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27回国会衆議院1957/11/08

農林水産委員会水産に関する小委員会 第1号

発言数
81
登壇者
11
会派数
2
開催日
1957/11/08

会議録

赤路友藏日本社会党

○赤路小委員長 これより水産に関する小委員会を開会いたします。  日韓問題について調査を進めます。質疑の通告がありますのでこれを許します。中村英男君。

中村英男日本社会党

○中村(英)小委員 それでは大臣が見えないようですから長官にお伺いします。日韓抑留者の漁夫の問題ですが、きょうはいわゆる援護の問題に話をしぼって質問したいと思います。従来、この四カ年の間、この問題はどうも抑留者の家族の人が陳情にくると一応進み、引き揚げていくと潮が引いたように膠着する。そういう状態で相互釈放の問題も援護の問題もそういう経過があるのですが、従来はそういうことで抑留者の家族の人も早く釈放してもらいたい、そういう主張も強くしてきたわけですが、日韓問題が膠着して、今では抑留者の家族の人の心境というかそういうものは、私この六月に大ぜい見えたときに陳情も受け、あるいは岸さんにもいろいろ陳情されたときの話を聞いたのですが、全く雄々しいというか、私どもの主人あるいは子供をもちろん帰してもらいたいが、そのことのために日本の外交問題が後退するようなことがあってはいかぬ、私どもは日本の外交を犠牲にしてまで夫なり子供を帰してもらいたいとは思わぬ、とまで極言した。こういうけなげな心情を吐露されておりました。そこで岸総理も、日韓問題、ことに相互釈放の問題は早く片ずけたいが、まあ相手のあることでもあるし、しかしこの援護の問題は、これは国内問題だから、万全の措置をしたい、こう言っております。そこで私お伺いしたいのですが、そういう今日膠着しておる状態の中で、一体抑留者の援護の問題、具体的にいえば差し入れの問題、あるいは留守家族に対する援護の問題、こういう問題を水産庁はどの程度まで具体的にこれを打ち出しておいでになるか、その辺をお伺いしたいと思います。

奥原日出男水産庁長官

○奥原政府委員 ただいま中村先生からお話のありました抑留漁夫の家族の援護の問題に関しましては、漁夫の帰国が早急に期待し得ないことに立ち至りました情勢にかんがみまして、総理は特にこれが家族の援護措置について遺憾なきを期するように御心配をしていられるのでございます。われわれとしましては、この問題に関しては、政府部内におきまして、また日韓対策本部及び関係のその他の方面との間に話し合いを進めておるのでございますが、政府部内及び関係方面と相談をしながら中身を固めていく、こういう態度で目下具体的に進展いたしておるような状況でございます。  大体の考え方について申し上げますれば、この際現在の保険と見舞金の二本建で生活の援護をしておるという態勢を根本的に改めて、交付金というような形でやることは一体どうなのかというふうな問題について、関係省も入れましていろいろ相談いたしました。その結果得ました結論は、実質的な家族援護の効果を上げるという意味におきまして、やはり現在の制度のまま実質的な給付額が増大されるように考慮をしていく、こういうことの方が実際的であるという結論に到達いたしたので、目下その線で相談をしながら中身を固めていくという態度で話し合いを進めておる次第であります。

中村英男日本社会党

○中村(英)小委員 現在の制度のままでやった方が実際的な効果が上る、こういうことですね。そうすると具体的に言うと、今までと同じように保険と見舞金の両建でやっていこう、こういうことですか。

奥原日出男水産庁長官

○奥原政府委員 その通りでございます。

中村英男日本社会党

○中村(英)小委員 そこでこれは長官も御承知のように、従来六カ月ごとに支給をしておった。しかもその六カ月ごとに留守家族の方も大ぜいおいでになるし、また政府も議員もこの問題についていろいろ論議を重ねて、そうして幾ら出すか、どういうふうにするかというように、そのつどつどやっておったのです。こういうようなやり方だと、もうすでに非常に長い年月を経ておるものですから、留守家族の方及び船主、これに関係のあるそれぞれの団体の人々が、すでに待ちくたびれている、そういうことでは従来の制度のままやる方が効果が上るのだというお考えも、それはそれでよいと思うのですが、こういうふうに、支給の方法が六カ月ごとにやあやあ言いながらやっておるというようなことでは困るわけです。この際政府は思い切って支給の方法、金高を明快に打ち出してもらいたい。ことに閣議で幾ら出すのだということをぴしゃっときめてもらうと、むだな論議もせずに済むのです。そういう点でせっかく従来の制度のままやった方が効果が上るのだという長官のお考えであれば、この際もう政府は閣議で幾ら出すという支給の方法を明快にすべきだ、こう思うのですが、そういう点はどうなんです。

奥原日出男水産庁長官

○奥原政府委員 話がもう少し固まりましたら、ただいまお話のございましたように、閣議で具体的に方針を決定していただく、かようなことに運びたいと考えております。ただいまお話の中で若干触れておられました点について、なお補足して申し上げたいと思うのでありますが、従来政府の措置をいたします時期が、ともすれば関係者の集団的な陳情の時期と重なっておったというふうな事態がございまして、ただいまのような御批判をいただいたのかと存ずるのでありますが、しかし目下関係団体におきましても、運動のあり方というものについていろいろ考えておるのでございまして、政府の側から家族の実情をよく考慮いたしまして、運動のいかんにかかわらずやるべきことは当然その時点においてやっていく、こういうことにいたさなければならないと思っておるのでございます。この前七月に見舞金の問題及び差し入れ金の問題について善処いたしましたのも、またそういう趣旨によりまして考慮いたしたのであり、今回もまた同様に取り計らって参りたい、かように考えているのでございます。なお六カ月ごと、こういうお話がございましたが、家族の手元には毎月金が渡りますように県等と打合せをいたしまして進めている次第であります。御了承いただきたいと思います。

中村英男日本社会党

○中村(英)小委員 そこでさらにお伺いいたしたいのですが、水産庁もこの際相当根本的に、従来の制度でよろしいか、あるいは別な交付金というような方法でやった方がよろしいかというところまで掘り下げて、この支給の方法についてお考えになっているということは、おそらくこれは相互釈放問題が違った条件に立ち至ったという認識によると思うのです。相互釈放ということは早期に可能だ、しかし抑留者の家族の人たちも援護の措置もしてもらいたいが、それよりも早く帰してもらいたいということに運動の重点を置かれてきたのです。従って援護のこともそのつどつどそういう状態の中でお互いに解決していこうという考え方であったのです。ところが今の状態では、長官も言われたように、また私も考えるように、この相互釈放の問題も早期にはなかなか解決しにくいんじゃないかというお互いの見通しの上に立たざるを得ないのです。そういうことになると、やはり援護の問題もまた留守家族の心情も変ってきておると思うのです。ことに抑留者の人たちは、自分たちの相互釈放のためにこの国の外交を犠牲にまでしてもらいたくないというけなげな決心もそこにあると思う。そうだとしたら、援護の問題もなかなか早期に解決しにくいのだ、そういうことになれば、援護の問題も、もう少し角度をかえて、むしろ援護ということに比重をかけて、そうして解決すべき時期にあると思う。だからこそ水産庁も従来の制度でよろしいか、あるいは交付金でやった方が実質的に効果があるというお考えだと思う。そこでそういう事情の中で、この問題を考えてみると、私どもは六月に実は農林省なり、あるいは厚生省に行って、抑留された人たちが帰るときの場合、国がどういうふうな措置をすべきかということを、いろいろ言ったり、また意見を申し述べたり、心配したわけですが。そのときの条件とは全然違ってきているのです。ですから具体的にいえば、従来月に二千円を出しておった。これは早く釈放されるだろうという前提に立って、援護ということにウエイトをかけずに考えておった一つの金高だと思う。そうすると、やはりこの金高も考えなければならない。従来留守家族には、保険に入らぬものには一万円、入っておるものは一万三千円ですか、五千円ですか、出しておった。こういうこともやはりもう少し掘り下げて検討しなければならぬと思うのです。  そこで一体その数字はどう考えておるか、私どもは私どもで主張は持っておりますが、水産庁は差し入れ金については、従来は二千円出しておったが、これでよろしいかどうか。あるいは留守家族に対する援護は、従来通りでよろしいかどうかということについて、どうお考えになっておるか、まずお伺いしたい。

