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26回国会参議院1957/03/14

農林水産委員会 第16号

発言数
133
登壇者
15
会派数
4
開催日
1957/03/14

会議録

堀末治自由民主党

○委員長(堀末治君) それでは、ただいまから農林水産委員会を開きます。  まず第一に、農業移民の件を議題にいたします。  過日の毎日新聞に、今お手元にお配りしておきました抄録によってごらんのように、「税は“情無用”移民からも取立て」という見出しで、高知県幡多郡大山町に起った移民団が手放す財産に対する課税の問題に関する記事が掲載されまして、私どもの関心を引いたのでありますが、この問題について、かねて千田委員から御質問の御要求がありましたので、この際御発言を願うことにいたします。  なお、この問題については、外務省、主税局、国税庁並びに農林省の振興局等から、それぞれ係官が参っております。

千田正無所属クラブ

○千田正君 海外移民政策は現政府の一つの施策として声明されておるところでありまして、政府は一方においては、外務省をして海外の各国との間に話し合いを進め、また移民の階層は大体は農民である。農林省当局は海外に移民すべきところの教育あるいは外地におけるところの適地、そういうものに対するいろいろ調査あるいは指導をしておるのでありまするが、そうした同じ政府において、いよいよ海外移民が決定して出発するに際して、十分なる渡航費もない、こうした農民諸君が自己の所有の土地を売却して、そして渡航費にかえて持っていこうというとき、突如として法によるところの所得税、その他税法によって、それを押えて課税する。法的に考えれば、あるいは大蔵当局としては、そういう収入のあった所得に対しては当然かけなければならないという建前をとるでありましょうが、一方においては国策として、海外に移住する者に対してはあらゆる援助を与えなければならないという政府の方針と、やり方において、非常に矛盾する点がある。こういうことは、将来の移民政策に対して非常な影響がありますので、特にこうした問題が起っておる今日、大蔵当局、ことに国税庁当局としましては、この問題が政府の方針にどういうふうにマッチする方法をとるかという点につきまして、一応御説明なり所信なりを明らかにしていただきたいと思うのであります。

金子一平国税庁直税部長

○説明員(金子一平君) お答え申し上げます。ただいまの御質問は、海外移住の場合に、財産を売却して渡航する渡航費を出す、それに対して所得税その他を課税するのは非常に酷ではないか、こういうお話でございますが、所得税法の建前から申しますと、やはり財産を売却いたしましてそこに譲渡所得ができますと、控除十五万円をやりまして、その半額に所得税を課税する、こういう建前になっております。それから租税特別措置法という法律がございまして、たとえて申しますと、国内で、九州の方が九州の自分の土地、家屋を売却して、北海道に移住する、北海道で土地、家屋を買い求めるというような場合におきましては、その相当額のものにつきましては課税しない、こういう建前になっておるのでございますが、この法律は、実は国外に移住いたします場合には働きません。私ども非常な同情を持ちましてこういったケースの場合には処理しておるのでありまするが、今申しましたように、法的な問題としては、やはりどうなるかというお尋ねを受けますると、課税せざるを得ませんとお答えせざるを得ないのであります。  ただ、実際問題といたしまして、国外に移住される方が納税管理人を指定して、国外に移住したあとで申告するというようなことは、これは非常に少いんじゃないかと思うのであります。外国の場合と違いまして、日本では、国外に出ます場合に納税証明をとるというような制度をとっておりませんし、実際問題として、国外に納税しないで出ちまったものまでも全部とる、追っかけるという、こういう法の趣旨ではないと思いますので、そこまでは私どもは追っかけるつもりはございません。  ただ、将来の立法の問題といたしましては、特に気の毒な場合もございますので、大蔵省の主税局にも連絡をいたしまして、目下十分に検討してもらっておる、こういう段階でございます。簡単でございますが、お答え申し上げます。

千田正無所属クラブ

○千田正君 今度、税法の改正法律案が今国会に提出される予定のようでありますが、この税の改正の法案の中には、こうした問題は今度は盛っていないのですか。

塩崎潤大蔵省主税局税制第一課長

○説明員(塩崎潤君) お答え申し上げます。ただいま国税庁の直税部長からお話がございました通り、資産の譲渡によります所得につきましては、所得税法の建前では、課税総所得に算入して課税することにいたしております。ただ、零細な譲渡所得というものは追わないということが一つ、もう一つといたしましては、譲渡所得というものが変動的な、一時に発生いたしますところの所得でございますので、特例措置がございますが、その初めの方の零細なものを追わないという趣旨は、譲渡所得から十五万円を控除する、これも直税部長からお話がございました通り、控除するという点に現われております。第二点は、半分にいたしまして所得に算入する、こういう点で緩和措置をはかっております。従いまして、それから基礎控除、扶養控除、その他の医療費、雑損、これらを引きますと、かからない場合も出てくるわけであります。なるべく、零細なものは追わないというのが一つでございます。  それからもう一点、古くから持っておる資産につきましては、譲渡所得が当然大きく発生するわけでございますが、その中には、戦後のインフレによりますところのインフレ利益と申しますか、名目的な利益が入っております。そこで昭和二十八年一月一日に持っておりましたところの資産につきましては、再評価というものを行いまして、取得価額と申しますか、個人ならば財産評価額になりますが、それを一定倍数で延ばしたものを再評価価額といたしまして、その上回る部分だけを譲渡所得、しかも、それから十五万円を引き半分を控除するということになっております。しかも、再評価差額につきましては、再評価税がかかりますけれども、これまた零細な所得は課税しないという趣旨から、十五万円を引きまして、その残りに課税するという建前になっておるわけでございます。  資産の譲渡所得が発生する場合、種々な事例がございまして、今、千田委員のおっしゃいましたような海外移住の場合のようなケースもございますし、たとえば強制収用のような場合、これらあたりも当然譲渡所得が発生すると税法上は見ることになっております。しかも、その他、先ほどお話がございました通り、交換の場合、これもいろいろ譲渡所得が発生する。ただ交換の場合は、直税部長のお話にもありましたように、譲渡所得を免除するというのではなくて、もとの取得価額を新しい資産の取得価額に引き継ぎまして、将来売りました際にとろうという建前でございますので、譲渡所得を完全に免除するという建前ではないわけでございます。  まあ種々な、非常に譲渡所得は多い。土地の値段が上ってもうかる方もありますし、また今申されましたような、かわいそうな方もございます。しかも今度、所得税が相当減税いたしまして、所得税の負担が下るわけであります。これらから見まして、現実の負担はどうなるか、これはよほど慎重に検討しなければいかぬという点がございます。それからまた、再評価税の課税方式といたしましては、種々なケースがございます。もうそろそろインフレ的な利益は排除しようという趣旨はわかるのでございますけれども、今ごろまた再評価税を課税するのはどうかと、こういういろいろな複雑な問題がございますので、譲渡所得全般につきましてなお今後検討して参りたい。強制収用の場合もそうでございますし、それからまた事業に失敗しまして家屋を売り払うような場合も、一応課税するような建前になっております。これらを含めまして全般的に検討したいということで、ことしの改正案にはただいまは入れておりません。私どもはなお譲渡所得課税全般の問題として検討いたしたい。  ただいまのお話でございますと、おそらく今度所得税が改正されまして、税率が、現在の最低税率が一五%でございますが、今度一〇に下り、しかもまた基礎控除、扶養控除が上れば、そういう方々は相当救済されて、ほとんど課税になる税というものは、財産課税の面だけ見ますと、一応譲渡所得が発生したような格好になりますけれども、そこから基礎控除、扶養控除を引きますれば、現実問題といたしましては、課税になる事例が少くなるのではないか、かような気もいたしております。なお非常にむずかしい問題が多々ございますので、今後この問題を頭におきまして十分に検討して参りたい。かように考えております。

千田正無所属クラブ

○千田正君 大体、海外に移住する農民の大部分は、内地においてはもう営農をやっていけない。この際海外に出て、日本の国策にも沿うゆえんであるから、一応先祖伝来の土地を売り払って、とにかく海外に移住していこう。ほとんど大部分は、きわめて例外を除いては、こうした移住農民の大部分というものは零細農の方々が多いと、われわれはそう見ておるわけです。それで、かりに今のような、大蔵省の方々のお考えがそうであっても、一応政治の面からいえば、そうした人たちが渡航費もない、向うへ行ってからの生活安定も十分にできないとするならば、これは政府の立場からいえば、そうした人たちに海外移住の助成金なり補助金なりというものを相当出してあげなければいけない。国の財政から見れば、一方税金はとるが、一方においてはそういう膨大ないわゆる助成金なり何なりというものを考えてやらなければ、今後の移住奨励にならないと、こういうふうにわれわれは考えるのです。あなた方はとる方の立場であるが、また出さなくちゃならない政府の方の立場ということを、両方考えますというと、国策であるところの海外移住というものに対しては、やはりこうした問題が起きた場合には、将来の税制改正等におきまして、特に何かの規定を掲げまして、何町以下の農民が海外に移住する場合にはどの程度のあれをやるのだと、特例ぐらいは設けてやらないというと、将来の移住政策というものは、そういう政府が考えておるようにやすやすと実行できないのじゃないか。まあわれわれはそういう考えを持っておりますので、金は一方においては集まるが、出す方の立場のことも考えてやらなくちゃならない。そういう点もありますので、大蔵当局としましては、今こう発生しました問題を一つ御研究になりまして、次の改正の機会にはこの面を、特にわれわれ農林委員会といたしまして、私自身はぜひ改正してほしいということを要請をしておきます。  そこで、特に国税庁の部長さんにお伺いしますが、今度の場合は、今のお話によりますというと、海外に行ってしまった者にまで追い討ちをかけて税金をとるわけにはいかないし、やっても、まあいろいろな手数のために、そういうことはむだなことになると私は思うので、一面早い話が、公的な立場では言えないのだろうと思うけれども、場合によってはある程度の弾力性を持った処置が必ずしもできないと、こういうわけではないと思うのですが、その点はいかがでございますか。

金子一平国税庁直税部長

○説明員(金子一平君) お答え申し上げます。ただいまの御質問は、何とか弾力的な運営はできないかと、こういうことでございますが、私ども十分な御同情を持ってこういったケースを処理していきたい。表向き税法の規定がちゃんとございます以上は、手心を加えるとか、そういったことはちょっと申し上げかねますが、けれども、新聞に出ております四国の例もちょっと調べてみたのでございますが、やはり六十万、七十万の売却価額になるものが数件ございます。大部分のものは、塩崎課長から申しましたように、ごく零細な財産しかない方、大部分は課税にならない場合が多いと思いますけれども、しかし、課税になる方につきましても、何とか一つ無理のないようにやっていきたい、かように考えております。御了承いただきたいと思います。

島村軍次緑風会

○島村軍次君 何ですね、お伺いいたしたいと思いますが、移住等の場合に農家が負債を負って、その負債の償却に充てるために田地を売る、そういう場合など課税されるのですか。

金子一平国税庁直税部長

○説明員(金子一平君) お答え申し上げます。ただいまの、所得税の資産の売却による所得を計算いたします場合は、別に負債がございましても、それは引けない建前になっております。

島村軍次緑風会

○島村軍次君 担保になっておった場合、どうなんですか。

金子一平国税庁直税部長

○説明員(金子一平君) 同様でございます。

島村軍次緑風会

○島村軍次君 そうすると、まあ額からいえば、たとえば五十万円の借銭をしている。それは田地を担保に入れて、それを海外移住の場合処分して、そして五十万円なりの借銭を払って、かりに出る。この例の場合はまあ渡航費というのですが、いろいろなケースがあろうと思うのですが、今申し上げたような場合にでも、これは譲渡所得としてはやはり、あれば今度の改正は一〇%ですか、たとえば五十万円であれば五万円がかかると、こういうことになるのですか。

金子一平国税庁直税部長

○説明員(金子一平君) ただいまのような場合におきましても、譲渡所得の場合は、その資産の取得価額と売却価額との差額を見まして、それに課税をする建前をとっておりますので、ほかに負債がございましても、これは引けない。先ほど申し上げましたように、十五万円を引きまして、その残りの方の半分に一般の税率をかけて課税をする、かような建前になっております。

島村軍次緑風会

○島村軍次君 具体的の例で、まあ税法を読めばわかるのでしょうが、具体的の例で、今のように五十万円、かりに田地を担保にしているそれを譲渡する、そして借銭払いをするという場合には、五十万円から基礎何というのを十五万円引いて、そうしてあとの三十五万円に対してその半分といいますか、三十五万円の二分の一、十七万五千円に対していろいろな控除はないのだろうと思いますが、十七万五千円に対して一般の税率をかける、こういうことですか。

塩崎潤大蔵省主税局税制第一課長

○説明員(塩崎潤君) 私からお答え申し上げます。今の五十万円を売却価額といたしますと、たとえばたんぼは幾らの取得価額であったか、お示し願えれば、その取得価額を引きまして——五十万円で売れましたものの中から取得価額を引く。その取得価額と申しますのは、先ほどの金を借りておった、その借りました金でたんぼを買いますれば、その借金の額が取得価額になりまして、それから引かれることになります。たとえば、その取得価額が十万円といたしますと、そうしますと、五十万円から十万円引きまして、四十万円が一応の譲渡所得になります。譲渡所得になって——譲渡利益と言っておりますが、譲渡利益になりまして、それから十五万円引きますれば二十五万円になります。二十五万円を半分にいたしまして十二万五千円になります。十二万五千円を普通の所得と見ますから、それから基礎控除の本人一人ならば八万円、一人目の扶養親族の控除が四万円でございます。その他家族がございますれば、二人目、三人目は二万五千人ずつでございます。二人でございますと、五万円。従いまして、八万円、四万円、次の五万円で、十七万円控除いたしまするから、そういう際にはかからない。その他ほかの所得がたとえば二十万円ございますると、二十万円と、十二万五千円と足しまして、三十二万五千円にいたしまして、これから今申し上げました十七万円を引きまして、十五万五千円でございます、に対しまして所得税率を適用いたします。現行法でありますと、三万円まで一五%、三万円から八万円までの額が二〇%、八万円をこえる部分が二五%、それで計算いたしましたものが、それに対するところの税額になるわけでございます。

島村軍次緑風会

○島村軍次君 田地の価格の税務署における、何というか一つの標準ですね、これはおよそどういう標準でやっておるのですか。

金子一平国税庁直税部長

○説明員(金子一平君) ちょっとお尋ねいたしますが、売却の取得価額の問題でございますか。

島村軍次緑風会

○島村軍次君 こういうことですよ。私の承わりたいのは、二つあるのです。つまり甲の人が田地を売って、そういう渡航する、こういう人と、それから一方で乙が買い入れたという場合ですね。その場合に、いずれの場合においても、甲、乙に対しての課税は、田地の価格の査定の基準をどう見るかということなんです。

金子一平国税庁直税部長

○説明員(金子一平君) お答え申し上げます。今のお尋ねの件でございますが、買った方には別に課税になりません。売った方の問題だろうと思うのですが、売った方の課税の対象になる所得の計算の仕方は、これはやはり実際に売却した値段によります。実際に売却した値段と、それからおそらく父祖伝来の田地だろうと思いますが、その場合に、幾らでそれじゃそれを昔買ったかというその買い値が問題になろうと思います。これの計算方法は、これは全国各地の田地につきまして財産税を評価するときの評価基準ができております。これの四十倍という倍数が取得価額ということになるわけでございます。実際に売った値段とそれから今の基準との差額が、課税の対象になるということになります。

