予算委員会 第4号
- 発言数
- 194 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1957/11/07
会議録
○江崎委員長 これより会議を開きます。 昭和三十二年度一般会計予算補正(第1号)、同特別会計予算補正(特第3号)、同政府関係機関予算補正(機第2号)、以上三案を一括して議題といたします。川俣清音君外十七名より右三案の編成替を求めるの動議が提出されております。この際その趣旨説明を求めます。成田知巳君。
○成田委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、昭和三十二年度予算補正、第1号、特第3号及び機第2号について組みかえの動議を提出いたしまして、その提案理由の説明をいたしたいと存じます。 政府が一千億施策、一千億減税と自画自賛しました昭和三十二年度予算は、予算成立後二カ月を出ずして深刻な外貨危機を招来しまして、同じ政府の手で、予算編成の基本方針と全く相背馳した急激な金融引き締め、デフレ政策が、総合経済政策の名のもとに強行されておるのであります。同じ内閣のもとで、しかも数カ月を出ずしてかかる政策の大転換が行われたことは、わが国の政治史上私は、寡聞にしてまだ聞いたことがございません。デフレ政策への転換を余儀なくされた原因が政府の経済の見通しの誤まりにあったのか、あるいはまた政治的配慮、言葉をかえて言えば党利党略によって経済の実勢を無視した予算を編成したことにあったかは別といたしまして、国際収支の逆調、外貨の大量喪失、百八十度の政策転換は政府の大失態でありまして、旧憲法下の戦前の内閣ならばまさに総辞職問題であります。諸外国の例を見ても、ほおかぶりをして過ごせる筋合いのものでは決してございません。しかるに岸内閣がみずからの責任に対して一片の反省の色も示していないことは、まことに遺憾であります。これでは、岸総理が好んで口にする民主主義責任政治は単に言葉の上のそれであって、総理は政治を言葉なりと理解しておられ、政治に対する責任と誠実性を少しも持っておられないと言われても弁解の余地がないと思います。今や神武景気は一変して神武不景気となって国民各層間に大きなひずみと国民生活に大きな摩擦を生じております。もし岸内閣が単に言葉をもてあそぶのでなくてほんとうに国民生活の安定と向上をこいねがうならば、みずからの経済政策の失敗により生じたこの事態収拾のために、おそきうらみがありますが、本臨時国会で緊急必要な予算措置を進んで講すべきであります。 しかるに、今回の補正予算案を見るに、一般会計、特別会計、政府関係機関予算を通じて単に総則の改正のみを行わんとしているのでありまして、名は補正予算でありますが、岸内閣の愛知官房長官がいみじくも漏らしたように、補正予算というにはあまりにも内容に乏しく、補正予算という名に値しないものであるというのも私は道理あるものと思います。察するに、政府は、予算委員会を中心にして活発な論構が展開されて政府の経済政策の失敗が爼上に乗せられることをおそれまして、ことさらに内容のない予算案を提出し、野党攻勢に肩透かしをはかったものと思うのでありますが、このことは、政治的配慮のために、党利党略のために、緊急を要する国民生活の安定を犠牲にしたものと言われてもいたし方がないと思います。(拍子) 以上の観点に立ちまして、われわれは、当面緊急を要する必要最小限度の予算措置を、以下述べる各項目について要求して、政府の善処を求めるものであります。 組みかえ要求の第一は失業対策費の増加であります。政府のデフレ政策の直接の被害者として、完全失業者は、六月に四十六万、七月四十八万、八月四十九万と逐月増加の一途をたどっております。この傾向がさらに強くなることは、政府自身本年下半期の経済成長率を五%以下に抑えんとしておることから見ましても、疑いの余地がありません。加うるに、総理も御承知のように、駐留軍労務者の解雇は明年三月までに最低四万五千と見込まれております。本年度の失業対策事業の吸収人員は二十二万五千でありまして、これが実情を無視した過小の予算人員であったことは、本予算案審議の際すでに明らかにされたところであります。よって、対象人員を三十五万に増員し、これに要する経費二十九億一千万円の増額を行う必要ありと存じます。 駐留軍関係の労務者でありますが、歴代保守党内閣のアメリカへの忠誠外交のもとで、行政協定によりまして、駐留軍関係の仕事に不安定な雇用条件とはなはだしい低賃金で雇用されてきました。しかるに、今回アメリカの極東戦略の変更によって、無慈悲にも一挙に街頭にほうり出されんとしているのでありまして、政府はこれらの者に対して離職対策について万全を期せなければならないことは言うまでもありません。われわれは以上の離職者救済のために必要な法案を別途提案するとともに、これに要する最小限度の費用といたしまして、一人当り五万円の特別支出金計二十二億五千万円と職業補導、住宅建設、移転に要する費用等を合せまして、約二十八億円の予算補正を要求するものであります。 要求の第二は中小企業救済のための予算補正であります。御承知のように、政府の出しております経済白書は、日本経済の後進性、二重構造に言及して次のごとく述べております。どの好況のときでも、例外なく、景気の上昇が中小企業や雇用面などいわゆる社会的に弱い面に浸透するには非常に時間を要しながら、この面に浸透し始めるころには必ず引き締め政策をとらなければならない、そのような事態が必ず起きてくる、そうして引き締め政策をとればこれらの弱い部面に最初のしわ寄せがいくことも経済構造上の大きな問題点である、こう指摘しております。そこで、最近政府や資本家団体はわが国経済の二重構造について論じて、中小企業、農業経営などの広範な非近代的部面を近代化して二軍構造を是正しなければならぬと言っております。しかしながら、考えてみまするに、この二重構造こそ豊富低廉な労働力の源泉であって、わが国資本主義経済はこの上に立って初めて発展することができたのであります。従って、二重構造はむしろわが国資本主義経済発展のための不可欠の条件であって、資本主義のワク内ではとうていこの二重構造の根本的解決は不可能であります。従って、わが国の場合は、政府の言うごとく近代化することによって構造を変えるのではなくて、むしろ構造を変えることによって近代化が促進されるのであります。この基本問題に目をおおいまして、中小企業金融を少しばかり増額したり、あるいは中小企業団体組織法案が成立すれば中小企業問題が万事解決するかのごとく政府、自民党が宣伝していることは、まさに右の手で中小企業の首を絞めながら左の手で頭をなでているようなものであります。(拍手)しかも、今回の補正予算で増額される中小企業金融、特に国民金融公庫への融資額は、繰り上げ融資四十五億円を除けばたった二十五億円にしかすぎません。現在、金融引き締めのしわ寄せは中小企業に押しつけられまして、かつ市中金利も上昇いたしております。これを反映して国民金融公庫への借り入れ希望は殺到しております。借り入れ希望に対して貸付の実績は、四月から九月平均約百二〇%程度にしかすぎないのであります。このような現状からしまして、われわれはぜひとも国民金融公庫に対する融資をさらに百三十億増加する必要を認めるわけであります。 第三の補正要求は公務員手当及び生活保護費の増額であります。これまた経済百書の指摘を待つまでもなく、物価騰貴に比較して賃金の上昇は常におくれるものであります。最近の物価動向を見まするに、八月第二週より卸売物価は、反騰に転じております。また、勤労者の生活に直接関係のある消費者物価は、政府の国鉄運賃値上げ、消費者米価値上げ等に刺激されまして高勝を続けまして、九月現在におきまして昨年同月に比し約五%の上昇を見ております。岸内閣が値上げ内閣と呼ばれるゆえんもここにあるのであります。しかるに、政府の公務員年末手当の増額は〇・一五にすぎず、しかも既定の予算のワク内操作でまかなわんとしておるのでありますが、物価の上昇並びに賃金水準の低さにかんがみまして、さらに〇・ニカ月分を増額し、合計ニカ月分の支給が必要であります。また、三公社五現業その他政府関係機関職員、地方公務員、義務教育職員についても同様二カ月分の年末手当を支給すべきであります。従って、一般会計予算補正においては、一般会計関係公務員に対して〇・二カ月分の追加に必要な二十億九千万円、地方公務員、義務教育国庫負担分に対しては、地方財政の窮乏にかんがみまして、〇・三五カ月分を国庫負担として、その必要額百十億七千万円、合計百三十一億六千万円を計上する必要があります。 なお、消費者米価引き上げを中心とする消費者物価値上げに伴いまして、日雇い労務者の年末手当、生活保護費の増額等を行わなければなりません。日雇い労務者に対しましては年末手当八日分の増六億一千万円、生活保護費等の増額は、被生活保護者期末一時扶助一世帯について二千円、国立病院入院患者給食費の増、国立病院の燃料費の増、児童保護措置費の増等合計三千四億二千万円の増額を要求する次第であります。 最後に、緊急経費として予算措置を必要とするものは、地すべり対策費を含むところの災害復旧等事業費の増額であります。毎年全国を襲う風水害の災害復旧状況は、直轄事におきましてようやく昭和二十八年までの災害が復旧されたにすぎません。補助事業におきましては昭和二十五年度の災害がいまだに未復旧の状態であります。このような状態にかんがみまして、本年六月以降九州、長野、岐阜等を襲った風水害に対して最小十五億円の予算を追加計上する必要があります。さらに、佐賀、徳島、新潟諸地域の地すべり対策は緊急の必要事であります。これがための防止施設、家屋移転費等として、これまた十五億の予算を必要とします。岸首相は汚職、貧乏、暴力の三悪追放を唱えておりますが、保守党の体質の根本的改善行わない以上、三悪追放は言うべくして望み得べくもありません。三悪追放はたとい不可能としても、せめて自然の暴力から国土と人命を守るために、ぜひとも政府でこれだけの予算措置を講じていただきたいと存じます。 以上当面必要とする最小限度の予算措置として、二百五十九億一千万円の追加計上を要求した次第でありますが、これに年末手当等に対する減税措置六十億円を合せました三百十九億一千万円の必要財源は政府の責任において措置すべきことはもちろんでありますが、一千億に達するといわれておる本年度の租税自然増収に手を加えるまでもなくして、すでに政府みずから毎年経験されておるように、二百億円に達する防衛庁費の未使用残高分と、米軍引き揚げに伴い生ずる防衛分担金の大幅減少による剰余金をもってすれば十分充当可能であることをここに明らかにいたしまして、政府の善処を要求する次第であります。 以上、喫緊必要な最小限度の予算補正を要求しまして、その趣旨を説明した次第でありますが、何とぞ自民党の諸君におかれましては、いたずらに反対せんがための反対をなさることなく、この謙虚な組みかえ予算に対して全員賛成あらんことを特に申し述べまして、私の趣旨説明を終る次第であります。(拍手)
○江崎委員長 以上をもちまして編成替を求めるの動議の趣旨説明は終りました。 この際、補正予算三案及び編成替を求めるの動議を一括して議題とし、質疑を行います。古屋貞雄君。
○古屋委員 私は総理大臣にお尋ねを申し上げたいと思います。 総理大臣が第一次、第二次組閣をなされましたつど、三悪の追放の公約を国民にいたしました。その着想はまことにけっこうなことでございまして、私どもも満腔の同意を申し上げ、これがすみやかなる実現を希望いたしておるのでありますが、現在の状況におかれましては、その三悪追放の効果は単なるから宣伝に終りまして、その実が上っていない、かように私どもは考えております。従いまして、私がお尋ねしたいのは、総理大臣は絶対にこれが実現をする確信と決意がおありになるかどうか、この点をまずお伺いいたしたいと思います。
○岸国務大臣 三悪の追放は、私が政治を行なっていく根本の出発点でありまして、ぜひ実現したいという見地に立っております。この三悪に対しましては、従来といえども政治家はいずれもこれをなくすることに努力をされたことと思います。しかもなお跡を断たないところを見ますと、非常な決意と非常な努力を要するもの、であることはもちろんであります。私は全力をあげてこれを実現したい考えであります。
○古屋委員 その決意を承わりましたので、重ねてお尋ねいたしたいと思うのでありますが、組閣以来相当の時日が経過いたしておるわけでありますが、総理のお考えになっておりまする計画が実現しておるかどうか、その効果が上っておるかどうか、その見通しと、現実に効果が上ったか上らないかの総理の御見解を承わりたいと思います。
○岸国務大臣 ただいまも申し上げましたように、このことは従来といえどもこれが念願され努力されてきたにもかかわらず跡を断たないというような問題でありますから、もちろん私はこのことに対して全力をあげていたすつもりで着々いろいろな方策は講じておりますが、結果としてどういうふうになったかということを申し上げることはなかなか困難であります。しかし、今申し上げましたように、この問題は私が全力をあげて勢力をいたすのみならず、いやしくも政治に関係している人は御協力を順いまして、ぜひともこの効果を上げるように今後ともいたしていきたい、かように考えます。
○古屋委員 総理のその決意はまことにけっこうでありますけれども、総理が内閣を組織されて施策をいたしておりまするその過程におきましては、むしろ逆にこの三悪がふえておるという事実、総理はしきりに各方面のお力を借りて実現に努力されているというお言葉でありまするけれども、むしろこれがますますふえておる。しかも汚職、暴力行為そのものの内容につきましては悪質な事犯がますます増加しておるというこの現実、私どもは、この現実に対して、総理がいろいろと口頭禅を弄しましても、この社会におきまする現実にふえておるというこの事実は、明らかに総理に熱意がないからだ、ただ口頭禅に終っているのだ、こういうような結果になっておると私は確信いたします。ふえております。しかも内容が悪質になっております。これに対しまして、一体総理大臣の御見解はいかがでございましょうか。悪質になりふえておるというこの現実をどうごらんになりますか。
○岸国務大臣 私はそういうふうには実は見ておりませんけれども、もちろんこの長い間いろいろな事態から暴力や汚職の問題がつきまとって従来ありましたことは非常に残念であります。今なお跡を断っておらぬということも私は十分承知しておりますが、しかし、私が政局を担当いたしましてからその問題がふえており、また悪質になっておるとは私は考えておりません。
○古屋委員 総理はみずからの立場を保護するために現実を無視しておるということを、それでは私は証拠をあげて申し上げましょう。あなたが内閣を組織されて以来一体どのくらいあなたの部下である役人が縛られておるかということを私は現実に申し上げましょう。保守党内閣が今日まで相当長い間続いたのでありますけれども、あなたが組閣されてから後に検挙されましたあなたの部下の諸君はほとんど各省残るところないほど現実に起訴されておるのです。あなたはあまりふえておるということをおっしゃらない、否認しておりますから、私は事実をもってこれを証明申し上げたいと思うのであります。 まず第一にあなたに申し上げたいのは、あなたの内閣の大臣でありまする方たちが中心になったというので問題になっておりまする肥料の輸入に関する汚職事件、バナナの不正輸入に関する汚職事件、これは農林省に関係するわけです。私は、たくさんあり過ぎまして、時間を費しますから、簡単に代表のものだけを申し上げますが、通産省における外車輸入、機械、穀物輸入に関する事件、それから労務省に関係ある労働基準局の、しかも監督署長が、驚くべきことに、自分の女房の経営しておりまする売春宿に若い娘を売春させておるということが明らかになっております。さらに、これは大蔵省の問題ですが、大蔵省におきましても、外貨の問題、外国為替法の問題、税務署の間税の係員の問題、ことにここに、大蔵大臣がおられますから申し上げておきますが、大蔵省の税務に関係する方たちが、大蔵省の税金の納入証明書を、しかも数十枚署長の判を盗んで発行をいたしまして、その発行に基いて通産省が外車を輸入させたという、これは外国人も関係しております大がかりな事件が現在捜査中になっておりますが、こういうような驚くべき事案がある。普通の事案と違って、あなたの部下が四十枚以上も一人で税務署の盗印をしてうその証明書を書くというような悪質な問題になっておる。さらに公正証書不実記載の問題が税関の係員にある。こういうことで今検挙されて起訴されておる事実がある。さらに進んで法務省の問題です。人をひっばる検察官、国民の代表、正義の代表者である検察庁にまた汚職事件が出てきた。これは法務大臣よく聞いて下さい。大阪地検の二重帳簿の問題、仙台高検の執行係官が被告人から頼まれて刑の執行を延ばしておる間に、ついに時効になってしまったこういうような驚くべき問題がものすごくあります。さらには裁判所にまで問題が起きておる。裁判所は、これは総理大臣の関係ではないかもしれませんが、長官の任命は総理大臣に責任があるわけなんです。裁判所の書記官が西村金融の跡始末の競売係の顧問になって顧問料をもらっておる。こういうようなことに相なるならば、一体国民はどこを信用し、どういう工合に考えたらば自分たちの権利の擁護、生活の安定を得られるかということについて非常な不安を持つのでありますが、こういうような、かつてない、法律を守る、国法の番人の裁判所にまでこういう問題が起きたということになると、これは驚くべき、世界にも例のないことじゃないかと私は思う。もっとはっきり申し上げますならば、防衛庁の問題、防衛庁というところは毎年々々二百億も予算が残って使い道に困ると世間では言っておる。国民は零細な血の出るような金を税金で納めるけれども、防衛庁はまるで湯水のごとく使って、従ってこの内面においては今日まで数えきれない汚職事件が行われておる。現在でも海上自衛隊――かつては古ぐつの問題とか古エンジンの問題とかありましたが、もう絶え間なく防衛庁を中心とする御用商人との結託による汚職が行われておる。厚生省においてしかり。厚生省における水道の内藤技官が問題になっておる。あるいは自治庁が各地方の交付金の分配に手心をしてやろうというので、自治庁の係の者が地方から金をしぼり上げた、こういうことに相なっておりまして、数え来たりますならば、驚くべき汚職が、現実に起訴されておるだけでもこういうようにあるわけであります。これを言いかえるならば、だんだん探して参りますならば数限りのない、これは氷山の一角だけがここに現われておるのだということを私どもは国民とともに憂えるのでありますが、この現実をも総理大臣は御否定なさるのでございましょうか。
○岸国務大臣 御指摘のようないろいろな事案がありますことは、私も非常に遺憾とするところであります。しかし、その原因は、やはり全体として公務員の綱記の弛緩にあり、また、公務員制度につきましても、責任制の明確ならさる点にも基因している。これらの点につきましては、公務員諸君の特別なる反省を求めるとともに、また制度の改心等につきましても意を用いておるわけであります。ただ、私は真剣に、これらの公務員におけるところのそういう汚職の事態をなからしめるという意味におきまして、あるいは検察庁においてもそういう事犯があるならばその事態をあくまでも究明して将来に跡を断つようにという考えでおりますので、あるいはその途上におきましていろいろな事態が出ることも、私は将来のほんとうの粛正をするための途上におきましては非常に残念ではありますけれどもやむを得ない事態であるかように考えております。
○古屋委員 私はそういうようにおっしゃると思って待っていました。そんなことで汚職事件の解決がつくというなら簡単でございます。もう今までに行われております。もっと根本の問題があるのです。今総理大臣のあげ足をとるのじゃありませんけれども、検察関係に言うて大いに検挙して反省を促すと言っておりますが、それではそのやっておる第一線の司法検察官のことをもう少しあげてみましょうか。これはもっとひどいのです。これは驚くべきことです。国民を代表して、われわれが憲法で保障されておりますところの人権を少くともある程度制約し制限する立場における、人を縛る立場における関係の警察官がどういうことをしておるかということを、それでは説明してみましょう。まるで想像のつかない事実がございます。これは新聞に出ておりますから、総理は十分御存じでありますが、西村金融に関する警視庁の刑事の問題です。四村金融が脱税をした。従って国税庁がこれを摘発した。ところが、その国税庁の摘発者が西村から金をもらって汚職事件がここに起きた。従って警視庁はこれを捜査にかかった。捜査にかかりましたところが、今度は捜査にかかった警視庁の司法警察官が、また今度は金をもらって、これに引っかかった。まるで汚職のイタチごっこをやっておる。国民はこの事実を知って一体どう考えますか。この政治をやっておる現内閣に対してどういう考えを待ちますか。この点は、どこに持っていって、だれを一体信用すればいいのですか。今もおっしゃいますところの――あなたの力の与党のことは今に私は申し上げます。与党の内容については申し上げますから、今は申し上げませんけれども、政治が悪いとおっしゃっておる。その通りなんです。政治が悪ければその責任は総理大臣にある。一体こういうことで国民を信じさせよう、今おっしゃったように検挙して一応これを摘発する、やめさせよう、反省を求めよう、そういうような薄はっぱな、上っつらなことばかりを総理がお考えになったならば、これは繰り返すばかりです。こういうことはそれこそ口頭禅に終って、国民は非常に失望するでございましょう。これに対して、これでも総理は検挙厳罰をすることによって汚職がなくなるとお考えになるか。私はこういうように考えております。検挙して処罰をいたそうとも、それは現われた現象を押えるだけにすぎない。その生まれてくる、よってもってくる根本の根を断つことを考えなければならぬ。総理はその根本の根を断つお考えがあるかどうか。あれば、あなたの具体的なお考えを承わりたい。
○岸国務大臣 私は、ただ厳罰に処すとかいうことによってこれをなくするということを申し上げたわけではございませんで、根本はやはり公務員たる者のこの職務を扱っていく上における綱紀の弛緩というところにその大きな原因があると私は考えまして、これに対して十分な反省を求め、またその実績につきましてもわれわれは十分に考えていきたいと思います。また、公務員制度そのものにつきまして責任制が明確でないというところにもその一つの原因があると思いまして、これに対しましても十分な検討をいたしておるわけであります。ただ、従来ややもするとこういうことが伏せがちになるということは、私が汚職をなくするという信念に向っていくためには、そういう事実があるならばあくまでも究明して明らかにして、これをもって戒めの一端とするという意味でありまして、ただ厳罰に処すことをもってだけ、検挙することだけをもってこれをなくするという考えではございません。
○古屋委員 残念ながら根本の解決策の具体的な御答弁がありませんが、具体的な根本的解決策の御答弁を私はお願いいたします。
○岸国務大臣 今申し上げたように、私は、これは結局は公務員の綱紀の問題であり、忠実に公僕としての職務を行うという職務に対する心がまえを持たせるべきであると思っております。
○古屋委員 あなたの部下に行政監察局というのがありまして、あなたは部下にそれをやらしておるのですね。やらしておりまするけれども、やって調べさせたところが、非常にたくさんの不正、不当があり、国のために予算を使ってないということが報告されておる。それにもかかわらず、この報告はしつぱなしで、これをどうするかということを何もしていない。これはまあ一つの例でありまするけれども、あなたは非常に公務員の組織の問題、公務員に対する綱紀の問題をただいまおっしゃっていまするけれども、ここに「不正者の天国」という木を私は拝見いたしました。その中に、六百億、約一千億になんなんとするような金が国民のために使われていないという行政監察局の報告が行われておる。この報告の跡始末をどうしたかと聞いても、単なる一片の書類の報告にすぎないのであって、各省が、この報告を受けて、それでは今後注意いたしますという程度で終っておるらしい。こういうことでいいかどうか。これは一つの例ですよ。総理は今部下に対するところの規制の問題、綱紀の問題、責任制の問題をおっしゃっておりまするけれども、特にこれを監察させ、監察いたしました結果について何ら必罰の処置をしていないという事実がある。こんなことでは、いたずらにわれわれのとうとい税金をたくさんの人に消費をきせるだけであって、何らの効果ないということになる。この本を見ますと、あらゆる、固有財産の処分の問題、あるいは災害補償のごまかしの問題、あるいは地方におけるところの地方庁の者が東京に出てきて自治省からごまかした特別交付金を受けておるというような不正事実がたくさんある。ところが、この結果は、係官に聞いてみると、これは報告しつぱなしなんだ。あとは、お互い同士、お役人さん同士だから、まあまあで済ましてしまうという。こういうような事実がありますから、これは一つの例なのですが、私は永久に役人の汚職平作というものはあなたのお考えではとうてい解決がつかないと思う。私の申し上げまするのは、根本の問題はこれは政治にあると思う。日本の政治そのものの根本から清めていかなければ、政治をやる人の自分の身の回りから清めていかなければらぬ。この政治道徳が確立されていかなければ、私はできないと思う。この点は、総理大臣、確信を持って、あなたの身の回り、あなたに関する与党をまず――国民は、三悪追放を総理大臣がおっしゃるならば、まずお前さんが出直して顔を洗っていらっしゃい、あなたの回り、あなたの与党の回りが、はっきり清められてから承わりましょう、こういうのが国民の気持らしい。この点に対する態度を伺いたい。
○岸国務大臣 汚職という全体の問題は、もちろん公務員だけの問題ではございません。御指摘のように、民主政治の本体として政治そのものが清潔であるということに対する国民の信頼を獲得しようということが、私の汚職追放の一番の念願であることは、かねて所信を表明しておる通りであります。従いまして、政治を粛正し、政治そのものが清潔であるような姿にするということが必要であることは御説の通りであります。私もそういうように念願しております。
○古屋委員 これでだんだんふえる。今私が報告申し上げたような事たがたくさんふえてきます。問題の根本は、結局あなたのお組みになった予算をみると――まずこの点を一つ承わりましょう。働こうとしても働く場所の与えられない青少年、働いておる公務員も生活の維持ができないという状況、こういうところに社会不安の根本をなすものがあるであろうと私は思うのです。そこで総理に一つ御相談申し上げたいと思うのは、大蔵大臣もいらっしゃいますからお尋ねしたいのですが、三十三年度の予算をこれから編成されるわけです。三十二年度の予算においてわれわれ極力反対をいたしましたが、この簡単な解剖を申し上げますと、防備関係空が三千四百十一億円ある。民生安定費は驚くなかれ一千百二十六億という半分しかない。国民生活安定を御主張になる岸内閣が、人殺しのために、現在のような人工衛星その他大陸間弾道兵器という科学的な驚くべき武器の発達した今日において、しかも日本を守るという名目のもとに、アメリカから押しつけられたりしておる二千億の予算、これは二〇%に当り、民生安定費は、一〇%しかないというこの現実の予算編成ですね。こういう予算の編成に国民の不安がある。国民生活の安定か傷つけられておるという原因がある。三十三年度予算編成に当っては、どうです、こういうところを考え直されて、民生安定費を重点に置かれて、人殺しのための防衛費などというものは、科学の力にまかせて、今のような膨大なものを削って、根本的にあなた方の考えを考え直された予算を組む決意があるかどうかをまず承わっておきたい。
○岸国務大臣 予算の編成につきましては、われわれ、日本の全体を見まして、国のために、国民のために最もわれわれが適当と信じたものを提案して御審議を願いたいと思います。
