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26回国会参議院1957/04/16

文教委員会 第20号

発言数
32
登壇者
6
会派数
2
開催日
1957/04/16

会議録

岡三郎日本社会党

○委員長(岡三郎君) これより文教委員会を開会いたします。  先刻開会いたしました委員長及び理事打合会の経過について報告いたします。委員会提出法律案に関する件につきましては、まず盲ろう学校の給食問題について検討いたしました。近日中に結論を得るように至急努力するということであります。さらに定通法また外地引き揚げの教職員の退職金通算についての点についても触れましたが、いまだ結論を得るに至っておりません。  次に茨城県の焚書事件に関する件については人権擁護局の調査ができたようでありますので、本日これを議題とすることにいたしました。以上であります。  明後日出頭することになっております証人の人選が決定いたしましたので御報告いたします。愛媛県教育委員会委員長竹葉秀雄君、愛媛県教育委員会教育長大西忠君、愛媛県周桑郡三芳町教育委員会教育長芥川準一郎君、愛媛県周桑郡小松中学校長渡部薫君、以上であります。  次に茨城県における焚書事件に関する件を議題といたします。  まず人権擁護局長から調査報告を聴取することにいたします。

鈴木才藏法務省人権擁護局長

○政府委員(鈴木才藏君) それでは先回いわゆる校長の焚書事件について調査の結果を御報告申し上げることにいたしておきましたが、調査に参りました者が、先週の土曜日に帰って参りまして、まだ完全にその資料の整理ができておりませんが、大体のところを要点についてのみ御報告申し上げたいと存じます。  まずこの事件の正しい理解をいたしますためには、この事件の起きました山方町北富田小学校のございます地理的環境、あるいは住民の生活状況、そういうものについて一応知っていただくと非常にいいと思うのです。  事件の起きましたこの小学校は、水戸から一時間半、水郡線山方駅に参りまして、そこからまたバスと徒歩で二時間かかる非常に不便な山の頂きにございます。そうして、生徒数は約八十名でございます。住民の数は、大体三百人程度でございます。まだ電気の恩恵に浴しておりませんで、ランプで夜の明りを取っているようなところでございます。そうして、この小学校は、職員が校長を入れまして五名でございます。そうして、資格を持っておりますのは校長のみでございまして、他の先生方はみな高校卒の程度でございます。年令から申しますと、校長が五十一才でございまして、他の先生方は大体二十二、二十九、二十四、二十二という非常に若い方で、年令から申しまして、校長と他の先生方との間に非常にアンバランスな点が見受けられるのであります。そうして、この先生方のうちに、二人の女子の先生がおいでになります。こういうふうな状況のもとにこの本件が発生したのでございますが、大体事件の経過につきましては、もうすでに御承知の通りでございますが、問題となりました、本を焼いた、あるいは誓約書を書いた、あるいは絶交状を書いた、こういうふうな点が本件で問題になっておりますので、この点について調査いたしました結果を申し上げたいと思います。  この点につきまして、校長は島根氏と、それから石澤助教諭との間に、今日言うところが違うのでございまして、その真相を把握するのが非常に困難であったようでございます。ただ、次のことは事実のように見受けられるのであります。  それは、この石澤助教諭の下宿しております部屋でランプが爆発しましてぼやが起きたのが、昭和三十一年十一月の五日の午後七時ごろでございますが、その後昭和三十一年の十一月九日の午後七時半ごろに石澤助教諭が北富田小学校宿直室に校長の島根氏をたずねて、午後九時ごろ帰っております。