商工委員会 第2号
- 発言数
- 55 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1957/11/05
会議録
○委員長(近藤信一君) これより委員会を開催いたします。 中小企業団体法案、中小企業団体法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案及び中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案を一括して議題にいたします。 岸内閣総理大臣が御出席になりましたので、これより総理に対する質疑を行います。質疑の御通告に基き、順次御発言を許可いたします。
○岡三郎君 せっかく総理が御出席いただきましたので、前回の十月二十二日に開かれました商工委員会の質問並びに総理の答弁等の連関について最初に質疑を申し上げます。 岸総理は第五十五条の加入命令が憲法と矛盾するものでないと言っておりますが、前回阿部委員の質問に対して、総理は憲法において営業の自由が保障されていることは知っている、しかしその自由も無制限なものでなく、公共の福祉に反する場合には制限してよいのだ、少数の員外者のために業界全体が危殆に瀕するようなときは加入を強制してもよいと速記録に述べております。梶原委員は、この点を行き過ぎな強制であるとして、業界全体が崩壊するような状態のときには規制命令があるので十分である、つまり中小企業安定法第二十九条、団体法案では第五十六条でいわれておる規制命令があるから十分ではないか、何ゆえに加入命令というようなことが必要になるのかという質問を出しております。これに対して、岸総理は、団体法では安定法のように業種を制限しない中小企業全体の千差万別の業種について適用するから不十分で、自主的な組織によらなければならない、そこで加入を強制する、と答えております。しかし、重ねて梶原委員が、法を発動する場合は、それぞれ具体的なケースによるのだから、規制命令で十分なはずであるし、強制的に加入させなければ安定できないという懸念は存しないという意見を述べたが、これに対し総理は答えてはいません。 以上の点から見て、総理は一、公共の福祉に反するような過当競争の場合にのみ加入命令を行う、二、加入命令はきわめて千差万別の業態に発動するので、アウト・サイダー命令では間に合わぬ、右のような意見になると思います。そこで質問したい点は、まず第一点についてお伺いしますが、中小企業の過当競争が過度になって、業界全体が危殆に瀕するような事態が起ったときは、公共の福祉に反するという状態であることを認めることにするとしても、それを救うための手段がアウト・サイダー規制命令で足りるかどうかということであります。岸総理は阿部君の質問に答えて、たとえば安定法あたりで員外者を規制命令を出して、そのために業界自体が安定して、そうして業界が健全な形において伸びておるという例は、神戸を中心としてのマッチその他においてもわれわれが実際に見ておるところで……これは一五ページの第一段にこう書いてあります、と言っているのでもわかる通り、員外規制命令でやれることを認めているわけです。従って規制命令で目的は十分に達せられるということになるのではないでしょうか。それをしいて憲法の規定を曲げてまで、なぜゆえに加入命令によらんとするかは、梶原委員とともに本員としては理解に苦しむものであります。確かに加入命令の方が望ましいかもしれませんが、しかしそれは行き過ぎである、憲法でせっかく結社の自由を保障しているのだから、憲法を尊重する意思があるなら、できるだけ結社の自由を守るために、あえて加入命令まで行わずに、規制命令でがまんすべきであろうと思うのであります。規制命令で足りるところを、なぜゆえに加入命令としなければならないか、これが本員としての質問点の第一であります。
○国務大臣(岸信介君) この強制、いわゆる強制加入の問題や、あるいは組合員外の規制命令と憲法との関係につきましては、従来いろいろと論議されたところであります。しかし、私どもはこれが公共の福祉に反するような場合におきまして、緊急の措置としてやる場合においては、ともにこの規制命令を出して、員外に対する規制命令でやる場合におきましても、あるいは組合に加入せしめるような強制加入の方法によりましても、私は憲法には違反しない、こう考えるのであります。しからば、そのやり方として、員外に置いたままで規制命令を出す場合と、組合に加入せしめて、組合員としてやるという二つの方法があるのでありまして、そのいずれの場合をとるか、あるいは加入をせしめないで、規制命令だけでたくさんじゃないかという意味の御意見でありますが、私は方法は二つありますが、どちらがこの中小企業の実態に即して望ましい形であるかということを、各般の点から十分に研究してみるというと、やはり一時組合に入らして、組合員としての権利も持ち、真にこの組合が調整事業を自主的に行うという場合において、その人が外におって規制だけ受けるというよりも、組合に入って組合員としての権利も持ち、同時に調整事業にも服するというやり方の方が、業界全体の状態から見るというと、その方が望ましい、また、その方が円滑に調整事業を達成し得るという見地に立って、実は今回のこの団体法においては、加入命令の形をとっておるわけでありまして、憲法上の疑義の点からいえば、やはり私は両方とも、もし疑義を持つという見地からの議論をすれば、両方とも議論が成り立つのじゃないか。しかし、私どものように、この公共の必要性、いわゆる業体自体がそれによって危殆に瀕するというような、過当競争のために瀕するという場合においては、そういう場合に、ある程度営業の自由が制限される、もしくはそういうふうに拘束を受けるということは、憲法違反にあらずという立場をとって考えますというと、中小企業の実態から見て、どちらがこの目的を達するのにふさわしいかという点を考えていくことがいいのじゃないか、かように考えます。
○岡三郎君 今公共の福祉という言葉が出たわけですが、本員としては、公共の福祉は規制命令ですでに守られているのであって加入命令と公共の福祉は関係は私はないと思う。それで今の御答弁ですが、われわれとしては、憲法でせっかく結社の自由というものは保障されておるわけなんで、一方において規制命令で大体目的が達し得る、業界の不況というものも克服できる、こういうふうに考えられるとすると、憲法違反の疑いがあるとすれば、両方とも疑われるということならば、何もそれをダブってますます行為を重ねるということは私はどうかと思う。その点について総理はどうですか。
○国務大臣(岸信介君) こういう組合団体の組織というものを考えてみますというと、私は業者のこれは自主的な団体として、仕事が民主的に行われることが望ましい。お互いが業界の問題について協力をし、お互いが力を合わすということが、業界の繁栄のために望ましい一つの何であって、それにはむしろそういうような過当競争によって事態が非常に混乱しておるということを救う意味におきまして、今言っているように二つの方法があるのだが、どちらが望ましいかということになるならば、やはり組合員として仲間に入って、そうしてお互いが協力していくという自主的、民主的な方法を進める方が中小企業の実態に即し、また、それが将来円滑に行くゆえんである、かように考えております。
○岡三郎君 大体前回の答弁と総理の答弁発展しておらないと思うのですが、先ほど私が前回の速記録で要約して質問しておるわけですが、自主的に中小企業者が団体を結成して、そうして事業の不況の克服に当るという点については異論はないわけです。それはあくまでもやはり憲法の条章の精神を尊重して、営業の自由とか結社の自由、こういったものにやはりできるだけ背反しないように法規というものは作成されにゃならぬ。それでなお業界の不況の克服ができないというならば、これはまた別でありましょうが、規制命令によって員外者をも規制することができる条章というものがあって、なお総理は自主的にこういう団体というものが作られることが望ましいと言っておきながら、なおその入らない者に対して加入命令を発するということは、これは矛盾ではないでしょうか。自主的な団体の結成というものは、やっぱり強制的に加盟することじゃなくして、その業界が仕事を運営する場合において工合が悪いときに、規制命令でそれに網をかぶせることができるわけですから、だから克服する手段としては私はそこにもうあると、こういう判断のもとに立って考えるならば、規制命令というものに対して私たちは、規制命令で目的を達し得るというならば、自主的な団体の結成というものについては、やはりこの点はどうかと思うんですが、その点はどうですか。
○国務大臣(岸信介君) この自主的ということを貫くならば、言うまでもなく規制命令も強制加入命令も、これはほんとうの自主的な何ではないことであって、みんなが、業界の人が全部心を合わせ、力を合わせて組合を何して、そこで過当競争を自分たちの力で押えていって業界が安定するということが、ほんとうの自主的な問題であろうと思う。しかし、日本の中小企業の現状からいうと、大多数の人がそういう自主的な何を作ってやっていく場合に、少数の人がその自主的な組合に入ってこないという場合に、それでは規制命令で外部の、組合に入らずに組合員外として規制だけを受けさせるというやり方も一つの方法でしょう。それから何の中へ入ってきて、そうして組合員として、業界の一員として、その入ること自体に最初自主的ではなかったけれども、中へ入ってきて組合員としての権利、義務を持って、業界のつき合いをして、そうして目的を達するということにいくというのがこの法案のねらいであって、私は中小企業の実態を安定せしめ、それから将来のその業界をうまく繁栄せしめる意味から言うというと、最初にはいろいろな事情があって組合に入らなかったけれども、そして命令——組合員として中へ入って、自主的な一人のやはり、同じにボートを持って、そうして仲間として協力をするということができてくれば、その方がより業界の安定、より業界の繁栄のために望ましいことである。その方が私はいいというのが、この法案のとっておる立場である、こう思います。
