P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
26回国会参議院1957/04/24

予算委員会 第21号

発言数
167
登壇者
15
会派数
5
開催日
1957/04/24

会議録

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) ただいまから委員会を開きます。  まず、委員の異動について申し上げます。  四月三日、小林武治君が辞任され、その補欠として佐野廣君。四月四日、土田國太郎君が辞任され、その補欠として下條康麿君。四月五日加賀山之雄君が辞任され、その補欠として河野謙三君。四月六日河野謙三君が辞任され、その補欠として加賀山之雄君、四月八日下條康麿君が辞任され、その補欠として土田國太郎君、四月十日佐野庸君が辞任され、その補欠として小林武治君が指名されました。以上報告いたします。

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) 右の委員の変更の結果、理事が一名欠けることになりましたので、先例に従い、この際、委員長は理事に小林武治君を指名いたします。

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) これより昭和三十二年度特別会計予算補正(特第1号)を議題といたします。  まず提案理由の説明を求めます。池田大蔵大臣。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) 政府は今回、昭和三十二年度特別会計予算補正第一号を国会に提出いたしましたが、ここに予算委員会の御審議をお願いするにあたりまして、その概要を御説明いたします。  今回の予算補正は、新たに設置を予定いたしております臨時受託調達特別会計の予算につきまして、国会の議決を求めようとするものであります。  日本政府に供与される艦船を国内において調達することに関しましては、かねてアメリカ合衆国政府との間において協議を重ねて参ったところ、最近に至り、ようやく下打ち合せも終ったのでありますが、その際アメリカ合衆国政府におきましては、諸外国との間の先例もあり、いわゆる直接調達方式によることなく、日本政府との間に契約を締結し、日本政府が国内において調達する方式をとりたい旨申し入れがあったのであります。  政府といたしましては、提供される艦船の調達が国内において行われますことは好ましいことと思われますし、また間接調達方式につきましても別段異存がございませんので、この申し入れに応じたいと考えます。  アメリカ合衆国政府との問に、同国政府の負担におきまして艦船を調達して引き渡すことを目的とする受託調達契約を締結し、この契約を履行するため、政府が国内においてその調達をいたしますためには、予算措置にようなければなりません。この場合には、特別会計を設置してその経理を一般会計と区分して行うことが、財政法の建前に沿うものと考えられますので、この際臨時受託調達特別会計の新設につき、別途法律案の審議を国会に求めるとともに、ここにその予算につきまして御審議を願うこととなったのであります。  今回予定しております艦船は、二千三百トン級二隻でありまして、その建造所要経費は約六十七億円と見積られております。今回の予算補正におきましては、その総額につきまして契約を締結する権限を政府に与えられますよう国庫債務負担行為につき議決を求めますとともに、艦船の出来高に応じてアメリカ合衆国政府から支払を受けます金額を受け入れ、これをその都度直ちに支払に充てますために、昭和三十二年度に予定される十二億七千万円の歳入歳出予算の御審議をお願いするものであります。  アメリカ合衆国政府との間におきましては、この調達に関しおおむね下打ち合せも整っておりますので、これを実行に移すため、すみやかに御賛同を得たいと存ずる次第であります。  なお、公共企業体等の給与問題につきましては、公共企業体等労働委員会の仲裁を尊重いたします趣旨のもとに所要の予算措置を講ずることとし、別途国会に提案いたしておりますことを、この機会に申し添えておきます。

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) 次に小瀧防衛庁長官に交渉の経過について説明を求めます。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(小滝彬君) 防衛庁は、かねてより、日米相互防衛援助協定による援助の要請に当り、警備艦を普通にいう駆逐艦をわが国において域外調達をしたうえで、わが国に供与されたい旨米国政府に要請してきた次第でありますが、本年当初に、米国政府より防衛庁に、正式に米海軍の軍事援助計画として、二千三百トン級駆逐艦二隻を日本で域外調達した上で日本に供与する旨の意向の表明がありました。  その後、本艦船は日本において域外調達するも、従来のように、米軍による直接調達方式にはよらず、日本政府に調達を委託する方式によりたい旨の情報を得ましたので、直ちに関係各省間で検討するとともに、他方わが国の事情に適合する調達方式の採用方について米国政府と交渉した次第であります。  数次にわたる交渉の結果、艦船の建造のごとくこれに多額の費用を要し、また完成までに長日月を要するものについては、これが設計、監督、検査のために技術専門家等を調達現地に長く常駐させる必要があり、むしろ信用ある政府を相手方にしてこれらの仕事をまかすのでなければ実施が困難である事情及び本予算の使用についても時期的制約がある事情が明らかになりました。  これらの事態に対処するため、さらに関係各省間において検討を加え、三月下旬に来朝しました米海軍省の交渉団との間におもなる内容について討議を重ね、その概要についての下打ち合せが終った次第であります。  政府が本艦船の受託調達を実施するに当りまして、政府の経理を適正にするため特別会計を設置することといたしましたことは、大蔵大臣の提案理由説明にありましたとおりでありますが、本受託事務は、本艦船が域外調達せられました際は防衛庁に無償で譲渡される予定でありまするのみならず、設計、監督、検査等につきまして防衛庁発注の艦艇との関連性を考慮いたしまして、防衛庁がその事務の衝に当ることが至当と考えられますので、従前の防衛庁の権限に本受託調達事務に関する権限をつけ加えて規定することといたした次第であります。

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) これより質疑に入ります。中田吉雄君。

中田吉雄日本社会党

○中田吉雄君 ただいま議題となりました昭和三十二年度補正予算につきまして、わが党といたしましては、小林、湯山、中田等三人が質疑することとなりまして、私は、主として外交、防衛等、この予算を取り巻く包括的な問題に関して御質問を申し上げたいと思うわけであります。  まず第一に、岸内閣の外交政策の基調に関してでございます。この点につきましては、臨時総理大臣とし、また外務大臣とされ、外交方針に対する施政演説も拝聴し、わが党の羽生、曾祢両氏あるいは衆議院における和田氏等、その他あらゆる角度から質問がありまして、つぶさに拝聴することができました。率直に申し上げますと、まことに岸総理はよくお勤めいただいて、懇切丁寧な、そつのない答弁を拝聴いたしました。しかし第二十六回国会もようやく終末に近づこうとします現在、もう一ぺん、岸内閣の外交の基調あるいは真髄というものは一体どこにあるのかということを振り返ってみますると、まことに問題が少くないと思うわけであります。一部の人は、そつのない、答弁がうまいというだけじゃないか。一つの風格というものがにじみ出ていないではないかというような意見もなしとしないわけであります。そこで敗戦以来の歴代内閣の外交方針を振り返ってみますると、何といっても吉田総理は、わが党はいろいろ異論がありましたが、アメリカを中心とする自由世界との講和を得られました。さらにまた鳩山内閣は、共産圏であるソビエトとの講和をやられ、御病気で中途挫折されたが、石橋内閣は、中共貿易を通じて、対中共関係に対して新しい生面を開かれようとしたではないか、こういうふうに大まかに見ることができると思うのですが、一体、吉田、鳩山、石橋、そういう歴代内閣のそれらに匹敵するような、これからの外交を担当される一つのエポツクになるような、やはり岸総理がほんとに目ざされる外交の基調といいますか、そういうものをお伺いしたいと思うわけであります。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 外交の基本方針につきましては、われわれ保守党として政権を長期にわたって担当いたしておりましたが、その間、内閣も幾たびか、かわって参っておりますけれども、私はこの基本の方針というものは一貫して今日まできておると考えております。すなわち日本はあくまでも民主主義の国家として世界の平和を増進するという見地に立ちまして、そのつど、あらゆる問題を解決をいたして参っておるのであります。占領下の状態にある時代に、早く国の独立を作り上げるために平和条約の締結をし、またこの世界平和を増進する意味から申しまして、最も長い、いろんな関係の深いソ連との間に国交を正常化し、さらに私は今日におきましては、言うまでもなくわれわれが国連に加盟しまして、そうして世界の、国際の一員として、完全な一員として国際社会に仲間入りをいたしまして、この世界の各国が国際連合を中心として世界平和を増進し、推進するという体制のもとにあることは、御承知の通りであります。私はあくまでもこの国連中心主義の立場に立って、そうして世界の平和の増進に寄与したいというのが、日本の外交の、われわれの保守党として考えておる基調であると思います。私はこの意味において、今後諸問題を処理いたす上におきまして、わが党の外交の基本方針を国連中心に置いて、そうして民主主義の立場、従って自由を愛好するところの国々との提携を一そう固めると同時に、世界の対立の緊張緩和に向って全力をあげて努力すべきものである、かように考えております。

中田吉雄日本社会党

○中田吉雄君 ただいま岸総理も、国連に加盟した現在、国連を中心としてやっていくということを申され、また外務大臣の外交方針演説あるいは各議員に対する質問等をつぶさに読んで検討してみますると、ただいま申されたように、わが国の外交の基調は、民主主義諸国との緊密な協調関係においてやることが、結局わが国の利益に一致するというようなことも申されています。しかし私は、そういう一般的な外交と取り組まれる心構えで必要な点は、こいうふうに内閣がかわって一しかし岸総理もただいま御発言の中に、そういう国連中心でいくが、いろんな点も検討していくというような点もあったわけです。さらにまた岸総理は、対米関係は調整を必要とするし、また安全保障条約や行政協定も再検討の時期にきた、そして近く東南アジアとアメリカを歴訪されて、関係諸国とのトップ・レベルの会談も予定され、そしてほんとうにこれから外交と取り組んでいかれようというような際に、私は、今回提案されたような臨時受託調達特別会計というようなものを設けて、そして艦艇を二そう作るというようなことでは、私はやはりもっと——順序が違うのじゃないか、やはりアメリカを訪問され、そして世界情勢の意見の交換、あるいは安保、行政等の改訂等について意見の交換をされ、その後において、私はやはり、そういう日本の外交方針、防衛方針というような基本的な、岸総理のこれからの方針の一環として、やはり打ち出すような形をされないで、これまでのルーティンと同じような、アメリカからくれるという、ただだからというようなことでは、やはりこれまでの保守党内閣のアメリカとの関係のように、ずるずるとまた、いってしまうのではないか。私はやはり、訪米をされ、いろいろ外交、防衛等の意見を交換され、そして外交と防衛に関する、まあ保守党の長い間の基本方針もあるわけですが、やはり岸総理としてやられようとする、そういう調整をされてからやられてもいいのではないか。これではもうずるずると入っていって、やはり対米関係の再調整というようなことも困難になってくるのではないかというふうに考えるが、いかがでしょう。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 私がアメリカを訪問いたしまして、アメリカの首脳部との間に、日米の基本的考え方の問題に関して隔意のない意見を交換する、そして将来における日米間の望ましい協力の関係を作りたいと、こう念願して参るわけですが、この今回提案いたしました駆逐艦二隻の建造の問題につきましては、かねてMSA協定に基いて、わが方からこの駆逐艦の供与の問題についての話が行われてきておるものでありまして、それを今回域外調達の方法によって日本政府に委託して、そうして日本国内において建造してこれを供与しようという話が両国の関係当局の間に話がまとまりまして、そしてこれを提案したわけであります。従いまして、特にこの問題に関して、私が今回アメリカを訪問いたしまして、アメリカ側の首脳部と根本的な話し合いをするということと必然的な関係があり、それを前提としなければこの問題を提案すべきものじゃないというような性質のものではない、かように考えて提案をいたしたわけであります。

中田吉雄日本社会党

○中田吉雄君 防衛力を漸増されるという立場からしても、私はあとでもいろいろ御質問申し上げたいのですが、もう一ぺんほんとうに、これまでとってきた方式が間違いないか、岸総理の立場からされても、そういうことをやはり見当つけてからでもいいじゃないか。そしてまた、そういうことはやはり内閣が変ってそういう転機をつかまぬと、なかなかやりにくいのじゃないか、私はその方がいいのじゃないかと思うのですが、そういう考えからその点は申し上げたわけであります。そこで岸総理の、あるいは自由民主党の外交政策というものが、自由民主主義諸国家群の甘貝としてそして国連を中心にしてやる。しかも日本の外交は米国との協力をわが国の外交の基調とする。けだし日米両国には、政治、経済、防衛等の各面において利害と目標が大きく一致しているのだから、対米協力が基調だと、こういうことを申されておるわけであります。従って自由民主党並びに岸内閣の外交政策が妥当なものであるか、わが国の平和と独立安全というようなものを検討する際には、この日米協力の前提というものを少し考えてみることが必要ではないかと思うわけであります。わが党もいろいろアメリカに対して批判をいたしますが、アメリカと善隣関係を結び、友好にやっていくことについては何ら異議はないわけであります。しかし、とにかくわが国の外交と防衛については、何といってもアメリカの外交防衛方針というものが決定的な影響を及ぼすものですから、私はアメリカ外交の本質というものを十分検討しなくちやならぬ、わが国のこれまで戦後とってきたような無条件の対米協力というようなものであってはならぬのじゃないか、これにはやはり限度がなくちゃならぬのじゃないか。何よりもまた自主性が高度に保たれていないと、対米協力はそういう名で対米従属の、またアメリカのための日本の再軍備というようなことになるのではないかというように考えるわけであります。そこで私は特に岸総理にお尋ねいたしたい点は、わが国を中心としてアメリカが過去半世紀にとってきた極東の政策、外交政策というものが、一体あやまちがないものであったかどうか、この点、私はやはり反省してみることが必要じゃないか。アメリカの外交政策はいい点もあったが、数々のあやまちも私はあったと思うのです。ですから、そういう本質を検討し、その限界その他を見て、節度のある、自主性のある協力関係を結ばぬと、私はかえってそれがアメリカをして誤まらしめて、ほんとうの意味の対米協力にならぬのじゃないかということを考えて、これから少し日米の協力関係、アメリカの外交政策、外交史等との関連で、極東政策との関係で、私は岸総理の所信を拝聴したいと思うわけであります。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 私は、日米協力に非常な重点を置いて外交を押し進めるということは申しておりますが、言うまでもなく、日本の自主独立の立場はあくまでも堅持して、そうして日米の間の話し合いを進めることが必要である。日本は長い間アメリカの連合軍によってそれらの主力は言うまでもなくアメリカでありますが、——によって占領され、その占領政策のもとにあったわけで、サンフランシスコ条約によって平和が回復し、日本の独立が認められましたけれども、今日なお、ものの考え方や、あるいはいろいろな制度等をしさいに検討してみますると、その占領下時代のものの考え方やあるいは制度の余弊というものが、今日完全に払拭されて、完全な自主独立の立場、ものの考え方や、ものの進め方というものができておるかというと、私はその点においてみずから反省してみて遺憾の点があると思うのです。そこで日本の独立を完成する意味から申しましても、また日本が自主独立の立場から将来の日本の国際間における外交政策を進めるという意味から申しましても、また日米が真に望ましい形における協力関係を作るという上から申しましても、私はあくまでも日本の独立自主の立場でものを考え、そうしてアメリカとの間に話をして、日本の自主独立の完成され、自主独立の立場が堅持されるという形において、いろいろな制度が検討されるということが、日本のために必要であることはもちろんであります。同時に、日米の間の正しい、望ましい協力関係を作る上からいっても、私はそれが正しい考え方であると、かように考えまして、いろいろな、今までありますところの日本に対するアメリカの行なってきたこと、また日本の中におけるところのアメリカとの関係における状態を再検討いたしまして、今申しましたような心がまえで一つアメリカの首脳部と話して、そういう見地からわれわれが考えておる望ましい形の協力関係を作りたい、これが私の念願でございます。

中田吉雄日本社会党

○中田吉雄君 岸総理がただいま一般的な方針として申された点では、おそらくわが党の考えと変りないと思うのです。わが党も、アメリカのような世界最強の国を敵にし、ほんとの意味の反米政策をとって、日本の平和が守れるというようなことは考えていません。しかし岸総理がただいま言われたようなことが、ほんとうに政策として具体的に実践されるには、やはり私はアメリカのとった数々の極東政策というものもやはり反省してみて、いろいろ問題があったのではないかというところを、やはり歴史的に反省をして、そうして今のとっておる政策がそういうあやまちを犯すのではないだろうかということを考えてみることは、むだじゃないじゃないか。私、大まかに見て、日露戦争のときまでは、日本が強国として発展するような非常な援助も得たと思います。しかしその後、日本が旦露戦争に勝って、その後アメリカの政府は、ジョン・ヘイの門戸開放宣言以来、強国としての日本の台頭を抑制する。極端な表現をしますと、蒋介石中国政府を援助して、背後から日本を牽制して、そうしてアメリカの太平洋の安全をはかるというようなことがなかったかどうか。そういうことが、日本の外交政策の大きなあやまちもありますが、ついに太平洋戦争になって、私は大へんなあやまちを犯したのではないか。また、たとえば一九四五年の二月十日に結ばれたヤルタ協定を見ても、ステッテイニァスのヤルタの秘密の協定を見ても、もう日本が戦う意思も交戦能力もないのに、日本に対する判断をあやまって、ソビエトに千島や南樺太もやろうというような条件で対日参戦を要請し、あるいはその後も無条件降伏——いろいろあって、やはりアメリカの外交政策においても問題があった。特に私は、中国が、蒋介石政権がああいうふうに台湾に落ちぶれていかなければならなかったのは、日本を牽制するために、わが国の対支政策のあやまちもあったが、アメリカが背後から日本を牽制する手段として、やはり蒋介石政権を援助した、二百数十億ドルの援助をして、背後から双方を争わせることによって太平洋の安全をはかるというようなことがあったことが、共産政権ができた一つのきっかけでもないか。それと同じように、やはり台湾に蒋介石が行って、毛沢東政権ができた。それを今度は逆な形で日本を援助して、そうして逆に日本をして対中国政策をとらせていく。あとでも申し述べますが、そういうことが再び——ですから、アメリカとの協力も、そういう過去の歴史的な反省をし、そうして限度があり節度のある、自主性のある対米協力でないと、私は、蒋介石があやまったような愚を、過失を再び日本が犯す心配がないかという点については、やはり問題があるのではないかと思うのですが、いかがでしょう。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) もちろん世界各国の外交史をひもといてみますというと、おのおのの国がやったことについて後世の史家がこれを批判するようなことは、どこの国にも私はあると思うのです。従って、アメリカの外交政策、アメリカの世界政策というものが無上なものであり、無欠点なものであり、これが唯一最高のものであるというような考え方をすべきものではないことは言うを待ちません。今御指摘になりましたように、われわれは、われわれの国の独立の完成、自主独立の立場からものを考え、特にこのアジアにおきましては、われわれは特別にわれわれの考え方というものを、自主的な考えというものを持って、そうして日米の協力も将来考えていかなければならないことは言うを待たないのでありまして、今、中田委員の言われましたように、これは決してアメリカの外交方針というものをもう無批判にこれに追随していくということが日米協力の考え方ではなくして、あくまでも自主的な立場からわれわれがものを考えていく、そうして日米の間におけるこの協調というものを作ることが望ましい日米の協力関係である、かように考えます。

