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28回国会衆議院1958/04/16

社会労働委員会 第39号

発言数
36
登壇者
4
会派数
1
開催日
1958/04/16

会議録

森山欽司自由民主党

○森山委員長 これより会議を開きます。  国民健康保険法案及び国民健康保険法施行法案の両法案を一括議題とし、審査を進めます。  質疑に入ります。野澤清人君。

野澤清人自由民主党

○野澤委員 まず総括的な事項ですが、今回の国民健康保険法の改正案が提出されまして、当委員会としても審議の都合で今日まで延び延びに参ったのですが、過般大臣から本法案の提案理由を説明された際に、第三項目にこういうことが述べられております。「政府は、昭和三十二年度予算の編成に際しましては、最重要施策の一つとして、昭和三十五年度を目途とする国民皆保険の達成を掲げ、国民健康保険の普及を中心に諸般の基礎的条件の整備を進めて参ったのであります。」こういうふうに述べられております。

森山欽司自由民主党

○森山委員長 ちょっと速記をとめて。

森山欽司自由民主党

○森山委員長 速記を始めて。野澤清人君。

野澤清人自由民主党

○野澤委員 先ほど申し上げましたように、「昭和三十二年度予算の編成に際しましては、最重要施策の一つとして、」という接頭語をつけて説明をされているのです。そこでこの国民健康保険法案というのは最重要施策であるという理由を説明してもらいたいと思うのですが、第一にこれについての御見解をお願いいたします。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○堀木国務大臣 御承知の通りに、岸内閣といたしましては貧乏追放ということを重要施策としていることは天下に周知のことでございます。そういう観点からも社会保障制度を整備拡充する、ことに現在なお医療保障の道のない国民に医療保障の道を講じようということでありますし、内閣といたしましても、いわゆる国民皆保険の推進ということは最重要施策の一つであることは、予算編成の際にも明らかにいたしておるところでございます。

野澤清人自由民主党

○野澤委員 それでお尋ねいたしますが、国民皆保険の最重要施策としてやったのだということはそれでわかるのですが、そういう最重要施策の一つとして、接頭語を用いて、その次には昭和三十五年度を目途とする国民皆保険の達成を掲げ、国民健康保険の普及を中心に、とこういう説明まで加えてやっておったこの法案の政府における取扱い方、また国会に提案してから後の厚生省の態度、こうしたものについて何か反省事項はありませんか。提案されてから今日まで委員会で投げやりにされたということは、これは大臣自体、御自由におやり下さいという態度だと思うのだが、それともまたどうしてもこれ以上進まなかったというはっきりした御回答を願いたいと思います。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○堀木国務大臣 御承知の通りに、昭和三十三年度予算編成に当りまして厚生省として一番力を注ぎましたことは、国庫負担の二割、調整交付金の五分及びその他事務費等の増額、こういう問題を実は財政的な裏づけをいたしませんと、いかに最重要施策だとここだけで申しても、従来この財政的な裏づけというものが一つの大きな隘路になっております以上、これを解決したいということで、予算編成上、御承知の通り難航に難航を重ねながらもようやく達成をいたしました。従いましてその後の手続によりまして真に皆保険を推進する基礎的条件の一つが整備いたしました。そういう観点から私どもとしては法案を提出することにやや確信を得た次第であります。なおその他の医療費の問題でありますとか、あるいは診療機関の整備でありますとか、そういう問題についても皆保険を進める基礎的諸条件の整備ということを裏づけにいたしたい。自後それらの諸条件を満たしつつ法案を整備いたしましたために、国会開会劈頭に法案を提出することができませんでしたことは、私どもとしてもまことに遺憾であり、また御審議が今日に及びましたことにつきましても、私どもとしてその点については重々反省をいたしておる次第であります。しかし何とかこの問題については御協力を得て成立させたいということは初めからの熱意でございます。その点は変りはございませんが、私どもの手続が幾分おくれておる。国会の御審議の問題は、これは私どもの申し上げることでなくて、国会自身において御判断願うことだと考えますが、私ども自身の手続の上にも、今申し上げましたような事情のためにおくれましたことは、まことに遺憾である、こう考えておる次第でございます。