○岡三郎君 その点は、加入命令の方が望ましいかもしれないということは、私も指摘しておる通りなんです。ただし、先ほどから言っておるように、結社の自由なり営業の自由というものが、ここに明確に憲法の条章にうたわれておってそうしてこういうふうな制限はできるだけ最小限度であることが望ましい、これはやっぱり憲法の精神だろうと思う。団体法案の中にも、その意味の条文が書いてありますが、第十九条には調整規程が必要な最小限度をこえないことを条件として認可すべしと、こう書いてある。しかるに加入命令は必要な最小限度をこえていると私は思うわけですが、その点はどうですか。
○国務大臣(岸信介君) その点は私、先ほどからしばしばお答え申し上げておるように、私は必要な限度をこえておらないという立場をとっておるわけです。何だけでは、業界の実情から見て外部における規制命令だけでは、十分に目的を達し得ることはできないということを前提としてこれを考えておるわけであります。
○岡三郎君 外部のアウト・サイダーに対しても規制命令でやることができるというふうになっておるわけですが、本員はそれでできると思うのです。要するに業界の事業の不振を克服するために、員外に出ているものに対しても、調整規程でこれに網をかけてそれを従わせることができる。それに従わない場合においてはいろいろな罰則もあるわけなんです。そういうふうにしてその業態のいわゆる不振の克服ができる、しかも今言ったように、最小限度に調整規程の場合においてもこれを締めていかなければならぬ、こういうふうに考えていった場合に、今言ったように、総理が言っているような、二重にしなければならぬということが私にはわからない。それは入れた方が好ましいということはわかりますよ。わかりますが、それは憲法の建前からいうと、今言ったように、強制的に何でも入れ、こういう精神で私はないと思うのです。ただしかし、ひねくれ者や、そういったほかのものがいてどうしてもおれは入るのがいやだ、これに手がつかなければこれは何ともならぬが、これは調整規程で手がつくということになるならば、営業の自由とか、あるいは結社の自由というものに対して、やはり憲法の精神をやや犯すような方法でこういう条章というものを二重にやる必要がないのじゃないかという、この点はどうしても総理の答弁ではわからないのですがね。つまり、私の言わんとするところは、今言ったように、中小企業の業態の克服ですね。そのためには二つの方法が確かにある、それを重ねてやった方がいいかもわからぬ、しかし、この法の神精からいえば、調整事業をやる場合においても、最小限度のワクを越えないようにしていかなければならぬということは、みんなそれぞれ尊重しているわけですね。それをあえてこの強制加入ということを越えてあえてやらなければならぬというわけがわからないのですがね、その点は……。
○国務大臣(岸信介君) これは私の議論と岡委員の御議論との相違でありますが、私はやはりあくまでも業態の真の安定と、この目的を十分に達するためには、やはり組合員となってそうして民主的にその一員として組合の事業に服するということが望ましいことであり、その方が千差万別の中小企業の実態から申しますというと、より実情に合っている、こういうふうに考えております。憲法違反論の議論は、私は議論をしていくならば、規制命令に、員外の規制命令に対するものも議論としては組合に入らせることも、この憲法の議論としては同じ面に立つのであってそうしてそれが中小企業の実態に合い、中小企業の将来の繁栄のために適当であるというこの組合の加入命令の方がやはり適切である、こういう見解をとっております。
○岡三郎君 どうもここのところやや堂々めぐりになりましたが、私の意見は今言ったように、もう多くを言いませんが、憲法の疑いがあるとすれば両方疑いがあると、こう言う、それを重ねて両方とも疑いのあるやつをやれば、それは二つで一本の違反になるというふうな論もますます出てきますが、私から言わせれば、つまり疑いがあるとするならば一つでいいじゃないか、しかし疑いがないのだから二つやってもいいということを言うけれども、結局まあ自主的に業態というものを一つのものにしていこうという気持の中から、入りたくないものを無理に入れてそうしてそれに対する方法がなければ別だけれども、方法があるのですよ。何もあえてそれを、おそれのあるものをわれわれは屋上屋を重ねる必要はないのじゃないか。法の精神からいっても、最小限度に規制をしなければならぬというふうに言っておるわけなんですから、この点はどうも総理とちょっと見解の相違では済まされぬ問題が私はあると思うのです。総理自体も、この速記録の中で調整規程によって実効を上げているということを明確に言っておるわけですからね。この点は一つお考え願いたいと思います。しかし、ここにとどまっておることを許されませんから先に進みますが、この問題はあとに残します。委員長の方で確認しておいてもらいたい。 次に、総理は阿部委員のこの種団体に対する外国の立法例があるかという質問に答えて、外国の立法例は知らないが、日本では同業組合法、工業組合法、商業組合法、輸出組合法があると言い、また梶原委員の質問に答えて、重要物産同業組合法も強制加入であったと言っておりますが、これらはいずれも戦前の立法でありまして、戦前の憲法と今の憲法とは違っていると思うのです。戦前には法律で個人の自由を制限することは差しつかえなかったわけですが、現在では法律といえども、みだりに個人の自由を奪うことは許されない。この点岸総理に新憲法尊重の精神があるかどうか、この意味を一つ言ってもらいたいと思う。
○国務大臣(岸信介君) もちろん、旧憲法の時代と今の何におきましては、憲法上の議論は違ってくると思います。それからまた、外国の立法例にしましても、その議論からいたしますというと、その国の憲法の法文との関係もありましょうから、立法例につきましては、必ずしも同一であるかどうかということは言えないと思います。御承知の通り、日本の新憲法のもとにおきましても、弁護士法その他において強制加入を認めた、法律ではっきり認めた法律もございますし、公益、今いっている公共の福祉の上からこういう制限を加えるということが、憲法の、新憲法の趣旨にも私は反しないという見地からこういう規定をしておるわけでございまして、憲法、旧憲法の何をそのまま新憲法のもとに私は解釈をしようという意思ではないことは申すまでもないことであります。
○岡三郎君 時間がありませんから、次にいきます。 次に、総理が加入命令をやむを得ずとする理由に、千差万別の業態に適用すると言っていることは、この命令がきわめてまれにしか発動されないという、今までの政府の答弁と私は食い違っておるのではないか、こういうふうに考えるわけです。商工組合の設立が容易に認可されず、それから調整規程の認可もきわめて慎重で、いわんや加入命令のごときは、よくよくの際でなければ発動されないから、消費者が心配するようなことはないというのが、今までの答弁であったわけです。総理の梶原委員に対する答弁を見ると、加入命令は多種類の業種にきわめて容易に出され、それだから、これを一々規制命令の形でやっていくのに困難を生ずるということになるわけです。規制命令では規制し切れないほどひんぱんに加入命令を出すということになると、消費者の心配は決して杞憂でないということになると思いますが、この点どうですか。
○国務大臣(岸信介君) 私の答弁、この前の梶原委員に対する答弁で、中小企業の実態というものは千差万別である、今度の商工組合の適用される何が、従来の安定法のようなごく限られたものではなくして、広く中小企業全体にこの組合法、この組織法が適用される、従って、中小企業の実態は、御承知の通り千差万別であることは御承知の通りであります。私は、そこに今おあげになりましたが、容易にこの命令を出すというように答弁をいたした記憶はございません。速記録にそう出ておりますれば私の誤りでありますが、業態がそういうふうな全部のものに適用される法制がここにしかれるわけですから、現実に出す場合におきましては、それは慎重にあらゆる事柄を検討してこれをやらなければなりませんけれども、今予定しておる、この業種を指定して限定して出しておる中小企業安定法のような、限られた事業だけにこの組織法が適用されるわけでもないし、だからどういう実態が起ってくるかは、そういう千差万別の中小企業の実態から見て実際に起ってくる事例が、どの事業に、どういう業態で起ってくるかということを事前に予定していることが非常にむずかしいほど、中小企業の実態というものは千差万別であるということを申し上げたつもりなんです。従って強制命令を出す場合におきましては、これは慎重に十分検討しなければなりませんけれども、決してこれを容易に数限りなく出すというような意味で申したわけではないのであります。
