外務委員会 第8号
- 発言数
- 100 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1958/02/28
会議録
○床次委員長 これより会議を開きます。 国際情勢に関して調査を進めます。昨日松本君からアジア善隣協会に関する質疑が出ておったのでありますが、これに対して情文局長からお答え申し上げます。
○近藤政府委員 昨日の本委員会で、松本委員からアジア善隣国民運動中央本部について御質問がありました。この団体につきましては、アジア局が取り扱っておるものでございますが、アジア局長が出席できませんので、私からかわって答弁させていただきます。 アジア善隣国民運動は、そもそも内山神奈川知事外、主として神奈川県下の有志によりまして起されたものでありまして、この運動の主たる目的は、アジア諸国との善隣友好関係の促進を国民間のベースで推進しようとするものでございます。その具体的方法といたしまして、戦争中破壊されましたマニラのカトリック大寺院再建用のセメントの寄贈、セイロンにおける仏典編さんに対する援助等が考慮されておったのでございます。この運動の関係者から国会に対して請願が出まして、それが昭和三十年七月三十日衆議院の外務委員会において受理され、その趣旨に対して賛意が表明されたのであります。また同じ日に参議院本会議において本運動の推進を支持するとの決議がなされた経緯がございます。 その後、本運動は各界の代表が参加しまして、その組織化がはかられまして、昭和三十一年八月十日、アジア善隣国民運動中央本部の結成大会が開かれたのであります。そのとき役員が正式に決定されたのでありますが、名誉会長といたしまして安井誠一郎氏、会長といたしまして当時アジア協会の会長でありました藤山現外務大臣が会長となられたのでございます。 この運動の募金運動は昨年の二月から開始されまして、その開始に当りまして全国知事会の協力を受けることになりまして、従いましてこの運動の中央本部の事務局も都道府県会館内に置かれることになりまして、全国知事会議におきましては昭和三十一年十一月六日に、この運動に全面的に協力するということが了承された次第でございます。 この運動の現在までの事業の実績は、マニラ寺院の建設用のセメント六万袋の寄贈が本年一月完遂いたしましたほか、募金額は約六千万円余に上っておると承知しております。このうちヴェトナムヘの医療団の派遣、セイロン仏教大学設置運動のためのバッジの寄贈等のためにすでに支出されておりますほか、現在この募金の有効な使途について、この国民運動中央本部の理事会を中心に検討中であると承知しております。 また、先ほど申し上げましたように本運動中央本部の会長として藤山外務大臣がなっておられましたが、外務大臣に就任されるに当りましてこの会長を辞任され、その後会長の地位は空席になっておりますが、これにつきましては過般の理事会において適当な専任の会長の推選をすることが決議されておりまして、現在その後任についてまだ決定をしていないと承知しております。
○床次委員長 並木君。
○並木委員 私はミサイル協定につきまして、昨日外務大臣に質問をしようと思ったのですけれども、夕刻のために意を尽しませんでしたから、同席されておりました松本外務次官に質問いたしたいと思います。 二十四日に発表されました米英ミサイル基地の協定というものは、いかにも一見事新しく耳を驚かすような感じもなきにしもあらずでございましたけれども、よく考えてみればNATOの強化という線、また国防の新鋭化という線から考えて、冷静に考えれば私はやっぱり一つの大きな進歩であったろうと思うのです。この点について政府としてはまずどうお考えになりますか、御所見を伺っておきたいと思います。
○松本政府委員 これは英国の国内問題でもありますので、いろいろとやかく批判がましいことはもちろん差し控えなければならぬと思いますが、並木委員の質問の中にありましたように、それがNATOの防衛強化並びに安全と平和確保の目的であれば、決してこれは悪い協定ではないというような考えをいたしております。
○並木委員 そうだろうと思います。そういたしますと次に来たるべきものは、アジア方面の防備ということになって参りますが、三月――もうあしたから三月ですが、三月にはマニラでSEATO会議が開かれることになっているそうです。そういう会議でも話が出る可能性がございますし、行く行くは当然アメリカから日本にミサイル基地の協定という話し合いが出てこないとも限らない、そういうことが想像されるのでございます。そこでわれわれはしろうとで、ミサイルという言葉が使われたり、核兵器という言葉が使われたり、サイドワインダーという言葉が使われたり、中距離弾道弾という言葉が使われたりするたびに、一種のノイローゼになってしまうわけです。実体をちっとも知らないで、文字の上で、概念の上で議論をするのですから、ずいぶん苦しいのでございますが、政府としてはこの点、ある程度おわかりだろうと思う。われわれが薄々感じますことは、ミサイルといっても、これは今まで岸総理大臣が答弁しておる、核兵器の持ち込みは禁止するとか、核兵器によって自衛隊を武装化するということとは、だいぶ違うと思うのです。ミサイルというものは防御兵器としても進歩したものであるのですから、進歩したものであるならば、私は日米安保条約を結び、MSAを結んでおる日米間において、極東の平和のためにこれが必要なんだということで言ってこられた場合に、日本として、核兵器のような観念でもって、だめだといってすぐここでこれを断わり切れるかどうか、また突っぱねていいものかどうか。これはもっと冷静に考えなければならない問題じゃないか。自衛隊を否定する立場に立てば別ですけれども、自衛隊というものの存在を肯定する立場に立てば、それがMSAによってであろうと、新しいミサイル協定によってであろうと、強化された近代装備を持つということは、防御力を高めることになるのですから、好ましいことではなかろうか、こういう見地から私質問をいたしますと、政府が核兵器禁止、拒否、絶対反対だときっぱり言っておられることと、もしミサイル協定の話があったときの話とで、おのずからそこに違いがあるんだというふうな見解を表明されておいた方がいいのではなかろうか、こういうふうに感ずるのです。核兵器はだめだだめだということをあまり強く言い切ってしまいますと、もっと冷静に考えるべきミサイル基地の協定の話が起ったときに、のっぴきならない、引っ込みのつかないところに追い込まれるのじゃないかということを心配いたしますので、この際はっきり政府の考えを聞いておきたいと思います。
○松本政府委員 もちろんまだアメリカからはミサイル基地の協定等に対する申し込みはございませんので、それがあったときのいろいろな客観情勢等を勘案して考えなければならぬと思うのでありますが、ミサイルもいろいろ広範囲にわたってこれを考えることができると思うのです。先ほど申されたごとく、核弾頭をつけるようなものもございましょうし、あるいは単なる防備的のもの、あるいは攻撃用のミサイルもあるかもしれませんが、日本といたしましては、もちろん防御用のものにつきましては防衛庁でも研究しておるくらいでございますから、ただ簡単に、無条件にこれを断わるというようなことは考えられないと思うのであります。またさらに兵器の進歩に従いまして、たとえば小銃の時代はなくなって、ミサイル銃みたいなものが通常兵器になることも考えられます。これは当然、こういうような客観情勢を勘案いたしまして考えるべきだ、かように思います。
○並木委員 よくわかりました。そこでもう一つお聞きしておきたいのは、岸総理大臣があれほどきっぱり、絶対に核兵器はいかぬと断わっている、言明しておる真の実質的理由なんです。これはいろいろ理由としてあげられるかもしれませんが、ほんとうの理由はどこにあるのか。また岸首相の真意があの通りなのかどうか。今の段階ではああ言っているが、将来の問題としては、ただいま次官からはっきりお答えがありました通り、そういう国防の見地から考えますと、必ずしも絶対的のものではないのだという含みもあるのかどうか、この際お伺いいたします。