野澤清人自由民主党

○野澤委員 国会提出のおくれた理由については私もほぼ了承しておるのですが、しかしあれだけの騒ぎをして、予算編成当初にこれだけの予算を獲得した。しかも自民党の皆保険の対策としての七つの要件のうちの第一項目の国民健康保康の整備ということが党の政策にも掲げられておる。しかも予算編成時にも皆保険対策として大きく取り上げられた。その国民健康保険法案が国会に上程されてから、国民としてはほとんど連日連夜、電報、手紙、はがき等において、早くこれを成立させてほしい、こういう全国的な要請が来ていて。こうした今日の事態を引き起して、本日初めて審議に入るというような状況ですから、国民自体としては一体自民党なり岸内閣の国民健康保険に対する熱意というものが那辺にあるのか、これはおそらく全国的な国民が疑問を持たざるを得ない問題じゃないか、こういう感じがいたします。そこで、これはひとり厚生大臣にだけその言いわけを求めるというようなことでなしに、次会、総理大臣が来られた際に私としてはこの皆保険に対する公約、熱意とまた本法案に対する誠意がどこまであるのかということについては総理大臣にも聞かなければならぬ。従ってこの問題については総理の出席された際に私の方では保留しておきまして重ねてお尋ねするつもりです。そこで何もこれは厚生大臣をいじめ抜こうとか、言いわけのつかぬように追い込もうと考えて私は申し上げているのじゃない。少くとも全国民の要望、待望というものがこの法律の成立にあるのですから、そうしたおくれ切った現在の国会の審議の状況は、大臣は関係はないのだ、こう言われればその通りであります。しかしながら政党政治である以上は、大臣としても、あるいは政府の要人たちとしても機会あるごとにこの法案がすみやかに審議されるような善処方が必要だったのじゃないか、当然尽されていると私は善意に解釈しておりますが、閣議の茶飲み話、あるいはまた三役、六役の会談等にも少くとも自民党が大きな看板を掲げた皆保険政策に対する基礎的条件の整備という第一ページを飾るべきこの重要法案について、今日まで放任されているということは、全く国民自体としては了解に苦しむ点じゃないか、こういう感じがいたしますものですから、総括的な問題としてあなたにこの点をお尋ねしたのであります。そこではっきりとあなたからお伺いしたいのですが、一体政府自体としてはこの法案を今ごろから審議して解散前夜の今日にこの法案を成立し得るとお考えになってお出しになっているのか。それとも何らかの支障で流れてもやむを得ないのだというように考えておられるのか、あるいは何でもかでも通さなければならないのだというお考えで提案されているのか、この辺のところをはっきりとお答えを願いたいと思います。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○堀木国務大臣 むろん国会の御審議は国会みずからがおきめになることでありますが、私どもとしてはあるいは努力が足りなかったという点についての御非難につきましても反省しなくちゃならぬと思いますが、しかし国会劈頭におきましても、総理大臣は、自分としては国民皆保険の達成と年金制度の実施というものによって医療保障と生活保障の問題を解決いたしたいのだということは、明らかに言明いたしておりますような次第でございます。なお党内のことにつきましては、これは別個に譲らしていただきたいと思いますが、私は国民の要望があればこそ皆さん自身がその国民の要望におこたえになって御審議を願えることである、こう考えておりますし、またこの問題が本国会において成立いたしません場合を想像いたしますと、非常に困難な種々なる問題が発生いたすのであります。たとえば、これは仮定の話でございますが、私どもとしてはあくまでも本国会に提出いたしました重要法案は、本国会において通過させるために全力をあげることは当然の責任であろうと存じますし、またそのことを期待しておるのでありますが、本国会におきまして逆に本法案が成立いたしませんときに、どういう問題が起るかということも御参考までに申し上げますと、本法案が本国会において成立いたしませんでも、施行期日が十月一日だからいいじゃないかと簡単にお考えになるかもしれませんが、実際上はそうは簡単に参りません。たとえば、本国会において成立いたしませんで、臨時国会が開かれるとなれば、従来の例から見ますと、通常の場合、夏に臨時国会が開かれるようなことに相なりますので、施行期日までにわずか一、二ヵ月の期間しかなくなって参るというふうになります。そして御承知の通りに、現在一番問題になっております、大都市における普及度がほとんどないということで、この新制度によって事業を開始し、今回二割を国の義務として国庫負担をいたすようになった事柄も、この大都市をねらっているわけでありますが、これらの大都市におきまして、おのおの市議会の議決を経て条例を作り、予算を編成しなければならないというふうになりますと、相当の期間を用意いたさなければならないわけであります。また事務的に見ましても、大都市における特別区の相互間の問題とか、指定医療機関の申請を待って医療機関を決定するわけでありますが、それに対する相当の準備期間が要る。そういうことを考えますと、決して単純に、施行期日が十月一日であるということで、ものを決するわけに参りません。率直に申して、これらの大都市におきましては、少くとも半年くらいは手続の上にすらかかる。そういうふうになって参りますと、国民健康保険を推進して参る上において非常な支障を来たし、国民皆保険の達成についても支障を生じるということが十分考えられるのであります。以上の点は、私からあらためて申し上げる必要もない事柄でありまして、賢明な皆さん方には御自身の御判断がすでにあることだと思いますが、私どもとしてはそういうことのないことを希望いたしまして、本国会成立を期している次第でございます。

野澤清人自由民主党

○野澤委員 だいぶ大臣の世迷言というか、ひとり言を聞かされたのだけれども、それほど重要な法案だったら、もう少し熱意を入れたらよいではないか。ほとんど全国から毎日電報はくる、陳情客は来るという現在の事態を引き起したということは、厚生省自体がこの法案に対する熱意が足りないのじゃないかという感じがする。そこで、一体政府としては、今のお話のように、手続の問題その他でどうしても早期に成立させなければならぬということはよくわかるのですが、しかし法案の内容から見ると、大臣みずから言われたように、施行期日その他の点から見ても、準備さえ完全ならば、解散後新しい国会が成立して、特別国会でこれをおやりになっても、間に合うような感じを一般的に与えているのじゃないか。一体これは本国会で成立させなければ、実際に政府自体として困るのか、特別国会なら特別国会で成立させても間に合うのか、こういう点に対して自民、社会両党等に、ほとんどその趣旨が反映していないように思われるのですが、この点について厚生大臣はどう考えられるか。要するに、私が先ほど御質問申し上げたのは、政府自体が本法案を提案して、今日まで延び延びになっているが、この法案の成立を絶対に期しておられるのか、あるいは次期国会でもかまわぬという態度なのか、この辺のところをはっきりした御見解を示してほしい、こう申し上げたわけであります。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○堀木国務大臣 施行期日が十月一日であるから、特別国会でもいいじゃないかという考えが多くて、それが誤まっていることを、私どもが解明する努力が足りなかったのではないかと御指摘になる点につきましては、あるいは私どもの努力が足りなかったために、今さらそういう御質問が起るだけ、私ども自身がその点に対する解明が足りなかったろうと思います。しかし率直に申して、昨年の予算編成以来いちずに皆保険達成ということに努力して参りましたことは、あるいはその他各種の場合に努力して参りましたことは、事実十月一日実施であっても、私どもとしては、半年近く前に法案が成立しないと、一、二ヵ月ではとうていできないことである。これは今さら申し上げるまでもなく、地方でおのおの議会を開いて条例を作らなければならない。あるいは医者の方から見ますならば、新しい制度によって指定を受けなければならないというふうな点をお考え願っただけでも——まだそのほかに取り立てて言えばたくさんの問題がありますが、それらの問題だけでも、大体どれくらいの日数が要るであろうか。とうてい一、二ヵ月では考えられない問題である。市議会が議会を開きまして、市の条例を作り、予算を編成する、しかも新しい制度をもとにしてやるのでありますから、どうしてもそういう手続が要る。そうすれば半年近くかかるということは、これは、私どもとしても当然考えなければならない問題ではなかろうか。私としては、御審議が今日に至りましたことについては、まことに申しわけないと思いますが、何と申してもこの国会にぜひ御承認を得て、そしてはっきりさせることによって、各市町村、ことに大都市におきましては、この法案の趣旨に従って諸般の準備を進めさせなければならぬ、こう考えているような次第であります。いかに前広に準備をいたすとしても、それは単純な事務的な手続という問題でありまして、とうてい一、二カ月の間でできるものでないことは今申し上げました普通の行政上の運用というものを考えましても当然のことでなかろうか、こう考えておるような次第であります。

