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28回国会衆議院1958/04/23

外務委員会 第21号

発言数
95
登壇者
7
会派数
2
開催日
1958/04/23

会議録

床次徳二自由民主党

○床次委員長 これより会議を開きます。  国際情勢等について質疑の通告がありますのでこれを許します。穗積七郎君。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 解散前の国会で押し詰まって参りましたが、事態重大な問題が一、二ございますので、この際率直に外務大臣の御所信を明らかにしていただきたいと思います。  第一は日中貿易第四次協定に対する政府の取扱いの結果についてでございます。これはこの前、四月九日にも総理並びに外務大臣に支持と協力の内容と態度について少しく要望を加えながらお尋ねしたのですが、その日の午後に政府が発表なさいました文書と、それからそれと抱き合せになっておる愛知官房長官の談話、これも政府を代表する談話でありますけれども、これは実はわれわれとしてはちょっと意外なものであって、そういうことも察知されましたので、事前に、少くとも愛知官房長官の権利を有せずとか国際情勢というのは、まあアメリカ、台湾との関係等考えて、あまり好意的なことはできにくいのだというようなことを含みとするようなつまらぬ談話が発表になりました。これは事をぶちこわすことになるからおやめになったらどうかということを要望したのですが、これも国際情勢、政治的な理由で、政府はついにああいう政治的な談話を発表されることになった。その結果はわれわれが予想し得る最悪の事態になりました。これは第四次になっておりますが、今までかってない最悪の状態でございます。日本政府の文書並びに声明に対して、向う側から正面切って拒否をする態度に出てきたわけですから、非常にまずい結果になっておりますが、政府に日中関係については承認問題とは別個に、友好的な態度で貿易は伸ばしたい、こういうことを国民に約束されてきたのに、こういう結果になりましたことに対して、その責任をどういうふうにお考えになっておられるのか、今後これをどういうふうに処理されるおつもりであるのか、まず第一にその政府の基本的態度についてお尋ねをいたしたいと思うのです。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 ただいま御質問のありました日中貿易についてでありますが、日中貿易を増大し、それを円滑に進めていくという政府の態度は、今日でも変っておらないわけであります。従って三団体に対しました回答につきましても、支持と協力を与えるという内容において、三団体に回答いたしたわけでありますが、しかしながらたとえば官房長官の談話等にあります国旗を掲揚する問題については、議会等でもわれわれがかねて申し上げておりました通り、国旗として上げる権利は認めるわけにはいかぬ、しかしながら保護は刑法二百六十一条の器物損壊その他の問題で、むろん保護するのだということをかねて申し上げておったのでありますが、そのことを官房長官談話で説明をいたしただけでありまして、特に中共に対しまして強硬な、何か日中貿易第四次協定を破壊するような声明をいたしたわけではないのであります。むろんああいう回答をし、談話を発表した状況下におきましては、あるいは中共側にも若干の問題について誤解なりあるいは理解が欠けたところもあるかと思うのでありますけれども、日本政府の態度で、今申したように承認問題というような政治問題は別として、貿易の増進をし、拡大をはかり、また円滑にそれを運営していくという方針に変りない限り、中共側においても十分な理解を深められてくるのではないかと思うのでありまして、われわれとしてはそれらの推移をながめながら参りたい、こういうふうに考えております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 このままでは相手に一方的に理解せしめて、そうしてあの声明、談話を一緒にして向うに気持よく受け取れ、それで協定実施に持ち込もう、こういうことはわれわれの見るところでは不可能だと思います。このままでは外務大臣は積極的に政府を代表じてやるのだと言っておられますが、それでできるというお見込みでございますか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 日本が貿易を拡大することを妨げているのではない、政治的に承認をするわけには現在いかない、これは累次の政府の態度で明らかなわけであります。第四次協定の過程においてもその点は明瞭だと思うのであります。従ってそういう意味において何か誤解があり、あるいはもう少し理解を深めていきますれば、貿易の関係においては十分円滑な方法が取り得るのではないかということをわれわれは考えておるのであります。また三団体の当局者等もそれらに対して十分に中共側の理解を得るように努力もされると思うわけでありまして、われわれとしてはその推移を見守りながら参りたい、こう思っておるわけであります。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 私どもの見るところでは、今までの話し合いの経過から見ましても、今おっしゃるような程度ではとうてい私は打開できないと思います。  そこで具体的に前へ進んでお尋ねをいたしますが、今度は解散でございますから、あるいは岸内閣にかわって社会党内閣ができるかもわかりません。できないかもわかりません。従っていささか仮定になります。しかし岸内閣としては、選挙を終った後にも今の内閣で政局を担当される決意を持っておられるだろうと思う。われわれはそれをくつがえして社会党政権を作る決意で選挙に臨みます。そこでお互いにこういう外交問題につきましては、選挙後のことでありましても選挙前からの継続でありますから、その事態を受け取ってどういうふうにやるかという信念があるはずです。その信念なくして選挙に向って具体的に国民に約束をしたり、訴えるわけにいくまいと思う。そこでそういう仮定に立って、もしそういう信念に立って、すなわち岸政権を継続して政局を担当したい、そういうつもりでやるのだということであるならば、もし選挙後の事実として岸内閣が再び選ばれたとするならば、そのときにおけるこの問題の処置についてお尋ねいたしたいのです。第一にお尋ねしたいのは、選挙前に事態の重要性と緊急性を察知されて、前の声明が誤解を伴っておったならば遺憾であるから御破算にして、そして場合によるならば政府が行くわけにいかなければ、党のしかるべき人がもう一ぺんよく話し合いに行って、調印された第四次協定は、こわすとかこわさぬとかいうことではなしに、そのままにしておいて、そして緊急に党の意向を持った者が一度北京におもむくなり、向うから招くなり——この際は行く方が至当だと思いますが、会って話し合いを進める。同時に一方においては、この間出されました文書並びに声明を一応御破算にしてやるというお考えはございませんか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 政府といたしましては、先般の国旗の問題は、国旗を上げなければ貿易ができない、あるいは権利として認めなければ貿易ができないということはないと思うのでありまして、貿易をスムーズに円滑にやるということは、国旗の問題なしでもやっていけると思います。従ってその問題というのは、直接の貿易関係ではない、貿易増大の役に立つ関係ではない、こう思っております。従って中共側においてもその点を理解されるならば、貿易をスムーズにやるという点についてはなめらかにいくと思うわけであります。こういう問題はやはり相互が若干冷静に問題を把握することも必要だと思うのでありまして、従って事実の問題を官房長官談で話しただけでありまして、特に何らかの政治的意図を含めたものを官房長官が談話で出したとも思っておりません。従って現在これを取り消す意思は持たない。事実の説明とわれわれは解しております。そういう意味から言いまして、十分将来中共側が貿易増大という立場で本問題を理解してくれることをわれわれは希望するのであります。選挙前に人を派する等の問題は、今日選挙も差し迫っておりますのであれでございますが、将来の問題としてそういうような貿易上の理解を得るというような問題を考えられるかと思います。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 私どもはこの際解散前においても率直すなおに——誤解を招くような経過があったわけですから、従って第四次協定をこわすことは忍びないから向うの要求通りを声明するしないは別問題ですが、しかし非常なぶちこわしになったこの間の声明は取り消すということを僕は要望したいのです。しかし今お話によると、それを解散前または選挙前に取り消す意思はないということなんですが、これについては国会内においてもそうですが、国会外においても、今度の協定があそこまでいったのにこわれたのは、政府のあのつまらない声明なんだ、だからこれの即時完全実施を要望するという声はほうほいとして強うございます。政府がもし解散前または選挙前に取り消さないとするならば、そういう態度をおとりになるならば、その結果は何がしかの票となって選挙の結果に現われてくると思います。岸内閣または藤山外交に対して、経済外交の看板に偽わりがあるというので痛烈な批判が選挙を通じて現われてくると思う。そういう情勢がもしあったとしても、反省するところなしに、岸内閣がもし選挙後においても選ばれるとするならば、この声明並びに文書は岸内閣が続く限り取り消さない、こういうお考えでございますか、反省の余裕がございましょうか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 将来も岸内閣が続くか続かないか、続いたときはどうかという問題は、将来のことですから何でありますが、われわれとしては国旗問題というものは、やはり国民の理解を必要とすることだと思います。従って貿易を円滑にし振興させるために国旗を掲げなければらないという理由は私どもは認めておりません。他のいろいろな状況のもとにおいて貿易を振興させることはできるわけでありますから、そういう意味において国民の理解を深めるために、選挙においてもこの問題はわれわれのとりました態度を国民の前に出して批判を受けたい、こう考えております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 協定の調印前ならばそういうことを言われてもいいですよ。少し言葉は荒くなりますが、あなた方は一体何ですか。政府と政府との間でほんとうは政府が責任を持って日中貿易を拡大するのだという政策を打ち出された。それを国民は支持しております。ところが国交未回復だという政治情勢にからませて、向うは政府間でやっていいというが日本側のみの事情で政府間の協定ができない。そこでやむを得ずして議連その他の三団体が、出しゃばりでありますが政府にかわって国民の要望をつないで、事実上の貿易ができるように努力してきた。そこで第三次協定が一昨年切れたときにも、政府に関係のないことであるというならば黙ってやらせておけばよい。そうすれば一昨年第四次協定の交渉ができたはずなんです。それが一年も二年も延ばされたのは何に理由があるかといえば、その内容を検討した上で政府の意を体した協定を結んでもらいたい、そうでなければ協定ができないということを言われたからです。特に自民党の内部においていろいろなことが出て、それを承知の上で、形式は池田正之輔君外与党の議連の諸君は、党の代表、政府の代表ではないけれども、内容的にはあなたを中心として打ち合せてお出かけになったではありませんか。しかも交渉の結果から見ると、党の要望を——これは絶対条件をつけられたかどうかは党の内部のことだからわれわれは存じませんが、いずれにしてもその話し合いの結果で行かれて、一年も二年も延ばされた。その延ばしたのはあなた方政府の意向によって延ばしたのです。そうして条件をつけて交渉して妥結して調印してきたのです。その調印してきた内容を見て、党並びに閣僚の懇談会を開かれ連絡会議を開かれて、この協定は支持することにしようという決定をしておるではありませんか。