建設委員会 第12号
- 発言数
- 68 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1958/03/11
会議録
○西村委員長 これより会議を開きます。 この際お諮りいたします。天龍川水域のダム建設による災害につきまして、参考人の出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
○西村委員長 御異議ないものと認めます。なおその人選、日時につきましては、理事と協議して決定いたしたいと思いますので、委員長に御一任願いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
○西村委員長 御異議なしと認めます。 —————————————
○西村委員長 次に地すべり等防止法条及び地すべり等による災害の防止等に関する法律案の両案を一括して議題とし、審査を進めます。質疑がありますから、これをお許しいたします。三鍋義三君。
○三鍋委員 本法案につきましては、過日農林委員会との連合審査によりまして相当の審議が進められたわけでございますが、本日は建設委員の立場から、主としてその関係について御質問申し上げたいと思うのであります。御承知の通り本法案の制定というものは、多年にわたるところのそれぞれ地元民の強い要望でありましたのが、昨年のあの九州の大災害をきっかけといたしまして非常な強い要望となりまして、日本社会党といたしましても、党独自の案を出してこの要望にこたえたいと考えたのでございますけれども、いろいろな関係で、臨時国会に提案された社会党の案はそのままたなざらしとなってしまったのでありますが、このたび再び出しまして、政府案を鞭撻し、そしてよりよきものを作らんとして努力しておりますことは御承知の通りであると思います。こういう意味におきまして、この問題は政党政派を超越したところの重要な案件でございますから、私たちはほんとうにみんなから期待されているこの法案をりっぱなものに作り上げたいと考えるのであります。そこで先ほども申し上げましたように、建設委員の立場から若干の御質問を申し上げたいと思います。法案の第二条第一項において「地すべり」の定義が示されておりまして、 「土地の一部が地下水等に起因してすべる現象又はこれに伴って移動する現象をいう。」これで一応理解できるのでございますけれども、私たちが常識的に考えて、崩壊と区別することのできない非常に類似した現象が現実においてある、これを考えましたときに、この区別をどのようにして明確にされるか、この点をまず伺いたいと思います。
○山本(三)政府委員 地すべりと、崩壊と申しますか、山くずれと申しますか、そういうものとの区別の御質問と承わったのでございますが、地すべりというのは、ここに法律案にも「土地の一部が地下水等に起因してすべる現象」と書いてございますが、これを具体的に申し上げますると、土地の表面でなく、地下の相当深いところにすべり面がありまして、その面が主として水の浸入によりましてすべり度を増加いたしまして、その上にありまする土の固まりが一体をなしまして下の方にすべっていく、こういう現象を考えております。それから一方それに対しまする山くずれ等は、そういうふうな一体をなすというようなこともありませんし、また地下の中にすべり面があるというようなことでなくて、通常表面から一体をなさないで、粒子が個々別々の形、あるいは少しの固まりはある場合もありますけれども、そういうふうにすべっていく現象であるというふうに考えておるわけであります。これをたとえて申し上げますると、トタンを敷いた屋根の上に雪が積ったというような場合に、少し暖かくなって参りますると、トタンの面に沿って上の雪が一体となって一ぺんにすべる、こういうふうな現象を考えておるわけでありまして、今の雪のすべるような現象が地すべりであって、そういう場合でも、積った雪が上からぼろぼろ落ちてくるという場合は地すべりではなく山くずれ、崩壊というように考えておる、こういうことでございます。
○三鍋委員 山くずれの原因は、御承知の通り豪雨とかにわか雨、強雨、梅雨期の長雨、あるいは雪解け水等の現象によって崩壊するのでありますが、この崩壊にも二つの種類があるようであります。山足がずっと洗われて、そうしてくずれていく場合と、従来の砂防事業において洪水、地下水、あるいは地震等が原因となりまして、十度くらいの緩斜面におきましてこれがゆるくくずれていく場合があるのであります。これは従来の砂防法においては、地すべりといった現象として取り扱ってきておるように思うのでありますか、こういう現実の問題の区別ははっきりできるでしょうか。
○山本(三)政府委員 お説のような点の疑問が起きるのは、私どもも実際にはそういう場合があり得るというふうに考えるわけでありまして、今のお話は対策の面から、同じような工事が地すべりに対しましても砂防についても行われておる、たとえば渓流の中に砂防堰堤を作ったり、あるいはのりすそをとめ、そうしてすべりをとめるというふうな方法につきましては、先ほど申し上げました山くずれ、すなわち砂防工事と地すべり工事と同じようなものを行なっておる場合があるのでありまして、そういう点から申しますと工法的には同じでございますけれども、さて、のり面に対しましてどういう方法をとるかということに相なりますると、地すべりは主として奥深いところのすべり面の水を早く抜いてやって、すべりを起すような状態にならぬように、たとえば横穴を掘りましてすべり面から早く水を外部にとってやる、こういうような方法を主としてやっておるのでありまして、一方砂防の見地から申しますと、やはりのりすそ等の工事は同じでありますが、のり面に対しましては主として表面が崩壊しないように段切りをいたしましたり、あるいはさくを作ったり、あるいは小さいダムを作ってのりを固めていくというふうな方法をとっております。従いまして、のり面の工事におきましては、地すべりの対策と普通の山くずれの砂防対策とは違っておるわけであります。ただお話のように現在までの状況におきましては、今申しました地すべりの水を抜く工事等も、砂防事業としての金からやっておったというのが事実でございます。
○三鍋委員 私のお尋ねしたのは、たとえば地すべり区域あるいは防止区域を選定されるときに、非常に困難な場合が実際においてあるのではないか、こういう点を主としてお尋ねしたのでございます。今の御答弁によりますと、まあそういう心配はない、このようにお聞きしてよろしゅうございますか。
○山本(三)政府委員 今回この法律を制定いたしますると、地すべりの問題はこの法律で扱うわけであります。従来は地すべりに対する法律がなかったので、地すべり地域につきましても砂防地区として指定してやったような場合もございます。しかし現象によりまして、ただいま御説明申し上げましたように、三紀層の上に玄武岩が乗ったものとか、あるいは古生層とか、あるいは温泉地帯の酸性白土とかいう地帯に主として地すべりがあるわけでございまして、地質学的に申しましてもそういうような地すべり地域というものはある程度限定されるわけでございますし、その中における、雪のすべるような現象の起るところを地すべり地域として指定するわけでございますから、混乱と申しますか、地すべり防止区域の指定の際におきましては、やるべきかやらざるべきかというようなことが起きることはないと考えます。
