科学技術振興対策特別委員会 第15号
- 発言数
- 179 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1958/04/03
会議録
○齋藤委員長 これより会議を開きます。 原子力行政に関する件につきまして、調査を進めます。 本日は、英国及び米国との原子力一般協定に関する問題について質疑を行います。質疑の通告がありますので、これを許します。岡良一君。
○岡委員 ただいまの米英に対する動力協定問題に対して、先般本会議で、外務大臣あるいは正力国務大臣等に質問をいたしましたが、御答弁によってなおさらに疑義が生じましたので、その点をさらに本委員会で責任ある御解明を願いたいと思っておったのでありますが、大臣の御出席がいまだございません。従って、私は事務的な問題について若干お尋ねをしておきたいと存じます。 まず国際協力局の立場をお尋ねいたします。先般本会議における外務大臣の御答弁によれば、米国との動力協定はすでに研究協定において免責条項等をのんでおる。であるから、その延長ともいうべき対米動力協定についての免責条項の問題は、今さらこれを問題とするにも当らない、こういう答弁があったわけであります。これは外務省としての公式な統一された見解でありますか。
○宮崎政府委員 そうでございます。
○岡委員 そうすると、アメリカには認めておる、イギリスの場合は認めない、どういう理由でそういう二元的な見解、あるいは態度に出られるわけですか。
○宮崎政府委員 イギリスの場合は民間という要素が入っておりますので、米国との間に若干そこに違いがございまするので、これを解決しなければならない。それには燃料を民間で管理するか、国家で管理するかという問題にもひっかかって参りまするので、そこら辺の考えを統一した上でなければ、イギリスの方はアメりヵのようには簡単にはいかないというふうに考えております。
○岡委員 先般の予算委員会で、私が外務大臣にこの問題についてお尋ねをいたしましたときには、こういう御答弁があった。それは、あなた御自身の口からあったわけです。それは、英国側が免責条項を提示したその理由といたしまして、英国との交渉の過程において日本として知ることができたことは、燃料物質の特殊性にかんがみて、事故の発生がないということは保障しがたい。しかも一たび災害が起ったときは、それは非常に大規模であるということが交渉の過程において知ることができたということを、あなたは委員会ではっきりと御答弁になっておられる。そこで、災害の補償があり得るということであれば、そして事故が起った場合には、日本政府がすべての責任を負って、英国政府としては何ら賠償の責任を負わないのであるという免責条項の趣旨であるからして、これには反対であるということ、免責条項に対して拒否しつつ折衝するという態度は、そういう趣旨だと私は思っている。今の御答弁と全然違ってしまうんだ。それでは一体あなた方の方では、折衝の過程において、向う側からこの燃料の特殊性にかんがみて事故の発生は保しがたい、しかもその場合には日本政府がすべての賠償の責任を負うということについて、単に燃料の所有権の問題であるということになると、何を根拠に——動力炉を売り込もうという向う側が、事故の発生は保しがたい、こう言っているのに、何を根拠に、事故の発生については心配要らないという結論をあなた方は下すわけですか、その根拠を一つお示し願いたい。
○宮崎政府委員 事故の発生につきましては、アメリカの炉あるいは燃料、イギリスの炉あるいは燃料の間に、本質的な差異はないというように考えております。従いまして、その保障の点につきまして、一方は国家が関係しておるだけであり、他方は民間が関係しておる、それに対して国家が保障するという点が難点であったわけであります。これを解決すれば、そういう難点は除けるというふうに考えております。
○岡委員 何もそういうことで除かれないじゃないですか。問題は、あなた方は、英国の炉であろうと、アメリカ炉であろうと、それを受け入れたって絶対事故はないという認定に立たれたと思う。そこで燃料の所有権を民間の会社にするか、国有にするかというところに問題点がある、そうなってくるでしょう。向う側は、燃料に基く万一の事故については保障ができない。従って、事故が起ったときには日本政府がすべてを引き受けるべきだぞ、こう念を入れて免責条項を出した。そこで、免責条項を受け入れる、受け入れないということは、燃料を国有にしようと民間のものにしようと、その燃料の安全性が保障できないという事実は動かすことはできないでしょう。だから、安全性を保障できないという、その安全性の保障ができないものを受け入れるということは、そうしてみれば安全であるとあなた方が認識をされたものと考えなければならぬ。とすれば、一体何を根拠に安全であるということをあなた方は認識されたか。 そうしてもう一つ、この間、正力国務大臣は、もし訪英調査団の結果を検討して、十分に安全であるということがわかるならば、免責条項をのんでもいいと言っておられる。正力国務大臣は、原子力委員長として、炉の安全性についてはやはり十分検討した上、安全とあらば免責条項をのむと言っている。外務省の方では国有化、民有化ということで、日本の現在の受け入れる燃料に対する取扱いがよろめいておるから、これに結論がつけば英国のものも受け入れようとなると、外務省、科学技術庁あるいは原子力委員会と全然見解が違うじゃありませんか、どっちなんですか。
○佐々木政府委員 安全の問題が出ましたので私から御答弁申し上げますが、この英国の条約の問題は前々から議論のありました通り、基本的な問題は、やはり炉そのものの安全なりやいなやという点と、安全であったといたしましても、万が一の、万々一と申しますか、あり得べからざることとは思いますが、そういうことが起きた際、その処置をどうするか、補償の問題が起きておりますので、それに対する考え方をどういうふうにするかという点が二つの大きい問題でございます。前者の安全性の問題に関しましては、大臣からしばしば申し上げております通り、あるいは岡先生からも御指摘がございました通り、何と申しましても、その問題は実際に長い間と申しますか、こちらの日本側で研究いたしましたその成果等を持って参りまして、英国でいろいろ向うの当事者と入念に検討をお互いにいたしまして、そうして、その結果を調査団が持って帰るわけでございますので、その調査団の結果を十分聞き、検討した上で、自信を持ちますれば、まずその安全性につきましては、今後の対策を考慮しながら、これを受け入れてもよろしいというふうに結論づけられるのではなかろうか、こういうふうに答弁申し上げたのだと思います。従いまして、その問題はまず一番根底に横たわる問題でありまして、もしその問題が安全であるという立証がつきましたならば、次の問題は、いろいろと外務省の局長から御説明がありました通りでありまして、免責条項に関する英米との差異が那辺にあるか、その際に対してどういうふうにわが方では対策を講ずべきかという問題が次の問題になって参りますので、その問題をただいま考究中であるという点を申し上げたかと思います。従いまして、決して外務省の見解と科学技術庁あるいは原子力委員会との見解が相違しているわけではございません。おのずから連関のある問題でございますが、何と申しますか、証明の主たる分野、責任分野と申しますか、これに対しましては、何と申しましても、安全性の問題は、外務省というよりはむしろ科学技術庁あるいは原子力委員会の任務であり、免責条項等の法律的な事項に関する相手方との折衝は、これは外務省の任務かと思いますので、お互いにそれは関連はしておりますが、決して両方とも見解が違っているのではないというふうに御解釈いただきたいと思います。 なお、安全性の問題に関しましては、調査団の報告も再三再四たんねんに聞きまして、それからさらにこの前御報告申し上げましたように、原子力委員会にありました今までの動力炉小委員会というものを二つに分けまして、炉等の災害防除のための基準の部会と、もう一つは炉そのものの安全性そのものを考究する部会と二つ作りまして、学界、実業界のその道の一番大家の人たちを二十数名選びまして、従来に引き続いて、これを強化しながらさらに検討を続けていくというふうな状況にございます。ただいまの段階では、調査団の結果を聞きましても、まずまずこの英国の炉に関しましては、もしこちらで出しました仕様書通りの向うからのテンダーが参りますれば、ほぼ絶対にと申してもいいほど安全だと言っていいのではないかというふうに考えております。
○岡委員 それはとにかく炉を入れるのだという前提をもう作ってしまっているわけだな。そうして、そのためには、どうして手ぎわよくやればいいかということで、あなた方があの手この手を打たれる。佐々木君の言われることも、非常に矛盾があると思う。原子力委員会が安全性に関する権威ある委員会を作るというならば、あなたの後段の説明は要らぬわけだ。これに安全性を検討させた上で、確信が得られるなら入れる。ところがあなたは、万々あやまちはあるまいと思うなどと言う。そういうてにをはは要らぬわけだ。そういうあなた方の御答弁の中で、とにかく入れるということにきめて、それにへ理屈をつけてでもものをまとめようという方向に急いでおられるということがはっきり言える。これはまことに遺憾千万に思います。 それは別といたしまして、せっかく大臣がお見えになったからお聞きいたします。この間緊急質問のときに、英国の免責条項はこれを拒否しつつ折衝する、二月二十一日の予算委員会で外務大臣は言われました。あなたもそれに同調すると言われた。ところが米国の場合はどうしますかと私が聞きましたら、すでに研究協定で免責条項はのんでいる、であるから、これをいわば延長した動力協定については免責条項はのむという方針で取り扱う、こう言っておられる。あなたはそれに同感ですか。
○正力国務大臣 それはこの前答弁申し上げました通りに、アメリカの方は大体細目協定で認めておりますから、今度はその延長の意味で協定したい、こう思っております。多少文句についてなお折衝しておるのでありますが、英国については先ほど申し上げた通り、国有であるとか民有であるとかは第二として、御指摘の通り、こういう問題は、安全性が確かであるかどうか、それで考えたのでありまして、決して入れるという前提のもとでやったわけじゃありません。入れたいが、安全性はどうだ、それについては一昨年行って確かめたけれども、なお今度の調査団の報告を待たなければならぬ。これは大体聞いておるけれども、なお安川君から詳細聞いて、それで大丈夫ならばやろう、こういうようなことであります。
○岡委員 そうすると、宮崎君の答弁と違いますね。宮崎君、どうなんですか。アメリカの免責条項をのむということを、英国の場合はなぜ拒否するかということは、日本側が受け入れた燃料の使用権と申しますか、何かそこのところを国有にするか民有にするかという、こちらの受け入れるべき結論が固まっておらない、だから免責条項は拒否する、あなたはそう言われた。正力さんは、どうも安全性が第一義的なものである、だからこれについて検討を加える。外務省と原子力委員会の見解が違っておる。不可分ではない——もちろん不可分ではありません。しかし違っておるじゃありませんか。ごまかさないでやって下さい。
○宮崎政府委員 私はそれがために拒否すると申したわけではありませんで、そういう問題が片づけばできるというふうに言ったわけでありまして、またそういうふうに考えているわけであります。安全性につきましては、全く原子力局と同じ考えを持っております。
○岡委員 そういたしますと、今あなたのおっしゃったのとやはり違ってくるのですよ。あなたに僕がお尋ねしたことは、外務大臣からは、英国との動力協定については、免責条項は拒否しつつ折衝する、こういう御答弁があった。米国に対しては、免責条項は一般協定の延長としてこれをのむ。そうすると、アメリカと英国に対して、全然免責条項に対する態度は違うのじゃないかということを僕がお聞きしましたら、英国の場合には、受け入れるいわゆる燃料物質の所有権について、こちらの意見がまとまらないから拒否する。正力さんは安全性を確かめるということが第一義的だと言われた。そうすると、すっかり違うじゃありませんか。
○宮崎政府委員 確かに違いますけれども、見るアングルが違うだけで、対象は同じになるわけです。
○岡委員 もっと、日本語で言って下さい。
○宮崎政府委員 同じ問題を二つの角度から見ているから、説明が違うわけでありまするけれども、結局のところは一つでございます。
