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27回国会衆議院1957/11/14

社会労働委員会 第7号

発言数
27
登壇者
6
会派数
2
開催日
1957/11/14

会議録

野澤清人自由民主党

○野澤委員長代理 これより会議を開きます。  都合により委員長が不在でございますので、私が委員長の職を勤めます。  社会保障制度、医療、公衆衛生及び婦人・児童福祉に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。植村武一君。

植村武一自由民主党

○植村委員 時間の関係もありますので、私は簡単に質問いたしますが、御答弁は一つ詳細にお願いいたしたいと思います。  二、三日前の朝日新聞でありましたか、目下異常な流行を来たしております流感の問題について、厚生省はもうこの予防についてお手あげの状態だ、流行まかせにほってあるというような意味の記事が出ておったと思うのですが、全国でどのくらいの程度に流行を来たしておるのか、詳細に一つ承わりたいと思います。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口説明員 ただいま流行いたしておりますインフルエンザの蔓延状況について報告せよということでございますので。お答え申し上げます、今年の五月から七月にかけまして流行いたしましたいわゆるA東京57型ビールスによりますインフルエンザの流行は、七月の下旬ごろから一応おさまったような状態に入っておったのございましたが、八月の二十六、七日ごろから宮城県、福島県、群馬県、新潟県、長野県等におきまして再び集団発生の徴候が現われて参りまして、引き続いて徐々にほかの府県の発生が見られるようになって参ったのでございまして、最初はその流行のスピードがややおそかったのでございますが、十月の中旬ごろからだんだん広がり方が早くなって参りまして、現在では全国的に広がっているという状況でございます。インフルエンザの患者の数の報告につきましては、現在私どもの手元で集計いたしておりますのは、学校からの報告が基礎になりますので、それを基礎として新聞発表なりあるいはそのほかの報告をいたしているわけでございまして、一般の方々の患者の発生状況等につきましては、医師にかかられない方も相当ございます。また医師からの報告も必ずしも直ちに行われるというような状態にもまだ立ち至っておりませんので、その患者の数を推定することはなかなか困難でございます。従いましてただいまは学童における流行状況を御報告申し上げまして、蔓延状況の様子を推定していただくというふうにしていただきたいと存ずるのでございます。本日まで報告のありましたものは全国各府県、どの県も全部発生いたしておりまして、一番おそかった大阪でも十月の二十八日ごろから発生して、報告が参っております。それで発生のありました学校の数は、ただいままでのところ、累計で申し上げますが二千七百十五、推定患者数は二十九万六千五百という状況で、その発生のありました二千七百十五校のうちで、これも累計でございますが、休校いたしましたものが千五十三、学年閉鎖をいたしましたものが二百六十三、学級閉鎖をいたしましたものが千五十四という状況になっております。府県別に見てどういう県がたくさん出ておるか、これもこの数字から直ちに結論を出すことはなかなかむずかしいのでありますけれども、むしろ大都会中心よりもいなかの方に多いのではないかと考えられるわけでございます。ただいま参っております報告をもとにして申し上げますと、多いのは宮城県、秋田県、福島県、群馬県、東京都、長野県、島根県、愛媛県というところが推定患者数が万をこえるというような状況になっております。

植村武一自由民主党

○植村委員 このインフルエンザの発生したのは、たしかことしの春だったと思いますが、そのときにこのインフルエンザがだんだん夏を越し、秋になり、冬になるについては、どういう発生状況になるであろうかと見通しはつけていらっしゃいましたか。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口説明員 お尋ねの点につきましては、ことしの五月から七月にかけての流行の際の菌種が最近数年間流行いたしておりましたヴィールスの型と違った新しい型でございましたので、全国民の間に免疫性が成立していないということが想像されました。そういう場合には、一回流行がおさまってもまた秋から冬にかけて流行が起ってくるということは、従来の経験からも想像されるところでございます。従いまして私どもの方では、伝染病予防調査会に特別にインフルエンザ部会を設けまして、インフルエンザに造詣の深い専門家の方々に集まっていただきまして、ことしの秋から冬にかけてのインフルエンザについてどういうふうなことが予想され、またそれに対してどういう対策を立てるべきかというようなことを専門的な見地からいろいろ御意見を伺い、それに基いて行政的に各府県に通牒をするなりあるいはワクチンの準備をするということを考えたのでございますが、その際にやはり盛夏になって一たん流行がおさまっても秋から冬にかけての流行が再び起るであろう、しかもそういうふうにして再び起って参ります場合には、症状の程度も、従来の経験から考えますと、最初の流行よりもやや重くなる傾向が強いということは想像はいたしております。それに対しまして行政当局といたしましても、これは厚生省だけでございません、厚生省、文部省、労働省その他関係各省連絡をとってできるだけの手は打って参ったつもりでございます。