それから今度はアメリカなり台湾から文句が出たものだから、ああでもない、こうでもないと言ってこの内容を否定するような、またこんな内容は聞いたことがないというようなことを言われて逃げ出された。それでそのときに、承認していない外交官特権を認めるわけにはいかないとか、国旗の掲揚の権利がどうだとかいうようなことを理由にされて、この協定の内容の実施について非常に消極的な態度をとられた。ちょっとおかしいとお思いになりませんでしょうか。突如として民間の者が勝手にやってきて政府との十分なる了解、連絡もなしにやってきたならば別ですが、足かけ三年にわたって政府は行くな行くなととめておいて、了解をつけてやって、出てきたものに対してもこれでいこうという相談までされて、今ごろになってけちをつけられる。それで何ら責任を感じない。これはもう形式論では私は相手は納得するわけにはいかぬと思う。その経過は国民も知っておれば、向うの政府も国民も知っておるし、アジアの諸国民全部知っております。そうしておいて今度は一方的に、都合が悪くなったからあれはやめてもらいたい、これは実施することができない、それでこの協定を承認してもらいたい、実施してくれ、こういうことでいけるとお思いになっておられるのでしょうか。私は責任のない御答弁だと思うのです。何らか打開の具体的な方策を示していただきたい。どうしてやっていかれるおつもりであるか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 第四次民間協定の覚書全文を政府が初めから承認しているようにお話がございましたけれども、先般三団体が行かれますときも、国旗掲揚の権利を認めないということははっきり三団体にも申しておるわけであります。そういう意味において二団体の方々が北京でもこの問題は取り上げられたと思うのであります。従って政府が初めから国旗掲揚の権利を認めていて、突如としてアメリカなり台湾の抗議にあったからひっくり返ったという問題ではないのでありまして、この点につきましては初めからむろん刑法九十二条の適用がないんだ、しかもそういう権利を覚書の上で認めることは困難だということを申しておるわけであります。従ってそういう意味において三団体が北京でやられました懇談要旨というものをわれわれ拝見してみましても、政府の同意という問題は、全面的に同意を与えかねるから支持と協力だという懇談要旨になっておるのであります。政府としては突如として態度を変えたことはございません。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 まああまり押し問答してもなんですからね。今の御答弁は言葉をもって事実をごまかすものだと私は思うのです。満足いたしませんが、政府は少くとも日中貿易は拡大するということを約束し、責任を持って積極的意思を持っていると言われている。そうならどちらの責任であるとかないとかいう経過はしばらくおきましょう。それではこれからどういうふうな方策でこれを打開するおつもりであるか、そのことをお伺いしたい。相手を説得して、国旗掲揚の権利というのはあの協定文から削除する、つまり一応調印したものを改訂する、話し合いでもう一ぺん承認をせしめる可能性があるとお考えになっておられるのか。そうであるならば、一体だれがどういう方法でおやりになるつもりであるのか。それを一つ具体的にお示しいただきたいのです。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 われわれは、ただいま申し上げましたように、国旗掲揚の権利というような問題なくとも、日中貿易というものは増大し、あるいは円滑にいくような方法があり得ると思うのでありまして、国旗を掲揚するから円滑にいくんだ、増大するんだ、国旗を掲揚しないから増大しないんだというようなことは考えられないと思うのであります。貿易を増大する問題は貿易増大のそれぞれの方法をとって参りますればスムーズにいくと思います。ただ日中四次協定そのものが国旗の問題で、今申し上げたように中共側の理解をかりに得られなかったとすれば、理解を得て、そうしてこの点を冷静に判断をしてもらうということをわれわれは考えておるわけであります。ただ将来どういう手を打つかということになりますと、外交上の問題もありますし、将来のことを今からここで申し上げるわけにはいかぬと思います。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 将来じゃありませんよ。貿易が西ヨーロッパ工業諸国に立ちおくれて、もう眼前にその事実を見て、日本の貿易業者並びに産業界の諸君もあげて切歯施腕をしておるのです。将来の問題ではない。もう過去であり、現在の問題なんですね。だからこれは選挙中でもやってしかるべきことなんです。この間解散のあれをきめられるときに、外交問題だけによって解散の時期をきめない、解散でも政府はあるんだから外交問題はどんどんやるんだ、こういうことだった。どんどんおやりになったらどうですか。おやりになるべき責任のあることですよ。事こまかの手のうちまで一々これはなんですが、手の順序は今度はこちらから打つべき順序になっております。ですからそれについて私は所信をお伺いしたい。熱意を示していただきたい。こういうことなんです。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 われわれとしては先ほどから申し上げておりますように、理解を得、冷静な判断を中共側がされることを待っておりますが、三団体はもちろん当事者でありますので、これらの三団体の動き等もにらみ合せながら問題を考えていくということだと思います。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 非常に貴重な時間をむだに使っていると思うのですね。というのは、あなたが率直に私の質問にお答えになって下さらぬからこういうことになる。従って私の聞いておることを、どうしてやるつもりだということを、はっきり言っていただけばいい。  第一国旗の問題についていやに向うが政治的であるかのごとくけちをつけられておりますが、国旗の問題というのは国交回復とからんできておるとか、あるいは平和条約をこれで導き出す一つの飛び石なんだというふうなことを説明されたり、あるいはまだ南漢震氏がこの間発表されました拒否の声明にいたしましても、選挙をねらって社会党の応援演説であるかのごときことを新聞で発表してみたり、そんな実に愚劣というか、陋劣な態度というものは、われわれは改めていただきたいと思うのです。何も政治的なものではありませんよ。たとえば日ソ交渉にしても、それで平和条約とひっからんでくるのだということを盛んに言われた。そうじゃないんですよ、事実は。ここに松本さんおられるけれども、非常に合理的な話できている。今度だって国旗の問題は、少くとも日本がその政府とまだ国交回復してないにしても、あの国が、中華人民共和国が存在しているという事実は事実なんですね。その事実が認められている以上、その国、その民族の象徴としての国旗に対しては誇りを持つのが当りまえなんです。中華人民共和国に所属する人民が、あの旗を掲げる権利があると主張することは当りまえのことなんです。日本が北京へ行ったって、未開国へ行ったって、日章旗を掲げる権利があるということを相手側が寛容の態度で認めることは、われわれけっこうなことだとして喜ばざるを得ない。われわれ主張すべきことなんです。そのことにすぎないのですよ。それをいかにも国旗掲揚の権利を認めろ、人民の誇りを承認させよという要求は、日本と平和条約を結べ、国交回復をしろと政治的にからんできているのだとか、あるいは拒否の声明をすれば、あれは選挙目当てに、自民党を苦境に追い込むための政治的発言だとか、そういうことはこの際は言っていただきたくないと思うのです。そういうことについて一つ感想を伺います。  同時にもう一つは、具体的に三団体の動き——三団体の動きは明瞭ですよ。あなたは財界の御出身だから、役人出身の閣僚の方々よりは財界の一部の諸君の熱烈なる希望というものは、もう身近に血管を通じて感じておられると思う。今ごろ三団体の動きがどうであるとかこうであるとか、見なければわからぬというようなばかな御答弁はよしていただきたい。これは国際情勢から見ても、西ヨーロッパ諸国の中国貿易の動きから見ても、明敏なる財界出身のあなたがこの経済的な要求なり貿易の動きというものがわからぬはずがない。それに対してどう対処していかれるかということを聞いているのですよ。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 ただいまお話のありましたように、私が三団体の動きと申したのは、国民が、経済界が、中共貿易を大幅に要望をしているということは、これはもう私も十分知っておるわけであります。ただ今度の問題について二団体がどういうふうに善処していくかという問題について、二団体等の動き等も十分照らし合せながら、われわれは問題を考えていかなければならぬ、こういうことを申し上げたわけであります。先ほど、将来われわれがどういう手を打つのかという御質問がありました、将来というのはそんな問題じゃないというお話でありますが、外交上の問題について、明日以後打つ手でも、われわれとしてはどういう手を打つかということは申し上げかねるわけでありまして、貿易をスムーズに拡大していくことについて、決して政府が当初より反対をいたしておるわけではないのでありますから、国旗問題その他の問題は別として、それらのものはスムーズにいくように中共側にも理解を得る必要がありましょうし、またわれわれとしてはそれを離れても、貿易がスムーズにいくような方法については、できるだけ支持と協力を与えていくという立場は変っておらぬわけであります。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それでは具体的にちょっとお尋ねします。まあ選挙前は困難だという。私は何も現議員または立候補者だけが党の代表者じゃなくて、あるいは党の内意を持った特使としてやる必要はないのであって、それ以外の人でもいいから、解散前または選挙中といえども、北京にしかるべき方をやって、一ぺんよく誤解のないように、誤解を解く努力をされることが望ましいと思うが、あなたは今解散前または選挙前にはそれはちょっと困難だ、選挙が済んだら考えられる、こう言われたわけですが、それは岸内閣が続く限り、選挙後といえども、もし続いたとするならば、岸内閣の継続した懸案中の外交問題として、あなたが今適当な人を北京に派して、よく懇談をする方途は研究して努力してみると言われたことはそういうふうに継続責任のあるものと理解してよろしゅうございますね。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 将来どういう手を打つか、人を出すか出さないかということを、今はっきり申し上げるわけにはこれは当然いかないのでありまして、ただこの選挙を通じまして、あるいは選挙後において、岸内閣と申しますか、あるいは保守党内閣が——社会党内閣になれば別だと思いますけれども、保守党内閣が続く限りにおいては、私は貿易増大の方針は変らぬものと存じております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 非常にあいまいな御答弁で言葉を濁されましたが、人を派することについては反対ではない、こういうふうに先ほどの御答弁通り理解いたします。  第二にお尋ねをしたいのは、選挙が済んで岸内閣ができる、そのときに閣僚の顔ぶれもかわりましょう。官房長官もかわるでしょう。そのきに愛知現官房長官のこの間の声明、あれは不動のものと理解するか、あれに対しては違ったニュアンスを持った声明に変える可能性がわれわれはあると思うのですが、それについてはどうお考えになりますか。あれは政府の三団体に出されましたものともう不可分で、これは不動のものだというふうにかたくお考えになっておられるのか、それほど重要なものではないというふうにお考えになっておられるのか、その抱き合せの程度を伺いたいのです。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 自由民主党の立場からいえば——私は自由民主党を代表しておるわけではないのですが、先般の三団体に対する回答なりあるいは官房長官談というものは、その意思を代表しているものと思うのであります。