○岡委員 それでは一つアングルをかえて聞きましょう。そこで、日本の国が受け入れて日本の国が所有すれば——英国側がだめ押しをしているところの、原子燃料の特殊性にかんがみ事故の発生を保しがたいということは、日本が国有にすれば事故の発生は何もない、民有にすれば事故の発生があるとおっしゃるんですか。
○宮崎政府委員 そう申すわけではごいごませんので、安全性につきましては、今原子力局から説明がありましたように非常に慎重な検討を加えられた結果、原子力局において結論を出しておられますので、私の方はそれを尊重いたしまして、同じ意見を持っているわけでございます。
○岡委員 よくわからぬです。もう一ぺん言って下さい。
○宮崎政府委員 原子力局におきましては、きわめて慎重に炉の安全性について長い間にわたって検討を加えられて、最近も安川ミッションの報告をお聞きになって、それでもって確信を固められたということを私どもは聞いておりまするので、それにつきまして、われわれも説明を聞きましたけれども、安川ミッションの御説明を聞きましたけれども、それにつきましては、基礎的な知識が限られておりまするので、それをわれわれが、それじゃ安全性について確信を持ったということをここでは申し上げませんけれども、原子力局の専門的な見地から見られました結論に対しては、われわれは尊重をいたしておるわけであります。
○岡委員 話が行ったり来たりで、それじゃもう一ぺんここのけりをつけましょう。そこで問題は、アメリカにしろ英国にしろ、原子燃料等を大規模に受け入れる、大規模の動力炉や試験用の炉を入れるということは、安全性が第一義的であるということがやはり日本の基本的な態度であるかどうかということが一つ。その次には、そのために原子力委員会は権威ある専門家を網羅した安全性の委員会を作られて、この委員会の議に付して十分慎重なる討議の上、また実験の上で、安全性は最終的に確かめらるべきものである、こういうふうに考えていいのですね。原子力委員長から……。
○正力国務大臣 安全性が確かであるかどうかということは、最も重大なことの一つと考えております。
○岡委員 それで、原子力委員会の下に置かれた専門委員会の十分な議を経た上で、安全性の保障の最終的な結論を出されますか。
○正力国務大臣 むろんそういうつもりでおります。
○岡委員 今燃料を国家が持って、民間会社に貸してやろうかという御意見にだんだん固まりつつあるわけですね。この点について、正力国務大臣はどういうお考えでしょうか。
○正力国務大臣 燃料については、将来はとにかく、今度イギリスのコールダーホールから買うのは、とりあえず国有にして民間に貸してやるという形でいきたいと思っております。また、委員会の結論はきょう午後三時ごろからきまるわけですが、大体そのつもりでおります。
○岡委員 民営の会社ができて発足をしておるのに、なぜ国がそれを持つのですか。何か国が持たないと都合が悪いのですか。
○正力国務大臣 アメリカの方もすでに国有でやっておりますし、こういう燃料のような大切なものは、初期のうちはどうしても国家でやった方がいい、こういう考えを持っております。
○岡委員 どういう意味ですか、国でやるというのは。
○正力国務大臣 とにかく燃料は非常な重大なことであって、これに対してはやはり民間にやらすのは——初めのうちは国家でやった方が万事確かだ、こういうわけであります。
○岡委員 結局あなたの御意思は、民間に持たして、万一事故が起ったそのときには、民間会社の責任とも言い得るような事故について、国が大きくその賠償の責めを負わなければならぬというようなことでは、そういう事態が起ったときに問題が起る。だからこの際、国がすっかり自分のものとして所有権を持ち、民間会社に貸してやる。そうすれば、万一のことが起っても、スムーズに補償などもできるから。こういうようなおなかでしょう。
○正力国務大臣 今、アメリカでもどこでも、大てい初めのうちは国家で持っております。事故が起らぬという前提には立っておるのですが、しかし、各国の例に従って、国有でやった方がいいと思っております。
○岡委員 正力一流の国際通念が出てしまって……。新聞などで伝えられておる国有か民有かということの前提には、安全性というものに対して自信が持てぬという態度がはっきり見えるということは、いかに陳弁これ努められても、国民はそう見ておると私は思うのです。 そこでもう一つ、これはまた席を改めて外務大臣に聞きたいと思うのですが、研究協定で免責条項ものんでおる。保障条項ものんでおる。動力協定は大体その延長として、国会も議決しておることであるからよかろうと軽く取り扱っておられる。そういうお考えですか。もう一ぺん聞きたい。
○宮崎政府委員 そういう安易な考えを持っておるわけではございませんつが、ただ、内容的に同じでありまするから、一応その内容については御検討を得たということを申し上げておるだけでございまして、それだから、これの審議をどうこうということを考えておるわけではございません。
○岡委員 内容とは具体的にどういうことですか。
○宮崎政府委員 条文の内容のことを言っておるわけであります。
○岡委員 勉強が足らぬと言いたい。免責というのは一体どういうことなんです。免責とは、事故が起ったときには日本政府が全部責任をとらなければならぬ、相手国は全然責任をとらない、免れるというのが免責でしょう。してみれば、問題は、免責の内容とは何かということになれば、事故が起るか起らないかということですよ。その次には、起った事故の規模がどの程度であるかということが、免責条項というものを考える内容ではありませんか、そうでしょう。あなたは内容ということを言うが、一体どういう内容なんですか。そのほかにこの免責条項について内容があるのですか。
○宮崎政府委員 細目協定におきましては、確かにその扱っておる範囲が小さいとか狭いとかいうことはございます。それから研究動力協定になりますると、それの影響するところが大きいということは考えられますけれども、本質的にはやはり免責条項を含んでおる内容そのものについては、何らその間に差がないというふうに考えられると思います。
○岡委員 実に驚くべきパラドックスだと思うのです。それでは、だれかがこれをやる、床の間に飾っておけと一言って、子供のおもちゃの鉄砲を持ってきて、床の間に飾っておいた。今度は本物の大砲を持ってきて、この前人れたじゃないか、今度も入れてくれと言ったら、よしわかった、それでは入れようと言って、床の間に飾りますか。内容とはそういうことではないですか。免責条項という概念を言っておるのではないのですよ。免責条項の裏づけとなる事実について——前回われわれは、あるいは事故の可能性なりあるいはその及ぶ範囲というものについて、この程度ならよかろうということで、おもちゃの鉄砲を受け入れておる。今度は大砲ですよ。
○宮崎政府委員 私はピストルと大砲くらいの差ではないかと思っております。
○岡委員 それでは、ピストルと大砲という理論的根拠を一つお示し願いたい。
○宮崎政府委員 やはり細目協定の場合におきましても、故障が起きることによって生ずる実害というものは、規模は小さくてもあり得るわけでありますから、これを全くのおもちゃであると言うことはできないだろうと思います。
○岡委員 ここにこういうアメリカ原子力委員会の出しておる数字があるのです。「大型原子力発電所の大事故の理論的可能性と結果」、これで見ると、これは松井君なんかよく読んでおられて、自分の都合のいいところばかり引用しておられるようたけれども、かりに事故が起って、その原料物質の五〇%が放射能として放出され、拡散されたときに、どういう影響が起るかというと、大へんなものなんだ。これは可能性とすれば十億分の一の割合ではあるけれども、たとえば農業の制限は三千五百平方マイルで、九千万ドルの損害、それから人間がストロンチウムの被害から免れるためには、どうしても二十三万五千人の人間が疎開しなければならぬ、三百五十平方マイルの者は疎開しなければならぬ、こう言っておるのですよ。研究炉というものは——私どもも現場を見ておりますが、研究炉とこれとは本質的に違うのではないか。ピストルと大砲の違いかどうかわかりませんが、私をして言わしむれば、子供の鉄砲と原爆くらいの違いはあると思う。いずれにしても、こういう実害があると権威ある機関で発表されておる。万一の場合でも、そういう場合にはそういう実害が伴うということを前提としての免責条項である限り、研究協定において国会が承認しておるから、動力協定においてもそのままのんでもよかろうじゃないかということは、私は理由にならぬと思う。どうなんです。
○宮崎政府委員 研究協定で国会がすでに審議をしておるから、今度の研究動力協定でもすぐそのまま承認していただきたいということではございませんということは、さっきお答え申し上げた通りであります。ただ、内容が似ておるから、御審議に際しては、便宜、前の考え方を敷衍していただければよいだろうという意見を述べておるだけでありまして、それであるから国会の審議を必要としないというような態度をとっておるわけではありませんことを御了承願いたいと思います。
○岡委員 国会の審議は当然やらなければならぬことで、それは何もあなた方にかまってもらわなくても、われわれ審議することになっておる。ただ問題は、調印しようという外務当局の態度についてお尋ねしておる。その調印しようとする外務当局の態度が英国のは拒否する、アメリカのはのむという、なぜのむのですか。それでは二枚舌外交ではありませんかと私が聞いたら、藤山外務大臣は、研究協定は国会でも免責条項をのんでいただいておる、だからこれを前例として私ども折衝しておるのだ、こう言ってある。そうしてみれば、免責条項というものの具体的な内容については同様なものであるとあなた方は考えておるのか。
○宮崎政府委員 現に同じように考えていない例といたしまして、われわれはアメリカに対して、情報それから燃料等を渡すときには、最善の努力を尽してくれといつうことはしばしば申し入れておるわけであります。それで、これにつきまして何か一つ書いたものを作っておきたいという努力を現在継続しておりまして、できるだけ——原子力の問題でありまするから、最終的まで百パーセントの確実性を向うに立証させることは不可能でありましょうけれども、人力の許す限り最善を尽すということを求めておるわけであります。それがこの前の研究協定における扱い方とははっきり違った点であると思っております。
○岡委員 しかし、それは免責条項そのものとは全然関係がないじゃないですか。免責条項のそれとは一体どの程度関係があるのですか。そういうことは、当りまえにすべきことを当りまえにしているだけじゃありませんか。何もそうやっているということは、免責条項そのものと関係がないじゃありませんか。
○松井説明員 ちょっと御説明申し上げます。免責条項の法律的な性格につきましては、さっき宮崎局長がおっしゃったように、その対象となるべきものの量いかんにかかわらず、法律論としては、法律的な性格は同じだと思っております。ただし、量が多いということ、これは一つの政治的な判断を要するということも事実であろうと思います。法律論としましては、すでに研究協定のときに国会の御承認を得た経緯がございますが、なお念のために、法律論としても読んだところを見ますと、すべての過失を日本側がしょい込むために、向うの故意または重過失に基くものについても日本側が責任を負うのは、感覚上おかしいということは、外務省もよく知っております。そのためにいろいろな対策を講じております。対策の一つは、まず事故の原因となるべきところの燃料の引き取りの際に十分なる検査を行う、非常に精密な化学検査を行う。第二には、故意または過失のものを勝手に起さないようにして、向うからも提供のときにおいて最良のものをやるように努力させるということを確約させております。第三には、万一免責条項をのんだ場合に、日本側が損害を受けた場合、その損害の原因の挙証責任が日本側にございます。アメリカ政府を免責するのは、アメリカの政府と原子力委員会だけであります。すなわち、濃縮ウランを作る過程におきまして、現在ガス散布法の工程で濃縮ウランを作っておりますが、この方法は原子力法の規定上機密条項でございます。こちらが濃縮ウランの成型加工、その他に基く原因を立証する場合に、製法の内容を知らなければ、挙証の責任を果すことができないわけでございます。これは日本の技術上、ガス散布法の理論的なことはわかっておりますが、その詳しいことは機密条項でわからないのです。従って、原因がわかっても、これはアメリカの原子力委員会のガス散布法の工程に基く瑕疵であるということは、立証困難でございます。従って、挙証ができないものに対してクレームを出すことはできないのです。従って、法律論としては、濃縮ウランの製造過程に関する限りは、これは手をあげざるを得ない。しかしながら、六弗化ウランを作りますとか、民間の会社に燃料予想を作らせる、あるいはクラッディングをつけたり、あるいは硫酸ウラニルにするというような工程に基く瑕疵は、これは純然たる政府の委託加工を受ける向うの業者の責任でございますから、その過程につきましては、十分に訴追できます。従って、免責条項は非常に鬼面人を驚かすような文句でございますけれども、そのサブスタンスをつけば、ガス散布法の濃縮ウランの濃縮過程の問題についての挙証責任が機密条項である限りはできない。これはもともと免責条項を望むと望まざるとにかかわらず挙証はできないんだから、苦情は出せない。従って、かく観じてみますれば、免責条項というのは非常に片務的で、向うの重過失があっても知らぬじゃないかというふうな誤解を招きやすいのでございますが、その内容を十分に分析しますと、それほどのものじゃございません。しかし、それでもおかしいという説がございますので、まず燃料を引き取るときに十分検査して、未然に事故の発生原因を防遇する。それからなお向うがいいかげんなものをよこさないように、最良のものをよこすように、はっきりとした努力をするということを確約させます。以上のことをお考え願いまして、政府といたしましては、ピストルか大砲か知りませんけれども、そう簡単な、安易な方法でやっておるのではない、念には念を入れて、十分に良心的にやっているということをつけ加えて申し上げたいと思います。
