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27回国会衆議院1957/11/14

法務委員会 第6号

発言数
64
登壇者
7
会派数
2
開催日
1957/11/14

会議録

高橋禎一自由民主党

○高橋(禎)委員長代理 これより法務委員会を開会いたします。  本日は、委員長が病気のため、指名によりまして私が委員長の職務を行います。  それではこれより法務行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。  発言の通告がありますので、順次これを許します。林君。

林博自由民主党

○林(博)委員 私の質問は主として法務大臣に対する質問でございますが、中には刑事訴訟法の解釈の問題に関する質問もございますので、そういう点につきましては一つ刑事局長から御回答願いたいと思うのであります。  売春汚職に関する捜査も漸次進展して参りました。ことに本日の国会の終了を待ちましてさらに徹底的な追及がなされるだろうということは予想されるところでありますし、また、私どもも、当法務委員会の権威のためにも、この閉会後に徹底的な汚職の追及がなされることを心より望み、その黒白を明らかにしていただきたいと存ずるのであります。そこで、捜査も今重要な段階に参っておると考えられますので、私はその捜査の実態についてここに御報告集め——これは少くとも捜査の支障を来たすような御答弁を願うというような考えは全くないのでありまして、ただ、この売春汚職の捜査に関連いたしまして、新聞紙上ややもすれば眞鍋議員の勾留延長の問題その他に関しまして国会側の圧力が検察庁に加わったのではないかというような論調がございます。また世論でもそういうようなことを申しておりまするので、私は、これらの点につきまして大臣並びに刑事局長の明快な御答弁を願いたいと思うのであります。  たとえば、一例を引きますと、眞鍋氏の勾留延長問題に関しまして、これは読売新聞でございますけれども、「地検としては拘置延長し、売春汚職をさらに深く追及すべく期待していたが、国会の圧力で早急に一部容疑だけで起訴処分をとらざるを得なくなった」というような記載もございますし、また、同じ新聞紙上に、隠れた指揮権の発動だというようなことが言われておるというようにも記載してございます。かようなことは誤解であると私は存ずるのでありますけれども、少くともこういうような疑惑を国民に持たれるということは重大なる問題であるというふうに考えられますので、私はまずこの眞鍋氏の起訴の問題と拘置延長の問題について法務大臣にお尋ねしたいと思うのであります。この問題に関しましては、果して国会あるいは議院運営委員会から何か国会の圧力がましきことが申し入れがあったのかどうか、このことについてまずお尋ねをいたしたいと思います。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 ただいま林委員からの御発言でございまして、私も、この新聞の記事につきましては、あるいは世間に疑惑が生まれはしないかということを非常に心配しておる一人でございます。おそらくこの国会の圧力というようなふうに書かれましたその原因は、過般の秘密会で行われました議運の理事会のことかと存ずるのでございますが、この理事会で議論の争点となりましたのは、眞鍋代議士の勾留を期間延長する際に院の許諾を要するかどうかという問題でございまして、この点につきましては、遺憾ながら、議運の理事の多くの方の御発言と私どもの見解とは食い違っておりまして、再度研究を重ねましたが議論の一致を見ませんで、いずれ公開の席でこれは審議研究しようということでお別れしておる次第でございまして、これらの点から考えましても、この議運の理事会の開かれましたことが検察当局に影響を与えておろうとはどうしても思われないのでございます。もちろんわれわれの方からそういう点の話をして影響を与えたこともございませんし、国会側から何か議運の方へ影響を与えるような発言でもあったかというような疑惑があるかもしれませんが、さようなこともあろうはずもないと私は考えておりまして、眞鍋代議士の勾留期間の延長をせずして起訴を決定いたしましたのは、検察当局のいろいろと相談した結果独自の考えで自由に決定したものと私は確信をいたしております。その意味におきまして、二、三の新聞記事と私どもの考えが違うので、これが世間に疑惑を生むようになっては困ると、非常に心配をいたしておるところでございます。

林博自由民主党

○林(博)委員 私も、議運ではおそらく勾留延長に院の許諾が必要であるかどうかという法律技術上の問題が論議されたのであろうと存ずるのであります。議運ではどういう考えがあったか知りませんが、法務当局のお考えは、勾留延長に関しては院の許諾は必要でないという御意見であろうというふうに承わっておるのであります。また私もそのように考えておるのでありますが、まあこういう議論があったことによって国会の圧力があった等と見ることは至当でないというふうに私ども考えるのでございます。ただ、いろいろ議論をしておるのは、私はむしろ問題は刑訴二百八条にあろうと存ずるのであります。ところが、この二百八条という条文は、元来、被疑者を勾留した事件については、勾留を請求してから十日以内に公訴を提起しないときは検察官は直ちに被疑者を釈放しなければならない、これが原則であろうと存ずるのであります。ところが、新聞紙上によりましても、また先般の参議院の法務委員会等の議論によりましても、何か勾留延長をしないことは不当である、余罪の捜査がまだ済んでおらないのに、余罪の捜査のために勾留延長が必要であるのに、これをしないで中途で起訴して保釈の許可を許すということは、これは政治的の圧力に屈したものであるというような論調あるいは議論がなされておるように存ずるのであります。私はこれはきわめて妥当を欠く議論であると存ずるのであります。元来、被疑者を逮捕した場合に、この勾留期間は十日というのが二百八条による原則である。これは勾留についての原則でありまして、例外的に、「裁判官は、やむを得ない事由があると認めるときは、検察官の請求により、前項の期間を延長するととができる。この期間の延長は、通じて十日を超えることができない。」という二項の規定になっておりますが、十日間の勾留を延長するということは、やむを得ない事由がある場合に限るものであると私は考えるのでありまして、捜査の常道としては、十日間で一応勾留期間というものを制限するということが常道であるというふうに考えるのであります。ととろで、この眞鍋氏の場合に果してやむを得ざる事由があったかという問題にもからんでくるのでありますが、これは刑事局長にお尋ねするのでありますけれども、この二百八条のやむを得ざる事由というのは一体例示的に言えばどういうことであるのか、この点について御回答願いたい。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内説明員 二百八条の解釈といたしまして、ただいま林委員の仰せられましたように、十日間をもって原則とする、そして真にやむを得ない場合に十日間の範囲内で勾留延長の許可を求め、また裁判所もこれを許可することがあり得るという趣旨の規定でありますことは申すまでもないのであります。本件の眞鍋議員の勾留延長の関係において申しますならば、余罪を捜査するために勾留延長をしなかったことは云々という所説が新聞等にもあるようでございます。その点について申し上げますと、眞鍋議員の逮捕の原因となりましたのは、御承知のように、三十万円の収賄の容疑についてでございます。その収賄の容疑が捜査を完了いたしまして、そうして起訴、不起訴の処分をきめる段階になり、検察当局は起訴相当であるという見解に達しまして起訴の手続をとったのでございまして、余罪のありますことも、これまたこの委員会で御説明申し上げましたように、贈賄の容疑があるということでありますが、この容疑事実について調べを要することもまた事実でございますけれども、その余罪のために延期するということは、この場合にやむを得ざる事由に当らないのでございます。余罪のために勾留延期をするということは許されない、かように考える次第でございます。

林博自由民主党

○林(博)委員 私も、刑事訴訟法の厳格なる解釈通りにいけば、その通りであると思う。余罪のために勾留延長をするということは、二百八条二項に反することであると私どもは考えておるのであります。このやむを得ざる事由というのは、事案が複雑であるとか、重要参考人の疾病、旅行等による取調べとか、その他そういうような事案でございまして、余罪の追及ということはやむを得ざる事由に入っておらないということは、これは学者その他いろいろの見解からいたしましても、検察庁の通常の取扱いからいたしましても、私はそういう解釈になっておると思うのでありまして、少くとも眞鍋議員の場合にその三十万円に対する収賄容疑の取調べが一応済んでおるという段階にある以上は、他の犯罪事実の捜査のために勾留延長請求をするならば、当然私は刑事訴訟法二百八条によってこの勾留は却下されるべきものであるということを私は信じておるのであります。しかるに、新聞あるいは参議院の法務委員会等において、余罪の追及のために勾留延長をすることが捜査の常道であるなどということは、こういう議論によってむしろ検察当局に不当なる勾留を請求させることである。私は、こういうことははなはだ望ましくないことであって、検察当局は、あくまで刑事訴訟法を厳格に解釈して、そして捜査の遂行に当っていただきたいと存ずるのであります。  ただ、私は、当法務委員会は基本的人権擁護ということが重要な問題でございますから、これに関連して一般的な質問をしてみたいと思うのでありますが、現在まで検察庁は果してこの刑事訴訟法二百八条を厳格に解釈して適用されておったのかどうか。現実に勾留延長をする場合にどういうような手続で、またやむを得ざる事由ということをどの程度に書面に記載してそしてやっておられたか。また、通常事件の取扱いにこの二十日間の勾留延長をすることが通常の措置になっておったのか。あるいは、二百八条を厳密に適用して、なるべくならば十日間で捜査を終了するというような方針でやっておられたのかどうか。これは代議士や新聞記者に限られた事件ではない。もし代議士だの新聞記者に対してのみ二百八条を厳格に解釈して、一般通常人に対してはこれと異なった取扱いを今までしておったというのならば、これは私は検察庁自体が刑事訴訟法の違反をやっておるものであるというふうに考えるのであります。現実に今までの取扱いがどうなっておるのか、この点に関して刑事局長の御答弁を願いたい。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内説明員 この二百八条の解釈に関連しまして、取扱いでございますが、通常の事件におきましても、やむを得ない事情がない限りは勾留延長はしないというのが建前でございまして、またそれを実行しておるのでございます。ただ、実際問題として勾留延長の場合が非常に多いではないかということも、これまた事実でございますが、これは、法律の規定に明らかなように、勾留の原因となった事実の捜査が十日間では終了いたしませんために、その終了しない事情をやむを得ない事情ということで説明をいたしまして勾留延期の許可を求めておるのでございまして、余罪のために勾留延長を求めておるという事実は、私はないと確信いたしております。