島村軍次緑風会

○島村軍次君 大体それでわかりましたが、私の希望を申し上げておきたいと思うのは、税法の上ではそれは困難であるということもわかりましたが、しかし、これは本人にとっては非常に大きな問題ですね。せっかくその金を渡航費に充てて行こう——これは非常に大きい問題だと思うのです。新聞に出ているところをごらんになってもそうですが、同情を持って当るというお気持はわかるのだが、外務省なりあるいは農林省は、そういう場合に対する御研究をされまして、そうして国税庁との間の交渉を進められたことがあるかどうか。それを一点伺って、同時に、この問題は至急に一つ御研究を願って、国会も五月の十八日まであるわけですから、所得税法の改正案のあるいは修正でも出すというようなところまで進んでもらいたいと私は思うのですが、外務省なり農林省は積極的なそういう御意見がありますかどうか。また国税庁では、みずから修正案を出されるというわけにいかなければ、あるいは議員提案ででもそういうようなものが出れば、これはやむを得ぬというようなお考えをお持ちになりますかどうですか、一つその点をお伺いしたい。

石井喬外務省移住局長心得

○政府委員(石井喬君) ただいまのお話、まことにごもっともだと思いますが、実は従来たくさんの移住者が外へ出て参りました場合に、私どももそういう問題がありはしないかということに実は気はついていたのでございますが、具体的には問題が起りませんでした。先ほど大蔵省の方からお話がございましたように、実際問題としてはあまりそういう問題なしに来ておりましたので、実はあまり研究もいたしていなかったのでございます。  たまたま新聞にこういうあれが出まして、その際に私どもも大山町の方といろいろ話し合ってみたのでございます。その際に、大山町の方では、このケースに関する限りいろいろ大蔵省方面にお願いして、何とか片がつくらしいというお話でございましたので……。私どもも、しかし、今後はそういう問題を取り上げて、移住者の保護のためにできるだけのことはしたいと考えまして、これを契機に実は研究を始めたのでございますが、先ほど大蔵省の方からもいろいろなお話がございましたように、実はいろいろ非常にむずかしい問題を含んでおりますので、この議会に法律案を出すというところまでは行きにくいかと思います。しかし、ただいまの御趣旨に沿いまして、できるだけ早く研究を進め、大蔵省当局とも話し合いまして、その必要があるということになりますれば、できるだけ早い機会に法制的な処置をとりたい。それまでの間は大蔵省にいろいろお願いいたしまして、できるだけ移住者のためになるような措置をとっていただくということでいきたいというふうに考えております。

塩崎潤大蔵省主税局税制第一課長

○説明員(塩崎潤君) お答え申し上げます。先ほどお答え申し上げました通り、移住のみならず、収容その他種々の問題もございます。それからまた、再評価税その他の根本問題もございますので、それらをあわせまして十分今後研究して参る。今国会におきましてはもう少し様子を見させていただきまして、今後の譲渡所得課税、再評価税全般の問題といたしまして、なお研究いたしたい。と申しますのは、零細所得者を追及しないという意味の十五万円が果していいのかどうか、これらもございますので、一般的な問題として研究する方が解決の方向としてはよりいいのではなかろうか、現在のところさように考えております。

島村軍次緑風会

○島村軍次君 農林省のお考えはどうですか。

酒折武弘農林省振興局総務課長

○説明員(酒折武弘君) 大体、ただいま外務省かしら申し上げたと同様の趣旨でございます。特に農林省といたしましては、国内——日本を遠く離れまして海外で農業を営む者につきましては、これは一本立ちになるまでには相当の年数を要する。その間非常に経費もかかりますし、苦労もあるわけであります。こういうことに対しましては、積極的な援護措置を、こういう面におきましても何とか特殊の措置を講じたいと、こう考えております。今回実は千田先生がこの問題を指摘されるまで、具体的な問題もあまりなかったものでございますので、まことに申しわけない次第でありますが、研究不足で、至急この問題を検討いたしまして善処いたしたいと、さように考えております。

島村軍次緑風会

○島村軍次君 そこで、大体事情もおわかりであろうし、お気持もわかったんですが、そこで至急に三省の方で研究されまして、そして税法の改正をやることをわれわれは望みたいが、もしできぬとする場合には、一つ、手心といえばおかしいけれども、同情の意思をもったので、取扱い上については十分なる注意を払ってやれというような、含みのある通牒でもお出しになるように希望いたしたいと思うんですが、これはまあ御返答はできぬかもしれませんが、一つ三省の方はそういうふうな意味の通牒でも出して、少くともこれは移住者に対しては大きな衝動を起す問題だと私は思う。そういうことについていかがですか。

金子一平国税庁直税部長

○説明員(金子一平君) お答え申し上げます。通牒を出せというお話でございますが、どうも法律違反になることをやれという通牒までは私いかがかと思うのでありますが、委員会の皆様の御意見を十分下部税務機構に、税務署に伝達するような、何らかの措置は考えたいと思っております。よろしくどうぞ……。

千田正無所属クラブ

○千田正君 外務省なり農林省に伺いたいんですが、昭和二十八年の下半期において、国会においても相当論議になったんですが、海外移民ということは、とりもなおさず、戦後の日本のこの狭い国土に年々増加する人口を処理していかなくちゃならない。国内においては産児制限その他においてある程度の調節はできるとしましても、海外に相当出さなきゃならないというのが、当時から各委員会とも相当論議したのでありますが、そのときの論議の結論としましては、どうも海外移民の問題になるというと、外務当局と農林当局との間に常にセクショナリズムの紛争が絶えない。これを何とか、そういう同じ役所の中で、外務省は外務省の権益を主張するし、農林省は農林省としての立場を主張するし、お互いに理論闘争をして、どうもうまくいかなかった。で、二十九年になりまして、これはまあ両方とも話し合いしようじゃないかというて、最小限度に話し合いをし、その紛争をとどめたはずであります。その後においての閣議その他を通じまして、海外移民の問題に対しては、外務省は、海外移住協会その他、あるいは外国の銀行から金を借りても海外移住株式会社を作って日本の移民政策を実行するということを主張しておられましたが、その後一体、このあなた方が当初の目的でありましたところの海外移住協会並びに海外移住株式会社そのものが、一体どういう活動をされておるかということを、寡聞にして私は十分承知しておりませんので、その経過並びに現在の活動状況をお知らせ願いたいと思います。

石井喬外務省移住局長心得

○政府委員(石井喬君) 御説明申し上げますが、ただいま御指摘がございましたように、当初いろいろ論争のございましたことは今さら申し上げるまでもないのでございますが、御承知の通りの閣議決定の線に沿いまして、その後は閣議決定の線に沿っていたしております。つまりこの募集、選考、訓練等の問題につきましては、もちろん募集ということになりますれば、外からの注文によって募集するということで、私どもの方に参ります。そういたしますと、それを農林省に伝えまして、農林省が募集要綱を決定いたしまして、私の方と協議の上、これを海外協会連合会に流す。海外協会連合会はそれを下部の地方海外協会に流しまして、募集をする。それを逆の段階を経て選考いたして参りまして、最終的に外務、農林、連合会、三者でもって最終的な決定をするという方法でいたしております。神戸の移住斡旋所に入りましてからあとのことはすべて外務省がやるということで、進行して参っておりまして、現在その点につきましては、私の方ではこれをさらに変える意思もございませんし、その線でやっていくのが一番いいというふうに考えておる次第でございます。  それから、ただいまお話がございました移住振興株式会社でございますが、これは一昨年できまして、その後実はあまり活動はしていないような格好になっております。この振興会社の最も力を入れるべき活動範囲は、やはり日本人の一番たくさん参りますブラジルだと思うのでございます。しかし、ブラジルの場合には、向うの国内法その他の関係がございまして、振興会社が支店を作って活動をするということができません。従いまして、向うで現地法人を作りまして、支店たる性格を持つ現地法人を作りまして、その現地法人が活動をするという形をとらざるを得ない次第でございます。そのために、実は昨年の半ばごろにこの移植民事業をいたします、つまり土地を買ってそこに人を入れる仕事をいたしまするジャミックと称する会社が一つできまして、これは昨年の半ばごろ現地の認可を得たような次第でございます。ところが、もう一つ私どもの振興会社を作りました大きなねらいは、こちらから参りました移住者に金を融資し、あるいは事業に投資をするということであったのでありますが、この面の仕事は、最初に作りました拓殖会社ではいけない、もう一つ別にこの投融資関係だけを扱う会社を作らなければいけないということに相なりまして、その設立準備を急いだのでございますが、それができましたのがようやく昨年の暮れでございます。これは私どもの目から見ますと、非常に時間がかかりましておかしいのでございますが、中南米諸国の実情といたしまして、なかなか日本のようにてきぱき参りません。ずいぶん私どもも裏の工作その他いろいろいたしまして、ようやく昨年の十二月に発足いたしました。それからその間の準備を基礎にいたしまして、現在いろいろ融資対象先を検討いたしておる段階でございます。  従いまして、ブラジルにおきましては、まだそれほど大した活動をいたしておりません。ことに私どもは、当初入りました開拓移住者に対して相当の融資をしたいと考えているのでございますが、これは非常に広い所にたくさんの人が入っておりまして、個々の人々を対象にして融資をするということば不可能でございます。従いまして、ある程度集団的な組合を作って、組合の事業として何かやる場合に、それに対して融資をするという形式をとりたいと思っておるのでございます。何分にも、向うに入りました人々が忙しいということもございます。それから組合を結成して、これも結成して向う側の法人になりませんと、なかなか事がうまく運びませんので、そういう手続をとるのが非常に大へんなために、実はまだ一件も融資をする段階にまで至っていないのでございます。しかし、これは最近わざわざリオから人をアマゾンの方まで出しまして、この組合の結成の方法、あるいは融資申請の方法等を全部教えまして、ただいま申請書が出て参っておりますので、間もなく相当額の融資ができるように相なるだろうというふうに考えております。  一方、南の方に入りました人々に対しまして、南の方は、御承知のように雇用関係、つまり雇用契約で入りました移住者が多いために、それらの個々の人に融資することは別にございません。むしろ雇用契約で参りました人が、今後独立するためのいろいろな準備をしてやることが必要だと思います。これは雇用契約は大体四年でございますので、もうそろそろ独立すべき人が出て参ります。そこで私どもは、サンパウロ近郊あるいはドラードス、パラナという所に適当に土地を買い求めまして、振興会社をして土地を買わせまして、そこに独立すべき居住者を収容するということのために、現在現地におきましては、いろいろ各方面に当って最も適当と思われる土地の物色をいたしております。これも間もなく一、二カ所買える段階に相なろうというふうに考えております。  それ以外に振興会社が最も力を入れてやりましたのは、パラグァイにおきます土地買いでございます。これはフラムという所に約一万四千町歩の土地を買いまして、そこに道路を建設し、いろいろ施設をいたしまして、今盛んに日本から移住者を入れております。それが一番大きな仕事でございました。それ以外にたとえばドミニカ、そこの移住者のために、これは漁業移民でございますが、こちらから船を持っていかなければならない、そのための融資をやりましたとか、あるいは非常に特殊な例でございましたが、福島県の災害者が向うに移住するという場合に、それの携行資金を貸した。それからもう一つは、御承知のように、北米に短期農業労務者を送出いたしておりますが、これの渡航費はその振興会社の資金をもって貸し出しをしているというような活動をやっている状況でございます。  従いまして、まあ一番大きな原因といたしましては、現地法人の設立が非常におくれたということからいたしまして、まだあまり活発な活動とを申せないのでございますが、それも整備いたしましたので、今後大いにやっていけるようになるだろうと考えております。  ただ、御承知のように、振興会社は特別法に基くものでありますが、一応会社でございますし、資金源が、来年度は大体十億の出資が認められたのでございまするけれども、主たる資金源がアメリカの銀行からの借入金でございまして、これは一定の期限の後には返さなければなりませんし、利子も支払わなければなりません。その際に私どもの考え方といたしましては、その間金を返すのを、利益の中から返すことはなかなかむずかしいと思いますが、しかし少くとも政府が肩がわりして返しますにいたしましても、当初注ぎ込みました資金だけはどこまでも回転させていくというようにいたしませんと、なかなかこの会社の永続性というものがない。しかも移住事業というのは将来長きにわたって行われるものでありますからして、どうしてもそういったような、少くとも回転はする、もうける必要は毛頭ございませんが、最小限度資金を回転させるという方向で、仕事の運営をさせなければならないという観点から、いろいろその運営につきましては、私の方でも監督をいたしております。そのために、事業の進行がおくれているというような面もあるかと思います。しかし現在すでにいろいろ準備態勢も整いましたので、来年度以降におきましては、大いに活動ができるのじゃないかというふうに考えております。  来年度の事業資金といたしましては、政府からの出資金十億円、それからアメリカからの借入金が三十一年度分が百五十万ドル、三十二年度分が三百万ドルということになっておりますので、相当の活動ができるんではないかというふうに考えております。

千田正無所属クラブ

○千田正君 来年度の十億は外務省の予算の中に盛ってありますが、これはまるまるこの移住会社に投資する。それに対してアメリカ側は三百万ドル。日本の十億とアメリカ側の三百万ドルをプラスしまして、大体の計画は何千名ぐらい移住させるという計画なんですか。

石井喬外務省移住局長心得

○政府委員(石井喬君) 移住の計画といたしましては、来年度、三十二年度におきまして九千名というふうに予定いたしております。これは渡航費の面からいたしまして、九千名ということを予定いたしておるわけでございます。会社の事業資金につきましては、これは北米の短期農業労務者を除きましては、渡航費ということを考えておりませんので、その面から人数がふえるということはないと思います。  それから振興会社への出資金十億円というものは、これは外務省の予算には上っておりませんで、産業投資特別会計でございますので、これは大蔵省の方の予算に上っていると思います。それから来年度三百万ドル、これは大蔵省の保証によって、まだやっておりませんが、今後借りる資金でございます。それと、ただいま、先ほど申し上げましたようないろいろの関係で、三十一年度の事業がおくれておりましたために、三十一年度分に使うべかりし金が残っております。借りる金が借りないで残っております。そのうち百五十万ドルだけを早急に本年度内に借りまして、来年度の三百万ドルと本年度分の百五十万ドル、四百五十万ドル、それに出資金の十億、これだけが事業資金になるわけでございます。

千田正無所属クラブ

○千田正君 それで大体わかりましたが、もう一つ、海外移住協会に対しては外務省としてはどれだけの出資をしているのですか。

石井喬外務省移住局長心得

○政府委員(石井喬君) 海外協会連合会につきましては、これは財団法人でございまするが、政府からの出資というものはございません。当初民間の会社から約五百万円の金を集めまして、これを資金にして財団法人を作りました。その後、この協会の運営費というものは全部、補助金で政府の方から出して参った次第でございます。で、来年度におきましては、約五千万円程度のものが国内において出るということになっております。

千田正無所属クラブ

○千田正君 まあ一応外務省としての方針は伺いましたが、そこで外国の海外移民の状況と日本のあれとは多少違った点があるのじゃないかと私は考えるのです。現在外国としましても移民を特に出しておる所は、イタリア、オランダ、あるいはポルトガル、スペイン、最近はドイツ、こういうような国々は相当中南米及び南米方面に出しておりますが、貸付という面ばかりじゃなく、実際国として海外に出る者に対しては助成金という、いわゆるその人たちからは将来徴収しない。海外に出て行って、まあ自分の国の人口調整をしながら海外に働いて、そうして場合によっては祖国に送金する、こういうような人たちに対してその国々が一応の助成を出しておると私は考えておるのですが、私なりの考えですよ。あなた方の御調査によって、こうした海外移民などで日本と違う点はどういう点でありますか。

