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28回国会衆議院1958/03/05

運輸委員会 第10号

発言数
67
登壇者
6
会派数
2
開催日
1958/03/05

会議録

赤澤正道自由民主党

○赤澤委員長 これより会議を開きます。  陸軍に関して調査を進めます。質疑の通告がありますから順次これを許します。中居君。

中居英太郎日本社会党

○中居委員 道路運送法の問題に関連いたしまして、二、三運輸大臣に所見をただしておきたいと思います。  先般当委員会に配付されました運輸省の今国会に予定されておる法律案の一覧表を見ますと、私どもが期待しておりました道路運送法の改正法案が予定されていないということを私ども拝承いたしまして、非常に遺憾に思っておるわけでございます。御承知のようにいつの国会でもそうでありますが、ことに今度の国会を通しましての特徴は、道路運送法に関連いたしましての自動車行政についての論議が非常に活発に行われる。これは運輸委員会だけに限らず、本会議においてもあるいは予算委員会におきましても、この自動車行政についての質疑が活発に行われたわけです。このことをせんじ詰めると、自動車行政というものはただ単に運輸省関係、あるいはまたこれに関係を持っておる一部の人たちだけの関心事ではなくして、今や国民的な関心を集めておる、こういうことが言い得ると思うのであります。大臣も各委員会でお聞きの通り、この問題は交通安全の確保の問題、あるいは交通道徳の問題、あるいは需要供給の問題等に多岐にわたっておるのでございますが、これらの意見を聞いておりますと、即座にこれらの意見を取り入れて改正の方向に向い得るものもあるでありましょうし、また道路の問題等と関連いたしまして、なかなか早急に解決することの困難な問題も含まれております。しかしその中で運輸省のやり得る、またやらなければならない一番大きな問題は、道路運送法の改正ではないか、こう私は思っておるのでありますが、この道路運送法の改正法案が今度の国会に提出されないということを、私どもさっき申し上げましたように非常に残念に思っておりますが、この点についての大臣の所見はいかがでございますか。

中村三之丞自由民主党運輸大臣

○中村国務大臣 道路運送法は昭和二十六年に制定されまして、その後三回ほど改正されております。しかし自動車の増加というものは、文化の発展に伴う、あるいは産業経済の要求であると思いますが、三十万台も年にふえるという情勢でございますから、二十六年に制定されました道路運送法というものを、また新たなる角度から見なければならぬということは私も考えております。しかしまだなお検討を要する部面も、またこれからどういうふうに発展していくかということを一応見きわめる必要もございますので、本年は出さなかったのでございますが、この運用につきましては時代の変化に沿うて万全を期したい、こういうふうに考えておるのでございまして、検討の上将来改正すべきものありとすればやりたいと思いますが、本国会はまだ出さなかったのであります。

中居英太郎日本社会党

○中居委員 大臣の今の答弁を聞いておりますと、現在の道路運送法を検討して改正の必要があるならば、こういう答弁でありますが、私は現在の道路運送法というものは、すでに現在の少くとも自動車行政を律する根本的な法律としては、もう小さい衣になってしまっておる。すでに現在の法律をもってして今日の自動車行政をやろうとすること自体に無理があるのだ。そういうことがいろいろな現象となって、いろいろ国民の世論も惹起しておることではないかと思っておるのでありまして、改正の必要があるかないかということはもう問題ではないのです。どこをどう改正するか、今日の時代に合わしてどういうふうに改正するかということが、むしろ具体的な問題として論議されていなければならぬと思うのであります。御承知のように全国の自動車業というものは非常に目ざましい発展をして参りまして、想像以上の発展をいたしました。しかしこの自動車業の発達というものは、国の方針なり政策に確固とした政策方針というものがあって、そして国の政策としてこれが発達をしたものではないのでありまして、自然発生的にあるいは行政をする者の、あるいは政治を行う者の想像以上の発展をしているというのが現在であります。そしてこの想像以上に発達した自動車業界を律する法律なり機構なりというものが、いつもこれを追いかけておる。そして追いかけても間に合わないというのが、現在の情勢ではないかと思っておるのであります。大臣も今のお話で認めておられるように、この道路運送法というものは昭和二十六年大幅改正をいたしました。しかしこの大幅改正をする以前の道路運送法は、昭和二十二年当時の総司令部、GHQの示唆によってできた法律であります。ことにGHQのCTSが具体的な法律の内容までも国会に持ち込んで作った道路運送法が根本になっておるのが、今日のこの道路運送法であります。当時の国会の審議の経過を見ますと、GHQがわが国のこの道路運送法の整備に当り要求した根本的なものは、自由競争を原則にするということが第一であります。そしてもう一つは運輸大臣に集中されておった免許、許可の一切の権限というものを、アメリカのICCの方式と申しますか、委員会制度に移行させる、こういう二つの大きな柱を国会に持ち込んで、そうして自由競争という原則を立てて、この道路運送法というものを作らせたのであります。これが昭和二十二年の十月です。ところが一方国内の情勢はどうかというと、アメリカのICC方式によるところのこの自動車行政というものは、必ずしもわが国の国情に適していない。わが国の経済的な事情、あるいは業界の情勢、あるいは国民の自動車業に対する考え方、こういうものは自由競争ということよりもまず公益優先ということを第一にしなければならない、こういう国内的な問題があったのであります。従いまして昭和二十六年の改正に当りましては、この公益を優先すべしという日本の国内的な自主性の問題と、昭和二十二年アメリカの押しつけてきましたICC方式によるいわゆる自由競争という、この二つの全然相反する性格のものを一本にまとめたのが、昭和二十六年改正になった今日の道路運送法であります。いわゆる両棲動物が住んでおる。全然性格の異なる内容を含んでおるのが、今日の道路運送法であろうと思うのであります。このことが公益性を優先させようか、あるいは自由競争を趣旨に基いて優先させようか、こういう二つの意見が相乱れて、そうしてそれぞれの立場に立って、道路運送法を自己に有利なように解釈して、そして混乱を招いておるというのが今日の免許、許可、需給調整、あるいは需要供給をめぐっての自動車行政の混乱ではないかと思っておるのであります。従いましてこういう大きな問題がわが国の自動車行政というものを混乱させておるという現状にかんがみまして、根本的にこの道路運送法の改正をなすべき時期というものが、もうすでに数年前から到来しておるのであります。ところが今日に至ってもなお必要があるならば改正するとか、そういうようなあいまいな態度で運輸省がおるということを、私は非常に残念に思うのでありますが、この点について重ねて大臣の御所見を承わっておきたいと思うのであります。

中村三之丞自由民主党運輸大臣

○中村国務大臣 御質問の御意見、私も御同感の点は多いのであります。これを絶対的の自由にするということは、事態はなかなかむずかしいのでありまして、やはりある程度の規制をしていかなければならない。しかしその目的は公衆である、公益であるということは、私も心得ておるのであります。しかし一応どこまで日本の自動車というものが発展していくかという見すえも定めていかなければならない。これもやはり経済関係もありますし、またことに私の痛切に感じますのは、大都会を中心とする道路運送、自動車行政でございます。これらにつきましても、まだとくと研究する余地があると思いまして、この議会に出さなかったのでありますが、当然時代の要求と自動車そのものの発展によって、こういう法律は一段と進歩的に改正されなければならぬということは、私もあなたのおっしゃる通り感じておりますので、検討を加えまして、来議会に出す必要があるとするならば、これは準備をいたしたいと思いますが、ただいまのところは自動車運送協議会、各陸運局長のその地方の需給関係に応ずる処置に、政令によって一任をいたしておる。もとより本省といたしましてはこれが監督指導をしていくということは申すまでもないことでございます。