○岡三郎君 どうも時間が少し足りないけれども、この点は次にさらに私の方としても検討して御質疑を申し上げたいと思いますが、大体今の総理の答弁で趣旨はわかりました。 次に、この千差万別の業態で規制命令ではだめだというものに対して、これは今の総理の答弁でわかったわけですが、総理は十分監督官庁において、人事並びに業務の執行にまで監督をしていかなければならぬと言っているわけです、この前の答弁で。それだけに行政能力を拡充できるならば規制命令でやっていけるはずじゃないかと私は思うわけです。だからこれは前の答弁とちょっと質問がダブってきておりますが、今の総理の言でいえば、まあ慎重にそういうものはやっていけるのだから、そう乱発はしないというふうにとれたわけですが、しかし人事並びに業務の執行にまで監督していかなければならぬと言っている建前上、規制命令でやっていけるはずであるというふうに私は考えるわけです。ことに現在の安定法第二十九条には第二項の命令というのがあって規制を組合にやらせることもできることになっておるということで、私の趣旨はおわかりのことと思いますが、とにかく規制命令でも非常に幅がある。そういうことで規制命令のやり方いかんによっては、相当大きな問題が起る。だから最小限度、発動するときには注意しなければならぬ。それほど規制命令というものは効力があると私は思っておるわけです。ですからそういうふうな点で、こういった強制加入の命令と規制命令というものをダブってやる必要は私はないという見解に立っておりますが、これは重複しますからきょうはこの程度にこれはとどめておきます。これはさらに私は速記録を精査して、次回に御質問したいと思います。 次に、安定法では業種をしぼっておるわけですが、今回は業種をしぼっておらぬ、多種多様なものにこれを発動するわけですが、問題の角度を変えてちょっとお伺いしますが、私はやはり、こういうふうな団体法をこれから実施する場合において、業種というものを規制する必要が私はあるのではないかと、こういうふうに思うのですが、総理はどう考えますか。ちょっと角度が違いますが、いろいろ無制限に各種各様の業種というものに発動するのでは、何としても幅が広過ぎるから、やはり業種というものをしぼっていくという考え方も私は一つあると思う。こういう点について総理はどう考えますか。
○国務大臣(岸信介君) この組合の業種につきましては、結局業界の定款その他でこの組合がどういう業種の人を網羅するかということがきまるわけですが、今日本の中小企業の状況を見ますると、御承知のように非常に範囲も広く、また業種も複雑でございまして、これを政令等においてしぼってやるということでありますというと、なかなか実情に適合したようにはいくまいと思います。やはり組合の定款等において、その組合に加入する人の資格をきめる場合のなににまかすということが、中小企業の実態からいって適当であろう、こう思っております。
○岡三郎君 次に、具体的に一つ伺いますが、たとえば新聞のような公共的性格の強い業種、これが末端の配達を受け持っているわけです。配達を受け持っておる販売店がこの法律によって組織化されて、本社に対し団体交渉権を持っていたずらに対立的な行為をするようになった場合、非常に民主主義の基礎をなすところの言論、報道の使命に重大な危険があると感じておる人々も多いわけですが、これに対しては政令その他運用面の規定において考慮するということがあってしかるべきだと思うのですが、この点はどうでしょう。
○国務大臣(岸信介君) 新聞の販売業者が組合を作って、そうして本社との間で団体交渉その他によってやるというような事態は、これは組合が発達してきてそういうふうなことになることはもちろんだと思います。ただ第九条のいわゆる不況要件というものを、それが現実に備えておるかどうかということを、やはり考えていかなければならぬ、かように思います。
○岡三郎君 かりに不況要件を備えた場合、結局配達その他を中止するというふうな行動に出るようなことも考えられないことはないと思うのですが、そういった場合に購読者がめいわくするということが非常に考えられるわけです。それで中間のマージンといいますか、配達料その他の値上げというような問題が起ってきてそれが循環して購読料の値上げといったような問題にならぬとも限らぬと思う。不況要件が備わっておるかどうかという問題で、これについていろいろお考えになるということですが、かりにその要件が備わってきた場合、今言ったような問題が起らないかどうか、こういったことも懸念があるわけで、つまり業者が強力になっていわゆる配達料といった問題について——各地千差万別、これはいろいろと配達料の問題があると思う、こういった問題で業者の強力なる団体交渉によって目的が貫徹されないという場合に、新聞の配達等を中止するということによってその目的を達しようという問題が起ったときに、これは新聞社だけでなくして購読者自体が相当影響を受ける問題で、もしもそういう方法で目的を貫徹するというときには、それが響いて購読料の値上げに循環してくる心配なきにしもあらずと思いますが、こういう公共的色彩の強い業態には、私はやはり政令面等で十分考慮する必要があると思うのですが、その点いかがでしょう。
○国務大臣(岸信介君) もちろん、われわれは中小企業団体法が施行されまして、一般の公共の利益とこれらの組合の活動との関係における問題をどういうふうに監督し調整していくかということは十分考えなければならぬと思います。今お話しの新聞のなにでありますが、その他日用品の問題につきましても、いろいろ消費者の団体等が御心配になっておることは、要するにその組合ができて、値段なんかを協定して、そうしてそれがもし行われなければ、配達をしないとかあるいは配給しないとかいうようなことが起ったら、消費者としては非常に困るじゃないかという御懸念だろうと思います。従いましてそれは調整命令といいますか、調整規定の内容を十分に政府としては監督して、公共の利益、一般消費者の利益というものを害しないような調整規程の内容を認可していくという調整規程の内容の問題の監督に関することだろうと思うのです。十分その事業ごとに応じた公共的な、もしくは消費者の立場の利益を擁護していくという意味における監督といいますか、政府のこれに対する処置につきましては、政令等において適当に処置していかねばならぬ、かように思っております。
○岡三郎君 時間も来ましたので、どうも切れ切れになって不本意ですが、やむを得ぬと思いますが、次に一点だけ質問してやめますが、今独禁法の改正が大きな問題として登場しておるわけですが、聞くところによれば、この独禁法の改正によって大企業の価格統制とか、生産規制、こういうものも考えられておるというふうに聞いております。そうするというと、ますます中小企業に対する圧迫なり、あるいはこれが消費者に対する圧迫ということも大きく懸念されるわけですが、今その中小企業団体の生きる道というものを考えていった場合に、中小企業が商工組合を作って、いろいろと業態の回復をはかるという点も考えられるわけですが、やはり中小企業本来の生きる道といえば、金融と原材料というものを低廉に入れるという方法以外に私はないのじゃないかと思います。それで中小企業の金融の道についてもいろいろと御苦労されて今回補正を出されているわけですが、やはり私はこの中小企業の金融の中において一番考えてもらいたいことは、金利の問題ではないかと思います。つまり大企業に対してはいろいろとめんどうを見て、低利で相当の融資がなされておる。中小企業に対しては一応今回は融資を予算補正でなされておりまするけれども、その金利を見れば相当高額である。大企業に対しては相当低廉な融資が出されているが、小企業、中小企業に対する融資の金利は相当われわれが想像する以上に高くなってきていると思います。こういう点についてもやはり抜本塞源的に考えるならば、一歩進んで金融という面についての金利をどうしてやろうかという、そういう配慮がなければ、私はやはり根本的な中小企業者に対する救済にはならぬと思いますが、これはどうお考えになりますか。
○国務大臣(岸信介君) お話しの通り、中小企業の金融の問題、全体の金融の円滑にいくという金融量の問題と、それから現実の金融条件である利子の問題は、ともに中小企業の金融としては大きな問題であると思います。私はこの金利をなるべく下げるということは、もちろん中小企業に対して考えていかなければならない。それにはやはり資金コストの安い財政資金等をなるべく中小企業に回していく。今、御承知の国民金融公庫であるとかあるいは中小企業金融公庫それから商工組合中央金庫、これらに対する財政資金の量をなるべくふやしていく、これが資金コストの安い資金をその方へ回すことになる。ところが、実を申しますというと、中小企業というけれども、日本の全体の中小企業金融を見まするというと、いわゆる普通銀行による金融の量が、これらの特別の、今のような財政資金を何しましても、三機関を通じてやる金融量よりも非常に多いものが一般のあれになっている。この点に関しましては、これは一般の金融金利でございますから、やむを得ませんけれども、金利よりも、むしろその方面については金融量を多くしてやる。これは中小企業も、大きな企業に対するものも普通銀行ですから同じような取扱いをするのだが、ところが担保力がないために、中小企業の方にはなかなか金が回らないという点から、いわゆる信用保証制度のようなものを、もう少し根本的に検討して、拡大して、そうして一般普通銀行からも金を借りられる範囲を多くして、それから今言ったような三つの特別の機関に対する財政資金を多く見てやる、そうして、この金融問題を両面から助けていくということにやっていきたい、かように考えております。
