地方行政委員会 第2号
- 発言数
- 44 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1957/11/05
会議録
○中井委員長代理 これより会議を開きます。 門司委員長は所用がありましておくれて参りますので、私が委員長の指名により委員長の職務を行います。 前回の委員会において、請願審査小委員及び小委員長の選任につきまして、委員長に一任になっておりましたが、本日これより指名をいたします。請願審査小委員としては 木崎 茂君男 纐纈 彌三君 渡海元三郎君 吉田 重延君 川村 継義君 今村 等君以上六名の諸君を指名いたします。なお右小委員長としては纐纈彌三君を指名いたします。
○中井委員長代理 次に警察に関する件について調査を進めます。質疑の通告があります。順次これを許します。山田長司君。
○山田委員 前回の本委員会におきまして、佐野市の公金流用問題についての質問を長官に申し上げたので、長官から最初に御答弁願いたいと思います。
○石井政府委員 前回の当委員会におきまして、山田委員よりお尋ねのございました佐野警察署の落成に伴う寄付の問題、それに関連を持つ意味におきましての市役所の公金流用問題の捜査の結果についてお尋ねがあったのでございますが、当時私はその問題につきまして何ら報告に接しておりませんためにお答えができなかったのでございます。その後状況を栃木県知事に照会をいたしました結果、わかりました概況を申し上げてお答えとしたいと思うのでございます。 佐野警察署の改築落成の問題につきましては、これは御承知かとも思いますが、佐野警察署はきわめて古い庁舎でございます。明治四十五年の建物であるということでございます。かねがねこの庁舎の新築という問題が地元においてあったのでありますが、なかなか機熟さなかったのでございますが、昭和二十九年の警察制度改正を契機としまして、署の改築の問題が具体化して参ったのでございます。御承知の通り、警察署の改築につきましては、半額国庫補助、半額当該府県持ちということになっております関係上、県財政の都合等もありまして、いろいろと県財政当局におかれても研究を続けておられたのでございますが、幸い機熟しまして、昭和三十一年に、県の正式な議会の議決を得まして、佐野警察署の改築の予算が計上されることに相なつたのでございます。そのとき、警察署の本庁舎が、今申します通り明治四十五年前の古い建物であるので、これを改築するということに一応決定しまして、県警察本部としましても、また県財政当局においても、そういう方針のもとに予算が計上されることになったのでございます。これは、結局予算的には約八百万円で改築をする、こういうことに相なったのでありまして、先ほど申します通り、半額国庫補助であります関係上、純県費は四百万、国庫補助金約四百万、こういうことに相なったわけでございます。ところが、この署の改築の機運が熟してきますと同時に、地元におきましては、せっかく警察署の本庁舎を改築するならば、この際付属施設である道場、あるいは車庫、物置といったような付帯施設も同時に新築するのが望ましい、こういう意見がほうはいとして起ったのでございます。しかしながら、県財政当局の財政上の都合もありますし、また今申します通り、本庁舎は明治四十五年の古い庁舎でありますが、その他の付属施設は、比較的経過年数もまだ新しいものでありますので、今これをあわせて改築するということは、時期が必ずしも適当でない、こういう見解のもとに、県当局におきましては、一応正式な予算によりまして改築するのは本庁舎のみという方針をきめたのでございますが、地元の強い要望によりまして、それではその付属施設の改築の分は、地元がこれを現物寄付するから、県の方において寄付を採納してもらいたい、こういうことに相なったのでございまして、地元と申しますと、佐野署の管轄区域内である佐野市、田沼町及び葛生町、この一市二町になるわけでございますが、この三つの市町長さん、あるいは市会議長さんなり町議会の議長さん、こうした方々が中心となられまして、佐野警察署建築委員会なるものを結成されまして、この建築委員会において署の付帯施設の改築をしまして、これを県に寄付いたすから採納してもらいたい、こういうことに相なったのでございます。県知事におきましては、この佐野市ほか二町は、いずれも健全財政団体でもありますし、地元の切なる要望、御好意でありますので、これを受け入れることによって特別弊害もない、こういう見地のもとに寄付を採納いたすことに相なったのでございます。こういういきさつで二十一年度に県予算に計上されました本庁舎の落成予算に基きまして、工事に着手いたしまして、本年三月末までに工事が完了いたしまして落成をみた、こういうことに相なっておるのでございます。先般お尋ねの佐町市役所公金流用問題が起りまして、この佐野警察署の落成に伴う、今申し上げました地元の寄付というようなことと何らかの結びつきがあるために、警察当局としては、佐野市役所の公金流用問題を捜査上何らかの手心を加えて結論を出したのではないかというふうな意味のお尋ねであったかと思うのでございますが、私ども現地の方から実情を報告を求めたことによりますと、今申し上げまする通り、佐野警察署の改築の問題は、つとに起っておった問題であり、今申し上げます通り、三十一年度の県の予算に成規に計上されまして実現を見たものであり、一方佐野市役所の公金流用問題を現地の警察が知りましたのは、今年の八月十八日、地元の新聞紙によって大々的に報道されたことによって、初めて端緒を得まして、自来捜査を進めたものでございまして、こうした佐野市役所にいかがわしい問題があるので、その捜査に手心を加えることによって、警察署の新築に関連をして地元の寄付を仰ぐといったような関係は絶対にない、こういうふうに現地からは報告に接しておるのでございます。 佐野市役所の公金流用問題につきまして、現地の警察が、今申します通り、八月十八日の地元新聞紙の報道に端緒を得まして、捜査を続行いたしました結果につきまして、地元市民において、非常に深い関心を持っておられました関係もあり、また新聞紙等も、捜査の結果は、差しつかえない範囲で発表してもらいたいという切なる要望もございました関係上、先月の十五日に一応捜査を終りましたので、これを取りまとめまして、新聞社等の要望に基きまして、その経過の概要の発表という形をとったわけでございます。当時の状況からいたしますと、やむを得なかったかと、かように考えておる次第でございます。
