P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
26回国会参議院1957/05/15

文教委員会 第29号

発言数
41
登壇者
7
会派数
2
開催日
1957/05/15

会議録

岡三郎日本社会党

○委員長(岡三郎君) これより文教委員会を開会いたします。  まず、教科書の検定に関する件を議題といたします。質疑のある方は順次御発言を願います。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 まず、この出された資料について伺いますが、この教科書調査官二十名を任命されておりますが、この採用方針はどういうところにおいて任命されたのか、その点を伺います。

内藤誉三郎文部省初等中等教育局長

○政府委員(内藤誉三郎君) 二十名任用いたしましたのは、各教科について、それぞれ専門的な知識、技能にすぐれ、かつ人格識見ともにすぐれた方を、非常にたくさんの中から選抜したのでございまして、国、公、私立の大学、教育委員会、各方面から推薦を願ったのであります。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 推薦を願ったという、推薦機関はどういうものですか。

内藤誉三郎文部省初等中等教育局長

○政府委員(内藤誉三郎君) 別に公募したというわけではございませんが、それぞれ大学の方にも御依頼を申し上げ、かつ各方面から御推薦もありましたので、文部省におきまして次官を長とする選考委員会を設けて、その選考委員会で、ただいま申し上げたような趣旨で選考したのでございます。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 次に、検定調査分科審議会委員、この名簿を見ますと、大部分の人は三十一年十一月二十六日任命で、たとえば第一部会の国語のところでは、前から続けていた人はなし、社会では引き続いた人が二人、数学の部では一人、理科では一人、音楽も一人、図画工作が二名、外国語、保健体育、家庭・職業では、元の調査員は一名もなし、とこういうようになっておりますが、いわば審議会委員は従来十六人だったのを、今度八十人にされたわけですけれども、半数以上かえられているわけですが、それはどういうお考えでこの旧検定委員が総がえになったのですか。

内藤誉三郎文部省初等中等教育局長

○政府委員(内藤誉三郎君) 十六人が前の委員会の委員でございまして、任期がある人だけお残りになって、あと一応全部入れかわっていただいたわけですが、特にこのたび調査官も審議会の委員も同様でございますが、教科書に執筆したことのない、教科書に関係のある者は一応全部御遠慮願ったわけでございます。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 任期が来た人で再任しなかった人は、みんな教科書を書いている著者であるということなんですか。