その際島根校長は、石澤助教諭に対しまして、火の取扱い、教育に熱心さを欠く、偏向的な教育を行うおそれのある研究をすると、父兄の批判を受けて、学校も父兄の間の協調ができなくなるというふうな注意をしたことは認められるのであります。  次に、校長は、石澤助教諭に対しまして、教育に熱心に励む旨の誓約書を書くことを指示したと、そうして翌朝の職員の朝会におきまして、全職員に口頭で、その誓約書に基いて約束をするように指示をしたと、これも事実でございます。ただ、その誓約書その他の事項について書くことを指示したということを断定することは、少し困難な事情であります。そうして、誓約書を書くことを指示した程度でありまして、それを書くことを強要したと認めることは、やや困難であります。  次に、書物を焼くこと、書物と申しますか、石澤助教諭の持っておりますいわゆる進歩的な書物—その意味でございますが、その書物を焼くことを指示した事実、それから木村という人、高村という人と交際しないことを指示した事実並びに木村氏あてに絶交状を書かせた事実は、いずれも関係者の供述が相反しているので、認めることは困難でありますが、十一月九日の夜島根校長が石澤助教諭に注意をした事柄と関連のあることでありますので、指示したとまでははっきり申しませんが、当夜の会話においてその点に言及したことは認められるのであります。校長自身の供述によりましても、そういうことは善処した方がいいと、学校へ置かないで、書いた人に返した方がいい—これは本のことでございますが、そういうふうな表現を用いて石澤助教諭に話していることは認められるのでございます。それから、翌朝石澤助教諭は本を焼いておりますが、校長があとから焼いたかどうか調べに行ったと、こういうふうに言われておりますけれども、校長の供述によりますというと、それは調べに行ったのではなしに、まあ偶然に行ったというふうに言っております。これはどうもその方が正しいようでございます。  本を焼いたこと、あるいは誓約書を書かされたこと、絶交状の点につきましては、大体事実そのようになっております。従って、校長がこういうふうに、進歩的な本を焼け、あるいは誓約書を書け、あるいは絶交状を書けと強要した—これは強要したという事実を認めることは、少し困難なように見受けられるのであります。ただ、こういうふうに石澤助教諭が現実に書いております誓約書、あるいは本を焼いたこと、絶交状を書いたこと、これに対して、ある程度の心理的な間接的な強要と申しますか、そういうふうな事情はやや見受けられると私は思うのであります。  それから、ランプの爆発と申しますか、ランプからぼやが出ておりますが、これは何か第三者の作為的なものではないかというふうな一つの疑いが持たれておるようでありますが、この点についてよく調査いたしますると、やはりこれは何らかの原因で、ランプが破裂いたしましてぼやが起きたのでありまして、第三者が作為的にやったと認められるふしは認められないようであります。  その次に、背後関係と申しますか、何か島根校長が、石澤助教諭に対して誓約書を書かせた、あるいは本を焼かせた、あるいは絶交状を書かせた、これは、島根校長の個人の意思じゃなしに、何らかの背後のあるものがさしたのじゃないか、こういうふうな疑いが持たれたようでありますが、その点につきまして調べますと、必ずしもそういうふうな背後関係によって島根校長が先に申しましたような態度をとった、こういうことを認めるのはやや困難でございます。やはり島根校長の自発的な意思のもとにとられた行動のように見受けるのであります。  大体調査いたしましたところは、このようでございます。もし御質問がございましたらまたお答えいたしたいと存じます。

