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26回国会参議院1957/03/31

予算委員会 第20号

発言数
270
登壇者
25
会派数
5
開催日
1957/03/31

会議録

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) ただいまから委員会を開会いたします。  これより昭和三十二年度一般会計予算外二件を議題といたします。  分科会の主査の報告を願います。第一分科会主査吉田萬次君。

吉田萬次自由民主党

○吉田萬次君 第一分科会に付託されました案件は皇室費、国会、裁判所、会計検査院、人事院を除く内閣、防衛庁、経済企画庁を除く総理府及び法務省各所管並びに他分科会所管外事項であります。本分科会は、二十九、三十及び三十一日の三日間にわたり、これら各所管の予算につきまして精細な審査を行いました。以下その質疑のうち若干のものについて簡単に御報告申し上げたいと存じます。  まず皇室費についてでございますが、仮宮殿の改装等に必要な経費として六千二百八十万円が計上されているが、本宮殿についてはどのような考えを持っているか、宮内庁は従来皇室関係の営繕にきわめて消極的であり、その日その日を糊塗しているにすぎないため、将来一時に巨額の予算を必要とするような事態に直面することとなると思うが、もっと積極的に国民の理解と協力の上に立った長期計画を策定し、それを逐次実現していくという行き方をとるべきではないかなどの質疑がありました。これに対し宇佐美宮内庁長官から、従来は確かに消極的であったが、仮宮殿の改装とは別に本宮殿の新営も考えなければならないので、三十二年度予算に調査費を計上し、二カ年間で基礎調査を行い、その上で方針を確立する計画で進んでいるとの答弁がありました。  次に国会所管につきましては、国立国会図書館は十分その機能を発揮していると考えるか、三十二年度の新営費四億円でどの程度の工事ができ上るか、科学技術庁に日本科学技術情報センターが設置されることとなったが、この施設は国立国会図書館と重複するのではないかなどの質疑があり、これに対し図書館当局から、図書館の機能はその建物と密接不離の関係があり、新館の建設が予算の関係等で遅延したため、機能発揮が十分でなかったことは遺憾である、三十二年度には、新館の書庫棟の鉄骨工事及び事務棟二階までの鉄骨工事ができ上る予定である、日本科学技術情報センターは、その業務を行うに際して、できる限り国立国会図書館の資料を利用することとなっており、これとの重複を避けながら図書館は図書館としての業務を行なって参りたいとの答弁がありました。  次に裁判所所管につきましては、裁判所の庁舎で新営を必要とするものはどのくらいあるか、総額七億三千万円の庁舎新営費で継続工事二十カ所、新規工事十八カ所というのはあまりに総花的過ぎるではないか、一体総工事費及び残工事費は幾らかとの質疑がありました。これに対しまして、庁舎新営工事の総工事費は三十九億円、三十三年度以来の残工事費は二十六億円である、裁判所庁舎で終戦後鉄筋に改めたものは約二万坪で、総坪数の一割見当にしか過ぎない。バラック庁舎、老朽庁舎等必要最少限度のものだけでも百二、三十億円の新営費を必要としており、三十二年度も三十億円を要求したが七億三千万円に削減された、との答弁がありましたが、このように新営費の要求額と査定額とがあまりにも開きすぎる点について、裁判所は独立機関であるから、財政法第十九条を活用して、必要な予算はこれを確保すべきではないかという質疑に対しましては、部内でそういう意見もないではないがなるべくその規定は乱用しないことにしている、との答弁がありました。  次に会計検査院所管でありますが、検査旅費が一千七十九万円の増額となっているが、これは人員の増加によるものか、そうでないとすればこれによって現在の一割前後の検査範囲をどの程度拡大できるかとの質疑に対し、検査旅費の増額は人員増加によるものではなく、検査機能向上のためのものである、これによって検査対象は多少増加するが、目に見えてふえるという程度ではない、なお実地検査の範囲は、要検査箇所全体の一割程度であるが、しかし重要な箇所についてみれば二割ないし三割近くに達しているとの答弁がありました。  次に法務省所管につきましては、公安調査庁における破壊活動調査費は十億円の要求に対して三億八千万円の査定となっているが、これで業務遂行上支障はないのかという質疑に対し、同調査費は前年度に比較すれば一億二千万円の増額となっており、不十分ではあるができるだけ努力して調査活動に万全を期したいとの答弁がありました。  なお刑務所、少年院等における食糧費、検察官署における通信施設、特に無線通信施設に必要な経費について質疑がなされました。  最後に内閣及び総理府所管につきましては、北海道開発庁は今までに約八百億円の開発費を使って果してどれだけの効果をあげたか、人口はあまり吸収できず、農家戸数はかえって減少するという実状で、ほとんど経済効果が見られないではないか。このように経済効果の上らないものであれば、三十二年度二百三十一億円のこの予算は、むしろ使わないで剰余金にした方がましではないかとの質疑がありました。これに対し、開発の効果についての具体的な資料を持ち合せていないが、第二次開発五カ年計画では、三十六年度において農業生産において四割、漁獲高において一割六分の増産を見込んでいるとの答弁がありました。  北海道開発庁のほか内閣官房、憲法調査会、総理府本府、警察庁、公正取引、土地調整、首都圏整備各委員会及び科学技術庁等につきましても、予算の各費目にわたり詳細かつ熱心な質疑が行われました。  その他本分科会所管各省の全体を通じまして、きわめて広範多岐にわたる質疑が行われたのでありまするが、その詳細につきましては会議録によって御承知を願いたいと存じます。  かくて本日をもちまして質疑を終り、第一分科会の審査を終了いたした次第であります。  以上御報告申し上げます。(拍手)

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) 第二分科会主査豊田雅孝君。

豊田雅孝緑風会

○豊田雅孝君 第二分科会に付託されました案件は、総理府のうち防衛庁、経済企画庁、外務省、通商産業省及び郵政省所管の昭和三十二年度一般会計、特別会計及び政府関係機関の歳入歳出予算であります。  二十九日は宇田経済企画庁長官、井上外務政務次官、小瀧防衛庁長官より、また三十日には水田通商産業大臣、平井郵政大臣より各所管予算の説明を聴取し、詳細なる審査を行いました。以下それらの質疑応答のうち、若干のものにつき簡単に御報告申し上げます。  まず経済企画庁の予算に関し、経済動向調査分析の経費一千八百万円では、いかなることを調査するのか、経費はこれで十分であるかとの質疑に対し、政府委員より、予算の額は十分とまでいかないが、最低額が確保できたので、機械受注調査を拡大するほか、新たに投資及び消費の予測調査、ディフュージョン・インデックスの作成など精密な調査計画を実施し、将来の景気動向を迅速かつ的確に把握したいとの答弁がありました。  また、自立経済五カ年計画の修正作業の進捗状況、特にこの修正に取り入れられる新たな要因は何かという質疑に対しましては、宇田長官より、五カ年計画は国民所得の伸びを七%としたモデル作業を目下研究中で、九月完成を目途としておること、新たな要因としては欧州共同市場の成立、中共の第二次五カ年計画等であり、鉄鋼増産のための原料確保には特に留意したいとの答弁がありました。  外務省予算につきましては、移住振興費七億九千六百万円の内容につき質疑がありましたが、明年度の移民は本年度より千五百名増の九千名で、中南米諸国を予定し、カンボジアなどアジア諸国への移民送出はまだ準備段階であること、農業移民のほかに工業技術移民も今後推進して参りたいとの答弁がありました。  東南アジア貿易を振興させるためには、賠償問題の解決が重要な前提条件と考えられるが、その進捗状況いかんとの質問に対し、政府委員より、ビルマ賠償は実施細目年割額七十二億円が順調に支払われている旨、またフィリピン賠償については年総額九十億円で生産財五十億円、役務四十億円がフィリピンの会計年度七月までには実行できる見通しであるとの答弁がありました。  防衛庁関係予算につきましては、明年度同庁の歳出総額千十億円は今年度に比し、わずか八億円の増加にとどまり、予算面からは防衛力漸増方式がストップないし変更せられたと解してよいのか、漸増方式を捨てていないとすれば、三十二年度に一年足踏みしたことは、三十三年度以降の膨張を急激ならしめるのではないか、三十三年度四〜六月期において陸上自衛隊を一万名増強することは、アメリカ側に約束しているかどうか、また明年度予算では航空自衛隊と海上自衛隊の増強が目立つが、防衛構想の変更とみるべきか、正式の防衛力増強計画に従って予算は編成されているのかどうかなどの質疑がございました。これに対し小瀧防衛庁長官より、陸海空三軍の均衡のとれた増強が望ましいが、国家財政の事情、防衛生産の能力、訓練の期間などを考慮して、三十二年度は空を大幅に増強することとした。陸上一万名の増強は、アメリカ側と約束した事実はないが、漸増の方針から増勢を行いたい。本予算は三十一年度予算に比し、八億円の増加にとどまっているが、防衛庁の当初要求は、千二百七十六億円であったが、財政事情や縦来の繰越額の消化に努めるという方針から、増勢分の経費の大半を、国庫債務負担行為に回した結果であって、漸増方針を捨てたわけではない。正式な防衛力増強計画は、国防会議を開いて早急に決定いたしたいとの答弁がありました。  通商産業省関係につきましては、最近の貿易情勢、海外景気の動向に照らして考えると、政府の国際収支の見通しは甘過ぎるのではないか、輸入が増大するような場合、抑制措置をとるつもりであるか、また外貨予算はきまったかの質疑がありましたが、これに対し、水田通商産業大臣より、輸出は日本の国際関係が改善されているので、努力すれば先行きは悲観していない。輸入についても三十億ドルは支払いベースであって、物資では三十八億ドルくらいの輸入になり、これでまかなえると思う。この見込み以上に輸入が増加する場合も抑制措置はとらず、むしろ余裕のある輸入政策をとる。なお三十二年度上期の外貨予算は、物資で二十二億三千六百万ドルで、前年同期より三億ドル余の増加であるとの答弁があり、また中小企業対策については、中小企業の育成保護には組織法のほか、小売商振興法、中小企業振興助成法の三本立でいかなければならないのに、なぜ中小企業の組織法案だけ提案するのか、中小企業金融対策の眼目は金利を低くすることだと思うが、施策が不十分ではないかとの質疑に対しましては、小売商振興法案は今国会に提出すべく準備を進めている旨、中小企業振興助成法案は今国会に提出できないが、次の国会には必ず提案する。中小企業向き金利を引き下げることは必要で、本予算においても財政出資を増加して、貸付資金量の増加とともに金利の低下に努めている。信用保証協会に対する貸付は次年度は出資とするよう努力したいとの答弁がありました。  最後に郵政省関係につきましては、電信業務の収支はどうか、赤字の理由は何か、広告電報、慶弔電報は廃止する意思はないかの質疑に対しまして、靱電電公社副総裁より、電報の業務収入は約七十億円、経費約百九十億円、赤字約百二十億円である。広告電報はこの四月から取扱いをやめることにした。年賀電報を続けるかどうかはもう少し研究するが、慶弔電報の廃止は考えていない。電報業務の赤字は人手や施設に遊びがあるからで、稼動率が上れば赤字は減る見込みである旨答弁があり、また日本と中共地区との郵便物、電信電話の関係はどうなっているか、通信上の諸障害を除去する意思はないかとの質疑に対しましては、郵政当局より、通常郵便物は一部香港経由で交換されておるが、この方法では不便が多いので、直接交換のできるよう先方と目下事務的折衝中である、電信については国際電電公社と中共側との業務協定で上海線が開通されておるが、電話は施設がないので開通しておらないとの答弁がありました。  その他の質疑応答につきましては、会議録により御承知を願いたいと存じます。  以上により本分科会に付託された案件全部の審査を終了いたした次第であります。以上御報告いたします。(拍手)

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) 第三分科会主査内村清次君。

内村清次日本社会党

○内村清次君 第三分科会における審査の経過を御報告申し上げます。  第三公科会に付託されました案件は、昭和三十二年度予算三案のうち農林省、運輸省及び建設省所管に関するものでございます。分科会におきましては、二十九、三十の両日並びに本日の午前にわたりまして、順次所管予算につきまして、政府当局から説明を聴取し、質疑を行い、慎重に審査を行いました。その詳細につきましては会議録によって御承知を願うことといたしまして、ここでは質疑応答のうちおもなるもの若干を御報告申し上げるにとどめたいと存じます。  まず農林省所管におきましては、河野農政は流通過程の合理化、適地、適作というように経済的色彩の強いものであったと思うが、井出農政の性格はどうかという質疑がございました。これに対しましては、井出農林大臣から、農業のような地味な産業は、従来と抜本的に変った政策を打ち出すことは容易でないが、同じ自民党の内閣であるので、前大臣の行なった政策の中で重要なものは踏襲していく、言いかえるならば、食糧の自給度向上を基調とし、しかも畑作、畜産等にも重点をおき、さらに新農村振興対策も拡充していく方針である、井出農政としての味は今後地味ではあるが徐々に出していきたいという答弁がございました。また、国営かんがい排水、国営干拓等の事業は、特定土地改良事業特別会計が新設されても、従来一般会計から立てかえていた地元負担分を、資金運用部から借り入れるだけであるから、一般会計の負担は軽くなるとしても、事業量は増加しないのではないか、食糧増産に比して水産資源確保の施策が貧困ではないか等の質疑がございましたが、これに対しましては、農林当局から、国営かんがい排水、国営干拓事業等は、今まで一般会計の予算だけで当該年度の事業を行い、地元負担分をあとから回収していたが、今度はこの地元負担分を先に資金運用部から借り入れて事業ができるので、最低限度資金運用部からの借り入れ分だけは、特別会計設置による事業量の増加になる、しかしこれらの事業については、政府は今後七カ年で完了するという方針をきめておるので、この方針決定の方が大きな要素である。水産増殖の経費は本年度は一億九千万円、来年度は二億一千五百万円であるが、本年度分のうち四千八百万円は当年度限りの経費であるので、それを差し引いたものと対比すれば、約五割の増加である。水質汚濁の問題については関係各省と協議して水質汚濁防止法を作りたいとの答弁がございました。農林省所管におきましては、このほか米価、日ソ漁業交渉の問題等について、特に熱心な質疑が行われましたことをつけ加えておきます。  次に建設省所管について申し上げます。建設省所管におきましてば、治山治水緊急五カ年計画は、二十八年に決定した治山治水基本対策要綱と照合して、どの程度に取り上げているか、道路整備は五カ年計画を取りやめて十カ年計画にし、一級国道は全部舗装する考えで進んでいるとのことであるが、河川改修の方も同じ考えを取り入れて並行して進める考えはないか。また住宅は三十二年度に五十万戸作るということであるが、災害等による滅失分を差し引けばどのくらいの数になるか等の質疑がございましたが、これに対しましては、建設当局から、治山治水緊急五カ年計画は、基本的には治山治水基本対策要綱の一兆八千億円に基礎をおいておるが、そのうち特に緊急を要する河川を各種類別に選び、五カ年間にやる予定にしたものであり、経済企画庁の五カ年計画とも歩調を合せてある。総事業費は五カ年間で三千二百億円、うち国費は二千六百億円となっておる。河川改修にも道路整備と同じ考えを入れて促進をはかれという点については、河川の数は全部を加えるとおびただしい数に上るので、十カ年くらいで完成するには莫大な経費がかかるが、財源さえ許すならば異存はない。また住宅の数は毎年二十万戸くらいずつ滅失があるので、三十二年度五十万戸作っても、純増は三十万戸になる。五カ年計画で二百四十万戸作るためには三百四十万戸作らねばならないことになるから、今後さらに財政資金による分も民間自力による分もふやしていく必要があるという答弁がございました。  最後に運輸省所管について申し上げます。運輸省所管におきましては、このたび造船の利子補給は停止されたが、一方において最近における造船コストの値上りに対し何らか施策の必要はないか、という質疑がございましたが、これに対しましては、運輸省当局から、造船コストの値上りは世界的なものであり、利子補給の面で補ってやるわけにはいかないが、海運の助成については、ドイツ等でもやっておることであり、今後も必要と思うという答弁がございました。国鉄につきましては、私鉄の運賃値上げについては、一律値上げを認める考えはないけれども、認めるかいなかは個々についてきめるということであるが、現在値上げを申請しておる会社は私鉄二百数十社のうちどのくらいか、またいわゆる大手十三社は国鉄の見た観点から値上げ申請の可能性はあると思うか等の質疑がございました。これに対しまして、国鉄当局から、現在値上げ申請の出ておるのは中小私鉄の十五社であるが、大手十三社についても実際はわからないが、出る可能性はあると思うという答弁がございました。さらに重ねて、もし値上げが決定されると、国鉄の値上げに便乗して私鉄も値上げをしたと世論は見ると思うがどうかという質疑がありましたのに対して、運輸大臣から、私だけの心がまえであるが、私鉄の値上げは心理的影響が非常に大きいので、一つには、個々の会社を見て、どうしても値上げをしないと工合がわるい場合でも、一年や二年は我慢してもらう必要があると思うし、またもう一つには、都市交通を担っておるのであるから、相当大幅な建設的な考えを持ってくるところは将来考慮してもいいのではないかとも考えておるとの答弁がございました。また、私鉄の貨物料金につきましては、連絡運輸のある会社には国鉄と同じ賃率表を適用するとのことであるから、貨物料金については国鉄の値上げに伴い、すでに認可済みと解してよいかという質疑に対しては、国鉄当局は認可済みと解してよいとの答弁がございました。  以上をもちまして、第三分科会に付託されました予算の審議を全部終了いたした次第でございます。  右、御報告申し上げます。(拍手)

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) 第四分科会主査小林武治君。

小林武治自由民主党

○小林武治君 第四分科会の審査の経過を御報告申し上げます。  本分科会に付託されました案件は、昭和三十二年度予算三案中、労働省、厚生省、内閣所管のうち、人事院文部省及び大蔵省に関するものであります。  分科会におきましては、去る二十九日から昨日今日と三日間にわたり、それぞれ所管当局より順次説明を聴取し、慎重に審査を行なったのでありますが、ここでは質疑応答のうち主なるもの若干につきまして概要を御報告いたします。  まず労働省所管予算につきましては、最低賃金制と生産性向上の問題をめぐって活発な質疑がありました。すなわち政府は明年度百十万円の予算をもって最低賃金制度の促進に乗り出すようだが、これによって特定の中小産業が破壊されるおそれはないか。業者間の協定で行うといっても、大中小と規模の異なるものを一律にできると思うか。またその場合協定に参加しない業者はどうなるか。また賃上げ争議は本来利潤の分配が不公正な場合に起るべきものなのに、最近のそれは経営者がもうかっていない場合にも盛んに行なわれているのは、インフレを助長し、国民一般の利益に反すると思うが、政府の見解はどうかとの質疑がありました。これに対しまして労働省当局は、最低賃金制を今直ちに行うとすれば、産業界にいろいろ混乱が生ずるので反対である。差しあたり地域別、業種別に、しかも可能な業者間の自主的協定によって最低賃金をきめ、そうした事例を積み重ねて、徐々に最低賃金制の素地の生まれることを期待し、そのため、出先の基準局が必要な指導をすることを考えておる。この場合協定に加わらない業者が法律的に拘束されるということはないが、やはり実際問題として同じ業者の協定に従うことにはなるだろう。また賃上げストに対する御意見の点はごもっともと思うが、これは労使間の自主的解決にまつべき問題で、政府がこれに介入することは適切でない。政府としてはむしろ生産性向上運動によって労使双方が潤うことになると考えているが、一部の労働組合がこれに反対しているのは遺憾であるとの答弁がありました。  このほか労働省関係といたしましては、特別失対事業、日雇い労務者の手当問題、その他いろいろの質疑があったのでありますが、内容は省略いたします。  次に厚生省所管予算につきましては、政府は今国会に国民健康保険法の改正案を提出しないことにきめたようだが、それは国民皆保険の理想が計画通りにいかないためではないのか、一つこの際計画を御破算にして出直したらどうかとの質疑に対しまして、厚生大臣より、皆保険を具体化するには法律の施行よります実態の調査が先決と思い、改正案の提案を見合せました、もとより既定の計画を変更したわけではなく、明年度は国保において新たに五百万人の被保険者の増加を見込み、所要の予算も計上している。また五人未満の事業場については確実な実態把握が困難なため、現行の健康保険に包括するか、特別に第二種制度を設けるか、それとも国保に含めるか、そのいずれが適当か研究中であるとの答弁があり、また国民年金制度あるいは結核対策、無医村対策、完全看護の実施後の状況等について質疑があったのでありますが、会議録によって御了承をいただきます。  次は人事院関係につきましては、昨年七月人事院が行いました公務員の給与改訂に関する勧告案と、今国会に政府から提案されております公務員給与法改正案との、両案をめぐる利害得失の比較検討という点が質疑の中心であったのでありますが、公務員給与に関する人事院の勧告案と政府改正案の問題につきましては、人事院は昨年の勧告案においてベースアップ方式をとらなかったというがなぜそうしたか、また人事院は過去二回にわたり勧告を留保したが、その留保分が今回の政府案に織り込まれておるか、さらに政府案は人事院勧告を尊重して出されたというが、両案の間には昇給期間、職務の給別区分等の点で大きな相違がある。一体両案のいずれが合理的と考えるかとの質問がございました。これに対しまして淺井人事院総裁並びに内閣政府委員は、民間の給与も、最近はおおむね昇給制度によっているので、勧告においても、号俸を一律に引き上げる方式のベースアップを避け、結果において六%のベースアップになるようにした。過去二回勧告をしなかったのは、当時経済情勢の変化が激しかったので、しばらく見合わせたわけである。また政府案は技術的な点で若干相違した面も出ているが、根本においては勧告案の通りになっている。昇給期間の六カ月、九カ月が、政府案で一カ年と改めたのは、事務の簡素化をはかるためで、それにより不利になる面は是正しており、また級別区分が変っても現行より悪くならないように配慮してある。どちらが合理的かというなら、やはり勧告案の方に一貫性があると思う、との答弁がありました。また地域給の問題につきましての質疑に対しましては、松浦給与担当大臣より、人事院の勧告は尊重する。しかし三十二年度予算書の説明にもあるように、政府としては地域給を廃止する方向で、目下、自民党において検討中で、いずれ国会に提案することになるだろう。その場合公務員が損にならないように十分考慮する、との答弁があったのであります。  次は文部省関係でありますが、ここでは、国際地球観測年事業に関する質疑がおもなるものでありました。すなわち宗谷は近く帰還をするが、この秋には再び南極の基地におもむくことになっている。この際宗谷を大改装しない限り本観測の重大使命を果す上に危惧なしとしないのは、今次の仮観測における宗谷の苦難に徴して明らかである。すでに三十二年度予算審議も最終段階にきているが、国際地球観測年事業費のうちに、宗谷の改装費が計上されていないことは心配にたえない。宗谷の改装に要する予算をどう考えているか、この際文部大臣並びに大蔵大臣の所見を伺いたいというのに対しまして、灘尾文部大臣は、お説はごもっともであるが、宗谷は昨夜帰ったばかりで、永田隊長以下の報告も十分まだ聞いていない。このまま改装せずに南極へおもむくことは不可能と承知しているので、詳細に現地における事情を聞いた上で、必要な経費を何らかの形で支出してもらうよう、大蔵大臣にも内々相談はしている、との答弁があり、また池田大蔵大臣からは、どの程度の修理を要するものか、まだその結論が出ていないので、はっきりしたことは申せないが、事柄自体は国民の関心の的になっている重要問題であるので、文部大臣から正式に相談があり次第極力善処したい、との答弁がありました。このほか文部省所管予算の各般にわたり、熱心な審査が行われたのでありますが、省略したいと存じます。  最後に大蔵省関係でありますが、ここでは防衛支出金の問題、税法改正による印紙収入等の見込額の問題、一万円紙幣及び百円硬貨発行の問題等々、広範多岐にわたって質疑が行われたのでありますが、詳細は速記録によってごらん願いたいと存じます。  以上をもちまして、第四分科会に付託されました案件全部の審査を終了いたしました次第であります。  右御報告申し上げます。(拍手)

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) これをもって各主査の報告は終りました。これにて一時間半休憩いたします。    午後零時九分休憩    —————・—————    午後二時開会

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) ただいまから委員会を再開いたします。  まず、委員の異動について申し上げます。  三月二十九日、栗山良夫君、中野文門君、西田信一君、館哲二君及び野村吉三郎君が辞任され、その補欠として成瀬幡治君、小山邦太郎君、関根久藏君、土田國太郎君及び苫米地英俊君がそれぞれ指名されました。  また、三十日、高橋進太郎君、永岡光治君及び曾祢益君が辞任せられ、その補欠として野本品吉君、横川正市君及び栗山良夫君がそれぞれ指名されました。  さらに本日、横川正市君及び成瀬幡治君が辞任され、その補欠として曾祢益君及び中田吉雄君がそれぞれ指名されました。   —————————————

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) なお、現在理事が一名欠けておりますので、委員長は先例によりまして理事に中田吉雄君を指名いたします。   —————————————

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) これより昭和三十二年度一般会計予算  昭和三十二年度特別会計予算  昭和三十二年度政府関係機関予算を議題といたします。

中田吉雄日本社会党

○中田吉雄君 議事進行。いよいよ予算審議も最終段階になって、最後の締めくくりの総括質問ですが、いろいろ他の委員会との関係もあると思うのですが、与党の委員の人の出席も少いようですから、はっきりしてから議事進行していただきたいと思います。