内藤誉三郎文部省初等中等教育局長

○政府委員(内藤誉三郎君) そういう趣旨ではございませんが、ともかくそれ以外の方は、一応新しく新規に発足いたしましたので、任期のある者だけはお残りいただいて、あとは全部刷新する、こういう趣旨でございます。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 そこで文部大臣に伺いますが、行政府の行政措置のあり方について伺います。  第二十四国会に教科書法案が内閣提出で提出され、国会で審議されたわけですが、結論的には審議未了で廃案となったわけです。その法案の内容はいろいろありましたけれども、検定制一度の強化というのが一つの大きな眼目であった。その内容としては、分科審議会の十六人を八十人にする、それから専任調査官二十人を置き、調査員を六百人程度にするということが内容であったわけです。予算審議の段階では、当時の文部大臣は予算を審議を願うが、この予算の裏づけとなるところの法律は文教委員会で教科書法案として御審議願っておる、かような意見を述べられております。しかるところ、この法案は廃案になった。予算は通過した。予算が通過したから行政措置で、検定権は文部省にあるのだから行政措置でやるというので、全くその廃案になった法案と同様の行政措置をとられるということは立法府の意思を無視するものであり、行政府のあり方としては非常に私は逸脱していると思うのです。もしあなたのところに検定権があるからというので行政措置としてやられる場合、そういう法案を国会に出すことなく、国会で論議されることなくてやられたのならばまだまだですが、一応そういうことを国会に法案として出されて国会で慎重審議した結果、成立きせることには適当でないというので廃案になった、その内容を立法府に審議を請うたところが成立しなかった、それでは行政措置でいこう、こういう私はこの行政府のあり方というものは非常に私は好ましいものではないと、かように考えますが、大臣の御所見いかがでございますか、伺います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○国務大臣(灘尾弘吉君) 御質問の中にもございましたように、検定の権限が文部省にあるのでございますので、その与えられております権限をそのままに強化して参るということにつきましてま、格別の問題はないかと思うのであります。昨年御審議をお願いいたしました教科書法案の内容は、ただ単に検定の強化というだけでなくて、いろいろの事項を含んでおりました。ことにまた、法律を必要とするようないろいろな事項を含んでおりましたわけでございます。だから、それらを離れましても現に文部省の持っておりますところの検定の内容を強化して参るということは何ら差しつかえないし、また同時に、それはその当時の予算の内容とも矛盾するものではないと考えておるのであります。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 その予算委員会における当時の文部大臣の言明というものは、大臣が今述べられるのとは違います。この法の執行に当ってかくかくの内容の法律案を国会の御審議を願っているということをはっきりと言明されているわけです。しかるに、この検定権があるからというので大きな問題として取り上げられ、国民の重大関心を寄せていたところの法律案が廃案になったにもかかわらず、その法案の内容そのままを行政措置でやられるということは、これは私はどうしても納得することができません。決して私は好ましいことでないと思う。今後こういうことを私は繰り返すべきではないと思うのです。あなたのところは行政措置でやられたのだから、従って私は教科書法案を審議した当時以上に、この教科書の検定制度については、われわれは調査をしなければならぬと、かように考えておる次第です。大体国会で法律案が審議され、その法律と裏表の関係にある予算案が審議可決成立した場合へ法案が流れたならば、その予算は一応眠るのが私は自然だと思うのです。その法案は流れたのに、予算だけを行政措置でやられる、しかも国民の大多数にとってあまり議論のないような問題ならともかく、国会内における政治勢力を二分して、国民の世論も全く二分された。むしろ検定強化という点については慎重にしなければならぬという意見の方がかえって多かった情勢であったにもかかわらず、行政府が行政権の範囲内でこういうことをやられるというのは私は慎んでいただかなければならぬ、かように思います。しかし、すでに発足していることですから、今それをもとに戻すということはこれは無理ですし、そういうことも私は申し上げません。ただ、先ほども申し上げましたように、教育に関連のある、しかも教科書の検定の問題ですから、徹底的に調査しなければならぬと思っております。  そこで一、二点私は大臣に伺って松永委員が質問があるようですからかわりたいと思いますが、大臣に教科書の検定制度について基本的な問題として伺いたい点は、検定制度下において検定を行う場合にとるべき基本的態度として、国の憲法、あるいは教育基本法、その大きなところから出た大まかな検定基準に大体合っておれば、特別なもの以外は検定に合格させるというような、かような方針で検定に臨むべきものか、それともできるだけ厳密にして落せるだけ落して、教科書というものをできるだけ検定合格教科書を少くしようというような、そういう基本的態度で臨むべきものか、検定制度そのものを大臣はどういうふうにお考えになっておられるか、私は承わっておきたいと思うのです。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○国務大臣(灘尾弘吉君) 教科書の検定に当りまして、憲法、あるいは教育基本法というようなものに合致しておらなければならぬということは、これは申すまでもないことであります。同時に、その教科書それ自体が、基本の考え方におきまして憲法と矛盾しない、あるいは教育基本法と合致しているといたしましても、内容が教科書としてあるいは正確でないとか、間違いが多いとかいうように、内容的に見ましてやはり十分でないものにつきましては、これはもう一ぺん出し直してもらう、検討をしてもらうということを考えるのは当然だと思うのでありまして、やはり実質的にも教科書にふさわしい実体を備えたものを合格さしたいと思っておるのであります。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 その答弁は私の伺った点に即応する答弁になっていないのですが、大臣の今申された言葉それ自体は私は不当な点はない、ごもっともなお言葉ですがね。私が伺わんとするところは、戦後検定制度発足してからの検定制度そのものに対する考え方から申しましても検閲と違うわけですからね。基準に合っておれば検定許可をして、できるだけ多くのバラエティに富んだ種類、種々な教科書を作って、そうして地域、さらに生徒児童に即応する教科書を採択し、教育を展開していくという、こういう私は考え方だと思うのです。ところが最近、特に昨年教科書法案が国会に出て以来の検定制度の運用を見ておりますと、そういう考え方から私はずいぶんと離れて、ほとんど検閲に近い実情になっている。