P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
27回国会衆議院1957/11/16

内閣委員会 第10号

発言数
43
登壇者
4
会派数
2
開催日
1957/11/16

会議録

相川勝六自由民主党

○相川委員長 これより会議を開きます。  国の防衛に関する件について質疑の通告があります。この際これを許します。石橋政嗣君。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 総理の御出席を願いましたのでお伺いするわけでございますが、まず最初に一点だけ聞いておきたいことがあるのです。それは何かと申しますと、通常国会が終りましてから総理がアメリカへ参りまして、アイゼンハワー大統領と公式の話し合いをされました。その話し合いの内容におきまして、日本の国民及び国民を代表するところの国会に対して秘密にしなければならないようなものがあるかどうか、この点についてのみ最初にお尋ねいたします。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 全然そういう秘密にしなければならぬところのものはございません。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 それでは本日も非常に時間を限られておるようでございますので、いたずらに法律論争をいたしますことをなるべく避けたいと考えております。最初から率直にお尋ねをいたしたいわけでございますが、それは何かと申しますと、いわゆる安保条約の改廃の問題であります。総理がアメリカに参りますときに、日本の国民といたしましていろいろと関心を持っており、総理がわざわざアメリカにおいでになるならばこういうことについてぜひ話し合いをつけてもらいたいというたくさんの希望、要求を持っておったわけでございます。その中の一つに、現在不平等条約といわれております日米安全保障条約、これに付随するところの行政協定等の改訂を何とかなし遂げてもらって、平等なものにしてもらいたいという声も非常に強いものであったということは総理もよく御承知の通りであります。そういう国民の期待にこたえるためにアイゼンハワー大統領とこの点いろいろ話し合いをなさり、最後の共同声明の中でも非常にウエートを置いてその話し合いの結果について発表が行われておると私ども理解いたしております。ところが総理お帰りになりましてから国会におきましてもあるいは国会外におきましても述べておられることは、アイゼンハワー大統領と話し合いはしたけれども、今直ちに安保条約を改訂することはアメリカ側の事情で困難である、しかし日本国民の要望もだしがたく、困難であるということでは済まされぬ、そこで安保委員会というものを作って、この中で日米両国政府が話し合いをし協議することによって実質的に安保条約の改訂にも匹敵するようなそういう運用をやっていけばいいじゃないかということに意見が一致して、そういう趣旨で共同声明が発表され、そうしてそれを受けて安保委員会が設けられたのだということを再三述べておられます。もし総理がおっしゃるそれが事実であるとするならば、確かに今の安保条約をなまのまま運用されるよりは、幾らかなりとも日本の自主性というものが生きてくるということになるわけでございますけれども、その後私この共同声明なり安保委員会設置に関する共同発表なり、あるいは安保条約そのもの、行政協定そのものなりをいろいろの角度から政府にお尋ねいたしました結果、どうもあやふやになって参りました。一番端的な発言は、先日十一月の十一日に津島長官に私がお尋ねしたときに現われておるのでございます。安保委員会というのは、総理が今までおっしゃっておったようなそういう重要なものではないんだ、安保条約の実質的改訂などということが当然望まれる、そういうものじゃないんだ、いわば単なる親善機関だ、単なる話し合いの場所だ、こういうお話でございましたが、そういうことになりますと、今まで総理が国会に対し国民に対して、いささか渡米成果を誇大に宣伝するために、欺満的なことを言っておったのじゃないかということになるわけでございますが、その点、一体どちらの言い分が正しいのか、この際はっきりさせていただきたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 安保委員会の設置につきましては、私がしばしばいろいろな機会において説明をし、ただいま石橋委員からも私の言葉として御引用になりました意味において安保委員会が設けられたということは、私とアイゼンハワー大統領との話し合いから見ましても、またこの日米共同声明の中に盛られておりますこの考えから申しましてもそういう趣旨でございます。津島防衛長官がどういう発言をいたしましたか、私つまびらかにいたしませんけたども、その根本の趣旨におきましては、私がすでに申し上げただいま石橋委員が御引用になりましたような趣旨である、こう御了解願いたいと思います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 津島長官がどういうことを言ったかわからないとおっしゃいますが、津島長官はやはり防衛庁の直接の責任者でございますし、安保委員会の正式メンバーでもあるわけです。その肝心のお方が総理の真意をよく理解せずに自衛隊を統率し、安保委員会の会議に臨むということになりますと、これは重大な問題です。そういう意味でどういう発言をされておるか、一、二引例いたします。まず第一に私が尋ねましたのは、安保条約の第一条に含まれておるところの外部からの武力攻撃に対する日本国の安全に寄与するために在日米軍を使用する、そういった場合に安保委員会の協議事項になるのでございますかとお尋ねいたしましたら、それはならないとはっきり答えておられる。さらに重大なことは、十一日の本委員会におきまして、「日米安全保障条約には意見の調整というようなことがございません。従ってこの委員会というものは、両国の友好親善関係を増進するものである。起るべきいろいろな問題について、こういったいわゆる課題に相応したものは一応ここで協議しよう、政府間の交渉ではない、」こう述べておられる。しかも大切なことは、このあとにあるのですよ。政府間の交渉ではないと言い切った上、「これは有益であろうという見解から、こういった意見の一致を見て現に委員会が発足した、」そのあとで、今私が読み上げましたことは、「政府の統一解釈として、総理を含んでこの問題についての意見は書き物で差し上げた通りでありまして、」津島長官個人の意見ではない、自分が答弁しているのは総理を含めた岸内閣、政府の見解だ、こう言っておられる。