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) では……。これより最終総括質疑に入ります。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 最初に岸総理にお尋ねいたしますが、今国会で石橋氏が首班の指名を受けまして石橋内閣ができ上りましたが、途中病気のため辞任されまして、そのあと岸内閣が今日までやって参ったわけでありますが、今までの経過を見て参りますると、石橋内閣の身がわりとしての内閣として存在をして参りました。それは予算の面におきましても、政策の面におきましても、あるいはまた閣僚のメンバーにおきましてもしかりであります。しかしながら、いつまでも石橋内閣の身がわりとしての内閣の存在は許されなくなると思います。いつかは岸内閣の本来の姿として国会に向わなければならないと思いますが、石橋内閣から岸内閣に脱皮する時期はいつであるか。これを最初にお尋ねいたします。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 私は、しばしばお答えを申し上げておりますように、この国会におきましては、最初に私が石橋首相の臨時代理として施政方針を述べ、また外務大臣として外交方針を述べて参りました。これに基いて予算案初め諸案件を提出し、御審議を願っておるのでありまして、この態勢は、国会が終るまでは私は当然この態勢で行くべきであると思っております。その後における内閣の改造の問題やあるいは新しい政策等の問題に関しましては、諸般の情勢とにらみ合せて今後の政治をやっていきたい、かように思っております。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 この国会が終るまでは今の態度でそのままやっていきたい、こういう御答弁でありますが、ただ岸内閣として脱皮する方法につきましては、いろいろな方法が想定されると思うわけであります。一応常識的に考えますならば、一つは国会の解散という方法があると思う。また内閣の改造という方法もあると思います。また岸内閣としての政策の発表という形式もあると思いますが、いろいな方法がありますが、もし岸内閣本来の姿を打ち出すための脱皮の方法としてはどういう方途をお考えになっておるか、特に国会の解散ともからみ合せまして、総理大臣の所見を承わりたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 解散につきましては、これまたしばしばお答え申し上げておりますが、私は現在の心境として世論の動向、諸般の情勢から見て解散をする意思は持っておりません。しかし、新しい政策は当然政党内閣として、私は今回の国会が済めば、さらに前進して次の政策を樹立をし、その実現に向っていくというのが、これが当然であろうと思います。またこれに対応するような内閣の改造等につきましても適当な考慮をいたして参りたい、かように思っております。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 岸総理のお考えは石橋内閣から脱皮する手段方法としては、解散の道を現在考えずして政策の転換なり、あるいは内閣改造と、こういう方法によって脱皮する、こういうふうにお考えになっておると了解していいですか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 大体そういうふうに考えております。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 岸内閣としての政策の発表の問題でありますが、一応政党内閣の本然の姿から考えまして、岸総理が新しい政策を発表する時期というものは、私たちが常識的に考えますと、過ぐる二十一日の自民党の大会で岸総理がほとんど満場一致に近い支持によって総裁に就任されたときが、新たな政策の発表の時期である、こういうふうに考えるわけですが、岸総理はどういうふうにお考えになっておりますか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 私はその時期に発表することは適当でないと考えまして発表いたしておりません。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 一部に伝えられるところによりますると、今回の渡米を機会に、アメリカにおいて岸内閣の政策を発表すると、こういうふうなことを伝えておる向きもあるわけでありますが、政策の発表の時期は、ではいつごろを想定されておるか、いかなる方法によってやろうと考えておられるか、この点についてお尋ねをいたします。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 時期については明確に今日申し上げることは適当でないと思います。いずれにいたしましてもアメリカに行って、アメリカで発表するというような愚にもつかないようなことは絶対にいたしません。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 石橋内閣は御承知のような、いわゆる七票の差によってできた内閣でありまして、当初石橋さんのお考えになっておりました考え方よりも、日にちがたつに従いましてだんだん薄れて参ったことは御承知の通りであります。ところが今回岸さんは、先ほども申し上げましたように、ほとんど全会一致に近い数で総裁に就任されたということは、形式的に見ましても、自民党内におきまする岸さんの力というものは一応安定したと、こう見られると思うわけであります。その岸内閣でありますならば、今度打ち出されます政策というものは石橋内閣の政策よりももっと安定した、もっと強力なものであるということをわれわれは考えるわけであります。今お考えになっておりまする岸内閣の政策では重点をどこに置いてお考えになっておるか、政策の重点について御意見を承わりたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 私は先ほども申し上げましたように、この国会を通じてもすでに発表しておる政策の実現に全力をあげております。今後の新しい政策の内容及びその発表の時期、方法等については、今日ここで申し上げることはまだ適当でない、かように考えております。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 発表の時期等につきましては、先になると思いますが、しかし少くとも予算も最終段階になり、岸内閣も一応国会におきましてもある程度の経験を経た現在において、石橋内閣から岸内閣に脱皮することをすでにお考えになっているとすれば、岸内閣としての重要な政策をどこに置いておるかということは、当然この委員会で御発表になっても差しつかえないと思いますし、その点について再度お尋ねいたします。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 中村委員も御承知のように、われわれこうして政党政治を行なっている上から申しますと、党にはそれぞれの機関もございますし、私はこういう新しい政策につきましては、十分にこれが強力に実現を期するために、今党のそれらの機関にも諮って発表することが適当と考えております。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 鳩山さんが内閣の首班になられましたときは、鳩山さんに対する一つの世論の沸きというものが出て参ったわけであります。また石橋さんが総理になられましたときは、今までの内閣と違って野人であり、占領政策に反対した石橋さんに対します一つの期待が世論の渦として巻いたわけでありますが、遺憾ながら岸さんが総理大臣におなりになったときには、世論的にはこういう反響が全然沸いておらない。これはなぜであるか、岸さん自身はお考えになっておるかお尋ねしたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) それは批判し、また見る人の心持ちでありますから、私が勝手にそんたくすることはどうかと思いますが、しかし一面においては石橋内閣をそのまま継承し、石橋内閣の政策をそのまま遂行するということを申しておりますので、これが一つの前提になっていると思います。他の私自身に対するいろいろな世論なり批判は、私みずからそれを謙虚な心持ちで聞いておるわけであります。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 先ほどお尋ねしましたときに、総理大臣は国会の解散ということは現在考えておらない、こういうふうに言われておりますが、私たちはもとより、世論の動向といたしましても、やはり岸総理自身に対しますいろいろな疑惑やら不安があると思います。従って少くとも岸総理自身の手によって選挙の洗礼を受けなければ、岸内閣の安定というものが期しがたい。また岸信介自身に対します国民の信頼ということも、私は沸いてこないと思うわけなんです。そういう意味でやはりあなた自身の手で選挙をやり、あなたが選挙の洗礼を受けるということが、私はあなた自身のためであり、日本のためであり、また政党政治発展のためであると考えておりますが、再度御質問いたします。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) おそらくそういう時期も私が政局に当っている間にあると思います。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 ただいまの答弁で、私の政局に携わっている間にあると思いますと、こういう御答弁でありますが、その見通しなり時期についてはどういうふうにお考えになっておるか、重ねて御質問いたします。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) その点は先ほど申し上げましたように、今明確に申し上げることはできないと思います。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 歴代の保守党の内閣のあとを振り返って参りますと、特に外交方面につきまして、吉田内閣は対米関係の調整、特に対米関係を重視いたしまして政治を行なって参ったわけであります。また鳩山さんは対ソとの関係の調整ということを重点にやってこられたわけでありますが、岸内閣はこの外交面の重要方針としてどういう方面にこの方針を求めておられるか、この点についてお尋ねしたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 外交の基本方針としてはすでに明らかにいたしておりますように、私はあくまでも自由を基本とし、民主主義というものを基調としておるわが国の政治体制を基本として、自由主義国の立場をとり、同時に世界に平和外交を推進する意味におきまして、国連を中心に進んで参りたい、その間に特にソ連との関係——これは昨年末に国交正常化した間柄でありますから、それの友好関係を増進しなければならぬが、同時に今の基本的日本の立場から申しまして、自由主義国の連携、特に日米関係に十分な意を用いて調整をしていきたいと、かように思っております。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 従来の吉田内閣も、あるいは鳩山内閣も、国連を中心にやるということは国会で言明されておりましたし、また自由にして民主主義的な国々との連携をはかるということはしばしば言明されておりました。従ってその点におきましては、岸内閣と何ら変らないと思いますが、私のお尋ねいたしておりますのは、そういう面でなくして、具体的な基本といいますか、外交の一つの目標といいますか、吉田さんはアメリカとの国交調整が一つの悲願であり、鳩山さんはソ連との国交調整が悲願であった。こういうことに対応するものとして、岸内閣は何を一つの目標にされておるか、残されましたものは中共問題しかないと思うわけでありますが、この点についてお伺いしたいわけであります。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 中共との関係につきましては、現在の段階としては特に経済関係の増進ということに主眼を置いて考えておりまして、いまだ中共を承認し、もしくはこれと正式な外交関係を開く段階ではないと、こういう考えでおります。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 ただいまの御答弁は、当委員会におきましても、その他の委員会におきましても、たびたび聞いたわけでありますが、そういたしますと、再度お尋ねするわけでありますが、鳩山さんがソ連との国交回復を念願といたしておった、そういうふうな気持において、岸内閣としては中共との国交回復ということは今考えておらない、経済上云々ということは、これはあなたの内閣でなくても、前の鳩山内閣も考えておりましたし、吉田内閣のときにおきましても何らかの措置は講じておったわけなんです。そういたしますると、岸内閣の外交の具体的な重要策としては、吉田内閣や鳩山内閣にそれぞれ持っておったものは何も持たないで、跡始末をするといいますか、その二つの内閣の政策を踏襲していって、これを何とか調整するといいますか、仕上げをするということがあなたの目標としての外交政策と了解していいわけですか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 先ほども申し上げましたように、吉田内閣あるいは鳩山内閣の外交政策をいろんな点から御批判をなすっておいでになりますが、私はやはり吉田、鳩山内閣を通じて保守党として一つの一貫した外交政策というものはあると思います。特に私は鳩山内閣時代の幹事長であり、民主党の幹事長をいたし、自由民主党の幹事長をやって参りました関係上、鳩山内閣が特に日ソ国交調整を——国交が調整されておらないこの間に、国交を調整することに御努力したことは御承知の通りでありますが、その基本をなすものは、いわゆる保守党内閣の、保守党の基本的外交政策である平和外交を推進するという点に帰するわけであります。従って私は今日特に何らの新しいものを考えないじゃないかという御批評でありますが、新しいものを考えなくっても、世界のあらゆる国々との間の平和外交を推進する、特に国連を中心として国際間の緊張を緩和するということに努力するということが私の基本的な考え方であります。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 ただいまの御答弁によりますると、吉田内閣が持っておった外交面の新しい政策あるいは鳩山内閣が持っておりました外交面の新しい政策、そういうものは岸内閣としては持っておらない、保守党が今までやって参りました外交方針をそのまま踏襲するというわけで、新しいものは何も持っておらない、こういうふうに了解していいですか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) これは御批評に任します。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 先般来新聞やあるいは国会の答弁にも現われておりますが、国会が終了したら、岸総理みずから訪米なさる、渡米なさる、こういうことでありますが、ちょうどこのことは、私たち一般国民の受けます感じといたしましては、吉田内閣当時、いわゆる占領下におきまする内閣のあり方のような一つの感じを受けるわけなんです。ちょうど占領下におきまする吉田内閣が、いかなる場合にでもアメリカの意思を聞き、アメリカと相談して国内政治をやっておった、それと同じように、岸さんも総理大臣になられ、国会が一段落して新しい政策を立てる前に渡米し、アメリカと相談して、それから政策をきめるんじゃないか、こういう印象を非常に国民として受けるわけでありますが、この点についてどういうふうにお考えになっておりますか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 私はこの国会を通じまして、外務大臣としあるいは総理大臣として、できるだけ諸外国をたずねて、そしてトップ・レベルの間において腹を打ちあけて率直に話し合いをして、そうしてわれわれの考えておる外交を押し進めて参りたい、かように存じて東南アジアヘも参るということを申しております。アメリカヘも訪問するということを申しております。その時期等につきましては、国会中は……国会が終った後であるということを申しておりますが、同時に相手国のこれは都合もあることでありますから、相手国との間にそれぞれ適当な時期等について外交機関を通じて向う側の意向を打診しておるのが今の事態でございます。従ってどちらがどういうふうに先になりますか、どこへ参りますか、いつの時期になりますか、まだ明確に申し上げられませんけれども、少くともアメリカをたずねる場合におきましては、私はアメリカに何ゆえにたずねる、いかなる目的でもってたずねるかということにつきましては、すでに私の考えを明らかにいたしておりますように、私は日米間における根本的なものの考え方、それと日米間の関係の諸問題を律すべき基本的な考え方について、両国の首脳部の間に十分な話し合いをしていきたいということが私の目的であります。決して私の政策自身をアメリカを訪問して、アメリカとの相談によってどうするというような考え方は毛頭ありません。のみならず私は日米の関係を将来律する考え方として、占領政策もしくは占領政策の惰性的な考え方を払拭して、独立の完成並びに自主独立の立場から話し合いをするということを申し上げておるのでありますが、決して私自身の政策を樹立する上においてアメリカと何ら相談すべきものはないし、またそういう考えはもっておりません。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 日米間の基本的な問題、基本的な考え方について話し合いをするために渡米する、こういう考えであり、またどこまでも自主独立な立場でアメリカと話し合いをするんだ、こういうまあ御答弁でありますが、私が申し上げるまでもなく、外交は一つの国の力であり、そうしてまた岸総理自身が向うと交渉なさるにつきましても、岸総理の国内におきまする立場、国民的な世論とこういうものがあなたの主張を貫き通し得るかどうかの一つの基準になると思うわけなんです。そういう意味におきまして、私が先ほど申し上げましたように一つは岸内閣の手によって国会を解散して、その結果岸内閣が勝利を得た場合は、あなたに対する世論というものはこれだけだということをはっきりと示すことができると思うのです。それからまた国民的な要求であるというためには、やはり自民党だけの主張でなく、また岸個人の主張でなく、ほんとうに国民的な世論である、国民の要求である、日本の立場である、こういうことをはっきりと向うに言い得るためには、何らかの準備が必要じゃないか。その一つの方法として与党と野党の立場は違い、それぞれ主張は違いますが、やはり対アメリカという関係におきましては共通する事項もあると思うのです。これだけは最小限度日本として貫かなければならないという一つの基本線はあるわけです。そういう関係で渡米なさる前に、野党の党首と会談なさって渡米に際しての準備をなさる意思があるかないか、お尋ねしたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 私は国会運営の正常化、あるいは二大政党による政治の運営、民主政治の運営という点から、重大な問題について野党と適当な話し合いをすることはきわめて重要であると考えております。  外交問題につきましてもまたしかりでありまして、その方法とか時期とかいろいろなことにつきましては十分考えなければならぬと思いますが、今御質問になりましたようなことも十分一つ頭において考えていきたいと思います。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 総理の渡米の趣旨は、今までの予算委員会におきましても、たびたび委員の質問の答弁によって明らかになっておりますように、具体的な問題についてだけでなくして、基本的な考え方、基本的な態度についても話し合いをしたい、こういうわけでありますが、ただ従来の例もありまするし、また国民として、われわれとして一応想定できる問題は、一つ防衛問題があるわけなんです。  巷間伝えられるところによりますると、渡米に際しまして、前と同じように何らかの防衛計画を持参して、そうして向うと折衝する、こういうことも伝えられておるわけでありますが、もしこれが事実であるならば、渡米なさる前に、国会に提示して、説明なさることも必要であろうが、事実かどうか。また事実であるとすれば、事前に国会に提示する意思があるかないか、この点についてお尋ねしたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 別段これはそういう具体的な案を持参して、それについて話し合うという考えはもっておりません。ただ国防会議が設けられておりまして、国防会議において、われわれは長期防衛計画をこの会議にかけて樹立するということは申しております。またそうしなければならぬ。昨年来国防会議ができまして、国防会議の事務局その他関係方面におきましては、防衛に関する基本的な計画等についても十分検討をいたしております。従ってこの会議によって一つの具体的な案が定まるならば、私は当然国会にも、そのうち付さなければならないものにつきましては努力して付議するというようになると思いますが、現在そういう具体的なことを私は特に考えておるわけではございません。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 重ねてお尋ねしますが、国防会議におきまする長期防衛計画が渡米前にでき上るかどうか、でき上っておれば、それを携行してそれによって折衝なさる意思があるかないか、この二点について見込みをお尋ねしたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) これは長期国防計画につきましては、従来防衛庁におきましてもいろいろいわゆる防衛庁の一つの試案といいますか、試みの案は幾つかできておることは承知いたしておりますが、これらのものを十分あわせてその他の調査資料とともに検討して結論を出さなければならない問題でございますから、これをいついつまでに、現在のこの調査の進行状態から申しますというと、私の渡米の時期もはっきりいたしませんが、それらとにらみ合せて渡米前にできるのだということを申し上げ得る状態にはなっておりません。従って今のところその案を携行するとか何とかというような考え方はもっておりません。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 今朝の新聞を見ますと、渡米の時期が相当ずれるように新聞は書いております。従ってもし新聞に報道されましたように、渡米が八月以降になるといたしますると、それまでに国防会議におきまする長期防衛計画ができ上る見通しがあるかどうか。またでき上ったら、それを持参なされるかどうか重ねてこの点についてお尋ねいたします。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 今申し上げましたように、渡米の時期もまだはっきりいたしませんし、従ってこれが八月以降になるということをここで申し上げることもできませんし、またならないということも申し上げることができないのでありますが、われわれはこの長期国防計画は少くとも次の通常国会までにはぜひともこれを明確に樹立をいたしたいと思って、せっかく調査研究を進めておるわけで、従いまして、八月になれば必ずできるということはまだここに申し上げることはできないのであります。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 少くとも防衛計画は三十三年度の予算の編成までにはでき上らなければならないものだと考えます。そうしますと、大体例年の振り合いから考えますると、九月になればぼつぼつ内閣としても三十三年度の予算の編成にかかるわけでありますが、それまでにでき上らなければ間に合わないと思うので、はっきりした時期は明言できなくても、予算との関連において大体の時期というものは想定されると思うのです。そういう面について重ね  てお尋ねしたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 三十三年度の予算編成に間に合うようにはぜひやりたいと私は考えております。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 そういたしますと、渡米の時期ははっきりいたしませんが、もし新聞の報ずるように八月以降になるということになりますると、それまでに国防会議の長期防衛計画はでき上るというふうに今の答弁から推察できるわけなんですが、もし長期防衛計画ができ上ったならば、それをお持ちになる意思があるかないか、この点についてお尋ねいたします。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 御承知のように、この日本の防衛計画につきましては、今日日米共同防衛の立場をとっておりまして、いろいろ軍事専門家等もアメリカから来ておるような、状況でございまして、ある程度その樹立の途中においては、これらの意見も一つの参考意見として取り入れて立てるということになると思います。しかしいずれにしましても、これは防衛計画ができて、それをアメリカに首相が携行してこれをアメリカに示すという、手続といいますか、そういう方法は、私自身としては考えておりません。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 次に、今の内閣の一つの方針でありまする、国会の運営の正常化という面から、岸総理並びに自民党の総裁としての岸氏にお尋ねしたいわけですが、この国会の審議の状況、運営の状態を今まで見て参りますと、政府が何か窮地に立ちますと、必ず国会運営の正常化、こういう文句によりまして、それを切り抜けようと考える感じを受けるわけなんでございます。この問題に関しまして、国会の運営の正常化という問題について、政府の立場としてどういう具体的な策をお考えになっておるか。今までの例を見ますると、野党にのみ国会運営の正常化という美名のもとに無理を言っておられる。政府としてどういう具体策をお持ちになっておるか、これをお尋ねしたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 国会運営の正常化という問題になりますれば、その主体は、いうまでもなく、党と党との国会における活動について、両党において十分話し合いをし、あるいは必要な法律、制度等につきましても考えるということになると思いますが、政府としての考えとしましては、いうまでもなく、私は国会における議事の進行をスムースに行えるようにするために、議案をできるだけ早く準備して、審議の期間が十分にあるように国会に提案をし、また政府当局としては十分これを理解してもらうように、あらゆる方法において説明に当り、質疑を重ねて、その案件の内容について、おのおのの主張が明かになり、十分に——そのものを承認するしないは別として、少くとも案件自体の性質なり、内容なりというものがはっきりわかって、そうしておのおの主張を明かにするというふうに私は努むべきものであると考えておりまして、及ばずながらそういうふうに今日まで努めてきたつもりであります。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 政府としてのこれに対処する具体策につきまして、今二、三お話になり、そういう方向で従来やってきたというふうに自画自賛されておりますが、二大政党対立のもとにおきまする、では与党としてどういう態度が一番必要か、総裁としてお尋ねしたいわけなんです。今までの例を見て参りますると、与党としての考え方は、できるだけ審議時間を短かくする、このことに専念しているような感じを受けるのです。たとえば一つの委員会を例にとってみましても、各委員間の質問時間の割当をやりますと、与党諸君たちがやり得る国会運営の正常化のたった一つの方法は、自分の会派に割り当てられました質問時間を放棄するということによって審議時間を短縮する、これしかないわけであります。これが果して与党として国会運営正常化に対しまする具体策かどうかお尋ねしたいと思うわけでございます。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 現実の国会運営につきましては、これは特に衆議院においては二大政党の対立でありますから、二大政党の国会対策の責任者等において十分に話し合い、また委員会における理事その他の人々によって話し合いをして、そして議事の運営の円満をはかっていく。参議院におきましては、さらに緑風会というものを入れてこういうことが考えられていかなければならんと思います。もちろん先ほど申しましたように、十分に質疑応答をやる、あるいは意見の開陳等の機会を十分にすることは、これはいうを待たないのでありまして、また野党の方におきましても、いたずらに議事の引き延ばしとか、あるいは議事の進行を妨げるというような行動に出ることなく、十分に議論を尽してゆくという、そのために必要な時間は十分取ってゆくということであり、そう考えられることは当然だと思います。今の与党に割り当てらるべき質問の時間を特に与党としては放棄して、そうして議事の運営の短縮をはかるということも、これも一つの方法として両党の間において話し合いをされる場合においては、私はあり得ることだと思いますが、十分にしかし与党としての議論も尽し、それからまた野党の主張についても十分に私は謙虚な気持で、たとえ少数意見であっても、それにとるべきものがあるならばとってゆくという態度で審議を進めるということが、結局において議事の運営を正常化する上においては最も必要なことである、かように考えます。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 この国会を通じて一番顕著な例は、たびたびいわゆる四者会談というものが持たれまして、何か委員会におきまする法案の審議に行き詰りがくると、あげて四者会談によって解決をはかろう、こういう傾向がこの国会では顕著に見えるわけなんです。こういう行き方は、国会法にいっております。今の国会がとっております常任委員会制度、これを無視するものではないかという印象を非常に受けるわけでありますが、今やっておりますこの四者会談の行き方、こういうものについて、総理としてまた総裁としてどういうふうにお考えになっているか。特に常任委員会制度との関連においてお尋ねしたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) いうまでもなく、各委員会の議事は、その常任委員会における理事及び委員長等の話し合いによって運営がはかられるということが、第一段に考えられなければならん問題である。しかし先ほど申しましたように、二大政党あるいは政党の数が非常に少数の対立の関係にある場合におきましては、さらにその議事の進行の度合を見ながら、党全体としてのものの考え方、協力の仕方ということについて、いわゆる四者会談と申しますか、国会運営について全体的に責任をもっている党の幹部の人の間において、話し合いを進めてゆくということは当然行われなければならん。従ってこれが常任委員会というものを無視するということじゃなくして、常任委員会の理事あるいは委員長の人々だけでは処理できないというような場合においては、私は両党の国会対策全体について責任をもっている人々が話し合って、その難関を打開してスムースに進めてゆくということが当然であろうと思います。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 ただいまおっしゃいましたことも、これは限度によると思うわけです。この国会を通じて私たちが感じます点は、あまりにも常任委員会が無視されるような四者会談の傾向をおびている、こういうふうに考えるわけなんですが、岸総理としては、今国会のこういうあり方はこれは当然である。何ら常任委員会制度を破壊するものではなくして、二大政党対立のもとにおいては、こういうことこそがほんとうに国会運営の正常化の問題である。こういうふうにお考えになっているかどうか。その点を重ねてお尋ねいたします。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) この国会運営の正常化ということは、特に石橋前首相がこれを強くとなえた、また過去数回の国会の実情に顧みまして、両党の首脳部また両党の人々におきましても、いかにして国会の運営を正常化すかということについては、非常に強く意を用いて、今回の国会の運営に当っていると思います。今回の運営自体がこれでもう完全だ、これでこの姿が一番いいのだ、こうただちにいうわけには参らんと思いますが、しかし少くとも過去の行き過ぎやあるいは運営の正常化を妨げているようなことをとにかく克服して、何とか正常化そうとする両党の努力というものが、今回の国会に現われておる。しかしその現われた結果が、今お話のように、十分これは検討しなければ、また常任委員会制度と、そういうものとどういうふうに抵触するかということも考えなければならぬ。原則として私はやはり常任委員会は常任委員会として、第一段において責任をもって、その委員会に付託されておるところの議案の議事を進めていくということには責任を持つわけですから、これは尊重しなければならぬと思いますが、同時に、四者会談というものが並行して行われて、その間の調和がうまくとられれば一番いいのじゃないか、ただ、果して今度の国会でそれがうまく調和がとれておるかどうかということは、なお十分反省もし、検討もしてみたいと思います。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 国会の運営の正常化に関連いたしまして、現在の二院制度について、二院制度のあり方について岸総理はどういうお考えを持っておるか。特に参議院の構成について、全国区、地方区との別々な選挙母体から出ておりまする議員によって構成されておりますが、こういう母体の構成についてお考えが何かあるか、あればお答え願いたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 言うまでもなく、二院制度ということは、一院の場合とは違って、二院によって、重要な、この予算を初め各議案について、やはり中正な立場から、さらにそれを一院で議決されたものをみるという意味において、二院制度の存在の意義があるのだと思います。ところがこれは選挙制度にも関係することでありますが、選挙制度ということと結び合わして考えてみまするというと、衆議院のこの二大政党対立という傾向これ自身が、さらに参議院にもやはり選挙を通じて議員が出てくる関係上は現われてくることは当然だと思います。そうしますと、衆議院と同じような構成になり、二大政党になるということになれば、はなはだこの二院制度の運営という上においてどうかという批判が当然私は生まれてくると思うのです。従って、社会党もそうでありましょうが、自民党におきましても、党としては同じであるけれども、やはり議事の審議そのものについては、ある程度衆議院とは独立した見地から意見を立てて、議案の審議に当るという運営が現在行われておると思うのです。それで、果して衆議院であるとか、あるいはこの参議院の選挙制度そのものについて、従来の制度をそのまま存続することがいいのか、衆議院の選挙制度とあわせてこれは検討してみなければならぬことで、軽々にどうだという私は結論を出し得ない。また方法いかんによっては憲法そのものの規定にも関係を持つことでありまして、ただ両院制度である限りにおきましては、先ほど私の申したことでも明らかなように、少くともある程度において、衆議院における議事なり、あるいは議案審査とは独立した見地から、別個の見地から、参議院において検討が加えられるということが、両院制度においては私は必要であろう、こう思っております。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 選挙制度に関連いたしまして、先般来衆議院でも検討いたしておりますし、新聞にもちょいちょい出ているわけなんですが、人口の変動に応じまして現在の衆議院の選挙区の定員等について変更しなければいけない、こういう問題が出ておりますが、そのうちで特に世論的にとかくの非難を受けておりますのは、人口の移動によってふえる選挙区と、定員のふえる所と少くなる所、これができるのはこれは当然でありますが、少くなる所はそのままにしておいて、人口のふえた所だけ定数をふやして、衆議院全体の定数をふやそうというような意見が出ており、世論の反撃を食っておると思うのです。これに対しまして岸総理はどうお考えになっておるか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 御質問の点は、実際問題としてはきわめて困難な私は問題であろうと思うのです。理論的に申しまして、衆議院の別表にも付けてあるように、あれはたしか五年ごとでしたか、人口の移動を国勢調査なりによってこれを調整するというようになっておりまして、また現在の定員が終戦直後の人口分布の状況を基礎にできておるために、最近の情勢とは非常に異なっております。従いまして、これが是正、調整についての研究が衆議院において行われておりますが、現実に理論的に言えば、今お話の通り、ふえた所においてはふやし、減った所があるならば減らす、これは幾らかあると思います。全体としては人口はふえておりますし、選挙権者はふえておると思いますが、これを減らしていくということは、これはまあ論理的にいえば当然のことです。しかし現実にいうと、なかなかこの選挙区の実情からいうと、現在出ている定員を減らすということは、非常にこれは困難を伴うと思うのです。現実問題として……。そうすると、多い所だけふやすということの結果になって、今の世間の非難もそこに向けられておるという状態でありまして、これは十分に一つ検討をしまして、まあ結局現実の問題とすれば、それの一種の妥協のところに落ち着ける以外になかろうかと思いますが、せっかく研究をいたしてみたいと思います。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 特に心配いたします点は、地方自治体の財政難の関係から、地方自治体の議員の定数はちょいちょい減らしておる所もあるように、これは政府が強力に地方自治体の財政に関与しておる関係から、地方議員の定数を減らしておる所もできておるわけなんです。こういうふうに地方団体に対しましては政府はやかましく言って、自分の、政府を中心にしまする国会の構成についてはお手盛りをやるのではないかという声が、特に地方自治体の議員の中から出ておるわけです。この点は今後の問題でありますが、やはり妥協案と申しますか、いわゆるなれ合いのような制度の改正と別表の改正ということにならずして、どこまでも国民の信頼の置けるような改正を十分御検討おき願いたいと思うのです。  次にお尋ねいたしたい点は、岸総理は内閣に入られる前から、いわゆる憲法改正の主な主張者であったわけでありますが、今、岸内閣ができまして、一つの問題としてお尋ねいたしたいのは、現在できております憲法調査会、これを今後どうなさる意思であるか、この点をお聞きしたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) これは国会の議決によって成立した法律でございまして、従いまして、政府としてはこれをやはり委員を充実して、憲法調査会として活動でき、またそれの調査を進めてもらいたい、かように考えます。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 岸総理の考えはそうでありますが、現実に調査会が機能を発揮するという見通しがあるかないか。また、いつごろから機能を発揮するようにやるお考えか。その点をお尋ねします。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) これは実は私、この案の提出のときから今日まで一貫しておる考えでありますが、いうまでもなく、憲法につきましては、今平和憲法擁護という意味において、憲法を改正してはいかぬという議論が一方にありますとともに、自主憲法を制定しろという、憲法全体について自主的な立場から新らしい憲法を作るべきだという議論が対立しておることは、御承知の通りであります。私は憲法問題については、いうまでもなく、これは国の大本でございますから、意見は十分に尽して、またかりに多数決でどちらがきまるにしましても、少数意見というものも十分明らかにされて、そうして国民が最後に改正する場合におきましては、いうまでもなく国民投票によってきめられるわけでありますから、国民が十分にそれを判断し、批判し、その自分の考えをきめ得るような、この調査、研究、論議がされることが必要である。従って意見は違っておるけれども、これの提出についても与野党共同提案にすべきものであると、当時私は民主党の幹事長として社会党にそのことを申し入れたのでございます。しかし社会党としては、党議として平和憲法擁護に一決しているから、これに賛成して共同提案にすることはできないということで、ああいう提案の仕方になったわけであります。その審議を通じても、社会党の諸君が憲法の改正というようなことには絶対反対であるという御意見は明瞭になっております。私は、この調査会を発足せしめ、この調査会が十分その設立の趣旨に合った活動をするためには、社会党の有力な人々もこの委員に参加してもらいたいということを、しばしばわれわれの意見として申し入れをいたしておるのでありますが、さらに私は、私の考えを十分に社会党にも申し、入れて、ぜひともこの調査会に参加してもらう、そして反対意見も、あるいはこの要望の議論も十分にこの調査会において隔意なく論議されまして、そうして適当な結論がこの調査会において作られ、これが国民の前に明らかにされて、国民の最後の判断を求めるということにしたいと思っております。そういう意味におきまして、なお今後努力を続けて参りたいと、かように思っております。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 重ねてお尋ねしますが、社会党の委員が入らなくてもこの調査会は機構活動するようにおやりになるか、あるいは社会党の委員が入らなければ有名無実のものであるから、これを廃止される意思であるか、重ねてこの点についてお尋ねをしたいと思います。と申しますのは、今の段階におきまして、社会党は、はっきりと態度を決定して、まあ岸総理のどういう懇請がありましょうとも、このメンバーに入るという意思は毛頭ないわけでありますので、ぼつぼつ内閣としても、この調査会のあり方について最後の断を下すべき段階にあるのではないかと、こう考えておりますので、重ねてお伺いいたします。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 私は、社会党の方がこの調査会にお入りにならないということは、私自身としてはどうしても了解できないことであります。それは、社会党がこの憲法改正に反対であるということは、これは当然私は天下に声明されておることであるから、それはそれを私は社会党としてお変えなさいということを申すのではなくして、しかし日本の憲法をわれわれが憲法調査会法の趣旨に従ってこれを検討する、そして将来に向って結論として私は変えてはならぬという信念を持っておられるならおられるほど入って、その信念を国民の前に明らかにされることこそ理由があるのであり、そういう意味において、私自身としては、今入らなかった場合はどうするかという御質問でありますが、社会党の方々が入らない、入られないということは、私は実は予想しておらない。あるいは私の説明なり信念を十分に、また調査会の運営というものの方針を十分に理解していただくことがまだできないから、そういうことになっておるので、私自身としては社会党がお入りにならぬということは実は想像しておらないのであります。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 調査会のあり方その他につきましての岸総理のお考えと、また私たちの考えは、違うわけでありますが、質問時間に入るわけでありますから、それは省略いたしますが、いずれにしても相手のある問題であり、岸総理が幾ら入られるものだと信じておられましても、相手側であるわれわれは入らないということは別な観点からはっきりしているわけで、少くとも内閣として法律ができ上って、そうして今なお発足しないということは、そういう調査会に入る入らないは別にして、何らかの処置を講じなければならない責任ある立場に立っておると思うので、従って総理の考えはそうかもわかりませんが、入らないということだけは既定の事実であり、そうなれば、ここで総理は入られないはずはないということで答弁なさるよりも、社会党が入らない場合も発足するかどうか、入らなければ廃止するのかどうか、この意思を決定すべき段階であると思うし、われわれもその点についてお聞きしなければならない義務があると思ってお聞きしているわけです。社会党が入らない場合はどうするか、結論をお聞かせ願いたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) これは議員提出の法律として成立を見た法律でございまして、従いまして、私はその施行については政府としては全責任があるわけでございますから、もちろん、かりに私の考えておるような委員の構成ができなかった場合において当然廃止するという考えは私は持っておりません。しかし私はあくまでも先ほど申したような信念に基いて話し合いをするつもりでございます。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 総理大臣のお考えになっている方が委員になってもらえなくても、他に委員を求めて発足すると、こういう御趣旨でありますが、ではいつごろ発足なさるか。機能が発揮できるような整備をなさるか。これは少くとも責任ある内閣としては、議員提出の法案であろうと政府提出の法案であろうと、国の行政機関としてでき上った法律を遵守する、執行するという点においては、義務は同じだろうと思うのです。相当長い期間空白に置いてあるわけでありますから、いつからこの機能を発揮させるかということにつきましては、国民として当然質問する権利がありますし、またお答えになる義務があると思うのです。従っていつごろこの機構が動き得るように発足させるか、時期について重ねてお尋ねいたします。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) なるべく早い機会にいたします。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 一応岸総理に対しまする単独な御質問は以上にいたしまして、次には総理、大蔵、運輸大臣に共通な問題として、運輸省並びに国鉄関係についてお尋ねいたしたいと思います。  最初主として大蔵大臣についてお尋ねいたしたいわけでありますが、御承知のように、日本国有鉄道法を改正されまして、国有鉄道は公共企業体であるために予算面に弾力条項が与えられております。これによって、予算総則の十三条によりまして、はっきりと明示されているわけでありますが、ところがその弾力条項というものは、予定外の収入の増加、あるいは既定経費の節約、こういうものによって生まれました金をある程度の条件によって使い得る、これが大体弾力条項の大要であります。ところが来年度の予算を見て参りますると、五カ年計画ということを基礎にいたしまして作られ、その初年度に入っておるわけでありますが、私たちが過去五、六年の国鉄の予算を見て参りまして、本年度ほど歳入、歳出ともに圧縮されている、こういう予算はちょっと見当らないわけなんです。特に提示されておりまする修正五カ年計画によりますると、最初国鉄が計画いたしました一割八分運賃値上げのときのいわゆる五カ年計画並びにそれに基きまする予算と、一割三分に決定いたしましたときの修正五カ年計画並びに今国会に出されておりまする予算とを比べてみまして、常識的な観点から立っても非常におかしいと考えられますのは、歳入の面であります。これはまあ運輸委員会なりその他の委員会でも質問いたしたこともあるわけでありますが、政府の出されておりまする最初の五カ年計画からその後の変化によりまして修正五カ年計画をお組みになったわけでありますが、ちょうど国鉄が運賃値上げを決定しましたときの五カ年間の運輸収入全体の見込み額と、一割三分になりましたときの五カ年全体の運輸収入との開きは、七百四十九億円であるわけなんです。一割三分になったときよりも一割八分の当初の計画が七百四十九億円多いのであれば、これは常識上わかるわけでありますが、一割八分を決定したときの運賃の総収入の見込みと、一割三分を値上げを決定したときの運賃の総収入との見込みの七百四十九億というものは、一割三分になったときにふえているわけなんです。これほど奇異な現象はないと思うのです。値上げ率を低くしたときと高くしたときにおいて、高い方が収入がふえるというのであれば、これはだれでもうなずけますが、一割八分の値上げよりも一割三分の値上げにした方が運輸収入全体の見込みが七百四十九億円ふえているわけなんです。反対に経費の面で見て参りますると、一割八分の運賃値上げのときに見込みました経費よりも、これは経費の節約という面で相当努力したと思いますが、一割三分になったときの方が三百四十七億減っているわけなんです。ところが五カ年間の計画によりますと、運賃の面において七百四十九億ふえるのであれば、当然この増収対策に要しまする経費の増加というものがあるはずなんです。運賃はふえて経費は減っていく、差引一千億の差があるわけなんです。わずか二カ月間ほどの間の経過において差があるということが常識的にも納得できない、これは端的に申し上げますと、一割八分の値上げ案が一割三分に減らされ、しかも修正五カ年計画によって九百五十億に上りまする膨大な資金が要る、そのつじつまを合わすために、歳入面と歳出面においてこういう数字の欺瞞によってつじつまを合わしておる、こうとしか見えないわけなんです。従って来年度の国鉄の予算があまりにも圧縮されておるし、矛盾しておると、こう見るわけなんですが、これに対しまして大蔵大臣はどうお考えになっておるか。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) 一割八分の案の場合は、私は正確にはそれを存じません。しかしこの一割八分という案は、かなりずさん、と申しましては語弊がございまするが、一応の試案としてできたものだと思います。で、収入の面なんかにおきましても、当初は多分昭和三十年度の基準で行っておったのではないか。われわれは最近の数字をとり、しかもまた長い目で見て計算いたしました。三十一年の実績の非常にふえたものも加味しておりますので、相当見込みが違ってくると思います。また経費の方面におきましてはできるだけ圧縮いたしまして、適正な正当な経費の見方をいたしておるのでございます。で、一割八分の案と最後にきまった一割三分の案との違いはいろいろな点で出て参りますので、こまかい点は国鉄当局から御説明になると思います。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 次にもう一つ、今のに関連いたしまして、五カ年計画を修正するという点について、九百五十億の財源捻出のために、工事関係の予算を一割削減して九百五十億捻出いたしておる、まあこれの全部じゃありませんが、捻出の一部の財源にいたしておる。ところが今までの本委員会を通じあるいは他の委員会を通じて見ましても、企画庁長官からの話によりますると、工事関係の基礎材料であります鉄鋼、セメント、そういうものが現在よりも安くなるという見通しはない、特に鉄鋼関係におきましては、今のところ値上りの傾向にある。こういうときに、工事予算のうちの大きな部分を占めます客車、機関車、貨車、こういう面が一割以上の削減ができるということは想定できない。こういう点につきましても、私は五カ年計画よりずさんではないか。また来年度の予算の基礎になっておりますこれらの計画が、予算に載っております数字によってまかなえるということは想定できない。そういう面も含めまして、私は来年度の予算につきましては大蔵省の査定というものが非常に無理があるんじゃないか。端的に申しますと、運輸省自体の要求に対しまして、一割三分の値上げを認めてもらうために、大蔵省の言いなりに予算が編成されておる、こういう感じを受けるわけなんで、予算編成に際しましてのこういう問題を、大蔵大臣はどうお考えになっておるか、重ねてお尋ねしたいと思います。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) 国鉄の経理におきましては、各方面でいろいろ節約し得る範囲が多いということはわれわれ聞いておったのでございます。三十二年度の予算編成に当りましては、それらのことを十分頭に入れまして、工事請負単価の引き下げとかいろいろな点で合理化をはかっております。しかもお話の鉄につきましては、そう上るとは考えておりません。国際的には下りぎみの傾向であります。またわれわれは輸入関税の免除その他操作をいたしまして、鉄鋼の値上りを極力防ぐようにいたしておるのであります。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 今までの点につきまして、大蔵大臣の御答弁以外に運輸大臣から御答弁願いたいと思います。

