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27回国会衆議院1957/11/04

大蔵委員会 第2号

発言数
101
登壇者
6
会派数
2
開催日
1957/11/04

会議録

山本勝市自由民主党

○山本委員長 これより会議を開きます。  税制に関する件及び金融に関する件について調査を進めます。  本日は、まず当面する財政金融一般の諸問題について、大蔵大臣の説明を聴取いたし、その後に質疑に入ることといたしたいと存じます。  そこで、この際お断わり申し上げたいのですが、本日、まず大臣から説明を聴取いたしまして、そこで暫時休憩をし、その間大臣は、予算委員会で説明をいたします。その時間がおおむね二、三十分でございますので、大体十時半から再開する予定であります。十時半から質疑に入っていただくことを前もってお断わりを申し上げます。  それでは大臣の説明を求めます。一萬田大蔵大臣。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 後ほど、今度の臨時国会に予算の補正につきまして提案をしておりますので、そのことについて申し上げたいと思いますが、私は、今後の予算を考えていく上におきまして基本的になるだろうと思います日本の経済の現状につきまして、及び今後の推移にもわたるかもしれませんが、そういう点について若干基本的な点を、率直に私の考えを申し上げておきたいと思います。  御承知のように、日本の経済が、いわゆる神武景気とか、こういうふうな言葉で呼ばれておりました。これは、輸出を中心とする経済の好況、これが基本でありまして、いわゆる輸出景気、かように呼ばれておったのであります。こういうふうになりますと、当然、これは投資景気に移行していく、これは、景気循環論から言えば当然な推移であります。特に日本の場合におきましては、国際競争に対する力を増強する必要から、合理化ということもやらなくちゃならぬ、また最近の設備を新しく取り入れる、こういうふうないろいろな観点から、一そう投資景気というものが助長されていく、これは決して悪いことではないので、経済から見れば、当然な推移であるのであります。ただ、これがあまりに急激にいきますと、要するに外貨の保有高という一つの壁に突き当りまして、そこに限界がくる、これをさらに推し進めていくと、経済活動が非常に盛んであるが、これに応ずる物資の供給力が伴わなくなる、輸入力はない、物価騰貴を生じてインフレ的になっていく、こういう傾向をとっていくと思うのであります。従いまして、一番大切なことは、今後物価騰貴を招来するということを起らしめてはならないのであります。政府が総合的施策をとりまして、経済活動のより以上の活況を抑制する手段をとりましたことは、これはむろん当然なことであると考えております。従いまして、問題は、やはり今日におきましても、日本の経済の働きというものを、物資供給の力に照応するように抑制いたしまして、経済の不均衡を是正をして、安定した経済のもとで、今後経済がさらに伸びて行き得るような情勢、条件を、ここで整備をしよう、そういうときにちようど今当っておる。従って、そういうふうな基本的な考え方から、今後財政、金融、経済諸政策を考えていかなくてはならぬ、かように考えておるわけであります。従いまして、今当面しておることは、何としても輸入力には限界がある、そこで、経済活動も抑制するが、できるだけ国内的な消費を押えて、これを輸出に振り向ける、それを可能ならしむるにはどうすればいいか、こういうところに要約し得ると私は考えておるのであります。こういうふうな考え方をもちまして、来年度の予算編成にも当りたい。この点につきましては、一応先般予算編成の基本構想として明らかにいたしておいた次第であります。  今回のこの臨時国会に提出いたしておきましたのは、国際収支の改善のための総合施策をやりました場合に、年末に中小企業等にしわが寄らないように、大体において、今回のことは投資景気ということが中心でありますから、直接はやはり大企業というものが対象になる、従って、大企業において設備の拡大を繰り延べるということをやって、資金並びに物に対する需要を落していく、そうして他に波及しないようにすれば、私は、事柄がそう広範囲にわたらなくて済むという見地から、そういうふうなことを具体的に推し進めて参ってきたのでありますが、しかし、それにしても、こういう場合には、やはり社会的な力において弱い階層にしわが寄りがちであります。そういうことから、ふだんから中小企業金融というものは問題でありますが、特にそういう際でもありますので、中小企業金融に万全を期したい。そこで、いろいろと総合施策自体において中小企業金融を円滑にする方法をとったのでありますが、さらに年末にかけまして、第四・四半期の融資分の繰り上げを補てんするばかりにとどまらず、国民金融公庫並びに中小企業金融公庫の融資源というものを拡大いたしまして、それぞれ七十億及び百億の増額をいたした次第であります。これによりまして、私は、年末にかけての中小企業金融というものはきわめて円滑に参る、かように考えておるのでありますが、どうぞ慎重に御審議を願いたいと思います。  それから、さらに輸出保険の限度、今八十億でありますのを、さらに八十億ふやしまして百六十億にいたしまして、御審議を願っておるわけであります。これは、限度がなくなりましたので、輸出振興の見地から必要である、かように考えましてふやしたわけでありまして、これまた慎重に御審議を願いたいと思います。  大体、私が今ここで御説明を申し上げるのは、この程度にとどめます。なお御質疑によりまして、御説明を申し上げます。

山本勝市自由民主党

○山本委員長 それでは、先ほど申し上げたように、十時三十分きっかりに再開して質問に入ることにいたしまして、暫時休憩いたします。     午前九時五十四分休憩      ————◇—————     午前十時三十七分開議

山本勝市自由民主党

○山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  税制に関する件及び金融に関する件について質疑を進めます。質疑は通告順に進めます。春日一幸君。

春日一幸日本社会党

○春日委員 私は、一日の本会議において蔵相が述べられた財政方針に対しまして、質疑いたします。  あの演説は、岸内閣が成立を見て、貴下が蔵相に就任されて最初の国会であるのでありますから、従いまして、国民もまた国会も、この演説を通じて、わが国の経済の現状がどうなっておるのか、それから、これに対処せんとする岸内閣の財政方針はいかなるものであるか、これが公式に発表されるものとして強く期待をしておったのでありますが、この国民の期待に反しまして、その内容は、全く通り一ぺんのおざなり的なものでありまして、何ら具体性がなく、またことさらに核心に触れて論議することを避けられたことは、国民も国会も全く遺憾とするところであります。  まず貴下は、あの財政演説において、わが国経済の現状を分析して、すなわち昨年の下期ごろから、国内投資を中心としてわが国経済が膨脹に転じ、このため本年度に入ってから輸入の急増、国際収支の悪化をもたらした云々と、あたかもこれをよそ事のようにただ淡々と述べられたのであります。そのような程度のことは、本日国民のだれ一人として知らぬ者はないばかりではなくして、この際国民が特に知りたいところは、また主として大蔵大臣として、この臨時国会においてその所信を明らかにしなければならないことは、ただそのようなちまたの政談のような、そんな程度のものであってはならぬはずであると思うのであります。そういう立場から、私は本日この委員会を通じまして、岸内閣の財政方針が何であるか、その核心に触れてあなたの所見をたださんとするものでありますから、以下の私の質問に対しまして、具体的に、かつ適確なる御答弁をお願いいたしたいと存ずるものであります。  まずその第一点は、施政方針で述べられたような経済現象を招来せしめた真の要因は何であると蔵相は理解されておるのであるか。すなわち、かくのごとく過剰投資、二重設備、これらを自由自在ならしめていたずらに資金と資材を食いつぶし、遂には国家の経済を破局に追いやるような、そのような盲目的、また暴虎馮河的な経済活動を許しておるところのわが国の現行諸制度、それから現在の経済慣行、そういうようなものに誤まりがないかどうか、この際は国家的立場からする蔵相の御見解をお示し願いたいと存ずるのであります。まずこの一点について御答弁を伺いたい。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 御答弁申し上げます。  私の財政説演につきまして御批判がありましたが、私は、今の段階は、あれで相当尽きておると考えておるのであります。ただしかし、あの内容について、社会党を初めとして皆さん方から、いろいろな委員会、本会議を通じて御質疑があろうと思うので、その際に十分事態を明らかにすることがむしろよくはないか、こういうように考えた次第であります。  なお、今の御質問の、今日の経済情勢を招来した真の要因はどこにあるのか、こういうふうなお話でありますが、まずその点からお答えいたします。今日の真の要因というものを作ったものは、やはり日本経済の過去にさかのぼって若干申し上げないと、その要因がつかみにくいと思います。そこで日本経済の今日に至った第一の出発点が、三十年、三十一年にかけて輸出が非常によかった、これはいろいろの理由がありますが、それは申しません。とにかく輸出が非常によかった。そういうように輸出がよくなってくると、どうしても生産を増大しなければならぬ。そうしますとここに設備の拡大、同時にまた日本経済が貿易に依存しておるという関係から、国際競争力を高めねばいかぬという要請が当然あるのであります。従いまして、これらの点から設備の拡大並びに改善が行われた。言いかえれば輸出中心の経済の好況は、当然投資の景気に移行する。これは、もう少くとも自由経済においては、原則的な経済の循環である、かように考えております。そのこと自体は、私は決して悪いことではないと思います。特にこの際私が申し上げたいことは、それが相当急速であった。そこで、国内生産並びに通常の輸入量では物資の供給ができなかったために、従来の蓄積である外貨を使って輸入をした、そこに外貨減少の理由があるのでありますが、しからば、その使った外貨はどういう形になっておるかといえば、私の考えでは、それは、むろん原料的なものの在庫の増大というものに一面なっておると思います。これは、私は問題ないと思います。もう一つは、先ほど言ったような国際競争力を強化する、言いかえれば産業の合理化、近代化というもので、いい機械がたくさん入ってきた、そのことが、一時にたくさんきたところに問題があるのですが、そういうような国際競争力を強化することに役立っておるのであります。これは、先ほどお言葉があって、外貨を食いつぶしているということでしたが、むろん食いつぶしたどころではなく、これは非常に有効に使われておると私は思うのであります。そういうような投資景気——ただ、しかしながら問題は、投資景気が自由経済においてやや行き過ぎる傾向をとる、そういうテンデンシーを持っておるのでありますが、その場合に、外貨が非常にたくさんあれば、私はそれも許されていけると思います。ただ、外貨がいよいよ少くなってくるという見通しにもかかわらず、それをあえて続けていけば、これは将来物価騰貴になることは当然である。そこで政府としては、いいことであってもあまり行き過ぎない、いわゆるインフレというものにいかないようにしていくのが当然でありまして、そういう意味におきまして、今回緊急策をとったのでありまして、若干伸びがよかった、いわゆる景気のよかったという反面におきまして、急に施策をとる結果、ここに若干財界に困難を生ぜしめたであろうことは、私は否定しないのであります。  なお、こういうことについて起った要因は、そういうことでいいが、制度の上に、あるいは経済のあり方自体において何か欠陥はないのか、こういうふうな御質問もあったと思いますが、率直に言って、私は、これは相当いろいろと考えなくちゃならぬと思います。これは、政府が発表しました経済企画庁の経済白書と申しますか、あれにも、いわゆる反省という言葉で具体的にいわれておりましたが、私も、これはいろいろとあると思うのです。その一つは、基本的に言って、今言ったような、日本が経済合理化、あるいは又国際競争力をいろいろの面において強くしなければならぬという要請があったということが、一つ考えなくちゃならぬことでありますが、そういうふうなことからして、いろいろと行き過ぎがないように手を打たなければならぬが、不幸にしてといいますか、都合が悪いことに、日本の経済は、いろいろなそういうふうな経済を調整する機能を持っている制度が有機的に動き得るような客観的な条件がそろっていなかった点において、私は、やはり考えなくてはならぬと思うのであります。たとえば金利にしても、正常な形の金利がまだない、あるいはオペレーションする場合において、適当な有価証券が必ずしも存在をしなかったとか、あるいは景気の上昇に応じて有機的に手を打つために必要な統計といいますか、そういうものも、十分整備していなかったという面がありますが、同時にまた、これは考えなくてはならぬのでありますが、諸外国におけるごとく、一つの経済現象で、しかもその現象がなかなか重大な意味を持っており、経済の活動になかなか大きな影響を与えるというような現象があっても、それにすぐ適応するような施策が怠られがちである、そういうこともやはり考えなくてはならぬ、こういうふうに思って、いろいろと反省を加えるべき点はあります。これは率直に言って私も認めております。特に今回は、景気の動向を十分把握するように、そういうふうな機能を経済企画庁において強化したい、そうして、たとえて言ってみれば、一方で外貨が減る状況がある、減ること自体は、それほど問題ないにしても、減り方いかんによってなかなか事が重大である、あるいは持続性を持つ、そういう場合に、すぐにそれに応じて金融政策とか、あるいは為替制度とか、あるいはその他の経済の政策が総合的にずっと打ち出される、そうしてそれとバランスがとれるようにしていく、そういうふうなことがぜひとも今後必要であろう、なるべくそういうふうにするように努めたい、かようにも考えておるのでありまして、ただいまの御質疑については、十分考慮を払っていきたいと考えております。