○山田委員 長官の概況御説明はわかりましたが、警察署で、公金流用捜査結果についてという印刷物を、地元市民の要望及び新聞社の人の要望というふうな意味のことが言われましたが、地元で果してそんな要望をしたものか、それから新聞社でそのことを要望したかしないかということは、実は、新聞社の方で取りまとめて、そういう要望したことはないということの新聞社の人たちの証明がとってあります。そういう事態ですから、今長官が、新聞社の人がそういう要望したというようなことを言われておりますけれども、地元の小さい新聞も、それから地元の地方紙の大新聞も、さらに東京の地方版を持っておる大新聞も、そういう要求したことはないということになっておるのです。長官の方には、地元のだれがこういうものを要求したということを言っていますが、これが一つ。 もう一つは、全国に、警察が犯罪捜査に当って架空の領収書を作ったということがはっきりしているような事犯について、警察が白であるというふうな証明書のようなものを出した事例があるかどうか。どう考えても、これらについては越権の措置としか考えられないのですが、その二点について最初に伺います。
○石井政府委員 私は、現地からの報告を率直にそのままもとにしましてお答えをしておるのでございまして、現地の報告によりますと、佐野市役所の公金流用問題というのは、今地方ではかなりセンセーショナルな問題であるわけです。市民の方々も、新聞に大きく出ただけに非常な関心を持っておられる、その真相がはっきりと新聞等によって報道されることを待っておる、こういう状況であります。また新聞社も一たん取り上げて掲載したからには、その結末がどうなるかということにつきましては、報道の責任ある立場からも当然考えられることでございまして、そしたことから捜査が一応完了したときにはその結果を知らしてほしいという要望があったというふうに、私どもの方には報告があったのでございますが、今のお話ではそういう要望をした者はないということでございますから、私どもの方ではまた重ねてその点はよく調査してみたい、かように思っております。 なお全国的に個々の捜査の問題についての事例というようなことのお尋ねがございましたが、その点は刑事部長からお答えさせることで御了承願いたいと思います。
○中川説明員 こういった全国の例があるかという御質問でございますが、これは刑事訴訟法に、被疑者の名誉を傷つけたり、関係者の名誉を傷つけたり、それから捜査の秘密に支障のあるようなことをやってはならぬ、こういう規定がございます。なるべく秘密にしたいということが一つの原則と、それから国民の方々からなるべく事実は報道してほしいという原則がありまして、各府県の警察等も苦心していますから、その原則に基きましてある段階等において被疑者の名誉を傷つけない限り、また捜査の秘密に支障のない限りなるべく新聞社等に話しておるというのが全国の実情であります。まあ具体的なケースといたしましては口頭でやる場合とか、一問一答の形でやる場合とかいろいろの例がございますが、文書でやる場合は比較的事例が少いのでございます。ことにこういうふうなものは比較的少いかと思いますが、状況によりまして二つを調和して、いろいろ各府県とも苦心しておる状況でございます。
○山田委員 さっぱり今の答弁は要領を得ていないのです。一体警察が被疑事件というものについて白であるという断定を下すということは、警察の越権だと思いませんか。
○中川説明員 警察は犯罪を捜査いたしましたら、刑事訴訟法に基いて検察庁に送致いたします。送致いたしました事件に基いて検察庁は起訴する。白か黒かということは、極端に申しますと裁判所の判決を待たなければいかぬことでございますから、そういう意味で白か黒か明確に言うことは、警察としてあり得ないことだと思っております。
○山田委員 今部長が言われるように、刑事訴訟法の二百四十六条に従うと、確かに警察は捜査の結果を検察庁に送致するだけでいいという規定があるにかかわらず、この事件というものは御承知のように警察で白であるということを断定しておるじゃありませんか、これは問題だと思うのです。これじゃ検察官の必要がなくなってくるじゃないですか、この点を私は尋ねているわけなんですが、先ほどからのあなたの答弁を聞いていると、こういう事例がいかにもあるかのごときことを言っておる、これでは今のあなたの答弁と、答弁が違うじゃないですか、一体どうなんですか。
○中川説明員 警察が白か黒かという断定をする国の機関でないことは先ほど申し上げた通りでありますが、刑事事件というのは一つの手続に基いて進行するわけでありますが、進行段階ごとに、いろいろやることはみな公けの機関が公共の福祉のためにやることですから、進行段階ごとに必要な事柄は国民に知らせて差しつかえない、また国民にお知らせ申し上げた方が、民主主義の建前からいっても正しいと思われる事項を段階ごとに関係者の方々に話すということはあり得る、こういう点を申し上げたのであります。お尋ねのこの文書が白であるということを断定したものであるというふうにごらんいただいたわけでございますが、これもごらんいただいていろいろ文字その他の御研究も願ったと思いますけれども、文字についてわれわれも若干不備な点その他を認めざるを得ないと思いますけれども、これ全体を通じてこの事件が白である、こういうふうに断定したというふうにもとりがたいので、警察の捜査においてはこうこうこういう状況であった、こういうことで、その警察の捜査に次ぐいろいろな国の機関の措置を否定したというふうには言いにくい点もございますので、われわれ警察が一生懸命やった程度においてはこういうことであった、こういうふうに理解して私たちは読んだのでございますが、まあ文章その他のいろいろこまかい点につきますと、私ども見てみまして、どうも文字についておかしいなという文字等もあるわけでございまして、そういう全体で不格好な点は私どもも認めるわけでございますけれども、この文章全体が全くの白である、こういうふうに断定したとごらんになるのは——警察の調べの状況はこうであった、こういうふうに御理解願っていいのじゃないかと思います。