中田吉雄日本社会党

○中田吉雄君 アメリカのアジア政策に対して無批判的に追随するものでないという決意を承わりまして、まことにけっこうなことですが、具体的にそれなら一体対米協力ということはどうなるか。御案内のように、アメリカは一九四七年の三月十二日、昭和二十二年にトルーマン宣言をやり、トルーマン・ドクトリン・コンテーンメント・ポリシー、対ソ包囲政策、一九四九年の四月四月にNATO条約を結んでヨーロッパから、というふうにし、そうして一九五二年の四月二十八日、講和、安保両条約を結び、そうしてとにかくトルーマンの宣言以来、昭和二十二年以来、ヨーロッパにおいてはNATO、アジアにおいては講和、安保両条約をてこにして、対ソ包囲政策をとっているわけであります。いろいろなジグザグのコースはありますが、対米協力、対米協力ということを具体的にいえば、結局トルーマン宣言以来、アイゼンハワー大統領になってもとられているところの、このやはり対ソ包囲政策に協力することが、対米協力ということになってきて、そのことが果して私は、アジアにおいて、岸総理がただいま言われたようなことを矛盾することなしに、アメリカをして日本を通じてアジアにあやまちなく適用させ、そうして平和が保たれるようにいくことができるかどうだろうかということを、あとでもこの問題を少しお尋ねしたいと思いますが、疑問なきを得ないのですが、いかがでしょう。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 私は、冒頭に申し上げましたように、日本があくまでも民主主義国家として世界の平和を増進するという立場を堅持しておりますことは、その意味において、この世界の国際情勢というものを分析してみますというと、この共産主義国の脅威に対して、われわれがいかに自由を守り、民主主義を守っていくかということに関しましては、自由主義諸国が非常に苦心をいたしている問題であり、またいろいろ最近起っているところの東欧における問題や、あるいは中近東等の問題、あるいは極東におきましても、朝鮮動乱の問題やあるいはベトナムにおけるところの問題、その他の問題をしさいに分析検討してみますと、私は、決して単に、自由主義国家がいわゆるソ連を中心とする共産主義国を包囲している包囲政策、これにわれわれが関係、協力するとかしないとかいう問題でなくして、もう少し根本的な問題があると思います。従いまして、われわれのとっている根本の問題というものは、あくまでもそういう民主主義国家として自由主義を守り、自由を愛好する国々と提携して、世界の平和を増進する、確立する、こういう立場を堅持しております以上、今申したような国際の情勢から言うと、東西両陣営の対立となり、そこにおけるところの両外交も、一方からいえば包囲政策といい、一方からいえば巻き返しといい、いろいろの事態が起っていると思います。しかしあくまでもわれわれは、根本において民主主義を守り、われわれの自由を確保するという、この根本の考え方を確立することが、ほんとうの人類の向上であり、福祉の増進への道であり、また平和を維持する道であるというこの信念に立ちます以上、それをもし阻害し、それをもしも破壊するという動きがあるならば、これに対してわれわれが自由を守り、民主主義を守るという立場をとる国々と提携して、そうしてこの自由を脅かすところの動なに対して、われわれが防衛し、われわれが守っていくということは、私は当然のことである。そういう意味において、決してこのアメリカに追随するとか、アメリカのそういう対ソ包囲政策に無条件に協力するというのではなくして、われわれの立場から自主的に考えて、私は当然のことである、かように思っております。

中田吉雄日本社会党

○中田吉雄君 わが党もしばしば発表していますように、共産主義とは一線を画しているわけであります。自由を愛し、民主主義を守るということについては、岸総理の立場と変りないと思う。ただ、わが国は、その際、考えてみねばならぬことは、その相対立するアメリカとソ連、この世界二大強国、特に共産主義諸国との接点にあるという問題であります。接触点にあるという問題であります。わが国が、カナダやアルゼンチンやボリビアの辺にあるのなら、そういう政策をとっても、断固たるといっても、そういう被害はないのですが、自由を守り民主主義を守るといっても、守り方において、共産主義諸国の接点にある、中ソ両国の対岸にあるという、こういう地勢的な配置というものを考えると、私は、相当この自由を守り民主主義を守るということからだけでも、アメリカに協力するということなしにでも、そういうふうにやるということですが、しかしです、私は、特にアメリカのこの一九四七年以来のトルーマン政策というものは、アメリカの原爆の独占を前提にして成り立った、原子爆弾をアメリカだけが持っている、広島で二十四万、長崎で七万、二発で無条件降伏をした。原爆をアメリカだけで持っておる、そういう際でありますなら、寄らば大樹の蔭で、アメリカに安全をまかせ、共同して自由と民主主義を守るという立場をとっても、そうあやまちはないかもしれません。ですから、そういう際に、原爆の独占を前提して、一九四九年の四月四日にNATO条約ができ、アメリカが独占している間は、この対ソ包囲政策というものは、自由と民主主義を守るという旗のもとに作られた、比較的安定したわけであります。しかし、ソビエトが一九四九年の十月に原爆を持ち、それから一九五三年、昭和二十八年にソビエトが水爆を持ち、一九五四年の三月一日にアメリカが水爆を持った。世界の米ソ両勢力が、しかも日本を取り巻く米ソ両勢力が、ともに絶対兵器といわれる原水爆を持った。その中にある日本が、私は米ソ両勢力をできるだけ、けんかをさせぬようにし、そうして我が国が平和を守るというのには、よほど慎重な配慮と、日本の置かれた特殊な地政学的な環境に合った政策をとらぬと、私は間違いが起きるじゃないか。アメリカのこのコンティンメント・ポリシイという政策が再検討をされつつあるのは、やはり原爆の独占が破れた、原水爆を米ソ両勢力が持ってきたというところにあると思うのですが、そういう際には、岸総理の基本的な考えも、これにもっと弾力性のある外交政策になら、ざるを得ないじゃないかと思うのですが、いかがでしょう。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) もちろん、抽象的に考えまして、日本の地政学的な立場であるとか、あるいは国際間における兵器の発達のこの情勢というものは、日本の安全保障を確保していく上において、従って、われわれの外交政策の上において考慮しなければならぬことは、言うを待たないと思います。そういうことを無視して、いちずにものを考えるということは、間違っていると思います。しかし、具体的に、しからばそういうことを検討して、それじゃ結論がどうなるかと申しますと、今おあげになりました、日本が地理的にいっても、東西両陣営の接点に位しているということであるとするならば、日本の安全保障をするために、われわれが祖国をいかなる形において防衛し、いかなる形においてこの安全保障を確保しなければならぬかということが、必然に考えなければならぬ問題になってくるわけであります。私は、そういう意味から考えまして、日本の現在持っているわれわれの防衛力というもの、これを将来漸増していく、そうして、日本の安全を保障し、同時に、それが将来国際連合を中心に、集団安全保障が完成するというまでの間において、日米共同防衛のような形において、日本の安全保障をするということが、やはり必要になってくる、こう考えているわけであります。ものの考え方として、今、中田委員のおっしゃるような考え方を頭において、そうして日本の進んで行くべき道を考えるべきであるというお考えには、私は、その根本的の考えは当然そうなければならぬ、かように考えております。

中田吉雄日本社会党

○中田吉雄君 私は、やはり岸総理が、自由諸国の国家群の一員として、しかも対米協力を中心として外交政策をやられる、こういう際にも、やはりアメリカだけでなしに、米ソ両勢力が原水爆を持った、これが世界の外交政策、防衛、世界政治というものに根本的な変化を与えつつある点は、やはりそういう基本政策をとられながら、やはり敗戦直後のような、アメリカ、だけが持っている際の対米協力とはもっと変ったものにならなければいかぬじゃないか。たとえば、ニューヨーク・タイムスが一九五四年の七月二十四日においても、この問題を取り上げて、米ソ両勢力が原水爆を持ってから、世界の自由諸国、アメリカのいう自由諸国は、面積で一六%、中立国は三〇%、共産主義は面積で五〇、これは私、自由主義諸国が少し少いと思いますが、別の資料でもう一つ調べたのによると、一九五六年の五月、面積におきまして共産圏が二割七分、資本主義諸国、アメリカの陣営につく国が三割三分、中立諸国が四割、こういうふうに、やはり米ソ両勢力の間にはさまれた国が、AAグループを中心にし、そういうふうにふえてきた。しかも、岸総理も東南アジアに行かれるということですが、松村さんがお帰りになって、世界週報に書いておられる記事を見ると、東南アジアに行ってみると、中立化運動が旋風を呼んでいる。セイロンに行ったら、カンボジアの首相が来ておって、われわれはアジアの中立を徹底的に守らなければならぬ。日本も真剣に、お宅も真剣に考えられたらどうですかということを、松村さんに、セイロンの首相が言われた。私は、岸総理が南方に行かれれば、こういう嵐のように吹いている一つの外交政策の息吹きに接してこられることも、大へんけっこうだと思うのですが、しかし、松村さんですら、そういうふうにいわれる。そうして、アメリカのニューヨーク・タイムスが、こういう傾向は年とともにふえてきている、憂慮をもってその記事を書いている。そういう点からみても、私はやはり自由主義諸国とやるといっても、カナダやアルゼンチンやボリビアとか、そういうところとは違って、よほど節慶と高度の自主性があっていかぬと、かえって安全が保たれぬじゃないかというふうに心配するが、重ねて、松村謙三さん等の意見もあるし、一つ重ねてお聞きしたいと思うわけであります。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 私は、この原水爆という人類を破滅に導くような兵器の発達がみられている現在において、いかにして戦争をなくするか。われわれは戦争を前提として、戦争するということでなしに、戦争をなくするということが人類の究極の目的であると同時に、現実のこういう破壊兵器が出た以上、それを用いての戦争というものを考えてみると、その様相というものを考えてみると、これは実におそるべき結果になるのでありまして、従ってわれわれは、戦争をなくするということに主眼を置いたあらゆる努力をしなければならぬことは言うを待たないのであります。  今日の国際の実情を見ますると、両陣営とも、核兵器の実験禁止について私が日本国民の意思を代表して抗議を申し込んでいるのに対して言っていることは、相手国がこれをやめない限りはやめられないと、これをごくせんじ詰めてみると、そういう言い方でありますし、またそのお互いが、バランスといいますか、対抗するそれにおいて優越性を持っておるということが、世界の平和を維持する唯一の現在の状態であるというふうに考えられておるのであります。実際まだ、世界がほんとうの人類の理想から戦争をなくする、戦争すべきものにあらずという理念に透徹をせずして、むしろ、もちろん戦争はみんな、両陣営ともこれを防止しなければならぬという考え方は、両陣営とも私はそう考えておる、それに対しては、やはり力の対立によって、自分たちが優越なる力を持っておるということを示すことによってこの世界の平和は保てるので、そこに力の弱さを暴露することは平和をこわすことであると、こういうふうに考えられておるということが、私は今の国際の一般の情勢であると思うのであります。こういう中に立って、われわれが世界の平和をほんとうに念願し、これをどんなことがあっても戦争さしてはいかぬという信念に立って、そうして戦争を防止するということが、今後国連を中心としてわれわれのやるべき努力の目標であると思う。しかし今申すような世界の実際の、現実のなには、やはり力の優越によって、これによって平和が保たれておるという現実も、われわれは無視することはできないのが現状であると思います。こういう意味において、両陣営のこの対立した緊張が緩和されない限りそういうことが続くことは、私は実際人類の不幸であり、望ましくない姿である、かように考えておるわけであります。  しからば、今御指摘になりましたように、いわゆる中立的立場をとっていったらどうだというお考えでありますが、私は先ほど来申し上げておるように、われわれが民主主義の完成をほんとうに念願し、これのみがわれわれの福祉の根源であるという観念に徹して考えますと、今日の日本の立場として中立的な立場をとることが、われわれがほんとうに民主主義を守り、われわれの自由を確保する道であるかといえば、私はそうじゃない、われわれはやはり自由主義の国であり、民主主義の国であるということを堅持して、そうしてこれらの国々との間に緊密な提携をもって、そうして今申しましたような世界の平和、すなわち戦争をなくしていくということにわれわれがこれらの国々と協力することが、日本の民主主義を完成し、われわれの自由を守る最も最善の道であると、私はかように考えておるわけであります。

中田吉雄日本社会党

○中田吉雄君 岸総理が原水爆の実験禁止等に対して御努力いただいている点は、野党のわれわれとしても感謝するものであります。しかし私は、米ソ両勢力が原水爆を持ち、しかも共産主義との接点にある。アメリカと数千マイル離れている。こういう際に、ほんとうに日本の今のやり方が安全になるかどうか。小瀧防衛庁長官に御質問しますが、防衛の責任者として、たとえばウォルター・リップマンのごときは、アトランテイック・マンスリーに、講和条約のあった年の五月号に書いていますが、「ドイツと日本は原子力戦争にはもう理想的な目標だ。われわれは日本をソビエトの原爆攻撃から守れない。守ることは不可能だ。だから、われわれのほんとうの同盟国に期待することはできぬ。しかしわれわれは日本がソ連の陣営に行くことも断じて承服しない。そういう点から、むしろ別個に安全保障があり得るはずだ。」こういうことをアメリカ切っての軍事評論家として高名な評論家ですが、そういうことを言っている。さらにくどいようですが、一九四九年の二月十六日、ロイヤル長官も、「第三次世界大戦が起きたら、もう日本をアメリカは守ることはできぬのだ。六十日基地だ。」そのころですら六十日基地だ、こう言っている。ハンソン・ボールドウィンですら、「なぜ沖縄を日本から離して、アメリカの領土としてアメリカは軍事基地を持つという形を取らなんだか。万一、米ソ戦争が起きたら、日本に長くアメリカ軍を駐留することはできない。グアムや沖縄へ行くために、やっぱりああいう別個の信託統治、その他アメリカの三権の及ぶようにしたのだ。」という、はっさりした戦略的な意図を言っているわけであります。そういう点から考えて、ほんとうに米ソ両勢力の間にはさまつている日本が、今防衛庁のとっておられるような、あちこちに飛行場を拡張したりし、誘導弾なんかを持ち込むことをやったりして、アメリカと一緒になって再軍備して、ソ連の勢力を仮想敵国にする方が安全であるか。私は絶対的な安全保障はないと思うのですが、どっちがほんとうに安全か、そういう点について基本的な考えを承わっておきたいと思うわけであります。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(小滝彬君) 私は、日本の地理的な地位が両陣営の接点にあればこそ、ことのほか、今総理が申されました自由を守り、民主主義を守るために、日米の協力関係を持つことが必要であるという見解を持っておるものでございます。何となれば、日本には非常な大きな魅力がある。ドイツとか日本というものは、その接点にありまして、相当に人口も持ち、また工業力も持っておる。技術の水準も高い。こういうところをかりに無防備で置いた際、一体、日本が安全であり得るかどうか。今までのスターリン以来の政策なんかから考えてみましても、それがそのままに置かれるとは思わない。もし中立の立場をとるとするならば、日本に米ソに匹敵するぐらいな国力があればいざ知らず、そうでない際に、あくまで民主主義を守り通そうとするからには、先ほどから、るる総理が申しておられまするように、それとの協力関係によってこれを守らなければならないと思うのであります。もし、かりにアメリカの協力というものが全然ないという場合においては、それこそ核兵器もなくして日本が侵略される心配が全然ないということは、私は現在の状況においては保証し得ないと思うのであります。なおアメリカはここから去って行くかもしれぬとおっしゃる。そういうこともあるでありましょう。さればこそ、われわれは独立の立場から、日本の自力において、できるだけ効果的な、しかも経済的な自衛力を持とうということに努力を傾けておるのでありまして、今、中田さんが指摘されましたような論文から見ましても、私どものやっておりますことは一向間違っておらないと考えておるものでございます。

中田吉雄日本社会党

○中田吉雄君 戦略的な重要性からいうと、人口や資源の多いという点では、工業力の点から問題でありましょうが、スカンジナヴィア諸国はどうですか。ソビエトと陸続きで、しかも小国で、大した軍隊もなしに陸続きです。そして基地もなし、アメリカ軍隊の駐留なしでも、戦略的には、ヨーロッパを制するものが世界を制すると言われているくらい重要なんです。だのに、侵略がないのです。太平洋は海を隔て、これは何十個師の安全保障なんです。そういう際に、アメリカが駐留せねば直ちに侵略があるかというようなことは、これはアメリカの駐留をことさら合理化する一つのトリックとも言っていいわけで、ヨーロッパ諸国、その他中東等の、ソビエトと陸続きだって、侵略のないところはあるじゃありませんか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(小滝彬君) 私どもは、米軍が駐留しておることを歓迎しておるのではなく、それだからこそ、われわれの自衛力を増強しようというのです。中田さんのような博識の人はよく御存じのはずでありますが、たとえばスエーデンの例をとりまするならば、スエーデンはイギリスに次ぐところの西ヨーロッパにおける大きな空軍を持っておる。決して無防備であの中立というものを持ち続け得たのでは、ございません。これは釈迦に説法でありまするが、たとえばノルウエーにいたしましても、御承知と思いまするが、あすこの国民の所得の五%は防衛力に使っておる。日本は一・七%で、私はこの国民所得に対する比率がすべてであるとは思いませんが、いずれも中立を守り、侵略せられないためには、それ相応の努力をしておるということを認めなければならないのでありまして、私は日本も決してその例外ではあり得ないと考えるのであります。

中田吉雄日本社会党

○中田吉雄君 この問題は、私の考えはたくさん持っていますが、時間がありませんので申し上げませんが、日本が、日本海なり太平洋なりをはさんで大陸に接し、対岸しておる。こういう際に、ほんとうに防衛を考える際には、もっと具体的に、アメリカがいなければ、軍備がなければ、共産主義諸国の侵略があるのだというようなことでいくことは、具体性もないし、ほんとうに乏しい、自由民主党さんの立場からいわれても乏しい財源で効果的な防衛方針を打ち立てるためには、やはり日本を取り巻く諸国の軍の配備状態というようなことを十分知ることが必要ですが、一体、日本の対岸のソ連、韓国、中国、台湾というようなところは、どれだけの装備を持ち、ほんとに、私の言うように、日本海や太平洋というものは数十個師の安全保障に当るのですが、そういうものを侵しても、そこを渡ってきて、実際アメリカの駐留なしには、再軍備の問題はあとで申し述べますが、一体侵略はあるのか。そういう想定なしには、何らかの防衛方針を立てるには、やはり万一の際を、仮想敵国といっては言い過ぎかもしれませんが、やはり対象があって防衛は立つと思うのですが、また対象なしにはあり得ないと思うのですが、一体その配備状況、どういうものが、アメリカがおらねばほんとうに来るだけの、ソ連なんかの極東の配備状態があるのか、またインド洋を回ってくる力があるのか、そういう具体的なことについて、はっきりしてもらいたい。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(小滝彬君) 日本の防衛を担当しております以上、一体よその国の配備が、それが仮想敵国であろうがなかろうが、どの程度であるかというようなことは、これは当然検討しなければならないと思うのであります。しかしながら、詳細なる情報の交換のできないところもありまするので、たとえば日本海の向う側にどれくらいあるかということにつきましては、これはどこまで信頼すべきかわかりませんが、新聞、雑誌、いろいろなものから検討してみますると、ソ連の陸軍について言えば、ソ連の方が大体五十万、中共が二百五十万から三百万近いところです。北鮮であれば大体六十万から七十万、南鮮が二十個師団で、それに予備の十万を加えますと六十万、台湾が四十万、これは常織的に皆さんの知っておられるところであります。たとえば空軍について申しますならば、これはソ連の方で大体四千五百機ぐらい、中共で三千機、もっと大きく見るところもありますが、こういう程度であります。北鮮の方だったら五百五十、韓国で二百、国府で二百五十というように言われております。南鮮につきましても、御承知のように潜航艇というものは相当、百ばいぐらいはあるというのが、常織的に知られておるところであって、ソ連の船舶の数は大体七百、中共三百八十というように、概括的に申しますならば配置されておるわけであります。ただ、これが直ちに日本を侵すというわけではございませんけれども、日本として、こういう情勢下において、あるいは一、二年今デタントと申しますか、緩和的な傾向がありましても、日本の自衛力を増強するということは、日本の永久的な立場というものも考えて、その骨幹も作らなければならぬ、あるいは一時的に緩和といいましても、あるいはどういう情勢の変化があるかもしれません。その際に、非常に陸続きというところがある際に、そこをあけっぱなしにしておいていいかどうか。こうした点、いろいろな面を考慮しまして、ただ原子戦になるのだからソ連以外の戦争はあり得ないとか、ただ一方的な考え方でなしに、いろいろなプロバビリティというものを考慮いたしまして、あるいは最も経済的に日本の国力を考えて、こうした自衛力の増強というものを検討いたしておるのであります。