私はその発言を聞きますまでは、総理と津島長官の意見の食い違いと思っていた。これすら重大です。これでも私は許せないと思う。少くともアメリカに行ってアイゼンハワー大統領とじかじか話をして、その結果について国会なり、国民なりに総理みずから説明していられることと違うようなことを自衛隊の防衛庁長官が述べられ、安保委員会の正式メンバーである長官が述べられるということすら、私は許しがたいと思ったのでございますが、この間の説明によりますと、総理を含めた政府の統一意見だということになりますと、これは岸総理の食言ということにもなろうかと思います。この点間違いございませんか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 私は今御引用になりました津島防衛庁長官の発言と、私の発言との食い違いについて、一体どの点を問題にされているか、抽象的の言葉ではわからぬと思うのですが、もちろん御承知の通り共同声明は、両国の首脳部の間において、意見の一致したことにつきまして、われわれが政治的な立場からこれが発言をいたしておるわけであります。もちろん安保条約やあるいは行政協定等両国間において取り結ばれておるものの法律的効果に関する問題とは、別の意義を持っておることは石橋委員も御承知になっておると思います。従いまして今御質問になっております趣旨が、私と防衛庁長官とも十分打ち合せをいたしておりますし、私は私どもの間に意見の食い違いはないと考えるのであります。従って今御質問になっておりまする要点、何といいますか具体的にどの点とどの点が食い違っておるかという点についての了解に私としては苦しむのでございます。私は決して趣旨において私と防衛庁長官の発言との問には、従来も打ち合せをいたしておりますし、根本的な考え方の食い違いというものはない、こう考えております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 それじゃ具体的に申し上げましょう。まず第一番目に説明申し上げました安全保障条約第一条に規定されております配備、使用の問題です。御承知の通り在日米軍の配備につきましては、安保条約では米側の一方的裁量によることになっておる。それは明確でございます。それから在日米軍の使用の場合には、極東における国際の平和と安全の維持に寄与する場合、この場合も米側の自由裁量になっておる。大規模内乱及び騒擾を鎮圧する場合に在日米軍を使用する、これは日本政府の明示の要請を必要としております。第三に、外部からの武力攻撃に対する日本国の安全に寄与する場合、これも安保条約では米側の一方的裁量によることになっいる。  そこで私は九月二日の本委員会におきまして岸総理にお尋ねをいたしました。今私が述べました第三の在日米軍使用の場合、すなわち外部からの武力攻撃に対する日本国の安全に寄与するために米軍を使用する場合には、この安保委員会で協議をいたすのでございますかと私がお尋ねいたしましたら、岸総理ははっきりと、そのようになると思います、こう述べておられる。ところが十一月の十一日——十月の八日にも津島長官は答えておられますけれども、同じ問題につきまして——非常に重要なことでありますから、私の質問と津島長官の答弁とを簡単ですから読みます。「安保条約の第一条の、外部からの武力攻撃に対する日本国の安全に寄与するために、在日米軍を使用する場合、これは安保委員会で協議するのですか。」と私が尋ねましたのに対しまして、「安保委員会はそういった手続が今できておらぬわけであって、二十四条があるから、安保条約第一条の場合の適用するその措置を講ずる場合は、安保委員会にはかからぬわけでございます。」こう答えておられる。明らかに岸総理はかかると言い、津島長官はかからぬと言っている。これが食い違いの第一点。  もう一つは、先ほどもちょっと触れましたけれども、この安保委員会の性格につきまして私と飛鳥田委員とが九月二日に質員をいたしております。特に飛鳥田委員の質問がうんとしぼられておりますので引用いたしますが、「安保条約の条文あるいは安保条約の字句は修正しないけれども、その運営について重大なる変更を加えた、あるいは制約をアメリカが承知をした、こういうふうに受け取ってよろしいのですか。すなわちアメリカの最高の方でるアイゼンハワーと、日本を代表するあなたとの間において、条文こそ変えないけれども、少くとも運営については両方の合意に到達するまでは兵力を動かさない、装備も変えない、こういうふうに了承した、こういうふうに正式に受け取ってよろしいのかどうか。」という飛鳥田委員の質問に対しまして、総理は「その通り御了承になってけっこうであります。」しかもその前に、総理の発言でございますが、「配備であるとか使用ということにもしも意見が一致しなければこれはできないということであります。その意見が一致しなければ一方的にやるということではないのですから、」とはっきり述べておるわけです。これが総理の御答弁です。ところが津島長官は先ほど読み上げましたように、この安保委員会というのは両国の友好親善関係を増進するものであって、政府間の交渉ではない、こう断定を下しております。この二つの点においてすら明確に食い違いがあるじゃございませんか、いかがですか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 安保委員会の運営が両国の友好と親善の基礎に立って行われなければならぬことは言うを待ちませんし、また安保条約及び行政協定の円満なる施行というものが、両国の間において、十分に友好的にまた両方の完全なる理解、信頼の上に運用されるべきことは当然であると思います。この意味において、安保委員会というものがそういう大きな役目をすることは、これは政治的にいって当然のことであり、またそうでなければならぬと私どもは考えております。またこの安保委員会において話し合いされ、協議されることは、この共同声明にもはっきり書いてありますように、米軍の配備及び使用について、できるだけこれが話し合いをするということを含めて、一切の安保条約から生ずるところのいろいろな問題について、広く両国でこの委員会において話し合っていくという趣旨から見ましても、私は一面においてこれが、防衛長官の申しているように、友好と信頼とを増進し、またこの基礎の上に話し合いが進められなければならぬということは、私は当然であると思うのであります。   〔「違う」と呼び、その他発言する者あり〕