○山田委員 先ほどの長官の話及び部長の話を伺っておりますと、この報告がいつ長官の方に届いたのかわかりませんけれども、この間の十月三十一日の佐野市議会においては、市長はこの架空の水増し領収書の警察との話し合いの過程においては、一切相談に応じておらぬと言っておる。それからもう一つ佐野の市議会議長はこういうことを言っておる。警察がいかようなものを発表しても想像で書いたものとしか思われないと言っておる、市会の席上で市議会議長はそういうことを言っておる、想像で書いたものを警察では発表しておると言う。一体そんな、どっちも公けの機関です、その公けの機関同士で、市側では市議会及び市長は関知しないと言い、それから市議会議長は想像で書いたものと思われると言う。こんな想像で書いたと思われるようなものを、一体だれが要求したのかわけもわからない過程で、警察は、市民の要求に従ったから出したのだと今長官は言っておるけれども、一体これからは市民が要求しさえするならば、犯罪の捜査の衝に当った者は、みなこういう印刷物を出すのですか。
○中川説明員 国民の方々から要求があったら、犯罪の資料は全部出すのかという御質問でございますが、この点は先ほどから申しましたように、関係者の名誉を傷つけないという原則、捜査の秘密を漏らしてはならないという原則、その両原則と、なるべく公けの機関がやった公けの処置については、国民のための公けの機関でございますから、広く知らせたいという一つの原則があります。これらの原則を具体的な場合にいかに調和をとるかということをいつも念頭に置きながら措置すべきものと考えますので、御質問のいかなる場合にも出すかということにつきましては、今申しました二つの原則の調和ということを常に念頭に置きながら、合理的に考えながら、国民の要望とその二つの原則とをいつも調和しながら措置して参るべきものだと考えます。
○山田委員 この警察署で出した印刷物だけを通してみても、法律専門家の言によると業務上の横領、詐欺、それから印鑑偽造、私文書偽造というこれらの問題が完全に法律的に成立する、これは弁護士数人の言葉でありますけれども、そう断定して実は告発を一日の日にいたしたわけであります。そういうほどのこの犯罪上における事実と目されるものが出てきておるわけでありますが、一体こういう場合に、今度の場合は公けの佐野市に起っておる市側及び警察側の問題であるけれども、もしこれが全国の各府県なり自治体なりに起って、市民なり県民なりが疑惑を持つような事犯については、警察庁長官及びその部長はみなこういうものを出してもいいということをここで言い切れるのですか、どうなんです。
○中川説明員 重ねての御質問でございますが、今私がお答え申し上げました原則を個々に判定するわけでございますが、ほかの地方におきましてほかのこれに類する事案が起りましたときに、当該事案の関係者の名誉の状況ないしは捜査の状況と関連して、常に必ずしもこれと同じようなことが発表できるとは限らないと思います。お答えいたしましたように、二つの秘密保持の原則とそれからなるべく関係者に知らせたいという原則を個々の事案ごとにその当該の要望と秘密の程度によって勘案して処置すべきものと考えるのであります。
○山田委員 同じようなことを繰り返してもしようがないのですけれども、この問題は私はもう少し保留して、あとでもっと明確にしたいと思うのです。 次に長官が言われた地元の人たちの佐野市、田沼町、葛生町、こういう自治体の要求で建設委員会をこしらえて三月末日に落成したと言っているが、一体建設委員会の会長はだれだと思っているのですか。
○石井政府委員 佐野市の市長さんが建設委員会の会長になっておられます。田沼町長さんが副会長、こういうふうになっております。
○山田委員 それでは一切の権限はこの建設委員会の委員長に権限があるとお思いですか。
○石井政府委員 先ほども申し上げましたように、佐野警察署の本庁舎の新築に伴いまして付属施設の分につきまして今申します佐野警察署庁舎建築委員会、佐野市長さんが会長となられているこの委員会が現物寄付をするという申し出を県当局に対してなさったのであります。県知事にそれを寄付された、こういうことなのでございます。
○山田委員 付属物の建物その他についての建設委員会の委員長という話でありますが、かりに四百万からの金を集めておいて、三月以来いまだに何らの、建設委員長に一言の相談もないというのです。今の長官の話を聞けば、この付属その他のものについては建設委員長を佐野市長にさせておるというならば、少くとも市長に四百万の金の使途についての一言の相談が警察からあってしかるべきじゃないか、こういう点が了解できないのですよ。一体この点はどう思うのですか。
○石井政府委員 警察はこの点について直接関与いたしておらないのでございます。先ほど申します通り、佐野市、田沼町、葛生町、この一市二町の関係の方々によって建築委員会というものが作られ、付帯施設等を現物寄付をするということを県当局に申し入れをされておるのでございます。県知事の方において弊害ないものと認めてその寄付を採納するということに相なったのでございます。警察はこれには何ら関与しておらないのでございます。
○山田委員 長官のさっきの話を伺っておって私今思ったのですが、付属物の建設の委員長という形で携わった者が市長である以上、及び田沼町、葛生町である以上は何らかのそれらについての相談があってしかるべきものと思うのです。全然そのことの相談がないので、市当局においても、一体どういうことで寄付を押しつけたのか、その寄付を自治体が要望したというのは全然でたらめでしょう。警察署長から何とかして寄付してくれという要請があったので寄付をしたと地元で言っているのです。地方の自治体はこういうものは出す意思は全然なかったのです。だから問題が起っておるのです。それだからこそこの四百万の工事に当っても、地元では全然了解ができないので、未だに決算の報告が何らなされていないということを言っておるのです。警察署は関係しないということをどうして長官ははっきり言えるのですか。