○岡三郎君 特に今回の補正に対する内訳を見るというと、中小企業金融公庫に対する百億、それから国民金融公庫に七十億、こうなっておりますが、国民金融公庫のうちの繰り上げ融資四十五億、これを除けば実質は二十五億の増加ですね。特に国民金融公庫の方は零細なるものがここへみな集まっていくことになる。こういうことになれば、これでは実際は少いのじやないか、こういう論議もあるわけですが、結局、現在の金融状況から見るというと、どんどん公定歩合の引き上げに伴って、あらゆる面で金利が上昇してきておる。こういう面からいって、特に零細企業に対する金融の面で国民金融公庫に対する融資をさらに増額してもらいたいという要望が相当強くあるわけです。わが党としても、大体この面で百三十億ぐらい増加する必要があるのではないか、こういうふうな意見で組みかえ予算というものの論議をしておりますが、こういう点についてはどう考えておられるか。
○国務大臣(岸信介君) 詳しい数字的なことになりますというと、あるいは大蔵大臣等からお答えした方がいいかと思いますが、十分、私ども、あの補正予算を出すにつきましては、政府としましては、中小企業の金融の状況を検討いたしまして、必要なものを補正予算として出すという意味におきまして、今おあげになりましたような数字の補正予算を今度も出しております。いろいろな見地から社会党方面から、さらにその額では少いじゃないかという御意見も出ておりますが、私どもの見るところでは、諸般の事情から、これだけあれば一応年末の金融として適当であろうというふうな、年末金融も含めて必要な補正予算を出したわけであります。なお、なにの方の点につきましては、いろいろな社会党の御意見等につきましても、予算委員会その他で十分一つ審議をいたしたいと思っております。
○岡三郎君 その点は大蔵大臣に聞きますが、大体、金利についての問題についても、一つ十分今後の施策の中でお考えいただきたいということと、結局、中小企業がいろいろと不況を克服するためにやっていって、やはり一番大きな問題は今言ったような、金がないという問題と、もう一つは原材料ですね、こういったものが低廉に入手できないという問題もあると思います。それで結局こういう中小企業が団体を作る、こういった場合に、将来私は今大企業に独占的になされているような、いわゆる外貨の割当ですね、こういうふうな面についても、中小企業の方向へこれを少し分けてやるということにならなければ、私はほんとうに中小企業を助けていく方法にはならぬと考えるわけです。結局、今の外貨の割当の中でも、バナナ等については加工業者に二割程度ですか、三割ですか、二割程度の外貨の割当をして、これは汚職が起きているわけですが、こういうことが起っては困ると思うのですが、しかし、全体にやはり貿易業者なり、大メーカーだけに原材料の輸入という面で外貨が割り当られる。これは、そうしてそのうち部分的なものを、中小企業がそれに利幅をつけてもらってきて、そうしていろいろと製品を作るなり、あるいは大メーカーから相当高いものを仕入れるということになっては私は困ると思う。その一つの大きな問題としては、輸入原材料について、相当政府は今後中小企業についても考えてやる必要があるのじゃないか、こういうふうに考えておる一人ですが、それはどうですか。
○国務大臣(岸信介君) 私は今御指摘のように、中小企業が原材料等をできるだけ低廉に入手していくということは、望ましいことであると思うのです。また、そういうふうにしていかなければならぬと思います。この組合を作って、いろいろ、ある場合においては団体交渉というような方法によっても、大企業との間の原材料等の買い入れその他についても、話し合いをするようなことになるだろうと思います。従って一応組合ができて組織ができることが、将来原材料等をできるだけ低廉に入手するという上にも望ましいと思っておりますが、今御指摘になりました輸入の外貨の割当の問題でありますが、これは全体の外貨割当をどうするかという大きな、全体としてみて、なるべくこの外貨の割当というものをいろいろな小さい何に分けてやるということは、いろいろな手続上の困難もありますし、弊害も伴うことでありますので、なるべくは輸入業者にまとめて割当をするというのも従来とも原則としてやってきております、政府としては。しかし業者の特別の事情があるというようなものについては、ある特別の扱いも従来しておるのでありまして、私どもはできるだけこの中小企業者に安い原材料を入手せしめるという方向は方向として推進していかなければならぬ。そうしてまた外貨の割当の問題は、そういう一般的な問題とにらみ合せてこの間の調整をしていく、こういうことにしたいと思っております。
○岡三郎君 それでは、委員長、時間がありませんから、またあとで残余の部分をやります。
○高橋進太郎君 委員長、きのうの委員会の申し合せでは、きょうの総理の時間もあって、委員長において適当に調整することになっておりますから、適当に一つ調整命令を出していただきたい。時間等についても調整をしていただきたい。
○島清君 そういうことをおっしゃるので、強制加入、脱退の問題が非常に起ってくるのです。委員会の委員の発言に対して強制命令だなんということを(笑声)おっしゃるから、私たちの方は聞きたくなる。それはですね、今、岡議員が質問いたしました問題と関連をいたしますが、私は先般総理においでをいただきましたときに、強制加入、脱退の問題について質問をいたしまして、十分の時間がございませんので、今回に回してもらったわけでありますが、本質的には同じでございますが、角度を変えまして私はこの前の続きの質問をいたしたいと思っております。 総理は全国遊説をやられまして、そうして至るところの演説会場で民主主義を守らなければならないということを強調をしておられます。民主主義というものは、私の承知しておるところによりますと、上から与えるものではございません。民主主義の原則というものは、自主的に組織をして自主的に経済の活動をやって、自主的に生活の安定と向上を期待するというところに民主主義の基本の理念があるわけであります。ところが、この法案をながめてみますると、総理の、民主主義を守らなければならないという理念というものとは、およそ縁の遠いところの条文となって現われてきておるのであります。それは中小企業の安定をはからなければならないということは、政策的にだれも異存はございません。これは政策の問題でございます。そこで、岸さんのあなたの内閣の時代において中小企業の安定が期せられなくて不安定であるといたしまするならば、私をして率直に言わしていただきまするならば、それは岸内閣の中小企業に対する政策の貧困であると思います。それは中小企業の安定を期するということが法律の第一条の目的でございます。そこで安定を期するということは、これは政策の問題でございます。その政策を遂行するために業者を組織化するということ。組織という問題はこれは民主主義の原則でございまするので、この組織の問題は業者の独自の考え方によって組織されなければならないと思います。そこで、説明を承わっておりましても、中小企業者には組織がない。農民には農民組合がある、それから労働者には労働組合がある、憲法二十八条による団結権に基いて、団体交渉権が憲法に保障されております。そこで中小企業者は、その組織がはなはだ微弱であると、従って組織を与えるということが一番必要であるということが、二十六国会の当時からの政府の説明になっているわけであります。大黒柱になっております。これに私たちは異存はございません。中小企業者の諸君に組織を与えるということは、何も官僚的に統制をして与えるということ、これはボスの支配によって与えるということを意味するものではないと思います。どこまでも組織というものは民主的で、自主的でなければならないと思います。組織ができるような法的条件を与えるということだと思います。中小企業が組織を必要とするということは、中小企業者をして法の権力によって組織させるということではなくて、中小企業者が組織を必要とする場合には、中小企業者に組織し得るような法律的条件を与えるということでなければならないと思います。もし条件を与えるということと、中小企業者の意思のいかんにかかわらず組織して、そしてなにがしかの組織的な行動をなさしめるということとは、これは別個でなければならないと思います。これは民主主義の原則からいたしましても、区別されなければならない問題だと考えます。ところが、総理の説明を承わっておりますと、その中小企業者に法律的な条件を与えるということと、さらに中小企業者を組織して、さらにこれに力を与えるということとを混同されて御答弁になっておられるように私は思うのです。そこで、私の考え方によりまするというと、この法律の第一条からいたしましても、この法律の目的というものは、中小企業者が過度の競争で不安定になった場合に、これを不況要件、第九条によりまして、何とかこれが安定するようにはからなければならないというものでありまするから、これはどこまでも政策的な問題でなければならないと思います。ところが、憲法の保障いたしまするような結社の加入、脱退の自由という問題は、これは政策的な問題ではございません。これはやはり基本的な問題であると思います。そこで政策的な、一時的なお立場から、基本的に憲法に保障するところの自由な権利を、これを公共の福祉のためにというて、総理は上からの力によって、そして民主的でない形で、官僚統制になるか、あるいはボス支配になるかはわかりませんが、いずれにいたしましても民主的でない形において、政策的に、憲法で保障するものを侵害されておやりになろうとされる。そのことについて私はもっと明快に一つ御答弁を願いたいということが第一点。 さらに組織力、組織ができるような法的条件を与えておいて不況を克服する。