○三鍋委員 次に第二条の二項の「ぼた山」の定義でございますが、実は一昨日関門国道の竣工式に行って参りまして、その途中、このボタ山というものを実際見たかったのでありますが、時間の関係上、そのそばまで行って見ることができなかったことを非常に残念に思うのであります。地元の方のお話によりますと、この法案におきましては「石炭又は亜炭に係る捨石が集積されてできた山」こう書いておるのであります。現在このボタ山を一生懸命に採掘して石炭をとっているということをお聞きしているのですが、そういった場合、この定義と一致しない現実の問題があるのではないかと考えるのであります。何か新しく石炭の層がボタ山の中にできているそうであります。そうするとこの定義は少しあいまいになってくるのではないか、こう考えるのでありますが、これに対する御所見を承わりたいと思います。
○関盛説明員 ここで申しておりますところの第二条二項の「ぼた山」といいますのはいわゆる「石炭とか亜炭に係る捨石」となっておりまして、鉱業権者がいわゆる石炭を掘りまして、その鉱滓として捨てましたものが山をなしておるもの、こういうものを言っておるのであります。今三鍋先生の御質問になりましたように、こういうふうな形でもってでき上っておるボタ山が価値あるものとして、ときどきその山から石炭みたいなものを掘り出してやっているのが、一体これは価値があるものとして考えられるのかどうか、こういう点についても先般参議院の委員会で通産省に対して御質問があったのであります。これに対しましては最近の選炭技術が非常に進歩しており、従って集積されてでき上るボタ山からさらに石炭のようなものを掘り出すような気持でそういうことをやっておるということは、最近ではほとんど考えられない。そこでときどき世上一般に、でき上ったボタ山の中から少しずつそういうかけらを拾ったりするようなことが、結局ボタ山の崩壊を助長するわけでございまして、現象的にはそういう行為があるということと、それからここに言っておりますボタ山というものとは、結局ボタ山が保全義務者のないものがあることによって国土の保全上支障がある、これを今回の法律によって指定して、そして崩壊防止をはかるのが本法の対象とするものでございます。ボタ山そのものの経済的な利用価値がどのようになっているかという形についてお答え申し上げますと、過去のものについてはそういうものがあったかもしれませんけれども、最近の選炭技術の進歩によって、そこから燃料の一部をとれるようなボ夕山はほとんどない、こういう答弁でございます。
○三鍋委員 過去のものについてはそういう場合があるかもしれぬけれども、最近非常に技術の進歩した条件のもとにおいては、そういうものはあり得ない、こういう御答弁でございますが、しかし問題は過去のボタ山にあるのではないのですか。私、友人から、ここから相当大規模に石炭をとっておるということを聞いておるのですが、そういう観点から、これはもう少し明確にしておく必要があるのではないかと思います。
○山本(三)政府委員 お話の通りに、最近の選炭技術の進歩によりまして、新しいボタ山は中にコークスが含まれている量は非常に少いが、古いものには相当含まれているものもありまして、それを許可を受けないで、盗みと申しますか、盗んで掘っておるようなものがあります。それが原因となってボタ山の崩壊等を来たすおそれが非常に起きておるわけでございます。従いまして、それらの鉱業権者または鉱業権者と認められて自分が処置しなければならぬ山以外のものでそういう事態が起きて、それが国土保全の支障になっておるという観点から、今回の法律におきましてはそういうボタ山について行為の制限をやろうというのが趣旨でございます。
○三鍋委員 「鉱業権者又は鉱業権者とみなされる者が必要な措置を講ずべきものを除くものとする。」鉱業権者はもちろんその保安上の責任があるわけでありますが、鉱業権が消滅した後においても五年間は責任があるわけですね。五年たってしまった場合、現存するボタ山は、このボタ山の定義の中に含まれると解釈してよろしゅうございますか。
○関盛説明員 鉱山保安法の第二十六条の規定によりまして、鉱業権者とみなされる者、鉱業権が消滅いたしましても五年の間においてボタ山の保安措置を命ぜられました者は、その限りにおいて当該ボタ山を管理すべき保安上の義務を負担する鉱業権者と同一の地位に置くわけでございます。従って、今回の法律の制定によりまして、通産省の鉱業権者に対する義務実施の方法につきましても、ただいま御指摘のような事態が発生しないよう、管理義務者のないボタ山を作ることのないよう保安規則の完全な実施をはかるということで、過去において保安法の十分整備されていなかった時代もしくは古い時代、本法の対象になりますボタ山は別といたしまして、ただいま先生の御指摘になりましたようなことが今後発生しないような方法で現行法規を運用すれば十分その目的が達成できる、こういうことでございますので、今後ボタ山で危険なるものにつきましては、鉱業権の消滅というふうなことがありましても、その消滅の結果直ちに当該ボタ山の管理義務者がいなくなるというふうなことのないよう、行政執行をやることに通産省も決心をいたして、実際その衝に当ることになっておりますので、本法とあわせてボタ山の崩壊防止の措置を続けて行くことになろうかと思います。
○三鍋委員 そうすると、今全然所有者のわからないボタ山というものが現存しておるわけですね。採炭技術のまだ進んでいない時分の古いボタ山、これがあちこちに点在しておる。この中にこそ、先ほど申し上げました石炭をまだとることのできる条件の山があるのであります。これをあらためて企業が成り立つと見て許可をとってやれば、採炭できるのですか。盗んでいく場合は問題外ですが、正式に石炭を採掘することを実際始めておるところがあるのではないですか。そういう場合、このボタ山はどうですか。
○関盛説明員 ただいまボタ山崩壊防止区域として指定されるようなボタ山を対象にして質問されておるように拝聴いたしたのでございますが、そのようなボタ山について関係者が一部の土石を採掘する場合におきましては、今回の法律の第四十二条の行為の制限の条項によりまして、知事の許可を受けなければならないことになるのでございます。ただいま石炭を掘るというような意味で御質問がございましたが、鉱業法上の石炭を掘るという意味ではないと思いましてお答え申し上げたわけであります。
○久野委員 関連して。それは御答弁がおかしいと思うのです。ボタ山というのは土石だけが集積されて作られたものではないのです。やはり品質が非常に悪くて商売にならない石炭、亜炭、そういうものも集積されておるので、これは商売になるということであれば新しく採掘にかかると思うのです。現に一カ月ばかり前の新聞でありましたか、はっきり記憶いたしませんが、そういう品質の悪い、粗悪な石炭を高カロリーに上げる装置を発明して、全国のボタ山を崩壊させて、そういう石炭を集積して、日本の経済の再建に寄与することができるのだと大きく報道された新聞の記事を私は読んだことがあるのでありますが、そういう機械が発明されたということになりますと、いわゆる技術の進歩によって、従来のボタ山を新しく鉱業法で指定をせられました鉱区として、ここから石炭を掘り出すというようなことがあり得ると思うのです。その点どうでございましょうか。
○関盛説明員 鉱業法上の鉱区としての対象になるというふうな場合は、当該崩壊防止区域に指定されたボタ山につきましては鉱業法上の許可も要りますし、本法の四十二条の許可も要る、こういう意味で申し上げたのであります。
○久野委員 そういたしますと、せっかく地すべり防止法に従って防止区域が指定されまして、ある程度崩壊のための防止工事が施行されたといたしますと、そこに事業のむだが生じると思うのですが、そういうことはお考えになっているのでございましょうか。