○岡委員 それは当りまえに、やってもらわなければならぬことをやっておられるだけのことなんだな。現実に導入した動力用の試験炉に事故が起った場合を考えてごらんなさい。一体その燃料に原因があったかどうか、何かわかりますか。ウィンズケールの例をごらんなさい。いまだに事故の原因がわからぬじゃないですか。しかも、アメリカ原子力委員会は、あなたのトラの巻の本の中で言うておる。ある物質が長年の間中性子によって照射されたときに、その蓄積的影響によって起される物質の化学的な物理的な変化については非常にわかっておらない、これが大きな事故の原因になるかもしれないと言っておるのですよ。向うの権威のあるものでさえも、不可知な分野としてそういうものをあげておる。してみれば、こちらの方で念入りに受け入れてみたところで、起ってみてから一体どこに原因があるかということは、君、わかりますか。いまだにもう二カ月も三カ月もウィンズケールの炉というものは解いたままじゃありませんか。どうしてわかるのです。そこまで原因を突き詰める手段を何かあなた方持っておるのですか。ただ、六弗化ウランを燃料に加工成型するときに念入りにやってもらうというだけの保障でもって、事故が起り得ないだろうというような安易な考え方でやれますか。免責条項は鬼面人を驚かすと言うけれども、鬼面人を驚かすでないのです。事実、各国の先進国の例、ウィンズケールのように、アメリカ原子力委員会の公式な文書におけるように、この事故というものに対して警告を出しておるという事実を、あなた方はなるべく見ないようにしている。ここに問題があると思うのだな。どうなの。
○松井説明員 岡先生の非常な博学なところを伺って、私よくわかりませんが、原子炉の事故が起るということの実際上の可能性と理論上の可能性をごっちゃにしておられるのではないかと思います。がアメリカの原子炉が安全であるかどうかということは、私ども承知しておりませんので、その道の大家がお話しになった方が一番いいだろうと思います。私はこの点はよく知りませんから、向うの文献を信ずるほかはないので、これは日本の学者を呼んで御検討になっていただいた方が適当だと思います。 なお、ウィンズケールの事故につきましては、岡先生はだれの意見をおっしゃっておられるのか知りませんけれども、私らは、イギリスの政府の公けの声明と文書をまず第一に考えております。それによりますと、御承知の通り、ウィンズケールのリアクターの事故発生の原因、それから起る可能性というものは、ウィンズケールのプルトニウム生産の動力炉に限るものである、技術的に見ましても、原子炉工学的に見ましても、今度の改良型のコールダーホール炉には、そういう可能性はきわめて少いか、あるいは全然ないという説明を権威ある人から聞いておりますので、この問題については、なお専門家の御説明を聞いていただきたいと思います。ただ法律問題といたしまして、免責条項が妥当かどうかという問題につきましては、私個人の意見でございますが、あの書き方は好きな文句じゃございません。しかしながら、これはどうしてもこういうものをのまなければ協定ができないとなれば、純法律技術論だけでなくて、もう少し高度の立場から価値判断することが起るだろうと思います。この問題につきましては、これは原子力委員会の原子力最高行政の立場から私は論ずべきである、そういう点の権威ある説明を聞かれるべきであると思います。今、原子炉の事故が起る可能性としましては、 アメリカでは、ワン・イン・ア・ビリオンと言っております。必要な制御装置とか、冷却装置、その他いろいろ機械工学的に見ましても非常に進歩しておりますし、そう簡単に原爆のような連鎖反応が、いわゆる暴走が起るという可能性はないということは確実だろうと思っております。飛行機だって事故が起りますし、自動車だって事故が起りますし、最近の化学工業にだって相当インダストリアル・ハザードというものがございます。従って、絶対に危険がなくなるまでやるなというなら、時代の歯車をとめるような議論じゃないかと思います。だから一番いいのは、その人知のベストを尽して発生の原因をごく少くする。絶無にすればもちろん理想的だと思いますが、人知の及ぼす限りの範囲においてこれをミニマイズするということが、一つのとるべき現実的な見方ではないかと思っております。私の説明は、少し論理が御質問の的からはずれているかもしれませんが、原子炉の安全性自体を問題にされるなら、これはやはり専門家を呼んで御議論していただきたい、こういうふうに思っております。
○岡委員 別に専門家を呼ばなくても、ただここにあなたが、たとえば十億分の一回の確率だと書いておるでしょう。一体その前文にはどう書いてありますか。ここに十億分の一などという説もあるが、これらの数字は実際論証できる基礎は持たたない。また、かかる原子力事故の発生する見込みの低さに対する彼らの確信の程度の反映以上のものとして適用することは妥当でないと断わって、こういう楽観論もあると言っておるのですよ。だから、この前段を略してしまって、アメリカの権威者は十億分の一の確率しか危険性はないと言っているなんと言うところに、僕はあなた方の不謹慎さがあると言うのです。だから、この同じ文章の中で、さっきも言ったように、原子炉というもの、大型の動力炉というものから起る事故の原因はどういうものが考えられるか。その第二に、長い期間にわたって放射線が物質の物理的ないし化学的性質に及ぼす累積的影響は非常にわかっておらない。場合によっては重大な故障が起るかもしれないという警告的な表現がここにあるのです。ですから、こういう点、何も私は世界の進みの歯車をとめようというのじゃないのです。万一のことがあった場合に、万が一でもそれがあったときには、日本の国民感情から見て、原子力の平和利用というものが非常に抵抗を受ける可能性がある。こういう現実を考えた場合、政府は少しこの安全性というものに対する考え方が不用意ではないかということを私は申し上げておるのです。そして私は政府の態度をお尋ねしたのです。してみると、宮崎君の答弁なんというのは、あとでごまかされたけれども、とにかく免責条項というものは、受け入れる燃料の所有権の問題だ。それによって、何か国が所有すれば燃料の安全性は確保されるし、民間にやれば燃料の安全性がないようなとんちんかんなことを言っておる、あなたの答弁を見たって——読むなら全体を読んで、もっと正鵠なことを伝えなければ、一応十億分の一の確率だという、それだけ引っぱり出して、その前段ではそういう希望的な観測を持っている人たちの表現であるからして、これは科学的な根拠はないと言っておるのですよ。また、そうでしょう、世界中尋ねたって二百か三百しかない原子炉のうち、八回は確実に事故があるのです。事故の原因の発表されたのは二回しかありませんよ。六回は事故の原因は今のところ世界で不明じゃありませんか。何に基いて、安全性についてあなた方はそう先走りをされるのですか。 それはそうとしまして、その次にいきましょう。その他、海堀さんに、一点だけですからあなたに先にお尋ねしたいのですが、英国と動力協定を結んだときには、天然ウランの原料を買います。この場合、協定上は、その幾カ年前かに天然ウランのお値段というものが向うから知らされるというこになっておる。従って、かりに日本がことし協定を結ぶとすれば、四年後なら四年後に、昭和三十三年に結べば、昭和三十七年なら七年の一トンの天然ウランは幾らかというような価格が示されることになっておる。いってみれば、それまでこの原料というものをとにかく五百トン足らず買わなければならないんじゃないかと思いますが、相当莫大な燃料の価格というものをいわば不確定なものにとどめられておるわけですね。そういう、どうせ支出は必ず必要であるが、どれだけかわからないというような不確定なものを含んでおる。そういう協定というふうなものを結べば、この協定は国内法に優先するということになるんだが、これは財務当局として、財政法とかそういう関係法律上の立場から見て、妥当じゃないんじゃないかという私は疑義を持っておるのですが、どうなんでしょうか。
○海堀説明員 協定上では、別に財政法云々ということにはならないのではないかと存じます。協定は、日本が、英国の燃料公社から、日本の政府もしくはオーソライズド・パーソンが燃料の供給を受けるというだけのことでありますから、それ自体は受け得るということだけでございまして、もしたとえば国が、政府が受ける場合には、政府が当然それに伴う予算措置を国会の議決を経なければいかぬでしょうし、民間が民有としまして買う場合には、自分で資金の手当てをして、外貨上の許可を受けるでございましょうし、いずれにしましても、協定自体が財政法と関連するということではないと思います。
○岡委員 それは、法律論はその通りだけれども、いよいよ動力協定を結ぶ、さて設計も決定する、どれだけのっ燃料が要るということがきまる。さてしかしきまって、大体どの程度の価格でその燃料を引き取らなければならぬということも見通しが立って——自民党の政府ばかり続くわけでもない。そのとき社会党の政府だったら迷惑千万だと私は思う。そういう将来のことについて、協定の上で、協定はそういうふうな燃料の量なり価格なり設計なり、一切の決定の前提なんだ。協定と同時に、そういうものはみなきまってくる。そういうときに、国としては、やはり協定を結べばそれを受けなければならないという状態になってくると思う。こういうような事実上の問題として、そういうことは穏当な方法であるのかどうか。これは私よく知らないのだけれども、一つあなたの御意見を聞かしてもらいたい。
○海堀説明員 将来国の負担となるような国家間の協定という意味にもならないのではないか、ということは、その協定自体は、そういうことができるということを規定しておるだけでございまして、政府なり民間なりが買わなければならないという義務を規定しておるわけではないのであって、コールダーホール炉を受け入れるなり、あるいはそれに伴う燃料を買うことができるということを協定はただ規定しておるだけのことでございますから、果して政府がその協定に基いて次のステップを切るか切らないかということは日本の側で決定し得ることで、義務として、何かこう相手方から買わなければいかぬというふうなことを規定しておるわけではございませんから、別に将来の財政負担を特にこの協定で規定するというようなことにはならないと思います。
○岡委員 それじゃ、佐々木君に聞くが、宮崎君もだが、君たち一体、交渉しておるのは英国と交渉して、もうコールダーホールの改良型炉を買え、安全だ安全だと盛んに宣伝これ努めておられるのだが、これはそれでは買う気はないのですか。今、海堀君のお話を聞けば、協定で買うという義務づけられたものではないというのだが、買う気はないのですか。
○佐々木政府委員 協定の内容はよく御存じだと思いますけれども、その協定を結んだから義務的に必ず買えなんということは全然ないのでありまして、ただ海堀君も言いましたように、可能性はそこから生まれてくるわけでございます。