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 総理が具体的に言えとおっしゃるから、私は具体的に言っているわけです。従って、その御答弁も具体的にお願いいたしたい。まず第一番目の問題からいきましょう。二つ一ぺんにやったのでは覚え切れないと思うから……。安保条約の第一条で規定されております、外部からの武力攻撃に対する日本国の安全に寄与するために在日米軍を使用する場合には、この新たに設置された安保委員会において協議する、この協議が前提だということを総理はおっしゃった。津島長官はそうじゃない。それでは協議しないとおっしゃった。どちらがほんとうですか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 私は当然協議さるべきものだと考えますし、津島長官の答えたことも、私はその点において、決して一切この委員会においては取り上げて話をしないとは言っておらないと思うのです。その意味において私は矛盾はない、かように了解いたしております。   〔「明確」「了承」と呼び、その他発言する者あり〕

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 先ほど私速記録までわざわざ読み上げたのです。総理に対する質問も津島長官に対する質問も、私同じように表現しておるわけです。総理は自分が言ったのがほんとうだ、津島長官は言葉が足りなかったのかどうか知らぬが、率直に言えば間違ったのだ、こういうふうにとれるわけでございますが、それではもう一度伺いましょう。安保条約の第一条の、外部からの武力攻撃に対する日本国の安全に寄与するために在日米軍を使用する場合は、これは安保委員会で協議するのですか。この間私が言った通りの質問を、もう一度津島長官にお伺いしてみたい。

