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27回国会衆議院1957/11/08

文教委員会 第3号

発言数
123
登壇者
10
会派数
3
開催日
1957/11/08

会議録

長谷川保日本社会党

○長谷川委員長 これより会議を開きます。  まず文教行政に関する調査を進めます。質疑の通告があります。順次これを許します。櫻井奎夫君。

櫻井奎夫日本社会党

○櫻井委員 大臣はきょうは午前中時間がないようでありますので、私は差し迫った問題といたしまして、勤務評定について少しお尋ねをいたしたいと思うのであります。  この勤務評定につきましては、かねがね大臣も非常に心を痛めておられるようでありますし、今や全国的にも非常に反対の声も大きくなりつつある。これはやはりわが国の教育界にとっても大きな問題であろうと思うのであります。大臣も反対の声を十分聞いておられることだと思うのでありますが、この反対というのも、単なる反対でなくて、反対にも十分論拠があるということで、従って常に文部当局が言っておられるように、これは、法律にあるんだから、どうしても実施するんだ、こういう単なる法律をたてにしたところの強硬実施ということは、非常に教育界に混乱を起すんではないか、こういうことを憂慮するわけであります。従って、賛成の論拠も、反対の論拠も、あるいは中立の立場もあるでありましょう。そういう方々を呼んで十分この国会の場において論議を尽して、しかる後に実施するなら実施する、こういう機会を与えらるべきである。国民に大きくこの問題をアッピールするのがやはり文教行政、特に文教委員会の責任である、こういう立場から参考人を呼ぶことを私は強く委員長に要求したわけでありますが、再三にわたる文教委員会の理事会において、与党の方から、この参考人を呼ぶことに反対のような御返事でございます。この自民党の反対の理由は、臨時国会が非常に短期であるから、そういう参考人を呼んでやるまでのことはないのじゃないか、そういうことは通常国会に入ってからでいいのではないか、こういうことが反対の論拠のようでありますが、この論拠に対して私は納得ができない。もしも文部省が、大臣がしばしば言っておられるように、慎重に研究をして実施するんだから当分実施をしないんだ、こういうことが明確であるならば、私は通常国会で十分論議をしても差しつかえないと思う。しかしいつ実施するかわからない。一方において国会の文教委員会における論議も尽さないでおいて、そうして実施されるということであるならば、これはわが国の教育行政に非常に暗い影を投げる。こういうことで、私はこの論議を尽す、また参考人から意見を聞くという機会が、この臨時国会で与えられなかったことを非常に遺憾とするのであり、もし与党の方で、参考人を呼んだりすることはいたずらに反対の声を大きくするんだという憂慮のもとに参考人を呼ぶことを拒否しておられるとするならば、これは憶測にすぎませんが、はなはだ大政党としての襟度のないことであって、自由民主党のために私ははなはだ遺憾にたえないのであります。  一方また文部大臣は、臨時国会後において十分成案を得たい、こういうことをしばしば言っておられるわけであります。従って、これは憶測にすぎないのでありますが、臨時国会で参考人を呼ぶこともなさらない、そういう私どもの要求にも応じて下さらない、文部大臣は臨時国会後に成案を得たいと言っておられるから、これを憶測をしていくと、国会にかけてこういうことをやると非常にめんどうになる、従って臨時国会が終ったら一つ行政措置で、通常国会に入らないうちにいきなり教育長を呼んで、教育長会議のようなものを招集して、そこで成案を示して実施するとか、そういう抜き打ち的なことを考えておられるのではないかというようなことも憶測される。これは単なる憶測にすぎないのですけれども、どうもそういうにおいがする。従って文部大臣が言っておられる成案を得るという意味は、やはりわれわれがしばしば要望しているように、この問題についても十分に民主的な論議を尽す。そうして論議を尽した上で明るい文教行政をやるという意味からも、そのような機会を十分作って文教委員会にもかけ、そういう手段をとって後にこれを実施しよう。こういう意味なのか、あなたの成案を得るという意味はどういうことを言っておるのか、この点をはっきりしていただきたいのであります。

松永東自由民主党文部大臣

○松永国務大臣 これはもう何度も繰り返して申し上げますように、私は慎重審議をするというよりも、自分でゆっくり研究したい、そうしてこの臨時国会が過ぎましたら少しからだの余裕もとれるから、みっちり研究したい、こういう考えを持っておる。  そこでただいま仰せになりました、この委員会に参考人を呼んでどうするとかなんとかいうことは、それはこの委員会で御決議になればいいことであって、私どもはそれを停止する道もありませんし、慫慂する道もありません。ただしかし私どもはできるだけいろいろの声も聞いて善処したいというふうに考えます。それはもうちっとも変りません。私はこの臨時国会の間にはとても——何千通と来ております、そうしたいろいろな角度からいろいろな議論があります、それを研究する間がありませんので、臨時国会も過ぎて、次の通常国会までの間にゆっくり研究して、そうして善処したい、これはもう初めからちっとも変っておりません。従ってあなたのお説のように、臨時国会が過ぎたら一つの成案を作って全国的にぱっと流すつもりじゃないかとか、あるいは教育長会を開いてやるのじゃないかとか、そんな考えは今のところ毛頭持っておりません。

櫻井奎夫日本社会党

○櫻井委員 大臣の仰せられる通り、参考人を呼ぶとか呼ばないとか、こういうことはこの委員会の自主的にきめることであるし、大臣の関与されるところではない、その通りです。ただ私が言っているのは、与党の理事の方はやはり論議を尽すということに一つも反対ではないのです。これはやはり論議を尽そうと言っている。ところがこれを党の方に持って帰られると、どういうものか、そういう参考人を呼ぶ必要はないと言うことであります。そこで私が考えるのに、自由民主党と文部大臣との間に相当の連絡があって、そういうことをやらないで、国会で論議を尽さないで、閉会中にそういうことをやれ、そういうことがあるのではないか、これは私が先ほど言ったように憶測にすぎないけれども、どうも私どもの正当な要求もはねつけられるということになれば、そういうことを憶測せざるを得ない。従って大臣はこれを施行する責任者であるから、あなたがしばしば言っている。慎重にゆっくりやりたいということは、休会中は成案は得られても実施はしない、こういう意味にとっていいのですか。いつも抽象的にゆっくり研究する、こう言う。慎重にやりたい、その気持はわかるのですけれども、私が憂慮するのは、臨時国会が過ぎれば、今度は通常国会以外にこういう国民の関心の場においてみっちり審議する機会というのはなくなってしまうのですよ。そういう機会を与えないで——与えるということは、これを通常国会まで出さないということでなければならない。そこを私は聞いているわけです。慎重にとかゆっくりとか、そういう抽象的な言葉ではわからない。そういう機会をこの臨時国会に与えていただけなかったから、それを与えてもらうのはやはり通常国会でなければならない、従ってそれまではあなたは出さないのか、こういうことを私は言っている。

松永東自由民主党文部大臣

○松永国務大臣 これは行政措置の問題ですから、そこでこういう問題を党の方と打ち合せをして党がどうするとかこうするとかいうことはないのです。私はこの問題についてまだ党に一つも相談もいたしておりません。ただもし勤務評定という問題で私が党もしくは党関係者に口を切ったことがあるとすれば、それはきょうの閣議におとといの問題の報告、それもきわめて簡単に二言三言報告をしたというにすぎない。でありますから、党と何もそうした問題について相談をいたしておりません。従って今のようなお問いに対しても、私はいつ出すとか、いっこうするとか、日を切るということはなるべく避けたい。ただしかし私が繰り返して言っている通り、慎重に審議しておりまして、私の考えとしては、皆さんのこういう議席で法律問題としてでも解決してもらえば、これは私は一番楽ですけれども、しかし私としては私に与えられた権限、私の責任として行政措置をもってやる、こういうことを繰り返し申し述べている通りであります。従って今急にこうしようという考えは持っておりません。ただみっちり研究をして、そうして万遺憾なきを期したい、こういうふうに考えております。

櫻井奎夫日本社会党

○櫻井委員 文部大臣のお気持はしばしばお聞きしているのでわかっている。そこでこれは行政措置としてやるのだから何者の拘束も受けない、文部大臣の責任でやる、これはりっぱな答弁であろうと私は思う。従って私が聞いているのは、慎重にやる、そうしてまた十分各方面の意見も聞く、こういうことをしばしば文部大臣は言っておられる。従って、そういうことをなすためには、やはりこの国会の場において——私は反対の方だけを求めて言っているのではない、賛成の方の意見も聞かなければならない。そうしてこの勤務評定というものを実施した場合に、日本の教育に果してプラスになるか、マイナスになるか、そういうことをやはり国民に十分周知徹底させた上での実施でなければならない。それか民主的な教育行政のあり方だと思う。従ってこれを実施される場合には、私はいつ幾日にやる、そういうことを聞いておるのじゃない。この通常国会等において、やはり自民党の諸君は賛成の議論をきるでしょう。それもけっこうであります。また私どもは、いろいろな角度から反対の議論をやるでしょう。そういう論議の場を与えて下さるかどうか。通常国会にそういう場を与えないで、実施してしまってから幾ら論議しても、これはあとの祭になるのですから、そういう場を与える余裕を大臣は置かれるかどうか、こういうことを私は聞いておるのです。何月何日に実施するというようなことを聞いておるのじゃない。

松永東自由民主党文部大臣

○松永国務大臣 いつから実施するとか、ついこうするとかいうことを今からお約束したり、明言したりすることはできませんけれども、数々の委員会で御所論のありますところも尊重して善処したいと思います。決して私はあなた方にめちゃくちゃにやったというようなことを意識させるようなことはしたくないと思って、ゆっくりそれを慎重に審議して、自分も研究したい、これは終始変らぬところであります。

櫻井奎夫日本社会党

○櫻井委員 どうも大臣の答弁は慎重にすぎて、私の問題点をはずしておられるようにとれる。そういう機会をこの文教委員会に与えて下さるかどうかということを私は聞いているのです。ただ慎重に、慎重にで、あなたの立場ばかり言っておられる。そういう機会がこの臨時国会で得られなかったから、そういう機会を与えるようにして実施して下さるか、こういうことを聞いておるのです。

松永東自由民主党文部大臣

○松永国務大臣 それは私に与えられた権限、私の負担したところの責任、それに応じて善処するのでありまして、この文教委員会でどうするとかこうするとかいうことは、あなた方文教委員のお方々がお命令になればこれは何とかしなければならぬ、それだけにしておいていただきたい。私は、繰り返し申し上げておることは、一生懸命これと取っ組んで善意をもって解決したいという気持には寸毫も変りありません。

櫻井奎夫日本社会党

○櫻井委員 どうもそれでは大臣を信用するわけにはいかないのですよ。善意に解釈しろとおっしゃるけれども、それを出してしまってから幾ら論議しても意味はないのです。実施する前にそういう機会を与えるかと言っておるのに、のらりくらりしておる。(「名答弁だ」と呼ぶ者あり)それは自民党の方からいえば名答弁かしれぬが、私の方からいえば迷った答弁です。(笑声)  時間が大臣ないそうですから、それじゃもう一点だけ。愛媛県の場合は実際実施しておるわけですよ。これは非常にいろいろな論議があるわけで、時間があったら大臣みずから調査に行きたいと言っておられましたが、実際調査においでになりましたか。

松永東自由民主党文部大臣

○松永国務大臣 ぜひできれば私も行って、実情を一つよく聞いてみたい、こういうふうに考えております。

櫻井奎夫日本社会党

○櫻井委員 臨時国会後おいでになる御所存ですね。——その場合国会としても調査に行きたいと思うのです。これは国会の自由意思だということになりますが、できれば文部大臣と一緒に行きたいのです。そうしてこれは文部大臣が調査をなさると上の方だけ見られるわけです。あなたはいつもわれわれと一緒に腹を割って話し合おうと言っておられるから、腹を割って一緒に調査してみる御意思はございませんか、どうですか。

松永東自由民主党文部大臣

○松永国務大臣 あなた方と一緒に行くと、ほんとうの真相をつかむことができない、あなた方の威圧によってあなた方の言う通りになるかもしれぬから、私は私一人で行った方がいいと思います。