○石井政府委員 私は先ほども申します通り現地から報告を求めましたところ、今お答えしましたような報告に接しましたので、そのままそれをお答えしておるのでございます。警察が外部から寄付を求めることにつきましては、とかくの疑惑のもとにもなりますことであり、もともと好ましいことでございませんので、前会の当委員会においても私申し上げたかと思うのでございますが、私が長官に就任しました最初の仕事と申しますか、多年警察が外部から寄付を求めることによってとかく警察の公正を疑われるようなことがあるので、またがたがた特に赤字財政の自治体等から寄付を求めるということは、自治体の財政を圧迫することにもなることでございますので、赤字財政克服が叫ばれておる際、この自治体の赤字財政克服に協力する意味においても、警察はそうした寄付を受けるべきでないということを私は強く感じましたので、長官就任早々警察がもっぱら財政援助を目的とした後援団体等から寄付を受けることは、今後一切廃止してもらいたいということを全国の各都道府県警察本部に強く要望いたしたのでございまして、その点は私は手前みそになりますが、おおむねその線に沿って全国各都道府県とも誠意をもってやってくれておるものと確信をいたしておるのでございます。従いまして今回佐野市の警察署の問題につきましても、現地の報告を私は率直に受け取りたいのでありまして、もしそれが山田委員のおっしゃるように事実と相違するということであるならば、私の今申します寄付に関する方針にも背馳することにもなりますので、その点は関係者の責任を十分追及したい、かように考えております。
○山田委員 明確な長官のそういう寄付行為についての御意思まことに私はけっこうだと思うのです。しかし、今度の事件というのは、明治四十五年の旧庁舎であったからこれを新たに改築落成せしめたものだ、こういう報告にのみあなたは了承を与えておるようでありますけれども、実際に建てた最初の基礎は、四十五年だったかもしれないけれども、それが新築にひとしいほど今まで回を重ねて直されておったのです。直されており、使用にたえられないようなものではなかったのです。それが新しく改築されたことに問題が——市民から疑惑が起っておるのです。同時に、まして物置やその他の付帯的な建物の個所などについては、これは全く新しいものだ、それがいかにもたえられない建物であるかのごとく寄付を集め、さらに国費を費して建築をされているところに、業者とのいろいろな醜聞が伝えられることになるわけです。もう一つは、大体かよわい芸者から寄付金を集めて、庁舎の中にある時計、それからさらに質屋へ制服の警官を何時間も入れておいて、質屋の営業を成り立たないようにしてしまった。それで質屋からも、大きな火ばちを寄付させているというような風聞があるのです。ですからこの地元の市民からは、全く下のものから警察の排撃が起っているわけです。まだそういう例をあげれば、タクシー業者から寄付をもらっているとか、実にけしからぬ事件がたくさんあるわけなんです。ただ報告だけではこの問題というのは処理できぬ段階にあると思うのですが、こういう点についてただ現地の報告だけでなく、新たに警察庁長官がこのことの特別な調べを出す意思はないですか。
○石井政府委員 ただいまお話のありました通り、本庁舎は明治四十五年の建物でありまして、かなり年数を経ておりますが、その他の付属施設、たとえば道場あるいは車庫、倉庫、小使室、こういったようなものはいずれも昭和年代に入ってからの建築にかかるというふうに私どもの事務当局においては調査いたしておるのでございます。従いまして、今申したような付属施設の改築ということは時期尚早であるということで、栃木県警察本部から佐野警察署の改築の議が起りましたとき、本庁舎については一応明治四十五年の古い建物でもあり、改築も相当理由ありということで、これに対してのみ補助金を出すということにいたしたのでございまして、その点は先ほどお答えいたした通りでございます。従って、付属施設についての改築ということは、地元においても考えておらなかったというふうに私どもは考えておるのでございます。たまたま先ほども申しました通り、せっかく本庁舎を改築するなら、この際あわせて付属施設も改築したらどうだ、その分は地元において現物を寄付をするからという切なる要望と申しますか、非常にありがたいお志があったために、しかも県当局におきましては、関係の市なり町がいずれも健全財政団体であるので、そうした寄付を受けても弊害はない、こういう見解に立って寄付を採納いたしたというふうこ相なっておるわけでございます。 もしそれが事実とたがいまして、警察が何とかこの際付属施設を、あまりいたんでもおらぬけれども、本庁舎を改築する絶好の機会だから、この機会に寄付でもしてもらっも、それで改築しようというふうに計画したということであるならば、先ほど来私が申し上げました通り、警察が外部に寄付を求めるということは直接たると間接たるとを問わず、断じて好ましいことでないというふうにかねがね強調いたしております方針に背馳いたしておるわけでございますので、その点もあわせて十分究明いたしたい、かように考えております。 なお具体的に例示されましたところの、たとえば芸者組合から署の置時計の寄付を受けておるということでございますが、その点も私報告に接しておるところによりますと、警察署の落成式の日に芸妓組合の芸者さんたちがいろいろ接待をして下さったそうでございます。それに対しまして、先ほど来申します警察署建築委員会の方におきまして、芸妓組合に対して何がしかの謝礼をされたのでございます。ところが芸者組合の方においては、そうした謝礼をもらうのは適当でない、心から自分たちが接待に出向いたのであって、謝礼を受けるのは心苦しいというので、その謝礼をお返しをされたのであります。その謝礼分の金をもちまして建築委員会が、それではこれを署に置時計として寄付をしよう、こういうことになったというふうに聞いておるのでございます。質屋については、そうした事実はないというふうに報告に接しております。