植村武一自由民主党

○植村委員 春に発生して冬にはさらに蔓延するであろうことは予想をされたらしいのでありますが、この新しいヴィルスに対してどういうふうな予防対策が一番いいか、たとえばワクチンをもってこれに当ることが一番いいとか、またそのほかに何か適当な対策があるかというようなことについて具体的に一つお話いただきたいと思います。  それから新聞で見ると卵によるワクチンの製造が頓挫を来たして、ワクチンを作るのが思うようにならないということがちょいちょい出るのでありますが、その間の事情を一つ明確にしていただきたいと思います。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口説明員 新しい型のヴィールスによるインフエンザの流行がございましても、インフルエンザ対策として型が変ったからといってあとで申し上げますワクチンのことを除きましては特別に変った対策を立てるということは、これは専門家の御意見を伺ってもないわけでございます。それでインフルエンザ対策として最近数年間私どものとって参りました方向を特に大きく変える必要は認めないということでございましたので、従来の方針にのっとって予防対策を講ずるというふうにしたわけでございます。しかしさらに新しい型であるということを強調して注意を喚起するという必要がございます。それからことに予防対策をやって参ります場合に、春流行したようなところにはある程度の免疫ができております。従いまして今度予防接種を実施して参るというようなときには、そういう点は考慮に入れて、むしろ春流行しなかったようなところに重点的にやるというようなことは考えなければならないのでございますが、患者の発見とか発見された患者に対する対策というような点につきましては、特に変ったことは考えられないというふうに考えたわけでございます。しかしそれらの点を網羅いたしまして、私どもの方では本年の九月四日にことしの秋から冬にかけて想像されるインフルエンザ防疫対策について各府県に通牒を出したのでございます。またそれに伴いまして、文部省では十月に入りましてから初等中等教育局長の名で各府県の教育委員会あるいは県知事に対して通牒を出しておられるわけでございます。そこで特別に新しい事態と申しますのは、そのヴィールスが従来なかった新しい型であったということから考えまして、予防対策の一つの手段でございます予防接種のワクチンについて特別な考慮を払わなければならぬということは、これは当然考えられることでございます。専門家の意見もそういうことでございます。ただこのインフルエンザの予防対策を実施いたして参ります場合に、予防接種にのみ依存すること、予防接種さえやっておけばあとはどうでもいいということではかえって危険だというふうにも考えられますので、その点は私ども行政的に予防対策をやって参ります際に十分注意してやっていったつもりでございますし、これからもそのつもりで参りたいと存じております。ただそのワクチンにつきましては、従来流行しておりましたのはA、Bという二つの型でございましたが、今度はA57という新しい型が加わりましたので、ワクチンの製造につきましても従来の型を全然無視しない、従来の二つのものにさらに今度の新しい型を加えて、三つ混合したものをもとにしてワクチンを作るという方針で学者の意見を聞いてそういうふうにしたわけでございます。そういう方針で新しいワクチンを作ったわけでございます。三つのものをまぜ合せますために、ただ一つだけあるいは二つだけをまぜてやるときと違いまして、その製造に相当の日にちがかかりましたので、最初予想いたしましたよりも少し時間が長くかかりまして、ワクチンのでき上りますのがおそくなって大へん皆さんにも御迷惑をかけたのでございますが、このワクチンの製造法は、これは少しこまかくなり過ぎるかもしれませんが、普通のコレラ、チブスのワクチンのように寒天培養器に細菌を塗抹してそこで菌をふやすという方法ではできないのでございまして、九日目ぐらいの受精卵に植えつけまして、そして二、三日そこで繁殖させたものを今度は吸い出して遠心分離にかけるというやり方をいたしましたために、そのヴィールスを増殖させますのに卵を使わなければならぬ、しかも受精卵を使わなければなりませんので、製造能力と申しますか製造量に一定の制限がやはり加わつてくるわけでございます。厚生省といたしましては防疫当局とそれから業務局の方と連絡いたしまして、今年の冬流行するであろうということに備えて、従来は大体インフルエンザのワクチンは百リットルぐらいしか作っていなかつたのでありますが、今年は各メーカーと相談しまして最大限と思われる七百五十リットルを作るということで、そのうち五百リットルは国が買い上げて使用するということで生産を始めてもらっておるわけでございます。先日新聞に出ておりましたその受精卵は高くて手に入らないからワクチンの製造をやめたというような報告がございましたが、あの記事は誤報でございます。最初の計画がそういうふうになっておりましたので、決して卵が高くて手に入らないからやめたというのではないということを私一昨日も確かめましたが、決してそういうことではございませんので、現在製造は最初予定いたしました通りに進んでいるわけでございます。すでに国立矛防衛生研究所に検定のために提出されたものが五百リットル出ております。そのうちすでに百リットル近くが検定に合格しまして必要なところへ配布を始めておるというような状況でございます。