○古屋委員 そこで、私、総理に重ねて承わりたいと思いますのは、やはり、さっき岸総理がお答えになられましたように、あなた自身の身の回り、あなたの関係しておる与党の中を清められて、純潔にされて、そしてしかる上に三悪追放ということの実をあげていただきたいということを私は要望いたしまして、そこで承わりたい。今問題になっておりますところの売春汚職の問題なんです。これを一つ承わりたいと思う。売春汚職に対して、あなたの属する与党の力が検挙されておるらしいのですが、その結果がどうあろうかは、これは未知数であります。しかし私は、そういうことよりも、少くとも与党の二人が検挙されております事実は、与党の中にそういう疑いが行われておるということの明らかな証拠なんです。従いまして、この売春汚職に関して、総理大臣のあなたのこれに対する対処の御決意を承りたい。
○岸国務大臣 あくまでも事件の内容を明確に調査してこれに対する処置を講ずるというのが私の考えであります。
○古屋委員 そこで、今度はその犯罪事実でなくて、そこに至るに至った、うん醸された経過と、現実の問題を承わりたいのです。このことはあなたの総裁としての立場からお考え願わなくてはならぬと思うのですが、自民党の中に風紀衛生対策特別委員会というものを作られた。私は何も他の政党のことをかれこれ申し上げるわけではありませんが、この委員会は何が目的で何をやったかということ、これが国民の非常に大きな疑惑を持っております、またわれわれも疑惑を持っております一つの特別委員会でありますから、しばらくこの内容についてお尋ねをさしていただきたいと思う。 かつてわれわれが売春防止法の提案をいたしまして、しばしば売春防止法は不成立に終りました。当時ここにいらっしゃる川竹さんが厚生大臣のときにも、これが対策には二十億くらいの予算がなければできないのだということでいろいろ御配慮を願ったのでありますが、幸いに昨年の国会でこれが通りました。通りましたその法律を実施するについて、これが実施をこばもうとする業者、言いかえまするならば、社会的に見て社会悪と言われる肉を売った金をもって収奪をし、その収奪した金をもってこの売春防止法の施行を何とかして抑えようという一万五千の業者の諸君、それらの人々の組織する全性連の代表者の諸君が、あらゆる方面に運動をされたことはあなたも御存じだと思うのです。相当の金を使った。ときにはあなたの党に集団入党をしようということになった。(「でたらめを言うな」と呼ぶ者あり)数万の従業者と業者が印刷物までこしらえて、あなたの党に入党して、あなたの党にたよってこれが延期、あわよくばこれに対していろいろの処置を講じてもらいたいという考えから、さような方法が講じられた。ところが非常に世間の反撃が強いので、最初は何か組織局の方で入党してもらおうということでだいぶやったらしいが、そういう関係におきましてついにこれはだめになった。私は責任を持って申し上げますが、その書面も私どものところにございます。(発言する者多し)そういうことで入党のことはさたやみになりましたから、その点はいいでしょう、入党はだめになりましたから、これはけっこうで、しょう。その後の問題について風紀衛生対策特別手長会というものの目的は、承わりますと、この売春防止法をあわよくば延期してもらいたい、しからざれば転廃業に関するところの国家賠償をしてもらいたい、あるいは国家賠償でなくとも、融資をしてもらいたいという一つの要望があった。従ってこれは確実であるかどうか知りませんけれども、私どもの耳に入っていますのは、風紀衛生対策特別委員会で十数億の融資をしてやろうというようなことで決議が行われた、これは私は確信を持って申し上げませんが、そういううわさなんです。そこで朝日新聞の週刊朝日を拝見すると、私の承わったことに符節を合せるように、八月三十一日の日に堀木厚相、唐沢法相、正力国務相、川島幹事長、三木政調会長らを招いて、売春防止法を実施すれば性病は広がる伝々、予算の裏づけがないのにこれをやったらどうなるかというようなことを談じ込んだ、ということがここにあるわけなんです。私はこの記事がほんとうであるかどうかわかりませんけれども、少くも風紀衛生対策特別委員会があなたの党の中にあって、そうしてこういう世話をしておる、こういう事実があるかどうか。これは何を目的としておるものであるか、この点はあなたが総裁として御存じだろうと思うのでありますが、これは一体どういうような委員会でありましようか、その点のお答えが願えませんか。
○岸国務大臣 売春禁止の問題は、日本の社会の私は大問題であると思います。しこうして諸外国の例に見ましても、また日本の従来の経緯から見ましても、これを行うということにつきましては、非常な決意とあらゆる準備を整えていかなければならぬことは言うをまたないのであります。今古屋君のいろいろおあげになりましたような事実は、これは古屋君も確信を持ってお話しておるわけではありませんから、私もそれに対してかれこれは申し上げませんが、わが党におきましてそういう特別委員会を設けましたことは、言うまでもなく四月一日に施行される法律を円滑に実施して、そうして十分に法の、目的を達するために、そういう困難がある事態であるから、十分な対策を考究するという目的で設立したものであります。
○古屋委員 私はそういう形式論よりも、特別委員会の中の一人の方が今被疑者となってつかまっておる。ところがこの内容については、私どもが承わるところによりますと、転業資金を貸すというようなことを決議されたということも承わっておるのでありますが、そういうようなお考えがあるかどうか。私はむしろこれは勅令九号によって、あるいは東京都条例によって、各府県の条例によって禁止されておる行為なのです。人身売買、売淫の関係、そういうような不正あるいは法の盲点を突いてやってきたところの最も社会で憎むべき、最も社会できたない業者に対して、一体転業資金を貸すことの世話をするというような、さような考えの者が一人でもあなたの党の中にあるということになりますならば、これはわれわれとしても何をかいわんやであります。今問題になっておりますのは戦争の犠牲になった戦争孤児の問題あるいは未亡人の問題、こういうことこそ最も先に生活安定をしてやらなければならない。特に当面の問題となっておりますところの、今まさにあなた方の方に陳情に行き、大いに交渉をしておりますところの進駐軍労務者の問題なんです。この進駐軍労務者の問題は、数万の労務者がああいうような片務的な条約のもとに苦しめられており、いろいろな制約によってその犠牲に甘んじて今日まで参りましたが、この数万の進駐軍労務者に対して、これこそあなた方はまつ先にこれが善処をせられて、こういう人々の働く場所、生活安定に対するところの世話をすべきだと思うが、どうなんでしょう。この点について承わりたい。
○岸国務大臣 戦争犠牲者やあるいは駐留軍の労務者に対する施策を真剣にやらなければならぬということは、これは私どもも全然同感でございます。これはもちろんやっております。私は、それらの問題と売春の問題とは何ら関連性のない、また別に考えておるのであります。
○古屋委員 ただ私がお尋ねしておるのは、ただいま承わりますというと、あなたのおっしゃることに一応信を置いてもけっこうでございますが、風紀衛生対策特別委員会という特別な委員会を作って、売春防止法の施行の運営をやるということで、この委員会ができたとおっしゃいますならば、もっと大事な、今言ったような不平等条約に苦しめられ、犠牲になった進駐軍労務者に対する生活安定の特別委員会でもお作りになるものならば、国民やわれわれも承諾するわけでありますが、一体どちらを先にすべきであるか。
○岸国務大臣 進駐軍の労務者につきましては、政府に特別の委員会を作っておりまして、これは政府、与党一体となってこの問題の緊急対策を真剣に考究いたしておるのであります。
○古屋委員 あなたの与党の方からだいぶヤジが出るようですが、私はヤジが何ぼあってもそんなことはかまいませんけれども、ただ私はあなた自身が国民に対して汚職の追放、暴力の世故をなさるについては、あなた自身の問題、あなたの身辺、あなたの支配しておるところの総裁の立場からの与党の問題を清めてほしいということで、私は申し上げておるのですが、私はまずまっ先に清められたいと思うことはあなた自身だとか――このことはあなた個人に対して私どもはかれこれ申し上げるのではありません。あなたについて申し上げたいことは……(「同じことじゃないか」と呼び、その他発言する者あり)黙って聞けよ。法務委員会で今問題になっておりますのは、昨年の十二月十八日に……(発言する者あり)うるさい、黙って聞けよ。そこで私が承わりたいのは、暴力排除を公約された総理大臣が、あなた御自身が、十二月十四日の党の総裁公選大会のときの産経ホールにおける暴力団とあなたの院外団とのごたごたの結果、数日おいた一二月十八日にあなたのところにある暴力団が面会を求めて、ごたごたした。そうしてあなたの秘書の中村という人から五十万円をもらったということが問題になりました。このことは、その団体の中におる、私の郷里の山梨県の玉川という男が、おしまいにその中を暴露した、それによりますと、あなたの秘書の中村さんという人が、五十万円の金をその団体にやった。それで、その問題について警視庁はどう調べておるかということを法務委員会で質問をいたしたところが、警視総監も、そういううわさはある、捜査はしておる、しかしまだ結末が出ておらぬということでございます。その結末の出てこない原因を尋ねてみると、中村秘書官がなかなか出頭して実質のことを言わない、出頭しない、調べに応じない、だからその真相がわからない、こうおっしゃっておる。少くとも、日本じゅうに向って暴力を排除しようという御本人のあなたが、あなた自身が暴力団にやられたことについて、かつ、実際に五十万を出すならば、法律上これは恐喝罪である。それに対してあなたの秘書が進んでこれに協力しない、これは何ぼあなたが言ったところで、あなたの言う暴力排除というものは、あなたの真心から出ていないと私は信ずるのですが、この点はどうなんですか。
○岸国務大臣 私の承知しております限りにおいて、そういう事実はないということを私の秘書の中村は申しております。
○古屋委員 そういうことをおっしゃっておりますけれども、あなたの家に面会を強要に行った事実はあるわけですね。これは否認しないでしょうね。その点はどうなんです。
○岸国務大臣 当時私は幹事長をいたしておった時代におきまして、いろいろな人が面会に来ることは、これはあります。しかしそれが面会を強要し、私はそれの恐喝によっていろいろなことをした事実は一切ございません。
○古屋委員 そういうようなお考えではとうてい……。 そこでもう一つお聞きしたい。このことは個人の問題にあらずして公けの問題ですから私はお尋ねをいたすわけでありますが……、(「法務委員会で言え」と呼ぶ者あり)いま一つ大事な問題で総理一から直接承わりたいと思うのです。当時中島特殊鉱業という北海道の硫黄の炭鉱、それに今総裁でありますあなたとあなたの下におる副総裁の大野さんとの二人が重役でおられて、四億四千七百万円の金をお借りになった事実。そうして私どもの手元にある書類によりますと、その四億四千七百万円の中で二億円が会社のために使われたのだ。その会社の中島というのはなかなかの山師であって事業家ではないのだ。それが四億四千七百万円を開発銀行から借りようとしたけれども、うまくいかなくて、その辺のあっせんで千葉銀行から借りたのだ。その千葉銀行を調べてみると千葉銀行の資本金は三億円しかない。資本金が三億円しかない千葉銀行から四億四千七百万円借りられた。そのうち二億円は会社のために使ったのだが、その他の金は政治関係に使われたということを書いた書面がここにあるのですが、この真偽は別といたしまして、私どもはあなたの自民党総裁選挙のときに各候補者が数億円から金を使ったといううわさを聞いております。この事実と、こういうことを考えますと、どうも真実らしく考えられるのでありますけれども、こういう疑いがあるということ、この疑いが持たれておるということがありますならば、あなたは進んでこういうことを明らかにされる決意があるかどうか。アメリカのニクソン副大統領は汚職の疑いがあるということを新聞によって報道され、みずから進んで一切の事実を明らかにして国民の前にこれをさらけ出した。自分はそういう疑いを受けたけれども、この通り何にもないのだ、清廉潔白だということをやられたが、これに見習うような決意があるかどうか、その点を承わりたい。
○岸国務大臣 今御指摘になりましたことは、私は中島信吉君と長年の友人でありまして、私がかつて中島君のやる北海道の硫黄の開発につきましてある程度の協力をしたことは事実であります。しかしながら今おあげになりましたようなことは、古屋君も事実であるかどうかというようなことに対してはっきりした信憑性を持ってお話しになっておらないのでありますから、私自身は絶対にそういう事実はございませんで、今そういうただ一片のうわさに対して、私自身がむきになってこれをどうするという考えはございませんが、しかし古屋君におきまして、そのことに対して、私の廉潔性を何か疑うということに対して、はっきりした責任のあるお言葉がありますれば、私も責任を持って私の身辺を明らかにするつもりであります。
○古屋委員 非常に力強い御答弁がございましたが、私どものところに入っておる問題、これは千葉銀行の有名な汚職問題でいろいろ問題がありますので、この問題はいずれ進展をしてからそういう事実が明らかになったときにお尋ねをいたしましょう。 そこで私は一つ変えまして伺いたい。総理大臣はしきりに青少年問題についての育成強化を叫ばれておる。これはまことにけっこうでありまして重要な問題だと思うのであります。そこで総理にお伺いいたしたいのは、帝国憲法から切りかえられた新憲法、このことはやはり従来の帝国憲法時代に正しかったと教えられ、正しかったと考えたことが誤まりであるということを前提として新しい憲法が制定せられたと私は確信いたします。従いまして主権が天皇から国民に移ったのでありますから、これは平和的な革命であると私は思う。私どもの考えております平和革命、思想革命が行われたものと確信を持っておるのでありますが、総理はこれに対していかにい考えでございましょうか。
○岸国務大臣 旧憲法の時代と新憲法の時代、また戦前のわれわれの国民道徳と戦後のわれわれの国民道徳の考え方というものにおいては、非常な変革があったことは事実であり、またそれは根本において尊重されるべきものだと思いますが、戦前のものがすべて破壊されて新しいものができたとも私は考えておりません。しかし新憲法の新精神というものは旧憲法時代のものと非常に差がある。古屋君が今おあげになりました主権在民ということがはっきりされておる、民主主義の理念というものは、新しい憲法においてきわめて明確にまた以前にはなかった思想であると私は思います。
○古屋委員 そこで私は総理に伺いたいのですが、総理が青少年問題についてしきりと青少年の育成強化と道義の問題を取り上げになっていて、政策にありまするが、その道議とはどういうものであるか。私は少くとも前の帝国憲法時代に指導者として立ったいろいろの人々が、今日の新憲法下におかれましては、やはり思想的な切りかえが根本から行われて、そしてかつてやったことは間違いである、と大きな反省の上に立ったその考え方でなければ、青少年問題に対する指導、道議を説く資格がないと私は思う。こういうことから考えて参りまするならば、やはり今の青少年対策問題というものは、これは最も日本の大きな問題であって、相当決意を待たなければできないと思う。それが単なる一片の青少年問題中央審議会の審議によるとか、あるいは修身科の新設であるとかいうような、そういう問題では私は解決がつかない。かように考えまして、要は根本的に思想の切りかえが行われなければできないと私は信じますが、総理はいかに考えておりますか。
○岸国務大臣 今申し上げましたように、私は決して旧道徳をそのまま、もしくは旧憲法の精神を、全然違っておる、思想が切りかえられておる新憲法のもとに押しつけようというような考え方は、毛頭持たないわけであります。しかしながら、やはり青少年諸君が成人した後において、りっぱな社会人としてこの国をりっぱなものにし、平和な世の中を作っていくということに、社会の一員としてりっぱに共同でき、努力できるような心がまえや行いや習慣というものを、教育の過程において身につけられることを望むというのが、私の考えでございます。
○古屋委員 そこでさらに進んで申し上げたいのは、私どもは新しい憲法そのものをよく体得して、新しい思想の切りかえが行われたものでなければ、憲法の条章に基く日本の幾多の政治というものは止まれてこない。私は総理大臣が三悪追放する前に、青少年に対して道義の高揚を説く前に、最も必要なことは、先にまず政治道徳の、政治道義の確立が行われなければならぬと思うのでありますが、その点はいかがでございましょうか。
○岸国務大臣 政治道義の確立ということは、これはお話の通り非常に必要であります。私はどれが先とかどれがあととかいう問題じゃなしに、政治の道義を確立することも、これは政治家として当然、また現在の政治の実情から見まして、われわれが大いに努力をしなければならぬことであると同時に、また将来の日本の民族の運命をになうところの青少年諸君の問題も、これは取り上げていくべき問題である、かように考えております。
○古屋委員 政事道義の確立のまた基本となるべき問題は、私は基本的人権の尊重でなければならぬと思うのであります。基本的人権の尊重が行われておりまする現憲法のもとにおいて、あなたはついこの間あなたの政策の発表をなさった中に、しばしばお口に出ておりまするその言葉は、集団的暴行の問題ということをおっしゃっております。集団的暴行というのは私どもはよくわかりませんが、そのあとの方に、公務員が集団的に暴行、というような言葉が言われておりますので、このことは、やはりあなたが御心配になられておるのは、三公社五現業の問題ではないかと思うのであります。三公社五現業におけるところのこれらの人々のペース・アップの問題、あるいは生活給の問題、あるいは年末におけるところの給与の問題について、やっていけないからペース・アップの要求をしておりまするこの姿、これに対してあなたは一片のよりよき労働慣習を作るのだ、あるいは一片の業務命令に対するところの規格の厳守を要求するとか、さようなことをしきりにやっておりまするけれども、私はまず考えなくてはならぬことは、基本的人権をどうするかということと、憲法の章条に上って保護されておりまするところの、こうした働く者の団結権、罷業権の問題について、やはり一片の官僚的解釈をもってこれで押えつけようというようなことでは、これは政治道義に反するという確信を打ちますが、いかがでございますか。
○岸国務大臣 基本的人権の尊重せらるべきことは当然でありまして、また憲法で保障されております労働者の団結権及び合法的な労働運動というものに対して、われわれがそれを尊重し、それを認めることは当然でありまして、私が集団的暴力伝々と言っていることは、決して一労働運動を押えるための口実で申しておるわけではございません。あそこにもはっきり申しておるように、私はこれらの集団的暴力が反民主的勢力と結びついて行われるようなことに対しては、われわれは民主政治、民主主義を守り、ほんとうの自由と人権を守る意味におきまして、そういうことが社会に存在することがわれわれの平和な生活を害する、民主主義を害するという意味において申しておるわけでありまして、労働運動につきまして、この三公社五現業の諸君といえども、法に認められておるところの行動をすることについて私はあれこれを申すつもりは決してございません。しかしながらそれが逸脱され、やはり三公社五現業の諸君の行うべきことにつきましては、それぞれ法規でもってその限界というものが定めてありますから、これを十分に守ってもらって、そうして話し合いで物事がきまっていく、そうして労働者諸君の生活の状態も改善され、労働条件も改善されていくということを私は念願しているわけであります。
○古屋委員 三公社五現業の諸君に対する最後の生活を守るところは、仲裁裁定を政府が実施するということでなければならぬと思うのです。政府が仲裁裁定を実施するところの熱意がなければならない。政府にこの問題を問い詰めますと、そういう規定がないから、規則がきまってないからということをおっしゃいますけれども、これらの労働者の諸君、働いておりまする諸君については、憲法に保障されました罷業権を奪われておる。従いまして、その仲裁裁定を実施するということが唯一の彼らの生命保障の全科玉条とすべき問題です。それが規定にないからこれを実施することはできない、国会における一片の、予算がないから、ないそでは振れないからということで押し払っていいのか、そこに私は道義の問題があると思う。少くともまじめに働いて、まじめに責任を果した人間に対して生活を保障するということは、これは政府の義務であります。使用者の義務であります。その政府の義務を一片の規定がない、決議によって、予算がないからだめだといってすっぽかしていいのかどうか。もう三公社五現業の諸君は八回まで仲裁裁定実施をそでを振られたのです。予算がないからできない、こういうことで八回までこれを断わられて現在に至っておるというこの事実にかんがみて、少くも総理が政治道徳を重んじ、道義に立脚した政治をしようとするならば、そういう規定があろうがなかろうが、私は総理は進んで、この窮状に対し、この正しい要求、しかも正しい機関の裁定に対して必ず実施をすべきであると思う。これに対して総理の決意と御答弁を承わりたい。
○岸国務大臣 お話の通り三公社五現業につきまして、一方においては罷業権が制限されておる。従って最後の何は仲裁裁定であるという御趣旨は私は同感であります。従って政府としては、この仲裁裁定というものを誠意を持って実現するということを、私はすでにこの春におきましても声明をいたしておりますし、その実現を期しておるわけであります。
○古屋委員 従来もそういう答弁をいたしましたが、八回まで行わなかったのでありますから、必ず予算にこれを盛る決意があるかどうか、その裏づけとなるところの予算にはっきりこの仲裁裁定を実施するところの予算を組む決意があるかどうか、この公開の席上で一つ御答弁をいただきたいと思います。
○岸国務大臣 私は仲裁裁定を完全に実施するということは、この三公社五現業に対して政府のとるべき態度だと思います。もちろんこれに必要な予算等があるならば、それに必要な予算を提案すべきものである、かように考えております。
○古屋委員 そこで最後でございますが、私は青少年問題に対する総理の育成強化の御発言とこの政策を今度は承わりたい。非常に力強く、日本の将来はこの青少年の育成強化と道義の高揚であるということを政策に盛られておっしゃられておる。これは具体的に申しますならばどういうことか、具体的に御答弁を願いたい。私どもは、少くとも根本的に問題になります問題は、やはり張本的人権を尊重するということと、平和憲法であるということと、日本の民族の将来の発展というものは平和でなければならない、戦争という悲惨なものの中に日本の青年を巻き込むわけにいかないということが一番大事なことだと思うのでありますが、平和と、日本の独立と、ただいま申し上げましたような一つの基本的人権を尊重するということの具体的な総理の御見解を承わりたいと思います。
○岸国務大臣 青少年諸君に対する対策といたしましては、まず教育、文教の問題に関連するものが非常に多いと思います。文教政策の刷新及び充実をはかることも一つであります。また育英制度も考えていく必要があると思います。また社会に出た青年諸君に対する社会教育のことも考えなければならぬと思っております。もちろん青少年諸君が新憲法の精神を十分に体して、それを身につけるようにされることは最も望ましいことであると考えております。
○古屋委員 いろいろと御答弁をいただきましたが、最後に私が承わりたいのは、総理は三悪追放を政策に掲げて全国を遊説あそばされた。その遊説をされましたときに、大衆の中から、あなた自身が三悪追放の演説をすると、これに拍手を送るどころか、逆に嘲笑的な態度であなたを迎えた、こういうことを随行の新聞社の方たちがうわさをしておるわけでありますが、実際どうでしょう。あなたが三悪追放ということを公約しておりながら、むしろその三悪は増加しておる、国民生活は非常に窮迫しておる、こういうような現実、社会のこのありのままの現実というものは、非常に深刻な生活不安に陥れられておる。従ってあなたの三悪追放演説に対しては嘲笑的な態度をもって迎えられたということでございますが、あなたはどういうお考えを持っておられますか。(「ノーノー」)
○岸国務大臣 各地におきまして非常な多数の人が私の演説を聞いてくれましたので、たくさんの聴衆のうちに、新聞記者諸君の観察されたとあなたに報告されたことも、あるいは事実であったかもしれません。しかし私が全体として受けました印象は、これに対して国民は強くわれわれにしっかりやれという激励と、われわれに協力を得たと思います。(拍手)
○古屋委員 あなたはそうお考えでしょうが、それでは私一つだけ承わりましょう。国民生活というものは、あなたらの内閣を組織されてから後に楽になっておるでしょうか、苦しくなっておるでしょうか。まず第一に申し上げたいことは、まずあなたは減税をすると申しておる。減税を行われる。その減税そのものは資本家階級の減税であって、減税の恵沢を受けない大衆はむしろ増税されておる。ことに私一つ質問いたしたいことは、こういう点である。主婦連が消費米の位上げに対してうんと反対した。そのことは単に消費米の価格を値上げされておるということに対して反対をしておるのではない。一般会計から特別会計を埋めて参りまするならば、その一般会計の金というものは比較的国民の惰力に応じて納めた税金においてこれが負担されておる。しかるに消費米の価格を上げて、これで数十億の食符合場の赤字を埋めていくという政策というものは、ニコヨンであって、あしたの米を買う金がない、あるいは生活に困っておる大衆というものがその米を買う。しかも日本一の納税者であるところの資本家階級の人の米に対するところの値上げの問題と、この大衆の米の値上げの問題を考えてみますときに、いわゆる日本の社会補償制度であった米価の二本建ての政策というものは、一般会計の金をもってこれを補填すべきが原則である。しかるにただいま申し上げましたように、生きていかなければならない重要な食糧、しかも生活に困った大衆の責任においてこの赤字を埋めているような政策をあなたが行なっておる。これは一つの例でありますが、だから大衆はこれに対して、あなたに嘲笑的態度をもって、岸内閣信ずるに足らない、こういうことを考えることが私は正しいと思うのであります。この点に対する消費米価の値上げが国民に不平等な負担をかけるという事実をお認めになるかどうか。
○岸国務大臣 米価の値上げにつきましては、その際に詳しく政府の所信を明らかにいたしたのでありますが、私どもはこの戦後における米価、この配給米の制度の実情を見ますると、国民が実際に配給を受け、一定の価格において米を取得し得る量というものが、残念ながら非常に少く、従って米以外のものを用いるか、あるいはいわゆるやみ米というものによって生活せざるを得ない。どうしても配給制度を完備備して、できるだけ配船の日数を多くしていく、またやみ米の値段を下げるようにしていく。その他の食生活の改善等によって、米以外のものによって十分に栄養をとるような方法も考えていかなければならぬ、いろいろな総合的な見地から国民生活の安定を考えていかなければならぬと思うのであります。私はそれに対する政府の考え方というものは、十分に当時も述べておりますし、またその後における実際の国民生活における主食の状況を見ますると、あの程度の消費米価の値上げが国民生活全体に対して非常な悪影響を与えておるものとは、私は絶対に考えておりません。決してそういう意味において国民に非常な御迷惑をかけておるというような結果になっておらない。幸いにそういう状態にあることは、非常に今年が豊作であったということにも大きな原因はございましょうが、私はそういうふうに考えております。