で、国定教科書になっていないで、できるだけまあ言葉は適当でないかもしれぬが、何とかけちをつけて、少しでも合格教科書を少くして、数少くしぼり上げていこうと、こういう基本的な気持としては検定でなくして検閲をするのだという、かような考え方に、意識するとしないとにかかわらず、そういう事態に私は急速度に進展して来たし、進展しつつあると思うのです。このこと自体、私は最も重大な問題と考えますので、その点伺っているわけです。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○国務大臣(灘尾弘吉君) お尋ねでございますけれども、私どもは決していわゆる検閲というような心持を持ってこれに当っておらないつもりでございます。現行制度のもとにおきまして、これがお話にありましたような検定の基準に合致いたしておるというものについて、これを排斥するというような考え方はいたしておりません。従って、決してその数を減らすというふうな目的でもって検定をいたしておるのではない。ひとえにりっぱな教科書というものを供給したい、こういう考え方のもとに見ておるわけであります。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 すると、大臣は現行検定制度はこのまま維持継続をしていくという考え方でございますね。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○国務大臣(灘尾弘吉君) 現在の教科書制度につきましては、いろいろ改善を要する点があると考えておるのであります。従いまして文部省といたしましては、教科書改善に要する予算を計上し、また教科書改善に関する検討を加えておるということは御承知の通りであります。そういう意味におきましては、現在の検定制度全体をそのまま今後継続するかどうかにつきましては、目下検討中と答えざるを得ないのでありますが、しかし、この教科書の検定に当りましての考え方といたしましては、先ほどお答え申し上げましたように、その基準に合致しておって、内容が充実しておるりっぱなものでありますれば、それを採用するにやぶさかでない。決して、ただ単に数さえ減らせばそれでいいという考え方はいたしておりません。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 大臣に一点お伺いしたいわけでございますが、今大臣のお話で検定を強化するというような意味から、たとえば法案に出したと同じような審議会の委員を拡充したり、常設の調査員を作ったりするようなことをおやりになったというお話があったと思うのですが、それと同様な趣旨でいえば、まあ検定を強化し、適正をはかるという意味からいって、従前説明書の交付をしておらなかったのを、説明書の交付をしているというような点なんかも一歩前進して来た事柄であるというように思うわけであります。そういうふうな意味から言うならば、古い前の提案をした教科書法案には、検定を申請したもの、その他から説明または意見を求めることができるというようなこともまあ出ておる。あるいは中央教育審議会の答申なんかでも編著者から申し出があったとき、その他必要があると認めたときは意見を聞くことができるというようなことも、聞くようにした方がいいというようなこともあったわけです。そういうことから考えてみると、検定申請の教科書について審議の途上に申請者その他の意見を聞くというようなことは現実にはまあ実施をされておらない。それから検定基準がまあ問題になりますが、これは教科書検定審議会に諮問するというようなことが教科書の法案にはまあ出ておったわけであります。こういうふうな問題等についても実施をされていくということが、やはり検定の強化をはかりたいというゆえんだと思うわけであります。審議会の数をふやしたり、調査官の数をふやすことだけが検定の強化ではなくて、実は説明書を交付したり、あるいは検定の途上に申請者の意見を聞くとか、あるいはこの基準について審議会の諮問を受けてやるというようなことも必要だと思うわけです。そういう点を実施をしないで、検定の強化をするというところにまあ一方的に解釈を受ける問題があると思うわけであります。こういう点について、今後これを実施をしていくというような考え方があるのかどうか、また説明書の交付等も現状では単にそういうことをやったということであって、恒久的にやるということではないのであって、こういう点についてなお実施をして今後そういう意味の強化をはかっていくという考え方を持っておられるのかどうかという点について文部大臣の一つ御答弁をいただきたいと思うわけであります。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○国務大臣(灘尾弘吉君) 法律が成立いたさなかったために、文部省といたしまして、仕事の上で若干不都合を感じておるような点もあるわけであります。いずれこの問題につきましては十分検討を加えた上であらためて御批判を請う時期もあるいはあるかと思うのであります。ただ、今お話しになりましたような事柄につきまして、われわれといたしましては、編著書の便宜というようなものを決して無視するというような考え方はございません。今後の運営に当りましては、十分さような点につきましても検討を加えまして、なるべく編著者の便宜にかなうような心持をもってやって参りたいと思うわけであります。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 私のお聞きしたいのは、そういうふうな行政措置としてそういうことをおやりになるということについては、今後いろいろ考えていくべきものがあると思うわけでありますが、現実にその説明書を、不合格理由書を交付するということをやるときもあればやらないときもあるということではなくて、やらなければできないというような方向に法規制をしていくとか、あるいは申請者の意見を聞くというようなお話ではあったけれども、現実にはそういうことを実施を、不合格の書物についてはそういうことを実施をされておらないわけだ。それを、今後実施をしていくということの、政令的な規制をしていくというつもりがあるのかどうか、あるいは教科書基準については特に慎重を期するためにあるいは諮問をするということを法的に規制をしていくということでなければ、現実にはそういう点を考慮するということであっては何らの保障にもならんと思うわけであるが、そういう点について今後法的に整備をしていくという考え方を持っておられるのかどうか、その他にこういう点について不明確であるので規制をしていきたいという気持をお持ちであるかどうか、そういう点を具体的にお聞きをしておるわけであります。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○国務大臣(灘尾弘吉君) 現在の状態のもとにおきましては、教科書の検定の上におきましてもわれわれ不十分な点があると思っておる。で、そういう点を考えて教科書法案というようなものもかつて提案せられ、御審議を仰いだようなわけであります。さような意味におきましては、将来立法を必要とするものにつきましては、立法をいたしまして、御審議をお願いするというようなこともあろうと思うのであります。それまでの問題といたしましては、行政の運用によりましてできるだけ編著者の方に、あるいは業界に対しまして、ことさら不便を与えるというようなことのないようにいたしたいと思っておりますが、なお詳細につきましては政府委員からお答えいたします。

