商工委員会 第3号
- 発言数
- 19 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1957/11/06
会議録
○委員長(近藤信一君) これより委員会を開会いたします。 まず、参考人の件についてお諮りいたします。団体法案と憲法との関係について明七日午前中参考人から意見を聴取する件につきましては、すでに先日委員会の御承認を得ているのでございますが、この参考人として一橋大学教授田上穰治君、北海道大学教授金澤良雄君の両君に御出席を願うことにしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(近藤信一君) 御異議ないと認めさよう決定いたします。 —————————————
○委員長(近藤信一君) 次に、通商産業省関係の明年度予算の編成方針について通商産業大臣に御説明を願います。
○国務大臣(前尾繁三郎君) 来年度の予算編成時期が迫って参りまして、それに対処いたしますためにも、また、今後の通商産業政策というものを樹立していかなければならぬ面もありますので、われわれが考えておりますことを、ごく概略申し上げたいと思います。 従来御承知のように日本の経済は非常な成長をいたして参りました。成長率はまさに他の諸外国よりはるかにパーセンテージにおきましても上回っておるのであります。ところで、昨年その成長をさらに一段と伸ばすという機運が出て参りまして、御承知のように設備投資が非常な集中的に行われました結果、今度は国際収支というような面におきまして、保有外貨の危機というような問題が出て参りまして、さらに国際収支改善緊急総合対策というようなものを、この六月以来とっておるような次第であります。その効果は確かに出て参っておりまして、現在におきまして輸出は順調に二十八億ドル、本年の目標額をさらにもう一段と上回らせたいというようなことで、いろいろやっておるのでありますが、その半面においては、御承知のように金融の引き締めによって、いろいろな中小企業者に対する金詰まりの問題を生じてきておるのであります。それらのことを前提といたしまして、来年度につきましても考えて参らなければなりません。さらに、日本の産業というものは、いわゆる貿易立国といいますか、輸出によって今後も日本の経済を拡大して参りますためには、何としても貿易という点に集中して参らなければなりません。もとより直接のいろいろな施策におきましても、また、産業の構造上から考えましても、大きな転換をやっていかなければならぬ。と申しましてあまりに急激にやりますと、ほかの問題を生ずるというようなことで、いわゆる成長と定安というものを、うまく均衡させながらやっていかなければならぬことは、もとよりでありますが、それにつきましても、今後の通商産業政策といたしましては、四つの柱が立つのではないかというふうに考えております。 その第一は、総合輸出振興対策を樹立することでありまして、輸出の伸長をあくまで期して参らなければなりません。第二には、中小企業のわが国の経済に占めております重要性ということにつきましては申すまでもないことでありまして、その組織を強化いたしますとともに、経営の安定をはからなければならぬのでありまして、中小企業対策というものを強力に推進して、その地位の向上をはかっていかなければなりません。第三には、国際競争力の維持培養のために、基礎産業、輸出産業の育成強化をはかっていって、また、産業立地条件の整備等、産業基盤の強化をはからなければならないということであります。また、第四におきましては、世界的な技術革新の趨勢に即応いたしまして、鉱工業技術の振興をはかって参らなければならないと思うのであります。 以下各項目につきまして、その具体的施策の概要を簡単に申し上げたいと思います。 第一は、輸出の振興でありますが、今後における世界的な輸出競争の激化に対応いたしまして、国際収支の長期的均衡を可能ならしめるよう重化学工業の育成と輸出期待産業の設備の近代化を推進いたすものといたしまして、また価格の変動による輸出の阻害を防止するため、主要輸出品、主要原材料につきまして、所要の価格安定対策を講ずるなど、輸出振興のための国内条件を整備しながら、特に次の貿易振興対策を強力に推進する方針であります。 