その不況をもたらしておりまするところの条件の最大なるものの一つに、大企業からの圧迫というものがございます。従いましてその大企業からの圧迫に対しては、中小企業者がその組織力によって行動できる、その行動というものが団体交渉権であるというてうたわれております。しかしながら、本法の規定するところによりまするというと、本法二十九条は大企業は団体交渉に誠意をもって応じなければならないと規定をいたしておりまするけれども、しからば応じなかった場合にどうするかという罰則は規定されておりません。これは私は頭を隠して尻を隠さないというような形のものだと思うのです。ほんとうに中小企業者の団体交渉権を与えてさらに九条に規定するところの不況要件を克服していこうとするのには、最も今中小企業者に圧迫を加えておりまするところの大企業との団体交渉をもっと有効に、これが効率に活動できるようにしなければならないと思います。そこに私はあなたの内閣の保守性といいましょうか、それを現わしまして、それから大企業にはいつまでも誠意をもって応じておるような形で、それを応じなくたって罰則の規定がないと、こういったような矛盾が現われてきておるように思うのです。そこで、この団体交渉に応じないものに対してさらに罰則を加えて不況要件の克服をもっと強固にやらせる必要があるのではないかと、こういうふうに考えられまするが、総理はどういうふうにお考えであるか、さしあたりこの二点についてお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(岸信介君) 御説のように純粋の憲法論と政策論とを混同すべきものではないことは、御説の通りだと思います。従ってある一つの規定を設けることが憲法違反であるかどうかということは、やはり純法律論として研究すべきものであることは言うを待ちません。従いまして私は先ほどから申し上げているように、私どもは憲法違反にあらずという純粋の法律的解釈をしておるわけであります。そうしてこういう組合が民主的に下から盛り上って自主的にできなければならない。そして法律はそれのでき得る各種の環境といいますか、客観的の条件を作ってやるべきだ、そして民主的にできるべきであるというお話も私どもは全然同感であります。ただ、中小企業の実態から見まするというと、そういう条件として業者の人が団結し、組織を作ろうとしても、少数の人が結局外にあってその調整事業にも従わないという状態、これはどうにもしようがないのだということであれば、組合をせっかく作ってみたって目的を達成することができないということで、結局自主的な組合ができないということになると思うのです。従ってそういう意味において私どもはこの業界全体の利益のために緊急やむを得ない場合においては強制命令を出し得るというような条件を与えまして、そして自主的に組合ができ上るということを助長するという態度をとっておるわけでありまして、決して今御説のように民主主義ということとわれわれ矛盾するものではない、かように考えております。 第二点のこの団体交渉に応じなかった場合にはどうするかということでありますが、これは実はすべての団体交渉というものが、これは交渉ですから、必ずしも中小企業の主張が全部団体としてやっているが百パーセントにそれが皆正しいというわけにはいかぬと思います。ただ、相手方がそういう交渉に対して誠意をもって応じないというような態度であることは、これは産業の平和のため望ましくないことでありますから、あくまでも誠意を尽してさらに団体交渉に応じて適当な業者が満足するような結果を妥結するというのが、団体交渉のねらいでありまして、これに罰則を付してどうするという性質のものではないと私はかように思っております。
○島清君 御説明はわかるようでわからないようで、わからないのでありまするから、結局は見解の相違ということになろうかと思いますが、それはまた担当大臣に後日ただすことにいたしますが、基本的な問題でございまするので、総理にお答えをいただきたいと思いますることは、総理は公共の福祉のためにというて、その意味で憲法二十八条に規定いたしまする労働組合の団結権、団体交渉権に総理の所属されまする政党の内閣においてストライキ権を制限されたのであります。これはわれわれは当時反対をいたしましたけれども、私が考えますのに、たとえば企業経営の中でストライキが起ったといたします。そういたしまするというと、たとえば電気事業にいたしましても、石炭にいたしましても、そうですが、まあ電気事業は公共の福祉に影響があるというので、ストライキが制限されておりますが、私はこういうことは経営者の責任だと思いまして、ストライキをやる労働組合の労働者の責任ではないと思います。私はそう思います。そこでかりにストライキをやったからといって、会社が損をするということは、これは財産権については憲法二十九条でございますか、これに規定をされております。財産権は当然に憲法に規定するところの基本の権利でございまするけれども、しかしながら企業からあがって参りますところの収益を保障しなければならないというのは、憲法のどこの条項にもございません。ストライキをやって会社の方が赤字になったと、収益があがらなかったということは、これは経営者の方の責任でございまして、労働者の責任ではございません。しかしながら、それでもあなたの所属をされまするところの政党の内閣におきまして、あなたの直接の責任ではございませんけれども、とにかく憲法の規定いたしますところのストライキ権というものを制限されております。これも公共の福祉の名において制限されておるわけでありまするが、一方においてはこういったような財産権を守るような形で収益権を、憲法に規定しないところの収益権を守るような法律をやたらにお出しになっておられます。首をかしげておられるようでございますが、説明が不十分であれば説明いたしますけれども、そこでまあ公共の福祉の名においてこういう工合に一方においては労働者のストライキ権を制限されて、片方においては政策的な貧困をカバーして、そして官僚統制で中小企業の諸君の安定に名をかりて官僚統制といいますか、ボスの支配といいますか、そういうことをこの法律は考えておる。そこで全国の消費者の諸君はこのことについては反対をしている。このことは私はあなたの政党の考え方の中に矛盾があるように思えるのです。この矛盾のことについてお感じにならないかどうかということを一ぺんお聞きしたいということと、さらに、中小企業の組織化の問題が促進されて参りましたことは、こういう工合に労働者諸君のストライキをする、たとえば国鉄の方で新潟闘争が行われたときにスイカが腐って、青物が腐ってそこで農民は損をしたからといって労働組合でありますか、国鉄組合でありまするか、損害賠償の提訴をやるというように聞いております。そこで中小企業者は団結して交渉に当らなければならないというようなことも、ある程度PRをされると、こういったような法案の作成にあずかって力があると私は思うのです。そこで、かりにストライキが起って、中小企業者が損害を与えた、他の何ら関係のない諸君にストライキが起ったことによって損害を与えた、こういう事態があった。ところが、その損害が起るというのは、まあ労働者が悪いので、お前たちはストライキをやってはいかぬといって公共の福祉の名においてストライキ権を制限されている。そこで、私はお聞きいたしたいことは、かりにストライキが起ったことが労働者の責任であるといたしまするならば、百歩を譲って、労働者も経営者も同一の責任である、そこで同一の責任であるから、公共の福祉のためにこのストライキが起った場合には、起って他の産業に損失を与えた場合には、他の産業、中小企業ですが、農民も含めて損失を与えた場合には、公共の福祉の名においてこの損害を補償せしむるというような法的処置を私は政策的に考えてもよろしいのじゃないか。まず、私は中小企業者の安定、救済ということを憲法の保障する自由を保障されないで、強制加入をされるというようなことでありまするならば、当然に中小企業者を救うという安定の策として、ストライキが一方に起って中小企業者の諸君に送電がない、損をした、そうすると損いたしますというと、中小企業者の諸君は困ってくるわけでありまするから、与えた場合にはさらに東電さんなら東電さん、電気事業経営者の諸君がその与えた損害に対して損害を補償するというようなことがあって初めて私はこの大企業からの圧迫を救済をする中小企業の救済策である、こういうことが一貫して言い得ると思うのです。ただ、ストライキが起ると、中小企業者は困る、さらに労働者があれは損失を与えたのだから、あれはストライキの制限をしろ、こういったようなことについての考え方の非常にまちまちである、一貫しないということを私はこの本法案の精神と、さらに従来あなたの政党がとってこられておりますところの政策に非常な矛盾を感ずるわけでございまするが、端的に申し上げますというと、今禁止されておりますところの公共事業的性格のもののストライキを禁止しておりまするその業体が、かりにストライキをやって、そして中小企業の諸君に損害を与えた場合に、さらにその中小企業の受けた損害をその業体が補償するというようなことの法律をお作りになる考え方はないかどうか。ということは、私はその労働者の制限をされておりますところのストライキ権を解除いたしまして、ストライキが起って、その中小企業者に損が及んだ場合には、その損害を補償するというようなことの法律を制定されるお考えはないかどうか。私は中小企業政策を進めて参りまする場合には、まずもってこれをお取り上げにならなければ、ほんとうに中小企業の親身になってこの安定と向上をはかってやるのだというようなことの理論的な一貫性を発見するわけにも参りませんので、この点について御説明をわずらわしたいと思います。