岡三郎日本社会党

○委員長(岡三郎君) 警官関係についてはどうですか。

鈴木才藏法務省人権擁護局長

○政府委員(鈴木才藏君) お答えいたします。  この事件が起きます前に、警察官が、その村あるいは石澤助教諭の思想調査をしたかどうか、こういうようなことは認められないのでございます。ただ、事件が起きました後に、茨城県大宮警察署警備係に勤務の林警部補が産経時事新聞の林記者とバスで会いまして、北富田小学校をたずねております。そして日直勤務中の葛西公代助教諭に面会した事実はございます。その際に、北富田巡査駐在所の中村巡査も少しおくれて来校しております。その際、いろいろ聞いておるようでありますが、林警部補は、石澤助教諭の肩を持つな、こういうふうなことを葛西助教諭に対して言った、こういう事実はないようであります。それから葛西助教諭は、林警部補から、石澤助教諭の勤務態度、交友等につきまして尋ねられたと供述しておりますが、林警部補は、出火事件の調査に行ったと供述しております。しかし、ただ出火事件の調査に行っただけではなかったようであります。  その次に、本年の一月四日の午前中に、林警部補が、大宮市の茨城県農業協同組合大宮支所をたずねまして、主任の木村安明氏に面会した事実はございます。この木村安明氏というのは、先ほどもちょっと触れましたが、その小学校のございます村に住んでおりまして、石澤助教授が非常に尊敬をし、いろいろと教わっておる人であります。この木村氏は、林警部補から、校長の人物、石澤助教諭との面識の有無を尋ねられましたが、多くは語りませんので、雑談して帰ったと述べております。林警部補は、木村氏の事務所に犯罪捜査、参考人調査でございますが、犯罪捜査に行ったが、留守であったために、木村氏に会って、あなたの村にとんでもない事件が起きましたねと話しかけた旨は述べておりますが、林警部補は、木村氏を脅迫干渉した事実はございません。大体そのような程度でございます。

川口爲之助自由民主党

○川口爲之助君 ただいまの御説明の中には、教育委員会の意見は入っておりますか。

鈴木才藏法務省人権擁護局長

○政府委員(鈴木才藏君) 教育委員会の点でございますが、これもいろいろ各方面をよく調査したようでございますが、県の教育委員長は、このように述べております。それは、義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法が制定された際、法令の周知のため通牒を出したことはあるかと思うが、その他偏向教育等について何らの指示もしていない、こういうふうに述べております。別に、本件につきまして教育委員会が何らか指示をしておる、こういう点は認められないように思います。

岡三郎日本社会党

○委員長(岡三郎君) 以上で一応調査の報告を終りまして、次に質疑を受けます。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 局長に伺いますが、島根校長並びに石澤助教諭のとられた態度について皆さん方がなされた調査の結果から、その態度をいかように判断なさいますか。

鈴木才藏法務省人権擁護局長

○政府委員(鈴木才藏君) 今報告いたしました点が大体事実であると前提いたしまして、校長が部下の助教諭に対してもう少し授業をまじめにやるように、そういうふうなことを申すのは、これは別に間違ったことはないと思うのでございますが、そのいわゆる進歩的な勉強をしちゃいけない、しない方がいい、あるいは進歩的な傾向の人と交わらない方がいい、あるいはそういうふうな本は何とか善処した方がいい、焼けという意味じゃございませんが、何とか善処した方がいい、こういうふうなことまで申すのはやや行き過ぎでございまして、私はある程度学問の自由、あるいは思想の自由というものの干渉ではないかと思うのでございます。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 あなた方の調査された結果から石澤助教諭のとられた態度ですね、それをいかようにあなたは思われますかということを伺っておるのです。