中居英太郎日本社会党

○中居委員 いや、大臣の言うことも観念的にはわかります。観念的にはわかりますが、私の申し上げておるのは、今日の道路運送法というものは終戦当時、アメリカの自由競争という原則のもとに作られた精神が半分組み入れられておる。そして昭和二十六年の改正の場合には、自動車は公益を優先しなければならぬ、そのためには強い国家統制というものを免許の面においても、あるいは料金の面においても、あるいは営業数の問題においてもやっていかなければならぬ、一方においてはこういう日本的な自主的な精神が組み入れられておる。ここに私は道路運送法の矛盾があると思うのです。具体的に矛盾が出てきておると思うのです。一例を申し上げますならば、こういうことがあります。交通事業というものはわが国の自主性では公益優先でなければならぬ、その公益の最も象徴的なものは何かといいますと、私は国営自動車事業がその象徴ではないかと思う。ところが一方においては自由競争を前提とするアメリカの精神が組み入れられておる。そして国は民間自動車を迫書してはいかぬ、圧迫してはいかぬ、むしろ国はそういうものから遠ざかる、こういう精神が一方においては入れられておる。そして中をとった国営自動車事業というものの第四章かに書いてありますが、第四章には国営自動車が運行するに当っては民間に対して損害を賠償しなければならぬというふうな規定まで組み入れられておる。一体これで公益を優先するという交通事業の模範的な法律であるということが言えますか。この一つをとってみても、この道路運送法というものが自由競争かあるいは統制経済かというこの問題を解決するための何の基礎にもならない、むしろ混乱さしておるのではないか、こういうふうに考えておるのであります。私の聞いておるところでは、運輸省ではこの道路運送法の改正のための特別委員会のようなものを設置したということを私は漏れ承わっております。運輸省が設置いたしました法律改正のための委員会は、大体どういった面についての改正のための検討をしようとしておるか、このことについて自動車局長から御答弁を願いたいと思います。

山内公猷運輸事務官(自動車局長)

○山内(公)政府委員 ただいまお話のございましたように、私の方の省で道路運送法法規研究会というものを設置いたしておりまして、各条章について検討を進めております。道路運送法につきましては、ただいま中居先生のおっしゃいましたように、初めはアメリカのモーター・キャリアー・アクトというものを一応モデルにして作ったわけでございます。それが日本の国情に十分適さないということで昭和二十六年の改正、その後の改正があったことは御承知の通りでございます。それでわれわれこの法律につきましてはこの研究会を作る前からすでに長い行政的な経験がございますので、その軍用上の問題等について各条章の検討は進めてきて参ったわけでございますが、簡単に申し上げますと、現在の自動車を規制する法律という性格を考えてみますと、現在の法律でも十分でない点がある。しからば戦前の法律に返ったらどうかということでございますが、この戦前の法律の背景といたしました自動車の数あるいは自動車運営のあり方というものと、今日の現在と非常に違っておりますので、これをもって範とするわけにもいかない。それでわれわれの方といたしましてはすでにもう十数年、この二十二年から現在までこの法律によってすべての事業あるいは自動車というものの規制が行われておった事実も、これは見のがすわけにはいかない。しかしこれを日本の現状にどう適合させていくかということにつきましては、従来の日本の法律は御承知の通り大陸法を相当取り入れておりますので、現在広く各国の法制も各事項ごとに分類をいたしまして研究するという態度に出ております。たとえばこれは単なる一例でございますが、一つの免許企業というものにつきましても現在路線から、あるいは区域全部を一つの免許という観念に入れております。しかし欧米法におきましては、その規制の内容の公益性いかんによりまして免許、許可あるいはその他の何といいますか、ABCというように分けておる国もあるわけでございまして、いろいろそういう段階に応じた免許の仕方をいたしております。またそれぞれについての免許基準も変ってくるかもしれないというふうに、全部根本的に検討をし直そうではないかということでわれわれ今検討いたしておりますのが、ただいま中居先生から御指摘がありましたわれわれの法規研究会の仕事でございまして、できるだけ早くこの研究をなし遂げたいと考えておるわけでございます。

中居英太郎日本社会党

○中居委員 自動車局長の話で大体改正に当っての運輸省の基本的な考え方はわかりました。それならば私は大臣に重ねてお伺いするのでありますが、現在の道路運送法というものは現状を律するには不満足である。従って改正のための検討を行なっておるということでありますが、不満足ながらも現在道路運送法という法律が現状の姿で生きておるとするならば、これに従って不便でも、多少窮屈であっても、自動車行政というものをやっていかなければならないということは、これは常識だと思いますが、この点について大臣はいかなる考えを持っておりますか。

中村三之丞自由民主党運輸大臣

○中村国務大臣 自動車に対して行政がどこまでこれを統制していくか、私はこれは放任的にやっておくべきものではない。自由放任ではならないと思います。従って公益のためにどこまで統制をしていくかということが私は大きな問題だと思います。そこで現在はこの法律が存在しておる。将来はこれは改正する機会があるといたしましても、現在はこの法律が存在をいたしておるのでありまするから、この法律の条章並びにその精神に従って時代に合うた運用をなしていかなければらぬと思います。ことに需要供給のバランスということ、これは非常に考えていかなければならぬと私は思っております。こういう点が現在の重点ではないかというふうに考えておるのであります。

中居英太郎日本社会党

○中居委員 大臣の答弁はその通りでしょうが、ただ答弁の中に、現在の法律を応用していくというような言葉があったようであります。しかし応用するなり、あるいは適用するなりということは、現在きめられておる根本精神のらち外に出てはいけないものである、根本精神のワクの中でやらなければならぬものだと私は思っております。また私が道路運送法の改正を強調しておるのも、根本的にはさっき申し上げましたような自由競争と、統制経済というような相反する二つのものを共存させようとする法自体の根本精神に間違いがあるのであるから、これを根本的に改めなければならない、こういうことが第一であります。しかしそういった大きな改正をする前に、個々の具体的な問題において、改正を要するような小さい問題でも出てきたならば、それをすみやかに一条なり二条なり改正するということがとられなければならない。現に昭和二十六年以来数度にわたって、小部分ではありますが、この道路運送法の改正は行われております。昨年の通常国会、一昨年の通常国会でも改正案が提出されて国会を通過しております。従いまして、大きな根本問題はともかくとしまして、小さい問題であっても早急に解決しなければならぬ問題があるといたしましたならば、基本的な問題は検討の対象としてたな上げすることはよろしいでしょうが、今国会に提出して改正しなければならぬじゃないか、そういうことを私は申し上げておるのであります。これは例になるかどうかわかりませんが、こういうことが現在あるわけであります。昨年の八月ですか九月ですか、運輸大臣の名前をもちまして自家用自動車の法律適用について運輸省が非常に大きな間違いをやっておるのではないか、こういうことを私は考えておるのであります。それで私どもは、昨年の通常国会におきまして、この自家用自動車の運輸省の法的な見解について、間違いであるからすみやかにこれを来たるべき通常国会に、この部分だけでもいいから改正法案を出して、すっきりした形において自動車行政というものをやつてもらいたい、こういうことを私ども申し上げたのであります。その当時の宮澤運輸大臣は、その通りであるから来たるべき国会にはこの点だけでもともかく改正案を国会に出そう、こういうことを私どもに言明しております。ところが今度の国会にはその小部分の改正の予定もなく、そして居直り強盗みたいに、運輸省の自家用自動車についての間違った見解を合法化するように、一片の施行規則の改正でこれを実施しておるということを私知りまして、非常に遺憾に考えておるのであります。具体的に申し上げますとこういうことであります。ドライブ・クラブの取扱いについてであります。昨年の八月九日、自動車局長の名前で各地方の陸軍局長に通達いたしております。この通達の内容を見ますと、自家用自動車の貸し渡し事業は、道路運送法の第百条、第百一条を適用する、こういうふうに書いております。自家用自動車の百条、百一条というのはこういうことであります。自家用自動車を共同で使用する者は運輸大臣の許可を受けなければならない、百一条は、自家用自動車は運輸大臣の許可を受けなれば有償で貸し渡ししてはならない、この二つの条項を適用して自家用自動車の貸し渡し事業を認めております。一体これはこの道路運送法を正しく解釈してそのような通牒を出したものであるかどうか。しかもその認可を与えているのはあなたであります。中村運輸大臣の名前でこれに許可を与えておる。これは一体どういうことですか、大臣の見解を承わっておきます。

中村三之丞自由民主党運輸大臣

○中村国務大臣 私もドライブ・クラブの問題につきましては就任早々いろいろ聞きました。そうしてこれをいかにするかということにつきましての私の決断を迫られたのでありますが、一応現在の通りにして——これは最終的ではございません、今後なお検討していきたいと考えておるのであります。これは御指摘のごとく百条、百一条によって行われたものであります。なお繰り返して申しますが、最終的なものではございません、これは今後検討を要するものと私は思っております。

中居英太郎日本社会党

○中居委員 自動車局長にお伺いしますが、一体自家用自動車というものは他人に貸し渡しをすることを目的として自家用自動車を保有することができますか。他人に貸し渡しをすることを事業目的として車を保有することが自家用自動車の定義ですか。

山内公猷運輸事務官(自動車局長)

