法務委員会 第4号
- 発言数
- 89 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1957/11/11
会議録
○三田村委員長 これより法務委員会を開会いたします。 法務行政及び人権擁護に関し調査を進めます。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。辻原弘市君。
○辻原委員 公安調査庁にお伺いをいたします。 お尋ねをいたしたい事案は、去る十月十四日に当委員会で私並びに田中幾三郎、田中織之進両委員から提起をいたしました、和歌山の公安調査局におけるスパイの強要事件についてであります。当日関次長からこれまでの経過についての調査局の御見解を承わったのでありますが、その際に私は問題を二つにいたしましてお尋ねをいたしました。一つは、この事案のごとき調査方法が果して破防法の規制に基く適法な調査活動であろうかという点と、いま一つは、その事件が起って、民衆の間からそれに対する抗議の活動が起った、その後における調査局の行政当局としてのあり方の問題であります。前僕の問題は、すでに二つの訴訟、告発の問題が提起せられておりまするし、克明にその内容をたださなければ、もちろん的確なる判断が出ないのでありますけれども、しかしながら、それぞれただいままでに現われましたその調査の方法を見てみますると、はなはだしくわれわれには合点のいかない点が多く出て参っておるのであります。これを関次長は先日の委員会でかように答弁をせられておるのでありますが、それについては後刻大臣にもお伺いをいたしますが、法務当局においては見解を統一して当委員会に御答弁なさるよしでありましたので、承わりたいのぐありますが、関次長は、破防法第三条に規定されておる規制の範囲内における調査活動がこの和歌山における調査活動であった、こういうように認められておるのであります。さらに、私の質疑に対しまして、そういうようなことが適法かつ合法な調査活動であるとするならば、これはいかなる団体といえども、またどのような労働組合であっても、公安調査官の内部に対する捜査活動が行い得るではないか、こう私が尋ねたことに対しまして、関次長は、共産党員の存在するところ、いずこの場所、いずこの組織団体であっても調査活動は行い得る、また行なっておるやの言明があったのであります。まずその点から、一つ関次長の先日の答弁に対する何らかの補足的な説明なり、また見解を承わりたいと思います。 同時に、あわせて、この問題につきましては、さらにこの事件と前後いたしまして、福島県におきまして、また最近においては学連の副委員長が警察あるいはそれらの捜査当局の手先になってスパイ活動をやっておったというような事実に徴しましても、まことにこれらは、合法的な団体の活動、労働組合の運動、さらには国民の人権、思想、そういう点に対するいわゆる権力をもってするスパイ強要ないしはスパイ活動といったものを非常に強く感ずるのでありまして、そういう点からも、破防法制定当時の経緯にかんがみても、これらの調査活動の範囲ということはきわめて重要な、しかもまた厳密に検討されて行われなければならぬ問題であると思いまするから、大臣からもあわせて一つ誤まりのないしかも統一された見解を当委員会において述べられることを希望いたしたいと思います。
○関説明員 破防法による規制に関する必要な調査という内容のお尋ねに相なるかと存ずるのでありますが、現実のり具体的な問題として、和歌山において行われた和歌山の自労内の共産党員と疑われる者に対して私どもの調査官か行なった調査、これがどうなるかというこの点につきましては、先日破防法の範囲内においては必要やむを得ざる範囲内であろうというふうにお答えいたしたのであります。それで、結側、破防法の建前から申しまして、現在どうも日本共産党は破防法による破壊的な容疑あるものというふうに私どもは判断せざるを得ないのであります。その綱領その他の言動などを見ますと、どうしてもそういうふうに考えざるを得ない。そういうふうにいたしますと、その組織活動のある限りにおいては、それも明らかにする、こういうようなことが法律上どうしても私どもに課せられた一つの義務に相なる、こう思うのであります。そこで、あらゆる団体がどうかというお尋ねに相なりますが、共産党の組織がいろいろの団体に伸びておる、ある団体の中に共産党の細胞がありますれば、組織的にはその細胞が共産党の指揮命令を受くることに相なるのでありますから、どうしても、その共産党の細胞がどういう人々によって構成され、そしてどういう動きをするか、こういうようなことは一応明らかにしておかなければならない、こう考えておるわけであります。そういう範囲、そのために必要な明らかにする所為、こういうものはやはり破防法二十七条の全くの任意の調査権の範囲において認めていかなければならない、こういうふうに考えているわけであります。
○唐澤国務大臣 前回この問題についていろいろと御意見がございまして、よく承わりました。前回も最後のときに私が申し上げましたように、公安調査庁といたしましては一応共産党の活動を破壊活動防止法の対象と考えて調査をいたしておる次第でございますが、この党の活動、党の組織が他の団体へ伸びて参りますれば、共産党そのものを調べるというこの必要から、自然他の団体内における共産党の活動、共産党の組織を調べるということにになったようないろいろのことが起るわけでございますが、その目的は共産党そのものの組織活動を調査するという点に重点があるのでございまするから、相当慎重な考慮をもっていたさなければならないということは前回も申し上げた通りでございます。
○辻原委員 ただいまの御説明によりますると、その気分的な配慮というものがかりにどうありましょうとも、事実上今のお考えでもって調査活動をやるとするならば、これは、先般関次長が申し述べたように、共産党の活動、すなわち共産党員が存在する限りにおいては、いかなる場所といえどもそれは調査し得るといういわゆる拡張解釈となるのであります。ところが、この問題は本年の二月ごろから非常に問題となりまして、と申しますのは、二月二十三日のたしか衆議院の予算委員会の分科会であったかと思いますが、当時の高橋次長の言明、すなわち次のようになっておりますが、調査対象の団体は現在日本共産党だけであり、組織や活動を調査し、そのこと自体は破壊活動でなくても、だれが党員かを明らかにするのに役立つことはすべて調査をする、こういったような高橋次長の言明が、これは少くとも個人の思慰、個人の人権、また合法的ないわゆる団体、労働組合等の組織活動を侵害するものであるという非常な疑義と問題が生じまして、それについて、その後五月の十五日の外務委員会において、また先般の十月十四日の委員会においても申し上げておりますが、このことについて再度公安調査庁並びに法務当局の責任のある答弁を求めましたところ、次のように当時の中村大臣が言明をせられたのであります。いわゆる、至るところ、共産党員の存在するところすべてを調査対象にするということは行き過ぎである――その当時の速記録を徴してみますと次のようになっておる。破防法を拡張解釈することは誤まりであり、共産党あるいは党員の何でも全部調べるというのではいけない、思想のいかんで調査対象とするのは行き過ぎであり、これは今後十分戒めるということになっておるのであります。これは、二月の予算委員会における高橋次長の述べておるニュアンスと、それから今申し上げた点のニュアンスとには非常に大きな隔たりがあるのであります。片や、非常に拡張された方向にすべてを調査対象にできる、こう意気込んでおるし、片や、そうではないのだ、一応その対象にはなっておるが、それを全部調べるということは行き過ぎもはなはだしい、従って、そういうような思想を持っておる党員が存在するからということでそれを調べるということは今後戒める、こうなっておるのであります。そういたします、と、今唐津法務大臣が述べられましたお答えとも私はいささかその趣旨、そのお考えが異なるように思うのでありますが、これは唐澤大臣御就任後またそういうふうに徹底的調査ということに御方針を切りかえたものであるかどうかさらには、それがまた現岸内閣の政策として強化強調されてきあものであるかどうか、その点を一つ率直に承わりたい。
○唐澤国務大臣 私はまだ、中村前法務大臣がどういうふうにお答えになっておりましたか、よく承知をいたしておりませんから、あるいは中村法務大臣のお考えになっておったところと食い違いがあるかもしれませんけれども、も、私の今考えておりますことは、共産党の活動を破壊活動の防止の意味合いからこれを調査の対象としなければならぬと考えておりまする以上、破壊活動の基本となるところの党員のおりまするところにつきましては、自然これを調査する必要ができてくると考えるのでございます。しかしながら、ただ形式的に党員があればすぐ直ちに調査をするということではなくして、破壊活動を防止するという観点から調べていくのでございますから、党員のおるところで調べる必要の生じた場合に調べることもありましょうし、党員がおっても調べる必要がないと見たところは調べないでよかろううと思のでございまして、要するに、どこまでも破壊活動防止法の精神に基いて、破壊活動を防止する、そのための準備調査ということに限定されると考えております。
○辻原委員 今、中村法務大臣の言明がどうあったかは知らぬということでございますが、これは私は大臣のお言葉とも思えません。これは、前に十四日に、今私が申し上げた速記録による中村大臣の言明を、これは田中委員からも指摘をして、その上で、一体統一された法務当局の見解というものはいかがかということをわれわれがただしておる。それで、三田村委員長から、それは早急に適当な機会に重要な問題であるから見解を統一して委員会に発表するようにとお話があった。ところが、今日までたびたび法務委員会も開かれたけれども積極的に大臣からその点についての言明がなかったので、私はないままにこの問題を取り上げておるのであります。むしろ私が取り上げるのではなしに、お言葉に従えばあなたの方からそれについてお答えなさるのが至当なんです。それを、中村大臣の答えを私はまだ聞いていないとか知らぬとか言うのは、いささかその場限りの答弁であるように思われて、唐澤大臣とも思えません。いかがでございます。
○唐澤国務大臣 その点は深くおわびをいたします。実情を申し上げますと、今まで公安調査庁でどういう調査をやってきたかということについてだんだん私も話を聞いておりますが、長官が、御承知のように洋行をしておられまして、それから帰ってきまして少し病気で休養をしておられたこともございまして、その点二、三相談はいたしましたけれども、まだはっきりした事務当局との統一解釈というところに到達いたしておりません。ただ、今私が申し上げましたのは、私はさように考えておる。さらに、中村大臣がいろいろの機会で言明されたということも十分検討をいたしまして、事務当局と相談をして、あらためてこちらから統一解釈を申し上げることにいたしますから、どうぞ御了承を願いたいと思います。