櫻井奎夫日本社会党

○櫻井委員 それではあとの質問は保留します。

長谷川保日本社会党

○長谷川委員長 ちょっと速記をやめて下さい。     〔速記中止〕

長谷川保日本社会党

○長谷川委員長 速記を始めて。  暫時休憩いたします。     午前十時五十六分休憩     ━━━━━━━━━━━━━     午後三時九分開議

長谷川保日本社会党

○長谷川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  まず文教行政に関する質疑を続行いたします。質疑の通告があります。順次これを許します。河野正君。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 ただいま休憩中でございましたけれども、録音機を通じて皆様のお耳にお通しいたしましたのは、福岡県の板付周辺にございまする商業高校における平常の授業、学習というものが、いわゆる基地の、ことにジェット機の騒音によっていかに阻害されて参ったかという事実をお示し申し上げたのでございます。今日岸内閣は、労働行政とあわせて文教行政に対して重点的な施策を行うということはしばしば強調せられたところでございます。もちろん文教行政の中にもいろいろあると思います。しかしながら単にその文教行政というものが日教組対策であってみたり、あるいはまた今日の民主的な教育というものを昔のような封建的な教育に引き戻そう、そういったような逆コース的な政策であってみたりということのみが、私は、必ずしも文教行政ではないと思うのであります。先ほど来お示しいたしましたような具体的な事実というものを鋭意改善されるということも、今日の岸内閣に課せられましたきわめて重要なる使命ではなかろうかということを私は強く考えておるわけでございます。  そこで本日は二、三の点を御指摘申し上げまして、大臣その他当局側の御所見というものを明らかにしておきたいと思うのでございます。ただいま私が録音機を通じて御指摘申し上げましたように、今日基地周辺の学校の学習効果あるいは情操教育というものが、いかに基地においてのジェット機の爆音によって多大の阻害を受けておるかということは、事実をもって御指摘申し上げましたように十分御理解がいただけたと思うのであります。ところが御承知のように今日まで行われましたこういった基地周辺のいろいろの学校に対しまする防音施策というものは、大体昭和二十九年から昨年三十一年にわたりまして、いわゆるF84、あるいはF86こういったものを対象といたしましていろいろと対策が進められて参ったのでございます。もちろんそういった点につきましていろいろ当局側の御善処をいただきましたことも事実でございますけれども、だんだんと航空機の性能が発展していき、この航空機の性能の発展に伴いまして今日まで受けて参りましたいろいろな実害というものが、さらに大きな実害をこうむっていくというふうな過程をとって参りますることも、これまた否定して参るわけには参らぬのでございます。ことに今日までの教育施設の現状からながめて参りますと、非常に木造建築が多い、あるいはまたそれに伴います老朽校舎というものが非常に多いということで、同じジェット機の騒音の実害におき威しても、ことにそういった施設の現状からながめて参りますと非常に大きな実害をこうむっておるということもまた否定して参るわけには参らぬと考えております。ところが一方におきましてはそういった施設という非常な悪条件のもとに置かれながら、さらに飛行機の性能が進んでいくということでございますから、従って実害というものがだんだんと増強されていく。そこで今日までのこういった対策というものがF84あるいはまたF86を対象とされて参っておるのでございますから、従って今日までの対策というものは抜本的に改革をいたさなければならぬというふうな実情に置かれておるということを、私ども強く感じて参っておるのであります。なおまた日米共同声明をごらんになりましても明らかでございますように、将来国内におきますところの地上軍というものが全面的撤退をし、それに伴いまして空海中心の軍事的強化措置というものが行われるということも当然考えられて参ります。そういたしますると今日の対策というものをさらにF104あるいはまたF107を対象として進めて参らなければ、単に今日のような対策のみで実害が防除できるというようなことには絶対に相ならぬわけでございますが、先般申し上げましたように今日の対策をながめて参りますると全くイタチごっこという状況を決して脱しておらぬのでございます。従いまして今日、大臣を初めといたしまして当局側は、こういった現状をながめて今後どういう方針で対処していこうというふうにお考えになっておりますか。まずそういった根本的な方針というものを明らかにしていただけますならば幸いだと思うのでございます。

松永東自由民主党文部大臣

○松永国務大臣 河野先生の御説まことにごもっともだと思います。私も板付のあの騒音をよく承知いたしております。ことに去る八月に福岡大学に参りまして、そしてあの騒音をよく承知いたしております。これじゃどうも、何とかせんければならぬというふうな気持を多分に持っております。しかもきのう参議院の文教委員会においてもやはり同様の説が出まして、これは板付ではありません、栃木県の横川基地ですが、ここでもやはり同様の悩みを持っておる。そうして付近にあるところの小学校、中学校が非常に困っておるというようなお話を承わり、なるほどこれは何とかせんければならぬと存じます。実はあまり急ぎ過ぎたかもしれませんけれども、きょう閣議のときにそういう問題を出して、何とか一つこれはやらんければ将来あなたの言うように、イタチごっこになってますますそうした飛行機が大きなものが出てきて、騒音もますますひどくなってくる、そうすると耐えられぬようになるから、何とか根本方策を関係官庁と打ち合せてやらんければいかぬじゃないかということを官房長官まで申し出ました。そうしていろいろ研究するということになったのであります。右の点を御了承願いたい。

小林行雄文部事務官(管理局長)

○小林説明員 駐留軍の飛行機基地の周辺の学校の騒音対策につきましては、御承知のように昭和二十八年度以来年々騒音対策を実施されておるのでございます。その点につきましては調達庁の方で非常に努力をされておるわけでございますが、お話のございましたように最近非常に航空機の発達が著しくて、機種がほとんど変ってきた。プロペラ飛行機からジェット機になって、そのジェット機も非常に高度の発達をしておる、そのために発生する騒音もきわめて大きくなっておるわけでございます。確かに仰せられましたように、この防音対策につきましても、最近の状況に即応するような根本的な改革をする必要があると思います。これは直接の所管は調達庁の方でございますけれども、文部省の方としてもいろいろと最近まで研究をいたしまして、従来の木造校舎に対する単なる窓の遮閉あるいは吸音材料を使っての建築ということではとうてい——これはその飛行場と学校とのいろいろな関係にもよりますけれども、防ぎ得ないじゃないかというふうに考えまして、従来以上の高度の防音対策をすべきであるというふうに考えて、調達庁の方に連絡し、検討を願っておるのでございます。その内容を概略申し上げますと、まず大体現在の学校の位置から移転することが可能であればできるだけ移転する方が望ましい、ただ小中学校、ことに義務制の小中学校につきましては、土地その他の関係もございますので、一概にこれを飛行場から離して遠距離のところに持っていくということがむずかしい場合も相当ございます。そういうような場合には、いろいろこれも議論がございまするけれども、一学級当りの生徒の数を減らすということも学習効果を上げる上から考えられることではないかというふうに考えております。  なお移転がどうしてもできない場合には、その場所で鉄筋コンクリートに改築するというようなことも考えられなければなりません。さらに鉄筋に改築しても騒音度がそれほど低くならぬというような場合には、鉄筋校舎と同時にその鉄筋校舎内の一学級当りの生徒数をある程度縮減するというようなことも考えなければならぬというふうに思っておりまして、そういった点について調達庁の方にも御連絡申し上げて、ただいま調達庁の方で御研究願っているような状況でございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 ただいま大臣並びに局長からいろいろ御答弁を願ったわけでございますが、ことに大臣が閣議においていろいろそういったことについて御了承いただいたということにつきましては、私ども極力感謝を申し上げたいと考えております。しかしながら今日までこういった問題を取り上げて参りましてもうすでに久しいことでございます。もちろんそういった御好意というものも感謝申し上げますけれども、今日の段階においては、すでに具体的にいかにこういった問題を解決していくかという具体的な施策が行われつつあらなければならぬ段階ではなかろうかというようなことを、今日までの経過をたどって考えて参りまして、強く私は指摘せざるを得ないと思うのでございます。ただいま局長から若干突っ込んだ御答弁もございました。しかしながら私ども今日までこういった問題に携わりまして以来、いろいろ現地においてはそれぞれ御研究願って、現地からも資料が提出されておりまするし、また私どももそういった資料に基きましていろいろと具体的な御要望を申し上げたのでございます。ところが、たとえば移転することができれば望ましい、あるいはまた生徒の数を減らすことができるなば削減をしたいというふうなきわめて抽象的なことでございました。しかしながら今日すでに、そういった問題を具体的に解決してもらわなければならぬ、そういった点について私どもはもう少し突っ込んだ御答弁をいただかなければ今日の段階においては了承しがたいということを私ども強く感ずるわけでございます。たとえば現地におきましてもきわめて熱心に御研究をいただきまして、なおまた先般は当文教委員会からも、自民党からも塚原先生等も現地にお出向きを願いまして、いろいろ御検討を願ったわけでございますが、すでに今日までいろいろな資料を取りまとめて参りましても、財源等の問題がございますから、やたらに理想論のみを掲げて参るわけにも参りませんけれども、今日の財源等の問題とにらみ合せて参りましても、大体一学級四十名程度にしたら適当ではなかろうかというふうな問題も出て参っておるのでございます。私は当面いたしまして、大体この問題を解決するいろいろな段階があると思いますけれども、私どもは次の二つの目的に向って進むべきではなかろうかということを強く感じておるのでございます。その一つは、私が先ほど申し上げましたように、一学級の定員を削減していただく、具体的に申し上げますならば、現在の財政状態からながめて、四十名程度にしていただく、そういったことが一点、それから一方におきましては、今日の木造校舎、木造校舎というものは開口面績というものが非常に広いわけでございますから、そういった木造校舎を全部鉄筋に改めていただくというようなことを具体的に考えていただかなければ、ただ善処する、あるいは何らか将来方針を考えたいということだけでは、私ども満足するわけにも参りませんし、また私どもが不満を感じつつありますその陰におきましては、子供たちが非常に大きく教育を阻害されるということで、不幸を見ておるわけでございますから、私どもこういった問題はまことに緊急な問題ではないかと感じておるわけでございます。その点に対しまするもう少し突っ込んだ具体的な御答弁をお願い申し上げたい、かように思うわけです。

小林行雄文部事務官(管理局長)

○小林説明員 具体的な解決の措置と申しまするか、それについてのお尋ねでございますが、私どももただいま河野委員の御発言の二点につきましては全く同感でございます。学級定員の削減という点について、いろいろと文部省としても研究をいたしましたし、また現地に当って調査もし、また現地からの資料の御提出もお願い申し上げたのでありますが、ただこれを四十五人にするがいいか、あるいは四十人にするがいいかという点につきましては、まだ私どもとしてもこれでいいのだということの結論は実は得られておりません。しかしいずれにいたしましても、段階的に順次進めるべきであるという点には私どもも同感でございます。できるだけそういった方向へ進めていきたいというふうに考えております。  それから木造校舎を鉄筋構造に改めるという点についても、全く同感でございます。大体木造建築でありますと、騒音が入ってくる率が非常に高いわけでございますので、できればこの際その被害をできるだけ少くするために、木造校舎というものをできるだけ鉄筋構造に改めていきたいというふうに考えております。ただこれは飛行場とその学校との距離等によりまして、木造でも八十ホーン程度以下に下るような場合には必ずしも鉄筋にすべてをするという必要はありませんが、八十ホーン以下に下らないような場合には、できる鉄筋に改める方針をとって参りたいと思っております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 ただいまさらに突っ込んだ御答弁をお願い申し上げてあったわけでありますけれども、そこまでいかなかったことを私どもは非常に残念に感ずるのでございます。そこで先ほどもそういったことのために実はテープレコーダーでお聞き願ったわけでございますが、私どもが現地を調査し、またいろいろな資料を十分検討して参りましても明らかでありますように、たとえば四十人定員、それから一方におきましては、福岡県の実情のごときは小学校は約六十名程度でございますが、そういった六十名の教室というふうな二つの教室を検討して参りますと、その教室の最後尾におります生徒の正聴度——正しく聴える度合いでございますが、この正聴度というものは約八ホーンの相違を来たしておる。八ホーンの相違が起ってきたということを考えてみましても、その八ホーンのために子供たちが非常に苦労しなければなりませんし、また一方教えまする先生方も、四十名と六十名に対しましては八ホーンのさらに努力をしなければならぬ。また一方におきましては六十名定員程度でございますと、約百二十ホーンくらいの声を出さなければならぬ。というのは、大体飛行機から出て参ります騒音プラス五ホーンという声を出さなければ正聴度に値しないということでございますから、結局結論を申し上げますならば、四十人程度の教室でございますと、約百二十ホーン程度の声を先生が出さなければ正聴度に値しないというような科学的な根拠からながめて参りましても——もちろんそれは三十名、あるいは外国のように二十名程度でもけっこうでございますけれども、やはり現実に即しましては、財政状態の現状というものをながめて参らなければなりませんから、私どもそういった欲は申しませんけれども、ただいま申し上げましたように、四十名という数字をながめてみましても、そのようなデータが出て参っておるわけでございますから、そこで今日の段階におきましてはどの程度がいいのだ。もちろん私どもの立場から申しますならば、外国の例をながめてみましても、二十名あるいは二十五名程度がいいのかもわかりません。しかしながら現状というものも無視するわけに参りませんから、そういった点から私どもは一歩譲りまして、四十名程度ではどうだろうかというようなことを申し上げておるわけであります。この点に対しましては、当局側の十分なる御善処を願わなければならぬのではなかろうかということを強く考えておるわけでございます。この点に対しまして、もう予算編成も近いわけでございますが、どういう御所見でございますか、一つ明らかにしておいていただきたい。

小林行雄文部事務官(管理局長)