内藤誉三郎文部省初等中等教育局長

○政府委員(内藤誉三郎君) ただいまのところ、不合格したものにつきましては、文書で全部回答いたしております。なお、これにつきまして編著者の方、あるいは発行者において異議がありますれば、異議を文書でいただきまして、審議会でさらに御検討をいただくことになっております。それから先ほど大臣がお答え申しましたように、できるだけ私ども編著者の意向は聞くつもりでございますが、ただ、この編成と検定出願途上において意見を聞くということになりますと、この前ちょっと問題を起しました白表紙の意見を聞いたというようなことがございますので、これはちょっと差し控えなければなりませんが、全体としては十分に編著者の意見を尊重するようにいたしたいと考えております。

岡三郎日本社会党

○委員長(岡三郎君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕

岡三郎日本社会党

○委員長(岡三郎君) 速記をつけて。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 今、局長からもお話があったのだが、不合格書について文書でもって申し出があれば審議会では審議をするということであるけれども、そういうことについては何ら政令で、審議会に関する政令の中にはっきりしてないわけなんです。ただ、そういうことを口でおっしゃるだけであって、現実にはそれでは事実上不合格者の説明のときに異議があるのなら手続をとって申し込んできてくれというお話であるけれども、現実に審議会がいつ会合を開いてその問題について審議をするかということははっきりしておらないわけなんです。そういう、つまり行政的な措置、そういう意味の行政措置では公正を期すことはできないではないか。たとえば審議会の中の政令の中に、法律を出さんとしても、政令ではっきりして明確にしていくということでなくては、そうおっしゃるだけであって、現実には審議会がいつ持たれるのか、どういう書類を出すのかということも何ら指示もない現在の状況のもとにおいては、やはりそういう機会が与えられていないということになるのではないかと私は思うわけであります。そういう点についてはどうですか。

