逓信委員会 第3号
- 発言数
- 58 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1957/11/06
会議録
○松井委員長 これより会議を開きます。 郵便貯金法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。質疑の通告がありますので、これを許します。森本靖君。
○森本委員 まず最初に、この間の当委員会の質疑応答における大臣の答弁の中で、私帰って静かに考えてみて、ちょっとおかしい点がありますので、これを一つ大臣に聞いておきたいと思いますが、それは本年の貯金の目標額が千百五十億円である、この貯金法が十二月一日から改正された場合には、さらに本年度において百億円これが増加になる、そうすると本年度において千二百五十億円になる、こういう答弁があったわけですが、そういうことになると、本年度の三月末までに、百億円目標額がふえるということになりまして、これはなかなか容易ならざる金額でありますので、この点はおそらく下部の現業の従業員は非常に心配せられると思いますが、これは何かの間違いでなかろうか。年間を通じての百億円の増加ということになるならばある程度了解がつきますが、十二月一日から三月の末までに百億ということになりますと、これはちょっと大き過ぎる額でありますので、その点を質問をしておきたいと思います。
○田中国務大臣 私は利上げをしないでも今年度で千百五十億できるという考えを持っておりましたのに、今回の法律改正ができれば、今年度内においても百億くらいできるなと個人的に思っておって御答弁申し上げましたが、事務当局といろいろ話し合い、実際の問題に対して調査をいたしましたところ、年間百億は下らない増加を見られると思いますが、いずれにしても今年度に百億プラスをして千二百五十億ということはむずかしいかもわからない、こういうような報告もありましたので、前回申し上げましたように今年度千百五十億にプラスしてこの法律改正によって今年度内に百億増加ができるでありましょうということに対しては、訂正を申し上げます。
○森本委員 それで事務当局にお聞きしたいと思いますが、十二月一日から三月三十一日までということになりますと、その間約四カ月ということになりますが、そうすると年間百億円と考えた場合に、その百億円の三分の一というふうのものが増加をせられるというふうに考えておるということが事務当局の考え方である、そう考えてよろしいわけですか。
○加藤政府委員 十二月一日から利上げをいたしまして、年度内の支払い利子の支出増は年間千三百万円となります。来年度は例年三億一千万円の支出増となります。
○森本委員 一千三百万円というのは、この貯金法の改正によっての利子支払いの増加分、こういうことですか。
○加藤政府委員 十二月一日から定額貯金の利率が改正になりますと、古くからあります定額貯金につきましても、いわゆる新旧の両利率の混合利率を計算いたしましてこれをかけて参りますので、結局いわゆる目標額は最初の目標通りといたしまして、利子引き上げだけに伴う支出増加が千三百万円ということになります。
○森本委員 そうすると純増の増加目標というものは、十二月一日から三月の末までについてはどのくらい考えておるわけですか。
○加藤政府委員 この千百五十億の目標のうち、大体定額貯金が全体の四五%くらい占めておりますが、最初定額貯金の目標額として推定しました目標額をそのまま推定いたしまして、それのいわゆる十二月から三月までの払いになる分を計算いたしまして、その額にいわゆる新旧利率の混合利率を実際に計算いたしてみまして支出増になる分が千三百万円、こういうことでございます。
○森本委員 そういう回りくどい説明をされるから、こっちの方はよけいわからぬですよ。そうでなしに、一千百五十億円という目標ですから、その目標額が、この法律が十二月三百から通ることによって、三月三十一日までにどの程度増加する見込みか、こういうことです。
○加藤政府委員 それは前に申し上げたかと思いますが、千百五十億の目標がこの利上げによりまして完全に達成できるということで、それ以上に目標はふやさない建前で計算いたしまして、千三百万円になるということであります。
○森本委員 今の事務当局の答弁と大臣の答弁とちょっと違うわけですよ。大臣からは百億ほどにはならないけれども、相当のものはふえると考えておるという答弁があったから、だから私はその差額は何ぼかということを聞いたわけですよ。ところが事務当局の方としては、そういう目標額については増加は考えておらぬ、こう言われたわけです。これは大臣がそういうことを答えられるのは当然なんです。これだけの利率を上げたら、大体ある程度は目標額がふえるだろうということを、大臣として、政治家として答弁をするのは当然なんです。ところが事務当局の方は、それを全然上がる見込みがない、こういう答弁をせられるので、ちょっと食い違いがあるので私はしつこく聞いたわけです。
○田中国務大臣 私が答えましたことと事務当局が答えましたことと、何ら実体においては変っておらないのであります。現在、この法律の改正をしないで当初の目標千百五十億が達成できると思うか、こういう御質問がありましたから、それは達成できると思います。なお達成できるように努力をいたしております、こういうことでありましてこれだけの法律の改正がありますから、プラス・アルファをどのくらい考えるか、こういうお話でありましたが、これは政府当局として大蔵当局とも研究折衝しましたときに、この法律を提案する場合には、千百五十億プラス・アルファの大体の目標額をきめて、そうして逆算をしてくると予算額でもって不足が出て参りますから、それを臨時国会で補正をするかという問題まで話し合ったのでありますが、いずれにしてもそれは例年の例に見るように、十二月、一月、二月という時期に総目標額の四〇%ないし四五%を達成するというのでありますから、十二月、一月、二月の実績を見て、そうして予算内でやりくりができない場合には、手数料その他の問題は三十三年三月三十一日までに補正をすれば十分間に合うのだから、一応現在のところは千百五十億プラス・アルファという数字を明確にしないで、運用に障害がないのだから、法律案の改正だけでいこうということで提案をしておりますから、事務当局と私との品に食い違いはないのでありまして、千百五十億プラスアルファをどこまでやるかというのは、この法律が通過をする段階において、昭和三十二年度の下半期にどういう方針に出ようかということをあらためて省議できめたい、こういう考えでおりますから御了解願います。
○森本委員 そうするとはっきりしたことは、今のところ、三月三十一日までについては、この法律案を改正することによって千百五十億以上にどれだけの見込をしておる、こういうことはない、この法律案を通すことによって千百五十億というものを完全にやればよろしい、こういうことですね。