石井喬外務省移住局長心得

○政府委員(石井喬君) ただいまおあげになりましたような国々におきましては、その国の政府が、たとえば渡航費を助成するとかその他のものを助成するとか、金銭面での助成ということはほとんど行われておりません。これらの国々は、たとえばイタリアを例にとってみますと、イタリアの在外同胞は千八百万と称されております。従いまして、こういった人々、しかも外に出て相当に伸びておる連中も多くございますので、そういう連中が自分のところへ呼び寄せるという格好で、ほとんど大部分の者が出ていっておりますために、政府として金をどうこうということは、イタリアで多少やっておるようでございますが、イタリアにおきましてはだいぶ、それ以外の所はほとんどやっておりません。ただドイツのごときは、まあイタリアその他にいたしましても、現在のところ、いわゆる農業移住者というものはきわめてパーセンテイジは少うございます。むしろ商工方面に出ていく人が多いのでございますが、ドイツのごときは金の面ではございませんで、たとえば工業面で機械を持ち出すとかいったような面で、非常ないろいろの特典を与えているというふうに、私どもの調べによりますとそういうことになっております。

千田正無所属クラブ

○千田正君 で、まあこれは人口調整もそうでありますが、実際において日本の過去の移民や何かの点を調べてみましても、移住して行ったところの日本人が祖国から、自分らの長い間の習慣で、祖国からいろいろな商品を買い付ける。そうしまた貯金の余ったものは祖国に送金する。現在においては、日本の海外の移住者から国内に送金してくる金だけでも、あるいは百億ないし百五十億と称せられておる。それだけ移民というものは一石二鳥なわけであります。一は国内の人口調整、一は海外に発展して、しかもまた祖国の財政に寄与する、こういうような一石二鳥のことをするだけに、われわれは真剣になってこの問題と取り組まなければならない、そう考えますので、今の十億が、まあ来年度の予算の中に考えられ、そうして移住会社が活発にスタートを切る、そういう段階に入っておるようでありますが、私は、調査をもう少し進ませると同時に、外務省としましては、もっともっと多くの国々と折衝する段階をつけてもらいたい。それには、これだけの金では足らないじゃないか、私はそう思うのです。在外公館としてのこうした問題に対する予算は、どれぐらいあるのですか。

石井喬外務省移住局長心得

○政府委員(石井喬君) ただいま御指摘いただきましたように、私どもといたしましては、できるだけ多くの国に、日本人を入れてくれる所はどこへでも……。もちろん一定の条件はございますが、いろいろできるだけ受け入れ国の範囲を広げたいということで、いろいろ努力をしておるところでございます。ことに、これは実は中南米諸国におきましても、日本の移住者を歓迎することはもちろんなんでございますが、実は一部におきましては相当、たとえばブラジルのごときにおきましても、相当排日的な底流もなきにしもあらずという状態でございますので、そういう点を勘案しながら、実は一生懸命やっておるのでございますが、幸い国連にも加盟したことでございますので、今後は国連あるいはその下部機関といったようないろいろな国際会議におきまして、できるだけ日本の現状を訴え、日本の移住者の送出を促進するという方向にも努力をしたいと考えております。  さらに、たとえばカソリック関係におきましては、産児制限ということは絶対反対でございまして、そのかわり、未開発地の開発をやって、そこに余った人口を収容しなければならないというような強い主張もございますので、こういうカソリック関係の会議等におきましても、日本の現状というものをよく認識してもらいまして、私どもは世界的な世論の背景のもとに、日本からの移住者を出すという方向に、一歩一歩近づいていきたいというふうに考えている次第でございます。できれば、現在一番日本にも近いし、残された所としては、東南アジア方面に、たとえばニューギニアとかボルネオとかいう所もあるのでございますが、将来もし国連あたりが取り上げて、こういう所の開発をやるのだということになれば、私どもとしては最も願ったりかなったりだと思うのでございますけれども、ただ、これは豪州、インドネシア、オランダ等の対日感情が非常にデリケートな問題がありますために、私どもは一切口に出さぬということでやってきておりますけれども、決して忘れておるわけではございませんで、チャンスがあればそういう方面にも伸ばしていきたいと考えております。

千田正無所属クラブ

○千田正君 あまり時間がありませんから、ほかの方の御質問があると思いますので、農林省にお伺いしたいのですが、今の外務省の計画のことしは九千人ですか、昨年は七千人でしたね。それで二千名増加しておる。ところが、予算面を見るというと、この間も申し上げましたが、わずかに三百万円の経費しかない。これでは私は、実際にその移民の対象が農民であるだけに、農林省の予算は少いと思うし、それから、これだけのわずかな予算では、海外におって、かりに外務省が外国との手続をやられるにしましても、国内におけるところの訓練、あるいは先へ行ってからも、ある程度は農業指導等については農林省は見ていかなければならないという私は観点に立っておる。そういう点からいいましても、予算は非常に少いのですね。これではうまくないと思う。そこで、もう少し外務省と相提携して、国内の訓練並びに海外に行ってからは、外務省が、あるいは外国ならば外務省の所管かもしらぬが、農業そのものの営農というような指導とか、あるいはその他に対しては、やはり農林省がある程度見ていかなければならないのじゃないか、私はこう思うのですが、それにしては予算があまりに少いじゃないか。この点について農林省としてはどう考えられますか。

酒折武弘農林省振興局総務課長

○説明員(酒折武弘君) 来年度の農林省の予算は、海外移民に関する予算は千九百万でございます。これは募集、選考、訓練の経費でございます。おっしゃる点、確かに予算は不十分でございますが、一応募集、選考、訓練の経費としては、九千名の人間に応じて計上してある形でございます。まあ何とかやっていけるのじゃないかと思います。ただ、御指摘の営農指導というような問題でございますが、これにつきましては、先ほどお話が出ました閣議決定に基きまして、現在やっている次第でございます。閣議決定によりますと、われわれが募集、選考、訓練をやる、こういうことに相なっておりまして、で、現在までに、その問題につきましては、われわれは閣議決定の線をまあ重視しておりまして、特に外務省とは大した紛争もあるわけではございませんし、将来の問題といたしましては、われわれは現状の移民行政に満足しているわけではございませんので、もっとうんと伸ばしていきたい、そういうふうなことを考えておりまして、そのためには過去の経験に基きまして、今後一そう研究いたしまして、機構の点なり、事業の点なり、そういう点、十分改善する余地が多々あると思います。で、それに応じまして、そういうふうな予算もまたわれわれ検討して増加していきたい、さように考えております。

千田正無所属クラブ

○千田正君 来年度の予算によるというと、農林省から何か外地の調査をするにしたって、一人か二人ぐらいの人しかの旅費しか出ないという予算じゃないですか。私は海外を旅行してみますと、いつでも考えるのですが、私は、外務省は出先の関係の在外公館としてのいろいろな政治折衝なり、外交折衝はされるけれども、経済的な進出その他に対してはなかなかうまくいっていない。私は諸外国を見て来て、外務省の諸君がやっていることは、なるほど外国の政府と折衝したことはありますが、実際の経済の状況あるいは農業なら農業の問題は、やはりその筋のエキスパートが、外務省の裏になって、調査するなり何なりやらない限りにおいては、日本の経済進出ということはとうてい望めないと私は考える。そこで、外務省、農林省等との間に紛争がないとするならば、むしろ農林省からも十分予算をとって、外務省と表裏一体となって、海外移民の問題は解決しなければならない問題である、私はかように考えるのであります。農林省としましても、もっと予算を盛って、実際の出口であるかどうか、あるいは今までのすでに入植しておった人たちの経済状況であるとか、農業の経営実態を把握してきて、将来の日本の海外移民に対するところの、農民に対するところの指導をしなければならないのじゃないかと考えるのです。もう少し予算をとることを一つ、大臣と協議しなさい。特に要請しておきます。

島村軍次緑風会

○島村軍次君 ただいまの千田さんの御意見に関連して、二つばかりお聞きしたいのは、一つは、拓植農協というものができて、前の次官の平川氏が、何ですか、心配をして、で、各県に全部じゃありますまいが、まあ連合会のようなものができている。そこでこの構想は一体どういうところにあるのか。われわれ聞いているところでは、ブラジルなり、あるいはドミニカ、その他南米の諸国に対して、土地を、あまり悪くない土地を買い入れて、そしてそれに対して移住者に対しては貸付金を出す。貸付金の償還は残った長男でやらせるというような経過もあったように聞くのですが、今どういう程度に進行して、また農林省はこれに対してどういう指導方針を持っておられるか。その点を一つ伺いたい。

酒折武弘農林省振興局総務課長

○説明員(酒折武弘君) 拓植農協の設立は三十一年の十一月でございましたが、設立の趣旨といたしましては、大体現在の海外移住は農業移民が大部分でございます。ところが、現実に農民の間において、海外移住に関する認識は非常に希薄である。これは単に農民に罪があるわけではございませんので、そういう問題について滲透するだけの組織を持っておらないというところにあるわけなんです。そこでこういう問題は、農民自身がみずからの力で一つ推進していく態勢を作り、組織を作りまして、そこでそういう啓蒙宣伝なり、あるいは相談に応じたり、あるいは財産整理等についての援助を行うということをやろうではないかということで、ここに拓植農協というものを作ることになったのであります。農林省といたしましては、すでに設立の認可をいたしておるのでありまして、従いまして、当然これに対してはできる限りの援助ははかっていきたい、そう考えております。それから設立の状況は、本年の一月末現在で見ますと、県単位の連合会が福岡県、長崎県、山形県、香川県、鹿児島県、鳥取県、大阪府というのができておりまして、そのうちには鹿児島、鳥取、大阪は未認可であります。なお、今後宮城県、茨城県、長野県、千葉県、島根県、大分県等でできる見込みでございます。そういうことで、漸次この組合も拡充しつつあるものであります。

島村軍次緑風会

○島村軍次君 さっきお話が出たことは、東南アジアあるいはニューギニア島の問題であると思いますが、たとえば、ちょうど前の大使であった岡本氏にオランダでこれは聞いた話ですが、相当向うの外務大臣と折衝をしておられる。これは夢ではなかろうというお話を聞いてきたのですが、外務省としてはニューギニアに関する問題にはどういうふうなお考えを持っておりますか。

石井喬外務省移住局長心得

○政府委員(石井喬君) 先ほど申しましたように、私どもは、もし今後対象にできる所といえば、まずニューギニアあたりではないかと考えております。ただ、この問題につきましては、昨年でございましたか、一昨年でございましたか、私ちょっと記憶ございませんが、現在オランダがニューギニアで電源開発事業をやっておる所がございまして、その際に現地の土人を使っているのでございますが、非常に能率が悪い。一部インドネシア人を持っていって使ったのでございますがこれも能率が悪い。そこで一つ日本から人をよんで事業をやらしたらどうかという新聞記事が、シンガポールか香港かどちらかでもって、英文の記事に二日にわたって連載されたことがございました。日本から行く人間は、特に九州からの人がいいとまで書いてありました。そうしますと、その翌日からもう一週間にわたりまして、オランダ本国で各新聞が筆をそろえましてたたきまして、とんでもないことだという記事がございました。これはたまたま向うで出した記事でございますから、日本の側は関係がなかったのでございますが、オランダの本国の感じがそういうことでございました。さらに、それをリファーいたしまして、オーストラリアでも、そういう考え方に対する非難が相当各方面で起りましたので、そういう情勢にかんがみまして、私どもは、これは今そういうことを日本側が口にしたらとんでもないことになる、むしろこの際はそういう点には一切触れないで、むしろ国連等を通じて未開地の開発というような線から働きかけることが必要だろうと考えまして、今のところ別に何もそれに対して発言はいたしておりませんけれども、私どもの考え方の基本には、最も将来有望な所はニューギニアではないかというふうに考えておる次第でございます。

島村軍次緑風会

○島村軍次君 具体的の問題として、一応オランダとの間には賠償というか、お見舞金が出て、対日感情も非常によくなった。その矢先、つまりスマトラ、ボルネオ島、あるいはジャワ島における賠償の問題が、インドネシアとの間の問題があると思いますが、それらに関連をして、そうして先方というか、オランダでも相当の関心を持っている。ただいまお話しになったような点と私は違った考え方を、現地の高官はお持ちになっておったようですがね。帰朝されたようですが、何か外務省に対して相当の意見が開陳されたのじゃないかと思うのですが、その点はいかがですか。

石井喬外務省移住局長心得

○政府委員(石井喬君) 私はまだ何にも伺っておりません。それと、ニューギニアの場合もそうですが、スマトラ、ボルネオ島は、スマトラ、ボルネオになりますと、主としてインドネシアとの関係になりますので、これは賠償問題その他ございますので、ちょっと話を持ち出すことができないのでありますが、ニューギニアの場合には、これの領有権につきましてオランダとインドネシアで非常に争いを持っておることは、御承知の通りであります。そこにさらに今、移住、移民問題というようなことを出すのは、よけい何と申しますか、両方にいろいろな疑惑を与えちゃいかぬというような考慮もございまして、何も言わないでいるということでございます。

島村軍次緑風会

○島村軍次君 まあ、また機会をもって具体的にお聞きしたいと思いますが、一つそういう点についての御研究を十分されることを希望いたします。

千田正無所属クラブ

○千田正君 もう一つ、外務省に尋ねますが、ウルグァイではだいぶ外国から移民を入れておりますが、日本からはあまり行かないようでありますが、ウルグァイ自体としては、実際日本からの移民を拒否しておるわけではないのじゃないか、どうですか。

石井喬外務省移住局長心得

○政府委員(石井喬君) 貿易関係でございましょうか。

千田正無所属クラブ

○千田正君 いやいや、移民の問題です。

石井喬外務省移住局長心得

○政府委員(石井喬君) これはウルグァイの場合には、あすこは御承知のように、牧畜で立っている。牧畜が主体である国でございまして、現在実はあまり労働力の不足というようなこともございませんので、あまり外から人を入れることを歓迎いたしておりません。ことに、ある程度まとまった数の日本人を入れるというようなことは、向うも全然考えておりませんし、個々の向うにおりまする日本人が、こちらから知っている日本人をよぶというようなことにつきましては、特に別に反対もございません。従来も何人か入っておりますけれども、まとまってどうこうという話は、全然出ておりません。

千田正無所属クラブ

○千田正君 これはまあ、あなたの方に話していいかどうかわからぬけれども、在ウルグァイ代理公使になっている大隈君からの私信で、イタリアとかドイツからはどんどん、政府側が要請して移民が入って来ておる。日本でも一つもう少し積極的に、お互いに国内及び外務省当局と話し合ってこの問題を一つはかってみたらどうかという、これはプライベートですよ、プライベートに聞いているのですが、一つ外務省当局としましてももう少し積極的に、どの程度ぐらい、たとえば牧畜に関係する移民でもけっこうです、進出するような一つの手段を考えてみてもらいたい。特に研究していただきたい。

石井喬外務省移住局長心得

○政府委員(石井喬君) もしそういうあれがございますならば、先ほど申し上げましたような方針に従いまして、できるだけ推進いたしたいと思います。  実は一昨年ウルグァイに参りました際に、大隈公使ともいろいろお話ししたのでございますが、その際は大隈公使からは、あまり積極的にやらぬでくれという話があったものですから、あそこはちょっと消極的になっておりまして申しわけございませんですが、そういうことでございますれば、さらに積極的にやることにいたしたいと思います。

仲原善一自由民主党

○仲原善一君 移民の問題について、千田委員なり島村委員からお話がありまして、私も非常に共鳴する点がたくさんございますが、お伺いしてみたい点は、先ほどお話にもありました通り、仕事の分野が閣議決定によって、農林省と大蔵省とできまっているというお話でございますが、特にこの移民を送り出す国内の態勢の問題ですが、海外移住協会の関係と、先ほどお話のありました拓植農協の問題で、地方の方はどうなっておりますか。その辺、仕事の分野は、実際地方の各府県で拓植農協はどういう点を受け持っておやりになるのか。海外移住協会の支部もあるようでございますが、その辺はどういうふうな分担でおやりになっているか、お伺いしたい。