ただ将来どういう内閣ができ、どういう政策をとるかということにつきましては、私が今何とも申しかねる問題であります。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そういうふうに、あなたが外務大臣をやらぬつもりでおられたり、今政党政治で、推されて外務大臣になって外交を担当しておられるのに、非常にあいまいな態度で、自信のないことでは、質疑応答をしてもあと二日だけのことですから、意味のないようなことになっちゃうのですが、しかしもう少しあなたが外務大臣になられればなられたで、なられないならなられないで、党人としてやはりこの努力はしていただかなければならぬし、そういう政治的な、または道徳上の責任というものは自覚して御答弁を願わなければ、ここで質疑応答をいたしましてもナンセンスだと思うのです。そういう態度で良識をもって答弁をしていただきたい。  そこであなたにお尋ねいたしますのは、実は協定と見本市とは、ある意味において不可分なんです。協定によってきめられておることなんですが、ここは多少話し合いによっては、協定の承認実施というものと、それから見本市というもの、特に向うから名古屋、福岡に今年度やる予定であったのですが、それが協定問題とからんで、こういう状態では出せないというので今ストップになっておる。そこで人を派して、あるいはまた党からも行き、あるいはわれわれ社会党からも行き、あるいは業界からも行き、あるいは三団体からも行ってよく話し合った結果、だんだんと糸がほぐれてきた場合には、最終的に第四次協定の承認実施の問題が話し合いの途中においても、名古屋、福岡における見本市の開催を、友好的な理解がつく見込みが立つならば、先行せしめて実施する可能性が全然ないことはない。これはこちらの態度いかんによっては、幅の広い理解を相手方は持つ可能性もないことはない、こう思う。その場合に、その代表部員に対する取扱い並びに国旗の問題、これについては協定の文書とは別にその安全を責任を持って政府が保証いたしますということについての可能性はどうでございますか。協定の文書となると、文書を一々見なければわからぬというようなことが出てきますけれども、そうじゃなくて、見本市で来る代表部の諸君の安全と、それから行動の便宜を与える協力をする。それから出品しておるものはもとよりのこと、国旗に至るまで、国旗として敬意を表し、かつその安全を保証してあげるように協力いたします、こういう友好的しかも襟度のある態度をとり得るものだと私どもは思い、かつ希望するわけですが、あなたのお気持はどうでございましょうか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 先般政府が出しました、中共は現在承認しておらぬ、貿易の拡大は日本として希望するという点については、今後とも私の個人的な、あるいは党人としての立場は、そういう考え方で進むわけであります。従って、その範囲内において努力をすることは当然なことだと思うのであります。見本市等が開催される場合に、中共の人を保護しないとか、どこの国の人は保護するというのではなしに、国内法の範囲内おいては、どこの国の人でも、日本に来て見本市を開き、あるいは居住するようになれば、保護するのは当然でありまして、国内法の範囲内においてそういう保護を与えることは当然のことだと私は思っております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そこで第四番目にお尋ねいたしますが、国内法の中で刑法第九十二条は、中国の国旗については適用しない、こういうことなんですが、これは高橋条約局長もここにおられるけれども、事務当局のいろいろな御意見もあるようですけれども、私は未開国であっても九十二条の適用をして何ら法理的な矛盾はないと思うのです。そういう意味でこれを再検討される用意はございませんか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 現在の立場としては、それを再検討する予定はございません。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それじゃ、ついでですからちょっと条約局長にお尋ねしておきますが、これは法理解釈上全然検討の余地がないという解釈をしておられるのですか。実は法制局長官あるいは法務省の方もおいでいただくといいと思ったが、そういうこまかい具体的な話までいかぬで、非常に理解のある御答弁をいただこうと思ったものですから、要求しなかったのですけれども、あなたは専門家でもあるし、そして十分検討された問題でもあるし、しかも良識を持たれた有力なる役人ですから、伺いたいのだが、絶対にあれは未開国の場合には相手国の要求を認めたら国交回復につながるのだ、そういう一体かた苦しい解釈をしておられるのか、研究の余地があるのか、法理的には、私は必ずしもそういうことを認めたって、未開国に対して何ら矛盾しないと思うのです。いかがでございますか。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋政府委員 この点につきましては、この前こちらで法制局長官やそれから法務当局とも相談し研究しておるのでございますが、御承知の通り、日本の見解または法務当局の伝統的見解としては、やはり従来とってきた見解の通り、承認ということを前提としなければ考えられないのじゃないか、こういうふうな意見で、私もそういうふうに考えております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 しかし今まではそうであっても、一度われわれの言うこともよく聞いて再検討する用意がありますか。よく一ぺん話し合おうじゃないですか。われわれの意見も申し上げますよ。あなた方だけで一方的に有権解釈して、それで法律改正ができるわけじゃない、法律というものは。そのくらいのゆとりは示していいでしよう。結論を曲げろとここで言っているのじゃない。結論を曲げることを、現在の結論を否定することを私は答弁として求めているのじゃないのです。どうですか。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋政府委員 現在のところ、先ほど申し上げたような見解でいるわけでございます。御承知のように、国旗と申しますのは、その国の象徴でございますし、非常なセンチメンタルな問題も含んでおる問題でございますから、この問題はやはり十分検討いたした次第でございますけれども、現在のところ、法務当局その他刑法の解釈としては、従来通りそういうふうな解釈をとっております。われわれもやはりそういう解釈をとっております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 はなはだどうも満足な御答弁がいただけないので遺憾でございますが、結論として申しますと、政府は日中貿易を拡大するのだ、拡大するのだと言いながら、今までの経過を見ますと、事実口ではそう言っておるけれども、実際こわしているのは日本政府そのものであると言われても、私は弁解の余地がないと思うのです。そうなればもうしようがありませんから、言われる通り世論政治ですから、世論を通じて対決する以外にはないですね。その上で大いに反省を求める、事実を通じて、事実を作り上げて。それでこの問題は、次の臨時国会でまた御意見を伺いたい。はなはだ私どもは不満足、意外でございます。  それからもう一つ、時間がありませんから、簡単にお尋ねしたいが、日ソ交渉についてですが、日ソ交渉は、十一万トンに引き上げる努力をされたことはけっこうなことであって、不漁年だという理由によって向うが八万トンと提起してきたのを十一万トンまでされたことはけっこうだが、そのことを、私は一万トンを捨てろというのじゃありません。それはけっこうなことであって、大いにやるべきことだったのだが、まだ足らぬくらいだ。ただ問題は、このオホーツク海の禁漁問題を、これをみずから承認してしまったということは、これはもう世論も言っておるように、単にソビエトとの実利的な交渉からだけ割り出すわけにはいかないのであって、近く予想されるアメリカ、カナダとのあれも禁漁区を西に拡張する提案もなされる。それから李承晩なり、アラフラ海の問題なり、あるいは国際海洋法会議における日本の主張等にも影響してくるわけでございまして、これらについては、はなはだわれわれとしては、その態度に不可解なものを感ずるわけです。それについて藤山外務大臣、一体どういう理解の仕方をされてああいう取扱いをされたのか、今後ソビエトとの関係は、ことしだけではない。また漁携問題については来年もあるわけです。そのほか今申しましたような当面の国々との交渉にも影響いたしますので、それらとの関連において御答弁を願いたい。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 オホーツク海の問題につきましては、公海自由の原則をわれわれは放棄しておるわけではないのでありまして、公海自由という問題については、むろんジュネーヴの海洋法会議においても、日本の主張を端的に申し、一番日本の主張に近いところにまとまるような努力をいたしておるようなわけなのです。ソ連の今回のオホーツク海における問題も、魚族資源の保護のために、相互でもって、オホーツク海にサケ・マスに関しては出漁しないということで、ソ連もカ二でありますとか、タラでありますとか、底びき網についてはオホーツク海の漁勝を認めておるのでありまして、ソ連がいたずらに公海を締め出したというような見地から、ソ連の態度をこの際見ることは適当でないのではないかというふうにわれわれは考えております。従って魚族保存の問題の見地から二国間でもって科学的にそういう問題として扱っていこうという立場をとっておるのでありまして、公海の自由その他を捨てたわけではないのであります。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 これは実はきょう報道されておりますコミュニケでも、共同調査の問題が冒頭にはうたってあります。今のオホーツク海の一九五九年一月からの出漁停止という問題については共同調査は条件になっていないのですね。あそこでは共同調査ということは魚族保護の立場に立って、日ソの漁業委員会というもの、または協定というものは魚族保護の立場に立っておるのである。だからすべて共同調査をしてやっていこう、それで結論を出していこう、こういう友好的な精神は前文でうたわれております。しかし政府が説明しておるようにオホーツク海の出漁問題は、共同調査の結果を待ってきめようということにはなっていないのである。これは確定的に一九五九年一月から出漁を停止するようにということになっておるのであります。その間の理解は一体どうなっておりますか。共同調査の結果を待って出漁を停止するというのか。共同調査の結果とは別に、それとは無関係に、一九五九年からは出漁を停止するのだということになっておるのか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 漁業委員会におきます両方のデータというものが必ずしも共同調査によって完全に一致しておりません今日においては、いろいろな漁獲総数量の問題につきましてもあるいはオホーツク海におきますサケ・マスの保存状態についてもやはり一致した見解になっておりません。従ってとれらの問題全般にわたって共同調査を進めていく、ソ連側も昨年はゴスプランの関係で人の異動もあったし、従って共同調査はできなかったが、来年から共同調査をやろう。しかし同時に今回のあれはとにかくそういうことがきまってないのであるから明年から相互にオホーツク海においてサケ・マスをとることをやめようじゃないか、こういうことなんでありまして、将来の問題あるいは共同調査の結果も判明し、お互いにそういう判明の上に立って理解をしていけばやはりまた問題は展開していくのじゃないか、こう考えております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 ちょっと重要なことですから金山局長に、御担当のことですから、政治的な判断は別にして共同コミュニケの内容の解釈についてちょっとお尋ねするのだが、今の点は条件になっておりませんね。共同調査によって出漁をするか、しないかをきめるということにはなっておりませんね。