○古屋委員 そういうような見方は、納得のいかない答弁ですけれども、そういうことでありまするからなおらないのです。最後に私は総理に承わりたいが、世の中で最も卑しい、最も憎むべき営業をしていました人々、あるいはそれらに搾取されて、肉を売らなければならなかった悲しい人々から吸い上げた金を、その幾分でもあなたの支配する政党の方がもらっておるということに相なったならば、今その疑いを受けて真鍋君か引っぱられておるのでありまするが、あと出るか出ないか、これは問題になるでしょうが、一人でもあった場合において、私は総理として国民に対して相当重大な政治的、道義的立場から責任負わなければならぬと思う。これに対するあなたの決意を承わりたい。言いかえますならば、真鍋君が引っぱられておる、あなたの支配する政党、公党なんです。その中におけるところの特別対策委員会が何をどうしたかということは、おのずから世間が事実によって厳重な批判をするでございましょう。従って現実に問題となっております真鍋君の問題、あるいは今後そういうことが出なければいいが、出た場合において、あなたは国民に対する政治道義の立場からどういう答えをもってこれに責任をとるか、その点だけを最後に承わりたい。
○岸国務大臣 私はこの問題につきましては、過日もある席上でお答え申し上げましたように、政治の清潔及び品位を保つという意味におきまして、厳格な態度をもってこれには臨むということを申しております。私は事件の内容が検察庁におきまして目下調査中でありますので、厳正にあくまでも事実を究明して、その事実に基いて、私は今申したような態度をもって臨むつもりであります。
○古屋委員 総理の答弁は、ただそのできごとを明らかにして責任を負う、厳正に臨むということであるが、総理大臣自身の責任はどう考えておるかを承わりたい。私は、総理大臣は国民に対して相当な責任を政治道義的に負っておると確信しておる。総理大臣は負わないとおっしゃるなら別です。自分もこれに対して相当なる程度の政治責任を感じておる、こういうお考えでありますならば、それに対してどういう態度をとられるかということを一つお伺いしたい。
○岸国務大臣 国民の良識が満足する方法において、私はこれに対して善処するつもりであります。
○古屋委員 発券問題は吉田委員から質問いたしまするので、私はこのくらいで終ります。
○江崎委員長 関連質疑の申し出があります。この際これを許します。島上善五郎君。
○島上委員 ただいま古屋委員の質問した事項に関連して、簡単に二つだけ御質問いたします。 政界をきれいにするためには、いろんな措置か必要でございますが、特にこの際あっせん収賄罪法の立法が必要であるということは、国民党でも認めており、社会党はもちろんのこと、世論も強くこれを要請しておるところであります。しかるに最近、あっせん収賄罪の立法化についてはだんだん後退してきておる。あるいはあやしくなってきておると見られる節があるのであります。自民党は、先般政策を発表しました際に、政治に対する国民の信用を高めるためにという項目の中にあっせん収賄罪の立法化などの必要な措置を検討する、こういう一項がございます。ところが、これは事実かどうか自民党さんのことですから、はっきり申されませんけれども、新聞の伝えるところによりますると、このあっせん収賄罪の立法化などの必要な措置を講ずる、こう原案になっておりましたのが、党内の反対がありましたために、措置を講ずるという表現を、措置を検討するというふうに、あいまいなものに直した、こういう事情があったということを聞いております。そういうこと等もありまして、あっせん収賄罪の立法措置が果して講じられるかどうか。あるいは講じられましても、その内容がきわめて抜け穴の多いざる法になってしまうのではないかということを世間で心配しておりまするし、私どもも心配しておる。これに対する総理大臣の決意をまず第一にお伺いいたしたい。
○岸国務大臣 あっせん収賄非の規定は、これ次の国会に提出するようなつもりで準備を進めております。ただ島上君も御承知のように、あっせん収賄罪につきましては法制上、法律学者の同におきましてもいろいろな議論があり、立法技術の上におきましても、困難な点が幾多あります。私どもはしかしながら、その困難なるがゆえにこれを制定をしないというようなことではなくして、その困難を克服して提案するという決意のもとに準備を進めております。
○島上委員 私も、いろいろ立法技術上困難があることは承知しております。しかしながら、困難があることを理由にして、あってなきにひとしいようなざる法を作ったのでは何にもならぬと思うんです。ぜひこれは立法化をするということと、あってないにひとしいようなざる法にならぬような法律を出してほしいということを希望しておきます。 その次に必要なのは、私は選挙及び党の日常活動にきれいな金を使うということであろうと思うんです。そのために必要なのは政治資金規正法の改正と、これに関連する選挙法の改正だと思うんです。御参考までに申し上げますが、選挙法、あるいは政治資金規正法で、政治資金の制限ないしは禁止されておりますのは、こういうことです。選挙に関し国または公共企業体と請負、その他特別の利害を伴う契約の当事者である者は、当該選挙に関して寄付をしてはならぬ。この禁止だけです。これはこの表現ではっりわかりますように、国もしくは公共企業体と請負その他の特別の契約の当事者である者が選挙に関して寄付をしてはならぬ、これだけの制限です。この契約の当事者であっても、選挙に関してでなければ寄付しても一向差しつかえない。さらに私ども問題にしております国が財政投融資をしたり、補助金、交付金、利子補給をしたり等している団体は、選挙に関して寄付しても一向差しつかえないことになっている。この前問題になりました造船汚職の際にも、政治資金として献金するだけなら何にも法律上問題ならぬ。しかしここに私は汚職の原因があり、政界腐敗の大きな原因がひそんでいると思う。このことについては岸総理大臣も御存じだと思いますが、昭和二十八年の夏に国会が例の混乱をしました際に、当時の五党は国民に約束しました。この混乱の事態を国民に陳謝して、今後再びかかる事態を起さぬようにするために、いわゆる自粛三法を作ります。自粛三法とは国会法の改正、選挙法の改正、政治資金規正法の改正であります。この三つを約束しました。しかるにその約束のうち、国会法の改正と選挙法の改正は相当大幅に実現されましたが、政治資金規正法の改正はしないで、国民に約束を履行しないまま今日に至っております。社会党は、御承知のように、前々国会から政治資金規正法を、意見が一致しなかったために単独で出して、今日継続審議になっております。私どもは国から財政投融資をしたり、補助金、交付金を与えている団体から政党が金をもらうということは、やはりおもしろくないことだと思う。政界腐敗の一つの原因はそこにあると思う。私どもの意見をそのまま全的に承認されるかどうかは別としまして、政治資金規正法と選挙法のこの寄付制限の項目を 政界をきれいにするために、選挙に際しあるいは政党の日常活動に際してきれいな金を使うようにするためには、この二つの法律を改正する必要あるということは、一般識者のひとしく認めるところです。これに対して総理大臣はどのようにお考えになっているか。
○岸国務大臣 政党が政治をきれいにする意味におきまして、政党自身がきれいな金を使うようにしなければならぬということにつきましては、私は島上君と全然同意見であります。その意味において、この政党の政治資金に関する法律を全面的に検討するということもやって、適当な改正を加えられることにつきましては依存ございませんが、今具体的にどの点をどういうふうにするかこいうことにつきましては、私自身としては具体的な意見を持っておりません。
○島上委員 今ここで臨時国会に出すお考えがあるかと私は聞いているのではありません。しかしおそらく通常国会の前後には、どんなにおそくともその次の通常国会の前には選挙があるというのは常識です。そうだとするならば、その選挙を控えていかがわしい金が選挙に流れたり、政党に流れたりすることを阻止するためには、おそくとも通常国会にはこの立法措置が必要じゃないかと思う。通常国会にしなければ、次の選挙は現在のままということになります。今私が申しましたように、国または公共企業体と請負その他特別の利益を伴う契約の当事者であっても、選挙に関してということさえなければ、どんなに献金してもかまわぬのですよ。ましてや国から財政投融資や補助金、交付金を受けている団体は、国民の血税を補助金、交付金、利子補給という形で与えておっても、その団体はどんなに選挙に関して献金してもかまわぬ。日常の党活動に関してはどんなに献金してもかまわぬ。さらに私は研究してみましたところが、この法律には国または地方公共企業体が政党に献金することをどこにも禁止していない。これは法制局に聞いてみましたら、大きな盲点だと言っておりましたが、国や公共企業体が政治献金をするということはなかろう、こういう常識から考えているのであって、それはなかろうという常識はあります。しかしながら法律で禁止してなければ、かりに献金しても差しつかえないのです。(「予算外の金なら差しつかえない」と呼ぶ者あり)予算外の金でも使う道はあります。たとえば機密費とか交際費とか、そういういろいろな名目でもって出せる道がある。これは国の場合もそうですが、都道府県の場合にはなおそうです。都道府県の場合などもそういうことができるのです。これも大きな盲点で、こういうような点についても必要な改正をしなければならぬと思う。そういうような改正を少くとも次の選挙前にするというお考えがあるかどうかということを伺っておるのです。
○岸国務大臣 これは十分に一つ検討をいたしてみまして、具体的な案を得なければ、私はただする意思があるとかないとかいうことは意味をなさぬと思います。十分一つ検討してみます。
○島上委員 関連質問ですから、これだけにしておきますが、十分検討してみますということは、あまりにもおざなりだと思うのです。政治資金規制法の改正は三十八年の六月に国民に約束したことの一つなんです。それを今日までしない。私どもは、国会のつどこれを出している。それを今日、なお十分に検討してみます……(発言する者あり)それは私どもの政治資金規制法に対して自民党の政治資金規制法の改正案を出されることはけっこうです。しかし今言ったように、こういう改正が選挙を前にして必要であるということは正論だと思う。世論の要求するところだと思う。それに対して必要ならは検討してみますというようなおざなりな答弁では、私も納得しませんし、国民も納得しないと思う。私は関連質問ですから、これをもって終りますが、ただいまの答弁には納得できません。
○江崎委員長 午後一時より再開することといたしまして、暫時休憩いたします。 午後零時四分休憩 ――――◇――――― 午後一時二十九分開議
○江崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。吉田賢一君。
○吉田(賢)委員 岸総理に主として綱紀の粛正問題についてお伺いいたします。私はあなたが総理大臣として汚職の追放を叫ばれたことには、敬意を表しております。ただ御承知と思いますけれども、汚職の追放とか政界の粛正とかいう問題は、まことに言うはやすくして行うはきわめて至雑なことであります。私は容易ならぬ重大な問題に取り組んでおられるものと思いますので、そのような御点から数個の具体的な問題を中心といたしまして、あなたにいろいろ伺うてみたいのであります。 第一に、あなたの根本的な御心境を一ぺん聞いておいてみたいのであります。といいますのは、今申しましたように、この汚職問題というもののよって来たるところはきわめて遠く、またいろいろと関係を持っている範囲はきわめて広く、政界、民間を貫きましての幾多の原因、結果、因縁等々がまつわっておるものでありまするので、これが単にあなたの政治的なスローガンに終ったり、あるいは宣伝の標語ということになっては大へんだと思いますので、果して現実的にこの公約を具体的にどういった心境で対処していかれるか、これをまず伺っておきたい。
○岸国務大臣 汚職の追放ということは、これはだれも異論のないことであって、ぜひこれを実現してもらいたいということは、おそらく万人が望んでおることだと思います。従来からの政治家も、またこのことを実現しようと考えた人は決して少くないのでありますが、お話の通り、言うはやすくして、実際これを実現するということにつきましては、いろいろな困難があり、実効の上らない問題であることもお話の通りであります。しかし私は、本来民主政治というものは国民の信頼の上に初めて成り立つものである。政治が国民の信頼を失い、腐敗の様相を呈したときに、古今東西において幾たびか革命等のことが起っている事例にかんがみましても、民主政治を完成するためにはどんな困難があろうとも、また複雑な問題につきましても、私は一貫してこの信念を押し通すという決意の上に、実はこのことを公約いたしておるわけでございます。政治そのものの浄化のために、政党もあるいは政治家も、非常な自戒自粛を必要とするし、公務員もまた綱紀の粛正によって、この大事な公務が汚職等によって汚されない、ように、あらゆる面において私は私自身の知能を傾けて努力するのみならず、この問題に関して憂いを同じくする人々の御意見も十分承わり、また方策も十分承わって、これらの究極の問題として、従来からの実例を見ますとむずかしい問題でありますけれども、ぜひこれを実現したいという強い信念でおるわけであります。
○吉田(賢)委員 ところで汚職追放、汚職を根絶するという問題は、これは単なる教育的な手段によっては結局不可能に帰するものと、われわれは確信をいたしております。たとえば外科手術のごとくに、メスを入れるときには、やはり相当な出血、犠牲が伴います。出血もいやだ、犠牲もいやだ、痛いのもいやだ、何とかして腹をなでつつ頓腹薬、飲み薬等々によってなおしていきたいというような考え方であったならば、今日の盤根錯節のこの汚職追及も不可能であり、追放ももとよりできません。こういう点につきましては、あなたはどちらの道を選ぶでありましょうか。相当の出血、犠牲はあっても、それはあなたのおっしゃる、国民の信頼を背景として綱紀の粛正を実行しなければならぬという、その強い信念と言う以上は、やはり痛いこと、犠牲というものが当然伴うべきこの種の問題につきましては、それ相当の御覚悟があろうと思いますので、この点についての御覚悟を聞いておきたい。
○岸国務大臣 綱紀粛正、汚職をなくするために、いわゆる信賞必罰ということを励行する要があることは言うを待ちません。従って私は、犠牲を望むものではもちろんありまませんけれども、しかし犠牲をおそれて大きな目的を失うというようなことは、断じてしないつもりであります。
○吉田(賢)委員 しからば伺いますが、従来たとえば造船疑獄のとやに、まことにいやな回顧でありますけれども、指揮権の発動によって、天下のあらゆる言論機関が激しい憤激をなしたことは御承知と思います。しばしばのいわゆる疑獄事件、いわゆる汚職事件、いわゆる綱紀の紊乱あるいは公金の使い込み等々、まことにまゆをひそめる事件が、たとえばここ数年間におきましても瀕発、続出して参りました。ところがおそらくは一回も国民は、ああよかった、これでこそ日本は確かだ、これでこそ汚職はなくなるだろうというような安心感と新しい信頼感か、政治ないしは検察、司法部に向って起されたという事実は、不幸にしてないのであります。(拍手) そこで、しからばあなたは、何ものもおそれず、どんな犠牲が伴おうとも、この正しい、この重大な責務の遂行に邁進しようというお考えである限りは、私は、もしどんな面に犠牲が出ても、あなたはあえてこれを顧慮しない、たとえばあなたは政党にあって立っておる内閣の首班であります。従ってその場合に、与党にもし何らかのこれが犠牲を求められるようなことがあった場合に、与党だからいやだ、野党ならば反対勢力が削減されるんだからこれはかまわないといったような、そういう調子の低いお考えでないと私は信じております。けれども過去の実例は不幸にして、どんなによい考えを持っておっても、その考えだけでものは実行されておらず、幾多の今あげた事例に徴してみても、ことごとくが国民の期待に反して失望し、あるいはこれでは百年河清を待つ、こういった失望感だけがあとに残る。だから初めはあるいは脱兎のごとく終りは処女のことしといいまするか、とにかくものものしい、大きな関心が高まってきたこの汚職、疑獄事件でも、事ひとたび政界が関連ありということが予見され、そういった宣伝、そういった報道か出て参りますると、とたんにだんだんとしぼんでいくということが今日国民の常識になっている。私は常識になっておるこの不幸な国民の失望感をこの際なくするということが根本的に大事なことだと思います。そこで、もしあなたらの身辺に――それは、私の所属する社会党におきましても、やはりこれは全国民のために正しいことを正しいとして、綱紀をほんとに厳粛にするためには、どこに犠牲が出ましても、顧慮することは私は本末転倒と思います。従って、あなたのよって立っておるところの与党に、こういうような被害、こういうような犠牲が起ろうとも、それを顧慮することはないという決意があるのならば、一つ御表明を願っておきたいのであります。
○岸国務大臣 私は、今も申し上げましたように、汚職をなくし、国民の信頼をつなぎとめるということは民主政治の上において最も大事な根本的な問題だと思います。たといそれが私情としては実に忍びがたいような事態が不幸にして起ろうとも、私は、私の政治的信念、国のために正しい政治を行わなければならぬという信念に向ってあくまでも邁進するつもりてあります。もちろん、そういうことが私の率いておる与党内にかりに起ったとするならば、情としては忍びませんけれども、しかしながら、義のために、正しいことを実現するためには、私は決してそのために情に動かされ、そうして大きな目的を失うというようなことは断じてしないつもりであります。
○吉田(賢)委員 しからば、私は以下数個の点についてお伺いいたしますが、これはやはりそういう大義に立ってお尋ねするのでありますので、たといあなたの身近い方面に批判が及びましても、そこは虚心たんかいに率直に御答弁願いたい。もちろん私自身もそのつもりでありまして、何も個人的な恩怨あるいは個人的な怨恨等を念頭に置いてものを言うのでは絶対にありません。やはり日本の政界がほんとうにガラスの玉のような状態に粛正されることを欲するの余り、とにかく何ものも顧慮することなく申し上げんとするのでありますので、そこは他意ないことを御了承願って何とぞ御答弁は適切にお願い申し上げたいのであります。 第一に伺いたいことは例の売春汚職の問題であります。これは実にいやな問題であります。(発言する者あり)妨害しないで下さい。御承知と思いますけれども、これは日本民族が八十数年来にわたって戦って参りました一つの文化闘争の跡であります。第二国会以来五回目にようやくいわゆる売春防止法が衆参両院とも全会一致で成立いたしました。この八十数年来の一つの民族の文化闘争の歴史にかんがみまして、私は、日本が国際社会に復帰する上においてこれはきわめて貴重な一つの大きな事績であると評価した一人であります。そこで、この法律が昨年成立して一年もたたぬのに、不幸にしてはや売春汚職しかもそれに政界が包まれておる、私の所属しておる法務委員会が疑惑を受けておる、こういうようなことでは、一体どうすればいいのですか。ほんとうにまじめに政治を考え、まじめに文化の創造をこいねがっておる善良な市民の前に、これはほんとうにえりを正して何とかこたえなくちゃならぬと思います。そういうふうに考えて参りましたときに、今日のこの売春汚職というようなことは実に天人ともに許さないところの重大な社会的罪悪ではないかと思うのであります。(拍手)売春汚職の内容につきましては、これはいまだそうつまびらかにすることはできません。けれども、私自身にいたしましても、数年間この問題に関与いたして参りましたので、いささかこの問題の背景も存じております。問題の進展の内容等につきましても直接見聞するところがありましたので、いささか申し上げる自信もあるのであります。売春汚職、聞くだにいまわしいです。ほかの汚職問題は、何か知らぬけれども何分の一かは明るい面もある。しかし、売春汚職だけは、からだをいけにえにして売ったその金が楼主の手に入って、楼主も従業婦もともに出したその金が、人いわく、天引される、ピンはねされる、それをのむ、そういった金が政界にばらまかれ、国会対策費として使われているというようなことでは、これは一体どうしたものであろうか。検察陣は検察陣といたしまして、われわれは別の角度から、国会の権威と信頼をつなぐ意味において、あなたも先ほどおっしゃった通りに、国会は国会独自の見地に立ちまして徹底的に究明せねばならぬ問題であると思うのですが、首相のお考えはいかがでありますか。
○岸国務大臣 売春汚職の問題は、お言葉のように、私自身も他の汚職よりさらに深刻に考えております。従いまして、私は、一日も早くその事実が究明され、日ならずしてこれに対する世の疑惑を解くに必要な措置が講ぜられることを心から念願しておりまするし、また私自身もそういう考えでもってこの問題に処していきたい、かように思います。
○吉田(賢)委員 そのお考えはごもっともでありまするが、私はやはりこれには三つの問題に対処せねばならぬと思います。第一、あなたは自民党の総裁であり、現職の総理大臣であります。従って、あなたは、国会の運営におきましても、絶対多数の党を率いておられるのでありますから、その有力な地位と力を利用して、これに向って最非の努力をしなければならぬと思います。すなわち、国会は国会法等に規定するところに従いまして国会の権限の許す範囲におきましてこの問題の追及をして国会の信頼を高めていくということに寄与せねばならぬと思いまするが、衆参両院ともあらゆる委員会を通じ、あらゆる機会と方法をもちましてこの問題の追及に最善の努力をしていくということに、あなたは積極的な協力と御指導をせられるべきだと思いまするが、まずその点についてはいかがでございましょう。
○岸国務大臣 もちろん、国といたしましては、一面検察当局によってこの事態を明らかにし、これに対する法の処置を講じ、またわれわれも善処しなければならぬと思うのでありますが、さらに、国会として、国会か認められておる権能におきまして、国会の名誉、また民主政治の信頼を得るためにあらゆる活動をされるということは、まさにそうあってしかるべきものである、わが党といたしましてもこれに御協力を申し上げるのみならず、そういうことが行われるということについて大いに協力することは当然であると思います。
○吉田(賢)委員 さらに重要なことは検察陣の活動である。検察陣は申し上げるまでもなく司法府における一つの体系をなした独立的な機関であって、この検察陣が麻痺したり、検察陣が世論にこびたり、検察陣が政治権力の圧力に屈したり、こういうことがもしありとしまするならば、これは司法権の独立は失われて、国民の司法に対する信頼がなくなることは申し上げるまでもございません。しかし、同時に検察陣といえども人がするのであります。各機関がそれぞれの関連においてことに警察権は警察庁の長官の下におるわけであります。これがばらばらになっておる。そうして、一方警察陣の内容を見てみるというと、業者との間にいろいろと汚職的な事件を起して、東京都における四谷署の事件のごとくに大量の罷免者を出すような不祥な事件が起っておる。こういうようなことであるとするならば、ただに警察との関係だけをとってみましても、検察陣の強力なる厳正な活動を求めるということは、これはきわめて重大なことであるとともに、なかなかに困難な幾多の要素も持っておるということを私ども考えておかなくちゃならぬ。あなたの下には法務大臣がおいでになり、閣議の決定において幾多の行政的な最高の方針がきめられる。これは法務大臣を通じてなすべきことであろうと思いますけれども、しかしながら、検察陣が何らのひるむところもなく、たとえば最高検からあるいは高検、地検等に至りますまで、若い情熱に燃えた、正義感に燃えました人が冷静に法規に準じて捜査に当っておるというような冷厳な正しい態度をこれに求めるということ、私はこれが一番市安なことであろうと思います。あとで触れますけれども、とかくうわさはある。とかくうわさをされるということはまことに悲しむべきことである。よほどしっかりしてやってもらわなければならぬと思う。もちろん、そうかといって、今一線でやっておられる検察陣をわれわれはごうまつも疑いません。これらの人人が誠意をもって誠実に努力をしてこの捜査、追及に向って進んでおられる一ことは、私も認めていきたいのであります。ただ、全体といたしまして、司法権の一部門としての検察陣のあくまでも健全な活動というものを期待しなければならぬ。やはり、あなたは内閣の首班といたしまして、法務大臣を督励して検察行政の完全な遂行をせられなければならぬ。この第二面がきわめてまた重要な問題になって参りますので、総理としてのあなたの御覚悟を聞いておきたいと思います。
○岸国務大臣 売春汚職の問題のみならず、汚職を追放する一つの方法としまして、私は午前中にもお答え申し上げたのでありますが、ただ単に検察もしくは刑罰をもって臨んで、これでもって能事終れりと考えてはおりませんけれども、しかし、世人が疑惑を持ち、あるいはすでにその一部が犯罪捜査の対象になっておるというような場合において、厳正にあくまでも徹底的に事態を究明するということは、私は検察陣のまさにやらなければならぬことだと思います。他の政治的な理由とかその他の理由において、いやしくも検察庁の職務執行なりそのことに対する事態の究明がある程度ゆがめられるとか、ある程度他の影響を受けるというようないやしくも疑念を持たれるようなことは、一切これを避けるべきことはもちろんのこと、私は、あくまでも検察陣が厳正中立にその職務を執行して、この事態を一日も早く鮮明ならしむる、この問題のために十分な自由な活動をしてもらうことを心から願っておりまして、すでに法務大臣に対しましても私はこの意思を明瞭に申し伝えておる次第であります。
○吉田(賢)委員 第三の柱は私は世論だと思います。この売春汚職の追及につきましては、はしなくも全国のあらゆる言論機関が非常なる憤りをもちまして、大きな世論となってその追及を支援して、これを求むる声を代表いたしております。この場合に世論の動向に向っては深甚な注意を払いつつ進んでいかねばならぬことはもちろんでありまするが、それと同時に、言論、報道は、申すまでもなく、基本的人権ないしは報道の自由等によりまして、憲法以下これを保障しておりまする国民の大きな自由であり、保障しなければならぬ大きな憲法の骨格をなしている。そこで、言論、報道に対しまして、可能な限り、でき得る限り、この大きな汚職の追放のために、汚職追及のために、真実を報道するために、われわれは双手をあげて支援し、いよいよ正論が盛んにならんことを欲するという方向に努力すること、これが第三の大きな手であり、方法であると考えますが、いかがでありますか。
○岸国務大臣 民主政治は言うまでもなく世論の政治であり、正しい言論が盛んに活発に行われることは民主政治のやはり一つの大きな基本であると思います。この意味において、言論の自由が認められ、あるいは報道の自由ということも言われるわけであると思います。同時に、言うまでもなく、人権の尊重、これはまた民主政治の一つの大きな基本でありまして、報道の自由の名においていろいろと誤まった事態が伝えられることによって、もしも人権が侵害されるような事態が起ることは、これまた避けなければならぬことであって、言論の自由と人権の尊重との間に当然常識が働くことによって民主政治が行われると思います。新聞の録語にも、報道はあくまでも大胆に、人権については小心に、ということがいわれておるごとくに、いわゆる言論、報道の自由、今度は人権の尊重ということがともに常識を持って守られていくところに、真の民主政治ができ上ると思います。