○松本政府委員 私はときどき岸総理のそばで、この問題が論ぜられておる場面にぶつかっております。これは少し脱線するかもしれませんが、昨日のジャパン・タイムズの記事の見出しに、少し強い線が出ておりました。外国の新聞記者との会見のときに、実験はいいじゃないかということを言ったような意味のことがありましたが、この場面にも私は参加しておりました。通訳も決して、岸総理の言われていることを翻訳しなかったということはなく、非常に正確だったということも、私認めます。そのときの空気からいたしましても、その発言からいたしましても、岸総理は心から、核兵器が日本に持ち込まれることをいやがっております。理屈抜きに、とにかくこれはいやだということを強く表明しておられるのです。向うの記者がこういう質問をいたしました。名前は私忘れましたが、今アジア地区において平和が維持できておること、あるいは世界の平和が維持できておることは、アメリカを中心とした自由諸国における核兵器が優位にあるからではないか、バランスがくずれておるから、従って攻撃を受けないんだという説明をいたしまして、従って、この優位を維持するためには核実験ということが必要ではないか、それに対して岸総理はどう思うかという質問に対しまして、岸総理は、理屈抜きに、とにかく核兵器の実験、使用、生産はいやだということを強く表明されました。それがどういう間違いか、ああいう工合に見出しになっておりますが、これは絶対に間違いであるということを、私はそばにおって聞いておりますので、申し上げると同時に、そのときも強く、国民感情からして、たとえばガスを利用することもいかぬ、あるいは細菌戦争もいかぬということを言っているのに、なぜ核兵器を使うことを許すか、私はその理由がわからぬということを申されて、反発されたことであります。従って、岸総理は核兵器の持ち込みに対して心からこれをきらっておられるということは、断言できます。
○床次委員長 大臣が見えましたから、この程度で打ち切ります。 ―――――――――――――
○床次委員長 次に、日本国とパキスタンとの間の文化協定の締結について承認を求めるの件、日本国とエティオピアとの間の友好条件の締結について承認を求めるの件を議題といたします。 両件に対する質疑はありませんでしょうか。――なければ、これより両件に対する討論を行いたいと存じますが、申し出がございませんので、これより採決いたします。 両件を承認すべきものと議決するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○床次委員長 御異議がございませんので、日本国とパキスタンとの間の文化協定の締結について承認を求めるの件、日本国とエティオピアとの間の友好条約の締結について承認を求めるの件、両件は承認すべきものと決しました。 なお、ただいま承認すべきものと決しました条約についての報告書の作成については、委員長に御一任をいただきたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○床次委員長 御異議がございませんので、さよう決しました。 ―――――――――――――
○床次委員長 これより国際情勢に関して調査を進めます。質疑の通告がございますので、これを許します。山本利壽君。
○山本(利)委員 岸内閣がアジア善隣外交を進めておるということは、アジアの経済開発の問題あるいは各国からの留学生を受け入れておる点、その他招待外交等を通じて、まことに順調に進みつつあると思うのでありますけれども、常に申しますように、最も大切である隣国の韓国との関係が、まことに遺憾な点が多かった。それも外務大臣の御努力によって、相互の抑留者の釈放という話がまとまって、その進捗の過程にあるのでございますが、それが終って、三月一日から正式な両国間の交渉が始まる予定であった。ところが本日の新聞を見ますと、政府はこれに対して、まだ相互釈放が完了していないから、それが終ってから正式会談に入りたいという通告をしておられるようでございます。またこれに対して、韓国の柳公使は、日本はすでに三回にわたって誠意のない非文明的行為をもってその正式会談を延期しようとしているといったような言葉を発表しておるのでありますが、これはまことに遺憾な状態であると考えますので、その相互釈放の進捗状態並びに今回政府が通告を発せられたそのいきさつ、あるいは韓国側がこれに対して反対の意を述べておる、ここらの情勢について大臣から詳しく承わりたいと存じます。
○藤山国務大臣 昨年十二月三十一日にできました日韓抑留者の相互釈放の協定に基きまして、日本側といたしましては韓国人刑余者四百七十四名を二月十一日に国内釈放をいたしました。なお不法入国者につきましては二百五十名を二月二十日に送還をいたしたわけであります。さらに三月三、四日に二百五十名を送還する予定でおります。一方韓国側といたしましては二月の一日に三百名の抑留漁夫を帰して参りました。昨日の夜出まして今朝門司に二百名を帰してきております。従いまして合計五百名を帰しておりますが、なお残りが四百二十二名ございます。日韓間の正式な話し合いをする会談を持とうということは、ただいま御指摘のようにわれわれも希望いたしておるところであり、今日まで努力をしてきたわけであります。しかしその前提として抑留漁夫の問題等が解決しない限り、円満な両国の話し合いができないのじゃないか。お互いに信頼し合い、友好のもとに全面的な会談を開くためには、そういう問題を解決する必要があるというのが、日本の今日までとってきた態度であります。従いまして全面会談に入ります前に相互釈放の協定をいたしたのであります。でありますから、その精神から申しましても、今日なお抑留漁夫諸君が四百二十二名おってその帰還の日取りがわからないということは、われわれとしてまことに残念でありまして、両国の友好関係を基礎にした話し合いをするのに支障があろうと考えます。三月一日から一応会談を開く予定の取りきめをいたしておりますが、これは、日本側といたしましても最初それらの時間的余裕も十分に見る必要があるので、三月十五日ころから会談を開こうということを言ったのでありますが、その間に十分手続を踏みまして漁夫を帰せるからということで三月一日ときめたわけであります。なお韓国側には技術的ないろいろな事情もあるかと思いますが、われわれといたしましても船の問題等につきましては、今日まででももし必要があれば日本船をもって帰還漁夫を迎えに行ってもよろしいということも申しておるわけであります。それにもかかわりませず、今日まだ最終的にこの五百名以外の人を帰す日取り、予定等を申して参りません。これは再三私どもが催促いたしておるわけであります。従いましてわれわれといたしましては、その期日がはっきりして、そうして抑留者が帰ってくるまでは会談を延期すべきが適当であろうと考えるということを昨日韓国側に申したわけであります。われわれとしては最善の努力を尽しまして抑留漁夫を帰して参る、そうして友好裏に諸般の問題の討議を進めていきたい、こういうふうに考えてただいま申し上げましたような処置をとりつつあるわけでございます。
○山本(利)委員 ただいまの外務大臣の御説明によりまして、われわれとしてはまことに当然な処置であると考えるのでございますが、その残りの四百二十二名の帰還の日程その他手配について、はっきりしたことを韓国政府が発表しないということは、どういうところに原因があるとお考えになりましようか。 もう一つは、ただいま御説明にあったように、それほど条理を尽した今日までの交渉なり経過であるのにもかかわらず、責任ある韓国の公使が、日本の非文明的なやり方であるとか誠意のないやり方であるとかいったような、わが国の政府を攻撃する言辞を発表するということは、どういうところに原因があるのか、彼らのほんとうに主張するところ、あるいは彼らのそう考えるであろうと思う点について、政府側で得ておられます情報その他御説明をいただきたいと思います。
○藤山国務大臣 韓国側がこの手続を遅延しております理由というものは、われわれにも必ずしも的確につかめないのでありまして、非常なデリケートな段階にありますので、そういう問題を持ち出しまして韓国側を非難することは、今日では適当な策ではないと考えるわけであります。 なおただいまのお話のように柳公使等のいろいろなお話もありますけれども、われわれとしては誠意を持って今後日本の立場を明瞭にしていく以外には方法はないのではないか、こう考えております。
○山本(利)委員 すべて外交の問題は、単にその衝に当られるところの当局者だけでなしに、国民全体の支援というものがなければ成功しがたいと私は考えるのであります。お互いに親善友好を基本的な観念としてその方向へ進もうとする相手方のどちらかが片方を非難攻撃する言葉を発するということについて、単にそのごきげんをそこなっては今後の交渉に差しつかえがあるというので黙っておるということは、私は外交技術として巧妙ではないように考えるのでございます。相手がそれほど公けにわが国の態度を非難するならば、その非難の理由、日本は非文明的であるとか誠意がないとかいう言葉はどういう点について言っておるのであるかということをはっきりただして、そうしてその理由も公表して、それでなるほどもっともであるという場合には、われわれの方においてもこれについて考慮を払わなければならぬ。けれども、ない場合においてはその点を十分に反駁し、相手方の誤解を解いた上で交渉に入らなければ、お互いに疑心暗鬼を持ちながら交渉したのでは、私はその効果は上らないと考えるのでございますから、この点については、わが方にはこの正式会談は相互の釈放問題が解決した後にいたしましょうというはっきりした態度を持っておるのをなぜそれほど非難されるか、それは言えないことではないかという抗議と申しましょうか懇談と申しましょうか、それを柳公使または韓国政府に対して外務大臣はなさる意思がございましょうか。