すなわち貿易振興の施策としては、従来から実施しておりました海外市場の調査、輸出商品の普及宣伝、それから貿易あっせん、国際見本市など従来の諸事業を拡大強化しまして、さらに新たにマーケッティング事業により重要輸出市場の維持、開拓を積極かつ活発に行うなど海外貿易振興事業を飛躍的に拡大するとともに、これが実施に当る中核団体の組織機能の刷新強化をはかりたい所存であります。 また、主として東南アジア諸国との経済協力の促進については、従来必ずしも十分ではなかったのでありますが、さきに岸首相の東南アジア訪問、ネール首相の来訪などにより、ようやく促進の機運が醸成されつつありますこの際、これら諸国との経済協力を画期的に促進するごとによりましてわが国輸出市場の培養と輸入原材料の安定的な確保をはかるものといたしまして、これがため特に円クレジットの供与についてもその具体的方法を検討中であります。 また、技術者等の受け入れ及び派遣に関する体制を整備するほか、これら諸国の産業、貿易事情を基礎的、かつ、組織的に調査する等の諸施策を強力に推進して参りたいと考える次第であります。 第二に、中小企業の振興の問題でありますが、御存じの通り中小企業は、わが国経済上、きわめて重要な地位を占めている反面に、その規模が零細であり、かつ、その数がおびただしいため、絶えず過当競争による経営の不安定に悩んでおるのでありまして、またその設備、技術等において立ちおくれておりますので、今後中小企業の特質に応じました振興策を強力に講ずることによりまして、中小企業の健全な発展と国民経済の安定的成長をはかって参りたい所存でございます。政府が、今国会におきまして、「中小企業団体の組織に関する法律」の成立を強く希望いたしますのも全くここにあるわけでありますが、さらに、来年度におきましては、金融ベースに乗り得ない多くの中小企業の信用力を補強して、これを正常な金融ベースに乗せることを目的とする強力を信用補完制度の創設を考えている次第であります。 また、中小企業の生産性の飛躍的向上をはかって、あわせて輸出の振興に資するために、設備近代化の助成、組合の共同施設の設置促進、公設試験研究機関による技術指導及び技術の再教育の強化、中小企業診断指導の強化拡充等、各般の措置を講じて参りたいと、かように考えておるのであります。 第三に、産業基盤の強化の問題であります。わが国産業の対外競争力は、欧米諸国に比しまして、まだかなり遜色があると考えられるのでありまして、この点、輸出産業、基礎産業及び新規産業の設備の近代化、生産体制の整備、生産性の向上等によりまして、今後、産業の合理化、近代化をさらに徹底的に推進していきたいと存ずる次第でありますが、さらに、今後の産業発展の趨勢に即応しいたしまして、エネルギーを初めとする主要基礎原材料の供給の確保とその価格の安定をはかることが肝要と存ずる次第でございます。 このため、電源開発の促進特に電源開発株式会社に対する財政投資の増額その他開発所要資金の確保、石炭資源の合理的開発促進のための新炭田の総合的調査の実施、財政投資の増額による海底油田を中心とする国内石油資源の開発の促進、天然ガス、銅、鉛、亜鉛等重要鉱産物の探鉱探査の強化等、国内の各種未開発資源の開発を画期的に促進いたしますとともに、海外地下資源の探査、開発につきましても、関係国との協調のもとに、積極的に推進していく所存でございます。 また、産業立地条件の整備につきましては、今後の経済の拡大と近代化に果す役割の重要性にかんがみまして、これを強力かつ計画的に推進する必要性を痛感いたしておる次第でありまして、これがため、豊富かつ低廉な工業用水の確保をはかるための助成を強化するとともに、道路、港湾、輸送施設等産業関連施設の飛躍的増強を期する方針であります。 第四には、鉱工業技術の振興の問題であります。以上の輸出の振興、中小企業の振興及び産業基盤の強化を促進いたしますための基礎条件として、鉱工業技術の画期的振興が特に必要であることを痛感するのであります。御存じの通り、最近におきまする欧米諸国の技術の進歩はまことにめざましいものがありまして、わが国はこれに著しく立ちおくれていると存ずる次第でありまして、この際官民力をあわせてこれが推進をはからねばならぬと考えるのであります。これがため、学術会議、産業界等各界の要望をも取り入れ特段の措置を講ずることといたしました。