自由主義などの安易な考え方の上に立って、何が何だかわけのわからない行き当りばったりのこういう政策をやっているので、今のような大きな国民的な大打撃を受けるような結果になったのだと思うのであります。そうした意味において、たとえば国の鉱工業生産にいたしましても、あるいは国民の消費生活にしましても、さらにはまた、これに関連する金融の問題にいたしましても、もう少し有機的に、もう一歩進めたところの、単なる机上のプランで、数字だけをもてあそばないで、ほんとうに総合的な裏づけのあるような施策をやっていくためには、ある程度、もう少し国家的なにらみのきくといいますか、腹を据えた経済財政施策が必要だと思うのでありますが、これについて、一体どういうふうにお考えになっておりますか。
○前尾国務大臣 御承知のように、従来の五カ年計画等の長期計画におきましては、国際収支の関係とか、そういうような問題が、実はオミットされて考えられてきたような感じがいたします。御承知のように、昨年策定いたしました五カ年計画におきましては、そういうものを考慮に入れまして、そうして年間の経済成長率を六・五%に平均して持っていくというような建前で、ただ成長率さえ大きくなればいいのだというような考えを変えまして、あらゆるいろいろな要素を入れて、着実に伸ばしていくというふうな方向に変って参ったことは、御承知の通りであります。これらにおきましても、従来から、行き当りばったりとは言いませんが、いろいろな要素が加味されていなかったということは、言えると思います。従って、現在は、地についた長期計画を、さらに作り直しておるような状況にあるのであります。
○中崎委員 そうした意味において、政府は十分に態勢の整わないままに、予算も相当分取り主義の上に立ってやられたので、さらにまたそうした意味における乱雑さを加えておるのではないかということを、心配しているのでありますが、それは一応それまでにして、さて、昨年の五月における国際収支の急激なる悪化を来たした原因の一つは、大きなる輸入貿易商社を甘やかし過ぎた。そうして、一つには、これが自由にし得る外貨を、それぞれの商社に手持ちをさしたというところに、いわゆるめくら貿易の一つの大きなる弊害が生まれてきたのではないかと思うのでありますが、これについて、どういうふうにお考えになり、そして、これに対する措置をどういうふうにやっておられるかを、お尋ねしたいと思います。
○前尾国務大臣 従来といえども、別に商社に外貨の割当をゆるやかに余裕をもって考えてきたわけではない。保有外貨につきましても、これは必要がありますので、輸出にしましても、第三国間の貿易にしましても、手持ちの外貨は必要なわけであります。ただ、最近におきましては、外貨の保有高というものが非常に鋭敏になって参りまして、これは極力圧縮していくという考え方に立つべきは当然であります。圧縮前の保有外貨の総額は、ちょっと手元にないのでありますが、ただいま二千五百万ドルということに押えているような状況であります。
○中崎委員 これは先ほど行き当りばったりと申し上げましたのも、一つの根拠がここにあるのでありまして、保有外貨のワクといいますか、これが自然にだんだんと膨張してきた。そうして、これが結局において、ある意味における行き詰まりを来たした。それが、逆に今度引き締められる結果になってきているのであります。こういうふうにして、一面においては、政府は相当シビヤーな輸入の許可についても権限を持って、そうして引き締めながら一面においては、こうして別に逃げ道を与えており、そうして大きなる商社だけがそうしたような金を操作して、そこにスペキュレーションといいますか、思惑の取引なども招来するような結果にもなって、そうして逆に荷物が市場にもたれておるというようなこともあったりして、相当に日本経済を混乱さしているということだけは、否定できない事実だと思うのであります。こうしたようなことが、また一面において、一つの汚職の原因ともなり得るのであります。特に日本の経済官庁の中で、一番よけい問題をはらんでおるのが、通商局関係の外貨割当関係で、また輸出入業者の監督をする立場にある通商局に、その問題があると思う。新聞を見ても、次から次へとそうしたような問題に関連する汚職の問題が明るみに出ている。一体、その後において、こうしたような問題について、通産大臣はいかなる処置をとり、そうして今後において、いかにこれを処理せんとするかということを、お尋ねしたいのであります。
○前尾国務大臣 外貨割当に関する不正な問題というのは、もう少しよくその実態をごらん願いたいのであります。査定にからんでいろいろ不正が行われているようにあるいはお話もあるのでありますが、ほとんど査定に関してじゃないのです。査定に関してという、まあ広い意味では入ると思いますが、外貨につきましては、いろいろ問題があることは事実であります。従って、外貨に関します割当その他につきましては、極力不正の起らぬようにというのでやっておるのでありますが、たまたま昨年二、三の問題が起りましたのは、これはもう全く権限のない単なる窓口の人に、金銭などを渡された、どうこうというような人に渡ったのではありませんで、これは窓口の取次をやっておるというような人に二、三問題があったのでありまして、査定自身についてどうこうというようなことは、全然ありません。しかし、これはもういいことではありませんから、従って、責任体制を強化するというような意味におきまして、いろいろ中の機構を変えましたり、あるいは人員は、従来の人をほとんど全部入れかえる。従来でも、一年ないし二年で入れかえておったのであります。それをそういうような機会にどんどん全部人を改めるというようなことをいたしておりまして、これは率直にわれわれも自粛の態勢をとらなければならぬというので、省内全体に、そういうふうな私からも申し渡しもし、いろいろやっておるのであります。ただ、問題の真相は、それによって査定がよくされたとか悪くされたとか、そういうようなことは全然ありません。その点は御了承願いたいと思います。
○中崎委員 近年、官界が著しく綱紀が頽廃しておる事実は、国民ひとしくこれを憂えておるところでありまして、その中においても、先ほど申し上げますように、事通商に関する問題は、一番国民経済に関係する官庁が権限を持っておる範囲が広い。その種類において、その範囲において、金額等ももちろんでありますが、国の貿易に関する問題を、一応ここに大きなるところの関門があって、その関門によって握られておるのだから、一番大きいと思う。そうした大きなる権限を持っておるところの官庁において問題か起るということは、容易に想像し得る。そこで、今、大臣は、必ずしもこうしたような問題について、深い認識を持っておられないようだ。ただ直接権限のあるような者でなしに、権限のないような者が判を押すんだ。それに類するような詐偽的な行動をやっているというふうな感じのようでありますけれども、それでなしに、権限を持つ。おる範囲においても、やられたことはたくさんある。もう少し新聞などを調べてごらんになってもわかる。実際においてこれが表面的にならぬでも、ある段階、あるところで問題がもみ消しになっておるというようなことも、かれこれある。これは国民の相当のものに知られておるというようなことも、相当あると思います。でありますから、こうしたような問題については、もう少し蒙を開いて、そうして謙虚な気持をもって取り組まれていかない限りにおきましては、重大な権限を持ったところのこういう国務というものに、公正な期待ができないと思う。そういう意味において、もう少し大臣は勉強されて、そうした面にも、一番肝心な問題なんだから、一切の政治の根源というものはここにあるのだから、ここらの問題についても、十分に認識を改めてもらいたいということを希望しておきたいと思います。 それから今度は、最近における貿易の状況というものは、政府の方では、一時、貿易の自由化だなんて、ことに昨年あたりは、国会などでも相当強く言うておったのですけれども、相当基調が変ってきておるように思う。それで、変ってきておるところのその基調が、一体どういうものであるのか、それに対して政府はどういう態度をもって対処しようとしておるのかということを、お尋ねしたい。
○前尾国務大臣 前段の、不正なことの問題につきましては、私は非常に認識しておるつもりであります。長年役人もいたしておりましたので、事非常に重大であり、これが一番国民の信をつなぐゆえんであるということで、実際問題としては、実に峻厳な態度で、また謙虚な態度でやっておるつもりでありまして、従ってもみ消しとか、そういうようなことは、一切私はやらせぬようにしております。 それから、次の貿易の自由化の問題です。これは、お互いに各国が自由にすべきだという点については、今もって何ら変っておりません。ただ、自動承認制につきましては、一、二度問題のものがありまして、これを承認制に直したものがございます。しかし、弊害のないものにつきましては、あくまで自由化すべきだ。また将来につきましては、できるだけ自由化して、またほかの国においても、自由化してもらわなければならぬというふうに考えております。ただ、重油等につきましては、従来と違って、いろいろ混合しますと、いろいろなことに使われるというようなことから、存外これがほかの油の補完的に使われておるというような実情にかんがみまして、それで自動承認制をやめるという措置をとったのであります。
○中崎委員 先ほど申し上げましたように、世界の貿易の基調が、相当に変化しつつある。ことに、アメリカの経済の後退といいまするか、それが一つのきっかけになっておるとも思いますが、さらには、東南アジア方面においても、相当に購買力が減退しておるという事実もあるし、西ヨーロッパ諸国の間においても、貿易に関するところり態度に、相当の変化なども見受けられるわけでありますが、こうした状況下において、貿易の自由化を目ざして、ことに、相当の品目をAA制に移すという方向に進んでおった日本においても、今日の事態に対処して、国の経済においても、一時貿易の経済がどんどん進展してやまないという発展の段階が、ややというか、相当後退して混乱しておる事態などを考えてみたときにおいて、このAA制の品目などについても、相当整理を要するようなものがあるのではないかと思うのでありますが、これについてはどういうふうに考えられておりますか。
○前尾国務大臣 このAA制の問題につきましては、実は下期の外貨の予算を組みます当時に、全部洗って検討してみました。そうしてこれは、大して弊害がなければ、やはり自由化しておかなければならぬ。少くとも日本としましては、各国に対して自由化すべきだという主張をしていかなければなりません。ただいま申し上げました重油のほかに、一、二自動承認制を取り消したものがありますが、これはほとんど言うに足りないことであります。これは全体に洗ってみました結果、自動承認制に持っていかなければならぬというようなものは、そうなかったわけでありまして、あの程度で、大体もう自動承認に持っていくべきものは、ほかにはないという確信のもとに、先般の取りきめをやったわけであります。
○中崎委員 貿易の自由化といいながら、アメリカにおいては、相当ひんぴんとして日本の商品に高率関税などをかけて、輸入の制限をしようとかかっておるということは、これは今日まで国会においても、しばしば論議されておるところでありますが、さらに最近においては、また金属食器、さらにはまた、こうもりがさの骨、こういう類の日本における零細な中小企業者の作った品物さえも、締め出ししようとするという、こういう情勢に対して、日本における経済三団体が抗議的な声明を出す、こういう段階に至っておるということは、新聞にも伝えられておるのであります。そこで、私は政府にお尋ねしたいのでありますが、繊維製品、あるいは水産加工物などを初めとして、相当広範な、この軽工業品まで締め出しをすることに、今日のアメリカにおいては、あらゆる経済的な圧迫が日本に対して加えられつつあるのでありますが、これらに対して、さらにこうしたようなことが積み重ねられていくということは、遺憾きわまりないことである。ただ単に抗議を申し出るとか、あるいはただ単に懇請するとか、さらに人間をやって、何だか少しこそこそ運動させておるというふうなこういう段階では、問題が解決がつかないようなところに来ておるのではないかというふうに考えているのです。そこで、私は政府に対して、ことに日本は輸入超過国であるから、そのアメリカからの輸入に対する措置をも考慮に入れて、総合的に、何らかこの対策を講ずべきものであるということを、この前の国会においても意見を述べたことがあるのでありますが、こういうふうなことを含めて、一体政府は、今日までどういうふうなことをやったか、今後どうしようとするのかということをお尋ねしたいのです。
○前尾国務大臣 このアメリカの輸入制限問題につきましては、御存じの通りに、日本の雑貨品、主としてただいまお話しのありました洋食器だとか洋傘だとか、これはアメリカにおきましても、中小企業者が作っておるものであります。しかも、日本の輸出が前年の倍になり、三倍になりというようなことで、アメリカの同業を営んでおります中小企業者自身が、非常な圧迫を受けておる。こういうことでありまして、国全体として考えますなら、これはもちろん日本が輸入超過で、また大いに主張すべき筋合いはありますので、これは強力に主張をいたしておるわけであります。従って、これは政府筋としては、もうよくわかっておることなんです。できれば、そういうことのないようにということも、いたしておりますが、国会はまた民衆の、また中小企業者の申し出を取り上げる。ことに、本年は、御承知のように大統領選挙の中間選挙があったり、あるいは互恵通商協定法が継続延長されるというような年になっておりますので、この種の問題が大きく取り上げられてきつつある。こういうことであります。従って、これはもちろん経済外交としては、強力に抗議も申し込み、そういうことの最終的に取り上げられないようにという努力をいたしておりますし、また続けなければなりません。またその反面に、民間的なPRをやっていかなければなりません。また国内的に、そう急にふやしていくという考え方ではいきませんので、これに対する自粛といいますか、ある程度――一割や二割ふえましてもそう刺激しないのでありますが、倍になり三倍になって、向うの消費量の三割とか五割とかいうものを日本品が占めてくる、こういうことになりますと、勢い向うの業者が騒ぐ、こういうことになるのであります。一面におきましては、日本の国内問題として、これを十分規制して、そしてむちゃな多量輸出をやめていくということをやっていかなければなりません。来年度として、われわれが考えておりますのは、どうも今までは、率直に申し上げまして、役所側からいろいろ自粛せぬといかぬぞというような話になりましても、業者の方は、そこまでの認識かありませんから、勢いなかなか規制がやってもらえぬというようなことでありますので、早目にやはりこれを予知するということが必要であります。今度の、ジェトロを改組いたしまして特殊法人にして、その中での活動の経費としましても、向うのそういう問題の動向というものをできるだけ早く察知する。それには、向うには調査の専門機関がありますから、そういうリサーチを使ってやっていく、早くそれを予知するというような方法をとっていくための経費も、取っているのであります。さらにまた、それに対するロビイストの経費につきましては、従来とは格段の経費を計上いたしております。それから、ただいま申し上げましたような国内の規制につきましても、協定のない場合、あるいはありましても十分でない場合、それらにつきましては、政府が正面から、もっと強力に勧告できるというような方法もとって参りたい。またメーカー側にそういうような原因があります場合には、メーカーのアウトサイダー規制もやれるようにしたいというので、今国会に御審議願うようなつもりで、ただいま検討いたしているのであります。
○松平委員 今の問題に関連しまして、お伺いしたいのですが、今の大臣の御答弁にあったように、経済外交あるいは国民外交その他もろもろの方策をもって、これに対抗をして是正をしていかなければならぬ、こういうお話でありましたが、その中で、最近の新聞によりますと、たとえば、燕市から十人程度の者をアメリカに派遣してこの洋食器の関係について、アメリカの関係方面に対する陳情なり運動をする、こういうことがあったわけでありますが、そのときの話によりますと、何か向うで評判が悪かった、十人行った人たちは。そういう報道があるわけであります。どういう意味で評判が悪かったか、私もよく存じませんが、これらの民間の諸団体なり関係者というものを使ってPRを起すということは、きわめて必要でありますけれども、それに対して、一体どういう指導を通産省はしておられるのか。たとえば、この間の広東の見本市にいたしましても、ああいうようなカタログの問題があったということは、結局何かこう指導に欠けているのじゃないか、こういうふうに見えるわけですが、具体的に、一体その人たちが行くときに、どういうことを指導してやったのか、とのことが聞きたいのです。たとえば、燕市から、あの問題について、十人もアメリカに行くというようなことは、私は少し大げさじゃないかと思う。それで、聞くところによると、何か半分見物に出かけていくようなつもりで行っているということを、聞いているわけです。こういう問題は、もっと真剣に取り上げて、運動しなければならぬ。それを、燕の市長その他の関係者が十人も、外貨を使って、そうして半分遊びというような格好でもって行くというような、そういう態度自身がいけないのじゃないか。こう私は思うのだけれども、そういうことに関して、どういうような指導をしているのか、関連してお伺いしたいと思います。
○松尾(泰)政府委員 この金属洋食器につきまして、燕市の市長以下十名程度行かれた。もちろんそのときには、われわれも相談に乗りまして、外務省とも相談をいたしたのであります。確かに十人ということは、少し多いという感じもいたしたのでありますが、やはり業界の強い御要望でもありましたし、この問題が非常に重大な段階にきておるようにも、われわれは判断をしたわけであります。といいますのは、関税委員会の決定が、御存じのようなことになっており、これが三対三というようなことでありますれば、またいろいろ手もあるわけでありますが、ほとんど全員一致で引き上げ勧告というようなことになっておるので、われわれは外務省を通して、現在もあらゆる方面に強力な交渉を願っておるわけでありますが、せっかく業界あるいはその市全体の問題として取り上げられておるのを、わずかの外貨を削るような考え方ではいくまいというような判断で、十人行かれるというなら、この際行って、大いにやってもらった方がいいのじゃないかというように、最終的には気持になりまして、行っていただいたような次第であります。いろいろこれまでの合板にしましても、あるいはマグロの問題にしましても、問題が起りましたつど、業界から数名の方が行っておられます。今度の燕の問題は、ああいう燕市という特定地域の死活に関する問題でありましたがために、市長以下ああして行かれたわけでありますが、普通の場合ならば、そういう市長とか市会の議長とかいうような格好でなしに、やはり業界の方々が行っておられるのでありまして、そういう場合には、外務省とも十分連絡をしまして、どういうふうな活動をされるか、どういうふうな言い方をされるか、これはわれわれの方の外交交渉の線と矛盾をしないように、十分の指導というと、若干語弊がるあかもしれませんが、連絡を密にして、政府側の運動と民間側の運動と、その間そごしないように努めてきておるような次第であります。
○松平委員 その点について、私どもが聞いておるところによると、この問題で、十人も見物を兼ねて陳情に来るということは、こういう業界はよほどもうかっているのだ、だから十人もそろってあっちこっち歩いている、こういう印象を与えているというようなことを聞いておるわけです。従って、私は、そういう問題について、行っちゃいかぬとは言わぬけれども、もっと効果のあるやり方をさしていく必要があるのじゃないか。逆効果を生ずるようなやらせ方だと、かえってまずい。こういうことからお伺いするわけであって、もし、そういう相談を受けられるというような立場にあるならば、その辺のところの事情をよくわきまえて、そうしてお祭騒ぎにならずに、しかも効果の上るような人選もするし、人数その他の決定についても、ただ業者まかせにしてしまうよりも、もっと指導性があっていいと思う。ことに、中小企業の場合におきましては、相当指導しなければならぬのじゃないかと思いますので、念のために申し上げたわけでありますから、今後、一つそういうことのないようにしてもらいたい。これを要望いたしまして終ります。
○中崎委員 こうした問題が起るたびごとに、経済的にもきわめて苦しい業者を動員して、そうして高い金をかけて、貴重な日数をかてアメリカくんだりまで懇請にというか、やらなければならぬという、こういう行き方については、私は適当でないと思います。そこで、まず根本的には、こうしたような問題が次から次へと起らないような根本的な施策を、一体どうするのか。政府においては、たとえば、アメリカとの間に起り得るところの問題については、これをこういうふうな線で、こういうふうにやろうじゃないかというふうな、事前に計画的に具体的に、そうしたところの取りきめをすべきじゃないか。いつでも、問題が起ってから、あとを追っかけていって、そうして、これだけ大きく国民を騒がせ、業者を困らせ、結局その結果は思わしくないというような姿は、よくないのじゃないかというような意味において、一つ、先ほど大臣が言われましたように、業者間の自粛が必要であるならば、自粛が必要な態勢を整えていく。そうして、それはどういう事業について、どの範囲の自粛が必要であるかということを、場合によれば、一つの権限をもってなし得る、こういうような態勢をとるべきである。業者についても、十分の認識を得さすべきである。こういう考え方の上に立って、もう少し抜本的な対策を考えておられるかどうかをお尋ねしたい。
○前尾国務大臣 先ほど来申しておりますように、輸出入取引法の改正によって、政府が、契約の協定のないものについては協定の締結をする、あるいはその内容につきましても、改善すべきものは改善するということで、勧告権を持って、どうしてもいかぬようでありましたら、御承知のように貿易管理令ということで、承認品目というような手もあります。それにつきましては、先ほど申し上げておりますように、できるだけ早く動向を察知するという必要があります。また業者の方々の認識も、今度のいろいろな事例で今までは、幸にして、関税委員会で取り上げられましても、政府が大統領の権限で拒否するということで、阻止できたのでありますが、今度は業界の方も、初めてこういうような事実に当面されて、だいぶおわかりになったと思います。これは私いろいろな方々と話しましても、非常に認識が変っておりますので、今後はこういうことを繰り返さぬように十分やっていける、かように考えているわけであります。
○中崎委員 次に、あまりに手放しの輸入の許可を与えたりなどしたところの弊害も伴って、輸入の荷もたれ等のために、相当に国内産業で困っている事業がある。この間も、この委員会で取り上げられたと思うのでありますが、そのほかにおいても、たとえばモリブデンのごときもそうです。これなんかは、国内において相当に自給の態勢にあるのにかかわらず、外国から相当のモリブデンの輸入が行われておるために、国内の鉱山生産業者が、現在青息吐息で相当参っている。そうしてどんどん首切りが行われておって、相当にこれらの中小企業というものが困難しておる。これに対しては、一体今後どういうふうな対策をとろうとしておるのかをお尋ねしたい。
○前尾国務大臣 銅の問題その他いろいろありますが、ただいまお話しのモリブデンにつきましても、自動承認制で入るというようなことでありましたが、これは自動承認制をやめました。ただ、国内の荷もたれのために、現在お困りの点が多いと思います。それらにつきましては、銅の中小鉱山について、先日お話しましたように、できるだけの指導なり援助をいたしまして、あまり問題が起らぬように、深刻化さぬようにということは、配慮しておるつもりであります。