○吉田(賢)委員 その問題は別にまた触れなければならぬ大事なことでありますが、要は、私があなたの所信を伺いましたのは、このような重大な売春汚職追放のためには、国会の活動も最前を尽し、検察陣の活動も最善を尽し、そして国民の世論を代表する健全な報道がいよいよ盛んなることをもって、三者相待ちましてこれらの問題の解決の大きな支柱となすべきものであると思いますので、あなたの御所信を伺った次第であります。 ところで、一方現実の様相につきまして少しく分析をしなければなりません。われわれは以上をもって一つの抽象的な総論的なものと思いまするが、しかし、現実の様相は相当複雑を呈しております。従って、これに対処する総理の考え方、あるいは政府の態度というものは、これまた相当に聡明でなければならぬと思います。 そこで、こういう事実があることは御承知と思います。これは週刊朝日の十一月十日号の九ページの記載でありますけれども、大体におまましてこういったことは世上すでに知る人は知っておったのであります。この際一々名前をあげることはいたしませんが、売春について、これはやむを得ざる人類の欲望でもあるし、どこかにはけ場をこさえなければならぬので、公娼制度が最善である、日本の道徳とのつながりにおいて、日本の道徳の支柱をなすべき、根底をなすべき大事な問題がそこにひそんでおる、むしろ売春婦になっておる人々は一身一家の犠牲になってわが田数百年来行われておるところのりっぱな風習を維持するために奮闘しておるような人である、こういうような言説を吐く議員があるわけなのであります。あるいはまた、これらの問題につきましては大いに廃娼論を撃滅してくれ、それと戦ってもらいたいというような、廃娼論というものとまっこうから対立しておる考え方、こういう考え方が相当あるわけなのであります。そこで、この記事は昭和十年のことについてでありますので、その後の世相の変遷、あるいはまたその人のいろいろなものの考え方、道徳的ないろいろなものの進歩等から相当変っておられるものとは私は思っております。けれども、現実の問題といたしまして、たとえば二十二国会の法務委員会における各委員の言説をもってみても、あるいは二十四国会におきまして防止法が成立いたしました当時におけるあの委員会における討議、質問等の主張等によってみましても、今なお公娼を存置することの方が、むしろ社会を毒することを少くし、性道徳維持のために、ないしは性病蔓延を少くするために必要な制度である、こういうような考え方を持っておる方が今日保守派のあなたの党の中にあるわけであります。そこで、こういうような考え方はやはりいろいろと問題を起す重大な原因になっておるということを私はいなむわけに参りません。もちろん、われわれは、個人の御意見がどういうふうであっても、それはその人の御意見でありますから、別にこれを右向け左向けというふうに押しつけるべき筋の問題ではございません。けれども、現在の事実といたしまして、今日の売春汚職を導き出しましたところの大きな条件になっておりますのがこれらの人の言動であったということも、私は今日深く回願いたしまして遺憾に思っておるのであります。やはり、売春防止法が全会一致で両院を通過いたしました限りは、その線に沿いまして、公娼は廃止せられ、来年四月には全面実施になって、現在の業者も、何年以下の懲役になるというような進法の営業になるということを頭に置いて、これはその歩調でいくということにならねばならぬはずでありますが、こういう国会の言動というものが依然として尾を引いておるというところに、見のがすことのできないこのたびの売春汚職をかもし出しました一つの原因のあったことを私は感じておるのであります。もっとも、こういう問題につきましてあなたはそうこまかく御承知でないと思いますから、あなたがそれについてどう考えておるかということを尋ねるのは少しいかがかと思いますので、しいて御答弁いただきませんけれども、しかし、こういうような、いやしくも国会議員でありまして、公娼廃止に一本になった国内の立法当時の態勢を忠実に積極的に推進するという態勢をいささかでもブレーキとなってくずすというような傾向があったといたしますならば、それは政党のいかんを問わず、私は政治家といたしましてはまことに重大な責任を犯しておるものと考えるのであります。でありますので、この問題につきましてあなたの御答弁をいただけますならば、何らかの一つ御感想を述べておいていただきたいと思いますが、いかがですか。
○岸国務大臣 もちろん、いろいろな問題について、ことに売春問題につきましては、いろいろな意見が国内においてもあるのは当然であり、また政治家の問にもいろいろな意見があることも、これも私は当然であろうと思うのであります。ただ、しかしながら、今吉田委員のお話のように、法律が成立しまして、これが国の法律となりました以上は、これを施行することに政治家として全力をあげて協力すべきことは、これは言うを待たないのであります。従いまして、わが党におきましても、一致して、世間におきましてはこれにつきいろいろなうわさ等もあったのでありますが、その疑惑を一掃するために、四月一日からこの法律の施行についてわれわれは全力をあげてこれを実現し、またこれに伴っての転廃業その他従業婦の更生等につきましてはあらゆる処置を講じて、その法律の目的を十分に達するようにするということを党議でもきめております。従いまして、個人としてどういう意見を持つかということは、今の考え方からいって私は自由であると思いますが、しかし、公党の党員として、政治家としては、今申しておるところの党議によってわが党としては進むべきである、こういうつもりでおります。
○吉田(賢)委員 そこがやはり根本的に具体的な問題の推移に対する認識の違いになっておるものと思うのであります。(「違う違う」と呼び、その他発言する者あり)これはやはり、個々の御意見というよりも、たとえば――いろいろとこれを非難なさる委員がおありならば、私は具体的に申します。そういうことは言わないつもりでありましたけれども、申しますが、たとえば、売春審議会におきまして、参議院の一松君のごときは――これはあなたの方の自民党の党員であります。一松君のごときは、業者の依頼を受けたがこれは当然国家が賠償しなければならぬという議論を堂々と吐いた。そのために売春審議会は紛糾してしまった場があったのであります。一体これはどういうものですか。税金を払っておる業者をやめさせるならば当然国家は賠償しなければいけない、こういう意見なんです。とんでもないことです。これは今申しましたこの中にもあるのであります。あなたの方の幹部であります。という代議士の、公娼を抜き打ち的に廃止するようなことは断じてできない、多数の諸君の生活権を奪うものである、政府に今までの諸君の営業権を侵す覚悟があるならば、断然これをやっつけなければいけない、こういう意見と一脈通ずるのであります。そこで、かりに全国で全性連関係を一万二千といたしまして、一万二千ないし一万五千の有力な売春業者に、税金を払っておる業者をやめさせるのであるから国家から賠償をとってやるというようなことを、そんなことを請託を受けて公けの機関で発言するということをして、それで一体民衆の政治家としての指導――全会一致で通しましたこの法律のスムーズな実現を期待しておる国民の前に臨むべきわれわれ責任を持っておる政治家の態度でありますか。何も私はここで一松君を責めるつもりはないのです。ないのだけれども、とかく人の名前を言わなければ半畳を入れて私の質問を自民党の諸君が妨害なさる。だからしょうがない。そういうことであればどんどん名前を言います。でありますので、私は、いやしくも全会一致で通った以上は、できるだけ摩擦、妨害にならぬような方向へ推進することが、ここ一年間のわれわれ議員の責任であり任務であったのではなかったのかと思うのです。業者にも聞きますと、いろいろおっしゃるから安心してついて行きよったのが今日の破綻のもとやと言って泣いている業者もあるのですぞ。これはしっかりと御記憶願いたいのです。国家財政資金が国家補償として業者に与えられるような、そんな甘い言葉を業者に与えるというようなことはとんでもない。事態の認識をしない、聡明な行動でない国会議員の態度でなかろうかと思うのであります。こういうようなことが、どれだけこの問題を混雑せしめて、次の段階を混乱に陥らしたかわからぬのであります。でありますので、総理はその点についてはどうお考えになるか。
○岸国務大臣 先ほど申し上げましたように、私は、この法律が全会一致両院を通過した後において、わが党としては、この法律の施行を円滑ならしめるためにあらゆる努力をすべきものである、こう考えて、これに対する対策等につきましては、党内におきましても、特別委員会を設けて考究せしめる等の処置を講じておりますが、お話しのような事態は、私は今日まで存じません。われわれとしては、党としては、あくまでも、私が答弁申し上げておるように、これが四月一日以降円滑に施行せられるように、あらゆる努力をいたしておるわけであります。
○吉田(賢)委員 私は、この重大な問題の処理、この法律の実施に当りまして、だれもみんな知っておる国家補償の問題であります。業者の、たとえば朝日タイムス、その他の業者の新聞には、何回となく書いた問題であります。何回となく書いた問題も総理は御承知なかった。国務多端、党務御多端の中であるから、一々御記憶にならぬことはごもっともかと思いますけれども、国家補償と要求するというようなことが、どれだけ全国の業者を惑わし、またどれだけ輿論をわかし、全国の婦人団体がこれに向って大きな反撃をもっていろいろと抗議をしていったということも御承知だろうと思う。これだけの大きな渦を巻いたところの問題を御承知なかったということは、私は、やはりこの問題に対しまして、大きな画期的な法律というようなほどにもお考えになっておらなかったのであろうか、大したことじゃなしにスムーズに全国の業者がさっさと転廃業して、それぞれ新しい秩序ができるように簡単にお考えになったのではないであろうか、とするならば、これは政治家としてあなたの御見識を疑わざるを得ないのであります。そこまでいくと少し議論が飛躍しますけれども、要するに、ただならぬ関係が自民党と全国の業者にあったということの半面を私は論証しておるのであります。それだけじゃないのです。それだけじゃなくて、百三十五億円ないしは三百億円の特別融資のワクを要求しておる。こういう運動につきましても御承知でありますか。これは全国の一万一千八百の業者が、全性連を通じまして、いわゆる転業資金というものを三百十八億円計上いたしまして、すっかり計算したその印刷物がわれわれの手にまで入っておるのであります。三百億円であります。その前に言っておりましたのが百三十五億円。そこでわが党の神近委員も、法務委員会におきまして、ある機会に大蔵大臣でありましたか、法務大臣であったかに対しまして、この点について閣僚の立場に対して質問をしたようなこともあったのであります。しかし、これは別に証文をここで持っておるわけじゃありませんから、証文を業者に与えておるというわけはないでしょうから、それも知らなかったということであるならば、知らなかったで済むかもわかりません。けれども、業者はみなそう言っておる。百三十五億円ではいかぬ。こまかく計算するならば、全国百万一千八百の業者からずっと計算をもってきたやつを積算すると、結局三百十八億円になる。三百億円は確保しなければならぬ。自民党の国会議員の諸君がこれはやってくれるものと思って一生懸命になっておるというのが、業界のここ数カ月の情勢であったのです。そうすると、そういうこともあなたは御承知でないでしょうか。
○岸国務大臣 転業問題が、当事者の間におきましても問題があり、あるいはあなたのおっしゃるように補償だとか、あるいは転業資金というような希望があることは、私は聞いておりましたが、しかし、われわれは、あくまでもこの問題はそういうことで解決すべきものじゃないという考えのもとに、この問題に関して特別委員会を作って、そして施行を四月一日以降、これを励行する。そしてこれに伴うところの各種の処置をどうするかということの研究をいたしたわけであります。私は、今吉出委員のおあげになっておるように、そういう業者の運動が、われわれの考えによってそういうものを刺激したという事実につきましては、全然承知いたしておりません。
○吉田(賢)委員 これが妥当性、客観性があるのならば、これはまた別な問題。折からの神武景気後退の今日でありまするので、大蔵省の一事務官に聞いても、そういうことは不可能であるということは明らかなのであります。けれども、わらをもっかむような心境を持って全国に散在しておる業者が、豊郷を通じて東京のおえら方に運動をしておる。しかも、全国から莫大な国会対策費というものが出ておるのであります。こういうように一生懸命になっておるのであります。そうして転業対策委員長というものもちゃんとあるわけなんであります。東京の虎の門の本部を中心にいたしまして、有名な幹部連中が、それぞれ活動をされておるのであります。しかして、それにはりっぱな顧問国会議員がなっておられるのであります。そのような活動かり推しまして、業者が信用するということは、これまた無理からぬ。国家財収の実情をよく知っておるならば、三百億円、百億円でも、それに向って特別融資のワクを作るということに悩みかあり、不可能であり、事実問題になりぬというようなことはわかる。けれども、それはそういう財政事情に通じた人のことであります。一般の人はそれはわからぬというところに問題があるのです。わかっておったら今日までずるずる来やしないのです。あなた御承知と思いまするけれども、来年の四月に全面実施で、一万数千の業者が全部違法業になってしまう。にもかかわらず、八月現在の調査によりますれば、六%強しか転廃業者はないのであります。六%ですよ。六%しかやめていない。ことに全国の全性連の会長が主宰する新吉原のごときは、去年五月から今年の七月の間に、警視庁の調査の報告によれば、百数十名の従業婦の増員をしておるのであります。何ということでありますか。勅令九号によれば、売春をし、売春をさす、そういう契約するだけでも懲役になるのであります。その勅令九号は生きておるのです。現に生きておる。にもかかわらず、この東京のまん中です。警視庁もあるし、検察庁もあるし、法務省もあるし、その目が光っておる。そのまん中で、しかも全国の何万の業者を率いておるその鈴木会長の主宰する新吉原で、百人以上も一年の間に売春婦がふえておることは、一体どういうわけなんです。これはそもそも、結局実施ができないという一つの安心感を与えておる大家があって、適当にやめさしてもらえるであろうというような安心感があったものと考えざるを得ないのであります。そういう次第でありまするから、それは、あなたは四月から完全実施を適当にやっていこうというお考えであったとおっしゃる。それはそうかもしれませんけれども、反面におきまして、こういうような業者が、頼みにならぬものを頼みとするというようなこと、しかも莫大な資金を投資しているというようなこと、何というひどい罪悪ですか。これがそもそも今日の疑獄の事件の、むしろ中核的な事実であるかもわからぬのであります。新聞に伝うるところによるならば、全性連の事務局長は横領罪で起訴されておるのであります。何の横領であるか、あるいは、それはわれわれ推測すれば、全国から集められた金でありましょう。まさか隣の同僚の金を横領したと思えぬというようなことを思うと、ここに大きな錯覚を起さしましたことについて、政治的責任のただならぬものがあるということをお考え願わなければなりません、私はこんなことを言うのは、あなたと問答するのもいやですよ。(笑声)私もいやですけれども、てこをつかなければ事の真相は明らかにならぬのであります。(拍手)もう一ついやなことを聞きます。去年の四月のこと、あなたにこれはごらんにいれてもいいのですが、去年の四月二十三日の朝日新聞の朝刊に、全国の全性の業者が集団的に自民党に入党するということを書いてある。この写真によると、自民党入党のしおりというものを全国の性病予防自治会の理事長の鈴木明が出しておるのであります。それが新聞に載っております。これはうそとお思いになるならば、朝日新聞のこの日の朝刊をごらん下さい。私は今朝確認してきました。これによりますと、「今般最高幹部会に於て自民党に集団入党を決定致しました。尚同党組織部は組織総局、産業、労働、文化、青年、婦人各組織局に分れ、党勢拡張を図りつつあります。此の際本会は之に集団入党して産業組織局の一部門として自民党本部直属党員となり、党活動に参画することになりました」。(拍手)「集団入党に関する御注意」として重要なことが書いてあります。それは「法案対策上は勿論全国性病予防自治会の対外的結束力の具体的表現となり、参議院議員選挙其の他を控え、其の組織力を重視され得る機会でもありますから、一名でも多く御勧誘相成り良く御配慮願いたい。」かつまた念を入れて「入党予定数」といたしまして、「全国最低十万を予定して居り、入党者過少の場合は本会の誇る組織力が入党の意義を失う結果になることを良く認識し、特に御尽力願いたい。」「入党会は一名金二百円」こういうことが書いてある。(拍手、笑声)そこで新聞の本段には、砂田組織委員長の談話といたしまして、これは困る、こういう意味で断わったということが書いてある。ところが大阪で聞いてみますと、いや、もうすでに相当入党しておりますということは、業者の打ちあけ話であります。そういたしますと、ところによりましてはすでに相当御入党になった者があるかもしれぬ。国民は政治活動は自由であります。どの政党を支持なさろうと、これはあえて異といたしません。けれども、昨年四月といいますと、売春防止法が出るときなんです。社会党はすでに二月に相当完全な法律案を出しておりました。容易に政府案は出てこない。四月は出るときなんです。五月にこれは全会一致で通過いたしております。でありますので、この全会一致で通過する政府案が出るそのときなんです。非常に重大なせとぎわなんです。このせとぎわに、全国の一万数千の業者を率いて自民党集団入党を天下に声明するということは、一体何事ですか。私は個人の政党支持の自由を一云々するのじゃありません。けれども、政党に向っての働きかけということをやっておる。いわば政治攻勢をやっておるのです。その政治攻勢をやっておることにつきましては、これは黙視することはできない。何となれば、そのあと今日の疑獄事件が起っておるのでありますから。こういうような、自民党に対して集団入党するという手を打っておるということは、全国の全性連業者がただならぬ意気込みと決意を持って自民党の力を利用しようという策謀に出たものと考えるのであります。これは拒否なさったということであったならば、まことにその点はけっこうと思う。けれども、働きかけておったという事実、入党をしておるという事実があるのでありますから、これらにつきましては、やはり私は相当大きな反省をしていただきたい。今日の事態から顧みますと、あなたは総裁の立場と同時に総理の立場でおありになるのですから、私が申します今日の汚職は、幾多の原因が積み重なってでき上っておるのでありますが、一つ一つを数えてみますと、結局自由党を陥落させようというような一つの大きな目標があったのではなかろうか、こういうようなことにさえ私は感じて、実にこれは不愉快なニュースなんですが、あなたの御感想はやはり聞いておかなければならぬのであります。
○岸国務大臣 その事実は、業者の団体がそういう集団入党をするという意向を持っていることを、私ども当時聞きましに。しかしわが党としては、そういうことに対してはこれを拒否いたしておりまして、そういう事実はございません。ただわれわれの党員の全体をごらん下さって、一人々々のわれわれの党員がどういう業態をやって知るかというようなことは、もちろん国民のあらゆる階層から支持を受けているわが党といたしまして、いろいろな人はあると思います。しかし今吉田委員のおあげになりました事態は、それは業者はどういう意図を持っておったか私は存じませんけれども、しかしそういう時期に集団入党する、それによって党員というものはふえるかもしれませんけれども、われわれは天下の公党としてそういうものを受け入れるわけにはいかぬとして拒否したわけでありますから、今の業者自体がどういう意図を持って、どういうような働きかけをしているかということにつきましては、特にわれわれが与党として、絶対多数を持っておる政党として政局を担当いたしております以上、国民のいろいろな層からいろいろな働きかけは当無あるのです。これに対してわれわれが、やはり正しいことをきぜんとして、政治としてこう進まなければならぬということをきめて進んでいくということが、特に与党としてのわれわれの責任だと実は考えておるわけでございまして、今の事態は、業者はそういうことであったけれども、われわれはこれを認めないということを御了承願いたい。
○吉田(賢)委員 その脈は一般論、抽象論としては、政党の立場はあらゆる階層から入党者があるということは、それはわかります。しかし事は、二十二国会で売春処罰法が否決されて、全国の業者が――その前、二十四年ごろから全国的な売春防止反対運動が起っておるということは、御承知だろうと思うのであります。そこで二十二国会で否決になった。その否決の際のこの委員会の席であります。忘れもせぬ三十年七月十九日でありますが、法務委員会は最終の委員会を開いておりました。あの朝でも、傍聴席会全部占領しましたのは業者のみであったのであります。そこではしなくも物議をかもしまして、一体だれの名前でだれが入れたんだろう、ほかの者は一人も入れられないという事態が発生しまして、大紛糾をいたしました。こういうようなこともあったのであります。そこで問題は、そう簡単に抽象論と一般論で割り切れない幾多の複雑な要素と利害が、しかも全国的な基盤を持ってずっと進行してきておるというこの背景と推移につきまして、潔い御注意をあなたには喚起しておかなければならぬのであります。問題はそこにあるのであります。それだけじゃないのです。それだけじゃなくて、これは一部週刊朝日にも書いております。あなたらもすでに御承知だろうと思いますが、国会議員の頭に「済」という判を押してあるという問題であります。こういう問題につきましても、あるいは同県何区の何某にはだれそれを責任担当者とするというようなことすらきめられておったというような文書があるわけなんであります。よろしゅうございますか、そういうことがあるわけなんです。でありますので、そういうように問題の扱い方というものは非常に手のいったものでありますから、集団入党についてのあなたの最後のその拒否の態度というものは、それはいいのでありますけれども、このような情勢の推移につきましては、懸命にこれを洞察していくということがなければ、今日のこの不幸な事態を防止するについて最善の措置をとっておられたものとは思えぬ。のみならず、さらに申し上げたいことは、その後、とうていこれはいかぬ、国家補償もいかぬ、特別融資もだめ、それなら何か。今度は延期説です。よろしい、延期せよ、四月実施は不可能である、困難である、第一そんなざる法でどうして完全実施ができるか、当然延期すべきだ、こういうような議論も相当あったのであります。またざる法には違いない。また半面から見るならば、政府におきましては行政的な指導が適切でなかったです。法律を通過させながら、地方の府県がそれぞれと婦人相談員などを義務的に設置たしなければならぬ、婦人保護施設などを設けなければならぬというようになっているにもかかわらず、摘切にして周到なる指導が行われておらぬのであります。だからみんなあちらこちらにそれぞれ準備不足、相談員を置かないような府県さえ出たようなことがあったのであります。それだけではありません。大蔵大臣は当時は池田大臣でありましたけれども、予算措置につきましても全然なっておらぬ。各省が第一年の三十二年度予算を要求したのについてみても、十一億余円というもので、法務省以下労働、厚生その他の省が要求しております三分の一に切ってしまっておる。そういうようなことは一体何であろうか。問題に対する認識がないのか、それともそういうように財政的にもできないようなことにしておいて、ざる法をざる法のままでおいて、ほんとうは実施しないという底意があったのかどうか。国民は疑って、口さがない者は言っておりました。政府は熱がないのだ、やる気がないのだ、やらないだろう、きっとやらないだろう、やらないでくれるであろうということは、また業者が期待した一つの理由になったのであります。そういうことも考えてみましたときに、政府におきましても、行政指導の面でも予算措置の面でも大きな責任があります。そこで、よしきたと打った手が延期説であります。四月延期、四月には実施できないぞ、延期する、それは延期だ、急ぐ必要はない、こういうようになりまして、延期説というものが全国的に流布されました。私はここに新聞も持っております。朝日タイムスの去る九月十一日号で、これは業者側の新聞でありますが、これによって見ても、最悪の場合は総決起して、全国から東京に集まれ、そうして補償ができなければ、あるいは融資がとれなければ実施を延ばすという全国的な総決起をやろうというような、そういった宣伝まで行われたのであります。そこで、やはりこの延期説というものが全国の業者をまどわしました。客観的にはどうも無理じゃないか、やるのは無理だろう、政府もやる気がない、いろいろな面から見て熱意がない、予算もない、設備も足りない、結局やらぬだろう、やらぬだろうということでつられて参りました。これがまた今日六%しか転廃業している人がいないということに至った原因である。そして資金をつぎ込んだということも、それにつながる関係になっておるのであります。延期説であります。この延期説というものも、あなたは党の主宰者として、党の幹部の諸君がいろいろと陳情を受けたはずであります。そういうことも御承知でないでしょうか。御承知でありましたら、一つはっきりしてもらいたい。少くともこの問題は、この問題と取組んでおる全国の婦人団体、あるいはまたそれぞれ関心を持っております多くの人々が常識的に知っておることであります。あなただけがこれを知らぬということでは、これは許されないのであります。いかがでございましょう。
○岸国務大臣 政府及び党は、先ほどから申し上げておるように四月一日からこれを施行するということを、はっきりわれわれは申しております。これに対して、あるいは延期を望むところの人々がいろいろな陳情をしているということがあったかなかったかは、私は事実は聞いておりませんけれども、党とし、政府としては、その方針ではっきりいたしております。
○吉田(賢)委員 そこで、今の、党もしくは政府が四月から完全実施するということは、会議でも決定せられて、それはわれわれもわかります。しかしながら延期を信じて莫大な投資をして、長い日月腰がきまらず、はっきりと態度がきまらずに今日まで参りましたというゆえんのものは、反面におきましては、さきに申しましたように、政府が四月一日実施ということを厳重に行政指導において裏づけしていき、従って準備すべきものはさそう、予算を組むべきものは組ますというふうにしていかねばならぬものと思いますが、それができていなかったのであります。この点につきましては、むしろ今日の疑獄を生みました大きな責任が、この政府の怠慢といいますか、行政指導適切にあらざりしこと、財政措置よろしきを得なかったことに原因すると思うのでありますが、その点については責任をお感じになりませんか。
○岸国務大臣 具体的な、この四月一日からこれを施行することに対する準備につきましては、それぞれ主管省において適切な処置を講じていると私は考えております。いろいろな御批評、これだけじゃ予算が足りないじないかとか、あるいはここにこういうことが不十分であるがとかいうような御批判はあるかと思いますが、具体的な問題についての御批判であれば主管大臣からお答えいたします。
○吉田(賢)委員 岸総理にお伺いする材料として法務大臣に一、二点伺っておかねばならぬのであります。 国会議員が本会議ないしは所属の委員会に係属する法律案につきまして賛否の投票をなす権限と義務があることは、これは議員固有の職務でもあり、職責でもあると私は信じております。従って、あらゆる法律案その他の議案に対しまして賛否の投票の請託を受けまして、あるいは国政調査事項等について自己に有利な調査をせられるような請託を受けまして、もし金品を収受した場合、一般的に収賄罪が構成すると思うが、いかがですか。
○唐澤国務大臣 お答えを申し上げます。ただいまのお尋ねの、議員その他の公務員が職務執行に関しまして金品を収受いたしますれば、これは収賄罪になると思います。
○吉田(賢)委員 具体的に、議員は本会議の投票表決権がある、委員会の表決権があるわけです。国政調査につきましての調査権もあるわけであります。そこで、もっと具体的に言うならば、売春処罰法案等につきまして、そのような法律案が国会に付託されまして、委員会に付託されましたものについて、その反対賛成の投票の請託を受けて、金品を収受したような場合には、それは収賄罪が構成するのではないか。国会議員といえども公務員でありますから、収賄罪の対象になることでは当然あります。このようなものは、当然収賄罪が構成するのではないか。現時首相はあっせん収賄罪をもって、政界の粛正の一つの手段にすべきことをしばしばの機会に言明されておりますが、それはそれといたしまして、今のような具体的の場合にも、なお完全にわいろ罪は成立するものとわれわれは確信しておるのでありまするから、この点についてのあなたの御所見を聞いておるのです。
