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26回国会参議院1957/05/11

予算委員会 第28号

発言数
131
登壇者
13
会派数
2
開催日
1957/05/11

会議録

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) ただいまより委員会を開きます。  昭和三十二年度特別会計予算補正(特第2号)及び昭和三十二年度政府関係機関予算補正(機第1号)を一括議題といたします。  昨日に引き続き質疑を続行いたします。

森中守義日本社会党

○森中守義君 私は補正予算の編成方針につきまして、岸総理及び大蔵大臣に伺いたいと思います。  仲裁裁定の完全実施ということで、岸総理は党主会談の約束があって、しかも、その後しばしば国会においても、そのように言明をされておりますが、実際出されてきた予算の内容を見てみますと、これは年度予算の、ほとんど大半が流用されておる。従って私が伺いたいのは、このように、予算総則上あるいはまた制度上、予算の移流用が可能であるということはわかっておりますが、果してこういうような予算の移流用に補正予算を求めたということは、果してこれが各企業体の完全な事業の運行になるかどうか。あるいはまた三十二年度予算は約三カ月間にわたって衆議院及び参議院は慎重に検討を加えて通過成立したのであります。しかもそれから一月有余しかたっていないのに、このように予算の移流用が行われたということはそれだけ各企業体の年度予算かすこぶる緩慢であった——この点について総理と大蔵大臣の見解を承わりたいと思います。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) お話のように、予算成立後あまり期間がたっていないのでございまするが、今回の仲裁裁定を完全に実施いたしますために、いかに処置したらいいかと考慮いたしました結果、成立予算内におきまして、許されたる範囲内で移流用をやっていくならば、仲裁裁定も実施できますし、またその特別会計の経常的事業にもしいて支障はない、こういうことで、移流用によってまかなうことにいたしたのでございます。しかし、予備費等につきまして相当削減しておりまするから、当初予算のごとく相当の弾力性のあった予算が、弾力性はある程度少くはなりましたけれども、実際の仕事におきましては、大して支障はないと考えておるのであります。

森中守義日本社会党

○森中守義君 そうしますと、これは私どもが国会の審議に当って、大蔵大臣の提案理由の説明はもちろんでありますが、各企業体ごとにどうしても政府原案が成立しないと、事業の運行あるいは所定の計画の完遂は困難である、こういうことをしばしば承わっております。しかも実際どういうところからこの移流用が行われたかということになりますと、主として基準外賃金で支払うべき原資が大半その方に流用されております。たとえば郵政の場合には五十億を必要とするのに、二十九億がその方向に、しかも基準外賃金を中心にして移流用になった。そういうことになりますと、果して今大蔵大臣がかなり予算には弾力性があった、その方向に向けたから、さしずめ予算の執行あるいは事業の遂行には困難を来さないであろう、こういうことになりますが、これは、私は実際その通りにいくかどうか、少くとも今労使の紛争が当面非常に重大な問題になっていますけれども、基準外賃金をこういう方向に回すことは、直ちにそのことが労使の紛争に大きな影響を及ぼすと思いますが、その点はどうでございましょうか。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) 郵政におきましては、基準外賃金から実際給与額のふえた五十億円のうち、三十億円足らず回しておるのであります。しかしそれだけでは足りませんので、関係の各特別会計からの繰り入をふやしまして、実際の郵政事業に支障のないように手配いたしておるのでございます。ただ郵政以外の四現業につきましては、郵政あるいは三公社ほどの金額にもなりませんし、ことにまたこれが郵便料金あるいは専売益金等に影響の少い四現業につきましては、補正予算を組まずに大蔵大臣の権限内でやることにいたしたのであります。従いまして相当の金額の移流用、また郵政につきましては、他の会計からの繰り入れ等によりましてまかない得るという見込みが立ったのであります。

森中守義日本社会党

○森中守義君 郵政大臣にちょっと伺っておきたいと思いますが、二十九億というものをいわゆる流用して、郵政の事業は完全に責任が持てますか。

平井太郎自由民主党郵政大臣

○国務大臣(平井太郎君) お答え申し上げます。  今回の仲裁裁定を確実に実行するためには、いろいろ乏しい財政のうちで検討し、財政処置をしなければ相ならぬことはあなたもお認めのことと思います。そこで郵政省といたしましては、いろいろこの仲裁裁定を忠実に、まじめに実行するという観点に立ちまして、いろいろ財政処置を考えたのでございまするが、どういたしましても、今回成立いたしました三十二年度の成立予算の中で一部流用しなければ、なかなか財政処置が困難であるという観点に立ちまして、苦慮いたした結果、御指摘のように一部成立予算の中から流用をいたしたのであります。そこでこの問題につきまして、それではいかにしてこれをカバーし、いかにして今後支障を来たさぬようにそれをやるかという問題につきましては、郵政省の経費の節減、企業努力の増進によって大いに事業を伸ばして、こうした問題をカバーいたし、万全を期したいとかように存じておるのでございます。

森中守義日本社会党

○森中守義君 大蔵大臣に伺いますが、今郵政大臣の答弁によりますと、この二十九億の移流用については、事業の業績を上げてそれで補てんをする方向に行きたい、こういうことでありますが、私は大蔵省がこの予算の承認に当っておとりになった措置の中で、最も重要な問題は、いわゆる年度の業績をみる、こういうことを主としてお考えになっていると思うのでありますが、非常に不安定な私は問題じゃないかと、こういう工合に考えるのであります。そこでほんとうに大蔵省としても、あるいは郵政省としても、二十九億という予算を削って責任ある仕事ができるかどうか、これはいろいろ考え方によって違ってきましょうが、二十九億を減じたために労使の紛争が新しく巻き起っていく、あるいはまた郵政省が計画をし、政府が計画しているいわゆる国民の郵政事業がいささかでもこのために低下後退をすることがあり得るようにも考えるのですが、この点について責任あるお答えを求めたいと思います。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) 今回の裁定を実施いたしますための金額は五十億要るのでございます。そのうち二十九億円を予備費等から流用いたしておるのでございまして、大蔵省といたしましては、業務の執行にさしたる影響はないと考えております。それから業績を上げていくということにつきましては、これは業績手当でやるのでございまして、今回の予算措置といたしましては、業績の向上ということによる分は見ておりません。御審議いただきました予算の範囲内で、本来の経常的業務に支障のないような考え方で移流用をいたしておるのであります。細かい数字につきましては事務当局より御説明いたさせます。

森中守義日本社会党

○森中守義君 そうしますと、この中で一例をあげれば、たとえば超過勤務手当、これが相当大幅に移流用になっておる。おそらく超過勤務手当には、私は予備的な、あるいは緩慢なものがあったとは思わないのであります。現在郵政省の中においては、日に日に労働強化に呻吟して、要するに実動が支払われていない、こういうふうな賃金を、いわゆる基準外賃金をこの方向に回すということで、果して事業の円満な運行、こういうものが期し得るとお思いですか。

森永貞一郎大蔵省主計局長

○政府委員(森永貞一郎君) まず計数を私から申し上げた方がよろしいと思います。  五十億でございますが、そのうち給与総額の中で差し繰りました金額が九億九千三百万でございまして、その中にただいまお話がございましたような超過勤務手当を回わすというものが五億五千六百万、これは昨年のこの超過勤務手当の給与の状況を見ますと、超過勤務手当本来の目的のために使用されなかった金額がこの程度あるわけでございまして、これは超過勤務手当をしたことに対する手当としてではなくて一時金として規定以外に、所定以外に支出されておったわけでございます。そういう超過勤務手当の使用実績等を勘案いたしますと、本来の業務遂行のための超過勤務には支障を来たさない範囲で、この程度のものは年度内の給与財源に供し得ると考えられるのでございます。そのほかにたとえば休職者給与の不用額であるとか、あるいは宿日直手当の不用額であるとか、これをいずれも最近の実績を勘案いたしました結果、この程度のものは今回の財源に供し得るということで、そういう確信のもとに振りかえ充当いたしておる次第でございます。郵政事業の本来の経常的な事務の遂行には支障を来たさないことを私どもは確信いたしておるのでございます。なお、予算で予定いたしております以上に業務が伸びます場合には、これは今回の裁定とは無関係のことでございますが、弾力条項等の規定もあるわけでございますので、予算以上に伸びます分につきましての心配も、現行予算で御心配はいらないと、そういうふうに考える次第でございます。

森中守義日本社会党

○森中守義君 私どもはいわゆる年度予算の審議に当りまして、こういう移流用があらかじめ想定をされたもの、あるいはまたそのことが可能であるという工合に聞いておりません。大蔵大臣やあるいは関係各当局からどうしても年度予算の各費目ごとに成立を見なければ事業の運行は困難である、こういうような説明を受けたのであります。従ってただいま申し上げたようにまだ年度予算の成立をして一月あまりしかたっていない。にもかかわらず、この移流用によって仕事の差はない、こういう工合に言われておるけれども、実際問題として予算審議に当ってはそういう説明を受けずに、まあいわば政府の原案が岸内閣の反動的な予算であるということは十分承知しながらも、国会の正常化、それとまた国民経済への重大な影響ということを考えて年度予算に協力をしております。ところが果せるかな、一月有半の間にこう簡単に費目の移流用が行われるということは、私は国の予算そのものに、政府のお考えそのものに問題があると思うのですが、こういう点について岸総理どうですか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 今回の移流用につき、なしては、私は仲裁裁定の実施については完全にこれを実施すべきであるという考えのもとにあらゆる原資を検討をせしめまして、同時に公企業体の本来の業務遂行に著しい支障を来たすようなことがあってはならぬということは当然でありますが、そういう点も十分に検討して、この程度の移流用ならば、一方において本来の業務に重大な支障を及ぼさないし、またわれわれが公約しておる仲裁裁定の完全実施にもなるという見地からいたしたわけでありまして、もちろん経過から申しますというと、最初に成立した予算よりもいわゆる弾力性においてそれだけ欠けるじゃないかという御批判は当然起り得ると思いますけれども、私どもはこの範囲内において両者を、今申しました仲裁裁定の完全実施、しかもこれらの事業の遂行上重大な支障を来たさない、こういう両方の見地からかかる措置をとったわけであります。

森中守義日本社会党

○森中守義君 総理はしばしばいわゆる予算の健全性を貫く、大蔵大臣も同様に何回も繰り返しております。しかし私はこういう措置が十月であるとか、十一月であるとか、相当年度予算の実際の成立経過をして、実行上やむを得ない、そういう期間的な問題でも別に考慮できるような時期であれば別なんですけれども、まだ現在のところは、ほんの年度予算は実行の段階に立っただけに過ぎません。にもかかわらず、予算の健全性を貫くといいながら、もうすでにしてこういう予算の移流用が行われているということは、すでにして私は予算の健全性を貫くということにはならないと思います。かつまた国会における予算の審議に当っては、しばしば申し上げておるように、あくまでも政府原案が通過しなければ予算上の責任が持てない、すべての責任が持てない、こういうことを繰り返しておきながら、こういう措置をお取りになったということは、時期的に見てもどうしても納得できない。従って予算の健全性を貫くという当初の総理の所信及び大蔵大臣の考え方というものは、このようにくずれかかっておるのであります。この点について国会における予算の審議の答弁や、あるいは説明は、重大な政治的な食い違いを生じておる、こういう工合に思うのであります。この点について再度総理と大蔵大臣の所見を承わりたいと思います。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) 御質問の第一点は予算通過後一カ月あまりしかたっていないのに、こういうことをするのはどうかという問題であります。これは仲裁裁定をわれわれは誠意をもって完全に実施するという建前に立ちまして、五十億の金をどうしようかという問題になって来るのであります。然らば、この五十を億をどういうようにしようかというところに、四現業につきましては大体大した問題はございませんので、これは政府の移流用でやることにいたしたのであります。しかし三公社五現業につきましては先ほど申し上げまするがごとく、郵便料金あるいは専売益金等、国民経済財政に非常に影響の及ぶものにつきましては、これは大蔵大臣限りの移流用でやるべきではない、やはり国会に御審議を願う方がいいというので、補正予算を組んだのでございます。しこうして五十億の金をどういうように出そうかということになりますと、郵政会計だけの移流用ではなかなか困難であります。従いまして関係特別会計、あるいはすなわち資金運用部とかあるい郵便年金等の特別会計の補正もいたしまして、そうしてこういうふうにして仲裁裁定を完全に実施しようといたしますということを御審議願っておる次第であるのであります。だからこれは時間の問題は仲裁裁定が四月に出ましたということで余儀なくされたことでございます。かるがゆえに私はこういう問題につきましては、補正予算でもう一回御審議願うべきだというのでやっておるので、勝手にやっておるのではございません。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) もちろん予算の健全性ということは、これは予算の根本をしてわれわれは厳守しなければならぬことであります。先ほども申し上げましたように、私どもはこの一方から言うと、仲裁裁定を完全に実施する、これが今回の春闘を処理する上において、政府の取るべき態度であるという信念のもとに、そういう態度をとるとともに、同時に予算というもののうちから、この仲裁裁定を実施するために必要な原資をどういうふうに求めるかという点に関しまして、今大蔵大臣が申しておるように、これを移流用の方法によりやるというについては、補正予算の形において、これを提出して御審議を願って、そうしてその結論を得よう、こういう考えでありまして、私どもはあくまでもそういう上において、予算の健全化ということの原則は貫いておる考えであります。