○岡委員 それじゃ実にあいまいもこたるものだが、アメリカから今度の協定で濃縮ウランを一体どれくらい買い込むというのか。貸してもらうつもりなのか。
○佐々木政府委員 ただいま向うへ申し入れていますのは、大体七トンでございます。
○岡委員 七トンというのは、一体その積算の基礎はどうなんです。
○佐々木政府委員 この前に原子力委員会できめました長期計画を基礎にいたしまして、概略六十五万キロワットぐらいの発電規模を想定いたしまして、それに必要な燃料並びにその他の燃料も加えまして、作った次第でございます。
○岡委員 私どもがあなた方の方からいただいた、発電用原子力開発のための長期計画の中では、「米国系の濃縮ウラン水冷却型発電炉は将来の進歩が大いに期待され、この計画の後半期には、この型の発電炉の設置が多数に上り、出力において全体のほぼ半ばを占めることも予想される。従って初期段階においても適当な時期に、この型の発電炉の導入を考慮する必要がある。」こういうことまであなた方の委員会が昨年十二月十八日にきめておられる。そのあと六十五万キロワット入れるということは一体いつ原子力委員会がおきめになったのですか。
○佐々木政府委員 これは年度別にはっきりと、何年何月にどうというふうにきめたわけではないのでありまして、この協定は、入れます数量も最大限このくらいだ、それを必ず買わなければいけないとかいう意味でないように承知しておりますので、この前作りました長期計画の最終的な目標を基準にいたしまして、概略十年後にはこのくらいだろうという程度の数字でございます。
○岡委員 それは原子力委員会で決定された数字ですか。
○佐々木政府委員 これは原子力委員会といたしましても、このくらいの数字でよかろうということで出した数字でございます。
○岡委員 委員会決定ですか。
○佐々木政府委員 六十五万キロ必ずやるなんという決定は、する必要もありませんし、しておりません。十五年間に三百万キロでございましたか、そういう大きい長期計画の見通しがありまして、冷却型炉を想定いたしますと、そのうちから十年間に大体このくらいであろうという、協定を結ぶための必要な数字をはじき出したにすぎないということを申し上げたのであります。
○岡委員 大体アメリカとの原子力一般協定にしても、日本国委員会は日本国の原子力委員会、合衆国の委員会は合衆国の原子力委員会になっている。政府を代表する、あるいは政府から授権された公式な機関が、この調印のために折衝しておられるのでしょう。ところが、原子力委員会の正規な決定では、きわめていわばラレキシブルな決定をやっている。アメリカからの濃縮ウラン・水冷却型炉も、初期の段階においても若干入れなければならないであろう。原子力委員会長としては、何十万キロワット発電するかということは何も発表されておらない。決定もされておらない。権威ある原子力委員会という、わが方の一番中心になる機関が、何ら決定をしておらない。ただ、あろう、だから七トンより減るかもしれないなんという、そんな無責任なかけ合いが、一国と一国との外交折衝の中でありますか。
○佐々木政府委員 長期計画は何べんも御説明した通りでありまして、大体昭和五十年度を目標にそれぞれの数量を出しているわけでございますが、しからばその中で濃縮ウラン系統のものが何月何日にどれほど要りるかということは、今のところきまっておりません。ただ、それがきまらなければこの数量は載せ得ないかと申しますと、そうでなくて、将来そういう目標を基準にして、一体十カ年ではこのくらいの規模は必要であろうという、条約に盛る必要上の数字を委員会としては想定いたしまして、そうして申し入れた次第でございます。
○岡委員 特にこの原子力発電計画を見ると、大半のページを費して、いわゆる経済性というものを非常に重視しておられることはあなたは御存じの通りです。ところが、濃縮ウランによる現在のアメリカの発電は、先般も外電で日本の特派員の報告によると、一キロワット当り六十二ミルです。現にドレスデンだって、四千五百万ドルであったのが六千万ドルをこえている。アメリカの現在における濃縮ウランの発電炉というものは、経済性というものは完全に無視されている。試験炉でもそうです。実用化されたものは、現にドレスデンでは超過している。経済性というものを全然無視して、そうして三十五万キロワットとか、六十五万キロワットというものを——あなた方の動力炉のための大前提となる経済性というものは全然無視されている。一体あなた方の経済性というものをどう考えているんですか。
○佐々木政府委員 米国の動力炉そのものに関しましては、別にすぐただいま発注してどうというようなことは考えておりません。従いまして、先ほどから申し上げておりますように、大体の想定でございまして、もし採算等合わなければ、当然原子力発電会社では買わないつもりでしょうから、七トンは買わないでも済むというだけの話でございまして、これは必ずしもさっき申し上げました七トンを全部完全にこちらで消費しなければいかぬという義務はないのでありますから、これは時代の推移に従いまして採算が合って参りますれば、これを入手するであろうというだけの話であります。
○岡委員 しかし、そういうあいまいもこたることで、一体向うも大切な濃縮ウランを手もなくくれるんですか。日本は何年にはこの程度の発電規模のものをやりたいという発電計画というものがちゃんとなければ、七トンという数字ははじけないんじゃありませんか。それとも向うから、こんなふうなことでやれ、そうすれば七トンやるというので、あなた方はうのみにしたというんなら、何をか言わんやだ。
○佐々木政府委員 条約上にかりに七トンとありましても、具体的にそれを入手する場合には、それだけでは入手できないのでありまして、一件々々細目協定で交渉いたしまして、その炉に必要な部分は十分吟味した上で向うでも出すわけでありますから、ただワクとしては大体このくらいというだけでございます。
○岡委員 プルトニウムの問題について私はきょう責任ある政府の答弁を求めたいと思っておったのですが、どうもお二方では、政府としての政治的な責任のある答弁が得られがたいので当惑しているのですが、別の機会に譲ります。 宮崎さん、一月の初めにロンドンの中川公使から動力炉の安全性について公電が来ているはずですが、あの内容を、この機会にお知らせ願いたい。
○宮崎政府委員 ただいまその資料の内容について私承知しておりません。
○法貴説明員 それは私はっきりいたしませんが、おそらく調査団が現地においてAEAと安全性のことについて相当突っ込んだ話し合いをいたしましたので、そのときの議事録のようなものが、こちらに中川公使から届いたものであろうかと思います。そういう話をちょっと向うでも聞いております。その内容をちょっと御説明いたしましょうか。
○岡委員 いつのことですか。
○法貴説明員 調査団が行って話し合いをしましたのが一月の末でございますので、二月の初旬ないし中旬——もっとおそいかと思いますが……。
○岡委員 十二月三十一日ごろロンドンで折衝しているんだ。それが一月の三、四日にこっちにきているはずだ。公電の内容は、初期の動力炉の安全性について、英国側の意見というものを中川公使は報告しているはずだ。
○松井説明員 そういう報告は、どの情報に基いておっしゃるか知りませんけれども、公電として来たものは私覚えておりません。
○岡委員 そこで、事務的なことですが、設置する場合に、やはり安全性については、住民の納得が大事だと思う。なるほど権威ある専門委員会を設けて、これならば大丈夫という結論が出たとしても、住民は本能的な恐怖を持っていることは、いなめない。だから、住民の納得を得るということを、ことにアメリカなんかは聴聞会なども開いているようですけれども、こういう手続はやはり当然踏むべきではなかろうか。それはやはり原子炉規制法の中で、政令なんかにゆだねないで、法律の中ではっきり打ち出しておく必要があるんじゃないか。あなた方は、当事者としてどう思われますか。
○佐々木政府委員 この点に関しましては、先般の本会議で岸総理からもお答えいたした通りでありますが、ただいまの段階といたしましては、やはり原子力委員会の下部機関としての安全対策委員会と申しますか、部会と申しますか、そういうものを逐次強化いたしまして、ここで熱心に検討を進め、その結論を尊重して、委員会としては、最終的な対策をきめるというのが順序かと思います。ただ、その際、その機関以外に、何か聴聞会のようなものを持つべきじゃなかろうかというお話でございますが、その点、私どもは実はまだ研究を進めておりませんので、研究を進めていきたいと思います。
○岡委員 これは例の関西の原子炉設置委員会が、宇治へ持っていって、宇治の方で反対された。私どもも、その反対の理由は、全部が全部は納得がいきかねるけれども、とにかく感情的に反対しているその底にあるものは、原子炉というものはおそろしいものだという本能的な恐怖がある。さて高槻に持っていく、また今度は反対が起る、そういうことで原子炉の設置さえ——大学の場合、あの小型のものさえはばまれておるということは、日本の原子力の開発には非常に残念なことだと思う。そういうような経験から見ても、やはり住民の納得を得る、これならば安全でございますということをよく納得してもらうだけの手続は踏む必要がある。私がこの間岸総理に聞いたのは、そういうことを聞いたのではない。総理には何か公正な第三者構成の安全に関する諮問委員会を作られたらどうか、そうして総理は、原子炉の設置の許可権者だから、総理がその意見をしんしゃくし、尊重した上で、最終的によろしいという設置の許可をおろす、こうやってもらいたい。そうしたら、原子力委員会の方で、安全に関する専門委員会を作る、こういう御答弁だから、それでもいいでしょう、その構成さえわれわれの納得のいくものなら、それでもいいとしても、学者の専門的な結論として安全であるということが出てきても、現実に、下部ではやはり本能的な不安というものがある。これに納得を得る手続をもう一段と踏む必要がある。これはやはり原子炉等の規制法の中で、安全性に関しては原子力委員会の意見を中心に決定をするというが、さらに下へおろして、住民の納得を得るという手続をこの際加えておくことが妥当でもあり、親切ではなかろうか、こう申し上げておるので、これは御研究願いたいと思う。 それから、たとえば今の東海村の場合でも、二号炉が入るというような場合、やはり敷地外の放射能についてこれは追及するというようなことは、現在の規制法では、法律的に措置されておらないのではないかと私は思う。事実上の運営としては、あなた方はどういうふうにやろうと思われますか。
○佐々木政府委員 環境に対する放射能の対策と申しますか、そういう問題に関しましては、実は、規制法では、おっしゃる通り、その範囲外にしております。この方は、従来の経過から申し上げますと、厚生省の環境衛生部でありましたか、ここでそういう法案を作りまして、そうして、炉の周辺ばかりでなしに、日本全体のフォールアウト対策等に対処したいというので、ず いぶん前から法案の準備をしておるようでございますけれども、まだ国会に提出の運びになっておらぬようでござ います。私どもといたしましては、ただ、炉の設置者に対しては規制法で厳重な規制は加えられることになっておりますので、炉の設置を許可する際に、十分そういう点のないように注意させ、また同時にそういうものに対する周辺の調査等も十分できますような措置をとらすつもりでございますので、その点はまず第一義的に、設置者そのものを取り締ることによって防止するという建前をとり、それ以後の問題に関しましては、さっき申しましたような、できるだけ環境整備という観点から、厚生省等で準備を進められたいというふうに考えております。
○岡委員 そういう方法は、これからせっかく原子力を育てるという立場から見ると、私は非常に遺憾だと思うのです。だから、今度お宅の方で放射線障害防止の技術的基準に関する法律案を出しておられるが、この中では、エックス線を含む全放射能に対する安全基準を探求しよう、その適用をやっていこう、ここでは単にそういうものを出して、さて具体的にその取締りをやろうということになると、これは厚生省におまかせるというのではなしに——それでは原子力を担当するあなた方のお役所としては、無責任じゃありませんか。あなた方はこれをやはり実施機関としてやる、原子力の研究開発を進めるということと、障害から守るということは、それこそ不離一体の問題でしょう。