酒折武弘農林省振興局総務課長

○説明員(酒折武弘君) 海外移住協会は一応、閣議決定に基きまして、募集、選考、訓練を実施する団体になっておるわけでございます。そこで、これとの調整の問題でございますが、拓植農協の方は結局、農民の協同組合としての下からの組織でございまして、海外協会の方は、何と申しましても、農村の末端までの組織を持っておらぬわけであります。そこで募集に当りましても、浸透なり、あるいは移民に際してのいろいろな相談等につきまして、十分に手が届かぬのではなかろうか。そういった点を、農協は農民の組織として海外協会に協力して、そうして適当な移住者を送り出すことについて海外協会に推薦をする、あるいはまた財産処理等の問題につきましても、お互いの問題として協力して円滑にやっていく、そういうふうな趣旨のもとに農協はできておると思います。

仲原善一自由民主党

○仲原善一君 拓植農協の設立についてですが、出資金だとか手続等の問題について、概略、簡単でいいですが、ちょっと伺いたいと思います。

酒折武弘農林省振興局総務課長

○説明員(酒折武弘君) これは一般の農協と同様に、農協法に基いて作られたものでございまして、拓植農協として特別の制度というものはございません。

仲原善一自由民主党

○仲原善一君 農林省の方で指示になっております出資金について、大体聞いておりますと、非常に相当な金額を単協として出さないと設立できないというので、実際は作りたいけれども、現状でわずかの人数を送り出すのに、膨大な出資をやるのは負担になってかなわないというような声も相当あるわけでおりまして、その辺の便法を、年賦で払うとかなんとか、そういうような措置が講ぜられるかどうか、その辺も一つお伺いしたいと思うのです。

酒折武弘農林省振興局総務課長

○説明員(酒折武弘君) それは、特にこれこれの額を出資しなければならないというふうな指示をやっておるわけではございませんが、一応こちらで想定をいたしました場合に、その程度の出資が望ましいという程度のことを言っておるわけであります。  そこで、実は一番この拓植農協設立で問題になるのは、おっしゃる出資の問題でありまして、何と申しましても、現状非常に農協も農民も苦しい状態で、なかなか出資ができない。それが障害になって設立がおくれたり、あるいは設立できなかったりすることは、われわれとしても本意ではないわけです。そういう音一味におきましては、できるだけそういう面における負担はかけないようにということで、指導しておるような次第でございます。従いまして、そういう分割納付というようなことも、当然考えられることだと思います。

仲原善一自由民主党

○仲原善一君 農協設立に関連しての問題でございますが、相当宣伝されて、農林省とされましては相当指導もされまして、各地でその動きはあるようでございますけれども、この予算の面を見ますと、ほんとうに微々たるもので、何か一千数百万円程度かと考えておりますが、最初は相当地方農民の方では期待しておりまして、相当な予算を期待して農協も設立しており、協力しようという気持があったが、予算の点で非常にがっかりしたというのが現状ではないかと思います。従って、なかなかこの設立の問題についても、全海連、全拓連と申しますか、そういうものに加入するについては相当難点があろうかと思いますので、この点は要望になろうかと思いますけれども、もう少し農林省の方も予算の面で、海外移住協会の方には先ほどお話のように相当予算的には計上してありますけれども、農林省の方では少いので、その点とくと予算獲得の面で御努力を願いたいと、要望を申し上げておきます。

酒折武弘農林省振興局総務課長

○説明員(酒折武弘君) その点、実は農協は、御承知の通り、自主的に農民が作る団体でございますので、役所から、上から作れといって指示して、必要な予算も計上するから作れというような格好では組織し得ないわけでございます。逆に、農協が自主的に作られた、これがそういう仕事をすると、それが国の政策上必要である場合に、そこに助成が行われるというのが順序でございます。そういうようなわけで、なかなか前もって予算を計上して、それを基として設立を促進するという順序はとりがたいという実情にある点、われわれも非常に苦しんでおるわけであります。  なお、予算的な措置につきましては、まことに不十分でありますけれども、できるだけ現在の組んでおる予算の中で、運用によって農協が活動しやすいように措置していきたいと、こう考えております。

仲原善一自由民主党

○仲原善一君 農協が自主的にやるべきだという理屈は、一応そうでございますけれども、現状から申しますと、やはり迎え水というものが相当重要な現状にありますので、その点は重ねてお願い申し上げておきます。  いま一つは、移住関係の問題で、先ほど税の問題等もからんでおりましたけれども、そういう何と申しますか、主要な点だけを解決していくということよりも、何か移住法のような一つの制度的なものを根本的に作って、それによって付属的なものは全部そこにひっくるめて、まあ大きな一つの筋を通した移民制度と申しますか、法制的な制度を作るというようなそういう考え方については、どういうお考えを持っておられるのか、お伺いしておきます。

酒折武弘農林省振興局総務課長

○説明員(酒折武弘君) 実は現在外務省の方で移住法というものを作ろうというふうなお考えがあるようでございまして、内容についてもわれわれある程度御連絡を受けておるわけでございます。現在検討中でございまして、ただ、今後移住を促進するためにどういうふうな機構をやっていったらいいか、あるいはどういう団体を使ったらいいかという点のことにつきましては、一応すでにある程度閣議決定に基いてきまっておるわけでありますけれども、農林省の立場から申しますと、いろいろ検討なり改善を要する点が多々あるわけでございまして、そういう点、十分外務省と連絡をいたしまして、御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。

仲原善一自由民主党

○仲原善一君 最後に、先ほど外務省で発表いたしました移民の数字と農林省で発表しておる数字が違っておるわけでございまして、振興局の方では、この聞いただいた書類の中で六千人ということになっております。これは三十一年度末に六千人余を送り出すということになっておりますが、先ほどのお話では、外務省は七千人と。これは数字の問題で、まあ大したことではないかもしれませんが、わずかの数字で千人も違うということになりますと、資料の点で非常に不備だということになろうかと思いますから、御研究願いたいと思います。

石井喬外務省移住局長心得

○政府委員(石井喬君) 七千人と申し上げましたのは、実は昨年度予算の数字でございまして、その目標を達成すべく非常に努力をいたしまして、実は一時六千九百ぐらいいきそうな形勢にあったのでございますが、最近まだこれから二つばかり船が出ます。その船が確定いたしませんので、まだはっきりした数字は出ておりませんが、大体六千六百ぐらい出るというふうに見ております。

堀末治自由民主党

○委員長(堀末治君) 他に御質疑ございませんか。——ございませんければ、本日はこの問題はこの程度にとどめて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

堀末治自由民主党

○委員長(堀末治君) 本日は、この問題はこの程度にとどめます。  暫時休憩をいたします。    午後零時二十一分休憩    —————・—————    午後一時五十八分開会

藤野繁雄自由民主党

○理事(藤野繁雄君) 委員会を再開いたします。  特定土地改良工事特別会計法案に関する件を議題といたします。  この法律案は、去る三月四日、内閣から閣法第七十五号をもって予備審査のため送付、同日大蔵委員会に予備付託となって審査中のものでありますが、農業上大きな関係があるものと考えられますので、当委員会においても当局から説明を聞き、その取扱い方について御協議を願っておく必要があると存じまして、本日議題といたしました次第であります。  なお、この問題について政府から出席者は、大蔵省主計局法規課長中尾君、農林省農地局長。  まず、当局から説明を求めます。

中尾博之大蔵省主計局法規課長

○政府委員(中尾博之君) 特定土地改良工事特別会計法案の概要について、御説明を申し上げます。  政府におきましては、今国会におきまして、別途土地改良法の一部を改正する法律案を提案いたしました。御審議を願うことになっておるのでございますが、同法案の規定するところによりまして、灌漑排水施設の新設または変更の工事でございまして政令で定めますものと、それから土地改良法の第二条第二項第四号に掲げる事業と、それから同法の第二条第二項第一号に掲げます事業によって生じた施設、灌漑排水の施設でございますが、これについての災害復旧、これらの工事を行う場合におきまして、その工事の完了を促進いたしまするために特に必要がございますときは、別に法律の定めるところによりまして、その工事にかかわる事業費の一部につきまして借入金をもってその財源とすることができるという考え方を、この法案に盛ったのでございます。  もちろん、かかる工事につきまして借入金をもって一般の財源に充てるということは、一方財政の健全性ということから、非常に問題があることは事実でございまするが、実際に一般国民の租税負担にならない分につきましては、これは受益者の負担という特定の財源がございまするわけでおります。それらの分につきましては、この受益者の負担金のつなぎといたしまして、借入金をもちまして財源といたします。従来のように、一般会計の国費でもって支弁しておりましたものはあげて国庫の負担分に回しまして、これらの借入金とあわせて事業の促進をはかるという考え方をとっておるものでございます。  これらの事業を行うことになりまするというと、これは一部そのように特定の財源をもって、一般の国民の税負担とは関係のない財源で経理をいたしますということもございまするし、また一方で、そのような工事を行いますると、借入金をいたします。それから負担金を確定いたしまして、この負担金で返してもらうというような構想になって参りますというと、その間工事につきまして何ほどの金を借りたか、果して幾らその金がその工事に使われたかということを明確にいたしておく必要がございます。これらの経理の明確を期する上におきましては、これを一般会計において処理をいたしますことは、技術的にきわめて困難でございます。ほとんどむずかしい仕事でございます。従いまして、これを一般会計と区分いたしまして行うことが適当であると考えましたので、ここに特定土地改良工事特別会計を新たに設置いたしますることにいたしたわけでございます。  次に、この法律案の概要について御説明をいたしますが、第一に、この会計におきましては、土地改良工事に要する費用で国庫が負担をいたしますものにつきまして、一般会計から繰入金をいたします。これが収入になります。それから土地改良工事に要する費用にかかわる負担金及びその利息、これは将来入ってくる、これも収入になります。それから都道府県がその負担金を地方債証券で代納いたしました場合におきまするところの地方債証券の償還金及び利子というものが、これが同じく歳入になります。それからこれは今の負担金と同じようなものでございまして、これで地方債で入って参ります場合には、こういう形で収入になる。それからあとは受託工事にかかわる納付金でございます。これは農業以外の事業と共同に施工になりまするところの受託部分を、会計であわせて施行いたします場合の納付金でございます。それから先ほど冒頭に申し上げましたるところの借入金、これが収入になります。また埋め立てまたは干拓の工事によりまして生じました用地の売払代金。用地は農地になりまする分は、これは売り払うという対象物にはならないのでございまするが、それ以外の用途に充てまする土地が出た場合に、これを売り払う場合がございます。その代金。それからあるいはこの売り払いまするまでの間における貸付料あるいはその他の付属雑収入、それらのものが歳入になります。  一方で、この会計の経費として出て参りますものは、土地改良工事に要する費用、これが出て参りますることは当然でございます。それに付帯いたしまして、受託工事がついて一体で施工します場合に、この受託工事に要しまするところの費用、それから借入金をいたしまする場合負担金が参りましたときに償還いたして参ります、その償還金とその利息。それから先ほど申し上げました埋め立てまたは干拓の工事によって発生いたしました用地で売り払うもの、つまり農地にならないもの、それの管理及び処分のために直接に必要とする費用。それから一般会計への繰入金、これは繰戻金の類でございまして、この会計で一般会計で負担いたしました費用につきまする負担金を取ったりいたしまする関係上、そこで一般会計との間に貸借が起きます、その繰入金。並びにこれらの操作に伴いまするところのいろいろな付属諸費というようなものが歳出になって上って参ります。会計の仕組みはそういうことになっております。  それから第二に、この会計におきましてはいろいろな工事を行うわけでございますが、その工事につきましては、各工事につきまして受益者負担金を当てにいたしましてこの借り入れをやらしてゆくわけでありまして、その際に、この工事につきましておのおの受益者は別の方々でございます。従って、どういう工事のためにいつからいつまで金を借りておったか、それをいつ返したか、利息はいつからいつまでついたも一のであるかというようなことが、単に現金収支のみならず、そういう債権債務、さらに債権債務以外の資産負債の区分整理、たとえば不用物品の売払収入でありまするとか、あるいはまた金銭収支上の債権、剰余金といったようなものが、いずれもその発するところは一体どこから出てきたか、それからどこの工事に充当すべきものであるかということがわからなくなりますと、何が何だかわからぬということになりまして、全体の経理ができません関係上、これからの歳入歳出及び資産負債の整理及び予算の配分等を、工事別の区分によって行うことになっております。  ここに工事別と申しますのは、土地改良法の方では事業という言葉を用いておるのでありまして、それと表現が変えてございます。この工事別は政令で定めることにいたしておりますが、その定めます区分の単位は、政令で別途、土地改良法とは別の観念で定めて参りますが、工事の単位は負担区分を同じくいたしますところの地区は一つの工事ということになります。従って、一地区が全部同じ負担区分で、同じ負担区分団体がこれを負担するという工事でありますれば、どんな大きなものでもそれを一つに見て差しつかえないのであります。ただし、負担区分が変って参ります地区につきましては、これを区別して参らないと困りますので、その場合には工区によりまして負担区分の割合がもし違うということになりますれば、工区もこれに該当する場合もございます。しかし、地区であるとか工区であるということを基準にいたすわけではございませんので、負担区分団体の別できまるわけでございます。負担区分団体の別は何できまるかと申しますと、これは土地改良法の実体法で政令に委任されておりますが、それによって負担区分の基準をきめていただきますれば、それに従ってきまって参るわけでございます。  第三に、この会計におきましては、土地改良工事に要します費用で国庫が負担いたしますものを除いた分、それから埋め立て及び干拓によって生じた用地の管理及び処分のために直接要する費用、これは農地の分ではないのでございますが、これにつきましては国会の議決を経ました予算をもちまして、この会計の負担において借入金をすることができることといたしております。これは冒頭申し上げました趣旨に基く借入金でございます。なお、この借入金につきましては、これは単年度予算に基くものでございますから、工事別に年度内に借入金をいたします。それで、もちろん途中で計画が変れば、これをほかの工事の借入金に回わすということもございます。その間のやりとりがはっきりいたしませんと困りますが、それは工事別に整理をいたしますから、よろしい。そういう借入金をいたしまして、さらに若干の工事につきましてはいわゆる予算が不用になり、あるいは来年度に繰り越すという場合もございます。そういう場合、年度内に借入金をして現金にして繰り越すということになりますれば、工事別にその金が入ってきますから、来年度の工事別繰越予算の財源をまかなうことができる。その場合に借入金をやりますれば、利息がつきます。一般にこの会計の運用といたしましては、最初はなるたけ一般会計及び受託工事にかかる納付金といったような、利息負担のない金を先に借りまして工事をいたしまして、これを払える見込みがついた際に借入金をいたしましてその工事を促進していくということで、なるだけ借入金の利息の負担というものを減らすように運用して参るべきものと思いますが、そういう見地から申しますと、年度内に必ずしも借り入力しなくとも、歳出権だけを繰り越していく。財源は借り入れた金を繰り越さないで、借入権限で繰り越すことが必要である。そこで借入権限繰越という制度を設けております。これはやや新しい制度でございます。  それから、その次に第四の、会計は他会計への繰入金に関する事項が規定してございます。土地改良工事でございまして、一般会計の負担において行なっていたものがございます。そうすると、これは継続の工事ということになるわけでございますが、これが先ほど冒頭に御披露いたしました新しい借入金方式を加味いたしました工事、すなわち特定の土地改良工事といたしましてこの会計において継続して行われることになった場合におきましては、継続して行うこととなったその前の工事にかかる負担金額、それから用地売払代金及び貸付料の一部、いずれも前の工事にかかる分でございます。これらをその工事にかかる納付金の一部を一般会計の方に繰り入れることにいたしております。  大体、以上申し上げましたところが、この会計の骨子になっておる次第でございます。あとは、一般の会計にございまするような、きわめて技術的な通例の規定でございます。