○田中国務大臣 そうです。
○森本委員 その点ははっきりしたわけであります。 そこで次の問題をお聞きしたいと思います。今回の改正の中で、第十条の二十万円を三十万円に改正するというのが第一番目の主たる目的でありますが、あなたも御承知の通りこの三十万円というのは貯金総額です。そこで私の意見にもなりますが、この三十万円というものは貯金の総額であって、通常郵便貯金も積立貯金も定額貯金も一緒にして三十万円ということになるわけであります。ところがこの前の委員会においての質疑応答においても明らかにしたように、通常郵便貯金においてすら一人が二冊以上持った場合には、その最高額を監査するということは非常に困難な情勢なんです。ましてや積立貯金、定額貯金と通常郵便貯金との間を判別する場合には、非常にやりにくい。しかしそれかといって貯金総額を三十万円ということで押えられたので、実際には通常郵便貯金、定額貯金を一緒にしてそれ以上についてはできない、こういうのが趣旨なんです。趣旨だけれども、通常郵便貯金と定額貯金というもののあり方を考えた場合に、実際にはこれが往々にして上回らさるを得ないような現在の貯金の仕組みであろうと考えられる、だから第十条の制限額というものは、やはり通常郵便貯金だけの制限額にして定額貯金とか積立貯金というものはこれは性格が違うわけでありますから、こういうものについては制限を課さないというのがほんとうじゃないのですか。
○田中国務大臣 私は郵便貯金を非常にたくさん吸収することが国家的に必要である、こういう観点に立っておりますので、できればただいまの御説のように明確に答弁をしたいのでありますが、この制限額の問題は御承知の通り長い歴史をたどって徐々に上げてきておりますし、なかなか抵抗の多い問題であります。なぜ抵抗が多いかというと、郵便貯金をたくさんしてもらわなければならぬと言いながらも、民間預貯金との競合を避けるという問題と、もう一つは郵便貯金の利子に対しては非課税になっておりますので、そういう面から限度額というものについてはいろいろ問題があり、郵政当局としましても当初は三十五万円ないし四十万円というような原案を考えたのでありますが、政府部内の意見が一致するところが提出法律案のように三十万円ということになりましたので、御説のようないろいろな基本的な考えに対しましては、さらにまた十分研究をしなければならない問題であろう、その意見が合致したときにその時期その時期で改正をし、より合理的なものにしていく以外にないのじゃないか、こうお答えする以外にないのであります。
○森本委員 現在の段階においては、郵政大臣としてはそういう答弁が最高の限界であろうとは私も考えますけれども、現在定額郵便貯金の最高が五万ということになっておるわけです。そうすると六枚の定額貯金証毛をもらえば、あと通常郵便貯金も積立貯金も全然できぬということになるわけです。今日は農家の人々で実際に米の代金が入った場合は、三十万やそこらぐらいの定額貯金を一人でやるということは、現実の問題として相当あるわけです。そういうことを考えた場合には、今の段階としては大蔵省その他の方面との関係でやりにくいとしても、将来の方向としてはそういうようにあるべきではないかというのが私の意見であります。大臣としてもその趣旨には賛成のようでありますから、この問題についてはそれでおきます。 次にこの間の委員会でも若干問題になりましたけれども、目標額を上回ったものの増加額について、貯金の利用者に対するサービスの改善等については将来考究していきたい、こういう大臣の答弁もあったように記憶しております。それと同時に目標額を上回った増加分については、場合によっては郵政省自体が運用を行うというようなことについても考えてみたい、こういうような答弁があったように記憶しておるわけでありますが、そういうふうに大臣としても将来考えていきたい、こう解釈をしてよろしゅうございますか。
○田中国務大臣 この問題は前回にもお答えを申し上げておりますし、特に郵政省としては長い歴史を持って、簡易保険と同じように運用の問題をやりたいということを主張しておるわけであります。特に金を集めるだけ集めて、使うのは全然別のところで使われるということに対して異議もありますし、私自身が郵便貯金や簡易保険というものに対して非常に大きな関心を持ち、将来の政府資金としての郵便貯金や簡易生命保険の原資というものに対して非常に期待をしておりますので、集める側にある郵政職員の意欲を向上させ、また幾らかでも預金者に還元をするというような趣旨が貫かれれば非常にけっこうだ、こういう原則的な気持を持っておることは前に申し上げた通りであります。ただこの運用権に関する争いは音からありますし、特に議論の存するところでありますので、調査研究を進めておるわけでございます。ただ厚生保険会計の預託金の例もありますので、私としてはこういう道が開けるならば、一つ円満に話し合いをして何とか道を開きたいという考えを持ち、また熱意を持っておることには変りはないのであります。ただこの問題を根本的に解決するには、どういえ状態において解決せられるかというと、零細な国民の消費を押えるためにだけ、郵便貯金という方法で貯蓄が進められてきたのだという考えだけでは、ななかこの大問題は解決できないと思うのであります。戦後御承知の通り中小企業の問題にしても、また国の基幹産業、隘路産業に投資をする問題にしましても、旧憲法時代のように国の資金が重点的に、また時の政府の考えのように動かないという現状にあるのであります。日銀法及び銀行法等によって全く金融資本というものは独自に運営をせられておりますので、政府または国会が中小企業に金を出したいといっても、なかなか出せないという現状にあることは御承知の通りであります。そういう意味から考えていわゆる政府資金というものを今よりももっとウエートを置いて、そうして基幹産業や隘路産業、特に行政上処置しなければならないような資金面に対して国家資金を大幅に出す。そのためには今までの概念を変えて、郵便貯金や簡易生命保険というようなものをもっと新しい分野で、新しい観点から重点的にこれを活用するというふうに定義がはっきりして参りますと、おのずから運用権の問題も出てくるのでありまして非常にむずかしい問題ではありますが、誠意を持ってこの問題に対して何らかの方途を見出したい、こういう段階でございます。
○森本委員 それでは次の問題として、預金部の方から郵便貯金会計に入っておるところの金利はたしか今六分であったと思うのですが、その通りですか。
○田中国務大臣 その通りであります。
○森本委員 それで貯金会計の方はその六分の利率において、完全に採算がとれて回っていくわけですか。