○山内(公)政府委員 自家用自動車の定義といたしましては道路運送法第九十九条にございますように、事業用自動車以外の自動車をいうというのが法律の定義になっております。百条、百一条の解釈の問題であると思いますが、百条、百一条というのは自家用自動車の貸し渡しについて制限をしておる。ということは本来禁止すべきものであるというのではなくて、警察許可的な性格のものではないかとわれわれは解釈しております。なぜこれを制限しなければならないかといいますと、これを無制限に放置いたしますときには、営業類似行為が行われ、交通秩序が乱されるという意味からの制限の規定であると解釈いたしておるわけであります。それでその場合に、そういうものをちゃんとして許可をすればそういう疑いがないという場合には、個々の人間に貸す場合も、不特定多数人に貸す場合も、そう区別しなくてもいいのではないかという解釈のもとに、この点条、百一条によってドライブ・クラブの許可をやっているわけでございます。

中居英太郎日本社会党

○中居委員 私が先ほど来道路運送法の改正を申し上げておるのは、そこに原因があるわけです。現在の道路運送法というのは営業用自動車と自家用自動車と二つの種類しかないのです。従って自動車そのものを貸すということは私は商行為だと思う。運転手がついて所定の料金を取ることもそれは商行為でしょう。また自動車そのものを商品として他人に貸与して賃料を取るということも私はりっぱな商行為だと思う。しかし現在の法律ではそういうことが規定されていないから、そういうこともあわせて道路運送法の改正をすることが必要ではないか、こういうことを私は申し上げておるわけでありまして、さっき大臣は、さしあたって自家用自動車の百条、百一条を適用したのだということを申しております。しかしこの問題はここ一年、二年前に起った問題ではないのです。昭和二十六年にすでにこの問題が起って、運輸省が態度を表明しております。昭和二十六年十月二十三日付で各陸運局長宛に運輸省ではこういう通牒を出しておる。「近時自動車の貸渡事業を企図する者が散見されるが、道路運送法においては、この種の事業の出現を予想せず、従って適用すべき規定を欠いている」適用すべき規定がないとみずから告白しております。しかしこのような新しい事業を絶対に否定することは適切でないと考えるので、さしあたり自家用自動車の百条、日一条のこの運輸大臣の認可を得て貸し渡しさせる、こういうことで黙認する。昭和二十六年にさしあたってこういう処置を講ずること、こういう通産を出しております。私どもはこの通達を運輸省が出したことを知っておりました。その後数年間運輸省の態度を見守っておったが、さしあたってが三年たっても五年たってもさしあたってである。そこでたまりかねて、六年たった昨年、昭和三十二年に私どもはこういうことではいかぬじゃないか、さしあたってというのは、われわれの概念では半年か一年のことを言うのだ。さしあたってが五年も十年もというような解釈はできないから、すみやかにこの部分だけでもいいから道路運送法の改正を行なってはどうか、こういうことを運輸大臣に言って、運輸大臣もそれは申しわけなかったから、次の国会では必ずこの道路運送法の改正を行なってすっきりしたものにします、こういうのがその当時の運輸大臣の答弁でありました。私は少くともこの部分だけの改正は、今次国会にあるであろう、こういうことを予想しておりました。しかも昨年の秋には、それを裏づけるような正式の認可の方針を運輸省がとったということで、いよいよ二十八通常国会にはこの問題の改正が出るだろう、こういうことを期待しておりました。ところが当初申し上げましたように、運輸省が予定をしておる今国会の提出法案の中にはこれが含まれていない。そこで私はあえて再び三たびこの問題を運輸省に申し上げておるわけでありますが、この点について大臣はいかがお考えですか。

中村三之丞自由民主党運輸大臣

○中村国務大臣 先ほども申し上げましたごとく、現在のやり方をもって最終的なものと考えておりません。これが将来の実施についてはその経過を見て検討するということにいたしたいと思います。

中居英太郎日本社会党

○中居委員 自動車局長に重ねて伺いますが、今度の国会に出す意思はありませんか。

山内公猷運輸事務官(自動車局長)

○山内(公)政府委員 ドライブ・クラブの経緯につきましては、ただいまお話にございましたように、昭和二十六年ごろにはスクーターがおもでありました。スクーターによるクラブというものが出て参りましたので、ただいまお話のように、運輸省においては昭和二十六年十月二十三日に自動車の貸し渡しを業とする者についての取扱い方針をきめたことは事実でございます。しかしそういう取扱いは、当時スクーターだけでございましたが、昭和三十年ごろから四輪車によるクラブが出て参りましたので、これに対する措置としては十分でないということで、われわれの方といたしましても、以後その資料になるものをとるために事態を注意して参ったわけでございます。その結果、昨年の八月九日新しい方針を立てて各陸運局に指示したという状態になっておるわけでございまして、その場合に、ほかの道路運送法上の業として認めるかどうかということもまだ検討しなければならないのではないか。ただいまわれわれの方の許可をする方針といいますのは、先ほども申しましたような行政上の禁止の解除的な気持でありまして、これを助長するというところまで考えておりません。現在できるだけ規制していきたいということでございます。これを公益事業の一環として取り上げるだけの事業の公益性があるかどうかということも十分検討しなければなりませんので、まだ今国会に直ちにこれを御提案申し上げ、御審議を願うという段階にはなっておりません。

中居英太郎日本社会党

○中居委員 自動車局長の考えは、こういった変則な業態を助長せしめないための方針であったと申しますが、しかし結果は逆の結果を来たしております。昨年私どもがこの問題を取り上げて論議したとき、東京都内におけるいわゆるドライブ・クラブ、貸し渡し事業の件数というものは、大体私の調査したところでは百十三件、保有車両は五百七十台、ところが運輸省が昨年の八月、かくかくの基準でこれを認可するというような方針を打ち出して、しかもその法的な根拠を百条、百一条に求めている。現在運輸省に許可申請が出ているのは百八十件です。この申請台数は千八百六十二台、すでに認可しているのが三月三日現在で四十三件で、免許台数は四百三十一台になっております。自動車局長はむしろそういったドライブ・クラブみたいな変則なものを規制するために便法としてとったと言っております。しかしそういった運輸省の方針は逆に倍近い増加を見ております。車両台数においては実に三倍になっている。これは決してあなた方の考えている、規制せしむるというような結果ではなく、むしろこういったやみ事業というものを運輸省自体が助長させている結果になっていることを非常に遺憾に思っているのでありますが、こういう現実の問題についてのあなたの考えを伺いたい。

山内公猷運輸事務官(自動車局長)

○山内(公)政府委員 やみ行為というわけでは現在ないわけでございまして、われわれといたしましては、自動車の運転を習う人が現在非常に多い。それに対して車を貸すというものが今まで放任されておったわけでございます。そうしますと、その自動車に非常に不当な料金というものがあってはいけない、そういったいわゆる不法約款という面についても許可のときに対象にしているわけでございまして、われわれとしては一般の公益事業のように保護していこうという趣旨のものではないわけでございます。ふえましたのは、これはやはり一般的にそういう運転免状をとる人が多くなり、またそういう要請が多くなると、経済行為の必然でありまして、これを阻止することはなかなかむずかしいのではないか、助長する気持はないわけでありますが、自然的にそういうものがふえてくると、やはり需要に応ずるという態様をとることは、やむを得ないのではないかというふうに考えております。

中居英太郎日本社会党

○中居委員 あなたのお考えの、現われている現象の処理について、そういう考え方で処理していこうという誠意は見えますが、しかしそのためには現在の不備な法律を改正することが必要ではないかということを申しているのです。このドライブ・クラブをどうするかということを、あなた方は法律に相談することなく、ハイ・タク業者に相談しております。そうしてハイ・タク業者が、これこれの条件さえ整えばいいという了解を得て、こういうことをやっている。しかも運輸省がそういう方針を決定してから千八百六十二台という工合に申請台数がふえたということは、このほとんどがハイ・タク業者で占められているのであります。御承知のようにハイ・タク業者は、タクシーなどの場合には一年間大体十五万キロくらい走ると新車と代替いたします。その場合に下取りをさせると十万か十五万、せいぜい二十万円になる。その程度の安い価格で下取りをさせるよりは、五万か十万円の整備費を出して、そして一日に二千円、三千円、一カ月八方も十万もかせげるドライブ・クラブ、貸し渡し事業として転用するのが得策だという考え方で、こういうような千八百台という現在の車両申請になっておると私は思っております。現在都内には約一万三千台のハイ・タクがあり、そのうちの七割、八割がタクシーであると私は聞いております。そうしますと、大体一年間に一万台程度のいわゆる下取り自動車というものが出てくる。それをさっき私が申し上げましたように、有利に転用しようとすれば、必ずそういった貸し渡し事業というものに彼らが目をつけてくることは必然であります。そうすると、運輸省が一定の条件さえ整えば許可をするというような方針を、今のままで立てていったならば、この貸し渡し事業の対象となる自動車というものは、毎年々々何千台となくその要請はふえていくじゃないか。運輸省に対する認可要請はふえていくのじゃないか。そういうことを私は非常に憂えておるわけでありますが、この点についての自動車局長の考えはいかがですか。