林博自由民主党

○林(博)委員 私はこの勾留問題に関してはこれ以上の追及はしないつもりでございますが、ただ、私は、本件の眞鍋氏の勾留延長の問題は、検察当局において刑事訴訟法二百八条を厳格に解釈せられた結果こういうことになったと存ずるのであります。ただ、ややもすれば、通常の事件に当ってはそれほど厳格に解釈しておらなかったのじゃないか、それが今回たまたま代議士だとかその他のこういう場合にのみ厳格に解釈するから、そこで新聞なり世論の誤解を受けて、そうして政治的圧力に屈したのではないかというような誤解を生んだのではないかと私は思う。そこで、当法務委員会は人権擁護が建前であるから、そういう特殊な方にのみ二百八条を厳格に解釈するということでなくて、通常の捜査においても、どうかこの二百八条を厳格に解釈して、基本的人権擁護のためにはむやみに勾留延長はしないのだという刑事訴訟法の建前通りの運用をしていただきたい。私はこのように要望いたす次第でございます。  次に、私は名誉棄損の問題について若干質問してみたいと思うのであります。  もちろんとの売春汚職は徹底的に捜査さるべきであって、これが究明されるということは私ども最も望ましいところであります。ところが、ややもするとこの売春汚職の追及という大きな目的のためには二、三の無実の代議士の名誉なんということは問題でないのだというような思想が、当法務委員会等においても、あるいは理事会等の非公式な発言等においても、私は何かそういう思想が流れておるのではないかと存ずるのであります。(「ノーノー」)私は、これは非常に誤まった考えであると思う。もちろん売春汚職の追及は徹底的になされなければならない。しかしながら、個人の人格の尊厳、基本的な人権を重んずるということは、私は民主主義の基本であると存ずるのでありまして、こういうような人権無視が少くとも行われてはならないと私どもは考えるのであります。国民は売春汚職に対する徹底的な究明を望んでおりますと同時に、新聞の無責任な報道によって人権が侵害されることに対しても憤りを感じておることは、決してこれは無視できない現実である。ただこれは新聞等にはいろいろ載っておらないだけである。私ども町へ行ってうわさを聞いても、新聞の人権無視の問題に対しては売春汚職に対する憤激と同様な憤激を覚えておることは争われない事実でございます。その意味におきまして、絶えず私は法務委員会におきましてこの名誉棄損の問題に対してもいろいろ御質問をいたしたわけでございます。これは現実に捜査中の事件でございましょうけれども、いろいろ御支障もあって答弁のできない点もございましょうけれども、一つお差しつかえのない限りにおいて、その後のこの読売新聞に対する、あるいは検察庁もその対象になっておるのでありますが、この事件の捜査がどのようになっておるのか、御答弁を願いたいと思います。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内説明員 東京高等検察庁におきましては、立松記者の勾留が許可されませんので、立松記者についての捜査は、本人が病気で面会謝絶ということで、病院に入っております関係上、その方面の捜査がやや一頓挫の形になっておりますが、その他の捜査につきましては鋭意進めておるのでございます。なるべくすみやかなる機会に捜査を完了して処分を決定したいというふうになっておるようでございます。

林博自由民主党

○林(博)委員 最後にいま一点お尋ねをいたしますが、この名誉棄損の問題に関しまして、読売新聞の八日付、あるいは毎日新聞の九日付等の新聞を拝見いたしますと、新聞労連から法務大臣に対しまして記者逮捕事件にからんで六項目の何か公開質問状が提出されておるという記事が出ておるのでございます。この六項目はあるいは法務大臣御存じかと思いますが、御存じなければ、ここで新聞に掲載されておる記事を読み上げてもけっこうでございます。まあそういうことが提出されておるのかどうか、これをまずお尋ねしたい。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内説明員 新聞労連から六項目にわたる公開質問状と称するものが法務大臣に出されておりますととは承知いたしております。

林博自由民主党

○林(博)委員 そういう質問状の内容がもし明らかになっておりますならば、こういう法務委員会におきましてこれに対する法務大臣の御所見を承わることが適当であると存ずるのであります。もし御所見がありましたならばとれを承わりたいと思います。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内説明員 この問題につきましては、新聞労連にまだ直接私の方から回答を出しておらないのでございます。そして、この議場において討論をいたしますことはいささかも差しつかえはないのでございますが、私見ておりますけれども、今ちょうどその六項目掲げてあります文書を取り寄せるように指図をしてここへ来たわけでございますが、まだ届いておりませんので、これが届きましてから、それに基いてお答えをいたしたいと思います。

林博自由民主党

○林(博)委員 私の質問は終ります。

田中幾三郎日本社会党

○田中(幾)委員 関連して……。  この売春汚職の問題に対して検察庁もしくは法務省の方からブレーキをかけるような空気がありはしないかという疑惑が起っておるのであります。それで、一つは今林さんの御質問にありました名誉棄損の問題と、一つは指揮権の内容についてであります。私はこの二点を簡単に御質問を申し上げます。  そこで、われわれ法律のことに携わっておる者から見ますと、名誉棄損の告訴というものは非常に疑問を持たれておるのであります。たとい検察庁から取材源が出ましても、検察庁と意思を通じて、名誉棄損の意思を持ってやるという共謀の事実がなければ、検察庁を抱き合せにして告訴するということは不可能である。これを告訴を出したがために、調べる検察庁の側が、汚職の方を調べる立場に立っている一面では、名誉棄損については被告である。売春汚職の事実を摘発するについては原告官としてやっておる。非常にそこに矛盾を感じる。そこで、この名誉棄損が起ったために検察庁の方は自分も被告の立場に立って非常にやりにくいのではないかという一般の疑惑が起るのは当然であります。そこで、私は、名誉棄損の内容について、検事総長、それから検事正、それから現場の某検事、それから読売の編集局長並びに記者、一体この名誉棄損というものは共犯として告訴を受けておるのであるか。共犯ならば、そこに意思の疎通があり、あるいは共謀の事実がなければならない。さもなければ、取材源は検察庁から出て、こういうものを書けという教唆によって行われた犯罪であるか。その犯罪の事実をそれほど明確にしてこの名誉棄損の告訴というものはなされたのかどうか。この点を私はお伺いしたい。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内説明員 告訴状そのものにはその関係はしかく明確にはなっておりませんが、これを法律的に砕いて読んでみますると、御指摘のように、読売新聞関係におきましては、担当の記者某が原稿を作成して載せるようにしたと思いますが、それを上役の編集局長が承認して載せたということになりますので、両者の関係は共同正犯、あるいは幇助ということになりますか、いずれにしても、刑法総則の共犯として両者の意思の結びつきを認定しなければならない筋合いになっております。それから、検察関係と読売新聞との関係につきましては、担当の検事がこれを漏らしたということになりますので、漏らすことによって幇助した、あるいは教唆したということになりますか、あるいは漏したことが同時に担当の記者との関係において共同正犯になるかという問題が法律上問題になると思います。その意味において、やはり共犯論で結びついてくると思うのでございます。それからまた、監督官である検事正及び検事総長につきましては、告訴状によりますると、検察一体、指揮監督の立場にある者ということが記載してございましたが、先般の当委員会で告訴人たる宇都宮、福田議員から弁明がありましたが、その弁明の御趣旨を聞いておりますると、指揮監督の地位にあるばかりでなく、担当の検事がこれを漏らすということは上司である検事正あるいは検事総長の許可なくしてはできないことであるというふうに考えたということでございますので、さようになりますると、許可ということになりまして、違法なることを許可したことになるかどうか。その点でございますけれども、いずれにしても共同正犯という考え方に立っての告訴であるというふうに私どもは解釈いたしておるわけでございます。