○田中国務大臣 六分では多少足らないようでありますから、幾らか値上げをするということも考えられますが、御承知の通り資金運用部の資金は大体六分二性程度にしか回っておりませんので、なお不足分は資金運用部から今年度は四十四億でございますか繰り入れられておりますし、郵政特別会計としては特に支障がありませんので、この問題もやはりもっと根本的にものを考えなければならないのじゃないかということを考えておるわけであります。特にこの際申し上げておきたいのは、ただ郵政当局としましては特別会計に六分でもらっているものを六分二厘でもらいたいという議論は成り立ちますが、国務大臣として金利コストというものが高くなることが果していいのかということを考えますと、これはなかなかそう端的に郵政大臣としての職務だけで割り切れる問題ではないのでありますので、将来国会の御意向等も十分しんしゃくをして適正な結論を見出さなければならぬ、こういう状態でございます。
○森本委員 六分では足らない。それで預金部の方から年々繰り入れておるというのはわかりますが、その預金部から繰り入れておるのは、これは完全にこの金利と同じような形において郵政特別会計がもらうという意味ではないてしよう。
○田中国務大臣 赤字補てん分は将来返さなければならぬということになっております。特に返す場合には黒字になった場合返すというのでありますが、黒字になる場合は業績手当として支給したいという気持もあるときに返さなければならぬ、こういうところに私も非常にぴったりしないものを感じております。こういう特別会計においては、特に貯金などというものがそう大きく黒字になるということは期待されない。というのは六分に原則的に据え置いておるということであれば、当然赤字は累増する、こう考えなければならないでしょう。それで特に口座の数をふやしていくという場合は、だんだん複雑にもなりますし、特に零細なものを集めておるわけでありますから、そういう意味では赤字を解消し、将来黒字となり、これを返すというようなことはなかなかむずかしい、そういうふうに考えられますので、私としてはその年度々々で一応繰り入れたものはいつか返すなどという他人行儀なことを言わないで、こちらも七千億もお貸ししておるのでありまして、これはもう私たちが運用すればということも郵政当局としては十分考えられるのを、大きく国家的な原資として運用権を大蔵省にまかしておるのでありますから、この問題も何とか片づけて、その年度々々にピリオドを打つようなことをすれば、預金を集める人の意欲をそがないで大きくやれるのじゃないかということで、この問題に対しても事務当局をして検討せしめております。
○森本委員 これはこの前の三十一年度、三十二年度の予算委員会においても、私はこの問題に対しては郵政省の経理局長にも追求したことがあるわけでありますが、実際に商売が繁盛して範囲がどんどん拡大されていくに従って赤字がふえるなんというやり方は、非常にこれはおかしいと思うのです。郵政省の場合は現業であるから国民にサービスしなければならぬ。商売人と同じような考え方においてやれということを現業の職員に訓辞しておきながら、それはまるきり武士の商法ではございませんが、非常に商売が繁盛すればするほど赤字がふえるというふうな、へんちくりんな格好になっているわけであります。確かにその赤字の分については預金部の方から繰り入れてもらっておるけれども、それは年々郵政省の借金としてそれだけ残っていくわけであって、借金というものは将来どうなるか、返さなくてもいいという考え方において、おそらく郵政省の事務当局あたりについてはやっておるだろうと思いますし、また経理局長なんかもそういう意味の答弁をしておりましたけれども、しかし法的にはこれはあくまでも借金であることに間違いないわけですから、大臣が今言ったように、年々こういう問題については解決をつけていくということが、現業職員に対する励みにもなるわけでありますので、こういう不合理な点については根本的に改正をする。それがためにはやはり現在預金部の方からこっちへ繰り入れておるところの金利を引き上げる。そしてその金利のコストが高くなるということについては、場合によっては一般会計から他へ貸し付ける場合の金利を保証するというふうなことをやらなければ、郵政省の貯金会計というものがいつまでたってもそのしわ寄せを全部受けておる。こういうつまらぬ格好になっているわけでありますので、この点については大臣も今おっしゃられましたように十分将来一つお考えを願っておきたいということをこの際強く私は要望しておきたいと思う次第であります。 それからもう一点お尋ねいたしますが、積立貯金が今回一万二千円に毎月の預入額が増額になったのでありますが、これは前々から要望があったわけでありますけれども、一年の積立貯金がこの際できないものかというように考えるわけでありますが、今回の法案ではこれが出されておらぬわけであります。これがなぜできないかということについて若干御説明を願いたいと思うわけであります。
○田中国務大臣 一年制積立損金の創設という考えも当初持ったのであります。法律の成案を得るまでの間にいろいろ検討しました結果、一年制積立預金をしてみても、口座をふやすだけであってあまり実効がないのじゃないかという段階でありましたので、その結論が出るまで、一年制積立預金というようなものはもう少しあとに送ろう、こういうことで今回の提案になったわけであります。その過程において表に出ました理由を申し上げますと、一年制の預金を創設しますと、現在あるところの二年制の積立預金の利用者が一年制のものに移行するというような傾向が非常に強く現われるのじゃないかということであります。そうしますと、新規募集額と一年制に移行するものを含めて考えますと、現在の三倍から四倍の額にふやさなければいかぬ。そうしないと、今までの二年制預金というような安定した額を捕捉することがむずかしいのじゃないかというようなことを考え、そういう場合のことを算定してみますと、どうも今よりもコストが高くなり、人手も手数もよけいかかるだけであって、実際の預金高はふえないのじゃないかというような問題にぶつかりましたので、一応一年制積立預金という制度に対しては見送っておるわけであります。なおこの問題に関しては議論があるようでありますので、現場の第一線におる人たちの意見、一年制預金に二年制の預金からどのくらい移行するのかというような問題ももう少し調査をして、一年制積立預金の制度を創設することによって現在よりもより効果が上るという見通しがつけば、あえて次の段階において一の制度を採用することにやぶさかではないのであります。