○中崎委員 これは、鉱山局長にも関係があると思うのでありますが、現実にこうしたAA制の方針か適当でなかったということによって、国内の業者が、今非常に困難な条件に追い込まれておる。そこで当面の対策として必要な金融的措置をまず講じて、とにかく一時を切り抜けていく、こういう対策を講ずると同時に、価格についても、適正な価格が維持できるような対策を講ずべきだと思うのでありますが、この点について、大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。
○前尾国務大臣 率直に申し上げますと、今まで、滞貨金融というようなことについては、これは表面化しますと、みなそれに集中いたしますので、申してはおりませんが、無理な面につきましては、できるだけ金融措置も考えるということでやっておるのであります。ただ、モリブデンは、かなり当初の必要量に対する誤算があったのじゃないかというふうに考えられるのでありまして、AA制は取り消しましたが、自給度という点については、非常にむずかしい問題があると思います。しかし、ただいま申し上げましたような面で、極力考慮していきたい、かように考えております。
○中崎委員 次に、三十三年度の輸出入の見通しについてでありますが、輸出について、三十一億五千万ドルという目標が、少し過大ではないかというふうに考えられるのであります。まず、一番大きな原因になっておるところの、貿易の大きな原動力となっておるアメリカの経済が、ああいうふうに相当後退して、多少の手を打っておるようでありますが、これはどの程度の効果が期待できるかということは、依然として問題であるし、かりに、ある程度効果を奏しても、これがああいうふうに上り坂におったような状況にまで急激に回復するとも、考えられない。これは見通しの問題でありますが、そうしたような一つの根拠の上に立って、さて日本の貿易の三十三年度における見通しは、相当に各地区において増額が見込まれておるのでありますが、こうしたような増額か、相当に希望的なものである、実際には相当に困難を伴うものであるというふうに見通されるのであります。ことに、たとえばエジプトに関する関係においても、すでに貿易債権の千三百万ドルが焦げつきの状態に置かれておる。これが原因となって、現在商談のできた品物の輸送さえも、今停止されるというような、こういう状況下にあるというのでありますが、まずこの見通しの問題にも関連して、エジプト向けの品物の輸出を停止するというふうな状況下に立ち至っておる現実と、さらにまた千三百万ドルの債権が焦げつきになりつつあるという重大な危機に面しておる、こういう問題についての説明を、まず通産大臣から承わりたいと思います。
○前尾国務大臣 三十一億五千万ドルが非常に困難であるということは、私も決して楽観論じゃなしに、これはもう困難であることは認めておるわけでありますが、しかし世界の景気が下降、特にアメリカが下降し始めて、去年は頭打ちをしておったのであります。しかし、それはおそらく調整されると思います。しかし、これを当てにしておるのではありません。戦前の世界の輸出総額の、日本の輸出との比率を考えますと、まだその水準には日本はいっておらぬわけであります。少くとも戦前の水準にまではいかなければならぬ。それにつきましては三十一億五千万ドルは、総額で一一%の増加であります。一割制度のことは、何としても隘路を打開していかなければならぬということでありまして、仕向地のいかんを問わず、あるいは商品のいかんを問わず、一割なり一割五分の目標を立てて、それを何としても達成するというので、いわゆる輸出会議等におきましても、責任態制をはっきりして、そのかわり、その隘路につきましては、政府が極力打開していく、こういうつもりでやっておるのでありまして、まあ幸いに、去年は世界的には、決していい年ではないのでありますが、それにしましても、一昨年から見ますと、相当ふえてきておるのでありまして、大体一六%ふえておるわけであります。従って、この手をゆるめるというのでは、何にもなりません。そういう意気込みでやっておるわけであります。 エジプトの問題については、千三百万ドルくらいの貸し越しがありますが、これは、お話しのような焦げつきではありません。そして最近は、輸出が割合に少いのであります。従って、これはこの上半期ぐらいには、十分輸入するものによってまかない得る、かように考えておりますが、詳細につきましては、通商局長からお答え申し上げます。
○松尾(泰)政府委員 エジプトとの貿易関係について、お尋ねの点につきまして、お答えを申し上げます。 実は、エジプトとの間におきましては、数年前、たしか一九五三年の十一月ごろだったかと思いますが、オープン・アカウント協定があるわけでありまして、御存じのように、輸出入は清算方式でやってきておるわけであります。最近、いろいろ清算方式についての可否の議論もありますが、われわれはオープン・アカウント協定方式というものが、日本の貿易増進のために、これまでかなりの役割を果してきたと確信をいたしております。一がいにオープン・アカウントを罪悪視するというのは、貿易の過去の増加の歴史にかんがみまして、いかがかというふうに考えておるわけでありまして、必要がなくなれば、当然やめることは必要かと思いますが、お互いに外貨のない貧乏国同士が取引をするためには、お互いに信任し合って、ある程度の借り貸しをしながら、現金を使わずに、帳面上で決済をするというオープン・アカウントの方式は、かなり世界貿易の発展、特に日本の貿易の発展に効果があった、こういうふうに考えておるのであります。しかしながら、世界貿易の趨勢が、漸次そういう双務協定方式よりも、多角的な決済方式に移って参ったことも、また事実でありまして、その趨勢に伴いまして、順次オープン・アカウント方式というものは、やめて参ったわけであります。今残っておりますのは、エジプト、台湾、韓国、南米におきましてはブラジル、それからギリシャくらいでありまして、その他十カ国以上につきましては、漸次やまってきておるわけであります。オープン・アカウント協定というものは、その性質上、ある一定時点をとってみますと、やはりどっちかがマイナスになり、どっちかがプラスになると思います。これは、双方信任し合っての問題でありますので、一がいに、こっちが輸出超過になっておるという場合は、すぐ焦げつきだというような議論になるならば、オープン・アカントというものは、もともと理論的に成り立ち得ないのであります。一定時点をとれば、日本が輸入超過の場合もあったのであります。最近になりまして、エジプトについて特に申し上げますと、輸出超過の傾向になってきたのであります。それは、なぜかと申しますと、エジプトという国からは、御存じのように、毎年十万俵前後のエジプト綿、すなわち長繊維の綿花を買っておるわけであります。長繊維というのは、御存じのように高級綿糸、高級綿布の原料でありまして、日本の輸出が伸び、あるいは日本の生活程度の向上に従って、ますます需要が多くなる性質のものであります。ところが、不幸にいたしまして、一昨年の秋に、スエズの問題が起りましたときに、あるいはエジプトの綿が来なくなりはせぬかということで、スエズ問題を契機としまして、紡績業界におきましては、その代替綿を非常に買ったわけであります。たとえば、アメリカにおける比較的長繊維の綿とか、あるいはスーダン、ウガンダ等の長繊維、あるいは中南米に一部あります長繊維を買ったのであります。その影響といたしまして、五十七年度、昨年におきましては、エジプトから本来来べき綿が、比較的減ったのであります。ところが、他方エジプトの紛争以来、エジプトがポンドの凍結を受けたということで、ポンド地域との取引が非常に困難になったというふうなことから、勢いポンド地域以外のところに多く買いに出たというふうなことで、比較的日本の輸出が伸びて参りました。その結果、昨年の十月ごろに貸し越しが千三百万ドルほどできました。その後日本の綿あるいは米の買付が、若干進みつつありますので、現在のところは千二百万ドルくらいに貸しが減っております。われわれは、これはあくまで焦げつきとは思っておりません。これは貸しでありまして、今のわれわれの見通しでいきますと、今後の綿花、米その他の輸入を合せていきますと、ことしの三月末には残高が約一千万ドルになる。またことしの六月末には、われわれの見通し通りにいきますと、二、三百万ドル程度の貸し越しというか、輸出超過で終るのじゃないかというふうに考えておるのでありまして、今千二百万ドルなり三百万ドルなりの黒を焦げつきだ、こう認定することは、かえって貿易の伸長に悪いのではないか。最近の情報によりますと、エジプトも外貨の不足のために、いろいろ為替管理制度の改変をやり、輸出勘定というふうな式のものをやったのであります。その結果、現在の日本とエジプトとのオープン・アカウントの方式がどう影響を受けるか、あるいは日本の輸出入が、それによってどう影響を受けるかということにつきましては、現地からの情報が、まだ非常に不十分でありまして、今、外務省を通じまして、それらの新為替管理方式の運用がどうなるのか、あるいは日本が今結んでおりますこの貿易協定が、どういうふうにそれによって影響を受けるかという点を、詳細照会をしております。その結果を見ましてわれわれは善処をしたい、こういうふうに思っておるわけでありまして、現在の協定は、なお本年の十一月末ごろまで続くことになっております。簡単に申し上げますと、そういう状況であります。
○中崎委員 新聞の伝えるところによりますと、エジプト側といたしましては、いわゆるオープン・アカウントの形式によらないで、エジプト・ポンドで代金の決済を要求する。そういうことになれば、勢い残りのものが焦げつきになるのは明らかです。代金が払えるのかもわからないのだが、それだけを払わなければ、ただ勘定を切りかえるだけで残るわけであります。そういう意味において懸念されておるのであります。今、通商局長のお話によると、向うから正確な情報がないから、わからないということでありますが、こうしたような問題は、国民の生活にもきわめて重大である。ほんとうにそういうふうに、向うが実際において外貨資金もないのだから、勢い払おうと思っても、払えない。国内の経済の事情、これも加えて、売ったものは現金じゃない、今度はエジプト・ポンドでもらわなければならぬということになれば、事の善悪にかかわらず、事実上はそういうふうに持っていかれるおそれもある。たとえば、インドネシアのごときも、ようやくこの間ああしたような賠償に切りかえたようなこともあるのだが、長い間焦げつきで、貿易の上にも大きな支障を来たしておったことは事実であります。韓国においても、やはり同じことがいえると思う。南米についても、同じことがいえるのではないかと思うが、こうしたようなことがあれば、相当今後の輸出にも影響がある。従って、輸出見込みの上にも、影響がないとはいえないと思う。そういうことを含めて、またそれを切り離しても、国民経済に大きな関係があるのだから、この問題について、ことしの十一月までの期限があるのだから、そこまでは、どこまでも交渉して、そして結局においては、将来切りかえるとしても、差額がないような見通しに立てるのかどうかを、お尋ねしたいのであります。
○松尾(泰)政府委員 先ほども申まし上げましたように、現在の協定の終期が、十一月の末になっているわけであります。従いまして、常識的に考えますれば、向うから協定の廃棄通告なり、改訂という申し入れがあっていい。要するに、エジプトがそういう新しい為替管理規則を作ったならば、それによって、日本との間の現行協定が、こういうふうに影響を受ける、あるいはこれはこういうふうに修正したいという申し出が、ほんとうなら、あってしかるべきだとわれわれは思うのでありますが、現在までのところ、そういう申し出がないわけであります。もっとも、この規則の発表されましたのも二、三日前かと思いますので、まだそこまで向うの国内体制も、手続も整うておらぬかと思うのでありますが、いずれにしましても、エジプトとの貿易関係は、日本が輸出超過になる性質の相手国ならば、若干この問題は別でございますが、普通の場合を予想すれば、日本が買う方が多いわけであります。向うがふんどしをはずして買うということならば別でございますが、普通常識的に考えますれば、日本が輸入超過になる傾向の相手国でありますので、かりに今輸出超過になり、債権を持っておりましても、この回収の道はあろうかと、われわれは考えているのであります。繰り返して申し上げますが、エジプトの最近出ました新しい規則とわれわれの協定との関係が、非常に不明確であります。心配すれば、今、先生のおっしゃいましたようなことになるわけでございますが、またそうなった場合に、ローカル・カレンシーであるエジプトのポンドを、果して指定通貨として認め得るかどうかというふうな、新しい問題が起って参るわけであります。日本の現行の規則では、エジプトの新規則が全面的に適用されたと仮定した場合には、輸出入は全面的にとまるような格好になり、向うの規則に合せるためには、何らかの工夫をいたさなくてはならないようなことになるわけであります。それらの点もございますので、もう少し実態をきわめてわれわれは対処したい。焦げつきになるから、すぐ輸出をとめてしまえということも、一応議論としては言えるかと私は思いますが、輸出をとめることによって、逆に今度向うの輸出をとめられてしまうならば、今せっかく債権が減りかけているのに、結局今の千二百万とか千三百万ドルを、そのままにいたすというような問題もあります。それらの点は、慎重に考えなければいかぬということで、現地の実情をもう少し究明したい、今こういうふうに考えております。
○中崎委員 今千二、三百万ドル程度残高があるというのですが、この貸し越しの相互の許容限度というものは、一体幾らになっているのですか。それをこえているという見方もあるのでありますが、そういったことは、どうですか。
○松尾(泰)政府委員 現在の協定は、先ほども申し上げましたように、エジプトと日本との貿易の関係が、常時日本が入超になるであろうというような前提に立って作られたのです。従いまして、日本が輸入超過になって、借り越しになった場合においては、五百万ドルというのはスイングになっておるわけでございます。従って、かりに六百万ドル日本が借り越しになった場合には、百万ドルはキャッシュ・ドルで返さなくちゃいかぬ、こういうことになります。ところが、日本が輸出超過になった場合には、実はスイングはないわけであります。その点は、確かに片手落ちでございます。従って、千二百万ドル程度の債権になっておりますが、協定上はこれを請求する権利がない。そう申し上げますと、確かにこれは非常に片手落ちの協定をやったということになろうかと思います。去年の秋以来、外務省を通しまして、それの改訂の申し込みを実はいたしております。 もう一つ御考慮を願いたいことは、あの当時は、日本からの輸入に対しまして、為替保証税という非常に高額な差別関税を課しておったのであります。これを何とか撤廃させようというのが、その当時のわれわれの強い考え方でありましたがために、それを撤廃させるかわりに、こういう協定をすることになりました関係で、形式的に、表面だけ見ますと若干不利なような協定になっていることは、われわれも重々認めておるわけであります。で、去年の秋ごろから、そういう輸出超過の傾向もあるし、どんどん輸出超過になった場合に、スイングというものはございませんので、現金の支払いの要求ができないということで、これはどうしてもスイングの条件をつけなければいかぬということで交渉しておったのですが、今までのところは明確な結論に達しておらない、こういうふうな状況であります。
○中崎委員 次に、エジプトのこうした問題を解決するために、たとえば、割合品質のいいエジプト綿を輸入するとか、あるいは塩を輸入するとかいうようなことによって、早急にこの焦げつきだけは解消するような方法があるのかどうか、お尋ねしたい。
○松尾(泰)政府委員 現在のところ、われわれといたしましては、エジプトから買う大きなものは、綿花と米と塩であります。先ほど申しましたように、普通の貿易形態から言うと、輸入超過になって、日本がどっちかというと、スイング超過したものをドルで払わなければならぬという形態になりますのが、昨年は変態的な事情で、輸入が思うように進まなかった。綿花の輸入が非常に減ったということで、輸出超過ができて、債権ができたということでありますので、われわれといたしましては、できるだけ輸入促進をやろうということで、紡績業界にも協力を得まして、すでに五万俵程度のものは六月までに買う、そのうち三万俵程度は三月までに買付を了するということをやっております。その他米、塩というふうなものも、もちろん法外に高いものはだめでございますが、買いつつありますので、現在程度の輸出が続く限りにおきましては、ことしの半ば六月末くらいには、先ほど申しましたように、債権が二、三百万ドルに減るのじゃないか、こういうふうに私は考えておるのであります。これをまた、きょうの新聞は、どこからああいう情報が出ましたか、われわれも非常に了解に苦しむのでありますが、ああいうことで、輸出を停止するというようなことで騒ぎまして、また非常に輸出が殺到するというようなことになりますと、これまた情勢が変ってくるというようなことで、率直に申しまして、きょう出ました新聞の記事につきましては、われわれは、非常に困ったことだ、こういうふうに考えます。率直に申しますと、そういうふうに考えているわけであります。そういうことで、せっかく輸入促進によって努力をいたしているわけであります。少くとも、今日までのところ、先ほど申しましたように、新規則がどういうふうな運用になるのかという点が、どうも不明確でございますので、その辺のところを聞き合せをしておる、こういう状況であります。
○中崎委員 もとへ返りますが、三十三年度の外貨の収支に関する見通しの問題について、輸出が相当過大に見積ってあるのではないかという質問をしたのでありますが、輸入については、これは政府が実際において管理しておるのでありますから、押えようと思えば、幾らでも押えられる。それは、国の経済にどういうふうな影響があるかは別として、これを押えようと思えば、幾らでも押えられる。現に昭和三十二年度の収支が、やや好転しているというか、割合に収支のつじつまが合ったということは、輸入を相当押えているところにも原因がある。その一面において、民間の輸入が自発的に減ってきたのもあるし、政府が強引に一つの基準とか称するものを設けて、強引に押えつけているという事実もある。こういうような方法によれば、輸入は何ぼでも押えられると思う。この問題は、輸出に関する政府の資料を見ますと、昭和三十二年度においては、輸出の実績見込みが二十八億三千万ドルと見てある。これに対して三十三年度における輸出の見通しは三十一億五千万ドルと見ておる。ところが、輸入については、昭和三十二年度の実績見込みは三十二億二千万ドル、三十三年度の輸入の見通しは三十二億四千万ドル、こういうことになっておりまして、輸出は結局三十三年度においては三億二千万ドルふえる。ところが、輸出は三億二千万ドルふえるが、輸入は二千万ドルしかふえない。ほとんど外国の原料を買ってきて、これに加工してようやく輸出しておるところの日本の経済において、輸入はたった二千万ドルしかふえない、輸入はとんとんである。ところが、輸出が三億二千万ドルふえる。こういう計数の上において、私は非常に疑問を持つものです。それは、なるほど余分に仕入れてきているところのストックがあると言われるかもしれないけれども、それは、これだけ大きな数量に及ぶものだとも、私は考えられない。それからまた、今度は、さらに輸出を進めるためには、ある程度の値段も下らなければならない。数量はよけい出すけれども、金額においてはそれほどでもない、こういう結果などを考えてみたときにおいて、輸出入のバランスというものは、相当無理があるのではないかということも考えられるので、この点について、一つ説明を要求するものです。
○前尾国務大臣 御承知のように、本年度は、去年の当初のいわゆる石油なり鉄鋼の緊急輸入という問題がありました。また全般的にゆるめといいますか、さような関係で、かなり輸入が本年度におきまして多いのであります。現在の在庫を考えますと、率直に申しまして、まだ正常在庫よりも、原料の在庫は多いのであります。来年度特に輸出がふえますので、これはある程度それについての輸出に対する関係は考えていかなければなりません。しかし三月末におきましても、まだ平年から見ますと、正常在庫よりも在庫は多いのであります。そういう面から見ますと、突発的な、また去年のような刺激的なことがなければ、当然輸入が減ってくるというふうに考えられますので、これは、もちろん個々の問題について具体的に積み上げておりますので、詳細につきましては、政府委員からお答え申し上げます。
○中崎委員 こまかいことはいいとして、たとえば鉄鋼のごときも、一面においてスクラップなども相当輸入しておるのだが、一面においては輸出も相当にある。ところが、やはりスクラップなどの輸入を減らせば、国内の需要もある程度あるでしょう。けれども、それを原料にして作られるところの鉄鋼が輸出もされるというふうなことを考えてみたときにおいても、こう大幅に三億数千万ドルの開きが輸出入との間にあるということについては、どうも十分に了解しかねるのですが、あまりこまかいことはいいから、今言ったような問題を含んで、大局的な説明を一つ局長の方からお願いします。
○松尾(泰)政府委員 今、輸出、輸入の見通しに関するお尋ねでございますが、ただいま大臣から御説明いたしましたことにつきまして、ちょっと補足して申し上げてみたいと思うのであります。まだここ二月、三月と月はございますので、三十二年度の数字というものははっきりいたしませんが、もうあと一カ月ちょっとくらいでありますから、大体この推定は間違いなかろう、こういうふうにわれわれは考えておるわけであります。 輸出につきまして、三十一億五千万ドルが達成可能かどうか、こういう問題であります。われわれの昨年の上期の輸出、それから下期、いわゆるこの三月までの輸出見通しの判断をして二十八億三千万ドル、こう言っておったわけです。先生も御存じでありましょうが、当初、ちょうど去年の今ごろ国会で御審議願ったのは、たしか二十八億ということであれしたわけです。ところが、その二十八億は、やはり今と同様達成できぬであろうというふうな御指摘をいただいたのでございますが、いろいろおかげさまをもちまして三千万ドルを超過するというような格好に実はなって参ったのであります。最近の傾向としまして、DP、DAの取引がかなりふえておりますので、輸出のLCの来方だけで判断するというやり方も、少し修正を要するようにはなって参っておるのであります。最近のLCの来方から見まして、まだ今後一年間の見通しということは、これはどなたでも非常にむずかしいことではございますが、われわれ地域別、商品別に見ました場合に、それはよいとは言えませんけれども、あらゆる施策を尽してやれば、何とかいくだろうということで、あらゆる施策を集中しているのであります。あとで地域別商品別の問題については、御説明申し上げます。 他方、輸入の方は、先ほど大臣からもお話がありましたが、一昨年の半ば以降の日本の需要が非常に旺盛であったということに従いまして、輸入も確かにふえたのであります。そのふえ方を申しますと、去年の上期におきまして、輸入のための六カ月間の支払いが十八億八千万ドルあったわけです。ところが、十月からこの三月までの支払いが十三億四千万ドル、こういうことになって、約五億四千万ドル減って参っておるわけです。この減りましたことにつきましては、先ほど大臣からも申し上げられた通りでありますが、なお若干補足をしてみますと、政府がむちゃに輸入制限をした結果、この輸入が下期において五億四、五千万ドルも上期に比べて減ったかということになりますと、われわれはそうは考えていないのでありまして、この下期の貨物の外貨予算は、御存じのように十五億七千万ドル程度であったわけです。ところが、上期の輸入許可を非常に多くしておりますので、上期における現実の支払いが十五億九千万ドルになるだろうということで、下期は収支均衡をとるというような予測のもとに、外貨予算を編成して実施して参ったわけであります。ところが今申しますように、十三億四千万ドルの下期の支払いというのが、これまた予想よりは二億五千万ドルの黒字が出て参ったということであります。従いまして、年間の赤字にしましても、上期の赤字がそのまま年度間の赤字になると思っておったのが、下期の黒字が、さように二億数千万ドル出ましたので、合計して一億三、四千万ドルの赤字で済むというような情勢になってきたのであります。そこで、この三十三年度の上期につながるものは三十二年度の下期であります。ところがそれが十三億四千万ドルという。十三億四千万ドルを、これは機械的に二倍はできませんが、二倍すれば二十七億程度になるわけです。先ほど御指摘がありました三十三年度の輸入の支払いベースにおける見通しが三十二億四千万ドルで、ことしの三十二億二千万ドルに比べますと確かに二千万ドルしかふえてはいないわけでありますが、現在の推移から見、三十二年度の上期の膨大な輸入というふうな点から考えてみますと、三十三年度の鉱工業の生産指数の上昇率が四・五%か六%か、ちょっとはっきり覚えておりません、それくらいだったと思いますが、それを見込みまして、三十二億四千万ドルの支払いに立つ輸入というものは、そうきついものではない。あるいは率直に事務的に申しますと、そんなに要らぬのじゃないかというくらいにすら考えておるのでありまして、権力によってむちゃに需要を無視して輸入を大いに圧縮するというようなことは、われわれの方はごうも考えておりませんし、われわれ事務家といたしましては、比較的外貨面では、楽に輸入外貨予算がきまるだろうというくらいに考えておるような次第であります。 さて、輸出の地域別あるいは商品別の情勢でございますが、これはすでに当委員会に資料を提出いたしておりますので、ごらん願ったかと思うのでありますけれども、国際情勢からいいましても、いろいろ判断のむずかしい点はございます。アメリカの景気にいたしましても、これは心配して悲観的な見方をすれば、切りはございませんが、下期から若干好転するのではないかというようにも考えられますし、また全貿易に占めておる日本の貿易の量というものは、率直に申しまして大した量でございません。これが五%や六%伸びるということは、われわれの努力の仕方によっては、できるのじゃないか。それは、確かに貿易というものは、世界経済の好況、不況によっては、影響を受けますし、全貿易のうちで、日本が二割も占めておるとか、あるいは三割も占めておるということでありますれば、世界景気の影響は、非常に直接に響くかと思いますが、何分まだ二・何%とか三%とかになるかならぬかというような情勢でありますので、これはあながち悲観したものでもないのじゃないか。それよりか、要するに、やるということで努力をすることが、私は必要じゃないかというふうに考えています。商品別、地域別の数字につきましては、一々申し上げる必要がありますれば申し上げますけれども、資料でこの前差し上げております。