まず国立試験研究機関の研究設備の更新近代化等によりまして、その機能の強化拡充をはかり、産業界等からの各種の要請に応じ得る体制を整備するとともに、今後最も緊急を要する電子技術、オートメーション技術、分析技術、生産加工技術等の基本的かつ新規の技術の研究推進について各試験所の諸能力の総合的発揮に努めまして、迅速な成果を得て各界の要望に応じ得るようにいたしたい、かように考えております。また諸外国に比しまして著しく低調にあります民間研究活動を強化するため、電子機器、中型輸送機の国産化を初め、木材化学、石炭化学、新金属利用開発等の重要研究の実施についての助成を強化し、あわせて、研究成果の普及徹底及び企業化の促進に関しまして、各般の施策を総合的に行い得るよう措置し、その推進をはかっていきたい、かように考えておる次第であります。 ただいままだ大蔵省と折衝中であります。今後何かと皆さんの御協力なり、御鞭撻を願わなければならぬと、かように考えておりますが、とりあえずただいまわれわれが今後に予算措置をし、実施していきたいというふうに考えております問題なり、考え方を申し上げた次第であります。
○委員長(近藤信一君) 御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
○海野三朗君 ただいま大臣の御説明のうちに、重化学工業の育成ということがありまするが、かつて鋼材は建値の倍もする闇値でもって引っ張りだこであったのは、御存じの通りであります。ところが、これを緩和する意味において外国から鋼材を入れた。そうして国内においては各製鉄会社に溶鉱炉の建設をやらせた、ところが、住友にいたしましても、日本鋼管にいたしましても、あるいは八幡、富士にいたしましても、溶鉱炉を着々建設する準備を進めておる。これに対しては通産省はこの急激なる鋼材の値下り、それによって神武以来の景気なんと言うておったことが、一ぺんにふっ飛んでしまっておる。こういうふうなあり方は、通産当局が少しも見通しがなかったということであると私は思う。また、溶鉱炉をたくさん建てることを慫慂しておいて、これに使うところの原鉱がちゃんとめどがあるのでありますかどうなんですか、まことにお先まっ暗な通商産業の政策と申さざるを得ないと私は思うのでありまするが、この点はいかがでございますか。
○国務大臣(前尾繁三郎君) 昨年非常に鉄鋼の需要がふえて参りまして、そのために緊急輸入をやった。まあ、昨年の経済情勢からいい、確かにそういう需要がありましたことは間違いない事実であります。ただ、ただいま冒頭に申し上げましたように、結局安定と成長というものを、いかに均衡して考えていくかという問題でありますが、当時の状況といたしましては、国内非常な需要が高いために、極力それに応ずる対策も講じていかなければならぬというようなことでありましたが、設備投資全般に繰り延べなり押さえていかなければならぬ、こういうことになりまして、急激な変化を見たことは事実であります。しかし、これは速度の問題でありまして、今後の日本を重化学工業化していかなければ、将来の輸出産業というものの要請にこたえられないという事情は別に変っておるわけではありません。従ってその間におきまして速度を調整しながら安定をはかりつつ、また将来の成長に備えていくということについては、十分考えなければならぬと思うのであります。従って鉄鋼の生産の設備の面につきましては、御承知のように一二%という一応のめどにいたしております。しかしとにかく不要不急のものは別といたしまして、できるだけ促進していかなければならぬということも事実でありまするので、われわれといたしましては、その方の今後の建設についても、十分関心を持ちながら、できるだけやって参りたい、かように考えておるのでありまするが、御承知のように、ただいまお話しのように、鉄鉱石という問題はあります。もちろん、われわれといたしましては、最近インドとの関係その他を考えておりますのも、将来の鉄鋼資源というものについての確保をはかっていきたいというような考えもあるのであります。鉄鋼資源につきまして全然めどがないというわけではないので、両々相待って、それがうまく動き、そうして将来の日本を重化学工業化し、また輸出におきましても、機械その他の重工業品が重要部門を占めなければならぬという要請にこたえながらやって参りたい、かように考えておるのであります。