○森本委員 ただいまおっしゃられたような理由で一年制を置いてはいけないという意見もありますし、しかし場合によっては、これも置いたことによって二年制に波及せずに、一年制独自のものをとれるのじゃないかという意見もあるわけです。これは実際にやってみなければわからないことであって、現在の論議というものは架空の論議をやっておるわけです。この点は一つ大臣もおっしゃられたように、十分研究せられて——現場の職員としてはそういう要望が強いわけでありますがら、その点は今後十分研究せられて、成案を得られたら一つ御提出を願いたい、こう思うわけであります。 それからこの前の委員会にも出ました第二十九条の睡眠口座の件でありますが、この点も、睡眠口座というものの整理を年に一回三月に行うということになりますと、私の意見としては、非常に不公平ができるのじゃないか。年に一回やるということになりますと、たとえば満十年十一カ月のものと満十年かかったものと同一に取り扱うということになるわけであります。だから第二十九条の件については、かりにそれは年に一回でもよろしいという法解釈であっても、これを年三回なりあるいは年四回とたくさんやるということが、やはりこの法の趣旨に合うことだろうと思うわけです。だから年一回ということでなしに、せめて四半期ごとに一回ぐらいはやる方法が講ぜられないものかということをお尋ねしたいわけであります。
○田中国務大臣 確かにそのつどそのつどやることが親切であります。またそうあるべきだと思いますが、何しろ何百万件、何千万件とあるものの中からでありますから、事務的にしますと、三月三十一日の年度末で締めくくってやろう、そういうことになっておるわけであります。ただ御説の通りやるには毎日やるわけにはいかないので、もう一回ぐらい六月なら六月で締めたらどうか、九月で締めたらどうかということが当然考えられますから、そういう問題に対しては、人員の配置がどうなるかというような問題も研究して一つ何らか具体的な方策を立ててみたいと思います。ただ二十九条の趣旨からいいますと、十年たつとすでに消滅をするのだ、こういうふうになっておりますが、消滅をしてしまうと法律上の建前からいいますと、再びその期限が切れたものに対して特に催告を発し、二カ月以内に返答のない者に対しては一切政府といえども支払うことができないというような建前もとれるわけでありますが、実際からいいますと現在催告を出しておるようなものは戦時中の隣組預金とか天引預金で、その数も非常に多いのでありますので、親切に特に政府部内でもって十分強調をし、催告状が届かなかったという本人の申し出があれば、期限が切れておるものでも広義に拡大をして行政措置で救済をしておる。それも二十年も二十年も救済するというわけにはいきませんが、できるだけ事務的に可能な手段をとって預金者に返したい。特に催告をすることによってその四〇何%が復活をしてまた預金の台になっておるという事情にも徴して、新規のものを広げるよりもこういう催告状等をやることによって、新しい預金の層もふやせるということが現われておりますので、ただ事務的に通り一ぺんの処置をして預金者に迷惑をかけるということのないように、十分配意をさしておるわけであります。また一年に一ぺんということは、十一カ月半のものもあるのだということも十分考えられますので、事務的な操作によってどの程度の回数を増せるかということは事務当局と検討して、いずれ御報告を申し上げることにいたしましょう。
○森本委員 それからその法律が今回通ることによって、積立貯金が八千円から一万二千円になりますので、第一回の預入額がかなり高額になるわけであります。そこで昭和三十一年度でも現在でもけっこうですが、郵政省のすべての犯罪件数が一年間に幾らあって、そのうち貯金関係の犯罪件数が幾らあって、そして貯金関係の犯罪のうちで積立貯金関係がどのくらいあるかということを、ちょっと明らかにしてもらいたいと思います。
○加藤政府委員 お答えいたします。郵政省の全体の犯罪件数はただいま手元に持っておりませんので、あとからまたいたしますが、郵便貯金の犯罪だけについて申しますと、昭和三十一年度には犯罪件数は百六十七件でございまして、その内訳は通常貯金が五十八件、積立貯金が六十四件、定額貯金が四十五件となっておりまして積立貯金の犯罪が一番多いということになっております。
○森本委員 これは今回私は特に老婆心ながら申し上げるわけでありますが、こういう貯金法が改正をされてせっかく貯金の増強に行くわけでありますので、そういう犯罪防止の点についても十分一つ当局としては万全の措置を講じてやっていただきたい。いたずらに罪人を作るということをやらないように、一つ事前にそういう面における教育あるいはその他の方法をこの際とってもらいたいということを要望しておくと同時に、それからこれは質問でありませんけれども、貯金関係は保険関係と比べて奨励方法が若干鈍いのではないか、またそれに対するところの投入金額というものも若干少いではないか。これは貯金と保険の性格上からそういう点はやむを得ない点もあろうかと考えますけれども、現場においては貯金の従業員も保険の従業員も変らないわけでありますので、奨励方法あるいは奨励の費用、そういうものについては、これはやはり貯金は貯金なりにかなりのものを投資をして、十分奨励か法については考えてやってもらいたいということを要望しておくわけであります。 最後に、この法案にはちょっと関係ありませんけれども、貯金関係で聞いておきたい点が一点あるわけでございます。それは第二封鎖の郵便貯金についてはその後どうなっておりますか。
○加藤政府委員 第二封鎖の郵便貯金の解除につきましては、ただいま大蔵省当局と鋭意事務折衝中でございまして、大体その要する費用は全体で元利合計いたしまして二億三千五百万円でございます。元金が一億六千万円くらいでございまして、それに四月一日から施行いたしますれば昭和三十二年三月三十一日までの利子を通常貯金の利子並みの三分九厘六毛の利子をつけまして、合計いたしまして二億三千五百万円ということでございます。
○田中国務大臣 業務犯罪につきましては未然にこれを防止するということで、特に三悪追放ということを打ち出してから、郵政現業でも犯罪が出てからこれを手きびしく処分するということよりも、事前に防止することに全力を上げるように今通達を出しております。一片の通達だけではなく、これは一つ思い切って合理的な措置をするつもりであります。奨励の問題につきましては、私もこの法律を提案するときにおいて閣議でも論じたのでありますが、貯蓄というものに対してはPR活動が不足であるし、また第一線に働いておる現業員の意欲を向上するために、適切な処置をとらなければいかぬということを強く言っておるわけで承ります。特に三十三年度の予算編成には、前回も申し上げた通り国民の貯蓄奨励というものが非常に大きく出ると思いますので、他の部門との調整も行いつつ、現在よりも合理的な方法をとりたいということを今考えておるわけでございます。 なお切り捨て預金につきましては、法律的にいろいろな問題があるようでありますが、私が就任のときにもこの委員会で申し上げた通り、民間がすでに補償しておるにもかかわらず、政府関係機関がわずか三億弱のものをやらないということはいずれにしてもよろしくない、こういう考えで、もうすでに戦後十二年もたっておって、これから郵便貯金を大いに集めようというときに、一億や三億のもので国民の不信を買うということはとらざる手段であるということで、大蔵事務当局とも折衝いたしておりますが、通常国会に驚いてこれが補てんの法律史を提案する予定でございます。