春日一幸日本社会党

○春日委員 本日は、承わりますと、本委員会の制約されている時間は一時までということでありますし、私のあとに、他に数名の委員の質問があり、私はまだ幾つかの問題についてお伺いをいたしたいと考えますので、できるだけ問題を簡潔に質問をいたしますから、大臣の御答弁も、そのようにお願いいたしたい。  ただいまの大臣の御答弁によりますと、大体設備投資あるいは在庫投資というようなものが旺盛に行われるということは、わが国の経済のかっぷくを増大せしめる上においてこれは歓迎すべきことである、こういう意味のことを言っておられる。私も、そういうような原則については、やや同感の点もあります。けれども、私が申し上げるのは、奔放無拘束にそういうような経済活動が許されることによって、ともすれば二重投資、過剰投資に陥って、資金と資材を食いつぶしてくる、その結果は、朝鮮ブームの直後において現在と同じような現象が生じて、それが循環的に、かつ週期的に本日同様の事態がここに現われてきておる。そのことは、結局わが国の経済活動の基盤をなしておるところの現行諸制度の中に欠陥はないかどうか、経済慣行の中において、さらに矯正せなければならない点を多く蔵する、こういう点を私は指摘しておるのであります。これが適当な度合いにおいて行われる場合においては、われわれもその事柄の必要を認めております。けれども、それが無計画に奔放無拘束に、需要の度を越えたり、あるいは国際経済の視野に立っても、それが全然そういう必要な段階、度合いを越えて行われておるところに問題があろうと考えます。あなたは、今過去にさかのぼって批判をしなければならぬということでありますが、私の調査したところによると、三十年度と三十一年度、わが国の経済の上昇期におけるこの設備投資と在庫投資の跡をたどってみますと、これは全く驚くべき比率が出て参っております。たとえば、これは企画庁の統計によるのでありますが、設備投資額の三十年度実績、は約八千億であります。三十一年度は一兆四千億と、その上昇率は実に七五・六%、全く驚異的なものであります。しこうして三十二年度の計画では、これがさらに伸びて、一兆七千億となって、これまた前年対比率は二・四六%増、こういうものが予定されておったことは明らかであります。一方在庫投資額について申し上げますならば、三十年度は四千五百十億、三十一年度は六千三百八十億、この上昇率は四一・四%だから、設備投資とそれから在庫投資とを合計いたしますると、三十年度と三十一年度の間で、実に投資活動というものは六割三分強の増加となっておる、このような日本経済を過熱状態におもむかしめたことが、本日の国際収支を悪化せしめた原因であると考えておるのだが、その当時の蔵相は、実に貴下一萬田尚登君であった。私は、今そのあなたの過去の罪業を言あげして論難するのは、本日の質問の趣旨ではないから、私はそのことに触れるわけではないけれども、そもそも本日の外貨を食いつぶしたところの一大要因というものは、実にかつてあなたが大蔵大臣であられたころに、こういうような奔放無拘束な投融資計画、投資活動、産業資本家の資金需要を手放しで応諾したその金融施策、こういうようなものに私は胚胎しておるのではないかと考えておるわけであります。そういうわけで、私が今あなたに特にお伺いをいたしたいことは、また真に国民が国家百年の計を考える立場において考えなければならないことは、すなわち週期的にこういうような状態が起きてくる、すなわち、資本家が資本の蓄積が行われると投資活動を行う、投資活動が刺激されると、必ず資金と資材を食いつぶす、そのことは、必ず外国からそれぞれの関係物資、原材料物資の輸入を誘発をしてくる、そうすれば、外資を損耗するということは明らかなことだ。従いまして、現在の他の統計によりますと、わが国における二重投資、過剰投資は大へん大きなものです。繊維産業、製造産業においても、その他の重点産業においても多くの過剰投資、余剰設備というものがある、こういうような投資活動は一つ直さなければならぬ。本日このような出血をもって一応この破綻、ほころびを縫うことができたとしても、現在のような経済活動の諸制度や慣行が許されておる限り、後日必ず週期的にこのような事態が来る。朝鮮ブームのあとに来たことが本日来ておる、また将来来ないとは断じがたい、そういう意味で、私どもはこの現行諸制度というもの、特に銀行法というようなものに触れて、すなわちそのような自由自在な投資活動というものをある程度の計画性を持たしていくという、そういうような立場において、すなわち資金と資材を食いつぶしてしまって、国際対外収支が危機にさらされて、そうしてこの非常の手を打つという卑劣な手段を繰り返すことを避けて、事前的かつ予防的にそういうことに陥らないような制度を確立する必要はないものか、この点を大臣からお伺いをいたしたい。重ねてお答弁を願います。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 御注意によりまして、簡単に答弁をいたしますが、私は、投資と、あるいは資金というものに計画性を持たせるのがいいではないか、これは異論がありません。私もさような見地に立ちます。ただ問題は、どういう形においてやるかということであります。私は、今日一面において、それであるから政府の五カ年計画というものを、今回はほんとうに将来にわたって日本経済を指導し得るようなりっぱな計画にしたいという考えを抱くわけであります。さらにこれに応じて、資金等が計画的に流れていく、いわゆる資金に計画性を与える、これは、今の投資に触れるのでありますが、それもやりたい。ただ、それはいかなる形においてやるか、私は、金融というものは、やはり自主的にいくのがよろしいという見地に立っております。それで、たとえば今日あります資金審議会、あるいはまた融資自主規制委員会、こういうものがありますが、そういうようないろいろな委員会に対しまして、どういうふうにすれば資金に計画性を与え得るか、いいかえれば、自主性のもとにおいて、どういうふうにすれば資金に計画性を与え得るか、またその計画性の限界はどこにあるのかということを至急に一つ十分検討を加えて出すようにということを、要請をいたしておりまして、そういう答申も十分見た上で私も考えていきたい、かように考えております。

春日一幸日本社会党

○春日委員 それでは、現在のこの金融制度というものには、相当に欠陥がある、従って、これは緊急に何らかの補完措置を講じなければならぬ、大臣はこのように考えておるという工合にわれわれは了解をいたしておきたいと思います。  次いでお伺いをいたしたいことは、いわば今大臣が述べられたような、そのような経済背景のまっただ中において、自民党政府がとった、すなわち本昭和三十二年度の予算、すなわち一千億減税、一千億施策というあのヒット・エンド・ランという御自慢の積極政策、これが果して今になって顧みるならば、その当時は、確信を持っておやりになったに相違はない、けれども、あのヒット・エンド・ランの積極施策なるものは、果して当を得たものであったかどうか、私は、政府において反省がなからざるべからずと思う。これは一体どういう工合にお考えになっておるか。  さらに私はお伺いいたしたいことは、あの積極施策があの景気に対してさらに刺激的な役割を果さなかったかどうか、私は当然反省があってしかるべきであると思う。私は、この際政府を代表して大蔵大臣から責任ある御答弁を願いたいことは、そのような経済背景のまっただ中においてとられたところのあの予算、それから財政投融資計画、あれが間違っておったのかどうか、あるいは間違っていなかったのか、その点を一つ明確に御答弁を願っておきたいと思います。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 私の考えとしては、間違っておるということはないと思います。しかし、反省を加えるべき点があるということは、これはやはり認めなければなるまいと思います。

春日一幸日本社会党

○春日委員 間違っていなかったと断言されるのでありますか、重ねて御答弁をお願いいたします。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 その点につきまして、実は私先ほどちょっと申し上げたのでございますが、三十二年度の経済というものをどう持っていくかという見地から、やはり予算を考えなければなりませんが、三十二年度の経済というものは、私の考えでは、たとえば輸出は二十八億ドル、これはもう初めから考えておる、これを達成をしておる、言いかえれば、日本の経済で最も大きな柱の二十八億ドルは達成しておる。これは、私は何も誤まっておらぬ、これはむしろ自慢していいと思う。ただ問題は、それなのになぜ輸入がふえたか、お前輸出ばかりで輸入を言わぬじゃないか、そういうところに問題がある。そこで私は、なぜ輸入がふえたかということを分析してみたい。なぜかと言えば、輸入は、先ほどもちょっと触れたのですが、日本の消費が非常に盛んで、国内で食いつぶしていたというようなことが主力なら、これは私は考えなくちゃならぬ、そうなればインフレが当然起ったはずです。その当時日本が物価が非常に高く、国民が消費々々と言っておる事実はありません。これは貯蓄の動向から見ても明瞭なんです。貯蓄はやはりずっとふえておる、予定以上にむしろ当時ふえておる。それならなぜかというと、結局日本の貿易が非常に多い、そういうふうに、二十八億ドルも輸出するように貿易もいいのですが、どうしても設備を近代化していかなければならぬ。特に日本の経済が成長する場合に一番困るのは、やはりエネルギーと輸送なんです。どうしてもここに入れなければならぬ。それから鉄鋼がそうです。こういう方向にどうしても投資が多く行われていく。しかし、それ自体はいいのだが、先ほども言うように、そういうふうにするには外貨を食わなければならぬから、外貨があるところの限界まではいいが、限界を越えてはいかぬ、こういうことを御理解下されば、何も誤まったとか誤まらぬとか、むしろある意味では計画的にさえいっておるといっても、私はそう大きな言い分ではないと思います。

春日一幸日本社会党

○春日委員 私のお伺いするのは、経済の見通しは、ただ単に輸出の面だけに責任があって、輸入の面には責任がないなどということは言わせない。経済学者の定説では、少くとも国内において物資を百円消費すれば、なかんずく、その一九%は外貨を消耗する、そういう関連を持つものとされておる。従いまして、資金と資材とが食いつぶされているというならば、投資活動が旺盛に行われれば、それはそれだけ、即一九%は外貨を消耗するということにつながってくるわけです。従って、昨年の十月に発せられた日銀調査局長関根君のあの報告をもってしても、今のような投資活動があのままの状態で許されておるならば、来年の外貨事情はおそるべき事態が予想されるとはっきり申しておる。従って、私たちはその関根君の報告を参考にして、昭和三十二年度予算の本会議において、この事態をほっておけば、この予算を執行するならば、必ずそれは輸入の増大を見て、おそるべき事態が予想されるということを警告的についておる。そのときに、そういうような心配はありませんと明らかに本会議において答弁しておるではありませんか。私は重ねてお伺いいたします。今大臣は、ここで申されたように、虚心たんかいに、いいことはいい、悪いことは悪いと、一つ裸でとにかく純真に論じ合っていきたい、こういうことでありますからお伺いをするのだが、私は、あなたが見通しを誤まっていないと言われるならば、それではお伺いをする、七月に岸新内閣が決定したあの緊急総合対策によって、大幅に財政投融資が修正されておる、これは、通常国会における政府の見解とどのような関連を持っておるか、誤まっていないならば、修正する必要はないじゃないか、なぜ修正をしたか、修正をしたことは誤まっていないというそういう言明の上において、どういう関連を持っておるのか、その関連性をお述べ願いたい。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 これは、誤まっておるというその言葉のまた問題になるのであります。どういうことをもって誤まっておるというのか、私は非常に研究を要すると思うのですが、私の言うのは、そういうようなことが全然完全にいったというのじゃないのです。すべての経済が完全にいったというのじゃない、何もお前は反省せぬでいいのか、そうじゃない。私の言うのは、経済の見方とかいうようなものはそう間違っていないが、これは、社会主義の経済と自由主義の経済の違いがあるのです。自由経済においては、そういう場合にどうしても行き過ぎの傾向があることは、私は否定いたしません。もう少し早く押えるような措置をとった方がよかったのじゃないか、私もその通りです。そこに私たちは反省を認めるのです。それは、押える時期がおくれたという点については認めますよ。おくれると、やり方に少し急激にやらざるを得ないということは起りますよ。それが、たとえば財政投融資について繰り延べをしたゆえんなのでありま暮して、財政投融資の繰り延べをしたからすべての考えが誤まっておるのじゃないかということは、私はどうも賛成がしかねるのです。

