P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
27回国会衆議院1957/12/19

社会労働委員会 第8号

発言数
36
登壇者
7
会派数
2
開催日
1957/12/19

会議録

野澤清人自由民主党

○野澤委員長代理 これより会議を開きます。  都合により委員長が不在でございますので、私が委員長の職を勤めます。  社会保障制度、医療公衆衛生及び婦人児童福祉に関する件について、調査を集めます。質疑の通告がありますので、これを許します。赤松勇君。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 今回厚生省では、貧困と疾病の追放を目ざして、厚生白書をばお出しになりまして、かなり長文にわたって、しかもあらゆる厚生関係の諸問題につきまして、相当の調査なり、あるいは御意見をば発表されております。まだ委員には渡されておりませんけれども、新聞を通し、あるいはただいま私の手元にありますこの白書を通しまして拝見をいたしましたが、かなりやはりつくべき点はついておられると思うのであります。たとえば所得の問題等につきましても、あるいはエンゲル係数の問題にいたしましても、不完全就業の存在にいたしましても、あるいは低賃金等の問題につきましても、むしろ労働問題にも関連をさせまして指摘をされております。そうして結局は、わが国における貧困世帯の約三割が零細農家である、一割が零細自営業である、二割が低賃金労働者 二割が就業形態の不安定な日雇いあるいは家内労働者、残りの二割が無業者、こういうような構成になっておる。全体の四割程度が老齢、母子等の就業能力、従って所得能力を喪失し、あるいは制限された世帯によって占められておる。まさにその通りであるのであります。このことは、白書はわが国を中進国というふうにうたっておりますが、少くともその面に関しましてはアジア的な貧困社会の実相を呈しておる。つきましてこの白書の中には、これらの日本の資本主義の持っておる固有の貧困あるいは病根に対する厚生大臣の具体的な対策というものが述べられていない。たとえば養老年金が必要である、あるいは母子年金が必要である、身体障害者年金が必要である、そして将来は軍人恩給、官公吏の恩給等も含めた国民年金制の確立が必要である。問題は、その国民年金制を確立する場合、だれがどのように負担するかということが問題であるということも指摘をされておりますが、こういう点につきまして、具体的にまず当面これらの諸問題の解決の第一歩として、堀木厚生行政、また岸内閣は何をやろうとするのか、これを当面の対策と長期にわたる将来の対策、この二つの点につきまして、この際明らかにしていただきたい、こう思います。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○堀木国務大臣 私どもが出しました厚生白書について御注意を引きましたことは、非常にありがたいことだと思っております。今度の厚生白書は私どもから見ると、経済の繁栄の陰に、やはり非常な貧困の階級、いわゆる日の当らない人々が多い。これは私は二つの原因があると思うのでありますが、敗戦による特殊の現象と、それから当然一つの社会制度から出て参ります問題——あの中には必ずしも資本主義固有の欠点であるというふうなことは書いておりませんわけでありますが、御指摘のこれらの問題についてさしあたり何をしようか、また将来にわたってどうすべきかということを、お前は何を考えておるか、この問題につきましては、やや厚生白書自身にも明らかにいたしておりますように、さしあたりは国民皆保険、医療保障を通じて国民の健康を守り、貧困への転落を阻止いたしたいというふうな考え方で国民皆保険を実施いたしたい。そしてこれは本年度から始まっておりますが、何といたしましてもこの問題の解決に当りたい、こういうふうに考えておりますような次第でございます。なお長期の考え方として、現在せっかく準備いたしておりますところの国民全般にわたりますところの真の年金制度が開始できるようになれば、よほど今申し上げましたような点について、政策的には生活の安定を得、貧乏から守ることができるんでなかろうかというふうに考えるのであります。しかしこれは御質問の赤松さん自身もよく御承知のように、年金制度を創設いたしますときに、真の年金制度、ただ何と申しますか、老齢者に一つの、まあそう言っては悪いのでありますが、クリスマス・プレゼント式のものでは、ほんとうの生活保障の観点から見ました国民年金制度というふうな点からはほど遠いのでありまして、真の年金制度を創設いたしますときには、相当一般予算上多くの経費を出さなくちゃなりません。しかも今醵出方式をとるといたしましても、現在御指摘になっておりますような現在の老齢者あるいは母子家庭、あるいは重度の身体障害者等に対して醵出制度のみで参ることができないだろうと思いますと、いよいよもってこれらの問題に対して、財政上非常に違った考え方に入らないといけないというふうに考えます。しかしいずれにしましても、せっかく今内閣にありますところの社会保障制度審議会、あるいは厚生省にございますところの五人の委員よりなります年金制度の調査委員等の中間的な結論でも得られるような段階になって参っておりますので、これらとあわせまして、十分考慮をいたしたい。せっかく準備を本格的に急ぎたい、こういうふうに考えておりますような次第でございます。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 国民年金制を確立したい、また確立しなければならぬという点におきましては、おそらくみんなの見解は一致しておると思います。私の方の党も、ただいま年金に関する具体案を作成中であります。ただ、私はこの年金に関する現在及び将来の問題につきましては、今八木君も関連質問でやりたいというお話でありますからこれを除きます。また国民保険の問題につきましても、滝井君から御質問があると思いまするのでこれを除きますが、要するにこの厚生白書の言っていることは、貧乏というものは、病気がその多くの要素を占めている。従って国民皆保険をやれば、それでまあ全体の貧困が追放されるというものじゃないにしても、かなりのやはり貧困克服のためには役立つとは思う。しかし問題はやはり二本立であって、この貧困追放とそれから病気の克服、この二つの問題をどうするか、病気の問題につきましては、今保険の問題が出ておりますから、その方へ譲るとして、問題は貧困の問題です。