○松井委員長 松前重義君。
○松前委員 貯金局にちょっと伺います。大臣でもよろしゅうございます。大体今おやりになっておるかどうか私確実には見ておりませんが、昨年貯金局の施設を見てみますと、利息の勘定やその他が非常に煩瑣で数が多いというので、機械を導入してやっておるようであります。聞くところによるとこの機械はアメリカの会社が所有しておって、その使用料を郵政省は払っておられる、しかもその機械のカードはまたアメリカから輸入しておられる、こういうことを聞くのでありますが、これはほんとうですか。
○加藤政府委員 東京地方貯金局である一部の仕事につきまして機械化をやっておりますが、その機械は現在郵政省の所有ではなくて借りておりまして、借料を年間約三千万円程度支払っておるわけであります。しかしその相手の会社は、一応向うのIBMの系統ではございますが、日本の会社になっておりまして、その経費は結局日本の会社に入るわけでございまして、実際に外国に行くのは、そのうちのいわゆる特許料に相当するパーセンテージにいたしまして大体一割から二割くらいの程度のものが、外国に流れておる状況だということを聞いております。それからそれに使いまするカードは、日本製のカードを使っております。
○松前委員 大体のところはわかりましたけれども、どうもまだ私は明確でないのだが、どうしてそれを借りておるのですか。その機械をなぜお買いにならないのですか。
○加藤政府委員 電子計算機などのああいう機械は、非常に進歩が激しゅうございまして、大体一年から二年たちますと、すぐ新しい型に変るそうでございます。従いまして郵政省で買いましてもまたいろいろ買い直しをしなければならない関係で、非常に損になる。それよりもむしろIBMの会社ではそういった機械を貸しまして、それは借料が少し上る程度で新しい機械に絶えず取りかえていく。そしてその方が最後的に計算いたしますと、金額的に得であるというようなことで、大体日本におきます会社においても借料を払って借りておる。その他のところでも借料でやっておられるところが多いようでございます。
○松前委員 外国の品物を借りて借料を払っていろいろな事務計算機にこれを使うということが、だんだん日本の各方面ほとんどすべてが、煩瑣な事務をやるところはそういう方式をとってくるということになると、大へんなことになるのです。政府が率先してそれをやるということになると、大へんなことになると思うのです。これは金額が少くても非常に重要な問題でありまして、まず第一に国産問題に相当に触れます。同時にまたただいまお話があったように、進歩が著しいから借りておった方が得だというふうな概念、これはとんでもない話だと思う。進歩が著しいのはすべての方面に著しいので、われわれしょっちゅう言っておる人工衛星だって進歩が著しいのです。何もかも借りておった方がいいじゃないか、何もかも外国のものを借りて借料を払った方がいいじゃないか、極端にいえばそういう考え方になる。そういう考え方が一体いいのか悪いのか、少し政治的な判断を大臣に伺いたいと思います。
○田中国務大臣 東京貯金局の電子計算機につきましては、私も実情を見て同じ質問を発したのであります。これは高さ一メートル半に二メートルくらいの小さなものでありますが、能率は大したものであります。私も技術屋でありますので、こういうものをこの程度うまく運用しておるのならば買えばいいじゃないか、どうして借りておるのかと言いましたら、今貯金局長が答弁したと同じことでありましたが、実際はもう少し違うようであります。どうしてそういうことをやっておるかというと、今機械化、オートメーション化に対しては組合との間にいろいろな問題があるようでありますし、その調整にもある程度時間がかかるということです。貯金も簡易生命保険もそうでありますが、相当膨大な機構を持っておりまして、オートメーション化というものに対してはこの二、三年ようやく本格的にやろうというな考えでありまして、まだそろばんでやった方がいいというような長い伝統が相当生きておるようであります。この機械をこなしてみてもう少し軽量なものが多数入れられ、また組合との調整もうまくいくような場合には採用いたそうということで、定日貝の増加という問題も、そういう意味で定員の増加ということを一面に言いながらも、こういう機械の使用の状況を見ておるというのが実際のようであります。政府が少くとも三千万円も借料を出して借りておるということだけでも相当批判も多いのだから、何とか一つ考えるようにということは、私もこの間見て参って、事務当局で買いたいならば買おう、買っても国会で問題になるのだから、高額のものを買ってもこういうプラスがあります、また組合との対立もお互いが調整できるというデータを早急に出しなさいということを言っておるのでありまして、今の段階においては試験的に、使えるものか使えないものか、おっかなびっくりに使うので借りてやろうということでありましたが、結果は非常にいいようであります。今まで使っておった諸君も、こういうものはぜひ入れなければいかぬということを私にも要求しておったような状態でありますので、この問題は一つ近く御相談を申し上げつつ、どの程度の機械化をするか、どの程度のものを年度計画で入れるかという問題について結論を出したいというのが実情でございますから、御了承をいただきたいと思います。
○松前委員 金額は軽少でしょうけれども、それを買った方でいい悪いの問題は別として、また労働組合その他失業問題も出てきますから、その辺の調整は政治的に適当におやり願うにしましても、いずれにしてもああいうものを外国から借りて二年も三年も——三年になるか二年になりますか知りませんが、森本さんのお話では二年ということですが、とにかく試験時代は過ぎておる。しかもあれは電子計算機といいますけれども、いわゆる電子計算機のようなものではなく、もっとプリミチブな、もっと初歩的なものです。能率はいいけれども……。ああいうものはなるべく自国で作るようにすればできることなんです。ある程度確かにできます。やれば必ずできます。だからそういう点も考えなければならぬと思うし、この採用の問題については、労働組合との問題もありますけれども、ほかにもいろいろな問題を含んでおると思うのです。保守もおそらくその会社がやっているのだろうと思う。郵政省の手によって保守されているのではないでしょう。人のものを借りているのですから、保守料もお払いになっておると思う。三千万円のほかに保守料を払っておるのでしょう。
○加藤政府委員 それは会社のサービスでございます。
○松前委員 とにかくこの問題は総合的にお考え願って、あまり外国に対して損にならぬようにしていただきたいと思います。
