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28回国会衆議院1958/02/14

外務委員会 第3号

発言数
167
登壇者
14
会派数
2
開催日
1958/02/14

会議録

床次徳二自由民主党

○床次委員長 これより会議を開きます。  最初に一昨日提案理由の説明を聴取いたしました在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案を議題として質疑を許します。戸叶君。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 私は大臣が来られてから伺おうと思いましたが、少しおくれるようなので、初めに事務当局の方に質問しておきたいと思います。今度の在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案が出たのは、エジプトとシリアの統合によって出たと思うのですけれども、このエジプトとシリアを統合させた客観的情勢というものを、外務当局ではどちいうふうにごらんになっているか、お伺いいたしたいと思います。

金山政英外務事務官(欧亜局長)

○金山政府委員 統合のきっかけとなったものは、シリアが希望してエジプトに働きかけたものと了解しております。アラブの連合という考え方は、従来からあった考え方でありまして、この連合の中心としてシリアとエジプトの統合ができたということに対しましては、アラブ諸国は賛意を表しております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 アラブの他の国々が一緒になるというようなことはあり得ませんか。

金山政英外務事務官(欧亜局長)

○金山政府委員 共和制、王制というようないろいろな政体を持っておりますので、あるいはそういうものがいろいろな政治情勢を考慮して別のグループを作ることもあり得ると思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 今後この共和国の行き方というものは、積極的な中立主義の一歩前進だと私も思いますけれども、そのようにお認めになるかどうかということを伺います。

金山政英外務事務官(欧亜局長)

○金山政府委員 さように了解しております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 こういうような行き方に対して、各国といいますか、特に欧州地区の反響はどのようでございますか。

金山政英外務事務官(欧亜局長)

○金山政府委員 この新国家の承認の問題に対しましては、イギリスはまだ態度を留保しているようでございます。またフランスの態度などもはっきりとしたことはわかっておりません。ただ大部分の国がこれを認める形勢にあるということは申し上げられると思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 私はそういうふうな反響から、国際情勢が幾らかずつこの地区を中心として変ってこないかと思うのですが、その点はどういうふうに思われるのですか。

金山政英外務事務官(欧亜局長)

○金山政府委員 非常に大きな問題でありますが、今後の中近東情勢の発展と申します問題は、非常に注意して見ていなければならない問題であると考えておりすいす。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 注意して見ていなきゃならないというよりも、もっと国際情勢に何らかの変化というようなものがあるようにはお思いにならないわけですか。

金山政英外務事務官(欧亜局長)

○金山政府委員 国際情勢全般に影響を及ぼすような問題が、中近東から起る可能性があるかどうかという御質問だと思います。この地域の非常に複雑な政情、また資源の問題いろいろな問題と関連いたしまして、そういう事態が起ることもあり得ると考えます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 昨日ヨルダンとイラクの二つの国が、二十四時間以内に宣言を発して合邦するということが新聞に出ておりましたけれども、このことについての詳しい情報をお待ちでございましょうか。

金山政英外務事務官(欧亜局長)

○金山政府委員 その方面に駐在しております中近東の大公使その他から、いろいろ情報は参っております。しかし二十四時間以内に宣言するとは申しておりますけれども、まだ具体的にそういう宣言をいたした事実もありませんし、まだ決定的にそうなったということは聞いておりません。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 エジプトはたしか昨年中共承認をやっていると思うのです。その前に国府を承認していたと思うのですけれども、どういうふうな形で中共承認をしたのか、参考までに伺いたいと思います。

金山政英外務事務官(欧亜局長)

○金山政府委員 私はエジプトは中共を承認したと記憶しております。国府の承認はなかったように記憶しておりますが……。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 前に国府を承認していたんじゃないですか。そしてそのあと昨年になって中共を承認したように私は考えているのですけれども、この点いかがですか。

金山政英外務事務官(欧亜局長)

○金山政府委員 先ほどの答弁を撤回いたします。最初エジプトは国府を承認しておりましたが、昨年中共を承認しましたために、国府の方で国交を断絶した経緯があります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 国府の方で、何とおっしゃったのですか。

金山政英外務事務官(欧亜局長)

○金山政府委員 国交を断絶したわけであります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そういうふうなエジプトの様子を見ていて、日本でも中共承認ということは決して不可能ではないと思、いますけれども、この点はどういうふうに考えられますか。非常に簡単な質問の仕方なんですけれども……。

金山政英外務事務官(欧亜局長)

○金山政府委員 アジア局長がおりませんので、責任ある御回答はできかねますが、政策の問題でありますし、これは大臣に直接お尋ね下さるようにお願いします。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 それではこの問題はあとからに回したいと思います。それでこの法案によって、向うにあるエジプトの大使館と、それからシリアの公使館というのが、大使館と総領事館というふうなことになるのでしょうけれども、それでは日本にありますエジプトの大使館なりシリアの公使館というものはどういうことになるのでしょうか。

金山政英外務事務官(欧亜局長)

○金山政府委員 シリアは承認しておりましたけれども、公館を交換しておりません。従いまして本邦に駐在している外交官はエジプトの大使だけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうすると向うにあります日本の大使館、公使館はそのまま名前が変って、そして同じ規模で残るわけですか。

田付景一外務事務官(大臣官房長)

○田付政府委員 その通りでございます。ただシリアの方は総領事館になりますので、今までの公使館が廃止になりまして、総領事館ができる、こういうことになります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうすると人員も、それから予算関係も全然変りないということになるのでしょうか。

田付景一外務事務官(大臣官房長)

○田付政府委員 大体目下のところはその通りにして、変りはないというふうに考えます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうしますと、今日本にあるエジプトの大使館の場合は、そのままになっているというふうに了承していいわけですか。

金山政英外務事務官(欧亜局長)

○金山政府委員 この問題についてはエジプト側からたびたび接触がございました。新国家ができました際には、現在のエジプト大使館が新しい国家のをそのまま受け継いでいくことになる了解でございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 あとの質問は、大臣なり何なり、責任のある方に伺いたいと思いますから、これでけっこうです。

床次徳二自由民主党

○床次委員長 本件に関する残余の質疑は次回に譲りたいと思います。     ―――――――――――――

床次徳二自由民主党

○床次委員長 これより国際情勢等に関して調査を進めますが、大臣の出席がありますまで高岡大輔君から質疑の通告がありますので高岡君の質疑を許します。高岡君。

高岡大輔自由民主党

○高岡委員 本国会になりましてから、いろいろと千島問題が議題になっているようであります。それで、ただいま日本から漁業問題でソ連に平塚さんが団長として行っておられますけれども、これは漁業条約第三条による、毎年モスクワと東京と交代でその年の漁獲についての話し合いをする委員会だと私どもは聞いておるのですが、その際に、どうした拍子か領土問題すなわち平和条約問題が今話題に上っておるのであります。しかしこの問題につきましては、予算委員会その他において外務大臣並びに総理大臣に対しての質疑応答が行われておりますが、これはたびたび外務大臣御自身でもおっしゃっているように、国後、択捉は日本固有の領土であるということを日本では強く、しかも明らかに宣言しておるわけであります。従いまして私はそれに疑義を持ったりなどするわけではございませんけれども、そこに長い間住んでおられました人たちが総計で一万一千人、約一万二千人の方がおる。しかし御承知のように戦争前から、国家総動員法によりましていろいろな形において国家に協力しております。一つは漁船をもって漁獲をやる。または海草を取ってヨード、カリの原料を作っているというようなことで、その当時の軍に納めておる。また一つは、野菜を作って、それらのものは全部軍に供出しておった。さらには道路等も作って、この地区に住んでおられました方々は、文字通りこぞって国家の難に協力しておられた。それがたまたま戦争の末期に至りまして、いよいよもうだめだということで内地への引き揚げを考えられた。その当時の政府としては、政府というよりも軍としては、ここは日本古来の領土であるから絶対にここを退いてはいかぬ、最後まで守れということで、たびたび本土に向って船の回送を願ったにかかわらずその船は来ない。ついに終戦となりシベリアに抑留されて数年間非常な苦役をした。しかもその方々が数年後に内地に帰られる場合には、一人について男の世帯主は千円、家族の者は三百円ずつ日本政府から一応の金をもらったということを聞かされております。しかもこれらの人たちは、すべての財産を没収されたような格好になっておりますし、しかも四年間働いたその間において私的にもうけたと申しましょうか、いろいろな資材も全部取り上げられてしまったということなんで、まことに気の毒なのでありますが、一体政府としてはこうした方々に今までどういう処置をとっていられましたか、どういう援護の手を伸べてこられましたか、その点をお伺いしたい。これは私はどこの所管になるか知りませんから、私のお聞きしたことはおれの所管だということで、どなたか御答弁を願います。

河野鎭雄厚生事務官(引揚援護局長)

○河野政府委員 厚生省といたしましては、引揚者という立場から援護をいたしておるわけであります。ただ、ただいまお述べになりましたような特殊事情というふうな点についての特別の援護ということは、引揚者として援護いたします上からちょっといたしにくいので、その他の地区から引き揚げられました一般の引揚者と同じ方針のもとに援護を行なっていく、こういうふうなことで千島の方々に対しての特別の措置というふうなことは、引揚者の援護という立場からは従来いたしておらない。引揚者の援護と申しますれば、たとえば引き揚げて参りましたときに応急援護をするとか、あるいは住宅のお世話をするとかいうふうなことでございますが、そういったようなことは千島の方々に対しましても一般の引揚者と同じように今までやらせていただいておるのであります。

高岡大輔自由民主党

○高岡委員 今の御説明を聞きますと、国後、択捉、歯舞、色丹におられた方々は海外引き揚げのワクにも入らない。すなわち満州とかシナ大陸とか、あるいは南方地域から引き揚げた方は海外引き揚げになって、過般見舞金の形で全体で五百億円が出た。しかし国後、択捉は日本本土なんだから別に引き揚げているわけでもないから、そういう援護の方法はできぬ、こらおっしゃるのでありましょうか。

河野鎭雄厚生事務官(引揚援護局長)

○河野政府委員 この点は領土問題がはっきりいたしませんので、本質的な問題といたしましてもいろいろ問題もあろうかと思うのでございますが、ただいまお述べになりました、引揚者給付金等支給法に基きます引揚者給付金あるいは遺族に対しまする遺族給付金については、ただいまお述べになりました地域の方々についても引揚者としての対象に考えて取り入れておる次第でございます。