野澤清人自由民主党

○野澤委員 わが党の名厚生大臣だから、私の方もすなおに聞いておきますが、そうしますと皆保険と予算編成の問題から、どうしても早期にこれを通過さして、施行期日までに少くとも四ヵ月や五ヵ月の準備期間がほしいのだ、一、二ヵ月ではとても問題にならないのだというお答えのようですが、もしそうだとすると、今国会で万一成立しなかった場合に、施行期日はもっとお延ばしになるようなことになってきますか。それとも今からどんな苦労をしても準備しておいて、今国会で成立することを前提として準備を進めて、どうしてもできなかった場合でも、できるものと仮定して諸般の準備を整えていく、こういう腹がまえで、次期国会になっても施行期日は変えないのだ、こういう御趣旨でいかれるのですか、その辺のところをはっきりとお答え願います。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○堀木国務大臣 まずもってお答え申し上げたいことは、本国会において成立しないということは私どもには考えられないのであります。だから提案いたしました以上は、私どもはあくまでも本国会において成立を期しておる。従いまして通らない場合を想像してどうのこうのという問題は起らないし、今申し上げましたように、準備は、本省における準備だとか、あるいは市町村の事務担当者の準備とかいうものをいたしましても、これは政治常識として、市会を開きます以上は、そして市会でもって所要の予算を編成し、あるいはこの法律に伴う所要の条例を通過させるだけでも、時間がかかることは今申し上げました通りでございます。従いまして私どもとしては、準備は物理的に可能な限り全力をあげていたすつもりでございますが、なおかつ今国会成立を期しておるというのが現在の私どもの考え方でございます。

野澤清人自由民主党

○野澤委員 それほど政治常識の豊富な厚生大臣として、今度の皆保険政策と予算編成とにらみ合せた場合に、国民健康保険法の全面改正を打ち出したというのには、何か理由がなければならぬと思うのです。先ほどあなたのおっしゃられるように、政治常識をもってするならば、むしろ予算に伴う抜本的な一部改正だけ、必要なものを早急にまとめる、余裕のあるときに全面改正を打ち出すのが筋じゃないか。ところが今度の国民健康保険法案として提案されたものは、ほとんど全面的に改正が打ち出された。ここにも今度の審議がおくれた大きな理由があると思う。しかも社会党さんから指摘されるように、これほど厚い法律を定員もそろえないと言ってしかられるほど全面改正の条文が盛りだくさんに入っている。そうすると、あなたのり政治常識と何か論理が合わぬような気がするのですが、どうもしつこいようだけれども、自民党にもこういう質問をさせなければならないような事態に追い込んだということに、私は政治常識が那辺にあるかということを疑わざるを得ない。この点はっきりした御回答を願いたいと思います。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○堀木国務大臣 御承知の通り、今回の改正につきまして、なるほど私どもが事務的な改正というふうな考え方で物事を処して参りますれば、あるいは簡単な法律改正で済んだかもしれません。しかし、要は御承知の通りの国民皆保険ということを掲げ、その社会保障制度の一つとして国民皆保険を達成して参るということになりますと、従来の考え方に対して相当根本的にいろいろの変革を生ずることは、これは野澤さんのような専門家にはよくおかり願うところであります。現にこの委員会におきましても、現在の国民健康保険法でほんとうに皆保険の、社会保障制度としての趣旨を貫いておる——一例をあげますれば国庫の負担につきましても、補助金制度というふうな考え方ではだめになって参ることは明らかであります。国庫が二割負担するというところに——一つの法律上の義務をもって国庫が負担するというふうな趣旨を達成いたしますことは、私は社会保障制度を推進して参ります上において一番要件的なものでなかろうか。またこの問題を考えて参りますときに、当委員会におきましても、社会保障制度審議会におきましてもなるべく各保険間の統一を期する。一例をあげますれば、給付の内容を逐次充実して参りまして、国民健康保険におきましても健康保険となるべく一致させる、また医療機関の問題に対しましても、公私の医療機関を通じてその責任を確実に負担を負わしむるというような点をごらん願いましても、私は新しい社会保障制度という観点から見まするときには、全般的に見直すことがぜひ必要であるというふうに考えたのであります。そのほか数え上げますればいろいろ問題がございますが、ともかくそういうふうに考えて参りますと、私はここに社会保障制度としての国民健康保険というものを考えることにつきまして、全般的に御審議を願うことが適当である、またそれは従来国会に現われました各種の御意見を取り入れたものであるというふうに考えまして、今回提出したような、一部改正にとどまらず全面改正と相なったような次第でございます。この問題につきましては私どもとしてむろん手続上いろいろ反省すべきところは多いのでありますが、しかし御提出申し上げましたときから見ますれば、やはり当委員会において御議論のあったことを取り入れて改正をいたしましたので、私どもはこの際かえって全般の改正をいたした方が、御審議をわずらわすにもいいと考えたような次第でございます。

野澤清人自由民主党

○野澤委員 いろいろこまかい内容にまで立ち入って御説明になったのでございますが、私がお聞きしたいことは、そういうこまかな点よりも、一体厚生大臣は国民皆保険と国民健康保険法との関係をどのように理解し、どのように推進していくのかということの大ざっぱなねらいで御質問を申し上げたのですが、質問の仕方が悪かったかもしれませんが、重ねてお尋ねしたいことは、少くともこういう一つの機関なり組織なりの法律を改正しようというのには、いかなる場合でも目的がなければならぬ。つまり国民健康保険法の現行法を大修正して、今日まででき上っている健保組合なら健保組合の財政の立て直しをするとか、運用を円滑にするとか、基礎固めをするとか、さらに医療内容の給付をよくしていくのだとか、こういう目的で既存のものを温存していこうという考えも一つの改正の目的になります。またさらに皆保険というような大きなスローガンが打ち出されている以上は、三千万人なら二千万人の医療保険に加入していない者を対象として、一日もすみやかに、いつどこでも安くてよい治療が安心して受けられる、こういう態勢に早く持っていきたいのだ、こういうことを大きな目標にして改正する、こうした目標が立って初めて改正案というものが、全面改正か、あるいに抜本改正かという結論も出てくるのじゃないか、こういうことを今日日本全国の国保に関係のある人たちが熾烈な懇請をしている現況から見ますと、これはどう考えてみても、両面のいわゆる目標というものが大きく浮び上っておる、既存のものも基礎固めをしなければならぬ、一方においては未加入者を何とか吸収しなければならない、あるいは五人未満の事業所の労働者に対しても、これを何とか救済しなければならぬ、     〔委員長退席、八田委員長代理着席〕 こういうふうに、あらゆる面から考えてみて、重要なポイントというものは幾多指摘されると思いますが、総括的に、厚生大臣としては、今回全面改正を打ち出して、単に予算措置に対する改正でなしに大きく伸ばしていこうというためには、そうした大きな着眼点がなければならぬと思うのですが、この点、こまかいことは必要ありませんから、大ざっぱにお答え願いたい。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○堀木国務大臣 御質問の趣旨を取り違えて御答弁申し上げたような形でありますが、これは野澤委員もよく御承知の通りに、まず二千数百万人に及ぶところの未加入者をして一日も早く医療保障の目的を達成させるということに主眼点があることは事実であります。しかしそれだからといって、ごく一部の改正でそれが達成するのか。率直に申し上げれば、三十二年度の予算においてすでにスタートはいたしておったわけであります。しかしそれには保険加入者が年次計画に従ってこれからふえるから、その医療費の増高を見て予算を編成いたしておったのでありますが、しかし国民健康保険の問題は今さら始まったわけではありません。だんだんやって参りますうちに、事実隘路と称せられるものが方々に出てきているわけであります。それらの隘路自身を打開するということが必要になる。それをわれわれが財政的に予算上の処置として隘路を除くと同時に、法律的に見てもその隘路を除くことが必要だという観点に立ちますと、どうも一部分の修正では満足ができないという状況にかんがみまして、あるいは御審議には非常に御迷惑をかけた次第でありますが、全面改正という広範な改正でもって御審議をわずらわすようにいたした次第でございます。