○山本(三)政府委員 ボタ山の崩壊の防止に影響あるような土石の採取あるいは集積、掘さく、あるいは石炭その他の鉱物の掘採におきましては、ボタ山の崩壊を助長するというようなものは全部この法律で許可を受けなければならぬことになっております。従いまして、支障のないものは許可になることはありましょうけれども、今先生のお話のように被害のおそれのあるものは知事の許可が出ないということに相なるわけでございますから、その点はボタ山の行為制限によりまして十分取り締っていかれるわけであります。
○久野委員 私が質問申し上げたのはそういう意味じゃないのです。一般の地すべりと称するものとボタ山というものとは全然性質を異にいたしておるのであります。そうしてそのボタ山が土石等が堆積されてできたものであるという考え方に立てば、ただいまのような御説明はまた成り立つと思いますが、私は現在のボタ山というものはそういうものではないと思います。その中にはたくさんな石炭、亜炭等が含まれておるわけであります。しかもそれが品質が粗悪であるために、現状では商売として成り立たないということで捨てられておるわけです。ところが技術の進歩によって新しい機械が発明されたという現段階において、これから全国にありますボタ山を新しくこの鉱業法に従って採掘をするという場合が当然出てくると思うのですが、そういう際に防止区域に指定され、しかもこれらの地すべり地帯としての防止のための事業が施行されておるとするならば、非常にむだな仕事になりはしないか、そういうことを私は心配をするのでございますが、そういう際の取扱いはどういうふうになさるか、そういう意味で私は御質疑を申し上げたのであります。
○山本(三)政府委員 ボタ山の中に土石だけではないんじゃないかということは、仰せの通りでございまして、石炭または亜炭の掘採にかかわる捨石でありまして、その中には鉱物質のものも含まれておることは事実でございます。それからまたこれをうまく利用しようということを考えておることも事実であります。しかしそういうような石炭等を掘ったために、ボタ山が防止工事をやっておるのに、かえって逆にボタ山の崩壊を助長するようなものがあってはいけないわけであります。従いまして四十二条の第五号には「掘さく又は石炭その他の鉱物の掘採で、ぼた山の崩壊の防止を阻害し、又はぼた山崩壊を助長し、若しくは誘発する行為」ということになっておりますから、ボタ山の中で石炭を掘るような場合も当然知事の許可を受けなければ、そういう行為はできないわけでありまして、それが防止工事をやっておるようなところにおきましては、厳重に取り締って、逆の効果が発生するというようなことがあってはいけないわけでありますから、石炭の掘採についても、ボタ山の崩壊防止の見地から取締りをやっていこうというのがこの四十二条の趣旨でございます。
○久野委員 そういう例は戦争中にもありました。そういうことが想定されるというのであれば、ボタ山の保安施設というか、地すべりが起きそうな防止施設は、当然鉱業権者がやるべき性質のものでないでしょうか。
○山本(三)政府委員 仰せの通り、当然鉱山保安法第四条によって鉱業権者は落盤、崩壊等の防止に必要な措置をやらなければならぬ。しかも二十六条によって鉱業権がなくなっても五年間はやらなければならぬということになっておりまして、ボタ山を昔から尋ねてみますと、当然掘った人があるわけであります。従ってその人がやらなければならぬのでございますけれども、ただ、だれが鉱業権者かわからぬ非常に昔のものがありまして、そういう者にやらせようと思いましても、事情としてその者がおらぬような場合があるのでございます。それを国土保全上の立場から、国としてもほっておくわけにいかぬから、その分だけはただこの法律で取り上げて国が施策していこうということでございまして、当然鉱業権者のあるものについては鉱山保安法によって通産省系統で取締りを厳重にやっていく、その面とあわせましてボタ山対策が完全になる、こういうことでございます。
○久野委員 商売になるということであれば、おそらく新しく採掘を申請することになろうかと思うのです。そういうことがあり得ると思うのです。そういう際にはやはり知事の許可を受けることになるわけです。しかし、それでは私がさっき申し上げましたように、そういう場合が現実に想定されるということであれば、やはりそういう地帯に防止工事を行うことは国費のむだになるのではないか、そういう意味で私は質問を申し上げておるのでございます。だから一般の地すべり地帯とは意味が違う。そういう違うものを現在地すべり防止法案の中に入れるということは、この際不当ではないかという考え方を持っておるのでございます。
○山本(三)政府委員 今の御質問はそういう場合も想定されるわけでございまして、ボタ山がある、しかし今は鉱業権者がいない、しかし将来その中から石炭を掘りたいということで鉱業権を出願してくる場合がございます。その場合に鉱業権が与えられますと、その掘ったことによって生ずるような必要な工事等は、新しくできた鉱業権者の責任でやらなければならぬということに相なるわけでございまして、その分まで国がやろうという趣旨ではございません。ただその監督は、防止区域にしてありますれば、もちろん建設省系統で監督をやるということでございます。
○三鍋委員 そこでもう一点、今の問題に関連してお聞きしたいのでありますが、先ほどもちょっと御質問申し上げたのでありますが、鉱業権が消滅してから—鉱業権を持っているときではもちろんでありますが、消滅してから五カ年間はやはり保安上の責任を持ちますね。五カ年間済んでしまったあとはどういうことになるのですか。
○関盛説明員 鉱業権消滅後五年以内において保安上のいわゆる指示をいたしますれば、それはずっと続く、こういうことでございます。五年間知らぬ顔してほうっておきますと、それは五年の切れ目が縁の切れ目になってしまうのです。従って五年の間にはっきりした保安上の指示を当該ボタ山管理者に行なっておけば続いていく、こういうことでございます。
○三鍋委員 そうすると五年以内になお継続して保安をさせる必要があると見た場合は、それを指示すれば、場合によっては永久に責任を持たせることができる、こういう工合に解釈してよろしゅうございますね。
○関盛説明員 理論的にはその通りであります。
○三鍋委員 次に第三条及び第四条におきまして、地すべり防止区域及びボタ山崩壊防止区域の指定の条件が定められてあるのでございますけれども、第一条の目的から考えると当然に、地すべりまたは崩壊によって、必ずそれに関連して被害を受けるであろうという区域が予想されるのでありますが、これも当然に防止区域の中へ含まれるべきものである、私はこのように解釈するのであります。と申しますのは、二十四条において関連事業に対する、家屋その他に対する処置が講ぜられている点から考えましても、この点当然地すべり防止区域の中に指定さるべきものである、このように考えるのでございまして、この第一条と第三条との間に何か矛盾を感ずるように思うのでありますが、この点明確にしていただきたいと思います。