奥原日出男水産庁長官

○奥原政府委員 政府といたしまして、目下考慮いたしておりますことは、留守家族が一方において生計をささえまするとともに、抑留されております漁夫に対する差し入れ等に、相当の支出をいたしておるのでございまして、そこで実質的に実情に合うように、支給されるものの増額をはかっていきたい、かような配慮のもとにいろいろ相談を進めておる次第であります。

中村英男日本社会党

○中村(英)小委員 どうも話がまだ固まらぬそうですから、具体的な数字は長官も言いにくいでしょうが、私はこの際やはり長官にもう少し明快に申し述べてもらわなければ困ると思うのです。私どもは従来、差し入れ金を二千円というふうに考えておったら、先ほど言ったように、人道問題だから早期に釈放できるのだ、こういうことに対して非常に消極的ではあったが、早く帰してもらった方がいいのではないかということで、あまりその金高に拘泥せずに従来は考えておったのです。ところが先ほども言ったように、相互釈放ということはなかなかそう簡単にはいかぬ、甘い見通しではないということになると、この二千円に対する金高の問題が相当議論になると思うのです。私のこの資料では、少くとも各県の差し入れをしている平均は七千五百五十八円、こういう数字が出ているのです。そうだとしたら、七千五百五十八円というものは、はっきり留守家族の人たちが差入金として出している平均の金高ですから、これだけの七千五百五十八円というものは出してやらなければならぬということになると思うのです、理屈の上からいけば。ただ問題になる点は、他にこれと似たようなケースがあって、それとの関連においてむずかしいかむずかしくないかという議論は起るにしても、少くとも差し入れしている金高だけは政府は出すべきだということは、水産庁としても当然な議論だと私は思うのです。これは差入金ですね。  もう一つは留守家族の見舞金の問題です。見舞金としても、今まで保険に加入してない者は一万円だ。ですけれども留守家族の実際の生活の指数を調べてみると、一万五千八百円かかっている。それだけなければ生きていけない、こういう実態がある。そうだとしたら、やはり一万五千八百円は出してやらなければいかぬ。こういう数字は、もし妥当であれば、水産庁としてははじき出せると思うのです。ただ問題になる点は、差入金と同じように、他に似たような民間抑留者以外のケースがあるということとのかね合いにおいて、政治的な考慮が加えられる場合はあり得るけれども、少くとも水産庁としてはこの二点については、その数字が正しいとしたら、それだけの金ははじき出せると私は思うのです。この点はどうなんですか。私の意見が正当であるかどうかということについて一つ。

奥原日出男水産庁長官

○奥原政府委員 日韓対策本部からの生活費及び差入費の資料はわれわれもそれをちょうだいいたしておるのでございますが、もちろん全部の抑留漁夫についての実態の調査ではないので、一部のサンプル調査ではございますが、実質的に現在の差入費等の給付では実情に合っていないということは十分うかがわれる次第であります。そこで、その実情に合うようにこれを増額していくために、過般来部内におきまして相談を進めておる次第であります。

田口長治郎自由民主党

○田口小委員 議事進行について。援護問題は、大体水産庁もいろいろ考えておられるだろうと思いますけれども、大蔵省が主でございますから、大蔵省の担当主計官をお呼び願いたい。主計局長は予算委員会に出ておるようでありますので、担当主計官でけっこうです。

赤路友藏日本社会党

○赤路小委員長 そのように取り計らいます。

中村英男日本社会党

○中村(英)小委員 それでは大蔵省のおいでになるまで質問を保留して、船員保険、労災保険、拿捕保険の問題ですが、船員保険は三十トン以上が強制加入ですか、三十トン以下は労災保険でやっておったわけです。ところが、実際には、一つの企業体の中において、底びきあたりでは網舟に乗っておるものは三十トン以上だが、しかし火舟や輸送船は三十トン以下だ、という場合には、同じ企業体の中において船員保険に加入しておる者と労災保険の適用を受ける者、そういう矛盾があるのですね。こういう点はどうなんですか。

中村正路農林技官(水産庁生産部海洋第二課長)

○中村説明員 ただいまおっしゃいましたようにまき網のような場合ですと、綱舟はかなり大きいし、火舟はかなり小さいので、おっしゃるようにある一つの企業体の中である人は船員保険の方に当然加入する、その他の人は労災保険。労災保険と船員保険は私専門外ですが、私の知っているところでは若干違います。船員保険の方はやはり範囲が広いようでございます。その点などは今までの制度そのままでは若干給付の場合に差が出てくることは事実でございます。

中村英男日本社会党

○中村(英)小委員 そうすると、あなたのおっしゃるように船員保険は給付の内容が違うのですね。そうすると、同じ企業体でありながらそういう扱いをすることに私は矛盾があると思うわけです。労災の方は、病気になったときも死んだときもけがをしたときも、それが業務上のけがだ、死亡だ、あるいは病気だということになれば適用されるのですが、これはなかなか実際的には適用されないのですね。そうすると、労災保険に入っておっても保険の恩典に浴せぬ結果がたくさん出てくる。船員保険の方はそうじゃないのですね。そうすると、同じ企業体の中で網舟に乗っておる者は適用される、火舟に乗っておる者は適用されぬということは、保険の実態というか実際から見ても間違いだと思うのです。そこで私は、この点は一つの企業という形の中で適用さるべきだと思いますから、その点十分に一つ御検討願って、この辺の問題を解決してもらいたいと思うのです。  それから拿捕保険なんですが、これは従来しばしば水産庁も留守家族の援護措置の場合に拿捕保険に入っていないから金をよけいもらえぬのだ、こういう言い回しもあったと思うのです。ところがこの拿捕保険の実際を見てみると、これは大きな矛盾があると思うのです。たとえばまき網でしたら二カ月ほどですか、これは実際漁業の実態から見ると、底びきあたりは十月、十一月、十二月、一月と休んでまた出る、年間に十二カ月働かないのです。ところが保険金は一年分かけなければならぬ、こういう仕組みになっておるのです。そういうことからも保険に入りにくい結果が出ると思うのです。そうだとしたらこれを四カ月なら四カ月に区切るとか何か入りやすいようなことを保険として考えてやらなければいかぬと思うが、この点いかがですか。

坂村吉正農林事務官(水産庁生産部長)

○坂村説明員 先ほど御質問の船員保険と労災保険の適用の問題でございますが、これは御指摘のように差があります。この問題について給付の金額までどうこうというわけにはなかなかいかぬと思いますけれども、労災保険の場合に業務上の障害とかそういうことで適用されない場合が非常に多いものでありますから、これらの問題も運用上何とか扱えるような形に一つ持っていったらどうかということで、いろいろ厚生省とそういう問題を提起して相談をしておるわけでございます。運用上の問題としてそういう今までの不合理をできるだけ是正するようにして、それをこの際一緒に片づけたいというふうなことで私たち研究をしておるわけであります。  それから拿捕保険の問題の保険の期間でございますが、これは法律上は四カ月になっております。実際の例外といたしまして漁業の期間がそれよりも短かいというようなものについては、政令で例外を作ることができるということになっておりますので、現在サバ釣とまき網については二カ月で運用することになっております。そういう法律の建前からいって、底びきのようなものをそういうふうに運用することは実際問題として非常にむずかしいことでありますが、実態はそういうことになっておるわけであります。今後もできるだけ保険に入りやすいという措置を何とか考えなければいかぬじゃないかと考えておるのでありますが、今の制度の運用の問題で何か考えるかあるいは別途の措置を考えるか、いろいろ研究しております。