野澤清人自由民主党

○野澤委員 全面改正がどうしても必要だ、しかもまた諸般の事情によって、それだけの推進をしなければ皆保険の彼岸に到達ができないのだということの御説明は大体了承がつくんですが、そこで大臣の提案理由の説明の項目を見ますと、「この法律案は、さきに、社会保障制度審議会が行なった医療保障制度に関する勧告にこたえて、現行の国民健康保険法を再検討し、財政上の裏づけとともに国民皆様保険の基礎法として、現行法を全面的に改正しようとするものでありまして、社会保障制度審議会におきましても、慎重審議の結果、原則的に賛成を得、さらに答申の線に沿って所要の整備を加え、ここに提案をいたした次第であります。」、と強く説明が加えられております。この社会保障制度審議会が行いました勧告とか、あるいはまた、その勧告の線に沿って所要の整備を加えたと言われますけれども、この答申案なり、あるいは所要の整備ということの内容は一体どういうことか、どこまで尊重し、どこまでもともとの原案を修正して今回お出しになったのか、この点がもし明らかならば、大臣からでも局長からでもけっこうでありますが、この点明らかにしていただきたい。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 社会保障制度審議会の答申は、原則的には原案を了承されているのでありますが、いろいろまだ足らざるところ、あるいはさらに注意をされましたような点、そういうふうな点が指摘されているのであります。それで、その指摘されました点につきまして、法案の原案あるいは施行法等において考慮をいたし、これを調整いたしました点は次の通りでございます。  数項目ございますが、二重加入者の禁止につきましては、社会保障制度審議会では、趣旨としてその原則は賛成であるが、実情に即した取扱いが望ましい、こう言われておりますので、施行法におきまして、現に被保険者となっている者については、既得権を尊重いたしまして、昭和三十六年三月三日十一日までの被保険者資格を認めることにいたした次第でございます。  それから二番目には、大都市等におきまする移動の激しいものにつきましては、その配慮が必要であるという答申がございまするので、その問題につきましては、被保険者証の交付に関し、特別区等、政令の指定する市におきましては、特例を認めまして——これは本法の万でございますが、その配慮をいたしたわけであります。  それから第三番目には、療養の給付の範囲を、原案は被用者保険、いわゆる健保と原則的に同じということにいたしておりますが、この原則につきましては、社会保障制度審議会も賛成である。ただ現実の問題としてそこに若干の弾力を持たしていかないと、現実の運営について困る面が出てくるから、その点の配慮をするように、こういう御指摘がございました。それにつきましては、施行法におきまして経過規定を設けまして、これらの配慮をいたしたわけでございます。  それから第四番目には、一部負担金の問題につきまして、未収があった場合に医療機関の方の損になるから、この点についての配慮が望ましいという御指摘がございました。従いまして、これは本法においてでございますが、負担困難なものに対しては、一部負担金を減免し、または医療機関に対する支払いにかえてこれを保険者が直接に徴収することといたしまして、これらの規定を整備いたしまして、保険者の責任を明らかにすることといたしたのでございます。  第五点といたしましては、国民健康保険組合すなわち現行法における特別国保でございますが、この設立に対して関係市村町村長の同意を法律上の要件と原案はいたしておりましたが、その必要なしという御答申でございまするので、関係市町村正長の意見を聞くことに改めまして、同意は法律上の要件といたさないことに調整を加えております。  それから診療報酬の審査機関につきましては、これはなるべく公平な第三者的な性格を持たせるべきであるというふうな御指摘がございましたので、審査委員会の委員を、全部関係団体の推薦に基いて第三者である都道府県知事が委嘱することといたしました。また診療報酬の支払い基金にも審査を委託することができるということを加えまして、その点にこたえたわけでございます。  第八番目には被保険者の資格の得喪に関する審査をするような場を設けるべきである、こういうふうな趣旨の御答申がございましたので、それにつきましても国民健康保険審査会の権限の中に被保険者証の交付、請求に関する処分についての審査を新たに設けることといたしまして、実質的に被保険者の資格に関する審査を認めることに調整をいたしたわけでございます。  ただ、非常に大きな問題といたしまして、これは直ちにという意味ではございませんが、給付率七割、国庫負担三割というふうなことが望ましいという趣旨の御答申がございました。また市町村の一般会計繰入金の制度化についても御指摘がございました。これらの問題につきましては、国家財政あるいは保険財政の状況に照らして、将来これは考慮して参りたいということで本法案におきましては、それを直ちにそのまま取り入れておりません。  長くなって恐縮でありましたが、大体以上のような点が社会保障制度審議会の御答申によりまして原案に調整を加えた個所でございます。