金山政英外務事務官(欧亜局長)

○金山政府委員 条件にはなっておりません。それはその交渉の経過を一応御説明しなければならぬのですが、ソ連側においてはあそこで日本が沖取りをやるために、産卵のために川に遡行する魚の数が減って、すでに非常な危険な状態になっておる。だからことしからやめてもらいたいということを強く主張していたのです。その前提となっておりますのは、要するに魚族の保護、それの再生産を妨げることになるから、沖取り漁業はやめてくれということで、しかも向うでは緊急の状態なので、ことしも実はやめてくれということを言ったのですが、ともかくことしは準備もしていることであるし、出す。しかしながらあくまで科学的な根拠を向うは主張しているのでありまして、将来の共同調査によって、これが裏づけられることが必要であると私は考えております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それはわかりました。それと関連して、もう一つ重要な点をお尋ねします。  将来共同調査ということをして、魚族保護の立場から無制限にとることは差しつかえがあるけれども、今年度のように船団並びに漁獲量を限って、その他制限条件をつけて再びオホーツク海における出漁をお互いが認め合う可能性もあの共同コミュニケの中に含んでおるかどうか、一九五九年一月以後出漁停止というあのコミュニケの第二条項は、冒頭にいっておるところの共同調査を見てきめるという条件にはなってないので、これは停止だからもう来年から共同調査の結果を見ないで、どんどんやめてしまうことになっておるということはわかりました。共同調査をした結果、多少あの範囲における出漁は差しつかえないといい結論がデータとして出た場合には、これは客観的なデータですから、そういう場合にはもう一ぺん再考慮される、再検討するということが文書の中ではありませんが、話し合いまたは議事録の中にそういうのが残っておるかどうか。または残ってないとしても、日本の外務省は、そういう可能性が封ぜられてはいないと理解しておられるかどうか、その点について関連してお尋ねいたしておきます。