藤野繁雄自由民主党

○理事(藤野繁雄君) 土地改良事業並びに干拓事業の現状は、国営並びに県の施行しておる灌排事業に至るまで、戦前に着手したものでなお完了しないようなものが非常に数多いのです。十四年も十五年もかかる個所が非常に多いのでございまして、ここでこの特別会計を設けて、そういう事業を急速に完了するということが、非常に意義があると思うのでありますが、干拓事業については、国営事業が全部この三十二年度から特別会計に包含されることになっておるのだが、灌排事業に関しては、国営で三十二年度から着手する新事業だけを入れてある。継続事業については入っておらないのですが、この点、何か特殊なそこに理由があって入れなかったのかどうか、まず第一に伺っておきます。

中尾博之大蔵省主計局法規課長

○政府委員(中尾博之君) 直接、特別会計法の方の問題では実はないわけでございまして、その点であるいは差し出た話になるかもしれませんが、この特別会計法といたしましては、継続の分はこれに乗り得る形になっております。お話の点は、予算におきまして、それを特別会計の本年度の予算には組まない、継続の分は一般会計で引き続きやることに組んでございます。それはいわゆる借入金方式という新しい方式を加味した工事として、三十二年度においてそういう工事としてはやらないのだということにかかっているわけです。こういう方式に三十二年度でももしやるということになれば、この特別会計法としましては、それでも乗り得るようにできておるわけであります。問題は、三十二年度におきまして、灌漑排水の継続工事を、なぜいきなり借入金方式の方に切りかえなかったかということになるわけであります。これはこの会計法の問題ではありませんで、土地改良法の方の運用上、そういうことを直ちにやることに予定いたしまして、政府として予算を組み得なかった事情は、それは借入金方式をいたしますというと、借入金に伴いまして金利の負担が出て参ります等の関係におきまして、この負担区分が従来と変ってくるわけです。負担区分は、これは政府の一存できめるわけに参らない、土地改良法の方の御意向によって、すでに御了解ができてやっておる次第であります。そちらの方でもってこれに入りたいということで、こちらの制度に乗り得るような態勢ができますれば、こちらに入るということの道は開いたわけです。しかし今年度そういう手続を経まして、四月以降そういうふうに切りかえて参りますということは、政府の一存ではできませんという見通しから、この新規の分だけ認めることにいたして、継続の分につきましては、このままにいたしておるわけであります。  今後継続の分につきましても、こういう方式に乗り得るものである、しかも、地元においてもそういう御意向のものでありますれば、これを会計の方の仕事によりまして、正確に申しますれば、土地改良法の八十八条の二というものの特例に持ってくるということでありますが、これは十分考え得るところでありまして、法律といたしましては、その道は開いてできております。

重政庸徳自由民主党

○重政庸徳君 そうすると、結局時間的余裕がなかった、特別この法律でいわゆる今までのおくれた事業を進捗する目的でやったと、こういうことになれば、当然関係農民はこれに入るものと私は考えておるだろうと思う。だが、まあ時間的余裕がないので、入るワクはこしらえてあるが、とにかく時間的余裕がなかったということに、今の御答弁によると、結論的に私はなると思う。そうすると、干拓については継続事業がこの中に大体包含するという方針らしいと私は承わっておるのですが、それでどうですか、その点は間違いですか。

中尾博之大蔵省主計局法規課長

○政府委員(中尾博之君) 干拓につきましては、この会計に全部、継続の分も新規の分も入れることにいたしておるわけでございまして、法律的には同じことでございますが、予算におきましても干拓はこちらに切りかえてございますが、これは干拓につきましては、地元負担の約束というものが法的な意味においてございませんわけで、新しくその相手を求めてそういう制度を作っていくわけです。その意味で、切りかえるという相手方の同意を必要とするという手続がございません関係上、こちらの会計に持って参ったわけです。  ただし、ちょっとお断わりしておきますが、用地配分等がもう計画ができておりまして、干拓におきましても、もう特定の人の権利とも申せますまいが、相当な期待権として、ここに自分が入れると、従来完成した干拓と同じように入れるということで、期待を持って何分の御用意もしておられるという向きもあると思いますので、そういう分につきましては、いわゆる地元負担という新しい干拓の方式はとらないということであります。その分の工事費も若干この会計に混入いたしております。その点は便宜、これは分けがたいものですから、おそらくそれは地区の中のまた工区等に分れて、それが行われるのではないか。あるいは工区の一部というような場合も起るかもしれませんが、それは、何分にも予算の作用でございますから、こまかい点は調べかねておりますが、一応これに入れてあります。入れてはございますが、この分は、負担金はとらないということになっておるわけでございますが、これはきわめて経過的なものでございます。

重政庸徳自由民主党

○重政庸徳君 干拓の継続地区にいたしましても、明らかな契約はいたしておらぬですが、その負担についてはおよそ、今御説明のあったように、およそ農民はあるいは従来の経過にかんがみて、農地調整による譲渡を受くるというような気持でやって、これを希望して推進して、実施に至っておると思う。これを約束しておらぬからといって、一方的に政令できめて、それを一方的に強制するということは、非常にそこには私は無理があると思う。しかも、そのワクが、これは干拓の場合は根本的に考えると、まあ大体単作地帯は二町ないし二町五反の経営がなければ、農家はやっていけない、あるいは単作地帯以外は、大体一町五反の経営でやっていけると、こういう基礎に立っておるのでございます。この干拓のきめ方によって、いわゆる農家が根本的に農業経営ができぬという問題になる。いわゆる農業経営ができる限度というものがこの干拓の決定の限度だと、こう思う。その点、どうですか。

中尾博之大蔵省主計局法規課長

○政府委員(中尾博之君) いささか特別会計官体の問題ではございませんで、実は土地改良法の方の問題かと思いますが、この会計を動かして参ります場合のそのもとになる基礎でございますが、私どもの心がけておりますところで御答弁いたします。今のお説は、私どももそういう考え方でおります。干拓事業は進めなければならないということは、もちろんであります。でき上ったものが農家経営に親しまないものであっては、これはしようがないのでありまして、おのずからそれを限度とすべきことはもちろん当然でありまして、そういう建前で考えて、それで負担区分の方はおきめ願えるだろうと思っております。それに従ってこの会計法が動きます、こういうことでございます。

重政庸徳自由民主党

○重政庸徳君 これは、この法律以外と申されましても、この法律は非常に簡単なもので、これに書いてある第六条ですかの政令に対する、どういう政令を出すかということ、もうそれが私は明らかにならなければ、この法律を審議する価値がないと思うくらいに私は思っているのだが、その点は一つ、多少土地改良に属する質問であろうと思うが、御答弁願いたいと思うのです。  こう食糧増産事業、干拓並びに土地改良事業がおくれたということは、これは私は少くとも政府の責任だろうと思う。巷間非常に手を広げ過ぎたようなことを言いますけれども、ここ数年来さようなことはない。きわめて消極的に進んできていると、私は考えているのでございます。とにかく端的に言えば、予算を出さなかった、予算が少い。政府は食糧増産自給度の向上ということを、ともかく旗じるしにしておっても、旗じるしにせぬでも、日本がやらなければならぬ状況にあるのにかかわらず、しかも増産政策をとっておって、そうしてこれに対する私は熱意が非常になかったという累積が、現在になってきていると思う。そういうことになってくると、今度特別法を地盤として、この特別会計法を設けて、そうして早くしてやる。借入金によって早くしてやる。それは非常にけっこう。ところが、その利子はみな取る。しかも、それは急行料としてやる。早くするのだから急行料として利子を取ると、こういう考え方になってくる。しかもその年限というものが、法律にも示していない。この年限は何カ月くらいでやるつもりですか。完了するつもりです。

中尾博之大蔵省主計局法規課長

○政府委員(中尾博之君) 年限につきましては、これをなるべく早くやるという方針で、これを作ったわけでありまするから、あとはこれは予算の組み方の方針の問題でございます。従いまして、この法案そのものは要するに、別に何も申しておるつもりはございません。きわめて急いでやる。今年度の予算の組み方から申しまするというと、大体七年くらいでできるということ、ものによりましてはもっと早くできるものもあるようでございますが、まあそういうようなふうに伺っているわけであります。これは心がまえと申しますか、心づもりと申しますか、意気込みというものを申し上げているわけでございます。問題は予算できまりますることであります。つまらぬものの言い方をすると、予算がきまらなければわからないということになるわけであります。それでは御答弁にならぬと思いますので、この法律を作りますときの意気込みと申しますか、心づもりと申しますか、そういうのはそういうようなスピード・アップを考えて、それで作っているわけであります。

重政庸徳自由民主党

○重政庸徳君 これはちょっと、私はこの法律に年限が入っておればはっきりする。しかも利子をとるということも、多少急行料をとるということも、合点がいく。ところが、なるべく早くやるというので、一応一年おくれても利子の、農民の負担というものが非常に多くなる、農民の負担というものは。これは国鉄の急行でも、二、三時間おくれれば急行料を払い戻すくらいです。(笑声)だから、一方的にその年限をきめぬで、利子だけはとるというのじゃ、こんな一方的な行き方は僕はないと思う。その点、ちとお考えになりませんかね。

中尾博之大蔵省主計局法規課長

○政府委員(中尾博之君) これは別に、何と申しますか、財政的にと申しますか、この会計法の関係ではないのでありまして、土地改良工事にかかわる法律の規定による負担金の額の算定の問題でございますから、そちらの御答弁があるいはしかるべきかと思いますが、関連してお尋ねでございますから、申し上げますが、急行料というお話があったのでありますが、別に急行料と考えておるわけではございません。この工事を急ぎたいという気持をもって政府として努めておるということは、ただいま申し上げました通りであります。それでは、一般会計に残ったのは鈍行であるかというと、決してそうではないのでありまして、これはこれで、やはり急いで参るわけであります。これはこれでこうやる、こっちはこっちでまた借入金もあってやるということでございます。  ただ、従来受益者負担になります分も、金のかからないと申しますか、税負担で立てかえましてやっているのでございますが、今回それを急ぎまして、その分は、あげて税負担の本来の分に回して、事業量をふやして、そのかわり、地元負担の分は別途借入金をもってこれを前借りしていくという形をとったのであります。その関係で、一般会計の方の負担といたしましては、従来地元負担の立てかえておりました分、これが借入金に振りかわったわけですが、その振りかわった額をさらに一般会計負担の分に加えまして、一般会計の方でも促進をいたしておるわけであります。そういう関係から、借入金という制度も出て参ります。借入金に伴いまして、受益者負担も出て参ります。受益者負担金のために、一般会計で従来金融をしておったわけですが、その金融をやめて、一般会計分をふやす線までは受益者は借入金でいこうということになったわけです。従いまして、この借入金の受益者負担というものは、やはり受益者の方の負担ということに考えた次第でありまして、それが穏当なところではないかと私は考えております。  なお、工事がどんどんおくれますというと、建設中の利息が寝まして、不当なことになるということは、まさにお説の通りでございます。これらの点につきましては、政府といたしましても、責任をもちましてこの会計を運用いたしまして、早くその工事が予定の通り完成するように、これ努めるべきものであろうと思います。その点につきましては、本会計の運用あるいは予算の運用に関しまして、十分に気をつけてやって参りたいと考えておる次第でございます。

重政庸徳自由民主党

○重政庸徳君 それは一生懸命に急速に年限を縮めるべく、その目的の法律だから、それでやろうと言われるのは当然で、それをやらなければ大ごとだが、そんなことで信じられぬのですよ、われわれは。利子をとる以上は、私は当然これは明記すべきだろうと思う。そして、それが、おくれましたらば、何かの方法をまた講ずるべきであろうと思う、約束する以上は。こう思うのです。その点を申し上げる。私の意見はそうです。  なお、漁業補償及び公用水面の埋立権の買収費、あるいは用地買収費等は、従来自作農の特別会計でやっておって、そうして、それを今度は工事費に入れて地元負担金の算定の基礎にする、こういう考え方なんだが、これも新しく地元の負担増の基礎になる。こういうことになるのですか。

中尾博之大蔵省主計局法規課長

○政府委員(中尾博之君) その点も、この会計におきましては、工事費、工事に要する費用ということになっておりますのでございますから、それを入れる入れないということは、直接実は出てこない。だけれども、これを入れることの方針で従来から考えております。と申しますのは、従来の負担と申しますか、これらの公用水面その他の処理等の経費につきましては、結局入植される方の負担になっておるわけでございます。建前上は、そういうものを財源として、工事費そのものとは言っておりませんけれども、その他の負担になっておるわけであります。その負担があげてこの会計の収入になって参りまするので、従って、この会計の負担でそういうことをやることにしようというのが、政府当局の考えておるところであります。

重政庸徳自由民主党

○重政庸徳君 結局、従来とは異なって、負担増の負担の基礎になるということでしょう。従来は負担の基礎にならなかった。そういうことになるのですか。

中尾博之大蔵省主計局法規課長

○政府委員(中尾博之君) ちょっとこれは比較ができないのでありますが、従来は、干拓工事といえば、工事費の中には公用水面処理の経費は入っておりません。しかし、これは自作農創設特別会計でやっておりまして、その財源といたしましては、その干拓地にお入りになる農民の方々が御負担なさる制度になっておるわけであります。その時代におきましては、干拓工事そのものには負担金というものの制度がなかった。今度はそっちの関係がやまりまして、負担金の形に経済的には振りかわってきた。従って、ふえたことではない。従来はむしろ一定の本人負担があったと言えば言えるのかもしれません。

重政庸徳自由民主党

○重政庸徳君 前にも申し上げましたように、従来は、いわゆる国の政策によって、国の要請によって、干拓事業を国がやるという根本的なことなんです。従って、これは農地法によって譲渡を受くるものであるということで、農民はそう思うてこの干拓を歓迎し協力してきておると私は思う。その点はさようにお考えになりませんか。

中尾博之大蔵省主計局法規課長

○政府委員(中尾博之君) はなはだおそれ入りますが、御質問の趣旨が実はのみ込めないので、あるいは見当違いになるかもしれません。しかし、従来は、もちろん農地法の適用で干拓地は処分されるべき筋合であるということは、仰せの通りであります。今申しました関係もそれに関連していることは、御承知の通りであります。今回この工事の促進をはかるということ、そのために特別な財源措置も考えるということ、そのためには、また営農を脅かさない程度で、その受益者から受益の範囲内で負担を願う、そういう制度に変えたということでございます。御趣旨がどうも明瞭でありませんが、お答えになりましたら……。

重政庸徳自由民主党

○重政庸徳君 まあ、今までこういう長年かかった状態である、それを是正するためにこういう制度を設けていわゆる早期完成をはかる、これはもちろんよくわかる。まあその面については、実際問題としても政府が負担してやるべきのが当りまえなんです。だけれども、百歩譲って、農民がこれに対する協力費は出してもいいということも考えられる。だけれどもが、当時の状況と今の環境と考えてみると、少くとも今根本的な問題の営農ができるという範囲においた額にならなければいかぬ。あとはどうあろうとも、どういう理屈があろうとも、そういう意味においたら、やはり政令の方は、農林省、関係省とよく御協議になって、その面が出て来なければ、この法文だけ、これだけを審議する価値がないものです。

中尾博之大蔵省主計局法規課長

○政府委員(中尾博之君) 仰せの御意見につきましては、一々ごもっともだと私は思います。ただ、ちょっと申し上げておきますが、この第六条の政令は、きわめて技術的な会計法の繰入手続を、土地改良法の方の政令に基きましたところの負担基準をどうするかという、その政令内容であろうかと思いますが、その政令の内容によりまして干拓地の新しい負担の制度ができるわけです。その作り方につきましては、目下国の方の予算の関係と農林省の方といろいろ検討しておるようでございます。本日私が出て参りますまでに、その経過も実は問い合せてきたのであります。まだそれがどういうふうになるということを申し上げる段階にはなっておらぬそうでございます。ただ、それができますというと、きまりますというと、この改正でどのくらい事業が伸びていくかというようなことがはっきりするわけであります。そういうことであります。  なお、土地改良法の関係がございませんと、この特別会計自体が動いて参りません。まさにそういう一体の関係にございます。