中村英男日本社会党

○中村(英)小委員 今拿捕保険は、底びきでも年間十二カ月やっていないですからね。やっぱり加入しやすいようなことということになれば研究の余地があると思うのです。これは十分検討して加入しやすいような措置を講じてもらいと思います。  それから最初の労災保険ですが、これは厚生省と打ち合せてやるということですからそういう点で了解しますが、同じ企業体内において網舟に乗るのと火舟に乗るのとトン数によって区別をつけることはほんとうに矛盾なんですよ。その舟に乗っておる者はたまたま乗っておるのです。一つの企業体ですから、やはりそういう矛盾のないような措置を早く講じてもらいたいと思います。

赤路友藏日本社会党

○赤路小委員長 鈴木善幸君。

鈴木善幸自由民主党

○鈴木(善)小委員 水産の予算の問題なんですが、その中で漁業共済の三十三年度予算要求を水産庁はどういう工合にされておるか、この点を一つお伺いしたい。

奥原日出男水産庁長官

○奥原政府委員 水産庁といたしましては昭和三十三年度の予算といたしまして、一般行政費におきまして約四十六億、今年度が二十五億でございます、公共事業費といたしまして明年度は七十億、これは化海道及び離島振興を含めまして七十億予算要求をいたしております。なお今年度の水産庁の漁港に関しまする予算は四十七億でございます。

鈴木善幸自由民主党

○鈴木(善)小委員 私は一般の行政費あるいは公共事業費の関係は前々からある程度経過も承わっておりますので全体には触れませんが、ただいまは漁業共済と対する来年度の予算要求をどういう工合に組んでおられるか、その点をお伺いしたい。

奥原日出男水産庁長官

○奥原政府委員 漁業共済に関しまする予算はただいま大蔵省へ送付いたしいろいろ御説明いたしております。四十六億の予算の中には包含をいたしておりません。漁業共済の問題、タルタウ島の問題につきましてはなお十分検討を加えまして追加として大蔵省へ提出するということに話し合いをいたしておる次第であります。

鈴木善幸自由民主党

○鈴木(善)小委員 それは省議でそういう工合な方針にきまって、そうして大蔵省当局ともそういう取扱をするということにきちっと話がついてそういう扱いになっておりますかどうか。

奥原日出男水産庁長官

○奥原政府委員 追加概算として大蔵省へ送りますことについて省議としてもその方針を決定し、また大蔵にもさよう了解をしていただいておる次第でございます。

鈴木善幸自由民主党

○鈴木(善)小委員 今別建の扱いをすることになったということを伺ったのでありますが、しかしこれにつきましては昨年来の経過もあり、なお井出農林大臣が農林水産委員会におきまして、三十三年度から本格的にこれを実施するということを言明されております経緯からいたしまして、水産当局としては十分な予算措置を講ずるというお考えで進んでおられると思うのでありますが、予算編成に当っての長官の考え方を一つお伺いしておきたいと思います。

奥原日出男水産庁長官

○奥原政府委員 今年度におきましては試験的実施調査委託、こういう形において漁業共済が発足いたしたのでございます。ただ試験的実施と申しますと実験室における実験のごとく受け取れるのでございますが、現実にやっておりますることは漁業共済というものの一部実施でございまして、漁業共済が、いわゆる損害保険でなしに一種の経営保険というふうな全く新しい形でこれを展開せざるを得ない状況にかんがみまして、試験実施というふうな言葉でこれを取り上げた次第であるのでございます。われわれとしましては、とにかく一部実施ということで発足した漁業共済というものを、明年度においては自主的な共済事業として堅実に伸ばしていくという線で予算の編成をして参りたい、かように考えておる次第でございます。

鈴木善幸自由民主党

○鈴木(善)小委員 長官の御見解では、実験的試験的な実施という表現を使っておるとでも現実にこれを実施いたしておるのであるから一部実施である、すでに試験とかなんとかということでなく、保険として実施されておるのであるという御見解でありますが、そういう見方もあると思います。しかしやはり全国の海あり県のうち十七、八県に対象県をしぼり、かつ対象の漁業の企業体といったようなものも限定をいたしてやっておる点においては、やはり多分に実験的な性格を持っておると思う。そこで自民党においても社会党においても同じ考えに立っておるわけでありますけれども、国会側の意向としては、三十三年度からこれを全国の漁村に、そうして対象の漁業の経営体もこれを相当拡大して本格的、全面的に実施をしてほしい、そういうような意味合いで井出前農林大臣にも要請いたし、農林大臣もそういう国会の要求を御承知の上で来年度から本格的にこれを実施させるという言明をされておる経緯は長官もよく御承知のことと思うのであります。従ってそういうようないきさつを御承知の上で来年度の予算を組んでおられると思うのでありますが、それについての、今検討中ではあろうけれども、大体の長官の考え方、輪郭をこの際お示し願いたい。

奥原日出男水産庁長官

○奥原政府委員 漁業共済の予算をこれから固めて参りますのに当りまして、私たちが考慮しなければならないことは、もちろん漁業共済を軌道に上せていくといった観点に立って堅実にこれを伸ばしていくということが必要なのではないか、かように考えておるのでございます。すでに漁業共済が発足したとは申しますものの、本格的に契約を結びますのはこの冬の漁業からでございます。従いましてこれを伸ばすやり方としては、その実施県における引き受けの件数なり、引受率を増大していくという一つの方角と、実施県を増加していく、こういうやり方であろうかと思うのでありますが、われわれとしてはこれを堅実に伸していく。小堅実に一挙にこれが拡大されると——こういうことは実施主体である全水協が一方においてまた生命共済、厚生共済、火災共済等のきわめて漁村に必要なる共済事業もいたしておるのでありまして、それからも堅実にまた運営していく必要上、いずれも並行して堅実に伸ばしていく、こういうふうに取り計らいたいと思うのであります。

鈴木善幸自由民主党

○鈴木(善)小委員 長官の考え方は漁業共済に対して消極的であります。現在の沿岸漁業の実態は、長官もすでに御承知の通り破局寸前に当面をいたしております。従いまして、この漁業共済に対する漁民の熱望は切実なものがあるわけでありまして、私どもは漁村対策、漁民対策の最も有力な支柱として水産庁長官はこの制度を育成強化するために全努力を傾中すべきものだと考える。そのために必要な法制上の整備なり機構上の充実なり、さらに予算上の措置なりを長官として真剣に考えるべきものだ。極言いたしますけれども、現在沿岸漁業対策としてこれ以上の対策が果してあるかどうか。もっと真剣にこの制度の育成に当っていただきたい。そこでただその契約が保険なんだから徐々にふえていくのを待って、それによって事務補助の要用なりもそれに見合って増額していくとか、基金等の問題も考えていくとか、そういう消極的な態度であってはいけないと思うのであります。これは来年度から全国的、全面的に実施いたしますために、各都道府県に対して共済団体を結成させるとか、それに必要な事務費は国が十分見てやるとかいうことをして、漁民を啓蒙し、この制度によって彼らが安定した漁業経営ができるように、今後水産に対する金融の問題もそれによって解決されて参ります。そういうことを積極的に打ち出してこそ、日本の沿岸漁業が救われるのではないか。長官は、農業共済のために、農業災害保険制度のために、国がどれだけの金を使っておるか、このことを御存じのことと思うのでありますが、一体農業関係においてはどれだけの国費を毎年つぎ込んでおるか、その点をお知らせ願いたい。

奥原日出男水産庁長官

○奥原政府委員 私が申し上げることも、漁業共済を堅実に育てていく、そういうことのためにどういう運び方をするべきか、こういう観点から申し上げておるのでございます。ただ農業共済の場合と漁業共済の場合と若干発足の事情を異にいたしまするのは、漁業共済は、ああいう形における保険共済事業というものは世界にも例がない。従って今ここで保険共済理論としてどうあるべきかというふうなことを根本的に検討して、そのゾルレンを固めていくということでは、これはなかなか軌道には上らないのでございまして、従ってこれを実施に移して、そしてやりながらその内容を改善し、かつ軌道に上せ拡充していく、こういうことで漁業共済というものは伸ばしていくべきものであろう、かように考える次第でございます。従いまして、明年度の予算をこれからこれについて固めていきまするに当りましても、共済を伸ばししいく、こういう観点からの検討をわれわれとしても加えて参りたい、かように考えておるのであります。