○辻原委員 そういう答弁でありますならば、その統一解釈を次の機会にお待ちをいたしてもよろしゅうございます。しかしながら、ここでわれわれが抽象的な談議を幾ら繰り返しても、国民が非常に危惧を感じておる人権の侵害と思想の自由とかいうものは守れないのであります。また労働組合の適法な活動というものは守っていけないのであります。何といいましても、官憲の手による調査であるとか、あるいはまたスパイ強要というようなものは、非常に国民の自由なる活動に暗い影を与えるということは大臣がよく御存じだろうと思う。そういう意味合いで、これ以上私は本格的な論議は今いたしませんけれども、問題はすでに具体的であります。和歌山の問題もしかりであり、福島の問題もまたしかりであります。また全学連における問題等、これも具体的であります。従って、もしほんとうに――今法務大臣から破壊活動防止法の本旨に照らしてというお言葉がありましたが、この本旨は、一つにはもちろん、われわれが反対いたしました通り、国民の思想、合法的な団体行動を規制するものであるという問題、それについてある面において規制をし調査をしていこうということが、われわれの立場からすればはなはだ残念でありますが今日法律となっておる、しかしながら、この法律は、そういった規制の活動が行き過ぎないように、あくまでも憲法に保障せられた基本的人権というものは厳然として守られるごとくこの活動の調査をやらなければならぬ、この二つが柱になっていると私は思います。そういたしますと、少くともこの目的の第二条にあるがごとく、また第三条のように、二十七条に示されている調査の範囲といったものは画然と守られなければならない。実際その衝に当る者は日夜このことを心して行わなければ、えてして人間の活動というものは権力を持てば行き過ぎるものであります。従って、具体的にそれが一般世の常識に照らし行き過ぎがある、非常に不可解なことがあるといったときには、仮借なくそれについてその行動を規制をして、その調査活動の行き過ぎを戒めるという態度でなければ、これは具体的に私は行き過ぎを是正していくことはできないと思う。そういう立場から和歌山の問題を考えてみますと、これはだれが常識で考えてみましても、この前も申し上げましたので繰り返しはいたしませんが、ともかく、共産党員でない労働組合の組合員、これについて尾行をし、しかも酒食を供与して金を与え、おまけに身分、姓名を明らかにしないので偽名をもってやるという、こういうような調査の手段というものが果して納得のでき得る方法、であるのかどうか。この点について私は何も具体的事実――このこと、今申し上げたことは、すでに和歌山の公安調査局、またその衝に当った本田調査官なるものもそれを認めており、関次長もそのことをこの報告によって認められているのであります。こういうことが果して常識上納得のいく調査活動であるかどうか。これは、大臣、あなたが常識的にお考えになればおわかりだと私は思う。しかし、部下も可愛いし、そういうことをうかつに言いますとこれは大へんでありますから、なかなか委員会ではそういうことはおっしゃられまいとしておりますけれども、おそらく、私は、心の中、腹の中ではおかしいとお思いになっていると思う。そういうことを私は戒めるべきであると言うのです。そうでなければ、破防法のわざわざ法の精神として入れた、行き過ぎを行なってはならぬ、人権を尊重しなければならぬということは、これはもう空文になります。大臣の御所見はどうで、ありますか。
○唐澤国務大臣 この前統一解釈を申し上げると申し上げまして、はっきりしたお答えのできなかったことは、先ほど申し上げた通りで、まことに遺憾、でございます。さて和歌山の問題でございますが、あのときだんだんとお話のありました情報収集の手段につきましては、お話と私どもが受け取っておりました報告とが多少事実の点について食い違いがあるようでございまして、これらの点につきましては、訴訟にもなっていることでございますから、いずれ判明することと思いまするが、その派生のことといたしまして、国会議員の皆さんがおい、でになった当時の局の扱い、これは、よく取り調べてみましたところ、どうもいかにも礼を失しておったのではないか、かように考えて、私からもこれはおわびをいたします。それから、あの委員会の席上で、初めて私は承知したのでございますが、今もって、バリケードを張っている、何と思うかというお話がございまして、これは私はその席上の御注意で初めて承知をしたわけでございます。委員会終了後直ちに問い合せてみましたところがそうだということでございましたから、すぐにそれは撤回したらよかろうじゃないかということを申したような次第でございます。特にあの問題につきまして一々申し上げる次第でもございませんが、その後の二点のことにつきましては私もよく承知いたしておりまするから、御面会になられた当時のことについては、私からおわびをいたしますから、御了承願いたいと思います。バリケードの問題はすぐに解決をいたしたはずでございます。
○辻原委員 私の質問から一歩進まれまして、第二段の行政当局としてのあり方について大臣は今触れられたのであります。大臣も、その後実情を調べられて、はなはだこれは遺憾であったということを申されましたので、その点について大臣にこの問題を私は深く追及いたそうとは思いませんけれども、しかしながら、これは、でぎるだけ部下のやった行動を是認し指導していこうという法務当局ですら、あの和歌山の公安調査局長以下のとった行動についてははなはだしく納得のいかぬものがあったとここでお認めになっておる。ましてや、私ども、当初から、あのような問題が提起されて、しかも非常な紛争にまで発展していったということを、何とか早くこれを調停いたしたいと考えて、また事件の真相をつきとめてしかるべく適当な方法によって解決いたしたいと考えたその当事者であるわれわれ社会党が、いかに公安調査局のその行動なりあり方について非常な憤激を覚えたかということは、大臣もよく御承知だろうと思うのです。そこで、最近、今大臣のお話しになりましたような、バリケードを解いて、そして何か日章旗をもおろしたということを私も現地にあって承知をいたしております。これはおそらくあなたの方からのお話によって現地はそういたしたのだろうと思いますけれども、話があるまで非常識なそういう行動をやめないというような実態が和歌山の公安調査局の考えであった。従って、私は、ただここで大臣がこれについておわびをするだけでは事済まぬと思いますが、これはいかがなものでありましょう。あなた方をもってしても、そういうような非常職な、しかもその非常識さがますます問題を紛糾させて、しかも、うしろに石井長官がおられるが、事があれば警察署に動員を要請ずる。警察も非常に迷惑がっております。他の諸官庁、しかも近くにあるところの行政管理局もまことに迷惑である。同じような国家の他の行政機関にも種々迷惑をかけるのみならず、民衆に対しては、ただもう問答無用、話は聞かぬ、こういうような態度をもって終始している。私は、それらの当該責任者をそのまま――われわれが破防法に基くきわめて慎重な、民衆に対してきわめて厚い考え方を持っておるときに、さような者を調査官として認めるわけにはいかぬです。ここで大臣がおわびをすれば事足りる、それはわれわれの気分的な問題はそれでけっこうでありますけれども、一体本来の職務遂行にふさわしい局とするためには今後何がしかの考え方がなければならぬと思いますが、それについて、大臣あるいは、きょうは長官がお見えになっておりませんので、関次長はどういうふうにとりはからわれるつもりであるか、この点を承わっておきたい。
○唐澤国務大臣 ただいまの御指摘の事実につきまして先ほど私が申し上げた通りでございますが、なお詳細に私の心持ちを申してみますと、私は現場におりませんから、事実がどうであったかということを、ただ報告だけでございますから、はっきりと把握することはできません。しかしながら、当時の情勢の報告によって判断してみますと、大分大勢の人に詰め寄せられまして、建物も狭いし、自分の方の人数も少いということで、非常に恐怖をいたしておった。単なる恐怖だけではなくて、自分たちは相当秘密の文書をかかえておる、――かつては執行に当る警察署ですら占領されたという事例もございます。いろいろとこの責任心等から考えまして、ここを大勢の力によって占拠されては大へんだ、自分の責任としてどうしても守らなければいけないというような考え方も加わったのではないか。あとから考えてみますと、過剰の恐怖があり、あるいは過剰責任心といいますか、とにかくどさくさの場合でありますから、少し現場認識について心配をし過ぎたというような点があったのではないか。これは現場のことでございますから大いに同情して考えなければならぬとは思うておるのでございますが、それにいたしましても、国会議員の方がおいでになった当時の接遇のあり方、いかに少しあがっておったといいましても、その接遇の方法とか、あるいはバリケードを張るとか日章旗を掲げるというようなことは、考え方としてはいかにも過剰な恐怖心から出たものではないかというように思われますので、私は、さような弁解を申さずに、結論的にあの際のことは少しこちらに落度があったと見ておわびをしたのでございますが、詳しく申せばまた同情すべき点も私はあったと思うのでございます。ただにこれをおわびするというだけでなくて、これがいい例でございますから、将来も関係公務員を成しめまして、こういうときに善処するように申し伝えておく次第でございます。
○辻原委員 大臣がそこまでるるお述べになりましたので、これ以上申し上げたくないのであります。私は決してただ公安調査局の態度を現象面だけをとらえて責めておるのではありません。私はずっと数多くの官庁にも接し、またわれわれ調査団に身分を置きました同僚議員の各位もあらゆる官庁と接し、そういった経験を持っておる。そういう気持ちに照らして見ても、いかにも非常識きわまることである。また、調査局の言い分を今大臣もちょっとお述べになりましたが、多数の者が押しかけたというお話がありました。もちろんそういった事態もあったでありましょう。そういう事態を惹起しないようにというのでわれわれがその調停を行なったのであります。しかも、これは八月二十九日でありますが、私も参りまして、ともかく十名程度の代表と会って話をしなければならない、繰り返し巻き返しそのことを説いたのであります。これは現地の新聞記者諸君も同席をされましてよく御承知であったはずであります。そうして、誤解のある点は話し合えばわかるのだ、話し合う場を作りなさいということを私が提議いたしました。その私の考え方を和歌山の自労のそれぞれの責任者も支持をいたしまして、そういうあっせんの労をとって私が初めて中に入った。その後、九月の二日の事態も、これは何らその際においては多数も少数も調査団以外にはだれもおらないのであります。そのだれもいないのにかかわらず、門扉を閉じて、窓から名刺を挿入する、そこから責任者が窓から顔を見せてその調査を断わる。そのことについて、あまりにも非常識であり、また本質的に事件を解決する熱意にすら乏しいのであります。ここでわれわれが議論をいたしましても、遺憾ながら調査局の言い分を克明に私たちは持っていない。その点において、われわれのここでお伺い申し上げることが、私どもが事実に当って調査をした以外に調査局の言い分を皆さんにお述べすることができない。なぜできないかというと、会って話をすることを拒否されおるのでありますから、物事を公正に判断し、公正に処理していくことができない。少くともわれわれ社会党は二大政党の一方であります。事件について公正な両者の資料を持って、そうして党の方針に照らしてそれを解決していくという、そういった態度を持しておるにかかわらず、それをあわせて拒否したというようなことは、われわれは黙過できないということを再三申し上げておるのであります。しかし、今大臣からやはりそういった行政当局としてのあり方の遺憾な点については今後は戒めるという御言明がありましたので、それ以上この点について私は触れません。 なお、先刻お話しになりました根本的な問題である破防法による規制の範囲ということは、これは十分統一されて見解を発表されるということでありますので、これは次回に承わることにいたしまして、私の質問を本日はこの程度にとどめておきたいと思います。