内藤譽三郎文部省初等中等教育局長

○政府委員(内藤譽三郎君) お話のように、現在の審議会の法律の中にはそれがございませんけれども、将来、先ほど大臣がお答えしましたように、教科書法全体についての今検討をいたしております最中でございまして、できればあるいは切り離して審議会の方だけ検討してもいいのでございますけれども、全体の問題とも関連いたしますので、十分その趣旨を織り込んで検討いたしたいと思っております。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 ちょっと関連して……。昨日も局長はその著者の意向をくんでいるし、また異議申し立てを受けるようになっているが、していない云々ということを申しておりましたが、具体的に伺いますが、実は三十二年度、三十三年度の教科書を検定するに当って、あなたの資料によりますと、誤記、誤植があった、ここに誤記があり、ここに誤植があった、これを直しなさいというようなものを通知して、これを直さなければ不合格の通知をして、それを直して持ってくれば合格にするように今やっていますか。

内藤譽三郎文部省初等中等教育局長

○政府委員(内藤譽三郎君) 合格したものにつきましては、条件付きで合格したものも相当多いのです。ですからミス・プリントが……。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 落ちた場合を言っているのです。

内藤譽三郎文部省初等中等教育局長

○政府委員(内藤譽三郎君) 百くらいの場合、これは一々私の方は教科書として採択されなければならんものですから、厳密に一々指摘しております。 ところが、不合格になりましたものにつきましては、個所が非常にもちろん多いのでございます。数百ヵ所にも上っておりますので、全部について指摘はしませんけれども、大体の傾向としてはわかるように、どういうようなものだというおもな事例はあげて説明をいたしております。ただ、あまり詳しくこちらの方で手をとり足をとるようにしてやりますと、それは先ほど御心配になったような官製のにおいが強くなりますので、私どもはその点は差し控えております。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 私の聞いているのは、一本勝負なんでしょう、だからあなたの御答弁を聞いていると、不合格になれば異議を申し出ればここを直せば合格にするのだ、かようにあなたは言われるのは、一回一本勝負だけの検定だけではなく、二段、三段があるように聞えるわけなんです。これは実際の検定な一本勝負なんでしょう。そうすると出版会社としては一つの教科書を企画、製作するのに二、三百万から費用がかかるということを聞いておるのですがね。その場合に誤記、誤植があり、あるいはさし絵、図表等に適当なものがなかったからといって、それを、ここを直せば合格にするというような救済規定、そういう運用があればともかくも、今の検定というものは一本勝負で、こういうような、救済するようなことはできないようにやっているわけです。その点、あなたの答弁と実際の運用は違うような感じがするから、承わっておきます。