岸内閣が三悪追放をいって参りましたが、特に国民はこの貧乏の追放について岸内閣はどのように厚生政策の上においてあるいは労働政策の上において示していくだろうか、これを非常な期待と関心をもって見詰めておるわけであります。わが党は去る二十六国会に老齢者に対する養老年金を立法いたしまして出しました。また母子世帯に対する母子年金というものをも立法して出したわけでございます。これは当面は無醵出のものとしまして、さらにわれわれは明日から開かれまする通常国会にこれをば提出したい、こう考えておりますが、ここで厚生大臣にお尋ねしたい点は二つある、一つはすでに社会党が立法いたしまして、二十六国会に出したこういう養老年金、母子年金あるいは次期国会に出そうとする無醵出の身体障害者年金に対しまして、厚生省の方は受けて立つ用意があるのかどうか、それに対する具体的な対策をばお聞きしたい。いま一点はこの白書の中にいっておりますが、経済の成長率は年六・五%が妥当である、ところが三十三年度にはさらに低く三%程度が期待されるにすぎない。そうなりますと、一千万をこえる低額所得者、不完全就業者をば雇用構造の中に入れていくということは、さらにますます困難になってくるのではなかろうか。これは労働問題でございますけれども、これと関連をいたしまして当然ここで考えられることは、雇用構造の中に不完全就業者をば引き込んでくるという政策、いま一つは八千円以下の低額所得に悩んでおる一千万をこえる貧困階層に対するところの、たとえば家内労働法あるいは最低貸金制、こういったものが当然考えられていいのではないか。その点についても日本社会党はやはり二十六国会に最低賃金及び家内労働に関する法案を立法して出したのでございます。遺憾ながら自民党及び政府の方ではこれに御賛成なさいませんために、法案が未成立に終っておるわけでございますが、これらの諸点について厚生大臣の明確なる御見解を一つこの際お伺いしておきたいと思います。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○堀木国務大臣 赤松委員のお話のように、私どもも社会党の老齢年金あるいは母子年金の案は拝見はいたしております。ただ、今ここでその問題について詳しく見解を申し述べるような段階に実は達していない。審議会の方も、私どもの方としては少くとも準備段階というものが、この制度を創設いたしますことによる日本経済との調節から見ました場合に、慎重に考慮しつつ、しかも準備を急いでおるというふうな段階でございますので、今審議会その他の御答申を得て初めて私ども自身の見解を述べるべき段階になるのではなかろうか。しかしいかに党が違いましょうと、これらの問題は政党政派を離れてほんとうに国民の幸福のためにりっぱな案で実施いたしたいというふうに考えておりますので、御了承を願いたいと思うのであります。  第二段の三十三年度の経済の見通しにつきましては、赤松さんの御指摘のように日本に三十二年度から起りました経済の伸び過ぎが、必ずしも日本経済の健全な発達によかったとも言い切れない、そういうような状態でありますので、三十三年度は非常にきびしい予算を組まざるを得ないというふうな状況でございます。なるほど国民の経済の成長率を三%程度を目標として考えて参るというふうなきびしい経済に当面いたしておりますと、雇用の問題、低額所得者の問題等々について、相当社会問題として考慮すべきものがあるということは御指摘の通りだと思います。労働省の方は、私が申し上げるのは僣越でありますが、最近いわゆる最低賃金制の審議会における御答申というふうな点もございますが、この御指摘の、不完全雇用の問題、低額所得の問題、私の方でこの低額所得者に対する考え方というものから出発した生活保護から低額所得者に対する医療保障、あるいは生業資金の貸付等の問題、それらの問題につきましても、一連の労働政策として、あるいは私ども自身も労働政策の範疇だけではございませんが、社会政策的な問題を全般にこの経済の当面する状況とにらみ合せて考えて参らなければならぬということは、御指摘の通りだと思います。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 昭和三十年に政府が発表しました経済政策の中におきましては、明確に完全雇用を目途とする、こういうことで、たしか昭和三十七年でしたか、約四百八十万程度の失業者を、最終年度には雇用構造に引き入れてくるということがうたわれたわけであります。今度審議会の答申、それに対する経済企画庁の考え方としては、完全雇用の目標を捨てまして、その利潤と見合いつつ経済の安定と発展を期したい、こういうことをいっております。今後の岸内閣の厚生行政は、従ってそういう面からいえばかなり行き詰まるし、厚生白書でどんなにうまいことをいいましても、政府全体の政策の中においてこれを生かしていくということは、今の大臣のお話のように、来年度の予算はきびしいのだ、この一言の中に尽きておると思うのであります。今大臣は養老年金等についてこれは審議会の答申を待って考える、こういうことをおっしゃいましたが、岸首相は九州の遊説におきまして、養老年金については非常に深い関心を持っておる、こういうことも述べております。いわんや担当大臣である、その所管大臣である堀木厚生大臣が、審議会の答申を待ってやるというのではなくて、むしろ厚生省みずからが当面——これは当面です。基本的な解決にはなりませんが、当面無拠出の養老年金あるいは母子年金あるいは身体障害者年金等を作って、そうして昭和三十三年度の予算の中にそれを要求する。そうしてこそ初めて私は厚生大臣の社会保障政策というものが一歩前進すると思うのであります。遺憾ながら今の大臣の御答弁では、昭和三十三年度の予算の中に繰り入れるということは不可能なようであるし、いわんや審議会の答申を待ってやるということは、ほとんど時間的にも困難であると思うのであります。非常に遺憾であると思うのであります。  なおただいま八木君の方から関連質問をしたいという希望がありますので、私なおたくさん御質問したい点があるのでありますけれども、八木君に譲りましてまた後ほど質問をしたい、こう思います。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 赤松委員の御質問に関連いたして厚生大臣に御質問いたしたいと思います。今の老人であるとか、今の母子家庭、あるいは今の身体障害者に対する過渡的な無醵出年金の問題でありまするが、国民年金制度全体については社会保障制度審議会に諮問をしておられることは、私もその中の委員の一人としてよく存じております。しかし諮問の根幹は基本的な根本的な将来にわたる国民年金制度がその根幹でございます。