津島壽一自由民主党防衛庁長官

○津島国務大臣 十一日の当委員会における石橋委員の御質問に対して、私の答えました点については、多少誤解を招いた点があったかとも思うのでございますが、安保委員会には広範な付議事項があるのであります。しかし二十四条の関係においては、二十四条としてこれを協議しなければならぬ、こういうように相なっているわけでございます。これは協定上の義務であって、従って政府の統一見解においてもこの点を明らかにした、これが政府の統一解釈であったのでございます。しからば安保委員会にこの種の問題が絶対にかけられないかというと、一方協議が行われているという事態も考えると、これは法律的な解釈であって、かけてもいい、かけなくてもいいが、これは、いわゆる安保委員会の広範なる議題としては、絶対にかけてはいけないということを申し上げたようには記憶しませんので、私は今日総理からの御答弁がありましたのと同様の見解でございます。   〔発言する者多し〕

相川勝六自由民主党

○相川委員長 お静かに願います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 津島長官の言うことの方がほんとうではないかと思うのです。そんな苦しいことをおっしゃらなくてもいいと思う。津島長官はこの間はっきり、安全保障委員会においてその措置を講ずる場合は、安保委員会にはかからぬ、こうおっしゃっているではございませんか。今も、前の方でははっきり肯定されている。どうなんですか。同じような質問をした場合に総理ははっきり協議の事項になるとおっしやる。長官は、今も答えておられるように、大体ならぬ、しかし全然ならぬわけもなかろうと、非常に苦しそうな答弁です。これは総理から伺います。やはり責任がある総理が来ておられるのですから……。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 先ほども私お答えを申し上げましたように、安保条約や行政協定で、法律的に両国の問の権利義務になっていることは、もちろんこの共同声明でこれを変更するものではございませんから、その関係はその関係として残るけれども、今度の共同声明は、その言葉にもあります通り、両国が今後対等に、また国民感情に合うように、これを実質的に運用していこうという、この政治的見地に基いて、広くあらゆる問題を、できるだけここでもって協議しようということをしておりますので、ある場合においては二つがダブることがあり得ると思います。この点についての説明が、一方の二十四条に関する限りにおいて、従来主として津島長官は答弁をいたしておりますし、私は共同声明に関する趣旨の質問に対してお答えをしておりますために、そのことからだけで、何か非常に違っているような印象を持っての御質問でありますけれども、決してそうではないのでありまして、条約及び協定上の権利義務の点については、依然としてそれは存している。さらにわれわれはそれをカバーする意味において、大きくこの協定なり条約というものを、両国の国民感情に合う、あるいはまた自主的な日本の立場を尊重して話し合っていこう、こういうことでありますから、私は決して矛盾はない、かように考えます。   〔「明瞭」と呼び、その他発言する者あり〕

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 私はそういう言葉でごまかすようなことはよくないと思います。私ははっきりと安保条約第一条の、在日米軍の使用の場合を引例して、それぞれ総理なり津島長官なりにお尋ねした。総理は明確に、これは安保委員会の協議の事項になるのだとお答えになった。津島長官は、行政協定の二十四条があるから、この安保委員会で協議するというのは、単に哨戒程度のことだ、こういう答弁をしておられるのです。試みに読んでみましょうか。私が、二十四条以外に在日米軍を使用する場合にはどんなことがあるのだ、安保委員会で協議する使用の場合というのはどういう場合があるのだと言ったら、「たとえばこれはほんの一例でございますが、日本における米駐留軍が哨戒というような、」こういうふうな場合にかけるのだ、こう言う。大違いですよ。潜水艦を探す、あれが哨戒なのです。この程度のことは安保委員会でかけるとおっしゃっているのですよ。私はそんな理解の仕方で安保委員会を運営されてはかなわぬと思う。総理としてそうお思いになりませんか。それでも食い違いがないとおっしゃいますか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 私とアイゼンハワーの共同コミニュケをごらん下さるというと私はその点は非常にはっきりしていると思うのでありますが、「合衆国によるその軍隊の日本における配備及び使用について実行可能なときはいつでも協議することを含めて、安全保障条約に関して生ずる諸問題を検討するために、政府間の委員会を置く」、これを含めた一切の安保条約から生ずるところの問題をこの両国の友好と信頼の基礎において話し合っていこうというのがこの委員会の趣旨でありますから、今お話のように——しかし条約上の権利義務にすでになっているものは、これは権利義務としてあくまでもその方法によって進めていけばよろしいのであって、それをカバーするところの一切の問題を今申したような趣旨においてするということでありますから、決して矛盾でもなければ、そこに何ら御心配のような点は一切ない、こう思います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 それでは、津島長官がここではっきり前言を訂正していただきたい。安保委員会では「安保条約第一条の場合の適用するその措置を講ずる場合は、安保委員会にはかからぬわけでございます。」と明確に私にお答えになっているわけでありますから、長官はそれじゃこれを何とか取り消して下さい。