春日一幸日本社会党

○春日委員 私が言うておるのは、これは関根報告にも明らかな通り、すなわちこのような投資活動が過熱状態にあって、そうしてほっておけば投資インフレになっていく。しかもそのことは、なかんずく一九%というものは、これは直ちに外貨を食いつぶすことに直結しておる。だからして、今の投資活動を急速に押えなければならぬ、こういうことがいわれておるわけなんですよ。だからわれわれも、これは医者の処方せんと見て、しかも日銀の調査局長として、景気の動向を調査する責任の地位にある者がそういう権威ある発表をしておる。すなわち患者は、医者の処方せんに忠実に服すべきだと考えて、そういう立場に立って、われわれもまた警告的な質問を発した。すなわちそのことは、輸入がふえますよ、輸入が著しくふえていけば、外貨が減少いたしますぞ、国際収支は危機にさらされますぞ、こう言った。そうしたらあなた方は、そんな心配はないと言った。ところがその逆の現象が現実の事態になって現われてきた。従って、あなた方のその見通しは誤まっておったのではないか、こういうことをついておる。誤まっておりましたが、誤まっておりませんでしたか、いかがですか。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 外貨を使ったこと自体が何も悪いことじゃない、何も外貨をただたくさん持って積み上げておけばいいというのじゃありません。問題は、外貨をどういう限度まで使い得るかということなんです。これ以上外貨を使ったらいかぬと思います。今の経済は、あのままに放置すれば、もう日本の持っておる外貨を全部食いつぶしてしまって、その上に借り入れをしなければならぬ。物価が騰貴するから、どうしてもこの辺でとめなくてはならぬ、もう少し前に押えることがよかったろう、これは、私は異論はありません。異論はないが、しかし外貨を便ったらいかぬという考え方には、私は必ずしも同調しない。どういう程度のところに外貨というものの使用の限界があるか、とめなければならぬ限界があるか、こういうふうに私は考えれはいいと思います。

春日一幸日本社会党

○春日委員 それでは、一歩譲ってお伺いいたします。あなたなかなかがんこ者だ。私の問わんとするところは、あなたは国民に責任を負うて、そうして村政を行なっておるのですよ。従って、適当なときに適切な施策を講ずる義務があるのですよ。イギリスがやはり外貨事情が危機にさらされたときに、直ちに公定歩合の引き上げを行なった。それは、時宜を得て、そのチャンスをはずすことなく、その策を講じて、従いまして今大臣がみずから述べられたように、たとえば三月において一厘上げた、効果は何らなかった、五月になってさらに二厘公定歩合を上げた、それでも効果がない。そこで、七月に至って総合緊急政策というものを立てて、その既定計画というものに大なたをふるった、こういうような三段階の施策を講じてきた。すなわち自民党内閣が昨年の暮れから、あの予算編成を通じてこれを行なっておったならば、国民にかくのごとき大きな出血をせしめることなくして、事前にこれを予防的に措置できたと考えるのだが、私は、その時期がおくれたことは認めると言ったが、その時期がおくれたことによって惹起したところの国民の大犠牲、国家経済に与えたところの大混乱、これに対して大臣は責任を感じておるかどうか、この点を一つお伺いいたしたい。これは虚心たんかいに御答弁願いたい。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 私の見解とはどうも食い違いがあるようであります。私の考えは、そういう責任論とかいろいろいうものは、今度たとえば総合政策を打ち立てて政府がやったが、どうもこれは失敗した、そうして、国際収支も日増しに依然として悪くなる、物価も騰貴してインフレに陥った、そうなったら、むろん私自身は責任をとります。しかし問題はそこにある。言いかえれば、日本の経済の病気に対する治療法が、慢性的なものに対する治療法か急性的な治療法か、幾らか急激であるか、ゆるゆるにやるか、そこの相違なんですから、これはお医者さんでもいろいろやり方の違いがあるのです。それは必ずしもゆるゆるといくのがいいとも言えないかもわからない。これは日本が非常に特殊な——非常にというと言葉は悪いが、特殊な、言いかえれば、先進国みたいになってしまっていれば話は違うのですが、まあある意味においては、先進国と後進国とのまん中くらいの国情に日本があるところに、経済の成長の伸びというものの関係が別個に私は考慮されるべき点がある、こういうように考えておるのです。

春日一幸日本社会党

○春日委員 そうすると大臣の言わんと欲するところは、こういうことですか。たとえば予算を組んだけれども、事態は政府の見通しのごとくには経済は動いていなかった。そこで、三月に公定歩合を一厘上げた、効果がなかった。だから、五月にさらに二三上げた、効果がなかった。けれども、七月にあの緊急総合施策を講ずることによってやや効果を奏してきた。そうして九月に輸出と輸入がとんとんになってきて、だんだんと黒字の傾向へおもむいておる。言うなれば、事態は非常に悪くはなったけれども、その政府の手によって、同一の医者の手によってだんだんと快方におもむきつつあるから、その責任はしんしゃくさるべきものがある、こういう工合にお述べになっておるのでありますか。これが私にはわからないので、また国民も聞かんと欲しておるところであろうので、この点はさらに重ねて、そのような御見解であるのかどうか、その点を一つ伺っておきたい。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 私の言いたいことは、これは、先ほどから繰り返すことになるので、はなはだ心苦しいのですが、根本は、経済の循環としてこれは把握しなければならぬ。日本のような経済の場合には、特に輸出が旺盛であると、当然投資景気の方向に向う、これは悪いことでも何でもない。それによって日本の経済が拡大され、国民生活もよくなり、雇用もよくなる。ただ問題は、そういうことが行き過ぎる場合に、これを抑制していかなくちゃならぬ。その抑制が、自由経済では主としてやはり自動調節的な作用に依存をしておる。そういう点において私は反省をして、自動調節というものにたよるとすれば、これは今後よほど整備をしていかなければならぬ。同時にまた従来の考え方、運営についても一つ考えてみなくちゃいかぬ。そういうふうな反省は十分ここにしなければならぬ、それをやっていけばうまくいくだろう。三十二年度予算についても、ああいう予算なるがゆえに非常に御批判があるのでありますが、これは財政自体から見れば、そう誤まったことではないのでありまして、たとえばああいうふうに増収が多ければ、これはやはり減税をして元に返すことは、だれが考えてもいいことだ、こういうふうに私は思っております。あとはいろいろな施策の点でありますが、これも私は、そう非難さるべきことではないので、主として自然調節作用というものについて今後十分な反省を加えて、その限界が一体どこにあるかというようなことを考えこみたい、こういうふうに思っております。

春日一幸日本社会党

○春日委員 これは、もう少し淡々とした気持で、現実のこの事態を冷厳公正に批判しつつ述べていただくのでなければ、私は問題の解明はできないと思う。結局あなたは、今自由経済の自動調節にゆだねて云々と言われておるけれども、そんなことだったら、政治というものはないじゃありませんか。一つの経済の動向を、これが国家経済の立場において、また国民生活の立場において悪い傾向だと思うならば、そこに一つの施策を講じて、そうして事前にその方向を転ぜしめていく、これが政治であり、その権限は政府にゆだねられておると思う。イギリスの経済は、あの二十億ドルの保有外貨を割ったときに、いち早く大幅に公定歩合の引き上げを行なって、そしてそういうような投資活動を抑制していく、それが非常にタイミングにその時期を得ておったことによって、ああいうふうな、すなわち、日本において現に現われておるようなこういう破壊的事態を事前に避け得た、私はこのことを言っておる。従って、今政府がとっておられるところの三つの段階、すなわち三月と五月と七月のそういう施策を、自民党政府が正確に経済の見通しを立てて、ほうっておけばこういう事態になるから、これを今やるということで、昨年の十月から暮れにかけて、さらに一月、二月の予算編成期においてそういう予算を立てていくならば、今日国民の、大中小あまねく産業山をおおうて現われておるところのこういうような犠牲は避け得たのではないか、このことを一言っておるのです。この点はいかがでありますか。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 私が言いたいことは、今の日本の経済の基調といいますか、日本の経済がいかにも悪いようにとられておる点については、私は必ずしも同調し得ない。日本の経済の基調というものは、決して悪いものではない、ただ行き過ぎておる。その行き過ぎておるものを是正していくのが今の政治である。行き過ぎたことによって生じた不均衝を是正して安定した条件を備えて、その上でまた拡大をしていこう、こういうので、何だか今の日本の経済はいかにも非常に悪くなってしまっておるというふうにはとらないのであります。そういうふうな見地に立って、私の今まで申し上げたことを御批判願いたい、かように存ずるわけであります。

春日一幸日本社会党

○春日委員 私はくどいようではありますけれども、現在のこのようなわが国の経済の現状は、不可抗力的な天災地変によってもたらされたものであるとか、あるいは他国の侵略によってじゅうりんされた結果もたらされたものであるとか、そういうことならば、これはやむを得ないと思う。けれども、これは正常なる経済活動の過程において、その帰結としてこういう結果が現われてきた。それは突然変化したわけのものではない。これは一つの経緯があった段階があったその段階においてタイミングな措置を講じなければならぬ。イギリスにおいても、それをやつで危機を事前に避け得ておる。それを日本において避け得なかったというところの責任が、政府にあるのではないか。予算の立て方というものが、その後財政投融資が六月に大修正が行われておるというのであるから、そういうようなことを事前に行って、あのような過熱状態になった日本の経済状態をそこで一応冷やすというような措置がとられたならば、避け得たのではないか、そこに経済の見通しの誤まりがあって、予算の立て方が間違っておったのではないか、このことをお伺いいたしておるのです。その点は明らかにしなければならぬ一点だと考えますから、重ねて御答弁を願います。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 それは、結局私は見解の相違になると思うのであります。今の経済は非常に悪いとなれば、そういうふうに何か避け得られるか得られないかというような御意向もあるでしょう。しかし、日本の経済の伸びというものについて、むろん徐々にいく、それも私はいいと思います。同時にまたずっと急に伸びていく、これも国の状況においては、やむを得ないところがあるのであります。特に日本の場合には、先ほど言うたように、輸送とか、エネルギーとか、同時に経済の合理化というものがおくれている国におきましては、国際経済の情勢のいいときになるべくこれを伸ばしていく、こういうようなことも、自由経済では自然に行われていく。それで、そういう点を十分に正していかなくてはいくまいから、今後はそれについては、何らか計画性を与えるということについて十分反省しなければならぬということは、私は申しているわけです。それで御了承いただきたい。

石野久男日本社会党

○石野委員 関連して。ただいまの問題で、大臣は医者にも処方箋の書き方がそれぞれ違いがあるからという話をされている。三十二年度の予算が、三回にわたって修正されて今日にきている金融引き緊めというものが及ぼした影響というもので、どういうふうに現われているかということについての見方の違いが、処方箋の書き方にもなるのだと思うのです。大臣は、あまり大して責任を感じておられないけれども、大臣が先ほど予算に対する説明をしたときにも言っておったことだが、投資景気だから大企業は大丈夫なんだ、だから、投資の繰り延べをすればそれでいい、しかし中小企業というのは、元来がいろいろ問題があるのだから、そこで年末金融として百七十億の中小公庫とか国民金融公庫からの手当をしたのだ、こういう話をしておる。問題はそこにあると思うのです。この投資景気からくるところのいろいろな問題は、大企業には大して影響しないことは、あなたの言う通りです。今度一番大きく問題になっているのは、中小企業に悪影響が出ているということである。そのために中小企業がぶっつぶれてしまっている、どんどんその数が減っていく、いろいろ倒産が出ておる。そういう問題に対する政府の、特に一萬田大蔵大臣の見立てはどうなっているのかということを聞いているわけです。その見立てに何ら責任を感じないというのなら、あなたの言われる通りでよろしい。もしこれが現実に出ているものに対してあなたが責任を感ずるというならば、政府の施策というものはそこに大きな見誤まりがあった。われわれが予算審議のときにいろいろ追及したときには、そうじゃない、大丈夫だと言っておった。その見誤まりがあったからこそ、中小企業があちらでもこちらでもぶっつぶれているんじゃないかということを春日君は聞いておるのです。そういう問題に対するあなたの見立てはどうなんですか。薬はどういうふうに出てくるのですか。その薬が、つぶれた人に対してどういうふうに生き返らせる効力を持っているのですか。私はそういう点に対するあなたの責任をお聞きしたいし、また政府としては、そういう問題に対して何ら痛痒を感じないという考え方であるとするなら、年末に出すところの百七十億の資金手当なんというものは、こんなものは何の役にも立たない。だから、そこのところをはっきりしてくれということを聞いているんだから、明確に答弁していただきたい。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 御答弁します。中小企業自体一般についてのことは、これは何も今回に限らず、政府としては、常に中小企業については特別の考慮を払っているのでありますが、今回の経済の変動に関連しましては、私はこういうふうに考えている、今度はやはり投資景気の行き過ぎで、この行き過ぎが主として大企業において行われている。それで、大企業において、行き過ぎの設備等の計画を繰り延べることによって、資金並びに物に対する需要が減るから、それで大企業において一つ始末をつけてほしい、こういう見地、しかもこの大企業は、あまり数が多くないから、私は個別的にもよく話し合って、それでいこうじゃないか、こういうことで今まで進んでいる、これが一つ。しかしながら、それにもかかわらず、ふだんからやはり中小企業というものは、今日の社会並びに経済の構成の上において弱い階層に属する、そうすると、社会や経済に何か市が起ると、やはりこの弱いところにどうしても力の関係でしわが寄ることが多分にある。ですから、中小企業については、初めから特別な考慮を加えておかなくてはならぬという意味において、中小企業については、今回のことについても特別に配慮を加えて、今回は特に研究をして、実行できることは実行したのでありますが、さらに今回は、政府関係の中小企業金融機関の資金源も特に増加して、これに対処していく、かように存じておるのでありまして、中小企業がお苦しみになっていないというようなことも考えておりません。そういうこともありません。従って、政府としてはできるだけ手を差し伸べていきたい。しかも、今日政府が考えておるのは、少し長期的には、単に中小企業が困るからといって金融面において一時をどうするということではなくして、それはそれとして、さらに中小企業の日本産業構造における地位をよく考えて、それにふさわしい扱いというものを中小企業にすべきだ、こういうふうな考え方でやっているわけでありまして、中小企業について政府として格段の配慮を払っていることを御了承を得たい。