野澤清人自由民主党

○野澤委員 そこで社会保障制度審議会の答申に対しては、きわめて慎重に、またまじめに対策を考えられたということが大体了承できたのですが、区厚生大臣に特に伺っておきたいことは、国民皆保険政策と申しますか、この大きな柱を打ち立てて、今後医療保障というものの完備を期していこうという際に今当面する大きな問題となっています医療機関との関係をどうつけるか、これに対する基本的な考え方というものをどういうふうにお持ちになっておるのか、この点率直に御解明が願いたいと思うのです。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○堀木国務大臣 医療機関との関係につきましては、御承知の通りに当委員会においてもしばしば問題になりましたが、過去六年の間末解決でありました適正な診療報酬というものにつきまして、法律に基くところの中央社会保険医療協議会におきまして御審議をわずらわしまして、その御答申を得たのであります。この機関におきましては、むろん診療担当者の代表者が参加してできた結果であります。この御答申の大きな柱といたしまして、大体診療報酬の改訂は認めるが、その合理化を考えろということが一つと、予算上制約されておりまして、全体の医療費が八分五厘であるというような点から率直に申しで、私ども長い間の懸案を解決することが、診療担当者に対する誠意の表われとしてごらん願いたいと思うのであります。ただ診療担当者がその内容につきましていろいろ御意見のあることを承わっております。大体病院協会等におきましては、厚生省が今考えておりますような案を御支持になっている。しかし日本医師会という医師の団体からはいろいろな御注文がございます。しかし私どもはこの協議会におきまして御審議を得ました基本線、これはもう当然各関係団体がお話しになってでき上ったものでありますし、——また従来非常に誤解をいただいておりました、公的な医療機関だけで皆保険という問題をやっていくのではなかろうかという疑惑がないではなかったと思いますが、公私の医療機関を通じて公平に考えて参るという点等について御了解を得られれば、お互いにそう争うようなところはないのではなかろうか。ただなお残って参りますのは、予算上の八分五厘を診療報酬総体として上げるということを考えておりますが、個々の適用に当りまして、いろいろと議論の余地が存するところでございます。これらにつきましては今後とも実施までに一日あれば一日でも完璧を期するという態度で十分これらの問題について検討を重ね、また診療担当者の意見も取り入れまして、できるだけ完璧なものにして参りたい。それらについて虚心たんかいにいいものを作り上げようと努力をいたしておる最中でございます。

野澤清人自由民主党

○野澤委員 診療報酬その他について医療担当者との関係はそれでわかりますが、私がお尋ねしておるのはそういうことではなくて、皆保険政策と医療機関との関係を基本的にはどう考えていくのか。つまりお聞きしたいことは、今までの国保財政の逼迫から国保の診療所等を全国に配置して、自由開業というか、私的医療機関というか、こういうところとはあるときには連繋を保ち、あるときには対立をする。しかも政府の主宰する国保でありますから、財政運用上やむを得ず各市町村で市町村長が特殊なお医者さんと契約しない。あるいは選定をして御厄介になるが、その反正面診療所を建設してしまう。かなり行き過ぎた面もありますし、当然話し合いすべきものが話し合いされない。こういう実態でいるわけですが、今度の改正に関して皆保険ということを前提にしたところが国民健康保険法の大きな改正点とすれば、医療機関に対して基本的にはどう考えていくのか、こういうことをお尋ね申し上げたわけであります。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○堀木国務大臣 これも他の機会にも申し上げたかも存じませんが、ともかくも今度の法律の建前では、そういう公私の医療機関を通じまして、すべて同一に待遇する、指定と医療機関としての責任を果していただく、こういうような建前になっております。しかしその法律に現われました建前のほかに、私どもとしては、無医地区の解消を考えなければ国民皆保険は推進いたしません。無医地区の解消のみならず、結局その無医地区を解消するためにも一つの基幹的な病院というふうなものを整備しなければならぬ。公私の診療機関を通じまして、国民皆保険の裏打ちになって、実態が伴うように持って参りたい、そういうふうに考えておるような次第でございます。

野澤清人自由民主党

○野澤委員 無医地区の解消もさることながら、そうしますと公私の医療機関に関しては、少くとも医療担当者として健保と同様機会均等にこれを取り扱っていきたい、従来のように国保診療所というようなものに重点を置くということでなしに、すべてを公平に扱っていこうという考えだと了承できますが、そういうことになってきますと、今度のこの国保の改正案が提案されますと同時に、日本医師会が猛烈な反対をして、全国的にいろいろな陳情等も来ております。一体医療担当者が不満とするところはどういうところなのか、これは大臣でなくて局長でけっこうでありますが、日本医師会そのものとして、医療担当者の代表として一体どういうところに不服を持っておるのか、また不満足なのか、この点を明らかにしてもらいたいと思います。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 国民皆保険になりました場合におきましては、医療のほとんど全部が保険診療ということになりますので、私どもといたしまして、医療機関に対する基本的な考え方といたしましては、希望されるすべての医療機関がこの保険診療に参加し得るような保障がなければいけない。保険の方が医療機関をより食いをするというふうなことであっては、医療機関の方が非常にお困りになる。従って参加を望むすべての医療機関が参加し得るような保障がほしいということと、いま一つはその参加された医療機関の地位の保障といいますか、その立場というものを十分に考えていかなければならない、そういうふうなことを私どもは基本的に考えておるわけでございます。それでその配慮を今回の法案の中では随所に具体的にいたしておるわけでございます。ところが日本の医師会でこれに対して不満を申しておられますのは、簡単に申してみますと、現行制度のままにしておいてもらいたいということが一番の大きな御要求のように私どもは受け取っております。ところがその御不満というものは、現行制度並びに新法に盛られております制度を十分に御理解をいただいた上での御不満ではないと実は私どもは考えておるわけであります。と申しますのは、現行制度のもとにおきましては、先ほど私が申し上げましたような皆保険下におけるすべての医療機関が保険に参加し得るという保障、あるいは一ぺん参加した医療機関がその地位の安定を得られるような保障というふうなものが、実は法律的には確立しておらないのでございます。簡単に申し上げてみますと、現実にも保険者の中には直診だけで保険医療をやっていくのだといってやっておられる保険者もありますし、それから全部の開業医の方だけでなく、その中の一部の開業医の方だけと契約をしてやっておられる保険者もあるわけであります。そういうふうな現実的なケースもございまして、だれもが参加できるというふうな法律的な保障は現行法の上ではございません。それからいま一つは指定の取り消しといいますか、保険の医療機関としての地位を排除することにつきましても何ら法律上規制はなく、手続面においても規定するところがないのでございます。かようなわけでございますので、私どもといたしましては新法におきましてそれらの点を改正をいたしまして、冒頭に申し上げました、希望する者がだれもが参加できる、その場合には公私の医療機関の区別をしないで扱っていくということ、それから医療機関の地位の安定ということを配慮いたしておるのでございます。  具体的に申し上げてみますと、新法の第三十七条第一項におきまして、医療機関の開設者の申請に基きまして都道府県知事が医療機関を指定することにいたしたわけでございます。指定といいますといかにも都道府県知事が一方的に指定するという印象を受けますけれども、決してさようなわけではございませんで、開設者の申請があって初めて指定いたします。しかもこの指定を拒むには診療担当者の代表の参加しておる地方医療協議会の議を経ることとして、法律上の保障をいたしたわけでございます。現行法の八条ノ五に規定がございますが、現行法の療養担当者を帝町村長が定めることをもし契約とさしますならば、都道府県知事の申請に基く指定も同様に契約でございます。さらに公私の医療機関を区別しないという立場から、直営診療所につきましても、これは元来被保険者の保険診療をやるという目的でできた医療機関でございますが、これも私的医療機関と同じように都道府県知事の指定が要る。そして都道府県知事の監督を受けていくという形に今回はいたしておるわけでございます。これも現行法では直営診療所はさような手続は何も要らないというふうな扱いになっておるわけでございます。  次に地位の保障といいますか、そういう点につきましては、先ほど申し上げましたように現行法は法律上は自由勝手に市町村長が保険関係を解除することができるわけでありますが、新法におきましては、そういう場合を法律上で限定列挙いたしまして、これは四十六条でございますが、その場合でなければ指定の取り消しはできない、そしてその手続につきましては、従来ございませんでした地方医療協議会に諮問をするとか、あるいは弁明の機会を与えるとか、そういうふうな手続の保障をもいたしたわけでございます。  なお診療報酬の点につきましては、先ほど大臣から詳しく御答弁があったわけでございますが、診療報酬につきましては現行法は、健保よりはどっちかといいますと割引をしてもらう、そういうふうな気持で建前ができておるわけでございますが、今回の法律案では、健保と同一とするということにはっきり書いたわけでございます。  その他いろいろ医療機関の立場を考えまして規定をいたしましたものが数々ございますが、大筋といたしましては今申し上げましたようなものでございます。

