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27回国会衆議院1957/11/04

法務委員会 第2号

発言数
68
登壇者
11
会派数
2
開催日
1957/11/04

会議録

三田村武夫自由民主党

○三田村委員長 これより法務委員会を開会いたします。  本日は前会に引き続き法務行政並びに人権に関する調査を行います。  前回の委員会で行われた法務大臣及び刑事局長の報告並びに答弁に関連して、委員宇都宮徳馬君及び福田篤泰君より一身上の発言を求められておりますので、この際これを許します。宇都宮徳馬君。

宇都宮徳馬自由民主党

○宇都宮委員 ただいま本委員会で問題になっておりますのは、いわゆる売春汚職事件及びそれに関連して生じました私どもの名誉棄損事件、さらにそれに関連して生じました記者逮捕事件であります。それらの事件はそれぞれ関連しておりますが、法律的には全く別個の事件であり、そして売春汚職及び記者逮捕事件については世上新聞等に詳細な報道がなされておりますが、名誉棄損事件の経過につきましては、ほとんど報道がなされておりません。これは大新聞自体が名誉棄損刑事事件の被疑者であるゆえであると存じます。しかし、現在検察の措置について論議されておる記者逮捕にしても、またニュース・ソースの問題にいたしましても、私どもの名誉棄損事件の捜査の過程において生じたものでありまして、名誉棄損事件自体の真相を理解することなしにその可否を判断することは不可能だと思います。われわれは、一般論としての記者逮捕やニュース・ソース秘匿の問題を論ずべきではなく、特定の、この場合におけるその可否について論ずべきであろうと信じます。そのためには、特定のこの場合の事態を十分に理解していただかなければなりません。私があえて私自身に関する名誉棄損事件の真相をここで陳述せんとするのは、主として以上の理由によるのであります。  十月十八日 読売新聞朝刊に売春汚職に関係して私及び福田代議士がわいろをとり、召喚必至という記事が掲載されましたが、これは全く事実無根であり、著しく名誉を棄損するものとして名誉棄損の告訴を、私はいたしたのであります。大げさに六段抜きで取り扱われた記事は、一昨日の法務大臣答弁によっても明白なように、全く事実無根であります。火のないところに煙は立たぬというが、この場合には線香の火ほどの火種もなかったのであります。どうしてかような記事が出たか了解に苦しみ、私はさっそく読売新聞編集局長にこの不当をなじりましたところ、ニュース・ソースは検察庁であり、確実なものであるという、はなはだ自信に満ちた返答でありました。記事をよく読んでみましても、いかにも当局、すなわち検察庁から情報が出ているように書いてあります。著しい部分を読んでみますと、東京地検は十七日天野特捜部長総指揮の特捜班を設け、造船疑獄以来の本格的摘発を始めたが、捜査線上に浮かんでいた国会議員約十名の裏づけ捜査を進めた結果、宇都宮徳馬氏、福田篤泰氏の東京出身代議士二人も売春業者からわいろを受けているとの疑いが濃くなった、宇都宮、福田両代議士の召喚も必至と見られる、またそれに続きまして当局は東京都連、地元代議士を結ぶ汚職ルートにメスを入れ、福田、宇都宮両代議士にいずれも二十万——五十万円の工作費が送られている事実をつかんだ、さらに、地検の押収した書類には福田、宇都宮代議士の氏名の上には済みというしるしがはっきりと押されており云々といった調子で、確実な犯罪容疑を当局が発表したようにしか思われないくらいに書かれておるのであります。あすにても手錠をかけられそうな記事であるのであります。まさに公然事実を摘示し人の名誉を棄損するものであり、しかもその事実たるや誕岡に出るものと申さなければなりません。しかし、読売新聞編集局長の言うように、もしも検察当局よりたとい非公式にせよ事実が提供せられていたと仮定するならば、刑法第二百三十条ノ二の二項の「未ダ公訴ノ提起セラレサル人ノ犯罪行為ニ関スル事実」であり、それが真実ならざることの責任はもっぱら検察当局にあるのであって読売新聞の罰せられる可能性ははなはだ少いのであります。この場合には、事実無根のことを、あたかもいまだ公訴の提起せられざる人の犯罪行為に関する事実のごとく、虚偽の情報を故意に提供したと見られる検察当局に当然刑事責任がなければなりません。公訴提起前の犯罪行為を公表することは、一連の犯罪行為を世論の監視下に置き、捜査機関に捜査の端緒を与えることが目的であります。しかし、発表することはあくまでも真実でなければなりません。虚妄のこと、すなわちうそのことであってはいけません。虚偽の犯罪事実が当局によって言論機関に提供せらざるるがごときことは、重大な人権の侵害であり、善良な国民もまくらを高くして寝ることができないのであります。私は、読売新聞編集局長の言がもし真実であるならば、事態ははなはだ重大であると思う。私は一国民であると同時に衆議院議員であり、福田氏も衆議院議員てあります。二人の国会議員についてうその容疑事実を流すというようなことは、一検事のよくなし得るところではないと私は思います。私はこの背後に何らかの意図を持った上司の指揮命令を想像せざるを得なかったのであります。私が読売新聞とともに検察首脳を告訴した理由はここにあるのであります。これについて一昨日唐澤法務大臣は、ニュースが検察庁から出たことはないと申された。しかし読売新聞は今なおニュース・ソースが検察庁であったという主張を私に対し取り消してはおりません。具体的なニュース・ソースの自供は拒否しておるけれども、検察庁から出たということを取り消してはおらないのであります。しかも、先ほど申し上げました通り、あの記事では、当局は収賄の事実をつかんだ—。地検の資料によれば、犯罪の事実に関することできわめて心やすく検察当局の名を使って真実を装おうとしているように見えるわけであります。法務大臣の言われるごとく、検察庁から流れた故意の情報でないとするならば、かような検察庁を利用した記事の書き方自体についても、少くとも何らかの行政措置、注意するとか警告するとかという行政措置をとるべきであったと私は思う。この点については同僚議員がいずれ質問するであろうと存じます。非常に問題の点であろうと思うのであります。  ニュース・ソースの自供を求めていることが問題になっていますけれども、私は被害者として一言それについて述べたいのですが、新聞記者の取材源についての証言拒否権すら大審院判例によって認めておらないのでありますから、いわんや犯罪容疑者としての記者が取材源について尋問されない権利があるはずは私はないと思います。特に、この場合においては、編集局長が、ニュース源は検察庁であると、特定の個人は示さないで、最初からニュース・ソースを示しているのであります。それゆえに、私は読売新聞とともに検察当局をも告訴せざるを得なかったのであって、私にとりましては、ニュース・ソースを明らかにしなければ、告訴の真実の相手、また名誉棄損に伴う損害賠償等の付帯訴訟をする相手を決定することすらできないということをこの際知っていただきたいのであります。もしも読売新聞が、このニュース・ソースが検察庁とか確実なものでなく、何ら確実な二ュース・ソースなしに二人の容疑者を捏造したとすれば、これは何とも形容のできない不都合きわまることであると申さなければなりません。私は今まで新聞の誤報に泣く人々のことを聞いてはおりました。まさかしかし根も葉もない誤報があろうとは実は思わなかったのであります。しかし、それが実際にあることを今度みずからの皮膚によってしみじみといたく感じたわけであるのであります。人の名誉を無根の事実で著しく棄損する記事は、その報道機関の影響力が大きいと、その人の社会的信用を落し、仕事や生活をめちゃくちゃにし、一家離散の悲運に泣く者も多いと聞いておるのであります。普通の人は、突如として降りかかってくる新聞の誤報によって受ける災難に対抗することは、これは事実上できない。最初は全く悪意のない単なる一記者の誤報でありましても、被害者がその誤報と戦っているうちに、新聞社はいわば意地になってくる傾向がある。大新聞の声価を維持するための圧力が弱い傷つけられた者の名誉をいよいよ傷つけ、社会的に押し殺してしまう場合が多いということを私はつくづく感じた次第であります。これが言論の暴力と呼ばれるものであり、もはや一個の社会悪ということができると私は断ずるのであります。何人も不当に不名誉な取扱いを受けざる権利を持っている。これは人間の尊厳を維持する重要な、はなはだ重要な基本的人権であります。私の名誉棄損事件は売春汚職の記事が原因でありますが、しかし、売春汚職とは全く別個な、それ自体として私はきわめて重要な事件であると存じます。日本の報道機関は個人の名誉に対して顧慮することが少く、極端に言えば、これを傷つけることが平気であるとも言えるのであって、そのために報道の自由の原則が善良な人々の人権を犯す暴力のとりでとなっているとも言えると思うのであります。私はこの際言論機関に厳粛なる反省を望みたい。この反省があって初めて国民は報道の自由が国民にとって重要な自由であることを再認識するであろうと信ずるものであります。  ニュース・ソースの秘匿の問題についておもしろい話があるから、私はここで御参考までに紹介したい。ある小新聞の記者が読売新聞の今度の態度を見ておれのところも今度でたらめを書いて、検察庁から種が出たようなふりをし、取調べられたら、ニュース・ソースは言えないと言えばいい、小新聞にも大新聞にも同様の取材の自由があるにきまっているのだ、それが通用するであろう、こう申しておる。こういうことになっては大へんなことであります。言論統制をみずから報道界に呼び込むようなことと存ずるのであります。私は私の事件の真相が徹底的に明らかにされることを望んでおるものであります。それによって報道の行き過ぎが訂正される機会となることを熱望しておるのであります。しかしながら、先ほども申しました通り、もしもニュース・ソースが検察側にあるとすれば、それこそ検察ファッショと呼ばれるべきものであり、無根の事実を新聞記者にいいかげんに流す、そうすると特定の政治家をいつでも検察当局は傷つけることができるのであります。事態は報道の自由の行き過ぎよりもはるかに重要な問題になってくるわけであります。現在この問題については捜査が進行しているわけでありますが、十分なる決意を持って、たとえ検察当局みずからに火の粉が振りかかることがあっても、検察当局の公正に対する信頼を国民から失われないように、これは重要なことであるから、私はそれを心から願うものであります。  私の陳述はこれをもって終ります。