森中守義日本社会党

○森中守義君 予算の健全性を貫くということでありますが、先刻も申し上げたように、私は年度予算が成立して日がたっていない、しかもそれは実行の段階にほんのたっただけであって、おそらく来月あたりからほんとうに年度予算の正規の実行段階に入るのではないか、こういう工合に考える。そういうことになりますといわゆる三カ月もかかって国会では慎重審議をいたしました。しかもその審議の中では各費目ごとに、各分科会ごとに、十二分に検討が加えられて、しかも当局の説明も私どもは十分に聴取をして、なるほどこれは各費目ごとにそれだけの金が要るだろう。国民の血税をいわゆる正規なしかも確実に予算執行するに当っては、これだけのものが要るだろうということで決定通過したものを、おそらくまだ一カ月とちょっとしかたっていないのに、こういう費目の流用が行われるということは、今、総理が言われるような予算の健全性を貫くということにはならないと思う。これは私は仲裁裁定の問題に限らず、その他農村の関係なりあるいは中小企業やその他いわゆる国家予算の全体に関しても同様なことが言えるのである。たまさか問題の焦点が仲裁裁定の原資ということになっておりますから、勢いこの方向に論議を進めざるを得ないのであります。問題は政府の予算編成の方針であり、それと国会における予算審議に対しての責任の問題、そのことを私は主張しているのである。もう少し的確に国会の審議に対しては、予算はごうごうということで政府は出したそういうことをもっと的確にお答えいただかないと、ただ大蔵省やあるいは政府の都合上移流用した、こういうことでは、国会における予算審議というものは何の価値があるのか。私はその点を追及しているのでありまして、もう少し正確に総理の答弁を求めます。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) 先ほど来申し上げておりますがごとく、三十二年度の当初予算におきまして郵政事業の方で給与総額内の基準内賃金、基準外賃金を御審議願いまして、そうして基準外賃金のうちおもなるものの超過勤務手当等につきましては、仲裁裁定の結果よく機討して見ますと、超勤として出されるのじゃなしに、給与の部分として出されるのがあったのでございます。従いましてそういうものは今後正確に基準内に組み、そうして基準外の超過勤務は大体従来の実績を見る、こういうふうにした方がいいというので、今回新たに仲裁裁定に基きまして予算の補正をお願いいたしているのであります。従いまして前の分がずさんだとは申しません。申しませんが、これをもっと仲裁裁定の線に沿ってやるならば、こういうふうに予算を変えなきゃならぬ。しかもまた新たな財源が要ります。こういうので、別途予算を御審議願っておるのでございます。私は予算の健全性その他につきまして、何も大した支障はないと考えておるのであります。

森中守義日本社会党

○森中守義君 そのこまかな、超勤がどうこうという問題でなく、私はこういうことを問題の焦点にしているのですよ。要するに年度予算が通過してまだ日がたっていないにもかかわらず、なぜ補正を組まなければならないのか。おそらく仲裁裁定の問題が起きましたのは、予算審議の途中であります。すでにしてこういうことは予測されておった。従ってほんとうに政府が仲裁裁定を完全に実施しようというならば、そしてまた国会に対する予算の責任をになおうとするならば、こういうような予算の求め方は困るのではないか。もちろん私はこういう予算の出し方そのものには反対でありますが、もう少し岸総理やあるいは蔵相がしばしばいわれるように、国会に対する予算審議の責任をにのうて健全性を貫くということであれば、予算の移流用がかりに制度上あるいは予算総則上可能であっても、ほかの方向から予算措置を求めなければ、今あなたはおそらく事業の運行に支障をきたさない、こういうことでありますが、実際問題として、すぐ私は人件費の問題、いわゆる基準外の賃金の問題やその他各省の事業の関係上重大な支障をきたす。これは私は必至じゃないかと思う。その点についてはどういう工合にお思いですか。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) 予算提出は二月の初めでありまして、そのときには仲裁裁定の内容はわかっておりません。従いまして仲裁裁定のことを別個に考えまして予算を組んだのでございます。しこうして予算成立後仲裁裁定が出ました。そして五十億の全体の給与総額をふやさなければならぬ。これはいかなる措置をとったらよろしうございましょう。すなわち予算の補正よりほかにはいたし方ないのでございます。しかもほかの公社、特別会計とは違いまして、郵政につきましてはその会計内の移流用だけではまかなえません。従いまして関係の他の特別会計からの繰り入れ等も考慮いたしまして御審議を願っているのでございます。これは予算が通過して一カ月たとうが五カ月たとうが、これは別個の問題、仲裁裁定が四月になって、予算成立後出て、それを忠実に実行するためには、こういう予算の補正をして、再度移流用その他、他会計からの繰り入れについて御審議を願う、こういうことにいたしておるのでございますから、何ら政府に責任があるとかなんとかいう問題じゃございません。仲裁裁定を実施するための必要な措置として私は御審議願っているのでございます。

森中守義日本社会党

○森中守義君 あれですね。これは財源の求め方が問題なんですよ。要するに年度予算はかちんと予算を組んだ。それで各省は一年間の仕事をやっていこう、こういうときに、その仕事にすぐ支障をきたすような予算の移流用はすべきではないではないか、こういうことを私は聞いておるのですよ。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) そこで予算の内容を見まして起動からのものを給与内に入れたり、あるいは予備費を減らしたり、経常な仕事に支障がないように工面し、それだけでは足りないところを他の会計から繰り入れてやって、そしてこれでやっていこうという郵政大臣との話し合いで、予算を補正して御審議を願っているのであります。私は移流用あるいは他会計からの繰り入れによりまして、郵政事業は支障なく運行されるものと確信いたしております。

森中守義日本社会党

○森中守義君 時間がありませんので私はほかの……今のに関連した問題ではありますが、要するに岸総理は仲裁裁定は完全に実施をして、あるいは実施をする、こういう工合に言われているが、実際の内容を見てみますと、いわゆる政府が出されている予算と、それとこの実情というものは、不完全きわまりないもの、私どもはこういう工合に考えざるを得ません。要するに客観的に見て、果して完全かどうかということは、これは私は岸総理自身が十分お気づきの点ではないかと思うのであります。労働組合が騒ぐからけしからぬ、直ちに処分せい、こうおっしゃるけれども、労働組合は何もこれを好んで騒いでいるのではない。仲裁裁定そのものが不完全であるということ、これを実は私は問題にしているのであります。そのこと自体が、仲裁裁定を不完全なものであるということを立証していることにほかならないと思うのであります。たとえば三分の一を切り捨てる、あるいはまた最近言葉は少し変ってきているようでありますが、最初池田大蔵大臣はやみ昇給がある、こういったことをいっている。あるいは格差がある。しかもその格差は債権債務があたかもあるようなことに印象づけられておりますけれども、要するにこの仲裁裁定は裁定委員会が裁定を下したその精神そのままに実施されているとは思いません。特に各組合が仲裁裁定に、先般疑義があるということで指示を求めた。その指示の中でも千二百円の問題を取り上げて、もしそのことが実施されないとするならば、明らかにそれは裁定に違反するものである。こういうことすらも言い切っております。従って私は完全実施といわれるけれども、きわめて不完全な六分、七分、こういう程度の実施ではないかと思うのであります。総理のこの点に対するお考えはどうでございましょうか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 私は仲裁裁定を申請する当初から仲裁裁定が下ればこれを誠意をもって尊重するという言葉で申しておりますが、その内容は完全に実施するという考えでもって関係の各大臣にも話しをして検討をしている。そこで仲裁裁定が出ましたので、仲裁裁定の解釈上私はいろいろな問題が生ずるおそれがありますので、十分仲裁裁定の真意がどこにあるか、それをいかに解釈すべきかということにつきましては、数日関係の者をして、仲裁裁定の委員等とも十分仲裁裁定の意義を解釈するにつきましてその真意を求めた点もありました。かくのごとくして研究した結果、われわれとしてはこれで最も正しい結論であるという確信のもとに今回の補正予算を出しておるのでありまして、仲裁裁定自身の内容の解釈上の見地が、あるいは違う解釈をとられる方があるかとも思いますが、私どもはその点においてはきわめて慎重な態度で仲裁裁定を検討し、この精神を正しく私どもは実現しておるというつもりで、この案を出したわけであります。

森中守義日本社会党

○森中守義君 問題はやはりこれは格差の問題にあろうと思うのです。今申し上げたように、仲裁裁定の藤林委員長は千二百円を下回るとするならば明らかに裁定違反になるということを言い切っているではありませんか。そこへもってきて政府の方では格差の三分の一を切り捨てる。ここに実は不完全であるということをわれわれは指摘しておるのでありまして、今からでも私はおそくはないと思う。ほんとうに総理が完全に裁定を実施するという、いわゆる謙虚な気持と誠実があるならば、この格差をそのまま取り除いてしまって、いわゆる完全実施を実行できるような予算の修正なり、あるいは政府のこの裁定に対する態度の変更をおやりになる意思はありませんか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 今申しましたように、私自身はこの案が完全に実施されておるものと、あらゆる面から検討いたしまして、そういう確信のもとに出しておるのでありまして、従って私は十分御審議は願わなきゃならぬし、また御意見の違う点についてわれわれの確信のあるところを十分に御説明申し上げまして、このわれわれの気持を十分理解していただいて、この案の成立を望んでいるわけであります。そういう意味におきまして、今日これを修正するとか、あるいは撤回するとかいう意思は持っておりません。しかし十分にその疑義のある点につきましては、その論議を尽して、われわれが正しく仲裁裁定の趣旨を達しておるということを十分御理解いただいて、この案が通過することを私はひたすら希望しているものであります。

森中守義日本社会党

○森中守義君 一方的な押えつけで納得も理解もできません。やはり解釈上疑義がある、あるいは格差に問題がある、こういうことを十二分に政府の方でも相手に納得をさせ、理解できるようなそういうものが私は示されない限り、とてもこの問題は解決はできないし、そうしてまた総理が言われるように予算の成立を期待する、政府の一方的なことをわれわれは了承するわけには参らないのであります。要するに完全実施をほんとうにいたそうとするならば、この格差の問題、こういうことについて政府ではもう一回御検討になってしかるべきであろう、こういう工合に考える。それからもう一つ問題がありますが、昨日総理もあるいは労働大臣も労使の慣行ということをしきりに言われた。しかしこういうような現下の情勢の中に、労使の慣行、労使のいわゆる完全な慣行ということは私は期し得ないのではないか、こういう工合に思うのであります。なぜかと申し上げるならば、これは何も現象的な問題をとらえて言うのではありませんが、やはり根本は大蔵省が持っている予算の問題、少くとも公労法によって労使が対等の立場で問題の解決をはかるようになっております。ところがすぐ労使が話し合いをして、団体交渉をやって行き詰まるところは、予算上資金上、こういう問題になってくるわけであります。なるほどルールとしては要求、回答あるいは調停、裁定、こういう筋道はできておりますけれどもその筋道をかりにたどってきたにしても、あとは結局大蔵省が予算上資金上ということで問題の紛糾を重ねていくことに私はなるのではないか、こういう工合に考えるのであります。従いまして予算総則を修正する、あるいは制度の変更を来たす、ほんとうに公労法の精神に基き労使が円満な慣行を作って事態の解決をはかろうとするには、こういう抜本的なことが解決されなければならないと思うのであります。これに対して総理大臣は何かお考えをお持ちでありましょうか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 私どもはあらゆる面から労使の間のよき慣行を作っていくという見地に立って、この問題を根本的には考えなきゃならぬ。従いまして私どもは最初から実力行使とか、あるいはこの仲裁裁定が出た場合に、それを資金がないとかいうようなことで実施しないというようなことであっては、とうていよき労働慣行というものは作り上げていかれない。従って政府としては、仲裁裁定を忠実に実現する、また労務者側におきましては、公労法その他でもって許されておる法規の範囲内において自分たちの主張を貫徹することに努めていくという、これが基本の関係であって、要するにこれらの事業の本質から見て、労使ともに、また政府もともにその本来の使命を達せしむるためには、法規を順守し、法の精神を両方で順守し、これの実現ということが基礎にならなければならぬという考えのもとに、私どもは従来もしており、今後もその考えでいかなければならぬというのが根本の考え方でございます。しかし公企業体や、このいわゆる三公社五現業の性質上、それが国の予算に関係を持っており、予算に縛られるということは、本来のこれらの企業の本質からきておるものであります。従いましてこの労使間のよき慣行ということも普通の単純な私企業とは違った性格を持つということは、この公企業体の本質からきておるものと思います。従いましてただ労使間の話し合いができれば、全然予算であるとか、あるいはその根拠である資金というものを労使だけでもって自由に左右すべきことはできないという建前になっておることは、これは公企業体の本質上やむを得ないところである。しかし私の念願するところは、この公企業体における労使の関係が、先ほど申したように、法に準拠しておるおのおのがおのおのの立場というものを十分に理解し合って、そうしてすべてのことが労使間の話し合いできまっていくような方向にすべて持っていかなければならぬ。それには基本的な考えをしては、労使ともにまた政府ともに、法規や予算というものを尊重して、その範囲内においてわれわれはすべての行動をしていく、こういうことになることは、これは当然であろうと思うのであります。