重政庸徳自由民主党

○重政庸徳君 委員長、これは今大蔵省法規課長の御答弁の通り、土地改良法案が出て、そうしてその政令で規定すべき項が出てくる。そうすれば、農民の側に立っておるわれわれとすれば、これをいかんとも審議のしようがない。一つそういう措置をとって、そして法律をそういうふうに設けてもらわなければならぬ。なお、この法律は大蔵委員会にかかるので大蔵委員会とも、急いだこともない、後日、合同審議の手続をとってもらいたいと思います。私の質問はきょうはこれで終ります。

藤野繁雄自由民主党

○理事(藤野繁雄君) 御質問ございませんか。

安部キミ子日本社会党

○安部キミ子君 今の課長さんの説明だと、今までは干拓するのには農地法によって干拓された。一反当りの値段というものが大よそきまっていたと思うんです。一万円程度でなかったかと思うんですが、今後は一体何ぼくらいになるのですか。その土地の状況なんかで変ってくるでしょう、負担が多いから。そんなことわかりませんか。

中尾博之大蔵省主計局法規課長

○政府委員(中尾博之君) 御答弁いたしますが、その点は一万円を相当上回りますような、一万円にかわるべきものに経済的になると思いますが、大体そういうことになると思います。しかし、それにつきましては、いろいろな御意見もあると思います。一番心配な点は営農ですね。これに対して成り立たぬということではいかぬのでありまして、しかも、工事としてはなるべく促進して、借入金は一ぱいいたしたい。こういうことになっております。うまい線を今見つけようと思いまして、大蔵省の予算当局並びに農林省関係の方の御意見もいろいろ承わりまして、今案を練っておるところでございます。それ以上の中身につきまして私が申し上げるべきものを持っておりません。

安部キミ子日本社会党

○安部キミ子君 たとえば、同じ山口県の中でも、干拓しまして、ほんに五町かあるいは一里にも足らないところで、二つの干拓をする。一つの干拓は非常に金がかかってでき上った。コストが高くなって、五万円以上にもなるという結果になる可能性が出てくるのじゃないか。それから一つの方の干拓のコストは、三万円くらいになる。同じ立地条件のように見えましても、技術的に、ある一方の方は潮の流れとか何とかという科学的な条件で、コストが高くなってきますと、入植させるとか何とかいろいろな形で土地を与えますにしましても、これを与えることは県知事に権限があるのですね、一応。そういうようなときに、一体そのさばき方はどうなるのだろうかと、私はさっきお話を聞いていて非常に不思議に思いますが、その辺はうまく処理がつきますか。そういうことまで考えていらっしゃいますか。

中尾博之大蔵省主計局法規課長

○政府委員(中尾博之君) 先ほどから申し上げますように、直接のあれではないのですから、いかがと思いますが、私承知いたしておりますところでは、今お話にございましたような点ももちろん重大な問題だと思います。受益の範囲内ということでございますし、営農が成り立つ限度内でなければいかぬということと同時に、金額も同じでなければならぬという御要望もあろうし、割合も同じでなければいやだという御要望もあろうし、安いところと高いところによっては両方の御意見もございましょうし、その点は皆様方の御納得のいくような線を、しかも事業が伸びるようにしようということで、あわせてお考えになっておられることと私は思っております。そういうつもりで私も協力をして参りたいと思っておる次第でございます。決して一つ一つのことについて、軽くものを考えるということではございません。あれもこれも考えまして、検討いたしたいと考えております。

安部キミ子日本社会党

○安部キミ子君 政府が責任をもってこういう法律をお出しになるからには、そういうような結果というものがちゃんとできてから、いわゆる答えが出てからでないと、私は無責任なお答えだと思うのですよ。たとえば、今重政先生がおっしゃったように、高い利子になる。長くかかるか短くかかるかというようなことにも、受益者の方には影響があると思うのです。そういうようなものがやはり、あなたの方でちゃんと答えとして出て、りっぱな答弁ができる。今から考えましょう、どういうことになるか、内容の個々の問題についてはまだ検討しておりませんというようなお答えで、こういう法案をお出しになることは、私はどうかと思うのですね。あなたが御答弁できなくても、ほかの方で答弁できる方があるかもしれませんけれども、少くとも今の課長さんの御答弁では、私どものように新米で何にもわからない人にも納得がいきませんですね。その点どうなんですか。

中尾博之大蔵省主計局法規課長

○政府委員(中尾博之君) どうも場なれがいたしませんものですから、説明がまことに御意を得なかったようなことで、申しわけがなかったのでありますが、この法律案を作りました際に何も考えておらぬ、今初めて考えるというのでは決してないのでございまして、大きな筋といたしまして、新しく負担金を課する、そういうことによって工事の促進をはかっていく、そして一般会計の方に上っていくものは一般会計の負担の分に回す、こういう大きな線を出した。それに伴ってどういうふうにしたらよいかということは、実はいろいろと検討はいたしておるのでございます。しかし、こういうことは事重大でありますから、政府の部内だけでもって、実質的に政府の責任できめるわけでございます。政令でございますが、なかなかそういうわけにこれは参らぬことは、皆様御承知の通りであります。それらの点で、いろいろ御意見を承わりながら、それを調整するように努力いたしたいと考えております。新しく考えておるということではありません。調整を考えておるのでございます。もちろん、そういうものがどういうふうにきまりましても、この会計法は動ける会計法であります。ただ、内容がどうなるかということであります。その内容の問題につきましては、今の土地改良法の一部改正の機会に、できるだけその調整のついたところで、法案とあわせて御審議が願えるように、努めるべきであるというふうに考えております。そういう意味で、調整に努めておるのであります。その間の事情を一つ御賢察願いたいと思います。

安部キミ子日本社会党

○安部キミ子君 私は、課長ざんの説明が下手とか上手とかという問題ではないと思うのですよ。この法案をお出しになるについて、基本的な問題が解決されていない。まあこれから、こういう法案を仮定的に出しておけば、どうにか自分たちが観念的に考える上では何とかなるのじゃないかというような印象を、あなたの答弁からは受けます。そこできょうはあなたにお尋ねしましても、あなたを何かいじめるというようなことはありませんが、忍が満足するような答えになりませんから、後日またほかの方にお尋ねをすることにします。よろしゅうございますか。

東隆日本社会党

○東隆君 私、今までのやり方ですね、この会計法を設定することによって利益になる点ですね、仕事を総合的にやるとかいろいろな問題があると思うのですが、そういうような非常にいい点ですね、そういう点はどういう点ですか。一つお知らせ願えませんか。

中尾博之大蔵省主計局法規課長

○政府委員(中尾博之君) いい点と申しますか、作ることが必然的な結果になるというむしろ感じなんでございますが、分けて申し上げます。財政法第四条、きわめて健全財政の趣旨をうたっておるわけでございますが、それらの規定の一種の特例と申しますか、後年度の財政負担にならない分につきましては、借入金をやるといたしましても、事業の促進をはかろう工事の推進をはかろうということを考えまして、借入方式の新しい特定の土地改良の法律というものを考えておるのであります。そういう借入方式で財源といたしまして、それに対しまして利息の計算もございますし、分担金の計算もございます。それらを考慮いたしまして、あの工事この工事というふうに、紛淆を来たさないように管理して参るためにば、しかも個々の工事につきましてなるべく経済的に、利息のよけいなものを払わぬように、それから不要品があったら早く処分して工事代の軽減ができるようにというようなことの配慮をして、十分に働かしますためには、これは一般会計の中にぶっ込んでおきましたのでは明瞭を欠きます。そのために、これは特別会計を作る必要が出て参るのであります。なお、特別会計を作るといたしますと、財政法の規定でいろいろ特例を設けることができまして、今申し上げましたように、当面の事情に即応いたしますような、きわめて明確な経理を行うことができます。そういう意味におきまして、きわめて会計の取扱いの技術上の問題であるとか、事柄を明確に間違いなく公けの責任を明瞭にいたしまして、この分を行なっていくことができるということになります。それから国会方面におきましても、その成果なり結果なり、予算あるいは決算を通しましてごらんになり、御批判になる場合におきましても、その間の営みがきわめて明瞭に把握され得るようになっております。概括的でございますが、申し上げておきます。

東隆日本社会党

○東隆君 経理あるいはその他の方面のことはよくわかりましたが、農地局長の方でどういう点が——これで利益になる点ですね、いい点ですね、それを一つお教え願えませんか。

安田善一郎農林省農地局長

○政府委員(安田善一郎君) この土地改良工事特別会計を設置することになりまして、一応政府部内で案を立てましたことに関しましては、大蔵省とよく協議をして予算を整え、かつ法律案を関係法案として提出することになったのでございますが、特別会計にしようということにつきましては、大蔵省の中尾政府委員から御説明になった通りでございます。すなわち、財政法の規定に従いまして、この工事量を拡大しまして、また工事の効率的な促進、早期完成をはかるというための会計経理としましては、一般会計と区分して工事会計を特別に設けるのがいいだろう、そういう事業会計を設けるのがいいだろう、こういうことでございます。  なお、それと同様の理由になりますが、干拓地等、また灌排事業でも、総合灌排あるいは灌漑排水施設等につきましては、従来からも負担金を徴収できることとなっております。現行の方式によりまする埋立地、干拓地につきましては、先ほど他の委員から御質問もありましたが、その当該干拓地等の近傍の類似の土地の等級がございますが、一番下の等級のものに類似する価格で、土地配分計画をきめて売り渡しておったわけであります。その収入があるわけです。今回でも、地元負担に移して売却はやめたいと思っておりますが、負担に応じます収入があるのでございますが、従来はこれが一般会計の雑収入になりまして、有効に使われてはおりますが、工事促進の見地からも、この特定工事からの収入は特別会計で受けとめて、次の工事促進に使い得るように、もっともそれだけでは十分でございません、国営工事で、国費をもってまかなう分が多いのでございますので——一般会計からの繰り入れがございますが多いのであります。それらを特別会計にするのがいいだろう、こういうことで、これは特別会計を置くということの有利さを持っております。  さらに、特別会計に工夫をこらしまして、地元負担金に見合います借入金をあらかじめいたしまして、従来の工事完了後に負担せしめるのではなしに、将来の負担に見合った借入金を特に政府資金によって受けとめまするというと、その費用を一般会計からの繰り入れと合せまして、工事費に与える、工事費に投入し得るような形式の特別会計を設ければ、一般会計からの繰り入れが従来より減少したりしない限りは、建前として工事量が多くなって工事が促進される、こういうことで、一般会計では予期し得ない借入金の思想を取り入れたくて、特別会計というそういう今回のような特別会計を設けたいと思っております。  また、政府の融資し得るいわば政府資金と申しますか、これを借入しあるいは投入する場合に、特別会計で借りますというと、運用部資金について例を見ますと、ほかの場合であったら、たとえば公庫の場合でありましたら六分五厘、特別会計でしたら六分となるのが、運用部資金の現行の方式でございますので、低利のかつ長期の政府資金を使い得ることに結論が出るだろうと思っております。  他は実質上の理由でございまして、一応、重政先生の御意見もありましたように、干拓といい、国営灌排事業といい、かなり着工したものについても事業が残り、また一般的に事業進度がおそい、こういうことがございまするが、それが日本の農業事情、農民の気持、食糧増産の早く効果をあげる、国家資金の効率をあげること等について必ずしも適当でありませんので、改善を要しまするが、他面国の財政等の関係もありまして、従来の最近の予算がまあ国力の大体の現われである、こういうことを前提にいたしまして、現実的な目から見まして、これを従来の方式のままで放置しておきますと、工事の早期完成あるいは促進、資金の、国家資金でありましても効率的な利用にならないことに着目をいたしまして、工事期間を短縮する。短縮するに当っては、少くとも借入金を入れて工事費に投入する。と申しますのは、一般歳出予算の負担以外でございますが、それだけは少くとも進む。それ以上進ませるのが目標である。こういうことからいたしまして、実質上の目的を達しようと思っておるのであります。  さらには、一般会計でありますというと、土地改良におきましても、灌排事業においてもそうでございますが、干拓事業におきましても、各地区、さらにはこまかくは各工区につきまして工事費を確定いたしまして、それによりまして事業を行なって参っておるわけでございますが、この間に大体、住民の社会通念と申しますか、またその地形立地、気候等の関係からいたしまして、少くとも最小限度は似たような土地である所に似たような措置を講ずることなどは、特別会計で工事別に経理を明かにする限りは、工事費も、従って地元負担等におきましても、プールをし得る。そして過分の財政負担をもっていきょうがない。そういうことの運営も実質上は可能になると考えまして、それらが長所で、採用すべきものと考えたのであります。

東隆日本社会党

○東隆君 はなはだ何ですが、これによって今まで農林省が、何といいますか、事業をやる場合に、農林省の一般会計その他の成立の場合はこれが問題になりましたが、その後においては一本でもってやっていくわけですが、今後もずっと特別として、大蔵省が中に相当介在をするのですか、その仕事を進めるに当って。その関係はどうなりますか。

安田善一郎農林省農地局長

○政府委員(安田善一郎君) 特別会計は国の会計でございますので、必要なことに応じましては、大蔵大臣はもちろん関係をいたします。この間に、管理につきましては、第二条に示してありますように、農林大臣が管理をいたします。農林省にありまする他の特別会計と同様でございます。従来の一般会計のように、予算編成時に大蔵省が金を握っていてどれだけつけようというよりは、若干ながら収入もあり、特別会計として管理を農林大臣にまかされておる会計でございますので、今後は予算の折衝も適当に実質上はしたいと思います。

重政庸徳自由民主党

○重政庸徳君 もう一言、第六条ですが、第六条の一番末に「政令で定めるところにより、この会計から一般会計に繰り入れるものとする。」こうあるのだが、私はこれは特別会計と間違っておるのじゃないかと思うのだが、間違っておらぬとすると、一方借入金をした、利子はとる。幾らとるかまだわからぬが、利子をとるというのだから、これは土地改良に属した金だから、私は、一般会計に入れて、利子のつかぬ金ですから、そしてプールして、借入金の利子でも下げるとかいうような親心がなければおかしいように思うのですよ。これは間違っておるのじゃないですか。

中尾博之大蔵省主計局法規課長

○政府委員(中尾博之君) 決して間違っているわけではございません。あるいはそういう御意見も幾くらでもそれは成り立つと思います。思いますが、一般会計で工事いたしました分の負担金でございまして、この分は別に借入金でいたしたわけではないのでございまして、従来とも一般会計のまた歳入になっているのであります、今後この会計におきましていたします工事には関係のないものでございます。この分を別途分けまして、負担金としまして、特別会計の方にも、特別会計の工事の負担金は特別会計でとり、一般会計時代の分は一般会計でとるということにする、そういう制度も考えられないではございませんが、非常に繁雑でございます。いたずらに忙しい農民の方々に御迷惑をかけることになりますし、行政当局としましてもその繁雑に耐えませんので、これはやはり一本でやってゆくということが適当であろうと思います。  なお、一般会計時代のものと特別会計時代のものの債権債務等につきましても、やはりこれを引き継いだり何かしなければならぬ関係があるわけでありまして、これを一本にしておくことが便利であると考える次第であります。従いまして、元来一般会計に入ります負担金を特別会計に入れるのでありますから、そこで会計の管掌といたしまして、その分だけ一般会計に繰り入れるという規定が入ったわけであります。