金山政英外務事務官(欧亜局長)

○金山政府委員 この禁漁の問題は先ほど申し上げました通り、科学的な根拠——ソビエト側が主張していることに根拠があるわけでございます。ソビエト側は産卵のために遡行する成育魚だけがオホーツク海にいるので、これをとらないことこそが重要なのである。だから期限をつけてどうこうということでもいけないし、単にこれだけは間引いてもいいというようなことは、沖ではわからないんだということを主張しております。ですからソビエト側の立場からいえば、向うの科学的な根拠としている主張からいえば、一九五九年以後永久にとらないということが論理的であるとしております。しかし漁業委員会の任務は毎年この漁業条約の精神であります最大の再生産を維持するという建前があるのでありまして、その規制あるいはその漁獲の量というものを毎年検討していくことになっております。従いましてソビエト側はそういろ強い主張はいたしておりますが、そういう点が融通のきく、多少考えてもいいじゃないかということを、委員会で言う機会は今後もあるわけでありまして、これは委員会の任務でありますから、そういうようなところからほぐれて、将来ここにあるいは出ることができる可能性があるとも考えております。しかし現在のソビエト側の主張しておりますところは、ここで沖取り漁業をやるということは両国のためにいけないことだということを強く主張しているわけであります。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 その解釈は、われわれも将来の問題については賛成です。ただ藤山外務大臣も事務当局の客観的なあのコミュニケに対する解釈並びに理解の仕方についてお聞きだと思う。そこで重要な政治問題が残るわけです。そうであるならこの際われわれはコミュニケの第二条項の出漁停止竜共同調査の結果が出てからにしようということを建前として貫くべきだったと思うのです。あなたは公海自由の原則は否定していないと言われますけれども、これは今のように期限付じゃございませんよ。何年ということでなくて、その当分の間とかいうふうであってもいいけれども——それも期限ですけれども、そういう意味においてすら期限はついていない。そうすれば沖縄に対する潜在主権の問題と同じなんですね。主権があるんだあるんだといってごまかしておるけれども、実際は主権はない。公海の自由は否定していないと言っているけれども、何がゆえに公海の自由をわれわれが主張するかといえば、あそこにおける公海に対する日本国民の利益は航行だけじゃなくて、より重要な問題は漁業の操業の自由です。これを放棄しておいて公海自由の原則は曲げておらぬという態度は詭弁だと思う。そういう態度はお改めになった方がいい。のみならず、今度の交渉の結果を見ましても、なぜあれを調査の結果ということにしようじゃないかというこちらの主張を向うが理解しなかったかということは、日本政府の、特に岸内閣がソビエトとの国交回復後受け継いだ内閣でありながら非常に非友好的であったことにこの問題がひっかかってきておるからである。それから安全操業の問題もシャット・アウトされておるし、漁獲量の問題も私は関連してきておると思う。これはなるほど漁業委員会の純理的建前からいえば、そういう政治的配慮をすべきじゃない、共同調査をして八万トン以上とったら乱獲になるのだという線が出るのなら、何しようがかにしようが十一万トンにふやすのはおかしいということは形式論理としては出るでしょう。しかしながら調査といっても魚一匹まで、来年の魚まで調査が行き届いておるわけじゃない。従ってある幅はございましょう。限界はありますけれども、お互いに国民の世論というか、ソビエト政府でいえば、ソビエト人民の日本政府に対する友好的な世論——人民の顔色を見ながらでなければできない。独裁国であるから何でもできるというふうにけちをつける方々も日本の政治家の中にはありますけれども、そんなものではない。ああいうふうな政治をやっておればおるほど、やはり国民の動向、心の中というものを見なけうば政権は長く維持できない。そういうのは当然なことでありますから、私は第一にオホーツク海における出漁停止も共同調査の結果という条件をつけることは不可能ではなかったと思う。結果は同じなんです。事実上結果が出るまで、向うも賛成するまでは出漁しないのですから、事実結果は同じです。だからそのくらいの理解を、日本政府の友好的な態度を今までの事実の中に岸内閣が示しておれば十分話ができた。それができなくてシャット・アウトされて無条件で出漁停止を一方的にやる、それは幾ら強弁されても公海自由の原則をみずから放棄したことになる。公海自由の権利の行使を放棄しておる。行使することのできない権利なんて意味がない。およそわれわれ日本国民が公海自由の原則を主張しているのは、行使のできない観念を主張しているのじゃない。

床次徳二自由民主党

○床次委員長 穗積君、簡単に願います。あとに質問者がまだありますから。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 行使のできないものを主張しておるのだから、その点は明らかにしておいて、反省をしていただきたい。  それから第二は、今の局長の御答弁ですが、将来の問題についてはそういう態度を貫くためには、やはり相手に対しても友好的な態度を示さなければならないということなんですから、十分反省をしていただきたい。  それから日ソ交渉についてもう一点だけ、御催促ですから、最後にお尋ねいたしますが、漁獲量についてであります。安全操業についてもお尋ねしておきたいが、これは問題がわかっておって、初めからあきらめて、われわれの内閣ではできないのだ、こういう保守党内閣ではできないのだということで、あきらめて交渉をおやめになりましたから、自分から手を上げて黒星を頭の上につけておられるわけですから、もうこれ以上は言いません。  そこでお尋ねしたいのは、将来のためですから、漁獲量についての話し合いです。これはイシコフ・河野の会談では、不漁年には八万トン、豊漁年には十万トンという話し合いになっておった。それを、ことしは不漁年だからといって八万トン要求してきたのを十一万トンにした。そこで、日本側の解釈では、豊漁年十二万トン、不漁年十万トンの線にこれを引き上げることができたのだ、二万トンずつ下をぐっとそのまま引き上げることができたのだということになっておりますが、今度の共同コミュニケの条項を見ますと、今年度に限ってと書いてある。しかもそのことについて河野・イシコフ会談の八万トン、十万トンが十万トン、十二万トンに話し合いができたということは、どこにもわれわれはそういう政府の宣伝を信ずるわけにはいかない。その点については明確にしておいていただきたいのです。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 漁業の委員会の問題については、先ほど局長も答弁しましたように、将来科学的な見地に立って共同調査も行われるわけであります。お話のように、ソ連の持っておりますデータで、非常な危機に瀕しているのだということでありますが、共同調査の結果そうでないようなデータがお互いに出れば、話し合いはまたあらためて考えられるという、そういう友好的精神のもとにあの決定がなされたわけで、何か非常にソ連に対してわれわれが非友好的だということですが、私どもは非友好的な立場をとってソ連に折衝はしておりません。ことに昨年の通商条約の問題など、非常に友好的にやられたと思っておりますので、そういうふうには考えておりません。  それから将来の総漁獲量の問題でありますけれども、河野・イシコフ会談というものがしばしば言われておるわけであります。河野氏が当時どういう話し合いをされたか、長い間の話し合いの中にはいろいろな問題が出てきたと思うのでありまして、そういう点について、あるいは八万トン、十万トンというものが基本的なような感じも受けられるわけでありますが、御承知のように漁業条約ができまして、漁業委員会の中で総漁獲量をきめるわけでありますから、従ってそれは毎年々々きめていく。また毎年きめていく場合に、共同調査によればおのずから自然的な結論も出てくるのではないかと思うのであります。まだ共同調査が行われておりませんので、その間に毎年毎年の若干政治的な妥協と申しますか、話し合いと申しますか、そういうものによって決定されていきます段階に現在あるわけであります。本年は十一万トンという線にそれが決定した、こう理解しております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それでは最後に一点だけ。アメリカとの今度の交渉は選挙中から始まると思うのですが、西に十度禁漁区をふやそうとしておる。サケ、マス、ニシン等について、日本はシャット・アウトされる。これについては、これをまたずるずると承認して引き下るつもりで交渉に当られるのですか。今の線を守られるおつもりですか。政府の所信をお尋ねしておきたい。  それから時間がありませんから、その御答弁をいただいてからあとで金山局長に答弁していただきたいのは、漁獲量についての話し合いです。外相の御答弁が非常にあいまいです。今度の話し合いの中で、八万トン、十万トンが十万トン、十二万トンに了解がついたということを言っておられるのですが、その根拠があるならば示していただきたい。われわれはないと思うのです。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 日米加の漁業交渉の問題につきましては、むろんわれわれはわれわれの主張があるわけでありますから、その主張を持って会議に臨むことは当然なことでございます。