根幹でございまするから、それと別に今すぐ現在の老人に対する、現在の母子世帯に対する、あるいは身体障害者の家庭に対する年金というものは当然厚生省で積極的に考えられていい問題だと思うわけです。厚生省自体でも年金についての厚生省の所属の委員会を開かれまして、種々検討されたはずでございます。また社会保障制度審議会の中の年金特別委員会の審議の経過も厚生省関係者はすでに御出席になって知っておられるわけでございます。そこにおける審議の過程を知っておられるはずでございまするが、基本的な年金を考えておりまするが、そこで過渡的な年金が必要である。無限出の年金が必要であるということは大体の委員の一致した見解であるということを来ておられる厚生省関係の方はおわかりになると思う。そういう場合に今赤松委員がおっしゃったように、勇敢にそういうものを厚生省から打ち出される、審議会との法的関係を順守されるならば、過渡的にすぐ始める年金についていかにすべきかという諮問を厚生省の原案を作ってすぐ出されてもいいわけだ。そういう問題については二、三日で審議もできます。ですから、そういうことで三十三年度からそれが乏しいものであっても出されて、そこで審議会の勧告あるいは答申に従ってそれをふくらましても何ら差しつかえはないわけです。そういうようなやり方をする。ほんとうの政治のやり方、繁文縟礼でなくて、ほんとうの政治のやり方をすることによって、来年一年の老人の苦しみが、母子家庭の苦しみが、身体障害者の苦しみがこれで助かるわけでございます。そういう点について今予算編成の最中でございまするが、厚生省が勇気をふるってそういう案を出される意思がおありかどうか伺いたいと思います。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○堀木国務大臣 八木委員の言われますように、内閣の社会保障制度審議会のうちの年金の小委員、あるいは厚生省にあります年金制度の五人の委員に委嘱いたしましてやっておりますところの年金制度 これらにつきまして私ども自身が決してただ単純に消極的に受けて立つというふうな考え方ではございませんで、私どもの方も諸外国の制度を調査、研究いたしますと同時に、いろいろな参考の資料も提供いたすのみならず、われわれ自身の準備も実は進めておるわけでございます。三十三年度の予算におきましても従来の準備では私どもとしては足りないのじゃないか、実施を目標にいたして参ります以上は、私どもの方の調査自身も相当完備したものを作って参らなくちゃならぬのではないか、こういうふうに考えておるような次第でございます。無職出の年金についてすでにお前たちがある程度の研究したるものを出したらいいじゃないかというお話もございますが、実際私ども自身としてはこれらの対象を考えてみまするときに、その施策が一日も早からんことは希望いたしておるのでありますが、しかしながらやはり少くとも全体の厚生のワク内から物事を見て参らなければならぬという考え方、そしてそれはそうおそくないときに考えなければならない問題であるというふうにいたしますと、現在の段階におきましては、これらの人に、年金という考え方だけでなしに、暫定的にこれらに対するところの社会政策的な問題も解決していただくというふうな状況にいくのが、段階的には実際可能な進み得る方法でなかろうか、こういうふうに考えておるような次第でございます。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 今の御答弁を伺いますと非常に不満足でございます。年金全体のバランスで考えるという考え方は当然おありであろうと思いますけれども、貧乏という問題はそのことを待ってくれません。現在貧乏な老人、母子家庭あるいはまた身体障害者の家庭は、その貧乏で今苦しんでいるわけでございます。その中には、世をはかなんで首をつる人も出てくるわけであります。そういう問題を考えますときに、役所の方で総体との関連で無醵出を考えるという考え方があっても、これは役所式の考え方でほんとうの生きた政治ではないと思う。そういう根本的な制度を考える必要がありますけれども、それに差しさわりのない程度で今年からすぐ始めるということをやって、そして勧告が出たときに、それとあわせて足りない分を補わせればできるはずです。それでこそ生きた政治なんです。岸内閣は貧乏追放を言っておりますけれども、岸内閣は半年か一年でつぶれるでしょう。今すぐやらなければその間に公約が果せないではないですか。堀大さんがそういうことを岸さんに熱心に言えば、必ず半分でも百分の一でも果したいということで、岸さんも戒心して、そういうことを大蔵省に、入れようという提案を岸さん自身がなさるかもしれません。そういうときに、貧乏追放の一番の担当省である厚生省が非常に臆病であってはいけない、総理大臣に勇敢につっかかって、大蔵大臣など問題にせずにそういうものをちゃんと予算に入れるように、勇敢にがんばっていただかなければならないと思います。  いろいろなほかの方法で貧乏の問題が何とか対処できるというようなお話でございましたけれども、私どもまだ寡聞にしてほかの方法でどういうことでやるということを聞いておりません。そういう問題が予算要求に入っていればいいけれども、予算要求に入っているかどうか寡聞にして存じません。もしそれにかわるべきような、たとえば無料の老人ホームをたくさん作るとか、母子家庭について、年金じゃないけれども年金に値するような大した案があるというようなことであれば伺わしていただきたいと思います。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○堀木国務大臣 どうも御激励をいただきましたが、総理大臣につっかかる問題がたくさんございまして、実際八木さん自身がここで御注文なさっただけでも相当あるわけでございます。しかしこれも考え方として、私は違いはないのだと思います。つまり実施の段階において、全体としての調節をにらみながら、しかしながら勇敢にと、これはもう八木さんといえどもそういうお考えが基本になり得るだろうと思うのであります。ただ、何と申しますか、そう言っては悪いのですが、論文を書いているだけが私どもの能じゃない、私ども自身全体としてできるだけ可能な範囲に——大体このことは立場の差異によって起る問題ではございません。従いまして、いろいろと御鞭撻を願うような方向には十分努力いたして参りたいと思っております。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 今の御決心をさらに強めていただいて、貧乏追放のために厚生大臣は一つがんばっていただくことを期待いたしまして、一応私の質問を終ります。