鈴木才藏法務省人権擁護局長

○政府委員(鈴木才藏君) 私が調査して参りました人たちから聞いた報告に基きますというと、そのぼやが起きまして後に、一月九日でございますか、夜島根校長をたずねております。そのときの態度から判断いたしますと、そのときはやはり表面的には校長の言うところにある程度同調したのではないかと見られるのでございます。それは、あるいはぼや事件を起したために自分が首になるかどうか、やはり、自分の地位というものを案じたがためであるか、と考えられるのでございますけれども、もう少しその石澤助教諭もそのときに自分の一つの立場、あるいは自分の学問の自由、思想の自由というものについて、もう少し強い態度をとるべきではなかったか、こういうふうに考えます。このことはこの事件が起きまして後に、茨城県の教職員組合執行委員長の櫻井秋雄という方が石澤助教諭に対して戒告書を出しております。私は、この職員組合の執行委員長がこの石澤助教諭に対して強く人権というものはみずからやはり守らなければいけないという戒告書を出しておる点から見ましても、石澤助教諭の態度にもやや問題があるのではないかと思うのであります。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 一、二点重ねて伺いたいと思いますが、この事件が起った舞台ですね、そこが先ほど御説明になった上にきわめていなかで、住人はわずか三百人。校長さんが五十一才で有資格者で、あとは全部無資格者、しかも二十二才から二十九才までの若い人ばかり、こういう背景のもとに行われたわけでありまして、法律上ですね、強要というこの言葉の表わすものが東京あたりで行われた場合の強要と、こういう地域社会で行われた強要とはおのずからその限度というものは違ってくると思うのです。たとえば、東京のある学校で問題が起った場合に、校長先生が部下教職員を監督指導する立場から注意を与える、その場合、翌日の職員会議で全職員に約束しなさいなんかという、そんなことを言う校長なんかおられないですよ。またそんなことに従う教諭もまことにたよりないと思うのですね。ところが、こういう北富田みたいな地域社会では校長と教員の関係というのは主従の関係になっておって、それが普通のようになっておると思うのです。従って北富田の場合には強要したとは考えられないと言うけれども、私は実質上強要になると思うのです。そう解釈するのが至当だと思うのです。心理的、間接的強要と考えられる、と申しますが、ずいぶんと言葉は専門語を使われておりますが、実質は石澤助教諭に対しては明らかに強要であった、かように私は認定するのは妥当だと思うのです。そういう意味から校長の部下教職員に対するところの監督指導は、その限度を越えて行き過ぎである。先ほどあなたが言われたように、学問あるいは思想の自由を脅かすものであり、またこれを受けて立った石澤助教諭も、こういう環境下では自分の身分等を考えて校長に従さるを得なかったのかもしれませぬが、いやしくも人の子の前に立つ位置にある教育者として学問あるいは思想の自由を率先して守り、また子弟に教えるべき立場の石澤助教諭としては、まことに私はたよりないと申しますか、ふがいない点があったと思う。しかし石澤助教諭のそれはそれとしても、いやしくも学校長として学校教育を展開していくに当っての責任者であり、また部下教職員を監督、指導する立場にある校長としては、この言動というものは厳に反省さるべき—再びかようなことをなさるべきものでないし、厳に忠告を与えるべきものである、かように私は認定すべきだと思うのでございますが、局長並びに稻葉政務次官の御答弁をいただきたいと思います。

鈴木才藏法務省人権擁護局長

○政府委員(鈴木才藏君) 私も大体同様に存じます。

稻葉修自由民主党文部政務次官

○政府委員(稻葉修君) 人権擁護局長の御報告を聞いておりまして校長のとった勤務状況がよろしくないという点についての忠告は妥当だと思います。心理的、間接的にそういう地域社会環境から判断して、それがいささかでも強要の疑いがあるとするならば校長のとりました態度も、その点については軽率のそしりを免れない、こう存じます。大体矢嶋委員のお考えのように私も思います。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 この際私は言葉に惑わされてはならないと思うのです。それは部下教職員に対して教育に熱心であるようにとか、あるいは健康的な教育はやる必要があるというようなことは、その言葉自体まことに適正であり、妥当な部下教職員に対する指導です。しかしそんなことを言う場ではないのですね、この場合はぼやのあったことをたずねて行って、これがダシになって、そうしてあとで友人関係とか、あるいは研究の内容とか、あるいは書籍の問題とか、そういう点にいっているわけで、この点は私は問題だと思う。その問題の重点、本質を取り違えてはならないと私は考えます。そこで、大体私のこの見解に同意を表されたわけですが、かような問題が起った場合は、法務省の人権擁護局としてはそれぞれの下部行政機関を通じてしかるべく文書をもって注意を喚起することをなされているわけでございますが、島根校長に対しては、すでに何らかの文書を発送されましたか。今後またどういう処置をされるつもりでおられますか。その点お答え願いたいと思います。