山内公猷運輸事務官(自動車局長)

○山内(公)政府委員 現在ドライブ・クラブの許可につきましては、非常に慎重に審議をいたしておるわけでございまして、そのためには、警察の協力も得まして事業の態様について十分調査をいたしております。また許可基準というものをはっきり持ちまして、それによって審査をいたしておるわけでございます。ハイ・タク業者に当初相談をしたというお話がございましたが、先ほど申し上げましたように百条、百一条の趣旨というものが、そういったドライブ・クラブが営業類似行為をしてはいけないという趣旨でございますので、専門家の意見も徴して、トライブ・クラブが営業類似行為をするということが、一番ハイ・タク業者の反対のおもなものでございまして、それがないようにするにはどういうふうな方向でいったらいいかという、専門家の意見も徴した上で措置をいたしたわけでございます。業界の意見のままでやったわけではないのであります。

中居英太郎日本社会党

○中居委員 営業的類似行為をしてはいかぬ、こういう前提に立って規制をしておる、こういうことであります。しかし自動車を貸して料金を取るということは、すでに自動車を資本として、自動車を対象としての営業行為なんです。現在許可されておる営業の中にも、貸し切り自動車というものがあります。自動車を一日幾らで貸すという制度があります。これはもちろん運転手がついておりますが、営業の許可をもらった車でなければそういう行為はできないことになっておるわけです。自動車を貸すこと自体がすでにりっぱな商行為であり、営業である、それにもかかわらず、なおかつそういう行為を是認しながら、営業の類似行為をしてはならぬこういうようなことは非常に矛盾した理論ではないか、こう思っておるわけであります。重ねて自動車局長にお伺いいたしますが、この法律百条、百一条の二項が、そういった貸し渡し事業を合法化するような内容を持つ法律であるかどうかという点を、はっきりと御答弁願いたいと思います。

山内公猷運輸事務官(自動車局長)

○山内(公)政府委員 その点につきまして、前通常国会におきまして、中居先生の御質問に私も答えておったわけでございますが、こういう貸し渡し業の行為そのものが商行為であるということはもちろんでございます。ただその場合に、これを業として把握するか、個々の貸し渡し契約を行政の対象にするかという考え方がございまして、業として把握する場合には、百条、百一条でなくて新しい貸し渡し業というものを、この道路運送法の中できめるということになると思います。しかしわれわれの方としましては、そのときに御答弁申し上げましたように、まずその段階でなくて、貸し渡し行為そのものを百条、百一条にのっとって許可の行政対象にしたいということも申し上げたわけでございますが、これについての法解釈は、先ほど申し上げましたように、本条の趣旨からいいまして、貸し渡しの相手方が単数でなければならぬということではなくて、不特定のあらかじめまだ予想されないものであっても、その契約の内容を十分審査をすれば、この百一条第二項の趣旨を没却するものではないというふうな解釈は、正当に成り立つというふうに思っております。

中居英太郎日本社会党

○中居委員 大体自家用自動車は、自分が使うことを目的として所有する自動車でしょう。他人に貸し渡しすることを目的として所有する自動車は、自家用自動車ではないと思うのです。その点についてはいかがです。貸し渡しする場合には、そういう原則があるから、例外的に貸し渡しをする場合には、天災災害等の場合を除いては、特定の人間に運輸大臣が認可することによって貸し渡しすることができるということが、この法律の制定当時の精神です。そういう他人に貸し渡しすることを目的として保有する自動車が、それでもなおかつ自家用自動車であるというこの解釈は、この法制定当時の論議にはみじんもなかったのです。それを今になって、あなた方が自分に都合のいいような解釈をするということは、法に反するものである、法の精神をじゅうりんするものである、こう思うのですがいかがですか。

山内公猷運輸事務官(自動車局長)

○山内(公)政府委員 その点につきましては、実は当時私もアメリカに参りまして、アメリカのモーター・キャリアー・アクトにもこういう条文がないので、向うの責任者にもいろいろその点の質問をいたしましたが、要は、この自家用自動車の定義の前に所有権の問題があるわけでございまして、所有権を持っておる者が人に貸すことが根本的に否定されるということはあり得ないというのが、向うの解釈で、向うでは、自家用であれ何であれ、貸し渡しについての制限はないという話を聞きました。その意味からいいまして、われわれの方もこの条文を解釈いたしますのに、所有権の制限というものをどの程度やるかという問題になるわけではないかと思います。それでその所有権の制限は、ここに制限されております営業類似行為といいますのは、私言葉が足りなかったわけでございますが、ハイヤー、タクシーの営業に類似した行為をしてはいけない、あるいはバス事業その他、ここにいっております営業類似行為は、自動車運送事業の全部をさしておるわけでございまして、そういった業種に類似した行為をしてはいけないということを非常に強調するための反対論として、個々の人間の自動車の貸し渡しを制限しておるという解釈に立ちますと、不特定多数人に貸すということも、この精神を十分生かして、この精神を破らないように、その許可のときに気をつければ違法ではないというふうに解釈をいたしておるわけでございます。自家用自動車が本来人に貸すためのものではないということはもちろんでございますが、人に物を貸すということが、やはり所有権の一つの態様の中にあるものでございまして、それらの点につきましてはいろいろ議論があると思いますが、われわれとしてはこの百条、百一条の解釈としてやることは誤りでない、かように考えておるわけであります。

中居英太郎日本社会党

○中居委員 そうすると自動車局長に伺いますが、道路運送法の何条か、条文は忘れましたが、自家用自動車は有償で他人の需要に供してはならぬ、こういうのが一昨年までの道路運送法の自家用車を規制する一つの条項でありました。ところが、たまたま自家用自動車が営業行為に類似した行為をやることが、交通秩序、自動車秩序を非常に乱す。そういう該当自動車をつかまえて聞いてみると、いや有償ではない、無償でやっているのだ、こういう言いのがれをして取り締ることが困難である、そういうようなことで、運輸省自体が、そういう行為もいかぬ、従って有償無償を問わず、自家用自動車を他人の需要に応じて供してはならぬ、これをはっきりするためにということで、有償の文字をあなた方は削除することを提案してきました。そして自家用自動車の営業類似行為というものを規制したわけであります。それほどこの自家用自動車というものの行為に対して神経質になって、そして法律まで改正いたしましたあなた方が、今この百条、百一条の解釈に、あなたが今言われたような貸すことを目的として所有するものも自家用自動車であるというような解釈をすることは、解釈の矛盾じゃないですか。どっちが一体ほんとうなんですか。有償無償のいかんを問わず、他人の用に供してはならぬ、こういうような解釈をしてあの法律の改正を行なった。今度は貸すことを目的として所有する自家用車であってもかまわないのだ。こういうことは一体理論の矛盾じゃありませんか。どうですか。

山内公猷運輸事務官(自動車局長)

○山内(公)政府委員 有償、無償で人または他人の物を運送してはいけないということは、これは運送行為をわれわれは言っておるわけでございます。この場合自動車そのものを言っておるわけでございまして、それで運転手をつけて人の物を送る、あるいは人を送るというものは営業類似行為になるわけでございますけれども、自動車だけを貸してやるということでは、そのおそれがないわけでございます。