津島壽一自由民主党防衛庁長官

○津島国務大臣 ただいま総理の言った通りでございます。   〔発言する者多し〕

相川勝六自由民主党

○相川委員長 お静かに願います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 十一日に私にお答えになったこのときのお言葉はやや変更を要する、総理の言う通りと、こういうふうにはっきりお述べになって下さい。

津島壽一自由民主党防衛庁長官

○津島国務大臣 ただいまの私の答弁で御了承願います。   〔発言する者多し〕

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 それでは私、よく聞き取れませんでしたので、まことに相済みませんが、もう一度お答え願います。

津島壽一自由民主党防衛庁長官

○津島国務大臣 ただいま総理の御答弁がありましたが、その通り考えております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 十一日に私に答えたのは修正する、総理のおっしゃったのが正しい、こういうふうに私は了解いたします。  それではもう一点、九月二日に飛鳥田委員と私とがこもごも安保委員会の性格について総理にお尋ねいたしました。そのときに総理は、安保委員会というものの使命が非常に重大である、こういう角度からいろいろお答え下さったことはまだ御記憶に新たなところだと思います。その中で重要なことは、これは配備についても使用についても両方の政府の代表がこの安保委員会で協議をし、協議の結果意見が一致しなければ絶対に実行に移すことはない、このように言い切っておられる。従って安保委員会というものは、実質的に安保条約の改訂にも匹敵する働き、力を持っているのだ、こういうふうにはっきりおっしゃいました。ところが先ほど申し上げましたように、津島長官はこの安保委員会というのは両国の友好親善関係を増進するものであっていろいろな問題で協議はするけれども、政府間の交渉ではない、こういうふうに言い切っておられる。これは安保委員会の性格というものについてまたまた重大な食い違いを生じておるわけです。しかも津島長官の答弁には総理をも含めた政府の統一した意見であるという註釈までついておるのでございますが、解明していただけるものでございましょうか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 私が御答弁を申し上げた安保委員会の性格は、私は非常にこれを重要に考えておりますし、またそういう重要なものであると思います。しかしながら正式に両国の問における交渉という場合においては、これは正式のそれぞれの外交ルートを通じて両国間においては交渉をしなければならぬ。たとえばこの委員会において将来安保条約のある条項について、これはどうしても事態に合わないから、こういうふうに改訂したらいいということについて協議が行われ、かりに意見が一致いたしたといたしましても、それでもって直ちに両国間の交渉が成り立つというものではなく、それを両国の正式のルートに移して交渉をすべきものであるという意味において、両国間の交渉をここにおいてするものではないということを防衛庁長官が申し上げたのでありまして、しかしそれだからといって、この委員会の重要性については、私は、ちっともそれを無視した発言を防衛庁長官がしたわけでもありませんし、また少しでも重要性を傷つけるものではない、かように思っております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 今度はいささか総理みずからが前言を翻するかのごとき発言に聞えるのであります。非常に聡明な総理といえども、九月二日の言葉を忘れることもあるかもしれないと思いますので、速記録をまた引用させていただきます。「協議がまとまらなければ何事もしないというのがその趣旨であって、協議機関であるゆえに、意見が一致すればやる。配備であるとか使用ということにもしも意見が一致しなければこれはできないということであります。その意見が一致しなければ一方的にやるということではないのですから、今の御質問が私はよくわからないのですけれども、御心配は要らない、こう思うのです。」と断定しておられます。これは協議機関というよりも非常に強い性格を持った、いわゆる安保条約を乗り越えていく働きを持ったものだとおっしゃっておる。   〔「そんなことは言ってない」「黙って聞いてくれ」と呼び、その他発言する者あり〕