野澤清人自由民主党

○野澤委員 大体わかるのはわかるのですが、それほど政府が医療機関に対してめんどうを見よう、保障もしようというようなことをるる説明を聞くというと、どうも不自然でいかぬのですが、日本医師会がどういうわけでこの法律に反対しなければならないのか。これはおそらくデマだと思いますけれども、最近のうわさなんか聞くというと、日本医師会が政府に圧力をかけ、国会に圧力を加えた結果国保は流れたのだ、こういう評判が一般に出ている。それほど医療機関に対する善意に基く対策というもの——医療機関の、あるいは医師の地位の保障ということもやり、あるいはまた法的限定の羅列等も行なって四十六条を設けた、こういう解説を聞くというと、そんな立派な法律に対してなぜ医師会が反対しなければならぬのか、しかも医師会自体が現行法のままで置きたいということだが、これに対して政府は医師会と話し合いをして、とことんまで理解させて反対さしているのか、理解もさせずに一片の文書だけを参考資料として、これを医師会にまかしたまま放任しているのか、これは医療担当者としても実務に携わるいわゆる専門家なんです。病人だけはそっちにまかしておくが、法律を作るときには医師会はそっぽを向いてもいいんだ、こういう理屈はないと思う。これに対してどの程度大臣や局長が努力をしたのか、もし努力した事実があるならそれを聞かしてもらいたいと思う。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 御指摘のように医療担当者の立場というものは、医療保険におきましては非常に重大な立場でございます。これの御協力なくしては、医療保険の円滑な運営はできないわけでございます。その意味におきまして私どもは、今回御審議を願っております国民健康保険法の改正案につきましてはたびたび若干の修正を加えておりますが、そのつど診療担当者の団体にはこれをお示しをいたしまして説明を加え、いろいろ御希望等も聞いて参っておるわけでございます。従いまして今先生御懸念のように、全然無関係に私どもはこの案を取り進めておるわけではございません。しからばなぜ反対をするのであろうか、ごもっともな御質問でございますが、いろいろ細部の点はあると存じますが、基本的には現状を変えられるということについその一つの不安があると思います。しかも現状というのは市町村すなわち保険者と、医療担当者の団体、たとえば市でありますれば市医師会というふうなものとの話し合いで、いろいろなことがきめられていくわけでありますが、新たに開始をしようとするような地方におきましては、これは地方、地方によって違いますけれども、現在ではその力関係というのがむしろ医師会側の方が、何というか医師会側のいろいろな言い分がいえて、それがある程度通るというふうな事情が見受けられるようであります。ところが逆に被保険者側の方の力関係の強いところ、主として日本の北の方でございますが、これにおきましては逆に、先ほど申し上げましたように直診だけで国保をやるとか、あるいは一部のお医者さんだけをより食いをして、国保の給付をするというようなことが行われておる。それで私どもの考え方といたしましては、これが皆保険になった場合におきましては、今のような力関係というものは、そのままずっと続いてはいかない。必ず逆に保険者側の方が、何と申しますかいろいろなことを言うようになりまして、むしろより食いをしたりなんかすることになっていく公算が非常に大きい。現に被用者保険をごらんになりましても、健康保険組合等の主張は、都道府県知事が指定をするという制度を改めて、各保険者に指定をさせてくれということを主張しておられるのであります。そういうふうなことに現われておりますように、全国に国保が強制実施をされて、全部が保険になっていくというふうな場合におきましては、むしろ保険者側のより食いをするということを防いでいかないと、医療機関の方のお立場がなくなるのではないか、こういうふうに私どもは考えておるわけであります。その将来に対する見通しといいますか、そういうものについての判断といいますか、ものの考え方といいますか、その辺が若干診療担当者の団体と認識を異にしているという点も、あるいはあるかもしれない。しかし基本的には現状が変るということに非常に御心配、御不安を持っておられる。これは私の受け取り方でありますが、私どもはかように考えておるわけであります。従ってこの法律案の内容をよく理解し、そしゃくしていただきますならば、またさきにいろいろ問題になりました健康保険法の改正におきまする医療機関制度のその後の運用というものをよくごらんをいただきまするならば、決してその将来の御不安はなく、かえって将来皆保険が進みました場合、かくしておくことが医療機関のお立場を守っていくゆえんであるということは、御理解いただけるものと私どもは考えておるわけであります。