○上林山委員 関連。郵便貯金法の一部を改正して貯蓄の増強をはかろうとする政府の考え方は、われわれの考えと一致しておるので積極的に支持するわけですが、ただこの際一言大臣に強く要望を申し上げておきたいことがあります。それは民間の金融機関のサービスと郵便貯金の窓口のサービスとは雲泥の相違がある。その雲泥の相違か、郵便局の窓口が非常に親切な方であればいいのですけれども、世間のうわさではそれが反対なんです。非常に事務的で、役人的な気持で扱っておる。信用金庫なり銀行なんかに預金をしますと、窓口では、預金していただいてありがとうとか御苦労さんとかという言葉を言っておるのです。言葉に金はかからぬのです。ところが郵便局の方では、はなはだしいものは、かりに三万円か五万円か引き出すと文句を言う者が出てくる。前もって言っておいてくれと言うのです。これは通知預金じゃないでしょう。銀行の通知預金なら前もって言うておくのが正当なんですけれども、郵便局のものに通知預金という意味でやっておるはずはないのに、前もって言うてくれなければ因ると文句を言う窓口がある。また特定局などはその地域の者が多く職員になっておりますので、そういう気配は割合に少いのですが、これが普通局になると何だかもう純粋の役人になったような形で、ただ事務的に扱っておりさえすればいいのだ、何だか末端の神経が通わぬような点で非常に人気が悪い。これはいろいろな事情がありましょうが、こういう法を改正して貯蓄の増強をはかろうとする機会でありますし、ことに最近における貯蓄増強は国策として徹底してやっていかなければならぬ時期でございますから、大臣は自分の考えを第一線の者まで徹底せしめるいろいろなやり方をやっておられると思いますが、こういう面も一つ思い切って——ここの私の近くにおる数名の委員の諸君も、みんなどうも郵便局の窓口のサービスは不親切で人気が悪いねと言っておられる。これは私だけが感じていることではなくて、世間一般の人もどうも郵便局の窓口がサービスが悪い、自分の金を取りに行くのに何だか他人の金を取りに行くような感じがする、民間金融とはサービスの点においてまことに劣っておる。こういうことは大臣の耳にはあまり入らないかもしれないが、これがほんとうの声ですよ。だからこの際そういう点を一つ徹底させてもらいたい。 ついででありますから簡易保険の問題についても私は触れておきたいのですが、簡易保険を一定のところまでかけると、一定の割合でかけた人がこれを借り出すことができる。これとても自分がかけておる範囲内の何%かを借りるのに、何だか他人のものを借りていくようなあまりいい顔をしない。また親切に教えてくれない、こういうことが多いのです。こういう点については、貯蓄の奨励にしても簡易保険の奨励にしても、サービスの改善というものをもっとやっていただかなければならぬ。政府がやっておる事業が、民間金融に比べてサービスが劣るなどといわれておるということは、私はまことに遺憾なことだと思う。これは大臣だけをお責めしても、末端までなかなか通じないでしょうが、それぞれの局に当る者がこういう点の役人的気質の欠点を是正していく、民間の長所を取り入れていくというような抜本的な気持にならぬと、通り一ぺんの反省や通達等のやり方では何にもならぬと私は考えておる。私は貯蓄奨励のPRが足らないという点も認めますが、それに合せて今申し上げるサービスの面がもっと親切であってほしい。これを強調して、大臣にこの点を強く要望して本案に賛成をしておるものであります。
○田中国務大臣 ただいま上林山さんから御発言がありました通り、郵便局の窓口が銀行より悪いということは確かであります。私も十分そういう声を聞いております。これは私就任のときに直ちに省議でそういうことを申したのでありますが、官業で一番まずい面はサービスが悪いということであります。特に官吏が一番いやがるのは頭を下げることであります。銀行では預金の電話をすると取りにも参りますし、もみ手をしてくるわけでありますが、郵便局は頭を下げてももみ手までしてくれないというので、非常にサービスが悪いということは現に全国各地でいわれております。その意味で郵政特別会計は三公社五現業といいながらも三公社一現業だ。公社に最もなれるものは郵政事業ではないかとさえいわれておるのであって、なるべく独立性を保持しながら民業に移行したいという気持があるならば、もっとサービス面を向上しなければならぬということを強く言っております。特に私就任と同時に、今度は郵便貯金をやってもらっておる方々には、一つカレンダーくらいお配りするような気持にならないとだめだぞと言っておるようなわけであります。特にその具体的なものとして窓口、特に現金出納をやっている人々はあまりかえないようにということも言っておりますし、もう一つは、この間など木挽町郵便局のように、非常に窓口が親切なので、銀行に持っていこうと思うのもつい木挽町郵便局に持っていくというのもたまにはありますので、そういう人に対しては表彰しようというような処置をとっております。銀行に対して確かにいろいろな面で問題はありますが、これも貯蓄増強ということを強く打ち出しておりますので、民業に負けないように一つ大いにサービスの向上に努めるつもりでございます。
○上林山委員 大臣が明確に答弁をされたから、私は期待をいたしております。今までの大臣よりもそういう面については民間で苦労されておられるようでありますから、必ず実行されると思います。ただその際頭を下げよとか、物を持ってこいとか、そういう意味ではないのですよ。言葉でけっこうですよ。預金をした者に対して、窓口でありがとうと一口くらい言えるようでなければならないということですよ。そんなにむずかしいサービスの改善を私は言っておるのではない。最も簡単で金がかからないで言葉で済むような態度になぜなれぬか、この点を言っておるのでありますから、預金した者に対してありがとうと言うくらいの感謝というか、そういう意味の言葉を吐くことによって、一割でも二割でも貯蓄増強ができれば、郵政大臣は金を使わなくて成績を上げたことになり、これは歴代大臣の列伝に残る。(笑声)小さいようだけれどもまことに大きなことだ。私はここからいろいろな制度の改革も設備の改善もすべてが起ってくるというくらいに、この点を考えておる。笑いごとではない。まことに大事な問題であると考えますから、さらに御奮闘を願っておきます。