相川勝六自由民主党

○相川委員長 お静かに願います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 それで飛鳥田委員はわざわざこういうように繰り返しておられる。「もっとずばっと答えていただきたいと思うのですが、安保条約の条文あるいは安保条約の字句は修正しないけれども、その運営について重大なる変更を加えた、あるいは制約をアメリカが承知をした、こういうふうに受け取ってよろしいのですか。すなわちアメリカの最高の方であるアイゼンハワーと、日本を代表するあなたとの間において、条文こそ変えないけれども、少くとも運営については両方の合意に到達するまでは兵力を動かさない、装備も変えない、こういうふうに了承した、こういうふうに正式に受け取ってよろしいのかどうか。」これに対して簡明率直、そつのない答弁をしておられる。「その通り御了承になってけっこうであります。」これならばわれわれも了解できるし、日本の国民も私はある程度の安心感を持って、さすが岸総理、アメリカでええとこやってくれた、こういうことになろうかと思いますが、きょうのお話を聞いておりますと、どうもここのところが少し自信がなくなってきたような感じがします。津島長官の十一日における答弁をお聞きいたしておりましても、そんなに重大なものじゃない。条約などというものが共同声明なんかで勝手にその解釈が変えられたり、運営を変えられたりしてたまったものじゃないといわんばかりの御発言なんですが、一体これでも食い違いはございませんか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 この六月に私とアイゼンハワー大統領が話し合い、共同声明を出すに至りましたこのいきさつから考えてみまして、あくまでも両国が自主独立の立場で対等にものごとを——今後日米間の問題を処理していこう、その問題に関して一番日本国民としても納得のいかないのは、安保条約の問題であり、安保条約が成立された当時と今との事情が違うし、今後日米間の関係を処理していく上において、これが実質的に両国の国民が満足するように運営されなければならない、それをどうするかという考えに基いて、実は安保委員会というものを置くという考えになったわけであります。この安保委員会の運営が、あくまでも今申しました話し合いの精神、すなわち日米両国の友好と信頼と理解の上に、これが運営されなければならぬことは当然のことであります。従いまして、私はこの委員会が設けられて、ここにおいて協議される、あらゆる問題をとらえてここで協議するというこの精神は、基礎においては友好と親善、信頼を基礎に置きますけれども、従って真の親善、理解というもの、友好の精神から申しますと、両者の意見が一致しなければこれをやらないということ、その根本の精神であります。決してそれが権利義務であるとか、あるいは条約上のどうだという意味ではなくして、このアイゼンハワー大統領と私との会談の結果、この委員会を作るに至った経緯から見ましても、またこの委員会性格から申しましても、それが今申したように親善、友好、理解というものの上に立って、そうしてあらゆるものを協議していくということでありますから、今石橋委員のおあげになりましたような重要な問題について、両者の意見が一致しないという場合におきましては、そういう事態が出てこないと考えていただいてちっとも差しつかえないと私は信じております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 それではもう一つ、そこで具体的な例に触れてみますが、総理は核兵器の日本国内の持ち込みというようなことには絶対に反対の態度をとっておられる。米軍から要請があっても拒否するということを言い続けてこられた。ところが、肝心なこの共同声明にもその点非常に不明確であります。一体そういう約束をアイゼンハワー大統領とされておるならば、当然核兵器といったような装備の問題についても意見の一致を見なければやらないのだというようなことが明確に出てこなくちゃいかぬと思うのですが、この核兵器等の装備は、いわゆる配備に関連して了解が取りつけてあるのだ、こういうお話でございますが、アイゼンハワー大統領、間違いなくそういった重要な装備についてはこの配備の中に含めて、両政府の話し合いの一致を見なければやらぬというふうな了解が成り立っておるのでございましょうか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 特に核兵器の装備をどうするかということは話しておりません。これは核兵器だけじゃなしに、将来いろいろな科学兵器の進歩に伴いましていろいろな装備が起ることがあると思います。これは私は当然配備の中に入って両国の安保委員会において話し合いをすべき事項である、かように考えております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 その核兵器の問題等についても、安保委員会において両国政府代表の意見が一致を見なければ絶対に持ち込まないということでございますか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 さように考えております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 それでは津島防衛庁長官にお伺いいたしますが、この点についても岸総理は前言を一歩も翻しておられません。そうしますと、あなたが受け取っておる安保委員会の運営方針というものにいささか食い違いがあります。総理はそれほど安保委員会というもののウェートを高く評価しておる。アイゼンハワー大統領の話し合いの際も、そこまでしっかりしたものとして安保委員会を作るということになっておるのだ。肝心かなめの防衛庁の責任者であり、安保委員会の正式メンバーであるあなたが、この真の意図もくまずに会議に臨まれたら、これは大へんです。この点についても、あなたは前言を取り消しになりますか。十一日にあなたがお答えになったのは、「日米安保条約には意見の調整というようなことがございません。従ってこの委員会というものは、両国の友好親善関係を増進するものである。起るべきいろいろな問題についてこういったいわゆる課題に相応したものは一応ここで協議しよう、政府間の交渉ではない、これは有益であろうという見解から、こういった意見の一致を見て現に委員会が発足した、」こういう理解の仕方で安保委員会の協議に臨まれたのじゃ大へんです。これは岸内閣の閣僚としてのお務めも果してできるかどうかという疑いを持つのであります。この点やはり同様に前言を翻して総理の言うことを今後は体してやりますということになるのでございますか。