中田吉雄日本社会党

○中田吉雄君 いろいろ外交によって安全を守った方がいいか、あるいは自由民主党さんのとられている方がより安全かどうか、相対的な問題だと思うのです。絶対的な安全保障というものはあり得ない。そういう点で、いろいろ具体的な方式というものはわが党も打ち立てております。あとでも述べますが、私は世界の諸国がだんだんだんだんと、米ソ両勢力の間にはさまれている国が、高度な自主性を、アメリカの陣営につくといいながら、やはり高度な自主性をとりつつあるということは十分認識されぬと、アメリカに一辺倒する内閣というものは、イタリアのデ・ガスペリからフランスのダニエル内閣から、みなつぶれてきている。セイロンでもそうですし、みなそうなんです。それは十分意味のあることですが、吉田総理が退陣されなければならなかったのも、やはりそこに世界的な原水爆の及ぼした国際政治、そういう大きな一環だと私は思うのです。  時間がありませんので、その点は申し述べませんが、そこで岸総理にお尋ねいたしますが、私はやはり、軍備によって安全を保障するというのも一つの立場ですが、今申し上げましたような点から、私はやはりもっと先にすべきことがあるのじゃないか。政治は選択である、どっちが先か、そういう点では、私はやはり、隣に仮想敵国を作りながら、よその国と一体になって再軍備をしていくという方よりか、もっと私は、隣である中ソ両国、イデオロギーや思想はわが党とも一線を画しています。しかし、それとやはり制度や思想の相違を認めながらそれとの国交を調整する方と、どっちが安全か、相対的に安全か。また、どっちを先になすべきか。私はそういう点では、岸総理が幹事長をされているときに、鳩山さんが、やはりソ連と国交を調整された。そういう点から私は、もう日中との国交を調整をすべき、決断すべき時期ではないか。御案内のように、今度行かれます東南アジアの諸国は、ビルマも、インドも、パキスタンも)、セイロンも、インドネシアも、全部中国を承認している。一体、中国との国交調整はアメリカの了解なしにばできないも一のかどうか。どういうプログラムをもって隣国との調整をされるか。たまたま中国と国交を調整しないということがアメリカと一致しているのか。アメリカの了解なしにやれないのか、その辺いかがでしょう。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 中共を承認し、これと国交を正常化するかどうかという問題につきましては、私はしばしば所信を明らかにいたしておりますが、現在の段階において中共を承認すべき段階でないということを申しております。私は決して、アメリカの承認がなければ、アメリカの承諾なければ中共が承認できないとか、そんなことを考えているわけではございません。あくまでも日本の立場から、現在の段階においてはまだ承認すべき段階でないと、こういう考え方をいたしております。

中田吉雄日本社会党

○中田吉雄君 岸総理は、太平洋戦争についての責任について、謙虚な、胸を打たれる反省を聞き、拝聴しまして、そして民主政治家として再びそういうあやまちを犯すことのないようにやっていきたいという、まことに謙虚な所信の披瀝を承わりました。しかし、私は中国に対しては、たとえば郭沫若氏が「日本国民に訴う」という中に、日本は中国の人民を一千万人以上殺徴し、五百億ドル以上の損害を与えた。賠償請求権があるにもかかわらず、そのことについては言わず、日中の友好を求めている。私は、何といっても、日本が過去半世紀において誤まった大きなものは対中国政策だと思う。そういう点で、一千万人の人に被害を及ぼし、五百億ドル以上の損害を与えた中国に対しては、朝鮮事変等の感情もあって、アメリカでは相当の立場があると思いますが、私は再びあやまちを犯さぬという決意の披瀝においても、やはり中国には別個の自主性のある立場をとって、むしろこのことを私はやはりアメリカに行って、アメリカの了解を取りつけるなら取りつけ、そして私はやるべきではないか。私は、過去の戦争に対する責任を痛感し、再び犯さぬというためには、何といっても、この隣国に及ぼした大きな過失を償う意味においても、私は日本独自でやはりやるべきじゃないか、こういうふうに考えるわけですが、やはり国際情勢待ちというようなことでしょうか。その点はっきり承わりたいと思う。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 中共に対するこの承認問題等につきましては、言うまでもなく、日本がかって日華条約によりまして国民政府を承認し、これとの間に友好関係を結び、この政権が、言うまでも)なく、今お話がありました、この過去においてわれわれが戦い、そして支那民衆に損害を与えた当時におけるところの責任ある政権を中心としてできておるものでございます。これとわれわれは正当な国際関係を作っておりまして、この政府が国連におきましても中国の代表として、今日隣国の一員として重要な役割をもっておることも御承知の通りであります。しこうして、国際連合自身が、かつて中共を侵略者と規定して、まだその決議が取り消された状況になっておりません。私は先ほど申しましたように、国連に日本が加盟し、国連の一員として国連を通じてわれわれの平和政策を推進するという立場を堅持しております限りにおきまして、こういう国際情勢のもとにおいて、日本が直ちに中国を承認し、これとの間に正式な国交を回復するということは、私はとうていできないと思う。従いまして、これは決してアメリカの政策がどうであるというのじゃなしに、日本の自主的な立場から、私はあくまでも中国に対する関係というものは考えて参って、将来、しかし、私はそういう現在の状態が長く続くことが日本にとって望ましいかどうかということを考えて参りますと、これは決して望ましい状態とは考えておりません。しかし、今申しましたような状態のもとにおいてこの問題を解決するということは、まだその段階でないというのが私の考え方でございます。

中田吉雄日本社会党

○中田吉雄君 台湾政府との間に日華条約があり、国連における侵略者としての制裁規定というような点は、国際法上の立場はよくわかります。しかし、一千万以上の人を殺戮して、五百億ドルの損害を与え、しかも、思想はどうあろうが、六億の人民が毛沢東政権を選んだ、このやはり事実の上に、私は外交政策というものは打ち立てられるべきで、この点が、アメリカの中でも、そういう道徳的な、感情的なイデオロギッシュな面できめることについては、いろいろ異論もあるわけであります。ですから、私は、六億の人民がとにかくこういう政権を1一八四二年から四年までのアヘン戦争以来百年間、あるときはイギリス、あるときは日本、西欧諸国等から百年間外国の植民地としての重圧を受けて、ついにこういう政権を選ばなくてはならなかった、こういう点については十分理解をし、政権の性格や制度や思想は違っても、私は岸内閣としては、いろいろな事情がありましょうとも、少くともできるだけ早く国交が調整されて、そうしてまたその関係を少くとも悪化するような方式はとるべきではないじゃないか。そういう立場はとられるにしても、できるだけ日本を中心としてそういう諸国との間を調整すべきじゃないか。特に中国の侵略の制裁規定に参加した国も、その後中国政権を認めているんです。たしか三十市国程度も中共政権をすでに承認しているのであります。こういう現実にすみやかに立って、私はそうしてソ連や中国の日本の近隣の国家を調整し、そうしてもっと自主性を取り戻してから防衛関係を考えても遅くないのじゃないか、むしろそっちの方が先じゃないかというふうに考えるのですが、いかがでしよう。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 御指摘のこの善隣の関係について、これを事実に基き、また実際将来の見通しに立って調整を考えなければならないというお考えも、私は決してその根本的なお考えに反対ではございませんけれども、それかといって、それができるまでは防衛の問題は考えず、それをまずやれというお話につきましては、私はその御意見には賛成できないのでありまして、そういう意味において、善隣の友好の関係を進め、極東における平和を確保する意味における外交政策においてわれわれが努力すべきことは、これは当然でありますが、同時に日本自身の防衛安全を保障する体制を作るということは、従来わが党が考えておりますように、国力や国情に応じてこれを漸増していって、そうしてわれわれの国はわれわれの力でもって、他から不当な侵略を受けない安全感を持つような安全体制をとっていくことは、当然やらなければならぬ、かように考えております。

中田吉雄日本社会党

○中田吉雄君 この問題は時間がありませんので、岸総理の訪米にからんで少し質問してみたいと思うのですが、岸総理も、自由諸国の一員とし、また対米協力の外交をする、しかしそれにもかかわらずアメリカと取りきめられている安保行政協定というものは再検討すべき段階にきた、こういうことを申されていますが、一体その問題点はどこにあるか、そういう点をまずお伺いしたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 私は、現在の日本の日米間における安保条約ができました当時と今日とを比べてみると、二つの点において大きな相違があると思うのです。一つは、この安保条約ができたときにおいては、日本は日本自身を防衛する何らの力を持たなかった、防衛力というものがゼロであった、しかしその後われわれは、いわゆる国力に応じて防衛力を増強するという方針のもとに進んで参っておりまして、今日においては、もちろんわれわれの独力でもって祖国を防衛するまでの防衛力はありませんけれども、少くとも日本の安全保障、日本の防衛について、アメリカの軍隊と共同して、責任を分担して防衛することのできるだけの防衛力はできたと思います。なおもう一つ大きな相違は、昨年暮に国際連合に加盟し、国際連合の安全保障体制というものはまだ薄弱でありますけれども、少くとも国連に加盟したという、この二つの違いから見まして、これを全面的に検討してみるという時期である。しかしこの点は社会党の多数の人と私は意見を異にするのでありますが、この安保条約というものを廃棄するという今日は段階じゃない、やはり日米の共同防衛によって日本の安全保障をしなければならない状態であるが、しかしこれらの制度が、今申しましたような大きな点においてこれが締結された当時と違っております現在において、再検討してこれを合理化する、合理的な基礎において、そうして日米両国の国民が納得できるような形にこれを合理化することは必要である、かように考えておるわけであります。

中田吉雄日本社会党

○中田吉雄君 わが党とは違いますが、この安保行政協定は、これを認められる自由民主党の立場から言っても、期限がないとか、あるいは平和と安全の対象がはっきりしないとか、常時日本に駐留するとか、いろいろな問題を含んでいると思うのです。そこで一体、合理化するというのは、この安全保障と行政協定の手直し程度か、もっと新しい日米の新構想による安全保障体制を作られるのか、どっちがいいと思われますか。私は、これを認める立場から言っても、もう手直しではとうてい新事態に即応しないじゃないかというふうに考えるのですが、この点いかがですか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) この安保条約の体制に対していろいろ御議論があります。あるいはこれを廃して日米相互防衛の協定の形にしたらいいとか、あるいは、よく抽象的に、これば片務的であるから双務的にしろとか、あるいは不平等であるから平等にしろという、いろいろな御議論があります。私は、やはり政権を担当しておる責任から考えまして、現実に即して最も有効であり、実際的である考え方に立って、これを考えてみたい、それには私は、やはり安保条約体制というものは、現在のところ、これをやめて、新たにこれにかわる何かの防衛体制を考えるというまだ時期ではない、従って現在ある安保条約やあるいは行政協定というものを一つ全面的に両国で検討してみる、そうしてこれを合理的な基礎において、先ほど申しましたように両国の国民が納得するような方向にもって行くということが適当であると、かように考えております。

中田吉雄日本社会党

○中田吉雄君 責任ある内閣の首班とされて、現実的であらねばならぬということはよくわかりますが、しかしNATO条約等を見ましても、やっぱりその武力攻撃の対象というようなものが、平和と安全を脅かすもの、どの場合に発動するかという、そういう点が日米安全保障においては対象がはっきりしない。それから平時日本に米軍が駐留する。この二つが、やはり今後の改訂の期限を付するという問題よりか、発動する対象、今のような極東全域というようなことや、平時駐留するというようなことは非常に問題だと思うのですが、現在の安全保障体制で、岸総理の手元でもいろいろ作業をされているということですが、日本には平時に駐留せずに、アメリカ軍隊はグアムとか沖縄とかハワイとかいうようなところに駐留して、そうして限定してやるというようなことは可能ですか。そういうことはお考えになりませんか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 日米間の関係において、私は、いろいろな国民的な感情を刺戟する多くの問題は、多数の軍隊が、米軍が駐留しているということに起因することが非常に多いと思う。われわれは、われわれ自身の力による防衛力の漸増の方式によって、この米軍の日本国内からの撤退ということを目途として今日まで進んできておりまして、そういうことを実現したいのは私どもの念願であります。従って、今安保条約におきましても、そういう米軍が多数常時駐留しておるという状態が望ましくない事態であるということも言うを待ちませんが、それは半面における、わが国におけるわれわれ自身の自力による防衛体制というものとにらみ合せてでなければ、それは実現できない問題だと思うのであります。

中田吉雄日本社会党

○中田吉雄君 そうすると、その米軍の駐留は望ましいものではないが、これはやっぱり防衛計画による自衛力の漸増と見合ってのものであるか、むしろ撤退して、もっと国民が自由な立場で考えるというような形式が、認めるにしても正しいのじゃないか、むしろそれは逆ではないかという、いつまでもふやさねば撤退してやらないというようなことでは、これは防衛に対する内政干渉でもあり、私はそれは、いつまでたってもわが党は反対ですが、認める立場からいっても、自衛隊に筋金の入らぬ根本で、むしろ私は、防衛計画による漸増は、米軍撤退の前提条件でなしに、逆でなくてはならぬじゃないか、こういうふうに考えるのですが、いかがですか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 今、中田委員の御指摘になった御意見というものは、私も相当にそれは重要視すべきものの考え方だと思います。すなわち、むしろ米軍が撤退して、そうしてわれわれがわれわれの力だけで常時は守らなければならぬという体制を早く作った方が、むしろ防衛体制を、今お話のように、精神的な基盤においても、あるいは実質的な意味においても、それが促進するゆえんじゃないかというお考えについてば、これは十分一つ傾聴すべき考え方だと私は思います。ただそれにもおのずから度合いのある問題でありまして、全然相当なところまでいっておって、それを最後の仕上げをする意味においては、むしろそういう形をとることが適当であり、まだその程度が十分でないというときに、そういわば少し荒療治みたいな考え方でありますので、その辺の実情を十分に検討してきめるべき問題であると考えます。

中田吉雄日本社会党

○中田吉雄君 今その文献を持ってきておりませんが、講和条約、安保条約を結ぶ際に、アメリカの国務省としては、常時日本に平時駐留しなくてもよろしい、基地さえあればよろしい、グアム、沖縄、ハワイというようなところにアメリカがおれば日本の安全は守れるのだという考えがあり、日本にきている駐留軍との非常に激しい論争の後、遂に国防省が勝利を占めてこういうふうになったともいわれ、私は、岸総理がどういう調整をやられようが、平時海で取り囲まれて、実際言われるような侵略のおそれもないのに、たくさんの軍隊が駐留しておる形の安全保障の手直しでは、そうして極東全域を対象とするようなことでは、これはやっぱり非常に問題だと思いますので、期限を付したりしたらどうかという意見の前に、私は平時日本におる形、さらに極東全域というような形を含めた今のような形がいいかどうかということは、十分御考慮さるべきじゃないかと思うわけであります。  そこで池田大蔵大臣にちょっとお尋ねしますが、防衛分担金の一般方式がありますが、ことしは防衛庁の経費を八億円ふやして四億減らしているのだ、この形で四百億を減らすという形でいくならば百年かかる、四百億に百年間かかる、さらにまた四百億をゼロにするのには八百億をふやさねばならぬ。一体これはゼロになったらアメリカは帰るのですか、そういう取りきめはありますか、それはどうなんです。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) 一応防衛分担金につきましては昨年五月取りきめをいたしたのでございます。これば将来不変のものではございません。やはり防衛費の増強、あるいはまた、別にアメリカの駐留費の減少の度合い等も将来考慮に入れべきではないかと思っておりますが、ただいまのところは一般方式でやっておるのでございます。もちろん駐留軍が全部撤退してしまえば防衛分担金というものはありようはずはございません。しかし今後の防衛費、あるいは向うの駐留軍の情況によりまして相当考えねばならぬ問題も起ってくるかと思います。

中田吉雄日本社会党

○中田吉雄君 日米間のいろいろな調整の困難を、トラブルを少くするのはいいのですが、八億ふやしたら四億減らすということは、本当の防衛とは何ら関係のない、合理性のない……私は将来御検討されるということですからこれ以上追及しませんが、あまり意味のない、八億円ふやして四億減らす、しかもこの形でいけば百年かかる、一千八百億にすればゼロになる、ゼロにすればアメリカが帰るのか帰らぬのかわからないということでは、非常に問題だと思いますので、御検討をいただきたいと思うのですが、時間がありませんので、安全保障と原水爆の問題でございますが、岸総理は、これまでわが党の各議員の熱心な質問に対して、アメリカの原子力部隊を入れたりするようなことはないというように言われていますが、一体、軍備で安全を守るという立場からいって、そういうことが貫き得るかどうか。御案内のように、一九五七年の一月十六日の大統領の予算教書では、トルコ、イラン、アラスカ、西独、沖縄、日本に原子力部隊を置く、こういうふうになっているのですが、軍備で安全保障をやるという考えに立つ限りでは、この兵器の発達の状態からいって、国民感情の点を顧慮されて申される点はいいが、なかなか貫き得るかどうか非常に問題だと思うのですが、特にこの四月何日ですか、五日に、アデナウアー総理は記者団会見で、原子兵器を保有するということをはっきりと表明したりしている点もあって、なかなか軍備で安全を保障されるという点からいけば、今の主張を貫かれることは困難じゃないかと思うのですが、この点いかがでしょうか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 原水爆を中心とするこの核兵器に対する日本国民の考えは、私はこれは世界のどの国民とも違った深刻な考え方をもっておると思います。これを無視して、防衛も、もしくは安全保障もできないのであります。これは十分に尊重して行くべきである。同時に、この原水爆を中心とする核兵器の破壊力を考えますと、これをそういうところに用いない、いわゆるこの新たに発見されたエネルギーである原子力は飽くまでも平和利用によって人類の福祉の増進の方向に用いられるべきであり、これを破壊兵器に用いて人類破滅の方向に用いるということは、人道上から言ってもこれは許すべきことじゃないという考えの下に、原水爆の実験等に対して強硬にこの意見を各国に抗議いたしておることも御承知の通りであります。従ってこういう考えのもとに、私はもちろんこの科学の進歩、技術の進歩というものは、兵器にも取り入れられて、最も優秀なる装備の下に、われわれば防衛を完備して行かにやならんことは言うを待たないのでありますけれども、そういう考えの下に、アメリカ、あの当時アメリカからそういう部隊を入れるというような申し出があった場合においては、私は断乎としてこれを拒絶するという考えを述べた、その考えにおきましては、今日も少しも変っておらないのであります。