野澤清人自由民主党

○野澤委員長代理 古川丈吉君。

古川丈吉自由民主党

○古川委員 十月の十四日の週刊新潮に、「福祉事務所の黒い欲望」という題を掲げて、群馬県の社会事業関係の不祥事件を伝えております。その一つは、去年の秋からことしの夏にかけて、県立の児童相談所員二名が宿直室で保護少女を犯した事件、一つは、高崎市の養護学園の収容児の虐待暴行の事件、いま一つは、去る九月の二十日に、高崎市立福祉事務所の鳥羽という福祉主事が担当ケースの少女と関係して、これを隠すために荒川ベリで絞殺した事件、こういう事件でありますが、遺憾でありますが大体事実のようであります。社会福祉事務所とか、あるいは福祉主事とか、児童福祉とか、厚生省は非常に専門的な制度を評けられて、いかにも専門の役所であり、専門家がいるようでありますが、現状を見ますると、社会福祉主事の方は、府県の各部課でもう使いものにならないような人々をわずか一、二年の間に転々として異動させて、しかもこれらの吏員は八割程度しか定員を満たされておらない。また、資格のある人々は定員の半数ぐらいだ、こういうことでありますが、これは単に群馬県だけの問題ではなくて、日本全国全般の問題だと思うのであります。現在厚生省は、きのうまで市電の係をやっておった者であるとか、あるいはまた税金の督促に歩きおったような、しかも年のとった人々をわずか四、五十日の講習で主事にしている。新規の養成の方法としても、現在は、洋裁学校並みのわずか二年の短大しかない、こういうような現状であります。ほかの仕事は大学をりっぱに卒業した人々が従事しているのでありますが、この社会福祉関係の仕事に従事せられる人々の養成機関というものはこういう貧弱な状態である。これはどうしても、これに従事する人の素質をよくすることが一番大事なことであると思うのでありますが、これに対して大臣はどういうお考えを持っておられるか、もし具体的な方策を考えておられるならばその点を一つお聞きしたい。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○堀木国務大臣 まず、群馬県に起りました数々の不祥事件につきましては、私としてはまことに申しわけない事柄だと考えております。事件のことにかんがみましても、さらにこれらの問題について考えるべき多くの問題を含んでいるということを考えまして、その原因を除去することに努力いたしたいと思っております。  第一に考えられますことは、御承知の通りに終戦後新しい民主主義の社会を建設しようとして、これらの福祉面につきましての相当の行政が広まって参りました。これは国会でも非常に御努力願った結果ではございますが、社会全体の関心を非常に呼びますと同時に、行政面も非常に広まって参ったのであります。しかし、これに要する人間の養成というものは、お話の通りになかなか一朝一夕に参りません。本来これらの事務に当る人は、新しい社会観から見た十分な教養——率直に申しまして、一番問題になりますことは、こういう単純な慈善的な考え方だけで当っておるような過去の状況というものは、考え方を切りかえなくちゃいけない。もう古川さんがよく御承知の通りに、非常に専門的な技術的な教養、つまりいわゆるケース・ワークに現われますような専門的な技術的な高い教養を積まなくちゃならぬし、またその教養を受けるに値するところの資格と経験を持っていなくちゃいけない。御指摘のように、きのうまでほかの仕事に当っておった、しかし能力的にその仕事すらこなせないような状態でこっちに回してきたという考え方は古い考え方だ、どうしてもこれを考え直さなくちゃいけないというふうに考えます。さしあたりの問題としては、これらの職員の選定に当っていい人を選定する、しかしそれにやはりはそれ相当の報酬というものを今申し上げたようなことを頭に入れながら考えなくちゃいけないというふうに考えます。と同時に、御指摘の短大の問題につきましては、やはり二カ年の短大では、最近のほんとうのこれらの社会福祉事業に当る人の資格としては不十分であるというふうに考えますので、来年度からはぜひこれを正規の大学程度にやって、施設を拡充し、りっぱな人を養成して参りたい、それらの問題について早急にスタートをいたしたい、こういうふうに考えておるような次第でございます。

古川丈吉自由民主党

○古川委員 全く大臣と私も同感でありまして、この仕事の重要性の認識の問題と、また一つはこれの待遇の問題もあるかと思います。従って今のような大臣のお考えで、そういう御方針で大蔵省との折衝にも十分予算の獲得できるように一つお骨折りを願いたい。これでもって私の質問を打ち切ります。