鈴木善幸自由民主党

○鈴木(善)小委員 農業の災害補償制度におきましては、過去三年間の国費の投入だけだ約百四十億入っております。事務費だけでも二十三、四億というものを毎年使っておる。こういうような膨大な国費を農民の経営安定のために国が使っております。これに対しまして漁業に対して、昨年初めて国会側の強い要求によってわずかに七、八百万円の金が計上されたに過ぎない。そうして井出前農相は、三十三年度からこれを本格的な実施に移すということを当委員会で言明をいたしておる。このために全国に共済団体等を作り、その事務費は四、五千万の事務費があれば足るでありましょうから、そういうものを補助する。あるいは数億の基金の設定をする。農業の百四十億に対してわずかに漁業共済のために数億の国家の助成なりあるいは基金の設定、これは漁民が長官にそういうことを要望して果して無理であろうかどうか。これは同じ原始産業に従事する零細な生産者であります。こういうような国政上非常なアンバランスがそこにある。これが全国の要望になり、国会もまたこれを取り上げ、政府与党の自民党もこれは選挙を通じて国民に公約をいたしておる事項であります。こういうものを実施いたします場合に、ただ保険屋が一軒々々注文を取って伸ばしていくというようなことでなくて、もう少し国策としてこの制定を、全面的に漁民がその恩恵に浴するように政府が指導育成をしていく、助成をしていくということ、これが政策であります。そういうような観点で、私は長官はもっともっと真剣にこの問題と取り組んでいただきたい。伝え聞くところによりますと、自民党の来年度の予算の編成等においてこの問題に対して、党員諸君の発言なり何なりが比較的出てこなかったということで、国会もこの程度でお茶を濁したことで了承しておるのじゃないかというような見方をされておるやに仄聞いたすのでありますけれども、そうではありません。私どもは井出前農相の言明を信頼し、そして長官のこれに対する御理解を十分確信しておりますから、必ずこれを政府の責任においておやりになるだろうということで静観しておったわけであります。私は特に長官がこの問題につきまして、全漁民の願いを十分御理解の上で一つ善処されることを、特にお願いをいたしておく次第であります。

赤路友藏日本社会党

○赤路小委員長 答弁は要りませんか。——それではただいま海上保安庁長官とそれから警備救難部長がお見えになりましたので、韓国問題について御質問願います。田口長治郎君。

田口長治郎自由民主党

○田口小委員 私先般来約十一日を費しまして、対島沿海を調査して参ったのでありますが、あの近海におきましては、十月末程度からいろいろな魚の漁期に入るのでございまして、各地ともに非常に漁業が活発になっておるのでございます。しかるに日韓会談がある程度予定通りに進んでいないため、報復手段とは解釈したくないのでございますが、韓国の取締船が日本の漁船を襲撃する回数が相当ひんぱんになっている。のみならず海域も、李ライン外のところとも思われるような、そういうところまでさんざん進出してきている。私が滞在中にも韓国船が、日本の二トン、三トン程度の小漁船をピストルで六発も撃っている。そうして私が対島を去った日からその翌日は、今度は小漁船を拿捕して韓国に連れていく。こういうようなひんぱんな拿捕抑留問題が出そうでございますが、地方の漁民の話を聞きますと、どうも日本の巡視船、取締り船が派遣されているという話は聞くが、どこでも一度も見たことがない、こういうようなことを全沿岸で申しておるのでございます。それに対しまして私は、海上保安庁の船も水産庁の取締り船もこの海域にこの時期には集中をしているのだ。ずっと沖の方、いわゆるライン近傍の方を警戒しているのであるから、君らにはあるいはわからぬかもしないが、全部これらの海域に集中をしているのだ。そういうことはないはずだ。こういうことを常に答弁して参ったような次第でございますが、この朝鮮海域における盛漁期に突入した今日、海上保安庁及び水産庁は巡視船あるいは取締り船をどういうふに配置しておられるか、具体的に一つお使いになっている船名それから隻数、そういうものについて御明示を願いたいと思うのでございます。

島居辰次郎海上保安庁長官

○島居政府委員 現地においでになりまして、いろいろ沿岸の方々なりのお話をお聞きになったそうでございますが、今田口先生から話された、つまり沿岸の人方に対してお話になられた通りでありまして、われわれのところの巡視船は沿岸よりむしろ李ラインの、哨戒ラインと申しますか、そういうところを哨戒しているのでございまして、平素私の方では大体二隻で哨戒しておりますし、盛漁期になりますと、三隻または四隻で哨戒さしておるのであります。船名につきましては、これは七管あるいは八管その他から応援を出しますので、そのつど変るのであります。そこで十一月一日から私の方は二隻を三隻にいたしまして、これはみなはっきりしておりますので、船名を申しますと、くろかみ、こしき、やはぎ、この三隻をもって哨戒をいたしてるような次第でございます。なお沿岸の方には、対馬に、小型でございますが、三隻巡視船がおりますので、それは沿岸の救難なり、あるいは密輸入なり、密入国なり、そういうようなことの警備に当らしておるような次第でございます。私の方といたしましては、できる限りのことを尽しておる次第でございます。従いまして、お話にはございませんでしたが、実績を申しますと、拿捕の件数も去年は十九隻でございましたが、本年は今までのところで九隻だけでございまして、しかもこれは大体小型の漁船が多い。いろいろ連絡の不十分その他で、よく拿捕されるような次第でございまして、はなはだ残念に思っておりますが、今後こういうことが起らないように、できるだけの方法を尽したいと考えておる次第でございます。

奥原日出男水産庁長官

○奥原政府委員 水産庁は現在李ラインを含めました東シナ海方面に対しまして、第二拓南丸、第三拓南丸、第二十三大洋丸、第十六大洋丸の四隻を配船いたしておるのでございます。サンマの取締りが一段落いたしましたので、さらに来週には白萩丸、百四十トンばかりの艦船でございますが、これを対島を根拠といたしまして、あの周辺を哨戒させまするために、派遣いたそう、かように考えております。

田口長治郎自由民主党

○田口小委員 東シナ海は別にして、直接李ライン関係を……。

奥原日出男水産庁長官

○奥原政府委員 東シナ海へ行っておりますこれらの船が同時に李ラインの周辺も警備をいたしておるのでございます。

田口長治郎自由民主党

○田口小委員 海上保安庁のお話は非常に明確でございますが、水産庁のお話がちょっと要領を得ないようでございます。私がお伺いしているのは、李承晩ライン、あの付近を専属に警備をなさるのは、どういう船かということを聞いておるのでありまして、東シナ海へ行かれて、往路あるいは帰路に、ついでに見てくるというような、そういう意味でなしに、李ライン専門に配置しておられる船はどういう船かということを聞いておるのでございます。

奥原日出男水産庁長官

○奥原政府委員 水産庁の目下配置いたしておりまする四隻の船は、当然李ラインに沿いまして就航し、先ほど東シナ海と申し上げましたが、同時に黄海にも北上をいたして、この沿岸に重点を置いて警備をいたしておるのでございます。

田口長治郎自由民主党

○田口小委員 今の御答弁によりまして、海上保安庁も水産庁も、相当な船を配置しておられるようでございますが、こういうような配置状態におきまして、なお拿捕が絶えず続いておる。しかも拿捕漁船の船の質といいますか、そういうものを考えてみますと、大型のものはほとんどなくなって、小型が非常に多くなっておるのでございますが、これは一面から考えますと、大型の分はある程度保護処置を講じられておって、事件がほとんどないようなところまでいっておるが、そのためにさらに小型の方に攻撃が集中される、こういうような状態に、今なっておるのではないかと思うのでございます。対馬沿岸と申しましても、和歌山県以西の各県の小さい船が、今対馬沿岸に集中をしておるのでございますが、これらの船が、こういうふうな事件があるがために、ほとんど戦々きょうきょうとしておりまして、沖合いに出ておるものも、韓国の船か、日本の船かわからないけれども、はるか遠方に煙が見える、そういうようなことで、全部また沿岸に逃げ帰ってしまう、こういうような状態におきまして、現在漁業をしておるのでございますが、私が先ほどから申しますように、大型漁船に対して手が出ないような状態になっておるために、ことさらに、沿岸の小漁船に対して集中をしておる、こういうような傾向を、保安庁におきましても認めておられますかどうか、その点を一つお伺いいたしたいと思うのであります。