金山政英外務事務官(欧亜局長)

○金山政府委員 今度の会議で十一万トンにきまったことは、これはコミュニケにある通りでございますが、十万トン、十二万トンにきまったというようなことは、われわれとしては申し上げた覚えはないのでございますが、どなたがそういうことを言われたか、お聞きしたいのですが……。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 政府としてそう理解してないのですね。

金山政英外務事務官(欧亜局長)

○金山政府委員 まだ要するに共同の資料がないものですから、安定した漁獲量というものがきめられない状態にあるのです。八万、十万というような話し合いがあったことは事実でございますが、これはまあ暫定的な話し合いでありまして、現に去年は十二万トン、ことしは十一万トンということが出てきたわけであります。将来魚族の生態とか、回遊状況とか、あるいは基地における再生産の状況とかいうものを勘案しまして、この程度のものが妥当であるという線が将来出てくると思いますが、それまではやはり毎年討議をしていかなければならないと思います。ただソビエト側は非常に渋い線をを出していたのにかかわらず、去年は十二万トン、ことし十一万トンということを容認してきているということは、例の八万、十万という線が非常に低かったということが言えると思います。

床次徳二自由民主党

○床次委員長 菊池君。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 日ソ漁業交渉の結果が、公海自由の原則をくずしておらぬということはよくかわりました。オホーツク海の出漁は、日本ばかりでなく、ソ連側もやらないということですか、ソ連側はやって日本側がやらぬという約束ですか。両方やらぬということですか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 その通りであります。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 それからオホーツク海への出漁はしないということを河野・イシコフ会談で約束がきまったということを向うの方で盛んに主張しておったそうであります。それでわれわれは最初から、日本にそういったような議会の世論が沸騰しましたときに、河野さんも一緒に向うにやった方がよかったと思うのであります。河野さんを向うへやれば生き証人があって、この交渉はスムーズにもっと早くいったのではないかと思うのですが、その辺の事情はどうなんでございますか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 河野氏とイシコフ氏との話というのは、漁業条約ができる前に河野氏が行かれたときのいろいろの話し合いなのであります。その話しの中にはおそらく広範ないろいろな問題が話されておったと思います。従って河野氏も八万トン、十万トンを承認したり、あるいはオホーツク海の禁漁を承認したりいたしておらぬと思うのであります。そういう意味でのあれでありまして、漁業条約ができましてから状況が違っているのでありますから、ただいま申し上げましたような科学的な実際の漁業資源の枯渇というような問題から本問題が取り上げられてきているわけであります。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 他の問題でありますが、昨年米国の大使を通じて、日本の核実験停止の申し入れに対するアメリカ側の回答が来た。つまり端的に言えば申し入れを拒絶するという回答であったということであります。日本といたしましては、この回答をそのまま黙認すべきではない。この際さらに畳みかけて米国に停止を申し入れるべきであると思うのであります。ソ連の核実験停止の一方的宣言によりまして、世界の世論は非常に盛り上ってきておるのでございます。さらに日本が再び重ねて申し入れれば、さらに世界の世論をいやが上にも喚起することができるわけでございまして、日本はこの核実験の停止を関係各国に強硬に申し入れる唯一の権利を持っている国であるということは、広島、長崎が原爆によってやられた、こういう世界唯一の被害国でありますので、日本といたしましては、この特権を百パーセントに活用して強硬に根強く申し入れるべきであると思うのです。この回答が来ましたら時を移さずさらに申し入れるべきであると思うのでありますが、外務大臣の御見解を伺いたい。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 核実験禁止の問題、核兵器の問題につきましては衆参両院の御決議もあります。従いましてそういう線に沿いましてわれわれとしても今後善処いたして参るわけであります。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 米国からそういう拒絶の回答が来たのを機会にさらに申し入れるべきである、われわれはこう思うのでありますが、この点いかがでしょうか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 将来の問題については十分考慮しつつわれわれはいかなる処置をとるかということを考えて参りたいと思っております。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 それから韓国に抑留されております日本人漁夫四百二十何名のらち三百人帰すということで、帰る途中にあるはずでありますが、あとの百何十人はどうなっておるのでございましょうか。また追っかけ帰すことになって、向うからそういう何か申し入れでもあるのですか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 今回話し合しによりまして第三次送還三百名が今夕六時に向うを出発して明朝下関に到着する予定になっております。ただいまお話のようになお百二十二名が残っておりますので、これにつきましては一日も早く帰還をいたしますように進めて参るつもりでございます。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 あとへ百二十名残したという向うの意図はどういうわけでしょうか。一緒に帰さないのは……。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 船舶の関係あるいはその他の事務上の関係だということを説明しておりますが、非常にデリケートな段階にありますので、これ以上私から申し上げられません。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 中共が国旗問題で日本は非友好的であるということを言っております。ところがもう言うまでもなく日本はまだ中共を承認していない。のみならず中共は日ソの戦争状態がもう終止している今日において、なお中ソ同盟条約の中に書いてある日本とアメリカとを敵国とみなすといろ条文を取り去っておらない。それを取り去らないで、また取り去ることに努めもしないで、しかも毛沢東は今から五年前に、今後六年の間に日本を解放するということまで豪語しておるのです。そういうことを言いながら日本を攻撃するというのははなはだ不合理きわまる態度と思うのであります。日本政府といたしましては、こういうことについて非友好的な態度は先方であって、日本ではないということを外務大臣の談話の形ででも公表せられた方がいいと思うのです。そうして向うに反省を促す、べきであると思うのですが、こういう点についてお考えはいかがでしょうか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 私ども外交をやっております場合には、できるだけ相手国を刺激しないようなことが一番適当だと思うのであります。問題の起らない以上しいていろいろな問題をことさらに取り上げることは必ずしも適当だとは考えておりません。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 それでは中共の、非友好的であるという、そういったような公言を是認するようなことになりますが、これに対しては、何としても一矢報いてやらなければ、世間も日本の外務省の態度を了承することはできないだろうと思うのであります。日本のためにもよろしい、国民感情を緩和するためにも、はっきりした方が一番いいと私は考えておる。六年の間に日本を解放するというような毛沢東の豪語であります。さらに中ソ同盟条約も改訂すべきである、こういうことを日本政府としても外務大臣談話においてすべからく公表して、向うの反省を促すことは当然であり、そうした方がかえって中共との友好を増し、彼らを反省せしむる絶好の機会であると思うのでありますが、もう一ぺんこれについてお考えを伺いたい。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 日本としては中共を承認しておりませんというはっきりした立場をとっております。従って、その立場の上に立ちまして、貿易増進一拡大等を日本の経済の確立の上からも考えているわけでございます。われわれとしては中共をいたずらに刺激することも好みませんし、また同時に中共に対して卑屈になっておることはないのでありまして、もしそういう問題として取り上げなければならぬ必要があります場合には、将来の問題として御意見としては伺っておく次第であります。