○小林説明員 先ほどのお答えの中にも申し上げましたように、四十五人あるいは四十人といういろいろな数字が出てくるわけでございまして、私どもとしては福岡市の方からいろいろデータをいただきましたけれども、まだ確定的な断定を下すことができないような状況でございます。少ければ少いほどいいというようなことも言えるかも存じませんけれども、いろいろ財政的なこともございますので、その点については私どもとしては慎重に一つ研究してきめたいと思います。段階的に進んでいくのが一応いいのじゃないかというふうに考えておるような状況であります。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 段階的に御努力願うということでございますから、けっこうでございますけれども、しかしさっきも私が御指摘申し上げましたように、そういった事態が続いております間、一方におきましては子供たちが授業を阻害されるということで非常に不幸な状態にあるわけでございますので、この問題は一つ緊急に結論を出していただきたい。  それから次は、さっきからいろいろ申し上げましたように、一応私どもが今日ながめておりまする一つの理想、こういう点まで現状においてはいってもらいたいというような話をやって参りましたので、多少飛躍し過ぎたかもしれません。しかしながら、今日の現状をながめて参りますと、その以前になお解決していただかなければならぬ問題が多々ございます。これは調達庁にもお答弁をお願いしたいと思うのでございますが、今日の特撮法の中には、なるほど私どもの立場からは不十分でございますけれども、一応の対策が進められておる。しかしながら、それはどこまでも教室というものを対象に進められておるわけでございまして、教室以外の職員室、あるいは校長室、あるいは特別教室、あるいは講堂、雨天体操場等も含んででございますが、こういったものは除外をされておるのが現状でございます。ところが、これは現場に参りますと非常に明らかになる事実でございますが、一部分が防音装置であって一部分が防音装置でないということで、一つの学校の施設というものが二重の環境に置かれておる。一方におきましては防音装置が行われておるが、一方におきましては防音装置が行われてないということで、一つの施設が二重の環境に置かれておる。そこで教える側の方も、習う側の方も、一つの不調和というものが、そういった二重環境のもとで起ってくるということは、これまた否定することができない事実でございます。そこでやはりいずれにいたしましても、そういった悪い環境の中でございますから、人工的にできることはすみやかに解決していただいて、そういった不調和の面を是正する。そして今日の科学というものはどんどん進歩してまいりますから、科学の進歩に追っつくような対策は、予算関係を伴うものでありますから、なかなか可能なことではないと思いますけれども、できる部分については私はすみやかに善処していただかなければならぬ。そういったことによって今後起って参りますいろいろな弊害を除去していただかなければならぬと考えるわけでございますが、この点に対しましては一つ文部省当局と調達庁当局相あわせて一つ御答弁をお願いしておきたい。

小林行雄文部事務官(管理局長)

○小林説明員 お尋ねがございました防音施設の対象範囲でございますが、御指摘のございましたように、現在では必要最小限度の普通教室だけに防音装置をするような状況になっております。しかし、お話のございましたように、職員室であるとかあるいは特別教室等につきましても、私どもも普通教室同様必要なものと考えております。その点についてはたしか調達庁の方もそれほど異見があるようには聞いておりません。ただ予算の関係等からなかなかそこまで範囲を広げられないというような状況のように承わっております。私どもといたしましても、たとえば特別教室とか、あるいは生徒児童の休養室とか、そういうような面につきましては、とにかく防音の必要性が強いところにつきましては、普通教室同様に将来防音装置をしていただくようにお願いをいたしておる次第でございます。

柏原益太郎総理府事務官(調達庁不動産部長)

○柏原説明員 ただいま文部省の方から御答弁がありましたような考えで、調達庁におきましても普通教室以外の講堂、教員室、校長室そういったものについての防音工事の必要性ということは、十分認めております。三十二年度までは、御承知の通り予算の関係もございまして、そういった特別教室についての防音工事の施行ができなかったのでございますが、どうしても防音工事をやるべきであるという考えから、明年度におきましては、三十二年度までに施行いたしました学校の校長室、教員室につきましての防音工事を施行するための予算を要求しております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 ただいま若干進んだ御答弁がいただけましたので、その点につきましては、一つ十分確保できるように御善処を願いたいということで、この点は強く御要望を申し上げておきます。  それからさっきもちょっと触れたわけでございますが、移転する可能性のあるところは移転をして鉄筋を建てる、これは鉄筋ではなく木造でございますと移転いたしてもやはり開口面積が広がりますので、騒音を完全に除去することができないということでございますから、せっかく移転するのならば鉄筋で建設していただきたい。これは当然の要求だと思うのでございます。ところが今日の現状をながめて参りますると、移転をするにいたしましても、現状の校舎が非常に老朽化しておるとかあるいは木造校舎であるというようなことなりますると、補償の対象になっても非常に僅少であるということで、実際移転をして鉄筋コンクリートで校舎を建てるということになりますと、補償を少々もらっても、あとの肉づけいたしまする財源がなかなか出てこないということで、非常に困難な面に逢着しておるのが現状ではなかろうかというふうに私は考えるわけでございます。そこで基本的には、可能である限り移転をして鉄筋で建設をしたいというふうな方針でございますならば、やはりそれに伴うところの財源措置というものが当然行われなければならぬ。それが行われなければ絵にかいたもちでございまして、いろいろ言われておりまするけれども、実際に実現することは不可能であるということでございますので、この点はもちろん調達庁の評価の仕方についてもいろいろ善処を願わなければなりませんし、また一方鉄筋に改築するに当りましては、さらに文部省当局の御善処をお願いしなければ、そういった私どもの要望を達成することはできないのじゃないかということを考えて参っておるのでありまして、一つその点に対しまする監理局長とあわせて不動産部長の御答弁をお願いしておきたいと思うのでございます。

小林行雄文部事務官(管理局長)

○小林説明員 木造校舎を移改築します場合に、普通の老朽校舎の改築につきましては、御承知のように耐力度調査をいたしまして、耐力度が四千五百点以下のものに国庫補助金をつけるということをいたしておりますが、ただいま問題になっておりますような基地周辺の学校の改築の場合には、老朽度が多少国庫補助の対象に足らなくても、その点につきましては国から国庫補助金をつけるように処置したいと考えております。なお国庫補助金のほかに調達庁の方から防音関係の補助金も出るはずでございますし、また足りない部分につきましては起債の措置を十分講じてもらうように自治庁の方とも連絡をいたしておる次第でございます。

柏原益太郎総理府事務官(調達庁不動産部長)

○柏原説明員 ただい京文部省の方からお話のありました通りでございまして、移転後さらに鉄筋コンクリートの建物にする必要がある場合におきましては、その経費についてはできるだけのめんどうをみたいというふうに考えております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 さらにそれに関連して一点お尋ね申し上げておきたいと思うのでございますが、きつき録音でお耳にお届けいたしましたのは板付周辺の福岡商業高校でございましたが、この福岡商業高校はもともと鉄筋の建物でございます。しかしながら、さっき申し上げましたように防音装置が全然行われておらないということで、これはひどいという皆さんのお声も拝聴したのでございますが、こういった鉄筋コンクリートを移転させるというようなことは、補償の対象になる場合に、金額が非常に大きいというようなことで、これがいわゆる予算上の立場から、だんだん時期が制限されるのじゃないかという疑問を私持っておるわけでございますがそういった点について今後どういう方針で臨んでいただけるか、この点につきましては、一つ調達庁の方面の御意見を承わっておきたい、かように考えます。

柏原益太郎総理府事務官(調達庁不動産部長)

○柏原説明員 ただいまのお話の学校につきましては、目下馬出におきまして、鉄筋コンクリートによる試験工事をいたしております。その試験工事の結果によりまして実施したいと思います。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 時間がないようでございますから、次はそれに関連してでございますけれども、今日のジェット機の騒音に対しまする対策は、もちろんただいまいろいろ大臣からも御所見を承わりましたし、また局長あるいは調達庁の不動産部長からも御答弁をお願いしたわけでございますが、そういった点を解決する一方におきまして、私はやはり今日の科学の進歩、それと実際におきまする対策には、限界点というものが当然起ってくる。従ってその限界点が参りましてなお欠けるところをどう対処していくかという問題が一つ残って参るであろうというふうに考えるわけでございます。と申し上げますのは、飛行機の性能というものはだんだん進んで行く。従ってそれに対応いたしますいろんな施設があるわけでございますけれども、その施設が完了いたしまする時におきましては、さらに飛行機の性能は進んで行っておるというようなことで、この点はさっきも御指摘申し上げましたように、一つのいたちごっこという実情を示しておる。そこでそういったような科学の進歩、飛行機の性能の進歩、それに追っつくような努力はしてもらいますけれども、そういった設備に対しましては一つの限界点というもの、が当然生じてくる。そこでなお欠けるものについては、どういう対策が行わるべきかということを、私ども当然考えてみなければならぬのでございまして、そういった点につきまして、私どもこれは先般来からいろいろお願いを申し上げ、また御指摘も申し上げておる点でございますが、そういったいろんな対策を施行せられましてもなお不十分な点につきましては、一つの心理的な補償をやってもらわなければならぬのじゃないか。具体的に申し上げますならば、たとえば騒音防音装置をやってもらいましても、さっき申し上げましたように、いろいろ正聴度が侵される。そうすると、耳は相当被害を受けるわけでございますから、そこで耳の被害はある程度いろんな対策で補っていただきましても、しかしそれには限界がある。その限界以上のものについては、私どもは一つの心理補償、たとえば聴覚教育の欠けるところにつきましては、視覚教育で補っていく。たとえば情操教育の場合の音楽というようなものを鑑賞するということはなかなかできない。ラジオを聞こう、あるいはテレビを聞こうといたしましても、騒音で妨げられるというようなことで、音楽鑑賞ということは全くできない。そういった点を補うために、視覚教育に重点を置いていく。たとえば学校に映写機あるいはまた幻燈機あるいはまたテレビそういったものを備えつけていただく。そうして聴覚において侵された分については視覚で補っていくというような面も、当然私は考えていただかなければ、この補償が完璧なものというわけには参らぬと考えております。ところが今日までそういった心理的な補償、もちろんそれは子供たちにもそうでございますが、一方教えますところの教職員に対しましても、当然言えることでございまして、そういった面につきましては、今日まで具体的な何らの措置が行われていない。このことを私どもきわめて残念だと思いまするし、なおまた今後そういった方面にいろいろと御努力願わなければ、今日のような対策のみにいろいろ努力願いましても、一方においてはそういった面が非常に欠けておるわけでございますから、そういった点に対して、今日文部省あるいは調達庁ではどういうふうに考えておられるのか、あるいはまたどういうふうに善処、努力をしていこうというふうに考えておられるのか。その点も一つこの際明らかにしていただきたいと思うのでございます。

小林行雄文部事務官(管理局長)

○小林説明員 騒音が学校の児童、生徒に及ぼす被害の中で、児童、生徒の正聴自体に及ぼす被害を心理的に補償するようなことを考えたらどうかというお尋ねのように承わります。しかしこの問題はきわめて困難な問題だと思います。単に臨時的な目に見えた被害を、たとえば施設の面等で補うということは比較的簡単でございますが、なかなか実情を把握しにくいような心理的な面の被害を補償するということは、具体化するのに非常に困難な問題だと思います。しかし御意見としては私どもも同感できるところがございますので、文部省としても将来できるだけ研究をしてみたいと思います。

柏原益太郎総理府事務官(調達庁不動産部長)

○柏原説明員 調達庁といたしましても、ただいま文部省からのお話がありました通り、今御指摘になりましたような点につきましては、ごもっともなことと考えております。今後十分文部省とも連絡をとりまして、できるだけのことをしていきたいと思います。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 ただいまの答弁、まことに私ども不満でございます。と申し上げますのは、いずれにいたしましても、この正聴度が非常に侵されておるという事実は、さっきの録音をお聞き願いましても、否定するわけには参らぬと考えております。一番わかりやすく申し上げますと、たとえばクラシックの音楽を聞こうというような場合に、飛行機の騒音がしておって、どうしてクラシックな音楽を鑑賞することができるか、これは一例でございますけれども、そういった音楽鑑賞の面を一つながめていただきましても、そういった実情というものは明らかに認めざるを得ないと思うわけでございます。そこで問題は、どの程度に補償するか、どの程度被害をこうむっておるのか、その辺の判定が技術的に非常に困難であろうということはわかります。しかしながら、実際にそういった被害があるのかないのか、そういった点が捕捉できないというようなことは、私どもといたしましては全く了承するわけには参りません。そういった一例をながめて参りましても、そういう実害を受けておるという事実は否定するわけに参らぬのでございますから、そこで問題は、今日の財政状態とにらみ合せて、どの程度に補償していけばいいのかというような点について御検討いただいておるということならば了承することもやぶさかでございませんけれども、しかしながら、するのかせぬのか、その辺も今後研究するのだというようなことでございますならば、これは私ども全く了承するわけに参りません。そこでお尋ねしておきたいと思いますのは、するのかせぬのか、そういった点を検討するということであるのか、あるいはどの程度に補償するということを検討しておられるというのか、その辺の事情をもう一つ明らかにしておいていただきたい。