森中守義日本社会党

○森中守義君 どうも私の質問の焦点にだいぶはずれております。労使の慣行ということは、なるほど精神上の問題もありましょう。しかしもっと重要なことは、大筋がきまらなければいかぬ、こういうことであります。それですから、精神的な問題としてはなごやかに話をする、いろいろありましょうが、やはり現在のような仕組みにおいては、労使のほんとうに健全な発達あるいは健全な関係というものは結ばれ得ないのではないか、このように考えるのであります。これは先刻申し上げたように、最後は、労使がどのように団体交渉をやってみても、合意が成立をしてみても、最後は大蔵省が干渉をする、不当な行政干渉をする、あるいは各省に圧力をかけた事実がある。すでにしてこの前大久保国務大臣が内閣委員会におきまして、大蔵省は出過ぎると言うたことが閣議の中でもしばしば言われておるということを指摘されたことを私は記憶するのでありますが、結果的には、予算上資金上という問題で労使の紛争は今以上に紛糾を重ねてくるのでありまして、こういうことで制度の変革をする御意思はないか、こういうことを聞いておるのであります。総理は、あたかも予算総則なりあるいは現行制度というものが永劫不変なものであるかのような答弁をされたのであります。政府が一たび意思を決してこの問題についてもっと労使の紛争が円満に解決できるような方途を考える、そういうことであるとするならば、そのような決定をするのは立法府である国会の中によろしくお持ち出されになるがよろしい。従って今いかに口頭百万べんを費して、この労使の円満な解決をはかるといっても、やはり問題の大筋というものが明確にならない限り、私は現下の情勢を何度も何度も繰り返す以外にはその道はないのではないかと思うのであります。要するにこの制度上の問題を総理としては御検討になって精神の上でも、あるいは筋の上でも、労使の円満な今後の関係が結ばれていくような方図はお考えになりませんか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 公企業体のあり方につきまして、根本的に私は今の制度が永久不変の唯一の正しい方法とは思いません。労使の間におきましても、今御指摘になりますように、よき労使間の慣行を作り上げる上におきましても、今の制度においていろいろ支障のあること、これは決して不当に大蔵省は干渉するということではございませんけれども、予算に縛られておることはこれは当然のことであろうと思うのでありますが、そういう点が果して労使のよき労働関係を作る上において、望ましい形であるかどうかということも考えなければならぬでしょう。それからまた、大体経営の実態として、こういう公企業体が最も能率的であり、その本来の目的を達成せしめる上において適当であるかどうかということも、相当一部において議論のあることであります。もちろん公企業体、こういうような公社というような組織は、まだ作り上げましてから、日本の慣行としても、そう長い歴史を持っておるわけではございません。その本来の、いわゆる国営と民営との両方の長所を入れて、そうして、その本来の公共の目的を十分達成せしめるように、能率的にやらせるという趣旨でできておることは間違いありませんけれども、その趣旨に果してかなっておる運営がされておるかどうか。また、日本の国情から見て、それがかなって、運営されておるかどうかということにつきましても、あらゆる面からやはり批判を受け、検討しなければならん点が多々あると思います。今直ちにこれをどうそれじゃ変える、どういうふうにする、という結論を申し上げることはできませんけれども、少くとも国民生活にも、国民経済にも、重大な意義を持っておるこれらの公企業体のあり方につきましては、常に十分な検討をして、最も望ましい方向にこれを持っていくということは、政府として常に考えなければならぬことであると思います。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 関連して。公共企業体のあり方について検討する云々というお話しでありますけれども、その政府の態度の前に、問題になります点がございます。問題は、今の公共企業体の労使関係、特に賃金問題について問題に今なっておるわけでありますが、紛争は賃金問題から起ってきた。特に今までの賃金を改訂をしたい、改善をしたい、こういうことで要求も出、民間産業との間に差もついてきたし、それからその後の物価の変動もあるし、生計費の変動もあるから、これを変えるべきだ。変えるべきだという点については御異存はなかろう。ところが、その今までの賃金について、政府が一方的に判断をされたのでありますが、この点はこれはお認めを願う以外になかろうと思う。今までの賃金は団体交渉なり、あるいは昨年の調停によってきまった。きのう大蔵大臣は、大蔵省は知らなかった。こういうことでありましたけれども、建前は、交渉それから調停というものによって賃金がきまった。その今までの賃金の上にどれだけの賃金をプラスするか。こういうことが裁定の内容だろうと思う。その今までの賃金というものをこれを認めて、そうして、その上に裁定なり、どれだけ賃金をプラスするかということを、本来は交渉によってきめるべきだ。こういう建前はお認めになると思うのでありますがどうですか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 御質問の点は、要するに、政府が国鉄その他のいわゆる公企業体についての今度の賃金改正に関する争議、その結論を、仲裁裁定を忠実に実現することによって、争議になったその賃金問題を解決するという見地に立って今私どもが、御審議願っておる補正予算を出しておるわけであります。従いまして、当然今御質問のありましたような、従来の賃金に対して、われわれが提出しておるところの案が、仲裁裁定の願っておる精神と合致しておるかどうかという点になると思います。私どもはそれは合致しているものとして従来の賃金を改訂していく、その基礎に基いて補正予算を出しておる、こういうことであります。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 仲裁裁定を実施したいということで予算を出しておる。これは説明を聞かなくてもわかっておる。しかしその公共企業体について今後考えるべきだ云々と言われるけれども、従来の公共企業体の建前、あるいは公共企業体の労使関係というものを尊重し、そうして、これに臨む政府の態度というものが確認された上でなければ、正しい政府の今後の態度というものは出てこない、私はこう考える。そこで、賃金問題や仲裁問題に関連していることでありますけれども、本来労使において話し合いをし、団体交渉をして賃金をきめる。さらにこれが労使の話し合いだけで、交渉だけで妥結しない場合に、調停、仲裁という制度がある。今までの賃金というものについては、労使間の交渉のほかに昨年の調停というものがあって賃金がきまった。そのきまった賃金というものについては、これは政府も知らなかったとか何とか言われるけれども、これについては今までの賃金でありますから、政府も建前としてあるいは実際として認めてきた。これは間違いないと思う。そこで、その実際の認められてきた賃金の上にどれだけプラスをするかということが今度の問題ではないか。しかも中心はこれは労使間、それに争議権にかわるべきものとして仲裁裁定というものがあるわけでありますけれども、それも今までの賃金というものを基礎として、その上にどれだけプラスするかということが問題ではないか。こういうことを、建前を申し上げておる。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げますが、今までの賃金が予算の単価と実際の単価があるのでございます。昨年仲裁裁定である程度の手当が出て、これは済んだのでございまするが、そういうのをいわゆる実行単価といっておるのであります。そうして今回の裁定は、予算単価に千二百円を加えるということであるのであります。そこで、問題は、予算単価ではない、実行単価に千二百円を加うべきではないかという議論が出ておったようでございますが、仲裁裁定の主文の第一項は、はっきりと、予算単価に千二百を加える、こういうことになっておるのであります。従いまして、その後も疑問がありまして仲裁委員から五月の六日に国鉄の委員長に出した返事におきましても、予算単価に千二百円を加えるのであって、実行単価に千二百円を加えるものじゃないと、こう回答をよこしておるのでございます。従来、予算単価と実行単価がございましたが、今回の分は予算単価に千二百円を加えるのであって従来調停でやっておりました実行単価に加えるものじゃないと、われわれは確信いたしておるのであります。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 関連ですから長いことやるべきじゃないと思いますが、その前の裁定の解釈を、政府として、あるいは大蔵省として、述べられたけれども、そうじゃなくて、その前の建前の問題、今までの賃金を知っている、知らぬという話がありましたけれども、政府としてはこれは労働大臣も他の機会に言っておるように賃金については政府としても、これはあるいは運輸省あるいは郵政省というあれもありましょうが、政府として知らぬというわけにいかない。それはやはり知っておった。そしてその今までの賃金の上にどれだけの賃金をプラスするかということが問題である。しかも政府が一方的に解釈をする前に、裁定というものは労使に対して出された、そうでしょう。その建前を伺いましょう。今までのその裁定の解釈に入る前に、建前は労使関係できめる賃金、それからきまったものについては政府も知っておるはずであります。その実行の賃金の上に幾らをプラスするかということが今度の裁定の問題であります。あるいは労使間で裁定が出たとして、それをどうするかということがまず労使の問題ではありませんか。建前を申し上げておるのです。これは大蔵大臣じゃなくて、総理大臣かもしれませんけれども、この裁定の解釈に入る前に建前をお尋ねいたします。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) 建前は仲裁裁定において賃金をいかにするかということをきめるべき建前でございます。きめ方にいろいろな方法があると思います。たとえば今回のように予算単価に幾ら幾らを加えるというのもありましょう。あるいは実行単価にどうしろということもあり得ましょう。こういうことはなかなか厄介な問題でありますから、われわれは予算単価と実行単価について、それで一緒でなければ今後の裁定においても両者とも困るこういうので、予算単価と実行単価とが一緒になることを近い将来に期待しておるのであります。それが今回の裁定の趣旨でもありますし、政府が今後とろうとする考え方であるのであります。あくまでも予算単価と実行単価とは同一のものにしたいという考え方で進んでおるのであります。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 私関連ですから、今の問題についてちょっと大蔵大臣に質問したいのですが、岸総理も完全実施というこういうことを言われておるのですが、言明されておるのですが、出された仲裁についてもちろんこれは解釈のとり方について異議がありました。しかしながら問題になりましたのは、第一の確定と第二の確定とに分れると思うのですが、少くとも藤林委員長は衆議院の社会労働委員会において三分の一の問題についての質問に対して、将来これを調整したいということは今回引くべきではないということをはっきり言ったはずなんです。それは私は仲裁委員会のほんとうの真意だと思うわけです。しかし次の日の予算委員会には、政府がそういう措置をおやりになることについては、これは何ともいえないというような趣旨の答弁をされておりますが、これは私どもは仲裁裁定というものは仲裁委員会のおきめになったことですから、われわれがどうしろとかこうしろとかいうことを申し上げることはできないと思うのです。ですから仲裁委員会の趣旨というものは、あくまでも将来調整しろということについては今度引くべきでないということも私は趣旨だと思うのです。にもかかわらず、三分の一を切ってきたということは、私たちはどうしても岸総理がおっしゃる完全実施ということにはならないという判断を持っておるわけです。この点についてあなたの言われておることと私たちの考えておることと食い違いがあるから、一つあなたの考え方を聞きたいと思うのです。総理大臣に……。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) お話しの通りに衆議院の予算委員会におきまして、いろいろ御意見がありましたが、われわれはあの裁定を読みまして重要なる部分は主文第一項であります。これに予算単価に千二百円を加えて、こういうことでございますから、その通りにいたしております。ただ理由書のうち実際相当賃金が上ることは望ましい、こういうことがございますので、その望ましいこともわれわれ実行しておることでございますから、完全実施と私はいえると思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 私はこの先ほど来申し上げているように、一貫してこれを完全に実施するという趣旨のもとに仲裁裁定を十分に検討いたしまして、そうして結論を出しておるのであります。予算単価と実行単価との問の格差についての問題でありますが、これをなくすることが望ましいということは仲裁裁定も考えております。また私どももこれをなくするような方向にもっていかなければならぬ。しかし一方においては、これを一時になくするということも困難な事情もあるということを考えまして、最も適当な方法として、これをなくする方向を加味して考えておるというのが私どもの今回やっておる案であります。

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) 鈴木君簡単に一つ。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 大蔵大臣は主文第一項を非常に強調されておるのですが、私たちはその主文に書かれておる——理由書が明記されている以上は、この主文は非常に簡単でわからないですから、理由書を読んでみました。しかし少くとも給与総額というものが設置されて、その総額の中で労使が団体交渉をして協定を結んで、実施した賃金なんですね。従ってそれについてずばり私は言っているのです。この点について藤林委員長は少くとも三分の一を将来調整せられたいということは、今度三分の一を引けということじゃないということを明確に言ったと思うのです。しかしその後の予算委員会におけるお考えが、またこれは藤林さんに来ていただかなければわからないと思うのですが、確かに政府がそうおやりになるならばやむを得ないという趣旨だと私は理解しているのです。そうなると、仲裁の趣旨というものはあくまでも将来のことであって、今度直ちにこれを引けということを言っていないのだ。こういうふうに理解するならば、これはあなた方は相当上げたと言っているのだが、既得権を侵害していくようなこと、しかもそれが公社法上、予算総則上許されていることをやったのだ これは公社の当局者が自主的にやり得ることになっている、制度上、それをあなた方が引くというところに問題がある。そうするならば公共企業体の性格というものを完全に無視して、団体交渉を否認するような形になるので、これはきわめて重要な問題ですから、この点を私はもう一回一つ、いずれまたあとでやりますが、伺っておきたい。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) 仲裁裁定にあります通りに予算単価に千二百円を加えれば、それで裁定を実施したと言い得るのであります。ただ理由書の方に賃金がある程度上ることが望ましいと、こう言っておられますので、われわれは予算単価に千二百円を加えたものよりも実際において、それをこえる金額が支給されるように考慮いたしたのであります。もし三分の一を全然考えぬということになりますると、これは引く引かぬじゃございません、財源に入れないでということになりますと、実行単価に千二百円を加えたと、大体同じようなことになり得る。しこうして裁定におきましては実行単価に千二百円を加えるのじゃないということをはっきり言っておるのでありまして、私は仲裁裁定の考え方に沿っておると思います。ことに千二百円を予算単価に加えた金額より上ってくる格差の問題につきましては今後なくしろ、こういうこともはっきり言っておるのでございまするから、私は仲裁裁定を十分実施していると確信いたしております。(「了解」「納得できない」と呼ぶ者あり)