宮澤胤勇自由民主党運輸大臣

○国務大臣(宮澤胤勇君) 一割八分の計算と一割三分の計算で、一割三分の方が収入が増してきておるようでおかしいじゃないか、こういうお話ですが、これは一割八分とか一割三分ということをきめておいて数字を出したのではありません。初め一割八分の案はありましたけれども、一割八分の案を作るについては何をしたいか。ところが五カ年計画でこれだけの事業をしたい。その五カ年計画でこれだけの事業をするについて、だんだん数字を検討していただきまして、運賃値上げという国民の負担に待つのでありますから、部内においても、もう少し考えなきゃいけないというので、数字を詰めて参りました結果、一割三分というものが出てきたのでございます。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 今の御答弁はおかしいわけですが、そうすると、運輸大臣の答弁を類推しますと、だんだん検討したら七百四十九億多くの見込みがつくようになったと、こういうわけですから、では重ねて類推して、もう二、三カ月間ゆっくり検討したらこれ以上の金が出るのじゃないかと思うのですが、どうですか。

宮澤胤勇自由民主党運輸大臣

○国務大臣(宮澤胤勇君) お答えいたします。十分検討いたしまして、そしてここで五カ年計画をきめる段階で、十分に検討した結果、収入も支出も一割三分を上げればつじつまが合って修正五カ年計画というものが遂行できる、こういう点できめたわけであります。

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) 日程第八、第九、第十が記名投票のようでありますから、その間暫時休憩いたします。    午後三時十八分休憩    —————・—————    午後三時四十四分開会

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) これより再開いたします。質疑を続行いたします。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 答弁の途中で休憩になったわけでありますが、五カ年計画を算定したときの最初の収入見込みと最後の収入見込みと検討した結果、これだけの差ができたというわけですが、その内容につきまして運輸大臣から御答弁願いたいと思います。

宮澤胤勇自由民主党運輸大臣

○国務大臣(宮澤胤勇君) このこまかい内訳の数字でございますか。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 そうです。

宮澤胤勇自由民主党運輸大臣

○国務大臣(宮澤胤勇君) それは政府委員から。

權田良彦運輸省鉄道監督局長

○政府委員(權田良彦君) お答え申し上げます。当初一八%の場合は日本国有鉄道の申請でございまして、当時は収入におきましても年率増加率貨物で二分六厘、旅客で三分五厘程度しか見ておらなかったのでありますが、これは時期のズレでありまして、その後数次にわたって検討を加えました結果、いろいろ諸要因の変動によりまして、増加率も年率につきまして増加をいたすことが妥当であろうと考えた次第であります。従いまして旅客については四分五厘、貨物についても四分五厘程度の増率に修正をいたし、さらにそのときには三十一年度の決算見込みもやや詳細にわたって参りましたので、この決算見込み、実際の収入見込みに三十二年度を足し、これから今の線を結びまして出したのであります。従いまして収入におきまして、その総額において当初の申請当時とは七百四十九億の増加が見込まれる。しかし収入はもちろんこれに見合いまするところの輸送力と見合うわけでありまして、この収入を上げるためにはそれ相当の輸送力の増強をしなければならぬ。これは五カ年間に投ぜられる工事費、こういうものからの見合いも考えまして査定をいたしたのであります。また一方支出におきましては経常費、利子、借入金返還、その他必要経費につきまして、各項目別に人件費、動力費、修繕費等、業務量増に見合うものを査定し、さらにこれに経営合理化、あるいは鉄道の近代化に伴うところの経費節約を査定いたしまして、収支をとってみたのであります。こういたしますと、大体原価としてまかなうべきもの、並びに外部資金の財政投融資、その他一般の状況から判断いたしました見通しの外部資金、こういうものを想定いたしますと、自己資金でこの際まかなうべき度合が出て参りまして、これが現在の運賃率に関係いたさせますと、大体一三%程度の増収に見合って参る、こういうことによって一三%を査定いたした次第であります。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 机上のプランとしては一応理屈は立っていると思いますが、端的に言って私はこの収入面からだけ見ましても、この数字につきましては非常に疑惑を持っておりますが、幾ら質問いたしましても水かけ論になると思いますので、この点については質問を打ち切ります。  次に大蔵大臣にお尋ねしたいわけですが、来年度の予算全体を見て参りますと、好景気の影響を受けまして、非常に収入もふえ、財政投融資面におきましても本年度に比べまして非常に増額されております。ところが国鉄の財政的な面を本年度予算と来年度予算と比べてみますと、財政面からの外部資金を見て参りますと、本年度は三百五億外部資金が入っております。それで約六十一億返還いたしておりますが、来年度の予算を見ますると、これが十億ふえて三百十五億になっております。反対に返還は百十四億となりまして、差し引きいたしますと、本年度よりも来年度の方が、約四十億外部資金のトータルにおきまする導入は減っておるわけなんです。こういう点から考えまして、本年度政府としては相当な大幅な財政投融資の増額をしておる。こういうときに当って国鉄に対しましては、差引勘定を見ると、本年度よりも来年度は少くなって、そうして運賃値上げという国鉄の収入に五カ年計画の基礎を求めておる、こういう結果になると思うのです。この点を一般的な他の会計ともにらみ合せまして、不審に思うわけなんですが、なぜ本年度に比べまして来年度国鉄に対しまする財政資金というものを減らしたか、この点について御意見を承わりたいと思います。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) 国鉄会計全般から見まして相当の自然増収もございますし、また外部の方からの借入金も昨年と大体同じでございます。ただ問題は、今までの債務につきましての返還を今年から始めよう、こういうことで債務返還金が多くなったから、お話のような点になるわけでございますが、全体といたしましては、国鉄は合理化されるものと私は考えております。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 この点だけから考えますと、私たちの印象は、今度の政府の提案理由によりますると、輸送力を増強をしなくちゃいけない。そのためには現在国鉄が金に困るから一部を運賃値上げをするんだ、こういうふうにして運賃値上げは最小限度にしたい。そうしてできるだけ国鉄部内、政府部内におきまして何とかめんどうをみたいというのを一枚看板にして、世論を押えるように努力されたわけなんですが、ところが今申し上げましたように、政府からめんどうをみる度合というものが、来年度の方が本年度よりも減っておるということは、運賃値上げについての政府の世論を納得させまする理由と非常に矛盾している、こう思うのです。自然増収なり増収が多いから返還を多くした。こう言うのでありますが、それであれば運賃値上げの率を下げるということも考えられるんじゃないかと、この点についてはどういうふうにお考えになっていますか。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) 三十二年度の予算だけでなしに、国鉄五カ年計画を長い目で見ますと、こういう予算を作った方が合理的になるのでございます。今回従来にない例は、昭和二十四年に一般会計から貸しておりまする三十億円を五カ年間で払っていこう、そうしてまた国鉄公社ができました場合に、一般会計が引き受けました八百億円近い国債を国鉄が払っていこう、こういうスタートを切ったわけであります。これもやはり国鉄再建五カ年計画の一つの表われでございまして、三十二年度だけ借入金をふやす、こういうので鉄道運賃の引上げを少くいたしますと、五カ年計画に支障を来たしますので、かれこれ借入金は昨年よりもちょっとふえまするが、五カ年計画に基く償還も始めていこう、そうして自然増収に基いた運賃の改訂もしようと、全体として五カ年計画を見ていっておるのであります。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 いろいろ理由のつけ方もあると思いますが、受けまする感じは、政府自身が運賃の値上げに便乗して、いわゆる貸した金を回収している、こういう感じを受けると、こう言っているわけです。この点に対しましては、いろいろ都合のいいときには修正五カ年計画に便乗して御説明なさり、また運賃値上げをするときには別の面から理由をつけるというふうな感じを受けるわけで、これもまた質問をしましてもそれぞれの答弁をなさると思いますので、この点は省略いたします。  もう一点大蔵大臣にお尋ねしたいと思います点は、これだけの輸送力の増強のための五カ年計画をやって、歳入面におきましても相当の増収を期待し、また輸送力自体においても三九%、三四%というふうに、それぞれ旅客、貨物とも輸送力が増強されるわけなんです。そういたしますると、一般の生産会社と違ってこういう運輸業になりますると、輸送力の増強に見合ってある程度の人員が必要になってくるわけなんです。もちろん経営合理化なりその他によって削減でき得る面もありますけれども、一般の生産会社と違って、それには限度があると思うのです。ところが私たちがいつでも奇異に思います点は、五カ年計画全体を見まして、それぞれの資金計画あるいはいろいろの計画を見ても、人の面については何ら見ておらないわけです。経費の面を見ましても、五カ年間の人件費の一応の計画を見ても人件費は一文も膨張してはおらない。平年並みの四%前後の今までのような定期昇給資金というものだけ見ておって、それ以外には全然見ておらない。ところが今までの例によって考えてみましても、毎年その年の給与総額のワクの中で、一応決算面において処理できた例はないわけであります。そういたしますと人件費の面からこの五カ年計画はくずれていく。こういうことを私は考えるわけなんですが、この点については、大蔵大臣なりあるいは企画庁長官はどういうふうにお考えになりますか。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) 国鉄予算の査定に当りまして、人員の問題は出たのでございます。このたび経費のふえましたのは、おおむね引受会社に出すもの、そういうような経費の増でございます。輸送増加に伴いまするものにつきましては機械化、合理化等によってまかない得るという答申でございましたので、大蔵省といたしましても、人員は前年通りにいたしたわけであります。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 それでは企画庁長官に重ねて一緒に御答弁願いたいのですが、政府としては国全体の五カ年計画を樹立されておりますが、それによりましていわゆる輸送力というものが非常に足らなくなるということは、当然結論が出ておるし、計画樹立のときにおしわかりになっておるはずなんですが、そういたしますると国の五カ年計画を樹立するときに、基幹産業でありまする国鉄の増強ということも同時にお考えになるということが、国としては正しいのではないかと思うわけです。ところが今度の国鉄の五カ年計画を見ますと、国の五カ年計画ができて、それから運賃値上げをするためにこういうことをやっておるというふうに、付随的にできてきておる。従って、政府が国全体の五カ年計画樹立のときに、同時に国鉄の輸送力増強に関しまする計画も立て、これに関しまする所要資金というものも一応政府でみるのが、国全体の企画庁のお仕事ではないかと思うのですが、国の五カ年計画と国鉄の輸送力増強計画との関連について、あわせてお尋ねしたいと思います。

宇田耕一自由民主党経済企画庁長官・科学技術庁長官

○国務大臣(宇田耕一君) 五カ年計画の伸びが非常に当初の計画に比べて増大がありましたので、たとえば電気とか今の輸送面とかは、緊急に五カ年計画の修正を行なったわけであります。その修正を行います場合の基本の数字は、従来伸びを五%見ておったのを七ないし八%見ることになったのであります。従って新しく昭和三十三年から五カ年間の計画を立てますが、それの基本数字と合せましてそうして成長率を七ないし八%の率で押えて参っております。従ってただいまの国鉄関係の五カ年計画というものは、十二分にわれわれはあらゆる面で打ち合せをした結果なのであります。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 国で五カ年計画を立てるときに、国鉄の輸送力増強について財政的な面でどういうふうにお考えになっておったか、それを御答弁願いたいと思います。

宇田耕一自由民主党経済企画庁長官・科学技術庁長官

○国務大臣(宇田耕一君) 五カ年計画を立てます場合に、輸送能力を四分五厘伸ばしたならば七%の伸びに合うと、こう考えております。従って、五カ年計画の数字は約五千億余の建設数字になっておりまするけれども、それに対してどういうふうな年度配分をしていくかということにつきましては、それは運輸当局の現場ないし国鉄当局の計算をわれわれが修正をして、そうして年度割を作ってあります。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 私のお尋ねしますのは、その四・五%伸ばすためには経費が要るわけで、今五カ年計画に対しまする財政的な面は国鉄から出ておりますが、そういう逆な方向でなくして、企画庁でそれを企画のときに、これだけ伸ばすためには、どの程度政府としては財政資金を考えなくちゃいけない、ということをお考えにならなかったかどうかということをお尋ねしているわけなんです。

宇田耕一自由民主党経済企画庁長官・科学技術庁長官

○国務大臣(宇田耕一君) その点は当然われわれのところで数字を出して、そして運輸当局、国鉄当局あるいは大蔵省と打ち合せをいたします。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 そうしますと最初から政府はそういう費用の面等見て、これは国鉄で調達を考えろ、運賃値上げをしろ、こういうふうに御指示なさって、それに従って国鉄が運賃値上げの腹案を練り五カ年計画を作ったと、こういうふうに理解するわけですか。

宇田耕一自由民主党経済企画庁長官・科学技術庁長官

○国務大臣(宇田耕一君) 隘路部門の打開のためにどういう企画を持つべきかということについては、物納その他の面もございますから、もちろん国鉄当局と打ち合せをしたわけでございます。そうしてそれを全体と見たときには、われわれは五カ年間でどれくらいの所要の経費を計上しなきゃならないか、そうしてその中で運賃収入にどれくらい負担せしむべきかということにつきましては、当初御承知のように一割八分の案も出ておりました。また一割五分が適当であるという意見もありました。いろいろありましたが、それは昨年末以来政府各関係省庁でこの打ち合せをしまして、一割三分が妥当である、それに落ち着いたわけであります。当然運賃その他についても協議の上の数字でございます。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 国鉄関係の問題について、最後に運輸大臣と大蔵大臣、あるいは岸総理からも御見解を承わりたい点があるわけなんですが、それは世論でやかましく言われておりまする、過ぐる二十三日の国鉄の混乱の問題であります。あのことに関しまして、私は現象だけの面から見まして、そうしてああいう混乱の結果になったことは国鉄の労働組合として当然なことだ、こういうふうに一方的に考えるものでもありません。またああいう事態を引き起すように至った国鉄経営者の責任を、全然無視するものでもありませんが、ただ私たちが非常に新聞、世論を通じ、政府の談話等を通じまして不審に思います点は、すべてあの混乱は国鉄の従業員と国鉄経営者のみの責任であって政府は何ら責任がない、こういうふうに両当事者の責任追及ということのみに政府は世論の喚起を努めているような傾向が見えるわけなんです。私はなぜああいうことが起きたかという点について、政府自体に責任があるんじゃないかという点から、一点お尋ねしたいわけなんです。それは何かと申しますると、あの問題の原因は、二十三日に支払うべき業績手当を、支払うか支払わないかが原因になって起きたわけでありますが、このことは大蔵大臣も運輸大臣も御承知のように、すでにそれ以前十六日において、二十三日に業績手当としてきめられた金額を支払うということは、両当事者においてすでに妥結済みであり、このことは両大臣とも御承知のはずなんです。しかも国鉄が妥結するにつきましては、前にも触れましたが、予算総則にある弾力条項によって、国鉄自体は一応財政的に国鉄の金で支払い得る見通しがついているからこそ、国鉄経営の責任者としては組合と妥結したわけなんです。そうして残されました問題は、この弾力条項によって支払っていいかどうか、という政府との手続だけが残っておったわけで、その手続の怠慢があの事態を引き起した直接の原因になっているわけなんです。従ってできました現象についてとかくいうよりも、その原因は政府の怠慢なり努力が足らなかったところに、私は原因があると思うわけなんですが、この点につきまして両大臣の御見解を承わりたいと思います。

宮澤胤勇自由民主党運輸大臣

○国務大臣(宮澤胤勇君) この点はたびたびお答えしておる通りでありますが、お話の通り十六日の臨時四波の妥結には、業績手当を支払うということが、国鉄当局者と組合との話し合いになっております。しかるに事実の経過を言いますと、国鉄当局者から私どもの聞くところによりますと、十七、八日ごろになりまして二十六日に最低賃金でまた実力行使をやるということを聞きましたので、国鉄当局者はそれは十六日の約束と違うじゃないか、そういうことをすることは。それだからそういうことは一つやらないように、こういう注意を与えたのだそうであります。これも私は当然のことと思うのであります。それから二十二日に至りまして、明日払うという約束が前からありますので、いよいよ二十二日に至りましては二十六日のいかんにかかわらず、この約束だけの業績手当は明日において出す、こういうことになりまして、私どもも二十三日に出すということを約束したというのですから、それじゃ二十三日に出そう。出すについては政府部内の計数を合せる手続というのがありますので、その手続が二十二日中に済まなかったことは事実であります。しかしながら二十三日の朝になってそれは大体済みましたので、ほんとうのあとの計数だけになりましたから、私は二十三日の午後五時までには必ず出すように手続を運ぶから、それまで騒がないで待つように、こういうことにして、それが二十三日の午後三時四十分に出したのでありますから、私はその手続においてためらうところではないのであります。ただ事実上三時や五時じゃ渡せないじゃないか、こういう問題はありますけれども、これは払うということがはっきりきまったら、何も実際現金を渡すのが一日や二日おくれることは、世間の普通のあり方として何も騒ぐほどの問題ではない、こう了解しております。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 私のお尋ねしておるのは、その事実の経過はそれぞれの委員会で承知いたしておりますが、私の質問いたしておるのは、十六日に二十三日に支払うということが決定され、それを支払うについては国鉄当局も支払い得るだけの財源の措置ができる、という見通しで調印しておるわけで、あとはその金を支払う手続だけの問題で、すでに一週間の日時がたっておるわけです。二十二日になってまだ残余の手続が済まないというところに問題があるのであって、ほんとうに運輸省なり大蔵省自体が、財政法に規定し、あるいは予算総則に規定し、日鉄法に規定されております弾力条項を尊重し、自主性を尊重すれば、一週間もかからなくても今までの例からいって手続は完了するわけなんです。そうして約束をいたしておるのだから五時になったら支払うとか、説得力がなかったとか、こういうことは別の問題であって、政府がもう少し早く手続を済ましておれば、ああいう混乱は起きなかったと私たちは見ておるわけなんです。その点については政府部内の手続の連絡、経過において非常におくれたというようなところに、責任の原因があるのじゃないか、ということを質問しておるわけなんです。大蔵大臣としてお尋ねしたい点は、こういう点について運輸省から何日ごろに正式な相談を受けたか、その点についてお尋ねしたいと思います。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) 国鉄、運輸省と大蔵省の下相談がいつ初まったかは存じませんが、私の耳に入りましたのは二十二日の夜の十時半ごろでございます。しこうして二十三日の朝運輸大臣その他と相談いたしまして、午前中にきめました問題は、業績手当を幾らにして、その残りを弾力条項でいく、こういう問題でございます。業績手当の問題は将来にも影響がございますので、私は業績手当としてはこうやるべきだという大蔵省の意見を言ったのです。それは運輸大臣も了承されておる。それがきまりましてあとは弾力条項でございますから、大蔵大臣の関係したことではございません。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 今の大蔵大臣の御答弁によりますと、二十二日の夕刻正式に自分は聞いた、こういうわけなんですが、では事務的な手続を開始したのは一体いつからか、事務当局もしくは運輸大臣から御答弁願いたいと思います。

宮澤胤勇自由民主党運輸大臣

○国務大臣(宮澤胤勇君) 事務上の話合いを始めたのは、多分十七、八日と思います。私は二十二日の夕刻に至って、事務上の話合いのうち、こうこういう点がまだ話がつかないから大蔵大臣と話をしてくれと言いますから、大蔵大臣に連絡をして、二十三日の朝その話がついたわけであります。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 その点で私ちょっと不審に思いますのは、十六日に妥結するときは国鉄当局としてもそれぞれの見込みもあり、自信もあって調印されたと思うのですが、事務当局の折衝が翌日の十七日ごろから始まっていると、そうして運輸大臣なり大蔵大臣がその点について報告を受け、折衝を開始したのが、二十二日ごろまで、事務当局でそれだけの時間をかけてやるだけの必要があったかどうか。そういう点が私は今度の問題の直接の原因になっているんじゃないか。大臣同士の話合いでわずか半日か五時間くらいで話がつくのであれば、なぜ早くもっていって大臣同士の話合いをし、二十三日妥結通り支払うようにしておけばこういう混乱は防げたか、あるいは起きなかったか、どちらかになると、現象面から考えても考えられるのですが、その間の事務当局の折衝の経過について承わりたいと思います。

宮澤胤勇自由民主党運輸大臣

○国務大臣(宮澤胤勇君) この種のケースの問題は事務当局間でも常にできることですから、そこまで口を入れないでも、最後にできたということを聞けばそれで私はいいと考えておったのです。ですから当然できると、また事務当局からときどき話合いは順次進んでおりますと、そういうことでございますから特に両大臣が会って話をするほどの問題でもないと思っております。ところが二十二日になって少し終末の点において話をしよう、両大臣で会ってもらわなければならないと言いますから、それで二十三日の朝両大臣会いましてその話をきめた、こういうわけでございます。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 その間の経過を聞きまして一応考えられる点は、二十二日になって話を聞き二十三日の朝になって大体話合いができたと、こういうので時日の経過がおくれたためにああいう事故が起ったということについて、運輸大臣としては責任を感じておられないか。自分はやるだけのことはやったのだから、少々おくれたけれどもああいう事情の起きたことも政府の責任じゃない、両当事者の責任だ、こういうふうにのみお考えになっておりますか。あるいは運輸大臣としてもう少し早く解決をしておけば、ああいう事態は起らなかった、手続的に時間を要したことが一つの原因になる、自分も責任を感じておると、こういうふうにお考えになっておるかどうか。最後にお尋ねしたいと思います。