三田村武夫自由民主党

○三田村委員長 福田篤泰君。

福田篤泰自由民主党

○福田(篤)委員 まず私は、委員長並びに委員各位に対しまして貴重な時間をわれわれ二人のために与えられた御厚意に対して厚く御礼申し上げます。  しかし、これはひとり二人の代議士の問題ではなくして、いわば基本的人権に関する重大な社会犯罪の問題であります。同時にまた、国会の権威に対し、かつまた善良な国民という大きな立場から、当委員会がこの時間を与えられたものと私は推測いたします。告訴に至りました経緯並びにその背景につきましては、同僚宇都宮君から詳細述べられましたので、ここに省略いたします。ただ、私は、ここで特に申し上げておきたいことは、やはり読売新聞の小島編集局長がこの恐るべきデマ記事の根拠について検察側から聞いたと言うことが、私どもがいわゆるデマを流すと思われる検事を相手として名誉棄損に訴えざるを得なかったゆえんでありましてただ、その翌日において、読売新聞の記者が某検事のうちにその日の夜参りまして、実は検事から聞いたのではない、御迷惑をかけて済まなかったとあやまった事実を私が知っておりますので、特に一昨日の法務大臣の、われわれ二人はいわゆる売春汚職には何ら関係ないという明確なる答弁を拝聴したことと思い合せまして私個人としては、おそらく検察側がいわゆる告訴の対象となるような不名誉なことをしたとは考えておりません。事態が明白になって責任の所在がはっきりした場合には、それについての対象を明確にすることをこの際に申し上げておきたいと思います。  私どもがいわば数万の支持者の票をいただいて国会に送られているという重大な立場からも、今回のこのデマ記事の報道は、心理的にも法的にもまた家庭的にも受けた打撃は深刻なものがあります。これはおそらく同僚委員各位も御賢察いただけることと存じますが、私は、ニュース・ソースの問題、それから売春汚職の問題、またわれわれの名誉棄損の告訴の問題、この三つは関連はありますが、やはり別個にはっきりと峻別して、当委員会における公正慎重なる審議をお願いしたいと思うのであります。  この場合、売春汚職自体については、これは何人といえども徹底的に究明せらるべきことは当然でありましょう。また、ニュース・ソースの秘匿の問題でありますが、正しい自由な報道を確保するためにこの問題を慎重に取り上げることもけだし当然であろうと思うのでありますが、ただ、この場合、あくまで自由な報道という上に正確な報道ということがあって初めてニュース・ソースを秘匿するという慣習が守らるべきではないか。この大前提を思わざるを得ないのであります。すでに英米におきましてはライベル法的な法律があることはすでに各位の御承知の通りでございます。これによりますと、英国では一八八八年の改正名誉棄損法によって定められておりますし、アメリカにおきましても各州の州法によって規定したところが多いようでありますが、これらいわゆる名誉を特に言論の暴力から守る前提におきましては、ニュース・ソースの秘匿の大事なことは一定のワクがなければならない、すなわち、第一はその報道が正確かつ公正であること、第二は悪意がないこと、第三は評論を含まない場合に、初めてその特権が認められるということは米英における新聞道の常識であります。しかるに、今度の私どもの受けましたこの重大な問題を考えますと、果して今度の読売新聞にこれらのワクが守られておるかどうか、私は大きな疑問だと思う。毎日各地からお手紙をいただいておりますが、来ておる中で一つだけ要旨を御報告さしていただきたいと思います。これも数日前もらいました芦屋市の医学博士若原英夫という方でありますが、全然未知の方であります。こういうことを言ってきておる。今日まで実に数知れぬ数十万の良民がこの種のペンの暴力によって屈服を余儀なくされ、いな泣き寝入りをしておるのであります、どうかわれわれの被害者を代表し、言論の暴力、ペンによる、印刷による殺人罪をこの際なくして、善良な市民を守っていただくようにお願いいたしたい。こういうようなことが連日各地から参っておる事実を見ましても、私は、一方において新聞が社会悪と戦い、そうして正しい民主主義を確立する上に大きな役割をしておると同時に、一方において不用意にも重大なあやまちを犯しつつある、この点をどうか本委員会におきまして二人だけの被害、あるいは残酷な犠牲というものをそのままに終らすことなく、これを生かして、正しい新聞道、特に十月一日から新聞協会がやりましたいわゆる新聞週間においてきめられたスローガン、「報道には大胆、人権には小心」というこのりっぱなスローガンが、そのまま守られる時代が来るように、たとえばライベル法的なものの制定ないしはこれに伴うニュース・ソース秘匿権における法的措置、あらゆる角度から、正しい言論、そうして信頼できる新聞道のために本委員会が今後とも御研さんあらんことを切望いたしましてきわめて簡単でありますが陳述を終ります。

三田村武夫自由民主党

○三田村委員長 ただいまの宇都宮、福田両君の御発言に対して、法務大臣、何か御所見がありましたらこの際お伺いいたします。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 ただいま両君からお話がありましたことのうち、検察当局が両君から名誉棄損の告訴を受けておるのでございまして、もし検察当局のだれかがあの記事のもととなるようなことを話しておったといたしますれば、これはゆゆしきことでございます。従いまして、検察当局といたしましては、あの告訴を受けて直後、厳重に部内を取り調べたのでございます。今のところでは、検察当局の中であの記事の原因となったような話をした者はないようでございます。なお、一昨日の委員会でも申し上げましたように、このいわゆる売春汚職関係におきまして、両者は全く容疑がないのでございますから、従いまして、検察当局からさような情報が出るはずはないという話でございまして、それを聞きますと、いかにももっともなことだと思うのでございます。しかし、事は重大でございますから、なお引き続き万万一検察当局からあの記事のもととなるようなことをいたしておったかどうかを取り調べておる次第でございます。もし万一さようなことがありましたならば、厳重に処断するつもりでございますが、今のところでは、どうもそういう容疑がないのでございますから、従って、それを漏らすというようなこともなかったろうと思っておりますが、引き続き調査をいたしております。