小林行雄文部事務官(管理局長)

○小林説明員 実際に私ども被害があるだろうというようなことは想像はできまするけれども、具体的にどの程度の被害が児童、生徒に与えられておるかというようなことにつきましては、まだデータもつかんでおりませんので、これをただいますぐ補償するというところまではっきり申し上げることは困難かと思います。

柏原益太郎総理府事務官(調達庁不動産部長)

○柏原説明員 調達庁といたしましても、はなはだ遺憾でございますが、文部省と同じような状況でございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 まことに両者の答弁を聞きまして残念でございます。と申し上げますのは、私どもの立場から今日いろいろ検討して参りましても、そういった実害が存在するということをいろいろ検討を進めておるわけです。たとえば騒音の生理的に及ぼす影響としてどういう影響が来るかというと、騒音のために非常にビタミンが欠乏していく。そこで騒音というものが人体ことに生理的にビタミンを消耗させるというような点も明らかでございますし、その点につきましては、私どもは学校給食等においてビタミン給与をはかっていただくとか、そういった点もいろいろ科学的な検討の結果、今日御要望申し上げたいというように私ども考えておるわけでございますけれども、当局側が今日まで果してその実害をこうむっておるのかどうかわからぬというようなことは全く私どもとしては残念と言わざるを得ませんし、なおまた私ども今日かかる中で論議をしております過程におきまして、一方においては子供たちが次々に不幸な状態に置かれておるということでございますから、この問題はきわめて緊急を要する問題である。一刻も早急に解決していただかなければならぬ問題ではなかろうかというようなことを強く考えておるわけでございまして、その点に対して当局側でなお具体的な資料がほしいということでございますならば、私ども若干の時間をおかしするということはやぶさかではございませんが、さらに格段の努力を払っていただき、十分一つ善処していただかなければならぬというふうに考えるわけでございます。いろいろそれぞれ係官と論議のやりとりをいたしまして、大臣もお聞き届きの通りでございますが、こういったいろいろ具体的な論議等を通じて、大臣としても今後十分なる御善処をいただくようなお気持になっていただいただろうと私ども確信をして疑わぬのでございますが、今後そういった点について大臣がどのような具体的な方針で進んでいただけますか、最後にこの点を明らかにしておいていただきたい、かように思うわけです。

松永東自由民主党文部大臣

○松永国務大臣 御指摘になった点は、劈頭に申し上げたように、昨日も承わって、これは何とかしなければならぬということを痛感いたします。きょうは閣議でもそのことを主張いたしたような次第でございます。ことに河野委員の御指摘になりました聴覚を視覚で補うという方法はどうだ、なるほどこれもやれぬことはないはずだと先ほどから考えておりました。こういう問題も関係各官庁と総合研究を行いまして、何とか早急に解決いたしたいということを考えております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 次に私は終戦処理の問題について若干簡単に御質問を申し上げてみたい、かように考えるわけでございます。  御承知だと思いますけれども、昭和十九年後半ごろから終戦に至る間、各都道府県においていわゆる学徒の報国団というものが結成されたわけでございます。この団体は、目的とするところは共済制度というようなことでございまして、動員学徒——これは各人がそれぞれ動員されまして工場等に派遣される、そしてそういった動員学徒の報酬の中から一部を積み立てまして、この積立金の中から動員学徒が死亡した場合、あるいは傷病を受けた場合、そういったいろいろな事故が起りました場合の弔慰金あるいは治療費等にそういったものを振り向けるというような形で、昭和十九年から終戦ごろまで各都道府県において、学校報国団と申しますか奉仕団と申しますか、そういうものが結成されたわけでございます。今日までいろいろと終戦処理対策が進められておるわけでございますが、そういった一環の問題でもあると考えておるわけでございますが、終戦当時こういった学校報国団というものがどういう実態であったのか、この点をまず文部省当局において明らかにしておいていただきたい、かように考えます。

緒方信一文部事務官(大学学術局長)

○緒方説明員 ただいま御提示の問題でございますが、今お話のように、終戦間近になってから、具体的に申しますと、昭和十九年の九月ごろからと存じますが、学徒動員令によって動員された教職員並びに学徒をもって学校報国隊というものが組織されました。それが工場、事業場で勤労に従事し、それに対する報奨金を、受け入れた工場、事業場が支払うことになっている。その払いました金を、いろいろ取りきめがあったようでございますけれども、働きに行っている事業場等の寄宿舎の費用とか食費等をまず引き去って、これは学校報国隊が受け入れるのでありますから、学校の授業料とかあるいは学校に納めなければならぬそのほかの金、そういうものをその次に引き去る、その残額を学校報国団の基金として積み立てる、こういうことであったのでございます。  その状況でありますけれども、ただいま申し上げましたように、終戦間近のことであり、非常に戦局も悪化しまして、そろそろ空襲もひどくなったというような状況のときでございまして、通信連絡も非常に困難であった、さような状況でございまして、なかなかその状況というものはその当時すでにつかみにくかったようでございます。文部省といたしましても、この問題だけでなく、学徒動員全体の問題に対して査察団、こういうものを各地に派遣していろいろ調べております。しかし当時すでに今申したような事態でございまして、その受け入れました学校報国隊も各工場に分散をしておる。それから各工場も各種の学徒を受け入れて非常な混乱をしておったようでございます。そこで今の報奨金等についてもどうもその当時の実情がつかめてないようでございます。また当時御承知のような、物はなくなるし、そういり経済状態のときでございますから、報奨金という問題がどれほどあったか、むずかしいわかりにくい状態であったというふうなことを聞いております。これはもう戦争中のことでございますし、その後文部省としてもいろいろ組織も変っておりますし、書類等も全然そのとき焼却して残っておりませんし、取扱い者もかわっておるということで非常に調べにくいのでございますが、大体調べましたところはそういうふうな状況でございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 ただいま緒方局長から概要の報告があったわけでございますが、もちろん戦争の末期でもございますし、また混乱期でございますから、その報奨金がどうであったかというようなことにつきましては、いろいろ捕捉しにくかったと思います。しかしその中から残ったものを積立金として積み立てて、それを報国団の学生たちの事故があった場合の一つの共済制度にしようということで積み立てたいわゆる積立金が当時あったわけでございまして、その点についてはただいま局長からも御答弁のあった次第でございます。しかし報奨金全体は、さっき申し上げましたように、授業料とか食費とかいろいろなことで差し引かれますから、そういった点について私ども追及しようとは思いませんけれども、そういったものを差し引いて残った積立金の金額というものは当然当時残っておらなければならぬわけですから、それが当時どのくらいのものであったか、あるいはまた各都道府県でどの程度の金額が残っておったのか、その辺の事情がわかっておりますれば、ここで明らかにしておいていただきたい。

緒方信一文部事務官(大学学術局長)

○緒方説明員 河野委員からもお話がございましたように、報奨金からいろいろ差し引かれて残額が出ました場合、残額の一割を積み立てて、学校報国団の特別会計へ積み立てていく。それはたとえば作業服の一括購入あるいは報国隊の救護あるいは福祉関係等に使う、こういうことになっておったようであります。そこでどれくらい積立金があったかということにつきましては、これは文部省の直轄の学校もございましたけれども、多くは地方の学校でございますし、地方庁がこの多くの地方の学校についてはおそらくめんどうを見ておったと思うのであります。従いまして先ほど申しましたように、ただ終戦の近くになりました場合に、文部省からも学校報国隊の状況等につきまして調べるために調査班を出して調べましたけれども、そのときに先ほど申しましたように、勤労報国隊そのものの状況が非常に分散しておったりしまして、つかみにくい状態であるということでありまして、今の報奨金の積み立て状況も全然文部省としてはわかってない状況でございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 これはきわめて重要なことでございます。と申しますのは学生諸君がすべてを犠牲にして勤労報国隊として参加したわけでございます。そういった勤労に基きまして得たる報奨金でございますので、その報奨金がどうなったかわからぬというようなこと、しかもその当時文部省当局におきましてお気づきにならなかったということなら別でございますけれども、査察団が派遣された、しかもその査察団が何らそういった実体というものを把握せずに帰ってきたということは、これは当時勤労報国隊に参加いたしました学生諸君のためにも全く不幸なことといわなければならぬのでございます。しかしながら、そういったことがわからぬということであるならばいたし方がないのでございますけれども、それではそういった積立金の処理をどうするというような一つの方針を示されたのか、あるいはわからなかったからそのままほっておけというようなことで放置したままにやっておられたのか、そういった点の実情というものを一つ明らかにしていただきたい。

緒方信一文部事務官(大学学術局長)

○緒方説明員 今お話の通り、動員されました学徒の人々に対しましてはこれは非常にお気の毒な面があったと存じます。ただ先ほど申しましたような実情でございまして、果して報奨金がどういうふうに支払われておったか、あるいはどういうふうに積み立てられておったかということは、これは文部省として全国の状況をつかむということはとてもできる状況ではなかった、こういうことを、先ほども申しますように今日に至りましては人もかわっておりますから、その当時の人々に聞きまして、ここまでわかったということを今わかったという次第でございます。それから終戦後どういうふうになったかというお話でございますが、終戦を迎えましたあと、処理の問題としましては学校報国団を校友会に改組すべしという通達が出されておるのであります。従いましてもしも学校報国団の基金等がございましたならば、校友会に引き継ぐというふうにおそらくなっただろうと思うのでありますけれども、これも学校制度が変ったりいたしておりまして、その学校報国団の報奨金の金かどうかわからないにいたしましても、その残金があったかどうか、あるいは引き継がれたかどうかという点につきましても、今日ではつかみにくい状態でございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 ただいま局長の答弁を承わって参りましても明らかでございますように、全く無責任きわまりない。そこで今日いろいろ世間において疑惑が生まれておるというふうに思うわけです。というのは、その当時適切な御処置を願っておれば、そういった疑問というものも疑惑というものも生まれなかったかもわかりませんけれども、しかし査察団を派遣したけれども適切な処置が行われなかったということから、いろいろ今日世間では大きな誤解、疑惑というものが生まれて参っておるというふうに私ども思うわけでございます。ただいまの局長の答弁によりますと、この積立金というものが通達によって校友会に引き継がれたというようなことでございますけれども、私どもが灰関するところによりますと、これは当時の状況から各府県でもあるいは異なるかもわかりませんけれども、私の知っております範囲におきましては、県の教育委員会に移管されたというふうな話も承わっておりますが、そういった点について実情というものが明らかでございますならば一つお示し願いたい。

緒方信一文部事務官(大学学術局長)

○緒方説明員 私どもは教育委員会に引き継がれるということはちょっと考え得ないと思います。今申しましたように、学校報国団というものを校友会に改組すべし、こういう方針をその当時出しておりますので、もし学校報国団に報奨金の残額があったといたしますならば校友会に引き継がれておる、こういうふうに私どもは思います。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 そういうふうに実情を把握しておられないというところで一つの疑惑が生まれて参るわけでございますが、そこで私は一つの具体的な事実を示して、一つ当局側の御所見を明らかにしていただきたいと思うわけでございます。私の知っておりまする一例は、具体的に申しますと熊本県の場合でございますが、熊本県では昭和二十四年四月当時積立金というものが約六十万円あったというわけでございます。当時の六十万円でございますから、今日の貨幣価値に換算いたしますると非常に莫大な金額に相なろうかと思うのでございますが、人によりますると大体二億円くらいには該当するのじゃないかというような場合もあるわけでございます。ところがそういった勤労学徒のいろいろの犠牲によって積み立てられました金というものが、ただいま局長からも御答弁がございますように、全く不明確なまま今日うやむやのままに放置されておるということは、全く私ども了承して参るわけには参らぬわけでございます。ことに熊本県のごときは先ほど申しますように、約六十万円の積立金があった、ところがその積立金というものが熊本県の教育庁で次々に支出をされて、今日におきましてはその残額が約三万円程度になっておるというふうな事実も示されておるのでございまして、この点は地元におきましてもいろいろ論議されておるようでございますが、こういったように熊本県のごときは県の教育委員会が継承を受けて引き継いでおる、ところが文部省の通達では、校友会が当然引き継ぐべきだというのに、実際面におきましてはその通達の精神が守られておらない、守られておらないということが今日大きな疑惑を抱かしめる原因になっておるということでございますが、こういった点について文部省は全然お気づきにならなかったのかどうか、その点を一つ明らかにしていただきたい。

緒方信一文部事務官(大学学術局長)