○山本(三)政府委員 第三条及び第四条におきまして地すべり防止区域あるいはボタ山の崩壊防止区域の指定を行うわけでございますが、これと合せまして、ただいまお話がありました関連事業というものを立てる区域があるわけでございます。 この地すべり防止区域は、それではどういう区域を考えておるかということでございますが、これは地すべりを起す原因をなすような行為をその区域においては制限しよう、それからこの区域において防止工事をやろうというふうな、工事あるいは行為制限をやる必要にして十分な区域を防止区域として考えておるわけでございまして、行為制限なりあるいは防止工事をこの区域で行えば、地すべりをとめることは十分できるわけでございます。ただお説のように地すべりが起って参りますと、主として下の方におきまして被害を受けるわけでございます。その区域につきましては、もちろん被害を軽減するような処置を法律の目的におきまして取り上げなければならないわけでございますので、関連事業といたしまして、家屋の移転であるとか、あるいは農業施設の整備等は、もちろんこの防止区域外におきましても立てて、それに対しまして必要な助成なりあるいは融資なりをいたすことに相なっておるわけでございますので、あわせて第一条の目的が達せられるわけであります。地すべり防止区域に被害区域も含めるべきであるというような意見もございましたけれども、地すべりをとめるという観点から言えば、地すべり防止区域を、今の地すべり防止区域と被害区域と二つ分けまして、両方につきまして、防止区域につきましては防止工事あるいは行為制限を行う、それから被害区域等につきましては関連事業を行うということで、この両建で効果を発揮しようということに相なっております。
○三鍋委員 ただいまの問題につきまして、それぞれ意見があるわけでございますけれども、ただいまの御答弁を一応了承したいと思います。 次に同じく第三条におきまして、「おそれのきわめて大きいもの」、「公共の利害に密接な関連を有するもの」、これは過日の合同委員会において問題になりまして、この限界というものについてむずかしい問題を取り上げているのでありますが、これをもう少しわかりやすく御説明願いたいと思います。おそれのきわめて大きいものはどういうものか、公共の利害に密接な関連を有するものと、あまり有しないものとの区別の点、これを一つ明確にしていただきたいと思います。
○関盛説明員 おそれのきわめて大きいという表現でございますが、いわゆる地すべりしている区域というのははっきりしております。その地すべりの現象も定義の方においてお示しいたしておりますので、はっきりしておるわけでございますが、この「又は」以下は地すべりをするだろうという、土地のそういう現象の可能性といいますか、見通しといいますか、そういう一つのポテンシャルなことを意味しておるわけでございます。従ってここでおそれのきわめて大きいというふうに——それでは小さいのはどうだというふうなことを、われわれ特に誇張したわけではございませんで、前回の合同委員会の際もいろいろ御意見が出たのでございますが、一番はっきりするのはおそれの大きいものでありまして、そこではっきりするのをまずつかまえた、こういうことでございます。こういうふうな例は、現在の危険が切迫しておるというような事柄を行政的につかまえていく場合に、水防法等についても、おそれのある場合、かなり個人の権利義務に制限があるような場合につきまして、こういうような表現をしておる場合があるわけでございます。それから公共の利害に密接な関連を有するという事柄は、これはほかならぬ第一条の目的から出てきておるわけでございまして、要するにこの法律がねらっておりますことは国土の保全と民生の安定ということでありまして、これはお話の通り公共の利害に密接な関係を持っておるわけでございます。従ってこの地すべり現象を国の責任において、国の事務といたしまして知事が地すべり防止工事をやっていく。さらに行為制限から始まった一連の防止区域における管理行政の根本は、国の事務としてやっておるのだ、こういう考え方で、その地すべり地域の土地が個人の私有地であっても、国の行政上非常に重要な災害を未然に防止する現象として取り上げられておるのがほんとうの建前である、こういう関係で律しておりますので、従って「公共の利害に密接な関連を有する」ということは、ほかならぬ第一条の目的的な事柄をここで表現をした、こういうことでございます。これは実際の場合に、防止区域の指定をする場合の基準に関係いたして参りますので、その点御質問が関連しておったと思うのでございますが、「公共の利害に密接な関連を有する」という意味は、たとえば公共施設と申しますか、治山治水上密接な関係のあるところとか、あるいは鉄道とか、あるいは道路、橋梁等の公共施設の保護とか、官衙、学校病院等の公共建物の保護とかあるいは人命、人家の保護とか、林地、耕地というふうな関係のものが、この公共の利害と関係のある事柄と思うのでございます。従ってそれらの公共の利益の保護になるところの状況を調査いたしまして地域指定をする、こういうふうな関係になるわけでございます。
○三鍋委員 詳細に御説明願ったわけでありますが、私の心配してお尋ねしているのは「おそれのきわめて大きい」とか、あるいは「密接な」と、こういう限定されている理由を多少懸念を持ちますので、御質問申し上げておるのであります。相当にまとまった被害があるにもかかわらず、どうも範囲があまり大きくないからというようなことで、そういう相当危険なる個所が除外されたり、忘れ去られたりするようなことがないか、こういう観点から御質問申し上げておるのでありますが、こういった立場におきまして大体の区域の面積とか、そういうものを最小限どのくらいまで見ておるか、この点について御説明願いたいと思います。
○関盛説明員 これは建設省の所管をいたしておりますものも農林省で担当いたすことになります。地すべり区域につきましても、それぞれ同一の方針で両省、事務的に既存資料に基きまして精査をいたしたのでございますが、これも地すべりをしておる区域というのは非常にはっきりしておるのであります。従ってこれらの地域につきましては、もちろん五町歩程度のものからとっております。先生の御心配になりましたのが「又は」以下の「おそれのきわめて大きい」というのは、これから起るかもしれぬというふうな見通しの問題を考慮したものは事態の推移とともに考えていかなければなりませんけれども、現在において地すべりしておるところは、御心配のような点は今申し上げましたような規模のものも取り上げまして、一応十四万余町歩の推定面積の中に入れておるのであります。なお詳細につきましては、今後調査をいたしまして、ただいまのような御懸念のないようにしなければならぬ、こういうふうに考えております。
○三鍋委員 この点は地元民が非常に心配しておる点でありまして、十分一つ御調査の上、手落ちのないようにお願いしたいと思います。 次に三条の第二項でありますが、ここでも「最小限度」という制限の文字が使ってあるわけでありますが、私のお尋ねしたいのは地すべり防止区域以外のかなり離れた場所に、池とか沼とかあるいは用水路といったようなものがありまして、それがずっと地下水となりあるいは洪水となって地すべりを誘発するといったような、そういうおそれのある場合があると思うのでありますが、防止区域外にあって、それがずっと地下水となって地すべりを助長する、こういう場合があるんじゃないかと思うのでありますが、こういうのはどういう工合に取扱っていこうとされますか。
○山本(三)政府委員 今のお話は現実問題といたしまして考えなければならぬ問題だとは思いますけれども、そういうものが地すべりの原因をなしているということがはっきりいたしますならば、それらの区域も含めてやらなければならぬというふうには考えております。
○三鍋委員 防止区域から飛んで、離れてあるのですよ。
○山本(三)政府委員 それは途中に何もなくて非常に離れているという場合には、離れて指定することも考えられると思います。
○三鍋委員 何か適切な施設をその個所に作ってやればよいんじゃないかと思います。もう一つ、大体において盆地とかくぼ地にずっと地下水が寄ってきまして、地すべり現象を起す場合があると思いますが、そういう場合どういう処置をとられるか、これを一つお聞きしたい。