植村武一自由民主党

○植村委員 製造に支障を来たしたということでないということを確かめて一応安心したのでありますが、ただ私は時期的に、すでに春にこれが発生して最初に御答弁あったように見通しを立てていらっしやるんだったらこんなに後手々々に回らずに先手々々といけたのじゃないかと思うのです。そういう点において私は厚生当局としても多少の手抜かりがあったのじゃないかと思いますが、現在の製造能力でおそらくことしの冬に発生するであろう患者には十分まかない得る自信がございますかどうかということをもう一度伺っておきたい。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口説明員 先ほどお答え申し上げましたように新しい型のヴイールスをまぜて作りますために、これは非常に技術的な問題になるのでございますが、最初ワクチンを作ります際にそのヴィールスを純粋に分離しなければならないわけでございます。そうしませんとほかのものが入っつてワクチンができないのであります。そういうヴィールスを純粋に分離するのに少し時間がかりました。しかしこれはことしの秋から冬にかけて流行するということが想定されましたので、普通の検定方法ならば、たとえば三カ月かかるところを——具体的に申し上げますと、自家検定をいたしましてメーカーが自分のところで検定をいたしまして、それの済んだものを国家検定に出すということをやるわけでございます。つまり時期が続くわけでございます。それを、同時にやる。あちらでもやり、こちらでもやるということをして、時間を短縮させる。もちろんその結果については、従いましてある程度ロスが出ることもあり得るわけでございます。自家検定の済んでないものを国家検定するわけでございますから、出るわけでございます。そういう場合には当然廃棄しなければならないものが出て参りますけれども、できるだけ早く作らなければならぬという観点から、そういう特別な措置をとって、今度の製造なり検定に当ったわけでございます。ただそれでやりまして、大体九月末か十月の初めにはできる予定をいたしておったのでございますが、新しいヴィールスを使いましたために、最後の安全試験——これはワクチンを刺しまして強い反応が出たのでは、かえってまた迷惑をこうむる場合が出て参りますので、その安全試験をやりますのに、動物に刺しまして体重の増減の状況を見るわけでございます。それを少し念を入れてやりましたために、日にちが長くかかりまして、予定よりおくれたのでございます。現実に流行が始まってしまってから最初のワクチンができたのでございますから、何とも申し開きもないわけでございますけれども、この夏にこの問題を討議いたしました際には、できるだけ早く作らなければならぬということで、特別な方法まで考えて間に合せたいというふうに努力したのでございますが、ただいま申しましたような安全試験に少し手間取ったというようなために、おくれて御迷惑をかけたのでございます。今後の進み方は順調に進むと思います。ただ、現在計画いたしております国の買い上げ五百リットルをまぜて全量七百五十リットルで、完全に全部押え得るかどうかというような点につきましては、これはなかなかむずかしい問題ではないか。ただ、薬務局と相談いたしまして、現在わが国で製造し得ると考えられる最大能力をあげて現在やってもらっているわけでございまして、従いましてその接種の仕方につきましては、先ほど申し上げました春の流行地区ともにらみ合せまして、重点的に、最も効果をあげ得るような方法で接種を実施して参りたいというふうに考えております。