鈴木才藏法務省人権擁護局長

○政府委員(鈴木才藏君) まだ島根校長に対しまして文書をもって勧告あるいはその他の処置は講じておりません。近く十分検討の上何らかの処置をいたすつもりでございます。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 稻葉政務次官に伺いますが、これらの問題は私は各都道府県の学校に起っているとは申しませんが、しかしかような行き過ぎ傾向というものは最近非常に顕著な情勢にあると思います。それはね、やはり最近の文部省の方針に密接な関係があるんです。あなたの方であたかも上意下達機関であるかのように、あるいは全国教育委員長会議あるいは教育長会議、さらには主管各課長会議等で相当旧文部省時代にやったような上意下達のことをやられる。それをずっと下部に流して、そうすると下部の末端の校長さんは、最近のように教職員の定数が確保されずに五十才あるいは五十一、二才、いつ首が飛ぶかもわからぬという、そういう立場におかれている校長さんは、一部多少土性骨のある信念のしっかりした校長さんはそうではありませんけれども、かなりの校長さんはどうも行き過ぎる場合がないとも限らないんです。私はかような、茨城で起ったこの遺憾な事件を契機に、部下職員を監督指導する場合について何らかの注意を都道府県教育長を通じてすることが私は適当ではないか、少くともこの茨城北富田小学校に起ったこの事件については遺憾の意を文部省としては表すること、そのこと自体が非常に私は大切である、かように考えるのですが、いかがでございますか。

稻葉修自由民主党文部政務次官

○政府委員(稻葉修君) 一般的に地方の都道府県教育長に注意を喚起する処置をとるべきかどうか、また少くともこの茨城県の今問題となっている事件について茨城県教育長に対し文部省が遺憾の意を表すべきかどうか、人権擁護局の調査報告等も、まだ資料が完全にそろってないそうであります。よくそろいました上で文部大臣とも、また局長等とも相談の上善処したいとこう今の段階では申し上げておきたいと思います。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 もう一点伺います。それは人権擁護局長に伺うのですが、林警部補の行動ですね。これはあなたの報告を承わった範囲で判断する限り、これは詭弁ですね。明らかに良識をもって判断をするならば、林警部補は木村並びに石澤君の思想、言動調査を目的として動かれておったということは、良識をもって判断すれば明確だと思うのです。それをどうお考えになりますか。

鈴木才藏法務省人権擁護局長

○政府委員(鈴木才藏君) それは何でございますか。この事件が起きた、この事件が新聞に発表された後のことでございますか、その前でございますか。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 前もそうでしょうが、特に後における行動ですね。大宮に木村君をたずねていったのが犯罪捜査に行ったついでにたずねて、あなたの村で大へんなことが起りましたね…ついでに行ったなんてそんなこと子供だましですよ。

鈴木才藏法務省人権擁護局長

○政府委員(鈴木才藏君) では申し上げます。調査員が調べたところによりますと、両者…林警部補の言うことは全面的には信用できませんが、この木村安明でございますか、安明という方については、前々からいろいろ調査しておったということはわかっております。私の申し上げるのは、本件というものがそういう警察を背景として何らか起きた、こういうふうには考えないという意味でございます。

湯山勇日本社会党

○湯山勇君 簡単に事実についてお尋ねいたしたいと思います。それは誓約書ですけれども、誓約書では大体三項目の誓約をしておるようでございます。翌日の朝の職員の集まりのところで誓約書の内容を披露して、そこでも誓約させたような形をとったというのでございますけれども、そのときには三つの項目にわたって誓約をしたのか、あるいは一、二の項目だけ、つまり、今後進歩的な研究はいたしません、進歩的な会合にも出席せず、また進歩的な人とも交際いたしません、という二つの項目だけなのか。この点は、先ほどお話にありましたように、部下に対して将来まじめに授業をやれといろ注意は、それはよかろうというお話で、そのついでにいろんなことが出たと、こういうことですけれども、この誓約した内容が三つの項目にわたってなされたのか、前二者についてなされたのか、そういうところは私はただいまのような判断をする非常に大きなポイントになると思いますので、その点とあわせて、誓約した三つの項目というのは軽重はいろいろあると思いますけれども、この誓約の書き方からみると、むしろ局長の言われた将来まじめにやれということが従であって、むしろこの誓約書の主なる部分は第一項、第二項にある、これはだれも常識的に判断すると思うのですが、この点について一つ伺いたいと思います。