重政庸徳自由民主党

○重政庸徳君 私は、土地改良に属する金だから、一般会計に属しておったのもこれは今度設置する特別会計に入れて、農民の負担を軽からしめるというのが、親心じゃないかと思うのです。ほんとうのこの事業に対する、この事業を促進するという意味からいえば……。これは一般会計で取り扱っておったのだから、一般会計に入れるとおっしゃれば、それまでだが、そのときには特別会計はなかったのです。だから、そのくらいの思いやりがあってもいいのじゃないかと私は思う。そういう見解のもとに質問したのです。  なお、借入金の利子は幾らになっておりますか。

中尾博之大蔵省主計局法規課長

○政府委員(中尾博之君) 借入金の利子は年六分でございます。これは現行では六分ということになっておりますが、最近の情勢でありますから、あるいは若干変ることもあるかもしれませんが、それ以上高くなることはないと思います。

安部キミ子日本社会党

○安部キミ子君 本年度からこの法律が実施される、こういう考え方ですが、そういう考え方で、これがおそらく通るだろうということになりまして、そうなると思いますが、そうなりますと、今年度からの新規事業はこういう法律に基いて運営されますが、ところが、継続事業というものが相当ありますから、そういうものとの関係はどうなりますか。

中尾博之大蔵省主計局法規課長

○政府委員(中尾博之君) その点は、実は入れものの方のこれは法律でございまして、繰り返して申し上げますが、そういうものも入る場合には、これは入り得るような法律になっております。問題は予算の関係でございまして、継続の灌漑排水事業は、三十二年度は一般会計で行うという形で組んでおります。その辺の考えなり御方針なりにつきましては、農林省の方から御答弁申し上げた方が正確ではないかと思います。

安田善一郎農林省農地局長

○政府委員(安田善一郎君) これは中尾君からもお話しになりましたように、土地改良法の改正と、それをもって事業を行うことにいたします場合の会計の仕方の特別会計法と、一体になって、かつ来年度の予算が確定しますれば、その中身となりまして運営されるものでございます。これは御説明のありました通りでございますが、法の体系と申しますか、別途御提案申し上げております土地改良法の一部改正法律案におきましても、お話の新旧の事業をいずれも取り入れ得る、継続事業を法的にこの特別会計に入れないという制度にはいたしておらないのでございます。  ただ、昭和三十二年度からこの特別会計法と土地改良法改正法によりまする事業を行なって参りますには、干拓におきましては、特に着工以来、各地区を通じまして残りの事業がたくさんありますることと、ここ数年来いろいろの問題がございまして、でき上りました干拓地におきましても、入植をさせ、土地配分計画を立てましても、一時賃貸を国がいたしておるのが現状でございます。そこで特に干拓は、他面従来国費のみをもちまして工事を行いましておりましたことがございまして、両者を考えまして、直轄、代行を通じまして、補助干拓を除いては新旧を問わず限定されたる着工地区数でございまするから、この会計でやれば、国の会計が一般会計だけに行われておりましたのを、特別会計による処理によって移すことだけであるから、全部入れて行なったらどうかと考えまして、そのように考えておるのでございます。狭い意味の土地改良、灌排事業と普通申しますものにつきましては、各種のものがございますが、国が営みまする事業としての灌排事業につきましては、やはり計画を立て事業を着工いたしまする段階におきまして、地元土地改良区の、また県を含めまして、都道府県を含めまして、従来の率によりましてでも、負担の同意を、三分の二以上の組合員が同意を決議された場合に、この費用の負担もしていただいて事業を行なっておるわけであります。    〔理事藤野繁雄君退席、委員長着席〕  また最近の実際の観点から見まするというと、事業の実施計画とか実施過程におきまする地盤、水量等の関係からいたしまして、年度途中において事業計画の変更等もございまして、変更の場合はひとしく同様の土地改良区県に対しまする手続を経なければならないわけでございますが、現段階におきましては、その手続を数百にわたりまする国営の灌排事業においてとりまするというと、さらによく研究、整備をいたしませんと、手続だけで非常に時間がかかります。予算ではとりあえず、灌排事業については新規をもちましてこの特別会計からやる。将来地元に希望があり、総事業費の確定が相当確実であり、簡単に地元負担も変るようなことがない。従って、大ぜいの農民の方々に都道府県を入れた手続を先行する要がない、そういうような事態とかそういう地区工事につきましては、だんだんと入れて、この成果を高からしめていくのがいいのではないか。そういう出発の態度ですね、そういう態度で一応出発したいと思っておるわけであります。

安部キミ子日本社会党

○安部キミ子君 先ほど質疑の中で、この法案が成立した結果は、受益者の立場に立てば事業量は増大する、しかし出費は、負担は多くなるということが私は結論だと、まず簡単に考えます。そういうことになりますと、新規事業で、これから納得してこの法案を適用されて、納得の上で受益者がこの法案の適用を承諾するならばいいと思うのですけれども、たとえば継続事業の場合は、最初にそういう約束では受けなかったわけですね、この法案を。その間、やはり私その問題が心配なんですがね。今のお話でいろいろややこしいことを説明いただきまして、わかったところもわからぬところもありますが、その間簡単に御説明いただければ、どういうことになるのですか。

安田善一郎農林省農地局長

○政府委員(安田善一郎君) 簡単に申しますと、干拓地区は、従来の法令に基きます地元のお方々がまずないといっても過言ではない程度で、いわんや決議はございません。灌排事業は明らかに法に基いた所定の手続をとりまして、受益地域の農民の方々も県をもまじえまして、法に基いた決議があるわけです。従いまして、前者は継続事業も湖面または多くは海面を新たに埋め立てて土地を造成する場合でございますので、これは継続でも取り入れてよかろう。後者の場合は、決議が負担にも関係しまして、事業費にも関係もありますので、事業費がそう動くというわけではございませんけれども、手続を慎重にした方がいいから、初年度はこれを除いた方が適正であると、こういうことでございます。

安部キミ子日本社会党

○安部キミ子君 そうしますと、その継続事業の自後の対策については、受益者の方にも納得がしていただけるだろうと、こういう見通しで今の御答弁があったものと思ってよろしいわけですね。

安田善一郎農林省農地局長

○政府委員(安田善一郎君) 干拓につきましては決議はございませんが、新たに入植をしていただく方は、納得していただく方に入植していただく。灌排事業につきましては、すでに意思表示をされ、決議をされておりません新規事業しかとっておりませんので、これは今後新規事業をこれで行うことを決議していただければいいのじゃないか。継続事業をもし入れる場合は、これは入れる余地が法律案が出してあるわけでございますが、これは所定の手続で適正な御決議を下すったら、それに基いて意思表示をお願いをいたします場合に、経費負担の点とか、事業費の点とか、その他研究すべき基準的事項について満足ができますれば、特別会計の方へ入れることもあると、こういうことでございます。

安部キミ子日本社会党

○安部キミ子君 私は、あなたの希望的観測でもってそう断定しておられるところに、少々不安な点がありますが、まあこの問題は水かけ論になりますから、将来のことで幾ら観念的にこうであろうなんと言うてみたところで、実際に損するものは損するといって、私は受益者は簡単には納得しないのではないかという心配がありますが、一応この問題はこれで終ります。

堀本宜実自由民主党

○堀本宜実君 この特別会計法が施行になって事業が促進され、事業量が拡大され、土地の利用価値が増進する、そういうことはわかったのでありますが、そこで従来の行なっておった国庫負担と、受益者が負担をいたして施行いたしておったと思うのでありますが、それと、この特別会計になって以後における負担の割合について、お話を願いたいのでありますが、これは政令によって今後きめられるのであろうかと思うのでありますけれども、この灌排事業等でこれが行われるということになりますと、それが明らかにならなければ、この法律案に対しても若干の疑義があるわけでありますので、従来の行いつつありましたものとの比較について御説明を願いたい。

安田善一郎農林省農地局長

○政府委員(安田善一郎君) 灌排事業について申しますと、もちろん国営の灌排事業でございますが、従来は工事費に当りますものを全額、一般会計の国費でやっておったわけです。そして工事の進みます度合いによりまして、都道府県には、都道府県に負担していただく分を主にきめる。受益者農民に負担をしていただく分は、その分といたしましてきめておるわけです。簡単に申し上げますと、地元全体といたしまして四割、従いまして残りの六割は、工事に使いました費用の六割になります。六割は国の負担になっております。そして四割の工事費、元本の負担と申していいと思いますが、これは四割でございますが、まず都道府県にその費用をかけるのでございます。土地改良法の規定に基いております。そして多少都道府県の負担と受益者農民の負担とが、県ごとに、地区によりまして違うことがございますけれども、三県ばかりを除きましては、実情におきましては、この四〇を二〇、二〇というふうに分けてやっておられます。しかし二〇、二〇でなければならないというふうにはなっておりません。そして都道府県は一応四〇を負担いたしまして、その全部または一部を受益者に負担させ得る。こういう法の規定によりまして、二〇を負担させておるわけでございます。ところが、それは元本の負担でございますので、原則の例を申し上げますというと、都道府県は、着工後その年の年末以降におきまして六分五厘の交付公債をもちまして国庫にこれを納めて、三年後からそれを支払っていくような形になっております。農民のお方々には工事の完了後十年間に五分の利子を付して均等償還をしていた、こういうことになっておるのが従来の制度でございますが、今般は国庫、言いかえますと、一般計会から特別会計に繰り入れまして、工事に投入をいたします額と、借入金をいたしましてそれをつけ加えて工事費として投入する額と、その合計につきまして国庫が、国の負担が五八%、地元、言いかえまするというと、都道府県と受益者農民との負担が四二%、こういうふうにいたしております。それは先ほど申し上げました元本についてでございますので、支払時期が現行と違う点をお気づきだと思いますが、両者とも工事完了後五分五厘の利子をつけて十年間に払っていただく、こういう案をもちまして予算を計算いたしまして予算書を御審議願っておるのであります。  干拓で申し上げますと、従来は、工事費は全額一般会計の国庫負担でございましたものを、負担としましては、県も受益者農民も一応ゼロ、法律上の負担金としましてはゼロでございます。でき上がりましてから、入植者につきまして、先ほど申し上げましたような近傍類似の最下田の価格に相応いたしますもので売却をいたしまして、対価を徴収しております。一万二千円から八千円ぐらいになっておると思います。平均的には一万円というふうに言っておりますのはそれでございます。今回は、工事費は一般会計繰入分と借入金との両者から成り立つことは、灌漑排水と同様でございますが、地元負担につきましては、負担をかけましてでき上がりました干拓素地を売却することをやめまして、所用の法的改正もいたしたいと思っておりますが、地元に負担をかけるという制度によりまして、従来制度はありましたが算出が、負担額とか負担率が政令でもって指定になっていなかったのでございますが、特別会計で行う事業の部分については、事業費元本の二割と借入金建設利息(金利六分)を負担することとして、三年据置、十七年償還で金利も加えて支払っていただく建前となっております。  両者を通じまして、と申しますのは、灌漑排水と干拓の両者を通じまして、借入金は預金部資金から入れまして、六分の利子をつけて使うわけでございますので、着工後初年度から工事の完成時に至ります間のその金利につきまして、借入金の金利につきましては、建設利息としまして地元受益者に負担を持っていただく。従来はそういうものはなかったのでございます。そういうことでございます。

堀本宜実自由民主党

○堀本宜実君 ただいまの御説明によると、一応事業が早くできる、土地の利用が最も促進されるということで、すでに今までの工事には十年、十数年の着工以来年を経ておる工事もあるので、利用価値がない、そういうことからこういことになったと思うのでありますが、どうも地元の受益者の、県も地元農民もありますが、まあ合計いたしますと、負担増額になるように思われるのでありますが、しかし土地の利用度が早くなる、利用価値が増進されるということでその補いをするようでございますが、これをおおむね今まで経過をいたしました工事の年数、あるいは今後何年くらいで完成をする見通しというようなものの比較がなければ、地元の利益が増進されたとか、この特別会計によって利益が地元にもたらされたとかいうことの比較はなかなか困難と思うのでありますが、そういう点についての見通し、要するにこの法律を出されたときの基本的なそういう利害関係についての見通しについて、御説明を願いたいと思います。

安田善一郎農林省農地局長

○政府委員(安田善一郎君) 灌排事業と干拓事業と両方ありますが、いずれも特定の定まりました継続時期と、今回決定をいたして工事をいたしたいという新規事業としての工事でございますが、それについて種々勘案をいたしました結果、灌排事業におきましては、他の灌排事業とともに、一般的にその事業を行いますればその受益農地はどのくらいの米麦その他の増産が期待できるかの一定基準が、農地局ではかねて採択をいたしてありますが、従来通りのその増産基準を耕種地区ごとにとりまして、それによりまする増産量をまず第一に考えまして、それから工事の仕方あるいは工事中の補償、地盤その他のいろいろの問題からいたしまして、遅延したりするということもございますが、一応従来の制度、従来の工事の進捗度を前提にいたしまして、その受益はいつから発生するであろう……。たとえば総体的に申しますと、国営灌排事業は終戦後五年を経過いたしまして、おしなべて全部全体で見ますると、約今後十年間の月数を要する。三十一年度の予算が一応そのままつくとかりに仮定をいたしますと、十年くらい要するようになる。地区の工事ごとに、簡単に五と十を足した十五年になるわけではございませんが、十二年から十五、六年、長いのは二十五、六年も想定されるものもございますが、全体より標準的なものをとりまして、これは中尾課長も言われましたように、七年で完成をする。今後は残事業が少いものはその程度の割合で早く完成をする。中には計画もしっかりしていて、総事業費も少くて、工事上の支障も少いものは五年で上がるものもありますが、今後の短期に完成をいたします場合の収益増加と申しますか、収益増加額を従来の通りに評価をいたしまして、他面先ほど申し上げました工事費の負担額、あるいは建設利息の負担等を加えまして、収益と負担との割合がどちらが多いかということを見まして、今回の七年基準、継続のものは七年以内において完成をするとしますれば農家に利益が残る。その残る度合いが大体四割ないし六割程度、負担を払っても残りますれば、受益の方が多くて負担に耐えるという一応の考え方をもちまして、負担率と工事完成年次との関係を考えておるのであります。干拓につきましては、大体干拓地というのは土地改良事業の極端なるものと見てもよいと思いますが、土地を改良いたしまして、施設を設けて、受益の効果を出すというのを、ゼロから収益をもたらす農地を作るための措置とも考え得ると思いますが、一応国が、国営事業として行いました場合に、タッチいたして参りました段階は今後も従来通りにいたしたいと思いますが、干拓措置と普通言っておりましたし、なお付帯工事、整地を要する一歩前のものでございますが、三年前後をもちまして、熟田と申しますか、作付が普通にできるときになるわけであります。その時期において、従来の実態調査等からいたしまして、干拓地でどのくらいの、例を稲にとりますれば、稲の収入があがるであろうか。また従来の干拓地では一町五反から二町五反くらいのところで、収入との関係、受益との関係では、配分面積の規模を多少調節いたさなくてはいかぬと思いますが、山の方の開墾地などともにらみ合せまして、また付近の中農の経営規模、それも考えまして、干拓地の配分をするつもりでございますが、その面積によりまして、農業収入等がどのくらいある、それから農業支出がどのくらいありまして、世帯員数によりまするが、平均的なものをとりますと、家計費がどのくらいにできる。そうしますると、農家に余剰の見積りが一応できまするので、その余剰の見積りの中から、ただいま申し上げましたような工事負担、建設利息の負担をした場合に、やはり極端な場合を除きましては、まあ半分前後のところの負担にするようなのが、農業を扱うものとしては妥当な負担額ではないか。また、そうすれば、従来の方式よりも、大蔵省の方も言われましたように、誠苦心をもって、予算書にもそれを算出基礎として定めて国会に出してありますように、政府部内でありまするが、予算を一般会計から繰り入れ、工事完成度に基準をもちまして行いますれば、従来よりは国家的にも農民のお方々にも余裕を持ってできると、こういう考え方で負担を考えておるのでございます。