○山田委員 長官もあまりに地元からの報告だけでは——これは私がなぜ現地調査を出す必要があるかということを申し上げたかというと、実はこういうことを明確に一つお取調べ願いたいのです。灯台もと暗しという言葉がありますが、遠いからなおこれはわからぬ。私が申し上げるのではない。地元から私に明確に数人の人の陳情があったから申し上げるのですが、幸楽にお幸さんという人がおります。幸楽というのは料理屋ですが、そこにお幸さんという芸者がおるのです。これが署長の二号であるというもっぱらの佐野市の評判です。さらに地元の栃木新聞という新聞に——秋山さんという人が支局長ですが、この人の女房が、市会議長の篠崎忠司という人の二号の広子、これの実妹なんです。実際の姉妹なんです。そういう関係で、これがお幸さんとのつながりというものが非常に密接なために、作らなくともよい警察を作る。篠崎忠司というのはこの地方における唯一の土建屋さんですが、作らぬでもいい庁舎を作り、作らぬでもいい付属物を作るこの市会議長は、佐野市の小学校、中学校の学校を全部作っている。佐野市に十数軒の土建屋さんがいるけれども、幾ら入札してもほかの人に落ちないという。しかも一たび入札に当っては、非常に安い値段で入札をするけれども、あとで工事の変更をして、これでべらぼうにもうけている。そういう状態なんであるから、作らぬでもいい庁舎を作り、付属物を作る。実際そういう関係で、地元の人のだれだって、こんな警察署の増築だの改築だのというものに喜んで寄付を申し出るなんて、そんなばかは今どきいないのです。なぜこんなことを私が申し上げるかというと、それほど地方自治体というものは——葛生町というのは健全財政だというけれども、一盤城セメントという大会社が固定資産税を納めているから健財なのであって、実際周辺の農民や何かは決してゆとりがあるわけではないのです。そういう状態でありますときにこの庁舎の建設がなされたり、あるいは改築がなされたり、いろいろ身に余ることがなされているので、周辺の市民からの世論というものが起きてしまったのです。どうかそういう点はもう一ぺん調査してもらいたいと思うのだが、調査をする意思はないのですか。
○石井政府委員 ただいま御例示になりました点、私全く初耳でございます。そういうことがあったとしますならば、これはゆゆしい問題であると思いますので、先ほどお答えしましたような問題点とあわせて厳重に調査をいたしていきたいと思います。
○山田委員 どうか厳重に調査をして、もう一ぺんこの委員会でこの結末を御発表願いたいと思うのです。そうでないと警察の威信というものが地に落ちてしまうのです。こういう事態は市民が全部知っているにかかわらず、その報告だけを信じて、しかも長官は、いかにも地元の人が寄付をしたいからというので、作らぬでもいいものまで作り直しをいたしましたという、そんな報告では報告として私は聞き取れないから強く要望しているわけなんです。どうか一つもう一ぺんお取調べの上、この委員会で御報告を願います。
○北山委員 関連して伺います。警察署に対する寄付の問題は、石井長官も就任以来非常に熱心に勧めて、寄付をしないようにという方針で相当改善をされたという点は私も認めるのですが、ただし現地の方ではいろいろな事態がありまして、どちらかといえば、警察に対する誘惑といいますか、そういうものが多いわけであります。従って、やはり現在でもいろいろ問題があると思うので、この点は長官がおっしゃった通りによく調べていただきたいと思うのです。 なお、先ほどの質疑の中でちょっと私疑問に思っておりますのでお伺いするのですが、きょういただきました「佐野市役所の公金流用問題捜査結果について」という約二十ページくらいのプリントですが、これが佐野警察署の方から発表になったのだが、私は、どうしてもこれはやはり変じゃないかと思うのです。先ほどの部長のお話でも、やはりこの犯罪の捜査を警察がやる、しかしながら最後の公訴の提起、起訴するかしないかという問題は検察官がやる、こういう建前になっているわけです。従って、どんな捜査をやってもいいのですし、いわゆる名誉に関しないような場合とか、捜査に支障のない場合には中間的にある程度の外部に対する発表というものは私はあり得ると思う。しかしながら、これを見ると、これは明らかに行き過ぎなんですよ。というのは、この三つの事件、すなわち諸給与に対する課税漏れの事件と、通信運搬費の流用と、物品購入の問題と、この三つに分けて、詳細に捜査の内容から結果について、個々の問題について判定を下しているのです。非常に詳しく書いてあって、最後には締めくくりがしてあるのです。「以上の通り三つの事実について、その捜査の結果を述べたのであるが、各事実について、小島前会計課長、伊藤前市長、谷前収入役、更に小泉現市長等の個人着服は認められない。 更に本件については、各事実共犯罪構成要件が欠けていることは、明瞭であるが、本件は当初より、新聞紙上に掲載され、大きく市民の疑惑を受けたものであるから、刑事訴訟法第二四六条に基き関係書類は、一応検察庁に送付する予定である。」こう書いてある。 こういうふうにしてこの捜査の内容を詳しく書いて、その上でその結論まで出しておるということは明らかなんです。こういうことは、検察官が起訴を独占しておるという刑事訴訟法の原則に反するものじゃないかと私は思う。こういうことをやって、これは捜査段階なんだから、書類が検察庁の方にいって、もしも検察庁はこれを認めない、そうして捜査の結果、これは犯罪の疑いがあるというので起訴をしたという場合に、これを発表した警察というものは一体どういう責任になるか、こういう問題があると思うのです。捜査の過程にある、従って刑事訴訟法の第百九十六条の捜査の秘密主義、この中にある「捜査の妨げにならないように」というのですか、こういうようなこまかい内容を発表するということ自体が、やはり将来の捜査の支障になるんじゃないですか。普通の常識では、中間的な、一般的なことを世間の求めに応じて談話を発表したりすることはあり得ると思うのですけれども、そういうようないろいろな点から見て、この内容は行き過ぎじゃないでしょうか。もしも検察庁がこれを起訴した場合に、こんなことを出したのでは、警察署長は責任をとらなければならぬですよ。警察署は白だと断定して、検察庁はそうじゃない、これは犯罪の疑いがあるからというので起訴をした場合に、警察署長はどうするでしょうか、そういうことを考えるならば、こういう断定的な結論を書いて発表すべきものじゃないじゃないか、私は刑事訴訟法なんかよく知らぬが、常識的に考えてちょっと変じゃないかと思うのです。先ほどの御説明ではどうも納得がいきかねるので、その点をもう一ぺんお答えを願いたい。