三田村武夫自由民主党

○三田村委員長 質疑の通告がありますから、順次これを許します。佐竹晴記君。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 それでは私より質疑いたしたいと思います。  売春汚職の問題について検察当局が活躍せられておりますその御苦労に対して、それを多とすると同時に、大いに敬意を表するものであります。なおこの上徹底的に究明されまして、世論にこたえられますよう、冒頭切望いたしておきます。  先ごろ、売春汚職の報道を読売新聞の立松記者がいたしたというので、同記者が逮捕されたという情報が伝わりまするや、世間では、売春汚職事件報道は逆に弾圧され、このまままた葬られてしまうのではないかと懸念される向きもあったのであります。従いまして、この記者逮捕問題は、世論にこたえる意味においてきわめて重大な問題であると考えますので、以下少しくお尋ねをいたしてみたいと思います。  法務大臣は一昨日の当委員会において刑事局長をして報告をなさしめましたが、その御報告によりますと、十月の二十四日、立松記者の出頭を求め取り調べた結果、同記者が原稿を作成したことがわかり、その経過について聴取したが、他の関係者との間に著しい食い違いがあり、犯罪阻却に関する真実性の資料の有無を究明する必要があって、釈放すれば他の関係者と通謀し証拠を隠滅するおそれがあるから逮捕したとお述べになりました。ここに言う真実性の資料の有無というのは、おそらく刑法二百三十条二の関係について言われたものと考えます。すなわち本来名誉棄損罪は刑法二百三十条に規定いたしております通り、「公然事実ヲ摘示シ人ノ名誉ヲ毀損シタル者ハ其事実ノ有無ヲ問ハス三年以下ノ懲役若クハ禁錮又ハ千円以下ノ罰金ニ処ス」と書いておるのであります。ところが、これだけでは報道機関の報道の自由を弾圧するおそれがあるというので、その後改正になりまして、特に二百三十条の二を設けました。これによると、前条の行為が公共の利害に関する事実にかかり、その目的もっぱら公益をはかるに出でたるものと認められるときは、事実の真否を判断し、真実なることの証明があったときは罰しないと規定したのであります。その真実性の資料の有無について究明する要があったために逮捕する要があったと言われるのでありましょうが、その点を一つこの間御答弁なさいました刑事局長になお念を押しておきます。

竹内寿平検事(刑事局長)

○竹内説明員 ただいま御指摘の点はその通りでございます。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 ところで、法務大臣が刑事局長にその報告をなさしめました後、林委員より、逮捕するというのは容疑がないという見地で逮捕したものと思う、容疑があり証拠があるのに逮捕するのは報道の自由に対する弾圧と思うがどうかという質疑に対し、唐澤法務大臣はこう答えております。報道の自由を尊重すべきことは当然であります、ニュース・ソースの秘匿も尊重しなければならないが、これと同時に個人の名誉、信用を著しく棄損する場合は放任できない旨を述べた上、事後報告ではあるが、宇都宮、福田両氏には容疑は全くない、しかし容疑がなかったことを書けばすぐに名誉棄損になるかといえば必ずしもそうは言えない、事実ありと信じ、ありと信じたことについて相当の事由がある場合には刑法理論として罪にならない、そこでこれをどこまでも調べなければならないので身柄を拘束する必要があった旨を答弁されたのであります。この答えは刑法一般理論でありまして、ひとり名誉棄損に限る問題ではございません。刑法総論に関します一般的な問題であります。ところが、竹内局長の答弁は、立松記者の報道が刑法二百三十条の二の所定の具体的な真実な事実に該当するかどうかということを判断するために逮捕する必要があったというのに対し、大臣のおっしゃるのは、その立松記者の報道が真実でなかったとしても、真実であると信ずべき相当の事由があるかどうかについて捜査するため逮捕の必要があったと言われております。大へん食い違っておるのでありますが、どちらがほんとうでございましょうか。これは大臣より御所見を承わりたい。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 この点は、私のお答えいたしましたことと刑事局長のお答えいたしましたこととの間に食い違いはないと思っております。もとより法律の理論に詳しくない私でございますから、私が主として重点を置いていますことは、一方において新聞紙の使命を尊重し、ニュース・ソースの秘匿性も十分に尊重していかなければなられと考えております点から見まして、この立松記者を逮捕したことがやむを得なかったかどうかという点を、報告を受けて後にただしてみたいのでございます。その当時の検察当局の説明といたしまして、しかじかの理由でやむを得なかった。どういうことであるかといえば、今お話のありましたように、ほんとうに立松記者がさような事実がありと信じ、しかもありと信じたことについて健全なる常識で判断してそう信ずるのも無理もないというような状況にあれば、これは罪にならないと承わっております。そういうような状況下におってそして事態が明白でありませんから身柄を拘束する必要があったろう、こういう判断を私も下しまして、あのときの措置としてはやむを得なかったとお答えいたしたのでございます。  なお、法律上の詳しい点につきましては、われわれ二人のお答えしたことが食い違っておらないということは刑事局長から御説明申し上げたいと思います。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 大臣のおっしゃるところは、結局、記者の報道が真実でない、すなわち宇都宮、福田両氏に容疑がないのに、容疑ありと誤解し、事実でない報道をしても、その報道をするについてどうしてこのニュースを手に入れたか、そのニュース・ソースいかんでは、事実でなくとも事実ありと信ずべき相当の事由がありと見なければならぬ場合は罰することはできないから、その捜査の必要上逮捕の必要があったというに帰着いたします。この説明を裏返せば、ニュース・ソースを言わないから逮捕しなければならなかったということに帰着いたします。しかるに、竹内局長の言うところは、刑法二百三十条二所定の具体的要件たる真実が証明されたらば罰せられないと明記いたしております。その事事の有無について他の関係人の供述と食い違ったから、そこでその真実発見のため身柄を拘束しなければ通謀して証拠を隠滅するおそれがあるので逮捕したというのであります。竹内局長のおっしゃるところは、極カニユース・ソースを問題にしないで逃げようとしておる。大臣は、ニュース・ソースいかんによっては罰せられないことになるから、ニュース・ソースについて捜査の必要があったと言ってニュース・ソースと取っ組んでおります。この間に大へん相違がありますことは大臣もお認めでございましょう。この間の問答の中におきましても、竹内局長が極カニユース・ソースの問題は問題外であるとして逃げようとし、大臣は、ニュース・ソースの問題いかんによって罪になるかならぬかがシコしまるようなことがあるんだから、その面について取調べをする必要があり、逮捕する必要があったと言われておる。私はこれは大へんな相違であると思うのでございますが、これでもやはり食い違いがないとおっしゃるのでございましょうか。

竹内寿平検事(刑事局長)

○竹内説明員 私の答弁と大臣が申されました答弁との間に御指摘のような食い違いがあるかどうかという点でございます。この真実性の証明という問題に限定をしてお答えをまず申した方がわかりがいいんじゃないかと思いますが、私の申しましたことと大臣の申しましたこととの間には実質的な差異はないというふうに思っております。すなわち、私は、真実性の証明がありますならば罰せられないという趣旨のことを申したのであります。大臣はそれをさらに打ち砕きまして、もう少し内容についてこまかく御説明になったのでございまして、もしもこの問題を詳論いたしますならば、私も大臣と同じような説明をせざるを得ないのでございます。すなわち、かりに検察官が漏らしたということになりますると、そういうように記者が信じたという相当な理由があったということに見られる場合が多かろうということを大前提といたしまして、もしも漏らしたということがないといたしました場合に、しからば記者は信じたといたしましてそれはどういうような相当の理由に基いて信じたか、その相当の理由と申しますのは、健全な常識でそういうように信ずる、しかもそれは客観的な資料に基いてさように信じた、そういうことになれば、判例通説の示すところによりまして、かような場合には犯罪は不成立になるのであるという意味におきまして、それらの点につきましても捜査をしなければならなかったのである、こういうふうになるのでありまして、その後段の部分を大臣が御説明になったのでありますし、前段の部分を私が申したのでございます。その間に食い違いとか考え方の相違とか、ニュース・ソースの点を私が特に避けており、大臣がニュース・ソースの点に取っ組んでおるというような趣旨ではないのでございます。この点御了承願いたいと思います。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 おととい質疑応答を拝聴いたしておったのでありますが、局長は岸本検事長の言を弁解なさいまして、ニュース・ソースの問題を中心にしないで、それに重点を置かないことに苦心をされた答弁をせられておりますことは速記録の示す通りでございます。ところが大臣はそのニュース・ソースの問題が逮捕の中心の問題だと答えられるのでありますから、これは問題になるではないかと思って、前提として私は条文をあげて先ほどげたを預けておいたのでありまして、果せるかなそういう答弁をなさるのでありますが、しかし、一昨日大臣は、吉田委員がニュース・ソースは犯罪成否に関係ないではないか、こういう質問をいたしましたのに対して、情報が検察当局や警察の内部等から出たかもしれない、もしそうだとしたら、その事実がなくとも、そう信ずることに相当の事由があるので調べなければならなかった、こうお答えになっておるのであります。局長が純粋法理論として御説明なさいましたところとは大へん相違いたしております。しかし、本件名誉棄損は、新聞に書いたというだけで、まごうかたなく公表された、明確な事実でありまして、これははっきりいたしております。もはや秘匿しようにも、変更しようにも道がない。しかして、大臣の心配なされるような、ニュース・ソースが内部から出ていたとしたら、それは違法を阻却する条件になって、犯罪成否について問題を持つから、ニュース・ソースの点についてどうしてもこれを調べなければならなかったと言われておるのであります。従ってその行動をした記者がニュース・ソースを言わなかったということは違法阻却の事由を述べなかったということであります。書いた記事の通り責任を負いますということであります。たとえばここに傷害事件があるといたします。傷害をしたかという問いを発したところ、傷害いたしたに相違ございませんと被疑者が答えた。その傷害を与えたのは正当防衛でやりはしなかったかと問うたときに、被疑者が何もこれに答えなかったといたしますと、犯罪事実を認めたことになります。違法阻却の事由を述べなかったということは、犯罪成立をはばむものではありません。これと同様、立松記者は原稿を送り、読売新聞社がこれを記事に書いて天下に頒布いたしました事実はもうおおうべくもございません。しこうしてそれを報道したことについて違法を阻却する事由があるならば述べたらどうかというときに、その違法阻却の事由を述べなかった。犯罪成立を真正面から肯定しますというのであります。それを証拠隠滅のおそれありとして逮捕する必要がいずこにありましょうか。これを承わりたい。