鈴木才藏法務省人権擁護局長

○政府委員(鈴木才藏君) どうもこの点でございますが、事件が起きました後に、校長とそれから石澤助教諭でございますか、それが非常に真相について口が固くなって、何かお互いの自己の保身にきゅうきゅうというふうな点が見受けられまして、真相の把握がしにくいようでございます。大体のところは、まず石澤助教諭の教室におきます行状と申しますか、教え方が熱心でない、たびたび児童が自習をやっておる、そういうふうな状況が見受けられて、一番最後に—誓約書の最後にあります児童教育に熱心になってもらいたいというのが主であったように見受けられるのでございますが、けれども結局、なぜ石澤助教諭があまり教育に熱心でなかったか、その裏にはやはり校長の考えとしては、あまり、いわゆる進歩的な研究をし過ぎているのではないか、そしてひまをみては、いわゆる進歩的な会合に出席して、その方面に時間をかけ過ぎておるのじゃないか、こういうふうなことが表裏一体となっておりますので、どちらが主でいずれが従であるかということは判定しにくいのでありますが、大体表裏一体をなす、こういう意味において、同じように重点が置かれたのではないかとも認められるのであります。

湯山勇日本社会党

○湯山勇君 ただいまの御説明で私も大体了解できたと思います。それは、先ほどの御説明だと、将来まじめにやるということを注意をしたのだ、そのときに若干の強要ではないけれど指示があったように思われるということですけれども、ただいまの御説明だと、これは表裏一体で同じものだということでございますから、それで了解できると思います。ただ、ただいまの御説明の中で本件には二人だけでしかわからない部分と、それから第三者がはっきりいる部分とがあります。そこで朝会のときに最初の二つを公表したのかどうかというようなことは、これは私は明確になる問題だと思うのですけれども、そこまではお調べにならなかったんでしょうか。

鈴木才藏法務省人権擁護局長

○政府委員(鈴木才藏君) 誓約書の写しがございますが、今申されました「一、今後進歩的な研究は致しません。一、進歩的な会合にも出席せず、又進歩的な人とも交際致しません。一、児童教育に熱心に励みます。」この三項目全部読んだようでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山勇君 政務次官に最後に…政務次官も先ほど局長の言われたような意味で最後のところが重点であって、あとはつけ足りのようなというのではないけれども、そう強い意味はないというようにお把握になっておられたようですけれども、これはただいまの説明によりましてその点は明確になったと思います。で、しかも進歩的な書物というものの内容も必ずしもそういったものではない、あるいは私どもの見方からすればむしろ普通のものであって、そういうものを焼けと言った、言わないということは水かけ論になるところもあるかもしれないと思いますけれども、しかしずっといきさつを考えてみるならば、これは議論としては水かけ論ですけれども、事実としてはやはり私は文部当局として十分お考え願わなければならない問題を含んでおると思います。大臣とも御相談になり、局長とも御相談になって善処するということでございますが、そういうことが次官の立場としてはそれだけしか言えないといえばそうですけれども、明確な問題については文部省としてきぜんたる態度をとるということが私は大切ではないかと思いますので、善処するということが間々いいかげんに済まされるということのかわりの言葉であったような例もありますから、この際この問題についてはきぜんたる態度でやるのだ、もちろん事実その他についての御調査はあるにしても、明確になった暁には、きぜんとした態度をとってやるという御決意をお持ちなのかどうなのか、最後にこれを伺いたいと思います。