○国務大臣(岸信介君) 電気事業やあるいは石炭についてこのストライキが禁止されておる、この法制が国会におきましてもいろいろと論議されて、これが一般公共に影響するところが非常に大きいから、これが制限されているといういきさつは、御承知の通りでありますが、私はこれは必ずしもその中小企業に対するだけじゃなしに、大企業もあるいは一般、そういう事業に関係していない一般私人も広く、この程度は違うかもしれませんが、広く電気事業やあるいは石炭というものについては影響力を持っておるのでありまして、従って今中小企業の保護のために、これらのストライキ権を制限しているやつをやめて、そうしてむしろ損害賠償の規定に直せというような御趣旨でありますが、私どもはそういうふうな見解には実は立っておりません。中小企業は中小企業として、こういうふうな団体法によってその自主的な立場を組織力によって固めていく、そこに大企業との調整も自然にできてくることであるし、われわれは金融その他企業の経営の改善というものも組織を中心にして、それを基礎としていろいろな施設、政策を行なっていくということによって、中小企業を繁栄せしめようということを考えておるわけでありまして、今の労働組合のストライキ権と関係して何らかの立法をして、中小企業に損実賠償請求権を与えるというような立法につきましては考えておりません。
○梶原茂嘉君 岡委員の質問に関連するのでありますが、強制加入が憲法違反の疑いありとすれば、員外規制命令も同じく憲法違反の疑いがあると言われます総理の論拠は、問題の所在をかわされるものであって、とうてい私には理解ができない。なお、強制加入によって自主的な組合のあり方を立てる、また強制加入によって民主的な組合のあり方を期待するとしばしば言われるのでありますけれども、これはおよそ逆であろうと私は考えるのであります、組合の立場から申せば。しかし、以上は見解の相違でありましょうから、この際に答弁を私は期待いたしません。御質問を申し上げたい第一点は、本法発動の基準の点であります。本法が発動されまするのは、組合設立の場合はもちろんのこと、その他の場合においても不況要件いかんにかかっているのであります。そうして不況要件は中小企業者の競争が正常の程度をこえて行われる場合に限定されておるのであります。この正常の程度をこえる、こえないということは、こういう表現は常識的に考えましても、現実にこれを把握することが、私、非常に困難であると思うのであります。総理はこの委員会においても、また、本会議におきます施政方針演説においても、過度の競争という表現を使われているのであります。過度の競争ということでありますれば、これは常識的にも一応見当がつくのであります。安定法におきましては御承知の通りに安定法発動の基準というものは、過度の、行き過ぎた競争というところに線を引いているのであります。私これはきわめて妥当なことと思うのであります。何がゆえに安定法における過度の競争、すなわち常識的に考えて把握し得る一つの基準というものを捨てて、きわめてつかみにくい正常な程度をこえるという表現に変えられたか、その点についての御見解を伺いたい。これは私本法の実施の上においてきわめて重要な問題だと思いますので、あえて総理の御見解を伺う次第であります。
○国務大臣(岸信介君) 詳しくは法制局長官から、用語の問題としては御説明願いたいと思いますが、私は過度の競争という言葉と、今の正常な程度をこえてというのは、同じ趣旨だと思いますが、一つなお法律的の用語のなんですから、その点について法制局長官からお答えいたします。
○政府委員(林修三君) 今総理が御答弁になったことで尽きると思うのでございます。正常な程度をこえてということは、結局非常に度をこえたということでございますから、やはり過度ということになるのじゃないか、かように考えるわけでございます。
○梶原茂嘉君 総理が過度の競争というのと、正常な程度を越えたというのと大体同様なことであるという御見解でありますれば、きわめてけっこうだと思います。もしそうだとすれば、むしろ常識的にわかりやすい表現を用いることが、多数の中小企業者が対象でありますだけに好ましいことだと私は思います。それから第二点は、これも、これは通産大臣に聞くべき筋かもわかりませんけれども、本法の運用されまする上において、どういうふうに運用されるかについてきわめて重要でありますので、総理に伺うのでありますが、商店街組合のことであります。商店街組合は御承知のように、自然発生的に各地に行われまして、その数もきわめて多いことと思います。かつ一面において消費者に密接に接着いたしている組織であります。ただ、しかも行政地域の点から見ますると、行政上の最小の単位にもならないかと思うのであります。現在一般の原則といたしまして、御承知のように各地の商店街組合が本法により統制的な強力な組合になり得る期待を相当持っておる。また、一面においてこの不況要件の前提から見ますると、そうそう本法に基く組合ができそうにも思えない。それで私総理の見通しを聞くのでありますが、どの程度一体商店街組合なるものが本法によってさしあたりできるであろう、この見通しであります。相当できるのか、それともこれに該当する商店街組合というのは少いののか、私自身も実は見通しがつかないのであります。その点を一つ見通しでけっこうでありますからお伺いしたい。 それと商店街組合において行われまする規制事業というものはどういうものであろうか、どういうものが規制事業として商店街組合において行われるのであろうかということであります。これもちょっと想定することが、私自身に非常に困難でありまして、いずれもこれは多数消費者にとってきわめて重要なる関係にありますので、総理からお伺いしたい。
○国務大臣(岸信介君) 私この商店街組合の実情及び今の御質問のような見通し、それからその内容等につきまして、実は事実について御説明するだけの何を持っておりませんから、通産大臣をして答弁させます。
○梶原茂嘉君 通産大臣にまたお伺いする機会があると思いますから、この問題は別の機会でけっこうでありますけれども、御承知のように安定法と違って今回の団体法は範囲が非常に広くなります。流通面が新しく加わったのであります。しかもその流通面においては、先般総理も言われましたように、以前においては同業組合とか商業組合等があって、卸あるいは小売屋と申しますか、そういう面は相当そういう組織によって運営されておった。ところが、今度は非常に広い範囲に商業者が入るのでございます。個々の物資についての流通機構としての小売、卸その他につきましては一応見当もつくのでありますが、事商店街となりますと、雑多な業種が軒を並べておるわけであります。従いまして総理もこの前言われましたように、過去において何らの法的団体としての訓練、経験も私少いかと思うのです。そういう点が、今回のこの法律によって非常に強力なる統制団体になり得るのであります。しかも先ほど申しましたように、消費者の立場から見れば、それが最も親近感のある関係にあるわけでございまして、伝えられるところによりますと、この商店街の組合において、たとえば営業の時間を規制するということも言われておるのであります。それも一つの規制事業の内容にもちろんなり得るわけでありましょうけれども、そういうふうな考え方というものは、むしろ新しく商店組合法といいますか、あるいは商店街組合法といいますか、そういうものを立法をして、別個の観点から労働基準法とも考えあわせて規格されるべき性質のものではなかろうか、かように私は考えるのであります。総理におかれましても、本法の重要性から見て、そういう点についても十分一つ御検討をお願いしたいと思います。 それから次に火災共済の問題でありますが、これは政府提案ではないので、春日議員に御質問をする予定でもありますが、まだその機会が得られないのでありますが、政府としても重要な責任がありますので、お伺いするわけでありますが、火災共済の案によりますると、これはやはり協同組織を基本にする組合方式によって実行されるのであります。しかしながら、一県一つということになっておるのであります。しかも自治体においても、これに対して損失補償等が想定をされておるのであります。この立て方自体をどうこうというわけではありませんが、多分に公的色彩と申しますか、公共的色彩を帯びておるという印象を私受けるのであります。それで総理に伺いたいのは、社会保障の関係あるいは社会保険の観点等から見まして、こういう中小企業、なかんずく勤労者大衆等を対象にしての火災共済というものは、健康保険において、御承知のように組合管掌の保険制度がある、あるいは国民健康保険制度があって、社会保障制度の大きな役割を持っておるのでありますが、自主的な協同組合組織による火災共済と、特に一県一つということになれば、一歩進めると申しますか、社会保障の観点から考えらるべき問題ではなかろうかと、がように私には思われるのであります。将来の社会保障制度の観点から、どういうふうに総理としてお考えになるか、その点を一つ伺いたいと思います。