○藤山国務大臣 韓国側が日本のこの考え方に対しまして、とかくの批評をいたしておることについて、われわれとしては、日本の今日までとってきました態度をはっきり国民の各位に知らせて、そうしてその御理解の上に立って十分今後の問題を進展して参りたいと考えております。ただ韓国側の在京の方々その他が新聞紙上にいわれたようなことだけをすぐに取り上げて、何らかの意思表示をいたすことはおとなげないことでありまして、しかしこういう国家間の交渉でありますから、ほんとうに言うべきときにははっきり日本の立場も申さなければならぬ、こう思っております。
○山本(利)委員 この李承晩ラインにいたしましても、日本の漁夫が韓国に抑留されるのは、李承晩ラインを侵したということがかの方の原因でございますけれども、韓国人で日本の大村収容所その他に抑留された者は、法律を破って密入国をした者である、あるいは第三国人として日本国内で生活しながら重罪を犯した者であるとか、そういった者は国際法的に考えても当然送還されるのが、もうこれは国際的な慣例である。わが方からこれらの方の引き取りを要求しておったのは当然であると思いますけれども、李承晩ラインというものはわが方では認めていない。国際法的にもこれはまことに韓国側の一方的な宣言であって、われわれを法的に拘束するものではないと考えるのでありますが、わが国民としては今日まで、まことにわが政府は忍ぶべからざることを忍び続けてきたように考えておるのでございます。またその後においても、この会談が始まって抑留者を相互釈放するということが話し合いがついた後にも、韓国側は、正式会談があってすべてのことが解決して、その解決条件に基いてのわが漁夫の抑留とか何とかということならこれは別問題でありますけれども、まだその段階にもきていないのに、もうすでにわが国の漁民を抑留したというような報道も得たように思いますけれども、その後の昨年末この抑留者相互釈放の話し合いの始まった以後において、どの程度のものが拿捕されておるか、ここで御説明をいただきたいと思います。
○藤山国務大臣 数字等につきましては政府委員から……。
○三宅説明員 昨年末相互釈放の取りきめが成立をいたしまして以来、拿捕されました件数は三件でございます。漁夫の数は約二十五、六名だったと思いますが、そのうちで、それに対しましてはわが方からそのつど厳重に抗議をし、ことにこの相互釈放の協定ができ、全面会談が開始されようとしているいい空気になっているときにこういうことをやれることは、両国のためでないと言いまして、厳重に注意を喚起いたしました。その結果一件につきましては釈放いたしましたが、二件についてはなお抑留いたしております。
○山本(利)委員 これはたびたび本委員会においても申しますように、わが方の漁民といたしましては国法を犯してはいない、わが国がこれを認めていない限り。そして彼らは生活のために出漁するのでありますから、これを保護しなければいかぬけれども、それがやすやすと拿捕されるということは、わが国のこれに対する、わが国民の生命財産を保護するという点に非常な手抜かりがあるように考えるのでございますけれども、これに対して海上保安庁その他においては一体いかなる処置を最近においてはとっておられるか、御関係の方が見えておりましたら御答弁をいただきたい。
○床次委員長 今おりません。
○山本(利)委員 要求しておりませんでしたから、お見えになっておらぬかもわかりませんけれども、たといこういうことはこの委員会に要求していなくても、外務省としては常に海上保安庁と緊密なる連絡をとって、その程度のことは常に知っておっていただかなければ、単なる机上や文書上の交渉のみで外交が至れりとか、わが国民のための政府であるとかというようなことについては、私は非常な手抜かりがあるように考えるのでありますけれども、外務省はこれらについて、海上保安庁その他との連絡はないものでしょうか。
○三宅説明員 外務省といたしましては、常時海上保安庁、水産庁等と連絡をとりまして、漁夫の拿捕されるような状況あるいは日韓間の交渉の現状等絶えず通報いたしまして、この上さらに漁夫が拿捕されることがないように万全の手配をするように、そうでありませんと日本は交渉上非常な不利な地位に立つ、人道上のみならず交渉上も不利な地位に立つということを申しまして、海上保安庁、水産庁等におきましてはその予算や人員等の許す限りにおいて万全の手配をいたしておる、こういうことでございますが、何分多数の漁船が出漁いたします、ことに現在は漁期に当っているものでありますから、たまにはつかまるものが出てくる、こういう状況でございます。
○山本(利)委員 了承いたしますが、私の言った要点は今たくさん出るからつかまるものもあるという意味でなしに、これに対してそれらがたくさん出るのだから、海上保安庁としてはどういう手配をしておるかということを外務省の方においても常に、具体的にいえば何隻一日に、どのくらいな範囲にわたって海上保安庁はやっておるかという点までは外務省も知っておかれる必要がある、かように思っております。
○三宅説明員 その点につきましては私どもも海上保安庁、水産庁から情報を得ておりますが、公けの席で述べますことは韓国との関係もございますので、ごかんべん願いたいと存じます。適当な方法でやっております。
○山本(利)委員 この点は了承いたします。それで政府各省間における連絡が外交問題においては非常に必要でありますから、昨日私は防衛庁の長官に対して御質問なり要望をしたわけでありますが、その点について外務大臣もはっきりした御認識を持っておっていただかなければ、とかくわが国は韓国に対してその外交は軟弱であると国民が考えておる際でありますから、重要だと考えて昨日防衛庁の長官に私が申しましたことを外務大臣にも確認しておいていただきたいと思うことがあります。それは前々回の委員会において菊池委員からわが国の漁船を保護するために海上自衛隊は一体何をしておるのか、これが出動して守るべきではないかという意見があった。これに対して防衛庁の長官、それは海上保安庁の役目であってわれわれの役目ではないとこういう。それでは一体自衛隊の役目はどういう場合に果すのかという質問に対して、それはわが国の領土が攻撃された場合にこれを守るためになら出動することができるということであって、そのときの質疑応答は終ったのでありますが、私が考えるのに、あの日本海にある竹島というものは、もう日韓合併以前からはっきり日本の領土であった。島根県の行政管轄下にあった。それを現在においては韓国はこれを実力をもって奪取しておる、われわれはそう考える。こういう言葉を使うと、日韓交渉をせっかくまとめようとするときに相手の気持を刺激しては何もなりませんから、われわれは言うことを慎んでおるけれども、多くのものはこれは当然日本の領土であると考えておる。それを今日本はどうすることもできない。李承晩ラインにおいても日本の漁民の生活の場所であったところを、そこから排撃されておる。これは日本の国民の生命財産を脅かされると思うから、ほんとういえばもし日本が普通の国であるならば、その国を防衛するために作られておる自衛隊が、当然出動をしても私は法的には差しつかえないものであると思うけれども、しかしあえてしないのは、日本の政府が韓国と親善関係を結びたい、何とか外交交渉によって円満なる解決をいたしたいという紳士的な態度のもとにおいて、今日まで隠忍自重しておるのであって、韓国が竹島を領有することは当然であるのだから、それを戻せと言うことは、相手の感情を害することだというような意味で、そういう意味で黙っておるのではないということ、理屈からいえば、海上自衛隊が出て、拿捕されるときに対抗し、あるいは竹島を奪い返してもいいのであるけれども、そうしないのは、外交上のわが方の思いやりである。交渉によってこれを妥結したいと思うておるのだという立場に間違いないが、その立場で私は外務大臣も交渉に当っていただきたいと考えるのでありますが、いかがでありましょうか。
○藤山国務大臣 韓国との関係を調節して参りますためには、できるだけの努力を払わなければならぬわけでありまして、その過程におきましては、ある場合には控え目にやらなければならぬ場合もあるし、ある段階においては、強硬に主張すべきものは主張し、また態度としても強硬な態度をとらなければならぬかと思うのであります。これはそのときそのときに応じて、われわれの外交交渉の上における態度でありますから、今日多数の抑留漁夫を擁して交渉をしておるときでありますから、われわれとしてはできるだけ抑留漁夫にも迷惑がかからぬように、円満な方途によって解決ができる道をできるだけ進めて参りたいと思っております。しかしながらそういう事情のもとにおいて、決して軟弱な態度を永久に続けるという気持は持っておらぬことを申し上げておきます。