石野久男日本社会党

○石野委員 答弁が私の聞いていることとちょっとずれている。私は、国際収支の面で、今度の投資景気からくるところのいろいろな悪影響、赤字を出してきているという国全体の問題をもちろん一つ考えなければならぬが、それが具体的に国内に出てくる場合には、大企業と中小企業にこういう差が出てきているということを言うたわけです。あなた方が昭和三十二年度の予算を作るときに、あなた方は、わずかこの半年間に起きてくるような情勢を見込んであの予算を組んだのか、そういうことを見込んでいなかったのかということを私は聞いている。あなた方があの予算を組むときに、やはり中小企業は必ずこういう混乱に陥って、こういうように苦しくなってくるということを予想しつつ、あの予算を組んだとするならば、政府としてそういう方針をとるのであるから、あなたの言うことは別に私は反駁しない。しかし、政府はそうでなくて、この予算をやるならば、中小企業もよくなるとあなた方は言った。ところが、実際はそうでなかった、実際に困ったのは中小企業で、ばたばたやられた。そこで、あなた方の見立てておった見通しというものは間違っておったのではないかということをわれわれは聞いているので、今からどうするというようなことはそれはあとのことなんで、あなた方の見立てが間違っておったということになれば、この見立ての間違っておる政府に国民は信頼をおけないという結果が出てくる。あなた方が最初からそういう見立てをしておったなら、自民党が中小企業に対して幾らいいことを言っても、実際は何にも考えていなかったということになるし、実際は考えておったが、見立てが間違っておったなら、間違っておったということをここではっきりしてほしい。年末金融はどうだというようなことは要らないから、そこだけをはっきり答弁して下さい。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 見方々々とおっしゃるが、経済自体は、特に今日の国際情勢等から考えて、どうしても変動を生ずるのであります。こういうふうに見ておっても、また違った方向に変動を生ずる。政府としては、そういう変動をできるだけ見通して初めから対応しなければならぬが、しかし、必ずしも全部が見通されるとも限らぬのでありまして、問題は、そういう変動に対して常に適切に対応していくということにある、私はかように考えております。

石野久男日本社会党

○石野委員 それじゃ、私はこれだけのことを言っておきます。あなた方の自民党の政府は、たった三カ月先、たった六カ月先のことが見通しができない政府であるということをあなたが答弁された、そういうふうに受け取ってよろしいですか。そういうふうに考えてよろしいですか。私は、国民経済というものは変動する、あるいは国際経済も変動するということはよく知っている。しかし、われわれが信頼する政府としてあるところの岸内閣、あるいは大蔵大臣は、三カ月や六カ月ぐらいの見通しはつくだろうとわれわれは思ってきた、国民はそう思っておった。ところが、それが見通しができなかったということを今答弁している、そういうふうに見てよろしいですか。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 私は、見通しができなかったなんと答弁したことは一つもありません。経済自体がやはり変動するからということを申しているわけです。

春日一幸日本社会党

○春日委員 それでは、この問題は、頑迷不遜にしてなかなか本心のあるところを申されぬ。しかし辛うじて得られた答弁は、いろいろ反省するということである。反省されるということは、顧みてさまざま思い当る節があるということを意味するであろうから、これはやがてあなたの良心に照らして、後日国民の前に陳謝する機会もあろうし、みずから責任をとられる場合もあるであろうということを強く期待いたしまして、質問を先へ進めます。  そこで次の質問は、このような経済情勢、それからこのような経緯を経て、やがて来年度昭和三十三年度の予算が組まれようといたしておる。この基本権想は、先日あなたから発表されたところを新聞で承知をいたしましたが、しかしながら本昭和三十二年度の予算と明年度三十三年度の予算とは根本的に違うところがなければならぬ。どういう点が本年度と来年度の予算とにおいて違うのであるか、その相違点をこの際具体的にあげて明らかにしていただきたいと思うのであります。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 私質問の焦点といいますか、そこがちょっと把握できないのでありますが、三十三年度の予算もむろん三十二年度の予算をもとにして、これはやはり国の活動なんでありますから、その引き続きとして三十三年の予算を考え、そして三十三年度に適応するような予算を組む、こういうことであります。

春日一幸日本社会党

○春日委員 僕の質問の要点がわからぬとは失礼千万ですな。もう一ぺん申し上げます。このような経済背景、すなわちその混乱状態に大中小を追うてあらゆる企業が出血をしておる。大企業は下請代金を払えない。そしてもらえないところの中小企業たちは、九月末の統計によると、東京手形交換所では、一カ月に六万三千通の不渡り手形が出ておるといっておる。そういうような状態、大中小を追うて全面的に恐慌が深まっておるこの段階において、国際収支は黒字に転じたりとはいえ、何ら過去の失ったものを取り返す傾向にはまだおもむいてはいない。こういう情勢下において編成されるであろうところの明年度の予算案は、すなわち本年度のそれとは相違点が相当あろうと思う。違う点は、どの点とどの点を違わせなければならぬと考えておるのであるか、その相違点を明らかに述べられたい、こういうことなんです。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 私が申し上げたいのは、三十三年度の予算は、三十三年度に見通される日本の経済について、どういう関係において編成するかというなら私はよくわかるのでありますが、三十二年度予算との関係において言えといえば、これは、やはり三十二年度は三十二年度として最も国情に合う予算を組んだ、その上において、国家活動ですから、その国家活動の継続において、三十二年度の経済というものを見通して、それに最も適応するような予算を組む、そのことが特に今日必要である、このように私は考えておるのであります。

春日一幸日本社会党

○春日委員 その立場において、三十二年度の予算の立て方と、それから明年度の予算の立て方においては、特にどの点が違っておるか。たとえば財政投融資において、あるいはその他の施策の面において、あるいはまた税制の面において、たとえば昨年度は一千億の減税をされたが、本年度かりに減税をするならば、購買力が高まっていく、そのことが消費景気に云々という関連もあるであろうから、昨年度とられた要するに一千億減税、一千億施策と同じような予算の立て方は許されまいと思う。しかし、あなたはどう考えておられるかわからないので、だから、昨年度お立てになった予算の立て方の考え方と、こういう背景の中であなたが今度予算を編成するその基本方針は、先刻発表された、その中でどういう点が特に重点的に相違しておるのであるか、この点を述べられたい。今あなたが述べられた立場において、どの点が相違しておるか、これを一つ具体的に明らかにいたされたい、こういうことであります。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 三十三年度の予算について、今ここで私が何は何、これはこうと、それを三十二年度と比較するような具体的なことを申し上げる段階に今ないのであります。それは一つ御了承願いたい。これは、今後大いに勉強してやるつもりで、またいろいろと御相談申し上げたいと思っておりますが、今私が三十三年度予算で言い得ることは、先般発表しましたように、いわゆる三十三年度予算編成の基本構想を実行していくということに、今のところは尽きるわけであります。

春日一幸日本社会党

○春日委員 そういう責任のないおざなりな御答弁は、私は卑怯卑劣だと思うのです。あなたの方は、予算の基本構想を明らかにされておるし、この問の新聞によると、各省から出てきたところの予算が、何か二兆八千億とかなんとかいうことも明らかにされておる。また閣議においてそれぞれの大臣に対して、あなたから、それぞれの要求額についてのあらかじめの抑制の警告的な発言もあったと聞いておる。あなたが具体的に考えていない、またその段階でないというようなことは真相ではないと思う。これは国民の前に赤裸々にあなたがぶつかって取り組む、こういう虚心な、かつ大胆な誠実な態度がなければ、私は国の行財政の前途まさに憂うべきものがあると思う。それはそれといたしまして、これは、あなたの人柄がこういう答弁に現われたものであって、やむを得ぬと思います。  そこで質問を先へ進めますが、明年度予算編成の最大の焦点は、余裕財源をどう処理するかというこの一点にかかるのではないかと私は思う。われわれが検討したところによりますと、現行制度をもってすれば、明年度の歳入規模は、少くとも一兆二千五百億、上回れば一兆三千億、こういうものに考えられる。ここに伝えられるところによると、明年度予算の歳出規模は、一兆一千五百億の程度に押えたいというような蔵相の方針のごとくに聞いております。しかりとすれば、この余裕財源一千億ないし一千五百億、これは何らかの措置をとらなければならぬであろうと思う。減税に回すか、あるいはまた伝えられるようなたな上げを行うか、二つに一つしかない。どういう方針をとられるのであるか、この点をお述べ願いたいと思います。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 予算規模等につきましては、私ただいま慎重に検討中であるのでありまして、今ここでどういうふううに予算を組むか、申し上げる段階に達しておりません。

春日一幸日本社会党

○春日委員 その余裕財源をどういう工合に措置するかということは、今や国民の重大な関心事であると思う。しかも、それは日本の当面しておるこの経済情勢の破綻を克服することのために、この問題が大きな要素になっておると思うのです。従って、この余裕財源なるものを、あなたが新聞に発表されたところによると、たな上げするというようなことが述べられておる。あるいはまた強制貯蓄を行なって、それで減税の特別措置を講じていくというような説も述べられておる。あるいは自民党の内部においては、この一千億というものは、余分のものをとっておいてはならぬという財政の見地から考えて、当然これは減税に回すべきだという一部の意見も述べられておる。これは国民の重大関心事であって、この臨時国会においてあなたの所信を明らかにさるべきものと期待されておる。しかも予算編成期に当るのでありますから、この機会をおいて、あなたがこの問題について責任あるその構想を述べられる機会は、他にないと思う。私は国民が聞かんとしておるこの問題の核心に触れておる。この際あなたがどう考えておるか、これはどうしても御答弁を願わなければならぬ。あなたの考え方を一つお述べ願いたい。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 ただいまのお言葉にもありましたように、責任がありますがゆえに、私はただいま慎重に考慮をめぐらしておるわけであります。むろん時期が至りますれば、私堂々と所信を申し述べるつもりをいたしております。ただ今は早過ぎる、こういうことを申し上げたのであります。

春日一幸日本社会党

○春日委員 この間うち、あなたの財政方針の演説に対応いたしまして、天下の大新聞は、ことごとく筆をそろえてこれを論難いたしておりました。そうして真に国民の知りたいところは、来年度はそれだけの余裕財源をどう処理するかということである。これは国民の知りたいところだから、大蔵委員会、予算委員会等を通じて明らかにしてもらいたい、このことを強く要望いたしております。これは、みな社説の中で特筆大書しておる。すなわち来年度の予算の立て方、余裕財源をどう処理するかということが問題のかなめになっておる。すなわちこれを減税に回すのか、これをたな上げにするのか、あるいは現行制度をもって入ってくるその一兆三千億、これをことごとく予算の中に組んでこれを支出していくのか、歳出として組み立てるのか、これは今あなたが御答弁をされるのでなければ、会期は十二日にして終り、再び会うときには、大体において予算案はコンクリートになっておる。国民が知るときはないではありませんか。この際、来年度の予算がどういう考え、どういう方針で組まれるのかということは、経済界といわず消費大衆といわず、あるいは与党、野党を問わず、経済学者といわず、全部が知りたい問題のかなめである。これは当然虚心たんかい——あなたの方針を述べることがこの際当を得ないとするならば、たとえばあなたの考え方、客観的と言っては語弊があろうけれども、これはいかにすべきであると考えておるか、その一つの考え方だけでもお述べ願ったらいかがでありますか。これは重ねて御答弁を願っております。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 考え方につきましては、もうすでに三十三年度予算編成の基本構想ということで、明確に私の考え方は出ておると思います。