○緒方説明員 今のお話の、教育委員会が引き継いでおるというお話でございますが、これは調べてみなければわかりませんけれども、先ほども申しますように、筋道といたしましては学校単位に学校報国団というものができておりまして、その学校報国団において特別会計で保管をして、それは終戦後校友会に引き継いだというのが筋道でございます。その金がどういう経緯で教育委員会に引き継がれたか、これは何か新しく生まれました校友会の申し合せ等でそうなったのかどうか、その辺が私はよくわかりません。学校報国団の、あるいは県のまとまった組織等があって、そこで一括して保管しておったのが教育委員会に引き継がれた、こうなれば話の筋が通るわけでございますけれども、いずれにいたしましても終戦直後でございますから、文部省で出しております通達ではそういうふうな筋道にはならぬわけでございます。これは調べなければお答え申し上げかねるわけであります。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 たとえば局長からも答弁がありましたように、私どもが御指摘申し上げましてお気づきになったということであれば、それ以上の答弁を求めることは困難だろうと思いますけれども、しかしながらどこまでもこういった勤労報国隊の積立金というものは、勤労学徒の犠牲の上に立って積み立てられた非常に零細な、ある意味におきましては非常に貴重な金額でございます。そういった金を校友会に移管をして、それを何らかの形で還元をしていく——お金で還元するわけではなくても、いろいろな福祉施設とかあるいは厚生施設とかいう形で還元する方法もあろうかと思いますけれども、そういった形で還元するということでありますならば私ども了承して参るわけでございます。しかしながらそれがうやむやのままに別個の機関でございまする教育委員会に移管されて、そうして教育委員会が勝手放題にこの貴重な金額を行使しておるということは、文部省の通達に対しましても全く了承のしがたい点でございますし、なおそういったように不明朗な形で貴重な金額を行使しておる点につきましても、私ども全く了承して参るわけには参りませんが、こういったような点について文部省が今後どういう処置をやろうというふうに御判断になるかどうか。その点を明らかにしていただきたい。

緒方信一文部事務官(大学学術局長)

○緒方説明員 これは何と申しましても先ほどから申し上げますように、終戦時の非常な混乱のときでございますので実情がつかめていないのは繰り返して申し上げる通りでございます。  そこでまず熊本県の例をお出しになりましたけれども、これについて一つ調べてみたいと存じます。二十年の九月に通牒を出しておりますので、その当時は教育委員会がまだ発足する前でございまして、どういう経緯で教育委員会がそれを引き継がれたか、こういうことから調べませんとよくわかりませんので、とにかく今例を一つお出しになりましたから、この点につきまして一つ調べさしていただきたいと存じます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 いろいろ不明瞭でございましたから、私はあえて熊本県の問題を提起したわけでございますけれども、しかし終戦後の混乱的な時代でもございましたし、私はこういう問題は単に熊本県のみにとどまらず、全国的な問題ではなかったろうかということを強く考えるわけです。しかもさっき申し上げましたように、勤労学徒が非常な犠牲の上に立って積み立てました、非常に貴重な金額でございますから、この金額につきましては、私は十分な検討を加えてみるべき問題ではなかろうかというふうに考えるわけでございますし、なおまたその点につきましては、局長は十分調査をして今後処置をするというような御答弁でもございましたので、さらに私はこの点に対しまして、大臣としても、青少年の問題につきましては非常に御関、心を持っておられるわけでありますし、岸内閣総理大臣もいろいろな席におきまして、青少年の問題については論議をかわされておるわけでございますから、こういう青少年に、今後こういう面を通じて、いろいろ今日の行政に対して不信の念を抱かせるというようなことは、これは全くまずい問題ではなかろうかというように私は考えるわけでございます。こういった点について、一つ大臣としても今後十分なる御善処を願わなければならぬし、また大臣の責任において十分一つ御調査も願わなければならぬと思いますから、そういう点に対する大臣の一つ最後の御所見を承わっておきたい、かように考えます。

松永東自由民主党文部大臣

○松永国務大臣 河野君のお説まことにごもっともだと思います。終戦当時のどさくさまぎれではありましたけれども、御指摘の通り、ああした青少年がほんとうに八紘一宇という声に迷わされて、そうしていくさには勝ち得るものだという気持を持って、汗あぶらを流して働いたことは事実であります。これに対しては、いろいろその当時のことを研究しまして、何とか一つ善処をしたいというふうに考えております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 局長の方からも、そういった事実があるとするならば、十分調査をしてやって参りたいということでもございますし、ただいま大臣からも、そういった実情は勤労学徒のためにも十分調査をしたいというような御所見でございましたから、私どもそういった点につきましては、今後十分なる御調査を大臣の責任においてやっていただきたいというふうに御要望申し上げておきます。  それからなお委員長に対しましては、こういった実情というものは、単に熊本県のみにとどまらず、私は全国的な問題ではなかったろうかというふうな疑問もございますので、今後機会を求めて、国政調査等によって、現地においていろいろ調査する機会を与えていただきたいということを、この際委員長に申し入れをいたしまして、この点に対する質疑を一応終りたいと思います。

長谷川保日本社会党

○長谷川委員長 河野君の御意向につきましては、十分これを尊重いたしまして善処いたします。野原覺君。

野原覺日本社会党

○野原委員 私はこの臨時国会に入りましてから、十一月の四日に文部大臣に対しまして、勤務評定と道徳教育についてお尋ねをいたしました。そうして一昨日の六日には教科書の問題を取り上げまして、教科書の駐在員の問題と、それから図画、工作、音楽、習字というような芸能科目の教科書を学校に備えつけるという問題について質問をいたしたのであります。その際、この十一月四日の私の質問に対しましても、六日の質問に対しましても、私は納得しない旨の意思表示をいたしました。特に教科書の駐在員の問題につきましては、内藤初等中等教育局長の一片の通達で、憲法第二十二条の職業選択の自由の制限が果して可能か、こういう問題を提起いたしまして、お尋ねをしておるのでございますが、これはどなたがお聞きになりましても、松永文部大臣及び内藤局長のあの日の答弁では納得のできないものであったのであります。私は参考人四、五人の喚問を要求いたしましたが、遺憾ながら当文教委員会の理事会におきまして、もう一度重ねて文部当局から答弁をさせるから、こういうことで本日になったように思うのであります。従って教科書の駐在員の問題につきましては、私はなお疑問の点がたくさんありますからお尋ねをすることになるわけでありますけれども、今朝櫻井委員から尋ねました勤務評定に関しましての文部大臣の答弁が、私の十一月四日の質問に対する御答弁といききか食い違うような感じがしないでもなかったので、この点簡単に私は確認をしておきたいと思うのであります。大臣は、私が尋ねました、あなたは勤務評定の基準案ができましたか、いつからこれを実施するつもりでございますかという私の質問に対しまして、その点についてはまだ検討中である、いつからやるかということは検討中だ、こういうことであったのであります。つまり検討中であるということは、文部大臣の御答弁によりますと、内容についてもまだきまっていない、それから実施するかいなかもまだきまっていない、こういうことであろうと私どもは了解をするのでございますが、間違いございませんか。これは大事な点でありますから、確認をしておきたいと思います。

松永東自由民主党文部大臣

○松永国務大臣 私はこの勤務評定の問題ではもう口がすくなるほど繰り返して述べておるのですが、実施するということは間違いありません。なぜかと申しますと、すでに法律で、実施しなければならぬというふうにきまっておる問題です。でありますから、きまっている以上は文部当局としてはその法律を守らなければなりません。しかしその基準としての内容に至っては、非常に研究がむずかしい、むずかしいから、それは今もって自分が納得するような案ができないということを繰り返しております。そうしてこの問題については、この間の参議院の文教委員会でも右のような答弁をいたしております。それは私の信念であります。そこでこの臨時国会でも終えますと、多少ひまにもなりますし、そこでゆっくり一つ諸般の——日教組の人あたりから相当いろいろな意見を開陳してみえているのです。それもよく研究いたしまして、そうして善処したい、こういうことを考えております。

野原覺日本社会党

○野原委員 勤務評定の内容について、確信がまだ持てないという段階におきましては、実施することについても確信が持てないと考えるのが論理の当然の帰結ではないかと思うのであります。法律におきましては、なるほど地方公務員法なりあるいはその他の条章があることを私も知っている。法律はある。しかしながらどういう内容で勤務評定をやるのか、その基準が目下検討中でありますから、目下のところは、これは実施するということの断定はなさらない方が、文部大臣としては教育界を混乱せしめないためにも大事なことではないかと思いますが、この点いかがでございますか。

松永東自由民主党文部大臣

○松永国務大臣 何とかして教育界を混乱に陥れないようにしようと思って研究を重ねつつあるのです。実は法律によってはっきりしている以上は、これは私が就任して以来、やらなければならぬということはきまっている。でありますが、その内容がまだ私にぴんと納得ができない、それで私は研究を重ねておる、こういうわけなんです。

野原覺日本社会党

○野原委員 従って勤務評定を実施するということは、勤務評定の内容が確定するということが一つの要素なんです。法律は勤務評定の実施をなるほど要求しております。おりますけれども、勤務評定の基準がまだ確定をしない。確定をしない今の段階では実施するということの断定は不当だ。どう考えてもこれは不当であります。だから、あなたとしては、法律は要求しておるから、いずれ実施しなければならないかもわからないけれども、内容基準については目下検討中であるので、この検討が終らなければ勤務評定の完全実施ということについても断言はできないのだ、こういう御答弁をなさるなら私はわかる。いかがでございますか。私はこの通りの答弁が十一月四日にあったと確認をしておったのです。それがどうも言葉のニュアンスから来る響きが受け取る人によってまちまちなんですね。この点いかがでございますか。これは大臣としても私がただいま指摘したようなことではなかろうかと思う。もう一度申し上げます。勤務評定を実施するということは、内容がきまるということが一つの要素なんです。実施の方法がきまるということが一つの要素であります。法律はきまっておるでのす。法律はある、しかし内容と実施の方法はまだきまっていない。だから、これがきまらなければ、勤務評定を実施するという断定は今下すべきではない。だから、この点について検討中だ、私はこのように受け取るわけですが、いかがでございますか。その通りだろうと思うのですが、どうです。

松永東自由民主党文部大臣

○松永国務大臣 実施しなければならぬということはもう決心しておるのですよ。しかし、その基準となる、その基準の内容がまだ私には納得できない問題があるから、それを研究しよう、こう言うのです。ですから、それは何べん繰り返しても同じことです。初めからしまいまで、私は間違ったことはちっとも言っておりません。うそやぺてんは私はつきません。

野原覺日本社会党

○野原委員 この点は私の考えておることと大体において一致しておるように思いまするけれども、大臣としては各方面をあちらこちら御旅行なさって、新聞記者談話によりますると、僕は勤務評定をやるんだ、こういうようなことを報道したような記事を私はたくさん読んでおるのであります。道徳教育もやるんだ、特設時間もやるんだ、公民館もやるんだ、いろいろ変った報道をなされておる。その一環として勤務評定をやるんだということをすでにもう報道なさっておる。はなはだ失礼な言い方でございますけれども、私は、これは国民に対していささか軽卒ではないかと思う。法律はなるほどこういうことを要求しておる。しかし、目下文部省では内容を検討中であるから、内容が確定しなければ、いつやると言うことも差し担える方がいいのではなかろうかというような態度で臨むべきなんです。そういう態度でいって、初めて国民の世論というものが、今の文相は民主的であって、国民の世論を盛り上げることに力を入れていらっしゃるということを考えて、いろいろ勤務評定の議論が出るのです。ところが、あなたはやるんだと頭から押しつける、内容はきまっていない、やるんだと、こうくるものですから、なに、それをやるのはけしからぬじゃないかというような反駁が勤務評定反対側から出るわけであります。私はこの点は何回申してもあなたはまた前の答弁を繰り返すだけかもわかりませんから、この前からの宿題の問題もございまするので、一応この批判だけを本日はいたしておくわけであります。  そこでお尋ねをいたしたいことは、教科書の駐在員の問題でございますが、この内藤通牒というものはここに私は持参をしておりますけれども、この通牒というものはどう考えても職業選択の自由を制限しておる。この点は私はいかんともできないように思うのであります。従って、もう一度文部省から、断じて憲法第二十二条の職業選択の自由を制限していない、こういう確信がおありでございましたら、その理由を明確にお示し願いたいのであります。

松永東自由民主党文部大臣

○松永国務大臣 この間も私は申し上げた通り、憲法二十二条の職業の自由選択にはちっともこれは当てはまらぬと思うのです。その違反ではないと思うのです。それはこの内藤通牒ですね。これは文初教第四八九号の一、昭和三十二年十月十日付のやつです。これの一番問題になるのは「一、発行者は、学校の教職員もしくは公職関係者またはこれらの者であったものなど採択関係者に対して影響力を有する者を、役員、社員、支社員、出張所員、研究所員、嘱託その他の名称、地位および待遇のいかんを問わず雇用しまたは嘱託して、地方に駐在させ、」これが問題なんですね。採択関係者に対し、教科書の宣伝業務に従事させてはならない、業務につかせてはいかぬというんじゃないんです。こういう人を使って、そうして各地方に行って宣伝をさせたり、あるいは売り込みをさせたりすることは非常に弊害をかもし、世論の的ともなったこともあるからして、これは注意しなければならぬといった注意事項を出したわけです。従って職業の自由を阻止したとかなんとかいうのではござりません。使っちゃいかぬというんじゃない。その使っておる人をそういう方面に出張させてはいかぬ、宣伝機関の方に振り向けてはいかぬということなんです。それといま一つは、これは文部省がこういう通達を出しましたのは、業者に対する一つの注意事項を出したにすぎないので、これによって文部省が自分が主導性を持って、自分が首を切るとか、自分が使わぬとかいう宣言をしたのではござりません。従って、この文部省の出した通牒を相手方が受け取ろうと受け取るまいと、相手方がそれを実行しようと実行しまいと、何の科罰をするものでもなければ、向うの自由なんでございます。一つの要望事項、注意事項として出したにすぎないと私は考えております。従って憲法二十二条にはこれは反しない、こういうふうに私は考えております。