宮澤胤勇自由民主党運輸大臣

○国務大臣(宮澤胤勇君) お答えいたします。これは責任ということもその程度によると思うのでありますが、今の御質問の御趣旨は、運輸省並びに国鉄との間の手続だけに責任があるようなお話に進めてきていただくと、やっぱりもっと大きな責任はそのほかにあるのじゃないかと、私どもこう考えております。(笑声、「答弁にならぬ」と呼ぶ者あり)

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 私のお聞きしているのは、事態を引き起した組合なり国鉄当局に責任がないというような、一方的なことを申し上げておるのじゃございません。ただ今までの政府の態度なり委員会の答弁なり、新聞世論を見ますると、政府はやるだけの最善のことをやっておるのだが、責任は両当事者にあると、こういうふうな感じを受けるわけで、私の質問しているのは、政府も責任を少しくらい感じておるかどうか、全然今責任なしと感じているか。そのイエスかノーかをお聞きしているわけです。

宮澤胤勇自由民主党運輸大臣

○国務大臣(宮澤胤勇君) この政府の大きな機関の間でこういう手続が幾らかおくれてくると、しかし二十三日に払うということを決定して、約束通り履行したのですから、この約束を履行したという点においては、私は別にそれでいいとこう考えております。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 そうしますると、そういうふうにお考えになっておると、もう一歩進んで質問しなければならなくなるわけですが、二十三日中に支払えばいいと、現実に支払ったではないかと、こうおっしゃっていますが、支払わざるを得ないような立場に追い込んだので、あの現象によりまする世論の喚起もあったわけなんです。また二十三日中に支払えばいいと簡単におっしゃいますが、国鉄当局と組合との間の約束は二十三日に支払うと日にちの期限は切っておりまして、時間の期限は切っておらないけれども、土曜日の五時になったりあるいは十時になって払って、これが社会通念上二十三日中と言えるかどうかという点なんです。国鉄自体の常識としては御承知のように二交替でやっておりますから、何日に払うといえば大体午前中に支払いを開始するのが、運輸大臣も御承知のような国鉄内部におけるところの常識なんです。(「国鉄ばかりじゃない、みなそうだよ」と呼ぶ者あり)おそらく、国鉄以外にもそうだという声が出ておりますが、二十三日の四時、五時になって払ったから約束を履行しているのだ、これは形式論であって、運輸大臣たる者が、自分の監督いたしておる国鉄の日常の常識なり慣行というものを御存じないとは考えられないので、その点について私は、運輸大臣として、手続がおくれた、そのこともやはり原因になっているという点においては責任を感じておると、率直な御答弁を得たいと思って質問しているわけなんですが、どうなんですか。(「大へんな責任だよ」と呼ぶ者あり)

宮澤胤勇自由民主党運輸大臣

○国務大臣(宮澤胤勇君) 私は決して責任を回避するものじゃありません。時間がおくれたから気の毒だったというような点においては決して回避するものじゃありません。(笑声、「そんな答弁があるか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)しかしその国鉄の当局者が、これはどうも政府の内部がきまらないから払うか払わないかわからないぞということであったならば、これはやむを得ないことですが、払うとはっきり言っておるのに、それがおくれたからあの事態を引き起さなきゃならぬということは、私ども理解をいたしかねるのであります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 私は、その事態を引き起した責任を回避しようとするのだという、一方的なことを言っておるのじゃないのです。いわゆる政府が手続が完了しないから支払えない、こう言っているわけじゃなくて、国鉄に支払うということは約束しているのだからいいじゃないか、こうおっしゃいますが、先ほど言いましたように、二十三日になって、実際は各現場においては封筒に入れていつでも渡せるような準備ができておりながら、それを従業員に渡せないというところに、手続がおくれたために規定の時間に渡せないわけなんだから、それがやはりああいう混乱を起した原因になっていることは、これは自明の理だろうと思うのです。(「その通り」と呼ぶ者あり)引き起した、引き起さない、そういうことでなくして、そういう原因を作ったところの手続がおくれたことについて、政府が全然無関心だ、何ら責任を感じておらない、お気の毒だ、こういう程度で運輸大臣としての責任が果せるかどうかということは、僕は疑問に思うわけなんです。そういう意味において責任の一端でも痛感いたしておるかどうか、ということを重ねて御質問いたします。

宮澤胤勇自由民主党運輸大臣

○国務大臣(宮澤胤勇君) 私は、そのことが運輸大臣としてその責任を果せないぞ、という程度の問題とは考えておりません。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 まあこの問題はこの程度にして、最後に厚生大臣と総理大臣にお尋ねいたしたいと思います。  石橋内閣なり岸内閣としても、社会保障制度の拡充強化、これはまあ一つの国内政策におきまする一枚看板にはなっておるわけですが、三十二年度の予算を見て参りますると、この厚生省関係の予算が総花式になっておると思うのですね。一体厚生大臣として、岸内閣として、社会保障制度の中にたくさんの施策がありますが、どれを重点にやろうと考えておられるか、この点についてどちらの大臣でもけっこうですが、御答弁願いたいと思います。

神田博自由民主党厚生大臣

○国務大臣(神田博君) お答えいたします。三十二年度の厚生省の予算が、総花式で重点がないものじゃないか、というような意味のお尋ねと承わったのでありますが、必ずしも私はそうとは考えておらないのでございます。予算にも盛られておりますように、結核対策の面とかさらに児童の関係とか、いろいろまあ盛っておるわけでございまして、ただ私の申し上げたいことは、社会保障は一つのきめ手というものがないわけでございまして、いろいろの層のたくさんありますのに、まあばらまいてと言うと語弊がございますから、均霑するような政策をとると、こういうことになりますと、どうしても外観上今お述べになられたようなことに相なろうかと思っております。しかし今年度の予算は相当前年度、あるいは一昨年等に比べまして増額されておりますことは、御承知の通りでございまして、相当いっているのじゃないかと、こういうふうに考えております。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 確かに来年度の予算は、本年度の予算と比べまして、若干ふえておることは事実です。しかしながら、このふえたことは、来年度の予算なり政策を見て、たとえば、税制の改革等によってその恩典に浴さない人、あるいはまた、運賃その他諸物価の値上りによって負担が過重される、こういう人の負担を軽減するという程度にもならないものであって、確かにふえておることは事実でありますが、国全体の収入のふえ方、政府の今度使いまする国全体の予算のふえ方から見れば、社会保障制度を一枚看板にいたしておる岸内閣として、そう大幅にふえたものとはわれわれは了解しにくいわけですが、これは、見解の違いもありましょうから、意見にとどめておきますが、ただ、社会保障制度には、いろいろの施策がありますけれども、そのうちの最低限度の要求といいますか、最低限度これだけはどうしてもしなければならないという一つの問題があると思うのです。各人によって見方は違うかもしれませんが、私は、人間として、これだけは国が面倒をみなければいけないという問題は、医療の問題と老後の生活保障の問題であろうと思うのです。従って、この医療制度の改革並びに老後の生活安定、特に養老年金等について、厚生大臣なり岸総理大臣はどうお考えになっておるか、基本的な考え方をお聞かせ願いたいと思います。

神田博自由民主党厚生大臣

○国務大臣(神田博君) お答えいたします。こういう、社会が複雑になって参りまして、老後の国民生活をどうするかということは、お述べのように、大きな問題だと思っております。そこで、政府におきましては、先般総理のお述べになりましたように、養老年金制度を打ち立てたい。と同時に、母子年金制度も打ち立てたい。こういうような強い決意をもちまして、今年度一千万円に上る調査費を計上いたしたような次第であります。それで、これはなかなか基礎的調査に相当時間がかかる関係もございまして、すぐ実施ということにはこれは相ならぬと思いますが、しかし、漸を追って、一つ将来年金制度にかわるようなものを打ち立てて参りたいという、こういうような考え方をもちまして、本年度におきましては、母子年金にかわるべき母子加算というようなものをやる、来年度あたりは、一つ養老年金にかわるようなものを打ち立てたい、こういうような考えで進んでおります。

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) 中村君、時間が参りました。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 特に老後年金制度につきまして、現在、各府県におきまして、二、三の県において、これは年金ということよりも、お寺参りのお小づかい銭程度のものでありますが、出資いたしておる県があるわけでありますね。そういう面に対しまして、内閣としてはどうお考えになっておるか、御意見があれば承わりたいと思います。

神田博自由民主党厚生大臣

○国務大臣(神田博君) 確かに、府県あるいは市町村等におきまして、今お述べになられたような実例がございますようですが、政府におきましては、ただいまお答え申し上げましたように、今年度は十分調査いたしまして、来年度等において考慮いたしたい、こう考えるのでございます。

中村正雄日本社会党

○中村正雄君 最後に、厚生省関係の所管のうち、一つだけ具体的な点についてお尋ねしたいと思うのです。  これは、先般国会を通過いたしました法案に関係するわけでありますが、現在、全国に重精薄児、特にこのうちで盲精薄、ろうあ精薄、これを収容するために、来年度予算で約五千七百万あまりの金で、東京に一カ所収容所をお設けになりまして、これに関連して、厚生省の設置法の一部が改正になったわけでありますが、ところが、現在統計を見てみますと、全国的に、知能指数が五十以下、これは重精薄児と言っておりますが、このうちで、ぜひともこういう施設に収容しなければいけない、また、収容可能、こういわれております人員が約四万三、四千人あると推定されております。ところが、全国でこういう施設は、今度国営のものができましたが、公営、私営を合せまして、約八十五カ所、収容されておる人員は約五千人足らずなんですね。こういうふうに、わずかの人しか収容されておらない。ところが、私がお尋ねしたい第一点は、いわゆる収容が必要であり、収容が可能である四万人あまりの重精薄児のうち、いわゆる盲精薄、ろうあ精薄、こういう人の数がどのくらいであるかという点が第一点です。  それからもう一つ、この相当な数の、こういう特に気の毒な児童に対しましては、東京に百人しか収容できない国立の収容所を一カ所設けたくらいでは、これはもう焼け石に水でありまして、少くとも全国的な主要地区には設けなければいけないと思うのです。各種団体の要請あるいは関係父兄の要望を聞いてみますると、少くとも東京以外に、大阪、北海道、九州、この程度には設けてもらいたい、こういう要望があるわけなんですが、来年度の予算には、一カ所しか載っておりませんが、逐次これをふやしていって、こういう要望を達成できるような計画をお持ちであるかどうかという点が第二点です。  第三点は、今申し述べました公営、私営のこういう施設がありますが、それに対しまして、国がどういう補助を与えておるかという点が第三点です。  最後の点は、特にこういう施設で一番大事なことは、ここで仕事に従事いたしておりまする職員の問題です。いかに設備をりっぱにし、政府がりっぱなことを言いましても、現実にこういう不幸な人たちのめんどうをみる職員の態度なり心がまえ、これが政府の考えなり、そういう趣旨に沿うたものでなければ、目的は達成できないわけなんです。その基礎になりますのは、何といっても、こういう職員の待遇の問題、現在、私の聞いておるところによると、公営、私営を問わず、こういう仕事に携わっております職員の待遇は、いわゆる日の当らない場所でありますから、とかく世間から忘られがちになっておるわけです。こういう職員の待遇に対して、どういうふうにお考えになっておるか。  この四点につきまして御質問して、私の質問を打ち切りたいと思います。

神田博自由民主党厚生大臣

○国務大臣(神田博君) ただいまお尋ねになりました、また、お述べになりました数字等は、私の承知いたしておりますのと大体符合いたしておりますので、お述べの通りの実情でございます。  そこでこの対策でございますが、ようやく国で、明年度の予算に、東京で一カ所を作ろう、しかもこれは、お述べのように、百人しか入れないというようなことでございまして、これは、この種の方々が特に都市に集中して出ておるというようなわけではございませんので、全国一律に、何と言いますか、散在しておりますから、どうしても今お述べになられたような適当な地区を割って収容して、そうして保護して、将来の生活のできるように指導をするということが必要であることは、お述べの通りと思っております。政府におきましても、今年の施設は、一つモデル的な意味でも重視いたしまして、漸次そういった方面に進んで参りたいと、こういうふうに考えております。  それから、そういうところに勤めておる職員によい人を得るということはむずかしいという問題と、それから待遇等が、どうも軽視されているのじゃないかというような御意見のように伺ったんでありますが、これも、私はおっしゃる通りだと了承いたします。そこで、この点につきましては、十分一つ意を用いまして、こうした日の当らない気の毒な方々の指導でございまするから、今お述べになられたような趣旨に沿うように、一つ逐次改善いたしていきたいと、こういう考えでございます。

森八三一緑風会

○森八三一君 三週間にわたりますこの委員会の審議を通じまして、同僚の委員の非常に真摯な質疑を通じて、もっとも、分科会等におきましては、政府委員の御答弁に、きわめて不勉強な、要領を得なかったものがなかったわけではありませんが、大体三十二年度の予算の全貌について、その大綱を明らかにすることができたと思います。さらに、この審議を通じまして、岸内閣が持っていらっしゃいまする政策の方向についても、おおむねつかむことができたと思うのでありまして、私どもは、最後の決をとるべき時間が刻々と迫りつつあります。そこで、端的に、この際二、三の問題につきまして、総理の御所信を承わっておきたいと思うのであります。  まず第一に、これは非常に総理を初め閣僚——政府全体が常に心を痛めていらっしゃる関心の問題であります、国際収支の問題でありますが、三十二年度の予算は、一般会計におきまして一兆一千三百七十四億円ということであります。まさに有史以来の膨大な規模の予算であるわけであります。前年度の予算に比べましても、千数億円の増加を示しております。さらに、財政投融資におきましても、前年度と比べますれば、六百数億円の膨張である。三十一年度の補正予算で追加いたしまして、三十二年度に繰り越して、三十二年度で使うという予定になっておりまするものも二百余億円あるかと思うのであります。こういうようなものを合算いたしますれば、前年度に比べまして、二千億円前後の財政規模の膨張になる。このことが必ずしもすぐインフレに結びつくというわけではございませんが、こういうことも、一つインフレ要因として世間では心配しておることであります。これは、総理も常に心にかけていらっしゃる点であろうと思います。三十二年度予算は、さらに収支均衡を得た健全財政であるということでありまするが、しかし、こまかく見て参りますれば、三十一年度の食管特別会計の赤字が持ち越されておる。三十二年度におきましても、百数億円の赤字が、現状通りで参りますれば、予見されておるということなんかを考えますると、こういうところにも、インフレ的な要素が包蔵されているということも心配がないわけではありません。さらにまた、経済規模の拡大に伴いまして、各種の隘路を打開することは当然のことでありまするが、そういうことが急速に進められるという結果、いろいろの物価に関連を持って参ります。運賃の値上げなんかも、そういうことに関連して、心配される要素であると見るべきであろうと思うのであります。そういったようなことから、物価の値上りが考えられる。そこで、そういうことに対処するためには、輸入によってこれを調節するんだというようにおっしゃっておるわけでありまするが、今申し上げましたようなこと等々からいたしまして、非常にインフレ的な要因が次々と予見されるわけでありまして、そういう結果として、物価に影響をする。他面、欧州の共同市場の問題なんかから関連いたしまして、輸出の方は二十八億ドルを考えてはいらっしゃいますが、必ずしも予定の通りに参りますかどうか、これは、財界方面でもかなり危惧をされておるところであります。今日の新聞におきましても、そういうようなことを総合的に考えた結果として、三十二年度の国際収支は、二十八億ドルの輸出と三十二億ドルの輸入と、それから貿易外の受取勘定、特需等を含めて、とんとんにいくという計画にはなっておりまするが、かなり赤字が考えられるということを伝えておるのであります。こういうことに取り組んで、一体こういう問題を防止して参りまするために、外務大臣の立場におきましても、経済外交を非常に強く強調せられまして、日本の経済の正常な拡大発展を企図せられておる総理といたしまして、今申し上げましたような諸般の情勢を考えつつ、こういう問題を克服して参りまするために、基本的な態度として、どういうことをお考えになるか、端的に一つ、結論だけをお聞かせいただきたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 三十二年度の予算につきまして、いろいろな批評もございます。今おあげになりましたような点を特に強調して、前途に対して一種の悲観的な意見もございますけれども、私どもは、やはりこの予算全体を通じて、国民所得の規模、それから、最近における産業経済の発展の段階というものを見て、それとの均衡をとった経済拡大ということを基礎に考えておりまして、予算額が膨大であるがゆえに、直ちにインフレの要因となるとは決して考えておらないのであります。ただ、物価の面におきまして、また、今も御指摘になりました国際収支の面におきまして、われわれは今後、これの予算の執行につきましては、特に意を用いていかなければならぬと考えております。言うまでもなく、物価の高騰を来たすということは、これはインフレの直接の問題でございまして、この点については、十分に考えていかなければならぬ。また、国際収支の面におきましても、御指摘のごとく、本年の計画の二十八億ドルを実現するためには、われわれは一そうの努力をしなければならぬ面が、あるいは外交の面におきましても、あるいは国内生産の面におきましても、その他貿易振興の面において、大いに努力していかなければならぬことは当然であります。ただ、国際収支の現状を見まするというと、昨年、いわゆる三十一年度の下半期において、原材料の輸入が非常に多くあって、そのために、最近の輸出入のバランスは逆調になっております。しかし、この昨年の末、下半期に入れられたところのものは、多くは在庫の補充となっており、また、これが原材料となって、今後国内の産業の拡大、輸出の振興というものと結んで考えていくならば、適当な施策を講ずるならば、むしろ私は、将来の見通しについて、決して手放しで楽観はいたしておりませんけれども、悲観する必要はない。かように考えております。

森八三一緑風会

○森八三一君 今、総理から伺いましたお話は、この委員会の審議を通しまして、大蔵大臣からも、企画庁の長官からも、通産大臣からもしばしば承わったことであります。しかし、申し上げましたように、いろいろの要因を考えますると、必ずしも世間で言っておりますることに全然耳をかさないという態度ではいかんじゃないか。これはほんとうに耳をかしまして、そういうような心配が持たれておる。しかも、経済学者等におきましても、そういうことを必ずしも政府にいやがらせを言うのじゃなしに、真剣に心配をして言っていらっしゃるということにつきましては、十分耳をかしていくべきであると思うのであります。つきましては、そういう点につきまして、せっかく今日まで、国民の努力と相待ちまして、正常な経済が保たれ、    〔委員長退席、理事左藤義詮君着席〕 漸次拡大の方向に向っておるという、この喜ぶべき日本経済の発展をこのまま維持していく、そうしてさらに発展していくということに向わなければなりませんけれども、うっかりするというと、世間で心配しておる心配が具現しないとは保証しがたいと私は心配するわけでありますので、十分心してやっていただきたいと思うのであります。  その次に、食糧管理特別会計の赤字対策として、内閣の中に臨時調査会が設けられまして、食管会計の現状について、十分洗いざらい検討されまして、将来不合理な赤字が累積されませんようにするためにはどうしたらいいかということを御検討願うのは当然なことでありまして、すみやかにその結論の出ることを期待するのでありますが、ただ、ここで考えなければなりませんことは、この委員会の質疑のうちにもございました、今日、米価の決定の中に、あたかも米価そのものというような姿で支払われておる存在に、御案内の時期別価格差、まあ普通で申します早場奨励金であります。それから、予約供出を推進いたしまするための予約奨励金がございます。これは理論的に考えますれば、一体私は米価に算入すべき筋合いのものではないのじゃないか。これは、政府の行政上の必要で、なるべく早く米を出してもらえたらという必要から、奨励金として交付されておるものである。現在の管理制度から申しますれば、当然政府が責任を持って集めなければならぬ。が、しかし、先年来、事前の予約売り渡し制度という制度に改め、この政府の制度に共鳴をして、一刻も早く国民の食生活に不安定なからしめるような売り渡しをしてほしいということで、政府が奨励をするための施策として充てられておりますので、私は、当然こういう種類のものは、一般会計において負担すべきものであって、消費者が直接それを負担するという姿はおかしいんじゃないか、こう思うのであります。で、今後食管会計の問題を研究されて参りますることはしごくけっこうと思いますが、こういうものの処理につきまして、一体総理は、当然これは消費者米価のうちに加うべきものと理論的にお考えになるのか。今申しましたように、政府が行政上の必要のために奨励金として出す、こういう筋合いのものは、これは一般会計で処理すべきが当然の建前であるとお考えになるのか。その基本的な観念についての総理の御所信を承わっておきたいのでございます。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 従来は、これは、御承知の通り、米価の一部として処理してきた問題であると思います。しかし、今回設けられた調査会におきましては、そういう点についても十分一つ、将来食管制度というものを健全な形に持っていくという場合につきまして、私は、十分一つ検討をしてもらって、その一つの結論に基いて政府の態度をきめたいと、かように考えております。

森八三一緑風会

○森八三一君 臨時調査会で食管会計の赤字の原因を究明して、今後赤字が出なくして、健全な特別会計が維持されるようになさるということは同感であり、当然なことと思うのでございますが、今、私の質問いたしましたのは、こういう政府の行政上必要と考えて措置されておるものを、私は、今まで食管会計の中で消費者に転嫁しておったことが、これは建前上誤りだと、こう思うのであります。建前上の問題を一体総理はどうお考えになるか。それはやはり米価として処理すべきものとお考えになるか。これは、むしろそういう理屈でなしに、常識的にお考えなさいましても、専門家という立場を離れて考え、行政者として、政府の責任者としてお考え願いまして、それが正しい筋合いのものではないということに私はなるべきであると思うのであります。政府が行政上の必要のために、奨励金として交付しておるということでございますので、当然私は、一般会計において負担すべき筋合いのものであると、理論的にそうでなければならぬと思うのでありますが、今までやっておったことが誤まりであると思うのでありますが、重ねてこの点に対する率直な御意見を一つ伺いたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 今お答え申し上げましたように、私は、そういう問題も調査会で一つ審議してもらいまして、調査会の審議に対しては、今調査審議の途中でありまして、それの内容に触れるようなことについて、政府が意見を申し上げることは適当でないと思います。森委員の御意見につきましては、私は、そういう意味において、御説は御説として承わっておきたいと思います。

森八三一緑風会

○森八三一君 そうしますると、食管会計の赤字を処理するための調査会が一方にはあると、一方には、別の規則によって、米価審議会が作られておると、いずれもこれは、政府の一種の諮問機関的存在であります。そうすると、米価審議会で出した結論というものと食管臨時調査会の結論というものとが食い違ってくるということも、これは別の機関でございますから、理論的にはあり得ると、そういう場合に、一体どっちの意見を重視されるのか。両方の意見をよく聞いて、政府独自の立場で判断をすると、こういう御答弁でございましょうが、前段の質疑からいたしますると、どうも今度の臨時調査会の意見というものが今後の方向を決定していくきわめて重大な役割を果すのではないかというように考えます。そうであっては、米価審議会というものがおかしな存在になってしまう。その辺の調節をどうお考えになるか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 今度の審議会におきましては、食管制度全体に関しての根本的な調査をするわけでありますから、その結論が政府に答申されますれば、政府は、それに基いて、政府の責任において一つの結論を出しまして、そうしてそれが米価に関する限りにおいては、米価審議会の審議に付しまして、そうして米価として決定されるのは、米価審議会の意見に基いて政府がきめるということになると思います。

森八三一緑風会

○森八三一君 次に、中小企業の問題につきまして、総理のお考えを承わりたい。と申し上げますのは、これは、岸内閣ではなく、鳩山内閣のときも吉田内閣のときにも、中小企業は日本の経済の中核をなしておるきわめて大切な存在である、この振興発展についてはでき得る限りの努力を払うのだ、そうしてそのためには、やはりばらばらじゃいかんので、どうしてもこれは、中小企業者をそれぞれの業態のもとに組み合せまして、協同組織化していく、そうしてその業者間における相互扶助の観念で、まず自主的に立ち上っていくという方向を導き出すという、これが歴代内閣の一貫して述べられておる主張であります。私どもは、その主張には全く同感であり、共鳴するのであります。そうでなければならぬと思うのであります。そうだといたしますれば、そういう根本的の施策の線に沿って、さまざまな具体的な政策というものが打ち出されていかなければおかしいと思うのです。  そこで、今日、中小企業の一番困難をしておる問題は、具体的に何かときわめて参りますれば、これは、金融の問題であることは間違いございません。そのためにこそ、政府も、昭和三十二年度予算におきましては、いろいろの金融上のことをお考えになっておる。ところが、今申し上げましたように、中小企業の育成強化をはかっていくためには、どうしても、その業者々々の相互扶助の観念に基く自主的な協同体というものを育成することを基本対策としていくんだと言っていらっしゃいますれば、それの一番肝心かなめになるべき金融の問題は、その組織を活用していくというような体系に沿って仕組まれていきませんと、これはちぐはぐになってしまう。ただ協同組織を育成強化するということが、ちぐはぐな別の方で処理されるということは私はおかしいと思う。そういうことをだんだん考えて参りますと、国会もそういうことを議決しておるんだから、それは、国会の問題だとおっしゃられればそうでございますが、中小企業金融につきましては、もちろん、その内部が複雑でございますから、必ずしもこれをすっきりと一本にしてしまえないというような場合もありましょうけれども、どうも近ごろ、いろいろなものが次から次に飛び出して参りまして、中小企業金融につきましては、協同組織体というものを中核にしていくということが漸次枯渇していくようでございますから、その中小企業の協同体というものが、どうも政府の方で奨励する、育成すると、こうおっしゃっておりましても、なかなか伸びていかない。そこに突っかい棒をかってやるということが、私は大切な問題であると思う。要するに、中小企業の今日育成強化をはからなければならぬということは、これはだれしも異論のない重要事項である。政府は、そのことについては、今度の予算にもはっきりとその施策を進めると打ち出していらっしゃる。そうして、その具体的ないき方は、協同組織というものを母体として、まず自主的に立ち上るという方計を中核としていくんだという限りにおきましては、その組織を盛り立てていくという方向でなければならぬ。その盛り立てていく場合に、一番何が肝心になるかというと、金融問題が一番ささえになる。でありますから、中小企業金融体系というものを協同組合組織、協同体組織というものを中核としていくという体系に漸次総合していく、整備していくというお考えをお持ちになるのでありまするかどうか。時々の情勢においてばらばらにやっていくというのか。現状でよろしいとお考えになるか。その基本的な態度についてお伺いいたします。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 中小企業の対策の問題につきましては、森委員の御意見のごとく、私ども、中小企業者を一つの組織化していく、そうしてその自力、協同の力でもって、あらゆる中小企業の持っているこの弱点を補強していくということが必要であろうと思います。その点について、金融の点が出て参ります。金融につきましては、今、組合金融を進めていく特別の金庫も作っておりますが、何といっても、中小企業の実情を見ますると、なかなかこの組合金融一本でやるというわけには、これは現状からいうとできないと思います。一方から、あるいは国民金融金庫や、あるいはいろいろな他の金融機関のそれぞれの個別的な金融というものも、これは相当大きな役割を演じさせなきゃならぬという実情にあると、従って、これを両方を両々相待って進めていくと、金融を豊富にし、金融をなにしていくということが、現在の実情からいうと、実情に一番適したものであって、組合組織そのものを強化し、それを促進するために、組合金融というものを基礎に、これを系統立っていくということだけでもって、今、中小金融対策、特に金融問題を解決するということは、私むずかしい実情にあると思います。もちろん、組合の組織化というものを一方においてわれわれは推進していかなきゃなりませんから、組合金融についての資金も、今度の予算におきまして相当に増額しておるのも、そういう点において力を入れておることの政府の方針の一つでありますから、今申したように、両々相待っていくという考えで進んで参りたい、こう思っております。

森八三一緑風会

○森八三一君 もちろん、中小企業と申しましても、その経営規模におきまして種々雑多であり、その業界の内部におきましても、ほんとうに複雑多岐でありますので、必ずしも政府の基本的態度というものが、自主的な相互扶助の観念に基く共同組織ということでありましても、全部をそれに網羅するということにも参りかねる。やはり実情は、私もよく理解いたします。しかし、政府の基本的態度がそこにあるといたしますれば、やはりそのことを推進し得る、進めていける、こういう方向が常に考えられつつ、さまざまな具体的政策というものがそれにマッチしていくということでなければおかしいと思うのです。そこで、中小企業の問題を考えますると、金融の問題が一番やっぱり重要事項でございますので、実態に即してのことはけっこうでありますけれども、基本的な態度というものは、やはりそこに主眼点を置いていかぬというと、実情を考えることに急でありますると、組織の強化の方はあと回しになってしまう。そうすると、政策の基本的なものとは、実際はほど遠い実情が生まれてくるということになると思いますので、その点は、十分一つお考えをいただきたいと思います。  さらに、中小企業の問題でお伺いいたしたいのは、中小企業は、申すまでもなく、内容的に大別いたしますれば、工業と商業、二つの面に相なると思います。そこで、この国会には、商業の面につきまして、合理化法案ですか、というものが提案せられて、これは一つ考えていこうと、現状に即することを一つ処理をするということをお考えになる。ところが、工業の方につきましては、この国会では措置ができないというようなふうに承わっておる。といたしますると、中小企業の半分だけは何とか格好つくが、半分の方は捨てられるということになりますと、政府の方に対して、中小企業の中で、どうも半分、政府はまま子扱いにしておるじゃないかという、不公平な気が起るように私は見るのでありますが、これはこまかいことでございまして、総理あるいはお気づきでないかとも思いますが、中小企業の問題が重要であるだけに、そういうようなへんぱなことが商業と工業との間に起きませんように、そういうことが起きますことが、中小企業者を共同組織に、団結して進めてゆくことに支障を来たす一つのもとになる、仲間割れをするということにもなるわけでありますので、この点につきましては、十分一つ御注意を願いまして、差別待遇が起きませんように、善処を願いたいと思うのであります。何か、そんなことはしないということでございますれば、お答えいただきたいと思います。