森中守義日本社会党

○森中守義君 私はさっきの続きになるのでありますが、総理は昨日もわが党の議員の質問に対して、春闘に対する政府の責任は一切ない。こういったように言い切っておいでになります。しかし歴史を考えてみると、大体過去七回において調停もしくは裁定をじゅうりんしておる。これは岸内閣の責任ではない、こう言われるかもわからないけれども、やはり現在の自民党政府の手によってそのことが踏みにじられてきております。従ってそれはやはり政治責任がある。だから七回も踏みにじられてきておる労働組合の不満あるいは怒りというのも当然ではないかと思うのであります。ここに私は、いわゆる政府の責任の一端がある。同時にまた、いわゆる仲裁裁定をお二人とも口をそろえて完全実施だとおっしゃっておるけれども、実際は格差がある。この格差を埋める、こうおっしゃるけれども、どのようにして埋めるのか。現在においても三分の一を切り捨てる。これでは私は労働組合が激高するのも当り前じゃないかと思うのであります。しかも仲裁裁定の疑義に対する説明あるいは指示ということも、千二百円は当然これは上げるべきだ、こういうことを言い切っておる。にもかかわらず、責任がない、しかも組合はそのようなことを不満として闘争をやる、それに対して処分をする、こういうことであるならば、一体これはどういうことになりますか。今国民に、処分をして、それによって国民の世論は支持するであろう、こうおっしゃっておるけれども、国民が一番念じておるものは、こういうことが再び発生しないように、政府の責任においてもう少し善処をしてもらいたい——処分をすることを望んでいるのではありません。二度とこういうことがないように、円満に事態が解決するように望んでおるというのが、私は国民の世論ではないかと思うのであります。にもかかわらず、そういうことは一切やろうとしない。私は、極言するならば、ある意味ではこれは岸内閣の政治的な陰謀ではないかと思う。核兵器を持ち込むことによって、日本における米軍を帰す、こういうことで国民を欺瞞する、あなたの渡米の前に構想に描いておいでになるのじゃないかと思うのであります。これと同じように、いわゆる政治的な陰謀じゃないか。労働組合を怒らせる、闘争をやらせる、それで社会党も一緒になるだろう、それ見たかというようなことで、やはりこれは、私は二大政党下における岸内閣のおとりになるべき方向じゃなくして、むしろほんとうに党首会談における信義をお守りになるとするならば、当然私は、処分の前に、あるいはまた仲裁裁定に対する態度御決定になったか、あるいはそのあとにおいて、もう一回、党首会談等をおやりになる、それで事態の円満な収拾をはかるべきではなかったか、こういう工合に考えるのでありますが、ともかく今のような状態でいくならば、政府には、責任もとらず、反省の色もない、いわんやこれから先の労使の慣行についても全然改革の意図がないということになるならば、まさにこれは新聞が主張するように泥沼でありましょう。私はそういう意味で、もう少し岸総理が真剣に、こういう事態が再び起らないように、繰り返さないように、各公社なりあるいは五現業に対して、予算上、資金上ということで制約をしたり、規制をしたり、結果的に紛争を激化させるようなことがないように、もう少し権限を委譲するというような制度の改変はお考えにならないのか、これをお聞きしておきたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 言うまでもなく、政府も、国民も、あらゆる者も、こういう今度の春季闘争に現われたところのいろいろな、もろもろの現象に対しては、十分に反省して、そして将来こういうことを繰り返さないようにすることが、みんなの私は望んでいるところであるということについては、あなたのお話の通りであります。従って政府としては、従来はどうであったか知りませんけれども、少くとも岸内閣においては、仲裁裁定——これらの公共企業体においては争議権が認められておらないのでありますから、それにかわる仲裁裁定の制度が設けられておる、これを尊重して、その仲裁裁定の内容を忠実に実現する、これが私は政府のとるべき根本的態度であると思います。同時に、もちろんそれに対していろいろな不満もありましょうし、あるけれども、この仲裁裁定というものに対しては、これを最後のなにとして忠実に実現することによって、労働争議賃金に関する争いをこれでもって結末をつけるというのが今の建前であります。これをあくまでも労使、とも尊重していく、政府もそのことを忠実に実現するということが、私は政府の責任であり、また政府としてやらなければならぬことであると思います。私どもがこの処分の問題についても、いろいろ公企業体の企業当局と話し合いもいたしましたり、また国民世論の動向も、私どもは政治の責任をとっておる以上は、当然考えなければなりませんが、私どもは決してただ懲罰するだけじゃなしに、将来こういう事態を発生せしめないためには、労使ともに、また政府もともに、この法律制度を十分に順守するというところに、初めてよい労使の関係ができるのであります。労働関係ができるのでありますから、これを根本に考えておるわけでありまして、決して私は、ただ政府自身が責任がないからといって、処分をすれば、それで済むというような、イージーな考えを持たないことは言うを待ちません。従って将来のこの公共企業体の労使間における問題また公共企業体自身の本質につきましても、先ほど申したように、政府としては全面的に十分に検討して参らなければならぬという考えでございます。決して今お話のように、私どもが、ただ政府が責任がないからといって処分だけすればよろしいというような考えではございませんで、今御審議を願っておるような、われわれとしては仲裁裁定に対してはこれを忠実に実現するという、誠意を持ってこれを実現するというのが、政府の責任であり、また政府としてやらなければならぬことである。これがまた将来にこれらの企業体におけるところのよき労働慣行を作る私は基、礎になる、こういうふうに考えます。

中田吉雄日本社会党

○中田吉雄君 関連質問……。岸総理の先日来のお話を承わりますと、仲裁裁定は完全に実施する、しかし予算単価と実行単価との差があるのだから、その調整をすることは裁定の完全実施と抵触するものでない、こういうお考えのように思うわけであります。そこで、かりに岸総理と同じベースに立って考えてみて、この調整の仕方を、一体これが労働者大衆に対して思いやりのある、また公社制度その他の特殊性に十分応じるものかどうかということについては、問題があると思うわけであります。そこで私は、いろいろこういうことに対する先例を調査してみました。これは比較し得る非常にいい例は、昭和二十九年、国家警察と自治体、警察とが一本になった警察制度の大改正の際の、自治体と国警との差額をどう調整するかということは、今度の比較に非常に私は参考になると思うわけであります。そこで、その差額の調整に対しては、自治体と国警とを一体にした際には、国警の給与単価を基準とする。そして自治体でそれより低いものは国警まで上げる、自治体警察が国警の単価よりも高いものは調整手当を出すと、こういうことになって、岸総理にぜひ念頭に置いていただきたい点は、一月にその調整手当を七千五百円出しているんです。昨日警察庁の人事課で、その措置の要綱をいただきますると、一人当り一月七千五百円まで国警より高い調整手当を出している。一年に九万円の調整手当を出している。これに対しては、やみ給与というようなことも言われない。私はこれは七千五百円というものは一年中だろうと思って、これは一月か一年かといったら、一月に七千五百円の調整手当を出しているということになりまして、それに該当する一万八千六百余人に対しまして調整手当を六億一千万円計上いたしております。そして、たとえば警視百四十人に対しまして千二百三十四万八千円、一人当りに対しまして、調整手当をです、警視に対しましては、八万八千二百円も出しているのです。警部に対しては八万一千円の調整手当を出して、これは全く至れり尽せりの、ルーズなほど寛大な措置であります。そして警視庁等は、これはもう処置なしということで、ただ国家地方警察を基準としてやるというのだから、これはもう手がつけられないということで、全然野放しです。そういうことと比べますと、岸総理やただいま池田大蔵大臣が言われましたような、そういうベースに立って、実行単価と予算単価との差額を千二百円から調整するという、そういう同じベースに立って考えた際でも、自治体警察に対して、たった一万二千人に対して六億からの調整手当を出し、まだその差額が調整できないような至れり尽せりの、寛大な、ルーズなこういう調整方法と、今回の措置とを思い合わして見ますならば、岸総理が三公社五現業の諸君にどういう態度をとっておられるか。しかも、そのときは小坂労働大臣が警察を担当して、警察と労働大臣とが兼務でこういう措置がとられたわけであります。そういう点からいっても、公社制度、団体交渉等の経緯から見ても、池田大蔵大臣が言われたように、調整するという考えに立っても、私はやはり千二百円のアップはやって、そうして将来公社制度その他の検討をなしてやるというような思いやりのある措置をとっても、決しておそくはないのじゃないか。私は警察の調整と今回の調整とを見て、全くこれは労働者階級を敵とするような、よくとられるようなそういう基本的な観念というものがここに現われておるのではないか。勤労大衆は直感的にこういうことを私は見ておると思うわけであります。あまりにも、同じベースに立っても、私は思いやりがあまりにもなさ過ぎる。一月に七千五百円です、一年に九万円の調整手当を出すほどの寛大な措置をしておいて、そうしてやられるということは、完全な実施と、それから差額を調整するのだから、何ら抵触するものではないといわれても、われわれとしても、あまりにも思いやりがない措置じゃないか。よき労働慣行を念願される総理としては、あちこちの職務が多忙でしょうが、私はあまりにも一方的ではないかということを考えるわけであります。このことを私はほんとうに、今三公社五現業の諸君が、労働組合をよく弾圧する警察に対しては、こういう措置をしたが、私たちはどうかというようなことを、この事態を知りましたならば、その憤激は私は大変なものであろう、予算委員会でもとられませなんだが、ずっと警察の予算を審議したとき、私たちとしては、あまりにも一方的ではないか、岸総理のベースに立って物を考えても、少し思いやりがない措置ではないかというふうに考えるわけですが、いかがでしょうか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 自治警察と国警とを統合したときにおきましては、御承知の通り、同じ役所で同じ仕事をする人の間に、そういう非常な従来のあれから、差ができたわけであります。これを調整するための措置であると思うのでありまして、今回の場合とは、私は性質は全然違うと思います。ただ、今度の問題は、仲裁裁定というものがあって、これを、仲裁裁定を忠実に実現するというのが政府に課せられたる私は責務であり、その考えであって、その通り、一項だけの何であれば、ただ予算単価に千二百円を加えただけで、すべてが終るわけでありますけれども、しかし、同時に、実質上もらうところの何がそれだとしますというと、それをただ厳格に考えるというと、非常に少くなる。これに対してわれわれとしては、ある程度の実質的にも上らなければならぬということを加味して、しかも仲裁裁定がやはり要求している実行単価と予算単価の開き、格差というものをなくしていくという方向をあわせ考えて、私どもは出しているわけでありまして、決して、この前の事例をもってこれに当てはめることは、私は適当でないと、かように考えております。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) 中田さんに誤解があるのじゃないかと思います。これは勤務関係が変っておりまして、あの統合いたした場合におきましては、地方警察官の俸給単価をベースダウンした、ベースダウンいたしまして、そうして新たに出発したから、そういうふうな措置をとったのでございます。従いまして、総理の言われたように、仲裁裁定をわれわれは完全に実施するということで参っております。従って、ベースダウンをしておりません。ベースダウンをしないから、ある程度の実行単価よりも上になるような予算を組んでいるのであります。詳しいことは主計局長から御説明いたさせます。

森永貞一郎大蔵省主計局長

○政府委員(森永貞一郎君) 自治警と国警を統合いたしました場合に、たとえば、ある同じポストにつきまして、国警の方が二万円で自治警の方が二万五千円という場合に、この自治警を二万五千円を五千円実はベースダウンしたわけです。そこで、ベースダウンをしたについては、手取りが減っちゃ気の毒だから、調整手当を出す。しかし、その調整手当は、その後における昇給の際に差し引くということでございます。そういたしますと、これはむしろ今回の場合よりも、もっと確実に格差を縮小する方法であるわけでございまして、むしろ自治警から参りました警察官の諸君にとりましては、確実なベースダウンであったわけでございます。今回の措置につきましては、そういうことがないようにということで御配慮になっているわけでございまして、国警、自治警統合の場合の例によるということは、むしろ今回の場合よりも過酷な結果であるということを申し上げます。

中田吉雄日本社会党

○中田吉雄君 もう一ぺん。私はそのときの差は、森永主計局長、ベースアップの問題はあのときにはない。その点がまず一つです。今度はベースアップと競合して調整の問題と一本になっている。それで、この一本になったときの措置としては、とにかく国家地方警察の職員の給与単価をもって単価とする。だけれども、高いのはベースダウンになるでしょう。だからそれを最高七千五百円までの調整手当を出すということになって、実質的にはほとんどない。特に警視庁なんかは、私、本日警視庁へ行って調べた、全然もうとても手がつかぬ、警視庁なんかは全然やっていない、しかも、地方公務員は大体国家公務員の給与単価に準ずるというような規定もあり、そういうことがあって、何も私がベースダウンの問題を知らぬというのではない、その仕方が全然違うと思う。特にこれは今度の措置と比較するに非常に格好な私は事例で、その調整の仕方、問題を調整するという仕方においては、一人当り月七千五百円までの調整手当を認めて、昇給昇格等、ある限度内で年次解消していくという、実に思いやりのある措置なんで、それは岸総理が何と言われようとも、しかも、われわれがこれに興味を持つのは、小坂労働大臣が警察担当をやられて、そうして吉田総理の外遊等とからんでこの問題がやられた。全く逆なケースですが、岸総理が外遊されて、またこういうこともあるということは、まあ不問にしましても、私はやはり調整の仕方が、仲裁委員会のこともあり、予算単価と実行単価が違う、そうして経理の内容をはっきりするというようなことで、百歩を譲って、調整するという立場をとられるにしても、そのベースに乗っかってこの問題をみても、私は警察に対してはそういう寛大な措置をしておられるということは、何ら私は比較するに不適当なケースではないというふうに考えるわけであります。これはやはり非常に問題だと思って、私たちは、やはりそういうことを認めるにしても、今度のベースアップの問題は認めて、そうして今後調整するならするにしても、労使双方の話、公社制度の検討等とからんで、広範な関連においてやるということをやる方が、もっと摩擦少く、協力して労使双方がやれるのじゃないか、こういうふうに考えるわけですが、重ねて岸総理の所信を、今後私の党が、きょう、あさって全力をあげてこの問題を解明するわけですが、そういう際に、この調整の仕方で問題があったら措置される用意があるかというようなことも含んで、御答弁をいただきます。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 警察の場合の先例につきましては、先ほど政府委員から御説明申し上げたような事情でございます。私自身最初以来今問題になっております補正予算の問題に関しましては、あくまでも仲裁裁定を忠実に実施するという見地に立っておりますので、それが果して忠実にこれを完全に実施しておるものであるかどうかという点は、今後なお十分御質問にこたえまして、私どもは私どもの所信を明らかにして御協力を願いたい、こう思っております。