田中幾三郎日本社会党

○田中(幾)委員 この点が法律家として非常にずさんな告訴である。先般も誣告の問題も出ましたけれども、読売新聞の編集局長と記者の問題は、これは記事を書くものですから、あるいはこういうことを書く場合に筆を入れたり、共謀の事実があったかもしれない。しかし、検事総長が取材源を漏らして教唆をする、もしくは新聞記者と通謀して名誉棄損の意思を持って、いわゆる犯罪事実を認識してそういう事実を漏らすというようなことは、常識上あり得ないと思うんです。上司としての検事一体の原則ならば、これは行政事務扱いであって、犯罪事実に言う犯罪事実の認識とは私は違うと思う。ですから、突如としてこの名誉棄損が出てきたのでありますから、本人の名誉はむろん守らなければなりませんけれども、これが出たがために売春汚職の調査が横道へそれていくのではないかという疑惑の起ったもとでありますから、無責任なる告訴でありますならば、私はその点も追及してもらいたい。  それから、もう一つは、先ほど申しましたように、かりにも検事、検事正、検事総長というものが名誉棄損の被告である。直接に売春汚職の事実には関係しませんけれども、その被告になった者が、これに一連の関連を持つ売春汚職を調べるということは、私はどうかと思う。でありますから、この名誉棄損の告訴の起った後に、一体捜査陣に変更が加える必要があるのかないのか。私どもは、一方の被告で告訴されておって、それが売春汚職を調査するということには、非常に疑惑、不安を感ずるのであります。でありますから、少くとも名誉棄損の起った後における売春汚職捜査陣というものは、編成がえもしくは変更すべきである。そうでないと国民の疑惑は解けません。この点に関する法務大臣の御意見はいかがでしょう。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内説明員 私から答弁さしていただきたいと思いますが、捜査陣には陣容に変更を加えておりません。その理由はおおむね次の通りでございます。検察庁におきましては、当時宇都宮、福田両代議士についての容疑の線は出ていなかったのでございまして、その点から申しましても、漏らすはずがないということはうなずける次第でございます。当時そういう告訴が出ました際に、検事正以下関係の検事はそういうふうに漏らしているかどうか、またうわさ話をしたことがあるかどうかという点につきましても、管理組織の上におきまして、公務員という立場から十分調査をされたようでございますが、いずれもそういう事実はないと確信を持って申しているのでございます。それからまた、監督者であります検事総長におきましては、当議場ではっきりとその点をお答えをしているように、さような事実はないということで、外部に対する関係はともかくとして、内部におきましてはいささかもそのために心に曇りはないということで、鋭意捜査に従事するということでございますので、その点に捜査上の構成を変えるというようなことは考えていないというのでございます。また、外部の関係におきましては、疑惑を受けた者が内部において確信していると言っても、外部の疑惑を解くことにはなりにくい。幸か不幸かこういう告訴が出ております段階でございますので、厳重に敏速に進めていただいて、事態の真相を解明していきたい。東京高検がただいま捜査しておりますその結果を待ちまして、外部に対しましてははっきりした態度を示せばいい。内部におきましては、先ほど申しましたように、みんな確信を持ってやっておりますので、いささかもその点については不安を感じておらないというのが法務当局としての立場であると思います。

田中幾三郎日本社会党

○田中(幾)委員 私、関連ですからもうこれでやめますが、指揮権の点について一点だけお尋ねいたします。  これは御承知の通り検察庁法の十四条による指揮権の発動であります。その指揮権の発動をいたします場合に、具体的な事実につきまして内部でいわゆる請訓事項というものがあるように伺っておるのであります。その請訓事項というのは、一体どの範囲において、どういう程度の事件について検事総長は法務大臣の指揮を仰ぐのでありますか、もしそういう基準でもありましたらお伺いしたいと思います。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内説明員 これも事務的な事項でございますので私から答弁させていただきます。請訓事項というようなものは建前としてはないわけでございます。ただし、報告事項はございます。年間、発生いたします事件は刑法犯だけでも七十万件もあるわけでございますが、それらの事件を一切法務大臣が報告を受けるということにはなっておりません。重要事件につきましては、その報告の時期、内容の程度、その他いろいろ差別は設けてございますけれども、検察庁を指揮監督いたします建前上必要なる限度におきまして報告を求めておりますが、今の稟請とか請訓とか、大臣の御意思いかんによって起訴、不起訴がきまるといったような趣旨のものは、ただいま制度としてはないのであります。

田中幾三郎日本社会党

○田中(幾)委員 しかし、法務大臣は個々の事件については検事総長のみを指揮することができる、こうあるのですから、たとえば過去における佐藤榮作氏の事件のごとき、あれを逮捕するかしないかということについては、個々の事件ですから、検事総長からこれを逮捕してしかるべきかどうかというようなことはやはり指揮を仰ぐ、事務的な扱いとしてそういうお伺いを法務大臣に検事総長から立ててくるのではないですか。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内説明員 それはそういう関係ではございませんので、国会でも申し上げておることでございますが、重要事件につきましては報告をして参ります。これは、たとえば逮捕するかどうかという問題を例にとって申しますならば、逮捕するかどうかを検察当局が決定し、執行します前に法務大臣に報告をしてくる建前になっております。そこで、法務大臣がこれを逮捕してもよろしいとかいけないとかいうような指揮をするかという問題でございますが、法務大臣が検察庁法十四条によって指揮をいたします場合は、その逮捕、起訴が違法であるとか不当であるとかいう特殊な場合にはチェックをいたすという機能をいたしますけれども、そうでない場合には、検察庁の判断によって起訴することを、起訴しました、さようであるかということで了承するというような取扱いが検察庁法十四条の取扱い方として適当であるということで、多年さように運用をいたしておる次第でございます。

田中幾三郎日本社会党

○田中(幾)委員 そう伺いますと、今の法務大臣の指揮権の実質的内容というものは非常に薄弱なように私は思う。報告事項で受けて、それをどうこう始末するというより、すでに検事総長の大体において処理したことについての報告を受けるということでありましたならば、最高指揮者としての法務大臣の指揮権の内容、実質というものが非常に薄弱なように思う。この間から伺っておりますと、この売春汚職についてはしっかりとやってもらうように努める、こう言っておりますけれども、そんなことを言ったところで、指揮権の内容がそういう空白なことであるならば、ここでいかに法務大臣がこれだけはしっかりやらぜるのだと言っても、それはどういうことによって、その威力といいますか指揮権の効果といいますか、それがこの売春汚職の調査についてどれだけの効力を発揮するのでありますか。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内説明員 法律的に検察庁法十四条の解釈として、またわれわれの取扱い方としてさようにお答えをいたしましたが、大臣が激励をしておられることは検事総長もよく了承しておられるのでありまして、それを無視するというようなものではないと思います。

田中幾三郎日本社会党

○田中(幾)委員 私はなぜこの点をお伺いするかというと、例の造船汚職の場合には検事総長から案を立てて法務大臣に訓令を仰いだ。ところが、それが下から回ってきたときには、検事総長の最後の意思決定として検事総長は判を押すかもしれませんけれども、その検事総長の最後的意思の決定をする段階におきまして、刑事課長とか形事局長とかいうものが判を押して、最後に法務大臣のところへ持っていって、法務大臣が最後の意思決定をする。しかるに、造船疑獄の場合には、そういう過程を経て法務大臣のところへ行ったけれども、法務大臣はその方へは目もくれないで、自分で別個のいわゆる指揮書なるものを出して、それがものを言った。しかも、その当時の犬養法務大臣は、その指揮書を書いてとたんに自分はそのいすからやめておる。つまりこれは自爆的の指揮書の作成です。指揮書を書いて自分は自爆したわけですから、そういうことがありますならば、この売春汚職も——唐澤法務大臣はそんなことはなさらぬでしょう、私は信用しておりますけれども、そういう歴史を持っておりますがために、われわれはとの指揮権というものの善用にも悪用にも非常に関心を持っておるわけです。この点につきましては、私は、やはりこの指揮権の意思の構成というものは、事務的にはそういう段階を経て妥当な指揮権というものが最後にでき上るべきであるというふうに考えておるのであります。この点はもっと私も突っ込んでいろいろ法律的にもまた政治的にも伺ってみたいけれども、きょうは関連でありますからこれでやめます。そういう意味におきまして、もっとこの指揮権の内容もよくあとで質問しますけれども、そういう実際的効果のある方法でこの売春汚職は徹底的に追及をしていただきたいということを御要望申し上げて、きょうの質問はこれで終ります。

高橋禎一自由民主党

○高橋(禎)委員長代理 先ほど林委員から質問のあった点について、書類取り寄せの上答弁ということでしたが、書類は参りましたか。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内説明員 参りました。