○佐々木政府委員 私の申し上げましたのが、あるいは誤解を招いたかと存じますが、そうではないのでありまして、たとえば放射線同位元素に関する許可、取締りは、アイソトープに関する障害防止法で取り締る、炉自体の設置から発生するおそれあるものに対しましては、原子炉等の規制法で十分取り締り得るようになっております。ただ、エックス線のようなさらに広範な、三万レソトゲンにも及ぶ病院あるいは事業場等で使っておるものに対しましては、これは通産省なり厚生省の方で、今お出ししております基準法で基準がきまりましたら、その基準に従って実際の取締りをやっていただく、それに必要な法律改正等は各省でそれぞれ責任を持ってやっていただきたいというふうになっておるわけでございます。従いまして、それ以上の、たとえばフォールアウトの問題、極端に言えばビキ二のあの例が一番よろしいかと思いますが、ああいう問題で災害が起きたときにこれをどうするかという問題は、ただいままでの段階では、漁師に対する手当をどうこうするという問題は原子力委員会の問題ではなしに、正確な名前は忘れましたが、厚生省にできておる各種の対策委員会でそれを処理し、またそれの基礎になる技術的な調査等に関しましても、その委員会が中心になって調査をするというふうな従来の建前になっておるわけでございます。
○岡委員 これは一昨年でしたか、原子力委員会にまだ現在ウイーンに行かれておる藤岡さんがおられたときでしたが、やはりフォールアウトの問題も当然原子力委員会の仕事として、原子力委員会が中心になって全国的な規模の調査網を設けるべきだということで、私どもは強く要求いたしました。原子力委員会の決定として、原子力委員会が中心となって調査をするということを御決定になった。これは核実験のフォールアウトの問題ですが、ましてや原子力局が直接管理し、監督するところの原子炉のフォールアウトについてはなおさらのこと、あなた方の責任においてフォールアウトなり、要するにモニター作業というものをあなた方がやる、そして万一の場合についても、あなた方が積極的にあっせんをやって、それは別途な方法で補償を考えらるべきであろうけれども、そういう道をつけていくということ、これは原子炉等規制法の法律案によって法的にはっきりすべきだと思いますが、いかがですか。
○佐々木政府委員 私の申し上げるのは、岡さんの言うことと同じなのでございまして、フォールアウトの統一的な調査等は、今年もたしか四千万円近くの予算と思いましたが、これで範囲、調査方法等も進化した方法でやることになっております。ただその対策と申しますか、具体的な対策という問題になりますと、これは各省の問題でありますので、各省の方でやっていただく、こういう意味でございます。 それから、原子炉自体の周辺のモニタ一、その他の問題は、当然原子炉設置者の責任でありますから、私ども監督官庁としての責任といたしまして、その周辺の調査なり、そういうものをやることは当り前のことだというふうに考えております。
○岡委員 そうすると、原子炉等の規制に関する法律に特にそういう一条を設けて、敷地外の問題についてのモニター等もやはりやるべきではないかと思いますが、そうなっておりますか。
○佐々木政府委員 たしか何条か忘れましたが、政令等でできるようになっております。
○岡委員 そして万一の事故が起った場合、原子炉の運転を中止しなければならぬという、中止というような手きびしい規制も必要になって参ります。これは、規制法では、どの条によってそういう措置を講ぜられますか。
○法貴説明員 原子炉の事故に関しましては、やはり総理府令等において運転記録を取りつけ、事故報告を取りつけというような法的規制のとりきめもございますし、場合によってただいまのような——またほかの項目で周辺のモニタリングをやることになっておりますから、炉の運転が不適切に行われておるというような場合には、停止命令も当然出し得るという法律的規定がございます。
○岡委員 それから、これは宮崎さん、松弁さんにお尋ねしたいのですが、この前にも私は意見を申し上げたのですが、いわゆる保障条項です。米英との動力協定における保障条項は、現在までの交渉において、一体どういう対象がその保障対象になっておるのですか。
○松井説明員 おっしゃったのは、無保証条項の意味ですか。
○岡委員 セーフガードです。
○松井説明員 保障措置の対象としましては、まず第一に、一義的には燃料でございます。それから原子炉、減速材その他——これはアメリカの場合とイギリスの場合と表現の仕方が違って、おります。イギリスの場合は、まず定義におきまして、そのマテリアルな物資、燃料その他のもの、それからイクイプメントというのは原子炉その他のものと、大体おもな定義がついておりますが、それで不明なときには外交交渉で相談してきめよう、しかし、きめなかった場合には、イギリスの意見を聞かされる、あるいはイギリスが承知できなければ、協定を破棄しようというような立て方でありますが、アメリカの場合はもう九条で保障の対象になるべきものをはっきりきめております。きまらないものは、これは技術がいろいろ進歩しますからあらかじめはっきりするにとはできないのですが、引き渡すときに大体これは保障の対象になるのだ、あるいは減速材を売っても保障の対象になるのだ、そういうふうになるというふうに事前に措置させるようなことでやっております。おもなものははっきりきまっております。それはもちろん燃料と原子炉と原子炉の部分品、それから減速材、そういうものです。その他ボーダー・ラインのケースは、クリアカットのものはきまる。お互いに技術の進歩が非常に激しいので、あらかじめ完璧なものは出せないという説明は了承せざるを得ないかと思っております。
○岡委員 そこで、私たちと松井さんたち外務省との間の見解の相違ですが、よくあなた方は、国際原子力機関の査察の対象もそういうものでもあり、また実施の方法も国際原子力機関と米英の場合同じだというような考え方で、アメリカや英国から査察を受けるときも、国際原子力機関と同様なものであればいいではないかというようなことを言われたことを記憶しておるのですが、今でもそういう考え方でいっらっしゃいますか。
○松井説明員 この前の表現はどういう表現をしたか知りませんけれども、もちろん政府としましては、国際原子力機関で査察をやった方がいいという気持は強く持っております。しかしながら、双務協定での国際原子力機関と全然関係のない問題について国際原子力機関の査察を受けさせるためには、その実行方法をきめなければいかぬ。そのためには国際原子力機関が査察の能力を持っていなければならぬ。はっきり申し上げれば、インスペクターその他の科学的な陣容が整っていなければいかぬ。機関自体がある程度でき上っただけでなくて、もう少しおとなになっていなければならぬということです。しかし、そういうふうに能力を十分に発揮するようになれば、双務協定の査察を国際原子力機関に移譲するという目的、意図については、イギリスの場合、アメリカの場合、みんな同じであります。しかも、それは何年たっても——十年後でいいという意味ではございません。できるだけ早くやろうということにつきましては、イギリスもアメリカも——アメリカは特に協定の本文を変えさせまして、そういうはっきりしたものをなるだけ早くやりたい。その国際原子力機関に移譲するまでの間の暫定的の権限の内容についてはできるだけしぼりまして、なるべく国際原子力機関の憲章と同じような内容にする。それから、その場合でも、いろいろな査察なりリアクターの設計に関知した場合の情報を得た商業上の秘密は外に漏らさぬとか、その他できるだけわが国の立場を有利にするように努力しております。決して、イギリスの査察だから、いつまでたってもいいというようなことはやっていませんし、協定の本文をごらんになれば、そのことがはっきり立証できると確信しております。
○岡委員 そこで、国際原子力機関が査察機能を持てるようになれば、これにその査察権は移譲する。これは双方の政府が協議の上できめるわけですね。向うはいやとは言わない、こういうことですか。
○松井説明員 イギリスの協定の場合、相談はいつでも日本が持ちかけられます。日本が、きょうでも——きょうは無理ですが、協定が発効してすぐやろうと思えば要求はできるのです。しかしながら、アービトラリーの問題ではなくて、客観的事実として、国際原子力機関が相当陣容が整ってしっかりしたことになれば、十二条の査察を全部一括してやらせるか、あるいはどの部分をやらせるか、相談しなければならぬ。相談が万一まとまらなかった。しかも日本があくまでも国際原子力機関に査察を移譲したいのだという決意が非常に強いときには、双務協定は従って国際原子力機関に査察が行かなければどうしてもいやだというときには、日本が協定を破棄するくらいの威力を発揮することができる。反対の場合は、イギリスがやる場合があるかもしれませんが、いずれにしても、協定の破棄という問題は、お互いに両国の政府、関係国の希望するところではございませんが、場合によってはそれくらいのことをしてもいいというふうな決意を持って、情熱を持って、国際原子力機関に移譲をしようということを協定の本文において約束しております。できるだけ早くやろうということになっております。アメリカの場合も、さっき申しましたように、協定の本文をかえております。
○岡委員 国際原子力機関の査察機能というものは、その後の情勢から、いつごろ期待できますか。
○松井説明員 今の理事会あたりではいろいろ問題になっておりますが、まず一番足りないのはマン・パワーが足りないのです。いろいろな科学処理の場合の分析、プルトニウムの摘出、それの過程においていろいろな誤差をどうしてなくするか。あるいはその誤差をどうして科学的に理論的に検出するかということのためには、相当の熟練工と申しますか、相当のマン・パソーがたくさんいなければならぬのです。これが急に集まらないのです。アメリカからも相当科学技術者を二、三十名無償で提供するようになっておりますが、いずれにしても、初めの間は、その技術を知った国の人でなければ困るだろう。イギリスとかアメリカとかロシヤとか、場合によってはフランス、そういうところの人が国際原子力機関の職員として整備される。日本政府といたしましても、できるだけ早くそういう陣容を整えさせるように努力していかなければならぬ、努力すべきであるというふうに考えておりますし、現にそういうふうな努力を及ばずながら全力をあげてやっております。
○岡委員 スエーデンあたりからも、そういう技術者の提供をしようという申し出があったということを情報で聞いておるが、どういうことなんですか。だいぶそういうことで査察機能というものがだんだんと強化されつつある。その辺の見通しですね。
○松井説明員 それは徐々に強化されております。
○岡委員 佐々木君にちょっとお尋ねいたしますが、現在さしあたり日本の必要とする資材は、何と何がどの程度必要なんですか。
○佐々木政府委員 それでは概略申し上げますと、まずCP5に必要な重水約八トンであります。二番目は今度作ります国産炉の指数実験をするに必要な、今のウオーター・ボイラーを利用して指数実験をするわけでありますが、必要な重水あるいは天然ウラン等が必要であります。それから、三番目には、増殖炉の開発のための基礎研究が必要でありますので、それに要する高度の濃縮ウランと申しますか、濃縮度の高い濃縮ウランあるいは重水等が必要でございます。それから特殊核分裂物質、これもただいまの研究用に必要なわけですが、プルトニウムとかそういうものを同時にほしいということであります。それからもう一つは、燃料公社のウランの精錬中間試験工場を本年の夏ごろまでに作りたいのでありますが、それに要する原料としてイエロー・ケーキを入手いたしたいといったようなことが主たるものでございます。
○岡委員 そこで、これは松井君あるいは宮崎局長にお尋ねしますが、国際原子力機関にすでに提供済みの、今、佐々木君が言われた原料なり減速材なりは、どのくらいありますか。
○宮崎政府委員 資料がございますから御説明いたしますが、特殊核物質、アメリカから提供されておるものが二三五、五千キログラム、これは二〇%までに濃縮したものであります。それから、ソ連から提供されておりますものがウラニウム二三五、やはり二〇%ぐらいに濃縮したものが五十キログラム、それから英国から提供されておりますものがウラニウム二三五で二十キログラムあります。それから、原料物質といたしましては、ポルトガルからU308、コンセントレート百トン、南アからきておりますものがU308を提供する用意があるということをいっておるものであります。しかし、これらの特殊核物質及び原料物質はまだ提供することの申し出があったものでありまして、現在機関に到着しておるものというわけではございません。