野澤清人自由民主党

○野澤委員長代理 滝井義高君。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 大臣のお忙しいところを出ていただいてはなはだ恐縮でございますが、昨日診療報酬の小委員会を開いて、一応事務的な点については保険局長より詳細にお聞きをいたしました。本日は政治的な見地から一、二大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。  まず第一にお伺いをいたしたい点は、簡単にお答え願いたいと思うのですが、さいぜん赤松委員との間にいろいろ質疑応答があったのですが、来年度の日本経済の見通しというものは、政府なり、あるいは大臣もさいぜん御指摘になっておりましたように、経済の成長率というものを非常にきびしく三%程度に見ておられる、同時に、輸出の目標を三十一億五千万ドル、国際収支の黒字を一億五千万ドル程度に見る、こういうことを柱にして三十三年度の予算が編成せられるだろうと思います。そういうきびしい数字を立てて予算を編成するのですが、実際に雇用の伸び等を見てみますと、政府の雇用の伸びの見方はある程度きびしく見るということよりか、相当その点はあるいはゆるやかに見ているのではないかと思われるのですが、六十万程度しか来年度は就業が増加をしないだろう、こういう見方をしておるわけです。それにもかかわらず、生産年令人口というものは百三十七万も増加してくるということになりますと、昭和三十三年度の前半期というものは相当の失業者が出てくるだろう。いつか石田労働大臣であったか、参議院で来年度の春ごろには百万をこえるだろうというようなことをおっしゃっておったようでございます。そうしますと、ここに労働行政なり厚生行政というものが非常に重要な、こういう日本の政治の盲点を消すために登場してこなければならぬと思う。ところが最近岸内閣が行ういろいろな政策を見てみると、金のかかる政策は行わない。たとえば文教政策を見ても、義務教育の最低の基準を確保するために、すし詰め教室を解消するためには金を出そうとせずして、いたずらに勤務評定とかあるいは道徳教育を確立するという金のかからない面に力を入れる。あるいは労働政策の面を見ても、われわれも法律を守るから、労働組合も法律を守れ、いわゆるよりよき労働慣行を作ろうじゃないかとこういうことを言うけれども、最低賃金制度とかあるいは中小企業の対策というように金の要る面はなるべく先へ先へと送ろうとする、こういう傾向がある。そうしますと、来年のこういう暗い経済の見通しあるいは世界的な好況の波というものが停滞をしようとする客観情勢の中で、一体堀太さんは重点的な厚生行政の施策というものをどこに置いて予算の要求をせられておるのか。さいぜんここにお入りになったときに、予算で忙しいのだとこうおっしゃいました。われわれは堀木さんの重点政策というものがわれわれが賛意を表するものであるならば、これは一緒に御加勢することにやぶさかでないとして、まずその重点的な施策というものを一体どこに置いておられるのかを御説明願いたいと思います。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○堀木国務大臣 三十二年度の経済の見通しが非常にきびしいものである。また日本の国として再び外貨の欠乏に悩んで日本の通貨の信用を失うようなことのないようにいたしたいということも一つの命題でありますと同時に、そういう経済の見通しに立ってこそ、労働政策なりあるいは厚生行政の問題なりというものが相当重要な部面として手当がされなければいけないというお説に対しましては、私も同感であります。三十三年度の予算の重点的なものは一体何であるかというふうなお話につきましては、たしか滝井委員から、私が厚生大臣になりますと同時に、お前は何々するのかとお聞きになりましたと記憶いたしておりますが、私どもは国民皆保険を推進いたしたい。国民皆保険を推進いたしますために、実は基礎的の諸条件がいまだ整備いたされておりません。そういう点の基礎的諸条件を整備した上に立っての国民皆保険こそ、真の物事が進む政治のあり方でなければならない、こういうふうに考えますので、これらの問題につきまして現在重点を置いて予算の折衝をいたしておりますような次第であります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 昭和三十三年度の厚生行政の重点は、国民皆保険の推進のための基礎的条件の整備をせられると、こういうことでございます。そこでその基礎的条件を整備するために大臣の方で非常に御苦心になって、先般私の無理な要求によって厚生省の事務局案というものを医療保障のために出していただいた。それを中央社会保険医療協議会に諮問をして、最近三カ月ぶりに答申が出ることになりました。そこでその三カ月ぶりの答申に基いて、昨日いろいろ保険局長に御答弁を願ったわけでございますが、その結果明白になったことは、あの答申はいろいろ多くの問題を含んでおりながら、あの答申の中から厚生事務当局としてくみ取って参りたいという点は三つある。一つは、現在の医療報酬の点数が非常に不合理である。従ってこの点数の不合理をまず第一に直していきたい。それから医療費を増加せよという要求が強くあるのだが、その増加のワクというものは、八。五%という程度に事務局としてはやって参りたい。さらに第三番目としては、しからばその八・五%のワクを増大した場合に、当然相当の金が要る。たとえば厚生省の計算によっても、二百十七億要るんだ。一体その二百十七億の金というものはどういう工合に財政的に吸収をしていくのか、こういうことになった場合に、できるだけ国がその負担を背負うような形でやって参りたい。こういう三つの線が出て参ったわけであります。事務当局はそういう考えでございますが、大臣もその考えを了承しておられるのかどうか、これをまず御答弁願いたいと思います。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○堀木国務大臣 中央社会保険医療協議会の御答申のうち一致いたしました一つの点、現在の診療報酬をぜひ合理化すべきであるという点は、あの御答申の中に織り込まれております。私どももその点につきましては、中央社会保険医療協議会の御意見に従ってやって参りたい、こう考えておるのであります。もう一つの点の診療費の値上げという問題につきましては、各委員の間に必ずしも一致した意見が得られなかったのでありますが、しかしながら診療報酬がふえて、被保険者の負担増になることはできるだけ避けろということは、これまた中央医療協議会の御答申のうちの一つの問題でございます。