○阿部竹松君 ただいま海野委員より緊急を要する点についての質問が出たわけでありまするが、私ども委員会は、ただいま通商産業政策についてお伺いしましたので、十分検討する時間を与えていただきたいわけであります。従いまして後日に譲りまして十分御質問とし、あるいは御意見を申し上げたいと思いますので、本件をそのように取り計らっていただきたい、このように考えます。
○委員長(近藤信一君) ただいまの阿部君の御意見のように、質疑はこれを後日に譲ることに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(近藤信一君) 御異議ないと認め、さよう取り計らわせていただきます。 —————————————
○委員長(近藤信一君) それでは次に、中小企業団体法案、中小企業団体法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案及び中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。 御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
○梶原茂嘉君 火災共済の仕事が法制的なよるべき基準が今回できるわけであります。私は非常に喜ばしいことと思っておるのであります。ただ、それに関連いたしまして、数点春日議員にお尋ね申し上げたいと思います。 第一点は、今回の火災共済協同組合は中小企業等協同組合法の改正によって行われるわけであります。もちろん一つの方法として、この協同組合法の改正でいくということも考え得ることではありますが、中小企業等協同組合法は、申すまでもなく中小企業者に重点が置かれておるのであります。また、今回の火災共済の協同組合も、もちろん中小企業者に重点が置かれておるのでありまするけれども、一歩翻って考えますると、今回のこの火災共済協同組合は、ひとり中小企業に限らず、広く勤労大衆を包容するというふうな考え方が妥当ではなかったか、かように思うのであります。従って立法するとすれば、単独の火災共済組合法とでも申しますか、そういった方法にいった方がよかったんではないか、これは私の独断かもわかりませんけれども、そういう感じがするわけなんです。現に事業協同組合等で火災共済をやっているのは少くないのであります。しかし、建前としては、本来のその業種に属する事業、これを協同組合でやるから、付帯的というと悪いですけれども、それと合せて福利厚生の仕事をやるというのが、むしろ私は協同組合法の本筋であろうと思うのであります。専門に協同組合法の中の福利厚生だけをやるという行き方は、解釈上はできるわけですけれども、妥当な行き方とは考えられないのであります。これもやや私の独断かもわかりませんが、そういう点について、どういうふうに立案の過程において御検討されたかということが一つと、それからこの火災共済協同組合は府県において単数の方式を採用されておるのであります。単数の方式にはもちろんそれだけの、何と申しますか、効能、効用があることは申すまでもありませんけれども、組合方式でいく以上は七理論的には複数制の方が筋が通るんではなかろうか、かように考えられるのであります。また、単数制をとっていく場合におきましては、ほかにそれに対抗すると申しますか、他にできないのでありまするから、多分に、何といいますか、中小企業者なり勤労大衆の火災共済としては、公的な色彩と申しますか、公営的な色彩を持つように感ぜられるのであります。それ自体が悪いというわけでは毛頭ありません。ただ、そういう行き方であるとすれば、いずれ遠からず社会保障制度の一環としてこういう問題が検討される時期があるはずではなかろうかと思うのでありますが、社会保険といいますか、社会保障の一環としての制度といいますか、そういうものとの関連性について何か御検討があったかどうか、その点を一つお伺いしたい。
○衆議院議員(春日一幸君) まず御質問の第一点は、これは単独立法で行うべきであって、協同組合法の体制では当を得ていないのではないかという御質問であると存ずるのでありまするが、実はこの政策を法制化する経過の中におきましては、御指摘の通り衆議院段階におきまして、今から数年前からいろいろと論じられておりました当時、社会党、自由党、改進党の三党時代には、これを単独立法で行おうというような経過もございまして、御指摘されたような形で意見の調整がはかられた段階もあったのでございます。