中居英太郎日本社会党

○中居委員 運転手をつけるとかつけないとかいうことは、これは末梢の問題なんですよ。貸すということを目的として所有して、そうして料金を取って貸すということは、これは営業行為なんです。商法にいう営業的商行為なんです。絶対的商行為とは言いませんが、営業的商行為なんです。自動車を所有することによって営業的商行為がここに発生するとしたならば、道路運送法の中にそういう新種の事業というものを、いわゆる黄ナンバーなり何なりで認めることを、運輸省というものはしなければならぬのです。私の言うておることは、そのことを言っているのです。従って、現在の自家用車の法律で有償で他人に貸してもいいのだというような解釈をなさることは、これはみずから墓穴を掘るようなことですから、そういう法律の不備は不備として是認して、そうして貸し渡し事業というものを営業自動車の何条かの中にこれを組み入れるような提案をなさることが、すっきりした運輸省の態度ではないですか。そのことを私は申し上げておるのです。こういった事業がいい悪いということを私は言っているのじゃないです。あなたも言われるように、これは社会の要請に応じて出るべくして出てきた事業なわけですから、そういうことを一がいに抹殺してしまうということは、これは時代の認識に薄いと思うわけです。そういうことはそういうこととして取り上げてやっていいじゃないか。ただ、そういうものをいつまでも暗い日陰に置くよりは、むしろ法律そのものを時代に沿うように改正して、新しい業種として、自動車をもってやる営業の一つの部門に加えてやるというような処置をとることが、私は運輸省としての当然の処置であると思っております。大臣は先ほど来この百条、百一条を適用するということはさしあたっての措置であって、それは本旨ではないというふうに答弁なさっております。この大臣の答弁から、私は近い将来にわたって必ずそういった貸し渡し自動車業というものを、道路運送法の中に運輸当局は組み入れるのではないかということを想定しております。しかし自動車局長はあくまでも強引に、自家用自動車のこの法律の適用で合法なんだ、こういうような答弁をなさっております。しかしそれは私は通用しない、こう思うわけでありますから、どうか大臣とその辺の考え方、意思を統一なさって、もう一ぺん御答弁を願いたいと思います。

山内公猷運輸事務官(自動車局長)

○山内(公)政府委員 私が今まで答弁して参りましたのは、現行法のもとでお話を申し上げたわけでございまして、立法論の問題といたしましては先ほど申し上げましたように、法規の研究会でもその一環として研究をして参りたい、かように考えております。その場合に、先ほどちょっとお話し申し上げましたように、現在の法の体系が、あらゆる事業についての免許というものが一様に行われておるわけでございまして、この免許、許可、認可といういろいろの行政行為のそういった権限の付与あるいは禁止の解除というものにも、段階があろうかと思っております。現在の道路運送法は、それを全部まとめました免許という言葉になっておりますが、この辺にも各事業の態様に応じたそういう免許、認可制度というものが取り入れられないかというふうに分けてくれば、こういうものも取り上げる余地が出てくるのではないかというふうに考えておりまして、目下立法論の問題といたしましては、研究会でいろいろの点から研究をいたしておるわけであります。

中居英太郎日本社会党

○中居委員 本来のドライブ・クラブというものは会員制度をとりまして、不特定多数じゃないのです。特定の者がクラブ制をとって、たとえば自動車を五両所有して、二十人なら二十人の者が共同使用しようとする、そういう場合には二十人の者が五台の自動車を購入するために必要な三百万なり五百万という金を会費として出資して、それを二十人の特定の者が利用するというのがほんとうのドライブ・クラブの趣旨なんです。現在東京であるいは日本各地で散見されるようないわゆる、ドライブ・クラブというものは、これはドライブ・クラブじゃないのです。自動車の貸し渡し事業なんです。これは特定の株主があって、あるいは特定の出資者があって、貸して料金を取ることを目的として行なっておる事業なんです。ドライブ・クラブじゃないのです。そのことを運輸当局は認識してもらいたい。むしろドライブ・クラブというものは時代の要請であるとするならば、私がさっき申し上げました前者の共同出資の、ほんとうの特定の者を会員制度によって運営されるようなドライブ・クラブというものを育てるように、あなた方は奨励すべきだと思うのです。またわが国の経済事情からそういうことも困難である、自動車の貸し渡し事業というものも多少あってもいい、こういう認識を持たれるならば、法律の改正を行なって、貸し渡し自動車業というものをこの道路運送法の一項目に加えて、堂々と運輸省の方針をもって免許の方向に臨んだらどうですか、このことを私は申し上げたいと思います。  それからもう一つ、運輸当局に強く要請しておきたいことは、さっきも申し上げましたように、ハイ・タク業者が代替する車の有効的な転用と申しますか、利用というようなことで、ドライブ・クラブというものに、貸し渡し自動車業というものに殺到しておるのが現状であります。これが一つの原因、それからもう一つは、伝えられておるような、来たるべき自動車の新免あるいは増車の際における既得権を得るために、そういった事業というものをやるのだ、こういうことも常識として伝わっております。こういう事業をやっておけば新免の際には優先的にいわゆるバイ・タク事業というものが免許されるのだ、あるいは増車する場合には優先的に増車の恩典に浴するのだ、こういうようないわゆる思惑的な考え方もあって、こういう貸し渡し自動車業というものがその思惑の対象になっておるということも現状のようであります。そういうことが決してないように、こういうドライブ・クラブというものはドライブ・クラブという目的に限定して、健全な発達をさせるように運輸当局は心がけるべきではないか、こういうふうに私は思っております。  もう一つ、自動車局長に尋ねておきたいことは、さっき申し上げましたように、三月三日現在で認可されておるドライブ・クラブの件数は四十三件、そしてその資本構成を調べてみますと、株式会社がその大半の六〇%を占めております。有限会社あるいは個人所有が四〇%、個人経営というものが若干であります。その中で私が納得いかないのは、寄付行為による財団法人を性格とするものが一件許可になっております。これはどうしたことなんですか。

山内公猷運輸事務官(自動車局長)

○山内(公)政府委員 実はこれは陸運局の所管で個々の免許事案をやっておりますので、詳細は存じないわけでございますが、寄付行為による財団法人となりますと、法律的に見てその寄付行為の問題になるのではないか、それでその寄付行為においてそういうことができることであれば、まあ差しつかえないのではないか、ほかの条件が合えば財団法人あるいは社団法人ではいけないということにはならないと思いますが。具体的の事案をよく存じませんので、内容にわたりましてお答えすることができないのは遺憾でございますが、法律問題といたしましてはそのように考えられます。

中居英太郎日本社会党

○中居委員 いや、私が申し上げたのは、寄付行為による財団法人としての組織体が一件許可になっておるわけですが、これは今あなたのお話では、内容のいかんによっては必ずしも不穏当ではないだろう、あり得るだろう、こういうことです。しかしこういった商行為を行うべき母体が財団法人であるということが、私は根本的におかしいと思うのです。これは現に一件認可になっておるのです。こういった商行為を目的とするところの事業体にあらゆる恩典を付与されておる財団法人の認可を与えることは、私はおかしいと思う。これは民法の三十四条かに財団法人の定義がありますが、営利を目的とする商行為をしないかくかくの者に対しては財団法人としての認可を与える、こういうふうに規定されております。そしてその精神に基いて数百、数千の財団法人が認可になっております。しかし学校の同窓会であるとかあるいはスポーツ団体であるとか、こういうような営利を目的としない団体にさえも、財団法人としての恩典を付与すべきではないというのが今日の通説なんです。ところが明らかに自動車を所有して料金を取って貸し渡しするということを目的にしたそういった団体に、寄付行為を資本とするところの財団法人の恩典を与えておる、こういうことは私は非常に遺憾に思っております。もちろん民法の三十四条かによると、各関係官庁の認可によって財団法人の許可が与えられることになっております。しかし私はこの各官庁の財団法人に対する考え方というものはまちまちではないか、国の政策としてまちまちではないかと思っております。現在運輸省の管轄で財団法人の認可をしておるものが四百六十三件あります。これは昭和三十二年の三月現在であったと思いますが、おそらく現在では五百を突破しておるのではないかと思っております。その運輸省が認可した四百五十程度の財団法人の中には、まことに怪しげなものもある。今回認可したこのドライブ・クラブの件にいたしましても、私は怪しげな財団法人のトップではないか、ナンバー・ワンではないかと思っております。かりにも今後そういう寄付行為によるところの財団法人の申請があったとしましても、この事業の性格からしてそういうものは認可すべきではない、こういうふうに私思うのですが、中村運輸大臣どうですか。

中村三之丞自由民主党運輸大臣

○中村国務大臣 今幾ら数字があるか、あなたの今仰せになりました数字だと思いまするが、その目的、そのやり方が趣旨に合わないというようなことは、これは私どもは許すべきものではないと思います。その内容について深く検討してその本旨に合うようにせなければならぬのでありまして、私もこういうことにつきましては注意をいたしておるのであります。決してこれを悪用されるとかあるいは本来の趣旨に反するというようなことはすべきものではない、この点は私も今後とも厳重に注意をいたして参りたいと思っております。