島居辰次郎海上保安庁長官

○島居政府委員 必ずしもそうではないように思うのでございますが、大型の方の漁船はいろいろ組織をなしておりますし、またいろいろの通信による連絡も非常に良好なようであります。小型の方におきましては、組織がないということも一つではございますが、何らかの連絡方法と、受信機なり何なり、簡単なものでもございましたならば、私の方からいろいろな連絡をとる方法があるのですが、これがないので、時折連絡不十分のために、こういう不祥事を起すのは、まことに残念だと思うのでございまして、現地におきまして、今後は何らか非常に簡単なものでけっこうでございますが、こういうものを取りつけて、わが巡視船としょっちゅう連絡がとれるようにする、これも一つの方法であると思いますが、こういうふうな方法でもとっていただければ、今後そういうふうなことをなくしていけるんではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。

田口長治郎自由民主党

○田口小委員 今海上保安庁から御答弁がありましたが、必ずしも偏向したものではないと思う、こういうことですが、現実におきまして、最近の拿捕漁船は小型のものばかりという程度に、この方に集中をしております。また大型の方は、ここでは私説明いたしませんけれども、いろいろなことで保護されておる。このことだけは現実面からさように想像ができると思うのでございますが、そういうような状態で、小型がことさらに襲撃を受ける、この事実を根拠にして考えますれば、何とかこの小型漁船を保護する方法を新たに講じてもらわなければならぬ、こういうふうに考えるのでございまして、今長官からお話しになりましたいろいろな通信機関その他の設備もございましょうし、あるいは沿岸の漁業協同組合と小型漁船との連絡の方法、あるいは啓蒙方法、そういうこともやってもらわなければならぬと思ふのであります。沿岸の漁業者が申しておりますように、毎日沖に出てもどうも取締り船を一度も見たことがない、こういうような話もあるくらいでございますから、何とかこの沿岸の小漁船を保護する意味におきまして、取締り船の配置ということをここにお考えを願わなければならぬ、さような必要があると思うのでございます。厳原に海上保安庁の船が三そう程度いるということでございますけれども、これも沿岸を常に警備して漁船を保護している、こういうような状態があまり見られないのでございますが、この取締り船の配置という点について、沿岸も保護する、こういうような配置関係についてお考えになったことがありませんかどうか。また私は非常にそのことが必要であると思うのでございますが、将来そういうような方向をおとりになる御意思があるかどうかということについてお伺いをいたしたいと思うのでございます。

島居辰次郎海上保安庁長官

○島居政府委員 今の大型船につきましては、もちろん沿岸の方に見えるところにおったのでは仕事になりませんので、ずっと遠くの方へいっているわけでございます。おっしゃるように、いろいろな見地からこの配置は考えておる次第でございます。なおつけ加えて申し上げますと、わが漁船の保護もさることながら、向うから暖かい日には密入国、密輸入が非常なる問題でありますので、このルートの方にも配置しなければならぬいろいろな必要もあると思いますから、そういういろいろなことを勘案してその配置を考えておる次第でございます。なお向うにおります三隻につきましても、そういうお話もありますので、いろいろそういう方法を考えまして、先ほどおっしゃいましたような沿岸の組織、あるいは簡単なる通信装置、あるいは私の方におりますヘリコプターの出動、いろいろな方面からとくと考えまして、今後小型船にもそういう不祥事が起らないようなことを考えていきたいと思っております。

田口長治郎自由民主党

○田口小委員 この対馬におります三そうの船のトン数はどの程度でございますか。

島居辰次郎海上保安庁長官

○島居政府委員 一隻は駆特と申しまして、トン数を言いますと百五十トンくらい、その次は長さ二十三メートル六十トン、もう一つは十五メートル十五トンくらい。これは派遣している船でありますので、時折変りますが、大体三隻くらいは常時配置しているわけであります。

田口長治郎自由民主党

○田口小委員 この対馬沿海の漁期には、最重要なる漁期、あるいは漁期であるけれどもそれほど重要でない、あるいは漁期でない、こういうような三段があると思うのでございます。今は一年中で一番の最重要な漁期でございます。和歌山県以西の各県から小さい漁船が対馬沿海に全部やってくるということは、各県の地先ではもう飯が食えないために、はるばると二トンや三トンの小さい船で対馬沿海までやってくるわけなんです。ここで連中が予定の収入がないということになれば、もう一年中の生活はできないということになるのでございます。この取締り船配置の問題におきましても、密入国あるいは密輸入貿易、こういうようなことも国としてはきわめて重大でありますけれども、漁業関係におきましては、御承知の通り拿捕されたら船はとられるし、人は抑留をされる、こういうような事情にあるのでございます。密入国あるいは密貿易の問題もきわめて重大でありますけれども、少くとも最盛期の間は、これは一地区の漁民ということでなしに、西日本全体の零細漁民が、自分の地先で飯を食えないために対馬に出てきておるその連中がねらっておる最盛期に、海上保安庁にいたしましてもあるいは水産庁にいたしましても、船があるがほかの用途に使って、韓国から船をとられる、あるいは人を抑留されるというような問題は、ほかの問題に比べると、きわめてウエートが重い問題あると思うのであります。これは日本国民として生命財産をほとんど預けてしまうことになるのでございますし、船に至りましては、持っていかれたら返ってこない。財産はすべてとられてしまう、こういうような問題でございますから、一年中その方にかかってもらいたいということは申しませんが、最盛の漁期だけは多少ほかの仕事をゆるめにされても、一番重要なこの問題について集中をされなければならぬ、こういうふうに私考えるのでございます。これは海上保安庁ばかりでございませんで、水産庁におきましていろいろなまき網の取締りが必要であるということで、その方に船を回されるようなことがあれば、これまた事の軽重ということをお考えにならないことでないか。まき網の調整取締りということも必要である。しかし、これは国内問題で、結局船の没収だとか、あるいは人の問題だとか、そこまでには触れない問題でありますから、そういうことのために今最盛期の対馬海域における漁業の取締りがそこつになるということは、とうてい許されないのでございます。昨年もちょうどこの時期にかような問題が起りまして、当時の水産長官、当時の第二海洋課長といろいろ相談した結果、特に沿岸だけを警備する取締り船を一隻派遣をしてもらいましたし、また防衛庁に対しましてはフリゲートを竹敷にときどき出してもらう、こういうような処置を講じたわけでございます。今海上保安庁長官のお話によりましても、対馬におる百五十トンの船と、六十トンの船は十分に取締りに使われると思う。またこういう事態になって、全対馬におる漁業者がきわめて人心不安になっておって生業が続けられない、こういうような状態でございますから、何とか一つ海上保安庁といたしましては、百五十トン、六十トンの船をほかの要務は少しゆるやかにされても、一つ沿岸警備に回していただきたい。それから水産庁に対しましては、昨年通りに一つこの沿岸取締りのために特別に船を用船されるか、あるいは今使っておられる船をこの方に当分回してもらうか、そういう処置をぜひお願いしたいと思うのでございますが、この点について、海上保安庁及び水産庁はどういうような意見をお持ちでございますか。今の対馬の人心不安という点から、私はぜひこのことはお願いしなければならぬと思うのですが、明確に一つその点を御答弁願いたい。

島居辰次郎海上保安庁長官

○島居政府委員 今申し上げました三隻は、ほんの沿岸だけの三隻でございますが、そのほかに、最初に申し上げましたように、くろかみ、こしき、やはぎ、このような三百五十トン以上四百トン程度でございますが、これもおります。幸いにこういうふうに寒くなりますと、密入国というのは割合に少くなっておりますので、おっしゃるような趣旨に沿うように、できるだけ漁民の保護に当りたいと思っております。