植村武一自由民主党

○植村委員 こういう話もあるのです。予防接種のみにたよることが予防を完全にする方途ではないというお話、その通りです。ところで、予防接種はあまりきかないという話をまた巷間で伝えられるのですが、こういう問題についても、一つ厚生当局の自信といいますか、見解といいますか、そういう点をはっきりされておく必要があるのじゃないかと思うのです。それについて一つ伺いたい。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口説明員 これは予防接種全般論になるわけでございますが、予防接種の種類によりましては、免疫のできる、従いまして次に来たるべき病源体が侵入した場合の防御力の強弱につきましては、いろいろでございます。種痘のように非常に高い防御力、ジフテリヤのように高い免疫力を作るものもございます。それほど強い免疫力を作らないものもございます。インフルエンザのワクチンは、種痘とかジフテリヤのように高い免疫力を作るという部類には、残念ながら現在の状況では入らないのでございますが、しかしながらインフルエンザのワクチンを接種いたしますと、からだの中の抵抗体というふうなものが相当強くふえて参ります。従いましてインフルエンザの予防接種によって罹患をある程度押える、それからまたかかりましてもその症状を押え得るということは事実でございます。これは率直に申し上げてそういうことでございます。これだけやっておれば大丈夫だというわけではございません。しかしこれをやることによって、相当避け得られる。現に春の流行とにらみ合せて見ますと、春に流行したような地区には今のところまだあまりないのでございます。しかし必ずしも的確には参りません。だんだん流行が重なって参りますと毒力が強くなって参ります。そうしますとかって流行したところにもまた流行するという可能性はあります。率直に申し上げてそういうことでございます。

植村武一自由民主党

○植村委員 詳細な御答弁をいただきましたのでよくわかりましたが、だんだん毒力が強くなってくるであろうことは専門家の一致する見解であります。今後の防疫対策には一つ万全を期していただきたいということを特にこの際希望申し上げて、私の質問を終ります。