これも大体一致した御意見でございますので、これらにつきましては厚生大臣として、中央医療協議会の御答申の趣旨に従いまして努力をいたしたい、こう考えておりますような次第でございます。事務局案につきましては、大体診療報酬の総額が八分五厘ふえるというふうな状態であの案ができておりますので、事務当局としてはそういうふうな御答弁をいたすのが当然であるというふうに考えますが、私どもは財政の許す限り、この問題について善処いたして参らなければならぬ責任がある、こう考えておりますような次第でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、今の大臣の御答弁では、被保険者の負担はできるだけ軽減をしていく、増加を避けていく。しかし事務当局は八・五%のワクの引き上げということを一応事務局案として出しておるからそう言うだろうかもしれないけれども、自分としては八・五%というものにこだわるものではない、できる限りこの八・五%という事務局案のワクをさらに拡大して参りたい、こういうことに了承して差しつかえないわけですね。ここらが一番大事なことでありますので、明白にしておいていただきたい。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○堀木国務大臣 今お話のように予算編成の途上で、一つのクリティカル・ポイントと申しますか、一番大切なときになっております。そのためにここへ参りますのもおくれたような状態でございますが、ともかくも八分五厘自身に要するところの財政上の所要額も相当の額に上ります。しかしこの八分五厘を調節するにつきましても相当苦心があるように考えますが、できるだけ努力はいたしたい、こう考えておりますような次第でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 八・五%よりできるだけワクを拡大をして参りたい、こういう大臣の御答弁でございました。  次にお尋ねをいたしたい点は、八。五%のワクを拡大したことによって、大ざっぱにいって二百億の金が必要だ。現在厚生当局が大蔵省に要求しておる額は八十億である。そうしますと、今大臣が言われた八・五%よりさらにワクの拡大をやる、こういうことでございますが、要求しておるのは八十億。一体大臣は八十億の上に幾らくらいのプラス・アルファをおつけになろうとされておるのか、これを、ここはお互いの委員会でございますので、率直に言ってもらいたいと思う。これは無理ではない。なぜならば、いずれ次の質問に出て参りますが、きわめて重要な要素をはらんでおる。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○堀木国務大臣 これは滝井さん、あなた自身が厚生大臣でも、この段階でお答えできないとお考え願えぬだろうかと私は思うのであります。今の段階でお前一体幾らつかまえるのか、これは毎日のような交渉でございますので、この点については、いかに内輪でも事実私自身が持ってくるまでは何とも申し上げかねるごとでございますので、ぜひ御了承願いたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 実は私がそれを大臣に要求を申し上げるのは、何もこういうことは秘密ではない。少くとも口頭としては、国民皆保険をやるのだということを天下に掲げております。しかも被保険者の負担はふやさないということを掲げておる。ところがもし今のままの八十億の要求をそのままにしていけば、一円上げただけで百二十億というものを一体だれが負担するかという負担関係がわからない。少くともこの期に及んで、しからば大臣にお尋ねいたしますが、私は八十億より幾ら多く大臣がとれるかという数字は要求いたしません。しかしそれは裏返していえば、一体大臣は被保険者に負担をやらせるのかやらせないのかということです。ことに被保険者の家族に対する負担の問題が出て参ります。特にその中においても、皆保険のにない手である、医療保険組織の中に入っていない二千七百万の国民諸君を、皆保険の組織の中に編成をしていこうとするならば、国民健康保険の被保険者に対して一円上げれば、五十銭は保険経済が持つが、五十銭は被保険者自身が負担しなければならぬ、こういう事態がある。あるいは健康保険の家族の諸君には、そういう事態があるわけです。大臣はそういう負担を増加せしめる方針なのか、増加せしめない方針であるか、これを明白にしておいていただければけっこうであります。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○堀木国務大臣 私は何も隠しているわけではないので、こういう現実の問題については、おそらく毎日私自身折衝の衝に当るものといたしましても、幾らまでいくかという問題は、最後にきまるまでは常に努力いたしますと同時に、確定することができにくい問題であるということは、滝井さんに十分おわかり願えることだろう、こういうふうに考えております。もう事情を御承知なんで、八分五厘で従来の保険者、被保険者の負担割合というものをそのままの姿においては、八十億要る。しかし中央医療協議会におきまして、できるだけ被保険者の負相割合を軽くするようにという御答申があります以上、私としては、最後の段階までその問題をいかに軽減できるかという努力をするのが当然でなかろうか、こういうふうに考えております。と同時に申し上げておかなければならぬと思いますことは、政府委員としては一つの担当事務がございまして、限界がございますが、大臣といたしましては、全体の問題をにらみまして、国民負担の問題も考えていかなくちゃならない。ひとり一事務局の限界だけでものを解決するという考え方はございません。あらゆる面を総合いたしまして、被保険者あるいは患者の負担を軽減して参るという観点から物事を考えて参りたいということもあわせて申し上げておきたいと思うのであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 努力をするためには努力目標が必要でございます。その努力目標というものは一体何によってきまるか。それは大臣のいわゆる国民皆保険を作るための基礎的条件を整備する最小限度の要求というものがなくちゃならぬと思う。その最小限度の要求を一体どこに置くかということ、これはここで言えないはずがないと思う。