奥原日出男水産庁長官

○奥原政府委員 今般派遣いたします白萩丸は、対馬を根拠地にいたしまして、あの周辺の沿岸漁業の漁船を重点として警備をいたす次第でございます。なお白萩丸は年度内にドックに入れなければならない事情がございますので、来月になりましたら用船を一隻ふやしまして、警備に当らそうと考えておりますが、そういたしますれば、実質的には相当な期間さらに二隻増面する、こういうようなことに相なるかと思いますが、これらはいずれも沿岸漁船に重点を置いて警備をさせるようにいたしたい、かように考えております。

田口長治郎自由民主党

○田口小委員 水産庁の白萩丸派遣叶いつごろになるのですか。

奥原日出男水産庁長官

○奥原政府委員 来週派遣いたします。

田口長治郎自由民主党

○田口小委員 海上保安庁の百五十トンの船は、何という船でございますか。

島居辰次郎海上保安庁長官

○島居政府委員 現在行っておりますのは、つぐみといっております。私の方はときどき派遣を変えますので、ときどき変りますが、現在おるのはつぐみと申します。

田口長治郎自由民主党

○田口小委員 第一線警備は私もよく知っておるのでございますが、今の現状は、この第一線を突破してうしろに来ておるような状態です。それで非常に脅かされておるのでございますから、ぜひ一つ沿岸の警備というのを海上保安庁、水産庁協力していただいて、今の人心の不安を一掃していただきたいのでございます。先ほどから申しましたように、これはもう対馬の漁民ではなしに、西日本全体の零細漁民があそこに集中しておるのでございまして、先ほど鈴木先生からもお話がありましたように、もう自分の府県の地先で飯が食えないようになっておるのが今日の日本の沿岸漁業でございますが、こういう連中がはるばるとあそこまで行って、多少の収入を得て一年間の生活を安定しよう、こういうことで出てきておるこの大事な時期でございますから、何とか一つ人心を安定させて、十分とはいかぬまでもある程度の漁業はやらせたい、こういうふうに考えるのでございますから、この点一つよろしく御配慮を願いたいと思うのでございます。さらに水産庁に対しましては、これはやっぱりこれらの小型漁船の集まる漁業協同組合を指導していただきまして、沖合いの監視船と漁業協同組合と連絡いたしまして、その連絡された事項を漁業協同組合から各小型漁船に周知徹底をさせる、こういうようなことを一つ御指導を願いたいと思うのでございます。今通信の設備を各船につけるということは、この漁期には間に合わないのでございますから、漁業協同組合とこの小型漁船を連絡する、漁業協同組合は沖合いの取締り船と連絡する、こういうような指導を一つぜひやっていただきたい、こう考えるのでございますが、この点について水産庁何かお考えがございますかどうか、お伺いしたい。

奥原日出男水産庁長官

○奥原政府委員 現地におきましてただいまお話のありましたような点をぜひ取り計らって参りたい、かように考えております。政府部内におきまして相談いたします際におきましても、そんなふうな点も含めまして相談いたしたい、かように考えております。

赤路友藏日本社会党

○赤路小委員長 原捨思君。

原捨思自由民主党

○原(捨)小委員 海上保安庁にお伺いします。かねて海上保安庁が漁船の遭難救助その他について非常な努力を払っておられることに対しましては、私ども大いに多としております。しかしながらもう一歩というところで、どうも私どもの納得のいかない点がありますので、私は具体的な例をもってお尋ねしたいと思うのであります。  それはことしの七月ごろであったかと思うのであります。鹿児島県のカツオ船が焼津の港外に座礁した。そこで焼津の組合は、とりあえず焼津に入港している船をもってこれが引き下し作業をやった。しかしながらどうもその引き下しに協力した船が小さくて牽引力がなくて、これを引き下すことができなかった。そこで焼津の組合としては、とりあえず清水の海上保安部に協力方を申し入れた。ところが海上保安部としては、これはサルベージの仕事であるというので拒絶されたということであります。そこでやむを得ず他の船を雇ってきて、その船が積み込んでおった約五、六千貫のカツオを他の船に移して、そうして船を軽くしてようやく引さ下した、こういうことがあるのであります。なお一昨年も同じ鹿児島県の船が焼津の港外に座礁して、そうして海上保安庁の協力を得られずそのまま新しい漁船を放棄しなければならなかった、こういうこともあります。その他これまでそういう事例がたびたびあるのであります。そこで、わずか六、七十トンや百トン前後の木船が、そういう場合にサルベージに依存するということは、おそらく今までその例がない、またサルベージを雇ってもその負担にはたとえられない。そういう点の何か限界といいますか、どういうふうになっておりますか、それをまず伺いたい。

島居辰次郎海上保安庁長官

○島居政府委員 お話のようなことは、あるいは想像はつくのであります。というのは、よく私の方がやりますと、サルベージ業者から非常な攻撃がくるようです。ですから、一般論としてはあるいはそういうこともあったかと思います。私も帰ってよく調べてみますが……。そこで、いわゆる大型船でございますと、おっしゃるように、サルベージがその近くにあれば、当然サルベージ業者の仕事を妨害せずに救難するのが普通でございますが、とっさの場合はたといサルベージ業者が近くにありましても、人命救助その他を主にいたしまして、海上保安庁で引き卸し作業をやり、あるいはそれを見守るというようなことをやったことも多々あるわけでありまして、それはその現場現場における一つの判断によることだろうと思っておりますが、もしそういうことがあったとすれば、おそらく現場の者が過去の非常に苦い経験にこりてやったのかとも思っておりますので、その点はよく連絡いたしまして、今後そういうとっさの場合そごのないようにいたしたいと考えております。

赤路友藏日本社会党

○赤路小委員長 ちょっと原委員に申し上げます。議題からそれているので簡単に願います。

原捨思自由民主党

○原(捨)小委員 サルベージとの関係をもっとはっきりしていただくことによって、漁業者は海上保安庁にさらに御協力を期待できると思いますが、その点がどうも不徹底なような気がします。これはぜひ一つ水産庁にも御検討願ってそれらの疑問の点を明確にしてもらいたいということを申し上げておきます。

田口長治郎自由民主党

○田口小委員 高木主計官もおいででございますから、抑留者の援護問題について二、三お伺いいたしたいと思います。  日韓会談はあのような先方の主張によって停頓しておる。日本としては今回の先方の言い分だけは絶対に聞くわけにいかないのでございますが、そうなると、結局国内的に恒久的な援護措置をいたしまして先方が考え直すことを待つよりほかに方法がないと思うのでございます。大蔵省としてさような考えでおられるかどうか、この点を一つお伺いいたしたいと思います。

高木文雄大蔵事務官(主計官)

○高木説明員 ただいまの点については、先日来水産庁から御相談を受けております。従来も私どもとしては、かなりほかの例とは違った取扱いをしておるつもりでございますが、今のお話のように外交交渉との関係もございますので、さらに一段と充実したいというお話を承わっておりまして、寄り寄り内部で検討と申しますか、相談をいたしております。ただ、私たちの立場として言わせていただきますならば、本件は非常に異例のことでございますので、見舞金あるいは差入品の補助等の措置をとっておりますけれども、こういった例はほかには全然ない。ほかにいろいろな事件なり事故なり起りました際にこれを同じ扱いにしてほしいというお話の出る場合がございます。私どもといたしましては、この抑留漁船の乗組員に対する措置はきわめて異例のものとして考えております関係上、ほかのこれにやや似て非なる事件に及ぼすということになりますと、これまた財政上かなり負担となって参りますので、勢い慎重に扱わざるを得ないという立場に置かれております。当面といたしましては、ただいま申しました通り、水産庁からのお話をよく承わっている最中でございますので、今ここで具体的にこういうふうにいたすということを申し上げる段階に至っておりませんが、なお引き続いて相談して参りたいというふうに考えております。