高橋禎一自由民主党

○高橋(禎)委員長代理 それではこの機会にお願いします。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内説明員 先ほど書類を取り寄せておりました、新聞労連からの公開質問状の事項につきましてお答えいたしたいと思います。これは、新聞労連にお答えするというよりも、林委員の御質問にお答えするという形でお答えいたします。  まず第一に、立松記者の逮捕は不当である、当局は不当でないと言明しておるけれども、その理由を具体的に示されたいという趣旨のものでございます。この点につきましては、当委員会ですでに説明をしておりますように、十月十八日付の読売新聞の記事は、そのこと自体は明らかになっておるのでございますが、この記事を作成して、このように新聞記事になりますまでの経過におきまして、この記事を作って新聞に作成するまでの間にだれが当事者として動いたものであるかという点を究明しなければなりませんし、告訴状にもありますように、この記事の作成については検事も関与しておるのではないかという問題があるわけでございます。そこで、新聞に発表されておって公知の事実だというこの一事をもって名誉棄損罪の犯罪を究明し得るものではないというふうに考えるのでございます。なお、立松記者は自分が作成して出したんだということを述べておりますけれども、その供述自体にも、自分がさように信じたことについての相当な理由としては何ら述べておらないのみならず、また関係者の供述との間にも著しい食い違いがあるのでございまして、それらの点を究明いたしますことは犯罪の成否に関する問題であるのでございます。御承知のように、もし犯罪不成立、つまり犯罪を阻却する原因の主張がありました場合には、裁判所はその点についての証拠調べをしなければならぬことになっております。その証拠調べの証拠はだれが出すかということになりますと、現在の訴訟法の構造といたしましては、これはすべて検事側が出さなければならないのでございます。そうだといたしますと、犯罪の成否に関する事項は検事が証拠をもって説明をしなければならないのでありまして、それらの諸般の事情をいろいろと考えてみますと、証拠隠滅のおそれあるこの立松記者につきまして逮捕いたしますことは・捜査を進めていく上においてどうしてもやむを得ない次第であるというふうに考えておるのでございます。  それから、第二番目の事項は、ニュース・ソースの、取材源秘匿に関する見解でございますが、取材源を秘匿することは国民の知る権利を守ることになるわけで、もし取材源が秘匿さるべからざるものであるといろふうになるならば国民の知る権利を著しく狭められるおそれがあるというふうに見るべきである、法務当局は記者の取材源秘匿ということについてどういう見解を持っておるかという質問になっておるのでございます。この点につきましては、いろいろ御議論のあるところでございまして、法務当局としましては、そのニュース・ソースの秘匿という問題につきましての新聞界に厳然として存する倫理、慣行というものにつきましては、終始敬意を払い、尊重して取り扱うべきものであるという考えを持っておりますが、本件の立松記者の逮捕は、犯罪事実そのものに該当するわけであります。つまり、それによって検事が共犯であるかどうかが問題になりますので、その点に捜査が及びますことは、これまたまことにやむを得ないことであるというふうな考え方をいたしております。  第三点につきましては、立松記者逮捕事件によって本筋の売春汚職事件の捜査とすりかえたようなことになるのではないか、徹底的な捜査を国民に確約できるかという趣旨のことでございます。新聞紙上にもしばしば、そのような疑いが存するやの報道がなされておるのでございますが、終始私どもは、本筋の売春汚職を立松記者逮捕によって牽制するとか、そういったような意図は毛頭もないことを、確信を持ってここで申し上げておる次第でございます。立松逮捕事件は、検察の側にも疑惑がかかったという、検察にとりましてはまことに遺憾な告訴であります。従いまして、本筋の売春汚職を厳正に捜査してもらいますためには、こういう疑惑を一日もすみやかに解明をしなければならぬということが、この立松記者逮捕事件を急速に捜査を進めた理由でございまして、他意あるものではないことを、重ねてここで申し上げておかなければならぬと思うのでございます。従いまして、本筋の売春汚職事件について今後厳正に捜査を進めていきますことは、しばしばここで明言いたしておりますように、これまたあらためてこの機会に申し上げておきたいと思うのでございます。  第四点は、立松記者の事件は売春汚職の捜査によっておのずから明確になるものである、本筋の事件の捜査を優先する意思があるかというような趣旨になると思うのでございますが、本来、名誉棄損の事件と売春事件とは、きわめて密接な関連を持ってはおりますが、おのずから別事件でございます。従いまして、売春汚職事件の本筋の捜査によって立松記者の事件が必ずしも明確になるとは言えないのでございます。ただ、はっきり申しますことは、もし黒になったらどうなるんだという点でございますが、これは、立松記者の事件においてそう信じたことに相当な理由があったかどうかということとは別問題であろうと存じます。従いまして、性格といたしましては両事件は別個に処理されてしかるべき案件だというふうに考えておるのでございます。  第五点は、この記事に関しまして、執筆者が直ちにその責めを法的に追及されることは、新聞製作機構上全く不当であると考えるということでございます。新聞製作機構上不当であるという点でございますけれども、新聞製作の機構は、まあ新聞社の内部の事柄であると思いますが、これは名誉棄損罪の罪質から申しまして、執筆者からまず捜査に入って参りますことは、事の当然であろうと思うのでございます。  第六は、取材源秘匿は取材報道の自由を守る立場からして断固守り続けるべきであるが、新聞報道によりますと岸本検事長はそのようなことを考慮して捜査を進めることはできないと言明したと伝えられているということを理由といたしまして、当局は今後取材源を秘匿した理由をもって記者を逮捕しないことを確約できるかどうかというような趣旨の御質問になっております。岸本検事長が、新聞報道によりますように、取材源を明らかにしてもらうために逮捕したんだという趣旨に述べたものでないことは、当委員会でも明白に、それは行き違いであるという趣旨で詳しく申し上げたところでございます。従って、岸本検事長の意のあるところはすでにおわかりになっておることだと思うのでございます。しからば、当局が今後、取材源を秘匿したという理由で記者を逮捕しないということを約束できるかという点でございますが、これは、第一に申しましたように、取材源秘匿ということの新聞界における倫理、慣行につきましては十分の尊重の態度をとって進みたいということを申し上げることはできるのでございますが、そのために一切逮捕しないということを誓えと言われましても、これはできないことでございます。  以上が、はなはだ粗雑な意見でございましたけれども、私どもの考えておるところでございます。