春日一幸日本社会党

○春日委員 その構想を見ると、既定経費を徹底的に節減する、新規経費を重点的に厳選する、財政投融資は、本年度実行額の範囲内にとどめることとする、余裕財源は三十一年度剰余金を含めて、景気調節のためにリザーヴする、こういう予算構想なんだ。そうすると、景気調節のためにリザーヴするということは、一千億ないし一千五百億現行制度によって生ずるであろう財源をたな上げするということですか、重ねてお伺いいたします。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 考え方は、それできわめて明瞭であったと思いますが、その一つ一つの内容については、今後の日本経済の推移等からも見て——今回の予算編成の一番の眼目は、歳入があるからどうとかいうことではむしろないんで、日本経済に裨益できない要因をなるべく、与えないで、どちらかというと、経済の伸びを手控えさせ、そうしてここでその間に生じたいろいろな不均衡を是正をして、安定した基礎の上で今後の経済の拡大をはかる、その基礎を作ろう、こういうことに根本の考え方がなっておるのであります。その考え方をそういうふうに声明をしているのですが、それをどういうふうに具現をするか、今後その考え方に応じて私は具現をさせるつもりであります。どういうように具現するか、これが来年度の、今後の予算編成の問題になる、かように存じます。

春日一幸日本社会党

○春日委員 そういたしますと、余裕財源は、三十一年度剰余金を含めて、リザーヴするという考え方は、たな上げするという以外に実行方法は私はないと思う。他にあるならばお聞かせを願いたい。そこで、たな上げするというその考え方を述べられているか、私は、この考え方は間違っているのではないかと思う。で、この機会を通じて、これを明らかにいたしておきたいと思うし、かつ大臣の所見もただしておきたいと思うのですが、それは財政の原則、従来の財政の立て方の常道に反するものではないかと思う。この点を私は特にお伺いをいたしたいと思うのであります。言うまでもなく、歳入と歳出との均衡を保たしむるということは、最小の犠牲をもって最大の効果を得るといういわゆる経済上の原則、また合理性の原則をいうか、それは、いずれにしても歳入と歳出との決定の根本的な大前提とされている。私はかくのごとくに従来理解してきている。従いまして、国家が財源として租税を課し得るところの限界は、納税者たる国民がその納税によって受ける犠牲の量と、その施策によって受ける国民の福祉の量とが合致した点において求められる、こういうふうに理解している。従いまして、税金というものは、その歳出規模に応じてのみ取り得るものであって、むちゃくちゃに取る、幾らでも取るというふうになったら、これは無制限になって、何ら抑制する点もないのみならず、国民の負担もとどまるところを知らない、そういう場合も予想されないわけではない。従って、そういうような財政の原則から考えると、私は、ここに明らかに一千億ないし一千五百億の余裕財源が出てくる。一方一般会計の予算というものは、一兆一千五百億をこえてこれを組めば、せっかく大きな犠牲を払っていろいろあなたが施策していることが水泡に帰する。だとするならば、それ以上額をこえることはできない。できないとすれば、余分な税金を取る必要はない、こういう結論になってくる。それをたな上げするという考え方は間違いである。明らかに一千億ないし一千五百億は減税に回さなければならない、こういう結論がでてこざるを得ないと思う。だとするならばたちまちいかにこれを減税していくかという減税構想というものが、今から検討されていかなければならぬと思うが、この点、大臣の所見はいかがでありますか。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 一つの御意見として拝聴をいたしておきます。

春日一幸日本社会党

○春日委員 御意見として拝聴するなどということは——少くとも僕は、訓示をしているわけでもなければ、家庭教師をやっているわけでもない。私は大臣に対して所見をただしている。いいならいい、悪いなら悪い、私はまるきりしろうとで、税金のことはわからぬと思うならわからぬ、だから、やめたらいいと思っているとかいうふうに、何とか御答弁すればいい。御意見を拝聴するなどということは、まことにもって本員を侮辱することもはなはだしい。私はそんな答弁はないと思う。委員長から適当な処分を願いたい。とにかく答弁を私は求めます。促して下さい。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 言葉が足りませんので、御不満まことに済みません。私の申したいのは、今その点については、ここで申し上げる段階でないということで、一応ああいう基本的な考え方を、具体的にどうするこうするということについては、一つ今後に待ちたい、かように言うておるわけです。(「大蔵大臣は新聞に発表して、国会には答弁しないじゃないか。」「言え。」と呼ぶ者あり)それは問題が……。私率直に申し上げますが、たとえば景気調整の資金としてたな上げすることが財政法上適当、不適当という御議論でしたら、それは、私はりっぱな御意見であるかもしれません。私、そこのところは、十分今後研究しなくちゃならぬ。法律的なお話でもあったので、そういうふうに御意見として拝聴しておきます。こう申し上げた。具体的にたな上げをどう使う、こう使うということは、今申し上げる段階ではありませんということを先ほどから申し上げておるのです。

春日一幸日本社会党

○春日委員 そういう答弁は、私はないと思う。少くとも財政の基本方針を明らかにされておる。そこの中に、この四項目の一項目として、これは上っておるのですよ。だから、私は、そういうようなことができ得るかと思って、これは、私ども財政問題については、十分これを尽していないが、いろいろと検討をしたり専門家に聞いたりしたら、そういうようなことは、原則としてもまた前提としても、あるいは財政学の大前提としてもあり得ないことだ、こういう意見をことごとに述べられておる。とにかく税金を幾らでも取ってよろしい、そういうことであったならば、国の行財政がめちゃくちゃになる。だから、おのずから納税者たる国民側の犠牲と、歳出を通じて受ける国民の福祉が、量と量が合致し得る点においてのみこういうことが許される。余分な税金を取ることは許されない、こういうことが予算を組むときの大前提、鉄則になっておる。だから、私は、あなたは勉強してと言っておられるけれども、勉強せずにこういう基本構想を発表したのですか、思いつきで、即興で、だじゃれで発表したのですか、けしからぬじゃないか。もう少し今後はよく財政学その他予算決算会計令、そんなものはどうかしれないが、そういうような関連の法律や前提をいろいろ十分検討されて、国民にそういうはからざる聳動を与えないように、また本員をしてこのような質問をなさしめないように、十分御検討の上そういう御発表をお願いしたい。  こういうような両方の財政投融資ですね。私は、これについて重ねてお伺いしたい。明年度は一般会計においても、また財政投融資のいずれを通じてみても、財源に相当のゆとりがある。従いまして、この処理いかんがやはり問題の核心になってくると思うのです。明年度は結局郵便貯金、簡保の伸びが五十億、余剰農産物を受けると円資金となってここへ流入してくる額が百億、それから今回政府が売り戻した市中銀行手持ちの金融債の七百億も入ってくる。それに本年度繰り延べられた財政投融資二百五十億、こういうようなものと、来年度の国民所得の伸び、いろいろなものを加えて、財政投融資のワクの中においても、別途に一千億の余裕が生じてくると思う。私は、一般会計の方は、減税なり何なりによって措置が講じ得るのだと思うのだけれども、一体来年度の財政投融資の構想をどういう工合にお立てになっておるか。一ぱいに使っていけば、またこれは大へんなことになるでしょう。抑制していけば、問題は新しくさらにいろいろな問題が惹起してくると思う。これは、一体どういう工合に財政投融資をお立てになっておるか、大体の構想についてお伺いしたいと思う。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 三十二年におきます日本経済の設備拡張、あるいは合理化、その他の情勢、これが同時に外貨事情にも大きく影響しておるのでありますが、これで見ますと、相当伸び過ぎておる。それで財政投融資も、御承知のように六百億見当繰り延べをやっておる、こういうのが日本の経済の状況でありますから、ここでさらに財政投融資をふやして、経済に大きな刺激を与えることは、私は適当でないという見地に今立っておる。従いまして、基本構想で申し上げたように、これは実際的の、また心理的ないろいろな影響も考慮して、大体今のところ昨年並みで一ついこう。しかし経済も生きものであるという点を考慮しまして、今後予算を編成するまでの間もありますし、日本の物価情勢あるいは今後の輸出の情勢、国際収支がどういうふうな状況に今後推移していくであろうかということも考えまして、適切に客観的な情勢が合うようにやっていきたい。ただ一番私が今強く申し上げたいことは、日本の経済について刺激を与えることはこの際適当でない。いわゆる財政投融資というものは、この際一口でいえば、やるというよりも、なるべく押えるという方向にいかざるを得ない。ただやる場合においては、特に日本経済の拡大の場合に隘路となる部門、輸送とかエネルギー、こういうところに特に重点的に考えていこう、こう考えております。

春日一幸日本社会党

○春日委員 大体明らかになりました。本年度の実行計画三千四百億円程度の限界でこれをとどめていきたい、こういうことと存じております。そういたしますと、大体ここで一千億程度の余裕金を生じて参ります。政府は、この一千億の余裕金をどういう工合に運用されるお考えでありますか。たとえばこの資金のコストが大体六分三厘、政府の短期証券は五分三厘、そうすれば、一分の逆ざやが上ってきて、これは赤になってくる。あるいは市中銀行の手持ちの金融債を買い入れるとすれば、これは金融引き締め政策に逆行してくる形になってくる。いずれにしても困った状態になってくると思うのだが、そういう場合に、一体政府は運用をどういう工合にこなしていこうと考えられるか。これも重要な関心事でありますから、この機会に明らかにしておきたいと思う。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 資金がどういうふうに余るかは、やはり今後の日本経済の情勢にもよります。同時にまた、経済の情勢がこうあっても資金の集まり方がこう、いろいろあります。私どももできるだけ資金の吸収をはかりますが、しかしそういう点もありますので、余った金をどういうふうに運用するかについては、とくと今後考えていってもらいたい。今それについては検討をなしております。

春日一幸日本社会党

○春日委員 そんな不親切な答弁はないと思う。われわれ野党ですら、検討してみれば、大体来年度の資金というものの額は想定できないことばない。いわんや、あなたは機関を持ってその衝にある。それが、来年度の財政投融資の資金源が何ほどのものであるかということが、推算できないはずはないじゃありませんか。私が今ここに指摘したのは、郵便貯金、簡保、そういうものの伸びが五十億、余剰農産物の問題は決定していないが、しょせんは受け入れるものとすれば、円資金として流れてくるのが百億くらいある。この間七百億の売り戻しをやったから、七百億の金はある。本年度の繰り延べをした二百五十億がある。こういうようなものをずっと推算していけば、とにもかくにも本年度三千四百億に押えれば、一千億程度の余裕を生じてくるであろうということは、われわれ野党でもわかる。あなたがその衝にあってわからぬはずがない。私は、こういうものが生じた場合どうするかと言っておる。私は単なる思いつきや、ただ仮想の議論をしておるわけじゃない。こういう質問に対しては、やはりまともな御答弁を願わなければ困るじゃありませんか。時間があまりありませんから、この点だけに集約いたしますから、これはもっとすなおに御答弁を願います。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 ごもっともでありますが、私は、これは仮定に基いてそう早くいろいろ言うよりも、通常国会で他の関係と一緒に詳しく申し上げればいいだろう、それまでになるべく正確性を増したものを作った方がよろしい、こういうので、なるべく早くものを言えばいいというふうには私は考えておりませんので、適当なところがあれば、また他の機会でも申し上げることにいたします。なるべく通帝国会に……。

春日一幸日本社会党

○春日委員 臨時国会というものは、何も仮定の論議や仮想の論議をしておるわけではない。これは国会として体をなしておるものなんです。権威を有しておるものなんです。従って、われわれが聞いておるのは、そういうような予算が立てられ、あるいはまた財政投融資計画が立てられてしまってからお互いに論ずるという形になってくれば、やがてあなた方も、自説に固執するの態度をとってくるであろうし、またお互いに検討する機会も失われて、なかなか変更するということができない。だから、論議をこういうような機会に尽して、あやまちなきを期したいし、それを国民も期待しておる、こういうことで質問しておる。だから、本格論議を通常国会に譲るなんという、そんなばかなことがありますか。国会法に基いて召集された臨時国会なんだから、こういうような場所において、あなたが委員の質問に対して、責任をもって正確に十分条理を尽して答弁せぬということがありますか。御答弁願わなければ困ります。私はいつまでも質問いたします。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 大へんおしかりでありますが、これは、やはり余ったものの使途ですから、余る前の財政投融資自体がきまらないと、その余ったものをどうするかといっても、これは余った金額にもよりますし、そういうことはやはり未定で、それを大蔵大臣が固まりもせぬのに、これはこうするああするということは言えませんでしょう。そうして、言えば、またあんなことを言って違うじゃないかということになりますから……(笑声)

春日一幸日本社会党

○春日委員 本日いろいろと質問を行いましたけれども、私もほんとうに誠実を尽して伺ったつもりなんだけれども、あなたの御答弁は、まことに誠意のない御答弁で、何ら私の聞かんと欲するところにお答えのなかったことをまことに遺憾に思います。いずれ機会をあらためて、さらに残余の質問を続行することを申し上げまして、次に質問を譲ります。