○石井政府委員 お説の通り、私もこれを詳しく内容の一々について検討はいたしておりませんが、一べついたしましてもいささか詳細にすぎるという感じはいたします。先ほど来申します通り、いかに地元の市民の方々、あるいは報道関係の方々が事件の推移に関心を持っており、適当な時期にその経過を知りたいと思っておるといたしましても、これほど詳細に発表する必要はなかったのではないか、私個人としてはそういう感じを持っております。従いまして、こうした発表が全く適切であったかどうかということになりますと、いささか疑問があると思うのであります。先ほど刑事部長がお答えいたしましたように、刑事訴訟法百九十六条の規定によりまして、捜査に当る者はどこまでも被疑者その他関係者の名誉を害しないように注意をしなければならぬと同時に、捜査の秘密を漏らさないように注意をする注意規定があるのでありますが、そういう心がまえに立脚いたしますならば、これほどまでに詳細に事の経過を外部に発表することが、いわゆる今後の捜査上絶対に支障がないかどうかという点につきましては、先ほど御意見もありましたように若干の疑問はあるのでございますが、当時の事情といたしまして地元におきましては関係の地元の方々、あるいは報道機関等が事の推移について関心を非常に深く持っておられたので、できるだけ事の真相を詳しく発表することの方が適当であろう、こういうふうに考えたものと思うのでございまして、当時の事情としてはあるいはやむを得なかったのではないか、かように考えておるのであります。今後の反省といたしましては、こういう場合の措置といたしましては、もっと慎重にその発表の形式なりまた発表の内容等につきましても十分考えなければならぬ点があるように思うのでございます。
○北山委員 長官もこの行き過ぎを認められたのでありますが、確かにいわゆる捜査の秘密主義——先ほど刑事部長からお話があったように、やはり被疑者その他の者の名誉を害しないようにという意味からいたしましても、やはり名前をあげて——かりにこの調査報告書の判断は白であるという判断にしても、明らかに流用の事実を認めておるとかあるいは水増しの領収書、こういう事実を確認しておるのですよ。架空の領収書なんかその事実があったということを確認をしておる。そういう水増し架空の領収書を発見したと言っておる。そうしてその内容を詳細に書いてあるのです。そうするとともかくそういう水増し架空の領収書なんか作って、にせのものを作ってやっておるのだという事実を認めてこれを発表しておるのですから、こういうことはかりにこの警察署の判断では犯罪にならないとしても名誉には関すると私は思う。関係業者の名誉にも関すると思う。そういういろいろな点から見ても、また将来の捜査の上からいっても、こんなものを出すべきではないと思う。私はこの報告書なるものは刑事訴訟法の捜査秘密主義の原則にも反するのではないかと思うし、また検察庁としても書類を送付される前にこういうものを発表されたならば不愉快ですよ。だからたしか地方検察庁の方でも、この発表に対しておかしな話だ、賢明な方法ではないのだという談話を発表しておるじゃないですか。だからもしもこの事件を検察庁の方で取り上げて、これは犯罪であるというので起訴をするということになった場合には、署長さんはどうなるんでしょうね。警察の責任はどうなるんでしょうね。こういうことを考えるならば、この問題はいろいろな角度からして、もう一ぺん一つ警察庁の方としても調査をされて、その結果をこの委員会に報告を願いたい。これを要望申し上げておきます。
○山田委員 長官の御説明が明確でないから私は伺うのですが、やはり調査は電話や文書でやるのではなくて、現地に行ってもらいたいのです。どうです、やれますか。
○石井政府委員 承知いたしました。私は第一線の報告をそのまま善意に受け取っておりましたけれども、事柄の性質上なお詳細にこれを追及してみる点が多々あるように思いますので、しかるべき者を派遣いたしまして十分調査を遂げていきたい、かように思っております。
○西村(力)委員 この前のこの委員会で、九月二十二日砂川で基地内の測量があった場合に、刑事特別法と何か器物破壊ですか暴行ですか、そういうような罪名を着せて逮捕した中に、教育大の学生で中山君というのが誤まって逮捕されておる。これは明らかなんだ。つまらぬところにこだわらずに早く結末をつけて、明瞭にしてやることが必要だと思う。本人の就職にも影響しますし、またこの問題から起る学生全体の動揺、教授たちの非常な憤り、そういうものがたくさんからみ合っていますので、早く処置すべきだということをお願いしてあったのですが、その後どういう工合に事を進めて下さっておりますのか、それを一つお聞かせ願いたいと思います。
○石井政府委員 前回の当委員会で、ただいまお尋ねの点確かに私承わっております。その直後直ちに警視総監の方にそういう御意見のありましたことを連絡をして、善処方を要望いたしておいたのでございますが、その後の経過を警視総監から伺ったところによりますと、中山君の身元引受人になっておられる教育大学の先生を通じて警視庁の公安部長の方からいろいろ御相談をしておるようでございます。一応結末をつけるためには一度本人から何がしかの事情をさらにお聞かせ願わなければならぬ点が残っておるようでございまして、そうした交渉を持っておるようでございますが、それが思うように事が運ばないために日が過ぎておるように聞いております。
○西村(力)委員 中山君の逮捕なるものは、あの当日とった写真を土台にしてホシを当てて逮捕しておる。ところがその写真と本人が全然違っておることがわかって、その日の夕刻に一応釈放しておる。だからその事情を聞く必要も何もないじゃないか。逮捕の根拠というものは警視庁でとったというのですが、その写真に照らして中山君がそうだ、こういう工合にして押えたのですが、写真と全然違うということはわかっておる。だからその事情を聞く必要も何もないじゃないか。写真と違うんなら、その通り誤まりであったという工合にはっきりしたらいいじゃないか。もちろんこちら側——こちら側といってはおかしいのですが、学校側としてはその日のアリバイを証明するれっきとした証人がたくさんおります。けれども事はそこまで運ばなければならぬという理由はどこにもないはずだ。だから学校側としても身元引受人の教授の方々も、それはおかしいじゃないか、警察は誤まって逮捕したことを認めさえすればいいのに、自分から袋小路に入ってどうにもしようがなくなつちゃって、何とか格好をつけるために一つ内密に来てくれぬかとか、何とかかんとか言って格好をつけようとしておる。それは袋小路に入っている。黙ってもと来た道に戻ればいい、そうすれば簡単だ。誤まってやったということを認めればいいわけですから事は簡単じゃないかと思うのです。簡単なものがめんどうくさくなっておるのは、警視庁側が誤まったということがわかっておりながら、何とか格好をつけないとどうも面子にかかわるという工合に、端的に言えばそういうことにこだわっておるのではないかと思われる。