○山本(三)政府委員 低いところに集まって参りまして、それが誘因となりまして地すべりの原因になるというような場合には、その水を早く地すべり区域外に導いてやることが必要なわけでございまして、それらの施設を行わなければならぬ部分につきましては、当然地すべり防止区域に入れまして対策を行うということに相なります。
○三鍋委員 第二項に「最小限度のものでなければならない。」とある。私はこれを一応尊重して御質問申し上げておるのであります。あまり膨大なものになってはいけないんだから、そういった盆地へ自然に流れてくるといったような場合、途中においてこれを集めて区域以外に流してやるといったやり方の方がよいんじゃないかと思ってお尋ねしているわけですが、これに対する御所見を伺いたい。
○山本(三)政府委員 お説のように、盆地に水を集めてから抜くというのは、周囲が高い場合が多いので、それを抜くことは非常に困難である場合も考えられますので、そこまで水を導かない前に、高いところでよそへ持っていくということの方が非常に楽の場合も考えられます。そういう場合には当然そういう措置を行わなければならないのでございまして、しかも安くできる場合も想定されますので、そういう方法を採用しなければならぬ場合も考えられると存ずる次第であります。
○三鍋委員 次に、第八条の標識設置の問題でありますが、災害をできるだけ小さく、あるいは未然に防ぐ、こういう立場からいいますと、区域の指定の標識だけでは私はだめだと思うのであります。やはり自動警報機なりあるいは観測予報の施設とか、あるいは警報の通信施設、こういったものが必要だと思うのです。これが第八条には取り上げられていないのですが、府県は責任上、自然何かそういう施設をせざるを得ないところへ追いつめられる場合が現実の問題としてあり得ると思うのです。こういう場合に何か補助をしてその施設を、あまり大きな負担をかけないでこれを奨励あるいは完備するといったような御配慮があってしかるべきだと思うのでありますが、それがないように思います。水防法におきましてもそういう予報設備がなされているのですから、この点同じだと思いますが、いかがでありますか。
○山本(三)政府委員 私どもといたしましても自動的に、機械的に地すべりが起る場合を予報するようなことができまするならば、被害防止の面からいって非常に有効であるというように考えまして、当初いろいろの警報機等を物色いたしまして、たとえば鉄道等におきまして高い切り取りがある場合におきましては、石が落ちそうだというような場合には石に警報できるような装置をつけておきましてやるというふうなものも考えたわけでございますが、ただいろいろと研究いたしましたところ、地すべりというのは非常にそういうふうな機械を設置するのにむずかしい、これはもう少し研究しないと——警報施設をつけてそれにばかりたより過ぎて万一のことが起るといかぬというような点も考えられましたので、これを法定するということはもう少し研究しないと、それをつけたために安心して万が一のことが起ってはいけない。それではどういうことをするのかということでございますが、地すべりの起りそうな区域につきましては、よく見回りをいたしますならば、地すべりを起す前には、その上のところに亀裂が入っておる、あるいは地下水の湧出量が非常にふえてくるというようなことが考えられるわけでありまして、それらを十分観測いたしまして、そうして緊急避難であるとかいうようなことをやった方が、機械等を据えて、不十分な機械だけに信頼いたしまして万が一のことがあるといけないということから、この警報機の問題は法律に入れなかったわけでございまして、今後この点につきましてはいろいろ機械的の研究をいたして、その上で一つ考えていきたいという考えに立っておるわけでございます。
○三鍋委員 ただいまの御答弁、ちょっと満足して承わることができないのです。要するに警報の機械の精巧さ、信頼度の問題になってくると思うのです。やはり十分この点が研究されて、りっぱなものを——これは外国あたりでもそういう何か例があるのではないですか。絶対に信頼できるそういうものを備えつけるということが非常に大事なことだと思うのです。事実亀裂が入りまして危ないぞといった地すべり区域の標識が立つわけですが、これが実際にいつすべるかわからないのが現存の地すべりの姿なんです。大丈夫だろう、大丈夫だろう、また大したことはあるまい、こう思っていたらその次の瞬間に、夜中に雨が降って落ちたというのが旧来の災害の例であります。ふだんちょっとわからないときにこういった現象が起るということを建前といたしますと、信頼できる予報設備というものが非常に重要ではないかと思いますので、この点を今後十分御研究を願って、適切な御配慮を賜わりたいと思うのであります。 次に十二条の第二項におきまして、地すべりの防共施設の項が設けられてあるのでありますが、この防止施設をやろうといたしますと、民有地その他の買収問題が必然的に起ってくると思うのであります。これに対するところの明文がないように思うのでありますが、どういう考えでおられるのか。
○関盛説明員 ただいま十二条のところで御質問がございましたが、ただいまの御質問は、要するに、地すべり防止工事を実施するために必要とする民有地等の取得がなされる場合に、それに必要な条項がないじゃないか、こういう御意見のように拝聴いたしたのでございます。これは現在あらゆる法制すべてそうでございますが、憲法におきましても、公益のために必要な土地の取得でなければ強制力がないわけでありまして、予算の定めるところに従いまして補償を行いまして、そうして相手方と契約をして取得をする、これが建前になっております。従って築造基準そのものが——地すべり防止施設としてやりますものはどんな種類のものを作り、またどういう構造にして、どんなところにはどういうものを置くかという、地すべり防止工事が関係各省にまたがっておりますのと、また民間の人たちが地すべり防止工事をやる場合の基準といたしまして築造の基準を書いてあるということでございます。
○三鍋委員 次に第二十条についてでありますが、ここでは許可の特例がうたわれてあるようであります。この特例は砂防法、森林法によって従来とも規制されているんだからという観点からなされておるのだと思いますが、私はこの際地すべり防止という建前から、あらためて本法の十八条の第一項の条件に合うかどうかということを審査する必要があるのではないかという感じを持つのであります。と申しますのは、森林法、砂防法におきまして、これが制定されたときに地すべり対策というものをどの程度まで考慮に入れて作られたかという問題であります。たとえば、これを具体的に例を申し上げますならば、地すべり面が河床と同位あるいはまた下の方にあるといった場合、砂防法の規制を受けていないのじゃないか、このように考えるのであります。これはこのまま今までの条文によって認めていい、こういうことが果して妥当であるかどうか、地すべり防止という観点から、もう一ぺん検討し直す必要がある場合が出てくるのではないか、それをやらなくして大きな災害を誘発するといったような場合が予想されるのではないか、このように考えますので、この点に対するところの御所見を承わりたい。