床次徳二自由民主党

○床次委員長 松本君

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 最初は日ソ漁業の問題ですが、漁獲量の豊漁年と不漁年の十万トンと八万トンのいわゆる基準、日本側としては基準というものはさまってないのだ、科学的な調査が終るまでは、毎年々々両方の主張を出し合って、そのつどきめていくほかないんだという立場をとっておるし、向うはおそらく今までのいろいろの説明を見ても、大体イシコフ・河野の了解もあるし、これは基準と考えておるだろうと思う。ところが、今後、先ほどの金山さんの御説明では、ソ連側も基準とは考えておるけれども、との基準は少し低過ぎるという方向になりつつあるのではないか、こういう御説明でしたが、そうすると、科学的共同調査が終るまでは、日本としてはあくまでもそういう基準はないものだといろ建前で、その年その年の漁獲量をきめていくといろ方針で今後も臨まれるのですか。あるいはソ連の言う一応の基準ということを認めながら、その基準を上げるという立場で今後交渉されるのか、どっちなんです。

金山政英外務事務官(欧亜局長)

○金山政府委員 八万、十万という了解は、一九五六年の了解でありまして、その辺をもとにして考ていこうという一応の目安に向うはしていたわけで、当時はわが方でもそれを目安にすることには同意していたわけです。しかしその後のわが方の調査によりますと、それがはなはだ低いということが明らかになりましたので、その点を強く主張しました結果、去年は十二万トン、ことしは十一万トンというふうにきまったわけでありまして、そういう意味において、すでにその基準という点でも、当時の話し合いは効力がないとは申しませんが、効力を薄らげているというふうに私は考えております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 そうすると、今度ソ連側が十一万トンを認めたのは、その基準が低いという観点からソ連は認めたのか、それともオホーツク海の禁漁の問題と関連してこれを認めたのか、どっちに理解されておりますか。

金山政英外務事務官(欧亜局長)