高橋禎一自由民主党

○高橋(禎)委員長代理 猪俣浩三君。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 きょうは臨時国会の閉会の日であります。そこで、この売春汚職に関係いたしますことにつきまして国民の間にいろいろな疑惑があるので、私は国民になりかわってこの疑惑のある点を申し上げて、これに対して法務大臣から事の真相を明らかにしていただくとともに国民の疑惑を解いていただきたい。事が、国会、ことに今まで厳正中立を守って聞えておりました法務委員会の権威にもかかわり、なおまた司法部のあり方にもかかっておる問題でありまして、少しでも国民に疑惑がありますならば、これは容易ならぬことだと思うのであります。国民の声になりかわって申し上げますから、あるいは専門家から見ればそんなことかと思うような点があるかも存じませんが、どうぞ親切にお答えいただきたいと思うのであります。  第一は、先ほどから問題になっておりますが、宇都宮、福田両氏が名誉棄損で告訴をした、その被告訴人に、担当検事の某、それから検事正、検事総長が相なった、この検事正、検事総長を被告訴人にいたしましたことも、先ほど田中委員が申されましたように、私ども非常に奇妙な感じを受けるのでありますが、それはそれといたしまして、一体、検事同一体の原則あるいは上司の許可というようなことでこの検事正なり検事総長が共犯関係に問われたといたしますならば、何がゆえに岸本検事長だけはその責めを免れたのであろうか、これを私は明らかにしていただきたいと思います。それは宇都宮、福田が勝手にやったことだとおっしゃるかもしれませんが、巷間いろいろの疑惑がある。それは、この宇都宮、福田の両氏は自民党の幹部諸公と相談をされた、その自民党の諸君は岸本検事長と何らかの連絡があったのじゃなかろうか、そこで、検事正と検事総長を被告訴人に抱き込んでおけば、やむを得ずこの立松記者の問題は検事長のところに来る、——ざっくばらんに申しますと、岸本検事長と自民党との関係につきましては巷間いろいろのデマがあります。われわれはこれを信じているわけではありませんけれども、ときたまたま異様な告訴がなされた。そうして事実岸本検事長の手によって一新聞記者の逮捕手続がなされるという異常な状態が出てきておるのであります。かようなことはおそらくかつてなかったことじゃなかろうか。検事長が一新聞記者の逮捕手続をみずから陣頭に立って指揮をする、これは異常であります。かような異常な状況のもとに逮捕請求が行われましたがゆえに、そこにいろいろの疑惑が生まれてくるのであります。これは検察庁内の派閥とも関係があるという重大なうわさも流布されておる。これは法務大臣のお耳に入っておることだと思う。そうすると、検察庁内の派閥とも関連した実に重大問題だと思う。現に、異様な、かような検事長の逮捕請求というようなことが行われておる。そこで、一体どういう理由で検事長が逮捕の陣頭に立つようになったのであるか、私はその理由を一つ大臣から御説明願いたいと思う。検察庁内に派閥があるというようなこと、あるいは、立松逮捕については少くとも宇都宮、福田両君と岸本さんが連絡があったのじゃないかなんという、これはデマであろうと思いますが、かような説が流布されておる。ほとんど一般人の常識になってきておる。かようなことがそのままに過ごされますと、これは容易ならざることだと考えるのであります。何がゆえに検事長が一個人の逮捕手続に対して陣頭指揮をしたのであるか、まずその点の理由を承わりたいと思うのであります。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 ただいまは、このたびの売春汚職、検察の問題、それに関係いたしまして名誉棄損の問題、これらにつきまして世上にいろいろのうわさがあるということでおただしをいただきました。これに対して釈明の機会を与えられたことをありがたく存じます。何ゆえに岸本検事長が陣頭に立ってこの名誉棄損の被疑事件を処理しておるかということでございますが、これはいずれあとで刑事局長から法律的に詳しく申し上げるかもしれませんが、私が承わっておりますところによりますと、今度の両代議士からの名誉棄損の訴えは、一方において読売新聞側に向けられておりますと同時に、他方、検事正以下東京地検の検事、それからこれを指揮監督いたしております検察陣の最高峰である検事総長、こういう人々が被告訴人となっておるわけでございます。たまたま東京高検の岸木検事長は被疑者となっておりません。そこで、事務的に、東京高検をしてこの名誉棄損の事案を処理させるのが最も適当だという考えであったようでございます。私はさように報告を受けております。なお、いろいろと世間のうわさの中には、検察陣営の中に派閥があるとか、あるいは岸本検事長と政党との関係とか、今度両代議士が告訴状を出された、それに岸本検事長を除いておるというようなことについて裏面のいろいろな関係があるのではないかという世上のうわさであるということでおただしになったと思うのでありますが、私は絶対にさようなことはないと確信をいたしておる次第でございます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 宇都宮、福田両氏は法律家でもないと思います。どうも検事正及び検事総長をことさらに被告訴人にしたことは非常に異常だろうと思います。今刑事局長の説明では、共犯としてやられたという。結局検事総長自身が実際の実行行為に加担したという意味ではないのでしょうか。そんなことは考えられない。結局、許可、不許可というような指揮監督権を持っているがゆえに共犯関係にせられたと思うのです。それならば、東京地検の直近の指揮監督者は検事正であり、その上の指揮監督者は検事長である。検事総長は全国的な場合であります。検事総長のところまで持っていくならば、なぜ検事長を抜いたのであろうか。もちろんこれは宇都宮、福田両氏が考えたことだとおっしゃられればそれまででありますけれども、その岸本氏が、裁判所で簡単にけ飛ばしてしまわれるような勾留請求手続を断行しておる。僕は世の中の疑惑ということは一応筋が通っていると思う。今の大臣の御説明のようなことだけでは納得がいたしかねる。岸本さんは、告訴状を受理する以前に、この字都宮、福田両氏、あるいは自民党のだれかと会見されたことがあるかないか、それを法務大臣はお調べになっているかどうか、それもお答え願いたいと思います。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 私は、宇都宮、福田両代議士が、この名誉棄損の告訴状を出される前に、その裏面のいろいろの事情で岸本検事長と相談をされるような必要もございませんし、さようなことはなかったと信じておりまするから、とりたててそういうことがあったかどうかというようなことを岸本検事長に尋ねたことはございません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 なお、お尋ねいたしましたことは、検事正を名誉棄損の共犯にするなんということは、非常に飛躍した論拠を持っておると思うのです。かような場合に告訴人が勝手に全く飛躍した理論で検事正を被告訴人に巻き込んだ場合に、その検事正は一体その事件について指揮がとれないのであるかどうか。そうとすると、検事総長、検事長、検事正ことごとくを巻き込んだならば、動きがとれないことになるわけです。告訴人が好む検察官に事件をやらせようと思うならば、いろいろな理屈をくっつけてそれを被告訴人に巻き込む。検事総長にやらせたいと思うならば、検事長と検事正を被告訴人にしておく。そうすれば検事総長のところに自動的に行く。また、これを検事総長に取り扱わさせたくないという場合には、告訴人が任意にできるということになる。一体、かような飛躍した論理をもって告訴せられますと、もう検事正はその事件については全然職権が動かせないという御解釈であるのかどうか。そうしてまた、それならば、先ほども質問がありましたが、担当検事某なるものがやっぱり被告訴人になっておる。そうすると、その担当検事ももうその事件は担当できなくなるのかどうか。どうも私どもは割り切れない。何ゆえに、いとも簡単に、被告訴人になっておるからこれは検事長だというふうに検事正と検事総長は手をこまぬいたのであろうか。どんな論理でもいいが、一たん被告訴人にせられるとその被告訴人になった検事正はそういう職権がとれないことになっているのですかどうですか。それを承わります。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内説明員 事務的なことでございますので、私から答弁さしていただきたいと思います。御承知のように、裁判官につきましては、関係事件に何らかの因縁があるというような場合には、その事件から回避するという制度が定められておりますが、検察官につきましてはさような規定は存しないのでございまして、たとい告訴をされておりましょうとも、検察官としてその告訴事件を取り扱うことは法律上違法なことではないのでございます。しかしながら、妥当かどうかという点、特に公正に取り扱うという、そういう運用の面から申しますと、この場合、関係のない、告訴を受けていないところで処理するのが一番公正であり妥当であろうというのが、今回異例なことでありますけれども高検において処理するという方針にきまったいきさつのように承わっておるのでございます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 あなたの言葉の中にありましたが、ある個人を逮捕手続するというようなことで高検の検事長が陣頭に立つということは、普通あり得ることか、異例のことであるか、また将来ひんぱんにそういうことが起る情勢か、その見通しを御説明願いたい。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内説明員 告訴状は検事正にあてて出しておるのでございまして、普通でございますならば、こういう場合に地検の検事に何らかの容疑がありました場合には、地検の検事の中で、多数の検事を持っております庁でありますれば、本件の担当検事以外の検事をしてこの種の事件をやらせるということもありますし、また、場合によりましては上級官庁に向ってその取調べをお願いするという場合があるのでございます。