竹内寿平検事(刑事局長)

○竹内説明員 私から答弁させていただきます。ただいま佐竹委員の仰せられたような法律見解も存するのでございます。はっきり申し上げますと、二百三十条の二の規定が新設されましたときに、当時の政府委員は佐竹委員がただいま仰せられたような見解のもとに提案理由の説明をいたしておるのでございます。ところが、この条文ができましてから施行されてみますると、一昨日も申し上げましたように、政府提案の際の法律見解とは違いまして、学説、判例ともに佐竹委員の仰せられたような解釈ではなくして、つまり、佐竹委員の仰せられた解釈によりますると、この公然事実を摘示したという、このことによりまして犯罪は成立するのである、しこうして真実の証明がありました場合には阻却する、こういう考えでございまするが、判例通説は、もしも証明がされた場合には犯罪の成立を阻却するという考え方になっておるのでございます。従いまして、真実が証明されるかどうかということは犯罪の成否に関する問題というふうに解釈されるのでございまして、その点、佐竹委員が仰せられるように、あとは被告側の出方いかんにかかるのではないかというふうにのみは取り扱えない次第でございます。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 法務大臣の言われる、情報が内部から出たかもしれない、もしそうだとしたらそれが事実でなくともそう信ずることについて相当の事由があるというのは、いわゆる期待可能性論をおっしゃっておられるのであると思います。これは戦時中のころから非常にやかましく論ぜられた問題でありまして、最近は通説のごとくになり、判例にも一部取り入れられるようになりましたことは申し上げるまでもございません。戦時中に経済統制令の違反事件が非常にたくさん起りましたが、当時その法令の解釈が非常にむずかしくて、たとえば業者などが、うっかり取引をしておるとあとで違反にひっかかるというので、警察へ照会して、これこれしかじかのことをいたしたいのでありますが、大丈夫でありましょうかと照会いたしましたところ、経済主任が、これは大丈夫です、やってよろしいと言うのでその取引をした。ところが、他の管外の警察では解釈を異にいたしまして、これは法の解釈を誤まっておるのだ、経済統制令違反だといってこれを検挙し、ついに起訴された事実がある。そこで、法廷において警察の経済主任からこれはやってもよろしいという回答を得ておるので私はそれが正当であることを信じておりました、そこには相当の理由があります、こう言って弁解をいたしましたが、法を知らざるのゆえをもって罪を犯すの意なしとなすことを得ずで、けられてしまった。ところが、これがだんだん問題になって参りまして最近ではこの議論が相当に重用され、ただいま竹内局長の御答弁なさいましたように、二百三十条の二の解釈に当りましても、違法阻却の問題より発展いたしまして、犯罪の成否自身にかかわる問題であるというまでに議論が進められ、しこうしてこれが一部判例にも採用されるまでに至っておるのであります。ところが、本件の場合はこれとは違います。ニュース・ソースが内部から出ているかもしれないと懸念されたというのでありますが、そのニュースは捜査上の秘密に関するものであります。これを漏らしたならば、あるいは秘密漏洩になり、あるいは公務員法違反となります。責任をとらなければなりません性質のものでありますことは申し上げるまでもございません。従いまして、この秘密を漏洩した者からニュースを得ても、それは法の保護に値しないものであることは、これはお認め願えましょう。前に述べた、統制法規の解釈を警察に問い合せて回答を得たような場合とは全く違うのであります。もし刑事局長なり法務大臣が、たと、えばこの件についてこれこれしかじかだと公表をし、そうしてそれを新聞に報道してみた、ところがそれが事実と相違しておった、という場合に、それが事実と相違しておったにしても、それはまさに真実と信ずることについて相当の理由があったということになりましょう。けれども、法務大臣のお答えなさいますところのものは、そういった公然の問題ではございません。内部からひそかに機密が漏れていたではないかということを問題にされておりますることは、法務大臣御自身の御答弁の通りであります。そこで、今ここにこの期待可能性論をひっさげて本件の場合を説明し、そうして立松記者の逮捕を合法化しようとする説明は、これは大へん間違った解釈ではないかと思うのでありますが、法務大臣いかがでございましょうか。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 私は、たびたび申し上げておりまするように、立松記者の逮捕は当時の状況におきましてまことにやむを得なかった措置であったと信じております。だんだんとお話しがございましたが、私が一昨日の委員会において申し上げましたことは、もし立松記者に対して何か検察方面から事実を漏らした者がありましたならば、これは犯罪の成立を阻却する原因として有力なものであるから、これはどこまでも調べなければならないということを申したのでございまして逮捕をいたしました当時の状況といたしましては、刑事局長からも申し上げました通り、関係者の供述に非常な食い違いがございまして、証拠隠滅のおそれがありましたから逮捕をいたしたのでございます。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 私の問いに対して十分のお答えを得ないことは遺憾でありますが、質疑を進めて参りましょう。  それでは刑事局長にさらにお尋ねをいたしたいのは、立松記者の言うところと他の関係人の供述と食い違うので、通謀すると困る、証拠隠滅のおそれがあるから逮捕しなければならなかったというのでありますが、その御説明の中でも、立松記者としても相当に弁解をいたしておったようであります。いかなる弁解をし、どういう方をお調べになってどんなふうに食い違っておりましたのか、差しつかえない範囲内において一つこれをここで御報告いただきたいと思います。

竹内寿平検事(刑事局長)

○竹内説明員 逮捕をいたしました理由につきましては、大臣からお答え申し上げましたように、証拠隠滅のおそれということに尽きるのでございますが、今お尋ねの点は、どういう弁解をしたか、そして関係者とはだれだれか、その人たちとの供述の食い違いはどういうところを言うのかということになりますると、一昨日も冒頭申し上げましたように、本件はただいま捜査中の案件でございますので、この点はもう少し先のある時期までお許しを願いたいと思うのでございます。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 売春汚職に関する全体の問題といたしましては、これは御説の通りであろうと思いますが、しかし、この福田、宇都宮両氏に対する名誉棄損の問題並びに立松記者逮捕の問題につきましては、もうすでに相当に明らかにされてもおることでありますし、私はこれをここで御答弁いただいてしかるべきではないかと思うのであります。しかし、しいては求めません。ただ、どうでしょう、検事総長や検事正までも告訴されておるようでありますが、これはちょっと調べようがないようにも思いますが、お調べなさいましたのでしょうか。これらの人々は被告訴人であっても全然調べない立松記者だけを調べたというのでございましょうか。どういう方面をお調べなさいましたのでありましょうか、これを承わっておきたいと思います。

竹内寿平検事(刑事局長)