そうして確かに係の戸山弁護士に話したところによりますと、逮捕に向つた人々は、これは何だ違うぞ、こういうことを逮捕するときに感じたと言っておる。ですからそういう誤まりは誤まりとして、さっぱりすることが一番正しいのじゃないか。警察の権力によるそういう逮捕が軽々しくやったというような非難を受けることがちょっと工合が悪いのでしょうけれども、そういう問題はさっぱりしたところはした方が、かえって信用が高まるのじゃないか、われわれはそう考える。警視庁の問題だからあなたの方で指令することはできないことになっておりますけれども、これは警察の職務執行の一つのあり方として、当然警察庁として強い指導を与えて早期解決をはかるべきじゃないかと思われるわけなのです。それはできるはずだと私は思うのです。形の上では命令ができないというようなことになっておりましても、長官の御意思はやはり相当作用することがあり得るし、またこういう問題については作用していいじゃないかという工合に考えております。確かに秘密裡に出頭させてもらいたいと教授に話があるそうですが、教授会でいろいろ検討してみて、先ほど申したようにそういうことは警察の一方的なやり方であって、簡単に、写真と違うのだから、これは白であったという工合にすれば、問題は解決するのだ。しかも警察でそういう場合に言うのは、それに関連する種々の問題を聞きたいということを言っているのだそうです。中山君が白だということを断定するために呼び出しをするのだろうということを言いますると、いやそれに関連するいろいろな問題を聞きたいのだと言っているのです。そうすると教授としてそんなつまらぬことのあっせんなんというのはできないということになってしまう。そういう事情ですから何とか早急に解決方を、もと来た道に戻るのだ、さっぱりした方がいいのだという工合に一つ御指導あるべきだろうと思うのです。いかがでございましょう。
○石井政府委員 警察は決して面子にとらわれて、一たん検挙した者は是が非でもこれを黒にしなければならぬといったような行き方はとっておらないのでございます。そうした捜査が邪道であることは申すまでもないところであります。私ども常日ごろ捜査に当る者に対しましてはその点は機会あるごとに言い聞かせまして、適正なる合理的な捜査の進め方を要望いたしておるような次第でございます。ただいま御指摘の教育大中山君の問題につきましても、明らかに人違いであるとわかれば、もとより即刻問題は解決するわけでございますが、現場写真とまた中山君が逮捕になりましたときの写真と比べまして、鑑定人の鑑定するところによりますと、同一人に相違ないという結果も出ておりますし、またアリバイ等につきましても若干割り切れない点もありますので、今日までそういう点を明確にしたい、ついては本人から若干事情をお聞きしなければ、その辺のところは十分に納得がいかない、こういう点が残されておるように聞いておるのでございます。一たん手をつけたからにはこれを是が非でも黒にでっち上げようといった意図は毛頭ないことだけは、ここにはっきり申し上げて差しつかえないと思うのであります。できるだけすみやかに事を解決すべく今後とも一そう努力をするように、警視総監の方には重ねて注意を喚起いたしておきたいと思っております。
○西村(力)委員 本人については病弱という教授の申し入れがあった、それを理由にして即時釈放したということになっておりますけれども、本人はアルバイトなんかもやっている学生なんで、その日すぐ釈放しなければ生命に関するなんというほどの学生でもない。だからその理由は病弱ということになるけれども、照し合せてみたところがこれは違うのだ。つかまえにいったときに、何だか学連の闘士としてはおかしい、こういうことを捜査官も感じて、それを弁護士まで言っている。それに写真と合せてみたら全然違う、こういうことになっているんだから即日釈放した。ですから問題はいろいろあなた方ひっかければひっかかることはあるのでしょうけれども、それは全然違うのだということははっきりしておる。今おっしゃった写真と本人との鑑定、それはやったというのですか。やってみたが、同一人であるかどうかわからないからというのですか、どっちなんですか、ちょっと聞き漏らしましたので……。
○石井政府委員 私も詳細には報告に接しておりませんからわかりませんが、現場写真と、本人が九月十二日ですか、検挙になりましたときにとりました写真とはきわめて酷似している。鑑定の専門家が見ても同一人と思われる、こういう意見が出ておりますし、またアリバイ等につきましても、なお意見の存するところがありますので、その辺を本人から最後的に十分事情を確かめて結論を出したい、こういうふうに警視庁の捜査当局は考えておる。ついては一度御足労を願いたい、こういうことであると聞いておるのでございます。 先ほど来申し上げます通り、警察が面子にとらわれて、実は人違いであるということがはっきりわかっておるのだけれども、何かもう少し調べておれば有利な材料が出て、ものになりはしないかという助平根性と申しますか、そういう気持で執念深く、思い切り悪く引きずっておるということであってはならぬのであります。その点はたびたび私申し上げますごとく、どこまでも科学的合理的捜査に基き、人権の尊重ということを常に基本的理念としつつ、納得づくの捜査、科学的な合理的な捜査を進めていって、真実の発見に努めるということでなければならぬことは、捜査の原則でございます。その点につきましては、警視庁の関係係官も十分承知をいたしておるところでありますが、とにかく一度本人に出頭していただいて、最後的に残された疑問点を明白にして、そこで問題を明らかにしたい、こういうふうに考えております。警視庁当局としても、一日もすみやかに結論を得たい。それには最後的に、一度残された若干の疑問点をはっきりさせるために、一日も早く出頭していただきたい、こういうふうに考えておるように聞いておるのでございます。本日重ねての御要望でございましたので、さっそく警視総監の方にも重ねてその旨を伝えて、善処を要望いたすことにいたします。