上級官庁に取調べを願うという場合に、上級官庁がみずからやるか、あるいは地検の検事事務取扱いとしてやるかという問題もあるのでございます。いずれにいたしましても先例を持っておるのでございますが、本件につきましては、幸いにして検事長は告訴を受けていないという立場にございましたので、検事長の指揮下に置いて、高検がその事件を取扱うことになったのでございます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そうすると、検事長がこの事件を取り扱うことになったことは、検事総長、検事正とも相談の上か、あるいは検事総長からそういう指令が出たのか、あるいは、検事正から上級官庁の検事長に、自分はやれぬからあなたやってくれという要請があったのか。検事正がかりにできないとしても、次席検事があります。第一線の指揮は大体次席検事が担当である。一新聞記者を逮捕するがごときことは次席検事がやれるはずだ。それを高検の検事正まで持っていったということは解せない。あなたの説明によると、それは職権のある者から上級にお願いする、そういうこともありましょうし、また検事総長から検事長やってくれというようなことになる場合もあるかもしれませんが、本件の場合、岸本検事正が陣頭に立つという異例のことは、一体どういう手続でやられたか。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内説明員 法律的に申しますと、検事正から検事長に対して事件を移送するという手続によったものでございますが、その移送手続を決定するまでの経過におきましては、最高検察庁、高等検察庁、地方検察庁の検察の間において協議の上決定されたものと承知いたしております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 承知するといって、そういうふうに、法務大臣、報告があったのですか。ただあなたがそういうふうに聞いておるというだけですか。法務大臣から御答弁下さい。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 さように報告を受けております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 その問題につきましては、まだ割り切れぬところがありますが、後にいたしまして、今回の売春汚職につきましては、いろいろの印刷物が出ております。そこにいろいろなことが書いてある。事国会に関することでありますので、荒唐無権のことが書いてあるとするならば、その人たちは非常に気の毒だと思う。読売新聞の記事に対して名誉棄損ありとして検察庁は活動せられておるようでありますが、その他われわれの目に触れたものでも相当のものが出ているのであります。たとえば政経特信と称する印刷物が出ておりまして、私のこの資料には三十数名と書いてありますが、これは二十数名の間違いですが、二十数名の国会議員の名前が掲げられたものが多数ばらまかれております。これは編集者も責任者もちゃんとみなはっきり名前が出ておるのでありますが、かようなものについて検察庁はお調べになったことがあるかどうか。どうしてこういう情報を手に入れたか、これは確実なものであるかどうか。ちゃんと個人の名前がみな書いてある。そういうことについて何かお調べになったかどうか。それから、私は洋行中でありましたから、多数は入っておりませんけれども、週刊朝日、週刊サンケイ、こういう非常に多数の部数の出る週刊雑誌に、たとえは週刊朝日には、きたない金きたない代議士、売春汚職をつくというふうにたくさん書いてある。個人の名前もみな出ております。週刊サンケイには、きたない中にもきたない汚職として、切りくずされた衆院法務委員というような大きな見出しで書いてある。これにも編集責任者、執筆者がみなあるはずでありますが、こういうことについて検察庁はお調べになったかどうか。お調べになったとすれば、その結果はどうか。たとえば週刊朝日につきましては楢橋氏から週刊朝日に対して質問状を出しておる。それに対して週刊朝日の記者は、この記事は確信を持って書いた、絶対間違いないということを断言しておる、こういうのであります。一体こういうことについて検察当局はお調べになったかどうか。もし虚偽なことであるとするならば、実に被害甚大であります。こういうことについてどういう対策をお立てになったか、それをお聞きいたします。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内説明員 巷間に売春汚職に関連した、特に国会議員の名前をあげたいろいろな記事が出ておりますことは、御指摘の通りでございます。それらの印刷物あるいは雑誌等について取調べをしたかどうかという御質問でございますが、この点につきましては、まずこれらの記事が名誉棄損になるのかどうかという点と、売春汚職の捜査に関連する何らかの捜査に資料を提供するものとして取り調べるかどうかという、この二点に考えられるわけでございます。この名誉棄損という点は、国会の信用にも関することでございまして、私ども重大な関心を持ってはおりますが、名誉棄損罪は御承知のように親告罪になっておるのでございまして、そういう点につきましては告訴を待って捜査に着手するというようなことも常道として考えられるのでございますが、すでに告訴されておりますものにつきましては鋭意捜査を進めておるのでございます。しかしながら、そうでないものにつきましては、単にそういう理由からして取り調べるということは、今の段階ではいたしておらないものと考えられます。そこで、本筋の売春汚職というものにこれらのいろいろな印刷物や新聞、雑誌、特に週刊雑誌の報道がどういうふうに寄与しておるかという点でございます。こういうものにつきましては、もちろん風説、流説等信用すべからざるものも多々あるとは存じますけれども、こういう印刷物に対して検察官が無関心であっていいとは考えられません。従いまして、こういうものも調べる必要があろうかと思いますが、これらを調べるかどうかということは、検察庁の捜査の進行過程におきまして検察庁みずからが必要だと判断をした場合に初めてその関係におきましては捜査に着手するのでございまして、ことにこの問題は捜査の内容に触れる問題でもありまするが、調べたかどうかということは今この段階ではここで明確にお答えをするわけには参らぬのでございます。しかしながら、考え方といたしましては、以上申しましたようなふうに考えておるのでございます。御了承願いたいと思います。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 こういう問題は検事総長の答弁でいいと思ってきょう出席を要求しておきましたが、出ていらっしゃらないのでありますが、一体こういうことが盛んに書かれ、しかもその記者は確信を持って書いたとまで言っておるのに、私はそれを検察庁の捜査に役立たせる資料としてもほっておくべきものではないと考えておるのであります。しかしこれは検事総長でないとおざなりな答弁になってしまうと思うのであります。だから、それ以上あなたと押し問答しても仕方がない。  そこで、次に移りますが、全性から出たメモの実物の写しだと称する写真数葉を私は見せられました。これは十月六日かに検察庁にもその現物は証拠として押収されていると聞いておる。そこで、私がお尋ねすることは、一体こういう週刊誌やあるいは通信紙にいろいろ名前が出されておる人たちは、このメモから出たのではなかろうかと思われる。というのは、このメモには、国会議員の名前と、その国会議員の名前の下にいわゆる全性側の係の人の名前が書いてある。そうして、その名前の上欄に、ゴム印かと思われますが、済という印が押してあるものと、ないものがある。その済という印の押してある者が、巷間のいろいろの雑誌に嫌疑者として名前が出ているのではなかろうか。そこで、これはもう検察庁ではこのマル済という印がどういうものであるかはお調べ済みだと考えるものであります。今までかかって調べておらぬなんという怠慢なことはないと思う。これは起訴された眞鍋代議士の上にもマル済が書いてある。名前は言いませんが、他の人の上にも書いてあるものがある。これは二十数名になっております。それと、いろいろの雑誌に出ております名前とが大てい符合するのではなかろうか。これが全く荒唐無稽のものでありますならば、その人たちの迷惑は実に筆舌に尽し得ないと思うほどでありますから、私は、捜査の秘密と称して、ももう眞鍋代議士は起訴されて相当に日がたっております。そしてしかもこのメモなるものは実に広範に流布されておる。ですから、このマル済なるものはこういう意味なんだということを明らかにしませんと、いかに潔白だ、何もないと法務当局が言われましても、かようなメモが行われ、その人の頭に済がついておる以上は、検察庁が、潔白だ、何の容疑もないんだと言っても、それはあかしにならぬ。それですから、国会議員の名誉のためにも、このマル済というのが一体どういう意味になっているか、——もう私は全部法務省、検察庁でほおわかりになっておることだと思うのです。そうでなければ、某々代議士は全部潔白だなんということをまた言明できないはずだと思う。その言明した代議士の頭にマル済があったとするならば、それでは世人は承知しませんよ。マル済のことは捜査上言えないけれども、マル済のついている某々代議士は絶対に潔白だと言ってみても、それは検察庁、法務省がうそをついているのではないかという疑惑が残るだけの話です。かえって検察庁の信用を落すだけの問題なのです。ですから、これだけもうすでにたくさんの週刊誌その他に名前が掲げられて、その出どころがメモのマル済にあるのではないかと思われる今日におきまして、マル済の意味というものをある程度明らかになされないと、実に迷惑をこうむる方がたくさんあるのではなかろうか。そこで、眞鍋代議士の起訴が済んだ今日、私は、やはりマル済の意味を御説明になっていただきたい、こう思うのであります。それを要望いたします。