○関盛説明員 第二十条の許可の特例といたしまして掲げてありますものは、森林法と砂防法による許可を受けた者については十八条一項の許可を不要とする、こういうことでございまして、この意味は森林法、砂防法、いずれもこの二つの法律は、今回の地すべり等防止法案同様に、一定の国土につきましての区域管理をいたしておる法律でございます。国土保全に関する法律でございます。従ってこの目的は一定の行為については、同じことを許可の対象にしておるところもございます。と申しますのは、われわれのこの砂防法で申しますと、たとえば土石の採掘とか、あるいは鉱物の採取とか、あるいは掘さくみたいなような土地の地表に関する行為は、これは砂防法におきましても、その砂防法に根拠を持ちます都道府県の規則になっておりまして、知事の許可を要することになっております。当該地域がたまたま地すべり防止区域とダブっておりますような場合におきまして、その地域が砂防法の地域でもある、それからまた一方地すべり地域でもあるという場合に、砂防法でもって十八条の第一項に掲げる行為制限の許可と同じものを得たという場合に、これは地すべり防止法による許可は要らぬだろう、同じ国土を管理しておる知事が許可をするわけでございますから。ところが砂防法による許可は、全部この地すべり法の許可と同じことを書いてあるかと申しますと、地すべりの現象の特殊性から見まして、地下水とか地表水の放流ということは、むしろ砂防法では重点が置いてないわけであります。従って、ここで言っておりますことは、砂防法によって許可を受けた当該行為制限の事案と同じ事柄については、十八条に書いてあることと同じ事柄については許可が要らぬ、こういうふうにしておりますので、地すべり現象そのものに特殊性なもの、これはもちろんこの法律の許可がなければ相ならぬ、こういうことになるわけでございます。
○三鍋委員 了解いたしました。次に第二十条でありますが、これはよく出てくる表現でありますが、「他の施設等により生ずべき地すべりを防止するために必要な施設をすること若しくは原状回復を命ずることができる。」という、この表現であります。こういう表現でいきますと一、項、三項といった条項が悪用される場合があるのではないかという懸念を持つのでありますが、そういう心配はないでしょうか。道路占用許可の取り消しの場合なんかは、むしろ原形復旧しないでそのままの方がかえっていいという場合があるのですが、この場合においてはそういうことはないということですか。これはやはり厳格に命じなければならないといった強い表現が必要である、このように考えるのでございますが、これに対する御所見を承わりたいと思います。
○関盛説明員 この二項の場合は、都道府県知事が許可の取り消し権を保留しておる場合の規定でございます。すなわち、次の各号の一に掲げる場合においては、十八条の一項の許可を受けたものに対しては、地すべり防止工事のためやむを得ない必要が生じたとき、それからまた、地すべりの防止上著しい支障があるときには、これは許可の取り消し権を留保しておる、こういうことでございまして、この二項の一号と二号は、地すべり防止上必要な場合におきましては、許可の取り消し権を知事が留保しておる、こういう場合でございます。それから三号の場合は、道路工事または鉄道工事というような、地すべり防止以外の他の公益上の必要が生じましたときにおいては、許可を一ぺん取り消すことがあるかもしれぬという条項がございまして、そのような場合における解決は、第三項によりまして、協議による解決がありますけれども、ここでは損失補償、取り消しでもまた補償するという道を法律上はっきりした、こういうことでございます。
○三鍋委員 次に、第二十四条の関連事業計画でありますが、これは甲村におけるところの防止区域、そしてそれに関連するところの事業、これははっきりとわかるのでありますが、その下の方の、甲村以外の乙村がその災害を受ける区域にあって、住宅その他が存する場合に、一体この条項が適用されないように書いてあると思うのですが、これに対する御所見を承わりたい。
○関盛説明員 この第二十四条は、知事は、地すべりによる被害を除却または軽減するため必要があるときにおいて行う関連事業計画の作成の基本を示しておるわけでございまして、従って、地すべりによる被害除却または軽減のための措置でございます。すなわち、地すべりの防止工事のみでは、地すべりによる被害の軽減または除却が十分ではないという場合における補完的作用として行われる関連事業計画であります。従って、地すべり防止工事は、防止区域を対象として行いますが、関連事業計画が地すべり防止区域の内外にまたがることは、もちろんこの関連事業計画の対象区域として認めておるのでございます。その場合においては、地すべり防止工事基本計画というものを勘案いたしまして、市町村の長の意見を聞くわけでございますが、ただいまのお話は、当該防止区域の下の方の危険区域というものが想定せられる、その危険区域というものが結局甲の市町村の区域であろうが、乙の市町村の区域であろうが、これはいわゆる防止区域との関連における危険区域については、関連計画を立てる必要があるのでございまして、従って、知事は当該防止区域の存する市町村の長に示すのが当然でございますけれども、危険区域の存する市町村につきましても、その防止区域から危険区域に出ていくということも一つの関連事業の代表的な例でございます。そのほかに危険区域というものが、かりに今のお話で、隣村にあったという場合において、防止区域の村がA村で、危険区域がB村であったという場合に、行政区画上その防止区域の存する市町村長だけでは、その危険区域の地域の市町村の住宅の関連事業計画が立ちようがないじゃないか、こういうふうな御質問だと思います。これはまさしく主務省令の内容といたしまして、関連事業計画は住宅だけではございませんし、土地改良もございますし、あるいは農道等の施設もございますので、防止区域と、それから防止区域の設定に伴ういわゆる危険区域の町村についてそういう総合的なものを立てなければいけませんので、そういう総合的な関連事業計画を知事が指導いたしまして立てることによって解決していく。ただこの二十四条の第四号に書いてあるのは防止区域外にまたがるものは直接関連する事柄を一つ重点に置いて考えてくれ、こういうことでございます。もちろんこの二十四条の市町村は、防止区域の存する、つまり市町村の中ではありましても、また外でありましても、防止区域の危険区域として考えられる市町村のものも含めまして立てる、こういう考え方で主務省令を準備しようと思っております。
○三鍋委員 ただいまの御説明で、それだったら大体心配がない、このように了解いたしました。 次にこの一項におきまして、一、二、三、四とあるのでありますが、このうちの第一号、これが私たちは法律の一番問題点だと思うのであります。この一号が補助の対象になっていないのですが、これが一番の問題点だ、こう思うのです。家屋の移転の補助がどうして考えられないのであろうか、実際そういう地域に住んでいる農民の人々の立場を考えましたときに、私はやはりこの法律に対しまして、どこまで真剣にこういう立場の人々のことを考えているかということを不安に感ずるのであります。移転する前後の費用というものは相当の金額でございましょう。 〔委員長退席、荻野委員長代理着席〕 また本人は、いや、やはり祖先伝来の永住の地としてここでやっていきたいのだ、どうしても移るのがいやだと思いながらも、区域に指定された以上は動かなければならない、こういう状態に追い込められていくのであります。これに対して融資だけでは——大体農村の人々というのは、どんな少いお金でもお金を借りるということを、これはだれだってそうだけれども、特に農村の方は何か非常に不名誉なことのように感ずるのであります。また事実借りれば利息をつけて返さなければならないし、こういう素朴な農民の気持というものを考えましても、これは何とか、せめて二割五分くらいの国の補助というものを与える必要があるのではないか、そうせぬと、すっきりした気持でほんとうの協力は望めないであろうし、仕事がはかどらないのではないか、こういうことを感ずるわけでございます。そして住宅金融公庫の融資あたりを、かりに七割五分なら七割五分といったようなことにして、離れたくない人を離れさす必要がある。そして生活は貧しい、土地に対しては強い愛着があるといった場合には、私はここまで考えていかないと、ほんとうの法の精神というものは生きさてこないではないか、こう思うのでありますが、これに対する御所見をお聞きしたいと思います。