○藤井政府委員 しばらく旅行しておりまして、帰って参りまして和歌山の事情を聞きました。今日この席で大臣の御答弁、委員のお話も十分承わりました。実に遺憾に思います。今後、これを例といたしまして、再びこういうことのないように十分注意して、言葉は適切でないかもしれませんが、災いを転じて福となすという心持で全下部機関に十分注意いたします。ことに国会議員の方々に面会を拒否するということは実に遺憾と思います。すべての点において注意いたします。ありがとうございました。
○三田村委員長 田中織之進君。
○田中(織)委員 和歌山の公安調査局事件の基本的な問題は、公安調査庁の現存しております以上、きわめて重要な問題でございますので、特に、閉会中の委員会でございましたが、私も指摘した通り、五月十五日の外務委員会で中村法務大臣から当時のような言明をいただくまでには、藤井長官も二回にわたって出席していただきました。具体的な、たとえば日中友好協会であるとか、あるいは平和擁護委員会であるとか、原水爆禁止協議会であるとか、こういうようないわゆる民主団体の活動に関連して、破防法に基いての調査をする限界を、公安調査庁当局と法務大臣において十分打ち合せをしていただいて、実は表明していただいたものでございます。それが現内閣になりまして変化したということでありますれば、変化した理由もわれわれ伺わなければならぬと思いますので、十分そのときの速記録を検討していただきまして、国会の言明は言明だけれども、事務当局は事務当局で、やはり事務当局なりの解釈で現実に事態が進行しておるというようなことでは、こういう問題はしょっちゅう起ることになると思いますので、特にその点についての公安調査庁並びに法務当局の完全に統一した見解――を前回のものと同じであるということであればそれでいいかと思いますが、一つ表明していただきたいと思います。 そこで、和歌山事件の問題について、は、私らの関係団体の方で、これは破防法違反である、特に、身分を秘匿して脅迫的な態度をもって臨んだということは、一体破防法に規定しておる公安調査官のあり方に違反しておるものである、こういう建前で実は告発をいたして、和歌山検察庁がこれを受理いたしておるのでございます。先般私も外国から帰って参りましてから、この事情を聞きましたので、当時の楢原検事正にお会いいたしまして、この事件のすみやかなる処理をきめていただきたいということを要請いたしましたが、その後、先月でございましたが、和歌山地方検察庁の楢原検事正が広島に栄転をされて、後任者が見えておりますが、私は実はまだお会いをいたしておりません。そこで、実は刑事局長に伺いたいのでありますが、この問題の和歌山地検の取扱いというものは、これはもちろん検察庁の独自の見解に基いて起訴、不起訴が決定せられることと思うのでありますけれども、やはり法務省の所管内の問題でございますので、特に検察庁としての立場の苦しい点も私はわかるのでありますけれども、先ほど来関次長が言明しているように、和歌山における本田調査官の和歌山自労の小野田執行委員に対する調査協力を求めたことについては何らの行き過ぎがないという国会での責任のある答弁をされておるけれども、やはり和歌山地検としてわれわれが告発をいたしました破防法の点について当然結論が出なければならぬと私は思うのです。私らは、当然これが起訴されて、裁判所においてこのことについての判断が下され、公安調査庁の活動について、立法の趣旨から見たところの活動の規制――特に人権擁護の見地から重大な規制を本法において行なっておるわけでありますから、そういうことに対する裁判所側の権威ある見解が示されることと思いますので、われわれは地検がこれを起訴いたしまして裁判に付することを望んでおるのでありますが、あるはわれわれの希望の通りに参らないにいたしましても、いずれにしても、和歌山地検の本告発事件に対する処理というものの結論が私は出なければならぬと思うのです。その点については、刑事局長は、十月十四日の閉会中の委員会におきましては、今地検で調査中の案件であるからということでありますが、今日までにその後の経過について刑事局の方で報告を求められたことがあるのかどうか、報告が参っておるといたしますならば、どういうような事情になっておるかという点をこの際明らかにしていただきたいと思います。
○竹内説明員 先般、桐原検事正に対しまして、この事件の処理は至急してほしいという希望を申し伝えておいたのでございますが、今お話しのように検事正の更迭がございましたので、新検事正に対しましてまた同趣旨の引き継ぎもあったことと思いますが、なお重ねて処理の促進方を希望いたしておきました。しかるところ、処理は一生懸命にやりますということでございましたが、まだ処理の結果につきましては何ら報告を聞いておりませんので、どういうふうに判断するかということはここで申し上げられないのでございます。しかしながら、今お示しの、公安調査官のあり方、特に活動の法的根拠、あるいはその合法性、非合法性といったような問題等は、検察庁は、一、二の若干の先例も、裁判所の見解もあるようでございますので、もちろんそれらの見解を十分検討して、独自の判断をされるものと期待いたしております。
○田中(織)委員 われわれは、関次長が十四日の委員会また本日述べられた本件の問題の基本になりました本質的な問題についての公安調査庁側の判断には納得しかねるものでありますけれども、かりに調査庁の事務当局の見解が正しいといたしましたならば、当然この告発事件についても同一の結果が私は出なければならない性質のものだと思うので、その点からもわれわれは地極が公正な判断に基いて立件をいたしまして裁判に付することを期待いたすものでありますが、その点はわれわれの期待にとどまる問題で、いずれにいたしましても、それをするごとによってこの問題に対する一つの進展になるので、せっかく事件処理を早急にやっていただきたいという点を重ねて要請をいたしておきます。 次に、前回にもお尋ねをいたしたのでありますが、本件の場合に、本田調査官から小野田君に対して、協力に対する謝礼という意味だということでありますけれども、一金千円也をポケットにねじ込んだという事実がございます。この点につきましては、関次長の前回の答弁では、それはいわゆる総額三億七千万円になる公安調査庁関係の調査費の中から支出したものであるということも答弁をせられたのでありますが、従いまして、この点については、小野田君はそれを受け取ろうとはしなかった、それをポケットにねじ込んだというような状態のままにあります関係から、当然小野田君から協力に対する謝礼の領収証等が出されていないことも、これまた事実でございます。そこで、これは同僚の古屋委員がもう数年来問題にいたしておる点でございますが、この際伺いたいのは、公安調査庁の調査費の中で、この種のいわゆる機密費と申しますか、こういうような形で領収証をとらないで支出をいたしておる金額が一体どの程度のものがあるのか、この際一つ明確にしていただきたい。これは、われわれが国会で決定をいたしました予算に基いて国民の血税が使用せられるのでございますから、その点はきわめて重要な問題でございますので、総額本年度は三億七千万円――人件費五億二千万旧に比べてそれの七割に近いところの三億七千万円からのいわゆる調査費が計上されておる。それが、今度の場合のように、たとい千円の金といえども、領収証も取らないで、本人が受け取らないと言うのにポケットにねじ込むような形でその金が使われるということでは、われわれは一体何のために予算について国会で厳重な審査をやっておるかということについても関連をいたしますので、これは当然決算委員会でも取り上げる問題だと思うの、でありますけれども、この際、その千円の問題に関連をいたしまして、本年度三億七千万円のうち、領収証を取らないで支出しておる金の総額は大体どの程度になるかという点を明らかにしていただきたい。
○関説明員 お答えいたします。現実に本田調査官が渡した千円は、本田調査官からは確かにまだ受取証はもらっていないのであります。ところが、受取証は取らないで出す活動費があるかといいますが、これは全然ありません。すべて受取証を取っておるのであります。それは、たとえば今の具体的な例でありますが、本田調査官の場合は、小野田君から取ることができないから、本田調査官から、これはしかじかに使いましたというふうに説明、証明を書きまして、それを受取証のかわりとして保管する、こういうことにやり方をしておるわけであります。これは、調査活動のいろいろな秘匿、どうも自分は名前を出すのは好まないというようないろいろな問題がありまして、まれには今のような事態が起きてくるわけであります。その場合にはそういうような方法をとっておるわけであります。そういうふうにしてやや例外的なものでありますが、すべて受取証を取り、普通の会計法の線に載せて全部やっておるわけであります。
○田中(織)委員 それは意外なことを聞くものであります。領収証のないものは全然ありません、しかし本田君が小野田君のポケットヘねじ込んだような金については、こうした目的の用途に使用したという本田調査官の報告書は出ておる、――その報告書と領収証とは私は本質的に違うと思う。従来こういうケースもないではなかったと私は思うのです。そういう場合に会計検査院がそれを見過ごしておるのですかどうですか。会計検査院はそれで納得をしておるのですかどうですか。その点を明確にしていただきます。その答弁のいかんによりましは、次回の委員会には会計検査院の責任者に来ていただかなければならぬ。そういうことでは、支出した人間が自分で書いた報告書で、会計検査院が財政法によるところの公金の支出について領収証を添付するということを見のがすというような権限が会計検査院に与えられておるということになれば、これは重大問題です。その意味で、こうした用途に使用したという当該支出者の報告書によって、会計検査院がそれでよろしい、こういうことになっているかどうか、その点を明確にしていただきたい。