○山本(利)委員 この点に対しては一段と御努力をいただきまして、円満なる解決が樹立されますように希望いたしまして、問題を次に移します。 一体わが国の人口問題の解決の上から、あるいは経済進展の上からいって、私は移民問題、最近は移住問題と言っておりますが、それが非常に重要なる価値を持つものであると考えております。このことは岸総理大臣対しましても、また歴代の外務大臣に対しましても、私は切に要望しておったのでありますけれども、今日に至っても、現在の内閣においては、この移住問題に対しての力の入れ方が、私はまだ少いように考える次第でございます。現在日本人の海外移住者の数は八十万といわれておる。それが三十一年度だけでも、送金いたしましたり、あるいはまた日本へ観光に帰って参りましたりして使った金、あるいは日本人が海外に出ておるがためにその貿易に資した、そういったような点を合わせると、昭和三十一年度だけで百八十億円からのプラスになっておるということを聞くのでございます。日本の海外に対する移住者がますますふえればふえるほど、この関係は増すのでございますから、この点について、私は十分な努力がなされなければならぬと思いますけれども、現在外務大臣の職におられる藤山外相としてはこの移住問題をどういう工合に考えておられるか。外交上さしたる比重を置くべきでないと考えておるかどうか、この点についてまず御意見を承わりたいと思います。
○藤山国務大臣 移住問題は外交上さしたるウエートを置かないのかという御質問でありますが、私は相当なウエートを置いてこれを推進して参らなければならぬと考えておるわけであります。ただいまお話のありましたように、移住者の送金等によります日本の経済問題もございます。外貨バランスの問題もあります。また日本の人口問題についても、移住自体は必ずしも大きなウエートを置かれないということもありますけれども、しかしながら、やはり移住を奨励することによりまして、人口問題についても効果があるわけでありまして、そういう意味からいいまして、十分力を尽して参りたいと思います。また受け入れ国側に対してよき移民を送りますことは、受け入れ側の方における好感を得られることでありまして、それらの国々との間に友好関係を確立する一つの大きなくさびともなるわけであります。そういう意味におきまして、外交上相当のウエートをもってやらなければならぬことは御指摘の通りであります。私としてはそういう意味で、今後とも努力していきたい、こう考えております。
○山本(利)委員 それではお伺いいたしますが、三十三年度の予算として外務省は、この移民関係において約三十三億円を要求しておられる。ところがその中で認められたのは十一億八千万円くらいであったと思いますけれども、これに間違いありませんかどうか、お伺いしたいと思います。事務当局からでよろしゅうございます。
○内田政府委員 要求いたしました予算は、たしか三十三億程度だったと思います。認められました予算は、十一億にはならなかったのじゃないか、大体十億ちょっとこした程度だったように思います。
○山本(利)委員 しかもその予算の折衝の過程において、渡航費の中で船舶運賃の値上げということが現実にはあるのに、これは少しも認められていない。また移住者の定着を助成する費用も、全然認められておらないようでありますけれども、これで一体所期の目的があげられるか。初めたしか外務省の移住局の方においては、三十三年度においては一万三千名くらい出したいという考えであったと思うのですが、それを大蔵省側において一万名に削ったという話でありますが、これは今のようなことで、必ず必要な費用まで削られたのでは、一万名も送ることはできないと考えるが、この点についてどう考えられるか、移住局長に伺いたい。
○内田政府委員 われわれが当初一万三千名を予定して予算をきめましたこと、事実でございます。また御指摘のように、定着助成として考えました予算及び運賃値上げの予算が認められなかったことも事実でございます。ただ、ただいま山本委員の御質問によりますと、この予算では一万名も送出できないではないかということでございますが、確かに一万名というと多い数でございまして、なかなか今日の国内の状況あるいは現地の受け入れ状態など見ますと、一万名の送出を完遂いたしますには、相当の努力が要るだろうとわれわれも感じております。しかし決して不可能とは考えておりません。と申しますのは、定着助成の予算と申しますのは、実はそれと別個に現地の受け入れのための予算を組んでおりまして、これは幸い大蔵省の方の御理解ある態度によりまして、昨年と比べますというと、約倍加されております。従いまして、受け入れの方の準備というものは相当に、今年に比較いたしますとずっと改善されるのじゃないかと思います。定着助成の予算としてわれわれが考えましたのは、最近土地を購入いたしまして移住者を送る場合が非常にふえておるのでございますが、そのために移住者が相当な金を用意して参らなければならない。ところが、たとえばミシオネスというアルゼンチンの移住地のごとき、一戸当り約百万円くらいの金が要る勘定になります。そうしますと、相当な金がある移住者でなければ移れないということになりまして、移住を促進しようとする一方におきまして、金がなければ移住ができないというのでは非常な矛盾でございますので、これを何とかいたしたいというのが実は定着助成として出したわけでございます。しかしこれは考えようによりますれば、また多少時期的にズレがくるかもしれませんが、その金がなければ移住は絶対にできないというわけのものでもないわけでございますから、その予算が落ちたことは遺憾ではございますが、それによって移住ができなくなるというふうには考えておりません。と申しますのは、移住いたす場所はずいぶん方々にございますから、数を満たすためにはそこに多少時間的なズレが起ったからといって全体が破局に陥るというふうには考えていないのであります。 運賃の問題は、現実に輸送に従事しております大阪商船とかロイヤル・インターオーシャンの話を聞いておりますと何とかしなければならぬと思います。しかし当面のことを申しますと運賃はなるべく安い方がいいわけでございまして、運送会社には気の毒ですがなるべく安い運賃でやってもらいたいという気持も他方にあるわけでございます。これも輸送の現状を見ますと、少し運賃を上げなければ運送会社が船を作ろうとする意欲も起きませんし、長い目で見ました場合にはいろいろ問題をはらんでおると思いますが、さしあたり現在までの運営方法でやってもらうよりいたし方なかろうと思っております。
○山本(利)委員 私は外務省の当局として、今度査定された予算では全く因るとおっしゃるならば、私もともどもに強くこの移民問題の重要性を説いて大蔵省にお願いしようと思ったのですが、大体御満足のようでありますからその点は打ち切ります。 もう一つはパラグアイの問題でありまして、パラグアイ国との折衝によってこの移民問題というものが非常に進展しようという機運にあった。これに対して大阪の商工会議所の会頭である杉さんを団長として特使まで派遣されたようでありますが、その後この問題は非常に難航しておるようであります。このいきさつ並びに現状について外務大臣から承わりたいと思います。
○藤山国務大臣 パラグアイにおきます移民の問題並びにパラグアイ政府との船の関係がございます。これはあそこの川の航行を自国の手でやっていくためには、船を充実してやっていくことが、パラグアイ国のために非常に有利であるという見地から、そういう意味での話をパラグアイ政府から受けたわけであります。そこで政府といたしましては昨年度調査費をももまして、御指摘のように杉会頭を団長として、それぞれの専門家が参って調査をいたしたわけであります。それに関連いたしまして、それらへの協力ということをパラグアイ政府では好意を持ってやってくれると同時に、五千町歩の地所を無償で渡そう、なおもしこれが円満に進行するならば、十五万人程度の人をある期間に入れてもよろしいというような好意的な意思表示もあったわけであります。従って日本といたしましては、当然この問題を推進していって、移民問題から片づけ、またパラグアイとの経済協力問題も進展していくように考えなければならぬと思います。当初この問題は移住会社に話があったわけでありますが、その後大蔵大臣等と話し合いました結果、船の方の問題については、商業借款の形式をもってやれるのではないかということから、輸出入銀行を通じてこれらのものをパラグアイ政府と話し合いをしようということに相なったわけであります。ただいま大蔵当局とそれらの問題について基礎的な話し合いを進めております。外務省でも黒田公使にその由を伝えてパラグアイ政府の了解を得ておりますので、そういう形において今後この問題が進展して参りますように努力して参りたいと思っております。その結果として、今申し上げましたように移住に関する問題も並列して参るわけであります。これは移住会社自体の問題として解決を進めていきたい。こういうことで参りたいと思います。