稻葉修自由民主党文部政務次官

○政府委員(稻葉修君) ただいまはその事実が完全に明白には私どもは把握しかねるのです。どうもその本をお焼きになった先生の方にも、自主性がないようなおかしな人だなと思うふしもあるし、校長もまたどうもへんな人だなと思うふしもあるものですから、事実を的確に把握して、ほんとうにけしからんということを確実に証拠が上ったらば、これはきぜんたる態度をとります。そういう段階でないものですから、今はなお事実を調査した上、人権擁護局長の御調査の点もまだ完全にはまとまっていないとおっしゃるから、まとまって、大臣の意向も聞きまして、局長の意向も承わって、そうして文部省、大臣に与えられた権限は同時に職務でもありますから、都道府県教育委員会がだらしないことをやっておれば指示、勧告、助言をするというきぜんたる態度をとりたいと思います。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 文部政務次官、こういうことを僕は知っていただきたいと思うのですよ。この事件を通じて全国の先生方の中には非常にまだ未完成と申しますか、なまなこういう先生方もいらっしゃるのだと、従って学校長の持つ指導、監督権の適正なる発動というものは非常に大切だということですね。新しい教育委員会法で人事に対する内申権も持って参った校長の部下教職員に対するウエートのいかに大きいかということを考えるときに、この問題は先生も未完成なところもあったでしょう、けれども、それ以上にやはりその責任ある指導、監督の立場にある校長さんのとるべき態度というものは適正であり、慎重でなければならぬということを、この事件は教えていると思うのです。この点は私は次官も異議ないと思うのですが、よくその点を知っていただきたいと思う。  私は、ここで文部省並びに法務省に対して、この事件について文書その他においてとられた処置は、本委員会に委員長を通じて提示されることを要請いたしておきます。  それから最後に文教委員長に私は要請、提案をいたすわけでございますが、それは先ほどの林警部補の行動は私の良識をもってしては納得できません。これは明らかに思想警察のにおいきわめて濃厚な行動であったということは、良識をもって判断すれば明確だと思うのです。こういう事件というものは、これ一つに限らないのです。たとえば日教組の教研大会に出席した教師を調査した巡査もいるようです。また母親と女教師の会というのが毎年持たれておりますが、これに出席した御婦人の名前を調べた警察もかつてはあるのです。また教授の会合とか、あるいは学生の自治的な会議の中に私服で警官がお入りになったという例も最近は非常に多いわけです。極端な場合は、ちょっと進歩的な教授に最近は尾行しているらしいという、これは私はうわさ程度しか聞いていないのですが、そういう話すらあるのが昨今でございます。それらの問題と、この林警部補の行動というものは、相通ずるものがあると思うのです。私は、将来後悔するようなことがあってはなりませんので、この際文教委員長は大方の御同意を得て、警察庁長官に対して、この学問、あるいは思想の自由を脅かすおそれのあるような警察官の公務執行は厳に戒しむべきである、その必要があるという内容の申し入れを私はこの際することは必要ではないか、かように考えますので、委員長に要請、提案申し上げる次第であります。

川口爲之助自由民主党

○川口爲之助君 この問題はいろいろな面、いろいろな角度からして調査検討をするということは、問題の在所をつかむ上においてきわめて必要なことであろうと思います。しかしこの問題について最後の処断をするということの前提として、直接の監督、指導の立場にある市長、もしくは県教委の正式の意見なり回答を徴し、その上にやっていただきたいということを希望意見を申し上げておきます。

岡三郎日本社会党

○委員長(岡三郎君) 相当時間も経過しておりますが、今の矢嶋委員並びに川口委員の点についてほかに御意見ございますか。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕

岡三郎日本社会党

○委員長(岡三郎君) 速記を起して。  ただいま矢嶋君から提起された件につきましては、なお人権擁護局の方の報告のまとめを待って委員会にお諮りして、各適切な場所に申し入れるべき点があったならば申し入れるということにして、御協議を次回にわずらわしたいと思いますので、御了承願いたいと思います。  それでは本日はこれで散会いたします。    午後零時四十三分散会

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