野澤清人自由民主党

○野澤委員長代理 八木一男君。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 厚生大臣に御質問を申し上げたいと存じます。この前の厚生大臣に対する一般質問の中で年金問題だけ触れる機会がございませんでしたので、年金の問題についてだけ御質問を申し上げたいと思います。  国民年金という問題は今非常にほうはいたる世論になっておりまして、またこの問題に関係のある識者が非常に強力に主張をしている時代になっております。戦後に家族制度が変りまして、もちろん扶養の義務は当然今の民法でもあるわけでございますが、それを誤解している向きも方々にございますし、それから何と申しますか、非常に子供が孝行であり、親と仲がよくても、今の経済状態からなかなか十分親孝行ができないという状態もございます。こういうような意味で、養老の年金という問題が非常に重大な問題になってきている一方、母子世帯問題あるいは身体障害者の問題でそういう廃疾とか孤独ということに伴う年金、養老と兼ねてこの三つの年金が非常に大事なものになってきているわけでございます。厚生省の方もいろいろとお考えのようでございますが、これは非常に大きな問題でございますから研究を要しますけれども、完成をするまでに相当の時間がかかるものと思います。ですから研究に時間をあまり費しておそくなれば、それだけ国民が恩典を受けるのがおそくなるわけでございます。非常に急速にこういう制度を確立する必要があると思うわけでございますが、それについて厚生大臣の御所信を伺いたいと思います。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○堀木国務大臣 今八木委員がおっしゃった通りに、一つの社会保障の柱として、国民年金制度というものに対する国民の要望が非常に強くなって参りました。また新しい民族社会としての年金制度というものを国家としてどうしても考える段階にきておるというふうな両方面から、確かにこの問題について解決を与えなくてはいけない。今ありますような厚生年金制度の拡充を待っているわけにはいかないというように考えておりますので、できるだけ急いでやりたいという考え方は持っております。と同時に、おっしゃいますようにこの年金制度をいたしますと、非常に国家財政のあり方も変ってこなければならないというふうに考えますし、国民所得の伸びと申しますか、そういう問題ともあわせて考えなければならないということから、何と言いますか、率直に言って、制度は始めたが変改するというような考え方でなしに、もうじっくりと取り組むと同時に、やり出しますればそれが日本の社会の恒久的な一つの社会保障の基盤的なものとして成長しなければならないというふうに私は考えておるのであります。大体現在の考え方といたしましては、三十二年度、三十三年度を準備期間といたしまして、三十四年度からそういう国民年金制度に向って、スタートができれば非常にけっこうだというふうな軽い考え方でなしに、ぜひスタートしたいものだ。その場合に、今申し上げましたような各般の諸条件とにらみ合して一体どういくかという問題が重大な問題だと思うのであります。御承知の通り内閣に社会保障制度審議会が開かれております。それらも国民年金については来週くらいにはおそくとも御答申が出るようであります。われわれの方も今言ったような事柄は、時期的な観点を考えますと、答申を待ってさらに実施方法を考えるというふうでは、時期的に非常に延びるのじゃなかろうかというので、特に御承知の国民年金のための五人の方々をお願いいたしまして、慎重ではありますが、なるべく早く構想をまとめていただくと同時に、厚生省といたしましては事務当局がこの問題に専念するというふうな姿でこのことを進めて参りたい、こう考えているような次第であります。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 年金について御熱意のある厚生大臣の御意見を伺って一応満足をいたしましたが、要はその実現の内容、それからいつ実現するかという時期の問題で、ほんとうの国民の要望に沿うような御努力をお願いしなければならないと思うわけです。社会保障制度審議会では内閣の諮問を受けまして、今熱意を込めてこれを審議中でございます。年金特別委員会がございまして、ここにおられ今委員長代理をしておられます野澤さん、私も小委員としてやっておるわけでございますが、これをスピード・アップするために今非常に作業を急いでおりまして、大内会長を初め藤林小委員長も次の通常国会のある期間に何とか構想の骨子でも御報告を申し上げて、厚生省の根本的な年金制度を打ち立てられる時期を早めるための推進をいたしたいということで、一生懸命やっておるわけであります。厚生省も並行して御準備はぜひ進めていただきたいと思います。それでどんどん進めていただかなければなりませんが、ただ少数の委員よりも、制度審議会の権威のある答申というものも骨がもうじき出ると思いますから、それをもとにして考えていただきませんといけないのじゃないかと思うわけです。しかしそれについて厚生大臣も熟意を持っておられますから、厚生大臣自体いろいろとお考えになっていると思う。それの、たとえば国民年金というものは、当然私どもは全国民に及ばなければいけないと思います。農民の人々あるいは零細企業者の人々、そういう人たちに年金が全部及ぶようなことでなければ、今の厚生年金の範囲を広げるというようなことでは、国民の要望にこたえることができない。社会保障を推進するという時代の趨勢にマッチすることができないと思うわけでございまするが、それについての厚生大臣のお考えを一つ伺わしていただきたいと思います。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○堀木国務大臣 結局今おっしゃいましたように年金制度をほんとうに始めるのにはやはり今おっしゃったように、全国民的な問題としてこの問題を取り上げなければ社会保障の一環として考えるときに非常に欠けるところがあって、現在ある厚生年金をちょっぴり範囲を広げるというふうな程度ではとてもだめだ、これは八木委員がよく御承知の通りの非常に重大な問題であって、今でも各市町村で見舞程度の、老齢年金といえるかいえませんか、要するに範囲と金額が社会保障的な観点から見ますときにはやはり生活保障、所得補償の形においてそういう問題が解決されなければ、ほんとうの年金とはいえない。