野原覺日本社会党

○野原委員 まことにおそれ入った御答弁であります。私はおそれ入った御答弁と申さざるを得ない。その理由をただいまから申し上げます。  内藤通知の一番最初を読んでみますと、「このことについては、さきに昭和三十一年六月十三日付文初教第三〇一号「教科書の採択に関する不公正宣伝行為について」により通知しましたが、」云々とあります。そこで私は念のために昭和三十一年六月十三日付文初教第三〇一号の通知を出して比較対象してみたのであります。これによりますと、そのときの初等中等教育局長は緒方信一氏であります。読み上げてみますと、これは前文は長くなりますから省略いたしますが、前文の最後にこうある。「下記事項は、採択の公正を誤らせ、また教科書の質的向上と定価の低廉化を阻害するおそれがあると思料されますので、これらのことの廃止につき善処を要望します。」緒方さんは善処を要望しますと、これは希望的なことにしなければできないわけでございまするから、非常に慎重に昭和三十一年の六月十三日にこの通牒というものを出しておるのであります。ところが文部大臣が今お手元にお持ちでありますように、私が今緒方通達と内藤通知を比較したところだけを読み上げますと、内藤通知は「下記のように取り扱うこととしましたから違背のないようにされたい。」といって、文部大臣がただいま読み上げたその重要な通知が出されておるのです。「違背のないようにされたい。」これを受け取った人は背くな、背いてはいかぬということですよ。あなたのただいまの答弁を聞くと、いやそれは背いてもいいんだ、そういう拘束する必要はなかったんだと言うなら、なぜ通知を出しました。この通知を出したゆえんのものは、何としても教科書業者を拘束しなければならぬのです。拘束しなければ駐在員問題のガンを払拭することができない。この点については当衆議院の行政監察委員会で問題になった。そうしてたしか昭和三十一年の十二月二十日であったと私は記憶いたしまするが、行政監察委員会で問題になったその結論が、実は横田さんの公正取引委員会から出ておるのです。私はその公正取引委員会からの資料も見ておる。驚くことには、その公正取引委員会から出された意見を僭越にも営業行為、民間の営業会社の経済行為については——公正取引委員会が、教科書業というものは、新聞と同じように、みそ、しょうゆと同じように特殊指定をしておるわけですから、公正取引委員会にその監督の権限がある。だから特殊指定に違反した経済行為については実は公正取引委員会がこれを処断することができることになる。その公取の意見と比べてみても、内藤通知というものはその公取の意見を上回ることはなはだしいものがある。これは疑問であると思えば私は指摘してもよいんだが——笑っておりますけれども、あなた笑いごとじゃないですよ。そんな態度じゃ困る。  そこで文部大臣にお尋ねしますが、あなたはこれは希望的なことで通知を出したんだ、守らなくてもよいんだ、こうおつしゃいましたが、その通りでございますか。守らなくてもよいような通知を出して、どういうわけで教科書業者を混乱に陥れたのですか、お尋ねします。

松永東自由民主党文部大臣

○松永国務大臣 もちろん通知を出す以上、常識的に考えてもおわかりのように、守ってほしいんです。守ってほしいんですけれども、これを強圧してどうしても守らせんければならぬという拘束力は持っておりません。その関係は御承知のことだろうと存じます。

野原覺日本社会党

○野原委員 どう考えても内藤通知には希望意見だと思われるところはない。あなたによりますと、「教科書の宣伝業務に従事させてはならないこととする。」「ならないこととする。」というのは希望意見だ、こう申しますけれども、この本文というものは「違背のないようにされたい。」というのです。違背のないようにされたいということ、違背のないようにされたいと希望したんだ、こうへ理屈はつきますよ。しかしながら私は絶対承知できない。それじゃ一切の行政命令というものは法律にはないのかということになる。法律というものはやはり守らなければならぬ規範として強制しておるじゃないか。内藤通知というものは守らなければならぬ規範としての文章の体裁しかないじゃないか。緒方通知というものは、その点から見ると善処を要望します、内藤通知は背くことは相ならぬと書いてある。背くことは相ならぬということを、文部大臣は、あなたは部下がかわいいからこれは希望意見でございますとお逃げになられることは、私はあなたの過去の政治経歴から見ても、はなはだ残念にたえない。松永さん、私はほんとうにあなたを尊敬しておりますから、ここのところは率直におっしゃっていただきたいのです。

松永東自由民主党文部大臣

○松永国務大臣 どうでしょうね、これは解釈の相違というのでしょかな。大体文部省が本屋さんの会社を自由自在に一通の命令で何とでも、使っておる人間をやめさせるとか、やめなかったときには強制力、拘束力を持っておれば、お説のような議論も立ちましょう。しかしながら、そういう強制力も拘束力も持たないのです。ですから、文部省と本屋さんとの間の関係を考えてみただけでも、本屋さんの方では、文部省からそんな通知を出しても、こんなものを受け付ける必要はない、こんなものは守る必要はないと言ったって、何にも拘束力はないのです。しかしながら、文部省としての立場から、やはり多少の力は本屋さんの方には与えるでしょう。与えるでしょうけれども、それによって全般的に使っている人をやめさせてしまうとかなんとかいうような拘束力を持っておりません。でありますから、私がさっきから言う通り、文部省としては、これは注意をしたのだ、要望したのだ、こういうことに私は見られると思う、またそう解釈しなければならぬ。両方の立場の間柄から考えてみても私はそう思う。

野原覺日本社会党

○野原委員 それではお尋ねしますが、あなたは今重大な御答弁をなさっておる。というのは、文部省というものは、民間のこうした営利会社に対しては強制力、拘束力はないのだ、こういうことをおっしゃったのであります。そうすると、従来民間の営利会社に対して強制力、拘束力が全然ないところの文部省が、あたかも拘束するかのごとき文章で通知を出すという権限はなかろうと私は思う。一体内藤通知はどういう権限に基いて出されたのか。権限はないのに出したのか。これは松永さん重大なところです。それでは内藤通知というものはいかなる法的根拠に基いて出したのですか。何という法律に基いて民間の営利会社にこの通知が出たのか教えていただきたい。

松永東自由民主党文部大臣

○松永国務大臣 それは全然関係がないとは申しませんよ、監督官庁でございますから。それは監督官庁の内部にあるところの業者でありますから、それに対して助言をする、あるいは指導をするということは私はできると思う。それに基いて内藤局長がやったと思うのです。

野原覺日本社会党

○野原委員 まことに驚き入った御答弁です。民間の営利会社に対して文部省は監督官庁でございますかね。それは一体何という法律に書いてありますか。

内藤誉三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤説明員 これは文部省設置法第八条に「初等中等教育局においては、左の事務をつかさどる。」その十四号に「初等中等教育用教科書の発行の指示等初等中等教育において用いる教科用図書その他の教授上用いられる図書の発行に関すること。」と規定されておるのであります。つまり発行に関することについての行政指導でございます。

野原覺日本社会党

○野原委員 では、文部大臣が御答弁困難のようであるから、これは初等中等教育局長でけっこうですが、なるほど第八条の第十四号にある「発行に関すること」それに基いてあなた方はやっておるのだ、こう言うけれども、これは発行に関することなんだね。昨年でございましたか、第二十四国会に教科書法案なるものが文部省から出た。これは文部省としてはまことに残念ながら通らなかった。私どもとしてはまことにけっこうなことにこれを粉砕することができたが、この教科書法によれば、発行と供給というものは全然別になっておる。だから文部省の見解は、発行というものは供給を含まない見解だと言える。そういう行政解釈というものは過日文部省が提案した教科書法案にあったじゃないか。だから「発行に関すること」というのは文字通り発行なんで、供給は含まないのだ。その点はいかがですか。

内藤誉三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤説明員 教科書の発行に関する臨時措置法というのがございまして、「この法律において「発行」とは、教科書を製造供給することをいい、」そういうふうに書いてあります。これは供給が含まれておる、そういう意味です。

野原覺日本社会党

○野原委員 それではその教科書の発行に関する臨時措置法でやったということのようであります。そうすると、これは緒方通牒ですでに出ておるわけでございますから、教科書の供給については法的にどの程度の監督権限があるのか。あなた方には地方教育委員会を監督するがごとき権限はなかろうと思う。その法的な監督権限というものはどの程度に考えておるのか承わりたい。

内藤誉三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤説明員 これは法律に規定されたことが法律上の監督権でございまして、その他発行に関する全般的なことについて指導し、助言する権限があるわけでございます。

野原覺日本社会党

○野原委員 そういたしますと、私はもう一度お尋ねいたしますが、これはすでに文部大臣も先ほど御答弁したことでございますけれども、また内藤局長もそれは当然お認めになると思うんだが、かりに教科書会社に対してこの種の通知が出せると仮定いたしましても、強制力、拘束力はない。発行の中に製造、供給をかりに含む——かりにと言わぬでも措置法の中にちゃんと書いてあるわけだが、含むとしても強制力、拘束力はない。このことをお認めになるかどうか。

内藤誉三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤説明員 さようでございます。

野原覺日本社会党

○野原委員 そういたしますと、強制力、拘束力のない教科書会社に、教科書会社を強制し、拘束するかのような通牒を出すことはできないでしょう。あなたの答弁を待つまでもない。だから、これは蒸し返しになりますけれども、どう考えても「違背のないようにされたい。」というあなたの通知は強制執行しようとしている。教科書会社はそう言っておる。これは大へんなことになったと言っておるのです。これは結果において強制執行しようとしている。だから、通知というものは、私も法律上は拘束力はないと思います。法律なり命令というものは法的な拘束力を持っておる。これは法律学の第一歩です。しかし通知には拘束力はないけれども、こういう強い文章をもらいますと、その通知を受けた業者というものは事実上の拘束力を受ける。緒方さんの通牒によれば善処を要望するということでありますから、教科書会社自身で十分考えてもらいたいということなんです。この点は、問題は解消すると思う。だから私どもは六月十三日の通牒は問題にしなかったのです。しかしあなたの通知によれば非常な強制、非常な拘束をしておるのです。あなたは強制、拘束をしていないと何をもって御答弁になりますか。強制、拘束をしていないということがこの通知のどこから判断できるのか、局長から教えてもらいたい。

内藤誉三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤説明員 これはごらんになりますとわかりますように、別に罰則を設けておるわけでなし、またこれによって制裁を課しておるものでもございませんので、強制力があるとも思いません。ただ前の通牒と表現が違うのです。表現の違うところは、この前六月十三日に通牒を出して要望したにもかかわらず、教科書会社に駐在員がふえて、不公正な取引の点で非常な非難を招いて困っておった。そこで教科用図書の審議会から強い要望があって、顔をきかす駐在員を置くということが教科書の採択の公正を害するのだ、ぜひこれを即座にやめさせるようにという文部大臣に対する建議があった。それに基いて私どもも業界と相談した。教科書業界からこの線は今度は守りましょうとみんなで相談された、そうして文部省に決議を出された、その決議に従ったのですから、多少表現が前とは違っておるわけです。かように御了解をいただきたい。

野原覺日本社会党

○野原委員 表現上の違いでは済まない。あなたは主観的には、罰則はない、それはあなたは知っておる。だからあなたは強制したのではない、あなた自身が知っておる。しかしこれを受けた当事者の相手方の教科書会社及びこの通知を読むところの第三者というものは、強制力があるのだろうかという疑問を持つ。私は各方面の人に聞いた。実は衆議院の法制局の諸君にも、どうだろう、君らはこれをどう読むのか、こうただしてみますと、どう読んでもこれは強制力を感じます、拘束力を感じますということでした。社会党だけではないと思うのです。この通知の「違背のないようにされたい。」というところを読んで拘束力、強制力を感じない者はあるだろうか、ない。だからそういう感じを与えるような文書を出したということが、これはあなたの趣旨に沿わぬのですが、よろしいか。あなたは強制するつもりはなかったと、こういうのですから、あなたの強制するつもりはなかったという主観的な考え方にこの文書は遺憾ながら沿うていない。  そこで文部大臣にお尋ねをします。そういう誤解を与えたこの通知でございますから、これは文部当局の本意とするところではないのでありますから、あなたの本意は、罰則は強制してはいかぬ、拘束してはいかぬのでありますから、その旨を厳格にこの場所で述べてもらえばよい。そういう受け取り方をきれたという点はきわめて遺憾だと文部大臣はお考えになりませんか。