中居英太郎日本社会党

○中居委員 運輸省が認可しておる四百以上のいわゆる財団法人というものを検討してみますと、代表的なものは鉄道弘済会です。これだって駅における販売行為を独占しておるのです。法律の精神というものは、民法三十四条による財団法人の定義というものは、営利を目的とする商行為をやらない、たとえば宗教団体であるとか、あるいは学校法人であるとか、あるいは医療法人であるとか、あるいは社会福祉法人であるとか、そういうものに認可すべきものである、こういうふうに規定されておるわけであります。たといそういう団体であったとしても、もしも商行為が伴うものは、それは商法の商事会社の規定によって財団法人としてはいかぬ、こういうふうにこれまた法律の明示するところであります。ところが運輸省が許可しておる四百ばかりの財団法人というものは、その半数以上は商行為を目的としておる、あるいはさもなければ運輸省あるいは国鉄の外郭団体として補助金を目的としたものがその大半であります。あるいは補助金をもらわないものは、その役所の一つの部門として、下請的にその役所の仕事をやっておる、こういうものが大半であります。そのほとんどが商行為をやっておる。こういうような財団法人に対するところの甘い解釈による認可というものを、この際運輸省は徹底的に払拭してもらいたいと思う。また現在認可した財団法人でもそういう営利を目的とする、商行為を第一の目的としてやっておるものがあったら、これをすみやかに戒告するなり、あるいは悪質なものに対しては取り消しの処置を講ずることがほんとうではないかと思っておるわけであります。ことに今回私が先ほど来申し上げました自動車の貸し渡し事業、こういうものが財団法人という形で運輸省の認可を得ておるということは、私は非常に摩訶不思議な現象であると思っております。そのほかに三件申請が出ております。寄付行為を基金として財団法人の形式でやろうとする申請が三件出ておる。四件出て、一件認可になっております。どんな理由がありましょうとも、かりにも料金を取って賃貸しをやろう、そういう事業を財団法人の恩典に浴せしめることは私はおかしいと思う。これは絶対にやらないということをここで言明してもらいたいと思います。どんな理由があろうと、そういった商行為を伴うものには財団法人の恩典は与えない、免税等の恩典がありますが、そういう恩典を与えないということをここで言明してもらいたいと思います。

山内公猷運輸事務官(自動車局長)

○山内(公)政府委員 私の方としてはまだ十分その態様をつかんでおりませんので、十分調査をいたして善処いたしたいと思います。財団法人につきましては、ただいま御指摘がありましたように、民法第四十三条に、財団法人の場合には寄付行為によって定められた目的の範囲内で権利を有し義務を負うということになっておりまして、通常の場合でございますと、営利を目的とする行為を全然やってはいけないということにもなっていないのでございまして、主たる目的を財団法人は公益を目的としなければならない。たまたま一部で営利行為があるという場合もあり得るわけでございますが、全然営利を目的とする財団法人というものは民法上認められないと思っております。それらの点で十分調査をいたしました上、善処いたしたいと思います。

中居英太郎日本社会党

○中居委員 もう一つだけです。これは事務的なことでありますが、運輸省の方針で、自動車の貸し渡し事業というものがさしあたって当分行われると思いますから、事務的なことを一つ聞いておきますが、自動車局長の通達によって、東京の陸運局長ですか、あそこが詳細に免許に関する規定というのを作りましたが、その二十二項目にこういうことが書いてあります。貸し渡し料金は変更する場合には都道府県知事の承認を得なければならぬと、こう書いてあります。一方においては自動車の公益性、交通事業の公益性ということで、この営業自動車についての料金は、非常にきびしい規制があるわけであります。非常に厳格な、厳正な原価主義をとっております。そしてこれがたとえば値上げせられるという場合には、国会においてまでも慎重な論議が戦わされておるのが現状であります。運輸省でも営業自動車の料金値上げの問題については、非常に慎重な態度をとっておられると思います。この自動車の貸し渡し事業の免許をする場合には、最初には料金の一覧表というものを参考書類として添付さしておるようであります。しかしこれを改正しようとする場合には、東京都の場合には都知事の承認さえ得ればいいのだ、こういうふうになっておりますが、現在の自動車の社会に占める公共的な地位、こういうような点から考えて、この二十二項の規定は甘いのじゃないか、もっと他の営業自動車と同じように厳重な規制をする必要があるのではないか、こういうふうに思っておりますが、どうですか。

山内公猷運輸事務官(自動車局長)

○山内(公)政府委員 その点におきましては、先ほど来御指摘がありましたように、事業として管理の対象にいたしておりませんので、法文にない認可という手段はとれないわけでございます。それで許可の際には十分いわゆる約款の中の貸し渡し料金というものは審査ができますが、これを変えるときにどうするかということになるわけでございまして、認可にかわって都道府県知事の承認という制度をとったわけでございます。

中居英太郎日本社会党

○中居委員 それがおかしいと言うのです。それが非常に甘いと言うのですよ。他の営業用自動車については、本省が無常に厳重な規制を設けて、そして幾つもの段階を経て、国民世論というものの動向を見きわめて、そしてこの運賃、料金の設定というものについては、慎重を期しておる。ところが片方においてはこういうものの貸し渡し事業の料金の変更に際しては、全然関係のない、少くとも自動車行政というものから全然関係のないところの都道府県知事の承認さえ得ればいいというようなことでは、あなた方が考えておるような、野放しにしておいてはいけないから規制する意味合いでこういう処置をとったという、運輸省の根本原則に反する結果を生むのではありませんか。この点についてもっと何か運輸省が強い規制、あるいは標準料金等を命令するというようなわけには参らぬですか。

山内公猷運輸事務官(自動車局長)

○山内(公)政府委員 このドライブクラブの権限は現在の東京でございますと、知事の権限になっております。その関係で都道府県知事の承認というふうに法理的になるわけであります。

中居英太郎日本社会党

○中居委員 料金の問題等についても決して、たとえば事業別の経理の内容というような個々のケースで検討しないで、その地域全体の問題として標準料金なりあるいは最高料金なりというようなものを運輸省の内規として決定しておいて、かりにもむちゃくちゃな料金を取ろうとするような商行為に対しましては、厳重な規制を加えていただきたいと私は思うわけであります。先ほど来申し上げておりますように、私はこういった自動車の貸し渡し事業それ自体が違反行為であるということを私は申し上げていないわけであります。これは世の中でも、また運輸省でも考えておりますように、時代の生んだ一つの新しい方向ではないか、こういうふうに私も考えております。しかし遺憾ながらこの道路運送法が制定された昭和二十六年当時においては、そういう事業というものも予想して制定した道路運送法ではなかったから該当する規定のないということも、これははっきり運輸省は認めるべきだと思う。そうしてかりにも自家用自動車の百条、百一条というものを該当さして、そうしてあくまでもほおかぶりで、いこう、日陰のものにしていこうというような態度は早急に改めて、そうしてこの一つだけでもいいからすみやかに、今次国会に間に合わなかったら来たるべき特別国会でもけっこう、また臨時国会でもけっこう、通常国会でもけっこう、すみやかな機会にこの法律の改正案を出していただきたいということを私は要請いたしたいと思うわけであります。それからもう一つ、さっきも申しましたが、伝えられるような新免あるいは増車等について、何らこれらのドライブ・クラブは既得権を持っていないのだ、そういうことも確認していただきたい、こう思うわけであります。以上を申し上げまして、この問題についての私の質問を終了いたしたいと思います。

赤澤正道自由民主党

○赤澤委員長 松尾君。

松尾トシ子日本社会党

○松尾委員 時間もございませんから、簡単に御質問いたします。昨年四月一日に国鉄運賃料金値上げを見ましてから、同時に私鉄やバスの料金値上げの申請が出ました。当委員会におきましても当時の大臣あるいは担当者から、百十数社も申請が出ているが、これは国鉄運賃あるいは料金の値上げと並んで一律に上げるものではない、むしろその一つ一つを実情を調査した上で、どうしても上げなければ採算制に合わないような事態が発生したところのみを料金値上げをする、こういう報告があったはずなんです。ところがその後に至りまして、運輸審議会あるいはその他の調査というようなものがどのようになっているかを、すみやかに一つお知らせを願いたいのであります。