中田吉雄日本社会党

○中田吉雄君 石橋前総理が外遊され、アメリカを訪問されるという際に、アメリカにおいでになったら、もう原子兵器の装備をせねばだめだということを、石橋総理を説得するのが、むしろ大きな役割だと、こう言っておられました。さらにA・Pの二月二十五日発国防省の見解として、日本も原子力から免かれることはできない、日本人の自覚で新内閣でこれが持てるようになるように、やはり岸総理がおいでになったら理解をしてもらうのがやはり大きな……ということを言っておるのですが、その点まあ申し上げておきます、答弁は求めませんが。そこで、小滝長官にお尋ねしますが、今度のこの特別会計で二千三百トンの二つの軍艦というものは、諸外国では、これに誘導弾のフリゲートあるいは駆逐艦として、むしろ原爆装置のこれは何に、われわれの調査ではそういうものになっておるのですが、そういう変化の一環として理解していいかどうか。そういうふうに、諸外国ではアメリカから貸与を受けてやっておるのを見ると、誘導弾のフリゲート、この駆逐艦に誘導弾装置を取り付けるというふうになっておるのですが、そういう一環ではないかと思いますが、いかがでしよう。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(小滝彬君) フレッチャー型の駆逐艦というのは相当前から作られておりまして、二千百トンのものもあれば、二千三百トン、二千七百トンのものも、いろいろございますが、だんだん進歩して、そうして御指摘のように誘導兵器を装備するものもあるそうでありますけれども、日本で今度作りますのは、これまでよりも進んだ対潜兵器——潜航艇に対する兵器は装備いたしますが、しかしそういう誘導兵器は全然付けることに規格はなっておりません。

中田吉雄日本社会党

○中田吉雄君 しかし、だんだんでしょう。いろいろ国民感情等もあり、言っておられますが、近い将来に、中田はこういう質問をしたが、私は、やはり軍備で安全を保障するという考えから言って、こういう原水爆の時代に、今のような形の防衛計画では、私は竹槍でB29に対抗する愚かしさであり、まじないや慰めにはいいかしらぬが、本当の役には立たぬと思うが、防衛庁としては、アメリカに行かれるので、この防衛計画をさらに練り直し、ひそかに原水爆の問題とからんでこの問題を再検討されておる。アデナウアーが持ったりし、アメリカの強い要望もあって、苦慮されておるという話もありますが、これはいかがでしょう。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(小滝彬君) 総理の答弁と離れまして、私どもはできるだけ長期の防衛計画を立てるということが必要であるということを痛感いたしておるものでありまして、私どもの方では、いろいろ資料も集め、技術的な検討もいたしておるのでございます。しかしはっきりした成案が出ておるわけではなく、それは国防会議できめることでございます。ただ私どもの考えは、もちろん新しい兵器の発達に即応いたしまして、これに対応する処置も考えなければならないことは承知いたしておりますが、しかしながら何といたしましても、日本の工業あるいは技術水準というものが非常に劣る。またこういう誘導兵器というようなものは、御承知のように、外国では日本の金にすれば何千億円ものを使っておるのでありまして、日本ですぐ持てるものではないが、しかしこうした原水爆あるいは核兵器についての考え方は、総理からすでに申された通りでありますけれども、誘導兵器については、これは大いに研究する必要がある。また御指摘のように核兵器が使われる可能性があるとすれば、それに対処して放射能をどうすればよいかという、それに対応する処置は考えなければならない。こういう研究は、新しく計画を立てます際には、その中に織りこんでいこうとするものでございますが、しかしそれをすぐ装備に入れていくという段階には至っておらない。これが日本の実情であり、私どもの考え方でございます。

中田吉雄日本社会党

○中田吉雄君 しかし、これは結局、くどく申し上げますが、軍備で安全を保障するという考えから言えば、曾祢委員もこの質問で申しましたように、どうしても原水爆の問題を考えずにやるようなものは無意味だ。だから、わが党の、日本を取り巻く中ソ両国、アメリカとの国交を調整する外交方式にいくかどうかということに結局帰着する。どっちかということにならざるを得ないと思うわけであります。しかし時間がありませんので、いろいろ申し上げたいが、この程度にとどめます。  小滝長官にお尋ねしますが、先般、美保でC46の輸送機が墜落し、さらに山口ですか、PV2対潜哨戒機が墜落しまして、大へん気の毒なことになっていますが、一体これは、伝えられるところによると、もう中古品で、アメリカではもう耐用時間、滞空時間を過ぎて全然使用に耐えないものだということですが、一体これは三保のものと山口のものは、いつ製造して、どれだけの滞室時間を航空しておるのか。私は、ただなら、まあもらっておけばいい。ただほど高いものはないと思う。もっとやはりこういう問題は、わが党の立場からいえば問題になりませんが、認める立場からいったって、こんなことは、中古品をありがたがってもらって、あたら人命を犠牲にするというようなことは「やはりアメリカもアメリカと言わなければなりません。受ける方も受ける方だと言わなければなりません。そういうことについて承わりたい点と、さらに先般美保から立川に来て帰って墜落したのは、美保基地を拡張するために、市会議員を板付や立川、あちこちごちそう食べさせたり、ずいぶん運搬してこの基地反対を切りくずしていますが、ちょうど、あれはたしか立川に行って帰ったものが墜落したんじゃないかと思いますが、一体どういうことで民間の人を、われわれがちょっと郷里へ帰るから、基地があるからといって、頼めば乗せるのですか。一体どういう規定でああいう民間の人をたくさん乗せて、板付や小牧やあちこちへどうして行っておるのですか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(小滝彬君) 最初の点は、いつできたか、中古でしょうがないではないか、ということでございますが、美保で事故を起しましたC46は一九四四年の製造でございまして、日本で受け取ったのは昭和三十年であります。あの問題を起しましたのは、しかし一万七千時間ぐらい航空したものでございますが、機体をオーバー・ホールしてから千二百八十二時間、これは現にアメリカでも使っている飛行機でございます。なるほど今は製造はとめておりますけれども、この飛行機が特に悪かったためにああいう事故を起したのでないことは、その後の調査によってわかり、これは国会へ報告した通りでございます。

中田吉雄日本社会党

○中田吉雄君 山口に落ちたのはいつですか。大体安全な滞空時間は。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(小滝彬君) これは大体三十六カ月ごとにオーバー・ホールをアメリカではやっておりますが、日本では二十四カ月、二年ごとにオーバー・ホールすることになっております。これは御承知と思いますけれども、飛行機はただ作った年が古いから悪くなるというのでなしに、オーバー・ホールを何べんするか、また整備をどれだけよくするかということによるのでありまして、現にアメリカでも使われている飛行機でございます。  それから山口で事故を起しましたのは、これはPV2というのでありまして、この方は一九四二年にできたものございます。これは機体のオーバー・ホールをいたしましてから四百九十時間飛行したものでございまして、この方は大体三十カ月ごとにオーバー・ホールするということになっております。問題になりましたエンジンはオーバー・ホール後五百九時間。大体七百時間を飛びますとオーバー・ホールすることになっておりますので、この方もその点においては手落ちがあったとは思いません。がしかし、御指摘のように古いものでございますので、今練習機に使っておりますが、できることならもちろん新しいものを持ちたいのでありますけれども、なかなかその余力がない。この方はやはりヨーヨッパでは使われているものでございます。それからもう一つの点は、自衛隊の飛行機に人を乗せるとおっしゃいましたが、C46が事故を起しましたときにも、航空に関する雑誌を出している記者の人が二人乗っていたのでありますが、私どもは、余裕があれば、特に希望のある方々に対しまして、これに乗っていただくということが、われわれをよく理解していただくゆえんでる。そうして皆様に信頼される自衛隊を作ります上にできるだけ便宜を供しまして、そうしてよく御理解いただくようにいたしたい、こういう趣旨からでございます。

中田吉雄日本社会党

○中田吉雄君 私は、すでに使われない、安全度を過ぎたもの、中古品で、特に技術が未熟ですから、一そう安全なものでなくちゃいけないと思います。そういう点を、立場は違いますが、十分御考慮を希望しておきます。  次に、時間がありませんが、美保基地の拡張にからんで、現行法がじゃまになってやれないので、公有水面の埋立法、大正十年にできたので、聞くところによると、これは官選知事を予定してできた、民選知事でなかなかこれはやれないので、公有水面の免許権を、建設省、政府に取り上げるような改正作業をやっているというようなことがひんぴんと伝えられますが、一体そういうことをやって埋立法を改正して、知事の持っている免許権を取り上げてやるというような御意思があるか、そういう作業が進められているというのですが、いかがですか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(小滝彬君) 私は建設大臣でございませんので、建設省でどういうことをしておるか知りませんが、いろいろこの基地の問題について法的な困難があるということは、自民党においても始終論議の対象になることでございます、しかし私は、具体的に美保の基地などに関連いたしまして、そういう法律の改正というようなことを手をつけておるというような事実はございません。

中田吉雄日本社会党

○中田吉雄君 時間がありませんで、岸総理に伺いますが、前に重光・河野両氏と一緒に参られて、帰られて幹事長をされて、小選挙区法案が出てきた。こういうことがあったのですが、岸総理は今度アメリカから帰られて、やはり巷間の浮説では、臨時国会でも開いて、小選挙区法案をもう一ぺん出して、公正な区分割りをやって、そうして解散するのだというような意見も伝わっていますが、そういうことについての御所信を承わりたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 小選挙区法案につきましては、実は私は多年いわゆる二大政党論者でありまして、二大政党を健全に育成することが日本の民主政治を運営していく上において望ましいという考えに立って、二大政党論を唱えて参っております。そしてこれは二大政党を真に健全に発展発達せしめるためには、小選挙区制が私は最も妥当であり、最も望ましい選挙制度であるという考え方を持っております。この考えは今日もなお持っておるわけでありまして、ただこの小選挙区制に伴って、非常にむずかしい問題は、区割をどうするかという問題であります。また現実に日本の国情に合い、実一際の実情に合うように、公平な区割りをすることがどうしたらできるかという、非常に困難な問題がございます。しかしこれは十分二大政党論を是認する人々は、私はほんとうに謙虚な立場で、それを研究して、適当な結論を作り出すことが望ましいと考えております。しかし私自身が現在急いで小選挙区法を国会に、臨時国会を開いてこれに提案をして、そうして国会を解散するというような考え方は、今日私は持ってはおらないのでありまして、ただ小選挙区そのものに対して、私が本来今申し上げたような考え方を持っておるということでございます。

中田吉雄日本社会党

○中田吉雄君 たびたび二大政党下における小選挙区制の意義は拝聴しますが、しかし日本の憲政史は、明治二十三年の七月一日に第一回の選挙をやって、ずっと何回かやっていますが、この小選挙区の選挙法におい、必ずしも二大政党の対立にならずに、むしろ小党分立になっている方が多い。中ないし大選挙区のときでも、政友、民政というようにやはりあって、かえって二大政党になっておる場合も多いし、なかなか実証的な研究からいえば、イギリスではそうかもしれませんが、日本の実際的な調査では、小選挙区のときでも、むしろ小党分立になったこともあるし、大選挙区、中選挙区の場合でもはっきり二大政党になってうまくいっておる場合もありますし、私はやはり、総理の御見解は、もう一ぺん、明治からのそういう選挙をやった実際を見ていただいて、理論的に、原則的にはそうだとしても、やはりよほど問題ではないか。幸い性急にはやらんということでございまするので、少くとも岸内閣ではおやりにならんというふうに理解しますから、(笑声)そこで私は、岸総理がほんとうにアメリカに行って長い友好関係を打ち立てられると、われわれもそれには賛成ですが、それにはやはり昭和三十年以来選挙がない、たびたび政権が変っておる、そういう点からば、やはり社会党の外交政策なり防衛政策、自由民主党さんの、岸総理の持たれるようなものをはっきり国民に訴えて、そうしてそういう信任のもとにやはり行かれる方が、ほんとうにアメリカと折衝をして有利な取りきめができるので、むしろ逆じゃないかというふうに考えるわけですが、そういう点はいかがでしょうか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 外交方針の樹立、これの推進について、常に国民世論の支持がなければならない、その国民世論の力に支持されておることが外交を推進する上に非常に有力な力になるという意味におきまして、あくまでもわれわれの考えておる外交方針というものを国民に徹底せしめ、国民の批判と理解を得て、その上に協力を得るということが必要であることは、中田委員の御指摘の通りでありまして、今やいろいろな意味におきまして、われわれの考えておる外交方針、社会党の考えておられる外交方針との問に相当な開きがあり、そしてこれに対して国民も、両党がどういうことを考えておるということについては、私は相当な理解ができていると思いますが、なお一そうその点は両党とも努力すべきことであると思います。私は訪米に際しまして、国民が、私がなぜアメリカを訪ね、もしくは東南アジアを訪問するかという意義を十分に理解し、またこれに対して国民の協力を得るためには、その所信を国会を通じて明らかにする必要があるということを考えております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 関連して……。訪米に際してその考え方を国民に明らかにされるという話でしたが、防衛計画をもしアメリカに持っていかれるような場合、国会に、残る期間もう二十数日間でありますが、今国会の間にそういうことを私どもに聞かしていただく機会がありましょうか、いかがでしょうか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 長期防衛計画の点につきましては、先ほど防衛庁長官も申し述べましたように、私自身が国防会議の議長でございますので、国防会議関係者を非常に督促をいたしまして、国防の、防衛の基本方針や、長期防衛計画というものの樹立を急いで、国防会議の審議に付するようにいたしております。しかし御承知の通り、この問題は、過去におきましても、いわゆる防衛庁の一つの試案というものがございますけれども、政府が国の一つの方針としてきめたものはないのでありまして、これは国防会議の審議に付してきめることになっております。私はなるべくそれを早く作りたいと考えて従来おるのでありますが、これは非常に誤解がございますが、アメリカに、私は国防会議の議を経て、日本のなにはこういう長期計画だというようなことを持っていって、そしてアメリカの承認を得るとかいうような考えで急いでおるわけではございませんで、この問題が立てられなければ、一体、防衛の問題をいろいろと論議し、年々の予算を編成する上におきましても、これが基本になるわけでありますから、それを作りたいという考えであります。そうして、もしもそれができましたならば、当然私は、アメリカに話す前に、適当な国会の御審議に付するというような方法をとらなければならんことは当然であると思います。しかし、国会の開会中にそれの結論を得られるか。またそういうふうに国会の審議に付するような状態まで国防会議が進み得るかどうかにつきましては、現在のところまだ見通しが立ちません。急いでやらしておりますけれども、まだ国防会議が開かれない状況でございますので、できるだけ早くできますればそういう機会を持ちたいと思います。

中田吉雄日本社会党

○中田吉雄君 いろいろ申し上げたいこともございますが、時間が来ましたので……。  とにかくきょうもただいま天田君から大阪の参議院補選はわが党の勝利になったという朗報の連絡がありました。これは山口県の選挙とは違って、やはり主として外交政策を中心にしての戦いなんです。私の質問の仕方も十分でなし、いろいろ問題はありますが、しかしとにかく政府自身のおやりになった世論調査におきましても、どの政党を支持するか、自由民主党が四一・三%、日本社会党が三二・三%というふうに、九百万から千二、三百万までの社会党が特にうったえているこういう外交政策については信頼があるのです。それは国民の中に、二度と再びあやまちを犯してはならんというようなこともあり、そういうものを素朴な直感的な民族感情でも把握しているので、私は、岸総理とされては、ほんとうに謙虚に戦争の責任を反省されているというのでしたら、山口県の第二区では信任をされているかもしれない。間接的に衆議院や参議院の国会議員の信任を得ておられるかもしらんが、自由民主党の総裁として、やはりああいうことも含めて信任を問うて、無性格だと言われるのでなしに、筋金を入れて仕事をやられるというには、そういうことを含めて、もう一ぺん、アメリカと深入りされていくよりか、国民に問うて、そういうことの上に立ってやっていかれることを、民主政治家としてこれから国政を担当されようとする岸総理に私は望みたい点ですが、時間がありませんので、希望だけ申し上げて、私の質問をこれで終ります。

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) これにて休憩いたします。    午後零時二十五分休憩    —————・—————    午後四時二十一分開会

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) これより委員会を再開いたします。  ただいま委員の変更が、ございました。新谷寅三郎君が辞任され、その補欠として一松定吉君が指名されました。  以上、御報告いたします。

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) 午前に引き続き質疑を続行いたします。

梶原茂嘉緑風会

○梶原茂嘉君 私、二、三外交上の問題について総理にお伺いしたいのです。  第一は、専任外相の問題であります。総理は、外相の兼任ということは臨時暫定的の措置だ、従って専任外相を置くということを、本委員会においてもしばしば発言されております。ところで、総理は国会が終りますれば東南アジア方面、さらにアメリカを訪問されることになっておるわけであります。その際、総理としての資格で行かれるのか、あるいは総理兼外務大臣という資格でおいでになるのか、その点を伺いたいと思うのであります。もちろん総理が外務大臣を兼摂する場合、あるいは専任を置かれる場合、それぞれ私は特質があろうと思います。しかし常道としては、総理が言われておりますように、専任外相を置くということが筋道であろうと思うのであります。アメリカに行かれ、あるいは東南アジア方面に行かれるということは、岸内閣として新しい外交の私は出発であると同時に、日本の外交としてもきわめて重要なことだと思うのであります。それだけに専任外相の問題も大切な問題で、本来の筋道からいえば、行かれる前に専任外相を置かれて、国内における態勢を整備をして、しかる後お出かけになるのが妥当ではないか。私の申し上げるのは、いわゆる岸内閣の、何と申しますか、改造とかいうことに触れるつもりは毛頭ないのであります。あの問題とこの問題とははっきり切り離して考えられるべき問題である、こう思う。総理の一つお考えを承わりたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 専任外相の問題につきましては、私はやはりこれは適当な機会に置くべきものであって、現在の総理が外務大臣を兼ねているということは、あくまでも臨時的な、例外的な状態であると、こう考えております。しからば、いっそれを置くかという問題につきましては、いろいろな事情を、政治的事情も考慮してこれをきめたいと思っておりますが、私が東南アジア及びアメリカを訪問するのは、総理大臣たる資格において実はこれらの国々を訪問したいという考えでおります。