山本勝市自由民主党

○山本委員長 次に、横山利秋君の質問を許します。

横山利秋日本社会党

○横山委員 私は、主として税金のことについて大臣に伺いたいと思うのであります。今まで春日委員を通じて承わったところでは、将来のことについては、あまりおっしゃらないようであります。それを、水かけ論をやっておっても切りがありませんから、私は少くとも政府及びあなたが、今日までいろいろと公式に発表され、あるいは非公式に発表された材料を中心にして御質問をいたしたいと思います。その材料の第一点は、言うまでもなく予算の基本方針であります。材料の第二点は、この間あなたが本会議で演説されましたいわゆる財政方針の演説であります。この二つを通じて言えることは、減税の問題について、あなたは何ら触れていないということであります。しかも、余裕財源は景気調節資金としてこれを運用をするということにあるのでありますから、これらを通じて、私は一萬田さん、または岸内閣は、今度のこの補正予算の中においては、税制上輸出振興の特別措置はおやりになるのだが、将来、つまり来年度の予算の中には、減税ないしは増税は考えていらっしゃらない、こういうふうに推定をせざるを得ないのでありますが、私の推定は間違っておりましょうか。私はただ抽象的に聞いているのではありません。あなたが演説されました内容を基礎にし、かつ予算編成の方針を基礎にしてお伺いしているのでありますから、その立場でお答えを願います。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 私の税に対する一つの考えですが、それは、恒久的な税収入が非常に多い、いわゆる超過、そういう場合に減税をしたいということは、私異論はありません。そういう事態にはですね。ただ私の考えでは、そういうふうなことでも、なるべく減税をしたいということは異論がありませんが、しかし三十三年という年は、やはり先ほどからしばしば申しますように、基本構想にも明らかにしておりますように、特殊の予算編成を必要とすると私は考えております。従って、やはりそういう見地から考えてみなくてはならないのじゃないかと思います。ほんとうに歳出、国の活動というものを十分考えて、なおかつ恒久的な税収入が多いとなれば、これはなるべくタックスペーヤーにお返しをするのがむしろこれは正当である。ただそれは一つだが、三十三年度は特殊な事情があるから、その点から考えたい、こういうことであります。

横山利秋日本社会党

○横山委員 そういたしますと、三十三年度は特殊な事情がある。特殊な事情とおっしゃるのは、景気の変動を調節するために、景気調節資金を持って、これをたな上げにする、こういう意味だと思いますが、そういう理由があるから税制の大幅な改正はしない、つまり増税も減税もしない、こういう意味にとってよろしゅうございますか。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 税制について、何もしないとは私は申し上げない。今言うたように、三十三年度は特殊な条件下で編成をするから、その他のものも、いわゆる三十三年度予算一般として考えてみなければならぬ、こういうことであります。

横山利秋日本社会党

○横山委員 わかりました。その特殊な事情が正しいのであるかいなかについては、意見の分れるところでありますが、またあとに延ばしまして、今度は根本的な税制改正はしないという意味と承わりましたが、今度は具体的に一つお伺いしたいと思う。  第一にお伺いしたい点は、先般来問題になっております地方交付税の問題であります。地方交付税は、すでに従来の国会からのいろいろな紆余曲折を経て、二六%を少くとも二七。五%にしなければならぬということは、自民党の中でも議論が燃焼し尽され、もうすでにあなたの方として決定をなさったというふうに伺っているのでありますが、地方交付税を修正なさることになっているかどうか、まずそれを伺います。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 三十三年度の予算の具体的な編成については、これからということなんであります。従って、三十三年度予算の具体的なことがどうかこうかということは、ただいま私は何とも申し上げられません。

横山利秋日本社会党

○横山委員 そうおっしゃるだろうとは思っておったのですが、しかし、この問題に関する限りにおいては、今日までの決定があるわけであります。大蔵省としても、しかるべき筋にお答えをなさっているのであります。従って、全然白紙であなたがこれから考えるというわけには参らない。国会としても、また与野党としても、それぞれ今日までの決議ないしは約束ということがあるのでありますから、あなたが全然白紙ということではおさまりません。問題は、二六%を二七・五%にすべしという今日までのもろもろの協議決定というものを、御尊重なさっているのかいないのか、それをお伺い申し上げます。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 このことに関します従来の経緯は、十分承知いたしております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 私の聞いておりますのは、承知しておられるのはあたりまえであります、尊重をなさるかいなかということであります。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 むろん尊重いたすつもりであります。(笑声)

横山利秋日本社会党

○横山委員 第二番目にお伺いをいたします。時間がございませんから、要点だけ申し上げますが、最近法人税を引き下げるべきであるという議論が非常に活発であります。すでにこれは、税制調査会の答申に出ておって、そうして先般これが実施せられなかった問題であります。その点が有力な根拠となっており、かつ政府の高官筋におきましても、公式な場所においてそれを発表をなさった、検討すると発表をなさっておられる確実な証左がございます。この法人税を、大臣として、調査会の答申を尊重なさって、是正をされる用意があるかどうか、伺います。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 税についての考え方は、先ほど御答弁申し上げた通りであります。しかし、これはまた仮定になりますが、ここは内輪ですから、打ちあけて申し上げます。税を減税するとすれば、やはり法人税というようなもの、あるいは事業税、こういうものはやはり一番最初に私は考慮に上っていいだろう、かように考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 法人税ないしは事業税が一番最初考慮に上るであろうという意味深長な御答弁には、私としてはずいぶん異存があるのでありますが、しかし、それはまたあとの問題といたしまして、この際はっきり聞いておかなければなりませんのは、先ほど少し聞き忘れましたけれども、来年度増税をなさる気持があるかどうか。これは、今この状況においては、とっぴな質問のようではありますが、案外潜在意識として国民は疑いを持っておるのであります。減税するかどうかという時代に増税するかどうかということを聞くのは、やぼな話ではありますが、この際大臣の明確な御所存を伺っておいた方がよかろうと思います。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 私は、ただいまのところ増税する意思は持っておりません。ただ税の調整というようなことはあり得るかもしれません。

横山利秋日本社会党

○横山委員 調整ということが、どういう意味だかわかりませんが、基本的に増税をする意思はないという点はわかりました。そこで、事のついでにお伺いをしておきたいのですが、アメリカをずっと回ってこられました岸内閣の実力者の河野さんが、広告税を創設しろということを盛んに方々で口をきわめて力説しておられるようであります。広告税につきましては、いろいろな問題がございますし、またそれが妥当な意見であるという考え方も根強いものがございます。しかし、これは実施をいたすといたしますれば、相当大きな波乱が起ると思います。そこで、私がお伺いしたいのは、政府の、しかも経済企画庁長官である方が、広告税を創設すべきであるというふうに力説をしておられることについて、大蔵大臣としてどういうふうに措置をなさるつもりであるか。これは、言いにくいことであるならば、先ほどあなたがおっしゃった意見に変りはないかどうか、これだけでよろしゅうございますから、お伺いをしたい。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 私は、河野企画庁長官がどういうふうなお考えを持っておるか、今まで聞いておりません。それで、その点について、企画庁長官がどう言うた、こう言うたという点について答弁はいたしかねます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 ですから私は聞いておるのです。あなたが広告税について開いていらっしゃらないかもしれぬが、しかし世間一般は、河野さんが広告税について非常な自信と勇気を持って言っておられることを認めておる。私は、あなたに河野さんの言葉を批判しろと言っているのではありません。先ほどあなたがおっしゃった言葉は、この話の中でもまた変りはないかという聞き方をしておるのであります。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 私の考えは変りはありません。ただ先ほどから申しているように、増税という意味が、あるいは幾らかお考えと違うか、それはわかりません。私は、いわゆる増税という、国民に特に負担を加重する意味において税をとるというようなことは思っておりません。しかし、やはり税というものは、常にそのときの担税力と均衡を得て、不公平にならぬようには考えなければならぬ。その意味における税の調整という意味から、いろいろと税について考えてみるということは、為政者として当然であります。タックスペーヤーの立場から見ても当然のことであろうと、かように考えます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 少しそこでぼやかされるようでありますが、何もあなたと私に、増税という言葉と、それから税の調整という言葉について根本的な違いはないと思うのであります。広告税を創設することが増税になるのか、税の調整になるのか、そんなことは三才の子供でもわかることでありますから、これをしいてあなたに論争を求めようとしません。少くともあなたは増税をしない、従って増税の部類に入る広告税は、これは新設しないというふうに理解せざるを得ない。もし私の言うことが間違っておったら、再答弁を願います。間違っておらなければ、黙っておられてけっこうであります。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 この増税というようなことで事新しく議論をいたす意思は、今のところそういうことを考えておりませんから、持っておりません。がしかし、税の調整ということは、これはやらなくてはならぬ。社会党の方は、特に私はそうでないかと思う。タックスペーアーの公平という見地に立って、あるところは特に税が重く、あるところは税が軽いということは、私は不適当だと思います。そういう意味で税制について考えることは、私は保留いたします。

横山利秋日本社会党

○横山委員 税を公平にするということは、かねてからわれわれが主張しておったことで、あなたが今ここで、税の公平に衷心努力を注ぎたいということは、私は大賛成です。願わくは、その方向が実際に一萬田さんの手によって実現されることを特に望んでやみません。大蔵委員会でこの種の問題について論議したことは、夏以来二回か三回ありますが、私は、その際にあなたに苦言を申し上げたことがあります。少くとも一萬田大蔵大臣の手によって、政策的な減税は行われたことはあるけれども、公平の原則によって税制改正が行われたことはないということを、私はかつて申し上げたことがございます。今度の臨時国会におきましても、あなたがなさろうと思っていらっしゃることは、輸出振興のための税制上の特別措置をするというだけであります。しかも通常国会における税の公平というものは、根本的にあなたが考えているかどうかについては疑問なしとしないのです。私は、あなたが今御答弁なさったように、税を公平にしたいということであるならば、勇敢に租税特別措置にさらに一歩を進めなければならず、また先般の千億減税のひずみを正すために、勇敢にまた低額所得者の方へ一歩踏み入れなければならぬ。これは、客観的に見て私は正しいことだと思うのでありますが、しかし、概念ながら今日まであなたが踏んでこられた道は、すべてといっていいほど、政策的な減税にとどまっておるのでありまして、ここのところを一つ有言実行してもらいたいと思うのであります。これは意見でございます。  それから次にお伺いいたしたいのは、税制調査会の運営のあり方であります。今税制調査会へ諮問をされていることは、相続税、それから間接税、この二点にわたっているのでありますが、聞くところによりますと、相続税については、十一月の終りかそこらにこれが答申が出るそうであります。間接税は、いつのことやらわからぬそうであります。そうすると、あなたがいつも言っておられた税制改正については、審議会の御意見を得てということは、通常国会に相続税の問題だけの答申が出るだけであって、自余の問題は出ないようであります。ここは非常に重大なことでありまして、いつもあなたの言っておられた点と少し違うのでありまして、大蔵大臣として、今後の税制改正は、今までのようなあなたの答弁でなくして、あなたみずからの所信をもって税制改正を、それが根本改正ならずとも、公平にするという改正であろうとも、あなた自身がおやりになるということを示しておられるものかどうかということを、まずお伺いいたします。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 税制調査会には、今お話しのように、相続税、間接税はむろんのこと、税制一般についての御審議を願っておりまして、なるべく早くこの答申が相なるように今お願いしておるところです。できるだけ通常国会に答申が間に合うようにいたしたいと考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 大臣、そこに原さんがついておっても、原さんとちょっと話が違うでしょう。そうではないのです。通常国会に間に合うということが考えられないで、どうしてそういうことをおっしゃるかわからぬのであります。通常国会に間に合うのは相続税だけで、それ以外に間に合うものがあったら、原さん、一つ助言をして下さい。

原純夫大蔵事務官(主税局長)