○中崎委員 ただいま、局長の答弁によると、日本の貿易額は、世界の額から見ればごくわずかだから、それで、世界の経済はかりに逆の方向にいっても、努力さえすれば、日本だけはよくなる、こういう独断的な考え方には、納得がいかないのであります。いわゆる大和魂じゃないが、戦争のときのあの指導の精神と同じようなわけで、精神力でいけといったところで、実力がそれだけしかないものが、世界の大きな渦の中にあって、日本だけ逆行して、どんどんやっていければけっこうだが、そこに困難性があるのじゃないかということを言っておるのです。 それからもう一つは、輸入を押えれば押えられるということは、先ほど言った通りであって、一つは、今言ったように、民間の方から、自発的に減らそうということも明らかにある。一面において、政府の方で押えつけておる事実がある。これはたくさん知っておる。ないといったところで、ある。だから、両方あって輸入は減っておるのだけれども、それが減ったのはいいけれども、輸出が相当にふえているのだから、そこにアンバランスがあるじゃないかということを私は聞いておる。いずれにしても、そういう意味において、相当輸入には何らか楽観的な気分があり、輸出には相当甘過ぎる、こういう状況じゃないかという意味において、外貨の事情が政府の予定しておるようなことにいかないで、また国民の経済の上にも、ことし一年もまた相当困難性があるのではないかということを指摘しておるようなわけであります。 それで、今度はさっきの問題について、もう一つ聞きたいのですが、これは、民間においてもいろいろ非常に心配しておる。新聞に、エジプト向け輸出停止なんというふうなことを書かれると、ほんとうに停止せざるを得ないのだろうか、政府は停止するのであろうか、そういうところにいくのであろうかということを心配するのは当然なことです。そこで通産大臣は、新聞にこういうふうに書いてあるのだが、エジプト向け輸出の停止を考えておるのかどうか、場合によってはやむを得ないというように考えるのかどうかということを、お尋ねして確めておきたい。
○前尾国務大臣 ただいまのところ、輸出停止ということは、全然考えておりません。先ほど来御説明しておりますように、われわれは、輸入をすることは十分できるのですから、新聞に――実はその新聞を読んでおらぬのですが、輸出停止というようなことを書かれることは全くあれですから、これだけは訂正していただきたいと思います。
○中崎委員 次に、ジェトロに関する問題ですが、三十三年度においては、ジェトロの機構を改めて、そうして法律案を提出して、輸出振興に対処していくというふうな心がまえであるように聞いておるのでありますが、そのアウトライン、具体的に、一体どうするがということについて、ごく簡単に一つ大臣の方から……。
○前尾国務大臣 御承知のように、従来のジェトロは、府県の寄付金とか、そういうようなことで、自然発生的に出て参ったようなことであります。そして府県の寄付金にたよっておりますことが、かなり弊害も出ております。そしてまた、非常に弱体だという点もあります。ことに、御承知のように、輸出というものは、国の全体の問題であります。国が本腰を入れて、国が率先してやるべき問題だと思うのです。と申しまして、宣伝とかあるいは貿易のあっせんを、国が個々の商社についてやりますことは、適当でないのであります。そういう意味からしますと、貿易の中核体は、政府みずからであってはならぬ、それにはやはり特殊法人という形態が一番いいと思うのです。そこで、今回二十億の出資をいたしまして、さらにまた、従来の補助金で出しておりました広報宣伝の経費、あるいは見本市参加の経費とか、それらもほとんど倍額ふやしまして、相当な活動をしてもらう、これが今回の特殊法人の日本貿易協会の簡単なアウトラインであります。
○中崎委員 国が貿易のあっせん並びに宣伝をやっていい悪いの問題は、国の形態にもよるので、相当計画的に行われておる国においては、当然国の事業として、すべての経済なり貿易がやられておるのでありまして、この点については、それぞれの国によることであって、日本の現状においてどうであるかということは、しばらく問題として、ジェトロの機構を改革して特殊法人にもっていく、それについては、従前からいろいろな弊害もあり、弱体でもあるという点も、率直に認められるのであります。私たちもそう思うのでありますが、ただ、今度は、こうしたような大きな構想のもとに、国家が相当に身を入れてやるからには、やはり人的構成についても、十分の配慮が払われないと、率直に言って、今までは物もらいみたいな感じの人の運営であり、そうしてまた、そういう人なども相当含まれておる。従って、こういう人間が依然としてそこへ入っていって、そうして、それが中心的なものである限りにおいては、結局において、何のことかわけがわからぬというおそれもあるので、人の問題についても、新しい構想の上に立って検討する用意があるかどうかということを、お尋ねしておきたいのであります。
○前尾国務大臣 人事の刷新は、もとよりでありますが、こういう形態にしましたのも、今まではどうも安定しておらぬ。いつ消えてなくなるかもわからぬという不安もありまして、なかなか人が得られなかった。今度二十億国が出資してやるということになりますと、非常に安定して参りますので、有能な人も採用できる。そういうところも、やはりねらいであります。
○中崎委員 こうした機構ができるときには、ややもすれば官吏の古手を入れて、そうしておば捨て山みたいな機構に作り上げられる。従って半身不随で、まるきり時宜に即した運営ができないという弊害が非常に多いのでありますが、この場合においても、そうしたような旧態依然たる役所の古手のおば捨て山にでもされると適当でないと思うが、この点はどういうふうにお考えですか。
○前尾国務大臣 ジェトロの活動というのは、大体は役人にはあまり向いた仕事じゃありません。決しておば捨て山にするようなことはいたしません。
○中崎委員 もう一つ。輸出振興のために、現在映画を作っておるのでありますが、これもまたジェトロが関係しておりまして、食いものにするといえば語弊があるかもしれぬが、そういうふうな弊害が今日まである。それで、結局において、今まで相当金がかかって作っておるが、ほとんどろくな映画がない。そうして民間においても、一流の映画会社は、みな忌避して相手にしない。というのは、あまりにも食いものにして、そうしてくちばしを入れて、そうして自分たちが勝手ほうだいにやって、映画はどこで作るかわからぬというふうな状態にあった。であるから、映画の予算をとって、せっかくやるからには、堂々と外国に出して恥かしくないようなもの、そうして宣伝できるようなものを作り上げなければならぬと思うが、現在のような行き方では、どうしてもそういうものはできない。であるから、これは問題はそう大きくないけれども、運営の一つの問題として、通産大臣は、こうした問題にも配慮さるべきものだと思うから、私の希望意見を申し述べておきます。
○小平委員長 これにて産業経済の基本施策並びに私的独占禁止及び公正取引についての大臣の説明に対する質疑は、一応終了いたしました。 なお、個々の問題につきましては、理事の協議によりまして、適宜調査を進めて参りたいと存じます。 この際、午後一時まで休憩いたします。 午後零時十九分休憩 ――――◇――――― 午後一時四十三分開議
○小平委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 中小企業金融に関し調査を進めます。 本日は、商工組合中央金庫、日本不動産銀行、中小企業金融公庫及び国民金融公庫から、それぞれ参考人あるいは説明員として御出席を願いましたので、これより昭和三十三年度の予算あるいは財政投融資計画との関連において、中小企業金融に関する見通し並びにその運用計画等について、それぞれ御説明を承わりたいと存じます。参考人といたしまして、商工組合中央金庫理事長北野重雄君、同理事加藤八郎君、日本不動産銀行頭取星野喜代治君、以上が、また説明員として、中小企業金融公庫総裁坂口芳久君、国民金融公庫総裁中村建城君が出席されております。 それでは、順次御説明を伺うことにいたします。まず商工中金の北野参考人よりお願いいたします。
○北野参考人 私は、この二月十六日に商工組合中央金庫理事長を命ぜられました北野重雄でございます。まことに微力のものでございますが、今後中小企業金融のために、誠心誠意をもちまして最善の努力を払いたいと考えておりますので、委員の諸先生方におかれましては、格別の御指導、御鞭撻と、また御援助を賜わりますようにお願い申し上げます。 まず、便宜上昭和三十二年度の状況を申し上げてみたいと存じます。 商工中金の昭和三十二年度の当初の計画は、政府出資が十五億円、商工債券による資金が八十億円、そのうちで二十億円は預金部資金による引き受けでございます。さらに商工中金の自己努力によりまする預金が二十四億円、並びに組合によります自己増資が五億円、これらのものをおもな資金源といたしまして、年間百億円の貸し出し純増を見込んだものでございます。ところが、その後六月になりまして、国際収支改善のための総合緊急対策が実施されまして、その一環であります中小企業対策として、商工中金につきましては、さらに運用部資金による債券引き受け二十億円の増加がきめられました。商工中金に対する資金の需要も、このころからだんだん増大して参りまして、他方また債券の市中消化がきわめて困難となって参りまして、そのために中小企業のやむを得ざる資金需要をまかなうことが、非常に困難ではないかというように考えられるようになりました。さらに、その上第三・四半期に至りまして、強い資金需要が出て参りましたので、これをまかないますためにも、新たに多額の資金調達をしなければならない事情と相なりました。そこで、昨年九月には、さらに六十億円程度の運用部資金による債券の引き受けを、関係方面にお願いしたのでございます。幸い十月になりまして、この要望がほぼかなえられまして、運用部引き受けの債券といたしまして、さらに三十億円の増加がきめられたのであります。従いまして、三十二年度中の政府による商工債券の引き受けは当初計画では二十億円でございましたものが七十億円になったのでございます。第三・四半期、特に年末近くになりまして、さらにかなりの資金需要が見込まれましたために、今申しました資金調達のほかに、日銀から約十億円、農林中金から四十億円の借り入れを行いまして、年末の貸出残高は約九百十四億円となりました。これをもちまして、大体順調に年越しができたのでございます。 かように、政府の時宜に適した御措置と、そのほか、委員各位初め関係方面の御協力によりまして、おかげさまで初め心配しておりました年末も、無事に過ごすことができましたことを、この機会に皆様方にあらためて厚く御礼を申し上げる次第でございます。 なお、第四・四半期は、例年通り資金需要も多少減少いたします。かつ年末資金の回収も、順調に推移しておりますので、本年度末の貸出残高は、およそ八百八十五億円となりまして、年度中の貸し出しの純増はほぼ百五十億円程度と見込んでおります。また、この間の貸出累計額について見ますと、昨年四月から十二月までの実績は一千六百五十四億円で、前年、つまり一昨年同期の実績一千三百十七億円に比べますと、三百三十七億円増加いたしております。さらに、三十二年度中の貸し出し累計額は、およそ二千二百億になるだろうと予定いたしておりまして、三十一年度の実績である千七百十一億円に比べますと約四百九十億円、つまり約二九%の増加を示すものと考えております。 以上は、三十二年度の状況でございますが、次に、三十三年度の計画等について申し上げたいと思います。 まず三十三年度の見通しでございますが、一部には、本年の六月以降から金融緩和の傾向となるというふうな意見もございますが、一般には、金融引き締まりの基調は変らないとされておりますので、三十三年度の商工中金に対する資金需要も、減退するとは考えられないのでございます。かつまた四月からは団体法の施行を見込んでおりますので、それに伴って、商工中金の業務の対象も若干拡大されますので、引き続いて活発な資金需要があると考えられるのでございます。商工中金といたしましては、もちろん、これに応ずるために、できるだけの努力をいたす所存でございます。しかしながら、今申したような実情にありますので、資金の需要は相当程度これを上回ると考えなければならないのじゃないかと思うのであります。従いまして、商工中金としては、自己努力による調達分を七十五億円、その内訳は預金三十億円、債券の市中消化四十五億円と見込みまして財政資金につきましては、百億円程度をお願いいたしまして、年間貸し出し純増を百七十億程度にしたい、これは希望でございます。そういう希望を持っていたのでございますが、年度間の資金需要並びにこれに対する貸し出し額の算定等につきましては、今の段階では、まだ予測することが相当困難でございます。たとえば、しわ寄せ資金の需要だとか、あるいはまた、新しく設立されます組合の資金需要などは、予測が困難でございます。そういう関係もございますし、さらにまた、国の全体の予算の関係もございます。そこで、さしあたり財政資金といたしましては、商工中金について、政府原案では三十億円となっておるのであります。従いまして、三十三年度の計画は、貸し出しの純増として百億円と予定いたしております。そして三十三年度末の貸し出し残高は九百八十五億円と見込んでおる次第でございます。またこの年度間の貸し出しの累計額としては二千五百三十億円と予定いたしております。なお、回収は二千四百三十億円と予定をいたしております。 ところで、先ほど申し上げましたような事情もございますし、今申しましたこの計画で、年間の資金需要をどの程度満足に充足できるかということにつきましては、今後の推移を見ないと、わからないのでございますが、今後におきましても、引き続き需要も活発であろうと予想いたしておりますので、今後の情勢いかんによりましては、資金事情からいたしまして、中小企業者の真にやむを得ない需要も、満足に充足できないということも起りはしないかというふうな懸念を持っております。そこで、三十三年度につきましても、三十二年度と同様に、今後の情勢また資金需要とにらみ合せました上、財政資金を一段と増額していただきますなどの方法をとっていただきまして、実情に即した弾力性のある御措置をお願いいたしたい、かように考えておるのでありまして、この点につきましては、特に商工委員会の諸先生方に、格別の御理解と御協力をお願い申し上げたいと存じております。 なお、最後に、中小公庫の代理貸付について申し上げますと、三十二年度は、当初におきまして年間二十五億円のワクでございましたが、六月の緊急対策に関連をいたしまして、さらに十五億円が追加されまして、三十二年度分は合計四十億円となりました。三十三年度におきましては、商工中金としては、三十二年度の四十億円よりも、ある程度増加していただきたいと考えている次第でございます。 以上、概略でございますが、三十二年度の実績と三十三年度の計画等について、御説明とあわせてお願いを申し上げた次第でございますが、何とぞ格別よろしくお願いを申し上げます。
○小平委員長 ありがとうございました。 次に、日本不動産銀行の星野参考人にお願いをいたします。
○星野参考人 私、ただいま御指名をこうむりました不動産銀行の星野でございます。本日は、皆々様国務すこぶる御多端の折りにもかかわりませず、私ごとき者をお呼び下さいまして、銀行の近況につきまして御報告申し上げる機会をお与え下さいましたことを、衷心より厚く御礼を申し上げます。 昨年の暮れ、私どもの銀行におきまして資金の不足に悩んでおりました際に、本委員会におかれましては、年末金融対策に関する御決議の中に、中小企業金融対策の一環といたしまして、私ども不動産銀行の債券についても、政府が相当引き受けることが適当であろうということを御推進下すったのでございます。その結果と存じますが、その後大蔵委員会にお呼び出しを受けまして、種々私どもの銀行の経営につきまして御質問がございました結果、私ども不動産銀行の使命を全うせしむるがためには、政府が資金運用部の資金をもって、弊行の債券の引き受けをやることが適当であろうということの御配慮を賜わったのでございます。おかげをもちまして、政府におかれましても本年度間、つまりこの三月末までの間に十二億円、すなわち昨年の十一月、十二月にはおのおの三億円ずつ、今年の一月ないし三月までは毎月二億円ずつ、計十二億円の引き受けをして下さいましたような次第でございます。ここにあらためて、皆々様に対しまして、厚く御礼申し上げる次第でございます。 さて本日は、昨年の、皆様からの御配慮をこうむりまして債券の発行をいたしました後の債券発行の模様並びに融資の状況につきまして、御説明申し上げますとともに、昭和三十三年度におきます私どもの融資計画及び債券の発行計画等の概略を御説明申し上げたいと存じます。 まず、債券の発行について申し上げますと、先ほど申し上げましたようないきさつによりまして、政府からの特別なる御援助をいただきましたので、私ども役職員は、これに非常な力を得まして、打って一丸となって、市中銀行あるいは地方銀行さんに働きかけまして、その結果、今月まで、十一月、十二月、一月と、すでに三回債券を発行して参りましたが、大体所期の目的を達して参っておるような次第でございます。すなわち、十一月には八億三千六百万円の債券の消化がございました。十二月には八億三百万円、今年の一月には七億六千五百万円の消化がございまして、この三カ月間に合計二十四億四百万円の債券を発行して参った次第でございます。 次に、昨年の十一月以降からの、最近の融資の状況を御報告申し上げますと、昨年の十一月中には、件数で百三十七件、金額で七億一千二百万円融通して参っております。十二月中には件数で二百三十件、金額で十億一千三百万円、ことしの一月中には件数で百七十三件、金額で七億八千八百万円、この三カ月間合計は、件数で五百四十件、金額は二十五億一千三百万円の実績を上げて参っておるのであります。なお、この金額の大部分はいわゆる中小企業者に対する融資額でございまして、十一月中の中小企業者に対する融資高は四億九千三百万円、この十一月中の全体の貸し出し額に対しますパーセンテージは六九・三%、十二月中には、中小企業者に対する貸付が七億五千四百万円でございまして、この月の全体の融資額に対しまして七四・四%という数字になっております。今年の一月中には六億二千九百万円を貸し出しておりまして、その全体に対するパーセンテージは七九・九%となっておりまして、この三カ月間を平均いたしますと、全貸し出し高の中における中小企業者に対する私どもの融資額は七四・五%、約七五%という数字になっておる次第でございます。融資の方針に関しましては、政府の御期待に沿いますよう、努めて中小企業者に対して努力をいたしておるような次第でございます。 次に、昨年の四月一日、私どもが銀行を初めて開業いたしまして以来、一月末までの融資額につきまして、大体のことを申し上げますと、一月末現在で、貸し出しの件数は九百四十八件、その金額は六十一億五千五百万円ということに相なっております。その資金の使途別並びに業種別に分けて御説明申し上げまと、資金の使途につきましては、設備資金が最も多うございまして四十億一千七百万円、全体の金額に対しますパーセンテージにいたしまして六五・三%というのが設備資金でございます。次に、長期の運転資金は、金額にいたしまして二十一億三千七百万円、その全貸し出しに対しますパーセンテージは三四・七%となっております。設備資金が運転資金よりも多いという結果になっておる次第でございます。 次に、融資先の業種別を申し上げますと、製造業に対する融資額が最も多うございまして、これが全体の六〇・九%、大部分を占めております。そのほか、多いのは、卸、小売業者――物品販売業者でございますが、これが全体の一七・三%、それから運輸通信業というのが七・三%、病院の建設その他個人の住宅資金というようなものが六%というようなことに大体相なっております。いずれも融資先は、中小企業者が大部分を占めておるような次第でございます。なお、今後は、ますます当行本来の目的達成に邁進いたします所存でございます。 最後に、明年度におきます弊行の資金需要見込み額と融資計画並びに債券消化の計画につきまして、その概略を申し述べさしていただきます。 弊行は、昨年の四月に初めて開店いたしましたことは、先ほど申し上げた通りでありますが、東京の本店と、昨年の十月一日から大阪支店を設けまして、この東京並びに大阪の、本支店だけで営業をやって参っておりますので、広く全国的に不動産担保の中小企業者に対する金融をいたします道がなかったのであります。それで、今回ようやく地方銀行さんと代理店の契約を締結いたしていただきまして、これからは、各地方の地方銀行さんのお店を通じて、私どもの方の代理貸しを広くやっていただくつもりでおりますので、自然この方面にもまた、新たな資金が必要になって参るような次第でございます。また大阪の支店も、日がたちますと同時に、だんだんその営業ぶりが活発になって参りまして、この貸し出し額は、次第に額を増してくるような趨勢にございます。また本年の秋ごろには、大体名古屋市に支店を開設する予定でおりますので、かたがた、ただいまのところ、将来の資金需要の見込みというものは、ますます旺盛になってくるように考えられるのでございます。彼此勘案いたしまして、三十三年度の上期におきましては借り入れの申し込みの件数は約五千二百件くらいくるであろう。また、それに対する貸し出しの金額は二百九十億円程度を貸し出さなければならぬであろうという見込みを立てております。また来年度の下期におきましては、件数にして七千六百件、金額にして三百九十億円程度の貸し出しをしなければならぬだろうと予想いたしておるような次第でございます。 それならば、これだけの需要、つまり借り入れの申込みに対しまして、実際に貸し出しをする予定はどのくらいか。これは、過去の申込額と、実際に貸し出しましたパーセンテージを勘案いたしまして考えますと、来年の上期には千五百件、金額にして五十六億円、これだけは貸し出しが実際に実行されるであろう、こういう見込みでございます。また来年度の下期には、件数で二千四百件、七十二億円くらいの貸し出しが実行されるのではあるまいか、合計いたしますと、来年度におきましては三千九百件、金額が百三十八億円くらいが必要となるのでないか、こう見込みをいたしておる次第でございます。 これに要しまする資金繰りといたしましての、債券消化の計画でございますが、委員の皆様方にも、これまでいろいろと御心配をいただいております通り、何分にも私どもの銀行は創業日なお浅うございまして、加うるに、現下のような金融情勢でございますので、この百二十八億の資金を、全部債券によってまかなわなければならぬということは、これはなかなか困難なことでございまして、政府からの絶大なる御援助がなければ、とうてい使命の全うができないのではないか、こう心配いたしておるような次第でございます。この必要資金に見合います債券の発行予定額は百二十八億であります。そのうちの約半分程度を政府においてお引き受け下さいますよう、これまでずっとお願い申して参っておるような次第でございます。 私ども役職員一同は、一致協力いたしまして、銀行の本来の使命、すなわち、中小企業者に対する長期の資金融資のために、日夜努力をいたしておるような次第でございますので、この資金源の確保につきましては、何とぞ皆々様から、この上とも御支援いただきますよう、ひとえにお願い申し上げる次第でございます。 本日はまことにありがとうございました。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○小平委員長 ありがとうございました。 次に、中小企業金融公庫坂口総裁にお願いします。