○関説明員 今のような小野田君に渡した金でありますが、報奨として渡したけれども、どうしても本人が自分は名前を出すのを好まない、こういうような例がまれには起きてくるわけであります。その場合に一体どうしようかというような問題を心配いたしまして、要するに、正しくそういうふうに使われたという何がしかの証明的な書類を確実に保管しておく、こういうようなお話があったと記憶しておるわけであります。そういうふうに考えてやっておるわけであります。
○田中(織)委員 それではまだ納得はできないのですが、委員長、次回には会計検査院の責任者を呼んでいただきたいと思うとともに、場合によればこれは決算委員会でも取り上げていただかなけばれならぬかと思いますけれども、直接決算にも関連する重要な問題ですから、会計検査院をお呼び願いたいと思います。 そこで、それに関連して伺いますが、小野田君にはちゃちな、飯屋に毛の生えたようなものでありますけれども、そういうところで二回にわたって酒食を提供いたしておるのであります。そういうような関係の費用は調査官の個人の負担でありますか、それとも調査費名目で支出することが認められておるのでありますかどうか、この点を明確にしていただきにい。
○関説明員 協力を求めるプロセスとしましてやはり何がしいの会食をするというようなことはあり得ることでありまして、そういう場合も調査活動費等から出すことに相なっております。
○田中(織)委員 それはきわめて不明朗な調査活動の経費で、そういうような関係のものについてもきわめて重要な問題を含んでおると思いますので、その点は次回に会計検査院を呼んでいただいたときにあらためて取り上げることにいたしますが、幸い本日人権擁護局長がお見え下さっておると思うのですが、鈴木さんいられませんか。
○三田村委員長 局長は来ていません。
○田中(織)委員 局長がお見えでなければ、擁護局から出席の調査課長に伺いたいのでありますが、今私が申し上げたような金千円、それから二回にわたる酒食の提供、こういうようなもののほかに、本人の妹が和歌山県庁に就職をいたしておるのであります。従いまして、そういう家庭事情等をも十分調べ上げた上で、調査庁の調査に協力しなければ、暗に妹の就職にも影響するかのごとき――これは当人の受け取り方の問題であります。水かけ論になるとこの前関次長が言われた点でありますが、一身上の事情を調べておるからといって、調査に協力を求めるときに何らか条件的な意味で妹の就職先の問題まで引き合いに出し、自分の肉身の妹の就職問題にも影響するのであるというようなことを持ち出して、公安調査庁の調査に協力を求めたという公安調査局側の言い分でございまするが、これは、われわれといたしましては、いわゆる思想の自由――公安調庁の活動に協力するかしないかの問題は、これは各人の自由の問題で、いわば人権として保障せられておる問題であります。それにかかわらず、金銭あるいは酒食をもって誘惑をする、と言えば言葉は適切ではないかもしれませんが、酒食をもってこれをつり、さらには妹の就職問題等を取り上げまして調査に協力させるというようなことは、これは個人の人権に対する公安調査庁側の重大なる侵害問題であると私は考えるのでありますが、法務省人権擁護局としての見解はいかがでありますか。この点については前回たしか擁護局長が委員会にお見えだったと思うのでありますが、本件についてそういう立場から調査せられたことがあるかどうか、この点について御答弁を願いたいと思います。
○斎藤説明員 お尋ねの件でございますが、私どもの方でまだ調査いたしておりませんので、具体的な事実が明瞭でございませんので確答はできかねるのでございますが、一般的に申しまして、刑事活動の限界と思想の自由の問題はどう調整するかということで、私どもの下部機関。ございます法務局でたびたび事件の申告がございまして調査した例はございまするが、お尋ねのような事例はまだこれまでございませんので、そういう意味から、その具体的な事情を調査した上でお答えいたしたいと思います。
○田中(織)委員 この件についてはまだ人権擁護局として調査をなさっておらないということであればやむを得ませんが、この件は実は重大な人権侵害問題であると考えるので、必要があればわれわれの方から和歌山法務局を通じて本件に対する申し立てをいたしてもいいと思うの、でありますが、前回の十月十四日の閉会中の本委員会にも鈴木局長がたしかお見えだったと思うのです。そういう意味で、ぜひ調査を願いたいと思うのです。 さらに、これは前回も申し上げたのでありますけれども、この事件が起りましてから以後、これはわれわれの見るところではどうも公安調査局の方から手を回した人間ではないかという疑いをわれわれは十分に持っておるのでありますけれども、十数日間にわたりまして、私が国会でこの問題を取り上げるに至りますまでの間、連日あるいは一日置きくらいにこの小野田君の個人中傷に関する文書が――調査局と目と鼻のところに実は職業安定所があるわけであります。小野田君もここに登録されておる失対労働者でございまして、そういう意味で、幸い、この事件が起りました直後に、小野田君はあるネル会社に半ば常用的な仕事が見つかりまして、そこへ入っておるのでございますが、彼に前科があるかどうかを私らも調べたことはないのでありますが、彼が前科四犯あるというようなことで、個人中傷のビラが小野田君の仲間の間に、どうしたものか夜十二時から明け方の五時ごろまでの間にそれがばらまかれたりあるいは張りつけられたりするのであります。さらに悪質なのは、公衆電話のボックスあるいは浴場、映画館等の人の集まるようなところに紙もに通しましてそれをひっかけておく、こういうようなことを実はいたしておるのであります。どうも小野田君をそういうように目のかたきにしなければならぬということに利害関係のある者のしわざでないかという、これは当然常識的にそういうように判断せられることがあるのであります。これは、町のヤジウマ気分でもって多額の金をかけてまた暗夜ひそかにそういうものを張って回るというようなことは、少々の物好きでもできることではないのであります。やはり本件に、小野田君の問題に利害関係のある人間のしわざとしかわれわれの常識的判断でとれないのであります。実はそういう問題も起りまして、小野田君が常雇い的な就職先からも断われるというような事態も起りました。その点につきましては、われわれの関係の市会議員団等が経営者との間に中に入りまして、現在その仕事に安定をいたしておるのであります。そういうような事件もこれに派生して起っておるやさきであります。特に人権擁護の見地からいたしまして、この間の事情についてお調べを願って、擁護局として擁護局の立場において本件について何らか処置すべき点があるといたしますならば、その活動を要請いたしたいと思うのであります。そういうような私の要望の趣旨に従っていただけるものかどうか、この際簡潔にお答え願っておきます。
○斎藤説明員 さっそく地方法務局の方へ指示いたしまして、事情を調査さしてみたいと思っております。
○田中(織)委員 それから、最後に、これは公安調査庁の調査活動の範囲の問題にやはり触れるのでありますが、われわれが仄聞するところによりますと、和歌山公安調査局では、本年五月でありましたか行われました農業委員の選挙の問題についての調査を行なっております。しかし、われわれの承知する限りにおきましては、和歌山県の共産党はこの農業委員の選挙には立候補者等を立ててやった事実はないのであります。それにもかかわらず、和歌山公安調査局が農業委員の選挙に関しまして調査を行なった事実があるようでございます。証拠を出せと言えば、われわれの方で出してもいいと思う。それから、問題は、破壊活動防止法の建前から、破壊活動を行う容疑団体として共産党はあげられておるのでしありますが、これは和歌山市役所に起った問題でございますが、これも公安調査局と思わしいの、でありますけれども、労働組合の幹部あるいは社会党の幹部を含めまして、各個人の戸籍謄本をとっておるという事実が出てきておるのでございます。これは、たとえば公安調査局あるいは警察から公文書によるところの依頼に基く戸籍謄本の発行というようなことは、自治法ではいわゆる協力事務として認められておる点ではないかと思うのでありますが、そういう以外の場合において公宏調査局等が戸籍謄本でもとる。その限りにおいては、もちろんいろいろ事情を調べようということが目的だろうと思うのでありますが、われわれ社会党員の中からも、実は何者かによって戸籍謄本というものを請求されておるということが、市役所へ別の機会に必要から戸籍謄本をとりに参りましたときに判明した事情があるのであります。 〔委員長退席、高橋(禎)委員長代理着席〕そういう点で、問題は、公安調査庁の活動は、ただ単に共産党だけの問題ではなくて、社会党あるいは労働組合の幹部、こういうようなところまで個人調査の手を伸ばしておるのではないかという疑いをわれわれは持っておるのでありまするが、そういうような事実が全国的にほかにもあるやに私は聞いておるのでありますが、そういうようなことを本庁として指示したことがあるのかどうか、この点を一つ明らかにしていただきたいと思います。
○関説明員 初めの方のお尋ねの、農業委員の選挙について、和歌山調査庁がどういう調査をしたか、実は私ここで初めてお伺いすることでありまして、まだ聞いておりません。それで、共産党の方でそこにどういうような活動方針を打ち出してどういうふうにしたかということは、一応当方としても調べておくというようなことから調べることに相なろうかと思まいすが、それ以上、そういうことに関係ないのにこれを調べるということは、ちょっと私の方で考えられないことでありますので、この点はよく調べてみようと思います。 第二点として、社会党の方の問題ですが、これは全然考えられないことであります。共産党の方は、個人の確定という意味から、若干戸籍謄本などの照会をしたことがありまするが、それ以外に現在破壊活動の破壊的容疑団体と考えられているところはありません。もちろん、いわんや社会党の方に戸籍謄本を照会するなどということは、ちょっと私どもも考えられないことと思っております。もし現実にそんなことがありますれば大へんなことでありまして、なおこの点なども、田中委員さんのお尋ねもありましたから、どんなことになっているか、厳重に調べてみたいと思います。
○田中(織)委員 基本的な問題については、次回の委員会で法務大臣から公安調査庁の活動範囲等の問題につきまして法務当局としての統一した見解を承わる機会に、もしわれわれと意見の懸隔するような点がありましたら質疑することにいたしまして、本日はこの程度にしておきます。
○高橋(禎)委員長代理 坂本君。