○唐澤国務大臣 どの法律に限らず、議員は公務員でございますから、その権限に属する職務執行に関しまして金品を受け取っておりますれば、それは収賄罪になるということを申し上げておるのであります。
○吉田(賢)委員 もし、議員が、売春業者の組合から、売春防止法の全面実施が四月一日になっているけれどもどうか延期してもらいたいと、延期をはかるように請託を受けまして金品を収受した場合には、これなおかつ刑法の収賄罪を構成するものと私は思うのであります。ただしこれは、実施の延期について三部法律の改正が必要であり、法律の改正案を出すことは、国会法等によりましても議員に発議権があることは申し上げるまでもありません。そういうような見地に立って考えてみましたときに、このような全面実施延期をはかるということで何らかの金品を受ける、これは収賄罪になるのではないか。かりに金品を受けなくても、これはまことに職務につきまして疑わしい場合がしばしば出るのではないかと思うのです。今の金品を収受した場合の収賄罪の成立につきましては、いかにお考えになっておりますか。
○唐澤国務大臣 私は先ほど来、議員も公務員でございまするから、その職務権限に関することで金品を収受すればそれは収賄罪になりますということを申し上げております。さらに進んで、いろいろな場合につきましては、法律の解釈でございますから、刑事局長が参っておりまするので、刑事局長から説明をいたさせます。
○竹内説明員 お答え申し上げます。延期が、議員の職務に関してわいろを受けておる、こういう関係になりますれば収賄罪が成立するものと解釈しております。
○吉田(賢)委員 しからば売春を目的とするサービス業者の転廃業への国家補償に関する法律、こういうものも、これは国家補償の場合は予算措置のみによってなるものにあらず、当然に多くの場合は法律が必要でありますし、あるいは特別融資の場合におきましても、中小企業者といたしまして特別融資利子補給等に関する法律は必要であろうかと考えます。これは従来の条例によって、多くの例がそうなっておりまするので、このような場合におきましても同様であると思いますが、刑事局長お考えいかがでありますか。
○竹内説明員 お答え申し上げます。この職務に関しということにかかわりませんと問題は解決しない、この部分が重要な部分でございます。今吉田委員の仰せられますように、抽象的にこういうことはどうか、こういうことはどうかという御質問でございますが、要するに国会議員の今摘示されました職務が本件の問題の具体的な事項にからんできて、それが職務に関しということになりまするならば、これは収賄罪が成立するのでございます。判例においても、職務権限が抽象的でありましてもそれが職務に関しないということで消極に解せられた例もあるのでございます。
○吉田(賢)委員 今あなたの御説によりまして、職務に関した場合に収賄罪を構成する、これは当然であります。私は今具体的に、国家補償、中小企業者といたしましての特別融資ないしは延期に関する法律案、こういうものをあげて、従来とって参りましたところの業者の運動の三大目標を結んでの事案をあなたに出してお尋ねした次第なのであります。そこでそのような場合には、全性連といたしましては相当多頭の金員を集めまして、これがどういう内容か今日司法の手において明らかにされつつありますのでわかりませんけれども、かなり多額のものが国会対策の経費になっておるということは明らかでございまするので、そういった面から見ますると、やはり一応は全体として全性連の関係がかなり議員との関係におきまして問題になるべく種々の事情が伏在するおそれがある、こういうこともいえるのでありまするが、その辺は具体的に検察庁といたしましては相当捜査しておるというふうに御報告があるのでございましょうか。その点はいかがでありましょう。
○竹内説明員 ただいま職務に関しということで議論が出てきておるようでございますが、御承知のように、わいろ罪につきましては職務に関してわいろを収受しとこうありまして、このわいろの趣旨を理解して贈賄し、受けた方は理解して受けたかということも重要なる犯罪構成の要件でございますことは御承知の通りでございます。従いまして、まず問題が職務に関するものであるかどうかということのほかに、そういう趣旨を了解して贈収賄が行われているかどうかという点が調査の重要な事項だと思うのでございます。検察庁におきましてはもちろん、その両者につきまして慎重な検討を施しておるものと考えるのであります。
○吉田(賢)委員 この防止法が成立いたします前、それから成立いたしましてから今日に至りますまで、さきに述べましたごとくに、幾多の目標もあるいは変りあるいは拡大され、段階を経、種々な方法が取られて、業者団体の方から国会工作あるいは政治工作が進められて参りましたことは、これまた相当顕著な事実であります。そこで私は、この際総理の決意を伺っておかねばならぬのでございますが、不幸にして今日同僚の一人が逮捕され、勾留をせられておるという事実が起っております。これは党は違うといえども私どもまことに遺憾なことであります。しかしこういうことは単に同君が一人そういうことになったからといって、それで安んじて司法の手にまかしておくというだけではなくて、私どもといたしましては積極的に、この段階に来た以上はもう抽象論、一般論の段階ではございませんので、あらゆる問題が舷々摩すような緊迫したような、きわめて利害近接した状態に立ち至っておりますので、慎重な考慮を払いつつ国会として可能な範囲で、この国会に波及しておるところの汚職問題、疑獄問題につきまして、私は対処すべき態度をきめねばならぬ段階にきておると思うのであります。私がるるとこの売春疑獄がきわめて重大な問題であると申しましたゆえんのものは、そこへくるのであります。売春疑獄の問題で司会が疑惑の対象になるという世論も報道もあるのであります。従ってこういうときにたとい同僚の一人でもそういう不幸な事態が生じました以上は、最も切迫した重大な案件といたしまして、国会みずからが汚職、疑獄問題に対しまして具体的にこれに対処すべき重大な決意をしなければならぬときであろうと思うのであります。私はあなたが党の総裁といたしまして、あるいは法務大臣をさらに指導すべき首相の立場としまして、閣僚を率いておられる立場といたしまして、党を超越して、今日何らかの方法で国会が具体的にこの問題と取り組んで活動する方策を立てていくべき段階にきておるものと思うのであります。具体的にどうすればいいのであろうか。何もしないでおくというのであるならば、当初の私の問答とはよほど異なって参ります。当初の問答で、国会は国会の立場において、司法権は司法権の立場において、それぞれ進んでいくということをあなたは言明されたのであります。今具体的にこういう重大な段階に立ち至った以上は、利害関係を超越いたしまして、個人的な利害を離れまして、党の利害を離れまして、恩怨一切を離れまして、私は出会みずからが何らかの方途に出て、特別のこれに対する調査委員会を作るとか、それぞれのあらゆる手段をとってこれに対処することが必要ではないかと思うのであります。いかがでございます。あなたはそれに対する御決意を一つ明らかにしていただきたいのであります。
○岸国務大臣 私は先ほど申し上げましたように、この問題に関してはあくまでもこの事実を早く糾明して、これに対して国会及び政治の信用を回復することに努力しなければならぬと思います。政府としては、検察庁をしてこの目的のために全力をあげるように、積極的に努力するつもりであります。国会として国会がその権限に基いて、こういう問題に関して私は具体的に付らかの方法によって進められるということであるならば、先ほども申したように、積極的にこれに協力するということを申し上げておるわけであります。
○江崎委員長 吉田君に申し上げますが、理事会で申し合せました時間がだんだん経過しておりますから、結論をすみやかにおつけになりますよう要望いたします。
○吉田(賢)委員 私がこれを申し上げるゆえんのものは、とかく国会に問題が波及して参りますと、事件がつぶれるのです。このたびのことはそうならないことを心から念願をいたしておりますけれども、なかなかやはりそれは人心も利害も微妙なものが各方面にあります。私はやはり総理として相当な決意を持ってこれは対処してもらわねばならぬと思うのです。これはほかの、たとえば委員会の運営にいたしましても、委員会の運営が頓挫しておる例はあなたは御承知と思います。たとえば決算委員会でも運営が頓挫しておるのです。決算委員会の問題は、これはたまたま材料にしか使う意思はありません。本格的にこれを論及するつもりはございません。けれどもやはりこのような問題のときには、国会活動につきまして最も重要な責任者であるあなたたち、また行政の当局の首脳部者であるところのあなたのその立場というものは、ともかくきわめて重大なお立場であることは申すまでもありませんので、私はこの汚職追放のために、最善を尽す手段といたしましては、どうしてもこのような材料を申し上げて御注意を喚起せねばならぬと思うのであります。たとえば決算委員会におきましても、これは五月十五日のできごとであります。五月十五日、国会閉会四、五日前のできごと、あれから頓挫してしまった。今日開かれておらぬのであります。実に空前の不幸なできごとであります。どういうわけでそんなことが起ったか。事の善悪批判は別といたしまして、事実といたしましては、近来の汚職の典型であるところの輸入疑獄、輸入汚職、こういうものとの一連のつながりが全町連の調査から出てきたのであります。もっと具体的に言うならば、東独カリの輸入の問題であります。東独カリの輸入の問題をめぐりまして、私はここに書物も持っておる、こういう書物が発行されたのであります。この書物の著者について聞けば、私は責任を持って書いたというりっぱな経歴を持った人であります。そこでいろいろと前後の事情をずっと時間的に経過的に聞いてみると、政府当局の答弁は、この書物の通りの答弁をする。そこで信頼しまして信憑性が増しましたので、重要な焦点について附いたのであります。しかもそれは日本の財界の有力なる伊藤忠商事の社長、日綿実業の常務取締役、東京食品の常務取締役を証人として喚問しまして、そうして具体的なこの贈収賄の真相と各社の動き、この二ページだけを聞こうとしたのです。私はまずあなた方社長らは、この書物を読んだかどうかと見せたところが、見たというのです。しからばこの事実はいかがですか。六千万円贈賄した、七千万円贈賄した、九千万円贈賄したと書いてあるじゃないか。しかもそれは元の閣僚の名前を連想するような事実が書いてある。これがもしうそであるならば、この著者はけしからぬからすぐに縛ってもらわにゃいかぬ。ほんとうであればまた大へんだ。前後の事情から考えて、あなたがこれを見たというならば、うそかほんとうかはっきりしなさいということになりまして、それから紛糾してしまったのであります。紛糾してしまったのです。そうして結局これらの人からは、これを肯定する証言はなかったのであります。なかったのでありまするけれども、自民党は一斉に退場なさったのであります。それから開けないのであります。よろしゅうござんすか、事一たび政界の中枢部に波及するような具体的な事件が出てきたならば、国会の運営機能すらとまるというのが現在の不祥な事実なんです。(拍手)問題はそこなんです。そこでこのように一、二の人の問題についても故障が起って、重大な国会の機能が麻痺するような事件が起るような今日の国会の姿を思いますると、あなたは大政党の首領として、総裁として、総理大臣としての行政府の最高の責任者といたしまして、国民が最大の関心と憂いを持っておるこの売春汚職の追及について、いかにして最善を尽すことができるかということは、最初のあなたの言明によるならば、ほんとうに身命を賭して対処しなければならぬほどの私は重大なことであろうと思うのです。しかるにそれに対しまして、国会がきめるのなら協力するにやぶさかでないとか、それはあまりにも形式的な答弁にすぎません。私はやはり政治をあずかるあなたとしましては、政治全体の粛正をはかっていく重大な責任と決意を持っておるあなたとしましては、この際国会は売春汚職追及について、いやしくも国会議員にいささかの容疑者が出たような事態にかんがみて、事態重大として相当な決意を持って国会活動に何らかの大きな発言をし、要請をするということが国政に忠実なゆえんであろうと私は思うのです。その決意を聞いておるのです。国会がきめるのなら協力する、こういうことを伺っておるのじゃないのです。ほかの委員会の事例に徴してみてもこれはわかるのです。私はそれなるがゆえにあなたの決意を伺っておるのです。一つ明確に責任を持って答弁してもらいたい。
○岸国務大臣 私は先ほども初頭に、吉田委員の質問に対して私の決意をきわめて率直に真剣にお答えをしてあります。ただ最後の御質問は、これは私がここで申し上げるまでもなく、国会におきましてどういう具体的の措置をとられるかいなかということは、国会みずからがおきめになる問題でございます。委員会の運営等についても、私は非常に遺憾と思うこともたくさんございますけれども、これまた国会のそれぞれの機関においてこれがきめられるというのが、私がここで申し上げるまでもなく国会運営の原則でございます。そういう意味において、私は国会がそういう問題について積極的に活動されるということは望ましいことであり、また私はそれに対して積極的に協力をいたしますということを初頭に申し上げております。従いましてその信念――私はこの売春疑獄の問題、汚職の問題に関してはきわめて真剣に、深刻に考えておりますので、あらゆる面から事態が早く鮮明されまして、そうして疑惑が除かれ、われわれの政治に対する国民の信頼が回復されることを願ってやまないものでありまして、その意味においてそういう具体的な問題は国会におまかせをして、われわれとしては積極的に協力いたしますという決意を申し上げたのであります。
○吉田(賢)委員 ところがこの売春汚職の追及の途中に、はしなくも報道の自由が侵害せられたという問題、人権の尊重について多くの疑義が起ったという問題が勃発したことは御承知の通りと思います。そこでこの点につきましても十分にわれわれは聞いておかなくちゃならぬのであります。これはつまり反面におきまして、司法権の独立に関連を持っております。これはこの際問題を限定いたしまして、検察行政のあり方という点から私は観察をして、あなたの総理としての所信を一つ明らかにしておいてもらいたいと思うのであります。 申し上げるまでもなく、基本的人権なりあるいはまた報道の自由を確保する、保障するということは、これは国政のみならず、日本のただいまの憲法の重要な骨格をなしておりますことはお互いによく知るところであります。ところが先般同僚の議員の二人の問題につきまして、つまり宇都宮君と福田君の問題に関連いたしまして、同君らから検事総長と検事正、担当検事などに対する名誉棄損の告訴がございました。この告訴に対しまして、同君らの名誉を保持し、ないしはこれをそそぐということにつきまして、われわれも一議員同僚といたしまして全然同感であり、またこれにいろいろな意味においてお互いに協力することに何らやぶさかなものではないのであります。それはそれとして区別をいたしまして、反面におきまして、ここに奇怪な問題が一つ起って、しかもきわめて重大な、やはり国民の人権の自由に、ないしは報道の自由の根本に重大な危機を生ぜしめるものではないかという問題が起っておるのであります。これはとりもなおさず捜査権と基本的人権の関係になるわけであります。法務委員会において若干明らかになったところによりますと、読売の立松という記者を逮捕しておるのであります。逮捕は、申し上げるまでもなく、これは人間の自由を拘束いたしまして、取調べの目的に供するという強制の手段であります。何ゆえにそのような強制の措置をとったかということを問えば、これはニュース・ソースを明らかにしなかったことが一つの理由をなしておる。この点は法務省当局、法務大臣以下の刑事局長などの答弁によりましても明らかになっております。ただし私どもが調査した結果によりますと、それも一つの理由になるということよりも、ニュース・ソースを秘匿したということ、これを明らかにしろということの強要があって、それに応じないということが逮捕の理由になったというふうに、当該逮捕せられた人ないしはこれに関連しました人々は信じておるようであります。いろいろとこういった問答が繰り返されております事実もどうもあったらしいのであります。そこでその問題につきましては、きょうは詳しい追及はしないつもりであります。といいますのは、法務委員会においてある程度明らかになっておりますが、さらに明らかにすべきものは多く残っておりまするけれども、これは少し問題の焦点が複雑になって参りまするので、あなた並びに法務大臣に関する限りにおきましては、この問題はずっと限定していきたいと思うのであります。つまり私の伺いたい点は、ニュース・ソースを秘匿するということは、これは今日の報道の常識であります。そこでニュース・ソースそれ自体が犯罪というような場合ならば、それは別といたしまして、取材源を明らかにするならば、それは刑法の二百三十条ノニという規定に、記者が真実と信じてもっぱら公益を目的として記事を書いたときには、それは罪とならず、犯罪性を阻却する、こういう規定があるわけであります。そういうような規定がございますので、今申し上げましたような、法務当局の御説明になりました犯罪件を阻却するところの処罰しない条件であるところの真実と信じて書いたかどうか、そういった方面の事実をつかむために縛った、つかまえたということであるならば、これはやはりはなはだしく被疑者の立場を考えない、人権の尊重さを考えないやり方と言わねばならぬのであります。言いかえますならば、そういうようなことは被疑者の利益の問題でありますので、被疑者の利益の問題、つまりそれは被疑者の行為の違法性をなくするかもわからぬので調べてやるのだということであるならば、被疑者の利益の問題であります。それがそういうものを捜査の対象にする必要があるので、それで自由を拘束するのであるということでありまするならば、本末転倒でございまするので、ここに私どもはやはり捜査権というもの、逮捕というものは、ことに報道の自由との関連におきまして自由が侵害されるかどうかということは、きわめて重大な問題でありますから、慎重にやらねばならぬのにかかわらず、その点は相当な行き過ぎがあったという判断をせざるを得ないのであります。これは最終的な判断は後日に譲りますけれども、少くとも今のような御答弁、説明ではわれわれは納得ができないままに今日経廻しております。言いかえますると、報道の自由というものは、立松という記者を縛ったことによりまして大きな脅威を受けておるということが一つと、しかも事は全国の国民が売春汚職の成り行きを注目しておるさなかでありまするので、宇都宮君、福田君の問題はともかくといたしまして、この報道の自由が奪われるということになりますることは、反面におきましてやはり捜査陣に対する大きな心理的な衝撃を与える、あるいは報道部門に対しましても大きな脅威になりまして、要するに全体としまして疑獄の追及に大きな支障を生ずると思わざるを得ないのであります。これはすでにあらゆる方面におきまして議論もされたあとでありまするから、総理はおそらく詳細に経過は報告を受け、御承知になっておるものという前提でお伺いいたしております。そういうような行き過ぎに対しましては、検察行政のあり方としまして大いに今後検討をしてみねばならぬと思うておりますので、あなたの御所信はいかがでございます。
○唐澤国務大臣 総理からお答えをいただきます前に、私からも法律事実的の点を一言申し上げておきたいと思います。 ただいまお示しのありました通り、新聞の重大なる使命にかんがみまして、取材源の秘密性ということにつきましては、検察当局といたしましても十分これを尊重していかなければならないことはこれは当然でございます。それと同時に、新聞紙の記事によりまして個人の名誉なり信用なりが著しく棄損されました場合におきましては、これはやはり人権尊重の点から徹底的に擁護していかなければならぬと考えます。従いまして言論の自由、報道の自由を尊重する原則と、また人権を尊重しこれを擁護して参ります原則、この二つの原則は民主主義憲法下においてともに大事な原則だと私は考えております。そこで本件でございますが、読売新聞に、ただいま御指摘の通り両君に関する記事が出ました。両君は絶対にさような事実なしとして非常に憤慨されて、そして名誉棄損の訴えを出されたのでございます。一つは読売新聞、ラジオ東京、その報道の側に対する名誉棄損の告訴でございます。一つは検察当局に対する告訴でございます。これは両君にとりましては、その記事から見まして、ほんとに致命的の記事でございますから、この意味におきまして人権を尊重しなければならぬということできわめて大事な告訴でございます。ことにこの告訴は、今言われる売春汚職そのものを取り調べておりまする東京地検が被告になっている名誉棄損でございますから、これもきわめて重大な問題でございます。そこで東京地検におきましてはこの記事がどういうふうにしてできたかということを取り調べたのでございます。先ほどもお言葉にありました通り、かりにこれが事実でないといたしましても、この記事を作った人がこれを事実と信じ、ことに事実と命ずることにおいて相当の妥当性がございますれば、これは犯罪を阻却しまするから棄損罪は成立いたしません。そこでどういう工合にしてこの記事ができたかということを調べなければならないのでございます。その捜査の道程におきまして関係者の供述に食い違いがございました。そこで証拠隠滅のおそれがあるとして身柄を拘束したのであります。事情は以上の通りでございます。
○岸国務大臣 もちろん捜査はあくまでも事実を明らかにするということがその目的でございます。と同時に、その対象となる者の人権を十分に尊重しなければならないということは言うをまたないのであります。そこにどういうふうに調和をとっていくかということが、要するにその場合において問題になることだと思います。同様に報道の自由ということも、報道されるところの客体である人に関する場合においては、人権の擁護ということも問題になると思います。報道はあくまでも早く、また真実を明らかにしなければならぬ。こういう意味において報道の自由ということが認められておるのであります。もしも不幸にして報道の自由の名において虚偽の事実が記載されて、そうして何ら罪のない人の名誉なりあるいは社会的地位が傷つけられるということも、これは重大な人権の擁護の上から考えなければならない。ところがそういうことを非常にやかましく言えば、それでは報道の自由というものはなくなるじゃないかというような問題が出てくるのです。要は、これらの問題の調整たとるのには、やはり民主政治というもの、民主主義というものが、そこにおのずから良識というものが働かなければならない。報道の自由だから何を書いてもいいのだということも言えない。事実をつかむのだからいかなる方法をやってもいいということは許せないということであろうと思うのです。要は、具体的の問題につきましてはいろいろな御議論もあるとは思います。しかし私はこの問題に関して、一面売春汚職に対する先ほどからの論議を聞いて、この事実を明瞭ならしめて早くこの事態を鮮明しなければいかぬということを強く考えております。と同時にその附帯的な事項として上りました非常に不幸な事実、これはわが党であるから私は申し上げるわけではありませんが、事実が全然ないとして、ああいう記事に書かれた場合の国会議員の立場というものを考えてみると、これの名誉回復ということについても私は別個に急速に行われなければならぬ、かように思っております。
○江崎委員長 吉田君に申し上げますが、だいぶもう時間が経過しましたからすみやかに結論に入っていただきます。
○吉田(賢)委員 もう少しです。 それは総理は問題を取り違えていなさる。つまり両君の名誉を棄損したという事実があるならば――それは十八日の新聞に出ておるのです。十八日の新聞にはこれは明らかに出ておるのです。あるのです。それはそれで一つ厳正に公平に処断して名誉保持、名誉回復その他の手段をとることは、これは当然のことであります。それはそれでいいのです。しかしここで問題にしましたのは、逮捕の理由なんです。だから名誉棄損罪によって加害者を処罰する。被害者の名誉保持ないしは回復についてそれぞれの処置をする。こういうこととは別個なんです。逮捕の問題を言っておるのです。そこで名誉棄損罪の成立は、それはそれといたしまして、それは別の方法がとれるのであります。(「証拠隠滅のおそれがあるのだ」と呼ぶ者あり)事情を知らないからそういうやじを言いなさる。証拠隠滅ということが逮捕の理由にいわれておるのです。いわれておりますが、かりにそうであるとしましても、その証拠とは一体何なんです。証拠といったら新聞が証拠なんです。しからば反対に、法務大臣今説明のごとくに、有利な証拠があった、なぜならばニュース・ソースいかんによっては真実なりと信じて書いた有利な証拠があったらという、それならそれは被疑者の利益のためなんです。そういうことも考えておかなくちゃなりません。被疑者の利益のためでありますので、被疑者の利益のための問題をふん縛って調べる必要がどこにあるのですか。若干の時をかしていいじゃありませんか。それほど逮捕権というものは自由に人間を拘束するということを許しておりません。少くとも客観的妥当性がなければなりません。そういうことなんです。それでありますので、ニュース・ソースを言わないから縛るということになりましたならば、それは今総理が言われる名誉を侵害せられて大へんな不幸なできごとが起っておるという、それとは別個の問題として論議しなければならぬのであります。ニュース・ソースを言わないから逮捕するということになれば、それはまさに言論の弾圧になってくる糸口であります。もし若い記者が――それは神でないからそれぞれ人はあやまちがあろうと思うけれども、若い記者が同じく正義感に燃えて、この不浄なる疑獄、汚職の追及にほんとうに清浄な気持を持って報道の業務に関与しておる、そういうような人におきまして、できるだけニュース・ソースというものもその秘匿の立場を尊重するということによって、疑獄、汚職の追及の完全を期することができるのではありますまいか。一歩進んでもしニュース・ソースをどんどんと追及されることが自由にできる、よしんば被疑者の利益の問題であっても言わなければふん縛るというような方法をもって進んでいきましたならば、一、二、三、四と漸次拡大していくところは、しまいに特種の記事はなくなってしまいます。特種が正確であるやいなやということも、人権の侵害になるやいなやということも記者の良識、あるいは新聞の良識にわれわれは期待してその成長を待つことが大事であります。しかし同時に反面におきましてニュース・ソースをどんどんとあばいていくということに捜査権が乱用されるということになりましたならば、警察国家の再現になることをどうして否定することができましょう。しかしてそういうことになりましたならば、最後に政府の自由すらなくなるかもわかりません。最後には国民の自由もなくなって、そして一切が、新聞というものは官庁の発表、官報と同じようなものが行われるという時代が再現するかもわかりません。そういうことをわれわれはおそれます。まさに憲法に反することであります。人権の侵害これほどはなはだしいものはございませんので、この際特に重大な凝獄事件が今議論沸騰している最中でありますので、ニュース・ソースの秘匿権の問題につきましては、より一そう慎重な態度をもって捜査当局は対処しなければならぬ。名誉棄損罪が憎いからニュース・ソースも乱暴にあばいてやるのだというような、もし悪意が加わったといたしますならば、ますますこれは逮捕権の乱用であり目的逸脱であります。そういうことはなかろうけれども、そういった疑いのある今回の事件につきましては、私は法務行政いな検察行政のあり方というものにつきまして、大きな反省をしてみねばならぬのではないであろうか、これを思うのであります。これを思うのです。なければけっこうです。けれども巷間伝えるところによるならば、政治的なる検察行政がともすると行われるということがいわれるのであります。もしそうだとするならば、刑法、刑事訴訟法、憲法等を順守いたしまして、捜査を厳行しなければならぬ捜査官が、政治的なことに色目を使うということになりましたならば、司法権の独立はありません。しかし絶無とは言いません。造船疑獄によって指揮権が発動せられたことは、これは国民は、捜査権のじゅうりんであり、日本の司法権のじゅうりんであると判断したのであります。そういうことの再現がありましたならば大へんでありますので、その萌芽を抑える必要がわれわれはあるわけであります。ここにおきまして、検察行政のあり方といたしまして、まさに逮捕権乱用の疑いのあるこの問題につきましては、深い注意の喚起を総理に求めねばならぬのであります。私はこれをほんとうに、国民は――今重大なこの疑獄の成り行きとともに静かに冷静に報道の自由ということが基本的な国民の人権につながっておるということとあわせ考えまして、きわめて重視すべき案件であると人みな信じておると思いまするので、あなたのお考えを聞いた次第であります。要するに私はこれらの問題を通じまして、総理といたしまして、この汚職追放ということは、綱紀粛正ということは口町禅に終る、から念仏に終とるいうことが従来の例であって、どの内閣のどの首班も、綱紀粛正を言っていずれもが綱紀紊乱ぞくぞくと起って、毎年々々財政の食い放らしから、役人の国民の税の食い散らし、犯罪、汚職、毎日のごとくに新聞をにぎわしまして、不幸にして世界の文明国の最も大きな暗い面が、日本のこの政界面に露呈しておるということを私は憂えるのであります。かかる意味におきまして、あなたの当初の決意を求めた次第でありまするが、しかしながら困難な立場もわかります。またそもそも保守派の政治によりまして、真に国政の粛正というものが、経済的に不可能であり、政治性格として不可能というような現実の事実に想到いたしますると、これはやはりから念仏に終るということが最終の運命でないかということを私は思うて、まことに疑獄汚職というのは日本国民の宿命のような感じすらするのであります。でありまするので、私は、あなたの党に属しておるからこれにふたをするとか、あなたの党に波及するから遠慮するとか、党内でごたごた言う人間がおるからその顔色を見るとか、そんなようなことじゃなしに、ほんとうに勇気をふるって、断固としてこれらの問題の粛正をはかって、そうして国の政治の粛正に勇気をもって対処せられんことを望んで私の質疑を終ります。(拍手)