しかしながら、その後だんだんと検討を進めて参りますると、この協同組合法こそは、この中小企業者たちが相互扶助の精神でこの共同事業を行う場合の共同組織をことごとくこの法律の中に規定いたしておるわけでございます。一例を申し上げますると、たとえば信用協同組合にいたしましても、あるいはまた、別個の性格と機能を持っておりまする事業組合にいたしましても、ことごとくしかりでございます。こういうような法の構成から考えまして、すなわち中小規模の企業者たちが相互扶助の精神に基いて共同して事業を行うために必要な共同組織の法制化は、これはことごとくこの事業協同組合の中におさめるのが適当であろうと、こういう工合にだんだんと研究が進められて参りまして、両党の意見のそこに合致をみたというような次第でもございます。しかしながら、今御指摘になっておりましたのは、こういう一つの政策は当然勤労者全般に対しても及ぼされるべきであろうという御指摘もございましたが、この法律の特異性は、特に中小企業者が一般勤労者と異なっておりまするのは、一般勤労者と違いまして、すなわち工業といわず、商業といわず、その居住並びに生活に必要なる物件のほかに、営業用の資産を持っておる、商品並びに設備等を持っておるわけでございます。従いまして、これは法律が直接その共済の対象といたしておりますのは、そういう物件がはからざる災害を受けまして、そうして事実、再建をいたしまするために必要なる共済というところにねらいを置いておりますので、従いまして、このような形で協同組合法の中で取り扱って参ろう、こういうことに意見が合致いたした次第でございます。 それから次は、県で一個にするという原則はいかがであろう、こういう御指摘でございまするが、これはまあ申し上げるまでもなく、競合が激しく行われますると、これが過当競争になって参りますれば、勢いこれがだんだんと料率の競争になって参りまして、必要なる準備資金を蓄積することができなくなる。よってもって、不時の災害を生じました場合、支払能力にも事欠くに至るような場合等も考えまして、こういうような意味で競合をことさらに避けていこう、こういう点にねらいがございます。ただ申し上げたいことは、この損害保険法におきましては、そのような意味合いから別の法律がございまして、すなわち料率算出団体の法律もございまするし、保険募集の取締りに関する規則等もございまして、この保険事業というものが過度の競争に陥ることによって、その機能を失うことのないような立法措置が講じられておるわけでありますが、この際、火災共済の中においては、それらの法律が一部援用される形にはなっておりますけれども、これが複数で設立がなされるという形になって参りますると、極端な例を申しますと、二個、三個、四個というような場合もあり得るわけでございまして、二個ならばいいか、三個なればいいかというような形になって参りまして、だんだんと行政裁量権にゆだねて参りますると、この共済組織が所期の目的を果し得ないような事態が予想されないわけでもない、こういうような次第でございまして、たとえば東京、大阪等のような業者の多い、また経済活動も旺盛なる地域と、たとえば山陰諸県のような地域と、同じような単一に縛ることについての議論も深く検討されたのでありますが、とりあえずこういうような形でとにかく競合を防いでいこう、そうしてその地域々々における共同組織によって当面の目的を果していこう、こういうようなことで単一の原則を一応ここに確保した、こういうような経過でございます。御了承願います。
○梶原茂嘉君 協同組合の行いまする場合においては、一応共済金額が一人当り三十万円に制限をされておるわけであります。一応制限を設けるということは、これは必要なことであると私も思うのであります。しかしながら従来と違いまして、この案が成立いたしますると、相当監督官庁の監督というものが行われるわけであります。また、事業協同組合によりましては、その規模が相当大きいものもあり、また資産その他が堅実であって、実際に即して考えても、三十万円の限度をこえることがあっても差しつかえのない場合もあり得るかと思うのであります。特にこの条項は、団体法の方に準用になっておりまするから、今後できまする商工組合等は、相当その規模も大きく、基礎もしっかりしたものが予想されるのであります。そういう場合は監督官庁の監督のもとに、三十万円の限度をこえる場合があるという道を開いた方が実際的ではなかろうか、特に火災共済協同組合の方では百五十万円の限度はありまするけれども、これは状況に応じて主務大臣の承認を得れば、その額以上をきめ得るという建て方になっておるわけであります。