高橋禎一自由民主党

○高橋(禎)委員長代理 ちょっとこの際委員の皆さんに申し上げておきますが、今猪俣委員の言われた通りに、本日検事総長は出席しておられません。これにつきましては、出席されたいと連絡いたしましたが、公務上どうしても差しつかえがあってきょうは出席できないから御了承願う、こういうことでございましたから、御報告いたしておきます。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内説明員 ただいまお尋ねのメモでございますが、そのようなメモがございますことは承知いたしております。これに基いて調べたかどうかということでございますが、このメモが一体いかなる根拠で、どういうふうにして流布されるようになったか、またそうしてその書いてありますことが果して真実を裏書きするものであるかどうかというような点は国会の信用のためにも明らかにする必要があるというお話、ごもっともなことでございます。それからまた捜査の面におきましてもこれは明白にしなければならないと思うのでございます。従いまして、これは必ず明白にされるべきであるというふうに申すことはできるのでございますが、今この段階でこのメモの内容がどの緯度に真実性のあるものであるかということをお答えしますことははばかられるのでございまして、将来適当な時期にその点をお答えを申し上げねばならぬと思うのでございます。ただ、お話のように、そのメモにはマル済という判が押してあるそうでございますが、この済という意味がいかなるものを意味するのであるかという点につきましては、実は、それを聞いてみてわかるはずだとおっしゃいますけれども、聞いて述べます趣旨と現実とが果して一致するものであるかどうかということが、本件の売春汚職を解明する主要なることになるということがまた反面は言えるのではないかと思うのでありまして、そういう関係者がマル済についての意見をかりに述べるといたしましても、その述べた通りでありますならば、検察庁は苦労して捜査をしていないのでございまして、ただ、はっきり言えることは、マル済と書いてあるものがすべて金を渡してあるという意味のマル済であるというふうには言えないというのが現実に出ておる姿であります。その点は、すべてがそうなっておるとは言えないということは言えるのでございますけれども、それらの内容につきましては、今後捜査を待ちまして明確にいたしまして、将来適当なる時期に御報告をさしていただきたいと思うのであります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 マル済が必ずしも金銭の授受じゃないという、必ずしもマル済と書いてあるから金銭の授受があったとは断言できないという御説明でありましたから、それならばそれで了といたしますが、私どもは個人の名前はあげませんけれども、断固としてそういう者は容疑がないと法務大臣は責任を持って当委員会に報告なさったから、私はこのマル済の意味を質問したのであります。マル済がついておってもなおそう断言されるには、マル済の意味がもう少し明らかになっておらなければならぬはずだ。その意味で、もう明らかになったかどうかを実はお尋ねしたのであります。マル済がついておっても必ずしも金銭の授受はないという、あなたがそういうものであるとするならば、それは一応それで筋が通ります。それは真実であるかどうかまだ私どもは疑わしいけれども、そういうふうな法務省の、検察庁の御見解なら、それはそれで筋が通りますが、マル済の意味を全然説明なさらずして、何らの容疑がないというようなことをある個人の人に限って断言なさるということは、私はどうであろうかと思いまして、このマル済の意味を聞いたのであります。  そうすると、マル済とメモに書いてあったとしても、必ずしもそれが金銭授受になっておるのではない、しかし全体の真の意味はまだ捜査中だから申し上げられない、こう承わってよろしいか。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内説明員 その通りでございます。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 関連して一言お尋ねしたいと思います。  この間私が質問をいたしましたときに、いわゆるマル済と頭に書いてある人について問題になったときに、法務大臣は、容疑なしとはっきりお答えになりました。しこうして、その他については捜査中であるから言えないとおっしゃった。マル済と書いてある二人の人については容疑なしとはっきり言い切られました。それは捜査がお済みになったという証拠と見ていいのでありましょうか。これを承わりたい。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 過般の委員会におきまして、名誉棄損の告訴を出されました両君についてのお答えを申し上げた際に、私はかように申し上げたのでございます。私の受けておる報告では容疑は全くないということでございます。マル済がどうであるとか、あるいはこの問題全体についての捜査が完了したとかいう意味ではございません。私が受けておる報告で、かような容疑は全くございませんということを申し上げただけでございます。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 問題になっておりました名誉棄損の告訴をされました二人の人の頭にマル済という判のついてありますことは、大体においてこれは否定することはできないだろうと思う。さればこそこれが問題になり、さればこそこれが新聞記事になったものと思う。読売新聞がこれを書くについても、全く荒唐無稽、空想で物事を捏造して記事を作ったものとは思われません。何事か根拠があればこそこれをつかまえて書いたのであり、さればこそ法務当局においてもそのニュース・ソースいかんということで問題にされたものと私どもは思います。よって、法務当局のお調べになったのは、検察当局内部から出ておるのじゃないかという疑いを持たれてお調べになったものと思う。法務大臣のお答えの中にも、内部から出ておるかもわからないので、その点を懸念された旨を明確に答弁されております。すなわち、内部から法務当局の握っておるメモの内容が漏れたではないかというふうにお考えになったようでありますが、しかし、そのメモは、おそらく十月六日、猪俣委員のお述べになります通りこれは任意提出で提出されておると私どもは聞きました。その提出前にすでにそれは写真にとられて各方面に回されております。私も現にその写真を持っております。実はここへ出したいのでありますが、きょうは控えておきましょう。これは、私どもの機関に諮らねばならぬところ、きょうは相談する機関が十分議がまとまりませんために、出すことはできませんが、その内容は私ども承知をいたしております。ところが、その一部の人を調べ、一部の人についてはまだ調べが済んでおらぬにもかかわらず、そのマル済と書いてある二人だけについては容疑なしとおっしゃる。しかも、マル済と書いたメモのお手元にありますことはただいま刑事局長御答弁の通りであります。マル済と書いておる以上一応の容疑ありと見なければなりません。刑事局長みずから、その真偽いかんということについてさればこそ苦心をして捜査をしておると今答弁をなさいました。されば、そこに容疑がある。容疑があるのに、ほかの面においては捜査中だから明らかにしない、捜査中だから言えない、しかしその二人の分については容疑がなかったと明確に御答弁なさいました。それは捜査が済んでおる証拠だと私は受け取るよりほかにはないと思います。いかがでございましょうか。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 私が過般の委員会で名誉棄損の告訴を提起された両君について申し上げましたのは、私が受けておる報告によれば容疑は全くないということを申したのでございまして、私は、さようなメモの中にあるかどうか、それに済と書いてあるかどうか、さようなことは存じません。それに触れて申し上げたのではございません。  また、私が申し上げたうちに、検察当局の方から漏れておるかもしれぬという疑念を持ってお答えしたということでございますが、ともかく、名誉棄損の訴えが検察当局にも向けられておるのでございますから、ただ一概に門前で、さようなことは絶対にない、こういうふうに受け取るよりは、一歩退いて、もしあったときはこれは一大事であるから、その告訴の趣旨に従って調べてみるという態度に出なければならない、かように考えておって、そういうふうに申し上げたのでございます。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 その当時において容疑がない、将来まだ調べたらどうなるかわからぬという趣旨であるならば、それは一応聞えます。しかし、私どもの聞くところによれば、その証拠は十月六日に提出されており、竹内局長もみずから、そのマル済の真偽いかんということが問題であるために、さればこそ検察当局が苦心をして調べておるとおっしゃっておる。従って、法務大臣はその報告を受けないわけはない。報告を受けておりながら、ほおかぶりをして、その点には一切触れないと御答弁なさいましても、これはとうてい私どもは承知のできるものではありません。ことに、このメモは検察当局から漏れたものではない。十月六日に出される以前に相当複製されて各方面に売り回っておる。被疑者のうちへもそれを持っていって、拒絶されて、それが問題となって、逆に逆証拠に提供されておる事実もあがっております。この点は十分お調べになっておることと思います。刑事局長はいかがでございましょう。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内説明員 大臣が仰せられた趣旨は、容疑として聞いていないということでお答えをしておるわけでございます。私ども、容疑が出ていないものを容疑が出ているかもしれぬとかあるいは将来出るかもしれぬというお答えはできないわけで、そういう趣旨でお答えを申し上げたのでございます。なお、このマル済を捜査しておるのではございませんので、私どもは売春汚職を捜査しておることは申すまでもないことであります。どうぞその点御了承願います。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 大臣は、容疑がないという報告を受けた、そこでそういう答弁をしたという。それならば、その通り、私は何も知らぬが、検察当局は容疑がない、こう言うたから、それを申し上げますということになるわけです。しかし、全く容疑がないと断固としてお答えになった。そこで今いろいろの問題が出る。私は名前を出すのははばかったのでありますが、佐竹委員がすでにおっしゃったのであるが、われわれの見ましたメモには、今問題になっておりまする御両人とも、眞鍋代議士、その起訴された方と同じしるしがついておる。ところが、そのマル済については前から質問されておっても、捜査中だからということで明白な答弁をなさらない。しかるに、この両名の潔白だけはもう疑うべからざるがごとき答弁をなさっているので、そこに私どもは筋が通らないと思う。それならばマル済なるものの意味がもうすでに明らかになっているはずだと思いまして、私は両名に触れずしてマル済の意味だけをお尋ねするつもりで言ったのであります。そこで、今あなたの御説明、竹内局長の御説明を聞けば、まだ捜査中で、あいまいで、今非常に苦心してその全貌をつかむに努力しているよろな御説明。そうなると、この御両名に対して全然何も容疑がないということを言い放つのは時期尚早じゃなかったのじゃなかろうか。今捜査中であるという答弁ならばそれは妥当であるけれども、ほかのことはすべて捜査中であるということで答弁なさらずに、この御両名だけに対して、潔白である、何も容疑がない、こういう御説明をなさった。しかし、私は、これはある程度、ああいう疑惑が出たとしますならば一応法務当局としてはそういう答弁をしなければならぬ立場であったろうとも了解しますけれども、私がきょうお聞きするのは、マル済の正確な意味であります。それがいまだにつかめないということで、全部潔白だという証言は、私は、ちょっと早まっておる、その間に矛盾があると思うのです。そこを実は確かめてみたかった。だから、きょう検事総長を実は呼んでおいた。検察の第一の責任者は検事総長であります。検事総長を国会に呼ぶのはどうかこうかなんて言いますけれども、私はそうじゃないと思う。わが国の検察庁法を見れば検察当局というのは相当独立性を持っております。法務大臣といえどもむやみに指揮できない。むやみに指揮すれば問題が起る。だから、相当の独立性を持っておるところに責任があるわけであります。ですから、私どもは検事総長の口から聞きたかった。法務大臣は、ただ検事総長がないというからないと言ったんだ、こういうことではどうもたよりないのであります。しかし、法務大臣としてはそれ以外にしようがなかろうとは思います。だから、検事総長の責任ある答弁を私は聞きたかった。マル済という印が押してあってもなお潔白であるということが、一体何によって判断されたのであるか。私はそういうマル済なるものがついておらなければそれで了承するのであります。いかに新聞がどうあっても、それはないものはないのだ。しかし、そういうものがとにかく証拠書類として出ている以上は、そのマル済の意味を明らかにせざれば、清浄潔白だとは言い切れない。世間が承知しない。そこできょうの質問をいたしたのでありますが、まだ捜査中でマル済の意味がはっきりしないということと、この御両名は全然潔白であるということの間には全然矛盾がないと思いますか。どうお考えになりますか。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内説明員 このマル済の問題につきましては、先ほどお答えいたしましたように、マル済と書いてあることがすべて金銭の授受に関連のある意味においてのマル済であるというふうにのみは言えないと思うのでありまして、その点は先ほど申し上げた通りでございます。しかしながら、マル済であるかどうかを調べておるのではなくて一その結果がそのマル済に合うかどうかということを今調べております。御了承願います。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そのマル済をあなたが調べているというのじゃない。それは実証の問題の話なんです。そういう証拠があるのに、その意味がはっきりわからぬうちに法務当局として法務委員会に責任ある答弁が一体できるのかどうかというところに疑問が残ったからの質問なんです。何もマル済だけを調べるという意味じゃありません。しかし、もしそれが全く金銭授受を意味するものじゃないとするならば、非常に被害を受けておる者が多い。