高岡大輔自由民主党

○高岡委員 ちょっと繰り返すようでありますけれども、それではこの前の国会で通過いたしました海外引揚者の財産に対する補償として、見舞金として五百億円出ましたですが、その中に入っておりますか。

河野鎭雄厚生事務官(引揚援護局長)

○河野政府委員 歯舞、色丹島も領土ははっきりしないけれども、一応これは海外から引き揚げたものとみなして、支給するというふうに考えておる次第であります。

高岡大輔自由民主党

○高岡委員 領土であるのかないのかという本質問題は差しおいて、形の上でそういう措置をおとりになったのですか、現実の形の上において……。

河野鎭雄厚生事務官(引揚援護局長)

○河野政府委員 お説の通りでございます。

高岡大輔自由民主党

○高岡委員 それで私お伺いしてみたいのですが、これらの方々はいろいろと、長い間にわたって政府に要望しておられる。その一つとしましては、歯舞、色丹、国後、択捉は、断じてわれら祖先から居住した日本固有の領土だ、だから一つあくまでもわれわれは自分の郷里に帰りたいのだ、すなわち日ソ平和条約が結ばれる場合には、断じて譲れないという強い熱望を持っておる。それでもしも日ソ平和条約が長引くようならば、せめてわれわれはあれからもら十数年たっておるから、先祖代々の墓に参って、ないしは戦争でなくなった方々のお墓を参りたい、いわゆる墓参に行きたいという念願を抱かれて、そしてこのために一つの組織を自主的にそれらの人たちが考えられて、人数も十数人にしぼって、政府の方へお願いしておるということでありますが、政府はこれに対しては今日までどういう措置をおとりになっていらっしゃいましたか。

金山政英外務事務官(欧亜局長)

○金山政府委員 昨年の六月と記憶いたしておりますが、そういう要望にこたえまして、外務省といたしましては、モスクワでこの引揚者の墓参の問題を取り上げて交渉したわけであります。それに対して、数カ月を経て返事が参りましたが、要するにあの地方は禁止区域であるから旅行を許すわけにはいかぬという返事が参りました。はなはだ遺憾でありますが、門脇大使は人道的な見地から、ぜひこれを実現するように、さらに押し返して論駁されましたし、またその後もその返事を督捉いたしておりますが、いまだに返事がない状態でございます。

高岡大輔自由民主党

○高岡委員 返事がないとおっしゃいますが、相手が相手だからそう簡単に返事がないでしょうけれども、これは一つ重ねて強く要望をしていただきたいと思うのであります。これも今申し上げましたように、なかなかめんどうなことでございましょうけれども、この方々が今非常に困っておられますことは、大体小笠原の問題と同じようなものがあるような気がする。と言いますことは、小笠原も日本の領土であります。ところがこの方は戦争の始まる前後において、強制引き揚げを日本の軍の命令によってされた人たち、その後戦争も非常に苛烈となり、その後アメリカが平和条約第三条によって、施政権を持った。しかも軍の関係でありましょうが、帰島を許していないという。しかもこれにはいろいろな問題が今からんでおる。これは地主の諸君から言わせれば、御承知のように今までは何かの補償があった場合には、耕作者に対しても何らかの、いわゆる俗に言うおすそ分けをしたわけでありますけれども、今度は一括払いによって土地全体が買い上げられるような形の、いわゆる最終的なものとなれば、地主は自分の財産を売るようなものだから人様には分けられないとか、いろいろ複雑な問題があるのでありますが、一応小笠原における人たちと同じような感じを私は国後、択捉には持つわけです。従いまして私はこれはこのままほちっておけない非常に気の毒なような気がするのでありますが、政府はこの方々に対して今後どういう形でこの人たちの生活を見ていくか、救済するかという点については何かお考えがございますか。

石井通則総理府事務官(南方連絡事務局長)

○石井(通)政府委員 南千島、歯舞、色丹の関係につきましては、ただいまお話のありましたように小笠原の人たちと非常に似ておるような事情もありまして、これらの国内的措置に関しましては、南方連絡事務局で一緒にやるようにしたらどうであろうかというような話が最近起りまして、現在南方連絡事務局に関する法律案の改正について審議、検討いたしておるような状況でございます。その改正ができ上りますれば――名称はどうなるかわかりませんが、現在南方連絡事務局で、小笠原を世話しておりますと同じように、いろいろ各種の事情をよく調査いたしまして、必要な援護あるいはお世話等をできるだけやっていきたいというように考えておりますが、まだ個々の問題につきましてはいろいろ調査検討あるいは関係各省とも打ち合せる必要もございますので、現在のところ具体的にどういうような援護措置をするかということは決定しておりませんけれども、そういう機構の改正ができ上りますれば、できるだけのお世話はいたしたい、かように考えております。

高岡大輔自由民主党

○高岡委員 今の南連局長の御説明でまことにげっこうなことだと思うのでありますが、今度は南連に千島並びに歯舞、色丹関係の一課を設けて、そこで沖縄、小笠原に対すると同じような事務をとっていく、こう解釈してよろしいですか。

石井通則総理府事務官(南方連絡事務局長)

○石井(通)政府委員 ただいま提出されております南方連絡事務局の予算の中には、北方に関する事務の所要経費が含まれておるということで、職員の増員並びに調査研究の経費が計上されておりますが、その予定におきましては一課を設けるまでに至りませんで、五名くらいの班みたいな組織でいろいろ調査研究をし、また今後の必要な措置をやっていく、いわゆる課ではなくて、課長補佐を置いた班といち程度の組織であろうと思っております。

高岡大輔自由民主党

○高岡委員 そうしますとその五人の方がいろいろと今後の作業をなさるわけでありますが、大体千島におられた方はもら相当な調査はいたしてございます。一つ申し上げますれば、居住者連盟の会員名簿ができておりまして、ほとんど九分九厘でき上っております。しかも財産調べまでもうちゃんとひな形を作りまして、一人片々全部書き上げてあるということなので、相当の調査が進められております。しかもこれは、これら向うから内地に引き揚げられた方々の私財を投じてこらしたむずかしい作業を続けて今日まで来られたのであります。これは一つぜひ南連の北方班において、これらのものを十分研究願いたいと思います。そこでそれらの方々の話を聞きますと、さっき言いました戦争中で動力船で十馬力から六十馬力のものが択捉だけで七十隻、それから無動力船が三百隻、国後では動力船が三十隻、無動力船が二百隻、それから色丹、歯舞では動力船が二十隻、無動力船が百隻と推定いたしております。これらのものを考えて参りますと、最近は沖縄でも徴用船について陳情がいろいろと出ておるようでありますが、これらを考えあわせますと、私ははなはだ現状から顧みて非常に気の毒だと思うのでありまして、できればこの際大づかみに、この引き揚げた方々に対しての見舞金を出されたらどらか、こら考えるのであります。これは今後この事情をいろいろお考えにならなければいけないのでありますが、いろいろお調べになったところで相当調査はできましても、完全な資料が整うか整わないかということについては疑問がございます。従ってこれに対処するのは、政治的な発言で恐縮でありますけれども、一応見舞金という形でケリをつけなければならないことになるだろうと思うのでありますが、大蔵省としてはこの際どこまで同胞のために御配慮を願えるかをお伺いしたいと思います。

高木文雄大蔵事務官(主計官)

○高木説明員 私担当でございませんので、あまり正確な御返事はできませんが、戦争によります被害者の一般的な補償の問題につきましては、従来からいろいろ問題がありますことは御承知の通りでございます。そのらち引揚者につきましては、昨年の国会において一応の方針がきめられたわけでございまして、そのほかのいろいろな意味での戦争被害者についての補償方式につきましては、いろいろ議論のあるところでございます。ただいまの千島の方々の問題につきましても、他の地域、先ほど例に出されました小笠原の問題その他の問題との均衡を考えながら処置いたすということになるかと思いますが、その場合もちろん全部についてみますと、非常な巨額になりますので、具体的にどういう措置ができるかということについては、現在ここでお答え申し上げる材料を持ち合せておらない次第でございます。なお担当の方とも十分連絡をいたしまして、御趣旨のあるところは伝えたいと思います。

高岡大輔自由民主党

○高岡委員 もちろん今ここではっきりした御返事はいただけないとは思いますけれども、今申し上げましたように、船で徴用されたものでも相当数に上っております。しかしこれらはおそらく戦時災害補償は受けていないと思うのであります。ということは、その当時は戦況によってとてもそういうことは申請するわけにいきませんし、まだこの法律は残っておるような気がするのでありますが、たしか私の記憶では、ニカ年以内に申請をしないと棄権したようになって、効力を失うような法律だったような記憶がするのでありますが、かりにそういうふうな場合がありましても、これは今日まで相当年数は経ておりますけれども、そういう形の戦時災害補償はできるのでありますかどうか、これはその法律を御存じの方から……。

高木文雄大蔵事務官(主計官)

○高木説明員 戦時災害補償法につきましては、これも私直接担当でございませんので、あまり明確にお答えできませんが、終戦後、二十二年でございましたか、その前後に、一応打ち切ったはずでございます。そこでそれに伴いますところの、その際のいろいろな何といいますか、一種の経過的な問題がたくさん残っておりまして、個別の問題として具体的に処理をしておるはずでございます。その処理の仕方は、先ほど申しました上らに、いろいろなケースについて公平を欠かないようにということでございますために、なかなか関係者の御希望の通りにはいっておらないかもしれませんけれども、いずれにいたしましても、それぞれの処理方式をきめております。そこでただいまの点につきましてはさっそく帰って調べました上で、何らかの方式でお答えいたしたいと思います。ここではちょっと私答弁の資料を持ち合せておりませんのでごかんべん願います。