○竹内説明員 一昨日も御説明申し上げたのでございますが、告訴をいたしました両代議士から告訴の事情を聴取いたしましたのを手始めといたしまして、検察庁の責任者からも事情を聞くということで捜査を進めておるのでございます。さて、検事総長をいつ調べるかといったような問題は、これはまた一昨日申し上げたところでございますが、すべて犯罪捜査は証拠を積み重ねましてその証拠の出てくる順序に従いまして進めざるを得ないのでございます。この証拠を離れての捜査ということは非常に人権の問題にも関係することでございまして、厳に慎しまなければならないところでございます。従いまして、それらの時期その他は今後の捜査の結果に待たなければならないと思うのでございます。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 検察当局においてはさらに裁判所に対して勾留の手続まで進められたのでございますが、裁判所におきましては、これを却下された。大臣の御答弁によれば、まことに不本意であるようなお答えでありました。検察当局のお考え方と裁判所のお考え方とどこに食い違いがあったのか。これは、世間といたしまして検察当局のおやりになったことが公正なものであるか、あるいは裁判所のお考えがまた妥当であるか、これを判断いたします上においてきわめて必要であると思います。単に却下されたというだけでは、検察当局だけが大へん一方的に好ましからぬことを請求したかのごとくにも思われます。この際御弁解もございましょう。不本意である内容を承わりたいと同時に、裁判所の意向もこれこれしかじかである、しかし検察当局としてはこう考えたのだ、どこにどのような意見の食い違いがあってこうなったか、それがどういうふうに遺憾であるか、これを一つ御説明いただきたい。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 一応私からお答えをいたしまして、足りないところは刑事局長から説明をいたさせます。  もちろん私は事後において報告を受けたのでございましてそうしてその当時の状況についてその判断がよかったかどうかを考えたのでございますが、たびたび御説明申し上げておりますように、当時といたしまして、検察当局といたしましては、逮捕状の発付を請求する必要ありと認めてこれを請求して、そうしてその発付を見たのでございます。この逮捕状によりまして逮捕をいたしまして次に引き続いて勾留状の発付を請求いたしましたところが、このたびは却下をされて発付を見なかったのでございます。検察当局といたしましては、当時といたしまして、どこまでも勾留状の発付を得たかったのでございまして、勾留状の発付の必要があるという考えは変っておりません。しかしながら、裁判所の方からこれを却下したのでございますから、さらに慎重に考えまして、不本意ではあるけれども、この裁判所の決定に従おう、こういう判断をいたしたのでございます。もとより裁判所はこの却下したことについて理由は明示しておりません。おりませんけれども、ともかく、検察庁といたしましては、従来から裁判所の決定に対してはこれを尊重する態度をとってきておりますから、ここに裁判所の却下という事実が一つ加わりましたから、慎重に考慮した結果、不本意であるけれどもこの決定に従おう、こういう判断を下したのでございまして、その状況を承わりまして、当時としてはこの判断はやはり正しかった、かように私も判断をいたしておる次第でございます。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 おそらく、こういう重大なことでございますから、書面を出しつぱなしではなかろうと思います。係の検察官におかれても、判事ともお会いして、これこれしかじかであるということの内容の説明もいたしましょうし、判事の側におきましても、たとえば証拠隠滅についてはどういう事態があるか、また逃亡についてはどういう関係にあるかというようなことの話し合い——と言うのは語弊がありますが、必ずやりとりがあることと思われます。これは単に請求書を出しっきりで、また理由をもつけない却下決定書だけをもらって、それきりなのでございますか。検察当局として手を尽したか尽さないか、これを承わりたい。

竹内寿平検事(刑事局長)

○竹内説明員 この裁判は御承知のように理由を付さない裁判でございます。ただ、はっきりしますことは、証拠隠滅のおそれがあるから勾留状を発布してもらいたいという請求でございますので、それを却下したということは、検察側が主張する証拠隠滅のおそれがあるというのは認めないということでございますから、証拠隠滅のおそれはないという判断をしたというふうに解せざるを得ないのでございます。実務といたしまして、証拠隠滅のおそれありという理由は書面をもってこまかく要求はいたさないのでございまするが、事案によりましては、主任検事が裁判官に説明するといったような処置もとられることもあるやに伺っております。本件の場合も、極力検事としましては目的の貫徹のために必要な疎明その他はいたしておるものと考えておりますが、結果は、証拠隠滅のおそれなしという判断のもとに却下ということになったものと思量いたします。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 大臣の答弁なされました言葉の中に、宇都宮、福田両代議士は容疑がないことがわかったとおっしゃっておられますが、最初から検察当局において何ら問題とならず容疑がなかったというのでありましょうか、また、何か論議されて、調べてみたが容疑がないという結論に達せられたのか、これを承わりたいと思います。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 両代議士から名誉棄損の告訴がございました。しかも検察当局も被疑者となっておりまするので、それで当時の状況の報告を承わりました。その承わった際に、両代議士については容疑が全くない、こういう報告でございましたから、そのまま申し上げた次第でございます。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 宇都宮代議士は、検事総長並びに検事正を名誉棄損で告訴したということでありまして先ほどの御発言の中にもはっきりいたしております。また宇都宮氏から印刷物が各方面に頒布せられておりますが、これによると、さらにまた先ほどの御発言によりますと、検察当局が故意に秘密を漏洩し、新聞記者と共同してこれを公けにし、よって名誉を棄損したという趣旨にとれます。しかし、今御答弁のごとく、検察当局が何らの容疑もなかったといたしましたならば、検察当局が機密を漏洩しようにも方法がございません。その機密を漏らして記者をして書かしめたということでありますならば、それは検察当局は共謀の名誉棄損になるでありましょうが、その事実が全然ない、また何ら容疑がないというのに、つまり機密を漏らしたこともないというのに、検察当局が機密を漏洩し、しかも故意に漏洩し、よって新聞記者をしてその記事を公けにせしめたということは、これまさしく謹告に相違ないと思います。謹告罪は申し上げるまでもなく親告罪ではありません。その罪は、「三月以上十年以下ノ懲役ニ処ス」とありまして、名誉棄損罪の「三年以下ノ懲役若クハ禁錮又ハ千円以下ノ罰金」というのに比しては、はるかに重いのであります。この重い犯罪が本件途上行われているとの疑いが生まれたといたしまするならば、名誉棄損罪よりもさらに厳重に取調べをなすべきものであると思いまするが、しかし、それを立松記者を逮捕することによってのみこの問題を転換しようとすることは、これは許されないと思います。当局はこの問題に対していかに処置をなされたか、これを承わりたい。

竹内寿平検事(刑事局長)

○竹内説明員 私から答弁させていただきます。大臣がたびたびここで言明をされておりますように、読売新聞記事が出ました当時、宇都宮、福田両代議士に対する容疑は法務大臣の手元に全然報告されておらないのでございますし、また、その後調査しましたところ、容疑がないということでございます。従いまして、御指摘のように、容疑がないものを検察当局が漏らすはずがないではないかということがまず第一に考えられるわけでございます。容疑がないものを漏らすはずがないというところからして、これは、通謀でこの名誉棄損罪が行われたかどうかというような点は、一応地検側の弁明として東京高検は理解しておるようでございます。従って、もしも真実そういう事実がないのに漏らしたと称してこの告訴が出ておるということになりますると、今度は告訴人としての考え方がまた問題になるのでございますが、それらは、この名誉棄損罪の本筋の事件の今後の捜査によってその問題も自然明らかになってくるのでございます。その点を期待いたしておりますし、またその結果によって検察当局が第二に考えるべき問題であろうというふうに考えておるのであります。

宇都宮徳馬自由民主党

○宇都宮委員 関連して……。  まず、私が先ほど陳述いたしましたことに対して佐竹氏のただいまの御発言は、いささか誤解があるようであります。私は何がゆえに検察首脳者を告訴いたしましたかというと、私自身、これは全く事実がない。しかも、読売新聞には、あたかも検察からそのニュース・ソースが出ているというような書き方もしております。また再度にわたりまして読売の編集責任者が、検察方面からニュースが出ておる、さようなことを言っておるのであります。でありまするから、私は、もしも検察庁からさようなものが漏れたとすれば、決してこの捜査上の秘密を漏らしたものではない、あたかも公訴前の犯罪行為のような形をして、証岡の事実を何らかの意図によって検察側が漏らしたのではないかというふうに疑わざるを得なかったわけであります。そうして、先ほども申し上げましたように、かような両代議士に対して証岡なことを新聞記者に通報して漏らすということは、一検事のいいかげんになし得ることではない、これは何らかの意図によって上司が指揮命令したものだ、かように当時の事情においては理解せざるを得なかった。でありますから、私の告訴の前提は、決して地方検察庁において私の捜査が行われていなかった、行われているにしてもきわめてかすかな事実として行われて、とうてい漏れるようなことはない、それが故意によって漏らされたというところに事態の非常な重大性がある、従って一係官ではなく検察首脳を告訴いたした、かようなことなんであります。ただいま佐竹委員からの発言でございますが、私は別に当局に質問はいたしませんけれども、私の立場をここにおいてせん明いたす次第であります。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 ただいまの宇都宮氏の釈明によりましても、検察首脳部が指揮命令してやらしたのじゃないかという疑いを持ってせられたことが今はっきり述べられたのです。その結果検事総長や検事正が告訴をされておるものといたしますならば、これは捨ておきがたい問題だと思います。ちょうど花井検事総長もお見えになっておるのでありますが、これは一体どこから漏れたものであろうか、あるいは、一切漏れてないのに、あたかもそういう事実があったごとく捏造して書いたものであろうか、その辺に対する御調査ができておりましょうか。検事総長として一つ御答弁を願ってみたいと思います。