○坂本委員 私は郡山市労働会館の盗聴器の問題、それから大学内のスパイ事件、第三番目に教育大学生の中山冨夫君の誤認逮捕事件についてお聞きしたいと思うのですが、まず警察庁長官と公安調査庁長官に事実の点を究明いたしまして、そして最後に大臣の御所見をお聞きしたい、かように考えるわけでございます。 第一の郡山市の労働会館の盗聴器事件と申しますのは、郡山市にありまする労働会館は社会党、共産党、労働組合などが会議に使用しているのでありますが、この会館の二階会議室の屋根裏から盗聴用の受信機が発見されたのであります。実物はここに持ってきておりますが、これを発見しましたのは、九月の六日の午前十時ころ、ちょうど当時はこの会館の二階は日教の県委員が使用することになっておりまして、その選対部長桑原という人がこの委員会に出席しまして、会場である労働会館の二階の日本間の会議室が十四畳敷でありまするが、その部屋に臨んだ際に、入品の敷居を踏んだところが、天井の裏板の方でごとりと音がしましたから、どうもおかしいじゃないかということになりまして、当日出席しておりました十数人の者が一緒に棒で裏板を突っついたところ、ますますおかしな音がするので、家を探しましたところ、西側の六畳間の押し入れの裏板がはずれておりましたから、よく見ると、地下たびのような足跡が白壁に残っておりますので、そこから天井裏に上りまして探しましたところ、ここにあります発振器を発見したものであります。従って、当日直ちに――市役所がこれを管理しておりますから、市役所の柳沼管財係長と管理人の丹治節郎――これは市長の親戚になっております。これを立会人としておいて、聞きました。さらに、機械でありますから、市内のラジオ商を呼んで調べたところ、三十メガサイクルの発振器とわかって、受信機の感度がよければ三・四百メートルあるいは五・六百メートルの周囲まで受信できるものとわかったのであります。さらに、この発振器には東芝のラジオ電池も入れらておりまして、ボール箱に包んで、さらにこの上を七月八日付の朝日新聞と九月十八付の民友夕刊、十九日付の友新聞の三枚の新聞に包まれておったわけであります。従って、この発振器の性能につきまして、鑑定をいたしまして、関東電波監理局監視第二課の清水氏と斎藤氏、両氏の鑑定書がありますが、これは内容が専門的のこともありますから、あとで鑑定書を会議録に載せていただくことにいたしまして省略いたします。マイクがついておりまして、このマイクは長さは六十四センチのコードの先に取りつけられ、自転車のチューブを切ったゴムで包んである。アンテナは六十センチの長さのものがついておったわけであります。従って、包装された新聞紙の日付から見まして、備えつけられたのは七月の二十日以降であり、また発振器の東芝のB電池は約五十時間しかもたないことから考えまして、この会議が開かれるのを知って前日の九月五日夜にしかけたのではないか、こういうように思えるわけであります。従って、この問題については、場所が労働会館でございまして、最初申しましたように社会党も共産党も労働組合もしょっちゅう会議に使っているところでありますから、これに対してはわれわれ社会党でも非常な疑惑を持ちまして調査をいたしたわけでありますが、以上のような状態であります。従って、これは警察かあるいは公安調査庁か、いずれかが設置したのではないか、こういうふうにわれわれは思えるわけでありますが、この点について警察庁並びに公安調査庁の御所見を承わりたい。
○石井政府委員 ただいまお尋ねの福島県郡山の労働会館の天井裏の無線盗聴器様のものが九月六日に発見されたという点でありますが、私、たしか九月七日付の新聞にそのような記事が出ていることを見まして、直ちに係をして福島県警察に、そういう事実があったか、またあったとすればそれはどういう状況であるかどうか詳しい報告を求めたのであります。福島県警察からの報告によって現在私ども承知いたしておるところによりますと、第一警察といたしましては無線盗聴器のようなものを使っておりません。従ってその郡山市の労働会館で発見されたと称せられる無線盗聴器ようのものを警察が取りつけたというようなことは決してないということはまずはっきりしております。先ほどお話もございましたように、九月六日の午前十時半ごろに労働会館において当時会合を持たれておった関係者によって初めて発見されたということでございますが、私どもそういう報告に接しております。そうして、たしか郡山市役所の係の方から郡山警察署に対して、労働会館の天井裏からこういうものを発見したという届出があったよちであります。直ちに郡山警察署から捜査並びに鑑識の係の者が現場におもむいたのでございますが、そのときすでに現場にはそうした無線盗聴器のようなものはなくして、どなたかがこれはどこかに持ち去られたようであります。従いまして、捜査といたしまして一番大事な実況検分ということについて、まず当初において十分な活動ができなかったということに相なっておるのでございます。今日まで鋭意この問題の捜査に当っておりますが、今申しましたように当初における大事な現場保存が十分になされていなかったということが捜査上の一つの大きな支障になっておるやに感じておるのでございます。いずれにいたしましても、事実として労働会館の天井裏にそういったものがあった、現物があるということでございますから、何者かがここにひそかに備えつけたということが考えられます。九月六日を中心としてその直前に労働会館に出入りをした者にどういう者があるか、労働会館において会合等を開かれて出席した者にどういう関係の方々があったかということにつきまして、警察としては鋭意捜査を続行いたしておるのでございますが、今日までのところ、何者が容疑者であるか、いまだ明確になっておらいない、こういう状況でございます。
○藤井政府委員 その当時、私もそのことを聞きまして、次長か一部長かに、これはどうなっているかと聞きましたら、そういうことは事実ないというただ結論だけ承わったのでございます。一向その後別に私の方としては調査することもできませんから、そのままになっております。
○坂本委員 公安調査庁にお聞きしたいのですが、郡山はどういう構成になっていて私の調査したところによると、たしか四、五人はおられるようですが、そのうちの一名か二名かはしょっちゅう郡山警察と連絡をとっているというふうに聞いておりますが、その点はいかがですか。
○関説明員 福島県におきましては福島地方公安調査局というのが、ございます。たしか職員の定数は二十名に相なっておるかと思います。そうして、本局には十四、五人おりまして、あと四、五人は、今の郡山であるとか、平あたりで駐在官として駐在していることに相なっております。郡山に何人いるか、ちょっと失念いたしましたが、二、三人かと思っております。
○坂本委員 その駐在官はやはり警察と密接な連絡をとっていろいろ職務上のことをやっておられると思いますが、その点は間違いございませんか。
○関説明員 公安調査庁としては破壊活動防止法上の調査ということになっております。警察と独立して調査庁は調査庁の職務を行うことに相なっております。しかし、いろいろ関連して警察の方からお教えいただかなければならぬこともありますし、また、破防法上におきましては、三十条の規定でありましょうか、警、口察とは情報の交換をするというような規定がありまして、いろいろ相互の職務上の必要のあることに対して情報の交換をするということに相なっているわけであります。おそらくそういう線でやっていることと思いますが、詳しいことは私は存じません。
○坂本委員 公安調査庁に重ねてお聞きしますが、郡山市に駐在しているのは大体四、五名と聞いたのですが、それは郡山市に限っているかどうか、主として郡山の方をやっている駐在官の名前がわかっていたらお教え願いたい。
○関説明員 ただいまその名前を存じませんから、すぐ調べましてお答えいたします。
○坂本委員 警察庁長官にお伺いしたいのですが、実は私もこの調査に参りました。調査しますと、前日梅本会という会合を十数名でやったらしい。そのときの借主の責任者が郡山市阿弥陀町五十三の荒木三夫で、日本間の会議室使用許可願いをとって、五日の午後六時半から約一時間半ばかり十人くらい集まった。そして茶飲み茶わんを貸してくれといって借りて、何でもサイダーかなんかを二、三本飲んで、大分帰ったようだからというので、管理人が二階に上ってみると、責任者と思われる人と二人ばかりいて、使用料を払って帰ったというような事実があるのですが、さらに、送信器、これは福島の社会党にしましても、労働組合にしても、警察が渡してくれと言いますけれども、これは多分に警察じゃないかという疑いがあるものですから渡さなかったという事実かある。また、この機械は、ラジオ屋の話によると、また鑑定の結果でもありますけれども、手製のものである、電気学に精通した者とは考えられない、しろうとが作ったものと思われるというふうなことが言われているわけですが、現場にはちゃんとおもしの石もありますが、何も機械がなくても捜査ができないという手はないと思うわけですが、どういうふうな捜査をしているか、全然捜査をしていないのではないかと思うのですが、そういう点についてもっと詳しくお聞きしたいし、さらに、公安調査庁との情報交換の具体的な方法にはどういう方法をとられているか、その点をお尋ねしたい。
○石井政府委員 問題の発生いたしました前日、つまり九月五日に郡山市労働会舘においていろいろの会合のありましたことは、私どもの捜査においてもわかっているのでございます。特に、ただいまお話のありました梅本会と申しますか、平高校の同窓会ということに私ども聞いておりますが、そうした会合があったようでございます。そのほかに、九月五日には郡山市町村民生常務委員連絡協議会も開かれておりますし、また、郡山市フォークダンス協会会長主催のフォークダンスの練習会、こういうものを開かれておるようであります。いろいろな会合が同日あったわけでございます。さらにその前の四日の日にも会合があったようであります。そうした会合でこの会館に出入いたしました関係者から何か端緒が得られないかどうかというふうに、捜査といたしましては、会館の出入者、関係者、こういった者を一つのよりどころとして捜査をいたしておるのでございます。と同時に、当日問題の無線盗聴器といわれるものを発見された方、また、その発見に基いて市役所の関係の方等もいろいろ相談に乗っておられるようでございますので、そうした関係者からいろいろ当時の事情をお聞きするということにも努めておるのでございますが、先ほどもお答えいたしましたように、犯罪捜査において一番大事なことは現場の状況が犯罪の発生したときのそのままの状態で残されておることがきわめて大事なんでございますが、本件の場合は、問題となる無線盗聴器といわれるものがすでにどこかへ持ち去られておるというふうに現場が荒されておるのでございます。この点は捜査を進めていく上に一つの大きな支障を来たしておることはいなめない事実であると思うのであります。なお、警察が取りつけたのではないか、そういう疑いがあるからその盗聴器を警察側に渡さなかったのであるというふうに初めからきめてかかられることは、私ども非常に心外に思うのでございまして、私どもが捜査を円滑かつ迅速に進めて参ります上におきましては、どうしても関係の方々の御協力をいただかなければならぬのでございます。そういう意味におきまして、問題の最も中心の証拠になるべきそうした盗聴器というようなものはできるだけ早く御提出を願って、それを十分に検討しまして、場合によればそれに指紋その他もありましょうから、早期にこれを分析解剖いたしますならば、そこで犯罪の端緒をつかむことも可能であったのではないかと思うのでございまして、今日においてはその点すでに相当時日も経過しておりますので多くを期待することは困難であると思いますが、いずれにいたしましても、警察といたしましては、この事件の捜査につきましては、事件発生以来今日まで鋭意捜査を続行いたしておるのでございますが、今申し上げましたようないろいろな点に捜査上の支障、降路がございまして、今日まで真相を究明し得ない状況であることをはなはだ遺憾に思っておりますが、今後ともさらに鋭意捜査を続行するつもりでございます。