高岡大輔自由民主党

○高岡委員 今いろいろとお答えがあったのでありますが、おそらくこれらの方々は戦時災害補償はもらっておらないようであります。しかもこれらの方々の二千三百九世帯のらち、八割以上が北海道に今居住しております。あとの二割足らずが九州に至る日本本土全体に散らばっておるわけであります。しかも北海道におられます方方――大部分の方々は北海道におられるようでありますが、それも釧路とか根室、函館、札幌といったような、特定といいましょうか、全部に散らばっているのではなく、ある一カ所に集団的に引き揚げておられるのでありますが、この方々はもともと漁が専門の方であります。私はさっき申し上げましたように、相当数の船が徴用され、没収され、しかもそれに対しては何ら国家は補償をしていないということ等から考えまして、この際ある程度の見舞金の形で、一つの例を申し上げれば、八十トンないし百トン級の船を作って、八十トン、百トンといいますと、約二千万ないしは二千五百万くらいかかるだろうということでありますが、そういう船を各地区にいられる方々に一隻ずつ、見舞金の金でするか、品物でするか、その辺はわかりませんし、またそれにはある形の長期低利の金を貸し付けるという世話の仕方もございましょうし、いろいろございましょうが、そちしたことでこれらの人に結論からいうて船を作ってあげるというようなことを、大蔵省としてお考え願えるか、その点をお伺いします。

高木文雄大蔵事務官(主計官)

○高木説明員 小笠原から引き揚げられた方々に対しまして、かつて農林漁業金融公庫から漁船建造資金をお貸しして船を作ったことがございます。現在もその引揚者の中の一部の方々――全部というわけにはいきませんので、一部の方々ではございましょうが、現に漁業の操業をしておられるわけでございます。そういう例もございますので、ただいまお話のような新しく船を作って、つまり新しい生業の道を考えて差し上げるという可能性はないではないというふうに考えます。ただ先ほど来御指摘の徴用された船舶の問題でございますが、それにつきましては、先ほど援護局長から御回答がございましたように、引揚者給付金の法律で何がしかの、わずかでありますが、例の五百億のワク中で見舞金が支出されておるといたしますれば、なおそのほかに特別な補償とか、あるいは未払い代金の支払いをするということは、ほかの地域の引揚者との均衡なり公平の問題として考えますと、非常に困難な問題ではないか。今の千島だけでなくて、ほかの地域におきましても、そういう問題は個別には非常にたくさんあるのでございまして、その処理の一つの方式として一々財産評価をしてその評価額に応じた補償のようなことはとてもできないということから、昨年度のような措置がとられたのでございます。従って何トンの船がどういうふうに徴用されたからその分を返せというお話の意味でございましたならば、実際問題としてその形の処理は非常に困難ではないかというふうに思います。それだけつけ加えさせていただきます。

高岡大輔自由民主党

○高岡委員 ただいま大蔵当局からのいろいろのお話を聞きますと、なかなか事は簡単でありませんが、かりに引き揚げた方々がまとまって船を作った場合に、水産庁の方がお見えだそうでありますからお伺いしますが、こらした方に対して優先的に独航船のワクにこれを認めるとか、ないしは日水とか日魯とかのいわゆるサケマスの漁業あるいはサンマの漁業等について優先的に一つ御配慮をいただくというわけには参りませんか。これは水産庁としては十分御存じのことでありますが、そもそも中千島は昔から禁漁区で、あそこは魚を非常に保護しておったわけであります。島の上には例の銀狐というキツネを飼って無人島にしておいたのでありますが、これは国後、択捉、歯舞、色丹におられた方々があそこを命にかけて保護してこられたのでありますから、そういう歴史的な考え方からしてその人たちの漁撈に対しては優先的にこれを認めるという御配慮がいただけるかどうか。

立川基農林事務官(水産庁漁業調整第一課長)

○立川説明員 ただいまの点についてお答えいたします。千島を引き揚げてこられました方々から、かねがね漁業につきまして優先的に操業を認めよというお話はわれわれ承わっておるのでございます。ことに今問題になっております歯舞、色丹の地域について従来経験を持っておられたいろいろな経緯もございますので、その方の問題が解決つきました場合には、そういう従来の実績なり何なりを尊重した方法をとって参りたいということをわれわれも考え方としては考えておるわけでございます。それ以外の一般の漁業につきまして、あるいは内地との関係のございますサンマ船の問題とか、あるいは鮭鱒関係なりの問題につきましては、現在の取扱いとしては一応道内に普通の方々と同じような形で生業を営んでおられるという関係もございますので、ことに鮭鱒その他につきましては、その結果いかんによりまして許可します数量なり何なりというものが変って参りますので、そういういろいろな特殊事情は考慮に入れて考えたいと思いますけれども、今ここで特別のワクとしてそういうものが確保できますという形のところまで申し上げるという段階ではないように思います。

高岡大輔自由民主党

○高岡委員 なるほどそう一ぺんに、私がお伺いしたからといって、あまりらまいこともおっしゃれないでしょうけれども、これは繰り返して申し上げますけれども、あの地区の方は、公海とはいいながら、これは自分の職場でありますから、職場を全く奪い取られたというような方々であります。これはもち少し大きな形において援護の手を伸べる、その意味において水産庁としても特段の御配慮があってしかるべきではないか、かように考えるわけであります。それは引き揚げてきて、今こうなっているのだからこれは一般の引揚者と同じだということでは、あまりにも過去の歴史を無視したような、不人情のような感じを持つのであります。何もそう人情論によって政治を行うということは場合によっては適当でないかもしれませんが、私はやっぱり政治というものは、そういう意味の人情論はあってしかるべきだと考えております。水産庁としても十分その点をお考え願いたいと思います。これは今の安全操業でありますとか、ないしは将来来たるであろう日ソ平和条約の問題等は、これは将来の問題でございますけれども、それまでにそのままほっておいていいかといちと、これは日常生活の問題でもありますから、十分に一つ御配慮を願いたいと思います。何とか救済する方法がございますか、もら一度一つ御答弁を願います。

立川基農林事務官(水産庁漁業調整第一課長)

○立川説明員 ただいまの先生のお話にありましたように、千島から引き揚げて来られた方、あるいはこれは樺太も御同様でありますが、いろいろな事情によりまして非常に困難な事情におられるということは、かねがねお伺いいたしております。これにつきまして、いろいろなことをわれわれとしても考えて参らなければならないわけでございますが、漁業の今の状態といたしまして、どの程度の特別な取扱いをいたしますかという点は、今の安全操業の問題なり、あるいは鮭鱒関係の交渉の問題なりともにらみ合せまして、慎重に考えて参りたいと思います。ただいろいろ先ほどから言われますように、非常にお気の毒な経緯であります、それから現在でもなかなか困難な事情におられる方々であるという点は、北海道からもお伺いしておりますし、われわれも接することでありますので、できるだけそういう考え方で進めたいと思いますけれども、今具体的にどういう形でどうというところまでは、現在の段階で申し上げるところではないと思います。御趣旨の線に沿いまして、慎重に検討して参りたいと考えております。

高岡大輔自由民主党

○高岡委員 結論的に私申し上げますと、これはこの四月一日から南方連絡事務局に北方班が設けられるわけですが、ぜひそれを中心として関係各省と連絡をとりつつ、南千島から本土に引き揚げて来られます方々に対して十分援助の手を差し伸べて、今後の生活には不安のないように一つ日本政府として対処していただきたいということを強くお願いいたしまして、私の質問を終ります。

床次徳二自由民主党

○床次委員長 次は大臣に対する質疑を許します。並木芳雄君。

並木芳雄自由民主党

○並木委員 藤山外務大臣にまず私はソ連から申し入れがありました日ソ平和条約についての質問をいたしたいと思います。私は鳩山内閣以来日ソ国交回復については、非常に熱心な者の一人でございます。その見地からいいますと、最近一時とだえている話し合いというものに対しては、一まつの寂蓼感を抱いておったのでございますが、このたびその話し合いを続行しようという申し入れでございますか、そういう申し入れがあったというのでございまして、喜ばしいように感じておったのです。しかし内容がだんだんわかって参りますと、必ずしもこれは手放しで歓迎すべき申し入れではなくて、そこには条件がついている、ひもがついているというような点もあるようです。日本の政府の部内でも、この受け取り方には多少ニュアンスの相違もあったようでございますが、今日現在政府部内での統一された見解というものをぜひ承わりたい。とにかくその漁業交渉がただいま現実に行われている。それと安全操業それとの関係はどうなのか、それから今度いわゆる平和条約の話し合いと漁業交渉との関係はどうなのか、三つばかりの要素がお互いに入り組んでおるようなために、私どもなかなかはっきりした考え方というものをまとめ出すのに苦心しておるわけなんです。そこで大臣に政府としての最終のかつ、統一した見解、これに対して今後どうしていくかという方針を示していただきたいと存じます。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 日ソ間に今話し合いをしておりますものは漁業に対する安全操業の問題と、例年行われております漁業委員会の問題と二つあるわけであります。日ソ漁業委員会につきましては、御承知のように平塚、門脇両代表が現在一月十四日からモスクワに行きまして会議を開いて、すでに八回以上の会議を持って、ただいま分科会等も開れかて、そして専門的立場からそれぞれの話し合いをいたしております。いろいろ混淆されるといけませんので、その点漁業委員会はそういう状況で進行をしているのだということを一つ御承知おき願いたいと思います。  それから安全操業の問題であります。これは北海道の零細漁民が沿岸の生活問題を含めて漁業を安全にやれる問題として取り上げられてきているわけでありまして、御承知のように日本とソ連との間にはまだ領土問題についての意見の相違もありまして平和条約はできておりませんし、かつまた領海の問題につきましても、三海里と十二海里で意見は対立をいたしておりますし、その状態で北海道の零細漁民の方々が漁業をする上において、できるだけ安全にその生活手段を全うすることを日本政府としては希望するわけであります。従って領土の問題あるいは領海の問題なりについて意見が分れておりますけれども、その状態のままにおいて安全に操業できるような話し合いはできないだろうかということがこの話し合いを始めた発端でございます。そしてこれは昨年の六月三日から日本の意思をソ連に伝えまして引き続き折衝をいたしております。その過程におきまして、ソ連側は八月十六日に口上書をもちまして、零細漁民の安全操業の問題については、一つ話し合いをしてみようではないかという意思表示をして参ったのでありますから、そこで話し合いができるという見通しがつきましたので、外務省といたしましては、漁業関係の方々とも御相談申し上げまして、八月二十九日に日本の案をソ連側に提示をいたしたわけであります。自来その返答を待っておる。なかなか返事が参りませんので、督促もいたしました。その督促に対してソ連側としては、今研究をしておるから、いずれ回答ができるだろうというような返事を続けていたので、数回の督促を続けて参ったわけであります。その間十二月におきまして、この問題の話し合いも、一月中旬以降に開かれる漁業委員会の席上で話し合いをしたらどうだろうというソ連側の意向を伝えて参ったのでありますが、わが方といたしましては、安全操業の問題と北洋サケ・マス漁業の問題とは全然別個の問題でありますので、その漁業委員会の席上これらの話をするのは必ずしも適当でないから、別個に話し合いをしていきたいということを申しておったわけであります。ところが二月五日にイシコフ漁業相から日本側に対しまして、安全操業の問題は平和条約の問題と関連をしているから、平和条約の問題とともに話し合いをすることが、進めることが適当であろうし、また平和条約の問題が解決すればこの問題もおのずから解決するのじゃないかというようなことで、安全操業だけの問題として話し合いをすることについて、難色を示す意見を発表されたわけであります。従いまして日本としてはイシコフ漁業相のそういう意見を、一体ソ連の政府の意見であるかいなかを確かめる必要もありますので、翌々七日に門脇大使がフェドレンコ外務次官に面会を求めてその点を確かめたわけでありますフェドレンコ外務次官はイシコフ漁業相が言われたと同じことを確認されたわけであります。こういうことでありますので、私どもとしましてはソ連が現在平和条約を締結するという意思を直接申し込んできたとは考えておりませんので、安全操業の問題の扱い方を、そういう並行した扱い方、あるいはその解決と前後して解決しようというような気持があるので、単独には日ソ安全操業の問題を話し合わないという意味と察せられるわけであります。そこでわれわれとしては昨年六月以来この問題についてソ連側に話をし、ソ連側も八月十六日の口上書をもちましてこの問題だけを話し合ってよろしいという意思を表示してきておりますので、われわれとしては重ねてその点をソ連側に申し入れていきたい、こう考えておりますのが現在の段階でございます。