○国務大臣(岸信介君) 火災保険につきまして、共済組合でもって、共済組合を基礎としてこれを行うということにつきましては、いろいろ御議論もあることと思います。しかし、一般の火災保険事業として従来カバーしておる状況を見まするというと、こういうような中小企業等に対しまして、十分にいっていないというような実情もありますから、この組合で共済的にこれをやろうという考えが出たわけであると思いますが、将来どういうふうにこれを持っていくかという問題につきましては、いろいろ今後の問題として政府としても研究しなければならぬと思っております。一般の健康保険やその他の社会保障とこれを直ちに同一に見ていくということもいかがかと思っておりますが、この商工中小企業者の全体の利益、共同の一つの仕事として本法の中に共済組合の火災保険が入れられておりますので、将来その運用と見合わして、一般社会保障制度とも関連させて検討すべきものである、今結論的にどうするという政府として案を持っておるわけではございません。
○梶原茂嘉君 協同組合の方式でいく場合においては、むしろ複数主義が適当ではなかろうかと思いますが、府県において火災共済組合は一つだというところに、私の質問をした意味合いがあるのであります。十分御検討を今後お願いしたいと思います。 それから最後に環境衛生法との関連の点をお伺いしたいのであります。国会が、衆議院といわず参議院といわず、その立法活動が漸次活発になって参りましたことは、これは民主政治のあり方からいって非常に好ましいことと私は思うのであります。しかしながら、一面それが発達いたしていきまする過程において往々にして法律の体系の上にある種の混乱を引き起す、特に立法と行政との関連におきまして若干の乱れを引き起すということがあり得ると思うのであります。この点は、特に行政府としての政府としても、慎重な態度が望ましいと私には思われるのであります。この観点からお伺いするのでありますが、先般の国会において環境衛生法が成立をして、現に実施をされておるのであります。その中で、流通機構に属しまするものが若干入っている、たとえば食肉販売業でありますとか、牛肉屋でありますとか、そういうものが入って環境衛生法の適用を受けるのであります。ところで、この団体法が通過いたしますれば、この団体法も当然そういう業種を対象にしておるのであります。業者は業者の立場からいえばどちらかを、あるいは両方を選び得るのであります。本来環境衛生法のまあ内容なり、建前からいえば、かかる流通機構に属するようなものは、この団体法によって対象にすることが妥当のように思われる。しかも、行政面から見ますると、環境衛生法の行政は厚生大臣の行政下にある。団体法によっていきまする場合においては、これは物種別に農林大臣の行政下に属するのであります。しかも、その対象というものが大体同じなんです、そう大きな違いはないのであります。かかることは、行政を混淆せしめるものとも言い得るのであります。牛肉屋さんは環境衛生法でいく、牛乳の方は、これはどうしても団体法でいくというふうなことは好ましくないと思う。牛肉にしてもたとえば卸なり、あるいは卸売市場の問題もある、そういうのは農林大臣である、こういう行き方は、初めに申しました点に関連するのでありまして、この法律が通過をして運用されるとすれは、この機会に、やはりそういう不合理というものが是正されてしかるべきじゃなかろうかと、こう思うのでありますが、総理の御見解を一つ承わりたい。
○国務大臣(岸信介君) この団体法と環境衛生法との関係につきましては、今御指摘になりましたような点もありますが、一応この団体法の方が一般法で、環境衛生法の方が特別法というように法律の解釈としては一応考えるべきじゃないかと思います。いろいろ施行してみまして将来の問題として今御指摘のありましたような不都合や、あるいはその運用上適当でないというようなものについては、これを矯正する必要があろうと思いますが、現在のところでは、主管大臣が違いましても、十分まあ関係省において連絡をとって、統一的な運用を期するという一応の建前を、われわれとしてはとっておるわけであります。いろいろの業態も非常に複雑でありますし、関係するところも多いわけでありますから、それらの間の調整につきましては、施行後十分に一つわれわれとしては関係省において連絡をとって不都合を生じないように持っていきたい、かように考えております。
○梶原茂嘉君 実施の上で不都合が生ずれば云々というお話しでありますが、しかもまた、関係するところがきわめて複雑だというお話しでありまするけれども、私はそうは思わないのであります。問題はきわめて簡単であって、環境衛生法に入っておりまするうちで、流通機構に属するものはごくわずかであります。で、これが実施されれば、業界の立場からいえば、きわめて迷惑しごくであります。また行政面におきましても、これは明らかに一つのフィクションを生ずるのでありまして、むしろ将来実施の上云々じゃなくて、この機会に適当に措置することが、これが私きわめて簡明であって正しいことと、こう思うのでありますが、御検討おきを願います。
○国務大臣(岸信介君) 環境衛生法の方で指定されておりまする業種のうち、今この団体法ができた場合においては、こっちの方へ移した方が適当なものがずいぶんあるのじゃないかという御意見に対しましては、十分に一つ検討いたしまして御趣旨のような点を実現するように努力いたしたいと思います。
○大竹平八郎君 時間がございませんから、きわめて端的に要点をお聞きいたしたいと思うのでありますが、先日の本会議におきまして、大体私の最も疑念とする点につきましては、総理より明快なお答えをいただいたのでありまして、了承をいたすものでありますが、ここで敷衍をいたしまして一、二お尋ねをいたしたいことは、まず第一に、本案の成立前後からでございますが、これに伴いまして、岸首相は非常に民主主義を高調せられましてそのまた実践のために挺身をせられていることは、私どもは敬意を表するのであります。しかし、この本案の取扱いと、いうような点からいろいろ考えまするというと、何かこの二大政党のほかに第三政治勢力というものが、何かこう、かもし出されていくのではないかというような点を憂うる一人なんでありまして、私も過去におきまして中小企業の育成、強化のために対しましては相当の犠牲も払い、また努力もして参った一人なんでありまするが、えてしてこの指導上、あるいはまたボス等の支配下になりがちなんでありまして、そういたしまするというと、どうしてもファッショ化する傾向というものができるのであります。最近総理も御承知の通り何々連盟といういろいろの団体がたくさんできて参ったのでありましてこれはもう結社は自由なんでありますから、これは幾つできてもけっこうなんでありますが、せっかく総理が唱えておりまするそういった民主主義に相反するような傾向になっては、これは大へんなんでありまして、中小企業自体をわれわれがどうするかということは、これはもう卑俗の言葉で申しますならば、殺し文句なんでありまして、私ども委員会といたしましては、事中小企業の問題に対しましては、政党政派をこえて今日までやってきておるのでありますが、どうも二十六国会を通じてこの法案の取扱い等を見ましても、私どもはこれは必要なるがゆえに当時の水田大臣に対しましても、劈頭これを出してそうして慎重審議をしなければならぬということを強調しておるのでありますが、当時といたしましては、政府の考え方というものは固まっていないのであります。それがちょうど半ばどころではない、この二十六国会がまさに終らぬとするころにこういうものがぱかっと出てきたということがこれは何かそういう点におきまして、裏からの政府に対する大きな圧力が加わったのだろう、もしそういうものの圧力でこういう拙速主義と申しましょうか、事をやろうとするならば、私は民主主義の上に非常な暗礁を来たすのではないかと思うのでありますが、この点につきまして総理の見解をお尋ねいたしたいと思います。
○国務大臣(岸信介君) 中小企業の問題といたしまして、これを組織化する希望は、これは中小企業者が長くこれを全般として希望しておったことだと思います。なるほど中小企業に関しまして、いろいろな連盟等の結成をみて、中小企業問題がそういう方面から大いに国民に強くその主張を述べておることの事実は、御指摘の通りであります。しかし、政府がこれを取り上げて、こういう立案をいたして提案をいたしましたゆえんのものは、かねて政府として中小企業に対する対策をいろいろの方面から検討をいたしており、中小企業者の全体の要望というものに対しましても、長い間いろいろな方面からその意見も聞いております。われわれとしてはとにかくあらゆる中小企業に対する、先ほど来お話がありました、金融の問題であるとか、あるいは枝術の改善の問題であるとか、あるいは経営の合理化の問題であるとか、いろんな点において中小企業に対する対策というものは、総合的に行わなければなりませんが、その基礎として、まず中小企業者が自主的にこの組織を作るということ、これが業界を安定せしめる一つの基本になるわけでありまして、業界が不安定であるならば、これに対して金融の措置を講じようとしてもできないし、あるいは企業の経営の合理化であるとかあるいはいろんな技術の改善というようなことを行おうとしましても 業界自体が不安定であり、あるいは業界がその結果共倒れというような状況でありましては、これに対する処置ができないわけであります。従いましてそういう意味においてこの組織が基礎であり、この団体を作ることをかねて研究しておったわけでありまして、御懸念のような、これが一種のある力によってファッショ化するというようなことになることは、これは民主主義の原則からいいまして、われわれは十分に戒心しなければならぬことは言うを待ちませんが、現在のところ、われわれがこの案を出して、この案の御審議を願っておる上におきまして、そういう見地に立つものでは全然ない、またこの団体ができました上におきまして、さらにこれが一部の業者の、いわゆる世間で言われる、ボスというようなものの支配のもとに、多数の業者が困るというような事態が起ってもこれはいけないことであります。十分その組織ができました上における運用と人事等につきましても、これは民主主義の本元に徹してこれが自主的な、民主的な団体として、組織として発達していかなければならぬ、かように考えております。