○金山政府委員 オホーツク海でとるとらないにかかわらず、魚のとられる量というものは、やはりある程度の科学的な根拠がなくちゃならないと思います。それをオホーツク海でとろうが、産卵の途上においてそれを邀してとるということをしないで、ほかの地域でとったにしても、その漁獲量の問題は、これはやはり科学的な根拠がなくてはいけないと思いますので、ソビエト側がこれをふやしてきたということは、その程度とっても差しつかえがないということで、結局オホーツク海を放棄したからということではないと私は考えております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 外務大臣に伺いますが、私どもが今度の交渉の過程をずっと見ていると、十万トンになるときにもうすでにオホーツク海の問題は、相当向うが強硬に出てきておるし、ましてやこれが十一万トンに認められた場合には、やはりオホーツク海の問題と、交渉の過程じゃ、相当関連して向うでは乗り出してきたように思うのですが、今のようなお話で、これは全く基準の適否ということからソ連が十一万トンを認めたとお考えですか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 総漁獲量の問題については、当然ただいま局長が説明しましたように、総漁獲量を決定するのは種族保存と申しますか、持続性を保つために適当な総数量をとるというのが問題なんでありますから、そういう意味において話し合いは進めておると思います。むろんそれはこういうような問題を二つの立場で交渉しておりますから、その交渉の過程において全然そうではなかったということは言い得ないかもしれないが、しかし総漁獲量の問題は完全に私どもは今申したように種族保存の見地から、あるいは科学的研究の見地からこの程度までとっていいときめられるものと思います。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 そこで公海自由、公海漁業の自由の問題と関連して、われわれの今まで聞いておった政府の答弁なり説明は、公海漁業の自由は絶対に守るんだと非常に強い決意で臨まれておったわけです。それで今度の妥結のころの経過を見ると、総漁獲量をふやすために来年から出漁しないということを認めたとわれわれには理解されるのです。先ほど公海の自由は認められておるんだと言われるけれども、現実にはこれは行使できなくなっているわけですから、ここに今まで長年主張してきておる公海の自由の原則というものは、今日世界的にだんだん根拠が薄くなってきているのです。ソ連ばかりでなしに、多くの国が沿岸国の保護ということを強調し出してきて、どちらかというと比較的に公海の自由というものは根拠が薄くなりつつある。国際海洋会議でもやはり領海の問題でそういう傾向が出てきているわけですが、そういう傾向にあるときに日本政府は非常に強硬な態度で、あくまでも公海の自由は守るんだという態度でとれに乗り出されておられた。結果においてはこれを権利として放棄するわけじゃないけれども、事実上権利が行使できないよらな状態に来年から入る。これは共同調査をやると言うんだけれども、実際に出ないことを約束したその前提に立って、科学的な共同調査をやっても、その調査の権威というものは、今度は非常に薄らいでくるわけですから、その共同調査の結果というものがどう出ようが、やはりオホーツク海の出漁は鮭鱒に関する限りは来年からはもう永久的にできなくなる可能性が強い。そういう事態を今日招いたについては、そういった公海の自由、沿岸国の保護という、この二つの考え方の世界の情勢を見られて、幾ら公海の自由の原則を振りかざしてみても、これは将来だんだん根拠が弱くなるばかりだ、そういう先の見通しに立って、それぐらいならむしろ漁獲量を一万トンでもふやした方がいい、こういう観点でやられたものか、それとも公海の自由はどこまでも守るのだ、また守りたいのだ、しかし世界の大勢も、その公海の自由の原則というものはなお貫き得る情勢にあるのだという認識の上に立ちながら、それでもソ連側が非常に強硬であるから、漁獲量を一万トンでもふやすために涙をのんで引き下ったのだ、こういう理解の仕方なんですか、いずれなんですか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 公海の自由につきましては、われわれはあくまでもこれを主張しているわけでありまして、そういう点について、それを放棄してやったという考え方は持っておらぬのであります。またソ連側にしましても、公海自由の原則上から、オホーツク海を締め出すのだというのではなくて、先ほど申し上げたようなカ二であるとか、あるいはタラで為るとか、底びきについては、操業を認めているのでありまして、サケ・マスについては種族保護といいますか、そういう見地からこの地域はとらない方が、両国の将来の漁獲総量、もしくは漁獲量の永続性のために必要なのではないだろうかというのであります。それで先ほど申し上げましたように、ソ連側の持っているデータというものは、そういうものに深く根拠いたしているわけであります。しかしわれわれは必ずしもそれに承服いたしません。従って将来共同調査等が行われて、そういうもので考え直してきますれば、またソ連と友好的な立場の上において、種族保護の立場からこの問題は話せることではないか、こう思っております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 魚族資源保護という立場に立っているからこそ、公海自由の原則というものと衝突するのですよ。公海の自由の原則の上に立っているのだったら、そういう問題は起らない。公海は自由であり、領海をなるべく短かくして他の国の近くまで漁獲をしたいという立場と、それからその魚族資源を保護して沿岸国の利益を守ろうという立場と、ここに衝突するからこそその領海の問題や何かもいろいろ説が紛糾してきているわけだ。だからそういう事態、今後の世界の趨勢というものをどう理解するかによって、あくまでも公海の自由を今後そのままに主張しながら、それで対立し、そうして結果によっては敗北したという形が国民の目には映る、そういう場合と、やはり世界の趨勢は公海の自由の原則ばかりではいかないのだ、その理解の上に立っての外交交渉の場合とは、結果は同じ結果が出ても、日本国民に映る姿というものは非常に違ってくると思う。非常に対立的に、そうして敗北したというのと、非常に友好的な話し合いのうちにものが進んでいるというのと、私は今後の外交に非常に大夢な問題を含んできていると思う。その点を聞いているのであって、あくまでも今までと同じような考え方でこの公海の自由の原則というものを振りかざしていかれるのか、この重要な漁業交渉の結末を見た今日、これから公海の自由の原則の主張の仕方にも少し反省しなければならぬ面が出てきているのではないかという気がしますので、その点の御理解の仕方をもう少し説明願いたい。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 公海の自由につきましては、領海三海里説を日本は伝統的にとって参りましたことは御承知の通りであります。従って今日までわれわれはそれを主張してきたわけであります。ただいま行われておりますジュネーヴの海洋法会議におきましても、将来の永久法典声作ります上において、この問題がそれぞれの立場から論議されておることも御承知の通りだと思います。日本のように三海里をとっているところは、現在においては多数でないわけでありまして、十二海里説をとる、あるいは極端なのは二十海里説をとっている国もあるわけでございます。これらの問題は、やはり海洋を無警察状態に置きますことは好ましいことではないのでありますから、世界の各国が同じような考え方になっていくことが望ましいことでありまして、そうして海洋が無警察状態で、おのおのおれはこれを主張する、おれはこれを主張をするという状態に立ち至ることは好ましいことではないのでありますから、そういう意味において将来の問題というものはわれわれも十分考慮はして参らなければならぬと思うのでありますが、三海里説を今日まで主張していることもまた事実であります。しかし世界の各国ができるだけ三海里に近いところでもってきまることをわれわれは希望しながら状況を見ている、またその趨勢をにらんでいるというところにあるわけ一であります。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 それならばその海洋会議にはどういう態度で臨むのですか。巷間伝えられるところによると、あくまでも三海里を主張して、もしそれ以外のことできまりそうになったときには署名をするなという訓令を出したとか、あるいはまた折衷的な案で六海里が出てきた場合は、むしろこれに賛成した方がいいという意見に傾いておるとか、いろいろ伝えられておるのでありますが、どういうような態度でおられるのでしょうか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 日本が従来主張しております通り、三海里にもしきまることができますれば、これは日本として喜ばしいことであります。しかしながら三海里にきまりません場合、ただいま申し上げましたように三分の二の多数をとって海洋法が成立しまして、そして無警察状態というような言葉は適当ではないと思いますけれども、まあそのような、主のおのが勝手に主張するというようなことでなくて統一されることができるならば、なるべく三海里に近いところでもってそういう規制ができることをわれわれは希望しておるのであります。そういう段階になりますれば、六海里というのが一番われわれの希望に近い線でありますから、そういう線が成立すればそれは好ましいことだ、こういう態度をとっております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 それから日韓問題ですが、先ほどもちょっと御答弁にあったように、今までは全員釈放されなければ全面会談には応じない、こういう非常に強い態度で臨んでおられたのが、いつの間にか、三百名だけ帰る、あと百二十二名はまだ残っておる、こういう事態になったのですが、その方針の変更はどこから来ているのでしょうか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 日韓会談は、申すまでもなく相互の抑留者の釈放を前提にして、友好的にこれを取り行うという話し合いのもとに進めてきたわけであります。従いましてわれわれもその方針を堅持してきているわけであります。御承知のように三月一日から会談を開きますときに、われわれは、三月一日にあるいは三月三十八日に帰らなくとも、少くとも会談再開後数日を出ずして帰るということを明確にしてもらいたいということを申し出たわけであります。しかしそれが明確になりませんので、一応中止して反省を求めたわけなのであります。その後一カ月半たちまして、先方においても、会談再開後自分の方でそういう問題については日本の考えているところをくみ入れて処置するというような心持が動いてきましたので、三月十五日に会談を再開することにして、第三次送還三百名というものが帰国することになったわけであります。従って残り百二十二名もその線に沿って帰ってくるとわれわれは望んでおるわけであります。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 その百二十二名がいつ全員帰れるということがはっきり保証されておれば、それは政府の今までの方針通りだと言えるかもしれませんが、いまだにその見通しは全然ないのでしょう。あれほど三月一日に非常に厳格な態度で、そこのところが、大事な点が明確にならなければ全面会談には応じられないという態度をとっておったようにわれわれは理解しておったのが、百三十二名残して全面会談に入っているという以上は、やはりその百二十二名も近く必ず帰れるという何らかの安心できる保証というものがなければならぬと思います。それなしにこれに入ったということだと理解できない。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 最近の機会に必ず百二十二名が帰り得るとわれわれは思っております。従って三月十五日に会談を開きまして、正式会談の進行をはかっておるわけであります。しかしわれわれの態度としては変っておりませんので、百二十二名が最終的に近く帰りませんければ、会談については別途考慮をするわけです。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 そうすると、百二十二名が近く帰り得るという情勢判断をされたについては、どういう機関で話し合ってそういう結論を得られたのですか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 非公式にアジア局長が折衝に当りまして、そういう確信を得たわけであります。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 はっきりした保証はなくとも、ともかく三百名でも帰れるものは帰った方がいいという考えでこれはやられたのですか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 むろん全員帰国ということをわれわれは努力をしておるわけであります。しかしながら部分的にでも送還が早急に行われますことを希望しておるわけであります。もう相当長年月にわたっておりますので、抑留家族の問題を考えまして、その点をつとめて努力していかなければならぬ、こういう立場からやっております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 今の交渉状態、それから帰還状態なら、三月一日にそういう態度でやられていれば、もっと早く二百名は帰れた結果になるのですね。まあこれは結果論ですけれども……。ですからあの当時の態度では、部分的に帰還するよりも全員帰ってくるということが全面会談開始の条件だというふうに、非常にこの点を重視されておったにかかわらずこういうふうになったので、われわれはその交渉の過程にふに落ちない点があるわけなんです。それでわれわれの聞くところによると、今度そういうふうに部分的な帰還で全面会談に乗り出したというについては、外交ルート以外に、たとえば矢次氏だとかあるいは田中官房副長官、そういった人々が相当向うと折衝したり、非公式にいろいろ運動したというふうなことを聞いておりますが、そういう事実りがあるのでしょうか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 私どもがこの措置をとりましたのは、非公式ではありますけれども、外務省の者が話し合った結果であります。いろいろな雑音があると思いますが、外務省としては雑音を一々取り上げて処置することはいたさないつもりであります。

床次徳二自由民主党

○床次委員長 松本君、外務大臣の時間の都合がありますから、簡潔にお願いします。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 これも聞くところによると、矢次氏を再び韓国に派遣するという計画が政府にあるということですが、そういう計画があるのですか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 そういう計画はただいまございません。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 これはだいぶ前にもずいぶん問題になったので、今はなくとも、今後そういう正規のルート以外に、矢次氏のような立場の人を派遣するようなお考えは、全然ないと理解していいですか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 外務省として、今そういう考えは持っておりません。     —————————————

床次徳二自由民主党

○床次委員長 次に請願の審査をいたします。  お諮りいたします。本日、日程に掲載いたしました請願、すなわち、原水爆実験禁止等に関する請願、エニウエトク水爆実験中止等に関する請願、宝島に米軍基軸設置反対に関する請願、日韓漁業問題の早期解決に関する請願、世界連邦の実現に関する請願、及び難民及び労務者の渡米に関する請願の計二十八件の各請願は、それぞれの趣旨はきわめて妥当であり、かつまた当委員会においても、国際情勢等に関してしばしば審議をいたしております。前国会においてもほとんど同趣旨の請願の審議をいたしましたので、紹介、説明、質疑等を省略し、これを採択の上、内閣に送付すべきものと議決いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

床次徳二自由民主党

○床次委員長 御異議がなければ、さように決定いたします。  なお、ただいまの各請願に関する報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

床次徳二自由民主党

○床次委員長 御異議がなければ、さよう決定いたします。     —————————————

床次徳二自由民主党

○床次委員長 皆さんの、御協力によりまして、今日まで円満に委員会を進行して参りましたことに対しまして、厚く御礼を申し上げます。  それでは、本日の委員会はこれでもって散会いたします。     午後零時十二分散会      ————◇—————     〔参照〕  請願に関する報告書   [別冊附録に掲載〕

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