内藤譽三郎文部省初等中等教育局長

○政府委員(内藤譽三郎君) お話のように前年度は一本勝負だったんです。そうして時期が切迫しておりまして間に合わなかったので、やむを得ずそういう措置をとったのですが、今後は昭和三十二年度においては、常時検定の道を開いて常時に検定をする、ですから間違いを指摘して、次の機会にもう一ぺん出し直して聞に合うようにいたすように、そういう配慮を今しております。三十二年度以降の問題については、そういうことはなかろうと思います。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 今の御説明の中にも、やや事実と相違している点があると私は考えるわけです。今、矢嶋委員からお話があったように、修正するものについては審議会で特に、あるいは調査の段階において、A条項、B条項、C条項というような条項を指摘して、それの修正を要請しておる。ところが、不合格書については何らそういう、今お話にあったような修正の個所の指摘も全然ないわけです。そうして不合格になった段階において、審議会で決定し、文部大臣が合格、不合格を決定した分を、不合格書について理由書のみが出されているわけです。従ってある意味においては、前に政府のお出しになった教科書法案の検定拒否に該当すると同じような建前が、この教科書、不合格書についてはとられているというふうに考えざるを得ないわけです。今お話があったように、一つの教科書について百万円から五、六百万円の金がかかっている。執筆あるいは編著者については、相当心血を注いでやられておるという現状況を見たときに、調査官並びに調査員が出す条項の中には、いろいろな絶対条件、必要条件、あるいは協定というようなものが出ておるわけなんだから、その段階においても不合格書については意見を聞いて、不合格と判定をする調査の段階においても一応意見を聞くという必要があったろうし、その段階を過ぎて審議会が審議をしている途上において、いよいよ不合格にしなければできないという状況の前に、執筆者なりに意見を聞くという機会を設けていくということでなくては、いい意味の教科書を作っていくということにも該当していかないし、またこの申請したもの、そのほかから説明を聞くという意味にも該当しない、全く一本勝負だということになるわけです。あなたは常時検定だというお話であるけれども、文部省でお出しになった通達は、前記と後期に分れているだけであって、前期において最初に出したものが不合格であったから、五月に出したものがまた六月に出せるということではなくて、前期に出す段階において三段階に分れているだけであり、後期において四段階に分れているだけであって、二期の検定にすぎないわけです。今度の場合においても、何か常時検定とおっしゃると、出して持ってきて、また出せばそれでいいように非常に印象づけられるけれども、そういうことでは決してないわけです。そういうことから考えてみて、私は、不合格にする書物について、とにかく、調査官が調査をする段階、審議会の審議の段階において、とにかく意見を聞くということなしにやられていることは、明らかに一方的なつまり処置だ、何らの意見を交換し得る段階が得られない。このことにおいて、今後政令なり、あるいは立法の場合においてこれを政令において規制をしていくという気持があるかどうかということは私はお尋ねしたいわけなんです。

内藤誉三郎文部省初等中等教育局長

○政府委員(内藤誉三郎君) 先ほど私が常時検定と申しましたのも、二期、つまり年間ずっといつでも出願できるという意味じゃござませんので、審査の便宜上、調査官なり審議会の議をわずらわすわけですから、これはある程度の回数にしなければならぬ。来年三十二年度は大体二期にしたい。で、前期に出願して落ちた場合にはもちろん後期に出願できると、こういう意味でございますので、一回だけじゃないと、こういう意味でございます。出願途上において、それではいろいろと編著者の意見を聞いたらどうかと、こういうお尋ねのようでございますけれども、この点、一面に非常に弊害もあるわけでございまして、これは松永委員も御承知の通り、白表紙で検定出願中に相当出して、見本本を出したような格好になったわけなんであります。これが採択に非常に影響があると言われておる。このような事例もありますので、出願の途上において意見を聞くことが果していいかどうか、私は非常に疑問に思っております。そこで今申しましたように、二期を、あるいは三期にするとか、そういうようなことで、できるだけ編著者に機会を与えてやる。お話しのように、数百万円もかけておることでございますので、できるだけ機会を与えて、なるべくいい本ができるようにいたしたい、こういう気持を持っておるのであります。そういう趣旨からで、教科書の法案につきましても検討してみたいと考えております。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 その次にお尋ねしたいのは、今検定の途上に意見を聞くことはどうかという点のお話があったけれども、私はやはり検定の途上に意見を聞くべきだ、それならば、あなたがそういうふうなことをおっしゃるならば、合格するものについても、A条項、B条項、C条項を指摘をして修正を求める必要もないわけなんです。私はそういうことをやっている以上、合格書についてもそういうことをやっている以上、不合格書についてもそういう発言の機会を与えることは当然であると思うわけなんです。まあ、そういうふうなことについては私はそういう意見を持っておるわけなんです。あなたはそれについて、どういうふうなお考えを持っておられるか、お聞きをしたいわけでありますが、その次の問題として、じゃ文書で審議会に審議の異議の申し立てをするという場合に、やはりそういう異議の申し立てをして、審議会においては、その審議を公開にしていくとかということも考えられるものだと思うわけです。不合格書の説明は、時間的にいえば十分か十五分の時間しかない。その二十分なりの時間でただ不合格の説明をされて、少し質問をするという程度で、事実上は審議会で再審査することもできない。少くも審議会に異議申し立てがあった場合においては、審議会がこれを公開して審議をしていくというようなことによって、審議会の審議が正当であるということをやはり裏づけていくということが必要だと思うわけなんです。そういう点について、あなたはどういうふうなお考えを持っておられますか。