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) 森中君、時間が経過しておりますから。

森中守義日本社会党

○森中守義君 あと少しで終ります。  先刻の岸総理の私に対する御答弁はきわめて抽象的で、具体的でございません。労使の慣行というものは、やはり、より具体的でなければならないと思いますので、あえて私は再質問をするわけでありますが、要するに、今のまま制度の改変もしない、従って究極的に行きつくところは、大蔵省が予算上あるいは資金上ということで、三公社五現業と両当事者間で話がついたことを、やはり結果的に紛争を生ぜしめるような結果の繰返ししか、私は現状のままでいくならば、ほかに道はなかろう、このように思うのであります。従って、そういういわゆる裁定までのルールはよろしい、しかしながら、その裁定までのルールをほんとうに具体的に紛争を回避するために事態の解決をはかろうとするならば、もう少し両当事者間に、ことに経営者側に対して大蔵省が差し出がましく、予算上、資金上という理由の下に規制をしたり、あるいは制限を加えたりすることのないように、口頭でもいいからここでお約束できないか。あるいはまた、そういうルールを明確にするために、ほんとうに政府が今次春闘に対してある程度の責任を感じる、あるいは反省をする、少くとも労使の問題がこのままでいけないとするならば、制度の改変なり、あるいはここにおけるお約束なりはいただけないものか、これを私は承わっておるわけであります。  さらにもう一つの問題でありますが、いわゆる今度の処分の問題、あるいはまた、これから先の問題に対しまして、いわゆる解雇処分が出るであろう、あるいは処分をもって臨むであろう、これは私は一種のどうかつであろうと思うのであります。あなたは、警察庁の長官や検事や、あるいは警察官ではない、総理大臣であります。法律をそのまま適用して、それによって物事が解決をするというならば、これは私は政治家の器ではないと思うのであります。そういう問題をどのように解決をしていくかというのが、私は法律以上の問題として、当然政治家である総理大臣としておとりにならなければならない当然な道ではないかと思うのであります。ところが今そういうことは、残念ながらわれわれの耳目に映ずるところ全くない。従いまして、今労使の紛争を、しかも当面している問題を、事態の収拾をはかろうとすることは、法律を適用して処分をする、弾圧を加えるということではありません。情理を尽して相手と話し合うということでなければならない。そういう会見の場所なりあるいは話し合いということを今お考えになっていますか。要するに、法律を適用して弾圧を加えることによって労使の慣行は伸びない。これは断じて伸びません。従いまして、このこれから先の事態の収拾に当っては、あくまでも処分をもって貫こうとする方針であるか、あるいは情理を尽して事態の円満な解決をはかろうとするのか。たとえば党首会談ということもありましょう。あるいは直接に総評の首脳部と会見されることもよろしかろうが、そのように法律以上の問題として事態を収拾するお考えがあるかどうか。この二点についてもう少し適確に、抽象的な三百代言のような答弁でなくて、誠実のある、実のある御答弁を私は承わっておきたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 先ほども申し上げましたようにこの公企業体のあり方、またその労使の関係というものにつきまして、将来によき労働関係を作りますためには、制度につきましても、われわれは検討を加える必要がある。また予算制度ということにつきましてもなお考慮の必要があろうと思います。もちろんこの公企業体というものは、ある種の独立的な企業体としてあります以上は、そこに自主的な立場を持たせなければならんことは言うをまちません。しかし同時に、この事業の性格から申しまして、国の予算というものにもこれが関係をし、予算を縛られることも、これも当然であろうと思います。その間の調和をどうすることが望ましいかということにわれわれは意を用いて考えていくわけでありまして、一方においてはこれらの企業体の自主性を認めていくということと、また国の予算との関係においてどういうふうにこれを調整していくかということについて、今後といえども十分私は検討して参りたいと思います。  それから労働争議というような、紛争というものをまとめるということにつきまして、単純な法律適用だけでもって事終るものでないことは御指摘の通りであります。私もそう思うのであります。しかし根本において、やはり労使ともに、この紛争においても、われわれはあくまでも法制を順守するということは、根本に私は前提にならなければならない。これを全然無視して話ができるわけではないのでありまして、従いまして、こういう紛争を事前に、また円満にこれを終結せしめて、そして国民経済や国民生活にも重大な影響を及ぼさないように、また将来のよき労働関係を作る上にも基礎を作るように、あらゆる努力をすべきことは、私は当然のことであると思います。従いまして、昨日も労働大臣もそういうことを申しておりますが、事前に十分労働者側の、労働組合側の首脳部とも会って事態の収拾を考えておるということを申し上げておりますし、またそれぞれの所管大臣にも、事態を事前に収拾するように私は注意を促しております。また私自身としましても、必要があり、それが適当であると思った場合におきましては、いかなる会談も辞せないつもりでおります。

湯山勇日本社会党

○湯山勇君 議事進行。私が一昨々日移用流用についての資料を政府に要求しておったのですが、すでに三日を経過してまだ御提出がないわけですが、どういうふうになっておりましょうか。委員長からお確かめを願いたいと思います。

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) 平林剛君。(「資料、資料」と呼ぶ者あり)今のは調べます。(「休憩」「議事進行」「続行」と呼ぶ者あり)資料はできるだけ早く出します。

湯山勇日本社会党

○湯山勇君 昼休み中にお配り願えるでしょうか。

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) できるだけ早く出します。平林君、質疑を……。  ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) 速記を起して。  暫時休憩いたします。午後は一時半から開会いたします。    午後零時四十一分休憩    —————・—————    午後三時四分開会

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) ただいまより委員会を再会いたします。(「議事進行」と呼ぶ者あり)  まず、ただいまの理事会で決定した事情を報告いたします。  一、公共企業体等仲裁委員会委員長藤林敬三君を参考人として、十三日午前九時から十時二十分まで八十分間出席を願い、質疑を行います。  二、質疑時間の各派割当は、答弁時間を含めて、自民党、緑風会で三十五分、社会党四十五分とする。  三、十三日は参考人の出席を求めている関係上、九時定刻に委員会を開く。  四、十三日は昼食前に、(「そんなこまかいこと言わぬでもいい」と呼ぶ者あり)昭和三十二年度第二次補正予算の討論、採決を終る。  以上でございます。  右の通り運営することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) 御異議ないと認めます。   —————————————

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) これより午前に引き続き質疑を続行いたします。

小林孝平日本社会党

○小林孝平君 議事進行。  先月の二十五日の当委員会におきまして、私は防衛庁の統合幕僚会議で作っておる情勢見積りという資料の提出を求めたのであります。その後、これは今月の七日にもさらに資料の提出を求めましたが、いまだにその提出がありません。それで、先ほど事務当局をして防衛庁に連絡をさせましたところ、防衛庁の方から参りまして、実はそういう資料はないのでございます、こういう連絡であります。私は、こういう資料がないはずはないのであります。必ずあるんです。それを、催促をしなければそのまま黙って過そうという考えだから、こういうことになったわけです。催促をしたら、あのときないということをお答えすればよかったんですけれども、しなかった、おわびをいたします。——私はこういうことは、これは政府の綱紀が弛緩しているからこういうことになる。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)政府はささやかな実力行使をやったのに対して厳罰をもって臨んでおる。しかるにこういう問題はそのままに過すということは、私は許されないと思うのです。総理大臣は監督の立場にあるんですが、こういう綱紀の弛緩に対してどういうふうにお考えになりますか。こういうことこそ厳罰をもって臨むべきじゃないかと思うのです。防衛庁の長官以下に対してどういう処置をされるか、明らかにしていただきたいと思います。  また委員長も、こういうことはしばしば従来起きておるのです。これは委員長がその適切な処置をやられないからこういうことになる。それが積み重って、やがて国会無視の風潮が起るのです。委員長はどういうふうにお考えです。あわせて委員長の所感を承わりたいと思います。(「出させるのか」「首相の答弁」と呼ぶ者あり)

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 今おあげになりました資料につきまして、私事情をよく承知いたしませんから、十分防衛庁の方の事情も確かめてみます。その上で御返事をすることにいたしたいと思います。(「責任はどうするんだ」と呼ぶ者あり)  もちろん、綱紀の粛正といい、また綱紀の弛緩を十分に戒めることは、これは当然だと思いますが、今おあげになりました問題がどういう資料であり、どういう事情であるかということは、私つまびらかにいたしません。それを十分検討した上において御返事をする。しかし綱紀の弛緩を十分に改革して、そういうことのないようにするということは、この事件のみならず、全体の問題だろうと思いますから、十分に私としては注意いたします。(「あるものだからそれは出させるのが当りまえだ」「予算委員会の権威のために出させなさい」と呼ぶ者あり)

小林孝平日本社会党

○小林孝平君 委員長、どうなんです。

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) お答えいたします。  要求資料につきましては、政府側に督促をいたしておりましたのでありますが、御指摘の点につきましては、今後とも留意をいたします。(「必ず出せるかどうか」と呼ぶ者あり)

小林孝平日本社会党

○小林孝平君 月曜日に質問するんですよ。

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) だから、政府側に向ってなお提出を……。

小林孝平日本社会党

○小林孝平君 それは従来と違うのです。この前に資料の提出を要求したら、そのまま黙っておったのです。ところが本日再び督促をしましたら、実はそういう資料はなかったのだ、そのときお答えすべきはずであった、こういうことで、それは従来の場合とは違うのです。

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) 委員長としては、今申し上げましたように政府へ督促をいたしておったところが、今聞きますというと、そういう資料がないというお話でありますから、なおもう一度念を押して聞いてみたいと思います。(「おかしいじゃないか」「出せないと言うなら出せないと」「今までどうしてそれがわからなかった」「処分したらどうだ、処分を」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) それじゃあらためて申し上げます。  御要求の資料につきましては、防衛庁に問い合わせ、提出させるように努力いたします。(「了解」と呼ぶ者あり)

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 議事進行。  昨日、総理の答弁の速記録を取り寄せて明らかにしたい、こういう提案を申し上げ、委員長においてお取り計らいを願ったわけでありますが、その岸総理の昨日の御発言、それから労働大臣の衆議院の社会労働委員会における発言、それから運輸大臣の参議院運輸委員会における発言、これと昨日のそれぞれの発言の違いにつきまして、総理とそれから松浦労働大臣に対します分は、ここで明らかにしておきたいと思います。  運輸大臣の運輸委員会における答弁は、まだ速記録が印刷中で、原稿も速記録もございませんので、その点については、これは同僚議員のあとの質疑に待ちたいと思います。  岸総理の昨日の答弁につきましては、速記録を取り寄せましたところ、こういう答弁でございました。「二十三日の事態に対しては、当時の国民の世論は、非常に強くこれに対しての気持が国民世論として現れたことは事実であります。しかし私自身としては、今申したように最初から今回の春闘に対する態度として方針をきめまして、その方針に基いて、企業をして事実を調べさせておるのでありまして、それから先は企業体当局におきまして私は責任を持って事実を調査して結果が出たことで、別に二十三日の事件があったゆえに、特に私として強く罰せなければいかぬというふうなことを考えたわけではございません。」これが速記録の全文であります。そこであの当時、昨日私が聞きましたところでは、最初から政府として春闘に対しては処罰の方針をきめて、そうして臨んでいるではないか。二十三日の事態がどうであったとか、どうでないとかいうことは問題外にして、最初から春闘自体については処罰の方針をきめて、そうして企業体にも調べさせ、それから政府としても、処分権を持っておる国鉄なりあるいは公共企業体、あるいは運輸省の態度等については関係なしに、政府とし処罰させる、それが政府の態度ではないか、こういうお尋ねをしたのであります。そのあとで弁明がございましたけれども、ここに述べられましたものは、速記録によって調べましたところが、今申しましたように、「最初から今回の春闘に対する態度として方針をきめまして、その方針に基いて、企業体をして事実を調べさしておるのでありまして」云々と、はっきり政府は、事態のいかんにかかわらず、春闘に対しては弾圧方針をもって臨むのだ、こういう意図が端なくも岸総理大臣の答弁の中に、発言の中に現われておる。これは明瞭に速記録による事実であります。これは速記録を見ましたところでの判断でございますが、事実だけを申し上げ、どういう工合に、もし弁明があるならば弁明をされてもかまいませんけれども、そのときの答弁は以上の通りでありますから、この速記録の点を明らかにいたしておきます。  それから松浦労働大臣の点は、多少これはあいまいでございますから、あるいは弁明があるかもしらぬと思うのでありますが、問題の点は、私はやはり第一次責任は企業体にある、第二次責任は政府にある、こういう形だと思います。こういう答弁であります。で、松浦労働大臣は、これは給与における差額の問題だ、差額がどうして起ったかという問題については、第一次責任は企業体にある、第二次責任は政府にある、こういう答弁をしたのだと、こういう弁明をされるかもしらぬと思うのでありますけれども、なるほど、話は差額の問題から出て参ったのであります。予算単価と実行単価の差額の問題から始まっております。しかしその答弁のありました直前の滝井君の質問は、その点もありますがしかし過去にもらったところのいろいろの業績手当その他のものは、これは明らかにそうなるべき当然の因果関係というものがあった業績手当なり給与なりというものが、当然の因果関係の経過から出てきたのではないか、その給与について、差額を含めまして、やはり第一次責任は企業体にある、あるいは第二次責任は政府にある、こういうことになりますと、あるいは二十三日の業績手当の問題につきましても、それは支払いの第一次責任は企業体にある、あるいは第二次責任は政府にある、こういうことで、二十三日の問題と関係ないわけではございません。給与について、差額のこともありますけれども、業績手当その他につきましても、これは滝井君が質問をしておるのです。私は、松浦労働大臣は、それは当然そうでありますけれども、第一次責任は企業体にある、第二次責任は政府にある、こう考えられたなら、二十三日のあの事態の原因というものが、企業体から政府に了承を求め、その支払いを待っておるのにストップをしたのだという点において、政府の責任があると思うのであります。これは今回の裁定問題についてもそうであります。第一次責任は企業体にある、それから第二次責任は政府にあるということ、きのうの問題は二十三日の問題でありましたけれども、原則的に第一次責任は企業体にあり、第二次責任は政府にあるという点は、これは明らかに認められたと思うのでありますが、その点についてはどういう工合にお考えになりますか。これは速記録の必要があれば読み上げますが、弁明があれば……。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 私は春闘の最初から、政府としては政府がこれを責任をもって行うべきことは行う、そうして法律違反のないように公企業体及び公企業関係の労働組合に強くそれを反省を求めておったのであります。従ってもしも不幸にして、われわれが予期しないような法律違反になる場合においては、これの責任を明らかにすると、それには、果してそういう事実があるかないかということを十分に企業体において責任をもって調べてもらいたいというのが、最初からずっと私の一貫した考えでありまして、そのことを申し上げたわけでございます。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(松浦周太郎君) 衆議院の社労の委員会において、滝井委員との一質問応答に対しましては、昨日お答え申し上げた通りであります。さらに、今も速記録をお持ちのようですが、私もその部分を写して持っておりますが、それは滝井君の言葉を借りて言うならば、やみ給与から出発しておる、そしてその格差問題を、政府が監督不行届きであったからできたのではないか、そうすれば第一次は責任は政府じゃないかというふうにお問いになっておりますから、私はこう申し上げた。たとえば、企業家が損失したときに、銀行が金を貸したから損失したのだということになるのじゃないかと、それはやはり、第一次責任は損をした企業家の責任で貸した銀行もあくまでもその責任をとらなければならぬ(「おかしい」と呼ぶ者あり、笑声)こう言っておるのでありますから、(「珍談だ」と呼ぶ者)あり私は第一次責任は、やはり企業主体である公共企業体にあると思うのです。やはり国の財産を守るところの政府も第二次責任は免れないと思います。それは国民の財産を政府は守っておるのでありますから。それが、そういう今のようなやみ給与のふえていくということは、これはやはり監督不行届きであったという点は……(「何がやみ給与だ」「団体交渉でやっておるのじゃないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)格差のことであります。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 議事進行でありますから、私が質問をいたすのはやめます。岸総理の答弁の中には、今、弁明をされましたけれども、そういうあれじゃなくして、「今申しましたように最初から今回の春闘に対する態度として方針をきめまして、その方針に基いて、企業体をして事実を調べさしておるのでありまして、」云々と、明瞭に言われておる。そのことは速記録に載っておりますということを当委員会で明らかにして、あとの審議あるいは質疑は同僚の委員に待ちたいと思います。  それから松浦労働大臣等も、滝井君がやみ給与云々と言ったという話がありますけれども、これは、そういう言葉は滝井君は使ってはおりません。  それから問題になりましたところは、業績手当その他の給与について、第一次責任は企業体にある、第二次責任は政府にあると、こういう形だろうと思います。話の始まりはそういうことでございましたが、これは四月二十日の衆議院社会労働委員会の速記録でございますから、この点はあとで参考に資しながら、同僚委員の諸君の審議に待ちたいと思います。