○西村(力)委員 鑑定人に鑑定させたというのですが、鑑定人がだれであるかということは私はわかりませんけれども、今初めてお聞きするのです。その写真なるものをその中山君なるものを、あるいは教授がそれじゃどの写真か、中山はどれかその証拠を見せてもらいたい、こう言うてもそれは全然見せていないということなんであって、むしろ情報として聞くところによりますと、全然写真が違うので、今度は別の写真に少し似たようなものはいないか探している、こういう情報があるのです。では、その写真、これはお前と思って逮捕したのだという場合に、その証拠を本人なり、あるいは教授たちに見せるということはできないものかどうか。あなた方はポケット深くしまって、これが似ている、これが証拠なんだといったって、全然わからないじ争ないですか、見せていただかなければ……。確かに似ているという工合になるのならいいけれども、あるいは全然第三者的な鑑定人の鑑定が、これこれ法的に出ておるというならわかる。そういうことは全然なくて、そうして似ているとか、似ていないとか、いろいろ言われても困るのじゃないか。その点聞きたいのは、その証拠写真をそれほど確信を持つならば、心配している身元引き受けの教授なり、あるいは本人なりに、これがお前と思ったのだという工合に見せるわけにはいかないか。それから秘密裡に出頭する、そのことをあっせんしてもらいたいということじゃなく、それならば任意出頭をさせる意思はないか、そういうことはできないか。もしそういう捜査を一切これ以上進めることはできないとすれば、そのまま検察庁に直ちに送って、検察庁においてはっきりけじめを早急につけてもらうようにしたらいいじゃないか。警察で証拠写真をポケットの奥深くしまって、いつまでもずるずる引き延ばしておくということは、就職時期におけるそういう学生に対して非常にマイナスになる。その問題は学生全体に影響していくわけなんだ。ですから、今申した点、証拠としてとられた写真というものを見せることはできないか、あるいは任意出頭はどうだ。それからそんなことを一切やめて、それは供述しなくても、証拠写真があってこれがそうだということになれば、送検はできるはずです。一切めんどうくさいことをしないで送検をする。そういうような三点について長官はどういう工合に考えておられるか。
○石井政府委員 捜査の目的を達するためには、関係者の方々の御協力を得ることがきわめて必要であるのでございまして、そういう意味で先ほど来申し上げました通り、本人の身元引受人になっておられる大学の先生方等とも警視庁の関係者が連絡をとりまして、一日もすみやかに事件の解決をはかりたい、こういう熱意を持ってこの問題には対処しておるというふうに聞いておるのでございます。ただいま具体的に指摘されましたやり方については、これは警視庁の方によく申し伝えておきます。そういうことがもし可能であり、そうしてそのことによって事態の結論を得るのに迅速ならしめる有効な手段であるならば、そういうことも十分に研究の上、善処したいと思います。
○西村(力)委員 その御努力の結果についてまた早急にお聞かせ願いたいと思うのですが、どうもこの問題に対する警察側の態度は、あの逮捕自体が、七月に起きた事件を九月に、二カ月以上もたってからやっておる問題なんです。しかもあの事件そのものは土地収用法の強制測量に関する問題、それが一方においては、裁判所においては、土地返還の訴訟に対しては国に使用権があると主張する。ところが土地の使用権がないという前提に立って土地収用法の発動をしておる、こういう矛盾した態度、立場から出ておる、こういうようないろいろな問題がからむことなんですが、そこに相当確信を持たない逮捕が行われた。あるいは従来は学内の紛争なんかについてもいろいろ仲介あっせんの人々があってたとえば早稲田の事件とか、そういうところで円満な話し合いがつけば、その後逮捕するということはなかったのだ。あの事件も私たちが中に入って双方円満に話をつけておる。それを二カ月半もたってから事新しく逮捕しておる。そういう立場から警察側としては相当確固たる自信を持っておるというような工合ではなくて、相当動揺を内部に持ちながらやったように思われる。それに加えてこんな誤まった逮捕が出てくれば、ますます警察権の執行というものに対して非難が加わるのじゃないか。こんなような立場からなかなか簡単に割り切ろうとしない、こういうふうに見えてならないのです。今長官がおっしゃったような工合に、再度早期に明瞭にするということをぜひやってもらわなければならない、こう思うのです。その結果についてまたお聞かせ願いたいと思います。 それから、時間もだいぶ過ぎましたが、この事件に関してもう一点だけ取り上げてお聞かせ願いたいと思うのですが、この中山という者の逮捕に行ったときには私服が七、八名と、その門外に二十数名の警官が配置せられたということなんです。これは何か寄宿舎であるから相当強い抵抗があるという工合に予想して行ったかもしれないけれども、これは僕はあまり問題にしようと思うのじゃないのですけれども、その寄宿舎というものを公務所と見るかどうかという問題——刑事訴訟法の百十四条だかを見ますと、公務所内における捜査、そういう場合にはその長または代理に通知をしてその処分に立ち会わせなければならない、こういう規定になっておりますが、その際には、その寄宿舎の責任を持っておる教授には少しも連絡はなく、そうしてどやどやと踏み込んだということになっておるのです。学校教育は寄宿舎におる場合においても、それは当然教授の教育指導下にある、やはり教育機関である。これは公務所と考えなければならぬじゃないか。それでその際においては、その寄宿舎の舎監の役割を果す教授に事前に連絡して一やはり事前であっても前の日にやったら漏れる危険性もあるから、捜査をやる寸前に連絡して、現場に行ってからでもしばらく待機をして、その責任者が来るまでおる、こういうような工合にもできるはずなのです。ですから、公務所という工合に寄宿舎を見て、そういう措置をすべきであったと私は思う。その点に関することの長官の見解はどうでございますか。
○石井政府委員 当時のそういう具体的なこまかい事情がどういうことでございましたか私承知をいたしておりませんのと、また学校の寄宿寮特に学校の校内にある場合と校外にある場合、いろいろの場合がありましょうが、そうしたものが公務所とみなすべきものであるかどうかという点につきましては、私法律的に詳しくございませんので、よく研究した上でお答えしたいと思います。
○中井委員長代理 それでは次会は明六日午前十時から理事会、十時半から委員会を開会いたすことにしまして、本日はこれにて散会いたします。 午後零時四十三分散会