○山本(利)委員 ただいまの話で、まだ望みなきにしもあらずのようでございますけれども、わが国からこの問題で特使を派遣される、さらにはまた黒田公使が帰って報道機関等に向っても発表しておるようでありますが、この際このことができなければ、パラグアイ国と日本との友好関係を阻害するばかりでなしに、わが国の移民の本場ともいうべき中南米諸国に対しての影響も私は非常に大きいと思うのです。これは何らかの形において絶対に実現さすべきものだと私は考えるのでありますけれども、努力するという程度でございますか。このパラグアイ国との借款問題は、先方はこれができたならば四、五千町歩の土地をやる、さらに十五万人の移住者を引き受けようという条件まで出しておるのでありますから、われわれとしてはこれは実現した方がいいと思うのでありますが、何らかの形において必ず実現する可能性があると大臣は思われますか。
○藤山国務大臣 ただいまのお話のように実現に努力をしておりますし、またこれは実現させなければいけないと私は感じておりますので、その線に沿って努力を続けて参りたい。ただ、金額の問題等につきましては若干年次計画等になるかと思う場合もありますけれども、しかしながら、この趣旨そのものを実現することが必要であるという信念のもとにやっております。
○山本(利)委員 この問題は、金の関係もありますので、今日は大蔵省から関係主計官のおいでを願っておきました。お見えになっておりますのでお尋ねいたします。ただいま外務大臣から移住問題の重要性、ことにパラグアイとの問題については実現させたいとい言うお話がありましたが、大蔵省としては、国家的な見地からできるだけの協力をする覚悟があるのか、窓口でまず金が要るからといってお切りになる気持であるか、もしこれを実現さそうという場合にはどういう方法をおとりになるか、しかも、今外務大臣からこれを輸出入銀行等によってという話もありましたけれども、その点で私の懸念することは、輸出入銀行等の問題になりますと、これは元利支払いを受ける可能性がなければ引き受けるものではないと思うのです。これは移住問題と非常にからみ合っておるのであるから、単に一千二百五十万ドルですかの金を貸してそれから元利を取り返そうという問題ではない。領土の少い日本人に四、五千町歩の土地を与えてやろう、しかも人口の余っておる日本から十五万人くらいは引き受けてやろうという交換条件もあることでございますから、少々目先きの欲得を離れてもわれわれとしては実現さすべきだと考える。これを輸出入銀行その他の商業的な見地からそろばんをはじいたのでは、パラグアイ国の現在の財政状態等からいって多少の懸念があると思う。パラグアイ国の方からいえば、小さい船ではありますけれども九隻の船と浮きドック一つ、合計十のものをこしらえてくれたら、パラグアイからずっとあの川を下っていくいく輸送賃を今まで外国に払っておったものを払わなくて済むから、日本に対する借款には御迷惑はかけない、しかも今日までパラグアイ国は他の国に対してあらゆる借款問題で決して迷惑をかけたことはないと言われておる。こういうことを考えてみたときに、ないとは言うておりますけれども、これは単なる申し出であって、そろばんをはじいてみて、不確実だからといって、私は輸出入銀行等はこれをける可能性もあると考える。だから場合によっては、幸い今日本政府にはたな上げ資金等もあるのでありますから、総計四十何億円にもなりましょうけれども、遠い将来のことを考えて、これは輸出入銀行だけの問題でなしに、他の面からこれを考える余地があるように私は考えるが、大蔵当局としてはどういう工合にお考えになりますか。委員長から再々時間の切迫したという御注意がございましたので、一括して御質問いたしましたけれども、詳しく御答弁をいただきたいと思います。
○海堀説明員 パラグアイの移民、それに関連します造船の融資の問題は、今度の予算に関連いたしまして、外務省から要求を受けまして、その後たびたび省議も行いまして、慎重に検討いたしております。ただ現在そういった長期のクレジット、それから海外の投資という問題が、最近妥結しましたのではインドのクレジットの問題もありますが、相当多額に上っておりますので、来年度の日本の経済情勢、その他の諸般の情勢上許される範囲に限定する必要がありますので、現在為替局を中心にしまして、そういった日本の経済能力という点から、もちろん移民の重要性をも十分考慮いたしまして、検討を続けているわけでございます。現在のところまだ具体的な結論は出ておりません。
○山本(利)委員 検討を続けるというのは、これを実現させようと思って努力しておられるのでありますか、単にそろばんに合うか合わぬかという意味で検討しておられるのでありますか。そして実現させようと思って努力しておられるならば、これは多分実現すると主計官は思われますか、どうもこれは疑問だと思われますか。この問題は閣議にもかかって、何とかしようという話が出たのであるから、わが国の政府としては今さらのっぴきならぬ点だと思うのでありますけれども、その点について、ただおざなりの陳情を聞いてそれじゃ考えてやろう、考え中だといったのと同じ程度の御答弁だと考えるのでありますけれども、大蔵当局はこの移住問題、ことにパラグアイの問題について非常に御認識が足らぬように思うのでありますが、いま一度はっきりした御答弁をいただきたい。
○海堀説明員 商業ベースに乗る、乗らないということは、初めからある程度の覚悟はいたしております。現在の移民の延べ払いあるいはクレジットの条件では無理であろうということは、ある程度考えております。ただ四十三億の借款を、船の規模から見ますと多分一年くらいで終ると思うのですが、一度に供与するとか、そういった問題になりますと、なかなかそれだけではございませんので、非常に慎重を要する問題が――他への影響も考えますと、日本の海外投資の全体との関連で相当慎重な検討を要すると思いますので、現在為替局で、そういった案件を彼此勘案しまして検討をいたしておりまして、近く結論を得たいと思っております。
○床次委員長 それでは次に大西正道君。
○大西委員 私は実はきょうは藤山外務大臣に、国連加盟によって沖縄の今の地位が何らかの検討を要する段階が来ているんじゃないか、こういう問題を聞きたかったのでありますが、昨日来日韓問題が非常に急を告げておるものですから、そちらの方をまず質問いたしまして、時間がありましたらその問題を聞きたいと思います。 この間の共同声明で、三月一日、あすから全面会談に入る予定であったわけでありますが、いろいろなことが報道されておりますが、あすからの会談は可能でございますか、いかがですか。
○藤山国務大臣 先ほど申し上げたと思いますが、日本側といたしましては、刑余者の国内釈放、また密入国者の送還等についても、逐次準備を進めて参った。また明日から開けますように、代表団の構成等もいたして、準備を進めてきております。しかしながら韓国側といたしまして、日本の漁夫を送還することが三百名――今朝のを加えますと二百名ふえて五百名。あと先ほど申し上げましたように四百二十二名が残っております。私どもは正式会談を開きます前に、これらの抑留者が帰還してくることを期待しておったわけです。それが期待できないのみならず、その日付等が、かりに三、四日おくれるにしましても、明確になって参りますれば考慮の余地もあるわけでありますが、それもまだ現在の段階では明確になっていないとすれば、明日からの会談は開催が困難である、こう考えます。
○大西委員 その件につきまして、新聞の報ずるところでは、韓国側に対して通告を発した、こうなっておりますが、その通告については私どもまだ承知しないのです。ここで御発表願えますか、いかがでしょうか。
○藤山国務大臣 韓国と日本とは、この全面会談を開きます準備といたしまして、今のような抑留漁夫の送還その他事務的に手続をして参りました。従って韓国側と、アジア局長を中心にした会合を持ちまして、そういうような話し合いを続けてきております。従って日本といたしましては、アジア局長を通じましてその会合において、ただいま申し上げたような理由であるならば、三月一日にはとても会談は開けないということを申し入れをいたしたわけであります。
○大西委員 その申し入れの内容は今おっしゃったようなことでありますから、まあそれはその程度の理解で話を進めますが、それはあすですか、それまでに全部抑留漁夫の送還が完了しなければだめだというのか。今のお話では、その確実な約束が取りつけられれば始めてもいいというような意向もあったのでありますが、念のためにそこのところを明確にしていただきたい。
○藤山国務大臣 私どもは基本的には、全部抑留者が帰ってきてからということに考えております。ただしかし、たとえば一日の夜の船に乗せて二日の朝に帰ってくるんだという確実な手続が進行しておりますれば、それすら否定する必要はないかというように考えておるわけであります。
○大西委員 今の段階において、その点につきまして期日の点で見通しがございますか。何か向うの言明がございますか。
○藤山国務大臣 きょう着きましたのを二次としますと、第三次以降の送還ということに対して、向う側から期日その他について何らかの意思表示もございません。従って、日本側はそれでは困るということを言っておるのであります。