花井忠検事総長

○花井説明員 誣告の問題でございますが、これは、私どもの調査の結果では、検察庁からは絶対に漏れておりません。それを私は確信いたしております。そこで、そのことが直ちに誣告になるかどうかということでございますが、そう信じたということにあるいは問題があるんじゃないか。つまり犯意の問題がありはしないか。ですから、直ちに今謹告をもってこちらから捜査をするというような考えは、目下のところはございません。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 立松記者を逮捕いたしましたのは、おそらく内部から出ているんじゃないという疑惑をとくため、世間に弁解するための一方法であろうとしか思われません。それでしたなら、まっ正面から検事総長が今御答弁の通りに検察庁からは絶対に出ておらぬということを言明することができるといたしますならば、検察庁の上官の指揮命令に基いてこういったような機密が漏れたかのごとき告訴が提起されている以上、検察当局といたしましてもこれは当然取調べをすべきものであり、立松記者を逮捕することによってのみこの問題は終結すべき事案ではないと思いますが、いかがでございましょう。

竹内寿平検事(刑事局長)

○竹内説明員 私から答弁さしていただきます。仰せのように、本件は、告訴人側の告訴状によりますと、担当検事が漏らした、それから検事正あるいは検事総長は検察一体の原則によって指揮監督の任にある者だから、その責任があると書いてございます。しかしながら、本日の弁明の御陳述を伺いますと、部下がさようなことを漏らすのは上司の命令なくしてはあり得べからざることだというお考えのもとに、これを責任があるというふうに考えたという御趣旨の御陳述があったわけでございまして、それらの点をよく考えまして、今後この問題の処理に研究をいたして参りたいと思いますが、何と申しましても、事は捜査の実体に触れる事柄でございますので、これらの問題についての論議も、私といたしましてはもう少し先の適当な機会に譲りたいという考えでございます。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 お約束の時間がありますから、それでは私は次の質問者にお譲りいたします。

三田村武夫自由民主党

○三田村委員長 横井太郎君。

横井太郎自由民主党

○横井委員 時間があまりないので、端的にお尋ねを申し上げたいと存じます。  本委員会で取り上げられております汚職、名誉棄損、記者逮捕、この一連の問題に関しましては、私はそれぞれ問題を別にして究明をいたさなければならぬと思います。ことに汚職の問題に関しましては、われわれ国会議員の名誉にかけて徹底的に追及さるべきであると思いますが、与えられた時間がありませんので、私は簡単に名誉棄損の問題についてお尋ねを申し上げたいと存じます。  先ほど宇都宮、福田両代議士からそれぞれ陳述がございまして、法務大臣から一応のお答えがございました。そこで、きょうは検事総長がお見えでありますので、検事総長の口から、検察当局の最高責任者の口から、十月十八日の読売新聞の朝刊に五段抜きででかでかと、宇都宮、福田両代議士に収賄の容疑がありとして報道されましたが、この両代議士がその当時、すなわち十月十八日当時及び現在においてそういう容疑があるかどうか、この点を花井検事総長からお答えを願いたいと思います。

花井忠検事総長

○花井説明員 十八日当時はもちろん何ら容疑が出ておりません。今日に至っても容疑は出ておりません。

横井太郎自由民主党

○横井委員 それから、先ほど花井検事総長は、部内からこの問題を記者に漏らしたことは絶対にないと仰せられた。絶対にないと仰せられますが、それは、部内の関係において、監督官の立場においてどういうように自分の部下をお取調べになった結果において、そういうものがないということが具体的に言えるでありましょうか、その点を一つお答えを願いたいと思います。

花井忠検事総長

○花井説明員 東京地検の検事正から確信を持って私に報告して参りました。東京高等検察庁の取調べの結果においても確信が持てます。

横井太郎自由民主党

○横井委員 そこで、捜査線上にもない、部内から漏らした者もないのだ、そうすれば、一体どうしてこういう記事が出たかということをわれわれは考、えなければならぬと思います。そこで、この記事を読んでみますと、先ほど宇都宮氏が読みました通りに、この記事は全く検察当局がお調べになっておるその客観情勢を描写したものでございまして、ことに、この中では、最後のところに、宇都宮、福田両代議士の召喚も必至と見られる、こうまではっきり書いておるのでございます。それから、最後のところにこういうことがございます。さらに地検が押収した書類には眞鍋、福田、宇都宮三代議士の氏名の上には済というしるしがはっきり押されておる、こう書いてございます。これはひとり宇都宮、福田両代議士のこの問題に関するばかりでなく、新聞紙上あるいは週刊誌の上におきましてよく一つの何々メモ、何々メモというものが発行せられておって、そうしてその上には済という字が書いてある、それは非常に嫌疑の深いものであるということを言うのでございますが、そういうような証拠書類を押収しておる、こういうことまで書いてあるのだが、一体証拠書類というものに、何々済みとか済まぬとか、そういうような証拠書類はあなた方の手元にあるかないか。そういうことも、これは国会議員全体がよくそういうものを済んだとか済まぬとかいうように書かれておって、——もらっておる人はそれは自業自得であります。徹底的に追及することがよろしい。しかし、済みとか済まぬとか、何もないのに、こういう押収書類ありとまことしやかに書かれておるが、そういう材料があなた方の手元にあるかないか、それを一つお答えを願いたいと思います。

花井忠検事総長

○花井説明員 現に捜査進行中の事件でございますので、一切私としては申し上げることができません。

横井太郎自由民主党

○横井委員 今まで検察当局なり法務大臣なり、それから宇都宮、福田両代議士の先ほどの陳述を聞きますと、一つも容疑がなくてどうしてぽかりとこんな大きな記事が書かれたか、われわれは非常に疑問を持つのでございます。そこで、私らの申し上げたいことは、一体ほんとうに検察当局に漏らした者があるのか、それとも新聞記者の方がそういうものをでっち上げたのか、あってもそれを言わないのか、漏らした者はないというようにことさらに言うのか、私らは判断に苦しむのでございます。少くとも今おっしゃいました大臣、検察当局の話を率直にそのまま受けるとするならば、この記事は誤報である、でたらめである、こういうふうにしかとれないのでありますが、そうとってよろしゅうございましょうか。あなた方は何と考えられますか。ことにこれは、検察当局が調べておってその結果逮捕召喚することは必至であると言っておるのですから、これをわれわれはどう判断していいかわからない。それは新聞記者の名誉欲か、あるいは何かの陰謀においてこういうことが書かれたのかしら、私らは判断に苦しむのでありますが、あなた方はこれは誤報であるとおっしゃるのかどうか、その点を一つ一ぺん聞きたい。

竹内寿平検事(刑事局長)

○竹内説明員 私からお答えいたします。召喚必至という文字がございますが、これなどはまさしく誤報だと思います。それから、その他の事項につきましては、大臣、検事総長からもお答えがございましたように、私どもはさような漏らしたというような事実はないものと確信はいたしておりますが、ここで確信々々と申し述べましてもいけない。それよりも、現にこの告訴事件は東京高等検察庁において厳格に捜査を進めておるのであります。この捜査の結果によって公けに明瞭になるものと信じております。それによって明らかにいたしたいというのが私どもの現在の心境でございます。