内藤誉三郎文部省初等中等教育局長

○政府委員(内藤誉三郎君) 最初のお尋ねでございますが、検定の合格した方は、お話のようにA条項、B条項をつけております。しかし、文部省としてこれだけは絶対直してほしいという希望のものは、これは修正してもらわぬとしてこれははっきりしたミス・プリントでございます、あるいは誤謬でございますので、これは直してもらう。それからなお、これは編著者の意向によって文部省としては直していただいた方がよろしいと思いますがいかがでしょうか、というのが、そうでない条件でございます。これは向うの編著者の御随意でございます。しかし、明らかに聞違ったものは、これは直してもらう。しかし、合格するものは——程度問題ですけれども、これは直して、少し直せば可能な程度のものは合格になったので、不合格の方はちょっとやそっとじゃ簡単に直らないので、相当ずさんであるとか、誤謬が何百カ所というような多いとか、とてもそれは根本的に御検討願わなければならない、こういうようなのが不合格にしたわけでございますから、合格にした線と、不合格のラインというものは相当隔たりがあるわけです。こういう点で意見を聞くという形をとらなかったわけです。  それから次のお尋ねでございますが、実はその公開の点は、審議会で、もちろん審議会の委員の方で文書による御検討をされて、必要があれば編著者においで願って十分意見の交換をするように、こういうふうにいたしましてみたいと考えております。

岡三郎日本社会党

○委員長(岡三郎君) ちょっと速記をやめて。    〔速記中止〕

岡三郎日本社会党

○委員長(岡三郎君) 速記を起して。  ただいま委員長の手元に湯山委員から学生の健康保険制度に関する決議案が提出されておりますので、これを議題といたします。まず、湯山委員から趣旨の説明を求めます。

湯山勇日本社会党

○湯山勇君 ただいまお手元にお配り申し上げました案文で要旨は尽きておると思います。すでに文部省としてもこの必要を認めまして、数年来研究に研究を重ね、特に本年はこの立法措置及び予算措置について相当強力な要求もしておった状態でございますから、ぜひすみやかな実現が望まれる次第でございます。ただ、学生健康保険と申しましても、その学生の内容はいろいろございまして、この研究はなかなか容易でないと思いますが、そうかといってなおざりにしておけばいつまでたっても実現を見ない、こういうことでございますからぜひ御決議を願いたいと思います。  次に案文を読み上げます。    学生健康保険制度に関する決議   心身ともに健康な国民に育成することは、教育基本法に定めるところであるが、学生の修学上の障害は経済的困窮と疾病とが最大の原因となっている。   しかも、これらの学生の約半数は既存の社会保険制度を利用できない状態であり、その対策は極めて緊急を要する。   この際、政府は、全大学生を対象として保険給付を行う学生の健康保険制度を設けるよう速かに適切な措置を講ずべきである。   右決議する。  以上でございます。

岡三郎日本社会党

○委員長(岡三郎君) ただいまの説明に対し、御質疑があれば御発言を願います。——別に御発言もなければ、お諮りいたします。湯山委員提出の決議案を本委員会の決議とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岡三郎日本社会党

○委員長(岡三郎君) 全会一致であります。よって湯山委員提出の決議案を本委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお、本決議の自後の取扱いについては、これを委員長に御一任願います。  それでは、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時二十七分

国会会議録検索システムで原文を見る ↗