田口長治郎自由民主党

○田口小委員 本件に関しましては特別の待遇をしている、こういうようなお気持があられるようでございますが、本件自体特殊なケースで、公海に勝手に線を引いて、この線内は自分の海であるから、この線内に入ってきた外国の漁船は拿捕抑留し、場合によったら砲撃、撃沈する、こういうような声明をし、またそれが現実に行われておるのでありまして、世界のいずれの国も、その近くに出漁した外国の船に対して砲撃をし撃沈するなんという声明を出した例もございませんし、実際にそういうことを実行しておるのはただこの海域だけでございます。もう一つの理由といたしましては、この抑留されておる船員は、バラックの板敷の十坪くらいのところに二十人あるいは二十二人くらい押し込められて、そうして食事は麦飯に塩の汁、それに海草をちょっと浮かしただけ。こういうことでいずれもの抑留船員が栄養失調であり、肺病患者になって帰るようなものが非常に多いのであります。先般も十三人ほど病気で帰って来ましたが、医者の診察によると、そのうちの七人が肺病である。こういうように、国際的あるいは人道的に、抑留しておる人を処遇する例を見ないようなひどい生活をさせられておるというこの二つの点が、ほかの地方でこの種の問題が起った場合と非常に違ったケースでございまして、ケース自体本質的に違っておるので、この例をもってほかの問題と一律にお考え願うのは非常に困ると思うのでございます。そういう特殊事情を大蔵省としてもぜひ一つ認識をしてもらいたいのでございます。ほかの国に抑留されておる者は、少くとも人道上許されないような処遇を受けておる者はないのでございますが、ここでは現実に栄養失調のために肺病患者がどんどん出ておる、こういうことでございますし、また場合によったら銃撃し、砲撃し、撃沈するというような事件も起っておる特殊事情ということをこの際御認識願いたいと思うのであります。  高木主計官がこの援護処置の強化について今水産庁と相談しておるというお話でありますが、具体的にどういうことをお考えになっておるのか、その内容について一つお漏らしを願いたいと思います。

高木文雄大蔵事務官(主計官)

○高木説明員 ただいまのお話のうちの第一点の非常に特殊事情にあるのだという点につきましては、私どももさように考えております。ただ先ほど申しましたのをなお補足させていただきますと、私どもはそう考えておりますが、とかくある先例を作りますと、それほど事情が特殊でない場合にもそれが及びがちなものでございますので、私どもは慎重にならざるを得ないという意味で申しました。  それからただいまの相談いたしておりまする内容については、実はまだはっきり水産庁から、たとえば一定の形式のまとまった形で相談を受けているわけでなくて、ただどうしようかということで、ほんとうに寄り寄り相談するという形でいたしておりますので、内容についてよく申し上げることは避けさしていただきたい、お許しを願いたいと思うのであります。

田口長治郎自由民主党

○田口小委員 私の質問はちょっと保留いたしまして、中村委員の質問が継続中でございますから、中村委員に一つやっていただきまして、あとでまたやります。

中村英男日本社会党

○中村(英)小委員 今田口委員の質問に対する大蔵省の態度をお伺いしたのですが、私も大蔵省にお伺いしたいのです。実はあなたがおいでになる前に、この援護の問題については、農林省のこれに対する態度なり作業を大体お伺いしたのです。これを非常に要約して言いますと、御承知のように今の事情と従来やっておいでになった事情とはだいぶん違う、従って水産庁も従来と同じような見舞金なりあるいは差し入れ品の補助というような格好でやるとか、あるいは交付金というような形で出すとか、そういったようなことを考えておいでになったこととはもう事情が全然違ってきたという認識に立っていらしゃると思うのです。そこで私どももこの問題は、従来は人道問題だから早急に釈放できるのだ、また釈放させなければいかぬということで、内外ともに関係者も全部釈放そのものに重点を置く、それに希望をかけていたのです。従って援護もそのつどそのつど補助というような形でつかみで出しておったと思うのです。ところが今の事情は、御承知のように人道問題とはいいながら、なかなか早期の釈放も残念ながら非常に困難ではないかという見通しに立たざるを得ない。そうなりますと、従来と考え方を当然変えなければいかぬ。これは釈放も当然さることながら、やはり援護の万全を期さなければいかぬというのが関係者のお考えであり、また私どももそう考えておる。ですから総理も援護の問題は国内問題だから十分なことをしたいということを言っておられるのです。そこで私は大蔵省はそういう角度に立って、この問題を従来と全然違った、補助というようなことでなくしてやはり国の政治の犠牲になった——こういう言い方をすると、あなたの方はきゅうくつにとるかもしれませんが、少くとも従来と違って差し入れ金二千円、これは補助というのではなくて、七千五百五十八円要ったらそれは当然出すべきだ、あるいは国内の援護についても、従来一万円出しておったが、しかし生活支出を見ると一万五千二百円なかったら食っていけないというような実態だったらそれだけのことはしなければならぬという認識に立たれるかどうかということが一つ、それからもう一つは、今私はあなたの答弁を聞いて、事務当局としては非常に好意を持っておいでになることはわかります。わかりますけれども、少くとももうすぐ六月に釈放されるのじゃないかということで抑留家族の人たちが来た。そして私どもは農林省、大蔵省あるいは厚生省を歩いて、釈放された場合にはいろいろなケースが——健康の場合も健康でない場合もあるいは働ける場合も働けない場合も、保険に入っている場合も入っていない場合も、いろいろケースがある、その場合に対する一つの措置をどうするかということまで具体的に考えてもらい、私どももそのことをいろいろ心配してきた。ところがもうすでに半年たっておる。それなのにあなた方事務当局の好意にかかわらず、いまだにその問題が具体化されずにおるということは、あなた方の善意にかかわらず私はきわめて遺憾です。そこで私はきょう大蔵省の答弁を、そのようなことでしたら私どもは満足できないのであります。きょうあなた方の答弁いかんによっては、私どもはもう少し話が推進するようなことを考えざるを得ないわけです。そういう事情ですから、もう少しあなた方の心がまえ、作業というものを具体的にお知らせ願いたい。

高木文雄大蔵事務官(主計官)

○高木説明員 確かに六月から御相談がございました点につきましては、ただいま御指摘の通りでございますが、何分楽観的な考え方であったかもしれませんが、今にも釈放のチャンスがあるのではないかということでございまして、ただいま御指摘のように、今もってここではっきりしたことを申し上げられないということは、申しわけないと思います。その点につきましては、今後もできるだけ早く措置いたしますように水産庁とも相談して参りたいと存じております。

中村英男日本社会党

○中村(英)小委員 それじゃもう少し仏の方から具体的にお伺いしますが、最初と全然違った事情のもとにこの援護の問題を考えなければならぬということは、大蔵省も御理解願えるだろうと思いますが、その点どうですか。

高木文雄大蔵事務官(主計官)

○高木説明員 事態が変わってきているということは考えております。

中村英男日本社会党

○中村(英)小委員 そこで従来は差し入れが二千円だと思うのであります。これも差し入れの購入金のための補助にということで出しておったが、私はこれはやはり差し入れ品の購入金の補則だということでなしに、実際に陳情のトータルを見ると、七千五百五十八円とトータルに出ておる、そうすると、この数字が正しいかどうかということは別として、私はこの七千五百五十八円差し入れ品の購入に要ったとしたら、これはやはり七千五百五十八円は出すべきじゃないかと思っておるのであります。それから最初申し上げたように、留守家族の援護費も、保険に加入しない人は今まで一万円出しておった、それを一万五千二百円支出があるとしたら、それだけなかったら生活ができぬとしたら、やはりそれだけの金は出すべきだ、こう私は考えております。ただあなたのおっしゃるように、これと同じように似たようなケースが他にもある、そうすると、それとの関連においてこの問題を考えなければならぬから、慎重にならざるを得ない、こういうことを私はわかる、わかるけれども、少くともそのことだけを切り離してみれば、国としての援護措置は、一万五千二百円要ったとしたら、その関連したことを考えなかったり、これだけは出すべきじゃないかと私は考えるのですが、大蔵省はどう思うのですか。