松永東自由民主党文部大臣

○松永国務大臣 教科書会社ともあろう人々は大体法律上の権利義務のことは御承知のはずです。こんな通牒が出されたからといっても、それは大へんだというので、拘束力のある通牒とは私は認めない。ただあなたが先ほど御指摘になったように、なるほど一応これはやはり一つの拘束力のあるように考えられるかもしれません。しかし法的には何の拘束力もないということ、これはもう御承知のことだと思います。ですから今局長から説明をいたしました通り、ほかの教科書会社の人々もみんな教科書販売の公正を期するために、やはりそういうふうにしてくれというような大多数の意見がそうであったから出した。そこで言葉のあやで多少そうした点があったかもしれませんけれども、しかしながら、決してそれはしかるがゆえに拘束力を持っておるというものではないと私は思います。ですからこれを今日とやかく言うてみたところで、私は始まらぬと思うのです。

野原覺日本社会党

○野原委員 あなたの考え方によれば、昭和三十一年六月十三日付のいわゆる緒方通知の善処を要望しますとこういう形でやることが、これは問題を起さないでよかったのではないだろうか。率直に言って、これは私は何もひっかけて言うのではないのです。私はこの問題を一番聞きたいのです。何もこういう問題であなたと対決する、そういう意図はないのです。これは、文部省のそうした法的な越権というものを、私どもは戒めていかなければならぬ責任があるから、尋ねておるだけです。混乱を教育界は与えてはいかぬから聞いておるだけです。だからこれは善処を要望しますというような、そういう形で出された方がむしろよかったのではないだろうか、文部大臣はそうお考えになりませんか。緒方通知はだめで、内藤通知でないとだめだという強いことでなしに、あなたのお考えでは、その方が無難ではなかったかとお考えにならぬかどうか。

松永東自由民主党文部大臣

○松永国務大臣 緒方通牒と内藤通牒とでは多少言葉のあやが違っておりますけれども、前の緒方通牒では何の効果ももたらさない、それでは教科書販売の公正を期することができないというようないろいろの審議会あたりの意見もあって、それで今度のような通牒を出したのです。しかしその通牒も法的には前出した通牒とはちっとも変ったものではないのでありますから、この点は御了承おきを願いたいと思います。

野原覺日本社会党

○野原委員 どうも大事な点がごまかされておる。緒方通知では何の効果ももたらさないから、こういうふうになったというのならば、職業選択の自由がない。つまり学校の教職員——現職だけではないのですよ。二十年前に村の代用教員をした人までできないことになっておるのです。十年前にPTAの役員をしたということで、実は教科書会社の駐在員出張所員にはなれぬことになっているのです。あなたはそこら辺をよく読んでいただきたいと思うのです。これは文部大臣としては、こういうこまかいことは十分に御検討になる余裕はなかったと思うのですけれども、二十年前に北海道で一カ月代用教員をした、その人が鹿児島に住んで鹿児島で教科書会社の社員になろうとして、その適当な口があったんだけれども、違反することのないようにしろ、なったら相ならぬという通牒が来ているからなれぬようになった。緒方通牒では十分拘束ができなかったから、こういうきつい通牒を出したんだということになれば、あなたは言わず語らずのうちに、第二十二条がどうあろうとも、これは通牒で何としても現職あるいは前職の学校教職員の駐在員の制限をしなくちやならぬ、こういうように考えてくると、職業選択の自由をやっぱり言わず語らずのうちに侵害しておるのではないか。あなたは失礼ですけれども、頭を冷やして御答弁を願いたい。あなたはもっと強い拘束力を持なければいかぬと思っているんですよ。緒方通牒よりももっと強い拘束力を持つということは、職業選択の自由を侵害することになるのです。緒方通牒ではだめなんです。それが第二十二条を侵害することになる。これは何といってもなる。本日の答弁はこの前の答弁よりも混乱をしてきたと思う。これは自民党の諸君も冷静にお聞き下さってわかったと思う。納得できない。いかがですか。御所見を承わりたいと思います。

松永東自由民主党文部大臣

○松永国務大臣 強い要望を繰り返しておるというだけです。強い希望を繰り返しておるというだけです。だから職業の選択の自由を阻害したとか、憲法二十二条に違反したというようなことは出てこぬと思うのです。

野原覺日本社会党

○野原委員 もう一度念のためにお聞きしますが、強い希望というのは内藤通牒のどこなんです。希望意見を述べたというのは、通牒のどこなんです。私はこれにアンダー・ラインを引いてもらいたいと思います。私は本日の質問で打ち切るつもりだったけれども、残念ながらできない。これはどこを読んでも希望じゃない。希望というのはどこなんですか、もう一ぺん言って下さい。

松永東自由民主党文部大臣

○松永国務大臣 なるほど希望という文句はありません。第一回の緒方通牒のときには希望するというようなことが確かに書いてあったと思います。二度目は希望という文字は書いておりませんけれども、しかしながら事柄の本質上当然希望であることは間違いございません。

野原覺日本社会党

○野原委員 現実にこのために教科書の駐在員という職業選択の自由を失ったものがあったとしたら、文部大臣どうなさる。お尋ねします。

松永東自由民主党文部大臣

○松永国務大臣 風声鶴涙の結果、変なことをした人があったって、それは私は知りません。

野原覺日本社会党

○野原委員 これは大へんな御答弁ですね。それではこの通牒によって職業選択の自由を失った——私は職業選択の自由ということは、職業を選択することが自由であるだけじゃない。選択した職業を遂行することもまた自由という内容があると思う。だから内藤通牒によって、今日まで一週間以上経過したわけでございますが、それでは具体的に職をやめさせられた、職につくことができなかった、こういうものが起つたとしても、あなたは知らぬというのですか。そういうことが起ったのはこの通牒が原因であるとしても、あなたは知らぬとおっしゃるのですか、お尋ねします。

松永東自由民主党文部大臣

○松永国務大臣 憲法第二十二条に「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」こうあります。従って公共の福祉に反するようなことがあったとすれば、これはいろいろな注意も促していいんじゃありますまいか。すなわちこの教科書会社がいろいろな運動をするためには弊害が起ったということで、まさに世論の声が起っております。それはいわゆる顔をきかせて、そしてその顔によって売り込みが盛んに行われたということは、これは大体皆さん御承知のような事実であります。ですからそうした問題を是正するために注意を与えたということは、憲法二十二条の趣旨に反するようなことではないと私は考えます。

野原覺日本社会党

○野原委員 私は注意を喚起することが悪いとは言わない。緒方通牒を私は承認しておる。緒方通牒は注意を喚起した。悪いとは言わぬ、けっこうです。また文部省は注意を喚起してもらわなければならぬと思う。ただ内藤通牒のように守らなければならぬといったような強い強制、こういうことをやることはたとい公共の福祉に反するとしてもできないと言っておるのです。公共の福祉に反するという判断は初等中等教育局長がすべきものではない。文部大臣がするのでもありません。これは松永さんよく御承知の通りです。公共の福祉というところのその決定というものは立法府がするのです。立法府は立法府の意思によって、国家の意思によってやる、法律の形をとらなければならぬのです。これは旧憲法においてもそうであったのです。法律の範囲内において、国民の基本的人権の自由というものは守られておったんです。法律によって侵害されることはあり得ます。だから公共の福祉に反するから云々という言葉で言ったけれども、これは初等中等局長なり文部大臣なり文部省が省議において判断するということはいささか間違いではないか。だからこの種の通牒、内藤通牒のような強い強制力を持った作用を教科書の駐在員の問題に及ぼしたいというならば、立法の仕事をしていかなければならぬのです。文部省は法律を出さなくちゃいかぬのです。そうして国会が果して公共の福祉に反するかどうかという判断をしなければならぬのです。それをしていないじゃないですか。あなた方たち官僚が公共の福祉に反するからこういうことは守るのだということが言えるということが憲法のどこにありますか。どういう学説にありますか、教えてもらいたい。

松永東自由民主党文部大臣

○松永国務大臣 公共の福祉に反するやいなやということは緒方氏が判断してそれが確定するものでもなし、またあなたが判断して確定するものでもありません。それはお説の通り立法府が解決するか、裁判所が解決するよりほかにございません。しかし一応さっきから繰り返し申し上げる通り、公共の福祉に反するようなことがあった。すなわち教科書会社の売り込みがいかにも宣伝もしくは顔をきかせて弊害があるからして、これは根絶しなければいかぬという建前から、今御指摘になりました緒方通牒が出て、それが効果がなかったからというので内藤通牒が出た。こういうことなんであります。従ってこれはもう率直に申しますが、内藤通牒が前の緒方通牒のように希望という文字でも入れておけばこうした問題もなかったかもしれません。しかしそれは一番初めやって効果がなかったから、そこで今度は効果あらしめるべく希望という文句を入れなかったんだということも事の続き柄上一つお考え願えばおわかり下さると思います。

野原覺日本社会党

○野原委員 そこで文部大臣、あなたが言うように希望的な字句というものがなかったのが非常に残念だと思う。私も残念に思うのです。これは全く強制拘束力ととれるような表現をしたことは、初等中等教育局長の意思でもなかったことは先ほど明確になったんです。まことに残念である。行政庁といえども人間で作っておるのですからあやまちを侵すことはあるのです。あやまちを侵した場合には改めるにはばかることなかれでありまするから、私はやはり憲法の原則に抵触する問題でもございますので、文部当局としては私のような受け取り方をされるような文書を出したことは、まことに遺憾だという意思表示ぐらいは私はして差しつかえないと思います。これをお尋ねいたします。

松永東自由民主党文部大臣

○松永国務大臣 さっきから私が申し上げたことでもうおわかりになったと思うのです。ですからして今後は大いにこういうことの議論の起きないように注意したいと思っております。

野原覺日本社会党

○野原委員 そういたしますと、教科書会社に対してやはり一つの法上の瑕疵を犯しておるわけですから、この瑕疵を解消するために、念のために、実はあれは強制拘束のものではなかったんだという御通知を出されたら事は解決する。これはいかがですか。これは文部省の権威のために、教科書会社に対して、あれは君らはどう受け取っておるか知らぬが、実は何も強制拘束ではなかったのだ、三十一年六月十三日の緒方通知と同じものだということを、念のためにお出しなさる必要があろうかと思いますが、いかがです。

松永東自由民主党文部大臣

○松永国務大臣 これは瑕疵があるとかなんとかいう問題とお聞きするように私は考えておりません。従ってやはり瑕疵があったからあれは無効だとか、あれはこうしてくれとかいうような通知をあらためて出そうという気持も持っておりません。

野原覺日本社会党

○野原委員 それでは、先ほど私が被害を受けた者云々ということを申しました。実は何名かの者の住所氏名があるわけです。しかしこれは私自身がよく確認しなければかえって委員会を混乱したことになるから、本日発表を控えておるのです。その人は実は非常に憤慨しておるわけです。その通知のために、実は仕事につけない事態に陥っておるわけです。というのは、この通知の最後には、「各都道府県の教育委員会に対し別紙(写)のように通知しましたから、念のため申し添えます。」そうして教育委員会に対しては、もうほんとうに強制するんだというようないろいろな方途を示しておるのです。簡単な別紙写しの文章で、これは読み上げてもよろしいと思うのでありますが、これを示しておる。内藤局長は知っておる。教育委員会にも出しておるのですよ。だから単なる希望意見として教科書会社に出しただけではない。教育委員会に、教科書会社にこんな通知を出した、だからお前のところでは徹底的にスパイ行為をやれ、そういう文句では出ておりませんけれども、どこの何のたれがしは何人おるか、そうしてそういうことがないようにしろ、こういうことになってくると、完全にその人は職業を追われなければなりません。また教科書会社はどうしても違背のないようにしなければ、今後内藤氏からにらまれるから、いろいろ教科書の検定発行等について大へんなことになってはいかぬと、これは私は人間の通有性だと思う。官僚はそういったつまらぬところに特権を張るものを持っておるのです。権利というものがあるわけですから、こういう監督権限がなくても、そういう印象を今の日本人は受けるわけです。従ってやはり強制されてくる。そのために職を失ってくる。こういうものについて文部大臣が、まことに希望意見がなかったことは遺憾だというその精神から見て、これは何とか救済してやらなければならぬと私は思う。憲法の基本原則を侵害したわけですから、これはいかがでしょうか、国家は救済してやらなければならぬと私は思う。これは当然ですよ。刑事補償の精神からいっても当然です。いかがです。

松永東自由民主党文部大臣

○松永国務大臣 申すまでもなく、法律上損害賠償を負担すべき義務のあることは、不法行為に基かなければなりません。この内藤通牒は、不法行為であるという判断は私にはできません。りっぱな文部省の通牒です。でありますから、従ってそれによって生じた損害について賠償の責めに任ずるというような筋合いじゃなかろうと存じております。