平林剛日本社会党

○平林剛君 私は今回の春闘の処分と仲裁裁定の取扱いの問題に関連をして、主として総理大臣にお尋ねいたしたいと思うのです。  昨日岡田委員から、春闘処分に対する政府の責任の追及がありました。これに対する総理のお答えは、また政府関係者の答弁は、私にとって大へん遺憾なお答えがあったのであります。本日は公共企業体の職員が、朝からこの政府の態度に対する抗議の集会を始めている。もし政府にこの事態について賢明な処置と反省がない限り、紛争は拡大していくのではないか、こう思うのであります。春闘処分は、結局政府の労働運動に対する弾圧、挑戦として、総評を初めとする労働者は受け取るに違いない。そうしてこの処分反対の戦いが、当初の裁定の取扱い問題を解決しないうちに、ここに発展をして、また処分をして、反対闘争を繰り返す、こういう結果にならざるを得ない。私はまことにこの事態は遺憾なことだと思うのであります。これは昨日来から追及がありましたように、労使の問題に対して政府があまり深く介入し過ぎた結果が、こういう場面を描いてきたものと思うのであります。こういう意味では政府の責任はきわめて重大である。私はこの処分問題をまた新しいきっかけとして、ますます拡大していこうとする紛争に対して、一体どういう責任をお感じになるか。国民は大へん迷惑なことだと思っている。単に労働者が悪いというだけで済ませる問題ではありません。政府の措置の誤まりの結果、これが泥沼のようになるということになれば、国民は政府の措置に対しても痛撃を加える、こういうことになるでしょう。政府自体の責任をどうお感じになっているか、総理大臣にお伺いをして、またこれについては労働大臣からも御所見を聞きたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 私ども政府といたしましては、最初から、この春闘のスケジュールが発表されました当初から、これが円満に妥結されて、国民経済やたくさんの国民に迷惑を及ぼすような事態ができないようにということを、われわれも念願いたしまして、十分労使両方に向って自重し、反省して、そうして事態を収拾させるようにということを努めて参りました。しかしながら、それが実力行使という形において現われることが必至というような情勢になりましたので、さらに私どもは強く反省を求めて、そうしてそういうような場合において、公労法違反が出るというと、われわれはやむを得ず、将来の正しい秩序を作り上げるためには処分をしなければならない、われわれはそういう事態を起さないように、十分反省を求めるということを言って参ったのであります。そうして一面においては、政府としては慎重な態度をとりまして、仲裁裁定を求め、仲裁裁定は忠実にこれを実現するという方向に進んでいくことを、私は明らかにいたしまして、そうして将来の正しい秩序を作り上げるという意味において、この今回の春闘における責任の所在を明らかにしていくという方針で、初めから一貫して今日に参っているわけであります。そしてその調査ができましたときにおいて、非常にわれわれとしてはやむを得ない処分者を出したわけであります。しかしその処分に不満である、それに対して抗議をするという意味において、さらにわれわれが責任を問わなければならんような事態が繰り返されるということは、これは何と言っても国民経済及び国民に対して、政府としても、これはそういうことを未然に防ぐ、またこの労使両方面において十分な反省を求めているわけでありまして、私どもはそういう事態が繰り返されるようなことのないようにあらゆる最善の処置を講じていかなければならぬ、かように考えております。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(松浦周太郎君) 基本的な考え方につきましては、総理大臣のお答えになった通りであります。なお総理大臣もしばしばお話になりましたように、できるだけ話し合いで円満に解決をつけていきたいということが政府の方針でございますから、昨日も申し上げましたように、総評の方に向ってきのうも、明日の実力行使については法の範囲内においてやっていただきたいということを、総評幹部に、うちの職員をして一応使いを出しましたけれども、いろいろ話し合った結果、今労働大臣と会ってやっても、この十一日、十二日はもう指令を出てしまっていることであるから、これはやむを得ない。その後においてまた会って話をしようという返事をもっております。なお今までの情報は、この三月の十一日、十二日の実力行使の場合よりもずっと下回った方法をとっておるようでございます。われわれの心配する点も、やはり総評の幹部に通じておると思っておる次第でございます。

平林剛日本社会党

○平林剛君 今のお二人のお答えではっきり言えることは、事態に対する認識が欠けておるということだと思います。それからこの紛争の起った原因について少しも考えておらない。私はそれは全般の国民にとって、こういう認識のもとに労働対策をお立てになる政府に対し、まことに遺憾なことだと思うに違いないと思うのであります。この紛争の長期化を解決する道は幾つかあります。私はやはり政府が紛争の長期化を解決するためには、一つには仲裁裁定を完全に実施をすること。もう一つは処分の問題について政府の介入をやめ、この問題は労使間で解決すべきものであるから、労使が自主的に話し合いで解決するようにしむけていくということ。もう一つは今日までの労働問題の処理に当って、お気の毒ですが、労働大臣は不適格である。今日のような労働対策の不手際を演じた労働大臣おやめになってもらう、労働運動に政府が介入をした責任を明らかにするということ。もう一つは公共企業体の運営において今日のような遺憾な事態を招いたのは職員側だけではない、経営者においてもやはり同様の責任のある立場を明らかにすること。この四つだと思うのであります。昨日も関連質問でお答えをいただきましたが、総理大臣からその点について御見解をお伺いしたいと思うのであります。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 第一の点の仲裁裁定を忠実に完全に実施するということにつきましては、私も全然同感でありまして、政府はそういう考えでもって補正予算を出しておるのであります。政府が介入した云々というお話がありましたが、私は政府としていわゆる御非難になってるような介入をいたしてはおらぬと思うのであります。ただ私どもは公企業体に対しては監督権を持っております。政府はまた国民の全体の福祉なりあるいは生活の環境なりにつきまして責任がありますし、国民経済全体に及ぼすところの影響というものも十分に考えていかなきゃならぬことは言うを待ちません。私は、政府が本来監督権やそうした立場において、この公企業体の争議というものに対して必要以上にわれわれが深入りして干渉しているという考えはございません。  第三の点につきましては、いろいろ閣僚等につきまして御意見もございますけれども、私自身としてはこれもお答え申し上げておいたのでありますが、今日、労働大臣を罷免するというような意思のないことを明らかにいたしておきます。  もう一点は、もちろん、この公企業体におきましてこういう争議ができるということは、労使両方面にその原因があり、また労使両方面において将来正しい善良な労働関係というものを作り上げていく、慣行を作り上げていくという上においては、両者が責任のあることでありますから、今回の処置につきましても、われわれは経営者側におきましても十分反省もしてもらいたいということを要望いたしておるのであります。

平林剛日本社会党

○平林剛君 先ほどの答弁にもありましたが、政府が今度の労使の問題について介入をした、あなたの方は政府の監督権によってこれを行なった、こう言われるのでありますが、私はその点がよくわからない。公共企業体といえども、公共企業体等労働関係法に認められた労使間の関係というものは法律で規定をされておる政府のこれに介入する権利というものは一体どこを根拠にして生まれてくるか。少くとも政府の監督権というものは、公共企業体の予算の制限その他にはあるかもしれません。しかしこれが処分問題に及んだり、あるいは労働者と、それから経営者との間に結ばれた債権にまで及ぶ権利が政府にあるとは考えられない。私はこれは少くとも政府の越権ではないかと思うのであります。政府が介入するあるいは監督する権限の根拠、それから私が今指摘したことは、政府の越権行為ではないかということについて、あなたの御見解を聞きたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 先ほどもお答え申し上げましたように、私は最初から灸企業体のこの労使両方面に向って事を円滑に妥結するように、またその争議の途中においてこの法規を逸脱し、法規を無視するような行為がないようにやって参りたい。これは法規に反するような事態が起りますと、当然その結果として、国民経済や国民生活に重大な影響を及ぼす結果になりますから、そういうことのないようにという注意を求め、そういうような事態が起るならば、政府としては、そういうものはやはり将来の正しい労使関係を作り上げる上からいって、法規の命ずるところによって処分されなければならないという見解を表示するということは、これは私は当然政府の責任であり、政府の立場として、決して不当に介入したものであり、不当にこの労使関係の何に対して干渉しておるものであるという結論は絶対に出ない、こう思います。

平林剛日本社会党

○平林剛君 今、政府全般が、国民の立場になって介入し、監督をしたと言うけれども、法的な根拠はどこにあるのですか。あなたの、政府としての全般的な見解から今回の措置をおやりになった、こう理解してよいのでありますか、私はその法的な根拠をお伺いしておるのであります。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 私は今回の争議の最初から最後まで今申しました態度を堅持して、そうして労使両方面に注意を喚起して参ったのであります。具体的の監督権の内容は、御承知の通り各公社法で主務大臣に監督権が与えられております。それを逸脱した私は事実は主務大臣においてはないと、こう思っております。

平林剛日本社会党

○平林剛君 まだ私の質問に対するお答えになっておりません。しかしこれ以上申し上げることはやめます。ただ、あなたが国民全般の立場に立ってその福祉や、あるいは経済や国民生活に与える影響等を考えておやりになった。こうお答えがありましたけれども、そう考えてやったことが、ますます紛争を拡大して、そして国民生活その他に影響を与えることになっているのではありませんか。私はこの点がやはり問題だと思うのです。これは結局岸内閣の性格が、労働組合あるいは労働者を何か異端者扱いをしておるというようなことが腹にある、その結果だと思うのです。最近、岸内閣が成立してから以来の労働政策の大綱をながめてみますと、あたかも総評を敵国扱いしておる。昔、吉田内閣のときには労働者を不遇のやから扱いして呼ばわれたことがありますが、最近は労働者の団体である総評を敵国扱いにする風潮や言動が、岸内閣の閣僚の中にも、あるいはあなたの率いる与党の中にも現われておる。こういうことが根底になって、そしていろいろと対策を打ち出されるから、国民であるところの労働者にも、あなたたちの措置に対する信頼が欠けてくる。そして紛争の解決がつかなく、いつまでも対立状態が続く、こういう結果になると思うのです。これはあなたの見解と私の見解が違うかもしれませんが、私はそういうふうに今の岸内閣の批判をしなければならない、どうお考えでしょうか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 私はしばしばお答えもいたしておりますかねての私の持論でありますが、健全な労働組合運動というものは、これはあくまでもこれを助長し、その発達をはからなければならない。しかし日本の現在の労働組合、特に総評を中心としてのいろんな労働の問題に関して打ち出しているところの方針等を見るというと、これは私の考えによれば、私は私の考えにおける健全なる労働組合の姿ではないと思う。(「明治憲法の考え方だ」と呼ぶ者あり)これは私は、この考えは私一人の考え方ではなしに、相当の批判があることも御承知の通りであります。もちろんこれは総評を支持するところの人々は、この総評のあらゆる運動方針というものを是認されておりましょうが、これに対しては相当な国民の間には批判があることは御承知の通りであります。(「具体的にはどういうことだ」と呼ぶ者あり)そうして私どもの考えによれば、そういう意味において何しておりますけれども、決して総評を敵国視したり敵視しておるというものじゃありません。あくまでもわれわれが考えて正しくないと思っている運動方針は、これは改めてもらいたいということはいろんな機会において、またわれわれの労働政策として、保守党の労働政策としてはそれを考えておりますが、決して今お話しのような総評自身に対してすらわれわれはこれを敵視するものではありませんで、いわんや広い勤労階級に対しましては、われわれは保守党といえどもそれを敵視する考え方は持っておらないのであります。