○坂口説明員 御指名によりまして、昭和三十二年度の業務の概況と、来年度の見通しにつきまして、簡単に御説明申し上げます。 まず、本年度につきましては、当初貸付予定額として四百十五億円、うち二百億円を資金運用部からの借入金、残りを回収金等でまかなうことで、スタートをいたしたのでございますが、御承知の通り、昨年五月、金融引き締めの措置が講ぜられまして、それがために中小企業にしわ寄せされることを心配いたしまして、その対策の一つとして、第四・四半期に予定しておりました憤り入れの全額を繰り上げ、六月以降の貸し出しの増加に充てたのでございます。さらに十一月には、年末金融の円滑をはかるため、及び先ほど申しました第四・四半期の資金繰り上げのための穴埋めをいたしますために、臨時国会において補正予算を組んでいただきまして、百億円の借り入れの増を認めていただきました。これによりまして第三・四半期は百七十五億円。十二月一カ月をとってみますと九十四億円。また、この第四・四半期には、百二十億円の貸付を計画して、ただいまこれを行なっておるところでございます。この結果、本年度の融資総額は、お手元に表を差し上げておきました通り、総計五百四十八億円となりまして、当初の計画四百十五億円に比べますと三二%の増加でございます。また、前年度に比べまして四五%の増加でございます。おかげで、中小企業の金融難の緩和に、少しでも役に立ったことと思っております。 この五百四十八億円の内訳でございますが、そこにございまする通り、そのうちの約七十億円を直接貸しにいたしまして、代理貸付に残りの四百七十八億円を充てる見込みでございます。 本年度の貸付で目立ちますことの第一点は、いわゆる設備投資の抑制に伴い、設備資金の需要よりも、金融引き締めに伴う中小企業の金繰りの安定のために必要である長期運転資金の需要が増加いたしまして、お手元にございまする方式別、使途別表でごらんいただきますと、おわかりになりますように、第一・四半期は、運転資金の割合は一四・七%ぐらいでございましたのが、第二・四半期は二二・七%、十二月を含めまする第三・四半期は三四・五%と、長期運転資金の方が逐次増加いたしております。この点か第一の特徴でございます。 第二には、直接貸しの伸びてきた点でございまして、前に述べました通り、本年度は七十億円程度の直接貸しを行いますので、これは本年度の当初におきまして六十億円の計画をいたしておりましたのを、十億円上回ります。前年三十一年度の二十四億円に比べますと、約三倍に当るわけでございます。こういう結果、貸し出しの残高で申し上げますと、十二月末の貸付残高は八百四十五億円でございまして、この三月末におきまする残高は、さらにこれに加わりまして八百九十三億円と、九百億円に近い貸し出し残高になる見込みでございます。ちょうど公庫ができました二十八年度末の残高に比べますと、ほぼ四倍に当るわけでございます。 次に、明三十三年度の見通しについて申し上げますと、ただいま御審議をいただいております予算案におきましては、その概要を予算案の概要としてお手元に差し上げておきましたが、資金運用部資金及び簡保の資金等よりの借入金を二百七十五億円、それに回収金等二百九十五億円を加えまして、五百七十億円が総資金源でございまして、本年度の実績見込み五百四十八億円に比べまして、二十二億円程度の増加に相なります。そのうち、本年度に比べまして、直接貸しに約二十億円を加えまして約九十億円を直接貸しにいたしまして、残り四百八十億円を代理貸しに充てる予定にしております。 この五百七十億円を、期別にどういうふうに配分いたしますかにつきましては、ただいま検討中でございますが、ただいまのところでは、資金需要の最も旺盛な年末を含みます第三・四半期と、それとともに、この二月三月の金融難が繰り越されることを予想されまする第一・四半期、この二つの期に重点を置いて運営して参りたいと考えております。来年度の公庫に対しまする資金需要が、どれほどに上りますかは、なかなか予測は困難でございます。御承知のように、公庫の対象業種は、製造業、物品販売業、サービス業と、きわめて広範に渡っておりますので、非常に測定はむずかしいのでございますが、ただいま申し上げました資金量では、大体前年度並み、と申しますと、需要に対しまして、ほぼ五〇%程度の供給になっておりますので、その程度まではいくのではないかと考えております。もちろん、この金額で十分だとは、非常に言いにくいのでありますが、しかしながら、大体前年度並みに参りまして、ただいまのところでは、一応この計画で進んで参りたいと思いますが、御承知のように、中小企業は、大企業に比べまして、設備の近代化も非常におくれておりまして、この点、昨年の経済白書にも、わが国経済の弱点としてあげられておりますし、また広く一般業界の御要望も非常に強いのでございます。この点を考えまして、今後運営をして参りたいと思いますが、本年度は、幸いに、経済事情の変動によりましては、予算総則におきまして、大蔵大臣の定むるところにより借入金の限度を増加し得るという、いわゆる弾力条項の規定も設けられておりますので、その時々の情勢の変化に即応いたしまして、御当局の機宜の御措置をお願いするようにいたしまして、対策に誤まりのないようにいたしたいと存じておるところでございます。 明三十三年度におきましては、国際収支の改善に直接間接に寄与しまする中小企業、その他国民経済上特に大事と思われまする中小企業の合理化安定に、一そう主力を注いで参りたいと思います。これに基いて、代理店を指導いたして参りますはもちろんのこと、私どもの公庫の処理能力の許す限り、直接貸しの伸展にも努めたいと考えておるところでございます。この意味におきまして、三十三年度には、熊本及び新潟に新たに店舗を設けまして、その地方の業界の御便宜をはかりたいと考えております。 その他、詳細の点につきましては、お手元の資料に譲ることといたしまして、一応私の簡単な説明を終りたいと思います。
○小平委員長 次に、国民金融公庫中村総裁にお願いいたします。
○中村説明員 国民金融公庫の中村でございます。三十二年度の大体の見通しと、ただいま御審議を願っておりまする三十三年度の貸出計画につきまして、御説明を申し上げたいと存じます。 お手元に二枚の資料かお配りしてあるはずでございますが、これによって御説明した方がおわかりやすいと思います。資料のうちの一枚は、三十一年度・三十二年度の普通貸付申込、貸出状況調、これは三十二年度の大体の傾向を示すものでございます。もう一枚の方の、年度別新規資金貸出計画比較表というのがございますが、これは三十三年度の計画、それを三十一、二年度と対比したものでございます。三十二年度につきまして、私どもの方の貸付には、いわゆる普通貸付のほかに恩給担保貸付、引揚国債貸付、その他の貸付がありますが、一般に国民大衆に関心を持たれておるのは普通貸付でございますから、普通貸付の状況を申し上げたいと存ずるのであります。 御承知の通り、三十二年度は、当初普通貸付で約五百九十億くらいの貸し出しを計画しておったのでございますが、その後五月の公定歩合の引き上げ、六月の国際収支改善のための総合政策等によりまして、金融引き締めのしわが中小企業に及ぶであろうというので、資金を増していただきまして、十一月の臨時国会におきまして七十億の借入金の増加を認められましたので、ただいまのところでは、当初計画の五百九十億か六百九十億、百億多い貸し出しの計画をいたしております。これを四半期別に見ますと、第一・四半期におきましては、四、五、六月は申し込みも低調でありまして、昨年の一割増くらいであります。第二・四半期に至りましては三割弱増でありますが、金融引き締めの影響は、特に強くは現われておらなかったのであります。それが第三・四半期におきまして十、十一、十二と月別申し込みが殺到して参りまして、ことに窓口の申し込みでございますが、前年比が十月が四割八分、十一月が九割八分、十二月が二割四分というふうに逐次増加して参りました。特に七十億の補正におきまして、年末の申し込み、少くとも十二月の半ばごろまでの申し込みは、十二月中に貸せるつもりでおりました。ところが非常に申し込みが殺到いたしましたので、十一月末までは年内に金を出し、十二月に入った申し込みは年を越して金を出そう、ただ、その間のつなぎの措置については、できるだけ協力してやろうという方針に変りましたので、十一月がピークでありまして、前年の約二倍の申し込みがありました。さらに一月、二月に入っても、申し込みが割合衰えないで、一月が三割五分、二月が十五日までの結果によると、やはり前年に比しまして三割五分くらいふえているという状況であります。それに対しまして、貸し出しは、資金がある限りこれに応じまして、まず年末も特別問題なく過ごして、年末におきまして申し込んだのは、一月早々に貸したのでありまして、一月の貸し出しは、前年に比して相当ふくれております。さらに二月、三月の申し込みでございますが、これらも逐次資金を充てて、おそらくただいまのところは、二月中旬までの貸し出しには年度内に応ずる。場合によったら、あるいは二月下旬、三月の申し込みは、四月に入って金が出るかもしれないということを考えている次第でございますが、この程度のズレは、おそらく大した問題なく処理できるのではないかと考えております。これが昭和三十二年度の大体の状況でございます。 次に、昭和三十三年度でございます。ただいま国会の審議中でございますが、今回は資金運用部並びに簡易保険の資金から二百三十五億の新規資金をいただいております。ところが、運用部に返す金は百二十五億ございますので、差引百十億がネットの純増であります。これを普通貸付、引揚国債貸付、恩給貸付の三つに分けまして、普通貸付は七十二億七千万円、引揚国債貸付二十億、恩給貸付が従来の例でいきまして十七億充てて、普通貸付は七十二億のネットの資金を回したわけであります。この資金は三十一年度とほぼ同じでありますが、三十二年度の当初の八十五億より少し少い。三十二年度補正の百五十三億に比較すると半分弱でありまして、そのほか資金といたしましては、三十三年度は割合少いのであります。しかしながら、幸いに回収金が非常に多額でございまして、前年の補正に比べましても、約百二十億くらいございますから、これらを合わせますと全体の普通貸付の規模は七百二十七億、前年に比しまして約六%の増ということになっております。ただし、これは前年に補正したのちの比較でありまして、当初成立予算に比べますと、三割三分ぐらいふえております。すなわち、三十二年度におきまする十一月、十二月の申し込みが金融引き締めによる特殊のものであるというならば、三十三年度は、これだけの金があれば、十分まかなえるように思います。もし三十二年度のしわが、さらにさらに三十三年度に寄せてくるならば、多少足りなくなるのではないかというふうに考えますが、ただいまのところ、政府方面、日銀方面、その他の一般方面の御意見は、まず引き締めの基調は、第一・四半期ぐらいは続くであろうが、逐次国際収支の改善とともに、また国庫資金の散布超過等によりまして、それからまた、いわゆる電力、鉄鋼等を除きました基幹産業の設備資金の需要が、逐次減っていくということとからみまして、相当金融のゆるみというものはあろう。もっとも、これに対しましては、日銀の貸し出しを回収いたしますれば、そのゆるみも、そのままゆるむわけではありませんけれども、昨年のようなことはあるまいというふうな見通しが多いのでございまして、何とかこのきまりました金額でやっていけるのじゃないかと思っております。 しからば、この新しい三十三年度の全体の計画は七百二十七億であるが、これをどういうふうにやっていくかということは、御存じの通り、国民金融公庫は、四半期ごとに、貸し出し計画は大蔵大臣の認可が要るのでございまして、しかも、国民金融審議会の審議を経まして、大蔵大臣の認可によるのであります。この点、まだ大蔵省と話し合っておりませんので、はっきりしたことは申し上げられませんが、私どもの考えとしましては、先ほど申しました通則に従いまして、一、二、三月がなかなか申し込みが減りませんから、これが四月にずれるのも仕方がなかろう。さらに四、五、六月あたりは、中小企業関係、ことに末端におきましては、大体金融の波がおそく参りますので、資金がゆるみましても、なお零細企業に及ぶのは、時がかかりますから、第一、第二・四半期には前年通りの金を用意しておこう。第三、第四・四半期は、昨年異例に多かった数字と同額のものは用意しておるから、何とかやっていけるのじゃないかというふうに考えておりまして、このようにしていったらいいのじゃないかと考えております。これは、やがて予算がきまりましてから、大蔵大臣に認可申請する段取りになると思うのでございます。 しからば、年末を含む第三、第四・四半期は、前年通りでいいかという問題でありますが、前年度、前々年度が、約二倍というふうな異例な申し込みがございまして、これは普通ノーマルな増ではなくて、やはり金融引き締め等の特別な事情があったと思うのでございまして、もしも、三十三年度におきまして、金融がゆるみ、三十二年度とだいぶ事情が違うならば、これだけの金を用意しておけば、何とかいけるのじゃないかと思っております。さらにまた事情が変りますれば、先ほど中小企業金融公庫で申し上げました通り、予算の総則三十五条によりまして、借入金の限度拡張が大蔵大臣の認可によってできるので、これらの手段をとっていただくように、お願いすることにしておる次第であります。 私の申し上げることは、これで終ります。
○小平委員長 以上で、一通り御説明を承わったのでありますが、これより質疑に入ります。通告があります。順次これを許します。内田常雄君。
○内田委員 政府関係の三つの金融機関並びに不動産銀行から、いろいろ中小金融の実態につきましてお話を承わりまして、大いに参考になりました。そこで、なお、私どもか平素、ああしたらよかろうじゃないか、こうもならぬものかと思うような点がございますので、関係の参考人の方並びに政府当局から、それについてのお考え等を承わりたいと思います。 まず、商工中金についてお尋ねをしたいのでありますが、今度は新理事長に北野さんがおなりになりました。北野さんは、人も知る商工官僚の御出身でありまして、そのあなたが今度理事長に御就任になりましたが、御承知のように、昨年中小企業団体の組織に関する法律というのが成立いたしまして、ことしの四月からこれが施行されます。そうなりますと、商工中金の仕事は、今までのような協同組合の系統金融機関ということの意義が、一そう重要性を帯びて参りまして、団体法に基いて設立される商工組合等が、商工中金に非常にたよって参る。ことにまた、ほかの分野におきましても、たとえば、最低賃金法が、おそらく成立し、施行される場合に、その最低賃金のあり方が、いかなるきめ方によりましょうとも、最低賃金法を施行します以上は、最低賃金のきめ方か、大体わが党の考えによりますと、業種間協定というようなことが中心になって参りますために、その最低賃金の母体となるものは、中小企業団体法による商工組合等であろうと思います。この最低賃金法を円滑に施行しますためには、中小企業に対する金融対策を同時に充実して参らなければ、最低賃金法の運営はうまくいかない。かような面から、私は今度北野さんが理事長に就任されたのを契機として、お宅の機能は、非常に重要性を持つと思うのであります。ところが、今まで私どもの率直に感じていることは、政府の商工中金に対します考え方が、あれは中小企業の金融、機関ではあるけれども、業者の任意機関であるから、あまり政府としては力を入れる必要はない。従って、毎年政府の財政投融資等におきまして、国民金融公庫あるいは中小企業金融公庫に対しましては、今、お話しのありましたように二百数十億の政府資金を入れるのでありますけれども、商工中金に対しましては、政府の資金の入れ方が足りないと私は見ておるのであります。その反面、商工中金の方におかれましても、政府から金を入れてもらうのはありがたい、中小企業者は助かるけれども、自分の方は、国民金融公庫とか中小企業金融公庫のような政府まるがかえの機関とは違うのだ、民間の機関の性質を帯びておるから、政府から金をもらう反面、あまり拘束されるのはいやだ、従って無理に金はほしくない、こういう態度をとってきたことも事実であります。従って、私どもが通産省なり大蔵省なりに対しまして、あなたの金庫のために資金を十分に入れるように、また入れ方につきましても、高いコストの債券引き受け等によるほか、直接貸しもぜひやらせたい、そうして資金コストを安くして中小企業者に安い金を供給させる。しかも、これが国民金融公庫とか中小企業金融公庫から貸し出す対象と違って、今申しますように、わが党といたしましても、政府といたしましても、中小企業の組織化ということに非常に重きを置きまして、それを対象としておる商工中金でありますから、いろいろな点において、私どもは、あなたの機関を重視するのでありますが、今申しますように、政府側においても、金庫当事者においても、まことに中途半端な考え方にあるようであります。北野理事長は、これから理事長として、商工中金を動かされるのでありますが、どのような考え方でこれから進まれるかということにつきまして、また補足的に、加藤理事からお話を聞きたいと思います。
○北野参考人 ただいま内田委員から、まことに適切な、また貴重な御意見を伺い、かつまた商工中金につきまして、非常に御同情と御理解に満ちたお言葉をいただきまして、私、ほんとうに感銘いたしております。何分ついこの間就任したばかりでございまして、まだ商工中金の実態、また今後のあり方等につきましても、確信のあるお答えのできないことは、まことに申訳ございませんが、いずれにいたしましても、商工組合中央金庫といたしましては、ただいまも御指摘がありました通り、組合金融という特殊、かつまた中小企業振興の重大な政策の一環でございます中小企業者の組織化を進めるということを、大きなねらいとして、その育成と安定に寄与しなければならぬという、他の金融機関とは異なる特殊な使命を持っております。さような点からいたしまして、私も、大へん微力でございまして、今後の運営にも、はなはだ危惧の念を持っておりますが、要は、ただいまも御指摘がございましたように、資金の量をできるだけふやして、中小企業者のやむにやまれぬ資金需要に対応して、これを十分充足するということ、かつまた資金源の獲得の条件等もございますので今直ちに金利を引き下げることは、なかなか容易ではございません。しかし、今後の目標としては、量をふやすと同時に、金利を引き下げるという方向に向って、各方面の御協力を得まして、努力をいたしたい。それを一つの大きな目標としてやっていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。 なお、この四月から、中小企業団体法が施行されまして、従来の調整組合が商工組合となり、また新たに商工組合が数多く設立されると思うのであります。さらにまた、最低賃金法の円滑なる施行に、金融面から、商工中金として協力するという必要もあろうかと思います。そういう点も、今後十分検討いたしまして、関係方面の御期待に沿うように努力をいたしたいと思います。しかし、何分にも資金量をふやすこと、また金利を引き下げるということは、なかなか容易でございません。私どもとしましては、政府機関まるがかえの形でないから、政府におたよりしないというふうな考えは、決してございません。むしろ逆に、政府機関ではないので、一般の民間から預金を吸い上げることも容易でございませんし、かつまた商工債券の市中消化も、容易でございませんだけに、政府資金をできるだけ多量に注入していただき、資金コストの点についても、格段の御配慮をいただきたい、こういうふうに考えております。どうか委員の皆様におかれましても、私どものこの念願が達せられますように、格別御援助をお願いいたしたいと思います。 なお、加藤理事も参っておりますので、私のお答えの足りない点は、加藤理事からお答えするようにいたしたいと思います。
○内田委員 北野理事長から、大へんりっぱな御抱負の開陳があったのでありますが、念のために北野理事長並びに政府当局に申しておきます。商工組合中央金庫と申しますのは、ここにもお見えになっております不動産銀行とは違いまして、商工組合中央金庫そのものを設立し運営するために、特別法があるわけであります。不動産銀行には、長期信用銀行法という準拠法があって、いわば勝手に作られたというものでありますから、政府の優先出資などがありましても、これは商工中金とは性格が違うと思います。商工中金は、公団、公庫でこそありませんけれども、法律の根拠というものは、公団、公庫よりも、よけいに政府の監督を受け、縛られているような仕組みになっているのであります。たとえば、一例を申しましても、北野理事長そのものは、主務大臣から任命され、理事も監事も、主務大臣が任命する役員構成も、全部政府に縛られている。ところが、公庫におきましては、理事長、監事は政府の任命でありますけれども、理事は政府の任命ではありません。理事長の任命ということになっておりまして、むしろゆるい。さらにまた、剰余金の処分でありますとか、あるいはまた役員の給与、その他経理につきましても、形式こそ違え、法律上公庫、公団より、厳重に現在縛られておるのでありまして、ただ商工中金の予算が国会にかからないだけであります。従って、今さら商工中金がじたばたされても、動きがとれないようになっているのでありますから、そういうものであるということを一つ頭に置いて、これからの業務運営につきましては、強く政府にも国会にも当られることが必要だと思うのであります。今まで、私ども商工中金の資金充足とか、あるいは金利の引き下げにつきまして、非常に強い支援をし、また決議等をいたしましても、途中まで行くと、あなた方が逃げてしまう。あまり強いことを言ってもらうと、結局公団と同じように縛られることになるから、もうこの辺で私の方はけっこうですと言う。昭和三十三年度におきまして、お宅に政府の資金が幾ら行くかというと、金融債の引き受けで三十億しか行かない。昨年当初予算におきましても――昨年まだ神武景気といわれて、金融が非常に緩慢であったころにおきましても、政府出資が十五億に金融債が二十億。政府出資は、現在においては配当かありません、ただの金である。それに二十億の金融債、三十五億円の金が行っているのでありますが、今年は、せっかく通産省からあなたのようなりっぱな方を迎えるということがわかっておりながら、この金融梗塞のときに、政府出資はないし、金融債はわずかに三十億ということで、五億減っている。さらに昨年は、途中におきまして二回ほど商工債券の引き受けを増額いたしまして、この計で七十億円、それに十五億の出資が加わりますから八十五億の政府資金を供給しているのでありますが、三十三年度においては三十億というので、五十五億円減っているところにあなたは入られたのでありますから、よほどしっかりしてかからないと、ますます政府になめられてしまう。そうして、中小企業者に不便を与えるということになりますれば、あなたの月給まで政府がきめているのだということを承知の上で、おれは民間の機関であると考えたら、とんでもない間違いでありますから、ぜひ心得ておいていただきたいということを申し上げておきます。 ところで、今申すように三十億の金融債の引き受けで、お宅の方の中小企業者に対する資金の供給計画は間に合いますか。政府の国会に対する説明では、十分間に合うと書いてある。しかも、間に合うどころではなしに、ここにちゃんと書いてある。三十三年度においては中小企業団体法の関係もあり、資金需要は相当に増加することが予想されるので、三十億円の政府資金を供給することにして、三十三年度においては二千五百三十億円の貸し出しを行なって、昨年度よりも商工中金から中小企業者に対する資金供給額はふえる、こういう不思議なそろばんが出ておるのでありますが、一体そういうことがあるものでございますか。また、それでいいということで、通産省あるいは大蔵省から引き下ったのでありましょうか。これは、北野理事長には無理でありますから、加藤理事から、一つ、ほんとうは困るのだけれども、政府からまかされたということであれば、その通りおっしゃっていただきとうございます。あなたの身分は、われわれが保障いたしますから。