中村三之丞自由民主党運輸大臣

○中村国務大臣 前宮澤運輸大臣のときに、国鉄が国会の多数の賛成によって値上げになりました。その後私鉄におきましても、これに右へならえというのですか、その申請が来ておりました。昨年七月就任以来、私はこういう考えをとっております。大私鉄についてはこの値上げはストップする、こういうことにいたしております。これは今後変りません。ただ中小私鉄につきましても、たくさんな値上げの申請がございますが、これは一々検討いたしまして、果してそれが会社の赤字によるのであるか、あるいはまたその経営にどこか悪いところがあるのか、これを検討いたしております。従って赤字であるからといって値上げを許すということはしておりません。     〔委員長退席、山本(友)委員長代理着席〕 しかしその会社がある程度の値上げによって経営がよくなる、あるいはサービスが改善されている、こういうものに対しては向うの申請通りではございませんが、検討を加えて中小私鉄に許しております。その結果、東京付近のある私鉄のごときもだいぶ施設の改善がございまして、その値上げによる民衆に対する負担はふえておりますけれども、その結果、施設の安全であるとか、あるいはサービスの改善によって、それだけ利用者の手に返っておるというような現象もございます。ことに率直に申しますと私鉄の中にはずいぶんオンボロがございまして、これを捨てておくと銀行も金を貸しません。また増資できる力も持っておりませんから、やむを得ず費用をよけい出してもらうという意味で、一、二先般許したのでございますが、これはあくまでもサービスの改善——ことにレールが摩滅しておるとか、電柱が腐っておるものがずいぶんございます。こういうものをほうっておきますと、いわゆる公共の安全あるいは人命を損傷するというようなことがあっては大へんでございますから、ある程度の値上げを認めておるという現状でございます。繰り返して申し上げますが、九州、関西、東京における一般大衆の利用せられる大都会の大私鉄につきましては、これはどの値上げの申請も今停止をしておる次第であります。

松尾トシ子日本社会党

○松尾委員 自動車の面ではいかがですか。自動車局長にお伺いいたします。

山内公猷運輸事務官(自動車局長)

○山内(公)政府委員 自動車においては全部で三百四十五くらいあるわけであります。そのうちに、これはガソリン税の是正のときに当委員会でもいろいろ御質疑がありましたので、ケース・、バイ・ケースで値上げの審査をいたしております。もうすでに昨年の春以来逐次運賃値上げの審査をいたしておりまして、現在までで百七十四社の料率の改正をいたしたわけであります。自動車については、しばしば申し上げましたように、われわれとしては値上げというよりは、いろいろ今までの料金制度で不合理な点があるので、調整的な見地も相当加えておりまして、絶対的には値上げになっておりますが、値上げ率は非常に低く出ております。と申しますのは、キロ程の計算あるいは小県運賃というような制度につきまして、社会の要望に適した方向をとるというのが今度の改正の骨子になっておりますので、個々の具体的審査をする場合にも、そういう運賃制度を改めさせてやっておるわけでございます。現在まだ残っておるものも相当ございますが、すべて慎重に大臣の御趣旨を体して審査をいたしておるわけであります。

松尾トシ子日本社会党

○松尾委員 ただいま御両人から詳しい御説明を伺ってわかりましたが、昨年来から中村運輸大臣が非常な努力を傾けて、本腰を入れて運賃値上げを阻止なすった、これは大へんいいことだと思うのです。しかしながらどうも伝えられるところによると、選挙風も相当吹きまくっているし、選挙明けには大私鉄も、あるいはその他残っている分も再検討を加えて上げるのじゃないか、こういうことをいわれているのですが、ただいま大臣がおっしゃられたように、将来もストップする御意思がおありなのですか、この点をもう一つ伺います。

中村三之丞自由民主党運輸大臣

○中村国務大臣 運輸行政を選挙目当てにやるということは、私は絶対考えておりません。ストップということについては、別に選挙を中心にこれを解除するというような考えも持っておりません。これは一つお聞きを願いたいのですが、政府の認可、許可の料金を値上げするというような競争をいたしますると、せっかく低物価政策をやって、低物価で物価を安定せしめようという政策とこれは矛盾するのでございまして、こういう大きな影響のあるものは当分ストップしていく、こういうことでございます。しかしかつて戦時物価停止令というものがございまして、非常に物価が混乱しましたときに、一応停止をして、適当の時期において適正な物価に編成がえをしたことがございます。従って将来日本の経済が回復した場合に、家庭の負担等もにらみ合せて、適正な運賃を合理的に設定していきたいと考えておりますけれども、これは日本経済の動向によるのでございまして、選挙目当てというふうにお考え下さらないようにお願い申し上げます。

松尾トシ子日本社会党

○松尾委員 そうしますと、経済の見通しが明るくなった場合には、再検討をするというふうに受け取ってよろしゅうございますか。

中村三之丞自由民主党運輸大臣

○中村国務大臣 私はそういうことはもう当初から声明をいたしております。と申しますことは、大私鉄に対しては増資を要求して、自力でまずやつてもらいたい。そうして現在の輸送力を増強してもらい、殺人的な輸送を緩和してもらいたい。そしてだんだんとサービスの改善、施設の改良、ことにいわゆる保安が十分になったというときに、経済界も回復してくるというようにうまく合って参りましたときに、私は適正な運賃の検討をいたしたいと思うのですが、まあこれは私の在任中にはなかろうと思います。

松尾トシ子日本社会党

○松尾委員 在任中はなかろうと思いますときっぱりおっしゃられましたけれども、与党の大臣といたしまして、その時期はいつごろになるかを一つお示しを願えると、大へんけっこうだと思います。  それからもう一つは、値上げをストップした分の書類、あるいは自動車の方でも調査済みで、これは値上げをする必要がないというふになった書類は、現に返したのかどうか、この点も一つお伺いいたしたいと思います。

中村三之丞自由民主党運輸大臣

○中村国務大臣 それは返しておりません。原局において留保してもらっております。中には運輸審議会において検討中のものもあると思いますが、却下という形はとっておらぬのであります。これも何年かの間に許可せいということもございませんので、今保留という形にいたしております。  もう一つ御了解を願いたいことは、どうも私鉄は軌道事業だけを取り上げると、私も多少書類なり申請書を検討してみますが、赤字であることは事実なんです。これは軌道事業というものは非常に資本が寝ますし、最近は割引というものが相当の割合を占めている。ことに通勤の学生であるとか、あるいはサラリーマンの人たちが六割以上を占めているのでございますから、レール事業だけではなかなか採算はとれないのであります。しかし大私鉄は兼営事業を多くやっておられますから、今ストップいたしましても、その経営が落ちるということはないと判断いたしております。現にその株価を見ましても、兼業において相当の収入を得ておられるようであります。

松尾トシ子日本社会党

○松尾委員 料金値上げの場合でも、あるいは新免の手続にいたしましても、地方陸運局を通しまして本省にその書類が回ってくると思うのですけれども、そのときには大体本省と打ち合せをして地方が受け付けるのではないのですか。実は地方の陸運事務所でずんずんと要望に応じて書類を受け付けるものですから、新しい人は出したらば許可になる、こういうふうに考えている人もあるのです。おまけに加えましてその中にブローカー的の者が存在しまして、二十万なり三十万なりを出してくれれば本省とよく話をして新免などもとってやる、こういうものもちらちら出ているので、事情になれない新免申請者などは非常に困っておるということを聞いておるのですが、そういう点はいかがですか。

中村三之丞自由民主党運輸大臣

○中村国務大臣 大体バスにしても私鉄の値上げにいたしましても、これは運輸本省へ参りまして運輸審議会へ私が諮問をして、その諮問の結果を運輸大臣が尊重をするという建前になっております。しかしこれは尊重でございまするから、そのままうのみにするわけとは私は思っておりません。その当該所管大臣の決断、自分の判断によるべきものだと思うております。中には観光バス、あるいはタクシー、ハイヤーなどの料金につきましては地方陸運局長がこれをやっておることは事実でございまするが、地方の陸軍局長は誤まりなくやっておると思います。しかし向うにまかしておりまするけれども、所管大臣はそれについては監督するのでございまするから、私はそういう外部の運動に動かされるとかいうことは絶対に戒めておる次第でございます。

松尾トシ子日本社会党

○松尾委員 この前私鉄やバスの値上げの問題が起きましたたときに、むしろ地方陸運局の方で早く出しなさいというような、暗にほのめかしたような事情があって、そしてそのときは折あしくも国際収支が赤字になり低物価政策をとらなければいけない、一夜明けたら神武不景気がやってきたというような実情なので、出先機関は間が悪いような風をしておる、こういうようなことも聞いておるのですけれども、その場合に私がさっき申しましたように地方と本省と連絡をとった上で書類を受け付けているのですか。

山内公猷運輸事務官(自動車局長)

○山内(公)政府委員 手続のことでございますので、私から御答弁さしていただきます。この手続につきましては道路運送法施行規則の第三条というのがありまして、それによりますと、「この省令の規定により運輸大臣又は陸運局長に提出すべき申請書又は届出書は、それぞれ当該事件の関する土地を管轄する都道府県知事を経由して提出するものとする。」となっておりまして、まず第一に事務所に提出をいたしまして、事務所から陸軍同を経由して本省へくるということになります。その場合に本省と陸運局との関係につきましては、大臣権限のものは、経由官庁でございまして、陸軍局に下調べの仕事をさせるということは、内部事情としてございますが、陸運局長の権限のないものは、申請は受理しなければならないことになっております。受理官庁でございますから、受理をすれば本省へ届けることになるわけでございまして、申請は形式上の瑕疵のない限り法律上の建前といたしまして拒否はできないことになっております。