○大竹平八郎君 次に、私は法文についてたくさんの疑義を持っておるものでありますが、これを総理に一々お聞きすることは、これは差し控えますが、ただ一点、これはもし総理が御答弁できなければ、法制局長官からお聞き下さってお答え願いたいと思いますが、この中小企業者の定義の中に、すなわち第五条でございますが、第五条中に、「『中小企業者』とは、次の各号の一に該当する者をいう。」というので、この資本金というものが全然うたっていないのであります。人数三百人以下の者であって、工業、鉱業云々と、こうあるのでありますが、御承知のように最近の日本の工業というものは非常な変り方を示しておるのであります。現に私どもが最近新潟方面に国会の出張で参りました日本瓦斯化学工業の経営いたしまする硫安工場のごときは、どう見ても地方一流の大会社であるのであります。ところが、実際におきましては人数は三百人ないのであります。それがあの大事業というものを経営をしておるのでございますので、そういう意味からいいますると、ただ人数だけを考えますというと、あの大工業もまた中小企業の中に入る、こういうふうに私どもは解釈はできますので、これにはどうしてもいわゆる中小企業の資本の定義で一千万円とかいうようなものをうたうのが本筋じゃないかと、かように考えるのでありますが、この法文についての質問は譲りますが、これだけはきわめて重大な、これはもうこういうことで参りますると、大企業の特別すぐれた技術陣によって、中小工業というものは壊滅をするのであります。この点を一つ、これはぜひ総理の口からお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(岸信介君) 五条には御指摘のように資本の制限はあげておりません。この組合の使用する使用人の数、従業者の数を一つの標準としてあげておりますが、いろいろな企業の性質上、あるいはこれだけの少数の人でもって相当大きな規模の仕事をしておるという場合も、もちろんあると思います。しかし、この組合の組織自体は大きい、組合員としてはその事業の大きさいかんにかかわらず民主的な組合でありますから、すべての表決権等はおんなじ形で参っておりまして、決して御心配のような、それに大きなものが入るから、非常に中小企業がそのために絶滅するというようなことは、私ども予想をいたしておらないのであります。なお、資本の制限ということをいろいろ研究をされたようでありますが、実際の例にあてはめて考えてみまして、技術的にこれを制限することは非常にむずかしいということが、これにあげなかった一つの理由になっておるようであります。
○大竹平八郎君 今の点は、いずれまた通産大臣からお聞きすることにいたしまして、次に移りますが、政府がしばしば御答弁をせられていることは、消費者からの声といたしまして、商工組合ができれば、いろいろな物が高くなっていくのじゃないかということにつきまして、政府は、原材料を安く仕入れるから、物価が上らないというよう御答弁をせられておるのでありますが、これはまた非常に独禁法の改正の問題といろいろ関連をいたしまして、聞くところによりますというと、中小企業自体に対しましても、この独禁法の適用云々というようなこともございますが、この際この独禁法をこの法案の成立を契機にいたしまして、独禁法改正の構想がおありになるかどうかということを一つお聞きしたいと思います。
○国務大臣(岸信介君) 独禁法につきましては、これは日本の産業民主化の大きな法律の一つでありまして、申すまでもなく施行後十年もたちましていろいろその間に経済界の変遷等も経てきております。これに対する改正論といいますか、いろいろの議論も民間各方面から、ことに財界方面から出ていることも、御承知の通りであります。政府としましてはこれらの問題を取り上げて、とにかく根本的に検討してみるというのが、今の時期として適当であると考えまして、その方の権威者を網羅した審議会を作って今審議をしております。政府としてある案を持ってこれに臨んでおるわけではございませんで、十分審議会の自由な調査、審議の結果に基いて考慮したいというつもりでありまして、世間で言われているような、これを改正する、もしくはカルテルをいろいろな広い範囲において作るという意図のもとに、審議会を作っているというようなことが宣伝されておりますけれども、絶対に政府はそういう考えではございません。
○大竹平八郎君 時間も参りましたから、私は最後にきわめて重大なことをお尋ねをいたしたいと思うのでございますが、この本案の審議に当りまして一番大きな問題になりまするのは、例の五十五条の強制加入の問題でございまして、この点は先般の私は本会議におきましても、総理よりまあ御説明願ったわけなんでございますが、私どもはこの法律が政党政派をこえまして、何とか一日も早くに成立をさせたいということは、これはもう皆さんも心から同意をせられることだろうと思うのでございますが、従いましてその賛否の立場をこえまして、立法上かつ憲法上かように疑義の存しますることは、これは各委員の連日にわたりまするところの協議において明らかなんでありますが、これにつきまして政府はこういうようなことを、この状況を無視をいたしまして、あくまでもまあ五十五条の固執をしていこうというような態度でございましょうか。あるいはまた、委員会におきまして、五十五条修正の有力な意見が出るというようなことになりまするならば、特に政府がこの際耳を傾けて、そうしてお考えを下さるものかどうか。これはきわめて重大な問題でございまするので、総理からお聞きをいたしまして、時間も参りましたから、私の質問を終りたいと思います。
○国務大臣(岸信介君) 五十五条のいわゆる強制加入の規定は、実はこの法律におきましては、きわめて重要な規定でございまして、私どもがこの団体法の成立を願っておるのにつきましては、この五十五条の規定は政府の考えではその眼目の一つであると実は考えておるわけであります。(「世論は二つに分れている、世論は」と呼ぶ者あり)もちろん、政府は、これは政府の希望であり、政府の、われわれの説明も、従ってずいぶん御意見がいろいろとありまするのに対しまして、われわれの所信は一貫して申し述べておりますことも、この規定がきわめて重要であるという点に立っておるわけでありまして、政府としましては、ぜひ一つ御審議の結果、この規定を存続して御通過をいただくようにお願いをしておるわけであります。
○相馬助治君 最後に、私は一ぺん社会党の立場から首相に特段念を押してお尋ねしておきたいと思うのです。本日岡、島、梶原、大竹、いずれの諸委員からも、五十五条に関連をいたしまして質問が行われましたが、首相は従前の立場を固執されまして、五十五条は違憲の疑いはないと政府は考えるがゆえに、これをこのままにして衆議院修正案通り一つ成立せしめたいと、こういうふうに申されております。これは従前の立場からよくわかりまするが、しかし、ここではっきりいたしておりますることは、この団体法について賛否の立場をこえて、憲法上疑義の存することはいなめない事実でございます。世論もまた、この五十五条を中心として団体法に対する賛否が強く分れておるわけなのであります。従いましてただしておきたいことは、この委員会において五十五条改正の有力な意見が出、あるいはまた野党、緑風会等より五十五条の排除または修正を含むところの修正案が強く出たような場合に、この団体法の成立の一日も早きことを望んでおる岸首相といたしましては、現実の問題として、この修正案に耳を傾ける用意ありやいなや、これは政府を代表する首相としてはもちろんのこと、与党総裁としてこの問題についての基本的態度をお尋ねしておきたいと思います。これは仮定の事実でなくして、私ども社会党といたしましては、午後正式に参議院社会党の立場から、自民党に対しまして、本案に対する修正意見が一応まとまったので、提示したいと考えておるのであります。従いまして自民党総裁として、かつ首相として、この五十五条の排除ないしは修正を含む修正案等が出た場合においては、政府はいかなる態度をとらんとするものであるか、しかも、この団体法の早期成立を期待する政府として、これに対して、五十五条の修正を強く要求する態度とが対抗いたしましたときには、せっかく参議院の国会の運営の正常化が叫ばれておる際に、混乱すらも予想されることも考える場合において、首相としては、この問題について、総裁としての立場からも、いかなる基本的態度と信念を持たれるか、特に社会党を代表して、私はこの一点を念を押しておきたいと思います。
○国務大臣(岸信介君) 先ほど来私もこれは政府の首班としてのみならず、私の属しております自由民主党の総裁としても同じ意見でありますが、政府といたし、またわが党としては、あくまでも五十五条を衆議院の修正の通りの原案でぜひ成立せしめたいというのが、一念でございます。もちろん、国会において、あるいは参議院の委員会におきまして、多数でもってきまる何に対して、政府がかれこれ申し上げる筋はございませんけれども、私自身の願いとしては、今申し上げるように、ぜひこれは本法の眼目の点であるがゆえに、衆議院の修正案通りの原案において成立しますように強くお願いをしているわけでございます。
○委員長(近藤信一君) これにて暫時休憩いたします。 午後一時九分休憩 〔休憩後開会に至らなかった〕