○大西委員 この点は日本政府が強く要求している点でございますが、柳公使がこの事態に対して発しました声明の中には三つの点が指摘してございまして、日本政府が非常な非文明的な背信行為をやったと言っておるのであります。その一つに、今日本政府が主張しておりますところの、韓国の抑留者を全部送還しなければ会談に応じないということを言っているのは、これはまことにけしからぬことだということを言っておるのであります。そういたしますと、今あなたの言われることと柳公使の言われることとはまるきり反対のことになるわけでありますが、この点はこれまでどういう話し合いになっておったのでありましょうか。果して柳公使の言うごとく、韓国の言うごとく、全部抑留者を送り返してからというこの日本政府の主張が正しくないものか、約束に違反したものであるかどうか、この点をお聞きいたします。
○藤山国務大臣 御承知のように、日韓正式会談を開きます前に抑留関係者の処置をしなければなりませんことは、日本政府の従来からの態度であります。そうしてそれが全部帰還した上で友好円満に話し合いを進めていこう、こういう原則をもちまして今日まで折衝してきております。従って十二月三十一日に日韓抑留者の相互釈放問題の協定に達したのもその精神からきておるわけであります。従って、私どもとしましては、当然日韓正式会談に入る前には釈放されるものということを考えながらやってきております。
○大西委員 それはあなたの方の主観的な考え方を述べられたようであります。しかし、相手の方はそれが違反だと言っておるのであります。納得できないと言っておるのであります。ここのところが明確にならなければ、私どもはこれは水かけ論になると思うのです。私は、この日韓問題につきましては、日本政府のとって参りました労を多といたします。韓国政府の態度に対しましては私はまことに不満でありますけれども、しかし、こういうふうなあいまいな点がありまして、相手に乗ずるすきを与えるようでは、やはり準備として十分ではないと思うのです。そこのところの取りきめはどうであったか。あなたの主観じゃなしに、両方の約束がはっきりと何らかの形でなされておったのかどうか、この点であります。少くとも向うが声明の中に堂々とこういうことを言う以上、幾ら信用ならぬ政府だといっても、私はやはり何かがあるのではないかと思うのであります。ここのところを相手方に納得させる積極的な根拠をお示し願いたい。
○藤山国務大臣 御承知のように今度のその取りきめをいたしまして、相互釈放に対して明確な取りきめをして双方進行をしたわけであります。従ってそれ自体が主体でありまして、それが済んだならば全面会談に入ろう。そこで十分な時間の余裕を考えまして、われわれは三月十五日ということを主張したのでありますが、向うは三月一日にはすべて完了する、そして全面会談に入れるだろうということでありましたので、三月一日から会談を開こうという話し合いをいたしたわけでありますから、日本としては万全の処置をとったつもりでおります。
○大西委員 さらにこの声明の中にはこういうことも言っておるのでありっます。日本に不法入国した朝鮮人全部を韓国に送還しなかったことと、こう言っておるのでありますけれども、これもどういうふうな取りきめをしたのか、しなかったことと、こういうふうに非常に過去のことをここで指摘しているようなふうにとれるのであります。もちろんこれは正式ななにでもないから正しいかどうかわかりませんけれども、そういうことになっております。一体これはどういうふうな話し合いをしたのか、この点をお聞きいたします。
○藤山国務大臣 今回の取りきめはこういうふうになっておることをはっきり御了承いただきたいと思います。抑留漁夫につきましては帰還をさせるということが韓国側の義務になっております。それから韓国人の刑余者で収容しております者、これは日本が釈放する義務を持ちましたので釈放をすでにいたしたわけであります。そこで戦後の不法入国者でありますけれども、この人たちにつきましては、もし日本が韓国側にこれを帰すときに、韓国はこれを受け入れなければならぬ義務があるということを承認しておるわけであります。しかし、この不法入国者がどこに帰るか、また自分が日本の国籍を所有するのか、あるいは南米に行くのか、そういうものは本人の意向を聞いて日本の処置でやるわけであります。ただ韓国に帰した人については韓国側がこれを引き取らなければならぬ義務がある、こういうことでございます。
○大西委員 そういうことを聞いておるのではなしに――それではまだ幾らか残っておるのですね。韓国へ帰す人が、今の話では残っておるのでしょう、全部完了したのですか。
○藤山国務大臣 どこに帰りたいかということは、われわれは本人の意思を聞くわけであります。それで本人が韓国へ帰りたいという人があれば、それは韓国に送還する。今その手続を進行しております。
○大西委員 ですから私の言うことは全部送還は完了してないわけですね。
○藤山国務大臣 そうです。しかし全部韓国に送還するという義務はないのです。向う側が帰した人については受け入れる義務がある。
○大西委員 そこでこの項目を韓国側が非常に主張する理由の中に、今外務大臣の発言にもありましたように、北鮮に帰るか南鮮に帰るか、すなわち朝鮮に帰るか、韓国に帰るかということは、本人の自由意思にまかす、こういうようなことであったと思うし、過般唐澤法務大臣がこの点を委員会において明確に表明されたのでありますが、この点については、いろいろとこういうふうに紛糾があり、それをにおわすがごときこういうふうな声明がありましても、私は、この点は、人道問題上本人の意思に反して北鮮に帰る者を南鮮に帰すというようなことはないと思うのでありますが、この点は初めの方針通りで変更はございませんか。
○藤山国務大臣 私どもは本人の意思を聞いて処置する以外に方法はございません。
○大西委員 そこであしたからの話し合いができないということについて、今申しましたように、韓国の正式声明は非常に強硬なものであります。私はこの事態はなかなかそう簡単ではないと思うのでありまして、そういうふうなことを考えますと、もしこの全面会談がスムーズに運ばないということになりますれば――私の聞くところによりますと、今日まで李承晩ラインを突破した者も、向うの言い分では、いろいろと日韓間の問題を考慮して控え目に拿捕をやったんだ、こういうことを言っておるのであります。もしこの際話がうまくまとまらないということになりますれば、韓国政府が、李承晩ラインを侵犯したものについては、さらに積極的な拿捕をやるのじゃないか、こういう懸念も十分あるのでありますが、その点についての外務大臣の見通しあるいは見解はいかがでしょうか。
○藤山国務大臣 私といたしましては、できるだけスムーズに会談が開かれまして進み行くことをただいま念願もし、庶幾もしておるわけであります。そのために最大の努力をいたして参りたいと思います。ただ相手国がありますことでありますから、相手国がいろいろな意味において日本に好意的でない処置をすることも、万一の場合として考えて参らなければならぬのでありまして、そういうことについては十分注意をしてやって参らなければならぬ、こう思っております。
○大西委員 十分というような御答弁しかできないかもしれませんけれども、こういうことはやはり十分予想されることなんです。予想されることに対して、何かもう少し対策をお考えにならないと、これは結局そういう気持を持っておるということだけであって、非常に不測の事態ができてくると思うのです。さらに私の聞くところによりますと、すでにきょう向うの代表が来る、こういうことになっておったのでありますね、これは来ておりますか。
○藤山国務大臣 伝えられるところによりますと、けさ十一時に京城の飛行場を立つ予定であったそうでありますが、その後の状況につきましてはまだ知らせがございません。
○大西委員 私どもはこういう事態の中におきましては、韓国の代表部が引き揚げるという事態が出てくるとも思うのでありますが、そういうことについのて懸念はございませんか。
○藤山国務大臣 十一時に立って、来るか来ないか、まだはっきりいたしておりません。
○大西委員 来るか来ないかというのは、これは来てみなければわからぬということでありましょうけれども、こういう事態が十分予想されます。それに対していかなる心がまえがあるか、こういうことなんです。
○藤山国務大臣 重要な段階に来ておりますので、われわれとしてはあらゆる注意、あらゆる角度から、いろいろな観点に基いて万全の措置を考えつつあります。
○大西委員 どうもこういうふうな重大な時期に、しかも予想さるべき問題に対して、それしか言えないと言われるのは、政治的な配慮というよりも、むしろ私は一つの方針がないのではないか、こういうようにそんたくしたくなるのであります。 そこで、韓国側のこういう強い声明の中に、さらに重要な問題は、両国間で調印されたあらゆる秘密協定の公表も考えざるを得ないかもしれぬ、こういうことを言っておるのでありますけれども、一体どういうふうな秘密協定があるのでありますか。まあその内容についてはいろいろ言えないと思うが、そういうものがあるのかないのか、これを一つお聞きしましょう。