並木芳雄自由民主党

○並木委員 そうですか。そうすると私はやつばり今度のソ連の申し入れというものは、平和条約の話し合いをやろうというふうに聞いておりましただけに、非常な失望を感ずるわけなんです。そうすると、結局今の大臣の御説明によりますと、主役は安全操業なんですね。これは日ソ平和条約の話し合いを再開するとか、継続するという意味じゃなくて、安全操業の問題が主役であって、この安全操業を現在行われておる漁業委員会で議論したらどうだろうというソ連の申し入れをわが方が断わったために、次に来たものが今回の向うの申し入れ、つまり安全操業の問題は平和条約の問題とからんでやるべきだということになったわけでございますが、そういたしますと、政府が漁業委員会で安全操業の問題を一緒に話し合って何か解決を急いでやる、そういうような目途は立たないのですか。最初にソ連からいってきた、安全操業を漁業委員会でやる、そうして零細漁民の方々が困らないような打開点を探すということは、これは一つの方法ではないかと思うが、再考はできないものでございましょうか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 ただいま申し上げましたように、安全操業と北洋漁業に対する日ソ漁業委員会の仕事の内容が違っておりますので、別個に話し合いをすることが私どもは適当ではないかと思っております。

並木芳雄自由民主党

○並木委員 安全操業の点についてこれから政府が先方に出されます通知ですが、どういう形式でソ連の方へ日本の意思を伝える予定でございますか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 門脇大使を通じまして、日本としては安全操業の問題を今までソ連側に申し入れているように、できるだけ早い機会にこの問題として取り上げて話し合いをしていきたいということを重ねて申し込む考えでございます。

並木芳雄自由民主党

○並木委員 その結果は待つより仕方がないと思いますが、一方平和条約そのものについての日本政府の考え方は現在いかがですか。もし安全操業についてこのたび日本の政府から出す内容に先方が色よい返事をしてこなかった場合に、先方では平和条約の問題とからんでやるべきだというのですから、これをあくまでも解決しようという場合の案としては、日本は平和条約の話し合いをもう一度始める、再開をするという方法が残されているわけでございます。この点については、大臣が先般本会議でも、領土の問題ではっきりソ連の方の反省がない限りはだめだというふうに言われておりましたから、その見込みなり見通しなりは非常に暗いわけでございますけれども、そこに何らかの便法――領土の問題をなお日本を有利な立場に置きつつも、平和条約を締結の方向に持っていくようなことを政府は考えておられますか、おられませんか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 日ソ共同宣言によりまして友好関係を確立して以来、日本として平和条約の締結がすみやかであることを希望しておることは、みな一様に希望しておると思っております。ただ平和条約の問題につきましては、御承知のように領土の問題等につきまして意見が合わないわけでありまして、今にわかに交渉を開始しようといっても、ソ連側の意向が変化しない限り、なかなか目的を達することはできないのではないか、こう考えております。

並木芳雄自由民主党

○並木委員 昨日来の外務大臣の答弁を私たち承わっておったのですが、きのうは大臣はこういうふうにお考えになっておったように思います。つまりソ連の方から平和条約の話し合いを再開しようじゃないかといってきた、それへこの安全操業をからませよう、ですから、主役、主眼点は平和条約の話し合い再開であって、安全操業が従、そういうことのように私は受け取っておったのですけれども、その点はその後の判明で、ただいま大臣から御説明がありました通り、やはり安全操業が主であって、ソ連の方で別に特に現在の国際情勢にかんがみて日ソの平和条約を促進しよう、こういうふうな意図が見えたわけではないのでございますか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 昨日までこの問題について申し上げておりますことと、本日ここで申し上げておることと食い違っておらぬのであります。同じことを私は申し上げております。

並木芳雄自由民主党

○並木委員 大臣の方で同じなら私の受け取り方が違っておったかと思いますが、そういたしますと、ソ連が――そこまで私として憶測するのはまだ早いかもしれませんが、今度日本の政府が申し入れをずる条件に先方が乗ってこなかった場合、安全操業の問題はたな上げになるおそれがあるのですが、その場合の最終的な手段としてどういうことをお考えになっておられますか、承わりたいと思います。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 日本の希望に応じて参りませんげれば、安全操業の問題の早急な解決は困難になるかと私ども考えております。(「いま一度大きな声でお願いします」と呼ぶ者あり)安全操業に関しましてただいま申し上げたような考え方でもって私どもはソ連側に再度申し込みをしたいと思っております。それに対するソ連側の回答がどう出てきますかは、まだ予見を許さないところでありますけれども、今までわれわれが言っておりましたように、安全操業の問題だけを切り離して話し合いをしていこうというソ連側の態度になりませんければ、この問題の解決はなかなか長引くと申しますか、困難であろうか、こら思っております。

並木芳雄自由民主党

○並木委員 それでは非常に困るわけですね、政府としても。われわれも困るし、その場合に何らかの打開の方法はございませんか。大きな手を打つとか、先ほど来の話のある――とにかく日ソ平和交渉をもう一度始めたらいかがでしょうか。つまり領土の問題なんかだめだというふうに思い込んでしまわずに、とにかくまた話し合ってみよらじゃないか。中断しているのですから。そうしているらちに、たとえば社会党が憲法調査会に人を送るのはいやだ、いやだと言っているのとちょうど同じように、とにかく送るだけは送ってみて、それでいやだったらとりやめたらいいのと司じように、この辺で一応日本の政府としてもソ連の方へ督促の意味もあると思うのです。また大臣も言っている通り、あれだけはっきり領土の問題を言っているのですから、それをソ連に知らせる必要もあると思うのです。この辺で平和条約についての話し合いを進め上うじゃないかという申し出をされたらいかがであろうかと思うのですが、大臣どうお考えになりますか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 日本の要求をそのまま聞いてくれるなら問題の解決は非常に楽だと思いますが、現在までの私どもの考えておる、また情報その他では、ソ連側が日本の要求をいれるということは困難ではないかと思うのであります。そうとすれば会議を開きましてもすぐに決裂するというような状態にならざるを得ないかと思うのであります。しかしこれはまだ仮定の問題でありますから、それらのことについてどういうふうにソ連が回答するかを考えたことはむろんございません。今はそういう予見をいたしております。

並木芳雄自由民主党

○並木委員 大臣としてはその程度以上にお答えは無理かと思いますが、ただ私承わっておきたいのは、当時から日ソ交渉については積極論者とやや消極ならざる消極論者とがあったわけです。ひとしく日ソ国交回復を願う者の間においても。私なんかどちらかというと積極論者なのですが、藤山外務大臣はどっちの方へ属するのでしょうか。これはわれわれ、ぜひ参考に承わっておきたいのですが、いかがでしょう。ざっくばらんに言って下さい。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 どこの国の人とも平和に、友好に参りますことな願わしいことだと存じております。

並木芳雄自由民主党

○並木委員 では積極論者であるというふうに解釈してよろしゅうございますね。  それで私、原爆の問題で気になることがあるのです。それはトルーマン前大統領が去る二日でございましたか、テレビか何かの放送で、広島、長崎に原爆攻撃を指示したあとで良心の苛貢を感じなかった、今後も万一の場合水爆の使用はたしかやるんだと言わんばかりの発表をされたのですね。これは広島地区で非常に怒っておりますけれども、広島のみならず日本国民としても不可解な言葉であろうと思います。政府としてもこれをどういうふうにおとりになりますか。やはりそういう考えが先方からちらりちらり出て参りますと、せっかく今の内閣が核兵器は持ち込まないのだ、原水爆は許さないのだと言っておりましてもどうなるかわからない。こういう不安が抱かれてくると思うのです。まして大西洋方面ではNATOで初めて水爆を積んでおる飛行機が英国の上空を飛んでおるということを発表されて、英国の議会がびっくりしたようなことがあるので、それが疑心暗鬼、杞憂であるならばけっこうでありますけれども、今非常にデリケートな問題になっておる際でございますので、こういうトルーマンの発表された見解などに対して、政府としてはどんなふうにお考えになりますか。御所見を披瀝していただきたいと思います。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 トルーマン前大統領がどういう発表をされたか、実際の記録等を精細に見なければわからないのでございまして、とかくの批評をいたしかねると思うのです。ただ日本国民として、原水爆の被害をこうむっております国民といたしましては、今後も原水爆が使われることについて、日本国民の悲願としてそうないことを願っていることは事実であります。従ってアメリカの各方面の世論もそうあることを私どもは希望しております。