○江崎委員長 稲富稜人君。
○稲富委員 私は岸内閣に対して種々お尋ねしたいことはたくさんあるのでありますけれども、本日は時間の制約等もありますので、岸内閣の農業政策並びに災害対策につきまして二、三お尋ねしたいと思います。 まず農業政策の基本方針について承わりたいと思うのであります。これはすでに御承知のことだと思うのでございますが、戦後一つの慣例といたしまして、経済企画庁より年次経済報告、いわゆる経済白書というものが発表されております。昭和三十二年度につきましても七月にこれが発表されております。さらに本年は農林省におきましても八月、「農林水産業の現状と問題点」というものを発表されました。これはわが国における農林水産業に対する現状分析と問題点を含むものでありまして、世間ではこれをいわゆる農林白書と称しておるのであります。さらに引き続きまして、農林省は八月二十八日付の省議決定をもって、農林水産政策要綱というものを公表いたされております。この要綱は今後、なかんずく三十三年度における農林水産政策の基本方針を示そうとするものであって、農林白書を出した後の当然の帰点であるということは、われわれは認めるのです。こういう試みをなされました赤城農政の新機軸といたしましては、これはわれわれも実に適当なものである、時宜に適したものである、かようにわれわれも認めるのである。よって私は、このただいま申し上げました政府資料で明らかにされた、これによって、岸内閣の農業問題に対する認識並びに農業政策に対する考え方、こういうものに対する所信を一つ伺いたい、かように考える次第であります。 なぜこういうことを申し上げるかといいますと、この経済白書にも、農林白書にも、ともにはっきり指摘いたしておりますことは、保守党内閣の農業政策は失敗だったということが指摘されておる、このことであります。すなわち独占資本下における農業並びに農民の地位というものが逐次衰退するものであるという、経済原論が教えておるような状態を、日本農政の運命は運んでおるということは、はっきりとうかがえるのであります。 これらの白書の力説しておりまする点を、さらに私たちが要約いたしますると、農業と非農業との関係は将来どうあるべきかという大きな課題が、ここに与えられておると思うのであります。それで御承知のごとく、農業と非農業との発展の程度というものは、最近ますます不均衡を拡大しておるというのが、現在の状態でありまして、これはただいま申し上げましたその白書の中にも、はっきり現われて参ったのであります。 その二、三のものを例を上げて計数的にここに申し述べますると、国民所得の中で占めております農業所得の割合というものは、昭和三十年は一七・六%、昭和三十一年は一五%に低下いたしております。それから、実質国民所得と実質農業所得の伸張の度合いというものを見ますると、国民所得が昭和三十年に三二%、昭和三十一年には四一五%であったにもかかわらず、農業所得は昭和三十年には一〇%、昭和二十一年には一四%、こういうことになってしまっておるのであります。 さらに産業別有業人口一人当りの所傳の開きはどうであるかということを調べますと、満州事変前の昭和五年ごろ、その時分は農業を含む第一次産業の一に対しまして、第二次産業は四であり、第三次産業は六という割合であったのであります。その当時はこういうように農民生活が他の産業に対して著しくみじめな状態だということを統計によって示しております。そういうような貧農の子弟をかかえて、軍部は非常に困った、これがすなわち帝国主義戦争に乗り出した原因の一つであるとも言われておるのであります。この点はすでにその当時の責任者、と言えば失礼かわかりませんが、その当時も十分責任を持っておられました岸総理大臣は、その点の農業事情というものを十分御承知だと思うのであります。 ところが最近になりまして、昭和二十二年ごろになりますと、この農業を含む第一次産業の一に対しまして、第二次は二、あるいは第三次産業も二、こういうようにだんだん好転して参っております。これはやはり民主主義の興隆の波に乗って、以前の傾向が是正されたのだ、こう考えるのであります。ところがさらにまた最近はこれが昔に逆戻りしまして、第一次産業の一に対しまして、第二次は三、第三次産業は三、こういうことになっておるのであります。 こういうような農業状態というものがだんだん悪くなって参っておるのでありまして、このことは農業白書はその現状をはっきり述べられまして、そうしてこれからきました農村に対する五つの赤信号というものをここに提起いたしております。その一つは、最近農家所得というものが非常に低くなった、あるいは第二には、食糧の供給力が低くなった、第三には、国際競争力が弱くなった、第四には、兼業農家が増進してきた、進行してきた、第五には、農業就業構造の劣弱化を来たした、こういうことをはっきり言っておるのであります。私たちはこういうことは今日まで常に現在の日本の農業政策に対して指摘いたしまして、今までわれわれはこれを警告いたして参りました。 ところが最近におきまする歴代の保守党内閣というものは、われわれのこの警告に対しては一つも耳を傾けなかった、その結果が今日農林白書がここに最後に五つの赤信号を出さなければいけないようなこういう事態を招来したものといわなければいけないと思うのであります。この点に対する責任を十分お考えになるかどうか、まずこの点を一つ総理大臣に冒頭に伺っておきたいと思うのであります。
○岸国務大臣 日本の農林水産業というものの重要なことは申し上げるまでもないのであります。従ってこれに対する対策というものも、従来いろいろな方面から講ぜられておることも御承知の通りであります。ただお話の通り、歴史的に見まして日本の農林水産業というものは、産業全体の構造の上において、社会構造の上において、いろいろな変遷をしてきておることも事実であります。最近に発表されましたいわゆる農林白書において、いろいろな事項が指摘されております。私どもは根本の考え方としてやはりこれの対策としては食糧増産を中心とする食糧自給力を増すためのいろいろな総合政策を行なって、農林水産業というものの経営の実体にまで入って、いろいろな技術的な改善その他によりまして、その所得を増大するという点に農業政策の重要な方向を指向して、各種の具体的政策を考えていきたい、かように考えております。今までのいろいろな変化に対して、稲富君のお話によると、それはわれわれのこの政治上の政策上の責任をどう考えるかというお話でありましたが、私は農業に対する考えは、今申し上げましたようにきわめて重大なことでありますから、政府としてあらゆる点からこの事情を検討して、これに対して今申したような大きな方向を定めて、具体的な策をきめて実行していかなければならぬ、こういうことであります。決して責任をのがれるとかあるいは責任を感じたから、どうだという意味じゃなしに、現実にそういう方向に向って具体的な政策を今後強力に進めていきたい、こう思っております。
○稲富委員 私はあえてこの問題につきまして、総理大臣にその責任を問うてどうというのじゃなしに、私たちはここにそういう事態を引き起したこの事実というものは、農林白書が示しておるように卒直にわれわれが自己反省して、今後の農業をどうするかというところに出向さなければならぬではないかと思うのであります。そういう意味から私たちは過去における政策上の操作に対する失敗があったとすれば、われわれはいさぎよく、その失敗を認めた上で、その後に出べきである、この点が一点であって、何もこれをもとにして責任をとれとか内閣をやめろとかいうのではなくして、そういうような責任があるならば、それは卒直に、すでに農林白書も認めておるように、あるいは経済白書も認めておるように、政府としても一半の責任というものは、継続されました保守政党に対する一つの関連性があるものとして考えて、再出発をするという立場をとるべきではないか、こういう意味から、私は総理の考え方を率直に承わっておるのであります。
○岸国務大臣 もちろんわれわれは常にあらゆる問題に関しまして行なってきたこと、それがどういう効果を及ぼしておるかということを正確に検討しながら、各種の政策をきめていかなければならぬことは言うを待ちません。特に農業のごとき問題は、御承知のように、工業政策なんかと遣って、ある一つの効果を発生する場合におきましても、相当な時間を要するようなことが多いのであります。従ってやはり少し長期的に結果を見る必要がある問題もあろうと思います。私は決して従来われわれがとってきた策が万全であって、これを一切動かさないということを申し上げておるわけではございません。けれども、いろいろな事態、経済の各般の問題について、また農業政策におきましても、特にそういういろいろな点から検討を加えつつ、日本の農業に対しては、今さっき申しました一つの方向に向って今後進んでいくつもりであるということを申し上げたわけであります。
○稲富委員 それで、ただいま総理大臣も今後わが国における農業というものが、しかも第一産業の消長いかんというものが、日本の国民経済の発展に非常な支配力を持っておるのだということは、すでに十分御認識になっておるようでございますので、この点は今後その総理の考え方によって、日本の農政をやっていかなくちゃいけないという、農林大臣にその責任がまた非常にあるということをわれわれは信ずるゆえんであります。それで私たちは、ただいま申し上げました赤信号の一つを解決するということにつきましても、これは実に容易なことではございません。これに対しては、農林大臣として相当の決意があると思うのでございますが、われわれはこの今申しあげましたような結果から申し上げまして、将来これが解決に対しては、ともに全力を住いで私たちは進んでいかなければいけないと思うのであります。そこでこのことはすでに農林大臣は御承知の通り、農林白書は今後の農政の進むべき方向というものをはっきり見出しております。すなわち国土資源の積極的な開発利用を促進する、あるいは劣弱なる生産構造の体質を改善する、こういうようなことをはっきり言っておるのでございますが、翻って私たちが最近におきまする日本の農政というものを顧みてみますと、これはしばしば批判されたのでございますが、実に遺憾な点が非常に多かったのであります。すなわち昭和二十八年を頂点といたしまして、日本の農林予算というものが年々歳々削限をされておるということは、すでに御承知の通りであると思うのであります。計数的に申し上げますならば、昭和二十八年におきまする農林関係予算というものは全体の予算額の一六・五%を占めておりました。ところが二十九年におきましては、一一・二%になっております。三十年におきましては九・五%になっておる。昨年の三十一年のごときは八・四%であり、本年度のごときは、さらに下りまして七・九%を示しておるのであります。実に二十八年度の半分にも足らないというような、この農政の後退というものを示しているというような状態であるし、さらにまた財政投融資もこれに伴いまして大幅に削減されておるということは、これはもう大蔵大臣も御承知の通りであると思うのです。私たちはこういうような事実を指摘いたしますると、常に歴代の大臣は何という答弁をされますかというと、災害対策費が減少したのであって、実質的にはそう減っているのじゃないのだ、こういうことを説明されますけれども、そういうような御答弁の裏にはただいま申し上げましたように、農村というものは年々歳々悪化の一途をたどっているというのが、現在の状態であるのであります。それでこういうような状態を見かねて、すでにこれは農林白書の中におきましても、あるいは農林省の省議においても決定されましたこの新政策要綱というものが発表されたものであると思うのでございまするが、その内容を検討いたしますると、あるいは農地の開発、改良をやらなくちゃいけないとか、営農改善をやらなくちゃいけないとか、ただいま総理大臣が言われましたように、食糧増産をやらなくちゃいけないとか、あるいは食糧管理の合理化をやらなくちゃいけないということを言われております。これは今ここに農林白書が出てから、新しく農林省が言い出したものではなくして、これは常にわれわれが言ってきたことなんです。こういうような問題がありますが、これを実行し得るかどうかということに帰着するのであります。言うことはやすいことなんです。今まで言いながらこれを実行しなかったから現在の農林白書が書いたような結果に相なって参りまするのです。でありますから、私たちがこれが実行に対しての裏づけをどうするかという問題なのです。これに対して私はまず農林大臣のこれに対する実行の決意のほどを一つ承わって、さらに質問いたしたいと思うのであります。
○赤城国務大臣 先ほどからお話がありましたが、予算の面におきましては、二十八年をピークといたしまして減っております。しかし減っておるから保守党として農林行政が放郷され、非常に後退したんじゃないか、こういうお話もありましたが、ことしの豊作などを見ましても、やはり多年土地改良をしたとか、あるいは農業技術の面において非常に進んだとか、あるいは農薬の面とか、いろいろそういう点で農業をやりまするから、長い間の効果が現われてきたものでありますので、決して保守党が農林行政を粗末にするというどころではなくて、非常に力を入れておるわけであります。しかしながらやはり今のお話のように、何といたしましても私どもも新政策を出し、そして転換期に立っておる農林水産業、ことに鉱工業より立ちおくれをしておりまする農林水産業に対しましてこれを回復していくというか、テンポを進めていくということにつきましては、どうしてもその裏づけである財政的な措置がお話の通り必要であります。だんだん減ってきておりますし、予算の総額という関係もありましょうけれども、私といたしましては極力裏づけを確保して政策を実行することに最大の努力を払いたい、こう思っております。
○稲富委員 歴代の農林大臣がただいまあなたの御答弁なさったようなことを言い続けてこられたのです。ところが先刻申し上げましたように、その陰には常に農村というものがだんだん悪くなっていく、農民の生酒が悪くなっていくのが現状なんです。私たちはそういうような弁解をすることよりも今後どうするかという問題が必要だと思うのでございまして、今農林大臣の御答弁になったようなことは耳にタコができるほど聞いておることなんです。ところがなかなか実施にはならない。ここに問題があるわけです。農林大臣がそういうような考えを持っておりますのに実績が上らないということは、どこかに欠陥があると思うのです。農林省のやり方が悪いのか、大蔵省が予算をやらないのか、どっちなのか、この点を一つ承わりたい。
○赤城国務大臣 今までの予算の裏づけについて欠くるところがあるかどうかということは、私は批判する立場にありませんけれども、私といたしましては、農林水産関係以外の人に、やはり農林水産業の実態を承知してもらい、また私ども農林省といたしましては、農林省以外の関係省等に対しましても、農林水産業の実態が、先ほどお話がありましたようないろいろな点において立ちおくれをしておるということは、容易ならざることであり、また政府で行なっております財政の引き締めその他の点におきまして、人心が非常に安定しているという半面と言いますかに、今年の豊作というようなことが非常に貢献しておるのじゃないか、外貨の点などにおきましても貢献しておる、こういう点の認識を深め、筋を通して、ただばく然と予算の措置をということでなくて、筋を通した面において日本の農林水産業に対する認識を深めさせて、財政の措置をしていきたい、こういうことを強く考えているのであります。そういう点におきまして先ほどお話のありました農林白書などでも、そういうことをうたって認識を深め、そしてその対策を講ずることにつきまして筋を通す、こういう考えであります。
○稲富委員 そこで今度は大蔵大臣に一つお開きしたいと思うのでございますが、ただいま大蔵大臣お聞きの通りでございまして、これはやはり一番最初に農業政策というものを理解してもらわなければできないというところは、結局あなたのところだということになってくるわけです。ところが実に大蔵大臣は個人的には人情味のある力だということは承わっておるのでございますが、どうも農業政策に対しますると、歴代の大蔵大臣の中においては、農業問題については最も無理解な大臣だといわれるのであります。ところがただいま総理からもその重要性を説かれますし、私が申し上げましたように、農村の実態というものは実に悲観すべき状態なんです。それでこの際一つ農村に理解がないというその汚名を返上して、今後一つ日本の農政に対しては十分なる理解を持って当っていただきたいと思うのでございますが、これに対する大蔵大臣の決意のほどをまず承わりたいと思う。
○一萬田国務大臣 お答えします。従来の農林省予算は私は少いとは思っておりません。しかし今日大企業を頂点といたしまする一つの部門、他方中小企業並びに農業部門を一つの産業部門とするこの間の格差を是正していくということは、今後の財政経済政策の大きな一つのポイントであり、ここはっかんでいかなくちゃいけない、私はかように考えておりますので、むしろ予算が少し多いとか少いということよりも、どういう農業政策を今後やっていくか、そういうところにしっかりした政策を確立しまして、大成大臣も農林大臣とともにやっていくという考えであります。
○稲富委員 大蔵大臣としてはただいま御意見があったの、でございますが、農村関係というものは計数的に悪いのです。だんだん不利な状態に置かれておるのはさっき統計で示した通りであります。そこでせっかくそういうお考えでありますなら、来年の予算編成に当りましては、――すでに予算を編成中であると思うのでありますが、農林省も、先日なんか一千七百億くらいの予算の要求が出ているということも開くのでありますが、こういうような予算を――いたずらに私たちは予算をふやしさえすればいいというのではございません。ただいま農林大臣も言いましたように、ほんとうにこれが現在の農村を立て直す上において必要なる財政面の支出であるならば、当然これはやらなくちゃいけないことであると思います。この点、大蔵大臣といたしましても、農林大臣と心を同じくしてこの問題に当るということでありますので、三十三年度の予算編成に当りましても、そういうような気持でおやりになる御意思があるかどうか。もしも私たちの期待に反しましたならば、この次の来年度予算におきましては、またこの問題を問わなくちゃいけないことになりますので、この点は一つ農林大臣、大蔵大臣ともに、ただいまお話しのあったような考え方によって三十三年度の予算編成をなさるか、この点を、くどいようでございますけれども、いま一度念を押しておきたいと思うのであります。
○一萬田国務大臣 三十三年度の予算編成の上で、農林省予算をどう組むかということと思うのですが、これは、予算全体を見まして、日本全体の経済、国民生活、その他の均衡の上に妥当なものを組んでいきたい、かように考えております。
○稲富委員 企画庁長官にお尋ねしたいことがあるのでありますが、企画庁長官が来ましてから質問いたすことにいたしまして、次に農業白書が表わしております重大な批判の一つであります、農村における階級分化の問題についてこの機会にお尋ねいたしたいと思います。 これは、本年の五月であったかと思いますが、与党の自民党の農林関係の議員の諸君が那須会談というものをやられたそうでございまして、その際、零細農、兼業農家というものはもう切り捨てたらどうかというような意見が出たということもわれわれは聞いたのでございます。従来わが国の農政は三側農政だ、こういうようなことが酷評されておるのでございますが、こういうことが酷評されるということは、上層農家を対象とする富農政策であるということが意味されて、三割農政だなんということが論議されるわけであります。今日わが国の農家の六五%が兼業農家といわれております。農業における就業構造というものが年々歳々悪化の傾向をたどっている、こういうような状態であるのでありまして、こういうような状態の中において、われわれが農政土いわゆる零細農家に対する農業政策をやらないというようなことを考えるということは、これは実にわれわれは遺憾千万なことであると思うのでありまして、この際私は、いわゆる中農層以下の零細農家に対していかなる考えをもって政府は臨まんとするのであるか、これに対しましては総理大臣からも、農林大臣からも、その点の問題は非常に重大でありますので、この際承わっておきたいと思うのであります。
○赤城国務大臣 農林白書やその他に、健全農家の育成ということをいっております。しかしこれは、中農以上の大農を育成するということではなくて、小農におきましても健全なる農家に育成していくということでありますので、そういう意味におきまして、零細農を切り捨てるという考えは全然持っておりません。というのは、諸外国等におきましては、鉱工業等が非常に発達いたしまして、農業人口をそこに吸収して、少い農業人口で相当の農業生産を上げているというのが実情でありますけれども、日本は御承知の通り、零細農業であります。また鉱工業の発達によって農業人口をそこに吸収できるというような段階にもまだ十分いっておりません。そういうことでありますので、零細農に対しましても、私どもはこれを切り捨てるというような考えは全然持っておりません。そこでどういう対策を講ずるのかということでありますが、私どもといたしましては、食料の総合的自給化ということを言っておりますが、同時に今の鉱工業と農林水産業者の所得等について非常に格差を生じているわけでごごいますので、白書その他にもいっておりますように、生産牲を向上する、所得を上げる、こういうふうにいっているわけでありますが、どうしても零細農につきましては、大きい人より機械化も十二分にできませんし、あるいはまた家畜等につきましても、大家畜を入れるということは困難だと思うのであります。こういうことにつきまして少しはおくれると思いますが、やはり小家畜を入れるとか、あるいはまた生産の面におきましても、小さい面積において多くの所得を得るというような集約的――小家畜を入れるとか、あるいは果樹とか蔬菜とか、こういうものによりまして、土地を高度に利用できて所得が得られるような方針でこれを指導していきたい、こう考えておりますので、零細農を切り捨てるというような考え方は持っておらない次第であります。
○稲富委員 零細農対策問題はわかりました。 次に農業白書に書いてあります、わが国の農業の国際競争の弱さに関連して、食料輸入の問題についてお尋ねいたしたいと思います。御承知のごとく、今年の米の推定実収荷は、昨日の農林省の発表によりますと、七千五百七十一万石という数字が出ているようでございます。今年も、九州地方を除いては、昨年、一昨年に続いて豊作である、こういうことをいわれておるのでございますが、豊作というよりは、むしろ七千万石というのが日本の平年作というような最近の情勢になっているようでございます。この米に伴いまして、麦類もまた二千七百万石を上回り、平年作に比べまして七十万石ないし八十万石の増産をいたしておるというような状態であります。今日こういうように、食糧事情は実に安定いたしておるときでありますが、現内閣は、八月十三日の経済閣僚懇談会において、第四次の余剰農産物の受け入れを決定されておると聞いております。この余剰農端物の受け入れとういものは、通常輸入分の上積みとなるということは御承知の通りであります。国内の食糧の需給計画、あるいはこれに基く不足分の輸入計並等は、これは直接の関係がないわけでありまして、さらにこれを極論いたしますならば、第四次余剰農産物の受け入れというものは、国民食料を確保するためには特別に必要なものではないわけでありまして、しかも直接間接にかえって日本の農業を圧迫するというような結果になってくるわけであります。しかるにもかかわらず、この余剰農作物の受け入れに対して、農林省が飛びついていって、そうしてすぐ賛成するという意思が、どうも私にはわからないのであります。これに対する農林大臣の御所見を承わりたい。
○赤城国務大臣 余剰農産物といいますと、何かそういうことを申し上げて失礼かと思いますが、アメリカから余ったものを押しつけられるんじゃないかという感じが一般には非常に強かったようであります。しかし私どもの方の食料の需給関係から申し上げますと、本年度のような豊作がありましても、食料の絶対量というものは、また輸入に仰がなければならない段階になっております。そういうことで、食糧の需給関係を詳細に検討いたしました結果、小麦につきましても、大麦につきましても――小麦は二百二十万トンか二百四十万トン、大麦につきましても八十万トンくらいでありますが、そういうような輸入計画といいますか、食料需給上からの輸入のめどがあるわけであります。そこで、その物入を一般の外貨で輸入するか、あるいは余剰農産物の線において輸入するかということが問題だと思うのであります。でありまするから、向うでは余剰かもしれませんが、現在の段階で、日本にとっては必要な農産物の範囲内でございます。でありますから、よけいに向うから買うということでなく、必要な農産物の中から買うわけです。それを買うのにつきましては、余剰農産物を受け入れるということになりますれば、これは稲富委員すでに御承知の通り、利子の点でも非常に低い点もありまするし、またこれか日本の円見返り資金となって、土地の開発とか漁港とか、あるいはその他に長期に使えるということになりまするならば、日本の農業を進めていく上におきましても有利である、こういう考え方から、必要な農産物の必要な量の範囲において――でありまするから、先ほどのお店の九月の申し入れにおきましては、小麦三十八万トン、麦八万トン、綿花十万俵、こういうものを余剰農産物によって受け入れていく、こういうことでありまするので、決してよけいにあり余るものを入れるとか、あるいは押し付けられて入れようという考え方ではなかったのであります。またその後の経過につきまして御質問がありましたならば、追加して申し上げます。
○稲富委員 ただいま農林大臣は、二つの理由を言われたのでありまするが、ほんとうの腹は、日本の食料を確保するために買いたいというよりも、後者で言われました見返り円資金の調達をしたいというのが、大体の腹じゃないのですか、その点を二つ率直に承わりたい思うんです。ねらいはそこにあるのじゃないかと思うのでございますが。