大体そこから出てきておる。ですから、私がさっきあげたいろいろな週刊読みものその他もお調べをしたかということは、結局それを調べてマル済なるものの意味がだんだんわかってくるのじゃなかろうか、その意味で私は言うたが、その方もお調べになっておらぬという説明です。とにかく、私は、そのマル済なるものの意味のはっきりしたところを、法務委員会が疑惑をこうむっておりますから、当法務委員会に一日も早く報告していただきたい。それが私は妥当なことじゃなかろうかと思う。その意味になるとまだ捜査中だと言いながら、特定の人だけは潔白だ、こういうようなことでやっておりますと、何言ってるんだというて国民が承知しないのです。いいかげんなことを言うておると国民が疑惑を持つのだ。そうすると、捜査当局の捜査活動をする者に対して相当の色めがねをもってこれを見るように相なりまして、私は司法権のために惜しいと思う。ですからこの質問をしておるわけであります。私はこれは検事総長がやるべきものだと思います。何も検事総長は引っ込む必要はない。だから、法務省も、検事総長に進んで国会に出て答弁に当られるようにしてもらいたい。法務大臣は、そういう報告を受けた、それだからそう答弁したのだ、——またこう言うよりしようがないと思うのだ。第一線を指揮しておらぬのだから。そうすると、われわれとしてはだれにはっきりしたことを聞けばいいかわけがわからぬから、検事総長が出て、これはこうだ、あれはああだと説明していただきたいと私は思う。きょうはその程度以上できないとするならばやむを得ません。私宅その程度にしまして、次に移ります。  次に、この売春汚職なるものの実態は、私は二十二国会の売春等処罰法案の出たころ、これが最も山だと思っております。私どもこの法案に対して長い間苦労してきた者から見ますと、大体の売春業者の動きというものもつかめるのです。この二十二国会に売春等処罰法案が出たとき、これが彼らが最も活発に活動したときであり、いろいろの説が流布されたのでありますが、私はこれが第一の山だと思う。そこで、この二十二国会の売春等処罰法案の審議をめぐりまして、検察当局はこの実情をほんとうに系統的にお調べにならぬと実態が把握できないのではないか。そこで、私もそれに関係して大へん苦労してきたから、今これを回顧するのでありますが、二十二国会に売春等処罰法案——これは社会党法案なんて言っておりますけれども、事実はそうではないのでありまして、当時民主党、自由党、社会党とあったわけでありますが、ほとんど各党合作の法案みたいになって正式に提案せられたのであります。昭和、一千年衆法第一四号、売春等処罰法案、右の議案を提出する、昭和三十年六月十日、そうして提出者がここにちゃんと印刷されておる。これには当時の自由党、民主党両方の方々が提出者になっておりまして、犬養健、高橋禎一、塚田十一郎、中山マサ、星島二郎、宮澤胤勇、山下春江、提出者としてこの七人、それから賛成者としてこの通りたくさんの自由党、民主党の良心的な人たちが、わが党の主張に賛成をいたしまして共同提案なんです。そこで、婦人団体も、今度こそは通るぞ——婦人団体は実にこれはもうおそれ入った活動をいたしまして、ほとんど全国会議員を個別訪問をいたしまして賛否の署名をとって歩いた。私どもその報告を受けました。猪俣さん喜んで下さい、過半数に達した、絶対に今度は通ります、この通り署名をとってきました、しかし至るところで売春業者とはち合せをいたしましてお互いににが笑いしてあれしました、こういう報告を受けた。当時また、傍聴券の問題でも、婦人団体が押しかけてきますと、いつの間にか、時間外でありますが、多数の傍聴券が売春業者の手に渡っておる。そして売春業者は腰かけにすわって傍聴をしておるが、婦人団体はそのためにうしろで立ちんぼというようなことになりまして、これが非常に問題になりました。傍聴券を何人がどういう状態で出したのであるかという問題が起った。実に彼らは活発なる活動をして、何千万円という金をばらまいて歩いたというふうに私は聞いておる。しかし、とにかく自由党、民主党は、これは自由問題だという党議であって、さればこそ自由党、民主党の人たちはこのいわくつきの法案に提出者、賛成者としてちゃんとりっぱに提案されておる。しかるに、当時の民主党は、現在の岸総理の幹事長を中心とした総務会において、七月十五日に突如としてこれに反対することの決定をなさり、次いで自由党は今度は七月十八日、——十九日が採決の日です。その前夜になって反対を決定した。そこであわれをとどめたのはこの提案者であります。自分が提案しておった法案に否決の投票をせざるを得なくなった。実にこっけいというか、むざんというか、話にも何にもならぬ。私も塚田十一郎君も同じ選挙区でありますから、連合婦人会から、保守党にかかわらず提案者になられた塚田さんは実に人格者だといって賛辞を呈されたのに、反対の投票をしておる。しかし、彼が反対の投票をしたからといって責められない。党議として決定されたのならやむを得ない。そこで、何がゆえに提案者として正式に国会に印刷物として名前を列するくらい党が自由問題として取り扱ったものを採決の直前になってこれがひっくり返ったか。当時の民主党の幹事長は岸総理であり、自由党の幹事長は石井副総理であります。現内閣の双軸じゃないか。この人たちこそ一体売春汚職を徹底的にやっつけるつもりでありますれば進んで当時の模様を説明しなければならな、そこで、かような状態を検察庁が知らぬ道理はない。知らぬというのはまさに迂愚の至りだ。知っておったならば、この岸総理、石井副総理に、当時どういうわけで急に党議が変更になったか、その実情を聞く必要があるはずであるが、お聞きになったかどうかをお聞きいたします。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内説明員 ただいまの問題でございますが、私は、そういう党議が決定したかどうかということにつきましては、まことに事情にうとくて存じておりませんでしたが、しかしながら、そのひっくり返ったと称せられるこの事態が、売春汚職の犯罪の成否に関係を持ってくるとか、あるいはまたある被告の情状に重大な関係を持つという事柄でありますれば、これは検察庁として明らかに捜査しなければならぬ筋合いだろうと思いますけれども、そういうものに関係があるかどうか、またかりにそういう党議があったとして、その党議に基く決定が、今申しましたような事項に関係を持ってくるかどうか、そういう判断は、検察庁が捜査を進めていく上において、ある段階に行きましてそういう判断をしますならば、当然捜査をする事項であろうと思うのでございますけれども、ただいま私どもの聞いております範囲では、岸、石井両氏をその意味において取り調べたという報告を聞いておらないのでございます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 だから、あなた方が本気でやるならば、この二十二国会のこの業者の活動が中心でなければならぬ。そうして、しかも当時いろいろなうわさが出ました。それは、吉原その他のああいう特飲街は、大きな建物を建てるについて相互銀行あるいはその他の庶民金融機関から多額の金を借りて、その建物がみな担保に入っておる、そこで売春禁止法が出て営業ができなくなるとほんとうの被害者は銀行だ、そこで銀行業者が売春業者と相談の上相当各党の大物連中のところへ、あるいは料亭あるいは個人宅へ訪問して了解運動をやっておるということを、当時業界紙を発行しているその業界の連中と非常に親交のあるある男が私にさようなことを話されました。私どもは、一体銀行がそういう売春業禁止反対の運動をしておるというようなことは思いも寄らぬことと思っていた。ところが、事情を聞いてみると、なるほどなと納得ができる。銀行家であったら目につかぬ。業者であるからにはおもなものは新聞記者が目をつけておるが、銀行家が相互銀行の重役とか社長というものが自民党の代議士諸公と会うなんて目につかないために、その運動が着々と効を奏した、こういうことを私は聞いた。そういうただ抽象論だけで、われわれは捜査権がありませんから具体的につかむわけにいかぬが、それはあり得べきことである。相当業界に詳しく入り込んでおる男の話でありました。そこで、あなた方にもそういうことがもう入っておると思う。そういうことが入っておらぬとすれば、それでは検察庁は私以下になってしまう。(笑声)入っておると思うが、そういう報告を捜査されたかどうか。今言ったように、この自民党の自由問題とした党議が採決の直前になって否決というふうになってしまった。全国の婦人団体が声を上げて手放しで泣きましたよ。こういう悲劇を起し、なおまた、提案者であるにかかわらず反対討議をするなんという、実にこれは議会政治として全くの醜態を演ぜしめた。これは私はその辺に連関があるのじゃなかろうかと思う。そこで、一体そういう方向にお調べをしているかどうか、それをお聞きします。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内説明員 犯罪の捜査は、いつも申しますように、証拠を追って進めていくわけでございまして、単なる風説によって取調べを開始するといったようなことはいたすことができないのでございますが、それにいたしましても、事捜査に何らかの資料を提供するような事項につきましては必要によっては調べるわけでございますが、その必要事項でありましても、捜査にはおのずから先後優先の問題がございますので、今のお話の相互銀行その他庶民金融機関といわゆる特飲街の業者とのいろいろな関係等につきまして、捜査上必要な事態になってくれば当然これは調べるべき事項であろうと思いますが、ただいま、そういう方面についての調べをしたかどうかということについては、何ら報告を受けておりませんので、お答えいたしかねるのであります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 それは、法務大臣、一つ至急報告を受けた方がいいと思う。岸、石井両氏も調べていないし、そういうものも調べてないとなれば、ほんとうの真相はわかりませんよ。そんなことで徹底的にやる徹底的にやるなんて言ったって、これはから念仏になる。だから、私は、検事総長を激励するとともに、もしこういう事情を知らぬのだったら教えてやろうと思ってきょう呼んだところが、出てこない。これはあなた方からお伝え願いたい。この当時相当の問題があって、しかもほとんど大っぴらだ。婦人団体の諸君が傍聴に来まして、廊下で業者と入りまじって、まだドアがあかぬので立ち並んでおる。そうすると、業者らしいのが、あの男には二十万やった、あの男には三十万やった、あれは三十万受け取ったにしては煮え切らぬね、なんという話を廊下でしておる。これは私どもの党の幹部の奥さんたちが聞いておるのです。それで神近市子委員にその旨を雑談で話をしたわけです。ところが、神近さんが法務委員会にこの質問をした。そこで、法務委員会は、そういう疑いをかけられたとするならば徹底的にそういう問題も法務委員会としては自主的に調査しようという決議をしたわけです。ところが、その後何にもやっておらぬ。私も法務委員の一人として汗顔の至りですが、何もやっておらぬ。そこで、罪滅ぼしに、何としても検察庁の売春汚職追及に対してはあなた方に御協力したいと思って今こういうことを言っている。あなたを責めているのでも何でもない。今お聞きすると、あまりよくわかっていないようなんですが、私どもは長い間苦労しておりますから勘でわかるのです。相当の金がばらまかれている。それですから、これはそんな簡単に、——十一月一ぱいで打ち切りだなんという説が流れておるが、そんな簡単な処置をなさったら天下の世論はごうごうとして法務省と検察庁を糾弾する。ひいてそれは保守党のためにならぬと私は思う。それですから、どうぞ厳正にやっていただきたい。  そこで、なお、これはさきに林委員の質問で明らかになったと思いますが、この国会開会前に逮捕した議員を国会が始まった際にどういう取扱いをすべきかということについて、政府の統一ある御見解を今あらためてまた承わりたいと思う。何か国会の議院運営委員会が検察庁なり法務省なりに圧力を加えたがごとき印象が語られておりましたが、それは、さきの答弁で、さようなことはなかった、また議院運営委員会でもそういうことはなかったということになったそうでありまして、それは了といたしますが、なおしかし、法律問題として問題が残っている。そういうことに対して法務省はどういう御見解を持っているか、お聞かせ願いたい。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内説明員 憲法五十条、国会法三十三条、三十四条、これは申すまでもなく国会会期中における議員の不逮捕特権を規定したものでございます。その限りにおきまして検察権の運用が一定の限度において制約を受けますことも、これまたやむを得ないところでありまして、その解釈につきましては異論のないところでございます。そこで、今お尋ねの国会会期前に逮捕した議員について開会後においてどういう措置をとるべきかという点でございますが、法務当局といたしましては、さような場合にはできるだけすみやかに釈放いたしまして、国会審議に支障を生ぜしめないように処置いたしたいというふうに原則的には考えているのでございます。そこで、そうは思いますものの、真にやむを得ない場合にはこれは例外となることは当然でございまして、その真にやむを得ない場合とは一体どういうことなのかという点につきましては、その事件そのものが重大な事件であるとか、あるいは、捜査の過程におきまして、緊急性と申しますか必要性と申しますか、そういうものが、釈放しますことが適当でないと判断される場合には、これはやむを得ないものとして引き続き釈放しない、こういうことになろうかと思います。そういう事件の重大性とか緊急性とか必要性とかいったような問題につきましては、検察官の健全な常識で判断をされることであろうというふうに考えているのでございまして、これが法務省の従来とって参りました考え方でございます。

高橋禎一自由民主党

○高橋(禎)委員長代理 質疑はこの程度にとどめます。  本日をもって第二十七国会も終了するわけでありますが、旬余の短かい会期ではございましたが、その間委員各位の御協力によりまして委員会活動が適正に行われましたことにつきましては、委員長にかわりまして私から厚く御礼を申し上げます。先ほども申し上げました通り、委員長は今病気のため入院加療中であります。委員の皆様方とともに委員長の回復の一日も早いことをお祈りいたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後一時四十九分散会

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