○藤山国務大臣 特別に秘密協定というような種類のものはございません。しかしながら話し合いをした過程において、いろいろな問題が起っておることはございます。
○大西委員 韓国との交渉は、今日まで政府の努力にもかかわらずなかなか進展をいたしません。今日またこういう段階になりまして、また私どもは非常な難関に逢着したと思う。これの一つの原因は、私はやはり外交交渉は秘密を要する問題もあろうかと思いますけれども、やはり会談の内容経過程を、政府が国民に知らせるという努力を怠ったのではないか、こういうことを思うのであります。そういうことが、相手側の態度を増長させまして、こういうふうな不利な交渉をいつまでも続けなければならぬ、その一つの原因ではないかと思うのでありますが、こういう点についての御見解はいかがでしょう。
○藤山国務大臣 私は、かねてから外交折衝をやっていきます上において、国民の後援を期待することは私の念願としているところであります。従いまして外交折衝上公表を必要とし、また国民の理解を必要とするような問題については、絶えずそれらについて国民の理解に訴えていかなければいかぬと思います。しかしながら何と申しましても、外交折衝上のことになりますと、相手国の、特に韓国のようなセンシブルな考え方を持っております国との折衝というものは、そういう面を特に注意をして参らなければならぬわけでありまして、そういう意味においてできるだけの国民の理解を得つつやってきたつもりでおります。
○大西委員 まあそれはあなたの方はそういうふうに思われるかもしらぬが、われわれといたしましても、実際この経過というものに対しては非常に不明確であると思うのです。これは一つ、もう少し国民とともに外交を進めていくという観点から、事態を可能な範囲で私は公表されるということを強く望むわけであります。 それからもう少し時間がありますからお伺いしますが、藤山外交の三本の柱の一つは、国連中心主義の外交です。これには異議がございません。事々に国連憲章の趣旨首に従ってと、こういうことになっておるのでありますが、一体今日まで国連に加盟してから一年間、まあそういう趣旨はけっこうだが、肝心かなめの日本の国際場裏におけるところのいろいろな問題を解決するために、国連加盟ということがどれだけ成果があったかという、この問題について、いつでも私どもは考えさせられるのです。そういう観点から、一番当面の問題である沖縄の施政権の返還の問題、さらに進んでは沖縄の今ある立場というものが、国連に加盟された今日におきましては再検討さるべき段階に来ておるのではないか、こういうように私は思うのでありますが、これに対する所見はいかがでありましょうか。
○藤山国務大臣 国連に加盟いたしまして、われわれとしては国連を中心にしてできるだけ日本の外交を展開していきたい、こういうことを考えておるわけであります。ただ加盟しましてまだ一年余でありますから、その意味において十分に国連の機関を利用しておらぬという点もあろうかと思いますが、今後はそういう意味においてできるだけ国連を利用して参りたい、こう思っております。
○大西委員 そこで私は具体的な問題を一つ聞きます。沖縄の今置かれている立場というものは、御承知のようにこれは平和条約の第三条に基いてとられている処置なのでありますが、この平和条約第三条、平和条約の結ばれるときにもすでに問題になったのでありますけれども、あの処置というものは結論を申せば国連憲章の違反ではないか、私どもはこういうふうに思うのであります。この点は当時も非常に強く主張されたのであります。それに対しまして、昔のことを申し上げますと、これは当時の平和条約審議の特別委員会でありますが、吉田総理大臣は、いろいろと琉球を信託統治にしたのは不都合ではないかというような意見に対しまして、これは他日国連にでも加盟したときに堂々と日本の主張をすべきである、こういうことを言っておるのです。こういう意味から申しまして、私はその時期であると思うのです。すでに論議された部面もございますけれども、国連憲章の七十六条、七十七条、七十八条がこの沖縄の問題を規定する一つの根拠になっていると思うのでありますが、この点につきまして、この七十七条のどの点に該当して今の沖縄の地位が定められておるか、こういう点について御意見を聞きたいと思 います。
○藤山国務大臣 政府委員から答弁をいたさせます。
○高橋政府委員 国連信託統治の問題でございますけれども、御承知の通り信託統治自体につきましては、確かに学説上も法律上もいろいろ異論があることは御承知の通りでございます。そこでこの問題につきましては、われわ自来研究いたしております。法律問題につきましても研究いたしておりますし、今後もまた研究を続けていきたいと思っております。ただいまの御質問、一体どれに相当するのだという御質問でございますが、われわれは第七十七条のb項に相当するのじゃないかというふうに考えておる次第であります。
○大西委員 この問題が、この前岸外務大臣兼総理大臣のときにも論議されまして、非常に重大な問題だから、研究をさしてくれ、こういうお話でありましたが、今の条約局長のお話ですと、そのときほぼこれではないかと言われたことを確認されたと思うのであります。それで私は聞きますが、私はこのb項には該当しないと思うのであります。その理由を申し上げますから、それに対してもし意見があれば申していただきたいのですが、この信託統治にする地域が三つ規定してございます。外務大臣も、これは条約上の問題だけれども、重要な問題になるから一つ聞いておいてもらいたいのだが、一は、「現に委任統治の下にある地域」であります。それから二番目bが「第二次世界戦争の結果として敵国から分離される地域」、cは「施政について責任を負う国によって自発的にこの制度の下におかれる地域」こう出ておる。今の御答弁だとbだと言うのです。ここを少し問題をしぼって申しますが、敵国から分離される地域と書いてある。そういたしますと、沖縄は果して分離されたものでありましょうか、日本から沖縄は分離されたと認定なさいますか、いかがでしょう。
○高橋政府委員 お答え申し上げます。先ほどの解釈とか、その信託統治の理論のいろいろな問題になるのでございます。そこでこの分離ということを一体どういうふうに解釈するかということで、これは分離というのはディタッチという言葉を使っております。そこで沖縄を信託統治にすることによって分離するというのが、主権とかそういう問題を含めて、これを全然日本と関連を切ってしまうのだというふうには解すべきではなくて、ただ何と申しますか、物理的に引き離すんだというので、主権の問題は全然度外視して考えていいのじゃないか、そういうふうな結論をつけておる次第でございます。
○大西委員 そのディタッチという言葉が、今おっしゃったような、領土の処分権のあるものをただ施政権だけが一方に移ったというのを、分離する、ディタッチするというふうに解釈される、私は国際的な通念と申しますか、そういうふうな学説というものは非常に根拠が少いと思うのであります。このことはお認めになりませんですか。ただこのb項に該当するということをダレスが言明した、それを日本政府が受けて、この点を固執しているだけであって、この分離という言葉でもいいし、原語でもよろしいです。それが今おっしゃったような意味に使われるということは、私寡聞にして聞きませんし、もしそういうことを言われるならば、この方面の国際法学者の意見を聞いてもよろしいのでありますが、あなたが主張されるような通念が国際的にもございますか。
○高橋政府委員 御指摘の点はまさしく非常に研究すべき点であると思います。これは信託統治一般の問題といたしまして、御承知の通り、信託統治は前の委任統治から引き継いだと申しますか、あの制度を発展させた制度でございます。そこで委任統治の時代におきましても、あの地域の主権というものはどういうものであるか、一体どこに主権があるのかというようなことは議論が紛糾しておったということをわれわれは承知しております。従いまして、この問題については、実は主権というようなことは全然考えずに、一応分離してこういうふうな施政をするのだという、現実の事態だけをここで書いてあるものであり、そういうふうに解釈していくことが可能であるとわれわれは考えております。
○大西委員 そういう解釈は納得のいかない解釈だということを私は言っておるのです。あなたはダレスが言ったことについて、ことさらそういう点について弁護といっては悪いが、その点に従って発言をしておるのであって、私は公正な立場――そうですよ。日本の立場からいったら、そういう言葉については非常に不当な無理な解釈だということは言えると思うし、公正な立場からでも、そういうことは言えないと私は思うのです。しかしそれは私が申しましたように、またあとで別な方法をとってもよろしいですが、その上の「第二次世界戦争の結果として」という言葉に一つ注目願いたい。一体第二次世界戦争の結果ということが言えますでしょうか。この点についてはいかがですか。第二次世界戦争の結果あれは今離されたものですか。そういうことになりますか。私はそういうことではないと思うのです。ここにひっかかりがございませんか。第二次世界戦争の結果は、これはあの条約によりまして、米国が信託統治の提案をするまで、提案する場合には、日本はそれに対して賛成をする、こういうことを言っておるだけであって、賛成をしたからといって直ちにこれがそのような結果になるということは言えないではないですか。ここも学者の意見が、第二次世界戦争の結果というこの言葉から、どうしても沖縄の場合は該当しないということを言っておるのですか、これはいかがでしょう。