○赤城国務大臣 先ほどから申し上げましたように、第一は必要な農産物で、何かの方法によって輸入をしなきゃならぬのでありますから、余剰農産物によって輸入しようということであります。それに伴って円資金が使えるということになるならば、なおけっこうだ、こういうようなことで余剰農産物の、受け入れの申し入れをしたわけであります。決して第二の点だけで申し入れをしておるというわけではないのであります。 〔委員長退席、川崎(秀)委員長代理着席席〕
○稲富委員 私は、それじゃむしろ日本の国内の食料事情等からいって、何がために余剰農産物を買わなくちゃいけないか。それでは、もしも今日話と進めておるものができなかった場合どうなるか。それは、日本の食糧事情に対しては不安な情勢をかもしてくるのです。こういう問題が起ってくる。この第四次余剰農産物の協定というものは結ばれるものであるか、結ばれないものか、現在未知数なんです。おそらく現在の状態においては、余剰農産物というものは、本年度においては協定ができないという見方の方が私は強いのじゃないかと思うんです。それであなたのおっしゃるように、日本の食糧事情のために余剰農産物にぜひ食いつかなくちゃいけない、こういうことでありますと、日本の食糧事情は非常な不安な結果になる。それよりも、さっき申し上げましたように、現在の食糧事情から申し上げますると、それほど日本は余剰農産物を買い入れなくちゃいけないというような状態に迫っていないと思うんです。おそらく農林大臣も同じ考えだと思います。ただ問題は、日本の国内の開発等に対して使おうとする円資金、見返り資金を何とかして余剰農産物に便乗して得ようとするのが一番の腹じゃないかと思うのでございます。この点に対して率直に御答弁にならぬと、今後もしもこれができなかった場合に、非常に日本の食糧事情に不安を来たすことになるので、この見解を、何も修飾する必要はないのだから、率直に述べていただきたいと思います。
○赤城国務大臣 余剰農産物が入らないといたしますならば、外貸によって日本の輸入の必要な量は入れるということになっています。これは外貨予算にも組んであるのであります。でありますから、お話のように、絶対的に食糧が自給できるという状態なら、非常に私も喜ばしいのであります。絶対的に自給できませんから、輸入する必要な量というものは、需給計画に計上してありますし、それは外貨によって買うことになっております。その外貨で買うよりは余剰農産物で受け入れた方がいろいろの点において有利だということで、余剰農産物の申し入れをしたのでありますから、余剰農産物協定がうまくいかぬということになれば、必要な小麦、麦等につきましては、外貨をもって補って、食糧の不安を除く。これは評価の上に載っていることでありますから、その点において、食料に不安を来たすということは絶対にないのであります。
○稲富委員 それでは、その問題は後刻また伺うことといたしまして、第四次協定について河野経済企画庁長官が渡米されまして、三日に帰朝されているのでございますが、まだ見えておりませんか――これはまず河野企画庁長官の交渉のてんまつを承わらなければ、次の農林大臣に対するこの問題の質問が――どうも双方の関係でやられておりますので、関連性があるわけであります。そこで、私がここで企画庁長官に答弁していただきたいと思っておりますことは、企画庁長官がどういうような腹案を持って向うに行かれたか。これは、もし企画庁長官がおられぬでも、総理がその点の事情はその後の報告等で企画庁長官から聞かれておりますならば、総理からでもけっこうでございます。私たちがなぜこういうことを聞くかといいますと、河野企画庁長官がアメリカに行ってこの交渉をされたところが――何か四千七百三十万ドルであって、大麦が八万トン、小麦が三十八万トン、綿花が十万俵、こういうような案を持って行かれたと私は聞いております。ところが米国においては、この責任者のベンソン農務長官は、とうとう河野さんに会っていないという話を聞いております。何とかいう食料庁の部長が農務省の下の方の役人と話をして、その会談の内容というものも、何だか向うから木ではなをかんだような返事を受けたという話を聞いているのであります。この点の事情を、私は企画庁長官に聞かなければならないのでありますが、私たちに流布されたところによりますと、米国側の言い分は、もう麦に対しては余裕がないということをはっきり言った、そうしてタバコを買えと向うは言った。あるいはアメリカ側の円貨の使用率を高めろ、こういう難題を逆に持ち込まれたという話を私たちは一般に聞いているのであります。しかもベンソン長官は、河野企画庁長官がアメリカに行っている留守に、ちょうど日本に参っておりまして、赤城農林大臣と会見されているのであります。それで私は、企画庁長官がアメリカに行かれましたその会談の内容と、ベンソン長官一農林大臣との話がどうなったか、この点を伺わなければ、先刻私が申し上げました第四次余剰農産物の買い入れ協定がどういう結末をつけるかという基礎がつかめないわけなんです。この点から、私は両方にお聞きしたいと思っておるわけなんです。
○川崎(秀)委員長代理 それじゃ私がお取次します。河野経済企画庁長官に対し、先ほど来御質問になりました要点は、余剰農産物について、どういうような構想をもってあなたは出発をされたか、それから米国において農務長官と会ったかというようなことを中心にお聞きになったと思いますが、まずその点からお答えを願いたいと思います。
○稲富委員 さらに、あなたが長官と会わなかったことは、長官がこっちに来ておったのですから、私は知っております。あなたについておる食糧庁の部長なんかも出席した。ところが向うの会談の内容というものが非常にあっけなかったということを聞いておる。実はその内容等も、もう向うには麦類の余裕はないんだ、麦がないからタバコを買え、あるいはアメリカ側の円貨使用率は逆に高めろ、こういうような返事がされたことが流布されておるのでございますので、この点の真相を一つ承わりたい。
○河野国務大臣 余剰農産物のアメリカ側の考えは、実は従来わが国は、通常輸入量を輸入いたしまして、そのあとから余剰農産物の輸入をいたすことになっておりますので、その輸入の時期がとかくおくれがちになっておりますことは、御承知の通りであります。仕ってアメリカ側といたしましては、世界各国のうちに食糧に非常に窮迫しておる国がありますので、それらの国にまず現在予算を持っておるものを優先的に割当をいたしたい、日本は今申しましたような事情にありますので、日本の余剰農産物の希望については、アメリカにおいて今予算として基礎を持っております十億ドルのほかに、明年一月から開会されます議会におきまして追加要求せられる予定になっておりますものがあるようであります。これは議会におきましても、政府におきましても、そういう考えがあるようであります。これが万一成立いたしましたならば、その分において日本側の希望に引き当てても、時期的に日本の要望にこたえることができるのではなかろうかというようなことを、アメリカ側としては実は考えておった。そういうようなことで、日本側から申し入れました分につきましては、明年一月以降においてそれを考慮したいというようなふうの考えがあったようでございましたので、私はその点にりきまして、日本は予算の編成その他からいたしまして、明年の追加決定せられる分の中から引き当てをせられるのでは、日本の予算編成上適当でないという点を十分話し合いました。そこでアメリカ側としては、あらためて考慮しようということで別れておるわけでございます。
○稲富委員 そうすると、結局向うの方では、麦類の余裕がないとか、タバコを買えというような、そういう注文はしなかったわけですか。
○河野国務大臣 今お話しのような、麦がない、タバコを買えというような話は、一切ありません。
○稲富委員 それでは、さらに赤城農林大臣にお尋ねしたいと思うのですが、農林大臣は、ベンソン長官がこちらへ来たときにお会いになりまして、この問題に対する折衝をされたことを承わっておりますので、その折衝の内容を一つ承わりたいと思います。
○赤城国務大臣 ベンソン長官との会談の内容でございますが、河野長官の折衝の経過を承知して、アメリカ側といたしましては、今予算に計上してある十億ドルの範囲内では非常に困難だ、というのは、新しい国々、後進国といいますか、そういう国々からも非常に申し込みが殺到しており、約三十五億ドルくらいの申し込みになっております。そういう点で、日本の申し込みがおくれているという点もあって、十億ドルの範囲内では困難だというような話し合いがありました。アメリカ側といたしましても、それは来年一月に予算に追加するつもりで、その追加する予算において十二分に日本の申し入れを考慮したい、こういう向うの話でありましたので、それでは、先ほど河野長官も言われましたように、予算編成期もあるので、時期的に非常におくれるから、来年一月の追加予算において入れるということは日本として好ましくない、十億ドルの範囲内において何とかならぬものか、こういう話し合いたいたしたのでございます。いろいろこちらへ来て事情もわかったから、考えてみようというようなことでありますが、その内容等を推察いたしますと、額の点において、あるいは小麦、大麦の点呼も、こちらの申し入れと相当隔たりがあるようでありますので、いずれ河野長官が帰ってきてから、内閣として相談いたします。 〔川崎(秀)委員長代理退席、江崎委員長着席〕 あなたの方では、あなた方の方で適当に考えていただきたい、こういうことで別れておるわけであります。
○稲富委員 そうすると、ただいま河野企画庁長の報告、赤城農林大臣の報告を承わりますと、どちらにしたところで、来年の一月の追加予算では日本の予算編成に間に合わないことになるので、結局これは不可能だという見通しが強いようでございます。あっさりあきらめるわけにいかないのでありますか、この点農林大臣の所見を承わりたい。
○赤城国務大臣 ベンソン農務長官も八日にローマに行って、向うでガーネット局長などと相談したことでありましょうし、またワシントンとも相談しておるのじゃないかと思います。私どもの方といたしましては、河野長官か帰ってきたばかりでありますので、内閣といたしまして、この点につきましてどういう措置をとるかということにつきましては、追って協議をいたした上にきめたいと思っております。
○稲富委員 そこで、ここにおいて大蔵大臣にお聞きしたいと思うのでありますが、ただいま大蔵大臣もお聞きの通りに、これは企画庁長官のお話を聞きましても、農林大臣に聞きましても、私はこれはとうてい間に合わないのじゃないかと思う。そうなりますと、いわゆる農林関係の公団の所要資金の問題が起ってくると思う。いっそこういう問題は、第四次余剰農産物の協定は打ち切ってしまって、国内的にこの問題は考える、こういうような方法でお進みになったらどうかと思うのでありますが、大蔵大臣どうでございましょうか。
○一萬田国務大臣 お答えいたします。今お話がありましたように、これは食料の需給関係からきておるようでありまして、従いまして、万一できなくても、資金的に――何に使うかは問題ですが、資金源に困ることはありません。
○稲富委員 資金源に困ることはないといって、それじゃ三十三年度の歳入においても、国庫余裕金というものは一千億くらいは出るはずであります。また資金運用部資金も相当に豊富であると思っておりますので、私たちは今日これほど反対のある余剰農産物――内外とも反対なんだから、こういうものをやらなくとも、見返り資金に対しては一切これを廃止して、そうして国内的にこれ操作する、今言う資金源に余裕があるのだから、こういうようなこととお考えになった方がいいんじゃないか、こう思うわけですが、これに対しては、これは企画庁長官も関係されているので、一つそういう方法でおやりになった方がいいんじゃないかと思いますが、企画庁長官並びに大藏大臣から承わりたい。
○河野国務大臣 これは、私はたびたびお話しいたしたことがあると思うのでありますが、余剰農産物の資金を土地改良その他農村振興に使うということは決して悪いことでもなければ、間違った考え方でもない。この金利の安い金を使って農家の負担を軽減して、そして土地改良をやる、農村を復興するということは、私はとるべき処置だと考えております。ただ、今お話のようにこの余剰農産物の受け入れが非常にわが国の農民大衆の圧迫になるとか、農業政策遂行上支障があるとかいうことにつきましては、遺憾ながら稲富さんとは立場が違いまして、私はそう考えない立場をとっておりますし、従来社会党の皆さんはそれは非常に支障があるという立場をとっておられますので、この点は意見が違っておりますので、はなはだ遺憾でございますが、これは一つさよう御了承いただきたいと思います。われわれは支障のあるものは受け入れをしない、必要のあるものを必要の限度において入れているのであって、決して国内の農産物の価格を圧迫するとか、農産物に対してこれが圧迫を加えるというようなものは入れていないということに御了承いただきたいと思います。
○稲富委員 今余剰農産物について河野企画庁長官が言ったその基本的な問題は、これはここで議論したところで、またずいぶん長くなると思いますので、その議論は差しおきまして、ただ今回の第四次余剰農産物というのは、あなたもさっき言われたようにほとんど困難な状態だ、こういうことをわれわれは思うわけなんです。それだから大蔵大臣にこの国内的な資金面の方法をとったらどうかということを私は聞いているわけなんですが、このことなんです。この余剰農産物を受け入れないことによって不安が生ずるのはその問題が一審起ってくると思うのです。その点大蔵大臣に資金繰りの点で聞いたのです。
○河野国務大臣 実はその点につきまして十二月の中旬までに最終的なアメリカの態度を相談されまして、そしてこちらに御返事をいただくように約束がいたしておりますので、今農林大臣からもお話のありました通りに、ベンソン長官その他ガーネット相当官等がワシントンに帰りまして、その上で最終的に十分協議をして、そして今の十億ドルの中でもってどうするかということをこちらに返事下をするということになっておりますから、その、返事を聞いた上で政府としては必要な処置をとることが妥当である、こう考えております。
○稲富委員 それでは次に今度は総理に一つお聞きしたいのですが、総理は先般アメリカに行かれたときに、ワシントンの輸出入銀行から一億七千五百万ドルでございますか、借款を約束してこられたということを聞いておるのであります。この借入金は単なるドル借款ではなくして、その資金によってアメリカから小麦が三千五百八十万ドル、大麦が一千百八十万ドル、大豆が一千五百七十万ドル、タバコ百七十万ドル、綿花が一億一千万ドル、合計一億七千五百万ドル、こういうものを買い入れるということをやられたということを聞いております。しかもその条件といたしましては何か米船を半分以上使用する、それから来年六月までに返済する、わずか九カ月間、葉タバコを買う義務を負う、こういうことになっているということを聞いておるのでございますが、この真相を一つこの機会に御説明願いたいと思います。
○岸国務大臣 借款契約の具体的内容につきましては、大蔵大臣から数字的に御説明申し上げます。
○一萬田国務大臣 これはアメリカの輸出入銀行からの借款が一億七千五百万ドル、そのうちで一億一千万ドルが綿花借款、六千五百万ドルが今お話に出ておるようなものでございます。私もこれは直接関係いたしておりません。これは西原という何がおりますが……。
○稲富委員 しかしこれの交渉は総理が直接やってこられたのと違いますか。
○岸国務大臣 私はこの借款の問題につきましては具体的の数字的な交渉はいたしておりません。これは今お述べになりましたように、一般的な問題として日本のドル資金が少くなっておることに対する何として、借款問題についても全体的の包括的の話は出ておりましたが、具体的のことは日本銀行と輸出入銀行その他それぞれの専門家の間において締結されたものであります。
○一萬田国務大臣 字になりますから政府委員に説明させますが、ここに持っておる点だけ一つありますから、御参考になると思いますから申し上げます。今申しましたように、輸出入銀行からの借款は一億七千五百万ドルで、そのうち一億一千万ドルは、これは毎年やっておる、いわゆる綿花借款、そして六千五百万ドルが借款になっておるのでありますが、これは何もその金が日本にくるわけではありません。物の決済に、物を日本が輸入するたびにこれを引き落していく、こういうものであります。そうしてこの金利は年四分五厘で、買い入れ期間は綿花が十二カ月、小麦、大麦、大豆及び葉タバコ九カ月、借入れ金額は綿花が一億一千万ドル、他の品目の合計は六千五百万ドル、従いまして一億一千万ドルの綿花の普通の借款のほかになお六千五百万ドル、こういうことになっております。
○稲富委員 数字の問題は大蔵大臣を責めてもしようがない。結論を急ぐために、この問題は何かの機会に聞くことにいたしまして、さらにこの機会にお尋ねしたいと思いますことは、政府は台湾政府とも十万トンの米の買付約束をしておられるという話を聞くのでありますが、そういう事実はありますか。
○赤城国務大臣 外地米の買付計画は需給計画の中に入っております。台湾からの正確な数字は、私今ここには持っておりませんが、事務局からでも答弁させるならば、させられると思います。
○稲富委員 十万トンでしょう。
○赤城国務大臣 十万トンかと思っておりますが、正確な数字を今持っておりません。
○稲富委員 結論的に申し上げますと、先刻河野企画庁長官も、余剰農産物の買い入れあるいはこういう外国食、物の導入によって日本農業を圧迫されないのだという解釈をしておるのだとおっしゃいましたけれども、ただいまお話のあったような、あるいは余剰農産物でなくしても、ほかの借款等による農産物の買い入れによって日本農業が圧迫されているということは、これはあなたも農林大臣をやっていらっしゃったので、そこは率直にお認めになっていると思うのです。その結果が日本の農業の麦価等にも非常な影響を来たしておることは事実なのでございます。こういう点から私たちはこの外国食糧に依存するというような政策を日本が将来とっていくということは、ますます日本の農業に対してのしわ寄せが来るのであって、こういう方針を将来日本は堅持するのかどうか、この点を農林大臣に承わりたい。
○赤城国務大臣 先ほどの台湾からの米でありますが、これは今年の四月から来年の三月までに十五万トンを入れるという農林省の計画に入っております。約束ができておるというわけではありません。 それから、輸入にたよっていくという方針をとっていくのかというお話でありますが、全然そういうことは考えておらないのであります。でありますから、農業政策におきましても食糧の自給度を高めるということで各方面にその政策を進めておるわけであります。しかしながら現在の日本の食糧需給状況から申し上げますと、全部が自給によってまかなえるというわけでありませんから、必要なものだけは最小限度に輸入せざるを得ないというのが現段階であります。そこで小麦、大麦等につきましても、なるべく少くしたい。ことに大麦については減らしていくという計画を立てておるような状態でありますので、外国食糧に依存する、あるいはことさらよけいなものを輸入するというようなことは絶対に考えておりません。
○稲富委員 いろいろ聞きたいのですが、時間がありませんから、先に進まなくちゃいけないのでやむを得ませんが、問題は、ただいま農林大臣も外国食糧のために日本の農業は圧迫されないのだということを言われます。農林大臣としては、外国食糧を輸入する以上はそう言わなくちゃ立場はないでしょう。ところが、実際には圧迫されている実情がたくさんある。現にこれはあなたも御承知の通りでございますが、日本の麦価が最近非常に安くなってきておるということもその影響の一つであると言わなくちゃいけないと思う。現存日本の麦が生産費を担うような価格で買い上げられておるか、そうじゃございません。現にこれは数字をはっきり申し上げますと、大麦の生産費は千八百七十七円、裸麦が二千九百六十五円、小麦は二千五百十円と言われている。これの政府買上価格は、大麦は千六百九十九円、裸麦は二千二百二円、小麦は二千百九円、こういうような状態になっているのでございます。こういうようなことですから、単に日本農業が圧迫されていないのだということは言い切れないと思う。こういう点はやっぱり深刻に考えなくちゃいけない問題だと思う。しかも今日国際的にも食糧が格安になっておりますので、ますますこういうような数字が出てきておると思うのでございますが、これらに対して農林大臣はどういうふうにお考えになっているか。
○赤城国務大臣 小麦、麦価格等につきましては、今数字をお述べになりましたが、価格の点においては逐年政府買い入れ価格は上げてきたというのが現状であります。しかし正確なる生産費調査の数字から比較いたしまするならば、生産費調査からは低いという数字は出ております。しかしこれが直接麦、小麦を輸入している結果だというふうには私どもは考えておりません。外国産麦が非常に安いので、消費者価格がそれとつり合ったような形ということで、売り渡し価格の方につきましてはその影響もあるかと思いますが、生産の方面につきまして、輸入しているがゆえに圧迫しているというふうには考えておりません。
○稲富委員 ただいま農林大臣は麦価の問題についても上げるような方針をとっているんだとおっしゃいますが、農林省の統計調査部の作成しました資料によりましても、反当りの収益は、二十九年においては米を一〇〇としますと、小麦は四六なんです。大麦は五一・八になっている。三十年は米を一〇〇としますと、小麦は三二・七、大麦は三三・六というように非常に収入が悪化しているというような状態をたどっているのであります。なお反当りの家族労働日数から申しましても、統計調査部の作成した統計でありますが、二十九年は米を一〇〇としましても小麦は七〇・七、大麦は八五・三です。三十年は米を一〇〇としますと、小麦は六五・三、大麦は七八・二ということになっているのであります。こういうように家族の労働の報酬というものはだんだん悪くなって参っております。こういうような点から申し上げましても、日本の農業上におきまする小麦というものが収穫が非常に少くなってきている。家族の労働の報酬から見ましても、米を百円とすると、三十年のごときは小麦は十一円五十銭、大麦は六十銭といよううな状態になってきているのでございます。こういうような状態であるときにもかかわらず、最近何か政府はさらに麦の買い入れ値段を下げるような計画をしているとさえ言われているのであります。これが今日耕作農民を非常に不安がらしているという状態であるのであります。私たちはこういうような点においても政治をやる者はよほど言動を慎しんで、そういう不安を与えないようにすることが最も必要であると思うのでございます。こういう点に対して農林大臣はどうお考えになりますか承わりたい。
○赤城国務大臣 今お話がありましたが、私は小麦、麦価格を上げるということでなくて、今までの改訂時期においては常に上ってきたという事実を申し上げたのであります。 それから第二の点の麦価を下げるというようなことを放言するのは、農民に不安を打たせるではないかということでありますが、麦の価格につきましては御承知の通り、三十七年でありますか、間接統制に移すことに机なりまして、民間の流通を非常に期待したのでありますけれども、二十七、八年は民間の流通はありましたが、現在におきましては間接統制に移しましてもほとんど全部といいますか、八〇%以上は政府の買い入れになっております。そうして政府が買い入れて政府か精麦業者、製粉業者に売り渡しているということで、直接統制と全く同じような状態であります。従って製粉業者あるいは精麦業者などにも政府依存度が非常に高くて間接統制の意味もあまりなしておらぬということから考えまして、一面においては間接統制に移したならば間接統制の妙味というものを発揮していきたい。また生産方面につきましては今お話しのように麦作農家は非常に生産費がかかるといますか、コストがかかるという状態であります。私が、主張しておりまする畑作農業あるいは畜産、そういうものを総合目的に考えて麦の生産費が安くなるような奨励方法をとりたいということは常に考えているところであります。そういうことの関連におきまして、麦価というものをどういうふうにするかということは、予算の編成を控えておりますので実は検討しておる最中でありますが、すでに作付というか、まき付をしておるところもありますので、根本的な検討は続けておりますけれども、今麦作農家に不安を与えるような措置は私としてはとらないということを申し上げておきます。
○稲富委員 そういう点からして、私の聞くところによりますと、農林省は今度の国会に麦作等改善資金に関する法律案というような法律案を拠出されるということが言われているのでございますが、私たちは少くともただいま農林大臣か言われましたように畑作振興対策というものを一枚看板のように言われたあなたが、これによって畑作のものが価格の引き下げになるような農政をやられるということは、私は非常に遺憾だと思うのです。ところが今申し上げましたような法律案が出るということになりますと、それは結局ねらいはそこじゃないかという憂いがあるわけですが、これはどうですか。
○赤城国務大臣 今御指摘のような法律を出そうという準備はいたしておりません。畑作全体についての振興とか、畜産の振興とかいうことは、法律なしで今研究をしておるつもりであります。それからまた麦価の問題につきましては、間接統制というようなことになっても、間接統制の活用といいますか、それが十二分に行われていませんので、価格の面でどういうようにするかという根本的な問題につきましては、いろいろ検討を続けておるわけでございますけれども、今それによって農家が不測の損害を受けるとかいうようなことはさせないつもりでありまするし、そのいろいろな検討も納得するようなものでなければ、価格等につきまして手を加えるというようなことによって不安を与えるようなことはいたしたくない、こう考えております。