○坂本委員 私どもは、これがあった場所にこれがなくて、それで捜査に支障を来たすなんということは考えていないのです。さらに、この梅本会の責任者は平高校の同窓生というのですが、平高校の同窓生は郡山には一人しかいない。そしてこの荒木三夫という人はこの所在地にいないというのです。そして平高校の卒業生でもない、実際だれかわからない、こういうような関係にあるのに、ただその機械が天井裏にないから、そこを現認しないから捜査に支障を来たすというのは、非常にわれわれ心外にたえないのですが、この五日の日は平高校の同窓会だけだったのですか。その前には先ほどおっしゃったいろいろなのがあったでしょうが、そういう点について私は全然捜査をしていないじゃないかと思うのです。鋭意やったというのはどういう点にやったのか、その他を一つお聞かせいただきたいと思います。
○石井政府委員 九月五日の日に平高校の関係の会合しかなかったというふうにおっしゃいますが、先ほどお答えしましたように、私が報告に接しておるところでは、五日の日に平高校の同窓会以外に二つの会合があったのでございます。一つは、先ほども申しましたが、郡山市町村民生常務委員連絡協議会が開かれております。これは五日の午前九時半から午後の三時ごろまででございます。さらに、そのあと、五日の午後七時から九時三十分まで、これも先ほど申し上げました通り、郡山市フォークダンス協会会長主催のフォーク・ダンスの練習会が持たれた、こういうふうになっておるのでございまして、平高校の同窓会のみがその日労働会館を使用したということには相なっておらないのでございます。こうした点も捜査の結果こういう事実がはっきりしておるのでありまして、このように労働会館にその直前に出入した者にどういう者があるか、その中から何らか犯罪の有力な端緒がつかめないかどうかということにつきまして、警察といたしましては鋭意捜査を続行いたしておるのでございます。
○坂本委員 もう一つ、私が行きましたときは、署長がおらずに署員に会ったのですが、どうも公安調査庁の方とのいろいろな情報交換その他については何も言わぬわけですが、先ほど調査庁の話によると、やはり警察と密接な関係を駐在員はやっておるというのですが、そういう点については警察庁の方ではどういうふうなことをやっておられるか、その点をお尋ねしたいと思います。
○石井政府委員 警察と公安調査庁の出先機関との間の連絡協力の関係でございますが、これは互いに緊密な連絡協力体制にあるべきことは申すまでもないところでございまして、全国都道府県いずれの地におきましても相互に緊密な連繋をとって仕事をいたしておるものと存じております。
○坂本委員 次に、これもやはりこの福島でいろいろ問題が起るのですが、福島大学の学芸学部学生自治委員会の二年生の森川武二君が、私は警察のスパイだったという手記を新田正光という委員長によこして、金をもらって情報を提供したというようなことが十月三十日の各新聞に大きく四段抜きで出ておるようですが、この点について調査されたと思いますが、その調査の結果をお聞きしておきたい。
○石井政府委員 福島大学の学生である森川君が警察にスパイを強要されたといったような新聞記事が出ましたので、私ども驚きまして、さっそく現地に詳細かつ正確なる報告を求めたのでございますが、スパイを強要したというような事実は全くない、こういう回答に接しておるのでございます。
○坂本委員 スパイ強要は第二の問題としまして、新聞に出ておりますように、県警本部の警備課の新川巡査部長とこの森川武二君と関係があったことは、その点はいかがですか。
○石井政府委員 福島県警察本部の警備課の根岸巡査の紹介で今お話の巡査部長と森川君は知り合いの間柄にあったようでございます。
○坂本委員 そういうわけで知り合いの間柄ということははっきりわかったわけですが、そうすると、この新川巡査部長はアカハタの購読代として六百円くらいをやり、さらに九月までに二十回近く根岸さん方に呼はれて全学連通信書記局の通達、中央執行委員会の方針報告書などを提供して二万円くらいもらった、こういうようなことが新聞に出ておりますが、こういうような事実はいかがですか。
○石井政府委員 根岸巡査と学生の森川君とが知り合いになった関係から申し上げますと事情がよくおわかりいただけるかと存じますが、根岸巡査は、自分のかつて知っております元福島大学の学生である者を介して森川君と知り合いになったのでございます。それは、今申します根岸巡査の友人であった学生と森川君とが、たしか本年の三月ごろ初めて根岸巡査を下宿先に訪れまして、自来知り合いになったのでありますが、その際、森川君は、家庭的にもいろいろな事情がありまして、福島には身寄りもないということで孤独を感じておられたので、根岸巡査は、それでは自分のところへよかったら遊びにいらっしゃい、こういうふうに申し伝えたのでございますが、自来森川君は根岸君のところを非常にたよりにしてと申しますか、しばしば下宿先をたずねて参りまして、いろいろ交際を深めていった、こういう状況に相なっておるのでございます。アカハタを購読するように金をくれて強制したというようなことが新聞等に伝えられておりますが、絶対にそういうことはないのでございまして、今申しました通り、森川君が友人と一緒になって根岸巡査を初めて本年三月下宿先にたずねてきた当時、すでに森川君はアヵハタを購読しておったということでございます。
○坂本委員 まだ私のお尋ねしたのが残っておるのです。二十数回行ったということは今の御答弁でわかったのですが、全学連通信書記局の通産とか中央執行委員会の方針報告書などを森川君が提供して、そうして二万円くらいをもらった、こう言っておるのですが、この点御答弁なかったのですが……。 もう一つは、さらに、この告白書によると、県教組の中に私と同じ立場の人がおることを知らされ、いやになって、告白してやめることにした、こういうような意味のことがうかがわれるわけですが、この二つの点についてお伺いいたします。
○石井政府委員 二万円云々ということは、私今まで伺っております第一線からの報告ではちょっとお答えできないのでございます。先ほど申します通り、根岸巡査のところへ森川君がしばしば訪問されて、いろいろ世間話もするでありましょうし、学生生活の話等も出ましょうし、いろいろな話の中に、根岸巡査は仕事の関係上参考になるような話も聞かされる機会があったようであります。そうした関係から、森川君に対しまして、根岸巡査としましては、いろいろ自分の警察の仕事に協力をしてもらった関係に対して、何がしかの謝礼の意味におきまして金を差し上げたということはあるようでありますが、それが二万円になっておるかどうかという点につきましては、私まだ詳細に承知をいたしておりません。
○高橋(禎)委員長代理 坂本さんに申し上げておきますが、今参議院の方でも法務委員会をやって唐澤法務大臣が出席されなければならぬ関係もありますし、それから、御存じのように本会議があり、またあとに質問される方もありますから、そういう点を一つお含みの上で質疑を促進していただくように。
○坂本委員 今長官のお話によりまして、協力費として、金額はわからぬけれども、謝礼を出していたという点ははっきりいたしたのであります。そうしますと、これは朝日新聞ですが、森川君の話としては、金をもらって情報を提供していたが真心がとがめて一切を委員会に告白した、これが正しいのじゃないかというふうに考えられるわけであります。 もう一つの問題は、東大におけるにせ学生委員の問題ですが、これは十一月一日の各新聞に大きく出ておりまして、山本敬三というのが、東大の学生自治会の中央常任委員となっており、さらに法学部の緑会の者ということで、砂川事件その他でいろいろ活躍して、さらに、あとから聞きますが、私服の巡査といろいろ連絡しておるような事実もありますが、この山本敬三は本富士警察に破廉恥罪的な窃盗罪として逮捕されておるわけです。単にこれは窃盗罪その他の破廉恥罪だけではなくて、これは大きなスパイ問題ではないか、こういうふうにわれわれには考えられますが、すでに逮捕されましてから十数日になりますが、この点についての取調べその他の点について警察庁の御説明をお聞きしたい。
○石井政府委員 たしか十月三十一日の夜だったと思いますが、東大法学部長から本富士警察署長に対しまして、にせ学生で東大法学部の緑会、自治会委員となった者に窃盗及び横領の事実があるから警察で身柄を引き取って取り調べてもらいたいという申し出があったのであります。そこで、今お話が出ましたこの山本敬三なる人物でありますが、警察署では身柄を引き取りまして留置、取調べを行なったのでありますが、その結果今日までに判明いたしておりますところでは、詐欺四件、窃盗二十二件というのが発覚いたした。なお余罪がある見込みでありますが、今申し上げました件に基きまして十一月九日付で起訴いたしております。当時、たしか十一月一日付の新聞であったかと思いますが、全学連の役員の談として、このにせ学生は警察のスパイではないかということが出たのでありますが、警察は何らこの人物には関係はございません。警察のスパイ云々を言われることは、警察としてはまことに迷惑しごく、心外に存じておる次第でございます。
○坂本委員 もう一点だけ聞きたいのですが、どうも、今の御説明によりますと、非常な窃盗その他数犯を重ねて、その点に捜査を集中しておるように考えられますが、いろいろ新聞その他われわれの調査によりますと、そういうような欠点があるから、この山本敬三は代々木警察署にあげられて、そしてその欠点を警察に押えられて、それによってやはり警察のスパイ行為をやったのではないか、こういうような関係がありますし、さらに、デモ行進をいつでしたか自治会でやりました際に、その先頭に立っていろいろやっていたが、そこに来ておる私服の巡査といろいろ話をして、公務員試験には合格したというようなことを大きい声で話をしていたということを、このデモに参加している委員が聞いておる事実もあるわけであります。こういうような点からいたしまして、単に破廉恥罪だけでなくて、その他新聞に書かれておりますような事実もたくさんあるんですが、その点について捜査をされておるかどうか。さらに今後捜査をされるかどうか、その点をお聞きしたい。