私どもも社会保障制度審議会の御答申を期待いたしておりますし、それに従って参りたい、ただ全体の段階は、全力をあげて全部が準備すべき段階でなかろうか。要するにそういうふうな情勢になりもすれば、社会保障制度審議会の御答申を根幹としてすべての問題を調節して参れる状態になりますのが最終の問題でなかろうか、私はこう考えて社会保障制度審議会の御答申を非常に待ちかまえているわけでございます。しかしそれだからといって私どもの準備すべき諸種の問題は当然進めて参りませんと、率直にいって非常に延びる傾きの多い仕事でございます。できるだけ全力をあげてやって参りたい、こう思っております。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 年金についての厚生大臣のお考え方は非常によいお考えであろうと思いまして、私どもも非常に敬意を表するものでございます。年金の基準額が当然問題になりますけれども、これは当然憲法に保障された健康で文化的な最低限度の生活というものが保障されなければ、社会保障制度の中の一番大きな項目としての年金制度としては意味をなさないことになると思う。それについて厚生大臣の基本的なお考え方をぜひ伺いたいと思います。積極的なお考え方をぜひ伺いたいと思います。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○堀木国務大臣 ただいま御答弁申し上げましたような点からでも、大体私どもがねらう年金制度というものは八木委員のおっしゃることと違いはないというこだとけは、はっきりしておると思うのであります。現実に、御承知の通りにどうしたって醵出制を原則にしても、無醵出の者を最初の制度のスタートにおいては考えなければならぬ。そういうような問題になって参りますと、もう私から申し上げるまでもなくよく御承知の通りの非常に膨大なる金額になります。そういう問題を、ただ現在地方で行われているような見舞金みたいな形では年金制度とは本格的にいえない。少くとも憲法の保障しているそういう最低の保障というものは考えなければならぬというふうに考えますので、いよいよもって現実問題としては相当の頭の転換を要するときじゃなかろうか、こういうふうに考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 大体満足いたしますが、憲法の最低限度という方を先に言われては困るのでございまして、健康で文化的な最低限度ということが保障されている、それによって違うのです。今の最低限度というのは、今の政治ではとにかく命をつなぐだけ、やせてやせてほんとうに不健康になりながら、文化的な生活を全部あきらめることが最低限度の生活というふうに、非常に間違ったやり方がされておる。憲法で保障されておるのは健康で文化的な最低限度ということであります。堀木先生のお考え方も当然そうだろうと思いますが、お言葉がちっょと足りなかったようでございますので、もし違うようでしたらあとでもう一回伺わしていただきますが、私はそういう意味で堀木厚生大臣の御意見を理解してこれから御質問を続けたいと思います。  それで、何といいますか、財政の点の心配ということを言われるわけでございますが、これは御承知の通り、年金という問題は全国民に返ってくる問題でございます。今のお年寄りはもちろんでございますし、将来すぐお年寄りになる年令の人はもちん、今若い年令の人も、当然りっぱなむすこさんであり、りっぱな娘さんであり、またりっぱなお嫁さんでありまするから、自分の御両親を満足のいく余生を送っていただきたいという考えはみんな持っておられる。百万人に一人くらい不孝むすこはあるかもしれませんが、大体において孝行むすこである。その場合に自分の収入が足りないために、親に十分なことをできないことを心配しておられる。ですからそういう年金制度ができて、それに自分たちの一生懸命努力したお金と両方合して、親に十分以上の、健康で文化的以上の、何といいますか、もっと愉快な余生を送っていただきたいというような努力をしたいという気持を、おそらく若い人も持っておられる。そうしますと、全国民の要望する問題であろう。むろん未亡人の問題も、身体障害者の問題も、当然同じような意味で全国民の問題であろう。ですから、その制度が非常にりっぱなものになることを希望しておるのが全国民の気持ではないか。その点に財政の問題がかかって参りまするけれども、財政という問題の中で、ほんとうに全国民がいいと思うものであれば、財政はそう心配する必要はないと思う。それを、厚生大臣はそういうお考えじゃないと思いまするが、大蔵省となると、すぐ財政々々ということで、りっぱな政策をすぐブレーキをかけるような役割を大蔵省がしておるわけです。その大蔵省の考え方を一つ厚生大臣から打開していただいて、りっぱなものに財政をつぎ込むことはいいことだという点で、強力に主張をしていただきたいと思うわけでございます。特に一般財政でやりました場合に、非常に収入が多い余裕のある人からのお金がたくさん入る、それで今の財政というのは、保険税になりますか、保険料になりますか、そういうものの負担に少し困難な人には、あまりかからないということになりまするから、当然一般税源の負担でこういう問題を推進していかなければならないと思うわけでございます。それともう一つは一般税源からやりまする場合に、不要不急のものは大事な政策追求のためになるたけ少くしようという努力が、いかなる内閣においても行われますので、その意味でも一般財源の金をもって、こういう年金を推進するということが必要かと思うわけでございまするが、それについてどうか厚生大臣の御意見を伺いたいと思います。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○堀木国務大臣 私つい財政という問題を申し上げましたが、これは私両方だと思うのです。