○原政府委員 調面会の運営についてのことでありますので、私から補足して申し上げます。  おっしゃいますように、相続税とそれから間接税、これらについて、ただいままで特に重点を置いて御審議を願っておることは、おっしゃる通りであります。しかしながら、来年度やるべき税に関する事項の重要なものについては、当然この調査会に審議を願うという筋合いでございますから、ただいま来お話のあります税に関する一般的な政府としての腰がまえと申しますか、それと照応いたしまして、全般問題について御審議を願うということになろうと思います。そういう意味で、間接税、それから相続税以外の問題についての審議がまだ十分にスタートしてないということはおっしゃる通りでありますが、これについては、なお最後の税法案をまとめますまでに余裕がありますから、いずれ御審議を願うということになろうと思っております。それをどの程度に幅広く御審議を願うかということは、先ほど来お話の全般問題に対する態度にからんで決定されるということになろうと思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 原さんはそうおっしゃいますが、実際問題として、婉曲に間に合わぬということを言っておられるとしか伺わざるを得ないのであります。大臣に私は以上のことを頭の中に入れてもらって、そうして先ほど言ったように、相続税とそれから間接税——間接税も通常国会にどうも間に合わぬらしい。従って、相続税だけが答申が出るだろう、自余の税制改正につきましては、かりにそれが根本でなくとも、私は今まで政府のやっておる立場に立って質問しておるのでありますから、さよう御勘案願いたいのでありますが、相続税以外の税制改正については、今まで出ております問題は、先ほど大臣がおっしゃった法人税、それから事業税、それからこれは間に合うかどうかわかりませんが、間接税のうち物品税と、それから酒税ですか、それから本日の新聞に出ており、かねて大臣が言うておられた預金の一割減税、この種のものに尽きるようであります。まずこの種のものの中から、先ほどの質問で足らなかった点を伺いますが、この預金の一割だけ減税という減税預金制度なるものについてであります。新聞によりますと、あなたのかねての住宅減税から、今度はこの減税預金制度にくらがえをして、そうして通常国会に提出の上、明年四月一日から実施をするそうだ、そしてもう成案がここにでき上って、それを調査会に諮問をするということになっておる向きであります。一体先ほどの大臣の公平の原則からいうと、貯金のできる人、まあいうならば中額ないし高額所得者だけがまた減税の恩典を受け得る。さらにまた大衆的にいっても、今度郵便貯金の二十万が三十万になるそうでありますが、今度は、少くとも減税の中心は、貯金のできる人だけが減税の恩典を受け得るということは、公平の原則から大臣はどうお考えでありましょうか、それをお伺いいたします。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 私は、こういうふうな考えでおります。大衆、特に働く者とか中小企業者は、ほんとうを言うと貯蓄もなかなか無理かもしれませんが、しかし私の考えでは、大衆にできるだけ御節約を願って、それはまた将来の備えにもなりますし、していただく。またそういうふうにして、むずかしいところをがまんして下さって貯蓄をして下さる、こういう方に税法上支援を与え、ある程度の恩典を与えるというのがいいのじゃなかろうか、こういうふうな考えから、従って今度の考え方は、主として勤労大衆——月給を取る人を初めとして、勤労大衆の預貯金ということに中心を置いておるわけであります。仕組みを私十分報告を受けておりませんからわかりませんが、私の趣旨としておるのはそういう意味であります。

横山利秋日本社会党

○横山委員 あなたが大衆に貯金をするように仕向け、そうして大衆がそれによってフェーバーを受けるようにしたい、こういう念願ならば、それ自体についてはそう異存のあることではありません。しかし、実際問題は、今日国民の勤労大衆の中で圧倒的多数を占める数は、あなたがいう減税預金制度の恩典を受けないと思うのであります。たとえば新聞に発表されました案によれば、年十万円を限度として三カ年以上の預貯金をした場合、その一割に当る金額を税額控除すると書いてあります。所得控除でなくて税額控除でありますから、一割ならば一万円、年一万円税金が安くなるのであります。これは非常な特典であります。しからば、こういう人たちはどういう人であろう。かりに限度額年十万円でありますから、月にしてみれば八千円、月八千円の預金ができるか、勤労者にとっては夢のような話であります。そうでしょう。かりに、そうでなくてもいいのだ、十万円でなくても一万円でもいいのだとしたところが、減税の恩典を受ける人は、お金持ちが一番恩典を受けられる。預金をしようにもし得ない人、こういう人たちは、との恩典を受けるわけに参ません。私はかつての千億減税のときに、この千億減税が中額所得者以上の減税であって、五十万円以下の低額所得者の減税ではない、こう言って力説をいたしましたが、今回もまた同じようなことになるのであります。これは、あなたの方と立場が違うかもしれませんが、ほんとうに勤労者が預金ができるようにするのにはどうしたらいいだろうかということを、この際あなたの先ほど言われた答弁であるならば、根本的に考えるべきではないかと思うのであります。お米の値上げをして貯金をしろというわけには参りますまい。ベース・アップをしてはならぬ、こう言って貯金をさせるわけにも参りますまい。やはりかつかつの生活をしていくならば、そのかつかつの生活から一歩進み出て、少くとも生活にゆとりが出るようにすることが、一番下の方から預貯金を積み上げる根本的態度ではなかろうかと思うのであります。このやり方でいくならば、減税預金制度ができて得だから、こっちに預金していたものをこっちに移そうかということで、ほんとうの預金というものは出ないのじゃないか、そう考えられるのでありますが、いかがでございますか。結局あっちに貯金しておったものをこっちに持ってきて、この減税預金に積み立てるだけにすぎなくて、総体的な預金というものはふえないのじゃないか、私はこう判断をするのでありますが、大臣のお考えを伺いたいと思います。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 そういうふうな心配もないことはありませんが、どういうふうにしてそういうことを防げるかも今研究しております。私の考えは、やはり所得源がはっきりして、その所得源でとれるようなものにしたいという考えでありまして、わかりやすくいえば、たとえば月給をいただく、その月給をもらうときに、その月給から五百円なり千円なり引いておく、それに恩典がある、こういうふうな形を原則的には考えておるのでありまして、それ以外には、どういうふうにするのがいいのか、農村並びに中小企業というような方もやはり苦しいのですが、こういう苦しい人が、特別に社会国家のために貯蓄が大切であり、必要でありますが、それにそういう方も協力してくれる。そういう人にやはり特典はあげてもよいのではないか。私もまだ具体的な点については、なお十分検討させなければならぬと思っておりますが、私の説としては、今申したようなところにあるのでありまして、方々にためているものを持ってきて、税の恩典だけに浴しようというのは、何とか私はチェックしたい。そういうことが可能かどうか、こういう点も今後十分検討を加えてみたいと思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 私は、大臣がインフレを防止するために、預貯金をふやしたいというふうに、かねがね念願を持っておられて、それに努力しておられることを認めるにやぶさかではありません。しかしこういうやり方というものは、あちらこちらに今預金されておるものを一カ所に集めるだけにすぎない。あなたは少し性急に過ぎるのではないか。方々にあるものをまとめて、ああ、これで預金がふえた、こういうことで自己満足するだけにとどまるのではないかと言いたいのです。大蔵大臣として、また国務大臣として、ほんとうに国民大衆が預貯金のできるような生活水準にすることを、根本的にお考えにならなければいかぬと思うのであります。  ここで観点を全く変えまして、一つお伺いしたいのでありますが、千億減税が行われたことを、国民は今どういうふうに考えておるか。これは、私どもが社会党であるからどうのこうのということでなくして、客観的に考えて、千億の減税についても、今日国民の批判というものは、案外値打がなかったということに尽きておるような気がいたします。これはもちろん物価が上ったとか、お米の値段が上ったとか、いろいろなことはあるけれども、案外値打がないという感じが強いのであります。この千億減税のねらいとしたところは、少くとも大臣としては、これで預貯金をふやす方向に努力をする、減税が貯蓄の方へ回るようにするというふうに、金融機関を督励なさったそうでありますが、千億減税は今日どういう結果が現われたかということを、お調べになったそうでありますが、その結果は、政府の考えとしては、どんなことになりましたか、お伺いをいたします。

原純夫大蔵事務官(主税局長)

○原政府委員 お尋ねになりました趣旨は、千億減税の結果、納税者の手元によけいお金が残った、それがどれだけ貯蓄に回ったかということであろうと思います。つまり減税後の貯蓄の経緯はどうかということだろうと思います。私どももあれだけの措置をとっていただきましたことでありますから、いろいろと調べをいたしております。概して申しますと、預貯金がふえないという中におきまして、貯蓄性の預金はおおむね順調にふえております。これは先ほど大臣もおっしゃった通りであります。詳細な数字は持ち合せておりませんが、二、三点について御報告申し上げますと、一月から三月までの家計における貯蓄は、前年のそれに比べまして減っておりました。大体の見当で三割程度貯蓄の度合いが減っておりました。それが減税によって影響を受けました四月、これは源泉所得税が四月から減税して、はっきりその影響が出たわけでありますが、私は四月以降六月までのものを調べたメモを持っておりますが、これによりますと、前年の四月—六月における貯蓄の割合に比べまして、その期間の貯蓄の割合は、一〇%ふえております。その数字から、一体減税分による手取増のうち何割が貯蓄になったかということを調べるのはなかなかむずかしいことでありますが、非常に雑な検討をいたしましても、減税分のかなり大きな割合が貯蓄になったというふうに私は見ております。数字を申すのは避けますが、何十%かが貯蓄に回ったのではないかと私は見ております。それが一つであります。それから第二に、全国銀行の預貯金総額の四月から七月までの増加というものを、三十一年度と三十二年度とを比較いたしますと、三十一年度におきましては六・一%伸びております。それに対して三十二年度は、〇・三%しか伸びていない。それが預貯金総額における伸びが非常に悪いという数字的な現われでありますが、そのうち貯蓄性預金においてはどうかといいますと、前年の六・一%に対して、今年は五・二%ということになっております。なおそのうち個人分についてみますと、八・七%という伸びを示しております。この辺、前年より必ずしもよいとは言いがたいとは思いますが、そう悪くもないという数字が出ております。  郵便貯金につきまして四月—七月の伸びを見ますと、三十一年度は六・三%でありましたが、三十二年度は五・二%と若干落ちております。しかしながら、そのうち貯蓄性の預金といわれる部分についてみますと、前年の二・二%に比べて今年は三・四%ということに相なっておりまして、概して申しまして、この預貯金が非常に伸びが悪いと言われることは、貯蓄性の預金についてはないのではないかと見ております。しかしながら、一方でこういう減税があったために、購買力がよけい納税者の手元にある。これについて、十分慎重な態度で見なければならぬわけでありますから、なお十分検討を重ねて参りたいと思いますけれども、概して見ておりますところは、そういうところであります。

横山利秋日本社会党

○横山委員 それをあとで一つ委員会へ提出をしていただきたい。私が今聞いた分の中から推論をいたして言いますと、千億減税というものが、五十万円以上の所得者に重点を置かれたことによる結果が、その中へも現われているのではないかという感じがいたすのであります。しからば今度の減税預金制度についても、大臣の構想される預貯金の増加というものは、同じ結果が現われるのではないか、こう思うわけです。何としてもほんとうの預貯金の増加をはからんとすれば、零細な大衆をも基本にしなければなりません。ちりも積って山となるのでありますから、そのところへ大臣の積極的な考えを、単にこういうやり方でなくして、総合的なやり方に向けられなくてはならぬと思います。  そこで、大臣にお伺いしたいのでありますが、一部の説に、減税というものが消費インフレを刺激する、そういうことになるのだという考え方が、今なお潜在意識として強いようであります。この千億減税の経過及び今後の展望からいって、どういうふうにお考えになりますか、お伺いをいたします。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 減税をして、それだけ購買力がふえれば、それ自体はやはり私は消費を刺激する、消費傾向をとると思います。それは、そのままにしておけばという意味合いで、ごく平面的な考え方ですが、しかし、そこで政府としては、それはおもしろくないといえば、やはり政策的に、そういう減税したような金が消費に向わないように、いろいろと物心両面にわたって国民の協力を求めていくという政策が必要であろう、かように考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 そこで、話はもう一つ発展をするわけであります。最初の問題に返って参りますが、明年度の予算編成方針の中における景気調節資金の問題であります。この景気調節資金そのものの構想については、必ずしも全く反対をするものではありません。これは断わっておきます。けれども、今日の話題、今日の問題として適当であろうかどうかという点について疑問を持つわけであります。少くともこれを新設をしようとするゆえんのものは、景気の波動を調整をする、特にインフレになるのを防止するというところにあろうかと思います。私は、今日本の税制というものが、たとえば基準年次をとらえてみましても、国税、地方税両方合わしても一人当り二十七円、本年度の一人当りの負担はたしか一万七千円くらいになっておると思います。この二十七円に物価指数をかけ、いろいろな事項を調節いたしまして今日に引き直しても、一万七千円という個人負担というものは、実にはかり知るべからざる重税であります。この重税を緩和するということが、何としても与野党を通じて一致した意見になっておるわけです。その財源がしからばあるかということになりますが、ここに自然増収が一千億ないし一千五百億ある。その自然増収は、まさにあなたのお考えによれば、歳出はもうこの辺でよろしいのだ、これは余っておるんだ、余っている資金を景気調節に使う、こうおっしゃるのだが、余っておる税金ということは、これはもう税法の基本原則に返って、取り過ぎなんでありますから、納税者の手元へ返すということが、今日として一番大事な問題ではなかろうか、それを納税者の手に返してインフレが起るか。これは、先ほどからの原さんなりあなたのお考えによって、そういう減税による消費インフレというのは、方法によって起らないとあなたはおっしゃる。それであるならば、私は、党利党略的な景気調節資金だと、そこまで言うつもりは今はないのでありますが、少くとも重税に苦しんでおる国民の手に取り過ぎである税金は返すべきである、これが基本的な問題ではないか、こう思うわけです。これがもしどうしても歳出に必要だ、千億ないし千五百億の支出がどうしても一必要だというならばいざ知らず、少くとも来年度の予算の中において歳出を編成する場合においては、それはどうしても要るものではないとするならば、明らかにこれは取り過ぎでありますから、納税者の手に減税として返す。それによって起るかもしれないという一部の説、すなわち消費インフレについては、あなたの方で抑制し得る自信がおありだそうでありますから、ここは減税の方に行くのが、今日の日本の納税者の気持、また国民の気持からいって当然ではないかと思うのでありますが、この点、あなたの御意見を伺いたいと思います。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 第一の一番重要な点は、三十三年度におきまして日本経済に刺激を与えて、一そう日本経済が大きく物資を需要する、そういう状態にならないように日本の経済を安定させて、均衡を得た経済の上において今後発展を考えていく、こういうことが基本であります。この基本に照らしていろいろと考えてみよう、こういうことなんですから、この基本の点がこわされないようにということの確信ができれば、私はいろいろのことを考えよう、こう考えておるわけであります。  税のことについて、私がここで具体的に三十三年度について何も今申し上げるべきではない。今後予算編成につれて、いろいろと考える。しかし、常にかなめになるのは、今言った日本経済との関係、どうしてもこれは必要であります。今度、たとえば財源があるからいろいろ使ってもいいじゃないかとか、それでもやはり健全財政じゃないとか、そういうふうに税収があれば、むろんこれはタックスペーヤーに返す、これも正しい、それもそうであろうかとも思うのでございます。要は、今申しました日本経済との関係においてどういうふうな影響があるかということを基本にして考えていきたい、こういうことであります。