○森本委員 今の上林山委員の発言に関連して申し上げたいと思いますが、郵便局のサービスを銀行業務その他に負けないように、一般の商業人と同じように考えてサービスせよということについては、全く賛成であります。しかし先ほど私がちょっと申し上げましたように、商売が繁盛すればするほど損をするというような事業のやり方をしておいて商売人と同じようにやったところでなかなか無理な点があるわけであります。それから頭を下げるということは、これはいいわけでありますが、具体的な問題になってくると、郵便貯金法の第二十七条一号にも、払い渡すべき郵便局において現金に余裕のないときは、払い出しを拒否することができるという条項があるわけであります。こういう条項が現実に生きておる。生きておるということはなぜかと申しますと、今日各郵便局においては現金の保有高については初めからきまっておるわけです。何々郵便局については百に十万円なら十万円ときまっておるわけですから、そういう場合に預金者から見ますと腹が立つわけです。五万円もらいに行って五万円ばかりくれと言ったときに、郵便局の方としては現金がほんとうにないわけだ。そういう仕組みになっておる。ところがそれを係員が幾ら説明しても、郵便局全体がけしからぬということになり、怒られるのは現場の従業員だ。それから先ほどの簡易保険の貸付金問題についてもしかりである。国会において審議をするわけですが、貸付金についても予算の範囲内でなければ貸付ができない。予算がオーバーするときには、郵政省から簡易保険の貸付については、言ってきても断わってくれ、こういうことを言ってきておる。そうしておいて怒られるのは、郵便局の現職の従業員です。おれの金を使うのになぜ出してくれぬか、金を借りるのになぜ貸してくれぬかということで怒られる。五万円出しに行ったが、郵便局に一万円しか金がないので出してくれぬというわけですが、実際の内部事情片今私が言ったような内部事情になっておる。従業員に頭を下げて商業的に偽れということは大いに賛成でありますまた大臣がそういう教育をすること丈賛成であります。また大いにそういうサービスを改善していかなければならないということは賛成であります。しかしこういう面を事業的な機構面、それから運営面、そういう面については当局の高級官僚の方においても、そういう末端の非常につらいところも考えて、そういう点については十分にサービスが行き渡るように、末端の苦労というものを考えてやってやる措置を難じてやらぬと、ただそういうことを言っても下のところは非常に困る。それからたとえば現在各郵便局においては、純増目標が減るということを非常にきらうわけですね。Aの郵便局へ貯金を引きに行くと、おれのところで引いてもらったら成績が下るから、隣の局へ行って引いてくれということが往々にしてあるわけです。そういうところも、これは貯蓄増強目標の上から目標額というものをどんどん押しつけるところの一つのものが現われておるわけです。そういう点を総合的にこれは十分に気をつけて、一つ大臣としてはやってもらいたい。私は国民のサービスに大いにこれをやるということについては賛成でありますし、またこの従業員諸君をそういう方向に教育をするということについても大いに賛成でありますけれども、その反面、今言ったあらゆる面を総合的に検討して、国民のサービスに全面的に協力ができるような方向にお願いをしたい、こういうことでありますので、この点については私は大臣から最後に一言答弁を願っておきたい、こう思うわけです。
○田中国務大臣 もちろんただいま御発言の通りであります。いずれにしても先ほど申した通り、現行では赤字を出しておっても、六分を上げてもらえば十分まかなっていけるにかかわらず、押えるところは押えておってそうして要求すべきところだけは要求するということは、確かに問題があります。特に民間は個人の責任を持った自由裁量権というものがある程度認められておりますが、官庁機構の中にあっては法規裁量を堅実にやらなければいかぬということもあり、なかなかサービスに対しては問題があるでしょう。現在の郵便貯金法第二十七条の第一号等も、多少これは旧憲法時代の思想そのままを転記したような表現であります。こういうようなものも抜本的に直していかなければならぬ。だから新しい意味の昭和三十二年度の予算編成に対しては、国民貯蓄の増強ということが非常に大きな柱になるのだという考え方からいたしますと、こういう法律上の問題、制度上の問題もあわせて勘案しつつ、お互いが国民のよき奉仕者になれるような態勢を整えつつ実効を上げるようにしたい、また私もそういうことに対して努力したいと思うのであります。
○松井委員長 他に質疑はございませんか。——別に質疑がなければ、これにて本案に対する質疑は終了いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松井委員長 御異議なければ、これにて本案に対する質疑は終了いたしました。 次に討論に入ります。討論の申し出がありますので、順次これを許します。橋本登美三郎君。
○橋本(登)委員 ただいま議題となりました郵便貯金法の一部を改正する法律案に対し、私は自由民主党を代表して賛成の意を表するものであります。 現下わが国の経済情勢において最も緊要とするところは、国際収支の改善、消費の節約並びに物価の安定をはかることでありますが、これがためには国民貯蓄の増強がきわめて肝要であります。従って郵便貯金は、国民貯蓄の大宗として貯蓄増強の上にますます重要な使命をになうに至ったのでありますが、現行郵便貯金法においては、一口座当りの貯金総額は二十万円という制限を付されており、定額貯金の利率は銀行、農協その他の民間預金に比して著しく低位に置かれ、これが郵便貯金の増勢に著しい制約を加えていることは、世論のひとしく認めるところであります。 しかるに今回政府はこの法律案により、貯金総額の制限を二十万円から三十万円に引き上げ、定額貯金の利率についても一厘ないし三厘を引き上げ、積立貯金の一回の預入金額についても改正するところがあり、従来貯金増強の隘路とされておりましたところが少なからず是正されましたことは、きわめて適切なる措置と考えます。ただ定額貯金の利率については、その引き上げ率がなお少しく低きに過ぎるやの感があります。これらについては将来の機会に再検討せられんことを希望する次第であります。 なおこの原因の一つは、預金部資金の利子は郵政省には六分の預託率となって渡されておるわけであります。これはこういう低率に押えられておりますために、貯金会計の上から見ますというと、三十二年度におきましても大体四十四億円の赤字が出る。過去においても預託率は昭和二十七年には六分五厘という率であったものが、年々これが低下を見て、今日では六分の預託率ということになっております。この関係からして、今回の二厘ないし三厘の引き上げによって、三十三年度の赤字は大体政府の説明するところによりますと七十億をこえる、こういうような状態であるようであります。この点は今回の低率に利子が決定されましたのも、一つには大きな原因としては、郵政省への預託率が低きに失する、こういうところに大きな原因があるのでありまして、もちろん公共事業等に使われる金でありますからして、政府が預金部資金の利子としての引き上げを希望するのではなくて当然赤字に対しては原則的に、——もちろんこれは郵政省の借り入れとなっておりますけれども、将来かくのごとき不合理なことを法律的に解決するために、何か具体的な法律的な措置を私たちは必要とするのではなかろうか、こういう点を特に政府においては将来考慮してもらいたいということが第一点であります。 第二点におきましては、今回のこの預金部資金の貸し出しの問題でありますが、大蔵省において預金部資金の割当等を行うのでありますけれども、当然これらの金を集める機関である郵政省としては、郵政大臣は将来預金部資金の割当等についても、何らか大蔵省当局に相談することによって、常に大衆の預金を公衆に還元するという方法を講じてもらいたい。 この二点を特に強調いたしまして、自由民主党としては、本法律案に対し適正妥当なるものとして賛成の意を表するものであります。(拍手)