梶原茂嘉緑風会

○梶原茂嘉君 お話のように、いろいろ政治的な問題も、もちろんあることと想像はいたしますけれども、でき得れば、これが岸外交のほんとうの出発であろうと思うのであります。そうしますれば、やはりそれだけの態勢というものを外交陣営として俵整備をしていかれて、決しておそくないのではないかという感じがするわけです。お考えをいただきたいと思います。  それから次は、社会党の方々と中共政府との会談の問題に関連して、総理の御所見を伺いたいと思います。二代政党論といいますか、につきましては、総理はしばしばこれを強く支持しておられるのであります。現に本日午前の中田委員との質疑応答の中でも繰り返されたことであります。もとより、民主政治の行き方の一つとして、二大政党というのも一つの道であるということは、これは言うまでもないことである。現実論として考えますると、二大政党間に少くとも私は一つの共通の面がなくちゃならない。その一つの共通の面というのは、これば外交の問題だと思うのであります。内閣が二大政党対立によって更迭する、かわる、そのつど基本的な外交政策が変るというような形の二大政党というものは、少くとも民主政治の発達した国においては、私はその例がないと思うのであります。外交の一貫性といいますか、継続性といいますか、そういう点から考えても、当然そうあるべきであろうと思うのであります。もちろん、現在の国際情勢のもとにおいて、外交の基本的な考え方に、政党間において差異があるということ、これを私、とやかく言うわけじゃありません。むしろ現在の世界情勢においては根本的に意見が違うということも、当然あり得ることであろうと思う。ただ、しかし具体的な対外活動の問題になれば、おのずから別のように思われるのであります。具体的な対外活動は、その及ぼす影響というものは、国家的のやはり立場から考えられるべきものであって、十分な慎重さというものが私は肝要と思うのであります。今回社会党の首脳の方々が、中共政府との間において種々の問題について意見の交換を行われたそのこと自体は、日本と中共との関係の現状からいいまして、むしろ好ましいことであろうとさえ私は思っておるのであります。しかしその中で、新方式の安全保障の問題であるとか、あるいは台湾に関する処理の問題であるとか、これらの問題について、わが国が現にとっている考え方なり方針と相当大きな開きがあるのであります。岸総理がアメリカを訪問されて、日本を中心にする一つの防衛体制を協議され、社会党の各位が中共を訪問して、別個の安全保障方式についての意見の交換が行われる。そういう状況は、もちろんそのそれぞれ性格が違うわけではありまするけれども、対内的にも対外的にも若干割り切れない感じを与えるおそれが私はあろうかと思うのであります。これらの点について、今回の社会党の各位と中共政府との会談について、総理は一体どういうふうな見解を持っておられるか、それを一つ明らかにしてもらいたい。  なお、当初、社会党と政府との間に何らかの取りきめがあったやに報道されておるのでありまするけれども、果してそういうことがあったのか、あったとすれば、それはどういうことか、これもこの機会に一つ明らかにしてもらいたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) お答えをいたします。  二大政党間において、特に外交の問題について大きく共同の広場を持つということが、二大政党によって民主的政権が授受され、民主政治が運営されるという上においては、どうしても少くとも外交問題に関して大きく共同の広場を持たなければならないという梶原君の御意見に対しましては、私も同感でございます。しかし今日の国際情勢に対して、なかなかこれの見方及びこれに対すべき考えというものにつきましては、各人におきましてそれぞれの見方なり意見もあるということも、これも現在の国際情勢から見ますというとやむを得ない点もあると思います。しかし、い、ずれにいたしましても、保守党たる自民党と、そして革新政党たる社会党との二大政党が対立して、今後国会の運営または国政の運営をやっていくという上から申しますというと、できるだけ話し合いの機会を多くして、こういう問題に関してある程度までお互いが認識を共通ならしめるように努力すべきものであると、この問題は考えております。今回社会党の首脳部の方々が中共を訪問するという問題に関しましては、かねてその話がございまして、その訪中の目的がどこにあるかという点に関していろいろと話をいたしたのでありますが、それは日中の親善関係を増進するための親善使節として行きたいというのが眼目であったのであります。もちろん、親善を進める上から申しまして、日中間のいろいろな問題に関して話し合いが行われるということも当然であり、また親善を深めていく上からいえば、そういう話し合いがされることが私は当然のことであると、こういうふうに考えまして、た、た問題は、今、梶原委員の御指摘になりましたように、国の外交方針としての——もちろん日中の間の親善を増進し、特に貿易関係を増進していくということは、すでに政府がとってきている方針であり、またわが国の方針として一般に認められておるところであって、その方向に向ってさらに親善が深められていくということは、これは望ましいことである。しかし今日中共を承認するとか、あるいはこれとの間に正式の外交関係を作るというふうな問題に関しては、これまた現在その段階でないという見地のもとに、責任を負うて国政を担当しておるわれわれがそういうことを宣明し、その方針でいっており、世界も日本の態度としてそういう態度であるということを是認しておる。その立場からあるいは国府との関係、その他のあらゆる国際的関係が律せられており、その立場における日本というものが、国際社会の一員として一つの地位を持っておるという状態を前提として、そういうような問題に対して深く立ち入り、また共同の声明等を出すということは、これは非常な誤解を招き、もしくはいろいろの点において好ましからざる結果を生ずるおそれがあるから、そういう点に関してはどういう考えを持っておられるかという点をただしたところが、そういう点は今回は絶対にやらないつもりであるということでありましたので、そういう点に関して官房長官と今度の訪中団の団長である淺沼君との間に話し合いがあって、この限界を守ろうという話し合いが行われたわけであります。そうして今回、中国側の何か学会でございますかの代表者と淺沼書記長との問の共同声明というものが出されておりますが、これは直接に相手方の中共の政府との間の共同声明でもないという性質でありますし、一応新聞等において私どももその内容を承知いたしておるのでありますが、正確なものにつきましてはなお検討を要するところもございますし、果してそういう官房長官との話し合いの域を脱しているかどうかというような問題については、なお検討を要する点があると思います。しかしいずれにいたしましても、今申しましたような態度で、今度の社会党の訪中団に私どもは政府として対処したわけでございます。従来すでに発表されております社会党のこの外交方針というものと共通の点もございますし、また今回の訪中の結果話し合いがされて、その結論として加えられておるというふうに思われる点もあるのでありますが、いずれにいたしましても正確なことは、なお訪中団の人が帰ってこられましてから検討をいたしたいつもりでおります。  なお、これが対外的に及ぼした影響とか、あるいは先ほど最初にお話がありました二大政党間において外交問題についての共通の広場なり、あるいは大きく言って方針の一致といいますか、大体の方向というものの両者の共通の立場というようなものについて、実は今日の二大政党の間におきましてはまだそこまでの共通の一致点が出ておらないことは、非常に私どもも遺憾とするところであります。特に今回のことが対外的に及ぼした影響というものにつきましては、私はそう重要視してはおらないのであります。何となれば、社会党自身の外交方針というものはかねて公表されておることでありますし、社会党がそういう考えに立っておられるということにつきましては、日本の国内において二大政党である反対党たる社会党はこういう考え方を持っておるということについては、すでに一般に周知されておる事柄でございますので、今回のことが特に何らか特別の影響を与えておるというふうには実は見ておらないのであります。

梶原茂嘉緑風会

○梶原茂嘉君 中共に対するわが方の今後の外交方針、必然的に台湾の問題に関連を持つわけでございます。それらについての岸総理の方針は、これまで相当明確に打ち出されておるわけであります。しかしながら、現在の方針はそれで一応いいとしても、しかし、日本の立場から考えて、どうしてもやはり台湾の問題、中共の問題をこうほぐしていく役割というものは、私はやはり日本の外交の持っておる最大の役割であろうと思う。遠からずそういう時期が来るであろうし、またそういう時期が来ることをわが方としては促進といいますか、努力していかなくちゃなるまい。非常に微妙でかつ重要な問題である。同時に台湾の問題にしても、中共の問題にしても、あるいは社会党の言っておられる新しい方式の安全保障の体制にしましても、これは党派だけの問題だけじゃなしに、やはり世界的な規模につながって初めて解決し得られる問題だろうと思う。それだけに今後内閣としても、あるいは二大政党対立の状況における保守党とされても、十分社会党ともそういう一つの共通点といいますか、対外的に働きかける上においての共通点ですね、基本的に意見の違う点はしばらく別として、そういう点についても一つ十分総理として御努力されるように私期待したいのであります。  それから次に、私は総理の訪米と安全保障の問題についてお伺いしたい。昨年の十一月の第二十五臨時国会において、当時の重光外相は、外交方針演説で、こういう趣旨のことを言われたわけであります。「東西両陣営間のいわゆる雪解け状態は、再び逆転して、冷たい戦争はさらに激化することなきを保しがたき国際情勢と相なりましたことは、まことに遺憾」にたえないという趣旨のことを言われた。この外交方針の演説は、内外に相当の私反響を起したと思うのであります。ところが、日ならずして岸さんが外務大臣に就任せられて、今日までのところ、どちらかといえば、岸総理の国際情勢に対する判断は、冷戦はむしろ緩和の方向に進みつつあるという印象を一般に与えてあられるように私には感ぜられるのであります。もしそれが違っておれば御指摘を願いたい。国際情勢の分析なり判断なり、認識というものは、これは独善的であっては大へんなことになるし、また希望的観測であっても国を誤まらすことになろうと思うのでありまして、非常に大事な問題だと思うのであります。アメリカに行かれて安全保障の問題についていろいろ検討される場合においても、おそらく両方の国際情勢の分析及びその判断ということが基礎になるであろうと当然想像されるのであります。  そこで、一つ私伺いたいのは、一昨年八月、重光さんが、当時の外務大臣が訪米されて一たしか岸さんも行かれたと思うのでありますが、あの会談の結果、日米の共同声明が発表されているわけでありますが、その中に表われていることで伺いたいのでありますが、声明にはこういう趣旨のことがうたってあるのであります。外務大臣、すなわち重光さんでありますが、外務大臣は、日本の防衛当局が最近策定した日本の防衛能力増強に関する諸計画を説明した。これらの諸計画は、東京における日米防衛関係に関する継続的な協議の過程において検討され、かつ戦略上の要請に照らし随時再検討されるべきことに意見が一致したとある。ここで伺いたいのは、東京において継続的協議の過程において検討される、わが方の外務大臣がアメリカに示した防衛に関する計画は、東京における継続協議の過程で検討をするということにしているわけであります。そこで、それから相当の二年有余の時間がたっているわけでありますけれども、この継続審議、協議というものは行われたのか、それは一体どういうふうになったのかということであります。これをまず一つ伺いたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 今御指摘の協議は、防衛庁を中心として軍事専門家ないし関係者の間に時々検討をされてきていると思います。特に特別の委員会を作るとか、特別の機構を作ってこれを検討する意味ではあの際もなかったと、私は記憶しておりますが、そういう意味においてずっと検討されてきている。

梶原茂嘉緑風会

○梶原茂嘉君 そういたしますと、総理は近く日本の長期の防衛計画のでき上ることを非常に期待されているわけでありますが、その計画というものは、先般の、二年前のこの会談の結果、継続して検討をされてきたもののまあ結果といいますか、そういうものと一応了解していいわけですね。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 御承知のように防衛の基本方針や、それから長期防衛計画は、国防会議に付してそうしてきめるということになっておりまして、実は国防会議ができましてから二回開かれたのでありますけれども、それはほとんど事務的の議題でございまして、今申したような点についてはなおずっと引き続き研究されておるのでありますが、私は特に関係者を督励して、この防衛に関する基本方針及び長期計画というものを日本としては持たなきゃいかぬと、従って、従来の防衛庁の試案というものもあり、その後、今のような日米両方の再検討あるいは検討されたものもございますが、さらにそれに国防会議として、他の観点も取り入れた政治的理由だとか、いろいろなものを取り入れた一つの案を基礎にして審議を進めていかなきゃならぬと、かように思っておりまして、その防衛庁の試案、これが検討されたもの、それも一つの重要な内容をなすのでありますけれども、ただそれだけじゃなしに、さらに広い見地からのわれわれの国防会議のスタッフとしての考えを取り入れたものを基礎として、国防会議の結論を出したいと、かように考えております。

梶原茂嘉緑風会

○梶原茂嘉君 なお、安全保障体制に関してでありますが、あの声明におきましはて、日本ができるだけすみやかにその国土の防衛のための第一次的責任をとることができ、かくて西太平洋における国際の平和と安全の維持に寄与することができるような諸条件を確立するため実行可能なときはいつでも協力的な基礎に立って努力すべきことに意見が一致した。またこのような諸条件が実現された場合には、現行の安全保障条約をより相互性の強い条約に置きかえることを適当とすべきことについても意見が一致した。さらにこのような条約を締結することを目標として東京において防衛問題に関する日米両国代表間の協議を行うべきこと、まあこうあるわけであります。よく御承知の通りだと思います。  そこで伺いたい第一点は、この声明にありますように、現在の安全保障条約をより相互性の強い条約に置きかえる、これは適当だ、そうしてそういう条約を締結することを目標にして、東京において防衛問題に関する日米両国代表間の協議を行うと、こうまあ声明をしておるわけであります。こういう趣旨で、言いかえれば現在の安保条約より相互性の強い条約を作るという目標で、これまで東京において両国の代表者の間で話し合いが行われたかどうか、この声明から見るとそういうふうになっておりますけれども、その経過がどうなっておるのか、これを一つお伺いしたい、あるいは長官からでもけっこうです。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(小滝彬君) 防衛庁と米国当局とは始終連絡をいたしておるのでありまして、たとえばレーダーの基地を日本側に返還するような話し合いを進める、あるいはまた向うの兵力の漸減について相談をする、始終連絡をいたしまして、日本の自衛力の漸増に伴いまして先方の配置も変更していくというような点については始終連絡いたしております。

梶原茂嘉緑風会

○梶原茂嘉君 私の御質問申し上げておることはそういうことではないのであります。現在MSAの協定があり、防衛庁としていろいろ今長官お話のような点について協議か行われておるであろうということは、これはもう常識的に疑いを入れないのであります。私のお伺いしたいのは、この前の、外務大臣がアメリカに行かれて向うとの話し合いの結果、意見が一致したとして発表されておる中に、現行の安全保障条約をより相互性の強い条約に置きかえることを適当とすることについて意見が一致した、で、このような条約を締結することを目標にして東京において防衛問題に関する日米両国代表間の協議を行うべきことと、こうあるんです。言いかえれば、今長官のお話のような問題でなくて、現在の安全保障体制というものをより相互性の強いものに変える必要がある、それは両方の意見が一致したと、その条約を締結する目途でですよ、協議を進める、こうあるんであります。二年間、今日までの間にこういう問題について相当の検討協議が行われてきたのか、全然それはたな上げになっておるのか、その点であります。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(小滝彬君) 安保条約そのものについての交渉はもちろん外務省の方でやる仕事でありますが、私どもの方はその基礎を作るという意味において、共同防衛の措置としてはどういうことをするか、どれだけの限度を日本に引き渡すかというようなことが、結局この安保条約をより双務的なものにする基本となると考えますので、そうした面について技術的な検討をいたしておる次第であります。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 共同声明にありますより双務的なものにするという意味において、それを目途とした私は両国の間の何といいますか、検討はまだ行われておらないと思います。私の記憶いたしまする限りでは。

梶原茂嘉緑風会

○梶原茂嘉君 私もこれまでの国会におけるいろいろ審議の過程等から見まして、こういう重要な問題について東京において協議が行われていたようには実は思われないのであります。しかしこの前、重光さんが、外務大臣が訪米されたときの最も大きな問題は、やはり安全保障体制の一つの、何といいますか、転換の問題であったと思うんです。今度岸総理が行かれるにつきましても、この問題がおそらく非常に重要な一つの議題であることは間違いない。そうすればこの二年間に両方とも、保守党の案に……基本的な方針に相違はないんです。そうすれば二年前に一応意見が一致して、具体的に一つそういう目途で協議をしようじゃないかという段取りになっておったものが、何ら進展を見なかったというのは、一体どこにその原因があるのか、わが方の考え方によったのか、あるいはアメリカの方の考えでしばらくたな上げにしたといいますか、伏せたのか、その点について私ちょっと理解に実は苦しんでおるわけなんです。もし何らかそういう協議がこの二年間において、内閣は変りましたけれども、適当に進んでおれば、今回総理が行かれるにつきましても、相当はっきりしためどといいますか、これがあるんじゃなかろうか。そうでなければ、二年前と同じような事態にまた立ち戻るような感じもするので、一体どうなったんだろうかという疑問が私にあるわけなんです。それで実はお伺いしたわけなんです。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) なお、その間の事情につきましては、もう少し当局を何して調べました上でお答えいたします。

梶原茂嘉緑風会

○梶原茂嘉君 それからいま一つそれに関連して総理の御見解を伺いたいのは、本文の方の、先ほど私が読みました点でありますが、日本ができるだけすみやかに自国の防衛のための第一次的責任をとることができ、かくて西太平洋における国際の平和と安全の維持に寄与することができるような諸条件を確立するため、実行可能なときはいつでも協力的な基礎に立って努力することに意見の一致ができ、またこの諸条件が実現された場合には、現行の安全保障条約をより相互性の強い条約に置きかえることが適当であろうということについても意見が一致した。こういうことについて、これは二年前の意見の一致でありますが、現在でも総理は同じ意見を持っておられるのか、当時と同じ意見を持っておられるのか。その間二年間経過しておって、諸般の情勢なり条件というものは若干推移があったわけです。従って現在においては、当時のこの日米間に一致した見解、意見について若干現在は異なる意見を総理はお持ちになっておるのかどうかという点であります。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) お答えいたします。私も実はこの共同声明が作られます基礎となったダレス国務長官と当時の重光外務大臣との会談には、そのおもなるものには参加しておりましたから、当時の事情をよく承知しておりますが、根本の考え方は、これに今盛られておるように、やはり日米共同防衛の制体によって日本の安全保障をやる。しかし安保条約が作られた当時の事情と一昨年の事情も、ある程度の変化はあるけれども、まだ直ちにこの改訂をするというような段階まできているほど事情は変化しておらない。ダレス国務長官みずからも、自分が安保条約を作った当時の考え方からいって、これを永久に日本にこの条約だけで行く考えじゃない、事情が変ってくれば、その事情に応ずるようにしなければならぬけれども、今の日本の憲法から見ても、完全なる双務的なものにするということはとうていこれは不可能であろうし、いろいろなことを考えてみるというと、決して双務的とか不平等を平等にするとかいうような抽象的なプリンシプルで改訂することは適当でない。むしろ実際の運営の面から、われわれ経験するところの運営の面から見て、不適当なことをより適当に改訂するという意味においてこれが検討がされなきゃならぬということについては、自分としてもそう思っておるというふうな考えであったと思います。そういう考えの基礎に立ってこういう共同声明が出されたと思いますが、私自身もその後の今日の状況を見るというと、その後さらに日本の防衛力というものは、いわゆる漸増方針で年々増強されてきておりますし、それからまた国連に加盟したという新しい事実も、ここに日本の国際的立場の上において大きな変化がきております。そういう見地から考えてみまして、安保条約やこれに伴う行政協定等を一括して、全面的に一つ再検討すべき時期であるというのが私の考えでありまして、それは要するに、日本の安全保障の上からいって、日本の力だけで、自力だけで防衛するということが、それで安全保障ができるという段階にまでまだ達しておらないけれども、少くとも日本が相当程度において日本の安全保障に必要な防衛をアメリカ軍と分担してこれを確保することができるという私は事態にまできている。さらに国際連合に加盟したという事実をおいて、この共同防衛の体制をより合理的な、そうして両国の国民において納得され、また支持されるような合理的なものに改めることが、日本の実情からいい、また日米両国の将来の協力の上からいって望ましい事態にきていると、こう考えておるわけであります。大体の考えは、ラインは、今の共同声明に盛られておるところと非常に相違しているということじゃありませんけれども、今言ったような考え方でこの問題に対処したいと、こう思うのであります。

梶原茂嘉緑風会

○梶原茂嘉君 ただいま総理の述べられたことは、これまでもしばしば本委員会において表明された見解なのであります。ただ私の念を押して伺いたい点は、二年前外務大臣が行かれ、岸さんも行かれたんでありますが、その際に、現行の安保条約はこれを双務的のものに一つ置きかえるということが適当ということに意見が一致して、まあそのためにはいろいろの問題があるであろうから、引き続いて東京で一つ協議を進める、こういうふうになっておった。今の総理のお考えでは、むしろ私の受けた印象は、一歩下っているような、後退といいますか、そのときに持っていくことは、これは将来の問題だ、その前に現行制度を若干の手直しといいますか、納得の行きかねるような点を若干手直しをすることによって、やや納得のいくといいますか、合理的なものに改善したいというふうに受け取れるのです。それはけっこうなんです。大事なことでありますけれども、この前の声明からは一歩後退したような印象を相当強く私どもは受けるのであります。やはりせっかくこの前岸さんも行かれて、現在の体制というものを一つ根本的に改変することに意見が一致して、一つ検討しようじゃないかという線は、やはりこれをはっきりしてかかるべきじゃないか、こう思うのでございますけれども、もう一度一つ簡単でけっこうですけれども……。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 私は別に後退しているとも考えませんが、ただ言葉として双務的ということにはいろいろな、考えようによると誤解を生む性質も含むものでありまして、私がそれをより合理的なものにするという言葉は、言葉としては使っておりますけれども、内容的に後退したつもりではございません。