○稲富委員 基本的な農政問題についてもいろいろ聞きたいのですけれども、時間がありませんから次に農地の国家補償の問題についてこの機会にお尋ねしたいと思うのであります。 これはすでに昭和二十七年に、講和条約の発効当時から占領政策是正というようなことに便乗いたしまして、地主団体というものが各地に続々とできたことは御承知の通りであります。二十九年の十二月には全国解放農地国家補償連合会というようなものができまして、この連合会は農地の回復をやるのだ、こういうようなことを言い、あるいは売り渡し農地に対する国家の補償をとるのだ、あるいは農地法の改正による小作地の取り上げをやるのだ、こういうようなことを言って運動を進めております。善良なる地方の旧地主はそういうような言葉に乗って、多額の組合費等を払いまして、今日非常に因っておるというような状態も見受けられるのであります。最近はなはだしいのは、こういうような諸君が、すでに自民党の代議士諸君が自分たちに同意をしてくれるのだ、こういうことまで宣伝をいたしまして、非常な運動をやっておるというような状態であるのであります。ところがこの運動も、この三十一年でございましたか、参議院選挙前にいろいろな内部的な参議院選挙をめぐりましての問題等がありまして、これが分裂をいたしまして、今では三つの団体に分れておるようでございます。そうして三つの団体が農地犠牲者連合とか、あるいは被買収農地国家補償連合会とか、あるいは補償連合会、そういうような名前でおのおの熱をあげて運動をやって、多くの善良なる農民がこれに迷っておるという状態でございます。そうしてしかもこういう人たちは、これはすでに御承知だと思うのでありますが、現在の農地の国家の買収というものは不当であったと言って、二十八年の十二月に最高裁に憲法第二十九条第三項による違憲訴訟を提起しております。ところがこれに対する最高裁の判決は、憲法第二十九条第一三項の正当なる補償とは合理的に算出された相当の額をいうのであるから自作収益価額に基礎を置く農地買収価額はこの条件を具備しておる、よって憲法第二十九条第三項の要請には適合しているのだ、これは合憲である、こういうようなはっきりした判例を示しておるわけであります。しかしながらこういうのがあるにもかかわらず、今日地方におきましては集団土地取り上げとかこういうような運動が非常に起っております。私たちはこの問題に対しましては、しばしば事の非常に重大であるということを痛感いたしまして、本会議におきましても、あるいは本委員会におきましてあるいは農林委員会におきましてしばしばこの問題は論議して参ったのであります。現に二十四国会の本会議におきましては、私は代表質問いたしました折も河野農林大臣にこの問題をただしました。さらに農林委員会においてもこれに対する政府の考え方というものをはっきりしていただいております。また二十六国会におきましては、社会党の成田委員からも総理大臣に対して、これに対する質問があり、総理大臣もこれに対して明快なる答弁をなされております。また岸内閣になりましてからも、農林委員会等では井出農林大臣にも私たち質疑をいたしまして、これに対しましても政府は明快なる答弁をいたしております。また現在の内閣になりましても赤城農相に対しまして私はこの問題の質疑をしております。ところがいつでもこの質問に対しまして政府の言われることは、総理大臣から各大臣に至るまで国家初位は行わない、農地改革の成果は保持するのだ、こういうようなはっきりした答弁がなされておるにもかかわらず、現在いかにもこの与党のバックがあるかのごときことを言い触らしてこういう運動がやられておるということは、私たちは実に遺憾であるのであります。何でこれが遅々として進まないかといいますと、これははなはだ自民党のお方々からおしかりを受けるかもしれませんが、自民党の中にはいかにもこれを援護するがごとき言動をやられる方がたくさんあるのであります。かつて私たちは井出農林大臣当時でございましたか、そういうような調査会とかそういうものが党内にでさることさえも非常に疑惑を招くから、こういう問題に対しては農林大臣としてどういう態度をとるか、これに対しまして井出農林大臣は、党内にそういう調査会等がてきるならば、これに対してはそういう調査会等は作らないように農林大臣として自分は善処したい、こういうような答弁まで受けておったのであります。ところが最近自民党内におきましても、やはりそういうような調査会等ができて、いかにも国家補償をやるかのごとき言辞を弄しまして迷わしておるというような状態であるのであります。現に岸総理大臣は二十六国会の成田委員の質問に対しましても、はっきりと御答弁をなさっておりますので、この際世間の疑惑を一掃する意味において、これに対して総理大臣から、まず明快な答弁をしていただきたい、かように考えます。
○岸国務大臣 この問題は今御指摘がありましたように、相当に近時各方面、ことに旧地主の人々から、この農地改革に当っての価額か妥当ではないがゆえに、これの補償を求めるというような意味において運動が起されておることは御指摘の通りであります。私どもはこの問題に対しては、今御指摘になりました判例もあることでありますし、私はこれが妥当ならずという意味において国家が補償する義務もありませんし、またそういう補償をする意思は持っておりません。
○稲富委員 それでは岸総理大臣のお考えははっきりわかったのでございますから、この際一つ自民党の総裁として承わりたいと思うのであります。今日自民党内においてこれに対する調査委員会というものが設けられまして、あるいはこの三団体の統一をあっせんするとか、いかにもこれに対して旧地主の保障を促進するとか、あるいは解放農地面積の調査を進めるとか、こういうことを言っておられるというのであります。こういうことが一般の非常な疑惑を招き、そういうことのために、各地方ではいかにも農地補償ができるかのごとく錯覚を起させておるというような事実があるのであります。私は、これは党としての責任内閣であります以上は、総理大臣がただいま申されたようなこれに対するはっきりしたお考えを持っておる以上は、党といたしましてもその総理大臣の意を生かすことが党としてのとるべき態度であると思う。ところがこれに対して、あなたか総裁であります自民党が、あなたと違った方向、あるいは違わないとしても疑惑を招くような方向をとったするならば、これに対しては党の総裁としていかなる態度をとるかということは重要なことであると思う。これに対する自民党総裁としての御意見を承わりたい。
○岸国務大臣 この農地改革の問題は戦後行われた日本の社会上、経済上の大きな変革であることは言うを待たないのでありまして、しこうしてこれによって社会的にあるいは経済的に非常な激変を受けた階層が相当にあることもこれまた事実であります。こういう者から今補償という名のもとに、あるいは今おあげになりましたような農地法の改正をするとかいうようないろんな運動が起きておることも現実でございます。私どもは、農地改革は戦後行われた一つの社会改革として、これを変更する意思を持たなしこと言うを待たないことでありますし、またこれに対して国家が補償をすることは適当にあらずという考えを持っております。しかし今申したように、社会的変革が行われ、これによって社会的変動を受けた人々が、社会不安であるとか、社会上のいろんな問題を起しているということに対しては、私はやはり国家として考慮しなければならぬと思います。また政党としてもその事情を明らかにし、しこうしてこれに対する対策を考えるということも、私は民主主義の政党として、そういう大きな問題があり、事実がある以上、これに対処することは当然であると思う。戦争に関連していろんな問題があることも御承知の通りであります。あるいは遺家族の問題であるとか、恩給の問題であるとか、いろんな問題かあるのでありまして、そういうものがとにかく非常に大きな社会問題として取り上げられておるという事実に基いて、私ども自民党として、そういうものを調査しておるというのが現状でありまして、決して補償を前提としてわれわれがやっているのではないことは、十分に御了解願えると思います。
○稲富委員 しからばその調査会の行動に対しては、少くとも初値の問題と関連があるがごとき行動はとるべきじゃないと思う。それがあるいは相手力の便乗するきっかけになってくるわけなんです。この点は慎重に取り扱わなくちゃいけないと思う。ところがあなたは今補償することは考えていないとおっしゃるけれども、何かの形でやらなくちゃいけないとか、あるいはそういうようなことがいかにも農地補償の問題に関連性があるがごとき言辞が弄されておる。そういうような動きがあることは事実である。これはおそらく総理の趣旨に合わない行動が行われておると思う。私はこの点をあなたがもう一つ党内の事情等を御調査になってほしい。あなたの御趣旨に合わない行動が行われておる。私は事実をたくさん持っております。しかしながら時がありませんので、結論だけを申し上げますが、そういうような事実があり疑惑を受けるような行動があるならば、これに対しては一つ総裁として、また総理大臣として、何らかの処置を急速にとる必要があると思うのであります。これに対する総理の決意を承わっておきたい。
○岸国務大臣 総理大臣としまた総裁として、一応私の考えは先ほど来申し上げておる通りであります。なお稲富委員の御注意に対しましては、私は十分御意見として承わっておきます。
○稲富委員 最後に災害対策についてお尋ねいたしたいと思うのであります。わが国は世界有数の災害国であることは御承知の通りでございます。この災害のために常に多くの農民及び漁民が非常な犠牲を受けて今日困っているわけでございます。これに対する政府の災害対策というものが実に微温的でありまして、財政上にも行政上にも非常な隘路があることは、私どもの最も遺憾に思っていることであります。私は時間がありませんので、ここに結論だけ申し上げて、政府の意向を聞いておきたいと思うのであります。 数年前より災害に対して、災害の防除に関する特別措置の立法化をやれというが非常に起っておるの、であります。これは災害があるごとに非常に強い要望がありまして、すでに政府としても十分御承知になっていると思う。いわゆる災害常襲地帯の防除対策の立法措置に対して、建設省あるいは農林省等において何かの考えがあるかどうか。またこれは当然何らかの立法措置をやる必要があることを痛感いたしますので、これに対して要望すると同時に、政府の考え方を関係大臣から承わっておきます。
○根本国務大臣 お答えいたします。災害が非常に多いために、これに対する具体的な措置をどうするかということでございますが、これにつきましては従来災害復旧が原形復旧を原則としておりまして、改良は原則として行わない方針でありましたが、数年前から関連事業といたしまして、改良を相当含めてやっているのであります。しかしこれには法律的根拠がありませんので、ぜひその立法化が必要であるという御意見がありましたので、三十三年度予算編成に当りましては、災害国庫負担法の一部を改正することと、それから従来単なる予算措置だけでやっておりました関連事業については、これまた立法化いたしまして、災害復旧については関連事業をもやらせるような法律の根拠を作って参りたいと考えております。もう一つ特に地すべり、緊急砂防の問題がございますので、これについては地すべり等に対する措置、さらに緊急退避あるいは避難命令を出した場合におけるいろいろの措置も法律的に整備する必要があると思いまして、この三つの点を現在検討いたしまして、それに基いて大蔵省と目下折衝中でございます。従いまして災害常襲地に対する地域的な特別立法はいたさなくとも、この三つの点で大体救済ができる、さように思いまして農林省とも連絡をとってそのように措置をいたしておる次第でございます。
○赤城国務大臣 災害が起きてからでなく、災害が起らないようにという事前の方法について相当立法もできましたので、災害につきましてはその立法を最大限に活用して対策を行なっていくつもりであります。 なお災害復旧につきましては、今建設大臣からもお話がありましたが、農林関係といたしましても、極度に関連事業を生かしていきたいと思います。その他の対象にならないものにつきましても、農林漁業金融公庫の融資あるいは市町村による災害復旧によって万全を期していきたいと思います。 また地すべり対策につきましては、今建設大臣からお話がありましたが、通常国会において立法措置で財政の措置をとりたいと準備を進めております。
○稲富委員 そうすると、現在の原形復旧の問題は、先刻建設大臣の御答弁のありましたように、法律改正をやって改良復旧というものを大幅にやられるような方法を講ずるというお話でございますので、それは了解できるわけでありますが、ただいまの地すべり対策の問題は、非常に今まで論ぜられながらもなかなか遅々として進まないというのは、この所管が農林省と建設省にまたがるという点が非常にあったと思うのであります。この点は今回所管を一つにするという考えであるか、どういうような方策で臨まれるのであるか、それがために今まで進まなかったからわれわれ非常に不安があるのでありますが、それを承わっておきたい。
○根本国務大臣 砂防関係、特に地すべり等についても、所管が一本でないから非常に事業に支障を来たすではないかという御質問のようでありますが、これについては法律は大綱を作るところでございまして、これの実施に当りましての政令案を現在農林省と打ち合せております。従いまして、治山治水、あるいは道路に関する地すべりによるところの被害については、これは原則として建設省が負担し、それから農地、山林については農林省が所管するというふうに政令において明確にその点を権限が錯綜しないように了解をつけつつありまして、大体今のところ、事務当局の意向もまとまっておるようであります。それから現実に実施する場合において、県内におきましても、農地部なり、あるいは土木部との関係も完全にこれが協定をいたしまして、重複しないようにいたすように指導して現在もおりますし、そのようにいたしたいと思いますので、そういう点の障害はないように処置いたすつもりでございます。
○稲富委員 さらにいま一点、これは農林大臣に承わりたいと思います。災害復旧の進度の問題であります。災害復旧というものがなかなか進まない。現に、二十八年災害のごときは、これは一萬田大蔵大臣もその時分の大臣だったと思いますが――違うかな、小笠原さんですか……。三カ年間の継続事業でやると言いながらも、まだ今日まで完成されていないという状態なんです。そういうように今日災害の復旧の進度というものが非常に鈍い。鈍いために、地方では災害地は非常に困りまして、がまんができず、とうとうほかから金融して仕越し工事をやっているのがたくさんあるのであります。これに対しましては非常に金利が違いますので、せっかくこの災害立法ができて補助率が多くなりましても、金利を多く払うなら何にもならない結果になって参ります。そういう点から、実は前々国会だったと思いますが、社会党の方から二十八年、二十九年の災害を中心といたしまして、仕越し工事の実施の場合の借入金に対する利子補給の法律案を実は提案いたしました。このときも実は与党の皆さん方と話しまして、与党もそれはよかろうということであった。ところが最後になって、何か予算がくっつくから不可能だということで、やむなく単独で社会党から拠出をいたしまして、継続審議の状態にあるというのが今日の状態なんです。聞くところによると、こういう問題は将来あることだから、これに対しては政府としては何らか恒久的な立法措置をやろう、こういうことが何か農林省でも計画されておるとかいうことを聞きますので、事実そういう点があるならぜひ承わっておきたいと思うのであります。
○赤城国務大臣 災害復旧の進捗率を推し進めろという御意見は全く賛成であります。二十六年災から三十一年災までを含めまして、三十二年度末には八九%の復旧が終るという状態であります。なお、三十三年度予算において相当要求いたしておりますので、三十年までの災害は全部復旧したい、こう考えております。なお提案された法律案につきましては、内容について若干検討を要する点があるかと思って検討いたしております。
○江崎委員長 以上をもって質疑は終局いたしました。 これより編成替を求める動議及び政府原案を一括して討論に付します。橋本龍伍君。
○橋本(龍)委員 私は自由民主党を代表して、ただいま議題となっております予算三案につき、政府、原案に賛成し、社会党提出の編成林を求めるの動議には反対の意見を申し述べたいと思います。 今回の一般会計の予算補正は、日本開発銀行が国際復興開発銀行から受ける借款に対する政府の保証に関するものであります。これまでわが国の国際復興開発銀行から受けた借款の総額は、約八千五百万ドルでありまして、これに今回分を加えますと、一億五千万ドルをこえるのであります。同銀行よりの借款も、ほぼ順調に進んでおると言えるのでありまして、わが国の企業が設備近代化のための資金を国際的に調達し、これによって競争力の強化に資するということは、まことに歓迎すべきことであります。 次に特別会計の予算補正は、政府が結ぶ輸出手形保険の契約限度額の引き上げあります。申すまでもなく、わが国の経済安定をはかりつつ極力これを拡大していくためには、輸出の振興を至上命題といたしますので、最近における輸出手形保険の契約額の急激な増加に対処することは緊要の措置であります。 次に政府関係機関の予算補正は、中小企業金融公庫と国民金融公庫の資金拡充のためのものであります。中小企業がわが国の産業構造の上において、いかに重要な地位を占めているかは今さら申し上げるまでもないことでありまして、国際収支改善のための緊急対策におきましても、一般には金融を引き締めながら、中小企業に対しては両公庫を通じて百三十億円余の繰り上げ融資を行なって参ったのであります。われわれといたしましては、中小企業の組織に関する法律その他一連の施策をもって中小企業の振興をはかるとともに、この補正予算をもって年末金融対策の万全を期しつつ、中小企業金融の一そうの充実に適切な措置をはかるものと考えておるのであります。 次に社会党提出の組みかえ要求の動議に対して意見を申し述べます。 社会党の組みかえ動議は、一般会計においては、防衛関係費の削減によって財源を捻出し、これを災害復旧、失業対策、公務員の年末手当その他の経費の増額に振り向け、また特別会計政府関係機関の予算においても、所要の措置を講ぜよというのであります。まず防衛関係の削減は、いつもながら社会党の財源とせられるところでありまして、その都度反駁して参りましたから、今日取り立てて議論をいたしませんか、もとよりわれわれのとうてい容認できないところであります。現在の国際情勢下においては、なお従来からの防衛の基本方針を堅持していく必要かあることは、当委員会における総理の答弁によって明らかにされた通りであります。しかも年度進行の途中において、防衛関係費を三百億円以上も削減するということは、全く非現実的な措置と申さねばなりません。 なお、組みかえを要求しておられる歳出の費用について意見の要点を申し述べます。 まず災害復旧につきましては、これがきわめて緊要なことは申すまでもありませんが、本年災害の分は、従来通り予備費で措置しておるのでありまして、その予備費のうら災害対策に使用した瀬は、今までに約三十億円余であり、今後も予備的使用残額約四十四億円の範囲内で十分措置できるものと思われます。 また地すべり対策費も、既定の予算に不足を生じた場合には、予備費で措置することができると考えられます。 次に失業対策に関しましては、統計の示すところによれば、このごろの常用雇用の指数、完全失業者の数は、ともにほぼ横ばいでありまして、本年八月を前年同期に比しますれば、完全失業者はむしろ八万も少いのであります。また日雇い労働市場の動きも平穏でありまして、日雇い登録者は格別の増加を示しておりませんし、民間事業就業者数も減少いたしておりません。従って社会党の主張せられるように、日半当り吸収人員を大幅に増加する必要は実際において認められないのであります。 また駐留軍労務者の離職対策につきましても、予備費の使用等により、着々実行に移されつつあるのでありまして、今後も事態に即応した帯同を十分とり得るのでありますから、特に予算の増額は必要ないものと思われます。 公務員の年末手当に関しましては、人事院の勧告通りにいたしましても、年間二・五五月分の手当となって、民間とほぼ見合うものと思うわれまする上、また消費者物価水準も、本年に入ってからほぼ横ばいでありまして、前年に比して上ってはおりますが、その分は六・二%の給与改訂、定期昇給等によって十分カバーされておりますので、これ以上は増額は適当でないと思います。 また生活保護費に関しましても、CPIが横ばいであることは今も申し上げた通りでありますし、また生活扶助人員の実績数は、本年度に入ってからは逐月減少を示しておるのであります。すなわち四月が百四十八万人であったのが八月は百四十三万人と、四カ月間に五万人の減少となりまして、しかも八月のこの人員は予算人員に比すれば七万人も下回っており、今後もおおむねこのような傾向をたどるものと思われますので、社会党の要求せられるように三十万人も増員するような必要は認められません。このような点からいってこの種の諸経費は、今後も既定予算の範囲内でまかない得るものと思われます。 また年末賞与に対する所得税の減税に関しましては、本年度当初の税制改正において、給与所得控除の限度の引き上げを行なった関係もあり、また税体系のつり合いをとるという点からも、一時的特殊的な所得に対してのみこのような措置を講ずることは適当でないと思われるのであります。 さらに中小企業金融に対しましては、さきに申し上げました通り、年末金融対策としても合同の措置でやっていけるかように確信する次第であります。 以上の諸点を通じて見ますのに、社会党が組みかえによって予算の増額を要求せられる根拠の検討自体が、きわめてずさんでありまして、もう少し堅実な御検討を願いたいのであります。よってわれわれは社会党の組みかえ動議に反対し、政府原案に賛成するものであります。(拍手)
○江崎委員長 川俣清音君。
○川俣委員 私は、日本社会党を代表し、政府提案の予算補正三案に反対し、同僚成田知巳君が提案理由の説明を行いました日本社会党の組みかえ要求動議に賛成するものであります。 政府の予算補正原案は、一般会計では世銀借款受け入れのための保証を行うための予算総則の変更、特別会計では輸出手形保証限度拡大のための予算総則の変更、政府関係機関会計では中小企業金融の繰り上げ融資分の補てん中心の融資増額の三点であります。これが経済政策において大きな誤まりを犯して日本経済の土台をゆるがしてきた政府の提案であることについては、国民はあぜんとしてますます混迷に陥るばかりであります。なお、日本の農薄の非常な努力によって悪条件を克服して約七千六百万石の米の収穫をあげ、外資事情の悪化を防ぎ、物価の高騰を抑えて参っている点を見のがしていることは特に反省を求めたいのでございます。 財政法第二十九条は、予算作成後に生じた事由に基づき必要避けることのできない経費について不足を生じたときに、予算編成後に生じた事由に基いてすでに成立した予算に変更を加える必要があるとき、追加予算の作成もしくは予算の変更を行うことができると規定いたしております。岸内閣が予算補正を必要と認めた前期の三項だけが当初予算編成後に生じた必要欠くべからざるできごとと述べておるのでありますが、わが党が組みかえ要求をしておる事項、すなわち長野、岐阜地方や九州地方の災害復旧費、九州における地すべり対策費、米軍引き揚げに伴う駐留軍労務者四万五千人の大量失業に対する措置費は、いずれも前国会終了後に起きた新しい事実について当然政府は責任を持って処理に当るべき事項なのであります。政府はこれらは経費の計上が必要なら予備費より支出していくと言いわけしておるのでありますが、事実は支出を怠って、災害の上にまた災害を招く結果となっております。駐留軍関係労務者は家族を含めて関係者二十万をこえる勤労国民が路頭に迷っております。米軍の引き揚げは明年度も働くのです。政府は予備費支出という行政措置だけで済まされる問題ではないのであります。 また、政府は五月以来国際収支の悪化を名目として昭和二十八、九年当時にまさる急テンポで金融引き締めを強行して参りました。しかし、国際収支は簡単に改善されない。金融引き締めとはいいながら、大企業に対する貸付は続けられておるのであって、日銀の貸し出しはふえ、市中銀行のオーバー・ローンもまたふえるばかりです。従って、政府は好むと好まざるとによらず金融引き締めの看板を、おろすことはできない状態であります。民間企業は先行き不安で雇用を積極的にふやすことはできない。この雇用減少の傾向はすでに官庁統計によっても今年七月以来明らかに現われているのであります。しかも、政府は、明年度経済の見通しについては、経済成長率も鉱工業生産の伸びも、今年度よりはるかに低く見積っています。これでは若い労働人口はふえてくるけれども、これを吸版する雇用機会は減り、完全失業者と不完全就労者が増加せざるを得ないと、政府みずからが予告しているのであります。従って、当初予算で政府が本年度の失業対策事業の一日当り吸収人員は二十二万五千人でよい、それ以上の失業者は神武景気で繁栄している民間企業が十分吸収していく、これが政府の当初の構想でありましたが、この構想は政府みずから破ったのであります。政府は失業対策をさらに拡充すべき責任があるのであります。わが党が失業対策事業の一日当りの吸収人員を三十五万人にふやせと要求しているのは、当然政府が計上すべき経費をあげているにすぎないのであります。 また、政府は金融引き締めによって物価は必ず下っていくと宣伝しています。しかし、卸売物価が下落したかに見えて十月に入って反騰しているのは何ゆえでありましょうか。現在のように原材料の輸入抑制が続けば国内相場は上向きになるという思惑が根底に流れている以上、政府の甘い観測通りに卸売物価が下るはずはないのであります。消費者物価に至っては、岸内閣は値上げ内閣といわれるくらいに消費者米価、湯銭、理髪代金、副食類、めん類等の連鎖反応式な値上げを許しております。政府統計によって見ても、昨年九月以来一年間に五ポイントも消費者物価は上昇しています。本年度から税制改革でいわゆる一千億円減税が行われたが、四月以来の消費者物価の上昇はすでに減税による実質収入の増加を上回っております。これでは月収二万五千円程度の標準家族世帯では物価高だけ家計は赤字になるのであります。 ここにわが党提案が、まず第一に生活保護費関係の最小限度の増額を要求し、第二に登録日雇い労務者の年末手当の増額を要求する根拠があるのであります。また、公務員全体についても、年末手当は人事院勧告の〇・一五ヵ月分にさらに〇・二ヵ月分を追加増額して、少くとも家計のバランスをとり、公務員の生活を安定せしむべきであります。 最後に、政府は中小企業金融について、中小企業金融公庫百億円、国民金融公庫七十億円、合計百七十億円の追加融資を行なっておりますが、このうち、繰り上げ融資の補てんは合計百二億円で、実質増額は六十八億円にすぎません、そのうち国民金撤公庫の力は二十五億円にすぎません。最近わが国の企業構造はますます零細企業がふえ、その中でも簡単に開業できる商業、サービス業関係の増加ははなはだしいものがあります。しかも、これらはなかなか採算ペースに乗らず、しかも一般金融機関からも締め出されているのが実情です。国民金融公庫の役割はますます重要となっているのであります。特に、金融引き締めのしわ寄せが下へ下へと押しつけられている現在、国民金融公庫の機能をさらに拡大することが必要な段階にきているのであります。ここにわが党の組みかえ要求が特に国民金融公庫の融資増に集中している根拠があるのであります。 このように、日本社会党の組みかえ要求案は、国民の要求する最小限度の項目と金額について政府にかわって計上したものでありまして、自民党の諸君といえども反対する理由のない要求なのであります。従って、私は、日本社会党の組みかえ要求動議に全面的に賛成し、政府はこの趣旨によって直ちに組みかえ、再提出することを要求するものであります。(拍手)
○江崎委員長 これにて討論は終局いたしました。 これより直ちに採決に入ります。 まず川俣清音君外十七名より提出されました昭和三十二年度一般会計予算補正(第1号)外二案の編成替を求めるの動議を採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○江崎委員長 起立少数。よって、川俣清音君外十七名より提出されました昭和三十二年度一般会計予算補正(第1号)外二案の編成替を求めるの動議は否決されました。 次に、昭和三十二年度一般会計予算補正(第1号)、同特別会計予算補正(特第3号)、同政府関係機関予算補正(機第2号)を一括して採決いたします。以上三案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○江崎委員長 起立多数。よって、昭和三十二年度一般会計予算補正(第1号)、同特別会計予算補正(特第3号)及び河政府関係機関予算補正(機第2号)は、いずれも原案の通り可決いたしました。(拍手) 委員会報告書の作成につきましては先例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○江崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ―――――――――――――
○江崎委員長 この際お諮りいたします。本会期中におきましても、予算の実施状況につきまして国政に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○江崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 つきましては、その手続等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○江崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ―――――――――――――
○江崎委員長 なお、閉会中審査の申し出につきましても委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○江崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時二十八分散会 ――――◇――――― 〔参照〕 昭和三十二年度一般会計予算補正 (第1号)に関する報告書 昭和三十二年度特別会計予算補正 (特第3号)に関する報告書 昭和三十二年度政府関係機関予算補 正(機第2号)に関する報告書 〔別冊附録に掲載〕