水田三喜男自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 別に差別のある措置をとるようなことはいたしません。で、中小企業団体法の方は、工業者と商業者が入っている、その組織法でございますし、小売商の振興法も、ただいま準備中でございます。今のお話は、中小企業振興助成法の問題だろうと思いますが、これは、すでに中小企業庁において現在行なっているいろいろな助成措置を法制化しようというところにねらいがあったのでございますが、今国会中にこの法律の提案が今のところ間に合わないだろうと私は考えておりますが、来国会までには準備して提出するつもりでございます。すでに現在やっている仕事の法制化が中心でございますので、工業と商業を区別した措置をとるというようなことにはならぬだろうと考えております。

森八三一緑風会

○森八三一君 その次に、地方財政の問題でお伺いしたいと思うのですが、今日、地方の公共団体が財政的に非常に困窮をしている。これを解決しなければならないことは当然であります。そこで、かねがね、市町村の合併促進法であるとか、あるいは再建整備の法律等も制定されまして、国の基礎である地方自治団体の適正な運営発展を期しまするためのもろもろの施策が進められて参りまして、漸次前進をしていることは、喜ぶべきことであると思いますが、しかし、その一番難儀をいたしておりまするところは、公債費の問題だろうと思うのです。これは、十分お考え願っていると思うが、三十二年度予算を通して考えていきますると、どうもこの点について、政府の熱意が薄いのじゃないか。具体的な現われといたしましては、三十一年度の補正予算で、主税の自然増収を追加したと、そこから生ずる百十億というものが、当然の措置として地方交付税に盛り込まれた。そのうち、本年度消費するものを差し引きました八十六億というものが昭和三十二年度へ繰り越されて、これが、特例法という法律の制定に伴いまして、臨機の処置として、公債費対策に使われるということになっている。でも、ちょっとみますると、これは思いつきで、たまたま自然増収があったからやられたということで、自然増収がなかったら、こんなことは行われておらなかったのではないかとも考えられるのであります。地方財政の健全化をはかりますることは、ほんとうにこれは、大切な焦眉の急務であろうと私は思う。総理も十分この点は御心配願っていると思うのです。でございますが、その肝心なところは、やはりこの公債費の問題で私はあると思うのです。地方財政が放漫な経営をやって、赤字を累積するということについては、非常にこれはためていかなければなりませんけれども、今まで、多年の中央と地方とのいろいろな関連において、中央から押しつけたようなこともないとはいえぬと思います。そういう問題から端を発して、公債費の重圧が今加わっておるという現状なので、この解決について、この際やはり私は、自然増収があるから、ちょっと考えてみるというような弥縫的なものではなく、根本的に、具体的に、地方の公債費対策というものを立てなきゃならぬ。この点について、総理は一体どう今後お考えになっていきますか、御所信を承わりたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 地方財政の健全化の上から見まして、地方公共団体における公債費の問題が、非常な地方財政を圧迫する大きな原因をなしておることは、御意見の通りでありまして、これに対しては、十分政府として考えなきゃならぬのでありまして、来年度につきましては、一応の臨時的な措置がとられておりますけれども、なお、十分地方財政の状況等をも勘案いたしまして、根本的な対策を立てたい、かように考えております。

森八三一緑風会

○森八三一君 ただいまの点につきましては、十分一つ、具体的にすみやかな計画の樹立を期待いたします。  その次に、これは過日通産大臣にお伺いをいたしたのですが、私どもは多年射幸的な娯楽というものは、これはもう漸次経済が健全化してきて、世の中が落ちついて参りますれば、こういうものは整理しなきゃならぬ。総理が幹事長のときにも、ドッグ・レース法ですか、何とかというものが衆議院の方へかけられた。あるいはまさにこれが実現しようという情勢にまでいきましたけれども、もうそういうものはやるときではないということで、幹事長の立場で敢然としてこの実現を阻止せられたいという経過も承わっておるのでありますが、現に行われておるものがある。そこで、三、四年前でありましたか、本院におきまして競輪法の審査と申しますか、一部改正をいたしまするときに、付帯決議がついております。その付帯決議は、必ずしも具体的に何年先まででやめちまえと、こういうことを規定はいたしておりません。おりませんけれども、あの付帯決議のつく過程というものは、一ぺんにやめてしまうということでありまするというと、その施設をいたしておりまする地方公共団体に非常な迷惑が及ぶということでございますから、そういう迷惑を考えますると、これはそんなに端的に処理をするというわけにも参りかねることでありますので、何年かの計画を立てて、そうしてその間にすみやかにこういうものは廃止すべきであるという内容を持っておったのです。このことは、当時国会としては十分政府に向って意思を通じてあるはずであると私は確信をいたしております。ところが、今回この国会にこの競輪法の改正というものが出ております。承わりますると、競輪には、その種類の競技にはいろいろ弊害がある、だからそういう弊害をなくするようなことを考えて、将来に向ってこれを存続するのだ、もしこれをやめるとなれば、地方財政にも非常な影響を持ち来たすので、なかなかむずかしいとおっしゃいますけれども、私は端的に申しますれば、ばくちのテラ銭で学校が作られたり、それで保育所ができたり、オリンピックにまじめなスポーツの選手を派遣するといったようなことは、これはおかしいと思うのです。そういうことではなくて、なけなしの国家財政ではありますけれども、そういう公共的な施設といろものは、やはり正しいことによっていかなければ、影響する面が非常に私は大きいと思います。そういうことを考えますると、やはりこういうものは国民精神の作興の上からいきましても、どういう観点からながめましても、そうして毎日、日々の新聞にも、まあよく申しますカラスの鳴かぬ日はあってもこういうことによって首をつったり、なにしたのということが、ほとんどないことがないほどに三面記事をにぎわしておるということを考えますると、これは見ようによっては、性質は違いまするが、社会悪として売春問題をわれわれが考えておると同様に、並べて私は考えてしかるべき問題であると思うのであります。こういうことを考えてみると、今私はすぐやめるということじゃないけれども、地方財政に直接の悪影響、つまり施設費等につきまして償還する計画等を立てまして、すみやかにこういうものはなくしていく。スポーツ、娯楽というものはなければなりませんから、もう少し健全な娯楽ということの方向へ持っていくということを、もう考えるべき時にきていると思うのですが、総理はどういうふうにお考えになるか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 競輪その他これに類似したいろいろな射幸的な制度は、終戦後いろいろとこれが発達をして参っております。これはいろんなものがこういうふうに設けられ、発達してきたというのには、私は、それぞれの理由があったと思います。しかし、だんだん経済が正常化し、またあらゆる面が正常化してくるにつれまして、やはり行き過ぎた射幸的な施設というものにつきましては、政府としても十分考えなきゃならぬと思います。また、これがいろいろな社会的悪をいざなっておるというようなことにも思いをいたしてみまして、これについての考え方というものは、よほど戦後の時代とは違った意味において、健全な国民思想やあるいは健全なる社会というような見地から日本におきましても相当私は考えなければならない点が多々あると思う。ただ、今お話しの通り実際そういうものであっても、ある程度の、施行されて一つの現実が作られていっておる。そういうことは望ましいことではないといっても、地方公共団体等において、各種のそれから上ってくる収入によって施設が行われておる、急にこれがなくなるということになりますと、ずいぶん地方財政の上にも、またそれらの施設の上にも、急激な変化を及ぼすというような点も考えなければならぬ。われわれは、今の制度をできるだけ健全にし、それから、生ずる悪というものをできるだけなくしていく方向に進んでいかなければならない。こういうものは、今私が言うように、健全なものにし、それから生ずる弊害をなくするということになると、あまりおもしろくなくなって、自然にはやらなくなる、そういう性格のものでありまして、従って、今言ったような見地から、これを健全化し、それから生ずる悪をなくするという意味における制度の改善なり、その施行という方向へ導いていって、そうして究極においてはそういうものをなくして、明るい正当な関係でもって必要な設備がやれるというような方向に進んでいかなければならない、こう思っております。

森八三一緑風会

○森八三一君 その点についてはまだ私は十分了解はいたしかねるのでありますが、こういう種類のものから生ずるいろいろな社会悪なり、まずいことを改めていくということになれば、こういうものはおもしろ味はなくなるのだから、そこから自然消滅をしていく、そういうようなことで整理をしていくというような方向では、私は百年河清を待つようなことでございまして、これから生ずる弊害というものを除去するわけには参りかねると思います。と申しますのは、これはもちろん競技のインチキとかそういうものについては十分お話のように矯正できると思います。けれども、そこへいくまでに、何と言いますか、私は見たことはありませんけれども、車券とか何とかを買うという行動、それを通して一家離散するとか、首をつったりとか、夫婦げんかをするとか、いろいろなそういう問題が毎日々々起きておる。これがなければそういう問題は起らない。現に私の住まっておる場所におきましても、非常にまじめであった八百屋さんが、新婚夫婦でほんとうに仲よくやっていたのですが、その八百屋さんが、京王閣ですか、どこかいなかの方へ商う野菜を買いにいった。そのうちにちょっと立寄ったのが病みつきで、とうとう破産をして、一家離散してしまったというような悲惨な事実を目の先に見ておるのであります。そういうことがひんぴんと次から次へ巻き起っておるということは、なかなか競輪法の施行を改善するだけでは、私はうまくいかないと思うのです。存在することがそういうことを誘導しておると思いますが、これはもう少しよく御検討いただきまして、私は地方財政に悪影響を来たすと申しますけれども、公共事業のやり方を別個に考えるべきであって、私に言わせれば、その設備をする設備費をどうするかという問題を解決しなければならぬ。しかし、それによって生ずる資金というもので公共事業が行われておる姿は、これは極端に言えば、そういう破産の上に学校ができておると考えますれば、非常におかしな存在だと思うので、十分一つお考えをいただきたいと思います。  それと同時に、社会悪の関係で、明日から売春法がいよいよ実施されるわけでありますけれども、これも説明を聞いておりますと、売春法が実施をされるから何とかしなければならぬというような、端的に申しますれば、お茶を濁すというようなふうに受け取れるように私は感ずるのです。これは非常にむずかしいことでございますから、そう簡単にはいきませんが、ほんとうにこれをやりますには、そこに従業しておる婦人の諸君の行方というものを十分見きわめてやる。それから業者にいたしましても、正しい方向に更生をしていくということについて、あたたかい指導をしてやりませんければ、これは形は一応変えたといたしましても、それが今度は国内全般にばらまかれて、先日も大臣から、旅館等に転業を希望しておる者等もあるから、そういう方面の十分一つ意見も聞いてとおっしゃっております。それはもちろん正常な旅館に転業されることについては、私は異議はありません。ありませんが、ややもいたしますると、形を変えたそういうものが全国にばらまかれてしまうという危険が、私は起きないとは言えぬと思うのです、これはほんとうに考えてみまして。でございますから、これは売春法が実施される限りにおいては、有終の成果を上げるという方向に向って、もう少しこれはあたたかい情熱を込めてのことをやっていただかぬと、かえって私は結果的にまずい結果が生まれやせぬかということを心配するわけでありまして、これは予算的にも非常に不十分だと私は思うのです。あるいは予備費を使うとか、いろいろな方法がないわけじゃございませんので、もう少し魂を入れてやっていただくということを希望をいたすのであります。  まだいろいろお伺いしたいことがございますが、持ち時間が参ったようでございますので、以上数点を最後にお伺いいたしまして、私の質問を終ります。

千田正無所属クラブ

○千田正君 私の持ち時間はきわめて短かいのでありまして、同僚の諸君からいろいろお尋ねもありましたので、私は先般総理大臣にお尋ねして、なおかつ、その後の状況が不明であるという点をただしたいのであります。  それは、原子爆弾の実験禁止に対しまして、わが方から申し入れたことに対して、英国側からすでに返答がきていることは、この前も、総理からの御答弁でよくわかっておりますが、その英政府側の答弁の中に、私は日本国民として十分に納得のいかない点があるのであります。それは、英当局の回答は拒否であり、しかもその内容において、英政府が、ロイド外相の一月七日声明しましたところの、「公海上の区域及びその上空については、一九五七年三月一日ないし八月一日の間船舶及び航空機にとって危険であると宣言されております。しかしながら国際慣行に従ってこれは立入禁止区域と宣言されたものではありません。」そういうことを一方でいっておいて、「この危険区域に立入り、または滞留するものは、自己の危険により行うものであり、また、船舶及び航空機がクリスマス島及びモールデン島の領海及び領空よりも右の区域が人体財産にとり危険が少ないと考えるべきでないということは重要な点であります。」ということを、英政府側は日本に通告してきております。そうするというと、イギリス側の回答というものは、自分の国の領土でありますところの島の領海においては、立ち入り禁止をしているが、それ以外に危険が及ぼすところには立ち入り禁止はしていない。しかしながら、立ち入り禁止はしていないが、その周囲に行われた原子爆発の結果、同じような危険を及ぼすということを承知してもらいたいというような、一方的な通告であると私は思うのであります。これは、国際法からいいまして、一方的なこうした通告というものは、ちょうど戦時国際法におけるところの自分の方の勝手の、都合のいいような宣言をして、その中に入ってきてかりに損害を受けたとしても、それは知らぬことだ、これだけの通告をしているのだから、日本政府が了承しようとしまいと、この中に入ってくる方が悪いのだ、こういうような通告のように私は考えるのでありますが、この点については、総理としまして、英国側の第三回の拒絶に従って、同時に通告してきましたところの英国の通告に対しまして、日本の総理大臣としてのお考えを承わっておきたいと思うのであります。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 私どもはイギリス側のそういう主張は当を得たものでないと考えて、絡始それに対しては抗議を繰り返しているわけであります。

千田正無所属クラブ

○千田正君 総理はまことに明敏に、しかも日本の自主独立の外交の上からいって、他国が一方的に宣言したところの、そうしたところに対しては、正しいことではないという観点に立たれているということは、まことに私どもも意を強うするのであります。最近新聞並びにラジオ等で放送いたしますものを聞きますというと、最近イギリスを中心としまして、この日本の原子爆弾に対する禁止に対するいわゆる世界人道的な立場から、抗議船団の構想をもって、五月上旬日本を出発しまして、ハワイへ寄港し、現地へ回る、二つの案があるようでありますが、シドニーからジャカルタ、サイゴン、ハノイにおいて大会を開催して、A案によりまするというと、英国のクェーカー教徒、作家を含むところの外人三十人、日本人三十人、約千トン級の客船を用船して、そしていわゆるすわり込み抗議船団をもって、この原子爆弾に対する禁止、あくまで防ごう、こういう案が外人の間において立案され、また日本のそれに同調する人たちが、ともにこの五月上旬にクリスマス島の周辺にすわり込みしょうというようなことが報告されております。これに対しまして、昨日は総理から特使として立大の総長の松下氏が英国に向われました。これは日本の政府の立場からいいますというと、もっとものことであり、われわれ国民も、どうかして禁止するようにということを念願してやまないのでありますが、一方においては実力行使といいますか、このように身を危険にさらしてまでも世界人道主義を徹底させようというので、外人及び日本人が船団を組織してこの危険区域内にすわり込みをやる、これに対しましては、総理はどういうふうにお考えになっておりますか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 私は何もその点についての正式な報告なり申し出を受けておりませんから、正確にこれを把握することはできませんが、しかし、新聞等に伝えられているような、いわゆるこの危険区域にすわり込みするということは、私はその実験を中止したいという気持はもちろんわれわれと共通するものがありますけれども、そういう方法をとるということは、私は良識に反していると思うのであります。われわれは、あくまでも合理的な方法によってこの問題に取り組んで、これが中止を世界の人々に訴え、また当該国のあらゆる面に訴えていくことは、やらなければならぬことは言うを待ちませんけれども、そういう方法ですわり込むということは、私は良識的に考えて賛成しないものであります。

千田正無所属クラブ

○千田正君 総理大臣の御意思はわかりましたが、不幸にして、こういう人たちが実際にすわり込みをして、あるいはこの危険区域内において、この放射能その他の実害があった場合において、あるいは不幸にして死亡するというような問題が出てくるかもしれませんが、そういう場合においても、総理としましては、かりにその中に日本人がおったとしても、この問題はわれ関せずえんという立場で何ら考えない、かようにお考えでございますか、その点はいかがでございますか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 私は先ほどお答え申し上げたような趣旨から、そういうことをしようとする——正式に日本人がそういうことに参加するということであれば、政府としてはそれをとめなければならぬと思います。ただ、それを放置しておいていい、危険にさらされていいというものでないと思います。そうしてもしもそれをも聞かずして行ったという場合におきましても、やはり日本の国民である以上は、政府として、それは政府の指示に反してやったのだから知らぬ顔をするという性質のものじゃないと思います。ないと思いますけれども、そういう良識に反した行動によって、政府等もこれをとめるような指示をし、指導をしたにかかわらず、行っておるというような事実が明らかになりますというと、そういう実際の損害が生じ、死亡等のことがありましても、相手国を納得せしめて、実際の損害を取るというようなことは、非常に困難になると私は言わざるを得ないと思います。

千田正無所属クラブ

○千田正君 重ねてお伺いいたしたいのは、この英国の通牒の中に、南太平洋の該辺の地域で空気のサンプルをあるいはまた爆発地点付近の海水のサンプルを採集する、このサンプル採集計画は、昨年の六月七日のイーデン前首相が言明した通り、高空における爆発であるから、多量の降灰等は伴わずまた実験が人体、財産に危険を与えないように手配されるであろうということを確認するために計画されたのである、こう言って、英国側としましては、爆発実験に対しまして、空気のサンプル並びに海水の汚染の程度の研究、採集のためにわざわざ飛行機あるいは調査船を派遣するということをあらかじめ日本政府に通知してきておるようでありますが、日本といたしましては、この前にビキニの災害の際も非常にその証拠品あるいは実際におけるところの海水の汚染、空気の汚染という程度については初めてであったために、相当苦慮したにかかわらず、その実際の資料が手に入らなかった。このたびは明らかに前から通知してきておるのでありますから、幸い科学技術庁のような、日本としましても科学の進歩のために、また原爆その他原子兵器等の研究のためにも、いろいろなそういう意味における科学陣がありますので、この人たちを一応動員しまして、英国の了解のもとであったならば、当然日本としましても、将来に備えまして研究する必要があるのじゃないか。そこで、日本からはそうした海水の調査であるとかあるいは空気の汚染の程度であるとか、そういうものを将来のためにも研究する必要があると思いますが、日本としましては、そういう面において派遣するというようなことを考えておりますかどうか、その点はいかがでございますか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) イギリスのそういう企ては、私はイギリスとしては学問的に見て、またもしくはこういうものの調査として、興味のある問題だと思います。しかし私どもの立場からいうと、今日それはやめることは非常にむずかしいかもしれません。イギリス自体がこれをやめないかもしれんけれども、われわれとしては、あくまでも実験中止を強く要望しているところでありますし、今そういうふうな、政府が学者等を送って、そういうものの研究をするという考えは持っておりません。

千田正無所属クラブ

○千田正君 そうしますと、今こうした第三回の申し入れに対しても、イギリス側は拒否してきた。日本側としましては、総理のただいま御答弁にありました通り、断固としてわれわれはこの実験を阻止しなければならない。そうなるというと、ただいまもちろん松下特使が行ってはおりますけれども、これは容易ならざるわざとは思いますが、重ねて第四回の日本側としましては抗議を申し込むというお考えがありますかどうか、その点はいかがでございますか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) イギリス側の第三回目の回答に対して、回答自身が持っておるわれわれが納得できない点は、これはあくまでも明らかにしておく必要があると思います。またさらに強い抗議を出すか否かにつきましては、松下特使が向うへ参りまして、その応接ぶりを見て考えたい、こう思っております。

千田正無所属クラブ

○千田正君 これは総理大臣でもよろしいのですが、むしろ農林大臣御存じかもしれませんからお伺いしますが、今総理大臣は、ただいま松下特使が行って、そうしていろいろ向うに了解させると言う、その間でも実際は漁業の操業はできない。すでに三月一日をもって、八月一日までという通牒を出している英国としましては、原子爆弾を積んだ飛行機もクリスマス島に到達している。そこで南太平洋のカツオ、マグロのこうした漁場に対しての措置は、もちろん農林大臣はとっておられると思いますが、すでに一カ月を経た今日において、ここの漁場においてとり得べかりし漁獲がとれなくなった。並びに航行に対しても危険であるがゆえに迂回しなければならない、それに要する費用、たとえば油であるとかあるいは食糧であるとか、そういうものは相当もうすでに損害の中に繰り込まれなければならない問題だろうと思います。この点につきましては、三月一日以降本日までの間に、そうした面において損害を受けている程度はどれほどであるか、大臣が御存じならばお知らせ願いたい。

井出一太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(井出一太郎君) まだ数字としては明確になっておりませんが、ただいま御指摘のような漁業に対するところの損害は予想しなければなりません。従いまして、水産庁をして目下調査をさせているわけでありまして、今日のところはまだ具体的な数字を申し上げる段階ではございません。

千田正無所属クラブ

○千田正君 ビキニの問題のときは、一月何日でしたか、爆弾が投下されたあと、約半年の間というものは、御承知の通りマグロもカツオも食えなかった。おそらく今度も同じようなことであると思います。三月からかりに八月の間にそういう実験が行われたとするならば、まずもって半年くらいはとうていこの辺で漁獲したものは国民の食前には上らない。こういうことを考えますと、ただいま総理大臣は、あくまで拒否するのだ、こう言っても、向うもあくまで実行するのだ、こういうことになるというと、一月から八月の間に、いずれの日にか向うが強行した場合において、日本側は損害を当然こうむる、そういうことに対する準備としまして、水産庁としましては調査船あるいはその他の派遣について考えておられるかどうか、その点はいかがですか。

井出一太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(井出一太郎君) 御指摘のような損害が予想せられる場合には、当然さような調査にもとりかからなければならないと思います。

左藤義詮自由民主党

○理事(左藤義詮君) 時間が過ぎましたので簡単に願います。

千田正無所属クラブ

○千田正君 一点だけ……。日ソ漁業の問題について一点だけお伺いします。十二万トンの問題を中心としてだいぶ話が進んだような、あるいはぐるぐる回っておるようでありますが、これも新聞紙の発表でありますから、あるいはそうじゃないと言われればそれまでの話でありますが、日本の北洋漁業の最大のいわゆる価値というものは、紅ザケをどうとるか、漁獲量の何パーセントの紅ザケをとれるかというところに、北洋漁業のいわゆる成果があがるかあがらないかという問題がございます。ところが新聞紙の発表するところによるというと、ソ連側が七千トンくらいに紅ザケを制限している、制限しようとしている、こういうことになるというと、かりに向う側は十万トン、十二万トンを要求してきたそのうちで、紅ザケがわずかに七千トンしかとれないというならば、これは一割にも満たない、こういうことでは、おそらく北洋漁業というものはかりに十万トンとっても、十二万トンとっても紅ザケの漁獲量というものは一割足らずであったとするならば、北洋漁業の漁家経営というものは成り立たない、私はかような観点から質問いたしておるのでありますが、農林大臣はどういうふうにお考えになるか、またかりにそういう問題が起きたとするならば、これはあくまでその問題は拒否しなければならない問題であると思いますので、この際、農林大臣のお考えを伺っておきたいと思います。

井出一太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(井出一太郎君) 鮭鱒の中で紅ザケが非常に貴重な資源であることは千田委員の御承知の通りであります。同時に、この紅ザケが最近減ってきておるということも、学者の説で述べられておる点でございます。この規制措置の問題が出ておりまするが、われわれといたしましては、自主的にこれを規制するという考え方は、日本側でもございます。しかし決して今の七千トンというふうなところで問題がきまるものとは思われませんので、鋭意この点は御趣旨の線にも沿うて、紅ザケの確保をはかりたい、こう考えております。

千田正無所属クラブ

○千田正君 時間がありませんから終ります。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 総理に伺います。  吉田内閣の指揮権発動、昨年の政略恩赦と近年行政権の司法権に対する圧迫傾向が顕著でありますが、法の尊厳、司法権行使の適正等は、国家存立の根本であると思うのでありますが、いかがでございますか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) お説の通りだと思います。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 次に、やみ米に関する先般の総理の御答弁は、食糧管理制度の合理化に、法秩序の維持を期待するかのごとき御口吻でございましたが、臨時食糧管理調査会の諮問事項の対象に、米穀統制の撤廃の可否いかんということをお入れになりますか。