○加藤参考人 ただいま内田先生から、身分保障をしていただきまして、ありがとうございます。 三十三年度の資金の見通しといたしましては、先ほど北野理事長から、るる御説明申し上げましたごとく、現在の経済基調が変らずにいくと思われますので、相当利用があるだろうと思われるのでございます。ことに、先ほどお話のございました団体法の施行とか、あるいは環境衛生関係の組合、あるいは酒類関係の新しい取引対象の増加というようなものもございますので、そういうものを考えますと、資金需要が、相当また新たにふえるのじゃないかということも考えられるのでございます。それで、われわれの希望といたしましては、昨年百五十億円の貸し出しの増加をできるまでに、政府からいろいろとごめんどうを見ていただきまして、大へん助かりましたので、三十三年度はそれを下らない程度、少くとも百七十億円程度の純増をぜひお願い申し上げたい。いわゆる自己調達分につきましては、預金の増加並びに債券の市中消化につきまして、極力努力いたすことにいたしまして、大体われわれの限度といたしましては、自己調達が八十億程度でございますので、政府から百億、あるいは九十億でも百七十億になるわけでございますが、その程度の債券の引き受けをお願いいたしたい、かように強くお願い申し上げたのでございます。ちょうど前理事長のときでございましたが、理事長もみずから陣頭に立ちまして、いろいろお願い申し上げたのでございますが、政府の方の資金の御都合の結果、かような結論を得たのでございます。しかしながら、政府からわれわれに言われておりますことは、今後の経済情勢ということは、なかなか見通しのわからないことでもあり、今後ほんとうに必要になって困るというような状況の場合には、いわゆる財政投融資計画の本文の中に、文句は忘れましたけれども、今後の経済事情並びに今後の市中金融の推移にかんがみまして、弾力的に運用するということを、はっきりうたっておりますので、その際は、昨年と同じような年度の途中で考えてやろうというお話でございますので、その点に信頼いたしまして、われわれは三十三年度を誤りなく中金の使命を達成いたしたい、かように考えておる次第でございます。
○内田委員 この点は、私は非常に不安があるのでありますが、それは不動産銀行の問題と一緒に留保をいたしまして、次に資金の性質について、御意見をただしたいのであります。先ほども触れましたように、商工中金に対する資金の供給というものは、政府出資にあらずんば、全部債券引き受けという形式だけによるのでありまして、国民金融公庫とか、中小企業金融公庫に対しますように、資金運用部から低利の金を直接貸しする道が開けておりません。そのためばかりではありませんが、そういうこともありまして、商工中金の貸し出し金利というものは、一割をこしておるという高い金利であります。これに対して、両公庫の方は、年九分六厘ということで一分以上も安い。そうしますと、政府が団体法までこしらえて、中小企業の組織化をはかり、しかも、これらの中小企業団体の親金融機関ともしているような商工中金から、中小企業団体が金を借りる方は、金利が高いというような、ばかなことはないわけでありまして、どうしてもこれは、国民金融公庫は別といたしまして、中小金融公庫から中小企業者が金を借りる場合よりも、中小企業協同組合とか、今度できる商工組合が商工中金から金を借りる方が安いのが、私は当然であると思う。そういうふうに持っていく一助としても、ぜひ私は、商工中金に対する資金運用部資金の直接貸しの道を開きたいと思うのでありますが、これについては、北野さんは、非常に明敏な頭脳と経歴を持っておられるから、おわかりでありましょうが、これをわれわれと一緒に押すつもりがあるのかないのか。それとも、そうしてもらうと、ほかにもついてくる機関もありそうで、政府もお困りでしょうから、債券だけ引き受けてもらえばいいです、こういうことでしょうか、簡単に一つその決意を……。
○北野参考人 まことに適切な御意見でございまして、今の点につきましては、私もまだまだ勉強が足りませんが、今、御指摘のように、商工中金といたしまして、資金運用部資金を直接にお借りできるということが、一番望ましいわけであります。ぜひそうありたいということを、念願いたしております。しかし、それにつきまして、ただいまもちょっとお話がありましたが、政府のいろいろなお考えもございましょう。またいろいろな法律的な関係もあるように聞いておりますので、その点は、今しばらく研究をいたしました上で、自分としては、皆様にも御援助いただきまして、最善を尽したいというふうに考えております。
○内田委員 歴代の通産大臣は、それはぜひやりたい、こういうことでありますが、先般予算委員会で私が通産大臣に確かめましても、通産大臣いわく、大蔵省との話がつかない、こういうことを申しておるのであります。これは大きくいえば、内閣不統一ということにもなるわけでありますが、大蔵省の方はどうして話に乗らないのか、大蔵省の担当課長がお見えでありましたら、明快な御説明をいただきたい。
○鈴木説明員 商工中金に対しまして直接貸しをやっておりませんことは、事実でございます。その理由でございますが、御存じのように、資金運用部資金法の建前か、現在、国とか地方公共団体あるいは政府関係機関というものに、直接貸しを限っております。先ほど内田委員からの御説明で、商工中金というのを純然たる政府機関と見るのか、民間機関と見るのかという点につきましての問題だと思いますが、私どもは、一応、ほかの政府機関とは若干違った性質の機関である、こういうふうに考えております。従って、直接貸しをするのは適当でない、こういうふうに解釈いたしております。
○内田委員 それは、法制局が答えるのには、あるいは裁判所が答えるのには、現在の資金運用部資金法はそうなっておるということでいいでありましょうが、いやしくも財政、金融をつかさどっておる大蔵省の答弁としては、答弁にならぬのであります。体、中小企業者の組織団体を作らせようとか、中小企業が日本の産業経済における大きな分野を占めておるので、これを苦しめてしまっては日本の産業が成り立たないということは、今の政府の筆頭に言っておられることで、大体先般の中小企業団体法でも、あれを推し進めたのは、岸内閣総理大臣です。一萬田大蔵大臣は、どう言ったか知りませんか、岸さんに聞いてみればわかる。さようなことを言っておきながら、さっき申しましたような特別金融機関、たとえば開発銀行といったような大企業を対象とする銀行には、低利の直接貸し出しをするけれども、中小企業の団体を対象とする商工中金に対しては、そういう安い金は貸せない、市中と同じ引き受け条件で金融債の引き受けをやるというような回り道をしなければ貸せないということは、政策にならぬじゃないですか。大体、そもそも資金運用部資金法において、幾つかの機関には直接貸し出しをするという規定かありますが、あれは憲法からきておるものでもなんでもない、便宜にだんだん追加をしてきた。だから、あれは資金運用部資金法の何条か知りませんが、それの一番末項に、たった「商工組合中央金庫」という八字を載せれば、それで万事済むのですが、あなた、どう思いますか。開発銀行が、大企業に対しては低利長期の金を貸すけれども、中小企業団体に貸す金は出せないということは、政策論としては答弁にならないのであります。あなたは若い方で、これから大いに日本の財政経済を背負っていかれる方でありますから、ぜひ十分研究をせられて、何らかの機会に、あらためて答弁を求めますが、これはどなたも納得がいかないはずです。だから、これは十分政策論として考え、われわれも力を貸しますから、北野理事長としても、十分その頭でいっていただきたい。おかしいことは、あなたの方に安い金を供給するためには、わざわざ隣の隣にすわっておられる中小企業金融公庫から安い金を出して、あなたの方にまた貸しをするという。玉突きみたいなツー・クッション、スリー・クッションをやる。しかも、それを随時に引き揚げていくというようなことは、話にも何にもならない。これはうっかりすると、あなたが商工中金の理事長にすわったのが悪いので、大蔵省からだれか出したら、大蔵省は、一晩で第何条第何項を追加するのじゃないかという疑いさえ持つのでありますから、よほどしっかりしなければならぬ。あなたは、中小企業者の一番たよりとする商工中金の理事長なんだから、いつでもしりをまくってやめるだけの熱心を持って、われわれとここでやっていただかなければなるまいと思います。 次に、中小企業金融公庫の問題についてお尋ねいたしますが、大体中小企業金融公庫は、商工中金のようにたくさん店舗がございません。従って申すまでもなく、今のところは代理貸しが原則で、直接貸しはこれについている。代主直従とでも申しますか、直接貸しをふやすそうでありますが、しかし、これを大いにふやそうとすると、二百億や三百億は、みな店舗を建てるのに使ってしまって、一文もその年は貸し出しができないということになるわけでありますから、むやみに支店ばかり作るわけにはいきません。まことに困ったことでありますが、そこに非常に弊害が出てきております。直接貸しを申し込むと、うちには手がないから三カ月も五カ月も積んでおくよりしようがないということになるから、代理貸しで市中銀行に申し込むと、市中銀行は、取引先のふところ勘定がわかった相手方でなければ、代理取次をしないという弊害が、しばしば、あるいは非常に多く起っておるのでありますが、これは一体どうしたらよいとお思いでございますか。
○坂口説明員 手っとり早く申しますと、直接貸しをできるだけ拡充するのが一番だ、こう思っております。先ほども御説明申しましたように、来年度は直接貸しをさらにふやして、九十億円程度まで持っていきたいと考えておりますが、それと同時に、代理店についての指導をさらにやるべきだと考えております。
○内田委員 たとえば、商工中金と中小企業金融公庫が合体するというような抜本塞源的なことをやらない限り、今のところ、徐々にそういう方向にいくよりほかないと私は思います。そこで、直接貸しの方は、坂口総裁がみずからすわって監督をなさっておるのですからこれは間違いがないと思いますが、問題は代理貸しにある。代理貸しの中でも、ことに、一般の銀行あるいは信用金庫、信用組合、相互銀行等を代理店にしておるわけでありますが、私は銀行がやっている代理貸しはよくないと思う。どうせ代理貸しをやるなら、極端にいえば、都市銀行あるいは地方銀行に対する代理貸しはやめてしまって、相互銀行、あるいはそこにいらっしゃる商工中金とか、あるいは信用金庫、信用組合、そういう中小企業専門の金融機関を窓口とする代理貸しをやった方が、私はいいような気がいたします。なぜならば、地方銀行などにおきましては、最近は、むしろ金がだんだん余ってきます。都市銀行は忙しいのでありますが、地方銀行は、金が余ってきて、どうして金を使おうかということになると思うのであります。地方銀行の中小企業に対する貸し出し実績を調べてみても、つい一週間ばかり前に、日本銀行が全国銀行の昨年一年間の貸し出し実績をまとめておりますが、都市銀行、地方銀行を通じて、中小企業に対する貸し出し増加分は顕著に減ってきておる。昨年一年で全国銀行が何ぼ貸し出しておるかというと、約九千五百億円です。開闢以来の貸し出し増加をやっておるのでありますが、おそらくその増加分の八割か九割は、全部資本金千万円以上の大企業で、中小企業に対する貸し出しは、ほとんどふえていないという状況にある。このことは、何を物語るかというと、銀行というものは、中小企業に対する貸し出しは、大蔵省あたりがよほどの監督をなさらない限り、ほっておってはやらぬということであります。そこへ中小企業金融公庫の資金を代理貸しとして持ち込んでみても、この傾向に油をかけるようなもので、一般銀行は、中小企業金融公庫の金を好きなものに貸して、自分の方の金は中小企業に貸し出さないで、せいぜい社債を持つとか、ひどいのになりますと、手形の再割引などをやって利殖をはかるとか、そういう傾向になってきておるのであります。坂口さんは、大蔵省の銀行局長をやったり、日本銀行の理事をやったり、また最近総裁であられるのですから、その辺の事情は番よく知っておられると思いますが、代理貸しについてどう思われるのでありますか。
○坂口説明員 内田さんのお話しの通り、代理金融機関の中には、私ども満足しないのが多いのでございます。多いというと、語弊があるかもしれませんが、満足できないのも多いのでございまして、三十二年度の代理金融機関に対しての資金の配分については、専門金融機関の方に配分を多くして、お手元に差し上げた表でもごらんいただけると思いますが、中小企業の専門金融機関に多くなっております。それから特に商工組合中央金庫については、非常に多くなりまして、先ほど北野理事長もお話がありましたように、当初二十五億円の割当を四十億円にいたしました。私の方と商工中金の方とは、兄弟関係というか、姉妹金融機関という気持で、商工組合中央金庫各支所の窓口に、それぞれ私どもの方の中小企業金融公庫の金融相談室というものを設けまして、直接貸しで私の方の手の足りないところを、商工組合中央金庫さんの方でまかなっていただくというつもりにいたしております。来年度について、先ほど北野理事長からもお話がございましたように、この四十億円をさらにふやすべきだというお話かございましたので、ただいま打ち合せ中でございます。なるべく内田さんの御趣旨に沿って運営して参りたい、こう存じます。
○内田委員 専門家としての総裁も、私の考え方と大体同じようなお考えでおられるようで、私も意を強くいたしましたが、ただ、今の商工中金を代理店とする貸し出しのワクをふやすことは、まことにけっこうでありますが、これもまた痛しかゆしであります。あまりこれをやると、今度商工中金に金を借りに行くと、中小企業金融公庫の金を借りると利息が安い、商工中金自体の金を借りると利息か高いということで、どうも商工中金は変なものだと、だんだん世間が商工中金を恨むよ、うな現象が一般的になる。これは、さきの点とも関連いたしますが、商工中金に行って中小企業金融公庫の金を回して貸してもらうよりも、商工中金自体の金を借りた方が、なお安いということに持っていかなければ、北野さんがせっかく理事長になったかいがないというものじゃないかと思う。 あわせて伺いたいのは、私どもの郷里にも、都市銀行の支店がたくさんある。たとえば富士銀行とか勧銀とが協和銀行とか、そういうものの支店があるのでありますが、どうもそれらの都市銀行の支店を通じて、地方の人が中小企業金融公庫の資金を利用さしていただいたという話を、ほとんど聞かないのであります。行きますと、現実に支店長に権限がないとか、自分の銀行に幾らワクを回されているのかわからないということで、全部わからないと言うか、あるいはわからぬと言っては権威を失するから、富士銀行であっても、勧銀であっても、ワクがない、こう言うか、あるいは、もうわかるとか、わからぬとか問答をするのは、めんどうだから、代理貸しをつかさどる職員というものを全然置かない、借りに行っても、どこに行っていいかわからないというようなことでありますが、ああいう都市銀行にもやはり代理機能を与えて、それが有効に動いているとお思いでしょうか。
○坂口説明員 特に地方の代理銀行の支店等につきまして、そういうお話を聞くのでございますが、これは一つには、私どもの方で資金のワクをだんだん縮めて参りました点も、多少影響があるかも存じません。大銀行は、支店をたくさん持っておりますから、中にはそういう点もあるかもしれません。地方の支店については、よくそういうことは聞きますので、よく注意はいたしておりますが、今申しました通り、資金の量がごく少いものでございますから、代理店ということじゃなくて、何かしたらどうかということを、ときどき考えるのでございます。まあ資金の総量の問題とワクの問題と、減額していきますと、なおさらそういうことが起ってくると思います。その辺なお注意いたしたいと思います。
○内田委員 私は、むしろそういうことは、かえって看板に偽わりがあるから、やめてしまって、それを信用金庫なりあるいは相互銀行なりをふやしてやった方が、中小企業者は当惑しないでいいのではないかとさえ、これは私見でございますが、思いますので、いろいろまた御研究をお願いいたします。 その次に、直接貸し等については、たとえば業種別のワクというものは、開銀資金同様に設定をされておるのでありましょうか。たとえば、直接貸しの分何千億のうち、化学工業にはこれだけ、機械工業にはこれだけ、あるいは繊維工業にはこれだけというような、大体のワクでも想定されておるのでありましょうか。それとも、早い者勝ちに、資金需要がそうないと思われるものも、来た順に審査をしてやっていって、非常に金の忙しい業種であっても、あとから来たものはだめ、こういうことになっておるのでありましょうか。これは、私も、どっちにしたらいいかわからないのですが、実情はどういうふうにおやりでございましょうか。
○坂口説明員 各業種ごとのワクは作っておりませんですが、優先すべき貸し出し業種を、あらかじめ示しております。
○内田委員 中小企業金融公庫その他の問題も長くなりますから、次には不動産銀行のことにつきまして、主として資金計画のことをお尋ねしたい。不動産銀行は、私の理解するところでは、特殊銀行でも何でもないので、長期信用銀行法に準拠する普通銀行であると思います。しかし、あなたの銀行は、政府が銀行設立の免許を与えるときに、不動産を担保とする中小企業金融をやらせるという趣旨で、これを免許したはずでございますが、実際その精神で貸し出しをおやりになっているのでありましょうか。それとも、免許をとってしまえば、日本長期信用銀行あるいは興業銀行と同じようにやるのだという御方針でございましょうか。
○星野参考人 お答え申し上げます。ただいま内田委員のおっしゃいました通り、主として中小企業者に対する長期の設備並びに運転資金を供給すること、及び不動産担保の金融をいたしますことを、主たる営業目的としております。ただいまの内田委員からの御質問は、多分私どもの銀行が、中小企業に対する金融とは申されないような、大企業に対して大きな貸し出しをしているではないかという御懸念からの御質問かと、私、拝聴いたすのでありますが、その点につきましては、内田委員かただいまお疑いになったような御懸念、もっともだと、私、考えます。と申しますのは、私ども、昨年の四月一日から開店いたしたのでありますが、何しろ開店早々の際には、不動産担保の中小企業者にいたしましても、不動産担保の借り入れの申し込みが、非常に殺到して参りました。その不動産担保の借り入れに対しまして、貸し出しをいたします際には、不動産の鑑定をいたさなければならないし、また抵当権の設定その他につきましても、非常に手数がかかるのでございます。かてて加えて、開店早々のことで、熟練した行員もたくさんおりませんでしたので、理想通りに中小企業者に対する少額の貸し金だけを取り扱っているわけに参らなかった事情があるわけでございます。そうすれば、お前たち大口金融なんかやらぬで、小さな金融ばかりやっていればよかったじゃないか、こうおっしゃるかもしれませんが、そうなりますと、私どもの銀行出発の際に、資本金を十七億五千万円、積立金を八億円、市中銀行さんからの低利資金を二十二億五千万円借りておりまして、四十八億円の資金をもって出発いたしました関係上、その多額の残っておる金を、ただコール市場に流して安閑としているというのでは、一面銀行という名前のあるくせに、お前の方は何をやっているかというような御非難もあるかと存じまして、多少は、私、ただいまのような、大口もお前らやっているではないかという御非難は覚悟の上で、実は初めの間だけは大目に見てもらうつもりでやった次第でございます。しかし、私のどこまでも主眼といたします点は、中小企業に対する貸付並びに不動産担保の貸付ということが、どこまでも主たる営業の目的のつもりで経営していくつもりでございます。
○内田委員 それで、事情はわかったのでありまして、不動産銀行が、長期信用銀行でありながら、中小企業金融ということをおやりになるということであるがために、実は私どもも、今日の中小企業金融というものが逼迫している状況にかんがみまして、政府資金等について、お宅の銀行をぜひ援助したい、こういう気持で昨年来やって参っておるのであります。ところで、昨年は、この商工委員会におきましても、日本不動産銀行の発行する債券を政府が引き受けてもらいたいというような決議をいたしまして、非常に少い金額ではありましたか、ことしの三月までは不動産債券の政府引き受けがあるはずであります。しかし、大体お宅の銀行は、預金は取り扱わないということでありますが、どういう原資を集めて、今おっしゃる中小企業金融をやって参るのでありますか。一般市中に、これから債券をどんどん出して、消化の見込みがあるのか、あるいはまた、今お話しの二十何億円の市中銀行の醵出金が、今後もどんどん増額して続けられるということであるのか。それとも、先般の金融債の政府引き受けというものが軌道に乗り、昭和三十三年度におきましても、政府はこれを引き続いて引き受けようという約束でもあるのでありますか。これを要するに、どういう原資で、一体不動産金融をおやりになろうとするのでありますか。
○星野参考人 お答え申し上げます。昨年の暮れに、当委員会におきまして、中小企業金融対策の一環といたしまして、私どもの不動産銀行の債券の引き受けについても、政府は相当の力を入れてしかるべきだという御決議を願いましたことに対しましては、内田委員、まだ来られない前でございましたけれども、私、状況の報告の中で、とくと御礼を申し上げておいたはずでございます。その点、御了承を願います。 私どもの銀行は、ただいま御指摘の通り、普通の預金はとれないことになっております。自然、金融債の発行によって、資金を求めなければならぬことになっておりますので、この消化の方法につきましては、非常に苦慮いたして参っておる次第でございます。今年度中は、おかげさまで十二億円の債券の引き受けを、政府からしてもらうことになっておりますが、来年度の債券につきましては、私ども来年度の資金の需要は、大体年間を通じて百二十八億くらいになるじゃないかと計算を立てておりますので、その約半額の五十八億くらいを、大蔵省の資金運用部その他の資金でもってお引き受けを願いたいということを、お願いしておる次第でございます。あとの半分は、市中の大銀行並びに地方銀行、その他相互銀行、信用金庫等の消化をお願いするつもりで、努力いたしておる次第でございます。