横山利秋日本社会党

○横山委員 景気調節資金を新設するというあなたの考え方、政府の考え方の原因、出発点となったものは、明らかに本年度の景気観測を見誤まったというところから出発しているのであります。これは、先ほどから各委員からいろいろと追及がされ、本会議においてもなされたところであります。本年度の予算編成において、私どもの立場から言うならば、社会党の言い分を聞いて予算編成をなされておれば、かかることはなかったであろうにと私どもは言いたいのであります。私どもでなくても、政府が、またあなたが昨年度の予算の最終ごろから、この景気の観測を正しく見定めておったならば、かかる変動はなかったはずであります。これは、大きな教訓になったはずであります。しかりといたしますならば、来年度の予算編成においてことしの愚を繰り返さない決意と認識を固めたならば、景気調節資金は不必要なものであります。従って、景気調節資金が不必要であるとするならば、これは取り過ぎでありますから、減税の方へ回すべきだ、私どもは、三段論法と申しまするか、こういう考えを持っているのでありまして、この点はあるいは水かけ論になるかもしれません。しかし、国民が求めているのは、こういうような神武景気から神武以来の不景気に突然変異をするようなやり方は、どうしても政府は考え直してもらわなければいかぬ。年来国民が訴えているのは重税であります。それをあなたがこの際思い直して減税の方向へ、しかも先ほどおっしゃったように公平な税の方向へ進まれることが必要ではないかと思うのであります。  時間もないようでありますから、あと二点だけ特殊の問題について大臣に伺っておきたいと思います。  第一は徴税の問題であります。今日までの徴税の経緯をずっとながめてみますと、戦後の混乱した時代の徴税方法というものは、何といいましょうか、非常に権力的なものがありました。また納税者の立場においても混乱がありました。しかし、それは次第におさまって参りまして、税制は、今納税と説得と合理的と科学的という方向に入りかけているわけであります。さればこそ、戦後一時ありました第三者通報制度、つまり密告制度もありましたが、これはもうなくなっているのであります。しかし、そのかわりにといいますか、今なお権力的に残っております税制の制度があります。いわゆる査察とか、あるいは特調とか、そういう特別な権力をもって数日間にわたって企業を急襲し、そして一斉封鎖し、取引先を一斉に回って、それがために多くの混乱を起しておるのであります。私はこの手段というものが、過渡的に、税の混乱時代においては、そういうことをやることもある場合においては必要な時代もあったであろうと思います。しかし、だんだんと税務行政が国民に親しまれ、そうして納得と説得が必要な時代においては、権力をもって納税者を支配するという方向ば順次改められていかなければならぬと思うのであります。たとえば査察の状況を三十年度で調べてみますると、査察をやったという調査件数は二百四十件、処理済みは二百二十八件、その処理済み二百二十八件の内訳を見てみますと、不問になったというのが何と百件ございます。それから告発をしないということになったのが九十件、それから告発をするということになったのが三十八件だそうであります。私は、今査察を中心にして言っておるのでありますが、これは税務署内にあります特調についても同じようなことが言えると思うのであります。この査察をやった二百二十八件のうち、何と不問に付したものが百件、告発をしないと決定したものが九十八件、圧倒的多数が不問になったり、あるいは告発をしないということになったのであります。裏返していいますならば、この不問になったという立場における企業というものはこの査察の権力の支配を受けまして、数日間圧倒的に会社内を引きずり回され、信用は失墜し、それによって多大の犠牲を受けておるのであります。それにもかかわらず、ああお前のところはもう不問だということで引き揚げたという結果が現われておるのであります。ですから、私は、こういう事態も必要な時代があったであろうけれども、これからの税務行政というものが納得と説得と科学的と合理主義に順次進んでいかなければならぬ時代において、これは大いに考えるべき問題ではなかろうか、こういうことが痛感をされます。もちろん査察を担当する税務署員といえども、全然いやがらせや意地でやっておるところはございますまいけれども、結果として考えてみますと、納税者は急襲をされ、会社内をじゅうりんされ、お前のところは白だったといって引き揚げて、それに対して損害弁償を要求する権利は、現行法では何らないのであります。もしも税務署が違法に、あるいは故意に不当にやった場合はいざ知らずでありますが、これらは合法にやられておるのであります。そういう場合に考えられることはこういう権力的な力で支配するやり方というものは、順次改めるべき段階ではないかということが第一であります。  第二番目の問題としては、こういうふうに白になったようなところが国に対して損害賠償を要求し得る余地が全くないという今日の事態を、一体どうお考えになるか。合法に行われたけれども、しかし、言うならばそれは査察の見込み違いであった、それで済むものであるかどうかということであります。この点について大臣の見解を伺いたいと思うのであります。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 徴税が説得と納得にできるだけよるべきことは異論がありません。そういうふうにしていくつもりであります。徴税は、むろん厳粛に行われなくてはなりませんが、同時にまた納税者の立場も考えて、できる限り喜んで税が納まってくる、円滑に徴税がいくということが望ましいことは言うまでもない。そういうふうに私は今後できるだけやるように指導いたすつもりであります。ただ、同時にまた税金という特殊な事柄でありますので、公平に、厳粛には行われなくてはならぬ、あまり説得、納得が行き過ぎると、かえってまた弊も生じますので、その辺もなかなかむずかしいのですが、厳粛ではあるが納得を願ってやる、こういうふうな格好で行きたいと思います。  それから損害賠償の点でありますが、私は、査察をした結果特に相手に損害を与える、そういうことはなるべくないように、今言うたような、第一のような考え方からして、そんな一もう大体において十分見通しをもって査察をするならする、こういうふうにいたしたいと思っております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 私の質問に対するあなたの答弁は、的をはずれているのです。第一の問題は、こういう権力的に税務行政をやらざるを得なかった時代は認めるが、第三者通報制度、いわゆる密告制度をやめたというのも、やめた経済情勢の理由があったであろう。査察制度という権力的なやり方も、もう時代としては改める段階ではないか。制度を変えて、もっとそういう科学的、合理主義の方向へ行く時代ではないか、その方向に税務のあり方を変えていく気持はないかということが第一であります。  第二番目に、あなたは損害を与えるようなことはないと思うと言いますが、これは認識不足もはなはだしいのであります。一つの会社に五人、十人の国税局の人がやってきて、五日間もかかってすわり込んで、全部封鎖して、そして一々やってごらんなさい、それによる信用の失墜ははかり知れざるものがある。業務の一運営も一時ストップをいたします。そうしておいて白だったということでは、それによる物心両面の損害の大きいことは言うまでもないじゃありませんか。それに対して、納税者は国に対して何らの要求もする権利がないというのはおかしいではないか、こう言っておるのであります。これはもうすでに刑事訴訟法の部面では、間違われた逮捕、あるいはまた間違われた犯人、こういうものは、国に対する損害賠償の道を開いているのであります。税務だけが、白だった、さようならということであります。違法にやったのならば別ですよ。しかし違法におやりになることはそうありますまい。合法にやって、なおかつ物心両面の損害を与えた場合のことを考えなければならぬじゃないか、こう言っているのであります。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 御承知のように、査察をやめることができれば早くこういうものはやめて、しかも徴税が円滑にいくということが一番望ましい。ただ遺憾なことに、今この査察をやめるという段階にまではいっておりません。やはり実際から見て、査察制度は必要と思います。ただ問題は、査察制度はあるが、なるべく説得、納得で円滑に事を運ぶようにする、こういうふうにいたしますのが今の段階であろうと考えております。  それから損害賠償のことですが、査察をやって不問に付したものなんかの件数を今ずいぶんおあげになりましたが、これは、やはりまあまあというところで、何にもないというのではありませんで、不問に付しておっても、あったのが相当あると思いますが、事情やむを得なかったろうというようなところでしんしゃくを加えた、かように御了承を願いたい。要するに、一足飛びに査察をやめたり、損害賠償をどうするということをいたしますと、やはり行き過ぎが今の段階ではあると思います。一方徴税を確保することの国家のためにいかに必要であるかということも、十分考えなければなりません。相当件数がありますけれども、大多数の納税者の方々は、別にさようなことはないのでありますから、そういうふうに御了承願いたいと思います。

山本勝市自由民主党

○山本委員長 横山君、この辺でどうですか……。

横山利秋日本社会党

○横山委員 時間がございませんから……。査察制度の現状について、大臣と私と少し認識の相違があるようであります。ですから、客観的な事例をもってこれは議論をした方がいいかと思いますので、委員長にお願いをいたします。国政調査をもって、査察がどういうふうな現状で行われているか。私が調べましたのは、国税庁の年報でありますが、たとえばその年報により、不問に付された事件にどんなものがあるかという点について、これは個々の会社を問題にいたしますと議論がありますので、個々の名前は出さないで、一ぺん国政調査をさしていただく機会を与えられるように委員長にお願いをしておきます。  最後にもう一つだけ、非常に具体的でありますから、大臣は聞いておっていただいて、原さんにお答えを願ってもいいのですが、人格のない社団について最近個別に、あなたのところはどうですかという調査が行われているようであります。これは、従前の大蔵委員会でずいぶん問題になりましたところでありまして、私もこの点について、たくさんお聞きしたい点がありますが、きょうは一つだけにしておきます。  刑務所内における囚人がいろいろ仕事をしておりますが、この刑務所内における囚人の仕事というものは、どういう関係になるかということが一つであります。  それからもう一つは、刑務所内における職員がいろいろな仕事をしております。この刑務所内の囚人及び職員の行なっております事業は、この人格のない法人に対する課税とどういう関係になるか、これを一ぺんお伺いをしたい。  きょうは時間がございませんから、また単にお答えだけでは困りますから、一つ原さんにお願いしたいのは、実情を調査していただいて、そして科学的な御返事をいただきます。  それでは、私の質問をこれで終ることにいたします。

山本勝市自由民主党

○山本委員長 まだ質問の希望者がございますし、いろいろ質問を継続したいような御要望もございますが、冒頭申し上げたように、宮中の行事がございますから、時間が経過しておりますので、これで……。

春日一幸日本社会党

○春日委員 今後もあることですから——この与党の姿は一体何ですか。実際こういう臨時国会が開かれても、だれしもいろいろな用事があり、こんなみんな熱心にやっているのに、与党みずからが二人か三人で全部行ってしまう。こういうようなやり方なら、今後は決意があります。委員長よく御注意を願いたい。

山本勝市自由民主党

○山本委員長 委員長から注意をいたします。  本日はこの程度にとどめまして、次会は明五日午前十時半より開会することにいたします。  これにて散会することにいたします。     午後一時一分散会

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