平林剛日本社会党

○平林剛君 これは見解の違いでありますから、これ以上申し上げません。ただあなたが何と言われようとも、現実の紛争を解決することができなくて、そして政府の手によってますます対立というものが深刻になって拡大をしていっておることだけは事実です。内政問題についてこういう事態のままで、総理大臣が国会が終ったならばアメリカへ行かれるというお話がありますけれども、内政問題を解決することができなくて、外国へ行っていろいろな全般の国策についてお話をするなんていうことはナンセンスです。私は総理大臣がアメリカに行かれるならば、まずその前に、自分の国の中の問題を円満に解決をして、そして外国との間に話し合いを進められてこそ、ほんとうの力のある外交が展開をせられるはずである。そういう意味では至急にこの紛争解決のために政府は努力すべきだ。それには事態の認識ということが必要です。総理大臣はこのことについてきのうも言明がありましたけれども、やはり敵国視扱いしないならば、その総評との間においても十分話し合われる、そういう機会を渡米の前にも用意されるつもりがあるかどうか、なお、野党の党首との間においても、どうして解決したらよいか、虚心たんかいに話し合われる、これは一つの労働問題の解決だけではありません。総理大臣が渡米に際して当然行われなければならない大事な一つの仕事です。この処理がなくて出かけるなんていうことは、渡米する資格さえない、私はこう思いますが、いかがでしょう。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 私は外務大臣としての外交方針を国会に述べる場合において、内政と外交との一体ということを特に強調して参ったのであります。今お話しの通り、国内問題というものに対してわれわれが適当な措置をせずして外国に出て折衝いたしましても、それが強力に行われないという御指摘は、私も全然同感でございます。この公共企業体におけるところの争議の問題も、私は先ほど来申し上げているように、あくまでもこれが円満なる解決を望んでおるものである。不測の事態を生ぜしめないように、あらゆる注意をいたしております。と同時に、労使両方面にも、先ほど来申し上げておるように、やはり正しい、いい労働慣行を作るためには、やはり法規を順守していく。それから国民生活や国民経済に悪影響を及ぼさないように、大事な仕事であるがゆえに注意をするように私は反省を求めております。そのために必要であるならば、私は総評の首脳部と会うことも辞しませんし、また、まず労働大臣をしてその方面の交渉といいますか、折衝もさしておるわけであります。先ほど労働大臣も報告をいたしておる次第であります。また国鉄の関係におきましては、主務大臣たる運輸大臣、さらに経営者側の方面の総裁、副総裁に対しましても、十分この意図を述べて、そうして事態を円満に収拾するように努めておる次第であります。  また野党の党首との間に重要な問題について話し合うべきではないかというお考えも、私は全般的にその事柄の必要を認めておりまして、いろいろな他の問題について鈴木委員長とお目にかかる機会には、私の考えも、また鈴木委員長のお考えも聞いておるわけであります。適当な機会に適当な方法で党首が会って、そうしてこの重要問題について話し合う。立場は違ってもおのおの理解し合い、国全体のことについては協力し合うということが、二大政党の正しい姿ではないかと思います。またそういうふうにしなければ、りっぱな民主政治はできないと、かように考えておりまして、適当な時期に適当な方法においてそういうことをすることは、私は異存なきのみならず、そういうことを進んでやりたいと考えておる次第であります。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 関連して。私は今度の春闘処分については、国民の立場からいっても非常に悲しむべきことであるし、私自体とすれば心から憤激を感ずるのです。今、岸総理の総評に対するお考え方が述べられたので、これは聞き捨てになりませんので、もう少し私は関連して質問したいと思います。  まず総理は、現在の総評は健全な組合ではない、こうおっしゃった。しかも運動方針を書きかえてもらいたい、こういうことをおっしゃったのですが、労働組合は経済条件をかちとるための団体として、法律によって保障されておる団体ですから、従って自主性というものはどこまでもあるわけです。かつて日本共産党が日本の労働運動を支配して、正当な労働運動を牛耳るようなことになったから、労働組合は自主性をなくして変な方向に行くのです。だから私はあくまでも政府がこの労働運動に対して介入するということは許されないことだと私は思っておる。あなたがまさに自分の下請会社か子分のような格好に、少くとも今、日本の労働運動の中で最も大きな力を持っておる総評に対して、これが不健全だということを言うことは、まことに私は一国の首相として残念なことだと思うのであります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)私は一昨年ILOの国際労働会議に出て驚いたことに、スイスへ行ってみて、各国の経営者が、日本の総評は赤だ赤だということを言っておる。これに対して私は十分に説明もし了解を求めたのでありますが、その原因はどこから出ておるかということを探究してみると、君たちの資本家や経営者の諸君が、総評は赤だ赤だということを言うから総評は赤だと思っておる。こういうことを私は聞きました。従って、今岸総理の不健全だと言うことは、あなたが総評を赤だと思っておるのかどうか。そういうふうに、私はこじつけるわけではないが、考えたいのです。ですからそういう点について、どこがそれでは不健全だということをはっきりここであなたの見解を聞いておきたい。  それから今、平林委員の指摘されたように、アメリカに行く場合にも、確かにこういう問題があると思うのです。しかもまた東南アジアヘこの国会が終ったあと行かれるそうですが、私はシンガポールで三年間奉公して一年間捕虜になって、裸一貫でもって帰ってきました。しかし当時の日本人の残虐行為というものは、マライにおいてもあるいはジャワにおいても、スマトラにおいてもものすごいものがあった。その日本人に対する敵国感情というものは熾烈です。しかしそういう感情がまだ私はあると思うのですね。私は、また再び日本が戦争を起して東南アジアにやってくるのではないかという心配を持っておると思うのです。あなたは本会議においてもいろいろ私たちに説明してくれておるが、少くとも当時宣戦の大詔に判を押した一人として、(「関連質問じゃないじゃないか、意見だ」と呼ぶ者あり)私はその責任においてそういう点をやっぱり考えてみ、少くとも今の関係のように、アメリカの場合もそうですが、要するに国内の態勢というものをはっきりしておかなければ、東南アジアに行かれてもそうですが、あなたが言われるように、そういう心がまえで、少くとも民主政治家としてあなたが行かれた以上は、実績をもってそれを示して、国内的にも国外的にも、なるほど岸総理大臣がりっぱな人格を持ち、りっぱな政治家として日本を再建するのだということを示されることが必要だと思うのです。そういう点からいっても、今の国内問題がやはりこういう格好になって、しかもあなたが労働者に対してそういう考え方を持つことは、きわめて私は遺憾なことであると思いますから、ちょっとここではっきりとあなたの意見を聞きたかったわけです。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 先ほどもお話がありましたように、この国内の問題を処理して、国内が安定し、政治が安定しておるということが、われわれが国際的にわれわれのいわゆる発言権を有力ならしめるゆえんでありまして、その意味において国内のあらゆる問題を処理するということが、そうして政局を安定せしめ、政治を安定せしめ、経済を安定せしめ、国民生活を安定せしめるということが、私はあらゆる国際的の、いわゆる外交というものの基礎をなすものである。この意味で国内政治と外交が一体であるということを申し上げたのでありまして、従って時たまたま私が海外へおもむくに際しまして、この春闘の跡始末というものをめぐって国内においていろいろな問題が起るということは、これは対外的にいっても、御心配のように私は非常にまずいことだと思っておるのであります。従ってこれを円満に処理し、これについて将来そういうようなことが起らないような形においてこれが処理され、労使両方とも十分に反省してそういうふうにされることを心から念願し、またこれを私は実現するように、政府はあげてあらゆる努力をするということを先ほど来申し上げておるのでありまして、十分注意するつもりであります。(「総評に対する政府の干渉である」と呼ぶ者あり)  これは私は、総評が赤であるとか赤でないとかということを申しておるわけではないのです。私はやはり労働組合というものは、本来申しまして、これに加入しておる組合員の全体の福祉を向上せしめ、その地位を安定せしめ、またその正当なる権利を擁護して、そうしてりっぱに、いわゆる労使協調して産業の繁栄に資するということが、これは私は組合というものの最終的な目的であると思います。私は、やはり労働組合というものが、特に階級闘争の理念を強く打ち出して、運動方針として……。そういう見地から、外から見るというと、政治闘争と見えるがごとき結果を引き起すということは、私は労働運動のあり方として健全であるということは申されぬと思うのです。(「その通り」と呼ぶ者あり)そういう意味において、私は決して総評が赤であるとか、思想的に共産、主義であるとか、そんなことを私は申すつもりは毛頭ないのでありますけれども、そういう点において総一評の反省を求めたい。こういうことを申したのであります。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 今、政治闘争を指向しておるからだと、こうおっしゃったのですが、これはわれわれの質問にも何回もありましたように、特に公労協の場合は……、これは自主性がないのです。公共企業体の総裁以下の経営者に対しても実際自主性がないですね。仲裁裁定が出る、あるいは団体交渉に入っても、すべて国会の制約を受けてできないのです。そういう仕組になっておる。だからこの問題が団体交渉でできなくて、調停なり仲裁に入ってくる。さらにまた国会に入ってくるということになると必然的に国会に向っていろいろな陳腐もするでしょう。いろいろな要求もしてくるでしょう。お願いもしてくるでしょう。私はそういうようなことは当然であると思う。それが政治闘争だとおっしゃったのでありますが、それは明らかに政治闘争ではないと私は言いたい。  それから現在の総評に対する認識が、あなたは責任を問われて巣鴨におられたから、二十二、三年ごろの労働運動をよく知らないかも知れませんが、これは総評ができ上るまでの経過を一つあなたに認識してもらいたい。少くとも戦後のあの虚脱状態の中で、日本共産党が労働運動を支配しておったことは事実ですよ。しかしわれわれは、さっき申し上げたように、そういうものから一切脱却して、自主性のある労働組合を作るということに努力をしてきた。そうして今日、日本の総評というものは生まれているのですよ。それで指導者がそれぞれの良識をもって私は戦ってきていると思う。少くとも労使間における問題は、お互いに正直になって、へそまで出し合って話し合うことによって初めて解決点が見出される。けれども公労協の場合には、いろいろひもが政府からついていて、今度の処分の問題にしてもそうでありますが、そういう点からなかなかこれは解決ができないのです。平林君が言っている介入するなということはそこにあると思う。だからそういうあなたが公労協の、あるいは総評の戦術が政治闘争だと言われることについては、私は納得ができないので、そのほかに、あなたの言われる政治闘争不健全だという理由がまだあるなら、ここで聞かせてもらいたい。

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) 答弁どうですか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) もういいと思いますが、所信は前に述べてありますから……。

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) それじゃ平林君質問をやって下さい。(「答弁はどうした」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 私の所信は先ほど申し上げまして、それ以上つけ加えることはございません。

平林剛日本社会党

○平林剛君 私どもは岸総理大臣から労働運動に対するお説教は聞きたくない。これは戦後の新しい民主的な労働運動から生まれてきた新しい労働者の考え方として成長しているのであります。その点、私は岸総理大臣から今そのことについていろいろな御見解をこれ以上聞きません。いずれこのことについては別な角度から議論する機会もあると思います。  私は今度は仲裁裁定の解釈について政府の見解を聞きたいと思います。  今度の予算補正が仲裁裁定を正しく解釈して編成をされているかどうか、これが問題であります。総理大臣は、誠意をもって裁定を尊重すると言われ、あるときは裁定を完全に実施をする、そうしてその裁定を完全に実施したものがこの補正予算案だ、こう言われておるわけであります。その点について、私は総理の見解に誤りがありますから直してもらいたい。  今日までの議論で御承知のように、仲裁裁定の解釈については、もうそうたくさんはありませんけれども、残された対立があります。少くとも今、裁定の解釈をめぐって、労働組合とそれから経営者との間に、対立があることは御存じの通りであります。また野党と政府の間においてもこの二つの対立がある、私は今の二つの対立はこういうふうに理解している。  一つは過去に生じた予算単価と実行単価との差額、その点からいえば、一人平均五百二十円はこれを減額をしないで、四月一日以降職員一人平均千二百円の賃上げにすべきだ、この解釈に基いて予算を組むべしという意見、もう一つは、予算単価と実行単価の格差は、今度提出をされた予算案のように、そのうち三分の一相当額を減額したものを基礎として組むべきだ、この二つの対立があります。そのほかにもありますが、当面をしておるのは、ここにしぼられると思のです。私は、この解釈の対立になった根本的な原因は、善意に解釈すれば、仲裁裁定の文章が難解な点にある。だから、お互いに誤まりがある場合も、善意に解釈すればここにあるといいたいわけであります。しかし私の見解は、仲裁裁定の実施に当っては、過去に生じた予算の単価と実行単価の差額は、これは将来解決すべきものである、今解決すべきものではない、だからその点においては、政府に修正を求めたい。こういう見解を持っておるのであります。この理由は、この根拠になりましたのは、仲裁裁定の文章であります。「予算単価と実行単価との相違は、公社の公共事業としての性格並びに公社経理の本質からみて、本来大きく開くべきものではない。したがって、将来については両者の相違が合理的に縮小されるよう、制度上また実行上、関係当局において留意する必要がある。」こうして、将来に関して注意を求めておると解釈するのが当然だと思うわけであります。私はそういう意味で、今回の補正予算は裁定を完全に実施したものではない、こう思うのでありますが、あなたが完全に実施をしておるという根拠はどこに求められておるか。総理大臣にこんなことまでお尋ねするのはお気の毒でありますけれども、あなたが完全に実施しておるというふうに信念を持っておられるから、この基礎について総理大臣からお答えを願いたいと、こう思うのであります。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) いろいろ今御指摘になりましたように、仲裁裁定の内容につきましては、解釈上多少の疑義を生じ、あるいは意見の相違が出てくるような個所もございますので、私はこれを実施するに当っては、十分に関係当局をして遺漏のないようにこれが検討を加えさして、この案を出したのであります。しかして、何と申しましても、今度の仲裁裁定の本体は、第一項の、いわゆる予算単価に千二百円を加えるというところに、私はその本体がある。かように考えております。他の格差の、実行単価と予算単価の大きな格差があるということは望ましくない状態であって、これを漸を追うてなくしていくという処置につきましては、最も妥当な方法においてこれをなくしていこうという見地で、私どもはいろいろ検討した結果、出しておるような案をわれわれが作成したわけでありまして、私はあくまでも仲裁裁定には忠実である、政府の案は忠実であるという見解においては、なお私の考えを変える意思は持っておりません。詳しいその数字の点につきましては、さらに関係当局から詳しく申し上げて差しつかえないと思います。

平林剛日本社会党

○平林剛君 総理大臣の認識がその程度であるから、裁定問題の紛争が解決をせないわけであります。確かに、仲裁裁定の主文第一項には、予算単価に千二百円を乗せる、こう書いてある、その限りにおいては、政府のとられた措置は間違いはありません。私はその点は認めるのであります。しかし、同時に、予算単価と実行単価との格差は、合理的に縮小し、将来においてと、こう書いてあるものを、将来でなく、現実に今度の予算案でやったところは裁定問題の疑義が生れている、紛争が解決をせない、こういう関係になっているのであります。私はこの点について総理が、もう少し御検討を願って、完全実施ではない、疑義がある、こういうふうな見解に立たれることが必要だと思うのであります。大蔵大臣からこの点について一つ御説明を願いたい。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) 裁定の主文第一項に予算単価に千二百円を加える、こう出ているのであります。われわれはこれを完全に実行いたしました。しかし、なお理由書の方におきまして、現在の実行単価よりも上回ることを望んでいる、こういうふうなことがあるのであります。しこうして、そういう問題につきまして、たびたび意見を聞きました。最後に、最近、五月六日に出ました、今の三分の一格差を減らす問題について、中労委委員の藤林さんは、こういっております。「いわゆる三分の一問題につき、実行単価一、二〇〇円増額を前提として討議することは、筋道上妥当でなく、又財源面より政府が処置し国会が審議議決することについては、本裁定は直接の関係を持つものではない。」こう書いているのでございまして、われわれは、主文第一項の点から申しましても、また、現在の賃金が相当今度の裁定予算によって上っていることから考えましても、完全に実施しているといえると思うのであります。