野澤清人自由民主党

○野澤委員 どうもコンニャク問答みたいで、あなたの話を聞いていると医師会が非常に得をするように、むしろ保険者が圧迫されておるように考えられる。ところが医師会がこぞって全面的に反対だ。しかも医師会が圧力を加えたからというようなうわさまで出ておるような状態なんだが、多少認識を異にしているともあなたは発言されているし、私は理解したのかどうかということを聞いておる。それでこまかいテクニックは別としても、それほど医療担当者の立場というものに、政府自体が理解徹底して、しかも医療機関の機会均等というような建前から、公私の医療機関というものを区別せずに、すべてを開放して、皆保険の前提条件に基礎づけていこう、こういう考え方は決して誤まりじゃない。それほどのにしきの御旗であり、しかもまたそれほどの合理的の施策であるならば、なぜ日本医師会や各都道府県の医師会が反対しなければならぬか。それは今お聞きしますと、現状を変えることに対する不安があるからだ、こういうふうなことも言われますし、また保険者と地方の医療団体との関係があって、北に行くほど保険者が強いのだ、こういうこともこれは社会通念と申しますか、常識上からも多少判断がつきますし、保険者自体が医師の拾い食いをするということもそれは私たちにも了解がつくのです。けれども本質的に何かこの日本医師会、いわゆる医療機関の総大将とも言うべき日本医師会と意思の疎通を欠いているという点に大きなギャップがあるのだと思うのですが、この点に関して今度は厚生大臣自体がどの程度理解さすべく努力をしたのか、また理解しないものを今後どうして引っぱっていくのか。たとえて言うとわれわれが木造の家を建てるのに、土を掘って基礎石を入れ、土台を作って、そうして屋根をふくのには柱を立てなければ屋根をふけない。ところが皆保険という土台石だけはできたけれども、医療担当者の柱になる部分を忘れてしまって、国民健康保険だけの屋根をふこうという。一体どれだけの高さになるのかもわからないで、土台の上に屋根をふいてしまって人間入れるかということです。一番迷惑するのは国民です。保険者もその通り。市町村の乏しい財政の中から一生懸命勧誘しながら各地で各市町村の国保というものを推進して、政府がやれやれというから仕方がなくて一生懸命努力している。また受益者としても一歩々々前進していく皆保険の実態を見ると、国民の医療のあり方というものはやはり保険制度にたよらなければならぬ、こういう気持ははっきり随所に現われている。ところが現実の問題としてその医療担当者である人たちがそっぽを向かなければならない、大旆を掲げてこれに反対をぶたなければならない。柱のないところに屋根をふいて一体どうする気なのか。堀木厚生大臣ともあろうものが柱なしに屋根をふいて、そうして国民に入れと言われたって入れまいと思うのだが、その点に対して一体大臣はどれだけの努力をし、どれだけの抱負経綸を持たれているのか、この点も明らかにしていただきたいと思う。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○堀木国務大臣 率直に申して、一言に言いますと私非常に残念でならない。私就任以来今野澤さんの言われるように医療担当者の協力というものは国民皆保険の上においては最も必要な一つであり、実は厚生大臣に就任しましても一番最初に会いましたのは、日本医師会のいわゆる幹部と称せられる人の会合であったわけであります。この衆議院ではございませんが、参議院で、君は厚生大臣になってすぐ日本医師会の幹部と会っているのはおかしいじゃないかという質問が出炭ましたときに——そういう質問すら出た。私は厚生大臣としている以上医療担当者と会うことは当然の責任だと考えております。それで医療担当者の意見を聞き、またこちらの意見を了解していただくことが一番大切であるというふうに考えまして、終始努力をいたしましたが、いろいろな問題の発生するたびに事志と違って非常に世上をにぎわすような問題が常に発生するというふうな状態で、まことに不徳を痛感いたすのでありますが、しかしこの問題は非常ないろいろな誤解がございます。たとえば今この法律において、野澤さんが言われたように機会均等の原則に従って公私の医療機関を通じてするのだということをはっきり書いておるわけでございます。ところがこれは全部のお医者さんだと私は考えませんが、場合によると厚生省は医療国営を考えているのじゃなかろうか、直診をどんどん広げていったのはその現われである。  終戦後のあの混乱時に、こういう制度自身も開かれないと国民の医療関係に不足を来たしたというのが厚生省の考え方であったようであります。しかし私は常に公私の機関を通じて同一に扱っていこう、これが今回の私の趣旨に従った法律にも現われておる。またたとえば指定医療機関という問題、最近の医療機関の選定に当りまして、市町村単位では、被保険者のためにも、また最近の医学の進歩、医療体系の状況から見ましても、これは少くとも県単位くらいに広げる方がいいだろう。内容は県単位に広げるということについてそう御反対があるはずがありません。従来ともこの範囲は広域にしていくべきだという御主張があったくらいであります。そうすると指定というのはいかにも官僚的な、アービトラリーにものをきめていくようだが、内容をごらんになれば、先ほど政府委員から説明したどの医療機関もその希望によって参画し得るという建前になっておる。そうして内容は一つの契約である。その要素は同じである。何だか今までの市町村の当局者と個々のお医者さんと契約する方が自由な気がするのかもしれませんが、私は大して差はないと思う。むしろお医者さんから見ればそうだ。まことにその点につきまして遺憾に存じておりますが、そういうことは野澤さんの方がよく御承知ですが、今後も努力をいたしまして、真に私のやっておることを御理解願って、その上に立っての御協力を願いたい。ただ過去から現在までの間に、いろいろな問題を通じまして種々なる誤解が発生いたしておりましたことはまことに残念でありますが、むろん不徳のいたすところでありますと同時に、この問題についてはいろいろ過去のいきさつから来るものもございます。今後一そう努力をいたしまして医療機関の協力を得るようにいたしたい、こう考えておるような次第でございます。