野原覺日本社会党

○野原委員 結果においては不法行為の事実上の拘束力を生じておる。あなたは民法上の不法行為の概念を持ち出していらっしゃいますけれども、不法行為は故意、過失だ。故意、過失ということが不法行為の条件、内容になってくるのです。だから、故意ではなかった、しかし過失の責任はある。あなたは不法行為でないと言うけれども、私は不法行為だと思う。これはそういうふうに受け取られるような文章になっておるじゃないか。このことは実は私の主管じゃないというけれども、それは過失だ。過失によってこういうような形に人が受け取ったのですから、これは明らかに不法行為ですよ。そのために現実に憲法上の基本人権が侵害されておるのです。あなたはそんなに憲法をじゅうりんなさるのですか、お尋ねいたします。

松永東自由民主党文部大臣

○松永国務大臣 断じて憲法をじゅうりんしようなんという考えは寸毫も持っておりません。しこうして、私は内藤通牒は不法行為とは認めません。

野原覺日本社会党

○野原委員 具体的にその人が文部省に申し出る、あるいは私がその氏名を発表し、その人を文教委員会においてあなたに私が発表、紹介をした場合に、いや君の首を切られたことはわしは知らぬ、実は内藤通知によって教科書会社も整理した、ここまでいってもあなたはほっておくつもりですか、お尋ねします。

松永東自由民主党文部大臣

○松永国務大臣 人情問題は別です。しかし法律問題は、そうした問題が源平藤橘、どういうことから起るかもしれません。その余波を一々解決するというような責任は持たないというふうに考えております。

野原覺日本社会党

○野原委員 これは私はどうしても納得できない。実はこの通知というものは希望意見である、だから拘束力はないのだ、こう言っておりながら、緒方通知以上の拘束力を発揮しなければならぬと思ったから、緒方通知のような文章をとらなかったのだ、こう言葉を翻しておるのであります。これは明らかに矛盾であります。拘束力がないのだということを考えて、希望意見で行くべきだというならば、なぜ希望意見という表現をとらないのか。それをだんだん突き詰めていくと、緒方通知ではだめだから、何とかして拘束しなければならぬと思ったからやったのだ。そうなんだ。そうしてしかも憲法二十二条の人権侵害が起っても知らないと言う。国家が、行政庁があやまちを犯して、なお国のあやまち、行政庁のあやまちによって人権が侵害されても、それは不法行為ではないから知らぬと言う。不法行為であるかないかについても、もっと討論しなくちゃならぬ。これは大へんなことなんです。憲法の侵害をやって、あなたの政治的な責任を追及されるのがこわいばかりに——私ははっきり言う。あなたは初等中等局長を監督する責任があるのだから、この通知というものは——初等中等局長にお尋ねするけれども、文部大臣は監督権限があるのだから、その政治的な責任追及ということに発展しては事めんどうだからというので、あなたは押し切ろうとなさる。そういう横紙破りは簡単にいきませんよ。そういうむちゃなことは。これは速記録を取り寄せて詳細にアンダー・ラインを引いて読んでもらいたい。内藤さんに聞きますけれども、これは大臣から判こをもらって出しましたか。

内藤誉三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 申し上げたと思っております。

野原覺日本社会党

○野原委員 そうなりますと、これは大臣ますます政治責任はあるのです。私はこれはどう考えても納得できません。臨時国会も日もまだ数日あるわけです。場合によっては会期延長するかもしれぬ。これはどう思っても私は承知できません。だからして、やはりこれは憲法学者なりその他によって私は明確にしたい。私は私の考えを通そうとは思わないのです。私どもの疑問だけ氷解すればいいのです。疑問を氷解しないままにこの問題をうやむやにしておくことはできないのです。私は委員長に重ねてこれをお顧いして、一応この質問については終っておきます。

長谷川保日本社会党

○長谷川委員長 野原君に申し上げます。ただいまの御趣旨につきましては、後に理事会に諮りまして善処いたします。  関連いたしまして小林信一君。

小林信一小会派クラブ

○小林(信)委員 今の問題ですが、私は新聞でもこのことを見ましたし、また業者の一部からこの旨について意見を聞いたことかあるのですが、そのときにこれはやはり相当問題だなと思って、自来研究しようと思っていたのですが、研究しておりませんが、今野原君の質問に対する文部省の御意見というものは、私たちの今の程度の聞いておったところとはだいぶ違う、そういう気がするのです。ことに大臣が実際業者間の声というものをお聞きにならずに、やはりその文章と文章に対する局長あるいは課長の註釈というふうなものでお聞きになっておられると思うのです。従って大臣はそう大したことはないのだ、拘束しないとか一片の注意だというふうにお考えになっておりますが、業者あるいはその他現在教職にあるもの等を含めまして相当な衝撃を与えておることは事実なんです。大臣はそうともお考えになっておられぬようですから、その点も私お尋ねするのです。従って私もこの真相をよく調べまして、野原君と同じようにこれから御質問申し上げようと思っておりますが、きょうは時間がありませんから一言だけお尋ねしますが、内藤局長のおっしゃったところでは、この通知を出したらそれを決議をして業者の方から何か持ってきた。従って文部省ではただ一片の通知を出しただけで、自主的に業者の方から自粛する反響があったというふうな御説明なんですが、私の聞いたところでは、業者の方では大恐慌を来たして、この通知に対しまして一字一句の説明を、局長のあなたなり課長なりに尋ねていったということを私は聞いたのですが、それは事実ですか。

内藤誉三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤説明員 大体顔をきかす駐在員の廃止については、各方面からの要望もありまして、業者自体が先年、三十一年六月十三日の通達以来、実は相当駐在員を増加して業者自体でも困っておって、何とかこれをやめる方へ持っていこうじゃないかということが業者自体で大体まとまった。私が最後に聞いたときに、私の方に業者の方から、教科書協会から文部省の方針に賛成いたします。ただこの際ぜひ教科書センターの充実をしてほしいというのが第一点、それからもう少し献本のワクを広げてほしいというのが第二点、第三点は教科書の研究会とか講習会、これは実際ある意味では教科書会社の宣伝にもなっているのですが、この宣伝は私どもは採択の直前だけは御遠慮顧っておる。そこを何とかもう少し自由にしていただけないか、こういう御希望があった。しかしそのときに私どもとしては、教科書の研修会とか講習会という宣伝業務は、採択の直前はやはり差し控えていただきたい、この点にはちょっと同調しかねます。しかし教科書センターの充実と、もう一つの献本の増加、これについては努力いたしましょう、かように申し上げたわけであります。業者自体教科書協会から文部省の方針を了承するという一札を私どもはいただいております。

小林信一小会派クラブ

○小林(信)委員 局長はちょっと勘違いされたと思うのですが、局長の出されたこの通牒の内容の字句の解釈、こういうふうなものについてまでどこをどういうふうに示しているのか、行動をどういうふうに規定しているのかということで、これはおそらく課長のところじゃないかと思うのですが、聞きに行ったほど業者の方はあわてたということを私は聞いたのですが、その通牒に対する解釈の問題、一字一句についての検討を聞きに行ったことがあったかどうか。

内藤誉三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤説明員 この解釈については教科書協会と十分御相談して、そうしてどういうふうにしようかということで細則のような解釈のものが出ております。

小林信一小会派クラブ

○小林(信)委員 そのときに、どういう仕事をする者を駐在員と称するかというふうなことまで結局は聞かなければならないような状態だったと聞いたのです。そうしたら学校等へ教科書会社の人が電話をかけたような場合でも駐在員の行為とみなす、こういうふうな解釈をされまして、今大臣のおっしゃるように社長から一嘱託に至るまで全部がその教科書会社の仕事をしていく、教科書会社の仕事はしてもいいのだけれども、駐在員としての仕事はしてはいけないというだけのものだと大臣はおっしゃるのですが、駐在員というものの仕事の規定は今度がむずかしくなるわけです。学校あるいは教職員、教育委員というような、そういう地位の人に電話をかけただけでも駐在員の行為とみなすという、そういうきつい内容というものがもし規定されておるとするならば、これは拘束しないどころじゃない、憲法違反というふうな疑いまで考えられるようになるわけで、将来自分が教科書会社に勤めようという考えを持っていない、教員としての前歴を持った者でも、これは何か自分たちによけいな身分の拘束をするような考えを持たぬとも限らぬわけです。だから単に業者とか、あるいはその仕事に携わる者とかいうことでなくて、こういう内容を一つ一つ検討して参りますと、これは身分の拘束ということが非常に過酷じゃないかということになるわけですが、そんなことがあったかどうかお尋ねいたします。

内藤誉三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤説明員 私どもは、そういう電話をかけたようなことはそれに該当しないと思っております。

小林信一小会派クラブ

○小林(信)委員 今局長はしなかったというのですが、そういうようなことまでこまかく業者の方では尋ねて、そうしてその上の判断としては、これは非常に行き過ぎじゃないかという意見も持ったということを私は聞いた。それがほんとうかどうか調べておりませんから、きょうはあまり質問しないわけですが、それからもう一つお話したいことは、大臣は一片の通牒である、決して拘束するものではない、これには罰則規定も何もないのだとおっしゃいますが、確かにその通牒を私も一ぺん見たきりでわかりませんが、今後駐在員に新しくなりますものは、教育委員会にこれを通知するということがあったでしょう。これらは拘束していないどころじゃない。これは絶対にこれに従わなければならないというようなものだと思うのですが、その点はどうですか。これは大臣でなくて局長から真実をお聞きするのです。

内藤誉三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤説明員 教育委員会に通報することは、そうなっております。私どもとしては本来顔をきかして宣伝業務に従事する、こういうことは好ましくないと思う。ですから、その様子を知りたい、こういうわけで教育委員会に通知をするようになっております。

小林信一小会派クラブ

○小林(信)委員 大臣、これはほんとうの私の考えている一部なんですが、ただ単に局長が通知を出して、それを守ろうが、守るまいが、拘束するというようなことはないのだ、しかし大臣はさっき、常識的な判断からしても、これに従ってもらうことができるだろう、できるべきだというふうにおっしゃるのですが、その内容等の規定の仕方ですね、こまかな一字一句の検討というようなことで実際過酷である場合には、今、野原君の言うような問題もあり得る。私はこう思うのです。だから大臣も軽率にこの問題を局長の通知や、うまい局長の説明だけでもって考えずに、業者なんかの意向も相当お聞きになってこの問題を考えないといけないし、それからなろうとなるまいが、教員という前歴を持ったものはこの仕事に従事できない。駐在員ということですが、結局駐在員の問題をいろいろ規定されていると、結局一つの会社に入ることができないという拘束は受けるわけです。そういうふうなものがあることを十分に御検討なさって、大臣としてもこの問題については御認識を十分持っていただかなければならぬ。それから業者が困っているのは駐在員を向う何カ年という約束でもって頼んでおるのがあるのです。私も文部省と同じ意見です。確かに顔をまかして教科書を売るというようなことは、よい教科書選択上困ることですが、こういう問題はどういうふうに措置されておるか。それから業者仲間にはこういう声があります。これは文部省でもそういうことを考えているのじゃないかというふうな向うの予想なんですが、駐在員が御主人であった場合には、今度は奥さんの名前でもってやればいいのだ。これでは何もならないわけですが、そういうふうな点についてはどうお考えになりますか。

内藤誉三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤説明員 別に奥さんがおやりになるのは差しつかえないと思います。私どもの趣旨は、顔をきかして学校に本を売り込む、この行為を禁じているだけで、別に駐在員になることを禁止しているわけではないのです。ここの辺をよく御了解願いたい。私どもはできるだけ通達の趣旨が守られることを期待しているということです。

小林信一小会派クラブ

○小林(信)委員 向う何カ年というやつは。

内藤誉三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤説明員 もちろん宣伝行為に従事されなければけっこうでございます。ですから顔をきかして売り込みをやっていただかなければいい、その他の駐在員ならけっこうです。

小林信一小会派クラブ

○小林(信)委員 そうではなくて、実際に顔をきかしてでなくて、ただ経歴を持っているというだけで、実際顔をきかせるということはなくてやっている駐在員もあると思います。しかしこれらも、やはり業者間の協定とかあるいはこういう通牒に従うならば、顔をきかすなんということはないのだけれども、駐在員で前歴がかくかくであるがゆえに向う何カ年というような形で雇われておったけれども、その仕事に、大臣のおっしゃるいわゆる常識的な判断からやめなければならぬというふうなものは非常に困っているわけなんです。こういうふうなものはこれは判断が困るわけでしょうが、どういうふうにするか、非常にこれは業者が困っていますね。

内藤誉三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤説明員 もちろん、ですから今すぐというわけではないので、三十三年の三月三十一日までは認めておる。それ以後はほかの方に転換していただきたい、つまり本の売り込みはやめていただきたい、こういう趣旨です。

長谷川保日本社会党

○長谷川委員長 本日はこの程度とし、委員会散会後理事会を開きます。  なお次会は十一日午前十時三十分より開会いたします。  これにて散会いたします。     午後五時二十二分散会

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