並木芳雄自由民主党

○並木委員 それで私この間から考えておるのですが、やはり原爆は持ち込まないとか、核兵器は許さないとかいっても、何らかの取りきめをされたらいかがでしょうか。アメリカとの問で、どうもやはりトップ・レベルでそういう話し合いがあったのだから安心してくれと言われても、なかなか国民を十分納得きせるまでにいかないのではないかと思うのです。何でもないことだと思うのです。これは野党から言われないまでも、われわれもアメリカとの間で条約を結んではっきり文字にしておいた方がいいのではないかと思いますが、大臣いかがお考えになりますか。ただいま私申しました、NATOで水爆を積んだ飛行機がいきなり英国の上空を飛んだなどということがあるのですから、それで知らさずに極東基地の米軍が、たとえば水爆でも積んで日本の上空を飛ぶ――そういうことはないと政府が言っていても、飛ぶことがあるかもしれないし、飛んでからあと知らされる。そういう心配も、これは政府はないかもしれないけれども、一般には起るような情勢であるということを私は心配しておるわけなんです。ですから新しい取りきめをされたらいかがでしょう。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 岸総理とアイゼンハワー大統領との会談の結果からみましても、また両国の緊密な関係からしましても、総理が日本本土に持ち込むことについては拒否するということを言明せられている以上、これがアメリカに影響しておりますことは当然であると思います。

床次徳二自由民主党

○床次委員長 大体時間がきましたから……。

並木芳雄自由民主党

○並木委員 私は与党ですから、外務大臣がそうおっしゃっておるのをそれ以上どうのこうの申し上げませんが、与党ではありますけれども、こういう意見もあるということを頭に入れておかれまして、それはなお念には念を入れるに越したことはないと思うのです。実際に拒否すると言っていても、実力で来るのをどうして拒否するか、また実際に飛行機が入ってくるのを、原爆を積んでおるのをどこで検閲するという方法もないと思うのです。かなり先方の自由に、一種の治外法権的なふるまいをしておるのが現状でありますので、大臣はその点とくとお考え願いたいと思います。ついては国連軍の問題もあるわけなんです。今国連軍は日本から引き揚げておりますが、国連軍関係では別途に日本にまた米軍、英軍などが駐屯する必要が起るという場合には、現在の日米安保条約で取りきめられておる駐日米軍とは別個のものが駐留し得る余地が残されているわけです。極東の情勢が悪化でもして参りますれば、そのときには日米安保条約の範疇外でありまして、国連の決議に基いての行動だということてやられますと、せっかく政府がそういうふうに意気込んでおり期待しておっても、手が届かない場合があるのじゃないか。国連軍としての行動の場合でございますから、そういう場合も御考慮いただきたいと思いますが、その点の所見を伺いまして私の最後の質問としたいと思います。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 私はアメリカが持ち込まないぽかりでなく、国連軍が核兵器を持ち込むとは考えておりません。

並木芳雄自由民主党

○並木委員 大臣の主観的なお考えでなく、法的な関係にもなるのです。国連軍というものが日本に駐屯するような場合がある。もしそういう事態が起った場合に、現在の日米安保条約で規制されておる米軍とは違うものが別途に駐留することになりますので、その場合には日米安保条約、日米安保委員会での範疇外になって参りますから心配が起ってくる。国連軍として日本に駐屯する軍隊がもし核兵器とか、そういうものを持ち込んだ場合に、日本政府としては日米安保条約に基く米軍に対する要求とはおのずから違ったものがあるということを心配しておるわけなんです。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 そういう違ったことはないと思います。

並木芳雄自由民主党

○並木委員 ありませんか――なければいいのですが……。大臣がありませんと答弁されるならはそれでけっこうですが、そういう心配もございますので、御研究おき願いたいと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 議事進行について。外務大臣にお願いしたいのですけれども、答弁の初めの方は大へん大きい声でおっしゃるのですが、しまいの方は語尾が、あるのかないのかわからないで、誤解を生ずるといけませんから、私の耳が悪いのかもしれませんけれども、もう少し大きな声で語尾をはっきりしていただきたいと思います。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 できるだけ大きい声を出したいと思います。

床次徳二自由民主党

○床次委員長 森島守人君。

森島守人日本社会党

○森島委員 今朝外務省予算に関する分科会が開かれました。その席上でわが党の岡田春夫君がいたしました質問に関連して、これを確認する意味で外務大臣に御質問申し上げたいのです。第一点は、私の了解するところによりますと、岡田君に対して、ソ連側から平和条約の話し合いを始めたいという申し入れがありました場合には、これに応ずるのだという御答弁をなさったと了解しておりますが、それで差しつかえありませんでしょうか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 応じ得る状態で話がくれば応じて差しつえないと思います。

森島守人日本社会党

○森島委員 私が出席しておらなかったのですから、いずれ速記録を見まして、その上で質問をする権利を留保しておきます。  第二点といたしまして、もしソ連が安全操業の問題を平和条約の問題とからませてきた場合には、これに応ずる用意があるのだというふうに私了解しておりますが、いかがでございましょうか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 私は、安全操業の問題は安全操業の問題として解決をしたいといち考え方を持っておるのですが、しかし先ほど来申し上げておりますように、平和条約の問題は、日本の考え方が厳然としてあるわけでありまして、それを越えて平和条約の問題を論議するわけに参りません。従ってソ連側が平和条約の問題について提議して参ります以上は、従来の立場だけできたのでは、かりに応じたとしても、その応じた瞬間に話し合いが決裂するということで、事実問題として進められないものだと思います。

森島守人日本社会党

○森島委員 その点の御説明は了解いたしますが、ソ連側の出方を見ますと、一昨年の日ソ交渉に停頓いたしましても、当時交渉は停頓しておりました。河野農林大臣が漁業の問題でソ連に行きました。そのときに河野農林大臣は、厳格に、日ソ交渉の問題に触れてはいかぬという政府の訓令を受けておったにもかかわらず、ソ連側の申し出に応じて、七月一日と記憶しておりますが、日ソ交渉を再開するということで漁業問題が成功した実例がございます。こういうふうな点から考えてきますと、ソ連側は平和条約の問題にからんでくる可能性が非常に多い、こう了解しておりますが、その場合にも依然として切り離していくという態度をおとりになるのかどうか。この点も仮定の問題とも思われますが、御意見がありますれば承わっておきたい。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 先ほどからたびたび申し上げておりますように、平和条約の問題については日本の最終的な立場がはっきりいたしております。それを曲げてまで他の問題の解決に資していきたいとは私は考えておりません。

森島守人日本社会党

○森島委員 その点に関しましても、いずれ速記録を見ました上で再質問する権利を留保しておきます。  次に私がお伺いしたいのは、東西最高両首脳会談の問題です。この点に関しましては日本が非常に重要な役割と使命を持っていることは、これは申すまでもございません。この点に関しまして岸総理も、アジアの使命に関してりっぱな発言をしておられます。施政方針に関する演説の中で「当面する東西緊張の中にあって、アジアはその歴史にかつて見ない重要な地位と役割を持つに至った。今やアジアは世界を動かす新しい原動力である」こう述べておられます。意気まことに壮とすべきものだと私は思います。しかしさらに、そういうふうな非常に大きな使命を帯びているにかかわらず、岸総理の言っているところは、要するに「いわゆる東西最高首脳会談も、実現の機運を進めていく必要があると思うのだ」と、きわめて冷淡な、第三者的な発言をしているわけです。特にあなたに至っては、「東西双方とも人類自体を破滅させるような戦争を回避するため、すみやかに東西間の最高首脳会談への道を開くようあらゆる可能性を探求すべきである」と、いかにも第三者の傍観的態度と批評せざるを得ないわけでございます。今日まで相当日もたっており、わが党の鈴木委員長の代表質問もございましたが、具体的にいかなる措置をすでにとられたか、またとられないといたしますならば、近い機会においてとらるる意向があるかないか、この点を明確にこの席上を通じて中外に発表していただきたい、こう存じておるのであります。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 今日のような世界の非常に困難な、危険な状態の中で、東西両首脳が会談を開きますことは、民心の安定の上にも非常に必要なことではないかと考えております。ただ心配する人は、結論がつかなかった場合にはかえって逆効果になりはしないか。従って十分な準備をして開くべきではないかというような、開くことについてその方法論があるわけであります。従って外相会議を事前に開いたらどうかという話もあるわけであります。それらの問題も、見方の問題にもより、あるいは立場の問題にもよるかもしれません。しかしながら、東西両首脳ができるだけ有効な結果を生むように会談をした方がよいということは、これはみんなが希望しておることだと思うのであります。われわれとしてはできるだけの努力をしてそういうことができるように、日本の国際間における力というものを必ずしも過大評価してはいけませんけれども、できるだけの努力はしていかなければならぬ、こう考えております。

森島守人日本社会党

○森島委員 私が尋ねましたのは、すでに具体的に御措置になったかいなかということが第一点。もし具体的に今日まで措置をとられないならば、近い機会においてこれをいかなる方法でとられる意思があるのかという点を明確にしていただきたいのであります。今の御説明なら、これは三才の童子といえどもわかり切った話で、だれもこれに反対する者はないと思います。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 一々私がどういうことをやったかということは御報告申し上げかねると思います。