○内田委員 大蔵省の御当局に伺いますが、不動産銀行の頭取は、大蔵省の方に五十数億の債券を引き受けてもらうつもりで、資金計画を立ててやっておるということでありますが、大蔵省も、ことしの三月までの十二億の引き受けに続いて、三十三年度も、五十数億のお引き受けの心づもりがおありでしょうか。
○鈴木説明員 不動産銀行の方から、先ほど百二十八億の来年の御計画があるということを承わったのでございますが、内田先生か先ほど来おっしゃいましたように、一応不動産銀行というのは、長期信用銀行法によって作られた一つの機関でございます。これの資金源は、結局民間に債券を発行するというのが、一応の建前になっております。その際、民間側からどれだけ集まるかということは、予算編成当時においても、よくわからないことでもございますし、今後、民間の集まり方と、どれくらいに貸し出しをすべきか、その不足の分をどうすべきかということについては、全然引き受けないということではございませんが、その数字については、まだ申し上げる段階ではないと存じます。
○内田委員 そこで、私、主計局あるいは資金運用部の方にでもお尋ねしたいのは、先ほどの商工中金につきましても、とりあえず三十三年度は三十億の債券引き受けであるが、状況の推移によっては、これを増額引き受けてやろうという了解になっておるというお話があり、また今の大蔵省の御答弁でも、不動産銀行についても、原則としては市中消化であろうけれども、状況によっては資金運用部でも引き受けよう、こういうお話のようでありますが、国会に出されております政府の財政投融資計画は、いろいろな機関の市中公募分まで入れまして、御承知のように三千九百九十五億ということでありまして、そのうち資金運用部は二千四百三十七億円の金を出すということになっております。一 ところで、今のは三千九百九十五億、あるいはそのうち資金運用部の金が二千四百三十七億、これが資金運用計画の方でありますけれども、これと一緒に資金運用部の原資計画というものか出ておって、資金運用部の方の原資を見ますると、郵便貯金で幾ら、あるいは特別会計の余裕金で幾らというような項目別に集計されて、やっぱりそれがちょうど運用計画の二千四百三十七億にきちっと合っているわけであります。もし、商工中金債の引き受け増額とか、あるいは不動産銀行の債券の新規引き受けというようなことをやるとすれば、これはどこからか財源が出てこなければならないわけであります。これは、何か政府の予算説明書の印刷誤まりか、それともインドネシア賠償の棒引き落しじゃないけれども、あれと同じように、何かミス・プリントもあるのでございましょうか。政府の説明を見ますと、郵便貯金でもふえない限り、不動産銀行にも、あるいは商工中金にも、債券引き受けの余裕がない数字になるのでありますが、どういうふうに読んだらよろしいか、大蔵省の御説明を願います。
○鈴木説明員 これはミス・プリントではございません。三千九百九十五億という財政投融資を組む際に、どういった原資をもって充てたかということを示しているわけでございます。すなわち、三千九百九十五億の内訳といたしまして、産業投資特別会計から二百七十七億、資金運用部資金から二千四百三十七億、簡保年金資金から八百五十八億を使ったということでございまして、その三千九百九十五億の規模を説明する、その原資の内容を示しておるわけであります。
○内田委員 それでは、資金運用部の方は、一応ここで二千四百三十七億を財政投融資の原資に回すということにしてあるが、この表には現われていない、ほかの隠し金が何ぼでもある、こういうのでございますか。
○鈴木説明員 何ぼでもあるというわけではございませんが、若干のものはございます。それから産業投資特別会計におきましても、二百七十七億というのは、産業投資資金からの繰り入れが三十億しか見ておりませんので、あと百二十億の資金が残っておるという格好になっております。それから資金運用部につきましては、来年の二千四百三十七億のうち、新規原資による以外のもの約九十億を見込んでおりまして、ことしの解除に使います金その他を残しまして、あと、現在の段階で確実なところを求めれば、ほぼ二百億くらいのものが残るのではなか、このように考えております。
○内田委員 産業投資特別会計の資金のうち、三十三年度に持ち出した残りがあるということは別といたしまして、資金運用部の資金が、今おっしゃる通り、二百億くらいは確実なところ残るというお話ですが、それをこういう表に出しておかないというのは、隠し金のようになりてしまって、私はおかしいと思う。これだけ金はあるけれども、これは使わないつもりだから、この表には表わしておらぬというのなら、備考か何かつけてないと困る。それならば、今の商工中金債の増額引き受けも、あるいは不動産銀行の債券引き受けも、大蔵大臣の決心一つでできるわけでありまして、財源は幾らでもあるわけだ。それに関係して、この特別会計の説明の中に、資金運用部特別会計というのがあります。これは何も、貸す金が歳出で、返る金が歳入というものではなく、利息をかせぐものが歳入で、預かった方の資金に対して利息をつける方が歳出、その他人件費、事務費が歳出だということになりますが、この特別会計の説明を見ましても、資金運用部資金の調達は二千四百三十七億円だ。そのうち郵便貯金が千百五十億、簡保年金の余裕金が四十五億、厚生年金から回ってくるものが四百八十五億、その他十二億ということで新しい資金が構成され、その他に国債が償還される分とか、地方債の償還される分とか、合せまして二千四百三十七億だ。資金運用計画ではなしに、資金運用部特別会計の歳入歳出の説明にそう書いてある。そうだとすると、これ以外の余った金といっても、これは郵便貯金で入ってくるとか、あるいは他の特別会計から入ってくるとか、あるいは国庫の余裕金を利息をつけて預かっておる。それはみな利息のつく金を預かって寝かせておるということであります。こういう利息のつく金を預かって寝かせておいて、それを不動産銀行にも、商工中金にも貸さないということになると、これはかせぐ方法がないのでありますが、これは特別会計の収支計算が間違っているのじゃありませんか。
○鈴木説明員 これは財政投融資計画におきまして考えておる資金調達及び運用計画を書いてあるわけであります。資金運用部特別会計といたしましては、先ほど私ども説明いたしましたように、その以外に繰越金という格好で、三十一年度以来の剰余金があるわけでございます。これは、もちろんコストのかかった金でございますので、日銀の国債、短期証券等をもちまして短期的に運用していく。それから財政投融資に書いてありますが、財政投資の運用に当っては、経済情勢及び金融情勢の推移に応じて弾力的に行うこととすることという意味が、もし全然そういった余裕資金がなければ、ただ引き締めるということにしか使えないわけでございますが、これを追加しても運用するという意味は、若干そういったものがあるということを前提としているということでございます。
○小平委員長 内田君、ほかにまだ数名ありますから、この辺で……。
○内田委員 これは大切な問題ですよ。与党だからいいけれども、野党が出したら……。私がここでうみを出しておるから、もう一度野党の諸君が予算委員会に持ち出してやってもだめなんだ、ここで種痘しておくような意味で、私はやっておるのであります。 しからば、お尋ねしますが、今度三十三年度の予算において、例の四百三十六億円という資金をたな上げされる。たな上げするうち、二百二十一億というものは、これは例の経済基盤強化資金とかいって、資金の中へぶち込んでおく。しかも、その資金を預金部に預け、預金部から利息をもらって資金をふやすのだということになる。あとの二百十五億も、これは公庫等に資金を出資して、その金は使わせないで、資金運用部に預けさしておく。そして利息を稼ぐというのでありますから、それだけを計算しましても、あなたが今言うように、資金運用部の三十一年度からの剰余金というのではなしに、新しく一般会計あるいは公庫等を通じて入ってくる金が四百三十六億あるわけでありますが、そういうものもここに載っていないわけであります。それは、預金部で利息を稼いで入ってくるわけでありますが、利息を稼ぐ以上は、運用しなければ稼げない。この表にも出ていないし、利息の稼ぎ方も書いてないのでありますが、その金も資金運用部で寝ていて、利息はついていくのだから、使っていい金だ、中小企業に回していい金だと理解してよろしいですか。
○鈴木説明員 先ほど若干誤解があったようでございますが、私どもの資金運用部の資金計画とか運用といった場合は、長期計画に充てる意味のことを考えているわけでございます。たな上げ資金四百三十六億円は、お説の通り、運用部に預託をされるわけですが、このたな上げの趣旨からいって、これを民間に今の段階において放出するということは、逆にいえば、一般会計でたな上げして、運用部から放出するということになるので、たな上げの趣旨に合致しないのではないか、こういうように考えておるわけでございますが、もちろん情勢が変って、そういうたな上げ自体の必要がないというときになれば、決して使えないものではありません。
○内田委員 これは、ほんとうは非常に大へんな問題ですよ。一般会計において四百三十六億をたな上げして、そうして資金にする。あるいは公庫に基金として出しておいて、元本を使わせないということは、一般会計の問題としてはいいのでありますが、その四百三十六億は、資金運用部に預託をするわけです。資金運用部というものは、読んで字のごとく、資金を運用する部で、資金不運用部ではない。これは普通の金と同じように、資金運用部に入ってくる。従って、利息を払う。資金運用部に入った金を使わない。資金運用部の資金の中で使わないということになれば、これはほんとうは、これこれは使わせない、資金としては利息をつけるけれども、たな上げするんだという、もう一つの法律が要ることになる。あなたの言うことは、趣旨としては私はわかるのですが、制度論としては、非常におかしい。だから、私は、どこまでも資金運用部には、少くともそういう四百三十六億も使える金があるはずだ。 中小企業が非常に金が逼迫して大切だということなら、私はそれを勇敢に――勇敢にということは、情勢を無視してということではない。中小企業金融の情勢によっては、これは使える金だ、使わせないという法律はないのだから。しかも、資金運用部という運用するところに入っている金だから、使える金だと私は理解するし、だれでもが理解していいと思うわけであります。そこで、私は実は、商工中金はもちろんのこと、国民金融公庫においても、あるいは中小企業金融公庫におきましても、また日本不動産銀行におきましても、情勢上金が必要の場合は、そういう金ばかりでなしに、資金運用部の中での繰越金もあるのだから――これには書いてないけれども、あるのだ、必要とあれば出し得る可能性のある金があるのだということを、私はここで、あなたが何といっても、あなただけの説明では理解せざるを得ないわけであります。そこで、不動産銀行というものは、特殊の使命をもって作られたものでありますから、情勢は中小企業金融が逼迫している。冒頭に申したように、全国銀行の中小企業に対する貸し出しというものは、ほとんどふえておらない。あるいはふえ方が非常に少いという状況でありますから、私は、ぜひ一つ、大蔵当局にも大いに考えていただきたいし、通産省も遠慮することはない、また政府金融機関当局並びに政府が、自分の子として生んだ不動産銀行の頭取さんも決して遠慮することはない、かように私は申し上げたいのであります。 それはそのくらいにいたしまして、最後に、国民金融公庫について、一言お尋ねしたいのであります。国民金融公庫は、大へん人気がありまして、われわれ地方から出て参る議員といたしましても、地方でなかなか持てて、評判がよろしいのであります。ところが、この資金の流れる方向が、中小企業と逆のことを言うようでありますが、中小企業だけの方にしか流さぬという格好になってきております。これは中小企業金融公庫でなしに、国民金融公庫でありますから、いわゆる商工業でなくても、農業経営等に関連する国民の生計資金にも、やはり公平に回してやっていいと思うのであります。それを、いつどこでどうはき違えたのか、小型中小企業金融公庫というような観念になってきているようでありますが、総裁はそれをお気づきになっておられますか。もし、お気づきになっておられましたら、一体どのように考えたらよろしいものでございましょうか。
○中村説明員 国民金融公庫の貸し出しは、中小工業とおっしゃいましたが、その実態は、商業資金が大部分でございます。ほとんど五五%は商業資金でございます。これの半分か製造メーカー、あとの四分の一がサービス業であります。医者なんか案外多いのでありますが、医者とか、あるいはサービス業に行っております。本年度予算は農業に――これは純然たる農業でなしに、農業に関連して、乳牛を飼うとか、いろいろなことがあります、これをどうするかという問題がありますが、これなども、法律の建前からいったら、国民大衆が生計を立てるために事業をするので、その事業計画がしっかりしておれば、貸していいことになっております。限定はしておりませんから、それらに対しましては、実情に応じまして私はめんどうを見ていいと思っております。ただ、何分にも非常に対象が多い、それから店舗が多い。支所が七十幾つ、代理所が七百幾つありますので、なかなか末端に惨透しないことがあります。問題が起ってわれわれのところに来れば、適当にさばいておりまして、決して小型の中小企業金融公庫であるということは、私は目的としてもおりませんし、また現にそういうふうにやっているつもりもありませんから、末端でそういうことがありましたら、どうぞわれわれのところへ言ってきて下さい。適当にやります。
○小平委員長 田中武夫君。
○田中(武)委員 四つの金融機関の代表の方の御意見を承わっておりますと、まず中小企業金融公庫と国民金融公庫の両代表の方の御意見は、大体三十三年度の需要には大丈夫である、こういうような意見だったと思う。あとの商工中金と不動産銀行は、不安である、こういうような意見であったと思います。そこで、まず国民金融公庫の中村総裁にお伺いいたしたいのですが、国民金融公庫は、今まで、二十万申し込めば十五万とか、十万申し込んで八万というように、一割か二割頭を切って貸し付けておられる。これはおそらく資金のワクが足りない。そこで、多くの需要にこたえるために、数多くするために、そうしておられるのじゃないかと思う。だがしかし、一面、二十万といっても、どうせ十五万しか貸してもらえぬ、こういうところから、逆に、二十万要るところを二十五万ということで申し込んでいるような傾向もあるかと思うのです。先ほどの御意見では、来年度は、大体見通しは大丈夫だということですが、そうであれば、はっきりと申し込んだだけの金は、もちろん調査は必要だと思いますが、貸し得る自信があるのか。そうでなければ、せっかく借りても、十万要るところを七万か八万借りて、あとわずか二万三万のことで、その借りた金が十分に生きない、こういう実情もあるのですが、いかがですか。
○中村説明員 ただいま御指摘の通りの事情がございます。件数で申し上げましても、これは直接支所へ参りまする申し込みでございますが、七〇ないし七五%貸しておるのでございます。ところが、金額の方は大体四七・八%から五〇%です。してみると、貸すことは貸すが、金額は値切るということが、はっきりしております。実は、私ども就任いたしまして、正直なところ、値切る。向う側では、たとえば五十万ほしい、五十万申し込むと、何となく三十万にする。そうすると、五十万ほしいところは、向うは八十万とくるじゃないか。イタチごっこになるじゃないか。これは避けた方がいいと言っておりますが、現在そういうイタチごっこがある程度発生しているとすれば、なかなかむずかしい問題ですけれども、しかし、趣旨としては、要る金は思い切って貸してやれ。そのかわり、要らぬ場合にはなぜ値切ったか、五十万を三十万に値切ったときは、こういうわけで値切ったということを、納得いくように説明しろ、こういう指導をしております。大体設備資金は、私どもの方は、おそらく四分の一くらいでありますが、設備資金を値切ることは意味ないのでありまして、五十万で店舗を改造するというのを、三十万に値切れば、いいかげんなものになってしまう。意味ないのでありますが、運転資金は、そこは伸縮性がございまして、本人としては、大いに家業の発展のために五十万円仕入れたい、五十万円申し込む。ところが、申し込みが非常に多いから、君の方は順序を待て、まあ三十万で一ぺんやってみて、そしてさらに勉強して下さいというようなこともあり得るのでありまして、必ずしも申し込み通りに運転資金全部を貸さなければならぬというのは、疑問だと思いますが、設備資金においては漫然と値切ることは無意味でありますから、そのことは、厳重に申し渡しております。 なお、今のイタチごっこがあるかないか、それからどういうふうに削るなら削っておるか、それらの点につきまして、実は全国七十二の支所でやっております実情が、的確に中央に把握されておりませんので、ただいま実情をよく調べておりまして、調べました結果、つまり、申し込みの方々に何となく不安を抱かして、どうも国民金融公庫に行くときは、五十万のときは八十万と言おうというようなことのないように、何らかの方針を打ち出したいと思って、目下せっかく資料を集めております。
○田中(武)委員 よく調査していただきたいと思います。実際、運転資金なら、若干削られても、それは間に合うと思う。だが、設備資金で、現に削られておるものが多いのです。だから、今、総裁も言われたように、ともかく三十万要るところなら、五十万くらい言っておかなければ三十万にならない。何となしにこういうことに、一般的になりつつあるのです。こういう点につきましては、十分指導していただきたい、かように思います。 それと同時に、窓口で実際の調査をしておられる方たちについて、本所としてどういう御指導をしておられるのか。実は、その支所の名前は申し上げませんが、調査をせられました結果、申し込み者に十分担保力がなかったのかと思いますが、その調査員が、私のところは慈善事業ではない、こういうような言い方で断わられた、こういうことを聞いたわけなんです。それで、私、慈善事業ではないが、国民金融公庫は高利貸ではなかろう、こういうように申したこともあるのです。これは直接言ったのではないのですが、そう言ったことがあるのです。こういう点について、総裁とせられましては、直接調査に当られておる人たちに対する指導方針を、明確にしてもらいたいと思います。、もう一つ、これは金を貸す以上、担保能力を調べるのは当然ですが、このごろはほとんどが、保証協会の保証をもらえ、こういうのが多いようです。もちろん、保証協会の制度これ自体、担保力のない者に担保力を提供してやろうということですから、大いに活用すべきだと思うのです。何回も当委員会で申し上げたのですが、保証協会の保証をとるということは、結局は、保証料を支払うことになるので、利子を二重に払うようなことにもなるので、保証協会の保証を言い出すのは、どういうような基準で指導しておられるのか、その点をお伺いいたしたいと思います。
○中村説明員 第一の点は、公庫に七十の支所がありまして、約二千二百人でございます。そのうち審査に当るものが何割かございますが、何分にも設立以来八年でございまして、若い人が多いのです。その点で、窓口で至らぬ点のあることは承知しておりますが、機会あるごとに十分指導しております。なお、ただいまの慈善事業ではないということは、それ自身は、別に間違ってはいないのですが、そういう口のきき方がはなはだまずい場合は、よく注意しております。私どもの今の指導方針は、お断わりするときは、納得させる、こういう点をやってくれ。しかし、全然はしにも棒にもかからぬものは仕方ないのだが、こういう点が不安だというなら、その不安の点を解消する、こういうようにしてもいいじゃないか。従って、私も機会あるごとに、国民金融公庫に来て、手が足りないその他で断わられて、御不快にお思いになる点があるかもしれぬが、断わられた場合、どこが悪くて断わられたか確かめて、その点を直したら、さらにもう一ぺん申し込んでいただきたい。一ぺん断わられたらもうあきらめるということではいかぬと言っておりまして、現に何度も何度も根強くがんばりまして、こちらの心配する点をだんだん直して、借りられた例もあるのでありまして、その点は、そういうふうにお願いしたいと思います。 それから、第二の信用保証協会でございますが、これは、私の考えとしましては、信用保証というのが、やはり都道府県あるいは政府の金、公けの金でやっておる。それを市中銀行さんが御利用になるのは当然であるけれども、政府金融機関が、そういう政府に近いような金で保証をとるのを原則とするという方針はいかぬじゃないか、保証料がかかるのだから、私はむしろ受け身です。たとえば、こちらが非常に不安がある。それに対して保証協会の保証をとるということで、ぜひ貸し付けてくれという場合、それを拒否することはないけれども、こちらから、保証協会の保証をとってこいということを、積極的に言うことはいかぬと、前から思っておりまして、現にそういうふうに指導しております。また地方の特殊事情で、相当保証をとっている場合が多いところもございます。しかし全体的には、非常にわずかでございます。それらにつきましても、その事情を漫然といつまでも続けることなく、信用保証はできるだけ受け身だ、受け身の場合は仕方がないが、こっちから積極的に保証をとってこいということは、避けるべきだということで、指導しております。
○田中(武)委員 だが、実際は受け身でなくて、積極的にとってこい、こういうのか多いようです。よく実情を調べていただきたいと思います。 それから、国民金融公庫の職員の待遇が、他の一般の金融機関に比べてよくない。こういうことも聞くのです。あとまた商工中金とか中小企業金融公庫等も、どういう関係になっておるか知りませんが、最近、国民金融公庫の待遇はよくない、あるいは国民金融公庫の事務に必要な、たとえば計算機その他の備品等も十分でないために、能率が上らない、こういうようなことを聞くのですが、実情はいかがですか。
○中村説明員 それは非常に同情のあるお言葉で、まことに心強いことでありますが、国民金融公庫は、市中金融機関ではなくて、他の政府機関に比しましても、確かに給料あるいは事務費の一人当りの金額等は、割合少いのであります。しかしながら、何分にも他の政府機関に比しまして、組織あるいは人員が非常に膨大であります。しかも、低利の金を融通しておりますので、その関係で、どうしても査定が渋くなることも、理解せられないではございません。しかしながら、あまりにひどい懸隔はいかぬというので、毎年大蔵当局にお話をいたしまして、非常に同情的立場で漸次改善されまして、三十三年あたりは、相当改善を見ております。まだ追いつきませんけれども、これは時を追ってすれば、必ず今よりはよほどいい状態になると考えております。三十三年度におきましては、相当改善されたと思っております。
○田中(武)委員 たとえば、第一線で直接借りに来る人に応接する人たちの待遇等は、考えてやっていただかないと、その腹が、借りに来た人に当るという実情かあるのではないか、そのようにも思うわけであります。 その次に、中小企業金融公庫さんにお伺いいたしたいのですが、先ほど内田委員も若干触れておられましたが、実際の数字といたしましても、三十一年度の直接貸しが二十一億円で、本年度が七十億円ぐらいの見通しである。来年度はもっとあるということで九十億円、こういうふうに見積られておるのですが、われわれから見ましても、大体中小企業金融公庫その他の政府機関へ金を借りに行くというのは、一般市中銀行から貸してもらえない者が行くわけです。行ったところが、お宅の取引銀行を通じていらっしゃい、こういうことでは、実際は存在価値といいますか、中小企業の金融機関であるというほんとうの意味が、達せられていないのではないか。しかも、よく聞くことでありますが、相互銀行といえば、当りがあるかもしれませんが、そういうところでは、百万借りるときに五十万契約せよとか、あるいは実際に金を預けろとか、そういうことは指導していない。そういうことはやらさないのだと、いつかもこの委員会において言われたと思うのです。だが、実際において行われておるということ、そういう点からも、これは窓口の関係とか、あるいは支所の関係等々がありまして、直貸しということは無理かと思いますが、ほんとうの機関としての能力といいますか、価値を高めるためには、やはり直貸しの方を希望しているのじゃないかと思うのです。大体、九十億とだいぶん数字も上げておられますが、今後どういう御方針を持っておられるか、お伺いしたい。なお、直貸しの場合、問題になるのは、手続の煩瑣な点です。書類等を要求せられても、一人前の税理士とか経理士を雇い切っておるような会社、企業等が作るような書類を要求せられる。ところが、窓口へたよっていくようなところは、そういった専門家もいないから、要求せられた書類が十分整わない。だから、めんどくさい、こういうことになりがちだと思うのです。そこで、できれば窓口において、そういう書類の作り方、あるいは資料さえ持ってくれば、書いてあげましょうというところまで、親切を持っていただきたいと思うのですが、一つ、坂口総裁の今後の御方針をお伺いいたします。