○山本(三)政府委員 地すべり地域の危険地域にありまする家屋移転の問題に対しまして国の補助金を計上すべきではなかったか、こういうお話でございます。これにつきましては、私どもといたしましても、地すべりの被害区域にある方々が家を移転するという場合におきまして、資力のない方々もおられるので、これに対しまして補助金をぜひつけたいということでいろいろ大蔵省方面とも折衝いたしたのでございますが、ついに予算のときに補助金を計上することができなかったわけです。従いまして、今後におきまして努力する考えは持っておりますけれども、予算に計上されなかったというおもなる点は、この種の家屋の移転等の問題、たとえば災害を受けた家に融資を昨年からやっておりますけれども、災害を受けて根っからうちのなくなった方に対しましても補助金は出しておらない。これは危険区域で、あした来るか、あるいはことし中に危険が切迫するかということがあるわけでございまして、そういう点から申しますと非常に危ない地域でございますが、何せまだそこにうちがあるわけでございまして、移転する場合におきましても、材料等におきましてもまだ使えるものがあるというような点を考えますと、災害の住宅の復興の問題とやはり甲乙がつけられないというような観点から、ついに補助金を出すことができなかったということでございます。また一方、補助金を出すということは個人個人の立場から申しますと非常によろしいことでありますし、またそれを促進する意味におきましても非常にいい面があるわけでございますが、ただ国の金を出すということに相なりますと、やはり公共的な利益の増進とか災害の防止の効果というものがある方がいいわけでございまして、極端に申し上げますと、うちを移転するということは家屋の所有者に対する利益と申しますか、生命の安全あるいは家財の安全がはかれるという観点から言いますと、家屋の所有者の利益が主であって、そのために一般の公共的な利益が増進されるとか、あるいは一般的な災害の防止の効果があるというような観点は非常に少い、そういうようなことから補助金を出すことがついにできなかったわけでございます。そういう意味もございまして、この補助が条文の中に入れられなかったというのが実情でございまして、御了承をいただきたいと存じます。
○三鍋委員 ただいまの御答弁で、大へんその必要性を認めながらも、公共性と個人という立場から思うようにいかなかったという苦衷を述べられたわけであります。お気持はよくわかりますけれども、私たちは、政治を実施していく上におきまして、法律を作っていく上におきまして、常に住民の当事者の身になって、そういう人の立場に立って、できるだけ喜ばれるように、そうして大きな希望を持っていただけるようにする、こういう建前でなければならないと思うのであります。公共的な関係はないという御説明も含んでおったと思うのでありますが、そこら辺の限界はやはりむずかしいと思うのであります。どれが公共性を持ち、どれが個人のものであるかという、この関係は非常に微妙なものがあると思うのです。個人の問題が、即非常に大きな公共性に関連している場合もあると思うのであります。そういう観点から、何とかこういう点を考慮すべきではないか、こう私たちは強く主張するものであります。 もう一つ、農家におきまして、その経営の実態から申し上げますと、家屋というものと農舎、畜舎というものは不即不離のものでありまして、別にこれは分離して考えられるべきものではないと思うのであります。この農舎とか畜舎といったものにも、できるならやはり補助と融資とを当然行うべきである、その対象とすべきである、私たちはこのように考えておるのであります。農舎、畜舎関係におきましては農林漁業金融公庫から融資の道も開けておるようでありますが、私たちといたしましては先ほど申し上げましたような立場から、こういった不即不離、一体の農業経営という立場から考えまして、この農舎、畜舎にも補助をいたすべきである、せめて融資をできるだけ多くを対象として出すべきである、こういう観点に立っているのであります。これはちょっと建設関係とずれるのでありますが、こういった場合、農地の売買というものも当然出てくると思うのであります。そういうときにも営農資金の貸付というようなことも当然考えられておると思うのですが、所管外でありますから、先ほどもこの質問に入る前に建設関係を主としてお聞きすると申し上げておった建前上、この質問はいずれまた別の機会にいたしたいと思います。 次に三十六条におきまして「都道府県知事は、その施行する地すべり防止工事によって著しく利益を受ける者がある場合においては、その利益を受ける限度において、当該工事に要する費用の一部を負担させることができる。」この点でありますが、「著しく利益を受ける」という場合はどういう場合が予想されるのか、これを一つ御説明願いたいと思います。
○国宗説明員 一般に受益者分担金の規定を、このような土木工事になすゆえんのものは、河川、道路、砂防においても同じでありますが、国が費用の大部分を持つわけでありまして、あるいは地方公共団体がその一部を持つわけでありますが、さらに各個人につきまして、当該一般的に予想されます利益を越えましたところの特別の利益が発生する場合をいうわけであります。具体にどのような場合であるかということを申し上げますのは、実例をもって申し上げなければならないわけでありますが、河川、砂防におきましても、個人の受益といたしましてとった例は非常に少いのでありまして、一般的にその工事から予想される利益を越えて、一定数の——一名でなくてもよろしゅうございますが、一定数の特定人が特別の利益を受ける、そのような場合におきましては、利益の発生した後におきまして利益の限度まで——利益を越えてとるということは違法でありまして、利益の限度内におきまして、その工事費の一部を分担させる、こういう趣旨であります。
○三鍋委員 私の質問申し上げたいのは、この受益者自体が、すでに市町村民といたしまして一般的に負担をしておる。そこでまた、お前はこれだけの利益が出たから出せというやり方は少しでもとれるものはとってやろうというような、あまりたちのよくない考え方であるという批判を受けるのではないか、二重負担にならないか、こう思うのでありますが、この点そういう心配はないですか。
○国宗説明員 その点につきましても、市町村民であるがゆえに納付しております市町村民税、あるいは土地を持っておりますための固定資産税等、一般の村費でまかなうべき性質のものを越えるものでございます。従いまして住宅地帯における地すべり防止といたしまして、住宅がとまったがゆえに直ちにここにいう受益者分担金に相当するものではございませんで、たとえば地すべりのための擁壁がその人の土地のとどめの役目をなした、よってその土地の効果を非常に上げた、このような場合におきましては、一般の市町村民税等市町村の公課を払っておるがゆえに当然受益する利益ではございませんで、その人特定の受益でございますので、その場合におきましては、一般の市町村民の公課とは何ら矛盾せず重ねて徴収するのが適当なものと考えられるわけでございます。