森島守人日本社会党

○森島委員 それでは一つ話題を変えてお伺いをいたします。元来岸さんはそつのない答弁とかいうことで、評判がいいのか悪いのかわかりませんが、私は昨年の二月十三日と思っておりますが、そつのない答弁だけではだめだ、事実の裏づけがなければだめだということを前提といたしまして二つの具体的な問題を質問いたしました。一つは日韓会談、第二は日中貿易協定、そのときに岸さんは、日韓会談に対してはただ一点だけ重要な点が残っておるのだ、これは近く成功するんだという御趣旨の答弁があり、日中貿易協定に関しましては、私は外国人登録法の改正問題その他にも触れましたが、これはやはり法律を変えないで何とか便法を講じたいんだということを答弁されたのでありますが、自来もう一年たつではございませんか。この一年間に何ら実績を上げてないと言っても私は差しつかえないと思う。そういう点から申しますと、ただ単に希望を表明したり念願をしたりするだけでは足りない、具体に御措置になることが、この際日本外交の最も重要なことである、こう私は信じておるのであります。あなたの演説を見ましても、切望するとか念願をするとか期待をするとかいう言葉ばかりで埋まっておるんです。何ら一国の外政を担当する信念に燃えた言葉はありません。ことに日韓会談等にも言及されております、インドネシア等の賠償にも言及されておりますが、これらの点は外務省でもっと早くやれば、時期を失しないで今日ぐらいの事績はとっくに上げ得たものだと私は信じております。一言で言えばジリ貧外交と批評しても差しつかえないと私は信じておるのであります。そういう趣旨から、私はなるべく早く具体的に御措置あらんことを切望してやまない次第でございます。  次にお伺いしたいのは、原子兵器の日本本土に対する持ち込みの問題であります。予算委員会においてわが党の今澄君の質問に対して、いつでしたか日は忘れましたが、沖縄は安全保障条約の範囲外にある、わが方としてはどうも手がつけられない。従って沖縄から水爆を積載してアメリカの飛行機が日本の上空を飛ぶ場合には、これを阻止する法的根拠はないんだという説明をなされ、その次の日には、これもなかなかそつのない答弁で、だれかが知恵をつけたにきまっている。領空主権に基いてこれを阻止するんだという答弁をきれました。一国の首相としてかくのごとき重大問題について明確なる信念を持たぬことを私ははなはだ遺憾に思います。そこでお尋ねしたいのは、藤山さんはこれを拒否するのについては、領空に関する主権に基いてこれを拒否し得るんだというふうにお考えでございましょうか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 総理と同意見でございます。

森島守人日本社会党

○森島委員 その他に日米間に何らか基礎となるべき話し合いがございませんか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 御質問の意味がよくわかりません。

森島守人日本社会党

○森島委員 アメリカ側が水爆機を持ってくる。これは沖縄から持ってくることもあるでしょう、本国から持ってくることもあるでしょうが、これを日本側として阻止する法的根拠がございませんか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 ただいま申し上げましたように、総理の言われた通りだろうと私は思っております。

森島守人日本社会党

○森島委員 はなはだ心もとないのですが、重光外務大臣時代にはアリソン・重光会談に基いて話し合いができている。従ってこの会談によって阻止するのだという御答弁があったのであります。この重光・アリソン会談は、国際協定としての効力を持っておるかいなか。従って現内閣を拘束する力を依然として持っておるかどうかもこの点について大臣の御答弁を願いたい。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 条約局長から御答弁いたします。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋政府委員 私からお答えさしていただきたいと思いますが……。

森島守人日本社会党

○森島委員 これは法的問題のようですけれども、日本の国策の根本に関する重要な政策問題ですから、私は大臣の答弁を求めます。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋政府委員 法的効力云々と申しますか、それがいわゆる条約とか協定とか、交換公文とかいうふうな意味合いにおきまして、両国を拘束する法的な文書であるかと申しますと、そのような形式には私はなっていなかったと考えております。

森島守人日本社会党

○森島委員 そこで防衛分担金の問題に関する日米の話し合いがあった、その問題については、当時の鳩山さんも重光さんも、これは更迭した内閣を拘束する力がないのだというふうな御趣旨の説明をなされたと私は了解しております。今の原子兵器持ち込みに関する話し合いにいたしましても、私は同様と思います。そこで私がお尋ねしたのは、領空主権に関する点以外に、何らかこれを阻止するに足る日米間の話し合いがあったのかないのかということを大臣にお尋ねした、この点に関する御答弁を求めます。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 日米間の友好協力関係から見まして、私は今申し上げた通りに御返事をしているわけであります。

森島守人日本社会党

○森島委員 友好協力関係という抽象的な言葉だけでこの重大問題を決定することは私は不可能だと思います。何らかやはり話し合いがあったとかいうことに基いてこれはやるべきものである。条約局長の今の御説明毛当時の重光大臣なんかの説明と違っております。話し合いでも国際的な協力として両政府を依然として拘束する力があのだというのが当時の外務省当局の意見だった。この点に関してはあなたの見解と異なっておる。しかしこれは別といたしましても、何らか現内閣とアメリカ政府との間に原子兵器を持ち込まぬということに関する確約がありましようか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 法的に今重光さんとアリソン氏との書簡が効力があるかないかは別としまして、精神的にはむろん両国の間にその趣旨のもとに話し合いはできております。

森島守人日本社会党

○森島委員 精神的な了解があると言いましても、これは日本国民全部が最大関心を持っておる重大問題であります。この問題について条約上の根拠かあるいは協定上の根拠か、何らか法的の根拠がないといたしましたならば、私は現内閣の非常な怠慢だと思う。この点はどうお考えになりますか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 私は前から申し上げたような趣旨で、日米間に原水爆を持ち込まないという了解が盛り立っていると思っております。

森島守人日本社会党

○森島委員 従来からの関係でとおっしゃいますが、具体的に――友好関係だから持ち込まないのだ、こういうことでは国民は納得いたしません。具体的に証拠をあげて、一つ私に示していただきたい。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 今日までもそういう事実はございませんし、今後もそうい事実があろうとは思いません。

森島守人日本社会党

○森島委員 私はそういう事実の有無を聞いているのではない。持ち込んだときどうするか、これを拒否するのだと岸さんは言っている。これは日本の政策としてはそうでしょうが、これの裏づけになる法的根拠があるかないかということをお尋ねしている。あなたの今の御答弁は、他を顧みて云々というような御答弁で、答弁になっておりません。法的根拠をあげて下さい。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 われわれ日米友好関係の上から、両者の関係を話し合いをしながら友好的に進めていくことでありまして、何らかの形で法的根拠があるなしにかかわらず、友好関係から起る協議というものは円満にいくと考えております。

森島守人日本社会党

○森島委員 そういうふうなお話ですと、友好関係だから持ち込むという結果も現われるかもしれませんし、持ち込まぬという結果も現われるかもしれません。いやしくも重光さんの時代にはアリソン大使との間で確約があるんだということですが、それは現在の内閣を抱束する力がない、こらおっしゃる以上は何らかそこに具体的な話し合いがあるべきものだと思います。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 法的に規制力があるかどうかは別といたしまして、とにかく日本の重光さんが出した精神というものは、また向うがこれを受けた精神というものは存続していると思うのであります。日米間の友好関係の上から、こういう問題は解決し得る問題だというのが、総理の確信でもあり、また私もそう考えております。

森島守人日本社会党

○森島委員 それでは法的根拠はないんだということは確認してよろしゅらございますか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 法的根拠があるなしということは純粋の法律上の問題でありますから、条約局長その他から答弁させます。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋政府委員 今の法的根拠の有無という問題でございますが、条約や協定や何か書いたもので持ち込まないという約束をした文書があるかどうか、条約という形式で、あるかどうかということになりますと、これはないということになります。

森島守人日本社会党

○森島委員 それは重光大臣も口頭によっても十分効力があるんだと言っておりましたが、この点現在の政府において同様なものがありますかどうか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 口頭で申すことは、国際信義の上からいって話し合いで有効である限りにおいては、私は守られるものだと思います。

床次徳二自由民主党

○床次委員長 さっきから御質疑が重複しているようでありますから、だいぶん時間も詰まっておりますから、簡潔にお願いいたします。

森島守人日本社会党

○森島委員 それではお尋ねいたしますが、岸君がアメリカに行ったときに、アイゼンハワーとの間で重要会談をしたことは御承知の通りであります。その重要会談の際に、原子兵器を持ち込むか持ち込まぬかという問題が話題に上りましたか、どうですか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 私は当時同行はいたしておりませんけれども、総理はこういう問題について将来も協議しようじゃないかという話をしたように聞いております。

森島守人日本社会党

○森島委員 承知するしないじゃない。いやしくも外務大臣を引き受けた以上は、そのときの重要問題に関してはずっとさかのぼってでも調べる必要があると思う。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 当時そばにおりませんでしたから、その限りにおいて承知しないが、その折こういうことがあったということを承知しております。こういうことを申し上げたわけです。

森島守人日本社会党

○森島委員 それでは、日米共同声明というものが出たことは御承知の通りでありますが、この共同声明のどこに一体原子兵器を持ち込まぬといち確約が載っておりましょうか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 日米共同声明が総理とアイゼンハワー大統領との話を全部尽しているとも私は思っておりません。

森島守人日本社会党

○森島委員 しかしいやしくも重要会談は全部盛らなければならぬと私は思うので、日本側にとってこれくらい重要な問題はなかった。それだからこそ当時国論も沸いたのです。この重要問題に関して話し合いがあったにもかかわらず、この共同声明の中には一字も載ってないということは、これは話し合いがなかったということを裏書きするものと思われませんでしょうか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 日米共同声明の中の装備を含む配置については協議をすることになっておりますので……。

森島守人日本社会党

○森島委員 それは三百代言的な御答弁で、藤山さんにもふさわしくないと思います。私はいやしくもこの話が出たんなら、日本の一番重要な問題ですから、これが具体的にこの共同声明の中に出てこなければならぬと思います。  そこで私は話題を変えますが、その点について国民は非常に不安を感じておる。重光さんの時代にも、この話し合いがあったのなら、これを何らか書きものにすることが必要じゃないかという点が問題になったのでありますが、私は現内閣においても、今藤山さんのおっしゃるように話し合いがあったといたしますならば、これを何らか書きものにする、あるいは交換公文でもよい、あるいは日本側から、こういうふうな話し合いがありましたがこの通りで間違いないかという確認、コンファームをするような形式でもいいと思うが、これを取りつける必要があるかないかという点を御質問いたします。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 日米友好関係の立場からいいまして、現在まで双方の話をお互いに信頼をしつつ聞いていくという立場から見ますれば、必ずしも文書にする必要もないかと思います。

床次徳二自由民主党

○床次委員長 時間が迫りましたから、あと簡潔におまとめを願います。

森島守人日本社会党

○森島委員 私は非常に失望するのですがきつき並木君の質問中にも出たと私は了解しておりますが、この点については特に今回の予算委員会で問題になり、最近の世界情勢の変化につれましても、ミサイルの持ち込みその他の持ち込み等について大きな問題になっておることは御承知の通りであります。私はこの点については再度政府において慎重に考慮を加えて、何らか具体的の措置をとることに尽力されんことを切望いたしまして、質問を終ることにいたします。