井出一太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(井出一太郎君) かわってお答えを申し上げます。  臨時食糧管理調査会は、すでに二回これを開催いたしました。政府の考え方は、この前八木委員に私もお答えを申し上げましたが、現行制度をここでにわかに変えるということは、相当な混乱があろうと、こういう見解に立っておりますが、調査会の席上でも、その今おっしゃる統制の基本の問題が出まして、さような問題にも当然言及されるであろう、こういうふうに考えております。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 総理に伺うのですが、農林省提出の資料によりましても、大体やみ米と配給米との価格の関係、やみに流れる米の数量が約一千八百万石と推定される事実等にかんがみまして、すでに食糧管理制度は崩壊しておると私は考えるのであります。これでも食糧管理制度によって国民の食糧を確保しており、かつまた順法精神に沿っておると、こういうふうに言い切られるのであれば、耳をおおうて鈴を盗むのたぐいであると思うのですが、いかがでありましょう。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 食糧管理制度の実施面を見まするというと、八木委員の御指摘になっているような事実があると思います。これは順法精神という意味からいって、非常に望ましくない事態であることは言うを待ちません。しかし管理制度がそれで崩壊しておるかという問題につきましては、言うまでもなくこの米の問題は、一方は米価の安定ということが生産者にとっても消費者にとってもこれは大事なことでございまして、過去大正年間からずいぶん日本としてこの米価の安定のためにいろいろな施策がとられてきて、そうしてまあ最後がこの管理制度になっておると思うのです。従いまして、この米価の安定という問題と、それから同時に消費者に対してこの主要食糧の配給についての安定感を持たせるということは、これは必要である。従って、理想的に申しますれば、三十日であれば三十日全部を配給するということができ得ることが、一番その意味からいっては望ましいと思います。しかし同時に、これは米の日本における生産数量と、それから財政の全体の規模というものとをにらみ合してでなければ実行できないものでありまして、今日のところの配給日数でもって私は満足なことだとも思っておりませんが、そういうことについては十分一つ今度の審議会で検討をしてもらいまして、われわれもそれを参考として、政府の最後の腹をきめたいと、かように思っております。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 戦前は国民一人当りの米の消費量が約一石、現在は七斗五升であります。ところが農林省のお調べでは、やみで一人が買う米がざっと約三斗近い、それを寄せますとやはり国民一人につき一石内外食べておる。こういうところから見れば、もはや食糧管理制度は、ただやっているというだけにすぎない、かように思うのですが、重ねて御高見を承わりたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 今申し上げましたように、この管理制度で、一つは、米価の安定ということについては、私は相当な効果を示しておるものだと思います。それからもう一つは、とにかく十分ではないことは今御指摘の通りでありますが、しかし、それにもかかわらず消費者にある種の安定感を与えておることも事実でありまして、これをむしろ健全に合理化するということが、われわれとしては最も大事なことじゃないかと、かように思っております。ただ、一番われわれ残念なことは、そのために現実に順法精神というものが踏みにじられておるという事態はこれは民主政治の前途から非常にゆゆしいことでありますから、十分にそういう点も一つ頭において考究していきたいと、こういうように思います。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 もし調査会が米穀統制撤廃の結論に到達いたしましたら、どうなさいますか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) これは私は調査会の意見をそのままに政府が直ちにこれをまるのみにするという性質のものではない。もちろんこういう大事な問題については、この審議会の意見は非常にわれわれは尊重はしますけれども、最後の何としては、政府がきめなければならない。政府の責任においてきめるべきものである。それでまあ八木委員の言われるように、審議会が統制撤廃という結論を出すにいたしましても、いろいろ出すにしましてもその理由があると思うのです。そういう理由を政府としては十分に検討して、政府の責任においてきめたいと、こう思っております。ただそういう結論が出たからすぐそれに従うとか、そういうことをいっても、政府は絶対に統制は撤廃しないのだということは申さずに、ほんとうにそういう結論が出たならば、それの出た理由なりその根拠というものを十分に検討して、政府の責任においてきめたいと思います。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 二十三日の国鉄労組の抜き打ち実力行使、あれは公労法の第十七条に違反していると思うのです。そこで政府はこれに対してどういう処置をされますか、総理から伺います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) これにつきましては十分今実情を調査し、責任の所在を明らかにしまして、私は将来かくのごときことのないように処置いたしたいと考えております。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 労組の方では、もし処分のやり方で場合によっては再び実力行使をするかもしれない、こういうことが新聞に伝わっておりますが、いかなる困難を排しても処分を適正にされるのか。その影響いかんによっては処分に手ごころを加えられるのか、その辺の決意を伺いたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) すでに閣議の決定として官房長官から明瞭にいたしておりますが、今回の春季闘争全体に対しまして、政府は今申請をしております。仲裁裁定は誠意をもってこれを尊重する、しかし同時にこういうことを起し、そして国民経済に対して迷惑をかけたその責任の所在は、これはあくまでも明確にして、これに対する処分はいたしていくという決意をすでに表明いたしておりまして、私は、そういう処分に反対だから、さらにストライキやもしくは実力行使の方法によってこれをとめようというような、もしも労組側がそういう何に出るならば、これは私は間違った考えであって、あくまでもその責任の所在を明確にし、責任を問うことは明らかにしたいと、こう思っております。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 公労法改正の内意があるように伺いますが、その真相はいかがですか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) いろいろこの主務省においてはしょっちゅう研究はいたしておると思いますが、今私は改正の意図でこれの調査を進めておるということはまだ聞いておりませんし、まだ政府ではそういう腹はきめておりません。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 国鉄側の処分はいかがですか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 今申しましたように、責任の所在を明確にするということはただ労組側だけではなくして、国鉄経営者側にももし責任があるならば、これはやはり責任を明らかにして、これを処分しようと考えております。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 次に、国鉄のあり方について伺いたいのですが、今回の国鉄運賃値上げの過程において種々論議せられました通り、国鉄の経営の内容はきわめて放漫、かつ、ずさんであります。また赤字路線の問題にいたしましても、何ら対策なしに運賃値上げによって一時を糊塗しておる状態であります。また資金の調達の面から申しましても、民間では電力会社でも製鉄会社でも、巨額の設備資金をみずからの努力で調達をいたしておりますが、政府事業であるにもかかわらず、政府といたしましては建設資金の増加分四百八十三億円の七割六分までは運賃値上げによるという不合理な状態であります。政府は冷淡に取り扱いながらなお相当の監督をいたしております。企業自体としては私企業ほどのみずからの努力と熱意を示さずに、アベック闘争などという不愉快な風説さえ伝わっておるこの国鉄の企業形態に対しては根本的に再検討されなければならぬ。かように私は考えるのでありまして、純然たる民営の方向に移行するのが自由経済を基調とする岸内閣としては当然の筋道ではないかと思うのですが、この点についていかがお考えでありますか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 国鉄の経営の何につきましては、今の経営についての利点もあげられており、また同時に欠点もあげられておる。一面においては国営にまた戻せという議論もございます。今お話しのような私営に、純然たる民間の事業にしろという議論もあり得ると思います。ただ私どもは自由経済主義をとっておりますけれども、自由経済主義ではありますけれども、事業の性質によっては必ずしもこの原則に拘泥して、何もかも全部しなければならぬということではなしに、最もそれが能率的であり、そうして事業の性質として国民の便益や、国民経済の上から見てその働きを十分にするのにはどういう経営形態がいいかということを、やはり事業の性質によって考えるべきである。鉄道のごときはまさに私はそういう事業の一つである。だからといって必ずこれが公企業体の今の形が、公社の形がいいということを言うわけでもなければ、また国営にすべしということを論ずるわけでもございませんが、これについては御承知のように、いろいろ公企業体全体を検討する委員会もございますし、審議会もできておるし、また鉄道の経営についてのいろいろな民間の識者や、有識者やその他経験者も入って検討をいたしております。今回のこの運賃改訂の基礎をなしておるいわゆる鉄道の五カ年計画というものの基礎というものも、そういういろんな審議会等において研究をされた結果を参酌して決定されて、今回の改訂になっておるわけであります。そこで今お話しのように、先ほどからの御質問にもありましたように、私どもはこの鉄道の経営というものがあくまでも国民の便益、また国民の経済の繁栄にその使命を果すというところに使用者側におきましても、労務者側においても、一つの意義を十分に考えて協力をすべきものであると思います。もちろんその労務者のこの待遇改善等の問題についても、経営の内容とにらみ合せて向上させていかなければならぬことは言うを待ちませんけれども、しかし、しからばというてこれが実力行使によって実際上迷惑を受けるものは国民であり、国民経済の利益を害するというふうなことがいろいろな機会において、あるいは抜き打ち的にやられたり、あるいは計画的にやられるという場合におきましては、私は労使両方面においてそれを阻止するについて最善の努力をしたかどうか、またそういう事態が起るについて、起った場合において、法規その他において違背するものがないかどうかということは、私はできるだけ早く、かつ、詳細に調べて、そうしてその責任を明らかにし、責任を問うということが、将来において労使ともにそういうことをなくする意味であり、また経営全体を合理的にし、国民から信頼を受けるゆえんである、こういうふうに政府としてはこれに対処したい、こう思っております。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 次に、その他の公共企業体の首脳人事とそのあり方等について伺いたいと思います。  昭和二十八年に従来日本電電公社で取り扱っておりました海外向けの通信事業を分けて国際電電会社を創立して渋沢社長以下民営で非常に能率が上ったことは御承知の通りであります。しかるに一昨年の夏から日本電電公社の現物出資株のうちで売れ残った株の処分の問題が三国会にわたって論議されたのでありますが、その売却株の六十六万株のうちで六十万株を郵政共済組合が買い取りまして、問題になったことがあります。その株の所有関係によって人事その他には全然重圧を加えない、こういうことが当時の村上郵政大臣の言明であったのでありますが、昨夏国会が終了しまして四カ月たたないうちに昨年九月国際電電会社では臨時総会を開きまして専務以下三人の重役が引退をして、渋沢さんが社長から会長に祭り上げられまして、そうして元郵政次官をしておった人が専務としてこれに入った。こういう議会での言明を全然裏切った人事、天下りの人事のことがあったのであります。総理よく御承知でないかもしれませんけれども、こういったような、せっかく民間で能率を上げておる会社の人事に、株を、政府の関係の深い共済組合が買って、そうして会社の社長を会長に祭り上げ、重役の首を切って、そうして古い官僚の方がこれに入って来るというようなことは、私は非常によくないと思うのですが、これに対してどういうふうにお考えになりますか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) おあげになりました事案について私具体的なことは実は承知いたしておりませんので、そのいきさつは承知いたしておりませんが、株のなににつきまして数国会にまたがって法律改正のなにの案件は私も承知いたしております。今の人事のいきさつにつきましては私承知いたしませんけれども、結論的に申しますというと、国際電電の今日の経営の状況を見ましても別にその人事の異動のために非常に何か支障を来たしているとか、あるいは混乱を来たしているというような事態は聞かないのでありまして、やはりこれも株主総会で選任される……株式会社でございますから株の移動等において株主の多数の者の選任によってそういうことが行われたのであろうと思いますけれども、どういう事情があったかは私は承知しませんが、今、現状の状況からみると、その結果非常に何か国際電電の事業上に差しつかえを来たしているような人事ではなかったと思うのであります。しかし、いずれにしましてもやはりこういう会社の人事は、やはり会社である以上は株主総会できめるべきことは、これは当然でございます。法規以上に政府が権力的に干渉していろいろなことをするということは、これはたとえ公共事業であってもやるべきことではない。法律が許している範囲内においてやるべきことである、かように考えております。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 この問題は、人事に何かの異動があるだろうというので当時経営者から従業員に至るまで一致して非常な反対運動がありまして、相当問題がやかましかったのですが、郵政大臣が人事には全然干渉をしないというので大臣が会長の郵政組合が七十二万株の最大の株主になって、大臣みずからの言明を裏切って専務以下が首になって、社長が会長に祭り上げられた、これはお調べになるとわかると思いますが、この程度にしておきます。  次に専売公社にしましても、民間人の秋山さんが総裁になられましてその手腕を期待しておったのでありますが、間もなくおやめになって、大蔵省の旧高官が総裁としてお入りになったというふうなことで、私は国鉄にいたしましても専売にいたしましても、また電信電話にいたしましても、将来はやはり民営の方にこれが進んでいく方がいいのじゃないか、こういうふうに考えますので、行管の方でも多少お調べになっておるかのように新聞で報じておるのでありますが、総理並びにもし行管長官がいらっしゃいますれば何かの構想があれば承わっておきたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) こういうものの人事について八木委員のお話のように、公正な立場からやらなければならぬことは言うを待ちません。ただ役人の天下り的な人事を断行するということは決してよくないと思っております。少くとも公社にしたということは、従来の官僚組織より一歩民営に近づいてそして民間の創意をこの中に入れていくことがいいという考えからきているわけです。そういう点を十分参酌して人事は公正にいたしたい、かように思います。

大久保留次郎自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○国務大臣(大久保留次郎君) 電電公社その他につきましていろいろの説がありますけれども、事は重大でありますので、慎重に研究したいと存じております。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 最後に総理に伺いたいのですが、国会終了後アメリカにおいでになるそうでありますが、その主たる目的はどういうことでございますか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 私は今後の日本の立場として、決して向米一辺倒ではございませんけれども、アメリカとの関係を十分調整し、これとの関係を強化することは日本の発展のために絶対に必要である、こういう考えを持っております。従ってこの見地から日米の関係を見ますというと、望ましくないような事態も幾らかあります。またわれわれみずから顧みてみまして長い占領時代を経てきておりますために、いわゆる親米的な考えの基礎に、ほんとうに独立の見地から親米ということを考えるのではなくして、占領の惰性のまだとれない点もあると思います。私はやはり完全自主独立の立場から、もちろん国力は相違しておりますけれども、国としての立場は対等の立場において従来日米がほんとうに協力をし、協調をしていく上における基本的なものの考え方、それから基調をなすところの方針等についてアメリカの首脳部との間に隔意のない話をして、将来の関係を強化すると同時に、日米の間の懸案をその方針に基いて日本の独立自主の見地から解決していきたい、こういう考えであります。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 日米の懸案を解決するというふうなお話もちょっとあったのですが、具体的の条約等に触れる問題はお話しになるのかどうか、私つまびらかにしませんが、そこで米国の首脳者等とお会いになったときにぜひ一つ強力にお話しのいただきたい点があるのであります。それは何かと言いますと、この前の質問のときにもちょっと申し上げたのでありますが、現在ソ連が占有いたしておりまする北千島、南樺太の件でありますが、この両方の領土はわが国民として熱烈にその復帰を希望いたしておるところであります。しかしながら先般のお話の通りサンフランシスコ条約によって日本は一応これを放棄いたしておりますけれども、将来のその帰属についてはいずれ国際会議が開かれましてあらためて検討されることであろうと存じますので、そのときにはカイロ宣言にも御承知の領土不拡大の原則もうたわれておりますし、どうかその場合には、現在はたとえソ連が領有いたしておりましても決してこれは日本がそれを黙認いたしておるのではない、その国際会議が開かれる場合においては日本にこれを返還してもらいたいという国民の熱烈な希望があるということをアメリカの首脳者にぜひ一つ、談笑のうちにでもお話をしていただきたい。こういうことをお願いするのでありますが、それに関する御所見を承わっておきたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 御意見については十分一つ胸にとどめておきます。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 二、三日前に、総理の渡米前にも内閣改造を行いたい、あるいは党内の人事の変更も一緒にやりたいと、こういうように石井国務大臣が記者団に語っておられますが、これはどういう意味なのか。石井国務大臣がおられなければ総理から、そういうことが内閣の方針なのかどうか承わりたい。

石井光次郎自由民主党国務大臣・北海道開発庁長官事務代理

○国務大臣(石井光次郎君) 新聞にそういうことが載っておりましたが、新聞記者会見におきまして何かの話に内閣改造があるだろうかというような話が出ました。岸総理が今度の議会を済ませたらそういうことも考えることもあり得るだろうという意味の返事をいたしたのでございます。それにつきまして渡米前にあるだろうかないだろうかというようなことが出ましたので、それはかりにやるというようなことになるならば、すぐ議会が終って早く渡米されるなら帰ってからということになるだろうし、長くなればその前にあるというようなことが考えられるだろうというような筋の話をしたのでございます。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 これは総理としてはどういう工合に考えておられますか。内閣の有力な一メンバーがおしゃべりになったのでありますからまさか全然知らぬというわけではなかろうと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 石井国務大臣の御答弁聞いておりまして、きわめて含みの多い幅のあるお答えでございまして、私自身としてもこの際はまだ改造のことを具体的には考えておりませんけれども、訪米の問題も時期等がまだ明確にきまっておりませんから十分一つ国会の予算案の成立その他重要な仕事を済ませてとっくりと考えたいと思います。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 そういう答弁は先ほど中村委員から御質問申し上げて承わっておるのでありますが、閣僚の一人である石井国務大臣がお話しになったんですから、渡米前にも何か改造をやられる御方針か、明確に承わろうとしたわけでございますが、これは伝えられるところによりますと、先般総理がマッカーサー大使とお会いになった際に、アメリカ側の意向として今の石橋内閣の態勢のままでは渡米をされても大した収穫がないのではないか、渡米前に内閣改造をやって、中国との貿易のみならず今後の友好関係を進めていきたいという石橋内閣の色彩を払拭するのでなければアメリカに行っても大した話ができないじゃないか、こういう話があったということで、そこで渡米前に内閣改造を考えられたのではなかろうか、こういう想像をされるふしがあるのでありますが、そういう話があり、そしてそのことに関連をして渡米前に内閣改造と申しますか、本来の岸内閣を作っていきたい、こういうことなのか。これは内閣改造と、それから岸内閣の今後の方針というものとが関連をいたしますので岸総理にはっきり一つ承わりたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 先般マッカーサー大使と会見いたしました際に今御指摘になったような話は一切ございません。また私はあるべき筋でもないと思いますが、全然なかったのであります。従って私が内閣を改造するかどうか、改造するのをいつにするかというような問題は私全責任をもってとっくり考えたいと考えます。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 岸総理は、これは前に民主党の幹事長あるいは自民党の幹事長として二回の総選挙をやっておられます。幹事長が主として資金を集めるということでありますから、あの二回の選挙に使われました多額の金というものはこれは幹事長として岸さんがお集めになったのだろうと思うのであります。しかし、たくさんの金を使われたにもかかわらず、選挙の成績は考えられたほど民主党あるいは自民党で考えられたほど成績は芳ばしくなかった。その大きな原因は先ほども論議されましたけれども、私は憲法改正を打ち出し、あるいはそのための小選挙区制を打ち出されたことに対する国民の批判、憲法を改正すべきではない、社会党にやらせるかどうかということは、これはあの票には出ておりませんけれども、少くとも憲法を改正すべきでないという国民の意思ははっきりいたしておりますが、その国民の意思が選挙に現われた結果が考えられたような自民党の成果が得られなかった原因だと思うのであります。  それから総裁選挙に当っても、巷間伝えられるところでは何億という金が使われたと言われております。その金の額は私ども知るよしもございませんけれども、当時連日連夜料理屋、待合が繁盛をしたということはこれは間違いがない事実だと思います。しかも岸氏は総裁選挙に七票の差ではありますけれども敗れた。その理由は何だと考えられておりますか。(笑声)これは笑いごとではございません。当時これは自民党の中の空気等もほかからでございますが若干聞いて参りましたけれども、大東亜戦争勃発の際の詔書に署名をした責任者である、あるいは戦犯容疑者であったということが大きなこれは党内でも問題になった。    〔理事左藤義詮君退席、委員長着席〕 それから人として官僚出身であるということ、あるいは河野・岸と言われて参りましたが、河野幹事長ができるのではないか、そういう点に対する反発もこれはあったということを私ども承知をしております。いずれにいたしましてもたくさんの金を使われたけれども、総裁選挙には敗れた。この過去における岸さんの失敗についての真の反省が私はあるべきだと思うのでありますが、その後総理、総裁になられたのでございますけれども、私は過去の失敗に対するこの責任のあるりっぱな反省が今後あなたが総裁として、あるいは総理としてりっぱに勤められるかどうかということのこれはキイ・ポイントになると思います。その点についてどのように真剣に反省をされたか一つ承わりたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) いろいろ私の過去に対する御批判をいただきまして、私は吉田委員のいろいろの世評なり、あるいは御観察に対しましては十分一つ敬意を表して私自身考えて参りたいと存じます。ただずいぶんおあげになりましたことには事実と違っておると私は信じておる問題もございます。特に多額の金が使われたということが少くとも私自身に関する限りにおいてそういう事実はございませんから、その他のいろいろなことはまた別として、この点は私としては明らかにいたしておきたいと思います。結局私が総裁になれなかったということは、党内における信望がなかったということに帰するので、みずから徳足らず力足らなかったことに帰すると思っております。いろいろなそれを裏づけるような批判につきましては、これは今お話しになりましたが、いかに反省したかという、これは非常にお答えすることがむずかしい言葉でありますが、私としては今それらの事実は、あなたの御意見を含めて謙虚に一つ傾聴をいたしまして、今後の私の政治的行動で私の反省を具体的にお示ししたい、かように考えております。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 選挙における憲法改正問題が国民の批判を受けたのだと、こういうことは明白な事実だと思うのでありますが、先ほどの中村君の質問に対する答弁においてもそういう点について明確な反省がなかった、その点を私は指摘をして参っておるのでありますが、政治が金じゃなくて政策を中心にして行わるべきだということは私が言うまでもございませんけれども、特にあなたの過去からいってもその点は十分自己批判をせらるべきだと思うし、それから吉田内閣が汚職で倒れたということはこれも間違いない事実だと思うのでございます。鳩山内閣の後に、あなたは民主党の幹事長、自民党の幹事長として台所をまかなってこられた後に総理になられたのでありますから、特に岸内閣としてその点は深い反省がなければならぬ。それからこの今の岸内閣として、これはまあ前内閣からの続きでございますけれども、吉田内閣の蔵相として有力な閣僚として当時の自民党の資金をまかなってこられたと言われる池田大蔵大臣も今の閣内で相当重要な地位を持っておられる。従って特に今の内閣としてその点についての深い反省と、政策を中心にして、金で政治をやっていくんじゃなくて、きれいなそして国民の信頼を政策で争うという態度がなければならぬと思うのでありますが、重ねて総理に一つお尋ねをいたしたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 政治に当る者が廉潔でなければならぬ、国民がそれに対して疑惑を持つようなことがあってはならぬ、政治はあくまでも政策を中心としていかなければならぬという吉田委員のお考えに対しましては私も満腔の敬意と賛意を表するものであります。私は、党費の何につきましては、わが党の幹事長初めそれぞれの責任者におきましてきわめて党費の出入りを明確ならしめて、これに対する疑惑のないようにいたしたいつもりでそういうふうにやって参っておりますし、また政府の要路に立つ者はみずからそういう点についていやしくも疑いを受けることのないように互いに努めて参っており、将来も参るつもりでおります。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 党としてもそうでございますが、政府の場合には特にそうだと思うのであります。で、その点についてまだ徹底的な自己批判と申しますか、従来のやり方との俄然たる分離というものがはっきりいたしませんから、ごらんになりますように、あるいは病変米について、これは食糧庁が管理いたしておりました病変米についてごく最近北海道等からでございますけれども汚職があったという事実が報ぜられておる。あるいは二、三日前のことでありますけれども、関係長官からお聞きになったと思うのでありますけれども、公共事業費について十五億も不適正な支出があったということが行管から指摘され閣議に報告されたということを聞いております。それからこれは直接政府の責任じゃございませんけれども、福岡県知事あるいは副知事、これは自民党の知事としてはっきりやって参りましたから自民党としては関係がないわけではないと思うのであります。一億の金を信用組合を通じて第一相互に歳計現金を預託をしてそして一千万円の裏日歩を取ったというのであります。しかもそれが県政工作に使われておる、あるいは選挙に使われたかどうか知りませんけれども、これは自民党流に言うと中央でも同じことが行われておることだし、あるいは地方でそういうことが、やりくりが行われるのが当りまえだと言われるかもしれませぬけれども、問題は、これは国民の税金であります。そういうやり方が跡を断たないのは、私はやっぱり総裁なり、あるいは総理なり責任の地位に立たれ、あるいは一党をすべておられるあなたなり、あるいは党のやり方というものが根本的に改まらなければこういうものを絶滅するということはなかなか困難であろうと思う。そういう意味において例をあげましたが責任の部分もございます。あるいは間接と申しますか、党として責任を負わなければならぬところもあるのでありますが、こういう事実にかんがみても従来ありました先ほど申しました疑い、あるいは池田大蔵大臣と名糖との関係というものが従来言われてきた、そういうものをはっきりやっぱり清算をし、あるいは党なり、あるいは政府の方針としても、そういうことは断じてやらぬのだ、こういう点を明確に願わなければならぬと思うのでありますが、具体的に例をあげましたから、それに関連して一つ御答弁願いたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 具体的におあげになりました事実につきましては、いろいろ司直の手において調べられておることでございまして、報ぜられておるような事実であるとすれば、これは非常に遺憾なことでありまして、あるいは党員である以上は党の総裁としてはなはだこういうことを起しては相済まぬことであり、また政府の役人等につきましても、それぞれそういう事態が起ったことは非常に遺憾でございます。言うまでもなくこの綱紀粛正の問題は、口に言うことはやすくして実効を上げるということは非常に困難な問題であります。特にその組織が大きくなりこれに関連する人員が多くなるにつれてそういう点が困難になることでございます。しかし困難であってもこの綱紀が粛正されず、政治そのものの廉潔が国民に疑われるようになってはこれは相ならぬことであります。従ってすでに施政方針におきましても、まず改むべきは政府であり、政治であるということをすでに明らかにいたしておりますが、特に政府の要路に立っておる者、また政治の中枢にある者としましては、この問題に対しては真にただ口だけではなしに、真に私は厳粛な考えをもって望まなければならぬ、みずから顧みてみずからをためることはもちろん、同士相戒め相協力してそういうことのない綱紀粛正ということを断行するということは、どんなに困難であり、どれほど長い時間かかりましても、どれほど複雑であろうともこれは政治の根底としてぜひともやらなければならぬことであると思います。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) 先ほど吉田さんから、私と名糖というのは名古屋精糖というのでございます。全然金銭の授受がございませんことをはっきり申し上げます。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 病変米、それから行管、それから福岡県の問題についてそれぞれ所管大臣から簡単でいいですから、その責任を明らかにしてもらいたい。

井出一太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(井出一太郎君) 北海道における病変米の問題が最近の新聞に出ましたことはまことに遺憾でございます。これは昭和二十九年ごろの問題でございまして、食糧事業協同組合の内部における事件のようでございますが、目下食糧庁をして取り調べをさせておるさなかでございます。

大久保留次郎自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○国務大臣(大久保留次郎君) 公共事業についての国庫の補助問題につきまして監査をいたしました結果を金曜日の閣議において概要御報告申し上げました。それは三十年度の下半期において監査した結果であります。その件数はおよそ一万五千件、金額にして約二億であります。そのうちでやや不適当と思われる個所を指摘して、約三千二百カ所警告を発するような始末でありました。この概要につきましては閣議において報告しました。同時に結果は漸次よくなっておりますけれども、なおこういう点があるということを指摘して、各閣僚の協力を求めました。