国民の生活の安定と幸福に還元していくものだということは確かでありまして、一般財政の問題になれば、全体の財政の問題のうちで一体こういう問題をどこまでウェートを置いていくかという感覚から一つくると思います。しかし国民所得が非常に多くならないと、実際問題としてのほんとうの社会保障、八木委員のおっしゃる財政上の国民のほんとうの社会保障的なものとの結びつきが非常に困難になるということもよくわかるのであります。しかしともかくも年金制度と申します以上は、先ほど申し上げたような考え方の上に立って、問題の解決をはかるべきであるということだけは間違いないことだと思います。私どもが考えておりますのは、現状で満足しないで、ほんとうの国民年金制度というものを、一つの新しい社会のバック・ボーンにしたいということなのでございます。その観点からものを考えることば間違いございません。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 何か厚生大臣がお急ぎのようですから、今度少しスピード・アップして御質問申し上げます。実は一般税源負担でやるということが大事だというほかに——健康で文化的な基準にするためには、いろいろと非常にりっぱなものを作る場合には、一般税の方の財政にもいろいろ配慮しなければならない問題があるでしょう。ところが何といいますか、今積立金方式で全部考えている人が多いのです。積立金方式でなければ年金はいかぬものように簡単に理解しているのです。そういうものではありません。年金にはもう一つ賦課方式という問題がありまして、われわれがこれから無醵出の年金で、われわれの老人、われわれの親たちを養うように、われわれを、われわれの次の世代の子孫が養う、われわれの子供を孫たちが養うという構想に立てば、一般税負担という問題は、相当出すにしても、努力してもそれ以上のワクに出られないという考え方じゃなしに、りっぱな年金制度ができる。それを今までの既成概念で積立金でなければだめだ、というようなことを考えられますが、賦課方式をとるなり、賦課方式と積立金方式の混合方式なりをとるということを考えれば、当然国民が、老人が、身体障害者が、未亡人が喜んで健康で文化的な生活を送れるだけの年金制度が作り上げられるはずです。そういう点で非常に勇敢でない人が多い。いろいろ諮問される学者の人たちの中にも、そういうほんとうの制度を作るという考えが少い人があります。学問的には十分であってもそういう人がある。ですからいろいろ諮問をなさるのはいいけれども、厚生大臣は社会保障を推進する政治家として、そういう諮問されたものを、今度ほんとうに政治を動かすのだという、政治家としての、国民の幸福を作り上げるのだという気魄に燃えたやり方を考えていかなければならないと思う。一つの方法として賦課方式のことを申しましたけれども、ちょっとほかの国と日本の今の厚生年金の制度を比較して、このくらい程度しか出られないというような考えでなしに、勇敢に考え方を進めていただきたいと思います。社会保障制度審議会の方は、急いでおりますけれども、おっしゃったような事情がある。けれども春までには何らかの結果を出すと思います。その間の御準備になるのはけっこうですけれども、社会保障制度審議会とほかの委員会、あるいは厚生省が御準備になるという際において、特に申し上げたいのは、根本的な制度には非常な研究を要しますから、急いでそれは発足しなければならない。その問題と別に、根本的な制度がいかにでき上ろうとも、過渡的な現在の老人、現在の未亡人、現在の身体障害者に対して、即時無醵出のできるだけたくさんの年金を作らなければならないことは、これはだれが考えてもわかっていることです。根本的な制度とマッチさせなければならないという考え方、これは非常に形式的な考え方だ。根本的な制度を上回るようなものすごい、たとえば毎月三万円ぐらいずつ出すような無醵出年金を考える場合は、これはいろいろ考えなければならないでしょう。そんなことは考えられるはずはありません。毎月三万円、年に三十六万円ただであげるというような法律はできない。ですからここで予想した法律は、われわれが最大限度に好意的にいいものができたと仮定しましても、根本的制度に何らそう関係のあるものではないのです。ですからそういうところは、根本的制度について社会保障制度審議会が答申を出す前に、またいろいろなことを出す前に厚生省としては直ちにかからなければならないと思う。その意味でわが日本社会党では前に母子年金法を出しました。これは実につつましい内容でございますが、堀木さんはそのとき閣僚でございませんでしたけれども、時の厚生大臣はもちろん内閣全体にも賛成していただいて、自民党も賛成していただいて、可決になると期待しておりましたのが、それすらも可決にならないでそのままになっている。今継続審議になっている。そういうことでなしにほんとうに国民年金を全国民が要望しているという点を御認識いただいていると思いますから、内閣自体として無醵出の養老あるいは母子あるいはまた身体障害者年金を即時作業にかかっていただいて、次の通常国会に出していただきたいと思うのです。われわれもりっぱな案を出します。内閣の方で御用意、準備が間に合いませんでしたら、日本社会党案に自民党の方々が御賛成願って、一刻も早く一つ無醵出の年金ができて、今の未亡人、あるいは身体障害者、あるいは今の御老人が喜ばれるようにしていただきたいと思うのです。ただ内閣の方で間に合って政府案としてお出しいただく点については私非常に期待を持っておりますので、社会党案より先にお出し願いましたら非常にけっこうだと思いまするが、どっちにしましても、われわれ政治に関係しているものが、与野党を問わず、内閣も一緒に、ぜひこの通常国会において、そういう要望のために無醵出の年金法案を可決する、作り上げるという決心でいきたいと思うのです。厚生大臣、そうしていただきたいと思うのです。自民党の領袖として、自民党にもそういう考え方を進めていただきたいと思うのです。そういう点について、どうか積極的な、非常に勇敢な御返事をぜひお願いしたいと思います。