○岡委員 まだ私のいただいた資料にはあるのですが、問題は国際原子力機関に今相当提供されておる。そこで、国産炉CP5等を運転するに必要なものとしての濃縮ウランは、国際原子力機関からの援助を要求し得るのではないでしょうか。
○宮崎政府委員 理論的にはそれは可能でございますが、時期的な要素を考えますると、その点がまだ疑わしいわけであります。
○岡委員 どうして疑わしいのですか、時期的に。
○宮崎政府委員 日本が必要なときまでにはっきり国際原子力機構に入手されておるかどうか、またそれに対して、実際日本が入手しまするにつきましてはいろいろ協定等が必要になって参りまするから、そういう点から時期的に間に合うかどうかという点が疑わしいということを申し上げたのであります。
○岡委員 間に合うかどうかではなく、間に合うなら間に合う、間に合わないなら間に合わないという判定を聞きたいのです。たとえば、CP5を動かすためには、重水が七、八トンばかりということです。この重水の場合一つ区別をして、CP5で差しあたり必要なものは重水が七・五トン、これは向坊君のところに原子力委員会の渉外部長から来ておるコミュニケを見ると、ステートメントで入るということが新聞に出ておる。そうすると、差しあたりCP5を動かすのに必要な重水は、ステートメントで出す、そして受け入れるということは可能なのではないですか。
○宮崎政府委員 ステートメントによる方式によりましても、やはり一々協定を結ぶ必要がございますので、むしろこの一般研究協定を結んでしまった方が、将来一々そういう協定を結ぶ必要がなくなってくるわけであります。できればそういう方法によってやりたいと思っております。
○岡委員 しかし、たとえばジュネーヴ会議が九月にあるとか、十月には第二回の国際原子力機関の総会があるとかいうことで、相当原子力の平和利用の進歩も刮目すべきものがある段階において、まずとりあえず必要なものは細目協定をさらに結んで、重水をもらったっていいじゃないですか。その煩をなぜいとわれるのですか。
○宮崎政府委員 ジュネーヴの会議その他の見通しの問題にもかかって参りまするし、これらの会議によりまして、そう画期的な新しい知識というものは期待せられておりませんので、やはり研究動力協定を結んでやっていきたいと考えております。
○岡委員 これはとほうもない失言ですよ。画期的成果が期待できないという根拠がどこにあるのですか。ジュネーヴの第二回の平和利用会議において刮目すべき成果が期待できないという根拠がどこにあるのですか、どういう理由で言われるのですか、学問上の問題ですか、明確にお示しを願いたい。
○宮崎政府委員 まだ今までわれわれが各国から得ておる情報によりまして、そう新しい発表が出てくるようには思えないように私は見ております。
○岡委員 どういう各国の事例ですか、事実を示して下さい。
○佐々木政府委員 ただいままで、英米等からいろいろ炉あるいは燃料等を購入いたしたいというのは、御承知のように一朝にしてここまできたわけではありませんので、ずいぶん長い間その点は研究に研究を積み、長期計画を作り、あるいは受け入れ態勢等を整備して、あらゆる準備を整えて、そうして各国の態勢等も十分検討をいたしました結果、今日の段階に立ち至っておりますので、ジュネーヴの会議そのものでどういう画期的なことが起るかということは、やってみないと実際わからないのではなかろうかというふうな感じはいたしますが、いずれにいたしましても、それによって今までの日本の原子力委員会が精魂を尽して研究いたしました成果が、一朝にしてくずれるというふうには考えておりません。
○岡委員 そういうことを何も聞いておるのではないのです。ジュネーヴの平和利用の成果が期待できないというのは、何を根拠に言われるのですか。こういうことを申し上げたくないのですが、私も一昨々年のジュネーヴ会議には、一週間くらいおったのです。今だって動力炉の安全性、動力炉の経済性について権威ある文献として尊重されておるのは、あのとき発表された論文ではありませんか。しかもこの二年有余の間には、この問題はもっともっと掘り下げて検討されておるはずなんです。日本だって、この二年の間にあの文献を基礎として非常に進歩があるではないか。あなた方は何を根拠にジュネーヴの平和利用会議というものの成果が期待できないというような不謹慎なことを言われるのですか。そういう考え方であるから、日本の原子力開発というものを取り扱う資格がないというのです。そうではありませんか。どういう情報に基いて、成果を期待ができないと言われるのですか。
○宮崎政府委員 私の言葉が足りませんでしたが、日本が現在結ぼうとしておる協定を不要にするほどのことはないであろうというくらいの程度のことであります。
○岡委員 取り消されたものと思います。 そこで一つイエロー・ケーキの方もカナダから五千トンですか、提供可能だということを言ってきておるわけだ。そうすれば、燃料公社で一つ今度は精錬の小さなプラントを入れてやられることだし、供給に事欠かないわけだ。それから重水だって、一つその煩をいとわずに、ステートメントを出してもらえば、CP5が動く可能性はあるじゃないですか。
○宮崎政府委員 私の方では、研究動力協定が締結せられるという可能性も早くくるという見通しで、そちらの方にたよっておるわけであります。
○岡委員 それからこれは松井君に。私がこの間から少し調べたところによると、研究協定で高点濃縮ウラン、プルトニウム等も若干もらっておる国があるようですね。日本も、研究協定の改訂で当然もらえるものだと思うのだが、なぜその労を惜しまれるのだろうか。
○松井説明員 研究協定で高濃縮ウラン、プルトニウムを出すということは、各国に例があることは事実でございます。しかし、その入手の方法を、研究協定でやるか一般協定でやるかという問題は、いろいろな問題を考えて決定しなくちゃならぬ問題でございまして、おっしゃる通りに、現在の研究協定でやることも考えておることは事実でございます。しかしながら、日本の原子力の開発をできるだけ早く着実に有効にやるためには、その方法が必ずしも万全のものではないという結論に政府は達したわけでございます。
○岡委員 どういう理由で万全なものじゃないのですか。
○松井説明員 御承知の通り、それはアメリカの研究協定の改訂も一々変えるためには、アメリカの原子力法の規定に基きまして、国会に一月さらしておく必要があります。その交渉が一月から六月ころまでの間に終ればいいけれども、それがはずれると、一年おくれるということです。このタイム・リミットを、一年おくらすということのマイナスと、それから一年おくらして研究協定を改訂して、プルトニウムを売るという利益とを比較してみますならば、おのずから回答が出てくる。しかも問題はプルトニウムだけではございません。重水並びに天然ウランのようなもの、いろいろなものがございます。さっき岡先生からステートメント方式で簡単に入手できるとおっしゃいましたけれども、これはいささか事実が十分に先生のところに伝わっていないのじゃないかと確信しております。ステートメントというのは、何も日本側が勝手に出して、それでもらえるというものじゃございません。ステートメントの内容が、国会に報告して承認を要すべき事項があるということをよくお考えになっていただきたいと思います。もちろん、一々国会にかけてもいいじゃないかとおっしゃられればまことにその通りで、かけることの煩を決していとうものではありません。ただ、しかしながら、アメリカの原子力法の建前上、そういうことをやっていると、一年にあるいは一つしかできないかもしれない。そうすると、三つか四つやるのに、三年も四年も待つかというジレンマに陥るわけでございます。そこで政府はいろいろなほしいものを一ぺんにもらえるところのオムニバスのようなものを作って、収容人員が五十名あっても全部もらってくるようにする。——ちょっと粗雑な言葉を使いましたことをおわび申し上げます。
○岡委員 とにかく、あなた流にいえば、どれほど恋いこがれた女でも、手くせが悪いと思えば、やはりあきらめてもらうよりないじゃないかということを私は言いたいのだな。問題は、もらえるじゃないですか。そうすれば、できるだけあなた方は研究協定の改訂で、ステートメントや保障条項があったって、CP5ですでに濃縮ウランをもらっておる、それには保障条項がついているのだから、これは断わる理由はないでしょう。今、学界なりが、あれだけ、やめろ、慎重にも慎重を期せよと言っておるときに、そういう日本の専門的な学界の意見を無視して、ただオムニバスを一台買い込めば、その中にぞろっと入っているなんていう、そういう安易な考え方でいかないで、一条々々細目について国会の審議をやらなければならぬし、アメリカの審議もやらなければならぬ。こっちも審議をするにはやぶさかではありません。そういう考え方の問題なんだな。
○松井説明員 岡先生、これは私ら事務当局の問題でございませんで、原子力開発を基本的にどう進めるかという国の最高方針に関係ありますので、私は事務的なお答えしかできません。
○岡委員 そこで僕は大臣にも来てもらいたいし、藤山さんにも来てもらいたかった。あの人はよくわかっておらない。松井君の教育が悪いと見えるが、よくわかっておらないから、来てもらいたいと思ったのです。 それから、国際原子力機関も、先ほど御報告のように、燃料物質の相当なものを持っておるわけですが、これはそう簡単に手に入りそうにないのですか。
○松井説明員 入手する場合には、まずこちらが、どの目的にどれだけのものを使うか、それから、その計画が科学的、技術的に見て可能であるかどうか、諸般の総合的な計画を提出しなければならないことが第一。これを原子力委員会の委員会なり総会で審査します。その結果、エージェンシーが、日本側のプロジェクトが妥当であると認めた場合には、日本の政府と向うの機関との協定を作らなければいかぬ。その協定の内容が問題でございます。行政とりきめができれば非常に機動性がございますが、万一また法律的にちょっと問題があるような条項があれば、国会の御承認を得なければならぬ。協定はそれだけではございません。それから、そういうものを買えば、査察の対象になるために、査察を受けると思います。特権免除条約を作らなければならぬ。これがまた相当の問題になります。それがミニマムでございます。その前にまだきめなければならぬことは、物を出す場合、購入か賃貸か知りませんが、そのときのチャージをどうするか、たとえば、カナダの工場渡しの酸化ウラン一トン幾らという値段をそのままエージェンシーが受け入れるかといえば、そうはいかぬ。受け取ったもののチャージをとらなければならぬから、その値段をどうきめるか、一回きめればあとは同じものについては同様の値段が適用できると思います。それが肝心でございます。全機能を発揮するような問題を一ぺんにやられるわけです。従って、それはもちろん日本として手をつけることは、決して労を惜しむものではございませんけれども、憲章の規定その他から見まして、そう簡単に右から左にくるものとはわけが違う。かなり長期間の交渉をいたさなければならぬ、そういうふうに思います。そのために、おくれた時間の差が開発計画に間に合うかいなやという問題です。その点につきましては、原子力局の方がよかろうと思います。
○岡委員 原子力産業会議が出しておられる最近の「原子力海外事情」を見ますと、国際原子力機関の常任米代表ロバート・マッキニー氏が、「国際機関はウラン、トリウム、黒鉛及び重水のような炉心構成材料を信頼し得る方法で提供する手段を持っている。」こう言明しておるわけです。もちろん私は、くれるといって手を出したからといって、くれというように安易な考えは決して持っておりません。これは初めてのケースかもしれませんが、それにはいろいろな条件を切りさばいていかなければならぬと思うのです。しかし、なぜその労を惜しまれるのか、これをやることが、理事国として運営に直接責任を持っておる日本の当然の任務ではありませんか。
○松井説明員 労を惜しむとおっしゃったのですが、何の事実に基いてそんな論難をされるかわかりません。私らとしては、与えられた範囲の人とひまと予算をもちまして、全力をあげてやっておるはずであります。外務省で私が原子力をやりましてから、日本はすでに原子力協定を六つ作っております。これが労を惜しんだということでしょうか。