田中伊三次自由民主党自治庁長官

○国務大臣(田中伊三次君) 一昨昨日の新聞で事態を承わりました。そこで、一昨日の衆議院の決算委員会においても早急に真相を明白にせよとのお言葉がございましたので、昨日朝、航空便で調査官を現地に派遣をいたしております。明日中には航空便で文書による事件の概要が明白になろうかと思います。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 政治を金でなく政策を中心にしてやるべきだという点はその通りだというお話でありますが、それでは口で言うだけではこれは私ども納得をしかねるのであります。総理臨時代理として石橋内閣の政策を説明をせられるという段階ならば別であります。なるほど予算については前の内閣のときに立てられた政策、あるいはそれに基く予算でございますけれども、総理になり、あるいは総裁に選ばれたとするならば、これは前の内閣のときの政策をそのまま踏襲する、それではこれは一党の総裁であり、あるいは総裁として総理になられた岸さんの態度で私はなかろうと思うのです。もう少し格の低い一閣僚ならば別であります、あるいは臨時代理の場合もそれは納得せぬこともございませんけれども、その辺に私は岸さんの欠点もあれば、あるいはブームがわかぬという話も先ほどありましたが、そういう点も私はあろうと思うのですが、岸内閣として、あるいは総裁として総理に就任した今日については自分の抱負というもの、あるいは重点政策というものについては、当然これはあるべきだと思うのです。それを三十二年度予算の中に盛り込むことはできないから、それは次の機会と、こういうことにはなろうと思いますけれども、意見がない、それは従来の石橋内閣の政策を踏襲いたしました、これでは、私はそうでございますか、というふうには納得がいきかねます。あらためて岸総理の所信と、それから重点政策について承わりたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 御承知のように、石橋内閣の一閣僚として入閣をいたしまして、さらに石橋前首相の病気にあって臨時首相代理をし、そり後石橋前総理が辞任せられまして、首相の地位についたというようないきさつをもっておりますので、この国会には石橋内閣として提案をいたしております数々の重要案件があることは御承知の通りであります。私は石橋内閣の閣僚として、これらの重要案件についてはこれをこの国会に提案して、これを成立せしめることが最も必要であるという意味において、石橋内閣とともにこれを提出し今日御審議を願っているわけであります。従いまして、今日の段階においては、まず私はこれを実現することが一番の私の責任であり、また最もそれが正しい方法だと思っております。従いまして、今日はそれに全力をあげている。さらにわれわれは常に政党内閣として進歩してやまざる保守政党の性格を如実に表わすためには、次々と政策も新たにし、政策もこれを前進せしめる必要があるわけであります。また私自身も今申しました私に現在課せられているところのことが果されるならば、また私の考えも打ち出していくということに自然なることはこれは当然の事理だと思います。しかし今日はまだそういうことを打ち出したり、そういう時期ではないと、石橋内閣より受け継いだところの諸案件を今国会において成立せしめるということに全力をあげている次第であります。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 予算の説明としてはそれでもいいです。それでもいいですけれども、いつまでもとにかく代理や、あるいは一閣僚ではないんだろうと思います。それではいつその岸内閣の方針というものを、あるいは政策というものを明らかにせられますか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 同種の御質問がございましたことに答えたように、私は今いつそれを打ち出すということを、時期的に申し上げる時期ではない、こう思うのであります。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 昭和三十三年度予算編成以前にはこれはお打ち出しになるだろうと思います。  それから政策の打ち出しと、内閣の改造というものは関連があるんだろうと思うのでありますが、当然本来の岸内閣を作るということになれば、方針を打ち出し、それに基いてあれをやるということだろうと思うのでありますが、これは聞くところによると、党内の事情があるから今の体制の上に乗っていく、こういうことでありますが、方針についても、あるいは内閣についても今のようなバランスのままでいく、政策については別に新しいものは持っておらぬ、このままいく、こういうことなんでしょうか、その点をもう少し承わりたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 新政策は具体的に申すならば三十三年度の予算においてこれが編成に当っては当然明らかにしなければならぬ問題でありますが、それ以前にそういうことを打ち出すことになるということもこれは御想像の通りであろうと思います。それで政策と人事というものはおのずから関連があるというお考えに対しましても私もそう思います。しかしそれをいつの時期だということを今日明確に申し上げることは適当でないと思いますが、十分これらのことに対しては国民的にも私はある種の期待といいますか、そういうことに対する国民の要望もあると思います。これらにもこたえていくことを十分考えたいと、こう思っております。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 政策のうちで何といっても重大なものはこれは外交方針だと思うのでありますが、外交方針についてここでこまかく尋ねようとは思いませんけれども、その外交方針について政府あるいは外務大臣、首相自身の口から、あるいは平和といい独立という言葉が出て参るのは、国民の最大の関心、要請がそこにあるからだと思うのであります。ところが、その独立外交にいたしましても実体がまだよくわからぬ、それから多少石橋内閣と申しますか、石橋首相の方針と、それから岸総理なりあるいは外相との方針とは違うのではないか、こういう工合に了解、何と申しますか、疑問を持っております、少くとも疑問を持っております。そこであなたの言われる独立外交の中で民主主義国との協力ということと、それから真の独立を達成するという不平等条約の改廃なりあるいは米軍の駐留基地の問題、小笠原、沖縄という問題についてはこれは一応方向としては矛盾をするがごとく考えられるのでありますが、どういう工合に調整をされるか。それから訪米に際して新聞の伝えるところによると、この不平等条約の不平等性については折衝をするということでありますけれども、またこの自衛力問題について事前に国防会議にかけてそして持っていくと、こういうことも言われておる、そうするとその不平等性を直し、あるいは真の独立を達成するために努力をするということと、あるいは自衛力の増強について案を立てて持っていくということとはこれは矛盾をすると思うのです。その点は、基本方針と、それから訪米に当ってどういうようにせられるつもりであるか、その点を一つ承わりたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 訪米の目的についてはしばしばお答え申し上げましたように、私は今後の日本の立場なり日本の考えというものを日本の独立の完成と、そうして日本の自主独立の立場からアメリカと十分に話し合うという考えでおりますが、今御指摘になりましたように、いろいろな日米の間には問題がございます。また国民的の要望の集まっているこれらの問題を通じまして、私はやはり今私が申し上げました独立の完成、また自主独立の立場から話し合うという考え方を、それを裏づけるような、いろいろな国際情勢の見方なり、あるいは日米のあり方についての基本的の考えというようなものについて意見が合致するならば、おのずからこれを解決するところの方向が出てくると思う。一挙に解決はできないにしても少くともそういう方向が与えられる、また与えられるようにしていかなければならぬ、こう思っております。ただ防衛の問題について、これは私に対して同様な御質問もございましたが、私は国防会議というものはあくまでも国防会議として日本の長期防衛計画というものを早く樹立して、それぞれの機関にかけて日本の国策をきめなきゃならぬ、こう思っております。しかるに昨年末以来それに対する研究が進められておりますが、なかなか重大な問題でありますので時日をとっておることも事実であります。これの会議を開くことは、ある段階になれば当然会議を開き、また数回開かれることと思います。しかしそれはアメリカに、一つの長期国防計画という国防会議できまったところの成案を得て、それを持っていって示すんだと、そのために国防会議を開くというような考え方は毛頭持っておりません。国防の問題についてはおのずからわれわれが考えておる基本的な何があります。しかしそれが、具体的な計画としての長期計画というものはまだできておらないわけですから、これは国防会議にかけて日本としてきめなければならぬ問題であって、できるだけ急いでやるということを考えておるだけであります。決して防衛計画を持っていって、それを示してどうというような考え方はいたしておらないのであります。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 それじゃアメリカとの話なり、渡米とそれから防衛問題というのは関係がないんでありますか。先ほどの石井国務大臣の話の中にも、これはその話が出るだろう、それから別の記事についてもそういうことが書かれておりますけれども、少くとも新聞の報ずるところでは、防衛計画なり防衛問題について国防会議にかけて、そうして向うへ持っていく、それは日米安全保障条約にうたってあります日本の自衛力の漸増についてアメリカが期待をする、あるいはアメリカに対して責任を約束されたそういう点が話になると了解をせられるわけであります。そこで私は先ほど申し上げましたように、そういう要請されてするような防衛、これはほんとうの防衛じゃない、自主的な防衛じゃない。ところが実際には行かれようとする前にそういう点が論議をされ、あるいは従来の五カ年計画というものが再検討されて、そうして防衛生産計画と一緒に持っていかれるかのごとき報道がなされておりますから、その点をお尋ねしておるわけです。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 当然日米の間の先ほど申し上げましたような話し合いの上におきまして防衛問題に触れることは、これは当然だと思うのです。日米共同防衛の形において日本の安全保障をやっておる状況から見まして、またそれに対するいろいろな批判なり国民の要望のある問題でありますから、当然これに触れることは私は当りまえであると思う、これを決してこれに触れない、全然関係ないというようなことを申し上げておるわけじゃありません。しかし日本のこの防衛計画というものは、言うまでもなく日本の防衛をわれわれが自主的にきめるべきものでありまして、そういう見地に立ってわれわれの防衛計画というものが作られるわけでありまして、決して何かそういうものを作って、そうしてアメリカに先に示して話をするという性質のものでは私はないと思います。しかし先ほど申したように、昨年末以来のいろいろな研究もありますので、国防会議がその成案の進行とともに行われることは、これは当然であります。私が訪米するかいなか、いつ訪米するかということとは関係なく、研究調査の進むにつれて国防会議を開きたい、かように思っております。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 先般都留重人氏がアメリカの国会に呼ばれて証言をされたという報道がございます。しかもその中には公務員それから日本人の多くの名前をあげて聞かれたということが報ぜられておりますが、こういう事態は、それじゃ日本の国会にアメリカの公務員を呼んで聞くことがあるかどうか、聞くことができるかどうか、こういうことを考えますと、私ども日米間の関係について好ましくない一事例であると思うのでありますが、外務大臣としてどういう工合にお考えになりますか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) あの事件は私どもの承知しておるところでは、むしろ都留君の方から進んで事情を説明に出かけているように聞いております。いろいろな、あのアメリカはアメリカの国内法でああいう事情を調べるなにを持っておるのでありますが、これに対していろいろな都留君に関する議論が出ておるということを聞いて、都留君の方から、むしろ事情を明らかにするというように自発的におもむいているように聞いております。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 原水爆の実験禁止だけでなしに製造、貯蔵、使用をも禁止すべきだと言明されたのは、私は大きな何と申しますか、進歩だと思うのでありますが、しかしクリスマス島の実験禁止を繰り返し要求しております際に、外務省のある局長名で登録制問題についてこれは発言がございました。むしろ、クリスマス島の実験禁止を強く要望しております際に、むしろ私はこういう際にああいう登録制の問題を提案することはいかがかと考えるのであります、特使を派遣しただけでなしに、政府の責任において実験を中止せしむる方策を講ずべきだということが強くこの委員会でも繰り返し要望をされたのでありますが、首相としてなお政府の責任において実験中止を実現すべき方策についてどういう工合に考えておられるかどうか。それから、これはすわり込みと申しますか、船を考えたわけでありますが、結局監視船のようになったわけでありますけれども、これは国民が特使にも期待をかけましたけれども、それだけでは何と申しますか、自分の中止要望の気持が十分表現せられないということで、自分でも行って何とか阻止したいというこれは気持にほかならぬと思うのでありますが、口先だけでなしにほんとの水爆実験禁止を実現しようとするならば、もっとこうした国民の運動に協力してその先頭に立たるべきだと思うし、当面の実験禁止だけでなしに首相自身であるいは国連に、あるいは米英に、今度アメリカに行かれました場合に、あるいはイギリスを訪問するということも可能であろうかと思うのでありますが、それらのあらゆる方法について考えておられますかどうか、重ねて承わりたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) この原水爆の使用なり、製造なりを禁止することを目標として、まず実験をしようとする場合に、これを中止、禁止しなくちゃならないという国民の熱烈な私は要望、それは人道的な立場から正しい考え方であり、また日本民族が特に純真熱烈に考えておることでありますから、これをあらゆる方法でもって世界の人類に訴え、またこのそれぞれのこれを持っておる国々に対して、実験をしようとする国に対して反省を求めるということにつきましては、あらゆる努力をして参らなければならぬと思います。私は決してわれわれのこの悲願とも言うべき国民的熱望もこれが実現するまではよほどの困難がまだあるということをよく承知しております。しかしそれは私の考えではあくまでも合理的な方法によってこれを実現をしたいと考えておりまして、あるいは国連という組織を用い、またさらにいろいろと手段を考えまして、また第三国にも十分訴えて世論を起すとか、いろいろな問題があろうと思いますが、これに対しては今後も熱意を持って、そのわれわれの希望の達せられるように努力をしていきたいと、こう思っております。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 原水爆問題については一応態度を明らかにせられましたけれども、軍縮問題あるいは緊張緩和については何ら方策が示されておらぬと私は考えるのであります。日本の場合にはあれだけりっぱな平和憲法を持っておりますから、自分が武力を持たなければ当然軍備の撤廃について強く国際的に訴えることができるのでありますけれども、むしろそういう態度をとるべきでありますければも、それはそれとして、全然国際緊張の緩和については何らの方策も示されない、特にアジアの問題について何ら方針を明らかにせられないのは、私は口には平和外交を言われても実際には平和外交というものの具体的な方策はないのだと考える。重光外務大臣は、これは国連に行かれた際だと思うのでありますけれども、アジアは危険に見舞われておる、それは朝鮮の三十八度線なり、あるいは台湾海峡の問題だということで、その晩年には私は踏み切って平和外交の方向にその力をせられようとしたと信じております。あるいは台湾問題の解決についても、鳩山総理からその意見を伺ったこともございますが、台湾問題についても、あるいは朝鮮問題等につきましても何ら方策がないではないか。アジアの緊張緩和は、アジアの各国との協力という点についても、あるいは今後の貿易の伸張という点についても大きなかぎになると思うのでありますけれども、何ら方針が示されておりませんけれども、これについて総理の所見を承わりたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 大きく言えば世界が二つに対立して、この間の緊張を緩和しなくちゃならぬということは、大きく国連の問題になっておることは御承知の通りであります。さらにこれを局地的に見ますというと、アジアにおける重要性から見て、これの緊張緩和をして、そうして世界の平和を増進する、いわゆる平和外交を促進しなくちゃならぬということも、これも当然であります。私はこれらの問題を結局処理し、これらの問題を緊張緩和の方向に進めるということは、国連を中心に将来、現在も行われつつあり、また将来もその方向に進んでいかなければならない。たとえば今おあげになりました軍縮の問題に対しましても、これは当然国連が取り上げてやっておるわけでありますが、これがなかなか結論を得ないという状況が、いかにその国際的の大きな対立緊張というものがまだ緩和の状況には至っておらぬということの一例であると思う。しかし私は先ほど申しておる原水爆の問題に関して、これはもうだれもが人類のいわゆる人道的立場、これはだれにも共通な考え方からこの問題に関する限り、この一つの考え方というものはよほど最近におきましては各国においても反省の方向に進みつつある、バーミューダ会議における米英の会談におきましても、その問題に触れての考え方、決してわれわれは満足するところの結論は出ておりませんが、考え方においては少くとも従来の考え方と違っておる。さらにそれがソ連を加えてこの問題を何らか処置するというふうになるというと、国際緊張緩和の上において相当なる私は意義のある問題であると思うのです。いずれにいたしましてもこの平年外交及び緊張緩和という問題は、国際情勢やあるいはこの現実の事態をにらみ合せつつ、絶えず不断に努力していかなきゃならぬ問題でありまして、ただ一つの方針を定めたからこれがどうという現実の国際情勢ではないと思うのであります。十分に努力をいたして参りたいと、こう思っております。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 この貿易の問題はあとで伺いますけれども、今後貿易の促進をはからなければ三十二年度以降の経済計画は維持ができぬのだと思いますが、この点について、この間から予算の分科会でも問題になったのでありますが、宇田企画庁長官は中国貿易を含んで貿易の促進をはからなければ貿易の今後の発展は期しがたい、こう言われたと聞いておりますが、ココムの緩和と、それから中国貿易の促進とはこれは密接不可分な関係がございますが、ココムの緩和なり、あるいは中国貿易の促進について宇田企画庁長官、それから水田通産相も言及をせられておるようであり、それから総理からも緩和について努力すると、こういう発言はなされておる、発言はなされておりますけれども、従来の折衝から見ますならば、むしろイギリスからアメリカに話をして、そうしてアメリカから緩和の実際の措置がなされる、こういったような動きであると私どもは理解をして参る。その点について日本からココムの緩和、あるいは貿易の促進をしていくという点があまり見られなかったのじゃないか、こういう工合に考えておりますが、これらの点について首相なり、それから関係大臣どういう工合に考えておられるか。多少各大臣の間に食い違いもあるようでありますが、この際明らかにせられたいと思います。

宇田耕一自由民主党経済企画庁長官・科学技術庁長官

○国務大臣(宇田耕一君) 中国との貿易関係では日本に対する向うの輸出条件が非常にむずかしい、たとえば商品の分類が甲乙丙とありまして、見合う商品が戦略物資として束縛を受けておりますから、中国側の分類を差しかえてもらうこと、またココムに対しては戦略物資の緩和ということになりますが、それは引き続いてパリで、あるいはワシントンで交渉いたしておりまして、特認をもって実際上の貿易の実績を上げるということで、昨年は日本が一番特認の効果をたくさん上げておると、こういうふうに考えております。従って今年におきましてもそういうふうな戦略物資の緩和についてはもちろん交渉はいたしますけれども、この裏においてケース・バイ・ケースで向うに見合う商品の輸出について交渉を進めていく、それが適当であると、こう考えております。

水田三喜男自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(水田三喜男君) ココムの緩和については、政府は極力これに努めるということをもうすでに再三申しておるのでありますが、特に私どもが重要視しておりますのは、共産圏への禁輸と中共への制限に非常な差があるということでございまして、まずそういう差別をなくして緩和していくことの方が日本としては当面の問題として一番重要でございますので、もっぱらそこに力を入れて関係国協調のもとに緩和について目下努力中でございます。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 日本の今後の経済計画の推進と、それから中国貿易とは密接不可分であると考えられるかどうか、その点を宇田国務大臣にお尋ねしたい。

宇田耕一自由民主党経済企画庁長官・科学技術庁長官

○国務大臣(宇田耕一君) 日本の経済計画を立てます場合に重工業の資源の、特に鉄鉱ないし、粘結炭等につきましては中国との関係を非常に重要視しなければならぬと考えております。またそのほかに塩あるいは大豆等のボリュームが多くて、そして輸送に食われるコスト高の条件を持っておる品物については、なるべく中国からこれを日本に輸入するのが適当であると考えております。まあその意味で中国との貿易が輸入面に重要度が高いと、こう考えております。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 これは、まあ私ども教えられたところでありますけれども、鉄鉱について中国の海南島の鉄鉱石を日本の経済が欲しておりますことは申し上げるまでもございませんけれども、石炭は中国、鉄鉱はむしろインドに多くて、将来中国の石炭と、それからインドの鉄鉱石とが結びつくならば、これは日本が鉄鉱石あるいは石炭等、特殊炭について中国に期待するという淡い希望というものがだんだんだんずれていく危険がある。そういう意味においてはアジアにおける経済協力というものを、将来の経済計画の中に織り込んでいかなければならぬと考えるのであります。将来の経済計画について、五カ年計画、さらに将来についてそうしたアジアの各国との経済協力の態勢、あるいは計画というものをお持ちになっているか、あるいはお立てになるつもりがあるかどうか、その点伺いたい。

宇田耕一自由民主党経済企画庁長官・科学技術庁長官

○国務大臣(宇田耕一君) 日本の貿易構造から申しますると、輸出の中心はやはり繊維、軽工業でありまして、重工業と競合せずに投資と輸出が見合っていけるというような輸出構造になっております。従って繊維工業を中心とする輸出は東南アジアが大部分でありますから、この輸出関係の伸びはこの面で見ていくべきだと考えております。また重工業の中で特に鉄鉱は世界的に不足を来たしておりますが、距離から見てインド、特にインドの持っておる埋蔵量は非常に莫大なものであって品位が高いのですから、これに対して特別の関心を払っていって貿易の収支のバランスを合わすことを恒久的に考えるべきである。また海南島に対してもそれと同じようなことが言えますが、中国との貿易はそういう点で重要視すべき面があると、こう考えております。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 重要視すべきだということは私からも申し上げたのですから問題ないのですが、そういう点について計画をお持ちになっておるか、あるいは計画を立てるべきだとお考えになりますか。

宇田耕一自由民主党経済企画庁長官・科学技術庁長官

○国務大臣(宇田耕一君) 新しい五カ年計画は昭和三十三年から五カ年計画で立てますが、それには当然それを考慮に入れるべきものと考えております。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 インドネシアの賠償と、それから賠償問題の解決に関連をする貿易の促進についてどういう方策をお持ちになっておるか承わりたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) インドネシアの賠償問題は長い沿革を持っておるのでありますが、私どもはできるだけ早くこれを解決したいという考えのもとに努力をいたして参っております。時たまインドネシアに政変がございましてまだ政局が安定しない状況で、従って一時この折衝も中断している状況でありますが、遠からず政局が安定をするならば、われわれは、さらに急いでこの結論を出したいと、こう思っております。インドネシアに対する貿易は、これは相当な量を将来に期待できるのでありますが、同時にこの前提をなす賠償問題が解決され、同時に賠償問題はインドネシアで計画されている産業経済計画と、これをうまく結び合せまして、インドネシアの経済の基礎ができてくるということであれば、ますますわが国の貿易の市場としては有望なところであると思います。その意味から申しましても、賠償問題の解決を急ぎたい。かように考えております。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 予算の基礎になっております昭和三十二年度の経済計画、これは国際収支と金融から、物価の面ですでにくずれつつあるのではないかと思うのでありますが、最近輸入外貨の割当といいますか、きまったようでありますけれども、たっぷり割り当てられてはおるけれども、貿易じりは、上半期だけでは、これは赤字、しかし年末にはとんとんということでありますけれども、しさいに検討をしてみますと、作った当事者自身が年度末には赤字になることを想定して、組まれておるように思うのでありますが、この点について、これは大蔵大臣ですか、経済企画庁長官ですか、承わりたい。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) 三十一年度の実績は、かなりな赤字を示しておりまするが、これが三十二年度には影響いたしまして、大体今まで御説明申しげましたごとく、収支は大体均衡すると考えておるわけでございます。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 それは考えておるけれども、実際にこないだからやられました上半期の外貨予算では、実績、年度末に行くに従って、赤字が解消せられないで残るという上半期予算ができ上ったのではないかということをお尋ねしておるのでありますが、その点はどうですか。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) 昨日関係閣僚で審議いたしまして、上半期にはある程度赤字が出ましたが、下半期で取り戻し得ると考えております。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 高率適用の除外、それから公定歩合の引き上げは、危険信号ではないと、大蔵大臣なり日銀総裁からも、この委員会で言われましたけれども、実際に、その後金利は上りぎみ、東電の協調融資にしても、引き上げるというし、それから投資需要は減らぬし、方向としては、これは赤信号と申しますか、強調であるということは、これは事実であると思うのでありますが、この点については、先行き、先ほど前に言われましたような言明通りで行かれると考えますか。それから現状は少くとも警戒すべき状態にあると考えられるか。それからなお現在のような情勢が続きますならば、これは問題の解決は、計画融資というか、総合的、計画的な資金調整がなければ、言われるがごとき赤信号を解消するわけにはいかぬではないかと考えられるのでありますが、この点について、大蔵大臣の所見を承わりたい。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) 先般の金融措置は、不自然な高率適用を自然に返すためでございます。従って、そういうことによりまして、金融をゆるめるような感じを持たれてはいけないというので、一厘だけの値上げをいたしまして、将来弾力的金融政策の下地を作る意味でやったのでございます。お話しの最近東京電力、あるいは関西電力に対しまする融資銀行の一厘の引き上げは、これは東京電力が特にほかよりも二、三厘——三、四厘下げの二銭にしておったのであります、これは昨年の金融緩慢のためにやっておったのでございます、これを特に扱っておったのを戻したのであります。ほかの電力会社には二銭一厘とか、二銭三厘、あるいは多いところは二銭五厘にもなっておったわけでございます。特別安いところを直したわけでありまして、金利を上げようということはございません。なお投資需要は旺盛でございますが、各金融機関が公共的性質にかんがみまして、いろいろ工夫をこらしてやっておりますので、資金調整の必要はないと考えております。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 国鉄の運賃が上げられた、私鉄の運賃もそれにつれて上るのではないか、あるいはこれはガソリン税の引き上げと関連をいたしまして、それと国鉄、私鉄の運賃等も引き上げられるということになりますと、バスあるいはタクシー、トラック等の運賃、あるいは輸送費の値上りが来るのではないか。それから電気料金についてもこの間三割の制限撤廃をしたが、こうして物価の値上りを来たす要素が次々に現われて参っております。あるいはこの間造船単価について上げたいというのを政治的に押えようとされたということでありますけれども、物価の面で、物価は横ばいだと言われますけれども、最近の実績を見ましても、卸売物価その他について若干ずつではありますけれども、これは上る傾向にあるし、それから先ほどから上げましたような点を考えますると、物価の値上りは、言われるような小さいものではないのではないか、三十二年度中にはもっと上って行くのではないかということが考えられますが、それぞれについてどういう処置と、それから物価の値上りは来たさないのだ、こういうことでありますが、これは大蔵大臣だけでなしに、関係閣僚から一つ方針を承わりたい。

宮澤胤勇自由民主党運輸大臣

○国務大臣(宮澤胤勇君) 国鉄運賃の値上りにならって私鉄、その他の値上げをしようということはしばしば申し上げるようにやらない方針をとっております。また私鉄につきましても従来個々にはいろいろ経営その他で申請がありますが……今日まであります。ハイヤー、タクシー、バスというようなものについては全然今値上げの申請は……バスだけはあります。タクシー、ハイヤー、トラックはございません。バスだけはごく少数ありまして、その他は新しい七段階の賃率をきめてそれに合わせたいという希望の、正式の申請でないものが二百件ありますので、これらは従来通り個々の状態を勘案しまして順次きめて行くので、国鉄運賃の値上りにならってやるということは一切やらないつもりであります。

水田三喜男自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 重要物資について申しますと、鉄は去年のようなことは大体ない、諸外国の様子も相当ゆるんで参りましたけれども、今年は昨年のようなことはない、むしろ下って行く傾向ではないかと考えております。石油も同様でございまして、運賃の値下り傾向が出て来ましたので、本年度の石油価格も全般としては軟調で、これ以上の値上りはないだろうと思っております。その他一般の物資につきましても今回の外貨予算の措置によって需給を逼迫させないという予算をつけましたので、これらからくる国内物価の値上りということは防げるんじゃないかと考えております。また繊維製品そのほかについては、もうすでに相当値下りをしているというような問題がございますので、全体の卸売物価につきましては、今年度そう大きい値上りということは大体なくて済むんではないかという見通しでございます。で、先般の電気料金の問題は、これは御承知のように夏料金と冬料金は昔料金が違っておりましたのを一本化した、従って従来なら四月以後夏にかかって、電燈料金などはもっと下っていいというのを下げないで、上り方を三割で押えておったという措置をやはり原則としてもう一ぺん続ける、ただし一般家庭にほとんど影響のない十アンペア以上の従量料金はこの際解除するという措置をとったまででございまして、積極的に電気料金の値上げをやったということにはならないのでございますので、この点も日本の物価に影響するというような問題ではないと考えております。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 それでは私鉄あるいはバス、トラック等についても、あるいは申請がない、あってもやらぬ、あるいは電気料金については、これは冬料金を直しただけであって云々ということで、物価の上るべきそういう諸要求に対しては、これを押えて物価は上げない、こういう御方針ですか、そこのところを明言を願いたいと思います。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) 物価は上げないといっても、政府が独断でどうこうできるものではございません。われわれは物価を上げないようにあらゆる施策をとっていこうといたしているのでございます。で、世界の物価の趨勢は昨年の三月からどんどん上って参りまして、十一月には最高になって参りました。十一月からまた下り初めまして、アメリカなんかで信用されておりますダウ・ジョーンズのあれによりますと、昨年の三月を一〇〇にしますと、十一月いわゆるスエズ運河の影響をフルに受けたときは一〇〇が一一〇になっております。しかし最近ではまたずっと下りまして、一〇四になっております。で、日本におきましてもこの世界の趨勢に応じまして、昨年の春ごろから、世界の情勢と国内の投資需要の旺盛によりまして、相当上って参りました。しかし昨年のスエズのときは、アメリカほど上っておりません。これは何かと申しますと、昨年の夏ごろは食糧が非常に下ったのであります。しかるに昨年の暮から今年にかけまして、食糧関係、ことに野菜、魚類あるいは木炭等が上りましたために、一般の卸売物価は上っておりまするが、生産財としては昨年の十一月が山でございまして、ずっと下りぎみかあるいは横ばいでございます。で、一体に今世界的に考えて砂糖は相当上っております。綿花はちょっとくらいでございますが、非鉄金属あるいは小麦その他はずっと下りぎみに行っておりますので、わが国におきましてもこの世界の情勢に即応して、常に物価の上らないように、できれば下るようにいたしたいというように考えておるのでございます。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 時間がございませんから急ぎますが、食糧管理制度をどうするか、あるいは消費者米価をどうするか、これは生産者米価とともに、三十二年度にどうするかは三十二年度予算審議中に明らかにせらるべきだと思うのでありますが、従来態度をあいまいにしてきたわけでございます。現在のところでは変えないのだ、こういうことが言明できるか。  それから三十二年度の途中で調査会の答申等が出て、もし変更をするというならば、これは結論を待って当委員会に、何と申しますか、報告をするということを井出農相は言われたのですが、この食管の赤字を埋めるということになりますと、これは補正の必要が起って参ると思うし、それから臨時国会の必要が起って参ると思うのでありますが、上げないと言明をされるか、それとも臨時国会を開いてやられるか、その辺をはっきり承わりたい。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) たびたび申しております通りに、米価の問題につきましては調査会の答申を得まして政府においてきめたいと思います。それによりまして予算上影響をいたしますものにつきましては、補正予算あるいは昭和三十三年度の予算で処理いたしたいと思います。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 現在のところは、昭和三十二年度としては、現行の食管制度、それから米価でいきたい、こういうことですね。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) ただいま予算審議を願っておりますのには、そういうふうにいっております。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 この予算編成の基礎に従来使ってこられました経済計画あるいは五カ年計画というものが、コルム方式をとって、労働力に限界のありますアメリカ等のやり方をそのままとられてきたという点が、日本の場合に計画があまりに現実と違ってくる原因だと私は思うのでありますが、経済計画を立て直すについて、この基本的な方法について再検討をされ、別な方法をとるおつもりであるかどうか、その点を承わりたいと思います。

宇田耕一自由民主党経済企画庁長官・科学技術庁長官

○国務大臣(宇田耕一君) 経済計画の方法論ではコルム方式を単純にとっていくとは考えておりません。やはり日本の経済の実情に合うようにするためには、アメリカのような雇用状況と違うのでありますから、家族従業者等が多いわけでありますから、コルム方式を加味しますけれども、それにとらわれて新しい計画を立てる、そういう方法論を考えてはおりません。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 むしろ隘路産業その他の点もございますが、日本で欠けておる資本あるいは生産力、そういう点がむしろ第一の条件になると申しますか、経済計画の実体の中心的な対象になるのではないでしょうか。どうですか。

宇田耕一自由民主党経済企画庁長官・科学技術庁長官

○国務大臣(宇田耕一君) その通りと思います。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 最近恩給調査会を作って、旧軍人恩給あるいは退職公務員の恩給等についてこれをどうするかという諮問でありますけれども、実際には上げたいというこれは党の方針ではないかと思うのですが、こういう方向で参りますと、在外財産の問題についてもそうでありますけれども、こうしてこれは川崎厚生大臣が社会保障については全般的に検討をしたい、こういうことを言明されましたけれども、そうでなくて、個々の恩給なり在外財産などについて出てくるところがあって、社会保障全般としては体系がくずれていく、そうして全般について調査をするといっても、なかなか困難になっていくのではないかと思うのでありますが、これは内閣は違いますけれども、従来の、厚生大臣がしばしば言明をせられました方針と実は違っているんではないか。そうしてだんだん既得権ができてくると、押えるというか、あるいは削ることは、これはできなくなるという実体ではないか、この辺でもっと社会保障全般について検討をせられるべきではないかと思うのでありますが、その点を承わりたい。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) ただいま軍人恩給年金について問題がございます。中でも傷痍軍人の方々に対しては非常に冷遇しているという議論もありますので、いろいろ今後において検討いたしたいという考え方を党の方でとっておられるので、われわれもそのつもりでおるのでございます。しこうして軍人恩給のみならず、一般社会保障制度の適正化、たとえば年金制度の問題、あるいは健康保険につきましてもいろいろ問題がございます。こういう点はまた別個に広い意味で政府としても検討していきたいと考えております。

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) それでいいですか。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 まだありますが、時間ですから……。(拍手)

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) これをもって昭和三十二年総予算案に対する質疑は全部終了いたしました。  これより討論に入ります。