両方並べましても、むしろ火災共済と同じような道を開く方がどうも実際的じゃないかと、かように私考えるのであります。その点についての御意見を伺いたい。 なお、この案によりますると、火災共済協同組合の場合に二段がまえで最高額を押えておるのであります。一つは、一人当りについて百五十万円という限度がある、それから同時に、出資金なり準備金なり、あるいは地方庁の保証額なり等を合せましたものの何分の一ですか、という限度があって、いずれか低い方に制約されるということになっておるわけであります。おそらく私は現実の状況はよく知りませんが、この二段がまえでいきますと、常に後者の方の制限の方がおそらくは働くであろう、百五十万円まではなかなかいかぬであろうと考えられます。それはそれでいいのでありますが、実際問題として考えますと、共済契約はこれは随時行われるのであって、期間はかりに一年といたしましても、会計年度にとらわれるわけではない、ところが片一方の準備金とかいろいろの面は、そのときの状況によって年度末に相当変化がくる、言いかえれば非常に可動性のあるものであります。それで一々最高額を制約されるということでは、運営する立場から言いますると、相当支障がありはしないか、むしろ法律上後段の制約というものはお取りになった方が現実的ではないか、こういう考え方を私持つのでありますけれども、御所見を伺いたいと思います。
○衆議院議員(春日一幸君) 最初の御質問にまずお答えいたしますが、これは第九条の三項に言うところの福利厚生事業については三十万円一本として取りきめておるが、これは特別の理由あるものは、さらにより以上の額の事業を行うことができるようにしたらどうかという御意見でありまするが、この問題についてもいろいろ検討はいたしたのでありますが、たとえば現行の、火災を生じた場合に、いろいろと補償を受け得るその段階が幾つかあろうと存じます。第一段が今御指摘になりました福利厚生の範囲における段階、それからもう一つはこの共同組織としての損害を共済するというその段階、それからもう一つは商業保険によりまするところの損害実額を保険されるという、こういう三つの段階があろうと存ずるのでございます。そこで、今梶原先生御指摘のように業態によっては特に今回強固な商工組合等が結成されて、この商工組合こそは事業活動が行えるので、従って九条三項の福利厚生事業も行うであろう、内容が非常に充実して、また経済活動が旺盛に行われておるところでは勢い経済力が強いので、これは五十万円、七十万円というものを作り得てもよろしかろうというお説でありますけれども、われわれはやはりそういうような福利厚生という限界の価幣価値というものをどこに押えるかということについては、別に科学的根拠があるわけではありませんけれども、しかしながら、福利厚生というような範囲であれば、大体三十万円くらいで内容に対してもこたえ得るのではないか、それ以上の必要があるときには、みんな個人の形でもって火災共済に加入し得る道が開かれておるのであるから、お互いにお互いの共同組織としてその地域における火災を生じた場合に共済をより多く受けるの必要のある業界は、こぞってこの火災共済に加盟してゆく、あるいは個人で加盟してゆく、そういうことによってその三十万円の限度をこえてやはり福利厚生の事業のフェィヴァを受ける必要のあるものは、火災共済の共同組織の中に加盟してゆけば、現実の問題として支障は起きないであろう、こういうような考え方のもとにおきまして、いうならばこの火災共済共同組織を通じてその種の共済目的を果す、こういうことで重点をこの火災共済に置いておる、こういう立場から他の福利厚生の限界はこの範囲内においてしぼっておこう、こういうようないきさつでございました。 それから次はネット・サープラスの問題でございますが、これは御指摘の通り、たとえば事業年度においては事業の年度の当初においての支払備金の額というものが相当あった、従ってそこから逆算してくるネット・サープラスによるところの、要するに共済限度額はその組合おいてたとえば百五十万円というような契約し得る資格条件下にあったんだが、その後火災が続出して、そうして備金の支払いがずっと行われて資産勘定が減ってきた場合、百五十万円当初できたものが年度末になっては三十万円か五十万円しかできないことになっては、事業運営上支障はないかという御質問と存ずるのでありますが、でこれは御指摘のような面も理論的にはあり得ると存ずるのでございます。