○岡委員 松井君の精励恪勤はわれわれの常に敬服しておるところです。これはあなた方に言ったってしょうがないけれども、日本の政府として——ほかの人が言うのならばいいけれども、国際原子力機関にアメリカを代表して参加しておられる常任のマッキ二一が報告を出した、その道のエキス。バートであれば、その言を信頼してもいいと思う。十分信頼し得る援助の方法を持っておるというて、全部をあげておる。さあ差し上げましょうといっておるわけだ。してみれば、それは協定その他いろいろな問題はあるでしょう。あっても、日本としては、国際原子力機関の援助を受けるという方向に日本の原子力開発を進めるのが当然ないき方ではないかと私は思う。それをやらないということになりますれば、松井君は実に精励恪勤であるが、外務当局はきわめて怠慢である、いんぎん無礼千万であると私は思う。
○宮崎政府委員 仰せの通りでありまして、松井君の精励恪勤及び今おっしゃった国際原子力機構から提供し得るものをできるだけ国際原子力機構を通じて受け取りたいということも、これも全くその通りであります。われわれもそれをよく検討いたしてみたのであります。まじめに検討いたしました。そして、実はそれでやりたいのでありましたけれども、いろいろの技術的な困難がありましたので、これは今松井君が言いました通りでありますが、そのために、涙をのんで今一応目をつぶるということにしたわけでありますから、そこら辺のところを御了承願いたいと思います。
○岡委員 全くそれはいんぎん無礼だと思うんだね。努力を一体どの程度なされたかということですね。実際もし国際原子力機関に手続をとって、どの程度時間がかかって、CP5もどの程度おくれるという見通しがついておるのですか。
○佐々木政府委員 私どもの先ほど御説明申し上げました諸材料の希望時期は非常に迫っておりまして、この夏あるいは早ければ今すぐでも、たとえばウォーター・ボイラーの据付などは、設備が全部できておりまして、天然ウランを入れさえすれば実験に取りかかれるのに、それが入手できないので、今まで実験を見送りになっておるという現状でありますので、できるだけ早く入手したいという希望を強く持っておるわけでございます。従いまして、できますれば、時期的には最も安全な方法と申しますか、確実な道を選んで、そういう資材を早く入手して、わが国の原子力開発に支障のないようにというのが当然の考え方だろうと思いますが、その際に、国際機関がそういう時期的な面から要望に沿い得るかと申しますと、これは外務省の観察によるわけでありますけれども、私ども承知いたしておる範囲におきましても、そういう時期的にはとうてい聞に合わぬであろうというふうな見通しのように承知しております。
○岡委員 その間に合わないであろうという見通しの根拠は、どういうことなんですか。研究協定を改訂をすることの方が、こうして国家、国民の世論の分裂のような状態でもってやるよりも、政治的にももっと賢明ではなかろうかと思うのです。国際原子力機関の理事国として、理事会がこちらのデザインを承認するんだから、承認すればあとは法律的な手続問題、条文の整理等の問題なんで、これだって双務協定で幾らでも方法はあるわけだね。だから、やろうとすれば何もそんなに半年も一年も日本の原子力開発が、CP5が、たなざらしになることはないんじゃないですか。
○松井説明員 半年もたなざらしにしておるわけじゃ決してございませんで、総会の機関が発足したのは、御承知の通り昨年の十月であります。その後数回にわたって理事会をやっております。非常にああいう大きな国際機関を作りますためには、燃料の提供とか査察の問題もありますけれども、その前に外郭をきめなければいかぬ、まずその予算をどうきめるとか、人員をどうきめるとか、オーガナイゼーションをどうするかとか、あるいは職員の恩給、退職の規則をどうするとか、そういうものも膨大なもつのがございます。それがようやく片づきまして、最近になって、アメリカは初めから濃縮ウランを出すという、これは声明しただけで、機関に渡っておるわけではございませんで、カナダ、ポルトガルからもぼちばち燃料の提供がございましたので、外務省といたしましても、できるだけこれらの機関を通じて、燃料とか技術援助をやりたいという考えを持っておりますが、決してむずかしいからやらぬと、いうわけじゃないのです。まず、その天然ウランにつきましては、アメリカから入るか、カナクから入るか、あるいは国際原子力機関から入るか、あるいはこの三つからとるようにするかというふうな問題がございます、あるいは、三つのうち一つか二つか選ぶか、いろいろの問題がございます。現在の段階におきましては、一般協定がはとんど交渉の妥結に達した今日におきましては、これを調印して発効させて、これによって燃料を得ることが一番早いんじゃないか。それで日本の研究用の国産動力炉のいろんな開発に資する、実験用の燃料もどんどん入ります。その上になおほしいものがあれば、これは国際原子力機関を通じても、あるいは天然ウランについてはカナダから買ってもいい、国際原子力機関から買ってもいいのです。現にそういう二つの案が出ているわけであります。これはどの道をとるかということは、私はどちらでもいいけれども、その同じものを二つの機関、三つの機関、国を通じて一緒に並行してやることは、事務的に不可能じゃないか、一つきまりをつけるべきではないかという問題を、政府部内においては研究しております。いずれにしましても、国際原子力機関から燃料をもらわないという意思は、全然ありません。かえって積極的に入れたい。しかも日本が一種のパイロット・プロジェクトを出しまして、一種のレールを引くことの任務を果したいと考えております。日本はむしろ積極的に国際原子力機関を育成しよう、率先して協定その他もやっていこうという熱意を持っている、この点は御了承願いたいと思います。
○岡委員 だから、あなたの課の人が足らなければ、予算をふやしてもらって、そしてやはり重点的に国際原子力機関の理事国として一生懸命がんばるということをやらないと、現在人手が足りないから、そうあっちもこっちも手が伸ばせない。そこでアメリカだ。ところがアメリカでは七トンということになって、六十五万キロワットの発電をするようになる。そこが最高額であるから、そのつど話をすればいいということは、しかし佐々木君、そうは私はいかぬと思います。やはり日本の原子力委員会の正規の決定ではなく、一応の、何というか、思惑を作って、これだけのものは要りますというので、向うと相談をして、一応七トンという最高額をきめたということになれば、向うでも、原子力委員会という法律で設置された権威ある公的な機関ですよ、それがその場になって、要らなければ要らないんだというような、そんな腹づもりで交渉していくというようなことは、国際交渉としても私は誠意がないと思う。そういう意味で対米協定全体の経過を見たって、もらうかなめの濃縮ウランの七トンが、原子力委員会によって正規にきまったものではない、ただ思惑でそういうところに一応線を引いてみた、しかし、いざとなれば、もらわなくてもいいんだということでは、これは原子力政策、原子力外交というものが、露骨な言葉で言えば、もてあそばれておるという感じがして私はしょうがない。こんなことで一体日本の原子力政策というものが、開発というものが進むであろうか。もっとまじめに取っ組んでもらわなければ困ると思うのです。しかし、そういうことは、松井君の言うように、最高方針だと言われれば、大臣の一つ話でも聞くよりしようがない。 それで、これはまた事務的に私お聞きしておきます。時間もありませんからほんのわずか……。プルトニウム問題が、対米協定で今一番私ども心配しておるんだが、これは一体どういう取扱いに今折衝の段階であるんですか。原子力委員会としては、プルトニウムの問題について御決定になったのがありましたね、それをまず承わっておきたい。
○佐々木政府委員 原子力委員会といたしましては、この前の国会で規制法等を通す際に、附帯決議として出ております通り、返還したプルトニウムは、平和目的に使うように強い国会側の希望がございましたので、そういう線を尊重いたしまして、そして外務省の方には、できるだけそういう希望に沿えるように折衝していただきたいというふうに申し入れてございます。
○岡委員 できるだけ趣旨に沿うてくれという、国会としてそんなことですか。絶対に一つプルトニウムは他国に売って軍事的な転用は禁止すべきだという強い意思表示をしたと私は思うんだが、いずれにしても、その点、今どういう取扱いになっておりますか。
○宮崎政府委員 日本の方から、交渉の途中におきまして、そのことを強く申し入れてありますし、またこの協定にも書き入れることを初めは努力したのでありますけれども、それが実現いたしませんで、その後、米国の国内法で、外国から買ったプルトニウムを両方に、軍時にも平時にも使えるようなふうに修正するというようなニュースも伝わりましたので、それについても非常に驚きまして、よく確かめてみたのでありますが、しかし、ただ、これはこの買い入れの期間を十五年の間にわたってやれるというだけであって、実際その目的、用途を拡充したものでないという報告を受けております。それで、その点は少し安心いたしましたが、さらにできるだけ向うの方に——その後またヴァンス副委員長が、日本から買うプルトニウムはと平和的以外に利用しないということも言っておられますし、できるだけそれを何らかの形で日本の方法にアッシュァーしてもらいたいということを努力しておるのであります。
○松井説明員 ちょっと今の局長の御説明に補足さしていただきますが、国会の決議については外務省も非常に重視いたしまして、その最善の努力を尽しております。それで、プルトニウムを平和利用するということにつきましては、実行可能の最良の方法をとるように交渉中でございます。大体御満足のいくラインで近いうちにまとまると思います。決して無視しておりません。それから、イギリスの協定につきましては、日本の平和処理を越えたものについての向うが買い取るものの対象は、これは必ず平和利用にするということを本文にはっきり書かせたことは、すでにこの前に御説明申し上げた通りでございます。アメリカの場合も、それと同様程度のものを、本文にはないかもしれませんけれども、非常に権威ある方法で、はっきり文書で確認させるというくらいにやっておって、うまく行きそうでございます。
○岡委員 御満足がいく方法と言うけれども、私どもが満足のいく最良の方法は、まず協定の成文にはっきり書いてもらうというにとで、そうでなければ御満足がいきかねるわけでございますが……。
○松井説明員 もちろん、それは百パーセント御満足がいくかということにつきましては、それは相手がありまして、困難ですが、しかし、事実上、協定の本文に書くと書かざるとを問わず、まずこの問題は、七条に書いてありますが、平和利用の問題は、まず本来はほんとうはシンポジカルのものでございまして、平和利用のものは全部日本にくれるのでございます。そうして、その余ったものについては、向うは先買取権を行使するか、もしくは買取権を行使しつない場合には、第三国なりに譲渡してもいいという規定がございます。従って、向うが協定の関係において買ってしまったものは、使用目的まで協定の本文に書こうというのができればもちろん理想的ですが、そうはいかない場合は、それにかわるべき方法を考えなくてはならぬと思います。外交交渉ということは、相手がございますので、もちろん岡先生の百パーセント御満足のいく方法ができれば理想的ですが、向うはいろいろな関係国との協定の関係その他の理由によりまして、遺憾ながら協定本文を直すということにつきましては成算の見込みはございません。しかしながら、それにかわるべき、しかも法的効果を見まして、十分な考えられる方法と表現をもちまして、今努力中でございます。詳しいことは、交渉中でございますが、近く妥結すると思いますから、その上で十分に御報告します。
○岡委員 へたな妥結をしてもらっては困るからお話ししておるんだが、それでは協定本文に軍事的転用はしないという約束を取りつけることはできない、こういうことですね。
○松井説明員 全力を尽しましたが、その点はほぼ不可能に近いという認定に立ちまして、それにかわるべき方法を今考えております。しかし、文書による確認であることは間違いございません。
○岡委員 それではいかなる文書によって、あるいはいかなる形式の文書によって、その約束を取りつけられますか。
○松井説明員 私は、その方式については、十分に権威ある方法だと申し上げます。
○岡委員 具体的にどういうのですか。交換公文とか覚書とかいろいろ伝えられておるが、どういう形ですか。
○松井説明員 再び申し上げますが、十分に政府間の権威ある意思表示は、文書による確認でございます。交換公文にするかどうかという問題につきましては、まだ申し上げられないと思います。