○石井政府委員 先ほどもお答えいたしました通り、ただいままでわかっておるところでは詐欺四件、窃盗二十二件と申し上げたのでございまして、その他さらに余罪を追及中であるというふうにお答えしたつもりであります。なお余罪は相当あるやに報告に接しております。
○坂本委員 まだいろいろ事実をお尋ねいたしてから大臣にお聞きしたいと思いましたが、大臣急がれるようでございますから、大臣にお聞きしたい。 全学連その他学生運動に対して警察の調査活動が行われておるという点は、どうも私は事実であろうと思うのであります。さらに、今一部明らかになりましたところでは、福島県下においては森川に対して協力費というので何がしかの謝礼を出しておるという事実があるわけであります。かように、県警並びに警察が金を出してこういうことをやっておる。ことに学生に対する調査活動についてそういう点をやっておるのでありますが、もしやっておるとすれば、その法的の根拠――私は、大学自治の原則からして、法的根拠がなく、これは違法ではないか、こういうふうに考えますが、その点についての御所見をお伺い申します。
○唐澤国務大臣 学園の自由、学園の尊厳というものは、これは警察の側から申しましても、また検察の側から申しましても、当然尊重せられるべきものであると考えております。ただ、ただいま法的根拠とか合法、非合法の問題がございましたが、これは別に法律の問題ではないのではなかろうか、かように考えております。警察の関係を私が申し上げることは少し管轄違いでございますが、検察の側から申し上げますと、犯罪捜査の必要、ことに公安関係、社会秩序の根本の問題についての犯罪捜査の必要上、学園の内部にもその捜査の線を延ばすこともあり得ることでございまして、一方において、学園の自由、学園の尊厳はどこまでも尊重しなければなりませんから、捜査をする際にもその点は十分考慮をしなければなりませんけれども、それをやることが法律の点から考えて違法になるというふうには考えておらないのでございます。もっとも、そのやり方につきましては、重ねて申し上げます通り、慎重にやらなければいけない、こういうふうに考えております。
○坂本委員 まことに恐縮ですが、大臣にもう一点だけ。先ほど和歌山の問題もございましたが、今度の福島大学の森川に対する問題もございますが、資料提供とか協力費とかいう名目で金をやって、調査活動の手先と申しますか、利用する、こういうようなことは、私は憲法違反ではないかと思うわけでありますが、その点についての御所見を承わりたいと思います。
○唐澤国務大臣 犯罪捜査の必要上、いろいろ情報収集等につきまして協力をお願いするような場合があるかと思います。この協力をお願いいたします際に、その人の実費も要りましょうし、あるはは労に対する謝礼もいりましょうから、そういうものを支出するということが、ただ単純にそれだけで憲法違反になる、さようには考えておりせん。
○坂本委員 もう一つ、これは明白なものですから。九月二十二日に砂川事件についての大量の検挙があったわけですが、教育大学文学部学生の中山富夫君は、これは全く写真にもないし、それを逮捕して、その夕方、午後四時四十五分に釈放しておるわけですが、この問題は、単に逮捕して間違いだから釈放するといった、それだけの問題ではなくて、この逮捕の際には、二十数名の警官がトラックに乗って、桐花寮、――ここにおりますから、そこに参りまして、五、六人が中に入り、外には十数名が待機しておりまして、そうしてこの逮捕をやったのでございます。しかし、これは写真にも絶対ないし、さらに、問題になっておる砂川の当日はこの寮にいたというアリバイもはっきりしておるようなわけであります。この中山君は、哲学科でありまして、来年卒業でありますが、この誤認逮捕によりまして就職にも非常な影響を受けておるわけであります。その先生の、大学教授の前田さん、助教助の穗積さん、この両氏も非常に心配されておるわけであります。私たちは、これは完全な誤認の逮捕である、こういうふうに考えますが、これが誤認の逮捕であるならば、本人の就職その他の関係においていかなる処置をとられるか、その点について承わりたい。
○石井政府委員 砂川問題に関連をしまして、九月二十二日に検挙になりました者の一人、教育大学の中山君について、誤逮捕ではないかというお尋ねでございますが、私ども、捜査に当っております警視庁からの報告によりますと、誤逮捕ではないということでございます。それでは、当日、なぜ検挙しながら夕刻釈放したかということでございますが、これは、中山君がその直前まで病気をされておって非常にからだが衰弱しておられるというので、これを強制留置して捜査をいたすということは、これこそ人権を侵害するおそれもございますので、任意捜査によって目的を達することにいたしまして、当日夕刻釈放いたしたのでございます。ただいま、本人は砂川事件のあの当日現場にも行っていなかったことがはっきりしておるし、また現場の写真とも違うではないか、それがはっきりしているのになおかつ白という断定を下さないのはどうかと思うという御趣旨のようでございましたが、アリバイ等につきましてもまだ若干の疑点はあるようでござとます。また、砂川の現場写真と、九月二十二日に検挙しまして後にとりました写真と比較いたしましても、専門の鑑定家も同一人と推定されるというふうに申しておりますし、また、その他中山君をよく承知しております人たちの証言等によりましても、同一人物であるという証言が多いのでございます。こうした関係から、いまだ誤逮捕であるということをはっきり結論づけることはできないのでございます。むしろ容疑比較的濃厚であるということに相なっておるのでございます。従いまして、できるだけ早く捜査当局といたしましては黒白を明らかにいたしたい、かように考えまして、本人の任意出頭を求めておるのでございますが、出頭が得なれないということのために、今日までいまだにその結論がお預けになっておるという状況なのでございまして、もし不幸にいたしまして捜査当局の誤逮捕であるということになりますれば、これは御本人に対してはまことに申しわけないことでございますので、不幸にしてそういう結果になりました場合には、十分陳謝の意を表する適当な方途をとらなければならぬと思いますが、今日当面急ぐことは、御本人ができるだけ早く出頭に応じていただいて、真相をはっきりさせることに御協力をいただくことであろうかと思っておるのでございまして、警視庁捜査当局におきましては、あらゆる方法を通じ、たとえば本人の身元引受人である大学教授の方々等を介しまして、極力一日もすみやかに出頭していただくようにお願いをいたしておる状況でございます。
○坂本委員 今の問題は、ざっくばらんに言えば警察の写真の間違いで、これははっきりしておると思うのです。さらに、九月二十八日付で文書を提出して、当日はさっき申しましたように板橋の桐花寮にいたということがはっきりしているわけだから、これは本人をさらに呼ぶ必要もなく、すで九月二十二日からも相当経過しておりますから、あまり逮捕したという名目にこだわらずに、虚心たんかいに警察は、この人間は誤まりであると言ってあげなければならぬ。まだ本人が出てこないから容疑がはっきりしないとか、そういうようなことで全部やってもらっては、人民の権利はほんとうになくなってしまうと思う。特に、来年卒業の学生ですから。当日いたということは文書でもはっきりいたしておりますから、これは早急に処置をしてもらいたいと思うのです。なお私は、警察法第二条第一項の関係、それから警擦官職務執行法八条等の関係で、学生に対する調査活動の法的根拠その他についてもただしたいのでありますが、警察担当の大臣も来ておられませんし、法務大臣も急がれるから、これを留保いたしましてこの程度で私の質問を終ります。
○石井政府委員 警察は、面子にとらわれて、一たん検挙したからには是が非でもこれを黒にする、事件にでっち上げるといった気持は毛頭持っておりません。あくまでも犯罪の容疑を究明して真実の発見に努める、そのためには、どこまでも基本的には人権を尊重しつつ、科学的、合理的な捜査を行いまして結論に到達する、こういう捜査のあり方でなければならぬことは、私たびたび第一線の諸君に要望しておるところでございまして、今日第一線の捜査当局もその基本的な心がまえにおいてはいささかも欠けるところはないと確信をいたしております。従いまして、警視庁の捜査当局も、ただいま御指摘の中山君の問題につきましても、どこまでも慎重に、人権を尊重しつつ捜査の目的を達したい、かように考えておるのでございます。ただ、お話のように、あれはもうはっきりしておると仰せになりますが、捜査当局といたしましては、なお疑点も存しますので、一度本人に出頭を願いましてよく事情を述べてもらいまして、その点をはっきりさせたい。捜査当局としても一日もすみやかに問題を解決したいという熱意を持ってこの問題には対処いたしておるのであります。ただいま御意見もございましたので、この点につきましてはすでに私から再三警視総監には注意を喚起いたしておりますが、重ねてこの点を連絡いたしまして、一日もすみやかに善処するように重ねて注意を喚起しておきたいと思っております。
○高橋(禎)委員長代理 それでは関連して世耕君。
○世耕委員 別の質問は明日に譲らせていただきたいと思います。関連質問でちょっと主として公安調査庁長官と関次長さんにお尋ねしてみたいと思います。 公安調査庁という名目のある通り、私はこの官庁は調査が非常に大切じゃないかと思う。ところが、調査の限界で絶えず問題が起っている。先ほどある委員からの質問によりますと、調査員が協力してもらった人に飯を食わした、飯を食わしたことがいけないというような議論でした。そうなりますと、どういう方法で調査活動をするのか、ほとんど調査活動不能という結論が出てきはしないか。いわば調査の限界というものが大きな問題じゃないか。これを明確にしておかないと、年中人権問題やあるいはこれに付随した問題が出てくる、かように考えております。それから、もう一つは、警察関係でスパイということと捜査ということとが絶えず世間で混用して用いられる。これもこの際明確にしておく必要がある。いろいろ学問的な区別はあるかもわからぬけれども、常識的にわれわれは、警察活動の捜査ということとスパイということとは明確に区別すべきものである、こういうように考えているが、この二点についてまず承わっておきます。
○関説明員 公安調査庁の調査ということの限界を明らかにすることがきわめて必要であるという趣旨のお尋ねだと思いますが、まことにその通りでありまして、調査権がどこまで、そうしてそれはどこに限界があるのか、こういう点を明らかにいたさなければならない。そうして、私ども、その点を常に念頭に置きまして、人権擁護の立場から見てどこまで行けるかという点をすでに具体的な例に即して今研究している次第であります。