しかしながら、われわれは現在行われておりまする三十幾つのこの共同組織の実態について調査をいたしたのでありまするが、大体のものはこの法律の中に掲げてありまする各自治体における予算外義務負担、そういうような信用の供与によりまして、それぞれの資産勘定に見合うものが現存いたしておるわけでございます。少いものでも二千万円、三千万円、五千万円というような、そういう時限決議が現実に行われておりまするので、従いまして、ある限度その備金というものの実額が損耗いたしました場合においても、大体において百五十万とか百万とか、あるいは初年度で許可を得まするところのその限度額というものが、その年度内において根本的な移動を来たすような場合は、現実に少くはないであろうかと、こういうような分析をいたしておるのであります。と申しますのは、たとえば北海道等においてはたしか一億でありまするか、五千万円でありまするか、ほかに各種の備金が相当ございまするから、かりに一億円程度のものがあろうかと存じます。しかしながらこの法律では百分の十五ということになっておりまするから、百分の十五という形になりますと、千五百万円という形になり得るわけでありますが、それを百五十万円で押えておるわけであります。従いまして相当のそういう事故が起りまして、保険金の支払い、共済金の支払いを行いました場合においても、なおかつこの百分の十五の限度額を切らなければならないというような事態は異例ではないだろうか。すなわち、この予算外義務負担の事柄と関連いたしまして、百分の十五という率をうんと低めに見ておりますので、そういうような年度内におきます資産の移動ということによって受ける実際的な影響というものが、比較的少いのではないだろうか、こういうような考え方でこういう二本立ての規定をいたしたような次第でございます。
○梶原茂嘉君 大体わかりましたけれども、年度がわりにおいていろいろ移動するわけでありますけれども、それは私直接関係がないのでありますが、年度末に決算をいたしまして、そしてはっきり総額といいますか、金額が確定するものもある。常に百五十万円を下回っているところはいいかもしれませんけれども、そうでないところは資金の制約を受けて毎年一人当りをかえていかなければならん。このことは組合の運営からいいまして毛、また組合員の立場からいいましても、非常に何といいますか、ぎごちないことに相なるのでございます。従って非常にネット・サープラス等を標準にして金額をきめていくという考え方自体は、非常にけっこうでありますけれども、それを表面に出してその制約を何するというところに無理がありはしないか、こういうことを申し上げたわけであります。
○衆議院議員(小平久雄君) ただいまのネット・サープラスの問題でありますが、先ほど春日議員からお答え申し上げた通り、大体私どもも同じ考えを持っておるわけでありまするが、御指摘のように毎年保険金額がネット・サープラスの減少あるいは増額等によってどうするということは、運営上非常にこれが支障があるということは、これはまことにその通りだと思うのであります。そういう点を実は考慮いたしまして、このただし書で、行政庁の許可を受けた場合はその限りでないという一項を入れたわけでありまして、この運営によりまして、少くとも二年なり三年なりは一定の保険金額というものは維持できるように当局がお計らい願いたい、われわれはそういう希望を持っておるのであります。数年やって見まして、それでもなおかつ回復の見込みがないとか、ますます資産内容が悪くなるとか、そういう場合におきましては、これはもちろん保険金額を下げなければいかんと思いますが、たまたま災害を受けたために、ある年度に限って資産が減った、だからこの保険金額を減らすというようなどとではなく、このただし書の運用によりまして、今の共済事業そのものにもある程度の安定を一つ与えるように指導していただきたい、こういうふうな希望を持っておるわけであります。
○委員長(近藤信一君) 他に御発言もなければ、本日はこれにて散会することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(近藤信一君) 御異議ないと認めます。 それでは本日はこれにて散会いたします。 午後零時十六分散会