松尾トシ子日本社会党

○松尾委員 その法律解釈というものは私も知っておるのですけれども、常識的にはこうした免許、認可をとるのはなかなか困難でありますし、その内容もしっかりしているものでなければなりませんので、必ずその申請当時の事情、本省の考え、こういうものが手伝うと思う。書類をこしらえてぶつつけで受け取るというだけではなく、これを希望する者は陸軍局に参りましていろいろ話し合いをしたり、その事情を聞いたりするということが必ずつきものだと思うのですけれども、そういう場合に新免なんかを申請する人も多いきようこのごろです。むだなことをせずに、やはり受理機関だからただ受け取っておくということでなく、現在の実情に照してよく説明をすることが必要ではいかと思うのですけれども、ずんずん受け取っておるものですから、それらの人は押せば押すだけ、あるいは顔役を連れて行けば許可になるものだというように考えている向きが多いのですけれども、これらは自動車営業についてもなかなか注意しなければならぬ問題ではないかと思います。

山内公猷運輸事務官(自動車局長)

○山内(公)政府委員 その点は、お話はよくわかるわけでございますが、現在の法律の建前は、新免なり料金の改正なりの申請書を出しましたときに、窓口で、法律上の権限がなくてそれをやめさせるということはできがたいことでございまして、経由官庁といたしましては処分官庁の決定に待つというのは、行政上当然の処置になるわけであります。こういうことができれば行政事務も簡素になると思いますが、処分官庁であってもそういう申請は受理して十分調査したところで決定しなければならないわけでありまして、その点現在いろいろの路線免許その他につきましても十分な検討をされずに、たとえば道路のないところにバスの免許を出すというようなものも、一応ないということをわれわれ証明しないと許可ができないようなことになっておりまして、その点松尾先生のお話はわれわれの事務の煩瑣をお考えになってのことでよくわかりますが、現行法では、そういうものも十分審査をして現実に問題を解決してはっきりいたさなければならないということになっておりまして、申請をゆえなく受理しないということはできないようになっております。

松尾トシ子日本社会党

○松尾委員 そういうことがドライブ・クラブを大いにふやしたり、あるいはせっぱ詰まったところになって既成の事実として認可を与えたようなことになって、自動車の交通事業の混乱を来たすゆえんだと思うのです。法律は法律ですけれども、窓口でも相談に来た場合にはよく言って聞かせるのがほんとうではないかというふうに考えるわけです。当局としては、法律のワク内でやるというので、それはできないとおっしゃるので、道路運送法なんかの改正の場合にも、それらの問題をよく検討しながらやっていたらいいのではないかと私個人は思っております。  次に御質問申し上げたいのは、昨年の二十六国会で国土開発縦貫自動車道建設法ができると同時に高速自動車国道法というのが成立いたしまして、三十二年度はその調査費として五百万一千円をお取りになりましたが、この五百万一千円の調査費でどの部分をどういうふうに御調査になられたかをちょっとお尋ねいたしたいと思います。

山内公猷運輸事務官(自動車局長)

○山内(公)政府委員 昨年度につきましては、東京—神戸間の交通量の調査を主体として行なったわけでございます。この高速自動車道における調査は、大体運輸省におきましては経済調査をやり、建設省においては技術調査をやるというふうに官庁の持ち分をきめておるわけであります。われわれの方といたしましては、すでに昨年のみでなく三年間にわたってそういった調査をして参ったのでありますが、主として昨年度重点を置きましたのは、自動車については今まで十分な資料がないというわけでありまして、その最も的確な資料といたしましては、国鉄のいわゆる資料というものがあるわけであります。ただ国鉄の資料も一般的なものはありますが、どこからどこまで何人行ったとか、どのくらいの荷物が動いたというようなこまかい小口貨物における資料がないので、そういった国鉄の持っておる資料を分析するという仕事をいたしますとともに、現実に相当個所に人を配置いたしまして、発着調査というものを自動車を個個にとらまえてやったわけでございます。昨年の調査項目といたしましては、ただいま言いました流動状況調査、それから輸送時間、輸送経費等の研究というものと、それから開発効果の調査というようなものを目的にしたわけでございますが、昨年度においては、特に流動状況調査というものをやったわけでございます。本年度におきましては、昨年の五百万円の五分減の四百七十五万円という予算がついておりますので、この流動状況調査のうちまだ残されたものを調べることと、今言いました輸送時間あるいは輸送経費というようなものもさらに研究する、その中には包装費というようなものも入っております。それから開発効果調査というものは昨年度はまだやつておりませんので、本年度はこういう点について十分やりたいと思っております。ただ開発効果の調査については運輸省だけでもできがたい面もありますので、予算の御承認を得ますれば、建設省その他の関係官庁とも十分打ち合せた上で調査をいたしたい、かように考えているわけでございます。

松尾トシ子日本社会党

○松尾委員 まだこまかいことを発表するには至らないでしょうけれども、一方に東京—大阪間に、いわゆる東海道線に、国鉄としては広軌建設計画がございますけれども、これが完成の暁にも、いわゆる高速自動車道路というものを中央道におきめになるきちんとしたお気持はございますか。

中村三之丞自由民主党運輸大臣

○中村国務大臣 これは法律にもございますから、その趣旨に従って中央道へ通る、これはこの間建設大臣もこの答弁をいたしておりますが、私もこれは当然なことだと思います。国鉄の方は、今幹線調査会というもので研究していますが、今の東海道線の輸送が数年後にある限界に参りますものですから、新線を建設するということに結局はなるだろうと思いますが、それはそれ、中央道は中央道で、これは並行していくものと私は判断をいたしております。

松尾トシ子日本社会党

○松尾委員 この高速自動車道路というものが完成の暁には、いわゆる国鉄の自動車の軍営というものはどういうふうになりますか。言いかえますと、国鉄にもこの高速自動車をやらせるようになりますか。それともう一つは、民間にも許して二本建になさる御意向がございますか。

山内公猷運輸事務官(自動車局長)

○山内(公)政府委員 高速自動車国道上の自動車運営の問題でございますが、高速自動車国道にも二つ性格があると私どもは思っております。いわゆる縦貫自動車道を走るような長距離の運送と、その中でもほかの有料道路におきまするような短距離の、通常今まで行われております運送形態と二つあると思います。先生のただいまの御質問は、そういう高速自動車道上における、アメリカにおける長距離バスというようなものの運営がどうなるかというような御質問であろうと思いますので、そちらを重点にお答え申し上げたいと思いますが。われわれといたしましては、高速自動車道というとうなものの上を走る自動車の運営体系というものは、従来の市内交通あるいは近距離交通を行なっております自動車のような軍営体系では不十分ではないかと思っております。各国の長距離バスでもそうでございますが、すでに大体において汽車の運行と同じような軍営形態をとっております。それはやはり前もって席の予約をとりますし、それから時間も正しく走るということでないと、長距離旅客というものは安心して乗れないというような事業の規模の体系から見ますと、私の方で言います第六条の免許基準の趣旨を十分適用するとともに、そういったサービスを十分できる形態ということになるのじゃないかというふうに考えております。まだ現在起っていない問題でございますので仮定のお答えになりますが、観念的にはそのようにだれにでもやらせていいというものではない、国民のそういった旅行の要請を十分満足させるような、いいサービスのできる機関がやるべきであるというふうにわれわれは考えております。

松尾トシ子日本社会党

○松尾委員 長距離はそのように国鉄みたいなものにやらせて、短距離はだれでも民間に許可をするお考えはございますか。

山内公猷運輸事務官(自動車局長)

○山内(公)政府委員 免許事案でございますので、その免許申請を具体的に審査をいたしませんと、今直ちに国鉄とか民営とかと言うことは、現在の法律上申し述べられないのでございますが、観念といたしましては、民営にしろ国営にしろ、十分そういったサービスができるという事業計画を示した場合には、そういうところにやらせるということになるのではないかというふうに考えております。

松尾トシ子日本社会党

○松尾委員 ほかにまだ質問がございますけれども、ちょっと別な質問ですからきょうはこれでおしまいにいたします。

山本友一自由民主党

○山本(友)委員長代理 次会は明日十時より開会いたします。  本日はこれにて解散いたします。     午後零時七分散会

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