○三鍋委員 受益の限度、どれだけ利益を受けたかという、これは一々具体的な問題が算定されるわけでありましょうが、そこら辺に過酷になるといったような、受益を上回るといったようなことになる心配はありませんか。
○国宗説明員 その点が実際上の一番問題点でありますので、この三十六条の二項、三項におきまして、その徴収を受ける者の範囲、及びその徴収の方法につきましては都道府県の条例できめることにいたし、かつその条例の制定につきましては三項に規定いたしますような方法によるわけであります。すなわち分担金を徴収いたします条例は、普通地方公共団体の議会の常任委員会または特別委員会において、あらかじめ公聴会を開きまして、真に利害関係を有する者または学識経験を有する者等から意見を聞かなければ条例を制定してはならないことにいたし、改正いたします場合も同じであります。しかもその公聴会を開きます場合におきましては、開催の日の前二十日までにその日時、場所、案件を適当な方法で公表いたしまして、新聞紙で公表する場合におきましては、七日目ごとに同様な公表をするという措置をとりまして、その受益の範囲、徴収を受ける者の範囲あるいは方法等につきましては、実情に沿うような措置をいたしておるわけであります。
○三鍋委員 時間もだいぶ経過いたしましたので、予算関係に関する質問はまた後の機会に十分やらせていただくことにいたしまして、きょうは最後に五十一条について御質問申し上げて終りたいと思うのであります。 この三号のイによりますと、土地改良法第二条第二項に規定する土地改良事業が施行されている地域、そして計画されている地域、これが農林大臣の所管、こういうことになるのでありますが、どうもこういう一つの法案を制定しようといたしますと、いろいろの関係省の問題が出てきまして、最後にでき上っていくものは、地すべり対策なら対策という一貫したものができないといったものができてくる。こういう印象を受けるのでこれを質問するわけでありますが、これはやはりあくまで地すべり対策というものの一元化という立場からいたしまして、私は主務大臣を一本化して明確に運営していけるようになすべきであると思うのであります。そういう観点からいたしまして、土地改良事業が施行されている地域——これは直接地すべり防止と関係のある工事となりますから一応認めるといたしましても、計画の決定されている地域、これらの地域に準ずべき地域、そこに存するところの地すべり地域及びボタ山に関しては農林大臣、これがどうも私はすっきりしないのです。 これはこういったことにできないのですか、やはり一応建設大臣の所管といたしまして、しかし農林に関係あるところの土地改良事業、こういうものをどうしても実施しなければならない場合は、建設大臣の所管でもあるけれども、これを農林大臣に肩がわりして実際の問題をやっていただく、このようにした方がすっきりするのではないか、こう思うのであります。ましてや計画の決定されている地域、またこれに準ずる地域、こういう計画されて何もやらないところまで、これが農林大臣の所管事項であるからそこの地すべり防止事業まで農林大臣の所管であるというやり方は、何か二重になってうまくいかないのじゃないか、また経費のむだ使いをされる場合が多いのじゃないか、こういった考えを持つのであります。これは法案をお作りになる上におきましてだいぶ御審議になった点だろうと思いますが、この点を納得のいくように明確に御説明願いたいと思います。
○山本(三)政府委員 この点につきましては農林省と建設省の間でいろいろと議論をされたわけでございまして、五十一条の二項に「地すべり防止区域又はぼた山崩壊防止区域の指定は、関係主務大臣が相互に協議してしなければならない。」という条項が入っておりますので、一、二、三の原則はございますが、その間に二重指定だとかあるいは指定漏れがあってはいけないということで、両方でつき合せをいたしまして、そういうことがないようにしようということにしております。それからまた一、二、三というふうに区分がされておりまして、実際の問題といたしましては一、三、三を合計いたしますると、現在の調べによりますると約十四万数千町歩ございまして、第一項に該当するものはこのくらい、第二項はこのくらいというふうに、数字的に固まっておるわけでございます。 それからもう一つの問題でございまして、建設大臣がすべてやることにしておいて、こういう特殊のものは農林大臣にやってもらったらいいじゃないかというお考えでございますが、実はそういういろいろの考え方も出たわけでございますが、われわれがこういう区分をいたしましたおもなる観点は砂防法あるいは森林法におきましてすでに地域的な国土保全事業をやっておる区域でまた地すべり防止を行うという場合に、一つの固まりの防止区域でほかの二省が類似の工事を行うことに相なりますると、これこそ不経済なことになりはせぬかという観点から、一つの区域については一人の大臣が管理する方がよろしいじゃないかという建前から、こういうふうにしたわけでございます。なお、こういうふうに区域を各省で持つ以上は、区域の指定につきましては、二項で申し上げましたように、相互協議してやるし、またお互いの工事のやり方において統一がなくてはいけないというような観点から、先ほど十二条でございますか、築造等の基準におきましても、やるところが二省にわたりますので、築造の基準等につきましては統一した御承認をいただいておいて、それによってやっていったならばそごもありませんし、また相関連したような仕事も合理的にできやせぬかという観点から、こういう主務大臣の規定もいたしますし、また築造の基準等も挿入いたすことにいたしまして、工事の統一性それから管理の一体性を持たして、並行した施策ができるようにという観点から、こういう建前にいたしたわけでございます。
○三鍋委員 ただいまの御説明、私の心配している点に答えられていないと思うのであります。これは関係主務大臣が相互に協議しなければならないという第二項によりまして円満にいくのだ、またそうでなければならないわけでございますが、これは私たちの常に当面しているところの、河川法の問題にいたしましても、あるいは海岸法の問題にいたしましても、またここに出てきましたところの地すべり防止法にいたしましても、どうも、いろいろと協議して円満にいかない問題が出てくる、そして非常に仕事の上においてむだが出てくるのではないかということを、過去のいろいろの事例によって心配するから、この点御質問申し上げたのでございますが、これは今後運営上、できたら建設大臣なら建設大臣一本でいけば一番すっきりしているわけなんです。たとえば鉄道関係だったら運輸大臣、あるいは国立公園関係だったら厚生大臣とかいったような問題があるのですが、この地下の地すべりを防止するという関係からいったら、これは建設大臣一本でいいのです。その区域に他の所管の区域がある場合は、建設大臣の所管から移して、その委託によって実施していくという方向にいけば、私は一番むだがなくてすっきりしたものが出てくるのではないかと思うのです。この点第二項において、協議すればうまくいくのだとおっしゃられればそれでいいのでありますが、これは実際具体的問題としていろいろな事例が出てくるのではないかと思いますので御質問したのでございますが、この点は私は十分協議していただいて、むだのないように、円満にこの地すべり対策が実施されますように期待するものであります。時間の関係上これで終ります。
○荻野委員長代理 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後零時五十九分散会