○坂口説明員 先ほどもお話し申し上げました通り、代理貸しにつきましては、注意はいたしておりますものの、よくそういう非難を聞きますので、できるだけ、私どもの公庫の処理能力がある限り、直接貸しをいたしたいと考えております。来年度一応九十億円くらい行くと見込んでおりまするが、できるだけそちらの方を伸ばしていきたいと思います。ただし、それだけでは、代理貸しの弊害を一挙に取り除くまでにいきませんので、代理店の指導等につきましても、この前にもお話し申し上げました通り、さらに注意をいたしまして、そういう弊害の少いようにいたしたいと思いますし、先ほど申しました通り、代理金融機関につきましては、一番緊密な関係にある商工組合中央金庫さんの方にもお願いいたしまして、直接貸しと同じような効果を上げるようにやっていただくということも考えております。 それから、第二の点でございますが、書類につきましては、当初発足いたしましたときに比べますと、書類をいただく分量も非常に少くいたしまして、できるだけ借りにおいでになる方に、手数のかからないように心がけております。実は、昨日から各支店の審査に当る者を呼びまして、話し合っておるのでございますが、審査に当る者も、できるだけ申し込みに対して簡易に、また早くいくように、いろいろなことを相談し合っております。いろいろな点で、まだ十分にいかない点もあろうと思いますが、だんだんに改善して参りたいと思います。この一例として申しますと、書類は実は当初非常に多くいただいておりましたが、このごろは、当初の三分の一以下になっております。また、それに加えまして、この書類のうち、できないものがありましたら、その旨つけ加えてもらえばいいからということにいたしております。ただ、審査に参りまして、書類ができておりませんと、多少審査に手間取ることはあるがと思いますが、できるだけ書類は簡単にしてやっていきたいと考えております。
○田中(武)委員 これは、はなはだ皆さんに失礼な言い方かもわかりませんが、国民金融公庫にしろ、商工中金あるいは中小企業金融公庫にしろ、幹部の方々が、大蔵省とか通産省とかの出身者が多いせいかどうか知りませんが、一般官庁より、むしろ公庫と名のつくところの方が、やり方が官僚的である、こういうことがよく批判せられておるわけなんです。何か形式的な官僚主義である。こうい点についても、一つ今後十分改めていただくように、考えていただきたいと思います。 次に、不動産銀行の方にちょっとお伺いいたしますが、昨年四月に発足して、一年もたたないので、まだこの銀行があるということを知らない人も、多いようでございます。現に東京と大阪しか店がない、こういうことで、知っておっても、利用できないという人も多いと思う。そこで、先ほどお話もありまして、代理貸付の契約を、一般市中銀行その他の金融機関とやって、できるだけ多く希望に沿いたい、こういうことですが、現在、代理貸付契約を進めておられる状況、一体、どういうような基準で、どういうような地区で、現在何ぼくらい契約を進める予定なのか、そういう実情をちょっと御説明願いたいと思います。
○星野参考人 お答え申し上げます。代理貸しにつきましては、御説の通り、なるべく早く各地方銀行と代理契約を結びまして、地方の中小企業者の方々の不動産金融に対しまして、なるべく御不自由をかけないようにと考えておりましたが、地方銀行協会さんの方と、代理貸しの条件につきまして、いろいろ折衝を重ねて参っておりましたところ、この一月の末に、ようやく両者の意見が一致したような次第でございます。その条件は、大体地方銀行さんが――これは相互銀行さんも入っておりますが、私どもの金融債をお引き受け下さいましたその金額の六五%を代理貸ししていただくために、還元代理貸しという言葉を使っておりますが、その金をお貸しして、それを代理貸しのために使っていただく。それで、どういう先にどの程度の御融通をなすって下さるかということは、全く代理店の自由にまかしておきまして、私の方では一切干渉いたしません。それから、代理店で収入されました利息の二六%を、私の方から代理店に手数料として差し上げることになっております。 その次の、ただいま現に代理貸しの契約をやった銀行は、幾つぐらいあるかというお尋ねでございますが、これはまだはなはだ少いのでございまして、約十行ばかりと契約をいたしました。それから、目下各地方銀行さんから、二十二行くらい代理店契約をやりたいからという申し出がございます。これに対しましては、ただいま大蔵省の認可を申請中でございます。なるべく早く、なるべく多くの代理店を得たいと努力しておるような次第でございます。 なお、もう一つ、大へん御親切なお言葉を賜わりました、宣伝が足りないじゃないかというお話でございます。これは私ども外部の方から、ときどきそういうような御意見も聞かされますので、今後機会あるごとに、なるべく多く宣伝することを、心がけておるような次第でございます。
○田中(武)委員 代理貸しをした場合に、その代理貸し銀行は、保証責任をどの程度負うようになっておるのか。たとえば、中小企業金融公庫八〇%とかいうふうになっておりますが、不動産銀行と代理貸しをやりました銀行との責任の分野ですな、そういう点は、どういうことになっておりますか。
○星野参考人 ただいまお尋ねの点は、代理店たる銀行に、私の方に対しまして全額保証していただくということになっております。
○田中(武)委員 そうすると、実際問題として、代理貸しといっても、その銀行の責任においてやる、こういうことですね。 それでは、これはこの程度にしておきまして、最後に、川上長官あるいは大蔵省の方にちょっと御意見を承わりたいと思う。先ほど内田委員の御質問の中にも、最低賃金法がどうなるかわからぬが、今後、中小企業団体組織法が通ったというような関係から、商工中金さんあたりを利用する団体を通じてのものが多くなるだろう、こういうことは、だれが考えても考えられると思うのです。ところが、実際に、現在の実情として、ここにおられるいわゆる中小企業関係の金融機関でも、十分に間に合わない。こういうところから、実は労働者が中心となって作っております労働金庫へいろいろな手続をいたしまして、たとえば、賃金が払えないというふうなときに、いわゆる業者、使用者が組合へ手形を渡す、何かそういうようなことをやって、その手形を労働組合が借りてくる。その手形で、労働組合が労金から金を借りる、あるいは業者と使用者が共済組合を作る、共済会といったようなものを作る。そういう名義なら労金から借りられるから、そういうことによって金を借りているという実情があるのです。これは中小企業の専門金融機関が、中小企業者の要望に十分に応じられていないので、労働者の作った労働金庫にまで金を借りてるという実情があるのですが、長官は、そういう点について実情を御存じでしょうか、いかがでしょう。
○川上政府委員 私、あまりその点については、よく存じておりません。
○田中(武)委員 実際は、たくさんあるのですよ。われわれも頼まれまして、はっきり言って、中小企業金融公庫へ行くよりは、労金へ行く方が顔がきくので、労金へよく行くのですね。ところが、ここで困ることがある。ということは、保証の問題です。そういえば、今度この保証は、公庫を作って中小企業金融の円滑化のためにやるのだ、こう力んでおられるのですが、労金は実はその保証の対象にならない。従って、政府機関あるいはこれに類する中小企業の専門金融機関からすら、借りられない。こういうように、業者が手形ぐらいを組合へ渡して、組合が顔をきかして借りるぐらいなことでは、労金の人も困る場合がある。そこで労働金庫も、貸付の場合に、保証協会の保証といいますか、今度できる公庫というものの対象といいますか、これは大蔵省がやるのかどこがやるのか、私はよくわかりませんが、そういうような点については、いかがでしょうか。労働金庫が中小企業の専門金融機関だということは、おかしい格好になるのですが、実際はそういうことになるのですが、いかがでしょう。
○川上政府委員 現実の姿として、保証協会がそういう点までも保証しておるかどうか、それは私よく知りませんが、そういう問題については、この保証協会の強化策と並行して研究していきたいと思っております。
○田中(武)委員 労金は、保証協会の保証が課せられないということらしい。何かそういう規定があるようです。そこで、現実の問題として話をした場合、それで課せられるなら労金も貸そうというのですが、そういうことで、貸すことができない労金の建前になっているので、どうも困る。事が賃金の問題等で、労働者にも直接影響があるので、われわれ困る面もたくさんあるわけです。ことに最低賃金法が議案となり、あるいはまた先ほど来内田委員も言われておったように、中小企業団体組織法の実施等に伴って、そういう面が多くなってくると思うので、そういう点についても、十分検討といいますか、研究をしておいていただきたい、このように思います。
○小平委員長 阿左美廣治君。
○阿左美委員 時間もありませんし、いろいろ私のお聞きしたいことも、内田委員その他の方から適切な御質問を申し上げましたので、簡単に私の意見を申し上げたいと思うのでございます。 一体、この中小企業の金融ということは、政府におきましても、中小企業対策として非常に取り入れてあるわけでございます。これは、一にも二にも、一つの政策として中小企業対策というものが大きく取り上げられておるのでございますが、その施策の内容を見ますと、まことに貧弱なるものでありまして、本日ここに御出席の、中小企業金融公庫、商工中金、国民金融公庫、日本不動産銀行というような皆さんは、それぞれ中小企業に最も関係の深い金融機関でございますが、その政府予算の内容を見ますと、まことに遺憾でございます、どうしてこれが実現できないかということを、いろいろ考えてみますと、これは私は、原因があると思います。どうもこの機関に対して、中小企業そのものがあまり信頼していない、相当の恨みを持っているというようなことに、原因しておるのではないか。これは鶏が先か卵が先かというようなことになると思うのですが、中小企業者というものが、この金融機関を信頼して、われらの金融機関である、これを政府がおろそかにすれば、われらは承知しないぞというような熱意を業者に持たせるということが、こういう問題を解決する上において、最も必要なことじゃないか、こう思うのです。ところが、どうも商工中金にいたしましても、業者から言わしめると、金利は市中銀行よりも高い、調査その他の手続が非常にきつい、非常にまた調査がのろい、どこによいことがあるか。こういうようなことで、あまり業者がこの機関を信頼をしていない。こういうことに原因があるのではないか。もし、この金庫、公庫に、中小企業というものが深い信頼を持っておるならば、現在のようなことをこのまま捨ておくことは、承知しないと思うのです。実際、中小企業というものの現状から見まして、わが国の経済の上におきましても、重大なる役割をしておるところの中小企業というものが、一般の金融機関から借りるところの金利よりも高いというようなことで、満足するはずはないのです。政治的にも、これは大いに考えなければならぬと思うのです。それが、どうしても改善ができない。委員会でどういうことを言いましても、予算編成に対して、われわれがどういう主張をいたしましても、その意のごとくならざるということには、原因があると思う。私は、現在の世の中に、こんなばかげたことはないと思うのです。こういうことが、どうして解決ができないのか。これは、金融機関の皆様におきましても、一般の中小企業と手を握って協力して、こういうふうにしてほしい。こういうことのために、われわれは金利を引き下げることができないのだ、また御要望に応ずることができないのだ。政府のわれわれに対するところの投融資はこうである、こういう事情であるというようなことを、私は深く訴えてもらうがよろしいと思う。そういうことになりますれば、必ずあなた方への恨みが解けるのではないか。私は、この中小企業金融に対しましては、ここにおいでになっている加藤さん方に対しては、始終取っ組んでいますから、相当の体験を持っておるし、私の言う言葉は、信用して聞いてもらってよろしいと思います。私は、決して講釈を言うのではありません、ほんとうのことを言うのでありますから、ある程度皆様におきましても、なるほどそうかというお気持で聞いていただく必要があると思うのです。何といいましても、現在の政治は国民の声でございます。声なき政治は、やはり行えないのでございます。中小企業が黙っておる、どういう扱いをされても、死ぬまで黙っておるのが中小企業である、こういうことでありまして、もう少し金融機関が中小企業者を背景にして、あなた方の主張を国会に通してもらうというようなことを、お考えいただくべきではないかと思う。ただ、皆さんが一人で悩んでおるというようなことも、どうも無意味なことだと思う。これは私は改善ができないはずはないと思います。一体、中小企業に対する金利が、一般市中銀行の金利より高いということはないはずです。それがそうできないということは、どこにか欠陥があるのです。そういうことは、大いに今後反省をしてもらう必要があると私は思うのであります。私が本日非常に喜んでおることは、北野さんは前の実績は商工官僚である。ことに群馬県知事をおやりになった行政官である。この方が商工中央金庫の理事長になられたということは、北野さんにおいてこれを改善してもらわなければ、私はほかに改善できる人はないと信ずるのであります。ゆえに中小企業の立場から、私は大いに意を強うするわけであります。私の言うことは、決して影も形もないことを申し上げるのではございません。実際現実に、現在の世の中であり来たっておる、一般の業者が言わんとするところを言っておるのでありますから、これを簡単に講釈に聞いてもらってはまことに困る。これは大いに御信頼を受けてやっていただきたいと思うのであります。どうも、いろいろ業者の裏話を聞いておりますと、実際に恨みを持っておる。第一、動作がのろい、こういうことであります。中小企業の、経済的に浅い業者というものは、いろいろな経済事情の刺激を受けやすいのです。わずかのことでも、すぐ経済の影響を受けるのでございまして、金が要るというときには、直ちに必要なんです。また季節的に金融の必要ある業種が、いろいろあるわけです。北野さんも、群馬県の知事をなさっておいでになったのでありますから、そういうことに対しては、申し上げるまでもなく、よくおわかりになっておると思います。そこで、中小企業というものは、金融は苦しかったり、またゆるくなったり、ちょうどパチンコのようなものです。だめになるかと思うとよくなる、よくなったかと思うと悪くなるというのが、中小企業なのでありますから、そういう金融というものは、非常に拙速をたっとぶのです。一年のうちに二度や三度はよくなったり悪くなったりというのが、中小企業です。それに対する金融をいたすということになりますと、どうも今の事情からいいますと、ちょうど悪くなったときに申し込みまして、よくなったときに金を借りる、あべこべ、あべこべというようなことになっておるのです。どうもその金が役に立たない。かえって、金を借りたために、ひどい目にあうというようなことも、ないことはないと私は思います。そこで、今回、中小企業団体組織法というものが国会を通過いたしまして、この四月から実施されることになりますが、どうしても私は、中小企業対策というものは、組合を通じなかったら、いかんともなすことはできないと思います。個々の中小企業に対して、金融をめんどうを見てやろうということは、実際問題として、不可能じゃないか。どうしても、これは中小企業というものが一つ団結をして、組合組織を作って、組合を強化して、その組合にやはり金融を施すというようなことでなかったら、とうてい実際問題としてでき得るものではないと私は思います。今後、組合金融というものを非常に深めていただきたい。常時組合の内容を、すべて工場診断、組合診断をしておく。この組合はどういう状態であって、今どういうことをしているというようなことを、常に御調査を願っておく。そうして、かりにその組合から資金の申し込みがなくても、やがてはこの組合ではこのぐらいな資金が必要だろうというようなことが、中金におわかりになるような仕組みがなかったならば、これは実際、真に中小企業の金融というものに対して、完全な金融は私はできないと思う。そういうことになれば、電話一本でいい。これこれこういうわけで、こういう資金が必要だということを、組合から電話がかかってきたならば、すぐにそれが送金できるというようなところまで、中小企業に対するところの金融が完全に行われるならば、これは非常に信頼すると思うのです。そうしてまた、それがために、すべての資金指導をする必要がある。やはり営業の運営に対してまでも、すべて参考の意見を金庫が言うというようなことで指導していきますならば、完全に中小企業というものは生きられますけれども、現在のような運用の金融をすれば、むしろこれは、金を貸すためにお互いがひどい目にあう。金が必要なときに金がこなくて、要らなくなったときに金がきたということは、現にあるのですから、そういうことのために、非常に業界は困っておる。それで、大体において百万円申し込めば、それは七十万円にしろとか、五十万円にしろとか、まず申し込んだ金額を貸したためしがない。こういうような点、いろいろ工場診断なら工場診断、組合診断なら組合診断というものを常に怠らずにおいて、もし申し込んできたところが、どうもそれじゃ金が足りないだろう、もう少し貸すからこういうふうにして使え、というようなことをいたしますれば、これは必ず回収も容易である。ところが、必要なだけの金を貸さないから、もう初めからその資金に対するところのアンバランスになるのですから、金を借りても返せないということになるのでありまして、現在そういうようなことを繰り返しておるわけですからこれを改めて、もう少し一般の中小企業というものの信頼を深めて、商工中金を支持して、われらの金融機関である、政府、何をしているんだというような世論を高める必要が、私はあると思うのです。どうも皆様のそれぞれの機関の背後にいるところの中小企業が、皆様の悪口を言っておるようなことでは、私は、これはどうにもならぬじゃないかと思う。どうも、最近のいろいろな情勢を見ていますと、強い者が勝つのです。すべての施策をやるといたしましても、声のないところには政治は届かない。どうしても中小企業そのものか目ざめなかったならば、金融機関だけをどうのこうのと言うただけでは、始まらぬのじゃないか。しかし、中小企業が先か、皆様が先かということは、どうもどちらが先になるか、あとになるかということになりますけれども、一応皆様は、中小企業というものを自分らのお得意として、背後にそれを育てていく、それの上に乗って、政治的にも意見を言うてもらうということになりますれば、この本年のような予算措置は免れることになると思う。私は、本年の商工中金の予算を見ましても、昨年よりも減っておるというようなことは、これはあるはずがないのですけれども、われわれがいかに主張しても、それが通らぬということは、やはり皆さんにも力がないし、また中小企業そのもの、皆さんの背後の人の声がない、こういうことであると思うのですから、これはどうも、ただ言葉のやりとりで、こういうことを聞いたら、こういうことを言ったということだけでは、解決できないと思う。どうしても、これはもう少し中小企業者の背後にあって、皆さんが信用を得るような業務運営をやってもらわなければ、これは国民が承知しませんよ。こういうようなことでは、中小企業というものが黙ってはいません。ところが、黙っておるということは、もうこの金庫にたよっても、この公庫にたよっても、どうにもならぬというので、あきらめているということなんですから、あきらめさせないように、一つ御指導の方を願って、わが国のこの中小業者の資金を、あなた方の手においてまかなっていただくことをお願いをいたしまして、私のごあいさつといたします。
○小平委員長 松平忠久君。
○松平委員 だいぶおそくなりましたから、重複は避けまして、ごく簡単に二、三質問したいと思います。それは商工中金が一番関係深いかと思いますが、先ほども出ました四月一日からの中小企業団体法のほかに、四月一日から新しく実施される政令の改正によりまして、現在一つ問題が起きているわけであります。それは厚生省の所管のことでありますけれども、いわゆる食品衛生法の関係において、昨年の十二月に政令を改正したわけです。このために食品衛生の関係業者が、四月一日までに新しく設備をしなければ営業ができない、こういう問題を惹起しておるわけであります。これも、非常に大きな影響を全国的に与えるのじゃないか。と申しますのは、食品衛生法に追加されましたものの中には、きわめて零細な業者があるわけです。たとえばソフト・アイスクリームだとか、あるいは普通のアイスクリーム、アイスキャンデー、それから、いわゆる清涼飲料水で、現在までに食品衛生法の適用を受けなかった業種でありますが、これがサブ・ステーション的なものを全国に持っておりまして、厚生省の説明によりますと、たとえばヤクルトとかヨーグルトとかいうような、新しい清涼飲料水的なものが、かなり最近は出てきたわけです。そして経済企画庁の出した統計によりましても、たとえばマヨネーズのようなものは、昭和二十六年に比べますと、昭和三十二年は二十四倍の売上高になっております。おそるべき勢いで、この新しい清涼飲料水的なものの方向へ、食生活の改善が向っておりますので、ここで政令を改めたわけです。そして、これらの中で、牛乳に似たような飲料水のサブステーションというようなもので、三月三十一日までにどうしても衛生設備を完了しなくちゃならぬというものは、全国的に約四千軒あるわけであります。これは現在は、やはり組合を作ってやるというような指導を厚生省でも考えておりますし、おそらく中小企業庁でも考えておられると思うのです。ただ、聞くところによると、中小企業庁は、厚生省に対して、この政令の適用を四月一日からにすることは、やめてくれということをいっておると私は聞きましたけれども、政府が一たん出した政令を、四月一日からやるというのに、中小企業庁の方が、四月一日からの実施はやめてくれ、黙認して、ことし一ぱいぐらいは延ばしてくれというようなことをいったところで、これはできない相談だと思うので、どうしてそういう間違ったことを厚生省に申し入れしたのか、この点を川上君にちょっと聞きたいと思うし、またこのことは、夏になりますと、ソフト・アイスクリームというものが、国会の中にもあるわけだけれども、あのソフト・アイスクリームに、一つの殺菌装置を作らなければ売ることができないという政令なのです。そういたしますと、それは最小限度二十万円かかるのだ、二十万円のものをやらないと営業ができなくなる。これは、おそらく何万軒あるか知りませんけれども、大へんなことだろうと私は思うのです。しかも、こういうふうに業者に出費をされるようなことを、国会にも全然かけもしないで、一方的な政令の改正によって行われたということについては、問題があると思いますけれども、今はその問題には触れずして、かりに、これが四月一日からやるということになりますと、これは結局行くところは、能力のある者は地方銀行に行きますけれども、私は組合を作るということになると、やはり商工中金に申し込んでくるだろうと思う。それから、設備でありますから、中小企業金融公庫へも申し込んでくると思います。ことに中小企業金融公庫は一昨年の環境衛生法、これによりまして、今度改正案を出されるということを聞いております。対象の業種について、範囲を広げるということになるだろうと思うのですが、それで小さいものは国民金融公庫へも行くのではなかろうか、こう私は思うけれども、これに対して、皆さんの方で、今までこれについて、どこからか連絡を受けて、そうしてその資金計画というものの中にこれを織り込んでおいたというようなことがあったかどうか。これをまず、北野さんは最近の御就任ですから加藤さん、それからあと坂口さん、中村さんに、簡単に御説明を願いたい。