床次徳二自由民主党

○床次委員長 次は松田竹千代君。

松田竹千代自由民主党

○松田(竹)委員 私も、くどいようでありますが、並木、森島両委員から執拗に質問された核兵器も問題で一言お伺いしたい。  私のは建前が違うのでありますが、私は、やっぱりわれわれ政治家として国民に対しての義務は、まず第一に国民の安定をはかるということ以外に、もう一つ大きな問題がある。それはどこまでも国民にその向うべき目標を明らかにして、そうして進んでいかなければならぬ。今まではともかくも忠君愛国、富国強兵というような目標でやって、今日まできたのであるが、今日そういうことは通らない。今日日本の国民をして向うところいずくにありや、私はやっぱり平和主義に徹底せしめるということがその目標であらねばならぬと考えております。平和主義に徹底するということはどういうことか。今核兵器はアメリカからも持ち込んでくるということはなし、まあこれは核兵器において日本の自衛隊は武装しないんだということを、きわめて明快に総理からも外務大臣からもしばしば言明されておる。また日本の憲法や、あるいは今まで岸内閣になってからとってきた行動や、外務大臣みずから国連に行って御奮闘せられた建前から見て、それは当然のことであります。今森島委員から法的根拠はあるかどうかという問題について質問されましたが、あればそれはややよろしいということになるが、なくてもあっても結局同じである。なぜならば、もしアメリカが日本にまあどうだ、IRBMくらい持つちゃどうだとそろっと言うてきた場合、むろん一応二応は断わるでありましょう。けれども徹底してこれを断わり切れるかどうか、日本はいうまでもなく、アメリカ依存度が深い、厚い、広い。その国がアメリカからいろいろの抱き合せ、いろいろの圧力といったようなものが自然加わってきて、そうして現在の情勢ならばよろしいが、今後さらに一そう国際情勢が緊迫した情勢になった場合、そういうことを言うてきた場合どうだ、徹底して排撃できるかどうかということに私は問題があると思う。これは政府だけではだめです。国民全体がその腹がまえが十分できておるのでなければできません。何となれば、直ちに大きな犠牲を払わなければならぬ形になる、一政府が排撃したくらいのことじゃ、とてもだめだと私は考える。先ほどから伺って、何べんも繰り返して外務大臣はそういうことはないと言っても、やや私は不安がある。そこでわれわれ政治家の任務として、あくまでも平和主義に徹せしめることに、今年は少くとも徹底したい。いかなる場合も私はこの主張を主張して怠らないように努めてやってきておる。すでにわれわれの同志にも早くから、岸総理にも言い、徹底して私はその点を力説して参ったのでありますが、そこに私は不安があるがために、当面の外務大臣として、そのかたい決意をもって臨んでもらいたいと考えるわけでありますが、いかがですか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 ただいまのお考えの通りでありまして、むろん政府がかたい決意を持ちますばかりでなく、国民みんなが一つの考え方になってこれを拒否するのでなければ、徹底した最終的なことはいかぬと思います。しかし私としましては、むろんかたい決意をもってこれを拒否するつもりでおります。私の承知しておる限りにおいて、岸総理はこれに対して非常にかたい熱意をもって拒否する、こういうお考えであります。

松田竹千代自由民主党

○松田(竹)委員 外務大臣にはそれを伺って、まず満足いたします。  それならば、一方において拒むという決意だけではなお足らね。いかにして平和に徹底するか。先ほど森島委員からもお話があったけれども、世界の巨頭会談に対して日本は何かやったらいいだろう、それもけっこうであります。しかし何といっても、日本がいろいろやってみても、世界の二大富強国に対してはそう響かないことは事実です。私はそう確信する。それでもやらぬよりはいいということもあるだろう。アイゼンハワー、フルシチョフ、世界の二大陣営の最高の地位にある人々が、世界第一次戦争、第二次戦争、二度まで大きな間違いをやって、なお目がさめぬということであってはならぬじゃないか。何といっても一番力があるものが謙虚な気持にならなければだめである。みずからへりくだってハンブルな気持になって、一体おれたちが二人あるがために世界人類が非常な重圧を受けて、まくらを高うして寝ていられない現状ではないか。みずから二人が、一番強いと思った方が先にへりくだるがよろしい。そうして話しかければよろしいと私は思う。そういうことがなければ巨頭会談をやっても不信の念が全く払拭されるわけにはいかぬ。不信の念が払拭されなければ巨頭会談をやってもだめであると私はかたく信ずる。  そこでどこまでも日本として平和主義に徹底しなければならぬからには、何をやればいいか。日本は世界で類例のない歴史上の経験の持ち主である。三世紀にわたる鎖国政治、そうして今日一億になんなんとする人口、それが全くのホモジニアスの単一人種である。こんなものは世界にない。従ってその文化そのものに特色がある。何ゆえにこの方面にもっと力を尽さぬか。ますその第一線を承わる外務省はことしの予算の文化関係でどれだけのことをやっているか。金だけのものじゃない。金だけのものじゃないが、一億ばかり――たしか昭和九年か十年だったか知りませんが、私のその当時国際文化振興に関する法律案で質問して、そのときに努力して百万円の金をとって、それから数年間は何でも一年に三百万ぐらい――あの当時の三百万円だから今日の一億やそこうとわけが違う。今日はどこに行ってしまったのか、わけがわからぬ。国際文化振興会というものがあり、ささやかな文化会館はできておるが、それでどれだけの仕事をしておるか。アメリカに日本ブームがあって、日本の特色のあるいろいろなものに対する要求もあり、熱望もあるが、それに対してどういうことをやっているか、何もやられていない。この方面の力をちんと強くすることが平和主義に徹底する一つの側面からの運動である。外務省が表向きだけのことをやっているだけでは事足りないと私は思うのでありますが、この方面に外交上の地ならし工作をやるその文化工作で、一体どれだけのことをやっているか。何ゆえにもっとよけいその方に充実せしめないのか、その方面はきわめて貧弱なる部門である。外務大臣の所見をお伺いします。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 ただいまのお話は私どもも同感するのでありまして、日本が日本固有の文化を外国に和らせる、また外国の文化を日本に取り入れるということは、今後の日本の発展のために、日本の人たちの知識、情操というものを上げていくためにも必要でありまして、それが世界の平和につながることはその通りだと思います。外務大臣といたしましても、文化関係の仕事にもっともっと力を入れていかなければならぬことは当然でありまして、私といたしましては、極力そういう面を充実して参る、予算の点におきましても、また仕事の動かし方の面におきましても、充実して参らなければならぬということは仰せの通りに考えております。ただ不幸にして今日までそういう面において予算も十分獲得できない、特に来年度の予算で十分獲得できないということは、私としても実に残念に思うわけであります。今後とも各方面のこれらの仕事に対する理解を深めながら、予算及びその他の充実を期して参りたい、こう考えております。

松田竹千代自由民主党

○松田(竹)委員 外務大臣みずから名立たる文化人として著名であり、これは当然のことであると思うのです。ところが予算がとれないといって、予算がとれるように外務省はやっていないじゃありませんか。やはり外務省のほんとうの仕事の範疇に属するPRの仕事なんか一つもやっていない。大蔵省なんかになぜもっとわかるようにやらないのか。第一、予算をきめる国会に対するPRも何もしていない。何もしていないといってむずかしいことをやれというのじゃない。ごちそうせよということじゃない。私は何度も言うことだが、やってくれない。印刷した情報なんか読みませんよ。だからガリ版刷りで今後新しいものを外務委員くらいには配付して、それで接近感を持たせるようにしていかなければいかぬ。何度言ってもそういうことは一つもやらない。外務省は多士済々、英才が雲のごとく、とは申しませんけれども、(笑声)しかしとにかく外務省というところは困ったところです。われわれも外務省の人々を努めて知るように努めているのであるが、外務省というところは、去年も話したのだけれども、外務省で変えようとしない。大臣は、しばらくぶりで民間から出た、金の勘定に巧みな財界人、やはり金の勘定からもよくその効率を上げてもらうように外務省もやってもらわなければならないから申し上げるのだけれども、外務省では秀才が初め外交官試験を受けて、秀才になって出てきたときはいいでしょう。ところが幾ら秀才でも、安易に流れておって、十年たてば、十五年たてば、二十年たてば何になるということがきちっときまっておれば、やはりおのずからそこにぼやけてくる。また外務省というところは行く先がないから――仕方がないというような人が、農林省やほかの省と違って出店がないから、やめたら行く先がない。これは気の毒だ、だからあまり芳ばしくない治績より上げ得なかった者でもまたどこかへ昇進していくんじゃないですか。こういうことを改めなければ、外務省の能率は上らぬと僕は思う。そこで外務省の機構について去年も言った。ここにおられる植原委員も申されたのであるが、ぜひとも今一本立てになっているものを三本立てにしてもらいたい。外務大臣は就任以来、なるほど特派大使を財界から送られた。これもけっこうであります。ところがひとり財界のみならず、ひとり特派大使のみならず、私は財界からもビジネス界からも、操觚界からも、法曹界からも、あらゆる方面から秀才を抜擢して、これもあらゆる経験を持った者――何しろ試験を受けて官補になって、何も世間のことを知らずに外国へ飛び出していくのだから、相当役に立つまでは、十年くらい道楽もさせ、あらゆることをやって、そうして金もうんと使わせてからでなければ役に立たないでしょう。第一心臓が弱い。(笑声)国際場裏へ出てほんとうにやれるような――言葉巧みな人はたくさんある。しかしそれだけじゃいかぬ。そういう点で私は非常に遺憾に思うのでありまして、これをあらゆる方面から、秀才で相当経験を積んで、なかなか容易に、外務省へ来てくれといっても来てくれないような人を拉し来たって、そうして数年間外務省で研修させてやれば、いいりっぱな大使でも公使でもできまずよ。今いい大使をどこそこへ――駐英大使へやろうといっても、ちょっと困るでしょう。そういう事情がなくなってくるように一つ三本立てにして、やはりキャリヤ・マンと同じようにして、同じ待遇にして、同じ進路を与えてやるように三本立てにしてやることが、現在外交官試験を受けたキャリヤ・マンにも一つの大きな刺激になって、切礎琢磨して、大いに外務省の官僚というものは光ってくると思うのです。どうぞその方面に一つほんとうにやってもらわなければならぬのだが、もし不賛成ならば不賛成、賛成ならば、ほんとうにやってもらいたい。いかがでしょうか