梶原茂嘉緑風会

○梶原茂嘉君 私、次に北鮮の問題とヴェトナムの問題を簡単にお伺いしたい。中共に対する政府の態度はきわめて、いろいろの批判がありましょうけれども、明確に打ち出されておる。遠からず韓国との間に国交正常化の会談が開かれるであろうということも期待されておるのであります。この北鮮に対してどういう態度をとるのか、中共に対して同じように、文化の交流であるとか、あるいは経済交流というものをやはり促進せしめていくという態度をとるのか、あるいは韓国との関係でしばらくの間そっとしておくという考え方をとられるのかどうかという点が一つ。それから今後、東南アジアの方に行かれるのでありますが、ヴェトナムの問題で、先般の国連ではわが方は南ヴェトナムの国連加入を支持したように私は承知しておるのであります。これは間違いであったら御指摘を願いたい。ところで、一昨年行われましたパンドンにおけるAA会議においては、やはり南北それぞれのヴェトナムの国連加入について相当問題があって、結局AA会議の結論としては、統一されたヴェトナム、ヴェトナムを一つとして国連に加入することを支持しようというふうに結論が出ておったと私は思うのであります。この点は東南アジアにおきましては私は相当微妙であり、しかも重要な問題と実は考えておって、むしろAA会議における——AA会議はもちろん御承知のように日本政府も正式に参加した会議でありますが、そこで一応の結論を得たのでありますがむしろ私はその方がいいんじゃないかと実は思っておるのであります。このヴェトナムに対するわが方の態度といいますかを、簡単でけっこうですから一つお示しを願いたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 韓国との間におきましては、御承知のように過去に行われた正式会談が妥結に至りませんで、国交が回復されない状態にございます。南ヴェトナムと日本との間には正式の外交関係が結ばれておりまして、互いに大使を交換しておるという状況でありますが、この朝鮮及びヴェトナムにおけるところのそれぞれの国において民族が二つに分れておるという形になっていることは、これは非常に望ましくない状態であることは言うを待ちません。しかし、何の方といたしましては、おのおのが互いに、北も南も、要するに全ヴェトナムに対して自分たちが正当な政府であると主張し、朝鮮についても同じような主張が両者において行われて、そうして不統一の状況が現実の状況でございます。これをどういうふうに扱っていくかという問題は、私は相当むずかしい問題だと思います。いろいろな意見も出てくることだと思います。しかしヴェトナムについては今言ったように、すでに国交が南ヴェトナムとの間に正常化されて、これを承認し、これとの間に大使を交換しておるというような友好関係ができておりますから、これが国連に加盟するというこの案を日本として支持したというのは、そういう関係に基くものだと思います。韓国につきましても同様な問題があるのでありますが、今の現状から言うというと、この両地ともこれを民族的に統一して一つのものにするということは、事実上ほとんどむずかしいような状況にあるというのが現実の状況だろうと思います。理論としては、バンドン会議みたいに、AAグループの言っておるような理論が私は理論としては正しい。しかし現実の問題として、とにかく国として承認し、外交関係ができているものの国際連合への加盟というものを支持するというのは、私は国際間においては当然じゃないかと、かように考えております。

梶原茂嘉緑風会

○梶原茂嘉君 そういうお考え方ももちろんあろうと思います。ただ、しかしながらヴェトナムについては、しかも現在の段階じゃ非常に困難なことだと思いますけれども、やはり南北統一の方向に進めることを、何といいますか、われわれとしても協力すべきではなかろうか。従って分れた片一方を国連に入れるということが、かえって統一というものに支障を与えるということが、先般のバンドン会議における、いわゆる統一されたヴェトナムを入れようじゃないかということになった理由であると思います。非常に問題が微妙でありますから、十分一つ御検討を願いたいと思います。  それから最後に私、防衛長官に簡単にお伺いしたいのでありますが、今度の艦船建造の資金の受け入れば、あれはMSAによるのかどうか。おそらくMSAの協定によっては資金の受け入れというものは私はないであろうと思う。そうすると一体どういう根拠になるのかという点であります。防衛庁の中に受諾調達事務ですか、それに関する権限を与える改正が行われた。これは防衛庁自体にそういう調達事務ができるという権限を与えただけであって、直ちにそれで資金の受け入れができるということにもなるまいと思います。何かMSA協定自体を改正するとか、そういう必要がありはしないかという感じが実はするのでありますが、一つ御見解を承わりたいと思います。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(小滝彬君) MSA協定の第一条によって、でき上った艦船二隻を日本が受け取るのであります。今度の金の受け入れば、受諾調達契約というものを、御審議を願って予算も、またこの特別会計法も通過いたしましたら、その現金によってその契約を——一種の私契約でありますが、そういう契約をして、向うの方はドルで支払いの義務を負う、日本の方は調達してこれを米側に引き渡す義務を負うわけであります。そして引き渡してしまったならばアメリカは、それはほとんど即刻に今度は日本側へMSA協定第一条によって提供するということになりますから、資金の方は、今度御承認を得ました法律に基いて、防衛庁が取り扱う事務として、向う側と契約して、その契約に基いて支払われるわけであります。そこで防衛庁の方ではそういう経理をする機関はないじゃないかという御心配があるかもしれませんが、現実の問題といたしましては、四十七億をすぐ積んでおくというようなものじゃなくして、出来高に応じて、毎月防衛庁と下請業者との間に契約がありますから、それの契約によって調達する、そしてこの製作程度に応じ、あるいは資材を買い入れた程度に応じまして、向うから請求書をよこす、それをよく防衛庁の係官が点検いたしまして、差しつかえない場合はこれを証明して先方側へ渡しますと、先方の契約担当官、これは横須賀に向うの海軍の者がおりますから、それを見て、差しつかえないという場合にはアメリカの支出官の方に渡す、支出官の方は、こちらから出しました書類、私どもの作ろうとする契約によれば、出来高の九〇%に当る額をドルの小切手で払うわけであります。それは防衛庁において直ちに日本銀行でかえれば、手数料を取られないで、一ドルは三百六十円にかえられまするから、それでもって下請業者に払う。最後の締めくくりの際には、進行の過程においては九〇%程度くらいしかもらっておりませんから、最後の引き渡す段階において精算をして全部それを下請業者に払う。こういうような仕組みにいたす考えであります。

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) 梶原君、時間が経過いたしました。

梶原茂嘉緑風会

○梶原茂嘉君 簡単でありますが、防衛庁との関係においてはこれは完全な私契約である、こういうふうになる。そうするとなお防衛庁自体が調達事務を、私契約で請け負って、発注して作っていく、それにいろいろ事務費その他の経費がかかるわけであります。それはアメリカからくるのですか。別個の予算で処理するのですか、それだけです。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(小滝彬君) 事務費の方は向うからは受け取らない。ドルで受け取りまするのは、直ちにもってこれが円にかえられて、下請業者に払われる額に限りされることにいたす考えでございます。そこで、私どもの考えといたしましては、これは結局防衛庁の方で使う艦船であり、またこれを間接調達によるため防衛庁としてはいろいろ設計とか新しいいろいろな資料も入手できるので、その方は防衛庁の事務費でまかなう考えでございまして、今年度は、大体三百五十万円くらい要るのでございますが、これは防衛庁の行政事務を取り扱う費用の中から支出し得る限度のものでございまするので、それは既定の経費でまかなうという予定でございます。

梶原茂嘉緑風会

○梶原茂嘉君 わかりました。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 先ほど御質問がありましたより双務的なものにするために、日米両国でそういう検討する機関を作るという話につきましては、その後両国で具体的の構成等について話をしたらしいのですけれども、まだ両方にも異論があり、進まないなにがあって、一口に言えば、機運熟せず今日に至っておるという状況でございます。

千田正無所属クラブ

○千田正君 今同僚梶原委員からの御質問のうちに、世界両陣営の対立が激化したではないか、前外務大臣の重光氏が演説に当りまして、そういう言明があったが、首相はどうお考えになるかというお問いに対しまして、御確答がなかったようであります。私も以下お尋ねする関係上現在の情勢の分析を首相としてはしっかり持っていただきたい。かような観点から、現在世界両陣営のあり方について、今どういうふうになっているか、どういうふうな観点に首相は立って、今後アメリカに行かれ、あるいは東南アジアに行かれるかという点からいいましても、御所信を承わっておきたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 世界情勢の分析につきましては、いろいろな見解のあることは当然でありますが、私自身の考えとしては、大きく全体の傾向として、いわゆる緊張激化の方向に進んでおるような私は考えを持っておりません。いろいろな事態はもちろんありますけれども、大きな流れとしては、非常なテンポでもって、緊張緩和の方向に進んでおるとも私は決して考えておりませんが、方向はいずれかといえば、激化の方向か緩和の方向かというならば、私緩和の方向に進んでおる、こういう見解をとっておる、これはあるいは国連におけるところの軍縮会議のこの経過に見ましても、あるいはまた東欧やあるいは中近東等において起った事態の収拾につきましても、いわゆる緊張対立が激化し緊張の度を加えるというならば、それはまあ一言にいうならば、戦争、熱戦の方向に何か非常に危険性をはらんでおると、こう見なければならぬのでありますが、各国とも戦争を避けて、何とかこれを平和的に処理しようというこの傾向は、私は大きな流れとしてはその方向に向っておると、こういう見方をいたしております。

千田正無所属クラブ

○千田正君 ただいまの総理大臣のお答えはまさに私もそういうふうに感じておりますので、非常に共鳴いたしますが、先月十八日ロンドンで開かれておりますところの国連軍縮小委員会におきまして、さらに本日もあらためて開かれておりますが、この会議において、米、ソ、中、英、仏、この強国におけるところの兵力の縮小という問題につきましては、第一段階といたしましては、ソ連、アメリカ、中共とこれが二百五十万に縮小し、それからイギリス、フランスは七十五万、並びにこの兵力縮小に伴い軍事設備、その他の施設においても縮小しておる、第二段階においては九カ月経ったならば、さらに一五%縮小して合計二五%の縮小をする、こういうふうに私は外電並びに新聞等において承知しておりますが、この縮小に伴い、いろいろな問題が今後日本の防衛計画に相当関連を持つのではないかというのは、二百五十万縮小すると、一面私は日本における国連軍や駐留軍の撤退というものは、アメリカの総合軍隊のうちからいえば、一面において軍縮である、その一方日本においては防衛態勢の強化であると、私は考えざると得ないのであります。例としましては本日提案されておりますところの駆逐艦の供与、こういう問題も一応それに関連するような考えもされておりまするが、アメリカの軍縮と日本の防衛、自衛強化という問題には何ら関係がないかという点につきまして、首相のお考えを承わりたいと思うのであります。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 日本は防衛力漸増の方針をとって今日までやって来ておりますが、しかしこのいわゆる防衛庁の試案なり計画がかりにその通り成就いたしたといたしましても、それはもちろん日本の安全保障の上から申しますと、これで十分であるとかあるいは十分に近いものであるとかいうような程度のものでは実はないのであります。従いましてこの軍縮の傾向これ自身が直ちに日本の防衛計画のどこをどう修正しなけばならぬというふうなところまで及んで来るかどうか、なお一そう検討を要する点があると思いますが、私自身の感じから申しますと、当然日本の今までやって来ておる防衛計画というものを相当大きく変更しなければならぬような事態とは私思ってはおりません。ただいろいろな国際情勢とにらみ合わせて、これを常時検討するということはもちろん必要であると考えております。

千田正無所属クラブ

○千田正君 ただいま世界の大国が軍縮に向っておるときに、日本の国内態勢としましては、現在の状況では満足ではない、自衛態勢は満足でないとするならば、私はなぜ満足でないという点を、防衛庁長官に承わりたいと思うのであります。ただいま総理からは世界の各国が軍縮会議において軍縮しようとしておる、しかし日本の立場から言うと、それはまだ自衛態勢は満足でない、然らばその満足でない一つの理由としては、やはり日本に何らかしら脅威を与えるものがなければ、そういう観点が生れて来ないと思う。午前中において同僚の中田委員から長官に、然らば各国の兵力はどうかというお尋がありましたが、簡単に極東の軍の配置だけ申されておったのでありますが、私はこの際日本の防衛態勢というものを確立するとするならば、少くとももっと詳しい資料をお持ちであると思いますので、日本がなぜ各国が軍縮しなければならないときに、日本の国だけが防衛態勢をもっと固めなければならないか、その理由として各国における兵力はどれだけあって、どういう脅威を日本に与えるか、その点をあなたがはっきり認識していなければならぬと思いますので、この際、お答えを願いたいと思います。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(小滝彬君) 軍縮の努力を行われておるということはまことにけっこうなことでありますが、今の世界の情勢というものは私どもはそう急変するものではない、やはり日本のようにほとんどゼロに近いものからスタートしたものは、国民に安心感を完全に与えないまでも、最小限度の備えをしなければならないという気持で、その漸増をはかっているのであります。今各国の軍備の状況を詳細申し述べろということでございまするが、これはあるいは資料として差し上げた方が適当かと思いまするので、ここで長々述べることを差し控えたいと存じます。

千田正無所属クラブ

○千田正君 それでは資料でけっこうでありますが、午前中のお答えのうちに陸軍と空軍のお答えがあったようでありますが、海軍、艦船のそういう問題について触れておらなかったのであります。もしここで簡単でもよろしいですが、お答えができますれば、お願いいたします。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(小滝彬君) 極東におきまして、これはもちろん詳細内容を直接関係国から聞いたものではございませんけれども、いろいろ調査せられた結果、あるいは世界の新聞、雑誌に出たところからみますると、ソ連の極東に持っている艦船は大体七百隻といい、主要艦艇がおよそ七十隻、潜水艦については二十隻から百隻というふうに申されております。中共の方は大体三百八十隻、主要な艦艇はあまりたくさんなくて数隻にとどまっておりまするが、潜水艦は約十五隻というように言われております。北鮮、韓国はいずれも艦船の方は非常に少くて、北鮮が二十五隻、韓国が五十隻、国府の方が八十五隻、こういうような状態でありますが、日本の防衛につきましては、特に対港——潜航艇に対する措置をどうするかということが重要であろうと思いまするので、駆逐艦は艦船の護衛の上に、どれくないの船団を組むかによっても、その隻数は違いまするけれども、たとえば三十ぱいの商船がいくとして、そのスピードがたとえば十ノットであれば八隻を周囲に配するとか、いろいろ作戦上の考慮はあると思いまするが、少くともこの潜航艇の存在というものは、今それが日本に向けられる、向けられないにかかわらず、日本の置かれている地位からして、こういう駆逐艦は日本の防衛上最小限必要であるというように私どもは判断をしているのでございます。

千田正無所属クラブ

○千田正君 防衛長官にお伺いいたしますが、本日提案されておりまするところのこの駆逐艦の建造に対してでありますが、このたびは今までなかった供与という立場に立っておるようです。今までの兵器は大体貸与である、貸与と供与、供与といいますれば当然これはもらったものとこう考えてよろしいのですか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(小滝彬君) 従来MSA協定及びそれ以前の極東軍からもらったものは、日本の金額にすれば大体三千億円くらいに上っております。おそらく御指摘の点は艦船に関することであろうと思いまするが、艦船につきましては供与を受けておるものも今まで相当ございます。たとえば掃海艇であるとか、あるいは掃海の母艇あるいは揚陸艇、特務艦というようなものが、相当すでに、ただ単に貸借あるいは貸与の形だけでなしに、提供されておるものも数隻あるのでありまして、これが初めてではございません。

千田正無所属クラブ

○千田正君 私の初めてという意味は、供与という立場において、このたび域外調達という立場から特別会計を設定しなければならない、この点であります。今まであなたがおっしゃったのは約三千億というものは供与されておる、しかし今までは特別会計というこうした制度は設けておらなかった。本日提案された問題の艦船につきましては、特にこの域外買付、調達の受諾に対しての特別会計を設定しなければならない、その理由についてお伺いしたいと思います。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(小滝彬君) 従来日本では域外調達は直接調達の形式をとっております。これは一面から考えますると弊害がございまして、利害も考えないで、日本の受注能力なんかも考えないで、大きな注文がくるというと、かえって経済を圧迫するということもございまして、間接調達がいいという議論がございました。今御承知の通り労務は間接調達をいたしておりますが、しかし物資について間接調達をいたしますのは、御承知の通り初めてでございます。艦艇はこれを作りますのに二年半なり三年かかります。この際直接調達をするということになれば、先方から海軍士官とかあるいは専門家が二年も三年も滞在して、あるいは設計しあるいは監督をし検査をしなければならぬということになりまするので、この便宜を考えましたことが一つ。  もう一つは、間接調達になりますれば、この説明でも申し上げたと思いますが、日本の方で設計することもできる、日本人が検査することもできます。そうして日本の方で設計するということになれば、最近の進んだ設計の原図と申しますか、参考資料も手に入れて、今後日本が艦船を建造する上に非常に役立つ、むしろこれが日本の技術の発達のためにもよろしい、かつまた、将来自衛隊で使うものでございまするから、建造の際にも直接防衛庁の方が関与した方が、かえって日本側にとって有利であるということ。  もう一つは、時期的に先方の予算の、会計年度の関係もございまして、早くこれを決定しないというと、その予算の方が使用し得ないことになりますが、下請業者に直接米国側から注文するということになれば、詳細の設計図などができて確定契約をしなければならぬ、こういう点におきまして信用し得る政府が立てば、その最高限をきめて、それによって米国側としては債務負担行為をなすことができる、こういうような点がございますので、間接調達にいたした次第でございます。

千田正無所属クラブ

○千田正君 総理にお伺いしますが、大体、防衛庁長官から艦船の貸与を通じての安保条約及び協定に対しての一端を伺ったのでありますが、国連憲章第五十一条には、加盟国が自衛権行使に当ってとった措置は、直ちに安保理事会に報告しなければならないという条文があって、国連の安保理事会並びに総会はその報告に基いて処置をしなければならないということは御承知の通りであります。ところが日米安全保障条約及び協定においては、国連に報告しなければならないという規定はないのでありますが、これは今日日本が国連に参加した現在としましては、まことに空文にひとしくなってくる、この点の関連についてのお考えはどういうふうにお考えになりますか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 御指摘のように、この安保条約ができた当時は、日本が国連に加盟しておらなかったために、加盟した今日は国連の憲章をわれわれによってすべての何がされなければならない、その点からみましても、安保条約の検討されるべき——今御指摘になりました点は一つの点である、こう私は思っております。    〔委員長退席、理事左藤義詮君着席〕