高木文雄大蔵事務官(主計官)

○高木説明員 今ここでちょっと私個人といたしましても、一万五千円出します、見舞金七千五百円よろしゅうございますと申し上げられません。御意見はよくわかりますので、もう一度よく相談いたしまして……。

中村英男日本社会党

○中村(英)小委員 あなたがいろいろ誠意を持ってやっていただいておるここはわかりますが、あなたの口から万五千二百円を出しましょうと言ってもらいたいとは思いませんが、そういうつの考え方ですね。他のこれと関連した、似たようなケースと切り離して考えるとしたら、やはりそういうふうな考え方で数字をはじくべきじゃないか、こう私は思っておるのですが、その私の考え方は妥当かどうかという点についてお伺いをしておるのです。考え方の妥当性を……。

高木文雄大蔵事務官(主計官)

○高木説明員 問題はただ二つあると思います。実際にかかった経費をそっくりそのまま見るということがいいかどうか、これは何も本件に限りません。一般的な予算の問題といたしまして、実績の通り出すということについては、全部が善意であれば問題がないわけでありますが、間々いろいろ問題もありますので、これだけかかったから、これだけ出すという考え方は——大体それを基準にしてその額をはじき出すということはありますが、実績の通り出すということについては、私もいささか疑問があるように考えます。もう一点は、実績を基準にしてある基準を作ります場合に、やはり一般的にほかの場合にどの程度の援護措置をとっているかということとの比較を考える必要があるのじゃないか。たとえば、もうすでに最近ではほとんどそういう事件はなくなりましたけれども、つい先だってまで進駐軍なり連合国軍なりの行為によって、いろいろなけがをしたりあるいは病気をしたりした者に対して、どういう援護措置をとるかというようなことが現在きまっております。それとこれとはまた違うという問題はございましょうが、同時にまたけがをして働けないということ、あるいはまた働き手を失って家族が困っているという事態、そういうことからだけつかまえますとまた類似の問題もございますので、本件の場合に現実に幾らの生活費がかかっておるから、大体それに近いもので考えるということはわかりますけれども、同時にまたそういうものとのバランスというか均衡も考えさしていただきたいというふうに考えております。

松田鐵藏自由民主党

○松田(鐵)小委員 先ほどからいろいろ議論されておりますが、長官にお伺いしますが、この海区は禁止海区ではないのであると思いますが、どうですか。

奥原日出男水産庁長官

○奥原政府委員 禁止海区というのはどういう意味か存じませんが、日本政府がここにおける操業を禁止制限しておるという意味でございますれば、そういう意味の海区では絶対にございません。

松田鐵藏自由民主党

○松田(鐵)小委員 朝鮮は禁止をしているが、日本はこれを禁止していないという解釈であります。そこで日本からいきますと不法な拿捕ということになると思います。今日本の漁船がいずこかの外洋へ出まして、そうして漁業をやっていて、たとえばソ連に拿捕された。こういう場合においても、人道上からいってその日その日の生活というものに対してはほとんど非難を見ていない。ひとり朝鮮だけが非常な非難とまた漁民は困っている。こういう場合において、日本国民の生命と財産を守るのは日本の政府でなければならない。この点は大蔵省も水産庁も日本の政府でありますから、同一な意見だと思いますが、この点高木さんもそれから長官もどのように考えておられますか。

高木文雄大蔵事務官(主計官)

○高木説明員 御意見の通りであります。

奥原日出男水産庁長官

○奥原政府委員 御意見の通りであります。

松田鐵藏自由民主党

○松田(鐵)小委員 しからば、これは先ほど——先ほどからの意見じゃない。前々から幾たびとなく繰り返している朝鮮の待遇の問題である。その待遇からの結果が、栄養失調であるとかまたは肺病であるとか、いろいろな病気がそこに併発している。これを、ただいまの御意見からいったならば、日本政府は黙って見ているというわけにはいかないことだろうと思う。また私どももそう信じている。日本の憲法からいって、日本国民の生命財産を守っていなければならない。業者はこれに金を送ろうとしても送ることができない。外交交渉になる。外交交渉からいく。これはすべて日本が送ってやろうとする場合においては、外貨の割当をとっていかなければならない。当然二千円では、どっから考えたところで生活ができ得るとは考えられないことだろうと私は思う。お互いの生活からいって……。特に朝鮮は安いのならいざ知らず、先ほどの事例がここに現われてきている。ですからこれに対して万全の措置をとらなければならないということは、日本政府のとるべき手段であろうと思うが、これに対して渋滞を来たしているなどというようなことであったならば、これは大へんなことになると思うのですが、もう二千円を七千円に増してやるとかやらないとかいう問題じゃないと思う。こういうことは高木さんも非常に御理解があり、大蔵省の主計官で高木さん以上御理解のある方はないと私は思っている。こういう議論からいって、二千円だとか三千円だとかまたは五千円だとかいうような考え方を論議する何ものもないじゃないか。日本の憲法からいって、すべての法律にも現われてきているだろうし、政府はよろしく日本憲法を尊重すべしという議論になっていかなければならないと思うのでございますが、病気になって帰ってくる、栄養失調になって帰ってくるというようなことのないようにしてもらわなければならない。この点大蔵当局といえどもはっきり御認識になっていることだろうと思う。もしないとするならば、これはとんでもない誤まりだと思いますが、また気がつかないかもしれない。少しでも金を出すのは、まあ財布を締めておかなかったならば日本の経済が成り立たぬという考え方を持っておられるので、ただいまのような議論であったのじゃないかと思いますが、それは非常な誤まりだと思います。そこに憲法を守っていく日本の政府ということからいって、この点は考え直して、正しい道に進んでいただきたいと私は思うのでございまして、今後の措置を十分見ておかなければならぬと思います。御警告を申し上げます。

中村英男日本社会党

○中村(英)小委員 田口委員も松田委員もいろいろ御質問になったのですが、主計官とこの問題を繰り返しても、私はこれ以上どうも話が先行きしないように思うのです。そこであす水産小委員会があるのですが、総理に一つ出席を願って、この問題をもう少し推進したいものです。これはなぜそう言うかというと、総理は日韓問題はことに人道問題だから相互釈放ということを相当早期にやり得るという自信に立ってやられたのです。ところが今日は総理のそういう意図にかかわらず膠着しておるがゆえに、この問題もやはり違った角度で援護の問題も考えなければならぬという事態に立ち至った。総理はそのときに、これは国内問題だから十分なことを国内でもやらなければならぬ、こう言っておいでになるのですから、私は総理に来てもらって、それでは一体どう具体的にやられるか、あなた方の善意にかかわらず、この作業が半年の間この委員会において具体的なことができないということは私どもはきわめて遺憾に思っているのです。ですから総理に来てもらって、具体的にどうあなた方の作業を進めてもらうべきかということをここで押さなかったら、この問題は先へ進まないのです。ことにあなた方の心配されている点は、他のこれと似たようなケースがあるものだから慎重にならざるを得ぬ、こういうことです。それはごもっともな点です。ごもっともな点ですが、これは松田議員も指摘されましたように、なるほど似たようなところはありますけれども、これはやはり特殊なケースとしてあなた方に自信を持ってやってもらっても一向差しつかえない点もあるのです。ですから私は、今のような答弁ではあしたの委員会あるいはきょうにでも総理に来てもらって、具体的に一体どうするか、もう半年もたっているじゃないかということを私は言わざるを得ぬところにくると思うのです。これは私たち野党の意見だけでも工合が悪いが、与党の諸君はどうですか。

赤路友藏日本社会党

○赤路小委員長 ただいま中村委員から重大な発言があったと思います。ちょっと御相談申し上げたいと思います。——ただいままで韓国抑留者の留守家族援護の問題について御答弁願いましたが、この問題は一応本委員会の方に移すということにいたしまして、本日はこの問題はこれで打ち切ることにいたします。  それでは本日はこの程度で散会いたします。     午後、零時三十五分散会

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