○高橋政府委員 これも非常に条文の法律解釈の問題になりますけれども、私はやはり第二次世界大戦の結果として分離するということを予定して、そういう場合があるときはこれに当てはまるのだぞという規定であろうと思っております。
○大西委員 予定としましても、信託統治にするためには、これは国連の総会なり安保理事会の承認を得なければならぬのでしなう。あるいは他の国から――そういう申し入れをするのは米国だけではないでしょう。他国の場合、第三国だってそういうことの申し入れをする予想も可能なんです。それに対して、米国に対して日本は承認を与えるというだけのことである。承認を与えたからすぐ分離されるものじゃないのじゃないですか。これも法律的な意見の分れるところだといわれるけれども、その意見の分れるところが十対一か、九対一か、八対二かわからないけれども、そういう非常に根拠の薄いものを、ダレスが言ったからというて、あなたがオウム返しに言われるということについて私は不満がある。これはこの前、まだ日本が国連に加盟しないときに、この問題が論議されたときに、まあ日本はまだ国連に加盟しておらぬからと、こう言っておった。ところが国連に加盟したというこの飛躍的な段階において、やはり旧態依然たる、そういうふうな非常に根拠の薄い説を固執される日本政府の気持というものが私はわからぬのであります。そういう学説は学説としてあっても、藤山外務大臣、今学説として意見があったわけでありますけれども、学説は学説として、日本の利益のためならば、やはり有利な説をとって主張されるがよろしいと思う。しかも日本の有利であるという根拠の理屈というものは、大多数の認める意見なんでしょう。これはいかがでしょうか。
○藤山国務大臣 条約の解釈につきましては、一応当然法律的な解釈を定めてやることが必要だと思うのでありまして、そういう意味において、条約の解釈についてはいろいろの解釈がされると思いますけれども、ただいま条約局長が申したような意味における解釈を基礎としてわれわれは考えておるわけであります。しかしながらお説のように、将来こういう問題全体を検討して、むろん日本人のためにわれわれは外交をやるわけですから、それについては将来とも絶えず研究していく必要があると思います。
○大西委員 それでは答弁にならぬのですよ。この前の総理大臣、外務大臣の答弁のときも、この問題は重大だから研究さしてくれということを、岸さんはかなり良心的に言っておるのです。ところがその後研究したのかしないのか知らぬけれども、同じようなお答えじゃないですか。私は近くこの問題に対して一つ参考人を呼んでいただいて、あなたの言われるようなことで、ほんとうに世論の納得を得るものかどうかということを、一つ明らかにしたいと思います。 さらに、もうこれで終りますけれども、第七十八条もそうじゃありませんか。七十八条には、「信託統治制度は、加盟国となった地域には適用しない。」ということが書いてある。この地域がどうなのかということも問題であろうけれども、私どもは、たとえばレバノンとかシリアというようなところさえも、国連に加盟したら信託統治にできないということが、ここで言われておると思う。ましてや純然たるりっぱな独立国である日本の一部が、こういう形で信託統治にされる根拠というものは、私はどうしても出てこないと思う。これもあなたは地域というものについて、何かごく支持の少い意見を出されるかもしれぬが、いかがですか、私はやはり七十八条からも日本が信託統治に甘んじておる理由はないと思う。
○高橋政府委員 七十八条の解釈は、私はその地域全体として考えて、そういう地域が国連の加盟国になればその適用にならないのだということを、ここではっきり申したような規定ではないかと思います。というのは、これを起草する段階におきまして、いろいろ前の信託統治地域がたくさんあって、それがまた独立したり、独立の過程にあったのでございます。そこでそういうことを考慮に入れまして、国全体としての問題としてこれを考えたことであって、国の地域の問題とはちょっと違うのじゃないかというふうに考えております。
○床次委員長 大西君、時間がきましたから……。
○大西委員 国民の利益を守るというような面については、一向御配慮なくして、不利なような根拠を言っておられると私は思うのです。沖縄の那覇の市長選挙を見ましても、沖縄の住民の意思というものは明らかなんです。日本復帰の意思が明らかなんです。国会でもこの問題については決定をはっきりしておるのです。ですから日本政府は、政治的にそういう問題を解決していくと同時に、国連に加盟したならば、こういう国連憲章の原則を有利になるような解釈をして、そうして沖縄の返還のために努力するということこそ、私はたびたびの外務大臣の言明を裏づけるものだと思うのだ。ところが、これでは一向だめじゃないか。米国の今までの形、さらに信託統治を裏づけるようなことばかりやっておる。どこの政府かわからぬ。私はもう時間も少いし、こういう雑駁な議論ではどうも結論が出ないようでありますけれども、今申しましたような意味におきまして、私はそれではこの方面のわが国における権威者を一つ参考人として呼んで、十分あなた方も納得していただきたい。そうしてあなた方の考えというものが、国民の意思、住民の意思に反しておるし、また国連憲章というものの趣旨にも反しておるのだということを、私は明確にしたいと思います。これで終ります。 ―――――――――――――
○床次委員長 それでは次に議題を変えまして、日本国とインドネシア共和国との間の平和条約の締結について承認を求めるの件、日本国とインドネシア共和国との間の賠償協定の締結について承認を求めるの件、旧清算勘定その他の諸勘定の残高に関する請求権の処理に関する日本国政府とインドネシア共和国政府との間の議定書の締結について承認を求めるの件、政府間海事協議機関条約の締結について承認を求めるの件、通商に関する日本国とインドとの間の協定の締結について承認を求めるの件、以上五件を一括して議題といたしまして、質疑を許します。櫻内君。
○櫻内委員 外務大臣にまず一般的な問題でお尋ねをしたいのです。それはインドネシアの最近における国情でございます。これは審議を進める上においてきわめて重要な点でございまして、内乱の状況、また内乱に伴うところの政治情勢、こういうような問題につきまして、外務大臣及び担当官の方から詳細に御説明いただきたい。
○藤山国務大臣 インドネシアにおきまして、スマトラの軍が中央政府に対して反乱をしておるという事実はございます。しかしながら情報等を総合して考えますと、必ずしもスマトラにおける全部の軍が中央政府に反旗を翻しておるとも判断されない点が多々ございます。一方中央政府におきましても、これに対して相当強硬な態度をとっております。御承知のように、インドネシアにおいては、スカルノ大統領並びにハッタ氏は有力な政治上の指導者であります。いろいろな点について意見の変っておるところもありますが、しかしながらハッタ氏あたりの穏健な考え方、立場から申しますと、中央政府を転覆して、地方が独立するというような状況に追い込んでいくことはないと確信いたしております。外領が中央政府に対して不信任を申しておる理由の中には、経済上の問題も相当多いと思うのでありまして、それらの問題を解決されていく道が開かれて参りますならば、必ずしも現在のスカルノ大統領を中心とする中央政府が崩壊するというようなことを考える必要はないのじゃないか、こういう見通しを持っております。
○三宅説明員 私は直接インドネシアの関係を担当しておりませんが、大勢につきましてはただいま外務大臣からおっしゃった通りでございます。この革命政府が意図いたしますところは、従来ジャワの中央政府が地方の利害をあまり尊重しないということ、それから現在のジャワの中央政府に容共的な分子がいるので、これをのけるようにということ、それから地方の経済状態を改善するために、シンガポールその他と外領との間の貿易をもう少し自由にできるようにしてもらいたいというような要望を持っております。そういう要望を中央政府がいれるように要求しておるのでありますが、しかし分離するとか分裂するとかいうようなことまでは考えておりません。しかもこの革命政府を支持しておりますのは、スマトラとセレベスの一部でございます。大多数の部分は依然中央政府を支持しております。大体そういう状況でございます。
○床次委員長 午前の会議はこの程度にいたしまして、暫時休憩いたします。 午後零時五十九分休憩 ――――◇――――― 〔休憩後は会議を開くに至らな かった〕 ――――◇―――――