千田正無所属クラブ

○千田正君 松下特使が首相の意を体しまして、英国において、このたびの原子爆弾の実験禁止の問題をひっさげて英国の朝野に訴えたことはよくわれわれも承知しておりまするが、一方におきましては、国連におけるところの日本の外交折衝は、原子爆弾の実験禁止ではなくして、むしろこれの事前登録を要求しておるカナダ、ノルウエーとともに三国提案として、ただいま提案されておりますところの問題としましては、事前登録である、一方においては、あくまでも原子爆弾の実験禁止を要望するために特使を派遣され、一方においては国際連合におけるところの、この問題のしかも中心となるべきところの軍縮の会議においては、事前登録という消極的な態度をとらなくてはならないという、この二面の相矛盾した点がありますので、これをどう解決していくかということと、英国だけではなくて、アメリカの関心が非常に薄いのではないか。この点はアメリカの新聞を見ましても、松下特使がアメリカに行ってもあまり反響を呼んでいない。むろん米国におきましても、首相の特使として米国の朝野の各位に松下特使が訴えて、この原子爆弾の禁止をあくまで世界人道のために叫ばれるべきであると私は考えますが、その点はいかがでございますか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 原水爆の実験禁止の問題に関しましては、私は人道的な立場からこれが禁止を全人類のために強く要望しておるものであり、また、原子爆弾についてにがい経験を持っておる日本としては、これを全国民が一致して強く要望しておる、この国民の要望にこたえる意味からしても、これを禁止せしめることに、あらゆる努力を払うべきものと考えております。松下特使をイギリスに送りましたのもその考えであります。今御指摘になりましたように、われわれが国連において登録制を提案しておるということも、理論的に矛盾しておるのではないかというお考え、理論的には私は決してこれが全然矛盾がないとは申しません。しかし、現実の国際情勢を見まするというと、現に最近においてソ連がああいう数回、全然無通告のままこれが実験をやっております。自分の領土内であるからということは、原子爆弾の実験、核の性格上、私は全人類のために許せないと思う。従って、現実にそういう無警告で、無通告でやる場合においては、われわれはただ済んだあとにおいてそれに対して抗議を申し込むというだけでありますが、もしも、事前に通告をされ、事前に登録するということであれば、たとえば、今度のクリスマスで行うイギリスの何に対しまして、われわれが強く抗議を申し入れるとともに、世界も非常に大きな世論を起し、私はこれによってイギリスの今回の実験を中止せしめることが、まだ望みがないという状況でありますけれども、これが全世界の人々に与えること、また、現実にイギリスの首脳者たちに道義的な一つの反省を与えるということは見のがすことができないと思います。事前にこういうことの登録をし、事前にそれが通告されれば、そういう機会が与えられ、これに対して強く反省を求める機会がありますけれども、登録もされず、通告もされず、知らぬ顔で実験をされ、そうして大気はこれによって汚毒されて、全人類に一つの被害を与えておるというようなこの現実を見ますというと、われわれが登録制を提案したということは、実験禁止に向っての現実的第一歩としては、はなはだ不徹底ではあるけれども、やむを得ない現状であるという国際の実情に基いたものであります。決して理想を私はそれによって弱める考えはありませんし、あくまでも理想は理想とし、強く人道的な立場から要求をして、反省を求めることは、これは態度をかえないつもりであります。同時に、現実に即して、一歩々々でもいいから、その方に近づけるところの努力もまたしなければならぬ、こう思っております。

千田正無所属クラブ

○千田正君 けっこうなことでありますが、今度渡米されるに際しましても、首相がその理論の一貫した力をもって、一つ、次の段階における国連の、日本側の主張を十分通していただくように善処していただきたいと思います。  次に、日本は中国、ソ連という大国を隣に控えておって、現実においては完全に国交が回復しておらない、あるいは回復していても、条約がまだ結ばれていない現況におてて、ココム、チンコムの問題についてでありますが、イギリスはすでに御承知の通り、隣の中国に対しては、一昨年に比べて昨年は五〇%の貿易をやっておる。本年は、もう一・四半期におきましてもすでに大体において、昨年度に比べまして二倍の貿易をやっておる。それにもかかわらず、しかもイギリスも日本と同じような自由国家群の中の制約としてのココム、チンコムの制限は、十分に正直に守ってきておるはずであります。にもかかわらず、一方においては東アの市場において英国はどんどん進出してきている。日本は正直に守って今日に至った、この五月にパリにおいて開かれますところのココム、チンコムの会議において、日本は少くともイギリスと同等、そのくらいの緩和したものを与えてもらうような方法をとるべきではないか、私はかように考えますが、首相はどういうふうにお考えでありますか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 昨年度におきまして、日本の対中貿易の輸出の非常に伸びておることも御承知の通りであります。しかし、われわれは一貫してこのココム、チンコムの制限につきましては、それは少くとも第一段の目標としては、いわゆるチャイナ・デフレンシャル、中共に対する特に強い禁輸の制限を、ソ連その他のヨーロッパ共産圏なみの制限にすべきであるということを強く要望しております。この考えは、われわれは一貫して持っておるのでありまして、最近アメリカが中共に対する制限を緩和するということを加盟国に通告をいたしておりますが、内容は、今具体的に検討中でありますが、まだ私どもの望んでいる点まではどうもいっていないようでございます。従ってわれわれとしては、あくまでもこれの緩和の方向に向ってなおそう努力をする、なるほどイギリスが、非常に中共に対する貿易を努力をして増進しておる事実も、私どもよく承知をいたしております。日本が、そういう意味において、現在のままにおいても努力して、まだなお増す余地も私は皆無ではないと思います。また根本に、今のココム、チンコムの制限の緩和の従来の既定方針に基いてこれを緩和していくならば、一そうこれが輸出を増進することができる、そういうふうに努力を続けて参る所存でございます。

千田正無所属クラブ

○千田正君 今度、総理大臣かアメリカを訪問されるに際して、いろいろ重要な案件あるいは問題があると思いますが、午前中の首相の中田議員に対するお答えのうちにありました通り、腹を割って十分に話し合うという気持でいくならば、私はこの際特に強調していただきたいという問題があるのであります。それは、いわゆる沖縄の問題、御承知の通り沖縄が人口がすでに八十万を突破しております。一平方キロ当りの人口密度におきましても三百五十四人、世界最大の状況であって、狭い島に、しかも耕地はほとんど——一二%は兵舎あるいは飛行場に使用されておる。戦争前は一戸当り五反余の耕作地が、今や三反にもならないというような状況で、非常に苦しんでいる。この問題に対して十分アメリカ側と一つ折衝していただきたいということは、少くとも沖縄の主権というものは日本にあるということと、この問題を考えますときに、せめて行政権の一部なりを変更するかあるいは何らかの方向で三権のうちの一つぐらいは、日本側として主張してもいいのじゃないか、われわれはそういう考えを持っておりまするが、小笠原列島とこの問題は、日本の終戦後における最も悲しいところの念願であると同時に、主張しなければならないところの問題であると思いますので、総理大臣がこのたびの渡米に際しましては、沖縄、小笠原列島の問題についてはいかにお考えであるかということを承わっておきたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 沖縄の問題につきましては根本的にいえば、施政権は日本に返還してもらうというこの究極の目的が達せられなければならぬと思います。これについては国会のすでに議決もあることであり、アメリカ側に対しても日本の意思は通告してあるわけでありますが、従来の例に見まするというと、御承知のように極東におけるこの緊張が緩和しない限りにおいては、今のステータスを変える意思がないというのがアメリカ側の言い分であります。この問題については第一、一番問題は、今御指摘になりましたような現実の問題として土地問題が非常な問題であります。そうしてこの点については私は沖縄における土地問題というものをアメリカの広い場所における土地問題と同じような観念で考えておる節がまだあると思います。今御指摘のありましたように、沖縄においてはかえ地のない、そうした土地問題であると同時に、ある意味からいえば人口問題でもあるという性格を十分にアメリカが認識して、これに対するもう少し合理的な、より有効な方途を講ぜしめなければならぬということは言うを待ちませんが、しかし同時に目的としてはやはりわれわれが潜在主権を持っておる沖縄に対して、現実の施政権というものを、これはいろんな段階的なことを考えなければならぬと思います。一時に全部を返すということはわれわれの望みではありますけれども、なかなか実行する上からいうと、少くともその方向に、返す方向に向って一歩でも前進していくというこの心がまえを持って、この問題は折衝しなければならぬ、また小笠原の問題につきましてはすでに問題になっておりますように小笠原にかって住んでおった住民の帰島問題がございます。この問題かまだ全然未解決であるのでありまして、その問題をどうしても解決するということは、これは小笠原の人々の非常な念願であると同時に、また日米間における私はこの友好関係を将来に強化していく上からいっても、今のような状態ははなはだ私は遺憾な状態である。この問題につきましても、現地住民の要望を体して日米の関係を調整することに努力をいたしたいという考えでございます。

千田正無所属クラブ

○千田正君 今度の渡米に際しまして、もう一つの大きな懸案があると思います。それは日ソ国交が回復したといいましても、現実においては、いまだ領土権という問題が懸案になっておるということであります。昨年九月日ソ交渉が領土問題で暗礁に乗り上げましたときに、アメリカ側は南千島の領土は日本のいわゆる固有の領土であるというまことに援護的な言明をされたことは御承知の通りであります。さらにこの問題が暗礁に乗り上げた最中に、スエズ問題が勃発しまして、重光外相がロンドンに参りましたときに、当時のダレス国務長官との会見の際、ダレス国務長官は、もし日本がソ連に南千島を譲るようなことがあったとするならば、平和条約第二十六条によって米国もそれ相当の領土を要求するというような意味の、ある意味においては好意的な言い方であり、ある意味においてはアメリカ側の強い主張を明示されたのでありますが、この懸案となっておりますところの日ソ間の領土の問題、この問題はかっての終戦当時ヤルタ会談あるいはポツダム宣言において当時者であったアメリカでありますので、特にこの際渡米に際しましては、この懸案を解決していただきたいということを私はお願いするのでありますが、首相のお考えはいかがでありますか、お伺いいたします。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 南千島の日本の固有領土であるということはわれわれ一貫した主張でございます。またこれがモスコー会談に関連して、アメリカ側においてもその主張を認めたことも今千田委員も御指摘になっている通りであります。しこうしてこれが日本への復帰、日本の領土権として領土主権が認められるということは、日本の国民の等しく強く念願しておるところでございまして、サンランシスコ条約にも関連を持つものでございますし、また極東における緊張緩和の意味から申しましても、日ソの間に私どもの主張を入れた平和条約ができることを念願しておるわけでございます。しこうしてこれをただ日ソ間だけでいかに話し合いましても、今の現状においては昨年と同じ主張を両国とも繰り返すに私はすぎないと思います。従って二面においては、両国の友好関係を積み重ねて、日本の国民のこの考えをソ連も十分に同情を持って理解するように進めていくことも必要でありますが、さらにアメリカその他このサン・フランシスコ条約に加盟しておる有力な国々の間に理解を深め、それの協力のもとにわれわれの念願を達するという方法も考えていかなきゃならぬ。アメリカに参りますれば、領土問題に関連してそういう点についても話し合いをいたしてみたいと考えております。

千田正無所属クラブ

○千田正君 あと二点だけお伺いしますが、一つば先般倭島インドネシア公使を首相が召喚されまして、インドネシアにおける現況をおそらくおただしになったろうと思います。現在のインドネシアは今後とも賠償の相手国として信用に足るような状況になっておるのかどうかということ、今後、日本とインドネシアの間にこういうような問題がはっきりしないというと、幾多の問題が起きてきております。先般も漁船の問題等いろいろの問題が起きてきますので、現在インドネシアの状況はどうか、将来交渉するに足るところの政情に復しておるのか、あるいはこういう状態になっておらないのかというこの一点と、もう一つは、これは聞いてよろしいかどうか非常に私も迷ったのでありますが、先般私も東南アジアを視察した関係上、本日スラワルディ・パキスタン首相がおみえになっておりますが、われわれ東洋民族の一人として考えますときに、インドとパキスタンのこの争いというものは、一つのカシミール平原を中心としたカシミールの帰属の問題について、まことに悲しい苦闘をお互いに繰り返しておる。これは国際連合におきましても、世界のあらゆる関係国がこの問題の処置に対して何らかの方法を見出そうとしておるのでありますが、日本といたしましてインドに対しても友好国、パキスタンに対してももちろん友好国でありますので、この問題をめぐって将来あるいは東洋におけるところの火薬庫はカシミールでないかという問題さえも叫ばれている今日でありますので、日本としての立場から十分に両国の間のあっせんをするだけのお考えがあるかどうか。その点を、この二点だけ伺っておきます。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) インドネシアの新たにできましたジュアンダ政権の将来の見通しにつきましては現在御承知の通り非常事態の宣言をされております。それはごく短期間で終るような見通しでありまして、インドシアにおけるところのジュアンダ内閣はスカルノの特別の意図のもとにいわゆる超党派的に人材内閣として作られておるのでありまして、今日までの経過を見まするというと、ジュアンダ内閣の地位は漸次強化され、安定の方向に向っておるようであります。私は、ジュアンダ首相自体が、この賠償問題についてはずっと前から関係もありますし、この問題の理解も深いことでありますし、また、インドネシアとの間に賠償問題がいつまでも長い懸案になっていることは両国のために遺憾でございますので、このジュアンダ内閣を相手にこの問題を折衝し、解決するように努力をいたしたいと考えております。  また、インド及びパキスタンの間のカシミールを中心にしての係争問題は、御意見のように、私は非常に現在の状態は遺憾であると思います。これに関しては、国連が中心となってこれが平和的解決に非常に努力をいたしております。今調査団を送って調査をしておるという状況であります。国連が、その調査の結果に待って、国連のあっせんによってこれを平和的に解決するという努力を続けております。わが国としては、国連の一員として、国連のこの考え方、この努力に対しては協力をいたしまして、これが平和的に解決されるように努力することが適当であると、こういうふうに考えております。

千田正無所属クラブ

○千田正君 農林大臣にお伺いいたします。  最近農林省内におけるところのいろいろな不正事件が次から次へと世上をにぎわしておりますが、ただいま問題となっておりますところの全購連の問題については、その及ぶところ、農林省にもきておる。しかしながら、これは司直の手によって目下裁かれるところにいくかどうか、今後になってみなければはっきりしませんけれども、いずれにしましても、日本の農民の最大の目標であった、いわゆる支柱であったところの経済連の一部であるところの購買連が、ああした形においてまことに醜い姿を露呈したということは、日本の農民の失望はもとよりのこと、私は、今後におけるところの農政に非常な影響を及ぼしたことは論を待たないと思います。ただ、今後において再建の方法を考えなければならないが、農林大臣といたしましては、この今日の状況をどういうふうに収拾して、どういうふうな再建方法をもっていくか。役員は改選されたようでありますけれども、役員の改選だけでは問題は解決できない。私は、この際農林大臣はきぜんとしてこの問題にメスを入れて、真に農民の信頼に足るところの連合会を建設するべき責任があると思いますので、農林大臣からこの問題についてのお答えをいただきたいと思います。

井出一太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(井出一太郎君) 現在、農業協同組合がますますその組織を強化し力を発揮しなければならない段階にありまするこの際、今回のような事件が発生いたしましたことは、まことに遺憾でございます。同時に、これが農林省内部にも不祥事を巻き起しておりまする点は、私も非常にその責任の大きいことを痛感しておるわけでございます。問題は、ただいま捜査過程にございまするけれども、当面、これを単に全購連だけの問題としてでなく、農協全般の問題として考えなければならない。こういう観点から、先般、全国中央会の荷見会長ともよりより話し合いをいたしておりまして、農協再建委員会とでもいうべき一つの構想を示唆いたしたわけでございます。なおまた、今回、全購連の役員が改選になりましたので、本日、山田会長ともとっくり話し合いをいたしました。さような次第でございまして、全農民の信頼を回復すべく、ほんとうに組織と密着をした、そして農民の感覚の上に立った農協のあり方というものを再検討しなければならないと考えておるわけでございます。これに関しましては、農林省といたしましても、あらゆる力を傾倒いたしまして協力を惜しまないつもりでございます。と同時に、役所部内も相戒めまして、あるいは職場紀律を直すあるいは人事の停滞を一掃するというような方面において、この引き続いてのいろんな事件を起しましたこのことにかんがみまして、信頼を回復すべく鋭意努力をいたす所存でございます。

千田正無所属クラブ

○千田正君 いずれこの問題は農林委員会等において、なお詳細にわたってはお答えをいただきたいと思いますので、きょうは時間がありませんから、これで……。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 総理にお伺いいたします。  最初に、原爆実験禁止の問題について伺いたいと思います。松下特使がおいでになりまして、イギリス、アメリカをお回りになっての感想を新聞紙上で拝見いたしますと、大体三つの点を中心にお話があるようであります。第一は、国際司法裁判所に提起の問題。第二は、科学的資料の整備。第三は、世界の世論にこれを訴えるというふうなお話がありました。この線に沿って私伺いたいと思うのですが、御承知の通り、国際司法裁判所提起の問題は、通常に申せば、相手国の同意が必要であるわけでありますが、果して、英米ソ等の同意が、実験禁止に関する提訴に同意が得られるかどうかという点は、これはなかなか見通しのつかない問題であります。そこで、総理にお伺いをいたしたいのですが、御承知の通り国際司法裁判所規程の三十六条の二項には、いわゆる選択条項がありまして、この条項の受諾宣言をしておる国を相手とすれば合意なくして提訴ができる。こういう規定があるわけであります。日本はまだこの選択条項の受諾宣言をいたしておりませんから、今直ちにこの方法をとるということはこれはできないのでありますが、しかし、日本政府がこの受諾宣言をするという決心さえつけば、今日にでもこの宣言をなし、かつ、相手国の同意を得なくて国際司法裁判所に原水爆実験禁止と国際法との関係についての提訴はできるわけでありますから、まずこの受諾宣言を日本がなぜなさらないか、せられるのがいいのではないか、こう思いますので、その点を伺っておきたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 国際司法裁判所に提訴するという問題につきましては、今、八木委員のお話のように、国連の勧告決議を求めるという方法もございます。また一方、ロンドンの軍縮小委員会において日本の政府の所見を求められておって、私どもの方からも所見を提出いたしております。この審議がどういうふうな結論を得ますか、われわれとしては見守っておるわけであります。そういう軍縮会議の結論ともにらみ合せて、われわれとしては、今、御指摘の点につきましても検討を加えたいと思います。今直ちにそういう宣言をして、司法裁判所に提訴するという方法をとるという、私はまだ結論を得ておりませんけれども、十分一つその点は今申しましたような軍縮小委員会の決議、審議の結果等もにらみ合せて、今お話の御意見の点につきましても検討をいたしたいと考えております。    〔理事左藤義詮君退席、委員長着席〕