堀本宜実自由民主党

○堀本宜実君 いろいろ理由を伺って参りました。まあ御説明によると、利益なように考えられるのでありますが、その通りに実行をいたしまするためには、果してその工事の完遂年限を七年に必ずやり遂げるという予算の裏打ちがなければ、私は全く絵にかいたもちで、どうにもならないということになると思うのでありますが、もとよりその予算についてはわれわれが審議をしなければならぬ責任がある。しかし一面、政府としてもそれを提案する決意がなければならず、また一番長いものでも七年間で完遂をするのだということを明確にうたっておかなければならぬと思うのでありますが、それは政令でそういうことを示されるのでありますか。ただ七年間ということは、どういうようなことからそういうような明記をされ、そういう決意をお約束できるのでありますか。

中尾博之大蔵省主計局法規課長

○政府委員(中尾博之君) 大へんむずかしいお話でございますが、きわめて大事な点でございますので、御答弁のできる限り申し上げたいと思いますが、もちろん何年で完成するということ自体は、実は予算を幾ら組むかということにかかるのでございまして、これを法律をもって規定いたしましても、実は予算執行なのでございまするから、法律、政令はこの用をなしません。要は、予算を組む場合の誠実さとその可能性にかかっておるわけでございます。誠実さにつきましては、妙な話でございますが、御信頼をいただくように政府としても努めなければいかぬ、こういうことでありましょう。それから何ぼ誠意を尽しましても、これがとうてい絵にかいた餅の計画ではないかというような点は、事実的にはあるいは御懸念があろうかと思います。本年度程度の財政規模でありまして、ことし程度の予算を組んで参りますこと自体、決して無理でないのでありまして、特別に予期しがたい事情が、大変動でも起ればこれは別でありますが、従来の予算を編成いたしておりまする場合の感覚からいたしますと、決して無理な予算を組んでおるわけではございません。しかも今度の三十二年度の予算の速度をもちまして、先刻から申し上げておりましたような政府の決意と申しますか、そういう心がまえと申しますか、それに即応し得るものになっておることを申し上げることができると思います。

重政庸徳自由民主党

○重政庸徳君 関連して。今の問題は、前私が重要点として御質問申し上げたんだが、また今も問題が出たから一つ申し上げますが、きわめて不安定なんです、年限を法律に入れぬということは。まあそれは一歩譲って……。とすると、とにかくことしは予算をそこまで組み得なかったから、借入金の方をふやしてちょっとまかなおうという安易に陥りやすいんだ、それは。そうすると、農民の負担はふえる。農民の負担は率がふえるというようなきわめて微妙な、農民側にとってはいかんとも方法がない結果になる。予算は減った、それならそれを増してやろうというので、借入金で増してやってしまった場合は、農民の負担は予算が減っただけふえるという結果になる。この点は課長はもちろん、誠心誠意そのつもりでおられるでありましょうが、非常に不備なところがあると私は思う。  もう一点、安田局長にお尋ねいたしますが灌排事業が三十二年度にはこの中に入れてない。入れるような仕組みにはなっておると、しかし時間的に余裕がなかったと、これはそれでいいのですか。私もう一つ違った観点から、この国営事業工事を急速に完了しただけで、経済効果が直ちに上るものでな、い。御承知のように、その次に来たるべきものは国営事業の付帯事業として県営事業をやり、あるいはそういう下のこまい事業もやる、それで初めて完成するものと。その下のこまい事業はこれは団体として今施行しておるのですから、これはまかすとして、地元の農民にまかすとして、少くとも県営事業で取り上げておる事業は、私は将来国営の、もちろん全部というのじゃないのだが、国営に付帯する特殊な地区については、例を申し上げますと、両総用水、これはすでに十年をこしております、着手して。またおそらくこれは今後相当力を入れても、三カ年はかかるでしょう。ところが、それに付帯する県営の事業というものは、実に十数本ある。これがまた今の状況から見れば十幾年かかる。そうすると、二十四、五年たたねば、あとの団体事業は農民がやるとしましても、二十数年たたねば、農民はいわゆる経済の利益を得ることができぬ。その間ずっと負担を続けておると、まあこういう結果になるのだ。で、そういう私は国営付帯事業の全部をこの特別会計で施行せいと、これはそうすれば一番いいのですけれども、歩調が合うから……。そうは言わぬが、とにかく特殊な地帯に対する国営事業については、そういうことも相当私は考慮していただく必要があるじゃないかと思う。将来、私の意見に対してどうお考えになりますか、御意見承わります。

安田善一郎農林省農地局長

○政府委員(安田善一郎君) 御意見は御意見で、理屈は理屈であると思います。一たび特別会計で工事促進をしようと思いまするのは、土地改良工事は農業に受益をもたらすためでございます。国営工事から県営、団体営を通じまして、初めて農民の耕す田畑で受益を生ずるものでございます。過去に、十分ではなくても、既存の施設がある場合がありまして、国営工事が完成しますれば相当の効果は生ずる。また両総用水が全部完成しなくても部分効果が発生することももちろんでございますが、国営の基幹工事でまずこの措置をとりたいと考えておりますことは、大目的の一農民のその耕す田畑におきまして効果を生ずることが目的でございまするから、県営、団体営、それぞれ必ずしも特別会計に全部入れなくてはならないとも考えませんが、事業の早期完成、資金の効率的な使用、増産効果の早期発生、農民負担の重からざること、適正であること、照応して一連の施策をこの特別会計の設置を機にいたしまして、それぞれの工事、たとえば水系別、工事別、こういうものに付帯、県営はもちろんのこと、その他のつながっておりますものについて同様に措置すべきものと考えます。特別会計を出し、土地改良を完成した、国営工事を取り上げた、こういうことだけで農林省が満足するものでもございませんし、天の理にかなったものでもない。大蔵省あるいは政府全体としましても、理のおもむくところは自然にこれに照応して解決されるものと考えております。(笑声)

重政庸徳自由民主党

○重政庸徳君 これはね、今御答弁は出ましたがね、理のおもむくところは座して解決するとはいかぬのですよ、世の中は。(笑声)そう世の中がいけば、われわれ苦労するものじゃない。農民も非常に心配するのじゃないのです。だから、一つ、何はさておいても、努力するという心がまえでやっていただきたいと思うのですが、法規課長も、今の事実、現実なんですからね、だからそういうものが残るということに対しては、将来何かの方法を講ぜねばならぬとお考えだろうと私は思うのですが、その点、考える必要がないとか何とかという御意見がありますか。(笑声)

中尾博之大蔵省主計局法規課長

○政府委員(中尾博之君) ただいまの御疑念の点、並びに農林省御当局の御答弁、いずれも十分私ども了解できるところでございまして、まさに政府全体といたしまして不合理なことのないように、仕事を計画的に合理的に進めていくべきこれは責任を感ずるものでございます。それらの点につきまして、農林省と大蔵省の間に意見の相違が現われようとは、とうてい信じられないところでございます。  なお、ちょっと先ほどございましたが、一般会計の方で苦しくなったらこの会計で金を借りさしておいて、事業量だけで済ませようというようなことがあるのじゃないか。これはきわめて、実は条文の方から見ますというと、その点はやや明確を欠いているかに見られるかと思いますので、あるいは御疑念を生じたかと思うのでありまするが、決してそういうことは考えておりません。政令で定めるところによりまして借入金をいたしまして、その場合に、各年度におきましてもなるべく利息のつかない金でまず工事をやって、利息期間をきわめて短かくしたいと考えておるのであります。その負担の割合を、まあたってと農民側の方の方々の御要望がありまして、そういう場合でもというような場合でもあれば、これは別でございましょうが、負担をこれに転嫁しまして、利息のつく金で先に工事をさせまして、あとから国がのこのこ出ていくというような悪らつなことは決して考えておりません。むしろ、そういうようなことのないように、経理を適切にいたしますようにいろいろ心を砕いておる次第でございます。よろしく御了承願います。

藤野繁雄自由民主党

○藤野繁雄君 今、法規課長及び農地局長のお話を聞いておってでも、干拓したところの土地の売渡価格——売却価格というようなものは、営農ができる範囲内の価格でなくてはできぬというような話のように承わっておったのであります。また、事実そうでなくてはできぬと思うのですが、そうするというと、今案を示された国営干拓地地区別反当負担額調によって見るというと、三十一年度以前は五%、三十二年度以降は二〇%として計算せられているのによって見ますれば、一万円ぐらいのものもあれば、非常に高いものもあるというようなことになるが、一体どのくらいの金額であれば営農に差しつかえないという金額であるとお考えになるか、その点、お答え願いたい。

安田善一郎農林省農地局長

○政府委員(安田善一郎君) この問題は、先ほども申し上げましたように、端的に答えるべきでありまして、また端的に答えたいと思いますが、配分されまして経営する面積が一つでございます。それからその土地で、灌排は北海道もあり、干拓は北海道はございませんが、全国的に気候、風土、地味あるいは塩分その他のことがございまして、施設等の人工的な要素もございまして、地方と申しますか、土地の生産能力もございます。一方、農業経営のやり方もあると同時に、その農家の消費水準、生活水準と申しますか、それらを考えて初めてお答えできることでございますが、三十一年度までやって参りました北陸地方等におきましては、二町五反を配分する。その他、西の方に見ますれば、従来一町、一町二反等でございましたが、今後は私どもは一町五反が適当であろうと思っております。それは健全なる自作農家を作るという上において、新造成地なんかにはそういう考えが必要だと考えておりまするが、その規模を目安にいたしまして、干拓地には、西の方から九州の方に至りますまで、作の多い少いがございまするれども、その付近の営農方法をとるといたしまして、まず水稲を植え裏作もする、農閑期にはほんの少しにしろほかの収入もあるだろう、こういうことを見まして、反当は低いところでは二万から高いところでは五万前後のところならば、私が先ほど申し上げましたような程度になると思うのであります。六万、七万というところが、簡単に二割といたしましたり、建設利息を負担させますと出るところが少数でございますけれども、これは法規課長もお話しになりましたように、特別会計法において運用上工夫をこらしまして、地区内のいろいろ工事費が違う工区はプールいたしまして、地区と地区との間は、土地改良工事でも、工事内容と立地条件によりまして、負担程度が率としては同じでも、額としては違う実情も考えまして、反収、地味その他のことも違うことを考えまして、大体差があっても支障がないのが、多くの原則であると思っておるのであります。他面、農林省が従来工事を採択いたします際に、やはり投資の限度、それによりまして工事が完成しましたときに、灌排にしろ、特に干拓におきましても、どれだけの受益があるかの関係はおよそ押えておるのでございまして、それらの関係をもちまして、新規事業は採択においてこれを留意しまして、適当な経済規模において事業を行うのが必要と思っております。とかく工事は、小さい規模において工事を行いまするというと、反当の、あるいは一農家当りの工事費ないしは負担額、こういうものは多くなる傾向がございますので、それらに留意いたしますと同時に、従来におきましても、反当工事費からしまする負担額の高いところは、地元増反等の要望を多くして採択したものでございまするので、それらを考えまして、ただいま申し上げました程度でありますれば、全体を考えてみまするというと、おおむね妥当な形にいくのじゃないかと思っておる次第でございます。

藤野繁雄自由民主党

○藤野繁雄君 そうすると、提案理由の第二で説明された「工事別の区分に従って行うことといたしております。」ということは、ある一工事が数区に分れておる場合においてでも、それは一工事別として計算されるのであるかどうか。

中尾博之大蔵省主計局法規課長

○政府委員(中尾博之君) 先ほども申し上げまして、繰り返しになりますが、その負担割合が、同一の人々の団体でございまして、その共通の負担割合で処理できる限り、これは地区全体でも同一の工事と見ていこうと考えております。それから、その負担割合が変って参ります場合におきましては、その変ってくるその変り工合によりまして、おのおのグループが分れてくると思います。先ほどの農地局長の御答弁で申し上げましたところは、実際上の地元の御協力と御理解を得まして、妥当な線で御相談を申し上げるならば、それらの負担区分の割合ですが、ある程度工区を、工事費は相違がございましても、プール計算で御納得が願える場合が相当ございましょう。あるいはあともっと、農林当局としては、その自信が相当程度以上にある、そういうもので円満に処理される場合もあるであろうということも考えておられるのかと思いますが、そういうことが可能でございますれば、この工事はきわめて広範なものになるわけでございます。

藤野繁雄自由民主党

○藤野繁雄君 そういうふうな計算で出てきたところのものが、たとえば五万円をこえた、あるいは六万円になったとか、あるいは七万円になったとかいうようなことになれば、いろいろな計算からいって、農家の営農が成立するというような点を土台にして考えていくと、五万円を超過するというようなことではほとんど営農ができないような状態になるんじゃなかろうか、こう考えるのでありますが、そういうふうなことで計算したところのものは、計算したところの金額そのままでやられるお考えであるか。あるいは干拓事業をやるということは、営農ができ上って農家の経済が成り立つというようなことがなかったならば、入植する者がおらないというようなことにもなってくるのであります。その点から考えるというと、あまり高いところのものは頭をある程度切らなくちゃならない、こういうようなことになると思うのでありますが、そういうふうなことを大蔵省では考えておられるかどうか、伺いたいと思います。

中尾博之大蔵省主計局法規課長

○政府委員(中尾博之君) 実はその点、先ほどほかの先生方からもだいぶ御質問があったのでありますが、今実は、はっきりしたお答えを申し上げるべきでありますけれども、検討を加えておる最中でございます。いろいろな御要望を大蔵省といたしましても農林省といたしましても承わりまして、検討いたしておる次第でございます。  ことに金額等につきましては、基礎になる数字の取り方その他についても、慎重の上に慎重を期さなければならぬというような関係でございますので、大蔵省としてどういう考えを持っておるかという御質問でございますが、せっかくでありますが、ちょっと留保させていただきたいと思います。事は穏当のところに持っていきたい、御納得の得られるところに持っていきたいということにほかならないのでございます。御了承をいただきたいと思います。もちろん、条件によりまして、いろいろのことを考えておるのでございまして、頭打ちというような思想も一つの条件のもとにおいては十分に考えておる次第でございます。

島村軍次緑風会

○島村軍次君 先ほど局長から説明があったかもしれませんが、干拓の地元負担は、予算の形式といいますか、だれに負担させるのですか。府県ですか、あるいは直接干拓の場合には、受益者ですか。

安田善一郎農林省農地局長

○政府委員(安田善一郎君) 土地改良法の改正を御提案申し上げておりますが、その分に関しますることは、文字の手直しを加えました以外、現行規定と同趣旨でございまして、まず県にかけるが、県はその全部または一部の負担を農民の受益者にかける、こういうことによりましていきたいと思っておりますが、実際問題としまして、干拓は従来の例もありまして、県が負担をすることは少いのではないかと思っております。しかし私は、場所、また一応の負担率からして、負担額の高いところ、言いかえますと工事費が高いところ、その採択に当りまして、県庁が、地元の代表、また県の立場からしまして着工をお勧めになりましたことの沿革、並びに今後の地方行政をやっていただく地元の代表的な官公署といたしまして、時には県ともよく話し合いをいたしまして、個別解決をいたしまして、県にも持っていただく場合がある、こういうことで進みたいと思っておりますが、事の制度を立てる上においては、干拓は県の負担はむずかしいかもしれない。こういうふうに思っております。

堀末治自由民主党

○委員長(堀末治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕

堀末治自由民主党

○委員長(堀末治君) 速記始めて。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時六分散会

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