野澤清人自由民主党

○野澤委員長代理 速記をとめて。   〔速記中止〕

野澤清人自由民主党

○野澤委員長代理 速記を始めて。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○堀木国務大臣 今のお話の社会党の母子年金の考え方は私も存じております。ただ何と申しますか、これをどうしてもこの際に明らかにしておきたいと思うのですが、国民の要望が強いということは、実際の上において、こういう年金制度をするときに、国民の総所得がふえて、そしてそれが一つの社会保障の観念によって公平に分配される場合の原資が多くなる、この努力は国民としてもしなくちゃならないことだと私は思っております。実は、私もスエーデンに行きましたときに、国民がどうも税金は高いんだが、ともかくも社会保障のおかげで生活は安定しているんだ、高いことに不平を言わない人はないが、まあまあ一方生活の保障ということを考えればやむを得ないんだ、こういうふうに言うのが一般の気持でございました。なるほど進んだ国民の気持であり、単純に年金という問題を解決するために、国民自身の意欲的な努力が結びついていて、それにして初めてできるんだということは十分考えられることだと思うのです。しかし一方政府といたしましても、その国民の意欲が、施策がよろしきを得て、これと結びついて、実際に実施する場合にうまくいくということがほんとうに必要でなかろうか、そういう点で、八木委員はいつも私が何だか積極的でないように思われて鞭撻をちょうだいいたますが、過般の委員会で同和事業について私はやはりおしかりを受けましたが、すでに私自身がすぐスタートしてきているということをお考えになれば、言っている形と実際の形とはそう——私は従来少くともある程度誠意を持って推進していると思います。ただ、むろん今おあげになりました母子ですとか、廃疾者ですとか、あるいは老齢だとかいうものについて非常に希望の強いことは考えられる。しかし、と同時に、むろんそれはいかに八木委員といえども月三万の保障は無理だと言われるくらいの現状であります。従いまして、これらの無醵出でスタートする問題につきましては、相当の社会保障という観点から一歩を前進するということも十分考えられる。これらの問題につきまして、ともかく私自身として納得をする一つの考え方の構想がしっかりまとまって参りますれば、猪突進いたしままけれども、もう少し時期をかしていただいて、八木委員の言われるように、今日の段階でこれらの年金制度にすぐ入るかどうかという問題は相当大きな問題なんです。もう少し私自身としては考えをまとめさしていただくときじゃなかろうか。実は社会保障制度審議会の中で論議されましたもの、われわれの五人委員会で論議されておりますもの、その他社会党の案等、いろいろ研究いたしております段階でございます。どうか誠意をもって、皆さんの御期待に沿えるような政治のあり方、単純な行政でなしに、政治のあり方についてもう少し考えさしていただきたい、こう思っております。

野澤清人自由民主党

○野澤委員長代理 この際暫時休憩いたします。    午後零時三十五分休憩      ————◇—————    午後四時五十六分開議

藤本捨助自由民主党

○藤本委員長 休憩前に引き続き会議を再開いたします。  この際、御報告申し上げたいことがございます。衆議院議員鈴木直人君は、御家族の非常な手厚き御看病にもかかわらず、薬石効なく、ついに去る九月二十日御逝去あそばされました。邦家のため、まことに痛惜哀悼にたえない次第でございます。  鈴木君は、病あつき御病床から委員長にあてまして医療の国民皆保険に関する貴重な御意見を寄せられました。まことに感激にたえないのであります。  ここに私はつつしんで委員各位に御報告申し上げるとともに、委員各位の御尽力によりまして、一日もすみやかにこの医療の国民皆保険を実現いたし、鈴木直人君の御遺志の万分の一におこたえいたしたいと存じております。  「私は、衆議院議員鈴木直人であります。  東大病院に入院して以来、約三ケ月以上になりますが、今のところ、退院未定の状態にありますので、此の度の入院によって痛切に感じました事を一筆したためて、委員長に御報告、私の意見として具申致しますから、委員長に於て御自らなり、他の委員をして私のこの一文を委員会に於て朗読して頂き、国民皆保険制度の必ず実現せられる様、国民の為に力強く推進を願います。  私は、今まで比較的健康でありましたし、国民健康保険には関心が薄かった事は事実でありまして、かえりみて、おはずかしい次第です。ところが、今回東大病院に入院してみますと、国立病院でも相当の入院費用はかかりますし、他の一般患者に於ても、それぞれ入院費用に困って居る様です。  ところが、国民健康保険制度なり、共済制度なり等に入っている人は、比較的気楽に治療を受けている姿を、目のあたり見て、これは此の制度を国民全部に及ぼすべきだと、遅ればせながら体験致しました。  何卒、よろしく御推進下さいます様、御願い致します。   九月十日           鈴木 直人   藤本社会労働委員長殿」  以上であります。つつしんでお伝えいたします。  それでは暫時休憩いたします。    午後四時五十九分休憩      ————◇—————    〔休憩後は開会に至らなかった〕

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