平林剛日本社会党

○平林剛君 予算単価に千二百円を上げたという意味では、私は政府の措置は、裁定の一つの解釈として当然であると認めるわけであります。しかし、格差の問題については、やはり常識的に解釈をすると、将来においてこれを行う、こう書いてあるのでありますから、文字通り将来に行うということが正当な解釈でなければなりません。私は無理を言っているわけではない。裁定の正しい解釈をしなければ、紛争の解決にもならないし、また、政府がこれを完全実施をしているとお考えになっていることは誤まりだ、こう申し上げているだけであります。今あげられた五月六日の公共企業体等労働委員会の答弁書についても、やはりこの問題について触れて、「予算単価一、二〇〇円増額に関する予算案の編成は政府の、その審議議決は国会の権限である。」といって、格差の問題については、国会の方に逃げている、国会の審議の方に逃げているわけであります。だから国会としては、裁定の解釈を正しくするために、やはり議論を戦わせなければならぬ。あなたのお答えでは、裁定の解釈については、まだこの格差の問題について、「将来」という言葉の理解が間違っているのではないだろうか、こう思うのでありまするが、もう一度お答えを願いたい。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) 補正予算が出ましてから、今の仲裁委員会の意見書が出ているのであります。しこうして、平林君もお読みのように、理由書におきまして、今の実際賃金よりも上げることが望ましい、予算単価に千二百円を加えただけでは、今の給与から必ずしも上らない。われわれはそこで、格差の問題を、将来できるだけ早い機会になくしようということで、今回の措置もとっていったのでございます、しこうして、また、反面から申しますると、もし格差の問題をそのままやったならば、先ほど読みましたように、実行単価に千二百円を加えるというふうな結果に相なるのでございます。われわれは、それは仲裁裁定、あるいはその後のいろいろな点から考えまして、適当でない。かるがゆえに、政府は、仲裁裁定の主文、理由書並びにその後の質問応答から十分検討いたしまして、この措置をとったのであります。その措置に対しまして、いろいろ議論のあることは、これはやむを得ません。考え方の違いでございます。政府は、ただいま申し上げましたような各般の事情を検討の上、検討を加え、そうして今回の措置をとっているのであります。

平林剛日本社会党

○平林剛君 仲裁裁定について考え方の違いがあるということはあり得ないことです。だれが読んでも仲裁裁定はこの通りだというところでなければ、政府もいばってこれを完全実施だとはいえないはずである。読む入によって違ってくるということであれば、紛争が解決できないじゃありませんか。そういう意味では、私は政府にもう一度格差の性格についてお伺いをしたい。この格差はどういう種類のものであるか。私に言わせるというと、今までの質疑応答でわかっているが、まずこの格差の生れてきたのは、今までの労使間における団体交渉の結果である。そして、これは今までの予算総則、あるい公社運営の制度からいくというと違法ではない。同時にこれは労働者の債権である。この二つが明かになっておると思うのでありますが、総理大臣はこの点についてどうお考えになりますか。私の言いたいことは、違法ではないということをあなたから確認してもらいたい。それからこれは労働者の債権である。債権でないと言われるならば、その根拠を示してもらいたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 私はこの格差は違法なものではないと考えております。

平林剛日本社会党

○平林剛君 もう一つ答弁が足らない。債権かどうか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 団体協約できまっておる限りは債権と申してよかろうと思います。

平林剛日本社会党

○平林剛君 そうすると、この労働者の債権を政府が予算案で削り取っておるということになるわけであります。これは仲裁裁定の格差を三分の一削るとか、あるいは縮めるというようなことを、政府が予算案の措置やあるいは政府の考え方の違いだということで削り取るということは不当だと、私どもはそういう主張をしておるのであります。元来この三分の一を削る科学的根拠というものはどこにありますか。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) 仲裁裁定に申しておりますように、予算単価に千二百円を加えますれば、今までの格差はそこに入り込むわけであります。しかしそれだと給与の増額はできませんので、財源上、財源をみる上におきまして、従来の格差の三分の一を財源にしたというのでありまして、何も引き下げておるわけじゃございません。

平林剛日本社会党

○平林剛君 時間がありませんから、この点は次問として、後ほど追及することに残しておきます。  そこで、元来仲裁裁定で格差を縮めろと、こう言われましても、これは明かに違法ではなくて、そして労働者の今までの団体交渉におけるところの契約による債権である。それを政府が削るということは、まことにけしからん話だ。こういう問題は、元来、幾ら削るか、仲裁裁定の趣旨に沿ってそれはどの程度するか、ことしはせまいかということは、本来政府がやることでなくて、労使間において話し合いをさせて、解決すべきことではないか、こう思うのでありますが、どうですか。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) 債権はわれわれは削っておるのじゃございません。格差の金額につきまして、基準内給与にどれだけ格差の分を財源にもっていくかというのであります。しこうして、それをもっていきまして、予算単価に千二百円を加えておるのであります。しかもまた実際今までの賃金の状況を考えて、今後基準外からある程度回している。従来の賃金よりよくしようとしているのであります。これが仲裁裁定の望んでおるところでございまして、その通りをやっておるのであります。

平林剛日本社会党

○平林剛君 その通りにやっておると言われるけれども、政府の閣僚の中においてもいろいろな見解が違っておることは事実です。きのうの大蔵委員会において、運輸大臣は何と言ったか、記憶されておると思います。政府は一〇〇%完全実施だと、こう思っておる、しかしあなた方の立場に立っても八〇%の実施であると言っておるのじゃありませんか。これはどういうことか、あなたには理解できませんか。私は今このことを言っておると理解しておるわけです。あの運輸大臣の言明をお聞きになった大蔵大臣は、専門的にどういうふうに理解をしましたか。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) われわれは完全に実施しておると考えるのであります。運輸大臣は、あなた方がいろいろ理屈をつけてそれに反対をしておられるということを言っておられると思うのであります。

平林剛日本社会党

○平林剛君 私どもは理屈を言っておるわけじゃない、仲裁裁定の正しい解釈はこうだということを申し上げておるわけであります。政府の反省を求めておるわけであります。訂正をしてもらいたい。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) 反省を求めるためにいろいろ御議論なすっているのであります。われわれは反省しない理由をいろいろ申し上げてるいのであります。

平林剛日本社会党

○平林剛君 どうも反省しない理由をいろいろ言われては困るのです。岸総理大臣は、もし間違いがあればこれは反省するとお話になったわけであります。どうです。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 私は、これは当然政府として出しているところの議案は、この案だけでなしに、御審議の途中におきまして、私どもが正しいと思って出している事柄がもし間違ったことでありましたことが明らかになれば、これは改めることには、ちっともなにはありません。しかしこの問題に関して今までの私どもの論議で、われわれが誤まっているという考え方をしているのでないというだけの相違でありまして、私は御審議の結果において、われわれが誤まりもしくは反省した結果において改めなければならんという事態があれば、それを改めることは、これは政府の当然の義務であると、かように考えます。

平林剛日本社会党

○平林剛君 岸総理大臣のお話がありましたから——大蔵大臣は反省しないために意見を言っている、失言だと思いますけれども、この点を総理大臣のような見解に立って、今後審議の過程においては、反省すべきものは反省をするという態度でいってもらいたいということを要望いたしておきます。そこで総理大臣は、裁定の解釈についてある程度疑義があるということをお認めになっていると思うのでありますが、この点は、もう一度私は、この委員会に労働委員会の委員長においでを願って、そうして意見をお聞きしたいと思っているのであります。委員長においてもそういう手配が行われるものと、先ほどの御発言でわかっております。この結果もし政府が反省をしなければならんということであれば、これを面という慎重さをお持ちであるかどうか、これをお伺いいたします。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 先ほども申し上げました通り、われわれが御審議の結果直さなければならんという結論に達するならば、あえて直すことはやぶさかでないことは当然であります。

平林剛日本社会党

○平林剛君 今度は補正予算の財源についてお尋ねいたします。この財源をどこからお求めになるか、一覧表についての資料の提出を求めているのでありますが、まだ私の手元に参りません。そこで大筋について御説明を願いたいと思うのであります。

森永貞一郎大蔵省主計局長

○政府委員(森永貞一郎君) ただいまの点は、先般お配りいたしました昭和三十二年度予算補正の説明、第二ページに一覧表がついております。すなわち専売公社につきましては、所要額は七億八千二百万円でございまして、そのうち給与総額内で充当いたしました金額が四億六千六百万円、給与総額外から充当いたしました分が三億一千六百万円、この給与総額外から充当いたしましたものにつきましては、退官退職手当が千四百万、物件費節約が八千百万、予備費額の減額が二億二千百万、以下国鉄、電電郵政につきましてそれぞれ一覧表がお示ししてございまして、その内容につきましては先般補足説明の際に申し上げました通りでありますが、なお重ねて御質問でもございますればお答えいたしたいと思います。

平林剛日本社会党

○平林剛君 結局補正予算の財源は、予備費の移流用、それから定員を削減することの操作によって浮かび出た財源、その他経費の節約などから成り立っているものと私は理解いたしているわけであります。これは元来大蔵大臣がこの移流用を承認すればできる性質のものではありませんか。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) 移流用をすればできるものでございます。しかし、事、将来にも関係いたしますし、また租税とも言うべき専売局納付金にも今後影響のあることで、重大な問題でございますから、あえて御審議いただいた方がいいと考えまして御審議願うことにいたしているわけであります。

平林剛日本社会党

○平林剛君 結局これは全般的から判断をして大蔵大臣が承認さえすれば予算案を組まなくてもよい性質のものであるということがわかったわけであります。あとの判断は結局それぞれの判断によって違ってくると思いますが、問題は程度にかかってくるはずであります。時間もありませんから、この点について十分お尋ねをすることはできませんが、結局今度の補正予算の提出は、格差の三分の一を国会審議の名において多数で認めさせるということを合法化しようということ、もう一つは、後ほどお尋ねをしたいと思っていますが、予算総則を修正するために、補正予算をお出しになっておるということ、当初予算から定員その他の削減をはかる、業務量の変更をする、こういう必要から今度の補正予算が提出をされたといわれても仕方がない、そういう見方もできると思うのでありますけれども、あなたはこの予算、特に予算総則の修正を今国会に御提出になったというのは、仲裁裁定との関連はどこにありますか。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) 先ほど来たびたび申し上げておるのでありますが、この予算単価に千二百円を加える措置をいたしまして、今までの格差をだんだんなくして基準内賃金として御審議を願い、そして将来においていわゆる格差がだんだんなくなるためには、こういうふうに基準内と基準外を分けて御審議願う、そして将来基準外から基準内に持っていく場合には大蔵大臣の承認を得てやっていく方が、実行単価と予算単価の差を縮めるゆえんであると考えまして、措置したのであります。

平林剛日本社会党

○平林剛君 仲裁裁定に基いて処置をなさったのですか、政府の判断に基いておやりになったのですか。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) 仲裁裁定の趣旨を尊重いたしまして、政府においてかく措置いたしたのであります。

平林剛日本社会党

○平林剛君 仲裁(「委員長、時間を注意して下さい」と呼ぶ者あり)裁定の趣旨を尊重して今回の修正をおやりになったやにいわれておりますが、この点について私は非常に疑義があると思うのです。仲裁裁定に基いて、そしてここまで措置する必要があったかどうか、別に方法があったのではないかということに議論が残ると思います。この点は別にいたしまして、それでは仲裁裁定の趣旨を尊重してこうおやりになったといわれるならば、将来実行単価と予算単価の格差がなくなったときには、今度のような修正はまたもとへ戻す、こういうお考えがありますか。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) その場合には、そのときの状況によりまして、また再び御審議願いたいと思います。

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) 時間が経過しています。簡単に願います。

平林剛日本社会党

○平林剛君 結局予算総則の修正については、私は非常に大きな意味を持っておると思うのであります。戦後まだマッカーサー司令部があるころ、日本の公共企業体の労働運動を抑えるために、どうしてもこの予算総則でワクをはめなければ賃金闘争を押えることができない、こういう趣旨から予算総則の修正が行われました。マッカーサーの一つの示唆によって予算総則の修正が行われたことがある。今度はマッカーサーのときの池田さんがおやりになるわけでありまして、大へん重要な意味を持っておるものと思うのであります。この修正は、結局私のそんたくするところ、どうも経営当時者が組合に押されて大蔵省の承知しない債務協定をやたらにやるから、ここでワクをはめなければいけない、こういうようなお考えがあったものと思うのであります。しかしこの結果が将来の労働組合の運動に大きな障害を与える。そればかりじゃありません、公社の経営を非常にやりにくくする。公共企業体のあり方についてはまた議論する機会もあると思いますけれども、このままでいけば、私はまず第一に、労働運動に対してもますます複雑なものを残すだろうし、公共企業体の運営においても、自主性を強調されておりながら、自主性のないものになってくる。だんだん、大蔵省の隷属ということが適当であるかどうかわかりませんけれども、そういう因果関係になってしまう。この点大蔵大臣にお伺いをしたいのでありますが、先般この委員会に国会において経営者の参考人を呼んで意見を聴取したことがあったわけであります。そのとき異口同音に経営者は、これ以上この給与総額、予算面について制限を受けたならば、とてもやり切れない、経営の自主性とか、あるいは運営の妙味というようなものは失われてしまう、困ったものだ、という意味の御発言があったわけであります。これは結局今後の公社経営において重大な影響を与えることになると思いますが、総理大臣はここについてはどういう見通しを持っておられましょうか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 公共企業体の経営そのものに関する問題は、これは慎重に全面的に検討を要する問題だと思います。そうして少くとも公共企業体というものがああいうふうに認められておるときにおいて、一面においてその自主性を確立するということは、私は企業体の健全なる発達のために必要である。同時に、政府は公共企業体の行なっておる事業の本質にかんがみまして、監督権を持っておることも、これも当然のことでありますし、また予算の制約を受けなければならぬことも当然のことであります。要はこの間における運営をいかに円滑ならしめ、いかにうまくやっていくかという運用の問題に帰着するところが非常に多いと思う。私どもは十分にそういう点に留意して、一面において公社の自主性とその能率の発揮につきましては十分に意を用いて参りたいと、かように考えております。

平林剛日本社会党

○平林剛君 それじゃ時間がきましたから、これで終ります。

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十八分散会

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