○松井委員長 森本靖君。
○森本委員 ただいま議題となりました郵便貯金法の一部を改正する法律案に対し、私は日本社会党を代表して賛成の意を表するものであります。 この法律案の目的とするところは、郵便貯金の貯金総額の制限額及び定額郵便貯金の利率を引き上げることによって、国民貯蓄の増強をはかろうとするものでありましてその大綱においてはわが党の年来の主張と合致し、またわが国現下の経済情勢から見ても、妥当な措置と思われますので、本案はわが党といたしましても、これを支持するにやぶさかでないのであります。しかしながらしさいに検討いたしますと、この法律案に関連をして、次に述べるような幾多の疑問があるのでありまして、私はこの機会にこれらの疑問の点を明らかにして、将夫における政府当局の善処を要望しておきたいと思うのであります。 第一に、この法律案の施行等の増強策によって、郵便貯金の総額は漸次増額し、これに伴ってその国家財政資金面においての重要度も今後ますます高まってくると思うものであります。郵便貯金は申すまでもなく多数国民の零細貯蓄の集積でありますから、これが運用に当っては、きわめて公共性の強い方面に投融資することによって、その利益が大衆に還元することをはかることが最も肝要であります。しかるに現在政府の財政投融資計画は、この意味において果して万全であるかどうかを考えてみまするに、そこに幾多の疑問を抱かざるを得ないのでありまして、ここに一々論評することは避けますけれども、私はこの機会に政府が郵便貯金を基盤とする財政資金投融資計画について十分再検討し、この貴重なる国民貯蓄の集積を最も公共性の高い使途に、十分に投入することによって、運用の効果を国民の福祉の面反映するように努められることを希望するものであります。 第二に、郵便貯金は財政資金として運用よろしきを得れば、その利益は間接的に国民に還元されるわけでありますけれども、郵便貯金がやがて一兆円にもなろうとする膨大な資金源を形出した今日においては、その一部をもって運用の利益がより直接的に預金者に還元される制度、言いかえれば預金者に何らかのサービスを提供する方法も講ぜられなければならないと考える次第であります。たとえば定額または積立郵便貯金を担保とする預金者貸付等の制度は、銀行預金との対比においても当然考究せらるべきものでありまして、これは一つの例にすぎませんけれども、総じて預金者との結びつきを緊密にすることによって郵便貯金の普及化をはかる方法が、もっと研究せられてしかるべきだと考える次第であります。 第三に、郵便貯金を実際に勧奨普及し、かつ預払い一切の事務を行うのは郵政当局であるにかかわらず、これが運用の面をすべて財務当局が握っておるということは、郵便貯金の運用が預金者から遊離する一つの大きな原因となっております。簡易保険資金の運用面におけるこの欠陥は、大論争の末、先般ようやく解決を見たのでありますが、程度の差こそあれ、郵便貯金についても同様のことが言えるのでありまして、郵政当局が手をこまねいて預入を待っていたのでは、郵便貯金の増強は思いもよらないのであります。そこで郵便貯金による財政資金の一部でも郵政当局の運用にゆだねるとか、あるいは資金運用部の資金の運用を郵便局の窓口を通じて行うとか、何らかの方法で郵政当局を運用面にタッチさせることができたなら、資金の運用は預金者にとってより身近なものとなり、郵政従業員の勤労意欲を高揚し、貯蓄増強に資する効果はきわめて大きいと思うのでありまして政府当局のこの方面に対する研究をわずらわしたいと考えておる次第でございます。 第四に、資金運用部に対する金利の点であります。この点につきましては、先ほど同僚橋本委員からも申されました通り、年六分というのはあまりに低きに失する金利でありまして、このことによって郵便貯金会計が赤字になり、その赤字は資金運用部資金の繰り入れによってまかなっているという状況であり、事業が膨張するに従って借金がふえるという異常なる今日の郵便貯金会計にありましては、これを早急に是正する措置が望ましいと考える次第であります。 第五に、これは法律案に直接関連する問題でありますが、今回の定額貯金の利率の引き上げは、銀行等民間預金の現行利率と比較してなおかなり低いものでありまして、郵便貯金増強の必要性からいうならば、はなはだ微温的な引き上げであるといわざるを得ないのであります。常識的に見て、一年以下のもの四分八厘、一年以上二年以下のもの五分五厘程度が適当であったと考えるのでありますが、諸般の事情上やむを得ないとするならば、将来銀行、農協等の民間利子との均衡をはかって適当に是正するよう、政府の努力を期待するものであります。 最後に、積立郵便貯金の据置期間は現在二年となっておりますけれども、これの一年ものを作ってはどうかという問題であります。当局の説明によれば、集金等の経費の関係で実施困難であるということでありますが、今回の改正により一回の預入金額は一万二千円まで引き上げられたので、経費上の採算もとれるのではないかと思うのでありますが、この点につきましても当局の一考をわずらわしたいと存じます。 以上この機会に、将来政府当局として十分考究善処していただきたい事項を数点にわたって述べたのでありますが、さしむきの措置としては、この法律案の内容とするところはおおむね適当と認め、日本社会党は本案に賛成するものであります。 これをもって私の討論を終ります。
○松井委員長 これにて討論は終局いたしました。 次に採決いたします。郵便貯金法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔総員起立〕
○松井委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。 この際郵政大臣より発言を求められております。これを許します。田中郵政大臣。
○田中国務大臣 この際一言申し上げます。郵便貯金法の一部を改正する法律案につきましては、慎重にかつ熱心に御審議賜わり、本日御可決下され、感謝にたえません。審議の過程において種々各委員より有益な御発言がありましたので、郵政当局といたしましても十分その趣旨を体し、法の運用に対し万遺憾なきを期し、本法本来の精神が全うされるよう努力を誓いまして、ごあいさつにかえるわけであります。(拍手)
○松井委員長 なお本案に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願います。 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後零時十六分散会