野澤清人自由民主党

○野澤委員 相当日医あるいは医療機関等の誤解もあるというお話ですが、私がお尋ねしたいことは、その誤解よりも大臣や局長が一体どれだけ努力しているのだ。努力したけれどもこういう結果なのだという実証ならば国民も納得する、ところがどうもデモをやられる、大会に行けばつるし上げられる、こわいから行かない、会いに行けばこれはとてもだれが中心部なんだか会ってもくれない。大臣が会長を呼んだって出てこぬ、こういうふうな言いっぱなし、開きっぱなしの、まるでサルと犬のけんかみたいにけんかしっぱなしで、しかも今度は反面国民皆保険は前進しなければならぬという自民党のスローガンに従って、まじめに大臣が名大臣ぶりを発揮してくる。そうすると柱のないところへ屋根ふくどころじゃない、一生懸命山を開き川に橋をかけて鉄道を敷こうというのに——あなたは鉄道屋さんだったからこれはおわかりだろうが、レールを敷いて汽車を走らせるのが正道なんだ。ところが上に電線もない、電気も来ていないのに、まるでトロリー・バスを走らせるようなものだ。要するに医療保障というものは医療機関の協力がなければできないということはあなた再三再四言われている。ところがその医療機関に対する対策として、踏まれようとけられようともあくまでもこれに協力方を求め、理解徹底をさせる努力が必要じゃないか。今日この法律が国会に提案されて一ヵ月近くも放任されているというところにもそうした要因を多分に含んでいるのじゃないか。努力はしたけれどもどうしてもこうなのだというならば納得はいくが、誤解に基く国営論なんかも飛び出す特殊な医者があると言うが、事実だと思います。またわれわれ国会議員としても、良識ある者は今日の医療担当者のあり方と厚生省との関係を見ていると、迷惑するのは病人なのです、国民なのですから、そういう国民大衆の面から見ると、これはこのまま自由開業医制度というものを存続させたのじゃ国家として重大な問題になる。むしろ公営か国営に持っていくべきではないかということで、これは良識ある者なら当然そんな話が出るのが当りまえで、そんなことに驚く必要はないと思う。そういう特殊な例にこだわっておらないで、局長にしても大臣にしても、就任したときだけ医師会に顔を出して笑われたというが、少くとも就任してから今日まで医療費の問題以来というもの、おそらく大臣はまめに医師会をたずねたこともないだろう。これはやはり努力はしなければいかぬ。そういう努力を積み重ねてきた結果、どうしてもうまくいかぬのだというならば、これはわかるが、局長の言うように理解さえしてもらえばというが、理解の努力をしたかどうか。何べん聞いてもこういう点です、ああいう点ですとは言うが、理解させるべくこれだけの努力は払いましたというお話が皆目私の耳に入らない。私はつんぼじゃないのだから一生懸命聞いているのだけれども……。この点については過去のことは仕方がないです、やむを得ませんが、少くともこの法律を通そうというのだったら、もう少し医療担当者とまじめに話し合いの広場も作り、また御不満の点に対する、解明をする、また医療機関に対しても機会均等にいく。むしろあなた方が心配されている医療機関の方で誤解があるということよりも、地方に行ってみますと、各市町村の保険者の方が心配しています。つまり医療機関を開放したために、今まで自分たちの直診でやった場合には、赤字が大体少くなってとんとんに上れるようになったが、これを野放しに開放されたらまた赤字が出るのじゃないか、そういうことを各地で心配している。そうすると厚生省自体というものはあらゆる点に対して公平に民主的に、しかも国民再保険というものの基盤をがっちりと作ろうという意図のもとにこれだけの改正案を出されたのだと思うが、むしろそっぽを向いて回れ右して反対ののろしを上げているお医者さんの方の味方ばかりするように一生懸命法律を作ってやっている。そしてめんどうを見るのだぞと言いながら、お医者さんの方は回れ右してとっとと行ってしまう。かけ足したところがレールのないトロリーバスで、しかも電気がないのですから走りっこないのです。 こういうことをやっていて、しかもこっちの方じゃめんどう見ているのだがさっぱり理解してくれないといったって、これは痴人のたわ言にすぎないと思う。名大臣の施策としてはきわめて片手落ちだと思う。自民党にもこういう見解の代議士のいることを一つ御了承願って、もう少し努力をされるのかされないのか、そのままほっておいてレールなしで走っていくか、この辺のところをはっきり一つお答えを願いたいと思います。     〔八田委員長代理退席、委員長着席〕

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○堀木国務大臣 私実は最近においてそういう野澤さんのような御非難をしばしば他の機会においても受けております。しかし率直に申して私は逐次理解が深まってきていることも認めざるを得ないと思います。現に病院協会の方からは一日も早く法律なり今回の医療費の問題を実施に移せという要望切なるものがあります。ただ日本医師会を例におとりになりましたが、私日本医師会にも全力を尽して御理解を求めるつもりであります。しかし今までは向うの事情から、かえって私が——これははっきり申し上げますが、会長選挙の前に私がそういうことをいろいろやるとまたいろいろな問題が起るから、一つの安定の時期を見るべきであろうし、それから私自身が話し合いをいたしますのにも、やはり基礎的な土台を作って参らなければいけない。ただ会って話をすればいいというものではないと思います。そういうふうな状態を作るのに実際は不断の努力をいたしております。むしろある意味におきましては、いかにして医療機関等の協力を得られるかということが一番悩みの種であります。時期やその他いろいろな条件が整ってきたのではなかろうかと思いますので、今後は御期待に浴うようやって、全力をあげて御了解を願い、御協力を願うつもりであります。

野澤清人自由民主党

○野澤委員 約束の時間がもう五分だけになりましたから、もう一つだけにいたします。  今度の改正するねらい点は、政府の補助金を負担金にかえて二割を公平に出そうということを基本にしています。ところがさらに五%の調整交付金を出すということで、予算編成のときに、大々的に自民党政府は太鼓をたたいたが、この法律が通らないとこの実体が生まれてこない。しかも政府の要人のお話を漏れ承わると、一番この法律が通らないと困るのは大都市の保険加入の問題である、こういうことを聞かされる。現実にもう十月一日からそうするのだという法律の原案を出していながら、大都市がそれに危惧の念を持ってまだ踏み切れないのだ、そのために皆保険に支障を来たすのだというような見解を万一役人が持っているとすれば大きな間違いだ。少くともそれだけの目的を持ってこれだけの大きな法律を出した以上は、この点に関しても省内全部の者が統一した気持で確固たる信念のもとに進むべきである。しかもまた好むと好まざるとにかかわらず皆保険は三十六年からもう強制しようということになっておる。そういう法律まで出しておきながら政府部内においてあなた方がそんな危惧の念を持っておったら、むしろ国会議員の方がぼやぼやしておるから、国会議員はこの法律に賛成しなくなってしまう。要するに国会議員そのものがいかに良識ある議員だといっても、役人さえ心配しておるような法律を通していいか悪いか、当然考えざるを得ないと思う、そこでもう一ぺんせっかく医師会の方は会長がきまったからいいチャンスになってきたといって喜ばれておるようですからこれをおやりになるというならば、省内における思想統一を大臣としてはっきりこの際おとりになることが必要であると思いますが、これに対してはっきりおやりになって下さるということであれば、きょうは総括質問でありますから私の質問はこれで終りますが、できないならばまだ一時間も二時間も続けてやりますが、いかがですか。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○堀木国務大臣 どうもまことに申しわけないのですが、もしも政府と申しますか、厚生省部内において思想統一ができておりませんようでしたら、大臣としての責任を負えないわけでありますが、厚生省の思想は少くとも私が統一する責任があります。そういう点につきましては御注意をありがたくちょうだいいたしますと同時に、思想統一をするだけの方は持っていることをひそかに自負いたす次第でございます。     —————————————

森山欽司自由民主党

○森山委員長 次に昨日御報告申し上げました公述人の変更について御報告いたします。内閣提出の最低賃金法案外二件についての公述人中、日本労働組合総評議会調査部員の小島健司君は日本労働組合総評議会事務局長の岩井章君に変更になりましたので御了承願います。  午後一時半まで休憩いたします。     午後零時二十九分休憩      ————◇—————     午後三時十分開議

森山欽司自由民主党

○森山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出の最低賃金法案、和田博雄君外十六名提出の最低賃金法案、及び和田博雄君外十六名提出の家内労働法案の三案の審査は次会とし、次会は明日公聴会散会後開会することとし、本日はこれにて散会します。     午後三時十一分散会

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