○岡委員 いずれにしても、協定本文にないということで、権威あるものだとは私は考えられない。というのは今、宮崎君も言われた、ことしの三月七日付でストローズ委員長は、原子力法第五十五条の修正案を撤回したと発表しておる。それで、なぜ撤回したか、五十五条の修正案の内容とは一体何かというと、米国の軍事的な利益のために、海外のいわば使用済み燃料が利用される、また海外諸国における米国の管理下にある核兵器貯蔵に貢献できるという趣旨の修正を撤回しておるわけですね。これがなぜ撤回されたかということは、新聞の伝えるところによると、現在アメリカでは、核兵器の原料としてのプルトニウムは足らない、国内生産では追っつかない、だから一つ外国に平和利用の名のもとに動力炉を売り、あるいは研究炉を売って、そうして使い残りの燃料をもらって、足らないプルトニウムの補いをつけようというので、ストローズ委員長は第五十五条の修正を提案した。ところがなぜこれを撤回しなければならなかったかというと、結局アメリカの合同原子力委員会では、まずアメリカの現在のプルトニウムの生産施設というものが不備ではないか、だからできるだけ新しい近代的なプルトニウムの生産施設を早く作れという強い要求があって、秘密公聴会でそれらの数量等についての、あるいは技術的な面についての詳細なやりとりがあった結果、ストローズ委員長は五十五条の修正を撤回した、私はこう承知しておるのです。松井さん、何か別に変った考えでもお持ちでありますか。
○松井説明員 撤回した理由につきましては、要するに民主党と今の共和党の動力発電の推進の行き方についての本質的な意見の相違があるということが発見されたからであります。この案によりますと、確かにプルトニウムが足りないから海外から買う、そのためには予算外契約によるとまで出して買おうという相当広範な法案でございまして、これに対しまして民主党は、政府がプルトニウムを海外から買わなくちゃならぬという、それだけの大きな金があったならば、なぜ政府がもっと金を出して動力発電に対して本腰に力を入れないか、動力炉をやればその副産物としてのプルトニウムができるではないか、海外から買わなくても、国産でできるではないか、要するにそういうふうに、従来共和党と民主党との間に原子力に関する議論が紛糾いたしまして、そのために、今度の改正法案は、五十五条だけではありません、百四十二条、百四十四条の規定もその改正案でありますが、それはNATO諸国、盟邦諸国に対する機密条項、軍事条項の提供、軍事的の、原水爆のある程度の武器をやる、濃縮ウランまでやるというふうな相当広範な改正案でございまして、この五十五条のためにほかの条文の審議がおくれることをおそれまして、ストローズはこの五十五条を一応撤回いたしました。しかし、それはそれでもいいのだ、だからほかの方の条文を急ぐからという理由で撤回したというふうに私は考えております。もちろん先生のおっしゃったことも確かにその一部の理由だと思います。
○岡委員 いずれにしても、こういう事実はいなめないと思うのだな。現在民主党も共和党も、彼らが知っておることは、アメリカにおいては、プルトニウムの生産が、アメリカの核兵器の生産に追っつかないという事実ですね。このことは私は事実だと思う。これは否定できないと私は思う。何か、あなた言いたいことがありますか。
○松井説明員 これはプルトニウムの所要量が、平和利用にするか、軍事利用にするかということによって、問題が全然違って参ります。軍事利用の所要量につきましては、私は門外漢でありまして、これは意見を申し上げるところの能力は全然ございません。平和利用についてはどうかと申しますれば、平和利用の所要量は少いのである。プルトニウムを燃料とするところのブリーダーの設計がまだ初期の段階でございますので、平和利用は少いのじゃないか。軍事利用は幾らかということにつきましては、私はわかりません。これは軍事機密だと思います。
○岡委員 これは新聞にはっきりとワシントン特派員の報告が出ておる。こういうことが新聞に出ておる。これは最近のワシントン二十六日発だ。あなたは軍事機密と言われているけれども、ニュース・ウィークに書いてある。「ニューズウイーク誌によると、プルトニウム不足のために米国の小型核兵器計画は足踏み状態にあり、プルトニウムをバンラォードのような時代遅れの工場に頼っているが、陸海空軍の戦術用小型核兵器はみな主としてプルトニウムを使うので、戦略的核兵器と違って非常に多くの数がいる。それに要する。プルトニウムの量は数年前まで考えられなかったほど多いという。ストロース委員長は新たに政府が工場を作ることに反対して、外国からの買入れか、または将来米国内の民間の原子炉でできるものを買うまで待とうとしている。一方議会の方はこの春政府に新式のプルトニウム製造原子炉を作らぜることになろうとニューズウイーク誌は報じている。」ストローズ委員長が撤回したてんまつ、いわゆるその内面的な事情というものが、日本の新聞にも出ている。だから、問題は、あなたは知らないと言うが、アメリカ国内の大雑誌であるニュース・ウィークが、最近の核兵器を作るには非常にたくさんのプルトニウムが要る。米国ではとてもその自給は足らない。国内で作るか、外国から作ったものを受け入れようかという事態に迫られておるということは、これは私は明らかだと思う。そういう事情の中で、——これは正力さんが来られたから、正力さんにちょっと……。そういう事情の中で、今外務省の答弁を聞けば、何か知らないが、軍事目的には使いませんという一札をもらうから、それで一つ安心をしてくれ、こうおっしゃるのだが、向うでは、核兵器の大量生産、これは対ソ関係においては必至な問題だと思うのですよ。そういう中で、その協定の本文でもないもので、使いませんというような一札をもらうから、まあ大丈夫でしょうというようなことで、安心ができるのか、一体国民が安心ができるだろうかという点ですね。正力さんどう考えますか。
○正力国務大臣 私は、アイゼンハワーは、今度濃縮ウランについても、みな外国に出したものについては軍事用には使わぬということをすでに宣言しておることでありますから、こちらの返したプルトニウムをむろん戦場に使わぬと確信しております。
○岡委員 ただ問題は、お互いに人間同士だから、色が違ったって信用はしたいのですけれども、しかし、核兵器という問題は、やはり両陣営の必至な問題なのですね。そこで軍事的な目的に使いませんという一札をもらって、それで使わない、アイク大統領もそう言うているからということで、一体国民が安心ができるかどうかということですね。そうあってほしいのだ。あってほしいが、日本の国民感情として、原水爆の禁止というものにこれだけ大きく盛り上った感情を持っておる生きた国民感情として、そういう紙きれ一枚で、作らないであろうと言われても、現実は、アメリカにおいては核兵器の大量生産を急いでおる、国内におけるプルトニウムの生産は足らぬというアメリカのこういうニュース・ウィークなどという大雑誌が、最も発行部数の多い雑誌が伝えておるときに、一体そういうことで安心ができるかということです。安心ができますか。
○正力国務大臣 私はアイゼンハワーの言うておることが間違いないと思うておりますし、何しろ条約でありまして、アメリカは、日本がこう言って、日本だけ特別の例を開いて要求することは、なかなか向うは聞くまいと思っております。それでは、聞かなければ条約は締結せぬかというと、これは打ち明けた話ですが、そこまではいかぬので、向うがせぬと言うておるから、信用していくより仕方がないだろう、こう思っております。
○岡委員 濃縮ウランは、これは買い取るつもりですか、それとも貸してもらうつもりですか。買い取るときと、貸してもらうときの価格はどれくらいですか。
○佐々木政府委員 研究協定の六キロの範囲内でありますと、これは賃貸も可能であったのですが、もうその時代は過ぎまして、今度動力協定、一般協定に入りますと、燃料は原則として買うつもりでおります。
○岡委員 そうすれば、本来日本に所有権があるわけですね。使用済み燃料といえども、日本に使用権はある、所有権はあるわけですね。
○佐々木政府委員 通常な民法上の解釈からいけば、そうだと思います。
○岡委員 この対米動力協定の約束の中では、それは言えないのですか。
○佐々木政府委員 条約でその所有権なり使用権に対して制約がつきますれば、その制約に従って問題を処理しなければならぬと思います。
○岡委員 日本が所有権を持っているものなら、やはりそれが軍事的目的に使用されるかいなかということについては、国際原子力機関あたりで一つ査察をしてもらって、軍事的利用の転化を防止するということは、当然日本としてもよき先例だと私は思うのだが、こういう交渉をしたことがありますか。
○松井説明員 国際原子力機関の査察を受けるのは、機関から燃料の提供を受けた場合だけにまず第一義的に適用されるのです。アメリカ政府が国際原子力機関から燃料をもらって、その結果できたことにつきましては、国際原子力機関の査察というものは予想されますが、もしもアメリカが燃料を提供するだけでもらわないというのならば、憲章の建前としましては、国際原子力機関がアメリカの使用状況を査察することは不可能でございます。これは法律的に不可能でございます。政策的に、させたらいいかという問題は、国際原子力機関を通じた方がいいか、あるいは全面的に軍縮協定のようなものでやるべきかという問題は、政治的な判断の問題だと思います。
○岡委員 政治的の判断と言うけれども、それこそ軍縮協定なんというものを待っておったんでは、百年河清を待つじゃないですか、今の現状で。当面するものは、受け入れるものは日本に所有権がある。日本はある価格で買い取るのです。適当な価格で買い取ったのだから、日本に所有権があるならば、所有権のある濃縮ウランというものを動力炉で燃やしてみた。さて使用済み燃料が出てきた。これも当然日本は所有権があるわけです。これは軍事的転用がされないというならば、当然日本は国際原子力機関の査察を受けて、そうして初めから終りまで軍事的転用をされないという保障を国際原子力機関の立場でやってもらうというなら、日本の所有権を持っておる使用済み燃料についても、国際原子力機関が軍事的転用されないということについて、責任ある保障措置を適用してくれる。これはできないというのですか。
○松井説明員 それができないとはだれも申し上げませんのです。保障措置につきまして、さっき申し上げたように、日米原子力協定の保障措置、たとえば副産物の化学処理の方法、貯蔵の方法その他に関するものまでも国際原子力機関にやらせるとすれば、問題は解決します。
○岡委員 そこで最後に正力国務大臣にそれではお尋ねをしますが、あなたの御答弁によると、結論を申し上げますと、アメリカとはすでに数カ国が一般動力協定を結んでおる。これらの国国はアメリカの優先買付権、ひいては軍事的にこれを利用するということについての自由を認めておるのである。であるから、アイゼンハワーがこの軍事的利用はしない、こういう言明をしておるから、それを信頼してと言われても、現にアメリカ国内においては、核兵器の製造のための燃料であるプルトニウムが足らないので、ストローズ委員長が外国から入ってきたものも全部それに持っていこうじゃないかという修正案まで出したくらいの事情にあるのであります。しかし、それには目をおおうて、アイク大統領の声明を信頼して、使わないであろうという期待を持って動力協定を進めた方がいい、こういうふうにお考えなのですか。
○正力国務大臣 それで十分だと思いますから、それで契約、協定したいと思っております。
○岡委員 重ねてお尋ねするが、そうすればとにかく協定の成文に入れることは不可能になる、そこで別な形でアメリカが日本から、濃縮ウランの使用済みのものについては平和利用に限るということで買い取るというならば、売り渡す。従って、それがアメリカの国内の現実の事情から軍事的利用に転用されるおそれがあるとしても、これについてはあなたは責任は持たないのだ、こういうことですね。
○正力国務大臣 将来科学国際原子力機関に移譲すると思うておりますから、その点もありますから、大丈夫と思って協定をするつもりであります。
○岡委員 国際原子力機関に移譲される時期は大体いつごろと見ておりますか。
○正力国務大臣 国際原子力機関も体制がまだ完備しておりませんから、おそらくは明年ごろになるだろうと思っております。
○岡委員 まあそれでいいです。
○菅野委員長代理 本日の議事はこの程度にとどめます。次会は公報をもってお知らせいたします。 これにて散会いたします。 午後三時五十一分散会