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 外交官の資質を向上させるということについては、私はただいまの御意見に賛成であります。ただしかし民間から適当な人を外務省に連れてくるということは、言うことは、やさしいのでありますけれども、実はなかなか困難でありまして、給与の関係なり優秀な人々はそれぞれ民間で位置も持っている等のこともあります。それでありますから、望ましいことではありますけれども、それだけではなかなか将来の外務省の強化をするわけにいかぬのでありまして、やはり外務省自身の中の人を数量的にもふやし、また質的にも向上させる方法を講じて、そうしてその中から優秀な人がことごとく優秀になっていくし、また優秀な人が出て、それぞれの担当を強力に遂行するようにしていかなければならぬと思います。残念ながらこの十年間ほど外務省の機構というものは最小限になっておりまして、そういう点にも欠けるところがあったわけであります。今後はそういう面にも力を入れて、将来日本の外交をになうことの十分できるような外務省を作り上げていきたい、こう考えております。

松田竹千代自由民主党

○松田(竹)委員 賛成だが、なかなかそう簡単にいかぬと言われるけれども、よく広く見れば、中にはやはり金持の人もありますし、また本人も望んでいれば、細君などがまた望んでいるのがある。(笑声)広く見ればいろいろ適材があります。そういうものをたとい数人でも拉し来たってやれば、一つのやはり刺激になり、また新天地が開かれるわけであると私は痛感する。どうぞ一つなお考慮してもらいたい。そう投げ出さないで、一つ真剣にやるつもりになっていただきたい。  もう一つ、日本の貿易上で、特に対米貿易はもう長年にわたって輸入超過になっているということは、まことに残念千万、しゃくにさわって仕方がない。また日本の政府のみならず、日本の産業人に対するこれは一つの挑戦であらねばならぬ。何をしているのか。東南アジアと言おうが、中南米と言おらが、何と言っても最大のマーケットであり、ほとんど無尽蔵の購買力を持っているアメリカに対して、何ゆえもう少し――通産省の人はいますか。大蔵省の人はおられるが、大蔵省も通産省も、経企庁も、それからまず外務省がらんとこれに力を入れなければならぬ。外務省では対米貿易促進振興のために新しい試みはどういうことをやっているんですか。問題ができたら何かやあやああわてていろいろ外務省がやるということ以外に何かやっていますか。なるほどアメリカ政府は大体了解しているでしょう。けれども、ステート・デパートメントだけではいかぬのです。まあ最近はせっぱ詰まったらえらいことをやる。あのシルバー・ウエアの何とか市というのは、向うまで乗り込んで行った。あれもけっこう。あれくらいのことは非常な宣伝にもなるし、非常に大事なことであると思う。これは平素からやらなければいかぬ。問題が起ったときやったのではだめなんです。すでにときがおそいというようなことになって、なかなかいかぬ。平素これらのことに対して地ならしをやる。反対が出そうだということになると、ちゃんとそれに対応する手段をとらなければいかぬ。一昨年か昨年、ブラウスの問題や、それからキンガム、スカーフ、ああいうテキスタイルの問題が出る一年ばかり前に、ジョージア州の男でありますが、大きな貿易業者です。ビルを十一も持っている。名前を発表してもいいが、必ずしも発表せぬでもいいだろう。その人から手紙が再三来て、こういう情勢ならばやがて問題になるぞ、今から手を打ってくれと言ってきた。私はその手紙を見て、通産省の役人に与えたけれども、何にもやらぬ。問題が起ってから――南北カロライナ州ですか、ディスクリミネートリー・レギュレーションができてから、やかましく言う。それはブラウスにしろ、プライウッドにしろ、セラミックにしろ、何でもそうでしょう。平素からもら少し運動をどうしたらいいかということを考えて――これは金はかかる。必ずしもワシントンヘチャイナ・ロビーのようなことをやれといっても、そんな金はできっこないから、そんなことをやれというんじゃありませんけれども、いろいろ道があると思う。まあささやかなことはやっているらしい。紡連やあるいは政府でも、きわめて零細な金を使っているだろう。そんなことではしょうがない。あれだけのものをとにかく商売をしているんだから、これはどうしても均衡のとれるところまで持っていかなければならない。またやり方いかんではできるはずです。従ってこれに対して何とかいい工夫はないものか。昔はいろいろの日米関係のそれぞれの少数の委員会というものは、民間のものや何かもあって、特定の人々によってそういうことを検討されておった。何か対米貿易促進委員会というのは――ジェトロもあるけれども、ジェトロは役人の古手ばかで多く行っているし、これもだめです。今度も二十億の金を持っていったが、どれだけの仕事ができるか。私も方々へ行ってジェトロの人間を見ておるし、ジェトロにももっとしっかりやらなければいかぬといって注意しているのだけれども、これだけではだめです。もっとよくわかっている人々をして一つの委員会をこしらえて、これを促進する手段を講ずる考えはないかどうか、これをお伺いしたいと思います。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 政府みずからそういうことをやりますのも方法かと思いますが、民間の有志が集まりまして、今お話のような関係において日米間の問題を相互理解の上に立って、貿易上起る障害をいろいろ改善していくということは必要だと思うのであります。最近民間でも各団体において、それに対する御意見があるようであります。私どもは一日も早くこれらの民間団体がアメリカの同憂の士と手をつないで、いろいろな問題の解決に当られることを、陰ながら希望いたしている次第であります。

松田竹千代自由民主党

○松田(竹)委員 よろしゅうございます。

床次徳二自由民主党

○床次委員長 この機会に戸叶君からの質疑を許します。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 時間がないそうですから簡単に伺いたいと思います。この前の委員会で私は日本とソ連との間の平和条約の締結の問題について藤山大臣にお伺いしましたところが、大体きょうおっしゃったような御答弁でございました。このことは予算委員会の岸総理の平和条約にも応ずるんだという答弁と、依然として私は食い違っていると思うのです。このことについて、岸総理大臣にきょう来ていただいて、はっきり御意見を承わりたかったのですが、御都合が悪くておいでになれませんでしたので、この次の機会に留保しておきたいと思います。  そこでただ一点だけお伺いいたしたいのは、藤山外務大臣も日本とソ連との間の平和条約はできるだけ早く結びたいけれども、今回は一応北洋の安全操業ということで話を進めていきたい、こういうふうな結論だったと思うのです。そこで日本とアメリカとの間には、平和条約が結ばれているわけです。ところが依然として沖縄、小笠原の問題がいろいろあるわけです。そうすると、ソ連と日本との間の平和条約を結ぶ場合におきましても、一気に領土問題を解決することは、こういうふうなアメリカと日本との関係がある以上、非常にむずかしいんじゃないかと私は考えるのですが、この点についてどうお考えになりますでしょうか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 今日まで日本の主張とソ連の主張とが食い違っておりまして、一気に平和条約を片づけることの不可能であるということは、今日までの経過から見て明らかであります。従いまして、共同宣言にもありましたような趣旨で、解決すべき問題から解決をして、両国の友好関係を増進させる、その究極が平和条約の締結に行き得るのじゃないかというのが、今日まで日本のとってきた態度であると思います。私もそういうふうに考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 藤山外務大臣が、一気に解決することはむずかしいとおっしゃる、その裏には、つまり領土問題で意見が違うから一気に解決はむずかしい、これもよくわかるのですけれども、それと同時にアメリカの沖縄、小笠原にとっているような態度というものが続く限り、ソ連の方でもなかなかむずかしい、そういう意味で一気に解決はむずかしいんじゃないか、こういうふうに思うのですが、この点はいかがでございますか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 ソ連と日本との関係は、むろんソ連の国際情勢の判断によっていろいろ違ってくるかと思いますが、しかしソ連と日本との間に友好的な話し合いをして相互理解の素地ができてくれば、必ずしも世界の情勢のみでなく、二国間の間でも解決し得る問題として扱い得る場合があり得る、こう私は考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうすると、沖縄、小笠原の問題がそのままの形になっていても、日本とソ連との間で領土問題についてははっきりと話し合える、こういうふうにお考えになるのですか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 ソ連の考え方と日本の考え方とが今日のように食い違っておってはだめでありますけれども、両者の食い違いがない状態が起り得るとすればですね。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 この問題はいずれ後の機会にしたいと思うのですが、非常に急を要する問題といたしまして、きのうのジャパン・タイムズをお読みになったかどうか知りませんが、米太平洋司令官のスタンプ海軍大将という方は、相当権威のある方と思いますが、いかがでございますか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 ハワイにおられる太平洋艦隊司令長官であります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 その人が言っていることに、日米間の合同委員会というものは、安保条約の改訂のための委員会では決してない。そうでなくて、アメリカの軍隊が日本に駐留しまた活動することを討論し、そしてまた日本の自衛隊の増強ということを討議する委員会である、こういうことをはっきり言っているわけなんですけれども、これについてどうお考えになりますか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 どういうことをスタンプ大将が新聞に言われたか私は承知しておりませんけれども、われわれの考え方は先般来申し上げておりますように、日米安保委員会におきましては、配備、装備の問題ばかりでなく、将来両国民の願望によって安保条約をいかに改善していくかという問題についても論議する、こう思っております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 外務大臣がそういうふうにお考えになっておりましても、相手がこういうふうな発表をされているということは、私は非常に危険だと思います。そこでもしも外務大臣がそうであるとお信じになるならば、このジャパン・タイムズをどうぞお読みいただきまして、抗議を申し込んでいただきたいと思うのですけれども、いかがでございますか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 この点は共同声明でもはっきりしているわけでありまして、私どもは何らかの誤解があったんだと考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 何らかの誤解があったんだということだけでなくて、国会でこういうことが問題になったんだから、これをはっきりさせてほしいということを申し入れていただきたいと思いますけれども、それについていかがでございますか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 私どもは共同声明の立場からもはっきりしている問題でありますから、そう点はさらにそういう考え方であるということを申したいと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 時間がないそうですから、この次にいたします。

床次徳二自由民主党

○床次委員長 次会は公報をもってお知らせすることにいたしまして、本日はこれをもって散会いたします。     午後三時五十九分散会

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