その最小限度の要求、すなわち基礎的条件を整備するためには、現在の医療単価と申しますか、診療報酬というものが適正でない。だからこれを適正にするための最小の要求のものさしというものは、基礎的条件を整備し、皆保険を遂行するための最小の要求でなくちゃならぬと思うのです。そうすると当然これは、厚生大臣になってもはや七月、八月、九月、十月、十一月、十二月と約半年になってきたわけです。もう半年すれば、生まれた子供も少しは外界を見るくらいになる。従ってもはや半年になったのでございますから、基礎的条件のためにはどの程度のものが必要なのか。しかもあなたの党は昭和三十五年までには全国民を医療組織の中に入れてしまうのだといっていらっしゃる。従ってそういうものがはっきりしておるならば、一体事務局は八十億というけれども、政治家としてはこのくらいが最低の要求だということになる。今の大臣のお言葉では、八十億という事務局の案というものは、基礎的条件を整備するところの最低限度の要求以下のものであるというふうにしか考えられない。だからそういう点はもう少しやはり明白に大臣も御検討になっておく必要がある。行き当りばったりではいかぬと思う。政治というものは、そのときそのときの出たとこ勝負であってはならない。努力するならば、努力目標を掲げて、与野党一致して、こういうものは超党派的に物事は進むものである。一致して考えてもらわなければならぬと思うのです。そこで大事な点は、一体医療費の問題というものが現在の日本の厚生行政にどういう影響を及ぼすかという点でございます。たとえば現在の日本全体の予算編成の状態を見てみると、大きく言って、競合しておるものが三つあります。まず第一には交付税、交付金の問題、第二番目は恩給の問題、第三番目は医療費の問題です。これはおそらく最後まで残る問題じゃないかと思う。そうすると、一応大きな日本の予算編成の全部の舞台の中で、その問題が片づいたならば、次には厚生行政自体の舞台の中で解決しなければならぬと思う。その場合に、やはり私は三つ問題が出てくると思う。一つは医療費の問題、一つは国民皆保険につながる、国民皆保険のにない手である国民健康保険の問題、そして同時にそれらの二つのものにやはりつながっている結核対策の問題、これらのものがおそらく基礎的条件を整備するためのきわめて重要な三つの問題じゃないかと思う。これらのものにどれにも金をやるということになると、なかなか大へんなことになる。一体それらの軽重といいますか、三つは厚生行政の中でも一番重要なものだろうと思います。その重要なものの中でも、やはりここに予算の配分ということが非常に問題になってくる。そういう場合に、一体大臣はどういう工合にそれらの三つのものの軽重を考えておられるのか。これは私はここでやはりお聞かせを願いたいと思うのです。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○堀木国務大臣 今滝井委員から言われました通りに、基礎的諸条件は診療報酬の問題だけではない。やはり国民健康保険法を改正いたしまして、保険者団体であるところの市町村がほんとうにこの問題について熱意を持てるような状態が必要である。そうすると地方財政との関連においてものを考えなければならぬ。それから医療費の主たる部分を占めますところの結核に対してわれわれが今後の施策をして参らなければならぬ。それと診療報酬と三つでありますが、と同時にもう一つ、実は日本の国には無医地区が相当たくさんございます。この無医地区に対しての手当をいたしませんと、国民皆保険が実施面においては非常に困難を来たすというふうな情勢でございますので、国民皆保険と申します以上は、これらの四つの問題のうちどれ一つだけという考えの段階でないと私は思います。これらの問題が相互に関連いたしまして整備するところに国民皆保険の精神があり得るのだ。こういう考え方に立ちまして、就任以来努力をいたしておりますような次第でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 はなはだもって自信のない答弁です。それでは八方美人なんです。私はこれ以上申しません。いずれ大臣が予算をとって、解散さえなければ、そのお手並みを一つ拝見した後においてやらしてもらいたいと思います。  そこで私は最後に言いたいのですが、実は今度厚生白書が出ております。昭和三十二年に出た白書の数は、十二月の初めに十八です。白書を白書するということわざがございます。あるいは白書を裸にするということわざがある。その後この二つが出て、おそらく二十くらいになると思う。いずれゆっくり私は一つ一つ全部検討してみたいと思う。白書がそれぞれ各省から出ております。ところがその出ておる白書の内容をずっと見てみますと、何ら関連がない。各省みな勝手なことを言っておる。私はこれは大臣に閣議で一つ言ってもらいたいと思う。各自が勝手なことを言って、これはあるいは新聞は予算ぶんどりのために白書が出ておると言ったのだが、私はそういうものじゃないと思う。それぞれ真摯な態度で、厚生白書など実によくできております。しかしとにかく白書が洪水のごとく出ておることは事実です。そしてそれが脈絡がありません。内容はみなちぐはぐで、同じことを違った数字でもって書かれておる。こういう事態です。これでは尊い人件費と紙代を使うことはやはり問題があると思う。そういう点で今大臣が言ったように、各省各省でそれぞれ八方美人的なことをやっておると、国民は一体どの白書がほんとうの白書かわからぬのと同じように、今堀木厚生行政が、結核対策も重要だ、無医地区もやらなければならぬ、母子対策もやらなければならぬ、どれもこれもやらなければならぬというのでは、非常にシビヤーな、きびしい予算を組まなければならぬという三十三年度に、あなたの厚生行政は無性格なものになってしまう。そういう点は、私は今白書の問題とも関連して触れたんですが、もっと考えてもらって、これは重点的に一つか二つやってもらいたい。この前も言ったように、そう任期は長くない。せいぜいしても八カ月か一年だということになったら、これはやはり堀木さんが重点を入れて残したといわれるくらいのものは三十三年度の予算に盛って、龍を描いたら眼だけは落さないでもらいたい。こういうことなんです。あなたの人物評論で八方美人と書いたものを見たこともある。そういうことにならぬように、重点的に努力をしてうんと予算をとってもらいたい。金のかかることは岸内閣はやらぬのです。しかし堀木厚生行政だけは岸内閣の例外であったというように三十三年度にはしてもらいたいことを要望して私の質問を終ります。