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 かつて吉田内閣の当時に岡崎外務大臣が、自由民主国家のために原水爆実験にはむしろ日本としては進んで協力するというふうなことを、ある会合の席で言われたということを私は新聞で拝見しまして、非常に実は憤慨をいたした次第であります。しかるに今の岸内閣、ことに岸総理は、この原水爆実験禁止の問題については非常な熱意を示しておられまして、この点に対しては国民感情の上から満腔の敬意を表しておるわけであります。  そこで私は、この問題は、日本がこの原水爆の洗礼を受けた最初にしてかつ最大の被害者でありますし、その影響するところはわれわれの子孫また人類全般の問題でありますから、あらゆるチャンスをとらえて、この問題については熱烈に日本が世界の世論を喚起する必要がある。かように思いますので、その観点から実はお伺いをいたしておるわけでありますが、国際司法裁判所に提訴するということは、やはり一つのきわめて有力な手段であると思います。松下特使のイギリスでの所感として新聞に伝えられているところによれば、イギリス人というものは非常に法理論について敏感であるから、国際司法裁判所に提訴するということがきわめて有効であろう。かような意見が出ております。  そこでただいまは勧告等のお話がありましたが、勧告の問題だけではなしに、相手国の同意を得なくて、しかも提訴できるという国際司法裁判所規程の三十六条の二項による選択条項による提訴を私申し上げておる次第でありまして、この問題については松下特使が国際司法裁判所の首席判事であるハックウォースという方との会見談も新聞に出ておりますが、ハックウォース氏は、原水爆の実験は人類のためによくないから、これは訴訟を提起すれば勝つ見込みがあるということを言っておられますし、これによっての提起は日本としては、ただこの選択条項に対する受諾宣言さえすれば、相手方の同意なくして、直ちに提訴できるわけでありますから、これは岸総理がいろいろ軍縮委員会等の情勢を見まして——というようなことをおっしゃらずに、直ちに受諾宣言をされまして提訴されることを私は強く要望したいと思うのでありますが、重ねてこの点をお伺いをいたします。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 私が、この原水爆実験禁止に対して、国民の強い要望を体して、全人類のためにこれが禁止を各国に強く要請しなければならない、あらゆる合理的有効なる方法をとらなければならないということを申しておりますので、今の点に関しましても十分一つ真剣に検討をいたすことにいたしたいと考えます。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 おそらく検討の結果は受諾宣言方式を採択されると、こう私は思うのでありますが、そのときに、話ば少し進むようでありますけれども、提訴の問題として日本で取り上ぐべきものは次の二点であると思います。  その一点は、原水爆実験そのものが人類に害を与えるおそれがあるから、国際法の違反ではないかどうかということであります。これは御承知の通りに一九五一年の集団殺害罪の防止及び所罰に関する条約から見ましても、あるいは毒ガス細菌等の禁止に関する条約の精神から考えましても、当然問題になり得ると思うのでありますから、まずこの点を提訴の問題の第一点といたしたいと考えます。  第二点は、御承知の公海自由の原則と原水爆の危険区域の設定との関係についての問題であります。つまり原水爆の危険区域を設定して、これが広範囲にわたり、かつ長期にわたるということは、公海自由の原則に反するから国際法違反のおそれがあるという点を問題として提起したい。  こう考えるのでありますが、この二つの問題を強く取り上げられるというお気持はないかどうか。重ねて伺っておきます。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) この司法裁判所に提訴するという問題は、全体として私は真剣に検討いたしたいと思いまして、もし提訴するという、そういう結論を得るならば、今、八木委員の御指摘になりました二点は、まさにその提訴の理由の有力なものであると私は信じております。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 次に先ほど総理もちょっとお触れになりましたが、国連総会の三分の二つの同意を得て、国際司法裁判所に勧告決議を促すための努力をされたいということをお願いしたいと思うのでありますが、東南アジアあるいはアメリカ等各国を近く歴訪されるわけでありますから、この秋の国連の定時総会にぜひこの勧告決議が成り立つように、あらゆる努力を払っていただきたい。むろん各国訪問もきわめていいチャンスと思うのでありますが、そのチャンスのみならず日本の各国駐在の大公使、出先機関を動員して、この勧告決議が採択されるようにあらゆる努力を払っていただきたい、かように考えるのでありますが、この点いかがお考えですか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 御趣旨につきましては私も全然同感であります。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 次に、科学的の資料の表づけについてお伺いをいたすのでありますが、松下特使の新聞記者諸君に語れらたところによりますと、アメリカではリビー博士の実験報告が決定的にアメリカの国民に対する考えを、実験禁止は心配ないという気持をもたす有力な根拠になっておる。ダレス長官等もこのリビー博士の検査結果を信用しておるがために、実際には、日本は感情的にいろいろなことを言うけれども、科学的にはそう大した影響はないのだと、こういうことを言っておるということを言っておられますが、果してこのリビー博士の資料を反駁するだけの資料が日本にないだろうか。これをあるいは文部大臣なり、あるいは厚生大臣なり、あるいは科学技術庁の長官なりに伺いたいと思うのですが、いかがでありますか。

宇田耕一自由民主党経済企画庁長官・科学技術庁長官

○国務大臣(宇田耕一君) 放射能の影響調査につきましては、ビキニの灰の前後から科学的な調査を始めております。従って、それの汚染度につきましては、日本はアメリカに次ぐ世界的なデータを持っております。それは四月の七日の国連の原子力に関する、そういう関係の会議に参りまして、檜山教授その他が説明をいたしております。その説明の内容は、向うへ行くまでは秘密にいたしておった面もあったように思われますが、必ずしもアメリカで発表されたような内容と同一のものではない。やはり相当ストロンチウムその他については、われわれが注意をしなければならぬものである、こういう報告があります。従って、もう近日、その都築博士あるいは檜山博士が帰って参りますから、その報告を正式に聞いて対策を立てなければならない、こう考えております。ただ水爆実験は、ビキニのときの爆発の状況と今回のとは、少し趣きが違うということでありまして、それによって起る影響というものは、どういうふうな諸方面への影響がくるかということについて、まだ的確なる判断が下し得ないというような技術的な面が多々ありますので、日本の学界におきましても、どういうふうな影響があるかということについての具体的な、学問的な考え方については、発表する段階に参っていない、そういうふうな報告を受けております。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 アメリカでは、俗にいう「きれいな水爆」であればさような心配はないと、こういっておるのでありますが、今の都築博士が持っていかれた資料というのは、それを反駁するだけの材料を持っておりますかどうですか、伺っておきたい。

宇田耕一自由民主党経済企画庁長官・科学技術庁長官

○国務大臣(宇田耕一君) 都築博士の一行の持っていったものは、それに対して断定を加えるだけの十分な資料にはまだなっておらないと、こういう報告を受けております。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 日本遺伝学会等の報告は、突然変異を起して、それが人類に大部分有害である、従って、この原水爆の実験そのものは、人類の将来に対して非常に有害であるということの報告が出ておりますが、この報告と、それから学術会議のストロンチウム90の研究班の報告等に関して、文部大臣はいかような資料を持っておられますか。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○国務大臣(灘尾弘吉君) お答え申し上げます。先般の、四月でございましたが、遺伝学会で発表せられました人類に及ぼす放射線の遺伝的影響についての見解というものは、私どもも入手いたしております。それからこの問題につきまして、一応文部省の関係の点を申し上げてみたいと思うのでありますが、文部省といたしましては、この放射線の影響に関する研究につきまして、文部省で持っておりますところの科学研究費を出しております。これによりまして、放射線の影響についての基礎的な、あるいは総合的な研究を促進いたしておるような次第でございます。この科学研究費による研究の成果、これは各いろいろな部門に分れております。成果につきましては、研究報告集録放射線篇というようなもので、編纂いたしまして、それを発表いたしているわけであります。そういうような事柄につきましては、実は学術会議と密接な連絡をとってやっているような次第でありますが、なおこの科学研究費による研究成果の報告会というものを毎年一回やっている。これは放射線総合研究会議という名前でやっております。その内容につきまして、あるいはその席上でいろいろ発表せられます研究の結果につきましては、学術月報にすべてその梗概を収録いたしているような状況であります。この四月に国連の科学委員会での放射線影響調査委員会、この会議に提出しました日本側の資料も、この科学研究費による研究の成果をあげたような次第であります。  一々の研究のことにつきまして、どういうことであるということは、私、実は申し上げる能力もございませんので、もしまた御入用でございましたら、資料として提出いたしたいと思います。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 総理がお急ぎのようでありますから、総理に対する質問だけを、まとめて簡単に伺います。  第一点は、この原水爆実験禁止に日本の総力をあげてこれをやる、世界の世論に訴えるというのであれば、相当の金が必要であると思います。たとえば人を派するにしましても、資料を各国に配るにしましても、あるいは日本でそのデータを作る上におきましても、各民間大学、気象庁その他あらゆる研究機関に対して、相当の予算を持たされなければ、十分な研究はできないと思います。ところが現在一体この原水爆の実験禁止に関係のある予算は、全体で幾らぐらい使っておられるか、大蔵省でおわかりになりますか。松下特使はストロンチュウム90の研究費は三十五万円だということをいわれたと新聞に出ていて、私は驚いたのですが、何億、何十億の金をかけてやってもらわなければ、今の総理の熱意と金とがおよそかけ離れているわけであります。大蔵省でおわかりになっておりますか。

森永貞一郎大蔵省主計局長

○政府委員(森永貞一郎君) 原水爆実験禁止というさような項目での予算の計上はございませんが、結局この問題は、外交交渉の面なり、ないしは国立大学、研究所等における研究の面なり、結局そういった面の予算になるわけでございまして、そういったような面の予算で処理せらるべきものと考える次第でございます。  松下特使が渡英せられるにつきましての予算でございますが、これは年度末でもございましたので、外務省の予算にも余裕がございませんでしたので、特別に予備費から約四百万円を支出いたしております。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 そこで総理にお願いしたいのですが、この実験をいたすにしましても、ハツカネズミばかりじゃだめなんで、国連に出した資料でも、英米、その次にスエーデン、一番利害関係の深い日本の資料の数は、四番目ということが新聞で報ぜられております。でありますから、牛や馬ややはりいろいろなものでも実験をしなければならんでありましょうし、植物にも関係がありますし、私は何億という金を予備費から支給——主計局長が仰せられたようなことでなしに、原水爆の放射能の災害に対する研究費というはっきりした項目でお出しになることを御指令を願いたい、こう私は思うのですが、いかがでしょうか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 御趣旨の点はよくわかりますけれども、これは実際上有効なそういう研究なり調査なりのできる方途が、技術的に実は立てられないというと、抽象的にいかにこれに熱意を持っておるといって、金を出したから、さあやれといったって、なかなか目的は達することはできないと思います。たとえば私の聞いた範囲におきますると、蚕を一つの試験材料とすることが、非常に蚕の性質、あのなにから言って短かい期間の間に非常な多いジェネレーションの間に及ぼす遺伝の影響等も調べられるということであります。こういうことについて、日本の蚕糸、ああいう方の試験場その他のなにが、そういう研究ができるようになっているかどうか、これについては、石黒議員のごときは非常な熱意を持ってそれの具体化に努力をされておる。私は具体的に有効な方法が、その試験研究なり調査について立てられるならば、それに必要な予算につきましては別途考慮することにやぶさかでないものであります。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 もう一点。これは琉球、沖縄領海に沈んだ船の所有権の問題です。現在沖縄の領海に約十隻の沈んだ船があって、その所有権がアメリカにあるということと日本にあるということと、今争いになっておるそうであります。総理はこのことを御存じでありますか。もしあまり御存じでなければ、ほかの方でもけっこうですけれども……。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 私くわしく存じておりませんので、条約局長に回答させます。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 条約局長のお話を伺うまでに、この問題は、ひとり沈んだ船だけでなしに、沖縄にある日本の不動産はもちろん、国有財産の所有権が果して日本にあるか、あるいは施政権者であるアメリカにあるのかどうかという非常に大きな問題に、これはつながるのでありまして、総理はまだあまり深く御研究でないようであれば、あとでけっこうですが、十分御検討を願いたいという点をこの機会にお願いしておきまして、条約局長のお話を伺います。

高橋通敏外務省条約局長

○政府委員(高橋通敏君) お答え申し上げます。ただいまの御指摘の沖縄の領海の近くに沈んでいる船でございますが、いろいろのいきさつはございましたようでございますが、われわれとしましては、全部日本側に所有権があるものだと考えております。アメリカ側その他の国が自分らの手にそれを没収したり管理したりする事実もございませんし、あくまで沈んだと申しましても所有権としてはわが国にあるものだと、こういうふうに考えております。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 アメリカからきたという覚書の内容をお示しを願いたい。

高橋通敏外務省条約局長

○政府委員(高橋通敏君) お答え申し上げます。その点につきまして、私、現在くわしい事情を存じていないのでございますが、資料その他を整備しまして後ほどお答えさしていただきます。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 それではこの問題は資料をいただいてから伺うとしまして、原水爆の問題に移りますが、農林省の農業技術研究所で、放射能の雨が、米、茶その他、植物に影響したという報告を、去年の一月ごろに新聞で拝見したように思うのですが、農林大臣からこの点をお伺いします。

井出一太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(井出一太郎君) お答えをいたします。ビキニの原爆実験を契機といたしまして、自来、農林省としては、水産関係あるいは農作物、副産物等について、放射能の測定調査を定期的にいたしております。それから雨水に放射能が高いという気象庁からの連絡もありますが、臨時にはこれをも調べておるのであります。その結果を大ざつぱに申し上げますと、水産物の関係におきましては、俊鶻丸を初めとして各種の調査船、あるいは魚市場等を調べたのでございますが、魚肉にはきわめて影響は少い、この肝臓でありますとか、あるいは内臓には汚染をされておるという事実が判明をいたしております。しかし分析をしました結果は、亜鉛六五、鉄五五、鉄五九というようなものの存在は明らかでございますが、これは半減期も比較的に短かいものでございまして、その量も少い、しかも魚肉にはほとんどないということでございまして、人体に対する影響はまずなかろうというような結果が出ております。それから米麦につきましては、放射能汚染は僅少でございまして、これを精白する、あるいは製粉するということにいたしますと、放射能の影響はほとんど認められないようであります。蔬菜類につきましては、根菜類、土の中に入っておりますものにつきましては、ほとんど影響はないようでございますが、この葉の部分に付着しておる、これは灰や「ちり」の影響でございましょう、こういうものには若干認められております。それから果物には、これはほとんどございません。そういうような次第でございまして、当面、半減期の短かいものが出ておるので、この程度ならばよろしいと思いますが、これが漸次拡大をいたしまして、たとえばストロンチウム90というようなものが出てくるということになると、まあ大へんでございますが、現在のところはそこまでいっておりませんので、なお今後とも鋭意元素の分析による確認を得たいというようなことで研究を進めておる次第でございます。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 東京の農科大学の三井教室で、米にストロンチウム90の六百倍のラジウムを検出した、こういう報告が最近新聞に出ておりますが、この点について何か……。

井出一太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(井出一太郎君) まだその調査については私どもつまびらかにしておりませんので、なお連絡をとりまして、十分検討をさせるつもりでございます。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 厚生大臣に、人体に対する影響を厚生省でどの程度一体実態を把握していらっしゃるか、伺いたい。

神田博自由民主党厚生大臣

○国務大臣(神田博君) 厚生省におきましては、原子爆弾の被害を受けて以来調査いたしておりまして、特に二十九年のビキニの被爆の際に、人体あるいは生物等の調査を進めておりますが、最近、三十年度からでございますか、特に国の予算が動かされまして研究をいたしておりますことは御承知の通りでございます。どの程度に一体研究をしておるかというお尋ねでございましたが、これは学会にも詳しいことを発表をしておりますが、所要の成績をあげておると私ども承知しております。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 この原水爆の放射能の影響に関する政府各部門の現在までに集まった資料を、資料としてどこかにお集めいただいて御提出下されんことを要求いたしておきまして、最後に防衛庁長官にちょっと伺いたい。今度の警備艦の供与の問題ですが、これは私契約でやっておられるというふうに先ほどお答えがありましたが、さようでございますか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(小滝彬君) この法案が通過いたしまして、こうした事務を取り扱うということになりましたならば、なるべく早い機会に、少くとも五月の初めにはアメリカ側と契約を結びたいと思っております。これは行政事務に関することについて、われわれが普遍の場合、商社等とやります契約と同じような性質のものであると考えられるのであります。たとえば在外公館が土地に関して外国の政府と契約するのと同じような意味におきまして、これは一種の請負的な性質を持っておりまするが、先ほど、どなたかの質問にも答えましたように、この事務費の方は私どもが負担するのであって、利益を見ない、その意味においては普通の委任でありますが、そういう意味の仕事をするための契約、一方では代金を支払う義務を負っておる、片一方ではそれに対してものを調達する、引き渡すという義務を負う性格のものとして私法上の契約という意味の取りきめをいたす考えでございます。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 その私契約のよってきたる法律はむろんアメリカの国内法ということになりますか。たとえば私契約の契約不履行の場合にこれを訴えるというようなことは、アメリカの法律によってさばかれると、こういうことになりますか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(小滝彬君) この契約の中で、これは外国国内でもそうでございますが、特に外国と商社間の契約にもありますように、仲裁条項も設けようと思っております。そのほか双方から委員を出して、もし紛争があればそれを円満におさめるということにいたす考えでございますが、しかし法律的にもしまするならば、一体その際に紛争を法律的に解決しなければならない。その際どの法律が適用されるかということについては、実はまだ最終的な話をいたしておりませんので、今後協議をいたしたいと思っております。もしその法律的な取りきめをしないということになれば、御承知のように国際私法の原則によりましてこれを処理することになりまするが、できればその契約の中でその点をはっきりさせたいと考えております。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 これはアメリカの法律によりますか、日本の法律がもとになりますか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(小滝彬君) 全然契約の中に何も書いてなければ、行為地であるところの日本の法律が適用されるということになろうかと思います。この点は向うの予算の関係もありまするので、今後米国側と話し合いをしてきめたいと考えております。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 こういう重要な法案が出るのに、紛争が起った場合にどの法律でこれを一体処理するかというようなことはまだきまっていないということは、おかしいじゃないですか。当然それは研究されて、もうはっきり結論が私は出ていなくちゃならぬと思うのです。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(小滝彬君) 先方との交渉におきましてはもちろんこの話も出ておりますが、最終的にはきまっておりません。が、しかしこの資金を日本の方に支払うという関係もありますので、先方としてはアメリカの法律を適用するということになるかとも考えております。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 先ほど大使館のお話がありましたが、日本でたとえばアメリカの大使館が国有の地面を買うというような場合には、日本の法律を適用し、ワシントンの日本の大使館で買う場合はアメリカの法律を適用する、これは当然ですが、しかし、こういった問題は、一体、条約といいますか、交換公文といいますか、そういう条約的な実質をもったものできまるのがほんとうではないか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(小滝彬君) たとえばソ連で大使館を持ちますと、向うのソ連政府と契約をしなければならないことになりますがそういう際は私契約的な性質の取りきめによるわけでございます。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 それとこれとはよほど問題が違う。やはり交換公文なり何なりで正式にこれはきめるべき性質のものではなかろうかと思う。というのは、商社がアメリカから注文を受けるのと違って、日本の政府がアメリカの請負の立場に立つというようなことは、これは妥当でないと思うのですが、なぜこれを交換公文等のいわゆる条約形式になさらなかったという点を伺っておきたい。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(小滝彬君) 条約ともしますれば、やはり国民の権利義務を制約するところの公法的な性質のものでございまするが、これはなるほど国と国との約束かもしれませんけれども、一方が資金を提供し、片一方が物品を調達するという性格のものでございまするので、これはこの法律に基いて、こうした契約を結ぶという意味において、私は条約などと性質の違っておるものであると考えております。また現にアメリカの方では、これまで正式の交換公文とか条約というようなことにしてやった例もございません。向うの海軍の契約担当官がアメリカ政府の代表として署名するというような関係でありまして、私の方も、防衛庁がこの事務を引き受けますれば、防衛庁の長官の権限に属しまするが、これは部下の職員をして署名に当らせると、こういうようなやり方でありまして、条約とかあるいは正式の交換公文にして批准を要するというような性格のものではないと私どもは解しております。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 時間が参りましたので、もう一点だけ伺っておきますが、私は今の御説明では納得いたしませんが、かような、日本の政府自身が請負の立場に立つような私契約的なものを従来結んだ先例はございますか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(小滝彬君) 私、先例を調べておりませんので何とも申し上げかねますが、本件について私どもが受託契約をするということを決意をいたしましたのは、先ほどの御質問にお答えした通りでございまして、これが結局日本側にとって有利である、直接契約をする場合よりも、防衛庁が中へ立てば、いろいろ防衛庁としてこちらの欲するところの設計もできるし、検査もこちらでやることができる。そうして今後の日本の艦船の建造にも非常に役立つところの資料も入手することができる。ことに今後防衛庁が使うということになれば、その際にも建造について直接知識を持っておった方が好都合であるというような考え方から、こうした取り計らいをすることにいたした次第でございます。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 主計局長、先例はございますか。

森永貞一郎大蔵省主計局長

○政府委員(森永貞一郎君) 今回の例にぴったりくるかどうかにつきましてはいろいろ疑問もございますが、たとえば占領時代に米軍ないし連合軍の余剰物資を日本が買い取る契約をいたしたことがございますが、これは私契約的に処理されております。また占領中は国営貿易でございましたが、そういう時代におきましては、当然各国との貿易がそういう私契約的な形で処理せられたわけでございますが、これは別に条約なり協定なりの形をとらないで処理せられて参ったわけでございます。また先ほど防衛庁長官から引例がございましたが、外国で外国の政府から在外公館の建物を借りたり、あるいは敷地を買ったりするというようなものも、やはり同じようなケースではないかと存じます。

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) それでは、本日はこれで散会いたします。    午後六時四十九分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