○世耕委員 それから、もう一つは、個人の秘密と公共性の秘密というこの二通りがあると思うのです。ところが、ある一つの秘密事項でありましても、本人が調査の必要上協力するために漏らしてくれることがある場合は、私はそれは差しつかえないというふうに考えるが、その点はどうか。その点を明瞭にしていただきたい。
○関説明員 個人の秘密につきましては、これはたとえば刑事訴訟法におきまして証言の拒否ができる場合があるわけであります。特定の、たとえば弁議士さんあるいはお医者などの方々が、ある個人の秘密を知ったりしている場合に、裁判所において証言を拒否される。しかし、その場合も、もちろん本人が進んでそういうことを言えば、これは別問題だと私は思うのであります。それで、本人が自分の秘密を進んで話していただく、こういうことになりますれば、私は、本人が進んでやっていただくということになれば、これは伺っても差しつかえないと思う。しかし、本人が、これはいけない、この限りはお話できない、こう言えば、それ以上は伺えない、そういうふうに私は考えております。
○世耕委員 これは道徳的な問題になるかもわかりませんが、公共性を持ったものでもし調査をする場合になったら、むしろ進んでその調査に協力するというのが一般社会人の通例と見てもいいと思うのですが、その点はいかがですか。
○関説明員 公共のために必要であるからお話しいただきたい、そういうふうにお願いいたしまして、向うが御協力いただく。常識あるお方は大体そういうようなお立場に立っていただいて私どもの役所に御協力いただいていると私は思うのでありますが、なかなかそうでないお考えの方も多いのでありまして、そこのところに実は非常な苦心が存するのであります。
○世耕委員 大臣、局長がおいでにならぬから、関連して問題をお聞きすることは避けますが、先ほどの問題の中にありました面会強要の限度です。これはときどき私たちもよくやられることでありますが、その面会強要が、ただ一人、二人の場合ならばその痛癖を感じないけれども、数十人あるいは数百人が周囲を取り巻いて面会を要求された場合に非常な脅威を感ずる。そういう場合に警察官の協力を求めて面会を拒否するということは、現在の社会情勢からあり得ることだと私は思うのですが、そういうようなこととやや似通った問題が和歌山県の問題で起ったのではございませんか。その点を少し明らかにしていただきたいのであります。
○関説明員 私ども役所といたしましては、もし私どものやったことに対していろいろの団体あるいは一般的に国民の皆さんに御不満があって、いろいろの御意見があって、お開きしなければならないことなどは、できるだけ聞くようにもちろん申しているわけであります。そうして、その聞く場合に、今申し上げたように、たとえば五十人あるいは百人あるいは三百人というような場合に、一体どの程度の方とお会いするのがよろしいか。とうていすべての方と全部お会いすることもできませんから、たとえば五人にするとかあるいは十人にするとか、そういうような考え方でできるだけお話を伺うように指導しているわけであります。ところが、さて現実の問題として、中には、そういうふうにしてお話を伺ったところが、それで非常な事態が起きてしまった、次もどうもそういう危険がありはしないかという場合、これはいわばレアな場合だと思いますが、そういうような場合は、どうもきょうは先日のこともあるからお目にかかることはできないというような現地の判断がそこに生じてくると私は思います。実は、和歌山の事件は、現地の者が、先ほど大臣からお話し申し上げたように、やや過剰的にその問題を考えて、――一階のとびらを破られ、そうして中に入られ、そこにいろいろな不祥なできごとが起きてしまった、その危険性を、過剰と言うか、あとから見ますと、おれはそんなことはしないよ、こういうふうにお話がございますから過剰的にその事態を考えて、ついお目にかかることができなかった、こういうようなことに相なってしまったと思うのであります。
○世耕委員 私は、面会を要求する権利があると同時に、面会を拒否する権利が個人にもあると思うのです。この点の常識が日本人には欠けていはしないか。この扱いの上において公平を期する必要がある。人おのおのによって精神状態はおのずから変る。また、その状況によって、精神状態が恐怖を感ずる場合、あるいは迷惑を感ずる場合、あるいは好感をもって迎えられる場合があると思うのです。この点はもう少し制度的に明らかにしておく必要があると思いますのと、最近はよくあることですが、つるし上げという言葉がある。労働争議によくある言葉なんです。しまいには脳溢血を起させる戦術という言葉すら使われている。こういう、いわゆる多数の集団によって威圧を行なって、そうして自由意思を奪って恐怖心を起させて、自己の主張することを無理やりに承認せしめるというような手段が今日現実の問題となって現われてきておる。こういう点に関して、これは警察関係の方がむしろいいと思いますが、長官はどういうふうにお考えになっておりますか。たとえば、文部大臣に会見を申し込み、今都合が悪いからあとにしてくれと言ったら、廊下にすわり込む。すわり込み戦術すでに暴力ではないかと私は思う。会いたくないというのを無理やりに合おうということがすでに一種の恐怖を与えるのではないか、こういうふうにも解釈されるのであるが、こういう点はどうか。それは、なるほど私たちのようなずうずうしい人間なら幾人押しかけてきても別に痛痒を感じないけれども、少し気の小さい人だと驚いてしまう。すぐ廊下にすわり込んで、しかもねじりはち巻をやって大きな声を立てている、こういう場合にどういうふうに考えられるか。
○石井政府委員 国民はすべて自分の権利は自分で守るというぐらいの強い気持があってほしいと私は思うのでございます。もし多数で面会を強要される場合、面会したくない場合、また大ぜいですわり込みを受けておるというような場合、はっきり自分の意思を表示さるべきであると思うのでございます。たとえば、すわり込みに対しては退去するようにはっきりと意思表示をする、そうしますならば、そこに不退去罪も成立いたしましょう。警察といたしましてもそういう場合にはそれ相当の取締りを加えることができるのであります。ただ単に、大ぜいにすわり込まれている、あるいは面会を求められておるということに対して、何らなすところなく事態をそのままに放任しておるのであっては、警察といたしましてはいたし方のない場合がきわめて多いのであります。みずからの権利はみずから守るというきぜんたる態度をもって、その事態に対応した、はっきりした自己の態度を表明されるということによって、けじめがはっきりつくのでありますし、また警察としましても状況に応じてこれに措置し得る、かようになろうかと考えております。
○世耕委員 なお一点伺っておきますが、福島事件は相当新聞等にもやかましく書かれ、また宣伝されておることを私は承知いたしておりますが、警察が捜査を開始したというふうに先ほどの御答弁の中にあったのでありますが、捜査を開始なさったかどうか、もう一ぺん念のために伺っておきます。
○石井政府委員 福島事件と今仰せられましたのは、郡山市労働会館における秘聴器の問題と思いますが、これにつきましては、先ほどもお答えいたしました通り、九月六日、問題の発生を知りましたときより、直ちに捜査を開始し、今日まで続行いたしております。
○世耕委員 そうしますると、あの事件の中心をなすものがすなわち録音機だが、録音機をなぜ押収しない。その重要なる録音機を個人で占有するということは、むしろ捜査妨害という考えが法律上起きやしないか。また任意にそれに協力するのが当りまえじゃないですか。この点についての見解はいかがですか。
○石井政府委員 先ほどの御質問に対してお答えしました通り、私ども捜蚕の立場からいたしますならば、事件解決の最もかぎともなるべき問題の無線盗聴器様のものが大事なことは申すまでもないのでございまして、従いまして、これの提出方を関係者には今日までしばしば要請をいたしておるのでございます。
○世耕委員 要請しておっても提出を拒否しているのですか。それとも何かほかに理由があるのですか。私の今ここの席で聞いたところによると、本人は持ってきて見せている。発言者の中で所持していることを私は目撃したのですが、内容はわかりません、ふろしき包みですから。一つここであけて見せていただきたい。その真相を調査する上において必要だと思います。そういうような大きな問題になっている重要な証拠物件を個人が勝手に所持するということは、公共性を失ったと非難されても仕方がない。むしろ、事件をすみやかに解決するだけ善意があるならば、当然任意に提出すべきであると思う。この見解はいかがですか。
○石井政府委員 私、先ほどもお答えしたと思うのでございますが、事件の捜査に当りましては、関係者の協力をいただくということが、事件解決を早からしめるゆえんでございまして、特に重要な証拠物件になるようなものをお持ちの方、またそれについて知識を持っておられる方々の御協力をいただくということはきわめて肝要であるのでございます。従いまして、ただいま御指摘の郡山の秘聴器関係の事件につきましても、先ほども申しました通り、問題解決のかぎとも申すべき秘聴器の現物を捜査当局が十分に実況を見聞すると申しますか、これを研究することが、一つの有力な事件解決のかぎになろうかと思うのでございまして、関係者に対しまして、しばしばすみやかなる御提出方を要望いたしておるのでございますが、そのうちに提出するからということで、じんぜん今日までに至っておることはまことに遺憾に存じます。この上とも適宜な方法をとりましてすみやかに問題の解決に役立たせたい、かように考えております。
○世耕委員 最後に一点伺います。警察関係は、人によって捜査の方法を変えますか。こういう重要な事件があるのに、何ゆえにその証拠物件を直ちに押収しようとしないのか。何回も請求したが出さないという。それは捜査妨害ということの前例にもなりはしないですか。その見解はいかがですか。私は不都合じゃないかと思う。今日ここで問題になったから実は私は発言をする。もしこれが普通の場合だったらどうなるか、それで許されますか。私ははなはだ不都合だと思う。直ちに押収すべきだ。そうして、事件がすみやかに片づいて明朗な社会を打ち立てることが警察の使命だ、私はかように考えます。 この点に関しましては私はまだほかに質問したいことがありますが、今日は時間がございませんから、次回に譲ります。
○石井政府委員 捜査に当るものといたしましては、できるだけ強制力を用いないで、任意捜査によって目的を達成し得るならば、これが一つの行き方であろうと思うのでございます。なるべく、人権を侵害することのないために、強制力を用いないで、任意捜査によって目的を達成し得るということが望ましい、かように考えておるのでございます、しかしながら、そういう方法によっておったのでは事件の解決がいつまでもできないという場合には、強制力を用いざるを得ない、かようになろうかと思うのでございまして、そういう点につきましても、さように今後十分考えて実態に即した捜査をやっていきたい、かように考えております。
○高橋(禎)委員長代理 本日はこれをもって散会いたします。 午後二時五分散会