横井太郎自由民主党

○横井委員 どうも、捜査中と言って逃げてしまえばこちらは何とも言えないのでございますが、少くともただいままで聞いたところで言うと、どうも捜査線上にも何もないものがぽかりと出ておる。一体だれがこういう記事を書かせたというのか、それとも記者自身が考えて書いたのか、どうも私にはわからないのでございます。しかしながら、よくこれはわれわれお互いが考えなければならないと思います。福田、字都宮両代議士は、少くとも十何万票を取って出て来た人であります。投票者というものは両氏をりっぱな人だと思って信頼しておるのであります。その人が汚職をやったとしたら、失望落胆するでしょう。もしそのまま記事がうそだというならば、おそらく有権者は怒るでございましょう。それは国民を侮辱するからであります。私らは、単にこの問題は宇都宮、福田両氏ばかりではございません。汚職をやったのはこれは追及するがよろしい。悪いことをやった者がひつ張られるのは当りまえです。しかし、やらぬものをやったとして報道せられる場合においては、これは決して福田、宇都宮両代議士の問題ではございません。国会議員全部の問題であります。だからこれは徹底的に究明しなければならないと思うのでございます。  そこで、この問題に関しましては法務委員が取り上げ、しかも法務当局、代議士、新聞記者、それぞれある一つの権力というか特権を持っておる。ここで究明をいたしておるのでありますから、国民ひとしくこれは注目の的になっております。従って、この結末をはっきりしていかなければならないと思います。今までのここにおける究明というものは、検察当局と法務当局に聞いただけでございます。これだけでは片手落ちだと思います。先ほど宇都宮氏から聞けば、読売新聞編集局長は、この問題は検察当局から出ておる、こう言われたというのでございます。私は聞いておらないからわかりませんが、果してそれが真なりとするならば、これは一体新聞社を信じていいのか、漏らしたという検事局を疑ったらいいのか、私らは判断に困ります。そこで、これは相談でございますが、新聞社の方もお呼び下さって、そうして次会でお聞きするように願ったらいかがでございましょうか。これは御相談でございます(「理事会」と呼ぶ者あり)ことに私が申し上げたいのでございますが、読売新聞は堂々と社説に掲げておられます。「われわれの使命は、世の権力者に対し、厳重な批判の目を向け、いかなる圧迫にも弾圧にも屈しないとともに、つねに大衆の味方となり、その代言者として勇敢に報道することである。もちろん神ならぬ新聞として、ときには誤報もないとはいえないが、報道に誤まりがあれば、それを堂々男らしく公表して世に謝す良心は持っている。」、こう言っておいでになる。まことに同感でございます。新聞社自身がそう言っておいでになるのでございますから、ここにおいでになって堂々とその所信をお聞きすることがわれわれ法務委員の任務でもあると思いますので、ぜひお取り計らいを願いたいと思います。  私は時間がありませんので希望を述べて質問を打ち切ります。

三田村武夫自由民主党

○三田村委員長 ただいまの横井君の御質問に対しては、いずれ理事会に諮ってしかるべく処置いたします。  坂本泰良君。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 時間がありませんから、二、三点についてお聞きいたします。  第一にお聞きいたしたいのは、高等検察庁は逮捕状の請求をいたしました。さらに二日後において勾留の請求をいたしております。この逮捕状の被疑事実の要旨、勾留請求の理由、この要点をまずお聞きいたします。

竹内寿平検事(刑事局長)

○竹内説明員 被疑事実の要旨は、被疑者は読売新聞社会部記者であるが、昭和三十二年十月十七日、東京都中央区銀座西三丁目の同新聞社で、確実な根拠もないのに、衆議院議員宇都宮徳馬、同福田篤泰が売春業者より売春防止法の国会審議等に関連しそれぞれ多額の金円を収賄し、捜査当局より召還されることが必至である趣旨の原稿を作って、これを十八日付朝刊に、宇都宮、福田両代議士収賄の容疑濃くなるとの表題のもとに右記事を掲載させて、同日東京都内等の多数購読者に配布させ、もって公然事実を摘示し、右宇都宮徳馬、福田篤泰の名誉を棄損したという被疑事実でございます。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 そういたしますと、ニュース・ソースを明らかにしなかったという点については、被疑事実になっていないように考えられますが、いかがですか。

竹内寿平検事(刑事局長)

○竹内説明員 もちろんさようでございましてそれとは関連のないことでございます。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 そういたしますと、その新聞の発表の際に、岸本検事長は、ニュース・ソースを明らかにしなかったことも一つの理由だと、こう新聞発表しておられますが、そういう事実はありますか。

竹内寿平検事(刑事局長)

○竹内説明員 一昨日その点につきまして御説明申し上げたのでございますが、岸本検事長はニュースソースを言わないから逮捕したというようには記者会見では申されていないのであります。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 十月二十六日の東京新聞—朝日新聞も同じ記事ですが、東京新聞の記事によりますと、「岸本東京高検検事長の話」として、「関係者の供述に重大な食い違いがあったから逮捕せざるを得なかった。ニュース・ソース(取材源)を明らかにしなかったこともその理由の一つである。」、こう新聞に載っておるのですが、この新聞の記事はうそですか。

竹内寿平検事(刑事局長)

○竹内説明員 十月二十六日付の各紙に、多少書き方は違っておりますが、要するに取材源を明らかにしないことも逮捕の理由の一つであるという趣旨の報道がされておったことは御指摘の通りでございます。それにつきまして、検事長につきましてその会見の模様を調査したのでございますが、その結果は、一昨日御説明をいたしました通り、先ほどもまた答弁しました通り、そういうニュース・ソースを言わないから逮捕したという趣旨のことは言っていないということでございます。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 私は東京と朝日と二つここに資料を持っておりますが、いずれもこれは公式の記者会見において岸本検事長が言われた話です。今のように、「理由の一つである」と言って、さらに、「検察庁としては事実を明らかにするためには、ニュース・ソースを隠そうとする新聞記者の気持を尊重するわけにいかない。」、こう出ておるわけです。これは朝日新聞も東京新聞も、文章は一、二字は違いますが、大体同じですが、この記者会見においては、岸本検事長はこういうことを絶対言ったことはない、そういうことになるわけですか。

竹内寿平検事(刑事局長)

○竹内説明員 それではもう一回一昨日答弁申し上げましたことを重ねて申し上げるわけでございますが、この十月二十五日の昼過ぎに各社十数名の新聞記者と岸本検事長は会見をされておるのでございます。その際いろいろお話もたくさん出たようでございますが、本件の問題に関する点についての調査の結果によりますると、立松記者逮捕をなぜ必要としたかという点につきまして、検事長は、関係者の供述に重大な食い違いがあるので、釈放したら証拠隠滅をされるおそれがあったために逮捕するようになった、それから十八日の読売の記事が作られるようになったいきさつを検察庁としては知りたい、それを明らかにするために逮捕せざるを得なくなったという答えをしておるようでございます。さらに、その際、ニュース・ソースをそれでは言えというのであるかというような質問が出たようでございます。この質問に対しまして原稿作成のいきさつを調べるのだから自然ニュース・ソースも捜査の対象になるだろう、——ここのところであります。なるだろう、しかしそればかりが目的ではないというふうに答えておられるようでございます。さらに、そのニュース・ソースを秘匿する権利があると思うが、それに対しての見解はどうかというような質問が出たようで、それに対しまして、捜査当局としては真実の発見に努めなければならないということを強調せられたようでございます。これらの記事が新聞になりました結果が、先ほど御指摘のようなふうに書かれておるのでございまして新聞記事がでたらめを書いたとかうそを書いたとかと私はここで申しておるのではございませんが、いろいろここでお話の出た中で重要なところはそういう点だろうと思います。これを書くに至ったのについては、岸本検事長の発言と質問者の受け取り方、その間に多少の行き違いがあったのではなかろうかというふうに考えられるのでございます。一昨日も同趣旨の御答弁を申し上げたのでございますが、それによって御了承願いたいと思います。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 先ほど佐竹委員の質問に対しても、大臣と局長の間においての行き違いがあって時間がないために徹底的にはいかなかったが、今のお話も、あなたが今おっしゃったようなことだけなら、いかに新聞記者が要約してもこのような文章で出ないと思います。この新聞を見れば、明らかに、ニュースソースを明らかにしないということも被疑事実の理由の一つだ、こういうふうに見れるわけなんです。そうすると、今の局長のお話のようであれば、検事長はそう言っていないという。しかしながら、これはわれわれ専門家から見ましても、やはり被疑事実の重要な一つの理由になっている。  それで、われわれが第一に不可解とするのは、この名誉棄損罪にニュース・ソースの問題を被疑事実に入れること自体が非常に不可解である。従って、東京高検はどういう意図のもとにこの立松記者を逮捕したか、立松記者を逮捕するのにはほかに何か意図があったのではないか、こういうふうに考えられるのです。新聞にもいわれておりますように、この売春汚職は重大な問題である。名前は出ていないけれども、十数名の国会議員が金をもらっておる、この法案の通過に際しては国会の廊下においてポケットに金を入れてもらっておる、(「軽率な言動をするな」と呼ぶ者あり)——これは新聞に出ておることだ。こういうふうに出ておる。そういう疑いが出ておる。それに対して東京地検は特捜班をこしらえて強硬にこれを取り調べようとしておる。それに対して岸本検事長はニュース・ソースの問題も被疑事実の一つだといって逮捕する。これは明らかに、検察当局において一方は強硬にこれをやらなければならぬとしているのに対して何らかの力によってこれに水を差すようにわれわれには考えられる。従って、検察部内に機密の漏洩があるということで汚職捜査のほこ先をくじくために高検がやっているのではないか、こういうようにわれわれは考える。この点について大臣はどうお考にになりますか。御答弁願いたい。