○川上政府委員 法律によりましてそういう措置をとるということになっておるものを、それを一年なり二年なり延ばしてくれ、こういうことを、私の方から厚生省にお願いしておるということは、これは私はきょうが初耳でございまして、全然聞いておりません。あるいは私の部下のところで、何かそういう話をしておるかもしれませんが、私はこれは全然聞いておりませんし、またそういう食生活の改善とか、あるいは衛生関係とか、そういうような問題で、法律的に見ましても、どうしてもやらなくてはならぬようなものを、延ばしてくれというようなことを、私の方が言うはずもないと実は考えておるのでありますが、これは私知りませんので、調べまして御返事したいと思います。
○坂口説明員 私どもの公庫では、まだこの具体的な計画については、伺っておりません。
○中村説明員 私どもの方では、東京都の魚屋さんが私のところに参りまして、何か店の洗い場だとか、物を入れるところの設備をするのに貸してほしい。これに対しては、各支所に対して、できるだけ便宜をはかるようにということを言っております。なお、ソフト・アイスクリームその他については、まだ全然聞いておりません。
○加藤参考人 ただいまお尋ねでございました食品衛生関係の施設の改善でございますが、前にも環境衛生関係で、たとえば理容師関係だとか、公衆浴場関係施設というようなときにも、組合を作ってもらいまして出しておるのでありまして、今度の食品衛生関係で、いろいろの施設をしなければならないという場合も、組合を組織していただきまして、組合融資として取り上げる考えでおるのでございます。厚生省の方から、いろいろ抽象的なお話もございまして、今後これを具体化しなければならぬというようなことで、せっかく話を進めておりますが、まだ詳しくはきまっておりません。
○松平委員 そのことは、川上君の答弁でありますけれども、それはあるのです。あるが、私はあまり深く追及しません。なぜかというに、これは四月一日からやれといっても、無理です。今日この段階になってきて、全国四千軒もあるところに、一律にやれ、しかも、やらなければ営業停止だ、こういうようなことを厚生省が無理やりにやってくるということは、非常に混乱を起すから、そういう意味において、結局若干そこで手心を加えなければならぬじゃないかというのが、あなたの方の部長の意見じゃなかろうかと思うのです。それは深く追及はしません。その程度のことは、それでいいと思います。しかし、私は、これは相当問題になると思うのです。これは法律がありまして、政令によって業種を指定することになっているわけです。その政令で指定する業種を広げたということによって、今度のような混乱が、実は今起きているわけです。そこで、こういうことは今、厚生省の者はいませんから、申してもしようがないわけだけれども、政府部内でよく協調しながらやっていかなければいかぬじゃないか。同時に、金がかかるのですから、金融関係、大蔵省等とも、いろいろ話し合ってやっていかなければ、どうもうまくいかぬじゃないかという一つのケースであります。そこで、今、加藤さんの方から、そういうことについて話があるということを承わりましたが、それでは、おそらくほかの方へも、だんだんと話がいくのじゃなかろうか、こういうふうに思います。同時に、これは国家の要請に基いてやるということであるので、企業庁の長官においても、政府の所属官庁である厚生省がやらせるのだ、こういうことでありまして、国家の要請に基くわけでありますから、この点については、どうしても国家関係の金融機関というものは、これにある程度の協力をしなければならぬじゃないか、こういうふうに考えておりますので、具体的になりましたならば、その点については、三金庫の方で、これを何とか考えていただかなければ困る、こういうふうに思います。その点が第一点であります。 その次にお伺いしたい点は、国民金融公庫でありますが、例の六分五厘で借りて六分で貸すという逆ざやの問題です。一体現在どの程度そういう金を取り扱っておられるのか、そのために、どの程度損をしておるか。逆ざやだけでなしに、かなり人件費も事務費もかかると思うのですが、そういう損失というものは、逆ざやのためにどの程度あるのか。それからまた、この逆ざやは、将来ふえていくと思うのです。これがふえていくと、上納金も納付できないということにもなるだろうと思うし、それらの点で、先ほど田中君も言われたような身分関係あるいは事務費等の関係で、予算が潤訳に回らないとかいうような一つの原因にもなっておるのではなかろうかと思うし、もう一つは、六分で貸すような融資を、自然窓口としてはやりたがらない、こういうことになるのじゃないかと思う、やればやるほど損をするのですから。その点は、一体どういうふうにお考えになっておられるか。また、今まで政府との間に、これについてどういう折衝をなされたかということを、お伺いしたい。
○中村説明員 ただいま御質問の、六分で貸しておる口は、大きいのが恩給担保貸付でございまして、昨年末の残高六十一億でございます。それから、ただいまほとんど貸付はございませんが、今後五年間にわたって引揚者国債担保貸付が百億になる見込みでございます。あとは昔ありました遺族国債担保貸付、これはわずか五億ぐらいの残であります。それから更生資金が約二十億ございますが、これは特別に資金がございまして、六分五厘でないから除外いたします。恩給と引揚者国債がおもなものであります。引揚者国債の方は、五年間で約百億でありますが、恩給の方は、将来年々少しずつふえると思います。これはただいまのところ、六分五厘で借りて六分で貸しておりますが、その点でどれだけ赤字になるかということは、詳しくはまだ計算しておりませんが、毎年二億あるいは三億納付いたしておりますので、三十三年度にどうこうという問題ではないと思います。ただ、数字としまして、六分五厘の預金部資金を六分に回して、プラス事務費、それで、むしろ出資か何かしていただいた方がいいのじゃないかということを、寄り寄り申しておりますけれども、現実的には、ことしの三十三年度予算で、三十三年度の恩給と引き揚げの新規国債担保貸付の方は、出資にしてほしいということを、申したことは申したのであります。しかし、今のところ直ちに赤字にならないから、従来通り貸し付けていこうということで、話をつけたわけであります。
○松平委員 私が、あなたの方の理事にいつか聞いたところによりますと、このためが一番原因だと思いますけれども、三十三年度の大体の見込みでは、三十二年度に比べて利益金が約三億減る、こういうお話であったわけです。十一億が八億になる。それから三十四年度は、それが四億になる、こういうのが、私聞いた話ですが、そういう調子でいきますと、上納金どころではなくて、政府から相当のめんどうを見てもらわなければ、だめになるというようなことになるのじゃないかと思うのです。そうすると、この問題が命取りになってしまって、まことに困るのじゃないか。何とか政府自体として手を打たなければ、逆ざや逆ざやでいったらだめだし、同時に、逆ざやでやっておりますと、せっかく交付公債なり、あるいは恩給担保でこの制度を設けた制度それ自体が、うまく運営されていかない、こういうふうに思うのです。 そこで、政府にお聞きするのですが、この逆ざやの問題は、どういうふうにお考えになっているか。すなわち、これを救済する措置を、政府は一体考えているかどうか。預金部資金の利息を下げるなり、あるいは利子補給をするなり、何か道を講じてやらなければ、私はこのために、二、三年のうちに相当困る事態がくる、こういうふうに見ているのですが、これに対する大蔵省側の見解を承わりたいと思います。
○磯江説明員 ただいまお尋ねの点でございますが、御指摘のように、国民金融公庫の貸し出しの一部のものにつきまして、六分五厘の政府資金を借りて六分で貸す、その面だけでは、逆ざやということはあるわけであります。ただ、国民金融公庫は、一つの金融機関としまして、全体の資金コストと、それから全体の資金運用による利回りで、採算がどうなるかということを考えれば、よろしいわけでございまして、その面から申しますと、過去におきましては、少くとも先ほど国民金融公庫の総裁から申し上げましたように、国庫納付金を出しているという状況でございますし、また来年度におきましても、引揚者公債担保貸付などがふえましても、やはり利益は出ますが、それは金融機関としての公庫の姿を健全にするために、なるべく積立金として保留させることが望ましいというのが、銀行局の方針でございますので、一応予算上の数字といたしましては、来年度は国庫納付金は計上しておりません。出た利益は、全額積み立ての方に回すような計算になっております。将来の問題といたしまして、利益がだんだん少くなってくるのじゃないか、場合によっては赤字になるのじゃないかということは、あるいはそういう状態が起るかどうかわかりませんが、しかし、私の方としましては、貸し倒れ準備金を、積立金として十分積み立てさせる。それができないような場合には、金融機関として不自然な姿になってくるわけでありますから、そういった状態が生じました場合には、政府から出資しまして、金融機関としての健全な姿を保たせるということを、政府として当然配意すべきであろうと思います。しかし、少くとも今年度ないし来年度においては、そういう事態は生じないということを申し上げておきます。
○松平委員 おそらく本年度、来年度は、そういう事態はないと思いますが、今、あなたの説明によりますと、国庫納付金を、予算においてはゼロとして計算してあるわけです。そうしますと、あれは国民金融公庫に留保して積み立てをさしておく、こういうことになっていますか。そうじゃなくて、やはりゼロではあるけれども、決算になると、これを政府に取り上げてしまうということになるのか、そこはどうなっておりますか。
○磯江説明員 現実に決算をしてみた結果、どの程度の準備金が積まれて、それからその結果、さらにそれ以上にどの程度利益が出るかということは、年度が終ってみないと、わからないわけでございますが、ただいまの三十三年度につきまして計算しておりますところによりますと、国民金融公庫として十分な積み立てを積ませると、納付金が出ないという計算になるわけでございます。
○松平委員 もう一点だけ、国民金融公庫にお伺いしたいのですが、先ほど御説明によると、ことしは大いに満足するわけではないが、不満足ながらこの程度でしょうがない、こういう総裁の御意見だったのです。さっきは田中君からも、ちょっとこの点に触れられたけれども、それから総裁自身が、かなり窓口の需要者がふえておるということも言われたわけです。しかも、ことしの予算を見ますと、去年よりも少いのみならず、かなり返還金が多いと思うのです。だから、実際の貸し付け得る金額というものは少い、圧迫されておる、こういうふうにも、この数字を見るとわかるわけですが、どうでしょう。これでいいのか。私は、どうも少いじゃないかという気がするけれども、遠慮することはないから、この点は率直に言ってもらいたいのです。
○中村説明員 先ほど御説明いたしましたように、一応二百三十五億という新しい借り入れをいたしまするけれども、百二十五億回収して、百二十五億のうちで普通貸付に回るものが約七十三億、前年あるいは前々年と比較しまして、多い数字ではございません。幸い回収が百二十五億ふえますから、昨年より貸せる。あとは、結局金融情勢の見通しになるのでございますが、昨年の第三・四半期、ことに十一月、十二月は、これを普通と見るか異常と見るか。私はやはりある程度は異常じゃないかと思う。というのは、普通は、大体自然増がせいぜい一割五分から二割だったのが、急に十一月あたり倍になった。やはり多少異常の因子もあるのではないか。従って、現在通説といわれる、下半期における金融好転説をとるなら、昨年度の分だけ用意しておけば、第三・四半期は切り抜けられるのではないか。その残を第一、第二・四半期に持ってくれば、一応いけるのではないか。金融情勢の見通しでありますから、間違うかもしれませんが、万一間違った場合にも、例の弾力条項がございますから、これを適用すれば、まず大過なく過ごせるのではないか、かように見通しておるわけであります。
○松平委員 もう一点、国民金融公庫と中小企業金融公庫と比べてみますと、昨年の十一月でありましたか、臨時国会、あのときから、だんだん差が出てきておるじゃないか。つまり、昔、中小企業金融公庫ができたころは、大体同じくらいの財政投融資のワクを、国民金融公庫はもらっておったと思うのです。ところが、去年の十一月、それからことしも、比べると四十億少いというような工合で、私はだんだん差が出てくるというふうに思うのです。これは、むろん、一方は長期であり、また新しい。あなたの方は古いということの差もあると思うのですけれども、何かそこに少し一本欠けておるものがありはせぬか。それをとるのに、はなはだ言いにくい言葉ですが、何か政治力のようなものが欠けているのじゃないか。今度、中小企業金融公庫では、法律を改正して、総裁のほかに副総裁を置く、こういう改正案を出しておる。ところが、あなたの方は、そういうこともやらない。何か少し欠けておるものがあるのじゃないか、こういうふうに思うのだけれども、御答弁しにくいかと思いますが、御意見がありましたならば、一つ聞かしていただきたいと思います。
○中村説明員 中小企業金融公庫と国民金融公庫と比べまして、政府借入金がどっちが多い、どっちが少いということは、どうも比較になりませんのですが、しいて申しますれば、私の方は一件平均二十万円くらい、中小企業金融公庫さんの方は、よく存じませんけんども、おそらくその十倍以上だと思いますから、従って、どうしても、ちょっとふえましても、ふえ方が多いのじゃないかと思います。 もう一つは、私どもの方は、二十カ月ないし三十カ月の貸し出しで、回転が早いのでございます。従って、回収金が非常に多くなる。中小企業金融公庫さんの方は、もう少し長いものですから、回収金も少い。従って、新規に注入する資金がなければ動かない、この差だけだと思います。私は、もちろん政治力もありませんが、政治力ばかりでもないと思います。
○松平委員 中小企業金融公庫の方に、ちょっとお尋ねしたいのですが、さっき内田君の質問にもあったのですが、代理店を整理するというか、調整するというか、そういうお考えはお持ちですか。たとえば、都市銀行をだんだん少くしていって、ほかの方へふやしていくというようなお考えは、お持ちですか、どうですか、方針として。
○坂口説明員 代理店の数の整理につきましては、従来も、ときどきこの委員会でお話がございますので、そのたびごとに研究いたしておりまして、これまで代理店をやめさせたのは、ないのでございますが、実際上資金のワクをつけなかったもの等もございます。なお、先ほど内田委員にお答えいたしましたのは、専門金融機関の方にワクを多くつけ、そのほかの金融機関にワクを少くいたしまして、専門金融機関の方に私どもの代理店の資金量を多くしていくということは考えております。先ほど差し上げました資料にも、数字がはっきり出ておるかと存じます。
○松平委員 その点で、代理店にワクを少くしていく、ほとんどやらないようにしていくという場合に、そういうもののための経費というものは、どうなりますか。つまり、私の聞かんとするところは、あなた方の経理内容というものは、代理店をやたらふやしてしまって、そうして、大して貸してないような代理店をふやしたために、かなり経費がそれにかかっているということが、二、三年前に問題になったことがある。今のようなことで、代理店をやめさしていかないということであっても、何か代理店の手数料のようなものは、お払いになっているのですか、どうですか。
○坂口説明員 私どもの方の代理店の手数料は、実収利息に対しまして支払うこととしておりますので、貸付がありませんと、手数料は払っておりません。
○松平委員 もう一つは、出向社員といいますか、その他、何といいますか、興銀さんとかその他から来ておりますが、あの制度は、現在もとっておられるかどうか。それから、これは将来やめていくという方針であるかどうか。
○坂口説明員 ただいまも、ほかの金融機関、たとえば商工中金さん、興銀さんあるいは日銀さんあたりから、職員を拝借いたしております。私どもの方の職員が熟練して参りますれば、だんだん固有の職員でやっていきたいと考えております。
○松平委員 最後に、私、不動産銀行の頭取にお聞きしたいのですが、だんだん御説明によりまして、中小企業向けのワクの方が比較的ふえていっておる、こういう御報告でもあり、その報告書もそう出ておるわけですが、伺いたい点は、これは大蔵委員会でも問題になったと思うのですが、いわゆる大口貸付というものは、多くの場合において、大体他の銀行からのひもつきだということを聞くわけです。あなた方も、あの当時、できた当座は、ほかから金を借りていかなければならぬというので、原資をそういうところに求めておられた関係で、なかなか自分の思うような貸付ができないので、バックにある大きな金を、貸している方から、いろいろなひもがついてくる、こういうことを聞くわけですが、今日もそういう状況であるかどうか、その点をお伺いしたいと思うのです。
○星野参考人 ただいまの点、お答え申し上げます。先ほどもちょっと触れましたが、私ども開店早々の時分には、どうして手持ちの資金を早く貸し出そうかと、ちょっとあせったきみもあるかもしれませんが、それと、私どもの店においでになるお客さんと申しますのは、大体初めてのお客さんで、これまで全然取引したことのないお客さんばかりであったものですから、たまたま他の普通銀行さんから、こういう確かな先があるが、お前の方で一つやってくれないか、自分の方で連帯保証をしてやるというようなことで貸し出しをいたしました点が、それは確かにございます。でありますが、最近は、昨年の十一月ごろから、大蔵省御当局からも、だいぶその点きつくしかられましたし、大蔵委員会におきましても、だいぶおきゅうをすえられましたので、このごろは、先ほど御報告申し上げましたように、漸次そういう大きな貸し出しは手控えまして、なるべく中小企業者に対する貸し出しだけを取り上げているような次第でございます。 なお、なぜそんな市中銀行のひもつき――ひもつきとは私思いませんが、ひもつきとおっしゃったようですが、そういう貸し出しをするかと申しますと、私、先ほど申し上げましたように、開店早々のことではあり、そんな金融でもしなければ、どうも貸し出しが伸びない。一方において、コールだけがたくさん現われるというようなことになりますと、銀行ではないのじゃないかというようなことを、しかられることがありはしないかと存じましてやったのが一つと、それから、先ほど御指摘のありましたように、私どもの債券消化のために、大銀行さんから、大体月々一行四千万円くらいのお引き受けを願っております。そういうふうな関係がありますから、なるべくごきげんを損じないようにというと下心もございます。それから、設立の当時に、あまりほかの方面から反対がございまして、不動産銀行なんかペイしないのじゃないかという反対論かございましたものですから、時の大蔵大臣のごあっせんによりまして、大銀行さんから二十二億五千万円の低利資金も拝借しております。それやこれやにほだされまして、つい御指摘のようなことになっておりますが、これは私は漸次理想の形に改善していくつもりでおります。
○松平委員 最後に一つ大蔵省の方にお伺いしたい。大蔵省の政府関係金融機関の、ことに中小企業等の関係の金融機関に対する指導方針というか、あるいは監督業務というか、そういうものが、かなり微に入り細をうがち過ぎて、こまかいものがずいぶん規定の上ではあるのじゃないか。そうして銀行の機動力というか、能率というか、そういう方面にまで影響を及ぼすような、こまかい指導監督をなさっておるのじゃなかろうかと思うのです。金融機関の弾力性をあらしめるというために、予算総則を今後改められるというようなことは、先ほど御答弁があって、われわれも承知しておるわけですが、相当弾力性を帯びて、フルにその銀行をして活動させるということも、私は必要じゃなかろうかと思うのです。ことに、今の金融機関におきましては、全部縛っておるわけであります。総裁なり理事長というものの任命、生殺与奪の権を握っておる。こういうわけでありますから、私は、指導監督というものを、そうこまかくやる必要はない。大綱を握っておって、そうして大いにそれを活躍させる、こういうことか、私は必要じゃなかろうかと思うのです。ところが、たとえば社会党で、ある金融機関の首脳部を呼んで話すということになると、すぐその金融機関の者を大蔵省は呼びつけて、どういう話をしたのだとか、どうしたのだとか、根掘り葉掘り聞くというのです。こういうことでは、私はいかぬと思うのです。そういうことをすればするほど、やはり萎縮してしまいます。国民金融公庫にしても、中小企業金融公庫にしても、ことに全額政府出資の金融機関は、自分の手足のごとく考えておられるところがありはしないか。そこで、今申しましたように、ちょっとわれわれが呼んでも、すぐ何か小じゅうと的な態度をとるというふうに、私たちは見ておるわけです。それは、ひっきょうこまかい監督をなさるということをやっているから、そうなるのじゃなかろうか。金融機関を作った以上は、もっとそこの理事長なり、あるいはそこの総裁というものを信用して、それに相当手腕を振わせる、こういう指導の仕方でなければならぬと私は思うのですが、この点に関する現在のやり方並びに意見を聞かしていただきたい。
○磯江説明員 私から答弁いたしますのは、いかがかと思いますが、担当課長として御答弁申し上げます。政府関係金融機関は、一面におきまして政府と一心同体であるという面と、それから、やはり一つの独立した金融機関であるという両面を持っておるものであろうと考えております。現在、政府関係金融機関の中には、銀行とか公庫とか、いろいろあるわけでございますが、中小企業に関係のございます両公庫につきましては、やはりその資金がすべて政府資金であるという面におきまして、これは銀行局という立場ではないのでございますが、政府といたしましては、そういう面で、実際にどのような資金の運営がなされ、どのように資金が必要になるかという状況を、常時知っていなければならない。また政府の資金の状況によりまして運用していただかねばならないという点があるわけでございます。従いまして、そういった点につきまして、政府が常時状況を知り、ないしは、その政府資金の状況によりまして運営の指針を与えるということは、これは当然ではなかろうかと考える次第でございます。しかしながら、ただいま松平委員より御指摘のありましたように、これらの機関は、いずれも独立した金融機関でございまして、しかも、役員の方々には、いずれもりっぱな方々がおられるわけでございますので、私らが、個々のこまかい業務について逐一指導するとか、あるいはいろいろなことを命ずるというようなことは、必要のないことではなかろうか。従いまして、そういった面につきましては、各機関の自主的な運営をできるだけ尊重いたしたいというのが、私どもの方針でございます。ただ、先ほど申しましたように、政府としての立場と、それから一つの金融機関としての立場で、調整を要する部面があることは事実でございますので、そういった面につきましてはできるだけ公庫の自主性を尊重し、かつ、具体的な実情に沿うように、運用面におきまして、私どもは常々心がけておる次第でございまして、決して必要以上に公庫を、何か自分の手足のごとく縛るというようなつもりは毛頭、ございません。要は、実情に応ずるように運用するということであろうと思いますので、その点は、今後とも十分気をつけてやって参りたいと思います。
○小平委員長 他に質疑はないようでありますので、この程度にとどめます。 御出席の関係当局の方々には、御多用中のところ種々御説明を願い、ありがとうございました。 次会は来たる二十七日午前十時三十分より開会いたす予定であります。 これにて散会いたします。 午後五時散会