湯山勇日本社会党

○湯山勇君 ただいま議題となっております昭和三十二年度予算三案に対し、私は日本社会党を代表して反対の討論を行わんとするものであります。  反対の理由の第一は、この予算編成の前提条件をなす世界経済に対する認識及び国内経済に対する判断が的確を欠いている点でありますが、政府は三十年度、三十一年度と続いた好況が、三十二年度も依然として持続するという予想のもとに積極予算を提出しているのでありますが、前年度とただいまとでは同じ好況でありましてもその内容に著しい変化が生じているのであります。昨年の今ごろは前年度デフレ政策のあとを受けて投資もそれほどに活発化しておらず、消費も伸びず、従って物価は安定し輸出は増大し、ほんとうの数量景気を現出していた時期であります。しかし今年は好景気を見越しての投資は盛んになり、消費も伸び、いわゆる投資景気といわれているのでありまして、物価については消費者価格は横ばいであっても卸売物価は一〇%も上昇し、文明国中第一位といわれるほどであります。またこれに伴いまして輸入は増加し、国際収支は当初の見込みより著しく悪化し、実質的な赤字が一億七、八千万ドルに達しているのであります。さらに先般成立した欧州共同市場等を考えますと、三十二年度の国際収支は政府の見ているようなとんとんにはとうていいけそうにもありません。昨日発表された三十二年度上半期の外貨予算においてもこのことが明らかであります。またその中において年間の見通しが全然発表されていないことはこれを公表しないというよりもむしろ編成のしようがないという実態を暴露したものと言わなければなりません。五カ年計画の重要な柱であるところの経済自立はこの面からすでにくずれんとしているのであります。またこの好況の最も大きな力になった世界経済の動きも本年下期においては停滞をみ、しかもそれが相当強い形となって現われるであろうということは識者の一致した見通しであります。従ってかくのごとき内外経済情勢に対する誤まれる、あるいは甘い見通しに立って編成された予算は、三十二年度の財政政策として決して当を得たものではないのであります。  第二の理由は、この予算の膨張的インフレ的性格であります。内外の経済情勢がかくのごときものであるならば、財政は当然膨張的、刺激的であってはならないのであります。一般会計予算の総額は一兆一千三百七十五億円で、前年度当初予算に比し実に千二十五億円の増加であります。国民所得八兆一千八百億円に対する比率も三十一年度の一三・六%に比し、一三・九%と〇・三%増になっておりまして、絶対的にも相対的にも財政規模は膨張しておるのであります。しかるに予算の説明に当ってはこの現実をおおわんとして前年度予算には補正額を加え、それと対比することによって財政規模の膨張を少く見せようとしているのであります。その上三十一年度補正予算のうち、半分以上は三十二年度において使用されるものであることを考えるならば、さらに来年度予算の規模は大きくなるのであります。それのみでなく、前年度までは財政規模を示す数字として一般会計と財政投融資とを加えたものをもってしていたにもかかわらず、本年度はこれをやめてしまっているのでありまして、財政の国民経済に及ぼす作用を考えますならば、財政投融資を加えてもって見るのが常識であります。それにもかかわらずそのときどきの党の都合、政府の都合により党略の手段として説明の方法を変えるということはごまかしであって、許しがたいところであります。財政規模の膨張ばかりでなく、予算の内容にもインフレ的性格が非常に多く含まれておるのであります。鉄道運賃の値上げ、しかり、ガソリン税の引き上げ、しかり、米価も閣議で消費者価格の値上げを決定しておきながら、国民の声、党内の一部の反対のために本年百六十一億の赤字を放置して借入金をもってまかなっているのが食管会計の実情でありまして、まだ値上げの意図を捨てたものとも思われません。国鉄運賃の値上げも家計に及ぼす影響は〇・一%であると説明をしておるのでありますが、他の諸物価に及ぼす影響は決してそんなものではありません。すでに私鉄運賃、ふろ屋の値上げ等に波及しておるのであります。こうした一連のインフレ政策はようやく安定の軌道に乗りかけた日本経済を再び不安定に追いやるようになって、二十八年度当初の二の舞を演ずるのではないかと憂慮するものであります。さきに行われた日銀公定歩合の引き上げ、さらに物価対策として前年同期に比し四億七千万ドルにも及ぶ増加した輸入外貨の割当予算、前年度に比べて六〇%もふえた一兆四千億円の本年度の貯蓄目標等々は政府みずからがインフレの危険を認めて、これが対策に大わらわになっている証拠であります。  次に、予算の内容について申し述べたいのであります。第一は一千億円の減税についてであります。大蔵大臣は、この減税を仁徳以来などと吹聴しておりますが、その恩恵に浴する者は九千万国民のうち、三千万にすぎず、残りの六千万人には関係のない減税であります。さらにその三千万人のうちの九三%を占める五十万円以下の所得者にはわずか三百億円、残りの五十万円以上の所得者七%、すなわち国民全体のうちのわずか二%の人々に減税の大部分の七百億円が振り向けられておるのであります。中小企業、小売商を初め、国民大衆にこれでは徴税強化が行われることは必至でありまして、徴収歩合は九二%から九四%に引き上げられておることからもこのことは明らかでございます。さらに間接税においても、たばこ、酒、砂糖などで二百億円余を負担させられることになっております。その上、物価は次第に上ってくる、こう見てくると一千億減税の実態は一%の人をほんとうに喜ばせるため九九%の国民を泣かせる減税ということになるのではないでしょうか。わが党が年収三十二万円までを免税にすることを公約しているのに比べると、いずれが一部の国民の政党であり、いずれが全体の国民の政党であるか、もはや言を要しないと思うのであります。さらにまた一千億円に上る租税特別措置は大資本擁護のため依然として存続され、ようやく二百億円の整理を行なったにすぎないのであります。その反面零細企業者のためにあった概算控除制のごときは廃止されておりまして、この点からも低所得者にとって、よいところは少しも残されていないのであります。大蔵大臣は税金を納めていない者には減税のしょうがないと言われるけれども、所得税ばかりが税金ではありません。間接税その他やろうと思えば幾らでも方法はあるはずでございます。事務官僚の言ならばともかくも、政治家であり、ベテランである池田大蔵大臣のお言葉としては、私どもはいただくわけには参りません。  第二に、失業対策についてであります。鳩山内閣以来、経済五カ年計画によって完全雇用を達成するということを公約しておりましたが、この公約は一体どうなったのでありましょうか。六十万の完全失業者、一千万に及ぶ潜在失業者は今後十二カ年もかからなければ解消しないと経済企画庁長官は本委員会で答弁をいたしております。しかもそれは施策によって解消するのではなくて、新規就労人口、すなわち新しく学校を卒業する者が自然に減ることを当てにしているというのでありまして、全くこれはお手あげの形であります。それにもかかわらず、失業対策費を四億円も削っているのは全く了解に苦しむところであります。かくのごときは首相の施政演説に当って、失業者は経済の余力を示すものであるという前世紀的な感覚のズレによるものか、あるいは政府の無能を示すものか、いずれにしても完全雇用を看板にした政府が国民を欺瞞している最大の事実と言わなければなりません。(「その通り」と呼ぶ者あり)完全雇用はただ人数の問題だけではなく、その質の問題もきわめて重要であります。労働力が余っているにもかかわらず、週六十時間以上の長時間労働者が非農家で六百九十四万、農家で三百七万、合計一千万をこえております。また六十五才以上の勤労者が二百万人、夫婦共かせぎは九百五十三万組——約一千万組、義務教育年令で、働くため義務教育を受けられない者の数は二万をこえております。職につきながらそれでは生活できないため、生活扶助を受けておる者の世帯は六十万に及んでおります。これらはほとんど低賃金による生活難によるものであって、特に苦境にある中小零細企業の低賃金は目をおおわしむるものがございます。月六千円未満の者は四百万人をこえ、はなはだしきは二千円以下というのさえ決して珍しくはございません。働く場所がある、働けば生活できる、これが生活安定の第一要件でありまして、私どもが最低賃金法案を今国会に提出しているのはこの要件を実現せんがためのものであります。また最低賃金の実施によって、生活補給のため、無理な労働をしている老いたる者に休養を与え、子供たちを学校に通わせ、母親を家庭に返す、これが私どもの願いでございます。このことはさらに失業者に職場を与えることともつながっておるのでありまして、政府がこの問題を等閑に付していることは、世界の多くの国が最低賃金を実施している実態から見ましても全く恥ずべきことと言わなければなりません。またわが党が公務員に二千円のベース・アップを要求したのも、これと同じ理由に基くものであることは御了承いただけることと思うのであります。  第三は、国民皆保険に関してであります。医療保障から取り残された三千万の人々のため皆保険を実施するという政策には私どもも大賛成であります。ところが最近四カ年国民皆保険の大目標がだんだん後退して掛け声だけに終りそうなのは一体いかなる理由によるものでありましょうか。国民健康保険が現在伸びないのは、これが金持保険と言われているように五割の自己負担があるため貧乏な者は医療を受けることができないことであります。また国で負担する事務費の単価が低くて地方財政を圧迫していることであります。われわれが常々提唱しているごとく、七割以上の給付と事務費の完全国庫負担が実現すれば、宣伝しなくても国保は飛躍的に発展を遂げるはずであります。この基盤を忘れて数だけ多くしようとする政府のやり方は本末顛倒でありまして、これでは決して皆保険は実現できないのでございます。ただいま申し上げましたように、一千億減税、完全雇用、皆保険の三大重要施策においてかくのごとくでありますから、他は推して知るべきであります。  第四に、食糧増産について申し述べますと、予算総額に対する農林予算の比率はますます低下し、食糧増産、食糧自給の意欲は予算の上からは後退しつつあると言わなければなりません。米価において予約奨励金を一方的に削っておるがごときことは全農民の絶対に承服しがたいところであります。これでは政府は農業あって農政なしという小林委員の酷評も甘んじて受けなければならないと思うのであります。  第五は、地方財政対策であります。地方財政は今や公債費の重圧にあえいでおる、遠からず借り入れる額と償還額とが等しくなると言われておるのであります。このために全国にわずかに残っておる数府県の黒字県も赤字団体に転落しなければならぬという状況になるのであります。しかるにもかかわらず、この公債費の元利補給を別途予算措置することなく、一般財源たるべき交付税から支出しようとしておるのであります。しかもこの交付税でさえ、国税の減収に見合う三%引き上げを要するにかかわらず一%の引き上げしか行わず、三十一年度補正予算に計上した百億円をもって一・四%に相当するから、実質において三%に近い引き上げをしたことになるとさえ言っておるのであります。補正予算の計上額のごときは当然三十三年度において精算交付されるべきものでありまして、これは明らかに先食いであり増額ではありません。インチキもきわまりない財源措置であります。また新設される公営企業金融公庫もわずか五億の政府出資と政府保証債七十億で二百数十億に上る地方公募債をどうして消化し得るでありましょうか。これを一言で言うならば、今回の政府予算は地方財政に対しきわめて冷酷なる予算であると申すほかはありません。  第六は、防衛関係費についてであります。防衛関係費についてはわずか四億の増加にとどまり、ほぼ前年程度同程度にとどめたことを誇っておるようでありますが、実質は継続費、国庫債務負担行為等で百六十五億円が増加され、それが三十三年度の予算に現われざるを得なくなっておるのであります。陸上一万人の増強も三十三年度に延ばしたに過ぎません。こういうふうに見て参りますと、果して防衛関係費をふやさなかったと言い得るのでありましょうか。  その他水産業関係、中小企業対策、年金、教育、公共事業、住宅等々指摘すべき幾多のものがあるのでございますけれども、時間の関係もございますから、これらは割愛いたします。  最後に、岸総理は原水爆実験禁止に対して、原水爆の使用と製造禁止の前提でこれをやっておると言明されました。このことは明らかに突き詰めて申しますならば、原水爆にささえられておる力の平和を否定する態度でなければならないと思います。そういう立場に立つならば、当然軍備縮小、さらに軍備の廃止に進み、また首相が渡米してなされる安保条約の改正も当然この方向を指向しなければならないと思うのでございます。こうすることによってこそ初めて中国を初めアジア諸国との親善も友好も、また貿易も拡大されて参ると思うのでございまして、それなくして日本経済の発展は望まれないと思うのでございます。さらに毎年々々一千数百億の防衛費が国民生活に振り向けられる、こういうことも、このことの実現以外には道はないと思うのでございます。このようなことを見て参りますと、この予算は、岸総理がそのような考えを持っておるにもかかわらず、この方向とは逆な方向をとっており、またさきに指摘いたしました幾つかの点において掛け声と実質の間にきわめて大きな隔たりがあるのでございまして、このような予算には私どもは断固として反対せざるを得ないのでございます。  以上をもって討論を終ります。(拍手)

安井謙自由民主党

○安井謙君 私は自由民主党を代表いたしまして、昭和三十二年度一般会計予算ほか二案に対しまして賛成の意を表明するものであります。  御承知の通り、三十二年度一般会計予算は一兆一千三百七十四億円というかつてない規模のものになりましたが、この予算規模はわが国経済の目ざましい発展に即応したいわゆる拡大均衡予算であると申すことができます。ここ一両年の日本の経済の発展はまさに脅威的であります。それは三十一年度鉱工業生産が前年に比し二一%の増、輸出が二〇%の増という数字に如実に示されております。かくして三十二年度において国の財政もまた二千億の自然増収を予想せられるに至ったのであります。  この二千億をわが党は二分して、一千億を減税に、一千億を重点施策の遂行に振り向けることといたしまして、いわゆる一千億減税、一千億施策というのがわが党の予算編成の基本方針でありまして、政府提出の予算はこのわが党の基本方針にのっとって編成されたものでありまして、われわれはこれに全面的に賛成をいたすものであります。  以下簡単にその根拠を申し上げます。社会党の諸君は、この予算に対しまして、内外経済の見通しから見て、この予算はインフレ要因を包蔵しており、今後の経済の趨勢に合致していないという非難を加えておりますが、たしかここ二、三年来非常な好況を続けてきました世界経済の上昇度は昨今多少鈍っているという状況は見られます。しかし世界経済の中心であるアメリカの動向を見てみましても、本年の下半期で横ばいにはなるかもしれないが、一九五八年には再び上昇の道をとるであろうということが専門家の間の予想でございます。またその他各国の経済事情から見ましても、今日世界経済が急激な下降線をたどるという予測はどこにもないのであります。従って数年来の健全財政施策によって着実に地歩を固め、三十一年度において飛躍的な発展を遂げたわが国経済がこれらの世界経済の動向の線に沿い、明年度もまた着実な発展を遂げるであろうことは明らかであります。しかも政府は三十二年度予算の基盤となるべき国民経済の規模につきましても、たとえば輸出の伸びを三十一年度の二〇%に対し、三十二年度は一三%と手堅く踏んでいる等、着実な積算の基礎に立っているのであります。従って二千億の自然増収を一千億は減税へ、一千億は積極的な施策に振り向けるというわが党の方針は、あくまで現実の経済基盤に立脚した堅実な施策であるということができましょう。現に社会党も独自の予算編成方針を打ち出しておられますが、それによると財政規模は政府案よりわずかに五十億だけ少い、一兆一千三百二十四億という数字になっております。自由民主党と社会党の日本経済の見通しについての相違は、財政規模にしてわずかに五十億にすぎないのであります。社会党の諸君の、政府案は甘い見通しに立っているという批判は根拠薄弱であると言わなければなりません。  社会党の諸君は、また鉄道運賃の値上げがインフレ要因の一つだとして非難しておりますが、これもまたいささか事態を誇大視したものであります。運賃の値上げは確かに物価に響きます。しかし物価は単に運賃にだけ左右されるものでなく、輸送力が少いために、いたずらに滞貨を生じ、物資の流通を妨げて、かえって物価をつくり上げるという面もあることを考慮しなければなりません。鉄道と道路の輸送力の隘路を打開するということは、日本経済の差し迫った要請でありまして、運賃の値上げも、ガソリン税の引き上げもこの大目的を達成するために、最小限度の犠牲として忍ばなければならないというのが今日の状態であります。われわれは政府が産業隘路の打開に非常な積極性を示していることを歓迎するものであります。  次に、一千億の減税につきましては、これは上に厚く、下に薄い減税であるという非難がなされました。これも当らないのであります。わが党は過去七回にわたって減税を行なって参りました。その額は実に四千五百四十億円に上るのであります。そしてその八割は各種控除の引き上げによるものでありまして、その結果、全然所得税を払う必要のない、いわゆる課税の最低限は逐次引き上げられて参りました。現在では課税の最低限は大体昭和十五年ごろの程度に回復しているのであります。  一方、現行税制のもとにおいて、所得税を負担する者の側から申せば、所得の漸増に比例し、税率は急角度に上昇して、中堅の所得層では特にその負担が重くなり、ここに非常な不均衡が生じております。そうした不均衡を是正するために、今回は減税分の七割を税率の引き下げに充て、三割を諸控除の引き上げに充てようというのでありまして、まさに時宜に適した改正であると考えます。その結果、低所得者の税負担の軽減率が、より高い所得者のそれよりも少くなるかというと、決してそうではないのでありまして、標準家族の給与所得者について見ますと、月収二万二千五百円以下は無税、三万円の場合は減税率五一・八%、五万円の場合は四八・二%というように、減税の率は低所得者に対し手厚い配慮が行われております。上に厚く下に薄いという社会党の諸君の非難は全く当りません。  さらに財政政策面から見ました場合、財政投融資を初めとし、予算の使い方が大企業偏重であり、中小企業は恩恵にあずかっていないという非難も一部にございます。これもまた当らないと申すべきでありまして、わが党の方針に従い、政府は今年度は中小企業の振興に特別の努力を払ったのでありまして、一例を税制面にとって見ましても、所得税軽減のほか、中小企業法人に対する法人税率の逓減、また個人、法人を通じた事業税の軽減、あるいはまた第四次の資産再評価の実施による税負担の合理化等、相当適切なる対策が盛られておるのであります。また中小企業への金融面におきましては、国民金融公庫、中小企業金融公庫、商工組合中央金庫等の資金量を飛躍的に増加する一方、商工中金の金利の引き下げ、信用保証協会の保証業務の拡充等にも多額の予算を割り当てております。  これら税制面及び金融面の優遇措置と相待って、目下審議中の中小企業団体法による中小企業の組織化は中小企業の状況を顕著に改善するであろうことを信じて疑いません。  さらにまた、わが党の重要政策の一つである社会保障の充実という点につきましても、国力の許す限度において十分な配慮が行われております。試みに本年度予算計上中の若干の実施項目を取り上げてみましても、生活保護の基準を六・五%引き上げ、また医療扶助を一%増し、特に三十二年度からは母子加算を引き上げて、現在生活保護を受けていないボーダー・ラインの母子家庭にも母子加算金を支給するということにいたしております。その他児童保護費、社会福祉費の増加、児童保護施設の増設、間食費の経費増、母子福祉貸付金及び世帯更生資金貸付金の国庫負担率の大幅引き上げ、旧軍人以外の遺族及び留守家族の援護費充足等々、細目にわたり思いやりのあるあたたかい措置がなされておるのであります。  また、社会保障に関連して特に注目すべきは、母子年金、老齢年金制度の創設に乗り出したことであります。今年度は創設準備費だけの計上にとどめられておりますが、本制度は近き将来わが国社会保障制度に新機軸をもたらすものであろうことを確信してやみません。その他の諸施策につきましては、ここに詳述するの煩を省きますが、文教及び科学技術の振興、農林漁業対策の強化、地方財政の健全化、住宅政策の推進等、いずれも今日の日本経済の段階においては適切妥当の措置であると言えます。このように、昭和三十二年度予算は、一方では輸送、電力その他日本経済の発展の隘路を打開して、経済の一そうの拡大と貿易の伸張に資するとともに、他方一千億の大幅な減税を行い、また社会保障制度の拡充その他国民生活の安定向上に十分な配慮を行なっておるのでありまして、健全にして調和のとれた予算であることを確信し、賛意を表する次第であります。  なお、この際一言つけ加えたいと存じますのは、三十二年度の予算は、政変等の影響を受けまして、審議日数等もおのずから制約を受ける等のこともあったのでありますが、当委員会の運営につきましては、格別のトラブルもなく、実質的審議の実をあげることができましたのは、国会運営正常化の精神に沿うものとして、御同慶にたえません。  以上をもって私の討論を終りといたします。(拍手)

森八三一緑風会

○森八三一君 私は緑風会議員総会の決定に基きまして、ただいま議題となっております昭和三十二年度一般会計予算外二件に対しまして、以下申し述べます数点を指摘し、政府の善処を求め、原案に賛成の意を表するものであります。  一般会計予算は一兆一千三百七十四億円でありまして、前年度対比一千余億円の増加であり、財政投融資におきましても、六百七十億円の増加が計上されております。さらに昭和三十一年度予算補正におきまして追加計上せられました三十二年度に持ち越して使用することになっておりまする二百余億円を加えますれば、まさに二千億円の膨張をみるのであります。貨幣価値が変動しておるとは申しますものの、予算規模におきましては、まさに神武以来の大予算と申すべきものであります。最近における産業経済の異常な発展と、国民所得が八兆をこえるという見込みに立ち得る現状等からいたしますれば、さして驚くに足らないというような説明が与えられておるのでありますが、この膨大な財政規模自身がインフレ的要素を持っておりますことは、委員会におきまして、同僚委員多数の諸君が指摘いたしましたところでありまして、否定し得ないところであります。さらに、他面鉄道運賃の値上げ三百六十五億円が計画されておること、ガソリン消費税の引き上げ、軽油引取税の増徴等が実施されんとしておるのでありまして、計算上一般物価に影響するところはきわめて僅少であるとの説明でありますが、これらが物価に及ぼす影響は、ただ単にその部分だけを平面的に計算した程度にとどめるものでないことは、今さら申し上げるまでもありません。ここにインフレを招来し、せっかく安定拡大の堅実な発展を示して参りました日本経済を根底から破壊するに至ることをおそれるのでありまして、いたずらなる消費は徹底的に抑制さるべきであり、進んで貯蓄等資本の蓄積造成には格段の努力が払われなければなりません。特に金融と財政の緊密有機的な運営に遺憾なきを期せなければなりません。政府は異常の決意をもってインフレの回避に対処されんことを要求するものであります。  次に、本予算は、最近の経済界の好況を反映する二千億に達する自然増収を引き当てとして、一千億減税、一千億施策を打ち出しておるところに特徴を見るのであります。自然増収の半額が総花的に財政支出に充てられますことにつきましては、議論のあるところでありますが、ここでは一応その論議は避けることにいたしますが、いわゆる一千億減税であります。もちろん、所得の増加がありますので、平面的に計算することは当らないのではありますが、予算面だけから見ますれば、三十一年度に対し所得税の軽減は三百二十億にすぎないのであります。他面間接税の増徴四百億、国鉄運賃の値上げ三百六十五億等を考えますと、財布から出ていく金額は大して軽減されないばかりか、階層によりましてはふえるかと存じます。所得の増加はたな上げをしておいて、負担だけを論ずるのは虫がよ過ぎるというのではありましょうけれども、重税に苦しんでおる国民の多数は、現実に財布から出ていく金の軽減を期待しておるのであります。実際問題として、これが具体的対策は非常にむずかしいことではありますが、将来の課題として留意されたいのであります。  さらに、今日九千万国民中七三%、六千五百万は非課税者であり、納税者は二七%、二千五百万であります。その九三%が五十万円以下の所得階層に属し、軽減額三百億、残りの七百億くらいが七%の五十万円以上の所得階層に対する軽減になるかと存じます。以上のようなことからいたしまして、いわゆる低額所得者及び非課税者は、比較的減税の恩典に浴し得ないのであります。これらの階層中社会保障施策の対象となっておる人々に対しましては、十分ではなくても、それぞれ別途に対策が講ぜられておりまするから、これらの階層を除きました階層の人々の処遇をいかにするかが問題であろうと存じます。池田大蔵大臣はかつて、「この問題は世界の政治家が税を取り扱うときに悩みとするところでありまして、解決はきわめて困難である、大切なことであるから、鋭意研究して善処したい」と申され、研究の結果、今ここで問題になっておる人々が主として構成しておる各種協同組合の剰余金は、一般営利法人の利益と同一視すべきものでないことは当然でありまして、戦前にはいずれも特殊法人として非課税の取扱いがなされておりましたことに思いをいたされ、一般法人税四二%に対し、三五%に軽減の措置をとられたのであります。これらの特殊法人に対する法人税を全免いたしますことは、まさに問題解決の一方策であることは間違いないところであると存じまする次第であります。すみやかにこれが実現を期せられますよう希望する次第であります。  なお、特別措置法の整理につきまして不徹底な部分を存しておるのであります。今後さらに検討され、税法上の不均衡を是正するとともに、今日法人税が高きに失し、企業の発展を阻害しておると思われる幾多の問題を存しておることにかんがみ、合理的な特別措置を含めて、平均三〇%程度にすべきであろうと存じます次第で、政府の考慮を求めるのであります。  第三に、地方財政の問題であります。今日、地方公共団体が多額の赤字に苦しんでおりますることは周知のことであり、今やまさに自治体としての機能を停止しなければならぬ最悪の状態にあるものもないわけではありません。もちろん、地方財政が放漫に流れることは厳につつしむべきであり、自治庁の厳正な監督指導を望むものでありますが、本件は一日も放置のできない重要緊急事であります。市町村合併促進法、再建整備法がこの問題の解決に一歩を進めておりますることは申し上げるまでもありませんが、何といたしましても当面公債費の問題を急速に解決することであろうと存じます。政府も思いをここにいたされまして、三十一年度補正予算中八十六億を三十二年度にこれが対策のため支出することを計画され、所要の法律が制定されました。しかしながらこの措置は地方交付税に特例を設けたものであります。たまたま三税の自然増収が生じますることであります。元来地方税法に特例を設けますことにつきましても、問題点がないわけではありませんが、その欠陥は将来補完するという政府の言明に信頼することといたしますが、自然増収がなかりせば本施策は行われなかったであろうことは想像にかたくないところであります。地方財政確立に対し政府の熱意を疑うものであります。政府は、国家財政がきわめて恵まれておる今日、地方財政の健全化を講じまするために絶好のチャンスであろうと存じまする次第でありまして、すみやかに根本的、合理的に、かつ、十分な地方公債費の問題の解決に対する具体的方策を樹立し、実行されますることを強く要請するものであります。  次に、世界的好況に伴って、政府の経済五カ年計画を根底から改変しなければならぬという異常な産業経済の進展を見ましたのは御同慶の至りにたえません。しかるところ電力、鉄鋼等の基幹産業の開発がこれに伴わず、きわめて重大な隘路を出現しておる現状にかんがみ、三十二年度予算において電力、鉄鋼輸送等の拡充を計画されておるのであります。はなはだ残念なことでありますが、今からでもおそくはない。これが計画の達成を求めるものであります。ところがこれらの計画を具現いたしますることと、住宅問題の解決、五十万戸の施設等いずれも莫大な資材を所要するのでありますが、委員会の質疑を通じて所要資材の計画的生産配給に対する計画がきわめてずさんであるように理解されたのであります。かくては計画の達成はもちろん、その間物価のいたずらなる値上りを招来する危険なしとは申されません。政府は諸般の実情に十二分の注意をなし、資材の確保、その価格の上昇を生ぜしめぬよう格段の措置を望むものであります。  第五に、食糧関係であります。まず昭和二十二年度食管特別会計におきまして百四十二億の赤字が予見されておること、三十一年度赤字百六十二億持ち越されておること等を考えますれば、三十二年度予算が均衡を得た健全財政であると申しがたいのであります。ここにもインフレ的要素を見ることははなはだ残念のきわみであります。そのことは別といたしまして、すでに三十一年度予算補正の討論において申し述べましたごとく、臨時調査会を設けて、これらの問題の解決を含めて食管会計の合理化対策を発見されんとしておるのでありますが、世上、調査会は消費者米価値上げを理論づけるものであるというような心配がなされておる次第であります。政府はあくまでもこれらの心配が雲散霧消するよう対処されんことを重ねて要求するものであります。特に重視しなければならないことは、三十二年度の国際収支の見通しでありますが、輸出二十八億ドル、輸入三十二億ドルでありまして、貿易外特需等に依存して、ようやく形式的に収支を均衡せしめているという状況であります。現に公聴会におまきする公述に見ましても、参考人として意見を聴取いたしました日銀山際総裁の話によりましても、国際収支のバランスをとることは容易ならざる困難事であるとされております。そこで問題になりますことは、輸入の王座を占めている食糧の自給向上のことであります。三十二年度予算からいたしますれば、食糧増産対策費二百七十億円であります、約百十万石の増産ということでありますが、無計画とは申しがたいまでも、各省庁間に有機的な連絡不徹底な関係等からいたしまして、年々歳々相当の美田が壊滅している実情を勘案いたしますれば、人口増加とともに百五十万石程度の補給を要すると思うのであります。差し引き四十万石の輸入増加ということになり、さらに国際収支に悪材料を提供しておることになると存じます。さらに予約売り渡し制度は存続するという総理の言明でありますが、木制度実施以来行われて参りました予約奨励金石当り百円並びに時期別価格差奨励金を削除しておりますることは、理論的には理解できるといたしましても、生産者はすでに米価の一部として受け取っておる事情からいたしますれば、生産意欲を減退する結果となるのでありましょう。かくのごとく積極的な増産施策が不十分であり、消極的な生産増強を後退せしむるがごときは食糧自給向上を重要な施策として掲げておる政府の方針に反するものであると申しても差しつかえないかと思われる次第であります。それがわが国の平和再建上における絶対の命題である、経済自立の基本的要素である国際収支に悪影響を及ぼすことになりますればきわめて遺憾なことでありまして、政府のまさに再考を要するところであります。農村が常に労働人口の調節的役割を果して参りました功績と、現に多数の潜在失業者を包容している実体からいたしまして、さらに国民の約半数を占める農民の購買力の消長が国内経済、特に中小企業の盛衰に重大な関係を有することにかんがみますれば、農林水産業の原始産業に対し政府の施策が漸次後退いたしておりますることは、前述の国際収支問題と相関連し遺憾にたえません。将来この点に関し格段の留意を望むものであります。  今日、産業の拡大と輸出貿易の伸展を期するための重要課題は、下積みになっている多数の中小企業の正常な発展を期することでありましょう。これが対策はもちろん一にして足らないのでありますが、その動脈は、何と申しましても組織化と金融問題であります。政府は常に業者の協同化を推進すると述べられておりますことは、われわれの同意するところでありますが、その組織の強化を行いますためには、金融がその組織を通じて行われるごとき体系を確立することがなければなりません。しかるに中小企業に対する金融体系がきわめて複雑であるとともに、協同組織を強化する方向を示しておりませんことはいかがかと思う次第でありまして、この際協同組合の系統組織を強化するという基本態度を根幹とする金融体系の強化確立と、その金利低下には格別の関心を払われますよう要望する次第であります。  以上希望の数点を申し述べ、政府の誠意ある措置を期待し、予算三案の原案に重ねて賛意を表し、討論を終ります。(拍手)

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) 以上をもちまして討論通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより採決をいたします。昭和三十二年度一般会計予算、昭和三十二年度特別会計予算、昭和三十二年度政府関係機関予算、以上三案全部を一括して問題に供します。三案に賛成の諸君の起立を願います。    〔賛成者起立〕

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) 起立多数と認めます。よって三案は可決すべきものと決定いたしました。(拍手)  なお、本会議における委員長の口頭報告の内容及び報告書の作成等につきましては、慣例により委員長に御一任願いたいと存じます。  三案に賛成されました諸君は順次御署名を願います。   多数意見者署名     迫水 久常  左藤 義詮     安井  謙  吉田 萬次      森 八三一  石坂 豊一      泉山 三六  木村篤太郎      小林 武治  小山邦太郎      新谷寅三郎  関根 久藏      土田國太郎  苫米地英俊      成田 一郎  野本 品吉      林田 正治  前田佳都男      加賀山之雄  梶原 茂嘉      田村 文吉  柴田  栄      青柳 秀夫  佐藤清一郎      武藤 常介  仲原 善一

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) 本日はこれにて散会いたします。    午後八時七分散会

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