三田村武夫自由民主党

○三田村委員長 大臣に申し上げますが、ただいまの坂本委員の発言は非常に重要でありますから、明確に御答弁を願います。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 ただいま坂本委員は、立松記者の逮捕が何か政治的な意図をもってなされたのではないかというお疑いのようでございまするが、絶対にさようなことはございません。何ゆえに地検において逮捕状を請求してその発付を受けたか、それからさらに勾留状の請求をするに至ったかということは、しばしばこの委員会において私並びに刑事局長から御説明申し上げた通りでございまして私は、この事実があったのを事後に報告を受けておりまするから、事前には存じません。従って私がこの逮捕について何も事前に知らなかったということは御了承願います。また、高検におきましても、政治的意図をもってさようなことをするということは絶対に信じられません。この逮捕は捜査進行の過程において全くやむを得なかったことでありまして、他に政治的その他の目的があったのでは絶対にございません。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 大臣は前回もこういうことにかかわりなく捜査は強力に進行させるということを申されたのです。しかしながら、われわれの憂うるところは、造船疑獄は指揮権の発動によってついにうやむやになったということは御承知の通りであるが、このきたない金、きたない汚職に対する強力なる捜査がくじかれるようであっては相ならぬということである。しかしながら、検事長が、ニュース・ソースも理由の一つだということを記者会見において話しておる。しかしそれが被疑事実には入っていない。こういうことを考えると、この売春汚職に対する報道機関の唯一なる言論の自由と、言論によるところの悪の摘出、これを押えるために逮捕してくじく、だから記者がその記事を発表するのにちゅうちょする、それを押えてそうして売春汚職の捜査を強力に推進することを押え、世論を押えるということにも考えられる。だから、造船疑獄の指揮権発動と思い合せまして裁判所からは勾留を却下されるようなこのような売春汚職に対する事件に対して逮捕状を出し、さらに勾留状の請求をするということは、これは言論の抑圧であり、ひいては売春汚職の強力なる捜査の推進が妨げられる、この憂いがあることを私たちは心配する。  そこで、もう一つお聞きいたしたいのは、立松記者の起訴、不起訴の問題があります。ただいま両氏に対しては容疑なしということになっているが、しかしながら、それは大臣にしても検事総長にしても報告を聞かれただけでありまして、この名誉棄損の告訴に対する捜査の過程におけるものだと思うのであります。従って、果して名誉棄損になるかどうかということも、汚職の捜査が全部完了しないことにはその事案の真否はわからぬと私は思うのです。そこで、大臣にお尋ねいたしたいのは、いろいろの今申し上げましたような関係からして、きたない売春汚職を徹底的に糾明して、同僚議員においてもまことに気の毒であるけれども、汚職のある人は徹底的に国会の開会中でもやらなければならぬ。従ってその捜査の完了するまでは、立松記者の起訴、不起訴の問題の決定はできないと私は思うのですが、大臣の御所見をお聞きしたいと思います。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 いわゆる売春汚職は、ただいま坂本さんからも御指摘のありました通り、世の非常な疑惑に包まれておりますから、この問題に対しましては、検察当局に対しまして徹底的に捜査を遂行いたしまして事の黒白を明らかにするように指示いたしておりますから、御心配がないようにお願いをいたします。  なお、立松記者の名誉棄損罪の起訴、不起訴の問題でございますが、これは今捜査が進行中でございますから、私から何とも申し上げることはできません。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 汚職の問題については、まだ時間がかかりますから、次の機会まで留保しておきます。

小島徹三自由民主党

○小島委員 関連して……。  先ほど来承わっておりますと、いろいろ妙なりストが飛び散っておって、そうしてその上にいろいろと済みとか済みでないとかいうことが書いてある、こういうようなことが盛んに問題になっておるようでありますが、こういうものが一体検察庁にあるかないかということは、先ほど検事総長から、捜査の途中であるから何とも言えないということでありますが、御承知のように、「アカハタ」を見ましてもそういうことが書いてある。至るところにそういう問題が起きておるのであります。そこで、私が最後に検察当局にお願いしておきたいことは、こういう書類が果して押収書類にあったということであればまた格別でございますが、そうでないならば、いかなる理由によってこういう書類が巷間にばらまかれておるかというようなことも一つ慎重に調べていただきたい。そうして、こういうことはどういう手から出たか知りませんけれども、果してそういう事実があるといたしますならば、これは国会議員にとっては非常に迷惑なものでございますから、こういうものを意識的に作った者があるといたしますならば、これらに対しましても徹底的な調査をしていただきたい。これを私は検察当局にお願いいたしておきます。

細田綱吉日本社会党

○細田委員 一点だけ……。  この際、検事総長がお見えになっておるので、一昨日来、大臣、刑事局長からもお答えがあった問題でありますが、何ゆえに警察当局の協力を求めないか、この点についてお伺いをいたします。  大臣は、このごろの検察当局は非常に充実しておって、これで十分だから、警察庁長官は、協力を求められればいつでもやります、こういう話なんですが、求められればいつでもやりますという答弁も、これはちょっとおかしいので、あとで聞かなければならぬことですが、まず総長に伺いたいことは、この問題は、御承知のように、東京だけではなく、大阪、名古屋、特に北九州、北海道等、全国にまたがっている大きな汚職問題であります。すでに眞鍋議員も逮捕勾留されておるというような不祥な一面も露呈している。検察当局の陣容はもちろんかなり充実しておりますが、しかし、地方までが東京のように充実していると言うならば、これはほんとの言いわけです。御承知のように、なお定員化すら十分でないというような検察庁もあるいはその支部もずいぶんあるわけです。これだけの大きな疑獄事件をなぜ検察当局だけでやっていて警察当局に協力を求めないか。世間では、この問題はこの程度で発展させたくないのだからあまり手を伸ばさないのだ、こういうような風評もわれわれは聞くのです。そんなことがあったら、検察当局の権威のためにもこれは断固として協力を求めてもらわなければならぬ。また、二面では、警察当局は、四谷警察でもあるいは警視庁の本庁でも、業者とはもう長い間のくされ縁があって、どうも警察当局を信用できないのだということもわれわれはずいぶん聞いておる。またわれわれもあるいはそうかというような事案も、このごろずいぶん新聞の上に載っておる。それがまた真なりとするならば、日本の警察当局がこの際冤をすすぐためにも断固として乗り出して、検察当局に協力してこの大きな、全国的にわたる——例の造船疑獄なんかは犯罪場所が限られておるが、全国的にまたがっておるこの大きな疑獄の捜査に警察当局の協力を求めない限りは、巷間伝えられるように、この程度以外に発展させない意図だというようなそしりを受けてもやむを得ないと私は思う。法務大臣は一般的な指揮はできるけれども、具体的な指揮権を持っておられる検事総長の御決意をお伺いしたいと思います。

花井忠検事総長

○花井説明員 ただいま私に対する御質問でございますが、捜査というものは、御存じの通り、証拠を積み上げていってその出た証拠に基いてさらに捜査を進めていかなくてはなりません。世間でもいろいろうわさをいたしておりますけれども、これが全国的に広がるというようなときには、もちろんこれは全国的に捜査を進めなくてはなりません。ひとり東京地検というばかりには参りません。それにはその段階があります。警察の関係もさようでごいましてもちろん警察の協力を求める必要があるという段階に達すれば警察の協力を求めるのでありますが、ただいまのところその段階に達しませんのみならず、いわゆるこの売春汚職の事件は別個の横領事件から展開したもので、最初から検察庁が手をつけております。今後いかに発展するかはまだ見通しがつきません。その段階で必要と認めれば、それは全国の警察ということになるかと思います。

細田綱吉日本社会党

○細田委員 新聞の記事を見ましても、あるいは聞いたところによりましても、もうあなたの方の押収した帳簿の中に、現に北九州に関する重要な記載事項の帳簿があるということがはっきりとわかるわけです。従って、あなたは証拠を積み上げていかなくちゃならぬというようなことを言われるけれども、もうすでにその段階は来ているじゃないか、ただじんぜんと日を暮らしてむしろ業者に証拠隠滅の機会を与えるだけじゃないか、もうその時期はすでに来ているとわれわれは見るのでございますが、あなたのお考えはどうでありましょうか。

花井忠検事総長

○花井説明員 いかなる段階に参っておりますかということは、これは私どもとしては捜査上絶対に申し上げることはできません。

三田村武夫自由民主党

○三田村委員長 本日はこの程度にとどめ散会いたします。  次会は公報をもってお知らせいたします。     午後零時四十九分散会

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