津島壽一自由民主党防衛庁長官

○津島国務大臣 ただいま御引用になりました部分は、これは法律的に解釈の問題が質問応答の対象になった時代のことでございまして、私は安保委員会というものは非常に重大だと思っております。ことにこの委員としてはこの問題については非常に重大な関心と熱心さをもって、現に委員として働いておるものでありまして、法律問題を聞かれた場合の答弁をもってこの安保委員会の重要性をどうであるということは、これは私は納得いかない点でございます。総理ともこの点においては全然一致しております。   〔発言する者あり〕

相川勝六自由民主党

○相川委員長 お静かに願います。石橋政嗣君、お約束の時間ですから……。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 津島さんの今のお答えでは引っ込みがつきません。法律問題とは別とは何です。総理が言っておられるのも、安保条約というものを乗り越えるような運営ができるのだとおっしゃっておるのですよ。(「そんなことを言っていない」「カバーすると言ったのだ」と呼ぶ者あり)実質的な改訂、そうじゃありませんか。条約があろうとも、両国政府の意見が一致しなければやらぬ。条約では、アメリカが一方的にやれることになっておっても、安保委員会では両国政府の代表の話し合いが一致しなければやらぬということは、条約を乗り越えることじゃありませんか。条約を無視した論争はここでありますか。そう固執をなさらないで、はっきり答えていただきたい。(「だれが見たって食い違いがあるじゃないか」「答弁の要なし」と呼ぶ者あり)あなたは政府間の交渉ではないとまで断言しているのですよ。政府間の交渉でないものまで、一体何の話をするのですか。これは取り消さないですか。あなたがお答えにならなければ、総理にお伺いします。私が津島長官から得た答弁というものは、今朗読した通りです。政府間の交渉でもないところで、総理がおっしゃるような重大な協議ができますか。条約の問題であろうとなかろうと、その点、それでは総理にお伺いします。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 防衛庁長官のお答えも、私のお答えも、私は全然食い違い——今非常に石橋委員は興奮して何かおっしゃっておられるようでありますけれども……。   〔発言する者あり〕

相川勝六自由民主党

○相川委員長 お静かに願います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 冷静にお聞き下さるならば、私はこの問題は、この政治的の重要性につきましては、津島防衛庁長官も私も申し上げておるように、きわめて重要な問題ということについて少しも意見は違っておりません。ただ法律的のなにからいって、先ほども私は例をあげて申し上げましたが、両国間の正式交捗というようなものは、また別途に行われるということを前提としてお考えおき願いたいと思うのです。これはあくまでも両国の理解と信頼と、その上に立ったところの実質上の政治的な意義を持った運営でございまして、法律的の問題に関しましては、おのずから法律上の解釈があることは当然である、かようにお考えをいただきまして、十分この重要性につきましても、津島長官もそれを認め、また委員としてもその重要性にかんがみて十分な熱意をもって当るということを申し上げておるのでありますから、どうか御了承願いたいと思います。

相川勝六自由民主党

○相川委員長 それでは、本日はこれをもって散会いたします。    午後零時二十二分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