野澤清人自由民主党

○野澤委員長代理 五島虎雄君。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 私は二点について簡単に質問しておきたいと思います。一点は大臣の所見を伺い、第二点は確信のほどを伺いたいと思います。  第一点は、厚生白書にもいろいろ貧乏の説明があります。ところが経済界の変動によりまして輸入が非常に減少いたしましたので、現在港湾労働者の日常の作業量が急激に減ってきました。それで兵庫県の神戸港に働く港湾労働者は、一日に二千名以上の失業者が急激にことしの九月、十月、十一月に多くなってきて、今では月に六万人の失業者が現われ、そうしてその平均の仕事は今まで二十数日間の作業量があったのですけれども、今では平均七日から八日の仕事しかないというような状態になったわけです。その中で仕事が全然なくて、あぶれて死亡者さえ出ておるような状態であります。これは労働省の関係として緊急失業対策法があるわけです。ところが私たちがいつも考えるのに、こういうような経済界の急激な変動等々で一地域に失業者がどんどん現われるということになると、失業対策法でなかなかこれを吸収することが困難である。それであと追いになって、その労働者の生活は窮迫に窮迫を告げてくるわけです。今、年の瀬を控えてこういうような状態は非常に悲惨な問題であろうと思います。ところがこの面だけは労働省関係の労働行政として解決できるだろうと思うわけですけれども、この緊急失業対策法に吸収される労働者は、今年度よりも来年度はふえるという労働省の見方であります。ところが私たちはこんなのは早くなくならなければいかぬ、従って早く完全雇用の線に引き直して安定した生活を賦与しなければならないと思います。ところがさいぜん赤松さんが言われたように、政府は完全雇用の線を放棄されたかの観があるのであります。この失業対策事業に吸収される労働者を分析いたしますと、この中には停滞した労働者がおる。もう一つは厚生行政の対象になるような労働者がその中にあるのじゃないか。いかに自民党が完全雇用に努力するんだという線を打ち出されても、四年や五年で失対労務者がなくなろうとは考えられません。従って私は三つにこれを区切らなければならぬと思っております。一つは停滞した労働者の失業対策の仕事、一つは経済界の変動、あるいは地域的な立地条件によって急激に失業者がふえる、すなわちほんとうの意味の緊急失業者の対策の仕事が必要であろう。それからもう一つは、やはり生活保護等に該当するような労働者がおられるから、それを厚生事業に引き直すということですなわち緊急失業対策あるいは失業対策の円滑なる運営ができるように考えておるわけです。ところが現在労働省はそれをかかえ込んでおるのじゃないかというようにも思われるのでありますけれども、失業対策の問題の円滑な運営、そして失業者を救っていく上においてこの労働行政にあるところの夫業者を一部生活保護法等への切りかえをやられる気持はないかということを質問します。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○堀木国務大臣 五島さんの今の御質問には私の所見とおっしゃいましたが、労働問題が主になっておりますから私見程度にお考え願いたいと思います。  私も実は労働関係の仕事にやや従事しておりましたことがございます。職安やその他実は回ってみたり中小企業の労働者を見たりいろいろなことをいたしました。実は本音を申しますと、五島さんのおっしゃったようなものがあると思うのです。今の失業者の群の中に労働させることが無理である、生活保護の対象なり低所得階層として政策的なものをやっていく方が適切じゃなかろうかというふうな考え方を実は労働関係をやっておる時に持ったことがございます。従いまして失業者というものの内容分析をほんとうに適切にいたしまして、そしてぴったり合った政策を進めることがほんとうの対策である、こういうふうに考えております。そしてその考え方は今もなお変ってはおりません。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 それでは所見は伺いました。そして私の考えることと大体同じような気がいたします。今後私たちはそういうような方面によく意を尽しますので一つこれらの解決のために大臣も御協力を願いたいと思います。  それからもう一つ、今度は確信のほどを伺いたいのですが、去る臨時国会におきまして八木委員あるいは私から当委員会において大臣に質問したあの部落解放の問題であります。予算委員会においてもあるいは地方行政委員会においてもその他の委員会においても当該々々の問題をとらえて各省大臣に質問されておるわけです。岸総理大臣もこの問題については十分努力するというような理解ある答弁がありました。ところが昭和三十二年度の予算案の編成に当って政府は大体昨年並みの方針をとる、そうして一千億円程度のものは道路の行政にこれをつぎ込むとかなんとかいうような新聞発表があるわけです。この同和対策の問題について厚生省が中心となって今日までやってこられましたが、私たちはさきの臨時国会におきましても主張いたしました通り、こういうような対策では根本的な解決はできないのじゃないかということを質問いたしましたら、大臣はモラルの問題として解決しなければならぬ重要な問題である、自分もよく理解しているというような答弁があったわけです。ところが次第に切迫する昭和三十三年度の予算編成に当って政府の方針がああいうような方針では、何だか来年度の予算要求に当ってこれがだんだん少くなっていくのじゃないか。去年並みならば、一千四百億円程度ですか、そういうようなところにとどまってしまいはしないかというように考えるわけです。私たちは厚生大臣の気持というものはよくわかっておるわけです。そこで一億一千万円程度の予算要求をされているわけですけれども、こういうような問題について、臨時国会以来、抜本的な解決のために、少しでも前進するために、予算を組みかえられたのかどうかということを第一点に聞いておきたい。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○堀木国務大臣 今御指摘のように、五島委員なり八木委員から当委員会におきまして部落問題が取り上げられたあのときに御答弁をいたしました私の考え方は少しも変っておりません。何とか現在の社会のいろいろなひづみあるいは封建制というものを払拭いたしまして新しい社会を作りたいという考え方は変っておりません。また御指摘のようにその後各新聞雑誌等においてもこの問題が急激にフットライトをあびて参ってきております。岸総理もこの問題について相当の関心を示しておるということは事実でございます。ただ御承知の通りに率直に申して、従来よりは厚生省自体も進んだ政策をしなくちゃなりませんと同時に、建設省、文部省その他においても新しい観点からこの問題をしなければならない。当時たしか八木委員でございましたか中央に相当強力な機関を置いて推進するように努力をすべきじゃないかというような御示唆もあったように記憶いたしております。私どももその旨を受けまして、従来あります各担当官の会合を得まして、この問題についてできるだけ強力に進めて参りたい。三十三年度の予算上の問題につきましても、実はこの問題はここで御論議になりましたように、一省だけの問題じゃなしに関係各省も同じような方向でそのことを考えていこうじゃないかというふうに、各関係大臣とも同じような考え方で進めていてくれると私は考えておりますが、しかしなおさらに本日確認されますので、その点については、私自身が一そうの幾分世話役と申しますか、幹事役と申しますか、推進役になりまして、進めて参りたいと思います。地方の方も最近この問題は非常に好転をいたして、問題が解決しやすいようになって参ったので、私としては非常に喜んでおりますが、一そうの努力をいたしたい、こう考えております。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 一そうの努力をすると言われることには明るい希望が持てるわけですけれども、一そうの努力をして切られてしまったという報告がもしもあれば——私たちはそういうような予感がしてならないわけです。ですから次の通常国会に質問するときは切られてしまったというような報告のないように、一つ堀木大臣の誠意を持った努力をしていただきたいと思います。  それからまた地方においては、やはりこれらの問題について真剣に取っ組み始めたようでして、私たちもその点は非常に喜んでおるわけです。ところが私たちの手元に兵庫県、奈良県、大阪府、和歌山県、京都あるいは高知、その他十数府県からこれらの要望がきております。どうしても地方だけでこれの問題の解決はできないのだ、従って国策上これを何か一本の形態の対策機関を作って大幅に国費の投入を必要とするという強力なる意見書も私たちの手元にも来ておりますし、大臣の方にもあるいは内閣の方にも出てきているだろうと思います。こういうように世論として盛り上ったとき、すなわち堀木大臣の新しいモラルの建設、新しい社会の建設封建制度の打破というような問題が非常に仕事がしやすくなってくる社会的な世論的な立地条件が生まれてきているわけですから、従って少くとも今年度組まれた予算額を組みかえ、あるいは最低には出された要求案を実現していくというように努力を願いたいと思います。また私たちはその解決問題の審議会等々を作る法律案もこれから用意していきたいと思います。従いまして今後その理解があって推進されるならば、再び私たちは申し上げたいのですが、社会党は全面的にこれを支持し協力することを約束いたしたいと思います。これで終ります。

野澤清人自由民主党

○野澤委員長代理 本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十八分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